(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-02
(54)【発明の名称】陰圧創傷療法装置のキャニスター状態決定
(51)【国際特許分類】
A61M 27/00 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
A61M27/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561751
(86)(22)【出願日】2022-04-20
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 EP2022060463
(87)【国際公開番号】W WO2022223645
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】397070118
【氏名又は名称】ティージェイ スミス アンド ネフュー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アスケム、ベン、アラン
(72)【発明者】
【氏名】エルダー、デイヴィッド、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー、ロバート
(72)【発明者】
【氏名】グアルディオラ、ダヴィッド、ガルシア
(72)【発明者】
【氏名】ハント、アラン、ケネス、フレイザー、グルージョン
(72)【発明者】
【氏名】マッジョーレ、アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ミルナー、クリストファー、ジェイムス
(72)【発明者】
【氏名】キンタナール、フェリックス、クラレンス
(72)【発明者】
【氏名】ストラチャン、カースティ、マーガレット
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267JJ09
4C267JJ12
4C267JJ14
(57)【要約】
陰圧創傷療法装置は、一つまたは複数の流体検出システムを含み得る。キャニスター流体レベル検出システムは、さまざまな流体検出装置を組み込み、キャニスターの流体レベルに関連するデータを通信することができる。一部の事例では、陰圧創傷療法装置は、装置ハウジング、陰圧源、および陰圧源と流体連通するように構成されるキャニスターを含み得る。キャニスターが、創傷から吸引された流体を保存するように構成されるキャニスターハウジング、キャニスターハウジングに接続されるキャップ、およびキャップによって支持される流体レベルセンサーを含み得る。流体レベルセンサーが、創傷から吸引された流体がセンサーと接触したときに、完成した電気回路を検出するように構成され得る。電子回路が、センサーの状態を検出し、キャニスターの状態の表示を提供するように構成され得る。
【選択図】
図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰圧創傷療法装置であって、
装置ハウジングと、
前記装置ハウジングによって支持される陰圧源であって、創傷包帯によって覆われた創傷に陰圧を提供するように構成される、陰圧源と、
前記陰圧源および前記創傷包帯と流体連通するように構成されるキャニスターであって、
前記創傷から吸引された流体を保存するように構成されるキャニスターハウジングと、
前記キャニスターハウジングに接続され、前記キャニスターが前記装置ハウジングに取り外し可能に取り付けられる時に、前記装置ハウジングに接続されるように構成されるキャップと、
前記キャップによって支持される流体レベルセンサーであって、前記流体レベルセンサーが、前記キャニスターハウジングの内部に延在し、前記創傷から吸引された流体と流体連通するように構成される一対のアームを含み、前記流体レベルセンサーが、前記創傷から吸引された前記流体が前記流体レベルセンサーの前記一対のアームと接触するとき、完成した電気回路を検出するように構成され、前記流体レベルセンサーが、前記電気回路が完成したときにキャニスターの満杯状態を検出するように構成される、流体レベルセンサーとを含むキャニスターと、
前記流体レベルセンサーの状態を検出し、前記キャニスターの状態の表示を提供するように構成される電子回路と、を含む、陰圧創傷療法装置。
【請求項2】
前記キャニスターの前記状態が、前記キャニスターの満杯状態を含む、請求項1に記載の陰圧創傷療法装置。
【請求項3】
前記電子回路が、前記装置ハウジングによって支持される、請求項1または2のいずれかに記載の陰圧創傷療法装置。
【請求項4】
前記流体レベルセンサーが、近距離通信(NFC)を使用して前記電子回路と通信するように構成される、請求項1~3のいずれかに記載の陰圧創傷療法装置。
【請求項5】
前記流体レベルセンサーが、近距離通信(NFC)改竄検出回路を含み、前記創傷から吸引された前記流体が前記NFC改竄検出回路の回路を完成することに応答して、前記流体レベルセンサーが、前記キャニスターの満杯状態を検出するように構成される、請求項1~4のいずれかに記載の陰圧創傷療法装置。
【請求項6】
前記電子回路が、前記NFC改竄検出回路と通信し、データの送信および受信を容易にするように構成されるアンテナを含む、請求項5に記載の陰圧創傷療法装置。
【請求項7】
陰圧創傷療法のためのキャニスターであって、
創傷から除去された流体を貯蔵するように構成されるキャニスターハウジングと、
前記キャニスターハウジングの内部に延在し、前記創傷から取り除かれた流体と流体連通するように構成される一対のアームを含む、流体レベルセンサーであって、前記流体レベルセンサーが、前記キャニスターの前記内部の流体が前記流体レベルセンサーの前記一対のアームと接触したとき、完成した電気回路を検出するように構成され、前記流体レベルセンサーが、前記電気回路が閉じられたとき、キャニスターの満杯状態を検出するように構成される、流体レベルセンサーと、を含み、
リーダーが、前記流体レベルセンサーの状態を無線で検出し、前記キャニスターの状態の表示を提供するように構成される、キャニスター。
【請求項8】
前記キャニスターの前記状態が、前記キャニスターの満杯状態を含む、請求項7に記載のキャニスター。
【請求項9】
前記流体レベルセンサーが、近距離通信(NFC)を使用して前記リーダーと通信するように構成される、請求項7~8のいずれかに記載のキャニスター。
【請求項10】
前記流体レベルセンサーが、近距離通信(NFC)改竄検出回路を含み、前記創傷から除去された前記流体が前記NFC改竄検出回路の回路を完成することに応答して、前記流体レベルセンサーが、前記キャニスターの満杯状態を検出するように構成される、請求項7~9のいずれかに記載のキャニスター。
【請求項11】
前記リーダーが、前記NFC改竄検出回路と無線通信するように構成されるアンテナを含む、請求項10に記載のキャニスター。
【請求項12】
前記キャニスターハウジングに接続され、前記キャニスターハウジングが陰圧創傷療法装置に取り外し可能に取り付けられる時に前記陰圧創傷療法装置に接続されるように構成されるキャップをさらに含み、前記流体レベルセンサーが前記キャップによって支持される、請求項7~11のいずれかに記載のキャニスター。
【請求項13】
陰圧創傷療法装置であって、
装置ハウジングと、
前記装置ハウジングによって支持される陰圧源であって、創傷包帯によって覆われた創傷に陰圧を提供するように構成される、陰圧源と、
前記装置ハウジングによって支持される装置コイルと、
キャニスターであって、
前記創傷から除去された流体を収集するように構成されるキャニスターハウジングと、
前記キャニスターハウジング内に延在する複数の電極と、
前記複数の電極に接続され、前記キャニスター内の流体と電気的に連通するように構成されるキャニスターコイルであって、前記キャニスターコイルが、前記キャニスター内の前記流体が前記複数の電極と接触したとき、電流を流すように構成され、前記キャニスターコイル内の前記電流が、前記キャニスターハウジング内に集められた流体の流体レベルを示す前記装置コイル内の電流の変化を引き起こす、キャニスターコイルとを含む、キャニスターと、
前記電流の変化を検出し、前記流体レベルの表示を生成するように構成される電子回路と、を含む、陰圧創傷療法装置。
【請求項14】
前記電子回路が、前記装置ハウジングによって支持される、請求項13に記載の陰圧創傷療法装置。
【請求項15】
キャニスター流体レベル検出システムであって、
装置コイルを含む装置電子回路と、
キャニスターであって、
創傷から除去された流体を収集するように構成されるキャニスターハウジングと、
前記キャニスター内の流体と電気的に連通するように構成されるキャニスターコイルであって、前記キャニスターコイルが、前記キャニスター内の前記流体が流体レベルの閾値に到達したときに電流を流すように構成され、前記キャニスターコイル内の前記電流が、前記キャニスター内の流体レベルを示す前記装置コイルによって導通される電流の変化を引き起こす、キャニスターコイルとを含む、キャニスターと、を含み、
前記装置電子回路が、前記装置コイルによって導通される前記電流の前記変化を検出し、前記流体レベルの表示を生成するように構成される、キャニスター流体レベル検出システム。
【請求項16】
請求項1~15のいずれかに記載の装置および/またはキャニスターと、前記創傷包帯とを含む、キット。
【請求項17】
図示および/または記載される装置、システム、キャニスターおよび/または方法。
【請求項18】
請求項1~17のいずれかに記載のシステム、キャニスター、または装置のいずれかを動作させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月21日に出願された欧州特許出願第21382346.1号に対する優先権を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、本開示の一部を成す。
【0002】
本明細書に記載の実施形態は、例えば、陰圧創傷療法と組み合わせて包帯を使用する、創傷の治療のための装置、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
多数の異なる種類の創傷包帯が、ヒトまたは動物の治癒過程を補助するものとして公知である。これらの異なるタイプの創傷包帯には、異なるタイプの材料および層、例えば、ガーゼ、パッド、発泡体パッド、または多層創傷包帯が含まれる。局所陰圧(TNP)療法は、真空補助閉鎖療法、陰圧創傷療法、または減圧創傷療法とも称されることがあり創傷の治癒率を改善するための有益な機構として広く認識される。そのような療法は、切開創、開放創、および腹部創などの広範な創傷に適用可能である。TNP療法は、組織浮腫を減少させ、血流を促進させ、肉芽組織の形成を刺激し、過剰な滲出液を除去することによって創傷の閉鎖および治癒を助け、細菌負荷を減少させ得る。従って、創傷への感染を減少させる。その上、TNP療法は、創傷の外部障害を減らし、より迅速な治癒を促す。
【発明の概要】
【0004】
陰圧創傷療法装置は、装置ハウジングと、装置ハウジングによって支持される陰圧源であって、創傷包帯によって覆われた創傷に陰圧を提供するように構成される、陰圧源と、陰圧源および創傷包帯と流体連通するように構成されるキャニスターであって、創傷から吸引された流体を保存するように構成されるキャニスターハウジングと、キャニスターハウジングに接続され、キャニスターが装置ハウジングに取り外し可能に取り付けられる時に、装置ハウジングに接続されるように構成されるキャップと、キャップによって支持される流体レベルセンサーであって、流体レベルセンサーが、キャニスターハウジングの内部に延在し、創傷から吸引された流体と流体連通するように構成される一対のアームを含み、流体レベルセンサーが、創傷から吸引された流体が流体レベルセンサーの一対のアームと接触するとき、完成した電気回路を検出するように構成され、流体レベルセンサーが、電気回路が完成したときにキャニスターの満杯状態を検出するように構成される、流体レベルセンサーとを含む、キャニスターと、流体レベルセンサーの状態を検出し、キャニスターの状態の表示を提供するように構成される電子回路と、を含むことができる。
【0005】
先行段落のいずれかの陰圧創傷療法装置、および/または本明細書に開示される装置、システム、もしくはデバイスのいずれかは、以下の特徴のうちの一つまたは複数を含み得る。キャニスターの状態が、キャニスターの満杯状態を含み得る。電子回路が、装置ハウジングによって支持され得る。流体レベルセンサーが、近距離通信(NFC)を使用して電子回路と通信するように構成され得る。流体レベルセンサーが、近距離通信(NFC)改竄検出回路を含んでもよく、創傷から吸引された流体がNFC改竄検出回路の回路を完成することに応答して、流体レベルセンサーが、キャニスターの満杯状態を検出するように構成される。電子回路が、NFC改竄検出回路と通信し、データの送信および受信を促進するように構成されるアンテナを含み得る。
【0006】
陰圧創傷療法のためのキャニスターが、創傷から除去された流体を貯蔵するように構成されるキャニスターハウジングと、キャニスターハウジングの内部に延在し、創傷から取り除かれた流体と流体連通するように構成される一対のアームを含む、流体レベルセンサーであって、流体レベルセンサーが、キャニスターの内部の流体が流体レベルセンサーの一対のアームと接触したとき、完成した電気回路を検出するように構成され、流体レベルセンサーが、電気回路が閉じられたとき、キャニスターの満杯状態を検出するように構成される、流体レベルセンサーと、を含むことができ、リーダーが、流体レベルセンサーの状態を無線で検出し、キャニスターの状態の表示を提供するように構成される。
【0007】
先行段落のいずれかの陰圧創傷療法のための陰圧創傷療法装置、またはキャニスターおよび/または本明細書に開示される装置、システム、またはデバイスのいずれかが、以下の特徴のうちの一つまたは複数を含むことができる。キャニスターの状態が、キャニスターの満杯状態を含み得る。流体レベルセンサーが、近距離通信(NFC)を使用してリーダーと通信するように構成され得る。流体レベルセンサーが、近距離通信(NFC)改竄検出回路を含んでもよく、創傷から除去された流体がNFC改竄検出回路の回路を完成することに応答して、流体レベルセンサーが、キャニスターの満杯状態を検出するように構成される。リーダーが、NFC改竄検出回路と無線で通信するように構成されるアンテナを含み得る。キャニスターが、キャニスターハウジングに接続され、キャニスターハウジングが陰圧創傷療法装置に取り外し可能に取り付けられる時に陰圧創傷療法装置に接続されるように構成されるキャップをさらに含み、流体レベルセンサーがキャップによって支持される。
【0008】
陰圧創傷療法装置は、装置ハウジングと、装置ハウジングによって支持される陰圧源であって、創傷包帯によって覆われた創傷に陰圧を提供するように構成される陰圧源と、装置ハウジングによって支持される装置コイルと、創傷から除去された流体を収集するように構成されるキャニスターハウジングと、キャニスターハウジング内に延在する複数の電極と、複数の電極に接続され、キャニスター内の流体と電気的に連通するように構成されるキャニスターコイルであって、キャニスターコイルが、キャニスター内の流体が複数の電極と接触したとき、電流を流すように構成され、キャニスターコイル内の電流が、キャニスターハウジング内に集められた流体の流体レベルを示す装置コイル内の電流の変化を引き起こす、キャニスターコイルと、を含む、キャニスターと、電流の変化を検出し、流体レベルの表示を生成するように構成される電子回路とを含むことができる。
【0009】
先行段落のいずれかの陰圧創傷療法装置、および/または本明細書に開示される装置、システム、もしくはデバイスのいずれかは、以下の特徴のうちの一つまたは複数を含み得る。電子回路が、装置ハウジングによって支持され得る。
【0010】
キャニスター流体レベル検出システムは、装置コイルを含む装置電子回路と、創傷から除去された流体を収集するように構成されるキャニスターハウジングと、キャニスター内の流体と電気的に連通するように構成されるキャニスターコイルであって、キャニスターコイルが、キャニスター内の流体が流体レベルの閾値に到達したときに電流を流すように構成され、キャニスターコイル内の電流が、キャニスター内の流体レベルを示す装置コイルによって導通される電流の変化を引き起こす、キャニスターコイルとを含む、キャニスターとを含むことができ、装置電子回路が、装置コイルによって導通される電流の変化を検出し、流体レベルの表示を生成するように構成される。
【0011】
本明細書において、先行段落のいずれかの陰圧創傷療法装置、および/または本明細書に開示されるデバイス、装置、もしくはシステムのいずれかを動作させる方法について開示する。
【0012】
先行段落のいずれかの陰圧創傷療法装置、および/または本明細書に開示されるデバイス、装置、もしくはシステムのいずれかと、一つまたは複数の創傷包帯と、を含むキットについて開示する。
【0013】
本明細書に開示される装置の実施形態のいずれか、および本明細書に開示される陰圧創傷療法の実施形態のいずれかを含むが、これらに限定されない、本出願に開示される配列もしくは実施形態のいずれかの特徴、構成要素、または詳細のいずれかは、新しい配列および実施形態を形成するために、本明細書に開示される配列もしくは実施形態のいずれかの任意の他の特徴、構成要素、または詳細と相互に組み合わせ可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2A】
図2Aは、デバイスのポンプアセンブリーから引き離されたキャニスターを示す、陰圧創傷療法装置およびキャニスターの等角図である。
【
図2C】
図2Cは、グラフィカルユーザーインターフェイスを示す、
図2Aに示される陰圧創傷療法装置の頂部表面を例示する。
【
図3】
図3は、陰圧創傷療法装置の制御システムの概略図を例示する。
【
図4】
図4は、別の陰圧創傷療法システムを例示する。
【
図7】
図7は、誘導結合流体検出システムの一般回路配置の概略図を示す。
【
図8】
図8は、周波数の関数としてのインピーダンスのグラフを示す。
【
図10】
図10は、誘導結合流体検出システムの例示的な回路の概略図を示す。
【
図11】
図11は、キャニスターへの直接接続を使用する流体検出システムの例示的な回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書に開示される実施形態は、創傷を治療および/または監視するシステムならびに方法に関する。本明細書に開示される陰圧創傷療法装置のいくつかの実施形態は、流体流路を介して、創傷包帯によって覆われた創傷に接続および/または流体的に連結され、創傷に陰圧を提供するように構成される陰圧源を含み得る。
【0016】
本明細書全体を通して、創傷についての言及がなされる。創傷という用語は広く解釈され、皮膚が断裂、切開、もしくは穿孔される、または外傷によって挫傷が引き起こされる開放創および閉鎖創、あるいは患者の皮膚における任意の他の表面もしくは他の病状または不完全状態、あるいは減圧治療によって利益を得る他のものを包含する。従って、創傷は、流体が生成されるか、またはされ得ない、組織の任意の損傷領域として広く定義される。そのような創傷の例としては、腹部創傷、または手術、外傷、胸骨切開、筋膜切開、あるいは他の状態のいずれかの結果としての他の大規模または切開性の創傷、裂開創傷、急性創傷、慢性創傷、亜急性創傷および裂開創傷、外傷性創傷、フラップおよび皮膚移植片、裂傷、擦傷、挫傷、火傷、糖尿病性潰瘍、褥瘡性潰瘍、ストーマ、術創、外傷性潰瘍および静脈性潰瘍などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0017】
本明細書に開示されるシステムおよび方法の実施形態は、局所陰圧(「TNP」)または減圧療法システムとともに使用され得る。簡単に言えば、陰圧創傷療法は、組織の浮腫を減少させること、血流および顆粒組織形成を促進させること、または過剰な滲出液を除去することによって、「治癒が困難な」創傷の多くの形態の閉鎖および治癒を支援し、細菌負荷(ひいては、感染リスク)を減少させ得る。さらに、この療法により、創傷の障害を少なくし、より迅速な治癒につなげることができる。TNP療法システムはまた、流体を除去することによって、外科的に閉じられた創傷の治癒を支援することができる。TNP療法は、閉鎖の反対位置の組織を安定化するのに役立つことができる。TNP療法のさらなる有益な使用は、過剰な流体を除去することが重要であり、組織の生存度を確保するために移植片が組織に近接していることが求められる、移植片およびフラップにおいて見出すことができる。
【0018】
本明細書で使用される場合、-XmmHgなどの減圧または陰圧レベルは、760mmHg(または1atm、29.93inHg、101.325kPa、14.696psiなど)に相当し得る、平常の周囲大気圧に対する圧力レベルを表す。従って、-XmmHgの陰圧値は、760mmHgよりもXmmHg低い圧力、または、言い換えれば、(760-X)mmHgの圧力を反映する。加えて、XmmHgよりも「低い」または「小さい」陰圧は、大気圧により近い圧力に相当する(例えば、-40mmHgは-60mmHgよりも低くなる)。-XmmHgよりも「高い」または「大きい」陰圧は、大気圧からより遠い圧力に相当する(例えば、-80mmHgは-60mmHgよりも高くなる)。一部の場合に、局所的な周囲大気圧は、基準点として使用され、そのような局所的な大気圧は、必ずしも、例えば、760mmHgでなくてもよい。
【0019】
本明細書に開示されるシステムおよび方法は、洗滌、超音波、加熱もしくは冷却、神経刺激、またはこれに類するものなどの減圧療法に加えて、またはその代わりに、他のタイプの治療で使用され得る。場合によっては、開示されたシステムおよび方法は、追加の療法の適用なしに創傷監視に使用することができる。本明細書に開示のシステムおよび方法は、圧縮包帯、減圧包帯、またはこれに類するものを含む、包帯とともに使用され得る。
【0020】
医師、看護師、またはこれに類するものなどの医療提供者は、例えば、圧力レベルまたは適用時間を指定するTNP処方を提供することができる。しかしながら、治癒過程は患者ごとに異なり、処方は、臨床医または医療提供者が処方を考案する際に予想しなかった方法で治癒過程に影響を与え得る。医療提供者は、創傷が治癒する(または治癒しない)際に、処方を調整しようとし得るが、こうしたプロセスは、時間がかかり、かつ反復的であり得るさまざまな予約を必要とし得る。本明細書に開示される実施形態は、TNP処方を効率的に調整し、効果的なTNP療法を送達するシステム、デバイス、または方法を提供する。
【0021】
創傷療法システム
図1Aは、陰圧創傷治療システム100(減圧または陰圧創傷療法システム、TNPシステム、または創傷治療システムとも呼ばれる)を概略的に例示する。本明細書に開示される任意の実装例では、要求されないが、陰圧創傷治療システム100は、創傷104(空洞であり得る)の上または内側に設置される創傷充填材102を含み得る。創傷104は、創傷カバー106が創傷104と流体連通し得るように、ドレープであり得る創傷カバー106によってシールされ得る。創傷カバー106と組み合わされた創傷充填材102は、創傷包帯と称され得る。管または導管108(本明細書では、可撓性吸引アダプターまたは流体コネクターとも称される)を使用して、創傷カバー106を、減圧または陰圧を供給するように構成される創傷療法装置110(全体として、または部分的に「ポンプアセンブリー」と称される場合もある)と接続することができる。導管108は、単一内腔菅であっても、多重内腔管であり得る。コネクターを使用して、導管または管142を導管108と取り外し可能かつ選択的に連結することができる。
【0022】
本明細書に開示されるシステムのいずれかにおいて、創傷療法装置は、キャニスターレスであってもよく、例えば、および限定されるものではないが、創傷滲出液は、創傷包帯の中に収集されるか、または別の場所で収集するために導管を介して移される。しかしながら、本明細書に開示される創傷療法装置のいずれかは、キャニスターを含み得るか、またはキャニスターを支持し得る。
【0023】
さらに、本明細書で開示される創傷療法システムのいずれかでは、創傷療法装置のいずれかは、創傷包帯に装着され得るか、もしくは創傷包帯によって支持され得、または創傷包帯に隣接し得る。創傷充填材102は、親水性または疎水性の発泡体、ガーゼ、膨張可能なバッグなどのような、任意の好適なタイプであり得る。創傷充填材102は、創傷充填材102が創傷104の空洞を実質的に充填するように、創傷104に適合可能であり得る。創傷カバー106は、創傷104の上に実質的に流体不透過性シールを提供し得る。創傷カバー106は、頂部側および底部側を有し得る。底部側は、例えば、創傷104の周りの皮膚とシールすることによって、創傷104と接着剤で(または任意の他の好適な方法で)シールすることができる。導管108または本明細書で開示される任意の他の導管は、ポリウレタン、PVC、ナイロン、ポリエチレン、シリコーン、または任意の他の適切な材料から形成され得る。
【0024】
創傷カバー106は、導管108の端を受けるように構成されるポート(図示せず)を有し得る。一部の事例では、導管108は、別のやり方では、創傷104内に所望のレベルの減圧を維持するように、減圧を創傷104に供給するために創傷カバー106を通って、または創傷カバー106の下を通過し得る。導管108は、創傷療法装置110によって提供される減圧を創傷104に供給するように、創傷療法装置110と創傷カバー106との間に少なくとも実質的にシールされた流体流路または通路を提供するように構成される任意の好適な物品であり得る。
【0025】
創傷カバー106および創傷充填材102は、単一の物品または一体型の単一ユニットとして提供され得る。一部の事例では、創傷充填材は提供されず、創傷カバー自体が、創傷包帯とみなされ得る。次いで、創傷包帯は、導管108を介して、創傷療法装置110の陰圧源に接続され得る。一部の事例では、要求されないが、創傷療法装置110は、小型化され、持ち運び可能とすることができるが、より大きな従来の陰圧源(またはポンプ)を使用することもできる。
【0026】
創傷カバー106は、治療されることになる創傷部位の上に位置し得る。創傷カバー106は、創傷の上に、実質的にシールされた空洞または包囲空間を形成することができる。創傷カバー106は、余剰流体の蒸発を可能にする高い水蒸気浸透性を持つフィルムを有し得、かつ創傷滲出液を安全に吸収するために内部に含有された超吸収性材料を有し得る。一部の事例では、本明細書に記載のTNPシステムの構成要素は、少量の創傷滲出液を滲出する切開創に特に適し得る。
【0027】
創傷療法装置110は、滲出液キャニスターの使用の有無に関わらず動作させることができる。一部の事例では、例示されるように、創傷療法装置110は、滲出液キャニスターを含み得る。一部の事例では、導管108を創傷療法装置110から迅速かつ容易に取り外すことができるように創傷療法装置110および導管108を構成することにより、必要に応じて、創傷包帯またはポンプを変更するプロセスを容易にするか、または改善することができる。本明細書で開示されるポンプアセンブリーのいずれかは、導管108とポンプとの間の任意の適切な接続を有し得る。
【0028】
創傷療法装置110は、およそ-80mmHg、または約-20mmHg~-200mmHgの陰圧を送達し得る。これらの圧力は、正常な周囲大気圧と相対的であり、つまり、-200mmHgが、実際的には約560mmHgであり得ることに留意されたい。一部の事例では、圧力範囲は、約-40mmHgと-150mmHgとの間であり得る。代替的に、-75mmHg以下、-80mmHg以下、または-80mmHg超の圧力範囲を使用することができる。また、一部の事例では、-75mmHgを下回る圧力範囲も使用され得る。あるいは、およそ-100mmHg、またはさらには-150mmHg超の圧力範囲が、創傷療法装置110によって供給され得る。
【0029】
以下でより詳細に記載されるように、陰圧創傷治療システム100は、別個のまたは遠隔の遠隔コンピューター装置334に対する接続332を提供するように構成され得る。接続332は、有線または無線(Bluetooth、Bluetooth低エネルギー(BLE)、ニアフィールドコミュニケーション(NFC)、WiFi、またはセルラーなど)であり得る。遠隔の遠隔コンピューター装置334は、スマートフォン、タブレット、ラップトップもしくは別のスタンドアローン型のコンピューター、サーバー(クラウドサーバーなど)、別のポンプ装置などであり得る。
【0030】
図1Bは、別の陰圧創傷治療システム100’を例示する。陰圧創傷治療システム100’は、
図1Bに示され、かつ/または本明細書に記載される陰圧創傷治療システム100’の構成要素、特徴、またはその他の詳細のいずれかと組み合わせて、またはこれらの代わりに、
図1Aに例示される陰圧創傷治療システム100または
図4に例示される陰圧創傷治療システム400を含むが、これらに限定されない、本明細書に開示される他の陰圧創傷治療システムのいずれかの構成要素、特徴、またはその他の詳細のいずれかを有し得る。陰圧創傷治療システム100’は、創傷104をシールし得る、創傷104の上に創傷カバー106を有し得る。単一内腔菅または多重内腔管などの導管108’を使用して、創傷カバー106を、減圧または陰圧を供給するように構成される創傷療法装置110’(全体として、または部分的に「ポンプアセンブリー」と称される場合もある)と接続することができる。創傷カバー106は、創傷104と流体連通し得る。
【0031】
図1Bを参照すると、導管108’は、近位端部分および遠位端部分(遠位端部分は近位端部分よりも創傷104に近い)を有し得るブリッジ部分130と、可撓性吸引アダプター(または導管)108’を形成する、ブリッジ部分130の遠位端にあるアプリケーター132と、を有し得る。
図1Bに示される導管108のブリッジ部分130の長さに沿って延在しチャネルのうちの少なくとも一つに接続するように、コネクター134がブリッジ部分130の近位端に配置され得る。キャップ140を、導管108の一部分と連結することができ、一部の事例では、例示されるように、コネクター134に取り付けることができる。キャップ140は、流体がブリッジ部分130の近位端から漏れ出るのを防止する際に有用な場合がある。導管108’は、Smith& Nephewが製造したSoft Portであり得る。上述のように、陰圧創傷治療システム100’は、導管108’を通って創傷104に陰圧を供給することができるデバイス110’などの陰圧の供給源を含み得る。必要ではないが、デバイス110’はまた、創傷滲出液、および創傷から除去され得る他の流体を貯蔵するためのキャニスターまたは他のコンテナを含み得る。
【0032】
デバイス110’は、導管または管142を介してコネクター134に接続され得る。使用時、アプリケーター132は、好適に準備された創傷または創傷104の上に置かれたカバー106内に形成される開口の上に設置され得る。その後、創傷療法装置110’が管142を介してコネクター134に接続される状態で、創傷療法装置110’を稼働させて、創傷に陰圧を供給することができる。陰圧の適用は、創傷の所望のレベルの治癒が達成されるまで適用され得る。
【0033】
ブリッジ部分130は、下部チャネル材料または層が中間層と底部層との間に位置付けられる状態で、上部層と中間層との間に位置付けられる上部チャネル材料または層を含み得る。上部層、中間層、および下部層は、近位端と遠位端との間に延在する細長い部分を有し得、かつ流体不浸透性の材料、例えば、ポリウレタンなどのポリマーを含み得る。当然のことながら、上部層、中間層、および下部層は各々、半浸透性の材料を含む異なる材料から構築され得ることが理解されよう。一部の事例では、上部層、中間層、および下部層のうちの一つまたは複数は、少なくとも部分的に透明であり得る。いくつかの実例では、上部層および下部層は、上部層および下部層の長さの大部分にわたって湾曲していても、丸みを帯びていても、外向きに凸状であり得る。
【0034】
上部チャネル層および下部チャネル層は、ブリッジ130の近位端から遠位端まで延在する細長い層であってもよく、かつ各々が、好ましくは、例えば、ポリエチレンまたはポリウレタンなどのオープンセル発泡体を含む多孔性材料を含み得る。一部の事例では、上部チャネル層および下部チャネル層のうちの一つまたは複数は、例えば、編まれたもしくは織られたスペーサー布帛(編まれたポリエステル3D布帛、Baltex 7970.RTM.、もしくはGehring 879.RTM.など)、または不織布材料、あるいはテリー織りもしくはループパイル材料から構成され得る。繊維は必ずしも織られるわけではなく、フェルトおよびフ係止繊維材料(Flotex.RTM.などの材料を含む)を含み得る。選択される材料は、好ましくは、創傷滲出液を創傷から離すように導き、陰圧または排出された空気を創傷部位へ伝達するように置かれ、かつまた、ある程度のねじれ抵抗または閉塞抵抗をチャネル層に与え得る。一つの実施例では、上部チャネル層は、ポリウレタンなどのオープンセル発泡体を含み得、下部チャネル層は、布帛を含み得る。別の実施例では、上部チャネル層は、任意選択であり、システムは、代わりに、開いた上部チャネルを含み得る。上部チャネル層は、湾曲しているか、丸みを帯びているか、または上向きに凸状である上部表面と、実質的に平坦な下部表面と、有し得、下部チャネル層は、湾曲しているか、丸みを帯びているか、または下向きに凸状である下部表面と、実質的に平坦な上部表面と、を有し得る。
【0035】
ブリッジ130の任意の構成要素の布帛または材料は、三次元(3D)構造を有し得、一つまたは複数のタイプの繊維は、繊維が全三次元方向に延在する構造を形成する。かかる布帛は、一部の事例では、ウィッキング、流体輸送、または陰圧の伝達を助ける場合がある。場合によっては、チャネルの布帛または材料は、互いの上に積み重なった、または層状にされた材料のいくつかの層を含み得、これは、場合によっては、陰圧の適用下で、チャネルが崩壊するのを防止する際に有用な場合がある。導管108’のいくつかの実装例に使用される材料は、適合可能かつ柔軟性であってもよく、これは、場合によっては、褥瘡性潰瘍および患者の皮膚に押し付けられた創傷治療システムによって生じ得る他の合併症を回避するのに役立ち得る。
【0036】
上部層、中間層、および下部層の遠位端、ならびにチャネル層は、(創傷部位の上に設置される)該層の遠位端で拡張され得、「涙滴」または他の拡張形状を形成し得る。少なくとも上部層、中間層、および下部層の遠位端、ならびにチャネル層はまた、少なくとも一つの貫通開口を含み得る。この開口は、創傷滲出液を抜くため、および創傷に陰圧を印加するためだけでなく、これらの開口が、これらのそれぞれの層を適切に整列させるために使用され得るため、装置の製造中にも有用な場合がある。
【0037】
いくつかの実装では、制御されたガスリーク部146(ガスリーク部、空気リーク部、または制御された空気リーク部と称される場合もある)は、ブリッジ部分130の上、例えば、ブリッジ部分130の近位端に配置され得る。この空気リーク部146は、空気リーク部146がブリッジ部分130の上部チャネルと流体連通するように、ブリッジ部分130の上部層を通って延在する開口部またはチャネルを含み得る。導管108への吸引の印加時に、ガス(空気など)が、ガスリーク部146を通って入り、ブリッジ部分130の上部チャネルに沿って、ブリッジ部分130の近位端からブリッジ部分の遠位端まで移動し得る。次いで、上部層、中間層、および下部層の遠位端を通して、開口を通過させることによって、ガスをブリッジ部分130の下部チャネル内に吸引することができる。
【0038】
空気リーク部146は、フィルターを含み得る。好ましくは、空気リーク部146は、創傷滲出液または他の流体が空気リーク部146またはフィルターと接触し、空気リーク部146またはフィルターを閉塞または妨害する可能性を最小化するように、ブリッジ部分130の近位端に位置する。いくつかの実例では、フィルターは、微生物および細菌を排除することができ、45μmより大きい粒子を濾過することができ得る、微多孔膜であり得る。好ましくは、フィルターは、1.0μmよりも大きい粒子、より好ましくは、0.2μmよりも大きい粒子を排除することができる。有利には、いくつかの実装は、例えば、水、シャンプーなどの一般的な家庭用液体、および他の界面活性剤に対して、少なくとも部分的に化学的に耐性のあるフィルターを提供し得る。一部の事例では、吸引アダプターへの真空の再印加またはフィルターの露出した外側部分の拭き取りは、フィルターを閉塞する任意の異物を一掃するのに十分であり得る。フィルターは、アクリル、ポリエーテルスルホン、またはポリテトラフルオロエチレンなどの好適に耐性のあるポリマーから構成され得、かつ油性または疎水性であり得る。場合によっては、ガスリーク部146は、追加の陰圧が導管108’に適用されるときに、認め得るほどに増加しない比較的一定のガス流を供給し得る。陰圧創傷治療システム100の実例では、ガスリーク部146を通るガス流は、追加の陰圧が適用されるときに増加し、好ましくは、この増加したガス流は、最小化され、それに適用される陰圧に比例して増加しないことになる。本明細書に開示される陰圧創傷治療システムの任意の実装例で使用され得る、そのようなブリッジ、導管、空気リーク部、およびその他の構成要素、特徴、ならびに詳細のさらなる説明は、本明細書に完全に記載されるかのように全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,801,685号に見出される。
【0039】
本明細書に開示される創傷療法装置(装置110または110’など)のいずれかは、連続的または断続的な陰圧療法を提供し得る。連続的な療法は、0mmHgより上、-25mmHg、-40mmHg、-50mmHg、-60mmHg、-70mmHg、-80mmHg、-90mmHg、-100mmHg、-120mmHg、-125mmHg、-140mmHg、-160mmHg、-180mmHg、-200mmHg、または-200mmHgより下で送達され得る。断続的な療法は、低い陰圧設定点と高い陰圧設定点(設定値と称される場合もある)との間で送達され得る。低い設定点は、0mmHgより上、-25mmHg、-40mmHg、-50mmHg、-60mmHg、-70mmHg、-80mmHg、-90mmHg、-100mmHg、-120mmHg、-125mmHg、-140mmHg、-160mmHg、-180mmHg、または-180mmHgより下に設定され得る。高い設定点は、-25mmHgより上、-40mmHg、-50mmHg、-60mmHg、-70mmHg、-80mmHg、-90mmHg、-100mmHg、-120mmHg、-125mmHg、-140mmHg、-160mmHg、-180mmHg、-200mmHg、または-200mmHgより下に設定できる。断続的治療中、低い設定点での陰圧を第一の時間期間にわたって送達することができ、また第一の時間期間の終了時には、高い設定点での陰圧を第二の時間期間にわたって送達することができる。第二の時間期間の終了時には、低い設定点での陰圧を送達することができる。第一および第二の時間期間は、同じ値または異なる値とすることができる。
【0040】
動作時、創傷充填材102は、創傷104の空洞内に挿入され得、創傷カバー106は、創傷104をシールするように設置され得る。創傷療法装置110’は、創傷カバー106に陰圧を提供することができ、これは、創傷充填材102を介して創傷104に伝達され得る。流体(創傷滲出液など)は、導管108’を通って引き出され、キャニスター内に貯蔵され得る。場合によっては、流体は、創傷充填材102または一つまたは複数の吸収層(図示せず)によって吸収される。
【0041】
本出願のポンプアセンブリーおよびシステムとともに利用され得る創傷包帯としては、Smith & Nephewから入手可能なRenasys-F、Renasys-G、Renasys AB、およびPico包帯が挙げられ得る。そのような創傷包帯、ならびに本出願のポンプアセンブリーおよびシステムとともに使用され得る陰圧創傷療法システムのその他の構成要素のさらなる説明は、米国特許公開第2012/0116334号、同第2011/0213287号、同第2011/0282309号、同第2012/0136325号、米国特許第9,084,845号、および国際特許第PCT/EP2020/078376号において見出され、これらの文献の各々が、本明細書に完全に記載されるかのように全体が参照により本明細書に組み込まれる。場合によっては、他の好適な創傷包帯が利用され得る。
【0042】
図2A、
図2B、および
図2Cは、陰圧創傷療法装置110’を示す。例示されるように、ポンプアセンブリー160およびキャニスター162を接続し、それによって、創傷療法装置110’を形成することができる。
図2Cを参照すると、ポンプアセンブリー160は、ディスプレイ172を有するインターフェイスパネル170、一つまたは複数のインジケーター174、または例えば、療法の開始および一時停止ボタン180もしくは警報/警告ミュートボタン182を含むが、これらに限定されない、一つまたは複数の制御もしくはボタンを含み得る。インターフェイスパネル170は、ポンプアセンブリー160またはインターフェイスパネル170の任意の機能を制御するために使用され得る、一つまたは複数の入力制御またはボタン184(三つが示される)を有し得る。例えば、および限定されるものではないが、ボタン184のうちの一つまたは複数を使用して、ポンプアセンブリー160をオンもしくはオフにすること、療法を開始もしくは一時停止すること、ポンプアセンブリー160を動作させ、動作を監視すること、ディスプレイ172上に表示されたメニュー内をスクロールすること、またはその他の機能を制御もしくは実施することができる。場合によっては、コマンドボタン184は、プログラム可能であってもよく、かつ触覚性で柔らかいゴムから作製され得る。
【0043】
さらに、インターフェイスパネル170は、一つまたは複数のボタン184のうちのどれが稼働中であるかを示すことができる視覚的インジケーター186を有し得る。インターフェイスパネル170はまた、さまざまなボタン(例えば、ボタン184)またはディスプレイ172の機能を選択的に係止または係止解除するように構成され得る、係止/係止解除制御またはボタン188を有し得る。例えば、療法設定の調整は、係止/係止解除制御188を介して係止/係止解除され得る。係止/係止解除ボタン188が係止状態にある場合、さまざまなその他のボタンのうちの一つまたは複数またはディスプレイを押下することにより、ポンプアセンブリー160が、デバイスの任意の表示機能または性能機能を変更させることはない。一部の事例では、係止/係止解除ボタン188が係止状態にあるとき、表示装置の一部のボタンまたは部分は利用可能であってもよく、ポンプアセンブリー160に装置の任意の表示機能または性能機能を変更させることができる一方、表示装置の他のボタンまたは部分はポンプアセンブリー160に装置の任意の表示機能または性能機能を変更させることができる。例えば、限定されるものではないが、係止/係止解除ボタン188が係止状態にあるとき、メニューナビゲーションは依然として利用可能であり、使用または起動することができるが、療法設定を調整するコマンドはグレーアウトされ、使用することができない、または装置の機能の変更を引き起こすことができない。このように、インターフェイスパネル170は、さまざまなボタンまたはディスプレイが偶発的にぶつけられること、または触れられることから保護されることになる。インターフェイスパネル170は、ポンプアセンブリー160の上部分の上、例えば、および限定されるものではないが、ポンプアセンブリー160の上向き面上に位置し得る。
【0044】
LCDスクリーンなどのスクリーンであり得るディスプレイ172は、インターフェイスパネル170の真ん中の部分に装着され得る。ディスプレイ172は、タッチスクリーンディスプレイであり得る。ディスプレイ172は、指示ビデオなどの視聴覚(AV)コンテンツの再生をサポートし、ポンプアセンブリー160の動作を構成、制御、および監視するためのいくつかのスクリーンまたはグラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)をレンダリングすることができる。
【0045】
一つまたは複数のインジケーター174は、照明(LEDなど)であってもよく、警報状態およびまたはポンプの状態の視覚的表示を提供するように構成され得る。例えば、限定されるものではないが、一つまたは複数のインジケーター174は、ポンプアセンブリー160、または導管108’もしくは創傷カバー106を含むが、これらに限定されない、陰圧創傷治療システム100’のその他の構成要素の状態の視覚的指標を提供するように構成され得る(通常の動作、低バッテリー、漏れ、キャニスターが満杯、遮断、過圧などの指標を提供するなどのために)。視覚的、聴覚的、触覚的インジケーターなどのような任意の一つまたは複数の好適なインジケーターを、さらにまたは代替的に使用することができる。
【0046】
図2Bは、
図2Aに示される創傷療法装置110’の背面または後方図を示す。示されるように、ポンプアセンブリー160は、音声を生成するためのスピーカ192を含み得る。例えば、および限定されるものではないが、スピーカ192は、療法送達の偏り、療法送達の不遵守、または任意の他の同様のもしくは好適な病状、あるいはこれらの組み合わせに応答して、音響警報を発生させ得る。スピーカ192は、ディスプレイ172上に表示され得る一つまたは複数の指示ビデオに付随する音響を提供することができる。
【0047】
ポンプアセンブリー160は、抗菌フィルターなどの、ポンプアセンブリー160の一つまたは複数のフィルターへの容易なアクセス(ポンプアセンブリーのケーシング上のアクセスドアなど)を提供するように構成され得る。これにより、ユーザー(医療提供者または患者など)は、かかるフィルターに対するより容易なアクセス、検査、または交換を行うことができる。ポンプアセンブリー160はまた、ポンプアセンブリー160に電力を提供するため、または内部電源(バッテリーなど)を充電および再充電するための電力ジャック196を含み得る。ポンプアセンブリー160のいくつかの実装例は、一つまたは複数のバッテリーなどの、使い捨てまたは再生可能な電源を含むことができ、その結果、電力ジャックは必要ない。ポンプアセンブリー160は、ポンプアセンブリー160の把持を容易にするために、内部に形成される凹部198を有し得る。
【0048】
キャニスター162は、創傷104から吸い出された流体を保持し得る。例えば、キャニスター162は、800mL(もしくはおよそ800mL)の容量、または300mL以下の容量~1000mL以上の容量、またはこの範囲内の任意の容量レベルを有し得る。キャニスター162は、流体流路を形成するために、導管108’に接続するための管類を含み得る。キャニスター162は、キャニスター162が流体で充填される場合などに、別のキャニスターと交換することができる。
図2Aを参照すると、創傷療法装置110’は、キャニスター162と流体連通するキャニスター入口管200(本明細書では、包帯ポートコネクターとも称される)を含み得る。例えば、限定されるものではないが、キャニスター入口管200を使用して、導管108’と接続することができる。
【0049】
キャニスター162は、ポンプアセンブリー160に対して選択的に連結可能および取り外し可能であり得る。
図2Aを参照すると、場合によっては、キャニスターリリースボタン202が、キャニスター162をポンプアセンブリー160から選択的に解放するように構成され得る。
図2Bを参照すると、キャニスター162は、ユーザーに示すため、およびキャニスター162内に貯蔵された流体または滲出液の量を示すための、一つまたは複数の充填線または目盛り204を有し得る。
【0050】
創傷療法装置110’は、創傷療法装置110’を持ち上げるか、または運ぶために使用することができる、ハンドル208を有し得る。ハンドル208は、ポンプアセンブリー160と連結することができ、かつ創傷療法装置110’に対して回転可能であってもよく、その結果、ハンドルを、創傷療法装置110’またはポンプアセンブリー160を持ち上げるか、もしくは運ぶために上向きに回転させること、またはハンドルが使用されていないときに、よりコンパクトな位置に下部輪郭へと回転させることができる。場合によっては、ハンドル208は、固定位置でポンプアセンブリー160と連結され得る。ハンドル208は、ポンプアセンブリー160の上部部分と連結され得るか、または創傷療法装置110’から取り外し可能であり得る。
【0051】
図3は、創傷療法装置110’など、本明細書に記載の創傷療法装置のいずれかに用いられ得る制御システム300の概略図を例示する。電気構成要素は、ユーザー入力を受けいれること、ユーザーに出力を提供すること、圧力源を動作させること、接続を提供することなどを行うように動作し得る。第一のプロセッサー(メインコントローラー310など)が、ユーザー活動を担当することができ、第二のプロセッサー(ポンプコントローラー370)が、ポンプ390などの別のデバイスを制御することを担当することができる。
【0052】
入力/出力(I/O)モジュール320を使用して、ポンプ390、一つまたは複数のセンサー(例えば、流体流路の一つまたは複数の場所で圧力を監視するように構成される一つまたは複数の圧力センサー325)などのような、別の構成要素もしくはデバイスへの入力および/または出力を制御することができる。例えば、I/Oモジュールは、シリアル(例えば、I2C)、パラレル、ハイブリッドポートおよびこれに類するものなどの一つまたは複数のポートを介して一つまたは複数のセンサーからデータを受信し得る。圧力センサーのいずれかが、創傷療法装置またはキャニスターの一部であり得る。場合によっては、圧力センサー325のいずれかが、創傷に、または創傷の近くに(例えば、包帯または包帯を創傷療法装置に接続する導管内に)位置付けられるなど、創傷療法装置に対して遠隔にあり得る。かかる実装例では、遠隔の圧力センサーのいずれかが、有線接続を介してI/Oモジュールと通信し得るか、または無線接続を介して一つまたは複数のトランシーバー340と通信し得る。
【0053】
メインコントローラー310は、一つまたは複数のUSBポート、SDポート、コンパクトディスク(CD)ドライブ、DVDドライブ、FireWireポート、Thunderboltポート、PCI Expressポートなどのような、一つまたは複数の拡張モジュール360との間でデータを受信および提供することができる。メインコントローラー310は、他のコントローラーまたはプロセッサーとともに、メインコントローラー310の内部または外部にあり得るメモリー350(一つまたは複数のメモリーモジュールなど)にデータを記憶することができる。RAM、ROM、磁気メモリー、ソリッドステートメモリー、磁気抵抗ランダムアクセスメモリー(MRAM)などのような、揮発性または不揮発性メモリーを含む任意の好適なタイプのメモリーを使用することができる。
【0054】
メインコントローラー310は、低電力プロセッサーまたは特定用途向けプロセッサーなどの汎用コントローラーであり得る。メインコントローラー310は、制御システム300の電子アーキテクチャー内で「中央」プロセッサーとして構成され得、かつメインコントローラー310は、ポンプコントローラー370、一つまたは複数の通信コントローラー330、および一つまたは複数の追加のプロセッサー380などの、その他のプロセッサーの活動を調和させることができる。メインコントローラー310は、Linux、Windows CE、VxWorksなどのような、好適なオペレーティングシステムを動かすことができる。
【0055】
ポンプコントローラー370は、陰圧または減圧を発生させ得るポンプ390の動作を制御することができる。ポンプ390は、ダイヤフラムポンプ、蠕動ポンプ、回転ポンプ、回転ベーンポンプ、スクロールポンプ、ねじポンプ、液封式ポンプ、圧電トランスデューサーによって動作するダイヤフラムポンプ、ボイスコイルポンプなどのような、好適なポンプであり得る。ポンプコントローラー370は、一つまたは複数の圧力センサー325から受信したデータを使用して、流体流路内の圧力を測定すること、流体流量を計算すること、およびポンプを制御することができる。ポンプコントローラー370は、所望のレベルの陰圧が創傷104内で達成されるように、ポンプアクチュエーター(モーターなど)を制御することができる。所望のレベルの陰圧は、圧力設定またはユーザーによって選択され得る。ポンプコントローラー370は、パルス幅変調(PWM)またはパルス制御を使用して、ポンプ(例えば、ポンプモーター)を制御することができる。ポンプを駆動するための制御信号は、0~100%のデューティサイクルPWM信号であり得る。ポンプコントローラー370は、流量計算を実施すること、および警報を検出することができる。ポンプコントローラー370は、メインコントローラー310に情報を通信することができる。ポンプコントローラー370は、低電力プロセッサーであり得る。
【0056】
一つまたは複数の通信コントローラー330のいずれかが、接続(有線または無線接続332など)を提供し得る。一つまたは複数の通信コントローラー330は、データを送信および受信するために一つまたは複数のトランシーバー340を利用することができる。一つまたは複数のトランシーバー340は、一つまたは複数のアンテナ、光学センサー、光学トランスミッター、振動モーターもしくは振動変換器、振動センサー、音響センサー、超音波センサーなどを含み得る。一つまたは複数のトランシーバー340のいずれが、通信コントローラーとして機能し得る。そのような場合には、一つまたは複数の通信コントローラー330を省略することができる。一つまたは複数のトランシーバー340のいずれを、無線通信を容易にする一つまたは複数のアンテナに接続することができる。一つまたは複数の通信コントローラー330は、以下のタイプの接続のうちの一つまたは複数を提供し得る。グローバル位置決めシステム(GPS)、セルラー接続(例えば、2G、3G、LTE、4G、5Gなど)、NFC、Bluetooth接続(もしくはBLE)、無線周波数識別(RFID)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)、WiFi接続、インターネット接続、光学接続(例えば、赤外線、QRコードなどのバーコードなどを使用する)、音響接続、超音波接続など。接続は、ポンプアセンブリーの場所追跡、アセット追跡、コンプライアンス監視、遠隔選択、ログ、警報、および他の動作データのアップロード、ならびに療法設定の調整、ソフトウェアまたはファームウェアのアップグレード、ペアリングなどのような、さまざまな活動のために使用され得る。
【0057】
一つまたは複数の通信コントローラー330のいずれかが、デュアルGPS/セルラー機能を提供し得る。セルラー機能は、例えば、3G、4G、または5G機能であり得る。一つまたは複数の通信コントローラー330は、メインコントローラー310に情報を通信することができる。一つまたは複数の通信コントローラー330のいずれかが、内部メモリーを含み得るか、またはメモリー350を利用することができる。一つまたは複数の通信コントローラー330のいずれかが、低電力プロセッサーであり得る。
【0058】
制御システム300は、GPSデータ、療法データ、デバイスデータ、およびイベントデータなどのデータを記憶することができる。このデータは、例えば、メモリー350に記憶することができる。このデータには、一つまたは複数のセンサーによって収集された患者データが含まれ得る。制御システム300は、療法および他の動作データを追跡およびログ記録することができる。こうしたデータは、例えば、メモリー350に記憶され得る。
【0059】
一つまたは複数の通信コントローラー330によって提供される接続を使用して、制御システム300は、制御システム300によって記憶、維持、または追跡されたデータのいずれかを、デバイス334などの、遠隔コンピューター装置にアップロードすることができる。制御システム300は、療法の選択、ならびにパラメーター、ファームウェアおよびソフトウェアのパッチおよびアップグレードなどのさまざまな動作データを(例えば、デバイス334への接続を介して)ダウンロードすることもできる。一つまたは複数のユーザーインターフェイス(一つまたは複数のディスプレイなど)を制御するためのプロセッサーなどの、一つまたは複数の追加のプロセッサー380を利用することができる。場合によっては、制御システム300の例示または記載される構成要素のいずれかを、制御システム300が使用される、創傷の監視または治療システムの一実施形態に応じて省略することができる。
【0060】
本明細書に記載される陰圧創傷療法装置のうちのいずれかは、米国特許第9,737,649号または米国特許公開WO2017/0216501号に開示される一つまたは複数の特徴を含んでもよく、その各々は参照によりその全体が組み込まれる。
【0061】
複数包帯陰性創傷療法
図4は、別の陰圧創傷治療システム400を例示する。システム400は、創傷療法装置110’などの、創傷部位(複数可)に陰圧を供給することができる創傷療法装置を含み得る。創傷療法装置110’は、創傷104aおよび104bなどの一つまたは複数の創傷に陰圧を供給するように、一つまたは複数の創傷包帯406a、406b(集合的に406と称する)と流体連通し得る。第一の流体流路は、創傷療法装置110’から第一の創傷包帯406aへの流体接続を提供する構成要素を含み得る。非限定的な実施例として、第一の流体流路は、創傷療法装置110’との流体接続における、創傷包帯406aから創傷療法装置110’までの通路、または第一の創傷包帯406aから分岐取り付け部(もしくはコネクター)444の入口446までの通路を含み得る。同様に、第二の流体流路は、創傷療法装置110’から第二の創傷包帯406bへの流体接続を提供する構成要素を含み得る。
【0062】
システム400は、複数の創傷104aおよび104bがシステム400によって治療されることを除いて、システム100’と同様であり得る。システム400は、第一の創傷と第二の創傷とを区別するために、付加された文字「a」または「b」とともに
図4に例示される、システム100’の構成要素(創傷104aおよび104b、カバー106aおよび106bなど)のうちの任意の一つまたは複数を含み得る。例示されるように、システム400は、アダプター108’などの複数の吸引アダプターを介して創傷療法装置110’と流体連通する、複数の創傷包帯406a、406b(および対応する流体流路)を含み得る。吸引アダプターは、第一の創傷と第二の創傷とを区別するために、付加された文字「a」または「b」とともに
図4に例示される、アダプター108’の構成要素(ブリッジ部分130aおよび130b、コネクター134aおよび134b、ならびにキャップ140aおよび140bなど)のうちの任意の一つまたは複数を含み得る。
【0063】
創傷療法装置110’は、管142を介して、コネクター444の入口446と流体的に連結され得る。コネクター444は、分岐445a、445b、および管または導管442a、442bを介して、管または導管130a、130bと流体的に連結され得るコネクター134a、134bと流体的に連結され得る。管または導管130a、130bは、包帯406a、406bと流体的に連結され得る。全ての導管および包帯の構成要素が連結され、動作可能に位置付けられると、創傷療法装置110’を稼働させ、それによって、流体流路を介して創傷430a、430bに陰圧を供給することができる。陰圧の適用は、創傷430の所望するレベルの治癒が達成されるまで適用され得る。二つの創傷および創傷包帯が
図4に例示されるが、創傷療法装置110’のいくつかの実装例は、(例えば、コネクター444の未使用の分岐445aもしくは445bを閉じることによって)単一の創傷に、または(例えば、コネクター444に分岐を追加することによって)三つ以上の創傷に治療を提供することができる。
【0064】
システム400は、米国特許公開WO2020/0069850号または国際公開WO2018/167199号に開示される一つまたは複数の特徴を含み得、これらの各々は、全体が参照により組み込まれる。
【0065】
キャニスター状態検出
陰圧療法システムは、キャニスター状態検出システムを利用することができる。キャニスター状態検出システムは、キャニスター内の流体(または液体)の体積(またはキャニスターの充填レベル)、またはキャニスターが流体(または液体)の満杯レベルまたはほぼ満杯レベルに達したかどうかを検出するための流体検出システムとして機能し得る。一つまたは複数の警報または警告を、検出に応答して生成することができる。キャニスターの満杯またはほぼ満杯の警報は、医療従事者またはユーザーがキャニスターを交換し、最小限の中断(例えば、キャニスターの満杯またはキャニスターの閉塞警報を突然鳴らす装置について心配する必要がないなど)で治療を継続することを可能にすることができるため、陰圧療法システムにとって重要であり得る。
【0066】
キャニスター流体検出システムは、圧力センサーから得られたピーク間電圧測定値を、ある期間にわたって閾値と比較して、キャニスターが満杯またはほぼ満杯の警報をトリガーすることに依存し得る。一部の事例では、このアプローチは信頼できない場合があり条件の変動に対する耐性が低い場合がある。例えば、迷惑警報は、キャニスターが空であるが、フィルターアセンブリーからの流れに制約がある場合に生成され得る。
【0067】
従って、迷惑警報を低減する、満杯キャニスター状態またはほぼ満杯キャニスター状態を検出するための、より正確な検出方法を有するのが有用であり得る。キャニスターは、流体がキャニスター内の閾値レベルに到達したときを検出するようにキャニスター内の流体と通信する装置を使用する、流体検出を可能にするキャニスター検出システムを有することができる。キャニスターは、流体レベルセンサーデバイスをキャニスターの表面内に組み込み得る。例えば、キャニスターは、キャニスターシステムのキャップ部分内に流体レベル検出器(流体レベルセンサーとも呼ばれる)を組み込むことができる。
図5Aは、ポンプアセンブリー160などの陰圧創傷療法装置と嵌合する、または嵌合配置されるように構成されるキャニスターの表面上に位置付けられ得るキャニスターキャップ510を示す。キャニスターキャップ510は、陰圧源とキャニスターの内部との間に流体連通を提供するように位置付けられ得る。例えば、キャニスターキャップ510は、
図2Aに示すように、キャニスター162の上部に配置され得る。ポンプアセンブリー160は、キャニスターキャップ510に取り外し可能に取り付けられ得る。
【0068】
キャニスターキャップ510は、キャップ上部512およびキャップ底部514から形成されるハウジングを含み得る。キャニスターキャップ510は、キャップ上部512とキャップ底部514との間に位置付けられるフィルター516を含み得る。流体レベルセンサー518は、キャニスターキャップ510内に含まれて、キャニスターの内部と連通し得る。流体レベルセンサー518は、キャップ底部514からキャニスターの内部に延在する二つのアーム520を含み得る。アーム520は、導電性材料(導電性金属など)から作製することができる。アーム520は、キャニスター内の流体と相互作用し、流体レベルセンサー518のアームがキャニスター内の流体と連通するとき、完成した回路を生成するために使用することができ、それによってキャニスターの満杯状態を検出することができる。流体レベルセンサーが、キャニスターの内部の流体が流体レベルセンサーのアームと接触している時に、完成した電気回路を検出することができる。例えば、流体レベルセンサーが、回路が開いている時にキャニスター内の流体を収集できること、および回路が閉じている時にキャニスターが満杯状態であることを検出することができる。他の実施例では、流体レベルセンサーが、回路が閉じている時にキャニスター内の流体を収集できること、および回路が開いている時にキャニスターが満杯の状態であることを検出することができる。陰圧創傷療法装置内のリーダーが、流体レベルセンサーと通信し、キャニスターが満杯状態にあることを検出することに応答して、キャニスターの状態の表示を提供することができる。リーダーが、流体レベルセンサーによってキャニスターが満杯状態にあることを検出することに応答して、陰圧創傷療法の提供の変化(例えば、陰圧の適用を中止する)または警報(例えば、キャニスターの満杯警報)を引き起こすことができる。リーダーが、ポンプアセンブリー160などの陰圧創傷療法装置のハウジング内に位置付けられ得る。
【0069】
流体レベルセンサー518は、二つの下向きに延在するアームで示されるが、流体レベルセンサーが、キャニスター内の流体を検出するためにキャニスターの内部に延在するただ一つのアームまたは任意の数のアームを含み得る。一部の事例では、流体レベルセンサーが、少なくとも二つの別個の導電性材料(または電極)トラックが完成した電気回路を形成するように存在する限り、任意の数または延長部またはアームを有し得る。
【0070】
図5Bおよび
図5Cは、キャニスターキャップアセンブリーおよび
図5Aを参照して説明したキャニスターキャップおよび構成要素と類似したキャニスターキャップアセンブリー1820を有するキャニスター本体またはキャニスターハウジングの分解図を示す。キャニスターキャップアセンブリーは、
図2Aに示すように、ポンプアセンブリー160またはポンプハウジングに結合され得るキャニスター本体にアセンブリーされ、かつ取り付けることができる。キャップアセンブリー1820は、キャニスター本体1902の開口部(
図5Bに示す1903など)と取り外し可能に連結される(例えば、および限定されるものではないが、ねじ込み連結される)ように構成され得る。いくつかの配置では、キャップアセンブリー1820は、キャニスター本体1902に溶接されてもよく、またはそうでなければキャニスター本体に取り外し不可能に連結される。キャップアセンブリー1820のいくつかの配置は、第一のキャップ部材1822の中央部分を通して軸方向に延在する開口部1824を有することができるコネクターインターフェイス1823を有する、カバーまたは第一のキャップ部材1822を含み得る。コネクターインターフェイス1823は、第一のキャップ部材1822の第一の主表面から軸方向に離れて突出し得る。コネクターインターフェイス1823は、略円筒形形状、および、Oリング1825などのシールを受けるように構成され得る、その上に形成される環状フランジを有し得る。開口部1824は、キャニスター本体1902内の空気および/または他のガスのための流体通路を提供して、キャニスター本体1902を通過し抜け出すように構成され得る。
【0071】
キャップアセンブリー1820は、上部フィルター1826および臭気フィルター1828を含み得る。上部フィルター1826は、疎水性フィルターおよび/またはダストフィルターとすることができる。臭気フィルター1828はまた、フィルター1828を通って流れる空気から細菌を濾過するように構成され得る。上部フィルター1826は、任意の液体が、第一のキャップ部材1822の開口部1824を通してキャニスター本体1902から漏出するのを防ぐように使用することができ、臭気フィルター1828の一方または両側上に位置付けられてもよい。臭気フィルター1828は、炭素を含む任意の適切なフィルター膜または材料を含み得る。例えば、および限定されるものではないが、臭気フィルター1828のいくつかの配置は、圧縮炭素を含み得る。
【0072】
また、キャップアセンブリー1820は、フィルター1826、1828および/またはキャップアセンブリー1820のその他の構成要素のうちの一つまたは複数に対する支持面を提供するように構成され得る基部キャップ支持体1830を含み得る。基部キャップ支持体1830は、一つまたは複数のフィルター1826、1828を、キャニスター内の滲出液および/または他の液体から遮断または遮蔽するように構成される。いくつかの配置では、基部キャップ支持体1830は、キャニスター1902内の液体または滲出液が臭気フィルター1828および/または上部フィルター1826の少なくとも一部に飛散するのを阻止または防止するために、フィルター1828の少なくとも一部分をオーバーラップまたは覆うことができる主表面1840を有し得る。例えば、および限定されるものではないが、主表面1840は、臭気フィルター1828の下部主表面の表面積の少なくとも80%、またはフィルター1828の下部主表面の表面積の少なくとも90%、またはフィルター1828の第一の主表面の表面積の少なくとも60%もしくはおよそ60%~90%もしくはおよそ90%と重複し得る。
【0073】
基部キャップ支持体1830は、ポンプが動作している時に、空気および/または他のガスがキャップアセンブリー1820を通って引き出される際に空気および/または他のガスが通過することができる、その中に形成される一つまたは複数の開口部1844を有し得る。キャップアセンブリー1820は、キャニスター本体1802、1902から来る全ての空気もしくはガス、または実質的に全ての空気もしくはガスが、キャップアセンブリー1820の開口部1844を通過する前に、フィルター1828を通過しなければならないように構成され得る。いくつかの配置では、基部キャップ支持体1830内に形成される3つ以上、または4つ以上、または5つ以上の開口部1844があり得る。開口部1844は、滲出液が飛散または開口部1844を通過する可能性が低いように、キャニスター本体1802、1902の上部主表面に垂直な壁に形成されてもよく、例えば、開口部1844は、基部キャップ支持体1830の垂直壁に形成され得る。
【0074】
キャップアセンブリー1820は、キャニスター内の流体レベルを検出する、および/またはキャニスターが満杯であるか、またはほぼ満杯であるかを検出するための流体レベルセンサー1834を含み得る。流体レベルセンサー1834は、二つの下向きに延在するアーム1832を含み得る。流体レベルセンサー1834およびアーム1832は、
図5Aを参照して記載した流体レベルセンサー518およびアーム520と類似し得る。
【0075】
図5Dおよび
図5Eは、キャニスターアセンブリー1700の分解図を示す。キャニスターアセンブリー1700は、第一の本体部分1702aおよび第二の本体部分1702bを有するキャニスター本体1702を有し得る。キャニスターアセンブリーは、フィルターアセンブリー1620を含み得る。フィルターアセンブリー1702は、疎水性フィルター1640、臭気フィルター1642、およびダストフィルター1644を含んでもよく、これらは、ダストまたは他の粒子がポンプアセンブリーを通過するのを阻止(例えば、防止)するために使用され得る。臭気フィルター1642はまた、フィルターアセンブリー1620を通って流れる空気から細菌をフィルターリングするように構成され得る。疎水性フィルター1640は、キャニスター本体1702から任意の液体が漏れ出ること、および臭気フィルター1642に接触することを防止するように使用され得る。臭気フィルター1642は、炭素を含む任意の適切なフィルター膜または材料を含み得る。例えば、および限定されるものではないが、臭気フィルター1642のいくつかの配置は、圧縮炭素を含み得る。フィルターアセンブリー1620は、
図5D、および
図5Eにも示される。
【0076】
フィルターアセンブリー1620は、疎水性フィルター1640および/またはフィルターアセンブリー1620のその他の構成要素の支持面を提供するように構成され得る基部支持体1650によって、下側端部または内側端部で支持され得る。基部支持体1650は、空気/または他のガスが、空気および/または他のガスがフィルターアセンブリー1620を通ってポンプによって引き出される際に通過することができる、その主表面1653を通して、一つまたは複数の開口部1652を有し得る。
【0077】
基部支持体1650のいくつかの配置は、任意に、センサーまたは複数のセンサーおよび/または他の電子部品を支持するように構成され得る。
図5Dを参照すると、基部支持体1650のいくつかの配置は、センサー1658および/または他の電子部品を支持するように構成される支持面1654を有し得る。例えば、および限定されるものではないが、基部支持体1650は、キャニスターアセンブリー1700の頂部表面とほぼ平行な支持面1654を有し得る。いくつかの配置では、基部支持体1650はまた、センサーまたは複数のセンサーおよび/または他の電子部品のための追加の支持体を提供するために、一つまたは複数の支持タブ1655(二つ示される)を有し得る。例えば、センサーが、キャニスターの充填レベルを決定するか、またはキャニスターが、本明細書に記述されるように、キャニスター内に吸引される液体(例えば、創傷滲出液)を介して電極間で導通される電流の検出に対して満杯であると応答していることを検出するように構成される一対の電極を含み得る。支持タブ1655は、支持タブ1655の外向き側に位置付けられ得る一対の電極を支持し得る。
【0078】
支持タブ1655は、支持面1654からキャニスターの底部に向かって離れて延在し得る。支持タブ1655は、支持タブ1655のそれぞれの遠位端にフランジまたはシールド1657を有して、キャニスター内の液体(例えば、創傷滲出液)が支持タブ1655および/または電子部品1658(電極など)上に飛散すること、およびゲルパケット1622またはゲル化剤のマウンドへの曝露を阻止することができる。いくつかの配置では、フランジ1657はそれぞれ、支持タブ1655から離れる角度(例えば、垂直角度)で延在し得る。他の配置では、フランジ1657は、支持タブ1655に対して90度より大きく、または90度未満である角度で延在し得る。
【0079】
いくつかの配置では、電子部品1658は、任意選択で、本明細書に記述されるように、充填レベルセンサーまたはキャニスター満杯センサーであり得る。例えば、充填レベルセンサーが、状態情報(検出された充填レベルまたはキャニスターが満杯かどうかなど)をポンプアセンブリーまたはその他の無線受信機に通信するように構成できる無線送信機(任意に近距離通信トランスミッターであり得る)を有することができ、またはポンプアセンブリーと通信するキャニスターを通して有線接続を有することができる。フランジまたはシールド1657は、流体が充填レベルセンサーまたはキャニスター満杯センサー上に飛散するのを低減または防止して、誤検出を防止し得る。一部の事例では、フランジまたはシールド1657は、キャニスター内のゲル化剤バッグまたは流体固化剤から電子機器を遮蔽するために利用され得る。充填レベルセンサーまたはキャニスター満杯センサーが、支持面1654および/または支持タブ1655に接着されてもよく、またはそうでなければ固定されてもよく、それらに取り付けられてもよい。他の事例では、充填レベルセンサーまたはキャニスター満杯センサーが、支持面1654および/または支持タブ1655の少なくとも一部分上にとどまることができる。
【0080】
基部支持体1650は、その周囲の周りに環状フランジ1660と、少なくとも疎水性フィルター1640を受けいれ、および支持するように構成できる凹部1662とを有し得る。基部支持体1650は、本体1607の第一および第二の部分1702a、1702bが一緒に連結される前に、任意選択的に、キャニスターアセンブリー1700のキャニスター本体1702の第一の本体部分1702aの内部表面内で、溶接、接着、または別の方法で連結され得る。
【0081】
充填レベルセンサーまたはキャニスター満杯センサーが、キャニスターアセンブリー内にオーバーモールドされ得る。他の事例では、充填レベルセンサーまたはキャニスター満杯センサーが、キャニスターアセンブリー内に挿入成形され得る。充填レベルセンサーまたはキャニスター満杯センサーが、キャニスターアセンブリー上にスクリーン印刷されてもよく、例えば、電気トラックが、キャニスターアセンブリー上にスクリーン印刷され得る。これらの技術は、充填レベルセンサーまたはキャニスター満杯センサーをキャニスター内に入れる必要性を排除することができるため、組立および製造中に有用であり得る。充填レベルセンサーまたはキャニスター満杯センサーが、超音波溶接または接着剤によって支持面および/または支持タブに接着され得る。この方法は、キャニスターの他の構成要素に使用される超音波溶接および接着剤用途の製造方法を利用することができる。
【0082】
流体レベルセンサーが、有線または無線で(NFC、RFIDなどを使用して)通信するように構成される検出システムを含んでもよく、またはその一部であり得る。検出システムは、キャニスターから装置または別の遠隔コンピューター装置334(例えば、遠隔コンピューター装置334)に情報を通信するために、通信装置を組み込む流体レベルセンサーを利用することができる。検出システムは、NFCを使用してキャニスターから装置へ情報を通信するための通信装置を利用することができる。NFCは、短距離無線技術の集合であり、典型的には10cm以下(場合によっては4cm以下)の分離を必要とする。NFCは、イニシエータ(またはアクティブタグ)および標的(またはパッシブタグ)を含むことができる。イニシエータは、受動タグに給電できる無線周波数(RF)フィールドを積極的に生成することができる。一部の事例では、NFC通信は、受動的NFCタグと通信するNFCリーダーを利用することができる。NFCリーダーが、受動的NFCタグに格納される情報を取得できる。ポンプアセンブリー160は、NFCリーダー(ポンプアセンブリー160ハウジングの底部またはその近くに位置することができる)を含んでもよく、キャニスターの検出システムは、受動的NFCタグを含み得る。NFCタグの導電部分がキャニスター内の流体と接触し、回路が閉じている場合、情報(フラグなど)をNFCタグのメモリーに記憶することができる。NFCリーダーが、NFCタグと通信することによって、こうした情報を読み取ることができる。NFCリーダーおよびNFCタグは、無線通信を促進する(例えば、データの送信および受信を促進する)ための一つまたは複数のアンテナを含み得る。一部の事例では、NFCリーダーとNFCタグとの間の通信の範囲は、NFCリーダーとNFCタグとの間の距離を超えることができる、約20mm(またはそれ以上)であり得る。キャニスターの状態を決定するためのNFC通信の利用に関する追加の詳細は、本特許出願と同日に出願された「陰圧創傷療法装置用通信システムおよび通信方法」と題する同時係属国際特許出願第__________号(代理人整理番号SMNPH.654WO)に開示され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0083】
本明細書に記載されるように、ポンプアセンブリー160などの陰圧創傷療法装置、または遠隔コンピューター装置は、NFCリーダーを含み得る。NFCリーダーが、キャニスター162などのキャニスターとの通信を容易にするように構成されるアンテナを有することができる。ポンプアセンブリー160は、キャニスターが満杯であるかどうか、キャニスター内の流体のレベルなど、キャニスターの状態に関するデータを受信することができる。ポンプアセンブリーと通信するための追加のアプローチは、「陰圧創傷療法装置用通信システムおよび通信方法」と題する、上記の国際特許出願番号__________(代理人整理番号SMNPH.654WO)に開示される。
【0084】
キャニスター内の流体レベルを検出するために、検出システムは、改竄検出システムを利用して、キャニスター内の流体がいつ閾値レベルに到達したかを検出することができる。改竄検出システムは、回路内のインピーダンスまたは抵抗の変化を検出して、システムが改竄されたかどうかを決定することができる。例えば、包装に使用されるとき、改竄検出システム内の開回路の検出は、小包の開封などの装置の改竄を示すことができる。流体検出システムは、改竄検出システムを利用して、改竄検出システムが、キャニスター内の流体レベルが閾値流体レベルに到達(または超える)することによって生じた閉回路を検出するとき、キャニスターが満杯であることを検出することができる。従って、改竄検出システムは、(包装溶液の場合に使用される開回路で検出された改竄検出ではなく)改竄検出なしを示すことができる閉回路に応答するキャニスター満杯を検出することができる。
【0085】
図6Aおよび
図6Bは、例示的な改竄検出システム回路および改竄検出回路の状態を示す。図示した改竄検出システムは、NFCを使用して(左に図示したアンテナを使用して)通信するように構成することができる。
図6Aは、閉回路状態(ノードTD0およびTD1が電気的に接続される)に対応する、「改竄検出されていない」状態の改竄検出検出システムを示す。
図6Bは、改竄検出状態または開回路状態(ノードTD0およびTD1が電気的に接続されていない)の改竄検出システムを示す。システムの状態が、専用レジスタに記憶され得る。例えば、「01h」(または「1」)は、閉回路を示してもよく、「00h」(または「0」)は、開回路を示し得る。キャニスター内の流体を使用して、
図6Aに図示した改竄検出されていない状態を作り出す回路を閉じることができる。改竄検出システムが流体検出システム(流体レベルセンサー518など)に組み込まれるとき、流体検出システムは、開回路(
図6Bに示すような「改竄検出された」など)に対応する「キャニスター空」状態とすることができる第一の状態を有してもよく、第二の状態が、回路を完成したキャニスター内の流体により閉回路(例えば、6Aに示されるように「改竄検出されていない」)対応する「キャニスターの満杯」状態とすることができる。例えば、キャニスター内の流体が特定のレベルに到達したとき、流体レベルセンサー518のアーム520は、キャニスター内の流体と接触し、それによって回路を完成させ、流体レベルセンサーがキャニスターの満杯状態を検出することができる。
【0086】
改竄検出システムは、ノードTD0とTD1との間のインピーダンスまたは抵抗の監視に基づき、回路が閉じていることを検出できる。一部の事例では、閉回路を検出するための閾値インピーダンスは、キャニスターを充填すると予想される流体(創傷滲出液など)のインピーダンスに対応するべきである。水道水、飽和塩水、および刺激滲出液(0.9%生理食塩水)を含むさまざまな流体の試験により、それぞれ約460Ω、約34Ω、および約66Ωのインピーダンスが明らかになった。閾値インピーダンスは、これらのインピーダンスと等しいか、またはそれを超える値に設定することができる。例えば、閾値インピーダンスは、約35Ω(またはそれ以上)、約50Ω(またはそれ以下または以上)、約70Ω(またはそれ以下または以上)、約100Ω(またはそれ以下または以上)、約0.5kΩ(またはそれ以下または以上)、約1kΩ(またはそれ以下または以上)、約2kΩ(またはそれ以下または以上)、約3kΩ(またはそれ以下または以上)、約4kΩ(またはそれ以下または以上)、約5kΩ(またはそれ以下または以上)、約6kΩ(またはそれ以下または以上)、または約7.5kΩ未満に設定することができる。一部の事例では、閾値インピーダンスは、キャニスターを充填すると予想される流体の少なくとも一部の平均インピーダンスに対応することができる。
【0087】
一部の実例では、閾値インピーダンスは、あらかじめ設定された値とすることができる。流体レベルセンサーの電極の一つまたは複数の領域は、閉回路のインピーダンスがこのような現在の閾値インピーダンスと確実に合致するように調整され得る。例えば、あらかじめ設定された閾値インピーダンスが50Ω以下であると仮定する。そのような場合、一つまたは複数の電極の面積を増大させて、閉回路インピーダンスが50Ωを超えないようにすることができる。
【0088】
一部の事例では、信頼できるキャニスター検出を実施することができる。流体検出システムは、固有の値(例えば、固有のキャニスター識別子)とすることができる、識別子を通信することができる。例えば、NFCプロトコルが使用される場合(短い範囲にわたって動作する)、陰圧創傷療法装置は、(キャニスターが装置に取り付けられていることを示す)識別子がキャニスターから受信されない場合、療法の提供を許容しないように構成され得る。
【0089】
一部の事例では、ポンプアセンブリーは、さまざまな体積またはサイズのキャニスターと使用され得る。このような場合、異なる体積またはサイズのキャニスターは、異なるタイプの流体閉じ込めキャニスター上のキャニスター内の流体レベルセンサー(例えば、NFCタグ)の位置(または番号)を変更することによって識別することができる。例えば、第一のサイズのキャニスターは、第一の位置(キャニスター本体の中央上部など)に流体レベルセンサーまたはNFCタグを有することができ、第二のサイズの第二のキャニスターは、第二の位置(キャニスター本体の上部側など)に位置付けられる流体レベルセンサーまたはNFCタグを有することができる。これは、ポンプアセンブリー上のリーダーによって識別されて、キャニスタータイプを決定するためにセンサー上のコード化されたメッセージを読み取るのではなく、ポンプアセンブリーに取り付けられるキャニスターのタイプを示すことができる。さらに、キャニスターの異なる位置に位置するセンサーを使用してキャニスターの体積またはサイズを決定することにより、センサーに書き込まれたデータが誤って書き込まれたとしても、キャニスター型の識別が可能となる。
【0090】
NFC通信をサポートする改竄検出システム502の状態(受動的NFCタグとして機能するなど)は、
図6C、
図6Dに示すように、NFCリーダー504で検出できる。本明細書に記載されるように、NFCリーダー504は、ポンプアセンブリー160などの陰圧創傷療法装置(
図6A、
図6B、
図6C、および
図6Dでは「tNPWT装置」として標識される)内に配置され得る。NFCリーダーが陰圧創傷療法装置内でどのように統合され得るかに関する追加の詳細は、「陰圧創傷療法装置用通信システムおよび通信方法」と題する、上記参照の国際特許出願第___________号(代理人整理番号SMNPH.654WO)に開示される。
【0091】
一部の事例では、改竄検出システムは、キャニスターの状態に関連する追加情報を格納するメモリーを含み得る。例えば、追加情報は、キャニスターサイズ(例えば、300mlまたは800ml)についての情報を含み得る。一部の事例では、追加情報は、同じキャニスターが陰圧創傷療法装置に以前に取り付けられたかどうかの表示を含み得る。例えば、固有のキャニスター識別子は、同じキャニスターが取り外されるかどうかを示し、陰圧システムに戻すことができる。固有のキャニスター識別子は、キャニスターの使用の追跡を可能にすることができる。一部の事例では、キャニスター内の改竄検出装置内に格納される追加情報は、キャニスターがポンプアセンブリーに接続されたとき、キャニスターがポンプアセンブリーから取り外されたときの時間および/または日付、および/または稼働時間の数など、装置内に入力された追跡情報を含み得る。キャニスターの状態のさらなる詳細は、本特許出願と同じ日に出願された「創傷療法および治療用インテリジェント使い捨て装置」と題する、国際特許出願第___________号(代理人整理番号SMNPH.683WO)に開示され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0092】
一部の事例では、改竄検出システムは、他のキャニスター満杯検出方法と組み合わせて使用することができる。二つ以上の冗長システムを使用することで、正確性を促進することができる。例えば、改竄検出システムは、ピーク間電圧測定システムからの偽陽性警報を回避するために、圧力パルスからのピーク間電圧測定と組み合わせて使用することができる。これは、キャニスターの充填速度を推定するときに特に有利であり得る。例えば、一部の事例では、ピーク間電圧測定値は、充填レベルおよびそれゆえ創傷排出の流量の粗い表示を与えることができる。改竄検出検出システムを使用して、キャニスターが満杯レベルに近いか、または満杯の時に警報がトリガーされるようにすることができる。さらに、システムの精度を高めるために、ユーザーによる第三のチェックを実施することができる。この第三のチェックは、キャニスターレベルのユーザーインターフェイス入力(例えば、「低」、「満杯の半分」、「ほぼ満杯」)からなり得る。一部の事例では、ユーザーインターフェイスは、本明細書に記載するように、ボタンまたは他のユーザー入力モードを利用することができる。例えば、画像またはテキストをボタン上で使用することができる(例えば、三つのボタンをそれぞれ、画像および/またはテキストを有する特定の流体レベルに対応する)。
【0093】
流体検出システムは、複数の電極対のセットを含む充填レベルセンサーまたはキャニスター満杯センサーを含み得る。一部の事例では、電極対の複数のセットは、複数のアーム上に位置付けられ得る。追加的または代替的に、流体検出システムは、キャニスター内の複数の充填レベルセンサーまたはキャニスター満杯センサー(例えば、複数のNFCタグ)を利用することができる。例えば、一部の事例では、
図5Aに示すように、単一の対のアームまたはキャニスター内に延在する単一のセンサーではなく、複数のアームの対または複数のセンサーを使用できる。キャニスターが液体で満たされ、それが満杯またはほぼ満杯になる前に、複数のアームの対または複数のセンサーを、異なる長さで使用して、流体レベルを測定することができる。一部の事例では、本明細書に記載されるように、のセンサーが、キャニスターの上部またはキャップから複数の距離にある複数のアームの対を含み得る。一部の事例では、キャニスターが液体で満たされるにつれて、複数のセンサーが、異なる充填レベルで検出することを可能にする配置で、使用および積み重ねまたは配置され得る。これにより、キャニスター内のさまざまなレベルでの検出が可能になり、本明細書に記載されるように、ユーザーがキャニスターの残りの体積量を決定するか、またはキャニスターの充填速度を決定することができる。
【0094】
例えば、キャニスター内の異なる位置に、キャニスター本体に位置付けられるか、またはその中に延在する、三つの対のアームであり得る。第一の対のアーム(最も長い対のアーム)は、キャニスターが液体で半分満たされることを示す位置に、キャニスター内に延在することができる。第二の対のアームは、第一の対よりも短くてもよいが、第三の対よりも長く、キャニスターが半分満たされることを示す位置と、キャニスターが満杯であることを示す位置との間の位置に、キャニスター内に延在し得る。第三の対のアームは、最も短い対のアームであってもよく、キャニスターが満杯であるか、またはほぼ満杯であることを示す位置に位置する。第一の対のアームのみが流体を検出する場合、キャニスターは満杯の半分である。第二の対のアームが流体を検出する場合、キャニスターは、満杯の3/4、または満杯の中間および満杯またはほぼ満杯の間のある体積であり得る。第三の対のアームが流体を検出する場合、キャニスターは満杯またはほぼ満杯である。複数のアームの対はまた、本明細書にさらに記載されるキャニスターの「満杯になるまでの時間」を測定するために使用され得る。アームの対は、同じセンサーデバイス(または同じ支持基材)上であってもよく、または複数のセンサー(例えば、複数のNFCタグ)の形態であってもよく、それぞれがアームの対を有し、各アームの対の長さは、別のアームの対とは異なる。三つのアームの対が記述されるが、任意の数のアームの対または任意の数のセンサーデバイスを使用して、キャニスター内の任意の数のレベルを検出することができる。充填レベルの解像度は、さまざまなレベルでのより多くのセンサーまたはアームの対で増加させることができる。
【0095】
一部の事例では、複数のセンサーデバイスは、キャニスターの上部で、フィルターから同じ距離に、しかし複数の軸に位置付けることができる。複数のセンサーが、タグの故障に対する冗長性を生成することができる。複数のセンサーがまた、センサーオフセットをマウントして充填ゲージを生成する能力も提供する。充填ゲージを生成するためのタグ読み取り経路の間隔は、流体の固定増分に、または予想される時間増分に適切な間隔に設定され得る(例えば、キャニスターに送達される流体のボーラスに対処するために、開始に向かって、またはキャニスターの底部が満たされるとき、間隔を空けられて、その後、キャニスターが充填するにつれて流体速度がテールオフすることが予期されるので、タグが、より密に間隔を空けることができる)。後者は、創傷が、最小数のトラック経路を有する「予想される」経路に従っているかどうかの最大粒度を与えるであろう。一部の事例では、複数のセンサーまたは複数のアームを有するセンサーが、キャニスター内の異なる横方向位置に設定することができる。
【0096】
図6Eは、充填レベルセンサーアセンブリーとして使用できるNFCタグを示す。NFCタグは、本明細書に記載されるキャニスター内の流体レベルを検出するために使用され得る。キャニスターは、陰圧療法の重要な部分とすることができる。一部の事例では、ポンプアセンブリーは、キャニスターが存在しないと、患者の陰圧療法を行うことができない。キャニスターは、ポンプアセンブリーおよび/または創傷包帯に空気接続され、取り付けられなければならない。本明細書に記載されるキャニスターキャップ実施形態のいずれも、
図6Eに示すように、NFCタグ充填レベルセンサーアセンブリーを含み得る。一部の事例では、本明細書に記載されるように、短距離無線NFC通信は、キャニスターのポンプアセンブリーへの取り付けを検証し、キャニスターが適切に取り付けられていることを検証することができる。キャニスターのNFCタグ充填レベルセンサーアセンブリーの主な機能は、キャニスター内の受動的NFCデバイスが、ポンプアセンブリー内に位置するNFCリーダーに無線で通信することを可能にすることである。NFCタグセンサーアセンブリーの無線機能は、キャニスター検出、流体検出、およびプログラムされたキャニスターデータに関連するデータを伝送することができる。
図6Eに図示したNFCタグデバイスは、本明細書に記載される改竄検出防止機能を含む。一部の事例では、NFCタグデバイスは、追跡不可能なモードなど、タグアクセスを保護するための特定のモードを含み得る。一部の事例では、NFCデバイスは、クローニング検出におけるチップの起源を証明するために使用されるデジタル署名を含んでもよく、60年間のデータ保持で構成可能なEEPROMを埋め込むことができ、および/または13.56MHzの長距離RFIDリーダーから動作させることができる。
【0097】
キャニスター充填速度検出
キャニスター162などのキャニスターの陰圧システムにおける充填速度を検出および示すことが有利であり得る。この検出は、本明細書に記載されるキャニスターの満杯またはほぼ満杯検出に加えて、または代替として実施され得る。
【0098】
キャニスター充填速度は、創傷排出または創傷から流出する滲出液の量を推測するために使用され得る。創傷からの流体の流量は、設置される空のキャニスターと、キャニスターが満杯になる時間との間の持続時間に基づき、キャニスターを充填するためにかかった時間を使用して計算することができる。次に、キャニスターの体積を、キャニスターを充填して創傷流体の流量を計算するのにかかる時間で割ることができる。例えば、以下の式を使用できる。
流量=(キャニスター体積)/(充填にかかる時間) (1)
【0099】
一部の事例では、キャニスターの体積は、ユーザーによって入力されてもよく、または検出され得る(例えば、本明細書に記載されるキャニスターのメモリーから取り出す)。正確な流量は、本明細書に記載の流体レベルセンサーを使用して計算することができる。キャニスターを充填する時間期間は、療法の任意の停止または中断を考慮に入れ、療法が再開されるときに同じキャニスターがまだそこに取り付けられていると決定し、キャニスターが取り外されて再適用されたと決定することによって、正確に決定することができる。本明細書に記載されるように、これらの決定は、固有のキャニスター識別子を使用して行うことができる。
【0100】
一部の事例では、次に、流量は、医療提供者によって使用され、最善の治療経路を決定し、患者が別のシステム、例えば、Smith & NephewのPico Single Use 陰圧創傷療法システムに移動できるかどうかを決定することができる。
【0101】
一部の事例では、キャニスターは、キャニスターが満杯になる前に取り外すことができる。これらの状況では、キャニスター内の流体のレベルを示すために、ユーザーインターフェイスに手動入力を提供することによって、流量について推定を行うことができる。一部の事例では、キャニスターが満杯になる前、またはキャニスター満杯警報がトリガーされる前にキャニスターが取り外された場合、この入力は、「低」、「満杯の半分」、「ほぼ満杯」と記載する入力であり得る。この入力は、式1のキャニスター体積変数を調整するために使用することができる。
【0102】
一部の事例では、キャニスター、キャニスター充填速度、および/またはキャニスターの使用および療法の使用から得られた情報は、医療従事者に情報を提供し、また、単一の患者またはさまざまな患者の間の傾向および行動の理解を可能にして、医療判断を支援することができる。
【0103】
一部の事例では、流量計は、流体流路(導管108または108’など)内に位置付けられて、流量を決定することができる。例えば、ベンチュリ管が使用され得る。
【0104】
誘導結合流体検出システム
キャニスター満杯検出システムは、誘導結合流体検出システムを使用できる。誘導結合流体検出システムは、満杯またはほぼ満杯キャニスターを検出し、結果としてユーザーに警告を提供することができる。本明細書に記載されるように、医療従事者またはユーザーがキャニスターを交換し、最小限の中断(例えば、キャニスターの満杯/遮断警報を突然鳴らす装置について心配する必要がないなど)で治療を継続することができるため、キャニスター満杯またはほぼ満杯の警報は、陰圧療法システムにとって重要であり得る。
【0105】
陰圧創傷療法システムは、誘導結合流体検出システムを使用して、キャニスターがほぼ満杯であるかどうかを判断することができる。これを行うために、システムは、キャニスター内の間隔を空けた電極を使用することができ、これは、キャニスター内の流体が特定のレベルにあり、電極が水没したときに、電気的特性の変化によって流体の存在を検出することができる。キャニスター流体レベル情報は、次に、例えば、誘導結合(NFCなど)または別の無線または有線通信プロトコルを介して、陰圧療法システムにリレーバックされ得る。例えば、誘導結合流体検出システムは、
図7に示すように、デバイス(デバイス側)の一方のコイルとキャニスター(キャニスター側)の他方のコイルとを含み得る。一部の事例では、この構成は、キャニスター、デバイス、および最終的にユーザーとの間の直接的な電気的接続を避けることによって、分離を提供することができる。装置側コイルは、「陰圧創傷療法装置用通信システムおよび通信方法」と題する、上記参照の国際特許出願第___________号(代理人整理番号SMNPH.654WO)に記載されるように、陰圧創傷療法装置のハウジングの底部分で位置付けられ得る。
【0106】
図7は、誘導結合流体検出システムの一般回路配置の概略図を示す。
図7に示すように、誘導結合流体検出システムのデバイス側701は、装置コイル702および電流感知抵抗器703を含み得る。装置側701は、陰圧創傷療法装置のコントローラー、または検出システムによって取得された接続または遠隔装置情報、例えば、キャニスターが満杯状態、またはキャニスターがほぼ満杯状態を送信することができる。誘導結合流体検出システムのキャニスター側710は、キャニスターコイル711を含み得る。キャニスター(線720によって示される)内の流体の電気的特性は、キャパシタ712および抵抗器713によって表され得る。コイル711は、間隔を空けた電極を介して流体と電気通信することができる。
【0107】
一部の事例では、コイル702および711は誘導結合され、(電流の形態で)情報をコイル間で中継することができる。一つのコイルが装置内にあり、他方がキャニスター内にある構成は、キャニスター、装置、および最終的にユーザーとの間の直接的な電気的接続を避けることによって分離を提供するので、理想的であり得る。
【0108】
装置コイル702は、特定の周波数の交流電流(A.C.)信号によって励起され得る。キャニスターコイル711およびキャニスター内の流体は、流体の静電容量を表すコイル711(コイル)およびキャパシタ712を含むLC回路を形成することができる。キャパシタ712のインピーダンス(または交流電流に対する有効抵抗)は、周波数が増加するにつれて減少する。
図8に示すように、周波数が増加するにつれて、コイル711のインピーダンスが増加する。両方の線が交差する点は、直列共鳴(または共振周波数)であり、インピーダンスが最低であり、最大電流が流れることができる。従って、共振周波数信号での交流電流が回路に供給されると、流体がキャニスター内に導入され、電極に到達する際に、LC回路が完成され得る。回路の完成は、静電容量712を導入し、LC回路のインピーダンスをその最低点に到達させ、電流をその最高値にすることができる。
【0109】
装置コイル702がキャニスターコイル711に誘導結合される場合、交流電流は二つの回路間で結合される。キャニスター内に流体がない場合(または流体が電極に到達していない場合)、キャニスターコイルは開回路にあり、キャニスターコイルを通して電流が流れていない。これは、キャニスターの流体がない(または流体が電極に到達していない)時に測定されるオシロスコーププロットの例を示す、
図9Aに示す装置コイルを通して非常に小さな電流を流す原因となり得る。しかしながら、流体がキャニスター内に吸引されると(および流体が電極に到達)、装置コイル702によって誘導される電流がキャニスターコイル711を通って流れ始める。次いで、これは、装置コイル702を流れる電流を増加させることができる。この電流は、検出抵抗器703にわたって測定され、キャニスターが満杯であることを示す閾値と比較され得る。
図9Bは、キャニスター内の流体が電極に到達したときに測定されるオシロスコーププロットの例を示す。
図9Bは、
図9Aと比較して、装置コイル702を流れるより大きな電流を示す。
【0110】
図10は、関与する異なるセクションを有するキャニスターの満杯検出のための信号マニピュレーションを有する誘導結合流体検出システムの例示的な回路の概略図を示す。
図10に示すように、セクション1030では、共振周波数でのパルス信号波形が生成され(マイクロコントローラーによってなど)、ローパスフィルター(LPF)を通過して、セクション1032の対応する基本周波数(正弦波など)で信号を交流電流信号に変換する。これは、デジタルパルス(例えば、50%のデューティサイクルでの方形波またはPWM信号)が、多くの周波数からなり、基本周波数以外の周波数をフィルターリングすることによって(この場合、共振周波数が選択される)、正弦波が生成されることによって達成される。一部の事例では、LPFは、第2次バターワースタイプのローパスフィルターであり得る。一部の事例では、第3、第5、またはその他などの奇数の高調波は、第2次LPFの-40dB/ディケードのドロップオフのために、まだ残る場合があるが、装置コイルからのインピーダンスは、それらの高調波を構成要素(キャパシタおよび抵抗器など)の選択で減衰させることができる。
【0111】
誘導結合流体検出システムは、セクション1034に示される装置コイル1002を有するデバイス側1001と、セクション1036に示されるキャニスターコイル1011を有するキャニスター側1010とを含み得る。デバイス側1001およびキャニスター側1010は、
図7を参照して記載されるデバイス側701およびキャニスター側710と類似してもよく、
図7を参照して記載されるのと同じ構成要素を含み得る。共振周波数での交流電流信号は、電流が装置コイル1002を通過するにつれて、セクション1032のLPFから、セクション1034の誘導結合流体検出システムのデバイス側1001に通過することができる。誘導結合流体検出システムのキャニスター側1010のキャニスターコイル1011は、本明細書に記載されるように、回路が完成したときに装置コイル1002との電流を生成することができる。例えば、流体がキャニスターの閾値レベル(例えば、電極に到達する)に達すると、回路が完成し、キャニスターコイル1011にわたって電流が流れる。
図7に関連して説明するように、この電流は、装置コイル1002に渡る電流を変化させる(例えば、増加させる)ことができる。この変化を検出して、キャニスターが満杯であることの検出を引き起こすことができる。
【0112】
セクション1038のトランスインピーダンスアンプを使用して、電流を電圧に変換し、その後、MCUまたは類似のデバイスによってより容易に解釈することができる。セクション1038のトランスインピーダンスアンプから生成される出力電圧と、キャニスターが満杯であることを示す閾値とを比較することができる。比較は、閾値が満たされた場合(例えば、到達または超過された場合)、満杯キャニスターが達成されたという条件で実施され得る。満杯キャニスターが達成されたことが確立されると、警報をトリガーすることができる。
【0113】
図11は、キャニスターへの直接接続を使用する流体検出システムの例示的な回路の概略図である。キャニスターの満杯またはほぼ満杯検出の機構は、
図10を参照して記載される誘導結合流体検出システムと類似し得るが、
図11を参照して記載される流体検出システムは、誘導結合コイルを使用する代わりに、セクション1140のキャニスターを通して直接電気的接続1141、1142を使用する。
図10を参照して説明した回路に関与する他のセクションは、
図11の回路に同様に関与している。電気的接続の使用には、キャニスターおよび装置を接続するための電気的インターフェイスが必要とされ得る。キャニスターの満杯検出は、電気的接続がキャニスターを直接通過するときに、直接測定を可能にすることができる。(キャニスター内の流体の電気的特性を介して)流体の存在を直接測定することが、キャニスターが満杯であることを測定してユーザーに警告する直接的な方法を提供することによって、システムの頑健性を増加させることができる。流体の存在を測定または検出するための非接触型デバイスは、汚染の問題を回避することができるため、直接的な電気的接続システムよりも電気的により堅牢で、一部の状況では有益であり得る。他の事例では、流体の存在を測定または検出するための非接触システムは、RF干渉および/またはノイズピックアップの傾向がより強くなり得る。
【0114】
一部の事例では、キャニスターインターフェイスを介した陰圧創傷療法装置からの直接的な電気的接続は、望ましくない場合がある(例えば、患者の安全のため)。結果として、
図7または
図10の絶縁された誘導結合回路を使用することが、キャニスターが満杯であることを測定または検出するためのより望ましい解決策であり得る。
【0115】
キャニスターの満杯検出は本セクションで説明するが、キャニスターがほぼ満杯であること検出は同様に実施することができる。
【0116】
他の変形例
いくつかの実施形態は、陰圧創傷療法を記載するが、本明細書に開示されるシステム、デバイス、および/または方法は、スタンドアローンで、またはTNP療法に加えて、使用可能な他のタイプの療法に適用され得る。本明細書に開示されるシステム、デバイス、および/または方法は、任意の医療機器、特に任意の創傷治療デバイスに拡張され得る。例えば、本明細書に開示されるシステム、装置、および/または方法は、超音波療法、酸素療法、神経刺激、マイクロ波療法、活性剤、抗生物質、抗微生物剤、またはこれに類するもののうちの一つまたは複数を提供する装置とともに使用され得る。こうした装置は、さらにTNP療法を提供することができる。本明細書に開示されるシステムおよび方法は、医療機器に限定されず、任意の電子装置によって利用され得る。
【0117】
本明細書に記載されるデータの任意の送信は、安全に実施され得る。例えば、暗号化、httpsプロトコル、安全なVPN接続、エラーチェック、送達の確認、またはこれに類するもののうちの一つまたは複数を利用することができる。
【0118】
本明細書に提供される閾値、限界値、期間などのいかなる値も、絶対的な値であることを意図するものではなく、従って、およその値であり得る。加えて、本明細書で提供される任意の閾値、制限、期間などは、自動的にまたはユーザーによって、固定されるかまたは変えられ得る。さらに、本明細書で使用される場合、基準値に関連した、超える、超、未満などの相対的な程度を表す用語は、基準値と等しい場合も包含することが意図される。例えば、正の基準値を超えることは、基準値以上であることを包含することができる。加えて、本明細書で使用される場合、基準値に関連した、上回る、超、未満などの相対的な程度を表す用語は、基準値に関連した、下回る、未満、超などの開示された関係とは逆のものも包含することが意図される。
【0119】
特定の態様、実施形態、または実施例に関連して説明される特性、物質、特徴、または群は、本明細書に記載される他の任意の態様、実施形態、または実施例に、これらと両立できないことがない限り、適用可能であることを理解されたい。本明細書(添付の特許請求の範囲、要約、および図面を含む)に開示される特徴の全て、および/またはそのように開示される任意の方法もしくはプロセスのステップ全ては、そのような特徴および/またはステップのうちの少なくともいくつかが相互排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わせられ得る。保護対象は、前述の任意の実施形態の詳細に限定されない。保護対象は、本明細書(添付の任意の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)において開示される特性のうちの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組み合わせにおよび、または同様に開示される任意の方法またはプロセスのステップのうちの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組み合わせに及ぶ。
【0120】
特定の実施形態が説明されてきたが、これらの実施形態は、単に例として提示されており、保護範囲を限定することを意図するものではない。実際、本明細書に記載の新規な方法およびシステムは、さまざまな他の形態で具現化され得る。さらに、本明細書に記載の方法およびシステムの形態において、さまざまな省略、置換、および変更がなされ得る。いくつかの実施形態では、図示および/または開示されたプロセスにおいて実施される実際の工程は、図に示された工程とは異なり得ることを、当業者は認識するであろう。実施形態によっては、上述した工程のうちのある特定の工程が除かれる場合もあれば、他のものが追加される場合もある。例えば、開示されるプロセスで実施される実際のステップおよび/またはステップの順序は、図で示したものとは異なり得る。実施形態によっては、上述した工程のうちのある特定の工程が除かれる場合もあれば、他のものが追加される場合もある。例えば、図に例示されるか、または本明細書に開示されるさまざまな構成要素が、プロセッサー、コントローラー、ASIC、FPGA、および/または専用ハードウェア上の、ソフトウェアおよび/またはファームウェアとして実装され得る。ソフトウェアまたはファームウェアは、非一時的コンピューター可読メモリーに記憶される命令を含み得る。命令は、プロセッサー、コントローラー、ASIC、FPGA、または専用ハードウェアによって実行することができる。コントローラー、プロセッサー、ASIC、FPGAおよび類似のものなど、ハードウェア構成要素は論理回路を含むことができる。さらに、上記に開示された特定の実施形態の特徴および特性は、異なる方式で組み合わされて追加の実施形態を形成し得るが、その全ては本開示の範囲内に収まる。
【0121】
本明細書で図示され、説明されるユーザーインターフェイス画面には、追加の構成要素および/または代替の構成要素が含まれ得る。これらの構成要素には、メニュー、リスト、ボタン、テキストボックス、ラベル、ラジオボタン、スクロールバー、スライダー、チェックボックス、コンボボックス、状態バー、ダイアローグボックス、ウィンドウなどが含まれ得る。ユーザーインターフェイス画面には、追加の情報、および/または代替の情報が含まれ得る。構成要素は、任意の好適な順番に配置され、グループ化され、標示され得る。
【0122】
「し得る(can)」、「し得る(could)」、「可能性がある(might)」、または「場合がある(may)」などの条件付き言い回しは、別途具体的に記載されない限り、または使用される文脈の範囲内で別途解釈されない限り、ある特定の実施形態が、ある特定の特徴、要素、および/または状態を含む一方で、他の実施形態は含まないということの伝達を意図するのが通例である。従って、こうした条件付き言い回しは、特徴、要素、および/もしくは状態が一つまたは複数の実施形態に多少なりとも必要とされるという示唆、またはこれらの特徴、要素、および/もしくは状態が特定の任意の実施形態に含まれているかどうか、もしくは該実施形態で実施されるべきかどうかを、作者入力または命令の有無にかかわらず決定するためのロジックが、一つまたは複数の実施形態に必然的に含まれているという示唆を必ずしも意図するものではない。「含む」、「含む」、および「有する」等の用語は、同義語であり、包含的に、オープンエンドの様式で使用され、追加の要素、特徴、行為、動作などを排除するものではない。また、用語「または(or)」は、包括的な意味で(排他的な意味ではなく)使用されることで、例えば要素の列記をつなぐのに使用される場合、列記の要素のうちの一つ、いくつか、または全てを意味することになる。加えて、「各々」という用語は、本明細書で使用される場合、その通常の意味を有することに加えて、「各々」という用語が適用される一連の要素の任意のサブセットも意味し得る。さらに、本明細書で使用される場合、「本明細書での(herein)」、「上記(above)」、「下記(below)」および類似する言葉は、本出願で使用される場合、本明細書の全体を指し、本明細書の特定の部分を指すものではないことを意味する。
【0123】
特に明記されない限り、「X、Y、およびZのうちの少なくとも一つ」という語句などの結合言語は、項目、用語などが、X、Y、またはZ、またはそれらの組み合わせのいずれかであり得ることを一般的に伝達するために使用される文脈で理解されるべきである。従って、こうした結合言語は、特定の実施形態がXのうちの少なくとも一つ、Yのうちの少なくとも一つ、およびZのうちの少なくとも一つが各々存在する必要があることを暗示することを一般的に意図するものではない。
【0124】
本明細書で使用される「およそ」、「約」、「一般に」、および「実質的に」という用語等の、本明細書で使用される程度を表す言い回しは、所望の機能を依然として果たすかまたは所望の結果をもたらす所定の値、量、または特性に近い値、量、または特性を表すものである。例えば、「およそ」、「約」、「一般に」、および「実質的に」という用語は、所定の量の10%未満以内、5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内、および0.01%未満以内の量を意味し得る。別の実施例として、特定の実施形態では、「一般に平行」および「実質的に平行」という用語は、丁度平行である状態から15度以下、10度、5度、3度、1度、または0.1度逸脱する値、量、または特性を指す。
【0125】
別段の明示的な記載がない限り、「a」または「an」などの記事は、一般的に、一つまたは複数の記載項目を含むと解釈されるべきである。従って、「ように構成される装置」などの語句は、一つまたは複数の列挙された装置を含むことが意図される。こうした一つまたは複数の列挙されたデバイスはまた、述べられた列挙を行うように集合的に構成され得る。
【0126】
本開示には、一定の実施形態、例、および適用例が含まれるが、本開示は、具体的に開示された実施形態の範囲を超えて、他の代替の実施形態および/または使用ならびにその明らかな変更形およびその等価物にまでおよび、これには本明細書に記載された特徴および利点の全てを提供しているとは限らない実施形態が含まれることは、当業者に理解されるはずである。従って、本開示の範囲は、本明細書における好ましい実施形態の特定の開示によって限定されることを意図するものではなく、本明細書に提示されるまたはこの後に提示される特許請求の範囲によって定義され得る。
【国際調査報告】