IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーションの特許一覧

<>
  • 特表-組込み送信/受信スイッチ 図1A
  • 特表-組込み送信/受信スイッチ 図1B
  • 特表-組込み送信/受信スイッチ 図2A
  • 特表-組込み送信/受信スイッチ 図2B
  • 特表-組込み送信/受信スイッチ 図3
  • 特表-組込み送信/受信スイッチ 図4
  • 特表-組込み送信/受信スイッチ 図5A
  • 特表-組込み送信/受信スイッチ 図5B
  • 特表-組込み送信/受信スイッチ 図6
  • 特表-組込み送信/受信スイッチ 図7
  • 特表-組込み送信/受信スイッチ 図8
  • 特表-組込み送信/受信スイッチ 図9
  • 特表-組込み送信/受信スイッチ 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-02
(54)【発明の名称】組込み送信/受信スイッチ
(51)【国際特許分類】
   H03H 7/38 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
H03H7/38 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562239
(86)(22)【出願日】2022-04-14
(85)【翻訳文提出日】2023-10-10
(86)【国際出願番号】 IB2022053510
(87)【国際公開番号】W WO2022224096
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】17/239,527
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウーラム
(72)【発明者】
【氏名】サドゥ、ブディサトワ
(57)【要約】
TX/RXスイッチが、電力増幅器(PA)、低雑音増幅器(LNA)、およびアンテナ接続を含む。PAは、送信モードで様々な実施形態で1つまたは複数の直並列組合せで接続されるPA回路網インピーダンスおよび共通PA-LNAインピーダンスを有するPA整合回路網に接続される。LNAは、受信モードで1つまたは複数の直並列組合せで接続されるLNA回路網インピーダンスおよび同一の共通PA-LNAインピーダンスを有するLNA整合回路網に接続される。モード・スイッチが、送信モードおよび受信モードをそれぞれ可能にするように共通PA-LNAインピーダンスを異なる構成で接続し得る。いくつかの実施形態では、モード・スイッチは、PA整合回路またはLNA整合回路の接続をアンテナに短絡し、または開放し得る。いくつかの実施形態では、モード・スイッチはまた、スイッチが、それぞれの増幅器が選択されないモードにあるとき、PAまたはLNAに対して電源オンまたはオフし得る。したがって、TXモードまたはRXモードのTX/RXスイッチ構成要素の異なるモード・スイッチ構成と組み合わせた、共通PA-LNAインピーダンスに関する特定の設計制限と共に、TX/RXスイッチは、TX/RXスイッチ回路内に組み込まれた伝送線路なしに設計帯域幅内で動作し、雑音が低減されたアンテナ接続でアンテナとの間の最適な電力移送を実現する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信/受信(TX/RX)スイッチであって、
共通PA-LNAインピーダンスと、
電力増幅器(PA)回路網インピーダンスを有するPA出力整合(PA-OM)回路網であって、PA-OM回路網出力インピーダンスを有するPA-OM回路網出力と、PA-OM回路網入力インピーダンスを有するPA-OM回路網入力とを有する前記PA-OM回路網と、
低雑音増幅器(LNA)回路網インピーダンスを有するLNA入力整合(LNA-IM)回路網であって、LNA-IM回路網入力インピーダンスを有するLNA-IM回路網入力と、LNA-IM整合回路網出力インピーダンスを有するLNA-IM整合回路網出力とを有する前記LNA-IM回路網と、
前記共通PA-LNAインピーダンスを、受信モードでは受信直並列組合せで、送信モードでは送信直並列組合せで二者択一的に接続するモード・スイッチと
を備え、
前記受信モードでは、前記モード・スイッチが、共通PA-LNAインピーダンスを前記LNA回路網インピーダンスと共に前記受信直並列組合せで構成し、したがって前記LNA-IM回路網出力インピーダンスが、低雑音増幅器(LNA)のLNA入力インピーダンスに整合し、前記LNA-IM入力インピーダンスがアンテナ・インピーダンスに整合し、したがってLNA雑音指数が低減され、
前記送信モードでは、前記モード・スイッチが、前記PA回路網インピーダンスを前記共通PA-LNAインピーダンスと共に前記送信直並列組合せで構成し、したがって前記PA回路網出力インピーダンスが前記アンテナ・インピーダンスに整合し、前記PA回路網入力インピーダンスが、電力増幅器(PA)のPA出力インピーダンスに整合し、前記PAから前記アンテナへの電力移送を最適化する、
TX/RXスイッチ。
【請求項2】
前記共通PA-LNAインピーダンスが前記PA回路網インピーダンスと並列に接続される、請求項1に記載のTX/RXスイッチ。
【請求項3】
前記共通PA-LNAインピーダンスが前記PA回路網インピーダンスと直列に接続される、請求項1に記載のTX/RXスイッチ。
【請求項4】
前記モード・スイッチが、前記送信モードで前記LNA回路網インピーダンスをグランドに短絡する、請求項1に記載のTX/RXスイッチ。
【請求項5】
前記モード・スイッチが、前記送信モードで前記LNAに対する電力をオフにする、請求項1に記載のTX/RXスイッチ。
【請求項6】
前記モード・スイッチが、前記受信モードで前記PA回路網インピーダンスをグランドに短絡する、請求項1に記載のTX/RXスイッチ。
【請求項7】
前記モード・スイッチが、前記受信モードで前記PAに対する電力をオフにする、請求項1に記載のTX/RXスイッチ。
【請求項8】
前記モード・スイッチが、前記送信モードで前記PA回路網インピーダンス、前記共通PA-LNAインピーダンス、およびアンテナ接続を並列に接続する、請求項1に記載のTX/RXスイッチ。
【請求項9】
前記モード・スイッチが、アンテナ接続、前記共通PA-LNAインピーダンス、および前記LNA回路網インピーダンスを直列に接続する、請求項1に記載のTX/RXスイッチ。
【請求項10】
前記モード・スイッチが、アンテナ接続および前記共通PA-LNAインピーダンスを前記LNA回路網インピーダンスと並列に接続する、請求項1に記載のTX/RXスイッチ。
【請求項11】
前記モード・スイッチが、前記受信モードで前記PAに対する電力をオフにする、請求項10に記載のTX/RXスイッチ。
【請求項12】
半導体チップ内に組み込まれた送信/受信(TX/RX)スイッチであって、
半導体基板と、
アンテナ接続と、
共通PA-LNAインピーダンスと、
前記基板上に配設された電力増幅器(PA)部分であって、
PA出力インピーダンスを有するPAと、
PA回路網インピーダンスを有する電力増幅器(PA)出力整合(PA-OM)回路網であって、PA-OM回路網出力インピーダンスを有するPA-OM回路網出力と、PA-OM回路網入力インピーダンスを有するPA-OM回路網入力とを有する前記PA-OM回路網と
を備える、前記PA部分と、
前記基板上に組み込まれた低雑音増幅器(LNA)部分であって、
LNA入力を有する低雑音増幅器(LNA)であって、前記LNA入力がLNA入力インピーダンスを有する、前記LNAと、
LNA回路網インピーダンスを有する低雑音増幅器(LNA)入力整合(LNA-IM)回路網であって、LNA-IM回路網入力インピーダンスを有するLNA-IM回路網入力と、LNA-IM整合回路網出力インピーダンスを有するLNA-IM整合回路網出力とを有する前記LNA-IM回路網と
を備える前記LNA部分と、
前記共通PA-LNAインピーダンスを、受信モードでは受信直並列組合せで、送信モードでは送信直並列組合せで二者択一的に接続するモード・スイッチと
を備え、
前記受信モードでは、前記モード・スイッチが、共通PA-LNAインピーダンスを前記LNA回路網インピーダンスと共に前記受信直並列組合せで構成し、したがって前記LNA-IM回路網出力インピーダンスが、低雑音増幅器(LNA)のLNA入力インピーダンスに整合し、前記LNA-IM入力インピーダンスがアンテナ・インピーダンスに整合し、したがってLNA雑音指数が低減され、
前記送信モードでは、前記モード・スイッチが、前記PA回路網インピーダンスを前記共通PA-LNAインピーダンスと共に前記送信直並列組合せで構成し、したがって前記PA回路網出力インピーダンスが前記アンテナ・インピーダンスに整合し、前記PA回路網入力インピーダンスが、電力増幅器(PA)のPA出力インピーダンスに整合し、前記PAから前記アンテナ接続への電力移送を最適化する、
スイッチ。
【請求項13】
LNA接続長が、前記アンテナ接続とLNA接続との間の接続の長さであり、PAN接続長が、前記アンテナ接続とPAN接続との間の接続の長さであり、前記LNA接続長および前記PAN接続長がそれぞれ、アンテナ動作周波数の前記基板内の波長の4分の1未満である、請求項12に記載のスイッチ。
【請求項14】
伝送線路が前記アンテナ接続をアンテナに接続する、請求項12に記載のスイッチ。
【請求項15】
前記PAが前記受信モードで電源オフされる、請求項12に記載のスイッチ。
【請求項16】
前記LNAが前記送信モードで電源オフされる、請求項12に記載のスイッチ。
【請求項17】
前記モード・スイッチが、前記スイッチが前記送信モードまたは受信モードのどちらかであるが両方ではないときにエネルギーを使用するだけである、請求項12に記載のスイッチ。
【請求項18】
前記モード・スイッチが、前記送信モードで前記LNA回路網インピーダンスをグランドに短絡する、請求項12に記載のスイッチ。
【請求項19】
前記モード・スイッチが、前記受信モードで前記PA回路網インピーダンスをグランドに短絡する、請求項12に記載のスイッチ。
【請求項20】
(TX/RX)スイッチをスイッチングする方法であって、
モード・スイッチによって第1のモードを選択するステップであって、前記第1のモードが、受信モードまたは送信モードのどちらか一方である、前記選択するステップと、
モード・スイッチを用いて、共通電力増幅器インピーダンス(CPA)および共通低雑音増幅器インピーダンス(CLNA)を直並列組合せに構成するステップであって、前記直並列組合せが前記第1のモードに対応する、前記構成するステップと、
前記モード・スイッチを用いて、第2のモードを選択し、前記第1のモードを選択解除するステップと、
前記CPAおよびCLNAを、前記第2のモードに対応する前記直並列組合せに構成するステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアンテナ・スイッチに関し、より詳細には、本発明は、単一のアンテナを高周波回路で送信モードと受信モードとの間でスイッチングするアンテナ・スイッチ、すなわちTX/RXスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
単一のアンテナと、送信機、受信機、またはトランシーバとの間の接続を選択/変更するためにTX/RXスイッチが使用される。たとえば、送信(TX)モードでは、TX/RXスイッチは、送信機またはトランシーバ、すなわち送信機またはトランシーバの出力の電力増幅器(PA)にアンテナを接続する。受信モードでは、TX/RXスイッチは、低雑音増幅器(LNA)入力にアンテナを接続し、LNAではアンテナからの信号が増幅され、次いでさらに処理される。TX/RXスイッチを使用することにより、同一のアンテナが、送信モードではTXアンテナとして機能し、受信モードではRXアンテナとして機能し得る。
【0003】
いくつかの実施形態では、TX/RXスイッチまたは関連する回路あるいはその両方はまた、必要に応じてPAおよびLNAへの電力をオンおよびオフする。TX/RXスイッチは通常は単極双投(SPDT)スイッチである。こうした典型的な実施形態では、TX/RXスイッチは、アンテナに接続された単一の出力/入力、またはアンテナ接続を有する。TX/RXスイッチはまた、通常はPA出力に接続されたTX入力と、通常はLNA入力に接続されたRX出力とを有する。RX/受信モードでは、TX/RXスイッチ(または関連する回路あるいはその両方)はLNAを電源オンし得ると共に、TX/RXスイッチは、アンテナ(または受信モードのアンテナ)をLNA入力に接続する。LNA出力は、受信機/トランシーバ内の他の構成要素に接続される。TXモードでは、TX/RXスイッチ(または関連する回路あるいはその両方)は電力増幅器(PA)を電源オンし得ると共に、TX/RXスイッチは、たとえばPA出力を通じて、アンテナ(または送信モードのアンテナ)を送信機/トランシーバ出力に接続する。
【0004】
一般に、TX/RXスイッチ内のアンテナ信号接続が、伝送線路を通じて行われる。こうした伝送線路はしばしば、4分の1波長伝送線路、すなわちλ/4伝送線路である。ここでは、λは通常は動作周波数の波長である。こうしたλ/4伝送線路は一般に、アンテナの入力インピーダンス、すなわちアンテナ・インピーダンスに近い、またはそれに等しい特性インピーダンスを有する。
【0005】
TX/RXスイッチの従来技術の例として、Faith Golcuk等による「A 90-100-GHz 4 x 4 SiGe BiCMOS Ploarimetric Transmit/Receive Phase Array with Simultaneous Receive-Beams Capabilities」,IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques, Vol. 61, No.8, August 2013, (Golcuk)の図4を参照されたい。Golcukは、TX/RXスイッチの典型的な実施形態の回路図および回路レイアウトを示す。Golcukでは、アンテナ(ANT)が、TX接続(送信モード中)とRX接続(受信モード中)の両方に接続される。送信モードでは、アンテナが、1/4波長(λ/4)伝送線路を通じてTXポートに接続され、RXポートがグランドに短絡され、VC=VDDである。このことは、λ/4インピーダンス変圧器と共にアンテナに対する高いインピーダンスをもたらす。受信モードでは、アンテナが、1/4波長(λ/4)TX伝送線路を通じてRXポートに接続され、TXポートがグランドに短絡され、VC=0である。このことは、λ/4インピーダンス変圧器でアンテナに対する高いインピーダンスをもたらす。
【0006】
TX/RXスイッチの第2の従来技術の例として、Robert L. Schmid等による「On the Analysis and Design of Low-Loss Single-Pole Double-Throw W-Band Switches Utilizing Saturated SiGe HBTs」, IEEETransaction on Microwave Theory and Techniques, Vol. 62, No. 11, November 2014(Schmid)の図1を参照されたい。Schmidは、λ/4TX伝送線路と共にnFETスイッチング・デバイスを使用する従来の4分の1波長TX/RXスイッチ実装の代替実施形態を示す。ここでは、「共通ポート」(アンテナ入力)は、第1の1/4波長(λ/4)伝送線路を通じて「スイッチ・ポート1」にアンテナを接続し、「スイッチ・ポート2」はグランドに短絡され、λ/4インピーダンス変圧器でアンテナに対する高いインピーダンスをもたらす。代替として、回路は、第2の1/4波長(λ/4)伝送線路を通じて「スイッチ・ポート2」にアンテナを接続すると共に、「スイッチ・ポート1」をグランドに短絡する。このことは、λ/4インピーダンス変圧器でアンテナに対する高いインピーダンスをもたらす。
【0007】
GolcukとSchmidはどちらも、第1の1/4波長(λ/4)伝送線路を接続すると共に、第2の1/4波長(λ/4)伝送線路の出力をグランドに短絡するTX/RXスイッチを開示する実施形態を示す。従来技術はまた、単一の1/4波長(λ/4)伝送線路のスイッチング、すなわち片側スイッチングを実装するTX/RXスイッチの実施形態を開示している。Alberto Valdes-Garcia等による「A Fully-Integrated Dual-Polarization 16-Element W-band Phased-Array Transceiver in SiGe BiCMOS」, 978-1-4673-6062-3/13, 2013 IEEE (Valdes-Garcia)を参照されたい。
【0008】
こうした従来技術のTX/RXスイッチおよび類似の設計のTX/RXスイッチは、スイッチング回路の1つまたは複数のそれぞれの接続/構成への伝送線路またはTX/RXスイッチ構成要素あるいはその両方の挿入のために、PAからのまたはLNAへのあるいはその両方の電力損失/放散を受ける。こうした「挿入損失」により、送信モードまたは受信モードあるいはその両方での性能が低下する。この性能低下には、RXモードでの「雑音指数」(NF)の劣化、およびTXモードでの出力パワー・レベルおよび効率の劣化が含まれる。
【0009】
従来技術の多くでは、こうした挿入損失により、LNA接続経路とPA接続経路の両方で無視できない損失が導入される。こうした挿入損失は、高周波数(および関連する波長λ)でより著しくなる。さらに、従来の設計では、4分の1波長伝送線路に基づくインピーダンス変換は、TX/RXスイッチの動作の帯域幅範囲を限定する、限定された帯域幅を有する。
【0010】
さらに、従来の半導体TX/RXスイッチング・トポロジでの4分の1波長伝送線路は、広いダイ面積を占有し、それによって半導体チップのコストおよびサイズが増大する。
【0011】
小型の形状因子で半導体回路内に効果的に組み込まれ得る、改善された挿入損失およびより広い動作帯域幅を有するTX/RXスイッチが求められている。
【発明の概要】
【0012】
本発明の一実施形態によれば、送信/受信(TX/RX)スイッチが、電力増幅器(PA)出力整合(PA-OM)回路網(または電力整合回路網(PAM))、低雑音増幅器(LNA)入力整合回路網(LNA-IMまたは低雑音増幅器整合(LNAM)回路網)、およびモード・スイッチを有する。
【0013】
PA-OM回路網はPA回路網インピーダンスを有する。送信モードでは、モード・スイッチは、共通インピーダンスをPA回路網インピーダンスに接続し、送信直並列組合せを作成する。送信直並列組合せの様々な実施形態が、アンテナ・インピーダンスをPA-OMのPA-OM(PAM)回路網出力インピーダンスに整合し、PAM-OMのPA-OM(PAM)回路網入力インピーダンスを電力増幅器(PA)出力インピーダンスに整合する。こうした送信直並列組合せは、送信モードでPAからアンテナに移送される電力を最適化する。
【0014】
低雑音増幅器(LNA)入力整合LNA-IM(またはLNAM)回路網は、LNA回路網インピーダンス(LNAN)を有する。受信モードでは、モード・スイッチは、同一の共通インピーダンスをLNANに接続し、受信直並列組合せを作成する。受信直並列組合せの様々な実施形態が、LNAのLNA入力をLNA-IM出力に整合し、アンテナ・インピーダンスをLNA-IM入力に整合する。こうした受信直並列組合せはLNA雑音指数および電力整合を最適化する。
【0015】
したがって、共通インピーダンスは、モード・スイッチの状態によって構成される様々な直並列組合せで、LNA-IM(LNAM)回路網およびPA-OM回路網に共通であり、すなわちLNA-IM(LNAM)回路網とPA-OM回路網の両方によって使用される。
【0016】
TX/RXスイッチ内のPA-OM(PAM)およびLNA-IM(LNAM)の実施形態が、半導体内に組み込まれる。共通インピーダンスによって、半導体内に伝送線路を組み込む必要が取り除かれ、ずっと小型のサイズの組込み半導体TX/RXスイッチが可能となる。
【0017】
設計制約、設計方法、およびTX/RXスイッチ動作方法が開示される。
【0018】
本発明の様々な実施形態が、ここで簡潔に説明される添付の図面を参照しながら、以下でより詳細に説明される。図は、本発明の様々な装置、構造、構成要素、回路、構成要素組合せ、および関連する方法ステップを示す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A】PA回路網インピーダンスと並列組合せされる共通インピーダンス(CPAp)を含む電力増幅器(PA)出力整合(PA-OM)(PAM)回路網を有する送信モードの部分TX/RXスイッチ構成のブロック図であり、ルックイン・インピーダンスを示すためにTX/RXスイッチ構成要素が切断されて示されている図である。
図1B】PA回路網インピーダンスと直列組合せされる共通インピーダンス(CPAs)を含む電力増幅器(PA)出力整合回路網を有する送信モードの部分TX/RXスイッチ構成のブロック図であり、ルックイン・インピーダンスを示すためにTX/RXスイッチ構成要素が切断されて示されている図である。
図2A】LNA入力(LNA回路網インピーダンスを含む)と並列組合せされる共通インピーダンス(CPAs/LNAp)を含む低雑音増幅器(LNA)入力整合回路網を有する受信モードの部分TX/RXスイッチ構成のブロック図であり、ルックイン・インピーダンスを示すためにTX/RXスイッチ構成要素が切断されて示されている図である。
図2B】LNA入力(LNA回路網インピーダンスを含む)と直列組合せされる共通インピーダンス(CPAp/LNAs)を含む低雑音増幅器(LNA)入力整合回路網を有する受信モードの部分TX/RXスイッチ構成のブロック図であり、ルックイン・インピーダンスを示すためにTX/RXスイッチ構成要素が切断されて示されている図である。
図3】どのようにモード・スイッチが受信モード(モード・スイッチ開)で共通インピーダンスをLNA入力(LNA回路網インピーダンスを含む)に直列に接続し、送信モード(モード・スイッチ閉)で共通インピーダンスをPA回路網インピーダンスと並列に接続するかを示す、接続された構成要素を有する1つのTX/RXスイッチ構成実施形態のブロック図である。
図4】どのようにモード・スイッチが送信モード(モード・スイッチ開)で共通インピーダンスをPA回路網インピーダンスに直列に接続し、受信モード(モード・スイッチ閉)で共通インピーダンスをLNA入力(LNA回路網インピーダンスを含む)と並列に接続するかを示す、接続された構成要素を有する1つのTX/RXスイッチ代替構成実施形態のブロック図である。
図5A】(開)モード・スイッチが受信モード(RX)を構成し、共通インピーダンスが雑音および電力整合のためにLNA入力(LNA回路網インピーダンスを含む)と直列になるように設計される、図3に示される1つのTX/RXスイッチ実施形態のブロック図である。
図5B】開モード・スイッチがアンテナ、共通インピーダンス、およびLNA入力(LNA回路網インピーダンスを含む)を直列に接続する場合を示す、図5Aに示される受信モード直並列組合せの一実施形態の回路図である。
図6】モード・スイッチが送信モード(TX)を構成し、閉モード・スイッチがLNA入力をグランドに短絡し、共通インピーダンスをPA回路網インピーダンスと並列に接続する、図3に示される1つのTX/RXスイッチ実施形態のブロック図である。
図7】(閉)モード・スイッチがPA(ネットワーク・インピーダンス)出力をグランドに短絡し、共通インピーダンスをLNA入力(LNA回路網インピーダンスを含む)と並列に接続することによって受信モードを構成する、図4に示される代替TX/RXスイッチ実施形態のブロック図である。
図8】(開)モード・スイッチが共通インピーダンスをPA回路網インピーダンスと直列に接続することによって送信モードを構成し、LNAが電源オフされる、図4に示されるTX/RXスイッチ実施形態のブロック図である。
図9】基板上に伝送線路を含めることを必要とすることなく、基板、たとえば半導体基板上に組み込まれた例示的TX/RXスイッチのブロック図である。
図10】TX/RXスイッチを使用するスイッチング・プロセスの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態は、本明細書で開示される例示的方法、装置、構造、システム、およびデバイスに限定されず、本開示が与えられると当業者には明らかとなる他の代替のより広範な方法、装置、構造、システム、およびデバイスに広範に適用可能であることを理解されたい。
【0021】
さらに、添付の図面に示される様々な構成要素、構造、または領域、あるいはその組合せが原寸に比例して描かれていないこと、および一般に使用されるタイプの1つまたは複数の構成要素、回路、構造、または領域、あるいはその組合せが図面には明示的に示されていないことがあることを理解されたい。このことは、明示的には図示されていない構成要素、回路、構造、または領域が実際のデバイスから省略されることを示唆しない。
【0022】
さらに、説明が必ずしもいくつかの要素に焦点を当てていないとき、明快または簡単あるいはその両方のために、そのような要素が視界から省かれることがある。さらに、図面全体にわたって使用される同一または類似の参照番号は、同一または類似の特徴、要素、構成要素、または構造を示すために使用され、したがって同一または類似の特徴、要素、または構造の詳細な説明は、図面のそれぞれについて反復されない。
【0023】
本発明の実施形態に従って開示される半導体デバイス、構造、および方法は、アプリケーション、ハードウェア、通信、または電子システムで利用され得る。本発明の実施形態を実装するための適切なハードウェアおよびシステムには、限定はしないが、パーソナル・コンピュータ、通信ネットワーク、電子商取引システム、ポータブル通信デバイス(たとえば、セル・フォンおよびスマート・フォン)、ソリッド・ステート媒体記憶デバイス、エキスパートおよび人工知能システム、機能回路、ニューラル・ネットワークなどが含まれ得る。半導体デバイスおよび構造を組み込むシステムおよびハードウェアが、本発明の企図される実施形態である。
【0024】
本明細書では、「高さ」とは、要素の底面から頂面まで測定され、かつ/または要素が配置される表面に対して測定された、断面図または正面図での要素(たとえば、層、トレンチ、穴、開口など)の垂直サイズを指す。
【0025】
逆に、「深さ」とは、要素の頂面から底面まで測定された、断面図または正面図での要素(たとえば、層、トレンチ、穴、開口など)の垂直サイズを指す。「厚い」、「厚さ」、「薄い」、またはそれらの派生語などの用語が、指示される場合に「高さ」の代わりに使用され得る。
【0026】
本明細書では、「横方向」、「横方向側面(lateral side)」、「側面(side)」、および「横方向表面(lateral surface)」とは、図面の左側面または右側面などの要素(たとえば、層、開口など)の側面(side surface)を指す。
【0027】
本明細書では、「幅」または「長さ」とは、要素の側面から反対側の表面まで測定された、図面の要素(たとえば、層、トレンチ、穴、開口など)のサイズを指す。「厚い」、「厚さ」、「薄い」、またはそれらの派生語などの用語が、指示される場合に「幅」または「長さ」の代わりに使用され得る。
【0028】
本明細書では、「上側」、「下側」、「右側」、「左側」、「垂直」、「水平」、「上端」、「下端」、およびそれらの派生語は、図面/図で方向付けられるような、開示された構造および方法に関するものとする。たとえば、本明細書では、「垂直」とは、正面図での基板の頂面に対して垂直な方向を指し、「水平」とは、正面図での基板の頂面に平行な方向を指す。
【0029】
本明細書では、別段に指定されていない限り、「の上の(on)」、「の上に重なる(overlying)」、「の頂上に(atop)」、「の上端に(on top)」、「の上に配置された(positioned on)」、「の頂上に配置された(positioned atop)」などの用語は、第1の要素が第2の要素上に存在し、介在要素が第1の要素と第2の要素との間に存在し得ることを意味する。本明細書では、別段に指定されていない限り、「の上の(on)」、「の上に重なる(overlying)」、「の頂上に(atop)」、「の上端に(on top)」、「の上に配置された(positioned on)」、「の頂上に配置された(positioned atop)」、「の上に配設された(disposed on)」などの用語、または「と接触する(in contact)」もしくは「と直に接触する(direct contact)」という用語は、第1の要素と第2の要素が、たとえば、第1の要素と第2のとの間に存在する中間導電層、中間絶縁層、中間半導体層などのどんな介在要素も伴わずに接続されることを意味する。
【0030】
こうした用語は、記載のデバイスの向きに影響を受けることがあることを理解されたい。たとえば、デバイスが逆さまに回転した場合、こうした説明の意味が変化することがあるが、説明は本発明の特徴間の相対関係を記述するので、説明は依然として有効である。
【0031】
本発明の実施形態は、周知の半導体製造技術によって、半導体チップ上/内に、たとえば半導体基板の表面上に、かつ/または基板内に組み込まれる。
【0032】
TX/RXスイッチの実施形態は、電力増幅器(PA)、低雑音増幅器(LNA)、電力増幅器(PA)出力整合(PA-OM)回路網、低雑音増幅器(LNA)入力整合回路網(LNA-IM)、モード・スイッチ、およびアンテナ接続を含む。
【0033】
PAは、PA出力インピーダンスを有するPA出力を有する。PA出力はPA-OM回路網入力に接続される。PA-OM回路網は、1つまたは複数の異なるスイッチング可能な構成のうちの1つでアンテナ接続に接続されるPA-OM回路網出力を有する。PA-OM回路網は、PA回路網インピーダンスおよび共通インピーダンスを有する。PA回路網インピーダンスと共通インピーダンスは、モード・スイッチによって、異なる送信直並列組合せで接続され得る。
【0034】
LNAは、LNA入力インピーダンスを有するLNA入力を有する。LNA入力はLNA入力整合回路網(LNA-IM)出力に接続される。LNA-IM回路網入力は、モード・スイッチによって、1つまたは複数の異なるスイッチング可能な構成のうちの1つでアンテナ接続に接続される。LNA-IM回路網はLNA回路網インピーダンスを有する。LNA回路網インピーダンスと共通インピーダンスは、異なる実施形態で、モード・スイッチによって、異なる受信直並列組合せで接続され得る。
【0035】
モード・スイッチは、送信モードでPA回路網インピーダンスを構成するとき、および受信モードでLNA-IM回路網を構成するとき、同一の共通インピーダンスを使用/構成する。
【0036】
やはり、モード・スイッチが送信モード/位置にあるか、それとも受信モード/位置にあるかに応じて、異なる構成のモード・スイッチが、PA回路網インピーダンスまたはLANネットワーク・インピーダンスあるいはその両方との1つまたは複数の直列/並列組合せで共通インピーダンスを接続し得る。いくつかの実施形態では、モード・スイッチはまた、PAまたはLNAに対して電源オンまたはオフし得る。
【0037】
したがって、TX/RXスイッチ構成要素のうちの1つまたは複数の様々なモード・スイッチ構成と組み合わせた、PA回路網インピーダンス、共通インピーダンス、およびLNA回路網インピーダンスに関する特定の設計制限と共に、TX/RXスイッチは、アンテナとの間で電力を最適に移送するように設計帯域幅内で動作する。さらに、伝送線路がTX/RXスイッチ回路と共に組み込まれることなく、TX/RXスイッチは半導体チップ内に組み込まれ得る。TXモードとRXモードのどちらでも、最大電力がアンテナとの間で移送される。
【0038】
以下で説明されるように、共通インピーダンスは様々な構成であり得、モード・スイッチの構成、TX/RXスイッチ回路設計、PA回路網インピーダンスの値、およびLANネットワーク・インピーダンスによって決定される様々な値を有し得る。
【0039】
ここで図を参照されたい。
【0040】
図1Aは、PA回路網インピーダンス(PAN)130との並列組合せで接続された(127P)共通PA-LNAインピーダンス(CPA/CPAp)140を含む電力増幅器(PA)120出力整合(PA-OM)回路網125/125Pを有する、送信モードの部分TX/RXスイッチ構成実施形態100のブロック図であり、ルックイン・インピーダンス122/135/132/134/115を示すためにTX/RXスイッチ構成要素120/125/125P/110/105/140が切断されて示されている。
【0041】
図1Bは、PA回路網インピーダンス(PAN)130と直列組合せされる共通PA-LNAインピーダンス(CPA/CPAs)140を含む電力増幅器(PA)120整合回路網(PA-OM)125/125Sを有する、送信モードでの部分TX/RXスイッチ構成代替実施形態150のブロック図であり、ルックイン・インピーダンス122/135/132/134/115を示すためにTX/RXスイッチ構成要素120/125/125S/110/105/140が切断されて示されている。
【0042】
いくつかの実施形態では、アンテナ110は、動作周波数(アンテナ110が励振される周波数)、アンテナ110をアンテナ接続111に接続する伝送線路(図示せず)、電力増幅器出力整合回路網125/125P/125S、または他の要素、あるいはその組合せと共に変動し得るルックインまたは入力インピーダンス(Anti)115を有する。いくつかの実施形態では、伝送線路は、アンテナ接続111を通じてアンテナ110入力(Anti)115を電力増幅器出力整合回路網125/125P/125S出力(PA-OMo/PAMo)134に接続する。
【0043】
いくつかの実施形態では、電力増幅器出力整合回路網(PA-OM)125出力(PA-OMo)134のルックイン出力インピーダンス(PA-OMo)134が、システム動作周波数(たとえば、アンテナ110の共振周波数)でアンテナ110入力インピーダンス(Anti)115と整合する(または同一である)。このインピーダンス整合条件下で、以下で説明されるように、インピーダンスが他の回路位置で整合すると仮定して、図1Aおよび1Bに示される送信モードで、最大電力がPA120からアンテナ110に移送される。
【0044】
いくつかの実施形態では、PA120、PA出力整合回路網、PA-OM125、およびアンテナ110を含む構成要素が、周知の技法によって共通接続105またはグランド105に接続される。
【0045】
電力増幅器(PA)120出力整合(PA-OM)回路網125/125P/125SはPA回路網インピーダンス(PAN)130を含む。PA-OM回路網125/125P/125Sは、PA出力整合回路網入力インピーダンス(PA-OMi)135を有するPA-OM回路網入力(PA-OMi)135と、PA回路網出力インピーダンス(PA-OMo)134を有するPA出力整合回路網出力134とを有する。
【0046】
いくつかの実施形態では、PA出力整合回路網入力135は、PAN130の両端間の並列接続と同一の接続である。PA-OM入力(PAMi/PA-OMi)135はPA出力接続(PAo)122とインターフェースする。PA120出力接続122はPA120出力インピーダンス(PAo)122を有する。
【0047】
PA出力整合回路網125/125P/125S出力(PA-OMo)134が、アンテナ接続111およびグランド接続105を通じてアンテナ110入力(Anti)115に接続される。
【0048】
いくつかの実施形態では、送信モードでは、アンテナ110入力インピーダンス(Anti)115(または外部伝送線路(図示せず)インピーダンスあるいはその両方)は、アンテナ110入力115をアンテナ接続111に接続し、PA出力整合回路網125/125P/125S出力インピーダンス(PA-OMo)134と整合する。さらに、PA-OM回路網125/125P/125S入力インピーダンス(PA-OMi)135はPA120出力接続/インピーダンス(PAo)122と整合する。このようにして、送信モードでは、PA120の出力122は、PA120からPA整合出力ネットワーク(PA-OM)125/125P/125Sに、次いでアンテナ110に最大電力を移送する。モード・スイッチは、こうした整合を達成するように共通PA-LNAインピーダンス(CPAp/CPAs)140を構成する。以下の説明を参照されたい。
【0049】
PA-LNAインピーダンス(CPAp/CPAs)140を見る1つの方法は、インピーダンスの物理的性質を有する回路または構成要素としてのものである。したがって、一般性を失うことなく、インピーダンスなどを接続することへの参照は、回路/構成要素をこのインピーダンス特性と接続することを意味する。
【0050】
図1Aに示される実施形態100では、PA-OMp125/125Pは、共通の並列PAインピーダンス接続(PAMc)127Pによる並列組合せで共通PA-LNAインピーダンス(CPAp)140に接続されたPA回路網インピーダンス(PAN)130を含む。この実施形態では、送信モードでは、PA出力(PAo)122、PA出力整合回路網(PA-OM)125/125P、およびアンテナ110が、前述のようにそれぞれのインピーダンス整合と並列に接続され、PA120からアンテナ110への最大電力移送が実現される。
【0051】
図1Bに示される代替実施形態150では、PA-OMs125/125Sは、共通の直列PAインピーダンス接続(PA-OMs)127Sによる直列組合せで共通PA-LNAインピーダンス(CPAs)140に接続されたPA回路網インピーダンス(PAN)130を含む。
【0052】
こうした実施形態100/150で示されるように、PA-OM125は、直列、並列、または直並列組合せで共通PA-LNAインピーダンス140に接続されたPAN130を含み得る。こうした接続/組合せの焦点は、最大電力移送または他の動作効率あるいはその両方を可能にするように、インピーダンスがPA-OM125の入力および出力で整合することである。たとえば、送信モードのとき、以下のインピーダンス対が整合すべきである:PAo122がPA-OMi135に整合し、PA-OMo134がAnti115に整合する。こうしたインピーダンス整合のために、TX/RXスイッチ回路内の伝送線路を必要とすることなく最大電力移送がTX/RXスイッチ内で行われることに留意されたい。
【0053】
追加の設計考慮事項には、以下で説明されるように、モード・スイッチによる共通PA-LNAインピーダンス140の他の直並列組合せが含まれる。
【0054】
共通構成要素140(CPAp、CPAs)は、送信モードと受信モードの両方で、それぞれPA120とLNA220の両方と共に使用される同一の共通インピーダンスであるが、共通インピーダンスの設計値は構成と共に変動し得る。図2を参照されたい。共通インピーダンス140(CPAp/LNAs、CPAs/LNAp)は、異なるモード・スイッチ位置が受信モードでは受信モード直並列組合せで、送信モードでは送信モード直並列組合せで共通インピーダンス140を構成するように設計される。共通インピーダンス140の値は、広い帯域幅にわたって高い信号対雑音比でアンテナとの間の電力移送を最大化することを可能にするように決定される。以下の説明をさらに参照されたい。
【0055】
実施形態100/150では、送信モードで、PA120はトランジスタT1およびT2を含み、このことが差動バック・エンド、たとえば「プッシュ・プル」構成を有するPA120を示すことに留意されたい。PA120はまた、単一端バック・エンド出力ステージと共に構成され得る。さらに、周知のように、PA信号は、トランジスタT1およびT2のベース接続に印加され得る。他の周知のPA120構成が想定される。
【0056】
図2Aは、LNA回路網インピーダンスLNAN230と並列組合せされる共通PA-LNAインピーダンスCPAs/LNA140を含む、低雑音増幅器(LNA)220入力整合回路網LNA-IMp225/225Pを含む受信モード実施形態での部分TX/RXスイッチ構成200のブロック図であり、ルックイン・インピーダンス231/235/232/234/115を示すためにTX/RXスイッチ構成要素が切断されて示されている。
【0057】
図2Bは、共通PA-LNAインピーダンス(CPAp/LNA)140を含む低雑音増幅器(LNA)220入力整合回路網(LNA-IMS)225/225Sを有する受信モード代替実施形態での部分TX/RXスイッチ構成250のブロック図である。この実施形態では、共通PA-LNAインピーダンス(CPAp/LNAs)140は、LNA回路網インピーダンス(LNAN)230と直列組合せされる。ルックイン・インピーダンス231/235/232/234/115を示すためにTX/RXスイッチ構成要素が切断されて示されている。
【0058】
いくつかの実施形態では、LNA回路網インピーダンス(LNAN)230が省略される。
【0059】
LNA220はトランジスタT3およびT4が差動入力構成にあることを示すことに留意されたい。LNA220はまた、単一のトランジスタ、たとえば単一のT3入力ステージと共に構成され得る。他の周知のLNA220構成が想定される。いくつかの実施形態では、LNA220は、LNA220入力インピーダンス(LNAi)231に影響を及ぼし得る入力ステージ・インピーダンス221を有する。
【0060】
受信モードでは、アンテナ110からの電力が、低雑音増幅器(LNA)220入力整合回路網(LNA-IM)225/225S/225Pを通じてLNA220入力(LNAi)231に移送される。
【0061】
前述のように、実施形態200では、LNA回路網インピーダンス(LNAN)230が、共通PA-LNAインピーダンス(LNAp/CPAs)140との受信並列組合せで接続される。さらに、実施形態250では、LNA回路網インピーダンス(LNAN)230が、共通PA-LNAインピーダンス(CPAp/LNA)140と直列に、受信直列組合せで接続される。最大電力移送、雑音指数の改善、および以下で説明される1つまたは複数のモード・スイッチ組合せのそれぞれでの効率的なTX/RXスイッチ動作を可能にする、LNA220入力整合回路網(LNA-IM)225/225S/225P内の他の直並列組合せが想定される。
【0062】
図3は、接続された構成要素との受信モード構成での、開位置のモード・スイッチ350を有する1つのTX/RXスイッチ構成実施形態300のブロック図である。モード・スイッチ350は、受信モード(RX)で、LNA回路網インピーダンス(LNAN230)と受信モード直並列組合せ325で共通PA-LNAインピーダンスCPAp140を接続し得る。
【0063】
たとえば閉位置のモード・スイッチ350は、送信モード(TX)で、共通PA-LNAインピーダンス(CPAp)140およびPA回路網インピーダンス(PAN)130を送信直並列組合せ325で並列に接続する。したがって、モード・スイッチ350構成によって生み出される直並列組合せおよび他の構成によって決定される特定の制約内で共通PA-LNA(CPAp/LNAs)インピーダンス140を設計することにより、PA-OM125およびLNA-IM225の入力インピーダンスまたは出力インピーダンスあるいはその両方は、TX/RXスイッチ内の伝送線路を必要とすることなく、それぞれのRXおよびTXモードで、アンテナ接続111でのアンテナ110との間の電力伝送を最適化するように変化する。
【0064】
たとえば、図3の実施形態300に示されるように、モード・スイッチが開位置で示されており、この実施形態300では、開位置は、TX/RXスイッチ300のこの実施形態を受信モードに置く。この構成では、モード・スイッチ350は、共通インピーダンス140をLNA220ネットワーク・インピーダンス(LNAN)230と直列に接続する受信直並列組合せ325で共通PA-LNAインピーダンス140を接続する。
【0065】
いくつかの実施形態では、モード・スイッチ350を制御するデジタル制御/回路はまた、PA120を切断または電源遮断する(および場合によってはLNA220に電源を接続する)スイッチング(図示せず)を制御する。PA120が電源オフされ、LNA220が電源オンされると、トランジスタT3が動作し、受信直並列組合せ325のこの実施形態は、オン状態のトランジスタT3を通じて、共通インピーダンス140をLNAN230および(入力ステージ・インピーダンス221に関する)LNA220入力インピーダンス(LNAi)231に直列に組み合わせる。したがって、アンテナ110接続111からの電力は、直列に接続されたインピーダンス140、230、および231を含む分圧器回路を通過する。
【0066】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される要件を満たす共通PA-LNAインピーダンス140の値が決定されると、LNAN230、入力ステージ・インピーダンス221、トランジスタT3、またはトランジスタT4、あるいはその組合せが、雑音を低減し(より低いS/N)、最大電力移送のためにインピーダンスを整合するように選択され得る。
【0067】
代替として、モード・スイッチ350を閉じることにより、TX/RXスイッチ300が送信モードに置かれる。モード・スイッチ350を閉じることにより、LNA220に対する入力がグランドに短絡される。このモード・スイッチ350位置では、直並列組合せ325は、送信直並列組合せ325で、PA回路網インピーダンス(PAN)130と並列に接続された共通インピーダンス(CPAp)140を有する。この送信モードでは、入力インピーダンス(PA-OMi)135および出力インピーダンス(PA-OMo)134を有するPA整合回路網(PA-OM)125が、PA出力(PAo)122のインピーダンスを入力PA-OMi135に接続して整合し、(PA-OMo)134をアンテナ110入力115に接続して整合する。したがって、共通PA-LNAインピーダンス(CPAp)140を正しく設計することにより、動作帯域幅内で最大電力がPA120からアンテナ110接続111に供給される。
【0068】
図4は、構成400内の代替位置のモード・スイッチ450と接続された構成要素を有する1つのTX/RXスイッチ構成代替実施形態400のブロック図である。
【0069】
この実施形態では、モード・スイッチ450が閉位置にあるとき、TX/RXスイッチ400は受信モードにある。図7の説明を参照されたい。モード・スイッチ450が開位置にあるとき、TX/RXスイッチ400は送信モードにある。図8の説明を参照されたい。
【0070】
たとえば、受信モードのいくつかの実施形態では、電力がPA120に対してスイッチオフされ、LNA220に対してスイッチオンされ、トランジスタT3が動作する。この受信モード構成では、閉じたモード・スイッチ450はPAN130をグランドに短絡する。閉じたモード・スイッチ450はまた、共通PA-LNAインピーダンス(CPAs)140をアンテナ110と並列に接続し、LNA回路網インピーダンス(LNAN)230および(入力ステージ・インピーダンス221に関する)入力インピーダンスLNAi231の直列組合せと並列に接続する。たとえば、受信モードのこの実施形態では、モード・スイッチ450の構成は、CPAs140をLNAN230と入力インピーダンスLNAi231の直列接続と並列に接続する受信直並列組合せ425を作成する。
【0071】
モード・スイッチ450が開位置にあるとき、TX/RXスイッチ400は送信モードにある。たとえば、いくつかの実施形態では、LNA220が電源オフされ、PA120が電源オンされる。PAN130の両端間の電圧は、共通インピーダンスCPAs140を通じてアンテナ110で振動電流を生み出す。
【0072】
図5Aは、受信モード(RX)を構成する(開位置の)モード・スイッチ350を有し、共通PA-LNAインピーダンス(CPAp)140が受信モード直並列組合せ325のために設計される、図3に示される1つのTX/RXスイッチ実施形態300のブロック図である。図5Bは、受信モード直並列組合せ325の回路図であり、共通PA-LNAインピーダンス(CPAp)140、LNA回路網インピーダンス(LNAN)230、LNA220入力インピーダンス(LNAi)231、およびアンテナ110が直列に接続される。
【0073】
いくつかの実施形態では、PAがOFFにされる。
【0074】
図6は、送信モードの図3に示される回路の単純化である、1つのTX/RXスイッチ実施形態600のブロック図である。この実施形態では、モード・スイッチ350が閉位置にあり、TX/RXスイッチを送信モード(TX)に構成し、構成要素が送信モードのために設計され、直並列組合せ325で接続される。
【0075】
閉モード・スイッチ350は、LNAN230ならびに入力インピーダンスLNAi231をグランドに短絡する。いくつかの実施形態では、LNA220も電源オフされる。閉じたモード・スイッチは、PAMネットワーク125、PA出力(PAo)122、およびアンテナ110を並列に接続する。したがって、この送信モードでは、送信直並列組合せは、共通PA-LNAインピーダンス(CPAp)140と並列に接続されたPA回路網(PAN)インピーダンス130であり、それらはPA120出力(PAo)122およびアンテナ110とも並列に接続される。
【0076】
図7は、受信モード(RX)を構成する閉位置のモード・スイッチ450を有し、受信モード直並列組合せ425/725のために構成要素が設計され、構成される、図4に示される代替TX/RXスイッチ実施形態700のブロック図である。
【0077】
この受信モード直並列組合せ425/725では、PA120が電源オフされ得、PA120出力(PAo)122がグランドに短絡される。入力インピーダンスLNAi231、LNAN230、およびアンテナ110が直列に接続され、共通インピーダンスCPAs140の両端間に並列に接続される。
【0078】
図8は、開位置のモード・スイッチ450を有する、図4に示されるTX/RXスイッチ実施形態800のブロック図である。モード・スイッチ450は送信モード(TX)を構成しており、構成要素が送信モード直並列組合せ825のために設計され、送信モード直並列組合せ825で構成される。LNA220は電源オフされ得る。アンテナ110共通インピーダンスCPAs140、およびPA回路網インピーダンス(PAN)130が、この送信モード実施形態では直列に接続される。
【0079】
図9は、基板990、たとえば半導体基板990上に組み込まれた例示的TX/RXスイッチ900のブロック図である。TX/RXスイッチは、基板990の表面上の最小限のフットプリント表面991を使用する。
【0080】
基板990は、半導体業界で周知の任意の互換基板、たとえば二酸化シリコンSiO2であり得る。構成要素PA120、PA-OM/PAM125、LNA220、LNA-IM/LNAM225、およびモード・スイッチ950は、周知の方法で基板内に/または基板上に組み込まれる。
【0081】
一実施形態では、電源モジュール925が、PA120およびPA-OM回路網125を含み、LNAモジュール975が、LNA220およびLNA-IM225を含む。モード・スイッチ950は、開示されるモードおよび構成のいずれかで接続し得る。ここで開示される概念に適合する他の構成が想定される。
【0082】
いくつかの実施形態では、アンテナ110と電力増幅器モジュール925との間、またはアンテナ110とLNAモジュール975との間でインピーダンスを整合するために伝送線路が不要であるので、フットプリント表面991が最小限に抑えられる。共通インピーダンス140のスイッチング950により、アンテナ接続111とPA回路網インピーダンス(PAN)130(PAN接続112)との間のワイヤ接続が可能となる。さらに、共通インピーダンス140のスイッチング950により、アンテナ接続111とLNA回路網インピーダンス(LNAN)230(LNAN接続229)との間のワイヤ接続が可能となる。
【0083】
アンテナ接続111とPAN接続112との間の距離は、PAN接続長112Lを有する。アンテナ接続111とLNA接続229との間の距離は、LNA接続長229Lを有する。PAN長112LおよびLNA接続長229Lはそれぞれ、λ/4、すなわちアンテナ動作周波数の基板内の波長λの4分の1以下の長さを有する。
【0084】
いくつかの実施形態では、共通構成要素CPAp/CPAs140は、上記の説明の設計条件で定義される、特定の選択されたインピーダンス値を有する。さらに、前述のように、共通構成要素140は、受信モードおよび送信モードで電力移送を最大にし、雑音を最小限に抑えるように、モード・スイッチ950によってそれぞれの受信および送信直並列構成に構成される。したがって、構成要素のインピーダンス整合を実現するために、基板990上に伝送線路を有し、または基板990内に伝送線路を組み込む必要はない。その結果、チップ950のサイズが大幅に削減され得る。
【0085】
基板990上のアンテナ接続111とアンテナ110との間の接続は通常は伝送線路910であることに留意されたい。しかしながら、伝送線路910はTX/RXスイッチ実施形態900の外部にあり、基板990/チップ内のどんな空間も使用しない。
【0086】
図10は、開示されるTX/RXスイッチ実施形態のいずれかを使用するスイッチング・プロセス1000の流れ図である。
【0087】
スイッチング・プロセス1000はステップ1005から始まり、第1のモード、すなわち受信モードまたは送信モードがモード・スイッチ350/450/950によって選択される。
【0088】
ステップ1010は、選択されたモードで使用されない増幅器を電源オフする任意選択のステップである。たとえば、受信モードでは、PA120が電源オフされ、送信モードでは、LNA220が電源オフされる。使用中の増幅器もモード・スイッチによって電源オンされ得る。
【0089】
ステップ1015では、モード・スイッチ350/450/950は、選択されたモードに対応する直並列組合せに共通インピーダンス140を構成する。たとえば、受信モードでは、受信直並列組合せは、共通PA-LNAインピーダンス、たとえば140を使用し、送信モードでは、送信直並列組合せは、同一の共通PA-LNAインピーダンス、たとえば140を使用する。
【0090】
ステップ1020では、モード・スイッチ350/450/950によって行われるモード選択が変更される。第1のモード、たとえば選択された送信モードが選択解除され、第2のモード、たとえば受信モードが選択される。モード変更は、モード・スイッチの位置を変更することによって達成される。いくつかの実施形態では、モード・スイッチ350/450/950は、バイポーラ・トランジスタまたは金属酸化物半導体トランジスタのようなスイッチング・トランジスタである。
【0091】
いくつかの実施形態では、モード・スイッチ350/450/950は、選択されたモードのうちの1つで「オフ状態」となるように設計され、その結果、モード・スイッチ350/450/950に対する電力は、モード選択のうちの1つで印加されるだけである。このようにして、モード・スイッチ350/450/950が(送信または受信)モードのうちの1つで必要とされる/使用されるだけであるので、電力が節約される。
【0092】
ステップ1025は、選択解除されたモードで使用された増幅器120/220を電源オフし、最後に選択されたモードで使用される増幅器120/220を電源オンする任意選択のステップである。
【0093】
ステップ1030では、モード・スイッチ350/450/950は、同一の共通インピーダンス140を、新たに/最後に選択されたモードに対応する直並列組合せに構成する。たとえば、新たに/最後に選択されたモードが受信モードである場合、受信直並列組合せがモード・スイッチ350/450/950によって構成され、任意選択でPA120が電源オフされ、送信直並列組合せが構成解除される。
【0094】
RXモードとTXモードとの間のスイッチング動作のために追加のλ/4伝送線路が不要であるので、受信モード(RX)での雑音指数(NF)および送信モード(TX)でのPA圧縮ポイント(すなわち、出力パワー)が共に改善される。したがって、本発明を使用することにより、従来技術で使用されるλ/4伝送線路によって追加される余分な挿入損失を受けず、したがってNFおよび出力パワーが低下しない。
【0095】
たとえば、従来技術でのモード・スイッチングは、スイッチを使用して、λ/4伝送線路をグランドに短絡し、または線路を高インピーダンス状態に開くことに依拠する。こうした変換は動作し、特定の設計周波数に限定される。しかしながら、本発明は、こうした制限を回避し、広帯域にわたって動作する。
【0096】
本発明の様々な実施形態の説明は、例示のために提示されたのであるが、網羅的なものではなく、開示された実施形態に限定されないものとする。記載の実施形態の範囲から逸脱することなく、多くの修正形態および変形形態が当業者には明らかとなるであろう。本明細書で用いられる用語は、実施形態の原理、市場で見つかる技術に勝る実際の応用もしくは技術的改善を最良に説明するために、または本明細書で開示される実施形態を当業者が理解することを可能にするために選ばれたものである。実質的に同一の機能を実施し、実質的に同様に機能し、実質的に同一の用途を有し、かつ/または類似のステップを実施する、異なる用語で説明されたデバイス、構成要素、要素、特徴、装置、システム、構造、技術、および方法が、本発明の実施形態として企図される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】