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特表2024-518720電気アーク炉の運転方法および製鋼設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-02
(54)【発明の名称】電気アーク炉の運転方法および製鋼設備
(51)【国際特許分類】
   C21C 5/52 20060101AFI20240424BHJP
   C21B 11/10 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
C21C5/52
C21B11/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023564100
(86)(22)【出願日】2022-04-20
(85)【翻訳文提出日】2023-12-06
(86)【国際出願番号】 EP2022060404
(87)【国際公開番号】W WO2022223606
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】LU500065
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513200003
【氏名又は名称】ポール ワース エス.アー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリュル,ジャン
(72)【発明者】
【氏名】パパリア,カティア
【テーマコード(参考)】
4K012
4K014
【Fターム(参考)】
4K012CA01
4K012CA09
4K014CB01
(57)【要約】
本発明は、電気アーク炉を運転する方法を開示し、この方法は、製鉄所(100)の少なくとも一つの設備(12)から、水および一酸化炭素を含む加熱された冶金ガスを回収することと、反応装置供給ライン(14)によって、冶金ガスを反応装置(16)に伝導することと、反応装置(16)内の冶金ガスの処理によって、水性ガスシフト反応に従って一酸化炭素および水を水素および二酸化炭素に変換することと、続いて、分離装置(18)によって水素を分離することと、を含む方法。本方法は、主に酸化鉄の形態の鉄を含む鉄含有材料を電気アーク炉(10)に供給することと、鉄含有材料を少なくとも部分的に溶融して溶融浴を得ることと、炉供給ライン(20)によって、水素を炉供給ライン(20)の下流に配置された電気アーク炉(10)に伝導することと、水素が、電気アーク炉(10)の精錬運転中に溶融浴中で酸化鉄を還元するための還元剤として反応するように、複数の水素注入装置(26)によって、水素を電気アーク炉(10)に注入することと、をさらに含むことを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気アーク炉(10)を運転する方法であって、
製鋼設備(100)の少なくとも1つの設備(12)から、水および一酸化炭素を含む加熱された冶金ガスを回収する工程と、
前記冶金ガスを反応装置供給ライン(14)を介して反応装置(16)に伝導する工程と、
前記反応装置(16)内の前記冶金ガスの処理によって、水性ガスシフト反応に従って一酸化炭素および水を水素および二酸化炭素に変換する工程と、
続いて、分離装置(18)によって前記水素を分離する工程と、を含み、
前記方法は、
主に酸化鉄の形態の鉄を含む鉄含有材料を前記電気アーク炉(10)に供給する工程と、
前記鉄含有材料を少なくとも部分的に溶融して溶融浴を得る工程と、
炉供給ライン(20)を通って、前記炉供給ライン(20)の下流に配置された前記電気アーク炉(10)に前記水素を導く工程と、
前記水素が、前記電気アーク炉(10)の精錬運転中に溶融浴中の酸化鉄を還元するための還元剤として作用するように、複数の水素注入装置(26)によって前記電気アーク炉(10)の溶融浴中に前記水素を注入する工程と、をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記加熱された冶金ガスが、20℃~100℃の温度範囲の温度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水性ガスシフト反応が、触媒の存在下で行われる、請求項1から2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、貯蔵供給導体(22)を介して水素貯蔵タンク(24)に前記水素を導く工程をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、前記水素貯蔵タンク(24)から前記炉供給ライン(20)を介して前記電気アーク炉(10)に前記水素を排出する工程をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、前記水素が前記電気アーク炉に注入されるときに前記水素が25℃~700℃の範囲の温度を有するように、前記電気アーク炉の上流で前記水素を加熱する工程をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の水素注入装置(26)が、前記電気アーク炉(10)に供給された前記水素の少なくとも一部を前記炉内に注入するための少なくとも1つの超音速ガスランス(28)を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記超音速ガスランス(28)を介して注入された水素が、10m/分~500m/分の範囲のスループットを有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、複数の酸素注入装置(30)を介して前記電気アーク炉(20)に酸素を注入する工程をさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、石灰導入装置(32)によって前記電気アーク炉(10)に石灰を導入する工程をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、前記電気アーク炉内に材料を挿入する工程をさらに含み、前記材料が、酸化鉄、予備還元鉄鉱石ペレット、直接還元鉄(DRI)、ホットブリケットアイアンブリケット(HBI)、高炉グレード、DRグレードの鉄鉱石ペレットまたは微粉またはそれらの混合物のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
再生可能エネルギー源から得られた電気エネルギーで前記電気アーク炉を動作させる工程をさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
電気アーク炉(10)を備える製鋼設備(100)であって、
前記製鋼設備(100)の少なくとも一つの設備(12)から、水および一酸化炭素を含む加熱された冶金ガスを回収し、
前記冶金ガスを反応装置供給ライン(14)を介して反応装置(16)に伝導し、
前記反応装置(16)内の前記冶金ガスの処理によって、水性ガスシフト反応に従って一酸化炭素および水を水素および二酸化炭素に変換し、続いて、
分離装置(18)によって前記水素を分離する
ように構成され、
主に酸化鉄の形態の鉄を含む鉄含有材料を電気アーク炉(10)に提供し、
鉄含有材料を少なくとも部分的に溶融して溶融浴を得て、
炉供給ライン(20)を介して、前記炉供給ライン(20)の下流に配置された前記電気アーク炉(10)に前記水素を伝導し、
前記水素が、前記電気アーク炉(10)の精錬運転中に溶融浴中の酸化鉄を還元するための還元剤として作用するように、複数の水素注入装置(26)によって前記電気アーク炉(10)の溶融浴中に前記水素を注入するように構成されていることを特徴とする製鋼設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気アーク炉の運転方法、電気アーク炉および製鋼設備(製鋼所、スチールミル)に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の製鋼設備、それぞれ鉄鋼および金属生産設備は、二酸化炭素排出量を削減するという制約を受けている。このため、鉄鋼メーカーは、生産設備内で使用される化石燃料をいわゆる「グリーン」電気エネルギーまたは「再生可能」燃料に置き換える。これに関連して、水素は燃料として使用され、したがってCO排出量を削減する重要な要因と考えられている。しかし、大量の水素の製造、輸送および貯蔵は、かなりの技術的課題であり、高い費用を伴う。このため、従来技術は、水素製造の経済的側面、または製造において化石燃料を水素で置換する方法に焦点を当てることが多い。
【0003】
主な統合水素製造プロセスは、(天然ガスの)水蒸気改質および電気分解である。天然ガスの水蒸気改質は、現在、最も一般的で最も安価な産業用水素源と考えられている。天然ガス(メタン)を、蒸気およびニッケル触媒の存在下で700から1100℃まで加熱する。メタン分子が分解され、一酸化炭素および水素が形成される。一酸化炭素ガスは蒸気とともに酸化鉄または他の酸化物上を通過し、いわゆる水性ガスシフト反応により、追加の水素が得られ得る。このようにして生成される水素は経済的に魅力的であるが、依然として化石燃料を必要とする。水素製造中のCO排出を完全に回避するためには、COを回収して貯蔵しなければならない。電気分解では、水素は、いくつかの電気セルによって構成されるユニットによって生成され、各セルは、電解液に浸漬され、電源に接続されたアノードおよびカソードを有する。
【0004】
しかしながら、水蒸気改質および電気分解の両方の方法は非常に高価であり、かなりの量のエネルギーならびに水素の輸送および貯蔵のための大規模で安全なインフラストラクチャを必要とする。これらの方法の1つが産業環境で動作するように設定されている場合、対応する製造設備は通常、主に安全上の理由から高温領域から完全に隔離されている。これは、例えば空間およびエネルギーなどの貴重な資源が、そのような施設内および施設上で、単に非効率的に使用される可能性があるという重大な欠点を有する。
【0005】
従来技術には、電気アーク炉(EAF)などの電気炉が存在し、電気炉は、典型的にはスクラップおよび高温金属によって作られる装入混合物から鋼を製造するために使用され、EAFは主に溶融プロセスを行う。酸化鉄が装入混合物に含まれる場合、EAFはこれらの酸化鉄の還元も行うことができる。
【0006】
しかしながら、そのような還元は、プロセスの制約のために、限られた量でしか行うことができない。そのようなEAFは、通常、高いメタライゼーション度を有する挿入混合物を必要とする。このため、酸化鉄がEAF入力フィードに含まれる場合、それらは一般に、以前のガスベースの直接還元プロセスによって生成された、88%より高いメタライゼーション度を有する直接還元鉄(DRI)から生じる。このようなEAFは、電極と溶融物との間に形成された電気アークから放出される高濃度の熱を生成するため、「直接加熱型」と呼ばれる。
【0007】
別のタイプの電気炉、いわゆるサブマージドアーク炉(SAF)は、金属酸化物を還元および溶融するために開発された。これらのSAFは、ニッケル、クロム、銅または鉄などの金属の鉱石から出発して完全な還元プロセスを実行することができる。SAFでは、電気抵抗の高いスラグ内の電極によって発生する電流によるジュール効果に基づく加熱原理を利用して、電極が溶融材料、それぞれスラグまたは溶融浴の上部に浸漬される。一般に、SAFにおけるプロセスパラメータは、前述のEAFとは異なる。SAFにより、鉄または他の金属鉱石からの完全な還元プロセスが可能になる。
【0008】
EAFおよびSAFにおける還元プロセスは、還元剤として、一般にコークスまたは無煙炭の形態の炭素によって行われ、これは、適切なランスを通して注入することができ、または上部充填システムから充填することができる。
【0009】
予備還元鉄ペレット、直接還元鉄(DRI)または熱間成型還元鉄(HBI)が溶融される原料に含まれる場合、還元プロセスに必要な炭素の一部は、DRIまたはHBIペレットに既に含まれている。したがって、EAFにおける還元反応は、注入された炭素と直接還元された鉄中に存在する炭素の両方によって行われる。
【0010】
炭素は、EAFおよびSAFにおいて還元剤として作用するだけでなく、反応速度論、全体的なエネルギーバランス、熱伝達係数およびプロセス収率に関して適切なプロセス条件を維持するためにも必要である。
【0011】
したがって、このような炉は、その運転中に比較的大量の二酸化炭素が排出されるという欠点を有する。
発明の目的
【0012】
したがって、本発明の目的は、排出される二酸化炭素の量が大幅に低減される、製鋼設備内で電気アーク炉を運転するための方法を提供することである。
【0013】
この目的は、独立請求項の主題によって達成される。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、電気アーク炉を運転する方法を提案し、この方法は、製鋼設備の少なくとも1つの設備から、水および一酸化炭素を含む加熱された冶金ガスを回収することを含む。冶金ガスは、リアクタ供給ラインによってリアクタに導かれる。この方法は、リアクタ内の冶金ガスの処理による水性ガスシフト反応に従って、冶金ガスに含まれる一酸化炭素および水を水素および二酸化炭素にさらに変換することと、続いて分離装置によって水素を分離することとを含む。本方法は、主に酸化鉄の形態の鉄を含む鉄含有材料を電気アーク炉に提供することと、鉄含有材料を少なくとも部分的に溶融して溶融浴を得ることと、炉供給ラインによって、水素を炉供給ラインの下流に配置された電気アーク炉に伝導することと、水素が、電気アーク炉の精錬運転中に溶融浴中で酸化鉄を還元するための還元剤として反応するように、複数の水素注入装置によって、水素を電気アーク炉内の溶融浴中に注入することと、をさらに含むことを特徴とする。
【0015】
本方法は、水素が製鋼設備でより持続可能かつ環境に優しい方法で製造および使用され得るという知見、ならびに電気精錬所として運転される電気アーク炉の還元剤として有利に使用され得るという知見に基づいている。水素(H)は、製鋼設備の異なる現場設備、それぞれの設備から排出される複数の冶金ガスから分離され得ることが分かっている。例えば、水素は、水性ガスシフト反応を利用することによって、高炉ガスなどのCOリッチガス中に注入された蒸気によって得る/生成することができる。
【0016】
「冶金ガス」は、一般に、例えば(溶鉱)炉、ストーブ、コークス電池または同様の設備などの冶金設備から排出される任意のガスを指すことができる。冶金ガスは、いわゆる合成ガス、それぞれ合成ガス、主に水素、一酸化炭素、および非常に多くの場合いくらかの二酸化炭素を含む燃料ガス混合物の基礎を形成する。
【0017】
特に、本方法は、製鋼設備における水素および/または一酸化炭素を含む合成ガスの利用可能性を活用することを目的とし、一酸化炭素は、蒸気による水素の分離に使用される。合成ガスは、既知の技術に従って、例えば、ブードア反応および/または水性ガスシフト反応を行うことによって、冶金ガスから得ることができる。あるいは、水素はまた、例えば天然ガス改質、バイオマス改質、水蒸気改質などの他のプロセスによって生成されてもよい。冶金ガスの例は、高炉ガスであってもよい。高炉ガスは、約20~30体積%のCO、約35~50体積%のNおよび約20~30体積%のCO、ならびに約5%のHを含むか、またはこれらからなる。冶金ガスの別の例は、いわゆる「転炉ガス」である。転炉ガスは、約60~70%のCO、約10~20%のCO、約0~5%のH、および約5~15%のNを含むか、またはこれらからなる。冶金ガスの別の例は、「コークス炉ガス」である。コークス炉ガスは、約5~10%のCO、約50~55%のH、約20%のCHおよび/または他の炭化水素、約10%以下のN、ならびに少量のCOを含むか、またはこれらからなる。この組成ならびに例示的な割合は、プロセス条件によって大幅に変化し得ることに留意されたい。冶金ガスは、加熱および/または水添加のために蒸気と混合することができる。
【0018】
冶金ガスは、水素を他の化合物から分離するために一般的に知られている方法によって処理することができる。例えば、水性ガスシフト(WGS)反応および/または二酸化炭素除去方法を使用して、冶金ガスの一部を形成する一酸化炭素(CO)を二酸化炭素に変えることができる。次いで、二酸化炭素は、冶金ガスから容易に(一酸化炭素よりも容易に)分離され、その結果、残りの冶金ガスは、多量の水素、それぞれ特定の高濃度の水素を含む。
【0019】
さらに、既に存在するプロセスおよび設備によって排出されたガスから水素ガスを分離することによって水素ガスを回収することにより、特に経済的かつ環境に優しい方法で電気アーク炉を提供、維持および運転することが可能になることが分かった。
【0020】
本方法は、水素を電気アーク炉(EAF)に導くことができ、水素が溶融浴、それぞれスラグに注入され、それによって電気アーク炉を電気精錬所として運転するという知見にさらに基づく。EAFのこのような動作中、水素は、主に酸化鉄の形態の鉄含有材料から鋼を製造する際に、炭素の代わりに還元剤として使用される。その結果、そのようなEAFならびに冶金設備から排出される二酸化炭素の量が大幅に低減され得る。この文脈における「主に」とは、鉄含有材料の重量の50%超、好ましくは少なくとも60%、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、またはさらには85%超が酸化鉄の形態であることを意味する。
【0021】
「電気アーク炉」は、一般に、電気アークによる製錬プロセスのために構成された工業炉を指す。電気アーク炉内の電気アークは、電極間または電極と溶融材料、それぞれ金属浴またはスラグとの間に発生する)電気アーク炉は、動作され、水素を使用する還元プロセスに必要なプロセス条件を維持するように構成され得る。プロセス条件は、圧力、温度、反応速度論、熱伝達係数または同様のパラメータなどのパラメータによって特徴付けることができる。電気アーク炉は、直流または交流によって電力供給されてもよい。
【0022】
「設備」は、一般に、特定の目的を果たすように構築、設置または設立された任意の産業機器または装置の集合体を指す。例えば、施設は、高炉、コークス炉電池または熱風炉を含むか、またはそれらから構成されてもよい。
【0023】
「製鋼設備」、それぞれ「製鉄プラント」は、一般に、鉄および鋼および/または金属が製造される産業設備を指す。
【0024】
「反応装置」は、一般に、化学反応のための容器/タンク/レセプタクルとして使用される装置を指す。反応装置はまた、例えば(半)透過性フィルタまたは触媒によって互いに分離された複数のバットを含むことができる。例えば、反応器は、冶金ガスに含まれる一酸化炭素および水を水素および二酸化炭素に変換するように構成されてもよい。
【0025】
「炉供給ライン」は、一般に、ガス、特に水素を、例えば電気アーク炉などの炉内に導入するガスパイプラインを指す。
【0026】
「還元剤」は、一般に、電子を供与することによって化合物を還元する物質を指す。従来技術の電気アーク炉によれば、石炭の注入によりスラグ中の酸化鉄を還元することができた。さらに、例えば、EAF内の溶融物、スラグ、または浴中にも存在する一酸化炭素は、酸化鉄に対する還元剤としても作用し得る。EAF内の還元反応は、水素ならびに電気エネルギーに基づき得る。その結果、水素は、還元剤として炭素を完全に、または少なくとも部分的に、好ましくは少なくとも25mol.%まで、有利には少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、例えば少なくとも70%、少なくとも80%またはさらにはほぼ100mol.%まで置換することができる。言い換えれば、還元剤として最先端の電気アーク炉で現在使用されている炭素は、水素によって部分的または完全に置き換えられてもよい。二酸化炭素排出は、完全に防止され得るか、または少なくとも大幅に低減され得る。
【0027】
「伝導」は、通常、例えばパイプ、管、ライン、(ガス)パイプラインまたは同様の技術的要素の形態の導体または経路を提供することによって、一般に、ガスを導き、搬送し、伝達する行為を指す。「反応装置供給ライン」は、一般に、反応装置にガスを供給するガスパイプラインを指す。
【0028】
「回収」は、一般に、例えば気体などの外部環境へのガスの分離、隔離、貯蔵、吸収、捕捉、捕捉、および/または排出もしくは放出を防止するプロセスを指す。例えば、高炉から排出された冶金ガスは、適切なフィルタおよび/または分離装置によって回収され得る。
【0029】
「注入」は、一般に、例えばEAFなどの施設へのガスの導入、または例えばスラグなどの施設内の溶融物もしくは化合物の混合物を指す。注入は、注入装置を用いて行うことができる。「注入装置」は、一般に、例えば水素または酸素などのガスを施設または施設内の化合物の溶融物または混合物に注入するために使用されるかまたはそのように構成された任意の装置を指す。例えば、注入装置は、溶融浴に浸漬されてもよい。
【0030】
「動作」は、一般に、機能する作用を指す。
【0031】
「精錬」は、一般に、金属含有材料、例えば主に酸化鉄の形態の鉄を含む鉄含有材料などの金属鉱石を溶融および還元するプロセスを指し、これは溶融状態内での化学変化または反応をもたらし、例えば金属鉄などの金属の分離をもたらす。
【0032】
「分離」は、一般に、ガス混合物からガス成分を分離する行為を指す。例えば、冶金ガスが反応装置内で水素、二酸化炭素および場合によっては、さらなる副生成物に変換された後、水素は、例えば1つのフィルタまたは複数の膜を用いて混合物によって分離され得る。さらに、分離は、例えば、極低温蒸留に基づくガス分離方法、スイング吸着技術、ハンプソンリンデサイクルまたは同様の分離方法などの既知の方法によって実施することもできる。「分離装置」は、一般に、分離ステップまたは分離方法を操作するために使用されるか、またはそのように構成された装置または接続された装置のセットを指す。
【0033】
「変換」は、一般に、例えばガス混合物などの1つまたは複数の物質の構成、構造、形態または外観の変化を指す。
【0034】
「処理中」または「処理」は、一般に、薬剤、触媒、エネルギー、化学的、生物学的または物理的な影響またはプロセスの作用に何かを供することを指す。例えば、処理は、反応装置内の冶金ガスを加熱触媒に導くことを含んでもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、冶金ガスは、関連するガス洗浄後、20℃~100℃の温度範囲の温度を有する。冶金ガスは、適切な熱回収システムで予熱することができ、統合された製鋼設備内の他のプロセスからの一部の利用可能な熱を利用し、特にエネルギー効率の良い方法で後続の反応で変換することができることが分かった。冶金ガスは、20℃~100℃の温度、好ましくは50℃未満の温度で一般に入手可能であり得る。冶金ガスは、ガス洗浄、例えばスクラバ内のガス洗浄後にガスホルダに貯蔵することができる。それらの構成に応じて、これらの加熱された冶金ガスは、既知の熱回収方法に供され得ることに留意されたい。
【0036】
一酸化炭素および水を水素および二酸化炭素に変換するための処理は、少なくとも水性ガスシフト反応を含み、その反応は触媒の存在下で行われる。「水性ガスシフト反応」、それぞれ水性ガスシフト反応または水性ガス変換反応は、合成ガス中の一酸化炭素含有量を低減/減少させ、水素を生成するためのプロセスである。この反応方程式は、変換平衡:CO+HO⇔CO+Hとしても知られている。
【0037】
いくつかの実施形態では、その方法は、水素を分離することに続いて、貯蔵供給導管を介して水素貯蔵タンクに水素を導くことをさらに含む。「貯蔵供給導管」は、一般に、水素を水素(貯蔵)タンクに導くために使用されるまたはそのように構成されたパイプラインを指す。
【0038】
いくつかの実施形態では、その方法は、炉供給ラインを介して電気アーク炉に水素貯蔵タンクから水素を排出することをさらに含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、方法は、水素が電気アーク炉に注入されるときに水素が25から700℃の範囲の温度を有するように、電気アーク炉の上流で水素を加熱することをさらに含む。水素を加熱すると、圧力が増大し、その結果、溶融浴中の注入された水素の分布が促進する。「加熱」はまた、水素ガスがEAFに注入される前に水素ガスを予熱するプロセスを指すことができることに留意されたい。
【0040】
いくつかの実施形態では、複数の水素注入装置は、電気アーク炉に供給された水素の少なくとも一部を炉内に注入するための少なくとも1つの超音速ガスランスを備える。言い換えれば、ガスは超音速で注入される。
【0041】
いくつかの実施形態では、超音速ガスランスを介して注入された水素は、10m/分~500m/分の範囲のスループットを有する。
【0042】
いくつかの実施形態では、その方法は、複数の酸素注入装置を介して電気アーク炉に酸素を注入することをさらに含む。酸素は、少なくとも部分的に浴内で、それぞれスラグ内で鉄を酸化するために注入され得る。言い換えれば、酸素は、必要なプロセス条件を維持するために局所的に必要とされ得る発熱反応から放出される熱を利用して、浴内で少なくとも少量の鉄をウスタイト(FeO)に酸化する。
【0043】
いくつかの実施形態では、その方法は、石灰導入装置によって電気アーク炉に石灰を導入することをさらに含む。「石灰導入装置」は、一般に、電気アーク炉または電気アーク炉内のスラグ層への石灰の導入、それぞれの注入のために使用または構成される任意の装置を指す。石灰は、例えば、生石灰を含んでもよく、または生石灰からなってもよい。石灰は、電気アーク炉(EAF)内の鋼を洗浄するためのフラックスとして使用することができる。例えば、石灰を使用して、硫黄、シリカ、リンおよび同様の物質を除去することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、その方法は、電気アーク炉に材料を挿入/導入することをさらに含み、材料は、酸化鉄、予備還元鉄鉱石ペレット、直接還元鉄(DRI)、ホットブリケット鉄ブリケット(HBI)、高炉グレード、DRグレードの鉄鉱石ペレットまたは微粉またはそれらの混合物のうちの少なくとも1つを含む。例えば、溶融物を加熱するために使用され得る少量の炭素は、コールドペレットまたはホットブリケットの形態の直接還元鉄によって提供され得る。これらの還元鉄は、天然ガスベースの直接還元プロセスによって生成することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、その方法は、電気アーク炉に電気エネルギーを供給することをさらに含み、電気エネルギーはEAFを動作させるために使用され、電気エネルギーは再生可能エネルギー源から得られる。「再生可能エネルギー源」は、一般に、太陽エネルギー、風力エネルギー、水力発電エネルギー、バイオマスエネルギー、地熱エネルギー、潮力エネルギーおよび波力エネルギー、またはそれらの混合物のうちの少なくとも1つに基づいて電気エネルギーを供給する供給源を指す。再生可能エネルギー源の使用により、本方法は、鉄鉱石および/または水素ベースの直接還元プロセスからのDRI/HBIのみが鉄軸受材料としてEAFに充填されることを条件として、大部分または完全にCOを含まない「グリーンスチール」生産を可能にする。
【0046】
本発明はさらに、電気アーク炉を備え、
製鋼設備の少なくとも一つの設備から、水および一酸化炭素を含む加熱された冶金ガスを回収し、
冶金ガスを反応装置供給ラインを介して反応装置に伝導し、
反応装置内の冶金ガスの処理によって、水性ガスシフト反応に従って一酸化炭素および水を水素および二酸化炭素に変換し、続いて、
分離装置によって水素を分離する
ようになされ、
主に酸化鉄の形態の鉄を含む鉄含有材料を電気アーク炉に供給し、
鉄含有材料を少なくとも部分的に溶融して溶融浴を得て、
炉供給ラインを介して、炉供給ラインの下流に配置された電気アーク炉に水素を伝導し、
水素が、電気アーク炉の精錬運転中に溶融浴中の酸化鉄を還元するための還元剤として作用するように、複数の水素注入装置によって電気アーク炉の溶融浴中に水素を注入するようになされた製鋼設備に関する。
本発明による方法の前述の改善および実施形態は、製鋼設備にも適用される。
【0047】
本発明のさらなる態様および特徴は、従属請求項、添付の図面および実施形態の以下の説明から導かれる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
次に、本発明の実施形態を、例として、添付の図面を参照して説明する。
図1】本発明による方法、電気アーク炉および製鋼設備を示す概略図である。
図2】本発明による電気アーク炉を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1は、本発明による方法ならびに電気アーク炉10および製鋼設備100の概略図を示す。製鋼設備100は、水および一酸化炭素を含む加熱された冶金ガスを排出する高炉12からなる設備12を備える。高炉からのガスは、約200℃~300℃の範囲の温度を有する。冶金ガスは、スクラバによって洗浄され、ガスホルダ(図示せず)に貯蔵され得る。図1に示すように、高炉12によって放出された冶金ガスは捕捉され、反応器供給ライン14によって/を通じて反応器16に導かれる。冶金ガスは、例えば冶金ガスを蒸気(図示せず)と混合することによって、水素製造工程のために予熱されなければならず、蒸気は、水性ガスシフト反応に必要な熱および水を提供する。
【0050】
温度センサ、圧力センサ、流量計及び(自動)弁などのさらなる装置(図示せず)は、反応器供給ライン14上および/またはその中に配置されてもよい。これらのさらなる装置は、例えばコンピュータ(図示せず)などの制御装置に接続されてもよい。制御装置は、例えば冶金ガスの温度、冶金ガスの圧力および/または冶金ガスの速度などの冶金ガスに関連するプロセスパラメータを決定するように構成されてもよい。これらのプロセスパラメータに応じて、制御装置は、ソフトウェアによって、反応器供給ライン14内に配置された弁を完全に開くべきか、部分的に開くべきか、または閉じるべきかを決定することができる。
【0051】
反応器供給ライン14を通って導かれる冶金ガスは、反応器16に導入され、冶金ガス中の一酸化炭素および水化合物は、二酸化炭素および水素に変換される。一酸化炭素および水の水素および二酸化炭素への変換は、例えばニッケル系触媒(図示せず)などの触媒の存在下での水性ガスシフト反応に基づく。冶金ガスが反応装置内で処理される前に、ガスを加熱するために、および/または触媒(図示せず)に害を与えるであろう冶金ガスから例えばガス状硫黄化合物などの物質を分離するために、反応装置の上流でさらなるステップを実行することができる。
【0052】
ガスが反応装置内で処理された後、ガスは分離装置18に導かれ、ここで水素は冶金ガスの他の化合物から分離される。次のステップでは、水素は、炉供給ライン20によって炉供給ライン20の下流に配置された電気アーク炉に直接導かれるか、または供給導体22を介して水素貯蔵タンク24に導かれる。タンク24および/または電気アーク炉10に向かう水素の通過を動作させるために、供給導体22および炉供給ライン20(図示せず)内に(自動)弁が配置される。弁は、コンピュータによって操作されるアクチュエータを備える。さらに、炉供給ライン20および供給導管22の両方は、コンピュータに接続された圧力センサ、流量計および温度センサ(図示せず)をそれぞれ備える。水素は、電気アーク炉10の要件に応じて、炉内に直接または貯蔵タンク24内に伝導される。水素がタンク24に貯蔵される場合、水素は、電気アーク炉内に所定の速度および/または量で放出されてもよい。図1からさらに導き出すことができるように、水素を排出するための排出ライン23は、炉供給ライン20に流体連通している。排出ライン23は、温度センサ、流量計、圧力センサ、および(自動)弁を備え、これらの要素の各々は、制御装置(図示せず)に接続され、制御装置によって操作される。
【0053】
さらに、炉供給ライン20は、任意選択の加熱装置(図示せず)を備えてもよく、加熱装置も同様にコンピュータによって制御される。加熱装置は、電気アーク炉の上流で水素を加熱することを可能にし、それにより、水素は、電気アーク炉に注入されたときに25℃~700℃の範囲の温度を有する。
【0054】
水素は、図2により詳細に示されるように、複数の注入装置26を介して/によって電気アーク炉10に注入される。炉内の2本の水平破線は、スラグ領域34と液体金属領域36との間の境界を表す。電気アーク炉の運転中、スラグ層34が電極(図示せず)に近接する表面に形成される。スラグ層34の下には、電気アーク炉10が一定時間運転された後に液体金属層36が生成される。EAFの電極(複数可)は、上部から、それぞれ炉のハット(図示せず)からスラグ内に突出している。言い換えると、電極はスラグに少なくとも部分的に浸漬される。
【0055】
複数の水素注入装置26はまた、超音速ガスランス28を備え、これは、炉の上部、それぞれ炉カバーから液体金属領域36内に突出する。EAFの動作中、水素は、好ましくは10m/分~500m/分の範囲内の速度で超音速ガスランス28を介して注入される。
【0056】
また、電気アーク炉10には、電気アーク炉10内に酸素を注入するための複数の酸素注入装置30、ランスがそれぞれ設けられている。酸素注入装置30は、水素注入装置26および超音速ガスランス28から離間している。酸素注入装置26もまた、超音速ガスランスを備えてもよく、または超音速ガスランスからなってもよいことに留意されたい。
【0057】
図2にさらに示すように、石灰導入装置32は、電気アーク炉の液体金属領域32内に、液体金属領域32とスラグ領域34との間の界面にそれぞれ突出している。石灰導入装置32は、電気アーク炉の運転中に石灰の噴射を提供する。
【0058】
電気アーク炉の運転中、材料は炉の炉床に挿入される。材料は、以下のうちの少なくとも1つを含み得る:くず鉄、酸化鉄、予備還元鉄鉱石ペレット、直接還元鉄(DRI)、ホットブリケットアイアンブリケット(HBI)、高炉グレード、DRグレードの鉄鉱石ペレットまたは微粉またはそれらの混合物。電気アーク炉は、電気エネルギーによって電力供給され、電気エネルギーは再生可能エネルギー源から得られる。
【0059】
注入された水素は、以下の反応方程式に従って酸化鉄(例えばFeO)を鉄(Fe)および水に還元するために使用される。
FeO+H→Fe+HO。
【0060】
さらに、注入された水素は、以下の方程式に従って熱を放出しながら酸素と反応するためにさらに使用される。
+1/2O→HO。
【0061】
注入された酸素は、以下の方程式に従って鉄(Fe)を酸化するために使用される。
Fe+1/2O→FeO。
【0062】
図2から理解され得るように、二酸化炭素の量は、電気アーク炉10の動作中に全体的にまたは少なくとも著しく減少する。
【0063】
説明した実施形態は、本発明の例である。各それぞれの実施形態の記載された構成要素は、互いに独立して考慮されるべき本発明の個々の特徴を表す。したがって、これらの特徴はまた、個別に、または示された組み合わせ以外の組み合わせにおいても、本発明の構成要素と見なされるべきである。さらに、記載された実施形態は、既に記載された本発明のさらなる特徴によって補足されてもよい。
【0064】
本発明のさらなる特徴および実施形態は、本開示および特許請求の範囲の文脈において当業者にもたらされる。
【符号の説明】
【0065】
10 電気アーク炉
12 設備
14 反応装置供給ライン
16 反応装置
18 分離装置
20 炉供給ライン
22 貯蔵供給導体
23 排出ライン
24 タンク
26 水素注入装置
28 ランス
30 酸素注入装置
32 石灰導入装置
34 スラグ領域
36 金属層
100 製鋼設備
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-03-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気アーク炉(10)を運転する方法であって、
製鋼設備(100)の少なくとも1つの設備(12)から、水および一酸化炭素を含む加熱された冶金ガスを回収する工程と、
前記冶金ガスを反応装置供給ライン(14)を介して反応装置(16)に伝導する工程と、
前記反応装置(16)内の前記冶金ガスの処理によって、水性ガスシフト反応に従って一酸化炭素および水を水素および二酸化炭素に変換する工程と、
続いて、分離装置(18)によって前記水素を分離する工程と、を含み、
前記方法は、
主に酸化鉄の形態の鉄を含む鉄含有材料を前記電気アーク炉(10)に供給する工程と、
前記鉄含有材料を少なくとも部分的に溶融して溶融浴を得る工程と、
炉供給ライン(20)を通って、前記炉供給ライン(20)の下流に配置された前記電気アーク炉(10)に前記水素を導く工程と、
前記水素が、前記電気アーク炉(10)の精錬運転中に溶融浴中の酸化鉄を還元するための還元剤として作用するように、複数の水素注入装置(26)によって前記電気アーク炉(10)の溶融浴中に前記水素を注入する工程と、をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記加熱された冶金ガスが、20℃~100℃の温度範囲の温度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水性ガスシフト反応が、触媒の存在下で行われる、請求項1から2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、貯蔵供給導体(22)を介して水素貯蔵タンク(24)に前記水素を導く工程、および前記水素貯蔵タンク(24)から前記炉供給ライン(20)を介して前記電気アーク炉(10)に前記水素を排出する工程をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、前記水素が前記電気アーク炉に注入されるときに前記水素が25℃~700℃の範囲の温度を有するように、前記電気アーク炉の上流で前記水素を加熱する工程をさらに含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の水素注入装置(26)が、前記電気アーク炉(10)に供給された前記水素の少なくとも一部を前記炉内に注入するための少なくとも1つの超音速ガスランス(28)を備える、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記超音速ガスランス(28)を介して注入された水素が、10m/分~500m/分の範囲のスループットを有する、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、複数の酸素注入装置(30)を介して前記電気アーク炉(20)に酸素を注入する工程をさらに含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、石灰導入装置(32)によって前記電気アーク炉(10)に石灰を導入する工程をさらに含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、前記電気アーク炉内に材料を挿入する工程をさらに含み、前記材料が、酸化鉄、予備還元鉄鉱石ペレット、直接還元鉄(DRI)、ホットブリケットアイアンブリケット(HBI)、高炉グレード、DRグレードの鉄鉱石ペレットまたは微粉またはそれらの混合物のうちの少なくとも1つを含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
再生可能エネルギー源から得られた電気エネルギーで前記電気アーク炉を動作させる工程をさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
電気アーク炉(10)を備える製鋼設備(100)であって、
前記製鋼設備(100)の少なくとも一つの設備(12)から、水および一酸化炭素を含む加熱された冶金ガスを回収し、
前記冶金ガスを反応装置供給ライン(14)を介して反応装置(16)に伝導し、
前記反応装置(16)内の前記冶金ガスの処理によって、水性ガスシフト反応に従って一酸化炭素および水を水素および二酸化炭素に変換し、続いて、
分離装置(18)によって前記水素を分離する
ように構成され、
主に酸化鉄の形態の鉄を含む鉄含有材料を電気アーク炉(10)に提供し、
鉄含有材料を少なくとも部分的に溶融して溶融浴を得て、
炉供給ライン(20)を介して、前記炉供給ライン(20)の下流に配置された前記電気アーク炉(10)に前記水素を伝導し、
前記水素が、前記電気アーク炉(10)の精錬運転中に溶融浴中の酸化鉄を還元するための還元剤として作用するように、複数の水素注入装置(26)によって前記電気アーク炉(10)の溶融浴中に前記水素を注入するように構成されていることを特徴とする製鋼設備。
【国際調査報告】