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▶ シャロウ エンジニアリング リミティド ライアビリティ カンパニーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-02
(54)【発明の名称】デュオプロペラとシングルプロペラ
(51)【国際特許分類】
   B63H 5/10 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
B63H5/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564486
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 US2022025848
(87)【国際公開番号】W WO2022240570
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】63/177,645
(32)【優先日】2021-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/300,887
(32)【優先日】2022-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515157644
【氏名又は名称】シャロウ エンジニアリング リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー シー.シャロウ
(57)【要約】
開示するデュオプロペラは、増大する負荷分布及びチップ付近で高いスワールを持つ前方プロペラを持つ。デュオプロペラは、前方プロペラからの高いチップスワールを相殺できるより最適の負荷分布を持つ後方プロペラを持つ。デュオプロペラは、前方プロペラの流出の旋回流から失われたエネルギーを捕捉する後方プロペラの能力を強化する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デュオプロペラにおけるプロペラ効率的スワールを増大する方法であって、前記デュオプロペラが、同軸逆回転軸上で直列に作動する前方プロペラと後方プロペラとを備え、前記方法が、
チップ渦を最小限に抑えながらキャンバ及びピッチ角(チップ負荷)を変動することによって前記前方プロペラによるスワールエネルギーの発生及び前記後方プロペラによる前記スワールエネルギーの回収を制御すること、
を含む、方法。
【請求項2】
更に、前記前方プロペラによって発生する流体の流れによる前記後方プロペラの効率への干渉を減少するために前記後方プロペラの直径を変動することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ピッチ角が0~+75度の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
キャンバが-0.2~+0.2である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
更に、
ハブに取り付けられたインレットルートとアウトレットルートとを有するループ形ブレードを一緒に形成するレーク値及びスキュー値を選択することと、
前記ハブの一部分が前記ループの一部であるように前記ハブ上において前記インレットループと前記アウトレットルートを離間することと、
前記インレットルートにおいてより前記チップにおいて大きくなるように前記レーキ値を選択することと、
前記インレットルートにおいてより前記チップにおいて大きくなるように前記スキュー値を選択することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記前方又は後方プロペラの少なくとも一方について前記選択されるスキュー値が-135度~+135度の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記前方又は後方プロペラの少なくとも一方について前記選択されるスキュー値が-120度~+120度の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記前方又は後方プロペラの少なくとも一方について前記選択されるレーキ値が-0.9OD~+0.9ODの範囲であり、ODが前記プロペラの外径である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記前方又は後方プロペラの少なくとも一方について前記選択されるレーキ値が-0.5OD~+0.5ODの範囲であり、ODが前記プロペラの外径である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記前方又は後方プロペラの少なくとも一方について前記選択されるレーキ角値が-60度~+60度の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記前方又は後方プロペラの少なくとも一方について前記選択されるレーキ角値が-45度~+45度での範囲ある、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
更に、
前記第2プロペラの設計が部分的に前記第1プロペラによって生じたウェークを含む前記第1プロペラの水加速に基づくことを含むシステムとして前記デュオプロペラを設計すること、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記前方プロペラの100%~130%の範囲になるように前記後方プロペラの直径を選択することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記前方プロペラの100%~175%の範囲になるように前記後方プロペラの直径を選択することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記後方プロペラのインレットの前縁が前記前方プロペラのアウトレットの後縁におおよそ従うように前記第1プロペラと前記第2プロペラが重なり合うように前記デュオプロペラを構成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
インレットウェーク流路が前記前方又は後方プロペラの少なくとも一方についてアウトレットブレードウェーク流路に対して実質的に平行であるように前記プロペラを構成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記前方又は後方プロペラの少なくとも一方について、前記インレットルート付近のインレットからレーキ及びスキューを画定することと、前記インレットルート及び/又は前記アウトレットルートの平均からレーキ角を測定することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
デュオプロペラであって、
同軸反転シャフト上で直列に作動する前方プロペラ及び後方プロペラと、
チップ渦を最小限に抑えながら前記前方プロペラによるスワールエネルギーの発生及び前記後方プロペラによるスワールエネルギーの回収を最適化するためのピッチ角及びキャンバと、
を含む、デュオプロペラ。
【請求項19】
ピッチ角が0~+75度の範囲である、請求項18に記載のディオプロペラ。
【請求項20】
キャンバ/コードが-0.2~+0.2の範囲である、請求項18に記載のディオプロペラ。
【請求項21】
前記前方又は後方プロペラの少なくとも一方が-135度~+135度の範囲のスキュー値を持つ、請求項18に記載のデュオプロペラ。
【請求項22】
前記前方又は後方プロペラの少なくとも一方が-120度~+120度の範囲のスキュー値を持つ、請求項18に記載のデュオプロペラ。
【請求項23】
前記前方又は後方プロペラの少なくとも一方が-0.9OD~+0.9ODの範囲のレーキ値を持ち、ODが前記プロペラの外径である、請求項18に記載のデュオプロペラ。
【請求項24】
前記前方又は後方プロペラの少なくとも一方が-0.5OD~+0.5ODの範囲のレーキ値を持ち、ODが前記プロペラの外径である、請求項18に記載のデュオプロペラ。
【請求項25】
前記前方又は後方プロペラの少なくとも一方が-45度~+45度の範囲のレーキ角を持つ、請求項18に記載のディオプロペラ。
【請求項26】
前記後方プロペラの直径が前記前方プロペラの100%~130%の範囲である、請求項18に記載のデュオプロペラ。
【請求項27】
前記後方プロペラの直径が前記前方プロペラの100%~175%の範囲である、請求項18に記載のデュオプロペラ。
【請求項28】
前記第1プロペラと前記第2プロペラが、前記後方プロペラのインレットの前縁が前記前方プロペラのアウトレットの後縁におおよそ従うように重なり合う、請求項18に記載のデュオプロペラ。
【請求項29】
前記インレット部分及び前記アウトレット部分の各々が、そのそれぞれのルートから前記ブレード基準線が前記ブレード外半径の75%~100%の範囲のところまで延びて増大し、前記チップ部分が前記インレットとアウトレット部分との間の残り部分である、請求項18に記載のプロペラ。
【請求項30】
プロペラであって、
複数のブレードであって、前記ブレードが
0~+75度の範囲のピッチ角と、
-0.2~+0.2の範囲のキャンバ/コードと、
-135度~+135度の範囲のスキュー値と、
-0.85OD~+0.85ODの範囲のレーキ値と、
-45度~+45度の範囲のレーキ角と、
を持つ、
プロペラ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
2つのプロペラが同軸の逆回転軸上で直列に作動して反対方向に回転する反転(CR)プロペラは、すでに開発されている。CRプロペラは、「デュオプロプ」又は「同軸反転」プロペラとも呼ばれる。シングルエンジンが、ギア組立体を介して電力を伝達して2つのプロペラを駆動できる。
【0002】
理想的には、前方プロペラの流出の旋回流から失われるエネルギーは、システム全体の性能を改良するためにこの流出を利用するように構成される第2の後方プロペラによって捕捉される。前方プロペラによって発生するスワールエネルギーの量は、部分的にはプロペラブレードチップにおける負荷によって決まる。従来のプロペラにおいて、実現可能な負荷の量は、抗力を生じる可能性のある渦の生成によって制限される。更に、前方プロペラによって発生する流体の流れは、後方プロペラの作動に干渉して、前方プロペラに対する後方プロペラの直径を制限する可能性がある。伝統的プロペラにおいて、後方プロペラの直径は、キャビテーション、ノイズ及び振動の源となる可能性がある後方プロペラブレードチップ渦の衝撃を防止するために、前方プロペラと同じか又はこれより小さい直径に制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、改良された負荷及びより高いスワール(周方向旋回)を持つ前方プロペラと、前方プロペラからの高いチップスワールを相殺するためのより最適な負荷分布を持つ後方プロペラとを持つデュオプロペラが必要とされる。
【課題を解決する手段】
【0004】
従来のプロペラより最適な負荷分布及びチップ付近においてより高いスワールを持つ前方プロペラを有するデュオプロペラを開示する。デュオプロペラは、又、前方プロペラからの高いチップスワールを相殺できる、より最適な負荷分布を持つ後方プロペラを持つことができる。
【0005】
プロペラブレードのレーキ値及びスキュー値は、一緒に、ハブに取り付けられたインレットルート(根元部)及びアウトレットルートを持つループ形ブレードを形成する。インレットルートとアウトレットルートは、ハブの一部分がループの一部を成すようにハブ上で離間する。この構造は、ブレードチップにおける渦を最小限に抑える。
【0006】
デュオプロペラの実施形態は、従来のプロペラに比べて旋回作用を増大し、かつ前方プロペラ流出の旋回流から失われるエネルギーを捕捉するための後方プロペラの能力を強化する。従来のプロペラと異なり、チップ付近での実現可能な負荷の量は、抗力を生じる可能性があるチップ渦の生成によって制限されない。更に、開示するプロペラの設計は、前方プロペラによって発生する流体の流れによる後方プロペラの効率への干渉を減少する。したがって、前方プロペラと比べた後方プロペラの直径に関する標準的な制限は、適用されない。これによって、後方プロペラの直径を前方プロペラに対して大きく又はこれと等しくすることができるが、後方プロペラと前方プロペラが同じ直径を持つ場合でも従来のデュオプロペラに比べて有利な効率を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0007】
詳細な説明は、例示的実施形態を示す下記の添付図面を参照する。
【0008】
図1図1は、例示的CRプロペラを示す。
図2図2は、複数のパラメータセクションを有する例示的ブレードを示す。
図3図3は、ブレードの断面プロフィルを参照することにより例示的ブレードパラメータセクションジオメトリを示す。
図4A図4Aは、プロペラブレードのインテイク部分、チップ部分及びエキゾースト部分のパラメータセクションのレーキ計測を示す。
図4B図4Bは、プロペラブレードのインテイク部分、チップ部分及びエキゾースト部分のパラメータセクションのレーキ計測を示す。
図4C図4Cは、プロペラブレードのインテイク部分、チップ部分及びエキゾースト部分のパラメータセクションのレーキ計測を示す。
図4D図4Dは、プロペラブレードのインテイク部分、チップ部分及びエキゾースト部分のパラメータセクションのレーキ計測を示す。
図4E図4Eは、プロペラブレードのインテイク部分、チップ部分及びエキゾースト部分のパラメータセクションのレーキ計測を示す。
図4F図4Fは、プロペラブレードのインテイク部分、チップ部分及びエキゾースト部分におけるパラメータセクションのレーキ計測を示す。
図5A図5Aは、プロペラブレードのインテイク部分、チップ部分及びエキゾースト部分におけるパラメータセクションのスキュー角及び対頂角の計測を示す。
図5B図5Bは、プロペラブレードのインテイク部分、チップ部分及びエキゾースト部分におけるパラメータセクションのスキュー角及び対頂角の計測を示す。
図5C図5Cは、プロペラブレードのインテイク部分、チップ部分及びエキゾースト部分におけるパラメータセクションのスキュー角及び対頂角の計測を示す。
図5D図5Dは、プロペラブレードのインテイク部分、チップ部分及びエキゾースト部分におけるパラメータセクションのスキュー角及び対頂角の計測を示す。
図5E図5Eは、プロペラブレードのインテイク部分、チップ部分及びエキゾースト部分におけるパラメータセクションのスキュー角及び対頂角の計測を示す。
図5F図5Fは、プロペラブレードのインテイク部分、チップ部分及びエキゾースト部分におけるパラメータセクションのスキュー角及び対頂角の計測を示す。
図6A図6Aは、選択されたパラメータセクションに関するα(対頂角)及び半径値の例を示す。
図6B図6Bは、選択されたパラメータセクションに関するα(対頂角)及び半径値の例を示す。
図6C図6Cは、選択されたパラメータセクションに関するα(対頂角)及び半径値の例を示す。
図6D図6Dは、選択されたパラメータセクションに関するα(対頂角)及び半径値の例を示す。
図7A図7Aは、ブレードの選択されたパラメータセクションのピッチ角を示す。
図7B図7Bは、ブレードの選択されたパラメータセクションのピッチ角を示す。
図7C図7Cは、ブレードの選択されたパラメータセクションのピッチ角を示す。
図7D図7Dは、ブレードの選択されたパラメータセクションのピッチ角を示す。
図7E図7Eは、ブレードの選択されたパラメータセクションのピッチ角を示す。
図7F図7Fは、ブレードの選択されたパラメータセクションのピッチ角を示す。
図8A-8B】図8A図8Bは、以後「タイプ1」プロペラと呼ぶプロペラを示す。
図9A-9B】図9A図9Bは、以後「タイプ2」プロペラと呼ぶプロペラを示す。
図10図10は、タイプ2前方プロペラ及びタイプ1後方プロペラを備えるデュオプロペラを示す。
図11図11は、タイプ1前方プロペラ及びタイプ2後方プロペラを備えるデュオプロペラを示す。
図12図12は、タイプ2前方プロペラ及びタイプ2後方プロペラを備えるデュオプロペラを示す。
図13図13は、タイプ1前方プロペラ及びタイプ1後方プロペラを備えるデュオプロペラを示す。
図14図14は、タイプ1プロペラを示し、そのウェーク(後流)を示す。
図15図15は、タイプ2プロペラを示し、そのウェークを示す。
図16図16は、タイプ3プロペラを示し、そのウェークを示す。
図17図17は、右回り右ルートプロペラを示し、タイプ1、タイプ2及びタイプ3プロペラのインレットルートの様々な可能な位置を示す。
図18A図18Aは、タイプ1ブレードタイプを示す。
図18B図18Bは、タイプ2ブレードタイプを示す。
図18C図18Cは、タイプ3ブレードタイプを示す。
図19A図19Aは、タイプ1プロペラのブレードループ方向を示す。
図19B図19Bは、タイプ1プロペラのブレードループ方向を示す。
図20A図20Aは、低レーキを示す。
図20B図20Bは、高レーキを示す。
図21A図21Aは、CRプロペラの断面図であり、両方のプロペラを回転するために採用できる例示的ギア組立体を示す。
図21B図21Bは、CRプロペラの断面図であり、両方のプロペラを回転するために採用できる例示的ギア組立体を示す。
図22図22は、例示的貫通ハブエキゾーストプロペラを示す。
図23図23は、中立レーキの両側の正及び負レーキ角の範囲を示す。
図24図24は、更に例示的レーキ角を示す。
図25図25は、プロペラのインレット部分、アウトレット部分及びチップ部分の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において提示する数字および説明は、明確化のために、本明細書において説明する機器、システム及び方法の理解に関係する形態を例証するために単純化して、典型的機器、システム及び方法に見られる他の形態を除外する場合がある。当業者は、他の要素又は作動が、本明細書に説明する機器、システム及び方法を実現するために望ましい又は必要である場合があることが分かるだろう。この種の要素及び作動は、技術上周知であり、本開示をより良く理解するのを容易にしないので、この種の要素及び作動については、本明細書において提示しない場合がある。しかし、本開示は、本来的にこれらすべての要素、変形及び当業者によって実現できる形態への修正を含むものと見なされる。
【0010】
図1は、例示的CRプロペラ100を示す。「ディオプロペラ」も、「CRプロペラ」の代わりに使用できる。プロペラ100は、前方プロペラ102と後方プロペラ104とを含む。前方プロペラ102は、後方プロペラ104と同軸に整列する。前方プロペラ102は、3枚のブレード106a、106b、106cを含む(図1においては、最後の1つは図示しない)。後方プロペラ104は、ブレード108a、108b、108cを含む。ブレード106a、b、c、及び108a、b、cは、各々ループを形成する。CRプロペラは、例えば4、5又は6枚など付加的ブレードを含むことができる。プロペラ102は、プロペラ104の逆方向に回転する。
【0011】
「プロペラ」は、本明細書において使用する場合、装置を推進するために流体を変位するために使用できる又は例えば空気などの流体を中に通す又はその周りで移動する冷却又はその他の空気循環ファンなどの固定機器において採用される回転ブレード機器を含むことができる。
【0012】
図2は、パラメータセクション1~29を持つ例示的ブレード200を示し、パラメータセクション1は、インテイクルート204付近に在り、パラメータセクション29はエキゾーストルート206付近に在る。各パラメータセクションは、その値がブレードの特徴を決定する物理的特性又は計測を表す。パラメータセクションは、合わせて、ブレード200の形状及びその作用を決める。パラメータセクションは、好ましい実施形態において等間隔であるが、不等間隔を選択することもできる。図2は、本明細書において開示するブレードのいずれのタイプにも応用できるブレードのジオメトリを画定するためにどのようにブレードのパラメータセクションを配置できるかを例示するためのものに過ぎない。パラメータセクションは、ブレードに沿った特定の場所におけるブレード200の形状及び向きを表す。ブレードを創生するためにパラメータセクション間に円滑な移行部が形成される。本明細書において使用する場合、「向き(orientation)」は、設置位置(location)を含むことができる。図2の例示的実施形態において、ブレードセクション1~29は、不規則ヘリックス正中線202に沿って配置された平面的セクションである。「不規則ヘリックス」は、本明細書において、数学的ヘリックス定義公式から変化したものを意味するか又は螺旋上の任意の点における接線とプロペラ軸線との間の角度が一定ではない3D空間における螺旋として使用される。ブレードは、不規則な、非へリックス正中線を少なくとも部分的に持つか、又は正中線は全体を不規則ヘリックスとすることができる。
【0013】
図2には29のブレードセクションを示すが、ブレードを形成するためにもっと多い又は少ないセクションを使用できる。更に、セクションは、図示しない又は完全には図示しないがハブ内に又は部分的にハブ内に存在できる。ブレードは、平面的又は円筒形パラメータセクションによって形成できる。
【0014】
パラメータセクション1~29は、例えば、ロール角及び対頂角(α)などの向き変数によって画定でき、位置変数及び弧長、厚み及びキャンバなどの形状変数を含むことができる。付加的な例示的向き又は位置変数は、レーキ、スキュー角及び半径を含む。変数のいくつか又はそれ以上は、ブレード全体又はブレードの部分で変化し、いくつかは全体で一定とすることができる。向き変数は、XYZ座標系で計測できる。XYZ座標系は、シャフト中線の原点と、ハブ又はシャフト210又は図1に示すハブ軸線103などのハブ軸線に対して垂直の母線と、を持つ。X軸線は、ハブ軸線103に沿い、下流が正となる。Y軸線は、母線に沿って上へ向かい、Z軸線は、右回りプロペラの場合左側へ向かって正となる。左回りプロペラは、Z軸線を切り替えて左手座標系とすることによって創成される。
【0015】
パラメータセクションは、半径、レーキ及びスキューを使用するなどによってその弦(ノーズテイル)中点によって配置できる。パラメータセクションは、下で更に説明するように、角度Φ(スキュー)、Ψ(ロール)、α(ピッチ)を使用して指向できる。
【0016】
図25は、プロペラブレードのインレット部分、チップ部分及びアウトレット部分を例示するためのプロペラブレードの図である。チップ部分は、インレット部分をアウトレット部分に接続する濃いエリアである。この例証は、本明細書において開示するブレードのいずれにも応用できる。プロペラの例示的実施形態において、インレット部分は、インレットルートからブレード基準線がブレード外半径の88%のところまで延びて、増大する。アウトレット部分は、ブレード基準線がブレード外半径の88%のところから延びてアウトレットルートまで減少する。チップは、インレット部分とアウトレット部分との間の部分である。ブレード基準線は全てのパラメータセクション弦中点を接続する曲線である。更なる例示的実施形態において、インレット部分及びアウトレット部分の各々は、そのそれぞれのルートからブレード基準線がブレード外半径の75%~100%の範囲のところまで延びて、増大する。チップ部分は、インレット部分とアウトレット部分との残り部分に在る。
【0017】
図3は、ブレードの断面プロフィルを参照することによる例示的ブレードパラメータセクションのジオメトリを示す。例証は、単に画定を提示するためのものであり、本明細書において説明するブレード又はプロペラの実施形態のいずれにも応用できる。例示的パラメータセクションは、非対称的エアフォイルの形式である、エアフォイルは、湾曲ブレード面線302及び概ね平坦なブレード面線304を境界とし、パラメータセクションの前縁310において丸みのあるノーズ306を持ち、パラメータセクション300の後縁312において先がとがった又は丸みの少ないテイル308を持つ。パラメータセクションは、対称的エアフォイルの形状とすることもできる。他のパラメータセクション形状は、例えば、平行のブレード面線302、304を持つ形状を含む。ブレード面線302、304は、又、線形で相互に角度を成しても良い。ノーズ及びテイル縁は、両方が丸みを持つ、両方が平坦である(片方又は両方のブレード面線302、304に対して直角を成す)又はノーズ又はテイルのいずれか一方が丸みを持ち、他の一方がフラットである、ことが可能である。例えばシート材料で形成されたブレードは、概ね、平行のブレード面線302、304を示す。シートで成形されたブレードの例示的実施例において、ブレードの前縁は丸みを持ち、後縁は平坦又は丸みが少ないが、前縁及び後縁の両方を丸みを持たせることができる。
【0018】
パラメータセクションの例示的形状変数は、下記の通りに画定される。即ち、
半径:「半径」は、パラメータセクションの形状及びXYZ座標系に関する向きの両方を画定するために使用される。パラメータセクションの形状に関しては、半径は、例えばパラメータセクション300のノーズ306の曲線を意味し、「ノーズ半径」とも呼ぶ。パラメータセクション300上の他の点を半径を計算するために使用できる。例として、パラメータセクション前縁の半径は、最大厚み316及び弦314の長さに基づいて計算できる。又、プロペラに関して使用する場合、「半径」は、ハブ半径からプロペラブレードの最も外側の点までの直交寸法である。
弦:弦は、パラメータセクションのノーズ-テイル線314である。
厚み:様々な厚み寸法は、例えば最大厚み316などのパラメータセクションを画定できる。更なる例示的例は、後縁厚みであり、最大厚み316のパーセンテージとして計算できる。例えば、後縁厚みは、パラメータセクション300の最大厚み316の6%~10%とすることができる。
キャンバ:キャンバ318は、パラメータセクションの曲率を画定する。
【0019】
例示的向き変数は下記のものを含む:
レーキ:レーキは、パラメータセクションの弦中点の軸方向の位置である。「軸方向位置」は、この例において、プロペラ回転軸線と一致するX軸線に沿う。
ピッチ角:ピッチ角は、パラメータセクションの弦線とX軸線に対して直角を成す面との間の角度である。ピッチ角は、ピッチ距離及びブレード半径に基づいて計算できる。パラメータセクションのピッチ角の例は、図7A~7Cに示す。
ロール:ロール角(Ψ)は、例えば弦314の周りの方向角である。
半径:方向半径は、ハブ中心208からパラメータセクションの弦314の中点320までの距離である。弦314は、ノーズ-テイル線とも呼ぶ。この段落において説明する半径は、XYZ座標系に関連して計測されないノーズ半径又はその他のパラメータセクション形状半径から区別するために、パラメータセクション方向半径と呼ぶ。弦314の中点320は、正中線202が通過するパラメータセクション弦線上の点である。これを、図2においては、ハブセンタ208からパラメータセクション5の弦の中点まで延びる線Rで示す。パラメータセクション5の弦及びその中点を、図2には明確に示さない。
【0020】
例示的レーキ計測を、様々なパラメータセクションについて図4A~Fに示す。図4A~Fは、概略的に、プロペラブレードの様々なパラメータを説明し、本明細書において説明するブレード又はプロペラの実施形態のいずれにでも応用できる。図4A~Fの各々は、座標X、Y及びZを示し、X軸線はプロペラ回転軸線に一致し、Y軸線及びZ軸線はX軸線に対して直角を成し、3つの軸線は、相互に直角を成す。パラメータは、座標系の原点から計測される。例示的実施形態において、座標系のゼロ点は、プロペラ回転軸線に沿っており、エキゾーストルートよりインテイクルートに近い。例示的に、X軸線に沿ってインテイクルートへ向かう値は負であり、エキゾーストルートへ向かう値は正である。概略的に、座標系は、どのようにも配置でき、全てのパラメータ又はジオメトリは、選択された座標系の原点から計測される。
【0021】
図4A及び4Bは、ブレード400のインテイク部分402におけるパラメータセクション412、414のレーキを示す。図4Aにおいてパラメータセクション412は、ブレード400のチップ部分404へ向かう。図4Bにおいてパラメータセクション414は、インテイクルート406へ向かう。レーキは、プロペラ回転軸線に沿って又は回転軸線に対して平行の線に沿って計測される。図4A、4Bの例示的実施例において、レーキは、ゼロに等しいXにおける点Aから点BのX座標値までの距離であり、点Bはパラメータセクション412、414の弦の中点410に在る。点BのX座標値は、図4A~FにおいてBxで表わす。図4A~Fに示すパラメータセクションの弦は、終点408、416によって画定される。
【0022】
図4C及び4Dは、ブレード400のチップ部分404におけるパラメータセクション418、420のレーキを示す。図4Cに示すパラメータセクション418は、ブレード400のチップ部分404における第1位置に在り、ロール値(下で説明する)は、ゼロ度より大きく90度未満である。図4Dに示すパラメータセクション420は、チップ部分404における第2位置に在り、ロール値は、90度に等しいかこれより大きい。図4C、4Dの例示的実施例において、レーキは、ゼロに等しいXにおける点Aから点BのX座標値Bxまでの距離であり、点Bはパラメータセクション418、420の弦の中点410である。図4E及び4Fは、ブレード400のエキゾースト部分426におけるパラメータセクション422、424のレーキを示す。図4Eのパラメータセクション422は、ブレード400のチップ部分404へ向かう。パラメータセクション424は、エキゾーストルート428へ向かう。図4E、4Fの例示的実施例において、レーキは、ゼロに等しいXにおける点Aから点BのX座標値までの距離であり、点Bは、パラメータセクション422、424の弦の中点410に在る。
【0023】
図30及び31は、レーキ角を図式的に説明し、これは、上に説明する線形のレーキ計測とは異なる。レーキは、回転軸線103の方向のブレードの軸方向スイープ(sweep)である。レーキ値は、ブレードの回転軸線103とブレードのレーキ中線との間の角度が減少するのに連れて増大する。実際には、実レーキ線は、典型的には非線形曲線である。レーキは、軸方向のブレード間分離における決定要因である。
【0024】
図30に示すように、負レーキは、ブレードルート位置に対して前方角度となり、正レーキはブレードルート位置に対して後方角度となる。
【0025】
開示する新規のプロペラは、独自に構成されるインレット及びアウトレットセクションについて固有のレーク値を持つブレードを有する。図30及び31に示す一点鎖線は、任意の所与の設計のための「集合レーキ」が存在することを示す。プロペラは、低レーキ(図30)及び高レーキ(図31)として説明できる。
【0026】
レーキ角は、下記のように計算できる:
レーキ角=アークタンジェント(合計レーキ/ハブからチップまでの半径距離)
ここで、
ハブからチップまでの半径距離=(プロペラ直径-ハブ直径)/2であり、
変位はゼロレーキに対するものである。例示的プロセスにおいて、開始点は、インレットルート又はそのすぐ内側のブレードセクションについてはゼロレーキである。これによってアウトレットルートレーキは非常に高くなる。ルートにおけるレーキの平均をその後計算する。
【0027】
更なる例示的実施形態において、レーキは下記のように計算される:
レーキ角=アークタンジェント(合計チップレーキ-ルートの合計レーキ平均)/ハブからチップまでの半径距離)
【0028】
ブレードセクション又はパラメータセクションは、3Dブレードのセクションカットではなく、ブレードを構成するために使用される各スパン方向ステーションにおけるエアフォイルセクションである。1つの例示的実施形態において、セクションは、米国航空宇宙局(NASA)の前身である米国航空評議委員会(NACA)によって開発された標準セクションに基づいている。標準セクションは、その後、各ステーションに望ましい絶対厚み及びキャンバにするために拡大縮小する。
【0029】
ジオメトリ(特にレーキ及びスキュー)は、いずれのルートからも画定できる。例示的実施形態において、ジオメトリは、インレットから画定される。伝統的に、プロペラジオメトリは、ルート(又はその付近)を基準とし、レーキは、この点から測定され、レーキ角はこの点から測定される。逆に、本明細書において開示するプロペラの実施形態の場合、ジオメトリは、インレットルート(又はその付近)を基準とし、レーキ角はインレットルート及び/又はアウトレットルートの平均から測定される。
【0030】
図5A~Fは、ブレード回転軸線Xに沿って見たブレード400を示す。図5A~Fは、代表的パラメータセクションの半径及びスキュー角を示す。図5A~Fは、概ね、本明細書において説明するブレード又はプロペラのいずれにも応用できる。図5Aは、ブレード400のインテイク部分402におけるパラメータセクション412の半径を示す。図5Bは、パラメータセクション414即ちパラメータセクション412よりインテイクルート406から遠いブレード400のインテイク部分402のパラメータセクション414の半径を示す。図5C及び5Dは、それぞれパラメータセクション418及び420の半径を示し、パラメータセクション418、420は、チップ部分404に在る。図5E及び5Fは、それぞれエキゾースト部分426内に在るエキゾーストパラメータセクション422及び424の半径を示す。インテイク部分402、チップ部分404又はエキゾースト部分426に在るものとするパラメータセクション412、414、418、420、422及び424の位置は、単に論証を容易にするために提示する。実際のパラメータ値及びその結果の流体の流れによっては、セクションの他の位置を画定できる。
【0031】
図5A~Fは、パラメータセクション412、414、418、420、422、424のスキュー角を示す。スキュー角は、弦314の中点410を通過する線から母線(この例示的実施形態においてはハブ軸線103(X軸線)に沿って見たY軸線)からの投射角である。
【0032】
図6A~Dは、スキュー角及び半径を示す他に、図6A~Dの各々において符号が付けられるパラメータセクション対頂角αを示す。図6A~Dは、概略的にプロペラブレードの様々なパラメータを説明し、本明細書において説明するブレード又はプロペラの実施形態のいずれにも応用できる。対頂角は、「リフト角」とも呼ぶこともできる。αは、パラメータセクションが図6A~Dにおいて識別できるスキュー線に対して直角を成す線に対して回転する角度である。上記のスキュー線は、ゼロスキュー線と共にスキュー角を形成する線を意味する。αの値に応じて、パラメータセクションのノーズは、ゼロスキュー線に関してスキュー角を形成するスキュー線に対して直角を成す線から「上昇(lifted)」又は「垂下(droop)」する。この場合、ゼロスキュー線は、図6A~Dにおいて識別される座標系のY軸線と一致する。
【0033】
様々な例示的実施形態を、特性の組合せによって説明する。開示するプロペラは、様々な組合せの特性、要素の同等物を含み、特性の全ては含まない実施形態も含む。
【0034】
図7A~Fは、様々なパラメータセクションのピッチ角の概略図である。ピッチ角は、ブレード全体で変化し、最高値はインテイク及びエキゾーストルートにおいて生じる。
【0035】
個別に又はデュオプロペラを成形するために組合せで使用できるシングルプロペラの実施形態について説明する。
【0036】
図8A、8Bは、以後「タイプ1」プロペラと呼ぶプロペラ500を示す。図8A、8Bは、それぞれ斜視図及び前端から見た図である。図9A、9Bは、「タイプ2」プロペラと呼ぶプロペラ600を示す。図9A、9Bは、それぞれ斜視図及び前端から見た図である。
【0037】
図10~13は、CRプロペラ100などのCRプロペラを形成するためのプロペラの例示的組合せを示す。CRプロペラの各々は、図1に示す一般的CRプロペラ100において識別される部品を持つ。これらの部品は、少なくとも部分的に、前方プロペラ102、後方プロペラ104、ブレード106a、106b、106c、ブレード108a、108b、108c、後縁110、前縁112及びプロペラ軸線103を含む。CRプロペラ100は、タイプ1プロペラ500とタイプ2プロペラ600の組合せから形成でき、タイプ1プロペラ500は、図10に示すように、タイプ2プロペラ600の後方に位置付けられる。前方プロペラは、高レーキ(R2)を持ち、後方プロペラは最小レーキR0を持つ。図11は、別の例示的CRプロペラ100を示し、この場合には、タイプ1プロペラ500は、タイプ2プロペラ600の前方に位置する。図11の前方プロペラ及び後方プロペラの両方は、高レーキR2を持つ。又は、CRプロペラ100は、図12に示すように2つのタイプ2プロペラ600の組合せから形成でき、後方プロペラ及び前方プロペラの両方は、高レーキR2を持つか、又は図13に示すように、2つのタイプ1プロペラ500から成り、前方プロペラは高レーキR2を持ち、後方プロペラは低レーキR0を持つ。タイプ3ブレードの形状も、図示しないが実現可能である。図示はしないが、T1及びT2のR0、R1及びR2変形の全て及び前方と後方位置の全ての置換を含意する。T3ブレード形式も実現可能である。
【0038】
図14、15及び16は、それぞれタイプ1、タイプ2及びタイプ3プロペラを示す。各プロペラブレードのルートを通過する線は、ブレードによって生成されるウェークの方向を示す。
【0039】
図14に示すように、タイプ1プロペラ500のブレードは、アウトレットルートセクション504の軸方向に前方にかつ回転方向に前方に位置付けられたインレットルートセクション502を持つ。タイプ1のインレットブレードウェーク506とアウトレットブレードウェーク208の流路は、実質的に平行であり、相互に交差する傾向を持たない。後尾ウェークは、ブレードのアウトレット部分を流れる水に大きい影響を持つので、特にこの種のプロペラにとって重要である。アウトレット部分は、インレット後縁から出て来るウェークシートの中で又はその非常に近くで作動するように設計される。インレット後縁から出るウェークシートに対するアウトレット部分の配置は、位置が他の設計要件と均衡をとれる範囲までプロペラの性能を最適化するように選択される。例示的実施形態において、用途固有のプロペラは、タイプ1、タイプ2又はタイプ3などのプロペラのタイプを選択することによって作られる。選択されたタイプが、インレットルートとアウトレットルートを相互に対してハブ上のどこに位置付けるかを決める。例えば、タイプ1プロペラの場合、アウトレットルートは、図14に示すようにインレットルートの延長弦線に近くなる。更なる実施例において、タイプ3プロペラ(下で説明する)の場合、アウトレットルートは、図16に示すように、インレットルーツとほぼ同じ軸方向位置にあり、延長弦線付近にはない。
【0040】
図15に示すように、タイプ2プロペラ600は、ハブ610上でアウトレットルートセクション604とほぼ同じ軸方向位置付近に配置されかつ回転的にはアウトレットルートセクション604の背後にあるブレードルートセクション602のインレットセクションを有する。タイプ1プロペラ500と同様、タイプ2プロペラの場合、インレットブレードウェーク606とアウトレットブレードウェーク608の流路は、実質的に平行であり、相互に交差する傾向を持たない。タイプ1とタイプ2プロペラの相違は、ブレードルートの軸方向の位置に関係する。後尾ウェークは、アウトレットセクションがインレットセクション後尾ウェーク付近では作動しないので、このプロペラタイプの場合それほど重要ではない。タイプ2プロペラ600の場合、チップの設計が、インレット後縁から出るウェークシートに関してアウトレット部分の配置に優先する。
【0041】
従来のCRプロペラにおいて、前方プロペラの直径は後方プロペラより大きく、ブレードの数が異なる。本明細書において開示するプロペラの場合、前方プロペラと後方プロペラは、同じ直径、異なる直径、同じ数のブレード又は異なる数のブレード又はこれらの組合せを持つことができる。直径差の例示的範囲として、後方プロペラは前方プロペラの80%~100%の範囲の直径を持つ。別の例示的範囲において、後方プロペラは前方プロペラの100%~130%の範囲の直径を持つ。非円筒形ハブを考慮すると、直径差の例示的範囲は、前方プロペラの33%~100%の範囲の直径を持つ後方プロペラを含む。更なる例示的範囲において、後方プロペラは、前方プロペラの100%~175%の範囲の直径を持つ。
【0042】
プロペラの性能を最適化するための主要パラメータは、プロペラ間のブレード-ブレード距離Dである。これは、前方ブレードの後端110から後方ブレードの前縁112までハブ軸線に対して平行に計測される。後方プロペラのブレードは、両方のプロペラが反対方向に回転するとき前方プロペラのブレードから離れていなければならない。更に、軸方向のブレード-ブレード距離Dは、他のパラメータと共に、効率に影響を及ぼす。特定の実施形態において、最適なのは、ブレード-ブレード距離が可能な限り小さいことであり、限定要因は衝突を防止するための最小許容差である。
【0043】
別の重要なプロペラのパラメータは、エンジン構成及び船体アーキテクチャに適合するためにブレード及びハブに必要とされる軸方向長さ及びスペースである。プロペラに必要とされる長さ及びスペースは、舵の後方配置及び船体及びシャフトベアリングへの前方近接によって制約される。更に、システムの全体長さは、アンチベンチレーションプレートの位置及び長さによって制約される場合がある。
【0044】
他の主要パラメータは、レーキ及びスキューであり、これらは、本発明の反転プロペラを創生するためにブレードの各スパン方向の部分について選択される。
【0045】
開示するプロペラタイプは、反転システムにおける標準的プロペラより制約が少ない。例えば、3枚ブレードループプロペラの下流ウェークシステムは、6枚ブレードプロペラのもっと弱い下流ウェークシステムと同様に作用し、これは、後方プロペラのブレードがもっと小さいウェーク極値を持つので、典型的に好ましい(より弱い6枚対より強い3枚)。
【0046】
開示するプロペラは、チップ部分が必要とされるトルクを減少するので、効率を改良する。チップは、又、内側部品がより大きい推力又はより小さいトルクを生じることによってより効率的であるようにブレードの内側部品への水流を変化する。
【0047】
プロペラ100及びプロペラ500、600の組合せは、図において全て前方プロペラ及び後方プロペラの各々に3枚のブレードを持つ。上述のように、ブレードの数は、3枚より大きくても良い。更に、後方プロペラのブレードの数は、前方プロペラと異なっても良い。例えば、前方プロペラのブレードの数は、2、3、4、5、6及び7枚から選択でき、後方プロペラのブレードの数は、2、3、4、5、6及び7枚から選択できて、前方プロペラのブレードの数と後方プロペラのブレードの数の任意の組合せが可能である。本発明の反転プロペラは、例えばタイプ1プロペラ500又はタイプ2プロペラ600の任意の組合せ、任意のブレードの数及び様々な直径の組合せのブレード又はプロペラスタイルを含むことができる。
【0048】
本発明のCRプロペラは、下記のような固有のパラメータを持つ:
・ブレードのインレット部分とアウトレット部分の相互に対する位置
・ブレードの各要素即ちインレット、チップ/ループ領域、アウトレット、のスキュー及びレーキ
【0049】
デュオプロペラの例示的実施形態において、ブレード後尾ウェークの場所及び強さは、プロペラに対する所望の力を達成するために選択される。
【0050】
図16に示すように、タイプ3プロペラ700の場合、インレットルートセクション702は、アウトレットルートセクション704の軸方向前方に位置付けられる。インレットルートウェーク706は、アウトレットウェーク708と交差するか又はブレード自体のアウトレット部分と交差できる。水流は、図14~16において上から下へ流れ、ウェークは水と一緒に流れる。図16において、インレットルート702から出て来るウェークは、アウトレットルート704の右を通過する。アウトレット(下部左尖点)からのウェークは、更に下へかつ左へ流れる。
【0051】
図17は、右回り右ループプロペラを示し、タイプ1、タイプ2及びタイプ3プロペラ500、600、700のインレットルートの可能な様々な位置を示す。本明細書において使用する場合、右回りプロペラは、前進位置で右回りに回転する。右回り回転は、船の後から見たときのものである。アウトレットルートのウェークも、線120、122、124によって示す。それぞれインレットルート502、602によって発生するウェーク506、606は、タイプ1及びタイプ2プロペラのアウトレットルート504、606によって発生するウェーク508、608に対して実質的に平行である。タイプ3ブレードインレットルートによって発生するウェーク706は、アウトレットブレードルート404によって発生するウェーク408と交差する。
【0052】
デュオプロペラの場合、前方プロペラからの後尾ウェークの強さは、軸方向の加速及びスワールによって後方プロペラに大きく影響する。後方プロペラは、典型的に、軸方向加速によって前方プロペラへの影響は小さい。後方プロペラが前方プロペラとは反対の方向に回るとき、前方プロペラの後尾ウェークに対して相対的に同じ位置において作動するとは限らないので、ウェークの場所はそれほど重要ではない場合がある。
【0053】
デュオプロペラの実施形態は、従来のプロペラに比べて旋回作用を増し、後方プロペラが前方プロペラの流出の旋回流から失われるエネルギーを捕捉するための能力を強化する。後方プロペラは、システムの性能全体を改良するためにこの流出を利用するように構成される。前方プロペラによって発生するスワールエネルギー量は、部分的に、プロペラブレードのチップの負荷によって決まる。従来のプロペラと異なり、チップ付近の実現可能な負荷量は、抗力を生じる可能性があるチップ渦の生成によって制限されない。これは、ほとんど又は全く渦の無いチップ部分を持つループブレードを創生するレーキ及びスキューを与えることによって達成される。更に、開示するプロペラ設計は、前方プロペラによって発生する流体の流れによる後方プロペラへの干渉を小さくする。したがって、前方プロペラと比べた後方プロペラの直径に対する標準的制限は適用されない。これによって、後方プロペラは、前方プロペラより大きい又はこれに等しい直径とすることができるが、デュオプロペラは、後方プロペラと前方プロペラが同じ直径を持つ場合従来のデュオプロペラより効率的に有利となる。
【0054】
プロペラの例示的実施形態において、スワールエネルギーの発生及び回収は、主にピッチ及びキャンバ又はキャンバ/コードによって制御される。チップにおけるループ形状も、スワールエネルギーの発生及び回収に寄与できる。ピッチ角の例示的範囲は、0~+75度であり、キャンバ/コードの例示的範囲は、-0.2~+0.2である。概略的に、ピッチ角及び/又はキャンバが大きければ、それだけ負荷は大きい。本明細書において記すように、チップ形状は、主に、一緒に作用するスキュー及びレーキによって説明される。
【0055】
プロペラの例示的実施形態において、インレットルート及びアウトレットルートは、プロペラ強度を最適化するように位置付けられ、インレット及びアウトレットブレードセクションの他の部分及びチップ部分の設計パラメータは、効率などの性能に集中する。シングルプロペラの場合、ルートは、構造的無欠性を改良又は最大化するために応力マージンを増大するように配置できる。ルート配置によって応力マージンを改良することによって、ブレードの他の部分の設計は、例えばこれらの部分のパラメータが構造的無欠性を最大化しない場合でも、より高い効率に集中できる。言い換えると、構造的無欠性は、ルート配置において優先され、流体力学的性能は、プロペラブレードの他の部分において強化される。
【0056】
2枚プロペラ-ブレードルート(前方プロペラのアウトレットと後方プロペラのインレット)の相対位置は、位置に対応するために他のプロペラパラメータを必要とする場合しか流体的学的に効果を持たない。但し、従来のプロペラの場合、ルートにおいて高い応力を持つ。タイプ1及びタイプ2プロペラの形状は、このような応力を小さくして、典型的には従来のプロペラより基本的に強くする。
【0057】
付加的パラメータは、シャフト軸線に対する各ブレードセクションのノーズ-テイル線向きを定める対頂角及びハブに対するブレードセクションの向きを定めるロール角である。例示的実施形態において、ロール角は、インレットルートにおいてほぼ0度、チップにおいてほぼ90度、アウトレットルートにおいてほぼ約180度である。
【0058】
レーキ、スキュー、対頂角及びロール角は、一緒にループ形状を作る。その結果のプロペラ実施形態のループ形状は、チップにおいてキャビテーションを減少するので、従来のプロペラよりエネルギー損失を減らす。開示するプロペラは、従来のプロペラよりチップ付近でより大きい推力を発生する。チップにおける付加的負荷は、より効率的なプロペラを創生する。
【0059】
開示するデュオプロペラのプロペラは、後方プロペラのインレットの前縁がほぼ前方プロペラのアウトレットの後端に従うように重なり合う。
【0060】
本発明の例示的実施形態に従ったデュオプロペラの後方プロペラは、前方プロペラによって生成された水の加速を考慮したパラメータを持つ。これに加えて、前方プロペラは、後方プロペラによって生じた水の加速を考慮に入れたパラメータに基づいて作られる。
【0061】
タイプ1、タイプ2及びタイプ3プロペラ及びCRプロペラの前方又は後方プロペラに使用できるその他のプロペラの主要パラメータの例示的範囲は下記の通りである。スキューの例示的範囲は、-135度~+135度である。更なる例示的範囲は、-120度~+120度である。
【0062】
レーキの例示的範囲は、-0.9OD~+0.9ODである。更なる例示的範囲は、-0.7OD~+0.7ODである。更に別の例示的範囲は、-0.5OD~+0.5ODである。
【0063】
レーキ角(図30及び31の一点鎖線によって示すインレット及びアウトレットルートの平均から計測)の例示的範囲は、-60度~+60度である。更なる例示的範囲は、-45度~+45度である。図30及び31は、それぞれ低レーキ角及び高レーキ角を示す。ゼロレーキは、ここでは「中立レーキ」と呼ぶ。図23において、中立レーキの両側に正及び負のレーキ角を示す。一点鎖線は、この特定のプロペラのレーキ角度値を示す。同様に、図24は、異なるプロペラのレーキ角を示す。
【0064】
一般的レーキ角は、低レーキ、高レーキ、中レーキ及び負レーキと呼ぶことができる。低レーキは、例えば0~15度、中レーキは例えば15~30度、高レーキは例えば30~45度又はそれ以上である。例示的実施形態において、負レーキはゼロ~-45度である。対頂角の例示的範囲は、-60度~+60度を含む。更なる例示的範囲は-45度~+45度である。
【0065】
本発明の例示的実施形態において、レーキは、インレットルートからプロペラチップ部分まで増大する。レーキは、チップからアウトレットルートまで増大あるいは減少できる。同様に、例示的実施形態において、スキューは、インレットルートからチップまで増大する。
【0066】
レーキ及びスキューの両方は、チップへ向かって増大する前にインレットルートから僅かに低下する場合があり、平均として、インレットルートからチップ部分まで増大する。同様に、スキューは、当初、ルートから始まって減少する場合がある(但し、チップへ向かって増大する前に)。いずれの場合にも、これらの例示的実施形態において、平均として、スキュー及び/又はレーキは、ルートからチップまで増大する。
【0067】
図18A~Cは、タイプ1、タイプ2及びタイプ3ブレードタイプ500、600、700のブレードループ方向及びブレードレーキタイプを付加的な詳細と共に示す。図示するプロペラ500、600、700は、右回り回転、右回りループ方向及び低レーキ(R0)を持つ。図において「上」は「前方」である。左回りプロペラ回転の場合、図示する全てのプロペラは、回転軸線に対して鏡像となる。
【0068】
図18Aにおいて、タイプ1インレットウェーク506とタイプ1アウトレットウェーク508は交差せず、インレットルート502とアウトレットルート504は、ハブ510の長さに沿って異なる位置に即ち異なる軸方向レベルに位置付けられる。図18Bに示すように、タイプ2インレットウェーク606とタイプ2アウトレットウェーク608は交差せず、インレットルート602とアウトレットルート604は、ハブの長さに沿って同じ位置に即ち同じ軸方向レベルに在る。図18Cに示すように、タイプ3インレットウェークとタイプ3アウトレットウェークは交差し、インレットルート702とアウトレットルート704は、ハブ710の長さに沿って異なるレベルに即ち異なる軸方向位置に在る。
【0069】
図19A、19Bは、タイプ1プロペラのブレードループ方向を示す。この場合にも、プロペラ回転は右回りであり、上は前方であり、全てがR0即ち低レーキを持つ。右回りループを持つタイプ1プロペラ500は、アウトレットルート504の右にインレットルート502を示す。タイプ2プロペラ600の場合、インレットルート302とアウトレットルート304は同様の軸方向位置を持つので、右回りループと左回りループとの間に大きな違いはない。左回りループを持つタイプ1プロペラ500は、アウトレットルート504の左にインレットルート502を持つ。
【0070】
図20A、20Bは、レーキタイプ(低あるいは高)を図解する。他の場所ではレーキ範囲を低、中または高として類別したが、ここではレーキは低と高だけに分類し、低レーキは例えば0~25度であり、高レーキは例えば25~45度である。低レーキR0を図20Aに示し、平均レーキ角の例示的実施例を図示する。レーキ値R0.5、R1.0、R1.5などが、他の可能なレーキ値である。図20Bは、高レーキR2の例を示す。タイプ1プロペラ500、タイプ3プロペラ600及びタイプ4プロペラ400の例示的変形には下記のものがある:
・タイプ1R0左回りループ
・タイプ1R0右回りループ
・タイプ1R2左回りループ
・タイプ1R2右回りループ
・タイプ2R0
・タイプ2R2
・タイプ3R0左回りループ
・タイプ3R0右回りループ
・タイプ3R2左回りループ
・タイプ3R2右回りループ
右回りプロペラは、左回りプロペラを創生するするために(又はその逆)鏡像とすることができる(ループ方向も鏡像となる)。
【0071】
デュオプロペラは、上記のプロペラタイプの任意の組合せで構成できる。選択される組合せは、部分的に、2つのプロペラの両立性又はこれらを組み合わせることの性能上の効果によって選択される。
【0072】
例示的命名は、個々のブレードセクションのレーキ値とは関係なく、ブレード全体の正味レーキを表す規模によって総体的にレーキを分類するためのものである。命名は、集合的レーキの最小量についてはR0であり、レーキ値が大きくなるとR1、R2などとなる。図30は、R0として指定される比較的低いレーキを持つプロペラを示す。図31は、R2として指定される比較的高いレーキを持つプロペラを示す。0~2の数値は、R0について示されるものとR2として示されるものとの間のレーキ値を示す。
【0073】
図21A、22Bは、CRプロペラの断面図であり、両方のプロペラを回転させるために採用できる例示的ギア組立体を示す。ギア組立体は、単一のモーターによって駆動され、CRプロペラの2つのプロペラに逆回転運動を与える。
【0074】
図22は、船外及び船尾に使用できる貫通ハブエキゾーストプロペラ900を示す。開示するプロペラのいずれも、貫通ハブを持つことができる。貫通ハブエキゾーストプロペラ900は、ブレード906a、906b及び906cを取り付ける円筒形バレル904から成る貫通ハブ902を持つ。これによって、排気はバレル904を通過して流れることができ、バレルの後端908から出るので、ブレード906a、b、cの周りを及びこれを通過して流れる水に干渉しない。貫通ハブエキゾーストプロペラ900は、CRプロペラのコンポーネントとすることができる。本明細書において開示するブレード構成は、非貫通ハブエキゾーストプロペラ、オーバーハブエキゾーストプロペラ及びオーバー/貫通ハブエキゾーストプロペラにも使用できる。全ての反転プロペラが排気に関与するわけではない。大型の船及びポッドドライブシステムの場合、排気流のための装置はない。穿孔背板はプロペラの一部ではない。
【0075】
例示的プロペラの形式は、下記のものを含む:
・船外:φ15”及び3枚ブレードを持つ
・フレイター:3枚ブレードを持つφ9.8m
・鉛直軸線の周りで回転するためにプロペラがモーターシャフトに直接接続されるアジマススラスタ(ABB社のAZIPOD(登録商標)など):φ3.3m及び3枚ブレードを持つ
・モーターヨット:φ31”及び4枚ブレードを持つ
ブレードの例示的数を上に示すが、各形式は、2、3、4又は5枚のブレードを持つことができる。ピッチ及びブレード面積比率値は、固有の使用及び性能要件に応じて変動し得る。
【0076】
プロペラの用途は、小型又は船外モーター用に限定されない。
【0077】
特定の特殊性の程度で好ましい形式の特定の実施形態について説明し、例証するが、説明及び例証は例としてのみ行う。構成の細部、組合せ、部品の配列及び作動には多数の変更を加えることができる。本発明の実施形態は、各々要素の様々な組合せを持つことができる。本発明は、開示する要素の様々な組み合わせ、いくつかの要素の省略又は要素とこれらの構造体の同等物との置換を含む。したがって、これらの変更は、請求項によって画定する保護範囲である本開示の範囲内に含まれることを意図する。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8A-8B】
図9A-9B】
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図18C
図19A
図19B
図20A
図20B
図21A
図21B
図22
図23
図24
図25
【手続補正書】
【提出日】2023-12-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
23及び24は、レーキ角を図式的に説明し、これは、上に説明する線形のレーキ計測とは異なる。レーキは、回転軸線103の方向のブレードの軸方向スイープ(sweep)である。レーキ値は、ブレードの回転軸線103とブレードのレーキ中線との間の角度が減少するのに連れて増大する。実際には、実レーキ線は、典型的には非線形曲線である。レーキは、軸方向のブレード間分離における決定要因である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
23に示すように、負レーキは、ブレードルート位置に対して前方角度となり、正レーキはブレードルート位置に対して後方角度となる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
開示する新規のプロペラは、独自に構成されるインレット及びアウトレットセクションについて固有のレーク値を持つブレードを有する。図23及び24に示す一点鎖線は、任意の所与の設計のための「集合レーキ」が存在することを示す。プロペラは、低レーキ(図23)及び高レーキ(図24)として説明できる。

【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0063】
レーキ角(図23及び24の一点鎖線によって示すインレット及びアウトレットルートの平均から計測)の例示的範囲は、-60度~+60度である。更なる例示的範囲は、-45度~+45度である。図23及び24は、それぞれ低レーキ角及び高レーキ角を示す。ゼロレーキは、ここでは「中立レーキ」と呼ぶ。図23において、中立レーキの両側に正及び負のレーキ角を示す。一点鎖線は、この特定のプロペラのレーキ角度値を示す。同様に、図24は、異なるプロペラのレーキ角を示す。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
図20A、20Bは、レーキタイプ(低あるいは高)を図解する。他の場所ではレーキ範囲を低、中または高として類別したが、ここではレーキは低と高だけに分類し、低レーキは例えば0~25度であり、高レーキは例えば25~45度である。低レーキR0を図20Aに示し、平均レーキ角の例示的実施例を図示する。レーキ値R0.5、R1.0、R1.5などが、他の可能なレーキ値である。図20Bは、高レーキR2の例を示す。タイプ1プロペラ500、タイプ3プロペラ600及びタイプ4プロペラ400の例示的変形には下記のものがある:
・タイプ1R0左回りループ
・タイプ1R0右回りループ
・タイプ1R2左回りループ
・タイプ1R2右回りループ
・タイプ2R0
・タイプ2R2
・タイプ3R0左回りループ
・タイプ3R0右回りループ
・タイプ3R2左回りループ
・タイプ3R2右回りループ
右回りプロペラは、左回りプロペラを創生するために(又はその逆)鏡像とすることができる(ループ方向も鏡像となる)。

【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
例示的命名は、個々のブレードセクションのレーキ値とは関係なく、ブレード全体の正味レーキを表す規模によって総体的にレーキを分類するためのものである。命名は、集合的レーキの最小量についてはR0であり、レーキ値が大きくなるとR1、R2などとなる。図23は、R0として指定される比較的低いレーキを持つプロペラを示す。図24は、R2として指定される比較的高いレーキを持つプロペラを示す。0~2の数値は、R0について示されるものとR2として示されるものとの間のレーキ値を示す。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0073】
図21A21Bは、CRプロペラの断面図であり、両方のプロペラを回転させるために採用できる例示的ギア組立体を示す。ギア組立体は、単一のモーターによって駆動され、CRプロペラの2つのプロペラに逆回転運動を与える。
【国際調査報告】