(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-02
(54)【発明の名称】高エネルギーレーザの光学サブシステムにおける熱ブルーミングを低減するための装置、及び方法
(51)【国際特許分類】
H01S 3/04 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
H01S3/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564641
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(85)【翻訳文提出日】2023-10-25
(86)【国際出願番号】 US2022022483
(87)【国際公開番号】W WO2022225663
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520128820
【氏名又は名称】ノースロップ グラマン システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リープマン、ティル、ダブリュー.
【テーマコード(参考)】
5F172
【Fターム(参考)】
5F172NS01
(57)【要約】
高エネルギレーザー(HEL)の光学サブシステム内の熱ブルーミングを減少させるための装置は、第1の濃度の二原子酸素を含む第1の流体を受け取る流体ポンプと、前記第1の流体を燃焼させて二原子酸素を含む第2の流体を第2の濃度で生じさせる燃焼室とを備え、前記第2の濃度は前記第1の濃度よりも低く、前記第2の流体は前記HELの前記光学サブシステムに供給される。光学サブシステムを有するHELを動作させる方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二原子酸素(diatomic oxygen)を含む第1の流体を第1の濃度で受け取る流体ポンプと、
前記第1の流体を燃焼させて二原子酸素を含む第2の流体を第2の濃度で生じさせる燃焼室と、を備え、
前記第2の濃度が前記第1の濃度よりも低く、前記第2の流体が高エネルギーレーザ(HEL)の光学サブシステムに供給される、HELの光学サブシステムにおける熱ブルーミングを減少させるための装置。
【請求項2】
前記燃焼室と前記光学サブシステムとの間に流体連通する流体フィルタ/乾燥装置をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記流体フィルタ/乾燥装置は、フィルタ装置及び少なくとも1つの乾燥装置のうちの少なくとも1つを含み、前記第2の流体は、フィルタ装置及び少なくとも1つの乾燥装置のうちの少なくとも1つと作用する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の流体が空気である、請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記流体ポンプが空気ポンプである、請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記燃焼室が触媒燃焼室である、請求項1記載の装置。
【請求項7】
燃料貯蔵槽と制御弁をさらに備え、前記制御弁が前記燃焼室と前記燃料貯蔵槽に結合されている、請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記燃料貯蔵槽内の燃料をさらに含む、請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記燃料が任意の気体又は液化炭化水素である、請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記装置は、配設方向に敏感ではない、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
二原子酸素を含む第1の流体を第1の濃度で燃焼室に供給するステップと、
前記燃焼室内で前記第1の流体を燃焼させて、二原子酸素を含む第2の流体を前記第1の濃度よりも低い第2の濃度で生じさせるステップと、
前記第2の流体を高エネルギーレーザ(HEL)の光学サブシステムに供給するステップと、
を含む、光学サブシステムを有するHELを動作させる方法。
【請求項12】
前記第2の流体を、前記燃焼室と前記光学サブシステムとの間の流体連通状態にある流体フィルタ/乾燥装置に前記第2の流体を移送するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の流体が空気である、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記燃焼室が触媒燃焼室である、請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記燃焼装置と流体連通状態にある制御システムを作動させる(engaging)ステップをさらに含み、前記HELのための前記制御システムの入力が準備完了状態である、請求項11記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本主題は、概して、高エネルギーレーザ(high energy laser:HEL)に関し、より詳細には、HELの光学サブシステム内の熱ブルーミングを低減するための装置、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空中であれ、陸上であれ、海上であれ、HELは、ある距離にある物体を正確に射撃する能力を提供する。運用中のHELの有効性は、HELの光学サブシステムにおいて開発されたHELビーム品質に大きく依存する。一般的に、HELの「準備完了」状態の実施に先立って、清浄乾燥空気(clean dry air:CDA)が光学サブシステムに導入される。CDAによる光学サブシステムのパージは、光学サブシステム内に陽圧を維持し、その中への汚染物質の導入を低減又は防止する。しかしながら、実現可能ではあるが、CDAは、「熱ブルーミング」として知られる現象をもたらす量の二原子酸素(diatomic oxygen)を含むため、HELの照射中のパージング剤としては一般に使用されていない。この現象は、熱を発生させる二原子酸素によるHELエネルギーの吸収、及びレーザービームの望ましくない歪みをもたらす。熱ブルーミングを最小化/防止する1つの方法は、レーザ照射の直前及び最中に光学サブシステムに導入されるガス中の二原子酸素の少なくとも一部の代わりに窒素を使用することであり、その結果、二原子酸素の濃度が減少し、窒素によって置換される。効果的ではあるものの、窒素の使用は他の問題を伴っている。まず、窒素は容器に保管され、HELと共に輸送される必要がある。一般的に、窒素容器は車両によって、又はHELが設置されているプラットホームの上又は隣接して運ばれ、デポ充填所で補充しなければならず、これは遠方又は遠隔運用の場合に問題となる可能性がある。現行の窒素容器は、HELの運用上の使用を約3日に制限する可能性がある。一旦、窒素が容器から排出されると、HELは、容器が補充されるまでは、せいぜい効果が低下した状態でしか動作させることができない。さらに、高圧窒素容器は、時間の経過とともに劣化し、その内容物が予期せぬ形で放出され、作業員を傷つける可能性がある発射体を作り出し得る。さらに、高圧窒素容器からのゆっくりした漏れでさえも、オペレータの窒息の可能性を生み出す可能性がある。
【0003】
窒素の代替として、パージ流体として窒素の代わりに酸素欠乏ガスを使用することができる。酸素欠乏ガスは、多数の化学的又は分子的分離システムを用いて発生させることができるが、適切に動作させるためには重力に対してシステムを方向付ける必要があるため、移動式用途においては現在不利である。加えて、化学分離システム又は分子分離システムは、典型的には、大きくて重く、また動作させるためにはかなりの電力を必要とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様によれば、HELの光学サブシステム内の熱ブルーミングを減少させるための装置は、第1の濃度の二原子酸素を含む第1の流体を受け取る流体ポンプと、第1の流体を燃焼させて二原子酸素を含む第2の流体を第2の濃度で生じさせる燃焼室とを備え、第2の濃度は第1の濃度よりも低く、第2の流体はHELの光学サブシステムに供給される。
【0005】
他の態様によれば、光学サブシステムを有するHELを動作させる方法は、二原子酸素を含む第1の流体を第1の濃度で燃焼室に供給するステップと、燃焼室内で第1の流体を燃焼させて、二原子酸素を含む第2の流体を第1の濃度よりも低い第2の濃度で生じさせるステップと、第2の流体をHELの光学サブシステムに供給するステップと、を含む。
【0006】
他の態様及び利点は、以下の詳細な説明、及び添付の図面を考慮すると明らかになるであろう。ここで、同様の符号は、本明細書全体を通して同様の構造を示すものとする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、脱酸素装置及びHELの光学サブシステムを含む例示的なシステムのブロック図である。
【
図2】
図2は、一実施形態による例示的方法を実施するため
図1の制御システムによって実行されるプログラミングのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1を参照すると、流体供給システム100は、脱酸素流体をHEL106の光学サブシステム104に供給する脱酸素装置102を含む。より詳細には、脱酸素装置102は、制御システム108、流体ポンプ110、及び好ましくは触媒燃焼室である燃焼室112を備える。システム102は、好ましくは、少なくとも1つのフィルタ装置及び少なくとも1つの乾燥装置を含む、燃料貯蔵槽114、制御弁116、及び流体フィルタ/乾燥装置118を更に含む。さらなる管路、弁、フィルタ/乾燥装置、及び他の器具(図示せず)が、システム100において使用されてもよい。
【0009】
図1に例示するように、脱酸素装置102の制御システム108は、流体ポンプ110、燃焼室112、制御弁116、及びHEL106に結合されている。また、燃焼室112は、流体ポンプ110、制御弁116の導出ポート、及び流体フィルタ/乾燥装置118に結合される。制御弁116は、燃料貯蔵槽114に結合された導入ポートをさらに備えており、燃料は制御弁116を介して燃料貯蔵槽114から燃焼室112に制御可能に移送されうる。さらにまた、流体フィルタ/乾燥装置118は、HEL106の光学サブシステム104に結合される。有利には、脱酸素装置102は、使用中の向き、衝撃、振動、又は湿度レベルの変化に対して比較的敏感ではない。
【0010】
HEL106の動作時に、制御システム108は、自動信号装置又はユーザ操作信号装置119、120、及び122によって供給される信号によって決定される、待機状態、準備完了状態、及び照射状態のうちの1つにおいて種々の構成要素を作動させる。待機状態119は、HEL106が運用可能であるもの、使用準備ができていないか又は使用されていないときに、デフォルト状態として実施される。準備完了状態120は、HEL106が即時照射の準備ができているときに運用可能である。照射状態122は、HEL106からのレーザービームの照射中に運用可能である。
【0011】
より詳細には、待機状態での操作中、制御システム108は、流体ポンプ110を作動させて、第1の流体を流体ポンプ110の外部から引き込み、第1の二原子酸素濃度を有する第1の流体を燃焼室112に移送する。燃焼室は、待機状態での運用中に非作動とされ、第1の流体が流体フィルタ/乾燥装置118に移送され、第1の流体を清浄にし、乾燥させる。清浄かつ乾燥された第1の流体は、次に、光学サブシステム104に供給され、汚染物質のHELビーム経路をパージする。一実施形態において、流体ポンプ110は周囲空気を汲み出す空気ポンプである。空気ポンプの流量は、HEL106内のパージ容積1.00L当たり約0.25L/分から1.00L/分、より好ましくは約0.50L/分から1.00L/分、最も好ましくは1.00L/分であってもよい。
【0012】
準備完了状態での運用中、制御システム108は、流体ポンプ110を作動させて、第1の流体を流体ポンプ110の外部から吸い込み、第1の流体を燃焼室112に移送する。流体ポンプの流量は、HEL106内のパージ容積1.00L当たり約0.25L/分から1.00L/分、より好ましくは約0.50L/分から1.00L/分、最も好ましくは1.00L/分であってもよい。制御システムは燃焼室112を作動させて燃焼室112内の第1の流体を燃焼させる。一実施形態によると、燃焼室サイズはHELパージ容積の約5%である。燃焼室112に供給される第1の流体は、第1の濃度の二原子酸素を含む。一実施形態では、第1の流体における二原子酸素の第1の濃度は約19.5%から23.5%、好ましくは約21%である。さらに、制御システム108は制御弁116を開位置に作動させ、その開位置では、燃料貯蔵槽114内に位置する燃料が燃料貯蔵槽114から制御弁116を介して燃焼室112に移送される。一実施形態において、制御弁116を通る流量は、前記HEL106内のパージ容積1.00L当たり約6.25×10-5L/分から2.50×10-4L/分であり、より好ましくは約1.25×10-4L/分から2.50×10-4L/分であり、最も好ましくは2.50×10-4L/分である。燃焼室112内での第1の流体の燃焼は、第2の流体内の二原子酸素の濃度が第1の流体内の二原子酸素の濃度よりも低い二原子酸素の第2の濃度を含む、第2の脱酸素流体を急速に生じさせる。一実施形態において、第2の流体は、二原子酸素を約0%から約67%少なく、さらに好ましくは二原子酸素を約33%から67%少なく含有してもよい。第2の流体は、流体フィルタ/乾燥装置118に移送されて作用し、この装置は、第2の流体に含まれる可能性がありかつHELビームを歪ませる可能性のある一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、未燃燃料などの燃焼副産物を減少させる。一実施形態では、流体フィルタ/乾燥装置118は、20μmを超える汚染物を除去し、露点を約100℃から約-40℃、最も好ましくは約-40℃に低減することができる。流体フィルタ/乾燥装置118を出ると、第2の流体が光学サブシステム104に供給されて、光学サブシステム104のHELビーム経路がパージされる。
【0013】
光学サブシステム104のビーム経路を第2の流体でパージすると、制御システム108は、HEL106を照射状態で動作させて、光学サブシステム104を通してレーザービームを照射することができる。実施形態において、HELビームは、直径が約1cmから約10cmであり、約10,000Wから約1,000,000Wのピーク電力を生成し得る。より低い二原子酸素濃度を有するビーム経路内の第2の流体は、二原子酸素によるHELビーム歪みの量を減少させ、その結果、HEL106のビーム経路内の熱ブルーミングが少なくなり、HELビーム品質が高くなる。二原子酸素の相対的還元は、HEL106からのHELビームの照射中の熱ブルーミングの相対的還元に比例する。例えば、熱ブルーミングの相対的還元は1-(SFO/FFO)2に等しく、SFOは第2の流体の二原子酸素濃度であり、FFOは第1の流体の二原子酸素濃度である。第1の流体が約21%の二原子酸素を含み、第2の流体が約14%の二原子酸素を含む一実施形態では、熱ブルーミングにおける相対的還元は約56%である。
【0014】
一実施形態では、熱ブルーミングの相対的置換をさらに促進できるが、それは燃焼室112が触媒燃焼室であるときである。一般に、触媒燃焼システムは、一酸化炭素や未燃燃料のような炭化水素放出を減少させるために、プラチナのような金属を組み込んでいる。触媒燃焼室112内の燃焼は、第2の流体を生じさせ、加熱するが、無炎雰囲気である。一実施形態では、触媒燃焼室112は、第2の二原子酸素濃度及び熱量を有する第2の流体を生じさせる。別の実施形態において、プロパンが燃料貯蔵槽114に格納され、触媒燃焼室内の燃焼プロセスにおいて燃料として使用される。この実施形態では、第2の流体の二原子酸素濃度は約8.8%に低減され、熱ブルーミングは約82%低減される。一般に、脱酸素装置102は熱ブルーミングを約10%から約82%、最も好ましくは約82%減少させる。
【0015】
一実施形態では、燃焼プロセスは、運用可能性を高めるための燃料消費を最小限に抑えるように、準備完了状態及び照射状態での運用中にのみ実行される。上述のように、任意の可燃性ガス又は液体燃料を燃料貯蔵槽114に貯蔵することができる。一実施形態において、燃料は、ジェット燃料、液体ガソリン、又はディーゼル燃料である。別の実施形態において、燃料は、メタン、又はプロパンなど、任意の気体又は液体炭化水素である。HEL106が動力付き車両に取り付けられている場合、車両の推進に使用されているのと燃料が同じであることがある。そのため、専用の燃料源や関連する設備は必要ない。
【0016】
別の実施形態では、燃料貯蔵槽114内の燃料が枯渇すると、システム102は、清潔で乾燥した第1の流体をパージ流体として使用し得るが、燃料貯蔵槽114が補充され得るまでは、性能低下状態でHELビームを照射し続けることができる。前述のことから明らかなように、性能低下はパージ流体中に存在する二原子酸素量に直接的に関連している。
【0017】
一般に、脱酸素装置102は、約-40℃から約71℃の第2の二原子酸素濃度を有する第2脱酸素流体を生じさせることができる。さらに、システム102は、任意の大気圧又は雰囲気圧で第2の流体を生じさせることができる。
【0018】
また、当業者に明らかなように、ハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の組合せを用いて、本明細書に記載するシステム又はその構成要素の任意の又は全てを実施することができる。図面に関連して記載されたプロセス、サブプロセス、及びプロセスステップのうちの1以上は、ハードウェア、ソフトウェア、又は1以上の電子又はデジタル制御されたデバイス上のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせによって実行され得ることが理解され、評価されるであろう。ソフトウェアは、例えば、制御システム108のような適切な電子処理構成要素又はシステム内のソフトウェアメモリ(図示せず)内に存在してもよい。ソフトウェアメモリは、論理機能(すなわち、デジタル回路又はソースコードのようなデジタル形式で、又はアナログ電気信号、音声信号、又はビデオ信号のようなアナログソースのようなアナログ形式で実現できる「論理」)を実現するための実行可能な命令の順序リストを含むことができる。これら命令は、例えば、1以上のマイクロプロセッサ、汎用プロセッサ、プロセッサの組み合わせ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は特定用途向け集積回路(ASIC)を含み得る制御システム108内で実行され得る。本出願において説明される実施形態は、様々な構成で実施され、単一のハードウェア/ソフトウェアユニット内で、又は別個のハードウェア/ソフトウェアユニット内で、ハードウェア/ソフトウェアコンポーネントとして動作させることができる。
【0019】
実行可能な命令は、電子システムの処理モジュールによって実行されるときに、その命令を実行するように電子システムに指示する命令を格納したコンピュータプログラム製品として実施できる。コンピュータプログラム製品は、電子コンピュータベースのシステム、プロセッサを含むシステム、又は命令実行システム、装置、又は装置から選択的に命令をフェッチし、命令を実行することができる他のシステムなど、命令実行システム、装置、又は装置によって、又はそれに関連して使用するために、任意非一時的コンピュータ可読記憶媒体に選択的に具現化することができる。本明細書の文脈において、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、又は装置によって、又はそれに関連して使用するために、プログラムを記憶することができる任意の非一時的手段である。非一時的コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、例えば、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、又は半導体のシステム、装置、又はデバイスである。非一時的コンピュータ可読媒体のより具体的な例の非網羅的リストには、1以上のワイヤ(電子)を有する電気接続、ポータブルコンピュータディスク又はディスケット(磁気)、ランダムアクセスメモリ、すなわち揮発性メモリ(電子)、読み取り専用メモリ(電子)、例えばフラッシュメモリ(電子)のような消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ、例えばCD-ROM、CD-R、CD-RW(光学)のようなコンパクトディスクメモリ、及びデジタル多用途ディスクメモリ、すなわちDVD(光学)が挙げられる。
【0020】
また、本明細書で使用される信号又はデータの受信及び送信は、2以上のシステム又は構成要素が、ある種の信号経路上を移動する信号を介して互いに通信することが可能であることを意味することも理解されるであろう。これらの信号は、第1のシステム又は構成要素から第2のシステム又は構成要素へと、第1及び第2のシステム又は構成要素間の信号経路に沿って情報、電力、又はエネルギーを通信することができる通信、電力、データ、又はエネルギー信号とすることができる。信号経路は、物理的、電気的、磁気的、電磁気的、電気化学的、光学的、有線又は無線接続を含むことができる。信号経路は、第1及び第2のシステム又は構成要素間に追加のシステム又は構成要素を含んでもよい。
【0021】
図2は、システム100の動作を示す。ステップ200において、システム100は選択された運用状態で起動する。一実施形態では、システム100は、可動装置又は固定装置が係合されたときに運用状態に置かれる。例えば、HEL106及びシステム100が移動式陸上利用車両によって運搬される場合、システム100は、車両エンジンとの係合時に運用状態に置かれてもよい。別の実施形態では、システム100は、スイッチ、ボタン、又は他の制御の係合時に運用状態に置かれるが、ここで、HEL106の操作者は、システム100を移動装置又は固定装置から独立した運用状態に置くことができる。一実施形態では、選択された運用状態は、デフォルト待機状態119であってもよい。
【0022】
ステップ202において、制御システム108は、流体ポンプ110及び制御弁116を作動させ、流体ポンプ110は、流体ポンプ110の外側から外気の形態で第1の流体を引き込み、第1の二原子酸素濃度を有する第1の流体を非作動燃焼室112に移送する。
【0023】
ステップ204において、第1の流体は、非作動燃焼室112から流体フィルタ/乾燥装置118に移送され、そこで第1の流体が清浄化され乾燥される。第1の流体の清浄化及び乾燥が完了すると、第1の流体がステップ206において光学サブシステム104に供給され、汚染物質のHELビーム経路がパージされる。図示されていないが、効果的なパージが確実に達成されるように、ステップ206は、その後のステップを行う前に、選択された期間にわたって継続的に実施されてもよい。
【0024】
ステップ208では、制御システム108は、HEL106の命令状態を検出する。HEL106が準備完了状態を実行するように命令されておらず、かつ、燃焼室112が動作していない場合(ステップ222)、清浄で乾燥した第1の流体がHEL106の光学サブシステム104に供給される。制御システム108が、HEL106が準備完了状態で動作するよう命令されていることを検出すると、制御システム108は、制御弁116を、開位置を取るよう命令し、燃料貯蔵槽114からの燃料が制御弁116を介して燃焼室112に移送され、燃焼室112が制御システム108によって作動されるようにする(ステップ210及び212)。流体ポンプ110から引き出された第1の二原子酸素濃度を有する第1の流体は、燃焼室112で燃焼されて、第2の二原子酸素濃度を有する第2の流体を生じさせるが、第2の濃度は第1の流体の第1の濃度よりも低い。
【0025】
ステップ214において、第2の流体は、流体フィルタ/乾燥装置118によって清浄化及び乾燥され、光学サブシステム104に移送されて、光学サブシステム104のHELビーム経路をパージする。
【0026】
ステップ216では、制御システム108は、照射状態が命令されているかどうかを検出する。これが該当しない場合、第2の流体はHEL106の光学サブシステム104の汚染物質のパージを継続する。照射状態が命令された場合、ステップ218において、HELビームは、第2の流体を含む光学サブシステム104のパージされたビーム経路を通って照射される。
【0027】
ステップ220では、制御システム108は、照射状態が依然として命令されているかどうかを検出する。この場合、HELビームは、HEL106の光学サブシステム104を介して照射され続ける。照射状態がもはや命令されていない場合、制御システム108はステップ208に戻る。HEL106が準備完了状態を実行するように命令されている場合には、制御システム108は再びステップ210に進む。HEL106が、準備完了状態を実行するよう命令されていない場合、制御システム108は、燃焼室112が作動されたと判断し(ステップ222)、燃焼室112を非作動にし(ステップ224)、第1の二原子酸素濃度を有する第1の流体が、非作動燃焼室112から流体フィルタ/乾燥装置118に移送され、そこで第1の流体が清浄化され乾燥される。第1の流体の清浄化及び乾燥が完了すると、第1の流体がステップ206において光学サブシステム104に供給され、汚染物質のHELビーム経路がパージされる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
要約すると、脱酸素装置102は、第1の流体の制御された燃焼によって脱二原子酸素の第2の流体を生成し、HEL106のビーム経路内部の熱ブルーミングを低減する。第1の流体から第2の流体を生じさせるための迅速で軽量かつロバスト(robust:頑健)な燃焼は、広範囲の気温、気圧、及び流量にわたって実行することができ、従って、方向に関係なく、現存のHELを改良することができ、使用時の衝撃、震動、又は湿度に敏感ではないシステムを提供する。
【0029】
本明細書中で引用する刊行物、特許出願、及び特許を含むすべての文献を、各文献を個々にまた具体的に示し、参照して組み込むのと、またその内容のすべてをここで述べるのと同じ限度で、本明細書の一部を構成するものとして援用する。
【0030】
発明を説明する文脈(特に以下の特許請求の範囲の文脈)における用語「a」及び「an」並びに「前記」(said)並びに同様の引用の使用は、ここで特に示唆するものでない限り、又は文脈で明確に矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方をカバーするものと解釈されるべきである。本明細書中の数値範囲の具体的陳述は、本明細書中で特に指摘しない限り、単にその範囲内に該当する各値を個々に言及するための略記法としての役割を果たすことだけを意図しており、各値は、本明細書中で個々に列挙されるかのように、明細書に組み込まれる。本明細書で記載した全ての方法は、本明細書に別段の示唆がない限り、或いは明らかに文脈に矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行され得る。本明細書に提供されるいずれか及びすべての例、又は例示的な文言(例えば、「等(such as)」)の使用は、単に、開示をより明らかにするためのものであり、特に主張しない限り、開示の範囲に限定を与えない。明細書中のいかなる文言も、本開示の実施に不可欠な特許請求の範囲に記載されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0031】
本開示に対する多数の修正は、前述の説明を考慮すれば、当業者には明らかである。図示された実施形態は例示的なものに過ぎず、開示の範囲を限定するものと見なされるべきものではないことを理解されたい。
【国際調査報告】