(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-02
(54)【発明の名称】流体レセプタクルを装填するためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/34 20060101AFI20240424BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20240424BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALI20240424BHJP
【FI】
C12M1/34 Z
G01N37/00 103
G01N37/00 101
C12Q1/6869 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564655
(86)(22)【出願日】2022-04-20
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 US2022025517
(87)【国際公開番号】W WO2022226050
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516144164
【氏名又は名称】クアンタム-エスアイ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】QUANTUM-SI INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】マー、シャオシャオ
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ、ジョナサン シー.
(72)【発明者】
【氏名】ルゥ、ツァイシア
(72)【発明者】
【氏名】ラスロップ、ブリタニー
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB15
4B029CC01
4B029FA15
4B029GA08
4B029GB10
4B063QA13
4B063QS36
4B063QS39
4B063QX02
(57)【要約】
本開示の態様は、流体レセプタクルに流体を移送するためのシステム、デバイス、および方法に関する。いくつかの実施形態において、流体は目的の1つ以上の分子を含有し、流体レセプタクルは統合デバイスを含む。特定の実施形態において、1つ以上の分子は、その後の分析のために統合デバイス上に固定化され得る。本開示の特定の態様は、場合によっては、例えば、サンプルの統合デバイスとの相互作用の速度を改善することによって、統合デバイス上の1つ以上の分子の固定化を向上させることができるシステムおよび方法を対象とする。本開示のシステム、デバイス、および方法の使用によって、標的分子は、より容易に配列決定され得るか、または配列決定のために調製され得る。例えばいくつかの実施形態において、本開示のシステム、デバイス、および方法は、流体デバイスを使用した流体レセプタクルの自動装填を可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体レセプタクルに流体を移送するための流体システムであって、前記流体システムは:
第1の位置合わせ特徴部と
前記第1の位置合わせ特徴部に流体接続されたチャネルと
第2の位置合わせ特徴部と
を含む流体デバイスを含み、
前記流体デバイスは、前記チャネルが前記第1の位置合わせ特徴部および前記第2の位置合わせ特徴部を介して前記流体レセプタクルに流体接続されるように、前記第1の位置合わせ特徴部と前記流体レセプタクル上に配置された第3の位置合わせ特徴部との間の第1の結合を介して、および前記第2の位置合わせ特徴部と前記流体レセプタクル上に配置された第4の位置合わせ特徴部との間の第2の結合を介して、前記流体レセプタクルを前記流体デバイスに対して位置合わせした状態で受容するように構成されている、流体システム。
【請求項2】
前記流体デバイスは、前記流体デバイス上に位置する第5の位置合わせ特徴部と前記流体レセプタクル上に位置する第6の位置合わせ特徴部との間の結合を介して前記流体レセプタクルに流体接続するように構成されている、請求項1に記載の流体システム。
【請求項3】
前記流体デバイスは、前記流体レセプタクルを受容するように構成された凹部であって、前記流体デバイスの横方向寸法に対して角度が付けられた表面を含む凹部を備える、請求項1または請求項2に記載の流体システム。
【請求項4】
前記表面と前記横方向寸法との間の角度が、10°以上かつ80°以下である、請求項3に記載の流体システム。
【請求項5】
前記表面と前記横方向寸法との間の角度が、25°以上かつ65°以下である、請求項3または請求項4に記載の流体システム。
【請求項6】
前記流体レセプタクルをさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の流体システム。
【請求項7】
前記流体レセプタクルは統合デバイスを備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の流体システム。
【請求項8】
前記流体レセプタクルが統合デバイスを包含する、請求項1~7のいずれか一項に記載の流体システム。
【請求項9】
統合デバイスが複数のピクセルを備える、請求項7または請求項8に記載の流体システム。
【請求項10】
各ピクセルが、サンプルを受容するように構成されたサンプルウェルを有する、請求項9に記載の流体システム。
【請求項11】
前記統合デバイスが、サンプルから放出される放出エネルギーに基づいて放射パターンを生成するように構成された少なくとも1つの構成要素を備える、請求項7~10のいずれか一項に記載の流体システム。
【請求項12】
前記統合デバイスが、サンプルの放出エネルギーに関連するタイミング特性を検出するように構成された1つ以上のセンサを備える、請求項7~11のいずれか一項に記載の流体システム。
【請求項13】
統合デバイスが導波路をさらに備える、請求項7~12のいずれか一項に記載の流体システム。
【請求項14】
前記流体デバイスがカートリッジを備える、請求項1~13のいずれか一項に記載の流体システム。
【請求項15】
前記カートリッジが、チャネルを備える表面を有する基層を備える、請求項14に記載の流体システム。
【請求項16】
前記カートリッジの前記チャネルのいくつかの少なくとも一部は、前記チャネルの表面開口部を実質的に封止するように構成されたエラストマーを含む表面を有する、請求項15に記載の流体システム。
【請求項17】
前記流体デバイスが1つ以上のリザーバを備える、請求項1~16のいずれか一項に記載の流体システム。
【請求項18】
前記1つ以上のリザーバのうちの少なくとも1つが、前記第1の位置合わせ特徴部に流体接続される、請求項17に記載の流体システム。
【請求項19】
前記流体デバイスは、前記流体レセプタクルを受容するように構成される、請求項1~18のいずれか一項に記載の流体システム。
【請求項20】
前記第1の位置合わせ特徴部と前記第3の位置合わせ特徴部との間に介在部品を受容するように構成される、請求項1~19のいずれか一項に記載の流体システム。
【請求項21】
前記第2の位置合わせ特徴部と前記第4の位置合わせ特徴部との間に介在部品を受容するように構成される、請求項1~20のいずれか一項に記載の流体システム。
【請求項22】
前記介在部品がガスケットまたは成形層である、請求項20または請求項21に記載の流体システム。
【請求項23】
前記流体デバイスが、別個の流体デバイス部分を備える、請求項1~22のいずれか一項に記載の流体システム。
【請求項24】
前記第1の位置合わせ特徴部および/または前記第2の位置合わせ特徴部が前記別個の流体デバイス部分上に配置される、請求項23に記載の流体システム。
【請求項25】
前記流体デバイスが、第1の別個の流体デバイス部分および第2の別個の流体デバイス部分を備える、請求項1~24のいずれか一項に記載の流体システム。
【請求項26】
前記チャネルが、前記第1の流体デバイス部分を介して前記第2の別個の流体デバイス部分に流体接続され、前記第1の位置合わせ特徴部および/または前記第2の位置合わせ特徴部が、前記第2の別個の流体デバイス部分上に配置される、請求項25に記載の流体システム。
【請求項27】
前記第1の流体デバイス部分が比較的剛性の材料を含み、前記第2の流体デバイス部分が比較的可撓性の材料を含み、前記比較的剛性の材料の平均弾性率と前記比較的可撓性の材料の平均弾性率との比が2以上である、請求項25または請求項26に記載の流体システム。
【請求項28】
第2の流体デバイス部分がエラストマーを含む、請求項25~27のいずれか一項に記載の流体システム。
【請求項29】
前記チャネルが、同チャネルの全長にわたって第1の浅い部分と、同チャネルの全長にわたって第2の深い部分とを含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の流体システム。
【請求項30】
流体レセプタクルを2つ以上の位置合わせ特徴部に結合するステップと、
前記位置合わせ特徴部のうちの少なくとも1つを介して前記流体レセプタクルに流体を移送するステップと、
前記流体レセプタクルを前記位置合わせ特徴部から切り離すステップと、
を含む、方法。
【請求項31】
流体デバイスの2つ以上の位置合わせ特徴部を流体レセプタクルに結合することによって、前記流体デバイスを前記流体レセプタクルと位置合わせすることと、
前記位置合わせ特徴部のうちの少なくとも1つを介して流体を移送するステップと、
を含む、方法。
【請求項32】
前記流体中に存在する種を配列決定することをさらに含む、請求項30または請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記流体レセプタクルの横方向寸法と地球の重力の方向との間の角度が、前記流体を移送する前記ステップ中に10°以上かつ80°以下である、請求項30および32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記流体レセプタクルの横方向寸法と地球の重力方向との間の角度が、前記流体を移送する前記ステップの間、25°以上かつ65°以下である、請求項30および32~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記流体がペプチドを含む、請求項30~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記流体が複数種のペプチドを含む、請求項30~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記ペプチドが配列決定のために調製されている、請求項35または請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記流体レセプタクルが統合デバイスを備える、請求項30および32~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記流体レセプタクルは統合デバイスを包含する、請求項30および32~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
統合デバイスが複数のピクセルを含む、請求項38または請求項39に記載の方法。
【請求項41】
各ピクセルが、サンプルを受容するように構成されたサンプルウェルを有する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記統合デバイスが、サンプルから放出される放出エネルギーに基づいて放射パターンを生成するように構成された少なくとも1つの構成要素を備える、請求項38~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
サンプルの放出エネルギーに関連するタイミング特性を検出することをさらに含む、請求項30~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
統合デバイスが導波路をさらに含む、請求項38~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
流体デバイスであって、
固体基板と、
チャネルと、
前記流体デバイスの横方向寸法に対して角度を付けられた表面を有する前記固体基板内にあるか、または前記固体基板に機械的に結合された取付要素と、
を含む流体デバイスにおいて、
前記流体デバイスは流体レセプタクルを前記取付要素内に受容し、それにより前記チャネルが前記流体レセプタクルに流体接続されるように構成されており、
前記流体デバイスの前記表面と前記横方向寸法との間の角度は、10°以上かつ80°以下である、流体デバイス。
【請求項46】
前記取付要素は、前記流体デバイスの前記固体基板内にある、請求項45に記載の流体デバイス。
【請求項47】
前記取付要素は、前記流体デバイスに結合された別個の物体である、請求項45に記載の流体デバイス。
【請求項48】
前記取付要素が凹部を含む、請求項45~47のいずれか一項に記載の流体デバイス。
【請求項49】
前記取付要素が凹部である、請求項48に記載の流体デバイス。
【請求項50】
前記取付要素は、前記流体デバイスの隆起部分内にある、請求項45~49のいずれか一項に記載の流体デバイス。
【請求項51】
前記取付要素は、隆起縁部を備える、請求項45~50のいずれか一項に記載の流体デバイス。
【請求項52】
前記取付要素は取付特徴部を備える、請求項45~51のいずれか一項に記載の流体デバイス。
【請求項53】
前記取付特徴部が、ねじ、ボルト、ロッド、穴、および/または凹部である、請求項52に記載の流体デバイス。
【請求項54】
第1の位置合わせ特徴部および第2の位置合わせ特徴部を更に備える、請求項45~53のいずれか一項に記載の流体デバイス。
【請求項55】
前記流体デバイスは、前記第1の位置合わせ特徴部と前記流体レセプタクル上に位置する第3の位置合わせ特徴部との間の第1の結合を介して、および前記第2の位置合わせ特徴部と前記流体レセプタクル上に位置する第4の位置合わせ特徴部との間の第2の結合を介して、前記流体レセプタクルを前記流体デバイスに対して位置合わせした状態で保持するように構成される、請求項54に記載の流体デバイス。
【請求項56】
前記チャネルが、前記第1の位置合わせ特徴部を介して前記流体レセプタクルに流体接続される、請求項46~55のいずれか一項に記載の流体デバイス。
【請求項57】
前記チャネルが、前記第2の位置合わせ特徴部を介して流体レセプタクルに流体接続される、請求項46~56のいずれか一項に記載の流体デバイス。
【請求項58】
前記流体デバイスの前記表面と前記横方向寸法との間の角度が、10°以上かつ80°以下である、請求項45~57のいずれか一項に記載の流体デバイス。
【請求項59】
前記流体デバイスの前記表面と前記横方向寸法との間の角度が、25°以上かつ65°以下である、請求項45~58のいずれか一項に記載の流体デバイス。
【請求項60】
前記流体デバイスがカートリッジを備える、請求項45~59のいずれか一項に記載の流体デバイス。
【請求項61】
前記カートリッジが、チャネルを含む表面を有する基層を備える、請求項60に記載の流体デバイス。
【請求項62】
前記カートリッジの前記チャネルのいくつかの少なくとも一部は、前記チャネルの表面開口部を実質的に封止するように構成されたエラストマーを含む表面を有する、請求項61に記載の流体デバイス。
【請求項63】
前記流体デバイスは1つ以上のリザーバを備える、請求項45~62のいずれか一項に記載の流体デバイス。
【請求項64】
前記リザーバのうちの少なくとも1つが、前記第1の位置合わせ特徴部に流体接続される、請求項45~63のいずれか一項に記載の流体デバイス。
【請求項65】
前記チャネルが、同チャネルの全長にわたって第1の浅い部分と、同チャネルの全長にわたって第2の深い部分とを備える、請求項45~64のいずれか一項に記載の流体デバイス。
【請求項66】
前記流体レセプタクルが統合デバイスを備える、請求項45~65のいずれか一項に記載の流体デバイス。
【請求項67】
前記流体レセプタクルが統合デバイスを包含する、請求項45~66のいずれか一項に記載の流体デバイス。
【請求項68】
統合デバイスが複数のピクセルを備える、請求項66または請求項67に記載の流体デバイス。
【請求項69】
各ピクセルは、サンプルを受容するように構成されるサンプルウェルを有する、請求項68に記載の流体デバイス。
【請求項70】
前記統合デバイスが、サンプルから放出される放出エネルギーに基づいて放射パターンを生成するように構成された少なくとも1つの構成要素を備える、請求項66~69のいずれか一項に記載の流体デバイス。
【請求項71】
前記統合デバイスが、サンプルの放出エネルギーに関連するタイミング特性を検出するように構成された1つ以上のセンサを備える、請求項66~70のいずれか一項に記載の流体デバイス。
【請求項72】
統合デバイスが導波路をさらに含む、請求項66~71のいずれか一項に記載の流体デバイス。
【請求項73】
混合方法であって、前記方法は:
ある量の流体を収容するチャネルの表面に圧力を加えながら、前記表面の少なくとも一部にわたってローラを第1の方向に並進させるステップと、
前記表面の少なくとも一部に圧力を加えながら、第2の異なる方向に前記表面の少なくとも一部にわたって前記ローラを並進させるステップであって、前記加えられる圧力は、前記第1の方向に前記ローラを並進させるステップと前記第2の方向に前記ローラを並進させるステップとの間で維持される、ステップと、
を含む、方法。
【請求項74】
前記チャネルがマイクロチャネルである、請求項73に記載の混合方法。
【請求項75】
チャネルが、流体システムの開放出口に直接接続されている、請求項73または請求項74に記載の混合方法。
【請求項76】
第2の方向が第1の方向と反対である、請求項73~75のいずれか一項に記載の混合方法。
【請求項77】
加えられる圧力が、前記ローラを前記第1の方向に並進させる間、一定である、請求項73~76のいずれか一項に記載の混合方法。
【請求項78】
加えられる圧力が、前記ローラを前記第2の方向に並進させる間、一定である、請求項73~77のいずれか一項に記載の混合方法。
【請求項79】
前記ローラを前記第1の方向に並進させる間に加えられる平均圧力が、前記ローラを前記第2の方向に並進させる間に加えられる平均圧力の10%以内である、請求項73~78のいずれか一項に記載の混合方法。
【請求項80】
前記ある量の流体が標的分子を含む、請求項73~79のいずれか一項に記載の混合方法。
【請求項81】
蠕動ポンピングを介して、第1の量の流体を流体レセプタクルの中に移送するステップであって、前記流体レセプタクルは、前記量の流体の体積を超える体積を有する、ステップと、
前記流体レセプタクル内の前記流体を第1の時間混合するステップと、
蠕動ポンピングを介して、第2の量の前記流体を前記流体レセプタクルに移送するステップと、
前記流体レセプタクル内の前記流体を第2の時間にわたって混合するステップと、
を含む、方法。
【請求項82】
前記第1の量の流体を移送するステップと、前記第1の時間の間、前記流体レセプタクル中で前記流体を混合するステップとが、連続して行われる、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記第2の量の流体を移送するステップと、前記第2の時間の間、前記流体レセプタクル中で前記流体を混合するステップとが、連続して行われる、請求項81または請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記第1の量の流体および前記第2の量の流体が同じ体積を有する、請求項81~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
追加の量の前記流体を前記流体レセプタクルに移送するステップと、追加の時間の間、前記流体レセプタクルにおいて前記流体を混合するステップとの少なくとも3つの追加のステップをさらに含む、請求項81~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記追加の量の流体が、前記第1の量の流体と同じ体積を有する、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記蠕動ポンピングが、流体デバイスを使用して行われる、請求項81~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
請求項81~87のいずれか一項に記載の方法であって、前記第1の混合ステップが、第3の量の流体を収容するチャネルの表面の少なくとも一部にわたって、同表面に圧力を加えながらローラを第1の方向に並進させることと、表面の少なくとも一部に圧力を加えながら前記ローラを第2の異なる方向に並進させることであって、前記第1の方向に前記ローラを並進させることと前記第2の方向に前記ローラを並進させることとの間で加えられる圧力が維持される、第2の異なる方向に並進させることと、によって実行される、方法。
【請求項89】
前記第3の量の流体の体積が、前記第1の量の流体の体積を超える、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記第2の混合ステップが、前記表面に圧力を加えながら第4の量の流体を収容するチャネルの表面の少なくとも一部にわたってローラを第1の方向に並進させることと、前記表面の少なくとも一部に圧力を加えながら、前記ローラを第2の異なる方向に並進させることと、を含み、前記加えられる圧力は前記ローラを前記第1の方向に並進させることと前記ローラを前記第2の方向に並進させることとの間で維持される、請求項81~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記第4の量の流体の体積が、前記第2の量の流体の体積を超える、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記第1の量の流体が標的分子を含む、請求項81~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
流体デバイスを作製する方法であって、前記方法は:
表面層を含む表面物品を基層と組み立てて、前記流体デバイスのカートリッジを形成するステップであって、
前記表面層がエラストマーを含み、かつ
前記基層が1つ以上のチャネルを備える、前記ステップと、
前記チャネルのうちの少なくとも1つを、位置合わせ特徴部を備える別個の流体デバイス部分に流体接続するステップと、
を含む、作製方法。
【請求項94】
前記1つ以上のチャネルの少なくともいくつかが、実質的に三角形の断面を有する、請求項93に記載の作製方法。
【請求項95】
前記1つ以上のチャネルを前記基層に形成することをさらに含む、請求項93または請求項94に記載の作製方法。
【請求項96】
前記チャネルのうちの前記少なくとも1つは、導管、チューブ、またはチャネルを使用して、前記別個の流体デバイス部分に結合される、請求項93~95のいずれか一項に記載の作製方法。
【請求項97】
流体レセプタクルを流体デバイスに対して位置合わせされた状態で同流体デバイス内に受容することによって、前記流体レセプタクルに流体を移送するための流体システムを組み立てるステップであって、
前記流体デバイスの第1の位置合わせ特徴部を、前記流体レセプタクル上に位置する第3の位置合わせ特徴部に結合することと、
前記流体デバイスの第2の位置合わせ特徴部を、前記流体レセプタクル上に位置する第4の位置合わせ特徴部に結合することと、
前記流体システムの組み立て時に、第1の位置合わせ特徴部および前記第2の位置合わせ特徴部を介して前記流体レセプタクルに流体接続されるチャネルを形成することと、
による組み立てるステップを含む、方法。
【請求項98】
流体デバイスを作製する方法であって、前記方法は:
比較的硬い材料を含む第1の別個の流体デバイス部分と、比較的軟らかい材料を含む第2の別個の流体デバイス部分とを、流体デバイスの別個の結合部分に組み立てるステップと、
前記第1の流体デバイス部分および/または前記第2の流体デバイス部分の位置合わせ特徴部を流体デバイスのカートリッジに流体接続するステップであって、前記流体デバイスが
前記カートリッジの基層に1つ以上のチャネルを形成することと、
エラストマーを含む表面層を前記カートリッジの前記基層に取り付けることと、
により少なくとも部分的に形成される、流体接続するステップと、
を含む、方法。
【請求項99】
前記1つ以上のチャネルの少なくともいくつかが、実質的に三角形の断面を有する、請求項98に記載の作製方法。
【請求項100】
前記第2の別個の流体デバイス部分が、前記第1の別個の流体デバイス部分上にオーバーモールドされる、請求項98または請求項99に記載の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
流体の操作および/または調製に関連する方法、物品およびシステムが一般的に記載されている。
【背景技術】
【0002】
バイオポリマーの分析は、生物系の研究における重要なツールとして浮上してきた。個々の生物またはサンプルのタイプのこれらの分析は、細胞プロセスおよび応答パターンへの洞察を提供することができ、これは改善された診断および治療戦略につながる。バイオポリマー組成物および修飾を取り巻く複雑さは、生物学的サンプルについての大規模配列決定情報を決定する際に難題を提示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
バイオポリマー組成物を操作する(例えば、調製する)ための改善された、より便利な技術およびシステムが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の態様は、流体レセプタクルに流体を移送するためのシステム、デバイス、および方法に関する。いくつかの実施形態において、流体は、目的の1つ以上の分子(例えば、1つ以上のペプチド、タンパク質、および/または核酸)を含み、流体レセプタクル(fluidic receptacle)は、統合デバイス(integrated device)を含む。ある特定の実施形態において、(例えば、サンプルからの)1つ以上の分子は、その後の分析(例えば、配列決定)のために統合デバイス上に固定化され得る。本開示のある特定の態様は、場合によっては、例えば、統合デバイスとのサンプル相互作用の速度を改善することによって、統合デバイス上の1つ以上の分子(例えば、ペプチド)の固定化を増強することができるシステムおよび方法を対象とする。本開示のシステム、デバイス、および方法の使用によって、標的分子は、より容易に配列決定され得るか、または配列決定のために調製され得る。例えば、いくつかの実施形態において、本開示のシステム、デバイス、および方法は、流体デバイスを使用した流体レセプタクルの自動装填を可能にする。本発明の主題は、場合によっては、相互に関連する製品、特定の問題に対する代替解決策、ならびに/または1つもしくは複数のシステムおよび/もしくは物品の複数の異なる使用を含む。
【0005】
一態様において、流体レセプタクルに流体を移送するための流体システムが提供される。いくつかの実施形態において、流体レセプタクルに流体を移送するための流体システムは、第1の位置合わせ特徴部(alignment feature)と、第1の位置合わせ特徴部に流体接続される(fluidically connected)チャネルと、第2の位置合わせ特徴部とを備える流体デバイスを備え、流体デバイスは、チャネルが第1の位置合わせ特徴部および第2の位置合わせ特徴部を介して流体レセプタクルに流体接続されるように、第1の位置合わせ特徴部と流体レセプタクル上に位置する第3の位置合わせ特徴部との間の第1の結合を介して、および第2の位置合わせ特徴部と流体レセプタクル上に位置する第4の位置合わせ特徴部との間の第2の結合を介して、流体レセプタクルを流体デバイスに対して位置合わせして受容するように構成される。
【0006】
別の態様において、方法が提供される。いくつかの実施形態において、方法は、流体レセプタクルを2つ以上の位置合わせ特徴部に結合するステップと、位置合わせ特徴部のうちの少なくとも1つを介して流体レセプタクルに流体を移送するステップと、位置合わせ特徴部から流体レセプタクルを分離するステップとを含む。
【0007】
さらに別の態様において、方法が提供される。いくつかの実施形態において、方法は、2つ以上の位置合わせ特徴部を結合することによって、流体デバイスを位置合わせさせるステップと、位置合わせ特徴部のうちの少なくとも1つを介して流体を移送するステップとを含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、方法は、流体デバイスの2つ以上の位置合わせ特徴部を流体レセプタクルに結合することによって、流体デバイスを流体レセプタクルと位置合わせさせるステップと、位置合わせ特徴部のうちの少なくとも1つを介して流体を移送するステップとを含む。
【0009】
さらに別の態様において、流体デバイスが提供される。いくつかの実施形態において、流体デバイスは、固体基板(solid substrate)と、チャネルと、固体基板内の、または固体基板に機械的に結合された取付要素とを備え、取付要素は、流体デバイスの横方向寸法(lateral dimension)に対して角度が付けられた表面を有し、流体デバイスは、チャネルが流体レセプタクルに流体接続され、流体デバイスの表面と横方向寸法との間の角度が10°以上かつ80°以下であるように、取付要素内に流体レセプタクルを受容するように構成される。いくつかの実施形態において、取付要素は、固体基板内に凹部を備える。
【0010】
一態様において、混合方法が提供される。いくつかの実施形態において、混合方法は、表面に圧力を加えながら、第1の方向に、ある量の流体を含有するチャネルの表面の少なくとも一部にわたってローラを並進させる(translating)ステップと、表面の少なくとも一部に圧力を加えながら、第2の異なる方向に、表面の少なくとも一部にわたってローラを並進させるステップと、を含み、加えられる圧力は、ローラを第1の方向に並進させるステップとローラを第2の方向に並進させるステップとの間で維持される。
【0011】
別の態様において、方法が提供される。いくつかの実施形態によれば、方法は、蠕動ポンピングを介して、第1の量の流体を流体レセプタクルの中に移送するステップであって、流体レセプタクルが、前記量の流体の体積を超える体積を有する、前記ステップと;第1の時間の間、流体レセプタクルの中で流体を混合するステップと;蠕動ポンピングを介して、第2の量の流体を流体レセプタクルの中に移送するステップと;第2の時間の間、流体レセプタクルの中で流体を混合するステップと、を含む。
【0012】
さらに別の態様において、流体デバイスを作製する方法が提供される。いくつかの実施形態によれば、流体デバイスを作製する方法は、表面層を含む表面物品(surface article)と基層とを組み立てて流体デバイスのカートリッジを形成するステップであって、表面層がエラストマーを含み、基層が1つ以上のチャネルを含む、形成するステップと;チャネルのうちの少なくとも1つを、位置合わせ特徴部を含む別個の流体デバイス部分に流体接続するステップと;を含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のチャネルのうちの少なくともいくつかは、実質的に三角形の断面を有する。
【0013】
さらに別の態様において、方法が提供される。特定の実施形態によれば、方法は、流体レセプタクルに流体を移送するための流体システムを、流体レセプタクルを、流体デバイスに対して整列した状態で流体デバイス内に受容することによって組み立てるステップであって:流体デバイスの第1の位置合わせ特徴部を、流体レセプタクル上に位置する第3の位置合わせ特徴部に結合することと;流体デバイスの第2の位置合わせ特徴部を、流体レセプタクル上に位置する第4の位置合わせ特徴部に結合することと;流体システムの組み立て時に、第1の位置合わせ特徴部および第2の位置合わせ特徴部を介して流体レセプタクルに流体接続されるチャネルを形成することと、によって、組み立てるステップを含む。
【0014】
別の態様において、方法が提供される。特定の実施形態によれば、方法は、比較的硬い材料を含む第1の別個の流体デバイス部分と、比較的軟らかい材料を含む第2の別個の流体デバイス部分とを流体デバイスの別個の結合部分に組み立てるステップと;第1の流体デバイス部分および/または第2の流体デバイス部分の位置合わせ特徴部を流体デバイスのカートリッジに流体接続するステップと;を含み、流体デバイスは、カートリッジの基層に1つ以上のチャネルを形成することと、エラストマーを含む表面層をカートリッジの基層に取り付けることと、によって少なくとも部分的に形成される。いくつかの実施形態において、1つ以上のチャネルのうちの少なくともいくつかは、実質的に三角形の断面を有する。
【0015】
本発明の他の利点および新規な特徴は、添付の図面と併せて考慮されるとき、本発明の様々な非限定的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。本明細書および参照により組み込まれる文書が、矛盾するおよび/または一貫しない開示を含む場合、本明細書を優先するものとする。
【0016】
本発明の非限定的な実施形態は、添付の図面を参照して例として説明され、添付の図面は概略的であり、別段の指示がない限り、一定の縮尺で描かれることを意図しない。図において、図示された各々の同一またはほぼ同一の構成要素は、典型的には単一の符号によって表される。明確にする目的で、当業者が本発明を理解することを可能にするために図示が必要でない場合、すべての構成要素がすべての図においてラベル付けされているわけではなく、発明の各実施形態のすべての構成要素が示されているわけでもない。図面は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】特定の実施形態に従う、流体デバイスおよび流体レセプタクルの概略断面図を示す。
【
図1B】特定の実施形態に従う、流体デバイスおよび流体レセプタクルの概略断面図を示す。
【
図1C】特定の実施形態に従う、流体デバイスおよび流体レセプタクルの概略断面図を示す。
【
図1D】特定の実施形態に従う、流体デバイスおよび流体レセプタクルの概略断面図を示す。
【
図2】特定の実施形態に従う、統合デバイスのサンプルウェルの概略断面図を示す。
【
図3】特定の実施形態に従う、統合デバイスの概略断面図を示す。
【
図4A】特定の実施形態に従う、流体デバイスのチャネルの概略断面図を示す。
【
図4B】特定の実施形態に従う、流体デバイスのチャネルの概略断面図を示す。
【
図4C】特定の実施形態に従う、流体デバイスのチャネルの概略断面図を示す。
【
図4D】特定の実施形態に従う、流体デバイスのチャネルの概略断面図を示す。
【
図5A】特定の実施形態に従う、チャネルの表面を横断してローラを並進させることの概略断面図を示す。
【
図5B】特定の実施形態に従う、チャネルの表面を横断してローラを並進させることの概略断面図を示す。
【
図6A】特定の実施形態に従う、流体レセプタクルに流体を移送することの概略断面図を示す。
【
図6B】特定の実施形態に従う、流体レセプタクル内の流体を混合することの概略断面図を示す。
【
図6C】特定の実施形態に従う、流体レセプタクルに流体を移送することの概略断面図を示す。
【
図6D】特定の実施形態に従う、流体レセプタクル内の流体を混合することの概略断面図を示す。
【
図7】特定の実施形態に従う、ペプチド表面固定化の例示的スキームを示す。
【
図8】特定の実施形態に従う、例示的な流体システムを示す。
【
図9A】特定の実施形態に従う、サンプル調製デバイスの概略図を示す。
【
図9B】特定の実施形態に従う、サンプル調製デバイスの概略図を示す。
【
図10A】特定の実施形態に従う、反復末端アミノ酸検出および切断によるタンパク質配列決定の非限定的な例を示す。
【
図10B】特定の実施形態に従う、反復末端アミノ酸検出および切断によるタンパク質配列決定の非限定的な例を示す。
【
図11A】特定の実施形態に従う、流体レセプタクルに流体を移送するための流体デバイスおよび流体レセプタクルの概略斜視図を示す。
【
図11B】特定の実施形態に従う、流体レセプタクルに流体を移送するための流体デバイスおよび流体レセプタクルの概略分解斜視図を示す。
【
図11C】特定の実施形態に従う、流体レセプタクルに流体を移送するための流体デバイスの基板の概略斜視図を示す。
【
図11D】特定の実施形態に従う、流体レセプタクルに流体を移送するための流体デバイスおよび流体レセプタクルの概略側面図を示す。
【
図11E】特定の実施形態に従う、流体レセプタクルに流体を移送するための流体デバイスおよび流体レセプタクルの概略上面図を示す。
【
図11F】特定の実施形態に従う、流体レセプタクルに流体を移送するための流体デバイスの概略底面図を示す。
【
図11G】特定の実施形態に従う、流体を流体レセプタクルに移送するためのシールプレートを伴わない流体デバイスの概略底面図を示す。
【
図11H】特定の実施形態に従う、シールプレートの概略斜視図を示す。
【
図11I】特定の実施形態に従う、流体デバイス部分の概略斜視図を示す。
【
図11J】特定の実施形態に従う、流体デバイス部分の概略斜視図を示す。
【
図11K】特定の実施形態に従う、流体レセプタクル部分の概略斜視図を示す。
【
図11L】特定の実施形態に従う、流体レセプタクル部分の概略斜視図を示す。
【
図11M】特定の実施形態に従う、機械的連結器の概略斜視図を示す。
【
図11N】特定の実施形態に従う、機械的連結器の概略斜視図を示す。
【
図12A】特定の実施形態に従う、第1の流体デバイス部分、第2の流体デバイス部分、および流体レセプタクルの概略斜視図を示す。
【
図12B】特定の実施形態に従う、第1の流体デバイス部分および第2の流体デバイス部分の概略斜視図を示す。
【
図12C】特定の実施形態に従う、第1の流体デバイス部分および第2の流体デバイス部分の概略斜視図を示す。
【
図12D】特定の実施形態に従う、第1の流体デバイス部分の概略斜視図を示す。
【
図12E】特定の実施形態に従う、第1の流体デバイス部分の概略斜視図を示す。
【
図12F】特定の実施形態に従う、第2の流体デバイス部分の概略斜視図を示す。
【
図12G】特定の実施形態に従う、第2の流体デバイス部分の概略斜視図を示す。
【
図12H】特定の実施形態に従う、第1の流体デバイス部分および第2の流体デバイス部分の概略断面図を示す。
【
図13A】特定の実施形態に従う、流体レセプタクルに流体を移送するための流体デバイスおよび流体レセプタクルの概略斜視図を示す。
【
図13B】特定の実施形態に従う、流体レセプタクルに流体を移送するための流体デバイスおよび流体レセプタクルの概略側面図を示す。
【
図13C】特定の実施形態に従う、流体レセプタクルに流体を移送するための流体デバイスの概略底面図を示す。
【
図13D】特定の実施形態に従う、例示的な取付要素、流体レセプタクル、第1の流体デバイス部分、および機械的結合器の種々の斜視図を示す。
【
図13E】特定の実施形態に従う、例示的な取付要素、流体レセプタクル、第1の流体デバイス部分、および機械的結合器の種々の斜視図を示す。
【
図13F】特定の実施形態に従う、例示的な取付要素、流体レセプタクル、第1の流体デバイス部分、および第2の流体デバイス部分の概略斜視図を示す。
【
図13G】特定の実施形態に従う、例示的な取付要素の概略斜視図を提供する。
【
図14A】特定の実施形態に従う、第1の流体デバイス部分および第2の流体デバイス部分の概略斜視図を提供する。
【
図14B】特定の実施形態に従う、第1の流体デバイス部分および第2の流体デバイス部分の概略斜視図を提供する。
【
図14C】特定の実施形態に従う、第1の流体デバイス部分および第2の流体デバイス部分の先を切り取った領域(truncated section)の概略斜視図を提供する。
【
図15A】特定の実施形態に従う、流体デバイスのチャネルの斜視図を示す。
【
図15B】特定の実施形態に従う、流体デバイスのチャネルの斜視図を示す。
【
図16】特定の実施形態に従う、流体デバイスを装填する例示的方法のフロー図を示す。
【
図17】特定の実施形態に従う、流体デバイスを装填する例示的方法のフロー図を示す。
【
図18】特定の実施形態に従う、流体デバイスを装填する例示的方法のフロー図を示す。
【
図19】特定の実施形態に従う、流体デバイスを装填する例示的方法のフロー図を示す。
【
図20】特定の実施形態に従う、統合デバイスを使用して測定された例示的な均一累積認識パルシング活動プロファイルを示す。
【
図21A】特定の実施形態に従う、流体レセプタクル内の流体の混合の概略断面図を示す。
【
図21B】特定の実施形態に従う、流体レセプタクル内の流体の混合の概略断面図を示す。
【
図21C】特定の実施形態に従う、流体レセプタクル内の流体の混合の概略断面図を示す。
【
図21D】特定の実施形態に従う、流体レセプタクル内の流体の混合の概略断面図を示す。
【
図22】特定の実施形態に従う、例示的統合デバイスを使用して測定された例示的な均一累積認識パルシング活動プロファイルを提示する。
【
図23】特定の実施形態に従う、例示的な漏れ試験結果を示す。
【
図24】特定の実施形態に従う、例示的な漏れ試験結果を示す。
【
図25A】特定の実施形態に従う、例示的な流体デバイスの装填割合を示す。
【
図25B】特定の実施形態に従う、例示的な流体デバイスの装填割合を示す。
【
図26A】特定の実施形態に従う、例示的な流体デバイスのマッピング可能なリードを示す。
【
図26B】特定の実施形態に従う、例示的な流体デバイスのマッピング可能なリードを示す。
【
図27】特定の実施形態に従う、特定の表面化学を伴う例示的流体デバイスのマッピング可能なリードを示す。
【
図28】特定の実施形態に従う、特定の表面化学を伴う例示的流体デバイスのマッピング可能なリードを示す。
【
図29】特定の実施形態に従う、特定の表面化学を伴う例示的流体デバイスのマッピング可能なリードを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
いくつかの態様において、本開示は、流体(例えば、ペプチドおよび/またはヌクレオチドを含むサンプル)の移送および分析のための方法、デバイス、およびシステムを提供する。いくつかの実施形態において、流体レセプタクル(例えば、分子または対象を配列決定するための統合デバイス)は、位置合わせ特徴部(例えば、流体デバイスの位置合わせ特徴部)に流体接続され、同位置合わせ特徴部は、位置合わせ特徴部を通って流体レセプタクルへの流体の移送を可能にする一方で、位置合わせした状態で流体レセプタクルを受容および/または保持する。位置合わせは、いくつかの実施形態において、有利には、人間工学的利点を提供しながら、流体の液体(例えば、サンプル)からの流体の気泡の分離を促進することができる。サンプルは、例えば、ペプチドおよび/またはヌクレオチドなどの1つ以上の分子を含んでもよい。いくつかの例において、サンプルの1つ以上の分子は、流体内で形成される。例えば、本明細書において記載される流体デバイスは、流体デバイスの横方向寸法(例えば、流体デバイスの基板の横方向寸法)に対して鋭角で流体レセプタクルを受容するように構成されてもよい。いくつかの態様において、流体レセプタクルに流体を移送し、その中で流体を混合する有利な方法が提供される。いくつかの実施形態によれば、本明細書に記載の装置および方法は、例えば、流体デバイスに結合するサンプルの割合を増加させることによって、および/または流体デバイスの自動装填を可能にすることによって、流体デバイスの装填(loading)を有利に改善することができる。1つの非限定的な実施形態において、流体デバイスは、流体サンプルがその後分析され得る(例えば、流体サンプル内の標的分子がその後配列決定され得る)ように、統合デバイスを備える流体レセプタクルの中に流体サンプルを装填するように構成される。
【0019】
分析(例えば、配列決定)のための流体レセプタクルの中へのサンプル(例えば、タンパク質サンプル、ヌクレオチドサンプル)の装填のためのワークフローは、多くの場合、サンプルの有意な割合の損失をもたらす。サンプルは、例えば、システム内のデッドボリューム、サンプル中の気泡、または基質の存在下でのサンプルの不十分な撹拌の結果として失われる可能性がある。流体レセプタクルの装填中のサンプルの損失を低減するアプローチは、より高い装填効率、より小さい必要サンプル体積、および/または信頼できる分析に必要とされる標的分子(例えば、タンパク質または核酸)の量の低減等の多数の利点を提供し得る。
【0020】
本開示の態様は、いくつかの実施形態において、流体レセプタクルの装填中のサンプル損失を低減することができる。例えば、特定の実施形態において、本明細書に記載される流体デバイスは、液体サンプルから気泡を分離するために好適な位置合わせした状態で流体レセプタクルを受容するように構成される。いくつかの実施形態において、流体デバイスは、流体デバイスおよび流体レセプタクルが位置合わせ特徴部を介して流体接続されるように、位置合わせ特徴部を介して位置合わせされた状態で流体レセプタクルを受容するように構成される。位置合わせ特徴部を介した流体結合の形成は、特定の実施形態によれば、システムのデッドボリュームの低減をもたらすことができる。本開示のさらなる態様は、特定の実施形態において、望ましくない物質の正味の流れ(net flow)を生成することなくサンプル損失を低減することができる、サンプルを撹拌および装填する方法を対象とする。
【0021】
いくつかの態様によれば、流体システムが提供される。流体システムは、いくつかの実施形態に従うと、例えば、蠕動ポンピングを使用して、流体レセプタクルに流体を移送するために使用されてもよい。いくつかの実施形態によれば、流体システムは、位置合わせ特徴部を使用して流体レセプタクルを受容するように構成された、本明細書に記載の流体デバイスを備える。流体デバイスは、例えば、以下により詳細に説明されるように、カートリッジを備えてもよい。特定の実施形態によれば、流体デバイスは、位置合わせ特徴部を介して流体レセプタクルに流体接続されるように構成される。これは、流体デバイスが、流体レセプタクルと同時に位置合わせされ、かつ流体接続されることを可能にし得る。この種の接続は、特定の実施形態によれば、(例えば、余分なチャネル長の必要性を低減することによって)流体デバイスと流体レセプタクルとの間の流体接続のデッドボリュームを有利に低減する。
【0022】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される流体デバイス、物品、およびシステムの構成要素は、流体接続される(fluidically connected)。2つの構成要素は、一実施形態のいくつかの構成下で、流体がそれらの間を通過し得る場合、流体接続される。例えば、第1の流体デバイス構成要素および第2の流体デバイス構成要素は、それらがチャネル、マイクロチャネル、またはチューブによって接続される場合、流体接続され得る。別の例として、弁によって分離された2つの構成要素は、弁が2つの構成要素間の流体の流れを可能にするように構成され得る限り、依然として流体接続されていると見なされる。対照的に、機械的にのみ接続され、それらの間に流体経路がない2つの構成要素は、流体接続されているとはみなされない。流体接続された構成要素は、直接流体接続されてもよい(すなわち、いかなる介在構成要素も通過しない流体経路によって接続される)。しかしながら、流体連通可能に接続された構成要素は、場合によっては、1、2、3、4、5、8、10、15、20、またはそれ以上の介在構成要素を通る流体経路によって接続されてもよい。
【0023】
流体デバイスは、いくつかの実施形態によれば、チャネルを備える。チャネルは、いくつかの実施形態において、流体デバイスの位置合わせ特徴部に流体接続される。位置合わせ特徴部は、流体デバイスの第1の位置合わせ特徴部であってもよい。いくつかの実施形態によれば、流体デバイスは、第2の位置合わせ特徴部をさらに備える。第2の位置合わせ特徴部は、特定の実施形態によれば、例えば、流体レセプタクルを通過する流体経路によって確立される流体接続を介してチャネルに接続される。しかしながら、いくつかの実施形態または構成では、第2の位置合わせ特徴部はチャネルに接続されていない。いくつかの実施形態によれば、流体デバイスは、流体レセプタクルを受容するように構成される。例えば、流体デバイスは、いくつかの実施形態によれば、流体レセプタクルを保持するように構成される。いくつかの実施形態によれば、流体デバイスはカートリッジを備える。流体デバイスは、固体基板(例えば、カートリッジの固体基板)を備える。流体デバイスは、流体レセプタクルを受容するように構成される取付要素(mounting element)を備えてもよい。例えば、取付要素は、受容された流体レセプタクルに機械的に結合してもよい。別の例として、取付要素は、受容された流体レセプタクルに機械的に結合しなくてもよい。例えば、取付要素は、流体レセプタクルが取付要素内にまたは取付要素に対して静置するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、流体デバイスの固体基板は、取付要素を備える。例えば、固体基板は、流体レセプタクルを受容するように構成される凹部を備えてもよい。例示的な取付要素は、凹部、隆起縁部、摩擦誘発特徴部、クランプ、クリップ、グリップ、レール、および/または流体レセプタクルを取付要素内に受容することができる様々な他の特徴部のいずれかを備えることができる。例えば、流体レセプタクルは、固体基板に対して定位置に保持されるように、凹部内に局在化されることができるため、取付要素は、凹部を備えてもよい。別の例として、取付要素は、流体レセプタクルが固体基板に対して定位置に保持されるように、例えば、流体レセプタクルの縁部がそれに対して局在化され(localized)得る、隆起縁部を備えてもよい。さらに別の例を提供するために、取付要素は、摩擦誘発表面等の摩擦誘発特徴部を備えてもよく、その上に、流体デバイスが、誘発された摩擦が流体レセプタクルを基板に対して定位置に保持するように、局在化されることができる。これらの特徴の組合せも可能である。例えば、取付要素は、流体レセプタクルが隆起縁部および摩擦誘発特徴部の両方に対して局在化され、それによって、取付要素内の定位置に流体レセプタクルを保持することができるように、隆起縁部および摩擦誘発特徴部を備えてもよい。
【0024】
図1Aおよび1Bは、特定の実施形態に従う、異なる配置の流体デバイス101の例示的な実施形態を示す。
図1A~
図1Bにおいて、流体デバイス101は、流体デバイス101のカートリッジ115上に位置するチャネル102を備える。
図1A~
図1Bに示すように、いくつかの実施形態において、流体デバイス101のチャネル102は、別個の(discrete)流体デバイス部分140上に配置された第1の位置合わせ特徴部104に流体接続される。
図1A~
図1Bに示すように、流体デバイス101はまた、第2の位置合わせ特徴部106を備えてもよい。
図1Aの配置における流体デバイス101の実施形態等のいくつかの実施形態において、第2の位置合わせ特徴部106は、チャネル102に流体接続されていない。しかしながら、
図1Bに図示されるように、いくつかの実施形態において、第2の位置合わせ特徴部106は、例えば、図示される配置において流体デバイス101によって受容されている流体レセプタクル130内の流体経路によって生成される第1の位置合わせ特徴部104への流体接続を介して、チャネル102に流体接続される。対照的に、
図1Aに図示されるように、流体デバイス101は、流体デバイス130を受容していない。
【0025】
いくつかの実施形態において、流体デバイスは、1つ以上の別個の流体デバイス部分を備える。例えば、カートリッジに加えて、流体デバイスは、カートリッジに流体接続することができる別個の流体デバイス部分を備えてもよい。別個の流体デバイス部分は、カートリッジと一体的に形成されていなくてもよい。例えば、
図1Aおよび1Bにおいて、流体デバイス101は、流体接続112(例えば、チューブの内部などの導管)を介してカートリッジ115に流体接続されてはいるが、カートリッジ115と一体的に形成されていない別個の流体デバイス部分140を備える。いくつかの実施形態において、流体デバイス部分140は、例えば、締結具を使用して、機械的にカートリッジに接続される。いくつかの実施形態において、流体デバイスの位置合わせ特徴部は、別個の流体デバイス部分上に位置する。例えば、
図1A~1Bにおいて、流体デバイス101の位置合わせ特徴部104および106は、流体デバイス部分140上に位置する。いくつかの実施形態において、これは、有利には、別個の流体デバイス部分が、流体レセプタクルにより容易に結合され得るように操作されることを可能にする。別個の流体デバイス部分は、種々の適切な幾何学形状のうちのいずれかを有してもよい。例えば、流体デバイス部分は、以下により詳細に説明されるように、流体レセプタクルと連動する(interlock)ように設計されてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態において、第1の流体デバイス部分は、第2の流体デバイス部分に機械的および/または流体的に結合される。例えば、
図1Cは、第1の流体デバイス部分140が第2の流体デバイス部分190に機械的かつ流体的に結合されている、
図1A~1Bの流体デバイスに類似した流体デバイス101の例示的な実施形態を示す。いくつかの実施形態において、流体デバイス101は、第2の流体デバイス部分190上に配置された第1の位置合わせ特徴部104を備える。いくつかの実施形態において、第1の流体デバイス部分および/または第2の流体デバイス部分は、別個の流体デバイス部分である。別個の流体デバイス部分は、流体デバイスの少なくとも1つの構成要素(例えば、カートリッジ)に、または互いに、一体的に接続されない。例えば、
図1Cでは、流体デバイス部分140および190は、互いに一体的に接続されておらず、流体デバイス101の固体基板114に一体的に接続されていないので、別個の流体デバイス部分である。
図1Cに示されるように、流体デバイス101はまた、第2の流体デバイス部分104上に配置された第2の位置合わせ特徴部106を備えてもよい。
【0027】
流体デバイス部分(例えば、第1の流体デバイス部分および第2の流体デバイス部分)は、互いに機械的に結合されてもよい。例えば、第1の流体デバイス部分および第2の流体デバイス部分は、第1の流体デバイス部分と第2の流体デバイス部分との間の機械的結合が第2の流体デバイス部分を第1の流体デバイス部分に対して固定位置に維持するように取り付けられてもよい。第1の流体デバイス部分と第2の流体デバイス部分との間の機械的結合は、場合によっては、第1の流体デバイス部分および/または第2の流体デバイス部分の接続特徴部を使用して達成されてもよい。いくつかの実施形態において、第1の流体デバイス部分の接続特徴部は、第2の流体デバイス部分の接続特徴部に機械的に結合するように構成される。接続特徴部は、様々な適切な形態のいずれかをとることができ、様々な適切な方法のいずれかによって結合することができる。接続特徴部の非限定的な例としては、ペグ、突出部、ねじ山付きシリンダ、穴、凹部、およびねじ山付き穴が挙げられる。第1の流体デバイス部分の接続特徴部は、第2の流体デバイス部分の接続特徴部の幾何学形状に相補的な幾何学形状を有することによって、第2の流体デバイス部分の接続特徴部に結合してもよい。例えば、第1の流体デバイス部分のペグ、突出部、ねじ山付きシリンダ、穴、凹部、および/またはねじ山付き穴は、それぞれ、第2のデバイス部分の穴、凹部、ねじ山付き穴、ペグ、突出部、および/またはねじ山付きシリンダに相補的な幾何学形状を有してもよい。第1の流体デバイス部分および第2の流体デバイス部分の接続特徴部は、例えば、スナップ嵌め、ラッチ、クランプ、機械的インターロック特徴部、締まり嵌め、ねじ接続、スロットおよびタブ接続、またはこれらの組み合わせを介して結合することができる。本段落は、第1の流体デバイス部分と第2の流体デバイス部分との間の接続に言及しているが、接続特徴部は、概して、実施形態に応じて、任意の流体デバイス部分を任意の他の流体デバイス部分に接続するために使用されてもよく、本開示は、この点において限定されないことを理解されたい。
【0028】
流体デバイス部分(例えば、第1の流体デバイス部分および第2の流体デバイス部分)は、互いに流体的に結合されてもよい。例えば、第1の流体デバイス部分および第2の流体デバイス部分は、例えば、流体が流体経路に沿って第1の流体デバイス部分および第2の流体デバイス部分の両方に接触して流体デバイスの位置合わせ特徴部に達することができるように、流体接続されてもよい。しかしながら、いくつかの実施形態において、流体デバイス部分は、流体接続されなくてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、第2の流体デバイス部分は、透過された(transmitted)流体が第1の流体デバイス部分に接触しないように、第1の流体デバイス部分を通って延在してもよい。本開示は、そのように限定されない。
【0029】
いくつかの実施形態において、第1の流体デバイス部分および第2の流体デバイス部分の両方を含むことは、流体デバイスと流体レセプタクルとの間の流体接続を改善することができる。例えば、いくつかの実施形態において、第1の流体デバイス部分は、第1の材料を、第2の流体デバイス部分は第2の材料を含む。いくつかの実施形態において、第2の材料は第1の材料とは異なる。いくつかの実施形態において、第1の材料は、比較的剛性(例えば、硬質ポリマー)材料を含む。例示的な比較的剛性の材料としては、ガラス、シリコン、金属、または比較的剛性のポリマー、例えば、剛性シリコーン(例えば、PDMS)、ポリカーボネート、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(シクロオレフィン))、アクリル(例えば、PMMA)、ポリオキシメチレン、またはそれらの組み合わせ、混合物、および/もしくはコポリマーが挙げられ得る。いくつかの実施形態において、第2の材料は、比較的可撓性の材料(例えば、Precision Polymer Engineering Ltd.(英国)によって市販されているもの等、またはVersaFlex Inc.(カンザス州カンザスシティ)によって市販されているものなどのエラストマー)を含んでもよい。比較的可撓性の材料の非限定的な例としては、シリコーン(例えば、PDMS)、ゴム(例えば、ポリイソプレン、ネオプレン、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、ニトリル)、フッ素化エラストマー(例えば、ポリ(テトラフルオロエチレンプロピレン)、フルオロシリコーン、ポリ(テトラフルオロエチレン))、熱可塑性エラストマー(例えば、スチレンブロックコポリマー(TPE-S)、ポリオレフィンブレンド(TPE-O)、エラストマーアロイ、熱可塑性ポリウレタン(TPE-U)、熱可塑性コポリエステル(TPE-E)、および熱可塑性ポリアミド(TPE-A))、またはこれらの組み合わせ、混合物、若しくはコポリマーが挙げられる。
【0030】
いくつかの実施形態において、比較的剛性の材料は、50MPa以上、100MPa以上、500MPa以上、1GPa以上、5GPa以上、10GPa以上、またはそれ以上の平均弾性率(弾性歪みのその全領域にわたって平均された弾性率の値)を有する。いくつかの実施形態において、比較的可撓性の材料は、20MPa以下、10MPa以下、5MPa以下、2MPa以下、1MPa以下、またはそれ未満の平均弾性率を有する。これらの範囲の組み合わせが可能である。例えば、いくつかの実施形態において、比較的剛性の材料は、10GPa以上の平均弾性率を有し、比較的可撓性の材料は、50MPa以下の平均弾性率を有する。
【0031】
いくつかの実施形態において、比較的剛性の材料の平均弾性率と比較的可撓性の材料の平均弾性率との間の比は、2以上、10以上、100以上、1,000以上、10,000以上、またはそれを上回る。いくつかの実施形態において、比較的剛性の材料の平均弾性率と比較的可撓性の材料の平均弾性率との間の比は、1,000,000以下、100,000以下、10,000以下、またはそれ未満である。これらの範囲の組み合わせが可能である。例えば、いくつかの実施形態において、比較的剛性の材料の平均弾性率と比較的可撓性の材料の平均弾性率との比は、2以上かつ1,000,000以下であってもよい。
【0032】
いくつかの実施形態において、第2の流体デバイス部分は、第2の流体デバイス部分上に配置された位置合わせ特徴部を流体レセプタクルの位置合わせ特徴部と結合することによって形成される流体接続部を少なくとも部分的に封止する(例えば、部分的に封止する、または完全に封止する)ように構成される。例えば、いくつかの実施形態において、第2の流体デバイス部分は、単一の流体デバイス部分のみを使用する実施形態と比較して、流体接続部からの漏出を低減または防止するが、結合された位置合わせ特徴部間の流体移送を可能にする、流体接続部の周囲のシール(例えば、圧力シール)を形成する。これは、有利なことに、位置合わせ特徴部間の介在部品(例えば、Oリングなどの追加のガスケット)の必要性を低減または排除することができる。一方、比較的剛性の第1の流体デバイス部分は、外力が作用したときにその形状を維持するのにより適している場合がある。これは、望ましくない変形(例えば、流体デバイスが、ユーザまたはシステムの他の構成要素からの外部応力下にある場合)を低減または防止することによって、流体デバイスの配置を維持するのに役立ち得る。
【0033】
第2の流体デバイス部分は、場合によっては、第1の流体デバイス部分とは別に作製されてもよい。例えば、第2の流体デバイス部分は、適切な幾何学形状に鋳造または成形されてもよい。いくつかの実施形態において、第2の流体デバイス部分は、第1の流体デバイス部分上に直接形成されてもよい(例えば、第2の流体デバイス部分は、第1の流体デバイス部分上に成形されてもよい)。
【0034】
特定の実施形態に従う流体レセプタクルは、統合デバイス(例えば、標的分子の分析のための統合デバイス)を収納および輸送するために使用されてもよい。例えば、流体レセプタクルは、(例えば、流体レセプタクルの内部に)統合デバイスを含有してもよい。いくつかの実施形態において、流体レセプタクルへの流体の輸送は、統合デバイスの装填のために必要である。流体レセプタクルは、装填される(loaded)と、装填された統合デバイスを輸送するために(例えば、以下でさらに詳細に説明されるように、統合デバイスを検出モジュールに輸送するために)使用されてもよい。
【0035】
流体レセプタクルは、いくつかの実施形態によれば、位置合わせ特徴部を備える。例えば、位置合わせ特徴部は、流体レセプタクル上に位置してもよい。流体デバイスおよび流体レセプタクルの両方が位置合わせ特徴部を備えるいくつかの実施形態において、それぞれが複数の位置合わせ特徴部を備えることができる。例えば、いくつかの実施形態において、流体デバイスは、第1の位置合わせ特徴部および第2の位置合わせ特徴部を備え、流体レセプタクルは、第3の位置合わせ特徴部、およびいくつかの事例では、第4の位置合わせ特徴部を備える。いくつかの実施形態によれば、流体レセプタクルの位置合わせ特徴部は、流体デバイスの位置合わせ特徴部に結合する。例えば、流体レセプタクルの位置合わせ特徴部は、機械的に、流体的に、またはその両方で、流体デバイスの位置合わせ特徴部に結合してもよい。
【0036】
例えば、
図1A~1Bにおいて、流体レセプタクル130は、流体デバイス101の第1の位置合わせ特徴部104に結合するように構成された第3の位置合わせ特徴部124を備える。さらに、
図1A~1Bでは、流体レセプタクル130は、流体デバイス101の第2の位置合わせ特徴部106に結合するように構成された第4の位置合わせ特徴部126を備える。
【0037】
いくつかの実施形態によれば、流体レセプタクルは、本明細書に記載の流体を移送するために、(ワークフローに関して)流体デバイスの下流の検出モジュール(例えば、配列決定モジュール)に結合可能である。例えば、特定の実施形態によれば、流体レセプタクルは、流体デバイスから取り外され、検出モジュールに結合され得る。特定の実施形態に従って、流体レセプタクルが装填され、検出モジュールに結合されるワークフローの実施例が、以下に提供される。
【0038】
いくつかの態様は、流体を移送する方法に関する。いくつかの実施形態によれば、流体レセプタクルは、2つ以上の位置合わせ特徴部(例えば、流体デバイスの位置合わせ特徴部)に結合される。いくつかの実施形態において、流体デバイスは、2つ以上の位置合わせ特徴部を結合することによって位置合わせされる。例えば、流体デバイスは、流体デバイスの2つ以上の位置合わせ特徴部を流体レセプタクルに結合することによって、流体レセプタクルと位置合わせさせられてもよい。いくつかの実施形態によれば、流体は、位置合わせ特徴部の少なくとも1つを介して移送される。例えば、いくつかの実施形態によれば、流体は流体レセプタクルに移送される。さらに、いくつかの実施形態によれば、流体レセプタクルは、元々結合されていた位置合わせ特徴部から分離される。
【0039】
流体レセプタクルは、種々の適切な幾何学形状のうちのいずれかを有してもよい。例えば、流体レセプタクルは、特定の実施形態によれば、実質的に矩形の横方向プロファイルを有してもよい。いくつかの実施形態において、流体レセプタクルは、流体レセプタクルの最小横方向(lateral)寸法と比較して、狭い横断方向(transverse)寸法を有する。いくつかの実施形態において、流体レセプタクルは、基板(例えば、統合デバイス、チップ)を収容するように構成されてもよい。いくつかの実施形態によると、流体レセプタクルは、フローセル(例えば、入口を通して流体を受容し、出口を通して流体を伝送するように構成される、内部、入口、および出口を備える、セル)である。例えば、流体レセプタクルは、統合デバイスを備えるフローセルであってもよい。いくつかの実施形態において、流体レセプタクルは、内部(例えば、内部チャンバ)を有する。いくつかの実施形態において、デバイスの内部は、流体で少なくとも部分的にまたは完全に充填されることが可能である。いくつかの実施形態において、流体デバイスの内部は容積(volume)を有する。いくつかの実施形態において、流体レセプタクルは、2つ以上の内部を有する。例えば、流体レセプタクルは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれを上回る内部を備えてもよい。いくつかの実施形態によれば、これらの内部の少なくともいくつかは、互いに流体接続される。いくつかの実施形態において、これらの内部は、流体が1つの内部から別の内部に直接流れることができないように、互いに分割される。いくつかの実施形態によれば、流体レセプタクルの複数の内部を含むことは、複数の統合デバイスまたは統合デバイス部分が同時に充填されることを可能にすることができるので、有利である。複数の統合デバイスまたは統合デバイス部分の同時充填は、流体の流れのより優れた均一性を可能にし得、および/または別個の統合デバイスまたは統合デバイス部分と同時に相互作用することを可能にする複数のサンプルの分析を可能にし得る。
【0040】
流体レセプタクルの各内部は、入口および出口を備えてもよい。いくつかの実施形態によれば、入口/または出口は、流体デバイスに接続されてもよい(例えば、1つ以上の位置合わせ特徴部を介して)。いくつかの実施形態において、流体(例えば、ペプチドまたはポリヌクレオチド等の生体分子を含む流体サンプル)は、流体レセプタクルの1つ以上の内部を通って流される。内部を通って流れる流体は、いくつかの実施形態において、流体レセプタクルの内部を少なくとも部分的にまたは完全に充填することができる。
【0041】
例えば、
図1A~1Bにおいて、流体レセプタクル130は、入口110、出口120、および内部150を備える。
図1Bでは、流体は、いくつかの実施形態において、それぞれ、流体デバイス101の位置合わせ特徴部104および106と流体レセプタクル130の位置合わせ特徴部124および126との結合によって形成される流体接続を介して、内部150を通って流される(例えば、内部150を充填するために)。
【0042】
流体レセプタクルが2つ以上の内部を備えるいくつかの実施形態において、流体デバイスの内部を同じ流体で充填することができる。例えば、いくつかの実施形態において、2つ以上の内部を備える流体レセプタクルの第1の内部は、第1の流体(例えば、第1のペプチドサンプルからの流体)で充填され、2つ以上の内部を備える流体レセプタクルの第2の内部もまた、第1の流体(例えば、第1のペプチドサンプルからの流体)で充填される。いくつかの実施形態において、流体レセプタクルが2つ以上の内部を備える場合、流体デバイスの内部は、異なる流体で充填することができる。例えば、いくつかの実施形態において、2つ以上の内部を備える流体レセプタクルの第1の内部は、第1の流体(例えば、第1のペプチドサンプルからの流体)で充填され、2つ以上の内部を備える流体レセプタクルの第2の内部は、第2の流体(例えば、第2のペプチドサンプルからの流体)で充填される。
【0043】
特定の実施形態によれば、流体レセプタクルは、横断寸法を含む。例えば、
図1Aにおいて、流体レセプタクル130は、横断寸法152を備える。いくつかの実施形態において、流体レセプタクルは、横方向寸法を備える。例えば、
図1Bでは、流体レセプタクル130は、横方向寸法154を含む。いくつかの実施形態において、流体レセプタクルは、その横方向寸法に垂直な横断寸法に沿ってよりも、その横方向寸法に沿って実質的に幅広である。例えば、いくつかの実施形態によれば、流体レセプタクルの最小横方向寸法と流体レセプタクルの最大横断寸法との間の比は、5以上、10以上、15以上、20以上、50以上、および/または100以下、1000以下、またはそれ以上である。
【0044】
流体レセプタクルは、様々な好都合な横方向プロファイルのいずれかを有することができる。例えば、いくつかの実施形態によれば、流体レセプタクルは、長方形である横方向プロファイルを有する。いくつかの実施形態によれば、横方向プロファイルは、アスペクト比を有する。いくつかの実施形態において、横方向プロファイルは、0.1以上、0.2以上、0.4以上、0.5以上、0.66以上、1以上、1.5以上、2以上、2.5以上、5以上、またはそれ以上のアスペクト比を有する。いくつかの実施形態において、横方向プロファイルは、10以下、5以下、2.5以下、2以下、1.5以下、1以下、0.66以下、0.5以下、0.4以下、0.2以下、またはそれ未満のアスペクト比を有する。これらの範囲の組み合わせが可能である。例えば、いくつかの実施形態において、横方向プロファイルは、0.1以上10以下のアスペクト比を有する。
【0045】
いくつかの実施形態において、流体デバイスは、位置合わせした状態(例えば、流体デバイスに対する位置合わせ)において流体レセプタクルを受容するように構成される。いくつかの実施形態において、流体デバイスは、位置合わせ特徴部間の結合(例えば、流体デバイスの位置合わせ特徴部と流体レセプタクルの位置合わせ特徴部との間の結合)を介して、流体レセプタクルを受容するように構成される。位置合わせ特徴部は、相補的な形状を有することによって、インターロックすることができることによって、介在部品(例えば、ペグ)に接続するように構成されることによって、または任意の他の適切な機構によって結合することができる。いくつかの実施形態において、上述のように、流体デバイスの第1の位置合わせ特徴部と流体レセプタクルの第3の位置合わせ特徴部との間に第1の結合が形成される。いくつかの実施形態において、上述のように、流体デバイスの第2の位置合わせ特徴部と流体レセプタクルの第4の位置合わせ特徴部との間に第2の結合が形成される。一例として、
図1Bでは、第1の位置合わせ特徴部104および第3の位置合わせ特徴部124は、第2の位置合わせ特徴部106および第4の位置合わせ特徴部126と同様に、それらの相補的な形状(突出部および凹部)を使用して結合される。
【0046】
本明細書に記載される位置合わせ特徴部は、流体デバイスと流体レセプタクルとの位置合わせを容易にすることができる任意の構造的構成要素を含んでもよい。例えば、
図1A~1Bでは、流体デバイス101の第1の位置合わせ特徴部104および第2の位置合わせ特徴部106は突出部を備え、第3の位置合わせ特徴部124および第4の位置合わせ特徴部126は、突出部を受容するように構成された凹部を備える。
【0047】
いくつかの実施形態において、位置合わせ特徴部は直接結合される。しかしながら、位置合わせ特徴部間の直接結合は必要とされず、位置合わせ特徴部は、代わりに、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の介在部品を使用して結合されてもよい。例えば、流体デバイスおよび流体レセプタクルの両方は、いくつかの実施形態において、穴を備え、その穴はそれぞれ、ペグ等の介在部品に結合されてもよい。特定の実施形態によれば、介在部品は、位置合わせ特徴部間の流体接続を封止するために使用される。例えば、介在部品は、特定の実施形態によれば、ガスケット(例えば、Oリング)を含む。いくつかの実施形態において、介在構成要素は、成形層(例えば、位置合わせ特徴部の配置に適合するように成形された層)である。
【0048】
いくつかの実施形態によれば、流体デバイスの位置合わせ特徴部は、流体レセプタクルの位置合わせ特徴部と同じタイプである。例えば、いくつかの実施形態において、流体デバイスの位置合わせ特徴部および流体レセプタクルの位置合わせ特徴部は、前の段落で説明したように、穴を含む。いくつかの実施形態において、流体デバイスの位置合わせ特徴部は、流体レセプタクルの位置合わせ特徴部に相補的である。いくつかの実施形態によれば、相補的な位置合わせ特徴部がインターロックする。例えば、
図1A~1Bにおいて、突出部を備える流体デバイス101の位置合わせ特徴部104および106は、これらの突出部を直接受容するように構成された凹部を備える流体レセプタクル130の位置合わせ特徴部124および126に相補的である。
【0049】
凹部および突出部などの位置合わせ特徴部のいくつかの例が提供されているが、様々な適切な位置合わせ特徴部の幾何学的形状のいずれかを使用することができる。例えば、突出部は、長方形の突出部、丸みを帯びた突出部、六角形の突出部、中空ねじ、または円筒形の突出部であってもよい。凹部は、長方形の凹部、丸みを帯びた凹部、六角形の凹部、滑らかな円筒形の凹部、またはねじ山付き円筒形の凹部であってもよい。
【0050】
いくつかの実施形態によると、流体デバイスおよび流体レセプタクルは、1つ以上の位置合わせ特徴部を介して流体接続されることができる。例えば、いくつかの実施形態によると、流体デバイスのチャネルは、第1の位置合わせ特徴部を介して、流体レセプタクルに流体接続される、または流体接続されるように構成される。いくつかの実施形態において、流体デバイスのチャネルは、第2の位置合わせ特徴部を介して流体レセプタクルに流体接続される、または流体接続されるように構成される。いくつかの実施形態において、流体デバイスのチャネルは、流体レセプタクル上に位置する第3の位置合わせ特徴部を介して、流体レセプタクルに流体接続される、または流体接続されるように構成される。いくつかの実施形態によれば、流体デバイスのチャネルは、流体レセプタクル上に位置する第4の位置合わせ特徴部を介して流体レセプタクルに流体接続されるか、または流体接続されるように構成される。いくつかの実施形態によると、流体デバイスのチャネルは、流体デバイス上に位置する第5の位置合わせ特徴部を介して、流体レセプタクルに流体接続されるか、または流体接続されるように構成される。いくつかの実施形態において、流体デバイスのチャネルは、流体レセプタクル上に位置する第6の位置合わせ特徴部を介して、流体レセプタクルに流体接続される、または流体接続されるように構成される。いくつかの実施形態において、流体デバイスのチャネルは、流体デバイス上に位置する第7の位置合わせ特徴部を介して、流体レセプタクルに流体接続される、または流体接続されるように構成される。いくつかの実施形態において、流体デバイスのチャネルは、流体レセプタクル上に位置する第8の位置合わせ特徴部を介して、流体レセプタクルに流体接続される、または流体接続されるように構成される。第5、第6、第7、および第8の位置合わせ特徴部の例は、
図11A~
図11Nを参照して以下に提供される。
【0051】
いくつかの実施形態において、位置合わせ特徴部を介して流体接続を形成することは、いくつかの利点を提示する。例えば、流体デバイスの位置合わせ特徴部と流体レセプタクルの位置合わせ特徴部との間の結合を介した流体接続は、結合によって機械的に支持されてもよい。さらに、結合を介して流体デバイスと流体レセプタクルとを流体接続することはOリング等の介在構成要素の必要性を低減し、有利には、流体接続のデッドボリュームを低減し、それによって、サンプルおよび/または試薬の無駄を排除し得る。
【0052】
いくつかの実施形態によれば、流体デバイスは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも7つ、少なくとも10、またはそれ以上の位置合わせ特徴部を含む。流体デバイスの位置合わせ特徴部は、同じであっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態において、流体レセプタクルは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも7つ、少なくとも10、またはそれ以上の位置合わせ特徴部を含む。流体レセプタクルの位置合わせ特徴部は、同じであっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態において、流体デバイスは、流体デバイスに対して位置合わせした状態で流体レセプタクルを受容する(例えば、保持する)ように構成される。いくつかの実施形態において、流体デバイスおよび流体レセプタクルは、流体レセプタクルの位置合わせ特徴部と流体デバイスの位置合わせ特徴部との間の少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも7つ、少なくとも10、またはそれ以上の結合によって結合される。例えば、いくつかの実施形態によれば、流体デバイスは、流体デバイス上に位置する第5の位置合わせ特徴部と、流体レセプタクル上に位置する第6の位置合わせ特徴部との間の結合を介して流体レセプタクルに結合されるように構成される。いくつかの実施形態において、流体デバイスは、流体デバイス上に位置する第7の位置合わせ特徴部と、流体レセプタクル上に位置する第8の位置合わせ特徴部との間の結合を介して、流体レセプタクルに結合されるように構成される。
【0053】
いくつかの実施形態によれば、位置合わせ特徴部間の流体接続の形成は、位置合わせ特徴部間の結合から生じる。例えば、いくつかの実施形態によれば、流体デバイスの位置合わせ特徴部を流体レセプタクルの位置合わせ特徴部と結合することは、流体デバイスのチューブと流体レセプタクルの入口または出口との間の流体接続の形成をもたらす。しかしながら、いくつかの実施形態において、流体接続部は別個に形成される。例えば、いくつかの実施形態によれば、チューブは、位置合わせ特徴部の結合の前に入口または出口に接続される。
【0054】
いくつかの実施形態において、流体デバイスは、取付要素(mounting element)を備える。例示的な取付要素は、凹部、隆起縁部、摩擦誘発特徴部、クランプ、クリップ、グリップ、レール、および/または流体レセプタクルを取付要素内に受容することができる様々な他の特徴部のいずれかを含むことができる。例えば、取付要素は、凹部、隆起縁部、摩擦誘発特徴部、クランプ、クリップ、またはグリップであってもよい。いくつかの実施形態において、取付要素は、1つ以上の取付特徴部を備える。取付特徴部は、流体レセプタクルを流体デバイスに添着することを補助するように構成されてもよい。
【0055】
取付特徴部は、流体デバイス部分を流体レセプタクルと少なくとも部分的に位置合わせするように構成されてもよい。取付要素から延在するねじ、ボルト、および/またはポストを含む、取付要素の種々の適切な取付特徴部のうちのいずれかが使用されてもよい。取付特徴部のさらなる例は、ねじ、ボルト、またはポストなどの二次的な取付特徴部を受容するように構成された穴または凹部を含む。例えば、取付特徴部は、ボルト、ねじ、ポスト、または流体デバイス部分から直接延在する種々の他の二次的な取付特徴部のうちのいずれか等の二次的な取付特徴部を受容するように構成されてもよい。追加的または代替的に、取付特徴部は、独立したボルト、ねじ、ポスト、または様々な他の特徴部のいずれかなどの二次的な取付特徴部を受容するように構成されてもよい。二次的な取付特徴部は、1つ以上の別個の流体デバイス部分に機械的に結合されてもよい。二次的な取付特徴部は、流体デバイス部分を少なくとも部分的に(例えば、部分的または完全に)位置合わせするために使用されてもよい。例えば、ボルト、ねじ、ポスト、または他の二次的な取付特徴部は、流体デバイス部分の穴を通過してもよい。二次的な取付特徴部を使用して流体デバイス部分を部分的に位置合わせさせることは、有利には、流体レセプタクルの位置合わせ特徴部との流体デバイス部分の位置合わせ特徴部の位置合わせを単純化し得る。例えば、取付特徴部は、流体レセプタクルに対する流体デバイス部分の運動の範囲を減少させ得る。取付特徴部の例は、流体デバイスの特定の実施形態を参照して以下に記載される。
【0056】
いくつかの実施形態において、取付要素は、デバイスの横方向寸法に対して角度を付けられた表面を備える。例えば、いくつかの実施形態において、流体デバイスは凹部を備える。凹部は、いくつかの実施形態において、流体デバイスの横方向寸法に対して角度を付けられた表面を備える。例えば、
図1A~1Bにおいて、凹部116は、特定の実施形態によれば、流体デバイス101の横方向寸法118に対して角度122で傾斜した底面を含む。
図1Dは、
図1Bの実施形態と同様の実施形態を示すが、取付要素117は、流体デバイス101の凹部ではない。様々な非限定的なタイプの取付要素が、以下でより詳細に記載される。
【0057】
いくつかの実施形態において、取付要素は、流体デバイスの固体基板内にある。例えば、いくつかの実施形態において、凹部は、流体デバイスの固体基板内にある。固体基板は、完全に中実(solid)であってもよく、または固体基板は、チャネル、リザーバ、入口、出口、穴、もしくは他の不均一な部分を有してもよい。例えば、凹部116は、いくつかの実施形態によれば、固体基板114内にある。
【0058】
いくつかの実施形態において、取付要素は、流体デバイスの隆起部分内にある。例えば、流体デバイスは、固体基板の少なくとも一部(例えば、一部または全部)に対して上昇した位置で流体レセプタクルを受容するように構成される、取付要素を備える、隆起部分を備えてもよい。例えば、
図1Dに示される例示的な取付要素117は、固体基板114に対して流体デバイスの隆起部分にあるように示される。いくつかの実施形態において、取付要素は、流体デバイスのカートリッジ内に一体的に形成される。例えば、
図1A~1Cでは、取付要素116は、流体デバイス101のカートリッジ115内に一体的に形成される。しかしながら、取付要素はまた、流体デバイスに(例えば、接着剤、クリップ、インターロック特徴部、ねじ、釘、クリップ、または機械的結合の種々の他の適切な方法のうちのいずれかを使用して)機械的に結合される別個の物体であってもよい。例えば、
図1Dでは、取付要素117は、カートリッジ115に結合された別個の物体である。
【0059】
取付要素(例えば、凹部、隆起縁部、摩擦誘発特徴部)は、流体レセプタクルを受容するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、凹部は、流体レセプタクルを(例えば、凹部の中に、隆起縁部に対して、摩擦誘発特徴部上に)受容するように構成される。取付要素は、流体レセプタクルが取付要素内にまたは取付要素に対して静置するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、流体レセプタクルは、取付要素内に静置している。例えば、凹部は、流体レセプタクルが凹部内(例えば、固体基板のランプ上)に静置されるように、または流体レセプタクルが凹部によって定位置(例えば、固体基板のスロット内)に保持されるように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、流体デバイスは、流体レセプタクルが取付要素に対して静置するように構成される。例えば、流体レセプタクルは、いくつかの実施形態において、隆起縁部または摩擦誘発特徴部に対して静置するように構成されてもよい。例えば、
図1Dでは、流体レセプタクル130は、取付要素117の摩擦誘発特徴部(この場合、取付要素117の摩擦誘発表面)に対して静置するように構成される。摩擦誘発特徴部は、いくつかの実施形態において、流体デバイスを定位置に保持するのに役立つ、高い静摩擦係数を有してもよい。例示的な摩擦誘発特徴部は、いくつかの実施形態において、トレッドまたは粗い表面等の摩擦誘発表面を含んでもよい。いくつかの実施形態によると、流体レセプタクルは、取付要素の表面(例えば、傾斜表面)に対して静置するように構成される。例えば、
図1Dでは、流体レセプタクルは、流体デバイス101の横方向寸法に対して角度を付けられた取付要素117の摩擦誘発表面に対して静置するように構成される。
【0060】
少なくとも1つの構成(例えば、少なくとも1つの位置合わせまたは配置)では、受容された流体レセプタクルは、取付要素内に受容されたときに流体デバイスのチャネルに流体接続され得る。例えば、少なくとも1つの構成(例えば、少なくとも1つの位置合わせまたは配置)において、いくつかの実施形態によれば、受容された流体レセプタクルは、凹部内に受け入れられたときに流体デバイスのチャネルに流体接続される。しかしながら、いくつかの構成では、流体レセプタクルは、取付要素内または取付要素に対して存在するが、チャネルと流体接続されていない。例えば、流体レセプタクルは、凹部内にあってもよいが、流体デバイスのチャネルに流体接続されなくてもよい。表面の角度は、受容された流体レセプタクルの人間工学的配向を維持しながら、流体内の液体からのガス(例えば、気泡)の分離を有利に促進する、受容された流体レセプタクルの配向を促進し得る。したがって、流体レセプタクルの適切な配向は、有利には、流体デバイスがより小さい空間を占有することを可能にしながら、一方で、いくつかの事例では、流体システムのユーザが流体デバイスに対して流体レセプタクルを挿入および/または除去するための便利な配置を提供して、サンプル装填を改善し得る。いくつかの実施形態において、流体レセプタクルを受容するように構成される凹部(例えば、凹部116)は、流体デバイスの固体基板の全体積の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%以上である体積を有する。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、取付要素(例えば、凹部、隆起縁部)の表面と流体デバイスの横方向寸法との間の角度は、0°超、5°以上、10°以上、15°以上、20°以上、25°以上、30°以上、35°以上、40°以上、45°以上、60°以上、75°以上、またはそれ以上である。いくつかの実施形態によれば、流体デバイスの表面と横方向寸法との間の角度は、90°未満、85°以下、80°以下、75°以下、70°以下、65°以下、60°以下、50°以下、45°以下、30°以下、またはそれ未満である。これらの範囲の組み合わせが可能である。例えば、いくつかの実施形態によれば、流体デバイスの表面と横方向寸法との間の角度は、0°より大きく90°未満である。具体例として、いくつかの実施形態によれば、流体デバイスの表面と横方向寸法との間の角度は、10°以上かつ80°以下である。別の具体例として、いくつかの実施形態によれば、流体デバイスの表面と横方向寸法との間の角度は、25°以上かつ65°以下である。いくつかの実施形態によれば、このような角度の一例は、
図1Bに示す角度122であり、これは、流体デバイス101の横方向寸法118と凹部116の表面との間にある。いくつかの実施形態によれば、そのような角度の別の例は、
図1Dに示される角度122であり、これは、流体デバイス101の横方向寸法118(視覚的明瞭性のためにデバイスから垂直にオフセットされている)と取付要素117の表面との間にある。
【0062】
上述のように、いくつかの実施形態において、取付要素は、(例えば、流体デバイスの固体基板内に)凹部を含む。いくつかの実施形態によれば、凹部の表面と流体デバイスの横方向寸法との間の角度は、0°超、5°以上、10°以上、15°以上、20°以上、25°以上、30°以上、35°以上、40°以上、45°以上、60°以上、75°以上、またはそれ以上である。いくつかの実施形態によれば、流体デバイスの表面と横方向寸法との間の角度は、90°未満、85°以下、80°以下、75°以下、70°以下、65°以下、60°以下、50°以下、45°以下、30°以下、またはそれ未満である。これらの範囲の組み合わせが可能である。例えば、いくつかの実施形態によれば、流体デバイスの表面と横方向寸法との間の角度は、0°より大きく90°未満である。具体例として、いくつかの実施形態によれば、流体デバイスの表面と横方向寸法との間の角度は、10°以上かつ80°以下である。別の具体例として、いくつかの実施形態によれば、流体デバイスの表面と横方向寸法との間の角度は、25°以上かつ65°以下である。いくつかの実施形態によれば、そのような角度の例は、
図1Bに示される角度122であり、これは、流体デバイス101の横方向寸法118と凹部116の表面との間にある。
【0063】
いくつかの実施形態において、流体デバイスから流体レセプタクルへの流体の移送中、流体レセプタクルの横方向寸法は、地球の重力の方向に対してある角度にある。例えば、
図1Bでは、流体レセプタクル130への流体の移送中、地球の重力156の方向と流体レセプタクル130の横方向寸法との間の角度158が示されている。いくつかの実施形態によれば、流体レセプタクルの横方向寸法と地球の重力の方向との間の角度は、0°超、5°以上、10°以上、15°以上、20°以上、25°以上、30°以上、35°以上、40°以上、45°以上、60°以上、75°以上、またはそれ以上である。いくつかの実施形態によれば、流体レセプタクルの横方向寸法と地球の重力方向との間の角度は、90°未満、85°以下、80°以下、75°以下、70°以下、65°以下、60°以下、50°以下、45°以下、30°以下、またはそれ未満である。これらの範囲の組み合わせが可能である。例えば、いくつかの実施形態によれば、流体レセプタクルの横方向寸法と地球の重力の方向との間の角度は、0°より大きく90°未満である。特定の例として、いくつかの実施形態によれば、表面と流体レセプタクルの横方向寸法との間の角度は、10°以上かつ80°以下である。別の具体例として、いくつかの実施形態によれば、表面と流体レセプタクルの横方向寸法との間の角度は、25°以上かつ65°以下である。
【0064】
いくつかの実施形態によれば、流体レセプタクルは、統合デバイス(例えば、サンプルを受容するように構成される、センサとサンプルウェルとを統合するデバイス)を備える。統合デバイスは、統合デバイス内の流体の検査(interrogation)および/または検出を容易にするように構成されてもよい。例えば、統合デバイスは、流体内の生体高分子(例えば、ペプチド、核酸)等の対象分子の配列決定を容易にするように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、統合デバイスは、流体レセプタクル内(例えば、流体レセプタクルの内部内)にある。いくつかの実施形態において、流体レセプタクルは、統合デバイスを包含する(contains)か、または包含するように構成される。統合デバイスは、流体レセプタクルの一部であってもよい(例えば、流体レセプタクルと一体的に形成される)。
【0065】
いくつかの実施形態において、統合デバイスは、流体レセプタクルから取り外し可能である。これは、有利には、流体レセプタクルの残りを残すことなく、統合デバイスを受容するように構成される、配列決定モジュールまたは検出モジュールとの統合デバイスの結合を可能にし得る。いくつかの実施形態において、統合デバイスは、流体レセプタクルから取り外し可能ではない。いくつかの実施形態において、流体レセプタクル全体は、流体レセプタクル全体を受容するように構成される、検出モジュールまたは配列決定モジュールに結合されてもよい。
図1Bを参照すると、例示的な非限定的実施形態において、統合デバイスが流体レセプタクル130の内部150内に収容され、サンプル(例えば、ペプチド)を含む流体が内部150を通って流される。これは、統合デバイスに流体が装填される結果となり得る。続いて、いくつかの実施形態において、装填された統合デバイスは、以下により詳細に説明されるように、検出モジュールまたは配列決定モジュールを使用して分析されてもよい。
【0066】
統合デバイスは、複数のピクセル(例えば、アレイ)を含み得る。いくつかの実施形態において、個々のピクセルは、サンプルを受容するように構成される、サンプルウェルを含む。ピクセルは、少なくとも1つのセンサ(たとえば、光検出器)をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、統合デバイスは、サンプルから放出される放出エネルギーに基づいて放射パターンを生成する構成要素を含むことができる。サンプルによって放出された放出エネルギーは、次いで、統合デバイスのピクセル内の1つ以上のセンサによって検出され得る。いくつかの実施形態において、1つ以上のセンサは、サンプルの放出エネルギー(例えば、蛍光寿命)に関連付けられるタイミング特性を検出するように構成される。いくつかの実施形態において、センサは、放射パターンの少なくとも一部の空間分布を検出するように構成される。
【0067】
いくつかの実施形態において、流体デバイスは、対象の分子を有するサンプルを統合デバイスの表面に接触させることによって、対象の分子をサンプルウェル内に装填するために使用される。例えば、流体デバイスは、流体が流体デバイスの表面と接触させられるように、統合デバイスを備える流体レセプタクルの中に流体を装填するために使用されてもよい。いくつかの実施形態において、統合デバイスは、サンプルウェルを備える。例えば、
図2は、いくつかの実施形態による、サンプルウェル708を備える統合デバイス707の断面図である。サンプルウェル708は、サンプルウェル708の底面712に対して遠位にある統合デバイス707の表面710に小さな体積または領域を備えてもよい。サンプルウェル708は、サンプルウェル708の底面712に保持され得る対象分子791を含むサンプルを受容するように構成されてもよい。サンプルウェル708の底面712は、少なくとも一時的に一定期間、対象分子791に結合する1つ以上の結合基を含む。サンプルウェル708の底面712は、対象分子791がサンプルウェル708の側壁790ではなく底面712に接着する選択性を提供する1つ以上の材料を有してもよい。いくつかの実施形態において、サンプルウェル708の底面712および側壁790は、本明細書に記載される技術または当該技術分野において既知の方法を使用して調製(例えば、不動態化、官能化等)されてもよい。
【0068】
いくつかの実施形態において、対象分子791は、サンプルウェル708の底面712の遠位にある上部開口を通してサンプルウェル708内に配置される。いくつかの実施形態によれば、対象の分子は、本明細書に記載の方法、システム、および物品を使用して、流体レセプタクルに装填された流体を介してサンプルウェルに移送される。上部開口は、サンプルウェル708内の対象分子791を照らす周辺光または迷光を低減するように構成されてもよい。上部開口は、統合デバイス707の表面710で測定して、50nm~300nmの範囲、またはその範囲内の任意の値もしくは値の範囲の幅WAを有することができる。サンプルウェル708は、底面712と、上部クラッド(cladding)718と金属層722との間の界面727との間に深さdWを有してもよい。深さdWは、底面712に位置する対象分子と金属層722との間の適切な距離を提供することができる。深さdWは、対象分子791に関連付けられたマーカーの光子放出事象のタイミング(例えば、寿命)に影響を及ぼし得る。したがって、深さdWは、異なるマーカーの個々の寿命に関連付けられるタイミング特性に基づいて、サンプルウェル708内の異なるマーカーを区別することを可能にし得る。いくつかの実施形態において、サンプルウェル708の深さdWは、受け取られる励起エネルギーの量に影響を与え得る。深さdWは、50nm~350nmの範囲、またはその範囲内の任意の値もしくは値の範囲であってもよい。いくつかの実施形態において、深さdWは95nm~150nmである。いくつかの実施形態において、深さdWは150nm~350nmである。いくつかの実施形態において、深さdWは200nm~325nmである。いくつかの実施形態において、深さdWは250nm~300nmである。いくつかの実施形態において、深さdWは約270nmである。
【0069】
いくつかの実施形態において、統合デバイスは導波路を備える。例えば、種々の実施形態において、サンプルウェル708は、導波路716から励起エネルギーを受け取るように配置されてもよい。導波路716は、導波路からエバネッセント減衰する光学モードを提供するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、モードのエバネッセント場は、サンプルウェル708と少なくとも部分的に重複し得る。このようにして、サンプルウェル708内の対象分子791は、光学モードのエバネッセント場を介して励起エネルギーを受け取ることができる。
【0070】
統合デバイス707は、上部クラッド718の上に金属層722を含むことができる。金属層722は、サンプルウェル内のサンプルによって放出される放出エネルギーのための反射体として作用してもよく、放出エネルギーを統合デバイスのセンサに向かって反射することによって、放出エネルギーの検出を向上させてもよい。金属層722は、サンプルウェル内で発生しない光子に起因してバックグラウンド信号を低減するように作用してもよい。金属層722は、1つ以上の副層(sub-layers)を含むことができる。金属層の層として使用される適切な材料の例は、アルミニウム、銅、チタン、および窒化チタンを含むことができる。
図2に示されるように、金属層722は、第1の副層724、第2の副層726、および第3の副層728を含む。第1の副層の厚さは、30nm~165nmの範囲、またはその範囲内の任意の値もしくは値の範囲であってもよい。第2の副層の厚さは、5nm~100nmの範囲、またはその範囲内の任意の値もしくは値の範囲であってもよい。いくつかの実施形態において、第2の副層の厚さは約10nmであってもよい。第3の副層は、5nm~100nmの範囲、またはその範囲内の任意の値もしくは値の範囲の厚さを有してもよい。いくつかの実施形態において、第3の副層は、約30nmの厚さを有することができる。
【0071】
サンプルウェル708は、側壁790上の側壁スペーサで少なくとも部分的に覆われた1つ以上の側壁を有してもよい。側壁スペーサの組成は、側壁790が対象分子791との特定のタイプの相互作用を可能にするように構成されるようなものであってもよい。いくつかの実施形態において、側壁スペーサは、側壁790に付着する対象分子791の量を低減するためにサンプルウェル708の側壁を不動態化するように構成された組成を有してもよい。サンプル壁の側壁のみをスペーサでコーティングすることによって、対象分子791との異なるタイプの相互作用が、サンプルウェル708の異なる領域で提供され得る。側壁スペーサは、3nm~30nmの範囲、またはその範囲内の任意の値もしくは値の範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態において、側壁スペーサは約10nmの厚さを有する。側壁スペーサを形成するために使用される適切な材料の例は、TiO2、TiN、TiON、TaN、Ta2O5、Zr2O5、およびHfO2を含む。いくつかの実施形態において、サンプルウェル構造は、側壁上にスペーサ材料を欠く、導波路716に近接する底面712を有する。底面と側壁スペーサとの間の距離は、20nm~50nmの範囲、またはその範囲内の任意の値もしくは値の範囲であってもよい。このようにして、サンプルウェルの底面712は、導波路716により近くなり、したがって、励起エネルギーの結合を改善し、励起エネルギーの光損失に対する金属スタックの影響を低減する。
【0072】
いくつかの実施形態によると、統合デバイスは、サンプルウェルを備える。いくつかの実施形態において、統合デバイスは、複数の、または「アレイ」のサンプルウェルを備える。例えば、
図3は、複数のサンプルウェルを含む統合デバイス800の断面図を示す。示されるように、統合デバイス800は、導波路816と金属層822との間に上部クラッド818を備え、上部クラッド818は、導波路816と金属層822とを最大距離h
cだけ分離する。上部クラッド818は、h
c未満の寸法を有し、1つ以上のサンプルウェルを含む、1つ以上の領域を有してもよい。そのような領域は、統合デバイスの1つ以上のサンプルウェルを含むために好適なサイズおよび形状のアレイと見なされてもよい。統合デバイス800はアレイ820を含み、上部クラッド818は、h
c未満の距離だけ導波路816と金属層822とを分離する。アレイ820は、所望の数のサンプルウェルを含むために、任意の適切なサイズおよび形状の、
図3に示される図に垂直な平面内の面積を有し得る。いくつかの実施形態において、アレイ820は、長方形(例えば、正方形)を有してもよい。アレイ820は、サンプルウェル808
1、808
2、808
3、808
4、808
5、および808
6を含む複数のサンプルウェルを有し得る。
図3は6つのサンプルウェルを示すが、本出願はこの点に限定されず任意の適切な数のサンプルウェルがアレイに形成されてもよい。アレイは、任意の適切なサイズまたは形状を有することができる。いくつかの実施形態において、アレイはトレンチ領域内にある。
【0073】
本明細書に記載される技術の態様は、サンプルを統合デバイスの表面に接触させることを含む。
図3に示すように、統合デバイス800は、統合デバイス800の陥凹表面810
1に形成され得るアレイ820内に複数のサンプルウェルを含む。したがって、いくつかの実施形態において、流体デバイス(例えば、カートリッジ)から移送された流体を含むサンプルは、統合デバイスのアレイ内の統合デバイスの陥凹表面810
1に接触させられる。さらに他の実施形態において、サンプルは、陥凹領域にない(例えば、トレンチ領域にない)統合デバイスの表面に接触させられる。例えば、
図3に示すように、サンプルを統合デバイスの表面810
2に接触させることができる。
図3は、統合デバイスの陥凹領域(例えば、バスタブ)内の複数のサンプルウェルを描写するが、統合デバイスは、陥凹領域も備えずに、複数のサンプルウェルを備えてもよいことを理解されたい。
【0074】
統合デバイス800は、上部クラッド818の上に金属層822を含むことができる。金属層822は、サンプルウェル内のサンプルによって放出される放出エネルギーのための反射体として作用してもよく、放出エネルギーを統合デバイスのセンサに向かって反射することによって、放出エネルギーの検出を向上させてもよい。金属層822は、サンプルウェル内で発生しない光子に起因してバックグラウンド信号を低減するように作用してもよい。金属層822は、1つ以上の副層を含むことができる。金属層として使用される適切な材料の例には、アルミニウム、チタン、および窒化チタンが含まれる。金属層822は、上部クラッド818のエッチングされた部分に対応する1つ以上の不連続部を有して、サンプルウェル8081、8082、8083、8084、8085、および8086を形成してもよい。いくつかの実施形態において、本明細書で記載されるタイプの複数の陥凹領域(例えば、トレンチ領域)は、例えば、導波路816に向かって進む光モードと金属層822との相互作用に起因する光損失を低減するために、統合デバイス内に形成されてもよい。いくつかの実施形態において、統合デバイスは、単一サンプルウェルのための陥凹領域を含む。統合デバイスは、上部クラッド内に複数の陥凹領域を有してもよく、各陥凹領域は、1つのサンプルウェルに対応する。
【0075】
特定の技術では、単一のサンプルウェルが単一の対象分子(例えば、単一の配列決定鋳型)を含むことが有益である。したがって、いくつかの実施形態において、サンプルウェルのアレイを含む統合デバイス上にサンプルを導入することによって、例えば、配列決定鋳型を含むサンプルをサンプルウェルに装填するとき、統合デバイスを高濃度の配列決定鋳型で過飽和にすることを回避するように注意すべきである。このような実施形態において、多くの場合、希釈濃度の配列決定鋳型を有するサンプルを使用してサンプルウェルを装填することが賢明である。
【0076】
いくつかの実施形態において、流体レセプタクルは、統合デバイスを備えるが、これらの実施形態は、非限定的であることを理解されたい。例えば、特定の実施形態によれば、流体レセプタクルは、流体をウェルプレートに移送するため、または基板をコーティングするために使用されてもよい。いくつかの実施形態において、流体レセプタクルは、モジュール(例えば、検出モジュール)に恒久的に接続されてもよい。そのような実施形態において、流体デバイスは、供給源から(例えば、配列決定モジュールから直接)モジュール内への流体流を制御する導管として作用してもよい。必ずしも全てではないが、いくつかの実施形態において、検出モジュールは、流体レセプタクル内のサンプルの測定を行うために使用されてもよい。サンプルの測定は、例えば、流体レセプタクルが流体デバイスと位置合わせされ、流体デバイスに流体接続されている間に実行されてもよい。
【0077】
いくつかの実施形態において、流体デバイスは、カートリッジであるか、またはカートリッジを含む。特定の実施形態によれば、流体デバイスのカートリッジは、流体レセプタクルに流体接続されたチャネルを備える。いくつかの実施形態において、カートリッジは、1以上の貯蔵試薬(例えば、液体または液体形態への再構成に適した凍結乾燥形態のもの)を含む。例えば、カートリッジの貯蔵試薬は、所望のサンプルタイプを処理するのに適した試薬(例えば、緩衝液、またはイメージング溶液)を含んでもよい。いくつかの実施形態において、カートリッジは、単回使用カートリッジ(例えば、使い捨てカートリッジ)または複数回使用カートリッジ(例えば、再利用可能なカートリッジ)である。いくつかの実施形態において、カートリッジは、使用者が供給するサンプル(例えば、タンパク質または核酸の)を受容するように構成される。使用者が供給するサンプルは、流体レセプタクルが流体デバイスによって受容される前または後に、例えば、使用者によって手動で、または自動化プロセスにおいて、カートリッジに添加されてもよい。
【0078】
いくつかの実施形態において、流体デバイス(例えば、カートリッジ)は、チャネルを含む表面を有する基層(base layer)を含む。いくつかの実施形態において、少なくともいくつかのチャネルの少なくとも一部は、チャネルの基部(base)に単一の頂点を有し、基層の表面に2つの他の頂点を有する実質的に三角形の断面を有する。いくつかの実施態様において、少なくともいくつかのチャネルの少なくとも一部は、表面層(surface layer)を有する。表面層はエラストマーを含むことができる。表面層は、チャネルの表面開口部を実質的に封止するように構成されてもよい。
【0079】
いくつかの実施形態において、流体デバイス(例えば、カートリッジ)は、基層を含む。いくつかの実施形態において、基層は、1つ以上のチャネルを含む表面を有する。例えば、
図4Aは、いくつかの実施形態に従う、チャネル602の幅に沿った流体デバイス600の断面図の概略図である。図示された流体デバイス600は、チャネル602を含む表面611を有する基層604を含む。いくつかの実施形態において、チャネルの少なくともいくつかはマイクロチャネルである。例えば、いくつかの実施形態において、チャネル602の少なくともいくつかはマイクロチャネルである。いくつかの実施形態において、チャネルの全てがマイクロチャネルである。例えば、再び
図4Aを参照すると、いくつかの実施形態において、チャネル602の全てがマイクロチャネルである。特定の実施形態によれば、流体は、マイクロチャネルを介して流体デバイスから流体レセプタクルに移送される。例えば、再び
図1A~1Bを参照すると、いくつかの実施形態において、チャネル102はマイクロチャネルである。
【0080】
いくつかの実施形態において、流体デバイス(例えば、カートリッジ)は、統合デバイスに装填するために使用される流体(例えば、1つ以上のサンプル、緩衝液、またはイメージング溶液を含む流体)を含有および/または輸送するように構成される、1つ以上のチャネル(例えば、マイクロ流体チャネル)を含む。いくつかの実施形態において、流体デバイスはまた、サンプル調製の1つ以上のステップのために使用されてもよい。そのような状況下では、流体デバイスは、流体(例えば、1つ以上の試薬を含む流体)を含有または輸送するように構成される、1つ以上のチャネルを備えてもよい。試薬には、緩衝液、酵素試薬、ポリマーマトリックス、捕捉試薬、サイズ特異的選択試薬、配列特異的選択試薬、および/または精製試薬が含まれる。いくつかの実施形態において、流体デバイスは、小体積の流体(例えば、1~10マイクロリットル、2~10マイクロリットル、4~10マイクロリットル、5~10マイクロリットル、1~8マイクロリットル、または1~6マイクロリットルの流体)を取り扱うことが可能である。
【0081】
本明細書に記載の流体は、液相および/または気相を含んでもよい。いくつかの実施形態において、流体は液相を含む。例えば、流体は水相を含むことができる。水相は、50体積%以上、75体積%以上、90体積%以上、95体積%以上、99体積%以上、または100体積%の量の液体水を含んでもよい。いくつかの実施形態において、流体の液相は、1つ以上のサンプル、緩衝液、および/またはイメージング溶液を含む。特定の実施形態によれば、流体の液相は固相を含む。例えば、流体は、粒子相などの分散した固相を含んでもよい。特定の例として、流体の液相はナノ粒子を含んでもよい。
【0082】
いくつかの実施形態において、流体デバイスは、シールプレートをさらに備える。いくつかの実施形態において、シールプレートは、硬質プラスチック、および/または射出成形部品を含む。いくつかの実施形態において、シールプレートは、1つ以上の貫通孔を備える。いくつかの実施形態において、1つ以上の貫通孔は、基層内の1つ以上の関連付けられたチャネルと実質的に同様の形状を有する。この文脈において、「貫通孔」は、例えば装置の1つ以上の機械構成要素が移動して流体デバイスの表面層と係合および/または係合解除することができる、シールプレート内の間隙/孔/空隙を指すことを理解されたい。例えば、本明細書に記載されるようなローラおよび流体デバイス(例えば、カートリッジ)を備える蠕動ポンプは、ローラが、シールプレートの貫通孔の少なくとも一部を通って移動し、流体デバイスの表面層に、その表面と係合および/または係合解除するときに到達するように構成されてもよい。貫通孔は、様々な形状およびアスペクト比(長方形、正方形、円形、長円形など)のいずれかを有し得る。
【0083】
いくつかの実施形態において、シールプレートの1つ以上の貫通孔のうちの少なくともいくつかは、基層内の1つ以上の関連付けられたチャネルと整列するように構成される。いくつかの実施形態において、流体デバイスは、シールプレートと基層との間に配置されたエラストマーを含む表面層を備える。いくつかの実施形態において、表面層は、基層内のシールプレートの間に直接配置される。いくつかの実施形態において、流体デバイスは、シールプレートと基層との間に配置された表面層の1つ以上の露出領域を備え、1つ以上の露出領域のそれぞれは、シールプレートの関連する貫通孔および基層の位置合わせされたチャネルによって画定される。いくつかの実施形態において、表面層の1つ以上の露出領域の1つ以上の露出部分は、基層の関連付けられたチャネルの壁および/または基部の1つ以上の関連付けられた部分に接触するように、ローラによって変形されてもよい。
【0084】
いくつかの実施形態において、流体デバイス(例えば、カートリッジ)は、流体を受容し、および/またはサンプル装填プロセスにおいて使用される1つ以上の溶液を含有するように構成される、1つ以上のリザーバを備える。いくつかの実施形態において、少なくともいくつかのチャネルは、リザーバに接続する。
【0085】
リザーバは、リザーバの周囲で交差することによって、チャネル(複数可)の底面で少なくともいくつかのチャネル(複数可)に接続されてもよい。いくつかのそのような場合、次いで、リザーバおよびそれが接続されるチャネルは、それぞれ、流体デバイスの表面層(例えば、シリコーン膜等の膜)と相互作用する。しかしながら、いくつかの実施形態において、リザーバは、リザーバまたは流体デバイスの上面を介して、少なくともいくつかのチャネルに接続される。いくつかの実施形態において、リザーバは空である(例えば、本明細書のプロセスのうちの1つ以上の前に最初は空である)。例えば、リザーバは、装填(または配列決定、分析、もしくは診断)適用の開始時に最初は空であってもよいが、適用中に、サンプルおよび/または試薬(例えば、イメージング溶液、緩衝液)が添加される。
【0086】
いくつかの実施形態によれば、リザーバは、流体デバイスの位置合わせ特徴部(例えば、第1の位置合わせ特徴部)に流体接続される。いくつかの実施形態において、流体レセプタクルに輸送される全ての流体は、流体デバイスの内部のリザーバから輸送される。しかしながら、いくつかの実施形態において、流体レセプタクルに輸送される流体の少なくとも一部は、流体デバイスの外部のリザーバ(例えば、外部バイアル、ボトル、サンプルホルダ、または別のカートリッジのリザーバ)から輸送される。いくつかの実施形態において、流体は、位置合わせ特徴部(例えば、第1の位置合わせ特徴部)を介して、リザーバから流体レセプタクルに輸送される。いくつかの実施形態において、位置合わせ特徴部(例えば、第1の位置合わせ特徴部)は、流体デバイスの内部のリザーバおよび流体デバイスの外部のリザーバの両方に流体接続される。
【0087】
本明細書で使用される場合、「チャネル」という用語は、当技術分野の通常の当業者に知られており、流体を収容および/または輸送するように構成された構造を指す場合がある。チャネルは、一般に、壁;基部(例えば、壁に接続された基部および/または壁から形成された基部);チャネルの1つ以上の部分で開口し、覆われ、および/または密封されていてもよい表面開口部、を含む。いくつかの実施形態において、封止される表面部分は完全に封止される。いくつかの実施形態において、封止される表面部分は実質的に封止される。表面開口部は、表面開口部の50%超、60%超、75%超、90%超、または95%超が封止される場合、実質的に封止され得る。いくつかの実施形態において、表面開口部はエラストマーによって封止される。
【0088】
本明細書で使用される場合、「マイクロチャネル」という用語は、サイズが1000ミクロン(1000μm)以下の少なくとも1つの寸法を含むチャネルを指す。例えば、マイクロチャネルは、サイズが1000ミクロン(1000μm)(例えば、100ミクロン(100μm)以下、10ミクロン(10μm)以下、5ミクロン(5μm)以下)以下の少なくとも一つの寸法(例えば、幅、高さ)を含むことができる。いくつかの実施形態において、マイクロチャネルは、1ミクロン(1μm)(例えば、2ミクロン(2μm)以上、10ミクロン(10μm)以上)以上の少なくとも1つの寸法を含む。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、1ミクロン(1μm)以上1000ミクロン(1000μm)以下、10ミクロン(10μm)以上100ミクロン(100μm)以下)。他の範囲も可能である。いくつかの実施形態において、マイクロチャネルは、1000ミクロン(1000μm)以下の水力直径を有する。本明細書中で使用される場合、用語「水力直径」(DH)は、当業者に公知であり、以下のように決定され得る:DH=4A/P(式中、Aはチャネルを通る流体の流れの断面積であり、Pは断面の湿潤した周囲長(流体が接触するチャネルの断面の周囲長)である)。
【0089】
いくつかの実施形態において、少なくともいくつかのチャネルの少なくとも一部は、実質的に三角形の断面を有する。いくつかの実施態様において、少なくともいくつかのチャネルの少なくとも一部は、チャネルの基部に単一の頂点を有し、基層の表面に他の2つの頂点を有する実質的に三角形の断面を有する。
図4Aを参照すると、いくつかの実施形態において、チャネル602のうちの少なくともいくつかの少なくとも一部分は、チャネルの基部に単一の頂点を有し、基部層の表面に2つの他の頂点を有する実質的に三角形の断面を有する。
【0090】
本明細書で使用される「三角形」という用語は、三角形が実際の形状に近似または等しくなるように内接または外接され得る形状を指すために使用され、純粋に三角形に限定されるものではない。例えば、三角形断面は、1つ以上の部分で非ゼロ曲率を含むことができる。
【0091】
三角形断面は、くさび形を含むことができる。本明細書で使用される「くさび形」という用語は、当業者に知られており、厚い端部を有し、薄い端部に先細りになっている形状を指す。いくつかの実施形態において、くさび形は、厚い端部から薄い端部まで対称軸を有する。例えば、くさび形は、厚い端部(例えば、チャネルの表面開口部)を有し、薄い端部(例えば、チャネルの基部)までテーパ形状であってもよく、厚い端部から薄い端部まで対称軸を有してもよい。
【0092】
加えて、いくつかの実施形態において、実質的に三角形の断面(すなわち、「V溝」)は、種々のアスペクト比を有してもよい。本明細書で使用される場合、V溝の「アスペクト比」という用語は、高さ対幅の比を指す。例えば、いくつかの実施形態において、V溝は、2以下、1以下、または0.5以下、および/または0.1以上、0.2以上、または0.3以上のアスペクト比を有する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、0.1と2との間、または0.1および2に等しい、0.2と1との間、または0.2および1に等しい)。他の範囲も可能である。
【0093】
いくつかの実施形態において、少なくともいくつかのチャネルの少なくとも一部は、実質的に台形状の断面を有する。いくつかの実施形態において、少なくともいくつかのチャネルの少なくとも一部は、チャネルの基部に2つの頂点を有し、基層の表面(すなわち、チャネルの表面開口部)に2つの他の頂点を有する実質的に台形状の断面を有する。
図4Bは、
図4Aと同様であるが、いくつかの実施形態に従って、チャネル602の表面開口部における頂点698と、チャネル602の基部における頂点699とを備える、実質的に台形形状を有する、チャネル602の断面図を提示する。一般に、台形状の断面において、基層の表面における2つの頂点は、チャネルの基部における2つの頂点よりも広く離間しており、チャネルの基部における2つの頂点は、チャネル深さを規定する等しい深さを有する。いくつかの実施形態において、チャネル602のうちの少なくともいくつかの少なくとも一部分は、実質的に台形形状の断面を有する。
【0094】
本明細書で使用される場合、「台形」という用語は、台形が実際の形状に近似または等しいように内接または外接され得る形状を指すために使用され、純粋に台形に制約されない。例えば、台形断面は、1つ以上の部分において非ゼロ曲率を含んでもよい。
【0095】
ほぼ台形状の断面の断面に対応する台形は、等脚台形であってもよい。実質的に等脚台形の形状の断面を有するチャネルにおいて、チャネルの基部における第1の頂点と基層の表面における第1の頂点との間の距離は、チャネルの基部における第2の頂点と基層の表面における第2の頂点との間の距離に等しい。例えば、
図4Bのチャネル602は、実質的に等脚台形の形状の断面を有する。
【0096】
当然ながら、既に述べた断面に加えて、チャネルは、様々な他の好適な断面形状(例えば、半円形、矩形)のいずれかを有してもよく、チャネルは、その長さの異なる部分にわたって異なる断面形状を有してもよいことを理解されたい。
【0097】
いくつかの実施形態において、チャネルの断面の形状は、チャネルに圧力を付与するために(例えば、蠕動ポンプ機構を介してチャネルを通る流体輸送を駆動するために)使用されるローラの少なくとも一部の形状と相補的である。例えば、いくつかの実施形態において、ローラの断面の少なくとも一部分は、実質的に三角形の形状を有し(例えば、ローラは、くさび部分を備える)、チャネルは、(例えば、エラストマー層等の表面層を介して)ローラがチャネルと嵌合して、(例えば、流体圧送のために)圧力を付与する間に明確に画定された開始位置を確立することができるように、相補的である実質的に三角形の形状を有する。
【0098】
いくつかの実施形態において、少なくともいくつかのチャネルの少なくとも一部は、実質的に三角形の部分と、実質的に三角形の部分に開口し、チャネルの表面に対して実質的に三角形の部分の下に延びる第2の部分とを含む断面を有する。いくつかの実施形態において、第2の部分は、実質的に三角形の部分の平均直径よりも著しく小さい直径(例えば、平均直径)を有する。再び
図4Aを参照すると、いくつかの実施形態において、少なくともいくつかのチャネル602の少なくとも一部は、実質的に三角形の部分601と、実質的に三角形の部分601内に開口し、チャネルの表面605に対して実質的に三角形の部分601の下に延在する第2の部分603とを含む断面を有し、第2の部分603は、実質的に三角形の部分601の平均直径609よりも著しく小さい直径607を有する。いくつかの実施形態において、実質的に三角形の部分の平均直径に対する第2の部分の直径の比は、0.8以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下、0.3以下、0.2以下、および/または0.1以下である。このような場合には、チャネルの第2の部分がチャネルの実質的に三角形の部分の平均直径のそれよりも著しく小さい直径を有することは、実質的に三角形の部分が装置のローラおよび表面層の変形部分に対してアクセス可能であるが、第2の部分がローラおよび表面層の変形部分にアクセス不可能であるという結果になり得る。えば、
図4Aを再び参照すると、いくつかの実施形態によれば、チャネル602の実質的に三角形の部分601は、ローラ(図示せず)および表面層606の変形部分にアクセス可能であるが、第2の部分603は、ローラおよび表面層606の変形部分にアクセス不可能である。いくつかのそのような場合、表面層606が実質的に三角形の部分601を充填するが第2の部分603を充填しないようにローラによって変形されるときであっても、流体が第2の部分603内で依然として自由に移動することができるので、表面層606とのシールは、第2の部分603を有するチャネル602の部分において達成されることができない。いくつかの実施形態において、チャネルの長さに沿った部分は、実質的に三角形の部分および第2の部分(「深いセクション」)の両方を有するが、チャネルの長さに沿った別の部分は、実質的に三角形の部分のみを有する。いくつかのそのような実施形態において、装置(例えばローラ)が、実質的に三角形の部分および第2の部分(深いセクション)の両方を有する部分と係合する場合、表面層とのシールが達成されないため、ポンプ動作は開始されない。しかしながら、装置がチャネルの長さ方向に沿って係合するとき、装置が実質的に三角形の断面のみを有するチャネルの部分で表面層を変形させると、ポンプ作用が開始されるが、これは、その部分に第2の部分(深いセクション)が欠如しているために、シール(結果として圧力差)が形成されることが可能になるからである。したがって、場合によっては、流体デバイス(例えば、カートリッジ)のチャネルの長さに沿った深いセクションの有無によって、チャネルのどの部分が装置との係合時にポンプ作用を受けることができるかを制御することができる。
【0099】
同様に、いくつかの実施形態において、少なくともいくつかのチャネルの少なくとも一部は、実質的に台形の部分と、実質的に台形の部分内に開口し、チャネルの表面に対して実質的に台形の部分の下に延在する第2の部分とを含む断面を有する。いくつかの実施形態において、第2の部分は、実質的に台形の部分の平均直径よりも著しく小さい直径(例えば、平均直径)を有する。いくつかの実施形態において、実質的に台形の部分の平均直径に対する第2の部分の直径の比は、0.8以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下、0.3以下、0.2以下、および/または0.1以下である。いくつかのそのような場合では、チャネルの実質的に台形の部分の平均直径の直径よりも著しく小さい直径を有するチャネルの第2の部分は、実質的に台形の部分が装置のローラおよび表面層の変形された部分にアクセス可能であるが、第2の部分がローラおよび表面層の変形された部分にアクセス不可能であることをもたらし得る。いくつかの実施形態において、チャネルの長さに沿った部分は、実質的に台形の部分および第2の部分(「深いセクション」)の両方を有するが、チャネルの長さに沿った別の部分は、実質的に台形の部分のみを有する。いくつかのそのような実施形態において、装置(例えば、ローラ)が、実質的に台形の部分および第2の部分(深いセクション)の両方を有する部分と係合するとき、表面層とのシールが達成されないので、ポンプ作用は開始されない。しかしながら、装置がチャネルの長さ方向に沿って係合するとき、装置が実質的に台形断面のみを有するチャネルの部分において表面層を変形させるとき、その部分における第2の部分(深いセクション)の欠如がシール(したがって圧力差)を生成することを可能にするので、ポンプ作用が始まる。したがって、場合によっては、流体デバイス(例えば、カートリッジ)のチャネルの長さに沿った深いセクションの有無によって、チャネルのどの部分が装置との係合時にポンプ作用を受けることができるかを制御することができる。
【0100】
流体デバイス(例えば、カートリッジ)のチャネルの少なくともいくつかの第2の部分としてそのような「深いセクション」を含むことは、様々な潜在的利益のいずれかに寄与し得る。例えば、そのような深いセクション(例えば、第2の部分103)は、場合によっては、蠕動ポンププロセスにおけるポンプ容積の減少に寄与し得る。このような場合には、より高い容積分解能(volume resolution)のためにポンプ容積を2倍以上減少させることができる。場合によっては、このような深いセクションは、ローラがチャネル上のどこに着地するかによって決定されないポンプ容積の明確に定義された開始点を提供することもできる。例えば、実質的に三角形の部分と第2の部分(深いセクション)の両方を有するチャネルの部分と、実質的に三角形の部分のみを有するチャネルの部分との間の界面は、場合によっては、後者のチャネル部分の体積を占める流体のみをポンピングすることができるので、ポンプ容積の明確に定義された開始点として使用することができる。場合によっては、ローラがチャネル上に着地すると、カートリッジの位置合わせなどの様々な要因のいずれかに応じて、何らかのエラーが生じることがある。深いセクションを含めることは、場合によっては、このような誤差に関連するポンプ容積の変動を低減または排除することができる。
【0101】
長さの異なる部分にわたって異なる深さを有するチャネルを含むより一般的な方法を使用することによって、同様の改善を実現することができる。チャネルは、チャネルの長さの異なる部分にわたって、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれを上回る異なる断面を備えてもよい。異なる断面は、異なる深さおよび/または異なる形状を有してもよい。チャネルの異なる断面は、それらが異なる形状を有する場合であっても、同じ深さを有してもよい。
【0102】
本開示は、場合によっては、チャネルの長さに沿って浅い部分を有し、チャネルの長さに沿って深い部分を有するチャネルを提供する。「浅い部分」および「深い部分」という用語は、浅い部分と深い部分との間の相対的な寸法関係を便宜的に伝えるために使用され、任意の特定の絶対的な寸法を暗示することを意味しない。いくつかの実施形態において、チャネルの長さに沿った浅い部分は、第1の深さを有する第1の断面を有し、チャネルの長さに沿った深い部分は、第1の深さよりも大きい第2の深さを有する第2の断面を有する。第1の深さ(すなわち、浅い部分の深さ)は、例えば、第2の深さ(すなわち、深い部分の深さ)の85%以下、70%以下、50%以下、25%以下、および/または15%程度、10%程度、5%程度、またはそれ未満であってもよい。例えば、
図4Cは、第1の深さ656を有する浅いチャネル部分602の第1の部分601を示す流体デバイス600の断面図の概略図であり、
図4Dは、第2の深さ658を有する深いチャネル部分652の第2の部分651を示す流体デバイス600の断面図の概略図である。第1の深さ656は、図示されるように、第2の深さ658の50%以下である。もちろん、チャネルは、その長さにわたって追加の部分を含むことができ、これらの追加の部分は、浅いチャネル部分および/または深いチャネル部分よりも浅い、深い、または同一の深さの断面を含むことができることを理解されたい。
【0103】
浅いチャネルの部分は、深いチャネルの部分の平均直径と実質的に同様の平均直径を有することができる。例えば、浅いチャネルの部分の平均直径の、深いチャネルの部分の平均直径に対する比は、いくつかの実施形態において、0.85以上、0.9以上、0.95以上、1以上、および/または1.15以下、1.1以下、1.05以下、またはそれ未満である。これらの範囲の組合せ(例えば、0.85以上1.15以下)も可能である。例えば、
図4C~4Dのチャネル断面では、チャネル部分は同じ平均直径を有する。いくつかの実施形態において、浅いチャネルおよび深いチャネルは、実質的に類似しない直径を有し、本開示は、そのように限定されない。
【0104】
いくつかのそのような場合において、深いチャネル部分は、上述したように、「深いセクション」を含むチャネルと同様に作用することができる。例えば、いくつかの実施形態において、流体は、深い部分の断面の底部付近で依然として自由に移動することができる。場合によっては、表面層606がローラによって変形された場合であっても、流体が深い部分651の底部654の近くで依然として自由に移動することができるので、表面層606とのシールは、深いチャネル部分652において達成することができない。いくつかのそのような実施形態において、装置(例えば、ローラ)が深いチャネル部分と係合するとき、表面層とのシールが達成されないため、ポンプ作用は開始されない。しかしながら、装置がチャネルの長さ方向に沿って係合するので、装置が浅いチャネル部分で表面層を変形させると、その部分での深さの減少がシール(したがって圧力差)の生成を可能にするので、ポンプ作用が始まる。したがって、場合によっては、流体デバイス(例えば、カートリッジ)のチャネルの長さに沿った部分の相対的深さは、チャネルの長さのどの部分が、装置との係合時にポンプ作用を受けることが可能であるかの制御を可能にすることができる。
【0105】
長さの異なる部分にわたって異なる深さを有するチャネルを含むことは、様々な潜在的な利益のいずれかに寄与し得る。例えば、チャネル長に沿った深い部分(例えば、深いチャネル部分652)は、場合によっては、蠕動ポンププロセスにおけるポンプ容積の低減に寄与し得る。このような場合には、より高い容積分解能のためにポンプ容積を2倍以上減少させることができる。場合によっては、そのような深いチャネル部分はまた、ローラがチャネル上のどこに着地するかによって決定されない、ポンプ体積のための明確に画定された開始点を提供し得る。例えば、深いチャネル部分および浅いチャネル部分は、場合によっては、後者のチャネル部分の容積を占有する流体のみが圧送されることができるため、ポンプ容積の明確な開始点として使用されてもよい。場合によっては、ローラがチャネル上に着地すると、カートリッジの位置合わせなどの様々な要因のいずれかに応じて、何らかのエラーが生じることがある。それらの長さの異なる部分にわたって異なる深さを有するチャネルを含むことは、場合によっては、そのような誤差に関連するポンプ容積の変動を低減または排除し得る。いくつかの実施形態において、上述したような「深いセクション」を含むチャネルを深いチャネル部分として使用することができる。異なる深さを有するチャネルの例は、他の本発明の態様と組み合わせて、以下により詳細に提供される。
【0106】
チャネルの長さに沿った浅い部分は、チャネルの全長の1%以上、5%以上、10%以上、20%以上、30%以上、50%以上、またはそれ以上を含んでもよい。いくつかの実施形態において、チャネルの浅い部分は、チャネルの全長の80%以下、50%以下、またはそれ未満を含む。これらの範囲の組合せも可能である。例えば、チャネルの長さに沿った浅い部分は、チャネルの全長の1%以上かつ80%以下を含んでもよい。
【0107】
同様に、チャネルの長さに沿った深い部分は、チャネルの全長の1%以上、5%以上、10%以上、20%以上、30%以上、50%以上、またはそれ以上を含んでもよい。いくつかの実施形態において、チャネルの深い部分は、チャネルの全長の80%以下、50%以下、またはそれ未満を含む。これらの範囲の組合せも可能である。例えば、チャネルの長さに沿った深い部分は、チャネルの全長の1%以上かつ80%以下を含んでもよい。チャネルの長さに沿った浅い部分およびチャネルの長さに沿った深い部分の長さは、合計でチャネルの全長の100%であってもよい。無論、チャネルはその全長に沿って追加の部分を含むことができるので、チャネルの長さに沿った深い部分の長さおよびチャネルの浅い部分の長さは、必ずしも合計でチャネルの全長の100%である必要はない。
【0108】
本明細書で使用されるように、チャネルの実質的に三角形の部分の平均直径は、実質的に三角形の部分の頂点からチャネルの表面までのz軸にわたる平均として測定され得る。本出願の文脈において、チャネルの実質的に三角形でない断面の平均直径は、チャネルの表面開口部を垂直に通過し、チャネル断面の最深部と交差するz軸に垂直な断面の平均幅である。例えば、
図4Bのチャネル602の平均直径は、表面層606に接触する表面開口部に垂直なz軸694に対する平均幅である。
【0109】
いくつかの実施形態において、少なくともいくつかのチャネル(本明細書ではポンピングレーンとも称される)(例えば、全てのチャネル)はそれぞれ、エラストマーを含む表面層を備える弁を備える。いくつかの実施形態において、各弁は、チャネルの端部の幾何学形状によって形成される、関連付けられたチャネル内の閉塞部(blockage)を備える。例えば、チャネルの端部の幾何学的形状は、チャネルの底部からチャネルの上面に及ぶ壁であってもよく、チャネルは、表面層と接合する(interfaces)。いくつかのそのような実施形態において、チャネルは、弁が開放するように十分な圧力が加えられるまで、その関連付けられた弁によって閉鎖されたままである。いくつかの実施形態において、弁は、表面層が外側に膨らむことによって開く。いくつかの実施形態において、各弁はローラによって効果的に作動される。例えば、いくつかの実施形態において、ローラが弁に比較的近いときにローラによって表面層に及ぼされる圧力は、表面層を外向きに(例えば、ダイヤフラムのように)膨張させ、それによって、小さい閉塞部と表面層との間のシールが可逆的に破壊され、それによって、流体が弁を通過することを可能にする。場合によっては、そのような「受動」弁の使用は、種々の利点のいずれかに寄与することができる。例えば、いくつかの事例では、本明細書に記載されるそのような統合弁の使用は、圧送されていないレーンが(例えば、装置のローラとの係合を介して)閉鎖されたままであることを確実にすることができる。いくつかのそのような場合、装置(例えば、ポンプ)によって係合されるチャネルからの流体のみが、流体デバイス(例えば、カートリッジ)から駆動され、それは、汚染が低減された状態または汚染なしで、マルチチャネルポンプから流体を選択的に駆動するための便利で、単純で、安価な方法を可能にすることができる。
【0110】
いくつかの実施形態において、チャネルは、ある程度比較的小さい幅および深さを有し、深さ/幅のアスペクト比は一般に1以下である。いくつかの実施形態において、チャネル幅は、1mm以上、1.2mm以上、1.5mm以上、2mm以下、1.8mm以下、および/または1.6mm以下である。上記で参照した範囲の組み合わせも可能である(例えば、1mmと2mmとの間、または1mmおよび2mmに等しい)。他の範囲も可能である。いくつかの実施形態において、チャネル深さは、0.6mm以上、0.75mm以上、0.9mm以上、1.5mm以下、1.2mm以下、および/または1.0mm以下である。上記で参照した範囲の組み合わせも可能である(例えば、0.6mmと1.5mmとの間、または0.6mmおよび1.5mmに等しい)。他の範囲も可能である。いくつかの実施形態において、チャネルアスペクト比は、1以下、0.8以下、0.6以下、0.5以下、0.2以上、および/または0.4以上である。上記で参照した範囲の組み合わせも可能である(例えば、0.2と1との間、または0.2および1に等しい)。他の範囲も可能である。いくつかの実施形態において、成形プロセスの公差および能力を考慮すると、1.5mm程度の幅および0.75mm程度の深さのチャネルが適切であり得る。いくつかの実施形態において、チャネル断面は、チャネル内へのローラアクセスの容易さ(例えば、より浅いV溝がより良好であり得る)と、より高い体積精度(例えば、少なくとも、体積が、エラストマーを含む表面層の精密な平面性の達成にあまり依存しなくなるため、より深いV溝がより良好であり得る)との両方を提供する、90度V溝を伴う1/2のアスペクト比を有する。いくつかの実施形態において、チャネルの深さは、エラストマーを含む表面層の厚さ程度であり、それにより、表面層は、チャネル寸法のかなりの部分である可能性が高いチャネル内の欠陥を一時的に充填し、封止することができる。
【0111】
いくつかの実施形態において、少なくともいくつかのチャネルの少なくとも一部は、表面層を有する。いくつかの実施形態において、表面層はエラストマーを含む。再び
図4Aを参照すると、例えば、いくつかの実施形態において、チャネル602のうちの少なくともいくつかの少なくとも一部は、チャネル602の表面開口部を実質的に封止するように構成されたエラストマーを含む表面層606を有する。いくつかの実施形態において、チャネル602のうちの少なくともいくつかの少なくとも一部分は、チャネルの基部に単一の頂点を有し、基層の表面に2つの他の頂点を有する、実質的に三角形形状の断面を有し、かつチャネル602の表面開口部を実質的に封止するように構成される、エラストマーを備える、表面層606を有する。
【0112】
いくつかの実施形態において、エラストマーはシリコーンを含む。いくつかの実施形態において、エラストマーは、シリコーンおよび/もしくは熱可塑性エラストマーを含み、ならびに/またはエラストマーから本質的になる。
【0113】
いくつかの実施形態において、表面層は、チャネルの表面開口部を実質的に封止するように構成される。いくつかの実施形態において、表面層は、流体(例えば、液体)がチャネルの入口または出口を経由する以外にチャネルから出ることができないように、チャネルの表面開口部を完全に封止するように構成される。いくつかの実施形態において、表面層は、(例えば、接着剤によって、熱ラミネーションによって、または任意の他の好適な結合手段によって)基層の表面の一部に結合される。いくつかの実施形態において、表面層は、接着剤によって基層の表面の一部に結合される。いくつかの実施形態において、表面層は、熱ラミネーションによって基層の表面の一部に結合される。
【0114】
本明細書で使用される場合、「封止(seal off)」という用語は、開口部が封止されるように開口部の縁部または縁部付近で接触することを指す。
本明細書で使用される場合、「表面開口部」という用語は、表面層によって覆われていない場合にチャネルを周囲大気に開放するチャネルの部分を指す。例えば、マイクロチャネルは表面開口部を有してもよい。
【0115】
本明細書で使用される場合、表面層は、任意の適切な結合手段によって基層の表面の一部に結合され得る。例えば、いくつかの実施形態において、表面層は、共有結合的に、イオン的に、ファンデルワールス相互作用によって、双極子-双極子相互作用によって、水素結合によって、π-πスタッキング相互作用によって、または別の適切な結合手段によって、基層の表面の一部に結合される。
【0116】
いくつかの実施形態において、表面層は、基層の表面の一部と直接接触して張力下で保持される。
本明細書で使用される場合、チャネルの表面(例えば、天井)は、表面層の内面に対応し得る。
【0117】
いくつかの実施形態において、表面層の少なくとも一部は、少なくとも1つの大きさの圧力が付与されない状態で平坦である。いくつかの実施形態において、表面層の全体は、少なくとも1つの大きさの圧力が付与されない状態で平坦である。例えば、いくつかの実施形態において、表面層の少なくとも一部(または全体)は、装置のローラによる係合(圧力の付与を介して表面層の変形を引き起こし得る)がない場合、平坦である。
【0118】
いくつかの実施形態において、少なくともいくつかのチャネル(複数可)の少なくとも一部は、生体物質と適合する材料(例えば、実質的に剛性の材料)を含む壁および基部を有する。いくつかの実施形態において、少なくともいくつかのチャネル(複数可)の少なくとも一部は、実質的に剛性の材料を含む壁および基部を有する。例えば、再び
図4Aを参照すると、いくつかの実施形態において、少なくともいくつかのチャネル602の少なくとも一部は、実質的に剛性の材料を含む壁および基部を有する。いくつかの実施形態において、基部は、基層604の材料と同じ材料を含む。いくつかの実施形態において、基部は、基層604の材料とは異なる材料を含む。例えば、チャネルの壁および基部が剛性材料でコーティングされる場合、基部は、基層604の材料とは異なる材料を含んでもよい。いくつかの実施形態において、実質的に剛性の材料は、生体材料と適合性がある。いくつかの実施形態において、基層は射出成形部品である。
【0119】
いくつかの態様は、混合方法に関する。いくつかの実施形態は、チャネル(例えば、マイクロチャネル)の表面の少なくとも一部を横切って第1の方向にローラを並進させること(translating)を含む。いくつかの実施形態は、チャネル(例えば、マイクロチャネル)の表面の少なくとも一部を横切って、第1の方向とは異なる第2の方向にローラを並進させることをさらに含む。第2の方向は、例えば、第1の方向の反対方向であってもよい。いくつかの実施形態において、チャネル(例えば、マイクロチャネル)は、ある量の流体を含有する。したがって、ローラの並進は、チャネル内のある量の流体の流れをもたらし得る。いくつかの実施形態において、チャネル(例えば、マイクロチャネル)は、流体システムの開放出口に直接接続される。例えば、チャネルは、開放ベントまたは廃棄物出口に接続されてもよい。例えば、
図5Aは、いくつかの実施形態に従う、チャネル202の表面を横切るローラ208の第1の方向204への並進の例示的な断面図を提示する。一方、
図5Bは、いくつかの実施形態において、チャネル202の表面を横切るローラ208の、方向204とは反対の第2の方向206への並進の例示的な断面図を示す。
【0120】
いくつかの実施形態によれば、ローラの並進中に圧力が加えられる。いくつかの実施形態によれば、第1の方向へのローラの並進中に圧力が加えられる。特定の実施形態によれば、ローラの第1の並進の間、圧力は、チャネル内の流体を流体流の第1の方向に流動させる。いくつかの実施形態において、ローラの第2の方向への並進中に、圧力が加えられる。特定の実施形態によれば、ローラの第2の並進の間、圧力は、チャネル内の流体を流体流の第2の方向に流動させる。チャネル内で、流体の流れは、ローラが並進されるときに蠕動機構によって引き起こされ得る。いくつかの実施形態によれば、圧力は、ローラを第1の方向に並進させるステップとローラを第2の方向に並進させるステップとの間で維持される。いくつかの実施形態において、例えば、ローラは、ローラを第1の方向に並進させるステップとローラを第2の方向に並進させるステップとの間に、表面との接触を維持する。いくつかの実施形態において、加えられる圧力は、ローラを第1の方向に並進させる間は一定である。いくつかの実施形態において、加えられる圧力は、ローラを第1の方向に並進させる間、加えられる平均圧力の10%以内、5%以内、2%以内、1%以内、0.5%以内、またはそれに近いままである。いくつかの実施形態において、加えられる圧力は、ローラを第2の方向に並進させる間は一定である。いくつかの実施形態において、加えられる圧力は、ローラを第2の方向に並進させる間、加えられる平均圧力の10%以内、5%以内、2%以内、1%以内、0.5%以内、またはそれに近いままである。いくつかの実施形態において、ローラを第1の方向に並進させる間の加えられる平均圧力は、ローラを第2の方向に並進させる間の加えられる平均圧力の10%以内、5%以内、2%以内、1%以内、0.5%以内、またはそれにより近い。例えば、10秒間にわたるローラの並進中の加えられる平均圧力は、10秒間にわたる加えられる圧力を積分し、その結果を10秒で割ることによって計算することができる。特定の実施形態によれば、記載された様式において、チャネル内で第1の方向に第1の流体を流すこと、および第2の方向に第2の流体を流すことによって、チャネルに流体接続されたリザーバ(例えば、流体レセプタクルの内部)内の流体を撹拌することが可能であり得る。有利なことに、ローラを第1の方向に並進させることとローラを第2の方向に並進させることとの間で圧力を維持することは、正味の流体流動(net fluid flow)を生成することなく、リザーバ(例えば、流体レセプタクルの内部)内の流体の混合をもたらし得る。
【0121】
いくつかの実施形態において、そのような混合方法は、流体を混合する特定の既存の方法を上回る利点を提供する。例えば、そのような方法が、流体レセプタクル内で流体を混合するために使用されるとき、混合は、チャネルからの正味の流体流動なしに生じ得る。正味の流体流動がないということは、サンプル損失を低減し、サンプル(例えば、ペプチド、核酸)へのより長い持続時間の曝露を流体レセプタクルに提供し得る。このようにして、混合方法は、有利には、サンプルを流体レセプタクルに結合する反応の収率を増加させ得る。
【0122】
別の態様において、方法は、第1の量の流体を流体レセプタクルに移送するステップを含む。いくつかの実施形態において、第1の量の流体は、流体デバイスから移送される。いくつかの実施形態において、流体レセプタクル内の流体は、例えば、最初に混合される。次に、いくつかの実施形態において、第2の量の流体が、流体レセプタクルの中に移送される。いくつかの実施形態において、第2の量の流体は、流体デバイスから移送される。流体レセプタクル内の流体は、次いで、例えば、2回目に、再び混合されてもよい。特定の実施形態によれば、ある量の流体を流体レセプタクルに移送し、続いて流体レセプタクル内で流体を混合する連続ステップは、有利には、サンプルと流体レセプタクルとの相互作用を容易にし、サンプルの流体レセプタクルへの結合を強化することができる。これは、ある特定の実施形態によれば、その後の分析(例えば、配列決定)に必要とされる予め必要な量または濃度を低減し得る。
【0123】
ある量の流体を移送するステップと、流体レセプタクル内で流体を混合するステップとは、連続して行われてもよい。いくつかの実施形態において、第1の量の流体を移送するステップと、流体レセプタクル内で流体を混合する第1のステップとは、連続して行われる。いくつかの実施形態において、第2の量の流体を移送するステップと、流体レセプタクル内で流体を混合する第2のステップとは、連続して行われる。方法は、追加の量の流体を流体レセプタクルに移送するステップと、流体レセプタクル内の流体を混合するステップとのさらなるステップをさらに含んでもよい。例えば、特定の実施形態によれば、方法は、追加の量の流体を移送する少なくともN回のステップを含み、ある量の流体を移送するステップの各連続する対の間に、同方法は、追加の時間にわたって流体レセプタクル内の流体を混合するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、追加する移送するステップの数Nは、1、2、3、4、5、8、10、20、50、100、200、500、1000以上である。
【0124】
いくつかの実施形態において、流体レセプタクルは、本方法に従って移送される流体の量の体積を超える体積を有する。例えば、流体レセプタクルの体積は、移送される流体の第1の量および/または第2の量の体積を超えてもよい。いくつかの実施形態において、第1の量の流体の体積は、第2の量の流体の体積の10%、5%、1%、0.5%以内、またはそれ未満である。いくつかの実施形態において、第1の量の流体および第2の量の流体は、同じ体積を有する。いくつかの実施形態において、流体の追加の量は、第1の量の流体の体積の10%、5%、1%、0.5%以内、またはそれ未満である体積を有する。いくつかの実施形態において、追加の量の流体は、第1の量の流体と同じ体積を有する。
【0125】
流体を移送するステップは、任意の適切な方法によって実行され得る。例えば、特定の実施形態によれば、流体は蠕動ポンピングを介して移送される。蠕動ポンピングは、本明細書に記載されるような流体デバイスを使用して、いくつかの事例では、ローラとの相互作用(interfacing)を介して行われてもよい。流体の混合は、本明細書に記載される混合方法を用いて行われてもよい。例えば、ある量(例えば、第1の量、第2の量)の流体を流体レセプタクルに移送するステップの後、ある量の流体(例えば、第3の量の流体、第4の量の流体)を含有するチャネル(例えば、流体レセプタクルに流体接続されるチャネル)の表面にわたってローラを第1の方向に並進させ、続いて、チャネルの表面にわたってローラを第2の方向に並進させるステップを含む、流体レセプタクル内の流体の混合が行われてもよい。いくつかの実施形態において、ローラが並進されるチャネル内のある量の流体の体積は、流体レセプタクルに加えられるある量の流体の体積を超える。いくつかの実施形態において、移送された流体の量以上の流体の量を使用して混合することは、サンプルと統合デバイスとの間のより高い程度の会合を伴う、より良好な混合をもたらし得る。例えば、いくつかの実施形態において、第3の量の流体の体積は、第1の量の流体の体積以上である。別の例として、いくつかの実施形態において、第4の量の流体の体積は、第2の量の流体の体積以上である。
【0126】
混合方法の例示的な表現が、
図6A~6Dに示されている。
図6Aにおいて、流体レセプタクル330は、特定の実施形態に従うと、チャネル312から第1の量の流体を受容するように構成される。特定の実施形態によれば、流体の移送は矢印310によって示されている。
図6Bは、流体316が流体レセプタクル内で混合される、引き続く第1の混合ステップを表す。流体レセプタクル内の流体は、任意の適切な方法によって混合され得る。例えば、流体316は、本明細書に記載されるように、特定の実施形態に従って、チャネル312および/またはチャネル314に流体接続されるチャネル(図示せず)を横断してローラを並進させることによって混合されてもよい。
図6Cは、特定の実施形態に従う、矢印320によって示される、引き続く第2の流体移送ステップを表す。混合中、流体レセプタクル内の流体316は、特定の実施形態によれば、正味の流れが生じないように、チャネルの内外に部分的に移動されてもよい。
図6Dは、流体316が流体レセプタクル内で混合される、引き続く第1の混合ステップを表す。
【0127】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される流体はサンプルを含む。サンプルは、ある特定の実施形態によれば、ペプチドまたは核酸などの分子を含み得る。ある特定の実施形態によれば、サンプルは、複数の分子(例えば、複数種のペプチド、複数種の核酸)を含む。特定の実施形態によれば、サンプルは調製されている。サンプルを調製するステップは、サンプルを溶解するステップ、濃縮するステップ、消化するステップ(例えば、消化されたサンプルを形成するため)、官能化するステップ(例えば、官能化サンプルを形成するため)、および/または精製するステップなどの1つ以上のステップを含んでもよい。
【0128】
いくつかの実施形態において、サンプルの1つ以上の分子(例えば、ペプチド、核酸)が官能化される。サンプルの分子の官能化は、分子が表面(例えば、統合デバイスの表面)に共有結合または非共有結合されることを可能にし得る。いくつかの実施形態において、官能化は、1つ以上のペプチドのアミノ酸側鎖を誘導体化することを含む。いくつかの実施形態において、官能化は、1つ以上のペプチドを末端官能化することを含む(例えば、以下に記載される方法のうちの1つ以上によって)。いくつかの実施形態において、消化されたペプチドサンプルの1つ以上のペプチドを官能化することは、1つ以上の誘導体化ペプチドを含む非クエンチ混合物を形成し、これはその後クエンチされてもよい。いくつかの実施形態において、試薬は、1つ以上の分子の部分(例えば、アミノ酸側鎖)を共有結合的に修飾するために使用される。試薬は、イミダゾール-1-スルホニルアジド、銅塩(例えば、硫酸銅)、および約10~11のpHを有する緩衝液を含み得る。
【0129】
いくつかの実施形態において、試薬はDBCO標識DNA-ストレプトアビジンコンジュゲートおよび緩衝液を含み、任意でDBCO標識DNA-ストレプトアビジンコンジュゲートは統合デバイスの表面に固定化されている。いくつかの実施形態において、官能化ペプチドは、DBCO標識DNA-ストレプトアビジンコンジュゲートで官能化される。いくつかの分析方法(例えば、単一分子分析方法)において、分析されるべき分子は、溶液中の他の反応成分からの干渉なしに分子がモニターされ得るように、表面上に固定化される。いくつかの実施形態において、分子の表面固定化により、分子が関与する反応をリアルタイムで監視するために、分子を表面の所望の領域に閉じ込めることが可能になる。例えば、いくつかの実施形態において、分子は、統合デバイスのウェルに閉じ込められ得る。
【0130】
したがって、いくつかの実施形態において、分子(例えば、ペプチド、核酸)は、本明細書に記載される化合物のいずれか1つを固体支持体の表面に付着させることによって表面に固定化され得る。固体支持体は、本明細書に記載されるサンプル調製のための流体デバイスの下流の検出モジュール(例えば、配列決定モジュール)に連結された、または連結可能な物品(例えば、流体レセプタクルおよび/または統合デバイス)の一部であってもよい。
【0131】
いくつかの実施形態において、固定化複合体コンジュゲート分子(例えば、ペプチド、核酸)は、固体支持体(例えば、流体レセプタクルおよび/または統合デバイス)の表面に接触させられる。いくつかの実施形態において、表面は、分子(例えば、ペプチド、核酸)の官能化された末端への付着(例えば、共有結合または非共有結合)のために構成された相補的な官能部分で官能化される。いくつかの実施形態において、固体支持体(例えば、流体レセプタクルおよび/または統合デバイス)は、本明細書に記載されるように、固体支持体の表面に形成される複数のサンプルウェルを備える。いくつかの実施形態において、方法は、単一のペプチドを複数のサンプルウェルのそれぞれの表面に固定化することを含む。いくつかの実施形態において、サンプルウェル当たり単一分子を閉じ込めることは、単一分子検出方法、例えば、単一分子配列決定に有利である。
【0132】
本明細書で使用される場合、いくつかの実施形態において、表面は、基板または固体支持体(例えば、流体レセプタクルおよび/または統合デバイス)の表面を指す。いくつかの実施形態において、固体支持体は、本明細書に記載の官能化ペプチドなどの堆積(deposited)材料を支持することができる受承面などの表面を有する材料、層、または他の構造を指す。いくつかの実施形態において、基板の受承面は、サンプルウェルのアレイなどのナノスケールまたはマイクロスケールの陥凹特徴部を含む、1つ以上の特徴部を任意に有していてもよい。いくつかの実施形態において、アレイは、センサまたはサンプルウェルなどの要素の平面配置である。アレイは、一次元または二次元であってもよい。一次元のアレイは、第1の次元に要素の1つの列または行を有し、第2の次元に複数の列または行を有するアレイである。第1および第2の次元の列または行の数は、同じであってもそうでなくてもよい。いくつかの実施形態において、アレイは、例えば、102、103、104、105、106、または107個のサンプルウェルを含み得る。
【0133】
ペプチド表面固定化の例示的スキームを
図7に示す。示されるように、パネル(I)~(II)は、官能化された末端902を含むペプチド900を固定化するプロセスを示す。パネル(I)では、サンプルウェルを備える統合デバイスが示される。いくつかの実施形態において、サンプルウェルは、非金属層910を含む底面と、金属層912を含む側壁面とによって形成される。いくつかの実施形態において、非金属層910は、透明層(例えば、ガラス、シリカ)を含む。いくつかの実施形態において、金属層912は、透明層(例えば、二酸化チタン)を含む。いくつかの実施形態において、金属層912は、パッシベーションコーティング914(例えば、有機ホスホネート層などのリン含有層)を含む。示されるように、非金属層910を含む底面は、相補的な官能部分(functional moiety)904を含む。選択的な表面修飾および官能化の方法は、2018年11月15日に公開された米国特許出願公開第2018-0326412号;および2020年10月9日に米国特許出願第17/067,184号として最初に出願された2021年5月6日に公開された米国特許出願公開第2021-0129179-A1号にさらに詳細に記載されており、これらのそれぞれの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0134】
いくつかの実施形態において、官能化された末端902を含むペプチド900は、統合デバイスの相補的な官能部分904と接触して、共有結合基または非共有結合基を形成する。いくつかの実施形態において、官能化された末端902および相補的な官能部分904は、パートナークリックケミストリーハンドルを含み、例えば、ペプチド900と統合デバイスとの間に共有結合基を形成する。いくつかの実施形態において、官能化末端902および相補的な官能部分904は、例えば、ペプチド900と固体支持体との間に非共有結合基を形成する非共有結合パートナーを含む。非共有結合パートナーの例には、相補的オリゴヌクレオチド鎖(例えば、DNA、RNA、およびそれらのバリアントを含む相補的核酸鎖)、タンパク質-タンパク質結合パートナー(例えば、バルナーゼおよびバースター)、およびタンパク質-リガンド結合パートナー(例えば、ビオチンおよびストレプトアビジン)が含まれる。
【0135】
パネル(II)において、ペプチド900は、官能化された末端902と相補的な官能部分904とを接触させることによって形成される連結基を介して底面に固定化されていることが示されている。この例では、ペプチド900は、パネル(III)のズーム領域に示されている非共有結合基を介して結合している。示されるように、いくつかの実施形態において、非共有結合基は、アビジンタンパク質920を含む。アビジンタンパク質はビオチン結合タンパク質であり、一般にアビジンタンパク質の4つのサブユニットのそれぞれにビオチン結合部位を有している。アビジンタンパク質には、例えば、アビジン、ストレプトアビジン、トラプタビジン、タマビジン、ブラダビジン、ゼナアビジン、およびそれらの相同体およびバリアントが含まれる。いくつかの実施形態において、アビジンタンパク質920はストレプトアビジンである。アビジンタンパク質920の多価性は、4つの結合部位のそれぞれが独立してビオチン分子(白丸で示されている)と結合することができるので、様々な結合配置を可能にすることができる。
【0136】
パネル(III)に示されるように、いくつかの実施形態において、非共有結合は、第1のビス-ビオチン部分922および第2のビス-ビオチン部分924に結合したアビジンタンパク質920によって形成される。いくつかの実施形態において、官能化末端902は、第1のビスビオチン部分922を含み、相補的官能部分904は、第2のビスビオチン部分924を含む。いくつかの実施形態において、官能化末端902は、相補的官能部分904と接触する前にアビジンタンパク質920を含む。いくつかの実施形態において、相補的官能部分904は、官能化末端902と接触する前にアビジンタンパク質920を含む。
【0137】
いくつかの実施形態において、官能化末端902は、第1のビス-ビオチン部分922および水溶性部分を含み、この水溶性部分は、第1のビス-ビオチン部分922とペプチド900のアミノ酸(例えば末端アミノ酸)との間の結合を形成する。水溶性部分は、本明細書の別の箇所で詳細に説明されている。
【0138】
いくつかの実施形態において、タンパク質を精製することは、免疫沈降による精製を含む。いくつかの実施形態において、免疫沈降は、標的タンパク質に特異的に結合する抗体を使用して、サンプル(例えば、官能化の前または後のサンプル)から標的タンパク質を沈殿させることを含む。
【0139】
本開示のいくつかの態様は、流体デバイスを対象とする。流体デバイスは、システム(例えば、サンプル調製モジュール)と動作可能に連結することができるモジュール式デバイスであってもよい。いくつかの実施形態において、流体デバイスはカートリッジであるか、またはカートリッジを含む。流体デバイス(および/またはサンプル調製モジュール)は、本明細書に記載されるような流体デバイス構成要素(例えば、カートリッジ)を動作させるために使用してもよい機械的ならびに電子的および/または光学的構成要素を含有してもよい。いくつかの実施形態において、流体デバイスは、流体デバイス領域(例えば、インキュベーション領域)上で特定の温度を達成および維持するように動作する。いくつかの実施形態において、流体デバイス構成要素は、特定の持続時間にわたって特定の電圧を流体デバイスの電極に印加するように動作する。
【0140】
いくつかの実施形態において、流体デバイスは、少なくとも1つのチャネルを備える。いくつかの実施形態において、流体デバイスはマイクロチャネルを含む。いくつかの実施形態において、流体デバイス(例えば、カートリッジ)のチャネルのうちのいくつかの少なくとも一部は、チャネルの表面開口部を実質的に密封するように構成されたエラストマーを含む表面を有する。いくつかの実施形態において、流体デバイス構成要素は、流体デバイスのリザーバおよび/またはチャネル(例えば、培養チャネル)に、そこから、またはそれらの間で液体を移動させるように動作することができる。いくつかの実施形態において、流体デバイス構成要素は、流体デバイスのチャネルを介して、例えば、流体デバイスのリザーバおよび/または他のチャネル(例えば、培養チャネル)へ、そこから、またはそれらの間で、液体を移動させるように動作することができる。いくつかの実施形態において、流体デバイス構成要素は、チャネルを介して流体を圧送するために、流体デバイス(例えば、カートリッジ)のチャネルに関連付けられたエラストマー構成要素(例えば、エラストマーを含む表面層)と相互作用するように構成された蠕動ポンピング機構(例えば、装置)を介して液体を移動させる。
【0141】
いくつかの実施形態において、システムは、サンプル調製モジュールを備え、サンプル調製モジュールは、ローラおよび流体デバイス(例えば、カートリッジ)を備える装置を備える蠕動ポンプを備える。いくつかの実施形態において、サンプル調製モジュールは、ローラと、ローラに接続されたクランク・ロッカー機構とを備える装置を備える蠕動ポンプを備える。いくつかの実施形態において、システムは、サンプル調製モジュールを備え、サンプル調製モジュールは、チャネルを備える表面を有する基層を備える流体デバイス(例えば、カートリッジ)を備える蠕動ポンプを備え、チャネルのうちの少なくともいくつかの少なくとも一部分は、チャネルの基部に単一の頂点を有し、基層の表面に2つの他の頂点を有する、実質的に三角形形状の断面を有する。システムは、サンプル調製モジュールの下流に検出モジュールを備えてもよい。いくつかの実施形態において、サンプル調製領域は、2つ以上の流体デバイスを含む。いくつかの実施形態において、システムは、システムのサンプル調製領域から下流に検出モジュールを備える。
【0142】
例えば、
図8は、いくつかの実施形態に従う、本明細書に記載されるデバイス(例えば、装置、流体デバイス、蠕動ポンプ)を組み込む、例示的システム2000の概略図である。いくつかの実施形態によれば、例示的なシステム2000は、サンプルの1つ以上の成分を検出するために使用することができる。いくつかの実施形態において、システム2000は、サンプル調製モジュール1700を備える。いくつかの実施形態において、システム2000は、サンプル調製モジュール1700と、サンプル調製モジュール1700の下流の検出モジュール1800との両方を備える。サンプル調製モジュールおよび検出モジュールの例示的な特徴および関連する方法は、以下により詳細に記載される。サンプル調製モジュール1700および検出モジュール1800は、いくつかの実施形態によれば、サンプルの少なくとも一部が、調製された後、サンプル調製モジュール1700から検出モジュール1800に(直接的または間接的に)輸送され(例えば、流され)、そこでサンプルが検出される(例えば、分析され、配列決定され、同定されるなど)ように構成される。
【0143】
システム構成要素は、例えば、サンプル情報を入力することができ、特定のプロセスを選択することができ、実行結果を報告することができるユーザインターフェースを駆動するためのコンピュータリソースを含むことができる。流体デバイスおよびシステムの種々の態様および実施形態が、以下に詳細に説明される。
【0144】
特定の実施形態によれば、ペプチドを調製するためのステップは、全て手動で行われ得る。しかしながら、いくつかの実施形態において、1つ以上のステップは、例えば、流体デバイスを使用して、自動的に行われてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、サンプル調製デバイスまたはモジュールは、診断目的のためのサンプルを調製するために使用される。サンプル調製デバイスは、1つ以上のカートリッジを備えてもよい。特定の実施形態によれば、サンプルを消化すること(例えば、消化されたサンプルを形成すること)、官能化すること(例えば、官能化されたサンプルを形成すること)、および/または精製することなどのステップは、別個の流体接続された流体デバイス領域を使用して準備されてもよい。
【0145】
いくつかの実施形態において、診断目的のためのサンプルを調製するために使用されるサンプル調製デバイスは、標的分子または複数の分子(例えば、標的タンパク質)を診断モジュールまたは診断デバイスに送達または移動するように配置される。例えば、いくつかの実施形態において、サンプル調製デバイスは、本明細書に記載されるように、流体レセプタクルの装填(loading)のために流体デバイスに送達または移送するように構成される。いくつかの実施形態において、サンプル調製デバイスまたはモジュールは、流体デバイスに直接接続される(例えば、物理的に取り付けられる)か、または間接的に接続される。いくつかの実施形態において、標的分子の移送は、蠕動ポンプを使用して(例えば、サンプル調製デバイスと流体レセプタクルを装填するように構成された流体デバイスとの間の流体接続を介して)行われる。
【0146】
いくつかの実施形態において、システムは、1つ以上の流体デバイスを受容するように構成される(例えば、一度に1つのカートリッジを受容するように構成される)流体デバイスハウジングを備える。
図9Aは、いくつかの実施形態に従う、サンプル調製装置700の概略図を示す。デバイス(例えば、カートリッジハウジングを備えるサンプル調製デバイス)は、1つ以上のカートリッジ(または2つ以上、または3つ以上など)を順次または同時に受容するように構成され得る。サンプル調製デバイス700は、例えば、溶解カートリッジ701、濃縮カートリッジ702、断片化カートリッジ703、および/または官能化カートリッジ704のうちの1つ以上を同時にまたは順次に受容するように構成され得る。
【0147】
サンプルおよび試薬は、様々な技術のいずれかを介して、本明細書に記載される流体デバイス(例えば、カートリッジ)内を(例えば、チャネルを通って)流れるように作製され得る。そのような技術の1つは、蠕動ポンピングを介して流れを引き起こすことである。いくつかの実施形態において、サンプル調製モジュールは、ポンプを含む。いくつかの実施形態において、ポンプは蠕動ポンプである。このようなポンプのいくつかは、本明細書に記載された流体取り扱いのための本発明の構成要素の1つ以上を含む。例えば、ポンプは、装置および/または流体デバイスを備えてもよい。いくつかの実施形態において、ポンプの装置は、ローラ、クランク、およびロッカーを含む。いくつかのそのような実施形態において、クランクおよびロッカーは、ローラに接続されたクランクおよびロッカー機構として構成される。クランク-ロッカー機構と装置のローラとの結合は、場合によっては、本明細書に記載される利点のいくつかを達成することを可能にすることができる(例えば、流体デバイスからの装置の容易な係合解除、十分に計量されたストローク体積)。いくつかの実施形態において、ポンプの流体デバイスは、チャネル(例えば、マイクロ流体チャネル)を備える。いくつかの実施形態において、流体デバイスのチャネルの少なくとも一部は、本明細書に記載されるいくつかの利点のうちのいずれかに寄与し得る、いくつかの断面形状および/または表面層を有する。
【0148】
いくつかの場合においていくつかの利点を提供し得るいくつかの流体デバイス(例えば、カートリッジ)の1つの非限定的な態様は、流体デバイス内にいくつかの断面形状を有するチャネルを含むことである。例えば、いくつかの実施形態において、流体デバイスは、本明細書に記載されるようなV字形チャネルを備える。このようなV形チャネルを形成するための潜在的に便利であるが限定的ではない1つの方法は、流体デバイス内にV形溝を成形または機械加工することである。装置のローラが流体デバイスと係合してチャネルを通る流体の流れを引き起こすいくつかの実施形態において、V字形チャネル(本明細書では、V溝または実質的に三角形状の断面を有するチャネルとも称される)を含むことの利点が認識されている。例えば、いくつかの例では、V字形チャネルは、ローラに対して寸法的に鈍感である(dimensionally insensitive)。言い換えれば、場合によっては、装置のローラ(例えば、くさび形ローラ)がV字形チャネルと適切に係合するために接着しなければならない単一の寸法が存在しない。対照的に、半円形等のチャネルのいくつかの従来の断面形状は、チャネルと好適に係合するために(例えば、蠕動ポンピングプロセスにおいて圧力差を引き起こすように流体シールを生成するために)、ローラがある寸法(例えば、半径)を有することを必要とする。いくつかの実施形態において、ローラに対して寸法的に鈍感なチャネルを含めることにより、ハードウェア構成要素のより単純で安価な製造が可能となり、構成可能性/柔軟性が向上する。
【0149】
サンプル調製デバイスは、受容された流体デバイス内(例えば、流体デバイスのチャネル/リザーバ内、または流体デバイスの中および/もしくは外)の成分(例えば、試薬、サンプル)を輸送するように構成されるポンプをさらに備えてもよい。例えば、
図9Bを参照すると、サンプル調製デバイス700は、溶解カートリッジ701、濃縮カートリッジ702、断片化カートリッジ703、および/または官能化カートリッジ704のうちの1つ以上の中の成分を輸送するように構成される、ポンプ705を備えてもよい。いくつかの実施形態において、ポンプは、装置および受容されたカートリッジを備え、ポンプの装置とカートリッジとの間の相互作用は、流体流動を引き起こす。例えば、ポンプ705は、蠕動ポンプであってもよく、装置706は、カートリッジ(例えば、溶解カートリッジ701)に動作可能に結合して、カートリッジ内に流体運動を引き起こしてもよい(例えば、装置706がローラを備え、溶解カートリッジ701がローラによって変形可能な可撓性表面を備える場合)。
【0150】
いくつかの態様において、流体デバイス(例えば、カートリッジ)は、表面層(例えば、平坦な表面層)を含む。1つの例示的な態様は、実質的に可撓性チューブの半分を製造するために、V溝の上にエラストマー(例えば、シリコーン)を含む(例えば、エラストマーから本質的になる)膜(本明細書においては表面層とも称される)を積層することを含む、潜在的に有利な実施形態に関する。次に、いくつかの実施形態において、エラストマーを含む表面層をチャネル内に変形させてピンチを形成し、次にピンチを並進させることによって、ピンチの後縁に負圧を発生させて吸引し、ピンチの前縁に正圧を発生させてピンチの前縁方向に流体をポンプで送ることができる。いくつかの実施形態において、この圧送は、カートリッジ(表面層を有するチャネルを備える)等の流体デバイスを、ローラを備える装置とインターフェース接続することによって行われ、この装置は、ローラを表面層の一部と係合させて、表面層の一部を関連するチャネルの壁および/または基部で挟持すること、ローラを関連するチャネルの壁および/または基部に沿って転動運動で並進させて、表面層の挟持を壁および/または基部に対して並進させること、ならびに/あるいはローラを表面層の第2の部分と係合解除することを含む、ローラの運動を実行するように構成される。いくつかの実施形態において、クランク-ロッカー機構が、ローラのこの運動を実行するために装置に組み込まれる。
【0151】
従来の蠕動ポンプは、一般に、回転キャリッジ上のローラを含む装置内に挿入されたチューブを含み、その結果、ポンプが機能するとき、チューブは常に装置の残りの部分と係合する。対照的に、いくつかの実施形態において、本明細書の流体デバイス(例えば、カートリッジ)内のチャネルは、ローラが水平表面と係合するように、線形であるか、または少なくとも1つの線形部分を備える。いくつかの実施形態において、ローラは、ローラが表面層の一部を連続的に挟持しながら水平表面を追跡することができるように、ばね荷重式の小型ローラアームに接続される。装置(例えば、装置のローラアーム)にばね負荷することは、場合によっては、装置(例えば、ローラー)によって流体デバイス(例えば、カートリッジ)の表面層およびチャネルに加えられる力を調整するのを助けることができる。
【0152】
いくつかの実施形態において、ローラに接続されたクランク-ロッカー機構内のクランクの各回転は、別個のポンピング容積を提供する。いくつかの実施形態において、ローラが任意の流体デバイス(例えば、カートリッジ)から係合解除される係合解除位置に装置を停止させることは簡単である。いくつかの実施形態において、前方および後方ポンピング運動は、同様の量の力(トルク)(例えば、10%以内)が前方および後方ポンピング運動に必要とされるように、本明細書に記載される装置によって提供されるように、かなり対称である。
【0153】
特定のサイズの装置に対して、比較的大きいクランク半径(例えば、2mm以上であり、任意選択で関連するリンク機構を含む)を有することが有利であり得る。結果として、関連付けられた流体デバイス(例えば、カートリッジ)と係合するために、比較的高いストローク長(例えば、10mm以上)を有することも有利であり得る。いくつかの実施形態において、比較的大きいクランク半径およびストローク長を有することは、流体デバイスに対して装置の構成要素を移動させるときに、装置と流体デバイスとの間に機械的干渉がないことを確実にする。
【0154】
いくつかの実施形態において、V字形溝を有することは、有利には、くさび形縁部を有する種々のサイズのローラとの利用を可能にする。これとは対照的に、例えば、V溝ではなく矩形チャネルを有することは、矩形チャネルに関連するローラの幅を矩形チャネルの幅に関してより制御しかつ正確にする必要があり、矩形チャネルに加えられる力をより正確にする必要がある。同様に、半円形断面を有するチャネルもまた、関連するローラの幅について、より制御された正確な寸法を必要とし得る。
【0155】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される装置は、複数の次元(例えば、2次元、3次元)において装置の少なくとも一部を移動させるように構成される、多軸システム(例えば、ロボット)を備えてもよい。例えば、多軸システムは、関連する流体デバイス間の任意のポンピングレーン位置に装置の少なくとも一部を移動させるように構成することができる。例えば、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるキャリッジは、多軸システムに機能的に接続される。いくつかの実施形態において、ローラは、多軸システムに間接的に機能的に接続される。いくつかの実施形態において、ローラに接続されたクランク-ロッカー機構を備える装置部分は、多軸システムに機能的に接続される。いくつかの実施形態において、各ポンピングレーンは、場所によってアドレス指定され、多軸システムを使用して、本明細書に記載される装置によってアクセスされる。
【0156】
特定の実施形態において、サンプル(例えば、ペプチドサンプル;核酸サンプル)を配列決定する。例えば、流体レセプタクルに移送された流体中に存在する種を配列決定することができる。いくつかの実施形態において、サンプルは、以下により詳細に記載されるように、最初に調製される。次に、サンプルは、本明細書に記載されるような流体デバイスを使用して、流体レセプタクルに移送されてもよい。最後に、いくつかの実施形態において、流体レセプタクル(および/または流体レセプタクルの統合デバイス)は、配列決定のために検出モジュールに導入される。いくつかの非限定的な実施形態において、流体レセプタクルは、調製されたサンプルが、本明細書に記載されるような流体デバイスを介してサンプル調製モジュールから検出モジュールに自動的に輸送され得るように、検出モジュールに接続される。
【0157】
本開示の態様は、タンパク質配列決定および同定の方法、タンパク質配列決定および同定の方法、アミノ酸同定の方法、ならびにそのような方法を実施するための組成物、システム、およびデバイスを含む。いくつかの態様において、標的タンパク質の配列を決定する方法が記載される。いくつかの実施形態において、標的タンパク質は、標的タンパク質の配列を決定する前に、濃縮される(例えば、電気泳動法、例えば、アフィニティーSCODAを使用して濃縮される)。いくつかの態様において、サンプル(例えば、精製されたサンプル、細胞溶解物、単一細胞、細胞の集団、または組織)中に存在する複数のタンパク質(例えば、少なくとも2、3、4、5、10、15、20、30、50またはそれ以上)の配列を決定する方法が記載される。いくつかの実施形態において、サンプルは、サンプル中に存在する標的タンパク質または複数の標的タンパク質の配列を決定する前に、本明細書中に記載されるように調製される(例えば、標的タンパク質に対して溶解され、精製され、断片化され、および/または濃縮される)。いくつかの実施形態において、標的タンパク質は、濃縮された(例えば、電気泳動法、例えばアフィニティーSCODAを用いて濃縮された)標的タンパク質である。
【0158】
いくつかの実施形態において、本開示は、混合物からタンパク質の1つ以上のタイプのアミノ酸を同定することによって、複数のタンパク質を含むサンプル中の個々のタンパク質を配列決定および/または同定する方法を提供する。いくつかの実施形態において、タンパク質の1以上のアミノ酸(例えば、末端アミノ酸)が(例えば、直接的または間接的に、例えば、結合剤を使用することにより)標識され、タンパク質における標識されたアミノ酸の相対位置が決定される。いくつかの実施形態において、タンパク質中のアミノ酸の相対位置は、一連のアミノ酸標識および切断ステップを用いて決定される。いくつかの実施形態において、タンパク質中の標識されたアミノ酸の相対位置は、タンパク質からアミノ酸を除去することなく決定され得るが、それは、タンパク質分子中の標識されたアミノ酸の相対位置を決定するために、標識されたタンパク質を孔(例えば、タンパク質チャネル)を介して移動させ、孔を介した移動の間に標識されたアミノ酸からの信号(例えば、フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)信号)を検出することによってである。
【0159】
いくつかの実施形態において、末端アミノ酸(例えば、N末端またはC末端アミノ酸)の同一性は、末端アミノ酸が除去され、末端の次のアミノ酸の同一性が評価される前に決定され;このプロセスは、タンパク質中の複数の連続したアミノ酸が評価されるまで繰り返すことができる。いくつかの実施形態において、アミノ酸の同一性を評価することは、存在するアミノ酸のタイプを決定することを含む。いくつかの実施形態において、アミノ酸のタイプを決定することは、実際のアミノ酸同一性(例えば、天然に存在する20個のアミノ酸のうちのどれがアミノ酸であるかを決定すること、例えば、個々の末端アミノ酸に特異的な結合剤を使用すること)を決定することを含む。しかしながら、いくつかの実施形態において、末端アミノ酸のタイプの同一性を評価することは、タンパク質の末端に存在し得る潜在的なアミノ酸のサブセットを決定することを含み得る。いくつかの実施形態において、これは、アミノ酸が1つ以上の特定のアミノ酸ではないこと(すなわち、したがって、他のアミノ酸のいずれであってもよい)を決定することによって達成することができる。いくつかの実施形態において、これは、アミノ酸の特定のサブセット(例えば、サイズ、電荷、疎水性、結合特性に基づく)のどれがタンパク質の末端にあり得るかを(例えば、2つ以上の末端アミノ酸の特定のサブセットに結合する結合剤を使用して)決定することによって達成することができる。
【0160】
いくつかの実施形態において、上記に記載されているように、タンパク質は、複数のより小さいタンパク質に消化することができ、配列情報は、これらのより小さいタンパク質の1つ以上から得ることができる(例えば、タンパク質の末端アミノ酸を順次評価し、そのアミノ酸を除去して末端の次のアミノ酸を露出する方法を使用する)。
【0161】
いくつかの実施形態において、タンパク質は、そのアミノ(N)末端から配列決定される。いくつかの実施形態において、タンパク質は、そのカルボキシ(C)末端から配列決定される。いくつかの実施形態において、タンパク質の第1の末端(例えば、NまたはC末端)は固定化され、他の末端(例えば、CまたはN末端)は、本明細書に記載されるように配列決定される。
【0162】
本明細書で使用される場合、タンパク質の配列決定は、タンパク質の配列情報を決定することを指す。いくつかの実施形態において、これは、タンパク質の一部(またはすべて)についての各連続するアミノ酸の同一性を決定することを含み得る。いくつかの実施形態において、これは、フラグメント(例えば、標的タンパク質のフラグメントまたは複数のタンパク質を含むサンプルのフラグメント)の同一性を決定することを含み得る。いくつかの実施形態において、これは、タンパク質内のアミノ酸のサブセットの同一性を評価することと、タンパク質中の各アミノ酸の同一性を決定することなく、1つ以上のアミノ酸のタイプの相対位置を決定することと、を含み得る。いくつかの実施形態において、アミノ酸含有量情報は、タンパク質中の異なるタイプのアミノ酸の相対的位置を直接決定することなく、タンパク質から得ることができる。アミノ酸含有量のみを使用して、存在するタンパク質の同一性を推測することができる(例えば、アミノ酸含有量をタンパク質情報のデータベースと比較し、どのタンパク質が同じアミノ酸含有量を有するかを決定することによって)。
【0163】
いくつかの実施形態において、(例えば、酵素的および/または化学的開裂を介して)複数のタンパク質を含む標的タンパク質またはサンプルから得られた複数のタンパク質フラグメントの配列情報を分析して、サンプル中に存在する標的タンパク質または複数のタンパク質の配列を再構築または推定することができる。したがって、いくつかの実施形態において、1つ以上のタイプのアミノ酸を選択的に結合する1つ以上の標識親和性試薬の発光を検出することによって、1つ以上のタイプのアミノ酸が同定される。いくつかの実施形態において、1つ以上のタイプのアミノ酸は、標識タンパク質の発光を検出することによって同定される。
【0164】
いくつかの実施形態において、本開示は、経時的に(例えば、反復検出および末端でのアミノ酸の切断によって)タンパク質の末端に存在する一連のアミノ酸を同定することによってタンパク質を配列決定するための組成物、デバイス、および方法を提供する。さらに他の実施形態において、本開示は、タンパク質の標識されたアミノ含量を同定し、参照配列データベースと比較することによってタンパク質を配列決定するための組成物、デバイス、および方法を提供する。
【0165】
いくつかの実施形態において、本開示は、タンパク質の複数のフラグメントを配列決定することによってタンパク質を配列決定するための組成物、デバイス、および方法を提供する。いくつかの実施形態において、タンパク質の配列決定は、タンパク質の配列を同定および/または決定するために、複数のタンパク質フラグメントの配列情報を組み合わせることを含む。いくつかの実施形態において、配列情報を組み合わせることは、コンピュータハードウェアおよびソフトウェアによって実施される。本明細書に記載される方法は、生物の全プロテオームのような一組の関連タンパク質を配列決定することを可能にし得る。いくつかの実施形態において、複数の単一分子配列決定反応は、本開示の態様に従って並行して(例えば、単一のチップまたはカートリッジ上)行われる。例えば、いくつかの実施形態において、複数の単一分子配列決定反応は、それぞれ、単一のチップまたはカートリッジ上の別個のサンプルウェルにおいて実行される。
【0166】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される方法は、複数のタンパク質を含むサンプル中の個々のタンパク質の配列決定および同定のために使用される。いくつかの実施形態において、本開示は、複数のタンパク質を含むサンプル中の個々のタンパク質を一意的に同定する方法を提供する。いくつかの実施形態において、個々のタンパク質は、タンパク質の部分的なアミノ酸配列を決定することによって、混合サンプル中で検出される。いくつかの実施形態において、タンパク質の部分的なアミノ酸配列は、約5~50、10~50、25~50、25~100、または50~100アミノ酸の連続した範囲内にある。
【0167】
特定の理論に拘束されることを望まないが、大部分のヒトタンパク質は、プロテオミクスデータベースを参照した不完全な配列情報を用いて同定できることが期待される。例えば、ヒトプロテオームの単純なモデル化により、6~40アミノ酸の範囲内でわずか4種類のアミノ酸を検出するだけで、約98%のタンパク質をユニークに同定できることが示されている(スワミナサン(Swaminathan)他、PLoS Comput Biol、2015、11(2):e1004080;およびヤオ(Yao)他、Phys.Biol.、2015、12(5):055003を参照されたい)。したがって、複数のタンパク質を含むサンプルは、約6~40アミノ酸の短いタンパク質フラグメントに断片化(例えば、化学的に分解される、酵素的に分解される)することができ、このタンパク質ベースのライブラリーの配列決定は、元のサンプル中に存在するタンパク質の各々の同一性および存在量を明らかにするであろう。部分的な配列情報を決定することによってタンパク質を選択的にアミノ酸標識および同定するための組成物および方法は、米国特許出願第15/510,962号、2015年9月15日出願、発明の名称「単一分子ペプチド配列決定(SINGLE MOLECULE PEPTIDE SEQUENCING)」に詳細に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0168】
本開示に従う配列決定は、いくつかの態様において、タンパク質(例えば、標的タンパク質)を基板(例えば、固体支持体、例えば、本明細書に記載の配列決定デバイスまたはモジュール内のチップまたはカートリッジ)の表面上に固定化することを含む。いくつかの実施形態において、タンパク質は、基板上のサンプルウェルの表面上(例えば、サンプルウェルの底面上)に固定化される。いくつかの実施形態において、タンパク質のN末端アミノ酸は固定化されている(例えば、表面に付着している)。いくつかの実施形態において、タンパク質のC末端アミノ酸は固定化されている(例えば、表面に付着している)。いくつかの実施形態において、1つ以上の非末端アミノ酸が固定化されている(例えば、表面に付着している)。固定化アミノ酸(複数可)は、例えば本開示に記載されるような、任意の適切な共有結合または非共有結合を用いて付着させることができる。いくつかの実施形態において、複数のタンパク質は、例えば、基板上のサンプルウェルのアレイにおいて、複数のサンプルウェルに付着される(例えば、1つのタンパク質が各サンプルウェルの表面、例えば、底面に付着された状態で)。
【0169】
いくつかの実施形態において、末端アミノ酸(例えば、N末端またはC末端アミノ酸)の同一性が決定され、次いで、末端アミノ酸が除去され、末端における次のアミノ酸の同一性が決定される。このプロセスは、タンパク質中の複数の連続するアミノ酸が決定されるまで、繰り返されてもよい。いくつかの実施形態において、アミノ酸の同一性を決定することは、存在するアミノ酸のタイプを決定することを含む。いくつかの実施形態において、アミノ酸のタイプを決定することは、例えば、天然に存在する20個のアミノ酸のうちのどれが末端アミノ酸であるかを決定することによって(例えば、個々の末端アミノ酸に特異的である結合剤を用いて)、実際のアミノ酸の同一性を決定することを含む。いくつかの実施形態において、アミノ酸のタイプは、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セレノシステイン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシンおよびバリンから選択される。いくつかの実施形態において、末端アミノ酸のタイプの同一性を決定することは、タンパク質の末端に存在し得る潜在的なアミノ酸のサブセットを決定することを含み得る。いくつかの実施形態において、これは、アミノ酸が1つ以上の特定のアミノ酸ではないこと(したがって、他のアミノ酸のいずれであってもよい)を決定することによって達成することができる。いくつかの実施形態において、これは、アミノ酸の特定のサブセット(例えば、サイズ、電荷、疎水性、翻訳後修飾、結合特性に基づく)のどれがタンパク質の末端にあり得るかを(例えば、2つ以上の末端アミノ酸の特定のサブセットに結合する結合剤を使用して)決定することによって達成することができる。
【0170】
いくつかの実施形態において、末端アミノ酸のタイプの同一性を評価することは、アミノ酸が翻訳後修飾を含んでいることを決定することを含む。翻訳後修飾の非限定的な例としては、アセチル化、ADPリボシル化、カスパーゼ切断、シトルリン化、ホルミル化、N結合グリコシル化、O結合グリコシル化、ヒドロキシル化、メチル化、ミリストイル化、ネディル化(neddylation)、ニトロ化、酸化、パルミトイル化、リン酸化、プレニル化、S-ニトロシル化、硫酸化、スモイ化およびユビキチン化などが挙げられる。
【0171】
いくつかの実施形態において、タンパク質またはタンパク質は、複数のより小さいタンパク質に消化することができ、配列情報は、これらのより小さいタンパク質の1つ以上から得ることができる(例えば、タンパク質の末端アミノ酸を順次評価し、そのアミノ酸を除去して末端の次のアミノ酸を露出する方法を使用する)。
【0172】
いくつかの実施形態において、タンパク質分子の配列決定は、タンパク質分子中の少なくとも2つ(例えば、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、少なくとも100個、またはそれ以上)のアミノ酸を同定することを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも2つのアミノ酸は、隣接するアミノ酸である。いくつかの実施形態において、少なくとも2つのアミノ酸は、非連続アミノ酸である。
【0173】
いくつかの実施形態において、タンパク質分子の配列決定は、タンパク質分子中の全アミノ酸の100%未満(例えば、99%未満、95%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、1%未満)の同定を含む。例えば、いくつかの実施形態において、タンパク質分子の配列決定は、タンパク質分子中の1つのタイプのアミノ酸の100%未満の同定(例えば、タンパク質分子中の1つのタイプの全てのアミノ酸の一部の同定)を含む。いくつかの実施形態において、タンパク質分子の配列決定は、タンパク質分子中の各タイプのアミノ酸の100%未満の同定を含む。
【0174】
いくつかの実施形態において、タンパク質分子の配列決定は、タンパク質中の少なくとも1種類、少なくとも5種類、少なくとも10種類、少なくとも15種類、少なくとも20種類、少なくとも25種類、少なくとも30種類、少なくとも35種類、少なくとも40種類、少なくとも45種類、少なくとも50種類、少なくとも55種類、少なくとも60種類、少なくとも65種類、少なくとも70種類、少なくとも75種類、少なくとも80種類、少なくとも85種類、少なくとも90種類、少なくとも95種類、少なくとも100種類以上のアミノ酸の同定を含む。
【0175】
反復末端アミノ酸検出および切断によるタンパク質配列決定の非限定的な例を
図10Aに示す。いくつかの実施形態において、タンパク質配列決定は、連結基1002を介して固体支持体の表面1004に固定化された(例えば、サンプルウェルの底部または側壁表面に付着された)タンパク質1000を提供することを含む。いくつかの実施形態において、連結基1002は、タンパク質1000の官能化末端と表面1004の相補的機能部分との間の共有結合または非共有結合によって形成される。例えば、いくつかの実施形態において、連結基1002は、タンパク質1000のビオチン部分(例えば、本開示に従って官能化されたもの)と表面1004のアビジンタンパク質との間の非共有結合によって形成される。いくつかの実施形態において、連結基1002は核酸を含む。
【0176】
いくつかの実施形態において、タンパク質1000は、配列決定反応において末端アミノ酸を検出および切断するために他の末端が自由になるように、一方の末端で官能化部分を介して表面1004に固定化される。したがって、いくつかの実施形態において、いくつかのタンパク質配列決定反応において使用される試薬は、タンパク質1000の非固定化(例えば、遊離)末端における末端アミノ酸と優先的に相互作用する。このようにして、タンパク質1000は、検出および切断の反復サイクルにわたって固定化されたままである。この目的のために、いくつかの実施形態において、リンカー1002は、例えば、表面1004からのタンパク質1000の脱離を制限するために、検出および切断に使用される所望の条件セットに従って設計される。タンパク質を官能化するための適切なリンカー組成物および技術(例えば、タンパク質を表面に固定化するために使用され得る)は、本明細書の他の箇所で詳細に記載されている。
【0177】
いくつかの実施形態において、
図10Aに示されるように、タンパク質の配列決定は、(1)タンパク質1000を、末端アミノ酸の1つ以上のタイプと会合する1つ以上のアミノ酸認識分子と接触させることによって進行させることができる。示されるように、いくつかの実施形態において、標識されたアミノ酸認識分子1006は、末端アミノ酸と会合することによってタンパク質1000と相互作用する。
【0178】
いくつかの実施形態において、方法は、標識アミノ酸認識分子1006を検出することによって、タンパク質1000のアミノ酸(末端アミノ酸)を同定することをさらに含む。いくつかの実施形態において、検出することは、標識アミノ酸認識分子1006からの発光を検出することを含む。いくつかの実施形態において、発光は、標識アミノ酸認識分子1006と特異的に会合し(uniquely associated)、したがって、発光は、標識アミノ酸認識分子1006が選択的に結合するアミノ酸のタイプに会合する。したがって、いくつかの実施形態において、アミノ酸のタイプは、標識アミノ酸認識分子1006の1つ以上の発光特性を決定することによって同定される。
【0179】
いくつかの実施形態において、タンパク質配列決定は、(2)タンパク質1000を、タンパク質1000の末端アミノ酸に結合して切断するエキソペプチダーゼ1008と接触させることによって、末端アミノ酸を除去することによって進行する。エキソペプチダーゼ1008によって末端アミノ酸が除去されると、タンパク質配列決定は、(3)タンパク質1000(n-1アミノ酸を有する)を末端アミノ酸認識および切断のさらなるサイクルに供することによって進行する。いくつかの実施形態において、ステップ(1)~(3)は、例えば、動的ペプチド配列決定反応におけるように、同じ反応混合物中で起こる。いくつかの実施形態において、ステップ(1)~(3)は、エドマン分解によるペプチド配列決定などの当技術分野において公知の他の方法を用いて行われる。
【0180】
エドマン分解は、タンパク質の末端アミノ酸の修飾および切断の反復サイクルを含み、連続的に切断された各アミノ酸を同定して、タンパク質のアミノ酸配列を決定する。
図10Aを参照すると、従来のエドマン分解によるペプチド配列決定は、(1)タンパク質1000を、1つ以上のタイプの末端アミノ酸に選択的に結合する1つ以上のアミノ酸認識分子と接触させることによって行うことができる。いくつかの実施形態において、ステップ(1)は、タンパク質1000に選択的に結合しない1つ以上の標識アミノ酸認識分子のいずれかを除去することをさらに含む。いくつかの実施形態において、ステップ(2)は、末端アミノ酸をイソチオシアネート(例えば、PITC)と接触させてイソチオシアネート修飾末端アミノ酸を形成することによる、タンパク質1000の末端アミノ酸(例えば、遊離末端アミノ酸)を修飾することを含む。いくつかの実施形態において、イソチオシアネート修飾末端アミノ酸は、非修飾末端アミノ酸よりも切断試薬(例えば、化学的または酵素的切断試薬)による除去を受けやすい。
【0181】
いくつかの実施形態において、エドマン分解は、(2)タンパク質1000を、イソチオシアネート修飾末端アミノ酸に特異的に結合して切断するエキソペプチダーゼ1008と接触させることによって、末端アミノ酸を除去することによって進行する。いくつかの実施形態において、エキソペプチダーゼ1008は、修飾システインプロテアーゼを含む。いくつかの実施形態において、エキソペプチダーゼ1008は、Trypanosoma cruzi由来のシステインプロテアーゼなどの修飾されたシステインプロテアーゼを含む(例えば、ボルゴ(Borgo)他、(2015)、Protein Science、24:571-579を参照)。さらに他の実施形態において、ステップ(2)は、タンパク質1000を、イソチオシアネート修飾末端アミノ酸を切断するのに十分な化学的(例えば、酸性、塩基性)条件に供することによって、末端アミノ酸を除去することを含む。いくつかの実施形態において、エドマン分解は、(3)末端アミノ酸切断後にタンパク質1000を洗浄することによって進行する。いくつかの実施形態において、洗浄することは、エキソペプチダーゼ1008を除去することを含む。いくつかの実施形態において、洗浄することは、タンパク質1000を中性pH条件に戻すことを含む(例えば、酸性または塩基性条件による化学的切断の後)。いくつかの実施形態において、エドマン分解による配列決定は、ステップ(1)から(3)を複数のサイクルにわたって繰り返すことを含む。
【0182】
いくつかの実施形態において、ペプチド配列決定は、動的ペプチド配列決定反応で実施することができる。いくつかの実施形態において、再び
図10Aを参照すると、ステップ(1)およびステップ(2)を実施するために必要な試薬は、単一の反応混合物内で組み合わされる。例えば、いくつかの実施形態において、ステップ(1)および(2)は、1つの反応混合物を別の反応混合物と交換することなく、また従来のエドマン分解のように洗浄ステップなしで行うことができる。したがって、これらの実施形態において、単一の反応混合物は、標識アミノ酸認識分子1006およびエキソペプチダーゼ1008を含む。いくつかの実施形態において、エキソペプチダーゼ1008は、標識アミノ酸認識分子1006の濃度よりも低い濃度で混合物中に存在する。いくつかの実施形態において、エキソペプチダーゼ1008は、標識アミノ酸認識分子1006よりも低い結合親和性でタンパク質1000に結合する。
【0183】
いくつかの実施形態において、動的タンパク質配列決定は、末端アミノ酸と標識アミノ酸認識分子および切断試薬(例えば、エキソペプチダーゼ)との結合相互作用を評価することによってリアルタイムで実施される。
図10Bは、別個の結合事象が信号出力の信号パルスを生じさせる配列決定方法の例を示す。
図10Bの挿入パネル(左)は、このアプローチによるリアルタイム配列決定の一般的なスキームを示している。示されるように、標識アミノ酸認識分子は末端アミノ酸(ここではフェニルアラニンとして示される)と会合し(例えば、結合し)、同末端アミノ酸から解離し、それは末端アミノ酸を同定するために使用され得る信号出力における一連のパルスを発生させる。いくつかの実施形態において、一連のパルスは、対応する末端アミノ酸の同一性の診断となり得るパルスパターン(例えば、特徴的なパターン)を提供する。
【0184】
図10Bの挿入パネル(左)にさらに示されるように、いくつかの実施形態において、配列決定反応混合物は、エキソペプチダーゼをさらに含む。いくつかの実施形態において、エキソペプチダーゼは、標識アミノ酸認識分子の濃度よりも低い濃度で混合物中に存在する。いくつかの実施形態において、エキソペプチダーゼは、ほとんどまたはすべてのタイプの末端アミノ酸を切断するような幅広い特異性を示す。したがって、動的配列決定アプローチは、エキソペプチダーゼ切断活性によって触媒される分解反応の過程にわたって、タンパク質の末端で結合する認識分子を監視することを含み得る。
【0185】
図10Bは、経時的な信号出力強度の進行をさらに示す(右パネル)。いくつかの実施形態において、エキソペプチダーゼによる末端アミノ酸切断は、標識アミノ酸認識分子の結合パルスよりも低い頻度で起こる。このようにして、タンパク質のアミノ酸をリアルタイム配列決定プロセスで計数および/または同定することができる。いくつかの実施形態において、1つのタイプのアミノ酸認識分子は、2つ以上のタイプのアミノ酸と会合することができ、異なる特徴的なパターンは、1つのタイプの標識アミノ酸認識分子と異なるタイプの末端アミノ酸との会合に対応する。例えば、いくつかの実施形態において、異なる特徴的パターン(フェニルアラニン(F、Phe)、トリプトファン(W、Trp)およびチロシン(Y,Tyr)のそれによって示されるように)は、分解の過程で、あるタイプの標識アミノ酸認識分子(例えば、ClpSタンパク質)が異なるタイプの末端アミノ酸と会合することに対応する。いくつかの実施形態において、複数の標識アミノ酸認識分子が使用され、それぞれがアミノ酸の異なるサブセットと結合することができる。
【0186】
いくつかの実施形態において、動的ペプチド配列決定は、異なる会合事象、例えば、アミノ酸認識分子とペプチドの末端のアミノ酸との間の会合事象を観察することによって行われ、ここで、各会合事象は、一定時間持続する信号、例えば、発光信号の大きさの変化を生じる。いくつかの実施形態において、異なる会合事象、例えばアミノ酸認識分子とペプチドの末端のアミノ酸との間の会合事象の観察は、ペプチド分解プロセス中に行うことができる。いくつかの実施形態において、ある特徴的な信号パターンから別の信号パターンへの転移は、アミノ酸切断(例えば、ペプチド分解によるアミノ酸切断)を示す。いくつかの実施形態において、アミノ酸切断は、タンパク質の末端からの少なくとも1つのアミノ酸の除去(例えば、タンパク質からの少なくとも1つの末端アミノ酸の除去)を指す。いくつかの実施形態において、アミノ酸切断は、特徴的な信号パターン間の持続時間に基づく推論によって決定される。いくつかの実施形態において、アミノ酸切断は、標識切断試薬とタンパク質末端のアミノ酸との会合によって生じる信号の変化を検出することによって決定される。アミノ酸は、分解中にタンパク質の末端から連続的に切断されるので、大きさの一連の変化、または一連の信号パルスが検出される。
【0187】
いくつかの実施形態において、信号パルス情報は、一連の信号パルスにおける特徴的なパターンに基づいてアミノ酸を同定するために使用される。いくつかの実施形態において、特性パターンは複数の信号パルスを含み、各信号パルスはパルス持続時間を含む。いくつかの実施形態において、複数の信号パルスは、特徴的パターンにおけるパルス持続時間の分布の要約統計量(summary statistic)(例えば、平均、中央値、時間減衰定数)によって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、特徴的なパターンの平均パルス持続時間は、約1ミリ秒~約10秒の間(例えば、約1ms~約1sの間、約1ms~約100msの間、約1ms~約10msの間、約10ms~約10sの間、約100ms~約10sの間、約1s~約10sの間、約10ms~約100msの間、または約100ms~約500msの間)である。いくつかの実施形態において、単一タンパク質中の異なるタイプのアミノ酸に対応する異なる特徴的なパターンは、要約統計量における統計的有意差に基づいて互いに区別することができる。例えば、いくつかの実施形態において、1つの特徴的パターンは、少なくとも10ミリ秒(例えば、約10ms~約10s、約10ms~約1s、約10ms~約100ms、約100ms~約10s、約1s~約10s、または約100ms~約1s)の平均パルス持続時間の差に基づいて、別の特徴的パターンと区別可能である。異なる特性パターン間の平均パルス持続時間の差が小さいほど、統計的信頼度で互いを区別するために、各特性パターン内のパルス持続時間の数を多くする必要があり得ることを理解されたい。
【0188】
いくつかの実施形態において、標的ペプチドの配列決定は、標的ペプチドの少なくとも2個(例えば、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、少なくとも100個またはそれ以上)のアミノ酸残基を同定することを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも2つのアミノ酸残基は、連続するアミノ酸残基である。いくつかの実施形態において、少なくとも2つのアミノ酸残基は、非隣接アミノ酸残基である。
【0189】
いくつかの実施形態において、標的ペプチドの配列決定は、標的ペプチド中の全アミノ酸残基の100%未満(例えば、99%未満、95%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、1%未満またはそれ未満)の同定を含む。例えば、いくつかの実施形態において、標的ペプチドの配列決定は、標的ペプチド中の1つのタイプのアミノ酸残基の100%未満の同定を含む。いくつかの実施形態において、標的ペプチドの配列決定は、標的ペプチド中の各タイプのアミノ酸残基の100%未満の同定を含む。
【0190】
本開示のいくつかの態様は、核酸(例えば、デオキシリボ核酸またはリボ核酸)の配列決定をさらに含む。いくつかの態様において、本願明細書に記載される組成物、デバイス、システム、および技術を用いて、核酸に組み込まれた一連のヌクレオチドを(例えば、一連の標識ヌクレオチドの取り込みの経時変化を検出することによって)同定することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される組成物、デバイス、システム、および技術を用いて、重合酵素(例えば、RNAポリメラーゼ)によって合成される鋳型依存性核酸配列決定反応生成物に組み込まれる一連のヌクレオチドを同定することができる。
【0191】
従って、本明細書では、標的核酸の配列を決定する方法も提供される。いくつかの実施形態において、標的核酸は、標的核酸の配列を決定する前に、濃縮される(例えば、電気泳動法、例えば、アフィニティーSCODAを使用して濃縮される)。いくつかの実施形態において、本明細書では、サンプル(例えば、精製されたサンプル、細胞溶解物、単一細胞、細胞の集団、または組織)中に存在する複数の標的核酸(例えば、少なくとも2、3、4、5、10、15、20、30、50またはそれ以上)の配列を決定する方法が提供される。いくつかの実施形態において、サンプルは、サンプル中に存在する標的核酸または複数の標的核酸の配列を決定する前に、本明細書中に記載されるように調製される(例えば、標的核酸について溶解され、精製され、断片化され、および/または濃縮される)。いくつかの実施形態において、標的核酸は、濃縮された(例えば、電気泳動法、例えばアフィニティーSCODAを用いて濃縮された)標的核酸である。
【0192】
いくつかの実施形態において、配列決定の方法は、以下のステップを含む:(i)標的体積中の複合体であって、サンプル中に存在する標的核酸または複数の核酸、少なくとも1つのプライマー、および重合酵素を含む複合体を1つ以上の標識ヌクレオチドに曝露すること;(ii)1つ以上の励起エネルギーまたは1つ以上の励起エネルギーの一連のパルスを標的体積の近傍に指向させること;(iii)少なくとも1つのプライマーのうちの1つを含む核酸への逐次的組み込み中に、1つ以上の標識ヌクレオチドから放出された複数の光子を検出すること;および(iv)放出された光子の1つ以上の特徴を決定することによって組み込まれたヌクレオチドの配列を同定すること。
【0193】
別の態様において、本開示は、複数の核酸フラグメントを配列決定することによって、サンプル中に存在する標的核酸または複数の標的核酸を配列決定する方法を提供し、ここで、標的核酸(単数または複数)は、フラグメントを含む。いくつかの実施形態において、方法は、複数の断片配列を組み合わせて、親核酸(例えば、親標的核酸)の配列または部分配列を提供することを含む。いくつかの実施形態において、組み合わせるステップは、コンピュータのハードウェアおよびソフトウェアによって実行される。本明細書中に記載される方法は、全染色体またはゲノムのような一組の関連核酸(例えば、サンプル中に存在する2つ以上の核酸)の配列決定を可能にし得る。
【0194】
いくつかの実施形態において、プライマーは、配列決定プライマーである。いくつかの実施形態において、配列決定プライマーは、固体支持体に固定化されていてもされていなくてもよい核酸(例えば、標的核酸)にアニーリングされ得る。いくつかの実施形態において、配列決定プライマーは、固体支持体に固定化されてもよく、核酸(例えば、標的核酸)のハイブリダイゼーションは、核酸分子を固体支持体(例えば、流体レセプタクルおよび/または統合デバイス)にさらに固定化する。いくつかの実施形態において、ポリメラーゼ(例えば、RNAポリメラーゼ)は、固体支持体(例えば、流体レセプタクルおよび/または統合デバイス)に固定化され、可溶性配列決定プライマーおよび核酸は、ポリメラーゼに接触される。いくつかの実施形態において、ポリメラーゼ、核酸(例えば、標的核酸)およびプライマーを含む複合体が溶液中で形成され、複合体が固体支持体に固定化される(例えば、ポリメラーゼ、プライマーおよび/または標的核酸の固定化を介して)。いくつかの実施形態において、成分のいずれも固体支持体に固定化されない。例えば、いくつかの実施形態において、ポリメラーゼ、標的核酸、および配列決定プライマーを含む複合体はインサイチュで形成され、複合体は固体支持体に固定化されない。
【0195】
いくつかの実施形態において、合成法による配列決定は、標的核酸分子の集団(例えば、標的核酸のコピー)の存在および/または標的核酸の集団を達成するための標的核酸の増幅(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR))のステップを含み得る。しかしながら、いくつかの実施形態において、合成による配列決定は、評価されている任意の1つの反応における単一の核酸分子の配列を決定するために使用され、核酸増幅は、標的核酸を調製するために必要とされなくてもよい。いくつかの実施形態において、複数の単一分子配列決定反応は、本開示の態様に従って並行して(例えば、単一のチップまたはカートリッジ上)行われる。例えば、いくつかの実施形態において、複数の単一分子配列決定反応はそれぞれ、統合デバイスまたは流体レセプタクル上の別個のサンプルウェル(例えば、ナノ開口、反応チャンバ)で行われる。
【0196】
いくつかの実施形態において、標的核酸分子の配列決定は、標的核酸の少なくとも2つ(例えば、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、少なくとも100個、またはそれ以上)のヌクレオチドを同定することを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも2つのヌクレオチドは、連続したヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、少なくとも2つのヌクレオチドは非隣接ヌクレオチドである。
【0197】
いくつかの実施形態において、標的核酸の配列決定は、標的核酸における全ヌクレオチドの100%未満(例えば、99%未満、95%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、1%未満)の同定を含む。例えば、いくつかの実施形態において、標的核酸の配列決定は、標的核酸における1つのタイプのヌクレオチドの100%未満の同定を含む。いくつかの実施形態において、標的核酸の配列決定は、標的核酸における各タイプのヌクレオチドの100%未満の同定を含む。
【0198】
いくつかの実施形態において、サンプル調製のための本明細書に記載されるシステムは、システムによって調製されたサンプルの少なくとも一部(例えば、全て)を分析するための機器(例えば、診断機器)と流体接続される。ペプチドサンプル(例えば、精製されたペプチドサンプル)は、サンプル調製モジュールから診断機器に自動的に輸送され得る。いくつかの実施形態において、診断機器は、サンプルの基礎配列に基づくバンドまたは色の存在または非存在に基づいて出力を生成する。構成要素(例えば、モジュール、デバイス)が接続されている(例えば、機能的に接続されている)ものとして記載されるとき、接続は永久的に接続されてもよく、あるいは接続は可逆的に接続されてもよいことを理解されたい。場合によっては、接続されていると記載されている構成要素は、第1の期間中は(例えば、チャネル、チューブ、導管などを介した流体接続で)接続されていても、第2の期間中は(例えば、流体接続を切り離すことで)接続されていなくてもよいという意味で、分離可能に接続されている。いくつかのそのような実施形態において、可逆的/分離可能な接続は、実施されるサンプル調製/分析/配列決定/識別のタイプに応じて、いくつかの構成要素を交換または再構成することができるモジュール式システムを提供することができる。いくつかの実施形態において、流体接続は、構成要素の流体コネクタへの流体結合を介して、構成要素(例えば、モジュール、デバイス、流体デバイス、および/または流体デバイス部分)に接続される。流体コネクタのいくつかの非限定的な例としては、突出チューブ、入口、出口、またはノズルが挙げられる。
【0199】
いくつかの実施形態において、サンプル調製モジュールを含む本明細書のシステムは、配列決定モジュールをさらに含む。いくつかの実施形態において、サンプル調製モジュールおよび配列決定モジュールを含むシステムは、サンプル調製カートリッジに埋め込まれた配列決定チップまたはカートリッジを含み、それにより2つのカートリッジが単一の分離不可能な消耗品を含む。いくつかの実施形態において、配列決定チップまたはカートリッジは、消耗品支持電子機器(例えば、ワイヤボンド、電気接点を備えたPCB基板)を必要とする。消耗品支持電子機器は、配列決定チップまたはカートリッジと直接物理的に接触してもよい。いくつかの実施形態において、配列決定チップまたはカートリッジは、蠕動ポンプ、温度制御および/または電気泳動コンタクトのためのインターフェースを必要とする。これらのインターフェースは、多くの電気接点およびレーザ位置合わせのための正確な幾何学的位置合わせを可能にすることができる。いくつかの実施形態において、チップまたはカートリッジの異なる部分は、異なる温度、物理的力、異なる電圧および電流の電気的インターフェース、振動、および/または競合する位置合わせ要件を含むことができる。いくつかの実施形態において、サンプル調製モジュールまたは配列決定モジュールのいずれかに関連する別個の機器サブシステムは、リソースを共有するために近接していなければならない。いくつかの実施形態において、サンプル調製モジュールおよび配列決定モジュールを含むシステムは、ハンズフリーである(即ち、手を使わずに使用できる)。
【0200】
本開示に従うタンパク質および/または核酸の配列決定は、いくつかの態様において、単一分子分析を可能にするシステムを使用して実施され得る。システムは、配列決定モジュールまたはデバイスと、配列決定デバイスとインターフェースするように構成された機器と、を含み得る。上述のように、いくつかの実施形態において、検出モジュール1800は、そのような配列決定モジュールまたはデバイスを含む。配列決定モジュールまたはデバイスは、ピクセルのアレイを含んでもよく、個々のピクセルは、サンプルウェルおよび少なくとも1つの光検出器を含む。配列決定デバイスのサンプルウェルは、配列決定デバイスの表面上または表面を介して形成され得、配列決定デバイスの表面に配置されたサンプルを受け取るように構成され得る。いくつかの実施形態において、サンプルウェルは、配列決定デバイスに挿入され得る、流体レセプタクルまたは統合デバイスの構成要素である。全体として、サンプルウェルは、サンプルウェルのアレイとみなされうる。複数のサンプルウェルは、サンプルウェルの少なくとも一部が単一の標的分子または複数の分子(例えば、標的タンパク質、標的核酸)を含むサンプルを受容するように、好適なサイズおよび形状を有してもよい。いくつかの実施形態において、サンプルウェル内の分子の数は、いくつかのサンプルウェルが1つの分子(例えば、標的タンパク質、標的核酸)を含有する一方で、他のサンプルウェルが0または複数(例えば、2つ)の分子を含有するように、配列決定デバイスのサンプルウェル間で分配されてもよい。
【0201】
いくつかの実施形態において、配列決定モジュールまたはデバイスは、サンプル調製デバイスから標的分子または複数の分子(例えば、標的タンパク質、標的核酸)を含むサンプルを受け取るように配置される。いくつかの実施形態において、配列決定デバイスは、サンプル調製デバイスに直接(例えば、物理的に付着している)または間接的に接続される。しかしながら、サンプル調製デバイスと配列決定デバイスまたはモジュール(または任意の他のタイプの検出モジュール)との間の接続は、全ての実施形態に必要というわけではない。いくつかの実施形態において、標的分子(例えば、標的タンパク質、標的核酸)または複数の分子を含むサンプルは、サンプル調製デバイス(例えば、サンプル調製モジュール)から配列決定モジュールまたはデバイスに、直接的に(例えば、標的分子またはサンプルの組成を変化させるいかなる介在ステップも伴わずに)または間接的に(例えば、標的分子またはサンプルの組成を変化させ得る1つ以上のさらなる処理ステップを伴う)のいずれかで手動で輸送される。手動輸送は、例えば、手動ピペット操作または当該分野で公知の適切な手動技術による輸送を含み得る。
【0202】
励起光は、配列決定デバイスの外部の1つ以上の光源から配列決定デバイスに提供される。配列決定デバイスの光学部品は、光源から励起光を受け取り、その光を配列決定デバイスのサンプルウェルのアレイに向け、サンプルウェル内の照明領域を照明することができる。いくつかの実施形態において、サンプルウェルは、標的分子または複数の分子を含むサンプルがサンプルウェルの表面に近接して保持されることを可能にする構成を有することができ、これにより、サンプルウェルへの励起光の送達および標的分子または複数の分子を含むサンプルからの放出光の検出を容易にすることができる。照射領域内に配置された標的分子または複数の分子を含むサンプルは、励起光によって照射されることに応答して放出光を放出することができる。例えば、タンパク質(もしくは複数のタンパク質)または核酸(もしくは複数の核酸)を蛍光マーカーで標識してもよく、蛍光マーカーは、励起光の照射による励起状態の達成に応答して光を放出する。次に、標的分子または複数の分子を含むサンプルによって放出される放出光は、分析される標的分子または複数の分子を含むサンプルを備えたサンプルウェルに対応するピクセル内の1つ以上の光検出器によって検出され得る。いくつかの実施形態によれば、約10,000ピクセル~10,000,000ピクセルの間の数の範囲であり得るサンプルウェルのアレイ全体にわたって実行される場合、複数のサンプルウェルを並行して分析することができる。
【0203】
配列決定モジュールまたはデバイスは、励起光を受け取り、励起光をサンプルウェルアレイの間に導くための光学システムを含むことができる。光学システムは、励起光を配列決定デバイスに結合し、励起光を他の光学部品に向けるように構成された1つ以上の格子カプラを含むことができる。光学システムは、励起光を格子カプラからサンプルウェルアレイに向ける光学部品を含むことができる。そのような光学部品は、光スプリッタ、光結合器、および導波路を含むことができる。いくつかの実施形態において、1つ以上の光スプリッタは、格子カプラからの励起光を結合し、励起光を導波路のうちの少なくとも1つに送達する。いくつかの実施形態によれば、光スプリッタは、導波路の各々が実質的に同様の量の励起光を受け取るように、励起光の送達がすべての導波路にわたって実質的に均一であることを可能にする構成を有する。そのような実施形態は、配列決定デバイスのサンプルウェルによって受け取られる励起光の均一性を改善することによって、配列決定デバイスの性能を改善することができる。例えば、励起光をサンプルウェルに結合し、および/または放射光を光検出器に指向させ、配列決定デバイスに含めるための好適な構成要素の実施例は、2015年8月7日に最初に出願された米国特許出願第14/821,688号(発明の名称が「分子を探査し、検出し、分析するための統合されたデバイス(INTEGRATED DEVICE FOR PROBING,DETECTING AND ANALYZING MOLECULES)」)であり、2018年2月6日に発行された米国特許第9,885,657号明細書、および2014年11月17日に最初に出願された米国特許出願第14/543,865号(発明の名称が「分子の探査し、検出し、分析するための外部光源を備えた統合されたデバイス(INTEGRATED DEVICE WITH EXTERNAL LIGHT SOURCE FOR PROBING,DETECTING,AND ANALYZING MOLECULES)」)であり、2018年8月14日に発行された米国特許第10,048,208号明細書に記載されており、いずれも、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。配列決定デバイスに実装され得る適切な格子カプラおよび導波路の例は、2017年12月15日に最初に出願された米国特許出願第15/844,403号(発明の名称が「光カプラおよび導波路システム(OPTICAL COUPLER AND WAVEGUIDE SYSTEM)」)であり、2018年6月21日に公開された米国特許出願公開第2018/0172906A1号明細書に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0204】
追加のフォトニック構造は、サンプルウェルと光検出器との間に配置されてもよく、そうでなければ放出光を検出する際の信号ノイズに寄与する励起光が光検出器に到達するのを低減または防止するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、配列決定デバイスのための回路として作用し得る金属層は、空間フィルタとしても作用する。適切なフォトニック構造の例は、スペクトルフィルタ、偏光フィルタおよび空間フィルタを含むことができ、2018年7月23日に出願された米国特許出願第16/042,968号(発明の名称が「光遮断型フォトニック構造(OPTICAL REJECTION PHOTONIC STRUCTURES)」)であり、2019年1月24日に公開された米国特許出願公開第2019/0025511A1号明細書に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0205】
配列決定モジュールまたはデバイスから離れて配置された構成要素を使用して、励起源を配列決定デバイスに位置決めおよび位置合わせすることができる。そのような構成要素は、レンズ、ミラー、プリズム、窓、開口、減衰器、および/または光ファイバを含む光学構成要素を含み得る。1つ以上の位置合わせ構成要素の制御を可能にするために、追加の機械的構成要素を機器に含めることができる。そのような機械的構成要素は、アクチュエータ、ステッパモータ、および/またはノブを含むことができる。適切な励起源および位置合わせ機構の例は、2016年5月20日に出願された米国特許出願第15/161,088号(発明の名称が「パルスレーザおよびシステム(PULSED LASER AND SYSTEM)」)であり、2019年4月2日に発行された米国特許第10,246,742号明細書に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。ビームステアリングモジュールの別の例は、2017年12月14日に最初に出願された米国特許出願第15/842,720号(発明の名称が「コンパクトビーム成形およびステアリングアセンブリ(COMPACT BEAM SHAPING AND STEERING ASSEMBLY)」)であり、2020年2月4日に発行された米国特許第10,551,624号明細書に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。適切な励起源のさらなる例は、2015年8月7日に最初に出願された米国特許出願第14/821,688号(発明の名称が「分子を探査し、検出し、分析するための統合されたデバイス(INTEGRATED DEVICE FOR PROBING,DETECTING AND ANALYZING MOLECULES)」)であり、2018年2月6日に発行された米国特許第9,885,657号明細書に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0206】
配列決定モジュールまたはデバイスの個々のピクセルとともに配置された光検出器は、ピクセルの対応するサンプルウェルからの放出光を検出するように構成および配置され得る。適切な光検出器のさらなる例は、2015年8月7日に最初に出願された米国特許出願第14/821,656号(発明の名称が「分子を探査し、検出し、分析するための統合されたデバイス(INTEGRATED DEVICE FOR PROBING,DETECTING AND ANALYZING MOLECULES)」)であり、2017年9月12日に発行された米国特許第9,759,658号明細書に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。いくつかの実施形態において、サンプルウェルおよびそのそれぞれの光検出器は、共通の軸に沿って位置合わせされ得る。このようにして、光検出器は、ピクセル内でサンプルと十分に重なる可能性がある。
【0207】
検出された放出光の特性は、放出光に関連するマーカーを同定するための指標を提供し得る。そのような特性は、光検出器によって検出された光子の到着時間、光検出器によって経時的に蓄積された光子の量、および/または2つ以上の光検出器にわたる光子の分布を含む、任意の適切なタイプの特性を含み得る。いくつかの実施形態において、光検出器は、サンプルの発光に関連する1つ以上のタイミング特性(例えば、発光寿命)の検出を可能にする構成を有し得る。光検出器は、励起光のパルスが配列決定デバイスを通って伝播した後の光子到着時間の分布を検出することができ、到着時間の分布は、サンプルの放出光のタイミング特性(例えば、発光寿命のプロキシ(proxy))の指標を提供することができる。いくつかの実施形態において、1つ以上の光検出器は、マーカ(例えば、発光強度)によって放出される放出光の確率の指標を提供する。次に、1つ以上の光検出器からの出力信号を使用して、複数のマーカーの中から1つのマーカー区別することができ、複数のマーカーを使用して、サンプル内の1つのサンプルを同定することができる。いくつかの実施形態において、サンプルは、複数の励起エネルギーによって励起されてもよく、複数の励起エネルギーに応答してサンプルによって放出される放出光および/または放出光のタイミング特性は、1つのマーカーを複数のマーカーから区別し得る。
【0208】
動作中、励起光を用いてウェル内のサンプルの一部または全部を励起し、光検出器でサンプル放出からの信号を検出することによって、サンプルウェル内のサンプルの並列分析を行う。サンプルからの放出光は、対応する光検出器によって検出され、少なくとも1つの電気信号に変換され得る。電気信号は、配列決定デバイスと接続された機器に接続され得る、配列決定デバイスの回路内の導線に沿って送信され得る。電気信号は、続いて処理および/または分析され得る。電気信号の処理および/または分析は、機器の内外に配置された適切なコンピューティングデバイス上で行われ得る。
【0209】
機器は、機器および/または配列決定デバイスの動作を制御するためのユーザインターフェースを含み得る。ユーザインターフェースは、ユーザが、機器の機能を制御するために使用されるコマンドおよび/または設定などの情報を機器に入力できるように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、ユーザインターフェースは、ボタン、スイッチ、ダイヤル、および/または音声コマンドのためのマイクロホンを含む。ユーザインターフェースは、ユーザが、適切な位置合わせおよび/または配列決定デバイス上の光検出器からの読み出し信号によって得られる情報など、機器および/または配列決定デバイスの性能に関するフィードバックを受信することを可能にし得る。いくつかの実施形態において、ユーザインターフェースは、可聴フィードバックを提供するためにスピーカを使用してフィードバックを提供する。いくつかの実施形態において、ユーザインターフェースは、視覚的フィードバックをユーザに提供するためのインジケータライトおよび/または表示画面を含む。
【0210】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される機器またはデバイスは、コンピューティングデバイスと接続するように構成されたコンピュータインターフェースを含む。コンピュータインターフェースは、USBインターフェース、FireWire(登録商標)インターフェース、または他の任意の適切なコンピュータインターフェースとすることができる。コンピューティングデバイスは、ラップトップまたはデスクトップコンピュータなどの任意の汎用コンピュータであり得る。いくつかの実施形態において、コンピューティングデバイスは、好適なコンピュータインターフェースを介して無線ネットワーク上でアクセス可能なサーバ(例えば、クラウドベースのサーバ)である。コンピュータインターフェースは、機器とコンピューティングデバイスとの間の情報の通信を容易にすることができる。機器を制御および/または構成するための入力情報は、コンピューティングデバイスに提供され、コンピュータインターフェースを介して機器に送信され得る。機器によって生成された出力情報は、コンピュータインターフェースを介してコンピューティングデバイスによって受信され得る。出力情報には、機器の性能、配列決定デバイスの性能、および/または光検出器の読み出し信号から生成されたデータに関するフィードバックが含まれていてもよい。
【0211】
いくつかの実施形態において、機器は、配列決定デバイスの1つ以上の光検出器から受信したデータを分析し、かつ/または励起源(複数可)に制御信号を送信するように構成された処理デバイスを含む。いくつかの実施形態において、処理デバイスは、汎用プロセッサ、および/または特別に適合されたプロセッサ(例えば、1つまたは複数のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラコアなどの中央処理装置(CPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、カスタム集積回路、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、またはこれらの組み合わせ)を備える。いくつかの実施形態において、1つ以上の光検出器からのデータの処理は、機器の処理デバイスおよび外部コンピューティングデバイスの両方によって行われる。その他の実施形態において、外部コンピューティングデバイスを省略して、1つまたは複数の光検出器からのデータの処理は、配列決定デバイスの処理デバイスによってのみ実行される。
【0212】
いくつかの実施形態によれば、発光放出特性に基づいて複数の分子を含む標的分子またはサンプルを分析するように構成された機器は、異なる発光分子間の発光寿命および/または強度における差異、および/または異なる環境における同じ発光分子の寿命および/または強度における差異を検出する。本発明者らは、発光放出寿命の差を用いて、異なる発光分子の存在または非存在を識別すること、および/または発光分子がさらされる異なる環境または条件を識別することができることを認識し、評価した。場合によっては、(例えば発光波長ではなく)寿命に基づいて発光分子を識別することにより、システムの態様を単純化することができる。一例として、波長識別光学系(例えば、波長フィルタ、各波長用の専用検出器、異なる波長における専用パルス光源、および/または回折光学系)は、寿命に基づいて発光分子を識別するときに、数を減らしてもよく、または排除してもよい。場合によっては、単一の特徴的な波長で動作する単一のパルス光源を使用して、光学スペクトルの同じ波長領域内で発光するが、測定可能な異なる寿命を有する異なる発光分子を励起する。同じ波長領域で発光する異なる発光分子を励起および識別するために、異なる波長で動作する複数の光源ではなく、単一のパルス光源を使用する分析システムは、動作および維持するための複雑さが少なく、よりコンパクトであり、より低コストで製造することができる。
【0213】
発光寿命分析に基づく分析システムは、いくつかの利点を有し得るが、分析システムによって得られる情報量および/または検出精度は、追加の検出技法を可能にすることによって増加され得る。例えば、システムのいくつかの実施形態は、さらに、発光波長および/または発光強度に基づいてサンプルの1つ以上の特性を識別するように構成されてもよい。いくつかの実装形態において、ルミネッセンス強度は、異なるルミネッセンス標識を区別するために追加的にまたは代替的に使用され得る。例えば、いくつかの発光標識は、それらの減衰速度が類似していても、有意に異なる強度で発光するか、または励起の確率に有意差(例えば、少なくとも約35%の差)を有し得る。測定された励起光に対してビニングされた信号を参照することによって、強度レベルに基づいて異なる発光標識を区別することが可能であり得る。
【0214】
いくつかの実施形態によれば、異なる発光寿命は、発光標識の励起に続く発光放出事象を時間ビニング(time-bin)するように構成された光検出器によって区別することができる。時間ビニングは、光検出器に対する単一の電荷蓄積サイクルの間に生じ得る。電荷蓄積サイクルは、光発生キャリアが時間ビニング光検出器のビン内に蓄積される読み出しイベント間の間隔である。時間ビニング光検出器の例は、2015年8月7日に最初に出願された米国特許出願第14/821,656号(発明の名称が「受信した光子の時間ビニングのための統合デバイス(INTEGRATED DEVICE FOR TEMPORAL BINNING OF RECEIVED PHOTONS)」)であり、2017年9月12日に発行された米国特許第9,759,658号明細書に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、時間ビニング光検出器は、光子吸収/キャリア生成領域内に電荷キャリアを生成し、電荷キャリア格納領域内の電荷キャリア格納ビンに電荷キャリアを直接転送する。そのような実施形態において、時間ビニング光検出器は、キャリア移動/捕捉領域を含まなくてもよい。このような時間ビニング光検出器は、「直接ビニングピクセル」と称されることがある。直接ビニングピクセルを含む時間ビニング光検出器の例は、2017年12月22日に最初に出願された米国特許出願第15/852,571号(発明の名称が「直接ビニングピクセルを備えた統合光検出器(Integrated photodetector with direct binning pixel)」)であり、2020年11月24日に発行された米国特許第10,845,308号明細書に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0215】
いくつかの実施形態において、同じタイプの異なる数のフルオロフォアが、標的分子の異なる成分(例えば、標的タンパク質、標的核酸)またはサンプル中に存在する複数の分子(例えば、複数のタンパク質、複数の核酸)に結合され、その結果、各個々の分子を発光強度に基づいて同定することができる。例えば、2つのフルオロフォアが第1の標識された分子に連結されてもよく、4つ以上のフルオロフォアが第2の標識された分子に連結されてもよい。異なる数のフルオロフォアのために、異なる分子に関連する異なる励起およびフルオロフォア放出確率が存在し得る。例えば、信号蓄積間隔の間に、第2の標識された分子についてより多くの発光事象が存在することがあり、その結果、ビンの見かけの強度は、第1の標識された分子の場合よりも有意に高くなる。
【0216】
本発明者らは、フルオロフォア減衰速度および/またはフルオロフォア強度に基づいて分子を区別することが、光学的励起および検出システムの単純化を容易にし得ることを認識および理解した。例えば、光励起は、単一波長源(例えば、複数の光源ではなく1つの特徴的な波長を生成する光源、または複数の異なる特徴的な波長で動作する光源)を用いて行うことができる。さらに、波長識別光学系およびフィルタは、検出システムにおいて必要とされない場合がある。また、単一の光検出器を各サンプルウェルに使用して、異なるフルオロフォアからの発光を検出してもよい。「特徴的な波長(characteristic wavelength)」または「波長」という語句は、限定された放射帯域幅内の中心波長または優勢な波長を指すために使用される。例えば、限られた帯域幅の放射は、パルス光源によって出力される20nm帯域幅内の中心波長またはピーク波長を含むことができる。場合によっては、「特徴的な波長」または「波長」を使用して、ソース(source)による放射出力の全帯域幅内のピーク波長を参照する。
【0217】
いくつかの実施形態において、システムは検出モジュールを含む。検出モジュール(例えば、
図8の検出モジュール1800)は、任意の様々なアプリケーション(例えば、分析、タンパク質配列決定、ペプチド配列決定、核酸配列決定、分析物識別、診断などの生体分析アプリケーション)を実行するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、検出モジュールは分析モジュールを含む。分析モジュールは、サンプル調製モジュールによって調製されたサンプルを分析するように構成することができる。分析モジュールは、例えば、流体サンプル中の1つ以上の成分の濃度を決定するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、検出モジュールは配列決定モジュールを含む。一例として、再び
図8を参照すると、いくつかの実施形態によれば、検出モジュール1800は配列決定モジュールを含む。配列決定モジュールは、サンプル調製モジュールによって調製されたサンプルの1つ以上の成分の配列決定を実行するように構成され得る。いくつかの実施形態において、同定モジュールは、ペプチド分子(例えば、タンパク質分子)を同定するように構成される。いくつかの実施形態において、同定モジュールは、核酸分子(例えば、タンパク質ポリヌクレオチド)を同定するように構成される。
【0218】
図8は、別個のサンプル調製モジュール1700および検出モジュール1800(例えば、分析モジュール、配列決定モジュール、同定モジュール)を示すが、サンプル調製モジュール自体(例えば、蠕動ポンプ、装置、カートリッジを備える)は、場合によっては、分析、配列決定、または同定プロセスを行うことが可能であり得ることを理解されたい。いくつかの実施形態において、サンプルモジュールは、分析、配列決定、および/または同定プロセスの組み合わせを行うことが可能である。例えば、いくつかの実施形態において、ポンプ(例えば、装置1200および流体デバイス1300を備えるポンプ1400)は、統合検出器(例えば、光学または電気検出器)に直接または間接的に、いくつかの体積(例えば、ポンプサイクルあたり10マイクロリットル以下等の比較的小さい体積)のサンプルを(例えば、順に、および/またはいくつかの流量で)送達するように構成および/または使用される。統合検出器は、種々の用途(例えば、分析、配列決定、同定、診断)のうちのいずれかを行うための測定を行うために使用されてもよい。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に記載のシステムによって調製されたサンプル(例えば、ペプチド、タンパク質、核酸、身体組織、身体分泌物を含む)は、任意の好適な機械(例えば、異なるモジュール、または同じモジュール)を使用して配列決定/分析することができる。いくつかの実施形態において、例えば、機械が、サンプルの検出(例えば、配列決定)のために最小限のダウンタイムで(例えば、連続的に)使用され得るように、サンプル調製のための本明細書に記載されるモジュールと、システムによって調製されたサンプルのうちの少なくともいくつか(例えば、全て)を検出(例えば、配列決定)するための別個の機械とを有することが有利である。いくつかの実施形態において、サンプル調製のためのモジュール(例えば、サンプル調製モジュール1700)は、システムによって調製されたサンプルのうちの少なくともいくつか(例えば、全て)を検出する(例えば、配列決定する)ための機械(例えば、検出モジュール1800)と流体接続される。いくつかの実施形態において、サンプル調製のための本明細書に記載されるシステムは、システムによって調製されたサンプルの少なくともいくつか(例えば、全て)を分析するための診断機器と流体接続される。いくつかの実施形態において、診断機器は、サンプルの基礎配列に基づくバンドまたは色の存在または非存在に基づいて出力を生成する。構成要素(例えば、モジュール、デバイス)が接続されている(例えば、機能的に接続されている)ものとして記載されるとき、接続は永久的に接続されてもよく、あるいは接続は可逆的に接続されてもよいことを理解されたい。場合によっては、接続されていると記載されている構成要素は、第1の期間中は(例えば、チャネル、チューブ、導管などを介した流体接続で)接続されていても、第2の期間中は(例えば、流体接続を切り離すことで)接続されていなくてもよいという意味で、分離可能に接続されている。いくつかのそのような実施形態において、可逆的/分離可能な接続は、実施されるサンプル調製/分析/配列決定/同定のタイプに応じて、いくつかの構成要素を交換または再構成することができるモジュール式システムを提供する。
【0219】
別の態様において、流体デバイス(例えば、カートリッジを含む)を作製する方法が提供される。いくつかの実施形態において、流体デバイス(例えば、カートリッジを含む)を作製する方法は、表面層を含む表面物品を基層と組み立てて、流体デバイスの少なくとも一部(例えば、カートリッジの少なくとも一部)を形成することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、表面物品を基層と組み立ててカートリッジを形成することを含み、組み立ては、例えば、レーザ溶接、音波溶接、接着(例えば、接着剤を使用して)、および/または消耗品のための別の好適な取り付けプロセスを含む。特定の実施形態において、方法は、シールプレート内の1つ以上の貫通孔を、基層内の対応する1つ以上のチャネルと位置合わせさせることを含む。いくつかの実施形態において、方法は、エラストマーを含む表面層を、1つ以上の貫通孔を含むシールプレート上にオーバーモールドして、表面物品を形成することを含み、表面物品は、シールプレートをさらに含む。
【0220】
いくつかの実施形態において、表面層はエラストマーを含む。いくつかの実施形態において、基層は1つ以上のチャネルを含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のチャネルのうちの少なくともいくつかは、実質的に三角形の断面を有する。流体デバイスを作製する方法の実施形態は、本明細書の他の箇所でさらに説明される。
【0221】
いくつかの実施形態において、流体デバイス(例えば、カートリッジを含む)を作製する方法は、表面層を含む表面物品を基層と組み立てて、流体デバイスの少なくとも一部を形成することを含む。特定の実施形態において、表面層はエラストマーを含む。特定の実施形態において、基層は、1つ以上のチャネルを備える。特定の実施形態において、1つ以上のチャネルの少なくとも一部は、実質的に三角形形状の断面を有する。
【0222】
特定の実施形態において、方法は、流体デバイスの1つ以上の機械構成要素(例えば、カートリッジ、別個の流体デバイス部分)を製造することを含む。いくつかのそのような例では、製造することは、射出成形(例えば、精密射出成形)を含む。いくつかの実施形態において、方法は、硬鋼工具を用いた射出成形を含む。特定の実施形態において、滑らかで欠陥のない表面および厳しい公差(例えば、数十ミクロンのオーダー)が、硬鋼工具を用いた射出成形によって製造される1つ以上の機械構成要素に対して達成され、これは、医療デバイス消耗品を高スループットで製造するのに有利であり得る。
【0223】
特定の実施形態において、方法は、流体デバイスの1つ以上の構成要素を製造するステップを含む。一例として、いくつかの実施形態において、方法は、流体デバイスのチャネルを製造することを含む。別の例として、いくつかの実施形態において、方法は、流体デバイスのリザーバを製造することを含む。さらに別の例として、いくつかの実施形態において、方法は、流体デバイスの他の領域を製造することを含む。いくつかの実施形態において、製造することは、射出成形(例えば、精密射出成形)することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、硬鋼工具を用いた射出成形を含む。特定の実施形態において、滑らかで欠陥のない表面および厳しい公差(例えば、数十ミクロンのオーダー)が、硬鋼工具を用いた射出成形によって製造される1つ以上の機械構成要素に対して達成され、これは、医療デバイス消耗品を高スループットで製造するのに有利であり得る。
【0224】
いくつかの実施形態において、方法は、エラストマー(例えば、シリコーン、熱可塑性エラストマー)を含む表面層を、1つ以上の貫通孔を含むシールプレート(例えば、硬質プラスチック射出成形部品)上にオーバーモールドして、表面層およびシールプレートを含む表面物品を形成することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、流体デバイス(例えば、カートリッジを含む)を形成するために、表面物品を基層と組み立てることを含み、組み立てることは、例えば、レーザ溶接、音波溶接、接着(例えば、接着剤を使用する)、および/または消耗品のための別の好適な取り付けプロセスを含む。特定の実施形態において、方法は、シールプレート内の1つ以上の貫通孔を、基層内の対応する1つ以上のチャネルと位置合わせさせることを含む。例えば、シールプレートおよび基層は、シールプレート内の各貫通孔が基層内の対応する1つ以上のチャネルに重なるように位置合わせされてもよい。いくつかの実施形態において、方法は、表面層(例えば、比較的柔らかい材料を含む)を比較的硬い材料上にオーバーモールドすることを含む。特定の実施形態によれば、オーバーモールドすることは、物品(例えば、第1の別個の流体デバイス部分)に対して第1の材料(例えば、比較的柔らかい材料)を成形することを含み、その結果、第1の材料は、モールドによって決定される形状で物品の上で固化する。例えば、第2の別個の流体デバイス部分は、第1の別個の流体デバイス部分上にオーバーモールドされてもよい。いくつかの実施形態において、オーバーモールドされた材料は、その固化中に物品に付着する。
【0225】
いくつかの実施形態において、方法は、予め作製されたシートストックからエラストマーを含む表面層を(例えば、オーバーモールドの代替として)ダイカットすることを含み、これは、デュロメータおよび/または厚さにおいて高い精度を有利に提供し得る。いくつかの実施形態において、方法は、例えば、レーザ溶接、音波溶接、接着、および/または消耗品のための別の好適な取り付けプロセスを使用して、流体デバイス(例えば、カートリッジを含む)を形成するように、基層(例えば、硬質プラスチックを含む、および/または本質的にそれから成る)とシールプレート(例えば、硬質プラスチックを含む、および/または本質的にそれから成る)との間にエラストマーを含む表面層(例えば、ダイカットエラストマー層)を組み立てることを含む。特定の実施形態において、基層は、1つ以上のチャネルを備え、シールプレートは、1つ以上の貫通孔を備える。特定の実施形態において、方法は、シールプレート内の1つ以上の貫通孔を、基層内の対応する1つ以上のチャネルと位置合わせさせることを含む。貫通孔を含む例示的なシールプレートが
図11Hに示されている(以下でより詳細に記載する)。示されるように、
図11Hに示される貫通孔は、作製方法の一部として、
図11Gに示されるチャネル564(以下により詳細に記載される)と位置合わせされてもよい。
【0226】
特定の実施形態において、表面層は蠕動層として機能する。特定の実施形態において、表面層は弁ダイヤフラムとして機能する。特定の実施形態において、表面層は、流体デバイスの少なくとも一部のための面封止ガスケットとして機能する。
【0227】
いくつかの実施形態において、流体デバイス(例えば、カートリッジを含む)を作製する方法は、表面層を含む表面物品を基層と組み立てて、流体デバイスを形成することを含む。特定の実施形態において、表面層はエラストマーを含む。特定の実施形態において、基層は、1つ以上のチャネルを備える。特定の実施形態において、1つ以上のチャネルの少なくとも一部は、実質的に三角形形状の断面を有する。
【0228】
いくつかの実施形態において、流体デバイスを形成するために、表面層を備える表面物品を基層と組み立てることは、表面層を基層にレーザ溶接、音波溶接、および/または接着することを含む。例えば、いくつかの実施形態において、方法は、接着剤を使用して表面層を基層に接着することを含む。
【0229】
いくつかの実施形態において、方法は、予め作製されたシートストックからエラストマーを含む表面層をダイカットすることを含む。いくつかの実施形態において、表面物品は、表面層から本質的になる。いくつかの実施形態において、表面層を含む表面物品を基層と組み立てて流体デバイス(例えば、カートリッジを含む)を形成することは、エラストマーを含む表面層を基層とシールプレートとの間に組み立てて流体デバイスを形成することを含み、シールプレートは1つ以上の貫通孔を含む。
【0230】
いくつかの実施形態において、シールプレートの1つ以上の貫通孔の少なくともいくつかは、基層の1つ以上のチャネルの少なくともいくつかの形状と実質的に同様の形状を有する。いくつかの実施形態において、方法は、シールプレート内の1つ以上の貫通孔を、基層の対応する1つ以上のチャネルと位置合わせさせることを含む。例えば、特定の実施形態において、1つ以上の貫通孔を1つ以上のチャネルと位置合わせすることにより、基層内の1つ以上の関連するチャネルの上の表面層の1つ以上の露出領域に対応する表面層の1つ以上の露出領域が得られ、その結果、ローラ(例えば、ローラ)が、表面層の露出領域の露出部分を変形させて、基層内の関連するチャネルの壁および/または基部の一部に接触させることができる。
【0231】
いくつかの実施形態において、方法は、流体デバイスの1つ以上の機械構成要素を射出成形することを含む。例えば、いくつかの実施形態において、方法は、流体デバイスのカートリッジを射出成形することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、別個の流体デバイス部分(例えば、比較的硬い材料を含む別個の流体デバイス部分)を射出成形することを含む。いくつかの実施形態によれば、流体デバイスの1つ以上の機械構成要素を射出成形することは、シールプレートを形成するために射出成形することを含む。特定の実施形態において、流体デバイス(例えば、カートリッジ)の1つ以上の機械構成要素を射出成形することは、基層を形成するために射出成形することを含む。射出成形することは、例えば、精密射出成形および/または硬鋼工具を用いた射出成形を含んでもよい。
【0232】
場合によっては、方法は、流体デバイス部分を適切な幾何形状に鋳造または成形することを含む。特定の実施形態によれば、別個の流体デバイス部分(例えば、第1の流体デバイス部分)は、上述の方法を使用して製造される。いくつかの実施形態において、第2の流体デバイス部分は、第1の流体デバイス部分上に直接形成されてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、第2の流体デバイス部分は、第1の流体デバイス部分上にオーバーモールドされる。オーバーモールドされた第2の流体デバイス部分の例については、以下の
図14A~14Cを参照されたい。いくつかの実施形態において、第2の流体デバイス部分は、別個に形成されてもよく、例えば、本明細書の他の場所に記載されるような接続特徴部を使用して、第1の流体デバイス部分に機械的に結合されてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、第2の流体デバイス部分は、別個に成形され、
図12B~12Dを参照して以下に記載されるように、第2の流体デバイス部分のソフトコネクタを第1の流体デバイス部分の穴と位置合わせさせることによって、第1の流体デバイス部分に接続されてもよい。オーバーモールドされた第2の別個の流体デバイス部分は、別個に形成された第2の別個の流体デバイス部分と比較して有利であり得るが、それは、流体デバイスのための組立プロセスを合理化し得るからである。オーバーモールドされた第2の別個の流体デバイス部分の別のありうる利点は、場合によっては、別個に形成された第2の別個の流体デバイス部分に関連し得る特定の故障モードを除去し得ることである。例えば、オーバーモールドされた第2の別個の流体デバイス部分は、漏出のリスクが低減され得る。しかしながら、別個に形成された第2の別個の流体デバイス部分は他の利点を有することができ、従って、本開示は限定されない。
【0233】
いくつかの実施形態において、第1の別個の流体デバイス部分および第2の別個の流体デバイス部分は、流体デバイスの別個の結合部分に組み立てられてもよい。別個の結合部分は、例えば、第1の流体デバイス部分および/または第2の流体デバイス部分の一部として、1つ以上の位置合わせ特徴部を備えてもよい。いくつかの実施形態において、第1の流体デバイス部分および/または第2の流体デバイス部分の位置合わせ特徴部は、流体デバイスのカートリッジに流体接続されてもよい。カートリッジは、エラストマーを含む表面層を含んでもよい。いくつかの実施形態において、カートリッジは、1つ以上のチャネルを備える基層を備える。いくつかの実施形態において、カートリッジの1つ以上のチャネルのうちの少なくともいくつかは、実質的に三角形の断面を有する。このようなカートリッジは、完全な流体デバイスの作製に関して上述した方法を用いて作製することができる。
【0234】
一態様において、方法は、流体システムを組み立てることを含む。いくつかの実施形態において、流体システムは、流体レセプタクルを流体デバイス内に受容することによって組み立てられる。流体レセプタクルは、流体デバイスに対して位置合わせして受容されてもよい。いくつかの実施形態において、方法は、流体デバイスの第1の位置合わせ特徴部を、流体レセプタクル上に位置する第3の位置合わせ特徴部に結合するステップを含む。いくつかの実施形態において、方法は、流体デバイスの第2の位置合わせ特徴部を、流体レセプタクル上に位置する第4の位置合わせ特徴部に結合するステップを含む。いくつかの実施形態において、流体レセプタクルの位置合わせ特徴部は、流体デバイスの位置合わせ特徴部に同時に結合される。例えば、流体レセプタクルの位置合わせ特徴部は、位置合わせ特徴部が同時に結合され得るように、流体デバイスの位置合わせ特徴部と位置合わせするように配置され得る。
【0235】
図11A~11Iは、いくつかの実施形態に従う、統合デバイスの形態で流体レセプタクルに流体を移送するための流体デバイスの概略図の種々の図を示す。
図11Aは、いくつかの実施形態に従う、流体デバイス501および流体レセプタクル530の概略斜視図を示し、
図11Bは、流体デバイス501および流体レセプタクル530の分解斜視図を示す。
図11Cは、同様に、いくつかの実施形態に従う、凹部516を備える流体デバイス501の固体基板514の概略斜視図を示す。
図11A~
図11Iに示される取付要素(mounting element)は凹部を含むが、任意のタイプの取付要素が一般的に使用され得ることを理解されたい。
図11Cに示されるように、取付要素516は、デバイス501の横方向寸法に対して角度が付けられた表面543を備える。
図11Dは、いくつかの実施形態に従う、流体デバイス501および流体レセプタクル530の概略側面図を示し、
図11Eは、流体デバイス501および流体レセプタクル530の概略上面図を示し、
図11Fは、いくつかの実施形態に従う、流体デバイス501の概略底面図を示す。いくつかの実施形態において、カートリッジ515を備える流体デバイス501は、流体デバイス501の横方向寸法に対して角度が付けられた表面を有する凹部516を備える固体基板514を備える。いくつかの実施形態によれば、流体レセプタクル530が流体接続512を介して流体デバイスに流体接続されるように、流体デバイス501は、流体レセプタクル530を凹部516内に受容し、位置合わせ特徴部524、526、554および556に結合するように構成される。凹部516を備える取付要素は、二次取付特徴部537を受容するように構成される穴として提示される取付特徴部539をさらに備える。いくつかの実施形態において、流体デバイス501は、サンプルまたは試薬を含有することができ、かつ流体接続512を介して流体レセプタクル530に流体接続される、リザーバ532を備える。
【0236】
特定の実施形態によれば、流体レセプタクルは、任意選択の機械的連結器(mechanical coupler)を使用して流体デバイスにさらに結合されてもよい。例えば、流体デバイスが流体レセプタクルを位置合わせして受容すると、特定の実施形態によれば、機械的連結器が、流体レセプタクルと流体デバイスとの間の結合を補強するために追加されてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、流体デバイス501は、流体レセプタクル530と別個の流体デバイス部分540との間の接続を機械的に支持することができる機械的連結器536と、別個の流体デバイス部分540の手動操作を補助し得るハンドル538とをさらに備える。いくつかの実施形態において、二次取付特徴部537は、穴541を通過するように構成されたボルト、ねじ、または他の保持要素である。いくつかの実施形態において、二次取付特徴部537は、流体レセプタクル530に対して、別個の流体デバイス部分540を少なくとも部分的に位置合わせさせてもよい。
【0237】
いくつかの実施形態において、流体デバイス501は、シールプレート560およびエラストマー表面562を備える。
図11Gは、いくつかの実施形態に従う、チャネル502に流体接続されたチャネルであるポンピングレーン564を明らかにするためにシールプレート560およびエラストマー表面562が除かれた流体デバイス501の概略底面図を示し、チャネルは、第1の位置合わせ特徴部504を介して流体レセプタクルに流体接続される。
図11Hは、いくつかの実施形態に従う、シールプレート460の概略斜視図を提供する。
図11I~11Jは、いくつかの実施形態に従う、別個の流体デバイス部分540の種々の概略斜視図を示す。
図11Iは、いくつかの実施形態による、第1の位置合わせ特徴部504、第2の位置合わせ特徴部506、第5の位置合わせ特徴部544、および第6の位置合わせ特徴部546を示す。いくつかの実施形態によれば、位置合わせ特徴部504および544は、チャネルに流体接続され、位置合わせ特徴部506および546は、
図11Jに示される流体接続512を介して、流体デバイスの廃棄物出口(図示せず)に流体接続される。
図11K~11Lは、いくつかの実施形態に従う、流体レセプタクル530の種々の概略斜視図を示す。
図11Kは、いくつかの実施形態に従う、第3の位置合わせ特徴部524、第4の位置合わせ特徴部526、第6の位置合わせ特徴部554、および第8の位置合わせ特徴部556を示す。いくつかの実施形態において、位置合わせ特徴部524、526、554、および556は、それぞれ位置合わせ特徴部504、506、544、および546に結合されるように構成され、それにより、流体デバイス501は、位置合わせされた状態で流体レセプタクル530を受容する。位置合わせ特徴部が結合されると、いくつかの実施形態によれば、
図11Lに示される入口510および
図11Lに示される出口520は、
図11Jに示される流体接続512を介して流体デバイスに接続される。
図11M~11Nは、いくつかの実施形態に従う、機械的連結器536の種々の概略斜視図を示す。
【0238】
図11A~
図11Nを参照して記載した実施形態は、統合デバイスを装填する(load)ために使用することができる。特定の実施形態によれば、流体(例えば、サンプル調製モジュールにおいて調製されたサンプル)は、リザーバ532のうちの少なくとも1つに添加される。流体は、リザーバのうちの2つ(例えば、流体デバイス501の各側に1つ)に添加されてもよい。他のリザーバが、流体レセプタクルを装填するために有用な緩衝液または他の溶液を保持するために使用されてもよい。リザーバは、特定の実施形態によれば、手動で充填されるが、流体接続を介してサンプル調製モジュールに接続することも(または代わりに)可能である。いくつかの実施形態において、流体デバイスは、例えば、流体をポンピングレーン564からチャネル502および流体接続512を通して、(任意選択的に)「ダミーの」流体レセプタクルの中に流動させることによって、プライミングされてもよい。ダミーの流体レセプタクルは、流体デバイスをプライミングするためにのみ使用されるので、特定の実施形態によれば、統合デバイスを含まない。
【0239】
いくつかの実施形態において、流体レセプタクル530は、次いで、上記で記載されるように、流体デバイス501に結合される。次に、サンプルは、特定の実施形態によれば、流体デバイスの位置合わせ特徴部544および504を介して、ポンピングレーン564の蠕動ポンピングを介して(例えば、ローラからの接触を介して)装填される。流体レセプタクル530は傾斜しているので、いくつかの実施形態によれば、流体中に存在する気泡は優先的に分離することができる。いくつかの実施形態において、流体は、上記でより詳細に記載されるように、流体レセプタクル内で流体を混合するステップによって分離される、複数のステップで移送される。特定の実施形態において、サンプルが流体レセプタクル530に装填されると、イメージング溶液を流体レセプタクル530に移送し、サンプル流体を位置合わせ特徴部506および546を介して押し進めることによって、過剰なサンプルが排出され、そこで、それは、流体デバイス101の廃棄物出口へと指向される。イメージング溶液はまた、特定の実施形態によれば、統合デバイスの表面に非特異的に結合した可能性がある標的分子を除去するために、流体レセプタクル530内で混合される。最後に、流体レセプタクル530は、例えば、検出モジュールに移送されるために、統合デバイス501から除去されてもよい。
【0240】
図12A~12Hは、特定の実施形態に従う、第1の流体デバイス部分440および第2の流体デバイス部分490の概略図の様々な図を示す。いくつかの実施形態によれば、第1の流体デバイス部分440および第2の流体デバイス部分490は、流体レセプタクル530に流体を移送するように構成されてもよく、
図12A~
図12Hの実施形態において、一体化されたデバイスの形態である。流体レセプタクル530は、
図11A~
図11Iの流体レセプタクルと同一であるが、第1の流体デバイス部分440および第2の流体デバイス部分490は、
図11A~
図11Iの流体デバイス部分540とは異なる。この実施形態において、第2の流体デバイス部分は、上記でより詳細に記載したように、流体デバイスと流体レセプタクルとの間の流体接続を封止するのに役立つ比較的可撓性の材料を含むが、第1の流体デバイス部分は、機械的支持を提供するために比較的剛性の材料を含む。
【0241】
図12Aは、ペグの形態の接続特徴部492を介して機械的に結合された第1の流体デバイス部分440および第2の流体デバイス部分490を示し、ペグは、第2の流体デバイス部分490上に配置され、穴の形態の第1の流体デバイス部分440の接続特徴部に機械的に結合される(第1の流体デバイス部分440の例示的な接続特徴部494は、以下の
図12Dの文脈においてラベル付けされ、より詳細に説明される)。当然ながら、
図12Aは、第1の流体デバイス部分440と第2の流体デバイス部分490とを機械的に結合する接続特徴部を提示しているが、他のタイプの接続が使用されてもよく、本開示はこのように限定されないことを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態において、第1の流体デバイス部分440および第2の流体デバイス部分490は、接着剤を使用して接続されてもよい。さらに、示された接続特徴部は非限定的な例であり、任意の他のタイプの接続特徴部が使用され得ることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態において、第1の流体デバイス部分440は、代わりにペグを備えることができ、第2の流体デバイス部分490は、穴を備えることができる。
【0242】
図12Aに示されるように、第2の流体デバイス部分490は、この場合、流体レセプタクル530の位置合わせ特徴部に結合される、位置合わせ特徴部を備えてもよい。第2の流体デバイス部分490の位置合わせ特徴部は、
図12Aでは不明瞭であるが、それらは、下の
図12Cに詳細に示され、流体レセプタクル530の位置合わせ特徴部は、上の
図11Kに示される。
図12Aはさらに、いくつかの実施形態において、第1の流体デバイス部分490を流体デバイス(図示せず)のチャネルに流体接続するように構成される、流体コネクタ488を示す。例えば、流体コネクタ448は、
図11A~11Iに示される流体接続512等の流体接続を介して、チャネルに接続されてもよい。いくつかの実施形態において、第1の流体デバイス部分540は、上述のように、比較的剛性の材料を含む。いくつかの実施形態において、第1の流体デバイス部分540は、上述のように、比較的可撓性の材料を含む。特定の実施形態において、第1の流体デバイス部分は、取付特徴部を貫通させることができる穴441を備える。
【0243】
図12Bは、
図12Aと同様の流体デバイス部分440および490を、異なる遠近法で配向し、流体レセプタクル530がない状態で示している。ここでは、位置合わせ特徴部446が視認可能であり、
図11A~11Iの位置合わせ特徴部546に類似している。
図12Cは、第2の流体デバイス部分490の第1の位置合わせ特徴部404、第2の位置合わせ特徴部406、第5の位置合わせ特徴部444、および第7の位置合わせ特徴部446を見ることができるように、
図12Bの流体デバイス部分を180°回転させて示す。また、いくつかの実施形態によれば、第2の流体デバイス部分490の厚さ寸法467の少なくとも一部または全部を通って延在するように構成される、第1の流体デバイス部分440の接続特徴部496も示される。全ての実施形態に存在するわけではなく、流体レセプタクルを位置合わせさせる必要はないが、接続特徴部496等の接続特徴部は、いくつかの実施形態において、位置合わせ特徴部404、406、446、および444とともに、流体レセプタクル530等の流体レセプタクルの位置合わせ特徴部によって受容されるように構成されてもよい。接続特徴部496等の接続特徴部の存在は、このように、いくつかの実施形態において、第2の流体デバイス部分490の位置合わせ特徴部に機械的支持を提供してもよい。
【0244】
図12Dは、
図12Cに示すものと同じ向きの第1の流体デバイス部分440を示す。第2の流体デバイス部分490は、
図12Dに示されていない。ここで、いくつかの実施形態において、第2の流体デバイス部分490の接続特徴部492に機械的に結合することができる接続特徴部494(この例示的な図では、穴として表されている)が示されている。また、
図12Aに示されていない流体接続部488の端部が見えるように、
図12Dに配向された、
図12Aで以前に紹介された流体接続部488も示されている。流体接続部488は、いくつかの実施形態において、第2の流体デバイス部分490の位置合わせ特徴部(
図12Cに示される404、406、444、および446)の中に延びるように構成される。特定の実施形態によれば、流体接続部488は、第2の流体デバイス部分490の位置合わせ特徴部を完全に貫通して延在しない。流体接続部は、したがって、いくつかの実施形態において、第1の流体デバイス部分を第2の流体デバイス部分に流体接続してもよい。しかしながら、いくつかの実施形態において、第2の流体デバイス490のどの部分も第1の流体デバイス440から輸送された流体に曝露され得ないので、第2の流体デバイス部分490が第1の流体デバイス部分488に流体接続されないように、流体接続部488は、第2の流体デバイス部分490を完全に通って延在し得る。
【0245】
一方、
図12Eは、
図12Bに示されるものと同じ向きの第1の流体デバイス部分440を示す。ここで再び、いくつかの実施形態において、第2の流体デバイス部分490の接続特徴部492に機械的に結合することができる接続特徴部494(この例示的な図では、穴として表される)が示される。
【0246】
図12F~
図12Gは、第1の流体デバイス部分440を示すことなく、それぞれ
図12B~
図12Cの向きの第2の流体デバイス部分490を示す。ここでは、上述したように、接続特徴部492ならびに位置合わせ特徴部404、406、444、および446が示されている。また、接続特徴部498も示されており、この場合、上述の接続特徴部496を受容するように構成された穴として示されている。
【0247】
図12Hは、いくつかの実施形態に従う、例示的な流体デバイス部分440および490の概略断面図を示す。この断面は、この非限定的な例示的実施形態において、第1の流体デバイス部分440の流体接続部488が第2の流体デバイス部分490の位置合わせ特徴部404および444内に延在する程度を示す。図示されているように、この実施形態において、流体が位置合わせ特徴部404を通って送られる際に同流体は両方の流体デバイス部分に接触することができるので、第1の流体デバイス部分440は、第2の流体デバイス部分490に流体接続されている。
【0248】
図13A~13Gは、いくつかの実施形態に従う、統合デバイスの形態で流体レセプタクルに流体を移送するための別の流体デバイスの概略図の種々の図を示す。
図13Aは、いくつかの実施形態に従う、上記の
図11K~11Lでより詳細に示される流体デバイス1101および流体レセプタクル530の概略斜視図を示す一方、
図13Bは、流体デバイス1101および流体レセプタクル530の概略側面図を示す。
図13Cは、いくつかの実施形態に従う、流体デバイス1101の概略底面図を示す。流体デバイス1101は、
図13A~13Gに示される例示的な実施形態において、カートリッジ1115、固体基板1114、および取付要素1116を備える。
図13A~
図13Gの例では、カートリッジ1115は射出成形によって調製された。
図13A~13Gの例示的実施形態において、取付要素1116は、流体デバイス1101の隆起部分(raised portion)内にある。いくつかの実施形態において、取付要素1116は、取付特徴部1139(取付要素のポストとして
図13A~13Gに図示され、流体デバイス部分440の穴441を介して延在するように構成され、それは
図12A~12Eに示される実施形態の例においてさらに詳細に示されている)をさらに備える。
【0249】
流体デバイス1101は、いくつかの実施形態によれば、取付要素1116にて流体レセプタクル530を受容するように構成される。さらに、いくつかの実施形態において、流体デバイスレセプタクル530は、流体レセプタクル530が流体接続部1112を介して流体デバイスに流体接続されるように、位置合わせ特徴部524、526、554、および556に結合するように構成される。いくつかの実施形態において、流体デバイス1101は、サンプルまたは試薬を含有し得、流体接続部1112を介して流体レセプタクル530に流体接続される、リザーバ1132を備える。いくつかの実施形態において、流体デバイス1101は、流体レセプタクル530と別個の流体デバイス部分440および490との間の接続を機械的に支持することができる、機械的連結器1136をさらに備える。いくつかの実施形態において、デバイス1101は、
図12A~12Hに示されるように、第1の流体デバイス部分440および第2の流体デバイス部分490をさらに備える。いくつかの実施形態において、流体デバイス1101は、シールプレート1160およびエラストマー表面1162を備える。
【0250】
図13D~13Eは、いくつかの実施形態に従う、取付要素1116、流体レセプタクル530、第2の流体デバイス部分490に接続される、第1の流体デバイス部分440、および機械的連結器1136の概略斜視図を示す。
図13Fは、いくつかの実施形態に従う、第2の流体デバイス部分490を明らかにしている、機械的連結器を伴わないシステムの概略斜視図を示す。最後に、
図13Gは、特定の実施形態に従う、取付特徴部1139と、流体デバイス1101の横方向寸法に対して角度を付けられた表面1143とを備える、取付要素1116の概略斜視図を提供する。
【0251】
図14A~14Bは、第1の別個の流体デバイス部分440および第2の別個の流体デバイス部分490の別の例示的な実施形態の様々な概略斜視図を示す。これらの実施形態において、第2の別個の流体デバイス部分490は、第1の流体デバイス部分490上にオーバーモールドされている。
図12A~
図12Hに示す別個の流体デバイス部分と同様に、これらの流体デバイス部分は、
図11K~
図11Lに示すタイプの例示的な流体レセプタクルに結合することができる。
図14Cは、流体デバイス部分の先を切り取ったバージョンを示し、第1の流体デバイス部分440が、第2の流体デバイス部分490の位置合わせ特徴部404、406、444、および446の中に延在しないことを図示している。しかしながら、流体デバイス部分440および490は、流体接続され、
図14Cに示されるように、位置合わせ特徴部を通過する流体が流体コネクタ488も通過するように構成される。このタイプのオーバーモールドされた第2の別個の流体デバイス部分の利点の例は、上記において、より詳細に説明されている。
【0252】
図15Aおよび15Bは、種々の実施形態に従う、クロスカットした(cross-cut)流体デバイスのチャネルの概略斜視図を示す。
図15Aは、
図11Gにも示される流体デバイス501のチャネル564を示す。示されるように、チャネル564は均一な深さを有する。
図15Bは、流体デバイス1101(
図13A~13G参照)のチャネル1164を示す。チャネル1164は、チャネル564と同様に配置されるが、示されるように、可変深さを有する。したがって、チャネル1164は、比較的深いチャネル部分1165および比較的浅いチャネル部分1167、ならびに追加の部分1168を含む。チャネル部分1165および1167は、同一の平均直径を有するが、チャネル部分1168は、より小さい平均直径を有する。チャネル564は、デバイス501を参照して示され、チャネル1164は、デバイス1101を参照して示されるが、一定のチャネルまたは可変深さのチャネルが、いずれかのタイプの流体デバイスと関連して使用されてもよく、本開示は、そのように限定されないことを理解されたい。
【0253】
以下の出願は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる:米国特許出願公開第2021/0121874A1号明細書(2021年4月29日公開、米国特許出願第17/083,106号として2020年10月28日出願、発明の名称「流体の蠕動ポンプおよび関連する方法、システムおよびデバイス(PERISTALTIC PUMPING OF FLUIDS AND ASSOCIATED METHODS,SYSTEMS,AND DEVICE)」);米国特許出願公開第2021/0121875A1号明細書(2021年4月29日公開、米国特許出願第17/083,126号として2020年10月28日出願、発明の名称「生体分析用途ならびに関連する方法、システムおよびデバイスのための流体の蠕動ポンプ(PERISTALTIC PUMPING OF FLUIDS FOR BIOANALYTICAL APPLICATIONS AND ASSOCIATED METHODS,SYSTEMS,AND DEVICES)」);米国特許出願公開第2021/0121879A1号明細書(2021年4月29日公開、米国特許出願第17/082,223号として2020年10月28日出願、発明の名称「サンプル調製のためのシステムおよび方法(SYSTEMS AND METHODS FOR SAMPLE PREPARATION)」);米国特許出願公開第2021/0164035A1号明細書(2021年6月3日公開、米国特許出願第17/082,226号として2020年10月28日出願、発明の名称「配列決定のための方法およびデバイス(METHODS AND DEVICES FOR SEQUENCING)」);および米国特許出願公開第2021/0221839A1号明細書(2021年7月22日に公開、米国特許出願第17/153490号として2021年1月20日に出願、発明の名称「選択的C末端標識のための化合物および方法(COMPOUNDS AND METHODS FOR SELECTIVE C-TERMINAL LABELING)」)。
【0254】
例示的なワークフロー1
本セクションは、いくつかの実施形態に従う、サンプルを調製し、流体デバイスを使用してサンプルを装填し、サンプルを配列決定するための例示的ワークフローを記載する。ワークフローを
図16に示す。最初に、サンプル調製モジュールを使用してサンプルが調製され、
図11K~11Lに図示されるタイプの流体レセプタクルが配列決定モジュール内に配置され、ここで、統合デバイスチェックが行われる。
【0255】
次に、流体レセプタクルは、
図11A~11Fに図示されるように、流体レセプタクルを位置合わせした状態で受容するように構成される、流体デバイス501の凹部516に移送される。一方、調製されたサンプルは、
図11A~11Nに示されるように、第1の位置合わせ特徴部504と第3の位置合わせ特徴部524との間の結合を介して、および/または第5の位置合わせ特徴部544と第6の位置合わせ特徴部554との間の結合を介して流体レセプタクルに装填され、これらは、重力に対して出口520の下に位置付けられ、その結果、ある量の流体からの気泡が出口520に向かって優先的に移動する。移送ステップの後、流体レセプタクル内の流体は、出口520に流体接続されたマイクロチャネルの表面を横切ってローラを並進させながら表面に一定の圧力を加え、その後、同じ圧力を加えながら表面を横切ってローラを反対方向に並進させることによって混合される。このプロセスは、混合中に出口520を通る流体の正味の流れを生成することなく、流体容器内で液体を混合する。
【0256】
いったん移送プロセスが完了すると、流体レセプタクルは、フローセルから除去され、配列決定モジュールに戻され、そこで、装填および位置合わせステップが行われる。次に、一連の試薬を手動で添加して、配列決定のために流体レセプタクルを準備する。最後に、油を手動で導入して流体レセプタクルの部分を覆い、調製されたサンプルを配列決定モジュール内で配列決定する。
【0257】
例示的なワークフロー2
本セクションは、いくつかの実施形態に従う、サンプルを調製し、流体デバイスを使用してサンプルを装填し、サンプルを配列決定するための例示的ワークフローを記載する。ワークフローを
図17に示す。最初に、サンプル調製モジュールを使用してサンプルが調製され、
図11K~11Lに図示されるタイプの流体レセプタクルが配列決定モジュール内に配置され、ここで、統合デバイスチェックが行われる。
【0258】
次に、流体レセプタクルは、
図11A~11Fに図示されるように、流体レセプタクルを位置合わせした状態で受容するように構成される、流体デバイス501の凹部516に移送される。一方、調製されたサンプルは、
図11A~11Nに示されるように、第1の位置合わせ特徴部504と第3の位置合わせ特徴部524との間の結合を介して、および/または第5の位置合わせ特徴部544と第6の位置合わせ特徴部554との間の結合を介して流体レセプタクルに装填され、これらは、重力に対して出口520の下に位置付けられ、その結果、ある量の流体からの気泡が出口520に向かって優先的に移動する。移送ステップの後、流体レセプタクル内の流体は、出口520に流体接続されたマイクロチャネルの表面を横切ってローラを並進させながら表面に一定の圧力を加え、その後、同じ圧力を加えながら表面を横切ってローラを反対方向に並進させることによって混合される。このプロセスは、混合中に出口520を通る流体の正味の流れを生成することなく、流体容器内で液体を混合する。
【0259】
いったん移送プロセスが完了すると、流体レセプタクルは、フローセルから除去され、配列決定モジュールに戻され、そこで、装填および位置合わせステップが行われる。次に、流体レセプタクルは、流体デバイス501に戻され、そこで、一連の試薬が自動的に添加され、配列決定のために流体レセプタクルを準備する。最後に、油が手動で導入されて流体レセプタクルの部分を覆い、流体レセプタクルは配列決定モジュールに戻され、そこでアライメントステップが実行され、サンプルが配列決定される。
【0260】
例示的なワークフロー3
本セクションは、いくつかの実施形態に従う、サンプルを調製し、流体デバイスを使用してサンプルを装填し、サンプルを配列決定するための例示的ワークフローを記載する。ワークフローを
図18に示す。最初に、サンプル調製モジュールを使用してサンプルが調製され、
図11K~11Lに図示されるタイプの流体レセプタクルが配列決定モジュール内に配置され、ここで、統合デバイスチェックが行われる。
【0261】
次に、流体レセプタクルは、
図11A~11Fに図示されるように、流体レセプタクルを位置合わせした状態で受容するように構成される、流体デバイス501の凹部516に移送される。一方、調製されたサンプルは、
図11A~11Nに示されるように、第1の位置合わせ特徴部504と第3の位置合わせ特徴部524との間の結合を介して、および/または第5の位置合わせ特徴部544と第6の位置合わせ特徴部554との間の結合を介して流体レセプタクルに装填され、これらは、重力に対して出口520の下に位置付けられ、その結果、ある量の流体からの気泡が出口520に向かって優先的に移動する。移送ステップの後、流体レセプタクル内の流体は、出口520に流体接続されたマイクロチャネルの表面を横切ってローラを移動させながら表面に一定の圧力を加え、その後、同じ圧力を加えながら表面を横切ってローラを反対方向に並進させることによって混合される。このプロセスは、混合中に出口520を通る流体の正味の流れを生成することなく、流体容器内で液体を混合する。
【0262】
移送プロセスが完了すると、一連の試薬が自動的に添加されて、配列決定のために流体レセプタクルを準備する。最後に、油が手動で導入されて流体レセプタクルの部分を覆い、流体レセプタクルは配列決定モジュールに戻され、そこでアライメントステップが実行され、サンプルが配列決定される。
【実施例】
【0263】
以下の実施例は、本発明のいくつかの実施形態を記載することを意図しているが、本発明の全範囲を例示するものではない。
実施例1
本実施例は、いくつかの実施形態に従う、流体デバイスを使用して、調製されたペプチドサンプルを流体レセプタクルに装填するために、およびサンプルを配列決定するための流体レセプタクルを調製するために使用される方法を記載する。この方法を
図19に示す。最初に、イソプロピルアルコール(IPA)およびJT緩衝液(JTg)、ならびに調製されたペプチドサンプルを、
図11K~11Lに示されるタイプの例示的な流体デバイス501のリザーバに添加した。次に、「ダミーの」流体レセプタクルを、
図11A~11Fに示されるような流体デバイス501の凹部516に移送し、流体デバイスを、流体接続部512が流体で充填されるように、プライミングした。
【0264】
プライミング(priming)が完了したら、ダミーの流体レセプタクルを除去し、流体レセプタクルを加えた。50マイクロリットルの流体を流体レセプタクルに蠕動ポンプで送ることによって、IPAおよびJTgを流体レセプタクルに装填した。次いで、出口520に流体接続されたマイクロチャネルの表面にわたってローラを並進させながら、表面に一定の圧力を付与し、その後、表面にわたってローラを反対方向に並進させながら、同じ圧力を付与することによって、流体レセプタクル内の流体を混合した。流体の移送および混合のこれらのステップを繰り返すことによって、IPAおよびJTgは、流体レセプタクルに装填され、流体レセプタクルを洗浄するために使用された。
【0265】
次に、15マイクロリットルの流体を流体レセプタクルに蠕動ポンプ輸送することによって、調製されたペプチドサンプルを流体レセプタクルに装填した。次いで、出口520に流体接続されたマイクロチャネルの表面にわたってローラを並進させながら、表面に一定の圧力を付与し、その後、表面にわたってローラを反対方向に並進させながら、同じ圧力を付与することによって、流体レセプタクル内の流体を混合した。流体の移送および混合のこれらのステップを繰り返すことによって、調製されたサンプルを流体レセプタクルに装填した。装填したら、調製したサンプルを20~30分間インキュベートした。
【0266】
インキュベーション後、50マイクロリットルの流体を流体レセプタクルに蠕動ポンプ輸送し、続いて流体レセプタクル内で流体を混合するステップを繰り返し実施することによって、JTgを流体レセプタクルに装填した。このプロセスは、流体レセプタクルに非特異的に結合したペプチドを含む過剰なペプチドを洗い流した。その結果、流体レセプタクル内に残ったペプチドが流体容器に結合した。
【0267】
最後に、イメージング溶液を、流体デバイス501のリザーバに添加し、流体レセプタクルを通して流動させ、その後、流体レセプタクルを凹部516から除去し、分析のために配列決定モジュールに移送した。配列決定分析は、実行の過程にわたって
図20に示される均一な累積認識パルシング(pulsing)活性プロファイルをもたらし、流体デバイスを使用したサンプルローディングが成功したことを示した。
【0268】
実施例2
この実施例は、IPAに溶解した染料が流体デバイスを通過する際の染料の流れを記載する。まず、赤色色素を含有するIPAを流体デバイスの第1のリザーバに添加し、JTgを第2のリザーバに添加した。流体デバイスに結合された流体レセプタクルの入口および出口の両方への流体接続が赤色を有するように、IPAを流体デバイスに装填した。次いで、JTgを、流体接続を介して、流体レセプタクルの入口、流体レセプタクルの出口、および流体デバイスの廃棄物出口に蠕動ポンプ輸送した。透明な流体であるJTgが流体デバイスにポンプで注入されると、赤色の変色が徐々に消えた。IPAとJTgとの間の色勾配は、流体レセプタクル内でいくらかの混合が生じたことを示すが、流体の最終的な透明な色は、染色されたIPAのほとんどすべてが流体レセプタクルをクリアした(cleared)ことを示す。漏れまたは流れの問題は観察されなかった。この実施例は、記載される流体デバイスが意図されたように動作することを実証する。
【0269】
実施例3
この実施例は、流体レセプタクル内で流体を混合するプロセスを実証する。この例では、流体デバイスは、黄色染料を含む液体の層と空気の層との2つの流体層を含む。これらの層は、混合中の様々な時点での流体デバイスの写真を提示する
図21A~21Dに示されている。
図21A~21Dにおいて、液体層と空気層との界面を白抜きの矢印で示す。まず、表面に圧力を加えながら、ある量の流体を含むマイクロチャネル(図示せず)の表面を横切ってローラを第1の方向に並進させた。このポンピングされた流体は、流体レセプタクルを通り、界面を
図21Aのその位置から
図21Bのその位置に移動させ、最終的に
図21Cのその位置に移動させる。次に、表面の少なくとも一部に圧力を加えながら、ローラを反対方向に表面を横切って並進させた。このポンプ輸送された流体は、反対方向に流体レセプタクルを通る。このプロセスは、界面が
図21Dのその位置に到達するまで継続され、
図21Aに撮影されているように、その最初の時点の時間におけるその最初の位置に一致した。このプロセスの反復によって、流体レセプタクル中の流体は、流体レセプタクルを通る正味の流れを生成することなく混合された。
【0270】
実施例4
本実施例は、
図12A~12Hに示されるタイプの例示的な流体デバイスを使用して、均質性を備えた例示的統合デバイスの装填および手動装填プロセスに匹敵する装填を確実に実施できることを実証する。この実施例では、8回の自動ローディングおよび配列決定の実施(run)を行い、その間に、
図12A~12Hに示される流体デバイスを使用して、4つの例示的なペプチドサンプル(以下、サンプル1、サンプル2、サンプル3、およびサンプル4と称する)のうちの1つを、8つの例示的な統合デバイス(以下、統合デバイス1、統合デバイス2、統合デバイス3、統合デバイス4、統合デバイス5、統合デバイス6、統合デバイス7、および統合デバイス8と称する)のうちの1つに装填した。次いで、各例示的な統合デバイスに同一のペプチドを手で装填し、そのそれぞれにおける各サンプルを配列決定して、装填パーセンテージ(標識ペプチドを含む統合デバイスのウェルのパーセンテージ)を決定した。ペプチドの装填パーセンテージは、ペプチドを配列決定するための重要な考慮事項であり得、したがって、高い装填パーセンテージは、いくつかの実施形態において、配列決定適用に有利である。
【0271】
自動装填の信頼性を手動装填プロセスと比較するために、配列決定および調製を実施例1で記載したように行った。無論、この実施例において、配列決定は装填プロセスの試験として使用され、装填プロセスは任意の配列決定または調製プロセスに適切であり得ることが理解されるべきである。
図22は、各実験の経過にわたって収集された、例示的な流体デバイスを使用して装填された統合デバイス(「自動装填」)および手動で装填された統合デバイス(「手動」)の配列決定に関連する、累積認識パルシング活動プロファイルを示す。一般に、統合デバイスの自動装填は、より均一なプロファイルをもたらし、流体デバイスの使用に関連する改善された性能を実証した。
図22はさらに、各サンプル/統合デバイスの組み合わせの装填パーセンテージを示し、統合デバイスの自動装填中に装填パーセンテージが概して増加したことを実証している。これらの実験は、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるような流体デバイス、システム、および方法を使用する統合デバイスの自動装填が、サンプル装填を有利に改善することができることを示す。
【0272】
実施例5
この実施例は、単一の流体デバイス部分を備える例示的な流体デバイスに流体接続された例示的な流体レセプタクルの漏れ試験を記載する。流体デバイスおよび流体レセプタクルの設計は、上記の
図11A~11Iに示されている。漏れ試験では、流体レセプタクルを目標圧力まで加圧し、圧力を短時間安定させ、次いで、例示的な流体デバイスの圧力を経時的に測定して、漏れの相対速度を決定した。本実施例では、流体デバイスは、3回、流体レセプタクルに結合させ、そこから分離させた。毎回、それは、漏れ試験実施のために同じ流体デバイスおよび流体レセプタクルで組み立てられた(実点として示される)。別の実験において、加圧され、流体レセプタクルから分離されたカートリッジからの漏れが、比較のために測定された。
図23は、これらの実験から得られる圧力減衰を示す。2回の漏れ試験の実施は、流体デバイス(図示せず)からの圧力減衰とほぼ完全に重なり、接続部から流体レセプタクルへの漏れがないことを示したが、1つの実験は、より急速な漏れを示し、流体デバイスと流体レセプタクルとの間の結合が不十分に封止されていたことを示した。
【0273】
実施例6
この実施例では、実施例5の例示的な流体デバイスと、第1の比較的剛性の流体デバイス部分と第2の比較的軟らかい流体デバイス部分からなる
図12A~12Hに示される例示的なデバイスとの間の漏れ試験比較を説明する。同じプロトコルを使用して、各流体デバイスからの漏れを測定した。
図24に示されるように、複数の流体デバイス部分を使用して、流体レセプタクルを流体デバイスに分離および再結合する5回のサイクルについて、経時的な圧力減衰率をプロットすると、単一の流体デバイス部分を使用した場合よりも全体的な漏れが少なく、より信頼性の高い結果が得られた。この結果は、いくつかの実施形態において、複数の流体デバイス部分を使用することに関連付けられ得る利点を実証する。
【0274】
実施例7
この実施例は、
図12A~12Hに示されるタイプの例示的な流体デバイスを使用して、例示的なペプチドサンプル(以下、サンプル5と称する)を様々な統合デバイスに確実に装填できることを実証する。この実施例では、サンプル5を、
図12A~12Hに示される流体デバイスを使用して、以下で統合デバイス9~49と称される41個の例示的な統合デバイスのうちの1つに装填した。次いで、それぞれの例示的な統合デバイスに同じペプチドを手動で装填し、各サンプルを配列決定して、装填割合(loading fraction)-標識ペプチドを含んだ統合デバイスのウェルの割合を決定した。装填割合は、上記実施例4の装填パーセンテージに関連する。一般に、装填パーセンテージは、装填割合に100%を乗じたものである。ペプチドの装填割合は、ペプチドを配列決定するための重要な考慮事項であり得るので、いくつかの実施形態において、高い装填割合が有利である。
【0275】
自動装填の信頼性を手動装填プロセスに対して比較するために、配列決定および調製を実施例1で記載したように行った。無論、この例において、配列決定は装填プロセスの試験として使用され、装填プロセスは任意の配列決定または調製プロセスに適切であり得ることが理解されるべきである。
図25A~25Bは、各実験の過程にわたって収集された、例示的流体デバイスを使用して装填された統合デバイス(「自動」)および手動で装填された統合デバイス(「手動」)の装填割合を示す。概して、統合デバイスの自動装填は、統合デバイスの手動装填と同等またはそれを上回る装填割合をもたらし、流体デバイスの使用に関連付けられる改善された性能を実証した。
【0276】
図26A~26Bは、各実験の過程にわたって収集された、例示的な流体デバイスを使用して装填された統合デバイス(「自動」)および手動で装填された統合デバイス(「手動」)のマッピング可能なリードの数を示す。概して、統合デバイスの自動装填は、統合デバイスのマッピング可能なリードの数に等しいかまたはそれを超える数のマッピング可能なリードを生成し、流体デバイスの使用に関連する性能の改善を実証した。いくつかの実施形態において、マッピング可能なリードの数が多いことは、配列決定用途に有利である。
【0277】
これらの実験は、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるような流体デバイス、システム、および方法を使用する統合デバイスの自動装填が、サンプル装填を有利に改善することができることを示す。
【0278】
実施例8
この実施例は、表面化学が統合デバイスの装填において役割を果たし得ることを実証する。この実施例では、統合デバイス(以下、統合デバイス50と称する)に、例示的なペプチドサンプル(以下、サンプル6と称する)を装填した。この統合デバイスに表面処理(以下、処理1、処理2、処理3と称される処理のうちの1つ)を施した。次いで、上記の実施例4の手順に従って、統合デバイスを自動装填または手動装填した。
【0279】
各装填方法および表面処理について、実験を14回繰り返した。
図27は、処理1を受けた後の統合デバイス50のマッピング可能なリードの数を示す。
図28は、処理2を受けた後の統合デバイス50のマッピング可能なリードの数を示す。
図29は、処理3を受けた後の統合デバイス50のマッピング可能なリードの数を示す。処置1および処置2は、手動装填と自動装填との間に統計的に有意な差を示さなかったとはいえ、自動装填は、一般に、装填の改善をもたらした。
図27~29に示すように、マッピング可能なリードの数は、処理に強く依存した。処理3(
図29)の場合、自動装填は、手動装填よりも統計的に有意に高い数のマッピング可能なリードをもたらした。
【0280】
これらの結果は、表面化学が統合デバイスの装填にとって重要であることを実証し、装填における統計的に有意な改善が、統合デバイスの手動装填よりもむしろ自動装填から生じ得ることを示す。
【0281】
本発明のいくつかの実施形態が本明細書で説明および図示されたが、当業者は、本明細書で説明された機能を実行し、および/または結果および/または1つ以上の利点を得るための様々な他の手段および/または構造を容易に想定し、そのような変形および/または修正のそれぞれは、本発明の範囲内であると見なされる。より一般的には、当業者は、本明細書に記載されるすべてのパラメータ、寸法、材料、および構成が例示的であることを意味し、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成が、本発明の教示が使用される特定の用途に依存することを容易に理解するであろう。当業者は、本明細書中に記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識するか、または日常的な実験のみを使用して確認することができる。したがって、前述の実施形態は、例としてのみ提示され、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内で、本発明は、具体的に説明および特許請求されるものとは別様に実践されてもよいことを理解されたい。本発明は、本明細書に記載のそれぞれの特徴、システム、物品、材料、および/または方法を対象とする。加えて、2つ以上のそのような特徴、システム、物品、材料、および/または方法の任意の組み合わせは、そのような特徴、システム、物品、材料、および/または方法が相互に矛盾しない場合、本発明の範囲内に含まれる。
【0282】
本明細書および特許請求の範囲で使用される不定冠詞「a」および「an」は、明確に反対の指示がない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
本明細書および特許請求の範囲において使用される際の「および/または」という句は、そのように結合された要素、すなわち、ある場合には結合的に存在し、他の場合には分離的に存在する要素の「いずれかまたは両方」を意味すると理解されたい。「および/または」の句により特に特定される要素以外のその他の要素が、明確に反対の指示がない限り、具体的に識別されるそれらの要素に関連するかまたは関連しないかにかかわらず、任意選択で存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「含む(comprising)」などのオープンエンド言語と組み合わせて使用される場合、一実施形態において、Bを伴わないAのみ(任意選択でB以外の要素を含む)、別の実施形態において、Aを伴わないBのみ(任意選択でA以外の要素を含む)、さらに別の実施形態において、AおよびBの両方(任意選択で他の要素を含む)等を指すことができる。
【0283】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「または」は、上記で定義された「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。たとえば、リスト内の項目を区切る場合、「または」あるいは「および/または」は、包括的、つまり要素の数またはリストの少なくとも1つを含むが2つ以上、任意選択的にさらなるリスト化されていない項目を含むと解釈されるものとする。「~のうちの1つのみ(only one of)」、「~のうちのまさに1つ(exactly one of)」、または特許請求の範囲において使用される場合の「~からなる(consisting of)」は、明確に反示される用語に限り、複数の要素の数またはリストのうちのまさに1つの要素を含むことを指す。一般に、本明細書で使用される「または」なる用語は、排他性の用語、例えば「いずれか(either)」、「~のうちの1つ(one of)」、「~のうちの1つのみ(only one of)」、または「~のうちのまさに1つ(exactly one of)」等が先行する場合に限り、排他的な代替的用語(すなわち、「一方または他方、ただし両方ではない(one or the other but not both)」)を示すと解釈するものとする。「本質的に~からなる(consisting essentially of)」は、特許請求の範囲において使用される場合、特許法の分野で使用される通常の意味を有するものとする。
【0284】
本明細書の明細書および特許請求の範囲で使用される際、1つ以上の要素のリストに関連する「少なくとも1つ」という句は、要素のリスト内の要素のうちの任意の1つまたは複数から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、要素のリスト内に具体的にリストされている各々のおよびすべての少なくとも1つを含む必要はなく、要素のリスト内の要素の任意の組み合わせを除外するものではないことを理解されたい。この定義はまた、「少なくとも1つ」という句が参照する要素のリスト内で具体的に識別される要素以外の要素が、具体的に識別される要素に関連するかどうかにかかわらず、任意選択で存在し得ることを可能にする。したがって、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または、同等に、「AまたはBの少なくとも1つ」、または同等に「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一実施形態において、任意選択で2つ以上のAを含み、Bが存在しない(および任意選択でB以外の要素を含む)ということを含む、少なくとも1つ、別の実施形態において、任意選択で2つ以上のBを含み、Aが存在しない(および任意選択でA以外の要素を含む)ということを含む、少なくとも1つ、さらに別の実施形態において、任意選択で2つ以上のAを含む、少なくとも1つと任意選択で2つ以上のBを含む(および任意選択で他の要素を含む)、少なくとも1つと、等を指すことができる。
【0285】
いくつかの実施形態は方法として具現化されてもよく、その様々な例が説明されている。方法の一部として実行される動作は、任意の適切な方法で順序付けられてもよい。したがって、動作は、具体的に上述された実施形態において順次実行されるように示されているが、動作が図示されたものとは異なる順序で実行される実施形態が構築されてもよく、その実施形態は、説明されたものとは異なる(例えば、より多いまたは少ない)動作を含んでもよく、および/またはいくつかの動作を同時に実行することを含んでもよい。
【0286】
請求項要素を修飾するための請求項における「第1」、「第2」、「第3」などの序数用語の使用は、それ自体では、ある請求項要素の別の請求項要素に対する任意の優先度、優先順位、もしくは順序、または方法の行為が実行される時間的順序を暗示するものではなく、単に、ある名前を有するある請求項要素を、同じ名前を有する別の要素から区別するためのラベルとして請求項要素を区別するために使用されるものである(序数用語の使用を除く)。
【0287】
特許請求の範囲および上記した明細書において、すべての移行句、例えば「~を含む(comprising)」、「~を含む(including)」、「~を担持する(carrying)」、「~を有する(having)」、「~を含有する(containing)」、「~を伴う(involving)」、「~を保持する(holding)」等は非制限的である、すなわち、~を含むが、これらに限定されない、を意味するものと理解される。移行句「~からなる(consisting of)」および「~から本質的になる(consisting essentially of)」に限り、特許審査手順の米国特許オフィスマニュアル(United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures)、セクション2111.03に規定するように、それぞれ限定的(closed)または半限定的な(semi-closed)移行句であるものとする。
【国際調査報告】