(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-02
(54)【発明の名称】ガス治療及び圧力治療を行うためのシステム、装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/12 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
A61B17/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565443
(86)(22)【出願日】2022-04-25
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 IB2022053830
(87)【国際公開番号】W WO2022229821
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523400817
【氏名又は名称】トリ.オ メディカル ディバイス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ワインスタイン,クファ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD06
4C160DD31
4C160MM22
4C160MM32
(57)【要約】
人の肢体へのマルチ圧力治療プロトコルを行うためのまたは人の肢体へのマルチ圧力治療プロトコルに使用するための装置、方法、及びシステムが提供される。当該装置は、肢体の少なくとも一部を取り囲むように形成されたバッグと、バッグの遠位部においてバッグの壁に取り付けられた接続部品であって、圧力調整装置とバッグの内部空間との間を通るガスの流れを効果的に可能にする接続部品と、バッグの内面に取り付けられたまたはバッグの内面と一体的なガス透過性ストリップとを備えることができる。
【選択図】
図26E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の対象にマルチ圧力治療プロトコルを行うためのシステムであって、前記システムは、
ガスを通過させて移送するための第1の開口部を有する第1のガス移送部であって、(i)前記第1のガス移送部に流体連通して配置される第1の容器内の圧力を調整するように構成され、かつ(ii)前記第1の開口部を通るガスの流れを生じさせるように構成された前記第1のガス移送部と、
ガスを通過させて移送するための第2の開口部を有する第2のガス移送部であって、前記第2のガス移送部に流体連通して配置される第2の容器内の圧力を調整するように構成された前記第2のガス移送部と、
電子回路であって、前記第1のガス移送部が前記第1の開口部を介して前記第1の容器内にガスを流入させる第1のモード、及び前記第1の容器内に前記ガスの少なくとも一部が存在している間、前記第2のガス移送部が、前記第2の容器の流体保持区画内のそれぞれのガス圧を前記第2の開口部を介して調整し、それにより、前記流体保持区画がそれぞれの圧迫圧を、前記第1の容器の壁を介して前記肢体の対応する部分に加えるようにする第2のモードのそれぞれ1つで順に動作するようプログラムされた前記電子回路と、を備える、前記システム。
【請求項2】
前記第1の容器が前記第1のガス移送部と流体連通していること及び前記第1の容器が前記対象の肢体の少なくとも長手方向の一部を取り囲むように配置されていることを確認する入力に応答して、前記第1のモードにおいて前記第1のガス移送部により前記ガスが流される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2の容器が前記第2のガス移送部と流体連通していること及び前記第2の容器が前記第1の容器の少なくとも長手方向の一部を取り囲むように配置されていることを確認する入力に応答して、前記第2のモードにおいて前記第2のガス移送部によりそれぞれのガス圧が調整される、請求項1または2のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項4】
前記流体保持区画に取り囲まれる範囲で前記第2の容器によって取り囲まれた前記第1の容器の前記少なくとも一部にわたって、前記調整により前記ガスが流通させられる、請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記流通は、前記流体保持区画の一連の膨張及び/または収縮によって少なくとも部分的に生じさせられる、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記流体保持区画内のそれぞれのガス圧を前記調整することは、差圧調整のシーケンスを繰り返すことを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記ガスの前記流通は、少なくとも部分的にまたは大部分が、前記第1の容器内の長手方向に配置されたガス流路ストリップを通るものであり、前記ガス流路ストリップは、その長さに沿って前記第1の容器の内部空間に対し側方に開放されており、これにより、前記第1の容器内にある流体は、前記ガス流路ストリップに自由に流れこむことができかつ前記ガス流路ストリップから自由に流れ出ることができる、請求項5または6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記ガスが治療ガスである、請求項1~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記ガスが、オゾン、酸素、及び精油の少なくとも1つを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1のガス移送部が、前記第1の容器内の前記圧力を、周囲圧または大気圧より50mmHg低い圧力から周囲圧または大気圧の範囲にわたって調整するように構成されている、請求項1~9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2のガス移送部が、前記第2の容器内の前記圧力を、周囲圧または大気圧より0~40mmHg高い圧力範囲にわたって調整するように構成されている、請求項1~10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記ガス流路ストリップが、前記第1の容器と一体的に形成されている、請求項7~11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記ガス流路が、前記第1の容器の内面に取り付けられている、請求項7~11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1のガス移送部が、オゾン含有ガスを前記第1の容器に供給するためのオゾン発生器を備える、請求項1~13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1のガス移送部が、治療ガスを前記第1の容器に供給するため、前記治療ガスを貯蔵または収容する容器を備える、請求項1~14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1の容器と前記ガス流路ストリップとが合わされており、それによって、前記第1の容器が660~710mmHg(絶対圧)の範囲内の特定の負圧にさらされると、前記第1の容器の少なくとも1つの壁がへこんで前記ガス流路ストリップに側方の力を加え、前記ストリップを側方向に閉じ長手方向に開いたガス流路にする、請求項7~15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
前記電子回路は、第3のモードにおいて前記第1の容器内に存在する前記ガスを抜き出して前記第1の容器内の圧力を周囲圧または大気圧より低い第1の圧力に低下させるようさらにプログラムされている、請求項1~16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記電子回路は、前記第3のモードに続く第4のモードにおいて、前記第1の容器内の前記圧力を前記周囲圧または大気圧よりも低く維持しながら、ある体積のある治療ガスまたは前記治療ガスを前記第1の容器に導入するようさらにプログラムされている、請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2021年4月25日に出願された米国特許出願第17/239,637号の一部継続出願であり、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。パリ条約の適用上、本特許出願は、2021年4月25日に出願された米国特許出願第17/239,637号、及び2021年9月1日に出願された英国特許出願第2112465.6号の優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、人の肢体及び胴部に行われるガス治療及び圧力治療に使用するための装置を含む製造物、ならびにそのような製造物を使用するための方法及びそのような製造物をガス治療及び圧力治療に使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
圧力調整装置が様々な治療において利用されている。多くの場合の治療は、肢体または胴部の創傷または切開部分の上方及び周囲に圧力保持空間を即席で設けることによって行われている。ある場合、即席で設けられた空間に配置される接続部品と創傷自体との間に「ガス橋」がまた即席で設けられる。これは、例えば、連続気泡発泡体片を切ってその空間内にガス経路を作ることにより設けられる。かくして、今日まで開示されてきたやり方は、不正確で、その場しのぎであり、無菌状態に維持することは困難である。さらに、即席で設けられる圧力保持空間は、他のガス治療または他の圧力治療と組み合わせるのに適していない。したがって、圧力調整装置及び/または様々なガスを用いる様々な治療において使用することができる、即使用可能な装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本発明の態様によれば、マルチ圧力治療プロトコルを人の対象に行うためのシステムが提供される。
【0005】
記載された好適な実施形態における特徴によれば、当該システムは、ガスを通過させて移送するための第1の開口部を有する第1のガス移送部であって、(i)該ガス移送部に流体連通して配置される第1の容器内の圧力を調整するように構成され、かつ(ii)該第1の開口部を通るガスの流れを生じさせるように構成された該第1のガス移送部と、ガスを通過させて移送するための第2の開口部を有する第2のガス移送部であって、該第2のガス移送部に流体連通して配置される第2の容器内の圧力を調整するように構成された該第2のガス移送部とを備える。
【0006】
記載された好ましい実施形態のさらなる特徴によれば、当該システムは、以下の第1のモードと第2のモードの各モードで順に動作するようにプログラムされた電子回路をさらに含む。第1のモードでは、該第1のガス移送部がガスを該第1の開口部を介して該第1の容器内に流入させる。第2のモードでは、該ガスの少なくとも一部が該第1の容器内にある間、該第2のガス移送部が、該第2の開口部を介して、該第2の容器の流体保持区画内のそれぞれのガス圧を調整し、それにより該流体保持区画がそれぞれの圧迫圧を該第1の容器の壁を介して肢体の対応する部分に加えるようにする。
【0007】
記載された好ましい実施形態のさらに別の特徴によれば、該第1の容器が該第1のガス移送部と流体連通していること及び該第1の容器が対象の肢体の少なくとも長手方向の一部を取り囲むように配置されていることを確認する入力に応答して、該第1のガス移送部により該ガスが流される。
【0008】
記載された好ましい実施形態のさらに別の特徴によれば、該第2の容器が該第2のガス移送部と流体連通していること及び該第2の容器が該第1の容器の少なくとも長手方向の一部を取り囲むように配置されていることを確認する入力に応答して、該第2のガス移送部によりそれぞれのガス圧が調整される。
【0009】
記載された好ましい実施形態のさらに別の特徴によれば、該流体保持区画に取り囲まれる範囲で該第2の容器に取り囲まれた該第1の容器の少なくとも一部にわたって、該調整により該ガスが流通させられる。
【0010】
記載された好ましい実施形態のさらに別の特徴によれば、該流通は、該流体保持区画の一連の膨張及び/または収縮によって少なくとも部分的に生じさせられる。
【0011】
記載された好ましい実施形態のさらに別の特徴によれば、該ガスの流通は、少なくとも部分的にまたは大部分が、該第1の容器内の長手方向に配置されたガス流路ストリップを通るものであり、該ガス流路ストリップは、その長さに沿って該第1の容器の内部空間に対し側方に開放されており、これにより、該第1の容器内にある流体は、該ガス流路ストリップに自由に流れこむことができかつ該ガス流路ストリップから自由に流れ出ることができる。
【0012】
記載された好ましい実施形態のさらに別の特徴によれば、該ガスは、治療ガスであり、必要に応じて、オゾン、酸素、及び精油の少なくとも1つを含んむ。
【0013】
記載された好ましい実施形態のさらに別の特徴によれば、該第1のガス移送部は、周囲圧または大気圧よりも50mmHg低い圧力から周囲圧または大気圧の範囲で、該第1の容器内の圧力を調整するように構成されている。
【0014】
記載された好ましい実施形態のさらに別の特徴によれば、該第2のガス移送部は、周囲圧または大気圧よりも0~40mmHg高い圧力範囲で、該第2の容器内の圧力を調整するように構成されている。
【0015】
記載された好ましい実施形態のさらに別の特徴によれば、該第1の容器と該ガス流路ストリップとが合わされており、それによって、該第1の容器が660~710mmHg(絶対圧)の範囲内で特定の負圧にさらされると、該第1の容器の少なくとも1つの壁がへこんで該ガス流路ストリップに側方の力を加え、該流路を側方向に閉じ長手方向に開いたガス流路にする。
【0016】
記載された好ましい実施形態のさらに別の特徴によれば、該電子回路は、第3のモードにおいて該第1の容器内に存在するガスを抜き出して該第1の容器内の圧力を周囲圧又は大気圧より低い第1の圧力に低下させるようさらにプログラムされている。
【0017】
記載された好ましい実施形態のさらに別の特徴によれば、該電子回路は、該第3のモードに続く第4のモードにおいて、該第1の容器内の圧力を周囲圧または大気圧よりも低く維持しながら、ある体積のある治療ガスまたは該治療ガスを該第1の容器に導入するようさらにプログラムされている。
【0018】
種々の方法及び装置ならびにさらなるシステムを本明細書に開示する。
【0019】
添付の図面を例として参照しながら本発明をさらに説明する。添付の図面に示されている構成要素や特徴の寸法は、便宜上明瞭な図示のために採用されたものであり、必ずしも原寸に比例しているものではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態による例示的な装置の概略図である。
【
図2】本発明の実施形態による例示的な装置の概略図である。
【
図3】ガス接続ホースを介して圧力調整装置に接続された本発明の実施形態による装置の概略図である。
【
図4A】本発明の実施形態によるストリップの概略上面図である。
【
図4B】本発明の実施形態によるストリップの概略横断面図である。
【
図4C】本発明の実施形態によるストリップの概略横断面図である。
【
図4D】本発明の実施形態によるストリップの概略横断面図である。
【
図4E】本発明の実施形態によるストリップの概略横断面図である。
【
図4F】本発明の実施形態によるストリップの概略横断面図である。
【
図5A】ガス接続ホースが接続された接続部品、バッグの2つの対向する壁、及びストリップを備え、ストリップが接続部品の反対側の壁に取り付けられた本発明の実施形態による装置のコンポーネントを示す概略図である。
【
図5B】ガス接続ホースが接続された接続部品、バッグの2つの対向する壁、及びストリップを備え、ストリップが接続部品と同じ壁に取り付けられた本発明の実施形態による装置のコンポーネントを示す概略図である。
【
図6】本発明の実施形態に従ってストリップに入り、ストリップを通過し、ストリップから出て行くガスの流路の概略図である。
【
図7】本発明の実施形態に従ってストリップに入り、ストリップを通過し、ストリップから出て行くガスの流路の概略図である。
【
図8】本発明の実施形態に従ってストリップに入り、ストリップを通過し、ストリップから出て行くガスの流路の概略図である。
【
図9A】本発明の実施形態に従ってストリップに入り、ストリップを通過し、ストリップから出て行くガスの流路の概略図である。
【
図9B】本発明の実施形態に従って外側から圧力が加えられた状態でストリップに入り、ストリップを通過し、ストリップから出て行くガスの流路の概略図である。
【
図10A】本発明の実施形態に従って圧縮されていない状態のストリップに入り、ストリップを通過し、ストリップから出て行くガスの流路の概略図である。
【
図10B】本発明の実施形態に従って部分的に圧縮された状態のストリップに入り、ストリップを通過し、ストリップから出て行くガスの流路の概略図である。
【
図11A】本発明の実施形態による例示的なガス透過性ストリップ及びストリップのガス透過性層を示す写真である。
【
図11B】本発明の実施形態による例示的なガス透過性ストリップ及びストリップのガス透過性層を示す写真である。
【
図11C】本発明の実施形態による例示的なガス透過性ストリップ及びストリップのガス透過性層を示す写真である。
【
図11D】本発明の実施形態による例示的なガス透過性ストリップ及びストリップのガス透過性層を示す写真である。
【
図11E】本発明の実施形態による例示的なガス透過性ストリップ及びストリップのガス透過性層を示す写真である。
【
図11F】本発明の実施形態による例示的なガス透過性ストリップ及びストリップのガス透過性層を示す写真である。
【
図12A】一体的に形成されたストリップを備える本発明の実施形態による例示的な装置の概略図である。
【
図12B】一体的に形成されたストリップを備える本発明の実施形態による例示な装置の概略図である。
【
図12C】一体的に形成されたストリップを備える本発明の実施形態による例示的な装置の概略図である。
【
図13】人の肢体に合ったサイズでそれぞれ装着された本発明の実施形態による装置の概略図である。
【
図14】本発明の実施形態による全身サイズの例示的な装置を装着された人の使用者を示す概略図である。
【
図15】本発明の実施形態による全身サイズの例示的な装置を装着された人の使用者を示す概略図である。
【
図16】本発明の実施形態による全身サイズの例示的な装置を装着された人の使用者を示す概略図である。
【
図17】人の脚に合ったサイズの装着された本発明の実施形態による装置と、当該装置のストリップに対して横方向延長部材として装着された本発明の実施形態による弾性リボンとを示す概略図である。
【
図18】本発明の実施形態によるキットであって、装置及び横方向延長部材として使用する弾性リボンを備えるキットの概略図である。
【
図19】本発明の実施形態によるキットであって、装置及び肢体用シールテープを備えるキットの概略図である。
【
図20】本発明の実施形態によるキットであって、
図18に示すキットの構成要素と肢体用シールテープとを備えるキットの概略図である。
【
図21】本発明の実施形態によるキットのブロック図である。
【
図22A】それぞれ異なる圧力条件下にあるガス流路の第1の部分と第2の部分とを有する本発明の実施形態による例示的な装置の概略断面図である。
【
図22B】それぞれ異なる圧力条件下にあるガス流路の第1の部分と第2の部分とを有する本発明の実施形態による例示的な装置の概略断面図である。
【
図22C】それぞれ異なる圧力条件下にあるガス流路の第1の部分と第2の部分とを有する本発明の実施形態による例示的な装置の概略断面図である。
【
図23】人の対象にマルチ圧力治療プロトコルを行うための本発明の実施形態によるシステムを示す概略図である。
【
図24】人の肢体を少なくとも部分的に取り囲む本発明の実施形態による第1及び第2の容器を示す図である。
【
図25】人の肢体を少なくとも部分的に取り囲み、圧力調整装置に接続された本発明の実施形態による第1及び第2の容器を示す図である。
【
図26A】本発明の実施形態に従って人の肢体を少なくとも部分的に取り囲む第1の容器を部分的に取り囲んだ複数の区画を有する第2容器を逐次圧縮する様子を模式的に示す。
【
図26B】本発明の実施形態に従って人の肢体を少なくとも部分的に取り囲む第1の容器を部分的に取り囲んだ複数の区画を有する第2容器を逐次圧縮する様子を模式的に示す。
【
図26C】本発明の実施形態に従って人の肢体を少なくとも部分的に取り囲む第1の容器を部分的に取り囲んだ複数の区画を有する第2容器を逐次圧縮する様子を模式的に示す。
【
図26D】本発明の実施形態に従って人の肢体を少なくとも部分的に取り囲む第1の容器を部分的に取り囲んだ複数の区画を有する第2容器を逐次圧縮する様子を模式的に示す。
【
図26E】本発明の実施形態に従って人の肢体を少なくとも部分的に取り囲む第1の容器を部分的に取り囲んだ複数の区画を有する第2容器を逐次圧縮する様子を模式的に示す。
【
図26F】本発明の実施形態に従って人の肢体を少なくとも部分的に取り囲む第1の容器を部分的に取り囲んだ複数の区画を有する第2容器を逐次圧縮する様子を模式的に示す。
【
図27A】本発明の実施形態に従って人の対象にマルチ圧力治療プロトコルを行うための、方法のステップを示すフローチャートである。
【
図27B】本発明の実施形態に従って人の対象にマルチ圧力治療プロトコルを行うための、方法のステップを示すフローチャートである。
【
図27C】本発明の実施形態に従って人の対象にマルチ圧力治療プロトコルを行うための、方法のステップを示すフローチャートである。
【
図27D】本発明の実施形態に従って人の対象にマルチ圧力治療プロトコルを行うための、方法のステップを示すフローチャートである。
【
図27E】本発明の実施形態に従って人の対象にマルチ圧力治療プロトコルを行うための、方法のステップを示すフローチャートである。
【
図28A】本発明の実施形態に従って人の肢体に低圧治療を行うための、方法のステップを示すフローチャートである。
【
図28B】本発明の実施形態に従って人の肢体に低圧治療を行うための、方法のステップを示すフローチャートである。
【
図28C】本発明の実施形態に従って人の肢体に低圧治療を行うための、方法のステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
添付の図面を単なる例示として参照しながら本発明を説明する。図面を具体的に詳細に参照して説明を行っていくが、強調しておきたいことは、詳細な説明は、単に例示であり、また、本発明の好ましい実施形態を単に例示的に説明するためのものであり、本発明の原理及び思想的態様の最も有用でかつ容易に理解できる説明であると考えられるものを提供する過程において提示されているものであるということである。これについて、本発明の構造的詳細は、本発明の基本的な理解に必要なものにとどめて示しているが、図面とともに本明細書を読めば、本発明の様々な形態が実際にどのように具現化できるか当業者には明らかである。図面全体を通じて、同じ参照番号は、通常、同じ構成要素を示すために使用されている。下付きの参照番号(例えば101)または文字修飾された参照番号(例えば100A)は、単一の図面において構成要素の複数の態様を区別して示すために使用されており、例えば、101は、構成要素10の(複数の態様のうちの)1つの態様を示しており、100Aは、構成要素100の(複数の態様のうちの)1つの態様を示している。
【0022】
本発明の実施形態には、人の使用者の身体、特に(それに限定するものではないが)使用者の肢体の1つ以上に適用される圧力関連治療に使用する装置が含まれる。当該装置は、その部品であるバッグ内のガス圧を上昇、低下、及び/または維持することができ及び/またはそのバッグ内のガスを交換することができる圧力調整装置と共に使用するものである。バッグは、使用者の肢体を取り囲むように構成されており、そして装置の他の構成要素は、治療部位へのガス流路を形成するように配置される。この流路は、バッグ内の圧力が低下しても機能することができる。
【0023】
本発明のさらなる実施形態には、ガスと圧力による治療プロトコルを人の肢体の1つ以上に行うための方法及びシステムが含まれる。実施形態によれば、当該プロトコルは、3つの種類の治療を相乗的に組み合わせて、最適な結果を達成する。3つの種類の治療は、浮腫を除去するための可変加圧治療(すなわち、大きさ及び/または位置を変えて外側から加えることができる圧力による治療)、負圧(真空)により浮腫及び他の排出物を除去して創傷への血流を改善するための治療、ならびに治療ガスを使用する治療である。本明細書で使用される「治療ガス」という用語は、オゾン、酸素、及び精油のうちの1つ以上を含むガスを指す。精油は、消毒及び免疫系の能力の改善にしばしば使用される物質である。
【0024】
ここで、図面、特に
図1を参照する。
図1は、非限定的な実施例における治療用装置100を概略的に示している。この装置は、柔軟性のあるバッグ10を含む。
図1において2次元投影図で示される柔軟性のあるバッグ10は、初期の使用前のモードで非連結状態にある。
【0025】
分かりやすくするため、バッグは、本開示を通じて、2つの対向する壁を有すると特徴付けられている。しかし、実施形態による一部のバッグは、単一の「エンドレスな」壁を有するよう作製することができ、例えば、一方端で閉じられまたは封止され、他方端で開口された繋がったポリマーシートとすることができる。そのようなバッグもやはり、扁平にされると、2つの対向する壁、言い換えれば2つの対向する「バッグ部分」を有する。本明細書で開示されるバッグは、継ぎ目があるものでも、継ぎ目がないものでもよい。バッグ(及び/またはバッグを備える装置)は、連続したロールとして提供することができる。代替的または追加的に、バッグ(及び/またはバッグを備える装置)は、2つの封止された端部を有する初期(使用前の)形態で提供することができ、ここで、第1の端部は、使用開始の際に開口されるよう指定されている。ある設計において、バッグは、2つの対向する壁を分離させるだけで開口状態にすることができる。ある他の設計では、使用者は、例えばバッグ上部のシーリングストリップを引き裂くなど、追加の作業を行わなければならないことがある。バッグ設計におけるこれら全ての異なる態様は、本発明の範囲内にある。加えて、分かりやすくするため、添付の図面で例示されるバッグはすべて矩形のバッグである。しかし、用途に適した任意の形状のバッグによって実施形態を行えることは、当業者に明らかである。例えば、患者の手に使用する装置のためのバッグは、楕円形(2次元投影)であってもよく、あるいは、角が丸みのあるバッグであってもよい。
【0026】
実施形態に係るバッグは、任意の適当な柔軟性のある材料から作製される。そのような材料は、ある所定の期間(すなわち、数分間または数時間、しかし必ずしも数日または数週間である必要はない)にわたって正圧及び/または負圧を維持することができるものである。透過性が低くかつ柔軟性が高いバッグに適した構成材料として、様々なグレードのポリエチレン、ポリプロピレン及びポリ塩化ビニルなどのポリマーが挙げられる。N2、CO2、O2及びO3などの分子に対する低い透過性は、望ましい特性であり、それは、治療期間またはその一部の期間にわたって、装着された肢体に対し一旦封止されたバッグの内部を周囲の雰囲気から実質的に隔離するために望ましい特性である。構成材料は、オゾンガスとの適合性から選択することができ、例えばポリエチレンとすることができる。圧力の維持は、一般に、バッグの構成材料(複数可)の透過性に依存し、場合によって、材料の厚さに依存する。本明細書で使用される圧力の「維持」という用語は、設定または指定された圧力を、1分間にわたり、その0.1%以内で維持すること、あるいは1分間にわたり、0.5%以内、または1%以内、または2%以内、または3%以内、または4%以内、または5%以内で維持することを意味すると解すべきである。維持は、わずかな調整を行うことも包含し得る。例えば、圧力変動を抑えるために、バッグに接続された圧力調整装置によってわずかな調整を行うことも包含し得る。「正の」及び「負の」圧力は、それぞれ周囲圧より高いまたは低い圧力を意味すると解すべきである。例えば、周囲圧が760mmHg(水銀柱ミリメートル)である場合、460mmHgは負圧と呼ばれ、1,060mmHgは正圧と呼ばれる。したがって、負圧または低圧の治療は、周囲圧よりも低い圧力で行われる治療である。負圧(すなわち、0mmHg超でかつ周囲圧よりも低い圧力)は、本明細書において「部分真空」、「部分的排気」などと呼ぶこともできる。
【0027】
図1の装置100はさらにストリップ50及び接続部品20を備える。
図1に示すバッグ10は、添付の図面に示す他のすべてのバッグ10と同様、少なくとも部分的に「透明」なものとして示され、従って、内部のストリップ50は「見ることができる」。バッグ10が少なくとも部分的に透明または少なくとも半透明であることは作業上有利になり得るが、本明細書に開示する実施形態において必須ではない。したがって、ある実施例において、バッグ10は不透明である。ある例示的実施形態において、ストリップ50は、多層ストリップ、すなわち2つ以上の層を含むストリップである。これについては
図4B~4Eを参照して以下で説明する。ある実施形態において、ストリップ50は、1つ以上の層を含むガス透過性ストリップである。これについては
図4D及び4Fを参照して以下で説明する。ストリップ50は、バッグ10の内面に取り付けられている。すなわち、バッグの内部空間と直接流体連通するバッグ表面に取り付けられている。ある実施形態において、この取り付けには、接着剤を塗布してストリップ50をバッグ10の内面に結合(例えば接着)することが含まれる。ある実施形態において、この取り付けは、非限定的な実施例において、熱溶着などの熱によるプロセスにより、ストリップ50をバッグ10の内面に熱溶着することで行われる。ある実施形態において、例えば
図12A~12Cに示すように、ストリップ50は、バッグ10と一体的に形成することができる。
【0028】
接続部品20は、それにガス接続ホースを接続するためのものであり、ガス接続ホースは、圧力調整装置とバッグとの間を仲介するために導入される。接続部品は開口部25を有する。開口部25は、圧力調整装置とバッグの内部との間で、例えば圧力が増加または減少した場合、ガスの流れを可能にする。すなわち、バッグ内の圧力は、圧力調整装置を接続部品20に接続することによって調整される。ある実施例において、接続部品の開口部25は単純な孔であり、他の実施例において、開口部25は、雌雄型接続部品の一方の側であるか、あるいは、圧力調整装置との使用に適したガス接続ホースに適合する他の任意のタイプの接続部品である。ある実施形態において、バッグと圧力調整装置との間に、さらなる部品を設けることができる。そのような部品は、例えば、接続部品20の「装置」側に設けられる、
図21に示すような、流出物(複数可)を回収するための容器、バイオフィルタ、及び1つ以上の逆止弁である。
【0029】
「遠位」及び「近位」の方向はそれぞれ
図1に矢印210で示されている。バッグ10の近位端12は、そこを通って使用者の肢体を挿入できる部分または端部であり、遠位端13は、その反対側の端部である。接続部品20は、遠位部または遠位端13の近くで、バッグ10の壁に取り付けられている。ストリップ50の遠位端は、接続部品20(特に開口部25を含む)と直接流体連通しており、ストリップ50の近位端は、バッグ10の近位部に配置されている。バッグの近位部は、バッグ10の50%、または40%、または30%、または25%、または20%、またはそれ以下を占めている。したがって、ある実施形態において、ストリップ50の長さ(その長手方向の寸法で、
図4AにL
STRIPとして示される)は、バッグ10の長さの少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%に等しい。バッグ10の長さは、
図1においてL
BAGとして示されている。長さL
BAGは、
図1に示すようなバッグ10の最大寸法であってよいが、これはすべての実施態様において当てはまらなくてもよい。したがって、長さL
BAGは、バッグ10の近位端12から遠位端13までの距離と見なすことができる。
【0030】
ある実施形態において、例えば不快感を生じさせる可能性をなくすため、接続部品20が使用者の肢体に接触しないよう接続部品20を「離して配置」することが望ましい場合がある。
図2は、バッグ10を備える装置100の非限定的実施例を示しており、バッグ10は、タブ15の形態で遠位側延在部を有する。タブ15は、バッグ10の残りの部分の内部空間に対して開放されている。
図2の実施例において、接続部品20は、タブ部15内でバッグの内壁に取り付けられており、これにより、使用者の肢体が接続部品20に直接触れる機会がほとんどなくなる。タブ部15により使用者との直接的接触を特に効果的に防止するため、タブ部15はバッグ10の残りの部分よりも幅が狭いことが好ましく、例えば、タブ部15の幅(
図2においてW
TABで示される)は、バッグ10の幅(W
BAG)の30%未満に制限される。ある実施形態において、W
TABは、W
BAGの25%未満、または20%未満、または15%未満、または10%未満である。ある実施形態において、タブ15の長さ(
図2にL
TABとして示される)は、L
BAG(
図2に示されるタブ部15を含めたバッグ10の全長)の25%未満である。
【0031】
図3は、ガス接続ホース72によって圧力調整装置70に直接接続された装置100を示している。ある実施形態において、この接続は、直接的な接続ではない。ある実施形態において、ホース72は、ガス切り替え機能及び/または複数の入出接続部を有することができる。ある実施形態において、ホース72は、圧力調整装置70の一部であるか、または圧力調整装置70に永続的に取り付けられており、他の実施形態では別個の要素である。圧力調整装置70は、周囲圧よりも高いまたは低い圧力の印可及び/または維持に適した任意の装置とすることができ、例えば、使用者の肢体または胴部に対して治療を行うのに適した任意の装置であり得る。好適な圧力調整装置の実施例として、負圧治療装置、オゾン治療装置、逐次加圧治療装置、及びこれらの治療の2つ以上を組み合わせる装置が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
ある実施例において、圧力調整装置(70または550)は、周囲圧が760mmHgであると想定するようにプログラムされている。ある実施例において、圧力調整装置は、所定の周囲圧(例えば使用者の位置を上昇させるための典型的な周囲圧またはその付近の圧力)に前もってセットされるようプログラムされている。ある実施例において、圧力調整装置は、治療期間の前もしくは治療期間中、装置のセットアップ中、または他の任意の時間に、周囲圧を測定し、それを使用する。ある実施例において、圧力調整装置は、容器内の圧力を予め設定された量だけ上昇または低下させるように構成されている。ある実施例において、圧力調整装置は、圧力を上昇または低下させることによって、容器内の圧力を予め設定されたまたは予め計算された圧力に到達させるように構成されている。開示された実施形態のいずれにおいても、圧力調整装置は、前述の特徴及び構成のいずれかを組み合わせることができる。
【0033】
【0034】
図4Aは、実施形態によるストリップ50の上面図である。ストリップ50は、ある長さL
STRIPとある幅W
STRIPとを有する。ある実施形態において、長さL
STRIPは、幅W
STRIPより少なくとも3倍長いか、または少なくとも5倍長いか、または少なくとも10倍長い。ある実施形態において、L
STRIP:W
STRIPの比は、3:1~5:1、または3:1~10:1、または3:1~20:1、または3:1~30:1、または5:1~10:1、または5:1~20:1、または5:1~30:1、または10:1~20:1、または10:1~30:1、または20:1~30:1である。
【0035】
実施形態において、長さLSTRIPは、少なくとも10cm、または少なくとも15cm、または少なくとも20cm、または少なくとも25cm、または少なくとも30cmである。実施形態において、幅WSTRIPは、1cm~6cm、または2cm~5cm、または2.5cm~4.5cmである。ある実施形態において、幅WSTRIPは、1cm~2cm、または1cm~3cm、または1cm~4cm、または1cm~5cm、または2cm~3cm、または2cm~4cm、または2cm~5cm、または2cm~6cm、または3cm~4cm、または3cm~5cm、または3cm~6cm、または4cm~5cm、または4cm~6cm、または5cm~6cmである。本明細書を通じて示されるすべての範囲は、範囲の両端を含むものである。実施形態において、ストリップ50の面積(すなわち長さLSTRIPに幅WSTRIPを乗じた値)は、バッグ10の面積10(すなわち長さLBAGに幅WBAGを乗じた値)よりも小さい。ある実施形態において、ストリップの面積は、バッグの面積の20%未満、または15%未満、または10%未満、または5%未満である。
【0036】
図4B~4Fは、実施形態による種々のストリップ50の横断面をそれぞれ示す概略図であり、各図は
図4A中のA-A線に沿うものである。
図4Bに示すストリップ50
1は、下層60、中間層57及び上層55を有する。上層55は、部分的に圧縮可能なガス透過性材料を含む。一実施例において、下層60は接着剤層である。別の実施例において、下層60は、熱(例えば熱溶着)によってバッグの壁に取り付けることができる布を含む。一実施例において、中間層57は、目の細かい織布または不織布を含み、上層55は、目の粗い織布、ループ布、またはフェルトの1つを含む。
図4Cに示されるように、上層55は、ある厚さT
ULを有し、ストリップ50は、ある総厚さT
STRIPを有する。ある実施形態において、ストリップ50の総厚さT
STRIPは、3.5mm以下、または5mm以下、または7.5mm以下、または10mm以下である。ある実施形態において、上層55の厚さは、3.5mm以下、または5mm以下、または7.5mm以下、または10mm以下である。実施形態において、ストリップ50は、むしろ「柔らかい」ほうが望ましいことがあり、そうすれば、使用者の肢体が例えばストリップ50の一部に乗る場合、使用者に過度な不快感を与えずにすむ。ある実施形態において、ストリップ50のショアA硬度は、70以下、または60以下、または50以下、または40以下である。ある実施形態において、ガス透過性上層55のショアA硬度は、70以下、または60以下、または50以下、または40以下である。
【0037】
ストリップ50は、無次元のアスペクト比TSTRIP/WSTRIPによって特徴づけられる。実施形態において、TSTRIP/WSTRIPは、1:1.5~1:20であるか、または1:5~1:15であるか、または1:8~1:12である。ある実施形態において、TSTRIP/WSTRIPは、1:1.5~1:5、または1:1.5~1:10、または1:1.5~1:15、または1:1.5~1:20、または1:1.5~1:30、または1:5~1:10、または1:5~1:12、または1:5~1:20、または1:1.5~1:30、または1:8~1:15、または1:8~1:20、または1:8~1:30、または1:10~1:15、または1:10~1:20、または1:10~1:30、または1:12~1:20、または1:12~1:30、または1:15~1:20、または1:15~1:30、または1:20~1:30である。
【0038】
上層55は、無次元のアスペクト比TUL/WSTRIPによって特徴づけられる。ある実施形態において、TUL/WSTRIPは、1:1.5~1:20であるか、または1:5~1:15であるか、または1:8~1:12である。ある実施形態において、TUL/WSTRIPは、1:1.5~1:5、または1:1.5~1:10、または1:1.5~1:15、または1:1.5~1:20、または1:1.5~1:30、または1:5~1:10、または1:5~1:12、または1:5~1:20、または1:1.5~1:30、または1:8~1:15、または1:8~1:20、または1:8~1:30、または1:10~1:15、または1:10~1:20、または1:10~1:30、または1:12~1:20、または1:12~1:30、または1:15~1:20、または1:15~1:30、または1:20~1:30である。
【0039】
図4Dのストリップ50
2は、上述したような部分的に圧縮可能な上層55と下層60とを有する。
図4Eのストリップ50
3は、部分的に圧縮可能な上層55と、下層60と、最上層58(例えば、上層55に塗布されたコーティング)とを有する。
図4Fのストリップ50
4は、部分的に圧縮可能なガス透過性層55を有する。このガス透過性層55は、ある実施形態において、例えば接着剤または熱によりバッグの壁に取り付けられる。
【0040】
図5A及び
図5Bは、装置100の詳細を示しており、接続部品20を介してバッグ10に入ってバッグ10から出て行くガスの流れを示している。
図5Aでは、接続部品20が、バッグ10の壁11Bに取り付けられており、ストリップ50が、第1の壁11
Bに「対向する」第2の壁11
Aに取り付けられている。すなわち、ストリップ50は、バッグ10の内部空間12によって接続部品20から分離されている。内部空間12は、装置100が最初に製造または提供される初期状態においては、実際に存在する空間でなくてもよい。しかし、装置100が使用可能になれば、例えば治療のために使用者の肢体を収容するため、バッグ10内に内部空間12が必ず形成される。したがって、初期状態では、
図5Aのストリップ50及び接続部品20は、対向する壁11
A及び11
B上にあるが、これらを分離する内部空間は存在しなくてもよい。
図5Aの実施例に示すとおり、下層60は、バッグ10の壁11
Aに取り付けられた層である。したがって、「下層」という用語は、それが取り付けられるバッグの壁に最も近い層を意味すると解釈すべきであり、従ってまた「上層」という用語は、下層よりも、ストリップが取り付けられるその壁からより遠い層を意味すると解釈すべきである。
図5Aの実施例において、接続部品20は、ストリップ50の上層55と直接流体連通している。圧力調整装置(
図5A~5Bに図示せず)とバッグ10の内部空間12との間のガスの流れを、矢印201で示している。
図5A及び5Bの矢印201の方向は、方向が限られていることを示すものではなく、単なる例示である。ガスは、バッグ10内の圧力の上昇または低下に応じて、いずれの方向にも(すなわち、バッグ10に入る方向、バッグ10から出る方向の両方に)流れることができる。
図5Bの実施例において、接続部品20は、ストリップ50が取り付けられているのと同じ壁11
Bに取り付けられている。接続部品20とガス透過性上層55との間の流体連通を確立するため、下層60は、必ず少なくとも部分的にガス流に対して開放されている(例えば、下層60がガス透過性材料及び/または多孔質または非連続的な材料を含む場合)。
【0041】
ここで
図6~9Aを参照する。
図6~9Aはそれぞれストリップ50におけるガス流路の概略図である。
図6~9において流れの矢印201、203、及び205すべてが、バッグへのガスの流入のみを示すかのように描かれている。しかし、
図5A及び5Bについての場合と同様に、装置100は、バッグ10内の圧力の上昇または低下に応じていずれの方向にも(すなわち、バッグ10に入る方向、バッグ10から出る方向の両方に)ガスが流せるように構成されている。
図6は、ストリップ50の一部を示している。ストリップ50は、
図4Fに示すストリップ50
4の例と同様、ガス透過性の上層55のみを有する。図示するガス流201は、「下方」から(すなわち、ストリップ50が取り付けられた(
図5Bの実施例のように)のと同じ壁11に取り付けられた接続部品20の方向から)入っている。ガス透過性層55がバッグ10の壁11に接着剤または熱によって取り付けられる場合、そのような取り付けは、連続的でない接着剤の塗布(図示せず)または連続的でない熱融着によって、ガスの流れ201が依然として可能なように行われる。ガス流は、ストリップの長さ(矢印203)に沿って伝搬し、上面を通ってストリップ50から「出る」ことができる(すなわち、矢印205で示すように、ストリップ50が取り付けられたバッグ10の壁11から最も遠い面を通って出ることができる)。ある使用の場合において、バッグ10は部分的に排気される。この排気によって、バッグ10の内部空間12にあるガスは、接続部品20を通って除去され、バッグ10の2つの壁11は、「負圧」によって互いに引き寄せられる。「部分的に排気」とは、バッグ内のガス圧を、560mmHgまで、または560mmHg以下に、または660mmHgまで、または660mmHg以下に低下させることを意味する。ストリップ50(最大でも部分的に圧縮可能である)は、ガス流路を維持する。このガス流路は、接続部品20(例えば、矢印201がストリップ50への「進入」を示す場所)から、ストリップ上面の任意の位置(例えば、圧力関連治療が行われる位置)まで存在する。先に述べたように、ガス流路は、方向性を有するものではない。「ガス流路を維持する」という用語及び他の同様の用語は、そこを通過するガス流のために開放状態であることを意味し、ここでガス流は、該当する治療または他の目的に適したものである。負圧創傷治療に関する非限定的な例示的実施例では、バッグを部分的に560mmHgの絶対ガス圧まで排気し、ガス流路内に残っている空気(すなわち、ガス透過性ストリップまたは層または材料内残っている空気)以外の空気をすべてバッグから除去し、ガス流路を「維持する」(すなわち、接続部品から例えばガス透過性材料と流体連通している創傷に負圧が伝わるのに十分なガス流が存在する)。
【0042】
また
図7は、別のストリップ50を示している。これは、
図5Bのストリップ50と同様であり、ガス流路は、下層60を通っている(矢印201)(例えば、熱接合または接着を非連続的に行った孔及び/または領域を通っている)。非限定的な実施例において、下層60は、接続部品20の開口部25の直上に配置されたストリップ50の領域から除去されている。
図8は、別の例示的なストリップ50におけるガス流路を示している。これは、
図5Aのストリップ50と同様であり、ガス透過性の上層55は、接続部品が取り付けられた壁と反対側の壁に取り付けられており、そして接続部品20と直接流体連通している。
図9Aのストリップ50は、
図4Eのストリップ503と同様である。ここで、少なくとも部分的にガス透過性の最上層(またはコーティング)58が、ガス透過性の上層55とバッグ10の内部12との間に配置されている。
【0043】
図6~9Aの実施例すべてにおいて、装置100の構成及び構成材料の選択は、圧力関連治療に対して広範囲な圧力の範囲内で、ガス流路がガス透過性上層55(例えば、矢印201、203、205によって示される流路(任意の方向))にわたって維持できるように行われている。適切なガス流路は、圧力関連治療に必要なガスの流れに適したものである。例えば、装置100の圧力調整モードは、460mmHg~1060mmHgの範囲内、または460mmHg(すなわち「負圧」300mmHg)~760mmHgの範囲内、または560mmHg~760mmHgの範囲内、または760mmHg~1060mmHg(すなわち正圧300mmHg)の範囲内、または760mmHg~960mmHgの範囲内の圧力に、バッグ10内の圧力を到達させかつ/または維持することを含み得る。実施形態において、ガス透過性上層55の材料(複数可)は、上層55(及びストリップ50全体として)が最大でも部分的に圧縮可能な(すなわち完全には圧縮可能ではない)ように選択されることが望ましい。なぜならば、完全に圧縮可能であると、ガス流路が、1つまたは複数の箇所で、あるいは完全に、「負の」圧力(すなわちバッグ10の排気)によって閉じてしまうからである。
【0044】
図9Bは、
図9Aのストリップ50を示しており、これに外側から圧力(例えば機械的圧力)が加えられている(
図9Bにおいて矢印206で示す)。この圧力は、バッグ10の外側から、例えば
図5Aのバッグ壁11
Bの外面に加えられる。外側からの機械的圧力の実施例を
図23、24、25及び26A~26Fを参照して以下に説明する。注:
図9Bに示す外側から加えられる圧力を除いて、本明細書に開示されている他のすべての圧力はガス圧である。さらに、少なくとも460mmHgである本開示または添付の請求項において示されるあらゆる圧力は、そのように明示されていなくとも「絶対」圧であり、一方、100mmHg以下の圧力は、そのように明示されていなくても「ゲージ」圧である。圧力は、バッグ壁11(
図9Bに示さず)を介してストリップの最上層58に伝わり、ガス透過性層55の圧縮を生じさせる。ある実施例において、外側から加えられる圧力206によるガス透過性層55の圧縮は、例えば、圧力調整モードにおいて、負の(周囲よりも低い)圧力(すなわちバッグ10の部分的な排気)によって生じる圧縮に加えて行われる。ガス透過性層55に加えられる別のタイプの機械的圧力は、
図22A~22Cを参照して以下に記載するように、負圧下でのバッグの2つの対向する壁の力である。
【0045】
図9Bの実施例において、装置100の構成及び構成材料の選択は、圧力関連治療に対して広範囲の外側から加えられる圧力の範囲内でガス流路がガス透過性上層55(例えば、矢印201、203、205によって示される流路(任意の方向))にわたって維持できるように行われている。適切なガス流路は、圧力関連治療に必要なガスの流れに適したものである。例えば、装置100の圧力調整モードは、バッグ壁11及び最上層58(存在する場合)を介してガス透過性層に伝達される圧力を、0mmHg~20mmHg、または0mmHg~30mmHg、または0mmHg~40mmHg、または0mmHg~50mmHg、0mmHg~60mmHg、または0mmHg~70mmHg、または0mmHg~80mmHg、または0mmHg~90mmHg、または0mmHg~100mmHgの範囲内で達成し、及び/または維持するよう外側から圧力206を加えることを含み得る。
【0046】
部分的に圧縮可能なガス透過性上層55は、圧縮されていない状態では
図10Aに示すとおりであり、部分的に圧縮された状態では
図10Bに示すとおりである。上層55の厚さは、部分的圧縮によってT
ULからT
UL-PCに減少させられる。この部分的圧縮は、圧縮力による(例えば、圧力調整装置(例えば
図3の圧力調整装置70)によるバッグ10の部分的排気による)ものである。矢印201、203及び205によって示される双方向のガス流は、
図10Bの部分的圧縮状態において、有効なガス流路をもたらし続ける。
【0047】
ここで
図11A~11Fを参照する。これらは、ある実施形態による6つの例示的な部分的に圧縮可能なガス透過性上層55の写真を示している。
【0048】
図11Aの部分的に圧縮可能なガス透過性の上層55は、フェルト布で構成される。
【0049】
図11Bの部分的に圧縮可能なガス透過性の上層55は、フレンチテリー布で構成される。
【0050】
図11Cの部分的に圧縮可能なガス透過性の上層55は、ナイロンループ布で構成される。また、写真の最前面は、基布層(例えば、
図4B~4Cの中間層57)を示している。
【0051】
図11Dの部分的に圧縮可能なガス透過性の上層55は、コットンテリー布で構成される。
【0052】
図11Eの部分的に圧縮可能なガス透過性の上層55は、ポリウレタン発泡体シートで構成される。
【0053】
図11Fの部分的に圧縮可能なガス透過性の上層55は、不織合成繊維(例えば、ナイロンまたはセルロース)の部分的に圧縮されたマットで構成される。
【0054】
ガス透過性上層55に適した材料の上記6つの非限定的な実施例はすべて、例えば
図10Bに示すように、部分的に圧縮されたとき、有効なガス流路を維持することができる。
【0055】
ここで
図12A、12B及び12Cを参照する。これらは、ある実施形態による例示的な装置100を概略的に示している。装置100は、バッグ10の壁と一体的に形成されたストリップ50
5を有する。
図12A~12Cの非限定的な実施例において、ストリップ50
5は、溝49によって分離された複数の平行なすじ48を有する。すじ48は、バッグ10の壁(複数可)と同じ材料から形成されていてもよいが、必ずしもそうである必要はない。すじ48のそれぞれは、ある高さH
RAIL、ある幅W
RAILを有する。一方、溝49のそれぞれは、ある幅W
GROOVEを有する。本明細書で説明するすじの「高さ」は、本明細書の他の箇所で説明するストリップの「厚さ」に相当する。
【0056】
図示した実施例において、最も外側のすじは、残りの他のすじ48よりも幅広であり、かつ高くなっている。他の実施例では、すべてのすじが、同じ寸法及び同じ間隔であり、さらに他の実施例では、多くのまたはすべてのすじが、異なるまたはそれぞれ異なる寸法及び間隔である。高さ及び幅の選択は、十分な能力及び堅牢性を有するガス流路を長手方向に維持するのに必要な条件に基づいて行うことができる。例えば、すじの高さは、短かすぎず及び/または間隔が狭すぎないように選択することが好ましい。短すぎたり及び/または間隔が狭すぎると、ガス流が不十分になったり、バッグが部分的に排気されたとき、バッグの壁がへこんで、すべてのガス流が溝を通過しなければならなくなるからである。逆に、すじの高さは、長すぎないよう選択することが好ましい。長すぎると、例えば、すじ材料の選択及びすじの幅によって、バッグが部分的に排気されるとき、へこんで行く壁の力によってすじが曲がることがあるからである。隣り合うすじ間の間隔、すなわちWGROOVEは、広すぎないように選択することが好ましい。そうすれば、バッグが部分的に排気されるとき、バッグの壁がへこんでも、バッグの壁が溝に折り込まれにくい。
【0057】
ある実施形態において、すじのそれぞれの高さHRAILは、1mm~3mm、1mm~4mm、または1mm~5mm、または2mm~3mm、または2mm~4mm、または2mm~5mmである。
【0058】
ある実施形態において、一体的に形成されたストリップ505は、まっすぐなすじ48と溝49以外の構成を有することができる。一実施例(図示せず)において、複数の突出部が、ガス流路を形成する。このガス流路は、バッグ10が部分的に排気されるとき(例えば、周囲より100mmHg低く)、最大でも部分的に圧縮可能である。
【0059】
図12A~12Cの一体的に形成されたストリップ50
5は、例えば
図1、2、及び3のストリップ50と多くの特徴が同じである。そのような特徴には、長さ及びその比率、幅及びその比率、面積及びその比率、バッグ又はタブ延在部における位置、並びにガス流路としての機能があるが、これらに限定されるものではない。
【0060】
実施形態において、特定のタイプの大人の肢体に合わせて装置100のサイズを決めることが望ましい。
図13の概略図には、肢体に合わせたサイズの装置100の4つの実施例が示されている。これらはそれぞれ、人の使用者の肢体90の4箇所に装着されている。左から時計回りで、装置100
ARMは、大人の腕での容易かつ便利な使用に適したサイズにされており、装置100
HANDは、大人の手での容易かつ便利な使用に適したサイズにされており、装置100
LEGは、大人の脚での容易かつ便利な使用に適したサイズにされており、装置100
FOOTは、大人の足での容易かつ便利な使用に適したサイズにされている。ある実施形態において、各肢体専用の装置は、特定の肢体の少なくとも大部分、または肢体の大部分、または関節までの肢体のすべて(例えば、手用装置の場合手首まで、腕用装置の場合肩まで等)を収容するようなサイズとすることができる。これらの装置はいずれも、タブ延在部15を有していなくてもよく(装置100
HAND及び装置100
FOOTの場合に示される)、あるいはタブ延在部15を有していてもよい(装置100
ARM及び装置100
LEGの場合に示される)。各実施例において、接続部品20は、使用者の肢体に当たって不快感を生じさせないよう配置することが好ましい。ある実施形態において、肢体用シール部材30(例えば、粘着テープ)を設けることができ、この部材30は、肢体とバッグ10の開口した近位端の周辺との間をシールする。
【0061】
図14、15及び16は、装置100の非限定的実施例を示しており、これらは、使用者の胴部、または少なくとも2つの肢体(例えば、両脚)、または少なくとも2つの肢体を含む胴の一部に使用するためのものである。
図14は、単一の単純なストリップ50と単一の接続部品とを備える装置100を示している。
図15は、単一のしかし複合的なストリップ50を備える装置100の別の構成を示しており、ここで、単一の接続部品20がストリップ50の2つの分岐に流体連通するようになっている。
図16は、1つの装置100の別の構成を示している。この構成は、2つの別々の接続部品20を備えており、これらはバッグ10の遠位部において互いに横方向に離れて配置されている。また、この構成は、2つのストリップ50をそれぞれ備え、それぞれが、対応する接続部品20と流体連通している。当業者は、
図15及び16に示す別の構成が、通常の装置100に容易に変更できることを理解するはずである。すなわち、胴部にあったサイズではなく、個々の肢体にあったサイズの装置(例えば
図1~3及び13の例示的な装置)に変更できる。
【0062】
本明細書で先に記載したように、ストリップ50は、使用者に不快感を与えないよう、十分に「柔らかい」ことが好ましい。それにもかかわらず、ストリップ50が敏感な部位(例えば創傷)に直接接触しないようにすることは、使用者にとってより快適であり得る。これに加え、または別の選択肢として、ある実施態様において、ストリップを直線状に維持するように接続部品20を使用者の創傷に対して配置することが不都合になり得る。従って、ストリップ50によって設けられるガス流路を、脚の周囲の横方向に延在させることが望ましい場合がある。そこで
図17に示すように、ガス流路材料の弾性リボン32が設けられ、ガス流路の横方向延長部として肢体に装着配置(すなわち、ストリップから横方向に延ばして肢体の周囲に配置)される。ある実施形態において、スポンジ31または同様に柔らかい部材が、創傷とストリップ50との間に、または創傷と弾性リボン32との間に挿入されるように設けられる。
【0063】
様々な装置及びそれらの各構成要素について本明細書で説明する任意の特徴を組み合わせて新たな組み合わせを作ることができる。そのような組み合わせは、簡潔さのために本明細書で具体的に開示されていないとしても、本発明の範囲内である。
【0064】
図18はキット300を示している。キット300は、本明細書に開示する実施形態のいずれか1つ以上による装置100とともに、弾性リボン32及び創傷被覆用スポンジ31を備える。
【0065】
図19はキット310を示している。キット310は、本明細書に開示の実施形態のいずれか1つ以上による装置100とともに、肢体用シールテープ30を備える。
【0066】
図20はキット320を示している。キット320は、本明細書に開示する実施形態のいずれか1つ以上による装置100とともに、弾性リボン32、創傷被覆用スポンジ31、及び肢体用シールテープ30を備える。
【0067】
図21はキット340を示している。キット340は、本明細書に開示する実施形態のいずれか1つ以上による装置100とともに、弾性的に圧縮可能な部材(例えば、連続気泡発泡体または連続気泡スポンジ31)、回収用キャニスター43(例えば、滲出体液用)、バイオフィルタ42、及び1つ以上の逆止弁41を備える。キット340は、概略的に示すように圧力調整装置550と連通している。
【0068】
本発明のある実施形態は、治療プロトコルを行うためのシステムに関する。ある実施形態において、システムは、周囲圧より少なくとも50、75、100、150または200mmHg低くなるように動作可能な負圧ポンプを備えるガス移送装置、治療ガスの供給系、及び/またはガスの圧力を少なくとも40、70、100、130、または160mmHg上昇させるように動作可能な圧縮機を備える。システムは、さらに、1つ以上の閉端容器を備えてもよい。そのような容器は、例えば、着用可能な使い捨てのバッグである。バッグは、治療プロトコルの負圧及び/または外側から加えられる圧力のもとで有効に維持されるガス流路をその中に有する。システムは、さらに、負圧を創傷等の対象部位に連通させるための創傷用スポンジ、及び必要に応じて、流路の一端にある創傷へのまたは創傷からの連続したガス流路と他端にあるガス移送装置への接続とを確保するための追加のガス流路部材を備えてもよい。システムは、再利用可能な圧迫スリーブをさらに備えてもよく、圧迫スリーブは、各肢体(複数可)を収容する閉端容器を部分的に取り囲むためのサイズにされている。圧迫スリーブは、周囲より最大60mmHg、最大80mmHg、または最大100mmHg高い加圧の繰り返しに対して使用可能である。
【0069】
ある実施形態による例示的な治療プロトコルは、治療ガスの存在下で可変圧迫治療を行う第1の段階を有する。
【0070】
別の例示的な治療プロトコルは、負圧(すなわち周囲圧または大気圧より低い圧力)による追加のガス治療を行う第2の段階を有する。
【0071】
より典型的には、そのような例示的な治療プロトコルは、ガス(例えば治療ガス)の存在下で可変圧迫治療を行う第1の段階と、負圧による追加のガス治療を行う第2の段階との両方を含む。
【0072】
ある実施形態において、治療は、損傷組織への血流を改善するため創傷部位から浮腫を取り除くことと、治療ガスの存在下で創傷から浮腫及び任意の他の排出物を取り除くことから開始される。取り除き及び初期消毒の後、負圧(部分真空)により治療ガスを損傷組織に直接到達させることができる。
【0073】
治療プロトコルの第1の非限定的な実施例は、以下の手順を含む。
【0074】
a.弾性的に圧縮可能な部材31(例えば、連続気泡発泡体を含む創傷用スポンジ)を、対象部位(例えば、肢体の創傷)に配置する。
【0075】
b.肢体を、第1の容器(例えば、ガス流路ストリップ50が設けられたバッグ10)に挿入し、上側(近位側)の開口部を閉じる。
【0076】
c.圧力調整装置550を使用して、ガス14の一部をバッグ10から排出する。ある実施形態において、実際に可能な限り多くのガスを排出し、排出中、密封状態をチェックする。
【0077】
d.第2の容器(例えば、逐次圧迫スリーブ200)を装着して、第1の容器100の周囲を取り囲む(この手順は、より早く、たとえば、第1の容器を部分的に排気する前に行ってもよい)。
【0078】
e.治療ガス(例えば、オゾンを含むガス)を、酸素との混合物として、例えば酸素源をオゾン発生器に導入することにより、生成させる。
【0079】
f.治療ガス14を第1の容器100に導入する。ガスは、必ずしも治療ガスである必要はないが、0.3リットル~10リットルの量及び/または第1の容器100の最大容積の5%~60%の量で導入する。
【0080】
g.逐次圧迫スリーブ200がバッグ10に圧力を加える。圧力により、例えば、ストリップ50を介して(治療)ガスが長手方向に流通させられる。この手順を、少なくとも3分かつ120分以下、または少なくとも5分かつ90分以下、または少なくとも7分かつ75分以下、または任意の中間範囲の期間、継続してもよい。
【0081】
h.(治療)ガス14の一部をバッグ100から排出し、バッグ100内の圧力を、例えば周囲より60~100mmHg(ゲージ圧)低い第1の低圧に低下させる。真空のレベルは、
図22Bに示すように弾性的に圧縮可能な部材31を少なくとも部分的につぶすのに足りるものである。
【0082】
i.第2の容器(逐次圧迫スリーブ200)を取り外す。
【0083】
j.第2の量のガス(例えば、第2の量の治療ガス)をバッグ10に導入し、真空レベルを40~88mmHg(ゲージ圧)下げて(バッグ10の内部圧力を上昇させて)周囲より低い第2の圧力にする。これは、1回または断続的に行うことができる。
【0084】
k.真空を、少なくとも3分間、または少なくとも5分間、または少なくとも7分間、またはそれ以上の間、バッグ100内で保持する。
【0085】
l.真空は、周囲より低い第1の圧力の範囲と周囲より低い第2の圧力の範囲との間で繰り返すことができる。
【0086】
【0087】
図22Aは、(ある実施形態による装置100の)バッグ10の内部空間12に置かれた肢体90(例えば、脚)を示す部分概略断面である。ガス流路は、2つの部分、すなわち、ガス流路ストリップ50で構成される第1の部分と、弾性的に圧縮可能な部材31(例えば、連続気泡発泡体で構成される創傷用スポンジ31)で構成される第2の部分とを含む。弾性的に圧縮可能な部材31は、肢体90の対象部位95(例えば、創傷)と流体連通している(図示された実施例では直接流体連通している)。そして第1の部分(ストリップ50)は接続部品20と流体連通している。第2の部分は、好適には、第1の部分よりも厚いが、より圧縮可能である。例えば、上述の真空レベル(周囲より最大100mmHgゲージ圧低い)において、第2の部分は、その元の厚さT31
1の80%未満、または70%未満、または60%未満、または50%未満を保持するのに対し、第1の部分は、その元の厚さT50
1の少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%を保持する。
【0088】
図22Bは、バッグ100の部分的な排気を示している。部分的な排気は、例えば、周囲より最大100mmHgゲージ圧低い(例えば、60~100mmHgゲージ圧低い)圧力への排気である。部分的な排気は、矢印207及び202によって示されている。この部分的な排気は、上述した実施例におけるステップ「h」の典型例である。真空は、バッグ10の壁11
A、11
Bをへこませる。これにより、矢印209
A、209
Bによって示されるように、バッグ内の物に力が加わる。第2の部分すなわちスポンジ31は、これらの力209
A及び209
Bによって圧縮され、第2の厚さT31
2になる。この厚さは、元の厚さT31
1よりも少なくとも40%小さい。第1の部分であるストリップ50も、力209
A及び209
Bによって圧縮されるが、無視できる程度(例えば、元の厚さT50
1の5%未満)である。
【0089】
図22Cは、バッグ100へのガス(例えば、治療ガス)の導入を示している。導入は、矢印203及び208によって示される。ガスのこの導入は、上述した実施例におけるステップ「j」の典型例である。バッグ100内の圧力は、周囲より20~88mmHg低い圧力まで上昇し、ガス流路は部分的に膨張し得る。それに応じて、矢印209
A及び209
Bによって示される、内容物にかかる壁11
A及び11
Bの力は、低下する。特に、第2の部分31は、真空が低減または除去されると膨張するように付勢されている。これは、
図22Cに示されている。ここで、第2の部分31の厚さは第3の厚さT31
3に増加する。この厚さは、T31
2よりも大きいが、依然として元の厚さT31
1よりも小さい。これは、真空が低減されても、バッグは依然として部分的な真空下にあるためである。実施形態によれば、周囲圧が回復すると、第2の部分31は、その元の厚さT31
1に戻る。
【0090】
再び
図1を参照する。
図1は、治療用装置100に使用する閉端容器の非限定的な実施例を示している。閉端容器100は、柔軟性のあるバッグ10を含む。
図1において2次元投影図で示される柔軟性のあるバッグ10は、初期の使用前のモードで非連結状態にある。実施形態に係るバッグ10は、任意の適当な柔軟性のある材料から作製される。そのような材料は、ある所定の期間(すなわち、数分間または数時間、しかし必ずしも数日または数週間である必要はない)にわたって正圧及び/または負圧を維持することができるものである。
【0091】
バッグ10の構成材料は、オゾンガスとの適合性から選択することができ、例えばポリエチレンとすることができる。圧力の維持は、一般に、バッグの構成材料(複数可)の透過性に依存し、場合によって、材料の厚さに依存する。本明細書で使用される圧力の「維持」という用語は、設定または指定された圧力を、1分間にわたり、その0.1%以内で維持すること、あるいは1分間にわたり、0.5%以内、または1%以内、または2%以内、または3%以内、または4%以内、または5%以内、または10%以内、または20%以内、または30%以内で維持することを意味すると解すべきである。維持は、わずかな調整を行うことも包含し得る。例えば、圧力変動を抑えるために、バッグに接続された圧力調整装置によってわずかな調整を行うことも包含し得る。「正の」及び「負の」圧力は、それぞれ周囲圧より高いまたは低い圧力を意味すると解すべきである。例えば、周囲圧が760mmHg(水銀柱ミリメートル)である場合、460mmHgは負圧と呼ばれ、1,060mmHgは正圧と呼ばれる。したがって、負圧治療は、周囲圧よりも低い圧力で行われる治療である。負圧(すなわち、0mmHg超でかつ周囲圧よりも低い圧力)は、本明細書において「部分真空」などと呼ぶこともできる。
【0092】
図1に示す閉端容器100はさらに、ガス流ストリップ50と、接続部品20とを備えている。
図1に示すバッグ10は、内部にあるストリップ50が「見える」ように少なくとも部分的に「透明な」ものとして示されているが、透明であることは、本明細書に開示された実施形態において必須ではない。ストリップ50は、ある実施形態において、多層ストリップ、すなわち2つ以上の層(例えば、ガス流路層、及びバッグの内壁に取り付けるための1つ以上のさらなる層)を含むストリップである。ストリップ50は、バッグ10の内面に取り付けられている。すなわち、バッグの内部空間と直接流体連通するバッグ表面に取り付けられている。ある実施形態において、この取り付けには、接着剤を塗布してストリップ50をバッグ10の内面に結合(例えば接着)することが含まれる。ある実施形態において、この取り付けは、非限定的な実施例において、熱溶着などの熱によるプロセスにより、ストリップ50をバッグ10の内面に熱溶着することで行われる。
【0093】
接続部品20は、それにガス接続ホースを接続するためのものであり、ガス接続ホースは、圧力調整装置とバッグとの間を仲介するために導入される。接続部品は開口部25を有する。開口部25は、圧力調整装置とバッグの内部との間で、例えば圧力が増加または減少した場合、ガスの流れを可能にする。すなわち、バッグ内の圧力は、圧力調整装置を接続部品20に接続することによって調整される。ある実施例において、接続部品の開口部25は単純な孔である。他の実施例において、開口部25は、雌雄型接続部品の一方の側を含むか、正しいガスホースをそれに接続することによって開放可能な弁を含むか、または圧力調整装置との使用に適したガス接続ホースに適合する任意の他のタイプの接続部品を含む。
【0094】
「遠位」及び「近位」の方向はそれぞれ
図1に矢印210で示されている。バッグ10の近位端12は、そこを通って使用者の肢体を挿入できる部分または端部であり、遠位端13は、その反対側の端部である。接続部品20は、遠位部または遠位端13の近くで、バッグ10の壁に取り付けられている。ストリップ50の遠位端は、接続部品20(特に開口部25を含む)と直接流体連通しており、ストリップ50の近位端は、バッグ10の近位部に配置されている。バッグの近位部は、バッグ10の50%、または40%、または30%、または25%、または20%、またはそれ以下を占めている。したがって、ある実施形態において、ストリップ50の長さ(その長手方向の寸法で、
図4AにL
STRIPとして示される)は、バッグ10の長さの少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%に等しい。バッグ10の長さは、
図1においてL
BAGとして示されている。長さL
BAGは、
図1に示すようなバッグ10の最大寸法であってよいが、これはすべての実施態様において当てはまらなくてもよい。したがって、長さL
BAGは、バッグ10の近位端12から遠位端13までの距離と見なすことができる。
【0095】
ある実施形態において、例えば不快感を生じさせる可能性をなくすため、接続部品20が使用者の肢体に接触しないよう接続部品20を「離して配置」することが望ましい場合がある。
図2は、バッグ10を備える装置100の非限定的実施例を示しており、バッグ10は、タブ15の形態で遠位側延在部を有する。タブ15は、バッグ10の残りの部分の内部空間に対して開放されている。
図2の実施例において、接続部品20は、タブ部15内でバッグの内壁に取り付けられており、これにより、使用者の肢体が接続部品20に直接触れる機会がほとんどなくなる。タブ部15の使用を使用者の肢体との直接的な接触を防止するのに特に有効にするため、タブ部15は、バッグ10の残りの部分よりも狭い幅を有することが好ましい。
【0096】
図5Aは、接続部品20を通ってバッグ10に入りバッグ10から出るガスの流れを示す容器100の断面の詳細の概略図である。接続部品20は、バッグ10の壁11Bに取り付けられており、ストリップ50は、第1の壁11
Bに「対向する」第2の壁11
Aに取り付けられている。すなわち、ストリップ50は、バッグ10の内部空間12によって接続部品20から分離されている。内部空間12は、装置100が最初に製造または提供される初期状態においては、実際に存在する空間でなくてもよい。しかし、装置100が使用可能になれば、例えば治療のために使用者の肢体を収容するため、バッグ10内に内部空間12が必ず形成される。したがって、初期状態では、
図5Aのストリップ50及び接続部品20は、対向する壁11A及び11
B上にあるが、これらを分離する内部空間は存在しなくてもよい。
図5Aの実施例に示されているように、接続部品20は、ストリップ50の上層55(すなわちストリップ50が取り付けられている壁11から最も遠くにある層)と直接流体連通している。圧力調整装置(
図5Aに図示せず)とバッグ10の内部空間12との間のガスの流れを、矢印201で示している。
図5A及び5Bの矢印201の方向は、方向が限られていることを示すものではなく、単なる例示である。ガスは、バッグ10内の圧力の上昇または低下に応じて、いずれの方向にも(すなわち、バッグ10に入る方向、バッグ10から出る方向の両方に)流れることができる。
【0097】
ここで
図6及び8を参照する。
図6及び8はそれぞれストリップ50におけるガス流路の概略図である。
図6及び8において流れの矢印201、203、及び205すべてが、バッグ10へのガスの流入のみを示すかのように描かれている。しかし、通常、装置100は、バッグ10内の圧力の上昇または低下に応じていずれの方向にも(すなわち、バッグ10に入る方向、バッグ10から出る方向の両方に)ガスが流せるように構成されている。
【0098】
図6は、ガス透過性層55を含むストリップ50で構成されるガス流路の一部を示している。図示するように、ガス流201は、ストリップ50に入り、ストリップの長さに沿って伝播し(矢印203)、そして任意の面を通って矢印205で示すようにストリップ50から「出る」ことができる。ある使用の場合において、バッグ10は部分的に排気される。この排気によって、バッグ10の内部空間12にあるガスは、接続部品20を通って除去され、バッグ10の2つの壁11は、「負圧」によって互いに引き寄せられる。「部分的に排気」とは、バッグ内のガス圧を、560mmHgまで、または560mmHg以下に、または660mmHgまで、または660mmHg以下に低下させることを意味する。ストリップ50(最大でも部分的に圧縮可能である)は、ガス流路を維持する。このガス流路は、接続部品20(例えば、矢印201がストリップ50への「進入」を示す場所)から、ストリップ上面の任意の位置(例えば、圧力関連治療が行われる位置)まで存在する。先に述べたように、ガス流路は、方向性を有するものではない。「ガス流路を維持する」という用語及び他の同様の用語は、そこを通過するガス流のために開放状態であることを意味し、ここでガス流は、該当する治療または他の目的に適したものである。負圧創傷治療に関する非限定的な実施例では、バッグを部分的に560mmHgの絶対ガス圧まで排気し、ガス流路内に残っている空気(すなわち、ガス透過性ストリップまたは層または材料にある空気)以外の空気をすべてバッグから除去し、ガス流路を「維持する」(すなわち、接続部品から例えばガス透過性材料と流体連通している創傷に負圧が伝わるのに十分なガス流が存在する)。
図8に示すように、ストリップは、例えば、バッグ10の壁11への取り付けのため1つ以上の層60を有してもよい。
【0099】
図6及び8の実施例において、容器100の構成及び構成材料の選択は、圧力関連治療に対して広範囲の圧力の範囲内で、ガス流路がガス透過性層55(例えば、矢印201、203、205によって示される流路(任意の方向))にわたって維持できるように行われている。適切なガス流路は、圧力関連治療に必要なガスの流れに適したものである。例えば、装置100の圧力調整モードは、460mmHg~1060mmHgの範囲内、または460mmHg(すなわち「負圧」300mmHg)~760mmHgの範囲内、または560mmHg~760mmHgの範囲内、または760mmHg~1060mmHg(すなわち正圧300mmHg)の範囲内、または760mmHg~960mmHgの範囲内の圧力に、バッグ10内の圧力を到達させ及び/または維持することを含み得る。ある実施形態において、ガス透過性層55の材料(複数可)は、層55(及びストリップ50全体として)が最大でも部分的に圧縮可能な(すなわち完全には圧縮可能でない)ように選択されることが望ましい。なぜならば、完全に圧縮可能であると、ガス流路が、1つまたは複数の箇所で、あるいは完全に、「負の」圧力(すなわちバッグ10の排気)によって閉じてしまうからである。
【0100】
図17は、実施形態に従って人の対象90の肢体に容器100を展開している状態を示している。肢体用シール部材30(例えば、粘着テープ)が、バッグ10の開口近端の周囲と肢体との間をシールするために設けられている。ガス流路リボン32(例えば、ガス流路材料の少なくとも部分的に弾性であるリボン)が設けられ、ガス流路の横方向延長部(すなわち、ストリップから横方向に延び、肢体の周囲に延びる部分)として配置されている。スポンジ31または同様に柔らかい部材が、創傷と弾性リボン32との間に、またはそれに代わって創傷とストリップ50との間に挿入されている。
【0101】
ここで
図23及び24を参照する。
図23はシステムの非限定的な実施例を示している。このシステムは、ある実施形態に従ってマルチ圧力治療プロトコルを人の対象に行うためのものである。このシステムはガス移送装置550を備える。ガス移送装置550は、そこを通るガス移送のための第1の開口部51と第2の開口部52とを有する。
図24は、対象90の肢体に装着される第1の容器100及び第2の容器200の配置を示している。
図23に、ホース及びチューブの配置、ならびにガス移送装置550及び第1の容器100におけるホース及びチューブのそれぞれの接続配置及び位置を示している。これは、例示であり、他の実施例では、それぞれの配置及び位置は異なってくる。他の実施例(図示せず)において、第1の容器100とガス移送装置550との間の接続部品20は、容器100の遠位部にのみ、すなわちバッグ10の遠位端または遠位側延在部15のみに設けられる。
【0102】
第1のガス移送部501は、ガスを通過させて移送するための第1の開口部51を有している。第1のガス移送部501は、i)それに流体連通して配置される第1の容器100内の圧力を、周囲圧より200mmHg低い圧力から周囲圧より160mmHg高い圧力の範囲にわたって調整するように構成され、かつii)治療ガス140などのガスが第1の開口部51を通って流れるように構成されている。第1の容器は、ある実施形態において、閉端バッグ10(例えば
図1または2に示すバッグ10のうちの1つ)で構成されている。
【0103】
第2のガス移送部502は、ガスを通過させて移送するための第2の開口部52を有している。第2のガス移送部502は、それに流体連通して配置される第2の容器200内の圧力を、周囲圧より最大100mmHg高い、周囲より高い圧力の範囲にわたって調整するように構成されている。好適な第2の容器200は、複数のガスポケットまたは区画を有する圧迫スリーブである。
【0104】
このシステムは、電子回路65をさらに備える。電子回路65は、以下のモードのそれぞれ1つで順に動作するようにまたは並行して動作するようにプログラムされている。本開示について「電子回路」という用語は、ハードウェア、ソフトウェア、及び/またはファームウェアの任意の組み合わせを表すために広く使用されている用語である。電子回路は、任意の実行可能なコードモジュール(すなわち、コンピュータ可読媒体に記憶されている)及び/またはファームウェア及び/またはハードウェア要素(複数可)を含むことができ、これらは、以下に限定されるものではないが、フィールドプログラマブルロジックアレイ(FPLA)要素(複数可)、ハードワイヤードロジック要素(複数可)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)要素(複数可)、及び特定用途向け集積回路(ASIC)要素(複数可)を含む。縮小命令セットコンピュータ(RISC)アーキテクチャ及び/または複合命令セットコンピュータ(CISC)アーキテクチャを含むがこれらに限定されない任意の命令セットアーキテクチャを使用することができる。電子回路は、単一の場所に配置されていてもよいし、複数の場所に分散されていてもよい。複数の場所では、様々な回路要素が互いに有線または無線で電子通信されていてもよい。
【0105】
ある実施形態において、圧力調整装置550は、以下の構成要素:スイッチヒューズ及びEMIフィルタを有する電源インレット、高電圧コロナ放電を用いるオゾン発生器、オゾン発生器を動作させるためのソリッドステートリレー、DC電源、電磁弁、圧力ポンプ、真空ポンプ、ポンプ及び弁を動作させるためのDCアクチュエータ、制御モジュール、化学的オゾン破壊器、ならびに内部シリコーン系ガスホースのいずれかまたは全てを備えることができるが、これらに限定されるものではない。
【0106】
システムの第1のモードでは、第1のガス移送部501が、治療ガス140などのガスを第1の開口部51を介して第1の容器100に流入させる。これは、第1の容器100が第1のガス移送部501に流体連通していること及び第1の容器100が対象90の肢体の少なくとも長手方向の一部95を取り囲むように配置されていることを確認する入力に応答して行われる。一実施例において、入力は、使用者(すなわち人の使用者)からガス移送装置550が受信したユーザーインプットである。別の実施例において、入力は、撮像センサまたは電気機械センサ(例えば圧力スイッチ)などのセンサ(図示せず)からガス移送装置550が受信する。さらに別の実施例において、入力を受け取るのは、第1の容器100と第1のガス移送部501との間の接続を目視チェックした人の使用者である。
【0107】
システムの第2のモードでは、第2のガス移送部502が、第2の容器200の流体保持区画225内の周囲より高いそれぞれのガス圧を制御する。この制御は、流体保持区画225がそれぞれの圧迫圧を第1の容器100の壁11を介して肢体90の対応する部分98に加えるように行われる。この調整は第2の開口部52を通じて行われ、この間、ガス140の少なくとも一部が第1の容器100内に存在する。この制御により、ガス140の流通(「誘導流通」、「間接的流通」)が生じさせられる。この流通は、第2の容器200によって取り囲まれている第1の容器100の部分115にわたって生じさせられる。この部分115は、流体保持区画225によって取り囲まれる範囲にある。この調整は、入力に応答して行われる。その入力は、第2の容器200が第2のガス移送部502と流体連通していること及び第2の容器200が第1の容器100の少なくとも長手方向の一部105を取り囲むように配置されていることを確認する入力である。一実施例において、入力は、使用者(すなわち人の使用者)からガス移送装置550が受信したユーザーインプットである。別の実施例において、入力は、撮像センサまたは電気機械センサ(例えば圧力スイッチ)などのセンサ(図示せず)からガス移送装置550が受信する。さらに別の実施例において、入力を受け取るのは、第2の容器200と第2のガス移送部502との間の接続を目視チェックした人の使用者である。
【0108】
治療プロトコルの第2の非限定的な実施例において、電子回路65及び圧力調整装置550を備えるシステムは、連続的に及び/または並行して実行される2つの主な動作モードを有する。2つの動作モードは、(1)リンパマッサージ及びオゾン消毒と、(2)真空+オゾンのパルス化である。明確化のために言えば、「オゾン」またはより適切にはオゾン含有ガスは、当該実施例に従って用いることができる治療ガスの非限定的な実施例である。
【0109】
当該実施例によれば、動作シーケンスは以下の6つの手順を含む。
【0110】
a.第1の容器10を備える装置100のライブテストを行う。装置550は、第1の容器10内において周囲より約100mmHgゲージ圧低い負圧に達するまで真空ポンプを動作させる。10秒間待った後に、圧力を確認する。装置550は、15mmHg負圧の圧力抜けを許容する。この値を超えるとテストは失敗である。
【0111】
b.オゾン充填:第1の容器を所定量のオゾンによって部分的に満たす。
【0112】
c.リンパマッサージ:肢体90に装着した第1の容器100を第2の容器200により取り囲んだ状態で、圧力ポンプ及び弁を動作させて、脚の蠕動マッサージを予め設定された時間行う。
【0113】
d.オゾン抜き取り:真空ポンプを動作させ、第1の容器100からオゾンを排出し、周囲より約100mmHgゲージ圧低い負圧を達成する。抜き取られたオゾンは、オゾン破壊装置により破壊される(すなわち酸素に戻される)。
【0114】
e.真空治療:真空ポンプを再び動作させ、第1の容器100において周囲より約100mmHg低い負圧を達成し、この負圧を所定時間保持する。負圧が解消されると、真空ポンプを再び動作させ、必要な負圧を達成する。周囲より約20mmHg低い負圧までオゾンを再び第1の容器100に導入し、所定の時間保持する。排出及びオゾン再導入のサイクルを、所定の治療時間に達するまで繰り返す。
【0115】
f.オゾン抜き取り:真空ポンプを動作させ、第1の容器100からオゾンを排出し、周囲より約100mmHg低い負圧を達成する。抜き取られたオゾンは、オゾン破壊装置により破壊される(すなわち酸素に戻される)。
【0116】
図25はシステムの非限定的な他の実施例を示している。このシステムは、ある実施形態に従ってマルチ圧力治療プロトコルを人の対象に行うためのものである。装置100は、第1の容器(バッグ)10の構成部品が人の対象の肢体90を取り囲んでいる「現場」について示されている。装置100は、ガスホース72を介して圧力調整装置550の第1の開口部51に接続するための接続部品20を備えている。ガス流路は、ガス流路ストリップ50を含む第1の部分と、肢体90の対象部位95(図示せず)と連通する弾性的に圧縮可能な部材31を含む第2の部分とを有する。第2の容器200は、4つの流体区画225
1、225
2、225
3、及び225
4を備えており、これらは、ガスホース220
1、220
2、220
3、及び220
4のそれぞれを介して圧力調整装置550の第2の開口部52に接続されている。
【0117】
図26A、26B、26C、26D、26E及び26Fは、システム(例えば、
図25に示すシステム)の例示的な動作モードのシーケンスを示している。例示的な動作モードは、肢体の「蠕動マッサージ」を含む。肢体の「蠕動マッサージ」は、逐次圧迫プロトコルであり、これは、4つの流体区画225
1、225
2、225
3、及び225
4の膨張及び収縮を利用して、第1の容器10に収容された、対象の肢体90に流体連通する(さらに必要に応じて肢体の対象部位95に流体連通する)ガスを蠕動的に流通させる。
【0118】
肢体90は、ある量のガス14をその中に収容した第1の容器10に少なくとも部分的に挿入されている。ある実施形態において、第1の容器10には、ガス流路(例えば、ガス流路ストリップ50及び弾性的に圧縮可能な部材31を含む)が設けられている。このような実施形態おいて、少なくとも第1の容器10が部分的に排気されている際、ガス14の一部、大部分または実質的にすべてが、
図26A~26Fの実施例の場合のように、ガス流路の空間内に収容されていてもよい。4つの流体区画225
1、225
2、225
3、及び225
4を備える第2の容器200は、第1の容器10を取り囲んでおり、流体区画225
1、225
2、225
3、及び225
4のいずれか1つ以上の膨張によって第1の容器に力が加えられるようになっている。この力は、第1の容器10の壁を介して肢体及び/または第1の容器10に設けられる部品(例えば、ガス流路の部分50及び31)に伝わる。
【0119】
図26Aでは、流体区画225
1、225
2、225
3、及び225
4のいずれも膨張されておらず、利用可能なガス14が、第1の容器10内(例えば、ガス流路(図示せず)内)に送られており、第2の容器200による作用はない。
図26Bでは、第1の流体区画225
1が膨張しており、これにより、ガス14の一部が近位方向に流通させられ、これは小さな矢印で示されている。
図26Cでは、第1の区画225
1は膨張したままであり、第2の区画225
2が膨張しており、より多くのガス14が近位側に流通させられる。
図26Dでは、第1の区画225
1が収縮し、一方、第2の区画225
2が膨張したまま、第3の区画225
3が膨張しており、これにより、ガス14の一部が遠位方向に流通させられる。
図26Eでは、第2の区画225
2も収縮し、一方、第3の区画225
3が膨張したまま、第4の区画225
4が膨張しており、これにより、より多くのガス14が遠位方向に流通させられる。
図26Fでは、第3の区画225
3も収縮し、一方、第4の区画225
4が膨張したままであり、これにより、ガス14は
図26Aの初期状態の流れになっていく。当業者に明らかなように、このシーケンスの次のステップは、第4の区画225
4を収縮させて、
図26Aの条件に戻ることであり、そしてプログラムされたとおりサイクルを繰り返して行く。ある実施形態において、膨張による圧力は、区画ごとに、及びサイクルごとに変化し得る。
【0120】
ここで
図27A、27B、27C、27D及び27Eを参照する。
【0121】
ある実施形態による方法が開示される。この方法は、本明細書に開示される実施形態のいずれかに従いガス移送システム550を用いて人の対象の肢体90にマルチ圧力治療プロトコルを行うための方法である。例示的なガス移送システム550は、ガスを通過させて移送するための第1の開口部51及び第2の開口部52を有する。第1の開口部51は、第1の容器10と流体連通し、第2の開口部52は、第2の容器200と流体連通している。第2の容器200は、ガス移送システム550に対して開放可能な複数の流体保持区画225を有する。ある実施形態において、第1の容器10及び第2の容器200の一方または両方が可撓性である。
図27Aのフローチャートに示すように、当該方法は、少なくともステップS01及びS02を含む。
【0122】
ステップS01:第1の容器10により対象の肢体90の少なくとも長手方向の一部95を取り囲んだ状態で、第1の開口部を通じて第1の容器内へガス140の流れを生じさせる。ある実施形態において、このガスは治療ガスを含み、そのような実施形態において、治療ガスは、オゾン、酸素、及び精油のうちの少なくとも1つを含む。
【0123】
ステップS02:治療ガス140の少なくとも一部が第1の容器10内に存在する間、第2の容器200により第1の容器10の少なくとも長手方向の一部105を取り囲んだ状態で、第2の容器200の流体保持区画225内の周囲より高いそれぞれのガス圧を第2の開口部52を介して調整し、流体保持区画225がそれぞれの圧迫圧を第1の容器10の壁11を介して肢体90の対応部分98に加えるようにする。ある実施形態において、流体保持区画225内の周囲より高いそれぞれのガス圧を調整することは、治療プロトコルにより定められた期間にわたって差圧調整のシーケンスを繰り返すことを含む。ある実施形態において、流体保持区画225内の周囲より高いそれぞれのガス圧を調整することは、周囲より20~100mmHg高いそれぞれの圧力を調整することを含む。すなわち、膨張した流体保持区画225内の圧力は、使用者または所望の圧力の臨床的な選択に従って、周囲より20~100mmHgゲージ圧高い範囲内の任意の圧力とすることができる。
【0124】
この方法によれば、周囲より高いそれぞれのガス圧を調整することにより、第1の容器10の少なくとも一部115にわたってガス(例えば、治療ガス140)が流通させられる。ここで、第1の容器10は、流体保持区画225によってその「少なくとも一部115」が取り囲まれる範囲で第2の容器200に取り囲まれている。ある実施形態において、流体保持区画225内の周囲より高いそれぞれのガス圧を調整することは、差圧調整のシーケンスを繰り返すことを含む。
【0125】
理論に縛られることを望むものではないが、本発明者は、そのような流通によって、創傷近傍にある治療ガス中の治療剤の有効濃度がより高くなると考えている。また本発明者は、そのような流通によって、創傷近傍の濃度差推進力(mol/m3)が増加し、かつ物質移動係数が大きくなることで、物質移動速度が向上すると考えている。
【0126】
ある実施形態において、治療ガス140の流通は、少なくとも部分的に、第1の容器10内の流路55を通るものである(例えば、ガス流路ストリップ50のガス流路を通るか、または管系(図示せず)を通るものである)。ある実施形態において、ガス流路ストリップは、その長さに沿って第1の容器の内部空間に対し側方に開放されており、これにより、第1の容器内にある流体は、自由に、ガス流路ストリップに入りかつガス流路ストリップから出ることができる。
【0127】
ある実施形態において、当該方法は、
図27Bのフローチャートに示すとおり、ステップS01の前にさらに以下のステップを含む。
【0128】
ステップS03:第1の容器10を排気する(例えば、第1の開口部51を介して排気する)。
【0129】
ある実施形態において、当該方法は、
図27Cのフローチャートに示すとおり、ステップS02の後に、以下のステップをさらに含む。
【0130】
ステップS04:第1の容器10により肢体90の少なくとも一部95を取り囲んだ状態で、ガス(例えば、治療ガス140)を第1の容器10から第1の開口部51を介して排出し、第1の容器10内の圧力を周囲より低い第1の圧力に低下させる。ある実施形態において、周囲より低い第1の圧力は、周囲圧より10~50mmHg低い。ある実施形態において、圧力は、少なくとも3分間、少なくとも5分間、少なくとも10分間、または3~90分間、5~75分間、10~60分間、もしくは15~60分間の範囲内で、周囲より低い第1の圧力に維持される。
【0131】
ステップS05:排気された第1の容器10内への第1の開口部51を介する治療ガス140(ステップS01と同じかまたは異なるガス)の流れを生じさせ、第1の容器10内の圧力を周囲より低い第2の圧力に上昇させる。ある実施形態において、周囲より低い第2の圧力は、周囲圧より60~100mmHg低い。
【0132】
ある実施形態において、周囲より低い第1の圧力と周囲より低い第2の圧力との差は、40~88mmHgゲージ圧である。
【0133】
ある実施形態において、当該方法は、
図27Dのフローチャートに示すとおり、ステップS05の後に、以下のステップをさらに含む。
【0134】
ステップS06:治療プロトコルにより定められた期間にわたって、周囲より低い第1の圧力と周囲より低い第2の圧力とを繰り返す。ある実施形態において、周囲より低い第1及び第2の圧力は、繰り返しごとに異なっていてもよい。ある実施形態において、周囲より低い第1及び第2の圧力は、繰り返しごとに実質的に同じである。
【0135】
ある実施形態において、当該方法は、
図27Eのフローチャートに示すとおり、ステップS01の前に、以下のステップをさらに含む。
【0136】
ステップS07:肢体の対象部位と接触するように弾性的に圧縮可能な部材を配置する。弾性的に圧縮可能な部材31は、「創傷用スポンジ」または任意の連続気泡発泡体で構成することができる。ある実施形態において、第1の容器からガスを排出すること(例えばステップS03またはステップS04)は、弾性的に圧縮可能な部材31を少なくとも部分的に圧縮するのに有効である。ある実施形態において、第1の開口部を通るガスの流れを生じさせること(例えばステップS01またはステップS05)は、少なくとも部分的に圧縮された弾性的に圧縮可能な部材を膨張させるのに有効である。ステップS07が実行される場合、ステップS05で治療ガス140を導入すると、発泡体はばねのように機能して圧縮状態から部分的に解放された状態になり、創傷付近の部位に治療ガスが送られるようになる。
【0137】
ある実施形態に従う方法が開示され、この方法は、人の肢体90に低圧治療を行うための方法である。
図27Aのフローチャートに示すとおり、当該方法は、少なくともステップS11、S12、S13、及びS14を含む。
【0138】
ステップS11:圧力調整装置550及びバッグ組立体を配置する。バッグ組立体は、バッグ10及びガス流路ストリップ50を備える。バッグ10は接続部品20を備え、接続部品20は、バッグ10の遠位部においてバッグ10の壁11に取り付けられている。ガス流路ストリップ50は、バッグ50内において、接続部品20とバッグの近位部との間に長手方向に沿って配置されている。当該方法に従って、ストリップ50は、その長さに沿ってバッグ10の内部空間12に対し側方に開放されている。従って、バッグ10が非排気状態に置かれるとき、バッグ10内にある流体14は、ガス流路ストリップ内に自由に流れこみかつガス流路ストリップから自由に流れ出ることができる。実施形態において、ストリップ50は、バッグ10が部分的に排気されてバッグ10の壁11がへこんでもそれを通るガス流路を維持するよう十分に非圧縮性である。従って、このガス流路(ストリップ50を含み、必要に応じてストリップ50と肢体90の対象部位95(例えば創傷)の両方に流体連通する弾性的に圧縮可能な部材31を含んでもよい)は、バッグの接続部品20から目的の部位(例えば対象部位95)にかけて維持される。ストリップは、本明細書に開示される実施形態及び実施例のいずれかに従って形成することができる。
【0139】
ステップS12:肢体90の少なくとも一部を近位部の開口部を通してバッグ10に収容する。
【0140】
ステップS13:圧力調整装置550を接続部品20に接続し、圧力調整装置550とバッグ10の内部空間12との間でガス140の流れを可能にする。ある実施形態において、内部空間12へのガス14(例えば、治療ガス)の供給は、少なくとも部分的にガス流路ストリップ50を介して行われる。ある実施形態において、内部空間12へのガス14(例えば、治療ガス)の供給は、実質的にすべてガス流路ストリップ50を介して行われる。ある実施形態において、ストリップ50は、バッグ10と一体的に形成されている。他の実施形態において、ストリップ50は、別に形成された後、バッグ10の壁11に取り付けられる(これは、一体的に形成されたストリップ505と交換可能であり、本明細書に開示されたすべての装置、システム、及び方法とともに実施可能である)。
【0141】
ステップS14:圧力調整装置550を制御して、ガス14をバッグ10の内部空間12から除去し、それによって、内部空間12内の圧力を周囲より低い第1の圧力に低下させる。
【0142】
ある実施形態において、
図28Bのフローチャートに示すとおり、当該方法は、以下のステップをさらに含む。
【0143】
ステップS15:圧力調整装置550をさらに制御して、ある量のガス140を内部空間12に供給し、それによって、内部空間12内の圧力を周囲より低い第2の圧力に上昇させる。ある実施形態において、ガス流路は、周囲より低い第1及び第2の圧力の両方でガス流路ストリップ50において維持されている。
【0144】
ある実施形態において、周囲より低い第1の圧力は、周囲圧より10~50mmHg低い。ある実施形態において、周囲より低い第2の圧力は、周囲圧より60~100mmHg低い。
【0145】
ある実施形態において、
図28Cのフローチャートに示すとおり、当該方法は、ステップS11の前に以下のステップをさらに含む。
【0146】
ステップS16:ガス流路ストリップ50及び肢体90の対象部位95と流体連通するよう弾性的に圧縮可能な部材31を配置する。ある実施形態において、弾性的に圧縮可能な部材31は、周囲より低い第1の圧力で少なくとも部分的に圧縮される一方、圧力が周囲圧よりも低い第2の圧力に上昇すると膨張するよう付勢されている。ある実施形態において、弾性的に圧縮可能な部材31は、連続気泡発泡体を含む。
【0147】
実施形態のさらなる記載
本発明の実施形態は、治療を人の肢体に行う際に圧力調整装置とともに使用する装置に関する。実施形態によれば、治療を人の肢体に行う際に圧力調整装置とともに使用する装置は、(a)柔軟性のあるバッグであって、装着モードにおいて前記バッグの近位部にある開口部を通して前記肢体の少なくとも一部を収容するように形成された前記バッグと、(b)前記バッグの内面に取り付けられた下層を含む多層ストリップであって、その遠位端が前記バッグの遠位部に配置され、かつその近位端が前記バッグの近位部に配置された前記多層ストリップと、(c)前記バッグの遠位部において前記バッグの壁に取り付けられた接続部品であって、圧力調整モードにおいて、前記圧力調整装置と前記バッグの内部空間との間のガスの流れを効果的に可能にする前記接続部品とを備え、前記多層ストリップはさらに、部分的に圧縮可能な材料を含む上層を有し、前記部分的に圧縮可能な材料は、前記接続部品と前記バッグの近位部との間に、前記バッグ内において長手方向に配置されるガス流路を形成する。ある実施形態において、前記バッグ内のガス圧が660mmHg以下であるとき、前記長手方向のガス流路は維持され得る。ある実施形態において、前記バッグ内のガス圧が560mmHgであるとき、前記長手方向のガス流路は維持され得る。
【0148】
ある実施形態において、20mmHgゲージ圧の機械的圧力が、外側から前記バッグに加えられ、前記バッグの壁を介して前記多層ストリップの最上層に伝えられるとき、前記長手方向のガス流路は維持され得る。ある実施形態において、60mmHgゲージ圧の機械的圧力が、外側から前記バッグに加えられ、前記バッグの壁を介して前記多層ストリップの最上層に伝えられるとき、前記長手方向のガス流路は維持され得る。
【0149】
ある実施形態において、前記多層ストリップのショアA硬度は、70以下、または60以下、または50以下、または40以下とすることができる。ある実施形態において、前記ストリップの上層のショアA硬度は、70以下、または60以下、または50以下、または40以下とすることができる。ある実施形態において、前記多層ストリップの遠位端は、前記接続部品と流体連通しており、それによって、前記部分的に圧縮可能な材料が、前記接続部品から前記多層ストリップの近位端までガス流路を形成することができる。ある実施形態において、前記多層ストリップは、少なくとも3:1、または少なくとも5:1、または少なくとも10:1の長さ対幅の比を有し得る。ある実施形態において、前記多層ストリップの長さは、少なくとも10cm、または少なくとも15cm、または少なくとも20cm、または少なくとも25cm、または少なくとも30cmとすることができる。ある実施形態において、前記多層ストリップの厚さは、3.5mm以下、または5mm以下、または7.5mm以下、または10mm以下とすることができる。ある実施形態において、前記上層の厚さは、3.5mm以下、または5mm以下、または7.5mm以下、または10mm以下とすることができる。
【0150】
ある実施形態において、前記バッグは、手または足を収容するサイズとすることができる。ある実施形態において、前記バッグは、大人の腕の少なくとも大部分を長手方向に収容するサイズとすることができる。ある実施形態において、前記バッグは、大人の脚の少なくとも大部分を長手方向に収容するサイズとすることができる。ある実施形態において、前記多層ストリップの長さは、前記バッグの長さの少なくとも70%とすることができる。ある実施形態において、(i)前記バッグの遠位部は、前記バッグの内部空間に対し開放された遠位に配置されたタブ部を有することができ、前記遠位タブ部の幅は、前記バッグの遠位部の最大幅の25%未満とすることができ、及び/または(ii)前記接続部品は、その少なくとも一部を前記遠位タブ部内に取り付けることができる。
【0151】
ある実施形態において、前記治療は、負圧創傷治療を含むことができる。ある実施形態において、前記圧力調整モードは、前記バッグの内部を真空下にすることを含み得る。ある実施形態において、前記圧力調整モードは、前記バッグ内の圧力を、460mmHg~1060mmHgの範囲内、または460mmHg~760mmHgの範囲内、または560mmHg~760mmHgの範囲内、または760mmHg~1060mmHgの範囲内、または760mmHg~960mmHgの範囲内とすることを含み得る。ある実施形態において、前記多層ストリップは、1:1.5~1:20、または1:5~1:15、または1:8~1:12の厚さ対幅の無次元アスペクト比を有し得る。
【0152】
ある実施形態において、前記下層は接着剤を含むことができる。ある実施形態において、前記多層ストリップは、前記バッグの第1の壁に取り付けることができ、かつ前記接続部品は、前記バッグの第2の壁に取り付けることができる。ある実施形態において、前記多層ストリップは、前記接続部品が取り付けられているのと同じ壁に取り付けることができ、及び/または、前記多層ストリップの下層は、前記接続部品と機械的に接触していることができ、及び/または、前記上層は、前記下層を介して前記接続部品と流体連通させることができる。ある実施形態において、前記バッグの内部は、予め滅菌することができる。ある実施形態において、前記バッグは、耐オゾン性材料を含むことができる。ある実施形態において、前記多層ストリップは、流路の一部が100mmHgの外側から加えられる正圧にさらされるとき、長手方向の流路に沿って流体連通を有効に維持することができる。
【0153】
本発明の実施形態によれば、キットは、(i)上記に開示された実施形態のいずれかによる装置、及び/または(ii)ガス流路材料の弾性リボンであって、前記肢体の周りのガス流路の横方向延長部として前記肢体に装着し配置するための前記弾性リボンを備えることができる。ある実施形態において、前記キットは、前記部分的に圧縮可能な材料と創傷との間を媒介するためのスポンジをさらに備えてもよい。ある実施形態において、前記キットは、肢体用シールテープをさらに(または代替的に)備えることができる。
【0154】
本発明の実施形態によれば、治療を人の肢体に行う際に圧力調整装置とともに使用する装置は、(a)柔軟性のあるバッグであって、装着モードにおいて前記肢体の少なくとも一部を取り囲むように形成された前記バッグと、(b)前記バッグの遠位部において前記バッグの壁に取り付けられた接続部品であって、圧力調整モードにおいて前記バッグの内部空間と圧力調整装置との間を通るガスの流れを効果的に可能にする前記接続部品と、(c)前記バッグの内面に取り付けられ、かつ前記バッグの長さの70%以上の長さを有するガス透過性ストリップであって、その遠位端が前記バッグの遠位部にある接続部品と連通し、その近位端が前記バッグの近位部に配置され、かつ長手方向のガス流路を形成する部分的に圧縮可能なガス透過性材料を含む前記ガス透過性ストリップとを備える。ある実施形態において、前記部分的に圧縮可能なガス透過性材料は、前記バッグが少なくとも部分的に排気されるとき、長手方向のガス流路を形成することができる。ある実施形態において、前記ガス透過性ストリップのショアA硬度は、70以下、または60以下、または50以下、または40以下とすることができる。
【0155】
ある実施形態において、前記部分的に圧縮可能なガス透過性材料は、前記接続部品から前記ガス透過性ストリップの近位端までガス流路を形成することができる。ある実施形態において、前記ガス透過性ストリップは、少なくとも3:1、または少なくとも5:1、または少なくとも10:1の長さ対幅の比を有し得る。ある実施形態において、前記ガス透過性ストリップの長さは、少なくとも10cm、または少なくとも15cm、または少なくとも20cm、または少なくとも25cm、または少なくとも30cmとすることができる。ある実施形態において、前記ガス透過性ストリップの厚さは、3.5mm以下、または5mm以下、または7.5mm以下、または10mm以下である。ある実施形態において、前記バッグは、手または足を収容するサイズとすることができる。ある実施形態において、前記バッグは、大人の腕の少なくとも大部分を長手方向に収容するサイズとすることができる。ある実施形態において、前記バッグは、大人の脚の少なくとも大部分を長手方向に収容するサイズとすることができる。
【0156】
ある実施形態において、(i)前記バッグの遠位部は、前記バッグの内部空間に対し開放された遠位に配置されたタブ部を有することができ、前記遠位タブ部の幅は、前記バッグの遠位部の最大幅の25%未満とすることができ、及び/または(ii)前記接続部品は、その少なくとも一部を前記遠位タブ部内に取り付けることができる。ある実施形態において、前記治療は、負圧創傷治療を含むことができる。ある実施形態において、前記圧力調整モードは、前記バッグの内部を真空下にすることを含み得る。ある実施形態において、前記圧力調整モードは、前記バッグ内の圧力を460mmHg~1060mmHgの範囲内、または460mmHg~760mmHgの範囲内、または560mmHg~760mmHgの範囲内、または760mmHg~1060mmHg、または760mmHg~960mmHgの範囲内にすることを含み得る。
【0157】
ある実施形態において、前記ガス透過性ストリップは、1:1.5~1:20、または1:5~1:15、または1:8~1:12の厚さ対幅の無次元アスペクト比を有し得る。ある実施形態において、前記ガス透過性ストリップは、前記バッグの第1の壁に取り付けることができ、前記接続部品は、前記バッグの第2の壁に取り付けることができる。ある実施形態において、前記ガス透過性ストリップは、前記接続部品が取り付けられているのと同じ壁に取り付けることができる。ある実施形態において、前記バッグの内部は、予め滅菌することができる。ある実施形態において、前記バッグは、耐オゾン性材料を含むことができる。ある実施形態において、前記ガス透過性ストリップは、流路の一部が100mmHgの外側から加えられる正圧にさらされるとき、長手方向の流路に沿って流体連通を有効に維持することができる。
【0158】
本発明の実施形態によれば、キットは、(i)上記に開示された実施形態のいずれかによる装置、及び/または(ii)ガス流路材料の弾性リボンであって、前記肢体の周りのガス流路の横方向延長部として前記肢体に装着し配置するための前記弾性リボンを備えることができる。ある実施形態において、前記キットは、前記部分的に圧縮可能な材料と創傷との間を媒介するためのスポンジをさらに備えてもよい。ある実施形態において、前記キットは、肢体用シールテープをさらに(または代替的に)備えることができる。
【0159】
本発明の実施形態によれば、治療を人の肢体に行う際に圧力調整装置とともに使用する装置は、(a)装着モードにおいて前記肢体の少なくとも一部を取り囲むように形成された柔軟性のあるバッグと、(b)前記バッグの遠位部において前記バッグの壁に取り付けられた接続部品であって、圧力調整モードにおいて前記圧力調整装置と前記バッグの内部空間との間を通るガスの流れを効果的に可能にする前記接続部品と、(c)前記バッグの内面に取り付けられたガス透過性ストリップであって、その遠位端が前記バッグの遠位部にある前記接続部品と連通し、その近位端が前記バッグの近位部に配置され、長手方向にガス流路を形成する部分的に圧縮可能なガス透過性材料を含み、かつ厚さ対幅の無次元アスペクト比が1:5~1:15である前記ガス透過性ストリップと、を備える。
【0160】
ある実施形態において、前記バッグ内のガス圧が660mmHg以下であるとき、前記長手方向のガス流路は維持され得る。ある実施形態において、前記バッグ内のガス圧が560mmHgであるとき、前記長手方向のガス流路は維持され得る。
【0161】
ある実施形態において、20mmHgゲージ圧の機械的圧力が、外側から前記バッグに加えられ、前記バッグの壁を介して前記多層ストリップの最上層に伝えられるとき、前記長手方向のガス流路は維持され得る。ある実施形態において、60mmHgゲージ圧の機械的圧力が、外側から前記バッグに加えられ、前記バッグの壁を介して前記多層ストリップの最上層に伝えられるとき、前記長手方向のガス流路は維持され得る。ある実施形態において、前記ガス透過性ストリップのショアA硬度は、70以下、または60以下、または50以下、または40以下とすることができる。ある実施形態において、前記部分的に圧縮可能なガス透過性材料は、前記接続部品から前記ガス透過性ストリップの近位端までガス流路を形成することができる。ある実施形態において、前記ガス透過性ストリップは、少なくとも3:1、または少なくとも5:1、または少なくとも10:1の長さ対幅の比を有し得る。ある実施形態において、前記ガス透過性ストリップの長さは、少なくとも10cm、または少なくとも15cm、または少なくとも20cm、または少なくとも25cm、または少なくとも30cmとすることができる。ある実施形態において、前記ガス透過性ストリップの厚さは、3.5mm以下、または5mm以下、または7.5mm以下、または10mm以下とすることができる。
【0162】
ある実施形態において、前記バッグは、手または足を収容するサイズとすることができる。ある実施形態において、前記バッグは、大人の腕の少なくとも大部分を長手方向に収容するサイズとすることができる。ある実施形態において、前記バッグは、大人の脚の少なくとも大部分を長手方向に収容するサイズとすることができる。ある実施形態において、(i)前記バッグの遠位部は、前記バッグの内部空間に対し開放された遠位に配置されたタブ部を有することができ、前記遠位タブ部の幅は、前記バッグの遠位部の最大幅の25%未満とすることができ、及び/または(ii)前記接続部品は、その少なくとも一部を前記遠位タブ部内に取り付けることができる。ある実施形態において、前記治療は、負圧創傷治療を含むことができる。ある実施形態において、前記圧力調整モードは、前記バッグの内部を真空下にすることを含み得る。ある実施形態において、前記圧力調整モードは、前記バッグ内の圧力を、460mmHg~1060mmHgの範囲内、または460mmHg~760mmHgの範囲内、または560mmHg~760mmHgの範囲内、または760mmHg~1060mmHgの範囲内、または760mmHg~960mmHgの範囲内とすることを含み得る。
【0163】
ある実施形態において、前記ガス透過性ストリップの長さは、前記バッグの長さの少なくとも70%とすることができる。ある実施形態において、前記ガス透過性ストリップは、前記バッグの第1の壁に取り付けることができ、前記接続部品は、前記バッグの第2の壁に取り付けることができる。ある実施形態において、前記ガス透過性ストリップは、前記接続部品が取り付けられているのと同じ壁に取り付けることができる。ある実施形態において、前記バッグの内部は、予め滅菌することができる。ある実施形態において、前記バッグは、耐オゾン性材料を含むことができる。ある実施形態において、前記ガス透過性ストリップは、流路の一部が100mmHgの外側から加えられる正圧にさらされるとき、長手方向の流路に沿って流体連通を有効に維持することができる。
【0164】
本発明の実施形態によれば、キットは、(i)上記に開示された実施形態のいずれかによる装置、及び/または(ii)ガス流路材料の弾性リボンであって、前記肢体の周りのガス流路の横方向延長部として前記肢体に装着し配置するための前記弾性リボンを備えることができる。ある実施形態において、前記キットは、前記部分的に圧縮可能な材料と創傷との間を媒介するためのスポンジをさらに備えてもよい。ある実施形態において、前記キットは、肢体用シールテープをさらに(または代替的に)備えることができる。
【0165】
本発明の実施形態は、治療を人の肢体に行う際に圧力調整装置とともに使用する装置に関する。実施形態に従って、治療を人の肢体に行う際に圧力調整装置とともに使用する装置が提供され、当該装置は、(a)バッグであって、装着モードにおいて前記バッグの近位部にある開口部を通して前記肢体の少なくとも一部を収容するように形成された前記バッグと、(b)前記バッグの内面に取り付けられた下層を含む多層ストリップであって、その遠位端が前記バッグの遠位部に配置され、かつその近位端が前記バッグの近位部に配置された前記多層ストリップと、(c)前記バッグの遠位部において前記バッグの壁に取り付けられた接続部品であって、圧力調整モードにおいて、前記圧力調整装置と前記バッグの内部空間との間を通るガスの流れを効果的に可能にする前記接続部品とを備え、前記多層ストリップはさらに、部分的に圧縮可能な材料を含む上層を有し、前記部分的に圧縮可能な材料は、前記接続部品と前記バッグの近位部との間に、前記バッグ内において長手方向に配置されるガス流路を形成する。
【0166】
ある実施形態において、前記バッグ内のガス圧が660mmHg以下であるとき、前記長手方向のガス流路は維持され得る。ある実施形態において、前記バッグ内のガス圧が560mmHgであるとき、前記長手方向のガス流路は維持され得る。
【0167】
ある実施形態において、前記多層ストリップは、1:2.5~1:20の厚さ対幅の無次元アスペクト比を有し得る。
【0168】
ある実施形態において、20mmHgゲージ圧の機械的圧力が、外側から前記バッグに加えられ、前記バッグの壁を介して前記多層ストリップの最上層に伝えられるとき、前記長手方向のガス流路は維持され得る。ある実施形態において、60mmHgゲージ圧の機械的圧力が、外側から前記バッグに加えられ、前記バッグの壁を介して前記多層ストリップの最上層に伝えられるとき、前記長手方向のガス流路は維持され得る。
【0169】
ある実施形態において、前記多層ストリップのショアA硬度は、70以下、または60以下、または50以下、または40以下とすることができる。
【0170】
ある実施形態において、前記多層ストリップの遠位端は、前記接続部品と流体連通しており、それによって、前記部分的に圧縮可能な材料が、前記接続部品から前記多層ストリップの近位端までガス流路を形成することができる。
【0171】
ある実施形態において、前記多層ストリップは、少なくとも3:1、または少なくとも5:1、または少なくとも10:1の長さ対幅の比を有し得る。ある実施形態において、前記多層ストリップの長さは、少なくとも10cm、または少なくとも15cm、または少なくとも20cm、または少なくとも25cm、または少なくとも30cmとすることができる。ある実施形態において、前記多層ストリップの厚さは、3.5mm以下、または5mm以下、または7.5mm以下、または10mm以下とすることができる。ある実施形態において、前記上層の厚さは、3.5mm以下、または5mm以下、または7.5mm以下、または10mm以下とすることができる。
【0172】
ある実施形態において、前記バッグは、手または足を収容するサイズとすることができる。ある実施形態において、前記バッグは、大人の腕の少なくとも大部分を長手方向に収容するサイズとすることができる。ある実施形態において、前記バッグは、大人の脚の少なくとも大部分を長手方向に収容するサイズとすることができる。
【0173】
ある実施形態において、前記多層ストリップの長さは、前記バッグの長さの少なくとも20%とすることができる。
【0174】
ある実施形態において、前記多層ストリップの長さは、前記バッグの長さの少なくとも30%とすることができる。
【0175】
ある実施形態において、前記多層ストリップの長さは、前記バッグの長さの少なくとも40%とすることができる。
【0176】
ある実施形態において、前記多層ストリップの長さは、前記バッグの長さの少なくとも50%とすることができる。
【0177】
ある実施形態において、前記多層ストリップの長さは、前記バッグの長さの少なくとも60%とすることができる。
【0178】
ある実施形態において、前記多層ストリップの長さは、前記バッグの長さの少なくとも70%とすることができる。
【0179】
ある実施形態において、(i)前記バッグの遠位部は、前記バッグの内部空間に対し開放された遠位に配置されたタブ部を有することができ、前記遠位タブ部の幅は、前記バッグの遠位部の最大幅の25%未満とすることができ、及び/または(ii)前記接続部品は、その少なくとも一部を前記遠位タブ部内に取り付けることができる。
【0180】
ある実施形態において、前記治療は、負圧創傷治療を含むことができる。ある実施形態において、前記圧力調整モードは、前記バッグの内部を真空下にすることを含み得る。ある実施形態において、前記圧力調整モードは、前記バッグ内の絶対圧力を、460mmHg~1060mmHgの範囲内、560mmHg~960mmHgの範囲内、または460mmHg~760mmHgの範囲内、または560mmHg~760mmHgの範囲内、または760mmHg~1060mmHgの範囲内、または760mmHg~960mmHgの範囲内、または760mmHg~850mmHgの範囲内とすることを含み得る。
【0181】
ある実施形態において、前記圧力調整モードは、圧力を外側から前記バッグに加え、前記バッグの壁を介して前記多層ストリップの最上層に伝えることを含むことができ、前記外側から加えられる圧力は、0mmHg~30mmHgの範囲とすることができる。ある実施形態において、前記圧力調整モードは、圧力を外側から前記バッグに加え、前記バッグの壁を介して前記多層ストリップの最上層に伝えることを含むことができ、前記外側から加えられる圧力は、0mmHg~80mmHgの範囲とすることができる。
【0182】
ある実施形態において、前記多層ストリップは、1:1.5~1:20、または1:2.5~1:15、または1:5~1:15、または1:8~1:12の厚さ対幅の無次元アスペクト比を有し得る。
【0183】
ある実施形態において、前記下層は接着剤を含むことができる。ある実施形態において、前記多層ストリップは、前記バッグの第1の壁に取り付けることができ、かつ前記接続部品は、前記バッグの第2の壁に取り付けることができる。
【0184】
ある実施形態において、前記多層ストリップは、流路の一部が100mmHgの外側から加えられる正圧にさらされるとき、長手方向の流路に沿って流体連通を有効に維持することができる。
【0185】
実施形態によれば、治療を人の肢体に行う際に圧力調整装置とともに使用する装置は、(a)装着モードにおいて前記肢体の少なくとも一部を取り囲むように形成されたバッグと、(b)前記バッグの遠位部において前記バッグの壁に取り付けられた接続部品であって、圧力調整モードにおいて前記圧力調整装置と前記バッグの内部空間との間を通るガスの流れを効果的に可能にする前記接続部品と、(c)前記バッグの内面に取り付けられ、かつ前記バッグの長さの70%以上の長さを有するガス透過性ストリップであって、その遠位端が前記バッグの遠位部にある接続部品と連通し、その近位端が前記バッグの近位部に配置され、かつ長手方向のガス流路を形成する部分的に圧縮可能なガス透過性材料を含む前記ガス透過性ストリップとを備える。
【0186】
本発明の実施形態によれば、キットは、(i)上記に開示された実施形態のいずれかによる装置、及び/または(ii)ガス流路材料の弾性リボンであって、前記肢体の周りのガス流路の横方向延長部として前記肢体に装着し配置するための前記弾性リボンを備えることができる。ある実施形態において、前記キットは、前記部分的に圧縮可能な材料と創傷との間を媒介するためのスポンジをさらに備えてもよい。ある実施形態において、前記キットは、肢体用シールテープをさらに(または代替的に)備えることができる。
【0187】
本発明の実施形態によれば、治療を人の肢体に行う際に圧力調整装置とともに使用する装置は、(a)装着モードにおいて前記肢体の少なくとも一部を取り囲むように形成されたバッグと、(b)前記バッグの遠位部において前記バッグの壁に取り付けられた接続部品であって、圧力調整モードにおいて前記圧力調整装置と前記バッグの内部空間との間を通るガスの流れを効果的に可能にする前記接続部品と、(c)前記バッグの内面に取り付けられたガス透過性ストリップであって、その遠位端が前記バッグの遠位部にある前記接続部品と連通し、その近位端が前記バッグの近位部に配置され、長手方向にガス流路を形成する部分的に圧縮可能なガス透過性材料を含み、かつ厚さ対幅の無次元アスペクト比が1:5~1:15である前記ガス透過性ストリップと、を備える。
【0188】
ある実施形態において、前記ストリップまたは前記多層ストリップは、少なくとも前記圧力調整モードにおいて長手方向のガス流路を形成する。
【0189】
ある実施形態において、前記ストリップまたは前記多層ストリップは、前記バッグの長さの少なくとも40%に等しい長さ、1:1.5~1:20の厚さ対幅の無次元アスペクト比、及び少なくとも3:1の長さ対幅の比を有し得る。
【0190】
ある実施形態において、前記ストリップまたは前記多層ストリップは、前記バッグの長さの少なくとも50%に等しい長さ、1:2.5~1:20の厚さ対幅の無次元アスペクト比、及び少なくとも5:1の長さ対幅の比を有し得る。
【0191】
ある実施形態において、前記ストリップまたは前記多層ストリップは、前記バッグの長さの少なくとも40%に等しい長さ、1:2.5~1:20の厚さ対幅の無次元アスペクト比、及び少なくとも3:1の長さ対幅の比を有することができ、かつ前記ストリップまたは前記多層ストリップは、部分的に圧縮可能なガス透過性材料を含み、前記部分的に圧縮可能なガス透過性材料は、560mmHg~960mmHgのバッグ内絶対圧力の範囲にわたる圧力調整モード(少なくとも)において長手方向のガス流路を形成する。
【0192】
ある実施形態において、前記ストリップまたは前記多層ストリップは、前記バッグの長さの少なくとも60%に等しい長さ、1:2.5~1:20の厚さ対幅の無次元アスペクト比、及び少なくとも3:1の長さ対幅の比を有することができ、かつ前記ストリップまたは前記多層ストリップは、部分的に圧縮可能なガス透過性材料を含み、前記部分的に圧縮可能なガス透過性材料は、560mmHg~960mmHgのバッグ内絶対圧力の範囲にわたる圧力調整モード(少なくとも)において長手方向のガス流路を形成するものであり、かつ、前記ストリップまたは前記多層ストリップは、部分的に圧縮可能なガス透過性材料を含み、前記部分的に圧縮可能なガス透過性材料は、0mmHg~30mmHgのゲージ圧力範囲で外側から圧力を加えることを含む圧力調整モード(少なくとも)において、長手方向のガス流路を形成するものである。
【0193】
実施形態による方法が開示され、当該方法は、ガスを通過させて移送するための第1及び第2の開口部を有するガス移送システムを用いて人の対象にマルチ圧力治療プロトコルを行うための方法である。前記第1の開口部は第1の容器と流体連通しており、前記第2の開口部は第2の容器と流体連通しており、前記第2の容器は、少なくとも互いに開放可能な複数の流体保持区画を有している。当該方法は、(a)前記第1の容器により前記対象の肢体の少なくとも長手方向の一部を取り囲んだ状態で、前記第1の開口部を通る前記第1の容器内への治療ガスの流れを生じさせることと、(b)前記治療ガスの少なくとも一部が前記第1の容器内に存在する間、前記第2の容器により前記第1の容器の少なくとも長手方向の一部を取り囲んだ状態で、前記第2の容器の前記流体保持区画内の周囲より高いそれぞれのガス圧を前記第2の開口を介して制御し、前記流体保持区画が前記第1の容器の壁を介して前記肢体の対応する部分にそれぞれの圧迫圧を加えるようにすることと、を含む。
【0194】
他の態様による方法が開示され、当該方法は、ガスを通過させて移送するための第1及び第2の開口部を有するガス移送システムを用いて人の対象にマルチ圧力治療プロトコルを行うための方法である。前記第1の開口は第1の容器と流体連通していてもよく、前記第2の開口は第2の容器と流体連通していてもよく、前記第2の容器は、少なくとも1つの流体保持区画を有することができる。当該方法は、(a)前記第1の開口部を通る前記第1の容器内への治療ガスの流れを生じさせることと、(b)前記治療ガスの少なくとも一部が前記第1の容器内に存在する間、前記第2の容器により前記第1の容器の少なくとも長手方向の一部を取り囲んだ状態で、前記第2の容器の少なくとも1つの流体保持区画内の周囲より高い少なくとも1つのガス圧を前記第2の開口を介して制御し、前記少なくとも1つの流体保持区画が前記第1の容器の壁を介して前記肢体の対応する部分に圧迫圧を加えるようにすることとを含む。
【0195】
この方法によれば、周囲より高いそれぞれのガス圧を調整することにより、前記第1の容器の少なくとも一部にわたって治療ガスが流通させられる。ここで、前記第1の容器は、前記流体保持区画によってその少なくとも一部が取り囲まれる範囲で前記第2の容器に取り囲まれている。
【0196】
ある実施形態において、前記第1の容器は可撓性であってもよく、典型的には可撓性である。
【0197】
ある実施形態において、前記第2の容器は可撓性であってもよく、典型的には可撓性である。
【0198】
ある実施形態において、当該方法は、治療ガスの流れを生じさせる前に、前記第1の開口部を介して前記第1の容器を排気することをさらに含むことができる。
【0199】
ある実施形態において、前記流体保持区画内の周囲より高いそれぞれのガス圧を調整することは、治療プロトコルにより定められた期間にわたって差圧調整のシーケンスを繰り返すことを含むことができる。
【0200】
ある実施形態において、当該方法は、前記流体保持区画内の周囲より高いそれぞれのガス圧を調整した後、(i)前記第1の容器により前記肢体の少なくとも一部を取り囲んだ状態で、前記第1の容器から前記治療ガスを前記第1の開口部を介して排出し、前記第1の容器内の圧力を周囲より低い第1の圧力に低下させることと、(ii)排気された前記第1の容器に前記第1の開口部を介して前記治療ガスを流入させ、前記第1の容器内の圧力を周囲より低い第2の圧力に上昇させることとをさらに含んでもよい。
【0201】
ある実施形態において、当該方法は、治療プロトコルにより定められた期間にわたって前記周囲より低い第1及び第2の圧力を繰り返すことを含んでもよい。
【0202】
ある実施形態において、前記流体保持区画内の周囲より高いそれぞれのガス圧を調整することは、周囲より20~100mmHg高いそれぞれの圧力を調整することを含んでもよい。
【0203】
ある実施形態において、前記周囲より低い第1の圧力は、周囲圧より10~50mmHg低い。ある実施形態において、前記周囲より低い第2の圧力は、周囲圧より60~100mmHg低い。ある実施形態において、前記周囲より低い第1の圧力と前記周囲より低い第2の圧力との差は、40~88mmHgゲージ圧であってもよい。
【0204】
ある実施形態において、前記治療ガスの流通は、前記第1の容器内の流路を少なくとも部分的に通るものとすることができる。
【0205】
他の態様においてシステムが提供され、当該システムは、本明細書に開示される実施形態のいずれかによるマルチ圧力治療プロトコルまたは方法を行うためのシステムである。
【0206】
実施形態によれば、人の対象にマルチ圧力治療プロトコルを行うためのシステムは、(a)ガスを通過させて移送するための第1の開口部を有する第1のガス移送部であって、(i)前記第1のガス移送部に流体連通して配置される第1の容器内の圧力を、周囲圧より200mmHg低い圧力から周囲圧より160mmHg高い圧力の範囲にわたり調整するように構成され、かつ(ii)前記第1の開口部を通る治療ガスの流れを生じさせるように構成された前記第1のガス移送部と、(b)ガスを通過させて移送するための第2の開口部を有する第2のガス移送部であって、前記第2のガス移送部に流体連通して配置される第2の容器内の圧力を、周囲圧より最大100mmHg高い、周囲より高い圧力範囲にわたり調整するように構成された前記第2のガス移送部と、(c)電子回路であって、(i)前記第1の容器が前記第1のガス移送部と流体連通していること及び前記第1の容器が前記対象の肢体の少なくとも長手方向の一部を取り囲むように配置されていることを確認する入力に応答して、前記第1のガス移送部が前記第1の開口部を介して前記第1の容器内に治療ガスを流入させる第1のモード、及び(ii)前記第2の容器が前記第2のガス移送部と流体連通していること及び前記第2の容器が前記第1の容器の少なくとも長手方向の一部を取り囲むように配置されていることを確認する入力に応答して、前記治療ガスの少なくとも一部が前記第1の容器に存在している間、前記第2のガス移送部が、前記第2の開口部を介して、前記第2の容器の流体保持区画内の周囲より高いそれぞれのガス圧を調整し、それによって前記流体保持区画がそれぞれの圧迫圧を前記第1の容器の壁を介して前記肢体の対応する部分に加え、その調整によって、前記流体保持区画に取り囲まれる範囲で前記第2の容器によって取り囲まれた前記第一の容器の少なくとも一部にわたって前記治療ガスを流通させる第2のモードのそれぞれ1つで順に動作するようプログラムされた前記電子回路と、を備える。
【0207】
実施形態によれば、人の対象にマルチ圧力治療プロトコルを行うためのシステムは、(a)ガスを通過させて移送するための第1の開口部を有する第1のガス移送部であって、(i)前記第1のガス移送部に流体連通して配置される第1の容器内の周囲圧より50mmHg低い圧力から周囲圧の範囲内にある圧力(A)及び前記第1のガス移送部に流体連通して配置される第1の容器内の周囲圧から周囲圧より50mmHg高い圧力の範囲内にある圧力(B)の少なくとも1つを調整するように構成され、かつ(ii)前記第1の開口部を通る治療ガスの流れを生じさせるように構成された前記第1のガス移送部と、(b)ガスを通過させて移送するための第2の開口部を有する第2のガス移送部であって、前記第2のガス移送部に流体連通して配置される第2の容器内の圧力を調整するように構成された前記第2のガス移送部と、(c)電子回路であって、(i)前記第1の容器が前記第1のガス移送部と流体連通していること及び前記第1の容器が前記対象の肢体の少なくとも長手方向の一部を取り囲むように配置されていることを確認する入力に応答して、前記第1のガス移送部が前記第1の開口部を介して前記第1の容器内に治療ガスを流入させる第1のモード、及び(ii)前記第2の容器が前記第2のガス移送部と流体連通していること及び前記第2の容器が前記第1の容器の少なくとも長手方向の一部を取り囲むように配置されていることを確認する入力に応答して、前記治療ガスの少なくとも一部が前記第1の容器に存在している間、前記第2のガス移送部が、前記第2の開口部を介して、前記第2の容器の流体保持区画内の周囲より高いそれぞれのガス圧を調整し、それによって前記流体保持区画がそれぞれの圧迫圧を前記第1の容器の壁を介して前記肢体の対応する部分に加え、その調整によって、前記流体保持区画に取り囲まれる範囲で前記第2の容器によって取り囲まれた前記第一の容器の少なくとも一部にわたって前記治療ガスを流通させる第2のモードのそれぞれ1つで順に動作するようプログラムされた前記電子回路と、を備える。
【0208】
さらなる実施形態
さらなる実施形態(または「条項」)1~111を以下に示す。
【0209】
実施形態1 ガス移送システムを使用して人の対象にマルチ圧力治療プロトコルを行うための方法であって、前記ガス移送システムは、ガスを通過させて移送するための第1及び第2の開口部を有しており、前記第1の開口部は第1の容器と流体連通しており、前記第2の開口部は第2の容器と流体連通しており、前記第2の容器は、複数の流体保持区画を備えており、前記方法は、
a.前記第1の容器により前記対象の肢体の少なくとも長手方向の一部を取り囲んだ状態で、前記第1の開口部を通る前記第1の容器内へのガスの流れを生じさせること、及び
b.前記ガスの少なくとも一部が前記第1の容器内に存在している間、前記第2の容器により前記第1の容器の少なくとも長手方向の一部を取り囲んだ状態で、前記第2の容器の前記流体保持区画内の周囲より高いそれぞれのガス圧を前記第2の開口部を介して調整して、前記流体保持区画がそれぞれの圧迫圧を前記第1の容器の壁を介して前記肢体の対応部分に加えるようにすることを含む、前記方法。
【0210】
実施形態1A 前記第2の容器及び前記流体保持区画は、大気に対して密閉されている、実施形態1に従う方法。
【0211】
実施形態1B (1)前記第2の容器及び(2)前記流体保持区画の少なくとも1つが、前記第1の容器に対して密閉されている、実施形態1または1Aのいずれか1つに従う方法。
【0212】
実施形態2 前記ガスが治療ガスを含む、実施形態1に従う方法。
【0213】
実施形態3 前記ガスが、オゾン、酸素、及び精油の少なくとも1つを含む、任意の先行する実施形態に従う方法。
【0214】
実施形態4 前記周囲より高いそれぞれのガス圧を調整することにより、前記流体保持区画に取り囲まれる範囲で前記第2の容器によって取り囲まれた前記第1の容器の少なくとも一部にわたって前記ガスが流通させられる、任意の先行する実施形態に従う方法。
【0215】
実施形態5 前記流体保持区画内の周囲より高いそれぞれのガス圧を調整することは、差圧調整のシーケンスを繰り返すことを含む、任意の先行する実施形態に従う方法。
【0216】
実施形態6 前記ガスの前記流通は、前記第1の容器内に配置されたガス流路ストリップを少なくとも部分的に通るものであり、前記ガス流路ストリップは、その長さに沿って前記第1の容器の内部空間に対し側方に開放されており、これにより、前記第1の容器内にある流体は、前記ガス流路ストリップに自由に流れこむことができかつ前記ガス流路ストリップから自由に流れ出ることができる、実施形態4または5のいずれか1つに従う方法。
【0217】
実施形態6A 前記ガス流路ストリップは、前記第1の容器内で、縦方向、すなわち長手方向に配置されている、実施形態6に従う方法。
【0218】
実施形態6B 前記ガス流路ストリップは、最大でも部分的に圧縮可能な材料を含み、前記第1の容器が少なくとも部分的に排気されるとき、前記ガス流路ストリップは、その全長に沿ってガスの流れを可能にする、実施形態6または6Aのいずれか1つに従う方法。
【0219】
実施形態6C 前記第1の容器を負圧(真空)下で少なくとも部分的に排気するとき、前記第1の容器の1つ以上の壁がへこんで、前記ガス流路ストリップに側方の力が加わり、前記ストリップが側方向に閉じ長手方向に開いたガス流路になる、実施形態6Bに従う方法。
【0220】
実施形態6D 前記第2の容器の1つ以上の前記流体保持区画の膨張によって前記第1の容器の1つ以上の壁がへこむとき、前記ガス流路ストリップは、前記第2の容器の前記流体保持区画によって取り囲まれた前記第1の容器の範囲で少なくとも、ガスの移送に有効な流路を維持する、実施形態6~6Cのいずれか1つに従う方法。
【0221】
実施形態6E 前記ストリップは、前記流体保持区画の長手方向に沿っている、実施形態6~6Dのいずれか1つに従う方法。
【0222】
実施形態7 ガスの流れを生じさせる前に、前記第1の開口部を介して前記第1の容器を排気することをさらに含む、任意の先行する実施形態に従う方法。
【0223】
実施形態8 前記流体保持区画内の周囲より高いそれぞれのガス圧を調整した後に、
i.前記第1の容器により前記肢体の少なくとも一部を取り囲んだ状態で、前記第1の開口部を介して前記第1の容器から前記ガスを排出し、前記第1の容器内の圧力を周囲より低い第1の圧力に低下させることと、
ii.前記排気した第1の容器に前記第1の開口部を介して前記ガスを流入させ、前記第1の容器内の前記圧力を周囲より低い第2の圧力に上昇させることと、をさらに含む、任意の先行する実施形態に従う方法。
【0224】
実施形態9 治療プロトコルにより定められた期間にわたって前記周囲より低い第1及び第2の圧力を繰り返すことをさらに含む、実施形態8に従う方法。
【0225】
実施形態10 前記流体保持区画内の周囲より高いそれぞれのガス圧を調整することは、周囲圧よりも20~100mmHg高い範囲内の値にそれぞれの圧力を調整することを含む、任意の先行する実施形態に従う方法。
【0226】
実施形態11 前記周囲より低い第1の圧力は、周囲圧より10~50mmHg低い範囲内の値を有する、任意の先行する実施形態に従う方法。
【0227】
実施形態12 前記周囲より低い第2の圧力は、周囲圧より60~100mmHg低い範囲内の値を有する、任意の先行する実施形態に従う方法。
【0228】
実施形態13 前記周囲より低い第1の圧力と前記周囲より低い第2の圧力との差が40~88mmHgである、任意の先行する実施形態に従う方法。
【0229】
実施形態14 前記周囲より低い第1及び第2の圧力の両方において、前記ガス流路ストリップ内にガス流路が維持される、実施形態13に従う方法。
【0230】
実施形態15 前記ガス流路ストリップは、前記第1の容器と一体的に形成されている、実施形態6~14のいずれか1つに従う方法。
【0231】
実施形態16 前記ガス流路は、前記第1の容器の内面に取り付けられている、実施形態6~14のいずれか1つに従う方法。
【0232】
実施形態17 前記肢体の対象部位と接触するように弾性的に圧縮可能な部材を配置することをさらに含む、任意の先行する実施形態に従う方法。
【0233】
実施形態17A 前記弾性的に圧縮可能な部材は、前記ガス流路ストリップとも接触しており、それにより、前記弾性的に圧縮可能な部材と前記接続部品とを前記ガス流路ストリップを介して接続するガス流路を形成している、実施形態17に従う方法。
【0234】
実施形態17B 前記ガス流路ストリップとの前記接触は、直接的な接触である、実施形態17Aに従う方法。
【0235】
実施形態18 前記第1の容器を前記第1の開口部を介して排気して前記第1の容器内の圧力を前記周囲より低い第1の圧力に低下させるとき、前記弾性的に圧縮可能な部材は少なくとも部分的に圧縮される、実施形態17~17Bのいずれか1つに従う方法。
【0236】
実施形態18A 前記第1の容器を前記第1の開口部を介して十分に排気し、前記第1の容器で前記肢体を気密に覆う、実施形態18に従う方法。
【0237】
実施形態19 前記第1の開口部を通る前記ガスの流れを生じさせることは、少なくとも部分的に圧縮された前記弾性的に圧縮可能な部材を膨張させるのに有効である、実施形態18または18Aに従う方法。
【0238】
実施形態20 前記弾性的に圧縮可能な部材は、連続気泡発泡体を含む、実施形態17~19のいずれか1つに従う方法。
【0239】
実施形態21 前記ガスの前記少なくとも一部の体積が0.3~10リットルの範囲内である、任意の先行する実施形態に従う方法。
【0240】
実施形態21A 前記体積は、少なくとも0.5リットルである、実施形態21に従う方法。
【0241】
実施形態21B 前記体積は、少なくとも1リットルである、実施形態21に従う方法。
【0242】
実施形態21C 前記体積は、少なくとも1.5リットルである、実施形態21に従う方法。
【0243】
実施形態21D 前記体積は、8リットル以下である、実施形態21~21Cのいずれか1つに従う方法。
【0244】
実施形態21E 前記体積は、6リットル以下である、実施形態21Dに従う方法。
【0245】
実施形態21F 前記体積は、5リットル以下である、実施形態21Dに従う方法。
【0246】
実施形態21G 前記体積は、4リットル以下である、実施形態21Dに従う方法。
【0247】
実施形態22 周囲より高いそれぞれのガス圧を調整することは、周囲より高いそれぞれのガス圧を調整して、前記第1の容器内で前記ガスの連続的な圧縮を生じさせることを含む、任意の先行する実施形態に従う方法。
【0248】
実施形態23 前記第1の容器が可撓性である、任意の先行する実施形態に従う方法。
【0249】
実施形態24 前記第2の容器が可撓性である、任意の先行する実施形態に従う方法。
【0250】
実施形態25 人の対象にマルチ圧力治療プロトコルを行うためのシステムであって、前記システムは、
a.ガスを通過させて移送するための第1の開口部を有する第1のガス移送部であって、(i)前記第1のガス移送部に流体連通して配置される第1の容器内の圧力を調整するように構成され、かつ(ii)前記第1の開口部を通るガスの流れを生じさせるように構成された前記第1のガス移送部と、
b.ガスを通過させて移送するための第2の開口部を有する第2のガス移送部であって、前記第2のガス移送部に流体連通して配置される第2の容器内の圧力を調整するように構成された前記第2のガス移送部と、
c.電子回路であって、
i.前記第1のガス移送部が前記第1の開口部を介して前記第1の容器内にガスを流入させる第1のモード、及び
ii.前記第1の容器内に前記ガスの少なくとも一部が存在している間、前記第2のガス移送部が、前記第2の容器の流体保持区画内のそれぞれのガス圧を前記第2の開口部を介して調整し、それにより、前記流体保持区画がそれぞれの圧迫圧を、前記第1の容器の壁を介して前記肢体の対応する部分に加えるようにする第2のモードのそれぞれ1つで順に動作するようプログラムされた前記電子回路と、を備える、前記システム。
【0251】
実施形態26 前記第1の容器が前記第1のガス移送部と流体連通していること及び前記第1の容器が前記対象の肢体の少なくとも長手方向の一部を取り囲むように配置されていることを確認する入力に応答して、前記第1のモードにおいて前記第1のガス移送部により前記ガスが流される、実施形態25に従うシステム。
【0252】
実施形態27 前記第2の容器が前記第2のガス移送部と流体連通していること及び前記第2の容器が前記第1の容器の少なくとも長手方向の一部を取り囲むように配置されていることを確認する入力に応答して、前記第2のモードにおいて前記第2のガス移送部によりそれぞれのガス圧が調整される、実施形態25または26のいずれか1つに従うシステム。
【0253】
実施形態28 前記流体保持区画に取り囲まれる範囲で前記第2の容器によって取り囲まれた前記第1の容器の少なくとも一部にわたって、前記調整により前記ガスが流通させられる、実施形態25~27のいずれか1つに従うシステム。
【0254】
実施形態28A 前記流通は、前記流体保持区画の一連の膨張及び/または収縮によって少なくとも部分的に生じさせられる、実施形態28に従うシステム。
【0255】
実施形態29 前記流体保持区画内のそれぞれのガス圧を調整することは、差圧調整のシーケンスを繰り返すことを含む、実施形態25~28Aのいずれか1つに従うシステム。
【0256】
実施形態30 前記ガスの前記流通は、少なくとも部分的に(例えば、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも90%、または少なくとも95%)、前記第1の容器内の長手方向に配置されたガス流路ストリップを通るものであり、前記ガス流路ストリップは、その長さに沿って前記第1の容器の内部空間に対し側方に開放されており、これにより、前記第1の容器内にある流体は、前記ガス流路ストリップに自由に流れこむことができ、かつ前記ガス流路ストリップから自由に流れ出ることができる、実施形態28または29のいずれか1つに従う方法。
【0257】
実施形態31 前記ガスが治療ガスを含む、実施形態25~30のいずれか1つに従うシステム。
【0258】
実施形態32 前記ガスが、オゾン、酸素、及び精油を含む、実施形態25~31のいずれか1つに従うシステム。
【0259】
実施形態33 前記ガスが、酸素及び精油の少なくとも1つを含む、実施形態25~32のいずれか1つに従うシステム。
【0260】
実施形態34 前記第1のガス移送部が、前記第1の容器内の前記圧力を、周囲圧または大気圧より200mmHg低い圧力から周囲圧または大気圧より160mmHg高い圧力の範囲にわたって調整するように構成されている、実施形態25~33のいずれか1つに従うシステム。
【0261】
実施形態35 前記第2のガス移送部が、前記第2の容器内の前記圧力を、周囲圧または大気圧よりも0~100mmHg高い圧力範囲にわたって調整するように構成されている、実施形態25~34のいずれか1つに従うシステム。
【0262】
実施形態36 前記ガス流路ストリップは、前記第1の容器と一体的に形成されている、実施形態30~35のいずれか1つに従う方法。
【0263】
実施形態37 前記ガス流路は、前記第1の容器の内面に取り付けられており、必要に応じて、前記第1の容器の内面に直接取り付けられていてもよい、実施形態30~35のいずれか1つに従うシステム。
【0264】
実施形態37A 前記第1のガス移送部が、オゾン含有ガスを前記第1の容器に供給するためのオゾン発生器を備える、実施形態25~37のいずれか1つに従うシステム。
【0265】
実施形態37B 前記第1のガス移送部が、治療ガスを前記第1の容器に供給するため、前記治療ガスを貯蔵または収容する容器を備える、実施形態25~37Aのいずれか1つに従うシステム。
【0266】
実施形態37C 前記第1のガス移送部が、前記第1の容器内の前記圧力を、周囲圧または大気圧より50mmHg低い圧力から周囲圧または大気圧の範囲にわたって調整するように構成されている、実施形態25~37Bのいずれか1つに従うシステム。
【0267】
実施形態37D 前記第2のガス移送部が、前記第2の容器内の前記圧力を、周囲圧または大気圧よりも0~40mmHg高い圧力範囲にわたって調整するように構成されている、実施形態25~37Cのいずれか1つに従うシステム。
【0268】
実施形態37E 前記第1の容器と前記ガス流路ストリップとが合わされており、それによって、前記第1の容器が660~710mmHg(絶対圧)の範囲内の特定の負圧にさらされると、前記第1の容器の少なくとも1つの壁がへこんで前記ガス流路ストリップに側方の力を加え、前記ストリップを側方向に閉じ長手方向に開いたガス流路にする、実施態様25~37Dのいずれか1つに従うシステム。
【0269】
実施形態37F 前記電子回路は、第3のモードにおいて前記第1の容器内に存在する前記ガスを抜き出して前記第1の容器内の圧力を周囲圧または大気圧より低い第1の圧力に低下させるようさらにプログラムされている、実施形態25~37Eのいずれか1つに従うシステム。
【0270】
実施形態37G 前記電子回路は、前記第3のモードに続く第4のモードにおいて、前記第1の容器内の前記圧力を周囲圧または大気圧よりも低く維持しながら、ある体積のある治療ガスまたは前記治療ガスを前記第1の容器に導入するようさらにプログラムされている、実施形態37Fに従うシステム。
【0271】
実施形態38 人の肢体に低圧治療を行うための方法であって、
a.圧力調整装置及びバッグ組立体を設けることを含み、前記バッグ組立体は、
i.バッグであって、前記バッグの遠位部において前記バッグの壁に取り付けられた接続部品を備える前記バッグと、
ii.前記接続部品と前記バッグの近位部との間において前記バッグ内に配置されたガス流路ストリップであって、その長さに沿って前記バッグの内部空間に対し側方に開放されており、これにより、前記バッグが非排気状態にあるとき前記バッグ内にある流体は前記ガス流路ストリップに自由に流れこみかつ前記ガス流路ストリップから自由に流れ出ることができる前記ガス流路ストリップとを備え、前記方法はさらに、
b.前記バッグの前記近位部にある開口部を通して前記肢体の少なくとも一部を前記バッグに収容することと、
c.前記圧力調整装置を前記接続部品に接続し、圧力調整モードにおいて、前記圧力調整装置と前記バッグの内部空間との間のガスの流れを可能にすることと、
d.前記圧力調整装置を制御して、前記バッグの内部空間から前記ガスの一部を除去し、前記内部空間内の圧力を周囲より低い第1の圧力に低下させることと、を含む、前記方法。
【0272】
実施形態38A 前記ガス流路ストリップが、前記接続部品と前記バッグの前記近位部との間で長手方向に配置されている、実施形態38に従う方法。
【0273】
実施形態38B 前記ガス流路ストリップは、最大でも部分的に圧縮可能な材料を含み、前記ガス流路ストリップは、前記周囲より低い第1の圧力により前記バッグの1つ以上の壁がへこんで前記ガス流路ストリップに圧縮力を加えるとき、有効なガス流路を維持するように構成されている、実施形態38または38Aのいずれかに従う方法。
【0274】
実施形態39 前記圧力調整装置を制御してある量の治療ガスを前記内部空間に供給し、それにより前記内部空間内の前記圧力を周囲より低い第2の圧力に上昇させることをさらに含む、実施形態38~38Bのいずれか1つに従う方法。
【0275】
実施形態40 前記周囲より低い第1及び第2の圧力の両方において、前記ガス流路ストリップ内にガス流路が維持される、実施形態38または39に従う方法。
【0276】
実施形態41 前記ガス流路ストリップ及び前記肢体の対象部位に流体連通するかまたは流体接触する弾性的に圧縮可能な部材を設けることをさらに含む、実施形態38~40のいずれか1つに従う方法。
【0277】
実施形態42 前記弾性的に圧縮可能な部材は、前記内部空間内の前記周囲より低い第1の圧力において少なくとも部分的に圧縮され、かつ前記圧力が前記周囲より低い第2の圧力に上昇させられると膨張するように付勢されている、実施形態41に従う方法。
【0278】
実施形態43 前記弾性的に圧縮可能な部材は、連続気泡発泡体を含む、実施形態41または42のいずれか1つに従う方法。
【0279】
実施形態44 前記ある量の前記治療ガスの前記内部空間への供給は、前記ガス流路ストリップを少なくとも部分的に介して行われる、実施形態39~43のいずれか1つに従う方法。
【0280】
実施形態45 前記ある量の前記治療ガスの前記弾性的に圧縮可能な部材への供給は、実質的にすべて前記ガス流路ストリップを介して行われる、実施形態39~44のいずれか1つに従う方法。
【0281】
実施形態46 前記ガス流路ストリップは、前記第1の容器と一体的に形成されている、実施形態38~45のいずれか1つに従う方法。
【0282】
実施形態47 前記ガス流路は、前記第1の容器の内面に取り付けられている、実施形態38~45のいずれか1つに従う方法。
【0283】
実施形態48 前記周囲より低い第1の圧力は、周囲圧より10~50mmHg低い範囲内の値を有する、実施形態38~47のいずれか1つに従う方法。
【0284】
実施形態49 前記周囲より低い第2の圧力は、周囲圧より60~100mmHg低い範囲内の値を有する、実施形態39~48のいずれか1つに従う方法。
【0285】
実施形態50 治療を人の肢体に行うに際し圧力調整装置とともに使用する装置であって、前記装置は、
a.バッグであって、装着モードにおいて前記バッグの近位部にある開口部を通して前記肢体の少なくとも一部を収容するように形成された前記バッグと、
b.前記バッグの内面に取り付けられた下層を含む多層ストリップであって、その遠位端が前記バッグの遠位部に配置され、かつその近位端が前記バッグの近位部に配置された前記多層ストリップと、
c.前記バッグの前記遠位部において前記バッグの壁に取り付けられた接続部品であって、圧力調整モードにおいて前記圧力調整装置と前記バッグの内部空間との間を通るガスの流れを効果的に可能にする前記接続部品とを備え、
前記多層ストリップは、部分的に圧縮可能な材料を含む上層をさらに有し、前記部分的に圧縮可能な材料は、前記接続部品と前記バッグの前記近位部との間に、前記バッグ内において長手方向に配置されるガス流路を形成する、前記装置。
【0286】
実施形態51 前記多層ストリップは、前記バッグの遠位部から前記バッグの近位部までその長さに沿って前記バッグの内部空間に対し側方に開放されており、これにより、前記バッグが非排気状態にあるとき、前記バッグ内にある流体は、前記上層の部分的に圧縮可能な材料に自由に流れこむことができかつ前記上層の部分的に圧縮可能な材料から自由に流れ出ることができる、実施形態50に従う装置。
【0287】
実施形態52 前記長手方向のガス流路は、前記バッグ内のガス圧が660mmHg(絶対圧)以下であるとき維持される、実施形態50または51のいずれか1つに従う装置。
【0288】
実施形態53 前記多層ストリップが、1:2.5~1:20の厚さ対幅の無次元アスペクト比を有する、実施形態50~52のいずれか1つに従う装置。
【0289】
実施形態54 前記長手方向のガス流路は、前記バッグ内のガス圧が560mmHg(絶対圧)であるとき維持される、実施形態50~53のいずれか1つに従う装置。
【0290】
実施形態55 20mmHgゲージ圧の機械的圧力が、外側から前記バッグに(例えば、前記バッグを取り囲む部分的に膨張可能なスリーブによって)加えられ、前記バッグの壁を介して前記多層ストリップの最上層に伝えられるとき、前記長手方向のガス流路は維持される、実施形態50~54のいずれか1つに従う装置。
【0291】
実施形態56 (i)60mmHgゲージ圧の機械的圧力が、前記バッグを取り囲む部分的に膨張可能なスリーブによって外側から前記バッグに加えられ、前記バッグの壁を介して前記多層ストリップの最上層に伝えられるとき、前記長手方向のガス流路は維持される、実施形態50~55のいずれか1つに従う装置。
【0292】
実施形態57 前記多層ストリップのショアA硬度が70以下である、実施形態50~56のいずれか1つに従う装置。
【0293】
実施形態58 前記多層ストリップの前記遠位端は、前記接続部品に流体連通しており、それにより、前記部分的に圧縮可能な材料が、前記接続部品から前記多層ストリップの前記近位端まで前記ガス流路を形成している、実施形態50~57のいずれか1つに従う装置。
【0294】
実施形態59 前記多層ストリップが、少なくとも3:1の長さ対幅の比を有する、実施形態50~58のいずれか1つに従う装置。
【0295】
実施形態60 前記多層ストリップの長さが少なくとも10cmである、実施形態50~59のいずれか1つに従う装置。
【0296】
実施形態61 前記多層ストリップの厚さが5mm以下である、実施形態50~60のいずれか1つに従う装置。
【0297】
実施形態62 前記上層の厚さが3.5mm以下である、実施形態50~61のいずれか1つに従う装置。
【0298】
実施形態63 前記肢体は、手及び足の一方である、実施形態50~62のいずれか1つに従う装置。
【0299】
実施形態64 前記多層ストリップの長さが、前記バッグの長さの少なくとも70%である、実施形態50~63のいずれか1つに従う装置。
【0300】
実施形態65 前記多層ストリップの底面が、しわも折り目もなく平坦に置かれている場合、前記バッグの面積の10%未満の面積を有する、実施形態50~64のいずれか1つに従う装置。
【0301】
実施形態66 (i)前記バッグの前記遠位部は、前記バッグの前記内部空間に対して開放された遠位タブ部を有し、前記遠位タブ部の幅は、前記バッグの前記遠位部の最大幅の25%未満であり、かつ(ii)前記接続部品は、その少なくとも一部が前記遠位タブ部内に取り付けられている、実施形態50~65のいずれか1つに従う装置。
【0302】
実施形態67 前記接続部品は、その全体が前記遠位タブ部内に取り付けられている、実施形態66に従う装置。
【0303】
実施形態68 前記下層が接着剤を含む、実施形態50~67のいずれか1つに従う装置。
【0304】
実施形態69 前記多層ストリップが前記バッグの第1の壁に取り付けられ、かつ前記接続部品が前記バッグの第2の壁に取り付けられている、実施形態50~68のいずれか1つに従う装置。
【0305】
実施形態70 前記バッグを取り囲む部分的に膨張可能なスリーブによって外側から加えられる100mmHgゲージ圧の正圧に前記流路の一部がさらされるとき、前記多層ストリップは、長手方向の流路に沿って流体連通を有効に維持する、実施形態50~69のいずれか1つに従う装置。
【0306】
実施形態71 治療を人の肢体の対象部位に行うに際し圧力調整装置とともに使用する装置であって、前記装置は、
(a)バッグであって、(i)2つの対向するバッグ部分、及び(ii)前記バッグの遠位部にある第1のバッグ部分に取り付けられた接続部品を備える前記バッグと、
(b)前記バッグの前記遠位部から前記バッグの近位部までバッグ部分にそって長手方向に延びるストリップであって、前記接続部品と流体連通し、かつ第1の圧縮されていない厚さを有する前記ストリップと、
(c)前記バッグ内に収まるように寸法設定されており、かつ第2の圧縮されていない厚さを有する多孔性の圧縮可能な部材と、を備え、
前記多孔性の圧縮可能な部材と前記ストリップの近位端とは、並置されたときに、ガス流路構造を形成するように合わされており、
前記多孔性の圧縮可能な部材は、前記構造に配置され前記バッグへの負圧下において前記2つのバッグ部分からの力にさらされると、前記ストリップよりも相対的により圧縮される、前記装置。
【0307】
実施形態72 前記第2の圧縮されていない厚さは、前記第1の圧縮されていない厚さよりも大きい、実施形態71に従う装置。
【0308】
実施形態73 前記第2の圧縮されていない厚さは、前記第1の圧縮されていない厚さの少なくとも2倍である、実施形態71または72のいずれか1つに従う装置。
【0309】
実施形態74 前記バッグ内の前記負圧が100mmHg(660mmHgの絶対圧)であるときに前記力にさらされる場合、前記ストリップは、前記第1の圧縮されていない厚さの少なくとも90%を保持する、実施形態71~73のいずれかに従う装置。
【0310】
実施形態75 前記バッグ内の前記負圧が100mmHg(660mmHgの絶対圧)であるときに前記力にさらされる場合、前記ストリップは、前記第1の圧縮されていない厚さの少なくとも95%を保持する、実施形態71~73のいずれかに従う装置。
【0311】
実施形態76 前記バッグ内の前記負圧が100mmHg(660mmHgの絶対圧)であるときに前記力にさらされる場合、前記多孔性の圧縮可能な部材は、前記第2の圧縮されていない厚さの80%未満を保持する、実施形態71~75のいずれかに従う装置。
【0312】
実施形態77 前記バッグ内の前記負圧が100mmHg(660mmHgの絶対圧)であるときに前記力にさらされる場合、前記多孔性の圧縮可能な部材は、前記第2の圧縮されていない厚さの50%未満を保持する、実施形態71~75のいずれかに従う装置。
【0313】
実施形態78 前記ストリップは、前記バッグと一体的に形成されている、実施形態71~77のいずれか1つに従う装置。
【0314】
実施形態79 前記ストリップは、バッグの内面に取り付けられている、実施形態71~78のいずれか1つに従う装置。
【0315】
実施形態80 前記多孔性の圧縮可能な部材は、前記バッグ内の圧力が上昇すると前記ストリップよりも相対的により多く膨張するよう付勢されている、実施形態71~79のいずれか1つに従う装置。
【0316】
実施形態81 前記ストリップは、その長さに沿って前記バッグの内部空間に対し側方に開放されており、これにより、前記バッグが非排気状態にあるとき、前記バッグ内にあるガスは、前記ストリップに自由に流れこむことができかつ前記ストリップから自由に流れ出ることができる、実施形態71~80のいずれか1つに従う装置。
【0317】
実施形態82 前記ストリップは、前記バッグと一体的に形成されているかまたは前記バッグの内面に取り付けられている、実施形態71~81のいずれか1つに従う装置。
【0318】
実施形態83 前記装置は、第1及び第2の要素を含むキットとして提供され、前記第1の要素は、前記第1の部分が取り付けられたまたは前記第1の部分が一体的に形成された前記バッグを含み、前記第2の要素は前記第2の部分を含む、実施形態71~82のいずれか1つに従う装置。
【0319】
実施形態84 前記多孔性の圧縮可能な部材は、弾性的に圧縮可能な材料を含む、実施形態71~83のいずれか1つに従う装置。
【0320】
実施形態85 前記弾性的に圧縮可能な材料は、連続気泡発泡体を含む、実施形態84に従う装置。
【0321】
実施形態86 治療を人の肢体に行うに際し圧力調整装置とともに使用する装置であって、前記装置は、
a.バッグであって、装着モードにおいて前記バッグの近位部にある開口部を通して前記肢体の少なくとも一部を収容するように形成された前記バッグと、
b.前記バッグの遠位部において前記バッグの壁に取り付けられた接続部品であって、前記調整装置に接続されると、前記圧力調整装置と前記バッグの内部空間との間を通るガスの流れを効果的に可能にする前記接続部品と、
c.前記バッグの内面に設けられたストリップであって、前記バッグ内において前記接続部品と前記バッグの近位部との間に長手方向のガス流路を形成する前記ストリップとを備える、前記装置。
【0322】
実施形態87 前記ストリップは前記バッグと一体的に形成されている、実施形態86に従う装置。
【0323】
実施形態88 前記長手方向のガス流路は、前記接続部品まで延びている、実施形態86または87に従う装置。
【0324】
実施形態89 前記ストリップは、複数の平行な隆起したすじと、隣接するすじの間にある複数の溝とを有する、実施形態86~88のいずれか1つに従う装置。
【0325】
実施形態90 前記複数の溝の少なくとも幾つかについて、1つ以上の溝のそれぞれの幅は、それに隣接するすじのそれぞれの高さ以下である、実施形態89に従う装置。
【0326】
実施形態91 前記ストリップは、複数の隆起した突出部を有する、実施形態86~88のいずれか1つに従う装置。
【0327】
実施形態92 前記複数の隆起した突出部の少なくとも幾つかについて、隣接する隆起した突出部の間の間隔は、前記隣接する突出部のそれぞれの高さよりも小さい、実施形態91に従う装置。
【0328】
実施形態93 前記ストリップは、前記バッグの遠位部から前記バッグの近位部までその長さに沿って前記バッグの内部空間に対し側方に開放されており、これにより、前記バッグが非排気状態にあるとき、前記バッグ内にある流体は、前記ストリップに自由に流れこむことができ、かつ前記ストリップから自由に流れ出ることができる、実施形態86~92に従う装置。
【0329】
実施形態94 前記長手方向のガス流路は、前記バッグ内のガス圧が660mmHg(絶対圧)以下であるとき維持される、実施形態86~93のいずれか1つに従う装置。
【0330】
実施形態95 前記ストリップが、1:2.5~1:20の厚さ対幅の無次元アスペクト比を有する、実施形態86~94のいずれか1つに従う装置。
【0331】
実施形態96 前記長手方向のガス流路は、前記バッグ内のガス圧が560mmHg(絶対圧)であるとき維持される、実施形態86~95のいずれか1つに従う装置。
【0332】
実施形態97 20mmHgゲージ圧の機械的圧力が、前記バッグを取り囲む部分的に膨張可能なスリーブによって外側から前記バッグに加えられ、前記バッグの壁を介して前記ストリップの上部に伝えられるとき、前記長手方向のガス流路は維持される、実施形態86~96のいずれか1つに従う装置。
【0333】
実施形態98 60mmHgゲージ圧の機械的圧力が、前記バッグを取り囲む部分的に膨張可能なスリーブによって外側から前記バッグに加えられ、前記バッグの壁を介して前記ストリップの上部に伝えられるとき、前記長手方向のガス流路は維持される、実施形態86~97のいずれか1つに従う装置。
【0334】
実施形態99 前記ストリップのショアA硬度が70以下である、実施形態86~98のいずれか1つに従う装置。
【0335】
実施形態100 前記ストリップが、少なくとも3:1の長さ対幅の比を有する、実施形態86~94のいずれか1つに従う装置。
【0336】
実施形態101 前記ストリップの長さが少なくとも10cmである、実施形態86~100のいずれか1つに従う装置。
【0337】
実施形態102 前記ストリップの厚さが7mm以下である、実施形態86~101のいずれか1つに従う装置。
【0338】
実施形態102A 前記ストリップの前記厚さが5mm以下である、実施形態105に従う装置。
【0339】
実施形態102B 前記ストリップの前記厚さが4mm以下である、実施形態105に従う装置。
【0340】
実施形態102C 前記ストリップの前記厚さが3mm以下である、実施形態105に従う装置。
【0341】
実施形態103 前記ストリップの長さが、前記バッグの長さの少なくとも70%である、実施形態86~102のいずれか1つに従う装置。
【0342】
実施形態104 前記ストリップの底面が、しわも折り目もなく平坦に置かれている場合、前記バッグの面積の10%未満の面積を有する、実施形態86~103のいずれか1つに従う装置。
【0343】
実施形態105 (i)前記バッグの前記遠位部は、前記バッグの前記内部空間に対して開放された遠位タブ部を有し、前記遠位タブ部の幅は、前記バッグの前記遠位部の最大幅の25%未満であり、かつ(ii)前記接続部品は、その少なくとも一部が前記遠位タブ部内に取り付けられている、実施形態86~104のいずれか1つに従う装置。
【0344】
実施形態106 前記接続部品は、その全体が前記遠位タブ部内に取り付けられている、実施形態105に従う装置。
【0345】
実施形態107 前記ストリップ及び前記バッグは、同じ材料から形成されている、実施形態86~106のいずれか1つに従う装置。
【0346】
実施形態108 前記ストリップが前記バッグの第1の壁に形成されており、かつ前記接続部品が前記バッグの第2の壁に取り付けられている、実施形態86~107のいずれか1つに従う装置。
【0347】
実施形態109 前記バッグを取り囲む部分的に膨張可能なスリーブによって外側から加えられる100mmHgゲージ圧の正圧に前記流路の一部がさらされるとき、前記ストリップは、長手方向の流路に沿って流体連通を有効に維持する、実施形態86~108のいずれか1つに従う装置。
【0348】
実施形態110 前記ストリップの厚さが少なくとも1.0mmである、実施形態86から109のいずれか1つに従う装置。
【0349】
実施形態111 前記ストリップの前記厚さが少なくとも2.0mmである、実施形態110に従う装置。
【0350】
本明細書及び以下の特許請求の範囲で使用される「大気圧」という用語は760mmHg(絶対圧)を指す。
【0351】
本発明を説明するにあたり、その実施形態を詳細に説明してきたが、説明した実施形態は例示であり本発明の範囲を限定するものではない。説明した実施形態は種々の特徴を含んでいるが、それらのすべてが本発明のすべての実施形態において必要とされるわけではない。本発明のある実施形態は、記載された特徴のいくつかのみを利用するか、または記載された特徴の可能な組み合わせを利用するものである。記載された本発明の実施形態の変更や実施形態に示された特徴の異なる組み合わせを含む本発明の実施形態は、当業者によって当然に想到されるものである。
【国際調査報告】