(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-02
(54)【発明の名称】ナトリウムチャネル1.6を標的とする組成物
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20240424BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20240424BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
A61K31/7088
A61P25/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569684
(86)(22)【出願日】2022-05-10
(85)【翻訳文提出日】2024-01-04
(86)【国際出願番号】 US2022028450
(87)【国際公開番号】W WO2022240795
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516056971
【氏名又は名称】キュー-ステート バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Q-State Biosciences, Inc.
【住所又は居所原語表記】179 Sidney Street, Cambridge, Massachusetts 02139 United States
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】アンブローシ, クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ, ルイス
(72)【発明者】
【氏名】リワーク, ケイトリン
(72)【発明者】
【氏名】ガーバー, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】マクマナス, オーウェン
(72)【発明者】
【氏名】アグラワル, スディール
(72)【発明者】
【氏名】デンプシー, グラハム ティー.
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA65
4C086NA14
4C086ZA06
(57)【要約】
本発明は、NavチャネルmRNA上の同定された標的に対して相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含む治療的組成物を提供する。ASOは、その標的RNAにハイブリダイズし、RNase Hを動員する二重鎖を形成してRNAを分解し、それにより、Navチャネル合成を下方調節し、これが、ある特定の状態、例えば、てんかんおよび痛覚に寄与するニューロンの能力を阻害する。ASOは、特異的な同定された標的のうちの1つに結合し、改変RNAウイングが隣接する中心DNAセグメントを含むギャップマーとして提供され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1~156のうちの1つに対して少なくとも約75%相補的なRNAのセグメントに沿って、ナトリウムチャネルタンパク質をコードするRNAにハイブリダイズし、それにより、前記ナトリウムチャネルタンパク質への前記RNAの翻訳を防止するオリゴヌクレオチドを含む組成物。
【請求項2】
前記オリゴヌクレオチドが、Nav1.6 pre-mRNAまたはmRNAにハイブリダイズし、かつ発現をノックダウンする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記オリゴヌクレオチド中の塩基の配列が、配列番号1~156のうちの1つに対して少なくとも約80%の同一性を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記オリゴヌクレオチド中の塩基の配列が、配列番号1~156のうちの1つに対して少なくとも約95%同一であり、前記オリゴヌクレオチドが、Nav1.6 pre-mRNAまたはmRNAにハイブリダイズし、かつRNase切断を誘導できる、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、配列番号1~156のうちの1つに対して少なくとも約80%同一な塩基配列を各々が有する複数の治療的オリゴヌクレオチドを含み、前記治療的オリゴヌクレオチドの各々が、改変RNAウイングが隣接する中心DNAセグメントを含むギャップマー構造を有し、前記複数の治療的オリゴヌクレオチドが、くも膜下腔内注射のために製剤化された溶液または担体中で提供される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記オリゴヌクレオチドが、少なくとも約9個のDNA塩基の中心領域に隣接する2つのウイングを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記オリゴヌクレオチドの少なくとも一方の末端が、改変RNA塩基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
各改変RNA塩基が、2’-O-メトキシエチルRNAおよび2’-O-メチルRNAからなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記オリゴヌクレオチドが、少なくとも約15塩基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記オリゴヌクレオチドが、約15と約25との間の数の塩基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記オリゴヌクレオチドが、複数のホスホロチオエート結合を含む骨格を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記オリゴヌクレオチドが、スクリーニングされ、ヒトにおけるいずれの非標的転写物についても閾値マッチを満たさないことが決定された塩基配列を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、配列番号1~156のうちの1つに対して少なくとも約95%同一な塩基配列を有する治療的オリゴヌクレオチドの複数のコピーを含み、前記治療的オリゴヌクレオチドが、4つの2’-O-メトキシエチルRNA塩基の2つのウイングが隣接する中心の12塩基のDNAセグメントとホスホロチオエート連結の骨格とを含むギャップマー構造を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が細胞にin vitroで送達される場合、前記細胞が、Nav1.6の用量依存的ノックダウンを示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記オリゴヌクレオチドが、配列番号1~156のうちの1つに対して少なくとも約90%のマッチを有する塩基配列を有し、塩基が、ホスホロチオエート連結のみによって連結され、前記オリゴヌクレオチドが、5’ウイングおよび3’ウイングが隣接する中心の12個のDNA塩基をさらに含み、前記5’ウイングおよび前記3’ウイングが各々、4つの連続する2’改変RNA塩基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記オリゴヌクレオチドが、配列番号16、41、44、45、100、117、124、125、126、128、129、130、133、134、135、138、139、142、143および144のうちの1つに対して少なくとも約90%のマッチを有する塩基配列を有する、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記オリゴヌクレオチドが、配列番号1~156のうちの1つとマッチする塩基配列を有し、塩基間連結の大多数が、ホスホロチオエート連結を含み、前記オリゴヌクレオチドが、5’ウイングおよび3’ウイングが隣接する中心の12個のDNA塩基をさらに含み、前記5’ウイングおよび前記3’ウイングが各々、4つの連続する2’-MOE RNA塩基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記オリゴヌクレオチドが、配列番号16、41、44、45、100、117、124、125、126、128、129、130、133、134、135、138、139、142、143および144のうちの1つにマッチする塩基配列を有する、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記オリゴヌクレオチドが、SCN8A転写物の最初の3700塩基内の位置にハイブリダイズする、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記オリゴヌクレオチドが、配列番号16;配列番号41;配列番号44;配列番号45;配列番号117;配列番号124;配列番号126;配列番号129;配列番号133;配列番号135;配列番号138;配列番号139;配列番号142;配列番号143;または配列番号144からなる群から選択される1つの配列を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
さらに、前記オリゴヌクレオチドが、2つの2’-MOE RNAウイングが隣接する12塩基のDNAの中心セグメントを有するギャップマーであり、各ウイングが、1、2または3つのホスホジエステル連結を有し、残りの塩基間連結がホスホロチオエートであり、全てのシトシン塩基が5-メチル改変を有する、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記オリゴヌクレオチドが、未処置の対照と比較して約50~90%の量まで、SCN8A転写物の発現をノックダウンする、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
さらに、前記オリゴヌクレオチドが、以下:
2’-MOE RNAウイングが隣接する12塩基のDNAの中心セグメントを有するギャップマーでの配列番号135であって、2番目、3番目および18番目の塩基間連結がホスホジエステルであり、残りの塩基間連結がホスホロチオエートであり、全てのシトシン塩基が5-メチル改変を有する、配列番号135;
2’-MOE RNAウイングが隣接する12塩基のDNAの中心セグメントを有するギャップマーでの配列番号135であって、2番目、3番目、4番目および18番目の塩基間連結がホスホジエステルであり、残りの塩基間連結がホスホロチオエートであり、全てのシトシン塩基が5-メチル改変を有する、配列番号135;
2’-MOE RNAウイングが隣接する12塩基のDNAの中心セグメントを有するギャップマーでの配列番号144であって、2番目、3番目および18番目の塩基間連結がホスホジエステルであり、残りの塩基間連結がホスホロチオエートであり、全てのシトシン塩基が5-メチル改変を有する、配列番号144;ならびに
2’-MOE RNAウイングが隣接する12塩基のDNAの中心セグメントを有するギャップマーでの配列番号144であって、2番目、3番目、4番目および18番目の塩基間連結がホスホジエステルであり、残りの塩基間連結がホスホロチオエートであり、全てのシトシン塩基が5-メチル改変を有する、配列番号144
からなる群から選択される1つである、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
前記オリゴヌクレオチドが、約1000nMの濃度で細胞に送達される場合、対照と比較して約50~70%の量まで、SCN8A転写物の発現をノックダウンする、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
てんかんを有する対象に、請求項1から24のいずれか一項に記載の組成物を投与するステップを含み、それにより、SCN8A遺伝子の発現をノックダウンする、方法。
【請求項26】
前記てんかんが、ドラベ症候群、DEE13、または過剰なE/Iバランスの発症機構が関与するてんかんを含む、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、電位依存性ナトリウムチャネル1.6の活性を阻害する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
ナトリウムチャネルは、細胞の形質膜を横断してナトリウムイオン(Na+)を通過させるチャネルとして機能する膜タンパク質である。ナトリウムチャネルは、リガンド依存性または電位依存性であり得、Na+のための電位依存性チャネルは、NaVチャネルと呼ばれる。ニューロンおよび心筋細胞などの細胞では、NaVチャネルは、活動電位の上昇相を担う。NaVチャネルは、タンパク質の構造的コンフォメーションによって識別される3つの状態を有する:休止、活性および不活性。
【0003】
心活性、脳機能および身体感覚は、その機能がナトリウムチャネルに依存する心筋細胞およびニューロンを必要とするので、ナトリウムチャネルは、心不整脈、神経学的状態および疼痛の処置のための標的とみなされてきた。一例では、プロカインアミドが、心房細動および複合頻脈を処置するために使用されてきた。別の例では、小分子フナピド(Funapide)が、鎮痛薬として開発中である。抗痙攣薬フェニトインおよびカルバマゼピンは、てんかんを処置するために使用され、ナトリウムチャネルブロッカーとして機能すると理解されている。ナトリウムチャネルブロッカーについての報告された潜在的治療標的のリストは、慢性疼痛、片頭痛、てんかん、心血管疾患、精神障害およびさらにはがんを含む。参照により組み込まれるLi, 2019, Voltage-gated sodium channels and blockers: an overview and where will they go?, Curr Med Sci 39(6):867-873を参照されたい。残念ながら、小分子ナトリウムチャネルブロッカーの有用性は、状態依存性、結合動力学、および標的へのアクセスによって制限され得、これは、薬物が、特定のコンフォメーション状態にある標的タンパク質を見出し、それと相互作用することを要求する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Li, 2019, Voltage-gated sodium channels and blockers: an overview and where will they go?, Curr Med Sci 39(6):867-873
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
要旨
本発明は、Nav1.6タンパク質の発現を阻害またはノックダウンする組成物を提供する。本発明の組成物は、ナトリウムチャネル機能が関与する状態、例えば、一部の実施形態では発達性てんかん性脳症13(DEE13)が含まれる、てんかん、心血管疾患、疼痛または精神障害を処置または診断するために潜在的に有用である。本発明の組成物は、予防的処置としても有用である。ヒトでは、電位依存性ナトリウムチャネルの9つのファミリー、すなわち、Nav1.1~Nav1.9が存在する。これら9つのタンパク質のうち、SCN8A遺伝子(12q13、13)によってコードされるNav1.6は、活動電位の開始を調節し、神経伝導に関与する。Nav1.6は、脳において豊富に発現され、神経機能にとって重要である。本開示の組成物は、神経活動およびナトリウムチャネル機能が役割を果たす状態の処置のために、Nav1.6の発現をノックダウンするために使用され得る。特に、本開示の組成物は、てんかん、疼痛、またはニューロン興奮性亢進が関与する状態などの状態のための治療的処置として利益を見出し得る。
【0006】
一部の実施形態では、本開示の組成物は、状態非依存的な抗てんかん薬物または抗痙攣薬として有用であり得る。エクソーム配列決定は、SCN8Aとてんかんとの間の関連性を示している。SCN8Aにおける変異は、てんかんおよび関連するてんかん発作を引き起こし得ると考えられる。具体的には、機能獲得型SCN8A変異は、興奮性亢進および損なわれたチャネル不活性化を引き起こし得る。実際、てんかん発作は、ナトリウムチャネルを遮断することによって機能する小分子抗てんかん薬物で処置される。共に参照により組み込まれる、Zaman, 2019, A single-center SCN8A-related epilepsy cohort: clinical, genetic, and physiologic characterization, Ann Clin Trans Neurol 6(8): 1445-1455およびBoerma, 2016, Remarkable phenytoin sensitivity in 4 children with SCN8A-related epilepsy: a molecular neuropharmacological approach, Neurotherapeutics 13(1): 192-197を参照されたい。本開示の組成物は、てんかん発作の処置のための場合を含め、例えばてんかんの処置のために、Nav1.6の発現を状態非依存的な様式でノックダウンするために使用され得る。かかるアプローチは、SCN8A遺伝子における変異から生じる発達性てんかん性脳症DEE13を処置するために使用され得る。かかるアプローチは、ドラベ症候群、および過剰な興奮および阻害(E/I)バランスの機構から生じる形態が含まれるがこれに限定されない他の形態のてんかんを処置するためにも適用可能である。
【0007】
ある特定の実施形態では、本開示の組成物は、例えば、慢性疼痛状態、例えば、がん疼痛または関節炎が含まれる疼痛の処置のための鎮痛薬として有用であり得る。組成物は、神経活動に関与するタンパク質の合成を防止する短い核酸またはオリゴヌクレオチドを含む。例えば、一部のニューロンは、「疼痛感知」神経、すなわち、侵害受容器として動作する。これらの疼痛感知ニューロンは、電位依存性ナトリウムチャネルとして機能するタンパク質を有する。神経終末の刺激が閾値電位(V)を超える場合、侵害受容器ニューロンは、ナトリウムイオン(Na+)が細胞膜を横断するように導き、これにより、再生的なやり方でニューロンを脱分化させることができ、疼痛の感覚の根底にある伝播性の電気シグナルの「発火」をもたらす。本開示の組成物は、疼痛の処置のために、Nav1.6の発現を状態非依存的な様式でノックダウンするために使用され得る。
【0008】
本発明は、Nav1.6タンパク質の発現を阻害またはノックダウンする組成物を提供する。本発明の組成物は、Nav1.6ナトリウムチャネルタンパク質を作製する際に使用されるメッセンジャーRNA(mRNA)または前駆体mRNA(pre-mRNA)に結合するオリゴヌクレオチドを含む。本発明は、これらのRNA内の多数の特異的な検証された標的の同定を含む。オリゴヌクレオチドは、標的に対して実質的にまたは完全にアンチセンスであり、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)と記載される。オリゴヌクレオチドは、これらのタンパク質が作製されるのを防止し、これらのナトリウムチャネルを発現する細胞の感度または活動を減少させる。Nav1.6発現は、これらの細胞においてノックダウンされるので、これらの細胞は、慢性疼痛、片頭痛、てんかん、心血管疾患、またはある特定の精神障害などの状態に寄与しない。したがって、本開示の組成物は、有用性が結合動力学もしくはコンフォメーション状態依存性、または標的イオンチャネルへのアクセスによって制限され得る小分子チャネルブロッカーの制限に対する代替法を提供する、種々の状態に対する状態非依存的な治療的処置を提供する。
【0009】
本開示によって記載されるオリゴヌクレオチドは、Nav1.6タンパク質の合成において使用されるRNA中のある特定の標的にハイブリダイズするように設計される。オリゴヌクレオチドの結合は、タンパク質合成を防止し、NaVチャネルの発現を下方調節する。具体的には、オリゴヌクレオチドは、NaVチャネル前駆体mRNA(pre-mRNA)またはmRNA上の同定された標的のうちの1つに対して実質的にまたは完全に相補的な配列を有する。すなわち、オリゴヌクレオチドは、同定された標的に対してアンチセンスである。アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)がその標的RNAにハイブリダイズする場合、それらは、二本鎖二重鎖(double-stranded duplex)の部分を分解する酵素(RNase H)を動員する二本鎖ASO:RNA二重鎖を形成する。ASO:RNA二重鎖を分解することは、NaVチャネルmRNAを細胞(例えば、ニューロン)から枯渇させ、これが、細胞によって合成されるNaVチャネルの量を減少させる。NaVチャネル発現を下方調節することは、てんかん活性または疼痛の感覚に寄与するニューロンの能力を妨害する。したがって、Nav1.6 pre-mRNAまたはmRNA中の同定された標的に対してアンチセンスであるオリゴヌクレオチドを含む組成物が患者に投与される場合、その患者は、てんかん発作または疼痛の経験の減退したリスクを有し得る。
【0010】
一部の実施形態について、本発明は、本開示のASOで有益に標的とするためのホットスポットとして本明細書で同定された転写物の領域を標的とする。SCN8A転写物の最初の約3700塩基内の標的を標的とするある特定のASOが、所望の量だけのノックダウンにおいて高度に有効であることを示す実験データが、本明細書で示された結果から現れた。本明細書で開示されるいくつかのASOは、その3700塩基領域に対して特異的であり、データは、これらのASOが良好な結果を予期せぬことに生じることを示している。
【0011】
本発明の別の洞察は、ある特定のASOが、SCN8Aを、100%ではない有益な量だけノックダウンするということである。いずれの作用機構によっても束縛されないが、完全なノックダウン(またはノックアウト)は有害であるが、100%のノックダウン、すなわち、0%の相対的な正規化された発現に達しない飽和プロファイルまたはプラトーに達するASOを使用することによって有益な効果がもたらされ得ると理論化され得る。実際、本開示のある特定のASOは、それらの配列の結果としてその利益を提供し、これは、厳密には用量依存的効果ではない。用量濃度が増加するにつれ、これらのASOは、100未満のいくらかの%のノックダウンにおいてプラトーに達する。本明細書で開示されるある特定の実施形態は、高い濃度または用量においてさえ、SCN8Aの発現を、約50%と80%との間の量、例えば、約60%ノックダウンする。
【0012】
ある特定の態様では、本開示は、配列番号1~156のうちの1つに対して少なくとも75%相補的なそのRNAのセグメントに沿って、ナトリウムチャネルタンパク質をコードするpre-mRNAまたはmRNAにハイブリダイズし、それにより、ナトリウムチャネルタンパク質へのRNAの翻訳を防止するオリゴヌクレオチドを含む組成物を提供する。オリゴヌクレオチドは、Nav1.6 pre-mRNAまたはmRNAにハイブリダイズし得、その発現をノックダウンし得る。好ましくは、オリゴヌクレオチド中の塩基の配列は、配列番号1~144のうちの1つに対して少なくとも80%の同一性を有する。例えば、オリゴヌクレオチド中の塩基の配列は、配列番号1~144のうちの1つに対して少なくとも90%または95%同一であり得、オリゴヌクレオチドは、Nav1.6 pre-mRNAまたはmRNAのいずれかにハイブリダイズし得、そのRNase H切断を誘導し得る。組成物は、配列番号1~156のうちの1つに対して少なくとも80、90、95または100%同一な塩基配列を各々が有する複数の治療的オリゴヌクレオチドを含み得る。ある特定の好ましいASOには、ヒトSCN8A遺伝子のエクソン内の標的に対して相補的な11個、およびヒトSCN8A遺伝子のイントロン内の標的に対して相補的な5つが含まれる。ヒトSCN8A遺伝子のエクソン内の標的に対して相補的な11個の好ましいASOには、以下の参照番号によって言及されるASOが含まれる:14-016(配列番号16);14-041(配列番号41);14-044(配列番号44);14-045(配列番号45);14-100(配列番号100)、14-117(配列番号117)、14-124(配列番号124)、14-125(配列番号125)、14-126(配列番号126)、14-128(配列番号128)、14-129(配列番号129)、14-130(配列番号130)、14-133(配列番号133)、14-134(配列番号134)、14-135(配列番号135)、14-138(配列番号138)、14-139(配列番号139)、14-142(配列番号142)、14-143配列番号143)および14-144(配列番号144)。ある特定の最も好ましい実施形態は、配列番号016、041、044、045、117、124、135または144を含み得る。
【0013】
ヒトSCN8A遺伝子のイントロン内の標的に対して相補的な5つの好ましいASOには、以下の参照番号によって言及されるASOが含まれる:14-100(配列番号100);14-101(配列番号101);14-102(配列番号102);14-103(配列番号103);および14-104(配列番号104)。
【0014】
一部の実施形態は、例えば、以下のうちの1つなどの、SCN8A転写物の最初の3700塩基の領域を標的とするASOを含む:ASO14-001(配列番号1);14-002(配列番号2);14-003(配列番号3);14-004(配列番号4);14-005(配列番号5);14-006(配列番号6);14-007(配列番号7);14-008(配列番号8);14-009(配列番号9);14-010(配列番号10);14-011(配列番号11);14-012(配列番号12);14-013.(配列番号13);14-014(配列番号14);14-015(配列番号15);14-016(配列番号16);14-041(配列番号41);14-042(配列番号42);14-043(配列番号43);14-044(配列番号44);14-045(配列番号45);14-046(配列番号46);14-047(配列番号47);14-048(配列番号48);14-049(配列番号49);14-050(配列番号50);14-051(配列番号51);14-115(配列番号115);14-116(配列番号116);14-117(配列番号117);14-118(配列番号118);14-119(配列番号119);14-120(配列番号120);14-121(配列番号121);14-122(配列番号122);14-123(配列番号123);14-124(配列番号124);14-125(配列番号125);14-126(配列番号126);14-127(配列番号127);14-128(配列番号128);14-129(配列番号129);14-130(配列番号130);14-131(配列番号131);14-132(配列番号132);14-133(配列番号133);14-134(配列番号134);14-135(配列番号135);14-136(配列番号136);14-137(配列番号137);14-138(配列番号138);14-139(配列番号139);14-140(配列番号140);14-141(配列番号141);14-142(配列番号142);14-143(配列番号143);14-144(配列番号144);14-145(配列番号145);14-146(配列番号146);14-147(配列番号16);14-148(配列番号16);14-149(配列番号41);14-150(配列番号41);14-151(配列番号44);14-152(配列番号44);14-153(配列番号45);14-154(配列番号45);14-155(配列番号117);14-156(配列番号117);14-157(配列番号124);14-158(配列番号124);14-159(配列番号126);14-160(配列番号126);14-161(配列番号129);14-162(配列番号129);14-163(配列番号133);14-164(配列番号133);14-165(配列番号135);14-166(配列番号135);14-167(配列番号138);14-168(配列番号138);14-169(配列番号139);14-170(配列番号139);14-171(配列番号142);14-172(配列番号142);14-173(配列番号143);14-174(配列番号143);14-175(配列番号144);または14-176(配列番号144)。特定の実施形態は、以下のうちの1つを使用し得る:ASO14-147(配列番号16);14-148(配列番号16);14-149(配列番号41);14-150(配列番号41);14-151(配列番号44);14-152(配列番号44);14-153(配列番号45);14-154(配列番号45);14-155(配列番号117);14-156(配列番号117);14-157(配列番号124);14-158(配列番号124);14-159(配列番号126);14-160(配列番号126);14-161(配列番号129);14-162(配列番号129);14-163(配列番号133);14-164(配列番号133);14-165(配列番号135);14-166(配列番号135);14-167(配列番号138);14-168(配列番号138);14-169(配列番号139);14-170(配列番号139);14-171(配列番号142);14-172(配列番号142);14-173(配列番号143);14-174(配列番号143);14-175(配列番号144);または14-176(配列番号144)。
【0015】
ある特定の好ましい実施形態は、用量が増加するにつれ、SCN8Aノックダウンが、100%よりも下でプラトーに達するASOを使用し得る。これらの実施形態は、ASO 14-135、14-165、14-166、14-144、14-175および14-175のうちの1つを使用し得、これらは、100%のノックダウンに達することはなく、その代わり、高い用量濃度においてさえ約70%と80%との間でプラトーに達することが本明細書で示されており、これは所望されることである。
【0016】
ある特定の実施形態は、配列番号16;配列番号41;配列番号44;配列番号45;配列番号117;配列番号124;配列番号126;配列番号129;配列番号133;配列番号135;配列番号138;配列番号139;配列番号142;配列番号143;または配列番号144のうちの少なくとも1つによって与えられる配列を有するギャップマーASOを使用し、ギャップマーは、2’-MOE RNAウイングが隣接する12塩基のDNAの中心セグメントを有し、各ウイングは、1つまたは2つのホスホジエステル連結を有し、残りの塩基間連結はホスホロチオエートであり、全てのシトシン塩基は、5-メチル改変を有する。ある特定の最も好ましい実施形態(未処置に対して正規化して約50%と90%との間の発現に達するノックダウンプラトーのため)は、14-165、14-166、14-175または14-176を使用する。本明細書で、14-165は、2’-MOE RNAウイングが隣接する12塩基のDNAの中心セグメントを有するギャップマーでの配列番号135であって、2番目、3番目および18番目の塩基間連結がホスホジエステルであり、残りの塩基間連結がホスホロチオエートであり、全てのシトシン塩基が5-メチル改変を有する、配列番号135である。14-166は、2’-MOE RNAウイングが隣接する12塩基のDNAの中心セグメントを有するギャップマーでの配列番号135であって、2番目、3番目、4番目および18番目の塩基間連結がホスホジエステルであり、残りの塩基間連結がホスホロチオエートであり、全てのシトシン塩基が5-メチル改変を有する、配列番号135である。14-175は、2’-MOE RNAウイングが隣接する12塩基のDNAの中心セグメントを有するギャップマーでの配列番号144であって、2番目、3番目および18番目の塩基間連結がホスホジエステルであり、残りの塩基間連結がホスホロチオエートであり、全てのシトシン塩基が5-メチル改変を有する、配列番号144である。14-176は、2’-MOE RNAウイングが隣接する12塩基のDNAの中心セグメントを有するギャップマーでの配列番号144であって、2番目、3番目、4番目および18番目の塩基間連結がホスホジエステルであり、残りの塩基間連結がホスホロチオエートであり、全てのシトシン塩基が5-メチル改変を有する、配列番号144である。
【0017】
本開示の治療的オリゴヌクレオチドは、改変RNAウイングが隣接する中心DNAセグメントを含むギャップマー構造を有し得る。かかる治療的オリゴヌクレオチドは、DNA塩基(例えば、約8~14個、例えば、12個のDNA塩基)の中心領域に隣接する2つのウイングを含み得る。好ましくは、オリゴヌクレオチドの少なくとも一方の末端は、改変RNA塩基、例えば、任意の数または任意の組合せの2’-O-メトキシエチルRNA(「2’-MOE」)および/または2’-O-メチルRNA(「2’-O-Me」)を含む。塩基は改変され得る。例えば、あるパーセンテージまたは全てのシトシンは、5’RNAウイング、中心DNA領域、3’RNAウイング、または3つ全て中でメチル化され得る(例えば、5-メチルシトシン)。
【0018】
治療的オリゴヌクレオチドは、注射などによる送達のために製剤化された溶液または担体中で提供され得る。オリゴヌクレオチドは、任意の適切な長さ、例えば、少なくとも約15塩基、好ましくは、約15塩基と25塩基との間のものであり得る。オリゴヌクレオチドは、骨格中にホスホロチオエート結合を有し得る。好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドは、スクリーニングされ、ヒトにおけるいずれの長い非コードRNAまたは他のオフターゲット配列もしくは転写物についても閾値マッチを満たさないことが決定された塩基配列を有する。オリゴヌクレオチドは、非ヒト霊長類ゲノム中の相同なセグメントに対して0個のミスマッチを有し、げっ歯類ゲノム中の相同なセグメントにおいて約5つ以下のミスマッチを有する塩基配列を有し得る。
【0019】
組成物がSK-N-AS神経芽細胞腫細胞にin vitroで送達される場合、細胞は、Nav1.6の用量依存的ノックダウンを示す。オリゴヌクレオチドは、配列番号1~156のうちの1つに対して少なくとも90%のマッチを有する(好ましくは、14-016(配列番号16)、14-041(配列番号41)、14-044(配列番号44)、14-045(配列番号450、14-100(配列番号100)、14-117(配列番号117)、14-124(配列番号124)、14-125(配列番号125)、14-126(配列番号126)、14-128(配列番号128)、14-129(配列番号129)、14-130(配列番号130)、14-133(配列番号133)、14-134(配列番号134)、14-135(配列番号135)、14-138(配列番号138)、14-139(配列番号139)、14-142(配列番号142)、14-143配列番号143)、および14-144(配列番号144)のうちの1つに対して少なくとも90%のマッチを有する)塩基配列を有し、塩基がホスホロチオエート連結によって連結される、ギャップマーであり得る。連結は、全てホスホロチオエートであり得るか、またはホスホロチオエート結合とホスホジエステル結合との混合物であり得る。オリゴヌクレオチドは、5’ウイングおよび3’ウイングが隣接する約8個と約14個との間のDNA塩基の中心領域をさらに有し得、5’ウイングおよび3’ウイングは各々、いくつかの、例えば、少数の連続する2’改変RNA塩基を含む。好ましくは、オリゴヌクレオチドは、配列番号1~156のうちの1つにマッチする塩基配列を有し、塩基は、ホスホロチオエート連結によって連結され、構造は、5’ウイングおよび3’ウイングが隣接する中心DNA塩基を有する。ウイング中のRNA塩基の数および中心セグメント中のDNA塩基の数は、4-12-4、5-10-5、5-9-5、4-11-4、または類似の適切なパターンであり得る。5’ウイングおよび3’ウイングは各々、数個の2’-MOE RNA塩基を含み得る。例えば、オリゴヌクレオチドは、中心DNAセグメントの至る所でのホスホロチオエート連結、およびウイング中のホスホロチオエート結合とホスホジエステル結合との混合物を伴って、中心の12個のDNA塩基と共に、各ウイング中の4つの連続する2’-MOE RNA塩基を有し得る(「4-12-4」構造)。
【0020】
組合せ実施形態では、本発明は、適切な製剤または担体中に、上の記載に各々が従う複数の別個の治療的ギャップマーの複数のコピーを含む組成物を提供する。
【0021】
一部の態様では、本開示は、てんかんを処置する方法を提供する。この方法は、てんかんを有する対象に、本明細書に記載される組成物を投与するステップを含み、それにより、SCN8A遺伝子の発現をノックダウンする。処置されているてんかんは、DEE13、ドラベ症候群、または過剰なE/Iバランスの発症機構が関与する任意のてんかんであり得る。
【0022】
本開示の態様は、患者におけるてんかんまたは疼痛などの状態を処置するための医薬の製造のためのアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)の使用を提供する。使用において、ASOは、配列番号1~156のうちの1つに対して少なくとも約75%の同一性、より好ましくは、少なくとも90%の同一性、例えば、95%または100%の同一性を有する。好ましい実施形態は、約15塩基長と25塩基長との間、好ましくは、約18塩基長と22塩基長との間、または約19塩基長と21塩基長との間(端の値を含む)であるASOを使用する。一般に、「1つの(an)ASO」に対する言及は、実質的に同一な分子の多数のコピーを含む。したがって、「1つの(an)ASO」は、任意の数、例えば、数十万または数百万のコピーの示されたASOであり得る。好ましい実施形態では、ASOは、20塩基長であり、配列番号1~156のうちの1つの配列を有し、状態の処置のための医薬の製造において使用される。ASOは、任意の適切な形式で、例えば、微小遠心管または試験管などの管中で凍結乾燥されてまたは管中の溶液中などで、提供され得る。使用の好ましい実施形態は、Nav1.6を標的とする。1つまたは複数の(例えば、2つ、3つ、4つもしくは5つまたはそれよりも多くの)ASOは、医薬の製造において使用され得る。1つまたは複数のASOは、Nav1.6 pre-mRNAまたはmRNA中の標的にハイブリダイズし得る。使用のある特定の実施形態では、ASO中の塩基の配列は、配列番号1~156のうちの1つに対して少なくとも90%同一である。ある特定の好ましい実施形態では、ASO中の塩基の配列は、14-016(配列番号16)、14-041(配列番号41)、14-044(配列番号44)、14-045(配列番号450、14-100(配列番号100)、14-117(配列番号117)、14-124(配列番号124)、14-125(配列番号125)、14-126(配列番号126)、14-128(配列番号128)、14-129(配列番号129)、14-130(配列番号130)、14-133(配列番号133)、14-134(配列番号134)、14-135(配列番号135)、14-138(配列番号138)、14-139(配列番号139)、14-142(配列番号142)、14-143配列番号143)、および14-144(配列番号144)のうちの1つに対して少なくとも約95%同一である、またはそれと好ましくはマッチする。使用の実施形態では、ASOは、RNAウイングが隣接する中心DNAセグメントを有するギャップマー構造、例えば、中心領域の両方の側の4つの改変RNA塩基を伴う12個のDNA塩基の中心領域を有し得る。各改変RNA塩基は、2’-MOEであり得る。好ましくは、ASOの骨格は、複数のホスホロチオエート結合を有し、例えば、数個の、多くの、大部分の、または全ての糖連結は、使用実施形態において、ホスホロチオエートであり得る(ホスホジエステルとバランスをとる)。医薬は、注射、注入またはポンプによる導入に適切な製剤への混合に適切な形態でASOを含み得る。例えば、ASO(数千もしくは数百万またはそれよりも多くのコピーの1つのASO)は、管中で凍結乾燥され得る、または既知のモル濃度もしくは濃度で溶液中にあり得る。ASOは、担体、例えば、溶媒および/または賦形剤がASOを含む薬学的に許容される組成物中に溶解または希釈され得、IVバッグ、シリンジまたはポンプ中に充填され得る。医薬は、1つよりも多くのASO、例えば、2つ、3つ、4つもしくは5つまたはそれよりも多くのASOの任意の組合せを使用して作製され得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、てんかんを処置するための組成物を示す。
【
図2】
図2は、ギャップマー構造を有するオリゴヌクレオチドを示す。
【
図3】
図3は、2’-O-メトキシエチル(MOE)改変リボース糖を示す。
【
図4】
図4は、DNAのセグメント中のホスホロチオエート結合を示す。
【
図5】
図5は、配列番号1~74のASOによる処置後のSCN8Aの発現を示す(各パネル中の最初の20本の棒は、1つのASOによる処置を示し、21番目の棒は、NT siRNAである;凡例を参照されたい)。
【
図6】
図6は、配列番号75~114のASOによる処置後のSCN8Aの発現を示す。
【
図7】
図7は、異なる複製培養物における本開示のASOについての再現性分析の結果を与える。
【
図8】
図8は、配列番号1~4、6、8、11、16、41、44、45および100~104のASOによる処置下の用量応答を示す。
【
図9】
図9は、完全転写物をタイリングするSCN8Aエクソン標的化ASOによる処置から生じるパーセントノックダウンを示す。
【
図10】
図10は、SCN8Aイントロン標的化ASOによる処置から生じるパーセントノックダウンを示す。
【
図11】
図11は、転写物の最初の3700塩基を全てが標的とするSCN8A ASOによる処置から生じるパーセントノックダウンを示す。
【
図12】
図12は、完全転写物をタイリングするSCN8Aエクソン標的化ASOによる処置から生じる他のナトリウムチャネル(SCN2A、SCN3AおよびSCN9Aによってコードされる)についてのパーセントノックダウンを示す。
【
図13】
図13は、SCN8Aイントロン標的化ASOによる処置から生じる他のナトリウムチャネル(SCN2A、SCN3AおよびSCN9Aによってコードされる)についてのパーセントノックダウンを示す。
【
図14】
図14は、最適化されたSCN8Aエクソン標的化ASOによる処置から生じる他のナトリウムチャネル(SCN2A、SCN3AおよびSCN9Aによってコードされる)についてのパーセントノックダウンを示す。
【
図15】
図15は、SK-N-AS神経芽細胞腫細胞におけるある特定のASOについての用量応答データを示す。
【
図16】
図16は、SK-N-AS神経芽細胞腫細胞におけるある特定のASOについての拡大された用量応答データを示す。
【
図17】
図17は、SCN8Aエクソンを標的とするリード全PS骨格候補についての用量応答パーセントノックダウンを示す。
【
図18】
図18は、ヒト臨床候補としてのPO改変娘リードについての用量応答パーセントノックダウンを示す。
【
図19】
図19は、ヒトNGN2幹細胞由来ニューロンにおけるSCN8A転写物のノックダウンを示す。
【
図20】
図20は、リード候補を使用した、ヒト初代ニューロンにおけるSCN8A転写物のノックダウンを示す。
【
図21】
図21は、マウス初代皮質ニューロンにおけるScn8a転写物のノックダウンを示す。
【
図22】
図22は、ラット初代海馬ニューロンにおけるScn8a転写物ノックダウンを示す。
【
図23】
図23は、ヒトNGN2幹細胞由来ニューロンにおけるSCN8A転写物ノックダウンにおけるプラトーの証拠を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
詳細な説明
図1は、てんかんまたは疼痛を処置するための組成物101を含む。組成物101は、mRNA 117またはpre-mRNA中の標的セグメント115にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド107を含む。mRNA 117は、ナトリウムチャネルタンパク質をコードする。標的を含むmRNA 117のセグメント115は、配列番号1~156のうちの1つに対して少なくとも約75%相補的である。mRNA 117のセグメント115へのオリゴヌクレオチド107のハイブリダイゼーションは、ナトリウムチャネルタンパク質へのmRNAの翻訳を防止する(例えば、二本鎖オリゴヌクレオチド107/RNA 117複合体の消化をもたらすRNase Hを動員することによって、またはタンパク質の翻訳を妨害することによって)。オリゴヌクレオチド107は、Nav1.6 pre-mRNAまたはmRNAにハイブリダイズし得、かつその発現をノックダウンし得る。好ましくは、オリゴヌクレオチド中の塩基の配列は、配列番号1~156のうちの1つに対して少なくとも80%の同一性、より好ましくは、少なくとも90%の同一性、例えば、少なくとも95%の同一性を有する。
【0025】
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチド中の塩基の配列は、配列番号1~156のうちの1つに対して少なくとも90%同一であり、オリゴヌクレオチドは、Nav1.6 pre-mRNAまたはmRNAにハイブリダイズでき、かつそのRNase H切断を誘導できる。
【0026】
オリゴヌクレオチド107は、RNA 117中のセグメント115にハイブリダイズするが、それは、オリゴヌクレオチド107が、mRNA 117の標的セグメント115に対して実質的にまたは完全にアンチセンスであるからである。その意味では、組成物はアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。組成物101は、塩基対相補性を有する標的RNAに結合するASOを含み、ASOの化学構造および設計に基づいて、種々の効果を発揮する。神経学的疾患の前臨床モデルおよびヒト臨床試験開発において一般に使用される種々の機構が使用され得る。これらの機構には、RNase H酵素の動員を介したRNA標的分解が含まれる。
【0027】
本開示の好ましい実施形態は、電位依存性ナトリウムチャネル(NaVチャネル)pre-mRNAまたはmRNAにハイブリダイズし、RNase H酵素を動員するASOを含む。RNase H酵素は、NaVチャネルRNAを切断し、これが、NaVチャネルタンパク質の発現を下方調節する。したがって、本開示のオリゴヌクレオチド107は、NaVチャネルを、非限定的な例として、例えば、DEE13、ドラベ症候群、および過剰なE/Iバランス比が関与する発症機構を有するてんかんの形態が含まれるてんかんなどの状態に対する治療の標的とする。本開示は、臨床および前臨床データが、例えば、抗痙攣薬または鎮痛薬としての、治療のための小分子NaVブロッカーの使用を支持するという洞察に基づく。例えば、ジブカイン、メチルベンゼトニウム(benzetheonium)塩化物、ダリフェナシン臭化水素酸塩およびジメチソキン塩酸塩は全て、Nav1.6チャネルに対するそれらの阻害活性について調査されている。参照により組み込まれるAtkin, 2018, A comprehensive approach to identifying repurposed drugs to treat SCN8A epilepsy, Epilepsia 59(4):802-813を参照されたい。同様に、ナトリウムチャネルは、疼痛に関連付けられている。抗NaV ASOを含む組成物は、てんかんまたは疼痛などの状態を処置するために対象に投与され得る。抗NaV ASOは、状態非依存的かつサブタイプ選択的であり得るので、抗NaV ASOは、小分子ブロッカーなどの他のアプローチを超える利点を提供することが見出され得る。
【0028】
したがって、本開示は、患者における状態を処置するための医薬の製造のためのアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)の使用を提供する。使用において、ASOは、配列番号1~156のうちの1つに対して少なくとも約75%の同一性、より好ましくは、少なくとも90%の同一性、例えば、95%またはそれよりも高い同一性を有する。好ましい実施形態は、約15塩基長と25塩基長との間、好ましくは、約18塩基長と22塩基長との間(端の値を含む)であるASOを使用する。一般に、「1つの(an)ASO」に対する言及は、実質的に同一な分子の多数のコピーを含む。したがって、「1つの(an)ASO」は、数十万または数百万よりも多くのコピーの規定されたASOであり得る。好ましい実施形態では、ASOは、20塩基長であり、配列番号1~156のうちの1つの配列を有し、医薬の製造において使用される。ASOは、任意の適切な形式で、例えば、微小遠心管または試験管などの管中で凍結乾燥されてまたは管中の溶液中などで、提供され得る。使用の好ましい実施形態は、Nav1.6を標的とする。1つまたは複数の(例えば、2つ、3つ、4つもしくは5つまたはそれよりも多くの組合せの)ASOは、医薬の製造において使用され得る。1つまたは複数のASOは、Nav1.6 RNA中の標的にハイブリダイズし得る。使用のある特定の実施形態では、ASO中の塩基の配列は、配列番号1~156のうちの1つに対して少なくとも90%、好ましくは、少なくとも95%または100%同一である。例えば、ASO中の塩基の配列は、好ましい配列のうちの1つに対して少なくとも90%、95%または100%同一であり得る。
【0029】
使用の実施形態では、ASOは、RNAウイングが隣接する中心DNAセグメントを有するギャップマー構造、例えば、中心領域の両方の側の4つの改変RNA塩基を伴う12個のDNA塩基の中心領域、すなわち、4-12-4構造を有し得る。構造は、5-10-5または4-9-4または4-10-4-または5-9-5などであり得る。各改変RNA塩基は、2’-MOE RNA、2’-O-Me RNAまたは他の適切な糖であり得る。好ましくは、ASOの骨格は、複数のホスホロチオエート結合を排他的に有するか、またはホスホジエステル連結もまた含むかのいずれかであり、例えば、糖連結の大部分または全ては、使用実施形態ではホスホロチオエートであり得る。医薬は、例えば、注射を介した送達のために製剤化され得る。したがって、ASOは、最初は、IVバッグ、シリンジまたはくも膜下腔内ポンプ中への導入に適切な製剤へと混合するために適切な形態であり得る。例えば、ASO(数千もしくは数百万またはそれよりも多くのコピーの1つのASO)は、管中で凍結乾燥され得る、または既知のモル濃度もしくは濃度で溶液中にあり得る。ASOは、担体、例えば、溶媒または賦形剤がASOを含む薬学的に許容される組成物中に溶解または希釈され得、IVバッグ、シリンジまたはくも膜下腔内ポンプ中に充填され得る。医薬は、1つよりも多くのASO、例えば、2つ、3つ、4つもしくは5つまたはそれよりも多くのASOの任意の組合せを使用して作製され得る。
【0030】
使用実施形態に記載される任意のASO(複数可)が、本開示の組成物中に含まれ得る。本開示の組成物の好ましい実施形態は、配列番号1~156のうちの1つに対して少なくとも90%同一な塩基配列を各々が有する1つまたは複数の治療的オリゴヌクレオチドを含み、治療的オリゴヌクレオチドの各々は、改変RNAウイングが隣接する中心DNAセグメントを含むギャップマー構造を有し、複数の治療的オリゴヌクレオチドは、くも膜下腔内注射のために製剤化された溶液または担体中で提供される。
【0031】
図2は、ギャップマー構造を有するオリゴヌクレオチド207を示す。オリゴヌクレオチド207は、約12個のDNA塩基の中心領域221に隣接する2つのウイング(第1のウイング215および第2のウイング216)を含む。好ましい実施形態では、ウイング215、216は、全てがまたは大部分がRNA塩基であるが、中心領域221は、全てがまたは大部分がDNA塩基である。好ましくは、ウイングは、全てRNA塩基であり(改変または未改変)、中心領域は、全てDNA塩基である。一部の実施形態では、各ウイングは、4つのRNA塩基からなり、その全てまたは大部分は、改変RNA塩基であり、例えば、各改変RNA塩基は、2’-O-メトキシエチルRNAおよび2’-O-メチルRNAからなる群から選択される。改変RNA塩基は、リボース糖の2’ヒドロキシル基上に置換を含み得る。
【0032】
図3は、RNA塩基中に含まれ得る2’-O-メトキシエチル(「2’-MOE」)改変糖を示す。
【0033】
オリゴヌクレオチド207は、好ましくは、少なくとも約15塩基を含み、約15と約25との間の数の塩基を含み得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチド207は、複数のホスホロチオエート結合を含む骨格を有する。
【0034】
図4は、DNAのセグメント、例えば、オリゴヌクレオチド207の中心領域221の骨格内のホスホロチオエート結合505を示す。オリゴヌクレオチド207は、1つのまたは任意の数のホスホロチオエート結合505を含み得る。例えば、オリゴヌクレオチド207内の全ての骨格連結がホスホロチオエートであり得、またはほとんどもしくは約半分がホスホロチオエートであり得る。
【0035】
組成物101は、送達のために製剤化され得る。したがって、オリゴヌクレオチド107は、最初は、シリンジ、バッグまたは注射ポンプ中への導入に適切な製剤へと混合するために適切な形態であり得る。例えば、オリゴヌクレオチド107(数千もしくは数百万またはそれよりも多くのコピーの1つのオリゴヌクレオチド107)は、管中で凍結乾燥され得る、または既知のモル濃度もしくは濃度で溶液中にあり得る。オリゴヌクレオチド107は、担体、例えば、溶媒または賦形剤がオリゴヌクレオチド107を含む薬学的に許容される組成物中に溶解または希釈され得、IVバッグ、シリンジまたはくも膜下腔内ポンプ中に充填され得る。記載されるように、組成物101は、配列番号1~156のうちの1つとの比較によって規定される配列を有する少なくとも1つのオリゴヌクレオチド107を含む。したがって、本開示の組成物は、同定された標的によって規定され示される。
【0036】
具体的には、オリゴヌクレオチド107は、配列番号1~156のうちの1つに対して少なくとも約75%相補的なmRNAのセグメントに沿って、ナトリウムチャネルタンパク質をコードするmRNAにハイブリダイズし、それにより、ナトリウムチャネルタンパク質へのmRNAの翻訳を防止する。これは、オリゴヌクレオチドが、配列番号1~156のうちの1つに対して少なくとも約75%の同一性、好ましくは、少なくとも約90%または95%の同一性を有する場合に達成される。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、配列番号1~156のうちの1つの配列を有するが、当業者は、相補的な標的に対して90%または好ましくは95%の同一性を有するオリゴヌクレオチドが、配列特異的様式で標的にハイブリダイズする傾向がなおもあることを理解する。ワトソン・クリック塩基対合および塩基スタッキングを介して二本鎖構造を形成することは、エネルギー的に十分に好都合であり、二本鎖構造は、10塩基対かそこら毎におよそ約1つのミスマッチした塩基対を許容し得る。したがって、細胞における中程度にストリンジェントな生理的条件の下では、95%の同一性は、特に、オリゴヌクレオチドが、酵素的分解からオリゴヌクレオチドを保護するために、少なくとも少数の改変RNA塩基またはホスホロチオエート骨格連結を有するギャップマー構造を有する場合に、有効なはずである。
【0037】
実際、本開示の組成物の特色および利益は、標的(配列番号1~156)が、ナトリウムチャネル転写物以外の分子中に相補体が存在する配列を除外するためにスクリーニングされていることである。例えば、配列は、長い非コードRNA(lncRNA)を含むRNA転写物のデータベースに対してスクリーニングされており、非標的配列とマッチした初期配列が排除されている。したがって、配列番号1~156の配列を有するASOは、患者に投与された場合に、非標的配列にハイブリダイズする機会が最小化されているはずである。したがって、好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチド107は、スクリーニングされ、ヒトにおけるいずれのオフターゲットコードRNAまたは長い非コードRNAについても閾値マッチを満たさないことが決定された塩基配列を有する。上述の基準を満たす組成物または使用は、オフターゲット材料、例えば、lncRNAにin vivoで結合しないはずであるが、それは、含まれた配列が、lncRNAのデータベースに対してスクリーニングされているからである。本開示の配列は、標的特異性についてスクリーニングされている。好ましくは、オリゴヌクレオチド107は、非ヒト霊長類ゲノム中の相同なセグメントに対して0個のミスマッチを有し、げっ歯類ゲノム中の相同なセグメントにおいて約5つ以下のミスマッチを有する塩基配列を有する。
【0038】
組成物が細胞にin vitroで送達される場合、細胞は、Nav1.6の用量依存的ノックダウンを示す。
【0039】
図5は、SK-N-AS細胞に100nMで送達された配列番号1~74のエクソン性ASOについての、SCN8Aの相対的な正規化された発現(y軸上)を示す。各パネルにおいて、最初の20本の棒は、1つのそれぞれのASOに対応する。21番目および引き続く棒は、凡例において示された対照のうちの1つに対応する。ASOの棒は、配列番号による番号順である、すなわち、つまり、「ASOs 041->060」と標識された3番目のパネルでは、最初の棒は、配列番号41のASOからの結果であり、4番目の棒は、配列番号44のASOからの結果である。これらの棒は、ASOの全てが、ビヒクルと比較していくらかのノックダウンを示したこと、ならびに配列番号1~4、6~11、16、41および43~45のASOが、約60%以上の非常に良好なノックダウンを示したことを示している。
【0040】
全ての場合において、ASOは、最後の3桁によって同定され、その結果、ASO-001は001であり、14-001はQS-Ts14-ASO-001である。これらは、同じものに言及する等価な標識である。ある場所では、より短いバージョンが、書式設定のために使用される。
【0041】
図6は、SK-N-AS細胞に100nMで送達された配列番号75~114のイントロン性ASOについての、SCN8Aの相対的な正規化された発現(y軸上)を示す。図中、比較のために、発現は、未処置の、低分子干渉RNA、ビヒクル(ASOなし)、オフターゲットASO(例えば、NaV1.7に対する)および「スクランブル」ASOで処置した細胞について測定される。これらの棒は、ASOの大部分が、ビヒクルと比較していくらかの発現ノックダウンを示したこと、ならびに配列番号75、77、82、85、87、88、90、98、100~104および209のASOが、例えば、約60%以上の、非常に良好なノックダウンを示したことを示している。
【0042】
図7は、SCN8Aエクソンを標的とする配列番号1~74のASO、およびSCN8Aイントロンを標的とする配列番号75~114のASOについての、組み合わされた再現性分析の結果を与える。散布図は、単一用量で>60%の転写物ノックダウンを示す16個のASO(11個のエクソン性および5つのイントロン性)の優先順位付けと併せた、2つの複製実験にわたるノックダウンを示す。これらの実験は、SK-N-AS神経芽細胞腫細胞における単一用量ASOスクリーニング(100nMでのトランスフェクションによる)を含んだ。軸は、異なる複製試験である。配列番号1~3、4、6、8、11、16、41、44および45のエクソン性ASOならびに配列番号100~104のイントロン性ASOは、用量依存性試験のために優先順位付けされ選択された16個である。
【0043】
図8は、選択されたASOの用量依存的効果を示す。グラフは、ラウンド2における、SK-N-AS細胞における、各々6.25nMから100nMまでの増分での5つの濃度の、配列番号1~3、4、6、8、11、16、41、44、45および100~104の選択されたASOによるASO処置の48時間後のin vitro 2日目(DIV2)におけるSCN8Aの相対的な正規化された発現量を与える。用量応答を、16倍の濃度範囲(100、50、25、12.5および6.25nM)で完了させた。用量依存性について試験したASOは、本開示の実施形態に従って作製した(20塩基、2’-MOE RNAを有するRNAウイングが隣接した12塩基のDNA中心領域、ASOの至る所での5-メチルシトシンおよびホスホロチオエート連結)。一番右の5本の棒は、siRNAを使用した場合、スクランブルASOを使用した場合、ビヒクル単独(ASOなし)の場合および処置なしの場合の発現レベルを示す。16個全てのASOが、対照と比較して、用量依存的様式で、Nav1.6発現を減少させた。グラフは、本開示の組成物101が、Nav1.6の用量依存的ノックダウンを示すことを示している。
【0044】
核酸ハイブリダイゼーションは、ミスマッチに関していくらかの許容度を有するので、配列番号1~156のうちの1つに対して少なくとも90%のマッチである塩基配列を有し、塩基がホスホロチオエート連結のみによって連結されるオリゴヌクレオチド107であって、5’ウイングおよび3’ウイングが隣接するDNA塩基の中心セグメント(例えば、5’ウイングおよび3’ウイングが各々、12個のDNA塩基に隣接する4つの連続する2’改変RNA塩基を含む4-12-4構造、または5-10-5構造など)を有するオリゴヌクレオチド107が、チャートに示されるパターンに従う用量依存的ノックダウンを示すことが見出され得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチド107は、具体的には、配列番号1~156のうちの1つにマッチする塩基配列を有し、塩基は、ホスホロチオエート連結によって(必要に応じて、ウイング中ではいくつかのホスホジエステル連結によって)連結され、オリゴヌクレオチド107は、5’ウイングおよび3’ウイングが隣接する中心の12個のDNA塩基を有し、5’ウイングおよび3’ウイングは各々、4つの連続する2’-MOE RNA塩基を含む。
【0045】
これらの組成物は、ナトリウムチャネルの発現をノックダウンするに当たり有効であるので、本開示の組成物は、ニューロン活動が重要な役割を果たす状態、例えば、てんかんまたは疼痛などの状態を処置するために使用され得る。かかる状態では、ニューロンの電気生理学が関与し、一部のかかる状態では、ニューロンの活動は、神経活動において示される活動電位の形状またはスパイクパターンによって検出され得る状態特異的表現型によって特徴付けられ得る。本開示の組成物は、状態特異的表現型を健康な表現型に回復させ得、その回復効果は、電気生理学アッセイを介してin vitroで、例えば、ニューロンに対してin vitroで、実証可能であり得る。ニューロンに対する化合物の効果は、in vitroニューロンを用いた光遺伝学的アッセイを使用して実証され得る。例えば、in vitroニューロンは、光刺激(例えば、光に応答してニューロンを発火させる改変型藻類チャネルロドプシン)および神経活動の光学的レポーター(ニューロン膜電位に比例して発光し、ニューロン活動のシグナルを生じる改変型アーキロドプシン)の下で神経活性化を提供する光遺伝学的構築物を含み得る。in vitroニューロンは、蛍光顕微鏡機器においてアッセイされ得る。参照により組み込まれる米国特許出願公開2021/0138039号を参照されたい。任意の適切な光遺伝学的構築物、光遺伝学的顕微鏡または疼痛メディエーター組成物が使用され得る。例えば、適切な光遺伝学的構築物には、参照により組み込まれる米国特許第9,594,075号に記載されるものが含まれる。適切な光遺伝学的顕微鏡には、参照により組み込まれる米国特許第10,288,863号に記載されるものが含まれる。適切な疼痛メディエーター組成物には、参照により組み込まれるWO2018/165577に記載されるものが含まれる。
【0046】
組成物を鎮痛特性について試験する一例では、in vitro DRGアッセイは、漸増する光刺激の下で光遺伝学的神経試料単独からの光を測定することを含み得る。これは、神経興奮性のベースライン読み取りを与える。次いで、神経試料は、刺激物質(例えば、サイトカイン、プロテアーゼ、pH、壊死因子、または有痛性の腫瘍の部位においてin vivoで見出され得る他の因子の混合物を含む疼痛メディエーター組成物)で刺激される。光は、その刺激物質による処置の下で神経試料から測定される。最後に、神経試料は、本開示の組成物で処置される。刺激物質が、測定された興奮性を測定されたベースラインから動かす場合、オリゴヌクレオチド107は、測定された興奮性をベースラインに向けて回復させる傾向があることが見出され得る。
【0047】
組成物101中の本開示のオリゴヌクレオチド、例えば、ギャップマー、ASOまたは治療的オリゴヌクレオチド107は、表1に示される配列のうちの1つを参照して規定された配列を有し得る。例えば、本開示のオリゴヌクレオチドは、表1に示される配列番号1~156のうちの1つに対して少なくとも約75%、80%、90%、95%または完全に同一である配列を有し得る。SCN8Aに対する上位の好ましい実施形態は、14-016(配列番号16);14-041(配列番号41);14-044(配列番号44);および14-045(配列番号45);14-100(配列番号100)、14-117(配列番号117)、14-124(配列番号124)、14-125(配列番号125)、14-126(配列番号126)、14-128(配列番号128)、14-129(配列番号129)、14-130(配列番号130)、14-133(配列番号133)、14-134(配列番号134)、14-135(配列番号135)、14-138(配列番号138)、14-139(配列番号139)、14-142(配列番号142)、14-143配列番号143)、および14-144(配列番号144)を含む。データは、本開示の組成物が、Nav1.6のロバストで有意なノックダウン活性(>70%)を用量依存的様式で示すことを示している。
【0048】
ASOの塩基配列
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【0049】
他の特色および実施形態が、本開示の範囲内である。本開示の実施形態は、Nav1.6の発現を阻害することが可能な、SCN8Aを標的とするロックト核酸(LNA)アンチセンスオリゴヌクレオチドが含まれる、オリゴヌクレオチドを含む。本発明のオリゴヌクレオチドは、てんかんまたは疼痛などの状態の予防または処置において使用され得る。本発明は、ヒトNav1.6のオリゴヌクレオチド阻害剤、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはRNAi剤、例えば、siRNAもしくはshRNAによって標的化され得るヒトNav1.6 pre-mRNA上の有利な標的部位配列をさらに提供する。
【0050】
本発明は、ヒトNav1.6 RNAに対して少なくとも90%の相補性、好ましくは100%の相補性を有する10~30ヌクレオチド長の連続するヌクレオチド配列を含む、10~30ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドを提供する。オリゴヌクレオチド107は、配列番号1~156のうちの1つに対して100%同一、または好ましくは、少なくとも90%同一であり得る。
【0051】
実施形態は、本発明に従うアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは本発明に従うコンジュゲートの薬学的に許容される塩を含む。
【0052】
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは本発明のコンジュゲートと薬学的に許容される希釈剤、溶媒、担体、塩および/またはアジュバントとを含む医薬組成物を提供する。
【0053】
本発明は、薬における使用のための、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは本発明のコンジュゲートまたは本発明の薬学的塩もしくは医薬組成物を提供する。
【0054】
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的塩を提供する。本発明は、てんかんまたは疼痛などの状態の処置、予防または軽減のための医薬の調製における、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用を提供する。
【0055】
オリゴヌクレオチドは、固相化学合成とその後の精製および単離とによって、実験室において作製され得る。オリゴヌクレオチドの配列に言及する場合、共有結合により連結されたヌクレオチドまたはヌクレオシドの、核酸塩基部分の配列または順序、あるいはそれらの改変に対して言及がなされる。本発明のオリゴヌクレオチドは、人造であり得る、すなわち、化学的に合成され得、典型的には、精製または単離される。本発明のオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の改変ヌクレオシドまたはヌクレオチド、例えば、2’糖改変ヌクレオシドを含み得る。
【0056】
改変ヌクレオチドは、デオキシ-ヌクレオチド、3’末端デオキシ-チミン(dT)ヌクレオチド、2’-O-メチル改変ヌクレオチド、2’-フルオロ改変ヌクレオチド、2’-デオキシ改変ヌクレオチド、ロックトヌクレオチド、アンロックト(unlocked)ヌクレオチド、コンフォメーション的に制約された(conformationally restricted)ヌクレオチド、拘束された(constrained)エチルヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、2’-アミノ改変ヌクレオチド、2’-O-アリル改変ヌクレオチド、2’-C-アルキル改変ヌクレオチド、2’-ヒドロキシル(hydroxl)改変ヌクレオチド、2’-メトキシエチル改変ヌクレオチド、2’-O-アルキル改変ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホロアミダート、非天然塩基を含むヌクレオチド、1,5-アンヒドロヘキシトール改変ヌクレオチド、シクロヘキセニル改変ヌクレオチド、ホスホロチオエート基を含むヌクレオチド、メチルホスホネート基を含むヌクレオチド、5’-リン酸を含むヌクレオチド、5’-リン酸模倣物を含むヌクレオチド、グリコール改変ヌクレオチド、および2-O-(N-メチルアセトアミド)改変ヌクレオチド、ならびにそれらの組合せからなる群から独立して選択され得る。
【0057】
ASOの窒素含有塩基は、天然に存在する核酸塩基、例えば、アデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル、キサンチンおよびヒポキサンチン、ならびに天然に存在しないバリアント、例えば、置換プリンまたは置換ピリミジン、例えば、イソシトシン、シュードイソシトシン、5-メチルシトシン、5-チオゾロ(thiozolo)-シトシン、5-プロピニル-シトシン、5-プロピニル-ウラシル、5-ブロモウラシル、5-チアゾロ-ウラシル、2-チオ-ウラシル、2’-チオ-チミン、イノシン、ジアミノプリン、6-アミノプリン、2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリンおよび2-クロロ-6-アミノプリンから選択される核酸塩基であり得る。ある特定の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、いくつかの、多くの、大部分の、または全てのシトシン塩基が、メチル化された形態、例えば、5-メチルシトシンで存在する、オリゴヌクレオチドを含む。
【0058】
核酸塩基部分は、各対応する核酸塩基、例えば、A、T、G、CまたはUについての文字コードによって示され得、各文字は、必要に応じて、等価な機能の改変核酸塩基を含み得る。例えば、例示されたオリゴヌクレオチドでは、核酸塩基部分は、A、T、G、Cおよび5-メチルシトシンから選択される。必要に応じて、LNAギャップマーについては、5-メチルシトシンLNAヌクレオシドが使用され得る。
【0059】
本開示のオリゴヌクレオチド107は、ナトリウムチャネル(Nav1.6)の発現を下方調節(阻害)することが可能である。一部の実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、それを阻害または下方調節することによって、標的の発現をモジュレートすることが可能である。好ましくは、かかるモジュレーションは、標的の正常な発現レベルと比較して少なくとも20%の発現の阻害、より好ましくは、標的の正常な発現レベルと比較して少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%の阻害を生じる。
【0060】
本開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、(例えば、RNase H切断を介して)標的核酸のレベルを減少させ得、または例えば、pre-mRNAのスプライシングのモジュレーションを介して、標的核酸の機能性を減少させ得る(もしくは機能性を変更し得る)。
【0061】
本開示のオリゴヌクレオチド107は、DNAおよびRNAにおいて見出されるリボース糖部分と比較した場合、改変糖部分、すなわち、糖部分の改変を有する1つまたは複数のヌクレオシドを含み得る。リボース糖部分の改変を有する多数のヌクレオシドが、主に、オリゴヌクレオチドのある特定の特性、例えば、親和性および/またはヌクレアーゼ抵抗性を改善することを目的として、作製されている。かかる改変には、リボース環構造が、例えば、ヘキソース環による置き換えによって改変されたもの(HNA)、またはリボース環上のC2炭素とC4炭素との間に架橋を典型的には有する二環式環による置き換えによって改変されたもの(LNA)、またはC2炭素とC3炭素との間の結合を典型的には欠如する未連結のリボース環による置き換えによって改変されたもの(例えば、UNA)が含まれる。改変ヌクレオシドには、糖部分が、ペプチド核酸(PNA)の場合など、非糖部分で置き換えられたヌクレオシド、またはモルホリノ核酸も含まれる。
【0062】
糖改変には、リボース環上の置換基を、水素以外の基、またはDNAおよびRNAヌクレオシド中に天然に見出される2’-OH基に変更することを介して作製された改変もまた含まれる。置換基は、例えば、2’位、3’位、4’位または5’位において導入され得る。
【0063】
オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数のロックト核酸(LNA)塩基を含み得る。LNAは、前記ヌクレオシドのリボース糖環のC2’とC4’とを連結するビラジカル(「2’-4’架橋」とも呼ばれる)を含む2’改変ヌクレオシドを含み得、これが、リボース環のコンフォメーションを制約またはロックする。これらのヌクレオシドは、文献中で架橋核酸または二環式核酸(BNA)とも呼ばれる。リボースのコンフォメーションのロックは、LNAが相補的なRNAまたはDNA分子に対するオリゴヌクレオチド中に取り込まれた場合のハイブリダイゼーションの増強された親和性(二重鎖安定化)に関連する。これは、オリゴヌクレオチド/相補体二重鎖の融解温度を測定することによって決定され得る。非限定的な例示的なLNAヌクレオシドは、全て参照により組み込まれるWO99/014226、WO00/66604、WO98/039352、WO2004/046160、WO00/047599、WO2007/134181、WO2010/077578、WO2010/036698、WO2007/090071、WO2009/006478、WO2011/156202、WO2008/154401、WO2009/067647およびWO2008/150729中に開示されている。
【0064】
本開示のオリゴヌクレオチドの薬学的に許容される塩には、生物学的にも他の意味でも望ましくないことのない、遊離塩基または遊離酸の生物学的有効性および特性を保持する塩が含まれる。塩は、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、特に塩酸、および有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、スルホン酸またはサリチル酸を用いて形成される。さらに、これらの塩は、無機塩基または有機塩基の遊離酸への添加から調製され得る。無機塩基に由来する塩には、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム塩が含まれるがこれらに限定されない。有機塩基に由来する塩には、第1級、第2級および第3級アミン、天然に存在する置換アミンが含まれる置換アミン、環状アミンならびに塩基性イオン交換樹脂、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リシン、アルギニン、N-エチルピペリジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂の塩が含まれるがこれらに限定されない。
【0065】
オリゴヌクレオチド107は、ナトリウムチャネルpre-mRNAまたはmRNA転写物のヌクレアーゼ媒介性分解を媒介または促進し得る。ヌクレアーゼ媒介性分解は、そのような配列と二重鎖を形成する場合に相補的なヌクレオチド配列の分解を媒介することが可能なオリゴヌクレオチドを指す。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、標的核酸のヌクレアーゼ媒介性分解を介して機能し得、このとき、本発明のオリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ、特に、エンドヌクレアーゼ、好ましくは、エンドリボヌクレアーゼ(RNase)、例えば、RNase Hを動員することが可能である。ヌクレアーゼ媒介性機構を介して動作するオリゴヌクレオチド設計の例は、少なくとも5つまたは6つ連続するDNAヌクレオシドの領域を典型的には含み、親和性増強性ヌクレオシドが一方の側または両方の側で隣接するオリゴヌクレオチド、例えば、ギャップマーである。アンチセンスオリゴヌクレオチド107のRNase H活性は、相補的なRNA分子との二重鎖中にある場合にRNase Hを動員するその能力を指す。
【0066】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド107、またはその連続するヌクレオチド配列は、ギャップマーオリゴヌクレオチドまたはギャップマー設計とも呼ばれるギャップマーであり得る。アンチセンスギャップマーは、RNase H媒介性分解を介して標的核酸を阻害するために一般に使用される。ギャップマーオリゴヌクレオチドは、少なくとも3つの別個の構造的領域:5’->3’配向で、5’-隣接部、ギャップおよび3’-隣接部、F-G-F’を含む。「ギャップ」領域(G)は、オリゴヌクレオチドがRNase Hを動員することを可能にする連続するDNAヌクレオチドのストレッチを含む。ギャップ領域には、1つまたは複数の糖改変ヌクレオシド、有利に高い親和性の糖改変ヌクレオシドを含む5’隣接領域(F)、および1つまたは複数の糖改変ヌクレオシド、有利に高い親和性の糖改変ヌクレオシドを含む3’隣接領域(F’)が隣接する。領域FおよびF’中の1つまたは複数の糖改変ヌクレオシドは、標的核酸に対するオリゴヌクレオチドの親和性を増強する(すなわち、親和性増強性糖改変ヌクレオシドである)。一部の実施形態では、領域FおよびF’中の1つまたは複数の糖改変ヌクレオシドは、例えば、LNAおよび2’-MOEから独立して選択される、2’糖改変ヌクレオシド、例えば、高い親和性の2’糖改変である。
【0067】
混合ウイングギャップマーは、領域FおよびF’の一方または両方が、2’置換ヌクレオシド、例えば、2’-O-アルキル-RNA単位、2’-O-メチル-RNA、2’-アミノ-DNA単位、2’-フルオロ-DNA単位、2’-アルコキシ-RNA、2’-MOE単位、アラビノ核酸(ANA)単位、2’-フルオロ-ANA単位、またはそれらの組合せからなる群から独立して選択される2’置換ヌクレオシドを含む、LNAギャップマーであり得る。領域FおよびF’のうち少なくとも一方、または領域FおよびF’の両方が少なくとも1つのLNAヌクレオシドを含む一部の実施形態では、領域FおよびF’の残りのヌクレオシドは、2’-MOEおよびLNAからなる群から独立して選択される。領域FおよびF’のうち少なくとも一方、または領域FおよびF’の両方が少なくとも2つのLNAヌクレオシドを含む一部の実施形態では、領域FおよびF’の残りのヌクレオシドは、2’-MOEおよびLNAからなる群から独立して選択される。一部の混合ウイング実施形態では、領域FおよびF’の一方または両方は、1つまたは複数のDNAヌクレオシドをさらに含み得る。ギャップマー設計は、共に参照により組み込まれるWO2008/049085およびWO2012/109395で議論されている。
【0068】
1つまたは複数の非ヌクレオチド部分へのオリゴヌクレオチド107のコンジュゲーションは、例えば、オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布、細胞取込みまたは安定性に影響を与えることによって、オリゴヌクレオチドの薬理学を改善し得る。一部の実施形態では、コンジュゲート部分は、オリゴヌクレオチドの細胞分布、バイオアベイラビリティ、代謝、排出、透過性および/または細胞取込みを改善することによって、オリゴヌクレオチドの薬物動態学的特性を改変または増強することができる。特に、コンジュゲートは、オリゴヌクレオチドを特定の臓器、組織または細胞型に標的化し得、それにより、その臓器、組織または細胞型におけるオリゴヌクレオチドの有効性を増強する。コンジュゲートは、非標的細胞型、組織または臓器におけるオリゴヌクレオチドの活性、例えば、オフターゲット活性または非標的細胞型、組織もしくは臓器における活性を低減させるようにも機能し得る。
【0069】
ある実施形態では、非ヌクレオチド部分(コンジュゲート部分)は、炭水化物、細胞表面受容体リガンド、薬物物質、ホルモン、親油性物質、ポリマー、タンパク質、ペプチド、毒素(例えば、細菌毒素)、ビタミン、ウイルスタンパク質(例えば、カプシド)またはそれらの組合せからなる群から選択される。
【0070】
本開示のオリゴヌクレオチド107は、上述のオリゴヌクレオチドおよび/またはそのオリゴヌクレオチドコンジュゲートもしくは塩のうちのいずれかと薬学的に許容される希釈剤、担体、塩および/またはアジュバントとを含む医薬組成物中で提供され得る。薬学的に許容される希釈剤には、人工脳脊髄液(ACSF)が含まれ、薬学的に許容される塩には、ナトリウム塩およびカリウム塩が含まれるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、薬学的に許容される希釈剤は、無菌リン酸緩衝食塩水または無菌炭酸ナトリウム緩衝液である。一部の好ましい実施形態では、臨床的適用のための希釈剤には、Elliotts B溶液および/またはACSF人工脳脊髄液が含まれる。
【0071】
一部の実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、例えば、リン酸緩衝食塩水(PBS)または炭酸ナトリウム緩衝液中に溶解された薬学的に許容される希釈剤中の溶液の形態である。オリゴヌクレオチドは、溶液中で事前製剤化され得る、または一部の実施形態では、投与の前に薬学的に許容される希釈剤中に溶解され得る乾燥粉末(例えば、凍結乾燥粉末)の形態であり得る。適切に、例えば、オリゴヌクレオチドは、0.1~100mg/mL、例えば、1~10mg/mLの濃度で溶解され得る。
【0072】
本開示の組成物は、てんかんまたは疼痛、例えば、慢性疼痛、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、自発疼痛もしくは侵害受容性疼痛などの状態の予防または処置のために患者に投与され得る。好ましい実施形態は、DEE13、ドラベ症候群、または過剰なE/Iバランス比の発症機構が関与するてんかんの処置のために使用される。本発明のオリゴヌクレオチド、または本発明のコンジュゲート、塩もしくは医薬組成物は、局所鎮痛薬としての使用のためであり得る。
【0073】
本開示は、状態を患っているかまたは状態に罹患している可能性が高い対象、例えば、ヒトにおける状態を処置または予防するための方法であって、例えば、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドを含む本開示の組成物の治療または予防的有効量を、てんかんまたは疼痛、例えば、がん疼痛、変形性関節症疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、自発疼痛もしくは侵害受容性疼痛などの状態を患っているかまたは状態に罹患している対象に投与するステップを含み、オリゴヌクレオチドが、本明細書に記載される特色の任意の組合せを有する、本明細書の記載のいずれかに従って、配列番号1~114のうちの1つに対して相補的な配列に標的化される、方法を提供する。
【実施例】
【0074】
図9~
図11は、SCN8A ASOの単一用量スクリーニングからのノックダウンパーセントの要約データを与える。SCN8A標的化ASOを、96ウェルプレートの1ウェル当たり20,000個の細胞でプレートしたSK-N-AS神経芽細胞腫細胞を100nMのASOで処置することによって、in vitroでスクリーニングした。2つのラウンド(複製)からのデータが、各図について示される。ASOを、96ウェルプレートの1ウェル当たり0.3uLのRNAiMaxを使用するトランスフェクションによって送達した。示されるデータは、本発明者らの一次スクリーニングにおいてスクリーニングした146個のASOについてのSCN8AノックダウンのqPCR読み出し(SCN8Aノックダウンのパーセントとして表される)の要約表を示す。全ての試料を、ビヒクルのみ(すなわち、RNAiMaxのみ)条件に対して正規化した。
【0075】
図9は、完全転写物を標的とするSCN8Aエクソン標的化ASOを示す。
【0076】
図10は、SCN8Aイントロン標的化ASOを示す。
【0077】
図11は、転写物の最初の3700ヌクレオチドに焦点を合わせた最適化されたSCN8Aエクソン標的化ASOからの結果を与える。全ての細胞に、プレーティングの時点でASOをトランスフェクトし、ASOトランスフェクションの48時間後に、qPCRのために細胞を回収した。ハウスキーピング遺伝子アクチンについての転写物レベルを、SCN8Aについてのレベルを正規化するために使用した。全てのデータは、プレーティング、ASO処置およびqPCRの2つの独立したラウンドにわたって示される。
【0078】
注記:115~146で終わるIDを有するASOは、001~074で終わるIDを有するASOのスクリーニング後に設計し、このとき、本発明者らは、ASOによるモジュレーションのホットスポットとして、SCN8A転写物(NM_014101.4)の最初の3700ヌクレオチドを同定した。言い換えれば、この領域を標的とするより多数のASOが、SCN8A転写物を少なくとも約60%ノックダウンすることに成功した。転写物のこの部分についての配列は、受託番号NM_014101.4の下で、GenBankにおいて入手可能である。
【0079】
図12~
図14は、単一用量スクリーニングにおいて少なくとも60%の標的ノックダウンを達成するSCN8A ASOを用いたナトリウムチャネルカウンタースクリーニングの要約データを与える。
【0080】
単一用量スクリーニング実験(
図9~
図11に示される)から、SK-N-AS細胞において少なくとも60%のSCN8A転写物ノックダウンを達成したASOに優先順位付けした。ナトリウムチャネルにわたる転写物配列における公知の相同性に起因して、ASO候補をさらにスクリーニングして、他のナトリウムチャネルをノックダウンするそれらの能力(これは、リード候補の所望の特徴ではない)を定量化した。qPCRを介した実験の焦点は、この細胞型において発現されることが公知のSCN2A、SCN3AおよびSCN9Aに対してであった。SK-N-AS細胞では発現されない他のナトリウムチャネルについて、ASOのオフターゲット効果の潜在性をおよそ11~40のスケール(ここで、40は、完全マッチを示す)で予測する計算アラインメントスコア(右の列、
図12および
図14)を計算した。本明細書で、全てのナトリウムチャネルにわたるqPCRノックダウンおよび最大の予測されたアラインメントスコアが、優先順位付けされたASOについて示される。
【0081】
図12は、完全転写物を標的とするSCN8Aエクソン標的化ASOからのデータを与える。
【0082】
図13は、SCN8Aイントロン標的化ASOからのデータを与える。
【0083】
図14は、転写物の最初の3700ヌクレオチドに焦点を当てた最適化されたSCN8Aエクソン標的化ASOからのデータを与える。相同なナトリウムチャネルに対する予測されたアラインメントを、ASO 115~146の設計において考慮したので、このバッチでは、全体的なオフターゲットノックダウンのより低いレベルが存在する。最大の予測されたアラインメントスコアは、エクソンに対するアラインメントに基づいているので、イントロン標的化ASOについては示されていないことに留意されたい。
【0084】
図15および
図16は、SCN8AリードASO候補の用量応答スクリーニングの例を与える。
【0085】
候補リードSCN8A標的化ASOを、単一用量スクリーニングにおける少なくとも60%のSCN8A転写物ノックダウン(
図9~11)および相同なナトリウムチャネルにおける約20%未満の転写物ノックダウン(
図10、12~14)に基づいて選択した。各候補リード配列について、同一な配列を有する新たなASOを、3’および5’の2’-MOE RNA様ウイング中の各々1~3個のPO骨格改変を伴って合成した(ASO1つ当たり合計で3~4個のPO改変)。次いで、これらの候補リードを、SCN8A転写物発現の用量応答モジュレーションについて試験した。これらの実験のために、96ウェルプレートの1ウェル当たり20,000細胞の密度でプレートしたSK-N-AS神経芽細胞腫細胞を、ある範囲の濃度:800、400、200、100、50、25、12.5、6.25および3.125nMで処置した。ASOを、96ウェルプレートの1ウェル当たり0.3uLのRNAiMaxを使用するトランスフェクションによって送達した。全ての細胞に、プレーティングの時点でASOをトランスフェクトし、ASOトランスフェクションの48時間後に、qPCRのために細胞を回収した。アクチンを、SCN8Aに対する正規化遺伝子として使用した。各データポイントは、2つの技術的複製および1つの生物学的複製を示す。
【0086】
図15は、SK-N-AS神経芽細胞腫細胞における2つのリードSCN8A ASO親候補(117、124)およびそれらのPO改変娘分子(155、156、157、158)についての5ポイント用量応答データを示す。
【0087】
図16は、同じPO改変娘分子についての9ポイント用量応答データを示す。
【0088】
図17および
図18は、SCN8A ASOリード候補の用量応答スクリーニングの要約データを与える。
【0089】
候補リードSCN8A標的化ASOを、一次単一用量スクリーニングにおける少なくとも60%の転写物ノックダウンに基づいて選択した。各候補リードについて、同一な配列を有する新たなASOを、3’および5’の2’-MOE RNA様ウイング中の各々1~3個のPO骨格改変を伴って合成した(ASO1つ当たり合計で3~4個のPO改変)。次いで、全ての候補リードを、SCN8A転写物発現の用量応答モジュレーションについて試験した。これらの実験のために、96ウェルプレートの1ウェル当たり20kでプレートしたSK-N-AS神経芽細胞腫細胞を、96ウェルプレート上にプレートした。ASOを、5つの用量でスクリーニングした:100、50、25、12.5、6.25nM。ASOを、96ウェルプレートの1ウェル当たり0.3uLのRNAiMaxを使用するトランスフェクションによって送達した。全ての細胞に、プレーティングの時点でASOをトランスフェクトし、ASOトランスフェクションの48時間後に、qPCRのために細胞を回収した。アクチンを、SCN8Aに対する正規化遺伝子として使用した。全ての試料を、各実験内でビヒクル条件に対してさらに正規化した。全てのリード候補についての用量応答データが示され、分析される。
【0090】
図17は、SCN8Aエクソンを標的とするリード全PS骨格候補についてのデータを示す。
【0091】
図18は、ヒト臨床候補としてのPO改変娘リードについてのデータを示す。
【0092】
図19は、SCN8Aリード候補を使用した、ヒトNGN2幹細胞由来ニューロンにおけるSCN8A転写物のノックダウンを示す。
【0093】
SCN8Aは、ニューロンの興奮性において重要であり、結果として、この細胞型は、標的転写物ノックダウンの機能的効果を評価するために重要である。本発明者らのASOが、関連するヒト細胞型において有効であることを示すために、本発明者らは、ヒト誘導多能性幹細胞由来ニューロン(NGN2過剰発現および二重SMAD阻害を介して分化させた)に、本発明者らのSCN8A ASOをトランスフェクトした。ニューロンを、96ウェルプレート上に、1ウェル当たり70kでプレートし、250および100nMのSCN8A ASOで処置した。ASOを、DIV20に、Endoporter PEGトランスフェクション試薬(1ウェル当たり0.6uL)を用いてニューロン中にトランスフェクトした。細胞を、DIV24に、処置の4日後に、qPCRのために回収した。多くのASOは、ヒトニューロンにおいて、SCN8A転写物の>80%のノックダウンを示す。ベータチューブリンを、SCN8Aに対する正規化遺伝子として使用した。各棒は、2つの技術的複製および1つの生物学的複製を示す。
【0094】
図20は、SCN8Aリード候補を使用した、ヒト初代ニューロンにおけるSCN8A転写物のノックダウンを示す。
【0095】
SCN8Aは、ニューロンの興奮性において重要であり、結果として、この細胞型は、標的転写物ノックダウンの機能的効果を評価するために重要である。本発明者らのASOが、関連するヒト細胞型において有効であることを示すために、本発明者らは、ヒト初代ニューロン(19週齢の雌性胎仔に由来する;ScienCellから取得した)に、選択されたSCN8A ASOをトランスフェクトした。ニューロンを、96ウェルプレート上に、1ウェル当たり30kでプレートし、1uMのSCN8A ASOで処置した。ASOを、DIV1に裸で(gymnotically)送達した。細胞を、ASO処置の13日後に、qPCRのために回収した。多くのASOは、裸での送達により、ヒト初代ニューロンにおいて、SCN8A転写物の50~60%のノックダウンを示す。ベータチューブリンを、SCN8Aに対する正規化遺伝子として使用した。各棒は、2つの技術的複製および1つの生物学的複製を示す。
【0096】
図21は、SCN8Aリード候補を使用した、マウス初代皮質ニューロンにおけるScn8a転写物のノックダウンを示す。
【0097】
R1872WおよびN1768Dの変異を有するSCN8A起因性の脳症の2つのマウスモデルが入手可能である(以下の参考文献)。これらのマウスモデルは、疾患モデル系においてin vivoで概念実証および有効性を示すのに有用である。選択されたASOが、関連するマウス細胞型において有効であることを示すために、本発明者らは、マウス初代皮質ニューロン(Brainbits)を、選択されたSCN8A ASOで処置した。ニューロンを、96ウェルプレート上に、1ウェル当たり50kでプレートし、500nMのSCN8A ASOで処置した。ASOを、DIV5に裸で送達した。細胞を、ASO処置の7日後(DIV12)に、qPCRのために回収した。骨格改変を有するSCN8Aの最適化されたリード候補を、スクリーニングした。マウス相同性を有するASOは、少なくとも60%のノックダウンを示す。ベータチューブリンを、Scn8aに対する正規化遺伝子として使用した。各棒は、2つの技術的複製および1つの生物学的複製を示す。
【0098】
SCN8A-R1872Wマウスモデルの参考文献は、参照により組み込まれるBunton-Stasyshyn, 2019, Prominent role of forebrain excitatory neurons in SCN8A encephalopathy, Brain 142(2): 362-375に記載されている。
【0099】
SCN8A-N1768Dマウスモデルの参考文献は、参照により組み込まれるWagnon, 2015, Convulsive seizures and SUDEP in a mouse model of SCN8A epileptic encephalopathy, Hum Mol Genet 24(2): 506-515に記載されている。
【0100】
図22は、SCN8Aリード候補を使用した、ラット初代海馬ニューロンにおけるScn8a転写物のノックダウンを示す。
【0101】
リードASOを、ラットにおいてin vivoでスクリーニングして、忍容性、毒物学、PKおよびPDについて試験する。選択されたASOが、関連するラット細胞型において有効であることを示すために、ラット初代海馬ニューロン(Brainbits)を、選択されたSCN8A ASOで処置した。ニューロンを、96ウェルプレート上に、1ウェル当たり12kでプレートし、450nMのSCN8A ASOで処置した。ASOを、DIV5に裸で送達した。細胞を、DIV12に、ASO処置の7日後に、qPCRのために回収した。骨格改変を有するSCN8Aの最適化されたリード候補を、スクリーニングした。ラット相同性を有するASOは、少なくとも60%のノックダウンを示す。ベータチューブリンを、Scn8aに対する正規化遺伝子として使用した。各棒は、2つの技術的複製および1つの生物学的複製を示す。
【0102】
図23は、ヒトNGN2幹細胞由来ニューロンにおける転写物ノックダウンにおけるプラトーの証拠を示す。Nav1.6ヌルマウスは早期に死亡したことが観察されている。参照により組み込まれるRaman, 1997, Altered subthreshold sodium currents and disrupted firing patterns in Purkinje neurons of Scn8a Mutant Mice, Neuronを参照されたい。文献は、正常レベルのNav1.6の10%を発現する低形質(hypomorphic)マウスが、重症ジストニアを経験することを示唆している。参照により組み込まれるKearney, 2002, Molecular and pathological effects of a modified gene on deficiency of the sodium channel Scn8a (Navi.6), Hum Mol Genetを参照されたい。証拠は、Scn8aを50%ノックダウンするASOで処置されたDEE13マウスが、減少したてんかん発作および増加した寿命を経験することを示唆している。参照により組み込まれるLenk, 2020, Scn8a antisense oligonucleotide is protective in mouse models of SCN8A encephalopathy and Dravet syndrome, Ann Neurolを参照されたい。その背景を考慮して、本発明者らは、治療域が、50~90%の範囲内のタンパク質ノックダウンであると仮説を立てている。50%のノックダウンを達成し、90%未満の十分に許容されるノックダウンレベルにおいてプラトーに達する、SCN8Aノックダウンについての濃度応答を有するASOは、最適な治療プロファイルを生じ得る。
【0103】
本発明者らは、ヒト誘導多能性幹細胞由来ニューロン(NGN2過剰発現および二重SMAD阻害を介して分化させた)に、本発明者らのSCN8A ASOをトランスフェクトした。ニューロンを、96ウェルプレート上に、1ウェル当たり70kでプレートし、1000、800、500、250および100nMのSCN8A ASOで、用量応答において処置した。ASOを、DIV20に、Endoporter PEGトランスフェクション試薬(1ウェル当たり0.6uL)を用いてニューロン中にトランスフェクトした。細胞を、DIV24およびDIV30に、処置の4日後および10日後に、qPCRのために回収した。ベータチューブリンを、SCN8Aに対する正規化遺伝子として使用した。各棒は、2つの技術的複製および1つの生物学的複製を示す。
【0104】
165、166、175および176で示されるASOは、500nMのASO処置から始まって70~80%の最大ノックダウンを示すが、153、154、157および158で示されるASOは、100nMから始まって>80%のノックダウンを示す。
【0105】
14-165としても公知のASO 165は、2’-MOE RNAウイングが隣接する12塩基のDNAの中心セグメントを有するギャップマーでの配列番号135であって、2番目、3番目および18番目の塩基間連結がホスホジエステルであり、残りの塩基間連結がホスホロチオエートであり、全てのシトシン塩基が5-メチル改変を有する、配列番号135である。14-166としても公知のASO 166は、2’-MOE RNAウイングが隣接する12塩基のDNAの中心セグメントを有するギャップマーでの配列番号135であって、2番目、3番目、4番目および18番目の塩基間連結がホスホジエステルであり、残りの塩基間連結がホスホロチオエートであり、全てのシトシン塩基が5-メチル改変を有する、配列番号135である。14-175としても公知のASO 175は、2’-MOE RNAウイングが隣接する12塩基のDNAの中心セグメントを有するギャップマーでの配列番号144であって、2番目、3番目および18番目の塩基間連結がホスホジエステルであり、残りの塩基間連結がホスホロチオエートであり、全てのシトシン塩基が5-メチル改変を有する、配列番号144である。14-176としても公知のASO 176は、2’-MOE RNAウイングが隣接する12塩基のDNAの中心セグメントを有するギャップマーでの配列番号144であって、2番目、3番目、4番目および18番目の塩基間連結がホスホジエステルであり、残りの塩基間連結がホスホロチオエートであり、全てのシトシン塩基が5-メチル改変を有する、配列番号144である。グラフは、これら4つの組成物が、試験した濃度範囲について約70~80%の最大ノックダウンを示すことを示している(?)。
【0106】
in vivo研究のためのSCN8Aリード候補ASOは、以下の供給業者の注文フォーマット(例えば、Integrated DNA Technologiesなどの供給業者から注文できる)で示され、ASO-147~158、165、166、175および176が含まれる。他に示されない限り、全てのASOは、12塩基の中心および3~5塩基の2’-MOE RNAウイングを有するギャップマーである。全てのASOは、供給業者の注文フォーマットで示される場合を除き、大抵はPS骨格を有する。シトシンはメチル化される。
【0107】
リードASOを、単一用量および用量応答有効性、ナトリウムチャネルカウンタースクリーニングデータ、配列モチーフ傾向およびオフターゲットアラインメント分析に基づいて選択した。SCN8Aに対する最も高いin vitro有効性を有し、他のナトリウムチャネルにおけるノックダウンがなく、オフターゲットアラインメントが最も低く、配列モチーフの懸念が限定的であるASOを、リードとして優先順位付けした。
【0108】
表1において、最初の3700ヌクレオチド内に入るASOは、アスタリスク(*)で示される。これらのうち、ID ASO 14-001~14-146ならびに16-003、16-004、16-009、16-011、16-013、16-014、16-016、16-017、16-019および16-020を有するASOを、以下の化学を用いて合成した:4(2’-MOE)×12(DNA)×4(2’-MOE);全てのC塩基は5-メチル改変を有する;全PS骨格。
【0109】
以下の目録は、合成されたある特定のSCN8A ASO候補を示す。ASO 14-147~176を、FASTAリストに示されるように、以下の改変連結を用いて合成した:2MOEr=2’-O-メトキシエチルRNA;i2MOEr=内部2’-O-メトキシエチルRNA;iMe-dC/2MOErC/i2MOErC=5-メチル改変;およびPS連結(*)対PO(//)連結。
【0110】
FASTA目録に示されるように、ある特定の実施形態は、配列番号16;配列番号41;配列番号44;配列番号45;配列番号117;配列番号124;配列番号126;配列番号129;配列番号133;配列番号135;配列番号138;配列番号139;配列番号142;配列番号143;または配列番号144のうちの少なくとも1つによって与えられる配列を有するギャップマーASOを使用し、ギャップマーは、2’-MOE RNAウイングが隣接する12塩基のDNAの中心セグメントを有し、各ウイングは、1つまたは2つのホスホジエステル連結を有し、残りの塩基間連結は、ホスホロチオエートであり、全てのシトシン塩基は、5-メチル改変を有する。
【0111】
ある特定の最も好ましい実施形態(未処置に対して正規化して約50%と90%との間の発現を達成するノックダウンプラトーのため)は、14-165、14-166、14-175または14-176を使用する。
【0112】
本明細書で、14-165は、2’-MOE RNAウイングが隣接する12塩基のDNAの中心セグメントを有するギャップマーでの配列番号135であって、2番目、3番目および18番目の塩基間連結がホスホジエステルであり、残りの塩基間連結がホスホロチオエートであり、全てのシトシン塩基が5-メチル改変を有する、配列番号135である。
【0113】
14-166は、2’-MOE RNAウイングが隣接する12塩基のDNAの中心セグメントを有するギャップマーでの配列番号135であって、2番目、3番目、4番目および18番目の塩基間連結がホスホジエステルであり、残りの塩基間連結がホスホロチオエートであり、全てのシトシン塩基が5-メチル改変を有する、配列番号135である。14-175は、2’-MOE RNAウイングが隣接する12塩基のDNAの中心セグメントを有するギャップマーでの配列番号144であって、2番目、3番目および18番目の塩基間連結がホスホジエステルであり、残りの塩基間連結がホスホロチオエートであり、全てのシトシン塩基が5-メチル改変を有する、配列番号144である。14-176は、2’-MOE RNAウイングが隣接する12塩基のDNAの中心セグメントを有するギャップマーでの配列番号144であって、2番目、3番目、4番目および18番目の塩基間連結がホスホジエステルであり、残りの塩基間連結がホスホロチオエートであり、全てのシトシン塩基が5-メチル改変を有する、配列番号144である。FASTA目録は、かかるASOを注文するためにIntegrated DNA Technologiesなどの供給業者に提示され得るフォーマットである。
【0114】
【手続補正書】
【提出日】2024-01-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】