(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-02
(54)【発明の名称】創傷閉鎖デバイス
(51)【国際特許分類】
A61F 13/02 20240101AFI20240424BHJP
A61F 13/0246 20240101ALI20240424BHJP
【FI】
A61F13/02 310R
A61F13/02 380
A61F13/0246 502
A61F13/02 390
A61F13/02 355
A61F13/02 310M
A61F13/02 310A
A61F13/02 310F
A61F13/02 310D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571719
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 GB2022051247
(87)【国際公開番号】W WO2022243675
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518393148
【氏名又は名称】アドバンスト メディカル ソリューションズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘイワード アリステア
(57)【要約】
本発明は、創傷を閉鎖するための創傷閉鎖デバイスおよびその製造方法に関する。本発明はまた、創傷を閉鎖するための創傷閉鎖デバイスおよび創傷を閉鎖するためのキットオブパーツの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷閉鎖デバイスであって、
創傷閉鎖層であって、創傷対向面と、前記創傷閉鎖層の前記創傷対向面の反対側の非創傷対向面と、前記創傷閉鎖層を通って前記創傷対向面から前記創傷閉鎖層の前記非創傷対向面まで延びる1つ以上の開口領域とを含む、創傷閉鎖層、および
接着剤であって、前記創傷閉鎖層の前記創傷対向面に配置され、使用時に、前記創傷閉鎖層の前記非創傷対向面に隣接して配置された基材層が前記開口領域の1つ以上を通り抜ける前記接着剤と接触する程度まで、前記開口領域の1つ以上を通り抜ける接着剤を含む、創傷閉鎖デバイス。
【請求項2】
前記基材層が、前記創傷閉鎖層の前記非創傷対向面に隣接して配置され、前記開口領域の1つ以上を通り抜ける前記接着剤と接触する、請求項1に記載の創傷閉鎖デバイス。
【請求項3】
(i)前記接着剤は、前記1つ以上の開口領域を通り抜けるが、前記創傷閉鎖層の前記非創傷対向面から突出しない、または
(ii)前記接着剤は、前記1つ以上の開口領域を通り抜け、前記創傷閉鎖層の前記非創傷対向面から突出するが、前記創傷閉鎖層の前記非創傷対向面を覆わない、
請求項1または2に記載の創傷閉鎖デバイス。
【請求項4】
前記接着剤が、創傷対向面と、前記接着剤層の前記創傷対向面の反対側の非創傷対向面とを含む接着剤層であり、前記創傷閉鎖層の前記非創傷対向面に隣接して配置された前記基材層が、前記接着剤層の前記非創傷対向面に接触する、請求項1~3に記載の創傷閉鎖デバイス。
【請求項5】
前記接着剤層の前記非創傷対向面は剥離接着の値を有し、前記剥離接着の値は、前記接着剤層の創傷対向面の剥離接着の値よりも小さい、請求項4に記載の創傷閉鎖デバイス。
【請求項6】
前記接着剤層の前記非創傷対向面の前記剥離接着の値が、約0.1N~約2.0N/25mm、好ましくは約0.5N/25mm~約1.0N/25mmである、請求項4または5に記載の創傷閉鎖デバイス。
【請求項7】
前記接着剤層の前記創傷対向面の前記剥離接着の値が、約2.5N/25mm~約10N/25mm、好ましくは約2.5N/25mm~約5.0N/25mmである、請求項4から6のいずれか一項に記載の創傷閉鎖デバイス。
【請求項8】
前記創傷閉鎖層が、約5グラム/m
2~30グラム/m
2、好ましくは約10グラム/m
2~20グラム/m
2の重量を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の創傷閉鎖デバイス。
【請求項9】
前記創傷閉鎖層がポリマーから形成され、場合により、前記ポリマーは、ポリエステル、ポリオレフィン、およびポリアミドからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の創傷閉鎖デバイス。
【請求項10】
前記創傷閉鎖層が、約50~約95、好ましくは約70~約95の開口領域百分率(%)を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の創傷閉鎖デバイス。
【請求項11】
前記創傷閉鎖層がメッシュまたは穿孔フィルムであり、好ましくは、前記創傷閉鎖層がメッシュである、請求項1~10のいずれか一項に記載の創傷閉鎖デバイス。
【請求項12】
前記メッシュがメッシュ生地であり、場合により、前記メッシュ生地は織られたメッシュ生地である、請求項11に記載の創傷閉鎖デバイス。
【請求項13】
前記接着剤は、約5グラム/m
2~約100グラム/m
2のコート重量で配置され、好ましくは、前記接着剤は、約10グラム/m
2~約30グラム/m
2のコート重量を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の創傷閉鎖デバイス。
【請求項14】
前記接着剤が感圧接着剤を含み、好ましくは、前記接着剤がアクリル系感圧接着剤もしくはシリコーン感圧接着剤またはそれらの混合物を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の創傷閉鎖デバイス。
【請求項15】
前記基材層が第1の剥離ライナーであり、前記接着剤層の前記創傷対向面と接触する第2の剥離ライナーが存在し、場合により、前記接着剤層の前記非創傷対向面から前記第1の剥離ライナーを除去するのに必要な前記剥離接着の値が、前記接着剤層の前記創傷対向面から前記第2の剥離ライナーを除去するのに必要な前記剥離接着の値よりも大きい、請求項4~14のいずれか一項に記載の創傷閉鎖デバイス。
【請求項16】
創傷閉鎖デバイスを製造する方法であって、
創傷対向面と、創傷対向面の反対側の非創傷対向面と、創傷閉鎖層を通って創傷対向面から創傷閉鎖層の非創傷対向面まで延びる1つ以上の開口領域とを含む創傷閉鎖層を設けること、
使用時に、創傷閉鎖層の非創傷対向面に隣接して配置された基材層が開口領域の1つ以上を通り抜ける接着剤と接触する程度に、創傷閉鎖層の創傷対向面に接着剤を配置して、開口領域の1つ以上を通り抜けることを含む、製造方法。
【請求項17】
前記配置することが、前記創傷閉鎖層と前記接着剤とを約20Psi~約40Psiの圧力で一緒に圧縮することを含む、請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
前記配置することのステップの前に、以下のステップ、
創傷対向面と、キャリア層の前記創傷対向面の反対側の非創傷対向面とを含む前記キャリア層を設けることと、
接着剤-溶媒混合物を前記キャリア層の前記非創傷対向面に塗布することと、および前記溶媒を除去して前記接着剤を形成すること、場合により、前記溶媒を除去することは、約50℃~約150℃で乾燥させて前記接着剤を形成することとを含む、
が実行される、請求項16または17に記載の製造方法。
【請求項19】
前記接着剤は、創傷対向面と、前記接着剤層の前記創傷対向面の反対側の非創傷対向面とを含む接着剤層であり、前記キャリア層の前記非創傷対向面は、前記接着剤層の前記創傷対向面と接触しており、前記接着剤を配置することは、
前記創傷閉鎖層の前記創傷対向面を前記接着剤層の前記非創傷対向面と接触させること
を含む、請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
請求項16~19のいずれか一項に記載の方法に従って得られるまたは得ることができる創傷閉鎖デバイス。
【請求項21】
創傷を閉鎖する方法における、請求項1から15または20のいずれか一項に記載の創傷閉鎖デバイスの使用。
【請求項22】
創傷を閉鎖するためのキットオブパーツであって、
請求項1から15または20のいずれか一項に記載の創傷閉鎖デバイス、および
創傷閉鎖接着剤を含むアプリケータを含む、キットオブパーツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、創傷を閉鎖するための創傷閉鎖デバイスおよびその製造方法に関する。本発明はまた、創傷を閉鎖するための創傷閉鎖デバイスおよび創傷を閉鎖するためのキットオブパーツの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
創傷閉鎖デバイス(例えば創傷閉鎖システム)は、創傷閉鎖処置において頻繁に利用される従来のステープル留めおよび縫合技術の周知の代替手段である。従来のステープル留めおよび縫合技術に関連する主要な問題の1つは、創傷閉鎖処置の一部として皮膚を穿刺する必要性に関する。これは、患者の不快感および組織外傷、ならびにさらなる出血、瘢痕、組織刺激、感染のリスクの増加およびより長い治癒時間などの一連の他の有害な作用を引き起こす可能性がある。
【0003】
創傷閉鎖ストリップなどの創傷閉鎖デバイスは、ステープル留めおよび縫合技術に関連する問題を克服するために開発されてきた。これらの創傷閉鎖デバイスは、一般に、その創傷対向面に塗布された接着剤、典型的には感圧接着剤(PSA)を有する可撓性材料ストリップから形成される。使用時に、ストリップの創傷対向面の接着剤は、創傷を取り囲む皮膚にストリップを穏やかに固定するように作用し、創傷が引っ張られて塞がると、封止される位置において創傷をしっかりと保持する。ストリップは、一般に、皮膚の表面に接着したままであり、治癒プロセス全体の間に創傷と位置合わせされる。ストリップは、多くの場合、治癒プロセスを助けるためにストリップを通る流体の流れを可能にするように多孔質である。創傷ストリップを定位置にしっかりと固定し、その適用および創傷治癒プロセスの最中にそれが移動するのを防止するために、さらなる接着剤(例えば、適切な開始剤と共に使用される重合性接着剤組成物)をストリップの上部に塗布することができる。このさらなる接着剤はまた、創傷の上に保護バリアを形成し、そのため治癒プロセスを促進することができる。そのような創傷閉鎖ストリップは、適用が迅速であり、創傷閉鎖処置の間に皮膚を穿刺する必要性を回避する。これらのデバイスはまた、より少ない組織外傷、整容的外観の向上、および患者にとっての不快感をもたらす。
【0004】
それらの利点にもかかわらず、上記のような創傷閉鎖ストリップは、使用中にユーザが取り扱うことが困難であり得る。これは、ユーザが創傷を取り囲む皮膚にストリップを手動で位置決めして適用する必要があるためであり、これは一般に、自分の指および親指を使用してストリップの縁部領域を把持することを含む。これは、ユーザがストリップ(例えば、下側)の創傷対向面に配置された接着剤に不注意に触れ、そのため、使用の際に創傷対向面から接着剤が汚染されてこすれ落ちることにつながることが多い。これは、創傷環境の無菌性および創傷閉鎖ストリップの創傷に対する結合強度を損なう可能性がある。さらに、そのようなストリップの適用は、一般に、特により小さいサイズの創傷および閉鎖ストリップが利用される場合、操作者からの高いレベルの器用さを必要とする。
【0005】
近年、上記の取り扱い上の問題を克服するために、改変された創傷閉鎖ストリップが開発されている。1つの特定の例は、創傷閉鎖ストリップの創傷対向面に配置された接着剤に、剥離ライナーの複数のセクションを組み込むことを含む。そのような例では、創傷閉鎖ストリップは、ストリップの創傷対向面に接着剤を露出させるために通常通り除去される剥離ライナーのセクションを含むが、創傷閉鎖処置の終了までストリップの創傷対向面から除去されない剥離ライナーの別のセクションも含む。剥離ライナーの、ストリップの創傷対向面に接着されたままの部分は、使用中にストリップを制御および位置決めするために使用することができる。米国特許出願公開第2018/0085260号明細書を参照すると、使用前にストリップの創傷対向面の接着剤層に適用された剥離ライナーの第1のセクションおよび剥離ライナーの第2のセクションを有する創傷閉鎖デバイスが記載されている。剥離ライナーの第1のセクションを除去して、創傷閉鎖ストリップの創傷対向面の一部を露出させる。露出された部分により、創傷閉鎖ストリップは創傷に配置され、創傷を閉鎖される位置において固定するために使用される。ユーザは、剥離ライナーの第2のセクションをハンドルとして使用することによって、これを達成し、ユーザは、創傷閉鎖ストリップの上面および下面で親指や他の指を使用して剥離ライナーの第2のセクションを把持することができる。創傷閉鎖ストリップが適所に配置され、創傷が固定されて閉鎖されると、剥離ライナーの第2のセクションをストリップの下面から除去して、ストリップの創傷対向面の接着剤の残りの部分を露出させ得る。次いで、これを皮膚の表面に押し下げて、ストリップを創傷に完全に固定する。
【0006】
しかしながら、米国特許出願公開第2018/0085260号明細書に記載されているような解決策は、それ自体の欠点を抱えている。例えば、ストリップの創傷対向面の接着剤に配置された剥離ライナーの複数のセクションを有するデバイスを使用する場合、処置の最後にハンドル部分として機能する剥離ライナーのセクションを除去することは困難であり得る。これは、剥離ライナーの残りの部分をストリップの下面から除去する時点で、創傷部位の皮膚の表面に既に接着されている閉鎖ストリップの割合が大きいためである。これにより、ユーザは、残りの剥離ライナーを把持して剥がすために、ストリップの下で自分の親指以外の指および親指を操作することが困難になる。したがって、ユーザがストリップの創傷対向面に配置された接着剤層に不注意に触れて、摩耗および汚染を引き起こすのは一般的である。実際、ほとんどの場合、ユーザは、実際には、創傷閉鎖ストリップを皮膚の表面から外方に曲げて、残りのライナーを把持して除去することをより容易にしようとする傾向がある。これにより、創傷閉鎖ストリップの位置が不注意に変更され、ストリップが創傷と位置合わせされて創傷に固定される程度が損なわれることがある。
【0007】
本発明の目的は、上記の欠点の1つまたは複数を回避または緩和することである。
【発明の概要】
【0008】
本発明者は、創傷を閉鎖するための創傷閉鎖デバイスを開発した。一般的に言えば、本発明者は、創傷に適用されたときに容易に取り扱うことができ、多くの既知の創傷閉鎖デバイスとは異なり、使用中にユーザがデバイスの創傷対向面に位置する接着剤を意図的にまたは不注意に把持または接触することを防止する創傷閉鎖層(例えば、創傷閉鎖ストリップ)を有する創傷閉鎖デバイスを確立した。
【0009】
本発明の第1の態様では、創傷閉鎖デバイスであって、(i)創傷閉鎖層であって、創傷対向面と、創傷閉鎖層の創傷対向面の反対側の非創傷対向面と、創傷閉鎖層を通って創傷対向面から創傷閉鎖層の非創傷対向面まで延びる1つ以上の開口領域とを含む、創傷閉鎖層、および(ii)接着剤であって、創傷閉鎖層の創傷対向面に配置され、使用時に、創傷閉鎖層の非創傷対向面に隣接して配置された基材層が開口領域の1つ以上を通り抜ける接着剤と接触する程度まで、開口領域の1つ以上を通り抜ける接着剤を含む、創傷閉鎖デバイスが提供される。
【0010】
本発明の創傷閉鎖デバイスは、創傷閉鎖層の創傷対向面に配置された接着剤(例えば、創傷閉鎖ストリップ)を含み、接着剤は、創傷閉鎖層の開口領域の1つ以上を通り抜ける。創傷閉鎖層の創傷対向面に位置する接着剤は、創傷閉鎖層を創傷を取り囲む皮膚に付着させることを可能にする。接着剤はまた、有利にも、使用中に、接着剤と接触する創傷閉鎖層の非創傷対向面に隣接して配置された基材層(例えば、剥離ライナーなど)が開口領域の1つ以上を通り抜ける程度まで、創傷閉鎖層に形成された開口領域の1つ以上を通り抜ける(例えば、創傷閉鎖層に形成された開口領域をしみ出す)。これにより、接着剤の非創傷閉鎖層が基材層に結合し、基材層を創傷閉鎖層の非創傷対向面に隣接して保持する。創傷閉鎖層の創傷対向面に配置されるが、非創傷対向面まで開口領域を通り抜ける「しみ出し」接着剤を含むことによって、本発明の創傷閉鎖デバイスは、(i)皮膚取囲み創傷をしっかりと付着させることができる創傷対向側と、(ii)粘着性であるという利点を有する非創傷対向側とを有する。したがって、デバイスの非創傷対向側は、使用中の創傷閉鎖デバイスの便利な取り扱いを容易に促進し、使用中に創傷閉鎖デバイスの創傷対向側の接着剤にユーザが触れて汚す可能性を低減するように設計された基材層(例えば、剥離ライナーなど)と共に使用することができる。
【0011】
一般的に言えば、本発明の創傷閉鎖層の開口領域の1つ以上を通り抜ける接着剤は、使用者が接着剤または創傷閉鎖層の創傷対向側に触れる必要なくデバイスを把持するまたは握ることができるハンドルを設けるように設計された剥離ライナーに接触して接着することができる。本明細書に記載の
図5~
図13に示す例示的なデバイスに見られるように、ユーザは、創傷閉鎖処置の間にデバイスの位置を操作および制御するために、接着剤および創傷閉鎖層の非創傷対向面に接着された剥離ライナーを取り扱うことだけが必要とされる。一旦創傷に適用され固定されると、剥離ライナーは、創傷閉鎖層または接着剤の創傷対向面(すなわち下側)に接触する必要なく、容易に除去することができる。これは、上述した既知のデバイスを動作させるために必要とされるものと比較して、ユーザからの技能および器用さをあまり必要としない。「しみ出し」接着剤は、それが非常に望ましい場合に、創傷閉鎖層の非創傷対向面に追加の接着剤を別々に塗布する必要性を排除することも理解されよう。このことは、本発明の創傷閉鎖デバイスを作製する際のより効率的で経済的な製造方法を生じさせる。
【0012】
本発明の第2の態様では、創傷閉鎖デバイスの製造方法であって、(i)創傷閉鎖層であって、創傷対向面と、創傷対向面の反対側の非創傷対向面と、創傷閉鎖層を通って創傷対向面から創傷閉鎖層の非創傷対向面まで延びる1つ以上の開口領域とを含む創傷閉鎖層を設けること、および(ii)使用時に、創傷閉鎖層の非創傷対向面に隣接して配置された基材層が開口領域の1つ以上を通り抜ける接着剤と接触する程度に、創傷閉鎖層の創傷対向面に接着剤を配置して、開口領域の1つ以上を通り抜けることを含む、製造方法が提供される。
【0013】
本発明の第3の態様では、本発明の第2の態様またはその任意の実施形態の方法に従って得られるまたは得ることができる創傷閉鎖デバイスが提供される。
【0014】
本発明の第4の態様では、創傷を閉鎖する方法における、本発明の第1の態様またはその任意の実施形態または本発明の第3の態様またはその任意の実施形態による創傷閉鎖デバイスの使用が提供される。
【0015】
本発明の第5の態様では、本発明の第1の態様またはその任意の実施形態または本発明の第3の態様またはその任意の実施形態による創傷閉鎖デバイスと、創傷閉鎖接着剤を含むアプリケータとを含む、創傷を閉鎖するためのキットオブパーツが提供される。
【0016】
本発明の第1または第2の態様の実施形態では、基材層は、創傷閉鎖層の非創傷対向面に隣接して配置され、開口領域の1つ以上を通り抜ける接着剤と接触する。
【0017】
本発明の第1または第2の態様の実施形態では、接着剤は、1つまたは複数の開口領域を通り抜けるが、創傷閉鎖層の非創傷対向面から突出しない。本発明の第1または第2の態様の他の実施形態では、接着剤は、1つまたは複数の開口領域を通り抜け、創傷閉鎖層の非創傷対向面から突出するが、創傷閉鎖層の非創傷対向面を覆わない。実施形態において、接着剤が創傷閉鎖層の創傷対向面にあり、使用時に、創傷閉鎖層の非創傷対向面に隣接して配置された基材層が、開口領域の1つ以上を通り抜ける接着剤と接触する程度に開口領域の1つ以上を通り抜け、基材層は、創傷閉鎖層の非創傷対向面と接触する。実施形態において、接着剤が創傷閉鎖層の創傷対向面にあり、使用時に、創傷閉鎖層の非創傷対向面に隣接して配置された基材層が、開口領域の1つ以上を通り抜ける接着剤と接触する程度に開口領域の1つ以上を通り抜け、基材層は、創傷閉鎖層の非創傷対向面と接触しない。
【0018】
接着剤が1つ以上の開口領域を通り抜け、創傷閉鎖層の非創傷対向面から突出する場合、接着剤は1つ以上の開口領域から創傷閉鎖層の非創傷対向面にこぼれないことが理解されよう。この実施形態では、接着剤は、基材層と接触し得、基材層は、創傷閉鎖層の非創傷対向面と接触しない。いくつかの例では、接着剤は、1つまたは複数の開口領域に沿って部分的にのみ延在し得る、ただし使用時に接着剤は後に基板に接触する程度まで通り抜ける。これは、例えば、基材層が、接着剤との接触がなされるまで、創傷閉鎖層の非創傷対向面から創傷閉鎖層の創傷対向面に向かって1つ以上の開口領域に部分的に沿って延びる(例えば、垂れ下がる、または押し下げられる)場合に起こり得る。接着剤は、1つ以上の開口領域に沿って、創傷閉鎖層の非創傷対向面と同じ高さになる点までのみ延びていてもよいことも理解されよう。
創傷閉鎖層
【0019】
本発明の創傷閉鎖デバイスは、創傷閉鎖層を含む。創傷閉鎖層は、創傷対向面と、創傷閉鎖層の創傷対向面とは反対側の非創傷対向面とを有する。使用している間、創傷閉鎖層の創傷対向面は、創傷開口部に最も近く、近接して位置し、非創傷対向面は、創傷開口部から最も遠く、遠位に位置する。これは、本明細書に記載の
図1~
図13から明らかである。
【0020】
本発明の創傷閉鎖層は、創傷閉鎖層の創傷対向面から非創傷対向面まで創傷閉鎖層を通り抜ける1つ以上の開口領域を含む。本発明の文脈において、開口領域は、創傷閉鎖層の創傷対向面から非創傷対向面への接着剤の通過または延在を可能にするように適切に成形され寸法決めされる。開口領域は、発泡体内の開口セル、有孔フィルム内部の孔/開口、メッシュ材料内部の開口領域などの形態をとることができることが理解されよう。
【0021】
創傷閉鎖層は、創傷閉鎖処置での使用に適した性能特性を有し、創傷を閉鎖することができる任意の材料から形成され得る。例えば、創傷閉鎖層は、創傷閉鎖処置全体の間、特に創傷へ適用およびそれから除去する間の引裂きに対して、抵抗性があるべきである。創傷閉鎖層はまた、所与の創傷の輪郭に適合し、使用中の創傷の移動(例えば、曲げまたは回転)に適応するように、十分に可撓性および/または弾性があり得ることが理解されよう。創傷閉鎖層は、好ましくは、創傷閉鎖処置の間組織で使用するのに適した生体適合性材料である。材料は、好ましくは、創傷閉鎖用途に安全であると認められる、または安全であるとみなされる。
【0022】
本発明の第1または第2の態様の実施形態では、創傷閉鎖層は、有孔フィルム、メッシュ、発泡体(例えば連続気泡フォーム)、織布、不織布、またはそれらの任意の組み合わせである。創傷閉鎖層は、メッシュまたは穿孔フィルムであってもよく、好ましくは、創傷閉鎖層はメッシュである。さらなる実施形態では、メッシュはメッシュ生地であり、典型的にはメッシュ生地は織られたメッシュ生地である。
【0023】
本発明の第1または第2の態様のさらなる実施形態では、創傷閉鎖層は、適切なポリマーから形成される。典型的には、ポリマーは、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンコポリマーおよびエチレンブチレンコポリマー、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトンまたはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0024】
創傷閉鎖層は、メッシュ、典型的には織られたメッシュ生地であってもよい。メッシュまたは織られたメッシュ生地は、任意の適切なポリマーから形成されてもよく、好ましくは、メッシュまたは織られたメッシュ生地は、ポリエステル、ポリオレフィンまたはポリアミドから形成される。いくつかの実施形態では、創傷閉鎖層は、ポリエステルの織られたメッシュ生地である。
【0025】
本発明の第1または第2の態様のいくつかの実施形態では、創傷閉鎖層は、約5グラム/m2~50グラム/m2、約10グラム/m2~50グラム/m2、約15グラム/m2~50グラム/m2、約20グラム/m2~50グラム/m2、約25グラム/m2~50グラム/m2、約30グラム/m2~50グラム/m2、約35グラム/m2~50グラム/m2、約40グラム/m2~50グラム/m2または約45グラム/m2~50グラム/m2の重量を有する。他の実施形態では、創傷閉鎖層は、約5グラム/m2~45グラム/m2、約5グラム/m2~40グラム/m2、約5グラム/m2~35グラム/m2、約5グラム/m2~30グラム/m2、約5グラム/m2~25グラム/m2、約5グラム/m2~20グラム/m2、約5グラム/m2~15グラム/m2または約5グラム/m2~10グラム/m2の重量を有する。創傷閉鎖層は、約10グラム/m2~45グラム/m2の重量を有してもよく、または創傷閉鎖層は、約15グラム/m2~40グラム/m2の重量を有してもよい。典型的には、創傷閉鎖層は、約5グラム/m2~30グラム/m2、好ましくは約10グラム/m2~20グラム/m2の重量を有する。創傷閉鎖層は、約15グラム/m2の重量を有し得る。
【0026】
本発明の第1または第2の態様の実施形態では、創傷閉鎖層は、約10~約95の開口領域百分率(%)を有する。さらなる実施形態では、創傷閉鎖層は、約20~約95、約30~約95、約30~約95、約40~約95、約50~約95、約60~約95、約70~約95または約80~約95、約10~約80、約10~約70、約10~約60、約10~約50、約10~約40、約10~約30、約10~約20、約20~約80、約30~約70または約40~約60の開口領域百分率(%)を有する。他の実施形態では、創傷閉鎖層は、約50~約95、典型的には、約70~約80の開口領域百分率(%)を有する。創傷閉鎖層は、好ましくは約80の開口領域百分率(%)を有する。開口領域百分率(%)は、創傷閉鎖層のうちのどれだけが開口領域によって占められているかを反映し得ることが理解されよう。開口領域百分率は、創傷閉鎖層を通って(しみ出して)延びることができる接着剤の量を制御するために変化させることができる。
【0027】
第1の態様、第2の態様またはそれらの実施形態によれば、創傷閉鎖層の創傷対向面から非創傷対向面まで創傷閉鎖層を通り抜ける1つ以上の開口領域は、約0.5mm2~約5mm2の孔の面積を有し得る。本明細書で使用される場合、「孔の面積」は、本発明の創傷閉鎖層の内部に形成された「1つ以上の開口領域」のうちの1つによって占められる面積を指す。他の実施形態では、創傷閉鎖層を通り抜けて創傷閉鎖層の創傷対向面から非創傷対向面まで通り抜ける1つ以上の開口領域は、約0.5mm2~約5mm2、約0.1mm2~約5mm2、約2mm2~約5mm2、約3mm2~約5mm2、約4mm2~約5mm2、約0.5mm2~約4mm2、約0.5mm2~約3mm2、約0.5mm2~約2mm2または約0.5mm2~約1mm2の孔の面積を有し得る。好ましくは、創傷閉鎖層を経て創傷閉鎖層の創傷対向面から非創傷対向面まで通り抜ける1つ以上の開口領域は、約0.5mm2~約2.5mm2、または約1mm2~約2mm2、または約1.5mm2の孔の面積を有し得る。
接着剤
【0028】
第1の態様または第2の態様またはそれらの実施形態によれば、接着剤は、創傷対向面と、接着剤層の創傷対向面の反対側の非創傷対向面とを含む接着剤層であってもよく、創傷閉鎖層の非創傷対向面に隣接して配置された基材層は、接着剤層の非創傷対向面に接触する。接着剤は、創傷閉鎖層の創傷対向面に連続層または不連続層として配置され得る。いくつかの実施形態において、接着剤は、創傷閉鎖層の創傷対向面を十全にまたは完全に覆っていてもよい。他の実施形態では、接着剤は、創傷閉鎖層の創傷対向面を部分的に覆ってもよい。
【0029】
接着剤が創傷閉鎖層の創傷対向面を部分的に覆う実施形態では、創傷閉鎖層の創傷対向面の接着剤の被覆率(%)は、約20%~約80%、約30%~約80%、約40%~約80%、約50%~約80%、約60%~約80%、約70%~約80%、約20%~約70%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%または約20%~約30%である。実施形態において、創傷閉鎖層の創傷対向面の接着剤の被覆率(%)は、約20%~約50%、約30%~約40%、約35%~約45%または約35%~約40%である。創傷対向面の接着剤の被覆率は、約35%または37.5%であり得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、接着剤層は、創傷閉鎖層の創傷対向面にストライプのパターンまたはドットのパターンを形成し得る。接着剤層がストライプのパターンを形成する場合、ストライプは、約2mm~約10mmの間隙によって分離されてもよく、好ましくは、ストライプは、約3mmの間隙および約5mmの間隙によって分離され得る。
【0031】
本発明の第1および第2の態様の実施形態では、接着剤層の非創傷対向面は、接着剤層の創傷対向面の剥離接着の値よりも小さい剥離接着の値を有する。理論に束縛されるものではないが、そのような実施形態では、接着剤層の創傷対向面は、接着剤層の非創傷対向面の露出表面積よりも大きい表面露出面積を有し得る。これにより、接着剤層の非創傷対向面は、接着剤層の創傷対向面の剥離接着の値よりも小さい剥離接着の値を有する。
【0032】
いくつかの実施形態では、接着剤層の非創傷対向面の剥離接着の値は、約0.1N/25mm~約5.0N/25mm、約0.1N/25mm~約4.0N/25mm、約0.1N/25mm~約3.0N/25mm、約0.5N/25mm~約5.0N/25mm、約1.0N/25mm~約5.0N/25mm、約2.0N/25mm~約5.0N/25mm、約3.0N/25mm~約5.0N/25mmまたは約4.0N/25mm~約5.0N/25mmである。他の実施形態では、接着剤層の非創傷対向面の剥離接着の値は、約0.1N/25mm~約2.0N/25mm、約0.2N/25mm~約2.0N/25mm、約0.4N/25mm~約2.0N/25mm、約0.6N/25mm~約2.0N/25mm、約0.8N/25mm~約2.0N/25mm、約1.0N/25mm~約2.0N/25mm、約1.2N/25mm~約2.0N/25mm、約1.4N/25mm~約2.0N/25mm、約1.6N/25mm~約2.0N/25mm、約1.8N/25mm~約2.0N/25mm、約0.1N/25mm~約1.8N/25mm、約0.1N/25mm~約1.6N/25mm、約0.1N/25mm~約1.4N/25mm、約0.1N/25mm~約1.6N/25mm、約0.1N/25mm~約1.4N/25mm、約0.1N/25mm~約1.2N/25mm、約0.1N/25mm~約1.0N/25mm、約0.1N/25mm~約0.8N/25mm、約0.1N/25mm~約0.6N/25mm、約0.1N/25mm~約0.4N/25mmまたは約0.1N/25mm~約0.2N/25mm。さらなる実施形態では、接着剤層の非創傷対向面の剥離接着の値は、約0.5N/25mm~約1.0N/25mmである。好ましい実施形態では、接着剤層の非創傷対向面の剥離接着の値は、約0.8N/25mm~約1.0N/25mmである。接着剤層の非創傷対向面の剥離接着の値は、約0.9または約0.89であってもよい。
【0033】
実施形態において、接着剤層の創傷対向面の剥離接着の値は、約2.5N/25mm~約10N/25mm、約4N/25mm~約10N/25mm、約6N/25mm~約10N/25mm、約8N/25mm~約10N/25mm、約2.5N/25mm~約8N/25mm、約2.5N/25mm~約6N/25mmまたは約2.5N/25mm~約4N/25mmである。他の実施形態では、接着剤層の創傷対向面の剥離接着の値は、約4N/25mm~約8N/25mmまたは約4N/25mm~約6N/25mmである。さらなる実施形態では、接着剤層の創傷対向面の剥離接着の値は、約2.5N/25mm~約5.0N/25mmまたは約4N/25mm~約5.0N/25mmである。接着剤層の創傷対向面の剥離接着の値は、約4.5または約4.29であり得る。
【0034】
実施形態において、接着剤は、約5グラム/m2~約100グラム/m2、約10グラム/m2~約100グラム/m2、約20グラム/m2~約100グラム/m2、約30グラム/m2~約100グラム/m2、約40グラム/m2~約100グラム/m2、約50グラム/m2~約100グラム/m2、約60グラム/m2~約100グラム/m2、約70グラム/m2~約100グラム/m2、約80グラム/m2~約100グラム/m2、約90グラム/m2~約100グラム/m2、約10グラム/m2~約90グラム/m2、約10グラム/m2~約80グラム/m2、約10グラム/m2~約70グラム/m2、約10グラム/m2~約60グラム/m2、約10グラム/m2~約50グラム/m2、約10グラム/m2~約40グラム/m2、約10グラム/m2~約30グラム/m2約10グラム/m2~約20グラム/m2、約20グラム/m2~約90グラム/m2、約30グラム/m2~約80グラム/m2、約40グラム/m2~約70グラム/m2または約50グラム/m2~約60グラム/m2のコート重量で配置される(すなわち、創傷閉鎖層の創傷対向面に、コート重量で適用される)。いくつかの実施形態では、接着剤は、約10グラム/m2~約30グラム/m2のコート重量で配置され、接着剤は、約10グラム/m2~約20グラム/m2のコート重量を有するか、または接着剤は、約30グラム/m2~約50グラム/m2のコート重量を有する。好ましくは、接着剤は、約20グラム/m2、約30グラム/m2または約40グラム/m2のコート重量で配置される。いくつかの例では、接着剤は、約35グラム/m2のコート重量で配置される。接着剤は、好ましくは約20グラム/m2のコート重量で配置され得る。
【0035】
本発明の第1および第2の態様またはその実施形態によれば、接着剤は、創傷閉鎖層の創傷対向面および適切な剥離ライナーの表面に接着するのに十分な粘着性を有する任意の適切な接着剤であってもよい。接着剤は、使用時に皮膚に許容可能な接着をもたらすのに十分な粘着性を有する任意の適切な接着剤であってもよい。いくつかの実施形態において、接着剤は感圧接着剤を含む。いくつかの実施形態では、接着剤は、アクリル系感圧接着剤またはシリコーン感圧接着剤またはそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態では、接着剤はアクリル系感圧接着剤を含む。アクリル系感圧接着剤は、少なくとも1つのアルキルアクリレートモノマーまたはメタクリレート、不飽和カルボン酸、および場合によりビニルラクタムの重合から形成されるポリマーを含み得ることが理解されよう。適切なアルキルアクリレートまたはメタクリレートエステルの例としては、ブチルアクリレート、エチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレート、メチルアクリレート、メチルブチルアクリレート、4-メチル-2-ペンチルアクリレート、sec-ブチルアクリレート、エチルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、メチルメタクリレートなど、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好適なエチレン性不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸など、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
剥離ライナー
【0036】
本発明の第1の態様および第2の態様またはそれらの実施形態によれば、基材層は第1の剥離ライナーであり、接着剤層の創傷対向面と接触する第2の剥離ライナーが存在する。
【0037】
第1の剥離ライナーは、接着剤層の非創傷対向面に接触し、創傷閉鎖層に隣接して配置されたときに創傷閉鎖層の非創傷対向面を覆うために使用される任意の適切な裏打ち材または剥離材であってもよいことが理解されよう。第1の剥離ライナーは、創傷対向面と、創傷対向面の反対側の非創傷対向面とを有する。第1の剥離ライナーは、例えば、紙、プラスチックなどであってもよい。いくつかの実施形態では、第1の剥離ライナーはポリエチレン剥離ライナーである。
【0038】
いくつかの実施形態では、第1の剥離ライナーは透明(clearまたはtransparent)であり、使用時に、
図7に示すように、メッシュ接着剤層を創傷と位置決めして位置合わせするために、ユーザは第1の剥離ライナーを通して見ることができる。
【0039】
実施形態では、第1の剥離ライナーが接着剤層の非創傷対向面に接着されると、第1の剥離ライナーは、創傷閉鎖層および接着剤層の周囲に境界領域を形成する。使用中、この境界領域は、使用中にユーザが接着剤層(すなわち、下側の接着剤)の創傷対向側に触れる必要を避けるハンドル部分として機能する(
図7および境界領域14を参照)。いくつかの実施形態では、第1の剥離ライナーは、少なくとも1つのハンドル部分を形成することができ、このハンドル部分は、第1の剥離ライナーが接着剤層の非創傷対向面に接着されるとき、使用中に使用者が接着剤層の創傷対向面に触れるのを防止するように、創傷閉鎖層および接着剤層の周囲に配置される。例えば、ハンドル部分は、使用中に創傷対向面および/または非創傷対向面上に把持され得る少なくとも1つのタブまたはフラップの形態であってもよい。
【0040】
第2の剥離ライナーは、創傷対向接着剤層に隣接して配置されたときに接着剤層の創傷対向面に接触してこれを覆うために使用される任意の適切な裏打ち材または剥離材であってもよい。第2の剥離ライナーは、創傷対向面と、創傷対向面の反対側の非創傷対向面とを有する。第2の剥離ライナーは、例えば、紙、プラスチックなどであってもよい。いくつかの実施形態では、第2の剥離ライナーは、グラシン剥離ライナー、クレイコーティング剥離ライナー、PEコーティング剥離ライナーである。好ましくは、第2の剥離ライナーは、グラシン剥離ライナーである。
【0041】
本発明の第1および第2の態様またはその実施形態によれば、第1の剥離ライナーを接着剤層の非創傷対向面から除去するのに必要な剥離接着力(または剥離力)は、第2の剥離ライナーを接着剤層の創傷対向面から除去するのに必要な剥離接着力(または剥離力)よりも大きい。そのような実施形態では、ユーザは、接着剤層の非創傷対向面(しみ出し面)が、創傷閉鎖処置の間に第1の剥離ライナーの創傷対向面と接触して接着したままであることを確実にしながら、第2の剥離ライナーを接着剤層の創傷対向面から除去することができる。これは、本明細書に記載の
図5~
図7から明らかである。
【0042】
実施形態において、第1の剥離ライナーを接着剤層の非創傷対向面から除去するのに必要な剥離接着力は、約0.5N/40mm~約10N/40mm、約0.5N/40mm~約5N/40mm、約0.5N/40mm~約2N/40mm、または約0.5N/40mm~約1N/40mmである。実施形態では、第1の剥離ライナーを接着剤層の非創傷対向面から除去するのに必要な剥離接着力は、約0.5N/40mm~約3N/40mm、1N/40mm~約3N/40mmまたは2N/40mm~約3N/40mmである。いくつかの実施形態において、第1の剥離ライナーを接着剤層の非創傷対向面から除去するのに必要な剥離接着力は、約2N/40mm~約2.5N/40mmである。
【0043】
いくつかの実施形態では、接着剤層の創傷対向面から第2の剥離ライナーを除去するのに必要な剥離接着力は、約0.05N/40mm~約5N/40mm、約0.05N/40mm~約2N/40mm、約0.05N/40mm~約1N/40mm、約0.05N/40mm~約0.5N/40mm、約0.05N/40mm~約0.2N/40mmである。実施形態において、第2の剥離ライナーを接着剤層の創傷対向面から除去するのに必要な剥離接着力は、約0.1N/40mm~約0.2N/40mmまたは約0.15N/40mmである。
【0044】
本発明の第1の態様または第2の態様のいくつかの実施形態によれば、第1の剥離ライナーを接着剤層の非創傷対向面から除去するのに必要な剥離接着力は、約0.5N/40mm~約3N/40mm、約1N/40mm~約3N/40mmまたは約2N/40mm~約3N/40mmであり、第2の剥離ライナーを接着剤層の創傷対向面から除去するのに必要な剥離接着力は、約0.05N/40mm~約0.5N/40mm、約0.05N/40mm~約0.2N/40mmである。他の実施形態では、第1の剥離ライナーを接着剤層の非創傷対向面から除去するのに必要な剥離接着力は、約2N/40mm~約2.5N/40mmであり、第2の剥離ライナーを接着剤層の創傷対向面から除去するのに必要な剥離接着力は、約0.1N/40mm~約0.2N/40mmまたは約0.15N/40mmである。
【0045】
接着剤層の非創傷対向面が、接着剤層の創傷対向面の剥離接着の値よりも小さい剥離接着の値を有する実施形態では、第1および第2の剥離ライナーの材料特性は、接着剤層の非創傷対向面から第1の剥離ライナーを除去するのに必要な剥離接着力が、接着剤層の創傷対向面から第2の剥離ライナーを除去するのに必要な剥離接着力よりも大きいことを確実にするように選択することができることが理解されよう。例えば、接着剤層の非創傷対向面が、接着剤層の創傷対向面の剥離接着の値よりも小さい剥離接着の値を有する場合、第2の剥離ライナーは、使用時に、接着剤層の非創傷対向面から第1の剥離ライナーを除去するのに必要な剥離接着力が、接着剤層の創傷対向面から第2の剥離ライナーを除去するのに必要な剥離接着力よりも大きい程度に、接着剤層に対する創傷対向面へのその接着強度を低下させるコーティングをその非創傷対向面に含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2の剥離ライナーは、その非創傷対向面にシリコーンコーティングを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1の剥離ライナーは、その創傷対向面にシリコーンコーティングを含んでもよく、第2の剥離ライナーは、その非創傷対向面にシリコーンコーティングを含んでもよく、その結果、シリコーンコーティングの相対量は、使用中に接着剤層の非創傷対向面から第1の剥離ライナーを除去するのに必要な剥離接着力が、接着剤層の創傷対向面から第2の剥離ライナーを除去するのに必要な剥離接着力よりも大きいことを確実にする。そのような実施形態では、第2の剥離ライナーは、第1の剥離ライナーの創傷対向面のシリコーンコーティングよりも大きいコート重量を有するシリコーンコーティングをその非創傷対向面に含んでもよい。これらの実施形態では、第2の剥離ライナーの非創傷対向面のシリコーンコーティングは、約0.1グラム/m2~約5グラム/m2のコート重量を有する。好ましくは、第2の剥離ライナーの非創傷対向面のシリコーンコーティングは、約0.1グラム/m2~約2グラム/m2のコート重量を有する。他の実施形態では、第2の剥離ライナーの非創傷対向面の百分率表面積は、シリコーンのコーティングによって被覆された第1の剥離ライナーの創傷対向面の百分率表面積と比較されるものとして、シリコーンのコーティングによって被覆されている。
【0046】
本発明の第1および第2の態様またはその実施形態によれば、第1の剥離ライナーは、使用中に、タブを引っ張ることによって第1の剥離ライナーが接着剤層の非創傷対向面から除去されるように構成されたタブを含む。このような実施形態では、タブは、第1の剥離ライナーの非創傷対向面に配置される。タブは、第1の剥離ライナーの中央の位置から第1の剥離ライナーの長手方向縁部に向かって引っ張られるように動作可能であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の剥離ライナーは、タブが除去する間に接着剤層の非創傷対向面から引き離されると、第1の剥離ライナーが脆弱線に沿って裂けるか破断する脆弱線(例えば、ミシン目線)を含む。他の実施形態では、第1の剥離ライナーは、完全な破線(例えば完全切断線)を含む。そのような実施形態では、完全な破線は、デバイスを創傷に適用するときに、ユーザが創傷閉鎖層を伸張させることを可能にする。完全な破線は、第1の剥離ライナーが依然として付着させられている間に、創傷閉鎖層の屈曲および/または張力付与を可能にする。
【0047】
本発明の第1および第2の態様による実施形態では、第2の剥離ライナーは、第2の剥離ライナーの中間部分の斜め下に形成された切断部(または穿孔)を含む。これにより、第2の剥離ライナーに対して2つの別個の半体が形成される。動作中、ユーザは、第2の剥離ライナーを外側に変形させ、第1の剥離ライナーを内側に変形させるために創傷閉鎖デバイスを曲げる。これにより、第2の剥離ライナーの半体が切断部に沿って分離または分割され、ユーザは剥離作用によってライナーを把持して除去することができる。
【0048】
本発明の第2の態様は、創傷閉鎖デバイスの製造方法であって、(i)創傷閉鎖層であって、創傷対向面と、創傷対向面の反対側の非創傷対向面と、創傷閉鎖層を通って創傷対向面から創傷閉鎖層の非創傷対向面まで延びる1つ以上の開口領域とを含む創傷閉鎖層を設けること、および(ii)使用時に、創傷閉鎖層の非創傷対向面に隣接して配置された基材層が開口領域の1つ以上を通り抜ける接着剤と接触する程度に、創傷閉鎖層の創傷対向面に接着剤を配置して、開口領域の1つ以上を通り抜けることを含む、製造方法に関する。
【0049】
本発明の第2の態様の実施形態では、配置することは、適切な圧縮圧力で創傷閉鎖層および接着剤を一緒に圧縮して、使用時に、創傷閉鎖層の非創傷対向面に隣接して配置された基材層が、開口領域の1つ以上を通り抜ける接着剤に接触する程度まで、接着剤を開口領域の1つ以上を通り抜けるようにすることを含む。好ましい実施形態では、創傷閉鎖層と接着剤とを一緒に圧縮することにより、接着剤が1つ以上の開口領域を通り抜けるが、創傷閉鎖層の非創傷対向面から突出しなくなる。いくつかの実施形態では、創傷閉鎖層と接着剤とを一緒に圧縮することにより、接着剤が1つ以上の開口領域を通って延び、創傷閉鎖層の非創傷対向面から突出するが、接着剤が創傷閉鎖層の非創傷対向面を覆うことはない。使用時に、創傷閉鎖層の非創傷対向面に隣接して配置された基材層が、開口領域の1つ以上を通り抜ける接着剤に接触する程度まで、接着剤を開口領域の1つ以上を通り抜けるようにするために必要な圧縮条件(例えば、圧力および時間)は、創傷閉鎖層および使用される接着剤の材料の特性に応じて変化することが理解されよう。
【0050】
本発明の第2の態様のいくつかの実施形態では、圧縮は、創傷閉鎖層と接着剤とを一緒に圧縮するための任意の適切な手段を使用して行われる。例えば、圧縮は、創傷閉鎖層と接着剤とを一緒に圧縮するためにニップポイントローラを使用して行われてもよい。
【0051】
本発明の第2の態様のいくつかの実施形態では、圧縮は、約20Psi~約40Psi、約25Psi~約40Psi、約30Psi~約40Psi、約30Psi~約40Psi、約20Psi~約35Psi、約20Psi~約30Psiまたは約20Psi~約25Psiの圧力で行われる。好ましい実施形態では、圧縮は、約25Psi~約35Psiまたは約30Psiの圧力で行われる。
【0052】
本発明の第2の態様の特定の実施形態では、配置することのステップの前に、以下のステップ、(i)創傷対向面と、キャリア層の創傷対向面の反対側の非創傷対向面とを含むキャリア層を設けること、および(ii)接着剤-溶媒混合物をキャリア層の非創傷対向面に塗布すること、および溶媒を除去して接着剤を形成することが実行される。キャリア層は、接着剤の創傷対向面から除去され、使用前に本明細書に記載の第2の剥離ライナーと交換される犠牲キャリア層(例えば、犠牲紙ライナー)であってもよいことが理解されよう。
【0053】
いくつかの実施形態では、溶媒を除去することは、約50℃~約150℃の温度で乾燥させて接着剤を形成することを含む。乾燥温度は、使用される接着剤-溶媒混合物の特性に応じて変化し得ることが理解されよう。
【0054】
本発明の第2の態様の実施形態では、本明細書に記載の第1の剥離ライナー(すなわち、基材層)が、接着剤の非創傷対向面に適用される。
【0055】
本発明の第1および第2の態様またはその実施形態によれば、創傷閉鎖デバイスは、1つ以上の補助層を含んでもよい。そのような補助層は、創傷閉鎖デバイスのための包装システムを形成するさらなる剥離ライナーを含み得る。
【0056】
本発明の第2の態様またはその実施形態によれば、接着剤は、創傷対向面と、接着剤層の創傷対向面の反対側の非創傷対向面とを含む接着剤層であり、キャリア層の非創傷対向面は、接着剤層の創傷対向面と接触しており、接着剤を配置することは、創傷閉鎖層の創傷対向面を接着剤層の非創傷対向面と接触させることを含む。そのような実施形態では、接着剤は、約20グラム/m2、約30グラム/m2または約40グラム/m2のコート重量で配置される。いくつかの例では、接着剤は、約35グラム/m2のコート重量で配置される。接着剤は、好ましくは約20グラム/m2のコート重量で配置され得る。
【0057】
本発明の第4の態様では、創傷を閉鎖する方法における、本発明の第1の態様またはその任意の実施形態または本発明の第3の態様またはその任意の実施形態による創傷閉鎖デバイスの使用に関する。
【0058】
本発明の第4の態様の実施形態では、方法は、接着剤の創傷対向面から第2の剥離ライナーを除去することを含む。次いで、第1の剥離ライナー(好ましくは、ハンドルまたは境界領域にある)をユーザが把持して、創傷の上にデバイスを配置し、位置合わせする。実施形態において、接着剤の創傷対向面は、次に、創傷を取り囲む皮膚に適用され、第1の剥離ライナーを使用して、適用する最中にデバイスを制御および操作して、開いた創傷を閉じる(例えば、創傷に近似する)。そのような実施形態では、第1の剥離ライナーは、創傷が閉じられると、接着剤の非創傷対向面から除去される。
【0059】
本発明の第5の態様では、本発明の第1の態様またはその任意の実施形態または本発明の第3の態様またはその任意の実施形態による創傷閉鎖デバイスと、創傷閉鎖接着剤を含むアプリケータとを含む、創傷を閉鎖するためのキットオブパーツに関する。そのような実施形態では、創傷閉鎖接着剤は、重合性接着剤組成物、ならびに場合により促進剤および/または開始剤であり得る。特定の実施形態では、重合性接着剤組成物は、創傷閉鎖層に接着した接着剤とは異なる。
【0060】
本発明の第5の態様の実施形態では、キットは追加の構成要素をさらに含む。異なる構成要素または構成要素の群は、構成要素または構成要素の群をキット内に包装する前に別々の容器で滅菌され、その後キットを滅菌することができる。
【0061】
本発明の第1および第2の態様のいくつかの実施形態では、創傷閉鎖デバイスは、創傷閉鎖層であって、創傷対向面と、創傷閉鎖層の創傷対向面の反対側の非創傷対向面と、創傷閉鎖層を通って創傷対向面から創傷閉鎖層の非創傷対向面まで延びる1つ以上の開口領域とを含む創傷閉鎖層創傷;および接着剤であって、創傷閉鎖層の創傷対向面に配置され、使用時に、創傷閉鎖層の非創傷対向面に隣接して配置された基材層が開口領域の1つ以上を通り抜ける接着剤と接触する程度まで、開口領域の1つ以上を通り抜ける接着剤を含み、基材層は、創傷閉鎖層の非創傷対向面に隣接して配置され、開口領域の1つ以上を通り抜ける接着剤と接触し、(i)接着剤は、1つ以上の開口領域を通り抜けるが、創傷閉鎖層の非創傷対向面から突出ないか、(ii)接着剤は、1つ以上の開口領域を通り抜け、創傷閉鎖層の非創傷対向面から突出するが、創傷閉鎖層の非創傷対向面を覆わず、接着剤は、創傷対向面と、接着剤層の創傷対向面の反対側の非創傷対向面とを含む接着剤層であり、創傷閉鎖層の非創傷対向面に隣接して配置された基材層は、接着剤層の非創傷対向面に接触し、接着剤層の非創傷対向面は、接着剤層の創傷対向面の剥離接着の値よりも小さい剥離接着の値を有し、場合により、接着剤層の非創傷対向面の剥離接着の値は、約0.5N/25mm~約1.0N/25mmであり、接着剤層の創傷対向面の剥離接着の値は、約2.5N/25mm~約5.0N/25mmであり、創傷閉鎖層は、約10グラム/m2~20グラム/m2の重量を有し、また、創傷閉鎖層は、ポリエステル、ポリオレフィン、およびポリアミドからなる群から選択されるポリマーから形成され、創傷閉鎖層は、約70~約95の開口領域百分率(%)を有し、創傷閉鎖層は、織られたメッシュ生地であり、接着剤は、約10グラム/m2~約30グラム/m2のコート重量を有し、接着剤は、感圧接着剤、好ましくはアクリル系感圧接着剤を含み;場合により、基材層が第1の剥離ライナーであり、接着剤層の創傷対向面と接触する第2の剥離ライナーが存在し;場合により、接着剤層の非創傷対向面から第1の剥離ライナーを除去するのに必要な剥離接着の値が、接着剤層の創傷対向面から第2の剥離ライナーを除去するのに必要な剥離接着の値よりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
ここで、本発明を、以下の非限定的な実施例および図面を参照して説明する。
【
図1】剥離ライナーを有さない本発明の実施形態による創傷閉鎖デバイスの側面図または断面図である。
【
図2】剥離ライナーが存在する本発明の実施形態による創傷閉鎖デバイスの側面図または断面図である。
【
図3】剥離ライナーが接着剤の非創傷対向面に接着され、創傷閉鎖層(例えば、メッシュ)の非創傷対向面に隣接して配置されている、本発明の実施形態による創傷閉鎖デバイスの側面図または断面図である。
【
図4】創傷閉鎖層および剥離ライナーが分解された形態で示されている、本発明の実施形態による創傷閉鎖デバイスの斜視図である。
【
図5】剥離ライナーの第1の半体が接着剤および創傷閉鎖層の創傷対向面から除去されて示されている、本発明の実施形態による創傷閉鎖デバイスの平面図である。
【
図6】剥離ライナーの第2の半体が接着剤および創傷閉鎖層の創傷対向面から除去されて示されている、本発明の実施形態による創傷閉鎖デバイスの平面図である。
【
図7】本発明の実施形態による創傷閉鎖デバイスの斜視図であり、デバイスが創傷開口部上に配置され、位置合わせされている。
【
図8】創傷閉鎖デバイスが創傷開口部を取り囲む皮膚の領域に適用される、本発明の実施形態による創傷閉鎖デバイスの斜視図である。
【
図9】創傷閉鎖デバイスが創傷開口部を閉鎖するために使用される、本発明の実施形態による創傷閉鎖デバイスの斜視図である。
【
図10】創傷閉鎖デバイスが創傷を取り囲む皮膚の領域に完全に適用される、本発明の実施形態による創傷閉鎖デバイスの斜視図である。
【
図11】本発明の実施形態による創傷閉鎖デバイスの斜視図であり、接着剤および創傷閉鎖層の非創傷対向面から剥離ライナーを除去する前のタブを使用者が把持しているところを示す。
【
図12】剥離ライナーが接着剤および創傷閉鎖層の非創傷対向面から除去されている、本発明の実施形態による創傷閉鎖デバイスの斜視図である。
【
図13】ユーザがアプリケータデバイスを使用して閉鎖創傷にさらなる接着剤を塗布している、本発明の実施形態による創傷閉鎖デバイスの斜視図である。
【発明の詳細な説明】
【0063】
図1を参照すると、本発明の好ましい実施形態による創傷(図示せず)を閉鎖するための創傷閉鎖デバイス1が示されている。本明細書に記載されるように、創傷閉鎖デバイス1は、デバイスが適用されている創傷の性質および寸法に応じてサイズおよび形状が異なり得る。創傷閉鎖デバイス1を作製するために使用される材料はまた、デバイスが適用されている創傷の特定の要件に応じ異なり得ることが理解されよう。
【0064】
図1に示すように、創傷閉鎖デバイス1は、創傷閉鎖層2および接着剤3を含む。創傷閉鎖層2は、接着剤が配置された創傷対向面4と、非創傷対向面5とを有する。創傷閉鎖層2は、メッシュ材料を形成するフィラメント6を含む織られたメッシュ材料である。織られたメッシュ材料は、創傷対向面4からメッシュ創傷閉鎖層2の非創傷対向面5まで延びる開口領域(または細孔)7を含む。
図1~
図3に示すように、断面概略図の形態で、接着剤3は、メッシュ創傷閉鎖層2の創傷対向面4に配置されて接着されるが、同様にメッシュ創傷閉鎖層2の開口領域7を通って延びる接着剤層を形成する。接着剤層3は、図示のように、創傷対向面8および非創傷対向面9を有する。創傷閉鎖層の創傷対向面から創傷閉鎖層の非創傷対向面への接着剤の延在は、場合によっては、「しみ出し」と呼ばれ得ることが理解されよう。
図1~
図3に示す実施形態では、図示の接着剤層3は、メッシュ創傷閉鎖層2の非創傷対向面5から突出していない、またはそれを超えて延びていない。いくつかの実施形態では、接着剤層3は、メッシュ創傷閉鎖層2の非創傷対向面5を覆うことなく、メッシュ創傷閉鎖層2の非創傷対向面5を越えて突出または延在し得ることが理解されよう。
【0065】
使用前に、創傷閉鎖デバイス1は、
図2に示すように、接着剤層3の非創傷対向面9に接触して接着された第1の剥離ライナー10を含む。第1の剥離ライナー10は、その創傷対向面16(
図4も参照)を介して接着剤層3の非創傷対向面9に接着される。したがって、第1の剥離ライナー10は、メッシュ創傷閉鎖層2の非創傷対向面5に隣接して保持される。第2の剥離ライナー11はまた、接着剤層3の創傷対向面8と接触して接着されている。第2の剥離ライナー1は、その非創傷対向面17(
図4も参照)を介して接着剤層3の創傷対向面8に接着される。接着剤層3は、第1の剥離ライナー10の創傷対向面16に接触し、第1の剥離ライナー10を接着剤層3の非創傷対向面9に隣接する位置に保持するように、メッシュ創傷閉鎖層2の開口領域7を通り抜ける。
【0066】
疑念を避けるために、メッシュ創傷閉鎖層2および「しみ出し」接着剤層3は、
図4~
図13に一緒に示されており、適切な場合には「2+3」と標識付けされている。本明細書で言及される場合、「メッシュ-接着剤層」および/または「2+3」は、メッシュ創傷閉鎖層2と接着剤層3との組み合わせを指すことが理解されよう。
図4~
図13の2+3と標識付けされたメッシュ接着剤層の配置は、
図1~
図3に示すものと一致する。
【0067】
図4は、使用前の創傷閉鎖デバイス1の分解斜視図を示す。
図4に見られるように、メッシュ接着剤層2+3ならびに第1の剥離ライナー10および第2の剥離ライナー11は、丸みを帯びた長方形である。
図4では、第1の剥離ライナー10および第2の剥離ライナー11は、剥離ライナーの中心に島として配置されたメッシュ接着剤層2+3とメッシュ接着剤層2+3の周りに境界を形成するようなサイズである。これは、以下の
図5~
図13を参照してより詳細に説明される。第1の剥離ライナー10は、創傷対向面16および非創傷対向面15を有し、第2の剥離ライナー11は、創傷対向面18および非創傷対向面17を有する(
図2にも示す)。
【0068】
動作中、ユーザは、
図5に示すように剥離作用によって剥離ライナー11を除去する。見てわかるように、ユーザは、一方の手で、典型的には親指と人差し指との間で創傷閉鎖デバイス1を把持し、他方の手で剥離ライナー11aの第1の半体を引き離す。
図4に示すように、剥離ライナー11は、剥離ライナー11の中間部分の斜め下に形成された切断部(または穿孔)12を含むことができる。これにより、剥離ライナー11の2つの別個の半体(11aおよび11b)が形成される。ユーザが創傷閉鎖デバイス1を軸13に沿って曲げると(
図4の破線参照)、第2の剥離ライナー11を外側に変形させ、第1の剥離ライナー10を内側に変形させることによって、第2の剥離ライナー11の別個の半体(11aおよび11b)は切り込み12に沿って分離する。これにより、剥離ライナー11の2つの半体11a、11bの内縁が切り込み12に沿って浮き上がり、そのため、使用者が除去前にライナー11aを容易に掴むことができる。次いで、ユーザは、
図6に示すように、同様の方法で剥離ライナー11の残りの半体11bを除去して、接着剤層3の創傷対向面8を完全に露出させることができる。
図6に示すように、ユーザは、接着剤層3の創傷対向面8に接触することを回避するように、第1の剥離ライナー10の境界領域14を握ることができる。
【0069】
第2の剥離ライナー11が接着剤層3の創傷対向面8から除去されたとき、メッシュ接着剤層2+3は第1の剥離ライナー10に固定されたままであることが観察される。すなわち、接着剤層3の非創傷対向面9は、第1の剥離ライナー10の創傷対向面16に接着されたままである。これは、接着剤層3の非創傷対向面9を第1の剥離ライナー10の創傷対向面16から分離するのに必要な剥離接着力が、接着剤層3の創傷対向面8を第2の剥離ライナー11の非創傷対向面17から分離するのに必要な剥離接着力よりも大きいために、可能である。本明細書に記載の試験によって示されるように、接着剤層3の創傷対向面8の相対的な剥離接着の値は、接着剤層3の非創傷対向面9の剥離接着の値より大きくてもよいが、それぞれの剥離ライナー特性を慎重に選択することによって、第1および第2の剥離ライナーを分離するのに必要な剥離接着力を制御することが可能である。ここで、剥離ライナーの特性を適切に選択することにより、接着剤層3の非創傷対向面9を第1の剥離ライナー10の創傷対向面16から分離するのに必要な剥離接着力が、接着剤層3の創傷対向面8を第2の剥離ライナー11の非創傷対向面17から分離するのに必要な剥離接着力よりも大きくなることが確実となり得る。これを達成する1つの方法は、接着剤層3の創傷対向面8との接着強度を低下させるコーティング(例えばシリコーンのコーティング)をその非創傷対向面17に含む第2の剥離ライナー11を使用することである。いくつかの例では、このコーティングのコート重量は、接着剤層3の創傷対向面8を第2の剥離ライナー11の非創傷対向面17から分離するのに必要な剥離接着力を制御するのに重要な役割を果たし得る。
【0070】
第2の剥離ライナー11が除去されて接着剤層3の創傷対向面8が完全に露出すると、ユーザは第1の剥離ライナー10の境界領域14を把持することができる。
図7に示すように、ユーザの手および指は、接着剤層3の創傷対向面8と接触せず、代わりに、第1の剥離ライナー10の境界領域14に残る。
図3は、デバイスが創傷に適用される前に第2の剥離ライナー11が除去された創傷閉鎖デバイス1の断面図を示す。
【0071】
図6と
図7との間で、ユーザは、
図7に示すように、ユーザの親指が境界領域14の内部であるが第1の剥離ライナー10の非創傷対向面15に配置され、ユーザの人差し指が境界領域14の内部であるが第1の剥離ライナー10の創傷対向面16に配置されるように、デバイスを反転させる。この段階で、創傷閉鎖デバイスは、
図7に示すように、創傷開口部19に適用する態勢ができている。メッシュ接着剤層2+3のいずれの部分にも触れる必要なく、ユーザは、創傷開口部19の上にメッシュ接着剤層2+3を慎重に配置することができる。好ましい実施形態では、第1の剥離ライナー10は、ユーザが、使用中にライナー10を通してメッシュ接着剤層2+3および創傷開口部19を見ることができるように、十分に透明(transparentまたはclear)であり、メッシュ接着剤層2+3を創傷開口部19と正確に位置合わせする。ユーザがデバイスを所望の位置で手にした後、ユーザは、創傷開口部19の片側に位置する皮膚の領域に、メッシュ接着剤層2+3の一部を慎重に適用する。次いで、ユーザは、
図8および
図9に示すように、第1の剥離ライナー10の非創傷対向面15に圧力を加えることによってメッシュ接着剤層2+3を皮膚に接着する。圧力は、ユーザによって、
図8に示す領域20の第1の剥離ライナー10の非創傷対向面15に加えられる。この領域は、創傷開口部19および創傷閉鎖デバイス1自体の両方の性質、サイズおよび形状に応じてサイズおよび形状が異なり得ることが理解されよう。第1の剥離ライナー10の非創傷対向面15に圧力を加えると、接着剤層3の創傷対向面8が皮膚の表面に接着する。これにより、メッシュ接着剤層2+3は、創傷開口部19の片側に位置する皮膚の領域に固定される。メッシュ接着剤層2+3は、ユーザによって触れられないままである。
【0072】
デバイスが創傷開口部19の片側に位置する皮膚に固定されると、
図8および
図9に示すように、ユーザは、創傷開口部19の他方の幅に位置する皮膚の領域に向かってメッシュ接着剤層2+3に接着した皮膚のために、ライナー10の境界領域14を把持して引っ張る。この動作は
図9に示されており、ユーザの引く方向が矢印で示されている。創傷が近似される(すなわち、閉じられる)と、次に、ユーザは、
図10に示すように、第1の剥離ライナー10の非創傷対向面15に圧力を加えることにより、露出したメッシュ接着剤層2+3の残りの部分を皮膚に適用する。これにより、創傷19がその閉鎖位置に固定される。上述のように、
図1~
図10を参照すると、ユーザは、メッシュ接着剤層2+3のいずれの部分にも触れる必要なく、本発明の創傷閉鎖デバイス1を迅速かつ便利に取り扱うことができる。これは、接着剤層3の非創傷対向面9に有利に接着されるライナー10によって大きく促進される。ライナー10は、メッシュ接着剤層2+3のための便利なハンドルおよび支持構造として機能し、これにより接着剤層3の創傷対向面8に触れるまたは接触する必要なしに、創傷閉鎖処置中にデバイスを操作する。
【0073】
閉鎖される創傷の所望の位置に固定された後、ユーザは、
図11および
図12に示すように、第1の剥離ライナー10を除去する。いくつかの実施形態では、これはタブ21を使用して達成される。ここで、ユーザは、タブ21を第1の剥離ライナー10の非創傷対向面15から離しながら、片手を用いて創傷閉鎖デバイス1を定位置に保持する(
図11の直線矢印を参照)。ユーザは、(
図11の湾曲した矢印によって示されるように)ライナー10の中央の位置から出発して第1の剥離ライナー10の長手方向縁部に向かう方向に、タブ21を引っ張る。これにより、ユーザが第1の剥離ライナー10をメッシュ接着剤層2+3から剥がす際に、
図4および
図12に示す脆弱線22(例えば、穿孔線または切断線)に沿って第1の剥離ライナー10が引き裂かれる。第1の剥離ライナー10は、
図12の矢印で示す方向に、メッシュ接着剤層2+3の非創傷対向面5、9から引き離され除去される。
【0074】
第1の剥離ライナー10を接着剤層3の非創傷対向面9から除去すると、メッシュ接着剤層2+3は創傷を取り囲む皮膚に固定されたままであることが分かる。すなわち、接着剤層3の創傷対向面8は、第1の剥離ライナー10が除去されている間、創傷を取り囲む皮膚に接着したままである。これは、接着剤層3の創傷対向面8を創傷周囲の皮膚から分離するのに必要な剥離接着力が、接着剤層3の非創傷対向面9を第1の剥離ライナー10の創傷対向面16から分離するのに必要な剥離接着力よりも大きいために、可能である。
【0075】
次いで、
図13に示すように、適切なアプリケータデバイス24を使用して、さらなる接着剤23(例えば、重合性接着剤+開始剤/促進剤)をメッシュ接着剤層2+3に塗布することができる。
創傷閉鎖デバイスの作製
【0076】
本発明の創傷閉鎖デバイスは、以下に示す例示的な方法に従って適切に製造することができる。
1.溶剤系アクリル感圧接着剤(Raleigh Coatingsから購入、製品ID:RM 0004)を、35グラム/m
2のコート重量で犠牲紙剥離ライナーに塗布した。接着剤は、ヘプタン、イソプロパノール、酢酸エチル、トルエンおよびペンタンジオンの混合物を含む。接着剤は、50μmのPETで30グラム/m
2で試験した場合、以下の特性(i)36N/25mmの剥離接着、(ii)16N/25mm
2のループタック、および(iii)0.2時間の剪断試験を有する。接着剤はまた、49%~53%の固形分および1750~3500mPasの粘度を有する。
2.次いで、上に感圧接着剤の層を配置された犠牲紙剥離ライナーを、蒸発によって溶媒を除去するために、オーブンに通した。オーブンは、犠牲紙ライナーおよび接着剤が通過する3つのゾーンを含む。ゾーン1は50℃の温度に設定され、ゾーン2は100℃の温度に設定され、ゾーン3は112℃の温度に設定される。
3.次いで、Heathcoat Fabricsから購入した柔らかいネットの織物メッシュ(すなわち、創傷閉鎖層)を感圧接着剤の表面の表面(すなわち、犠牲紙剥離ライナーと接触している接着剤層表面の反対側の表面)に配置して、メッシュ接着剤積層体(すなわち、メッシュ接着剤層)を形成した。織られたメッシュの材料特性および特性を以下の表1に示す。
【表1】
4.次いで、メッシュ接着性積層体を30Psiの圧縮圧力でニップ点に通した。
5.次いで、積層体をログに圧延し、より小さい幅のログにスリットした。
6.次いで、犠牲紙剥離ライナーを次いで除去し、グラシン系の紙剥離ライナー(供給者:Laufenberg-製品名:KS 900 white,51B/51B8)と交換した。ライナーは、(
図4~
図6に示すように)中央で斜めに分割されて形成される。紙剥離ライナーはLaufenberg GmbHから購入した。紙剥離ライナーは、92グラム/m
2の坪量および80μmのキャリパーを有する。紙剥離ライナーは、接着剤層の創傷対向面に接着され、メッシュは、接着剤層の非創傷対向面に接着されることが理解されよう。
7.次いで、透明なポリエチレン剥離ライナー(基材OPETフィルム)(供給者:Laufenberg-製品名:PETP 36 transparent,51B16)をメッシュ接着性積層体の非創傷対向面に被せて、本発明の例示的な創傷閉鎖デバイスを形成する。透明なポリエチレンの剥離ライナーは、48~56グラム/m
2の坪量および34~40μmのキャリパーを有する。
【0077】
適切な剥離ライナー、メッシュおよび接着剤は、従来の方法を使用して購入または作製することができる。
実験試験
創傷閉鎖デバイスの剥離接着の値の測定
【0078】
本発明による創傷閉鎖デバイスの剥離接着データを以下に記載される方法に従って測定した。これらの試験を行った創傷閉鎖デバイスのサンプルは、上記「創傷閉鎖デバイスの作製」の項に記載の方法を用いて作製した。
【0079】
接着剤層の創傷対向面および接着剤層の非創傷対向面の剥離接着の値を測定するために、剥離ライナーを除去して、メッシュ-接着剤層の形態の創傷閉鎖デバイスを設けた(
図1に示す)。以下の試験が行われた接着剤層の創傷対向面は、
図1~
図13を参照して上述したように、創傷対向面8に対応することが理解されよう。以下の試験が行われた接着剤層(すなわち、しみ出し側)の非創傷対向面は、
図1~
図13を参照して上述したように、非創傷対向面9に対応する。
【0080】
メッシュ接着剤層のサンプルを、カッティングプレスおよびダイを使用して25mm×150mmに切断した。ステンレス鋼板をイソプロピルアルコールまたはアセトンで洗浄した。次いで、試験するメッシュ接着剤層の側をステンレス鋼板に接着した。1kgのローラーをメッシュ接着剤層の上部に通して、サンプルを確実に固定した。次いで、ステンレス鋼板を適切な張力計の試験リグに取り付けた。メッシュ接着剤層の断面を、張力計の上顎部に、90度の角度で固定した。上顎部を上昇させ、メッシュ接着剤層を5mm/sの速度でステンレス鋼板から剥がした。メッシュ接着剤層を除去するのにかかる最大の力および平均の力を、張力計によって測定した。メッシュ接着剤層の創傷対向面および非創傷対向面の両方について10回の別個の測定を行った。メッシュ接着剤層の両面の平均値を表2に示す。
【表2】
【0081】
表2の実験試験データに示すように、創傷閉鎖デバイスの接着剤層形成部の創傷対向面(
図1~
図13の創傷対向面8に対応)は、創傷閉鎖デバイスの接着剤層形成部の非創傷対向面またはしみ出し側(
図1~
図13の非創傷対向面9に対応)と比較して、4.29N/25mmのより大きな平均剥離接着の値を有し、これは0.89N/25mmである。使用時に、創傷対向側としみ出し側との間の剥離接着の値のこの差は、しみ出し側に接着したライナーを除去しながら、メッシュ接着剤層(
図1~
図13のメッシュ接着剤層2+3に対応する)が創傷を取り囲む皮膚に接着したままであることを有益に可能にする。
本発明の創傷閉鎖デバイスの一部を形成する接着剤層の創傷対向面から紙剥離ライナー(すなわち、第2の剥離ライナー)を除去するための剥離接着の値の測定
【0082】
次の試験を行った創傷閉鎖デバイスのサンプルは、上記「創傷閉鎖デバイスの作製」の項に記載の方法を用いて作製した。以下の試験が行われた接着剤層の創傷対向面は、
図1~
図13を参照して上述したように創傷対向面8に対応することが理解されよう。以下の試験が実施された紙剥離ライナーは、
図1~
図13を参照して上述した第2の剥離ライナー11に対応する。以下の試験が実施された透明ポリエステル剥離ライナーは、
図1~
図13を参照して上述した第2の剥離ライナー10に対応する。
【0083】
創傷閉鎖デバイスのサンプルを、カッティングプレスおよびダイを使用して70mm×125mm(ライナー間に位置するメッシュ接着剤層の幅は40mmであった)に切断した。紙剥離ライナーを、切断されていない70mmの側面を使用して、張力計の下顎部にクランプした。次いで、透明なポリエステルのライナーを、同じ70mmの側面を使用して、張力計の上顎部に180度の角度でクランプした。顎部を5mm/sの速度で反対方向に移動させて、ライナーを反対方向に引っ張った。最大および平均の剥離接着の値は、張力計によって測定した。試験を有効にするために、メッシュ接着剤層は、紙剥離ライナーを除去した状態で、透明なポリエステルのライナーに接着したままである必要があった。56個のサンプルで測定を繰り返した。データを以下の表3に示す。
本発明の創傷閉鎖デバイスの一部を形成する接着剤層(すなわち、しみ出し側)の非創傷対向面から透明なポリエステルの剥離ライナー(すなわち、第1の剥離ライナー)を除去するための剥離接着の値の測定
【0084】
透明なポリエステルの剥離ライナーを除去するための剥離接着データは、上記試験で記載した紙剥離ライナーを除去した後に得られたサンプルから出発して、以下に記載する方法を用いて得た。
【0085】
ステンレス鋼板をイソプロピルアルコールまたはアセトンで洗浄した。透明なポリエステル剥離ライナーが依然として定位置にあるサンプルを、事前に紙ライナーに付着させられた表面(すなわち、接着剤層の創傷対向面)を使用してステンレス鋼板に接着した。ステンレス鋼の一部は、サンプルが鋼に接着されると、各方向においてメッシュの周りに追加の10mmの鋼が存在するように寸法決めされた。1kgのローラーを透明なポリエステルのライナーの上部に3回通して、サンプルを確実に鋼板にしっかりと固定した。次いで、ステンレス鋼板を張力計の試験リグに取り付けた。透明なポリエステルのライナーの一部を、サンプルの70mm側を使用して張力計の上顎部に90度の角度でクランプした。上顎部を上に移動させ、透明なポリエステルのライナーを接着剤層およびステンレス鋼板の非創傷対向面から5mm/sの速度で剥がした。透明なポリエステルのライナーを除去するのにかかる力を張力計で測定した。56個のサンプルで測定を繰り返した。データを表3に示す。
【表3】
【0086】
表3の実験試験データに示すように、本発明の創傷閉鎖デバイスの一部を形成する接着剤層の創傷対向面から紙剥離ライナー(すなわち、第2の剥離ライナー)を除去するための剥離接着力は0.14N/40mmである。本発明の創傷閉鎖デバイスの一部を形成する接着剤層(すなわち、しみ出し側)の非創傷対向面から透明なポリエステルの剥離ライナー(すなわち、第1の剥離ライナー)を除去するための剥離接着力は、2.21N/40mmである。使用時に、紙剥離ライナーを除去するのに必要な剥離接着力と透明のポリエステルの剥離ライナーとの差は、有用には、透明なポリエステルの剥離ライナーを接着剤層の非創傷対向面から除去する前に、接着剤の創傷対向面から紙剥離ライナーを除去することを可能にする。
【0087】
本発明の精神および範囲、例えば添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、上述の創傷閉鎖デバイスおよび使用に対する多くの修正を行うことができることが理解されよう。さらに、上述の実施形態のうちの任意の1つまたは複数は、他の実施形態の1つまたは複数の特徴と組み合わせることができ、そのような組み合わせはすべて本開示の中で意図されている。
【0088】
任意選択のおよび/または好ましい特徴は、本明細書に明示的に記載されたもの以外の他の組み合わせで使用されてもよく、本発明の一態様に関連して記載された任意選択のおよび/または好ましい特徴はまた、適切な場合には、本発明の別の態様に存在してもよい。
【0089】
説明および図示された実施形態は、例示的なものであり、性質上限定的なものではないとみなされるべきであり、好ましい実施形態のみが示され説明されており、特許請求の範囲に定義された本発明の範囲内に入るすべての変更および修正が保護されることが望ましいということが理解される。本明細書における「好ましい」、「好ましくは」、「好適」、または「より好ましい」などの単語の使用は、そのように記載された特徴が望ましい場合があることを示唆しているが、それにもかかわらず必要ではない場合があり、そのような特徴を欠く実施形態は、添付の特許請求の範囲において定義される本発明の範囲内であると考えられるということを理解されたい。特許請求の範囲に関連して、「1つの(a)」、「1つの(an)」、または「少なくとも1つの(at least one)」などの単語が特徴の前に使用される場合、特許請求の範囲において反対のことが具体的に述べられていない限り、特許請求の範囲をそのような特徴の1つのみに限定する意図はないということが意図される。
【0090】
本開示はまた、以下の番号付きの条項として列挙される以下の態様/実施形態を提供する。
条項1 創傷閉鎖デバイスであって、
創傷閉鎖層であって、創傷対向面と、創傷閉鎖層の創傷対向面の反対側の非創傷対向面と、創傷閉鎖層を通って創傷対向面から創傷閉鎖層の非創傷対向面まで延びる1つ以上の開口領域とを含む、創傷閉鎖層、および
接着剤であって、創傷閉鎖層の創傷対向面に配置され、使用時に、創傷閉鎖層の非創傷対向面に隣接して配置された基材層が開口領域の1つ以上を通り抜ける接着剤と接触する程度まで、開口領域の1つ以上を通り抜ける接着剤を含む、創傷閉鎖デバイス。
条項2 基材層が、創傷閉鎖層の非創傷対向面に隣接して配置され、開口領域の1つ以上を通り抜ける接着剤と接触する、条項1に記載の創傷閉鎖デバイス。
条項3(i)接着剤は、1つ以上の開口領域を通り抜けるが、創傷閉鎖層の非創傷対向面から突出しない、または
(ii)接着剤は、1つ以上の開口領域を通り抜け、創傷閉鎖層の非創傷対向面から突出するが、創傷閉鎖層の非創傷対向面を覆わない、
条項1または2に記載の創傷閉鎖デバイス。
条項4 接着剤が、創傷対向面と、接着剤層の創傷対向面の反対側の非創傷対向面とを含む接着剤層であり、創傷閉鎖層の非創傷対向面に隣接して配置された基材層が、接着剤層の非創傷対向面に接触する、条項1~3に記載の創傷閉鎖デバイス。
条項5 接着剤層の非創傷対向面は、接着剤層の創傷対向面の剥離接着の値よりも小さい剥離接着の値を有する、条項4に記載の創傷閉鎖デバイス。
条項6 接着剤層の非創傷対向面の剥離接着の値が、約0.1N~約2.0N/25mm、好ましくは約0.5N/25mm~約1.0N/25mmである、条項4または5に記載の創傷閉鎖デバイス。
条項7 接着剤層の創傷対向面の剥離接着の値が、約2.5N/25mm~約10N/25mm、好ましくは約2.5N/25mm~約5.0N/25mmである、条項4から6のいずれか一項に記載の創傷閉鎖デバイス。
条項8 創傷閉鎖層が、約5グラム/m2~30グラム/m2、好ましくは約10グラム/m2~20グラム/m2の重量を有する、条項1から7のいずれか一項に記載の創傷閉鎖デバイス。
条項9 創傷閉鎖層がポリマーから形成され、場合により、ポリマーは、ポリエステル、ポリオレフィン、およびポリアミドからなる群から選択される、条項1~8のいずれか一項に記載の創傷閉鎖デバイス。
条項10 創傷閉鎖層が、約50~約95、好ましくは約70~約95の開口領域百分率(%)を有する、条項1~9のいずれか一項に記載の創傷閉鎖デバイス。
条項11 創傷閉鎖層がメッシュまたは穿孔フィルムであり、好ましくは、創傷閉鎖層がメッシュである、条項1~10のいずれか一項に記載の創傷閉鎖デバイス。
条項12 メッシュがメッシュ生地であり、場合により、メッシュ生地は織られたメッシュ生地である、条項11に記載の創傷閉鎖デバイス。
条項13 接着剤は、約5グラム/m2~約100グラム/m2のコート重量で配置され、好ましくは、接着剤は、約10グラム/m2~約30グラム/m2のコート重量を有する、条項1~12のいずれか一項に記載の創傷閉鎖デバイス。
条項14 接着剤が感圧接着剤を含み、好ましくは、接着剤がアクリル系感圧接着剤もしくはシリコーン感圧接着剤またはそれらの混合物を含む、条項1~13のいずれか一項に記載の創傷閉鎖デバイス。
条項15 基材層が第1の剥離ライナーであり、接着剤層の創傷対向面と接触する第2の剥離ライナーが存在し、場合により、接着剤層の非創傷対向面から第1の剥離ライナーを除去するのに必要な剥離接着の値が、接着剤層の創傷対向面から第2の剥離ライナーを除去するのに必要な剥離接着の値よりも大きい、条項4~14のいずれか一項に記載の創傷閉鎖デバイス。
条項16 創傷閉鎖デバイスを製造する方法であって、
創傷閉鎖層であって、創傷対向面と、創傷対向面の反対側の非創傷対向面と、創傷閉鎖層を通って創傷対向面から創傷閉鎖層の非創傷対向面まで延びる1つ以上の開口領域とを含む創傷閉鎖層を設けること、
使用時に、創傷閉鎖層の非創傷対向面に隣接して配置された基材層が開口領域の1つ以上を通り抜ける接着剤と接触する程度に、創傷閉鎖層の創傷対向面に接着剤を配置して、開口領域の1つ以上を通り抜けることを含む、製造方法。
条項17 配置することが、創傷閉鎖層と接着剤とを約20Psi~約40Psiの圧力で一緒に圧縮することを含む、条項16に記載の製造方法。
条項18 配置することのステップの前に、以下のステップ、
創傷対向面と、キャリア層の創傷対向面の反対側の非創傷対向面とを含むキャリア層を設けること、
接着剤-溶媒混合物をキャリア層の非創傷対向面に塗布すること、および溶媒を除去して接着剤を形成すること、場合により、溶媒を除去することは、約50℃~約150℃で乾燥させて接着剤を形成することを含む、
が実行される、条項16または17に記載の製造方法。
条項19 接着剤は、創傷対向面と、接着剤層の創傷対向面の反対側の非創傷対向面とを含む接着剤層であり、キャリア層の非創傷対向面は、接着剤層の創傷対向面と接触しており、接着剤を配置することは、
創傷閉鎖層の創傷対向面を接着剤層の非創傷対向面と接触させること
を含む、条項18に記載の製造方法。
条項20 条項16~19のいずれか一項に記載の方法に従って得られるまたは得ることができる創傷閉鎖デバイス。
条項21 創傷を閉鎖する方法における、条項1から15または20のいずれか一項に記載の創傷閉鎖デバイスの使用。
条項22 創傷を閉鎖するためのキットオブパーツであって、
条項1から15または20のいずれか一項に記載の創傷閉鎖デバイス、および
創傷閉鎖接着剤を含むアプリケータを含む、キットオブパーツ。
【国際調査報告】