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特表2024-518809注射器のための針シールドアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-02
(54)【発明の名称】注射器のための針シールドアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
A61M5/32 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572680
(86)(22)【出願日】2022-05-24
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 EP2022064057
(87)【国際公開番号】W WO2022248474
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】21305692.2
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】310021434
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セドリック リヴィエ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066EE06
4C066FF05
4C066NN04
4C066NN20
(57)【要約】
本発明は、注射器などの医療用注入装置(1)のための針シールドアセンブリ(10)であって、その末端端部に、前記針シールドアセンブリ(10)が取り外し可能に係合するように意図されている針(5)を装備した長手方向のハブ部分(3)を備える針シールドアセンブリ(10)に関するものであり、前記針シールドアセンブリ(10)は、第1の材料で形成された長手方向に延びた剛性シールド(20)であって、内表面(22)と外表面(23)とを含む壁(21)を有する剛性シールド(20)、及び第1の材料とは異なる第2の材料で形成された可撓性シールド(30)であって、剛性シールド外表面(23)の少なくとも一部を覆う内表面(3T)を有する外層(31)と、内層(32)とを有する可撓性シールド(30)を備え、医療用注入装置(1)のハブ部分(3)の少なくとも一部をシール状態で受容して、剛性シールド(20)の内表面(22)の少なくとも一部を覆うことが可能であり、前記第1及び第2の材料とは異なる第3の材料で形成されたセプタム(40)であって、前記セプタム(40)は、剛性シールド(20)の内表面(22)と少なくとも一部が接触しており、医療用注入装置(1)の末端端部の流体及び緊密なシールを確実にすることが可能である、セプタム(40)、を備える針シールドアセンブリ(10)である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射器などの医療用注入装置(1)のための針シールドアセンブリ(10)であって、その末端端部で前記針シールドアセンブリ(10)が取り外し可能に係合されることが意図されている針(5)を装備した長手方向ハブ部分(3)を備え、前記針シールドアセンブリ(10)が、
第1の材料で形成された長手方向に延びた剛性シールド(20)であって、前記剛性シールド(20)が、内表面(22)及び外表面(23)を含む壁(21)を有する、剛性シールド(20)、
前記第1の材料とは異なる第2の材料で形成された可撓性シールド(30)であって、前記可撓性シールド(30)が、前記剛性シールドの外表面(23)の少なくとも一部を覆う内表面(31’)を有する外層(31)と、内層(32)とを備え、前記医療用注入装置(1)の前記ハブ部分(3)の少なくとも一部をシール状態で受容することができ、前記剛性シールド(20)の前記内表面(22)と、前記第1及び第2の材料とは異なる第3の材料で形成されたセプタム(40)とを少なくとも部分的に覆うことができ、前記セプタム(40)は、前記剛性シールド(20)の前記内表面(22)と少なくとも部分的に接触し、前記医療用注入装置(1)の前記末端端部の流体及び緊密なシールを確実にすることができる、針シールドアセンブリ(10)。
【請求項2】
前記針シールドアセンブリ(10)が、針シールドアセンブリ(10)の基端開放端部において、可撓性シールド(30)の内層(32)と外層(31)とを連結する環状ブリッジ(33)を更に備える、請求項1に記載の針シールドアセンブリ(10)。
【請求項3】
内層(32)と外層(31)は剛性シールド壁(21)によって分離されている、請求項1に記載の針シールドアセンブリ(10)。
【請求項4】
前記剛性シールド(20)の前記壁(21)が、前記針シールドアセンブリ(10)の末端端部に配置された第1の部分(P1)と、前記針シールドアセンブリ(10)の基端端部に配置された第2の部分(P2)とを備え、前記第1の部分(P1)は、前記セプタム(40)を受容することができる第1のキャビティ(C1)を備え、前記第2の部分(P2)は、前記可撓性シールド(30)の前記内層(32)を受容することができる第2のキャビティ(C2)を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の針シールドアセンブリ(10)。
【請求項5】
前記可撓性シールド(30)の前記外層(31)の前記内表面(31’)が、前記剛性シールド(20)の前記壁(21)の前記第1の部分(P1)と任意で前記剛性シールド(20)の前記壁(21)の前記第2の部分(P2)を取り囲んでいる、請求項4に記載の針シールドアセンブリ(10)。
【請求項6】
前記剛性シールド(20)が、前記針シールドアセンブリ(10)の基端端部で円形溝(24)を備えている、請求項1~5のいずれか1項に記載の針シールドアセンブリ(10)。
【請求項7】
リングシール(60)が、前記可撓性シールド(30)上に配置されていてもよく、前記剛性シールド(20)の前記円形溝(24)に嵌め合うように構成されていてもよい、請求項6に記載の針シールドアセンブリ(10)。
【請求項8】
無線送信機が前記剛性シールド(20)と前記可撓性シールド(30)との間に配置されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の針シールドアセンブリ(10)。
【請求項9】
前記無線送信機が、前記剛性シールド(20)の前記壁(21)の前記外表面(23)に接触しており、前記可撓性シールド(30)の前記外層(31)の前記内表面(31’)に囲まれている、請求項8に記載の針シールドアセンブリ(10)。
【請求項10】
前記剛性シールド(20)が、前記無線送信機の一部を受容するように構成された溝(35)を備える、請求項9に記載の針シールドアセンブリ(10)。
【請求項11】
医療用注入装置(1)であって、その末端端部に針(5)を装備した長手方向のハブ部分(3)と、前記針(5)にシール可能に係合する請求項1~10のいずれか1項に記載の針シールドアセンブリ(10)とを備えた、医療用注入装置(1)。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか1項に記載の針シールドアセンブリ(10)を製造するための方法であって、
A.第1の材料で形成された長手方向に延びた剛性シールド(20)を提供するステップであって、前記剛性シールドは、内表面(22)及び外表面(23)を含む壁(21)を有するステップ、
B.前記第1の材料とは異なる第2の材料で形成された可撓性シールド(30)を前記剛性シールド(20)上に実装するステップであって、前記可撓性シールド(30)は、前記剛性シールドの外表面(23)の少なくとも一部を覆うように構成された外層(31)と、剛性シールド(20)の内表面(22)の少なくとも一部を覆うように構成された内層(32)とを備えるステップ、及び
C.前記剛性シールド内にセプタム(40)を挿入するステップであって、前記セプタム(40)は、前記第1及び第2の材料とは異なる第3の材料で形成されており、前記セプタム(40)は、前記剛性シールド(20)の前記内表面(22)に少なくとも部分的に接触するように構成されているステップ、
を含む、方法。
【請求項13】
ステップA)において、前記剛性シールド(20)が射出成形され、前記方法が、ステップA)の前に実行されるステップD)であって、前記剛性シールド(20)の前記射出成形の前に、無線送信機が金型内に配置される、ステップD)を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ステップA)において、前記剛性シールド(20)が射出成形され、前記方法が、ステップA)の後に実行されるステップD)であって、前記可撓性シールド(30)の前記外層(31)によって囲まれる前に、無線送信機が前記剛性シールド(20)の前記壁(21)の前記外表面(23)上にオーバーモールドされる、ステップD)を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
ステップB)において、前記可撓性シールド(30)がオーバーモールドによって前記剛性シールド(20)上に実装される、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、上部に取り付けられた針を覆うための医療用注入装置のための針シールドアセンブリ、前記針シールドアセンブリを備える医療用注入装置、及び前記針シールドアセンブリを製造するための方法に関する。本発明は、特に医療産業によく適している。
【背景技術】
【0002】
背景技術
本願において、部品又は装置の末端端部は、使用者の手から最も遠い端部を意味すると理解され、基端端部は、使用者の手に最も近い端部を意味すると理解される。同様に、本願において、「末端方向」とは、本発明の医療用容器に関して、注入の方向を意味すると理解され、「基端方向」は、前記注入の方向とは反対の方向、すなわち注入操作のために容器を保持する使用者の手に向かう方向を意味すると理解される。
【0003】
医療用注入装置、例えば事前充填可能な又は事前充填された注射器は、通常、医療用製品又は医療用組成物のための容器を形成する中空本体又はバレルを備える。本体は、任意に針を設けた末端端部、及び通常はフランジを設けた基端端部を備える。本体の末端端部は、典型的には、医療用溶液が中空本体から排出される流体経路を画定する長手方向の先端の形をしている。
【0004】
医療用注入装置が針を設けている場合、及び最終的な使用前のいかなる傷害をも防止するために、針シールドアセンブリが針を囲むように先端に載置される。これは、装置の周囲の人による針への物理的なアクセスを不能にしている。針シールドアセンブリは、通常、エラストマー特性を有する材料の内針シールドを備え、内針シールドを取り囲む剛性プラスチックの外針シールドを更に備えてもよい。
【0005】
内針シールドは、医療用注入装置のシールを確実にする。その目的のために、内針シールドは、注射器の先端の外表面にシール状態で接触してシールを提供するシール部分を備える。内針シールドは、外側環境からの医療用組成物のいかなる汚染も防止し、それにより容器閉鎖の完全性を保証する。内針シールドは更に、針の出口から外部環境への組成物のいかなる漏れも防止する。その目的のために、針は好ましくは内針シールドに刺される。
外針シールドは、典型的には、内針シールドを取り囲み、針に剛性の保護を提供し、輸送及び/又は保管中にその完全性を維持するのに役立つ。
【0006】
公知の針シールドアセンブリの欠点は、それを先端から取り外すのが比較的困難な場合があることである。これを行うために、使用者は注入装置と針シールドアセンブリの両方を握り、かなり重要なことがある力を発揮してシールドアセンブリを引っ張らなければならない。
【0007】
針シールドアセンブリを取り外すのに必要とされる力は、一般に「引き抜き力」として知られる物理的パラメータにより測定される。注射器などの注入装置から公知の針カバーを取り外すのに必要な引き抜き力は、かなり大きい可能性がある。
【0008】
その結果、例えば病気により体力が低下した使用者は、針カバーを外して注入装置を彼のために使用できないことがある。医療用注入装置に収納される医療用組成物に応じて、エラストマー特性を有する材料でできた内針シールドの組成を適合させることが知られている。実際、医療用組成物は、内針シールドの組成によって異なる反応を示すことがある。目的は、したがって、医療用組成物と反応しない内針シールド組成物を選択することである。更に、内針シールドの組成に応じて外針シールドの材料を適合させることも必要である。実際、すべての材料が両立し得るわけではないため、数多くの生産する針シールドアセンブリとなり、各種の針シールドアセンブリは、1つの特定の内針シールド組成物と1つの特定の外針シールド組成物を含み、両方の組成物が両立し得る。更に、異なる内針シールド組成物、したがって各種の針シールドアセンブリは、同じ引き抜き力を有していない。従って、引き抜き力は再現性がなく、これは使用者にとって不愉快なこととなり得る。
【0009】
従って、バレルに収容される医療用製品の配合がどのようなものであっても一定の引き抜き力を示し、広範囲の針シールドアセンブリを生産する必要性を低減し、漏れなどの一定の針シールド特性を確実にする針シールドアセンブリに対する必要性が存在する。
【0010】
発明の概要
本発明の第1の態様は、注射器などの医療用注入装置のための針シールドアセンブリであって、その末端端部で前記針シールドアセンブリが取り外し可能に係合されることが意図される針を装備した長手方向ハブ部分を備え、前記針シールドアセンブリは、
第1の材料で形成された長手方向に延びた剛性シールドであって、前記剛性シールドは、内表面及び外表面を含む壁を有する、剛性シールド、
前記第1の材料とは異なる第2の材料で形成された可撓性シールドであって、前記可撓性シールドは、前記剛性シールドの外表面の少なくとも一部を覆う内表面を有する外層と、内層とを備え、医療用注入装置のハブ部分の少なくとも一部をシール状態で受容し、剛性シールドの内表面を少なくとも部分的に覆うことが可能である、可撓性シールド、及び
前記第1及び第2の材料とは異なる第3の材料で形成されたセプタムであって、前記セプタムは、剛性シールドの内表面と少なくとも部分的に接触し、医療用注入装置の末端端部の流体及び緊密シールを確実にすることが可能である、セプタム、を備える。
【0011】
理論に束縛される意図はないが、本発明による針シールドは、可撓性シールドを医療用注入装置に収納された医療用組成物に適合させることを必要とすることなく、一定の引き抜き力を可能にすると考えられる。実際、本発明による針シールドアセンブリでは、セプタムの組成のみが医療用組成物に適合される。したがって、引き抜き力は再現可能である。更に、針シールドアセンブリは、漏れの危険性を防止する密閉式である。医療用組成物が針から漏れ出る危険性はない。更に、医療用注入装置のバレルの完全性は無傷のままである。不純物が医療用注入装置のバレル内に存在する医療用組成物を汚染する危険性はない。更に、先行技術では、針シールドアセンブリの外側部分が剛性材料で作られており、任意で、注入を繰り返した後、すなわち針シールドアセンブリの取り外しを繰り返した後、使用者の指を刺激することがある把持部を有することが知られている。これに対して、本発明では、針シールドアセンブリの外部は、使用者にソフトな感触を与える可撓性材料で作られている。本発明の針シールドアセンブリの剛性は、その把持を容易にする。針シールドアセンブリは、針を曲げる危険性なしに容易に取り外されてもよい。
【0012】
一実施形態では、針シールドアセンブリは、基端開放端部において可撓性シールドの内層と外層とを連結する環状ブリッジを更に備える。この実施形態では、可撓性シールドと剛性シールドとの間のシールが最適化される。
【0013】
別の実施形態では、可撓性シールドの内層と外層は剛性シールド壁によって分離されている。一実施形態では、剛性シールドの壁は、針シールドアセンブリの末端端部に位置する第1の部分と、針シールドアセンブリの基端端部に位置する第2の部分とを備え、前記第1の部分は、セプタムを受容することが可能な第1のキャビティを備え、前記第2の部分は、可撓性シールドの内層を受容することが可能な第2のキャビティを備える。
一実施形態では、可撓性の外層の内表面は、剛性シールドの壁の第1の部分と、任意で剛性シールドの壁の第2の部分を取り囲んでいる。
一実施形態では、剛性シールドは、針シールドアセンブリの基端端部に円形の溝を備えている。
【0014】
更に、リングシールが、可撓性シールド上に配置されて、剛性シールドの円形溝に嵌め合いするように構成されてもよい。好ましくは、リングシールはゴム又は熱可塑性エラストマー(TPE)でできている。この実施形態では、注射器が針シールドアセンブリから偶然に取り外される危険性はない。
【0015】
一実施形態では、可撓性シールドは、針シールドの基端端部に、医療用注入装置のハブ部分の外表面に配置された凹部を受容するように構成されたリブを備える。この実施形態では、注射器は、針シールドアセンブリに良好に係合される。
【0016】
好ましくは、第1の材料は熱可塑性プラスチックである。第1の材料は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)又はポリカーボネート(PC)であってもよい。好ましくは、第2の材料は、熱可塑性エラストマー(TPE)などのエラストマー特性を有する材料でできた変形可能な材料である。
【0017】
有利には、第1の材料はPPであり、第2の材料はTPEである。この実施形態では、特定の化学結合が両方の材料間に実現されると考えられる。従って、可撓性シールドは剛性シールドにしっかりと取り付けられる。
【0018】
好ましくは、第3の材料は、ブチルゴムなどのゴムである。
【0019】
一実施形態では、無線送信機が剛性シールドと可撓性シールドの間に配置される。無線送信機は、無線周波数識別タグ、超広帯域リアルタイムロケーションシステム(RTLS)、無線LANリアルタイム負荷予測(RTLF)、赤外線RTLSであってもよい。
【0020】
好ましくは、無線送信機は、剛性シールドと可撓性シールドとの間に配置された無線識別(RFID)タグであり、前記RFIDタグは、少なくとも1つのRFIDアンテナを含む。この実施形態において、本発明の針シールドアセンブリは、製造工程から医療用注入装置の最終使用まで、各医療用注入装置の個別のトレーサビリティを可能にすると考えられる。その上、RFIDタグは、医療用注入装置の包装、保管、流通中に発生することがある取り外し又は外部損傷から良好に保護される。更に、RFIDタグは針シールドアセンブリの剛性シールドと可撓性シールドの間に隠されているため、視覚的な影響はない。更に、RFIDタグの挿入は、製造工程に限られた影響のみを有する。
【0021】
一実施形態では、RFIDタグはチップを含んでいない。このようなチップレスRFIDタグは、読み取り器によって読み取られるチップを必要としない。
【0022】
一実施形態では、チップは少なくとも1つのRFIDアンテナに接続される。
【0023】
一実施形態では、RFIDタグは低周波無線識別(LF-RFID)タグである。低周波数は通常、約30KHzから300KHzである。この実施形態では、RFID読み取り器は、例えば約10cmまでの距離でLF-RFIDタグを読み取ることができる。
【0024】
一実施形態では、RFIDタグは高周波無線識別(HF-RFID)タグである。高周波は通常約1~15MHzである。この実施形態では、RFID読み取り器は、例えば、約1メートルの距離でHF-RFIDタグを読み取ることができる。
【0025】
一実施形態では、RFIDタグは高周波数近距離無線通信(HF-NFC)タグである。周波数は通常約13.56MHzである。この実施形態では、NFC読み取り器は例えば数センチメートルまでの距離でHF-NFCタグを読み取ることができる。HF-NFCは、それがNFCスマートフォンにより読み取られ得るという点でHF-RFIDとは異なる。一実施形態では、RFIDタグはHF-NFCとUHF RFIDを同時に含む二重周波数タグである。例えば、それはNFCスマートフォンでもUHF読み取り器でも読み取られ得る。
【0026】
好ましくは、RFIDタグは超高周波無線識別(UHF-RFID)タグである。超高周波数は通常約400~1000MHzである。この実施形態では、RFID読み取り器は、例えば約15メートルの距離でUHF-RFIDタグを読み取ることができる。
【0027】
一実施形態では、無線送信機は剛性シールドの壁の外表面に接触しており、可撓性シールドの外層の内表面により囲まれている。
【0028】
好ましくは、無線送信機は剛性シールドの壁の外表面に接触しており、可撓性シールドの外層の内表面により囲まれている。
【0029】
好ましくは、RFIDタグは、剛性シールドの外表面の周の10%~100%延びる幅を有し、100%は除外され、有利には剛性シールドの外表面の円周の40%~100%、より好ましくは50%~100%、又は50%~100%、有利には50%~90%延びる。この実施形態では、RFID読み取り器へのデータ伝送レベルが改善されると考えられる。
【0030】
有利には、RFIDタグは、針シールドアセンブリの長さの100%よりも厳密に小さく延びる長さを有する。好ましくは、RFIDタグは、針シールドアセンブリの長さの少なくとも15%、より好ましくは25%にわたって延びる長さを有する。タグの長さは、RFID読み取り器に対するRFIDタグのデータ送信レベルに影響を与え得ると考えられている。
【0031】
一実施形態では、剛性シールドは、無線送信機の一部、特にRFIDタグの一部を受容するように構成された溝を備えている。この実施形態では、溝が無線送信機、特にRFIDタグの一部のシール性を高め、製造工程中に無線送信機、特にRFIDタグの一部が落下する危険性がないと考えられる。
【0032】
本発明の第2の態様は、その末端端部で、針を装備した長手方向のハブ部分と、針にシール状態で係合する本発明による針シールドアセンブリとを備えた医療装置である。好ましくは、医療用注入装置は注射器である。
【0033】
本発明の第3の態様は、先行する請求項のいずれかに記載の針シールドアセンブリを製造するための方法であって、以下を含む方法である:
A.第1の材料で形成された長手方向に細長い剛性シールドを提供することであって、前記剛性シールドが内表面及び外表面を含む壁を有すること、
B.前記剛性シールド上に、前記第1の材料とは異なる第2の材料で形成された可撓性シールドを実装することであって、前記可撓性シールドは、前記剛性シールドの外表面の少なくとも一部を覆うように構成された外層と、前記剛性シールドの内表面の少なくとも一部を覆うように構成された内層とを備えること、及び
C.剛性シールド内にセプタムを挿入することであって、前記セプタムは、前記第1及び第2の材料とは異なる第3の材料で形成され、前記セプタムは、少なくとも一部が剛性シールドの内表面と接触するように構成されていること、を含む、方法である。
【0034】
一実施形態では、ステップA)において、剛性シールドは射出成形され、方法は、ステップA)の前に実行されるステップD)であって、無線送信機が、剛性シールドの射出成形の前に金型内に配置されるステップD)を含む。別の実施形態では、ステップA)において、剛性シールドは射出成形され、方法は、ステップA)の後に実行されるステップD)を備え、無線送信機が、可撓性シールドの外層によって取り囲まれる前に、剛性シールドの壁の外表面にオーバーモールドされる。
【0035】
一実施形態では、ステップB)において、可撓性シールドはオーバーモールドによって剛性シールド上に実装される。一実施形態では、ステップA)とB)は、例えば射出成形により、特にバイインジェクション成形により同時に行われる。
【0036】
ステップC)において、セプタムが剛性シールドの内側にスナップ嵌めされる。
【0037】
一実施形態では、方法は、ステップA)の後に実行されるステップE)を更に含み、リングシールが剛性シールド上にオーバーモールド又はクリップ固定される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明及びそこから生じる利点は、以下の添付図面を参照して以下に述べる詳細な説明から明らかになるであろう
図1図1は、本発明の一実施形態による針シールドアセンブリの横断面図である。
図2図2は、図1に示された実施形態による針シールドアセンブリを備えた医療用注入装置の一部の縦断面図である。
図3図3は、図1及び図2に示された実施形態による針シールドアセンブリの横断面図である。
図4図4は、図1及び図2に示される実施形態による針シールドアセンブリの横断面図である。
図5図5は、本発明の一実施形態による針シールドアセンブリの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図面の詳細な説明
図1は、医療用注入装置1(図2)を覆うように意図された縦軸A及び横軸Aを有する針シールドアセンブリ10を示す。
【0040】
図2は、長手方向軸A及び横方向軸Aを有するバレル2を備えた注射器などの医療用注入装置1を示す。前記バレル2は、側壁8を備え、従って注入される医療用組成物を含有するように適合されたリザーバを形成する。
【0041】
医療用注入装置又は注射器1は、その末端端部4に設けられてバレル2の末端端部から軸Aに沿って延びる長手方向のハブ部分3を更に備える。ハブ部分3は、バレル2と流体連通するチャネルを形成するように部分的に中空である。
【0042】
針5が医療用注入装置のハブ部分3に取り付けられてもよい。例えば、針はハブ部分3に接着されていてもよい。特に、針シールドアセンブリ10は、医療用注入装置1のハブ部分3を覆うように意図されて、針を保護するようになっている。医療用注入装置1はまた、その末端端部で、バレル2に対して狭くなっている末端肩部6を含むことができる。
【0043】
医療用注入装置又は注射器1はまた、プランジャ(図示せず)と、その端部に設けられたバレルストッパ(図示せず)とを有するプランジャロッド(図示せず)を含む。プランジャは、側壁8の内表面に沿ってバレル2内を摺動可能に移動させられ、医療用組成物をバレル2から針5を通して排出させる。医療用注入装置1に含まれる医療用組成物は、例えば、液状の医薬品、薬剤、又はワクチンなどの医薬組成物であってもよい。
【0044】
図1~2に示されるように、針シールドアセンブリ10は、長手方向軸Aに沿って長手方向に延ばされた剛性シールド20を備え、剛性シールド20は、内表面22及び外表面23を含む壁21を有する。剛性シールドは、典型的には剛性材料で作られている。好ましくは、剛性シールド20は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)又はポリカーボネート(PC)でできており、最も好ましくはポリプロピレンである。剛性シールド20は、射出成形によって製造され得る。
【0045】
針シールドアセンブリ10は、可撓性シールド30を更に備え、前記可撓性シールド30は、剛性シールド外表面23の少なくとも一部を覆う外層31と、医療用注入装置1のハブ部分3の少なくとも一部をシール状態で受容することが可能であって剛性シールド20の内表面22の少なくとも一部を覆う内層32とを備える。好ましくは、可撓性シールド30は、TPE(熱可塑性エラストマー)などの変形可能な材料で作られている。可撓性シールド30は、オーバーモールドによって剛性シールド20に設けられてもよい。
【0046】
針シールドアセンブリ10は、剛性シールド20の内表面22に少なくとも部分的に接触して医療用注入装置1の末端端部の流体シールを確実にすることが可能なセプタム40を更に備える。好ましくは、セプタム40は、ブチルゴムなどのゴムでできている。セプタム40は剛性シールド20内に挿入されてもよい。
【0047】
一実施形態によれば、剛性シールド20は、開放された末端端部と開放された基端端部とを備える。可撓性シールド30もまた、開放された末端端部と開放された基端端部とを備えてもよい。典型的には、セプタム50は、閉鎖された末端端部と開放された基端端部とを備える。
【0048】
図1~2に示されるように、針シールドアセンブリ1は、基端開放端部で可撓性シールド30の内層32と外層31とを連結する環状ブリッジ33を更に備える。
【0049】
剛性シールド20の壁21は、針シールドアセンブリ10の末端端部に配置される第1の部分P1と、針シールドアセンブリ10の基端端部に配置される第2の部分P2とを備えてもよい。第1の部分P1は、セプタム40を受容することができる第1のキャビティC1を備えてもよく、前記第2の部分P2は、可撓性シールド30の内層32を受容することができる第2のキャビティC2を備えてもよい。
【0050】
例えば、可撓性シールド30の外層31は、剛性シールド20の壁21の第1の部分P1と第2の部分P2を取り囲む内表面31’を有する。
【0051】
可撓性シールド30は、注射器1のハブ部分3の外表面に配置された凹部(図示せず)を受容するように構成されたリブ34を、針シールドアセンブリ10の基端端部に備えてもよい。
【0052】
針シールドアセンブリは、剛性シールド20と可撓性シールド30との間に配置された無線送信機、好ましくはRFIDタグ50を備えて、前記RFIDタグ50は、少なくとも1つのRFIDアンテナ(図示せず)を備えてもよい。RFIDタグ50は、アンテナに接続されたチップを更に備えてもよい。RFIDタグ50は、チップレスRFIDタグ、LF-RFIDタグ、HF-RFIDタグ又はUHF-RFIFタグ、或いはHF-NFC RFIDタグであってもよい。
【0053】
好ましくは、RFIDタグ50は、剛性シールド20の壁21の外表面23に接触し、外層31の内表面3Tに囲まれている。有利には、剛性シールド20は、RFIDタグ50の一部を受容するように構成された溝35を備える。
【0054】
好ましくは、RFIDタグ50は、剛性シールドの外表面の円周の10%~100%延びる幅(図示せず)を有し、100%は除外され、有利には40%~100%、より好ましくは50%~100%、又は50%~100%の間及び有利には剛性シールド20の外表面の円周の50%~90%延びる。有利には、RFIDタグ50は、針シールドアセンブリ10の長さLの100%未満に厳密に延びる長さLを有する。好ましくは、RFIDタグ50は、針シールドアセンブリ10の長さLの少なくとも15%、より好ましくは25%にわたって延びる長さLを有する。これは、読み取り器の電磁波に対するアンテナの露出を最大化することを可能にする。
【0055】
例えば、RFIDタグ50は、剛性シールド20の射出成形前に金型内に配置されてもよい。代替的には、RFIDタグ50は、可撓性シールド30の外層31によって囲まれる前に、剛性シールド20の壁21の外表面23上にオーバーモールドされてもよい。
【0056】
図3は、針シールドアセンブリ1の断面A-A(図2)の断面図を示し、図4は、針シールドアセンブリ1の断面B-B(図4)の断面図を示した。
【0057】
図5は、長手方向軸Aに沿って長手方向に延ばされた剛性シールド20を備える別の実施形態による針シールドアセンブリ10を示し、前記剛性シールド20は、内表面22及び外表面23を含む壁21を有する。剛性シールドは、典型的には剛性材料で作られている。好ましくは、剛性シールド20は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)又はポリカーボネート(PC)でできており、最も好ましくはポリプロピレンである。剛性シールド20は、射出成形によって製造されてもよい。
【0058】
針シールドアセンブリ10は、可撓性シールド30を更に備え、前記可撓性シールド30は、剛性シールド外表面23の少なくとも一部を覆う外層31と、医療用注入装置1のハブ部分3の少なくとも一部をシール状態で受容することが可能であって剛性シールド20の内表面22の少なくとも一部を覆う内層32とを備える。好ましくは、可撓性シールド30は、TPE(熱可塑性エラストマー)などの変形可能な材料でできている。可撓性シールド30は、オーバーモールドによって剛性シールド20に設けられてもよい。
【0059】
針シールドアセンブリ10は、剛性シールド20の内表面22に少なくとも部分的に接触して医療用注入装置1の末端端部の緊密シールを確実にすることができるセプタム40を更に備える。好ましくは、セプタム40は、ブチルゴムなどのゴムでできている。セプタム40は、剛性シールド20内に挿入されてもよい。
【0060】
この実施形態では、剛性シールド20は、開放された末端端部と開放された基端端部とを備え、可撓性シールド30は、開放された末端端部と開放された基端端部とを備え、セプタム50は、閉鎖された末端端部と開放された基端端部とを備える。
【0061】
この例では、内層32と外層31は剛性シールドの壁21によって分離されている。
【0062】
剛性シールド20の壁21は、針シールドアセンブリ10の末端端部に配置された第1の部分P1と、針シールドアセンブリ10の基端端部に配置された第2の部分P2を備えてもよい。第1の部分P1は、セプタム40を受容することが可能である第1のキャビティC1を備えてもよく、前記第2の部分P2は、可撓性シールド30の内層32を受容することが可能である第2のキャビティC2を備える。
【0063】
例えば、可撓性シールド30の外層31は、第1の部分P1を取り囲む内表面31’を有する。
【0064】
可撓性シールド30は、針シールドアセンブリ10の基端端部において、注射器1のハブ部分3の外表面に配置された凹部(図示せず)を受容するように構成されたリブ(図示せず)を備えてもよい。
【0065】
好ましくは、剛性シールド20は、針シールドアセンブリ10の基端端部において、可撓性シールド30のリブを取り囲むリングシール60を受容するように構成された円形溝24を備える。リングシール60は、剛性シールドの上にオーバーモールドされてもよい。例えば、リングシールはゴム又はTPEでできている。
【0066】
針シールドアセンブリは、剛性シールド20と可撓性シールド30との間に配置されたRFIDタグ50を備えて、前記RFIDタグ50が少なくとも1つのRFIDアンテナ(図示せず)を含んでいてもよい。RFIDタグ50は、アンテナに接続されたチップを更に備えてもよい。RFIDタグ50は、チップレスRFIDタグ、LF-RFIDタグ、HF-RFIDタグ又はUHF-RFIFタグ、或いはHF-NFC RFIDタグであってもよい。
【0067】
好ましくは、剛性シールド20の壁21の外表面23に接触するRFIDタグ50は、外層31の内表面31によって囲まれている。有利には、剛性シールド20は、RFIDタグ50の一部を受容するように構成された溝35を備える。
【0068】
好ましくは、RFIDタグ50は、剛性シールドの外表面の円周の10%~100%延びる幅(図示せず)を有し、100%は除外され、有利には40%~100%、より好ましくは50%~100%、又は50%~100%であり、有利には剛性シールド20の外表面の円周の50%~90%延びている。有利には、RFIDタグ50は、針シールドアセンブリ10の長さLの100%未満に厳密に延びる長さLを有する。好ましくは、RFIDタグ50は、針シールドアセンブリ10の長さLの少なくとも15%、より好ましくは25%にわたって延びる長さLを有する。これは、読み取り装置の電磁波に対するアンテナの露出を最大化することを可能にする。
【0069】
例えば、RFIDタグ50は、剛性シールド20の射出成形前に金型内に配置されてもよい。或いは、RFIDタグ50は、可撓性シールド30の外層31によって囲まれる前に、剛性シールド20の壁21の外表面23上にオーバーモールドされてもよい。
【0070】
本発明による針シールドは、使用者にソフトな感触を与え、一定の引き抜き力を提供する。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】