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特表2024-518817ヒト細胞における標的RNA配列の置換のための高効率トランススプライシング
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-07
(54)【発明の名称】ヒト細胞における標的RNA配列の置換のための高効率トランススプライシング
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20240425BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20240425BHJP
   C12N 15/867 20060101ALI20240425BHJP
   C12N 15/861 20060101ALI20240425BHJP
   C12N 15/87 20060101ALI20240425BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240425BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240425BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240425BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240425BHJP
   C12N 15/88 20060101ALI20240425BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240425BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20240425BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240425BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240425BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240425BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20240425BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240425BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240425BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240425BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
C12N15/864 100Z
C12N15/867 Z
C12N15/861 Z
C12N15/87 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N15/88 Z
A61P35/00
A61P31/00
A61P9/00
A61P25/00
A61P21/00
A61P3/00
A61P29/00
A61P43/00 105
A61K48/00
A61K31/7088
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563303
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(85)【翻訳文提出日】2023-12-07
(86)【国際出願番号】 US2022020151
(87)【国際公開番号】W WO2022220968
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】63/175,223
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523389442
【氏名又は名称】タシト・セラピューティクス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(72)【発明者】
【氏名】ネルズ,デヴィッド・アレン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA87X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA44
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZA011
4C084ZA012
4C084ZA361
4C084ZA362
4C084ZA941
4C084ZA942
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZB211
4C084ZB212
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB311
4C084ZB312
4C084ZC211
4C084ZC212
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA36
4C086ZA94
4C086ZB11
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZB31
4C086ZC21
(57)【要約】
(a)治療配列をコードする1つ以上の置換ドメインであって、作動するように以下に連結されるものと(b)置換ドメインのRNAスプライシングを促進する1つ以上のイントロンドメインであってトランススプライシングエンハンサー配列を含むものと、(c)標的RNA分子への結合を促進する1つ以上のアンチセンスドメインとを備えるトランススプライシング核酸を含む組成物であって、RNAトランススプライシング反応が、置換ドメインの標的RNAへの非常に効率的な挿入を促進する、トランススプライシング核酸を含む組成物を開示する。本開示の組成物を作製する方法及び使用する方法も提供され、これらには、患者又は対象の疾患又は障害の治療に使用され得る本開示の組成物が含まれるが、これらに限定されない。本開示の例示的な疾患又は障害には、遺伝的及びエピジェネティックな疾患又は障害が含まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)治療配列をコードする1つ以上の置換ドメインであって、作動するように以下に連結されるものと;
(b)前記置換ドメインのRNAスプライシングを促進する1つ以上のイントロンドメインであってトランススプライシングエンハンサー配列を含むものと;
(c)標的RNA分子への結合を促進する1つ以上のアンチセンスドメインと、
を備えるトランススプライシング核酸を含む組成物。
【請求項2】
前記トランススプライシングエンハンサー配列が、式X(式中、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)、シトシン(C)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、アデニン(A)、シトシン(C)、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択される)を有する少なくとも1つのRNAモチーフを含むRNA核酸塩基の鎖からなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記トランススプライシングエンハンサー配列が、式X(式中、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)、及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択される)を有する少なくとも1つのRNAモチーフを含むRNA核酸塩基の鎖からなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記トランススプライシングエンハンサー配列が、式X(式中、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択される)を有する少なくとも1つのRNAモチーフを含むRNA核酸塩基の鎖からなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記イントロンドメインスプライシングエンハンサーが、トランススプライシング効率を更に増加させるRNAモチーフに隣接している、請求項1~4に記載の組成物。
【請求項6】
前記イントロンドメインスプライシングエンハンサー配列が、前記トランススプライシング核酸の3’スプライス部位から300塩基未満である、請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記トランススプライシングエンハンサー配列が、前記トランススプライシング核酸の5’スプライス部位から300塩基未満である、請求項1~4に記載の組成物。
【請求項8】
前記イントロンドメインスプライシングが、2つ以上のトランススプライシングエンハンサー配列を含む、請求項1~6に記載の組成物。
【請求項9】
前記トランススプライシング効率を改善する3’非翻訳領域を更に含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項10】
前記トランススプライシング効率を改善する5’非翻訳領域を更に含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項11】
前記置換配列が、遺伝子発現増強エレメントを含む、請求項1~4に記載の組成物。
【請求項12】
前記翻訳増強エレメントが、ウッドチャック肝炎ウイルス(WHV)転写後調節エレメント(WPRE)、MALAT1由来のトリプレックス、B型肝炎ウイルスのPRE(HPRE)、及び鉄反応エレメントからなる群に由来するか、又はそれから単離される配列を含む、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
前記トランススプライシング核酸分子と前記標的RNA分子との間の相互作用を強化し、トランススプライシング効率を増加させるRNA結合タンパク質を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記トランススプライシング核酸が、RNA、DNA、DNA/RNAハイブリッド、核酸アナログ、化学修飾核酸、又は2つ以上の核酸若しくは核酸アナログから構成されるキメラである、請求項1~4に記載の組成物。
【請求項15】
前記核酸分子が、異種プロモーターを更に含む、請求項1~4に記載の組成物。
【請求項16】
請求項1~4に記載の組成物を含む、ベクター。
【請求項17】
前記ベクターが、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、ナノ粒子、ミセル、リポソーム、リポプレックス、ポリマーソーム、ポリプレックス、及びデンドリマーからなる群から選択される、請求項16記載のベクター。
【請求項18】
請求項16に記載のベクターを含む、細胞。
【請求項19】
疾患を治療する方法であって、請求項1~4に記載のトランススプライシング核酸分子を含む治療有効量の治療薬を必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項20】
対象における遺伝的欠陥を修復するための方法であって、請求項1~4に記載のトランススプライシング核酸分子を前記対象に投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、遺伝子治療、分子生物学、並びにRNA分子の配列組成を変化させるための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
疾患を引き起こすRNA配列を置換するための、当技術分野における長年の、しかし満たされていない必要性が存在する。本開示は、ヒト細胞におけるRNA分子中の特定のRNA配列を高効率で置換するための組成物及び方法を提供する。具体的には、本開示は、ヒト遺伝子治療に関連して疾患を治療するためにトランススプライシング効率を高める配列を保有するRNAトランススプライシング分子を使用して、標的RNA内の選択されたRNA配列を置換するための組成物及び方法を提供する。
【0003】
ヒト遺伝子疾患の効果的な処置は、ヒト細胞における欠陥遺伝子配列の効率的な置換を必要とする。RNAトランススプライシングは、ヒト遺伝子治療薬として提案されているが、効率が低いために臨床試験で成功していない。本開示は、この長年にわたるが満たされていない必要性に対処することができるRNAトランススプライシング分子の改善を記載する。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、いくつかの実施形態において、(a)1つ以上トランススプライシングエンハンサー配列を含むトランススプライシングを促進する少なくとも1つのドメイン(「イントロンドメイン」)と、(b)ヒト細胞中に存在するプレmRNAに相補的な配列(「標的RNA」)を含むか、又はそれからなる少なくとも1つの結合ドメイン(「アンチセンスドメイン」)と、(c)トランススプライシングを介して標的RNAに挿入されるコードドメイン(「置換ドメイン」)を含むトランススプライシングRNA分子を含む組成物を提供する。トランススプライシングエンハンサー配列はスプライシング効率を高め、その結果、トランススプライシングRNA分子は標的RNA内の配列を置換ドメインと高効率で交換することができる。他の実施形態では、本開示は、トランススプライシングRNA分子をコードする核酸配列を含む組成物を提供する。
【0005】
いくつかの実施形態において、トランススプライシングエンハンサー配列は5’-X-3’を含み、Xはウラシル(U)又はグアニン(G)であり、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)又はグアニン(G)であり、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)及びグアニン(G)であり、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)、シトシン(C)又はグアニン(G)であり、Xは、アデニン(A)、シトシン(C)、ウラシル(U)又はグアニン(G)であり、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)又はグアニン(G)である。
【0006】
いくつかの実施形態において、トランススプライシングエンハンサー配列は、Xを含み、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)、及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択される。
【0007】
いくつかの実施形態において、トランススプライシングエンハンサー配列は、Xを含み、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、ウラシル(U)、及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択される。
【0008】
いくつかの実施形態において、トランススプライシングエンハンサー配列は、置換ドメインに直接隣接している。
【0009】
いくつかの実施形態において、トランススプライシングエンハンサー配列は、1ヌクレオチド、2ヌクレオチド、3ヌクレオチド、4ヌクレオチド、5ヌクレオチド、6ヌクレオチド、7ヌクレオチド、8ヌクレオチド、9ヌクレオチド、10ヌクレオチド、11ヌクレオチド、12ヌクレオチド、13ヌクレオチド、14ヌクレオチド、15ヌクレオチド、16ヌクレオチド、17ヌクレオチド、18ヌクレオチド、19ヌクレオチド、20ヌクレオチド、21ヌクレオチド、22ヌクレオチド、23ヌクレオチド、24ヌクレオチド、25ヌクレオチド、26ヌクレオチド、27ヌクレオチド、28ヌクレオチド、29ヌクレオチド、30ヌクレオチド、31ヌクレオチド、31ヌクレオチド、32ヌクレオチド、33ヌクレオチド、34ヌクレオチド、35ヌクレオチド、36ヌクレオチド、37ヌクレオチド、38ヌクレオチド、39ヌクレオチド、40ヌクレオチド、41ヌクレオチド、42ヌクレオチド、43ヌクレオチド、44ヌクレオチド、45ヌクレオチド、46ヌクレオチド、47ヌクレオチド、48ヌクレオチド、49ヌクレオチド、50ヌクレオチド、55ヌクレオチド、60ヌクレオチド、65ヌクレオチド、70ヌクレオチド、75ヌクレオチド、80ヌクレオチド、85ヌクレオチド、90ヌクレオチド、95ヌクレオチド、100ヌクレオチド、110ヌクレオチド、120ヌクレオチド、130ヌクレオチド、140ヌクレオチド、150ヌクレオチド、160ヌクレオチド、170ヌクレオチド、180ヌクレオチド、190ヌクレオチド、200ヌクレオチド、250ヌクレオチド、300ヌクレオチド、400ヌクレオチド、500ヌクレオチド、500ヌクレオチド超、又は置換ドメインの最初のヌクレオチドから5’方向に離れた間の任意の数のヌクレオチドである。
【0010】
いくつかの実施形態において、トランススプライシングエンハンサー配列は、1ヌクレオチド、2ヌクレオチド、3ヌクレオチド、4ヌクレオチド、5ヌクレオチド、6ヌクレオチド、7ヌクレオチド、8ヌクレオチド、9ヌクレオチド、10ヌクレオチド、11ヌクレオチド、12ヌクレオチド、13ヌクレオチド、14ヌクレオチド、15ヌクレオチド、16ヌクレオチド、17ヌクレオチド、18ヌクレオチド、19ヌクレオチド、20ヌクレオチド、21ヌクレオチド、22ヌクレオチド、23ヌクレオチド、24ヌクレオチド、25ヌクレオチド、26ヌクレオチド、27ヌクレオチド、28ヌクレオチド、29ヌクレオチド、30ヌクレオチド、31ヌクレオチド、31ヌクレオチド、32ヌクレオチド、33ヌクレオチド、34ヌクレオチド、35ヌクレオチド、36ヌクレオチド、37ヌクレオチド、38ヌクレオチド、39ヌクレオチド、40ヌクレオチド、41ヌクレオチド、42ヌクレオチド、43ヌクレオチド、44ヌクレオチド、45ヌクレオチド、46ヌクレオチド、47ヌクレオチド、48ヌクレオチド、49ヌクレオチド、50ヌクレオチド、55ヌクレオチド、60ヌクレオチド、65ヌクレオチド、70ヌクレオチド、75ヌクレオチド、80ヌクレオチド、85ヌクレオチド、90ヌクレオチド、95ヌクレオチド、100ヌクレオチド、110ヌクレオチド、120ヌクレオチド、130ヌクレオチド、140ヌクレオチド、150ヌクレオチド、160ヌクレオチド、170ヌクレオチド、180ヌクレオチド、190ヌクレオチド、200ヌクレオチド、250ヌクレオチド、300ヌクレオチド、400ヌクレオチド、500ヌクレオチド、500ヌクレオチド超、又は置換ドメインの最後のヌクレオチドから3’方向に離れた間の任意の数のヌクレオチドである。
【0011】
いくつかの実施形態において、イントロンドメインは、1個のトランススプライシングエンハンサー配列を含む。いくつかの実施形態において、イントロンドメインは、2つ以上のトランススプライシングエンハンサー配列を含む。いくつかの実施形態において、イントロンドメインは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、30、40、50、75、100、200、300又はそれ以上のトランススプライシングエンハンサー配列を含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、アンチセンスドメインは、疾患を引き起こす突然変異を時折保有する標的RNAをコードする遺伝子(角括弧内に対応するアクセッション番号及び丸括弧内に対応する疾患)に相補的であり、以下からなる群から選択される:TNFRSF13B[ENSG00000240505](分類不能型免疫不全症(common variable immune deficiency));ADA、CECR1[ENSG00000196839,ENSG00000093072](アデノシンデアミナーゼ欠損症);IL2RG[ENSG00000147168](X連鎖重症複合免疫不全症);HBB[ENSG00000244734](β-サラセミア);HBA1,HBA2[ENSG00000206172,ENSG00000188536](α-サラセミア);U2AF1[ENSG00000160201]((骨髄異形成症候群);SOD1,TARDBP,FUS,MATR3,SOD1,C9ORF72[ENSG00000142168,ENSG00000120948,ENSG00000089280,ENSG00000015479,ENSG00000142168,ENSG00000147894](Amyotrophic lateral sclerosis);(筋萎縮性側索硬化症);MAPT,PGRN[ENSG00000186868,ENSG00000030582](パーキンソニズムを伴う前頭側頭型認知症);CDH23,MYO7A,USH2A[ENSG00000107736,ENSG00000137474,ENSG00000042781](アッシャー症候群);GALC[ENSG00000054983](クラッベ病);SMPD1,NPC1,NPC2[ENSG00000166311,ENSG00000141458,ENSG00000119655](ニーマン・ピック病);PRNP[ENSG00000171867](プリオン病);SCN1A[ENSG00000144285](ドラベ症候群);PINK1,ATPGAP2[ENSG00000158828](早期発症パーキンソン病);ATXN1,ATXN2,ATXN3,PLEKHG4,SPTBN2,CACNA1A,ATXN7,TTBK2,PPP2R2B,KCNC3,PRKCG,ITPR1,TBP,KCND1,FGF14[ENSG00000124788,ENSG00000204842,ENSG00000066427,ENSG00000196155,ENSG00000173898,ENSG00000141837,ENSG00000163635,ENSG00000128881,ENSG00000156475,ENSG00000131398,ENSG00000126583,ENSG00000150995,ENSG00000112592,ENSG00000102057,ENSG00000102466](脊髄小脳失調症);SCN1A,SCN2A,CACNA1A,GRIN2B,GRIN2A,MECP2,FOXG1,SLC6A1,PRRT2,PTEN,KCNQ2,KCNQ3,STARD7,CLRN1[ENSG00000144285,ENSG00000136531,ENSG00000141837,ENSG00000273079,ENSG00000183454,ENSG00000169057,ENSG00000176165,ENSG00000157103,ENSG00000167371,ENSG00000171862,ENSG00000075043,ENSG00000184156,ENSG00000084090,ENSG00000163646](遺伝性てんかん障害);ATM[ENSG00000149311](毛細血管拡張性運動失調症);GLB1[ENSG00000170266](GM1ガングリオシド症);GBA[ENSG00000177628](ゴーシェ病);GM2A[ENSG00000196743](GM2ガングリオシド症);UBE3A[ENSG00000114062](アンジェルマン症候群);SLC2A1[ENSG00000117394](グルコース輸送体欠損1型);LAMP2[ENSG00000005893](ダノン病);GLA[ENSG00000102393](ファブリー病);PKD1,PKD2[ENSG00000008710,ENSG00000118762](常染色体優性多発性嚢胞腎);GAA[ENSG00000171298](ポンペ病);PCSK9,LDLR,APOB,APOE[ENSG00000169174,ENSG00000130164,ENSG00000084674,ENSG00000130203](家族性高コレステロール血症);MYOC,OPTN,TBK1,WDR36,CYPIB1[ENSG00000034971,ENSG00000123240,ENSG00000183735,ENSG00000134987,ENSG00000138061](開放隅角緑内障);IDUA[ENSG00000127415](ハーラー症候群又はムコ多糖症1);IDS[ENSG00000010404](ハンター症候群又はムコ多糖症2);CLN3[ENSG00000188603](バッテン病);DMD[ENSG00000198947](デュシェンヌ型筋ジストロフィー);LMNA[ENSG00000160789](肢帯型筋ジストロフィー1B型);DYSF[ENSG00000135636](肢帯型筋ジストロフィー2B型);SGCA[ENSG00000108823](肢帯型筋ジストロフィー2D型);SGCB[ENSG00000163069](肢帯型筋ジストロフィー2E型);SGCG[ENSG00000102683](肢帯型筋ジストロフィー2C型);SGCD[ENSG00000170624](肢帯型筋ジストロフィー2F型);DUX4[ENSG00000260596](顔面肩甲上腕筋ジストロフィー);F9[ENSG00000101981](血友病B);F8[ENSG00000185010](血友病A);USHA2A,RPGR,RP2,RHO,PRPF31,USH1F,PRPF3,PRPF6[ENSG00000156313,ENSG00000102218,ENSG00000163914,ENSG00000105618,ENSG00000150275,ENSG00000117360,ENSG00000101161](網膜色素変性症);CFTR[ENSG00000001626](嚢胞性線維症);GJB2,GJB6,STRC,DFNA1,WFS1[ENSG00000165474,ENSG00000121742,ENSG00000242866,ENSG00000131504,ENSG00000109501](常染色体優性聴覚障害);POU3F3[ENSG00000198914](非症候性難聴)。
【0013】
いくつかの実施形態において、置換ドメインは、標的RNAに由来するか、又はそれから単離される単離される。
【0014】
いくつかの実施形態において、イントロンドメインは、疾患を引き起こす突然変異を有するRNA結合タンパク質によって優先的に標的とされる結合部位を保有する。いくつかの実施形態において、これらの変異RNA結合タンパク質及びイントロンドメインの解離定数は、非変異RNA結合タンパク質及びイントロンドメインの解離定数よりも低い。
【0015】
いくつかの実施形態において、トランススプライシングRNAは、5’非翻訳領域を更に含む。いくつかの実施形態において、5’非翻訳領域は、トランススプライシング核酸の安定性を増加させる。いくつかの実施形態において、5’非翻訳領域は、トランススプライシング核酸の安定性を低下させる。いくつかの実施形態において、5’非翻訳領域は、トランススプライシング核酸の局在化を変化させる。いくつかの実施形態において、5’非翻訳領域は、トランススプライシング核酸のプロセシングを変化させる。
【0016】
いくつかの実施形態において、トランススプライシングRNAは、3’非翻訳領域を更に含む。いくつかの実施形態において、3’非翻訳領域は、トランススプライシング核酸の安定性を増加させる。いくつかの実施形態において、3’非翻訳領域は、トランススプライシング核酸の安定性を低下させる。いくつかの実施形態において、3’非翻訳領域は、トランススプライシング核酸の局在化を変化させる。いくつかの実施形態において、3’非翻訳領域は、トランススプライシング核酸のプロセシングを変化させる。
【0017】
いくつかの実施形態において、置換ドメインは、ヒト遺伝子に由来するか、又はそれから単離される配列からなる。本開示の組成物のいくつかの実施形態において、置換ドメインを含む配列は、ヒト遺伝子と少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、87%、90%、95%、97%、99%又はその間の任意のパーセンテージの同一性を有する。いくつかの実施形態において、置換ドメインは、ヒト遺伝子に由来するか、又はそれから単離される配列と100%の同一性を有する。いくつかの実施形態において、置換ドメインは、2ヌクレオチド、5ヌクレオチド、10ヌクレオチド、20ヌクレオチド、30ヌクレオチド、40ヌクレオチド、50ヌクレオチド、60ヌクレオチド、70ヌクレオチド、80ヌクレオチド、90ヌクレオチド、100ヌクレオチド、110ヌクレオチド、120ヌクレオチド、130ヌクレオチド、140ヌクレオチド、150ヌクレオチド、160ヌクレオチド、170ヌクレオチド、180ヌクレオチド、190ヌクレオチド、200ヌクレオチド、210ヌクレオチド、220ヌクレオチド、230ヌクレオチド、240ヌクレオチド、250ヌクレオチド、260ヌクレオチド、270ヌクレオチド、270ヌクレオチド超、又はその間の任意の数のヌクレオチドを含むか、又はそれらからなる。
【0018】
本開示の組成物のいくつかの実施形態において、アンチセンスドメインを含む配列は、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、87%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はその間の任意のパーセンテージの標的RNA配列に対する相補性を有する。いくつかの実施形態において、アンチセンスドメインは、標的RNA配列に対して100%の相補性を有する。いくつかの実施形態において、アンチセンスドメインは、標的RNA配列に相補的な20ヌクレオチド、30ヌクレオチド、40ヌクレオチド、50ヌクレオチド、60ヌクレオチド、70ヌクレオチド、80ヌクレオチド、90ヌクレオチド、100ヌクレオチド、110ヌクレオチド、120ヌクレオチド、130ヌクレオチド、140ヌクレオチド、150ヌクレオチド、160ヌクレオチド、170ヌクレオチド、180ヌクレオチド、190ヌクレオチド、200ヌクレオチド、210ヌクレオチド、220ヌクレオチド、230ヌクレオチド、240ヌクレオチド、250ヌクレオチド、260ヌクレオチド、270ヌクレオチド、270ヌクレオチド超、又はその間の任意の数のヌクレオチドを含むか、又はそれらからなる。
【0019】
本開示の組成物のいくつかの実施形態において、トランススプライシングRNAをコードする配列は、真核細胞においてトランススプライシングRNAを発現することができるプロモーターをコードする配列を更に含む。
【0020】
本開示の組成物のいくつかの実施形態において、真核細胞は、動物細胞である。いくつかの実施形態において、動物細胞は、哺乳動物細胞である。いくつかの実施形態において、動物細胞は、ヒト細胞である。
【0021】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、本開示のベクターは、ウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、レトロウイルスから単離されるか、又はそれに由来する配列を含む。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、レンチウイルスから単離されるか、又はそれに由来する配列を含む。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、アデノウイルスから単離されるか、又はそれに由来する配列を含む。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)から単離されるか、又はそれに由来する配列を含む。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、複製不能である。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、単離されているか、又は組換えである。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、自己相補的である。
【0022】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)から単離されるか、又はそれに由来する配列を含む。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、血清型AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11又はAAV12のAAVから単離されるか、又はそれに由来する逆方向末端反復配列又はキャプシド配列を含む。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、複製不能である。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、単離されているか、又は組換え(rAAV)である。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは自己相補的(scAAV)である。
【0023】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、本開示のベクターは、非ウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、ベクターは、ナノ粒子、ミセル、リポソーム又はリポプレックス、ポリマーソーム(polymersome)、ポリプレックス、エキソソーム又はデンドリマーを含むか、又はそれらからなる。いくつかの実施形態において、ベクターは、発現ベクター又は組換え発現系である。本明細書で使用される場合、「組換え発現系」という用語は、組換えによって形成された特定の遺伝物質の発現のための遺伝子コンストラクトを指す。
【0024】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、本明細書で提供される発現ベクター、ウイルスベクター又は非ウイルスベクターは、限定されないが、発現制御エレメントを含む。本明細書で使用される場合、「発現制御エレメント」は、遺伝子などのコード配列の発現を調節する任意の配列を指す。例示的な発現制御エレメントには、プロモーター、エンハンサー、マイクロRNA、転写後調節エレメント、ポリアデニル化シグナル配列、5’又は3’非翻訳領域、及びイントロンが含まれるが、これらに限定されない。
【0025】
発現制御エレメントは、例えば、構成的、誘導性、抑制性又は組織特異的であり得る。「プロモーター」は、転写の開始及び速度が制御されるポリヌクレオチド配列の領域である制御配列である。プロモーターは、RNAポリメラーゼ及び他の転写因子などの調節タンパク質及び分子が結合し得る遺伝要素を含み得る。いくつかの実施形態において、プロモーターによる発現制御は、組織特異的である。非限定的な例示的プロモーターとしては、CMV、CBA、CAG、Cbh、EF-1a、PGK、UBC、GUSB、UCOE、hAAT、TBG、Desmin、MCK、C5-12、NSE、Synapsin、PDGF、MecP2、CaMKII、mGluR2、NFL、NFH、nβ2、PPE、ENK、EAAT2、GFAP、MBP、H1及びU6プロモーターが挙げられる。いくつかの実施形態において、プロモーターは、トランスファーRNA(tRNA)の発現を駆動することができるプロモーターから単離されるか、又はそれに由来する配列である。いくつかの実施形態において、プロモーターは、アラニンtRNAプロモーター、アルギニンtRNAプロモーター、アスパラギンtRNAプロモーター、アスパラギン酸tRNAプロモーター、システインtRNAプロモーター、グルタミンtRNAプロモーター、グルタミン酸tRNAプロモーター、グリシンtRNAプロモーター、ヒスチジンtRNAプロモーター、イソロイシンtRNAプロモーター、ロイシンtRNAプロモーター、リジンtRNAプロモーター、メチオニンtRNAプロモーター、フェニルアラニンtRNAプロモーター、プロリンtRNAプロモーター、セリンtRNAプロモーター、トレオニンtRNAプロモーター、トリプトファンtRNAプロモーター、チロシンtRNAプロモーター、又はバリンtRNAプロモーターから単離されるか、又はそれに由来する。いくつかの実施形態において、プロモーターは、バリンtRNAプロモーターから単離されるか、又はそれに由来する。
【0026】
「エンハンサー」は、転写の可能性又は頻度を増加させるためにタンパク質を活性化することによって結合され得るDNAの領域である。非限定的な例示的なエンハンサー及び転写後調節エレメントには、CMVエンハンサー及びWPREが含まれる。
【0027】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、本明細書で提供される発現ベクター、ウイルスベクター又は非ウイルスベクターは、限定されないが、「マルチシストロニック」又は「ポリシストロニック」又は「バイシストロニック」又は「トリシストロニック」コンストラクトの構成のためのIRES又は2Aペプチド部位などのベクターエレメント、すなわち、2つ又は3つ又は複数のコード領域又はエクソンを有するものを含み、したがって、単一のコンストラクトからの2つ以上のタンパク質をmRNAから発現する能力を有する。マルチシストロニックベクターは、同じmRNAから2つ以上の別個のタンパク質を同時に発現する。マルチシストロニック配置を構築するために最も広く使用されている2つの戦略は、IRES又は2A自己切断部位の使用によるものである。「IRES」は、ポリシストロン性ベクターコンストラクト内で使用されるウイルス、原核生物又は真核生物起源の内部リボソーム進入部位又はその一部を指す。いくつかの実施形態において、IRESは、キャップ非依存的な様式で翻訳開始を可能にするRNAエレメントである。「自己切断ペプチド」又は「自己切断ペプチドをコードする配列」又は「2A自己切断部位」という用語は、リボソームスキッピングを促進し、したがって単一のプロモーターから2つのポリペプチドを生成するための部位を組み込むためにベクターコンストラクト内で使用される連結配列を指し、そのような自己切断ペプチドには、限定されないが、T2A及びP2Aペプチド又は自己切断ペプチドをコードする配列が含まれる。
【0028】
いくつかの実施形態において、ベクターは、ウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、ベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、又はレンチウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、ベクターは、レトロウイルスベクター、アデノウイルス/レトロウイルスキメラベクター、単純ヘルペスウイルスI若しくはIIベクター、パルボウイルスベクター、細網内皮症ウイルスベクター、ポリオウイルスベクター、パピローマウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、又は2つ以上のウイルスベクターの好ましい態様を組み込んだ任意のハイブリッドベクター若しくはキメラベクターである。いくつかの実施形態において、ベクターは、ポリヌクレオチドに作動可能に連結された1つ以上の発現制御エレメントを更に含む。いくつかの実施形態において、ベクターは1つ以上の選択マーカーを更に含む。いくつかの実施形態において、AAVベクターは低い毒性を有する。いくつかの実施形態において、AAVベクターは宿主ゲノムに組み込まれず、それによって挿入突然変異誘発を引き起こす可能性が低い。いくつかの実施形態において、AAVベクターは、3kb~4.75kbの全ポリヌクレオチドの範囲をコードすることができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される組成物、システム、方法及びキットのいずれかで使用され得る例示的なAAVベクターには、AAV1ベクター、改変AAV1ベクター、AAV2ベクター、改変AAV2ベクター、AAV3ベクター、改変AAV3ベクター、AAV4ベクター、改変AAV4ベクター、AAV5ベクター、改変AAV5ベクター、AAV6ベクター、改変AAV6ベクター、AAV7ベクター、改変AAV7ベクター、AAV8ベクター、AAV9ベクター、AAV.rh10ベクター、改変AAV.rh10ベクター、AAV.rh32/33ベクター、改変AAV.rh32/33ベクター、AAV.rh43ベクター、改変AAV.rh43ベクター、AAV.rh74ベクター、改変AAV.rh74ベクター、AAV.rh64R1ベクター、及び改変AAV.rh64R1ベクター、並びにそれらの任意の組み合わせ又は等価物が含まれ得る。いくつかの実施形態において、レンチウイルスベクターは、インテグラーゼコンピテント(integrase-competent)レンチウイルスベクター(ICLV)である。いくつかの実施形態において、レンチウイルスベクターは、導入遺伝子プラスミドベクター、並びに関連プラスミド(例えば、パッケージングプラスミド、rev発現プラスミド、エンベローププラスミド)と併せた導入遺伝子プラスミドベクター、並びにウイルス又はウイルス様侵入機構を介して外因性核酸を細胞に導入することができるレンチウイルス系粒子を指すことができる。レンチウイルスベクターは当技術分野で周知である(例えば、Trono D.(2002)Lentiviral vectors,New York:Spring-Verlag Berlin Heidelberg and Durand et al.(2011)Viruses 3(2):132-159 doi:10.3390/v3020132を参照)。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される組成物、システム、方法及びキットのいずれかにおいて使用され得る例示的なレンチウイルスベクターには、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)1ベクター、改変ヒト免疫不全ウイルス(HIV)1ベクター、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)2ベクター、改変ヒト免疫不全ウイルス(HIV)2ベクター、スーティーマンガベイサル免疫不全ウイルス(sooty mangabey simian immunodeficiency virus)(SIVSM)ベクター、改変スーティーマンガベイサル免疫不全ウイルス(SIVSM)ベクター、アフリカミドリザルサル免疫不全ウイルス(SIVAGM)ベクター、改変アフリカミドリザルサル免疫不全ウイルス(SIVAGM)ベクター、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)ベクター、改変ウマ感染性貧血ウイルス(EIAV)ベクター、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)ベクター、改変ネコ免疫不全ウイルス(FIV)ベクター、ビスナ/マエディウイルス(VNV/VMV)ベクター、改変ビスナ/マエディウイルス(VNV/VMV)ベクター、ヤギ関節炎・脳炎ウイルス(CAEV)ベクター、改変ヤギ関節炎・脳炎ウイルス(CAEV)ベクター、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)、又は改変ウシ免疫不全ウイルス(BIV)が含まれ得る。
【0029】
いくつかの実施形態において、トランススプライシング核酸は、RNA、DNA、DNA/RNAハイブリッドであり、及び/又は核酸アナログ、化学修飾核酸、又は2つ以上の核酸若しくは核酸アナログから構成されるキメラの少なくとも1つを含む。本明細書で使用される場合、「核酸アナログ」という用語は、DNA又はRNA中に存在する標準的なプリン又はピリミジン塩基と構造的類似性を有する化合物を指す。核酸アナログは、DNA又はRNA中に天然に存在するプリン又はピリミジン塩基と比較して、修飾された糖及び/又は修飾核酸塩基を含み得る。いくつかの実施形態において、核酸アナログは、2’-デオキシリボヌクレオシド、2’-リボヌクレオシド、2’-デオキシリボヌクレオチド又は2’-リボヌクレオチドであり、核酸塩基は修飾塩基(例えば、キサンチン、ウリジン、オキサニン(オキサノシン)、7-メチルグアノシン、ジヒドロウリジン、5-メチルシチジン、C3スペーサー、5-メチルdC、5-ヒドロキシブチル-2’-デオキシウリジン(5-hydroxybutynl-2’-deoxyuridine)、5-ニトロインドール、5-メチルイソデオキシシトシン、イソデオキシグアノシン、デオキシウリジン(deoxyuradine)、イソデオキシシチジン、他の0-1プリンアナログ、N-6-ヒドロキシアミノプリン、ネブラリン、7-デアザヒポキサンチン、他の7-デアザプリン、及び2-メチルプリンなど)を含む。いくつかの実施形態において、核酸アナログは、イノシン、7-デアザ-2’-デオキシイノシン、2’-アザ-2’-デオキシイノシン、PNA-イノシン、モルホリノ-イノシン、LNA-イノシン、ホスホルアミダートイノシン、2’-O-メトキシエチル-イノシン、及び2’-OMe-イノシンからなる群から選択され得る。他の実施形態において、核酸アナログは、核酸模倣物(例えば、人工核酸及び異種核酸(XNA)など)である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1A図1は、本発明によって対処される満たされていない必要性を示し、本発明の概略図を提供する。図1Aは、変異(「欠陥」)DNA配列が、疾患に直接寄与するRNA(「RNA病原性」)に転写されるか、又は疾患を引き起こすタンパク質(「病原性タンパク質の翻訳」)に翻訳されるヒト遺伝子疾患の概念を示す。
図1B図1Bは、突然変異を修復するが効率が低いトランススプライシングRNAによって突然変異保有RNA分子が標的とされる最先端のRNAトランススプライシング技術を示す。この低い効率は、典型的には、疾患の進行を停止又は逆転させるには不十分である。
図1C図1Cは、トランススプライシング分子が、トランススプライシング反応の効率を高めるトランススプライシングエンハンサー配列を保有する本発明を例示する。これは、疾患進行の停止又は逆転及び/又は重要な疾患表現型の排除を支援し、それによってヒト遺伝子疾患の有効な治療を提供する。
【0031】
図2A図2は、本開示に記載されるトランススプライシングRNAの3つの実施形態を示す。図2Aは、2つのアンチセンスドメイン、1つの置換ドメイン、2つのイントロンドメイン及びイントロンドメイン内の少なくとも2つのトランススプライシングエンハンサー配列を保有する二重トランススプライシング分子を記載する。この設計は、置換された配列の周囲の隣接する5’及び3’配列を維持しながら、標的RNA内の内部配列の置換を促進する。
図2B図2B及び図2Cは、両方とも1つのアンチセンスドメイン、1つの置換ドメイン、1つのイントロンドメイン及びイントロンドメイン内の少なくとも1つのトランススプライシングエンハンサー配列を含む末端トランススプライシング分子を記載する。図2Bは、5’末端を維持しながら標的RNAの3’末端を置換する3’末端トランススプライシングRNAの設計を示す。
図2C図2Cは、3’末端を維持しながら標的RNAの5’末端を置換する5’末端トランススプライシング分子の設計を示す。
【0032】
図3A図3は、GFPタンパク質の産生を介した内部トランススプライシングの状況におけるトランススプライシングエンハンサー配列の重要性を明らかにするために設計された実験を示す。図3Aは、GFPのN末端部分及びC末端部分(「N-GFP」及び「C-GFP」)を保有するが、蛍光に必要な内部GFP配列を欠くスプリットGFPレポーターの設計を示す。レポーターにおいて、この内部配列は、イントロンに隣接する終止コドンを有する短いエクソンによって置き換えられる。内部配列(「int-GFP」)は、2つのイントロン配列及び2つのアンチセンス配列に隣接するRNAトランススプライシング分子内の置換配列である。
図3B図3Bは、シススプライシングが終止コドンによって中断されたGFP配列を生成し、したがってGFPシグナルを生成しないようなレポーター単独の活性を示す。
図3C図3Cは、同様にシススプライシングが主に起こり、GFPシグナルが生成されないように、トランススプライシング分子にトランススプライシングエンハンサー配列を含まない、トランススプライシング分子の存在下でのレポーターの活性を示す。
図3D図3Dは、トランススプライシングが主に起こり、GFPシグナルが生成されるように、トランススプライシングエンハンサー配列を含むトランススプライシング分子の存在下でのレポーターの活性を示す。
【0033】
図4A図4は、5’末端トランススプライシングの状況におけるトランススプライシングエンハンサー配列の重要性を明らかにするように設計された実験を示す。図4Aは、GFPのC末端部分(「C-GFP」)を保有するが、蛍光に必要なN末端GFP配列を欠くスプリットGFPレポーターの設計を示す。レポーターにおいて、このN末端GFP配列は、イントロンに隣接する終止コドンを有する短いエクソンによって置き換えられる。N末端配列(「N-GFP」)は、1つのイントロン配列及び1つのアンチセンス配列に隣接するRNAトランススプライシング分子内の置換配列である。
図4B図4Bは、シススプライシングが終止コドンによって中断されたGFP配列を生成し、したがってGFPシグナルを生成しないようなレポーター単独の活性を示す。
図4C図4Cは、同様にシススプライシングが主に起こり、GFPシグナルが生成されないように、トランススプライシング分子にトランススプライシングエンハンサー配列を含まない、トランススプライシング分子の存在下でのレポーターの活性を示す。
図4D図4Dは、トランススプライシングが主に起こり、GFPシグナルが生成されるように、トランススプライシングエンハンサー配列を含むトランススプライシング分子の存在下でのレポーターの活性を示す。
【0034】
図5A図5は、3’末端トランススプライシングの状況におけるトランススプライシングエンハンサー配列の重要性を明らかにするように設計された実験を示す。図5Aは、GFPのN末端部分(「N-GFP」)を保有するが、蛍光に必要なC末端GFP配列を欠くスプリットGFPレポーターの設計を示す。レポーターにおいて、このC末端GFP配列は、イントロンに隣接する終止コドンを有する短いエクソンによって置き換えられる。C末端配列(「C-GFP」)は、1つのイントロン配列及び1つのアンチセンス配列に隣接するRNAトランススプライシング分子内の置換配列である。
図5B図5Bは、シススプライシングが終止コドンによって中断されたGFP配列を生成し、したがってGFPシグナルを生成しないようなレポーター単独の活性を示す。
図5C図5Cは、同様にシススプライシングが主に起こり、GFPシグナルが生成されないように、トランススプライシング分子にトランススプライシングエンハンサー配列を含まない、トランススプライシング分子の存在下でのレポーターの活性を示す。
図5D図5Dは、トランススプライシングが主に起こり、GFPシグナルが生成されるように、トランススプライシングエンハンサー配列を含むトランススプライシング分子の存在下でのレポーターの活性を示す。
【0035】
図6A図6は、筋緊張性ジストロフィーI型に関連する分子病理及びトランススプライシング治療薬を含むこの疾患の治療方法を例示する。図6Aは、筋緊張性ジストロフィーI型(DM1)が、「CTG」反復単位から構成されるRNAに転写されるDNAにおける「CUG」反復伸長によって引き起こされることを示す。この反復RNAは、MBNL1と呼ばれるスプライシング因子タンパク質に優先的に結合する。その典型的な活性からのMBNL1の結果として生じる滴定は、細胞における広範な機能不全RNAスプライシングを引き起こす。この機能不全のスプライシングは、特徴的な筋強直症を含むこの疾患に関連する多くの病状の原因である。
図6B図6Bは、MBNL1タンパク質産生の増幅を介してこの分子病理に対処するトランススプライシング治療薬の活性を示す。具体的には、トランススプライシングRNAは、MBNL1 mRNAの3’末端に遺伝子発現増幅配列を結合し、MBNL1発現を増加させる。結果として生じるMBNL1レベルの増加は、そのスプライシング活性を再構成し、疾患を逆転させる。
【0036】
図7A図7は、ルシフェラーゼタンパク質の産生を介した遺伝子発現の増加を目的とした3’末端トランススプライシングの状況においてトランススプライシングエンハンサー配列の重要性を明らかにするように設計された実験を示す。図7Aは、ウミシイタケルシフェラーゼ対照(「R.ルシフェラーゼ」)及びホタルルシフェラーゼ(「F.ルシフェラーゼ」)レポーター分子を保有するルシフェラーゼレポーターの設計を例示する。レポーター分子は、ヒトMBNL1遺伝子由来のエクソン9、イントロン9、及びエクソン10を保有する。エクソン10は、MBNL1遺伝子発現に影響を及ぼす調節エレメントを含有する。トランススプライシングRNAは、3’トランススプライシングプロセスにおいてイントロン9を標的とし、エクソン10を翻訳エンハンサーで置き換える。このようにして、トランススプライシングの成功は、ウミシイタケルシフェラーゼと比較してホタルルシフェラーゼの産生を増加させる。
図7B図7Bは、シススプライシングがMBNL1のエクソン10を有するルシフェラーゼ分子を生じるようなレポーター単独の活性を例示する。
図7C図7Cは、トランススプライシング分子にトランススプライシングエンハンサー配列を含めずに、トランススプライシング分子の存在下でのレポーターの活性を例示し、その結果、同様にシススプライシングが起こり、主にMBNL1のエクソン10を有するルシフェラーゼ分子が得られる。
図7D図7Dは、トランススプライシングが主に起こり、エクソン10が翻訳エンハンサーによって置き換えられ、したがってホタルルシフェラーゼシグナルが増加するように、トランススプライシングエンハンサー配列を含むトランススプライシング分子の存在下でのレポーターの活性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本開示は、RNA分子と選択的に結合してトランススプライシング反応を効率よく促進するRNA分子を提供する。本開示は、トランススプライシングRNA分子を含むか、又はそれをコードするベクター、組成物及び細胞を提供する。本開示は、疾患又は障害を治療するために本開示のトランススプライシングRNA分子、ベクター、組成物及び細胞を使用する方法を提供する。
【0038】
一態様において、本発明は、3種類のドメインを含むトランススプライシングRNA分子である(図2)。3つのドメインタイプのうちの1つは、トランススプライシング反応を介して標的RNA分子に挿入される置換ドメインである。第2のドメインタイプは、標的RNAに相補的なアンチセンスドメインである。第3のドメインタイプは、トランススプライシングRNA分子と標的RNAとの間のトランススプライシング反応を促進するイントロンドメインである。イントロンドメインは、トランススプライシング反応を促進するイントロントランススプライシング増強配列(トランススプライシングエンハンサー配列)を更に含む。特異的トランススプライシングエンハンサー配列とイントロンドメインとのこの新規な組み合わせは、疾患に対処するためにヒト細胞における疾患を引き起こすRNA配列を十分に置き換える様式でRNAトランススプライシングを促進する。本開示は、疾患を引き起こすRNA分子を特異的に標的とし、これらのRNA分子内の疾患を引き起こすRNA配列を高効率で置換するための組成物及び方法を提供する。トランススプライシングRNA分子の実施形態は、疾患を引き起こす配列の置換又は標的RNAへの操作された配列の挿入を含む様々な状況での有用性を示す。操作された配列は、標的RNAの翻訳又は安定性を変化させて、タンパク質産生又は標的RNAレベルを増加又は減少させることができる。本開示は、トランススプライシングRNAを含むか、又はそれをコードするベクター、組成物及び細胞、並びにトランススプライシングRNA組成物を使用する方法を提供する。
【0039】
一態様において、本発明は、生細胞内の特定のRNA分子内の任意の配列の置換を可能にするRNA技術である。この技術は、RNAトランススプライシングに基づいて、ヒト細胞中に天然に存在するスプライソソームを利用して、このトランススプライシングプロセスの触媒活性を提供する。典型的には、RNAスプライシングは、エクソンが連結され、イントロンが未成熟メッセンジャーRNA分子(プレ-mRNA)から除去されて成熟メッセンジャーRNA分子(mRNA)を形成するRNA分子内で起こる。このプロセスは、シススプライシングと呼ばれる。RNAトランススプライシングは、スプライソソームが別個のRNA分子に由来するエクソンを連結するプロセスである。このプロセスはヒト細胞ではほとんど起こらず、RNAトランススプライシングを促進する最先端のシステムは低レベルで活性である。本発明は、RNAトランススプライシングの効率を高める組成物を含む。これらの改良されたRNAトランススプライシング組成物は、ヒト疾患に対処するために標的RNA分子内の変異配列を置換するために使用することができる。任意のRNA配列の置換は、そのうちのいくつかが関連する実証として検討されている無数の特定の用途を有する一般的な能力である。RNAトランススプライシングは、改変されたRNA安定性又は改変されたRNA翻訳などの新しい活性を標的RNAに付与するために、操作された配列を標的RNAに挿入することができる。この特徴は、標的RNAによるタンパク質の産生を増加させるために使用することができる。最も広い意味で、このRNAトランススプライシング技術は、標的RNAのコード領域と非コード領域の両方に任意の変化を与えることができる。
【0040】
参考文献には、シススプライシングの状況におけるスプライシング促進配列の活性が記載されている。しかしながら、1)トランススプライシング増強配列の同一性、及び2)シススプライシングエンハンサーもトランススプライシングを増強するかどうかについてはほとんど知られていない。分子内(シススプライシング)反応ではなく分子間(トランススプライシング)反応の反応速度が大きく異なる可能性が高いため、本発明者は、トランススプライシングの状況で機能するであろうスプライシングエンハンサーの別個の群に想到した。これは、シススプライシングにおけるスプライシングエンハンサーの活性がトランススプライシングにおける活性を必ずしも予測しないことを示す実験によって確認された。本明細書で使用される場合、トランススプライシングを促進するこれらの配列は、「トランススプライシングエンハンサー配列」と呼ばれる。
【0041】
本明細書に開示されるイントロントランススプライシング増強配列(トランススプライシングエンハンサー配列)を含む組成物は、トランススプライシングを効率的に促進する任意の配列を含む。例示的なトランススプライシングエンハンサー配列には、限定されないが、TTACGG、TAACGG、GGGTTT、GTTTTG、GGTTTT、GGTTTG、GGTTGG、GTTAGG、TGGTTG、GGGTAG、GGTAGG、GGTAGT、GTAGTT、GTTGGT、GTGGTT、GGTGGT、TGGTGG、TTGGTG、GTAAGG、TAAGGG、TTAGGG、TAGGGG、TTGGGG、GTTGGG、GTAGGG、TATTGG、TGTTGG、TATGGG、TTTGGG、TGTGGG、TTGTGG、GAGTGT、GAGGTA、GGAGGT、TGGGAG、GGGGTG、GGGGGA、GGGGGT、GGGGTA、GGGAGG、GGGTGG、GGAGGG、GGTGGG、GAGGGG、GTGGGG、GAGTGG、GTATGG、GGTATT、GTATTT、GTATTG、AGTTTA、AGGTTA、GTAACG、AGGTAA、GGTAAG、TGGGGG、AGGGTT、AGGTTG、AGGTAG、ATTTGG、AGTTGG、TCTGGG、AGAGTG、AGAGGG、AGTGTG、AGAGGT、AGGGAG、AGGGTG、AGGGGG、AGGGGT、AGTGGG、AGTATG、AGGTAT、GTATTC、GGTAACが含まれる。いくつかの実施形態において、上記の例示的なトランススプライシングエンハンサー配列では、チミジン塩基のいずれも、チミジン塩基の一部又はチミジン塩基の全部がウラシルで置換され得て、その結果、例示的なトランススプライシングエンハンサー配列には、限定されないが、UUACGG、UAACGG、GGGUUU、GUUUUG、GGUUUU、GGUUUG、GGUUGG、GUUAGG、UGGUUG、GGGUAG、GGUAGG、GGUAGU、GUAGUU、GUUGGU、GUGGUU、GGUGGU、UGGUGG、UUGGUG、GUAAGG、UAAGGG、UUAGGG、UAGGGG、UUGGGG、GUUGGG、GUAGGG、UAUUGG、UGUUGG、UAUGGG、UUUGGG、UGUGGG、UUGUGG、GAGUGU、GAGGUA、GGAGGU、UGGGAG、GGGGUG、GGGGGA、GGGGGU、GGGGUA、GGGAGG、GGGUGG、GGAGGG、GGUGGG、GAGGGG、GUGGGG、GAGUGG、GUAUGG、GGUAUU、GUAUUU、GUAUUG、AGUUUA、AGGUUA、GUAACG、AGGUAA、GGUAAG、UGGGGG、AGGGUU、AGGUUG、AGGUAG、AUUUGG、AGUUGG、UCUGGG、AGAGUG、AGAGGG、AGUGUG、AGAGGU、AGGGAG、AGGGUG、AGGGGG、AGGGGU、AGUGGG、AGUAUG、AGGUAU、GUAUUC、GGUAACが含まれる。
【0042】
特定のイントロントランススプライシング増強配列(トランススプライシングエンハンサー配列)を含めることを含む本開示のRNAトランススプライシング技術は、複数のRNA標的に対して高い効率でRNAトランススプライシングを示す最初のものである。非常に効率的なRNAトランススプライシングは、以前のRNAトランススプライシング系に比べて3つの主な利点を有する。第1に、この改善された効率は、劣性遺伝性障害を治療するために突然変異遺伝子の活性を再構成するのに十分なレベルで欠陥RNA配列を置き換えることができる。実際、多くの劣性遺伝子障害の処置は、100%が標的RNA内の配列の完全な置換である少なくとも30%の効率を必要とする。第2に、この改善された効率は、優性遺伝性障害を治療するのに十分なレベルで欠陥RNA配列を置き換えることができる。単一の変異対立遺伝子が疾患を引き起こすのに十分であるため、このクラスの多くの疾患は、変異配列が典型的には毒性を引き起こすので、変異配列の非常に効率的な置換を必要とする。その結果、更に高い効率が必要とされる(70%+)。最後に、複数の標的RNAを修飾する本発明者らのRNAトランススプライシング技術の広範な能力は、この技術の最初の広く適用可能で効率的なバージョンを実証する。これは非常に一般的な能力であり、本開示は、配列を複数の標的RNAで効率的に置換することができるRNAトランススプライシングシステムの実証を提供する。
【0043】
本RNAトランススプライシング技術を形成するためにイントロントランススプライシング増強配列(トランススプライシングエンハンサー配列)を含めることは、標的RNA内の非コード配列の変更を更に可能にする一般的な能力である。標的RNAの5’又は3’非翻訳領域を高効率で置き換えることによって、本発明は、翻訳又はターンオーバーなどのRNA挙動の変化を可能にする。これらの効果の正味の結果は、標的RNAからのタンパク質の産生の増加、又はRNAレベルの変化に関連する他の下流効果である。

イントロントランススプライシング増強配列(トランススプライシングエンハンサー配列)の同定
【0044】
RNAのシススプライシングに影響を及ぼすRNA配列が知られている(Wang,Ma et al.2012)。しかしながら、RNAトランススプライシングに関連してこれらの既知のスプライシングエンハンサーの活性を評価した研究はない。本発明者は、最初に、50個のスプライシング増強配列が、モデルRNAトランススプライシング分子内の置換配列の上流及び下流に配置された場合にRNAトランススプライシングの効率を高めることができるかどうかを体系的に評価した。これらの変異体トランススプライシング分子は、RNAトランススプライシング分子の活性が成功した後にのみ蛍光を発するスプリットGFPレポーターアッセイを標的とする(図3図5)。このアッセイは定性的であり、完全に定量的ではないが、細胞生物学のエンドユーザが転写物の存在、非存在、又は一般的な規模に関する科学的疑問に答えることを試みるときによく使用するものであることから有用である。したがって、GFPトランススプライシングレポーターは、RNAトランススプライシング技術の研究において広く使用されている。公開された系(Koller,Wally et al.2011)と同様のGFPレポーターを使用して、トランススプライシング反応の効率に対する異なるトランススプライシングエンハンサー配列の相対的影響を比較した。
【0045】
図3図5は、トランススプライシング活性アッセイにおいて使用されるプラスミドの概略図を含む。一過性にトランスフェクトされたレポーター及びトランススプライシング分子又はレンチウイルスにパッケージングされた系のいずれかを用いて実験を行った。本発明者は、シススプライシングの状況で機能するいくつかの公知のスプライシング増強配列(Wang,Ma et al.2012)がトランススプライシングを増強しないことを観察した。本発明者は更に、トランススプライシングの状況においてシススプライシング機能を増強してもしなくてもよい他の配列を観察した。本明細書で使用される場合、これらのトランススプライシング特異的エンハンサーは、「トランススプライシングエンハンサー配列」と呼ばれる。

特定の標的RNAの翻訳を増加させるためのイントロントランススプライシング増強配列(トランススプライシングエンハンサー配列)の使用
【0046】
RNA内の特定の変異配列を非変異配列で置き換えることに加えて、標的mRNA分子に対する別の有用な操作は、mRNAによって産生されるタンパク質を増加させることである。特定のmRNAからのタンパク質産生が不十分であるというこの問題に対処するための多くの試みがなされてきたが、各アプローチには大きな欠点がある。実際、停止コドンのリードスルーを促進することによって翻訳を増加させる小分子薬物は、非標的mRNA上のリードスルーの促進のために広範なオフターゲットを被るKeeling,Xue et al.2014)。更に、未熟終止コドンは、不十分なタンパク質レベルの多くの原因のうちの1つにすぎない。未熟終止コドンを遮断するように操作されたtRNAは、この同じ基本的な問題に悩まされている(国際公開第2018/161032号)。対照的に、RNAトランススプライシング系は、タンパク質産生を増加させるために、任意の標的mRNAの配列を翻訳増幅配列で置き換えることができる。本発明者は、イントロントランススプライシング増強配列(トランススプライシングエンハンサー配列)によって媒介される効率的なRNAトランススプライシングが、特定のmRNAからのタンパク質産生の増大を標的として促進する手段の長年にわたるが満たされていない必要性に対処することができると考えた。
【0047】
筋緊張性ジストロフィーは、スプライシング因子MBNL1に結合する反復「CUG」経路を保有するRNAによって引き起こされる。その典型的な標的から離れたMBNL1の滴定は、RNA選択的スプライシングの広範な機能不全を引き起こし、患者における疾患のほとんどの発現の原因である。本発明者は、効率的なRNAトランススプライシング手法でMBNL1タンパク質産生を増加させることが、選択的スプライシング調節におけるその典型的な活性を再構成するのに十分なMBNL1タンパク質の産生を介してこの疾患に対処することができると考えた(図6)。
【0048】
トランススプライシングエンハンサー配列を含むRNAトランススプライシング系が特定のmRNAからのタンパク質産生を増加させる能力を評価するために、本発明者は、様々なシススプライシングエンハンサー配列及びウッドチャック肝炎ウイルス(WHV)転写後調節エレメント(WPRE)保有するRNAトランススプライシング系を作製した(図7)。本発明者はまた、ホタルルシフェラーゼコード配列と、MBNL1の最後の2つのエクソン及び介在イントロンとを含有するレポーターを作出した(図7)。このアッセイは定性的であり、完全に定量的ではないが、細胞生物学のエンドユーザが転写物の存在、非存在、又は一般的な規模に関する科学的疑問に答えることを試みるときによく使用するものであることから有用である。実際、このレポーターは、モデルmRNAからの安定性及びタンパク質産生を評価するために典型的に使用されるpMIR-GLOルシフェラーゼベクターに基づく。
【0049】
一過性にトランスフェクトされたレポーター及びトランススプライシング分子又はレンチウイルスにパッケージングされた系のいずれかを用いて実験を行った。本発明者は、シススプライシングの状況で機能するいくつかの公知のスプライシング増強配列(Wang,Ma et al.2012)がトランススプライシングを増強しないことを観察した。本発明者はまた、トランススプライシングの状況においてシススプライシング機能を増強してもしなくてもよい他の配列を観察した。本明細書で使用される場合、これらのトランススプライシング特異的エンハンサーは、「トランススプライシングエンハンサー配列」と呼ばれる。これらの結果は、トランススプライシングエンハンサー配列の使用が、特定のmRNAからのタンパク質産生の有意な増加を促進し得ることを示している。

置換ドメイン
【0050】
本明細書に開示される置換ドメインを含む組成物は、RNA配列の置換又は挿入が有効な治療法となり得る任意の戦略を含む。例示的な置換ドメインとしては、限定されないが、以下の遺伝子(角括弧内に遺伝子アクセッションID及び丸括弧内に関連疾患)等に由来するか、又はそれから単離される配列が挙げられる:TNFRSF13B[ENSG00000240505](分類不能型免疫不全症(common variable immune deficiency));ADA、CECR1[ENSG00000196839,ENSG00000093072](アデノシンデアミナーゼ欠損症);IL2RG[ENSG00000147168](X連鎖重症複合免疫不全症);HBB[ENSG00000244734](β-サラセミア);HBA1,HBA2[ENSG00000206172,ENSG00000188536](α-サラセミア);U2AF1[ENSG00000160201]((骨髄異形成症候群);SOD1,TARDBP,FUS,MATR3,SOD1,C9ORF72[ENSG00000142168,ENSG00000120948,ENSG00000089280,ENSG00000015479,ENSG00000142168,ENSG00000147894](Amyotrophic lateral sclerosis);(筋萎縮性側索硬化症);MAPT,PGRN[ENSG00000186868,ENSG00000030582](パーキンソニズムを伴う前頭側頭型認知症);CDH23,MYO7A,USH2A[ENSG00000107736,ENSG00000137474,ENSG00000042781](アッシャー症候群);GALC[ENSG00000054983](クラッベ病);SMPD1,NPC1,NPC2[ENSG00000166311,ENSG00000141458,ENSG00000119655](ニーマン・ピック病);PRNP[ENSG00000171867](プリオン病);SCN1A[ENSG00000144285](ドラベ症候群);PINK1,ATPGAP2[ENSG00000158828](早期発症パーキンソン病);ATXN1,ATXN2,ATXN3,PLEKHG4,SPTBN2,CACNA1A,ATXN7,TTBK2,PPP2R2B,KCNC3,PRKCG,ITPR1,TBP,KCND1,FGF14[ENSG00000124788,ENSG00000204842,ENSG00000066427,ENSG00000196155,ENSG00000173898,ENSG00000141837,ENSG00000163635,ENSG00000128881,ENSG00000156475,ENSG00000131398,ENSG00000126583,ENSG00000150995,ENSG00000112592,ENSG00000102057,ENSG00000102466](脊髄小脳失調症);SCN1A,SCN2A,CACNA1A,GRIN2B,GRIN2A,MECP2,FOXG1,SLC6A1,PRRT2,PTEN,KCNQ2,KCNQ3,STARD7,CLRN1[ENSG00000144285,ENSG00000136531,ENSG00000141837,ENSG00000273079,ENSG00000183454,ENSG00000169057,ENSG00000176165,ENSG00000157103,ENSG00000167371,ENSG00000171862,ENSG00000075043,ENSG00000184156,ENSG00000084090,ENSG00000163646]遺伝性てんかん障害);ATM[ENSG00000149311](毛細血管拡張性運動失調症);GLB1[ENSG00000170266](GM1ガングリオシド症);GBA[ENSG00000177628](ゴーシェ病);GM2A[ENSG00000196743](GM2ガングリオシド症);UBE3A[ENSG00000114062](アンジェルマン症候群);SLC2A1[ENSG00000117394](グルコース輸送体欠損1型);LAMP2[ENSG00000005893](ダノン病);GLA[ENSG00000102393](ファブリー病);PKD1,PKD2[ENSG00000008710,ENSG00000118762](常染色体優性多発性嚢胞腎);GAA[ENSG00000171298](ポンペ病);PCSK9,LDLR,APOB,APOE[ENSG00000169174,ENSG00000130164,ENSG00000084674,ENSG00000130203](家族性高コレステロール血症);MYOC,OPTN,TBK1,WDR36,CYPIB1[ENSG00000034971,ENSG00000123240,ENSG00000183735,ENSG00000134987,ENSG00000138061](開放隅角緑内障);IDUA[ENSG00000127415](ハーラー症候群又はムコ多糖症1);IDS[ENSG00000010404](ハンター症候群又はムコ多糖症2);CLN3[ENSG00000188603](バッテン病);DMD[ENSG00000198947](デュシェンヌ型筋ジストロフィー);LMNA[ENSG00000160789](肢帯型筋ジストロフィー1B型);DYSF[ENSG00000135636](肢帯型筋ジストロフィー2B型);SGCA[ENSG00000108823](肢帯型筋ジストロフィー2D型);SGCB[ENSG00000163069](肢帯型筋ジストロフィー2E型);SGCG[ENSG00000102683](肢帯型筋ジストロフィー2C型);SGCD[ENSG00000170624](肢帯型筋ジストロフィー2F型);DUX4[ENSG00000260596](顔面肩甲上腕筋ジストロフィー);F9[ENSG00000101981](血友病B);F8[ENSG00000185010](血友病A);USHA2A,RPGR,RP2,RHO,PRPF31,USH1F,PRPF3,PRPF6[ENSG00000156313,ENSG00000102218,ENSG00000163914,ENSG00000105618,ENSG00000150275,ENSG00000117360,ENSG00000101161](網膜色素変性症);CFTR[ENSG00000001626](嚢胞性線維症);GJB2,GJB6,STRC,DFNA1,WFS1[ENSG00000165474,ENSG00000121742,ENSG00000242866,ENSG00000131504,ENSG00000109501](常染色体優性聴覚障害);POU3F3[ENSG00000198914](非症候性難聴)。
【0051】
いくつかの実施形態において、置換ドメインは、コドン最適化されている。
【0052】
ヒト遺伝子に由来する配列に加えて、置換ドメインは、標的RNAの安定性、翻訳、プロセシング、又は局在化を変化させるために、他の生物に由来する配列を含むことができる。非ヒト供給源に由来する例示的な置換ドメインとしては、限定されないが、タンパク質産生を増加させる配列、例えば、ウッドチャック肝炎ウイルス(WHV)転写後調節エレメント(WPRE)、MALAT1由来のトリプレックス、B型肝炎ウイルス(HPRE)のPRE、及びCAGYCX(Y=U又はA;X=U、C、又はA)の形態の鉄反応レメントに由来するか、又はそれから単離されるものが挙げられる。

アンチセンスドメイン
【0053】
本開示の組成物のいくつかの実施形態において、病原性RNA分子は、標的RNAである。いくつかの実施形態において、標的RNAは、本開示のトランススプライシングRNAのアンチセンスドメインに相補的な標的配列を含む。
【0054】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、標的配列は、5~500ヌクレオチドを含むか、又はそれからなる。いくつかの実施形態において、標的配列は、50ヌクレオチド~250ヌクレオチドを含むか、又はそれらからなる。いくつかの実施形態において、標的配列は、5ヌクレオチド~50ヌクレオチドを含むか、又はそれらからなる。
【0055】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、標的配列は、標的RNAの単一の連続ストレッチ内に含まれる。いくつかの実施形態において、標的配列は、標的RNAの単一の連続ストレッチ間に拡散していない1つ以上のヌクレオチドから構成され得る。
【0056】
本開示のいくつかの実施形態において、本開示のアンチセンスドメインは、標的配列に結合する。本開示のいくつかの実施形態において、本開示のアンチセンスドメインは、標的RNAに結合する。
【0057】
本開示のいくつかの実施形態において、アンチセンスドメインは、成功したトランススプライシングが標的RNA中のマイクロオープンリーディングフレームの除去を引き起こすように選択される。このようにして、トランススプライシングシステムは、マイクロオープンリーディングフレームを除去し、標的RNAからのタンパク質の産生を増加させる。

ベクター
【0058】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、ベクターは、本開示のトランススプライシング核酸を含むか、又はそれをコードする。いくつかの実施形態において、ベクターは、本開示の少なくとも1つのトランススプライシング核酸を含むか、又はそれをコードする。いくつかの実施形態において、ベクターは、本開示の1つ以上のトランススプライシング核酸を含むか、又はそれをコードする。いくつかの実施形態において、ベクターは、本開示の2つ又はそれを超えるトランススプライシング核酸を含むか、又はそれをコードする。
【0059】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、本開示のベクターは、ウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、レトロウイルスから単離されるか、又はそれに由来する配列を含む。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、レンチウイルスから単離されるか、又はそれに由来する配列を含む。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、アデノウイルスから単離されるか、又はそれに由来する配列を含む。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)から単離されるか、又はそれに由来する配列を含む。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、複製不能である。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、単離されているか、又は組換えである。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、自己相補的である。
【0060】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)から単離されるか、又はそれに由来する配列を含む。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、血清型AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11又はAAV12のAAVから単離されるか、又はそれに由来する逆方向末端反復配列又はキャプシド配列を含む。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、複製不能である。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、単離されているか、又は組換え(rAAV)である。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは自己相補的(scAAV)である。
【0061】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、本開示のベクターは、非ウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、ベクターは、ナノ粒子、ミセル、リポソーム又はリポプレックス、ポリマーソーム、ポリプレックス、又はデンドリマーを含むか、又はそれらからなる。いくつかの実施形態において、ベクターは、発現ベクター又は組換え発現系である。本明細書で使用される場合、「組換え発現系」という用語は、組換えによって形成された特定の遺伝物質の発現のための遺伝子コンストラクトを指す。
【0062】
いくつかの実施形態において、リポソーム、リポプレックス、又はナノ粒子は、非カチオン性脂質、PEG複合脂質、ステロール、又はそれらの任意の組み合わせを更に含むことができる。
【0063】
いくつかの実施形態において、リポソーム、リポプレックス又はナノ粒子は、非カチオン性脂質を更に含み、非イオン性脂質は、ジステアロイル-sn-グリセロ-ホスホエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシレート(DOPE-mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、モノメチル-ホスファチジルエタノールアミン(16-O-モノメチルPEなど)、ジメチル-ホスファチジルエタノールアミン(例えば、16-O-ジメチルPE)、18-1-トランスPE、1-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、水素添加大豆ホスファチジルコリン(HSPC)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジオレオイルホスファチジルセリン(DOPS)、スフィンゴミエリン(SM)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジエルコイルホスファチジルコリン(DEPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール(POPG)、ジエライドイル-ホスファチジルエタノールアミン(DEPE)、レシチン、ホスファチジルエタノールアミン、リゾレシチン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、卵スフィンゴミエリン(ESM)、セファリン、カルジオリピン、ホスファチジン酸、セレブロシド、リン酸ジセチル、リゾホスファチジルコリン、ジリノレオイルホスファチジルコリンからなる群から選択され、非カチオン性脂質は、例えば国際公開第2017/099823号又は米国特許出願公開第2018/0028664号に記載される。
【0064】
いくつかの実施形態において、リポソーム、リポプレックス又はナノ粒子は、共役脂質を更に含み、共役脂質は、複合脂質は、PEG-ジアシルグリセロール(DAG)(l-(モノメトキシ-ポリエチレングリコール)-2,3-ジミリストイルグリセロール(PEG-DMG)等)、PEG-ジアルキルオキシプロピル(DAA)、PEG-リン脂質、PEG-セラミド(Cer)、ペグ化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)、PEGコハク酸ジアシルグリセロール(PEG-DAG)(4-0-(2’,3’-ジ(テトラデカノイルオキシ)プロピル-l-0-(w-メトキシ(ポリエトキシ)エチル)ブタンジオエート(PEG-S-DMG)など)、PEGジアルコキシプロピルカルバム、N-(カルボニル-メトキシポリエチレングリコール2000)-1、2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンナトリウム塩からなる群から選択される。
【0065】
いくつかの実施形態において、リポソーム、リポプレックス、又はナノ粒子は、コレステロール又はコレステロール誘導体を更に含む。
【0066】
いくつかの実施形態において、リポソーム、リポプレックス、又はナノ粒子は、イオン化可能な脂質、非カチオン性脂質、粒子の凝集を阻害する複合脂質、及びステロールを更に含む。イオン化可能な脂質、非カチオン性脂質、粒子の凝集を阻害する複合脂質、及びステロールの量は、独立して変えることができる。いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子は、粒子に存在する全脂質の約20mol%~約90mol%の量のイオン化可能な脂質、粒子に存在する全脂質の約5mol%~約30mol%の量の非カチオン性脂質、粒子に存在する全脂質の約0.5mol%~約20mol%の量の粒子の凝集を阻害する複合脂質、及び粒子に存在する全脂質の約20mol%~約50mol%の量のステロールを含む。
【0067】
全脂質対DNAベクターの比は、所望に応じて変えることができる。例えば、全脂質対DNAベクター(質量又は重量)比は、約10:1~約30:1であり得る。
【0068】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、本明細書で提供される発現ベクター、ウイルスベクター又は非ウイルスベクターは、限定されないが、発現制御エレメントを含む。本明細書で使用される場合、「発現制御エレメント」は、遺伝子などのコード配列の発現を調節する任意の配列を指す。例示的な発現制御エレメントには、プロモーター、エンハンサー、マイクロRNA、転写後調節エレメント、ポリアデニル化シグナル配列、及びイントロンが含まれるが、これらに限定されない。発現制御エレメントは、例えば、構成的、誘導性、抑制性又は組織特異的であり得る。「プロモーター」は、転写の開始及び速度が制御されるポリヌクレオチド配列の領域である制御配列である。プロモーターは、RNAポリメラーゼ及び他の転写因子などの調節タンパク質及び分子が結合し得る遺伝要素を含み得る。いくつかの実施形態において、プロモーターによる発現制御は、組織特異的である。非限定的な例示的プロモーターとしては、CMV、CBA、CAG、Cbh、EF-1a、PGK、UBC、GUSB、UCOE、hAAT、TBG、Desmin、MCK、C5-12、NSE、Synapsin、PDGF、MecP2、CaMKII、mGluR2、NFL、NFH、nβ2、PPE、ENK、EAAT2、GFAP、MBP、及びU6プロモーターが挙げられる。「エンハンサー」は、転写の可能性又は頻度を増加させるためにタンパク質を活性化することによって結合され得るDNAの領域である。非限定的な例示的なエンハンサー及び転写後調節エレメントには、CMVエンハンサー及びWPREが含まれる。

核酸
【0069】
本明細書に記載の遺伝子導入及び発現技術に使用するための、本明細書に開示のトランススプライシング核酸をコードする核酸配列も本明細書で提供される。本明細書で提供される配列は、発現産物、並びに同じ生物学的特性を有するタンパク質を産生する実質的に同一の配列を提供するために使用できることが常に明示的に述べられているわけではないが、理解されるべきである。これらの「生物学的に等価な」又は「生物学的に活性な」又は「等価な」ポリペプチドは、本明細書に記載の等価なポリヌクレオチドによってコードされる。それらは、デフォルト条件下で実行される配列同一性方法を使用して比較した場合、参照核酸配列と少なくとも60%、又は代替では少なくとも65%、又は代替では少なくとも70%、又は代替では少なくとも75%、又は代替では少なくとも80%、又は代替では少なくとも85%、又は代替では少なくとも90%、又は代替では少なくとも95%、又は代替では少なくとも98%同一の核酸配列を有し得る。特定の配列が、特定の実施形態の例として提供される。更に、等価なポリヌクレオチドは、ストリンジェントな条件下で参照ポリヌクレオチド又はその相補体にハイブリダイズするものである。
【0070】
本明細書に開示される核酸配列(例えば、ポリヌクレオチド配列)は、コドン最適化され得て、これは当技術分野で周知の技術である。コドン最適化とは、異なる細胞が特定のコドンの使用頻度が異なるという事実を指す。このコドンバイアスは、細胞型における特定のtRNAの相対的存在量におけるバイアスに対応する。対応するtRNAの相対的存在量と一致するように配列中のコドンを変化させることによって、発現を増加させることが可能である。対応するtRNAが特定の細胞型において稀であることが知られているコドンを意図的に選択することによって発現を減少させることも可能である。コドン使用頻度表は、哺乳動物細胞及び様々な他の生物について当技術分野で公知である。遺伝暗号に基づいて、様々な置換ドメインをコードする核酸配列を生成することができる。いくつかの実施形態において、そのような配列は、開示された方法が(例えば哺乳動物細胞、例えばヒト細胞などにおいて)実施される置換ドメインを含有するトランススプライシングRNAを発現するために使用される宿主細胞などの宿主細胞又は標的細胞における発現のために最適化される。特定の種のコドン優先度及びコドン使用頻度表を使用して、その特定の種のコドン使用頻度優先度を利用する置換ドメイン(例えば、対応する野生型タンパク質に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するタンパク質をコードするもの)をコードする単離された核酸分子を操作することができる。例えば、本明細書に開示される置換ドメインは、目的の特定の生物によって優先的に使用されるコドンを有するように設計することができる。一例では、置換ドメイン核酸配列は、ヒト細胞における発現のために最適化され、例えば、その対応する野生型又は起源核酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するものである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの置換ドメイン(ベクターの一部であり得る)をコードする単離されたトランススプライシング核酸分子は、真核細胞における発現のためにコドン最適化された少なくとも1つの置換ドメインコード配列、又はヒト細胞における発現のためにコドン最適化された少なくとも1つの置換ドメインコード配列を含む。一実施形態において、そのようなコドン最適化置換ドメインコード配列は、その対応する野生型又は起源配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する。別の実施形態において、真核細胞のコドン最適化された核酸配列は、その対応する野生型又は起源タンパク質と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する置換ドメインをコードする。別の実施形態では、配列が異なるが同じ置換ドメインタンパク質配列をコードする核酸など、機能的に等価な核酸を含有する様々なクローンを日常的に生成することができる。コード配列におけるサイレント変異は、遺伝暗号の縮重(すなわち、冗長性)に起因し、それによって2つ以上のコドンが同じアミノ酸残基をコードすることができる。したがって、例えば、ロイシンは、CTT、CTC、CTA、CTG、TTA又はTTGによってコードされ得て、セリンは、TCT、TCC、TCA、TCG、AGT又はAGCによってコードされ得て、アスパラギンはAAT又はAACによってコードされ得て、アスパラギン酸は、GAT又はGACによってコードされ得て、システインは、TGT又はTGCによってコードされ得て、アラニンは、GCT、GCC、GCA又はGCGによってコードされ得て、グルタミンは、CAA又はCAGによってコードされ得て、チロシンは、TAT又はTACによってコードされ得て、イソロイシンは、ATT、ATC、又はATAによってコードされ得る。標準的な遺伝暗号を示す表は、様々な情報源に見出すことができる(例えば、Stryer,1988,Biochemistry,3.sup.rd Edition,W.H.5 Freeman and Co.,NYを参照)。
【0071】
「ハイブリダイゼーション」は、1つ以上のポリヌクレオチドが反応して、ヌクレオチド残基の塩基間の水素結合を介して安定化される複合体を形成する反応を指す。水素結合は、ワトソン-クリック塩基対合、フーグステイン結合、又は任意の他の配列特異的な様式で起こり得る。複合体は、二重鎖構造を形成する2本の鎖、多重鎖複合体を形成する3本以上の鎖、単一の自己ハイブリダイズ鎖、又はこれらの任意の組み合わせを含み得る。ハイブリダイゼーション反応は、PC反応の開始又はリボザイムによるポリヌクレオチドの酵素的切断などのより広範なプロセスにおける工程を構成し得る。
【0072】
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例としては、約25℃~約37℃のインキュベーション温度;約6×SSC~約10×SSCのハイブリダイゼーション緩衝液濃度;約0%~約25%のホルムアミド濃度;約4×SSC~約8×SSCの洗浄溶液が挙げられる。中程度のハイブリダイゼーション条件の例としては、約40℃~約50℃のインキュベーション温度;約9×SSC~約2×SSCの緩衝液濃度;約30%~約50%のホルムアミド濃度;約5×SSC~約2×SSCの洗浄溶液が挙げられる。高ストリンジェンシー条件の例としては、約55℃~約68℃のインキュベーション温度;約1×SSC~約0.1×SSCの緩衝液濃度が挙げられる。
【0073】
「相同性」又は「同一性」又は「類似性」は、2つのペプチド間又は2つの核酸分子間の配列類似性を指す。相同性は、比較の目的でアラインメントされ得る各配列中の位置を比較することによって決定することができる。比較される配列中の位置が同じ塩基又はアミノ酸によって占められる場合、分子はその位置で相同である。配列間の相同性の程度は、配列によって共有される一致する位置又は相同位置の数の関数である。「無関係な」又は「非相同な」配列は、本発明の配列の1つと40%未満の同一性、又は25%未満の同一性を共有する。

使用方法
【0074】
本開示は、RNA分子又はRNA分子によってコードされるタンパク質の配列を改変する方法であって、1つ以上のトランススプライシングRNA(又はその一部)のRNA分子への結合及びトランススプライシングに適した条件下で組成物とRNA分子とを接触させる工程を含む方法を提供する。
【0075】
本開示は、RNA分子によってコードされるタンパク質の活性を改変する方法であって、1つ以上のトランススプライシングRNA(又はその一部)のRNA分子への結合及びトランススプライシングに適した条件下で組成物とRNA分子とを接触させる工程を含む方法を提供する。
【0076】
本開示は、15%以上の効率でRNA分子又はRNA分子によってコードされるタンパク質の配列を改変する方法であって、1つ以上のトランススプライシングRNA(又はその一部)のRNA分子への結合及びトランススプライシングに適した条件下で組成物とRNA分子とを接触させる工程を含む方法を提供する。
【0077】
本開示は、20%以上の効率でRNA分子又はRNA分子によってコードされるタンパク質の配列を改変する方法であって、1つ以上のトランススプライシングRNA(又はその一部)のRNA分子への結合及びトランススプライシングに適した条件下で組成物とRNA分子とを接触させる工程を含む方法を提供する。
【0078】
本開示は、30%以上の効率でRNA分子又はRNA分子によってコードされるタンパク質の配列を改変する方法であって、1つ以上のトランススプライシングRNA(又はその一部)のRNA分子への結合及びトランススプライシングに適した条件下で組成物とRNA分子とを接触させる工程を含む方法を提供する。
【0079】
本開示は、40%以上の効率でRNA分子又はRNA分子によってコードされるタンパク質の配列を改変する方法であって、1つ以上のトランススプライシングRNA(又はその一部)のRNA分子への結合及びトランススプライシングに適した条件下で組成物とRNA分子とを接触させる工程を含む方法を提供する。
【0080】
本開示は、50%以上の効率でRNA分子又はRNA分子によってコードされるタンパク質の配列を改変する方法であって、1つ以上のトランススプライシングRNA(又はその一部)のRNA分子への結合及びトランススプライシングに適した条件下で組成物とRNA分子とを接触させる工程を含む方法を提供する。
【0081】
本開示は、60%以上の効率でRNA分子又はRNA分子によってコードされるタンパク質の配列を改変する方法であって、1つ以上のトランススプライシングRNA(又はその一部)のRNA分子への結合及びトランススプライシングに適した条件下で組成物とRNA分子とを接触させる工程を含む方法を提供する。
【0082】
本開示は、70%以上の効率でRNA分子又はRNA分子によってコードされるタンパク質の配列を改変する方法であって、1つ以上のトランススプライシングRNA(又はその一部)のRNA分子への結合及びトランススプライシングに適した条件下で組成物とRNA分子とを接触させる工程を含む方法を提供する。
【0083】
本開示は、80%以上の効率でRNA分子又はRNA分子によってコードされるタンパク質の配列を改変する方法であって、1つ以上のトランススプライシングRNA(又はその一部)のRNA分子への結合及びトランススプライシングに適した条件下で組成物とRNA分子とを接触させる工程を含む方法を提供する。
【0084】
本開示は、90%以上の効率でRNA分子又はRNA分子によってコードされるタンパク質の配列を改変する方法であって、1つ以上のトランススプライシングRNA(又はその一部)のRNA分子への結合及びトランススプライシングに適した条件下で組成物とRNA分子とを接触させる工程を含む方法を提供する。
【0085】
本開示は、RNA分子の非翻訳領域の配列を改変する方法であって、1つ以上のトランススプライシングRNA(又はその一部)のRNA分子への結合及びトランススプライシングに適した条件下で組成物とRNA分子とを接触させる工程を含む方法を提供する。
【0086】
本開示は、WPRE又は同様の活性を有する配列の挿入によってRNAの発現を増加させる方法であって、1つ以上のトランススプライシングRNA(又はその一部)のRNA分子への結合及びトランススプライシングに適した条件下で、組成物及びRNA分子を接触させる工程を含む方法を提供する。
【0087】
本開示は、標的RNAによってコードされるタンパク質の組成物を改変する方法であって、組成物と標的RNAとの間のトランススプライシングに適した条件下で、組成物と標的RNAを含む細胞とを接触させる工程を含む方法を提供する。
【0088】
本開示は、標的RNAの組成物を20%を超える効率(100%が標的RNA内の選択された配列の完全な置換を構成する)で改変する方法であって、組成物と標的RNAとの間のトランススプライシングに適した条件下で組成物と標的RNAを含む細胞とを接触させる工程を含む方法を提供する。
【0089】
本開示は、標的RNAによってコードされるタンパク質の組成物を20%又は約20%の効率(100%が標的RNA内の選択された配列の完全な置換を構成する)で改変する方法であって、組成物と標的RNAとの間のトランススプライシングに適した条件下で、組成物と標的RNAを含む細胞とを接触させる工程を含む方法を提供する。
【0090】
本開示は、標的RNAの組成物を60%又は約60%の効率(100%が標的RNA内の選択された配列の完全な置換を構成する)で改変する方法であって、組成物と標的RNAとの間のトランススプライシングに適した条件下で組成物と標的RNAを含む細胞とを接触させる工程を含む方法を提供する。
【0091】
本開示は、標的RNAによってコードされるタンパク質の組成物を60%又は約60%の効率(100%が標的RNA内の選択された配列の完全な置換を構成する)で改変する方法であって、組成物と標的RNAとの間のトランススプライシングに適した条件下で、組成物と標的RNAを含む細胞とを接触させる工程を含む方法を提供する。
【0092】
本開示は、標的RNAの組成物を70%又は約70%の効率(100%が標的RNA内の選択された配列の完全な置換を構成する)で改変する方法であって、組成物と標的RNAとの間のトランススプライシングに適した条件下で組成物と標的RNAを含む細胞とを接触させる工程を含む方法を提供する。
【0093】
本開示は、標的RNAによってコードされるタンパク質の組成物を70%又は約70%の効率(100%が標的RNA内の選択された配列の完全な置換を構成する)で改変する方法であって、組成物と標的RNAとの間のトランススプライシングに適した条件下で、組成物と標的RNAを含む細胞とを接触させる工程を含む方法を提供する。
【0094】
本開示は、標的RNAの組成物を80%又は約80%の効率(100%が標的RNA内の選択された配列の完全な置換を構成する)で改変する方法であって、組成物と標的RNAとの間のトランススプライシングに適した条件下で組成物と標的RNAを含む細胞とを接触させる工程を含む方法を提供する。
【0095】
本開示は、標的RNAによってコードされるタンパク質の組成物を80%又は約80%の効率(100%が標的RNA内の選択された配列の完全な置換を構成する)で改変する方法であって、組成物と標的RNAとの間のトランススプライシングに適した条件下で、組成物と標的RNAを含む細胞とを接触させる工程を含む方法を提供する。
【0096】
本開示は、標的RNAの組成物を90%又は約90%の効率(100%が標的RNA内の選択された配列の完全な置換を構成する)で改変する方法であって、組成物と標的RNAとの間のトランススプライシングに適した条件下で組成物と標的RNAを含む細胞とを接触させる工程を含む方法を提供する。
【0097】
本開示は、標的RNAによってコードされるタンパク質の組成物を約90%又はそれ以上の効率(100%が標的RNA内の選択された配列の完全な置換を構成する)で改変する方法であって、組成物と標的RNAとの間のトランススプライシングに適した条件下で、組成物と標的RNAを含む細胞とを接触させる工程を含む方法を提供する。
【0098】
本開示は、組成物と標的RNAとの間のトランススプライシングに適した条件下で、組成物と標的RNAを含む細胞とを接触させる工程を含む、標的RNAの組成物を高効率で改変する方法を提供する。いくつかの実施形態において、細胞は、in vivo、in vitro、ex vivo又はin situである。いくつかの実施形態において、組成物は、本開示のトランススプライシングRNA分子を含むか、又はそれをコードするベクターを含む。いくつかの実施形態において、ベクターは、AAVである。
【0099】
本開示は、標的RNAによってコードされるタンパク質の組成物を高効率で改変する方法であって、組成物と標的RNAとの間のトランススプライシングに適した条件下で、組成物と標的RNAを含む細胞とを接触させる工程を含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、細胞は、in vivo、in vitro、ex vivo又はin situである。いくつかの実施形態において、組成物は、本開示のトランススプライシングRNA分子を含むか、又はそれをコードするベクターを含む。いくつかの実施形態において、ベクターは、AAVである。
【0100】
本開示は、治療有効量の本開示の組成物を対象に投与する工程を含む、疾患又は障害を治療する方法を提供する。
【0101】
本開示は、疾患又は障害を治療する方法であって、治療有効量の本開示の組成物を対象に投与する工程を含み、組成物が、本開示のトランススプライシングRNA分子を含むか、又はそれをコードするベクターを含み、組成物が、本開示のRNA分子又はRNA分子によってコードされるタンパク質の発現レベルを改変する方法を提供する。
【0102】
本開示は、疾患又は障害を治療する方法であって、治療有効量の本開示の組成物を対象に投与する工程を含み、組成物が、本開示のトランススプライシングRNA分子を含むか、又はそれをコードするベクターを含み、組成物が、RNA分子によってコードされるタンパク質の活性を改変する方法を提供する。
【0103】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、本開示の疾患又は障害には、遺伝性の疾患又は障害が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、遺伝性の疾患又は障害は、単一遺伝子の疾患又は障害である。いくつかの実施形態において、単一遺伝子の疾患又は障害は、常染色体優性疾患又は障害、常染色体劣性疾患又は障害、X染色体連鎖(X連鎖)疾患又は障害、X連鎖優性疾患又は障害、X連鎖劣性疾患又は障害、Y連鎖疾患又は障害、又はミトコンドリア疾患又は障害である。いくつかの実施形態において、単一遺伝子疾患又は障害は、限定されないが、分類不能型免疫不全症(common variable immune deficiency)、アデノシンデアミナーゼ欠損症、X連鎖重症複合免疫不全症、ベータサラセミア、アルファサラセミア、骨髄異形成症候群、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソニズムを伴う前頭側頭型認知症、アッシャー症候群、クラッベ病、ニーマン・ピック病、プリオン病、ドラベ症候群、早期発症パーキンソン病、脊髄小脳失調症、遺伝性てんかん障害、毛細血管拡張性運動失調症、GM1ガングリオシド症、ゴーシェ病、GM2ガングリオシド症、アンジェルマン症候群、グルコース輸送体欠損症1型、ダノン病、ファブリー病、常染色体優性多発性嚢胞腎、ポンペ病、家族性高コレステロール血症、開放隅角緑内障、ハーラー症候群又はムコ多糖症1、ハンター症候群又はムコ多糖症2、バッテン病、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー1B型、肢帯型筋ジストロフィー2B型、肢帯型筋ジストロフィー2D型、肢帯型筋ジストロフィー2E型、肢帯型筋ジストロフィー2C型、肢帯型筋ジストロフィー2F型、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、血友病B、血友病A、網膜色素変性症、嚢胞性線維症、常染色体優性聴覚障害、及び非症候性難聴である。いくつかの実施形態において、遺伝性の疾患又は障害は、複数遺伝子の疾患又は障害である。いくつかの実施形態において、遺伝性の疾患又は障害は、複数遺伝子の疾患又は障害である。いくつかの実施形態において、単一遺伝子の疾患又は障害は、ハンチントン病、神経線維腫症1型、神経線維腫症2型、マルファン症候群、遺伝性非ポリポーシス結腸直腸癌、遺伝性多発性エキソトーシス、フォンウィルブランド病、及び急性間欠性ポルフィリン症を含むがこれらに限定されない常染色体優性疾患又は障害である。いくつかの実施形態において、単一遺伝子の疾患又は障害は、アルビニズム、中鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症、嚢胞性線維症、鎌状赤血球症、テイ・サックス病、ニーマン・ピック病、脊髄性筋萎縮症、及びローベルト症候群を含むがこれらに限定されない常染色体劣性疾患又は障害である。いくつかの実施形態において、単一遺伝子の疾患又は障害は、限定されないが、筋ジストロフィー、デュシェンヌ筋ジストロフィー、血友病、副腎白質ジストロフィー(ALD)、レット症候群及び血友病Aを含むX連鎖疾患又は障害である。いくつかの実施形態において、単一遺伝子の疾患又は障害は、限定されないが、レーバー遺伝性視神経症を含むミトコンドリア障害である。
【0104】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、本開示の疾患又は障害には、免疫の疾患又は障害が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、免疫疾患又は障害は、限定されないが、B細胞欠乏症、T細胞欠乏症、好中球減少症、無脾症、補体欠乏症、後天性免疫不全症候群(AIDS)及び医学的介入による免疫不全(医学的療法の意図された又は有害作用としての免疫抑制)を含む免疫不全疾患又は障害である。いくつかの実施形態において、免疫疾患又は免疫障害は、自己免疫疾患又は自己免疫障害であり、限定されないが、アカラシア、アジソン病、成人スチル病、無ガンマグロブリン血症、円形脱毛症、アミロイドーシス、抗GBM/抗TBM腎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性血管浮腫、自己免疫性自律神経障害、自己免疫性脳脊髄炎、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患(AIED)、自己免疫性心筋炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性精巣炎、自己免疫性膵炎、自己免疫性網膜症、自己免疫性蕁麻疹、軸索及び神経ニューロパチー(AMAN)、バロー病、ベーチェット病、良性粘膜類天疱瘡、水疱性類天疱瘡、キャッスルマン病(CD)、セリアック病、シャーガス病、慢性炎症性脱髄性多発神経障害(CIDP)、慢性再発性多巣性骨髄炎(CRMO)、チャーグ・ストラウス症候群(CSS)又は好酸球性肉芽腫症(EGPA)、瘢痕性類天疱瘡、コーガン症候群、寒冷凝集素症、先天性心ブロック、コクサッキー心筋炎、CREST症候群、クローン病、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、デビック病(視神経脊髄炎)、円板状狼瘡、ドレスラー症候群、子宮内膜症、好酸球性食道炎(EoE)、好酸球性筋膜炎、結節性紅斑、本態性混合クリオグロブリン血症、エバンス症候群、線維筋痛症、線維化肺胞炎、巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)、巨細胞性心筋炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、多発血管炎性肉芽腫症、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎、溶血性貧血、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病(HSP)、妊娠性ヘルペス又は妊娠性類天疱瘡(PG)、化膿性汗腺炎(HS)(反対型ざ瘡)、低ガンマグロブリン血症、IgA腎症、IgG4関連硬化性疾患、免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)、封入体筋炎(IBM)、間質性膀胱炎(IC)、若年性関節炎、若年性糖尿病(1型糖尿病)、若年性筋炎(JM)、川崎病、ランベルト・イートン症候群、白血球破砕性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、ざ瘡性結膜炎、線状IgA病(LAD)、狼瘡、慢性ライム病、メニエル病、顕微鏡的多発血管炎(MPA)、混合性結合組織病(MCTD)、モーレン潰瘍、ムッカ・ハーベルマン病、多巣性運動ニューロパチー(MMN)又はMMNCB、多発性硬化症、重症筋無力症、筋炎、ナルコレプシー、新生児狼瘡、視神経脊髄炎、好中球減少症、眼部瘢痕性類天疱瘡、視神経炎、回帰性リウマチ(PR)、PANDAS、傍腫瘍性小脳変性症(PCD)、発作性夜間血色素尿症(PNH)、パリー・ロンベルク症候群、扁平部炎(末梢ブドウ膜炎)、パルソネージ・ターナー症候群、天疱瘡、末梢神経障害、静脈周囲脳脊髄炎、悪性貧血(PA)、POEMS症候群、結節性多発動脈炎、I型、II型、III型多腺性症候群リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎、心筋梗塞後症候群、心膜切開後症候群、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、プロゲステロン皮膚炎、乾癬、乾癬性関節炎、赤芽球癆(PRCA)、壊疽性膿皮症、レイノー現象、反応性関節炎、反射性交感神経性ジストロフィー、再発性多発性軟骨炎、下肢静止不能症候群(RLS)、後腹膜線維症、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、シュミット症候群、強膜炎、強皮症、シェーグレン症候群、精子及び精巣の自己免疫、全身硬直症候群(SPS)、亜急性細菌性心内膜炎(SBE)、スザック症候群、交感神経性眼炎(SO)、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、血小板減少性紫斑病(TTP)、トロサ・ハント症候群(THS)、横断性脊髄炎、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎(UC)、未分化結合組織病(UCTD)、ブドウ膜炎、血管炎、白斑、フォークト・小柳・原田病、又はウェゲナー肉芽腫症を含む。
【0105】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、本開示の疾患又は障害には、炎症性の疾患又は障害が含まれるが、これらに限定されない。
【0106】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、本開示の疾患又は障害には、代謝性の疾患又は障害が含まれるが、これらに限定されない。
【0107】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、本開示の疾患又は障害には、変性又は進行性の疾患又は障害が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、変性又は進行性の疾患又は障害には、限定されないが、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、アルツハイマー病、及び老化が含まれる。
【0108】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、本開示の疾患又は障害には、感染性の疾患又は障害が含まれるが、これらに限定されない。
【0109】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、本開示の疾患又は障害には、小児又は発達の疾患又は障害が含まれるが、これらに限定されない。
【0110】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、本開示の疾患又は障害には、心血管の疾患又は障害が含まれるが、これらに限定されない。
【0111】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、本開示の疾患又は障害には、増殖性の疾患又は障害が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、増殖性疾患又は増殖性障害は癌である。いくつかの実施形態において、癌には、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、副腎皮質癌、AIDS関連癌、カポジ肉腫(軟部組織肉腫)、AIDS関連リンパ腫(リンパ腫)、原発性CNSリンパ腫(リンパ腫)、肛門癌、虫垂癌、消化管カルチノイド腫瘍、星状細胞腫、非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、中枢神経系(脳腫瘍)、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、ユーイング肉腫、骨肉腫、悪性線維性組織球腫、脳腫瘍、乳癌、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、癌腫、心(心臓)腫瘍、胚性腫瘍、胚細胞性腫瘍、原発性CNSリンパ腫、子宮頸癌、胆管細胞癌、脊索腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性腫瘍、結腸直腸癌、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、非浸潤性乳管癌、胚性腫瘍、子宮内膜癌(子宮癌)、上衣腫、食道癌、感覚神経芽腫(Esthesioneuroblastoma)(頭頸部癌)、ユーイング肉腫(骨癌)、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、眼癌、小児眼内黒色腫、眼内黒色腫、網膜芽細胞腫、卵管癌、骨の線維性組織球腫、悪性及び骨肉腫、胆嚢癌、胃(Gastric)(胃(Stomach))癌、胃腸カルチノイド腫瘍、胃腸間質腫瘍(GIST)(軟部組織肉腫)、小児胃腸間質腫瘍、胚細胞腫瘍、小児頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、精巣癌、妊娠性絨毛性疾患、毛様細胞白血病、頭頸部癌、心臓腫瘍、肝細胞(肝臓)癌、組織球増殖症、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌(頭頸部癌)、眼内黒色腫、膵島細胞腫瘍、膵神経内分泌腫瘍、カポジ肉腫(軟部組織肉腫)、腎臓(腎細胞)癌、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭癌(頭頸部癌)、白血病、口唇癌及び口腔癌(頭頸部癌)、肝臓癌、肺癌(非小細胞及び小細胞)、小児肺癌、リンパ腫、男性乳癌、骨及び骨肉腫の悪性線維性組織球腫、黒色腫、メルケル細胞癌(皮膚癌)、中皮腫、原発不明転移性扁平上皮性頸部癌(頭頸部癌)、NUT遺伝子変化を伴う正中線癌(Midline Tract Carcinoma With NUT Gene Changes)、口腔癌(Mouth Cancer)(頭頸部癌)、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍、菌状息肉腫(リンパ腫)、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍、鼻腔癌及び副鼻腔癌(頭頸部癌)、鼻咽頭癌(頭頸部癌)、神経芽腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、口腔癌(Oral Cancer)、口唇癌及び口腔癌並びに口腔咽頭癌、骨肉腫及び骨の悪性線維性組織球腫、卵巣癌、膵癌、膵神経内分泌腫瘍(膵島細胞腫瘍)、乳頭腫症、傍神経節腫、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌(頭頸部癌)、褐色細胞腫、形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫、妊娠及び乳癌、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、原発性腹膜癌、前立腺癌、直腸癌、再発性癌、腎細胞(腎臓)癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、小児(軟部組織肉腫)、唾液腺癌(頭頸部癌)、肉腫、小児横紋筋肉腫(軟部組織肉腫)、小児血管腫瘍(軟部組織肉腫)、ユーイング肉腫(骨癌)、カポジ肉腫(軟部組織肉腫)、骨肉腫(骨癌)、子宮肉腫、セザリー症候群、リンパ腫、皮膚癌、小細胞肺癌、小腸癌、軟部組織肉腫、皮膚扁平上皮癌、扁平上皮性頸部癌、胃(Stomach)(胃(Gastric))癌、T細胞リンパ腫、精巣癌、咽頭癌(Throat Cancer)(頭頸部癌)、鼻咽頭癌、口腔咽頭癌、下咽頭癌、胸腺腫及び胸腺癌、甲状腺癌、腎盂及び尿管の移行細胞癌、腎細胞癌、尿道癌、子宮肉腫、膣癌、血管腫瘍(軟部組織肉腫)、外陰癌、ウィルムス腫瘍及び他の小児腎腫瘍が含まれるが、これらに限定されない。
【0112】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、本開示の疾患又は障害には、増殖性の疾患又は障害が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、増殖性疾患又は増殖性障害は癌である。いくつかの実施形態において、癌は、DNAの欠失又は転座のために2つの遺伝子に由来する配列を有するキメラRNAを産生する遺伝子融合の存在を含む。遺伝子融合対には、MAN2A1とFER、DNAJB1とPRKACA、BCR-ABL1、TMPRSS2とERG、EWSR1とFLI1、PMLとRARA、EML4とALK、KIAA1549とBRAF、CCDC6とRET、SS18とSSX1、RUNX1とRUNX1T1、PAX3とFOXO1、NCOA4とRET、ETV6とRUNX1、FUSとDDIT3、SS18とSSX2、NPM1とALK、KMT2AとAFF1、TCF3とPBX1、STILとTAL1、COL1A1とPDGFB、CRTC1とMAML2、NAB2とSTAT6、EWSR1とATF1、ETV6とNTRK3、EWSR1とERG、EWSR1とWT1、DNAJB1とPRKACA、PAX7とFOXO1、FUSとCREB3L2、CBFA2T3とGLIS2、PAX8とPPARG、KMT2AとMLLT1、EWSR1とNR4A3、KMT2AとMLLT3、ASPSCR1とTFE3、HMGA2とLPP、JAZF1とSUZ12、KIF5BとRET、FUSとERG、SLC45A3とERG、NUP214とABL1、SETとNUP214、CD74とROS1、ETV6とABL1、TPM3とNTRK1、PRKAR1AとRET、EWSR1とCREB1、KMT2AとAFDN、EWSR1とDDIT3、CLTCとALK、ETV6とPDGFRB、TPM3とALK、KMT2AとMLLT10、TMPRSS2とETV1、BRD4とNUTM1、NUP98とKDM5A、RANBP2とALK、CTNNB1とPLAG1、KMT2AとELL、TAF15とNR4A3、FGFR3とTACC3、PCM1とJAK2、YWHAEとNUTM2B、STRNとALK、CRTC3とMAML2、CDH11とUSP6、CDKN2DとWDFY2、CICとDUX4、SLC34A2とROS1、ATICとALK、CD74とNRG1、MYBとNFIB、PRCCとTFE3、KIF5BとALK、TMPRSS2とETV4、KMT2AとSEPT9、EWSR1とPOU5F1、FGFR1とPLAG1、MN1とETV6、TBL1XR1とTP63、KMT2AとEPS15、SLC45A3とELK4、DHHとRHEBL1、HEY1とNCOA2、EZRとROS1、GOPCとROS1、HMGA2とWIF1、KMT2AとCREBBP、SS18とSSX4B、FAM131BとBRAF、EWSR1とFEV、EWSR1とPBX1、TPM4とALK、SND1とBRAF、ACTBとGLI1、KMT2AとKNL1、KMT2AとSEPT6、SDC4とROS1、TFGとALK、HNRNPA2B1とETV1、PTPRKとRSPO3、JAZF1とPHF1、HMGA2とRAD51B、KMT2AとMLLT11、TPRとNTRK1、AKAP9とBRAF、FUSとCREB3L1、ETV6とJAK2、HMGA2とNFIB、KMT2AとAFF3、CHCHD7とPLAG1、VTI1AとTCF7L2、LIFRとPLAG1、EWSR1とETV1、SRGAP3とRAF1、KMT2AとAFF4、MEAF6とPHF1、PAX3とNCOA1、HAS2とPLAG1、EWSR1とNFATC2、HIP1とALK、GOLGA5とRET、BCRとJAK2、EWSR1とETV4、DCTN1とALK、MBTD1とCXorf67、NDRG1とERG、CARSとALK、SFPQとTFE3、KMT2AとARHGAP26、KMT2AとEP300、KMT2AとTET1、PAX5とJAK2、PPFIBP1とALK、YWHAEとNUTM2A、LRIG3とROS1、TFGとNTRK1、TPM3とROS1、SLC45A3とETV1、ERC1とRET、SEC16AとNOTCH1、KTN1とRET、SEC31AとJAK2、TCEA1とPLAG1、QKIとNTRK2、RNF130とBRAF、EIF3EとRSPO2、EWSR1とZNF444、LMNAとNTRK1、PPFIBP1とROS1、PWWP2AとROS1、EWSR1とYY1、FUSとATF1、PAX3とNCOA2、ZC3H7BとBCOR、BRD3とNUTM1、CANT1とETV4、CICとFOXO4、COL1A1とUSP6、EWSR1とZNF384、KMT2AとABI1、KMT2AとACTN4、KMT2AとCEP170B、KMT2AとFOXO3、KMT2AとGAS7、KMT2AとMLLT6、KMT2AとSEPT2、KMT2AとSEPT5、MSNとALK、VCLとALK、EZRとERBB4、RELCHとRET、SLC3A2とNRG1、TRIM24とBRAF、KLC1とALK、ARID1AとMAST2、GPBP1L1とMAST2、NFIXとMAST1、NOTCH1とGABBR2、TADA2AとMAST1、ZNF700とMAST1、TRIM24とRET、TRIM33とRET、SSBP2とJAK2、KMT2AとEEFSEC、CLCN6とBRAF、GNAI1とBRAF、MKRN1とBRAF、NACC2とNTRK2、FGFR1とTACC1、TRIM27とRET、HMGA2とFHIT、HOOK3とRET、PCM1とRET、CEP89とBRAF、CLIP1とROS1、ERC1とROS1、HLAとAとROS1、LSM14AとBRAF、MYO5AとROS1、SHTN1とROS1、TP53とNTRK1、TPM3とROS1、ZCCHC8とROS1、FGFR3とBAIAP2L1、KLK2とETV1、ACSL3とETV1、NUP107とLGR5、HMGA2とCCNB1IP1、HMGA2とCOX6C、GATMとBRAF、HACL1とRAF1、HERPUD1とBRAF、ZSCAN30とBRAF、SLC45A3とBRAF、HMGA2とLHFPL6、COL1A2とPLAG1、ESRP1とRAF1、IRF2BP2とCDX1、TFGとNR4A3、CLTCとTFE3、EWSR1とMYB、NONOとTFE3、FCHSD1とBRAF、HMGA2とEBF1、ACBD6とRRP15、AGPAT5とMCPH1、AGTRAPとBRAF、ARFIP1とFHDC1、ATG4CとFBXO38、BBS9とPKD1L1、CENPKとKMT2A、CNBPとUSP6、DDX5とETV4、EIF3KとCYP39A1、EPC1とPHF1、ERO1AとFERMT2、ETV6とITPR2、EWSR1とNFATC1、EWSR1とPATZ1、EWSR1とSMARCA5、EWSR1とSP3、FBXL18とRNF216、FGFR1とZNF703、FN1とALK、FUSとFEV、GMDSとPDE8B、HMGA2とALDH2、IL6RとATP8B2、INTS4とGAB2、JPT1とUSH1G、KLK2とETV4、KMT2AとABI2、KMT2AとARHGEF12、KMT2AとBTBD18、KMT2AとCASP8AP2、KMT2AとCBL、KMT2AとCIP2A、KMT2AとCT45A2、KMT2AとDAB2IP、KMT2AとFOXO4、KMT2AとFRYL、KMT2AとGMPS、KMT2AとGPHN、KMT2AとLASP1、KMT2AとLPP、KMT2AとMAPRE1、KMT2AとMYO1F、KMT2AとNCKIPSD、KMT2AとNRIP3、KMT2AとPDS5A、KMT2AとPICALM、KMT2AとPRRC1、KMT2AとSARNP、KMT2AとSH3GL1、KMT2AとSORBS2、KMT2AとTOP3A、KMT2AとZFYVE19、MBOAT2とPRKCE、MIA2とGEMIN2、NF1とASIC2、NFIAとEHF、NTN1とACLY、OMDとUSP6、PLA2R1とRBMS1、PLXND1とTMCC1、RAF1とDAZL、RBM14とPACS1、RGS22とSYCP1、SEC31AとALK、SEPT8とAFF4、SLC22A1とCUTA、SLC26A6とPRKAR2A、SLC45A3とETV5、SQSTM1とALK、SS18L1とSSX1、SSH2とSUZ12、SUSD1とPTBP3、TCF12とNR4A3、TECTAとTBCEL、THRAP3とUSP6、TMPRSS2とETV5、TPRとALK、UBE2L3とKRAS、WDCPとALK、SS18とUSP6が含まれるが、これらに限定されない。
【0113】
本開示の方法のいくつかの実施形態において、本開示の対象は、疾患又は障害と診断されている。いくつかの実施形態において、本開示の対象は、疾患又は障害の少なくとも1つの徴候又は症状を呈する。いくつかの実施形態において、対象は、疾患又は障害を発症するリスクを予測するバイオマーカーを有する。いくつかの実施形態において、バイオマーカーは遺伝子変異である。
【0114】
本開示の方法のいくつかの実施形態において、本開示の対象は女性である。本開示の方法のいくつかの実施形態において、本開示の対象は男性である。いくつかの実施形態において、本開示の対象は、2本のXX又はXY染色体を有する。いくつかの実施形態において、本開示の対象は、2本のXX又はXY染色体と、X又はYのいずれかである第3の染色体とを有する。
【0115】
本開示の方法のいくつかの実施形態において、本開示の対象は、新生児、乳児、小児、成人、高齢者(senior adult)、又は老人(elderly adult)である。本開示の方法のいくつかの実施形態において、本開示の対象は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30又は31日齢である。本開示の方法のいくつかの実施形態において、本開示の対象は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12月齢である。本開示の方法のいくつかの実施形態において、本開示の対象は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100歳、又はその間の任意の年齢若しくは部分年齢である。
【0116】
本開示の方法のいくつかの実施形態において、本開示の対象は哺乳動物である。いくつかの実施形態において、本開示の対象は非ヒト哺乳動物である。
【0117】
本開示の方法のいくつかの実施形態において、本開示の対象はヒトである。
【0118】
本開示の方法のいくつかの実施形態において、治療有効量は、本開示の組成物の単回用量を含む。いくつかの実施形態において、治療有効量は、本開示の組成物の少なくとも1回の用量を含む治療有効量を含む。いくつかの実施形態において、治療有効量は、本開示の組成物の1回以上の用量を含む治療有効量を含む。
【0119】
本開示の方法のいくつかの実施形態において、治療有効量は、疾患又は障害の徴候又は症状を排除する。いくつかの実施形態において、治療有効量は、疾患又は障害の徴候又は症状の重症度を低下させる。
【0120】
本開示の方法のいくつかの実施形態において、治療有効量は、疾患又は障害を排除する。
【0121】
本開示の方法のいくつかの実施形態において、治療有効量は、疾患又は障害の発症を予防する。いくつかの実施形態において、治療有効量は、疾患又は障害の発症を遅延させる。いくつかの実施形態において、治療有効量は、疾患又は障害の徴候又は症状の重症度を低下させる。いくつかの実施形態において、治療有効量は、対象の予後を改善する。
【0122】
本開示の方法のいくつかの実施形態において、本開示の組成物は、対象に全身投与される。いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、静脈内経路によって対象に投与される。いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、注射又は注入によって対象に投与される。
【0123】
本開示の方法のいくつかの実施形態において、本開示の組成物は、対象に局所投与される。いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、骨内、眼内、脳脊髄内又は脊髄内経路によって対象に投与される。いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、中枢神経系の脳脊髄液に直接投与される。いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、眼の組織又は体液に直接投与され、眼構造の外側にバイオアベイラビリティを有さない。いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、注射又は注入によって対象に投与される。
【0124】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるトランススプライシングRNAを含む組成物は、医薬組成物として製剤化される。簡潔には、本明細書に開示される使用のための医薬組成物は、1つ以上の薬学的又は生理学的に許容され得る担体、希釈剤又は賦形剤と組み合わせて、免疫直交であってもよいAAVに含まれてもよい(1又は複数の)融合タンパク質又は(1又は複数の)融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含み得る。そのような組成物は、中性緩衝食塩水、リン酸緩衝食塩水等の緩衝液;グルコース、マンノース、スクロース又はデキストラン、マンニトール等の炭水化物;タンパク質;グリシン等のポリペプチド又はアミノ酸;酸化防止剤;EDTA又はグルタチオン等のキレート剤;アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム);防腐剤を含み得る。本開示の組成物は、経口、静脈内、局所、経腸、眼内、及び/又は非経口投与のために製剤化され得る。特定の実施形態において、本開示の組成物は、静脈内投与のために製剤化される。
例示的な実施形態
【0125】
実施形態1:トランススプライシング核酸を含む組成物であって、(a)治療配列をコードする1つ以上の置換ドメインであって、(b)(1又は複数の)イントロントランススプライシング増強配列を含む、前記置換ドメインのRNAスプライシングを促進する1つ以上のイントロンドメインと、(c)標的RNA分子への結合を促進する1つ以上のアンチセンスドメインとに作動可能に連結された1つ以上の置換ドメインを含む、トランススプライシング核酸を含む組成物。
【0126】
実施形態2:前記イントロントランススプライシング増強配列(トランススプライシングエンハンサー配列)が、TTACGG、TAACGG、GGGTTT、GTTTTG、GGTTTT、GGTTTG、GGTTGG、GTTAGG、TGGTTG、GGGTAG、GGTAGG、GGTAGT、GTAGTT、GTTGGT、GTGGTT、GGTGGT、TGGTGG、TTGGTG、GTAAGG、TAAGGG、TTAGGG、TAGGGG、TTGGGG、GTTGGG、GTAGGG、TATTGG、TGTTGG、TATGGG、TTTGGG、TGTGGG、TTGTGG、GAGTGT、GAGGTA、GGAGGT、TGGGAG、GGGGTG、GGGGGA、GGGGGT、GGGGTA、GGGAGG、GGGTGG、GGAGGG、GGTGGG、GAGGGG、GTGGGG、GAGTGG、GTATGG、GGTATT、GTATTT、GTATTG、AGTTTA、AGGTTA、GTAACG、AGGTAA、GGTAAG、TGGGGG、AGGGTT、AGGTTG、AGGTAG、ATTTGG、AGTTGG、TCTGGG、AGAGTG、AGAGGG、AGTGTG、AGAGGT、AGGGAG、AGGGTG、AGGGGG、AGGGGT、AGTGGG、AGTATG、AGGTAT、GTATTC、GGTAACからなる配列の群に由来するか、又はそれから単離される、実施形態1に記載の組成物。いくつかの実施形態において、上記の例示的なトランススプライシングエンハンサー配列では、チミジン塩基のいずれも、チミジン塩基の一部又はチミジン塩基の全部がウラシルで置換され得て、その結果、例示的なトランススプライシングエンハンサー配列には、限定されないが、UUACGG、UAACGG、GGGUUU、GUUUUG、GGUUUU、GGUUUG、GGUUGG、GUUAGG、UGGUUG、GGGUAG、GGUAGG、GGUAGU、GUAGUU、GUUGGU、GUGGUU、GGUGGU、UGGUGG、UUGGUG、GUAAGG、UAAGGG、UUAGGG、UAGGGG、UUGGGG、GUUGGG、GUAGGG、UAUUGG、UGUUGG、UAUGGG、UUUGGG、UGUGGG、UUGUGG、GAGUGU、GAGGUA、GGAGGU、UGGGAG、GGGGUG、GGGGGA、GGGGGU、GGGGUA、GGGAGG、GGGUGG、GGAGGG、GGUGGG、GAGGGG、GUGGGG、GAGUGG、GUAUGG、GGUAUU、GUAUUU、GUAUUG、AGUUUA、AGGUUA、GUAACG、AGGUAA、GGUAAG、UGGGGG、AGGGUU、AGGUUG、AGGUAG、AUUUGG、AGUUGG、UCUGGG、AGAGUG、AGAGGG、AGUGUG、AGAGGU、AGGGAG、AGGGUG、AGGGGG、AGGGGU、AGUGGG、AGUAUG、AGGUAU、GUAUUC、GGUAACが含まれる。
【0127】
実施形態3:前記イントロントランススプライシング増強配列(トランススプライシングエンハンサー配列)が、式X(式中、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)、シトシン(C)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、アデニン(A)、シトシン(C)、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択される)を有する少なくとも1つのRNAモチーフを含むRNA核酸塩基の鎖からなる、実施形態1に記載の組成物。
【0128】
実施形態4:前記トランススプライシングエンハンサー配列が、式X(式中、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)、及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択される)を有する少なくとも1つのRNAモチーフを含むRNA核酸塩基の鎖からなる、実施形態1に記載の組成物。
【0129】
実施形態5:前記トランススプライシングエンハンサー配列が、式X(式中、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、アデニン(A)、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択され、Xは、ウラシル(U)及びグアニン(G)を含む群から選択される)を有する少なくとも1つのRNAモチーフを含むRNA核酸塩基の鎖からなる、実施形態1に記載の組成物。
【0130】
実施形態6:前記置換ドメインが、GLB1(GM1神経膠症);GBA(ゴーシェ病);GM2A(GM2ガングリオシド症);PCSK9、LDLR、APOB、APOE(家族性高コレステロール血症);GAA(ポンペ病);MYOC、OPTN、TBK1、WDR36、CYPIB1(開放隅角緑内障);IDS(ハンター症候群又はムコ多糖症2);IDUA(ハーラー症候群又はムコ多糖症1);CLN3(バッテン病);F9(血友病B);F8(血友病A)、LAMP2(ダノン病);GLA(ファブリー病);SLC2A1(グルコース輸送体欠損1型);UBE3A(アンジェルマン症候群、);MYOC、OPTN、TBK1、WDR36、CYPIB1(開放隅角緑内障);IDUA(ハーラー症候群又はムコ多糖症1);IDS(ハンター症候群又はムコ多糖症2);CLN3(バッテン病);LMNA(肢帯型筋ジストロフィー1B型);DMD(デュシェンヌ型筋ジストロフィー);DYSF(肢帯型筋ジストロフィー2B型);SGCB(肢帯型筋ジストロフィー2E型);SGCG(肢帯型筋ジストロフィー2C型);SGCA(肢帯型筋ジストロフィー2D型);SGCD(肢帯型筋ジストロフィー2F型);DUX4、D4Z4(顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー);USHA2A,RPGR,RP2,RHO,PRPF31,USH1F,PRPF3,PRPF6(網膜色素変性症)からなる群から選択されるヒト遺伝子に由来するか、又はそれから単離される実施形態1~5に記載の組成物。
【0131】
実施形態7:前記置換ドメインが、ウッドチャック肝炎ウイルス(WHV)転写後調節エレメント(WPRE)、MALAT1由来のトリプレックス、B型肝炎ウイルス(HPRE)のPRE及び鉄反応エレメントからなる群から選択される発現増強配列に由来するか、又はそれから単離される、実施形態1~5に記載の組成物。
【0132】
実施形態8:アンチセンスドメインが、TNFRSF13B(分類不能型免疫不全症(common variable immune deficiency))、ADA、CECR1(アデノシンデアミナーゼ欠損症)、IL2RG(X連鎖重症複合免疫不全症)、HBB(ベータサラセミア)、HBA1、HBA2(アルファサラセミア)、U2AF1(骨髄異形成症候群)、SOD1、TARDBP、FUS、MATR3、SOD1、C9ORF72(筋萎縮性側索硬化症)、MAPT、PGRN(パーキンソニズムを伴う前頭側頭型認知症)、CDH23、MYO7A、USH2A(アッシャー症候群)、GALC(クラッベ病)、SMPD1、NPC1、NPC2(ニーマン・ピック病)、PRNP(プリオン病)、SCN1A(ドラベ症候群)、PINK1、ATPGAP2(早期発症パーキンソン病)、ATXN1、ATXN2、ATXN3、PLEKHG4、SPTBN2、CACNA1A、ATXN7、TTBK2、PPP2R2B、KCNC3、PRKCG、ITRP1、TBP、KCND1、FGF14(脊髄小脳失調症)、SCN1A、SCN2A、CACNA1A、GRIN2B、GRIN2A、MECP2、FOXG1、SLC6A1、PRRT2、PTEN、KCNQ2、KCNQ3、STARD7、CLRN1(遺伝性てんかん障害)、ATM(毛細血管拡張性運動失調症)、GLB1(GM1ガングリオシド症)、GBA(ゴーシェ病)、GM2A(GM2ガングリオシド症)、UBE3A(アンジェルマン症候群)、SLC2A1(グルコーストランスポーター欠損1型)、LAMP2(ダノン病)、GLA(ファブリー病)、PKD1、PKD2(常染色体優性多発性嚢胞腎)、GAA(ポンペ病)、PCSK9、LDLR、APOB、APOE(家族性高コレステロール血症)、MYOC、OPTN、TBK1、WDR36、CYPIB1(開放隅角緑内障)、IDUA(ハーラー症候群又はムコ多糖症1)、IDS(ハンター症候群又はムコ多糖症2)、CLN3(バッテン病)、DMD(デュシェンヌ型筋ジストロフィー)、LMNA(肢帯型筋ジストロフィー1B型)、DYSF(肢帯型筋ジストロフィー2B型)、SGCA(肢帯型筋ジストロフィー2D型)、SGCB(肢帯型筋ジストロフィー2E型)、SGCG(肢帯型筋ジストロフィー2C型)、SGCD(肢帯型筋ジストロフィー2F型)、DUX4、D4Z4(顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー)、F9(血友病B)、F8(血友病A)、USHA2A、RPGR、RP2、RHO、PRPF31、USH1F、PRPF3、PRPF6(網膜色素変性症)、CFTR(嚢胞性線維症)、GJB2、GJB6、STRC、DFNA1、DFNA14(常染色体優性聴覚障害)、POU3F3(非症候性難聴)からなる群から選択されるヒト遺伝子に由来するか、又はそれから単離される単離される実施形態1~5に記載の組成物。
【0133】
実施形態9:前記トランススプライシングRNAが、トランススプライシング核酸の局在化、プロセシング又は輸送を変化させる非翻訳領域を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の組成物。
【0134】
実施形態10:前記トランススプライシング核酸を含む前記配列が、前記トランススプライシング効率を増加させるRNA結合タンパク質によって結合される配列を含む、実施形態1~13のいずれか1つに記載の組成物。
【0135】
実施形態11:前記トランススプライシング核酸が、RNA、DNA、DNA/RNAハイブリッド、核酸アナログ、化学修飾核酸、又は2つ以上の核酸若しくは核酸アナログから構成されるキメラである、実施形態1~13のいずれか1つに記載の組成物。
【0136】
実施形態12:前記トランススプライシング核酸分子が異種プロモーターを更に含む、実施形態1~1のいずれか1つに記載の組成物。
【0137】
実施形態13:前記プロモーターが、トランスファーRNA(tRNA)の発現を駆動することができるプロモーターから単離されるか、又はそれに由来する、実施形態1~13のいずれか1つに記載の組成物。

細胞及び組織
【0138】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、本開示の細胞は、真核細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は、哺乳動物細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は、ウシ、マウス、ネコ、ウマ、ブタ、イヌ、サル、又はヒトの細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は、非ヒト霊長類細胞などの非ヒト哺乳動物細胞である。いくつかの実施形態において、本開示の細胞は、体細胞である。いくつかの実施形態において、本開示の細胞は。生殖細胞系細胞である。いくつかの実施形態において、本開示の生殖細胞系細胞は、ヒト細胞ではない。
【0139】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、本開示の細胞は、幹細胞である。いくつかの実施形態において、本開示の細胞は、胚性幹細胞である。いくつかの実施形態において、本開示の胚性幹細胞は、ヒト細胞ではない。いくつかの実施形態において、本開示の細胞は、多能性幹細胞又は多能性幹細胞である。いくつかの実施形態において、本開示の細胞は、成体幹細胞である。いくつかの実施形態において、本開示の細胞は、人工多能性幹細胞(iPSC)である。いくつかの実施形態において、本開示の細胞は、造血幹細胞(HSC)である。
【0140】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、本開示の免疫細胞は、リンパ球である。いくつかの実施形態において、本開示の免疫細胞は、Tリンパ球(本明細書ではT細胞とも呼ばれる)である。本開示の例示的なT細胞には、ナイーブT細胞、エフェクターT細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞、制御性T細胞(Treg)及びガンマデルタT細胞が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本開示の免疫細胞は、Bリンパ球である。いくつかの実施形態において、本開示の免疫細胞は、ナチュラルキラー細胞である。いくつかの実施形態において、本開示の免疫細胞は、抗原提示細胞である。
【0141】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、本開示の筋肉細胞は、筋芽細胞又は筋細胞である。いくつかの実施形態において、本開示の筋肉細胞は、心筋細胞、骨格筋細胞又は平滑筋細胞である。いくつかの実施形態において、本開示の筋肉細胞は、横紋細胞(striated cell)である。
【0142】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、本開示の体細胞は、上皮細胞である。いくつかの実施形態において、本開示の上皮細胞は、扁平上皮、立方細胞上皮、円柱細胞上皮、層状細胞上皮、偽層状円柱細胞上皮、又は移行細胞上皮を形成する。いくつかの実施形態において、本開示の上皮細胞は、松果体、胸腺、下垂体、甲状腺、副腎、アポクリン腺、ホロクリン腺、メロクリン腺、漿液腺、粘液腺及び皮脂腺を含むが、これらに限定されない腺を形成する。いくつかの実施形態において、本開示の上皮細胞は、肺、脾臓、胃、膵臓、膀胱、腸、腎臓、胆嚢、肝臓、喉頭又は咽頭を含むが、これらに限定されない臓器の外面に接触する。いくつかの実施形態において、本開示の上皮細胞は、血管又は静脈の外面に接触する。
【0143】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、本開示の脳細胞は、ニューロン細胞である。いくつかの実施形態において、本開示のニューロン細胞は、中枢神経系のニューロンである。いくつかの実施形態において、本開示のニューロン細胞は、脳又は脊髄のニューロンである。いくつかの実施形態において、本開示のニューロン細胞は、脳神経又は視神経のニューロンである。いくつかの実施形態において、本開示のニューロン細胞は、末梢神経系のニューロンである。いくつかの実施形態において、本開示のニューロン細胞は、神経膠細胞又はグリア細胞である。いくつかの実施形態において、本開示のグリアは、限定されるものではないが、乏突起膠細胞、星状膠細胞、上衣細胞及びミクログリアを含む中枢神経系のグリア細胞である。いくつかの実施形態において、本開示のグリアは、シュワン細胞及びサテライト細胞を含むがこれらに限定されない末梢神経系のグリア細胞である。
【0144】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、本開示の肝臓細胞は、肝細胞である。いくつかの実施形態において、本開示の肝臓細胞は、肝星細胞である。いくつかの実施形態において、本開示の肝臓細胞は、クッパー細胞である。いくつかの実施形態において、本開示の肝臓細胞は、類洞内皮細胞である。
【0145】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、本開示の網膜細胞は、光受容体である。いくつかの実施形態において、本開示の光受容体細胞は、桿体である。いくつかの実施形態において、本開示の網膜細胞は、錐体である。いくつかの実施形態において、本開示の網膜細胞は、双極細胞である。いくつかの実施形態において、本開示の網膜細胞は、神経節細胞である。いくつかの実施形態において、本開示の網膜細胞は、水平細胞である。いくつかの実施形態において、本開示の網膜細胞は。アマクリン細胞である。
【0146】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、本開示の心臓細胞は、心筋細胞である。いくつかの実施形態において、本開示の心臓細胞は、心臓ペースメーカー細胞である。
【0147】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、本開示の体細胞は、初代細胞である。
【0148】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、本開示の体細胞は、培養細胞である。
【0149】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、本開示の体細胞は、in vivo、in vitro、ex vivo又はin situである。
【0150】
本開示の組成物及び方法のいくつかの実施形態において、本開示の体細胞は、自己又は同種である。
参照による組み込み
【0151】
相互参照又は関連する特許又は出願を含む、本明細書で引用される全ての文書は、明示的に除外されるか、又は他の方法で限定されない限り、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。任意の文献の引用は、それが本明細書に開示又は具体化された任意の発明に関して先行技術であること、又はそれが単独で、又は任意の他の1若しくは複数の参考文献と組み合わせて、任意のそのような発明を教示、示唆、若しくは開示することを認めるものではない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれる文書における同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する限りにおいて、本文書においてその用語に割り当てられた意味又は定義が優先されるものとする。
他の実施形態
【0152】
本開示の特定の実施形態を図示及び説明してきたが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な他の変更及び修正を行うことができる。添付の特許請求の範囲は、本開示の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を含む。
参考文献
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Koller,U.,V.Wally,L.G.Mitchell,A.Klausegger,E.M.Murauer,E.Mayr,C.Gruber,S.Hainzl,H.Hintner and J.W.Bauer(2011).“A novel screening system improves genetic correction by internal exon replacement.”Nucleic Acids Res 39(16):e108.
Wang,Y.,M.Ma,X.Xiao and Z.Wang(2012).“Intronic splicing enhancers,cognate splicing factors and context-dependent regulation rules.”Nat Struct Mol Biol 19(10):1044-1052.
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
【国際調査報告】