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特表2024-518835動作パラメータが自動的に事前調整された医療用吸入器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-07
(54)【発明の名称】動作パラメータが自動的に事前調整された医療用吸入器
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20240425BHJP
【FI】
G16H20/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571311
(86)(22)【出願日】2022-05-15
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 IB2022054512
(87)【国際公開番号】W WO2022243830
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】102021002546.6
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】518248192
【氏名又は名称】ヴェー.オー.エム. ワールド オブ メディシン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】グルントマン,ジュリア
(72)【発明者】
【氏名】コス,イヴ
(72)【発明者】
【氏名】ヒルデブラント,マティアス
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA25
(57)【要約】
本発明は、吸入器の簡単かつ安全な患者専用の機器設定のために、ネットワーク化された医療デバイスから個人データを使用するためのデバイスに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以前に収集された個人の医療データを考慮する吸入のための医療デバイスであって、
(a)患者情報を読み取るための、特に、少なくとも1つの病院情報システムへの、少なくとも1つのインターフェースと、
(b)それぞれの患者の処置情報を読み取るための少なくとも1つのインターフェースと、
(c)前記インターフェースを介して受信された患者データおよび処置データを格納するための少なくとも1つのメモリユニットと、
(d)接続された各吸入器の可能な動作パラメータを格納するための少なくとも1つのメモリユニットと、
(e)異なる患者のための吸入器の許容可能な動作パラメータを格納するための少なくとも1つのメモリユニットと、
(f)前記それぞれの患者のために選択された治療手順のための前記動作パラメータを決定するための少なくとも1つの計算ユニットと、
(g)選択された吸入器への少なくとも1つのインターフェースであって、前記インターフェースは、患者データ、処置データ、および動作パラメータを、前記吸入器の前記メモリユニットに送信する、少なくとも1つのインターフェースと、
(h)任意選択的に、術中測定データを転送し、患者記録に格納するための、前記吸入器から前記病院情報システムへの少なくとも1つのインターフェースとを含む、吸入のための医療デバイス。
【請求項2】
前記インターフェース(a)の情報は、LAN、WLAN、Bluetoothを介して、または、QRコード(登録商標)を読み取るための画像認識システムを介して、暗号化された形態で送信される、請求項1に記載の吸入のための医療デバイス。
【請求項3】
前記インターフェース(a)の情報は、少なくとも名前、患者ID、年齢、性別、身長、体重(BMI)を含む、請求項1または請求項2に記載の吸入のための医療デバイス。
【請求項4】
前記インターフェース(b)の情報は、LAN、WLAN、Bluetoothを介して、暗号化された形態で送信される、請求項1に記載の吸入のための医療デバイス。
【請求項5】
前記インターフェース(b)の情報は、介入の種類および身体部位と、診断/治療の種類とを含む、請求項1または請求項4に記載の吸入のための医療デバイス。
【請求項6】
前記吸入器の前記格納された動作パラメータは、少なくとも、以下のデータ、すなわち:体内最小圧力(pmin)、体内最大圧力(pmax)、入口最大流量(Fmax,in)、最大吸引力(Fmax,out)を含む、請求項1に記載の吸入のための医療デバイス。
【請求項7】
最大許容圧力、加湿オプション、加湿器の最大数から選択された利用可能な付属品の動作パラメータが格納された、請求項6に記載の吸入のための医療デバイス。
【請求項8】
前記メモリユニット(e)は、治療手順に応じて、
異なる年齢、
異なる身長、
異なるBMI
の患者のための最大体内圧力を含む、請求項1に記載の吸入のための医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸入器の簡単かつ安全な患者専用の機器設定のために、ネットワーク化された医療デバイスから個人データを使用するためのデバイスに関する。
【0002】
「ネットワーク化」とは、手術室で利用可能なすべての関連データからの情報を包括的に使用することを称する。「医療デバイス」という用語は、人体または動物の身体との診断または治療の相互作用のために使用される動力付き、または動力なしの技術機器を称する。付属品および消耗品(使い捨て)も、明示的に医療デバイスと称される。
【背景技術】
【0003】
国際公開第2019/020136号および国際公開第2019/020137号は、(特に)術中段階からデータを転送し、術後段階に新しいデータを記録することによって、本特許請求の範囲による医療デバイスにおいて、データを収集および分析するように意図された医療デバイスを開示している。国際公開第2019/020136号および国際公開第2019/020137号も、他の先行技術を引用している。
【0004】
医療デバイス、特に吸入器における今後の治療処置の治療パラメータを、既存のデータから自動的に事前調整する医療システムはまだ知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2019/020136号
【特許文献2】国際公開第2019/020137号
【特許文献3】欧州特許出願公開第1779887号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明によれば、患者および処置に関する既存のデータから、医療デバイス、特に吸入器における今後の治療処置の治療パラメータを自動的に事前調整する医療システムが提案される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明は、すでに収集された個人の医療データを考慮する吸入のための医療デバイスに関し、
(a)患者情報を読み取るための、特に、関連する患者データを有する患者記録を含む少なくとも1つの病院情報システム(HIS)への少なくとも1つのインターフェースであって、このインターフェースは、たとえば、LAN、WLAN、Bluetoothなどを介して、および/または(たとえば、QRコード(登録商標)から)患者情報を読み取るための画像認識システムを介して実現することができる。現在の目的のために必要な患者情報は、少なくとも名前、患者ID、年齢、性別、身長、体重、またはBMIを含む。任意選択的に、識別を容易にするために患者の写真を含めることができる、インターフェースと、
(b)病院情報システムから(たとえば、LAN、WLAN、Bluetoothなどを介して)それぞれの患者の処置情報(介入の種類および身体部位、診断/治療の種類)を読み取るための少なくとも1つのインターフェースと、
(c)インターフェースを介して受信された患者データおよび処置データを格納するための少なくとも1つのメモリユニットと、
(d)接続された各吸入器の可能な動作パラメータ(たとえば、最大達成可能流量、最大達成可能圧力)を格納するための少なくとも1つのメモリユニットであって、任意選択的に、利用可能な各付属品(たとえば、チューブセット)の可能な動作パラメータ(たとえば、最大許容圧力、加湿オプション、加湿器の最大数)が格納され得る、メモリユニットと、
(e)異なる患者のための吸入器の許容可能な動作パラメータ(たとえば、治療手順に応じて、異なる年齢、異なる身長、異なるBMIの患者のための最大体内圧力)を格納するための少なくとも1つのメモリユニットと、
(f)それぞれの患者のために選択された治療手順のための動作パラメータを決定するための少なくとも1つの計算ユニットと、
(g)選択された吸入器への少なくとも1つのインターフェースであって、このインターフェースは、(たとえば、LAN、WLAN、Bluetoothなどを介して)患者データおよび動作パラメータを吸入器のメモリユニットに送信する、インターフェースと、
(h)任意選択的に、術中測定データを転送し、患者記録に格納するための、吸入器から病院情報システムへの少なくとも1つのインターフェースとを備える。
【0008】
上記の構成要素(a)から(h)は、吸入器に統合することも、個別に実施することもできる。たとえば、これら構成要素は、決定された動作パラメータを、インターフェース(g)を介して吸入器に転送し、術中データを患者記録に戻す病院情報システム(HIS)(たとえば、病院またはORサーバ)の必須部分とすることができる。
【0009】
好ましい実施形態は、構成要素(a)から(h)すべてを有する吸入器である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明によるシステムは、以下のように使用される:
【0011】
医学的診断にしたがって、第1のステップは、たとえば、特定の内視鏡処置などの治療を提案することである。手術計画チームは、まず、そのような介入(以下、処置とも称される)のための手術室を決定する必要がある。通常、手術計画チームは、それぞれの手術室に残す機器も決定する。
【0012】
特定の患者のための処置の種類と場所、および医療デバイス(または複数の医療デバイス)が決定されると、必要なパラメータを用いてデバイスの調整を開始できる。これを行うために、患者記録の内容が、患者および処置に関する必要なデータとともにシステムのメモリにロードされる:
【0013】
関連する患者情報は:名前、患者ID、年齢、性別、身長、体重(BMI)を含む。名前および患者IDは、患者を一意に識別するために使用される。年齢、性別、身長、体重(BMI)は、パラメータ制限(たとえば、最大体内圧力)を決定するために使用される。患者のパラメータ制限は、手術部位に依存し:たとえば、腹部は、膀胱や子宮よりも高い圧力を必要とし、また許容する。同時に、腹部には膀胱や子宮よりも多くの体積を必要とする。
【0014】
関連する手順データは:診断の種類(ICDコード)、処置の種類(HCPCSコード)、予想される処置期間、必要な器具を含む。
【0015】
医療デバイス(または複数の医療デバイス)に必要な吸入パラメータは、患者および手順データから決定できる。
【0016】
吸入パラメータは:体内最小圧力(pmin)、体内最大圧力(pmax)、入口最小流量(Fmin,in)、入口最大流量(Fmax,in)、最小吸引力(Fmax,out)、最大吸引力(Fmax,out)、吸入ガスの加湿の必要性、加湿器の数、必要な機器の種類(たとえば、シェーバ、細切器、RF外科用デバイス、トロカール、および光学デバイス)、チューブセットの種類、および必要とされる他の消耗品を含む。実際に、吸入パラメータである入口最小流量(Fmin,in)および最小吸引力(Fmax,out)は、しばしば0L/分である。
【0017】
パラメータは、吸入器(集中型)または別のマイクロコンピュータ(分散型)のいずれかで決定できる。後者は、たとえば、決定されたパラメータを(たとえば、LAN、WLAN、Bluetoothなどを介して)吸入器に送信する外科用サーバであり得る。この決定の一環として、既存の機器が、その手順に適しているか否かを確認することもできる。
【0018】
妥当性確認は、手術の直前に実行される:患者記録は、電子的に(たとえば、バーコードまたはQRコード(登録商標)を介して)スキャンされ、手術室の患者と比較される。データ(名前、写真、性別、年齢、身長、体重/BMI)が一致する場合、OR担当者は、身元を確認できる。決定された吸入データは、吸入器に送信される。吸入器は、接続された消耗品(特にチューブセット)が、選択された手順に準拠しているかを確認する。このテストは、たとえば、チューブセットに加湿材料が接続されているか否かを確認するために使用できる。この確認の基礎となるのは、必要な情報を含むチューブセットにおける情報キャリアである。この情報キャリアは、バーコード、QRコード(登録商標)、またはRFIDチップの形態であることができる。情報キャリアを備えたそのようなチューブセット、および関連する読取デバイスおよび方法は、先行技術に説明されている(たとえば、欧州特許出願公開第1779887号明細書を参照)ため、ここで説明する必要はない。接続された消耗品が、計画された手順と整合しない場合、警告が表示され、デバイスがロックされる。本発明の任意選択の実施形態では、他の外科器具も、同様な方式で、選択された処置との適合性が確認される。
【0019】
臨床医は、事前調整された値を、手動で変更できる。変更された値が、患者と処置との組合せに適切な範囲外である場合、警告が発行され、必要に応じてユニットがロックされる。
【0020】
さらに任意の変形例では、システムは、治療担当者による完全な手動調整および完全な手動操作も許容する。しかしながら、手動による調整および操作中、すべての動作パラメータは、引き続き監視される。動作パラメータが、指定されたパラメータ範囲を逸脱すると、ディスプレイに警告信号が出力される。
【0021】
それに加えて、必要に応じて、鎮静作用を調整できるように、たとえば、考えられる治療延長の予測を送信する、麻酔システムへのインターフェースを任意選択的に提供することもできる。
【0022】
任意選択的に、システムは、病院情報システム(HIS)の患者記録に、現在の術中動作パラメータを格納するためのメモリユニットおよびインターフェースをも含む。画像とビデオ、特に内視鏡画像のストレージを統合することもできる。
【0023】
言うまでもなく、すべてのデータ送信は、暗号化されることが好ましい。送信および暗号化のシステムおよびプロトコルは、最先端のものであり、さらなる説明は不要である。
【国際調査報告】