(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-07
(54)【発明の名称】遺伝データに基づいて有効性調整モデルを介して圃場を処置するための処置パラメータ(作物保護製品など)のランキングを決定する方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20240101AFI20240425BHJP
A01M 21/00 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
G06Q50/02
A01M21/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571324
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(85)【翻訳文提出日】2023-11-16
(86)【国際出願番号】 EP2022063454
(87)【国際公開番号】W WO2022243380
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521508254
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ アグロ トレードマークス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン,ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】マッサ,ダリオ
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA11
2B121AA19
2B121AA20
2B121CC02
2B121CC03
2B121CC05
2B121EA26
2B121FA11
(57)【要約】
少なくとも1つの処置パラメータに基づいて農機具を制御するために使用可能な制御ファイルを生成するコンピュータ実施方法であって、本方法が、
(ステップ1)(110)圃場に存在していた、又は存在している、又は存在すると予期される少なくとも1つの有機体の遺伝測定データ(40)を提供するステップと、
(ステップ2)(120)少なくとも1つの有機体をターゲットにすることができる少なくとも2つの処置パラメータの処置パラメータデータ(42)を提供するステップと、
(ステップ3)(130)処置パラメータデータ(42)に基づいて、分類階級の第1のレベルにある少なくとも1つの有機体に関連する少なくとも2つの処置パラメータの有効性(「第1のレベルの有効性」)を含む第1のレベルの有効性データ(44)を提供するステップと、
(ステップ4)(140)処置パラメータデータ(42)及び第1のレベルの有効性データ(44)に基づいて、少なくとも2つの処置パラメータのうちの第1位(46)を決定するステップと、
(ステップ5)(150)有効性調整モデル(50)を提供するステップと、
(ステップ6)(160)遺伝測定データ(40)及び処置パラメータデータ(42)に基づいて、有効性調整モデル(50)を介して第1のレベルの有効性データ(44)を修正することにより、分類階級の第1のレベルよりも下位である分類階級の第2のレベルにある少なくとも1つの有機体に関連する少なくとも2つの処置パラメータの有効性(「第2のレベルの有効性」)を含む第2のレベルの有効性データ(52)を得るステップと、
(ステップ7)(170)処置パラメータデータ(42)及び第2のレベルの有効性データ(52)に基づいて、少なくとも2つの処置パラメータのうちの第2位(54)を決定するステップと、
(ステップ8)(180)最高ランクの処置パラメータ又はユーザが選択した処置パラメータを、農機具を制御するために使用可能な制御ファイルとして出力するステップとを含む、コンピュータ実施方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの処置パラメータに基づいて農機具を制御するために使用可能な制御ファイルを生成するコンピュータ実施方法であって、前記処置パラメータが、
a)圃場における処置の少なくとも1つの時間窓、
b)圃場における処置の少なくとも1つの方法、
c)圃場における処置の少なくとも1つの製品、
d)圃場における処置の少なくとも1つの用量率、及び
e)少なくとも1つの方法又は製品と、前記圃場において前記少なくとも1つの方法又は製品を適用する時間窓とを含む、圃場における処置の少なくとも1つの処置スケジュール
からなる群から選択され、前記方法が、
(ステップ1)(110)前記圃場に存在していた、又は存在している、又は存在すると予期される少なくとも1つの有機体の遺伝測定データ(40)を提供するステップと、
(ステップ2)(120)前記少なくとも1つの有機体をターゲットにすることができる少なくとも2つの処置パラメータの処置パラメータデータ(42)を提供するステップと、
(ステップ3)(130)前記処置パラメータデータ(42)に基づいて、分類階級の第1のレベルにある前記少なくとも1つの有機体に関連する前記少なくとも2つの処置パラメータの有効性(「第1のレベルの有効性」)を含む第1のレベルの有効性データ(44)を提供するステップと、
(ステップ4)(140)前記処置パラメータデータ(42)及び前記第1のレベルの有効性データ(44)に基づいて、前記少なくとも2つの処置パラメータのうちの第1位(46)を決定するステップと、
(ステップ5)(150)有効性調整モデル(50)を提供するステップと、
(ステップ6)(160)前記遺伝測定データ(40)及び前記処置パラメータデータ(42)に基づいて、前記有効性調整モデル(50)を介して前記第1のレベルの有効性データ(44)を修正することにより、前記分類階級の前記第1のレベルよりも下位である前記分類階級の第2のレベルにある前記少なくとも1つの有機体に関連する前記少なくとも2つの処置パラメータの有効性(「第2のレベルの有効性」)を含む第2のレベルの有効性データ(52)を得るステップと、
(ステップ7)(170)前記処置パラメータデータ(42)及び前記第2のレベルの有効性データ(52)に基づいて、前記少なくとも2つの処置パラメータのうちの第2位(54)を決定するステップと、
(ステップ8)(180)最高ランクの処置パラメータ又はユーザが選択した処置パラメータを、農機具を制御するために使用可能な制御ファイルとして出力するステップと
を含む、コンピュータ実施方法。
【請求項2】
前記第2のレベルの有効性データ(52)を得ることが、
(ステップ6a)(162)前記遺伝測定データ(40)及び前記処置パラメータデータ(42)に基づいて、前記有効性調整モデル(50)を介して前記少なくとも1つの有機体の遺伝特異反応のタイプ(56)を決定するステップと、
(ステップ6b)(164)前記遺伝特異反応のタイプ(56)に基づいて、前記有効性調整モデル(50)を介して前記第1のレベルの有効性データ(44)を修正するステップと、
(ステップ6c)(166)前記修正された第1のレベルの有効性データを、第2のレベルの有効性データ(52)として出力するステップと
を含む、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項3】
前記第2のレベルの有効性データ(52)を得ることが、
(ステップ6a)(162)前記遺伝測定データ(40)及び前記処置パラメータデータ(42)に基づいて、前記有効性調整モデル(50)を介して前記少なくとも1つの有機体の前記遺伝特異反応のタイプ(56)を、
a)タイプ1の反応(58):作用点抵抗性(TSR)、
b)タイプ2の反応(60):非作用点抵抗性(NTSR)、
c)タイプ3の反応(62):関連する遺伝特異反応なし
のうちの1つに割り当てるステップと、
(ステップ6b)(164)タイプ1の反応(58)の場合、前記第1のレベルの有効性データ(44)が、第1のレベルの有効性が低下するように前記有効性調整モデル(50)を介して修正され、
タイプ2の反応(60)の場合、前記第1のレベルの有効性データ(44)が、第1のレベルの有効性が低下するが、タイプ1の反応(58)の場合と比べてより低いレベルで低下するように、前記有効性調整モデル(50)を介して修正され、
タイプ3の反応(62)の場合、前記第1のレベルの有効性データ(44)が、これらのデータが有効性確認済みであるように、及び/又はそのまま変わらないように前記有効性調整モデル(50)を介して修正され、
(ステップ6c)(166)前記修正された第1のレベルの有効性データを、第2のレベルの有効性データ(52)として出力するステップと
を含む、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項4】
前記第2のレベルの有効性データを得ることが、
(ステップ6a)(162)前記遺伝測定データ(40)及び前記処置パラメータデータ(42)に基づいて、前記有効性調整モデル(50)を介して前記少なくとも1つの有機体の前記遺伝特異反応のタイプ(56)を、
a)タイプ1の反応(58):作用点抵抗性(TSR)、
b)タイプ2の反応(60):非作用点抵抗性(NTSR)、
c)タイプ3の反応(62):関連する遺伝特異反応なし
のうちの1つに割り当てるステップと、
(ステップ6b)(164)タイプ1の反応(58)の場合、前記第1のレベルの有効性データ(44)が、第1のレベルの有効性がゼロに設定されるように前記有効性調整モデル(50)を介して修正され、
タイプ2の反応(60)の場合、前記第1のレベルの有効性データ(44)が、第1のレベルの有効性が低下するがゼロに設定されないように前記有効性調整モデル(50)を介して修正され、
タイプ3の反応(62)の場合、前記第1のレベルの有効性データ(44)が、これらのデータが有効性確認済みであるように、及び/又はそのまま変わらないように前記有効性調整モデル(50)を介して修正され、
(ステップ6c)(166)前記修正された第1のレベルの有効性データを、第2のレベルの有効性データ(52)として出力するステップと
を含む、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項5】
(ステップ1)(110)の前に、
(ステップ0)(100)前記圃場に存在していた、又は存在している、又は存在すると予期される前記少なくとも1つの有機体の少なくとも1つのサンプルを採取し、前記少なくとも1つの有機体の前記少なくとも1つのサンプルを使用して遺伝解析を行い、そこから前記少なくとも1つの有機体の前記遺伝測定データ(40)を得るステップ
を更に含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項6】
(ステップ1)(110)の前に、
(ステップ0)(100)前記圃場に存在していた、又は存在している、又は存在すると予期される前記少なくとも1つの有機体の少なくとも1つのサンプルを採取し、前記少なくとも1つの有機体の前記少なくとも1つのサンプルを使用して遺伝解析を行い、そこから前記少なくとも1つの有機体の遺伝情報及び/又はエピジェネティック情報を得るステップであって、前記遺伝解析が、シーケンシング技術(サンガーシーケンシング、次世代シーケンシング、パイロシーケンシング、ナノポアシーケンシング、GenapSysシーケンシング、ライゲーションによるシーケンシング(SOLiDシーケンシング)、一分子リアルタイムシーケンシング、イオン半導体(Ion Torrentシーケンシング)シーケンシング、合成によるシーケンシング(Illumina)、コンビナトリアルプローブアンカー合成(cPAS-BGI/MGI)など)、ナノポア技術、マイクロアレイ技術、グラフェンバイオセンサ技術、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)技術、高速PCR技術、及び等温増幅(LAMP(ループ介在増幅)、RPA(リコンビナーゼポリメラーゼ増幅)、核酸配列決定ベースの増幅(NASBA:Nucleic Acid Sequenced Based Amplification)、及び転写介在増幅(TMA)など)などの他のDNA/RNA増幅技術、並びにエピジェネティック解析(DNAメチル化、DNA-タンパク質相互作用解析、及びクロマチン接近可能性解析など)からなる群から選択される技術のうちの少なくとも1つに基づく、ステップ
を更に含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項7】
サンプル採取と前記遺伝測定データ(40)の前記提供との間の時間枠が、1秒~5日である、請求項5又は6に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの有機体が、雑草類、菌類、ウイルス類、細菌類、昆虫類、クモ類、線虫類、軟体類、鳥類、及び齧歯類からなる群から選択される有害な有機体である、請求項1~7のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの有機体が、有益な植物、菌類、ウイルス類、細菌類、昆虫類、クモ類、線虫類、軟体類、鳥類、齧歯類、及び原虫類からなる群から選択される有益な有機体である、請求項1~8のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの有機体が、前記圃場で生長、播種、生長が計画、又は播種が計画されている農作物種である、請求項1~9のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項11】
前記最高ランクの処置パラメータが、農機具のための制御ファイルとして出力される、請求項1~10のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法を実行するための手段を備えるデータ処理システム。
【請求項13】
命令を含むコンピュータプログラム製品であって、プログラムがコンピュータによって実行されると、前記コンピュータに、請求項1~11のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法を実行させる、コンピュータプログラム製品。
【請求項14】
命令を含むコンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令が、コンピュータによって実行されると、前記コンピュータに、請求項1~11のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法を実行させる、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
農機具を制御するために、請求項1~11のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法によって決定される最高ランクの処置パラメータの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場での少なくとも1つの有機体の遺伝測定データに基づいて処置パラメータのランキングを決定するコンピュータ実施方法、そのようなコンピュータ実施方法を実行するための手段を備えたデータ処理システム、農機具を制御するための最高ランクの処置パラメータの使用、及び圃場を処置するための最高ランクの処置パラメータの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
実務上、農業従事者又はユーザは、有害な有機体、有益な有機体、又は農作物種の厳密な遺伝情報(例えば、変異、遺伝子シフト、エピジェネティックな変化)を知らないが、それにもかかわらず、有害な有機体を制御するために且つ有益な有機体又は農作物種を保護するために適用する時間窓、方法、製品、又は用量率を決定する必要があるという問題に直面することが多い。このことは、農業従事者又はユーザにより選択された製品が圃場での有害な有機体の特定の遺伝バリアント(変異、遺伝子シフトバリアント、エピジェネティックバリアント)の制御に不適切又は非効率的であるという問題に繋がる恐れがあり、それにより、有害な有機体の更なる拡散及び後の深刻な収率損失に繋がる恐れがある。一方、完全に又は部分的に自律的に動作する処置デバイスは、抵抗力のある多様な有害な有機体の出現を考慮して、有害な有機体を処置し、有益な有機体又は農作物種を保護するように農機具を制御するために使用可能な最も適切且つ/又は最適な制御ファイルを提供される必要がある。
【0003】
遺伝データを使用せずに作物保護製品などの処置パラメータのランキングを決定する幾つかの方法、例えば、特許出願である国際公開第2021/009135号パンフレットに開示されている方法が既知である。
【0004】
有機体の遺伝情報を特定する幾つかの方法、とりわけ、例えば特許出願である国際公開第2019/149626号パンフレットに開示されているナノポアシーケンシング技術が既知である。
【0005】
上記の問題及び課題に鑑みて、農業従事者又はユーザの決定プロセスを改良し簡易化する必要があることが判明した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記に鑑みて、本発明の目的は、農業従事者又はユーザによって容易に適用され得る、圃場での少なくとも1つの有機体の遺伝データに基づいて処置パラメータのランキングを決定するコンピュータ実施方法を提供することである。本発明の目的は、圃場の処置に関して農業従事者又はユーザの迅速且つ効率的な意思決定をサポートする、圃場での少なくとも1つの有機体の遺伝データに基づいて処置パラメータのランキングを決定するコンピュータ実施方法を提供することでもある。本発明の目的は、特定の作物保護製品に対する抵抗性の認識及び定量化を可能にする、圃場での少なくとも1つの有機体の遺伝データに基づいて処置パラメータのランキングを決定するコンピュータ実施方法を提供することでもある。本発明の目的は、圃場での有害な有機体の制御を改良するコンピュータ実施方法を提供することでもある。本発明の目的は、圃場での有益な有機体の保護又は使用を改善するコンピュータ実施方法を提供することでもある。本発明の目的は、圃場で生長する農作物植物の収率、又はバイオマス、又は栄養分、又は作物品質を改善するコンピュータ実施方法を提供することでもある。本発明の目的は、過去又は初期の処置に関する品質制御に有用なコンピュータ実施方法を提供することでもある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、独立請求項の主題によって解決され、更なる実施形態が従属請求項に組み込まれる。以下に記載される本発明の態様及び例は、方法、並びにデータ処理システム、コンピュータプログラム製品、及びコンピュータ可読記憶媒体に適用されることに留意されたい。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、本発明は、少なくとも2つの処置パラメータのランキングを決定するコンピュータ実施方法であって、処置パラメータが、
a)圃場における処置の少なくとも1つの時間窓、
b)圃場における処置の少なくとも1つの方法、
c)圃場における処置の少なくとも1つの製品、
d)圃場における処置の少なくとも1つの用量率、及び
e)少なくとも1つの方法又は製品と、圃場において少なくとも1つの方法又は製品を適用する時間窓とを含む、圃場における処置の少なくとも1つの処置スケジュール
からなる群から選択され、本方法が、
(ステップ1)(110)圃場に存在していた、又は存在している、又は存在すると予期される少なくとも1つの有機体の遺伝測定データ(40)を提供するステップと、
(ステップ2)(120)少なくとも1つの有機体をターゲットにすることができる少なくとも2つの処置パラメータの処置パラメータデータ(42)を提供するステップと、
(ステップ3)(130)処置パラメータデータ(42)に基づいて、分類階級の第1のレベルにある少なくとも1つの有機体に関連する少なくとも2つの処置パラメータの有効性(「第1のレベルの有効性」)を含む第1のレベルの有効性データ(44)を提供するステップと、
(ステップ4)(140)処置パラメータデータ(42)及び第1のレベルの有効性データ(44)に基づいて、少なくとも2つの処置パラメータのうちの第1位(46)を決定するステップと、
(ステップ5)(150)有効性調整モデル(50)を提供するステップと、
(ステップ6)(160)遺伝測定データ(40)及び処置パラメータデータ(42)に基づいて、有効性調整モデル(50)を介して第1のレベルの有効性データ(44)を修正することにより、分類階級の第1のレベルよりも下位である分類階級の第2のレベルにある少なくとも1つの有機体に関連する少なくとも2つの処置パラメータの有効性(「第2のレベルの有効性」)を含む第2のレベルの有効性データ(52)を得るステップと、
(ステップ7)(170)処置パラメータデータ(42)及び第2のレベルの有効性データ(52)に基づいて、少なくとも2つの処置パラメータのうちの第2位(54)を決定するステップと
を含む、コンピュータ実施方法に関する。
【0009】
本発明の更なる態様によれば、本発明は、少なくとも1つの処置パラメータに基づいて農機具を制御するために使用可能な制御ファイルを生成するコンピュータ実施方法であって、処置パラメータが、
a)圃場における処置の少なくとも1つの時間窓、
b)圃場における処置の少なくとも1つの方法、
c)圃場における処置の少なくとも1つの製品、
d)圃場における処置の少なくとも1つの用量率、及び
e)少なくとも1つの方法又は製品と、圃場において少なくとも1つの方法又は製品を適用する時間窓とを含む、圃場における処置の少なくとも1つの処置スケジュール
からなる群から選択され、本方法が、
(ステップ1)(110)圃場に存在していた、又は存在している、又は存在すると予期される少なくとも1つの有機体の遺伝測定データ(40)を提供するステップと、
(ステップ2)(120)少なくとも1つの有機体をターゲットにすることができる少なくとも2つの処置パラメータの処置パラメータデータ(42)を提供するステップと、
(ステップ3)(130)処置パラメータデータ(42)に基づいて、分類階級の第1のレベルにある少なくとも1つの有機体に関連する少なくとも2つの処置パラメータの有効性(「第1のレベルの有効性」)を含む第1のレベルの有効性データ(44)を提供するステップと、
(ステップ4)(140)処置パラメータデータ(42)及び第1のレベルの有効性データ(44)に基づいて、少なくとも2つの処置パラメータのうちの第1位(46)を決定するステップと、
(ステップ5)(150)有効性調整モデル(50)を提供するステップと、
(ステップ6)(160)遺伝測定データ(40)及び処置パラメータデータ(42)に基づいて、有効性調整モデル(50)を介して第1のレベルの有効性データ(44)を修正することにより、分類階級の第1のレベルよりも下位である分類階級の第2のレベルにある少なくとも1つの有機体に関連する少なくとも2つの処置パラメータの有効性(「第2のレベルの有効性」)を含む第2のレベルの有効性データ(52)を得るステップと、
(ステップ7)(170)処置パラメータデータ(42)及び第2のレベルの有効性データ(52)に基づいて、少なくとも2つの処置パラメータのうちの第2位(54)を決定するステップと、
(ステップ8)(180)最高ランクの処置パラメータ又はユーザが選択した処置パラメータを、農機具を制御するために使用可能な制御ファイルとして出力するステップと
を含む、コンピュータ実施方法に関する。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によれば、第2のレベルの有効性データ(52)を得るステップが、
(ステップ6a)(162)遺伝測定データ(40)及び処置パラメータデータ(42)に基づいて、有効性調整モデル(50)を介して少なくとも1つの有機体の遺伝特異反応のタイプ(56)を決定するステップと、
(ステップ6b)(164)遺伝特異反応のタイプ(56)に基づいて、有効性調整モデル(50)を介して第1のレベルの有効性データ(44)を修正するステップと、
(ステップ6c)(166)修正された第1のレベルの有効性データを、第2のレベルの有効性データ(52)として出力するステップと
を含む。
【0011】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、第2のレベルの有効性データ(52)を得るステップが、
(ステップ6a)(162)遺伝測定データ(40)及び処置パラメータデータ(42)に基づいて、有効性調整モデル(50)を介して少なくとも1つの有機体の遺伝特異反応のタイプ(56)を、
a)タイプ1の反応(58):作用点抵抗性(TSR)、
b)タイプ2の反応(60):非作用点抵抗性(NTSR)、
c)タイプ3の反応(62):関連する遺伝特異反応なし
のうちの1つに割り当てるステップと、
(ステップ6b)(164)タイプ1の反応(58)の場合、第1のレベルの有効性データ(44)が、第1のレベルの有効性が低下するように有効性調整モデル(50)を介して修正され、
タイプ2の反応(60)の場合、第1のレベルの有効性データ(44)が、第1のレベルの有効性が低下するが、タイプ1の反応(58)の場合と比べてより低いレベルで低下するように、有効性調整モデル(50)を介して修正され、
タイプ3の反応(62)の場合、第1のレベルの有効性データ(44)が、これらのデータが有効性確認済みであるように、及び/又はそのまま変わらないように、有効性調整モデル(50)を介して修正され、
(ステップ6c)(166)修正された第1のレベルの有効性データを、第2のレベルの有効性データ(52)として出力するステップと
を含む。
【0012】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、第2のレベルの有効性データを得るステップが、
(ステップ6a)(162)遺伝測定データ(40)及び処置パラメータデータ(42)に基づいて、有効性調整モデル(50)を介して少なくとも1つの有機体の遺伝特異反応(56)のタイプを、
a)タイプ1の反応(58):作用点抵抗性(TSR)、
b)タイプ2の反応(60):非作用点抵抗性(NTSR)、
c)タイプ3の反応(62):関連する遺伝特異反応なし
のうちの1つに割り当てるステップと、
(ステップ6b)(164)タイプ1の反応(58)の場合、第1のレベルの有効性データ(44)が、第1のレベルの有効性がゼロに設定されるように有効性調整モデル(50)を介して修正され、
タイプ2の反応(60)の場合、第1のレベルの有効性データ(44)が、第1のレベルの有効性が低下するが、ゼロには設定されないように、好ましくは、それらの元のレベルの3%~90%に低下され、より好ましくは、それらの元のレベルの7%~70%に低下され、最も好ましくは、それらの元のレベルの10%~50%に低下され、特に、それらの元のレベルの15%~40%に低下されるように、有効性調整モデル(50)を介して修正され、
タイプ3の反応(62)の場合、第1のレベルの有効性データ(44)が、これらのデータが有効性確認済みであるように、及び/又はそのまま変わらないように、有効性調整モデル(50)を介して修正され、
(ステップ6c)(166)修正された第1のレベルの有効性データを、第2のレベルの有効性データ(52)として出力するステップと
を含む。
【0013】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、第2のレベルの有効性データを得るステップが、
(ステップ6a)(162)遺伝測定データ(40)及び処置パラメータデータ(42)に基づいて、有効性調整モデル(50)を介して少なくとも1つの有機体の遺伝特異反応のタイプ(56)を、
a)タイプ1の反応(58):作用点抵抗性(TSR)、
b)タイプ2の反応(60):非作用点抵抗性(NTSR)、
c)タイプ3の反応(62):関連する遺伝特異反応なし
のうちの1つに割り当てるステップと、
(ステップ6b)(164)タイプ1の反応(58)の場合、第1のレベルの有効性データ(44)が、少なくとも1つの有機体をターゲットとしているがこのタイプ1の反応(58)の影響を受けていない他のすべての処置パラメータが、影響を受けた処置パラメータよりも上位にランク付けされるように第1のレベルの有効性が低下するように、有効性調整モデル(50)を介して修正され、
タイプ2の反応(60)の場合、第1のレベルの有効性データ(44)が、少なくとも1つの有機体をターゲットとしているがこのタイプ2の反応(60)の影響を受けていない他のすべての処置パラメータが、影響を受けた処置パラメータよりも上位にランク付けされるように第1のレベルの有効性が低下するように、有効性調整モデル(50)を介して修正され、
タイプ3の反応(62)の場合、第1のレベルの有効性データ(44)が、これらのデータが有効性確認済みであるように、及び/又はそのまま変わらないように、有効性調整モデル(50)を介して修正され、
(ステップ6c)(166)修正された第1のレベルの有効性データを、第2のレベルの有効性データ(52)として出力するステップと
を含む。
【0014】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、少なくとも2つの処置パラメータが圃場における処置の製品であり、第2のレベルの有効性データを得ることが、
(ステップ6a)(162)遺伝測定データ(40)及び製品データ(42)に基づいて、有効性調整モデル(50)を介して少なくとも1つの有機体の遺伝特異反応のタイプ(56)を、
a)タイプ1の反応(58):作用点抵抗性(TSR)、
b)タイプ2の反応(60):非作用点抵抗性(NTSR)、
c)タイプ3の反応(62):関連する遺伝特異反応なし
のうちの1つに割り当てるステップと、
(ステップ6b)(164)タイプ1の反応(58)の場合、第1のレベルの有効性データ(44)が、少なくとも1つの有機体をターゲットとしているがこのタイプ1の反応(58)の影響を受けていない(タンクミックスなどの製品混合物を含む)他のすべての製品(好ましくは、別の作用機序を有する少なくとも1つの有効成分又は他のすべての非化学製品を含む他のすべての製品又は製品混合物など)が、影響を受けた処置パラメータよりも上位にランク付けされるように第1のレベルの有効性が低下するように、有効性調整モデル(50)を介して修正され、
タイプ2の反応(60)の場合、第1のレベルの有効性データ(44)が、少なくとも1つの有機体をターゲットとしているがこのタイプ2の反応(60)の影響を受けていない(タンクミックスなどの製品混合物を含む)他のすべての製品(少なくとも1つの有効成分又は他のすべての非化学製品を含む他のすべての製品又は製品混合物など)が、影響を受けた処置パラメータよりも上位にランク付けされるように第1のレベルの有効性が低下するように、有効性調整モデル(50)を介して修正され、
タイプ3の反応(62)の場合、第1のレベルの有効性データ(44)が、これらのデータが有効性確認済みであるように、及び/又はそのまま変わらないように、有効性調整モデル(50)を介して修正され、
(ステップ6c)(166)修正された第1のレベルの有効性データを、第2のレベルの有効性データ(52)として出力するステップと
を含む。
【0015】
少なくとも1つの有機体の遺伝特異反応のタイプ(56)の割り当てについては、自動データベース検索が実行又は開始されてもよく、例えば、http://weedscience.org/、HRAC、FRAC、若しくはIRACにおける抵抗性分類表などの抵抗性データベース、又は抵抗性データを含む他の科学データベース若しくは製品データベースにおけるデータベース検索が実行又は開始されてもよく、割り当てがそのようなデータベース検索の結果に基づいて実施されてもよい。
【0016】
タイプ1の反応(58)の場合又はタイプ2の反応(60)の場合に第1のレベルの有効性を低下させるために、自動データベース検索が実行又は開始されてもよく、例えば、http://weedscience.org/、HRAC、FRAC、若しくはIRACにおける抵抗性分類表などの抵抗性データベース、又は抵抗性データを含む他の科学データベース若しくは製品データベースにおけるデータベース検索が実行又は開始されてもよく、第1のレベルの有効性を低下させることがそのようなデータベース検索の結果に基づいて実施されてもよい。
【0017】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、処置パラメータの第1位を決定することが、追加的に、
(A)農作物データであって、(aa)圃場で生長、播種、生長が計画、若しくは播種が計画されている農作物種についての情報及び/又は(bb)そのような農作物の生長段階についての情報を含む農作物データ、並びに/或いは
(B)圃場の場所に関連する天候及び/又は地理データ、並びに/或いは
(C)過去に圃場で行われた処置に関連する過去の処置データ
に基づくことができ、
データ(A)、(B)、及び/又は(C)は、第1位を決定するステップの前に提供される。
【0018】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、処置パラメータの第2位を決定することが、追加的に、
(A)農作物データであって、(aa)圃場で生長、播種、生長が計画、若しくは播種が計画されている農作物種についての情報及び/又は(bb)そのような農作物の生長段階についての情報を含む農作物データ、並びに/或いは
(B)圃場の場所に関連する天候及び/又は地理データ、並びに/或いは
(C)過去に圃場で行われた処置に関連する過去の処置データ
に基づくことができ、
データ(A)、(B)、及び/又は(C)は、第2位を決定するステップの前に提供される。
【0019】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、処置パラメータの第1位及び第2位を決定することが、追加的に、
(A)農作物データであって、(aa)圃場で生長、播種、生長が計画、若しくは播種が計画されている農作物種についての情報及び/又は(bb)そのような農作物の生長段階についての情報を含む農作物データ、並びに/或いは
(B)圃場の場所に関連する天候及び/又は地理データ、並びに/或いは
(C)過去に圃場で行われた処置に関連する過去の処置データ
に基づくことができ、
データ(A)、(B)、及び/又は(C)は、第1位を決定するステップの前に提供される。
【0020】
本発明に関して、天候及び/又は地理データは、天候データ及び/又は地理データである。
【0021】
本発明に関して、天候データは、限定ではなく、気温、土壌温度、キャノピー温度、湿度、降雨量、水分、風況、日照レベルなどを含む天候についての任意のデータであり得る。
【0022】
本発明に関して、地理データは、GPS(全地球測位システム)データ、高度データ、土壌データなどを含む地理又は地形についての任意のデータであり得る。
【0023】
本発明に関して、「遺伝測定データ」は、好ましくは、測定を通じて(例えば、サンプルを使用して)得られた、又は代替的には、ユーザ入力又はデータベースから得られた遺伝情報の識別子又は遺伝情報自体を含む、遺伝情報に関連する任意のデータであり得る。
【0024】
本発明に関して、過去の処置データは、好ましくは、ユーザインタフェース及び/又はデータインタフェースを介して提供され得る。
【0025】
本発明に関して、「制御ファイル」という用語は、好ましくは農機具を制御するために有用な任意のバイナリファイル、データ、信号、識別子、情報、又はアプリケーションマップを指す。
【0026】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明のコンピュータ実施方法は、(ステップ1)(110)の前に、
(ステップ0)(100)圃場に存在していた、又は存在している、又は存在すると予期される少なくとも1つの有機体の少なくとも1つのサンプルを採取し、少なくとも1つの有機体の少なくとも1つのサンプルを使用して遺伝解析を行い、そこから少なくとも1つの有機体の遺伝測定データを得るステップ
を更に含む。
【0027】
本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの有機体のサンプルは、少なくとも1つの有機体の現実世界の物理的サンプルである。サンプルは、有機体を含む任意の媒体又は材料、好ましくは土壌、麦わら、空気、水、植物の一部、花粉、種子、有機体自体(例えば昆虫類、クモ類、線虫類、軟体類)、卵、又は有機体の異なる成長段階(例えば昆虫類、クモ類、線虫類、軟体類の卵又は幼虫)から採取され得る。
【0028】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、本発明のコンピュータ実施方法は、(ステップ1)(110)の前に、
(ステップ0)(100)圃場に存在していた、又は存在している、又は存在すると予期される少なくとも1つの有機体の少なくとも1つのサンプルを採取し、少なくとも1つの有機体の少なくとも1つのサンプルを使用して遺伝解析を行い、そこから少なくとも1つの有機体の遺伝情報及び/又はエピジェネティック情報を得るステップであって、遺伝解析が、シーケンシング技術(サンガーシーケンシング、次世代シーケンシング、パイロシーケンシング、ナノポアシーケンシング、GenapSysシーケンシング、ライゲーションによるシーケンシング(SOLiDシーケンシング)、一分子リアルタイムシーケンシング、イオン半導体(Ion Torrentシーケンシング)シーケンシング、合成によるシーケンシング(Illumina)、コンビナトリアルプローブアンカー合成(cPAS-BGI/MGI)など)、ナノポア技術、マイクロアレイ技術、グラフェンバイオセンサ技術、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)技術、高速PCR技術、及び等温増幅(LAMP(ループ介在増幅)、RPA(リコンビナーゼポリメラーゼ増幅)、核酸配列決定ベースの増幅(NASBA:Nucleic Acid Sequenced Based Amplification)、及び転写介在増幅(TMA)など)などの他のDNA/RNA増幅技術、並びにエピジェネティック解析(DNAメチル化、DNA-タンパク質相互作用解析、及びクロマチン接近可能性解析など)からなる群から選択される技術のうちの少なくとも1つに基づく、ステップ
を更に含む。
【0029】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、本発明のコンピュータ実施方法は、(ステップ1)(110)の前に、
(ステップ0)(100)圃場に存在していた、又は存在している、又は存在すると予期される少なくとも1つの有機体の少なくとも1つのサンプルを採取し、少なくとも1つの有機体の少なくとも1つのサンプルを使用して遺伝解析を行い、そこから少なくとも1つの有機体の遺伝測定データを得るステップであって、遺伝解析が、選択的遺伝子型判定に基づく、又はナノポア技術、パイロシーケンシング技術、及び他のシーケンシング若しくは次世代シーケンシング(NGS)技術などのシーケンシング技術に基づく、ステップ
を更に含む。
【0030】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、本発明のコンピュータ実施方法は、(ステップ1)(110)の前に、
(ステップ0)(100)圃場に存在していた、又は存在している、又は存在すると予期される少なくとも1つの有機体の少なくとも1つのサンプルを採取し、少なくとも1つの有機体の少なくとも1つのサンプルを使用して遺伝解析を行い、そこから少なくとも1つの有機体の遺伝情報を得るステップであって、遺伝解析が、マクサム-ギルバートシーケンシング、連鎖終止反応法、大規模シーケンシング及びde novoシーケンシング、ショットガンシーケンシング、ハイスループットシーケンシング法、ロングリードシーケンシング法、一分子リアルタイム(SMRT)シーケンシング、ナノポアDNAシーケンシング、ショートリードシーケンシング法、超並列シグネチャシーケンシング(MPSS)、コロニーシーケンシング、パイロシーケンシング、Illumina(Solexa)シーケンシング、コンビナトリアルプローブアンカー合成(cPAS)、SOLiDシーケンシング、Ion Torrent半導体シーケンシング、DNAナノボールシーケンシング、Heliscope一分子シーケンシング、マイクロ流体システムを使用したシーケンシング、トンネル電流DNAシーケンシング、ハイブリダイゼーションによるシーケンシング、質量分析を用いたシーケンシング、マイクロ流体サンガーシーケンシング、顕微鏡法ベースの技法、RNAPシーケンシング、In vitroウイルスハイスループットシーケンシング、LAMP法(ループ介在増幅)、RPA法(リコンビナーゼポリメラーゼ増幅)、NASBA法(核酸配列ベース増幅)、転写増幅法、及びDNAメチル化、DNA-タンパク質相互作用解析、クロマチン接近可能性解析などのエピジェネティック解析からなる群から選択される技術のうちの1つに基づく、ステップ
を更に含む。
【0031】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、本発明のコンピュータ実施方法は、(ステップ1)(110)の前に、
(ステップ0)(100)圃場に存在していた、又は存在している、又は存在すると予期される少なくとも1つの有機体の少なくとも2つのサンプルを採取し、少なくとも1つの有機体の少なくとも2つのサンプルを使用して遺伝解析を行い、そこから少なくとも1つの有機体の遺伝測定データを得るステップであって、少なくとも2つのサンプルは、圃場内の少なくとも2つの異なる場所から採取されている、ステップ
を更に含む。
【0032】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、本発明のコンピュータ実施方法は、(ステップ1)(110)の前に、
(ステップ0)(100)圃場に存在していた、又は存在している、又は存在すると予期される少なくとも1つの有機体の少なくとも2つのサンプルを採取し、少なくとも1つの有機体の少なくとも2つのサンプルを使用して遺伝解析を行い、そこから少なくとも1つの有機体の遺伝測定データを得るステップであって、少なくとも2つのサンプルは、圃場内の少なくとも2つの異なるゾーンから採取されている、ステップ
を更に含む。
【0033】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、本発明のコンピュータ実施方法は、(ステップ1)(110)の前に、
(ステップ0)(100)圃場に存在していた、又は存在している、又は存在すると予期される少なくとも1つの有機体の少なくとも1つのサンプルを採取し、少なくとも1つの有機体の少なくとも1つのサンプルを使用して遺伝解析を行い、そこから少なくとも1つの有機体の遺伝測定データを得るステップであって、サンプルは、圃場内の各ゾーンから採取されている、ステップ
を更に含む。
【0034】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの有機体は、有害な有機体、好ましくは、雑草類、菌類、ウイルス類、細菌類、昆虫類、クモ類、線虫類、軟体類、鳥類、及び齧歯類からなる群から選択される有害な有機体である。
【0035】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの有機体は、有益な有機体、好ましくは、有益な植物、菌類、ウイルス類、細菌類、昆虫類、クモ類、線虫類、軟体類、鳥類、齧歯類、及び原虫類からなる群から選択される有益な有機体である。
【0036】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの有機体は、圃場で生長、播種、生長が計画、又は播種が計画されている農作物種である。
【0037】
幾つかの場合、特に、例えば農作物植物が予期されるものと異なる遺伝的特性を有する(例えば予期せぬ変異体又はバリアントである)とき、高効率処置の処置パラメータを決定するためには、有害な有機体の遺伝測定データを得るだけでは十分ではないことがある。そのような場合、高効率処置の処置パラメータは、有害な有機体及び農作物植物の両方の遺伝測定データが得られた後でのみ、決定することができる。更に、サンプル採集(サンプリング)プロセスをより効率的にするために、有害な有機体の一部及び農作物植物の一部の両方を含むサンプルを採取することが好ましく、例えば、特定の真菌病に部分的に感染した農作物植物の葉を採取することが好ましい。
【0038】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、コンピュータ実施方法の(ステップ1)(110)において、圃場に存在していた、又は存在している、又は存在すると予期される少なくとも1つの有害な有機体の遺伝測定データと、圃場で生長、播種、生長が計画、又は播種が計画されている少なくとも1つの農作物植物の遺伝測定データとが提供される。
【0039】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、コンピュータ実施方法の(ステップ1)(110)において、圃場に存在していた、又は存在している、又は存在すると予期される少なくとも1つの有益な有機体の遺伝測定データと、圃場で生長、播種、生長が計画、又は播種が計画されている少なくとも1つの農作物植物の遺伝測定データとが提供される。
【0040】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの有機体の遺伝解析は、圃場で動作するポータブルデバイスを使用して行われる。
【0041】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの有機体の遺伝解析は、圃場外部の設備で行われる。
【0042】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、サンプル採取(ステップ0)(100)と遺伝測定データの提供(ステップ1)(110)との間の時間枠は、1秒~5日、より好ましくは1分~3日、最も好ましくは5分~1日、特に好ましくは10分~15時間、特により好ましくは15分~10時間、特に20分~10時間、例えば30分~5時間である。
【0043】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの有機体の遺伝測定データは、ユーザインタフェース及び/又はデータインタフェースにより提供されている。
【0044】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、最高ランクの処置パラメータは、農機具のための制御ファイル、好ましくは圃場を処置するように農機具を制御するための制御ファイルとして出力され、好ましくは自動的に出力される。
【0045】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、本発明は、少なくとも2つの処置パラメータのランキングを決定するコンピュータ実施方法であって、処置パラメータが、
a)圃場における処置の少なくとも1つの時間窓、
b)圃場における処置の少なくとも1つの方法、
c)圃場における処置の少なくとも1つの製品、
d)圃場における処置の少なくとも1つの用量率、及び
e)少なくとも1つの方法又は製品と、圃場において少なくとも1つの方法又は製品を適用する時間窓とを含む、圃場における処置の少なくとも1つの処置スケジュール
からなる群から選択され、本方法が、
(ステップ1)(110)圃場に存在していた、又は存在している、又は存在すると予期される少なくとも1つの有機体の遺伝測定データ(40)を提供するステップと、
(ステップ2)(120)少なくとも1つの有機体をターゲットにすることができる少なくとも2つの処置パラメータの処置パラメータデータ(42)を提供するステップと、
(ステップ3)(130)処置パラメータデータ(42)に基づいて、分類階級の第1のレベルにある少なくとも1つの有機体に関連する少なくとも2つの処置パラメータの有効性(「第1のレベルの有効性」)を含む第1のレベルの有効性データ(44)を提供するステップと、
(ステップ4)(140)処置パラメータデータ(42)及び第1のレベルの有効性データ(44)に基づいて、少なくとも2つの処置パラメータのうちの第1位(46)を決定するステップと、
(ステップ5)(150)有効性調整モデル(50)を提供するステップと、
(ステップ6)(160)遺伝測定データ(40)及び処置パラメータデータ(42)に基づいて、有効性調整モデル(50)を介して第1のレベルの有効性データ(44)を修正することにより、分類階級の第1のレベルよりも下位である分類階級の第2のレベルにある少なくとも1つの有機体に関連する少なくとも2つの処置パラメータの有効性(「第2のレベルの有効性」)を含む第2のレベルの有効性データ(52)を得るステップと、
(ステップ7)(170)処置パラメータデータ(42)及び第2のレベルの有効性データ(52)に基づいて、少なくとも2つの処置パラメータのうちの第2位(54)を決定するステップと、
(ステップ8)(180)最高ランクの処置パラメータを、農機具を制御するために使用可能な制御ファイル、好ましくは圃場を処置するように農機具を制御するために使用可能な制御ファイルとして出力するステップと
を含む、コンピュータ実施方法に関する。
【0046】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、少なくとも
(ステップ1)(110)、(ステップ2)(120)、(ステップ3)(130)、(ステップ4)(140)、(ステップ5)(150)、(ステップ6)(160)、及び(ステップ7)(170)
が、リアルタイムモードで、即ち好ましくは1分未満、より好ましくは10~45秒以内、最も好ましくは1~10秒以内、より好ましくは0.5~1秒以内、最も好ましくは100~500ミリ秒以内、特に10~100ミリ秒以内で実行される。
【0047】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、少なくとも
(ステップ1)(110)、(ステップ2)(120)、(ステップ3)(130)、(ステップ4)(140)、(ステップ5)(150)、
(ステップ6)(160)、(ステップ7)(170)、及び(ステップ8)(180)
が、リアルタイムモードで、即ち好ましくは1分未満、より好ましくは10~45秒以内、最も好ましくは1~10秒以内、より好ましくは0.5~1秒以内、最も好ましくは100~500ミリ秒以内、特に10~100ミリ秒以内で実行される。
【0048】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、
(ステップ1)(110)、(ステップ2)(120)、(ステップ3)(130)、(ステップ4)(140)、(ステップ5)(150)、(ステップ6)(160)、及び(ステップ7)(170)
のうちの少なくとも1つ、好ましくは2つ、より好ましくは3つ、最も好ましくは4つ、特に好ましくは5つ、例えばすべてが、分散計算システムに関してクラウド又はクラウドサーバで実行される。
【0049】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、
(ステップ1)(110)、(ステップ2)(120)、(ステップ3)(130)、(ステップ4)(140)、(ステップ5)(150)、
(ステップ6)(160)、(ステップ7)(170)、及び(ステップ8)(180)
のうちの少なくとも1つ、好ましくは2つ、より好ましくは3つ、最も好ましくは4つ、特に好ましくは5つ、例えばすべてが、分散計算システムに関してクラウド又はクラウドサーバで実行される。
【0050】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、好ましくは(ステップ5)(150)及び(ステップ6)(160)が、分散計算システムに関してクラウド又はクラウドサーバで実行される。
【0051】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、本発明はまた、本発明のコンピュータ実施方法を実行するための手段を備えたデータ処理システムに関する。
【0052】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、本発明はまた、プログラムがコンピュータによって実行されると、コンピュータに本発明のコンピュータ実施方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品に関する。
【0053】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、本発明はまた、コンピュータにより実行されると、本発明によるコンピュータ実施方法をコンピュータに実行させる命令を含むコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【0054】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、本発明はまた、農機具を制御するための本発明によるコンピュータ実施方法により決定された最高ランクの処置パラメータの使用に関する。
【0055】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、本発明はまた、圃場を処置するための本発明によるコンピュータ実施方法により決定された最高ランクの処置パラメータの使用に関する。
【0056】
本発明に関して、「処置パラメータ」という用語は、圃場における処置に有用な任意のパラメータであり、
a)圃場における処置の少なくとも1つの時間窓、
b)圃場における処置の少なくとも1つの方法、
c)圃場における処置の少なくとも1つの製品、
d)圃場における処置の少なくとも1つの用量率、及び
e)少なくとも1つの方法又は製品と、圃場において少なくとも1つの方法又は製品を適用する時間窓とを含む、圃場における処置の少なくとも1つの処置スケジュール
からなる群から選択される。
【0057】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、処置パラメータは圃場における処置の時間窓である。
【0058】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、処置パラメータは圃場における処置の方法である。
【0059】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、処置パラメータは圃場における処置の製品である。
【0060】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、処置パラメータは圃場における処置の用量率である。
【0061】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、処置パラメータは、少なくとも1つの方法又は製品と、圃場において少なくとも1つの方法又は製品を適用する時間窓とを含む、圃場における処置の処置スケジュールである。
【0062】
本発明に関して、「処置パラメータデータ」という用語は、処置パラメータに関連する、識別子、プロキシデータなどを含む任意のデータである。
【0063】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、処置パラメータデータは圃場における処置の時間窓に関連する時間窓データである。
【0064】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、処置パラメータデータは圃場における処置の方法に関連する方法データである。
【0065】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、処置パラメータデータは圃場における処置の製品に関連する製品データである。より好ましくは、処置パラメータデータは、
-製品使用データ、
-製品登録データ、
-製品持続可能性データ、
-製品成分又は組成データ、
-製品の物理的、化学的、生物学的特性に関するデータ、
-製品の毒性、危険性、又は安全性に関するデータ、
-製品がターゲットとすることができる有機体に関するデータ、
-製品を適用可能である又は使用するのに適する作物、作物種、作物品種、作物形質、作物遺伝バリアント、作物生長段階に関するデータ
などの製品データである。
【0066】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、処置パラメータデータは圃場における処置の用量率に関連する用量率データである。
【0067】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、処置パラメータは、少なくとも1つの方法又は製品と、圃場において少なくとも1つの方法又は製品を適用する時間窓とを含む、圃場における処置の処置スケジュールに関連する処置スケジュールデータである。
【0068】
本発明に関して、「修正する(modify)」という用語は、「変更する(change)」及び/又は「有効性確認済み(validate)」を意味する。「有効性確認済み」は、データ又はオブジェクトが正しいと確認及び/又は検証され、そのまま変わらないことを意味する。
【0069】
本発明に関して、「ターゲットにする(targeting)」という用語は、
-有機体が有害な有機体である場合、制御する、又は減少させる、又は除去すること、及び
-有機体が有益な有機体又は作物植物の場合、制御する、又は保護する、又は「より安全なエリアに移動する」こと
を意味する。
【0070】
本発明に関して、「有機体」という用語は、限定ではなく、植物、作物植物、雑草類、菌類、ウイルス類、細菌類、昆虫類、クモ類、線虫類、軟体類、鳥類、齧歯類、他の動物、原虫類、原生生物、及び古細菌類を含む、生命特性を有する任意の種類の個々の実体であると理解される。
【0071】
本発明に関して、「有害な有機体」という用語は、農作物植物の生長又は健康に対して悪影響を及ぼす任意の有機体であると理解される。
【0072】
本発明に関して、「有益な有機体」という用語は、農作物植物の生長又は健康に対して悪影響を及ぼさない任意の有機体であると理解される。「有益な有機体」及び「良性有機体」という用語は同義で使用される。
【0073】
本発明に関して、「遺伝情報」という用語は、限定ではなく、DNA配列、RNA配列、DNA及び/又はRNA配列の部位、DNA及び/又はRNAの分子構造、エピジェネティック情報(例えばDNA部位のメチル化)、遺伝子変異についての情報、遺伝子コピー数変動についての情報、遺伝子の過剰発現についての情報、遺伝子の発現レベルについての情報、遺伝子シフトについての情報、野生型と変異体との比率についての情報、異なる変異体間の比率についての情報、変異体と他のバリアント(例えばエピジェネティックバリアント)との間の比率についての情報、異なるバリアント(例えばエピジェネティックバリアント)の比率についての情報、植物病(例えば葉枯病、黄サビ病、ダイズサビ病)又は他の病害のタイプについての情報を含め、有機体の遺伝特性についての任意の種類の情報として理解される。本発明に関して、「遺伝情報」という用語は、特定の野生型、変異体、若しくはバリアント(例えばエピジェネティックバリアント)、若しくはDNA/RNA配列若しくはDNA/RNA配列の部位、又は特定のエピジェネティック情報が存在しないという情報も含む。本発明に関して、「遺伝情報」という用語は、特定の遺伝情報が存在しないという情報も含む(例えば、特定のタイプの葉枯病が存在しないという情報も遺伝情報である)。本発明の好ましい実施形態では、遺伝情報」は以下の情報の少なくとも1つである:DNA配列、RNA配列、DNA及び/又はRNA配列の部位、DNA及び/又はRNAの分子構造、エピジェネティック情報(例えばDNA部位のメチル化)、遺伝子変異についての情報、遺伝子コピー数変動についての情報、遺伝子の過剰発現についての情報、遺伝子の発現レベルについての情報、遺伝子シフトについての情報、野生型と変異体との比率についての情報、異なる変異体間の比率についての情報、変異体と他のバリアント(例えばエピジェネティックバリアント)との間の比率についての情報、異なるバリアント(例えばエピジェネティックバリアント)の比率についての情報、植物病又は他の病害のタイプ(例えば葉枯病、黄サビ病、ダイズサビ病)についての情報。本発明の別の好ましい実施形態では、遺伝情報」は以下の情報の少なくとも1つである:DNA配列、RNA配列、DNA及び/又はRNAの分子構造、DNA及び/又はRNA配列の部位、エピジェネティック情報(例えばDNA部位のメチル化)。本発明の別の好ましい実施形態では、遺伝情報」は以下の情報の少なくとも1つである:DNA配列、RNA配列。本発明の別の好ましい実施形態では、遺伝情報」は以下の情報の少なくとも1つである:遺伝子変異についての情報、遺伝子コピー数変動についての情報、遺伝子の過剰発現についての情報、遺伝子の発現レベルについての情報、遺伝子シフトについての情報、野生型と変異体との比率についての情報、異なる変異体間の比率についての情報、変異体と他のバリアント(例えばエピジェネティックバリアント)との間の比率についての情報、異なるバリアント(例えばエピジェネティックバリアント)の比率についての情報、植物病又は他の病害のタイプ(例えば葉枯病、黄サビ病、ダイズサビ病)についての情報。本発明の別の好ましい実施形態では、遺伝情報」は以下の情報の少なくとも1つである:遺伝子変異についての情報、遺伝子コピー数変動についての情報、遺伝子の過剰発現についての情報、遺伝子の発現レベルについての情報、遺伝子シフトについての情報。本発明の別の好ましい実施形態では、遺伝情報」は以下の情報の少なくとも1つである:野生型と変異体との比率についての情報、異なる変異体間の比率についての情報、変異体と他のバリアント(例えばエピジェネティックバリアント)との間の比率についての情報、異なるバリアント(例えばエピジェネティックバリアント)の比率についての情報。
【0074】
本発明の別の好ましい実施形態では、遺伝情報は、特定の作物保護製品に対する有機体の抵抗性についての情報である。
【0075】
本発明に関して、「処置」という用語は、圃場で可能な任意の種類の処置として理解され、限定ではなく、播種、施肥、作物保護、生育制御、収穫、有機体-特に作物植物-の追加又は除去、並びに土壌処置、土壌養分管理、土壌窒素管理、耕運、耕作、灌漑を含む。本発明の好ましい実施形態では、処置は、以下の活動の1つである:播種、施肥、作物保護、生長制御、収穫、有機体-特に作物植物-の追加又は除去、並びに土壌処置、土壌養分管理、土壌窒素管理、耕運、耕作、灌漑。本発明の別の好ましい実施形態では、処置は播種である。本発明の別の好ましい実施形態では、処置は施肥である。本発明の別の好ましい実施形態では、処置は作物保護である。本発明の別の好ましい実施形態では、処置は生長制御である。本発明の別の好ましい実施形態では、処置は収穫である。本発明の別の好ましい実施形態では、処置は有機体-特に作物植物-の追加又は除去である。
【0076】
本発明に関して、「圃場」という用語は、有機体、特に作物植物が生産、生長、播種、生産が計画、生長が計画、及び/又は播種が計画されている任意のエリアとして理解される。「圃場」という用語はまた、園芸フィールド、林業フィールド、及び水生生物の生産且つ/又は生長のためのフィールドも含む。
【0077】
本発明に関して、「有効性」という用語は、ターゲットとする有機体(雑草、菌類、害虫など)の減少又は除去のレベル又は程度として理解される。100%の有効性とは、例えば、特定の処置パラメータを使用して、ターゲットとする有機体の約100%を除去し得ることを意味する。50%の有効性とは、例えば、特定の処置パラメータを使用して、ターゲットとする有機体の約50%を除去し得ることを意味する。0%の有効性とは、例えば、特定の処置パラメータを使用して、ターゲットとする有機体の約0%を除去し得ることを意味する。
【0078】
本発明に関して、「分類階級」という用語は、分類学上の階層における有機体群の相対的なレベルを意味すると理解される。動物の分類階級は、例えば、界、門、綱、目、科、属、種、亜種である。植物の分類階級は、例えば、界、門、綱、目、科、属、種、亜種、変種である。分類階級の第1のレベルが例えば属である場合、分類階級の第1のレベルよりも下位である分類階級の第2のレベルは、例えば、種、亜種、又は変種である。分類階級の第1のレベルが例えば種である場合、分類階級の第1のレベルよりも下位である分類階級の第2のレベルは、例えば、亜種、又は変種である。分類階級の第1のレベルが例えば亜種である場合、分類階級の第1のレベルよりも下位である分類階級の第2のレベルは、例えば、変種である。
【0079】
本発明に関して、「処置の方法」は、限定ではなく、
-機械的方法-例えば、例えば草を刈るロボットなどの機械による雑草の機械的除去、
-物理的方法-例えば、レーザなどの光学系による光(optical light)による雑草除去、
-化学的方法-例えば、除草剤を噴霧することによる雑草除去又は例えば、化学的誘引剤を使用して圃場外の別のエリアに有益な昆虫類を誘引する、
-生物学的方法-例えば、バイオ除草剤として使用される微生物を適用することによる雑草除去又は例えば、他の有機体(有益な昆虫類にとって食べ物として機能する)を圃場外の別のエリアに配置することにより、この別のエリアに有益な昆虫類を誘引する
を含む。
【0080】
本発明に関して、「製品」という用語は、処置に有用な任意の物体又は材料として理解される。本発明に関して、「製品」という用語は、限定ではなく、
-化学製品、例えば防カビ剤、除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、軟体動物駆除剤、殺線虫剤、殺鳥剤、殺魚剤、殺鼠剤、忌避剤、殺菌剤、殺生物剤、毒性緩和剤、植物生長調節剤、ウレアーゼ阻害剤、硝酸化成抑制剤、脱窒阻害剤、又はそれらの任意の組合せ、
-生物学的製品、例えば防カビ剤(バイオ防カビ剤)、除草剤(バイオ除草剤)、殺虫剤(バイオ殺虫剤)、殺ダニ剤(バイオ殺ダニ剤)、軟体動物駆除剤(バイオ軟体動物駆除剤)、殺線虫剤(バイオ殺線虫剤)、殺鳥剤、殺魚剤、殺鼠剤、忌避剤、殺菌剤、殺生物剤、毒性緩和剤、植物生育調節剤、ウレアーゼ阻害剤、硝酸化成抑制剤、脱窒阻害剤、又はそれらの任意の組合せとして有用な微生物、
-肥料及び栄養物、
-種子及び苗木、
-水、
-更なる非化学製品、例えば、雑草又は菌類又は昆虫の除去機械、ロボット、又はドローンを含む機械的/物理的/光学的な雑草又は菌類又は昆虫の除去機器、及び
-それらの任意の組合せ
を含む。
【0081】
本発明に関して、「製品」という用語はまた、異なる製品の組合せを含む。
【0082】
本発明の好ましい実施形態では、製品は、防カビ剤、除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、軟体動物駆除剤、殺線虫剤、殺鳥剤、殺魚剤、殺鼠剤、忌避剤、殺菌剤、殺生物剤、毒性緩和剤、植物生長調節剤、ウレアーゼ阻害剤、硝酸化成抑制剤、脱窒阻害剤、又はそれらの任意の組合せから選択される少なくとも1つの化学製品である。
【0083】
本発明の別の好ましい実施形態では、製品は、防カビ剤、除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、軟体動物駆除剤、殺線虫剤、殺鳥剤、殺魚剤、殺鼠剤、忌避剤、殺菌剤、殺生物剤、毒性緩和剤、植物生長調節剤、ウレアーゼ阻害剤、硝酸化成抑制剤、脱窒阻害剤、又はそれらの任意の組合せとして有用な微生物から選択される少なくとも1つの生物学的製品である。
【0084】
本発明の別の好ましい実施形態では、製品は肥料及び/又は栄養物である。
【0085】
本発明の別の好ましい実施形態では、製品は種子及び/又は苗木である。
【0086】
本発明に関して、「用量率」という用語は、例えば1ヘクタール当たりのリットル数(L/ha)として表される、単位面積当たりで適用される製品量として理解される。
【0087】
本発明に関して、処置の時間窓は、好ましくは10日~1時間、より好ましくは7日~3時間、最も好ましくは5日~5時間、特に好ましくは3日~8時間、特により好ましくは2日~12時間、特に36時間~16時間、例えば28時間~20時間に及ぶことができる。
【0088】
本発明の好ましい実施形態では、「圃場に存在することが予期される有機体」は、この圃場、若しくはその周囲、若しくはその地域、若しくはその国でそのような有機体に関連する対応する予測若しくは予見-植物病、昆虫害虫、若しくは雑草類の存在についての予測など-に従って、この圃場、若しくはその周囲、若しくはその地域、若しくはその国でそのような有機体に関連する対応する過去の経験に従って、又は農作物植物の生長に関連する対応する過去の経験に従って、圃場に存在すると予期される有機体である。そのような有機体に関連する予測又は予見は、対応するコンピュータモデルに基づくことができる。
【0089】
本発明の好ましい実施形態では、有効性調整モデルは過去のデータセットに従ってパラメータ化されたデータ駆動型モデルである。
【0090】
本発明の好ましい実施形態では、有効性調整モデルは、決定木、コンピュータ実施ニューラルネットワーク若しくは人工ニューラルネットワーク、又はそれらの任意の組合せなどの機械学習モデルである。機械学習モデルを訓練するために、訓練データは、訓練用に1つとテスト用1つとの2つの部分に分割される(例えば、データの90%を訓練用とし、10%をテスト用とする)。機械学習モデルを訓練及びテストする場合、平均絶対誤差が評価指標として使用され得る。
【0091】
本発明の好ましい実施形態では、有効性調整モデルは、パラメータ間の特定の関数及び/又は依存関係がユーザによって提供されるプロセスモデルである。これらの関数及び/又は依存関係は、単純な関数であってもよいし、過去の観測に基づいてもよい。
【0092】
本発明のこれら及び他の態様は、以下の説明において例として説明される実施形態を参照し、添付の図面を参照することにより明らかになり、更に解明されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【
図1】圃場での処置を制御又は監視するのに適した分散計算システムの一例を示す。
【
図2】圃場に製品を適用するための農業処置デバイスの一例を示す。
【
図3】少なくとも2つの処置パラメータのランキングを決定する1つの例示的な方法のフロー図を示す。
【
図4】出力を農機具のための制御ファイルとした、少なくとも2つの処置パラメータのランキングを決定する1つの例示的な方法のフロー図を示す。
【
図5】有効性調整モデルの動作を示す1つの例示的な方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0094】
図面は純粋に図式的なものであり、原寸に比例して描かれていないことに留意されたい。図面では、既に説明した要素に対応する要素には同じ参照数字が付されている場合がある。例、実施形態、又は任意選択の特徴は、非限定的であるとして示されているか否かにかかわらず、特許請求の範囲に記載された本発明を限定するものとして理解されるものではない。
【0095】
図面の詳細な説明
図1は、農業処置デバイス20を使用して圃場での処置を制御又は監視する分散計算システム10の一例を示す。
【0096】
分散システム10は、作物を耕作する圃場11の処置のために構成される。圃場11は、ジオリファレンスされた場所における任意の植物又は作物耕作エリアであり得る。書き込みにより
図1に示されるように、圃場11は任意選択的に、ゾーン固有又は場所固有の特殊性を示す2つ以上のサブエリアに分割され得る。システム10は、リモート計算リソース12、14、16、18、20を有する分散計算システムを含み得る。システム10は、1つ若しくは複数の作物保護処置デバイス20又は1つ若しくは複数の収穫デバイスなどの圃場を処置するように構成されたスマート機械10と、作物保護処置を制御又は監視するように構成された準備システム14と、出力データをユーザに表示する、又はユーザからの入力データを収集するように構成されたクライアントデバイス16と、データパケットを送信又は受信するように構成されたデータ配信システム18(例えば、クラウド)と、収穫された農業製品の処理を監視するように構成された1つ又は複数の生産管理システム20とを含み得る。圃場11は、除草剤、防カビ剤、殺虫剤、又は殺線虫剤などの作物保護製品の使用によって処置され得る。
【0097】
より統合的な制御又は監視のために、システム10は、処置制御データを生成する準備システム14を含む。処置制御データは機械可読フォーマットのデータセットであり得、データセットは、
-圃場11の場所及び/又は作物タイプ若しくは作物生長段階などの作物データを含む圃場属性を示す少なくとも1つの圃場識別子と、
-除草剤、防カビ剤、殺虫剤、又は殺線虫剤などの圃場11で適用される処置製品を示す少なくとも1つの処置製品識別子と、
-圃場11に適用される処置製品の量を示す少なくとも1つの処置動作パラメータと、
-圃場で処置を行う時間を示す少なくとも1つの処置時間又は時間窓と
を含む。
【0098】
処置制御データは、処置前又は処置中、作物保護処置デバイス20に提供され得る。処置デバイス20は、処置動作パラメータ及び処置時間又は時間範囲に基づいて、除草剤、防カビ剤、殺虫剤、又は殺線虫剤などの処置製品の圃場11への適用を制御し得る。処置制御データは、データ点を圃場11の場所又はサブエリアに関連付けることにより、1つ又は複数のデータ点に空間的に分解され得る。処置制御データは、圃場11に適用される処置製品又は製品混合物に関連付けられた1つの処置製品識別子を含み得る。処置制御データは、圃場11の異なる場所に異なる処置製品又は製品混合物が適用される状態で空間的に分解された処置製品マップを示す2つ以上の処置製品識別子を含み得る。処置制御データは、圃場11に適用される処置製品の量又は用量と関連付けられた1つの処置動作パラメータを含み得る。処置制御データは、圃場11の異なる場所に異なる量の処置製品が適用される状態で空間的に分解された処置マップを示す2つ以上の処置動作パラメータを含み得る。処置制御データは、圃場11で処置を行う時間に関連付けられた1つの処置時間又は時間範囲を含み得る。処置制御データは、異なる場所において圃場11を処置するための異なる処置時間又は時間範囲を有する空間的に分解されたタイミングマップを示す2つ以上の処置時間又は時間窓を含み得る。
【0099】
準備システム14は、有効性調整モデルを格納するように構成されたデータベースを備え得る。格納された有効性調整モデルは、第2のレベルの有効性データを生成し、圃場11で栽培された植物を処置するための製品などの処置パラメータのランキングを決定するために使用され得る。準備システム14は、圃場11での処置中又は処置前のいずれかで行われた遺伝解析からの遺伝測定データを受信するように構成されたインタフェースを備え得る。準備システム14は、例えば、製品データなどの処置パラメータデータ及び第1のレベルの有効性データを受信するように構成されたインタフェースを備え得る。準備システム14は、(最高ランクの処置パラメータに関連する)少なくとも1つの処置制御データを処置デバイス20、クライアントデバイス16、データ配信システム18、又は処理システム21に送信するように構成されたインタフェースを備え得る。同様のインタフェースが、各データパッケージを送信又は受信するために、処置デバイス20、クライアントデバイス16、データ配信システム18、又は処理システム21に備えられ得る。特に、データが任意の処置デバイス20によって監視、収集、且つ/又は記録される場合、そのようなデータは、分散計算システム10の計算システム14、16、18、20のうちの1つ若しくは複数に又はすべての計算システム14、16、18、20に配信され得る。
【0100】
図2は、作物保護製品(除草剤、防カビ剤、殺虫剤、又は殺線虫剤など)を圃場に適用するための作物保護処置デバイス20の一例を示す。なお、
図2は、主要構成要素を示す単なる概略図である。農業処置デバイス20は、図示の構成要素よりも多数、少数、又は異なる構成要素を備え得る。
【0101】
農業処置デバイス20は、(
図1に示すような)機械10の一部であってもよく、圃場11又はその1つ若しくは複数のサブエリアに作物保護製品を適用するように構成され得る。放出要素28は、作物保護製品を圃場11に適用するように構成され得る。少なくとも幾つかの実施形態では、農業処置デバイス20はブームを備え得、ブームは、ブームに沿って配置された複数の放出要素28を有する。放出要素28は、ブームに沿って一定間隔又は不規則な間隔で固定又は移動可能に取り付けされ得る。各放出要素28は、1つ又は複数の好ましくは別個に制御可能な弁38と一緒に配置されて、圃場11への処置製品放出を調節し得る。
【0102】
1つ又は複数のタンク23、24、25が、筐体22に配置され得、1つ又は複数の作物保護製品(除草剤、防カビ剤、殺虫剤、又は殺線虫剤など)を分配する1つ又は複数の接続部28を通して放出要素28と連通し得る。各タンク23、24、25は、タンク23、24、25から接続部26への放出を調節する制御可能弁を更に備え得る。
【0103】
タンク弁及び/又は放出要素28は、制御システム32に通信可能に結合され得る。
図2に示す実施形態では、制御システム32は、主筐体22に配置され、各構成要素に有線接続される。別の実施形態では、タンク弁又は放出要素28の弁は、制御システム32に無線接続され得る。更に別の実施形態では、2つ以上の制御システム32が筐体22に分散され、タンク弁又は放出要素28の弁に通信可能に結合され得る。
【0104】
制御システム32は、処置制御データに基づいてタンク弁又は放出要素28の弁を制御するように構成され得る。処置制御データは、農業処置デバイス20が処置中に制御される基となる制御ファイル又は制御プロトコルであり得る。制御システム32は、命令を有する複数の電子モジュールを備え得、命令は、実行されると、特にタンク放出又は放出要素28を制御することによって処置を制御する。例えば、1つのモジュールは、圃場11での適用中、データ、例えば場所データを収集するように構成され得る。更なるモジュールは、処置制御データと共に制御ファイルを受信するように構成され得る。更なるモジュールは、場所データ及び制御ファイルから制御信号を導出するように構成され得る。また更なるモジュール(複数可)は、そのような導出された制御信号に基づいてタンク23、24、25の放出及び/又は放出要素28を制御するように構成され得る。また更なるモジュール(複数可)は、圃場11での処置実行中、適用マップ(as-applied map)などの処置デバイス20の制御データ及び/又は監視データを格納するように構成され得る。また更なるモジュール(複数可)は、圃場11での処置実行中に収集された適用マップなどの処置デバイス20の制御データ及び/又は監視データを、例えば
図1のクライアントデバイス16、データ配信システム18、又は処理システム21に提供するように構成され得る。
【0105】
図3は、少なくとも2つの処置パラメータのランキングを決定する1つの例示的な方法のフロー図を示す。
【0106】
(ステップ1)(110)において、W1の特定の変異体M1の存在を示す、雑草種W1の遺伝測定データ(40)が提供される。(ステップ2)(120)において、W1をターゲットとすることができる2つの除草剤、即ち除草剤H1及び除草剤H2の製品データ(42)が提供される。(ステップ3)(130)において、製品データ(42)に基づいて、種レベルでのW1に関連する除草剤H1及びH2の有効性(「第1のレベルの有効性」)を含む第1のレベルの有効性データ(44)が提供される。(ステップ4)(140)において、製品データ(42)及び第1のレベルの有効性データ(44)に基づいて、2つの除草剤H1及びH2のうちの第1位(46)が決定され、例えば、H1が99%の第1のレベルの有効性を有し、H2が90%の第1のレベルの有効性を有するため、H1はH2より上位にランク付けされる。(ステップ5)(150)において、有効性調整モデルが提供される。(ステップ6)(160)において、第1のレベルの有効性データ(44)が、遺伝測定データ(40)及び製品データ(42)に基づいて、有効性調整モデル(50)を介して修正され、変異体M1のレベルのW1に関連する2つの除草剤の有効性(「第2のレベルの有効性」)を含む第2のレベルの有効性データ(52)を得る(例えば、H1に対する変異体M1の作用点抵抗性に起因して、H1の第1のレベルの有効性は99%から0%に低下しており、変異体M1にはH2に対する作用点及び非作用点抵抗性がないため、H2の第2のレベルの有効性は90%のままで変わらない)。(ステップ7)(170)において、処置パラメータデータ(42)と、H1については0%であり、H2については90%である第2のレベルの有効性データ(52)とに基づいて、2つの除草剤のうちの第2位(54)が決定され、その結果、H2がH1よりも上位にランク付けされるようになっている。
【0107】
例えば、雑草種W1はオオホナガアオゲイトウ(Amaranthus palmeri)であり、変異体M1はアミノ酸Pro106上の変異である。
【0108】
図4は、出力を農機具のための制御ファイルとした、少なくとも2つの処置パラメータのランキングを決定する1つの例示的な方法のフロー図を示す。
【0109】
ステップ(ステップ1)(110)から(ステップ7)(170)までは、
図3について上述したのと同じである。加えて、最終ステップ(ステップ8)(180)において、H2(変異体M1に関し、H1の第2のレベルの有効性が0%であるのに対し、第2のレベルの有効性が90%)である最高ランクの処置パラメータが、農機具、例えば噴霧器を制御するための制御ファイルとして自動的に出力される。
【0110】
図5は、有効性調整モデルの動作を示す1つの例示的な方法のフロー図を示す。(ステップ6a)(162)において、遺伝測定データ(40)及び処置パラメータデータ(42)に基づいて、有効性調整モデル(50)を介して少なくとも1つの有機体の遺伝特異反応のタイプ(56)が、
a)タイプ1の反応(58):作用点抵抗性(TSR)、
b)タイプ2の反応(60):非作用点抵抗性(NTSR)、
c)タイプ3の反応(62):関連する遺伝特異反応なし
のうちの1つに割り当てられる。
【0111】
(ステップ6b)(164)において、以下の動作が実施される。
-(64):タイプ1の反応(58)の場合、第1のレベルの有効性データ(44)が、第1のレベルの有効性(「E」と略す)がゼロに設定されるように有効性調整モデル(50)を介して修正され、
-(66):タイプ2の反応(60)の場合、第1のレベルの有効性データ(44)が、第1のレベルの有効性(「E」と略す)が低下するがゼロに設定されないように有効性調整モデル(50)を介して修正され、
-(68):タイプ3の反応(62)の場合、第1のレベルの有効性データ(44)が、これらのデータ(「E」と略す)が有効性確認済みであるように、及び/又はそのまま変わらないように有効性調整モデル(50)を介して修正される。
【実施例】
【0112】
実施例:
本発明の一例では、まず(ステップ1)において、雑草であるオヒシバ(Eleusine indica)(圃場に存在する雑草)の遺伝測定データ(40)が提供されている。次いで、(ステップ2)において、2つの特定の除草剤、即ち、グリホサート単独である第1の除草剤製品(Her1)、及びグリホサートとクレトジムとの3:2混合物である第2の除草剤製品(Her2)に関する除草剤データ(42)が提供される。(ステップ3)及び(ステップ4)において、対応する除草剤データ(42)に基づいて、(Her1)及び(Her2)の第1のレベルの有効性が提供され、この段階では(Her1)は(Her2)よりも上位にランク付けされている。(ステップ5)において、有効性調整モデル(50)が提供される。(ステップ6)において、この圃場における雑草であるオヒシバ(Eleusine indica)の特定のグリホサート抵抗性変異の存在を示す遺伝測定データ(40)に基づいて、且つ除草剤データ(42)に基づいて、有効性調整モデル(50)を介して第1のレベルの有効性データ(44)が修正されて、このグリホサート抵抗性変異に関連する2つの除草剤製品(Her1)及び(Her2)の有効性を含む第2のレベルの有効性データ(52)を得る。(ステップ7)において、除草剤データ(42)及び第2のレベルの有効性データ(52)に基づいて、2つの除草剤製品(Her1)及び(Her2)のうちの第2位(54)がここで決定され、(Her2)が(Her1)よりも上位にランク付けされるようになっている。(ステップ8)において、最高ランクの除草剤製品(Her2)が、農機具をコントロールするために使用可能な制御ファイルとして出力される。
【国際調査報告】