(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-07
(54)【発明の名称】熱湿交換デバイス、素子及びアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61M 16/04 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
A61M16/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572807
(86)(22)【出願日】2022-04-13
(85)【翻訳文提出日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 GB2022000048
(87)【国際公開番号】W WO2022248820
(87)【国際公開日】2022-12-01
(32)【優先日】2021-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509342843
【氏名又は名称】スミスズ メディカル インターナショナル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン マーク タッパー
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー ベイトマン
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー トーマス ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ジョン ウーズナム
(57)【要約】
気管チューブ1用のHMEデバイス2は、外側ハウジング21を有する。外側ハウジング21は、その患者側端部に、環状リセス40によってハウジングから離間されたHME素子20を有する。HME素子20は、クリップ嵌合29及び30によって、外側ハウジング21に保持される。ハウジング21の内面26は、チューブ1の上のコネクタ13の外側の上に嵌合するようテーパ状である。その結果、コネクタがリセス40内に延びる。HME素子20は、コネクタ13の内部に延び、外側ハウジング21とのクリップ嵌合を解除することによって、チューブ1から取り外すことができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側ハウジング(21)及び前記ハウジングに取り付けられた少なくとも1つのHME素子(20)を含むHMEデバイス(2)であって、前記HMEデバイス(2)は、呼吸デバイス(1)の上の協働コネクタ(13)と嵌合するように配置されるHMEデバイス(2)において、前記HMEデバイス(2)は、前記HME素子(20)の長さの大部分が前記呼吸デバイス(1)の上の前記協働コネクタ(13)内に延びるように配置されることを特徴とする、HMEデバイス(2)。
【請求項2】
請求項1に記載のHMEデバイスにおいて、前記HMEデバイス(2)の前記外側ハウジング(21)は、前記協働コネクタ(13)の外側の上に嵌合するように適合されたテーパ状の内面(26)を有することを特徴とする、HMEデバイス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のHMEデバイスにおいて、前記HME素子(20)の外側は、前記デバイス(2)の患者側端部に環状リセス(40)を画定するように、少なくともその患者側端部に沿って前記外側ハウジング(21)の内面から離間され、前記HME素子(20)の少なくとも患者側端部が前記協働コネクタ(13)内に位置するように、前記協働コネクタ(13)の少なくとも機械側端部を前記環状リセス(40)内に受容できることを特徴とする、HMEデバイス。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載のHMEデバイスにおいて、前記HMEデバイスがコネクタ(13)の上に嵌合されているときに、前記HME素子(20)は、前記外側ハウジング(21)の機械側端部から、前記HMEデバイス(2)の前記外側ハウジング(21)から取り外し可能であることを特徴とする、HMEデバイス。
【請求項5】
請求項4に記載のHMEデバイスにおいて、前記HME素子(20)は、クリップ嵌合(29、30)によって、前記外側ハウジング(21)に保持され、前記クリップ嵌合は、前記ハウジング(21)に対して前記素子(20)をねじる必要なしに、前記外側ハウジング(21)から引き離すことによって前記外側ハウジングから解放可能であることを特徴とする、HMEデバイス。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載のHMEデバイスにおいて、前記HMEデバイス(2)は、前記HMEデバイス及び内部カニューレを単一ユニットとして取り外して交換できるように、前記内部カニューレの機械側端部に結合されることを特徴とする、HMEデバイス。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載のHMEデバイス(2)用の、HME素子(20)。
【請求項8】
患者の呼吸デバイス(1)と、請求項1~6の何れか一項に記載のHMEデバイス(2)と、のアセンブリにおいて、前記患者の呼吸デバイス(1)がその機械側端部に雄型コネクタ(13)を有し、前記HMEデバイス(2)の前記外側ハウジング(21)が前記コネクタ(13)の外側に嵌合され、前記HME素子(20)の少なくとも一部が前記コネクタ(13)内に延びることを特徴とする、アセンブリ。
【請求項9】
請求項8に記載のアセンブリであって、前記患者の呼吸デバイスが気管切開チューブ(1)である、アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外側ハウジング及びハウジングに取り付けられた少なくとも1つのHME素子を含む種類のHMEデバイスに関する。このHMEデバイスは、呼吸デバイスの上の協働コネクタと嵌合するように配置される。
【背景技術】
【0002】
患者が気管内に挿入されるチューブ、例えば気管切開チューブ又は気管内チューブ経由で呼吸する場合、気管支へのガスフローは鼻を経由する通路によって暖められること、また湿らされることがない。ガスが何らかの方法で暖められ、また湿らされない限り、患者の咽喉に対してダメージ及び不快感を与えるおそれがある。ガスは換気回路における加湿器によって調整することができる。しかしながら、最も都合がよいのは、熱湿交換デバイス(HME:heat and moisture exchange device)を使用することである。HMEは、1つ又は複数のHME交換素子を含む小型軽量デバイスである。患者が呼息するとき、ガスは交換素子経由で通過し、また熱及び湿気の大部分を交換素子に与える。患者が吸息するとき、ガスは交換素子経由で反対方向に通過し、また交換素子における熱及び湿気の大部分を取り込む。したがって、患者によって吸息されたガスは暖められ、また湿気を帯びる。これらHMEは低コストであり、また一回の使用後に廃棄することができる。これらHMEは、呼吸回路に接続すること、又は患者が自発呼吸している場合には単に気管チューブの機械側端部に接続し、かつ大気に開放したままにすることができる。HMEは、フェイスマスクのような他の呼吸デバイスとともに使用することができる。
【0003】
HMEは、Thermovent(Thermoventはスミスズ・メディカル・インターナショナル社の登録商標)の商品名の下で英国ケント州アシュフォードのスミスズ・メディカル・インターナショナル社によって、Trach Vent(Trach VentはハドソンRCI AB社の登録商標)の商品名の下でハドソンRCI AB社によって、DAR社、メディサイズ(Medisize)社、インターサージカル(Intersurgical)社及び他の製造業者によって販売されている。HMEの例は、特許文献1~23(英国特許第2391816号、国際公開第01/72365号、米国特許第5505768号、スウェーデン国特許第516666号、米国特許第3881482号、独国特許第20302580号、独国実用新案第20114355号、国際公開第97/01366号、米国特許出願公開第2002/0157667号、米国特許第6422235号、欧州特許第1208866号、米国特許第4971054号、欧州特許第1699515号、米国特許第5035236号、欧州特許第535016号、米国特許第5647344号、英国特許第2267840号明細書、欧州特許第856327号、欧州特許第1699515号、米国特許第7363925号、国際公開第15/107320号、米国特許出願公開第2008/0099013号及び英国特許第2540456号)に記載されている。
【0004】
従来のHMEは、気管切開チューブ等の機械側端部で通常の雄型の15mmコネクタの外側に嵌合する雌型接続ポートを有する。HMEは、HME素子を収容し、一端に雌型接続ポートを、他端に雄型接続ポートを有する円筒形の外側ハウジングを備える軸方向の構成を有することができて、呼吸回路に接続されてもよく、又は患者が自力で呼吸している場合には開放状態のままであってもよい。従って、HMEのハウジングは、気管切開チューブの機械側端部を越えて外側に、かつ一般的には軸方向に突出する。
【0005】
スミスズ・メディカル社によって販売されている「Thermovent T」は、デバイスを気管切開チューブ等の上に嵌合させる接続ポートから横方向に延びる直線的な管状ハウジングの両側端部に備え付けられた2つのHME素子を有する、異なるT字状の形態を有する。HME素子の管状ハウジングは、特許文献24(欧州特許第1888157号)に記載のように、首の身体構造上の輪郭に追従して湾曲する場合があり得る。
【0006】
軸方向の構成及びT字状の構成の両方のHMEは、気管切開チューブ又は他の呼吸デバイスの外側に突出するHMEハウジングの一部に含まれるHME素子又は素子を有する。患者が自発呼吸をしており、呼吸回路と接続されていない場合、HMEは、ストーマからの突出部の距離を増大させるため、より目立つようになり、衣服又は寝具類により引っ掛かりやすくなって、気管切開チューブの位置ずれが発生し、患者へ不快感を与える。従来のHMEは、また、患者との間のガス流路に追加のデッドスペースを導入するという欠点を有する。HMEカップリングと呼吸デバイス上の機械側端部コネクタとの間のテーパ状のスリップフィットは、HMEをコネクタに対してねじる必要があることを意味する。これによって、HMEを取り外して交換するときに、必然的に気管チューブ自体のねじれ動作がある程度発生する。これが、患者に不快感を与える可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】英国特許第2391816号
【特許文献2】国際公開第01/72365号
【特許文献3】米国特許第5505768号
【特許文献4】スウェーデン国特許第516666号
【特許文献5】米国特許第3881482号
【特許文献6】独国特許第20302580号
【特許文献7】独国実用新案第20114355号
【特許文献8】国際公開第97/01366号
【特許文献9】米国特許出願公開第2002/0157667号
【特許文献10】米国特許第6422235号
【特許文献11】欧州特許第1208866号
【特許文献12】米国特許第4971054号
【特許文献13】欧州特許第1699515号
【特許文献14】米国特許第5035236号
【特許文献15】欧州特許第535016号
【特許文献16】米国特許第5647344号
【特許文献17】英国特許第2267840号
【特許文献18】欧州特許第856327号
【特許文献19】欧州特許第1699515号
【特許文献20】米国特許第7363925号
【特許文献21】国際公開第15/107320号
【特許文献22】米国特許出願公開第2008/0099013号
【特許文献23】英国特許第2540456号
【特許文献24】欧州特許第1888157号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、従来に代わる、HMEデバイス、HME素子、及び呼吸デバイスとHMEデバイスとのアセンブリを、提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、上記の種類のHMEデバイスが提供される。このHMEデバイスは、HME素子の長さの大部分が呼吸デバイスの上の協働コネクタ内に延びるように配置されることを特徴とする。
【0010】
HMEデバイスの外側ハウジングは、好適には、協働コネクタの外側の上に嵌合するように適合されたテーパ状の内面を有する。HME素子の外側は、好適には、デバイスの患者側端部に環状リセスを画定するように、少なくともその患者側端部に沿って外側ハウジングの内面から離間される。HME素子の少なくとも患者側端部が協働コネクタ内に位置するように、協働コネクタの少なくとも機械側端部を環状リセス内に受容することができる。HMEデバイスがコネクタの上に嵌合されているときに、HME素子は、外側ハウジングの機械側端部から、HMEデバイスの外側ハウジングから取り外し可能である。HME素子は、クリップ嵌合(clip fitting)によって、外側ハウジングに保持することができる。クリップ嵌合は、ハウジングに対して素子をねじる必要なしに、外側ハウジングから引き離すことによって外側ハウジングから解放可能である。HMEデバイスは、HMEデバイス及び内部カニューレを単一ユニットとして取り外して交換できるように、内部カニューレの機械側端部に結合することができる。
【0011】
本発明の別の態様によれば、本発明の上記の一態様によるHMEデバイス用のHME素子が提供される。
【0012】
本発明の更なる態様によれば、患者の呼吸デバイスと、本発明の上記の一態様によるHMEデバイスと、のアセンブリが提供される。これは、患者の呼吸デバイスがその機械側端部に雄型コネクタを有し、HMEデバイスの外側ハウジングがコネクタの外側に嵌合され、HME素子の少なくとも一部がコネクタ内に延びることを特徴とする。
【0013】
次に、すべて本発明による、HMEデバイス、HME素子、及び気管切開チューブの上のHMEデバイスのアセンブリについて、添付の図面を参照して例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】機械側端部にHMEデバイスを嵌合した気管切開チューブのアセンブリの斜視図である。
【
図2】
図1のアセンブリの機械側端部の、拡大した断面側面図である。
【
図3】HME素子をHMEデバイスの外側ハウジングから取り外した状態の、アセンブリの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、
図1及び
図3を参照すると、気管切開チューブ1のアセンブリが示される。アセンブリは、その後方の、機械側端部10の上に嵌合されたHMEデバイス2を有する。気管切開チューブ1は、その前方の、患者側端部12に開口する湾曲するシャフト11を有する従来型とすることができる。シャフト11の後方の、機械側端部10は、従来の15mmのテーパ状の雄型コネクタ13及び径方向に延びるネックフランジ14と結合されている。
【0016】
HMEデバイス2は、従来のHMEと以下の点で異なる。すなわち、HMEデバイス2は、そのHME素子20の長さの大部分が気管切開チューブコネクタ13の長さ内に含まれるように配置される。特に、HME2は、外側ハウジング21と、HME素子23及び端部キャップ24から形成された取り外し可能なHMEフィッティング22と、を備える。外側ハウジング21は、円形部分を有する管状又は円筒状の形状を有し、硬質プラスチックで成形されている。ハウジング21は、内部で、その患者側端部の大径までに、徐々に先細りになるテーパ状の内面26を有し、気管切開チューブ1の上の雄型コネクタ13の外側の上に、テーパ状のスリップフィットを作るように構成されている。ハウジング21は、その後方の、機械側端部27に向かって、短い軸方向に突出するスリーブ29によってハウジングの機械側端部から離間されて径方向に突出するローレットフランジ28を有する。スリーブ29の外面には、いくつかの径方向に突出するピップ又は突起30がスリーブの周囲に離間して設けられて、クリップ嵌合の部分として機能するように、成形されている。端部キャップ24は、キャップの直径の大部分を占める円形開口31を有する。キャップ24は、スリーブ29の外径と等しい内径を有する前方突出カラー32を有する。また、カラー32の内面は、その周囲に環状溝33を有する。その幅及び深さは、スリーブ29の上のピップ30を受容するために十分である。溝33内のピップ30の係合は、ハウジング21の上にキャップ24を保持するために十分である。
【0017】
端部キャップ24は、HME素子23の機械側端部にしっかりと接合される。HME素子23は、円形断面を有し、一般に円筒形である。HME素子23は、外側に拡がる機械側端部部分35を備える拡大された機械側端部部分34と、素子23の長さの大部分のために延在する一定の円形部分である中央部分36と、を有する。短い前方の、患者側端部部分37は、直径が低減され、テーパ状領域38によって中央部分36と接続する。素子23は、外側ハウジング21よりも長い。そのため患者側端部部分37は、外側ハウジングの患者側端部を越えて突出する。拡大された機械側端部部分34は、外側ハウジング21の機械側端部の内側に密着して密閉嵌合される。機械側端部部分34の前方のHME素子23の部分は、環状リセス40によって、外側ハウジング21の内側から、その長さに沿って離間される。環状リセス40の寸法及び形状は、気管切開チューブ1の上のコネクタ13の長さの大部分を受容するように選択される。このように、HME素子23の外側表面は、コネクタ13の前方の、患者側端部内において密着する密閉嵌合である。コネクタ13は、その後方の、機械側端部に向かって、内部でわずかに拡大され、素子23の外側に密閉して接触するように適合された内部シールリング41を備えて形成される。
【0018】
HME素子23は、吸湿性塩で処理された段ボール紙のコイル状のストリップ、又は吸湿性物質で被覆された発泡プラスチックなどの、任意の従来の種類のものであってよい。HME素子23は、拡大された機械側端部部分34などの、フィルタを含むことができる。HME素子23は、素子の外側とコネクタ13の内側との間のシールを強化するために、柔軟なプラスチック材料でその曲面の周りで被服されてもよい。
【0019】
図1及び
図2に示す態様で、気管切開チューブ1の上に嵌合されたHMEデバイス2において、HME素子23は、コネクタ13の内部の実質的に全長を占める。患者が吸息するとき、空気は、HME素子23を通って、HMEデバイス2及びコネクタ13を通って、気管切開チューブ1の内腔に吸入される。呼息されたガスは逆方向に逆流し、その熱及び湿気の大部分をHME素子23に与え、これが次の吸気に移行するようにする。
【0020】
HME素子23を気管切開チューブ1の上のコネクタ13内に延びるように配置することによって、チューブから突出するHMEの長さを実質的に低減することができて、従来のHMEに比べて、アセンブリ全体の嵩をより小さくすることができる。これによって、気管切開アセンブリ自体が、より目立たなくなる。プロファイルがより小さくなると、アセンブリの機械側端部が寝具又は衣類などに引っ掛かる危険性も減少する。HMEの質量中心を患者の頚部により近づけることによって、HMEによるチューブへの影響を、従来のHMEと比較して低減することができる。HME素子がコネクタ内に延びることの別の利点は、アセンブリ内のデッドスペースを低減できることである。従来のアセンブリでは、デッドスペースは、チューブの上のコネクタの内部ボリュームと、接続されたHMEハウジング内のHME素子自体までのボリュームと、を含む。対照的に、本発明の構成では、デッドスペースは、HME素子の患者側のチューブの内部ボリュームによるものだけである。デッドスペースを低減させることによって、HME素子を通過しなかった呼気の、吸気時に肺に戻される体積が低減される。
【0021】
HMEデバイス2は、ねじってスリップさせる動きによって、コネクタ13の上にその全体を嵌合し、取り外すことができる。しかしながら、交換が必要な場合には、デバイス2全体を取り外す代わりに、HME素子23及びその関連する端部キャップ24を取り外すだけでよい。これは、
図3に示されるように、端部キャップ24を外側ハウジング21及びコネクタ13から単に引き離すだけで、何らねじれの動きなく行われる。これによって、HMEデバイス2の外側ハウジング21の上のピップ30から、端部キャップ24が解放される。この構成には、チューブ1にねじりトルクを加える必要を避け、それによって患者への外傷及び不快感が軽減されるという利点がある。このようにして、HME素子を、24時間ごとに又は必要に応じて、患者に対する不快感を軽減しつつ、取り外し及び交換することができる。吸引などのためにチューブへのアクセスが必要な場合は、中央のHME素子のみを取り外して、外側のHMEハウジングを所定の位置に残すことによっても、これを行うことができる。別の利点は、交換可能な素子によって、外側ハウジングを複数回再利用できるため、使用されるプラスチックの量が低減されることである。これによって、全体的なコストを削減するとともに、廃プラスチックの生産量が低減される。これによって、環境へのダメージが低減され、臨床廃棄物の処理費用の一部を節約することができる。本発明の種類のHMEを受容するように配置された気管切開チューブ等は、換気が必要な場合、単にHME全体を取り外すだけで、ガス供給チューブの端部にある従来の雌型のテーパ状コネクタに、依然として接続できる。
【0022】
HMEは、気管切開チューブの内腔に沿って延びるように適合された内部カニューレの機械側端部に結合することができる。内部カニューレは、外側チューブに分泌物が蓄積されることを避けるために、取り外されて交換される種類のものである。このような構成において、HMEは、内部カニューレを有する単一ユニットとして、取り外されて交換される。
【0023】
HME素子が外側ハウジングから取り外し可能であることは、必須ではない。なぜならば、HME素子は外側ハウジングに恒久的に取り付けることができるため、交換される必要があるときには、デバイス全体を取り外さなければならないからである。
【0024】
本発明は、気管切開チューブにおいて使用するHMEデバイスに限定されておらず、気管内チューブ、喉頭用マスク、及びフェイスマスクなどの他の呼吸デバイスにおいても使用することができる。
【国際調査報告】