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特表2024-518856クリーナユニット及びこれを用いた循環ろ過式高密度うなぎ養殖装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-07
(54)【発明の名称】クリーナユニット及びこれを用いた循環ろ過式高密度うなぎ養殖装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 63/04 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
A01K63/04 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573414
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 KR2021018718
(87)【国際公開番号】W WO2022250230
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0068503
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523447524
【氏名又は名称】シンカンスサン カンパニー, リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SINKANGSUSAN CO., LTD
【住所又は居所原語表記】22, Asannonggongdanji-gil, Asan-myeon, Gochang-gun, Jeollabuk-do 56453 (KR)
(71)【出願人】
【識別番号】523447535
【氏名又は名称】イム, ス グン
【氏名又は名称原語表記】LIM, Soo Geun
【住所又は居所原語表記】101-404, 191, Boritgol-ro, Gochang-eup, Gochang-gun, Jeollabuk-do 56434 (KR)
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イム, ス グン
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104AA07
2B104BA06
2B104CB04
2B104ED05
2B104ED12
2B104ED16
2B104EF01
2B104EF13
(57)【要約】
【課題】うなぎの棲息環境を最上の状態に保って高密度のうなぎ養殖が可能になり、病弱なうなぎの選別の可能なクリーナユニット及びこれを用いた循環ろ過式高密度うなぎ養殖装置を提供すること。
【解決手段】
本発明のクリーナユニットは、複数の飼育水槽の底面に流入口が設置され、飼育水槽の水位より低い箇所に排出口が設置される排出管と、排出管と連結される内部空間を有するクリーナ本体部と、クリーナ本体部の内部空間を上下に分離して、排水管から流入される排出水から病弱なうなぎと異物とを分離する分離スクリーンと、クリーナ本体部と連結されて病弱なうなぎ及び異物が分離された排出水を排出するための分離排出管と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飼育水槽の底面に流入口が設置され、飼育水槽の水位より低い箇所に排出口が設置される排出管と、該排出管と連結されるクリーナ本体部と、該クリーナ本体部に設けられて前記排出管を介して排出される排出水から病弱なうなぎと異物とを分離する分離フィルターユニットと、
前記クリーナ本体部と連結されて病弱なうなぎ及び異物が分離された排出水を排出するための分離排出管とを備えることを特徴とする循環ろ過式高密度うなぎ養殖装置のクリーナユニット。
【請求項2】
前記分離フィルターユニットは、クリーナ本体部に設けられる支持ローラによって回転自在であり傾斜して設けられて、前記排出管を介して排出される排出水に乗った異物と病弱なうなぎを選別できるように排出水が内部に流入される円筒形のドラムフィルターと、前記支持ローラのうち少なくとも一つの支持ローラを駆動させて前記ドラムフィルターを回転させるための駆動部と、を有し、
前記ドラムフィルターを洗浄すると共にフィルタリングされた異物を外部に排出するための異物排出ユニット、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の循環ろ過式高密度うなぎ養殖装置のクリーナユニット。
【請求項3】
前記異物排出ユニットは、円筒形のドラムフィルターの上部側の外面と所定の間隔に離隔できるように設けられて高圧の洗浄水を噴射するための噴射ノズル部と、該噴射ノズル部と対応するドラムフィルターの内周面に設けられる前記噴射ノズル部から噴射された洗浄水と異物が流入できるように上方が開いた流入部を有する異物回収ホッパと、異物回収ホッパと連結されて洗浄水と異物を排出する異物排出管を備えることを特徴とする請求項2に記載の循環ろ過式高密度うなぎ養殖装置のクリーナユニット。
【請求項4】
少なくとも一つの飼育水槽と、
飼育水槽の底面に流入口が設置され、飼育水槽の水位より低い箇所に排出口が設置される排出管と、該排出管と連結されるクリーナ本体部と、該クリーナ本体部に設けられて前記排出管を介して排出される排出水から病弱なうなぎと異物とを分離する分離フィルターユニットと、前記クリーナ本体部と連結されて病弱なうなぎ及び異物が分離された排出水を排出するための分離排出管を備えたクリーナユニットと、
前記クリーナユニットの分離排出管と飼育水槽とを連結する循環管と、
前記循環管の管路上に設けられるもので、分離排出管を介して排出される水から異物を沈殿させるための第1沈殿槽と、該第1沈殿槽により沈殿が行われた水から異物を除去するための異物分離ユニットと、該異物分離ユニットにより分離された水に含まれた微細スラッジを吸着してアンモニアを脱気させるための固定式ろ過槽と、
固定式ろ過槽によりろ過が行われた水からアンモニア及び亜硝酸を除去するための流動式ろ過槽により浄化が行われた後、循環管を介してリターンされる水にオゾンを溶解させて殺菌するオゾン発生及び溶解機を含むことを特徴とするクリーナユニットを用いた循環ろ過式高密度うなぎ養殖装置。
【請求項5】
前記分離フィルターユニットは、クリーナ本体部に設けられる支持ローラにより回転自在であり傾斜して設けられて、前記排出管を介して排出される排出水に乗った異物と病弱なうなぎを選別できるように排出水が内部に流入される円筒形のドラムフィルターと、前記支持ローラのうち少なくとも一つの支持ローラを駆動させて前記ドラムフィルターを回転させるための駆動部と、
前記ドラムフィルターを洗浄すると共にフィルタリングされた異物を外部に排出するための異物排出ユニットを備えることを特徴とする請求項4に記載のクリーナユニットを用いた循環ろ過式高密度うなぎ養殖装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はうなぎ養殖装置に係り、さらに詳しくはうなぎの棲息環境を最高の状態に保って高密度のうなぎ養殖が可能になり、病弱なうなぎの選別の可能なクリーナユニット及びこれを用いた循環ろ過式高密度うなぎ養殖装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、水産生物を効率よく養殖するためには、摂餌(飼料、栄養剤など)、水質、溶存酸素量、水温、pH、飼育密度などいろいろの条件を満たす厳格に管理された飼育環境が求められ、かかる飼育環境が適していないと水産生物の死亡率は上がり、成長率と成長サイズにも一定の限界が生じる。
【0003】
流水式養殖場は外部から飼育池へ連続的に水を通過させる開放式養殖場であって、多量の飼育水が求められて、養殖場が設置された自然環境の多大な影響を受けるようになる。また、養殖密度が低く、餌残りと排泄物、アンモニア、窒素発生による水系汚染の問題と、単位面積当たり低生産性の要因によって、生産コストのアップにつながる短所がある。
【0004】
その代案として、不足している水資源の問題と養殖場から発生する廃水処理の問題を解決するための方法として、水の再循環と多様な水処理工程を通して、安定的な水質環境を維持できる多様な循環ろ過式養殖システムが商用化しつつある。
【0005】
循環ろ過式養殖システムは、流水式に比べて高密度養殖及び省エネルギーの効果を奏でる。かかる循環ろ過式養殖システムは飼育水槽内の水質管理に焦点が合せられている。
【0006】
通常、水産生物を養殖するための飼育水槽と、飼育水槽で発生する懸濁汚泥(餌残り、排泄物など)を重力方式の沈殿槽で長時間自由落下及び沈殿させて物理的処理を施してから、濾過槽において好気性微生物を用いて、窒素、アンモニアなど物理的方法でよく処理できない有害ガス、有害成分を生物学的に分解、除去してから、飼育水を再び飼育水槽に供給して引き続き再循環させる。
【0007】
従来の循環ろ過養殖システムで用いられる重力方式の沈殿槽において懸濁汚泥の比重と水の比重は大差はないことから、十分に沈殿させるためには極めて大規模の使用可能な面積を要し、かつ多大な時間がかかって、時間及び費用面において問題点がある。
【0008】
韓国特許公開第10-2017-0077610号には高密度循環ろ過方式による養殖場が開示されており、韓国特許第10-1489660号には循環ろ過方式と段階的海水馴致を通した降河性魚類養殖方法が開示されている。
【0009】
また、韓国特許公開第2020-0029691号には高密度循環ろ過式養殖システムが開示されている。この循環ろ過式養殖システムは底面の中央部に汚物排出口が形成されている飼育水槽と、該飼育水槽の一定方向に回転水流を発生させるマイクロバブルインジェクタと、凝集剤を投与して凝集浸殿物と上澄水とを分離させる凝集槽と、凝集沈殿物を除去する沈殿物脱水機と、重力沈殿物と上澄水とを分離させる重力方式の沈殿槽とを含む。
【0010】
韓国特許第10-1704970号には磁化水を用いて成長率及び生存率を増加させる淡水蛇うなぎ養殖装置が開示されている。
【0011】
前述した従来のうなぎ養殖装置は、凝集槽に凝集剤を投与して重力によって沈殿させていることから異物の除去による効率が下がり、養殖中に発生する懸濁汚泥の浄化不良の要因によって、うなぎの死亡率が相対的に大きくなる。
【0012】
特に、飼育水槽に高密度養殖されているうなぎのうち、死にそうな(死亡直前)うなぎを予め選別できない問題点がある。前記死にそうな病気にかかったうなぎを予め選別することができず、よって飼育水槽内の別のうなぎらが病気になる問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】韓国特許公開第10-2017-0077610号
【特許文献2】韓国特許第10-1489660号
【特許文献3】韓国特許公開第2020-0029691号
【特許文献4】韓国特許第10-1704970号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで、本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、飼育水槽で養殖されるうなぎから病弱なうなぎを短時間内に選別して病気の拡散とうなぎの死亡を防ぐことができるクリーナユニット及びこれを用いた循環ろ過式高密度うなぎ養殖装置を提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的とするところは、飼育槽から発生する異物、すなわち排泄物を短時間内に分離することによって飼育水槽内に溜まっている水の汚染とガスの発生を抑えられるクリーナユニット及びこれを用いた循環ろ過式高密度うなぎ養殖装置を提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的とするところは、うなぎを養殖するための水を多段で処理して水質、溶存酸素量、水温などを調節して、最高の飼育条件を維持してうなぎの養殖効率を極大化できるクリーナユニット及びこれを用いた循環ろ過式高密度うなぎ養殖装置を提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的とするところは、飼育槽で養殖されるうなぎから発生する汚染物質を短時間内に除去して、養殖のための水の後処理工程を単純化できるクリーナユニット及びこれを用いた循環ろ過式高密度うなぎ養殖装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、
飼育水槽の底面に流入口が設置され、飼育水槽の水位より低い箇所に排出口が設置される排水管と、該排水管に連なるクリーナ本体部と、該クリーナ本体部に設けられて前記排水管を介して排出される排出水から病弱なうなぎと異物とを分離する分離フィルターユニットと、
前記クリーナ本体部に連なって病弱なうなぎ及び異物が分離された排出水を排出するための分離排出管を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明において、前記分離フィルターユニットは、クリーナ本体部に設けられる支持ローラによって回転自在であり傾斜して設けられ、前記排出管を介して排出される排出水に便乗した異物と病弱なうなぎとを選別できるように排出水が内部に流入される円筒形のドラムフィルターと、前記支持ローラのうち少なくとも一つの支持ローラを駆動させて前記ドラムフィルターを回転させるための駆動部と、
前記ドラムフィルターを洗浄すると共にフィルターリングされた異物を外部へ排出するための異物排出ユニットを備える。
【0020】
前記異物排出ユニットは、円筒形のドラムフィルターの上側外面と所定間隔に離隔できるように設けられ、高圧の洗浄水を噴射するための噴射ノズル部と、該噴射ノズル部と対応するドラムフィルターの内周面に設けられる前記噴射ノズル部から噴射された洗浄水と異物が流入できるように上開け方の流入部を有する異物回収ホッパと、異物回収ホッパに連なって洗浄水と異物を排出する異物排出管とを備える。
【0021】
また、前記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、
少なくとも一つの飼育水槽と、
該飼育水槽の底面に流入口が設置され、飼育水槽の水位より低い箇所に排出口が設置される排出管と、該排出管と連結されるクリーナ本体部と、該クリーナ本体部に設けられて前記排出管を介して排出される排出水から病弱なうなぎと異物とを分離する分離フィルターユニットと、前記クリーナ本体部に連なって病弱なうなぎと異物が分離された排出水を排出するための分離排出管付きクリーナユニットと、
該クリーナユニットの分離排出管と飼育水槽とを連結する循環管と、
該循環管の管路上に設けられるものであって、分離排出管を介して排出される水から異物を沈殿させるための第1沈殿槽と、該第1沈殿槽により沈殿が行われた水から異物を除去するための異物分離ユニットと、該異物分離ユニットにより分離された水に含まれた微細スラッジを吸着してアンモニアを脱気させるための固定式ろ過槽と、
固定式ろ過槽によってろ過が行われた水からアンモニア及び亜窒酸を除去するための流動式ろ過槽によって浄化が行われた後、循環管を介してリターンされる水にオゾンを溶解させて殺菌するオゾン発生及び溶解機とを含む。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明に係るクリーナユニットを用いた循環ろ過式高密度うなぎ養殖装置によれば、うなぎの密植養殖が可能であり、水を浄化して連続的な使用が可能になるので、うなぎ養殖のための場所の制限を減らすことができる。特に、飼育水槽内で養殖されているうなぎのうち病弱な養魚を選別できることから養殖されているうなぎの死亡を防止することができる。
【0023】
特に、本発明に係るクリーナユニットは、飼育水槽の養殖うなぎによって発生される異物は排出水の処理前にフィルタリングできるので、沈殿槽及び固定式ろ過槽の小型化が可能になる。うなぎの排泄物を含む異物を処理する過程から発生する悪臭を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態にかかる循環ろ過式高密度うなぎ養殖装置を示す配置図である。
図2】同実施形態にかかる循環ろ過式高密度うなぎ養殖装置の飼育水槽を示す斜視図である。
図3】同実施形態にかかる循環ろ過式高密度うなぎ養殖装置のクリーナユニットを示す斜視図である。
図4図3に示したクリーナユニットの断面図である。
図5】本発明の実施形態にかかる循環ろ過式高密度うなぎ養殖装置の異物分離ユニットを示す斜視図である。
図6図5に示した循環ろ過式高密度うなぎ養殖装置の断面図である。
図7】本発明の実施形態にかかる循環ろ過式高密度うなぎ養殖装置の固定式ろ過槽の側面図である。
図8】ろ材の側面図である。
図9】ろ材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0026】
図1ないし図4を参照して、本発明の実施形態に係る循環ろ過式高密度うなぎ養殖装置の概略構成について説明する。
【0027】
図面を参照すれば、本発明に係るクリーナユニットを用いた循環ろ過式高密度うなぎ養殖装置10は、少なくとも一つの飼育水槽20と、該飼育水槽20に設けられて養殖されるうなぎのうち病弱なうなぎを分離できるクリーナユニット30と、該クリーナユニット30の分離排出管39と飼育水槽20に設けられた水供給管21と連結される循環管25とを備える。
【0028】
また、前記循環管の管路上に設けられるものであって、分離排出管35を介して排出される水(以下、処理水と称する)から異物を沈殿させるための第1沈殿槽45と、該沈殿槽45によって沈殿が行われて1次異物が除去された処理水をフィルタリングするための異物分離ユニット50と循環管により連結され、前記異物分離ユニット50により分離された処理水に含まれた微細スラッジを吸着してアンモニアを脱気させるための固定式ろ過槽60と、該固定状ろ過槽60によりろ過が施された処理水からアンモニア及び亜硝酸を除去するための流動式ろ過槽70と、該流動式ろ過槽70によって浄化が行われた処理水をオゾンを用いて殺菌するためのオゾン発生及び溶解機80を含む。
【0029】
前述したように構成された本発明に係る循環ろ過式高密度うなぎ養殖装置を構成要素別にさらに詳述すれば次の通りである。
【0030】
本発明に係るクリーナユニットを用いた循環ろ過式高密度うなぎ養殖装置10の飼育水槽20は、図2に示したように、上開け方であり、底面を水供給管の飼育水槽20の中央側に傾斜した構造を有する。また、飼育水槽20の中央部には設定水位以上の水を排出する水排出管22が設けられる。前記飼育水槽20はポリプロピレン(polypropylene)で製造することができる。この飼育水槽20は、水槽内の異物が付着し難くて掃除及びメンテナンスに利点がある。
【0031】
前記クリーナユニット30は、図2ないし図4に示したように、飼育水槽20に養殖中のうなぎのうち病弱なうなぎを選別できるものであって、飼育水槽20の内部側に設置されるクリーナ本体部32が設けられる。前記クリーナ本体部32は後述する排水管31からクリーナ本体部32の内部に円滑に水が流入できるようにクリーナ本体部33の一部が飼育水槽20の水に沈むようになる。
【0032】
前記クリーナ本体部32には、内部空間の一部を上下に分離する分離板33が設けられ、前記分離板33と連結されて排水管31を介して分離板33の上面側に流入される処理水からの異物と病弱なうなぎとを分離するための分離フィルターユニット35が設けられる。前記分離板33の一側には前記飼育水槽20の底面に流入部31aが設置され、前記分離板33の一側と排出部31bとが結合される排水管31が設けられる。また、クリーナ本体部32は排水管31から内部空間を円滑な水の排出が行われるように、前述したように前記クリーナ本体部32の分離板33、すなわち排出部31bが飼育水槽20の水面より低い箇所に設置されるように飼育水槽20に設けられる。そして、前記クリーナ本体部32の下面には前記分離フィルターユニット35を通過した処理水の浄化のために循環管25と連結される分離排出管39が設けられる。
【0033】
前記排水管31と連結される部位の分離板34は、排水管31を介して排出される病弱なうなぎが損傷せず滑られるように、所定の曲率を有する板状よりなりうる。
【0034】
そして、前記クリーナ本体部32に設けられる分離フィルターユニット35は、クリーナ本体部32に設けられる複数の支持ローラ部36によって回転自在かつ傾斜して設けられ、前記排水管31を介して排出される処理水に便乗した異物と病弱なうなぎを選別できるように排出水が内部に流入される円筒形のドラムフィルター38と、前記支持ローラ部36のうち少なくとも一つの支持ローラ36aを駆動させて前記ドラムフィルター38を回転させるための駆動部36dを含む。そして、前記クリーナ本体部32には前記ドラムフィルター38を洗浄すると共にフィルタリングされた異物を外部に排出するための異物排出ユニット40を備える。
【0035】
前記支持ローラ部36は、各々クリーナ本体部32に固定されて前記 ドラムフィルター38を回転自在に保持するためのものであって、支持ローラ部36はクリーナ本体部32に固設される保持ブラケット36bに回転自在に設けられてドラムフィルター38の外周面を保持する支持ローラ36aと、前記保持ブラケット36bの端部側に設けられて支持ローラ36aにより保持されたドラムフィルター38の縁部の内面を保持するアイドルローラ39cとを含む。前記支持ローラ36aの端部、すなわち前記ドラムローラ38の縁部と対応する支持ローラ36aの端部は、前記ドラムフィルター38の端部が係止されてドラムフィルター38の移動を防止するための環状の係止爪が設けられる。
【0036】
前記ドラムフィルター38は、円筒形のフレーム38aにメッシュフィルターがついてなりうるが、このメッシュフィルターは複数に分割して装着できる。そして、前記円筒形のフレームの両端部には前記支持ローラ36aが保持される支持ガイドが設けられる。
【0037】
前記異物排出ユニット40は、円筒形のドラムフィルター38の上側の外面と所定間隔に離隔できるように設けられて、高圧の洗浄水を噴射するための噴射ノズル部41と、該噴射ノズル部41と対応するドラムフィルター38の内周面に設けられる前記噴射ノズル部41から噴射された洗浄水と異物が流入できるように上が開いた形の流入部を有する異物回収ホッパ42と、異物回収ホッパ42と連結されて洗浄水と異物を排出する異物排出管43とを備える。異物回収ホッパ42は円筒形のドラムフィルター38の傾斜角度と同一の傾斜角に設けられることが望ましく、傾斜した異物回収ホッパ42の端部側に異物排出管が設けられるのが好ましい。前記ドラムフィルター38の内周面にはフィルタリングされた異物を前記異物回収ホッパ42の上部側に移動できるように長手方向に突出環(図示せず)が設けられる場合もある。そして、前記ドラムフィルター38の内周面には排水管31を介して処理水と共に排出されたうなぎが排出できるように、連続または不連続の螺旋形環が形成され、ドラムフィルター38の後方側にうなぎが排出できるようにするのが好ましい。この場合、前記ドラムフィルター38の後端部側と連結される部位には、図示されていないが、うなぎの排出のための別のシュートが設けられる。
【0038】
前述したクリーナユニット30は、クリーナ本体部(32には異物排出ユニット35のドラムフィルターが傾斜して設けられ、排水管31の排出口31bが飼育水槽20の水位より低い箇所に位置されているので、前記飼育水槽20内の水、すなわち処理水は排水管31を介して分離板33とドラムフィルター38側に排出され、この排出された排出水は駆動部35dによって回転するドラムフィルター38を通過した後、循環管25と連結された分離排出管39を介して排出され、後述する沈殿槽45、固定式ろ過槽60、流動式ろ過槽70、オゾン発生及び溶解機80を保持しながら浄化及び殺菌される。
【0039】
飼育水槽20に設けられた排出管22と隣接し、相対的に深い中央部に排出部31bが設置される排水管31を介して排出される処理水にはうなぎの排泄物と食べ残った飼料と相対的に病弱なうなぎらが便乗して排出される。
【0040】
これをさらに詳述すれば、前記うなぎは排出される管路を流れる水の方向と逆方向に泳ぐ遊泳習慣、特に管路の移動時水の上流側に移動する習慣がある。しかし、相対的に病弱なうなぎらは前記排水管31の流入部31aから流入されて排出部31bに吐き出される水の流れに抵抗できず、クリーナユニットの分離板33の上面とこれに連なるドラムフィルター38の内周面側に排出される。
【0041】
養殖される多くのうなぎが排水管31に流入されて遊泳するようになるが、前記病弱なうなぎらは排水管31を介して排水される処理水に便乗して分離板33側に排出される。
【0042】
以上のように分離スクリーン34に排出されたうなぎは分離されて別に管理する。
【0043】
前述したように排水管31を介してドラムフィルター38を通過した処理水には、養殖されるうなぎの排泄物を含む異物が乗ってドラムフィルター38により濾される。ドラムフィルター38によりろ過された排泄物と異物はドラムフィルター38の内部でドラムフィルター38と共に回転して上昇するようになり、異物回収ホッパ42に収集される。
【0044】
かかる過程においてドラムフィルター38の閉塞が発生する場合があるが、この場合、噴射ノズル部41から高圧の洗浄水がドラムフィルター38の外周面から内面側に噴射され、ドラムフィルター38内の異物とドラムフィルター38を塞いていた異物は洗浄水と共に前記異物回収ホッパ42の内部に流入された後前記異物排出管43を介して外部へ排出される。
【0045】
前記沈殿槽45は、分離排出管35を介して排出物が流入できるように循環管25と連結され、上方が開いたタンクの構造を有する。前記沈殿槽はコンクリート構造物でなされうる。
【0046】
うなぎを養殖する飼育水槽20にはうなぎから発生した排泄物、分泌物と給餌される飼料の腐食などが、前記クリーナユニット30の異物排出ユニット35により前述したようにろ過された状態なので、前記沈殿槽45と前記異物分離ユニット55は別に設置しないか、その構造を大幅に縮小することができる。
【0047】
前記沈殿槽51は、前記クリーナユニット30の異物排出ユニット35により予め濾されていない微細な排泄物または微粉の飼料などの固形スラッジを沈殿させて除去されることによって1次腐敗の要因をなくすことができる。
【0048】
前記異物除去ユニット50は、沈殿槽51により固形スラッジが除去された養殖のための水から微細スラッジ、すなわち40マイクロメータほどの小さな微細スラッジを除去する。
【0049】
かかる異物除去ユニット50は、前述したように設置しないか、相対的に縮小することができる。図1及び図5図6図7に示したように、保持フレーム56と、保持フレーム56に固定され中空構造の固定軸57aと、固定軸57aに回転自在に結合されて内側に処理対象水が流入され、外周面に固定軸57aに支持された保持フレーム57cにより保持されたフィルター網57bが装着されたドラムと、ドラム57を回転させるための回転駆動部58と、ドラム57の上方に設けられてドラム57の外側から内側方向に洗浄水を噴射してフィルター網57bに付着された異物を除去するための洗浄配管59aと、ドラム57の内側に設けられて洗浄水によりフィルター網57bから脱離される異物を受け取る収集ホッパ59bと、固定軸57aと収集ホッパ59bとを連結して、異物が固定軸57aの内部に流入される通路を形成する保持管59cを備える。
【0050】
前述したような異物除去ユニット50は、ドラム57から流入される水、すなわち沈殿槽51から流入される処理対象水がドラムのフィルター網57bによりフィルタリングされ、フィルター網57bによりろ過された異物は、中空部を有する固定軸57aと連結された収集ホッパ59bに流入される。この際、前記収集ホッパ59bと対応する外側には洗浄水を排出する洗浄配管が設けられているので、これより噴射される洗浄水によりフィルター網から分離された異物は収集ホッパに流れ込んで排出される。
【0051】
前記固定式ろ過槽60は、前記異物除去ユニット55により微細なスラッジが除去された処理対象水をイオン化作用によって吸着分解し、無酸素槽として活用してアンモニアを脱気させる。
【0052】
前記固定式ろ過槽60は、図7ないし図9に示したように、処理対象水内のスラッジを吸着して分解し、処理対象水内のアンモニアを無酸素条件下で脱気させるためのもので、処理対象水が溜まっているろ過槽61に固定性ろ材65が浸漬及び重畳して積層された形態に設けられる。
【0053】
本発明に係る固定性ろ過材65は、示されたように、懸垂用ロープ62により複数が重畳し、ろ過槽61の上端に据え置かれた据置パイプ63に懸垂用ロープ62を束ねてろ過槽61内の一定位置に懸垂状態に設けられる。
【0054】
固定性ろ材65は、ろ過対象水が溜まっているろ過槽61内に浸漬及び複数が重なるように設けられて、ろ過対象水内のスラッジを吸着して分解し、ろ過対象水内のアンモニアを脱気させるためのもので、処理水が通過できるように開放された複数のメインホール66bが離隔して配置され、前記メインホール66bの間の領域にそれぞれ処理水が通過できるように開放されたサブホール66cが形成されたベース66aと、前記ベースの一面から突出され、前記メインホール66bの内側領域に形成され、処理水が通過及び処理水内のスラッジが吸着できるように網状に形成されたメイン網体66を備える。そして、前記ベース66aの他の面から突出し、前記メインホール66bの間の領域に形成され、処理水が通過及び処理水内のスラッジが吸着できるように網状に形成されたサブ網体67を備える。
【0055】
一方、前記流動式ろ過槽70は、図1に示したように、前記固定式ろ過槽60と循環管により連結されるものであって、流動式ろ過槽70の内部に所定のパターンの担体が貯蔵され微生物によって処理対象水を処理するようになる。そして、前記流動式ろ過槽70には曝気のための曝気管71が設けられる。
【0056】
かかる流動式ろ過槽70は、処理対象水の約70%を占めるものであって、連続的な曝気が行われ、担体に付着されている浮遊物と微生物によってアンモニア及び亜硝酸を除去するようになる。
【0057】
一方、前記流動式ろ過槽70により処理が行われた処理対象水は水質調整槽80に流入される。そして、水質調整槽80に流入された処理対象水は水質調整槽に設けられたボイラ81の熱交換機82により水温が調節される。そして、オゾン発生及び溶解機90と連結され、水質調整槽80に設置されるオゾン発生ノズル91からオゾンが噴射されて処理対象水を殺菌するようになる。そして、処理水を殺菌したオゾンは酸素に還元されて処理対象水の溶存酸素量を増やす。
【0058】
前記水質調整槽80により水質が調整され殺菌が行われた処理対象水は、循環管の管路上に設けられた酸素溶解機100を経た後、水供給管21を介して飼育水槽の内部に供給される。
【0059】
以上述べたように、本発明に係るクリーナユニット及びこれを用いた循環ろ過式高密度うなぎ養殖装置は、飼育水槽の内部で養殖されているうなぎのうち病弱なうなぎを選別して排出できるので、うなぎの管理が容易である。
【0060】
そして、各飼育水槽から排出される処理対象水を多段に浄化及び殺菌してリサイクルすることができるので、高密度養殖が可能であり単位面積当たり生産量を高めることができる。
【0061】
上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内およびそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】