(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】ポリイミドフィルム製造用組成物及びこれを用いて製造された軟性金属箔積層体用ポリイミドフィルム
(51)【国際特許分類】
C08G 73/10 20060101AFI20240426BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20240426BHJP
B32B 15/088 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
C08G73/10
C08J5/18 CFG
B32B15/088
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022539365
(86)(22)【出願日】2022-04-13
(85)【翻訳文提出日】2022-06-27
(86)【国際出願番号】 KR2022005319
(87)【国際公開番号】W WO2023200025
(87)【国際公開日】2023-10-19
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522007107
【氏名又は名称】ネックスフレックス カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソジョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジュヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒョクジュン
【テーマコード(参考)】
4F071
4F100
4J043
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
本発明は、ポリイミドフィルム製造用組成物及びこれを用いて製造された軟性金属箔積層体用ポリイミドフィルムに関し。本発明の一側面は、芳香族二無水物と、ジアミンと、硬化触媒を含み、前記硬化触媒は、イミダゾール系化合物、キノロン系化合物及びキノリン系化合物からなる群より選択される1つ以上を含むポリイミドフィルム製造用組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族二無水物と、
ジアミンと、
硬化触媒と、
を含み、
前記硬化触媒は、イミダゾール系化合物、キノロン系化合物、及びキノリン系化合物からなる群より選択される1つ以上を含む、ポリイミドフィルム製造用組成物。
【請求項2】
前記芳香族二無水物は、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、ビスフェノールA二無水物(BPADA)、及び4,4'-(ヘキサフルオロプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)からなる群より選択される1つ以上を含む、請求項1に記載のポリイミドフィルム製造用組成物。
【請求項3】
前記ジアミンは、
p-フェニレンジアミン(p-PDA)、m-フェニレンジアミン(m-PDA)、又は、その2つを含む第1ジアミンと、
4,4'-オキシジアニリン(ODA)、4,4'-メチレンジアニリン(MDA)、又は、その2つを含む第2ジアミンと、
2-(4-アミノフェニル)-5-アミノ-ベンゾイミダゾール(PBI)を含む第3ジアミンと、
を含む、請求項1に記載のポリイミドフィルム製造用組成物。
【請求項4】
前記第3ジアミンは、前記ジアミン全体含量に対して1モル%~30モル%として含まれる、請求項3に記載のリイミドフィルム製造用組成物。
【請求項5】
前記芳香族二無水物100重量部に対して、前記ジアミンは、10重量部~200重量部である、請求項1に記載のポリイミドフィルム製造用組成物。
【請求項6】
前記芳香族二無水物と前記ジアミンの総含量100重量部に対して、前記硬化触媒は、5重量部~40重量部である、請求項1に記載のポリイミドフィルム製造用組成物。
【請求項7】
前記イミダゾール系化合物は、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、1-メチルイミダゾール、1-(トリメチルシリル)-イミダゾール、1、2-ジメチルイミダゾール、1-(3-アミノプロピル)-イミダゾール、2-アルキルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、及び3-フェニルイミダゾールからなる群より選択される1つ以上を含む、請求項1に記載のポリイミドフィルム製造用組成物。
【請求項8】
前記キノロン系化合物は、キノロン、1、2-ジヒドロ-2、2、4-トリメチルキノロン、2-クロロ-3-(クロロメチル)キノロン、4-(4-ジメチルアミノスチリル)キノロン、及び6-(アミノメチル)キノロンからなる群より選択される1つ以上を含む、請求項1に記載のポリイミドフィルム製造用組成物。
【請求項9】
前記キノリン系化合物は、キノリン、イソキノリン、及びベンゾキノリンからなる群より選択される1つ以上を含む、請求項1に記載のポリイミドフィルム製造用組成物。
【請求項10】
固形分の含量が5重量%~20重量%であり、
粘度が10,000cP~30,000cPである、請求項1に記載のポリイミドフィルム製造用組成物。
【請求項11】
有機溶媒にジアミンを溶解してジアミン溶液を準備するステップと、
前記ジアミン溶液に芳香族二無水物及び硬化触媒を投入するステップと、
を含み、
前記硬化触媒は、イミダゾール系化合物、キノロン系化合物、及びキノリン系化合物からなる群より選択される1つ以上を含む、ポリイミドフィルム製造用組成物の製造方法。
【請求項12】
芳香族二無水物と、ジアミンと、硬化触媒を含むポリイミドフィルム製造用組成物から製造されたものであって、
モジュラス(Young's modulus)が5GPa以下であり、熱膨張係数(CTE)が15ppm/K以下である軟性金属箔積層体用ポリイミドフィルム。
【請求項13】
前記軟性金属箔積層体用ポリイミドフィルムは、カバーレイを付着した状態で、JIS C6471方法を用いたMIT屈曲性テストで屈曲回数が10,000回以上である、請求項12に記載の軟性金属箔積層体用ポリイミドフィルム。
【請求項14】
前記軟性金属箔積層体用ポリイミドフィルムは、150℃の温度で30分間熱処理した後測定された寸法変化率が0.1%以下であり、前記寸法変化率は、下記の数式(1)によって計算される、請求項12に記載の軟性金属箔積層体用ポリイミドフィルム。
[数式(1)]
寸法変化率(%)={(熱処理後平均ホール間距離-熱処理前平均ホール間距離)/熱処理前平均ホール間距離}×100
【請求項15】
剛性度が1.0N/m~1.7N/mである、請求項12に記載の軟性金属箔積層体用ポリイミドフィルム。
【請求項16】
金属箔と、
前記金属箔の一面又は両面に積層されたポリイミドフィルムと、
を含み、
前記ポリイミドフィルムは請求項12に記載のポリイミドフィルムである、軟性金属箔積層体。
【請求項17】
前記金属箔は、圧延銅箔(RA、Roo-Annealed)、電解銅箔(ED、electrodeposition)、アルミ箔(Aluminium Foil)、及びニッケル箔(Nickel Foil)からなる群より選択される1つ以上を含む、請求項16に記載の軟性金属箔積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイミドフィルム製造用組成物及びこれを用いて製造された軟性金属箔積層体用ポリイミドフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
軟性印刷回路基板(Flexible Printed Circuit Board、FPCB)は、回路基板の柔軟性及び薄い基板が必要な場合に使用できるように製造されたPCBであって、最近、電子機器の小型化、高速化、及び様々な機能が結合される傾向によって、高速送信、低重量化、薄板化、小型化が日増しに進行しており、これに対応するFPCB素材に対する技術開発が求められている。
【0003】
現在のディスプレイパネルの業界において、ベゼル(Bezel)を最小化するための様々な試みが行われているが、その1つとして、ディスプレイパネルのエッジ部に位置しているFPCBを後に折り返すことでベゼルを最小化することにある。
【0004】
しかし、このような方式を使用する場合、ディスプレイパネルのエッジ部のFPCBが後ろに折り返して接着面積が減少されながら、回路素材の反発力によって接合部が脱落するという問題が発生する。
【0005】
図1は、ディスプレイパネルのエッジ部のFPCBを後に折り返すことでディスプレイベゼルを減少させた形態を図式化したものである。これは、ティスプルレにパネルエッジ部のFPCBを後に折り返す状態において、FPCBの接着面積が減少することで回路素材の反発力によって接合部が脱落するという問題が発生する恐れがあることを示す。
【0006】
このような理由により、屈曲性が高いだけでなく反発特性が低くて接着面積を最小化するときにも円満に接着できる軟性金属箔積層体(Flexible Metal Clad Laminate、FMCL)素材が求められている。
【0007】
しかし、一般的に、軟性金属薄積層体の絶縁層素材であるポリイミドは、構造的に高い寸法安定性を有すると同時に、強い反発特性を有しており、反発特性を低下させる場合には寸法安定性が共に低下するという問題がある。
【0008】
従って、高屈曲性、低反発特性、及び寸法安定性が同時に改善され得るポリイミドフィルム製造技術が必要である。
前述した背景技術は、発明者が本明細書の開示内容を導き出す過程で保持したり習得したもので、必ず本出願前に一般公衆に公開された公知技術とは言えない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述した問題を解決するためのもので、本発明の目的は、ポリイミドフィルムの屈曲性、耐熱性、寸法安定性、及び反発特性を全て改善できるポリイミドフィルム製造用組成物、これを用いて製造されたポリイミドフィルム及び軟性金属箔積層体を提供することにある。
しかし、本発明が解決しようとする課題は、以上で言及したものなどにより制限されず、言及されない更なる課題は、下記の記載によって当該の分野当業者にとって明らかに理解できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面は、芳香族二無水物と、ジアミンと、硬化触媒とを含み、前記硬化触媒は、イミダゾール系化合物、キノロン系化合物、及びキノリン系化合物からなる群より選択される1つ以上を含むポリイミドフィルム製造用組成物を提供する。
【0011】
一実施形態において、前記芳香族二無水物は、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、ビスフェノールA二無水物(BPADA)、及び4,4'-(ヘキサフルオロプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)からなる群より選択される1つ以上を含むことができる
【0012】
一実施形態において、前記ジアミンは、p-フェニレンジアミン(p-PDA)、m-フェニレンジアミン(m-PDA)、又は、その2つを含む第1ジアミンと、4,4'-オキシジアニリン(ODA)、4,4'-メチレンジアニリン(MDA)、又は、その2つを含む第2ジアミンと、2-(4-アミノフェニル)-5-アミノ-ベンゾイミダゾール(PBI)を含む第3ジアミンとを含むことができる。
【0013】
一実施形態において、前記第3ジアミンは、前記ジアミン全体含量に対して1モル%~30モル%として含まれてもよい。
【0014】
一実施形態において、前記芳香族二無水物100重量部に対して、前記ジアミンは、10重量部~200重量部であり得る。
【0015】
一実施形態において、前記芳香族二無水物と前記ジアミンの総含量100重量部に対して、前記硬化触媒は、5重量部~40重量部であり得る。
【0016】
一実施形態において、前記イミダゾール系化合物は、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、1-メチルイミダゾール、1-(トリメチルシリル)-イミダゾール、1、2-ジメチルイミダゾール、1-(3-アミノプロピル)-イミダゾール、2-アルキルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、及び3-フェニルイミダゾールからなる群より選択される1つ以上を含むことができる。
【0017】
一実施形態において、前記キノロン系化合物は、キノロン、1、2-ジヒドロ-2、2、4-トリメチルキノロン、2-クロロ-3-(クロロメチル)キノロン、4-(4-ジメチルアミノスチリル)キノロン、及び6-(アミノメチル)キノロンからなる群より選択される1つ以上を含むことができる。
【0018】
一実施形態において、前記キノリン系化合物は、キノリン、イソキノリン、及びベンゾキノリンからなる群より選択される1つ以上を含むことができる。
【0019】
一実施形態において、前記ポリイミドフィルム製造用組成物は、固形分の含量が5重量%~20重量%であり、粘度が10,000cP~30,000cPであってもよい。
【0020】
本発明の他の側面は、有機溶媒にジアミンを溶解してジアミン溶液を準備するステップと、前記ジアミン溶液に芳香族二無水物及び硬化触媒を投入するステップとを含み、前記硬化触媒は、イミダゾール系化合物、キノロン系化合物、及びキノリン系化合物からなる群より選択される1つ以上を含むポリイミドフィルム製造用組成物の製造方法を提供する。
【0021】
本発明の更なる側面は、芳香族二無水物と、ジアミンと、硬化触媒を含むポリイミドフィルム製造用組成物から製造されたものであって、モジュラス(Young's modulus)が5GPa以下であり、熱膨張係数(CTE)が15ppm/K以下である軟性金属箔積層体用ポリイミドフィルムを提供する。
【0022】
一実施形態において、前記軟性金属箔積層体用ポリイミドフィルムは、カバーレイを付着した状態で、JIS C6471方法を用いたMIT屈曲性テストで屈曲回数が10,000回以上であってもよい。
【0023】
一実施形態において、前記軟性金属箔積層体用ポリイミドフィルムは、150℃の温度で30分間熱処理した後測定された寸法変化率が0.1%以下であり、前記寸法変化率は、下記の数式(1)によって計算されることができる。
[数式(1)]
寸法変化率(%)={(熱処理後平均ホール間距離-熱処理前平均ホール間距離)/熱処理前平均ホール間距離}×100
【0024】
一実施形態において、軟性金属箔積層体用ポリイミドフィルムは、剛性度が1.0N/m~1.7N/mであってもよい。
【0025】
本発明の他の側面は、金属箔と、前記金属箔の一面又は両面に積層されたポリイミドフィルムとを含む軟性金属箔積層体を提供する。
【0026】
一実施形態において、前記金属箔は、圧延銅箔(RA、Roo-Annealed)、電解銅箔(ED、electrodeposition)、アルミ箔(Aluminium Foil)、及びニッケル箔(Nickel Foil)からなる群より選択される1つ以上を含むことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係るポリイミドフィルム製造用組成物は、ポリイミドフィルムの屈曲性、耐熱性、寸法安定性、及び反発特性を改善できる効果がある。
また、本発明に係るポリイミドフィルムは、高屈曲性、高い寸法安定性、及び低い反発特性を同時に有することにより、接合面積が減少するときにも優れた接着性を確保することができる。
さらに、本発明に係る軟性金属箔積層体は、ベゼル(Bezel)を最小化するために使用されるFPCBの原材料に適用されるために適切である効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】ディスプレイパネルのエッジ部のFPCBを後に折り返すことによりディスプレイベゼルを減少させた形態を図式化したものである。
【
図2】本発明の一実施形態に係る軟性金属箔積層体の断面を示す図である。
【
図3】寸法変化率の具体的な計算方法を説明するための図であり、試片における各ホールの位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付の図面を参照して実施形態を詳細に説明する。しかし、実施形態には多様な変更が加えられることができ、特許出願の権利範囲がこの実施形態により制限されたり限定されることはない。実施形態に対するすべての変更、均等物ないし代替物が権利範囲に含まれるものとして理解されなければならない。
【0030】
本明細書で用いる用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられるものであって、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現は、文脈上、明白に異なる意味をもたない限り複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」等の用語は明細書上に記載した特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものが存在することを示すものであって、一つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解しなければならない。
【0031】
異なる定義がされない限り、技術的であるか又は科学的な用語を含むここで用いる全ての用語は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に用いられる予め定義された用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈すべきであって、本明細書で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されることはない。
【0032】
また、添付図面を参照して説明することにおいて、図面符号に関係なく、同じ構成要素は同じ参照符号を付与し、これに対する重複する説明は省略することにする。実施形態の説明において、関連する公知技術に対する具体的な説明が実施形態の要旨を不要に曖昧にするものと判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0033】
また、実施形態の構成要素の説明において、第1,第2,A,B,(a),(b)などの用語を使用することがある。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものにすぎず、その用語によって該当の構成要素の本質や順番又は順序などが限定されない。
【0034】
いずれか一つの実施形態に含まれている構成要素と、共通の機能を含む構成要素は、他の実施形態で同じ名称を用いて説明することにする。反対となる記載がない以上、いずれか一つの実施形態に記載した説明は、他の実施形態にも適用され、重複する範囲において具体的な説明は省略することにする。
【0035】
本発明の一側面は、芳香族二無水物、ジアミン、及び硬化触媒を含み、前記硬化触媒は、イミダゾール系化合物、キノロン系化合物、及びキノリン系化合物からなる群より選択される1つ以上を含むポリイミドフィルム製造用組成物を提供する。
【0036】
本発明に係るポリイミドフィルム製造用組成物は、芳香族二無水物、ジアミン及び硬化触媒を含むことによって、ポリイミドフィルムの耐熱性、寸法安定性、屈曲性、及び低い反発性を向上させ得る効果がある。
【0037】
本発明に係るポリイミドフィルム製造用組成物は、芳香族二無水物を含む。
【0038】
前記芳香族二無水物は、ポリイミドフィルムの耐熱性及び寸法安定性を向上させることができる特徴がある。
【0039】
一実施形態において、前記芳香族二無水物は、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、ビスフェノールA二無水物(BPADA)及び4,4'-(ヘキサフルオロプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)からなる群より選択される1つ以上を含むことができる。
【0040】
一実施形態において、前記芳香族二無水物は、ピロメリット酸二無水物(PMDA)を含む第1芳香族二無水物、及びビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を含む第2芳香族二無水物を含むことができる。
【0041】
一実施形態において、前記芳香族二無水物は、前記第1芳香族二無水物100モルに対して、前記第2芳香族二無水物が10モル~500モルであってもよく、好ましくは、40モル~400モルであってもよい。
【0042】
一実施形態において、前記第1芳香族二無水物及び前記第2芳香族二無水物のモル比は、9:1~1:9であってもよく、好ましくは、8:2~2:8であってもよく、より好ましくは、7:3~3:7であってもよい。
【0043】
一実施形態において、前記ポリイミドフィルム製造用組成物は、2種以上の芳香族二無水物を一定のモル比に含むことによって、ポリイミドフィルムの耐熱性及び寸法安定性をより効果的に向上させることができる。
【0044】
本発明に係るポリイミドフィルム製造用組成物は、ジアミンを含む。
前記ジアミンは、ポリイミドフィルムの屈曲性、低い反発性、及び寸法安定性を向上させることができる特徴がある。
【0045】
一実施形態において、前記ジアミンは、p-フェニレンジアミン(p-PDA)、m-フェニレンジアミン(m-PDA)、又は、その2つを含む第1ジアミンと、4,4'-オキシジアニリン(ODA)、4,4'-メチレンジアニリン(MDA)、又は、その2つを含む第2ジアミンと、2-(4-アミノフェニル)-5-アミノ-ベンゾイミダゾール(PBI)を含む第3ジアミンを含むことができる。
【0046】
一実施形態において、前記第3ジアミンは、前記ジアミン全体含量に対して、1モル%~30モル%であってもよい。
好ましくは、前記第3ジアミンは、前記ジアミン全体含量に対して5モル%~20モル%であってもよく、より好ましくは、5モル%~15モル%であってもよい。
前記第3ジアミンは、イミダゾール系ジアミンを含むものとして、ポリイミドフィルムの低い反発性及び寸法安定性を向上させるために核心的な要素として作用される。
もし、前記第3ジアミンの含量が前記範囲未満である場合、熱膨張係数(CTE)が増加して寸法安定性が低下し、前記含量範囲を超過する場合、熱膨張係数(CTE)が減少し過ぎて金属箔との熱膨張係数の差が大きくなることで寸法安定性が低下し得る。
【0047】
一実施形態において、前記ジアミンは、前記第1ジアミン100モルに対して、前記第2ジアミン10モル~50モル及び前記第3ジアミン1モル~30モルを含むことができる。
好ましくは、前記ジアミンは、前記第1ジアミン100モルに対して、前記第2ジアミン10モル~40モル及び前記第3ジアミン5モル~30モルを含んでもよい。より好ましくは、前記第1ジアミン100モルに対して、前記第2ジアミン20モル~40モル及び前記第3ジアミン10モル~20モルを含んでもよい
【0048】
一実施形態において、前記ジアミンは、前記第1ジアミン及び前記第2ジアミンのモル比が9:1~1:1であってもよく、好ましくは、8:1~7:2であってもよい。
【0049】
一実施形態において、前記ジアミンは、前記第1ジアミン及び前記第3ジアミンのモル比が9:1~1:1であってもよく、好ましくは、9:1~7:1であってもよい。
【0050】
一実施形態において、前記ジアミンは、前記第2ジアミン及び前記第3ジアミンのモル比が3:1~1:1であってもよく、好ましくは、3:1~2:1であってもよい。
【0051】
一実施形態において、前記ポリイミドフィルム製造用組成物は、3種以上のジアミンを一定のモル比に含むことによって、ポリイミドフィルムの低い反発性、屈曲性、寸法安定性を同時に向上させ得る効果がある。
【0052】
一実施形態において、前記ジアミンは、2-(4-アミノフェニル)ベンゾ[ジ]オキサゾール-5-アミン(PBO)、2、5-ジアミノトルエン、2、6-ジアミノトルエン、1、3-ビス(4,4'-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'-ジアミノ-1、5-フェノキシペンタン、4,4'-ジアミノビフェニル、3、3'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、3、3'-ジメトキシ-4,4'-ジアミノビフェニル、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、2、2'-ジアミノジフェニルプロパン、ビス(3、5-ジエチル-4-アミノフェニル)メタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノベンゾフェノン、ジアミノナフタレン、1、4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1、4-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、9、10-ビス(4-アミノフェニル)アントラセン、1、3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'-ビス(4-アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、2、2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2、2'-トリフルオロメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、1、4-ジアミノシクロヘキサン、1、4-シクロヘキサンビス(メチルアミン)、4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタン(MCA)、4,4'-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)(MMCA)、エチレンジアミン(EN)、1、3-ジアミノプロパン(13DAP)、テトラメチレンジアミン、1、6-ヘキサメチレンージアミン(16DAH))及び1、12-ジアミノドデカン(112DAD)からなる群より選択される1つ以上をさらに含むことができる。
【0053】
一実施形態において、前記芳香族二無水物100重量部に対して、前記ジアミンは10重量部~200重量部であってもよい。
【0054】
好ましくは、前記芳香族二無水物100重量部に対して、前記ジアミンは50重量部~150重量部であってもよく、より好ましくは、前記芳香族二無水物100重量部に対して、前記ジアミンは80重量部~120重量部であってもよい。さらに好ましくは、前記芳香族二無水物100重量部に対して、前記ジアミン100重量部、即ち、前記芳香族二無水物と前記ジアミンは1:1に含まれてもよい。
【0055】
一実施形態において、前記芳香族二無水物、前記ジアミンの含量比は、1:10~10:1であってもよく、好ましくは、1:5~5:1であってもよく、さらに好ましくは、1:2~2:1であってもよい。
【0056】
本発明に係るポリイミドフィルム製造用組成物は、イミダゾール系化合物、キノロン系化合物、及びキノリン系化合物からなる群より選択される1つ以上を含む硬化触媒を含む。
前記硬化触媒は、ポリイミドフィルムの反発性を低下させて耐折曲性及び寸法安定性を向上させることができる。
【0057】
一実施形態において、前記芳香族二無水物と前記ジアミンの総含量100重量部に対して、前記硬化触媒は、5重量部~40重量部であってもよい。
好ましくは、前記芳香族二無水物と前記ジアミンの総含量100重量部に対して、5重量部~30重量部であってもよい。
ここで、前記総含量は、前記芳香族の二無水物の含量と前記ジアミンの含量とを加えた値である。
もし、前記硬化触媒の含量が前記範囲未満である場合に引張強度及び寸法安定性が低下し、反発特性が増加する。
一方、前記硬化触媒の含量が前記範囲を超過する場合、耐折曲性が低下し得る。
特に、硬化触媒の含量は、ポリイミドフィルムの物性調節に核心的な要素である。
【0058】
一実施形態において、前記イミダゾール系化合物は、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、1-メチルイミダゾール、1-(トリメチルシリル)-イミダゾール、1、2-ジメチルイミダゾール、1-(3-アミノプロピル)-イミダゾール、2-アルキルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、及び3-フェニルイミダゾールからなる群より選択される1つ以上を含むことができる。
【0059】
一実施形態において、前記キノロン系化合物は、キノロン、1、2-ジヒドロ-2、2、4-トリメチルキノロン、2-クロロ-3-(クロロメチル)キノロン、4-(4-ジメチルアミノスチリル)キノロン、及び6-(アミノメチル)キノロンからなる群より選択される1つ以上を含むことができる。
【0060】
一実施形態において、前記キノリン系化合物は、キノリン、イソキノリン、及びベンゾキノリンからなる群より選択される1つ以上を含むことができる。
【0061】
一実施形態において、前記ポリイミドフィルム製造用組成物は、固形分の含量が5重量%~20重量%であり、粘度が10,000cP~30,000cPであってもよい。
好ましくは、前記ポリイミドフィルム製造用組成物は、固形分の含量が8重量%~15重量%であってもよい。
前記固形分の含量範囲は、前記ポリイミドフィルム製造用組成物がポリアミド酸であるときの固形分の含量範囲であって、ポリイミドフィルムを形成させるために適切な分子量(重合程度)及び金属箔の一面にコーティングする時の作業性(粘度)を考慮したものである。
また、前記ポリイミドフィルム製造用組成物は、粘度が10,000cP~30,000cPであってもよいが、これは、コーティング時の作業性を考慮したものである。
もし、前記ポリイミドフィルム製造用組成物の粘度が前記範囲未満である場合、金属箔の一面にコーティング時に溶液が流れ、前記範囲を超過する場合、コーティング時に溶液が固まって表面が等しくコーティングされないという問題が発生する恐れがある。
【0062】
本発明に係るポリイミドフィルム製造用組成物は、有機溶媒をさらに含むことができる。
一実施形態において、前記有機溶媒は、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc、N,N-Dimethylacetamide)、N-メチルピロリドン(NMP、N-Methyl-2-pyrrolidone)、ジメチルホルムアミド(DMF、N,N-Dimethylforamide)、ジメチルスルホキシド(DMSO、Dimethyl sulfoxide)、テトラヒドロフラン(TFH、Tetrahydrofuran)、ベンゼン、クレゾール、ヘキサン、シクロヘキサン、クロロホルム、フェノール、及びハロゲン化フェノールからなる群より選択される1つ以上を含んでもよい。
好ましくは、前記有機溶媒は、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc、N,N-Dimethylacetamide)、N-メチルピロリドン(NMP、N-Methyl-2-pyrrolidone)、ジメチルホルムアミド(DMF、N,N-Dimethylforamide)、及びジメチルスルホキシド(DMSO、Dimethyl sulfoxide)からなる群より選択される1つ以上を含んでもよい。
【0063】
本発明の他の側面は、有機溶媒にジアミンを溶解してジアミン溶液を準備するステップ、及び前記ジアミン溶液に芳香族二無水物及び硬化触媒を投入するステップを含み、前記硬化触媒は、イミダゾール系化合物、キノロン系化合物、及びキノリン系化合物からなる群より選択される1つ以上を含むポリイミドフィルム製造用組成物の製造方法を提供する。
ここで、前記有機溶媒、前記ジアミン、前記芳香族二無水物、及び前記硬化触媒に対する特徴は、先に説明したものと同一である。
【0064】
本発明の更なる側面は、芳香族二無水物、ジアミン、及び硬化触媒を含むポリイミドフィルム製造用組成物から製造されたものであり、モジュラス(Young's modulus)が5GPa以下であり、熱膨張係数(CTE)が15ppm/K以下である軟性金属箔積層体用ポリイミドフィルムを提供する。
【0065】
本発明に係るポリイミドフィルムは、モジュラス(Young's modulus)を5GPa以下で制御することによって、剛性度(stiffness)を低くし、低反発及び高屈曲の特性を有し得る。また、これは、MIT屈曲性を上昇させるためにも影響を及ぼす。
【0066】
本発明に係るポリイミドフィルムは、熱膨張係数(CTE)を15ppm/K以下に制御することで、軟性金属箔積層体の寸法安定性を向上させることができる。
前記熱膨張係数(CTE)は、100℃~250℃の温度区間で、20μm厚さのフィルムを基準にして測定されたものである。
【0067】
一実施形態において、前記軟性金属箔積層体用ポリイミドフィルムは、カバーレイ(coverlay)を付着した状態で、JIS C6471方法を用いたMIT屈曲性テストで屈曲回数が10,000回以上であるものである。
一実施形態において、前記屈曲回数は、13,000回以上であってもよい。
本発明に係る軟性金属箔積層体用ポリイミドフィルムは、MIT屈曲性、即ち、耐折曲性に優れる特徴を有する。
前記カバーレイは、12.5μm厚さのポリイミド及び15μm厚さの接着剤で構成されたものである。
これは、軟性印刷回路基板(FPCB)を模写し、テストの偏差を減らすためである。
【0068】
一実施形態において、前記軟性金属箔積層体用ポリイミドフィルムは、150℃の温度で30分間熱処理した後に測定された寸法変化率が0.1%以下であり、前記寸法変化率は下記の数式(1)によって計算されたものである。
[数式(1)]
寸法変化率(%)={(熱処理後平均ホール間距離-熱処理前平均ホール間距離)/熱処理前平均ホール間距離}×100
前記寸法変化率は、MD方向への寸法変化率及びTD方向への寸法変化率を全て含む。
【0069】
一実施形態において、前記MD方向への寸法変化率は0.06%以下であってもよく、前記TD方向への寸法変化率は0.05%以下であってもよい。
【0070】
一実施形態において、前記軟性金属箔積層体用ポリイミドフィルムは、剛性度が1.0N/m~1.7N/mであってもよい。
好ましくは、前記軟性金属箔積層体用ポリイミドフィルム銀の剛性度は、1.4N/m~1.7N/mであってもよい。
本発明に係る軟性金属箔積層体用ポリイミドフィルムは低い剛性度を有することで、反発性及びモジュラスが低いという特徴がある。
【0071】
本発明に係る軟性金属箔積層体用ポリイミドフィルムは、優れた寸法安定性を確保しながら反発特性を低減することにより、様々な要求に応じて変形されて他の素材との接触面積が減少する場合であっても、接着特性を保持することができる。
例えば、様々な理由でディスプレイ端子部位の面積が減少し、ディスプレイパネルのエッジ部のFPCB接着面積が減少しても、ポリイミドフィルム層の反発特性を低下させることで接着部位の脱落を防止できる。
【0072】
本発明の他の側面は、金属箔、及び前記金属箔の一面又は両面に積層された前記ポリイミドフィルムを含む軟性金属箔積層体を提供する。
図2は、本発明の一実施形態に係る軟性金属箔積層体の断面を示す図である。
図2を参照すると、金属箔の一面又は両面にポリイミド製造用組成物が一回又は複数回コーティングされてポリイミドフィルム層が形成されていることが確認できる。
【0073】
一実施形態によれば、前記ポリイミドフィルムは、前記金属箔の一面又は両面に本発明に係るポリイミドフィルム製造用組成物をコーティングして積層されることができる。
前記コーティングは、スロットダイコーティング(Slot die coating)、コンマコーティング(Comma coating)、リバースコンマコーティング(Reverse comma coating)、キャストコーティング(Cast coating)、又は浸漬コーティング(Dip coating)により実行されてもよい。
前記コーティングは複数回実行されてもよく、コーティング後の乾燥過程が共に実行されてもよい。前記乾燥は、100℃~200℃の温度範囲で、1分~20分間実行され、最高温度で1分~8分間保持された後、冷却される。
【0074】
一実施形態によれば、前記ポリイミドフィルムは、コーティング後に硬化されることができる。
前記硬化は、窒素雰囲気下で行われてもよく、300℃~400℃の温度範囲で5分~60分間行われ、最高温度で1分~15分間保持された後、冷却される。ここで、前記最高温度までは5分~30分間昇温して到達する。
【0075】
一実施形態において、前記金属箔は、圧延銅箔(RA、Roo-Annealed)、電解銅箔(ED、electrodeposition)、アルミ箔(Aluminium Foil)及びニッケル箔(Nickel Foil)からなる群より選択される1つ以上を含むことができる。
【0076】
一例として、前記軟性金属箔積層体は、軟性銅箔積層体(FCCL)であってもよい。
【0077】
一実施形態において、前記ポリイミドフィルムの厚さは、5μm~100μmであってもよい。
【0078】
以下、実施例及び比較例により本発明をより詳しく説明する。
但し、下記の実施例は、本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の内容が下記の実施例に限定されることはない。
【0079】
<実施例>ポリイミドフィルム製造用組成物及び軟性金属箔積層体の製造
1)ポリイミドフィルム製造用組成物の製造
有機溶媒にジアミンを溶解した後、芳香族二無水物と硬化触媒とを混合してポリイミドフィルム製造用組成物を製造した。
2)軟性金属箔積層体の製造
金属箔の一面に、製造されたポリイミドフィルム製造用組成物を塗布し、100℃~200℃の温度範囲で10分~20分間乾燥した。
その後、乾燥された積層体を赤外線熱供給方式の連続硬化器で300℃~400℃の温度範囲で硬化した。
ここで、硬化器内に窒素を供給し、常温で300℃~400℃の温度で30分以内に昇温し、10分以内で最高温度に保持した後冷却を実施した。
ポリイミドフィルムの厚さは、7.5μm~50μmに形成された。
【0080】
<比較例>ポリイミドフィルム製造用組成物及び軟性金属箔積層体の製造
ポリイミドフィルム製造用組成物を製造するとき硬化触媒を使用せず、1種の二無水物と2種のジアミンのみを使用したことを除いては、実施例と同じ方法でポリイミドフィルム製造用組成物及び軟性金属箔積層体を製造した。
【0081】
実施例及び比較例の具体的な成分構成が表1に示されている。
【表1】
【0082】
<試験例>ポリイミドフィルムの物性測定
実施例1~6及び比較例1、2で製造された軟性金属箔積層体において、第2塩化鉄溶液で金属をエッチングして蒸留水で洗浄し、ポリイミドフィルムを分離した。分離されたポリイミドフィルムの物性を下記のような方法により測定した。
1)引張強度
UTM(INSTRON-3345)を使用し、ポリイミドフィルムの幅を10mm及び長さ100mm(測定有効範囲50mm)に切って50.8mm/minの速度で測定した。
2)反発性
Loop Stiffness Tester(TOYOSEKI-DA)を使用し、厚さ12.5μmのポリイミドフィルムの幅を15mm及び長さ100mm以上に切った試片を測定台に固定した。ここで、試片が実際に測定される長さは50mmであり、loop形態に形成されたときの幅は20mmであった。Force Detector 13mmの条件で測定した。
3)熱膨張係数(CTE)
TMA(HITACHI-7100)を使用し、厚さ20μmのポリイミドフィルムの幅を4mm及び長さ50mm前後に切ってForce 30mNの張力を加え、100℃~250℃区間の熱膨張係数を測定した。
4)MIT屈曲性
MIT-DA(TOYOSEKI)を用いてJIS 6471 methodにより測定した。Coverlay (PI-12.5μm、Adhesive-15μm)を付着し、MIT測定装備を通じて測定し、90°又は135°で繰り返し曲げ、パータンが断線になるまでの曲げ回数を測定した。
測定時にカバーレイを付着したことは、軟性印刷回路基板(FPCB)を模写し、テスト偏差を減らすためである。
5)寸法安定性
290×270mmのサイズのFCCLをフルエッチング(Full etching)して自然乾燥した後、23℃/50%のRHで2時間保管しHole間の位置を測定した。Holeは、試片中心から250×230mmの頂点に位置する箇所に突き抜ける。150℃で30分間熱を加えた後、23℃/50%のRH条件で2時間保管しHole間の位置を測定した。
【0083】
図3は、寸法変化率の具体的な計算方法を説明するためのもので、試片における各ホールの位置を示している。
寸法変化率(Heating DS)は、下記の数式によって計算された。
MD方向寸法変化率(%)=(L
M2-L
M)/L
M×100
TD方向寸法変化率(%)=(L
T2-L
T)/L
T×100
L
M=(A、Bホール間距離+C、Dホール間距離)/2
L
T=(A、Cホール間距離+B、Dホール間距離)/2
L
M:円板MD方向の平均ホール間距離
L
M1:エッチング後MD方向の平均ホール間距離
L
M2:ヒーティング後MD方向の平均ホール間距離
L
T:原版TD方向の平均ホール間距離
L
T1:エッチング後TD方向の平均ホール間距離
L
T2:ヒーティング後TD方向の平均ホール間距離
【0084】
【0085】
表2を参照すると、実施例のポリイミドフィルムは、比較例のポリイミドフィルムと比較して、MIT屈曲性、寸法安定性、及び耐熱特性に優れ、低反発特性を示していることが確認される。
具体的に、実施例のポリイミドフィルムは、カバーレイ付着後のMIT屈曲性評価において、屈曲回数が13,000回以上として優れた耐折曲性を示した。
また、モジュラス(Young's modulus)が約4.5GPa~5GPaに示され、100℃~250℃の区間で測定された線熱膨張係数(CTE)が約12ppm/k~15ppm/kに示された。
前記反発性試験結果によると、実施例のポリイミドフィルムは、剛性度が1.7N/m以下に示され、比較例のポリイミドフィルムよりも低い値を示すことが確認される。
即ち、実施例のポリイミドフィルムは、低い剛性度を見せて反発性が低いことが確認され、これによって、低いモジュラス特性を有していることが分かる。
【0086】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、当技術分野で通常の知識を有するものであれば、前記に基づいて様々な技術的修正及び変形を適用することができる。例えば、説明された技術が説明された方法とは異なる順に実行されたり、及び/又は説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法とは異なる形態に組み合せられたり、他の構成要素又は均等物によって代替、置換されても適切な結果を達成することができる。
従って、他の実現、他の実施形態及び特許請求の範囲と均等なものなども後述する請求の範囲の範囲に属する。
【国際調査報告】