(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】麻酔適用のためのオピオイドフリー組成物、ならびに関連する方法および系
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20240426BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240426BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20240426BHJP
A61K 33/06 20060101ALI20240426BHJP
A61P 23/00 20060101ALI20240426BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20240426BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20240426BHJP
A61K 31/4174 20060101ALI20240426BHJP
A61K 31/4168 20060101ALI20240426BHJP
A61K 31/167 20060101ALI20240426BHJP
A61K 31/245 20060101ALI20240426BHJP
A61K 31/13 20060101ALI20240426BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240426BHJP
A61K 31/277 20060101ALI20240426BHJP
A61K 31/554 20060101ALI20240426BHJP
A61K 31/197 20060101ALI20240426BHJP
A61K 31/216 20060101ALI20240426BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P43/00 111
A61K31/573
A61K33/06
A61P23/00
A61P25/04
A61P25/20
A61K31/4174
A61K31/4168
A61K31/167
A61K31/245
A61K31/13
A61P29/00
A61K31/277
A61K31/554
A61K31/197
A61K31/216
A61P43/00 121
A61K45/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549156
(86)(22)【出願日】2021-12-25
(85)【翻訳文提出日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 IB2021062312
(87)【国際公開番号】W WO2022084980
(87)【国際公開日】2022-04-28
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523154987
【氏名又は名称】ベイパーワークス・ナーシング・アネステイジア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VAPORWORKS NURSING ANESTHESIA INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ハリス,ジュリア
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084AA23
4C084AA24
4C084NA14
4C084ZA04
4C084ZA05
4C084ZA08
4C084ZB11
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC38
4C086BC92
4C086DA10
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA04
4C086ZA05
4C086ZA08
4C086ZB11
4C086ZC41
4C086ZC42
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA21
4C206FA29
4C206FA40
4C206FA44
4C206GA19
4C206GA31
4C206HA13
4C206MA02
4C206MA03
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4C206ZA04
4C206ZA05
4C206ZA08
4C206ZB11
4C206ZC41
4C206ZC42
4C206ZC75
(57)【要約】
オピオイドフリー組成物、方法および系が記載される。組成物は、マグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ナトリウムチャンネル阻害剤、ならびに適宜、NMDAアンタゴニスト、ベータブロッカー、および/またはコルチコステロイドを、薬学的に許容される媒体、担体、または賦形剤と一緒に含む。組成物は、医療的または外科的処置を受けている患者のための術前および術中方法に適している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネシウム(Mg2+)塩、
アルファ-2アゴニスト、
ならびに適宜、
ナトリウムチャンネル阻害剤、および/または
マグネシウム塩以外のN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)アンタゴニスト、および/または
コルチコステロイド
を、薬学的に許容される媒体、担体、または賦形剤と一緒に含むオピオイドフリー術前医薬組成物であって、
前記マグネシウム塩、およびアルファ-2アゴニスト、ならびに適宜、ナトリウムチャンネル阻害剤、および/またはマグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、および/またはコルチコステロイドが、必要とする個体の鎮静および/または鎮痛に有効な量で含まれ、前記有効な量の組成物が、医療的または外科的処置の術前段階において、前記医療的または外科的処置を受けている間に、麻酔を必要とする個体に投与される、
オピオイドフリー術前医薬組成物。
【請求項2】
前記アルファ-2アゴニストが、デクスメデトミジン、クロニジン、ファドルミジン、グアナベンズ、グアノキサベンズ、グアネチジン、キシラジン、チザニジン、メデトミジン、メチルドパ、メチルノルエピネフリン、ノルエピネフリン、(R)-3-ニトロビフェニリン、アミトラズ、デトミジン、ロフェキシジン、およびメデトミジン、またはこれらの任意の組み合わせから選択される、請求項1に記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【請求項3】
前記アルファ-2アゴニストがデクスメデトミジンを含む、請求項1または請求項2に記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【請求項4】
前記ナトリウムチャンネル阻害剤が、キニジン、アジマリン、プロカインアミド、ジソピラミド、リドカイン、プロカイン、プリロカイン、フェニトイン、メキシレチン、トカイニド、エンカイニド、フレカイニド、プロパフェノン、およびモリシンジン、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1から3のいずれかに記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【請求項5】
前記ナトリウムチャンネル阻害剤が、リドカインおよび/もしくはプロカイン、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項1から4のいずれかに記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【請求項6】
前記ナトリウムチャンネル阻害剤がリドカインを含む、請求項1から5のいずれかに記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【請求項7】
前記マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストが、ケタミン、デキストロメトルファン(DXM)、フェンシクリジン(PCP)、およびメトキセトアミン(MXE)、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1から6のいずれかに記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【請求項8】
前記マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストがケタミンを含む、請求項1から7のいずれかに記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【請求項9】
前記コルチコステロイドが、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、フルドロコルチゾン酢酸エステル、プレドニゾロン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム、ベタメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、およびフルオロメトロン、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1から8のいずれかに記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【請求項10】
前記コルチコステロイドがデキサメタゾンリン酸エステルナトリウムを含む、請求項1から9のいずれかに記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【請求項11】
前記マグネシウム塩が、硫酸マグネシウムまたは塩化マグネシウムを含み、
前記アルファ-2アゴニストがデクスメデトミジンを含み、
前記ナトリウムチャンネル阻害剤が、リドカイン、プリロカイン、またはプロカインを含み、
前記NMDAアンタゴニストがケタミンを含み、
前記コルチコステロイドがデキサメタゾンを含む、
請求項1に記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【請求項12】
前記マグネシウム塩の濃度が1mg/mLから500mg/mLの範囲である、請求項1から11のいずれかに記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【請求項13】
前記マグネシウム塩の濃度が1mg/mLから300mg/mLの範囲である、請求項12に記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【請求項14】
前記アルファ-2アゴニストの濃度が0.01から50mcg/mLの範囲である、請求項1から13のいずれかに記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【請求項15】
前記アルファ-2アゴニストの濃度が0.1から30mcg/mLの範囲である、請求項14に記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【請求項16】
前記アルファ-2アゴニストの濃度が0.1から1mcg/mLの範囲である、請求項14から15のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【請求項17】
前記ナトリウムチャンネル阻害剤の濃度が0.1mg/mLから35mg/mLの範囲である、請求項1から16のいずれかに記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【請求項18】
前記ナトリウムチャンネル阻害剤の濃度が1mg/mLから20mg/mLの範囲である、請求項17に記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【請求項19】
前記マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストの濃度が0.01mg/mLから35mg/mLの範囲である、請求項1から18のいずれかに記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【請求項20】
前記マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストの濃度が0.1mg/mLから0.5mg/mLの範囲である、請求項19に記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【請求項21】
前記コルチコステロイドの濃度が0.01から10mg/mLの範囲である、請求項1から20のいずれかに記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【請求項22】
前記コルチコステロイドの濃度が1から2.0mg/mLの範囲である、請求項21に記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【請求項23】
約50mg/mLから約500mg/mLの範囲の濃度のマグネシウム塩、
約1mcg/mLから約50mgc/mLの範囲の濃度のアルファ-2アゴニスト、
ならびに適宜、
約1mg/mLから約35mg/mLの範囲の濃度のナトリウムチャンネル阻害剤、
約0.01mg/mLから約35mg/mLの範囲の濃度の、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、および
約0.1mg/mLから約10mg/mLの範囲の濃度のコルチコステロイド
を、薬学的に許容される媒体、担体、または賦形剤と一緒に含む、
請求項1に記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【請求項24】
医療的または外科的処置を受けている間の、麻酔を必要とする個体のオピオイドフリー術前治療の方法であって、
有効な量の
5から50mg/kgの標準体重(IBW)の範囲の量のマグネシウム塩、
0.1から1mcg/kgのIBWの範囲の量のアルファ-2アゴニスト、
ならびに適宜、
0.1から2mg/kgのIBWの範囲の量のナトリウムチャンネル阻害剤、
0.01から0.2mg/kgのIBWの範囲の量のコルチコステロイド、および/または
0から0.5mg/kgのIBWの範囲の量の、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト
を前記個体に投与することを含み、
前記マグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ならびに適宜、ナトリウムチャンネル阻害剤、コルチコステロイド、およびNMDAの有効な量が、前記医療的または外科的処置の術前段階において、前記個体の麻酔、鎮静および/もしくは鎮痛の誘導をもたらす組み合わせによって前記個体に投与される、
前記方法。
【請求項25】
前記オピオイドフリー術前治療の投与が、請求項1から23または請求項65のいずれかに記載の術前医薬組成物を前記個体に投与することによって実施される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
マグネシウム(Mg
2+)塩、
アルファ-2アゴニスト、および
ナトリウムチャンネル阻害剤、
ならびに適宜、
マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、および/または
ベータブロッカー
を、薬学的に許容される媒体、担体、または賦形剤と一緒に含み、前記マグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ナトリウムチャンネル阻害剤、ならびに適宜、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、ベータブロッカーが、医療的または外科的処置の術中段階において、前記医療的または外科的処置を受けている間に、麻酔の必要な個体の麻酔、鎮静および/または鎮痛、ならびに安定したバイタルサインを維持するために有効な量で含まれる、
オピオイドフリー術中医薬組成物。
【請求項27】
前記アルファ-2アゴニストが、デクスメデトミジン、クロニジン、ファドルミジン、グアナベンズ、グアノキサベンズ、グアネチジン、キシラジン、チザニジン、メデトミジン、メチルドパ、メチルノルエピネフリン、ノルエピネフリン、(R)-3-ニトロビフェニリン、アミトラズ、デトミジン、ロフェキシジン、およびメデトミジン、またはこれらの任意の組み合わせから選択される、請求項26に記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【請求項28】
前記アルファ-2アゴニストがデクスメデトミジンを含む、請求項26または請求項27に記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【請求項29】
前記ナトリウムチャンネル阻害剤が、キニジン、アジマリン、プロカインアミド、ジソピラミド、リドカイン、プロカイン、プリロカイン、フェニトイン、メキシレチン、トカイニド、エンカイニド、フレカイニド、プロパフェノン、およびモリシンジン、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項26から28のいずれかに記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【請求項30】
前記ナトリウムチャンネル阻害剤が、リドカインおよびプロカイン、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項26から29のいずれかに記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【請求項31】
前記ナトリウムチャンネル阻害剤がリドカインを含む、請求項26から30のいずれかに記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【請求項32】
前記マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストが、ケタミン、デキストロメトルファン(DXM)、フェンシクリジン(PCP)、およびメトキセトアミン(MXE)、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項26から31のいずれかに記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【請求項33】
前記マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストがケタミンを含む、請求項26から32のいずれかに記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【請求項34】
前記ベータブロッカーが、カルベジロール、プロプラノロール、エスモロール、チモロール、メトプロロール、ラベタロール、アテノロール、ビソプロロール、およびネビボロール、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項26から33のいずれかに記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【請求項35】
前記ベータブロッカーがエスモロールを含む、請求項26から34のいずれかに記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【請求項36】
前記アルファ-2アゴニストがデクスメデトミジンを含み、前記マグネシウム塩が、硫酸マグネシウムまたは塩化マグネシウムを含み、前記ナトリウムチャンネル阻害剤が、リドカインまたはプロカインを含み、前記NMDAアンタゴニストがケタミンを含み、前記ベータブロッカーがエスモロールを含む、請求項26から35のいずれかに記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【請求項37】
前記マグネシウムが硫酸マグネシウムを含み、
前記アルファ-2アゴニストがデクスメデトミジンを含み、
前記ナトリウムチャンネル阻害剤が、リドカイン、プリロカイン、またはプロカインを含み、
前記NMDAアンタゴニストがケタミンを含み、
前記ベータブロッカーがエスモロールを含む、
請求項26に記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【請求項38】
約5mg/mLから約20mg/mLの範囲の量のマグネシウム塩、
約0.1から約1mcg/kgの範囲の量のアルファ-2アゴニスト、
約0.5mg/mLから約3mg/mLの範囲の量のナトリウムチャンネル阻害剤、
ならびに適宜、
約0mg/mLから約0.5mg/mLの範囲の量の、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、および
約0.15mg/mLから約2mg/mLの範囲の量のベータブロッカー
を、薬学的に許容される媒体、担体、または賦形剤と一緒に含む、
請求項26に記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【請求項39】
前記マグネシウム塩の濃度が1mg/mLから500mg/mLの範囲である、請求項26から38のいずれかに記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【請求項40】
前記マグネシウム塩の濃度が1mg/mLから370mg/mLの範囲である、請求項39に記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【請求項41】
前記アルファ-2アゴニストの濃度が0.01から30mcg/mLの範囲である、請求項26から40のいずれかに記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【請求項42】
前記アルファ-2アゴニストの濃度が0.1から30mcg/mLの範囲である、請求項41に記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【請求項43】
前記アルファ-2アゴニストの濃度が0.1から1mcg/mLの範囲である、請求項41または請求項42に記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【請求項44】
前記ナトリウムチャンネル阻害剤の濃度が1mg/mLから3mg/mLの範囲である、請求項26から43のいずれかに記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【請求項45】
前記マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストの濃度が0.01mg/mLから20mg/mLの範囲である、請求項26から44のいずれかに記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【請求項46】
前記マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストの濃度が0.1mg/mLから0.5mg/mLの範囲である、請求項45に記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【請求項47】
前記ベータブロッカーの濃度が0.001mg/mLから20mg/mLの範囲である、請求項26から46のいずれかに記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【請求項48】
前記ベータブロッカーの濃度が0.01mg/mLから2mg/mLの範囲である、請求項47に記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【請求項49】
前記ベータブロッカーの濃度が0.05mg/mLから1mg/mLの範囲である、請求項27から48のいずれかに記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【請求項50】
医療的または外科的処置を受けている間の、麻酔を必要とする個体のオピオイドフリー術中治療の方法であって、
有効な量の:
1から20mg/kg/hrの標準体重(IBW)の範囲の量のマグネシウム塩、例えば硫酸マグネシウム、
0.01から1mcg/kg/hrのIBWの範囲の量のアルファ-2アゴニスト、例えばデクスメデトミジン、および
0.1から3mg/kg/hrのIBWの範囲の量のナトリウムチャンネル阻害剤、例えばリドカイン、
ならびに適宜、
3から300mcg/kg/minまたは3から20mcg/kg/minのIBWの範囲の量のベータブロッカー、例えばエスモロール、および/または
0から0.5mg/kg/hrのIBWの範囲の量の、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト
を前記個体に投与することを含み、
前記マグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ナトリウムチャンネル阻害剤、ならびに適宜、ベータブロッカー、および/またはマグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストの有効な量が、前記個体の医療的または外科的処置の術中段階において、前記個体の麻酔、鎮静および/もしくは鎮痛、および安定したバイタルサインの維持、ならびに/または手術中の麻酔深度への寄与をもたらすために組み合わされて前記個体に投与される、
前記方法。
【請求項51】
前記オピオイドフリー術中治療の投与が、請求項26から49または請求項66のいずれかに記載の術中医薬組成物を前記個体に投与することによって実施される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
医療的または外科的処置を受けている個体のオピオイドフリー周術期治療のための方法であって、請求項24から25のいずれかに記載の医療的または外科的処置を受けている前記個体のオピオイドフリー術前治療を実施すること、および請求項50から51のいずれかに記載の医療的または外科的処置を受けている前記個体のオピオイドフリー術中治療を実施することを含む、前記方法。
【請求項53】
前記オピオイドフリー術前治療の実施が、請求項1から23または請求項65のいずれかに記載の術前組成物を前記個体に投与することにより実施され、前記オピオイドフリー術中治療の実施が、請求項26から49または請求項66のいずれかに記載の術中組成物を前記個体に投与することにより実施される、
請求項52に記載の方法。
【請求項54】
以下の任意の組み合わせ:マグネシウム塩、および/またはアルファ-2アゴニスト、および/またはナトリウムチャンネル阻害剤、および/またはマグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、および/またはベータブロッカー、ならびに薬学的に許容される媒体、担体、または賦形剤を含むオピオイドフリー術後医薬組成物を個体に投与することにより、医療的または外科的処置を受けている間に麻酔を必要とする前記個体のオピオイドフリー術後治療を実施することをさらに含み、前記術後組成物が、前記個体の前記医療的または外科的処置の術後段階において疼痛および/または炎症を治療するのに有効な量である、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
医療的または外科的処置を受けている間の、麻酔を必要とする個体のオピオイドフリー術前治療のためのオピオイドフリー術前系であって、前記系が、請求項1から23または請求項65のいずれかに記載の術前医薬組成物、および前記組成物または前記組成物の1つもしくは複数の個別の成分を含む1つまたは複数の容器を含み、前記容器が、シリンジ、IVバッグ、ボトル、またはバイアルであり、前記容器が、ガラスまたはプラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、もしくはポリプロピレン-ポリエチレンブレンド)である、オピオイドフリー術前系。
【請求項56】
医療的または外科的処置を受けている間の、麻酔を必要とする個体のオピオイドフリー術中治療のためのオピオイドフリー術中系であって、前記系が、請求項26から49または請求項66のいずれかに記載の術中医薬組成物、および前記組成物または前記組成物の1つもしくは複数の個別の成分を含む1つまたは複数の容器を含み、前記容器が、シリンジ、IVバッグ、ボトル、またはバイアルであり、前記容器が、ガラスまたはプラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、もしくはポリプロピレン-ポリエチレンブレンド)である、オピオイドフリー術中系。
【請求項57】
医療的または外科的処置を受けている間の、麻酔を必要とする個体のオピオイドフリー周術期治療のためのオピオイドフリー周術期系であって、
請求項55に記載のオピオイドフリー術前系、および
請求項56に記載のオピオイドフリー術中系
を含む、前記オピオイドフリー周術期系。
【請求項58】
カルシウムチャンネル阻害剤、Cox阻害剤、GABA類似体、抗うつ薬、カンナビジオール(CBD)、および/または制吐剤をさらに含む、請求項57に記載のオピオイドフリー周術期系。
【請求項59】
前記カルシウムチャンネル阻害剤が、ベラパミルまたはジルチアゼムを含む、請求項57または請求項58に記載のオピオイドフリー周術期系。
【請求項60】
前記Cox阻害剤が、セレコキシブ(すなわち、セレキソキシブ)、ロフェコキシブ(バイオックスとして一般に知られている)、エトリコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、アスピリン、ジフルニサル、イブプロフェン、デキシイブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、インドメタシン、トルメチン、ジクロフェナク、スリンダク、エトドラク、ケトロラク、ピロキシカム、メロキシカム(メロキシカム)、テノキシカム、ドロキシカム、メフェナム酸、メクロメフェナム酸、クロニキシン、リコフェロン、およびパラセタモール(アセトアミノフェン)、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項57から59のいずれかに記載のオピオイドフリー周術期系。
【請求項61】
前記GABA類似体が、プレガバリン、ガバペンチン、ピカミロン、およびプロガビドまたはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項57から60のいずれかに記載のオピオイドフリー周術期系。
【請求項62】
前記抗うつ薬が、(SNRI)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、三環系抗うつ薬(TCA)、四環系抗うつ薬(TeCA)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、ノルアドレナリンおよび特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NASSA)からなる群から選択される、請求項57から61のいずれかに記載のオピオイドフリー周術期系。
【請求項63】
前記抗うつ薬が、ベンラファキシン、シンバルタ(デュロキセチン)、ベンラファキシンXR、ベンラファキシンER、デスベンラファキシン、およびベンラファキシンからなる群から選択されるセロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)を含む、請求項57から62のいずれかに記載のオピオイドフリー周術期系。
【請求項64】
前記制吐剤が、オンダンセトロン、ドラセトロン、グラニセトロン、パロノセトロン、プロメタジン、ジメンヒドリナート、メトクロプラミド、メクリジン、ドロペリドール、ハルドール、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項57から63のいずれかに記載のオピオイドフリー周術期系。
【請求項65】
6mLの硫酸マグネシウム(500mg/mL)、
1.5mLのデキサメタゾン(10mg/mL)、
0.3mLのデクスメデトミジン(100mcg/mL)、および
2.2mLの2%リドカイン
の総容量の10mLを含む、オピオイドフリー術前医薬組成物。
【請求項66】
10mLのリドカイン2%、
2mLの硫酸マグネシウム(500mg/mL)、
1.8mLのエスモロール(10mg/mL)、
0.3mLのデクスメデトミジン(100mcg/mL)、および
0.25mLのケタミン(50mg/mL)
の総容量の100mLを含む、オピオイドフリー術中医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.分野
本開示は麻酔学に関連する。
【背景技術】
【0002】
2.背景
オピオイドは、典型的には、麻酔および疼痛管理の実践において知られている効果および多様性の観点から、麻酔のための第一選択薬物である。
【0003】
しかし、オピオイド投与は有意な罹患率および死亡率、ならびに術後ケアの追加の費用につながり得るいくつかの副作用に関連する。
【0004】
麻酔学における進歩にもかかわらず、有効な麻酔を可能にし、同時にオピオイド投与に関連する副作用および合併症を最小限する薬物を確認することは、依然として難題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
3.開示の要約
本明細書に提供されるものは、いくつかの実施形態において、個体に対して有効な麻酔を実施し、同時にオピオイド投与に関連する副作用および合併症を低減することを可能にする、麻酔適用のための麻酔特性を有するオピオイドフリー(opioid-free)組成物、ならびに関連する方法および系である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によると、オピオイドフリー術前医薬組成物が記載される。オピオイドフリー術前医薬組成物は、
マグネシウム(Mg2+)塩、例えば硫酸マグネシウム、アルファ-2アゴニスト、例えばデクスメデトミジン、
ならびに適宜、
ナトリウムチャンネル阻害剤、例えばリドカイン、および/または
N-メチル-D-アスパラギン酸受容体(NMDA)阻害剤、例えばケタミン、および/または
コルチコステロイド、例えばデキサメタゾン
を含む。
一部の実施形態において、組成物は、薬学的に許容される媒体、担体、または賦形剤をさらに含む。オピオイドフリー術前組成物において、マグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ならびに適宜、ナトリウムチャンネル阻害剤、NMDAアンタゴニスト、および/またはコルチコステロイドは、医療的または外科的処置の術前段階において、特に、本開示の術前方法と関連して使用される場合、個体の不安を治療するため、ならびに/または鎮静および/もしくは鎮痛を誘導するために有効な量で存在する。
【0007】
第2の態様によると、医療的または外科的処置を受けている個体のオピオイドフリー術前治療を記載する方法であって、
有効な量の
5から50mg/kgの標準体重(IBW)の範囲の量のマグネシウム塩、例えば硫酸マグネシウム、
0.1から1mcg/kgのIBWの範囲の量のアルファ-2アゴニスト、例えばデクスメデトミジン、ならびに適宜、
0.1から2mg/kgのIBWの範囲の量のナトリウムチャンネル阻害剤、例えばリドカイン、および/または
0.01から0.2mg/kgのIBWの範囲の量のコルチコステロイド、例えばデキサメタゾン、および/または
0から0.5mg/kgのIBWの範囲の量の、Mg以外のNMDAアンタゴニスト、例えばケタミン
を個体に投与することを含み、
マグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ならびに適宜、ナトリウムチャンネル阻害剤、コルチコステロイドおよびNMDAが、医療的または外科的処置の術前段階において、個体の不安を治療するため、ならびに/または鎮静および/もしくは鎮痛を誘導するために有効な量の組み合わせによって個体に投与される、
方法である。
【0008】
様々な実施形態において、投与工程は、本開示の術前組成物を個体に投与することを含む。様々な実施形態において、投与工程は、マグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ならびに適宜、ナトリウムチャンネル阻害剤、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、および/またはコルチコステロイドを組み合わせて術前組成物を調製する副工程を含む。
【0009】
第3の態様によると、オピオイドフリー術前系が個体のオピオイドフリー術前治療のために記載される。オピオイドフリー術前系は、
本明細書に記載されるオピオイドフリー術前治療の方法において、個体の麻酔、鎮静、および/または鎮痛を誘導するために同時、併用、または順次使用に有効な量で含まれる、
マグネシウム(Mg2+)塩、例えば硫酸マグネシウム、
アルファ-2アゴニスト、例えばデクスメデトミジン、
ならびに適宜、
ナトリウムチャンネル阻害剤、例えばリドカイン、および/または
マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、例えばケタミン、および/または
コルチコステロイド、例えばデキサメタゾン
を含む。
【0010】
第4の態様によると、オピオイドフリー術中医薬組成物が記載される。オピオイドフリー術中医薬組成物は、
マグネシウム塩、例えば硫酸マグネシウム、アルファ-2アゴニスト、例えばデクスメデトミジン、ナトリウムチャンネル阻害剤、例えばリドカイン、
ならびに適宜、
N-メチル-D-アスパラギン酸受容体阻害剤、例えばケタミン、および/または
ベータブロッカー、例えばエスモロール
を含む。
様々な実施形態において、組成物は、薬学的に許容される媒体、担体、または賦形剤をさらに含む。術中組成物において、マグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ナトリウムチャンネル阻害剤、ならびに適宜、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、およびベータブロッカーは、医療的または外科的処置の術中段階において、個体の鎮痛、麻酔および/または鎮静を誘導および/または維持するため、ならびに血行動態安定性を維持するために有効な量で組成物に存在する。
【0011】
第5の態様によると、医療的または外科的処置を受けている個体のオピオイドフリー術中治療を記載する方法であって、
有効な量の
1から20mg/kg/hrの標準体重(IBW)の範囲の量のマグネシウム塩、例えば硫酸マグネシウム、
0.01から1mcg/kg/hrのIBWの範囲の量のアルファ-2アゴニスト、例えばデクスメデトミジン、
0.1から3mg/kg/hrのIBWの範囲の量のナトリウムチャンネル阻害剤、
ならびに適宜、
3から300mcg/kg/minまたは3から20mcg/kg/minのIBWの範囲の量のベータブロッカー、例えばエスモロール、および/または
0から0.5mg/kg/hrのIBWの範囲の量の、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト
を個体に投与することを含む方法である。
【0012】
マグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、およびナトリウムチャンネル阻害剤、ならびに適宜、ベータブロッカー、およびマグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストは、医療的または外科的処置の術中段階において、個体の鎮痛、麻酔および/または鎮静を誘導および/または維持するため、ならびに血行動態安定性を維持するために有効な量で個体に投与される。
【0013】
様々な実施形態において、投与工程は、本開示のオピオイドフリー術中組成物を個体に投与することを含む。様々な実施形態において、投与工程は、マグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ナトリウムチャンネル阻害剤、ならびに適宜、N-メチル-D-アスパラギン酸受容体阻害剤、および/またはベータブロッカーを組み合わせて、術中組成物を調製することを含む。第6の態様によると、オピオイドフリー術中系が、医療的または外科的処置を受けている個体のオピオイドフリー術中治療のために記載される。オピオイドフリー術中系は、
マグネシウム塩、例えば硫酸マグネシウム、
アルファ-2アゴニスト、例えばデクスメデトミジン、および
ナトリウムチャンネル阻害剤、例えば、リドカインまたはプロカイン、ならびに適宜
N-メチル-D-アスパラギン酸受容体阻害剤、例えばケタミン、および/またはベータブロッカー、例えばエスモロールを、本開示のオピオイドフリー術中治療の方法に従って、医療的または外科的処置の術中段階において、個体の鎮痛、麻酔および/または鎮静を誘導および/または維持するため、ならびに血行動態安定性を維持するための同時、併用、または順次投与に有効な量で含む。
【0014】
第7の態様によると、方法は、医療的または外科的処置を受けている個体のオピオイドフリー周術期治療を記載する。方法は、
本明細書に記載されている方法のいずれか1つに従って、オピオイドフリー術前治療に有効な量を個体に投与すること、および
本明細書に記載されている方法のいずれか1つに従って、オピオイドフリー術中治療に有効な量を個体に投与すること、
を含む。
【0015】
様々な実施形態において、オピオイドフリー術前治療工程の投与は、本開示の術前組成物を個体に投与することを含む。様々な実施形態において、オピオイドフリー術前治療工程の投与は、マグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ならびに適宜、ナトリウムチャンネル阻害剤、および/またはマグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、および/またはコルチコステロイドを組み合わせて術前組成物を調製する副工程を含む。
【0016】
様々な実施形態において、オピオイドフリー術中治療工程の投与は、本開示の術中組成物を個体に投与することを含む。様々な実施形態において、オピオイドフリー術中治療工程の投与は、マグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ナトリウムチャンネル阻害剤、ならびに適宜、N-メチル-D-アスパラギン酸受容体阻害剤、および/またはベータブロッカーを組み合わせる副工程を含む。
【0017】
第8の態様によると、オピオイドフリー周術期系が、医療的または外科的処置を受けている個体のオピオイドフリー術中治療のために記載される。オピオイドフリー周術期系は、
本明細書に記載されているオピオイドフリー周術期系、および
本明細書に記載されているオピオイドフリー術中系、
を、本開示のオピオイドフリー周術期治療の方法に従って、個体の麻酔、鎮静、鎮痛、および/または安定したバイタルサインを維持するため、ならびに手術中の麻酔深度に寄与するための同時、併用、または順次投与に有効な量で含む。
【0018】
オピオイドフリー周術期系の様々な実施形態において、オピオイドフリー術前系のマグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ならびに適宜、ナトリウムチャンネル阻害剤、および/またはマグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、および/またはコルチコステロイドは、迅速および正確な投薬を促進するように構成された組成物に含まれる。
【0019】
オピオイドフリー周術期系の様々な実施形態において、オピオイドフリー術中系のマグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ナトリウムチャンネル阻害剤、ならびに適宜、N-メチル-D-アスパラギン酸受容体阻害剤、および/またはベータブロッカーは、迅速および正確な投薬を促進するように構成された組成物に含まれる。
【0020】
本明細書に記載されているオピオイドフリー組成物、方法および系は、いくつかの実施形態において、術後オピオイド消費の必要性を排除または低減し、それによってオピオイド使用障害発生への曝露および危険性を低減することを可能にする。
【0021】
本明細書に記載されているオピオイドフリー組成物、方法および系は、いくつかの実施形態において、外科手術に関連する疼痛を予防または軽減することを可能にする。本明細書に記載されているオピオイドフリー組成物、方法および系は、いくつかの実施形態において、オピオイド投与に関連する副作用、例えば、呼吸抑制、悪心/嘔吐、および便秘を最小限にすることを可能にする。
【0022】
本明細書に記載されているオピオイドフリー組成物、方法および系は、いくつかの実施形態において、感染の危険性の増加およびがん集団における転移の危険性の増加の可能性を含む、手術の結果に影響を与えるオピオイド投与に関連する免疫抑制を最小限にすることを可能にする(ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5902248/ on the world wide web)。
【0023】
本明細書に記載されているオピオイドフリー組成物、方法および系は、いくつかの実施形態において、最適以下の術後疼痛制御に二次的である過剰処方によってさらに永続化される、急性オピオイド誘発性耐性および痛覚過敏を排除することを可能にする。
【0024】
本明細書に記載されているオピオイドフリー組成物、方法および系は、いくつかの実施形態において、オピオイド投与に関連する罹患率、致死率および追加の術後医療費を有意に低減することを可能にする。
【0025】
本明細書に記載されているオピオイドフリー組成物、方法および系を、麻酔または鎮痛効果が望ましい様々な用途に関連して使用することができる。例えば、本明細書に記載されているオピオイドフリー組成物、方法および系を、医療的または外科的処置を受けようとしている個体の治療に使用することができる。追加の例示的な用途は、基礎生物学研究、応用生物学、生物工学、医学研究、治療薬を含むいくつかの分野、および本開示を読むことにより当業者に確認可能な追加の分野における、本明細書に記載されている組成物の使用を含む。
【0026】
本開示の1つまたは複数の実施形態の詳細は、添付図面および下記記載に述べられている。他の特徴、目的および利点は、記載および図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかである。
【0027】
本明細書に組み込まれ、一部を構成する添付図面は、本開示の1つまたは複数の実施形態を例証し、詳細な記載および実施例と一緒になって、本開示の原理および実施を説明することに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、手術時間、麻酔時間および周術期時間を含む、オピオイドフリー麻酔の医療的または外科的処置の異なる段階を示す略図を示す。(出典 N. M. Elkassabany and E. R. Mariano, Anaesthesia 2019, 74, 560-563)。
【
図2】
図2は、末梢神経損傷または反復モルヒネ投与による脊髄の後角におけるダークニューロン(dark neuron)の興奮毒性形成の例示的モデルの略図を示す。(出典 Mayer, D.J., Mao, J., Holt, J., Price, D.D. Proc Natl Acad Sci U S A. 1999 Jul 6; 6(14): 7731-7736)。
【
図3】
図3は、脊椎痛増幅機構の減弱を導く、臨床的に使用された薬物療法手法の概観図を示す。これらの手法は、クロニジンおよび抗うつ薬、局所麻酔薬(LA)(例えば、静脈内(IV)リドカイン)、ケタミン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、ガバペンチンおよびプレガバリンの使用を含む。(出典 Deumens, Steyaert, Forget et al., Progress Neurobio. 2012)。
【
図4】
図4は、本開示のオピオイドフリー麻酔(OFA)または非オピオイドフリー(non-opioid-free)麻酔(Non-OFA)のいずれかを受けた手術患者のPACUオピオイド消費およびAldreteスコアを比較する(実施例16を参照すること)。
【
図5】
図5は、病院で膝関節全置換手術(total knee replacement surgery)を受けた140人に患者の後ろ向き分析の結果を示す。本開示のOFAおよび術後オピオイド回避疼痛管理を受けた患者は、伝統的なケアと比較して、手術後に入院期間(hospital length of stay)(LOS)に50パーセントの低減を経験した。これらの患者は、伝統的な麻酔措置(anesthesia services)を受けた患者より平均1.39日早く帰宅することができた(実施例17を参照すること)。
【
図6】
図6は、
図5に記載された術後入院期間の減少に関連する費用節約を示す。
【
図7】
図7は、単回バイアル(single vial)が各患者に使用される場合の典型的な「伝統的」オピオイドベース麻酔を投与する費用($単回バイアル)、およびバイアルを2人以上の患者に利用することができる場合の費用「$投薬」を示す。多くの病院は、個々のバイアルを多回用量に分割することを、薬局において厳密な滅菌条件下でのみ許可している。
【
図8】
図8は、本開示のオピオイドフリー組成物における例示的な成分、およびオピオイドフリー組成物に関連して使用することができる追加の薬剤の費用を示す。
図8は、単回バイアルが各患者に使用される場合のオピオイドフリー組成物の濃度および投与に関する費用($単回バイアル)、ならびにバイアルを2人以上の患者に利用することができる場合の費用「$投薬」を示す。多くの病院は、個々のバイアルを多回用量に分割することを、薬局において厳密な滅菌条件下でのみ許可している。
【
図9】
図9は、単価および製造濃度に関する「伝統的に使用される」麻酔処方(anesthesia medications)を示す。
【
図10】
図10は、本明細書に記載されている先制鎮痛負荷量シリンジ(Preemptive Analgesia Loading Dose Syringe)の例示的なOFA組成物を示し、ここで組成物は、リドカイン、Mg
2+塩、デクスメデトミジンおよびデキサメタゾンを含む。
【
図11】
図11は、100mLのIVバッグ中のオピオイドフリー麻酔注入液の代替的な組み合わせを示し、ここで組成物は、リドカイン、Mg、デクスメデトミジン、ケタミンおよびエスモロール-HClを含む。
【
図12】
図12は、足首固定の外科的処置後の足首の画像を示す。足首の固定処置は、本開示のオピオイドフリー組成物を使用して実施された。患者は、平穏な術後経過を経験した(実施例18を参照すること)。
【
図13】
図13は、
図12で示された手術後の際にバイタルサイン(交感神経性応答)に最小限の変化を示す麻酔記録の画像を示す(実施例18を参照すること)。
【
図14】
図14Aは、手術前の患者の重度の足首骨折の画像を示す。
図14Bは、固定処置後の足首の画像を示す。足首固定手術は、本開示のオピオイドフリー組成物を使用し、末梢神経ブロックを投与することなく実施された(実施例19を参照すること)。患者は、回復病棟では疼痛を報告せず、この期間にレスキューオピオイド(rescue opioid)を必要としなかった。
【発明を実施するための形態】
【0029】
5.詳細な記載
本発明は、以下を含む。
(1.)マグネシウム塩(Mg2+)塩、例えば硫酸マグネシウム、および
アルファ-2アゴニスト、例えばデクスメデトミジン、ならびに適宜、
ナトリウムチャンネル阻害剤、例えばリドカイン、および/または
N-メチル-D-アスパラギン酸受容体阻害剤、例えばケタミン、および/またはコルチコステロイド、例えばデキサメタゾン
を、薬学的に許容される媒体、担体、または賦形剤と一緒に含み、
マグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ならびに適宜、ナトリウムチャンネル阻害剤、および/またはNMDAアンタゴニスト、および/またはコルチコステロイドが、医療的または外科的処置の術前段階において、個体の不安を治療するため、ならびに/または鎮静および/もしくは鎮痛を誘導するために有効な量で含まれる、
オピオイドフリー術前医薬組成物。
【0030】
(2.)アルファ-2アゴニストが、デクスメデトミジン、クロニジン、ファドルミジン(fadolmidine)、グアナベンズ、グアノキサベンズ、グアネチジン、キシラジン、チザニジン、メデトミジン、メチルドパ、メチルノルエピネフリン、ノルエピネフリン、(R)-3-ニトロビフェニリン、アミトラズ、デトミジン、ロフェキシジン、およびメデトミジン、またはこれらの任意の組み合わせから選択される、上記の(1.)に記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【0031】
(3.)アルファ-2アゴニストがデクスメデトミジンを含む、上記の(1.)または(2.)に記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【0032】
(4.)ナトリウムチャンネル阻害剤が、キニジン、アジマリン、プロカインアミド、ジソピラミド、リドカイン、プロカイン、プリロカイン、フェニトイン、メキシレチン、トカイニド、エンカイニド、フレカイニド、プロパフェノン、およびモリシンジン(moricinzine)、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、上記の(1.)から(3.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【0033】
(5.)ナトリウムチャンネル阻害剤が、リドカインおよび/もしくはプロカイン、またはこれらの任意の組み合わせを含む、上記の(1.)から(4.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【0034】
(6.)ナトリウムチャンネル阻害剤がリドカインを含む、上記の(1.)から(5.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【0035】
(7.)マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストが、ケタミン、デキストロメトルファン(DXM)、フェンシクリジン(PCP)、およびメトキセトアミン(MXE)、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、上記の(1.)から(6.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【0036】
(8.)マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストがケタミンを含む、上記の(1.)から(7.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【0037】
(9.)コルチコステロイドが、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、フルドロコルチゾン酢酸エステル、プレドニゾロン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム(デキサメタゾン)、ベタメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、およびフルオロメトロン、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、上記の(1.)から(8.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【0038】
(10.)コルチコステロイドがデキサメタゾンリン酸エステルナトリウムを含む、上記の(1.)から(9.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【0039】
(11.)アルファ-2アゴニストがデクスメデトミジンを含み、
ナトリウムチャンネル阻害剤が、リドカインまたはプロカインを含み、NMDAアンタゴニストがケタミンを含み、
ベータブロッカーがエスモロールを含み、
コルチコステロイドがデキサメタゾンを含む、
上記の(1.)から(10.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【0040】
(12.)マグネシウム塩の濃度が1mg/mLから500mg/mLの範囲である、上記の(1.)から(11.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【0041】
(13.)マグネシウム塩の濃度が1mg/mLから300mg/mLの範囲である、上記の(1.)から(12.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【0042】
(14.)アルファ-2アゴニストの濃度が0.01から50mcg/mLの範囲である、上記の(1.)から(13.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【0043】
(15.)アルファ-2アゴニストの濃度が0.1から50mcg/mLの範囲である、上記の(1.)から(14.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【0044】
(16.)アルファ-2アゴニストの濃度が0.1から30mcg/mLの範囲である、上記の(1.)から(15.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【0045】
(17.)アルファ-2アゴニストの濃度が0.1から1mcg/mLの範囲である、上記の(1.)から(16.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【0046】
(18.)ナトリウムチャンネル阻害剤の濃度が0.1mg/mLから35mg/mLの範囲である、上記の(1.)から(17.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【0047】
(19.)ナトリウムチャンネル阻害剤の濃度が1mg/mLから20mg/mLの範囲である、上記の(1.)から(18.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【0048】
(20.)マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストの濃度が0.01mg/mLから35mg/mLの範囲である、上記の(1.)から(19.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【0049】
(21.)マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストの濃度が0.1mg/mLから5.0mg/mLの範囲である、上記の(1.)から(20.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。一部の実施形態において、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストの濃度は、0.1mg/mLから0.5mg/mLの範囲である。
【0050】
(22.)コルチコステロイドの濃度が0.01から10mg/mLの範囲である、上記の(1.)から(21.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術前医薬組成物。
【0051】
(23.)コルチコステロイドの濃度が1から2.0mg/mLの範囲である、上記の(1.)から(22.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術前(peri)医薬組成物。
【0052】
(24.)医療的または外科的処置を受けている個体のオピオイドフリー術前治療の方法であって、
有効な量の
5から50mg/kgの標準体重(IBW)の範囲の量のマグネシウム塩、例えば硫酸マグネシウム、
0.1から1mcg/kgのIBWの範囲の量のアルファ-2アゴニスト、例えばデクスメデトミジン、ならびに適宜、
0.1から2mg/kgのIBWの範囲の量のナトリウムチャンネル阻害剤、例えばリドカイン、
0.01から0.2mg/kgのIBWの範囲の量のコルチコステロイド、例えばデキサメタゾン、および/または
0から0.5mg/kgのIBWの範囲の量の、Mg以外のNMDAアンタゴニスト、例えばケタミン
を個体に投与することを含み、
マグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ならびに適宜、ナトリウムチャンネル阻害剤、および/またはコルチコステロイド、および/またはNMDAの有効な量が、医療的または外科的処置の術前段階において、個体の不安を治療するため、ならびに/または鎮静および/もしくは鎮痛を誘導するために組み合わせによって個体に投与される、
方法。
【0053】
(25.)オピオイドフリー術前治療の投与が、上記の(1.)から(23.)のいずれか一項に記載の術前医薬組成物を個体に投与することによって実施される、上記の(24.)に記載の方法。
【0054】
(26.)個体のオピオイドフリー術前治療のためのオピオイドフリー術前系であって、
マグネシウム(Mg2+)塩、例えば硫酸マグネシウム、アルファ-2アゴニスト、例えばデクスメデトミジン、
ならびに適宜、
ナトリウムチャンネル阻害剤、例えばリドカインおよび/またはプロカイン、
マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、例えばケタミン、および/またはコルチコステロイド、例えばデキサメタゾン
を、上記の24または25に記載のオピオイドフリー術前治療の方法において、個体の不安を治療するため、ならびに/または鎮静および/もしくは鎮痛を誘導するための同時、併用、または順次使用に有効な量で含む、
オピオイドフリー術前系。
【0055】
(27.)マグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ならびに適宜、ナトリウムチャンネル阻害剤、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、および/またはコルチコステロイドが、本明細書に記載されている術前組成物を提供ため、投与前に組み合わされるように設定された処方および投薬量で含まれる、上記の(26.)に記載の系。
【0056】
(28.)マグネシウム(Mg2+)塩、例えば硫酸マグネシウム、アルファ-2アゴニスト、例えばデクスメデトミジン、
ナトリウムチャンネル阻害剤、例えばリドカイン、ならびに適宜
N-メチル-D-アスパラギン酸受容体(NMDA)阻害剤、例えばケタミン、および/またはベータブロッカー、例えばエスモロール
を、薬学的に許容される媒体、担体、または賦形剤と一緒に含み、マグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ナトリウムチャンネル阻害剤、ならびに適宜、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、およびベータブロッカーが、医療的または外科的処置の術中段階において、個体の鎮痛、麻酔および/または鎮静を誘導および/または維持するため、ならびに血行動態安定性を維持するために有効な量で含まれる、
オピオイドフリー術中医薬組成物。
【0057】
(29.)アルファ-2アゴニストが、デクスメデトミジン、クロニジン、ファドルミジン、グアナベンズ、グアノキサベンズ、グアネチジン、キシラジン、チザニジン、メデトミジン、メチルドパ、メチルノルエピネフリン、ノルエピネフリン、(R)-3-ニトロビフェニリン、アミトラズ、デトミジン、ロフェキシジン、およびメデトミジン、またはこれらの任意の組み合わせから選択される、上記の(28.)に記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【0058】
(30.)アルファ-2アゴニストがデクスメデトミジンを含む、
上記の(28.)または(29.)に記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【0059】
(31.)ナトリウムチャンネル阻害剤が、キニジン、アジマリン、プロカインアミド、ジソピラミド、リドカイン、プロカイン、プリロカイン、フェニトイン、メキシレチン、トカイニド、エンカイニド、フレカイニド、プロパフェノン、およびモリシンジン、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、上記の(28.)から(30.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【0060】
(32.)ナトリウムチャンネル阻害剤が、リドカイン、プロカイン、またはこれらの任意の組み合わせを含む、上記の(28.)から(31.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【0061】
(33.)ナトリウムチャンネル阻害剤がリドカインを含む、上記の(28.)から(32.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【0062】
(34.)マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストが、ケタミン、デキストロメトルファン(DXM)、フェンシクリジン(PCP)、およびメトキセトアミン(MXE)、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、上記の(28.)から(33.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【0063】
(35.)マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストがケタミンを含む、上記の(28.)から(34.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【0064】
(36.)アルファ-2アゴニストがデクスメデトミジンを含み、
マグネシウムが硫酸マグネシウムを含み、
ナトリウムチャンネル阻害剤が、リドカインまたはプロカインを含み、NMDAアンタゴニストが、ケタミンを含み、
ベータブロッカーが、例えばエスモロールである、
上記(28.)から(35.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【0065】
(37.)マグネシウム塩の濃度が1mg/mLから500mg/mLの範囲である、上記の(28.)から(36.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【0066】
(38.)マグネシウム塩の濃度が1mg/mLから370mg/mLの範囲である、上記の(28.)から(37.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【0067】
(39.)アルファ-2アゴニストの濃度が0.01から30mcg/mLの範囲である、上記の(28.)から(38.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【0068】
(40.)アルファ-2アゴニストの濃度が0.1から30mcg/mLの範囲である、上記の(28.)から(38.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【0069】
(41.)アルファ-2アゴニストの濃度が0.1から1mcg/mLの範囲である、上記の(28.)から(38.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【0070】
(42.)ナトリウムチャンネル阻害剤の濃度が0.1mg/mLから35mg/mLの範囲である、上記の(28.)から(41.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【0071】
(43.)ナトリウムチャンネル阻害剤の濃度が1mg/mLから3mg/mLの範囲である、上記の(28.)から(41.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【0072】
(44.)マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストの濃度が0.01mg/mLから20mg/mLの範囲である、上記の(28.)から(43.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【0073】
(45.)マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストの濃度が0.1mg/mLからmg/mLである、上記の(28.)から(43.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【0074】
(46.)ベータブロッカーが、カルベジロール、プロプラノロール、エスモロール、チモロール、メトプロロール、ラベタロール、アテノロール、ビソプロロール、およびネビボロール、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、上記の(28.)から(45.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【0075】
(47.)ベータブロッカーがエスモロールを含む、上記の(28.)から(46.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【0076】
(48.)ベータブロッカーの濃度が0.001mg/mLから20mg/mLの範囲である、上記の(28.)から(47.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【0077】
(49.)ベータブロッカーの濃度が0.01mg/mLから1.2mg/mLの範囲である、上記の(28.)から(47.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【0078】
(50.)ベータブロッカーの濃度が0.05mg/mLから0.18mg/mLの範囲である、上記の(28.)から(47.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー術中医薬組成物。
【0079】
(51.)医療的または外科的処置を受けている個体のオピオイドフリー術中治療の方法であって、
有効な量の
1mg/kg/hrから20mg/kg/hrの標準体重(IBW)の範囲の量のマグネシウム塩、例えば硫酸マグネシウム、
0.01から1mcg/kg/hrのIBWの範囲の量のアルファ-2アゴニスト、例えばデクスメデトミジン、0.1から3mg/kg/hrのIBWの範囲の量のナトリウムチャンネル阻害剤、例えばリドカイン、
ならびに適宜、
3から300mcg/kg/minまたは3から20mcg/kg/minのIBWの範囲の量のベータブロッカー、例えばエスモロール、および/または
0から0.5mg/kg/hrのIBWの範囲の量の、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、例えばケタミン
を個体に投与することを含み、
マグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ナトリウムチャンネル阻害剤、ならびに適宜、ベータブロッカー、および/またはマグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストの有効な量が、医療的または外科的処置の術中段階において、個体の鎮痛、麻酔および/または鎮静を誘導および/または維持するため、ならびに血行動態安定性を維持するために組み合わされて個体に投与される、
方法。
【0080】
(52.)オピオイドフリー術中治療が、上記の(28.)から(50.)のいずれか一項に記載の術中医薬組成物を個体に投与することによって実施される、上記の(51.)に記載の方法。
【0081】
(53.)個体のオピオイドフリー術中治療のためのオピオイドフリー術中系であって、
マグネシウム(Mg2+)塩、例えば硫酸マグネシウム、アルファ-2アゴニスト、例えばデクスメデトミジン、
ナトリウムチャンネル阻害麻酔薬、例えば、リドカインおよび/またはプロカイン、ならびに適宜
N-メチル-D-アスパラギン酸受容体(NMDA)阻害剤、例えばケタミン、および/またはベータブロッカー、例えばエスモロール
を、請求項51または52に記載のオピオイドフリー術中治療の方法に従って、医療的または外科的処置の術中段階において、個体の鎮痛、麻酔および/または鎮静を誘導および/または維持するため、ならびに血行動態安定性を維持するための同時、併用、または順次投与に有効な量で含む
オピオイドフリー術中系。
【0082】
(54.)マグネシウム(Mg2+)塩、アルファ-2アゴニスト、例えばデクスメデトミジン、ナトリウムチャンネル阻害麻酔薬、例えば、リドカインおよび/またはプロカイン、ならびに適宜、N-メチル-D-アスパラギン酸受容体(NMDA)阻害剤、例えばケタミン、および/またはベータブロッカー、例えばエスモロールが、本明細書に記載されている術中組成物を提供するため、投与前に組み合わされるように設定された処方および投薬量で含まれる、上記の(53.)に記載の系。
【0083】
(55.)医療的または外科的処置を受けている個体のオピオイドフリー周術期治療を提供する方法であって、
上記の(24.)または(25.)のいずれか一項に記載の医療的または外科的処置を受けている個体のオピオイドフリー術前治療を実施すること、および
上記の(51.)または(52.)のいずれか一項に記載の医療的または外科的処置を受けている個体のオピオイドフリー術中治療を実施すること、ならびに適宜
医療的または外科的処置の術後段階の際に、個体の疼痛および/または炎症を治療する時点および条件下で、本明細書に記載されている術後組成物を個体に投与すること、
を含む、方法。
【0084】
(56.)オピオイドフリー術前治療の実施が、上記の(1.)から(23.)のいずれか一項に記載の術前医薬組成物を個体に投与することによって実施される、上記の(55.)に記載の方法。
【0085】
(57.)オピオイドフリー術中治療の実施が、上記の(28.)から(50.)のいずれか一項に記載の術中医薬組成物を個体に投与することによって実施される、上記の(55.)に記載の方法。
【0086】
(58.)個体のオピオイドフリー周術期治療のために記載されるオピオイドフリー周術期系であって、
上記の(26.)または(27.)に記載のオピオイドフリー術前系、および上記の(53.)または(54.)に記載のオピオイドフリー術中系
を、上記の(55.)または(56.)に記載のオピオイドフリー術前治療の方法に従って、個体の麻酔を誘導するため、および安定したバイタルサインを維持するための同時、併用、または順次投与に有効な量で含む、
オピオイドフリー周術期系。
【0087】
(59.)オピオイドフリー術前系のマグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ナトリウムチャンネル阻害麻酔薬、ならびに適宜、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、および/またはコルチコステロイドが、本明細書に記載されている術前組成物を提供ため、投与前に組み合わされるように設定された処方および投薬量で含まれる、上記の(58.)に記載のオピオイドフリー周術期系。
【0088】
(60.)オピオイドフリー周術期系のマグネシウム(Mg2+)塩、アルファ-2アゴニスト、例えばデクスメデトミジン、ナトリウムチャンネル阻害麻酔薬、例えば、リドカインおよび/またはプロカイン、ならびに適宜、N-メチル-D-アスパラギン酸受容体(NMDA)阻害剤、例えばケタミン、および/またはベータブロッカー、例えばエスモロールが、本明細書に記載されている術中組成物を提供するため、投与前に組み合わされるように設定された処方および投薬量で含まれる、上記の(58.)または(59.)に記載のオピオイドフリー周術期系。
【0089】
(61.)カルシウムチャンネル阻害剤、Cox阻害剤、GABA類似体、抗うつ薬、カンナビジオール(CBD)、および/または制吐剤をさらに含む、上記の(55.)から(60.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー周術期系。
【0090】
(62.)カルシウムチャンネル阻害剤が、ベラパミルまたはジルチアゼムを含む、上記の(61.)に記載のオピオイドフリー周術期系。
【0091】
(63.)Cox阻害剤が、セレコキシブ(すなわち、セレキソキシブ(celexoxib))、ロフェコキシブ(refecoxib)(バイオックスとして一般に知られている)、エトリコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、アスピリン、ジフルニサル、イブプロフェン、デキシイブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、インドメタシン、トルメチン、ジクロフェナク、スリンダク、エトドラク、ケトロラク、ピロキシカム、メロキシカム(メロキシカム)、テノキシカム、ドロキシカム、メフェナム酸(mefenanmic acid)、メクロメフェナム酸(meclofenanmic acid)、クロニキシン、リコフェロン(licofelone)、およびパラセタモール(アセトアミノフェン)、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、上記の(61.)または(62.)に記載のオピオイドフリー周術期系。
【0092】
(64.)GABA類似体が、プレガバリン、ガバペンチン、ピカミロン(picamilon)、およびプロガビドまたはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、上記の(61.)から(63.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー周術期系。
【0093】
(65.)抗うつ薬が、(SNRI)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、三環系抗うつ薬(TCA)、四環系抗うつ薬(TeCA)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、ノルアドレナリン、および特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NASSA)からなる群から選択される、上記の(61.)から(64.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー周術期系。
【0094】
(66.)抗うつ薬が、ベンラファキシン、シンバルタ(デュロキセチン)、ベンラファキシンXR、ベンラファキシンER、デスベンラファキシン、およびベンラファキシンからなる群から選択されるセロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)を含む、上記の(61.)から(65.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー周術期系。
【0095】
(67.)制吐剤が、オンダンセトロン、ドラセトロン、グラニセトロン、パロノセトロン、プロメタジン、ジメンヒドリナート(imenhydrinate)、メトクロプラミドおよびメクリジン、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、上記の(61.)から(66.)のいずれか一項に記載のオピオイドフリー周術期系。
【0096】
4.1 定義
明確に示されない限り、以下の用語は、本明細書で使用されるとき下記に示されている意味を有する。
【0097】
語「含む(comprise)」または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などの変形は、記述された整数または整数の群が包含されるが、他のいかなる整数または整数の群を除外しないことを意味することが理解される。
【0098】
用語「オピオイド」は、オピオイド受容体に結合する天然または合成化合物を指し、アゴニストおよびアンタゴニストが挙げられる。オピオイド受容体は、主に中枢および末梢神経系、ならびに胃腸管に見出される(Dhaliwal and Gupta, Physiology, Opioid Receptor. [Updated 2021 Jul 26]. In: StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2021 Jan. Available at ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK546642/ on the world wide web)。オピオイドは、天然のオピオイド(例えば、モルヒネ、コデイン、およびテバイン)、ならびに合成のオピオイド(例えば、ヒドロモルフォン、オキシモルフォン、ヒドロコドン、オキシコドン、レミフェンタニル、スフェンタニル、およびフェンタニル)を含む。追加のオピオイドには、アルフェンタニル、デメロール、ブプレノルフィン、およびヌビアン(Nubian)が挙げられる。
【0099】
用語「オピオイドフリー」は、オピオイドを必要とすることなく記述された効果を達成するように設定された組成物、方法、および/または系を指す。したがって、用語「オピオイドフリー」は、麻酔組成物、方法、および/または系に関して本明細書で使用されるとき、オピオイドを含む、投与する、または一般的に使用する必要なく、鎮痛および/または麻酔を誘導および/または維持するように設定された組成物、方法、および/または系を指す。
【0100】
用語「オピオイドフリー治療期間」は、自宅、入院中の術前、術中、および術後回復、ならびに/または自宅での回復を包含するオピオイドフリー治療の期間を指す。
【0101】
略語「OFA」は、オピオイドフリー麻酔を指す。これは、先制非オピオイド鎮痛と同義である。
【0102】
略語「Non-OFA」は、非オピオイドフリー麻酔を指す。
【0103】
用語「先制非オピオイド鎮痛」または「先制非オピオイド麻酔」は、術後疼痛を増幅する求心性入力の変更プロセスの確立を予防する、抗侵害受容性効果を患者に対して有する組成物または関連する方法を指す(Gottschalk and Smith, Am. Fam. Physician. 2001 May 15;63(10):1979-1985)。先制非オピオイド鎮痛は、医療的または外科的処置の術中および術後段階で起こる切開性および炎症性損傷により引き起こされる中枢性および末梢性感作の確立を予防する。先制非オピオイド鎮痛はOFAと交換可能に使用される。
【0104】
用語「中枢性感作」は、疼痛過敏症をもたらす、中枢神経系における持続的な損傷後慢性疼痛、例えば手術後の変化の発生および維持を指す(Latremoliere, A., & Woolf, C. J., J. Pain Res., (2009) 10(9), 895-926)。
【0105】
用語「麻酔」は、意識喪失を伴う、または伴わない、侵害性感覚の喪失と定義される。麻酔には、全身麻酔(GA)、鎮静、ならびに部分および局所麻酔が挙げられる。麻酔は医療目的のために使用される。麻酔は、そうでなければ重度または耐えられない疼痛を無麻酔患者に引き起こす、またはそうでなければ技術的に実現不能である、医療処置の無痛実施を可能にする。したがって、麻酔は、神経線維の鎖に沿って脊髄から脳へ伝わる疼痛シグナルを産生する、侵害受容器と呼ばれる感覚神経細胞の機械的(例えば、切断、挫滅)刺激に対する感覚神経系の応答を指す侵害受容、ブロックすることにより典型的に誘導される。麻酔は、患者に完全または部分的覚醒(MAC(監視下麻酔管理(Monitored Anesthesia Care)、脊髄幹麻酔(neuraxial anesthesia)(脊髄/硬膜外)、および部分麻酔(Bierブロック/神経ブロック))をもたらすことがあり、このことは当業者に理解される。
【0106】
用語「全身麻酔」または「GA」は、中枢神経系活性が抑制され、意識不明および感覚の完全な欠如をもたらす状態である。全身麻酔は、適切な薬物、例えば、ケタミンまたはケタミンと他の薬剤との組み合わせの静脈内投与、吸入および/または筋肉内投与により誘導することができ、このことは当業者に理解される。
【0107】
用語「鎮静」は、不安緩解剤、疼痛媒介剤の投与、および医療処置または診断処置を促進する最小から無応答状態を誘導する広範囲の鎮静を指す。監視下麻酔管理(MAC)は、患者が、連続的および独立的に患者の気道を維持すること、防御反射を保持すること、ならびに言葉の合図および/または触覚的もしくは物理的刺激に対する応答を残存することができるように意識の抑圧を変えることによって特徴づけられる。MACのため、または全身麻酔(GA)の誘導および/もしくは維持のためにヒトおよび動物用途に使用することができる例示的な鎮静薬には、プロポフォール、エトミデート、ケタミン、ペントバルビタール、Bristol(メトヘキシタール)、ロラゼパム、ミダゾラム、イソフルラン、セボフルラン、デスフルラン、およびデクスメデトミジンが挙げられる。
【0108】
用語「部分麻酔」および「局所麻酔」は、神経インパルスの伝達が身体の特定の部分でブロックされている状態を指す。状況に応じて、局所または部分麻酔は、それ自体(この場合、患者は完全に意識がある状態を維持する)、または全身麻酔もしくは鎮静との組み合わせのいずれかを使用することができる。局所麻酔神経ブロックまたは局所ブロックは、本明細書で使用されるとき、標的神経周囲局所麻酔注射/注入を介した、手術部位からの疼痛シグナル伝達をブロックすることによる疼痛緩和を指す。局所麻酔において、目的の領域は、典型的には局所麻酔が浸潤しており、鎮静またはIV投薬は典型的には関与せず(患者の状態によって要求されない限り)、このことは当業者に理解される。鎮静が望ましい、または要求される場合、局所/MAC(監視下麻酔管理)が特定される。心停止を導く局所麻酔全身毒性(LAST)に関連する心臓毒性効果のために、すべての局所麻酔剤を静脈投与できるとは限らない。
【0109】
用語「麻酔学」、「麻酔性」などは、本明細書において、感覚の一時的な喪失により疼痛に対して無感覚を誘導する化合物、組成物、過程、または処置を指す。麻酔薬の影響下にある患者は、麻酔をかけられていると称される。
【0110】
用語「Aldreteスコア」は、「Aldreteスコアリングシステム」による患者のスコアを指す。用語「Aldreteスコアリングシステム」は、患者が安全に麻酔後ケアユニット(PACU)から退室して、術後病棟または別の回復区域のいずかに入室することができるかを決定する尺度に一般的に使用される。患者のAldreteスコアに影響を与える要因には、患者の活動、呼吸、血圧、意識、および血色が挙げられる。
【0111】
用途「医療的または外科的処置」は、麻酔、鎮静、または鎮痛を必要とする処置を一般に指す。一部の文脈において、医療的または外科的処置は、病院または手術場所の外部、例えばホスピスに設定された麻酔、鎮静、または鎮静の投与を包含する。別の文脈において、医療的または外科的処置は、麻酔、鎮静または鎮痛を必要とする処置、ならびに個体に手術マニュアルおよび機器の手技を実践して、病理状態、例えば、疾患または損傷を調査または治療して、身体機能もしくは外観の改善を助ける、または望まれない破裂領域を修復する処置を指す。特に、用語「医療的または外科的処置」は、手術と再手術の両方を含み、用語「再手術」は、外科的に治療されることが最適である患者ケアの局面に再び対処するための、初期手術後の2回目または後続の手術を指す。再手術の理由には、手術後の持続的な出血、感染の発生または持続が挙げられる。
【0112】
用語「術前」は、臨床設定もしくは自宅において患者のベースライン査定を確立すること、術前面接を実行すること、または患者に麻酔の準備をすることを含む、医療的または外科的処置のフェーズを指す。
【0113】
用語「術中」は、手術の開示時間から手術の終了時間までを含む、医療的または外科的処置のフェーズを指す。特に、用語「術中」は、患者が手術室に入室してから、患者が手術室を退室するまでの時間を示す。この用語に含まれるものは、脊髄の麻酔/配置の誘導、外科的包帯および/またはギプスの適用であり、このことは当業者に理解される。術中は、患者が「手術中」であること、または手術が進行中の場合、患者が「手術を受けている」ことの指摘と一般的に交換可能であり、このことも当業者に理解される。
【0114】
用語「術後の」または「術後」は、手術の終了時から始まり、医療施設からの退院時に終わる医療的または外科的処置後のフェーズを指す。術後フェーズは、患者が回復室、麻酔後ケアユニット(PACU)または集中治療室(ICU)に移されたときから、患者が医療施設から退院するまで、またはフォローアップケアが完了するまでを典型的に包含する。このフェーズにおいて、患者には、術後疼痛管理ケアプランの一部として術後組成物を投与することができる。
【0115】
略語「PACU」は、麻酔後ケアユニットを指す。
【0116】
略語「PHO」は、術前待機を指す。
【0117】
用語「誘導」または「誘導する」は、本明細書に記載されている組成物の投与による患者の意識不明の状態の達成を指す。例示的な静脈内誘導組成物には、プロポフォール、チオペンタールナトリウム、エトミデート、メトヘキシタールおよびケタミンのうちの少なくとも1つ、またはこれらの組み合わせを含有する組成物が挙げられる。
【0118】
用語「維持する」または「維持」は、誘導後の医薬組成物または薬剤の投与による患者の意識不明状態の持続を指す。例示的な維持組成物には、酸素の混合物、時には亜酸化窒素、および揮発性麻酔剤、ならびに/または本明細書に開示されている静脈内(IV)投与用の組成物が挙げられる。
【0119】
用語「マグネシウム塩」または「Mg2+塩」は、薬学的に許容される対イオンを有するマグネシウムイオン(Mg2+)の塩、ならびにその溶媒和物および水和物を指す。
【0120】
用語「薬学的に許容される対イオン」には、例えば、酢酸イオン、アスパラギン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、安息香酸イオン、ベシル酸イオン、重炭酸イオン、重酒石酸イオン、臭化物、カンシル酸イオン、炭酸イオン、塩化物、クエン酸イオン、デカン酸イオン、エデト酸イオン、エシル酸イオン、フマル酸イオン、グルセプト酸イオン、グルコン酸イオン、グルタミン酸イオン、グリシン酸イオン、グリコール酸イオン、ヘキサン酸イオン、ヒドロキシナフトエ酸イオン、ヨウ化物、イセチオン酸イオン、乳酸イオン、ラクトビオン酸イオン、リンゴ酸イオン、マレイン酸イオン、マンデル酸イオン、メシル酸イオン、硫酸メチル、ムチン酸イオン、ナプシル酸イオン、硝酸イオン、オクタン酸イオン、オレイン酸イオン、パモ酸イオン、パントテン酸イオン、リン酸イオン、ポリガラクツロン酸イオン、プロピオン酸イオン、サリチル酸イオン、ステアリン酸イオン、コハク酸イオン、硫酸イオン、酒石酸イオン、テオクル酸イオン、トレオン酸イオン、またはトシル酸イオン、およびその水和物および溶媒和物、ならびに本開示を読むことによって当業者により確認可能な追加の対イオンが挙げられる。
【0121】
用語「アルファ-2アゴニスト」は、アルファ-2アドレナリン作動性受容体の作用を刺激する薬剤を指す。アルファ-2アドレナリン作動性受容体は、中枢神経系の接合部前末端に位置し、そこで、ネガティブフィードバックの形態でノルエピネフリンの放出を阻害する。皮膚細動脈または静脈に見出されるように、ある特定の血管の血管平滑筋細胞のシナプス後にさらに位置している。アルファ-2アドレナリン作動性受容体は、交感神経節後線維により放出されるノルエピネフリン、および副腎髄質により放出されるエピネフリンの両方に結合する。アルファ-2アドレナリン作動性受容体の一般的な効果には、ネガティブフィードバックによるノルエピネフリン放出の抑制、持続的な血圧低下後の一時的な血圧上昇、心拍数の減少、ある特定の動脈の血管狭窄、一部の静脈の静脈収縮(venoconstriction)、胃腸管の平滑筋の運動性の減少、ならびに鎮静および鎮痛が挙げられる。例示的なアルファ-2アゴニストには、デクスメデトミジン、クロニジン、ファドルミジン、グアナベンズ、グアノキサベンズ、グアネチジン、キシラジン、チザニジン、メデトミジン、メチルドパ、メチルノルエピネフリン、(R)-3-ニトロビフェニリン、アミトラズ、デトミジン、ロフェキシジン、およびメデトミジンが挙げられる。ヒト用途では、例示的なアルファ-2アゴニストには、デクスメデトミジン、クロニジン、メチルドパ、およびノルエピネフリンが挙げられる。
【0122】
用語「ナトリウムチャンネル阻害剤」は、ナトリウムチャンネルを介したナトリウムイオン(Na+)の伝導をブロックする薬剤を指す。本明細書で使用されるとき、用語「ナトリウムチャンネル阻害剤」は、「ナトリウムチャンネルブロッカー」と同義であることが意図される。例示的なナトリウムチャンネル阻害剤には、キニジン、アジマリン、プロカインアミド、ジソピラミド、リドカイン、プロカイン、プリロカイン、フェニトイン、メキシレチン、トカイニド、エンカイニド、フレカイニド、プロパフェノン、およびモリシンジン(moricinzine)が挙げられる。ヒト用途では、例示的なナトリウムチャンネル阻害剤には、プロカインアミド、リドカイン、プロカイン、プリロカイン、およびフレカイニドが挙げられる。
【0123】
用語「NMDAアンタゴニスト」は、N-メチル-D-アスパラギン酸受容体の作用をブロックする、または作用に拮抗する薬剤を指す。例示的なNMDAアンタゴニストには、ケタミン、マグネシウム塩(例えば、硫酸マグネシウム)、デキストロメトルファン(DXM)、フェンシクリジン(PCP)、メトキセトアミン(MXE)、および亜酸化窒素(N2O)が挙げられる。ヒト用途では、例示的なNMDAアンタゴニストには、ケタミン、マグネシウム塩(例えば、硫酸マグネシウム)、および亜酸化窒素(N2O)が挙げられる。
【0124】
用語「ベータブロッカー」は、交感神経系のベータアドレナリン作動性受容体において、内在性カテコールアミンのエピネフリン(アドレナリン)およびノルエピネフリン(ノルアドレナリン)のための受容体部位をブロックする薬剤を指す。例示的なベータブロッカーには、カルベジロール、プロプラノロール、エスモロール、チモロール、メトプロロール、ラベタロール、アテノロール、ビソプロロール、およびネビボロールが挙げられる。ヒト用途では、例示的なベータブロッカーには、プロプラノロール、エスモロール、メトプロロール、およびラベタロールが挙げられる。
【0125】
用語「コルチコイド」または「コルチコステロイド」は、脊椎動物の副腎皮質で産生される任意の天然のステロイドホルモン、ならびにこれら天然のステロイドホルモンの合成類似体を指す。
【0126】
例示的なコルチコステロイドには、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、フルドロコルチゾン酢酸エステル、プレドニゾロン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム(デキサメタゾン)、ベタメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、およびフルオロメトロンが挙げられる。グルココルチコステロイドは、プロスタグランジン、ブラジキニン、ヒスタミンおよびロイコトリエンの産生を阻害し、それによって炎症を減少する。
【0127】
用語「薬剤」は、生物学的に活性である、医薬組成物の成分を指す。用語「薬剤」の修飾語は、個体において薬剤と1つまたは複数の分子標的との相互作用によって典型的に実施される、関連する生物活性を示す。活性成分と対照的に、不活性成分は、通常、薬学の文脈において賦形剤と呼ばれる。活性成分を運搬する媒介物として役立つ主な賦形剤は、通常、媒体と呼ばれる。食塩水、滅菌水、ペトロラタムおよび鉱油が一般的な媒体であり、このことは当業者に理解される。
【0128】
用語「カルシウムチャンネル阻害剤」は、カルシウムチャンネルを介したカルシウムイオン(Ca2+)の伝導をブロックする薬剤を指す。本明細書で使用されるとき、用語「カルシウムチャンネル阻害剤」は、カルシウムチャンネルブロッカー」と同義であることが意図される。例示的なカルシウムチャンネル阻害剤には、ベラパミル、ジルチアゼム、ニフェジピン、ニモジピン、ニカルジピン、フルナリジン、およびシンナリジンが挙げられる。
【0129】
用語「Cox阻害剤」は、一種の非ステロイド性抗炎症薬を指す。例示的なCox阻害剤には、セレコキシブ、エトドラク、エトリコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、アスピリン、ジフルニサル、イブプロフェン、デクスイブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、インドメタシン、トルメチン、ジクロフェナク、スリンダク、ケトロラク、ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、メフェナム酸、メクロメフェナム酸、クロニキシン、リコフェロン、およびパラセタモール(アセトアミノフェン)が挙げられる。ヒト用途では、例示的なCox阻害剤には、セレコキシブ、エトドラク、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、インドメタシン、ジクロフェナク、ケトロラク、メロキシカム、テノキシカム、およびパラセタモール(アセトアミノフェン)が挙げられる。
【0130】
用語「非ステロイド性抗炎症薬」または「NSAID」は、任意のステロイド部分を含まないが、依然として鎮痛、解熱および/または抗炎症の効果を提供することができるクラスの化合物を指す。例示的なNSAIDには、セレコキシブ、ロフェコキシブ(バイオックスとして一般に知られている)、エトリコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、アスピリン、ジフルニサル、イブプロフェン、デキシイブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、インドメタシン、トルメチン、ジクロフェナク、スリンダク、エトドラク、ケトロラク、ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、メフェナム酸、メクロメフェナム酸、クロニキシン、およびリコフェロンが挙げられる。本開示のオピオイドフリー組成物、方法、および系と組み合わせて使用することができるNSAIDは、NSAIDの特性の観点から当業者によって確認することができ、本開示のオピオイドフリー組成物、方法、および系、ならびに任意の追加の適応症に使用される該薬剤の特性は、本開示に提供される。
【0131】
用語「GABA類似体」は、GABA受容体に結合し、細胞の膜内外電位差に負の変化をもたらして、通常、過分極を引き起こす薬剤を指す。2つクラスのGABA受容体:GABAAおよびGABABがある。GABAA受容体は、リガンド開口型イオンチャネル(イオンチャンネル型受容体としても知られている)であり、一方、GABAB受容体は、Gタンパク質共役型受容体であり、代謝型受容体とも呼ばれる。例示的なGABA類似体には、プレガバリン、ガバペンチン、ピカミロン、およびプロガビドが挙げられる。ヒト用途では、例示的なGABA類似体には、プレガバリンおよびガバペンチンが挙げられる。
【0132】
用語「抗うつ薬」は、中枢神経系における神経伝達物質の化学的不均衡を修正し、かつ抑うつ、社交不安症、不安症、季節性感情障害および気分変調症、または軽度慢性うつ病を緩和することができる薬剤を指す。抗うつ薬は、本明細書で使用されるとき、疼痛を軽減することができ、慢性疼痛または急性疼痛の予防および治療に使用することができる。
【0133】
用語「制吐薬」は、悪心および/または嘔吐を治療、低減、および/または予防する薬物または医薬を指す。例示的な制吐剤には、オンダンセトロン、ドラセトロン、グラニセトロン、パロノセトロン、プロメタジン、メトクロプラミド、ジメンヒドリナート、およびドロペリドールが挙げられる。ヒト用途では、例示的な制吐剤には、オンダンセトロン、ドラセトロン、グラニセトロン、プロメタジン、メトクロプラミド、およびドロペリドールが挙げられる。
【0134】
用語「医薬組成物」は、2種以上の化学的または生物学的な化合物または物質と、使用が意図される薬学的に許容される賦形剤との混合物または組み合わせを指す。本開示の医薬組成物は、麻酔用途における使用が意図され得る。
【0135】
用語「有効な量」または「治療上有効な量」は、研究者、医療提供者または他の臨床医により探求される組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を誘発する化合物または医薬組成物の量を指す。「有効な量」は、対象に有益な効果または好ましい結果を提供する化合物、薬剤、製剤または組成物の量、あるいは所望のインビボ(in vivo)またはインビトロ(in vitro)活性を呈する化合物、薬剤、製剤または組成物の量を指す。「有効な量」は、所望の生物学的な結果を提供する化合物、薬剤、製剤または組成物の量を指す。有効な量は、1回または複数回の投与で投与することができる。
【0136】
薬学的に許容される「媒体」という用語は、医薬組成物中の治療活性成分のデリバリーのために溶媒、担体、結合剤または希釈剤として使用される様々な媒介物のいずれかを指す。典型的には、媒体は、好ましくはデリバリーの効率および医薬組成物の有効性を改善するための賦形剤であり得る。本開示のオピオイドフリー組成物に使用される好ましい媒体は、食塩液、滅菌水、および本開示を読むことにより当業者に確認可能な追加の媒体を含む。
【0137】
薬学的に許容される「担体」という用語は、治療活性成分と一緒に患者に投与することができ、かつその薬理学的活性を破壊しない、非毒性担体を指す。
【0138】
薬学的に許容される「賦形剤」という用語は、医薬組成物の薬理学的に活性な成分と組み合わせて処方される薬理学的に不活性な物質を指し、薬物吸収を促進するため、製造を助けるため、薬物デリバリーもしくは標的化を増強するため、安定性、取り扱い、もしくは可溶性を改善するため、または他の薬物動態の考慮のために使用される増量剤、充填剤、希釈剤および生成物を含む。薬学的に許容される賦形剤は、薬剤学において知られており、例えば、Gennaro, Ed., Reminington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Ed. (Lippincott, Williams & Wilkins, Baltimore, Md. 2000); Handbook of Pharmaceutical Excipients, American Pharmaceutical Association, Washington, D.C. (e.g., 1st, 2nd, and 3rd Eds., 1986, 1994, and 2000, respectively); and Pramanick et al., Pharma Times, 45(3), March 2013, 65-77に開示されている。薬学的に許容される賦形剤には、増量剤、緩衝剤、等張化剤、防腐剤、酸化防止剤、抗微生物剤、キレート剤、可溶化剤、錯化および分散剤、凝集/懸濁化剤、湿潤剤、および溶媒系が挙げられる。
【0139】
用語「治療」は、状態の医療ケアの一部である、または状態を医療的もしくは外科的に対処する任意の活動を指す。例えば、本明細書で使用されるとき、本明細書に使用される治療には、個体にオピオイドフリー麻酔組成物を投与して、所定の鎮静および鎮痛状態を達成することが挙げられる。
【0140】
用語「個体」または「患者」は、本明細書で使用されるとき、動物、特に哺乳動物、より特定的にはヒトを指す。用語「対象」、「個体」および「患者」は本明細書において交換可能に使用される。
【0141】
用語「標準体重」または「IBW」は、身長に対して適切で健康的な体重を指す。典型的には、IBWの決定は、ヒトである個体では以下の方程式に基づく:
男性では、IBW(kg)=50.0+[2.3×(身長(インチ)-60)]であり、女性では、IBW(kg)=45.5+[2.3×(身長(インチ)-60)]である。
加えて、正確なIBWを確認するために当業者は計算機を利用することができ、例えば、ワールドワイドウエブのcalculator.net/ideal-weight-calculator.htmlである。特に、当業者は、IBWを算出する「黄金律」がなく、作製国の標準に応じて有意に変わり得る複数のチャートおよび計算機が存在することを理解する。
【0142】
用語「調整体重」または「AdjBW」は、体重測定値に行った計算調整を指し、切断術、浮腫、腹水および慢性腎疾患、ならびに肥満を有する対象に適用可能である。
【0143】
特定的に示されない限り、用語「患者の体重」は、患者の標準体重を指す。(Courtney M Peterson et al., “Universal equation for estimating ideal body weight and body weight at any BMI,” Am. J. Clin. Nutr. 2016;103:1197-203.)
【0144】
用語「注入」は、組成物を必要とする患者に、針またはカテーテルを介して静脈系に液体組成物を静脈内投与することを指す。
【0145】
用語「筋肉内経路」は、典型的には注射を使用して、患者の筋肉内に組成物を投与することを指す。
【0146】
用語「数値評定尺度」または「NRS」は、11ポイントスケール(0から10)の疼痛強度の測度を指し、0は疼痛なしを意味し、1~3は軽度の疼痛を意味し、4~6は中程度の疼痛を意味し、7~10は重度の疼痛を意味する。(physio-pedia.com/Numeric_Pain_Rating_Scale on the world wide web)。
【0147】
用語「麻酔提供者」は、麻酔専門看護師(nurse anesthesiologist)、麻酔科専門医(physician anesthesiologist)、および麻酔科専門医の指導を受けた麻酔科助士(anesthesiologist assistant)を指す。
【0148】
本明細書に使用される用語は、特定の実施形態を記載することだけが目的であり、限定することを意図しないことも理解されるべきである。本開示に使用されるとき、単数形「a」、「an」および「the」は、内容から明確に指示されない限り複数参照を含む。用語「複数」は、文脈から明確に指示されない限り2つ以上の参照を含む。
【0149】
本明細書で使用される一部の略語の完全な句または語を括弧内に示す:dex(デクスメデトミジン)、Lido(リドカイン)、sx(手術)、BID(1日に2回)、HS(就寝時)、PO(毎月)、Q8H(8時間毎)、Q12H(12時間毎)、D/C(中断)、IV(静脈内)、IVP(IVプッシュ)、pt.(患者)、PONV(術後の悪心および嘔吐)、OSA(閉塞性睡眠時無呼吸)、TIVA(全静脈麻酔)、w/w(重量パーセント濃度)、呼気終末CO2(ETCO2)。
【0150】
マーカッシュ群または他の群化が本明細書で使用される場合、群のすべての個別のメンバー、ならびに群のすべての組み合わせ、および可能な副組み合わせは、本開示に個別に含まれることが意図される。特に記述されない限り、本明細書に例示または記載されている構成成分または材料のあらゆる組み合わせを使用して、本開示を実践することができる。当業者は、特定的に例示されている以外の方法、装置要素および材料を、過剰な実験に頼ることなく、本開示の実践に用いることができる。このような方法、装置要素および材料のいずれかの当該技術に知られている機能的同等物は、すべて本開示に含まれることが意図される。範囲、例えば、温度の範囲、頻度の範囲、時間の範囲、または組成物の範囲が本明細書に提示される場合、すべての中間範囲およびすべての部分範囲、ならびに提示される範囲に含まれるすべての個別の値は、本開示に含まれることが意図される。本明細書に開示されている範囲または群の任意の1つまたは複数の個別のメンバーは、本開示の特許請求の範囲から除外され得る。本明細書に例証的に記載されている開示は、本明細書の特定的に開示されていない任意の要素または限定の非存在下で実践することができる。
【0151】
用語「例えば(for example)」および「など(such as)」、ならびにこれらの文法的な同等物では、明示的に記述されない限り、語句「限定することなく」が後に続くことが理解される。
【0152】
本明細書で使用されるとき、用語「約」は、実験誤差が原因の変動を説明することが意図される。明示的に記述されない限り、本明細書に報告されるすべての測定値は、用語「約」によって、この用語が明示的に使用されるか否かにかかわらず、修飾されることが理解される。本明細書に使用されるとき、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈から明確に指示されない限り複数参照を含む。
【0153】
本開示により、または関連する実施形態の性質により明白に禁止されない限り、1つの実施形態の特徴を他の実施形態に、そのような他の実施形態に特定的に記載または例証されていなくても、一般に適用できることがさらに理解されるべきである。同様に、本明細書に記載されている組成物および方法は、本開示の目的と矛盾しない、本明細書に記載されている特徴および/または工程の任意の組み合わせを含むことができる。本明細書に記載されている組成物および方法への数多くの修飾および/または適合は、本発明の主題から逸脱することなく当業者に容易に明らかである。
【0154】
本明細書に開示されているすべての範囲は、それに含まれたあらゆるすべての部分範囲を包含することが理解されるべきである。例えば、記述された範囲の「1.0から10.0」は、最小値の1.0以上から始まり、最大値の10.0以下で終わるあらゆるすべての部分範囲、例えば、1.0から5.3、または4.7から10.0、または3.6から7.9を含むことが考慮されるべきである。本明細書に開示されている範囲または群の任意の1つまたは複数の個別のメンバーは、本開示の特許請求の範囲から除外され得る。本明細書に例証的に記載されている開示は、本明細書に特定的に開示されていない任意の要素または限定の非存在下で実践することができる。明白に記述されない限り、本明細書に開示されているすべの範囲は、範囲の端点を含むことも考慮されるべきである。例えば、「5と10の間」、または「5から10」、または「5~10」の範囲は、端点の5および10を含むことが考慮されるべきである。
【0155】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本開示が関連する当業者に一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0156】
4.2 オピオイドフリー組成物
一態様において、本開示は麻酔特性を有するオピオイドフリー組成物を提供する。特に、本開示のオピオイドフリー組成物は、麻酔を誘導および/または維持するため、ならびに改善された術後疼痛制御を提供するために使用される組成物において、オピオイドを排除または低減するように設計される。本開示のオピオイドフリー組成物を、特に医療的または外科的処置の術前段階および/または術中段階に使用して、患者に麻酔を誘導または維持することができる。有利には、本開示のオピオイドフリー組成物を、オピオイドに関連する望ましくない副作用、例えば、痛覚過敏、オピオイド耐性、悪心、嘔吐、戦慄、呼吸抑制、尿閉、徐脈、血圧低下、および当業者により確認可能な追加の副作用のない、または低減したオピオイドフリー治療において、患者に投与することができる。
【0157】
特定の実施形態において、本明細書に記載されているオピオイドフリー組成物を鎮静症例のため、ならびに全身麻酔症例のために使用することができる。両方の使用は、オピオイドベース麻酔薬と比較して、改善された術後疼痛緩和をもたらす。一部の実施形態において、オピオイドベース麻酔薬と比較した術後疼痛緩和の改善は、数値評定尺度(「NRS」)、ならびに術後直後のオピオイド消費に少なくとも1、2、3、4または5の疼痛強度数値レベルの低減をもたらす。
【0158】
医療的または外科的処置の段階の略図を提供する
図1を参照する。
図1では、医療的または外科的処置の術中フェーズが「手術時間」と示され、術中フェーズと術後段階の組み合わせが「麻酔時間」と示されている。麻酔時間は、「公開手術室」から開始され、術前待機区域および麻酔後ケアユニット(PACU)/回復室が含まれる。POHは、典型的には患者に術前負荷量が投与される位置であり、このことは当業者に理解される。
【0159】
一態様において、本開示は、マグネシウム塩、少なくとも1種のアルファ-2アゴニストおよび少なくとも1種のナトリウムチャンネル阻害剤、ならびに適宜、少なくとも1種の、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、少なくとも1種のベータブロッカー、および/または少なくとも1種のコルチコイドを含むオピオイドフリー組成物を提供する。
【0160】
本開示のオピオイドフリー組成物の様々な実施形態において、マグネシウム塩は、酢酸イオン、アスパラギン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、安息香酸イオン、ベシル酸イオン、重炭酸イオン、重酒石酸イオン、臭化物、カンシル酸イオン、炭酸イオン、塩化物、クエン酸イオン、デカン酸イオン、エデト酸イオン、エシル酸イオン、フマル酸イオン、グルセプト酸イオン、グルコン酸イオン、グルタミン酸イオン、グリシン酸イオン、グリコール酸イオン、ヘキサン酸イオン、ヒドロキシナフトエ酸イオン、ヨウ化物、イセチオン酸イオン、乳酸イオン、ラクトビオン酸イオン、リンゴ酸イオン、マレイン酸イオン、マンデル酸イオン、メシル酸イオン、硫酸メチル、ムチン酸イオン、ナプシル酸イオン、硝酸イオン、オクタン酸イオン、オレイン酸イオン、パモ酸イオン、パントテン酸イオン、リン酸イオン、ポリガラクツロン酸イオン、プロピオン酸イオン、サリチル酸イオン、ステアリン酸イオン、コハク酸イオン、硫酸イオン、酒石酸イオン、テオクル酸イオン、トレオン酸イオン、またはトシル酸イオン、およびその水和物および溶媒和物からなる群から選択される薬学的に許容される対イオンを有するマグネシウム塩である。特定のマグネシウム塩の選択、ならびに濃度、投与量、組成物および投与のタイミングの任意の調整は、特に特定のマグネシウム塩の特性および本開示に提供される適応症の観点から、当業者の技能の範囲内である。
【0161】
特定の実施形態において、マグネシウム塩は、硫酸マグネシウムもしくは塩化マグネシウム、または硫酸マグネシウムもしくは塩化マグネシウムに機能的に同等のマグネシウム塩を含む。硫酸マグネシウムまたは塩化マグネシウムに機能的に同等のマグネシウム塩は、当業者により確認可能である。
【0162】
本開示のオピオイドフリー組成物の様々な実施形態において、少なくとも1種のアルファ-2アゴニストは、デクスメデトミジン、クロニジン、ファドルミジン、グアナベンズ、グアノキサベンズ、グアネチジン、キシラジン、チザニジン、メデトミジン、メチルドパ、メチルノルエピネフリン、(R)-3-ニトロビフェニリン、アミトラズ、デトミジン、ロフェキシジン、およびメデトミジン、またはこれらの任意の組み合わせ、ならびに本開示を読むことにより当業者に確認可能な追加のアルファ-2アゴニストからなる群から選択される。特定のアルファ-2アゴニストの選択、ならびに濃度、投与量、組成物および投与のタイミングの任意の調整は、特に特定のアルファ-2アゴニストの特性および本開示に提供される適応症の観点から、当業者の技能の範囲内である。
【0163】
例えば、オピオイドフリー組成物がヒト患者に投与される一部の実施形態において、少なくとも1種のアルファ-2アゴニストは、デクスメデトミジン、クロニジン、メチルドパ、およびノルエピネフリン、またはこれらの任意の組み合わせから選択される。特定の実施形態において、少なくとも1種のアルファ-2アゴニストはデクスメデトミジンを含む。他の実施形態において、少なくとも1種のアルファ-2アゴニストはクロニジンを含む。当業者は、デクスメデトミジンがクロニジンより作用発現および消失が急速であることを知っている。デクスメデトミジンは、アルファ-2受容体に高い程度の選択性を有し(クロニジンの220:1と比較して1600:1)、より多くの所望の効果およびより少ない望まれない効果をもたらす。
【0164】
特定の実施形態において、少なくとも1種のアルファ-2アゴニストはデクスメデトミジン、またはデクスメデトミジンに機能的に同等のアルファ-2アゴニストを含む。
【0165】
一般的に、当業者は、アルファ-2アゴニストがノルエピネフリンの交感神経拍出を減少する所望の効果を有することを知っている。末梢的に、アルファ-2アゴニストは、緩徐的であるが強力および持続的な疼痛シグナルを伝導する無髄線維である、C繊維の伝導をブロックする。阻害的G共役型タンパク質に対する影響は、末梢鎮痛を生じる。脊髄の後角におけるアルファ-2アドレナリン作動性受容体の活性化が、中枢作用鎮痛の原因である。サブスタンスPおよびノルエピネフリンの放出の阻害は、G共役型アルファ-2アドレナリン作動性受容体の活性化の結果である。この活性化は、アデニルシクラーゼを阻害し、細胞内環状アデノシン一リン酸を減少する。脊髄上位鎮痛および鎮静は、青斑核におけるアルファ-2アドレナリン受容体の活性の結果である。したがって、デクスメデトミジンに機能的に同等の適したアルファ-2アゴニストの確認は、アルファ-2アゴニストの一般的な特性、デクスメデトミジンの特性、および本開示に提供される適応症の観点から実施することができ、このことは当業者に理解される。
【0166】
本開示のオピオイドフリー組成物の様々な実施形態において、少なくとも1種のナトリウムチャンネル阻害剤は、ブピバカイン、キニジン、アジマリン、プロカインアミド、ジソピラミド、リドカイン、プロカイン、プリロカイン、フェニトイン、メキシレチン、トカイニド、エンカイニド、フレカイニド、プロパフェノンおよびモリシンジン、およびこれらの任意の組み合わせ、ならびに本開示を読むことにより当業者に確認可能な追加のナトリウムチャンネル阻害剤からなる群から選択される。特定のナトリウムチャンネル阻害剤の選択、ならびに濃度、投与量、組成物および投与のタイミングの任意の調整は、特に特定のナトリウムチャンネル阻害剤の特性および本開示に提供される適応症の観点から、当業者の技能の範囲内である。例えば、オピオイドフリー組成物がヒト患者に投与される一部の実施形態において、少なくとも1種のナトリウムチャンネル阻害剤は、プロカインアミド、リドカイン、プロカイン、プリロカイン、およびフレカイニド、またはこれらの任意の組み合わせから選択される。特定の実施形態において、少なくとも1種のナトリウムチャンネル阻害剤は、リドカイン、プロカイン、またはこれらの任意の組み合わせを含む。
【0167】
他の実施形態において、ナトリウムチャンネル阻害剤は、リドカインまたはリドカインに機能的に同等のナトリウムチャンネル阻害剤を含む。リドカインに機能的に同等のナトリウムチャンネル阻害剤は、当業者により確認可能である。
【0168】
本開示のオピオイドフリー組成物に存在する場合、少なくとも1種のNMDAアンタゴニストは、ケタミン、マグネシウム塩、デキストロメトルファン(DXM)、フェンシクリジン(PCP)、メトキセトアミン(MXE)および亜酸化窒素(N2O)、およびこれらの任意の組み合わせ、ならびに本開示を読むことにより当業者に確認可能な追加のNMDAアンタゴニストからなる群から選択される。特定のNMDAアンタゴニストの選択、ならびに濃度、投与量、組成物および投与のタイミングの任意の調整は、特に特定のNMDAアンタゴニストの特性および本開示に提供される適応症の観点から、当業者の技能の範囲内である。
【0169】
例えば、オピオイドフリー組成物がヒト患者に投与される一部の実施形態において、少なくとも1種のNMDAアンタゴニストは、ケタミン、マグネシウム塩(例えば、硫酸マグネシウム)、および亜酸化窒素(N2O)、またはこれらの任意の組み合わせから選択される。特定の実施形態において、少なくとも1種のNMDAアンタゴニストはケタミン、またはケタミンに機能的に同等のNMDAアンタゴニストを含む。ケタミンに機能的に同等のNMDAアンタゴニストは、当業者により確認可能である。様々な実施形態において、少なくとも1種のNMDAアンタゴニストはケタミンを含む。
【0170】
本開示のオピオイドフリー組成物に存在する場合、少なくとも1種のベータブロッカーは、カルベジロール、エスモロール、プロプラノロール、チモロール、メトプロロール、ラベタロール、アテノロール、ビソプロロールおよびネビボロール、およびこれらの任意の組み合わせ、ならびに本開示を読むことにより当業者に確認可能な追加のベータブロッカーからなる群から選択される。特定のベータブロッカーの選択、ならびに濃度、投与量、組成物および投与のタイミングの任意の調整は、特に特定のベータブロッカーの特性および本開示に提供される適応症の観点から、当業者の技能の範囲内である。
【0171】
例えば、オピオイドフリー組成物がヒト患者に投与される一部の実施形態において、少なくとも1種のベータブロッカーは、プロプラノロール、エスモロール、メトプロロール、およびラベタロール、またはこれらの任意の組み合わせから選択される。特定の実施形態において、少なくとも1種のベータブロッカーはエスモロール、またはエスモロールに機能的に同等のベータブロッカーを含む。エスモロールに機能的に同等のベータブロッカーは、当業者により確認可能である。様々な実施形態において、少なくとも1種のベータブロッカーはエスモロールを含む。
【0172】
本開示のオピオイドフリー組成物に存在する場合、少なくとも1種のコルチコステロイドは、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム(デキサメタゾン)、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、フルドロコルチゾン酢酸エステル、プレドニゾロン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、トリアムシノロンアセトニドおよびフルオロメトロン、およびこれらの任意の組み合わせ、ならびに本開示を読むことにより当業者に確認可能な追加のコルチコステロイドからなる群から選択される。特定のコルチコステロイドの選択、ならびに濃度、投与量、組成物および投与のタイミングの任意の調整は、特に特定のコルチコステロイドの特性および本開示に提供される適応症の観点から、当業者の技能の範囲内である。
【0173】
特定の実施形態において、少なくとも1種のコルチコステロイドは、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム(デキサメタゾン)、またはデキサメタゾンに機能的に同等のコルチコステロイドを含む。デキサメタゾンに機能的に同等コルチコステロイドは、当業者により確認可能である。この実施形態の一部の態様において、コルチコステロイドは、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム(デキサメタゾン)を含み、これはグルココルチコステロイドのクラスに属するコルチコステロイドであり、さらにより広義にステロイドと分類することができ、このことは当業者に理解される。特定の実施形態において、少なくとも1種のコルチコステロイドはデキサメタゾンを含む。
【0174】
様々な実施形態において、本開示のオピオイドフリー組成物を追加の薬剤と組み合わせて使用することもできる。適した追加の薬剤には、ナトリウムチャンネル阻害剤、カルシウムチャンネル阻害剤、Cox-1もしくはCox-2酵素阻害剤(もしくは、Cox阻害剤)、アセトアミノフェン、GABAAおよびGABAB受容外アゴニスト(GABA模倣体もしくは類似体)を含むGABA受容体アゴニスト、抗うつ薬、制吐薬、カンナビノイド(CBD)、神経伝達物質、ならびに/または非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)が挙げられる。
【0175】
本開示のオピオイドフリー組成物と組み合わせて使用される場合、カルシウムチャンネル阻害剤は、ベラパミル、ジルチアゼム、ニフェジピン、ニモジピン、ニカルジピン、フルナリジン、およびシンナリジン、またはこれらの任意の組み合わせ、ならびに本開示を読むことにより当業者に確認可能な追加のカルシウムチャンネル阻害剤からなる群から選択される。特定の実施形態において、カルシウムチャンネル阻害剤は、ベラパミルおよび/またはジルチアゼムを含む。特定のカルシウムチャンネル阻害剤の選択、ならびに濃度、投与量、組成物および投与のタイミングの任意の調整は、特に特定のカルシウムチャンネル阻害剤の特性および本開示に提供される適応症の観点から、当業者の技能の範囲内である。例えば、オピオイドフリー組成物がヒト患者に投与される一部の実施形態において、Cox阻害剤は、セレコキシブ、エトドラク、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、インドメタシン、ジクロフェナク、ケトロラク、メロキシカム、テノキシカム、およびパラセタモール(アセトアミノフェン)、またはこれらの任意の組み合わせから選択される。
【0176】
本開示のオピオイドフリー組成物と組み合わせて使用される場合、GABA類似体は、プレガバリン、ガバペンチン、ピカミロンおよびプロガビド、およびこれらの任意の組み合わせ、ならびに本開示を読むことにより当業者に確認可能な追加のGABA類似体からなる群から選択される。特定のGABA類似体の選択、ならびに濃度、投与量、組成物および投与時点の任意の調整は、特に特定のGABA類似体の特性および本開示に提供される適応症の観点から、当業者の技能の範囲内である。特定の実施形態において、GABA類似体は、Lyrica(登録商標)(プレガバリン)もしくはNeurontin(ガバペクチン)、またはこれらの組み合わせである。
【0177】
本開示のオピオイドフリー組成物と組み合わせて使用される場合、抗うつ薬は、セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、三環系抗うつ薬(TCA)、四環系抗うつ薬(TeCA)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、ならびにノルアドレナリンおよび特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NASSA)から選択される。例示的セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)には、ベンラファキシン、シンバルタ(デュロキセチン)、ベンラファキシンXR、ベンラファキシンER、デスベンラファキシン、およびベンラファキシンが挙げられる。例示的な選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)には、セルトラリン、シタロプラム、フルオキセチン、エスシタロプラム、パロキセチンが挙げられる。例示的な三環系抗うつ薬(TCA)には、アミトリプチリンおよびノルトリプチリンが挙げられる。例示的な四環系抗うつ薬(TeCA)には、ミルタザピンが挙げられる。例示的なモノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)には、フェネルジン(Nardil)、トラニルシプロミン(Parnate)、イソカルボキサジド(Marplan)、およびセレギリン(EMSAM、Eldepryl)が挙げられる。例示的なノルアドレナリンおよび特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NASSA)には、ミアンセリン(Tolvon)およびミルタザピン(Remeron、Avanza、Zispin)が挙げられる。特定の抗うつ薬の選択、ならびに濃度、投与量、組成物および投与時点の任意の調整は、特に特定の抗うつ薬の特性および本開示に提供される適応症の観点から、当業者の技能の範囲内である。
【0178】
特定の実施形態において、抗うつ薬は、ベンラファキシン、シンバルタ(デュロキセチン)、ベンラファキシンXR、ベンラファキシンER、デスベンラファキシン、およびベンラファキシンからなる群から選択されるセロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)を含む。
【0179】
本開示のオピオイドフリー組成物と組み合わせて使用される場合、制吐剤は、オンダンセトロン、ドラセトロン、グラニセトロン、パロノセトロン、プロメタジン、ジメンヒドリナート、メトクロプラミド、メクリジン、ドロペリドール、およびハルドール、またはこれらの任意の組み合わせ、ならびに本開示を読むことにより当業者に確認可能な追加の制吐剤からなる群から選択される。特定の制吐剤の選択、ならびに濃度、投与量、組成物および投与のタイミングの任意の調整は、特に特定の制吐剤の特性および本開示に提供される適応症の観点から、当業者の技能の範囲内である。
【0180】
例えば、オピオイドフリー組成物がヒト患者に投与される一部の実施形態において、制吐剤は、オンダンセトロン、ドラセトロン、グラニセトロン、パロノセトロン、プロメタジン、メトクロプラミド、メクリジン、およびドロペリドール、またはこれらの任意の組み合わせから選択される。
【0181】
本開示のオピオイドフリー組成物は、典型的には、活性剤が治療上有効な量で薬学的に許容される媒体、担体または賦形剤と一緒に存在する医薬組成物の形態である。
【0182】
本開示のオピオイドフリー組成物は、術前組成物、術中組成物、周術期組成物、および術後組成物を包含する。オピオイドフリー組成物を手術室、ホスピス、処置設定(すなわち、医療的処置が手術室の外部で実施される設定)および当業者に知られている他の設定で使用できることが企図される。
【0183】
4.2.1 オピオイドフリー術前組成物
一実施形態において、本開示は、オピオイドフリー術前組成物を提供する。オピオイドフリー術前組成物は、マグネシウム(Mg2+)塩、アルファ-2アゴニスト、
ならびに適宜、
ナトリウムチャンネル阻害剤、および/または
N-メチル-D-アスパラギン酸受容体(NMDA)阻害剤、および/またはコルチコステロイド
を、薬学的に許容される媒体、担体、または賦形剤と一緒に、本開示の術前方法の任意のフェーズにおいて個体の不安を治療するため、ならびに/または鎮静および/もしくは鎮痛を誘導するために有効な量で含む。
【0184】
オピオイドフリー術前組成物に存在する特定のマグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ナトリウムチャンネル阻害剤、NDMA阻害剤およびコルチコステロイドは、セクション4.2のオピオイドフリー組成物に関連して上記に開示されたものから選択される。本開示の術前組成物に存在する各構成成分の量は、本開示の術前方法において不安を治療するため、ならびに/または鎮静および/もしくは鎮痛を誘導するために有効な量である。一部の実施形態において、オピオイドフリー術前組成物は、カルシウムチャンネル阻害剤、CBD、Cox阻害剤、GABA類似体、抗うつ薬、アセトアミノフェン、制吐剤、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される追加の薬剤をさらに含む。これらの追加の薬剤は、セクション4.2のオピオイドフリー組成物に関連して上記に記載されている。
【0185】
一部の実施形態において、マグネシウム塩は、約1mg/mLから約500mg/mL、約2mg/mLから約300mg/mL、約3mg/mLから約300mg/mL、約4mg/mLから約300mg/mL、約5mg/mLから約300mg/mL、約50mg/mLから約300mg/mL、または約100mg/mLから約300mg/mLの範囲の量でオピオイドフリー術前組成物に存在する。特定の実施形態において、マグネシウム塩は、約1mg/mL、約5mg/mL、約10mg/mL、約20mg/mL、約30mg/mL、約40mg/mL、約50mg/mL、約60mg/mL、約70mg/mL、約80mg/mL、約90mg/mL、約100mg/mL、約110mg/mL、約120mg/mL、約130mg/mL、約140mg/mL、約150mg/mL、約160mg/mL、約170mg/mL、約180mg/mL、約190mg/mL、約200mg/mL、約210mg/mL、約220mg/mL、約230mg/mL、約240mg/mL、約250mg/mL、約260mg/mL、約270mg/mL、約280mg/mL、約290mg/mL、約300mg/mL、約310mg/mL、約320mg/mL、約330mg/mL、約340mg/mL、約350mg/mL、約360mg/mL、約370mg/mL、約380mg/mL、約390mg/mL、約400mg/mL、約410mg/mL、約420mg/mL、約430mg/mL、約440mg/mL、約450mg/mL、約460mg/mL、約470mg/mL、約480mg/mL、約490mg/mL、または約500mg/mLの量でオピオイドフリー術前組成物に存在する。
【0186】
様々な実施形態において、マグネシウム塩は、硫酸マグネシウム、または硫酸マグネシウムに機能的に同等のマグネシウム塩を含む。
【0187】
一部の実施形態において、アルファ-2アゴニストは、約0.001mcg/mLから約50mcg/mL、0.01mcg/mLから約50mcg/mL、約0.1mcg/mLから約40mcg/mL、約0.2mcg/mLから約30mcg/mL、約0.3mcg/mLから約20mcg/mL、0.4mcg/mLから約15mcg/mL、約0.5mcg/mLから約10mcg/mL、約1mcg/mLから約10mcg/mL、約2mcg/mLから約10mcg/mL、または約3mcg/mLから約10mcg/mLの範囲の量でオピオイドフリー術前組成物に存在する。特定の実施形態において、アルファ-2アゴニストは、約0.1mcg/mL、約0.2mcg/mL、約0.3mcg/mL、約0.4mcg/mL、約0.5mcg/mL、約0.6mcg/mL、約0.7mcg/mL、約0.8mcg/mL、約0.9mcg/mL、約1mcg/mL、約1.5mcg/mL、約2mcg/mL、約2.5mcg/mL、約3mcg/mL、約3.5mcg/mL、約4mcg/mL、約4.5mcg/mL、約5mcg/mL、約5.5mcg/mL、約6mcg/mL、約6.5mcg/mL、約7mcg/mL、約7.5mcg/mL、約8mcg/mL、約8.5mcg/mL、約9mcg/mL、約9.5mcg/mL、約10mcg/mL、約10.5mcg/mL、約11mcg/mL、約11.5mcg/mL、約12mcg/mL、約12.5mcg/mL、約13mcg/mL、約13.5mcg/mL、約14mcg/mL、約14.5mcg/mL、または約15mcg/mLの量でオピオイドフリー術前組成物に存在する。
【0188】
様々な実施形態において、アルファ-2アゴニストはデクスメデトミジン、またはデクスメデトミジンに機能的に同等のアルファ-2アゴニストを含む。
【0189】
一部の実施形態において、ナトリウムチャンネル阻害剤は、約0mg/mLから約40mg/mL、約0.01mg/mLから約36mg/m、約2.5mg/mLから約30mg/mL、約4mg/mLから約25mg/mL、または約10mg/mLから約20mg/mLの範囲の量でオピオイドフリー術前組成物に存在する。様々な実施形態において、ナトリウムチャンネル阻害剤は、約1mg/mLから約10mg/mL、約2mg/mLから約8mg/mL、約3mg/mLから約7mg/mL、または約4mg/mLから約6mg/mLの範囲の量でオピオイドフリー術前組成物に存在する。特定の実施形態において、ナトリウムチャンネル阻害剤は、約0.5mg/mL、約1mg/mL、約1.5mg/mL、約2mg/mL、約2.5mg/mL、約3mg/mL、約3.5mg/mL、約4mg/mL、約4.5mg/mL、約5mg/mL、約5.5mg/mL、約6mg/mL、約6.5mg/mL、約7mg/mL、約7.5mg/mL、約8mg/mL、約8.5mg/mL、約9mg/mL、約9.5mg/mL、約10mg/mL、10.5mg/mL、約11mg/mL、約11.5mg/mL、約12mg/mL、約12.5mg/mL、約13mg/mL、約13.5mg/mL、約14mg/mL、約14.5mg/mL、約15mg/mL、約15.5mg/mL、約16mg/mL、約16.5mg/mL、約17mg/mL、約17.5mg/mL、約18mg/mL、約18.5mg/mL、約19mg/mL、約19.5mg/mL、または約20mg/mLの量でオピオイドフリー術前組成物に存在する。
【0190】
様々な実施形態において、ナトリウムチャンネル阻害剤は、リドカインまたはリドカインに機能的に同等のナトリウムチャンネル阻害剤を含む。
【0191】
一部の実施形態において、マグネシウム塩以外の少なくとも1種のNMDAアンタゴニストは、約0mg/mLから約35mg/mL、約0.01mg/mLから約30mg/mL、約1mg/mLから約25mg/mL、約1.5mg/mLから約20mg/ml、約2mg/mLから約15mg/mL、約2.5mg/mLから約10mg/mL、または約3mg/mLから約5mg/mLの範囲の量でオピオイドフリー術前組成物に存在する。様々な実施形態において、マグネシウム塩以外の少なくとも1種のNMDAアンタゴニストは、約0.5mg/mL、約1mg/mL、約1.5mg/mL、約2mg/mL、約3.5mg/mL、約3mg/mL、約3.5mg/mL、約4mg/mL、約4.5mg/mL、約5mg/mL、約5.5mg/mL、約6mg/mL、約6.5mg/mL、約7mg/mL、約7.5mg/mL、約8mg/mL、約8.5mg/mL、約9mg/mL、約9.5mg/mL、または約10mg/mLの量でオピオイドフリー術前組成物に存在する。
【0192】
特定の実施形態において、オピオイドフリー術前組成物に存在する、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストは、ケタミン、またはケタミンに機能的に同等のNMDAアンタゴニストを含む。
【0193】
一部の実施形態において、コルチコステロイドは、約0mg/mLから約10mg/mL、約0.2mg/mLから約9mg/mL、約0.4mg/mLから約8mg/mL、約0.6mg/mLから約7mg/mL、約0.8mg/mLから約6mg/mL、約1mg/mLから約5mg/mL、または約1.5mg/mLから約4mg/mLの範囲の量でオピオイドフリー術前組成物に存在する。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、約0.1mg/mLから約5mg/mL、約0.15mg/mLから約4mg/mL、約0.2mg/mLから約3mg/mL、約0.25から約2mg/mL、約0.3mg/mLから約1mg/mLの範囲の量でオピオイドフリー術前組成物に存在する。様々な実施形態において、コルチコステロイドは、約0.1mg/mL、約0.2mg/mL、約0.3mg/mL、約0.4mg/mL、約0.5mg/mL、約0.6mg/mL、約0.7mg/mL、約0.8mg/mL、約0.9mg/mL、約1mg/mL、約1.1mg/mL、約1.2mg/mL、約1.3mg/mL、約1.4mg/mL、約1.5mg/mL、約1.6mg/mL、約1.7mg/mL、約1.8mg/mL、約1.9mg/mL、または約2mg/mLの量でオピオイドフリー術前組成物に存在する。
【0194】
様々な実施形態において、オピオイドフリー術前組成物に存在するコルチコステロイドは、デキサメタゾン、またはデキサメタゾンに機能的に同等のコルチコステロイドを含む。
【0195】
一実施形態において、オピオイドフリー術前医薬組成物は、
約1mg/mLから約500mg/mLの範囲の濃度のマグネシウム塩、約0.001から約50mcg/mLの範囲の濃度のアルファ-2アゴニスト、
約0mg/mLから約40mg/mLの範囲の濃度のナトリウムチャンネル阻害剤、
約0mg/mLから約35mg/mLの範囲の濃度の、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、および
約0mg/mLから約10mg/mLの範囲の濃度のコルチコステロイドを、薬学的に許容される媒体、担体または賦形剤と一緒に含む。
【0196】
別の実施形態において、オピオイドフリー術前医薬組成物は、約50mg/mLから約300mg/mLの範囲の濃度のマグネシウム塩、
約1mcg/mLから約10mgc/mLの範囲の濃度のアルファ-2アゴニスト、
約mg/mLから約10mg/mLの範囲の濃度のナトリウムチャンネル阻害剤、
約1.5mg/mLから約5mg/mLの範囲の濃度の、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、および約0.1mg/mLから約5mg/mLの範囲の濃度のコルチコステロイドを、薬学的に許容される媒体、担体または賦形剤と一緒に含む。
先行の2つの段落に記載された実施形態のそれぞれにおいて、マグネシウム塩は、硫酸マグネシウム、または硫酸マグネシウムに機能的に同等のマグネシウム塩を含み、アルファ-2アゴニストはデクスメデトミジン、またはデクスメデトミジンに機能的に同等のアルファ-2アゴニストを含み、ナトリウムチャンネル阻害剤は、存在する場合、リドカインまたはリドカインに機能的に同等のナトリウムチャンネル阻害剤を含み、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストは、存在する場合、ケタミン、またはケタミンに機能的に同等のNMDAアンタゴニストを含み、コルチコステロイドは、存在する場合、デキサメタゾン、またはデキサメタゾンに機能的に同等のコルチコステロイドを含む。様々な実施形態において、オピオイドフリー術前組成物はボーラス製剤である。
【0197】
4.2.2 オピオイドフリー術中組成物
一実施形態において、本開示は、オピオイドフリー術中組成物を提供する。オピオイドフリー術中医薬組成物は、
マグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、
ナトリウムチャンネル阻害剤、ならびに適宜
マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、および/またはベータブロッカー
を、薬学的に許容される媒体、担体、または賦形剤と一緒に含む。
【0198】
オピオイドフリー術中組成物に存在する特定のマグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、およびナトリウムチャンネル阻害剤、ならびに適宜、NDMA阻害剤およびベータブロッカーは、セクション4.2のオピオイドフリー組成物に関連して上記に開示されたものから選択される。
【0199】
本開示の術中組成物に存在するそれぞれの構成成分の量は、本開示の術中方法の医療的または外科的処置の術中段階において、個体の鎮痛、麻酔、および/または鎮静を誘導および/または維持するため、ならびに血行動態安定性を維持するための量である。
【0200】
一部の実施形態において、マグネシウム塩は、約1mg/mLから約370mg/mL、約2mg/mLから約300mg/mL、約3mg/mLから約200mg/mL、約3.5mg/mLから約100mg/mL、4mg/mLから約50mg/mLまたは約4.5mg/mLから約25mg/mLの範囲の量でオピオイドフリー術中組成物に存在する。様々な実施形態において、マグネシウム塩は、約1mg/mLから約50mg/mL、約2mg/mLから約40mg/mL、約3mg/mLから約30mg/mL、約4mg/mLから約20mg/mLまたは約5mg/mLから10mg/mLの範囲の量でオピオイドフリー術中組成物に存在する。様々な実施形態において、マグネシウム塩は、約1mg/mL、約1.5mg/mL、約2mg/mL、約2.5mg/mL、約3mg/mL、約3.5mg/mL、約4mg/mL、約4.5mg/mL、約5mg/mL、約5.5mg/mL、約6mg/mL、約6.5mg/mL、約7mg/mL、約7.5mg/mL、約8mg/mL、約8.5mg/mL、約9mg/mL、約9.5mg/mL、約10mg/mL、約10.5mg/mL、約11mg/mL、約11.5mg/mL、約12mg/mL、約12.5mg/mL、約13mg/mL、約13.5mg/mL、約14mg/mL、約14.5mg/mL、約15mg/mL、約15.5mg/mL、約16mg/mL、約16.5mg/mL、約17mg/mL、約17.5mg/mL、約18mg/mL、約18.5mg/mL、約19mg/mL、約19.5mg/mL、または約20mg/mLの量でオピオイドフリー術中組成物に存在する。
【0201】
様々な実施形態において、マグネシウム塩は、硫酸マグネシウム、または硫酸マグネシウムに機能的に同等のマグネシウム塩を含む。
【0202】
一部の実施形態において、アルファ-2アゴニストは、約0.001mcg/mLから約30mcg/mL、約0.005mcg/mLから約20mcg/mL、約0.01mcg/mLから約15mcg/mL、約0.025mcg/mLから約10mcg/mL、0.05mcg/mLから約5mcg/mL、または約0.1mcg/mLから約1mcg/mLの範囲の量でオピオイドフリー術中組成物に存在する。
【0203】
様々な実施形態において、アルファ-2アゴニストは、約0.1mcg/mL、約0.2mcg/mL、約0.3mcg/mL、約0.4mcg/mL、約0.5mcg/mL、約0.6mcg/mL、約0.7mcg/mL、約0.8mcg/mL、約0.9mcg/mL、または約1mcg/mLの量でオピオイドフリー術中組成物に存在する。
【0204】
様々な実施形態において、アルファ-2アゴニストはデクスメデトミジン、またはデクスメデトミジンに機能的に同等のアルファ-2アゴニストを含む。
【0205】
一部の実施形態において、ナトリウムチャンネル阻害剤は、約0.1mg/mLから約35mg/mL、約0.2mg/mLから約20mg/mL、約0.2.5mg/mLから約15mg/mL、約0.3mg/mLから約10mg/ml、約0.4mg/mLから約5mg/mL、または約0.5mg/mLから3mg/mLの範囲の量でオピオイドフリー術中組成物に存在する。様々な実施形態において、ナトリウムチャンネル阻害剤は、約0.1mg/mL、約0.2mg/mL、約0.3mg/mL、約0.4mg/mL、約0.5mg/mL、約0.6mg/mL、約0.7mg/mL、約0.8mg/mL、約0.9mg/mL、約1mg/mL、約1.1mg/mL、約1.2mg/mL、約1.3mg/mL、約1.4mg/mL、約1.5mg/mL、約1.6mg/mL、約1.7mg/mL、約1.8mg/mL、約1.9mg/mL、約2mg/mL、約2.1mg/mL、約2.2mg/mL、約2.3mg/mL、約2.4mg/mL、約2.5mg/mL、約2.6mg/mL、約2.7mg/mL、約2.8mg/mL、約2.9mg/mL、または約3mg/mLの量でオピオイドフリー術中組成物に存在する。
【0206】
様々な実施形態において、ナトリウムチャンネル阻害剤は、リドカインまたはリドカインに機能的に同等のナトリウムチャンネル阻害剤を含む。
【0207】
一部の実施形態において、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストは、約0mg/mLから約20mg/mL、約0.001mg/mLから約15mg/mL、約0.005mg/mLから約10mg/mL、約0.01mg/mLから約5mg/mL、約0.05mg/mLから約1mg/mL、または約0.1mg/mLから0.5mg/mLの範囲の量でオピオイドフリー術中組成物に存在する。様々な実施形態において、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストは、約0mg/mL、約0.1mg/mL、約0.2mg/mL、約0.3mg/mL、約0.4mg/mL、約0.5mg/mL、約0.6mg/mL、約0.7mg/mL、約0.8mg/mL、約0.9mg/mL、または約1mg/mLの量でオピオイドフリー術中組成物に存在する。
【0208】
特定の実施形態において、オピオイドフリー術前組成物に存在する、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストは、ケタミン、またはケタミンに機能的に同等のNMDAアンタゴニストを含む。
【0209】
一部の実施形態において、ベータブロッカーは、約0mg/mLから約20mg/mL、約0.001mg/mLから約15mg/mL、約0.01mg/mLから約10mg/mL、約0.1mg/mLから約5mg/mL、または約0.15mg/mLから約2.0mg/mLの範囲の量でオピオイドフリー術中組成物に存在する。様々な実施形態において、ベータブロッカーは、約0.10mg/mL、約0.11mg/mL、約0.12mg/mL、約0.13mg/mL、約0.14mg/mL、約0.15mg/mL、約0.16mg/mL、約0.17mg/mL、約0.18mg/mL、約0.19mg/mL、または約0.20mg/mLの量でオピオイドフリー術中組成物に存在する。
【0210】
一部の実施形態において、ベータブロッカーがエスモロールを含む場合、ベータブロッカーは、約0.001mg/mLから約20mg/mLの範囲の量でオピオイドフリー術中組成物に存在する。他の実施形態において、ベータブロッカーがエスモロールを含む場合、ベータブロッカーは、約0.01mg/mLから約10mg/mL、または約0.1mg/mLから約5mg/mLの範囲の量でオピオイドフリー術中組成物に存在する。様々な実施形態において、エスモロールは、約0.1mg/mL、約0.2mg/mL、約0.3mg/mL、約0.4mg/mL、約0.5mg/mL、約0.6mg/mL、約0.7mg/mL、約0.8mg/mL、約0.9mg/mL、約1mg/mL、約1.1mg/mL、約1.2mg/mL、約1.3mg/mL、約1.4mg/mL、約1.5mg/mL、約1.6mg/mL、約1.7mg/mL、約1.8mg/mL、約1.9mg/mL、約2mg/mL、約2.1mg/mL、約2.2mg/mL、約2.3mg/mL、約2.4mg/mL、約2.5mg/mL、約2.6mg/mL、約2.7mg/mL、約2.8mg/mL、約2.9mg/mLまたは約3mg/mLの量でオピオイドフリー術中組成物に存在する。
【0211】
一実施形態において、オピオイドフリー術中医薬組成物は、約1mg/mLから約370mg/mLの範囲の濃度のマグネシウム塩、
約0.001mcg/mLから約30mcg/kgの範囲の量のアルファ-2アゴニスト、
約0.1mg/mLから約35m/mLの範囲の量のナトリウムチャンネル阻害剤、0mg/mLから約20mg/mLの範囲の濃度の、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、および約0mg/mLから約20mg/mLの範囲の濃度のベータブロッカーを、薬学的に許容される媒体、担体または賦形剤と一緒に含む。
【0212】
別の実施形態において、オピオイドフリー術中医薬組成物は、
約5mg/mLから約10mg/mLの範囲の量のマグネシウム塩、
約0.1から約1mcg/kgの範囲の量のアルファ-2アゴニスト、
約0.5mg/mLから約3mg/mLの範囲の量のナトリウムチャンネル阻害剤、
約0mg/mLから約0.5mg/mLの範囲の量の、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、および
約0.15mg/mLから約2mg/mLの範囲の量のベータブロッカー
を、薬学的に許容される媒体、担体、または賦形剤と一緒に含む。
【0213】
先行の2つの段落に記載された実施形態のそれぞれにおいて、マグネシウム塩は、硫酸マグネシウム、または硫酸マグネシウムに機能的に同等のマグネシウム塩を含み、アルファ-2アゴニストはデクスメデトミジン、またはデクスメデトミジンに機能的に同等のアルファ-2アゴニストを含み、ナトリウムチャンネル阻害剤は、リドカインまたはリドカインに機能的に同等のナトリウムチャンネル阻害剤を含み、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストは、存在する場合、ケタミン、またはケタミンに機能的に同等のNMDAアンタゴニストを含み、ベータブロッカーは、エスモロールまたはエスモロールに機能的に同等のベータブロッカーを含む。
【0214】
4.2.3 オピオイドフリー術後組成物
一実施形態において、本開示は、オピオイドフリー術後組成物を提供する。オピオイドフリー術後組成物は、以下:
マグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、
ナトリウムチャンネル阻害剤、
マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、およびベータブロッカー、
のうちの1つまたは複数を、薬学的に許容される媒体、担体、または賦形剤と一緒に含む。術後組成物に存在するそれぞれの構成成分の量は、医療的または外科的処置の術後段階において、疼痛および/または炎症を治療するために有効な量であり、このことは、本開示を読むことにより当業者に理解される。
【0215】
特定のマグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ナトリウムチャンネル阻害剤、NDMA阻害剤およびベータブロッカーは、オピオイドフリー術後組成物に存在する場合、セクション4.2のオピオイドフリー組成物に関連して上記に開示されたものから選択される。
【0216】
この実施形態の一態様において、オピオイドフリー術後組成物は、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストを含む。この実施形態の第二の態様において、オピオイドフリー術後組成物は、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、およびナトリウムチャンネル阻害剤を含む。この実施形態の第三の態様において、オピオイドフリー術後組成物は、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、ナトリウムチャンネル阻害剤、およびアルファ-2アゴニストを含む。この実施形態の第四の態様において、オピオイドフリー術後組成物は、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、ナトリウムチャンネル阻害剤、アルファ-2アゴニスト、およびマグネシウム塩を含む。この実施形態の第五の態様において、オピオイドフリー術後組成物は、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、ナトリウムチャンネル阻害剤、アルファ-2アゴニスト、マグネシウム塩、およびベータブロッカーを含む。
【0217】
4.3 オピオイドフリー治療方法
一実施形態において、本開示は、医療的または外科的処置を受けている個体のオピオイドフリー治療の方法を提供する。この実施形態の一態様において、本開示は、医療的または外科的処置を受けている個体のオピオイドフリー術前治療を提供する。この実施形態の第二の態様において、本開示は、医療的または外科的処置を受けている個体のオピオイドフリー術中治療を提供する。この実施形態の第三の態様において、本開示は、医療的または外科的処置を受けている個体のオピオイドフリー周術期治療を提供する。セクション4.3に記載される方法を任意の麻酔用途に使用することができる。
【0218】
一部の実施形態では、脳波図(EEG)を使用して、本開示の方法による患者にEEGデータを示すことができる。医療的または外科的処置の際の脳の血流をモニターし、患者の麻酔深度をモニターして、脳の全体的な電気的活動を決定することにEEGを使用することができる。
【0219】
4.3.1 術前治療方法
本開示は、医療的または外科的処置を受けようとしている個体のオピオイドフリー術前治療の方法を提供する。
【0220】
一実施形態において、本開示は、医療的または外科的処置を受けている個体のオピオイドフリー術前治療の方法であって、
マグネシウム塩、
アルファ-2アゴニスト、ならびに適宜
ナトリウムチャンネル阻害剤、および/またはコルチコステロイド、および/または
マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト
の有効な量を、個体に投与することを含む方法を提供する。
【0221】
術前方法に使用される特定のマグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ナトリウムチャンネル阻害剤、コルチコステロイド、およびNDMA阻害剤は、セクション4.2のオピオイドフリー組成物に関連して上記に開示されたものから選択される。
【0222】
術前方法に使用されるそれぞれの構成成分の量は、医療的または外科的処置の術前段階において個体の不安を治療するため、ならびに/または鎮静および/もしくは鎮痛を誘導するために有効な量であり、このことは、本開示を読むことにより当業者に理解される。
【0223】
この実施形態の一態様において、本開示は、医療的または外科的処置を受けている個体のオピオイドフリー術前治療の方法であって、
有効な量の
5から50mg/kgの標準体重(IBW)の範囲の量のマグネシウム塩、
0.1から1mcg/kgのIBWの範囲の量のアルファ-2アゴニスト、
ならびに適宜、
0.1から2mg/kgのIBWの範囲の量のナトリウムチャンネル阻害剤、および/または
0.01から0.2mg/kgのIBWの範囲の量のコルチコステロイド、および/または
0から0.5mg/kgのIBWの範囲の量の、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト
を個体に投与することを含み、
マグネシウム塩およびアルファ-2アゴニスト、ならびに適宜、ナトリウムチャンネル阻害剤、コルチコステロイドおよびNMDAが、医療的または外科的処置の術前段階において、個体の不安を治療するため、ならびに/または鎮静および/もしくは鎮痛を誘導するために有効な量の組み合わせによって個体に投与される、
方法を提供する。
【0224】
一態様において、本開示は、医療的または外科的処置を受けている個体のオピオイドフリー術前治療の方法であって、
有効な量の
5から50mg/kgの標準体重(IBW)の範囲の量のマグネシウム塩、0.1から1mcg/kgのIBWの範囲の量のアルファ-2アゴニスト、
ならびに適宜、
0.1から2mg/kgのIBWの範囲の量のナトリウムチャンネル阻害剤、および/または0.01から0.2mg/kgのIBWの範囲の量のコルチコステロイド、および/または
0から0.5mg/kgのIBWの範囲の量の、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト
を個体に投与することを含む方法を提供する。
マグネシウム塩およびアルファ-2アゴニスト、ならびに適宜、ナトリウムチャンネル阻害剤、コルチコステロイド、およびマグネシウム塩以外のNMDAアゴニストは、医療的または外科的処置の術前段階において、個体の不安を治療するため、ならびに/または鎮静および/もしくは鎮痛を誘導するために有効な量の組み合わせによって個体に投与される。
【0225】
オピオイドフリー術前治療方法の様々な実施形態において、投与工程は、本明細書に記載されているオピオイドフリー術前組成物を投与することを含む。
【0226】
本明細書に記載されている術前治療方法の様々な実施形態において、方法は、1つまたは複数の追加の薬剤を投与することをさらに含む。1つのそのような実施形態において、方法は、セクション4.2に記載されたカルシウムチャンネル阻害剤、Cox阻害剤、GABA類似体、抗うつ薬、CBD、および/または制吐剤からなる群から選択される1つまたは複数の追加の薬剤を個体に投与することをさらに含む。1つまたは複数の追加の薬剤の量は、手術の際に、麻酔状態、鎮静または全身麻酔下で患者の疼痛を停止、低減、または軽減するために有効な量である。
【0227】
このセクションの様々な実施形態において、マグネシウム塩は、硫酸マグネシウム、または硫酸マグネシウムに機能的に同等のマグネシウム塩を含み、アルファ-2アゴニストはデクスメデトミジン、またはデクスメデトミジンに機能的に同等のアルファ-2アゴニストを含み、ナトリウムチャンネル阻害剤は、リドカインまたはリドカインに機能的に同等のナトリウムチャンネル阻害剤を含み、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストは、存在する場合、ケタミン、またはケタミンに機能的に同等のNMDAアンタゴニストを含み、コルチコステロイドはデキサメタゾンを含む。
【0228】
4.3.2 術中治療方法
本開示は、医療的または外科的処置を受けている個体のオピオイドフリー術中治療の方法を提供する。
【0229】
一実施形態において、本開示は、医療的または外科的処置を受けている個体のオピオイドフリー術中治療の方法であって、
有効な量の
マグネシウム塩、
アルファ-2アゴニスト、
ナトリウムチャンネル阻害剤、
ならびに適宜、
ベータブロッカー、および/または
マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト
を、個体に投与することを含む方法を提供する。
【0230】
術中方法に使用される特定のマグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ナトリウムチャンネル阻害剤、ベータブロッカー、およびNDMA阻害剤は、セクション4.2のオピオイドフリー組成物に関連して上記に開示されたものから選択される。
【0231】
術中方法に使用されるそれぞれの構成成分の量は、医療的または外科的処置の術中段階において、個体の鎮痛、麻酔、および/または鎮静を誘導および/または維持するため、ならびに血行動態安定性を維持するために有効な量である。
【0232】
ある特定の実施形態において、オピオイドフリー術中治療の方法は、本開示のオピオイドフリー術中医薬組成物を患者に投与することを含む。
【0233】
一部の実施形態において、本開示は、医療的または外科的処置を受けている個体のオピオイドフリー術中治療の方法であって、
有効な量の
約1mg/kg/hrから約20mg/kg/hrの標準体重(IBW)の範囲の量のマグネシウム塩、
約0.01mg/kg/hrから約1mcg/k/hrのIBWの範囲の量のアルファ-2アゴニスト、
約0.1mg/kg/hrから約3mg/kg/hrのIWBの範囲の量のナトリウムチャンネル阻害剤、ならびに適宜
約3mcg/kg/hrから約300mcg/kg/の範囲の量のベータブロッカー、および/または
約0mg/kg/hrから約0.5mg/kg/hrのIBWの範囲の量の、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト
を個体に投与することを含む方法を提供する。
【0234】
代替的な実施形態において、本開示は、医療的または外科的処置を受けている個体のオピオイドフリー術中治療の方法であって、
約5から20mg/kg/hrのIBWの範囲の量のマグネシウム塩、
約0.1から約1mcg/kg/hrのIBWの範囲の量のアルファ-2アゴニスト、
約1から約2mg/kg/hrの/IBWの範囲の量のナトリウムチャンネル阻害剤、
および/または/ならびに適宜
約0から約0.5mg/kg/hrのIBWの範囲の量の、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、
約3から約20mcg/kg/minの範囲の量のベータブロッカー
を個体に投与することを含む方法を提供する。
【0235】
一部の実施形態では、医療的または外科的処置を受けている個体のオピオイドフリー術中治療の方法であって、
約10から20mg/kg/hrのIBWの範囲の量のマグネシウム塩、
約0.5から約1mcg/kg/hrのIBWの範囲の量のアルファ-2アゴニスト、
約1.5から約3mg/kgの/IBWの範囲の量のナトリウムチャンネル阻害剤、
ならびに適宜、
約0.2から約0.5mg/kg/hrのIBWの範囲の量の、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、および/または
約10から約300mcg/kg/minのIBWの範囲の量のベータブロッカー
を個体に投与することを含む方法である。
【0236】
一部の実施形態では、医療的または外科的処置を受けている個体のオピオイドフリー術中治療の方法であって、
約5から10mg/kg/hrのIBWの範囲の量のマグネシウム塩、
約0.1から約0.5mcg/kg/hrのIBWの範囲の量のアルファ-2アゴニスト、
ならびに適宜
約0から約0.2mg/kg/hrのIBWの範囲の量の、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、
約0.5から約1.5mg/kgの/IBWの範囲の量のナトリウムチャンネル阻害剤、および/または
約1から約10mcg/kg/minのIBWの範囲の量のベータブロッカー、例えば、エスモロール
を個体に投与することを含む方法である。
【0237】
本明細書に記載されている術中治療方法の様々な実施形態において、方法は、1つまたは複数の追加の薬剤を投与することをさらに含む。1つのそのような実施形態において、方法は、セクション4.2に記載されたカルシウムチャンネル阻害剤、Cox阻害剤および/または制吐剤からなる群から選択される1つまたは複数の追加の薬剤を個体に投与することをさらに含む。1つまたは複数の追加の薬剤の量は、手術の際に、麻酔状態、鎮静または全身麻酔下で患者の疼痛を停止、低減、または軽減するために有効な量である。
【0238】
このセクションに記載されている術中治療方法の様々な実施形態において、方法は、医療的または外科的処置の術中段階において、個体の麻酔、鎮静および/または鎮痛、ならびにバイタルサインを維持するために有効な量で追加の麻酔剤を個体に投与することをさらに含む。追加の麻酔剤には、プロポフォール、亜酸化窒素、および他の吸入麻酔剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0239】
4.3.3 周術期治療方法
オピオイドフリー術前治療方法およびオピオイドフリー術中治療方法を組み合わせて、医療的または外科的処置を受けている個体の周術期治療に使用することができる。
【0240】
一態様において、本開示は、医療的または外科的処置を受けている個体のオピオイドフリー周術期治療の方法であって、
個体の鎮痛を誘導および/もしくは維持するため、ならびに/または炎症を低減するための有効な量により、
本明細書に記載されている方法のいずれか1つに従って、オピオイドフリー術前治療に有効な量を個体に投与すること、および
本明細書に記載されている方法のいずれか1つに従って、オピオイドフリー術中治療に有効な量を個体に投与すること、
を含む方法を提供する。
【0241】
有利には、本開示のオピオイドフリー周術期治療方法は、非オピオイドフリー周術期治療方法と比較して、改善された術後疼痛緩和を提供する。
【0242】
4.3.4 術後治療方法
一実施形態において、本開示は、医療的または外科的処置後の個体のオピオイドフリー術後治療の方法を提供する。
方法は、
以下:
マグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、
ナトリウムチャンネル阻害剤、
マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、および
ベータブロッカー
の1つまたは複数を、
医療的または外科的処置の術後段階において、疼痛および/または炎症の治療に有効な量で個体に投与することを含む。
【0243】
特定のマグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ナトリウムチャンネル阻害剤、マグネシウム以外のNDMA阻害剤、およびベータブロッカーは、オピオイドフリー術後組成物に存在する場合、セクション4.2のオピオイドフリー組成物に関連して上記に開示されたものから選択される。
【0244】
別の実施形態において、本開示は、医療的または外科的処置後の個体のオピオイドフリー術後治療の方法を提供する。方法は、
医療的または外科的処置の術後段階において、疼痛および/または炎症の治療に有効な量により、
本明細書に記載されているオピオイドフリー術後組成物を有効な量で個体に投与することを含む。
【0245】
ある特定の実施形態において、オピオイドフリー術中治療の方法は、セクション4.2.3に開示されているものから選択される本開示のオピオイドフリー術後医薬組成物を患者に投与することを含む。
【0246】
このセクションに記載されている術後治療方法の様々な実施形態において、方法は、1つまたは複数の追加の術後薬剤を個体に投与することをさらに含む。
【0247】
このセクションに記載されている術後治療方法の様々な実施形態において、1つまたは複数の追加の術後薬剤は、抗うつ薬である。
【0248】
投与される場合、抗うつ薬は、(SNRI)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、三環系抗うつ薬(TCA)、四環系抗うつ薬(TeCA)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、ノルアドレナリンおよび特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NASSA)からなる群から選択される。
【0249】
術後治療方法が抗うつ薬の投与を含む実施形態において、抗うつ薬は、ベンラファキシン、シンバルタ(デュロキセチン)、ベンラファキシンXR、ベンラファキシンER、デスベンラファキシン、およびベンラファキシンからなる群から選択されるセロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)を含む。一部の実施形態において、抗うつ薬はシンバルタを含む。
【0250】
このセクションに記載されている術後治療方法の様々な実施形態において、1つまたは複数の追加の術後薬剤は、鎮痛薬である。一部の実施形態において、鎮痛薬は、アセトアミノフェン、セレコキシブおよびプレガバリン、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0251】
このセクションに記載されている術後治療方法の様々な実施形態において、1つまたは複数の追加の術後薬剤は、デキサメタゾンを含む。投与される場合、デキサメタゾンは一定期間にわたって投与され得る。デキサメタゾンを投与する量および時間は、特にデキサメタゾンの特性および本開示に提供される適応症の観点から、当業者の技能の範囲内である。
【0252】
一部の実施形態において、オピオイドフリー術後方法は、外科手術の約1から2日後に、約5mgから約15mgの量のデキサメタゾンを約15分から約30分かけて個体に投与することをさらに含む。
【0253】
4.3.4 個体に麻酔をかける方法
一実施形態において、本開示は、医療的または外科的処置を受けている個体に麻酔をかける方法を提供する。方法は、
本開示のオピオイドフリー術前組成物を、医療的または外科的処置の術前段階において個体の不安を治療するため、ならびに/または鎮静および/もしくは鎮痛を誘導するために有効な量で個体に投与すること、
本開示のオピオイドフリー術中組成物を、医療的または外科的処置の術中段階において個体の鎮痛、麻酔、および/または鎮静を誘導および/または維持するため、ならびに血行動態安定性を維持するために有効な量で個体に投与すること、ならびに適宜
本開示のオピオイドフリー術後組成物を、医療的または外科的処置の術後段階の際に、個体の疼痛および/または炎症を治療するために有効な量で個体に投与すること、
を含む。
【0254】
個体に麻酔をかける方法に使用される特定のオピオイドフリー術前組成物、オピオイドフリー術中組成物、およびオピオイドフリー術後組成物は、上記のセクション4.2.1、セクション4.2.2およびセクション4.2.3にそれぞれ開示されているものから選択される。
【0255】
4.4.用量レベル、レジメン、および投与様式
セクション4.3に記載されている方法において、本開示の1つまたは複数の薬剤および/または組成物の総投与量は、健全な医学的判断の範囲内で患者の担当麻酔提供者によって決定されることが理解される。任意の特定の患者のために特定的に治療上有効な用量レベルは、併存疾患および併存疾患の重症度;用いられる特定の薬剤および/または組成物の活性;患者の年齢、体重、全体的な健常、年齢および食事;用いられる特定の薬剤の投与時点、投与経路および排出速度;治療期間;用いられる特定の薬剤/組成物と組み合わせて、または同時発生的に使用される薬物;ならびに医学分野の当業者に知られている他の要因を含む様々な要因よって左右される。
【0256】
本明細書に記載されている方法に使用される1つまたは複数の薬剤の選択において、麻酔提供者は、典型的には、治療される個体の健康状態の状況の観点から特定の薬剤の特徴を考慮する。例えば、麻酔提供者は、アルファ-2アゴニスト、例えば、グアノキサベンズ(ヒトの肝臓におけるグアナベンズの代謝産物であり、降圧性の抗アドレナリン薬である)、グアネチジン(アドレナリン作動性節後神経の伝達を選択的に阻害するように作用し、副交感神経ブロックを産生することなく、アルファ-およびベータ-アドレナリン作動性受容体により媒介される応答を同様に抑制し、経口形態で利用可能である)、キシラジン(クロニジンの類似体であり、動物、例えば、ウマ、ウシおよび他の非ヒト哺乳動物の鎮静、麻酔、筋弛緩および鎮痛のため、とりわけネコにおいて催吐薬として典型的に使用されるα-2クラスのアドレナリン作動性受容体のアゴニストである)、チザニジン(中枢性筋弛緩薬であり、運動ニューロンのシナプス前抑制を増加することによって痙縮の管理に使用することもできる短時間作用薬であり、チザニジンの効果は多シナプス経路に対して最大であり、これらの作用の全体的な効果は脊髄運動ニューロンの促通を低減する)、メデトミジン(デクスメデトミジンが主な活性異性体である2つの立体異性体のラセミ混合物で、イヌへの動物用途のための手術麻酔および鎮痛薬として典型的に使用される合成化合物である)、(R)-3-ニトロビフェニリン、デトミジン、ロフェキシジン、およびメデトミジン、ならびにグアンファシン(CNSのα-2アドレナリン作動性受容体を選択的に刺激し、それによって交感神経系拍出の阻害をもたらす、非刺激性および降圧性の特性を有する中枢作用性アドレナリン作動性アゴニストである)の選択を考慮する。
【0257】
加えて、麻酔提供者は、典型的には、特定の薬剤の異なる薬物動態を考えに入れることによって、特定の投与量および投与のタイミング選択する。例えば、例示的なベータブロッカーのエスモロール、メトプロロールおよびラベタロールは、異なる薬物動態パラメーターを有する。エスモロールの薬物動態パラメーターは以下の通りである:作用発現:直後;ピーク:2~6分間;持続期間>20分間。メトプロロールの薬物動態パラメーターは以下の通りである:作用発現:直後;ピーク:20分間;持続期間 5~8時間。ラベタロールの薬物動態パラメーターは以下の通りである:作用発現:2~5分;ピーク:5~15分間;持続期間 4時間まで。
【0258】
したがって、一部の例示的な実施形態において、滴定能力(titratability)、迅速な作用発現および消失のためにエスモロールを好ましくは連続注入として使用することができる。ベータブロッカーであるメトプロロール、およびベータブロッカーとアルファ-1アドレナリン受容体アンタゴニストが7:1の比であるラベタロール、ならびに/または麻酔に一般的に使用される他の薬剤をIVボーラスで投与して、血圧上昇および/または頻拍(rapid heart rate)を制御することもできる。術中ベータブロッカーを心臓事象の予防として投与することができる。一般に、より滴定可能なベータブロッカーが好ましいので、長期作用性β-ブロッカーはオピオイドフリー投与の文脈ではあまり望ましくない。
【0259】
本開示の周術期治療方法における投与量および投与のタイミングを決定するときに、麻酔提供者は追加の考慮を考えに入れることができる。
【0260】
例えば、マグネシウム塩のタイミングおよび投与量は、典型的には、Mg
2+の「プラグ」をNMDA受容体内に保持するため、Mg
2+の勾配を細胞外で増加するように選択される。Mg
2+がNMDA受容体のチャンネル内で置換される場合、カスケードを相殺し、最終的に侵害性刺激の知覚の増加をもたらす(
図2を参照すること)。特に、本開示のピオイドフリー術前、術中または術後組成物では、Mg
2+の「プラグ」をNMDA受容体内に保持するため、Mg
2+の勾配を細胞外で増加するようにマグネシウム塩が与えられる。Mg
2+塩注入は、注意深く使用されるべきであり、または腎不全および/もしくは高度の心ブロックでは回避されるべきであり、このことは当業者に理解される。一部の実施形態において、非常に長期間の症例では、累積用量が、高血漿レベルのMg
2+塩による望まれない副作用、例えば、筋力低下、筋弛緩薬の逆転不能、血圧低下、および徐脈性不整脈の極端な症例を引き起こさないように、Mg
2+塩注入を低下することができる。
【0261】
アルファ-2受容体アンタゴニストがデクスメデトミジンである一部の実施形態において、投与量および投与のタイミングは、非常に動揺している、神経質になっている、外傷後ストレス障害の病歴を有する、高い交感神経系の緊張を示す傾向がある18~24歳の男性である個体に、高い負荷および注入量でデクスメデトミジンを与えることができることを考えに入れて選択することができる。とりわけ高齢者における神経保護効果のため、デクスメデトミジンを他の麻酔薬の代わりに与えることもできる。デクスメデトミジンを、この注入が一次疼痛およびストレス低減様相として使用される場合、より刺激的な手術において増加することができ、このことは当業者に理解される。ストレスを低減することによって(既存/非疼痛関連のストレスであっても)、炎症の低減をもたらすことは考慮に値する。ストレスは、ストレスの起源にかかわりなく、炎症促進性サイトカインの放出を引き起こす。一部の実施形態では、望まれない副作用、例えば、血圧低下、徐脈、および過剰排尿を低減するため、デクスメデトミジンの投与量を低下することができる。
【0262】
一部の実施形態において、患者は、大手術では全身麻酔と組み合わせて、硬膜外または脊髄に神経ブロックを受ける。これらの介入は、脳への疼痛シグナルの伝達を低減し、その結果は、患者が侵害性刺激(この場合は、手術)に対して反応しない、またはストレス応答を有さない、という結果になる。疼痛が知覚からブロックされると、麻酔量は大手術であっても相対的に低いままであり得る。ブロックがなく、侵害性刺激が重度の場合、デクスメデトミジンの用量を増加する必要があると思われる。患者が手術前に非常に不安である、または慢性不安症、外傷後ストレス障害(PTSD)の病歴を有する、もしくは18~24歳の男性である場合、高用量のデクスメデトミジンが、手術の歳に交感神経拍出を有効に減弱するため、および麻酔からの穏やかな覚醒を助けるために必要であり得る。
【0263】
一部の実施形態において、OFA薬剤の絶大な抗炎症効果のため、ブロック/脊髄が有効である間は、侵害性刺激が伝達されない状況であってもOFA薬剤を投与することは依然として有益である。OFAの疼痛および炎症低減特性は、ブロック/脊髄の疼痛軽減特性より長く続き、そのことは当業者に理解される。ブロックは、手術直後の最も痛みを伴う期間を迂回することを助けるが、OFA薬剤は、OFA薬剤を受けなかった個体と比較して、ブロックの効果がなくなった後の疼痛強度の低減を助ける。
【0264】
患者が心ブロック、徐脈性不整脈、重度の心室機能不全、血液量減少もしくは血圧上昇の制御不良を有する、または高齢者である一部の実施形態において、麻酔提供者は、アルファ-2アドレナリン受容体ブロッカー、ならびにその投与量および投与のタイミングの選択に注意するべきである。
【0265】
患者が糖尿病である、または感染に対して高い危険性がある一部の実施形態では、ステロイドの投与を低減または排除することができ、そのことは当業者に理解される。
【0266】
デキサメタゾン(デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム)が投与される他の実施形態では、デキサメタゾンがその投与の24時間後にインスリン耐性を引き起こし、他の短時間作用性ステロイドより短いことを考えに入れて、他の関連するタイミングおよび投与量を選択することができる。他のステロイドが、副腎クリーゼを予防する症例などに指示される場合、デキサメタゾンを排除することができる。患者が慢性的に外来性ステロイドを摂取し、ある程度の副腎機能不全を有すると推定される場合、副腎クリーゼが懸念され得る。例には、変形性関節症、自己免疫性障害、または気管支反応性気道の問題などの状態が挙げられる。そのような患者において副腎クリーゼの可能性を低減する療法には、ヒドロコルチゾンが挙げられる。デキサメタゾンリン酸エステルナトリウムは、グルココルチコステロイドのクラスの範囲内であり、ヒドロコルチゾンより強力および長時間作用性であり、これらの患者の副腎クリーゼを予防する療法として使用することができる。
【0267】
基本的な衛生状態、例えば、水道水の利用に問題がある一部の実施形態において、本開示の方法は、感染の危険性を最小限にするため、低減された用量のステロイドを投与することを含む。一部の実施形態において、本開示の方法は、術後の悪心および嘔吐を予防するために麻酔提供者により一般的に使用される用量(約4mg)より増加した用量のデキサメタゾンを、疼痛制御のために投与することを含む。
【0268】
ある特定の実施形態において、術前治療方法では、本開示の個別の構成成分または術前組成物を非経口(例えば、皮下、筋肉内、もしくは静脈内)または鼻腔内で投与することができる。ある特定の実施形態において、本開示の個別の構成成分または術前組成物を静脈内注入により投与することができる。一態様において、本開示の個別の構成成分または術前組成物を、ボーラスで静脈内注入により投与することができる。
【0269】
一部の実施形態において、術前治療方法では、本開示の個別の構成成分または術前組成物は、約15分から約60分、約20分から約50分、約15分から約40分、約15分から約30分、または約20分から約25分の範囲の時間にわたる静脈内注入により単一ボーラス用量として投与される。
【0270】
オピオイドフリー術前組成物が静脈内注入により投与される実施形態において、シリンジ、IVバッグ、またはガラス容器(バイアルもしくはボトル)に含有され得るものは、液体組成物である、または投与の時点で医療提供者により液体組成物に再構成される粉末である。液体組成物の薬学的に有効な量は、例えば15分の時間にわたってIVで与えることができる。あるいは、液体組成物の薬学的に有効な量を負荷量で引き出し、25、50または100ccのIVバックの流体に注入し、次いで患者に約15分間、約30分間、約45分間、または約1時間以上にわたって投与することができる。一部の実施形態において、オピオイドフリー術組成物が静脈内注入により投与される場合、シリンジ、IVバッグ、またはガラス容器(バイアルもしくはボトル)に含有され得るものは、液体組成物である、または投与の時点で医療提供者により液体組成物に再構成される粉末である。液体組成物の薬学的に有効な量は、例えば15分の時間にわたってIVで与えることができる。あるいは、液体組成物の薬学的に有効な量を負荷量で引き出し、25、50または100ccのIVバックの流体に注入し、次いで患者に約15分間、約30分間、約45分間、または約1時間以上にわたって投与することができる。
【0271】
オピオイドフリー術中組成物が静脈内注入により投与される実施形態において、シリンジ、IVバッグ、またはガラス容器(バイアルもしくはボトル)に含有され得るものは、液体組成物である、または投与の時点で医療提供者により液体組成物に再構成される粉末である。
【0272】
オピオイドフリー術後組成物もしくは周術期組成物が静脈内注入により投与される、液体組成物である、または液体組成物に再構成される粉末である、または周術期組成物が静脈内注入により投与される実施形態において、シリンジ、IVバッグ、またはガラス容器(バイアルもしくはボトル)に含有され得るものは、液体組成物である、または投与の時点で医療提供者により液体組成物に再構成される粉末である。
【0273】
術前治療方法の特定の実施形態において、マグネシウム塩は、約1mg/mLから約500g/mL、約2mg/mLから約300mg/mL、約3mg/mLから約300mg/mL、約4mg/mLから約300mg/mL、約5mg/mLから約300mg/mL、約50mg/mLから約300mg/mL、または約100mg/mLから約300mg/mLの範囲の量で投与される。特定の実施形態において、マグネシウム塩は、約1mg/mL、約5mg/mL、約10mg/mL、約20mg/mL、約30mg/mL、約40mg/mL、約50mg/mL、約60mg/mL、約70mg/mL、約80mg/mL、約90mg/mL、約100mg/mL、約110mg/mL、約120mg/mL、約130mg/mL、約140mg/mL、約150mg/mL、約160mg/mL、約170mg/mL、約180mg/mL、約190mg/mL、約200mg/mL、約210mg/mL、約220mg/mL、約230mg/mL、約240mg/mL、約250mg/mL、約260mg/mL、約270mg/mL、約280mg/mL、約290mg/mL、約300mg/mL、約310mg/mL、約320mg/mL、約330mg/mL、約340mg/mL、約350mg/mL、約360mg/mL、約370mg/mL、約380mg/mL、約390mg/mL、約400mg/mL、約410mg/mL、約420mg/mL、約430mg/mL、約440mg/mL、約450mg/mL、約460mg/mL、約470mg/mL、約480mg/mL、約490mg/mL、または約500mg/mLの量でオピオイドフリー術前組成物に存在する。
【0274】
術前治療方法の特定の実施形態において、アルファ-2アゴニストは、約0.001mcg/mLから約500mcg/mL、0.01mcg/mLから約50mcg/mL、約0.1mcg/mLから約40mcg/mL、約0.2mcg/mLから約30mcg/mL、約0.3mcg/mLから約20mcg/mL、0.4mcg/mLから約15mcg/mL、約0.5mcg/mLから約10mcg/mL、約1mcg/mLから約10mcg/mL、約2mcg/mLから約10mcg/mL、または約3mcg/mLから約10mcg/mLの範囲の量で投与される。特定の実施形態において、1種のアルファ-2アゴニストは、約0.1mcg/mL、約0.2mcg/mL、約0.3mcg/mL、約0.4mcg/mL、約0.5mcg/mL、約0.6mcg/mL、約0.7mcg/mL、約0.8mcg/mL、約0.9mcg/mL、約1mcg/mL、約1.5mcg/mL、約2mcg/mL、約2.5mcg/mL、約3mcg/mL、約3.5mcg/mL、約4mcg/mL、約4.5mcg/mL、約5mcg/mL、約5.5mcg/mL、約6mcg/mL、約6.5mcg/mL、約7mcg/mL、約7.5mcg/mL、約8mcg/mL、約8.5mcg/mL、約9mcg/mL、約9.5mcg/mL、約10mcg/mL、約10.5mcg/mL、約11mcg/mL、約11.5mcg/mL、約12mcg/mL、約12.5mcg/mL、約13mcg/mL、約13.5mcg/mL、約14mcg/mL、約14.5mcg/mL、または約15mcg/mLの量で投与される。
【0275】
術前治療方法の特定の実施形態において、ナトリウムチャンネル阻害剤は、約0mg/mLから約40mg/mL、約0.01mg/mLから約36mg/m、約2.5mg/mLから約30mg/mL、約4mg/mLから約25mg/mL、または約10mg/mLから約20mg/mLの範囲の量で投与される。様々な実施形態において、ナトリウムチャンネル阻害剤は、約1mg/mLから約10mg/mL、約2mg/mLから約8mg/mL、約3mg/mLから約7mg/mL、または約4mg/mLから約6mg/mLの範囲の量で投与される。特定の実施形態において、ナトリウムチャンネル阻害剤は、約0.5mg/mL、約1mg/mL、約1.5mg/mL、約2mg/mL、約2.5mg/mL、約3mg/mL、約3.5mg/mL、約4mg/mL、約4.5mg/mL、約5mg/mL、約5.5mg/mL、約6mg/mL、約6.5mg/mL、約7mg/mL、約7.5mg/mL、約8mg/mL、約8.5mg/mL、約9mg/mL、約9.5mg/mL、約10mg/mL、10.5mg/mL、約11mg/mL、約11.5mg/mL、約12mg/mL、約12.5mg/mL、約13mg/mL、約13.5mg/mL、約14mg/mL、約14.5mg/mL、約15mg/mL、約15.5mg/mL、約16mg/mL、約16.5mg/mL、約17mg/mL、約17.5mg/mL、約18mg/mL、約18.5mg/mL、約19mg/mL、約19.5mg/mL、または約20mg/mLの量で投与される。
【0276】
術前治療方法の特定の実施形態において、マグネシウム塩以外の少なくとも1種のNMDAアンタゴニストは、約0mg/mLから約35mg/mL、約0.01mg/mLから約30mg/mL、約1mg/mLから約25mg/mL、約1.5mg/mLから約20mg/ml、約2mg/mLから約15mg/mL、約2.5mg/mLから約10mg/mL、または約3mg/mLから約5mg/mLの範囲の量で投与される。様々な実施形態において、マグネシウム塩以外の少なくとも1種のNMDAアンタゴニストは、約0.5mg/mL、約1mg/mL、約1.5mg/mL、約2mg/mL、約3.5mg/mL、約3mg/mL、約3.5mg/mL、約4mg/mL、約4.5mg/mL、約5mg/mL、約5.5mg/mL、約6mg/mL、約6.5mg/mL、約7mg/mL、約7.5mg/mL、約8mg/mL、約8.5mg/mL、約9mg/mL、約9.5mg/mL、または約10mg/mLの量で投与される。
【0277】
術前治療方法の特定の実施形態において、少なくとも1種のコルチコステロイドは、約0mg/mLから約10mg/mL、約0.2mg/mLから約9mg/mL、約0.4mg/mLから約8mg/mL、約0.6mg/mLから約7mg/mL、約0.8mg/mLから約6mg/mL、約1mg/mLから約5mg/mL、または約1.5mg/mLから約4mg/mLの範囲の量で投与される。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、約0.1mg/mLから約5mg/mL、約0.15mg/mLから約4mg/mL、約0.2mg/mLから約3mg/mL、約0.25から約2mg/mL、または約0.3mg/mLから約1mg/mLの範囲の量で投与される。様々な実施形態において、コルチコステロイドは、約0.1mg/mL、約0.2mg/mL、約0.3mg/mL、約0.4mg/mL、約0.5mg/mL、約0.6mg/mL、約0.7mg/mL、約0.8mg/mL、約0.9mg/mL、約1mg/mL、約1.1mg/mL、約1.2mg/mL、約1.3mg/mL、約1.4mg/mL、約1.5mg/mL、約1.6mg/mL、約1.7mg/mL、約1.8mg/mL、約1.9mg/mL、または約2mg/mLの量で投与される。
【0278】
ある特定の実施形態において、術中治療方法では、本開示の個別の構成成分または術中組成物を非経口(例えば、皮下、筋肉内、もしくは静脈内)または鼻腔内で投与することができる。ある特定の実施形態において、本開示の個別の構成成分または術中組成物を静脈内注入により投与することができる。一態様において、本開示の個別の構成成分または術中組成物を、連続静脈内注入またはボーラス用量で投与することができる。
【0279】
術中治療方法の特定の実施形態において、マグネシウム塩は、約1mg/mLから約370g/mL、約2mg/mLから約300mg/mL、約3mg/mLから約200mg/mL、約3.5mg/mLから約100mg/mL、4mg/mLから約50mg/mLまたは約4.5mg/mLから約25mg/mLの範囲の量で投与される。様々な実施形態において、マグネシウム塩は、約1mg/mLから約50mg/mL、約2mg/mLから約40mg/mL、約3mg/mLから約30mg/mL、約4mg/mLから約20mg/mLまたは約5mg/mLから10mg/mLの範囲の量で投与される。様々な実施形態において、マグネシウム塩は、約1mg/mL、約1.5mg/mL、約2mg/mL、約2.5mg/mL、約3mg/mL、約3.5mg/mL、約4mg/mL、約4.5mg/mL、約5mg/mL、約5.5mg/mL、約6mg/mL、約6.5mg/mL、約7mg/mL、約7.5mg/mL、約8mg/mL、約8.5mg/mL、約9mg/mL、約9.5mg/mL、約10mg/mL、約10.5mg/mL、約11mg/mL、約11.5mg/mL、約12mg/mL、約12.5mg/mL、約13mg/mL、約13.5mg/mL、約14mg/mL、約14.5mg/mL、約15mg/mL、約15.5mg/mL、約16mg/mL、約16.5mg/mL、約17mg/mL、約17.5mg/mL、約18mg/mL、約18.5mg/mL、約19mg/mL、約19.5mg/mL、または約20mg/mLの量で投与される。
【0280】
術中治療方法の特定の実施形態において、少なくとも1種のアルファ-2アゴニストは、約0.001mcg/mLから約30mcg/mL、約0.005mcg/mLから約20mcg/mL、約0.01mcg/mLから約15mcg/mL、約0.025mcg/mLから約10mcg/mL、0.05mcg/mLから約5mcg/mL、または約0.1mcg/mLから約1mcg/mLの範囲の量で投与される。様々な実施形態において、アルファ-2アゴニストは、約0.1mcg/mL、約0.2mcg/mL、約0.3mcg/mL、約0.4mcg/mL、約0.5mcg/mL、約0.6mcg/mL、約0.7mcg/mL、約0.8mcg/mL、約0.9mcg/mL、または約1mcg/mLの量で投与される。
【0281】
術中治療方法の特定の実施形態において、少なくとも1種のナトリウムチャンネル阻害剤は、約0.1mg/mLから約35mg/mL、約0.2mg/mLから約20mg/mL、約0.2.5mg/mLから約15mg/mL、約0.3mg/mLから約10mg/mL、約0.4mg/mLから約5mg/mL、または約0.5mg/mLから3mg/mLの範囲の量で投与される。様々な実施形態において、ナトリウムチャンネル阻害剤は、約0.1mg/mL、約0.2mg/mL、約0.3mg/mL、約0.4mg/mL、約0.5mg/mL、約0.6mg/mL、約0.7mg/mL、約0.8mg/mL、約0.9mg/mL、約1mg/mL、約1.1mg/mL、約1.2mg/mL、約1.3mg/mL、約1.4mg/mL、約1.5mg/mL、約1.6mg/mL、約1.7mg/mL、約1.8mg/mL、約1.9mg/mL、約2mg/mL、約2.1mg/mL、約2.2mg/mL、約2.3mg/mL、約2.4mg/mL、約2.5mg/mL、約2.6mg/mL、約2.7mg/mL、約2.8mg/mL、約2.9mg/mL、または約3mg/mLの量でオピオイドフリー術中組成物により投与される。
【0282】
術中治療方法の特定の実施形態において、マグネシウム塩以外の少なくとも1種のNMDAアンタゴニストは、約0mg/mLから約20mg/mL、約0.001mg/mLから約15mg/mL、約0.005mg/mLから約10mg/mL、約0.01mg/mLから約5mg/mL、約0.05mg/mLから約1mg/mL、または約0.1mg/mLから0.5mg/mLの範囲の量で投与される。様々な実施形態において、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストは、約0mg/mL、約0.1mg/mL、約0.2mg/mL、約0.3mg/mL、約0.4mg/mL、約0.5mg/mL、約0.6mg/mL、約0.7mg/mL、約0.8mg/mL、約0.9mg/mL、または約1mg/mLの量で投与される。
【0283】
術中治療方法の特定の実施形態において、少なくとも1種のベータブロッカーは、約0mg/mLから約20mg/mL、約0.001mg/mLから約15mg/mL、約0.01mg/mLから約10mg/mL、約0.1mg/mLから約5mg/mL、または約0.15mg/mLから約2.0mg/mLの範囲の量で投与される。様々な実施形態において、ベータブロッカーは、約0.10mg/mL、約0.11mg/mL、約0.12mg/mL、約0.13mg/mL、約0.14mg/mL、約0.15mg/mL、約0.16mg/mL、約0.17mg/mL、約0.18mg/mL、約0.19mg/mL、または約0.20mg/mLの量で投与される。
【0284】
ある特定の実施形態において、追加のベータブロッカーは、患者の状態および手術への応答に応じて、注入を補充するために与えることができる。あるいは、手術刺激への患者の生理的応答が観察される場合、ベータブロッカーまたはデクスメデトミジンのいずれかの投薬/濃度を増加することができる。
【0285】
周術期治療方法の特定の実施形態において、オピオイドフリー組成物は、例えば、個体の中外側大腿および/または腕への筋肉内投与によって投与される。
【0286】
一部の実施形態において、本開示のオピオイドフリー組成物は、5mL、10mL、20mL、30mL、50mL、または60mLのバイアル、シリンジまたはボトルに含有され得る。オピオイドフリー組成物、特に術前オピオイドフリー組成物は、適用可能であれば再構成されて、ある時間、例えば約15分間にわたり、未希釈でIVにより投与され得る。あるいは、オピオイドフリー組成物の薬学的に有効な量を負荷量で引き出し、50または100ccのIVバック/ボトルの流体で希釈し、約15分間、約30分間、約45分間、または約1時間以上にわたってIV注入することができる。
【0287】
一部の実施形態では、本開示のオピオイドフリー術中組成物を手術の持続期間にわたって連続注入として投与することができる。手術の持続時間は、医療的または外科的処置の複雑さに応じて、1時間未満から数時間まで続くことがある。
【0288】
オピオイドフリー組成物が追加の麻酔剤、例えば、プロポフォールおよび/または吸入剤(麻酔ガス)と同時的に使用される本明細書に記載の実施形態において、追加の麻酔剤の投与量要件は著しく低減される。
【0289】
特定の実施形態において、少なくとも1種の麻酔剤の投与量の低減は、少なくとも約1%、約5%、約10%、約25%、約50%、約60%、または約75%である。一部の実施形態において、少なくとも1種の麻酔剤の投与量の低減は、少なくとも約1%、約5%、約10%、約25%、約50%、約60%、または約75%であり、少なくとも1種の麻酔剤はケタミンを含む。
【0290】
本開示の投与量および方法を選択する場合には、以下の考慮を考えに入れるべきである。
【0291】
オピオイドフリー術前組成物を投与する場合、負荷量投与の速度を決定する1つの考慮は、望ましくない副作用を悪化させることなく、どのくらいの速さで投与できるか、ということである。会陰灼熱に加えて、負荷量の投与によって一般的に見られる副作用には、患者により「ホットフラッシュ」と記載される強い全身性熱感が挙げられる。IV部位に不快感があり、一部の場合にはIVが配置される末端に痺れ感があり得る。希な場合には、全身性脱力感(a feeling of generalized body weakness)があり得る。注入が素早いほど、症状が一般的になり、強くなる。注入が緩徐になるほど、注入が開始されたおよそ10分後に経験する鎮静以外に、患者が任意の副作用に気づく可能性が少なくなる。一部の実施形態において、速度は、約15分間で10mLの容量(35cc/hr)である。
【0292】
本開示のOFA先制鎮痛負荷量は、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウムを含むことができる。デキサメタゾンリン酸エステルナトリウムは、望ましくない会陰灼熱副作用を引き起こすので、通常、麻酔の誘導後に与えられる。その結果として、投与と、外科的切開で始まる機械的な組織外傷との間の時間が短縮される。しかし、この実践は潜在的な利益の一部を打ち消す。
【0293】
大部分のOFA薬剤が別々に与えられるので、それぞれの追加のツールは麻酔提供者によって仕事の増加と受け取られる。加えて、投与において即効を有する、麻酔に使用される大部分の薬剤と異なり、OFA薬剤は例外的である。したがって、本開示の組成物の投与のタイミングは、考慮すべき要因である。
【0294】
本開示の組成物における薬剤の併用効果は、単にオピオイドが非存在であることを超えた、優れた鎮痛を有する疼痛制御機構を提供する。このタイプのオピオイドフリー麻酔は、オピオイド薬剤に関連した最も一般的な「麻酔の副作用」を実質的に抹消し、術中期間をはるかに超えた優れた疼痛制御を提供する。手術の2週間後のオピオイドの使用は、手術の1年後のオピオイド使用と強く相関する。オピオイド初回患者(opioid naive patient)における手術後のオピオイド使用障害についての知られている危険性を考慮すると、このことが当てはまる。
【0295】
周術期組成物の薬剤の負荷量を、患者を手術室に入室させる前に、およそ15分間かけて注入することができる。このことは、落ち着かせる/鎮静効果を生じるために必要な時間をデクスメデトミジンが与え、麻酔の導入前に不安緩解薬剤の投与の必要性を一般に打ち消す。鎮静効果は、投与後におよそ30分間持続し、それによって、負荷量後に45分間続く有効状態を提供する。負荷量が与えられた後に手術が1~2時間延期される場合、デクスメデトミジンと、術前負荷量の一部として使用される場合、リドカインの負荷量のみが、手術直前に繰り返される。
【0296】
RNまたは麻酔提供者のいずれかが、バイタルサインおよび意識レベルを査定しながら、正確な容量および速度でこの負荷量組成物を投与することができる。
【0297】
鎮静の作用発現を、患者が手術室に入室する前に設定することは必須なことではないが、一般的に与えられる別の麻酔薬剤である不安緩解約Versed(ミダゾラム)を省くことができるという点において有益である。Versedはベンゾジアゼピンであり、一部の集団では注意深く使用される、または回避されるべきである。術後認知低下は、高齢者患者がとりわけ脆弱である、知られている副作用である。これは規制物質であり、そのため、薬剤を得るため、および残存薬剤を廃棄するために、注意深い考証および証言を必要とする特定のプロトコールがある。この薬剤は、患者が手術室に入室するために術前区域から退室した直後、または患者が手術室に到着する直前のいずれかで一般に与えられる。いったん手術室に入室したら、維持注入が開始される。麻酔剤のプロポフォールは、一般にボーラスとして(単回用量を一度に)投与されて、麻酔を誘導し、意識喪失をもたらす。誘導した後、静脈内薬剤(プロポフォール)の連続注入および/または呼吸回路を介した麻酔ガスを滴定して、第3期麻酔深度(意識状態と延髄抑圧/死の間で、手術に最適な麻酔深度)を維持する。処置が終わりに近づき、薬剤を遮断し、効果がなくなると、患者は麻酔から覚醒する。
【0298】
切開前の十分な時間で負荷量薬剤を与える別の理由は、ステロイドが有効になるのを可能にするためである。ステロイドは、麻酔の実践がピーク効果まで少なくとも1時間かかるデキサメタゾンであるときに、最も一般的に使用される。外科的外傷が部位に局所炎症変化を引き起こすので、外科的切開の前にステロイドのピーク効果があることが理想的である。デキサメタゾンは、患者が眠った後に典型的に投与され、それは、デキサメタゾンがIVボーラスで覚醒患者に急速に与えられると、強い会陰灼熱の望ましくない効果を引き起こすからである。しかし、このことは、麻酔の誘導(およびデキサメタゾン投与)と切開との間でピーク効果のために十分な時間を残さない。この時間差「準備時間」は、通常10~30分間であるが、一部の場合では1時間の長さになり得る。
【0299】
非常に短時間の症例では、時にはOFA負荷量は術前に使用されるが、これらの薬剤の注入を実行する代わりに、ケタミン、デクスメデトミジン、およびリドカインを含むこれらの薬剤の構成成分の増加ボーラスが与えられる。手術/処置の一部の症例は、わずか10~15分間の長さである。注入を実行する場合、注入の作用発現が認められるまで20+分かかる。他の時間制約的考慮(time-sensitive consideration)は、麻酔から覚醒するおよそ20分前に注入を遮断することが理想的である、ということである。注入を切開の縫合の最後の最後まで続けると、目覚めまで長い時間差があり、このことはいずれの場合においても望ましくない。このことは、患者に、手術室から退室する前に取り外される(ptから抜管する)必要がある気道確保(advanced airway)が設置されている場合、とりわけ当てはまる。患者が挿管されたままであり得る(大手術を行う大病院)症例は、非常に少ない。米国で行われる大分部の症例は外来患者扱いである。よって、このタイプの麻酔は、好ましくは外来患者設定に適応可能であり、概して、より健康的な患者のより短時間の症例である。外来患者設定では、これらの薬剤のいくつかのボーラス投薬の利用度が高く、そのため、ピーク作用発現が急速に到達し、消失を良好に予測/時間設定できる可能性が高い。外科設定では時間は金銭に等しく、そのため消失のタイミングは最も重要なものである。
【0300】
4.5 系
一態様において、本開示は、麻酔用途の系を提供する。
【0301】
本明細書に記載されている実施形態において、マグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ならびに適宜、ナトリウムチャンネル阻害剤、コルチコステロイド、ベータブロッカー、およびマグネシウム以外のNMDAアンタゴニストは、本開示に従って、オピオイドフリー術前、オピオイドフリー術中、オピオイドフリー術後、および/またはオピオイドフリー周術期系に含まれ得る。
【0302】
本開示のオピオイドフリー系において、マグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ならびに適宜、ナトリウムチャンネル阻害剤、コルチコステロイド、ベータブロッカー、およびマグネシウム以外のNMDAアンタゴニストは、本開示による相互の様々な組み合わせにおいて系の一部として提供される、別個の剤形で処方され得る。
【0303】
したがって、一部の実施形態において、本開示の薬剤および関連する組成物は、個体のオピオイドフリー周術期治療のため、オピオイドフリー周術期系の一部として提供される。オピオイドフリー術前および術中系は、マグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ならびに適宜、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、ナトリウムチャンネル阻害剤、ベータブロッカーおよび/またはコルチコステロイドを含むことができる。
【0304】
オピオイドフリー術前系において、マグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ならびに適宜、ナトリウムチャンネル阻害剤、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストおよび/またはコルチコステロイドは、本明細書に記載されている同時、併用、または順次使用に有効な量で含まれる。適宜、オピオイドフリー術前系は、本明細書に記載されている同時、併用、または順次使用のために、カルシウムチャンネル阻害剤、Cox阻害剤、コルチコステロイド、GABA類似体、抗うつ薬、カンナビジオール(CBD)および/または制吐剤をさらに含むことができる。
【0305】
一部の実施形態において、系は、本開示の1つまたは複数の薬剤を、外科手術に関連する状態の治療のために1つまたは複数の薬剤と組み合わせて含むこともできる。系では、構成成分を可能であれば、当業者に理解される担体また補助剤が挙げられる適切な媒体、担体または賦形剤と一緒に組成物中に含めて、独立して系に含めることができる。
【0306】
典型的には、本開示の系において、1つまたは複数の薬剤を、医療的または外科的処置の最中、前もしくは後の適切な時間に組み合わせて、本開示のオピオイドフリー組成物を提供する、および/または本明細書に記載されている方法のいずれか1つを実施する、別個の剤形として提供する。
【0307】
一部の実施形態において、系は、マグネシウム塩組成物、アルファ-2アゴニスト組成物、ナトリウムチャンネル阻害組成物、ならびに適宜、マグネシウム塩組成物以外のNMDAアンタゴニスト、ベータブロッカー組成物、および/またはコルチコステロイド組成物を、適宜に薬学的に許容される媒体、担体または賦形剤をさらに含む任意の組み合わせで含むことができる。これらの実施形態において、各組成物は、対応する薬剤を薬学的に許容される媒体と一緒に、本開示の術前オピオイドフリー組成物、術中オピオイドフリー組成物もしくは術後オピオイドフリー組成物を提供するために組み合わされる、および/または本明細書に記載されている方法のいずれか1つにより投与される、別個の剤形に含む。
【0308】
一部の実施形態において、系は、
(1)マグネシウム塩を含むオピオイドフリー組成物についてのセクション4.2.1、4.2.2または4.2.3のいずれか1つに記載されている濃度のマグネシウム塩組成物、
(2)アルファ-2アゴニストを含むオピオイドフリー組成物についてのセクション4.2.1、4.2.2または4.2.3のいずれか1つに記載されている濃度のアルファ-2アゴニスト組成物、
(3)ナトリウムチャンネル阻害剤を含むオピオイドフリー組成物についてのセクション4.2.1、4.2.2または4.2.3のいずれか1つに記載されている濃度のナトリウムチャンネル阻害組成物、
ならびに適宜、
(4)マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストを含むオピオイドフリー組成物についてのセクション4.2.1、4.2.2または4.2.3のいずれか1つに記載されている濃度の、マグネシウム塩組成物、以外のNMDAアンタゴニスト、および/または
(5)ベータブロッカーを含むオピオイドフリー組成物についてのセクション4.2.1、4.2.2または4.2.3のいずれか1つに記載されている濃度のベータブロッカー組成物、および/または
(6)コルチコステロイドを含むオピオイドフリー組成物についてのセクション4.2.1、4.2.2または4.2.3のいずれか1つに記載されている濃度のコルチコステロイド組成物、
ならびに適宜、容器
を、本開示のオピオイドフリー組成物のいずれか1つを提供するために組み合わされるように、および/または本明細書に記載されている方法のいずれか1つにより投与されるように含むことができる。
【0309】
系に提供される特定のマグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、およびナトリウムチャンネル阻害剤、ならびに適宜、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、ベータブロッカーおよびコルチコステロイドは、セクション4.2のオピオイドフリー組成物に関連して上記に開示されたものから選択される。
【0310】
一実施形態において、本開示は、個体のオピオイドフリー術前治療のための系を提供し、系は、マグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ならびに適宜、ナトリウムチャンネル阻害剤、マグネシウム塩以外のN-メチル-D-アスパラギン酸受容体(NMDA)阻害剤、および/またはコルチコステロイドを含む。
【0311】
第二の実施形態において、本開示は、個体のオピオイドフリー術中治療のための系を提供し、系は、マグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ナトリウムチャンネル阻害剤、ならびに適宜、マグネシウム塩以外のNMDA阻害剤、および/またはベータブロッカーを含む。
【0312】
第三の実施形態において、本開示は、個体のオピオイドフリー術後治療のための系を提供し、系は、マグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ナトリウムチャンネル阻害剤、マグネシウム塩以外のNMDA阻害剤、およびベータブロッカーのうちの1つまたは複数を含む。
【0313】
個体のオピオイドフリー術前治療のための系において、マグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ならびに適宜、ナトリウムチャンネル阻害剤、マグネシウム塩以外のNMDA阻害剤および/またはコルチコステロイドは、本明細書に記載されている術前組成物を調製するための同時、併用、または順次使用に有効な量で含まれる。
【0314】
個体のオピオイドフリー術中治療のための系において、マグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ナトリウムチャンネル阻害剤、ならびに適宜マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストおよび/またはベータブロッカーは、本明細書に記載されている術中組成物を調製するための同時、併用、または順次使用に有効な量で含まれる。
【0315】
個体のオピオイドフリー術後治療のための系において、マグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ナトリウムチャンネル阻害剤、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニストおよび/またはベータブロッカーの1つまたは複数は、本明細書に記載されている術後組成物を調製するための同時、併用、または順次使用に有効な量で含まれる。
【0316】
したがって、一部の実施形態において、本開示の系は、本開示のオピオイドフリー術前組成物、オピオイドフリー術中組成物もしくはオピオイドフリー術後組成物を提供するために組み合わされる、および/または本明細書に記載されている方法のいずれか1つにより投与される、薬学的に許容される媒体、担体または賦形剤をさらに含むことができる。
【0317】
一部の実施形態において、本明細書に記載されている組成物は製造会社が予め混合することができ、提供者は組成物に含有される薬剤を混合する必要がない。適宜に提供者には、組成物をどのように投与するかについての説明書が提供される。
【0318】
上記に記載された実施形態のそれぞれにおいて、本開示の個別の成分またはオピオイドフリー組成物を含む容器は、様々なサイズおよび形状のシリンジ、IVバッグ、ボトル、またはバイアルであり得る。容器は、ガラスまたはプラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、もしくはポリプロピレン-ポリエチレンブレンド)であり得る。
【0319】
本開示のオピオイドフリー医薬組成物がIVバッグに含有される実施形態において、IVバッグのサイズは、25mL、50mL、100mL、150mL、200mL、250mL、300mL、400mL、500mL、または1000mLであり得る。
【0320】
本開示のオピオイドフリー医薬組成物がシリンジに含有される実施形態において、シリンジのサイズは、1、3、5、10、12、20、25、30、50または60mLであり得る。
【0321】
本開示のオピオイドフリー医薬組成物がバイアルに含有される実施形態において、バイアルのサイズは、2、5、10、20、25、30、50、60、100mLであり得る。
【0322】
本開示のオピオイドフリー医薬組成物がボトルに含有される実施形態において、ボトルのサイズは、10、20、50、100、250、または500mLであり得る。
【0323】
4.6 オピオイドフリー組成物を含むキット
本開示は、本明細書に記載されている方法のいずれかを実施するキットオブパーツ(kit of parts)を提供する。1つの特定の実施形態において、オピオイドフリー術前治療のためのキットは、マグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ならびに適宜、ナトリウムチャンネル阻害剤、マグネシウム塩以外のN-メチル-D-アスパラギン酸受容体(NMDA)阻害剤、および/またはコルチコステロイドを含む。ある特定の実施形態において、キットは、個別の構成成分を別個の容器に含む、またはオピオイドフリー術前組成物として1つの容器に一緒に処方して含む。
【0324】
別の特定の実施形態において、オピオイドフリー術中組成物のためのキットは、マグネシウム塩、アルファ-2アゴニスト、ナトリウムチャンネル阻害剤、ならびに適宜、マグネシウム塩以外のNMDAアンタゴニスト、および/またはベータブロッカーを含む。ある特定の実施形態において、キットは、個別の構成成分を別個の容器に含む、またはオピオイドフリー術中組成物として1つの容器に一緒に処方して含む。
【0325】
別の特定の実施形態において、オピオイドフリー周術期組成物のためのキットは、本開示のオピオイドフリー術前組成物および本開示のオピオイドフリー術中組成物を含む。ある特定の実施形態において、キットは、本開示の術後組成物をさらに含む。
【0326】
様々な実施形態において、キットオブパーツは、本明細書に記載されている1つまたは複数の追加の薬剤、例えば、カルシウムチャンネル阻害剤、Cox阻害剤、コルチコステロイド、GABA類似体、抗うつ薬、カンナビジオール(CBD)および/または制吐剤、ならびに当業者により確認可能な追加の構成成分をさらに含む。
【0327】
一実施形態において、キットオブパーツは標準品をさらに含む。
【0328】
上記に記載された実施形態のそれぞれにおいて、本開示の個別の成分またはオピオイドフリー組成物を含む容器は、様々なサイズおよび形状のシリンジ、IVバッグ、ボトル、またはバイアルであり得る。容器は、ガラスまたはプラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、もしくはポリプロピレン-ポリエチレンブレンド)であり得る。
【0329】
本開示のオピオイドフリー医薬組成物がIVバッグに含有される実施形態において、IVバッグのサイズは、25mL、50mL、100mL、150mL、200mL、250mL、300mL、400mL、500mL、または1000mLであり得る。
【0330】
一実施形態において、キットオブパーツは使用説明書をさらに含む。説明書、例えば、紙による、もしくはテープ、CD-ROM、フラッシュドライブなどの電子支援による、または本明細書に記載されている方法を実行する説明書のpdfコピーを含有するYouTube手引書が挙げられるが、これに限定されないユニフォームリソースロケーター(URL)の指示による文書または音声説明書が、通常、キットに含まれる。キットは、使用される特定の方法に応じて、他のパッケージ試薬および材料を含有することもできる。組成物に適した媒体、担体または賦形剤の確認に関するさらなる詳細、ならびにキットの一般的な製造およびパッケージングは、本開示を読むことで当業者により確認可能であり得る。
【0331】
本開示は、本開示の方法に使用される、コンピューターベースまたはモバイルデバイスベースアプリケーション(「app」)も提供する。appは、本明細書に記載されている薬剤の適切な術前、術中、術後、および/または周術期投与量を患者に提供する操作者(例えば、麻酔提供者)を助けるように考案することができ、関連する組成物の調製に関する説明書、および/または患者への関連する投与についての説明書を含む。appは、所望の混合物の内容および/もしくは患者を確認するように、ならびに/または提供者が調製の情報および/もしくは日時を確認するように、薬剤ラベルを考案することができる。
【0332】
本開示のさらなる特性および特質は、単なる例証として実施例を参照することにより、以下の詳細な開示からより明らかになる。
【実施例】
【0333】
6.実施例
本明細書に記載されている化合物、材料、組成物、方法、および系は、以下の実施例によりさらに例証され、これらの実施例は例証として提供され、開示されている主題の範囲を限定することを意図しない。
【0334】
特に、以下の実施例は、個体がヒト患者である場合の本開示の例示的な組成物、ならびに関連する方法および系を例証する。当業者は、本発明のセクションに詳細に記載されている特徴を、本開示の実施形態による追加の組成物、方法および系に適合させるための適用可能性および必要な修正を認識する。
セクション1.01
[実施例1]
【0335】
鎮痛プロトコール
以下の材料を実施例に使用した。
-デクスメデトミジン塩酸塩 200mcg/2mL
-ケタミン塩酸塩 500mg/10mL
-硫酸マグネシウム 5g/10m
-エスモロール塩酸塩 100mg/10mL
-リドカイン塩酸塩 2%
-デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム 10mg/1mL
これらの材料は商業供給者、例えば、Hspira、West Ward、AccordまたはFreseniusから入手可能である。
下記に記載される疼痛プロトコールは、(1)自宅での術前、(2)病棟での術前、(3)15分間にわたる術前待機IVボーラス注入、(4)術前ブロック、(5)術中、(6)OFA注入混合の指図、および(7)追加薬剤のレジメンから構成される。
セクション1.02
[実施例1.1]
【0336】
自宅での術前レジメン
切断術、乳房切除術、開胸術、鼠径ヘルニア修復、冠動脈バイパス術、帝王切開、脊柱側弯症矯正術(scoliosis correction surgery)、足関節両果部骨折手術(bimalleolleolar ankle fracture surgery)、アキレス腱修復、開胸術、腰椎前方手術(anterior lumbar surgery)、腹部手術、乳がん手術、表在性黒色腫切除術、歯科インプラント、腹腔鏡下ヘルニア修復、股関節骨折手術、および関節形成術が挙げられるが、これらに限定されない、慢性疼痛を発生する高い危険性のある手術を受ける1~2週間前に、デュロキセチンを患者に与える。
セクション1.03
[実施例1.2]
【0337】
病棟での術前レジメン
以下の薬剤を手術前に患者に提供した:
a)切開前にアセトアミノフェン1gのPO、またはIVアセトアミノフェン1gmのIVPB。
b)セレコキシブ200~400mgのPO(サルファ剤に対するアレルギーがない限り)、またはメロキシカム15mg。
c)神経障害性疼痛にはプレガバリンを50mg~150mg、投与量は以下に基づく:
i)患者の年齢が65歳以上である場合は50mgのプレガバリン、または
ii)患者の年齢が65歳未満である場合は75mgのプレガバリン、
iii)患者が手術前に高用量のプレガバリンを日常的に摂取している場合は150mg。
セクション1.04
[実施例1]
【0338】
本開示の術中組成物の術前待機レジメン
オピオイドフリー術前組成物のボーラス用量を、10mLシリンジ中で以下:
6mLの硫酸マグネシウム(500mg/mL)、
1.5mLのデキサメタゾン(10mg/mL)、
0.3mLのデクスメデトミジン(100mcg/mL)、および
2.2mLの2%リドカイン
を組み合わせることにより調製した。
【0339】
術前オピオイドフリー組成物を患者に1mL/10kg標準体重(IBW)で15~30分にわたって投与した(30mg/kgのMg2+、0.3mcg/kgのデクスメデトミジ、0.15mg/kgのデキサメタゾンおよび0.44mg/kgのリドカインの投薬と解釈される)。
【0340】
術前負荷量を考慮する場合、以下のことが考えに入る:
デクスメデトミジン0.3mcg/kg。IVデクスメデトミジンは、15分間のピーク効果を有する。デクスメデトミジンを使用した後に、患者が十分に落ち着いている/鎮静している場合、術前ベンゾジアゼピンを排除することができる。
硫酸マグネシウム30mg/kg。
デキサメタゾン0.15mg/kg。デキサメタゾンは2時間の作用発現時間を有する。最も好ましい手法は、炎症/疼痛を軽減するために使用される場合、切開前の十分な時間で注入することである。オピオイドフリー麻酔の目的のためには、デキサメタゾンを、術後悪心および嘔吐(PONV)予防法のための麻酔に一般的に使用されるものより高い投薬量で使用する。
10mL容量に充填するためのリドカイン。過剰な薬剤をシリンジから廃棄すると(体重ベース投与量)、残りの容量に、2%リドカインを10ccマークまで再び充填し、35cc/hrで注入して、17分間の長い注入をもたらし、よって本明細書に記載されている薬剤の使用に容易さを提供する。
セクション1.05
[実施例1.4]
【0341】
術前ブロックの投与
術前ブロック(例えば、神経ブロックまたは筋膜面ブロック)を投与する場合、デキサメタゾンおよびデクスメデトミジンを添加剤として使用することができる。あるいは、指定された場合、リポソームブピバカインまたは連続神経ブロックカテーテルを使用することができる。
セクション1.06
[実施例1.5]
【0342】
術中レジメン
術中フェーズは、処置が実施されるべき区域に患者が収容される期間と説明することができる。術中フェーズは、患者が術後ケアユニットに収容されたときに終了する。
【0343】
術中フェーズでは、誘導前に患者に以下を与えた:
切開および/または挿管の1~5分前に10~15mgIVPのケタミン。
術前注入が完了し、患者が手術室に入室すると、患者に、下記の実施例1.6に記載されているように調製したオピオイドフリー術中組成物を与えた。
亜酸化窒素を、50~70%のフレッシュガス低流量亜酸化窒素として投与した。
セクション1.07
[実施例1.6]
【0344】
OFA組成物の調製および投与
以下は、本開示のオピオイドフリー術中組成物を調製するための指図である:100mLのIVバックから15mLの流体を除去すること。
IVバッグに以下を添加すること:
10mLのリドカイン2%、
2mLの硫酸マグネシウム(500mg/mL)
1.8mLのエスモロール(10mg/mL)
0.3mLのデクスメデトミジン(100mcg/mL)(交感神経系を調節するためには、さらに0.1mLを増加的に添加することができる)、
0.25mLのケタミン(50mg/mL)。
【0345】
以下は、本開示のオピオイドフリー術中組成物を投与るための指図である:
1mL/kg/hrのIBWで実行すること。
IV点滴投与量:
2mg/kg/hrのIBWのLido(1%または2%)、10mg/kg/hrのIBWの硫酸マグネシウム、
患者において処置をどのように刺激するかに応じて、0.3~1mcg/kg/hrのIBWのデクスメデトミジン、
OFA治療薬では3~15mcg/kg/minのIWBのエスモロール、または血圧上昇/頻脈の軽減のために300mcg/kg/minのIBWまでのエスモロール、
好ましくは切開の前に、神経ブロックを使用しない場合は、手術部位に局所麻酔を浸潤させて外科医を好ましく支援する症例の持続時間にわたって0.5mg/kgのIBWの総用量のケタミン。
セクション1.08
[実施例1.7]
【0346】
追加薬剤のレジメン
術中フェーズは、処置が実施されるべき区域に患者が収容される期間と説明することができる。術中フェーズは、患者が術後ケアユニットに収容されたときに終了する。
【0347】
下記は、外科的処置の術中および術後フェーズで投与された追加薬剤のレジメンである。追加薬剤のレジメンは、手術を受けた患者に改善された術後疼痛制御をもたらすことが意図される。
アセトアミノフェン1gm PO q8時間ルーチン、他のアセトアミノフェン含有薬剤、例えば、ヒドロコドンアセトアミノフェンを消費している場合は中断すること。
セレコキシブ100~200mg PO q12時間ルーチン。
プレガバリン50~150mg qHSルーチン。
【0348】
患者が術後ケアのために病院に入院する大手術の症例では、術後1日目に10mgのIVデキサメタゾンを10分間かけてゆっくりと投与すること。
【0349】
慢性手術後疼痛症候群を発症する高い危険性がある症例の手術後の2週間にわたって、デュロキセチンを続けること。
【0350】
【0351】
患者が術後ケアのために病院に入院する大手術の症例では、術後1日目に10mgのIVデキサメタゾンを10分間かけてゆっくりと投与すること。
【0352】
慢性手術後疼痛症候群を発症する高い危険性がある症例の手術後の2週間にわたって、デュロキセチンを続けること。
セクション1.09
[実施例2]
【0353】
注入範囲および負荷量
薬剤のために選択された例示的な注入範囲(濃度)および負荷量を下記の表1に示す。
セクション1.10
[実施例3]
【0354】
MuliMixと例示的なOFA組成物との比較
Mulier, “Is opioid-free general anesthesia for breast and gynecological surgery a viable option?” Vol 32 No. 3, pp. 2567-262, June 2019に記載されているMuliMixを、本明細書に記載されている先制鎮痛OFA組成物と比較し、下記の表2に示す。
【0355】
【0356】
【0357】
MuliMix組成物と例示的OFA組成物の成分の差は明瞭である。本開示のOFA先制鎮痛組成物は、MuliMixより有意に高い投薬を有し、術前および術後期間に使用することができる。デクスメデトミジン、リドカインおよびケタミンに対する用量応答曲線がある。用量が高いほど、鎮静効果が大きい。本開示のさらに高い投薬を有するOFA先制鎮痛組成物は、他の麻酔剤、例えば、プロポフォール注入、または麻酔ガス、例えば、セボフルラン、デスフルランもしくはイソフルランのさらに有意な低減をもたらす。
【0358】
OFA先制鎮痛プロトコールは、術前負荷量および術中注入を有する。これらの2つの処方は、別個で特有の目的が意図される異なる薬剤および濃度を有する。負荷量は、OFA剤の血漿レベルを迅速に増加させ、それにより治療作用発現が術中注入のみよりはるかに急速になるように意図される。このことは、デクスメデトミジン負荷量を除いて、一連の工程のそれぞれにおいて同じ濃度を使用するMuliMixプロトコールと異なる(表2を参照すること)。本明細書に記載されているプロトコールの負荷量は、連続注入が除外される外来手術/短時間の症例に使用される。短時間症例の症例では、注入の代わりに、プロポフォールが投与されるときにIV部位の灼熱感覚を防止するためにプロポフォールと一般的に混合される、デクスメデトミジンの10mcgボーラス、ケタミンおよびリドカインで典型的に前負荷(frontloading)する薬剤のうちのいくつかを増加用量で与える。負荷量のみが、注入を続けない短時間の症例を網羅するために十分であるので、Mg2+を除外してもよい。MuliMixは、混合物にMg2+またはデキサメタゾンリン酸エステルナトリウムを明白に含まないが、これらの構成成分を麻酔薬の一部として使用することについて考慮することを示唆している。前投薬も考慮されるべきリストに入っているが、本明細書に記載されているOFAプロトコールと異なり、プロトコールの要件として特定されていない。
【0359】
Mg2+塩がMuliMixプロトコールの補助薬として負荷される場合、手動送達IVプッシュ(hand delivered IV push)(数秒間)として与えるように指図される。これが行われる場合、2つ以上のボーラスに用量を分けても、とりわけ麻酔/誘導下のときに、実質的な血圧低下が観察される。誘導後に血圧低下を助長する方法に薬剤を投与することは、理想的ではない。麻酔の誘導(患者を眠りにつかせる)と外科的切開による刺激と間に一般に遅れがある。呼吸装置を挿入するために患者に大用量の麻酔薬が与えられるが、切開が行われるまでさらなる刺激がないので、この時間は、多くの場合に血圧低下に関連する。この時間の最中に、手術チームは、通常、患者を配置し、区域を滅菌し、覆布を掛け、器具などを準備する。血圧低下を助長する傾向があるので、薬剤を与えるには望ましくない時間である。これが、オピオイドフリー麻酔薬がオピオイドベース麻酔より優れている別の理由である。オピオイドベース麻酔では、例えばフェンタニルは、気道を挿入する前の麻酔の導入にルーチン的に与えられる。フェンタニルは他の薬剤、例えばVersedと相乗的に相互作用して、この一時的活性休止の間に血圧低下を助長し、また、ETCO2が呼吸を駆動するのに十分に増加されるまで、患者が数分間にわたって自分で呼吸しないようにする。このことは、患者が機械的に換気されていない場合に手動で換気する必要があり、提供者に余分な仕事をもたらし、気道が確保できず、開存していない場合には、多分に安全性への懸念をもたらす。
セクション1.11
【0360】
【表4】
ワールドワイドウエブmclottmix.comに記載されているMcLott Mixを、本開示の先制鎮痛OFA組成物と比較し、下記の表4に示す。
【0361】
McLott Mixと本開示の例示的OFA組成物との差は明瞭である。本開示のオピオイドフリー術前組成物と異なり、McLottは、術前経口薬剤をなにも提供しない。むしろ、McLott Mixは、術中組成物としてのみ参照される。McLottのOFA誘導は、必須であるまたはMcLott方法の不可欠な部分である、とは言われていない。本開示の方法と同様のプロトコールであるとは思われない。
【0362】
McLott Mixでは、Mg2+負荷量は体重ベースではなく、そのため大部分の成人患者には過少投薬をもたらす。対照的に、一部の実施形態において、オピオイドフリー術中組成物および/またはその方法は、臨床効果を有することが知られている特定の体重ベース用量のMg2+負荷を使用する。
【0363】
加えて、ナルブフィン(Nubain)が、McLottのOFA誘導の一部として載せられている。ナルブフィンは、フェナントレンシリーズの合成オピオイドアゴニスト-アンタゴニスト鎮痛薬である。ミュー、カッパおよびデルタ受容体に結合し、モルヒネに等しい鎮痛効力を有する。医療提供者、患者および一般大衆の人々のうちで薬物乱用およびナルブフィン関連依存症が報告されている(ワールドワイドウエブのdrugs.com/pro/nubain.htm & https://app.plumbs.com/drug-monograph/UsBzNf0XCMPROD?source=search&searchQuery=Nubainを参照すること)。対照的に、本開示のオピオイドフリー組成物および付随する方法は、完全にオピオイドフリーである。
【0364】
McLottと本開示の方法との別の差は、デクスメデトミジン投与のタイミングである。McLottでは、デクスメデトミジンは、誘導時に投与され、術前には投与されない。デクスメデトミジンが術前待機区域で与えられない場合、術前フェーズでの不安緩解の追加の利益がない。加えて、デクスメデトミジンを誘導時にボーラスで与えることは、一時的な血圧上昇、その後に続く血圧低下を引き起こすことが知られており、このタイミングが特に問題である。誘導の直後、気道設置処置(挿管)は、一時的な血圧上昇および頻脈を引き起こすことがある。気道が設置されると、際立った血圧低下の期間が手術の開始まで起こることが極めて一般的である。デクスメデトミジンが誘導時にボーラスで与えられると、これらの問題のある極端な血液動態が悪化する高い確率が存在する。
【0365】
McLott方法は、術前または誘導薬剤としてコルチコステロイドを含まない。対照的に、本開示のオピオイドフリー術前組成物および付随する方法は、炎症応答および術後疼痛の減少を助けるためにコルチコステロイドを含む。
【0366】
McLott Mix術中注入は、本開示のオピオイドフリー術中組成物のおよそ2倍濃縮されている。McLottの指図は、1mL/kgに対して0.5cc/kgを与えることである。このことは、投与過程に1つの追加の数学的工程を加える。デクスメデトミジンの投薬はMcLott Mixのほうが高く、したがって、本開示のオピオイドフリー術中組成物と比較して、血圧低下および徐脈の副作用を引き起こす可能性が高い。有利には、本開示のオピオイドフリー術中組成物の注入は、デクスメデトミジンの下限投薬で開始され、よって手術に対する患者の応答によって指示される場合に、デクスメデトミジン投薬を増加する選択肢を提供する。本開示のオピオイドフリー術中組成物は、低用量の短時間作用性ベータブロッカーも使用し、このことはMcLott Mixと異なり、疼痛をブロックする追加の経路を加える。ベータブロッカーは、神経内分泌ストレス応答を減少し、炎症促進性サイトカイニンおよびNMDA受容体活性化の低減をもたらすことが知られている。
セクション1.12
[実施例5]
【0367】
負荷量シリンジ中の本開示の例示的な術前OFA組成物の調製
術前OFA組成物は、シリンジ中で個別の構成成分薬剤を混合することによって調製した。個別の薬剤には、リドカイン(44mg/2.2mLの2%)、硫酸マグネシウム(3gm/6mLの50%)、デクスメデトミジン(30mcg/0.3mLの10%)およびデキサメタゾン(15mg/1.5mLの1%)のシリンジ中の最終容量用量の10mLが挙げられる。
【0368】
実施例5に使用される個別の構成成分薬剤を
図10に示す。
セクション1.13
[実施例6]
【0369】
本開示の例示的な術中OFA組成物の調製
100mLのIVバッグ中の薬剤の濃度および用量に選択された例示的注入範囲を、例えば
図11に示される表に示す。
【0370】
術中OFA組成物は、100mLのIVバッグ中で個別の構成成分薬剤を混合することによって調製した。術中OFA組成物中の個別の構成成分薬剤には、リドカイン(200mg)、硫酸マグネシウム(1g)、デクスメデトミジン(0.3mcg)、ケタミン(25mg)およびエスモロールHCL(18mg)のIVバッグ中の最終容量の100mLが挙げられる。
【0371】
術中OFA組成物を、1cc/kg/hrの患者IBWの速度で注入した。
【0372】
実施例5に使用される個別の構成成分薬剤を
図11に示す。実施例7:本開示の例示的OFA組成物の例示的な用量および範囲
【0373】
50kgの患者には、下記に記載される組成物を投与すること。
【0374】
最も濃縮された組成物(適宜の構成成分を除く)の術前負荷最低用量
250mg(0.5mLの50%)硫酸マグネシウム(5mg/kg)
5mcg(0.05mLの10%)デクスメデトミジン(0.1mcg/kg)
デキサメタゾン-適宜
ケタミン-適宜
リドカイン-適宜
【0375】
術中注入-可能な最大濃縮注入-(適宜の構成成分を除き、試験される構成成分を除くすべての構成成分の可能な最低用量を除く)
250mg(0.5mLの50%)硫酸マグネシウム(5mg/kg/hr)
25mg(0.65mLの4%)リドカイン(0.5mg/kg/hr)
5mcg5mcg(0.05mLの10%)
デクスメデトミジン(0.1mcg/kg/hr)
ケタミン-本明細書に記載されているように適宜
エスモロール-本明細書に記載されているように適宜
【0376】
以下の計算を実施して、様々な薬剤の最大濃度を確認することができる。
【0377】
硫酸マグネシウムの最大濃度のための計算
セクション1.14 術前負荷量:
最小:1mg/mL
最大:500mg/mL他の唯一の無水薬剤が、ほぼ否定されるデクスメデトミジンであるので、500mg/mLは、実際(495mg/mL)よりわずかに高いが、妥当な範囲内である。
50kgのpt(最大濃縮マグネシウム負荷量)
2500mg(5mLの50%)Mg+(50mg/kg)
5mcg(0.05mLの10%)デクスメデトミジン(0.1mcg/kg)
デキサメタゾン-適宜
ケタミン-適宜
リドカイン-適宜
=5.05mLの総容量
2500mg/5.05mL=495mg/mL
セクション1.15 術中注入:
最小:1mg/mL
最大:約370mg/mL
50kgのpt(最大濃縮Mg++注入)
1GM(2mLの50%)硫酸マグネシウム(20mg/kg)-硫酸マグネシウムの最高用量
25mg(0.65mLの4%)リドカイン(0.5mg/kg/hr)
5mcg(0.05mLの10%)デクスメデトミジン(0.1mcg/kg/hr)
ケタミン-本明細書に記載されているように適宜
エスモロール-本明細書に記載されているように適宜
=2.7mLの総容量
1000mg/2.75mL=370mg/mL
【0378】
デクスメデトミジンの最大濃度のための計算
セクション1.16 術前負荷量:
最小:0.01mcg/mL
最大:50mcg/mL
50kgのpt(最大濃縮デクスメデトミジン負荷量)
250mg(5mLの50%)Mg+(5mg/kg)
50mcg(0.5mLの10%)デクスメデトミジン(1mcg/kg)-最大負荷量
デキサメタゾン-適宜
ケタミン-適宜
リドカイン-適宜
=1mLの総容量
50mcg/1mL=50mcg/mL
セクション1.17 術中注入:
最小:0.01mcg/mL
最大:30mcg/mL
50kgのpt(最大濃縮デクスメデトミジン注入量)
250mg(0.5mLの50%)硫酸マグネシウム(5mg/kg/hr)
25mg(0.65mLの4%)リドカイン(0.5mg/kg/hr)
50mcg(0.5mLの10%)デクスメデトミジン(1mcg/kg)-最大注入量
ケタミン-記載されているように適宜
エスモロール-記載されているように適宜
=1.65mL
50mcg/1.65mL=30mcg/mL
【0379】
リドカインの最大濃度のための計算
セクション1.18 術前負荷量:
最小:0mg/mL-負荷量に適宜の薬剤
最大:35mg/mL
50kgのpt(最大濃縮リドカイン負荷量)
250mg(0.5mLの50%)Mg+(5mg/kg)
5mcg(0.05mLの10%)デクスメデトミジン(0.1mcg/kg)
デキサメタゾン-適宜
ケタミン-適宜
100mg(2.5mLの4%)
リドカイン(2mg/mL)
=3.05mL
100mg/3.05mL=33mg/mL
セクション1.19 術中注入:
最小:0.1mg/mL-OFA組成物投薬の使用
50kgのpt(他のすべての場合の最小濃縮リドカイン最大用量-注入)-元のバイアルのより小さい濃度を含むこともできたが、そうしなかった。四捨五入。
1000mg(2mLの50%)硫酸マグネシウム(20mg/kg/hr)
25mg(0.65mLの4%)リドカイン(0.5mg/kg/hr)
50mcg(0.5mLの10%)デクスメデトミジン(1mcg/kg/hr)
25mg(0.5mLの5%)ケタミン(0.5mg/kg/hr)
50mg(6mLの1%)エスモロール(20mcg/kg/hr)-OFA投薬
=9.65mL
25mg/9.65mL=2.6mg/mL
最小:0.1mg/mL-血圧上昇クリーゼに最大エスモロール投薬を使用する
50kgのpt(他のすべての場合の最少濃縮リドカイン最大用量-注入)-元のバイアルのより小さい濃度を含むこともできたが、そうしなかった。四捨五入。
1000mg(2mLの50%)Mg+(20mg/kg/hr)
25mg(0.65mLの4%)リドカイン(0.5mg/kg/hr)
50mcg(0.5mLの10%)デクスメデトミジン(1mcg/kg/hr)
25mg(0.5mLの5%)ケタミン(0.5mg/kg/hr)
900mg(90mLの1%)エスモロール(300mcg/kg/hr)-血圧上昇クリーゼ投薬
=92.65mL
25mg/92.65mL=0.27mg/mL
最大:35mg/mL
50kgのpt(最大濃縮リドカイン注入量-他のすべての場合で最低用量)
250mg(0.5mLの50%)硫酸マグネシウム(5mg/kg/hr)
150mg(3.75mLの4%)リドカイン(3mg/kg/hr)
5mcg(0.05mLの10%)デクスメデトミジン(0.1mcg/kg/hr)ケタミン-記載されているように適宜
エスモロール-記載されているように適宜
=4.3mL
150mg/4.3mL=34.88mg/mL
【0380】
ケタミンの最大濃度のための計算
セクション1.20 術前負荷量:
最小:0mg/mL-適宜
最大:35mg/mL
50kgのpt(最大濃縮ケタミン注入量-他のすべての場合で最低用量)
250mg(0.5mLの50%)硫酸マグネシウム(5mg/kg)
5mcg(0.05mLの10%)デクスメデトミジン(0.1mcg/kg)
デキサメタゾン-適宜
25mg(0.25mLの10%)ケタミン(0.5mg/kg)
リドカイン-適宜
=0.8mL
25mg/0.8mL=31.25mg/mL
術中注入:
最小:0mg/mL-適宜
最大:20mg/mL
50kgのpt(最大濃縮リドカイン注入量-他のすべての場合で最低用量)
250mg(0.5mLの50%)硫酸マグネシウム(5mg/kg/hr)
25mg(0.65mLの4%)リドカイン(0.5mg/kg/hr)
5mcg(0.05mLの10%)デクスメデトミジン(0.1mcg/kg/hr)
25mgのケタミン(0.25mLの10%)ケタミン(0.5mg/kg/hr)
エスモロール-記載されているように適宜
=1.45mL
25mg/1.45=17.24mg/mL
【0381】
エスモロールの最大濃度のための計算
術前負荷量:
術中注入:
最小:0mg-適宜
最大:14.3mg/mL-OFAエスモロール投薬(鎮痛のためのみ)
250mg(0.5mLの50%)Mg+(5mg/kg/hr)
25mg(0.65mLの4%)リドカイン(0.5mg/kg/hr)
5mcg(0.05mLの10%)デクスメデトミジン(0.1mcg/kg/hr)
ケタミン-本明細書に記載されているように適宜
60g(3mLの2%)エスモロール(20mcg/kg/min)=4.2mL
60mg/4.2mL=14.3mg/mL
【0382】
最大:19.5mg/mL-血圧上昇クリーゼのエスモロール投薬より高い用量の21~300mcg/kg/minは血圧上昇の緊急事態のためであり、本発明の範囲外(鎮痛の目的以外)である。このエスモロール投薬は、別個の注入として投与されるべきである。
250mg(0.5mLの50%)Mg+(5mg/kg/hr)
25mg(0.65mLの4%)リドカイン(0.5mg/kg/hr)
5mcg(0.05mLの10%)デクスメデトミジン(0.1mcg/kg/hr)
ケタミン-本明細書に記載されているように適宜
900mg(45mLの2%)エスモロール(300mcg/kg/min)
=46.2mL
900mg/46.2mL=19.5mg/mL
【0383】
デキサメタゾンの最大濃度のための計算
セクション1.21 術前負荷量:
最小:0mg/mL-適宜
最大:10mg/mL
50kgのpt(最大濃縮デキサメタゾン注入量-他のすべての場合で最低用量)
250mg(0.5mLの50%)硫酸マグネシウム(5mg/kg)
5mcg(0.05mLの10%)デクスメデトミジン(0.1mcg/kg)
10mg(0.5mLの2%)デキサメタゾン(0.2mg/kg)
ケタミン-適宜
リドカイン-適宜
=1.05mL
10mg/1.05mL=9.52mg/kg
セクション1.22
[実施例9]
【0384】
本開示の例示的なオピオイドフリー術前組成物の調製
本開示による例示的な術前組成物を表5に報告する。
【0385】
【0386】
本開示のオピオイドフリー術前組成物の最小および最大用量
ボーラス形態の先制術前組成物の例示的な最小および最大用量を、以下の表6に提示する。
【0387】
【表6】
セクション1.24
セクション1.25
[実施例11]
【0388】
オピオイドフリー術前組成物の用量
ボーラス形態の先制術前組成物の例示的な用量を、以下の表7に提示する。
【0389】
【表7】
必要であれば追加の薬剤を注入または緩徐IVボーラスとして、別個に投与することができ、デクスメデトミジン、および/または硫酸マグネシウム、および/またはデキサメタゾン、および/またはケタミン、および/またはリドカインを含む。
セクション1.26
[実施例12]
【0390】
本開示のオピオイドフリー術中組成物の最小および最大用量
本開示の例示的なオピオイドフリー術中組成物の例示的な体重ベース最小および最大用量を、単位/kg/hrで表8に提示する。この術中組成物を連続点滴として投与する。
【0391】
【0392】
必要であれば追加の薬剤を連続点滴またはボーラスとして、別個に投与することができ、リドカイン4%、および/またはマグネシウム、および/またはデキサメタゾン、ケタミン100mg/mL、および/またはエスモロール、および/またはケタミンを含む。
セクション1.27
[実施例13]
【0393】
本開示のオピオイドフリー術中組成物の最小および最大用量
本開示の例示的なオピオイドフリー術中組成物の最小および最大用量を、ml/hr(元のバイアル)で表9に提示する。
【0394】
【0395】
本開示のオピオイドフリー術中組成物の体重ベース最小および最大用量
本開示の例示的なオピオイドフリー術中組成物の体重ベース最小および最大用量を、単位合計で表10に提示する。
【0396】
【0397】
オピオイドフリー術中治療方法
本開示の例示的なオピオイドフリー術中組成物および方法を表11に提示する。
セクション1.30
【0398】
【0399】
患者へのOFAおよび非OFA投与後のオピオイド消費およびAldreteスコア
医療的または外科的処置の際に麻酔組成物が投与された患者において、オピオイド消費およびAldreteスコアを評価するために研究を行った。患者を2つのコホートに分けた。第1のコホート(82人の患者)は、医療的または外科的処置の際に非オピオイドフリー麻酔組成物(すなわち、フェンタニルを含有したもの)を受けた。第2のコホート(82人の患者)は、医療的または外科的処置の際に本開示のオピオイドフリー麻酔術中組成物を受けた。2つのコホートの医療的または外科的処置タイプは似ており、整形外科的処置(例えば、足首の関節鏡検査、膝の関節鏡検査、肘の切開術、肩の関節鏡検査、および足のバニオン切除術)、ENT手術(例えば、扁桃摘出術、機能的内視鏡副鼻腔手術)、ならびにGYN手術(子宮摘出術)を含んだ。
【0400】
図4に示されるように、非OFAコホートの82人の患者のうち、30人の患者に、PACUでレスキューオピオイドを投与した(37%)。対照的に、OFAコホートのうちのわずか24人の患者にオピオイドを投与した(29%)。さらに、レスキューオピオイドを受けなかった患者のうち、非OFAコホートは、OFAコホートより有意に高い用量(デメロールの29mgに対して45mg)を必要とした。加えて、OFAコホートのAldrete退院可能状態スコアは、麻酔回復時間の終了で非OFAコホートより優れていた(9.6対9.4)。
【0401】
図4は、伝統的なオピオイドベース麻酔を受けた患者と比較して、本開示のOFA組成物を受けた患者では術後オピオイド要件の低減および回復の改善を実証している。
セクション1.31
[実施例17]
【0402】
OFAを受けた患者の入院期間の分析
病院で膝関節全置換手術を受けた140人に患者において、後ろ向き分析を実施した。
図5に示されるように、本開示のオピオイドフリー組成物および/術後オピオイド回避疼痛管理を受けた患者は、伝統的なケアと比較して、手術後に入院期間(LOS)に50%の低減を経験した。これらの患者は、伝統的な麻酔措置を受けた患者より平均1.39日早く帰宅することができた。このLOSの減少は、病院が有意な金額を節約することを可能にする。
【0403】
病院で実施される多くの手術は、その後に入院を必要とする。手術の費用は、各措置(例えば、手術それ自体、入院の1日、理学療法、および投薬)毎に明細請求されるのではなく、総額または「一括払い」で払われる。病院への他の支払いは行われない(例えば、合併症、入院の延長、または高度看護施設(skilled nursing facility)への退院)。患者が入院している間、一括払いには、看護師、薬剤師、理学療法、薬剤、食事などへの支払いが含まれる。病院サービスの費用は、集合的に「調整後費用」と呼ばれ、病院への医療費償還のおよそ47%を表し、残りの53%が利益である。この支払いモデルを考慮すると、患者が再入院する(例えば、疼痛管理の問題で)ことなく安全に早期に退院することは、病院にとって有意な費用節約を表す。早期退院可能状態によってもたらされる病院の毎日の調整後費用節約を、
図6に提示する。OFA投与により低減された日数と実施された手術の数を掛けた、この病院の毎日の調整後費用節約は、オピオイドフリー麻酔の投与が相当な節約を提供できることを示す。重要なことには、推定費用節約は、増加した空病床を使用する病院にとって、利用可能な追加の潜在的利益を含まない。ここで決定される推定費用節約は、Becker’s Hospital Review and Kaiser foundationなどの情報源で利用可能なデータより少ない。
セクション1.32
[実施例18]
【0404】
足関節修復の手術患者へのOFAの投与
足関節骨折を修復する外科的処置を受けている患者に、本開示のオピオイドフリー術中組成物、ならびに膝窩および伏在神経ブロックを投与した。
図12は、外科的処置後の足関節骨折固定術のX線を示す。患者の麻酔記録を
図13に示す。麻酔記録は、外科的処置の際の患者のバイタルサイン(交感神経性応答)に最小限の変化を示す。
セクション1.33
[実施例19]
【0405】
重度の足関節骨折修復の手術患者へのOFAの投与
重度の足関節骨折を修復する外科的処置を受けている患者に、本開示のオピオイドフリー術中組成物を投与した。
図14Aは、外科的処置前の足関節骨折のX線を示す。
図14Bは、外科的処置後の足首の画像を示す。患者は、ブロックを用いることなく快適に目を覚まし、PACUにいる間にオピオイドを必要としなかった。典型的に、伝統的な麻酔化合物が投与される患者には、このタイプの修復後に重度の術後疼痛がある。よって、この患者が快適であり、PACUで任意のオピオイド(鎮痛薬(pain medication))を必要としなかったことは極めてまれなことである。重要なことは、患者が、慢性疼痛または慢性オピオイド使用にならなかったことであり、手術後に続発症を有さなかったことである。本明細書に記述されたすべての患者および出版物は、本開示が関連する当業者の技能レベルを示す。
【0406】
上記に述べられた実施例は、本開示の材料、組成物、系および使用をどのように作製および使用するかについての完全な開示および記載を当業者に与えるために提供され、本発明者たちが開示と見なす範囲を制限することを意図しない。当業者は、例示的なオピオイド麻酔組成物の特徴および関連する使用を、追加のオピオイド麻酔組成物および/または組み合わせ、したがって様々な実施形態および特許請求の範囲に適合させるかを認識する。
【0407】
背景、要約、詳細な記載および実施例に引用されたそれぞれの文献(特許、特許出願、雑誌記事、要約、実験マニュアル、書籍または他の開示を含む)のすべての開示は、参照により本明細書に組み込まれる。本開示に引用されたすべての参考文献は、それぞれの参考文献が、まるでその全体が個別に参照として本明細書に組み込まれるのと同じ程度で、参照として組み込まれる。しかし、引用参考文献と本開示との間に任意の矛盾が生じる場合は、本開示が優先する。
【0408】
本明細書に用いられた用語および表現は、記載の用語として使用され、限定としては使用されず、そのような用途および表面の使用は、示された、および記載された特徴またはその一部の任意の同等物を除外することを意図せず、様々な変更が特許請求される開示の範囲内で可能であることが認識される。よって、本開示は、実施例、例示的な実施例、および適宜の特徴によって特定的に開示されてきたが、本明細書に開示されている概念の変更および変動を当業者が頼りにすることができ、そのような変更および変動は、添付の特許請求の範囲により定義されている本開示の範囲内であることが考慮されることが理解されるべきである。
【0409】
本開示の多数の実施形態が記載されてきた。本明細書に提供される特定の実施形態は、本発明の有用な実施形態の例であり、本開示は、本記載に述べられている多数の多様な装置、装置部品、方法工程を使用することによって実行できることが、当業者に明らかである。当業者には自明であるが、本方法に有用な方法および装置は、多くの数の適宜の組成物、および処理要素および工程を含んでもよい。
【0410】
【国際調査報告】