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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】湿式真空掃除機向けの清掃ヘッド
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/04 20060101AFI20240426BHJP
【FI】
A47L9/04 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556488
(86)(22)【出願日】2022-03-09
(85)【翻訳文提出日】2023-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2022055978
(87)【国際公開番号】W WO2022194626
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】21163069.4
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523393508
【氏名又は名称】ヴェルスニ ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】デ ウィト バスティアン ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】カーヤ オルハン
【テーマコード(参考)】
3B061
【Fターム(参考)】
3B061AA06
3B061AA18
3B061AA51
(57)【要約】
湿式真空掃除機向けの清掃ヘッドが、ハウジングの幅にわたってそれぞれ延在する第1及び第2の回転ブラシを有する。ハウジングは、ブラシ間の空間へと内向きに延在し、床の上に空気空洞を作り出す第1の誘導チャネルを有する第1の突出部と、前記空間を内側に延在する第2の突出部とを備える。第2の突出部は、床の上に別の空洞を作り出す第2の誘導チャネルを有する。これらの空洞は、ブラシ間の空間へと横方向の空気流を促進し、以て水のたまりを低減する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿式真空掃除機向けの清掃ヘッドであって、前記清掃ヘッドは、
幅と長さとを持ち、清掃される床の上に最小間隔を持つハウジングであって、前記幅は第1の側壁と第2の側壁との間の幅であり、前記長さは清掃される床の上の前記清掃ヘッドの移動の所期の主方向に平行な長さである、ハウジングと、
前記第1の側壁と前記第2の側壁との間の前記ハウジングの前記幅にわたってそれぞれ延在する第1の回転ブラシ及び第2の回転ブラシであって、平行な回転軸を備え、長さ方向に並んでいる第1の回転ブラシ及び第2の回転ブラシと、
少なくとも、前記第1の回転ブラシと前記第2の回転ブラシとの間の空間に吸引力を送達するための吸引チャネルと
を備える、清掃ヘッドにおいて、
前記ハウジングが、
前記第1の側壁から前記空間へと内向きに延在する第1の突出部であって、前記最小間隔よりも大きな間隔の第1の領域を作り出す第1の誘導チャネルを有する第1の突出部と、
前記第2の側壁から前記空間へと内向きに延在する第2の突出部であって、前記最小間隔よりも大きな間隔の第2の領域を作り出す第2の誘導チャネルを有する第2の突出部と
を有することを特徴とする、清掃ヘッド。
【請求項2】
前記第1及び第2の突出部が、それぞれ、前記第1の回転ブラシと前記第2の回転ブラシとの間の前記空間にわたって長さ方向に延在する、請求項1に記載の清掃ヘッド。
【請求項3】
前記第1及び第2の突出部が、それぞれの前記誘導チャネルの周りにそれぞれリムを備え、前記リムは前記最小間隔で形成されている、請求項1又は2に記載の清掃ヘッド。
【請求項4】
前記リムが、前記最小間隔によって規定される平面に平行な、1mmから15mmの範囲の厚みを有する、請求項3に記載の清掃ヘッド。
【請求項5】
より大きな間隔の前記第1及び第2の領域が、前記最小間隔よりも1mmから6mmの間隔だけ大きい、より大きい間隔を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の清掃ヘッド。
【請求項6】
前記最小間隔が1.5mmから5mmの範囲にある、請求項1から5のいずれか一項に記載の清掃ヘッド。
【請求項7】
清掃される前記床の上に前記最小間隔で前記ハウジングを据え付けるための支持ホイール構成体をさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の清掃ヘッド。
【請求項8】
前記支持ホイール構成体が、
前記第1の側壁から後退している、前記第1の回転ブラシと前記第2の回転ブラシとの間の前記空間内の第1の支持ホイールと、
前記第2の側壁から後退している、前記第1の回転ブラシと前記第2の回転ブラシとの間の前記空間内の第2の支持ホイールと
を備える、請求項7に記載の清掃ヘッド。
【請求項9】
前記第1及び第2の回転ブラシの前又は後ろに、長さ方向に第3の支持ホイールをさらに備え、任意選択で、前記第3の支持ホイールと並んだ第4の支持ホイールを備える、請求項8に記載の清掃ヘッド。
【請求項10】
前記第1及び第2の支持ホイールは、それぞれの前記回転ブラシの端部から、それぞれ1cmから5cmの範囲の距離だけ、例えば2cmから4cmの範囲の距離だけ後退されている、請求項8又は9に記載の清掃ヘッド。
【請求項11】
前記第1及び第2の回転ブラシを反対の回転方向に駆動するための駆動構成体をさらに備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の清掃ヘッド。
【請求項12】
前記駆動構成体が、
前記第1及び第2の回転ブラシを駆動するための単一モータ及びベルト駆動、又は
前記第1及び第2の回転ブラシのそれぞれのためのそれぞれのモータ
を備える、請求項11に記載の清掃ヘッド。
【請求項13】
流体を前記第1及び/又は第2の回転ブラシに送達するために、流体送達構成体をさらに備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の清掃ヘッド。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の清掃ヘッドと、
吸引力を前記清掃ヘッドの吸引チャネルに送達するためのポンプと、
清掃流体を前記清掃ヘッドに送達する流体リザーバと
を備える、湿式真空掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿式真空掃除機向けの清掃ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
湿式真空掃除機は、清掃ヘッド(「ノズル」と呼ばれることが多い)が2つの対向する回転するブラシを備えることが知られている。真空掃除機によって床に送達された液体を、床から吸い上げるために、少なくともブラシ間の空間に吸引を施す。ブラシは床に接触してスクラブ動作を実施する。
【0003】
商用電源式だけでなくバッテリ作動式の湿式真空掃除機もある。バッテリ作動機器については、消費する電力量を最小限に抑えて、清掃ヘッドの専有面積を小さくすることが所望されている。
【0004】
専有面積の低減には、清掃中の床に水たまりが生ずるという問題がある。
【0005】
いくつかの知られている設計では、水のピックアップは、外部スキージと組み合わせて真空吸引を使用して成し遂げられる。スキージに沿った高い空気速度により水に対して風圧が生じ、水を吸引ノズルへと引き込む。真空吸引はまた、ブラシの到達範囲の外側にドラグ力を発生させることができるので、ブラシとスキージとの間にたとえ空間があっても、空気流はスキージの方向及び吸引ノズルの方向に、床に沿って水を引っぱることができる。
【0006】
他の設計では、ブラシの房自体の毛細管作用を使用して、水をピックアップする。ブラシの房は床に当たると即座に遠心加速度がなくなるため、次いで、毛細管作用により水の中に浸かることができる。次に、房は駆動されて床面から離れて空気の中へと入る。これにより、ブラシによる能動的な流体輸送が実現する。
【0007】
リアブラシには例えば、水が連続的に送り込まれて、その結果リアブラシは、連続的に水を内部ハウジングと床との両方、並びにフロントブラシに放り出す。また、床からピックアップされた水は放り出されて、部分的にフロントブラシを叩くことになる。
【0008】
したがって、フロントブラシは3つの現象によって湿らされる、すなわち、
(i)バックブラシが水をフロントブラシに噴霧すること。
(ii)湿った床がフロントブラシと接触すること。
(iii)ハウジングの内側にある水が、ブラシの上へと落ちる、又はスポイラ(水がハウジングから離れる前にブラシと接触する最後の要素)によって、ブラシの中へと誘導されて戻されること。
【0009】
房を使用するこの水ピックアップ原理の利点は、空気流及びスキージによる代わりに、水ピックアップが、水をピックアップするのにはるかに効果が高く、それゆえに使用するエネルギーが少ないこと、及び房が水ピックアップ機構の一部として、例えば約3mmだけ床によってへこまされるので、凹凸のある表面に容易に対処することができることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、ブラシ先端の到達範囲の外にあるたびに、水はもはやブラシの中へと引っぱり込まれず、それゆえにたまり始め、以て水たまりを生じることになる。
【0011】
掃除機ヘッドの移動中には、床上でのひきずりにより、水がブラシのうちの1つへと引っぱり込まれることになるが、停止中には、除去するための力が水たまりに作用しない。望ましいことではないが、これにより、ノズルが除去されても水たまりが床に残る。
【0012】
EP2805659は、床面向けの抽出掃除機を開示している。掃除機のヘッドは、2つのブラシロールを備えたアジテータアセンブリを有する。また、任意選択で、ヘッドの側部のブラシ受け器開口にそれぞれ据え付けられた側部植毛を有する。
【0013】
水たまりができることを特にスキージを使用せずに低減する掃除機ヘッド設計のニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は特許請求の範囲によって規定される。
【0015】
本発明の態様による例によると、湿式真空掃除機向けの清掃ヘッドであって、清掃ヘッドは、幅と長さとを持ち、清掃される床の上に最小間隔を持つハウジングであって、前記幅は第1の側壁と第2の側壁との間の幅であり、長さが、清掃される床の上の清掃ヘッドの移動の所期の主方向に平行である、ハウジングと、
第1の側壁と第2の側壁との間のハウジングの幅にわたってそれぞれ延在する第1の回転ブラシ及び第2の回転ブラシであって、平行な回転軸を備え、長さ方向に並んでいる第1の回転ブラシ及び第2の回転ブラシと、
少なくとも、第1の回転ブラシと第2の回転ブラシとの間の空間に吸引力を送達するための吸引チャネルと
を備え、
ハウジングが、
第1の側壁から前記空間へと内向きに延在する第1の突出部であって、最小間隔よりも大きな間隔の第1の領域を作り出す第1の誘導チャネルを有する第1の突出部と、
第2の側壁から前記空間へと内向きに延在する第2の突出部であって、最小間隔よりも大きな間隔の第2の領域を作り出す第2の誘導チャネルを有する第2の突出部と
を有する、清掃ヘッドが提供される。
【0016】
この清掃ヘッドは、並んだ、対の回転ブラシを有する。空気が第1と第2の誘導チャネルによって、回転ブラシ間の空間に入ることができ、第1と第2の誘導チャネルは、ブラシ間へと延在する内向きの突出部に形成されている。これは、例えば清掃ヘッドが静止している場合、清掃される床に形成された任意の水たまりを清掃するのに助けとなる。誘導チャネルは、清掃される床に対して拡大された間隔を形成して、清掃ヘッドに施される吸引によって駆動される、空気流を促進する。
【0017】
誘導チャネルは特に、回転ブラシの端部における水のたまりを防止する。清掃ヘッドが急カーブの経路に沿って移動する場合に、遠心力により回転ブラシ間の空間の端部から液体が外に追いやられるので、端部におけるそのようなたまりは、特に、カーブした水の痕跡の原因である。
【0018】
このように、ヘッド設計により、清掃ヘッドの使用中に、たまりが低減されるとともにカーブした痕跡も低減される。
【0019】
ハウジングは矩形であるため側壁は平行であるが、例えば、三角形又は不等辺四辺形のハウジングの場合には、側壁は平行ではない。第1及び第2のブラシは(ヘッドの幅方向に)同じ長さを有し、又は異なる長さを有する。
【0020】
第1及び第2の突出部は、それぞれ、第1の回転ブラシと第2の回転ブラシとの間の空間にわたって長さ方向に延在する。
【0021】
こうして、突出部は、回転ブラシの端部において、回転ブラシ間の空間の周りに閉ループを画定し、以てブラシの端部における、カーブした痕跡をもたらし得る液たまりを防止する。
【0022】
第1及び第2の突出部は、それぞれ、それぞれの誘導チャネルの周りにリムを備え、リムは最小間隔で形成されている。
【0023】
こうして、最小間隔を画定するハウジングの一部は、また、突出部の周りにリムを形成し、これは例えば清掃ヘッド全体の周りの端部と連続している。
【0024】
リムは例えば、最小間隔によって規定される平面に平行な、1mmから15mmの範囲の厚みを有する。
【0025】
より大きな間隔の第1及び第2の領域は、最小間隔よりも1mmから6mmだけ大きい間隔を有する。
【0026】
誘導チャネルによって形成されたこの増大された間隔は、ブラシ間の空間への内向きの空気流を作り出すのに十分である。特に、それは床の上の最小間隔に匹敵するか、又はそれより大きい。
【0027】
最小間隔は例えば、2mmから3mmなどの、1.5mmから5mmの範囲にある。
【0028】
最小間隔は、ブラシが清掃ヘッドの最低面より下に突き出て床と接触する量である。間隔は、清掃ヘッドに施される吸引によって駆動される空気流を促進するように選択される。
【0029】
清掃ヘッドは、清掃される床の上に最小間隔でハウジングを据え付けるための支持ホイール構成体をさらに備える。
【0030】
支持ホイール構成体の床との接触、及び支持ホイール構成体のハウジングへの据え付けにより、ハウジングが床の上にそれで据え付けられる間隔を規定する。
【0031】
支持ホイール構成体は、
第1の側壁から後退している、第1の回転ブラシと第2の回転ブラシとの間の空間内の第1の支持ホイールと、
第2の側壁から後退している、第1の回転ブラシと第2の回転ブラシとの間の空間内の第2の支持ホイールと
を備える。
【0032】
空間を節約するために、第1及び第2の支持ホイールは、端部から後退しているがその近くに、回転ブラシ間に配置されている。第1及び第2の支持ホイールは、回転ブラシの端部に、又は端部の向こうに配置される代わりに、端部から後退している。言い換えれば、支持ホイールの幅方向における最も外側の範囲は、回転ブラシの端部に到達していない。このように、ホイールはブラシによって覆われているので、床に痕跡を残さない。さらに、空気は、最初に第1及び第2の支持ホイールに遮断されることなく、誘導チャネルを介して入ることができる。
【0033】
清掃ヘッドは、第1及び第2の回転ブラシの前又は後ろに、長さ方向に第3の支持ホイールをさらに備え、任意選択で、第3の支持ホイールと並んだ第4の支持ホイールを備える。
【0034】
第3の支持ホイールは、回転ブラシの後ろ又は前に配置されて、清掃ヘッドのための少なくとも三角形の支持体を形成する。第4の支持ホイールは、清掃ヘッドのための安定した4点支持体を提供する。
【0035】
第1及び第2の支持ホイールは、それぞれの回転ブラシの端部から、例えば2cmから4cmの範囲で、例えばそれぞれ1cmから5cmの範囲の距離だけ後退させる。ホイールの後退のこの量は、例えば、おおよそ突出部の(幅方向の)長さに相当する。
【0036】
清掃ヘッドは、好ましくは、第1及び第2の回転ブラシを反対の回転方向に駆動するための駆動構成体をさらに備える。
【0037】
こうして、ブラシは床から破片及び水分をピックアップする。駆動構成体は例えば、互いに向き合う側で上向きの動きを有するように回転ブラシを駆動するものである。この上向きの動きにより吸引ノズルに供給される。
【0038】
駆動構成体は例えば、
回転ブラシを駆動するための単一モータ及びベルト駆動、又は
第1及び第2の回転ブラシのそれぞれのためのそれぞれのモータ
を備える。
【0039】
別個のモータが提供される場合、それぞれの回転ブラシの芯に据え付けられる。
【0040】
清掃ヘッドは、好ましくは、流体を第1及び/又は第2の回転ブラシに送達するために、流体送達構成体をさらに備える。
【0041】
流体は例えば、清掃ヘッドの後ろの回転ブラシに送達される。
【0042】
本発明は、また、
上のように規定された清掃ヘッドと、
吸引力を清掃ヘッドの吸引チャネルに送達するためのポンプと、
清掃流体を清掃ヘッドに送達する流体リザーバと
を備える湿式真空掃除機を提供する。
【0043】
本発明のこれらの及び他の態様が、以下に記述される実施形態から明らかになり、以下に記述される実施形態を参照して説明される。
【0044】
本発明のより良好な理解のために、及び本発明がどのように実行に移されるのかをより明確に示すために、例としてのみ添付図面への参照を行うこととする。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】湿式床掃除機ヘッドについての知られているレイアウトを示す図である。
図2】より小さい、よりコンパクトな清掃ヘッドを成し遂げるための別の知られているレイアウトを示す図である。
図3図2の清掃ヘッドのリア支持ホイールの1つを通る断面図である。
図4】例えば清掃ヘッドがしばらくの間静止している、又は持ち上げられている場合に、水たまりが形成されている場所を示す図である。
図5】水たまりに関する別の関連問題を示す図である。
図6】本発明の例による清掃ヘッド設計を示す図である。
図7】ホイールがどのように配置されるかを示す図である。
図8】清掃ヘッドの裏側を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明を、図を参照して説明する。
【0047】
詳細説明及び特定の例は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示す一方で、説明のためだけを意図し、発明の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。本発明の装置、システム及び方法のこれらの並びに他の特徴、態様、及び利点は、下記の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付図面からより良好に理解されるようになるであろう。図は単に概略的であり、一定の倍率で描かれていないことを理解すべきである。また、同じ部品又は類似の部品を示すために図全体を通じて同じ参照数字が使われることを理解すべきである。
【0048】
本発明は、ハウジングの幅にわたってそれぞれ延在する第1及び第2の回転ブラシを有する湿式真空掃除機向けの清掃ヘッドを提供する。ハウジングは、ブラシ間の空間へと内向きに延在し、床の上に空気空洞を作り出す第1の誘導チャネルを有する第1の突出部と、前記空間を内向きに延在する第2の突出部とを備える。第2の突出部は、床の上に別の空洞を作り出す第2の誘導チャネルを有する。これらの空洞は、ブラシ間の空間へと横方向の空気流を促進し、以て水のたまりを低減する。
【0049】
図1は、湿式床掃除機ヘッド10の、裏側から見た既知のレイアウトを示す。ヘッドは、第1のフロントブラシ14及び第2のリアブラシ16を支持するハウジング12を備える。4つの支持ホイール18のセットは、リアブラシ16の後ろに矩形構成状態で構成されている。
【0050】
使用中の清掃ヘッドの運動の主方向は、清掃ヘッドの長さ方向に平行であり、上記で規定されているようにハウジングの幅方向に対して直角である。移動の主方向は、大きな矢印で示されている。この運動は、床の上でブラシを転がす傾向がある。
【0051】
図2は、例えばバッテリ作動機器により適した、より小さく、よりコンパクトな清掃ヘッドを成し遂げるための別の既知のレイアウトを示す。
【0052】
ヘッド10はこの場合も、第1のフロントブラシ14及び第2のリアブラシ16を支持するハウジング12を備える。
【0053】
ハウジング12は、第1の側壁20と第2の側壁22との間の幅W、及び清掃される床の上の清掃ヘッドの移動の所期の主方向に平行な長さLを持つ。
【0054】
第1及び第2の回転ブラシ14、16は、それぞれ、回転軸に平行であり、長さ方向に並んで、第1の側壁20と第2の側壁22との間のハウジングの幅にわたって延在する。吸引チャネルは、少なくとも、第1の回転ブラシ14と第2の回転ブラシ16との間の空間24に吸引力を送達するために設けられている。実際、吸引はハウジングの全体容積に施されることになる。
【0055】
清掃ヘッドの幅方向及び長さ方向のこの規定は、本テキスト全体を通して適用可能である。
【0056】
この設計における支持ホイール構成体は、第1の回転ブラシと第2の回転ブラシとの間の空間24に第1の支持ホイール30、及び第1の回転ブラシと第2の回転ブラシとの間の空間24に第2の支持ホイール32を備える。ホイールの外面は、知られている設計において、側壁とおおよそ面一である。
【0057】
第1及び第2の支持ホイールの回転ブラシ間への据え付けにより、空間が節約される。第1及び第2の回転ブラシの長さ方向における後ろに第3の支持ホイール34(代わりに前とすることもできる)が、並びに第3の支持ホイール34と並んで第4の支持ホイール36がある。
【0058】
図3は、図2の清掃ヘッドのリア支持ホイール34、36のうちの1つ34を通る断面を示すが、さらに奥に(断面の平面の後ろに)支持ホイール30を示している。第1及び第2の回転ブラシ14、16は、反対の回転方向に駆動されて、その結果、空間24内で互いに向き合っているときには上向きに動く。吸引チャネル40は、吸引力を、少なくとも第1の回転ブラシと第2の回転ブラシとの間の空間24に送達する。
【0059】
回転ブラシは、2つの回転ブラシを駆動するための単一モータ及びベルト駆動を備える駆動構成体によって駆動される。代替的に、各回転ブラシは、それぞれの回転ブラシの芯に据え付けられた、それ自体のそれぞれのモータを有する。
【0060】
清掃ヘッドは、流体を第1及び/又は第2の回転ブラシに送達するための流体送達構成体(図示せず)をさらに有する。流体は例えば、真空掃除機の主ハウジング内に形成されたリザーバから清掃ヘッドの後ろにおいて回転ブラシ16に送達される。
【0061】
第1及び第2のブラシの回転により、結果として、前と後ろから清掃ヘッドの外向きの風吹きが生じる。また、それにより、ブラシ間の空間内に負圧が作り出され(空気が連続的に除去されるため)、負圧により横方向の空気吸引が作り出される。
【0062】
ハウジングによる支持ホイールの据え付けは、ハウジングの底面と床面との間の最小間隔Sを規定する。最小間隔は例えば、1.5mmから3mmの範囲にある。回転ブラシは、床レベルより下に突き出て(床が存在しないときに)、その結果、房は床の存在によって変形させられる。これにより床のへこみが規定され、それは上で説明したように水収集機能の一部である。
【0063】
図3はまた、ハウジングに対して噴霧された水を誘導してブラシに戻すためのフロント及びリアスポイラ42を示す。
【0064】
コンパクトなヘッド設計に関する問題は、より大きな水たまりが形成されることである。特に、新たな支持ホイール位置、特に、ブラシの最も外側にある、ブラシ間の第1及び第2の支持ホイールが、側部からの空気流を防止し、それにより、より大きな水たまりの蓄積をもたらす。
【0065】
図4は、例えば、清掃ヘッドが持ち上げられるか、又はある期間にわたって動かされない場合に水たまり50が形成される場所を示している。
【0066】
図5は、水たまりに関する別の関連問題を示す。清掃ヘッドが急激な転回を行ったとき(矢印によって示されている)に、さらなる濡れ片52を作り出す可能性がある。これは、清掃ヘッドの真下から水を引っぱり出す遠心力によるものである。特に、操縦中に、水に転回に従わせる力は作用しない。代わりに、水は直線状に動き、清掃ヘッドノズルは、転回を行う。転回中のある時点において、水たまりは、十分に側部に移動していて、側部から清掃ヘッドを逃れるようにし、床上に水片52を残すことになる。
【0067】
増大したたまりは例えば、主に、第1及び第2の支持ホイールによって作り出された閉塞の結果である。問題は、達成可能な空気流速の低下のため、例えば主システムに対して約10リットル/秒の代わりに約6リットル/秒であるためにバッテリ作動機器向けで悪化する。
【0068】
横方向内向きの流れは、側部から内向きに水に吹き、転回を行ったときには、もはや水片を作り出すことはないので望ましい。内向き空気流は、また、より小さい面積であるが、より厚い水たまりを形成する。より厚い水たまりは、拡がりやすい傾向を有するが、横方向に外向きに拡がることは、内向きの空気流によって抑制されるので、拡張は、水たまりがより効果的にピックアップされるように、ブラシに向かう向きになる。
【0069】
清掃ヘッドがより軽くなり、(図2の)ホイールのレイアウトがより操縦しやすくなると、急激な転回がしやすくなる。
【0070】
図6は、本発明の例による清掃ヘッド設計を示す。
【0071】
清掃ヘッドは、図2に示す全体的なレイアウトを有するので、低電力バッテリ作動の湿式真空掃除機に適している。しかしながら、内向きの横方向の空気流を促進するための構成体が提供される。追加的に、下に説明するように、第1及び第2の支持ホイールが、側壁から嵌め込まれている。
【0072】
図6は、ハウジングの1つの横方向側部20、したがってブラシ14、16の1つの端部における清掃ヘッドの裏側(支持ホイールを示さずに)を示す。
【0073】
各横方向側部には、ブラシ14とブラシ16との間の空間24へとそれぞれの側壁から内向きに延在する突出部がある。各突出部は、清掃される床の上に、最小間隔より大きな間隔の第1の領域を作り出す誘導チャネルを有する。
【0074】
このように、図6は、第1の側壁20から空間24へと内向きに延在する第1の突出部60を示す。第1の突出部60は、最小間隔より大きな間隔の第1の領域を作り出す誘導チャネル62を有する。より大きな間隔のこの領域は、特に、側壁20の開口部として形成されて、側部から見たとき、床の上方の増大された高さの領域があり、誘導チャネル62によって画定された空洞の中へ入る空気開口部として機能する。
【0075】
誘導チャネルは、横方向側部20に広い開口部、突出部の差込み端部に閉鎖端を備えるU字形状を有する。
【0076】
空気は、第1の誘導チャネル62によって、回転ブラシ間の空間に横から入ることができる。これは、例えば清掃ヘッドが静止している場合、清掃される床に形成された任意の水分たまりを取り除くのに助けとなる。誘導チャネルは、清掃される床に対して拡大された間隔を形成して、清掃ヘッドに施される吸引によって、及びブラシの回転によって駆動される空気流を促進する。
【0077】
誘導チャネルは特に、回転ブラシの端部における水のたまりを防止する。清掃ヘッドが急カーブの経路に沿って移動する場合に、遠心力により回転ブラシ間の空間の端部から液体が外に追いやられるので、そのような端部におけるたまりは、特に、カーブした水の痕跡の原因である。
【0078】
このように、ヘッド設計により、清掃ヘッドの使用中に、たまりが低減されるとともにカーブした痕跡も低減される。
【0079】
第1の突出部60は、第1の回転ブラシ14と第2の回転ブラシ16との間の空間にわたって長さ方向に延在するが、ブラシの回転を抑制しない。突出部は、ハウジングの内部からの水が、回転ブラシの端部において床に滴下しないように遮断トレイとして働くとともに、空気流チャネルを作り出すためのフレームとしても働く。
【0080】
第1の突出部60は、誘導チャネル62の周りにリム64を有する。リム64は、最小間隔を規定するハウジングの一部として形成されるように、リムはハウジングの主裏側と同一平面上にある。誘導チャネル62は、拡大されたチャネル開口部がハウジングの横方向側部20において規定されるように、隆起領域(清掃ヘッドが直立配向状態にあるときに隆起した)として形成される。
【0081】
リムは例えば、最小間隔によって規定される平面に平行な、1mmから15mmの範囲の幅(すなわち厚み)を持つ。示されている特定の形状は、約3mmの最小リム幅w1及び約11mmの最大リム幅w2を持つ。
【0082】
チャネル開口部は例えば、1mmから6mmの範囲の深さd1を持つ。1つの例では、それはおおよそ4mm(3mmから5mmの範囲の)である。したがって、床までの距離は、寸法d1に相当する量だけハウジングによって設定された最小間隔(例えば、2.75mmなどの1.5mmから5mm)よりも大きい。
【0083】
誘導チャネルによって形成されたこの増大された間隔は、ブラシ間の空間への内向きの空気流を作り出すのに十分である。特に、それは最小間隔S自体に匹敵するか、又はそれより大きい。
【0084】
誘導チャネル62は例えば、その深さがテーパ付けされており、その結果、突出部60の横方向内側にある突出部60のリムと合流する。空気は、空洞を通じてブラシに向かって引き込まれる。この空気流は、水が蓄積して水たまりを形成するのを防止する。
【0085】
図7は、ホイールがどのように配置されるかを示す。第1及び第2の支持ホイールは、第1の回転ブラシと第2の回転ブラシとの間の空間24に据え付けられているが、それぞれの側壁から後退している。したがって、図7は、第1の側壁20から後退している第1の支持ホイール30を示す。
【0086】
第1及び第2の支持ホイール(特に、ハウジングのそれぞれの側壁に最も近い側部)は例えば、それぞれ、回転ブラシのそれぞれの端部から1cmから5cmの範囲の、例えば、2cmから4cmの範囲の距離Dだけ後退している。したがって、ホイールによって作られた痕跡はブラシによってカバーされる。
【0087】
本発明の設計は、水を清掃ヘッドへと押し込む高速空気流を作り出すことによって、上で説明した横方向内向きの空気流を利用して水を横方向且つ内向きに押すものである。
【0088】
誘導チャネル及びその結果得られる空洞は、側部から清掃ヘッドに入る空気に対する抵抗を低減する。これにより、真空ポンプの利用可能な出力に対して可能な限り高く空気流(リットル/秒の単位で)を維持することができる。
【0089】
突出部の内側端部はリムにおいて終端し(床の上方の最小間隔において)、空洞に入る流れは、小さなスリット(すなわち、床に対する隙間)によって、高速な空気流へと変換される。示されている例の誘導チャネル62の周りのリムは、一般的なU字形状を有し、以てU字形状の誘導チャネルを画定し、誘導チャネルは、ブラシ間の空間へと延在し、開エリアを低減する。U字形状チャネルは単なる例である。誘導チャネルは、カーブした外形、又は、矩形若しくは三角形などの、かどのある外形を備える任意の所望の形状である。
【0090】
ブラシの隣にある、誘導チャネルのサイドアームは、ハウジングを出てブラシへと再び戻る水を案内する。特に、各誘導チャネルの周りのリムは、水を清掃ヘッドの中心に案内し(横方向の幅方向に)、水が側部から、より放出されにくくする。
【0091】
リムの全体形状は、また、空気が横方向且つ内向きに吹くだけでなく横向きにも吹くときに、水がそこを通って逃れることができない空気バリア/フェンスを作り出す。この空気バリア/フェンスは、清掃ヘッドの操縦中に、水が側部から逃れるのを防止するのに非常に効率的である。
【0092】
誘導チャネルからの横方向内側及び横方向の空気流は、この空気バリア/フェンスの機能の一因である。誘導チャネルの横方向内側端部において、リムの真下の小さなスリットを通り抜ける高速の空気も、連続的に水を中心に向けて押し、以て急激な転回中であっても水片を防止するとともに水たまりの中心における大きさを低減する。
【0093】
誘導チャネルはまた、誘導チャネルの横方向に最も外側の端部において低空気抵抗の入口を作り出すように設計されるので、真空掃除機の空気動力は、リムの真下の所望の空気流を駆動することができる。
【0094】
図8は清掃ヘッドの裏側の図を示す。図8は、第1の突出部60だけでなく第2の突出部80も示し、第1の誘導チャネル62だけでなく第2の誘導チャネル82も示している。
【0095】
ハウジングは全体的に矩形として示されているので、側壁20、22は平行であるが、側壁は、例えば三角形又は不等辺四辺形のハウジングの場合には平行ではない。第1及び第2のブラシは同じ長さ(ヘッドの幅方向に)を持ち、又は異なる長さを持つ。
【0096】
清掃ヘッドは好ましくは、吸引力を清掃ヘッドの吸引チャネルに送達するためのポンプ、及び清掃流体を清掃ヘッドに送達する流体リザーバを備える湿式真空掃除機の一部である。
【0097】
開示された実施形態の変形形態は、特許請求された発明の実践において、図面、本開示、及び添付の特許請求の範囲の研究から、当業者によって理解され達成され得る。本特許請求の範囲において、単語「備える」は、他の要素又はステップを除外するものではなく、「1つの」は複数を除外するものではない。
【0098】
ある特定の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているというだけで、これらの手段の組み合わせは、利益を得るために使用することができないことを示すものではない。
【0099】
用語「適合される」は、特許請求項の範囲又は記述において使用される場合、用語「構成される」と等価であることを意図することに留意されたい。
【0100】
特許請求項の範囲における任意の参照符号は、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】