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特表2024-518873エネルギー貯蔵装置またはエネルギー変換装置に使用するための構成要素およびその製造方法
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  • 特表-エネルギー貯蔵装置またはエネルギー変換装置に使用するための構成要素およびその製造方法 図1a
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】エネルギー貯蔵装置またはエネルギー変換装置に使用するための構成要素およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/62 20060101AFI20240426BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20240426BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20240426BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20240426BHJP
   H01M 4/74 20060101ALI20240426BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20240426BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20240426BHJP
   H01G 11/46 20130101ALI20240426BHJP
   H01G 11/50 20130101ALI20240426BHJP
   H10N 30/853 20230101ALI20240426BHJP
   H10N 10/851 20230101ALI20240426BHJP
【FI】
H01M4/62 Z
H01M4/139
H01M4/13
H01M4/66 A
H01M4/74 C
H01M10/0562
H01M10/052
H01G11/46
H01G11/50
H10N30/853
H10N10/851
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560764
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 GB2022051097
(87)【国際公開番号】W WO2022229656
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】2106167.6
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515189520
【氏名又は名称】イリカ テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100213333
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿山 昌代
(72)【発明者】
【氏名】ナオウム ヴァエナス
(72)【発明者】
【氏名】ドナト エルコール コンテ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー リー
(72)【発明者】
【氏名】キリアコス ジャグログロウ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ライス
【テーマコード(参考)】
5E078
5H017
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5E078AA03
5E078BA27
5E078BA52
5E078DA11
5H017AA04
5H017AS02
5H017CC01
5H017CC05
5H017EE04
5H017HH03
5H029AJ14
5H029AK01
5H029AK02
5H029AK03
5H029AK05
5H029AL01
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL06
5H029AL11
5H029AM12
5H029CJ02
5H029CJ05
5H029CJ22
5H029CJ28
5H029DJ07
5H029DJ09
5H029DJ15
5H029EJ01
5H029HJ02
5H029HJ04
5H029HJ05
5H029HJ07
5H029HJ14
5H029HJ20
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA02
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA11
5H050CB01
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB11
5H050DA04
5H050DA06
5H050DA13
5H050EA11
5H050EA12
5H050GA02
5H050GA07
5H050GA22
5H050GA27
5H050HA02
5H050HA04
5H050HA05
5H050HA07
5H050HA14
5H050HA17
(57)【要約】
エネルギー貯蔵装置またはエネルギー変換装置用の構成要素を製造する方法は、複数の厚さ方向の開口部を有するシートを提供するステップと、セラミック材料の粒子を含むスラリーを形成するステップと、複数の厚さ方向の開口部を有するシート上にスラリーを堆積させるステップと、300℃より高く900℃以下の焼結温度でスラリーを焼結するステップと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー貯蔵装置またはエネルギー変換装置用の構成要素を製造する方法であって、
複数の厚さ方向の開口部を有するシートを提供するステップと、
セラミック材料の粒子を含むスラリーを形成するステップと、
前記複数の厚さ方向の開口部を有する前記シート上に前記スラリーを堆積させるステップと、
300℃より高く900℃以下の焼結温度で前記スラリーを焼結するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記セラミック材料は、
電極活物質、電解質、圧電材料、太陽光発電材料、熱電材料からなる群から選択される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記構成要素は、電池セル、特に、固体電池セル用の電極であり、前記セラミック材料は、電極活物質である、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記スラリーは、無機焼結助剤をさらに含み、
前記無機焼結助剤は、10-10Scm-1より大きいイオン伝導率を有し、且つ、900℃以下の融点を有するイオン伝導性材料によって提供される、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記無機焼結助剤は、構成元素として、リチウム、ホウ素、および場合により炭素を含む、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記無機焼結助剤は、
LiBOおよびLi3-x-xからなる群から選択され、0<x<1である、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記シート上に前記スラリーを堆積させるステップの前に、
前記シートを基板に固定するステップをさらに含む、
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記シートは、ポリマーベースの接着剤によって前記基板に固定される、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記シート上に前記スラリーを堆積させるステップの前に、
支持面およびマスクを提供するステップであって、前記マスクは少なくとも1つの窓を備えるステップと、
前記シートの第1の面が前記マスクの方を向くように、前記支持面と前記マスクとの間に前記シートを配置するステップであって、前記シートの第1の部分を、前記マスクによって遮蔽し、前記シートの第2の部分を、前記マスクの窓を通して露出させるステップと、
前記マスクを前記支持面に可逆的に固定するステップと、
をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記マスクは、磁気手段を使用して前記支持面に可逆的に固定される、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記マスクおよび前記支持面のうちの一方が磁化されており、前記マスクおよび前記支持面のうちの他方が磁性材料を含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記スラリーを堆積させるステップと前記スラリーを焼結するステップとの間に、
前記マスクを前記支持面から取り外すステップと、
前記シートの前記第1の面が、前記支持面の方を向くように前記シートを裏返すステップと、
前記マスクを前記シートの上に置き、前記マスクを前記支持面に可逆的に固定するステップと、
前記セラミック材料の粒子を含むスラリーの追加量を、前記シートの前記第1の面の反対側である前記シートの第2の面の一部の上に堆積させるステップと、
をさらに含む、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記スラリーが第1の厚さに堆積され、スラリーの前記追加量が第2の厚さに堆積され、前記第1の厚さと前記第2の厚さとの比が0.5~2の間である、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記スラリーを堆積させるステップと前記スラリーを焼結するステップとの間に、
前記マスクを前記支持面から取り外すステップと、
前記シートの前記第1の部分の一部が堆積した前記スラリーの上に重なるように前記シートを曲げるステップと、
前記マスクを前記支持面に可逆的に固定し、前記シートの前記第1の部分の一部を、前記マスクの前記窓を通して露出させるステップと、
前記セラミック材料の粒子を含むスラリーのさらなる量を、前記シートの前記第1の部分の露出した前記一部上に堆積させるステップと、
をさらに含む、請求項9から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記シートを曲げて前記マスクを前記支持面に可逆的に固定するステップの後、前記シートの前記第1の部分のさらなる前記一部がマスクによって遮蔽されるステップは、
スラリーの前記さらなる量を堆積させるステップと前記スラリーを焼結するステップとの間に、
前記マスクを前記支持面から取り外すステップと、
前記シートの前記第1の部分の前記さらなる部分が、前記さらなる量のスラリーの上に、少なくとも部分的に重なるように、前記シートを曲げるステップと、
前記シートの前記第1の部分の前記さらなる部分が、前記マスクの前記窓を通して、少なくとも部分的に露出されるように、前記マスクを前記支持面に可逆的に固定するステップと、
前記セラミック材料の粒子を含むスラリーのさらなる量を、前記シートの前記第1の部分の前記さらなる部分の露出部分上に堆積させるステップと、
をさらに含む、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記スラリーは、テープキャスティング法またはスクリーン印刷法によって、前記シート上に堆積される、
請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の厚さ方向の開口部を有する前記シートは、電子導電性シートである、
請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記シートは、金属または金属合金を含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記シートは、鉄または鋼を含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記セラミック材料は、電極活物質であり、前記スラリー中の固体電子伝導性成分の量は、前記電極活物質の前記粒子の総体積に対して10vоl%未満である、
請求項17から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記セラミック材料の前記粒子は、10nm~50μmの範囲のD50粒径を有する、
請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記シートは、織られたメッシュによって提供される、
請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記織られたメッシュは、ストランドに垂直な方向で測定した場合に、1cm当たり5-500本のストランドを有する、
請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記開口部は、10-1000μmの範囲の幅を有する、
請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
電池セルを製造する方法であって、
請求項1から24のいずれか一項に記載の方法に従って構成要素を製造するステップであって、前記構成要素は、電極であり、前記セラミック材料は、電極活物質であるステップと、
前記電極を基板に固定するステップと、
前記電極上にさらなる電池層を堆積するステップと、
を含む、方法。
【請求項26】
前記電極を前記基板に固定するステップは、前記電極を前記基板にスポット溶接するステップを含む、
請求項25に記載の方法。
【請求項27】
エネルギー貯蔵装置またはエネルギー変換装置に使用するための構成要素であって、
請求項1から26のいずれか一項に記載の方法によって得られる、または得ることができる構成要素。
【請求項28】
前記構成要素は、固体電池セルなどの電池セル用の電極である、
請求項27に記載の構成要素。
【請求項29】
エネルギー貯蔵装置またはエネルギー変換装置に使用される構成要素であって、
前記構成要素は、第1の部分と第2の部分とを含み、前記第1の部分はセラミック材料の粒子を含み、前記第2の部分は複数の厚さ方向の開口部を有するシートによって提供され、
前記第2の部分は、前記第1の部分に少なくとも部分的に埋め込まれている、
構成要素。
【請求項30】
前記構成要素は、固体電池セルなどの電池セル用の電極であり、前記セラミック材料は、電極活物質である、
請求項29に記載の構成要素。
【請求項31】
前記第1の部分は、前記電極活物質の粒子間に分布するイオン伝導性成分を含み、
前記イオン伝導性成分は、10-10Scm-1より大きいイオン伝導率、および900℃以下の融点を有する、
請求項30に記載の構成要素。
【請求項32】
前記イオン伝導性成分は、構成元素として、リチウム、ホウ素、および場合により炭素を含む、
請求項31に記載の構成要素。
【請求項33】
前記イオン伝導性成分は、LiBOおよびLi3-x1-xからなる群から選択され、0<x<1である、
請求項32に記載の構成要素。
【請求項34】
前記第2の部分は、鉄または鋼(ステンレス鋼を含む)から成る、
請求項1から33のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項35】
前記構成要素は、第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面とを有し、
前記第2の部分は、前記第1の面と位置合わせされ、前記第1の面からの前記第2の部分の距離は、前記構成要素の厚さの33%から66%である、
請求項29から34のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項36】
前記構成要素は、第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面とを有し、
前記シートは、第1の部分、第2の部分、および前記第1の部分と前記第2の部分とを接続する連結部分を備え、
前記第1の部分および前記第2の部分は、前記第1の面と位置合わせされ、前記第1の面から異なる距離に存在する、
請求項29から34のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項37】
前記シートは、第3部分、および前記第2の部分と前記第3の部分とを接続するさらなる連結部分を備え、
前記第3の部分は、前記第1の面と位置合わせされ、前記第1の部分および前記第2の部分からずれている、
請求項36に記載の構成要素。
【請求項38】
前記シートの前記連結部分の単位面積当たりの質量は、前記シートの前記第1の部分の単位面積当たりの質量よりも小さい、
請求項36または37に記載の構成要素。
【請求項39】
前記シートの前記連結部分は、前記シートの前記第1の部分の前記厚さ方向の開口部のそれぞれよりも大きな面積を取り囲む少なくとも1つの厚さ方向の開口部を備える、
請求項38に記載の構成要素。
【請求項40】
請求項27から39のいずれか一項に記載の構成要素を備えるエネルギー貯蔵装置またはエネルギー変換装置。
【請求項41】
前記装置は、電池、キャパシタ、燃料電池(固体酸化物燃料電池および高分子電解質燃料電池を含む)、光起電力装置、圧電装置、および熱電変換器からなる群から選択される、
請求項40に記載のエネルギー貯蔵装置またはエネルギー変換装置。
【請求項42】
請求項27から39のいずれか一項に記載の構成要素を備えた固体電池セルであって、
前記構成要素は、電極であり、前記電池セルは、前記電極の面上に配置された電解質層をさらに含む、
固体電池セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー貯蔵装置またはエネルギー変換装置に使用するための構成要素に関し、特に、電池、キャパシタ、燃料電池(固体酸化物形燃料電池および高分子電解質形燃料電池を含む)、光起電力装置、圧電装置、または熱電変換器に使用するための構成要素、およびそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電池、キャパシタ、燃料電池(固体酸化物形燃料電池および高分子電解質形燃料電池を含む)、光起電力装置、圧電装置、または熱電変換器などのエネルギー貯蔵デバイスまたはエネルギー変換デバイスは、通常、セラミック粒子の焼結によって製造される構成要素で構成される。
【0003】
エネルギー密度および/または信頼性などの性能の特定の側面を改善するように、これらの構成要素を構成することが望ましい。
【0004】
例えば、固体リチウムイオン電池セルなどの電池セルの構成要素の性能を向上させることが望ましい。
【0005】
固体リチウムイオン電池セルは、充電可能な電池セルの一種で、リチウムイオン(Li)が、放電中に負極(アノード)から正極(カソード)に移動し、充電時に元に戻る。電極は、それぞれリチウムイオンを可逆的に蓄えることができ、イオン輸送を可能にするバルク固体電解質によって分離されている。
【0006】
固体電池セルは、液体電解質リチウムイオン電池セルに比べて、エネルギー密度の増加、出力密度の増加、低漏洩電流および/または可燃性の低減など、複数の利点を提供する可能性がある。したがって、固体電池セルは、例えば、電気自動車および家庭用電化製品での使用が検討されている。
【0007】
一般に、固体電池セルには、集電体、界面修飾剤、および/またはカプセル化または他の保護要素などの追加の構成要素を含む。場合によっては、負極は、セルの組み立て直後には電池セル内に存在せず、代わりに、電池セルの初期充電中に形成されるリチウムアノードとして提供される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
第1の態様では、本発明は、エネルギー貯蔵装置またはエネルギー変換装置用の構成要素を製造する方法を提供してよく、この方法は、複数の厚さ方向の開口部を有するシートを提供するステップと、セラミック材料の粒子を含むスラリーを形成するステップと、複数の厚さ方向の開口部を有するシート上にスラリーを堆積させるステップと、300℃より高く900℃以下の焼結温度でスラリーを焼結するステップと、を含む。
【0009】
セラミックという用語は、無機の非金属材料を指す。セラミック材料は、電極活物質、電解質、圧電材料、太陽光発電材料、および熱電材料からなる群から選択されてよい。誤解を避けるために言うと、他の材料、例えば、さらなるセラミック材料の粒子も、スラリー中に存在してもよい。
【0010】
焼結という用語は、熱、および必要に応じて圧力を加えて粒子を結合させることにより、粒子状で提供される材料を圧縮するプロセスを指す。当業者にはよく知られているように、材料の少なくとも一部は、焼結プロセスの期間中ずっと固体状態のままである。
【0011】
「スラリーを焼結する」とは、スラリーに含まれるセラミック粒子を焼結させることを指す。場合によっては、当該技術分野で知られているように、スラリー中に存在する液相の少なくとも一部を蒸発させるために、スラリーは、焼結ステップの前に乾燥プロセスを受けてもよい。乾燥プロセスは通常、200℃未満の温度で実行される。
【0012】
誤解を避けるために言うと、焼結温度は、焼結ステップ中に到達する最高温度である。
【0013】
通常、構成要素は、電極である。
【0014】
場合によっては、構成要素は、固体電池セルなどの電池セル用の電極であってよく、セラミック材料は、電極活物質であってもよい。このような場合、スラリーは、場合により、電解質材料および/または他の成分の粒子を含んでよい。
【0015】
場合によっては、構成要素は、液体電解質を含む電池セル用の電極であってよい。このような場合、電池セルの電極は、多孔質高分子膜などのセパレーターによって分離されて保持されてよい。一方、液体電解質は、電極間、場合によっては電極内でのイオン輸送を可能にするイオン伝導媒体を提供する。本発明の方法に従って形成された電極の焼結された性質は、通常、電極への液体電解質の浸透を可能にするのに十分な多孔性を提供する。これにより、電池内のイオン輸送が強化され、内部抵抗が減少する。
【0016】
複数の厚さ方向の開口部を有するシート上にスラリーを堆積させることによって、スラリーは、シートに浸透してよく、その結果、シートは、部分的または全体的にセラミック材料に埋め込まれる。部分的または全体的に埋め込まれたシートの存在は、より堅牢な構成要素を提供するのに役立つ可能性がある。例えば、シートの存在により、構成要素の取り扱いが容易になる場合がある。さらに、シートへのスラリーの浸透は、焼結雰囲気中のあらゆる攻撃的な化学物質からシートを保護するのに役立つ可能性がある。構成要素が電池セル用の電極であり、セラミック材料が電極活物質である場合、シートの存在は、電池セルの充電中または放電中の電極の体積変化に電極が耐えるのに役立つ可能性がある。
【0017】
通常、焼結温度は、400℃~900℃の範囲である。場合によっては、焼結温度は、500℃~900℃の範囲であってよい。場合によっては、焼結温度は、600℃~900℃の範囲であってよい。例えば、焼結温度は、600℃~800℃または600℃~700℃の範囲であってよい。焼結時間は、1~4時間であってよい。
【0018】
通常、これらの焼結温度でスラリーを焼結する能力は、スラリー中に無機焼結助剤を含めることによって達成される。この形態の焼結は、液相焼結と呼ばれることがある。スラリー中に存在する場合、無機焼結助剤は、セラミック材料によって提供される。典型的には、無機焼結助剤は、融点が900℃以下のセラミック材料である。場合によっては、無機焼結助剤は、850℃以下、例えば、800℃以下または750℃以下の融点を有する。場合によっては、無機焼結助剤は、融点が700℃以下である。
【0019】
無機焼結助剤の融点は、バルク形態で提供される場合、無機焼結助剤の示差走査熱量測定によって測定されてよい。
【0020】
場合によっては(例えば、構成要素が電池セルの電極である場合)には、無機焼結助剤は、10-10Scm-1を超えるイオン伝導率を有するイオン伝導性材料によって提供される。場合によっては、イオン伝導性材料は、10-9Scm-1を超えるイオン伝導率を有する。場合によっては、イオン伝導性材料は、10-8Scm-1を超えるイオン伝導率を有する。場合によっては、イオン伝導性材料は、10-7Scm-1を超えるイオン伝導率を有する。場合によっては、イオン伝導性材料は、10-6Scm-1を超えるイオン伝導率を有する。
【0021】
焼結助剤のイオン伝導率は、バルク形態で提供されるイオン伝導性材料の25℃における電気化学インピーダンス分光法によって得られるナイキストプロットの分析によって決定されてよい。
【0022】
焼結助剤は、酸化物、炭酸塩(LiCOを含む)、水素化物(LiBHを含む)、ハロゲン化物(LiF、LiCl、LiBr、およびLiIを含む)、ケイ酸塩(LiSiOを含む)、アルカリ金属水酸化物(LiOHなど)、およびそれらの混合物からなる群から選択される化合物を含んでよい。
【0023】
場合によっては、焼結助剤は、LiOH-NaOH共晶などの材料の共晶混合物を含んでよい。
【0024】
場合によっては、焼結助剤は、成分元素として、リチウム、ホウ素、および任意で炭素を含んでよい。例えば、焼結助剤は、LiBOを含んでよい(LiBOは、約6.0×10-8S/cmのイオン伝導率および約800℃の融点を有することが示されている)。
【0025】
場合によっては、焼結助剤は、Li3-x1-x(0<x<1)を含んでよい。例えば、Li2.20.80.2は、約8.0×10-7S/cmのイオン伝導率および約685℃の融点を有することが示されている。Li3-x1-x(0.5<x<0.99)は、680℃から750℃の範囲の融点を有することが示されている。
【0026】
構成要素が電池セル用の電極であり、セラミック材料が電極活物質である場合、スラリー中の焼結助剤の量は、スラリー中の電極活物質、電解質材料および焼結助剤の総量に対して1-50重量%の範囲にあり、2-30重量%の範囲にあることが好ましい。
【0027】
構成要素が電池セル用の電極であり、セラミック材料が電極活物質である場合、焼結助剤は、電極活物質および/または電解質材料の個々の粒子を少なくとも部分的に覆うコーティングの形態でスラリー中に存在してよい。
【0028】
誤解を避けるために言うと、焼結助剤は、25℃で固体である。
【0029】
一般に、シート上にスラリーを堆積させるステップの前に、シートを基板(または支持面)に固定することが好ましい。このことは、シート(加えて構成要素の面)が、略平面であることを保証するのに役立つ。このことは、構成要素が電池セル用の電極である場合、電池内の正極と負極とを隔てる電解質の厚さを実質的に一定にするのに役立ち、それ故、2つの電極間の短絡のリスクを軽減させることに役立つため、特に好ましい。
【0030】
典型的には、シートは、ポリマーベースの接着剤、例えば、粘着テープを用いて基板に固定される。
【0031】
場合によっては、スラリーは、シート間プロセスによってシート上に堆積される。シート間プロセスは、通常、断続的なプロセスであり、テープキャスティング法、スクリーン印刷法などのプロセスを含む場合がある。他の場合には、堆積プロセスは、ロール間プロセスであってよい。ロール間プロセスは、典型的には、連続プロセスであり、コンマバー法、Kバー法、ドクターブレード法、スロットダイ法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、凹版印刷法、および平版印刷コーティング法などのプロセスを含んでよい。これらのプロセスの詳細な説明および要件は、「The Printing Ink Manual」R.H. Leach and R.J. Pierce eds. 5thed 1993 (ISBN 0 9448905 81 6)に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0032】
一般に、複数の厚さ方向の開口部を有するシートは、電子導電性シートである。例えば、シートは、金属または合金を含んでよい。場合によっては、シートは、鉄または鋼(ステンレス鋼、すなわち、少なくとも10重量%のクロムを含有する鋼を含む)を含んでよい。例えば、シートは、クロム、ニッケル、モリブデンを含有するステンレス鋼を含んでよい。場合によっては、ステンレス鋼は、15~20重量%のクロム、10~15重量%のニッケル、および1~5重量%のモリブデンを含んでよい。場合によっては、ステンレス鋼は炭素含有量が低く、すなわち0.05重量%以下、場合によっては0.03重量%以下であってよい。
【0033】
構成要素が電池セル用の電極であり、セラミック材料が電極活物質である場合、このような導電性シートは、電極の集電体を置き換えてよく、および/またはスラリーに追加の導電性成分を含める必要性を低減または排除してよい。これにより、電池セルのエネルギー密度を増加させてよい。さらに、シートの一部または全部が電極活物質に埋め込まれているため、電極活物質とシートとの間の界面接触面積は、集電体が電極との平面界面を有する別個の層として設けられる構成と比較して増大してよい。これにより、電池セルの内部抵抗が低減されてよい。
【0034】
このような場合、スラリー中の追加の電子伝導性成分の量は、電極活物質の粒子の総体積に対して10体積%未満であってよい。好ましくは、スラリー中の追加の電子伝導性成分の量は、電極活物質の粒子の総体積に対して5体積%未満である。より好ましくは、スラリー中の追加の電子伝導性成分の量は、電極活物質の粒子の総体積に対して2体積%未満である。さらにより好ましくは、スラリー中の追加の電子伝導性成分の量は、電極活物質の粒子の総体積に対して1体積%未満であってよい。
【0035】
追加の電子伝導性成分が存在する場合、典型的には、25℃でのDC減衰測定によって測定される少なくとも10-4Scm-1の電子伝導性を有する。特定の実施形態では、追加の電子伝導性成分の電子伝導度は、少なくとも10-3Scm-1であってよい。特定の実施形態では、追加の電子伝導性成分の電子伝導度は、少なくとも10-2Scm-1であってよい。特定の実施形態では、追加の電子伝導性成分の電子伝導度は、少なくとも10-1Scm-1であってよい。特定の実施形態では、追加の電子伝導性成分の電子伝導率は、少なくとも1Scm-1であってよい。特定の実施形態では、追加の電子伝導性成分の電子伝導率は、少なくとも10Scm-1であってよい。
【0036】
電子伝導性成分が存在する場合、典型的には、カーボンブラック、アセチレンブラック、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー、窒化チタン、インジウムスズ酸化物、酸化アンチモン錫、五酸化バナジウム、非化学量論的窒化モリブデン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛、炭化タンタルおよびそれらの混合物からなる群から選択される材料を含んでよい。あるいは、電子伝導性成分は、金属粉末によって提供されてよい。
【0037】
一般に、複数の厚さ方向の開口部を有するシートは、織られたメッシュによって提供される。一般に、金属または金属合金のストランドを含む織られたメッシュは、さまざまな種類で市販されており、ストランドに垂直な方向で測定された単位距離当たりのストランド数が異なる。メッシュの単位距離あたりのストランド数が少ない場合、個々のストランドの厚さが厚くなる傾向があり、これにより、単位面積あたりのメッシュ重量が大きくなる傾向がある。したがって、一般に、メッシュの単位距離あたりのストランド数が非常に少ないものを避けることが好ましい。
【0038】
典型的には、織られたメッシュは、ストランドに垂直な方向で測定した場合、1cm当たり5-500本のストランドを有する。場合によっては、織られたメッシュは、ストランドに垂直な方向で測定した場合、1cm当たり30-250本のストランドを有する。他の場合には、織られたメッシュは、ストランドに垂直な方向で測定した場合、1cmあたり30-100本のストランドを有する。
【0039】
メッシュの織り方は特に限定されない。典型的には、織り方は平織りであり、各ストランドが、それに対して横方向に配向されたストランドの上と下とを交互に通過する。
【0040】
一般に、シートにおける複数の厚さ方向の開口部は、10~1000μmの範囲の幅を有する。例えば、複数の開口部は、10~200μmの範囲の幅を有していてよい。場合によっては、複数の開口部は、50~200μmの範囲の幅を有していてよい。
【0041】
開口部の幅は、シートの平面における開口部の小さい方の寸法である。典型的には、複数の開口部は、正方形の形状を有する。このような場合、開口部の幅は、正方形の一辺の長さに相当する。場合によっては、複数の開口部は、円形であってよい。このような場合、開口部の幅は、円の直径に相当する。場合によっては、複数の開口部は、長方形の形状を有していてよい。このような場合、開口部の幅は、長方形の短辺の長さに相当する。
【0042】
一般に、複数の開口部は、規則的な配列で配置される。
【0043】
場合によっては、複数の厚さ方向の開口部を有するシートは、格子などの複数の厚さ方向の穿孔を有するシートによって提供されてよい。
【0044】
誤解を避けるために言うと、「厚さ方向の開口部」という用語は、シートの第1の面からシートの対向する第2の面まで、シートの横方向に直接延びる開口部として定義されてよい。
【0045】
構成要素が電池セル用の電極であり、セラミック材料が電極活物質である場合、電極活物質の選択は、特に限定されない。
【0046】
通常、電極が電池セルのアノードとして使用されることが意図されている場合、電極活物質は、リチウム、シリコン、炭素、スズ、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ホウ素、鉄などの元素、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。あるいは、電極活物質は、これらの元素のリン酸塩、窒化物、および/または酸化物を含んでよい。アノードに使用可能な化合物の具体例としては、リチウムチタン酸化物(LiTi12またはLiTiO)およびSnOが挙げられる。
【0047】
逆に、通常、電極が電池セルのカソードとして使用されることが意図されている場合、
電極活物質は、リチウムのカチオンおよび1つ以上の遷移金属と、酸化物アニオン、硫化物アニオン、およびポリアニオンからなる群から選択されるアニオンと、を含む化合物である。適切なポリアニオンの一例としては、リン酸塩、POF、およびSOFが含まれる。
【0048】
例えば、電極が電池セルのカソードとして使用されることが意図されている場合、電極活物質は、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(LiNi0.8Co0.15Al0.05)、コバルト酸リチウム(LiCoO)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)、リチウムマンガンニッケル酸化物(LiMn1.5Ni0.5)、リン酸コバルトリチウム(LiCoPO)、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物(LiNiCoMn、x>0、y>0、z>0、x+y+z=1)、酸化バナジウム(V)、LiVOPO、Li(PO、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。例えば、電極が電池セルのカソードとして使用されることが意図されている場合、TiS、NbSe、LiTiS、およびそれらの組み合わせなどの金属カルコゲナイドもまた、適切な電極活物質を提供し得る。
【0049】
アノードおよびカソードの両方に適した電極活物質の説明は、Nitta et al. Materials Today, 2015, 18, 252-264に記載されているものであってよく、参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
通常、セラミック材料の粒子は、ISO 13320:2020に従って、粒子の分散液のレーザー回折を使用して測定した場合、10nmから50μmの範囲のd50サイズを有する。例えば、セラミック材料の粒子は、100nmから40μmの範囲のd50サイズを有してよい。場合によっては、セラミック材料の粒子は、1-40μmの範囲のd50サイズを有してよい。場合によっては、セラミック材料の粒子は、2-20μmの範囲のd50サイズを有してよい。
【0051】
構成要素が電池セル用の電極であり、セラミック材料が電極活物質である場合、場合によっては、電解質材料の粒子がスラリー中に存在する。これは、得られる電極のイオン伝導性を高めるのに役立つ可能性があります。電解質材料の選択は、特に限定されない。典型的には、電解質材料はリチウム含有電解質材料である。例えば、電解質材料は、リチウムガーネット電解質材料であってよい。場合によっては、電解質材料は、リチウム含有酸化物材料であってよい。例えば、電解質材料は、リチウムランタン酸化ジルコニウム(LLZO)およびカチオンドープLLZOからなる群から選択されてよく、そして、カチオンドーパントは、タンタル、バリウム、イットリウム、亜鉛、ニオブ、 アルミニウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、ガリウム、チタン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。
【0052】
典型的に、電解質材料の粒子は、無機焼結助剤よりも大きなイオン伝導率を有する。一般に、電解質材料の粒子の融点は、900℃を超える。
【0053】
一般に、電解質材料の粒径は、電極活物質の粒径よりも小さい。
【0054】
典型的には、本発明の第1の態様に係る方法で形成されるスラリーは、有機結合剤相および有機結合剤相用の溶媒も含む。
【0055】
有機結合剤の選択は、堆積後焼結前にスラリーにある程度の機械的強度を与える機能を果たしていれば、特に限定されない。例えば、有機結合剤は、ビニルポリマー(ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブタノール、ポリ酢酸ビニル、および塩化酢酸ビニルを含む)、アクリルポリマー(ポリアクリル酸エステル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレートを含む)、セルロースバインダー(エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸酪酸セルロースを含む)、ポリプロピレンカーボネート、ポリエチレンカーボネート、およびポリエチレンオキシドからなる群から選択されてよい。好ましくは、有機結合剤は、エチルセルロース、ポリプロピレンカーボネート、ポリエチレンカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、およびカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される。
【0056】
一般に、スラリー中の有機結合剤の量は、スラリー中の固体材料の総量に対して1~20重量%の範囲、好ましくは5~15重量%の範囲である。
【0057】
溶媒は典型的には有機溶媒であり、テルピネオール、ベンジルアルコール、トルエン、キシレン、エタノール、メタノール、メチルエチルケトン、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルイソブチルエーテル、ネオペンチルグリコールモノイソ酪酸、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル酢酸エステル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールアセテート、酢酸2-ブトキシエチルエステル、酢酸2-エトキシエチルエステル、酢酸2-メトキシル基エチルエステル、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート(テキサノールTM)、C10-C40アルコール、乳酸エチル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、2エチルヘキサン酸、トリメチルヘキサン酸、テトラヒドロフルフリルアルコール、フルフリルアルコール、2-(ベンジルオキシ)エタノール、2-フェノキシエチルアルコール、2-(メトキシメトキシ)エタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチル酢酸エステル、ブチルカルビトールアセテート、フェニリウムエステル、フェノキシ基エチルヘキソエート、グリコールモノメチルフェニルエーテル、ジエチレングリコールフェニルエーテル、グリコールモノメチルベンジルエーテル、ジエチレングリコールシングルベンジルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ベンジルグリコール、フェニル酢酸メチルエステル、フェニル酢酸エチルエステル、安息香酸エチル、安息香酸メチル、ガンマ-ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチルピロリドン、N-メチルアセトアミド、エタンアミド、N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアミド、メタンアミド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。
【0058】
スラリーは、分散剤および/または可塑剤をさらに含んでもよい。
【0059】
典型的に、スラリーは、焼結後の構成要素の厚さがシートの厚さよりも大きくなるような量でシート上に堆積される。すなわち、典型的には、シートの開口部に浸透するスラリーの量は、堆積されるスラリーの総量の一部にすぎない。一般に、スラリーは、焼結後の構成要素の厚さがシートの厚さより少なくとも30%大きくなるような量でシート上に堆積される。場合によっては、焼結後の構成要素の厚さは、シートの厚さより少なくとも50%大きくなる。場合によっては、焼結後の構成要素の厚さは、シートの厚さより少なくとも80%大きくなる。
【0060】
場合によっては、シートは、例えば、ポリマーベースの接着剤によって基板に直接固定されるのではなく、マスクによって間接的に基板(または支持面)に固定される。このような場合、本方法は、シート上にスラリーを堆積させるステップの前に、支持面およびマスクを提供するステップであって、マスクは少なくとも1つの窓を備えるステップと、シートの第1の面がマスクの方を向くように、支持面とマスクとの間にシートを配置するステップであって、シートの第1の部分を、マスクによって遮蔽し、シートの第2の部分を、マスクの窓を通して露出させるステップと、マスクを支持面に可逆的に固定するステップと、をさらに含む。
【0061】
一般に、マスクは、磁気手段を使用して支持面に可逆的に固定される。すなわち、典型的には、マスクおよび支持面のうちの一方は、磁化されており、マスクおよび支持面のうちの他方は、磁性材料を含む。好ましい場合には、支持面は、磁化されており、マスクは、磁性材料、例えば、強磁性鋼を含む。これにより、薄いマスクを設けることができ、シート上にスラリーを堆積させるプロセスが容易になる可能性があると考えられる。
【0062】
場合によっては、マスクは、1つまたは複数の機械的締結具を使用して支持面に可逆的に固定されてよい。しかしながら、機械的締結具がスラリーの堆積を妨げる可能性があると考えられるため、これはあまり好ましくない。
【0063】
場合によっては、この方法は、スラリーを堆積させるステップとスラリーを焼結するステップとの間に、以下のステップをさらに含んでよい。マスクを支持面から取り外すステップと、シートの第1の面が、支持面の方を向くようにシートを裏返すステップと、マスクをシートの上に置き、マスクを支持面に可逆的に固定するステップと、セラミック材料の粒子を含むスラリーの追加量を、シートの第1の面の反対側であるシートの第2の面の一部の上に堆積させるステップと、をさらに含んでよい。
【0064】
典型的には、シートを反転させるステップの前に、堆積させたスラリーを乾燥させて、スラリーの液相の少なくとも一部を蒸発させる。
【0065】
好ましくは、スラリーは、第1の厚さに堆積され、追加量のスラリーは、第2の厚さに堆積され、第1の厚さと第2の厚さとの比は、0.5-2の間にある。したがって、シートは構成要素の実質的な中心面に配置されてよい。これは、シートが導電性であり、集電体として機能する場合に、特に有利である可能性がある。
【0066】
場合によっては、この方法は、シートの第1の部分がマスクによって遮蔽されるように、マスクによって支持面に間接的に固定されたシート上にスラリーを堆積させるステップと、スラリーを焼結するステップとの間に、さらなるステップを含んでよい。マスクを支持面から取り外すステップと、シートの第1の部分の一部が、堆積したスラリーの上に重なるように、シートを曲げるステップと、シートの第1の部分の一部が、マスクの窓を通して露出されるように、マスクを支持面に可逆的に固定するステップと、セラミック材料の粒子を含むスラリーのさらなる量を、シートの第1の部分の露出部分上に堆積させるステップと、をさらに含んでよい。
【0067】
場合によっては、シートを曲げてマスクを支持面に可逆的に固定するステップの後、シートの第1の部分のさらなる一部がマスクによって遮蔽されるステップは、スラリーのさらなる量を堆積させるステップとスラリーを焼結するステップとの間に、以下のさらなるステップを含んでよい。マスクを支持面から取り外すステップと、シートの第1の部分のさらなる部分が、さらなる量のスラリーの上に、少なくとも部分的に重なるように、シートを曲げるステップと、シートの第1の部分のさらなる部分が、マスクの窓を通して、少なくとも部分的に露出されるように、マスクを支持面に可逆的に固定するステップと、セラミック材料の粒子を含むスラリーのさらなる量を、シートの第1の部分のさらなる部分の露出部分上に堆積させるステップと、をさらに含んでよい。
【0068】
これらの任意の方法ステップは、構成要素内で1回以上折り曲げられるシートを提供してよい。これは、シートが導電性であり、集電体として機能する場合、構成要素のバルク体積内での電子伝導を容易にすることができるため、特に有利である可能性がある。
【0069】
構成要素内で1回以上折り曲げられるシートを提供する別のアプローチは、複数の厚さ方向の開口部を有するシート上にスラリーを堆積させるステップの後であり、焼結するステップの前に、次のステップを含んでよい。シートの第1の部分がシートの第2の部分の上に重なり、シートの第1の部分と第2の部分との両方が、スラリーが堆積されたシートの領域内に位置するように、シートを折り畳むステップを含んでよい。一般に、シートを折り畳むステップの前に、堆積させたスラリーを乾燥させて、スラリーの液相の少なくとも一部を蒸発させる。典型的には、シートを折り畳むステップの後であるが、堆積させたスラリーを焼結するステップの前または最中に、シートの第1の部分および第2の部分の厚さ方向に、圧力が加えられる。
【0070】
第2の態様では、本発明は、以下のステップを含む電池セルの製造方法を提供することができる。本発明の第1の態様の方法に従って構成要素を製造するステップであって、構成要素は電極であり、セラミック材料は電極活物質であり、電極を基板に固定するステップと、電極上にさらなる電池層を堆積させるステップと、を含む。
【0071】
電極を基板に固定するステップは、本発明の第1の態様に関連して説明したように、ポリマーベースの接着剤を使用して実行されてよい。ただし、焼結電極は、通常、ポリマーベースの接着剤の代わりに、このステップでスポット溶接を使用できるのに十分な剛性を備えている。
【0072】
通常、電池セルは、固体電池セルである。
【0073】
第3の態様では、本発明は、エネルギー貯蔵装置またはエネルギー変換装置に使用するための構成要素を提供することができ、この構成要素は、本発明の第1の態様による方法を通じて取得される、または取得可能である。
【0074】
典型的には、構成要素は、複数の厚さ方向の開口部を有するシートが、部分的または全体的に埋め込まれた焼結セラミック含有体を含む。
【0075】
場合によっては、構成要素は、電池セルの電極である。このような場合、電極は、70~1000μmの範囲の厚さを有してよい。場合によっては、構成要素は、固体電池セルの電極である。
【0076】
第4の態様では、本発明は、エネルギー貯蔵装置またはエネルギー変換装置で使用するための構成要素を提供することができ、この構成要素は、第1の部分と第2の部分とを含み、第1の部分は、セラミック材料の粒子を含み、第2の部分は、複数の厚さ方向の開口部を有するシートによって提供され、第1の部分に少なくとも部分的に埋め込まれている。
【0077】
セラミックという用語は、無機の非金属材料を指す。セラミック材料は、電極活物質、電解質、圧電材料、太陽光発電材料、および熱電材料からなる群から選択されてよい。誤解を避けるために言うと、他の材料、例えば、さらなるセラミック材料の粒子も、第1の部分に存在してもよい。第2の部分は、第1の部分に部分的または全体的に埋め込まれていてよい。
【0078】
一般に、構成要素の厚さは、シートの厚さより大きくなる。例えば、構成要素の厚さは、シートの厚さより少なくとも30%大きくてよい。場合によっては、構成要素の厚さは、シートの厚さより少なくとも、50%大きい。場合によっては、構成要素の厚さは、シートの厚さより少なくとも、80%大きい。
【0079】
一般に、セラミック材料の粒子は、結合して自立したネットワークを提供する。事実上、第1の部分は、焼結したセラミック含有体によって提供されてよい。
【0080】
典型的に、構成要素は、電極である。
【0081】
場合によっては、構成要素は固体電池セルなどの電池セル用の電極であり、セラミック材料は電極活物質である。このような場合、電極は、電解質材料および/または他の成分の粒子をさらに含んでよい。電池セル用の電極は、70~1000μmの範囲の厚さを有してよい。
【0082】
典型的に、第1の部分は、本発明の第1の態様に関連して説明したような焼結助剤を含む。構成要素が電池セル用の電極であり、セラミック材料が電極活物質である場合、電極中の焼結助剤の量は、典型的には、電極活物質、電解質材料および焼結助剤の総量に対して1~50重量%の範囲、好ましくは2~30重量%の範囲である。このような場合、焼結助剤は、電極活物質および/または電解質材料の個々の粒子を少なくとも部分的に覆うコーティングの形態で存在してよい。
【0083】
複数の厚さ方向の開口部を有するシートは、本発明の第1の態様に関連して説明した対応するシートの任意選択の特徴の1つまたは複数を有してよい。
【0084】
シートが導電性シートであり、構成要素が電池セル用の電極である場合、電極の第1の部分における追加の電子伝導性成分を含める必要性を低減または排除してよい。このような追加の電子伝導性成分が存在する場合、追加の電子伝導性成分は、本発明の第1の態様の対応する成分に関して記載される任意の特徴の1つ以上を有してよく、および/または、本発明の第1の態様の対応する成分に関して記載される量で存在してもよい。
【0085】
構成要素が電池セル用の電極であり、セラミック材料が電極活物質である場合、電極活物質の粒子は、本発明の第1の態様に関連して説明した対応する粒子の任意の特徴の1つ以上を有し得る。電極の第1の部分が電解質材料の粒子をさらに含む場合、これらは、本発明の第1の態様に関連して説明された対応する粒子の任意の特徴の1つ以上を有してよい。
【0086】
第5の態様では、本発明は、本発明の第3または第4の態様に係る構成要素を含むエネルギー貯蔵装置またはエネルギー変換装置を提供してよい。装置は、電池、キャパシタ、燃料電池(固体酸化物燃料電池および高分子電解質燃料電池を含む)、光起電力装置、圧電装置、および熱電変換器からなる群から選択されてよい。
【0087】
第6の態様では、本発明は、本発明の第3または第4の態様による構成要素を含む固体電池セルを提供することができる。ここで、構成要素は電極であり、電池セルは電極の面上に配置された電解質層をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0088】
次に、以下の図を参照して本発明を例として説明する。
図1a】実施例1の焼結カソードの2つの面(上面および下面)の走査型電子顕微鏡写真を示している。
図1b】実施例1の焼結カソードの2つの面(上面および下面)の走査型電子顕微鏡写真を示している。
図2】実施例2の焼結カソードの電流対時間のグラフを示している。電流は、得られた最初の読み取り値に関して正規化されている。
図3】実施例3の焼結カソードの電流対時間のグラフを示している。電流は、得られた最初の読み取り値に関して正規化されている。
図4】比較例の焼結カソードの電流対時間のグラフを示している。電流は、得られた最初の読み取り値に関して正規化されている。
図5】本発明の一例に係る方法で使用するための装置の概略平面図を示している。
図6】本発明の第4の態様の第1の実施形態に係る構成要素の概略断面図を示している。
図7a】本発明の第4の態様の第2の実施形態に係る構成要素の概略断面図を示す。
図7b】構成要素を組み立てる前の、図7aの構成要素に設けられたメッシュの概略平面図を示している。
図8】本発明の第4の態様の第3の実施形態に係る構成要素の概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0089】
[陰極の準備]
表1に記載の成分からスラリーを調製した。
【表1】
【0090】
NMCカソード活物質は、化学式LiNi0.33Mn0.33Co0.33を有していた。
LLZTO電解質は、化学式Li6.4LaZr1.4Ta0.612を有していた。
LCBO焼結助剤は、化学式Li2.30.70.3を有しており、10gのLiCOと5gのLiBOとの混合物を、空気中で650℃で12時間加熱することによって調製された。
【0091】
粘着テープを使用して、織られた金属メッシュを固定基板に取り付けた。次に、スクリーン印刷プロセスを使用してスラリーを金属メッシュ上に流し込み、乾燥させた。乾燥前に、合計4~6層のスラリーを流し込んだ。
【0092】
サンプルを、Carbolite GSM1100 炉内において、アルゴン中で焼結した。
【0093】
ライカスパッタコーターを使用して、サンプルの上面に厚さ100nmの直径5mmの円形Auコンタクトをスパッタリングすることにより、焼結サンプルのインピーダンス測定を行った。次に、Solartronインピーダンスアナライザーでインピーダンスを測定した。
【0094】
電極の電子伝導度は、1Vの定電圧を印加し、1時間電流を測定することによって測定された。電流は Keithley Source Meter を使用して測定された。
【0095】
実施例のさらなる詳細を表2に記載する。
【表2】
【0096】
図1aおよび図1bは、実施例1のSEM画像を示している。これらは、カソードスラリーがメッシュに浸透し、制御された厚さを有する均質且つ緻密なフィルムを形成したことを示している。
【0097】
図2および図3は、焼結カソード全体に一定の電流が維持される可能性があることを示している。つまり、直流電流の減衰は観察されず、電子伝導ネットワークが確立されていることを意味している。
【0098】
[比較例]
表1のスラリーをステンレス鋼箔(すなわち、複数の厚さ方向の開口部を含まないシート)上に流し込んだ比較例を調製した。合計2層のスラリーを流し込み、サンプルを乾燥および焼結した。焼結試験片は、厚さを40μmとした。
【0099】
図4は、電極の厚さが実施例1~3の半分未満であるにもかかわらず、スラリー中に電子伝導性成分が存在しない場合に、顕著な直流電流の減衰が観察されることを示している。
【0100】
[電池セルの準備]
上述したように、カソードスラリーを調製し、メッシュサイズ200の織られたメッシュ上に流し込み、乾燥させた。
【0101】
上述したように、カソードスラリーの堆積前に、粘着テープを使用して織られたメッシュを固定基板に固定した。
【0102】
次に、LLZTOおよびLCBO粒子、結合剤相、ならびに溶媒から電解質スラリーを調製し、カソード層上に流し込み、乾燥させた。
【0103】
カソード層に関して、流し込まれて乾燥した2つの層を、上述した焼結条件と同じ焼結条件を使用して焼結した。
【0104】
焼結プロセスにより、織られたメッシュを固定するために使用された粘着テープが燃え尽きた。それ故、焼結後、カソードと電解質スタックとは、スポット溶接によって固定基板に固定された。
【0105】
次に、シリコン粒子を含むスラリーを電解質層上に堆積させ、乾燥させて電池セルを提供した。
【0106】
[実施例4]
図5を参照すると、電池セルのカソードなどの構成要素を準備するための装置10が示されている。この装置は、典型的には鋼板によって提供される支持面(図示せず)を備える。マスク12は、支持面上に配置される。マスク12は、窓14を備える。
【0107】
構成要素を準備するために、メッシュ16、例えば、表2に記載されるメッシュの1つが、マスク12と支持面との間に配置され、メッシュ16の第1の面がマスク12に面し、メッシュ16の第2の面が支持面に面するように配置される。メッシュ16の第1の部分は、マスク12の窓14を通して露出されるが、メッシュの第2の部分は、マスクによって遮蔽される。
【0108】
マスク12は、磁気手段によって支持面に可逆的に固定される。例えば、支持面の鋼板は磁化されていてもよく、マスク12は、強磁性ステンレス鋼などの強磁性材料を含んでよい。
【0109】
表1に記載のスラリーのような所定量のスラリーが、テープキャスティング法またはスクリーン印刷法によってマスク12上に堆積され、マスクの窓14を通して露出されるメッシュ16の部分に浸透する。次いで、この第1のスラリー層を、例えば、ベルト乾燥機上で乾燥させる。
【0110】
次いで、マスク12を支持面から取り外し、メッシュ16を裏返し、メッシュの第1の面が支持面に面するようにする。次に、マスク12は、窓14の位置が、スラリーが浸透したメッシュ16の部分と一致するように支持面に可逆的に固定される。次に、窓14を通して露出されるメッシュ16の部分を覆うように、第2のスラリー層がマスク12上に堆積される。
【0111】
2つのスラリー層を乾燥し、焼結する。続いて、メッシュ16をトリミングして、スラリーのない部分を大幅に除去するが、スラリー層から突出するメッシュタブを残したままにする。得られた構成要素18は、図6に示されており、トリミングされたメッシュ16aの反対側に位置する2つの焼結スラリー層20、22を示している。メッシュタブ16bにより、外部電気接続がメッシュに提供されることが可能になる。2つの焼結スラリー層20、22の厚さは、実質的に等しい。
【0112】
[実施例5]
図7aを参照すると、電池セルのカソードに適した構成要素40は、電極活物質の粒子を含む焼結部品42と、焼結部品に埋め込まれたメッシュ44と、を含む。図7bは、構成要素40の製造前のメッシュ44を示している。
【0113】
メッシュ44は、連結部分48によって接続された第1の部分46および第2の部分50を有する。メッシュの第1の部分46および第2の部分50は、表2に記載されたメッシュのうちの1つの特徴を有してよい。メッシュの連結部分は、メッシュの重量を軽減させるために、メッシュの複数のストランドにまたがる大規模な厚さ方向の開口部49を備える。
【0114】
構成要素40は、メッシュの第1の部分46上に第1のスラリー層を堆積させることによって調製される(スラリーは、表1に記載されたスラリーに対応してよい)。スラリーの堆積中、実施例4に関連して説明したように、メッシュは、マスクと支持面との間に固定され、メッシュが平らな状態を維持し、スラリーがメッシュの第1の部分にのみ堆積されることを保証する。
【0115】
次に、マスクがメッシュから除去され、第2の部分50が第1のスラリー層の上に重なるように、メッシュが連結部分48で曲げられる。得られたアセンブリは、実施例4に関して説明したように、マスクと支持面との間に配置され、メッシュがその屈曲形状に維持され、メッシュの第2の部分50がマスクの窓を通して露出される。次に、第2のスラリー層がメッシュの第2の部分50上に堆積される。
【0116】
[実施例6]
図8を参照すると、電池セルのカソードに適した構成要素60は、電極活物質の粒子を含む焼結部品62と、焼結部品に埋め込まれたメッシュ64と、を含む。
【0117】
メッシュ64は、互いに位置合わせされ、構成要素の厚さ方向に、互いに対して変位した第1の部分66、第2の部分70、および第3の部分74を備える。第1の部分66および第2の部分70は、第1の連結部分68によって連結され、第2の部分70および第3の部分74は、第2の連結部分72によって連結される。
【符号の説明】
【0118】
10 装置
12 マスク
14 窓
16 メッシュ
16a トリミングされたメッシュ
16b メッシュタブ
18 構成要素
20 焼結スラリー層
22 焼結スラリー層
40 構成要素
42 焼結部品
44 メッシュ
46 第1の部分
48 連結部分
49 開口部
50 第2の部分
60 構成要素
62 焼結部品
64 メッシュ
66 第1の部分
68 第1の連結部分
70 第2の部分
72 第2の連結部分
74 第3の部分
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8
【国際調査報告】