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特表2024-518876低抵抗率スピンホール効果(SHE)書き込みラインを有するスピン軌道トルク(SOT)磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】低抵抗率スピンホール効果(SHE)書き込みラインを有するスピン軌道トルク(SOT)磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)
(51)【国際特許分類】
   H10B 61/00 20230101AFI20240426BHJP
   H01L 29/82 20060101ALI20240426BHJP
   H10N 50/10 20230101ALI20240426BHJP
【FI】
H10B61/00
H01L29/82 Z
H10N50/10 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562161
(86)(22)【出願日】2022-05-11
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 EP2022062791
(87)【国際公開番号】W WO2022248224
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】17/331,941
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(74)【復代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フルジェ、ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】フーサメディン、ディミトリ
(72)【発明者】
【氏名】シエ、ルイロン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、カングオ
【テーマコード(参考)】
4M119
5F092
【Fターム(参考)】
4M119AA01
4M119AA19
4M119AA20
4M119BB01
4M119BB20
4M119CC05
4M119CC10
4M119DD09
4M119DD24
4M119JJ03
4M119JJ04
4M119JJ12
4M119JJ14
5F092AA04
5F092AA06
5F092AA11
5F092AA20
5F092AC12
5F092AC26
5F092BB16
5F092BB22
5F092BB23
5F092BB24
5F092BB35
5F092BB36
5F092BB42
5F092BB43
5F092BB44
5F092BC03
5F092BC07
5F092CA02
5F092CA03
5F092CA08
5F092CA20
(57)【要約】
低抵抗率スピンホール効果(SHE)書き込みラインを有するスピン軌道トルク(SOT)磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)本発明の実施形態は、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)構造を製造する方法及び結果として得られる構造を含む。第1のタイプの金属は、複数の埋め込みコンタクトを有する層間誘電体層上に形成され、ここで上記第1のタイプの金属は、スピンホール効果(SHE)性質を示す。少なくとも1つのスピン軌道トルク(SOT)MRAMセルが、第1のタイプの金属上に形成される。上記少なくとも1つのSOT-MRAMセルを囲んでいる1又は複数の凹部は、上記第1のタイプの金属の露出された部分を凹化させることによって生成される。第2のタイプの金属は、1又は複数の凹部において形成され、上記第2のタイプの金属は、上記第1のタイプの金属より低い抵抗率を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交互のタイプの金属を含む書き込みライン、ここで:
前記交互のタイプの金属のうち第1のタイプの金属は、スピンホール効果(SHE)性質を示しており;
前記交互のタイプの金属のうち第2のタイプの金属は、前記第1のタイプの金属より低い抵抗率を有している;
書き込みラインの頂部におけるスピン軌道トルク(SOT)MRAMセル、ここで、前記SOT-MRAMセルの自由層は前記第1のタイプの金属に接触している
を備える、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)構造。
【請求項2】
1つのSOT-MRAMセルは、前記書き込みラインの前記交互のタイプの金属に沿って前記第1のタイプの金属が発生する度にその頂部にある、請求項1に記載のMRAM構造。
【請求項3】
前記SOT-MRAMセルは、トンネル障壁によって分離された基準層及び自由層を含む、請求項1に記載のMRAM構造。
【請求項4】
前記書き込みラインに接触している複数のコンタクトをさらに含む、請求項1に記載のMRAM構造。
【請求項5】
前記第2のタイプの金属は、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)、及びコバルト(Co)から成るグループから選択された、請求項1に記載のMRAM構造。
【請求項6】
前記第1のタイプの金属は、スピン軌道インタラクションが強い重金属/合金である、請求項1に記載のMRAM構造。
【請求項7】
前記SOT-MRAMセルの側壁上に誘電体層をさらに含む、請求項1に記載のMRAM構造。
【請求項8】
前記SOT-MRAMセルの頂面に接触しているコンタクトをさらに含む、請求項1に記載のMRAM構造。
【請求項9】
平面に沿った前記書き込みラインの幅は、前記平面に沿った前記SOT-MRAMセルの幅より小さい、請求項1に記載のMRAM構造。
【請求項10】
平面に沿った前記書き込みラインの幅は、前記平面に沿った前記SOT-MRAMセルの幅より大きい、請求項1に記載のMRAM構造。
【請求項11】
複数の埋め込みコンタクトを有する層間誘電体層上に第1のタイプの金属を形成する段階、ここで、前記第1のタイプの金属はスピンホール効果(SHE)性質を示す;
前記第1のタイプの金属上に少なくとも1つのスピン軌道トルク(SOT)MRAMセルを形成する段階;
前記第1のタイプの金属の露出された部分を凹化させることによって前記少なくとも1つのSOT-MRAMセルを囲んでいる1又は複数の凹部を生成する段階;及び
前記1又は複数の凹部において第2のタイプの金属を形成する段階;ここで、前記第2のタイプの金属は前記第1のタイプの金属より低い抵抗率を有している
を備える、方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのSOT-MRAMセルを囲んでいる前記1又は複数の凹部を生成する前に:
前記第1のタイプの金属の露出された部分上の誘電体層、及び前記SOT-MRAMセルを形成する段階;及び
前記誘電体層の一部を除去して、その結果、残りの前記誘電体層が前記少なくとも1つのSOT-MRAMセルの側壁上にのみ存在するようにする段階
をさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のタイプの金属の露出された部分を凹化させることは、ウェットエッチング及びドライエッチングから成るグループから選択されたエッチングプロセスを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つのSOT-MRAMセルの頂面に接触しているコンタクトを形成する段階をさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のタイプの金属は、スピン軌道インタラクションが強い重金属/合金である、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記第2のタイプの金属は、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)、及びコバルト(Co)から成るグループから選択された、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
複数の埋め込みコンタクトを有する層間誘電体層上に第1のタイプの金属を形成する段階、ここで、前記第1のタイプの金属はスピンホール効果(SHE)性質を示す;
前記第1のタイプの金属の1又は複数の部分が露出されるように、前記第1のタイプの金属上にハードマスク層をパターニングする段階;
前記第1のタイプの金属の前記露出された1又は複数の部分を除去する段階;
前記第1のタイプの金属が除去された位置に犠牲誘電体層を形成して、その結果、前記犠牲誘電体層の頂面が前記第1のタイプの金属の前記頂面と同一平面上にあるようにする段階;
少なくとも1つのスピン軌道トルク(SOT)MRAMセルを形成して、その結果、前記少なくとも1つのSOT-MRAMセルの自由層が前記第1のタイプの金属に接触するようにする段階;
前記犠牲誘電体層を除去することによって1又は複数の凹部を生成する段階;及び
前記1又は複数の凹部において第2のタイプの金属を形成する段階、ここで、前記第2のタイプの金属は、前記第1のタイプの金属より低い抵抗率を有する
を備える方法。
【請求項18】
前記1又は複数の凹部を生成する前に:
前記犠牲誘電体層の露出された部分の上の誘電体層、及び前記SOT-MRAMセルを形成する段階;及び
前記誘電体層の一部を除去して、その結果、残りの前記誘電体層が前記少なくとも1つのSOT-MRAMセルの側壁上にのみ存在するようにする段階
をさらに備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つのSOT-MRAMセルを形成する段階は:
前記第1のタイプの金属及び前記犠牲誘電体層の上に磁気トンネル接合スタックを形成する段階;及び
前記少なくとも1つのSOT-MRAMセルを形成するために、イオンビームエッチングを利用して前記磁気トンネル接合スタックの一部を選択的に除去する段階
を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のタイプの金属は、スピン軌道インタラクションが強い重金属/合金であり;
前記第2のタイプの金属は、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)、及びコバルト(Co)から成るグループから選択された
請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)デバイス及び製造の分野に関しており、より具体的には、複数の金属で形成されたスピンホール効果(SHE)ラインを利用したスピン軌道トルク(SOT)MRAMデバイスの製造に関する。
【0002】
MRAMは、データを磁気ドメインに記憶する不揮発性ランダムアクセスメモリ(RAM)の一種である。従来のRAM技術と異なり、MRAM内のデータは電荷又は電流が流れる際に記憶されないが、薄い絶縁層によって分離された各々が磁化を保持し得る2つの強磁性プレートで形成された磁気ストレージ要素によって記憶される。上記2つのプレートのうち1つは、特定の極性に設定された永続的な磁石である。その他のプレートの磁化は、メモリを記憶する外部フィールドのそれに一致するように変更され得る。
【0003】
スピン移行トルクMRAM(STT-MRAM)は、リーク電力消費がゼロに近い不揮発性メモリであり、これはスタティックRAM(SRAM)及びダイナミックRAM(DRAM)などの電荷ベースのメモリに比べて主要な利点である。STT-MRAMは、スピン整列された(例えば、偏光された)電子を使用してドメインを直接トルクする2端子デバイスである。具体的には、層に流れる電子がそれらのスピンを連鎖させる必要がある場合、これは近傍の層に伝達されるトルクを発生させるであろう。これは、セルを書き込むために必要な電流の量を減らし、読み出しプロセスとほぼ同じくする。
【0004】
スピン軌道トルク(SOT)MRAMは、メモリの読み出し及び書き込み経路を分離する。SOT-MRAMデバイスは、磁気トンネル接合(MTJ)に電流が垂直に注入されるとともに読み出し及び書き込み動作が同じ経路を通じて実行されるSTT-MRAMと異なり、隣接のSOT層において面内電流を注入することによって行われる自由磁性層の切り替えを特徴とする。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態は、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)構造を製造する方法及び結果として得られる構造を含む。第1のタイプの金属は、複数の埋め込みコンタクトを有する層間誘電体層上に形成され、ここで第1のタイプの金属は、スピンホール効果(SHE)性質を示す。少なくとも1つのスピン軌道トルク(SOT)MRAMセルが、第1のタイプの金属上に形成される。少なくとも1つのSOT-MRAMセルを囲んでいる1又は複数の凹部は、第1のタイプの金属の露出された部分を凹化させることによって生成される。第2のタイプの金属は、1又は複数の凹部において形成され、第2のタイプの金属は、第1のタイプの金属より低い抵抗率を有する。
【0006】
本発明の実施形態は、MRAM構造を製造する別の方法及び結果として得られる構造も含む。第1のタイプの金属は、複数の埋め込みコンタクトを有する層間誘電体層上に形成され、ここで第1のタイプの金属は、SHE特性を示す。ハードマスク層は、第1のタイプの金属上にパターニングされ、その結果、第1のタイプの金属の1又は複数の部分が露出される。第1のタイプの金属の露出された1又は複数の部分は除去される。犠牲誘電体層は、第1のタイプの金属が除去された位置において形成され、その結果犠牲誘電体層の頂面が第1のタイプの金属の頂面と同一平面上になる。少なくとも1つのSOT-MRAMセルが形成され、その結果、少なくとも1つのSOT-MRAMセルの自由層が第1のタイプの金属と接触する。1又は複数の凹部は、犠牲誘電体層を除去することによって生成される。第2のタイプの金属は、1又は複数の凹部において形成され、ここで、第2のタイプの金属は、第1のタイプの金属より低い抵抗率を有する。
【0007】
本発明の態様によると、交互のタイプの金属を含む書き込みライン、ここで:前記交互のタイプの金属のうち第1のタイプの金属は、スピンホール効果(SHE)性質を示しており;前記交互のタイプの金属のうち第2のタイプの金属は、前記第1のタイプの金属より低い抵抗率を有している;前記書き込みラインの頂部におけるスピン軌道トルク(SOT)MRAMセル、ここで、前記SOT-MRAMセルの自由層は前記第1のタイプの金属に接触している、を備える、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)構造が提供されている。
【0008】
本発明の別の態様によると、複数の埋め込みコンタクトを有する層間誘電体層上に第1のタイプの金属を形成する段階、ここで、前記第1のタイプの金属はスピンホール効果(SHE)性質を示す;前記第1のタイプの金属上に少なくとも1つのスピン軌道トルク(SOT)MRAMセルを形成する段階;前記第1のタイプの金属の露出された部分を凹化させることによって前記少なくとも1つのSOT-MRAMセルを囲んでいる1又は複数の凹部を生成する段階;及び、前記1又は複数の凹部において第2のタイプの金属を形成する段階;ここで、前記第2のタイプの金属は前記第1のタイプの金属より低い抵抗率を有している、を含む、方法が提供されている。
【0009】
本発明の別の態様によると、複数の埋め込みコンタクトを有する層間誘電体層上に第1のタイプの金属を形成する段階、ここで、前記第1のタイプの金属はスピンホール効果(SHE)性質を示す;前記第1のタイプの金属の1又は複数の部分が露出されるように、前記第1のタイプの金属上にハードマスク層をパターニングする段階;前記第1のタイプの金属の前記露出された1又は複数の部分を除去する段階;前記第1のタイプの金属が除去された位置に犠牲誘電体層を形成して、その結果、前記犠牲誘電体層の前記頂面が前記第1のタイプの金属の前記頂面と同一平面上にあるようにする段階;少なくとも1つのスピン軌道トルク(SOT)MRAMセルを形成して、その結果、前記少なくとも1つのSOT-MRAMセルの自由層が前記第1のタイプの金属に接触するようにする段階;前記犠牲誘電体層を除去することによって1又は複数の凹部を生成する段階;及び、前記1又は複数の凹部において第2のタイプの金属を形成する段階、ここで、前記第2のタイプの金属は、前記第1のタイプの金属より低い抵抗率を有する、を含む方法が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る、向きを定義するとともに他の図がそれらの向きを基準とする平面を特定する、スピン軌道トルク(SOT)磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)デバイスの単純構造の上面図を示す。
【0011】
図2A図1の区切り線Aに沿った断面図を示す。
図2B】本発明の実施形態に係る、層間絶縁膜(ILD)及び本発明の実施形態が製造され得る埋め込みコンタクトを含む構造の、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。
【0012】
図3A図1の区切り線Aに沿った断面図を示す。
図3B】本発明の実施形態に係る、スピンホール効果(SHE)金属層を形成するプロセスの、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。
【0013】
図4A図1の区切り線Aに沿った断面図を示す。
図4B】本発明の実施形態に係る、ハードマスク層を形成して、続いて、SHE金属ラインをパターニングするためにSHE金属層の一部を除去するプロセスの、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。
【0014】
図5A図1の区切り線Aに沿った断面図を示す。
図5B】本発明の実施形態に係る、SHE金属層によって先に占められた領域を占めるために追加のILD材料を堆積するプロセスの、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。
【0015】
図6A図1の区切り線Aに沿った断面図を示す。
図6B】本発明の実施形態に係る、磁気トンネル接合(MTJ)スタックを堆積するプロセスの、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。
【0016】
図7A図1の区切り線Aに沿った断面図を示す。
図7B】本発明の実施形態に係る、MTJスタック内に凹部を形成して複数の分離されたMTJスタックを生成するプロセス、及び誘電体スペーサ材料層の形成の、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。
【0017】
図8A図1の区切り線Aに沿った断面図を示す。
図8B】本発明の実施形態に係る、誘電体スペーサ材料層の一部を除去するプロセスの、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。
【0018】
図9A図1の区切り線Aに沿った断面図を示す。
図9B】本発明の実施形態に係る、ILD層によって囲まれた凹部を生成するためにSHE金属層の一部を除去するプロセスの、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。
【0019】
図10A図1の区切り線Aに沿った断面図を示す。
図10B】本発明の実施形態に係る、凹部内に低抵抗率金属を堆積するプロセスの、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。
【0020】
図11A図1の区切り線Aに沿った断面図を示す。
図11B】本発明の実施形態に係る、さらなるILD、及びさらなるILD内のコンタクトを形成するプロセスの、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。
【0021】
図12A図1の区切り線Aに沿った断面図を示す。
図12B】本発明の実施形態に係る、MTJスタックのそれより小さい限界寸法を有するSHE書き込みラインを含む代替的な実施形態の、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。
【0022】
図13A図1の区切り線Aに沿った断面図を示す。
図13B】本発明の実施形態に係る、ハードマスク層を形成して、続いて、SHE金属層の一部を除去するプロセスの、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。
【0023】
図14A図1の区切り線Aに沿った断面図を示す。
図14B】本発明の実施形態に係る、犠牲誘電体層を形成するプロセスの、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。
【0024】
図15A図1の区切り線Aに沿った断面図を示す。
図15B】本発明の実施形態に係る、MTJスタックを堆積するプロセスの、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。
【0025】
図16A図1の区切り線Aに沿った断面図を示す。
図16B】本発明の実施形態に係る、MTJスタック内に凹部を形成して複数の分離されたMTJスタックを生成し、誘電体スペーサ材料を形成するプロセスの、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。
【0026】
図17A図1の区切り線Aに沿った断面図を示す。
図17B】本発明の実施形態に係る、誘電体スペーサ材料の一部を除去するプロセスの、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。
【0027】
図18A図1の区切り線Aに沿った断面図を示す。
図18B】本発明の実施形態に係る、犠牲誘電材料を除去するプロセスの、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。
【0028】
図19A図1の区切り線Aに沿った断面図を示す。
図19B】本発明の実施形態に係る、低抵抗率金属を堆積するプロセスの、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。
【0029】
図20A図1の区切り線Aに沿った断面図を示す。
図20B】本発明の実施形態に係る、さらなるILD、及びさらなるILDにおけるコンタクトを形成するプロセスの、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施形態は、スピン移行トルク磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(STT-MRAM)が、読み出し及び書き込みの両方に1つの経路を使用する2端子デバイスであることを認識している。本発明の実施形態は、単一の読み出し/書き込み経路を有するということは、読み出しの信頼性を損ない得ること、及び、書き込み電流がデバイスの磁気トンネル接合(MTJ)に対してストレスを与え、メモリセルの時間依存的劣化に繋がり得ることを認識する。本発明の実施形態は、スピン軌道トルク(SOT)磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)デバイスが、メモリの読み出し及び書き込み経路を分離して、デバイスの耐久性及び読み出しの安定性を向上させることを認識している。しかしながら、SOT-MRAMのデバイス設置面積は、典型的には、STT-MRAMより大きい。本発明の実施形態は、同じスピンホール効果(SHE)書き込みライン上の複数のMRAMセルを統合してセル間の駆動トランジスタを共有することが集積密度を向上させるが、(i)2つの駆動トランジスタの間のラインの全体的な長さが増加する、(ii)SHE書き込みラインは、標準のミドルオブライン(MOL)/バックエンドオブライン(BEOL)金属(例えば、銅(Cu)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru))より高い抵抗率を有するSHE特性を示す重金属(例えば、タングステン(W)、タンタル(Ta)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、金‐タングステン合金(AuW))を使用して形成される必要があり、全体的なSHE書き込みラインの抵抗率の増加に繋がり、したがって、固有のMTJ TMRと直列なより著しい寄生抵抗を追加することによって、単位セル毎の平均電力消費における増加並びにビットセルトンネル磁気抵抗(TMR)(すなわち、読み出しマージン)の劣化をもたらすというなどの問題をもたらすことを認識している。
【0031】
本発明の実施形態は、抵抗率を減らすために、複数のMRAMセルを、複数の金属によって形成されたSHEライン上に統合するSOT-MRAMデバイスについて説明している。より具体的には、SHEラインは、各MRAMセルの自由層と直接接触しているSHE特性を示す第1のタイプの金属を含み、その一方で、第1のタイプの金属と接触しているMRAMセルの中間(in-between)に低抵抗率金属を含む。
【0032】
特許請求の範囲における構造及び方法の詳細な実施形態を本明細書において開示する。しかしながら、開示されている実施形態は、様々な形態で具現化され得る特許請求の範囲における構造及び方法の例示に過ぎないことが理解されるべきである。加えて、様々な実施形態に関連して与えられる例の各々は、限定的なものではなく、例示的なものとして意図されている。さらに、各図は必ずしも原寸に比例しているわけではなく、一部の特徴は特定のコンポーネントの詳細を示すために誇張されていることがある。したがって、本明細書において開示される特定の構造及び機能上の詳細は、限定的なものとしてではなく、本開示の方法及び構造を様々に使用することを当業者に教示するための代表的基礎として解釈されるに過ぎない。また、同様且つ対応する要素は同様の参照符号によって参照されることに留意されたい。
【0033】
以下の説明では、本願の様々な実施形態の理解を提供するために、特定の構造、コンポーネント、材料、寸法、処理段階、及び技法等の、多数の具体的な詳細が記載される。しかし、これらの具体的詳細なしで、本願の様々な実施形態を実施することができることを当業者は理解するであろう。他の例では、本願を不明瞭にすることを避けるために、周知の構造又は処理段階を詳細に説明していない。
【0034】
「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示的な実施形態」等への本明細書における言及は、説明された実施形態が特定の特徴、構造又は特性を含み得ることを示す。さらに、そのような語句は、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性が一実施形態に関連して説明されるとき、明示的に説明されているか否かにかかわらず、他の実施形態に関連してそのような特徴、構造、又は特性に影響を与えることは当業者の知識の範囲内であることが考えられる。
【0035】
以下の説明のために、「上側(upper)」、「右(right)」、「左(left)」、「垂直(vertical)」、「水平(horizontal)」、「頂部(top)」、「底部(bottom)」という用語及びそれらの派生語は、図において方向付けされているように、開示された構造及び方法に関するものとする。「重なっている(overlaying)」、「の上(atop)に」、「上(on)に位置している」又は「の上(atop)に位置している」という用語は、第1の構造など、第1の要素が、第2の構造など、第2の要素上に存在していることを意味する。第1の要素と第2の要素との間には、インタフェース構造など、介在要素が存在し得る。「直接接触」といった言い回しは、第1の構造などの第1の要素及び第2の構造などの第2の要素が、2つの要素の界面にいかなる中間の導電、絶縁、又は、半導体層も存在せずに接続されることを意味する。
【0036】
層、領域又は基板としての或る要素が別の要素の「上(on)」にある又は当該別の要素を「覆う(over)」と称される場合、その要素は当該別の要素の直接上にあることもできるし、介在する要素が存在してもよいことが理解されるであろう。対照的に、ある要素が別の要素の「直接上(on)」又は「直接上方(over)」にあると称される場合、介在する要素は存在しない。ある要素が別の要素の「下方(beneath)」又は「下(under)」にあると称される場合、当該要素がこの別の要素の直接下方(beneath)又は下(under)にあり得るか、介在する要素が存在し得ることも理解されるであろう。対照的に、ある要素が別の要素の「直接下方(beneath)」又は「直接下(under)」にあると称される場合、介在する要素は存在しない。
【0037】
各参照番号は、ある項目を個別に言及しても、又はグループとして集合的に言及してもよい。例えば、MRAM110は、単一のMRAM構造110又は複数のMRAM構造110を言及し得る。
【0038】
以下、本発明について、図を参照して詳細に記載する。
【0039】
図1は、SOT-MRAMデバイスの単純構造の上面図を示す。示されたように、SOT-MRAMデバイスは、MRAM110、SHEライン120、及び誘電体層130の可視性を可能にするために、本発明の実施形態によって説明された最終構造に存在する金属ワイヤ及び誘電体層を選択的に除外する。コンタクト140は、コンタクト140の全体的形状を表す点線で示されており、当該点線は、コンタクト140がSHEライン120の下にあることを示している。さらに、SHEライン120は1つの中実構造として示されているが、本発明の実施形態のより詳細な図示は、SHEライン120を、異なるタイプの材料で構成された構造として示していることに留意されたい。図1は、区切り線A及び区切り線Bも含んでいる。区切り線A及び区切り線Bは各々が、後続の図において使用されている断面図に対応して、本発明の実施形態に従って作製するプロセス及び結果として得られる構造について説明する。例えば、図2Aは、区切り線Aに沿った断面図であり、図2Bは、区切り線Bに沿った断面図である。区切り線A及び区切り線Bは、全体的な構造に関するビューの向きを確立するために提供されており、本明細書に説明された他の図は、図1に示された実際の構造に必ず対応している必要はないことに留意されたい。
【0040】
図2Aは、図1の区切り線Aに沿った断面図を示しており、図2Bは、本発明の実施形態に係る製作工程の、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。図2A及び図2Bは、層間絶縁膜(ILD)210において形成されたコンタクト220を含むデバイスの初期構造を示す。コンタクト220は、ミドルオブライン(MOL)又はバックエンドオブライン(BEOL)のレベル番号「x」における駆動トランジスタの書き込みビットラインへの接続を表し得る。
【0041】
ILD210は、二酸化ケイ素(SiO2)、ドープされていないケイ酸ガラス(USG)、フルオロケイ酸ガラス(FSG)、ホウリンケイ酸ガラス(BPSG)、スピンオン低k誘電体層、化学気相成長(CVD)低k誘電体層又はそれらの任意の組み合わせなどの非晶質固体材料であり得る。本願を通じて使用される用語「低k」は、二酸化ケイ素より小さい誘電率を有する誘電材料を表す。別の実施形態において、スピンオングラス(SOG)などの自己平坦化材料又はSiLK(登録商標)などのスピンオン低k誘電材料がILD210として使用され得る。ILD210として自己平坦化誘電材料を使用することは、後続の平坦化段階を実行する必要を回避し得る。
【0042】
いくつかの実施形態において、ILD210は、例えば、化学気相成長(CVD)、プラズマ拡張化学気相成長(PECVD)、蒸発又はスピンオンコーティングを含む堆積プロセスを利用した基板(不図示)上に形成され得る。いくつかの実施形態において、具体的に、非自己平坦化誘電材料がILD210として使用されているとき、平坦化プロセス又はエッチバックプロセスが、ILD210を提供する誘電材料の堆積に続く。
【0043】
コンタクト220は、ILD210の一部を除去することによってILD210に形成され、コンタクトトレンチを形成し得る。コンタクトトレンチは、コンタクト220の所望のサイズ及び位置に基づいて、ILD210に形成され得る。
【0044】
本発明の実施形態において、各コンタクトトレンチは、エッチングプロセス、又は、トレンチ内のILD210からILD材料を選択的に除去する選択的エッチングプロセスによって形成され得る。いくつかの実施形態において、このエッチングは、リアクティブイオンエッチング(RIE)などの異方性エッチングを使用して実行され得る。マスキング材料(不図示)は、各コンタクトトレンチをエッチングする前に、エッチングに耐えるデバイスの頂部に適用され得、例えば、図1及び図2Aに示された形状などの、コンタクトトレンチの所望の形状を形成するために利用され得る。いくつかの実施形態において、マスキング材料は、フォトリソグラフィを使用してパターニングされたフォトレジストであり得る。
【0045】
コンタクトトレンチを生成する段階に続いて、コンタクト220が、例えばコンタクトトレンチに金属層を堆積することによって形成され得る。例えば、化学気相成長(CVD)、プラズマ拡張化学気相成長(PECVD)、物理気相成長(PVD)、スパッタ、原子層堆積(ALD)又は他の同様の堆積プロセスを含む任意の既知の堆積プロセスが利用され得る。コンタクト220は、例えば、タングステン、タンタル、ハフニウム、ジルコニウム、ニオビウム、チタン、窒化チタン、銅、又は炭素を含む合金などの金属で形成され得る。コンタクト220を形成するために使用されたコンタクト金属が堆積された後、化学機械的平坦化(CMP)が使用されて、ILD210の頂部に停止している余剰のコンタクト材料を除去し、その結果、コンタクト220の頂面はILD210の頂面と同一平面上になり得る。
【0046】
図3Aは、図1の区切り線Aに沿った断面図を示しており、図3Bは、本発明の実施形態に係る製作工程の、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。図3A及び図3Bは、SHE金属層310の形成を示す。
【0047】
SHE金属層310は、例えばCVD、PECVD、PVD、スパッタ、ALD、又は他の同様の堆積プロセスを含む任意の既知の堆積プロセスによって形成され得る。SHE金属層310は、タングステン(W)、タンタル(Ta)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、金‐タングステン合金(AuW)などの、標準のミドルオブライン(MOL)/バックエンドオブライン(BEOL)金属(例えば銅(Cu)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru))より高い抵抗率を有するSHE特性を示す重金属又は合金で形成され得る。
【0048】
図4Aは、図1の区切り線Aに沿った断面図を示しており、図4Bは、本発明の実施形態に係る製作工程の、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。図4A及び図4Bは、ハードマスク層410の形成、及び、それに続いて所望のSHE金属ラインをパターニングするためにSHE金属層310の一部を除去することを示す。
【0049】
ハードマスク層410は、例えば二酸化ケイ素及び/又は窒化シリコンなどの任意のハードマスク材料によるものであり得る。ハードマスク層410は、例えば化学気相成長(CVD)又はプラズマ拡張化学気相成長(PECVD)などの任意の好適な堆積プロセスによってブランケット層材料を形成することによって形成され得る。
【0050】
ハードマスク層410を形成した後、リソグラフィ及びエッチングが、ハードマスク層410をパターニングするために使用され、その結果、SHE金属層310の一部の頂面が露出され得る(不図示)。一般的に、SHE金属層310を含む所望のSHE金属ラインは、図1の区切り線Bに対応する平面に沿って、ILD210の幅より小さい幅を有する。したがって、ハードマスク層410は、SHE金属ラインの所望の幅に基づいてパターニングされる。
【0051】
図4A及び図4Bはまた、ハードマスク層410によって保護されていないSHE金属層310の物理的に露出された部分を除去することによるSHE金属層310からのSHE金属ラインの形成を示す。
【0052】
ハードマスク層410によって覆われていないSHE金属層310の一部の除去は、例えばリアクティブイオンエッチング(RIE)などの異方性エッチングプロセスを利用して実行され得る。残ったSHE金属層310の一部は、デバイスの所望のSHEラインのサイズに対応する。
【0053】
図5Aは、図1の区切り線Aに沿った断面図を示しており、図5Bは、本発明の実施形態に係る製作工程の、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。図5A及び図5Bは、SHE金属層310によって先に占められた領域(図3A図4Bを参照されたい)を占めるための追加のILD材料の堆積を示す。
【0054】
ILD210の追加部分は、例えば、化学気相成長(CVD)、プラズマ拡張化学気相成長(PECVD)、蒸発又はスピンオンコーティングを含む堆積プロセスを利用して形成され得る。いくつかの実施形態において、具体的に、非自己平坦化誘電材料がILD210として使用されているとき、平坦化プロセス又はエッチバックプロセスが、ILD210を提供する誘電材料の堆積に続く。一般的に、ILD210の追加部分は、ILD210と同じ材料であり、ILD210に関して先に説明された任意の材料であり得る。
【0055】
ILD210の追加部分を形成するために使用された材料が堆積された後、化学機械的平坦化(CMP)が、SHE金属層310の頂部に停止している余剰の材料を除去するために使用され、その結果、ILD210の頂面はSHE金属層310の頂面と同一平面上になり得る。
【0056】
図6Aは、図1の区切り線Aに沿った断面図を示しており、図6Bは、本発明の実施形態に係る製作工程の、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。図6A及び図6Bは、MTJスタックの堆積を示す。MTJは、薄い絶縁体によって分離された2つの強磁性体から成る構成要素である。
【0057】
本発明の実施形態において利用されているMTJスタックは、それを通じて電子が1つの強磁性層から他の強磁性層に量子力学的にトンネルし得る薄い絶縁体層であるトンネル障壁620によって分離された強磁性体である基準層630及び自由層610を含む。金属ハードマスク640は、MTJスタックの上側コンタクトとして作用し、SHE金属層310は、下側コンタクトとして作用する。基準層630の磁化は固定され、その一方、自由層610の磁化方向は、2つの状態(すなわち、基準層630の磁化方向に対する並列及び逆並列)間で切り替えられ得る。これらの異なる状態は次いで、0及び1にマッピングされる。
【0058】
自由層610は、SHE金属層310及びILD210の頂面に堆積される。自由層610は、例えばCVD、PECVD、PVD、スパッタ、ALD、又は他の同様の堆積プロセスを含む任意の既知の堆積プロセスによって形成され得る。自由層610は、限定されないが、NiFe、NiFeCo、CoFe、CoFeB、Co、Ni、Cu、Ta、Ti、Zr、Au、Ru、Cr、Pt、CoPt、CoCrPt、FeNi、FeTa、FeTaCr、FeAl、FeZr、NiFeCr、又はNiFeXなどの任意の強磁性材料又は合金で形成され得る。一般的に、自由層610は、磁化状態が変更可能な強磁性層を含む。いくつかの実施形態において、自由層610は、複数の強磁性及び結合サブ層を含む複合自由層である。
【0059】
トンネル障壁620は、自由層610の頂面上に堆積されている。トンネル障壁620は、例えばCVD、PECVD、PVD、スパッタ、ALD、又は他の同様の堆積プロセスを含む任意の既知の堆積プロセスによって形成され得る。トンネル障壁620は、酸化物材料又は他の適切な電気的絶縁体で形成され得る。トンネル障壁620は、例えば酸化マグネシウム(MgO)又は酸化アルミニウム(Al)で形成され得る。トンネル障壁620は典型的には非常に薄く、多くの場合、僅か数ナノメートルの厚さであり、その結果、電子は、1つの強磁性体(例えば、自由層610)から次(例えば、基準層630)にトンネルし得る。
【0060】
基準層630は、トンネル障壁620の頂面上に堆積される。基準層630は、例えばCVD、PECVD、PVD、スパッタ、ALD、又は他の同様の堆積プロセスを含む任意の既知の堆積プロセスによって形成され得る。基準層630は、自由層610を説明するときに列挙される強磁性材料などの強磁性材料で形成され得る。一般的に、基準層630は、固定磁化状態の強磁性層を含む。いくつかの実施形態において、基準層630は、磁気エネルギー障壁が高い磁化向きを固定する磁気的にエンジニアリングされた構造を生成する複数のサブ層で構成されている。例えば、基準層630は、合成反強磁性(SAF)層と結合された基準磁性層を含み得る。薄い結合層が、基準磁性層及びSAF層の間にあり得る。
【0061】
金属ハードマスク640は、基準層630の頂面上に堆積されている。金属ハードマスク640は、例えばCVD、PECVD、PVD、スパッタ、ALD、又は他の同様の堆積プロセスを含む任意の既知の堆積プロセスによって形成され得る。金属ハードマスク640は、例えば、タングステン、タンタル、ハフニウム、ジルコニウム、ニオビウム、チタン、窒化チタン、銅、又は炭素を含む合金などの金属で形成され得る。
【0062】
図6A及び図6Bにおいて堆積され示されている層の各々に対しては、CMPが使用され、必要に応じて任意の余剰の材料を除去し得る。
【0063】
図7Aは、図1の区切り線Aに沿った断面図を示しており、図7Bは、本発明の実施形態に係る製作工程の、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。図7A及び図7Bは、複数の分離されたMTJスタックを生成するためのMTJスタック内の凹部の形成、及び誘電体スペーサ材料層710の形成を示す。
【0064】
MTJスタックは、ハードマスク(図示されない)によって保護されていない図6A及び図6Bの元々のMTJスタックを含む層の物理的に露出された部分を除去することによって形成される。一般的に、ハードマスク層は、図4Aおよび図4Bに関連して説明されたものと同様に堆積及びエッチングされ、ハードマスクの下の領域が図7A及び図7Bにおいて示されたMTJスタックに対応するようにパターニングされ得る。いくつかの実施形態において、図7A及び図7Bに示されたMTJスタックは上面図から(例えば、図1に示されたように)丸みを帯びており、したがって、各MTJスタックはその全体的形状において円筒形である。この段階の際に、本発明の実施形態においては、SHE金属層310の一部も除去され得る。
【0065】
ハードマスク(不図示)によって覆われていないMTJスタックの一部(すなわち、自由層610、トンネル障壁620、基準層630、及び金属ハードマスク640)の除去は、例えば、イオンビームエッチング(IBE)、又はリアクティブイオンエッチング(RIE)、又はIBE及びRIEの両方の組み合わせなどの異方性エッチングプロセスを利用して実行され得る。図7A及び図7Bに示されたように、MTJスタックの一部の除去(例えば、エッチング)はSHE金属層310内まで下方に延伸しており、自由層610を完全にエッチングすることを保証する。残りの部分はMTJスタックと称されており、各々が個々のMRAMセルに対応している。
【0066】
いくつかの実施形態においては、図7A及び図7Bに図示されたように、MTJスタック(すなわち、自由層610、トンネル障壁620、基準層630、及び金属ハードマスク640)を含む層の各々の側壁は鉛直に位置合わせされている。
【0067】
図7A及び図7Bはまた、MTJスタックをカプセル化し、MTJスタックを互いからより良く分離するための誘電体スペーサ材料層710の形成を示す。誘電体スペーサ材料層710は、MTJスタックの露出された側壁及び最上部の表面、並びにSHE金属層310の露出された表面上に存在している。
【0068】
誘電体スペーサ材料層710は、誘電体スペーサ材料をまず提供し、次いで誘電体スペーサ材料をエッチングすることによって、露出された表面上に形成され得る。本発明の実施形態において採用され得る誘電体スペーサ材料の1つの例は、窒化シリコンである。一般的に、誘電体スペーサ材料層710は、例えば、誘電窒化物、誘電酸化物、及び/又は誘電酸窒化物を含む任意の誘電体スペーサ材料を含む。より具体的には、誘電体スペーサ材料層710は、例えば、SiBCN、SiBN、SiOCN、SiON、SiCO、又はSiCであり得る。1つの例において、誘電体スペーサ材料は、SiO2などの非導電性低容量誘電材料で構成されている。
【0069】
誘電体スペーサ材料層710を提供する誘電体スペーサ材料は、例えば、化学気相成長(CVD)、プラズマ拡張化学気相成長(PECVD)、又は物理気相成長(PVD)を含む堆積プロセスによって提供され得る。誘電体スペーサ材料層710を提供するために使用されたエッチングは、例えばリアクティブイオンエッチングなどのドライエッチング処理を含み得る。
【0070】
図8Aは、図1の区切り線Aに沿った断面図を示しており、図8Bは、本発明の実施形態に係る製作工程の、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。図8A及び図8Bは、誘電体スペーサ材料層710の水平部分の除去を示す。より具体的には、SHE金属層310及び金属ハードマスク640の頂面上の誘電体スペーサ材料の一部は、誘電体スペーサ材料層710の残りがMTJスタックの各々の側壁上に存在するように、除去される。誘電体スペーサ材料層710は、リアクティブイオンエッチング(RIE)などの指向性又は異方性エッチングプロセスを利用して除去され得る。1つの例において、ガスクラスターイオンビームエッチング(IBE)が使用され、SHE金属層310及び金属ハードマスク640の頂面から誘電体スペーサ材料層710を除去し得る。SHE金属層310及び金属ハードマスク640の頂面からの誘電体スペーサ材料層710の除去は、SHE金属層310及び金属ハードマスク710の頂面を再び露出させる。
【0071】
図9Aは、図1の区切り線Aに沿った断面図を示しており、図9Bは、本発明の実施形態に係る製作工程の、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。図9A及び図9Bは、ILD210によって囲まれた凹部を生成するためにSHE金属層310の露出された部分を除去することを示す。
【0072】
本発明の実施形態において、SHE金属層310の露出された部分は、SHE金属層310を選択的に除去する選択的エッチングプロセスによって除去され得る。SHE金属層310の一部の除去は、ILD210を露出させ得る。選択的エッチングプロセスは、ウェット又はドライエッチングであり得る。いくつかの実施形態において、このエッチングは、リアクティブイオンエッチング(RIE)などの異方性エッチングを使用して実行され得る。エッチングは、SHE金属層310に選択的に影響を与える1又は複数のエッチングプロセスを使用して実行され得る。必要である場合、マスキング材料(不図示)は、エッチングの前にMTJスタックの頂部に適用され得、その結果、SHE金属層310の露出された部分のみがエッチングプロセスによって影響される。いくつかの実施形態において、マスキング材料は、フォトリソグラフィを使用してパターニングされたフォトレジストであり得る。
【0073】
図10Aは、図1の区切り線Aに沿った断面図を示しており、図10Bは、本発明の実施形態に係る製作工程の、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。図10A及び図10Bは、SHE金属層310の一部の除去(図9A及び図9Bを参照されたい)の後に生成された凹部内における低抵抗率金属層1010の堆積を示す。
【0074】
低抵抗率金属層1010は、例えばCVD、PECVD、PVD、スパッタ、ALD、又は他の同様の堆積プロセスを含む任意の既知の堆積プロセスによって形成され得る。低抵抗率金属層1010は、例えば、ルテニウム(Ru)又は銅(Cu)などの任意の低抵抗率金属で形成され得る。一般的に、低抵抗率金属層1010は、SHE金属層310において使用された金属より低い抵抗率を有するタイプの金属で構成されている。低抵抗率金属層1010は、凹部に形成され、その結果、低抵抗率金属層1010の頂面は、SHE金属層310の頂面と実質的に同一平面上になり得る。いくつかの実施形態において、低抵抗率金属層1010を提供する材料の堆積に、エッチバックプロセスが続く。
【0075】
図11Aは、図1の区切り線Aに沿った断面図を示しており、図11Bは、本発明の実施形態に係る製作工程の、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。図11A及び図11Bは、ILD1110及びコンタクト1120の形成を示す。コンタクト1120は、ミドルオブライン(MOL)又はバックエンドオブライン(BEOL)のレベル番号「x+1」におけるMRAMデバイスの読み出しビットラインへの接続を表し得る。
【0076】
ILD1110は、ILD210と同じ又は同様の材料であり得る。一般的に、ILD1110は、二酸化ケイ素(SiO2)、ドープされていないケイ酸ガラス(USG)、フルオロケイ酸ガラス(FSG)、ホウリンケイ酸ガラス(BPSG)、スピンオン低k誘電体層、化学気相成長(CVD)低k誘電体層又はそれらの任意の組み合わせなどの非晶質固体材料であり得る。別の実施形態において、スピンオングラス(SOG)などの自己平坦化材料又はSiLK(登録商標)などのスピンオン低k誘電材料がILD1110として使用され得る。ILD1110として自己平坦化誘電材料を使用することは、後続の平坦化段階を実行する必要を回避し得る。
【0077】
いくつかの実施形態において、ILD1110は、例えば、化学気相成長(CVD)、プラズマ拡張化学気相成長(PECVD)、蒸発又はスピンオンコーティングを含む堆積プロセスを利用して形成されている。いくつかの実施形態において、具体的に、非自己平坦化誘電材料がILD1110として使用されているとき、平坦化プロセス又はエッチバックプロセスが、ILD1110を提供する誘電材料の堆積に続く。
【0078】
コンタクト1120は、ILD1110の一部を除去することによってILD1110に形成され、コンタクトトレンチを形成し得る。コンタクトトレンチは、コンタクト1120の所望のサイズ及び位置に基づいて、ILD1110に形成され得る。
【0079】
本発明の実施形態において、各コンタクトトレンチは、エッチングプロセス、又は、トレンチ内のILD1110からILD材料を選択的に除去する選択的エッチングプロセスによって形成され得る。いくつかの実施形態において、このエッチングは、RIEなどの異方性エッチングを使用して実行され得る。マスキング材料(不図示)は、各コンタクトトレンチをエッチングする前に、エッチングに耐えるデバイスの頂部に適用され得、例えば、図1図11A及び図11Bに示された形状などの、コンタクトトレンチの所望の形状を形成するために利用され得る。いくつかの実施形態において、マスキング材料は、フォトリソグラフィを使用してパターニングされたフォトレジストであり得る。
【0080】
コンタクトトレンチを生成する段階に続いて、コンタクト1120が、例えばコンタクトトレンチに金属層を堆積することによって形成され得る。例えば、CVD、PECVD、PVD、スパッタ、ALD又は他の同様の堆積プロセスを含む任意の既知の堆積プロセスが利用され得る。コンタクト1120は、例えば、タングステン、タンタル、ハフニウム、ジルコニウム、ニオビウム、チタン、窒化チタン、銅、又は炭素を含む合金などの金属で形成され得る。コンタクト1120を形成するために使用されたコンタクト金属が堆積された後、CMPが使用されて、ILD1110の頂部に停止している余剰のコンタクト材料を除去し、その結果、コンタクト1120の頂面はILD1110の頂面と同一平面上になり得る。
【0081】
図11A及び図11Bに図示されたように、示されたMRAM構造は、SHEラインの頂部に直接統合された複数のSOT-MRAMセルを含む。SHEラインは、SHE金属層310及び低抵抗率金属層1010の組み合わせによって形成され、その結果、SHE特性(すなわち、SHE金属層310)を示す重金属(例えば、W、Pt、Ta、Pd、AuW)は、各MRAMセルの自由層610に直接接触する。それに応じて、全体が重金属(例えば、W、Pt、Ta、Pd、AuW)で構成されたSHEラインの頂部に直接統合された同様のMRAMデバイスと比較したときに、示されたMRAM構造は全体的なSHE書き込みラインの抵抗率を減らし、単位セル毎の平均電力消費を減らす。各MRAMセルは、トンネル障壁620によって互いから分離された基準層630及び自由層610を含む。誘電体スペーサ材料層710は各MRAMセルの側壁上に残っており、MRAMセルを互いからより良く分離する。各MTJスタックの頂部上の金属ハードマスク640は、上側コンタクトとして作用しており、読み出しビットラインであり得るコンタクト1120と物理的に接触している。SHE金属層310は、MTJスタックの下側コンタクトであり、低抵抗率金属層1010と組み合わせて各MTJスタック間で共有される書き込みライン(ともにWHE書き込みラインを形成する)として作用する。
【0082】
図12Aは、図1の区切り線Aに沿った断面図を示しており、図12Bは、SHE書き込みラインの限界寸法がMTJスタックの限界寸法より小さい本発明の代替的な実施形態の、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。対照的に、図11A及び図11Bに示された実施形態において、SHE書き込みラインの限界寸法(SHE金属層310及び低抵抗率金属層1010の組み合わされた寸法を含む)は、MTJスタックの限界寸法より大きい。本明細書において使用されるように、限界寸法は、図1の区切り線Bに沿った断面図に係るMTJの幅又はSHE書き込みラインの幅を指す。
【0083】
図12Bに示されたように、SHE書き込みラインがMTJスタックより狭い実施形態においては、低抵抗率金属層1210(低抵抗率金属層1010と同等)がMTJスタック間に表示されている一方、低抵抗率金属層1210は、SHE金属1220(SHE金属層310と同等)のいずれかの側には存在していない。
【0084】
図12Bに示されたデバイスを生成する製造プロセスは、図2A図11Bの説明において説明されたプロセスとは、図9A及び図9Bを参照して説明された製作工程ではMTJスタックがSHE金属1220より広い一方、SHE金属1220の一部は依然として図1の区切り線Aに沿った断面図において露出されているので、SHE金属1220は、図1の区切り線Bに沿った断面図においてMTJスタックによって完全に覆われているという点でわずかに異なっている。それに応じて、図1の区切り線Bに沿った断面図には凹部が生成されておらず、低抵抗率金属層1210は堆積されていない(図12Bを参照されたい)。
【0085】
図13A図20Bは、異なる製造プロセスに従って形成された本発明の実施形態を示す。
【0086】
図13A及び図13Bによって示された製造プロセスは、図1図5Bに元々示されていたのと同じデバイス上で実行される。それに応じて、初期の製作工程は、図1図5Bに関連して既に説明されているものと同様である。
【0087】
図13Aは、図1の区切り線Aに沿った断面図を示しており、図13Bは、本発明の実施形態に係る製作工程の、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。図13A及び図13Bは、ハードマスク層1310の形成、及び、それに続いて最終的なデバイス構造のSHE書き込みラインの一部を含むSHE金属層310の所望の一部をパターニングするためにSHE金属層310の一部を除去することを示す。
【0088】
ハードマスク層1310は、例えば二酸化ケイ素及び/又は窒化シリコン又はそれらの組み合わせなどの任意のハードマスク材料であり得る。ハードマスク層1310は、例えば化学気相成長(CVD)又はプラズマ拡張化学気相成長(PECVD)などの任意の好適な堆積プロセスによってブランケット層材料を形成することによって形成され得る。
【0089】
ハードマスク層1310を形成した後、リソグラフィ及びエッチングが、ハードマスク層1310をパターニングするために使用され、その結果、SHE金属層310の一部の頂面が露出され得る(不図示)。いくつかの実施形態において、SHE金属層310の露出された部分は、SHE金属層310を選択的に除去する選択的エッチングプロセスによって除去され得る。いくつかの実施形態において、このエッチングは、リアクティブイオンエッチング(RIE)などの異方性エッチングを使用して実行され得る。一般的に、SHE金属層310を含む所望のSHE金属ラインは、図1の区切り線Bに対応する平面に沿って、ILD210の幅より小さい幅を有する。さらに、図1の区切り線Aに対応する平面の幅に沿って、設計されたSHE金属ラインは、最終的なデバイス構造のMTJの下方の位置に位置付けられる複数の部分を含む。したがって、ハードマスク層410は、SHE金属層310の所望の位置に基づいてパターニングされる。
【0090】
図14Aは、図1の区切り線Aに沿った断面図を示しており、図14Bは、本発明の実施形態に係る製作工程の、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。図14A及び図14Bは、犠牲誘電材料1410の形成を示す。
【0091】
犠牲誘電材料1410は、誘電材料をまず提供し、次いで誘電材料をエッチングすることによって、露出された表面上に形成され得る。本発明の実施形態において採用され得る誘電材料の1つの例は、炭化ケイ素(SiC)である。一般的に、犠牲誘電材料1410は、例えば、誘電窒化物、窒化シリコン、誘電酸化物、及び/又は誘電酸窒化物を含む任意の誘電材料を含む。より具体的には、犠牲誘電材料1410は、例えば、SiBCN、SiBN、SiOCN、SiON、SiCO、又はSiCであり得る。1つの例において、誘電材料は、SiO2などの非導電性低容量誘電材料で構成されている。
【0092】
犠牲誘電材料1410を提供する誘電材料は、例えば、化学気相成長(CVD)、プラズマ拡張化学気相成長(PECVD)、又は物理気相成長(PVD)を含む堆積プロセスによって提供され得る。犠牲誘電材料1410を提供するために使用されたエッチングは、例えばリアクティブイオンエッチングなどのドライエッチング処理を含み得る。いくつかの実施形態において、CMPは、SHE金属層310の頂部に停止している余剰の誘電材料を除去し、その結果、犠牲誘電材料1410の頂面がSHE金属層310の頂面と同一平面上になるようにするために使用され得る。
【0093】
図15Aは、図1の区切り線Aに沿った断面図を示しており、図15Bは、本発明の実施形態に係る製作工程の、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。図15A及び図15Bは、MTJスタックの堆積を示す。MTJスタックの堆積は、図6A及び図6Bに関連して既に説明された製作工程と同様であり、自由層610、トンネル障壁620、基準層630、及び金属ハードマスク640などの同様の層を含む。
【0094】
図16Aは、図1の区切り線Aに沿った断面図を示しており、図16Bは、本発明の実施形態に係る製作工程の、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。図16A及び図16Bは、複数の分離されたMTJスタックを生成するためのMTJスタック内の凹部の形成、及び誘電体スペーサ材料層710の形成を示す。
【0095】
MTJスタックは、ハードマスク(図示されない)によって保護されていない図15A及び図15Bの元々のMTJスタックを含む層の物理的に露出された部分を除去することによって形成される。一般的に、ハードマスク層は、図4Aおよび図4Bに関連して説明されたものと同様に堆積及びエッチングされ、ハードマスクの下の領域が図16A及び図16Bにおいて示されたMTJスタックに対応するようにパターニングされ得る。いくつかの実施形態において、図16A及び図16Bに示されたMTJスタックは上面図から(例えば、図1に示されたように)丸みを帯びており、したがって、各MTJスタックはその全体的形状において円筒形である。この段階の際に、本発明の実施形態においては、犠牲誘電材料1410の一部も除去され得る。
【0096】
ハードマスク(不図示)によって覆われていないMTJスタックの一部(すなわち、自由層610、トンネル障壁620、基準層630、及び金属ハードマスク640)の除去は、例えば、イオンビームエッチング(IBE)、又はリアクティブイオンエッチング(RIE)、又はIBE及びRIEの組み合わせなどの異方性エッチングプロセスを利用して実行され得る。残りの部分は、MTJスタックと称されており、各々が個々のMRAMセルに対応する。いくつかの実施形態において、イオンビームエッチング(IBE)は、ハードマスク(不図示)によって覆われていないMTJスタックの一部を除去するために使用され得る。犠牲誘電材料1410は、IBEオーバーエッチングの場合においてそのようなIBEに露出されるので、SHE金属層310を再スパッタするリスクが防止される。これは、IBEオーバーエッチングがSHE金属層310の再スパッタをもたらし得る図7A及び図7Bに示された実施形態とは対照的である。
【0097】
図16A及び図16Bはまた、誘電体スペーサ材料層710の形成を示す。誘電体スペーサ材料層710の形成は、図7A及び図7Bに関連して既に説明された製作工程と同様である。
【0098】
図17Aは、図1の区切り線Aに沿った断面図を示しており、図17Bは、本発明の実施形態に係る製作工程の、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。図17A及び図17Bは、誘電体スペーサ材料層710の水平部分の除去を示す。誘電体スペーサ材料層710の水平部分の除去は、図8A及び図8Bに関連して既に説明された製作工程と同様である。しかしながら、(図8A及び図8Bにおけるように)SHE金属層310を露出させるのではなく、誘電体スペーサ材料層710の水平部分が図17A及び図17Bに示された製作工程において除去されたとき、犠牲誘電材料1410が露出される。
【0099】
図18Aは、図1の区切り線Aに沿った断面図を示しており、図18Bは、本発明の実施形態に係る製作工程の、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。図18A及び図18Bは、ILD層210によって囲まれた凹部を生成するために犠牲誘電材料1410を除去することを示す。
【0100】
本発明の実施形態において、犠牲誘電材料1410の除去は、デバイスの他の露出された層に対して犠牲誘電材料1410を除去することにおいて選択的であるエッチングプロセスを利用して実行され得る。犠牲誘電材料1410の除去は、ILD210を露出させ得る。いくつかの実施形態において、このエッチングは、等方性の選択的なエッチングプロセス、又は等方性エッチングプロセス及び異方性エッチングプロセスの両方の組み合わせを使用して実行され得る。エッチングは、犠牲誘電材料1410に選択的に影響を与える1又は複数のエッチングプロセスを使用して実行され得る。
【0101】
図19Aは、図1の区切り線Aに沿った断面図を示しており、図19Bは、本発明の実施形態に係る製作工程の、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。図19A及び図19Bは、犠牲誘電材料1410の除去(図18A及び図18Bを参照されたい)の後に生成された凹部内における低抵抗率金属層1010の堆積を示す。低抵抗率金属層1010の堆積は、図10A及び図10Bに関連して既に説明された製作工程と同様である。
【0102】
図20Aは、図1の区切り線Aに沿った断面図を示しており、図20Bは、本発明の実施形態に係る製作工程の、図1の区切り線Bに沿った断面図を示す。図20A及び図20Bは、ILD1110及びコンタクト1120の形成を示す。ILD1110及びコンタクト1120の形成は、図11A及び図11Bに関連して既に説明された製作工程と同様である。
【0103】
図20A及び図20Bは、図11A及び図11Bのそれと同様なMRAM構造を示す。しかしながら、製作工程における相違点に起因して、特に犠牲誘電材料1410の使用に関連して、図20A及び図20BのMRAM構造はSHEライン保護を含み、SHE金属層310に対して垂直なラインをもたらす。対照的に、図11A及び図11Bに示された実施形態は、SHE金属層310を内側に凹ませ得るウェット又はドライエッチングを利用する。
【0104】
図12A及び図12Bに示された実施形態と同様に、本発明の実施形態は、SHE書き込みラインの限界寸法がMTJスタックの限界寸法より小さい実施形態を企図することに留意されたい。そのような実施形態において、製作工程が修正され、その結果、図1の区切り線Bに沿った断面図における犠牲誘電材料1410の配置のための凹部が存在せず、それに応じて、ILD210は、図1の区切り線Bに沿った断面図においてSHE金属層310の側壁に隣接する。
【0105】
生成される集積回路チップは、生のウェハの形態で(つまり、複数のパッケージ化されていないチップを有する単一のウェハとして)、覆われていないダイ(bare die)提供されても、又はパッケージ化された形態で製造業者により提供されてよい。後者の場合、このチップは、シングルチップパッケージ(マザーボード又は他のより高いレベルのキャリアに固着されたリードを有するプラスチックキャリアなど)で、又はマルチチップパッケージ(表面相互接続又は埋め込み相互接続のいずれか又は両方を有するセラミックキャリアなど)で取り付けられる。いずれの場合も、このチップは次に、(a)マザーボードのような中間製品又は(b)最終製品のいずれかの一部として、他のチップ、ディスクリート回路要素若しくは他の信号処理デバイス又はその組み合わせと統合される。最終製品は、玩具及び他のローエンド応用品から、ディスプレイ、キーボード又は他の入力デバイスを有する高度なコンピュータ製品と中央処理装置とに及ぶ、集積回路チップを含む任意の製品であり得る。
【0106】
本明細書で使用する用語は、特定の実施形態のみを説明することを目的としたものであり、本発明を限定することを意図するものではない。
本明細書で使用されるように、文脈において別途明示されない限り、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、複数形も含むことが意図される。用語「comprises(含む)」若しくは「comprising(含む)」又はその両方は、本明細書で使用される場合、記載されている特徴、整数、段階、動作、要素、若しくはコンポーネント、又はその組み合わせの存在を明記するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、段階、動作、要素、コンポーネント、若しくはそれらのグループ、又はその組み合わせの存在又は追加を除外しないことをさらに理解されたい。
【0107】
本願は、その好ましい実施形態に関連して具体的に示され説明されているが、当業者であれば、前述の及び他の形式及び詳細における変更が本願の範囲から逸脱することなく成され得ることが理解されるであろう。したがって、本願は、説明及び図示された厳密な形式及び詳細に限定することは意図されておらず、添付の特許請求の範囲に含まれる。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図20A
図20B
【手続補正書】
【提出日】2023-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交互のタイプの金属を含む書き込みライン、ここで:
前記交互のタイプの金属のうち第1のタイプの金属は、スピンホール効果(SHE)性質を示しており;
前記交互のタイプの金属のうち第2のタイプの金属は、前記第1のタイプの金属より低い抵抗率を有している;
書き込みラインの頂部におけるスピン軌道トルク(SOT)MRAMセル、ここで、前記SOT-MRAMセルの自由層は前記第1のタイプの金属に接触している
を備える、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)構造。
【請求項2】
1つのSOT-MRAMセルは、前記書き込みラインの前記交互のタイプの金属に沿って前記第1のタイプの金属が発生する度にその頂部にある、請求項1に記載のMRAM構造。
【請求項3】
前記SOT-MRAMセルは、トンネル障壁によって分離された基準層及び自由層を含む、請求項1に記載のMRAM構造。
【請求項4】
前記書き込みラインに接触している複数のコンタクトをさらに含む、請求項1に記載のMRAM構造。
【請求項5】
前記第2のタイプの金属は、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)、及びコバルト(Co)から成るグループから選択された、請求項1に記載のMRAM構造。
【請求項6】
前記第1のタイプの金属は、スピン軌道インタラクションが強い重金属/合金である、請求項1に記載のMRAM構造。
【請求項7】
前記SOT-MRAMセルの側壁上に誘電体層をさらに含む、請求項1に記載のMRAM構造。
【請求項8】
前記SOT-MRAMセルの頂面に接触しているコンタクトをさらに含む、請求項1に記載のMRAM構造。
【請求項9】
平面に沿った前記書き込みラインの幅は、前記平面に沿った前記SOT-MRAMセルの幅より小さい、請求項1から8のいずれか一項に記載のMRAM構造。
【請求項10】
平面に沿った前記書き込みラインの幅は、前記平面に沿った前記SOT-MRAMセルの幅より大きい、請求項1から8のいずれか一項に記載のMRAM構造。
【請求項11】
複数の埋め込みコンタクトを有する層間誘電体層上に第1のタイプの金属を形成する段階、ここで、前記第1のタイプの金属はスピンホール効果(SHE)性質を示す;
前記第1のタイプの金属上に少なくとも1つのスピン軌道トルク(SOT)MRAMセルを形成する段階;
前記第1のタイプの金属の露出された部分を凹化させることによって前記少なくとも1つのSOT-MRAMセルを囲んでいる1又は複数の凹部を生成する段階;及び
前記1又は複数の凹部において第2のタイプの金属を形成する段階;ここで、前記第2のタイプの金属は前記第1のタイプの金属より低い抵抗率を有している
を備える、方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのSOT-MRAMセルを囲んでいる前記1又は複数の凹部を生成する前に:
前記第1のタイプの金属の露出された部分上の誘電体層、及び前記SOT-MRAMセルを形成する段階;及び
前記誘電体層の一部を除去して、その結果、残りの前記誘電体層が前記少なくとも1つのSOT-MRAMセルの側壁上にのみ存在するようにする段階
をさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のタイプの金属の露出された部分を凹化させることは、ウェットエッチング及びドライエッチングから成るグループから選択されたエッチングプロセスを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つのSOT-MRAMセルの頂面に接触しているコンタクトを形成する段階をさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のタイプの金属は、スピン軌道インタラクションが強い重金属/合金である、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記第2のタイプの金属は、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)、及びコバルト(Co)から成るグループから選択された、請求項11から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
複数の埋め込みコンタクトを有する層間誘電体層上に第1のタイプの金属を形成する段階、ここで、前記第1のタイプの金属はスピンホール効果(SHE)性質を示す;
前記第1のタイプの金属の1又は複数の部分が露出されるように、前記第1のタイプの金属上にハードマスク層をパターニングする段階;
前記第1のタイプの金属の前記露出された1又は複数の部分を除去する段階;
前記第1のタイプの金属が除去された位置に犠牲誘電体層を形成して、その結果、前記犠牲誘電体層の頂面が前記第1のタイプの金属の前記頂面と同一平面上にあるようにする段階;
少なくとも1つのスピン軌道トルク(SOT)MRAMセルを形成して、その結果、前記少なくとも1つのSOT-MRAMセルの自由層が前記第1のタイプの金属に接触するようにする段階;
前記犠牲誘電体層を除去することによって1又は複数の凹部を生成する段階;及び
前記1又は複数の凹部において第2のタイプの金属を形成する段階、ここで、前記第2のタイプの金属は、前記第1のタイプの金属より低い抵抗率を有する
を備える方法。
【請求項18】
前記1又は複数の凹部を生成する前に:
前記犠牲誘電体層の露出された部分の上の誘電体層、及び前記SOT-MRAMセルを形成する段階;及び
前記誘電体層の一部を除去して、その結果、残りの前記誘電体層が前記少なくとも1つのSOT-MRAMセルの側壁上にのみ存在するようにする段階
をさらに備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つのSOT-MRAMセルを形成する段階は:
前記第1のタイプの金属及び前記犠牲誘電体層の上に磁気トンネル接合スタックを形成する段階;及び
前記少なくとも1つのSOT-MRAMセルを形成するために、イオンビームエッチングを利用して前記磁気トンネル接合スタックの一部を選択的に除去する段階
を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のタイプの金属は、スピン軌道インタラクションが強い重金属/合金であり;
前記第2のタイプの金属は、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)、及びコバルト(Co)から成るグループから選択された
請求項17から19のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】