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特表2024-518932GPPシールシステムの保守、交換及び免震
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】GPPシールシステムの保守、交換及び免震
(51)【国際特許分類】
   H02J 15/00 20060101AFI20240426BHJP
   E02B 9/06 20060101ALN20240426BHJP
【FI】
H02J15/00 C
E02B9/06 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568121
(86)(22)【出願日】2022-05-04
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 US2022027578
(87)【国際公開番号】W WO2022235730
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】63/184,066
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516049618
【氏名又は名称】グラビティー パワー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】GRAVITY POWER LLC
【住所又は居所原語表記】5735-B Hollister Avenue,Goleta,California 93117,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100198650
【弁理士】
【氏名又は名称】小出 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】オルロ ジェームズ フィスク
(57)【要約】
シャフト壁(105)を有するシャフト(104)と、ピストン(102)とを有する重力発電装置のためのシーリングシステムは、シャフト壁に固定され、且つピストンを囲むシールアセンブリ支持ベース(202)を組み込む。シールマウントは、シールマウントを支持ベース(202)に固定するための半径方向フランジ(210)と、半径方向フランジの内周から延在する垂直フランジ(212)とを有する。ピストンに円周方向に接触するシールアセンブリ(206)は、シールアセンブリを垂直フランジに係合させるための複数の円周方向に離間されたクランプアセンブリ(227)を有し、クランプアセンブリは、垂直フランジからシールアセンブリを解放する開位置と、シールアセンブリを垂直フランジ上に拘束する閉位置とを有する。シールアセンブリの免震のために、半径方向フランジは、内面に近接してシールアセンブリ支持ベースの頂面上に支持された下部軸受(406)上に支持される。半径方向フランジ(410)は、内面から内向きに延在し、垂直フランジは、シールアセンブリ支持ベースとピストンとの間の隙間内で半径方向逃げ(428)によって内面から離間される。上部軸受は、シールマウント(404)の半径方向フランジ(410)の頂面(411)と係合して支持される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト壁(105)を有するシャフト(104)と、ピストン(102)とを有する重力発電装置のためのシーリングシステムであって、
前記シャフト壁に固定され、且つ前記ピストンを囲むシールアセンブリ支持ベース(202)と、
シールマウントであって、前記シールマウントを前記支持ベース(202)に固定するように適合された半径方向フランジ(210)と、前記半径方向フランジの内周から延在する垂直フランジ(212)とを有するシールマウントと、
前記ピストンに円周方向に接触する少なくとも1つのシール群(226)を有するシールアセンブリ(206)と
を含み、前記シールアセンブリは、前記シールアセンブリを前記垂直フランジに係合させるように構成された複数の円周方向に離間されたクランプアセンブリ(227)を組み込み、前記クランプアセンブリは、前記垂直フランジから前記シールアセンブリを解放する開位置と、前記シールアセンブリを前記垂直フランジ上に拘束する閉位置とを有する、シーリングシステム。
【請求項2】
前記シールアセンブリは、複数の円周方向に離間されたボス(222)を有する頂端部で終わるシールキャリア(220)をさらに含み、前記複数のクランプアセンブリは、前記ボスのそれぞれの1つと円周方向に整列され、及び各クランプアセンブリは、前記垂直フランジのリム(214)に係合するように構成されたクランプ(228)を組み込む、請求項1に記載のシーリングシステム。
【請求項3】
各クランプは、前記ボスの前記それぞれの1つのネジ付きボア236を貫通するネジ付きバレル(234)を有するショルダボルト(230)で前記シールキャリアにボルト留めされ、前記ボルトの内側端部に取り付けられた端部フランジは、前記ボスから取り除かれることを防止する、請求項2に記載のシーリングシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのシール群は、複数のシール群を含み、且つ前記シールキャリア(220)に同心状に取り付けられた複数のガイドリング(224)をさらに含み、前記複数のシール群(226)の1つは、垂直に隣接するガイドリング間で支持リング(248)上に支持される、請求項2に記載のシーリングシステム。
【請求項5】
前記複数のシール群のそれぞれは、
前記支持リングに取り付けられたシール(240)と、
前記支持リングに取り付けられた接触パッド(246)と
を含む、請求項4に記載のシーリングシステム。
【請求項6】
前記複数のクランプアセンブリが前記開位置にある状態で、前記シールアセンブリは、前記ピストンの軸に沿って垂直に移動可能であり、且つ前記シールマウントから取り外される、請求項1に記載のシーリングシステム。
【請求項7】
前記アンロック状態のシールアセンブリを把持し、且つ前記シールマウントから前記シャフトの水面まで前記シールアセンブリを吊り上げるように構成されたホイスト及びキャリッジシステム(300)をさらに含む、請求項6に記載のシーリングシステム。
【請求項8】
前記ホイスト及びキャリッジシステムは、
前記シャフトの上部リム(304)の周りで円周方向に離間された複数のホイストアセンブリ(302)、
前記シャフトにおける長手方向の並進のために構成された複数のキャリッジ(310)
を含み、各キャリッジは、前記複数のホイストアセンブリの1つと関連付けられ、且つ前記シールアセンブリを把持するために、前記シールアセンブリ(206)との半径方向の位置合わせのために下部フレーム要素314上で調整可能であるグリッパ(312)を含む、請求項7に記載のシーリングシステム。
【請求項9】
各ホイストアセンブリ(302)は、前記キャリッジの前記関連付けられた1つに取り付けられる1つ又は複数のケーブル(308)を有するケーブルドラム(306)を含む、請求項8に記載のシーリングシステム。
【請求項10】
前記1つ又は複数のケーブルは、シーブ又はプーリブロック(309)にわたって且つ次いで下方に延びて、前記キャリッジの前記関連付けられた1つに取り付けられる、請求項9に記載のシーリングシステム。
【請求項11】
前記シールアセンブリ支持ベースは、内側半径(420)を有する内面(424)を有し、前記内面と前記ピストン(102)の表面(103)との間に隙間(422)を提供し、前記半径方向フランジ(410)は、前記支持ベースに対して低摩擦係合で支持され、且つ前記シールアセンブリ支持ベースの前記内面から内向きに延在し、前記垂直フランジは、前記隙間内で半径方向逃げ(428)によって前記内面から離間される、請求項1に記載のシーリングシステム。
【請求項12】
前記半径方向フランジは、前記内面に近接して前記シールアセンブリ支持ベースの頂面(407)上に支持された下部軸受406上に支持され、上部軸受は、前記シールマウント(404)の前記半径方向フランジ(410)の頂面(411)と係合して支持される、請求項11に記載のシーリングシステム。
【請求項13】
前記下部軸受は、非常に低い摩擦係数を有する軸受板(406)を含み、且つ前記ピストン(102)を取り囲むアセンブリ支持ベース上面(408)の周り全体でリング状に延在する、請求項12に記載のシーリングシステム。
【請求項14】
前記上部軸受は、前記シャフト壁(105)に強く固定された複数の重いブレース(414)上に取り付けられた複数の上部軸受板(408)を含み、前記上部軸受板(408)のそれぞれは、ピストン周縁に垂直な前記重いブレースと実質的に同じ幅である、請求項13に記載のシーリングシステム。
【請求項15】
前記軸受板及び複数の上部軸受板は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である、請求項14に記載のシーリングシステム。
【請求項16】
水の侵入を防止するために、前記シールアセンブリ支持ベースの頂部内縁部(427)において前記下部軸受板(406)の下に取り付けられたシール(426)をさらに含む、請求項13に記載のシーリングシステム。
【請求項17】
重力発電装置のシールアセンブリのための取り外し及び交換システムであって、アンロック状態のシールアセンブリを把持し、且つシールマウントからシャフト(104)の水面まで前記シールアセンブリを吊り上げるように構成されたホイスト及びキャリッジシステム(300)を含む取り外し及び交換システム。
【請求項18】
前記ホイスト及びキャリッジシステムは、
前記シャフトの上部リム(304)の周りで円周方向に離間された複数のホイストアセンブリ(302)、
前記シャフトにおける長手方向の並進のために構成された複数のキャリッジ(310)
を含み、各キャリッジは、前記複数のホイストアセンブリの1つと関連付けられ、且つ前記シールアセンブリを把持するために、前記シールアセンブリ(206)との半径方向の位置合わせのために下部フレーム要素(314)上で調整可能であるグリッパ(312)を含む、請求項17に記載の取り外し及び交換システム。
【請求項19】
請求項8に記載のシーリングシステムのシールアセンブリを取り外す方法であって、
前記クランプアセンブリを開位置に置くこと、
前記シールアセンブリと接触して前記グリッパを置くために、前記複数のキャリッジを下げること、
前記グリッパで前記シールアセンブリを把持すること、
前記複数のキャリッジを上げること
を含む方法。
【請求項20】
免震を提供するシーリングシステムを有する、シャフト壁(105)を有するシャフト(104)と、ピストン(102)とを有する重力発電装置エネルギー貯蔵システムであって、前記シーリングシステムは、
前記シャフト壁に固定され、且つ前記ピストンを囲むシールアセンブリ支持ベース(402)であって、内側半径(420)を有する内面(424)を有し、前記支持ベース(402)の内面(424)と、前記ピストン(102)の表面(103)との間に隙間(422)を提供するシールアセンブリ支持ベース(402)、
前記シールアセンブリ支持ベースに対して低摩擦係合で支持される、前記ピストン(102)を円周方向に囲むシールマウント(404)、
前記隙間内で半径方向逃げ(428)によって前記内面から離間される、前記ピストンに円周方向に接触する、前記シールマウント上に支持されたシールアセンブリ(206)
を含み、前記シールマウントは、前記半径方向逃げ内で前記シールアセンブリ支持ベースに対して摺動し、前記シールアセンブリ支持ベースが前記シールアセンブリ又はピストンに衝突することを防止する、重力発電装置エネルギー貯蔵システム。
【請求項21】
前記シールマウントは、前記支持ベース(402)に係合された半径方向フランジ(410)と、前記半径方向フランジの内周から延在する垂直フランジ(412)とを有し、前記半径方向フランジは、前記内面に近接して前記シールアセンブリ支持ベースの頂面上に支持された下部軸受(406)上に支持され、上部軸受は、前記シールマウント(404)の前記半径方向フランジ(410)の頂面(411)と係合して支持される、請求項20に記載の重力発電装置エネルギー貯蔵システム。
【請求項22】
前記下部軸受は、非常に低い摩擦係数を有する軸受板(406)を含み、且つ前記ピストン(102)を取り囲むアセンブリ支持ベース上面(408)の周り全体でリング状に延在する、請求項21に記載の重力発電装置エネルギー貯蔵システム。
【請求項23】
前記上部軸受は、前記シャフト壁(105)に強く固定された複数の重いブレース(414)上に取り付けられた複数の上部軸受板(408)を含み、前記上部軸受板(408)のそれぞれは、ピストン周縁に垂直な前記重いブレースと実質的に同じ幅である、請求項22に記載の重力発電装置エネルギー貯蔵システム。
【請求項24】
前記軸受板及び複数の上部軸受板は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である、請求項23に記載の重力発電装置エネルギー貯蔵システム。
【請求項25】
水の侵入を防止するために、前記シールアセンブリ支持ベースの頂部内縁部(428)において前記下部軸受板(406)の下に取り付けられたシール(426)をさらに含む、請求項22に記載の重力発電装置エネルギー貯蔵システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、本出願と共通の譲受人を有する、GPP Seal System Maintenance,Replacement and Seismic Isolationという名称の2021年5月4日に出願された米国仮特許出願第63184066号明細書の優先権を主張し、その開示は、照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書に開示される実装態様は、概して、「重力発電装置」又は「GPP」と本明細書で呼ばれる重力液圧エネルギー貯蔵システムにおける流体シーリングシステムに関する。より詳細には、実装態様は、取り外し可能なシールアセンブリ並びにサービスホイスト及びキャリッジシステムを有する関連付けられたシールマウント及び支持ベースと、シールマウント及び支持ベースのための免震構成とを提供する。
【背景技術】
【0003】
社会のあらゆる種々のニーズに電力を供給するために十分なエネルギーを提供することは、年々、一層問題となりつつある。石炭、石油及びガス等の従来の供給源は、より高価であり、且つ見つけるのが困難になっている。同時に、燃焼副産物は、大気汚染をもたらし、大気中の二酸化炭素量を増加させ、地球環境に深刻な結果をもたらす恐れがある。断続生成から、信頼性のある実行可能な電力供給に変換できる場合、エネルギー再生可能供給源、特に太陽熱収集器及び風力タービンは、炭化水素の大部分を置き換え得る。これは、太陽及び/又は風力供給源からの出力の相当の割合を大規模エネルギー貯蔵ユニットに指向することによって達成され得、次いでそのエネルギーを必要に応じて放出する。
【0004】
非常に大容量のエネルギー貯蔵のために現在使用されている主要な技術は、揚水発電である。典型的な設置では、異なる高度にある2つの大型の貯水池を採用し、余剰エネルギーが利用可能である場合には常に下方貯水池から上方貯水池に水が圧送される。必要に応じて、水は、上方貯水池から水車を通して下方貯水池に放出されて電気を発生させる。大型の設置では、1000メガワット超のピーク出力電力と、数千メガワット時の貯蔵容量とを有することができる。揚水発電は、数十年にわたって主要なバルク貯蔵技術であり、世界的に150GW以上を超える容量であったが、増加する構築コストに加えて、貯水池の設計に付随する地理的、地質学的及び環境的制約は、将来的拡張に対してこの技術をそれほど魅力的でないものにしている。したがって、この技術は、エネルギーの炭化水素供給源から再生可能供給源へのエネルギー供給基盤の重要な変換を支援するために必要とされる、汎用性、テラワット容量、低コスト及び環境適合性を提供する実践的な方法ではない。
【0005】
2012年5月1日に本発明者に発行され、全体として参照により本明細書に組み込まれる「System and Method for Storing Energy」という名称の米国特許第8,166,760号明細書は、揚水発電の制約を回避すると同時に、同様の又はより良好なエネルギー貯蔵性能及び経済性を提供する、エネルギーを貯蔵するためのシステム及び方法を記載している。2018年1月16日に発行され、本出願と共通の譲受人を有し、全体として参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,869,291号明細書は、「System and Method for Storing Energy」に対する改善を記載している。このシステムでは、大型ピストンが、水で満たされる深い垂直シャフトに吊り下げられる(図1A(先行技術))。ポンプタービンは、シャフトの頂部及び底部にパイプ管によって接続され、ポンプタービンは、電気モータ/発生機に駆動シャフトを介して接続される。風力エネルギーなど、オフピークの又は再生可能なエネルギーは、ポンプを回転させる電気モータに電力を供給するために使用され、ピストンをシャフトの頂部に向けて持ち上げる、ピストンの下の高圧を発生させて、重力位置エネルギーの形態のエネルギーが貯蔵される。必要に応じて、その後、ピストンは、シャフト内で下降し、接続パイプ及びタービンを通して水を強制的に戻し、発生機を回転させて、電力網に供給する電力を生成する。
【0006】
このエネルギー貯蔵システムが効率的に作動し、数百メガワット時以上の電気を貯蔵し、数十又は数百メガワット以上の入出力電力レベルを収容するには、ピストンが非常に大型であり、水圧が極めて高くなければならない。高圧水がピストンとシャフト壁との間を流出することを防止しなければならず、それは、システム作動を損ない、効率を低下させる。従来の水圧シリンダーなどのより小さいシステムでは、そのような流体流れをブロックするためにシールが使用される。これらのシールは、通常、ピストン又はシャフト壁の表面に沿って摺動する。一定の直径を有する静的シールは、正確な一定の直径を有する研摩されたピストン及び/又はシャフトとともに使用される。動的な又は屈曲するシールは、多くとも数ミリメートルのピストン又はシャフトの直径の変化に適応するために使用され得る。
【0007】
しかしながら、現在のエネルギー貯蔵システムでは、ピストンは、数十メートル以上の直径と、数百メートルの高さとを有し得る。ピストン又はシャフトの垂直方向にわたって変化しない非常に正確な直径を有するそのようなピストン又はシャフトを構築することは、経済的に実行不可能である。実際、慎重な実装形態でも、実際の構築技術では数センチメートルのピストン又はシャフトの直径又は垂直の変化を容易にもたらし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実装形態は、シャフト壁105を有するシャフト104と、ピストン102とを有する重力発電装置のためのシーリングシステムを開示する。シーリングシステムは、シャフト壁に固定され、且つピストンを囲むシールアセンブリ支持ベース202を組み込む。シールマウント204は、シールマウントを支持ベース202に固定するように適合された半径方向フランジ210と、半径方向フランジの内周から延在する垂直フランジ212とを有する。ピストンに円周方向に接触する少なくとも1つのシール群226を有するシールアセンブリ206は、シールアセンブリを垂直フランジに係合させるように構成された複数の円周方向に離間されたクランプアセンブリ227を有し、クランプアセンブリは、垂直フランジからシールアセンブリを解放する開位置と、シールアセンブリを垂直フランジ上に拘束する閉位置とを有する。
【0009】
追加の実装形態は、シールアセンブリの免震を提供し、シールアセンブリ支持ベースは、内側半径420を有する内面424を有し、支持ベース402の内面424とピストン102の表面103との間に隙間422を提供する。半径方向フランジは、内面に近接してシールアセンブリ支持ベースの頂面上に支持された下部軸受406上に支持される。シールマウントは、ピストン102を円周方向に囲み、半径方向フランジ410は、シールアセンブリ支持ベースの内面から内向きに延在し、垂直フランジは、隙間内で半径方向逃げ428によって内面から離間される。上部軸受は、シールマウント404の半径方向フランジ410の頂面411と係合して支持される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】(先行技術)基本的な重力発電装置(GPP)設計の概略図である。
図1B】本実装形態の概略図である。
図2】ピストンの頂端部及びGPPの隣接するシャフト壁の断面図である。
図3】シールアセンブリ支持ベース、シールマウント及びピストンに取り付けられたシールアセンブリ位置合わせガイドを示す。
図4】シールマウントの拡大断面図である。
図5】シールアセンブリ及びロッキングクランプを示す。
図6】ピストンの上端の片側を示し、シールアセンブリ及びロッキングクランプは、ロック位置にロッキングクランプボルトで取り付けられている。
図7】シールアセンブリを有するシールマウントの拡大断面図であり、ロッキングクランプは、開いている。ロッキングクランプボルトは、解放位置にある。
図8】シールマウントの頂端部の拡大断面図であり、シールアセンブリは、シールマウントから離れるように部分的に持ち上げられている。
図9】ピストンの頂端部、隣接するシールアセンブリ支持ベース及びシールマウントの断面図であり、シールアセンブリは、シールマウントから持ち上げられている。
図10】シールアセンブリの設置及び取り外しに使用するためのホイスト及びキャリッジシステムを有するシャフトの頂端部の断面分割図である。
図11】4つのホイストキャリッジを有するGPPシャフトの頂部の平面図である。
図12】シャフト及びピストンの断面分割図であり、キャリッジは、ピストンの近くに下げられている。
図13】シャフト及びピストンの断面分割図であり、キャリッジクランプは、シールアセンブリのグリップバー上で閉じられている。
図14】シャフト及びピストンの断面分割図であり、シールアセンブリは、ピストンから離れるように巻き上げられている。
図15】シャフト及びピストンの断面分割図であり、シールアセンブリは、シャフトの水位より上の表面まで完全に巻き上げられている。
図16】GPPのピストンの頂端部に隣接するシールアセンブリ支持ベースの第2の実施形態の断面図である。
図17】シールアセンブリ支持ベースの頂面上に取り付けられた下部軸受板及びシールを示す。
図18】シールアセンブリ支持ベースの頂面上に取り付けられたシールマウントの第2の実施形態を示す。
図19】シールマウントの頂部上に取り付けられた上部軸受板及び重いブレースを示す。
図20】エラー!参照元が見つかりませんのピストンの頂部の平面図である。
図21】シールマウントの方に下げられているシールアセンブリの断面図である。
図22】シールマウント上に取り付けられて、所定の位置にクランプされたシールアセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の詳細な説明は、本明細書に開示される実装形態のための現在想定される最良の形態である。本説明は、限定的な意味で捉えられるものではなく、単に本発明の一般的な原理を例示する目的としてなされる。
【0012】
図1A(先行技術)は、米国特許第9,869,291号明細書で開示される重力発電装置の概略図である。図1Bは、本明細書に開示されるGPPの実装形態の概略図であり、共通の要素は、付番を統一している。図1A及び1Bで参照されるように、エネルギーを貯蔵するための大規模なエネルギー貯蔵システム100が示される。エネルギー貯蔵システム100は、上記のエネルギー貯蔵システム60と同様に作動し、水などの作動流体で満たされる内部容積を有する深い垂直シャフト104に吊り下げられる大型ピストン102として示される本体を含む。ピストン102は、その高さに沿った比較的一定の周縁と、平滑で硬い外面とを有するように構成される。ピストン102は、シャフト104の内部容積を、ピストン102より上の第1の、すなわち上方チャンバ106と、ピストン102より下の第2の、すなわち下方チャンバ108とに分割する。チャンバ106及び108は、通路110を通して互いに流体連通する。通路110は、垂直通路112(例えば、導水路)を含む。垂直通路112は、上方の交差通路116(例えば、放水路)を通して上方チャンバ106と連通し、下方の交差通路118を通して下方チャンバ108と連通する。ピストン102がシャフト104内を移動すると、チャンバ106及び108の容積が増加及び減少し、チャンバ106及び108間で通路110を通して流体を強制的に流す。
【0013】
ポンプタービン120は、通路110を流れる流体がポンプタービン120を回すように上方の交差通路116に配設される。ポンプタービン120は、上方の交差通路116を、ポンプタービン120から上方チャンバ106まで延在する第1の部分122と、ポンプタービン120から垂直通路112まで延在する第2の部分123とに分ける。ポンプタービン120は、第1の方向に回転するときにはポンプとして、第2の反対方向に回転するときにはタービンとして動作するように構成される回転装置である。ポンプタービン120は、例えば、駆動シャフト126を介して電気モータ/発生機124に機械的に連結される。ポンプタービン120は、ポンプタービン120が電気モータ/発生機124から機械的に分離されることを可能にする、クラッチ又はトルクコンバータなどの中間部材を介して駆動シャフト126に連結され得る。ポンプタービン120、電気モータ/発生機124及び駆動シャフト126の1つ又は複数は、地表から地下に広がる発電室128などの施設に収容され得る。
【0014】
モータ/発生機124は、電力網などの電力の外部供給源及び外部出力先に接続される。エネルギー貯蔵システム100に貯蔵されるエネルギーは、電気モータ/発生機124を駆動するために使用され、モータ/発生機124、駆動シャフト126及びポンプタービン120の相互接続によってポンプタービン120を回転させる。ポンプタービン120は、流体を上方チャンバ106から下方チャンバ108まで通路110を通して強制的に流し、ピストン102の下の下方チャンバ108により高い圧力を発生させる。差圧により、ピストン102は、シャフト104の頂部に向けて上方に持ち上げられ、重力位置エネルギーの形態のエネルギーが貯蔵される。貯蔵されるエネルギーは、ピストン102がシャフト104で下降することを可能にすることによるエネルギー貯蔵システム100からの出力であり得る。ピストンの重量により、流体は、下方チャンバ108から上方チャンバ106まで通路110を通して強制的に流される。流体は、ポンプタービン120を通して流れ、ポンプタービン120を回転させる。モータ/発生機124は、モータ/発生機124、駆動シャフト126及びポンプタービン120の相互接続によって駆動されて電力を生成する。電力は、例えば、電力網に供給され得る。
【0015】
ピストン102の比較的大きいサイズ及び垂直移動並びにピストン102の比較的控えめな速度のための比較的小さい引きずり損失により、かなりのエネルギーをエネルギー貯蔵システム100に貯蔵することを可能にする。1つの例示的な実施形態によると、シャフトは、約30メートルの直径と、約500メートルの深さとを有し、ピストンは、約250メートルの高さと、約174,000立方メートルの容積とを有する。ピストン102は、実質的にコンクリートから形成され得、それは、約1500kg毎立方メートルの水中で負の浮力を有し、約14700ニュートンの下方力を提供する。水中で1000メートルの高度を通して1立方メートルのコンクリートを降下させることによって放出されるエネルギー(仕事量)は、以下の通りである。
W=力×距離=14,700N×1,000m=14.7メガジュール≒4.1キロワット時
250メートルの高度変化による移動を行う約174,000立方メートルの容積を有するコンクリートのピストンの場合、結果として生じる貯蔵容量は、160メガワット時を超える。
【0016】
シーリングシステム130は、ピストン102を囲んで設けられ、ピストン102とシャフト104の壁との間の環状空間101に配設される。シーリングシステム130は、上方チャンバ106と下方チャンバ108との間のピストン102の周りの流体の流れを妨げるように構成される。シャフト104の壁105、ピストン102の外面103及びシーリングシステム130は、高圧又は流体の粒子がシャフト104、ピストン102又はシールアセンブリ130に損傷を与えることを防止し、エネルギー貯蔵システム100の稼動寿命を最大化するように構成される。
【0017】
開示される実装形態において、シーリングシステム130のシール要素は、ピストン102の外面103を押圧し、ピストン102は、シーリングシステム130を通して上下に動く。他の実装形態において、シーリングシステム130は、ピストン102に取り付けられてシャフト壁105を押圧し得る。シーリングシステム130のシール要素は、最終的にすり減って交換を必要とするが、シャフト104内の水面より最大500メートル以上も下にあることがあるため、そのような交換は、難しい場合があり、シーリングシステムへの直接のアクセスを可能とするために、上方シャフトチャンバ106のすべての水をポンプでくみ出すことさえ必要とし得る。
【0018】
図1Bに開示される実装形態において、シーリングシステム130は、シャフト壁105から延在するか又はシャフト壁105に取り付けられたシールアセンブリ支持ベース202を組み込む。後に詳細に記載されるように、シールマウント204は、シールアセンブリ支持ベース202によって支持され、次に、シールアセンブリ206は、シールマウントによって支持される。
【0019】
図2は、GPPのピストン102の頂端部及び隣接するシャフト壁105の断面図であり、ピストン102の構築は、例えば、米国特許第9,869,291号明細書で開示されるように完了された。
【0020】
図3において、後により詳細に記載される、シールアセンブリ支持ベース202、シールマウント204及びシールアセンブリ位置合わせガイド208を有する、GPPのためのシーリングシステムがピストン102とともに示されている。シールアセンブリ支持ベース202は、ピストン102を囲み、通常、ロックボルトでシャフト壁105に強く固定され、シールアセンブリより下のチャンバ108と、シールアセンブリより上のチャンバ106との間の大きい圧力差に耐えることができる、鉄筋コンクリートなどの材料から構築されるシールマウント204は、通常、鋼又は他の強い剛性材料から製作される。
【0021】
図4から分かるように、シールマウント204は、半径方向フランジを支持ベースに埋め込むか、又は支持ベースの頂面若しくは底面に半径方向フランジを取り付けることにより、シールマウントを支持ベース202に固定するように適合された半径方向フランジ210を組み込む。垂直フランジ212は、半径方向フランジ210の内周から延在する。リム214は、垂直フランジ212の上端部から半径方向外向きに延在し、足部216は、垂直フランジ212から半径方向内向きに延在する。シールアセンブリ位置合わせガイド208は、以下で説明されるように、シールアセンブリ206の配置を支援するために、ピストン102の頂面107の周りで間隔をおいて円周方向に離間している。
【0022】
図5から分かるように、シールアセンブリ206は、複数の円周方向に離間されたボス222を有する頂端部で終わるシールキャリア220を有する。複数のガイドリング224は、シールキャリア220に同心状に取り付けられ、シール群226は、垂直に隣接するガイドリング間で支持リング248上に支持される。複数のクランプアセンブリ227は、それぞれボスのそれぞれの1つと円周方向に整列され、各クランプアセンブリは、垂直フランジ212のリム214に係合するように構成されたクランプ228を有する。各クランプアセンブリのクランプ228は、ボルトのクランプからの分離を防止するショルダフランジ232を有するショルダボルト230を使用してシールキャリア220にボルト留めされる。ボルトのネジ付きバレル234は、シールキャリア220のボス222のそれぞれの1つのネジ付きボア236を貫通し、ボルトの内側端部に溶接されるか又は他に取り付けられた端部フランジ238は、ボルトがシールキャリア220のボスから完全に取り外されることを防止する。シールキャリア220及びガイドリング224は、足部216の上に位置付けられ得るか又は足部216によって支持され得、底部シール217は、底部ガイドリングと足部との間に存在し得る。代替の実装形態において、クランプアセンブリ又は同等のラッチ機構は、シールマウントの足部又はさらにシールアセンブリ支持ベースの下面に係合するためにシールアセンブリの下端部に存在し得る。
【0023】
各シール群226は、支持リング248に取り付けられたシール240及び接触パッド246を含む。シール240は、合成ポリマー(例えば、ポリウレタン、ポリブタジエンなど)などの弾性材料から形成され、それは、ピストン102に対して圧縮し、外面103に従わせることが可能であり、シールアセンブリ206とピストン102との間の作動流体の通路に対するシールを作成する。例示的な実装形態において、シール240は、連続的なリングに溶接又は接着される範囲であり得るセグメントで形成され得る(例えば、機械加工、鋳造、押し出しなど)。接触パッド246は、圧縮に抵抗する超高分子ポリエチレン又はVesconiteなどの強い低摩擦の材料から形成される。接触パッド246は、シール240より上及び/又は下に配設され、ボルト締め又は他の方法でシール支持リング248に取り付けられ、ガイドリングとピストン102の表面103との間の接触を防止するように構成される。シール240及び接触パッド246は、ピストン102の表面103などの鋼鉄表面上で摺動するときに低摩擦係数を有するように構成される。シールアセンブリ206がピストン102の表面103の高くなった不連続部(例えば、リッジ、バンプ、うねりなど)に直面した場合、比較的硬い接触パッド246は、シールキャリア220を不連続部の領域の外側に局所的に移動させるように構成され、比較的軟かいシール240を剪断作用から保護する。
【0024】
作動中、シール240は、シールアセンブリ206の下の下方チャンバ108の作動流体の圧力のために、半径方向内向きに広がり、シールキャリア220とピストン102との間の隙間をきつく塞ぎ、流体が通り過ぎて漏れることを防止する。
【0025】
図6は、ピストンの上端の片側の拡大図であり、シールアセンブリ206がシールマウント204上に取り付けている。クランプ228は、リム214を係合するロック位置又は閉位置で示されている。
【0026】
図7は、シールマウント204及びシールアセンブリ206の拡大断面図である。この図では、ショルダボルトは、ロッキングクランプを解放するために回転されて、シールマウント204上への設置のために又はシールマウントからのシールアセンブリの除去に備えて、ロッキングクランプをアンロック位置又は開位置にする。
【0027】
図8では、シールアセンブリ206は、ピストンの軸に沿って垂直に移動されて、シールマウント204から離れるように部分的に持ち上げられている。
【0028】
図9は、ピストン102の頂端部、隣接するシールアセンブリ支持ベース202及びシールマウント204の断面図であり、シールアセンブリ206は、シールマウントから取り外されている。
【0029】
支持ベース202、シールマウント204及びシールアセンブリ206の構成は、保守のためのシールアセンブリの容易な設置及び取り外しを可能にする。図10は、ピストン102の頂端部及びシャフト104の頂端部の断面分割図であり、シャフトから水をくみ出す必要のないシールアセンブリ206の設置及び取り外しに使用するためのホイスト及びキャリッジシステム300の1つの実装形態を示す。複数のホイストアセンブリ302は、シャフトの上部リム304の周りで円周方向に離間し、シールキャリア220のボス222と整列される(後に記載されるように、例示的実装形態では周縁上の90°間隔の4つの位置)。各ホイストアセンブリ302は、ケーブルドラム306を含み、1つ又は複数のケーブル308は、シーブ又はプーリブロック309にわたって且つ次いで下方に延びて、シャフトにおいて縦方向に並進するように構成されたキャリッジ310に取り付けられる。示される実装形態では、ホイールがキャリッジ上に採用される。他の実装形態では、キャリッジは、シャフトの壁に沿って摺動するスキッド又はシャフト壁上の垂直レールに係合される軸受システムを採用し得る。代替の実装形態では、ホイストドラムは、シーブを排除するために、シャフト壁上に取り付けられ得る。キャリッジ310は、シールアセンブリを把持するために、シールアセンブリ206との半径方向の位置合わせのために下部フレーム要素314上で調整可能であるグリッパ312を含む。
【0030】
ホイスト及びキャリッジは、図11の平面図で参照されるように、4つのキャリッジ310とともにシャフト104の上部リム304の周りに配備される。他の実装形態は、特定の設置の必要性に応じて、リムの周りで円周方向に離間されたより少ない又はより多くのキャリッジを利用し得る。示されるように、各キャリッジは、2つのホイストケーブル308によって吊り上げられるが、いくつかの実施形態では、1つのケーブルで十分であることがあり、他の実施形態では、3つ以上のケーブルが好ましいことがある。通常、電力が供給されるが、他の種類に置き換えられ得るモータ316は、ケーブルドラム306を駆動する。キャリッジ310は、キャリッジの相対的配置を固定するためにフレーム316と相互接続され得る。
【0031】
図12で参照される作動において、キャリッジ310は、ピストンの頂端部に近づくまでそのそれぞれのホイストアセンブリ302によってそれぞれ下げられる。キャリッジホイール318は、シャフト壁105に沿って下に降り、グリッパ312は、キャリッジが接近するにつれて、シールアセンブリ206と整列される。シールアセンブリ上のロッキングクランプは、グリッパ上への適切な回転取付けにより、又はキャリッジを下げる前に、図12に示されるように遠隔作業機(図示せず)により開けられる。
【0032】
キャリッジ310は、図13から分かるように、支持ベース202及びピストンの頂部に近接して位置付けられ、グリッパ312は、シールアセンブリ206のシールキャリア220上に固定するように閉じられる。通常、遠隔ビデオカメラ(図示せず)及び投光器(図示せず)は、この手順を観察し、適切なグリッパの取付けを確認するために操作者によって使用される。グリッパは、操作者によって遠隔で操作される。
【0033】
次いで、図14から分かるように、ホイストアセンブリ302は、シールマウント204及びピストン102から離れるようにキャリッジ310及びシールアセンブリ206を持ち上げるために採用される。すべてのキャリッジ310は、シールアセンブリ206を水平に維持するために同時に吊り上げられ、シールマウント204とピストン102との間の環状部でシールアセンブリが動かなくなることを防止する。
【0034】
キャリッジ310が完全に後退し、シールアセンブリがシャフト104の水位303より上の水面まで完全に吊り上げられると、図15から分かるように、作業者がシールアセンブリ206に簡単にアクセスできるようにするために、浮いているか又は他に支持された作業プラットフォーム301がシャフト内部に置かれる。これにより、アセンブリの検査、任意の必要な修理及び摩耗したシール要素240の交換が可能になる。保守の完了後、シールアセンブリは、前述の手順の逆の手順で下げられて再設置される。
【0035】
上記で言及された図及び設計は、保守及び修理の容易さを提供するGPP及びシールシステムの実施形態を示す。図16~22に関して以下に詳細に記載されるさらなる実装形態は、地震が発生した場合のシールシステム及びピストンへの損傷から保護する免震を提供し、シールマウント404は、ピストンを円周方向に囲み、代替的なシールアセンブリ支持ベース402に対して低摩擦係合で支持される。
【0036】
図16は、代替的なシールアセンブリ支持ベース402を示し、それは、最初の実装形態のように、高圧に耐えるように厳重に補強されてシャフト壁に強く固定されているが、内側半径420が大きく、支持ベース402の内面424とピストン102の表面103との間により大きい隙間422が残る。後に図18に対して記載されるように、代替的なシールマウント404は、半径方向フランジ410及び垂直フランジ412を組み込む。
【0037】
図17から分かるように、下部軸受板406は、内面424に近接してシールアセンブリ支持ベース402の上面407上に取り付けられる。軸受板406は、通常、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの非常に低い摩擦係数を有する材料から製作され、ピストン102を取り囲むアセンブリ支持ベース上面408の周り全体でリング状に延在する。下部軸受板406は、後述する免震システムの「下部軸受」になる。水の侵入を防止するために、シールアセンブリ支持ベースの頂部内縁部427における下部軸受板406の下にシール426が取り付けられる。
【0038】
図18から分かるように、シールマウント404の半径方向フランジ410は、シールアセンブリ支持ベース402の頂面上に支持され、下部軸受板406の頂部上に置かれる。従来の実装形態のように、シールマウントは、ピストン102を円周方向に囲む。半径方向フランジ410は、シールアセンブリ支持ベース402の内面424から内向きに延在し、垂直フランジ412は、半径方向逃げ428によって内面424から離間される。
【0039】
図19から分かるように、シールマウントの免震のための「上部軸受」は、複数の上部軸受板408によって提供され、同様にPTFEなどの低摩擦係数の材料から作られ、シールマウント404の下の高圧水によって引き起こされる大きい力に耐えるように、通常、ロックボルトでシャフト壁105に強く固定された複数の重いブレース414により、シールマウント404の半径方向フランジ410の頂面411(図18で参照される)と係合するように支持される。上部軸受板408のそれぞれは、通常、ピストン周縁に垂直な重いブレースと同じ幅であろう。
【0040】
ピストン周縁の複数のブレース/上部軸受板の組は、図19のピストンの頂部の平面図である図20に示される。例示的な実装形態では、16個の重いブレースが採用される。他の実施形態では、16個より多く又は少なく存在し得る。
【0041】
上記の実装形態で開示されたシールアセンブリ206は、シールマウント404の垂直フランジ412に取り付けられる。図21は、通常、最初の実装形態に対して記載されたホイスト及びキャリッジ(図示せず)又は1つ若しくは複数のクレーン(図示せず)によってシールマウント404の方に下げられているシールアセンブリを示す。シールアセンブリロッキングクランプ228は、開位置で示されている。
【0042】
シールマウント上に取り付けられたシールアセンブリが図22に示され、ロッキングクランプのロッキングボルトは、所定の位置にシールアセンブリをロックするために締め付けられる。ロッキングボルトの締め付けは、通常、深い水中で使用するために設計された遠隔作業機(ROV)によって実現される。この種類のROVは、商業的に利用可能であり、洋上石油施設で頻繁に使用されている。
【0043】
シールマウント404の半径方向フランジ410は、上部軸受と下部軸受との間に保持される。地震が発生した場合、シールアセンブリ支持ベース、重いブレース及びシャフト壁のすべては、地震の大きさに応じて変化する量だけ周囲の地盤とともに横方向に移動する。ピストンは、シャフト104内の慣性力及び浮力のために静止したままである傾向がある。シールマウントは、上部軸受と下部軸受との間で摺動し、シールマウント404の増加した半径方向逃げ428は、まさに最大規模の地震以外においてシールアセンブリ支持ベースがシールアセンブリ又はピストンに衝突することを防止し、それによりシステムの損傷を防止する。
【0044】
ここまで本開示の様々な実装形態を特許法で要求されるように詳細に説明してきたが、当業者は、本明細書の特定の開示に対する修正形態及び代替形態を認識するであろう。このような修正形態も、以下の特許請求の範囲で定義される本開示の範囲及び意図の範囲に含まれる。本明細書及び特許請求の範囲において、用語「含む」、「組み込む(incorporate)」、「組み込む(incorporates)」又は「組み込んでいる」、「包含する(include)」、「包含する(includes)」又は「包含している」、「有する(has)」、「有する(have)」又は「有している」及び「含有する(contain)」、「含有する(contains)」又は「含有している」は、オープンな記載であると意図され、追加の又は均等な要素が存在し得る。本明細書及び特許請求の範囲で使用される用語「実質的に」は、言及された特性、パラメータ又は値が正確に実現される必要はないが、例えば、許容誤差、測定誤差、測定精度限界及び当業者に知られている他の要因を含む偏差又は変化が、特性がもたらされることを目的とした影響を除外しない程度に発生し得ることを意味する。本明細書で使用される場合、用語「頂部」、「底部」、「上部」、「下部」、「内側」、「外側」は、相対的な位置を記載するために採用され、開示された特定の実装形態以外の場合、実際の実装形態の向きに応じて、「第1」及び「第2」、「頂部」及び「底部」又は「右」及び「左」などの適切な記述で代用され得る。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【国際調査報告】