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特表2024-518938ハウジングの故障点を検出および位置特定するための方法および装置
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  • 特表-ハウジングの故障点を検出および位置特定するための方法および装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】ハウジングの故障点を検出および位置特定するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20240426BHJP
   G10K 15/00 20060101ALI20240426BHJP
   G01H 17/00 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
G10K15/00 L
G01H17/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568304
(86)(22)【出願日】2022-05-03
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 EP2022061817
(87)【国際公開番号】W WO2022233850
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】21172680.7
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521309879
【氏名又は名称】ミューズ エレクトロニクス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ツァッハ,ゲーラルト
(72)【発明者】
【氏名】レイナー,マックス
(72)【発明者】
【氏名】キルシュナー,マルクス
【テーマコード(参考)】
2G024
2G064
【Fターム(参考)】
2G024AD21
2G024BA11
2G024BA27
2G024CA13
2G024FA04
2G064AA12
2G064AB01
2G064AB02
2G064AB16
2G064AB22
2G064BA02
2G064BD02
2G064CC02
2G064CC41
2G064CC43
(57)【要約】
ハウジング(2)の故障(F)を検出し、位置特定するための方法であって、少なくとも2つのスピーカ(L)および少なくとも2つのマイクロフォン(M)をその中に配置することと、スピーカ(L)およびマイクロフォン(M)の各ペアリング(m)および故障のないハウジングについて、スピーカ(L)からマイクロフォン(M)への音響伝達(Si,j)の基準周波数応答(REF)を測定することと、各ペアリング(m)および故障のあるハウジングについて、音響伝達(Si,j)の現在の周波数応答(SPEC)を測定することと、各ペアリング(m)について、現在の周波数応答と基準周波数応答(REF)との間の差として差分周波数応答(DIF)を決定することと、2つのペアリングの可能な組み合わせ(m、n)ごとに、ペアリングの差分周波数応答(DIF、DIF)間の相関測定値(Rm,n)を計算することと、最高の相関測度(Rm,n)を有する組み合わせ(m、n)を決定することと、同じスピーカ(L)または同じマイクロフォン(M)が、この組合せのペアリングに現れる場合、このスピーカ(L)またはマイクロフォン(M)に近接するものとして障害(F)を位置特定することを含む。本発明はさらに、この方法を実行するための装置(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に電子装置のためのハウジング(2)の故障(F)を検出および位置特定するための方法であって:
前記ハウジング(2)の内部に少なくとも2つのスピーカ(L)および少なくとも2つのマイクロフォン(M)を配置するステップ、
スピーカ(L)およびマイクロフォン(M)の考えられるペアリング(m)ごとに、このペアリング(m)の前記スピーカ(L)から前記マイクロフォン(M)への音響伝達(Si,j)の基準周波数応答(REF)を測定するステップ;
ペアリング(m)ごとに、このペアリング(m)の前記スピーカ(L)から前記マイクロフォン(M)への前記音響伝達(Si,j)の現在の周波数応答(SPEC)を後の時点で測定するステップ;
ペアリング(m)ごとに、このペアリング(m)の前記現在の周波数応答(SPEC)とこのペアリング(m)の前記基準周波数応答(REF)との間の差として差分周波数応答(DIF)を決定するステップ;
少なくとも1つのペアリング(m)について、このペアリングの前記差分周波数応答(DIF)の検出測定値(V)を決定するステップ、および
この少なくとも1つの検出測定値(V)が所定の検出基準を満たす場合、
障害(F)を検出するステップ、
2つのペアリングの考えられる組み合わせ(m、n)のそれぞれについて、この組み合わせの前記ペアリングの前記差分周波数応答(DIF、DIF)間の相関測定値(Rm,n)を計算するステップ、
最も高い相関測定値(Rm,n)を有する組み合わせ(m、n)を決定するステップ、および同じスピーカ(L)または同じマイクロフォン(M)がこの組み合わせの前記2つのペアリングに現れる場合、前記障害(F)の位置を、任意の他のスピーカまたはマイクロフォンよりもこのスピーカ(L)またはマイクロフォン(M)に近いものとして特定するステップ、を含む方法。
【請求項2】
前記相関測定値(Rm,n)が、選択された周波数帯域における前記差分周波数応答(DIF、DIF)の相互相関から決定されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記周波数帯域が、250Hz~2KHz、好ましくは350Hz~1.1KHzであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記最も高い相関測定値(Rm,n)を有する組合せ(m、n)の決定する間、相関閾値(C)を超える組合せのみが考慮されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの差分周波数応答(DIF)の総信号エネルギーが検出閾値(D)を超える場合、検出基準が満たされることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記それぞれの周波数応答(REF、SPEC)は、前記スピーカ(Li)によって発せられるチャープを用いて測定されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記それぞれの周波数応答(REF、SPEC)は、前記スピーカ(L)によって発せられるディラックパルスを用いて測定されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記基準周波数応答(REF)および前記現在の周波数応答(SPEC)が、それぞれ、複数の個々の測定値に渡って平均化されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
特に電子装置のためのハウジング(2)の故障(F)を検出し、位置特定するための装置であって:
前記ハウジング(2)の内部(3)に配置するための少なくとも2つのスピーカ(Li)および少なくとも2つのマイクロフォン(Mj)と,前記スピーカ(L)に接続された信号発生器(5)と、前記マイクロフォン(M)に接続された評価回路(6)と、を備え、
前記評価回路(6)が、
スピーカ(L)およびマイクロフォン(M)の考えられるペアリング(m)ごとに、このペアリング(m)の前記スピーカ(L)から前記マイクロフォン(M)への音響伝達(Si,j)の基準周波数応答(REF)を測定し、
ペアリング(m)ごとに、このペアリング(m)の前記スピーカ(L)から前記マイクロフォン(M)への音響伝達(Si,j)の現在の周波数応答(SPEC)を後の時点で測定し、
ペアリング(m)ごとに、このペアリング(m)の前記現在の周波数応答(SPEC)とこのペアリングの基準周波数応答(REF)との間の差として差分周波数応答(DIF)を決定し、
少なくとも1つのペアリング(m)について、このペアリングの前記差分周波数応答(DIF)の検出測定値(V)を決定し、この少なくとも1つの検出測定値(V)が所定の検出基準を満たす場合:
障害(f)を検出し、
2つのペアリングの考えられる組合せ(m,n)ごとに、この組み合わせの前記差分周波数応答(DIF、DIF)間の相関測定値(Rm,n)を計算し、次いで、
最も高い相関測定値(Rm,n)を有する組合せ(m,n)を決定し、同じスピーカ(L)または同じマイクロフォン(M)がこの組合せの前記2つのペアリング(m、n)に現れる場合、前記故障(F)の位置を、任意の他のスピーカまたはマイクロフォンよりもこのスピーカ(L)またはマイクロフォン(M)に近いものとして特定するように構成されていることを特徴とする、装置。
【請求項10】
前記相関測定値(Rm,n)は、選択された周波数帯域における前記差分周波数応答(DIF、DIF)の相互相関から決定されることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記周波数帯域が、250Hz~2KHz、好ましくは350Hz~1.1KHzであることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記信号発生器(5)は、スピーカ(L)ごとにチャープを生成することを特徴とする、請求項9~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記信号発生器(5)は、スピーカ(L)ごとにディラックパルスを発生することを特徴とする、請求項9~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記基準周波数応答(REF)および前記現在の周波数応答(SPEC)は、それぞれ、複数の個々の測定値に渡って平均化されることを特徴とする、請求項9~13のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、音波を使用して、ハウジング内の故障を検出および位置特定するための方法および装置に関する。
〔背景技術〕
【0002】
装置ハウジングの健全性を監視することは、ハッカー攻撃に対する防御の第一線として、政府、産業または軍事分野、特に、サーバ、コンピュータ、ラップトップ、ノートブック、およびスマートフォンなどの電子装置におけるセキュリティが重要であるアプリケーションにとって戦略的に重要である。例えば、穿孔、プローブまたは送信機のような異物の挿入、またはハウジング内部のシールの破壊によるハウジングへの操作は、そのようなハッカー攻撃の間違いのない兆候であり得る。このような物理的操作は、監視されるべき装置ハウジングが多数である場合、例えば、サーバキャビネットにおいて、又は現場において、又はそれらが外部から見えない場合には、検出されないままであることが多い。例えば、現場での漏洩につながる使用中の損傷は、しばしば隠されたままである。
【0003】
構造物の健全性を監視するために、構造物伝播音または空気伝播音の形で音波を使用することが知られている。例えば、監視されるべき内部に渡って複数のスピーカ/マイクロフォンのペアを分配することは、米国特許出願公開第2017/0338804号の明細書に記載されている。各スピーカ/マイクロフォンのペアの空中音響伝達経路は、適応デジタルフィルタとして接続された評価回路によってシミュレートされる。適応デジタルフィルタが初期状態と比較して大きく変化する場合、内部の障害が検出され、影響を受けるスピーカ/マイクロフォンのペアの近傍にあるものとして位置特定される。
【0004】
しかしながら、既知の音響故障検出方法は、検出された故障を、より正確かつ確実に位置特定し、その結果、故障を迅速に発見することができない。
【0005】
本発明の目的は、故障を検出し、検出された故障の位置を確実に特定することができる方法および装置を作成することである。
【0006】
この目的は、第1の態様において、特に電子装置のための、ハウジング内の故障を検出し、位置特定するための方法を用いて達成される。この方法は、以下のステップを含む:
ハウジングの内部に少なくとも2つのスピーカおよび少なくとも2つのマイクロフォンを配置するステップ;
スピーカとマイクロフォンの考えられるペアリングごとに、このペアリングのスピーカからマイクロフォンへの音響伝達の基準周波数応答を測定するステップ;
ペアリングごとに、このペアリングのスピーカからマイクロフォンへの音響伝達の現在の周波数応答を後の時点で測定するステップ;
ペアリングごとに、このペアリングの現在の周波数応答とこのペアリングの基準周波数応答との間の差として差分周波数応答を決定するステップ;
少なくとも1つのペアリングについて、このペアリングの差分周波数応答の検出測定値を決定し、この少なくとも1つの検出測定値が所定の検出基準値を満たす場合、
障害を検出するステップ、
2つのペアリングの考えられる組み合わせのそれぞれについて、この組み合わせのペアリングの差分周波数応答間の相関測定値を計算するステップ、
最も高い相関測定値を有する組み合わせを決定するステップ、および同じスピーカまたは同じマイクロフォンがこの組み合わせの2つのペアリングに現れる場合、障害を、任意の他のスピーカまたはマイクロフォンよりもこのスピーカまたはマイクロフォンに近いものとして位置特定するステップ。
【0007】
本発明による方法は、スピーカまたはマイクロフォンのうちの1つを取り囲む領域における故障の信頼できる位置特定を可能にする。多数のスピーカまたはマイクロフォンが、ハウジングの内部に渡ってほぼ均一に分配される場合、それに対応して位置に対する高い空間分解能が達成され得る。
【0008】
任意の相関測定値、例えば、(周波数ごとの)絶対値の合計もしくは二乗差、または2つのそれぞれ考慮される差分周波数応答間の差のL1、L2もしくはLpノルム、これらの差分周波数応答のスカラ積などが2つの差分周波数応答の一致のための相関測定値として使用されてもよい。相関測定値は、好ましくは選択された周波数帯域における差分周波数応答の相互相関値から決定され、これにより、信頼できる位置特定が可能となる。周波数帯域は、250Hz~2kHz、好ましくは350Hz~1.1kHzであると特に好ましい。これらの周波数帯域における評価は、特に信頼できる位置特定の基準であることが証明されている。
【0009】
本発明の別の好ましい実施形態では、最も高い相関測定値を有する組合せの決定において、相関閾値を超える組合せのみが考慮される。したがって、位置特定の信頼性をさらに高めることができる。
【0010】
例えば、全てのペアリングの差分周波数応答の最大振幅は、これが閾値を超える場合、故障の検出のための検出基準として使用され得る。検出基準は、好ましくは、少なくとも1つの差分周波数応答の総信号エネルギーが検出閾値を超えるときに満たされる。
【0011】
ペアリングのスピーカとマイクロフォンとの間の音響伝達の基準周波数応答および現在の周波数応答は、様々な方法で測定され得る。本発明の第1の実施形態では、それぞれの周波数応答がスピーカによって発せられるチャープを使用して測定される。第2の実施形態では、それぞれの周波数応答がスピーカによって発せられるディラックパルスを使用して測定され得る。チャープを使用した測定はやや時間がかかるが、より正確な結果が得られ、マイクロフォンによって受信され、経時的に記録されるサウンドパワーは、チャープが周波数上で(例えば、線形的または対数的に)掃引された場合、周波数応答を直接反映する。ディラックパルスを用いた測定はより高速であるが、マイクロフォンによって経時的に記録されたインパルス応答から周波数応答を計算するために、後続のフーリエ変換を必要とする。
【0012】
特定の実施形態のそれぞれにおいて、基準周波数応答および現在の周波数応答が複数の個々の測定値に渡って、例えば、一方が他方の直後に続く2つ以上の個々の測定値に渡ってそれぞれ平均化される場合、位置特定の信頼性はさらに高められ得る。
【0013】
第2の態様では、本発明は、特に電子装置のための、ハウジング内の故障を検出し、位置を特定するための装置を作成する。この装置は、ハウジングの内部に配置するための少なくとも2つのスピーカと少なくとも2つのマイクロフォンと、スピーカに接続された信号発生器と、マイクロフォンに接続された評価回路と、を備える。評価回路は、以下のように構成される:
スピーカとマイクロフォンとの考えられるペアリングごとに、このペアリングのスピーカからマイクロフォンへの音響伝達の基準周波数応答を測定し、
ペアリングごとに、このペアリングのスピーカからマイクロフォンへの音響伝達の現在の周波数応答を、後の時点で測定し、
ペアリングごとに、このペアリングの現在の周波数応答とこのペアリングの基準周波数応答との間の差として差分周波数応答を決定し、
少なくとも1つのペアリングについて、このペアリングの差分周波数応答の検出測定値を決定し、この少なくとも1つの検出測定値が所定の検出基準を満たす場合:
故障を検出し、
2つのペアの考えられる組み合わせごとに、この組み合わせの差分周波数応答の間の相関測定値を計算し、次いで、
最も高い相関測定値を有する組み合わせを決定し、同じスピーカまたは同じマイクロフォンがこの組み合わせの前記2つのペアに現れる場合、故障の位置を、任意の他のスピーカまたはマイクロフォンよりもこのスピーカまたはマイクロフォンに近いものとして特定する。
【0014】
本発明による装置の利点および好ましい構成に関して、装置によって実行される方法に関する上記の記述が参照される。
【0015】
〔図面の簡単な説明〕
本発明は、添付の図面に示された例示的な実施形態によって、以下に、より詳細に説明される。図面に示すように:
図1図1は本発明の方法を実施するための本発明の装置のブロック図である。装置は監視される装置ハウジング内に設置される。
図2図2は、本発明の方法のフローチャートである。
図3図3は、振幅/周波数グラフにおける基準周波数応答と現在の周波数応答の例である。
図4図4は、障害のないハウジングの振幅/周波数グラフにおける差分周波数応答の例である。
図5図5は、障害があるハウジングの振幅/周波数グラフにおける差分周波数応答の例である。
図6図6は、2つのスピーカおよび2つのマイクロフォンを有する本発明の装置の場合の、4つの可能なペアのスピーカおよびマイクロフォンの6つの考えられる組合せからの差分周波数応答の相関測定値の例である。
〔発明の詳細な説明〕
【0016】
図1は、図2に示される方法を実行するのに同時に適した装置1を示す。装置1はハウジング2の健全性を監視し、ハウジング2の故障Fを検出し分類するために使用される。
【0017】
ハウジング2は、技術構成要素4を収容するための内部3を有する。例えば、ハウジング2は、コンピュータ、サーバ、ノートブック、ラップトップ、スマートフォン等のハウジングである。ハウジング2は、必ずしも閉じられていなくてもよい。内部3はその中を音が伝播するための気体、通常は大気で満たされており、大気は、予め充填されているか、またはハウジング2の開口部を通って内部3に入り込む。
【0018】
ハウジング2の監視されるべき故障Fは、いずれかの欠陥、すなわち、ハウジング2の壁の孔、隙間または亀裂、ハウジング2から外れた技術的構成要素4、外れまたは破損したシールなど、ハウジング2の中または表面の何かが「欠けている」場所であり得る。あるいは、故障Fが異物であり、したがって、例えば、プローブ、タップワイヤ、送信機など、ハウジング2内の何か追加のものである。構成要素4が、例えば、ハウジング内でその位置を変化させ、衝撃によって緩み、移動すると、その元の位置に空隙が生じ、その新しい位置に異物を形成する。
【0019】
故障Fの検知及び位置特定のために、装置1は、ハウジング2の内部3に配置された2つ以上のスピーカL(i=1、2、・・・、I)と、これらから離間して、2つ以上のマイクロフォンM(j=1、2、・・・、J)とを備える。スピーカL、特にマイクロフォンMを内部3に渡ってできるだけ均一に分散させることが好ましいが、それは故障Fの位置特定が後にマイクロフォンMを取り囲むそれぞれの領域の空間分解能で実行されるからである。スピーカLの数IとマイクロフォンMの数Jは、必ずしも同一である必要はない。
【0020】
スピーカLとマイクロフォンMとの考えられるペアリング(i、j)ごとに、それらの間で音響伝達Si,jが実行されてもよい。音響伝達Si,j(「音響伝達経路」)は、スピーカLからマイクロフォンMへの直接的な音響と、ハウジング2の内壁またはハウジング2の内部3の構成要素4への反響に起因して、ペアリング(i、j)のそれぞれのスピーカLからそれぞれのマイクロフォンMに到達する任意の形態の間接的な音響との両方を含む。できるだけ多くの間接的な音響を録音し、したがって内部3を広範囲に覆うために、スピーカLおよび/またはマイクロフォンMは、全方向性であってもよく、または対応して広い方向性を有してもよい。
【0021】
各スピーカLは信号発生器5の出力に接続され、各マイクロフォンMは評価回路6の入力に接続される。信号発生器5および評価回路6は、同期のために互いに通信することができる。信号発生器5は評価回路6と共に、例えば、マイクロプロセッサとして実装されてもよいし、そのようなマイクロプロセッサ上のソフトウェアで実装されてもよい。信号発生器5および評価回路6はまた、ハウジング2内の装置の既存の技術的構成要素4を使用して実現されてもよい。
【0022】
図2を参照すると、第1のステップ7では、このスピーカLとマイクロフォンMとの間の音響伝達Si,jの基準周波数応答REFi,jが装置1を用いて測定され、「音響」、すなわち、スピーカLとマイクロフォンMとの考えられるペアリング(i、j)ごとに故障Fのない非操作ハウジング2を検査する。以下の説明を簡単にするために、全ての考えられるペアリング(i、j)の集合{(i、j)}は、インデックスm(m=1,2、・・・、M)を用いて連続的に番号付けされ、すなわち、マッピング関数Φは、ペアリング(i、j)とインデックスm=Φ(i、j)との間で選択される。マッピング関数Φはそれが固有であり、かつ、全単射である限り、任意に選択することができる。マッピング関数Φは、例えば、m=i・・(J-1)+jまたはm=i+j・・(I-1)である。
【0023】
例えば、2つのスピーカL、Lおよび2つのマイクロフォンM、Mのケースでは4つの考えられるペアリング(i、j)、すなわち、(1,1)、(2,1)、(1,2)、(2,2)があり、これらには以下のように、m=1,2,3,4のインデックスが付されている:
【0024】
【表1】

したがって、インデックスmとのペアリング(i、j)の基準周波数応答REFi,jは、以下ではREFと称される(図3参照)。
【0025】
音響伝達Si,jの基準周波数応答REFの計測には、複数の可能性がある。一方で、信号発生器5はチャープ、すなわち、それぞれのスピーカLによって発せられ、その周波数が経時的に測定される周波数領域に渡って掃引されるモノ周波数信号を生成することができる。それぞれのマイクロフォンMによって記録された音響の大きさまたは電力は、経時的に記録され、周波数に渡って基準周波数応答REFを直接的に再生する。あるいは、信号発生器5はディラックパルスを生成し、それぞれのスピーカLが発し、それぞれのマイクロフォンMによって経時的に記録されたインパルス応答は、次いで、フーリエ変換を受けて、周波数に渡る基準周波数応答REFを決定する。発せられた信号はまた、符号化された信号であってもよく、例えば、より高い周波数の信号(例えば、40kHz)で再び「チョップ」され、したがって、擬似雑音信号になる。測定された基準周波数応答REFは、後続の故障監視のために、例えば、評価ユニット6のメモリーに記憶される。
【0026】
基準周波数応答REFは、例えば、20Hz~20KHzの可聴音響周波数領域でそれぞれ決定されるが、代替的に又は追加的に、20Hz未満の超低周波領域又は20KHzを超える超音波領域、例えば、100KHz又は200KHzまでを含んでもよい。周波数領域の選択は、とりわけ、下端においてはハウジング寸法、および上端においてはやはり検出され得る故障のサイズによって決定される。
【0027】
ステップ7では、音響的にクリーンな方法で、互いに離間したSi,j音響伝達経路を測定することができるように、基準周波数応答REFが順次測定されることは明らかである。
【0028】
任意選択で、それぞれの基準周波数応答REFは複数の個々の測定値から、すなわち、多数の連続したチャープまたはディラックパルスによって平均化されてもよい。例えば200Hz未満の衝撃雑音を除去し、測定値の外れ値またはノッチを平滑化し、またはマイクロフォンMの受信信号が有意な評価のためには低すぎる信号対雑音比を送達する周波数領域を除去するなど、それぞれの基準周波数応答REFを、さらに使用する前に、フィルタリングおよび/または重み付けすることもできる。
【0029】
故障Fの発生を検出し、その位置を特定するために、ペアリング(i、j)ごとに、音響伝達Si,jの現在の周波数応答SPEC図3)が、その後の任意の時点で、ステップ8において、それぞれのスピーカLとそれぞれのマイクロフォンMとの間で測定される。測定ステップ8では、現在の周波数応答SPECと基準周波数応答REFとを比較することができるようにするために、ステップ7で基準周波数応答REFを測定するために使用されたのと同じ測定法が使用される。
【0030】
現在の周波数応答SPECの測定ステップ8の間、多数の個々の測定に対する(任意の)平均化、または(任意の)フィルタリング、重み付け、もしくは平滑化は、計算時間を節約するために省略してもよい。
【0031】
音響的にクリーンな方法で、ペアリングmの音響伝達Si,jの応答を互いに分離するために、現在の周波数応答SPECが、再度、ステップ8で順に測定される。
【0032】
ステップ9において、それぞれのペアリングm=Φ(i、j)について、現在の周波数応答SPECを測定した後、それぞれの現在の周波数応答SPECの、それぞれ関連する基準周波数応答REFからの偏差、すなわち、この同じペアリングmに関連する偏差から、差分周波数応答DIF図4、5)が決定される。それぞれの差分周波数応答DIFは、例えば、現在の周波数応答SPECとペアリングmの基準周波数応答REFとの間の単純な(周波数ごとの)差分(減算)、または、2つのカーブREFとSPECとの間の(周波数ごとの)絶対値または二乗差などの、偏差の別の尺度であってもよい。任意のステップ10において、それぞれの差分周波数応答DIFは、必要に応じて、重み付け又はフィルタリングされてもよい。
【0033】
続いて、ステップ11において、少なくとも1つまたはそれぞれの差分周波数応答DIFのグローバル測定値V図4図5)が計算され、故障Fの存在を検出するために、ステップ12において検出基準に対してチェックされる。測定値Vは、例えば、差分周波数応答DIFの最大振幅値、絶対値生成後のこの差分周波数応答DIFの平均値、またはそれぞれの差分周波数応答DIFの総合「信号エネルギー」Eであってもよい。後者は、例えば、差分周波数応答DIFを絶対値にかけ、次いで、例えば20Hz~20kHzの対象となる全周波数領域に渡って積分することによって計算することができる。
【0034】
ステップ8~11は、ペアリングm=Φ(i、j)毎に実行される(ループ13参照)。あるいは、ステップ8~11の各々がそれ自体のループ13を有することもできる。
【0035】
その後、比較ステップ12への移行が行われる。ステップ12の比較ひいては検出基準は、例えば、測定値Vの少なくとも1つ又は全てが検出閾値Dを超える場合に満たされる。ステップ12において、複数の測定値Vが一緒に評価されてもよいことは明らかである。例えば、全ての測定値Vの合計又は平均値を検出閾値Dと比較してもよい。
【0036】
比較ステップ12の検出基準が満たされない場合(分岐「n」)、故障Fは検出されず、この方法は必要に応じて、ステップ14における待機時間ΔTの満了後、ループ15において、現在の周波数応答SPECの測定を更新するために、ループ13の第1のステップ8に戻る。待機時間ΔTは、例えば、ハウジング2がループ15内のこれらの間隔で周期的に監視されるように、数秒または数分であってもよい。
【0037】
一方、比較ステップ12が、検出基準が満たされる(分岐「y」)という結果をもたらす場合、故障源Fの存在が認識され、この方法の位置特定セクション16~19への移行が実行される。
【0038】
検出閾値Dは経験的に選択されてもよく、任意選択的に、自動制御システムを用いて適応的に追跡されてもよく、すなわち、エラーのない場合、すなわち、故障Fがない場合、例えば、ハウジング2の小さな変化、すなわち、小さな故障Fの発生でさえも検出され得る程度まで低減されてもよい。
【0039】
2つのペアリング(m、n)の全ての考えられる組み合わせ(m、n)について、位置特定セクション16~19の第1のステップ16において、この組み合わせ(m、n)の差分周波数応答DIFとDIFとの間の相関測定値Rm,nが計算される。インデックスnは、インデックスmとは異なる組{m=1,2、...、M}(すなわち、n≠m)を示す。さらに、対称相関測定値Vについては、Rm,n=Rn,mなので、M個のペアリング、したがって相関測定値Rm,nに対して、考えられる組合せの総数
【数1】

が存在する。したがって、ステップ16は、ループ17において、
【数2】

回、すなわち、m>nである全てのm、nについて実行される。
【0040】
2つのスピーカL、Lと2つのマイクロフォンM、Mを備えた装置1では、M=4の考えられるペアリングmまたはnについて、図6はすべての
【数3】

個の考えられる組合せを示し、それぞれの差分周波数応答DIFおよびDIFの相関測定値Rm,nがそれぞれ計算された。以下の表2を参照:
【0041】
【表2】

2つの差分周波数応答DIF、DIF間の相関測定値Rm,nは、例えば、絶対値の和または二乗差、差関数DIF-DIFのL1、L2、またはLpノルム、差分周波数応答DIF、DIFからのスカラ積など、2つの差分周波数応答の間の偏差である限り、当技術分野で知られている任意の方法で計算されてもよい。図示の実施形態では、相関測定値Rm,nは、2つの、それぞれ考慮される差分周波数応答DIFおよびDIFの相互相関、特に、以下の相互相関から決定される。
【数4】

ここで、τ=0であり、すなわち、周波数fの全領域に渡って、または任意に選択された周波数帯域内のいずれかについて、決定される。選択される周波数帯域は、例えば、250Hz~2KHz、特に350Hz~1.1KHzである。
【0042】
続いて、全ての組合せの最も高い相関測定値Rm,nを有する組合せ(m、n)が、ステップ18で決定される。図6の例では、これは第1の組み合わせ(1、2)である。
【0043】
以前は、すべての基準周波数応答REF、現在の周波数応答SPEC、および差分周波数応答DIFは、それらの量(振幅)について、すなわち、それらの位相を考慮することなく、実数値として測定および評価されていたが、任意選択で、複雑な方法で測定および評価されてもよい。その場合、例えば、相互相関の大きさ
【数5】

を、ステップ18における評価のための相関測定値Rm,nとして用いてもよい。ここで、τ=0、*は複素共役を示す。
【0044】
ステップ18で最も高い相関測定値を探すとき、任意で、相関閾値C(図6)を超える相関測定値のみが考慮されてもよい。相関閾値Cは、経験的に決定してもよい。相関測定値Rm,nを-1~+1の範囲(図6参照)に正規化する場合、相関閾値Cは、例えば、0.5~1の範囲、特に約0.75である。
【0045】
ステップ18で決定された組み合わせ(m、n)を形成するこれら2つのペアリングm、nのスピーカおよびマイクロフォンのインデックス(i、j)は、その後、比較ステップ19および20で検査される。
【0046】
この目的のために、第1の比較ステップ19では、ステップ18で決定された組み合わせの両方のペアリングm、nにおいて同じスピーカのインデックスiが発生するかどうかを調べ、第2の比較ステップ20では、これらのペアリングm、nの両方において同じマイクロフォンのインデックスjがそれぞれ発生するかどうかを決定する。比較ステップ19が「yes」の結果をもたらす場合(分岐「y」)、故障Fの位置はスピーカLの近傍にあるものと特定し、比較ステップ20が「yes」の結果をもたらす場合(分岐「y」)、故障Fの位置はマイクロフォンMの近傍にあるものと特定する。比較ステップ19および20の順序は任意であることは明らかである。スピーカLまたはマイクロフォンMの「近傍」という文言は、故障Fが任意の他のスピーカLk≠iまたはマイクロフォンMk≠jよりもこのスピーカLまたはマイクロフォンMに近いことを意味すると理解される。
【0047】
比較ステップ19および20の両方が「no」(分岐「n」)の結果をもたらす場合、位置特定は曖昧であり、この方法は任意で戻り、ステップ14における待機時間ΔTの満了後、必要に応じて、ループ13の第1のステップ8に戻る。
【0048】
本発明は、図示された実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内に入る全ての変形、修正、およびそれらの組み合わせを含む。
【図面の簡単な説明】
【0049】
本発明は、添付の図面に示された例示的な実施形態によって、以下に、より詳細に説明される。図面に示すように:
図1図1は本発明の方法を実施するための本発明の装置のブロック図である。装置は監視される装置ハウジング内に設置される。
図2図2は、本発明の方法のフローチャートである。
図3図3は、振幅/周波数グラフにおける基準周波数応答と現在の周波数応答の例である
図4図4は、障害のないハウジングの振幅/周波数グラフにおける差分周波数応答の例である。
図5図5は、障害があるハウジングの振幅/周波数グラフにおける差分周波数応答の例である。
図6図6は、2つのスピーカおよび2つのマイクロフォンを有する本発明の装置の場合の、4つの可能なペアのスピーカおよびマイクロフォンの6つの考えられる組合せからの差分周波数応答の相関測定値の例である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-01-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に電子装置のためのハウジング(2)の故障(F)を検出および位置特定するための方法であって:
前記ハウジング(2)の内部に少なくとも2つのスピーカ(L)および少なくとも2つのマイクロフォン(M)を配置すること、
スピーカ(L)およびマイクロフォン(M)の考えられるペアリング(m)ごとに、このペアリング(m)の前記スピーカ(L)から前記マイクロフォン(M)への音響伝達(Si,j)の基準周波数応答(REF)を測定すること;
ペアリング(m)ごとに、このペアリング(m)の前記スピーカ(L)から前記マイクロフォン(M)への音響伝達(Si,j)の現在の周波数応答(SPEC)を後の時点で測定すること;
ペアリング(m)ごとに、このペアリング(m)の前記現在の周波数応答(SPEC)とこのペアリング(m)の前記基準周波数応答(REF)との間の差として差分周波数応答(DIF)を決定すること;
少なくとも1つのペアリング(m)について、このペアリングの差分周波数応答(DIF)の検出測定値(V)を決定すること、および
この少なくとも1つの検出測定値(V)が所定の検出基準を満たす場合、
障害(F)を検出すること、
2つのペアリングの考えられる組み合わせ(m、n)のそれぞれについて、この組み合わせの前記ペアリングの前記差分周波数応答(DIF、DIF)間の相関測定値(Rm,n)を計算すること、
最も高い相関測定値(Rm,n)を有する組み合わせ(m、n)を決定すること、および同じスピーカ(L)または同じマイクロフォン(M)がこの組み合わせの2つのペアリングに現れる場合、前記障害(F)の位置を、任意の他のスピーカまたはマイクロフォンよりもこのスピーカ(L)またはマイクロフォン(M)に近いものとして特定すること、を含む方法。
【請求項2】
前記相関測定値(Rm,n)が、選択された周波数帯域における前記差分周波数応答(DIF、DIF)の相互相関から決定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記周波数帯域が、250Hz~2KHz、好ましくは350Hz~1.1KHzであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記最も高い相関測定値(Rm,n)を有する組合せ(m、n)の決定する間、相関閾値(C)を超える組合せのみが考慮されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの差分周波数応答(DIF)の総シグナルエネルギーが検出閾値(D)を超える場合、検出基準が満たされることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
それぞれの周波数応答(REF、SPEC)は、前記スピーカ(Li)によって発せられるチャープを用いて測定されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記それぞれの周波数応答(REF、SPEC)は、前記スピーカ(L)によって発せられるディラックパルスを用いて測定されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記基準周波数応答(REF)および前記現在の周波数応答(SPEC)が、それぞれ、複数の個々の測定値に渡って平均化されることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
特に電子装置のためのハウジング(2)の故障(F)を検出し、位置特定するための装置であって:
前記ハウジング(2)の内部(3)に配置するための少なくとも2つのスピーカ(Li)および少なくとも2つのマイクロフォン(Mj)と,前記スピーカ(L)に接続された信号発生器(5)と,前記マイクロフォン(M)に接続された評価回路(6)と、を備え、
前記評価回路(6)が、
スピーカ(L)およびマイクロフォン(M)の考えられるペアリング(m)ごとに、このペアリング(m)の前記スピーカ(L)から前記マイクロフォン(M)への音響伝達(Si,j)の基準周波数応答(REF)を測定し、
ペアリング(m)ごとに、このペアリング(m)の前記スピーカ(L)から前記マイクロフォン(M)への音響伝達(Si,j)の現在の周波数応答(SPEC)を後の時点で測定し、
ペアリング(m)ごとに、このペアリング(m)の前記現在の周波数応答(SPEC)とこのペアリングの基準周波数応答(REF)との間の差として差分周波数応答(DIF)を決定し、
少なくとも1つのペアリング(m)について、このペアリングの前記差分周波数応答(DIF)の検出測定値(V)を決定し、この少なくとも1つの検出測定(V)が所定の検出基準を満たす場合:
障害(f)を検出し、
2つのペアリングの考えられる組合せ(m,n)のごとに、この組み合わせの前記差分周波数応答(DIF、DIF)間の相関測定値(Rm,n)を計算し、次いで、
最も高い相関測定値(Rm,n)を有する組合せ(m,n)を決定し、同じスピーカ(L)または同じマイクロフォン(M)がこの組合せの前記2つのペアリング(m、n)に現れる場合、前記故障(F)の位置を、任意の他のスピーカまたはマイクロフォンよりもこのスピーカ(L)またはマイクロフォン(M)に近いものとして特定するように構成されていることを特徴とする、装置。
【請求項10】
前記相関測定値(Rm,n)は、選択された周波数帯域における前記差分周波数応答(DIF、DIF)の相互相関から決定されることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記周波数帯域が、250Hz~2KHz、好ましくは350Hz~1.1KHzであることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記信号発生器(5)は、スピーカ(L)ごとにチャープを生成することを特徴とする請求項9~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記信号発生器(5)は、スピーカ(L)ごとにディラックパルスを発生することを特徴とする請求項9~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記基準周波数応答(REF)および前記現在の周波数応答(SPEC)は、それぞれ、複数の個々の測定値に渡って平均化されることを特徴とする請求項9~11のいずれか一項に記載の装置。
【国際調査報告】