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特表2024-518951喫煙物品用可燃性熱源の成形方法、前記方法により製造された可燃性熱源及びそれを含む喫煙物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】喫煙物品用可燃性熱源の成形方法、前記方法により製造された可燃性熱源及びそれを含む喫煙物品
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/22 20200101AFI20240426BHJP
   A24F 42/10 20200101ALI20240426BHJP
   A24F 42/80 20200101ALI20240426BHJP
【FI】
A24D1/22
A24F42/10
A24F42/80
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569630
(86)(22)【出願日】2022-11-28
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 KR2022018967
(87)【国際公開番号】W WO2023121024
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0186224
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェオウン、エウンミ
【テーマコード(参考)】
4B045
4B162
【Fターム(参考)】
4B045AA50
4B162AA02
4B162AA24
4B162AB32
4B162AE02
4B162AE03
(57)【要約】
本発明は可燃性熱源の成形方法に関し、炭素粉末、有機バインダ、及び発火促進剤を含む可燃性熱源組成物を準備するステップS1と、前記可燃性熱源組成物にグリセリン又はプロピレングリコールを処理するステップS2と、前記処理後、組成物を圧搾して成形するステップS3とを含み、前記S3ステップの圧着は0.5~10MPaの強度で実行される可燃性熱源の成形方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可燃性熱源の成形方法であって、
炭素粉末、有機バインダ、及び発火促進剤を含む可燃性熱源組成物を準備するステップS1と、
前記可燃性熱源組成物にグリセリン又はプロピレングリコールを処理するステップS2と、
前記処理の後、組成物を圧搾して成形するステップS3と、
を含み、
前記ステップS3はPの圧力で実行されるもので、
前記Pは、水分が処理される場合の圧着の強度Pの1.5~2倍である、可燃性熱源の成形方法。
【請求項2】
前記可燃性熱源は、直径が7~8mmであり、長さが10~12nmである、請求項1に記載の可燃性熱源の成形方法。
【請求項3】
前記Pは0.5~10MPaである、請求項1に記載の可燃性熱源の成形方法。
【請求項4】
前記Pは1.5~3.0MPaである、請求項3に記載の可燃性熱源の成形方法。
【請求項5】
前記Pは、0.5~1.5MPaである、請求項1に記載の可燃性熱源の成形方法。
【請求項6】
前記グリセリン又はプロピレングリコールは、可燃性熱源組成物の固形分100重量部に対して0.8~2重量部で処理される、請求項1に記載の可燃性熱源の成形方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の可燃性熱源の成形方法で成形された、可燃性熱源。
【請求項8】
前記可燃性熱源は、30秒以内に着火され、燃焼が140秒以上持続する、請求項7に記載の可燃性熱源。
【請求項9】
請求項7に記載の可燃性熱源を含む喫煙物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙物品用可燃性熱源の成形方法、前記方法により製造された可燃性熱源及びそれを含む喫煙物品に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、喫煙物品は、燃焼するよりも加熱される複数の喫煙物品が提案されている。このような非燃焼式喫煙物品は、従来における喫煙物品とは相違に、喫煙物品媒質を燃焼させることなく喫煙物品媒質を加熱することによって発生したエアロゾルを吸引して使用される。このような加熱式喫煙物品の類型の1つとして、炭素熱源が適用された喫煙物品製品がある。
【0003】
前記炭素熱源が適用された喫煙物品は、炭素熱源からその炭素熱源の下流に位置する喫煙物品媒質への熱伝達によってエアロゾルが発生する。
【0004】
炭素熱源が適用された喫煙物品製品は、一般的な加熱式電子喫煙物品が専用デバイスを使用することとは相違に、伝統型の喫煙物品に類似の喫煙形態を有しており、消費者の喫煙便宜性及び満足度の向上を期待することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国特許公開第2020-0030364号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、燃焼持続性に優れた可燃性熱源の成形方法と、前記可燃性熱源及び前記熱源を含む喫煙物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
可燃性熱源の成形方法であって、炭素粉末、有機バインダ、及び発火促進剤を含む可燃性熱源組成物を準備するステップS1と、前記可燃性熱源組成物にグリセリン又はプロピレングリコールを処理するステップS2と、前記処理後、組成物を圧搾して成形するステップS3とを含み、前記S3ステップはPの圧力で実行されるもので、前記Pは、水分が処理される場合の圧着の強度Pの1.5~2倍であることを特徴とする可燃性熱源の成形方法を提供する。
【0008】
本発明の一実現例として、前記熱源は、直径が7~8mmであり、長さが10~12nmであってもよい。
【0009】
本発明の他の実現例として、前記Pは0.5~10MPaの厚さであってもよい。
【0010】
本発明の更なる実現例として、前記Pは1.5~3.0MPaであってもよい。
【0011】
本発明の更なる実現例として、前記Pは、0.5~1.5MPaであってもよい。
【0012】
本発明の更なる実現例として、前記油分は、可燃性熱源組成物の固形分100重量部に対して0.8~2重量部で処理されることができる。
【0013】
本発明の更なる実現例として、前記熱源は、30秒以内に着火され、燃焼が140秒以上持続することができる。
【0014】
また、本発明は、前記方法で成形された可燃性熱源を提供する。
【0015】
それと共に、本発明は、前記可燃性熱源を含む喫煙物品を提供する。
【発明の効果】
【0016】
従来における可燃性熱源は圧縮成形方式により製造され、燃焼体内部の密度が過度に増加して燃焼の持続性に影響を与える限界があった。ここで、本発明は、油分及び水分が適用された配合形態で圧縮成形する最適な成形方法を提供するものとして、本発明の方法によって成形された熱源は従来における熱源と比較して表面の粗さが優れており、そのため、燃焼持続性に優れたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の油分含有量による可燃性熱源の外形を示す図である。
図2】本発明の圧力調整によって表面が改善されたものを確認した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
加熱式電子喫煙物品に対する需要が増加している。多くの加熱式電子喫煙物品は、[デバイス+専用スティック]構造でデバイスを備えており、新しい形態の喫煙物品として炭素基盤の熱源を喫煙物品の先端に適用して、一般の喫煙物品に類似の喫煙形態を有する製品が開発されている。ここで、本発明は、一般の喫煙物品に類似の喫煙形態(着火、喫煙開始時点)を有する可燃性熱源を開発しようとした。
【0019】
従来の可燃性炭素熱源は、主に圧縮成形方式で製造された。粉末成形の冶金方式を活用して粉末のみを活用して製造することができるが、燃焼体内の密度が多過ぎることがあるため、燃焼の持続性に影響を与えることから油分及び水分が適用された配合形態に圧縮成形を行うことが好ましい。ここで、本発明では、油分及び水分と配合圧力による可燃性熱源の成形方法を提示しようとする。
【0020】
ここで、本発明は可燃性熱源の成形方法であって、炭素粉末、有機バインダ、及び発火促進剤を含む可燃性熱源組成物を準備するステップS1、前記可燃性熱源組成物にグリセリン又はプロピレングリコールを処理するステップS2、及び、前記処理後、組成物を圧搾して成形するステップS3を含み、前記S3ステップはPの圧力で実行されるもので、前記圧着の強度Pは、水分が処理される場合の圧着の強度Pの1.5~2倍であることを特徴とする可燃性熱源の成形方法を提供する。
【0021】
また、本発明は、前記方法で成形された可燃性熱源と、前記熱源を含む喫煙物品を提供する。
【0022】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0023】
本発明のS1ステップは、可燃性熱源組成物を準備するステップである。前記可燃性熱源組成物は、炭素粉末、有機バインダ、及び発火促進剤を含んでもよい。また、前記熱源組成物には、水分(水)をさらに含まれてもよい。前記熱源組成物に水分が含まれることで、圧着時にバインダとして役割を行うことができる。前記水は、固形分対比1~1.2%として含まれてもよい。
【0024】
本発明のS2ステップは、可燃性熱源内の内部密度を最適化するために、油分としてグリセリン又はプロピレングリコールを処理するステップである。好ましくは、より優れた燃焼持続性を有するプロピレングリコールが使用されてもよい。前記油分は、加熱時に着火性を増加させて燃焼がさらに円満に行われるようにする。
【0025】
本発明のS3ステップは、組成物を圧搾して最終的に熱源の形態に成形するステップである。
【0026】
本発明は水分を処理するときと比較して、油分を処理するときよりも強い圧着圧力を加える時、熱源の表面の粗さが大きく改善されることが確認された。
【0027】
ここで、S2ステップにおいて、圧着の強度をPと定義し、水分が処理される場合の圧着の強度をPに定義した。即ち、本発明のS3ステップの圧着強度であるPは、水分を処理する場合の圧着強度であるPと比較して、1.5~2倍の値を有している。例えば、水分が処理されるときの圧力が1.2MPaであれば、油分が処理されるときの圧力は2.0MPaであってもよい。
【0028】
本発明の他の実現例として、前記Pは0.5~10MPaであってもよく、Pは、0.5~1.5MPaであってもよい。好ましくは、直径が7~8mmであり、長さが10~12nmである熱源を製造するために、Pは1.5~3.0MPaであってもよい。
【0029】
前記熱源は、30秒内に着火され、燃焼が140秒以上持続されてもよい。本発明で前記熱源の大きさは、直径が7~8mmであり、長さが10~12nmであれば、本発明は、前記直径及び長さを有する熱源の好ましい成形方法を提示することにある。前記範囲の大きさを有する熱源は、可燃性熱源適用の喫煙物品として活用されるために適切な大きさを有する。
【0030】
本発明の更なる実現例として、前記油分は、可燃性熱源組成物の固形分100重量部に対して0.8~2重量部で処理されてもよい。より好ましくは、1~1.5重量部として処理されるとき、優れた表面の粗さ及び成形性を有する。
【0031】
ここで、本発明は前記方法によって製造された可燃性熱源を提供することができる。
【0032】
本発明に係る喫煙物品で使用するための可燃性熱源は、少なくとも約50%の炭素含有量を有する。例えば、本発明に係る喫煙物品で可燃性熱源は、可燃性熱源の少なくとも約60乾燥重量%、又は、少なくとも約70乾燥重量%、又は、少なくとも約80乾燥重量%の可燃性の炭素系熱源に有してもよい。
【0033】
本発明の一実施例として、前記熱源には、1つ以上のバインダが組み合わせられてもよい。好ましくは、1つ以上のバインダは有機バインダである。知られた適切な有機バインダはこれに限定されないが、ガム(例えば、グアーガム)、改質されたセルロース及びセルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース)粉(flour)、デンプン、砂糖、植物性オイル及びその組み合わせを含んでいる。
【0034】
さらに、本発明に係る喫煙物品で使用するための可燃性熱源は、その可燃性熱源の特性を向上させるために1つ以上の添加剤を含んでもよい。適切な添加剤は、可燃性熱源の固化(consolidation)を促進する添加剤(例えば、焼結補助剤)、可燃性熱源の発火を促進する添加剤(例えば、過塩素酸塩、塩素酸塩、硝酸塩、過酸化物、過マンガン酸塩、ジルコニウム及びその組み合わせのような酸化剤)、可燃性熱源の燃焼を促進する添加剤(例えば、クエン酸カリウムのようなカリウム及びカリウム塩)、及び可燃性熱源の燃焼によって生成された1つ以上のガスの分解を促進する添加剤(例えば、CuO、Fe及びAlのような触媒)を含むが、これに限定されることはない。
【0035】
また、前記可燃性熱源は、発火補助剤をさらに含んでもよい。本発明で使用されるように、用語「発火補助剤(ignition aid)」は、可燃性熱源が発火する間にエネルギーと酸素のうちの1つ、又は両方を放出する物質を示すために使用され、ここで、物質によるエネルギーと酸素のうちの1つ又は両方の放出速度は、周辺の酸素拡散に制限されない。即ち、可燃性熱源の発火の間に物質によるエネルギーと酸素のうちの1つ又は両方の放出速度は、周辺酸素が物質に到達することのできる速度とほとんど独立的である。本発明で使用されるように、用語「発火補助剤」は、可燃性熱源が発火される間にエネルギーを放出する元素金属(elemental metal)を示すためにさらに使用され、ここで、元素金属の発火温度は約500℃より低く、元素金属の燃焼熱は少なくとも約5kJ/gである。前記発火補助剤は、炭素燃焼を改質すると考えられるカルボン酸のアルカリ金属塩(アルカリ金属クエン酸塩(alkali metal citrate salt)、アルカリ金属酢酸塩(alkali metal acetate salt)及びアルカリ金属コハク酸塩(alkali metal succinate salt)など)、アルカリ金属ハロゲン化物塩(alkali metal halide salt)(アルカリ金属塩化物塩(alkali metal chloride salt)など)、アルカリ金属炭酸塩(alkali metal carbonate salt)又はアルカリ金属リン酸塩(alkali metal phosphate salt)であってもよい。
【0036】
適切な酸化剤の例として、これに限定されないが、例えば、硝酸カリウム、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸ナトリウム、硝酸バリウム、硝酸リチウム、硝酸アルミニウム、及び硝酸鉄のような硝酸塩;亜硝酸塩;その他の有機及び無機ニトロ化合物;例えば、塩素酸ナトリウム及び塩素酸カリウムのような塩素酸塩;例えば、過塩素酸ナトリウムのような過塩素酸塩;亜塩素酸塩;例えば、臭素酸ナトリウム及び臭素酸カリウムのような臭素酸塩;過臭素酸塩;亜臭素酸塩;例えば、ホウ酸ナトリウム及びホウ酸カリウムのようなホウ酸塩;例えば、鉄酸バリウムのような鉄酸塩;亜鉄酸塩;例えば、マンガン酸カリウムのようなマンガン酸塩;例えば、過マンガン酸カリウムのような過マンガン酸塩;例えば、過酸化ベンゾール及び過酸化アセトンのような有機過酸化物;例えば、過酸化水素、過酸化ストロンチウム、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウム、過酸化亜鉛、及び過酸化リチウムのような無機過酸化物;例えば、超酸化カリウム及び超酸化ナトリウムのような超酸化物;ヨウ素酸塩;過ヨウ素酸塩;亜ヨウ素酸塩(iodite);硫酸塩;亜硫酸塩(sulfite);その他のスルホキシド(sulfoxide);リン酸塩;過リン酸塩(phospinate);亜リン酸塩(phosphite);及びフォスファナイト(phosphanite)を含んでいる。
【0037】
有利に、可燃性熱源の発火及び燃焼性能を改善するが、発火及び燃焼添加剤を含んで喫煙物品を使用する間に希望しない分解及び反応産物を生成することがある。例えば、発火を補助するために可燃性熱源に含まれている硝酸塩が分解されることによって窒素酸化物が形成される。本発明に係る喫煙物品に可燃性熱源を含むことは、有利に、それを使用する間に分解及び反応産物が本発明に係る喫煙物品を介して吸引された空気に入ってくることを実質的に防止したり抑制する。
【0038】
本発明に係る喫煙物品で使用するための可燃性の炭素質熱源は、本技術分野の熟練者に公示されている従来技術で説明したように製造されてもよい。
【0039】
本発明に係る喫煙物品で使用するための可燃性の炭素質熱源は、好ましくは、1つ以上の炭素含有物質を1つ以上のバインダ及び他の添加剤(が含まれている場合)と混合し、その混合物を所望する形状に予め形成することによって形成される。1つ以上の炭素含有物質、1つ以上のバインダ及び選択的な他の添加剤の混合物は、例えば、スリップ鋳造(slip casting)、押出、射出成形、及び金型圧縮のような任意の適切な周知のセラミック形成方法を使用して所望する形状に予め形成してもよい。所定の好ましい実現例において、その混合物は、加圧又は押出又はその組み合わせによって所望する形状に予め形成される。
【0040】
好ましくは、1つ以上の炭素含有物質、1つ以上のバインダ、及びその他の添加剤の混合物が細長型ロッド(elongate rod)で予め形成される。しかし、1つ以上の炭素含有物質、1つ以上のバインダ、及びその他の添加剤の混合物が他の所望する形状に予め形成され得ることも理解することができる。
【0041】
本発明の一実施例として、可燃性熱源は、好ましくは、約20%と約80%との間、より好ましくは、約20%と60%との間の多孔性を有してもよい。さらに好ましくは、可燃性熱源は、例えば、水銀多孔性測定法(mercury porosimetry)又はヘリウム比重測定法(helium pycnometry)によって測定したとき、約50%と約70%との間の多孔性を有してもよい。要求される多孔性は通常の方法及び技術を用いて前記熱源の製造方法を行う間に容易に達成することができる。
【0042】
有利に、本発明に係る喫煙物品で使用するための可燃性熱源は、約0.6g/cmと約1g/cmとの間の見かけ密度(apparent density)を有する。
【0043】
好ましくは、可燃性熱源は約300mgと約500mgとの間、より好ましくは、約400mgと約450mgとの間の質量を有する。
【0044】
好ましくは、可燃性熱源は約7mmと約17mmとの間、より好ましくは、約7mmと約15mmとの間、最も好ましくは、約7mmと約13mmとの間の長さを有する。
【0045】
好ましくは、可燃性熱源は、約5mmと約9mmとの間、より好ましくは、約7mmと約8mmとの間の直径を有する。
【0046】
好ましくは、可燃性熱源は、実質的に均一な直径を有する。しかし、可燃性熱源は代替的にテーパ(taper)されて可燃性熱源の後方部の直径がその前方部の直径よりも大きい。そのような実現例として、前記可燃性熱源の後方部は、喫煙物品の横方向の断面積の少なくとも約60%の横方向の断面積を有する。
【0047】
可燃性熱源は、実質的に円筒状であることが最も好ましい。可燃性熱源は、例えば、実質的に円形断面の円筒状又はテーパされた円筒状であるか、実質的に楕円形の断面の円筒状又はテーパされた円筒状であってもよい。
【0048】
ここで、前記可燃性熱源は、可燃性熱源適用喫煙物品に使用されてもよい。
【0049】
前記「喫煙物品」(smoking article)とは、タバコ、タバコ派生物、膨化処理タバコ(expanded tobacco)、再生タバコ(reconstituted tobacco)、又は、タバコ代用物に基づくか否かにかかわらず、喫煙可能な任意の製品又は喫煙体験を提供できる任意の製品を意味する。例えば、前記喫煙物品は、巻タバコ、シガー(cigar)、小さいシガリロ(cigarillo)などのようなエアロゾルを発生させ得る喫煙可能物品を意味する。
【0050】
前記喫煙物品は、前記組成物で構成された可燃性熱源、媒質部、熱伝導性ラッパー及び巻タバコ紙、冷却部、フィルタ部などを含んでもよく、可燃性熱源;媒質部;冷却部;及びフィルタ部が長手方向に基づいて順に整列されるが、可燃性熱源が上流側に位置することを除いて、前記順は自由に変更可能である。その他にも、追加の構成をさらに含んだり、上述した構成のうちの1つ以上が省略されてもよい。前記喫煙物品の直径は、例示として4mm~10mmであり、周縁は14mm~29mmであってもよい。また、長さは45mm~100mmであってもよい。
【0051】
前記媒質部は、例えば、切断された刻みタバコ、シート刻みタバコ、喫煙物品葉、膨化喫煙物品、及びニコチン抽出物のうち少なくとも1つを含んでもよい。媒質部は、ニコチン(nicotine)成分を含んでもよい。前記媒質部の他に、エアロゾル発生物質をさらに含んでもよい。エアロゾル発生物質は、多価アルコール、グリセロールモノ-、ジ-又はトリ酢酸塩のような多価アルコールのエステル、及びジメチルドデカン二酸(dodecanedioate)及びジメチルテトラデカン二酸(tetradecanedioate)のようなモノ-、ジ-又はポリカルボン酸の脂肪族エステルであってもよい。より具体的に、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、及びオレイルアルコールのうち少なくとも1つを含んでもよい。例えば、媒質部は、グリセリンに浸漬されたシート刻みタバコを含んでもよい。但し、これは例示であり、本発明は、前述したように必ず制限されることはない。
【0052】
前記媒質部は、5mmと約20mmとの間、より好ましくは、約8mmと約12mmとの間の長さを有してもよい。媒質部は、紙又はその他のラッパーによって包まれ、加熱に反応して揮発性化合物を放出できる物質を含むプラグ又は部位形態であってもよい。上述したように、媒質部がプラグ又は部位形態である場合、任意のラッパーを含んでいるプラグ又は部位全体が媒質部であるものと考慮される。
【0053】
前記冷却部は、冷却物質を含んでもよい。冷却部は、末端が開放された管状の中空体を含み、前記熱源及び媒質部を通過する気流を冷却させることができる。前記冷却部は、高分子物質又は生分解性の高分子物質から製造され、冷却機能を有してもよい。例えば、冷却部は、紙、ボール紙、プラスチック、例えば、アセチルセルロース、セラミック、及びその組み合わせであってもよい。追加的に、前記冷却部は、金属ホイール、高分子物質、及び実質的に非多孔性の紙、又はボール紙からなるグループより選択された物質のしわ状のシートを含んでもよい。所定の実現例として、エアロゾル冷却要素は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニール(PVC)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、アセチルセルロース(CA)、及びアルミホイルからなるグループより選択された物質のしわ状のシートを含んでもよい。前記冷却部は、5mmと約30mmとの間、より好ましくは、約8mmと約25mmとの間の長さを有してもよいが、加熱性熱源で発生する熱の温度などを考慮して前記長さを自由に調節することができる。
【0054】
前記フィルタ部はフィルタ物質を含み、前記フィルタ部の形状には制限がない。例えば、フィルタ部は円柱型(type)ロッドであってもよく、内部に中空を含むチューブ型(type)ロッドであってもよい。又は、リセース型(type)ロッドであってもよい。もし、フィルタ部が複数のセグメントから成された場合、複数のセグメントのうち少なくとも1つが他の形状に製造されてもよい。例えば、前記フィルタ部は、高分子、紙、アセチルセルロース、活性炭、及び炭素のうち少なくとも1つを含む繊維上、フィラメント上、又は両方を含むフィルタトウを含むが、それに制限されることはない。前記フィルタ部は、例示として5~20mmの長さを有してもよい。
【0055】
これに加えて、フィルタ物質を包む、口と接するチッピングペーパーなどがさらに含まれてもよい。前記チッピングペーパーは1つ以上の穿孔が形成されてもよい。
【0056】
前記フィルタ部は、香味が発生するように製造されることができる。一例として、フィルタ物質に加香液が噴射されてもよく、加香液が塗布された別途の繊維がフィルタ部の内部に挿入されてもよい。
【0057】
前記冷却部及びフィルタ部ではエアロゾル改質剤を含んでもよい。例えば、本発明に係る喫煙物品の冷却部、フィルタ部、及びチッピングペーパーのうちの1つ以上は1つ以上のエアロゾル改質剤を含んでもよい。適切なエアロゾル改質剤はそれに限定されないが、香味剤;物体感覚剤(chemesthetic agent)を含んでいる。前記香味剤は、使用時に喫煙物品のタバコ物質及びエアロゾル発生物質によって発生したエアロゾルに味(taste)又は香り(aroma)のうちの1つ又は全てを付与する任意の物質を説明するために使用される。
【0058】
また、前記巻タバコ紙は、木、亜麻又はその他の物質から得られるセルロース繊維で構成されるものとして、媒質部をか包んだり、媒質部を含んで喫煙物品を全体的に包むか、フィルタ部を除いた部分を包んでもよい。前記巻タバコ紙の基材の紙(base paper)の厚さは、約30μm~約100μmであってもよく、基材の紙の坪量は約15g/m~約80g/mであってもよい。
【0059】
本発明に係る喫煙物品は、下流に香味剤でありながら物体感覚剤である1つ以上のエアロゾル改質剤を含んでもよい。例えば、本発明に係る喫煙物品の冷却部、及びフィルタ部のうちの1つ以上は、冷却物体感覚の効果を提供するメントール又は他の香味剤を含んでもよい。
【0060】
また、可燃性熱源を含む喫煙物品は、前記可燃性熱源及び媒質部を包む熱伝導性ラッパーを含んでもよい。前記熱伝導性ラッパーは、熱源及び媒質部を完全に包んでもよく、前記熱源の一部と媒質部の一部を包んだり、熱源の一部と媒質部を全て包んでもよい。前記熱伝導性ラッパーは、可燃性熱源から発生した熱をタバコ物質に伝達するものとして、前記ラッパーは、アルミホイルラッパー、スチールラッパー、鉄ホイールラッパー、及び銅ホイールラッパーのような金属ホイールラッパー;及び金属合金ホイールラッパーであってもよく、熱を効率よく伝達できる素材であれば、前記素材に制限されない。
【0061】
加熱性熱源と媒質部との間には金属バリアが形成されてもよい。ここで、金属バリアは、可燃性熱源部が媒質部と直接接触することを防止し、可燃性熱源部で発生する成分のうち一部が媒質部に移動することを防止することができる。
【0062】
バリアの厚さは、良好な喫煙性能を得るために適切に調節され得る。特定の実現例において、バリアは、約10ミクロンと約500ミクロンとの間の厚さを有してもよい。バリアは、点火と燃焼時の可燃性熱源により得られた温度で実質的に熱的に安定的で不燃性である1つ以上の金属性材料を含む。適切な材料は、本分野に知られており、それに制限されることはないものの、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、及びその組み合わせを含む。
【0063】
以下で、添付する図面を参照しながら実施例を詳細に説明する。しかし、実施例には様々な変更が加えられるため、特許出願の権利範囲がこのような実施例によって制限されたり限定されることはない。実施例に対する全ての変更、均等物または代替物が権利範囲に含まれるものとして理解しなければならない。
【0064】
実施例において使用する用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的としてのみ解釈されなければならない。単数の表現は、文脈上、明白に異なる意味をもたない限り複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」等の用語は、明細書上に記載した特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを示すものであって、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解しなければならない。
【0065】
異なるように定義さがれない限り、技術的又は科学的な用語を含んで、ここで用いる全ての用語は、本実施例が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に用いられる予め定義された用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈されなければならず、本明細書で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されることはない。
【0066】
また、図面を参照して説明する際に、図面符号に関係なく同じ構成要素には同じ参照符号を付与し、それに対する重複する説明は省略することにする。本実施例の説明において、関連する公知技術に対する具体的な説明が実施例の要旨を不要に曖昧にするものと判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0067】
[実施例]
1.可燃性熱源の製造
下記の表1に示した組成により、チャーコール、及び賦形剤を含む可燃性熱源組成物を準備した。熱源は、直径7mmと約11mmの高さのシリンダ形態に製造された。熱源を製造するための材料は配合比に適するように準備した後、大気圧ミキサ(THINKY社のARE-310)を使用して混合した。配合時に各材料が加えられるごとに1分間1500RPMで混合した。
【0068】
混合したパウダーを表1に提示された重量部で適当量の水分又は油分を添加して5分間1500RPMで混合した。混合したサンプルを約0.6gに割って圧搾器を介して圧搾しシリンダ形態に成形した。ここで、圧着のための圧力は、表1に提示された条件にした。特に、油分を添加する実施例2、3、5、6の場合、水分を添加した時より大きい圧力で圧着を行った。
【0069】
圧搾されたサンプルを乾燥ovenで通じて80℃で30分間乾燥した。
【表1】
2.可燃性熱源の成形性確認
【0070】
製造された熱源の外形を確認して図1に示した。図1から油分及び水分を1%として含む場合、良好な成形性が確認された。
【0071】
また、下記のような基準として評価した結果を表2に示した。
【0072】
<表面状態>
A:良好
B:表面にひび割れの部分が存在する
C:表面にひび割れの部分が複数存在する
【0073】
<成形性>
A:成形良好
B:硬度が弱く、べたべたしたり、パサついた性状を有する
C:容器の壁にくっついて成形されない
【表2】
【0074】
前記表2の結果から確認されるように、実施例1~4のように油分を1~1.5%として含む場合、良好な表面の粗さ及び成形性が確認された。それに比較して、水分を1%及び1.2%として含む比較例1、2は、成形時に表面にひび割れが発生し、パサついて成形性が多少低下することが確認され、油分を0.5%として含む比較例3、4は成形されたものの、表面にひび割れ現像が確認された。油分を2%として含む比較例5、6は、表面に破損した部分はなかったものの、硬度が弱くて容器の壁にくっついて成形がうまく行われなかった。また、大きさが他の熱源と比較して小さくなる結果も確認された。
【0075】
図2に提示したように、2MPaの圧力を印加した実施例2は、1.2MPaの圧力を印加した比較例8と比較して、表面の粗さが大きく改善されることが確認された。
【0076】
圧力を2.0MPaとして印加した比較例7及び8は、表面に割れが確認され、ここで、水分を添加する場合と比較して油分を添加するとき、圧力を増加させることにより表面の粗さが大きく改善されることが分かる。
3.可燃性熱源の燃焼結果確認
【0077】
製造された熱源を着火した後燃焼させ、下記の表3に観察結果を示した。
【表3】
【0078】
前記表3の結果から確認されるように、実施例1~4のように適正圧力を印加し、及び油分を1~1.5%として含む場合、良好な着火性及び燃焼性が確認された。これと比較して、水分を含む熱源では着火性が減少し、割れの現像が発生し、油分を0.5%として含む比較例3、4は、着火されていないか、ゆっくり始まり、表面がひび割れの現像が示された。また、油分を2%として含む比較例5、6は、着火は円満に行われたが、サイズが小さくて燃焼が安定的に行われなかった。
【0079】
また、圧力を1.2MPaに小さく加えた比較例7、8は、着火が迅速に行われたが、やはり表面が割れて煙の発生が激しい結果を見せた。
【0080】
以上、本発明の実施例について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、当技術分野で通常の知識を有する者であれば、前記に基づいて様々な技術的修正及び変形を適用することができる。例えば、説明された技術が説明された方法とは異なる順に実行されたり、及び/又は説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法と異なる形態に結合又は組み合わせられたり、他の構成要素又は均等物によって代替、置換されても適切な結果を達成することができる。
【0081】
従って、他の実現、他の実施例、及び特許請求の範囲と均等なものなども後述する特許請求の範囲に属する。
図1
図2
【国際調査報告】