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特表2024-5189534粒子電気泳動ディスプレイのために同期された駆動波形
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】4粒子電気泳動ディスプレイのために同期された駆動波形
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1685 20190101AFI20240426BHJP
   G02F 1/167 20190101ALI20240426BHJP
   G02F 1/16766 20190101ALI20240426BHJP
   G02F 1/16757 20190101ALI20240426BHJP
   G02F 1/1681 20190101ALI20240426BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20240426BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
G02F1/1685
G02F1/167
G02F1/16766
G02F1/16757
G02F1/1681
G09G3/34 C
G09G3/20 621A
G09G3/20 642J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569639
(86)(22)【出願日】2022-05-24
(85)【翻訳文提出日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 US2022030730
(87)【国際公開番号】W WO2022251218
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】63/192,905
(32)【優先日】2021-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】チェン, チー-ユー
(72)【発明者】
【氏名】リン, クレッグ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, ニン-ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チウ, チェン-カイ
(72)【発明者】
【氏名】リン, フェン-ショウ
【テーマコード(参考)】
2K101
5C080
【Fターム(参考)】
2K101AA04
2K101BB44
2K101BB54
2K101BB64
2K101BC02
2K101BC13
2K101BD21
2K101BD61
2K101BE07
2K101BE09
2K101BE32
2K101EC08
2K101ED13
2K101ED25
2K101ED26
2K101ED27
2K101ED35
2K101EE02
2K101EE06
2K101EK35
5C080AA13
5C080BB05
5C080CC03
5C080EE01
5C080EE30
5C080JJ01
5C080JJ04
5C080JJ05
5C080KK07
(57)【要約】
本発明は、4粒子電気泳動ディスプレイのための改良された駆動方法を提供する。本駆動方法は、第1のピクセルが、第1の高荷電粒子と、反対極性の第2の低荷電粒子との混合された状態を表示している一方、近隣のピクセルが、第1の高荷電粒子とは反対の極性を有する、第2の高荷電粒子の状態を表示しているときの色状態性能を改良する。粒子は、例えば、全て反射性であることができる、または1つのタイプの粒子が、部分的光透過性であることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ層を駆動する方法であって、前記ディスプレイ層は、光透過性電極を含む視認表面と、前記視認表面とは前記ディスプレイ層の反対側にある第2の表面との間に配置され、前記第2の表面は、第1の駆動電極と、第2の駆動電極とを含み、前記ディスプレイ層は、流体と、前記流体中に分散される第1、第2、第3、および第4のタイプの粒子とを備える電気泳動媒体を含み、
前記第1、第2、第3、および第4のタイプの粒子は、それぞれ、相互に異なる第1、第2、第3、および第4の光学特性を有し、前記第1および第3のタイプの粒子は、第1の極性の電荷を有し、前記第2および第4のタイプの粒子は、前記第1の極性と反対の第2の極性の電荷を有し、前記第1および第3のタイプの粒子は、同一の電荷の大きさを有せず、前記第2および第4のタイプの粒子は、同一の電荷の大きさを有せず、
前記方法は、
(i)第1の期間にわたって、大きな大きさと、前記第1の極性とを有する第1の電場を前記第1の駆動電極に印加し、前記第1のタイプの粒子を前記視認表面に向かって駆動し、それによって、前記ディスプレイ層に、前記第1の駆動電極の上方の前記視認表面において前記第1の光学特性を表示させるステップと、
(ii)第2の期間にわたって、前記大きな大きさと、前記第2の極性とを有する第2の電場を前記第2の駆動電極に印加し、前記第2のタイプの粒子を前記視認表面に向かって駆動し、それによって、前記ディスプレイ層に、前記第2の駆動電極の上方の前記視認表面において前記第2の光学特性を表示させるステップであって、前記第1の電場は、前記第1の駆動電極に印加される一方、同時に、前記第2の電場は、前記第2の駆動電極に印加される、ステップと、
(iii)前記第1の期間に続いて、第3の期間にわたって、前記第1の駆動電極に電場を印加しないステップと、
(iv)前記第3の期間と重複する第4の期間にわたって、小さな大きさと、第1の極性とを有する第3の電場を前記第2の駆動電極に印加し、前記第3のタイプの粒子を前記視認表面に向かって駆動し、それによって、前記ディスプレイ層に、前記第2の駆動電極の上方の前記視認表面において前記第3の光学特性を表示させるステップと、
(v)ステップ(i)~(iv)を繰り返すステップと、
(vi)第5の期間にわたって、ステップ(ii)と同一の大きさおよび極性を有する第4の電場を前記第2の駆動電極に印加し、それによって、前記ディスプレイ層に、前記第2の駆動電極の上方の前記視認表面において前記第2の光学特性と第3の光学特性との混合物を表示させる一方、前記第1の駆動電極の上方の前記視認表面において前記第1の光学特性を表示させるステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の期間は、前記第3の期間よりも短い、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の期間は、前記第4の期間よりも短い、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第5の期間は、前記第1の期間よりも長く、前記第3の期間よりも短い、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第3の電場の大きさは、前記第2の電場の大きさの50パーセント未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の期間および前記第4の期間は、時間内に重複しない、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第1および第3のタイプの粒子は、負荷電であり、前記第2および第4のタイプの粒子は、正荷電である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のタイプの粒子は、黄色であり、前記第2のタイプの粒子は、黒色であり、前記第3のタイプの粒子は、白色であり、前記第4のタイプの粒子は、赤色である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のタイプの粒子は、光透過性であり、前記第2のタイプの粒子は、黄色であり、前記第4のタイプ粒子は、白色であり、前記第1および第3のタイプの粒子は、(いずれかの順序において)赤色および青色である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年5月25日に出願された、米国仮特許出願第63/192,905号の優先権を主張する。下記に述べられる全ての特許および公開文書の内容全体が、参照することによってそれらの全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、その中で各ピクセルが、少なくとも4つの高品質な色状態を表示することができる、カラー電気泳動ディスプレイデバイスのための改良された駆動方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
E Ink Holdings (Hsinchu, Taiwan)から商業的に入手可能であるもの等の電気泳動ディスプレイ(電子ペーパー、eペーパー等)は、それらが、非常に少ない電力を消費するため、軽量かつ耐久性があり、環境に優しいという利点を有する。本技術は、電子書籍リーダ(例えば、電子書籍、eブック)および他のディスプレイ環境(例えば、電話、タブレット、電子棚タグ、病院看板、道路標識、公共交通機関時刻表)の中に組み込まれている。低電力消費と太陽光可読性との組み合わせは、電子看板システムが、単に表面に取り付けられ、既存の通信ネットワークとインターフェースをとり、情報または画像の定期的な更新を提供する、いわゆる「非プラグアンドプレイ」動作において、急速な成長を可能にしている。ディスプレイは、バッテリまたは太陽熱収集器を用いて動力を与えられるため、電線を配線する、またはディスプレイから垂下するプラグを有する必要性さえない。
【0004】
電気泳動ディスプレイのための様々な色の選択肢が、最近では、利用可能な状態になっており、改良された色フィルタアレイから、複雑な減法的顔料セットまで、すなわち、反射性色粒子の複数のセットに依拠する、高忠実性色の選択肢までの範囲に及ぶ。本最新のシステムは、食料品店、衣料品店、および電器小売店等の商業用看板に関して、優れた承認が確認されている。特に、3粒子のE Ink SPECTRATM標識は、食料雑貨店、家電小売店、およびホームセンタにおいて、世界中で見出されることができる。今後予定されている改良は、例えば、米国特許第9,170,468号(特許文献1)、第9,812,073号(特許文献2)、第9,640,119号(特許文献3)、および第10,147,366号(特許文献4)(これらは全て、参照することによってそれらの全体として組み込まれる)において説明されるような第4の反射性電気泳動粒子を含むであろう。4粒子システムは、典型的には、黒色、白色、赤色、および黄色粒子を含むが、しかしながら、様々な色が、人工設計された顔料の選択に応じて可能性として考えられる。加えて、第9,640,119号において説明されるように、例えば、視認表面において、赤色粒子と黄色粒子との混合物としての橙色を達成するために、視認表面において、4つのタイプの粒子のうちの2つの混合物を提示することもまた、可能性として考えられる。本発明は、特に、ピクセル電極のアレイを有するディスプレイ内で実装されるとき、そのようなシステムに対する駆動波形の改良を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第9,170,468号明細書
【特許文献2】米国特許第9,812,073号明細書
【特許文献3】米国特許第9,640,119号明細書
【特許文献4】米国特許第10,147,366号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、4つのタイプの着色粒子を有する電気泳動ディスプレイ内の隣接するピクセルを駆動させるための改良された方法を提供する。特に、ほぼ同一のフレームに到達するように高電圧パルス協調させることによって、ブルーミングに起因する色変化が、実質的に低減される。加えて、高荷電粒子状態をアドレス指定するために使用される高電圧パルスをトリミングすることによって、混合された状態のピクセルにおいて、殆ど色ドリフトが存在せず、最終的な画像における色忠実性が改良される。一側面では、光透過性電極を含む視認表面と視認表面とはディスプレイ層の反対側にある第2の表面との間に配置される、ディスプレイ層を駆動する方法であって、第2の表面は、第1の駆動電極と、第2の駆動電極とを含み、ディスプレイ層は、流体と、流体中に分散される第1、第2、第3、および第4のタイプの粒子とを備える、電気泳動媒体を含み、第1、第2、第3、および第4のタイプの粒子は、それぞれ、相互に異なる第1、第2、第3、および第4の光学特性を有し、第1および第3のタイプの粒子は、第1の極性の電荷を有し、第2および第4のタイプの粒子は、第1の極性と反対の第2の極性の電荷を有し、第1および第3のタイプの粒子は、同一の電荷の大きさを有せず、第2および第4のタイプの粒子は、同一の電荷の大きさを有しない、方法が、提供される。本方法は、以下のステップ、すなわち、第1の期間にわたって、大きな大きさと、第1の極性とを有する、第1の電場を第1の駆動電極に印加し、第1のタイプの粒子を視認表面に向かって駆動し、それによって、ディスプレイ層に、第1の駆動電極の上方の視認表面において第1の光学特性を表示させるステップと、第2の期間にわたって、大きな大きさと、第2の極性とを有する、第2の電場を第2の駆動電極に印加し、第2のタイプの粒子を視認表面に向かって駆動し、それによって、ディスプレイ層に、第2の駆動電極の上方の視認表面において第2の光学特性を表示させるステップであって、第1の電場は、第1の駆動電極に印加される一方、同時に、第2の電場は、第2の駆動電極に印加される、ステップと、第1の期間に続いて第3の期間にわたって、第1の駆動電極に電場を印加しないステップと、第3の期間と重複する第4の期間にわたって、小さな大きさと、第1の極性とを有する、第3の電場を第2の駆動電極に印加し、第3のタイプの粒子を視認表面に向かって駆動し、それによって、ディスプレイ層に、第2の駆動電極の上方の視認表面において第3の光学特性を表示させるステップと、先のステップを繰り返すステップと、第5の期間にわたって、ステップ(ii)と同一の大きさおよび極性を有する、第4の電場を第2の駆動電極に印加し、それによって、ディスプレイ層に、第2の駆動電極の上方の視認表面において第2の光学特性と第3の光学特性との混合物を表示させる一方、第1の駆動電極の上方の視認表面において第1の光学特性を表示するステップとを含む。一実施形態では、第1の期間は、第3の期間よりも短い。一実施形態では、第2の期間は、第4の期間よりも短い。一実施形態では、第5の期間は、第1の期間よりも長く、第3の期間よりも短い。一実施形態では、第3の電場の大きさは、第2の電場の大きさの50パーセント未満である。一実施形態では、第1および第3のタイプの粒子は、負荷電であり、第2および第4のタイプの粒子は、正荷電である。一実施形態では、第1のタイプの粒子は、黄色であり、第2のタイプの粒子は、黒色であり、第3のタイプの粒子は、白色であり、第4のタイプの粒子は、赤色である。一実施形態では、第1のタイプの粒子は、光透過性であり、第2のタイプの粒子は、黄色であり、第4のタイプ粒子は、白色であり、第1および第3のタイプの粒子は、(いずれかの順序において)赤色および青色である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、4つの異なるタイプの粒子を含有し、4つの異なる色状態を表示することが可能である、ディスプレイ層を通した概略断面である。本発明は、主に、非視認側にある個々に制御されたピクセル電極(駆動電極)に関するが、しかしながら、代替の駆動電極もまた、本発明にとって好適である。色状態および波形(駆動シーケンス)は、主に、高荷電正黒色粒子、低荷電正赤色粒子、高荷電負黄色粒子、および低荷電負白色粒子を対象とするが、本発明は、そのような色セットに限定されず、種々の顔料の色が、所望されるように置換され得るが、しかしながら、種々の電荷状態の相互作用は、同一のままであろうことを理解されたい。
【0008】
図2-1】図2A-2Jは、図1のものと同様の概略断面であるが、特定の電荷および極性の駆動シーケンスを印加することの結果としての粒子位置の変化を図示する。
図2-2】図2A-2Jは、図1のものと同様の概略断面であるが、特定の電荷および極性の駆動シーケンスを印加することの結果としての粒子位置の変化を図示する。
図2-3】図2A-2Jは、図1のものと同様の概略断面であるが、特定の電荷および極性の駆動シーケンスを印加することの結果としての粒子位置の変化を図示する。
図2-4】図2A-2Jは、図1のものと同様の概略断面であるが、特定の電荷および極性の駆動シーケンスを印加することの結果としての粒子位置の変化を図示する。
図2-5】図2A-2Jは、図1のものと同様の概略断面であるが、特定の電荷および極性の駆動シーケンスを印加することの結果としての粒子位置の変化を図示する。
【0009】
図3図3は、本発明の駆動方法において使用され得る、汎用「震盪」波形を示す。アクティブマトリクスディスプレイと併用されるとき、各サイクルの時間幅(+HV~-HV)は、そのディスプレイに関するフレーム時間の少なくとも2倍である。しかしながら、電気泳動媒体を駆動することに対する物理的限定は、何ら存在せず、各サイクルの時間幅は、アクティブマトリクスディスプレイを伴う典型的なものよりも短くまたは長くあり得る。
【0010】
図4A図4Aは、4粒子電気泳動ディスプレイのための基本的な赤色駆動波形を図示する。
【0011】
図4B図4Bは、一連の繰り返しパルスを含む、赤色波形の商業用実装を図示する。繰り返しパルスは、媒体中の他の粒子からの赤色粒子の分離を改良し、視認表面において、より飽和された赤色光学状態を結果としてもたらす。
【0012】
図5A図5Aは、4粒子電気泳動ディスプレイに関する基本的な白色駆動波形を図示する。
【0013】
図5B図5Bは、一連の繰り返しパルスを含む、白色波形の商業用実装を図示する。繰り返しパルスは、媒体中の他の粒子からの白色粒子の分離を改良し、視認表面において、より飽和された白色光学状態を結果としてもたらす。
【0014】
図6A図6Aは、4粒子電気泳動ディスプレイに関する基本的な黒色駆動波形を図示する。
【0015】
図6B図6Bは、一連の繰り返しパルスを含む、黒色波形の商業用実装を図示する。繰り返しパルスは、媒体中の他の粒子からの黒色粒子の分離を改良し、視認表面において、より飽和された黒色光学状態を結果としてもたらす。
【0016】
図7A図7Aは、4粒子電気泳動ディスプレイに関する基本的な黄色駆動波形を図示する。
【0017】
図7B図7Bは、一連の繰り返しパルスを含む、黄色波形の商業用実装を図示する。繰り返しパルスは、媒体中の他の粒子からの黄色粒子の分離を改良し、視認表面において、より飽和された黄色光学状態を結果としてもたらす。
【0018】
図8A図8Aは、4粒子電気泳動ディスプレイに関する基本的な橙色駆動波形を図示する。
【0019】
図8B図8Bは、一連の繰り返しパルスを含む、橙色波形の商業用実装を図示する。繰り返しパルスは、媒体中の他の粒子からの赤色粒子の分離を改良し、視認表面において、より飽和された橙色光学状態を結果としてもたらす。
【0020】
図9A図9Aは、4粒子電気泳動ディスプレイに関する基本的な灰色駆動波形を図示する。
【0021】
図9B図9Bは、一連の繰り返しパルスを含む、灰色波形の商業用実装を図示する。繰り返しパルスは、媒体中の他の粒子からの白色粒子の分離を改良し、視認表面において、より飽和された灰色光学状態を結果としてもたらす。
【0022】
図10図10は、3つの連続ピクセルが、黒色、橙色、および橙色にアドレス指定されるときの着色電気泳動粒子の理想化された配列を図示する。図10は、近隣のピクセルが異なる光学状態にアドレス指定されることに起因する、電場における差異を考慮していない。
【0023】
図11図11は、3つの連続ピクセルが、黒色、橙色、および橙色にアドレス指定されるとき、近隣のピクセル電荷が、最終的な光学状態に対して有する影響を(より現実的に)図示する。
【0024】
図12図12は、駆動波形が、近隣のピクセル内で協調されていないときの、本発明の黒色、白色、赤色、黄色電気泳動ディスプレイにおける試験パターンの写真を示す。
【0025】
図13図13は、電場パルスが、同期されておらず、黒色波形が、切り取られていない、隣接するピクセルからの例示的黒色および橙色波形を示す。
【0026】
図14図14は、電場パルスが、同期されており、黒色波形が、橙色波形の最後のパルスと干渉しないように切り取られている、隣接するピクセルからの例示的黒色および橙色波形を示す。
【0027】
図15図15は、図14に示されるように、駆動波形が、近隣のピクセル内で協調されているときの、本発明の黒色、白色、赤色、黄色電気泳動ディスプレイにおける試験パターンの写真を示す。
【0028】
図16A図16A-16Fは、図2A-2Jのものと同様の概略断面図であるが、青色の部分的光透過性粒子を使用するディスプレイデバイスにおける種々の光学遷移を示す。
図16B図16A-16Fは、図2A-2Jのものと同様の概略断面図であるが、青色の部分的光透過性粒子を使用するディスプレイデバイスにおける種々の光学遷移を示す。
図16C図16A-16Fは、図2A-2Jのものと同様の概略断面図であるが、青色の部分的光透過性粒子を使用するディスプレイデバイスにおける種々の光学遷移を示す。
図16D図16A-16Fは、図2A-2Jのものと同様の概略断面図であるが、青色の部分的光透過性粒子を使用するディスプレイデバイスにおける種々の光学遷移を示す。
図16E図16A-16Fは、図2A-2Jのものと同様の概略断面図であるが、青色の部分的光透過性粒子を使用するディスプレイデバイスにおける種々の光学遷移を示す。
図16F図16A-16Fは、図2A-2Jのものと同様の概略断面図であるが、青色の部分的光透過性粒子を使用するディスプレイデバイスにおける種々の光学遷移を示す。
【0029】
図17A図17A-17Fは、図2A-2Jのものと同様の概略断面図であるが、赤色の部分的光透過性粒子を使用するディスプレイデバイスにおける種々の光学遷移を示す。
図17B図17A-17Fは、図2A-2Jのものと同様の概略断面図であるが、赤色の部分的光透過性粒子を使用するディスプレイデバイスにおける種々の光学遷移を示す。
図17C図17A-17Fは、図2A-2Jのものと同様の概略断面図であるが、赤色の部分的光透過性粒子を使用するディスプレイデバイスにおける種々の光学遷移を示す。
図17D図17A-17Fは、図2A-2Jのものと同様の概略断面図であるが、赤色の部分的光透過性粒子を使用するディスプレイデバイスにおける種々の光学遷移を示す。
図17E図17A-17Fは、図2A-2Jのものと同様の概略断面図であるが、赤色の部分的光透過性粒子を使用するディスプレイデバイスにおける種々の光学遷移を示す。
図17F図17A-17Fは、図2A-2Jのものと同様の概略断面図であるが、赤色の部分的光透過性粒子を使用するディスプレイデバイスにおける種々の光学遷移を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
発明の詳細な説明
すでに述べられているように、本発明は、全て流体中に分散され、全て異なる光学特性を有する、第1、第2、第3、および第4のタイプの粒子を含有する、電気泳動媒体を備える、ディスプレイ層のための駆動方法に関する。これらの光学特性は、典型的には、人間の眼に対して知覚可能な色であるが、光透過率、反射率、ルミネッセンス、または機械読取のために意図されるディスプレイの場合では、可視範囲外の電磁波長の反射率の変化の意味における擬似色等の他の光学性質であってもよい。本発明は、複数のタイプの粒子が視覚的に区別可能である限り、任意の色の粒子を広義に網羅する。
【0031】
電気泳動媒体中に存在する4つのタイプの粒子は、2つの対の反対荷電粒子を備えるものと見なされてもよい。第1の対(第1および第2のタイプの粒子)は、第1のタイプの正粒子と、第1のタイプの負粒子とから成り、同様に、第2の対(第3および第4のタイプの粒子)は、第2のタイプの正粒子と、第2のタイプの負粒子とから成る。2つの対の反対荷電粒子のうち、一方の対(第1および第2の粒子)は、他方の対(第3および第4の粒子)よりも強い電荷(例えば、より大きな大きさ、例えば、「より高電荷」)を担持する。したがって、4つのタイプの粒子はまた、高正粒子、高負粒子、低正粒子、および低負粒子と称され得る。
【0032】
用語「電荷電位」は、本願の文脈において、「ゼータ電位」または電気泳動移動度と同義的に使用され得る。粒子の電荷極性および電荷電位のレベルは、米国特許出願公開第2014/0011913号において説明される方法によって変動され得る、および/またはゼータ電位の観点において測定され得る。一実施形態では、ゼータ電位は、CSPU-100信号処理ユニット、ESA EN# Attnフロースルーセル(K:127)を伴う、Colloidal Dynamics AcoustoSizer IIMによって決定される。全て試験温度(25℃)における、サンプル内で使用される溶媒の密度、溶媒の誘電定数、溶媒中の音速、溶媒の粘度等の器具定数は、試験前に入力される。顔料サンプルが、溶媒(これは、通常、12個未満の炭素原子を有する、炭化水素流体である)中に分散され、重量比5~10%であるように希釈される。サンプルはまた、電荷制御剤(Berkshire Hathaway companyの子会社である、Lubrizol Corporationから入手可能なSolsperseTM 17000)も含有し、電荷制御剤対粒子の1:10の重量比を伴う。希釈されたサンプルの質量が、決定され、サンプルは、次いで、ゼータ電位の決定のために、フロースルーセルの中に充填される。電気泳動移動度の測定のための方法および装置は、電気泳動ディスプレイの技術における当業者に周知である。
【0033】
図1に示される実施例として、第1の黒色粒子(K)および第2の黄色粒子(Y)が、第1の対の反対荷電粒子であり、本対において、黒色粒子が、高正粒子であり、黄色粒子が、高負粒子である。第3の赤色粒子(R)および第4の白色粒子(W)は、第2の対の反対荷電粒子であり、本対では、赤色粒子は、低正粒子であり、白色粒子は、低負粒子である。
【0034】
図示されない別の実施例では、黒色粒子は、高正粒子であり得、黄色粒子は、低正粒子であり得、白色粒子は、低負粒子であり得、赤色粒子は、高負粒子であり得る。図示されない別の実施例では、黒色粒子は、高正粒子であり得、黄色粒子は、低正粒子であり得、白色粒子は、高負粒子であり得、赤色粒子は、低負粒子であり得る。図示されない別の実施例では、黒色粒子は、高正粒子であり得、赤色粒子は、低正粒子であり得、白色粒子は、高負粒子であり得、黄色粒子は、高負粒子であり得る。当然ながら、任意の特定の色が、用途に対する要求に応じて、別の色と置換されてもよい。例えば、黒色、白色、緑色、および赤色粒子の具体的な組み合わせが、望ましい場合、図1に示される高負黄色粒子が、高負緑色粒子と置換され得る。
【0035】
加えて、4つのタイプの粒子の色状態は、意図的に混合されてもよい。例えば、黄色顔料は、性質上、多くの場合、緑色を帯びた色調を有し、より良好な黄色状態が、望ましい場合、黄色粒子および赤色粒子が、使用されてもよく、本場合では、両方のタイプの粒子が、同一の電荷極性を担持し、黄色粒子が、赤色粒子よりも高荷電である。結果として、黄色状態において、わずかな量の赤色粒子が、緑色を帯びた黄色粒子と混合され、黄色状態により良好な色純度を有させるであろう。
【0036】
いくつかの実施形態では、粒子は、それらが、光透過性ではなく、光反射性であるべきであるという意味において、不透明である。他の実施形態では、粒子のうちのいくつかは、第WO2021/247991号において説明されるように、光透過性、すなわち、部分的光透過性であり、付加的な色の組み合わせを可能にし、それによって、部分光透過性粒子は、入射光のスペクトルの一部のみを吸収し、光の残りの部分が、部分的光透過性粒子を通して通過し、部分的光透過性粒子のすぐ後方にある粒子と相互作用することを可能にする。白色粒子は、当然ながら、反射性ではなく、光散乱性であるが、過剰な量の光が、白色粒子の層を通して通過しないことを確実にするために、注意が払われるべきである。例えば、下記に議論される、図2Fに示される白色状態では、白色粒子の層が、実質的量の光がそれを通して通過することを可能にされ、その後方の黒色および黄色粒子から反射される場合、白色状態の輝度は、実質的に低減され得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、粒子は、ポリマーシェルを伴わない、一次粒子である。代替として、各粒子は、ポリマーシェルを伴う、不溶性コアを備えてもよい。コアは、有機または無機顔料のいずれかであり得、これは、単一のコア粒子または複数のコア粒子の凝集体であり得る。粒子はまた、中空粒子であってもよい。
【0038】
白色粒子は、TiO、ZrO、ZnO、Al、Sb、BaSO、PbSO、または同等物等の無機顔料から形成されてもよい。黒色粒子は、Cl顔料黒色26または28または同等物(例えば、マンガンフェライト黒色スピネルまたは銅クロマイト黒色スピネル)またはカーボンブラックから形成されてもよい。(非白色および非黒色である)他の着色粒子は、赤色、緑色、青色、マゼンタ色、シアン色、黄色、または任意の他の望ましい着色であってもよく、例えば、CI顔料PR254、PR122、PR149、PG36、PG58、PG7、PB28、PB15:3、PY83、PY138、PY150、PY155、またはPY20から形成されてもよい。それらは、色指数ハンドブック「New Pigment Application Technology」(CMC Publishing Co, Ltd, 1986)および「Printing Ink Technology」(CMC Publishing Co, Ltd, 1984)において説明される、一般的に使用される有機顔料である。具体的な実施例は、Clariant Hostaperm Red D3G 70-EDS、Hostaperm Pink E-EDS、PV fast red D3G、Hostaperm red D3G 70、Hostaperm Blue B2G-EDS、Hostaperm Yellow H4G-EDS、Novoperm Yellow HR-70-EDS、Hostaperm Green GNX、BASF Irgazine red L 3630、Cinquasia Red L 4100 HD、およびIrgazin Red L 3660 HD、Sun Chemical phthalocyanine blue、phthalocyanine green、diarylide yellow、またはdiarylide AAOT yellowを含む。着色粒子はまた、赤色、緑色、青色、および黄色等の無機顔料であってもよい。実施例は、限定ではないが、CI pigment blue 28、CI pigment green 50、およびCI pigment yellow 227を含み得る。
【0039】
その中に4つのタイプの粒子が分散される流体は、クリアかつ無色であってもよい。これは、好ましくは、高粒子移動度のために、低粘度と、約2~約30、好ましくは、約2~約15の範囲内の誘電定数とを有する。好適な誘電性溶媒の実施例は、炭化水素、例えば、イソパラフィン、デカヒドロナフタレン(DECALIN)、5-エチリデン-2-ノルボルネン、脂肪油、パラフィンオイル、シリコン溶液、芳香族炭化水素、例えば、トルエン、キシレン、フェニルキシリルエタン、ドデシルベンゼンまたはアルキルナフタレン、ハロゲン化溶媒、例えば、ペルフルオロデカリン、ペルフルオロトルエン、ペルフルオロキシレン、ジクロロベンゾトリフルオライド、3,4,5-トリクロロベンゾトリフルオライド、クロロペンタフルオロベンゼン、ジクロロノナンまたはペンタクロロベンゼン、およびペルフルオロ化溶媒、例えば、3M Company(St. Paul MN)製FC-43、FC-70、またはFC-5060、低分子量ハロゲン含有ポリマー、例えば、TCI America(Portland, Oregon)製ポリ(酸化ペルフルオロプロピレン)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、例えば、Halocarbon Product Corp.(River Edge, NJ)製ハロ炭素オイル、ペルフルオロポリアルキルエーテル、例えば、AusimontまたはKrytox Oils製Galden、DuPont(Delaware)製Greases K-Fluid Series、Dow-corning製ポリジメチルシロキサンベースのシリコーンオイル(DC-200)を含む。
【0040】
流体中の異なるタイプの粒子の比率は、変動し得る。例えば、1つのタイプの粒子は、電気泳動流体の体積比0.1%~10%、好ましくは、0.5%~5%を占め得、別のタイプの粒子は、流体の体積比1%~50%、好ましくは、5%~20%を占め得、残りのタイプの粒子はそれぞれ、流体の体積比2%~20%、好ましくは、4%~10%を占め得る。
【0041】
種々のタイプの粒子は、異なる粒子サイズを有し得る。例えば、より小さい粒子は、約50nm~約800nmの範囲に及ぶサイズを有し得る。より大きい粒子は、より小さい粒子のサイズの約2~約50倍、より好ましくは、約2~約10倍であるサイズを有し得る。
【0042】
電気泳動ディスプレイは、通常、電気泳動材料の層と、電気泳動材料の対向側に配置される、少なくとも2つの他の層とを備え、これらの2つの層のうちの一方は、電極層である。殆どのそのようなディスプレイでは、両方の層が、電極層であり、電極層のうちの一方または両方が、ディスプレイのピクセルを画定するようにパターン化される。典型的には、各ピクセルは、単一の駆動場、例えば、駆動(ピクセル)電極と上部光透過性電極との間のアドレス指定可能な電場によって画定される。例えば、一方の電極層は、伸長行電極にパターン化され、他方は、行電極に対して直角に延設される伸長列電極にパターン化され、ピクセルは、行電極および列電極の交点によって画定され得る。代替として、かつより一般的には、一方の電極層は、単一の連続電極の形態を有し、他方の電極層は、ピクセル電極のマトリクスにパターン化され、そのそれぞれが、ディスプレイの1つのピクセルを画定する。いくつかの実施形態では、各ピクセル電極は、単一の薄膜トランジスタに結合され、これは、加えて、データ線およびゲート線に結合される。ディスプレイと別個のスタイラス、印刷ヘッド、または同様の移動可能電極との併用が意図される、別のタイプの電気泳動ディスプレイでは、電気泳動層に隣接する層のうちの1つのみが、電極を備え、電気泳動層の対向側にある層は、典型的には、移動可能電極が、電気泳動層に損傷を与えないように防止することが意図される、保護層である。
【0043】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)、E Ink Corporation、E Ink(California)、LLC、E Ink Holdings、Prime View International、および関連会社に譲渡された、またはそれらの名義の多数の特許および出願は、カプセル化およびマイクロセル電気泳動および他の電気光学媒体内で使用される種々の技術を説明している。カプセル化電気泳動媒体は、多数の小型カプセルを備え、それ自体がそれぞれ、電気泳動により移動可能な粒子を流体媒体中に含有する内相と、内相を囲繞するカプセル壁とを含む。典型的には、カプセルは、それら自体が、ポリマー結合剤内に保持され、2つの電極間に位置付けられるコヒーレント層を形成する。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、荷電粒子および流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されず、代わりに、キャリア媒体、典型的には、ポリマーフィルム内に形成される複数の空洞内に留保される。これらの特許および出願において説明される技術は、以下を含む。
(a)電気泳動粒子、流体、および流体添加物(例えば、米国特許第7,002,728号および第7,679,814号参照)
(b)カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号参照)
(c)マイクロセル構造、壁材料、およびマイクロセルを形成する方法(例えば、米国特許第7,072,095号および第9,279,906号参照)
(d)マイクロセルを充填およびシールするための方法(例えば、米国特許第7,144,942号および第7,715,088号参照)
(e)電気光学材料を含有するフィルムおよびサブアセンブリ(例えば、米国特許第6,982,178号および第7,839,564号参照)
(f)バックプレーン、接着剤層および他の補助層、およびディスプレイ内で使用される方法(例えば、米国特許第7,116,318号および第7,535,624号参照)
(g)色形成および色調節(例えば、米国特許第7,075,502号および第7,839,564号参照)
(h)ディスプレイを駆動するための方法(例えば、米国特許第7,012,600号および第7,453,445号参照)
(i)ディスプレイの適用(例えば、米国特許第7,312,784号および第8,009,348号参照)
(j)米国特許第6,241,921号および米国特許出願公開第2015/0277160号において説明されるような非電気泳動ディスプレイ、およびディスプレイ以外のカプセル化およびマイクロセル技術の適用(例えば、米国特許出願公開第2015/0005720号および第2016//0012710号参照)
【0044】
前述の特許および出願の多くは、カプセル化電気泳動媒体中の離散マイクロカプセルを囲繞する壁が、連続相によって置換され得、したがって、いわゆる「ポリマー分散電気泳動ディスプレイ」を生産し、その中で、電気泳動媒体が、電気泳動流体の複数の離散液滴と、ポリマー材料の連続相とを含み、そのようなポリマー分散電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の離散液滴が、いかなる離散カプセル膜も、各個々の液滴と関連付けられない場合であっても、カプセルまたはマイクロカプセルと見なされ得ることを認識する(例えば、前述の第2002/0131147号参照)。故に、本願の目的のために、そのようなポリマー分散電気泳動媒体は、カプセル化電気泳動媒体の亜種と見なされる。
【0045】
関連タイプの電気泳動ディスプレイは、いわゆる「マイクロセル電気泳動ディスプレイ」である。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、荷電粒子および懸濁流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されず、代わりに、キャリア媒体、典型的には、ポリマーフィルム内に形成される複数の空洞内に留保される(例えば、国際出願公開第WO 02/01281号および米国特許第6,788,449号参照)。
【0046】
本発明の好ましい実施形態が、ここで、付随の図面を参照して、例証のみのためであるが、詳細に説明されるであろう。
【0047】
図1は、本発明の方法によって駆動され得る、ディスプレイ層を通した概略断面である。ディスプレイ層は、2つの主要な表面、すなわち、それを通してユーザがディスプレイを視認する、第1の視認表面13(図1に図示されるような上側表面)と、第1の表面13とはディスプレイ層の反対側にある、第2の表面14とを有する。ディスプレイ層は、流体と、高正電荷を有する第1の黒色粒子(K)、高負電荷を有する第2の黄色粒子(Y)、低正電荷を有する第3の赤色粒子(R)、および低負電荷を有する第4の白色粒子(W)とを備える、電気泳動媒体を備える。ディスプレイ層は、ディスプレイ層を横断して電場を印加するために、当技術分野において公知であるような電極を具備し、すなわち、2つの電極層を含み、このうちの第1の電極は、ディスプレイ層の視認表面13全体を横断して延在する、光透過性または透明な共通電極層11である。本電極層11は、酸化インジウムスズ(ITO)または同様の光透過性導体から形成されてもよい。他方の電極層12は、第2の表面14上の離散ピクセル電極12aの層であり、これらの電極12aは、ディスプレイの個々のピクセルを画定し、これらのピクセルは、図1における点線の垂直線によって示される。代替として、他方の電極層12は、固体電極、例えば、金属箔、または黒鉛平面、または伝導性ポリマーであり得る。代替として、電極層12はまた、透明な共通電極層11と同様に、光透過性または透明な電極層であり得る。電場が、共通電極に印加される電圧と対応するピクセル電極に印加される電圧との間の電位差によって、ピクセルに対して生成される。ピクセル電極12aは、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)バックプレーンを伴うアクティブマトリクス駆動システムの一部を形成し得るが、他のタイプの電極アドレス指定も、電極が、ディスプレイ層を横断して必要とされる電場を提供することを前提として、使用されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の電極は、所望の電荷が、ピクセル電極に送達されることを可能にする、スイッチを用いて直接制御される。いくつかの実施形態では、電極層12は、それらの区画化された電極が、励起されるとき、事前に決定されたパターンが、視認側において現れるように区画化されてもよい。
【0048】
ピクセル電極は、米国特許第7,046,228号において説明され得る。ピクセル電極12aは、アクティブマトリクス薄膜トランジスタ(TFT)バックプレーンの一部を形成してもよいが、他のタイプの電極アドレス指定も、電極が、ディスプレイ層を横断して必要とされる電場を提供することを前提として、使用されてもよい。
【0049】
一実施形態では、「低電荷」粒子によって担持される電荷は、「高電荷」粒子によって担持される電荷の約50%未満、好ましくは、約5%~約30%であり得る。別の実施形態では、「低電荷」粒子は、「高電荷」粒子によって担持される電荷の約75%未満、または約15%~約55%であり得る。さらなる実施形態では、示されるような電荷レベルの比較が、同一の電荷極性を有する、2つのタイプの粒子に適用される。「高正」粒子および「高負」粒子上の電荷は、同一である、または異なり得る。同様に、「低正」粒子および「低負」粒子の振幅は、同一である、または異なり得る。任意の具体的な電気泳動流体では、2つの対の高-低電荷粒子は、異なるレベルの電荷差を有し得る。例えば、ある対では、低正荷電粒子は、高正荷電粒子の電荷強度の30%である、電荷強度を有し得、別の対では、低負荷電粒子は、高負荷電粒子の電荷強度の50%である、電荷強度を有し得る。
【0050】
図2A-2Jは、図1に示されるディスプレイ層の各ピクセルの視認表面において表示され得る、6つの色状態、およびそれらの間の遷移を図示する。先に言及されているように、高正粒子は、黒色(K)であり、高負粒子は、黄色(Y)であり、低正粒子は、赤色(R)であり、低負粒子は、白色(W)である。
【0051】
図2Aおよび2Bでは、高負駆動電圧(VH2と下記では称され、例えば、-15V、例えば、-30V)が、ピクセル電極22a(以降では、共通電極21が、0Vに維持され、したがって、本場合では、共通電極は、ピクセル電極に対して、著しく正であると仮定されるであろう)に、十分な長さの期間にわたって印加されるとき、電場が、発生され、高負黄色粒子を共通電極21に隣接して駆動させ、高正黒色粒子をピクセル電極22aに隣接して駆動させ、図2Aの状態を生産する。
【0052】
低正赤色Rおよび低負白色W粒子は、それらが、より弱い電荷を担持するため、より高荷電黒色および黄色粒子よりも低速で移動し、結果として、それらは、ピクセルの中央に滞留し、白色粒子は、赤色粒子の上方に存在し、両方とも、黄色粒子によってマスクされ、したがって、視認表面において非可視となる。したがって、黄色が、視認表面において表示される。
【0053】
逆に言えば、高正駆動電圧(VH1と下記では称され、例えば、+15V、例えば、+30V)が、(共通電極21が、ピクセル電極に対して著しく負であるように)ピクセル電極22aに、十分な長さの期間にわたって印加されるとき、電場が、発生され、高正黒色粒子を共通電極21に隣接して駆動させ、高負黄色粒子をピクセル電極22aに隣接して駆動させる。図2Bの結果として生じる状態は、図2Aと正反対であり、黒色が、視認表面において表示される。
【0054】
図2Cおよび2Dは、低正(赤色)粒子が、図1に示されるディスプレイ層の視認表面において表示される、様式を図示する。本プロセスは、図2Aに示され、図2Cとして繰り返される(黄色)状態から開始する。低正電圧(VL1、例えば、+3V、例えば、+5V、例えば、+10V)が、ピクセル電極22aに、十分な長さの期間にわたって印加され(すなわち、共通電極21は、ピクセル電極に対してわずかに負にさせられ)、高負黄色粒子をピクセル電極22aに向かって移動させる一方、高正黒色粒子を共通電極21に向かって移動させる。しかしながら、黄色および黒色粒子が、図2Dにおいて示されるように、ピクセルと共通電極の中間において衝合するとき、それらは、低駆動電圧によって発生された電場が、それらの間の引力を打ち消すために十分に強くないため、中間の位置において留まったままである。示されるように、黄色および黒色粒子は、混合された状態において、ピクセル電極と共通電極の中間に滞留する。
【0055】
本明細書で使用されるような用語「引力」は、静電相互作用を網羅し、粒子電荷電位に線形に依存し、引力はさらに、ファンデルワールス力、疎水性相互作用、および同等物等の他の力によって強化されることができる。
【0056】
明白なこととして、引力はまた、低正赤色粒子と高負黄色粒子との間、および低負白色粒子と高正黒色粒子との間にも存在する。しかしながら、これらの引力は、黒色粒子と黄色粒子との間の引力と同程度に強くなく、したがって、赤色および白色粒子に対する弱い引力は、低駆動電圧によって発生される電場によって打ち消され得、したがって、低荷電粒子および反対極性の高荷電粒子は、分離されることができる。低駆動電圧によって発生される電場もまた、低負白色粒子および低正赤色粒子を分離するために十分であり、それによって、赤色粒子を共通電極21に隣接するように移動させ、白色粒子をピクセル電極22aに隣接するように移動させる。結果として、図2Dに示されるように、ピクセルが、赤色を表示する一方、白色粒子は、ピクセル電極の最近傍に存在する。
【0057】
図2Eおよび2Fは、低負(白色)粒子が、図1に示されるディスプレイ層の視認表面において表示される、様式を図示する。本プロセスは、図2Bの(黒色)状態から開始し、図2Eとして繰り返される。低負電圧(VL2、例えば、-3V、例えば、-5V、例えば、-10V)が、ピクセル電極に、十分な長さの期間にわたって印加され(すなわち、共通電極は、ピクセル電極に対してわずかに正にさせられ)、高正黒色粒子をピクセル電極22aに向かって移動させる一方、高負黄色粒子を共通電極21に向かって移動させる。しかしながら、黄色および黒色粒子が、図2Fにおいて示されるように、ピクセルと共通電極の中間において衝合するとき、それらは、低駆動電圧によって発生された電場が、それらの間の引力を打ち消すために十分に強くないため、中間位置において留まったままである。したがって、図2Dを参照して先に議論されるように、黄色および黒色粒子は、混合された状態において、ピクセルと共通電極の中間に滞留する。
【0058】
図2Cおよび2Dを参照して上記に議論されるように、引力はまた、低正赤色粒子と高負黄色粒子との間、および低負白色粒子と高正黒色粒子との間にも存在する。しかしながら、これらの引力は、黒色粒子と黄色粒子との間の引力と同程度に強くなく、したがって、赤色および白色粒子に対する弱い引力は、低駆動電圧によって発生される電場によって打ち消され得、したがって、低荷電粒子および反対極性の高荷電粒子は、分離されることができる。低駆動電圧によって発生される電場は、低負白色粒子および低正赤色粒子を分離するために十分であり、それによって、白色粒子を共通電極21に隣接するように移動させ、赤色粒子をピクセル電極22aに隣接するように移動させる。結果として、図2Fに示されるように、ピクセルが、白色を表示する一方、赤色粒子は、ピクセル電極の最近傍に存在する。
【0059】
図2Gおよび2Hは、低正(赤色)粒子と高負(黄色)粒子との混合物が、図1に示されるディスプレイ層の視認表面において表示され得る、様式を図示する。本プロセスは、本質的に、例えば、図2Cおよび2Dに示されるような赤色状態につながるプロセスの続きである。高品質な赤色状態を達成すると、短縮された高負電圧(VH2、例えば、-15V、例えば、-30V)が、高負(黄色)粒子の一部を視認表面に向かって駆動させるために提供されるが、インパルスは、図2Aに示されるような完全な黄色状態を達成するためには不十分である。下記により詳細に解説されるように、正常な橙色状態を達成することは、前提となる赤色状態を達成することに依存する。故に、橙色光学状態を達成するための波形の殆どは、赤色波形と同じである。
【0060】
図2Iおよび2Jは、低負(白色)粒子と高正(黒色)粒子との混合物が、図1に示されるディスプレイ層の視認表面において表示され得る、様式を図示する。本プロセスは、本質的に、例えば、図2Eおよび2Fに示されるような白色状態につながるプロセスの続きである。高品質な白色状態を達成すると、短縮された高正電圧(VH1、例えば、+15V、例えば、+30V)が、高正(黒色)粒子の一部を視認表面に向かって駆動させるために提供されるが、インパルスは、図2Bに示されるような完全な黒色状態を達成するためには不十分である。下記により詳細に解説されるように、正常な灰色状態を達成することは、前提となる白色状態を達成することに依存する。故に、灰色光学状態を達成するための波形の殆どは、白色波形と同じである。
【0061】
図1および2A-2Jに示されるディスプレイ層では、黒色粒子(K)は、高正電荷を担持し、黄色粒子(Y)は、高負電荷を担持し、赤色粒子(R)粒子は、低正電荷を担持し、白色粒子(W)は、低負電荷を担持するが、しかしながら、原理上、高正電荷、または高負電荷、または低正電荷、または低負電荷を担持する粒子は、任意の色であってもよい。これらの変形例は全て、本願の範囲内にあることが意図される。
【0062】
また、図2Dおよび2Fの色状態に到達するために印加される低電位差は、ピクセルを高正粒子の色状態から高負粒子の色状態に、またはその逆に、すなわち、図2Aおよび2Bに示されるように駆動するために要求される高電位差の約5%~約50%であってもよいことにも留意されたい。
【0063】
図示の容易性のために、図1および2A-2Jは、非カプセル化であるものとして、ディスプレイ層を示すが、電気泳動流体は、ディスプレイセルの中に充填されてもよく、これは、米国特許第6,930,818号において説明されるようなカップ様マイクロセルであってもよい。ディスプレイセルはまた、それらの形状またはサイズにかかわらず、マイクロカプセル、マイクロチャネル、または均等物等の他のタイプのマイクロ容器であってもよい。これらは全て、本願の範囲内にある。
【0064】
「鮮明」かつ十分に飽和状態である色が、図2A-2Jに図示される種々の色状態において取得される場合、電気泳動媒体内で使用される全ての非黒色および非白色粒子は、光透過性ではなく、光反射性であるべきであることは、結像科学における当業者にとって容易に明白であろう(白色粒子は、本質的に、光散乱性である一方、黒色粒子は、本質的に、光吸収性である)。例えば、図2Dの赤色状態では、赤色粒子が、実質的に光透過性である場合、視認表面を通して電気泳動層に進入する光の実質的割合が、赤色粒子を通して通過し、本透過された光の割合は、赤色粒子の「後方」(すなわち、図2Dに図示されるように、下方)の黄色粒子から戻るように反射されるであろう。全体的な影響は、黄色の色合いを伴う、望ましい赤色の深刻な「汚染」であろう。
【0065】
しかしながら、Hostaperm Red D3G 70顔料またはKremer Pigmente 45030 Ultramarine Blue顔料等の慎重に選定された顔料を使用することは、図16A-16F(光透過性青色粒子)および17A-17F(光透過性赤色粒子)に示されるように、入射光の部分的透過および部分的反射を可能にし、積層された色状態が、部分的光透過性顔料が視認者と白色顔料との間に配列されるときに第1の色を、部分的光透過性顔料が反射性顔料と混合されるときに第2の色を生産することを可能にする。例えば、2つの顔料が、図16Aに示されるように配列され、部分的光透過性青色顔料が、視認表面に隣接し、反射性赤色顔料が、視認表面から青色顔料の真逆側にあるとき、視認表面を通して進入し、青色顔料を通して通過する、全ての可視放射は、赤色顔料によって吸収され、視認表面は、黒色に現れるであろう。
【0066】
図16A-16Fに関しては、高正部分的光透過性粒子は、青色(B)であり、高負粒子は、黄色(Y)であり、低正粒子は、赤色(R)であり、低負粒子は、白色(W)である。図16Aに示される遷移は、「(M)」と表される、完全に混合された状態から始まり、下記に説明されるように、震盪パルスを印加することによって生産される。高正電位差(例えば、+15V)および無電位差(0V)の交互パルスが、十分な長さの期間にわたって、ピクセル電極22aに印加されるとき、青色(B)および赤色(R)粒子は、共通電極(21)または視認側に向かって駆動され、黄色および白色粒子は、ピクセル電極22a側に向かって駆動される。赤色(R)および白色(W)粒子は、それらが、より弱い電荷を担持するため、高荷電青色および黄色粒子よりも低速で移動する。結果として、(図16Aに図示されるように)青色粒子は、共通電極に直接隣接して存在し、赤色粒子は、それらの真下にある。すでに上記に議論された理由のために、これは、ピクセルを、図16Aでは「(K)」と表される黒色に現れるようにさせ、白色および黄色粒子は、反射性赤色粒子によってマスクされ、表示される色には影響を及ぼさない。
【0067】
同様に、図16Bに示される遷移は、完全に混合された状態(M)から始まり、下記に説明されるように、震盪パルスを印加することによって生産される。高負電位差(例えば、-15V)および無電圧(0V)の交互パルスが、十分な長さの期間にわたって、ピクセル電極22aに印加されるとき、青色(B)および赤色(R)粒子は、ピクセル電極22a側に向かって駆動され、黄色および白色粒子は、共通電極側に向かって駆動される。赤色(R)および白色(W)粒子は、それらが、より弱い電荷を担持するため、高荷電青色および黄色粒子よりも低速で移動する。結果として、反射性黄色粒子は、共通電極に直接隣接して存在し、したがって、ピクセルを、図16Bでは「(Y)」と表される黄色に現れるようにさせ、白色、赤色、および青色粒子は全て、反射性黄色粒子によってマスクされ、表示される色には影響を及ぼさない。原理上、黄色は、-15Vおよび0Vの交互パルスによって生産されることができるが、実践では、より複雑な波形が好ましい。
【0068】
図16Cに示される遷移は、完全に混合された状態(M)から始まる。高負電位差(例えば、-15V)および低正電位差(例えば、+8V)の交互パルスが、高負パルスよりもはるかに長い低正パルスを伴って、十分な長さの期間にわたって、ピクセル電極22aに印加されるとき、赤色(R)粒子は、共通電極21側に向かって駆動され、白色(W)粒子は、ピクセル電極22a側に向かって駆動される。発振電場の影響は、高荷電青色および黄色粒子を電気泳動層の厚さの中間に相互に繰り返し通過させることであり、高荷電正粒子と高荷電負粒子間との間の強固な電気的引力が、これらの粒子の移動を大幅に減速させ、電気泳動層の厚さの中間にそれらを保つ傾向がある。しかしながら、低正パルスによって発生される電場は、低荷電白色および赤色粒子を分離するために十分であり、それによって、低正赤色粒子(R)が、共通電極21側まで完全に移動し、低負白色粒子が、ピクセル電極22a側まで移動することを可能にする。結果として、反射性赤色粒子は、共通電極に直接隣接して存在し、したがって、ピクセルを、図16Cでは「(R)」と表される赤色に現れるようにさせ、白色、黄色、および青色粒子は全て、反射性赤色粒子によってマスクされ、表示される色には影響を及ぼさない。重要なこととして、本システムは、より弱い荷電粒子が、反対極性のより強固な荷電粒子から分離されることを可能にする。
【0069】
図16Dに示される遷移は、完全に混合された状態(M)から始まる。高正電位差(例えば、+15V)および低負電位差(例えば、-8V)の交互パルスが、高正パルスよりもはるかに長い低負パルスを伴って、十分な長さの期間にわたって、ピクセル電極22aに印加されるとき、赤色(R)粒子は、ピクセル電極22a側に向かって駆動され、白色(W)粒子は、共通電極21側に向かって駆動される。図16Cに示される遷移と同様に、発振電場の影響は、高荷電青色および黄色粒子を電気泳動層の厚さの中間にともに留まったままにさせることである。しかしながら、低負パルスによって発生される電場は、低荷電白色および赤色粒子を分離するために十分であり、それによって、低正赤色粒子(R)が、ピクセル電極22a側まで完全に移動し、低負白色粒子が、共通電極21側まで移動することを可能にする。結果として、白色粒子は、共通電極に直接隣接して存在し、したがって、ピクセルを、図16Dでは「(W)」と表される白色に現れるようにさせ、赤色、黄色、および青色粒子は全て、白色粒子によってマスクされ、表示される色には影響を及ぼさない。原理上、白色は、+15Vおよび-8Vの交互パルスによって生産されることができるが、実践では、より複雑な波形が好ましい。
【0070】
図16Eに示される遷移は、図16Dに示される白色状態(W)から始まる。本状態におけるデバイスに、正電位差パルスが印加され、この全体的なインパルスは、デバイスを図16Aに示される黒色状態(K)まで駆動させるために十分ではない。正パルスは、高荷電青色粒子を共通電極21側に向かって移動させ、白色粒子をピクセル電極22a側に向かって移動させる。しかしながら、高荷電青色粒子が、低荷電白色粒子よりも高速で移動するため、青色粒子と白色粒子との混合物が、視認表面を通して可視となり、したがって、ピクセルは、青色に現れる。
【0071】
視認表面において見られる青色の飽和が、前面電極に直接隣接して配置される白色顔料からの反射のために、実質的に低減されるであろうことは、最初に、図16Eから明らかであり得る。しかしながら、図16E(および図16A-16D、16F、および17A-17F)は全て、極めて概略的であることを理解されたい。実践では、顔料粒子は、球状ではなく(使用される結晶性顔料が、ある結晶平面に沿って優先的に破砕するため、例えば、電気泳動媒体中の白色顔料として一般的に使用されるルチルチタニアは、正方晶であり、正四角柱を形成する傾向がある)、粒子は、サイズにおいて著しく変動し、白色粒子からの「反射」は、本質的に、鏡面反射ではなく、ランバート光散乱であり、図16Eに図示されるものよりも数層上回る粒子の層が、存在する(層の正確な数は、当然ながら、電気泳動媒体中の粒子装填量、本媒体の厚さ、および個々の粒子のサイズに依存するが、実践では、少なくとも5~10層が、通常、存在する)。全ての前述の因子の全体的な効果は、視認表面を通して、電気泳動媒体に進入する可視光の極小さな割合のみが、白色粒子によって視認表面を通して戻るように直接反射されることであり、実践では、十分に飽和された青色が、達成されることができる。
【0072】
また、図16Aは、完全に別個の層内の青色および赤色粒子を示すのに対し、図16Eは、青色粒子と白色粒子との完全な混和を示すが、これらが、2つの極端な状態を表し、実践では、完全に別個の層と完全な混和との間に連続的な段階化が存在し得ることが理解されるであろう。必須の色が取得されることを前提として、本発明は、粒子の正確な位置および他の粒子とのそれらの混和度に関するいかなる理論的な解説にも限定されない。
【0073】
最終的に、図16Fに示される遷移は、図16Cに示される赤色状態(R)から始まる。本状態におけるデバイスに、負電位差パルスが印加され、この全体的なインパルスは、デバイスを図16Bに示される黄色状態(Y)まで駆動させるために十分ではない。負パルスは、高負黄色粒子を共通電極(21)側に向かって移動させる一方、低正赤色粒子をピクセル電極(22a)側に向かって、はるかにより低速で移動させる。その結果は、赤色粒子と黄色粒子との混合物が、共通電極21を通して可視となり、ピクセルは、橙色に現れる。
【0074】
部分的光透過性赤色粒子を使用する代替の実施形態が、図17A-17Fに図示されている。図17Aは、図16Aに示されるものと同様の遷移を示し、完全に混合された状態(M)から始まる。最終的な状態(K)では、(図17Aに図示されるように)赤色光透過性粒子は、共通電極21に直接隣接して存在し、青色反射性粒子は、それらの真下にあり、したがって、図16Aと比較して、赤色および青色粒子の位置の逆転にもかかわらず、黒色光学状態が、依然として、発生される。
【0075】
図17Bは、図16Bに示されるものと同様の遷移を示す。共通電極に隣接する黄色粒子が、白色、赤色、および青色粒子をマスクするため、黄色状態が、再度、生産され、したがって、図17Bにおける赤色および青色粒子の位置の逆転は、図16Bと比較して、光学状態に何ら影響を有しない。
【0076】
図17Cは、図16Cに示されるものと同様の遷移を示す。図16Cと同様に、図17Cの遷移は、低正粒子を共通電極に隣接させ、これらの低正粒子が、ここでは反射性青色粒子であるため、図16Cの赤色光学状態ではなく、青色光学状態が、生産される。
【0077】
図17Dは、図16Dに示されるものと同様の遷移を示す。共通電極に隣接する白色粒子が、黄色、赤色、および青色粒子をマスクするため、白色状態が、再度、生産され、したがって、図17Dにおける赤色および青色粒子の位置の反転は、図16Dと比較して、光学状態に何ら影響を有しない。
【0078】
図17Eは、図16Eに示されるものと同様の遷移を示す。図16Eと同様に、図17Eの遷移は、高正粒子と白色粒子との混合物を共通電極に隣接させ、これらの高正粒子は、ここでは光透過性赤色粒子であるため、図16Eの青色光学状態ではなく、赤色光学状態(R)が、生産される。
【0079】
最終的に、図17Fは、図16Fに示されるものと同様の遷移を示す。初期状態は、低正粒子が、共通電極に隣接して存在する状態であり、これは、図17Fの媒体では、青色光学状態(B)である。故に、最終的な状態は、共通電極に隣接する低正青色粒子と高負黄色粒子との混合物を有し、したがって、緑色光学状態(G)が、表示される。
【0080】
色の輝度および色の純度の両方を確実にするために、震盪波形が、ディスプレイ層をある色状態から別の色状態まで駆動するステップに先立って、印加されてもよい。図3は、そのような震盪波形の電圧対時間グラフである。震盪波形は、多くのサイクルにわたって、対の反対駆動パルスを繰り返すことから成ってもよい。アクティブマトリクスディスプレイと併用されるとき、各正または負パルスは、少なくとも更新のフレーム幅である。例えば、各パルス幅は、ディスプレイが、60Hzにおいて更新されるとき、約16ミリ秒であり得る。しかしながら、実際、フレーム時間は、典型的には、バックプレーンの容量要素のための種々の電荷および減衰時間に起因して、わずかにより長い。例えば、図3に示されるように、震盪波形は、20ミリ秒にわたる+15Vパルスと、20ミリ秒にわたる-15Vパルスとから成り、本対のパルスは、50回繰り返され得る。そのような震盪波形の総持続時間は、2,000ミリ秒であろう。図示の容易性のために、図3は、7つの対のパルスのみを図示する。
【0081】
パルス幅は、フレーム時間に限定される必要はなく、各パルスは、複数のフレーム、例えば、40ミリ秒のパルス幅、例えば、60ミリ秒のパルス幅、例えば、80ミリ秒のパルス幅、例えば、100ミリ秒のパルス幅を含んでもよい。いくつかの実施形態では、震盪パルスの各要素のパルス幅は、80ミリ秒またはそれ未満、例えば、60ミリ秒またはそれ未満、例えば、40ミリ秒またはそれ未満、例えば、20ミリ秒またはそれ未満であってもよい。実践では、少なくとも4回の反復(すなわち、4つの対の正および負パルス)、例えば、少なくとも6回の反復、例えば、少なくとも8回の反復、例えば、少なくとも10回の反復、例えば、少なくとも12回の反復、例えば、少なくとも15回の反復が存在し得る。同様に、震盪波形を示す、全ての後続の図面は、同一の様式において、震盪波形を単純化する。震盪波形は、駆動電圧が印加されるステップに先立って、光学状態にかかわらず、印加されてもよい。震盪波形が印加された後、光学状態は、(視認表面、または可視となる場合、第2の表面のいずれかにおいて)純粋な色ではなく、種々のタイプの顔料粒子の色の混合物であろう。ある事例では、複数の震盪パルスが、震盪パルス間の0Vの一時停止を伴って送達され、電気泳動媒体が、平衡化されることを可能にする、および/または電極上に蓄積される電荷が、放散されることを可能にするであろう。
【0082】
震盪波形内の駆動パルスはそれぞれ、高正粒子の色状態から高負粒子の色状態への駆動、またはその逆のために要求される駆動時間の50%を超過しない(または30%、10%、または5%を超過しない)時間にわたって印加される。例えば、図2Bの色状態から高正粒子まで、すなわち、図2Aの色状態まで、またはその逆に、ディスプレイデバイスを駆動するために、300ミリ秒を要する場合、震盪波形は、正および負パルスから成り、それぞれが、150ミリ秒を超えない時間にわたって印加され得る。実践では、パルスが、よい短くあることが、好ましい。
【0083】
本目的のために、高駆動電圧(VH1またはVH2)は、高正粒子の色状態から高負粒子の色状態まで、またはその逆に、ピクセルを駆動するために十分である、駆動電圧として定義される(図2Aおよび2B参照)。低駆動電圧(VL1またはVL2)は、高荷電粒子の色状態から低荷電粒子の色状態までピクセルを駆動するために十分であり得る、駆動電圧として定義される(図2Dおよび2F参照)。一般に、Vの大きさ(例えば、VL1またはVL2)は、Vの振幅(例えば、VH1またはVH2)の50%未満、好ましくは、40%未満である。
【0084】
図4Aは、図2Cおよび2Dの黄色から赤色(高負から低正)への遷移をもたらすために使用され得る、標準波形を図示する。図4Aの波形では、高負駆動電圧(VH2、例えば、-15V)が、t1の期間にわたって印加され、ピクセルを黄色状態に向かって駆動する(図2C参照)。高負駆動電圧の本初期印加は、平衡位相として公知であり、図4Aの波形全体が、DC平衡であることを確実にするために含まれる(用語「DC平衡」は、波形全体にわたって要される時間に対するピクセルに印加される駆動電圧の積分が、実質的にゼロであることを意味するために、本明細書で使用される)。t1の平衡パルスは、500ミリ秒またはそれを上回って、例えば、1秒よりも長く持続し得る。震盪波形(別名、混合波形)が、次いで、印加され、高負駆動電圧(VH2)の印加が、t2の期間にわたって続き、これは、図2Cに示される黄色状態にピクセルを置く。期間t2の幅は、典型的には、t1よりも小さく、例えば、半分の長さ、例えば、約200ミリ秒、または約250ミリ秒、または約500ミリ秒である。図4Aのいくつかの実施形態では、震盪パルスの各パルスは、約80ms幅であり得るが、しかしながら、より長いまたはより短いパルス幅も、容認可能である。本黄色状態から、ピクセルは、t3の期間にわたって、低正駆動電圧(VL1、例えば、+3V)を印加することによって、赤色状態まで駆動され、図2Cから図2Dまで進んで示される、黄色から赤色への遷移をもたらす。期間t2は、VH2が印加されるとき、黄色状態までピクセルを駆動するために十分であり、期間t3は、VL1が印加されるとき、黄色状態から赤色状態までピクセルを駆動するために十分である。期間t3は、典型的には、t2よりも長く、例えば、約300ミリ秒、例えば、約400ミリ秒、例えば、約600ミリ秒である。図4Aの波形は、視認表面における赤色の調製のための「ベース」波形であることを理解されたい。
【0085】
多くの商用的適用では、例えば、図4Aに示されるようなベース波形は、ユーザによって所望される豊富な色を提供するためには不十分である。故に、波形の一部が、繰り返され得、例えば、平衡パルスおよび震盪パルスは、第1の駆動パルスが印加される前に、繰り返され得る。いくつかの実施形態では、波形の繰り返される部分の間に、0Vの一時停止が存在し得、すなわち、平衡、震盪、一時停止、平衡、震盪となる。加えて、汚染除去パルスが、米国特許第10,586,499号(参照することによってその全体として組み込まれる)において説明されるように、波形に追加されてもよい。飽和された赤色状態を達成するために好適である、繰り返し波形の実施例が、図4Bに示されている。図4Bの実施例では、平衡パルスt1、震盪パルス、および事前パルスt2は、図4Aとほぼ同等であるが、アドレス指定パルスt3は、図4Bに示されるように、t17およびt18の一連の反復的パルスと置換されている。典型的には、パルスt17は、高負パルスであり、20~400ミリ秒のパルス幅を有する一方、t18は、200ミリ秒以上のパルス幅を有する、低正パルスである。一連のパルスは、少なくとも2サイクル(N≧2)、好ましくは、少なくとも4サイクル、より好ましくは、少なくとも8サイクルにわたって繰り返される。赤色は、各駆動サイクル後、より強烈な状態になる。いくつかの修正が、図4Bに対して利用可能であり、例えば、米国特許第9,640,119号に示されるように、t17とt18との間のゼロボルト「待機」パルスを提供することを含む。待機パルスを追加することは、下記に説明されるように、近隣のピクセルのパルスを同期させることに有用であり得る。
【0086】
同様の方式において、図5Aおよび5Bは、図2Eから2Fまでの黒色から白色(高正から低負)への遷移をもたらすために使用され得る、波形を図示する。図5Aの波形は、標準波形である一方、図5Bの波形は、上記に議論されるt17およびt18の相反パルスである、パルスt19およびt20の繰り返しを含む。図4Aの波形の略反転バージョンである、図5Aの波形では、高正駆動電圧(VH1、例えば、+15V)が、t4の期間にわたって、平衡パルスとして印加される。震盪波形が、次いで、印加され、高正駆動電圧(VH1)の印加が、t5の期間にわたって続き、したがって、ピクセルが、図2Eに示される黒色状態にあることを確実にする。本黒色状態から、ピクセルは、t6の期間にわたって、低負駆動電圧(VL2、例えば、-3V)を印加することによって、白色状態まで駆動され、図2Eから図2Fまでに示される、黒色から白色への遷移をもたらす。期間t5は、VH1が印加されるとき、ピクセルを黒色状態まで駆動するために十分であり、期間t6は、VL2が印加されるとき、ピクセルを黒色状態から白色状態まで駆動するために十分である。同様に、図5Bは、図4Bの波形の略反転バージョンである。
【0087】
図6Aは、図2Aから2Bまでの黄色から黒色(高負から高正)への遷移をもたらすために使用され得る、標準波形を図示する。幅t7であり、高負電圧を有する平衡パルスが、震盪波形に先立って送達される。平衡パルスは、波形全体に関するDC平衡を達成し、震盪パルスは、色の輝度および純度を確実にするために含まれる。平衡および震盪パルスに続いて、図6Aに示されるように、高正駆動電圧(VH1、例えば、+15V、+30V)が、期間t8にわたって印加され、震盪波形後、ピクセルを黒色状態に向かって駆動する。図6Bに示される、黒色の繰り返し波形は、実際に、赤色(図4B)および白色(図5B)に関する繰り返し波形と比較して、かなり単純である。本質的に、繰り返し波形は、幅t7の平衡パルス、震盪パルス、および高正駆動パルスt21の並びで始まり、所望のピクセルにおいて、飽和された黒色状態を達成する。典型的には、パルスt21は、20~400ミリ秒のパルス幅を有する一方、無電圧の「静止」または「待機」期間t22は、200ミリ秒以上のパルス幅を有する。一連のパルスは、少なくとも2サイクル(N≧2)、好ましくは、少なくとも4サイクル、より好ましくは、少なくとも8サイクルにわたって繰り返される。黒色は、各駆動サイクル後、より強烈な状態になる。重要なこととして、連続高駆動パルス間の待機時間t22は、重要ではなく、下記に議論されるように、これは、他の色との黒色波形の同期を可能にするように、±40%調節されることができる。
【0088】
図7Aおよび7Bは、図2Bから2Aまでの黒色から黄色(高正から高負)への遷移をもたらすために使用され得る、波形を図示する。幅t9であり、高負電圧を有する平衡パルスが、震盪波形に先立って送達される。平衡パルスは、波形全体に関するDC平衡を達成し、震盪パルスは、色の輝度および純度を確実にするために含まれる。平衡および震盪パルスに続いて、図7Aに示されるように、高負駆動電圧(VH2、例えば、+15V、+30V)が、期間t10にわたって印加され、震盪波形後、ピクセルを黄色状態に向かって駆動する。図7Bは、図7Aと同様に始まるが、幅t23の連続高負パルスで終了し、ゼロボルトであり、t24のパルス幅を有する、「待機」パルスによって間隔が空けられる。図7Aおよび7Bの波形は、図6Aおよび6Bの波形の略反転であり、個別のパルスのパルス幅は、図6Aおよび6Bに対して上記に説明される通りである。
【0089】
図8Aおよび8Bは、図2Gから2Hへの遷移を用いて図示されるような赤色状態から橙色状態を達成するための波形を図示する。殆どの部分に関して、図8Aおよび8Bの波形は、最後のパルス、すなわち、図8Aにおけるt11および図8Bにおけるt25を除いて、図4Aおよび4Bの赤色波形と同じであり、これは、黄色粒子が、視認表面においてすでに存在している赤色粒子と混合するように、黄色粒子のいくつかの部分を視認表面に向かって駆動させるために、切り取られた高負パルスである。図8Aの最後のパルス、すなわち、t11は、典型的には、t2またはt3よりも幅が短いが、t2と同等の(0Vに対する)大きさおよび極性である。典型的には、t11は、t2の幅の50%よりも長くはない。同様に、図8Bの最後のパルス、すなわち、t25は、t18よりもパルス幅が短いが、t17と同等の(0Vに対する)大きさおよび極性である。典型的には、t25は、t18のパルス幅の約50%よりも長くはないが、しかしながら、t25は、典型的には、t17と同程度に長い、またはそれよりも長い。
【0090】
図9Aおよび9Bは、図2Iから2Jへの遷移を用いて図示されるような白色状態から灰色状態を達成するための波形を図示する。殆どの部分に関して、図9Aおよび図9Bの波形は、最後のパルス、すなわち、図9Aにおけるt12および図9Bにおけるt26を除いて、図5Aおよび5Bの白色波形と同じであり、これは、黒色粒子が、視認表面においてすでに存在している白色粒子と混合するように、黒色粒子のいくつかの部分を視認表面に向かって駆動させるために、切り取られた高正パルスである。図9Aの最後のパルス、すなわち、t12は、典型的には、t5またはt6よりも幅が短いが、t5と同等の(0Vに対する)大きさおよび極性である。典型的には、t12は、t5の幅の50%よりも長くはない。同様に、図9Bの最後のパルス、すなわち、t26は、t20よりもパルス幅が短いが、t19と同等の(0Vに対する)大きさおよび極性である。典型的には、t26は、t20のパルス幅の約50%よりも長くはないが、しかしながら、t26は、典型的には、t19と同程度に長い、またはそれよりも長い。
【0091】
これまでに説明された波形は、図2A-2Jに示される6つの光学状態のうちの1つ、すなわち、本質的に、ディスプレイ層内に存在する4つのタイプの粒子のうちの1つの色、または粒子が反対極性を有する、1つの高荷電粒子と1つの低荷電粒子との混合物を表示することが意図されている。先に説明された本発明の実施形態が、各ピクセルにおいて、6つの色のうちのいずれか1つの表示を可能にする一方、それらは、各色のグレーレベルまたはその飽和度を制御する、再現性のための容易な方法を提供しないことが、前述から分かるであろう。故に、グレースケールカラー画像を提供するために、本発明を使用することが望ましい場合、必要とされるグレースケールを提供するために、ディスプレイのピクセルをディザリングする(面積的に変調させる)ことが必要とされるであろう。例えば、非飽和状態である赤色(桃色)は、ディスプレイの交互するピクセルを赤色および白色に設定することによって表示され得る。面積変調は、事実上、(個々のピクセルが、事実上、グレーレベル表示が可能である、より大きなピクセルのサブピクセルとして使用されるため)表示分解能における低減のために、増加された数のグレーレベルを交換し、分解能における損失は、各ピクセルにおいて表示され得る、再現可能な色状態(原色)の数を増加させることによって限定され得る。
【0092】
先に議論されるように、4粒子電気泳動媒体の主要用途は、電子棚ラベル等のデジタル看板における使用のためのものであり、本場合では、ピクセル化された画像が、価格、数量、原産地、または「グルテンフリー」等の特別な特徴等の情報を視認者に伝達するために使用される。図1のシステムの断面に再度目を向けると、文字列、画像等を提示するとき、1つのピクセルが第1の色であり、隣接するピクセルが異なる色である、境界が存在するであろうことが明白である。本概念が、図10に図示されており、本場合では、第1のピクセルは、公称上、黒色であり、図6Bの波形を用いて駆動され、第2および第3のピクセルは、公称上、橙色であり、図8Bの波形を用いて駆動される。故に、各連続ピクセルは、例えば、図2Bおよび2Hに対して、上記に説明されるような順序付けられた粒子セットを有する。
【0093】
残念ながら、現実では、電気泳動媒体は、電気泳動媒体の真下のピクセル電極からのみではなく、近隣のピクセル電極からも電場を被る。隣接するピクセルからの磁力線は、いくつかの事例では、粒子の不整合を引き起こすために十分であり、これは、多粒子電気泳動媒体では、色変化を結果としてもたらす。本特徴は、電気泳動ディスプレイの分野では「ブルーミング」として公知であり、本問題は、図11に図示されており、本場合では、左端のピクセルは、視認表面から引き戻されるわずかな量の黒色顔料を有する一方、真中のピクセルは、実際には、隣のピクセルにおける高負電荷状態からの電場に起因して、黄色粒子が、それらの意図される場所から逆方向に偏向されるため、完全に異なる色を達成する。人間の眼は、ある色に対して非常に高感度であるため、カラーディスプレイ内のブルーミングは、衰弱し得る。例えば、540nm(緑色)~580nm(橙色)の波長間には、膨大な数の独立して識別可能な色(琥珀色、レモン色、鮮黄色、辛子色、黄緑色、ライム色)が存在し、本領域内の色における小さな偏移は、特に、目立つ。歴史的に見て、電気泳動ディスプレイにおけるブルーミングは、電極間に絶縁構造を追加することによって(米国特許第7,388,572号参照)、または所与のピクセルから、大抵の場合、側方とは対照的に、上下に発出される指向性磁力線を制限する、特別な層を使用することによって減少されてきた。例えば、米国特許第7,110,163号および第10,613,407号を参照されたい。
【0094】
上記に説明されるタイプの4粒子電気泳動媒体では、ブルーミングは、図11に図示される状況、すなわち、混合された状態で存在しない高電荷粒子の光学状態を有するピクセルに隣接する、混合された状態のピクセルが存在する状況において、最も明白である。上記に議論される色のセットに関して、これは、黒色ピクセルが、橙色ピクセルに隣り合うとき、または黄色ピクセルが、灰色ピクセルに隣り合うときに発生する。これらの事例では、混合された状態は、隣接するピクセル電極からの引動の影響を非常に受けやすい。したがって、橙色状態が、赤色に進行し、灰色状態は、黄色に見える。
【0095】
一連の色の組み合わせを示す、アクティブマトリクス試験パネルの写真が、図12に示されている。「readability」という右下のバナーを見ると、図11に図示されるタイプのブルーミングに起因して、黒色文字の周囲に、顕著な赤色ハレーションが見られ得る。加えて、パネルを横断する文字列は、例えば、最上位機種の白黒電気泳動ディスプレイを用いて予期されるであろうものほど鮮明なものではない。特に、パネルの左側の「a」、「e」、「d」、および「b」の湾曲部分は、ピクセルが、正確にアドレス指定されていない破断部分を有する(下記の図15と比較されたい)。多くの事例では、文字列の忠実性における損失は、スーパーマーケットの棚ラベル等のデジタル看板のためには、依然として、十分であろう。しかしながら、色変化は、典型的には、特に、橙色、黄色、および緑色においてより顕著である。
【0096】
隣接するピクセルの駆動波形をより厳密に見ると、アドレス指定パルスは、典型的には、図13に示されるように送達され、本場合では、ピクセル1は、黒色に関してアドレス指定されており、ピクセル2は、橙色に関してアドレス指定されており、すなわち、図6Bおよび8Bに関して上記に議論される通りである。典型的な電気泳動ディスプレイドライバは、ある事前に決定されたフレーム数を通して、個々のピクセルに送達するために、色波形のデータベースを有する。画像を更新する過程において、近隣のピクセルのフレームは、典型的には、協調されず、高電圧パルスが、重複する時間が、存在し、高電圧パルスが、相互から互い違いに配列される時間が、存在する。恐らく、より重要なこととして、例えば、視認表面において赤色光学状態を達成するために、1つの極性のより低電圧なアドレス指定パルスが、同一の極性のより高電圧なアドレス指定パルスと重複する時間もまた、存在する。結果として、近隣のピクセルが異なる最終的な光学状態を表示する、低電荷粒子によって被られるインパルス(時間×電圧)は、最適なものからかけ離れているであろう。加えて、図13の事例では、高荷電粒子に関する最後の高電圧なアドレス指定が、橙色波形が終了した後に来ることもまた、可能性として考えられる(破線ボックス参照)。
【0097】
隣接する高電荷状態の粒子波形をトリミングし、高電圧パルスを同期させ、ほぼ同一のフレームに到達することのみが、色変化に対するブルーミングの影響を大幅に低減させ得ることが、発見されている。必須ではないが、これはまた、第1の極性の高電圧パルスが、同一の極性の低電圧パルスと実質的に重複しないときに有益である。隣接するピクセルに関するそのような修正された波形のセットが、図14に示されている。図15に示されるように、図12の同じ試験パネルが、協調された波形を用いてアドレス指定されるとき、図15から明らかであるように、試験パネルの右下における「readability」の周囲の赤色ハレーションは、消滅し、文字列は、概して、読み取ることがより容易である。
【0098】
故に、本発明は、4つのタイプの着色粒子を有する、電気泳動ディスプレイ内の隣接するピクセルを駆動させるための改良された方法を提供する。特に、ほぼ同一のフレームに到達するように高電圧パルス協調させることによって、ブルーミングに起因する色変化が、実質的に低減される。加えて、高荷電粒子状態をアドレス指定するために使用される高電圧パルスをトリミングすることによって、混合された状態のピクセルにおいて、殆ど色ドリフトが存在せず、色忠実性が改良される。
【0099】
本発明は、その具体的な実施形態を参照して説明されているが、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更が行われ得、均等物が代用され得ることが、当業者によって理解されるべきである。加えて、多くの修正が、特定の状況、材料、組成物、プロセス、プロセスステップ、またはステップを、本発明の目的および範囲に適合させるために行われ得る。そのような修正は全て、本明細書に添付される請求項の範囲内にあることが意図される。
図1
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図2-4】
図2-5】
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図16F
図17A
図17B
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図17D
図17E
図17F
【国際調査報告】