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特表2024-518956窒化アルミニウムスカンジウム膜の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】窒化アルミニウムスカンジウム膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10N 30/076 20230101AFI20240426BHJP
   H10N 30/07 20230101ALI20240426BHJP
   H10N 30/079 20230101ALI20240426BHJP
   H10N 30/853 20230101ALI20240426BHJP
   C23C 14/06 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
H10N30/076
H10N30/07
H10N30/079
H10N30/853
C23C14/06 N
C23C14/06 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569661
(86)(22)【出願日】2022-05-12
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 IL2022050498
(87)【国際公開番号】W WO2022239009
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】283142
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500018608
【氏名又は名称】イエダ リサーチ アンド ディベロップメント カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】at the Weizmann Institute of Science,PO Box 95,7610002 Rehovot,Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルボミルスキー、イゴール
(72)【発明者】
【氏名】エーレ・デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】コーヘン・アサフ
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029AA06
4K029AA24
4K029BA17
4K029BA58
4K029BB02
4K029BB08
4K029CA05
4K029CA06
4K029DA08
4K029DC03
4K029DC04
4K029DC39
4K029EA01
4K029EA08
4K029FA04
4K029FA05
4K029GA01
4K029GA02
(57)【要約】
本発明は、窒化アルミニウムスカンジウム膜の製造方法を提供する。本発明はさらに、窒化アルミニウムスカンジウム膜及び窒化アルミニウムスカンジウム層、並びに、窒化アルミニウムスカンジウム膜を含むデバイス及びシステムを提供する。
【選択図】図1D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
AlSc1-xN膜の製造方法であって、
基板を提供するステップ(a)と、
前記基板の上にTiを含む第1の層を生成するステップ(b)と、
前記第1の層の上にTiN層を生成するステップ(c)と、
前記TiN層の上にAlSc1-xN層を生成するステップ(d)とを有し、
前記AlSc1-xN層は前記TiN層と接触する、方法。
【請求項2】
前記ステップ(b)~前記ステップ(d)が、スパッタリングチャンバ内で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップ(b)が、Tiをスパッタリングすることによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップ(c)が、前記第1の層を窒素ガスに曝露することにより前記TiN層を形成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記AlSc1-xN層を生成する前記ステップ(d)が、窒素ガスの存在下で前記TiN層の上にAlSc1-xをスパッタリングするステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップ(d)が前記ステップ(c)の後に行われる、
前記ステップ(c)及び前記ステップ(d)が同時に行われる、または
前記ステップ(c)及び前記ステップ(d)が少なくとも部分的に同時に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ステップ(c)が、前記第1の層を25℃~600℃の範囲の温度及び窒素ガスに曝露するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の層を生成するとき(前記ステップ(b))、スパッタリングチャンバは窒素ガスを含まない、及び/または、
前記TiN層及び前記AlSc1-xN層を生成するとき(前記ステップ(c)及び前記ステップ(d))、前記スパッタリングチャンバは窒素ガスを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
0.57≦x≦1である、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記AlSc1-xNが、Al0.80Sc0.20N、Al0.75Sc0.25NまたはAl0.7Sc0.3Nである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記AlSc1-xN層の厚さが0.8μmより大きい、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記ステップ(b)の前に、前記基板が洗浄される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記洗浄が、
有機または無機溶媒、
有機酸または無機酸、及び/または
ガスプラズマ、の使用を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ステップ(b)は室温で行われ、
前記ステップ(c)は25℃~400℃の範囲の温度で行われ、及び
前記ステップ(d)は250℃~600℃の範囲の温度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ステップ(b)はアルゴン下で行われ、
前記ステップ(c)は窒素及びアルゴンを含むガス下で行われ、及び
前記ステップ(d)は窒素及びアルゴンを含むガス下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ステップ(b)、前記ステップ(c)、前記ステップ(d)またはそれらの任意の組み合わせが、1atm(約1.01×10Pa)未満の圧力で行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記AlSc1-xN層の上に導電性材料を含む最上層を生成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記導電性材料が、Cu、Ag、Au、Pt、Pd、Ni、Al、Ta、Ti、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記最上層がTiを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の層及び前記最上層が電極として使用される、請求項18又は請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記電極が独立して電源に接続される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記Tiの層と前記TiN層とを組み合わせた厚さが50~300nmである、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
請求項1~16のいずれか1項に記載の方法によって生成されたTi/TiNの層であって、前記層の厚さが50~300nmである、Ti/TiNの層。
【請求項24】
請求項1~16のいずれか1項に記載の方法によって生成されたAlSc1-xN層。
【請求項25】
内部応力が60~300MPaの範囲である、
前記層は、前記基板に対して垂直なc軸(001)を有する、または
それらの組み合わせである、請求項24に記載のAlSc1-xN層。
【請求項26】
多結晶のAlSc1-xN膜であって、
前記膜の配向は001/002である、
前記膜の圧電係数は1.0C/m~4.0C/mの範囲である、
前記膜の圧縮応力は5MPa~500MPaの範囲である、または
それらの任意の組み合わせである、多結晶のAlSc1-xN膜。
【請求項27】
前記AlSc1-xN膜の厚さが0.8μmより大きい、請求項26に記載の多結晶のAlSc1-xN膜。
【請求項28】
前記AlSc1-xN膜の厚さが0.8μm~10μmの範囲である、請求項27に記載の多結晶のAlSc1-xN膜。
【請求項29】
圧電デバイスであって、
基板と、
前記基板の上のTiを含む第1の層と、
前記Ti層と接触するTiNと、
前記TiNと接触するAlSc1-xNを含む層と、
前記AlSc1-xN層の上の導電性材料を含む最上層と、を含む圧電デバイス。
【請求項30】
前記導電性材料が、Cu、Ag、Au、Pt、Pd、Ni、Al、Ta、Ti、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項29に記載の圧電デバイス。
【請求項31】
100Vppまでの電界下で動作可能である、請求項29に記載の圧電デバイス。
【請求項32】
請求項1に記載のAlSc1-xN層または請求項29に記載の圧電デバイスを備えるカンチレバー。
【請求項33】
請求項1に記載のAlSc1-xN層または請求項29に記載の圧電デバイスを備える微小電気機械システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配向された窒化アルミニウムスカンジウム膜の製造方法を提供する。本発明はさらに、窒化アルミニウムスカンジウム膜及び窒化スカンジウムアルミニウム層、並びに、窒化アルミニウムスカンジウム膜を含むデバイス及びシステムを提供する。
【背景技術】
【0002】
圧電を利用して動作するデバイスは幅広い分野で一般的であり、その需要はますます高まっている。スカンジウムをドープした窒化アルミニウム(AlSc)Nは、鉛フリーの、生体適合性を有する、環境に優しい圧電誘電材料である。(AlSc)N薄膜は、圧電MEMS(微小電気機械システム)の活物質として最も有望な候補の1つである。(AlSc)N薄膜は、化学的安定性、優れた熱伝導性、大きな弾性率、及びSiベースの微細加工との適合性を有している。圧電薄膜ベースのSi集積MEMSは、振動ジャイロスコープやスイッチから、バルク圧電共振器や調整可能なコンデンサに至るまで、多くの重要な技術に大きな期待を抱いている。圧電MEMSの大量使用に対する主な障害は、最も一般的な圧電材料(Pbベース、Biベースまたは[Li、Na、K]含有材料)とSi微細加工との不適合性である。
【0003】
(AlSc)N膜は、Si微細加工に容易に組み込まれ得る数少ない圧電材料の1つである。(AlSc)N膜は、最も一般的に使用される圧電材料、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)よりも圧電係数がかなり低いが、(AlSc)N膜は高電界に耐えることができ、20MPaを超える応力を生成する。これは、100MPaを超える応力がかかることはほとんどないPZTによく匹敵する。さらに、(AlSc)Nの誘電率は10未満である(<10)が、PZTの誘電率は1000を超える(>1000)。これは、(AlSc)Nベースのデバイスの電気インピーダンスが高く、駆動回路が大幅に簡素化されることを意味する。この観点から、(AlSc)Nは大規模圧電MEMSの主な候補である。
【0004】
MEMS用の(AlSc)Nの実用化における主な問題は、1μmを超える膜を成膜する信頼性の高い方法が存在しないことである。これにより、膜が生成できる力(応力と厚さとの積)が制限される。さらに、多くの場合、成膜膜の表面は滑らかではなく、偏析したScNナノ結晶を含み、物理的故障の起点となる。
【0005】
(AlSc)N薄膜の圧電ポテンシャルを確保するには、均一な(001)膜組織が必要である。しかし、ScN偏析を生じさせずに完全に配向した(001)膜を成膜することは依然として困難である。これは、ScNとAlNとがバルク形態では混ざらないためであり、このような非混和性は、薄膜成膜中のそれらの分離及び配向性の損失の原動力となる。(AlSc)N薄膜を成膜するための古典的なアプローチは、予備的な(111)テクスチャ化されたシード層、一般にPt、Au、またはMoに基づいている。これらの金属は、標準的な成膜温度では、(AlSc)Nに対して化学的に不活性である。
【0006】
連続核生成層上で発達する密に配置された成長転位(growth dislocation)によって引き起こされる局所的な圧縮応力が避けられないと仮定すると、(AlSc)N薄膜の調製には別のアプローチが必要となる。
【0007】
AlNにScをドープすると、AlNの圧電係数が増加するが、ScN(岩塩)とAlN(ウルツ鉱)とは完全に異なる構造及びカチオン半径における大きな差異を有するバルク固体として完全に混和しないので、膜の調製にはかなりの困難が伴う。その結果、(Al、Sc)N合金は本質的に熱力学的に不安定であり、相分離が起こりやすくなる。極性(001)または(001´)の面外テクスチャを成長させる(これはシード層を使用して実現される)必要があるため、膜の調製はさらに複雑になる。
上記の「001´」は、下記の数1を表す。
【数1】
【0008】
テクスチャ化された(Al、Sc)N膜の成長を誘導するには、シード層が以下の2つの重要なパラメータを満たさなければならない;(a)緊密なエピタキシャル整合、(b)二次核生成を防ぐための低い表面粗さ。最も一般的な解決法は、Au、PtまたはMoなどの(111)FCCまたは(110)BCC金属のテクスチャ化されたシード層への反応性スパッタリングを使用する。これらの金属は、N及び(Al、Sc)Nに対して化学的に不活性であり、(Al、Sc)Nの(001)面に対する格子不整合はそれぞれ7.5%、10.8%及び12.4%である。(Al、Sc)N膜が強い[001]テクスチャで成長し始めた場合でも、膜厚が数百nmに近づくと配向が失われることが多いことが観察された。配向性の損失は、成膜中の格子不整合及び高い基板表面粗さによって引き起こされる局所的な応力/ひずみに起因すると考えられる。これらの事実は、(Al、Sc)Nの固有の熱力学的不安定性と組み合わされて、結晶粒界へのSc偏析を促進し、相偏析及び/または配向性の損失をさらに加速すると考えられている。(001)配向のα-Ti及び(111)TiNは、(Al、Sc)Nとのエピタキシャル適合性が優れているため、FCC及びBCC金属よりも優れたシード層を提供するといわれている。しかし、従来のTiまたはTiNシード層上への(Al、Sc)N成膜では、満足のいく結果が得られなかった。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態では、本発明は、AlSc1-xN膜の調製方法を対象とする。一実施形態では、本開示の方法は、化学的に不活性なシード層を中間層で置き換えるステップを含む。一実施形態では、化学的に不活性なシード層はTiを含み、中間シード層はTiNを含む。一実施形態では、TiN層の窒化物は、窒素プラズマとTiシード層との反応によって形成される。一実施形態では、TiNシード層が存在する場合、Tiの(Al、Sc)Nに対する格子不整合が低減する。一実施形態では、TiN層の存在により、特に圧電材料としての使用を考慮すると、特性が改善されたAlSc1-xN膜の成長が可能になる。本発明の実施形態は、新たな多結晶AlSc1-xN材料及びAlSc1-xNを含む圧電デバイスを対象とする。
【0010】
一実施形態では、本発明は、AlSc1-xN膜の製造方法であって、基板を提供するステップ(a)と、前記基板の上にTiを含む第1の層を形成するステップ(b)と、前記第1の層の上にTiN層を生成するステップ(c)と、前記TiN層の上にAlSc1-xN層を生成するステップ(d)とを有し、前記AlSc1-xN層は前記TiNと接触する、方法を提供する。
【0011】
一実施形態では、ステップ(b)~ステップ(d)が、スパッタリングチャンバ内で行われる。一実施形態では、ステップ(b)が、Tiをスパッタリングすることによって行われる。一実施形態では、ステップ(c)が、第1の層を窒素ガスに曝露することによりTiN層を形成するステップを含む。一実施形態では、前記AlSc1-xN層を生成するステップ(d)が、窒素ガスの存在下で前記TiN層の上にAlSc1-xをスパッタリングするステップを含む。一実施形態では、ステップ(d)がステップ(c)の後に行われる、ステップ(c)及びステップ(d)が同時に行われる、またはステップ(c)及びステップ(d)が少なくとも部分的に同時に行われる。
【0012】
一実施形態では、ステップ(c)が、前記第1の層を25℃~600℃の範囲の温度及び窒素ガスに曝露するステップを含む。
【0013】
一実施形態では、第1の層を生成するとき(ステップ(b))、スパッタリングチャンバは窒素ガスを含まない。
【0014】
一実施形態では、TiN層及びAlSc1-xN層を生成するとき(ステップ(c)及びステップ(d))、スパッタリングチャンバは窒素ガスを含む。
【0015】
一実施形態では、AlSc1-xNにおけるxは0.57≦x≦1の範囲である。
【0016】
一実施形態では、AlSc1-xNが、Al0.80Sc0.20N、Al0.75Sc0.25N、またはAl0.7Sc0.3Nである。一実施形態では、前記AlSc1-xN層の厚さが0.8μmより大きい。一実施形態では、ステップ(b)の前に、前記基板が洗浄される。一実施形態では、洗浄が、有機または無機溶媒、有機酸または無機酸、及び/またはガスプラズマ、の使用を含む。
【0017】
一実施形態では、ステップ(b)は室温で行われ、ステップ(c)は25℃~400℃の範囲の温度で行われ、及びステップ(d)は250℃~600℃の範囲の温度で行われる。
【0018】
一実施形態では、ステップ(b)はアルゴン下で行われ、ステップ(c)は窒素及びアルゴンを含むガス下で行われ、及びステップ(d)は窒素及びアルゴンを含むガス下で行われる。
【0019】
一実施形態では、ステップ(b)、ステップ(c)、ステップ(d)またはそれらの任意の組み合わせが、1atm(約1.01×10Pa)未満の圧力で行われる。
【0020】
一実施形態では、本開示の方法は、前記AlSc1-xN層の上に導電性材料を含む最上層を生成するステップをさらに含む。一実施形態では、導電性材料が、Cu、Ag、Au、Pt、Pd、Ni、Al、Ta、Ti、またはそれらの組み合わせから選択される。一実施形態では、最上層がTiを含む。一実施形態では、第1の層及び最上層が電極として使用される。一実施形態では、電極が独立して電源に接続される。
【0021】
一実施形態では、Tiの層とTiN層とを合わせた厚さが50~300nmである。
【0022】
一実施形態では、本発明は、本明細書で上述した方法によって生成されたTi/TiNの層であって、Ti/TiNの層の厚さが50~300nmである、Ti/TiNの層を提供する。一実施形態では、本発明は、本明細書で上述した方法によって生成されたAlSc1-xN層を提供する。
【0023】
一実施形態では、AlSc1-xN層について、内部応力が60~300MPaの範囲である、層は基板に対して垂直なc軸(001)を有する、またはそれらの組み合わせである。
【0024】
一実施形態では、本発明は、多結晶AlSc1-xN膜であって、前記膜の配向は001/002である、前記膜の圧電係数は1.0C/m~4.0C/mの範囲である、前記膜の圧縮応力は5MPa~500MPaの範囲である、またはそれらの任意の組み合わせである、多結晶AlSc1-xN膜を提供する。
【0025】
一実施形態では、多結晶AlSc1-xN膜の厚さが0.8μmより大きい。
【0026】
一実施形態では、AlSc1-xN膜の厚さが0.8μm~10μmまたは0.5μm~4μmの範囲である。
【0027】
一実施形態では、本発明は、基板と、前記基板の上のTiを含む第1の層と、前記Ti層と接触するTiNと、前記TiNと接触するAlSc1-xNを含む層と、前記AlSc1-xN層の上の導電性材料を含む最上層と、を含む圧電デバイスを提供する。
【0028】
一実施形態では、導電性材料が、Cu、Ag、Au、Pt、Pd、Ni、Al、Ta、Ti、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0029】
一実施形態では、圧電デバイスは、100Vppまでの電界下で動作可能である。
【0030】
一実施形態では、本発明は、本明細書で上述したAlSc1-xN層を含むカンチレバーを提供する。一実施形態では、本発明は、本明細書で上述した圧電デバイスを備えたカンチレバーを提供する。
【0031】
一実施形態では、本発明は、本明細書で上述したAlSc1-xN層を含む微小電気機械システム(MEMS)を提供する。一実施形態では、本発明は、本明細書で上述した圧電デバイスを備えた微小電気機械システム(MEMS)を提供する。
【0032】
一実施形態では、本発明は、AlSc1-xN層の調製方法であって、基板を提供するステップと、前記基板の上にTiを含む第1の層を形成するステップと、前記第1の層を高温及び窒素ガスに曝露するステップと、AlSc1-xNを含む上層を生成するステップと、を含む方法を提供する。
【0033】
一実施形態では、本発明は、基板と、前記基板の上のTiを含む第1の層と、AlSc1-xNを含む上層と、前記上層の上の導電性材料を含む最上層と、を含む圧電デバイスを提供する。
【0034】
一態様では、圧電デバイスは、前記第1の層の上にTiNをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本発明とみなされる主題は、明細書の結論部分で特に指摘され、明確に請求される。しかし、本発明は、その目的、特徴及び利点とともに、構成及び動作方法の両方に関して、添付の図面とともに読むとき、以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解され得る。
【0036】
図1A】TiNの立方晶構造(cubic structure)を示す図である。
図1B】TiN(111)面を示す図である。
図1C】AlNの六方晶系ウルツ鉱型構造及び(001)面を上から見た図である。
図1D】小さなエピタキシャル不整合を示す3つの表面層を示す図である。
図2A】成膜前のシリコン(100)配向ウェハのAFMトポグラフィーを表す図である。
図2B】50nmのチタンの成膜後のAFMトポグラフィーを表す図である。
図2C】400℃でNに30分間曝露した後のAFMトポグラフィーを示す図である。
図2D】以下の表面のAFMトポグラフィースキャンを示す図である;(a)(100)シリコンウェハ、(b)300Kでウェハ上に成膜した厚さ50nmのTi膜、(c)673Kで30分間Nプラズマに曝露した後の同一の膜。
図3A】400℃(上から2番目の線)、300℃(上から3番目の線)、250℃(下の線)でTiシード層上に成膜した2μmの(AlSc)N膜のX線回折スペクトルを示す図である。すべてのサンプルにおいて、Si(100)を基板として使用し、第1層としての50nmのTi及び(AlSc)N膜を使用した。最初の上の線は、リファレンス用のAlN粉末のX線である。
図3B】(100)シリコン上のTiシード層に400℃、300℃及び250℃で成膜した(AlSc)N膜の表面及び断面のSEM画像である。
図3C】200℃での配向への影響を検査するための、様々な予備層上に成膜した3μmの(AlSc)N膜のX線回折スペクトルを示す図である。ASN4は(100)Si上に300nmのTiを有し、ASN10は(100)Si上に100nmのアルミニウム及び50nmのチタンを有し、ASN8は(100)Si上に50nmのTiを有し、ASN9はホウケイ酸(Schott社)ガラス上に50nmのTiを有する。
図3D】Tiシード層で覆われたSi(100)ウェハ上に作製されたAl0.75Sc0.25N膜のXRDパターンを示す図である。最終温度:673K(青い上のトレース)、573K(赤い中央のトレース)または523K(黒い下のトレース)では、徐々に狭くなる(002)ピークが観察された。
図4】(100)シリコン基板上の50nmのTiシード上に成長した3μmの(AlSc)N膜の(002)ピークの極点測定の結果を示す図である。
図5A】ホウケイ酸(Schott社)ガラス上の50nmのTiシード上に成長した3μmの(AlSc)N膜の(002)ピークの極点測定の結果を表す図である。
図5B】(100)シリコン上の予備の100nmのアルミニウム層上の50nmのTiシード上に成長した3μmの(AlSc)N膜の(002)ピークの極点測定の結果を表す図である。
図5C】(100)シリコン上の300nmのTiシード上に成長した3μmの(AlSc)N膜の(002)ピークの極点測定の結果を表す図である。
図6A】0.1Hz、50Vppの駆動電圧下での(100)シリコン上の(AlSc)Nベースのカンチレバーのひずみ測定の結果を示す図である。
図6B】印加電圧の大きさとカンチレバーの変位の大きさとの間の線形関係を示すグラフである。
図7】圧電膜の圧電応答を測定するために使用される曲率測定セットアップの概略図である。カンチレバーの垂直方向の曲がりは、CCD上の動きに変換される。
図8】(AlSc)Nの成膜前及び成膜後の(100)Si及びホウケイ酸ガラスウェハの曲率を示す図。上の曲線-D263、上の曲線の下の曲線-Si(100)、一番下の曲線の上の曲線-成膜後のD263、一番下の曲線-成膜後のSi(100)。
図9】2つのチタン電極間の圧電(AlSc)Nによるカンチレバーの概略図。(AlSc)N層は、成膜中にその場で形成されるTiNシード層から成長する。
図10】(100)シリコン上のTiシード層に250℃で成膜した(Al70、Sc30)N膜のX線回折スペクトルを示す図である。
図11】(100)シリコン基板上の50nmのTiシード上に成長した(002)ピーク(Al70、Sc30)N膜の極点測定の結果を表す図である。
図12A】0.05Hz、50Vppの駆動電圧下での(100)シリコン上の(Al70、Sc30)Nベースのカンチレバーのひずみ測定の結果を示す図である。
図12B】印加電圧の大きさとカンチレバーの変位の大きさとの間の線形関係を示す図である。
図13A】(100)Siウェハ上に300Kで成膜した厚さ50nmのTi層のXRDパターンを表す図である。
図13B】D263ホウケイ酸ガラス上に300Kで成膜した厚さ50nmのTi層のXRDパターンを表す図であり、強い002配向を示している。
図13C】Ti(002)の極点図である。
図14A】窒素N 1sのXPSスペクトルを示す図である。
図14B】チタンTi 2pのXPSスペクトルを示す図である。測定については、(100)シリコン基板上の50nmのチタン層を400Kで窒素プラズマに曝露した。秒単位の時間は、以下に説明するように、XPSチャンバ内でのスパッタリング時間を指す。
図15】XPSにおけるスパッタリング時間(深さプロファイル)の関数としてのN、Ti及びSiの原子濃度を示す図である。スパッタリング速度は約2.5×10-11m/秒である。
図16A】Si(100)/Ti(50nm)/Al0.75Sc0.25N(3μm)膜の構造特性を、(002)ブラッグピーク、2θ=35.55°、FWHM=0.31±0.01°のXRDパターンで示す図である。
図16B】Si(100)/Ti(50nm)/Al0.75Sc0.25N(3μm)膜の構造特性を、(002)ブラッグピーク、2θ=35.55°、FWHM=0.31±0.01°の極点図で示す図である。
図16C】Si(100)/Ti(50nm)/Al0.75Sc0.25N(3μm)膜の構造特性を、表面の小石状粒子(線形切片法により決定される平均横寸法84nm)を示すサンプルの表面のSEM画像で示す図である。
図16D】Si(100)/Ti(50nm)/Al0.75Sc0.25N(3μm)膜の構造特性を、柱状成長を示すサンプルの断面のSEM画像で示す図である。
図17A】D263-ガラス/Ti(50nm)/Al0.75Sc0.25N(3μm)の構造特性を、(002)ブラッグピーク、2θ=35.54°、FWHM=0.23±0.01°のXRDパターンで示す図である。
図17B】D263-ガラス/Ti(50nm)/Al0.75Sc0.25N(3μm)の構造特性を、(002)ブラッグピーク、2θ=35.54°、FWHM=0.23±0.01°の極点図で示す図である。
図17C】D263-ガラス/Ti(50nm)/Al0.75Sc0.25N(3μm)の構造特性を、平均横寸法101nm(線形切片法により決定)の表面の小石状粒子を示すサンプルの表面のSEM画像で示す図である。
図17D】D263-ガラス/Ti(50nm)/Al0.75Sc0.25N(3μm)の構造特性を、均一な柱状成長を示すサンプルの断面のSEM画像で示す図である。
図18】Tiシード層及び応力緩和Al層を備えたSi(100)/[100nmAl+50nmTi]/Al0.75Sc0.25N(2μm)サンプルのXRDパターンを示す図である。
図19A】Tiシード層を備えたSiウェハ上に成膜したAl0.75Sc0.25N薄膜のSEM画像である。取得中の電子ビームのエネルギーは8keVであった。
図19B】Tiシード層を備えたSiウェハ上に成膜したAl0.75Sc0.25N薄膜のTiの元素マッピングを示す図である。取得中の電子ビームのエネルギーは8keVであった。
図19C】Tiシード層を備えたSiウェハ上に成膜したAl0.75Sc0.25N薄膜のScの元素マッピングを示す図である。取得中の電子ビームのエネルギーは8keVであった。
図19D】Tiシード層を備えたSiウェハ上に成膜したAl0.75Sc0.25N薄膜のAlの元素マッピングを示す図である。取得中の電子ビームのエネルギーは8keVであった。
図20】IRレーザで定期的に加熱されるAl0.75Sc0.25Nサンプル中の焦電流のグラフである。挿入図は、誤差関数へのフィッティングに使用された電流減衰の加熱段階を示す。
図21】直径2mm、黒色ペイントでコーティングされた上側Ti電極を使用した測定用に準備されたD263ガラス/Ti(50nm)/Al0.75Sc0.25N(3μm)サンプルの概略図である。
図22A】233-280Kの温度における窒素のXPS結合エネルギーを示す図である。
図22B】超高真空中で233Kから加熱されたSi(100)/Ti(50nm)/Al0.75Sc0.25N(3μm)膜の温度の関数としてのN 1s電子ピークの最大強度を示す図である。加熱による結合エネルギーの低下は、サンプル表面がAlで終端していることを示す。誤差範囲は機器の精度から推定される。
図23】上側と下側のTi電気接点間のSiウェハ上に成膜したサンプル(Al、Sc)Nサンプルについての準静的な(0.1Hz)、室温、応力対電界依存性を示す図。
図24A】Si(100)上で、Nプラズマを流しながら573-673Kで約20分間成膜させた薄い(<50nm)TiN膜上のサンプルのXRDパターンを示す図である。
図24B】D263ガラス上で、Nプラズマを流しながら573-673Kで約20分間成膜させた薄い(<50nm)TiN膜上のサンプルのXRDパターンを示す図である。
図24C】Nプラズマを流しながら573-673Kで約20分間成膜させた薄い(<50nm)TiN膜上のサンプルのXRDパターンの、Ti(002)の極点図である。
図24D】Nプラズマを流しながら573-673Kで約20分間成膜させた薄い(<50nm)TiN膜上のサンプルのXRDパターンの、TiN(111)の極点図である。
【0037】
説明を簡単かつ明瞭にするために、図面に示される要素は必ずしも一定の縮尺で描かれていないことが理解されるであろう。例えば、いくつかの要素の寸法は、明確化のために他の要素と比べて誇張されている場合がある。さらに、適切と考えられる場合、対応する要素または類似の要素を示すために図面間で参照番号を繰り返すことがある。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、当業者であれば、本発明はこれらの特定の詳細がなくても実施できることが理解されよう。場合によっては、本発明を不明瞭にしないように、周知の方法、プロセス及び構成要素については詳細に説明していない。
【0039】
いくつかの実施形態では、窒化アルミニウムスカンジウム(AlSc1-xN)の膜成膜方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、窒化アルミニウムの膜成膜方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、窒化アルミニウムの成膜を含む膜成膜方法が本明細書で提供される。
【0040】
本明細書に記載の方法及びデバイスは、スパッタリング中に(AlSc)Nと化学的に反応するシード層を含む(当技術分野で知られているエピタキシャル化学不活性層の代わりに)。化学的に反応性のシード層を使用すると、以下の3つの利点がある:(a)成膜方法が大幅に簡素化され、成膜温度に耐える任意の基板上で(AlSc)Nを利用できるようになる、(b)Sc偏析を大幅に低減し、比較的厚い膜の成膜を可能にする、及び(c)(AlSc)N膜の面内応力が低いため、MEMS用途にとって特に魅力的である。
【0041】
本明細書に記載の方法によって調製された生成物は、(001)テクスチャ化された(AlSc)Nの高度に配向されたナノ結晶を含む。配向された(001)粒子の柱状成長によって面内応力が最小限に抑えられるため、スカンジウムの偏析が最小限に抑えられ、長時間の成膜期間でも均一な組成及び配向が保証される。したがって、結果として得られる(AlSc)Nの(001)テクスチャ膜を任意の厚さで成膜することができ、任意のスカンジウムのドーピング割合(%)に対して最大の圧電応答を生成することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、本発明は、AlSc1-xN膜の製造方法であって、(a)基板を提供するステップと、(b)前記基板の上にTiを含む第1の層を生成するステップと、(c)前記第1の層を高温及び窒素ガスに曝露するステップと、AlSc1-xNを含む上層を生成するステップと、を含む方法を提供する。
【0043】
一実施形態では、本発明は、AlSc1-xN膜の製造方法であって、基板を提供するステップ(a)と、前記基板の上にTiを含む第1の層を生成するステップ(b)と、前記第1の層の上にTiN層を生成するステップ(c)と、前記TiN層の上にAlSc1-xN層を生成するステップ(d)とを有し、前記AlSc1-xN層は前記TiN層と接触する、方法を提供する。
【0044】
いくつかの実施形態では、AlSc1-xNを含む上層の生成(ステップ(d))は、前記第1の層を高温及び窒素ガスに曝露するステップ(ステップ(c))の後に行われる。別の実施形態では、ステップ(c)は、ステップ(d)の前及びステップ(d)中に行われる。別の実施形態では、ステップ(c)及びステップ(d)は同時に行われる。いくつかの実施形態では、ステップ(c)及びステップ(d)は、少なくとも部分的に並行して、少なくとも部分的に同時に、及び/または、同時に行われる。
【0045】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、第1の層を高温及び窒素ガスに曝露するステップ(ステップ(c))中及び/またはAlSc1-xNを含む上層を生成するステップ(ステップ(d))中、あるいは、ステップ(c)とステップ(d)との両方が行われたときに、窒化チタン(TiN)を生成する。
【0046】
別の実施形態では、TiNはAlSc1-xN層と同時に形成される。別の実施形態では、TiNはAlSc1-xNの成膜が始まるとすぐに形成される。
【0047】
いくつかの実施形態では、第1の層を生成するステップは、基板と接触するTiを生成するステップを含む。
【0048】
一実施形態では、本発明は、AlSc1-xN膜の製造方法であって、(a)基板を提供するステップと、(b)スパッタリングチャンバ内でTiターゲットを用いて基板の上にTiを含む第1の層を生成するステップと、(c)スパッタリングチャンバ内でTi層を窒素に曝露することによって第1の層上にTiN層を生成するステップと、(d)スパッタリングチャンバを窒素に曝露しながらスパッタリングチャンバ内でAlScターゲットからAlScをスパッタリングすることにより、TiN層の上にAlSc1-xN層を生成するステップと、を含む方法を提供する。一実施形態では、このような方法により、TiN層と接触するAlSc1-xN層が得られる。
【0049】
いくつかの実施形態では、TiNは層の形態である。一実施形態では、TiNは均質な層の形態である。一実施形態では、TiNは不均質な層の形態である。一実施形態では、TiN層は不連続層である。いくつかの実施形態では、TiNは分離された粒子の形態である。いくつかの実施形態では、TiNは結晶及び/または結晶形態である。別の実施形態では、TiN結晶は表面全体に不均一に広がる。別の実施形態では、TiN結晶は表面全体に均一に広がる。いくつかの実施形態では、TiNは基板上に予め作成される。いくつかの実施形態では、TiNは、他の材料が成膜される基板上に予め作成されている。いくつかの実施形態では、TiNは基板上にスパッタリングされる。いくつかの実施形態では、TiNは、Ti層を窒素ガスに曝露することによってTi層上に形成される。この態様によれば、一実施形態では、窒素がTiと反応することによりTi層上にTiNが形成される。いくつかの実施形態では、このような方法はスパッタリングチャンバ内で行われる。一実施形態では、Ti層の上にTiNを生成するプロセスは、窒素及び任意選択でアルゴンなどの他のガスの存在下で行われる。一実施形態では、TiN層の厚さは10nmである。一実施形態では、TiN層の厚さは1nmから100nmの範囲である。一実施形態では、TiN層の厚さは1nmから20nmの間の範囲である。一実施形態では、TiN層の厚さは、0.5nmから5nmの間、1nmから10nmの間、5nmから15nmの間、7.5nmから12.5nmの間、9nmから11nmの間または5nmから50nmの間の範囲である。
【0050】
一実施形態では、Ti層の厚さは10nmである。一実施形態では、Ti層の厚さは5nmから100nmの範囲である。一実施形態では、Ti層の厚さは10nmから20nmの間の範囲である。一実施形態では、Ti層の厚さは、5nmから50nmの間、10nmから100nmの間、5nmから200nmの間、5nmから300nmの間、10nmから275nmの間または5nmから250nmの間の範囲である。
【0051】
いくつかの実施形態では、AlSc1-xN層は、成膜中にその場で形成されるTiNシード層から成長する。
【0052】
いくつかの実施形態では、AlSc1-xN層は、マグネトロン反応性スパッタリングによって製造される。
【0053】
いくつかの実施形態では、前記基板の上にTiを含む第1の層を生成するステップ、前記第1の層を高温及び窒素ガスに曝露するステップ及びAlSc1-xNを含む上層を生成するステップ(ステップ(b)~ステップ(d))は、スパッタリングチャンバ内で行われる。別の実施形態では、基板の上にTiを含む第1の層を生成するステップ(ステップb)は、スパッタリングチャンバ内でスパッタリングすることにより行われる。別の実施形態では、第1の層を高温及び窒素ガスに曝露するステップ(ステップc)は、スパッタリングチャンバ内で行われる。別の実施形態では、AlSc1-xNを含む上層を生成するステップ(ステップd)は、スパッタリングチャンバ内でスパッタリングすることにより行われる。
【0054】
一実施形態では、スパッタリングはスパッタリングチャンバ内で行われる。一実施形態では、スパッタリングはスパッタリングチャンバ内で行われ、スパッタリングチャンバは、スパッタリングされるべき材料を含むターゲットを有する。いくつかの実施形態では、スパッタリングチャンバは、サンプルまたは基板を配置するための場所、ガス用の入口などを有する。いくつかの実施形態では、スパッタリングチャンバは、真空にすることができ、かつ、その中に入っている特定のガスからプラズマを形成することができるように設計される。「スパッタリングチャンバ」は、その中でスパッタリングが行われるチャンバを表す当技術分野で知られた用語である。
【0055】
いくつかの実施形態では、スカンジウム/アルミニウムターゲットのスパッタリング電力密度は0.001~20W/mmの範囲である。別の実施形態では、スパッタリング電力密度は0.05~10W/mmの範囲である。別の実施形態では、スパッタリング電力密度は0.05~5W/mmの範囲である。別の実施形態では、スパッタリング電力密度は0.5~5W/mmの範囲である。別の実施形態では、スパッタリング電力密度は1~10W/mmの範囲である。
【0056】
いくつかの実施形態では、第1の層を生成するとき(ステップb)、スパッタリングチャンバは窒素ガスを含まない。いくつかの実施形態では、AlSc1-xNを含む上層を生成するとき(ステップd)、スパッタリングチャンバは窒素ガスを含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、様々なAr/N比のアルゴンガスと窒素ガスとの混合物が成膜中に使用される。いくつかの実施形態では、様々なAr/N比のアルゴンガスと窒素ガスとの混合物が、スパッタリングガス及び反応性ガスとしてそれぞれ使用される。
【0058】
別の実施形態では、アルゴンガスと窒素ガスとの混合物中の窒素の割合は、20%~100%である。いくつかの実施形態では、ステップd(AlSc1-xNを含む上層を生成するステップ)は、大気中の窒素を80%、及びアルゴンを20%使用するスパッタリングによって行われる。
【0059】
いくつかの実施形態では、ステップ(c)及び/またはステップ(d)のスパッタリングチャンバ圧力は、1~60mTorr(約0.13~約8.00Pa)の範囲である。別の実施形態では、スパッタリングチャンバ圧力は1~5mTorr(約0.13~約0.67Pa)の範囲である。別の実施形態では、スパッタリングチャンバの圧力は5~10mTorr(約0.67~約1.33Pa)の範囲である。別の実施形態では、スパッタリングチャンバ圧力は1~10mTorr(約0.13~約1.33Pa)の範囲である。別の実施形態では、スパッタリングチャンバの圧力は10~20mTorr(約1.33~約2.67Pa)の範囲である。別の実施形態では、スパッタリングチャンバ圧力は20~60mTorr(約2.67~約8.00Pa)の範囲である。別の実施形態では、スパッタリングチャンバ圧力は5mTorr(約0.67Pa)である。
【0060】
いくつかの実施形態では、前記第1の層を高温及び窒素ガスに曝露するステップ(c)の継続時間は10分~2時間の範囲である。別の実施形態では、ステップ継続時間の継続時間は約1時間である。
【0061】
一実施形態では、「a」、「1つの」または「ある」という用語は、少なくとも1つを指す。一実施形態では、「2つ以上」という語句は、特定の目的に適する任意の単位のものであってよい。一実施形態では、「約」または「およそ」は、1%、いくつかの実施形態では-1%、いくつかの実施形態では±2.5%、いくつかの実施形態では±5%、いくつかの実施形態では±7.5%、いくつかの実施形態では±10%、いくつかの実施形態では±15%、いくつかの実施形態では±20%、またはいくつかの実施形態では±25%の、示された用語からの逸脱を含み得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、本発明のAlSc1-xNのxは、0.50≦x≦1の範囲である。いくつかの実施形態では、本発明のAlSc1-xNのxは、0.57≦x≦1の範囲である。いくつかの実施形態では、AlSc1-xNのxは、0.57≦x≦0.8の範囲である。いくつかの実施形態では、AlSc1-xNのxは、0.7≦x≦0.8の範囲である。別の実施形態では、AlSc1-xNはAl0.80Sc0.20Nである。一実施形態では、AlSc1-xNはAl0.75Sc0.25Nである。別の実施形態では、AlSc1-xNはAl0.7Sc0.30Nである。別の実施形態では、xが1である場合、AlSc1-xNはAlNである。
【0063】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、任意の基板を使用して行うことができる。一実施形態では、基板は無機材料及び/または有機材料を含む。一実施形態では、基板は無機材料を含む。一実施形態では、基板は有機材料を含む。一実施形態では、基板はポリマーを含む。一実施形態では、基板は酸化シリコンを含む。一実施形態では、基板はガラスを含む。一実施形態では、基板はホウケイ酸ガラスを含む。一実施形態では、基板はシリコンを含む。一実施形態では、基板は金属を含む。別の実施形態では、基板は非金属を含む。一実施形態では、基板は、酸化スズ、酸化インジウムスズ及び酸化アルミニウムから選択される材料を含む。一実施形態では、基板は、単結晶、多結晶、アモルファス材料、またはそれらの任意の組み合わせから選択される材料を含む。一実施形態では、基材は木材を含む。いくつかの実施形態では、基板は、本明細書で上述した材料のいずれかの組み合わせを含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、基板は(100)Siである。一実施形態では、Siの厚さは250±25μmである。いくつかの実施形態では、基板は(111)Siを含む。いくつかの実施形態では、基板はn型ドーピングされたSiウェハを含むが、他の実施形態では、基板はp型ドーピングされたSiウェハを含む。いくつかの実施形態では、Si基板上に自然酸化膜(SiO)が存在する。他の実施形態では、酸化膜は存在しない。他の実施形態では、酸化シリコンは化学的に成長し、他の実施形態では、酸化シリコンは熱的に成長する。いくつかの実施形態では、SiOはSi基板上に連続層を形成し、他の実施形態では、SiOは不連続である。いくつかの実施形態では、酸化ケイ素はアモルファスであり、他の実施形態では、酸化ケイ素は任意の結晶多形である。いくつかの実施形態では、基板はD263ホウケイ酸(Schott社)ガラスである。別の実施形態では、ホウケイ酸塩の厚さは500±50μmである。
【0065】
いくつかの実施形態では、基板は、その上に他の層が成膜される層の任意の組み合わせである。例えば、一実施形態では、基板は、第1の層であるTi層の下に存在する任意の層を指す。いくつかの実施形態では、1または複数の任意の予備層が基板を形成し、その上にTi層が適用される。例えば、一実施形態では、基板は、異なる材料の層によってコーティングされた1つの材料の層を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法のステップ(b)の前及び/またはステップ(d)の前に、基板が洗浄される。いくつかの実施形態では、基板の洗浄は、(a)有機または無機溶媒で洗浄するステップ、(b)有機酸または無機酸で洗浄するステップ、(c)ガスプラズマで処理するステップ、及び/または(d)紫外線オゾン洗浄システム(例えば、UVOCS)で洗浄するステップを含む。
【0067】
一実施形態では、基板の洗浄ステップは、Tiの成膜前に行われ、硝酸、硫酸、過酸化水素、水、フッ化水素酸、ピラニア溶液、もしくはそれらの任意の組み合わせ、及び/または、それらの任意の順序によって行われる。一実施形態では、洗浄ステップは、Tiの成膜前に実行され、極性が増大する溶媒によって行われる。別の実施形態では、極性が増大する溶媒は、以下に限定しないが、例えばアセトン、エタノール、酢酸エチル、イソプロピルアルコール(IPA)、DDI(蒸留脱イオン水)、またはそれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、さらなる洗浄には、硝酸/硫酸/過酸化水素/水/フッ化水素酸もしくはそれらの任意の組み合わせ、及び/またはそれらの任意の順序が含まれる。
【0068】
一実施形態では、洗浄ステップは、Tiの成膜前に行われ、自然酸化層及び/または表面汚染物質を除去するために酸を用いて行われる。一実施形態では、洗浄ステップは、Tiの成膜前に行われ、自然酸化層及び/または表面汚染物質を除去するために希フッ化水素酸を用いて行われる。一実施形態では、洗浄ステップは、Tiの成膜前(スパッタリング前)に行われ、洗浄ステップは、有機汚染物質を除去するためのアルゴンプラズマ処理を含む。一実施形態では、洗浄ステップは、有機汚染物質を除去するための酸素及びアルゴンプラズマ処理を含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、基板の洗浄は、(a)有機または無機溶媒で洗浄するステップ、(b)有機酸または無機酸で洗浄するステップ、(c)ガスプラズマで処理するステップ、または(d)それらの任意の組み合わせを含む。
【0070】
一実施形態では、洗浄ステップは、Tiの成膜前に実行され、1~15mTorr(約0.13~約2.00Pa)のチャンバ圧力のガス雰囲気下で行われる。一実施形態では、サンプルは、サンプル上にスパッタリングされる前に湿式洗浄処理を受ける。このような湿式洗浄は、溶媒、フッ化水素酸(HF)、及び上述した他の溶媒/酸を用いた洗浄を含み得る。
【0071】
一実施形態では、洗浄ステップは、Tiの成膜前に行われ、1~30sccm(約1.69×10-3Pa m/秒~約5.07×10-2Pa m/秒)のガス流下で行われる。一実施形態では、サンプルは、アルゴン及び酸素流下で、プラズマを用いて成膜チャンバ内で洗浄される。通常、アルゴン及び酸素の比率は約50:50である。一実施形態では、サンプルの乾式洗浄はスパッタリングチャンバ内で行われる。
【0072】
一実施形態では、サンプルは、任意の段階で、超音波処理によって洗浄することができる。一実施形態では、サンプルは、本明細書に記載の液体のいずれか、またはそれらの組み合わせの中で超音波処理される。
【0073】
一実施形態では、Tiの成膜(第1の層の生成-ステップ(b))は、1~15mTorr(約0.13~約2.00Pa)のチャンバ圧力及び10~40sccm(約1.69×10-2Pa m/秒~約6.76×10-2Pa m/秒)のガス流量で行われる。いくつかの実施形態では、ステップ(b)及びステップ(d)の成膜処理中に使用されるスパッタリング電力は、50~350ワットである。
【0074】
一実施形態では、AlSc1-xN層の生成は、Nガスの存在下でのAlSc1-x(0.57≦x≦1)ターゲットの成膜によって行われる。一実施形態では、成膜は単一の金属合金ターゲットによって行われる。一実施形態では、成膜は、25%のスカンジウムと75%のアルミニウムとを含む単一の金属合金ターゲットによって行われる。別の実施形態では、成膜は、30%のスカンジウムと70%のアルミニウムとを含む単一の金属合金ターゲットによって行われる。一実施形態では、成膜は、25%~30%のスカンジウムと70%~75%のアルミニウムとを含む単一の金属合金ターゲットによって行われる。一実施形態では、成膜は、20%~30%のスカンジウムと70%~80%のアルミニウムとを含む単一の金属合金ターゲットによって行われる。一実施形態では、成膜は、15%~35%のスカンジウムと65%~85%のアルミニウムとを含む単一の金属合金ターゲットによって行われる。
【0075】
一実施形態では、Nガスの存在下でのAlScの成膜は、チャンバ圧力が1~10mTorr(約0.13~約1.33Pa)に設定され、かつ、ガス流量が1~30sccm(約1.69×10-3Pa m/秒~約5.07×10-2Pa m/秒)である、条件下で行われる。
【0076】
一実施形態では、ガス流は、10sccm(約1.69×10-2Pa m/秒)のアルゴン流及び25sccm(約4.23×10-2Pa m/秒)の窒素流を含む。一実施形態では、成膜高さ、すなわちターゲットとサンプルとの間の高さは、20~30cmの範囲である。
【0077】
いくつかの実施形態では、前記基板上にTiを含む第1の層を生成するステップ(ステップb)は、室温で行われる。
【0078】
いくつかの実施形態では、ステップ(b)のTi膜(層)は、後続のステップ(ステップc)を含み、ステップ(c)は、スパッタリングチャンバ内の高温及び窒素プラズマを含む。別の実施形態では、ステップcの高温は150~500℃の間である。別の実施形態では、高温は約400℃である。別の実施形態では、ステップ(c)の高温は150~300℃の間である。別の実施形態では、ステップ(c)は、25℃~500℃の範囲の温度で行われる。
【0079】
いくつかの実施形態では、ステップ(d)は高温で行われる。別の実施形態では、高温は室温と500℃との間の範囲の温度である。別の実施形態では、高温は、250℃と600℃との間の範囲の温度である。別の実施形態では、高温は、150℃~400℃の間の温度である。別の実施形態では、高温は、150℃~300℃の間の温度である。別の実施形態では、高温は300℃~500℃の間である。別の実施形態では、高温は250℃~500℃の間である。別の実施形態では、高温は200℃~400℃である。別の実施形態では、高温は150℃~400℃である。別の実施形態では、高温は150℃~350℃である。別の実施形態では、高温は200℃~400℃である。別の実施形態では、ステップ(d)は、250℃~600℃の範囲の温度で行われる。
【0080】
いくつかの実施形態では、温度は、方法の1以上の個々のステップの全継続時間にわたって特定の値に維持される。別の実施形態では、温度は、1以上の個々のステップ中に変化する。一実施形態では、ステップが行われる温度は、低温で始まり、高温で終了する。別の実施形態では、ステップが行われる温度は高温で始まり、より低い温度で終了する。別の実施形態では、温度は一定期間にわたって特定の値まで上昇する。別の実施形態では、温度上昇は、成膜方法の少なくとも1つのステップにおけるステップ継続時間の少なくとも一部にわたって生じる。別の実施形態では、温度を上昇させることができ、別の実施形態では、温度を低下させることができる。さらなる実施形態では、温度上昇率は方法の各ステップで異なる。
【0081】
いくつかの実施形態では、ステップ(c)で第1の層を高温及び窒素ガスに曝露することにより、ステップ(d)の実際のシードであるTiNを形成する反応が引き起こされる。
【0082】
いくつかの実施形態では、窒化アルミニウムスカンジウム膜は、200℃~400℃または250℃~600℃の基板温度でスパッタ成膜される。ステップdでは、成膜は、Tiシード層上に行われる。
【0083】
いくつかの実施形態では、反応性シード層として機能する、基板上に成膜したチタン(Ti)の層(前記第1の層)を利用する方法が本明細書で提供される。
【0084】
一実施形態では、高温で窒素が豊富な環境に曝露されると、窒化チタン(TiN)の相互作用層が(111)の好ましい成長配向で形成される。正三角形の(111)TiN面と六方晶構造の(001)(AlSc)Nとの間には、面比2:1のエピタキシャル整合が存在し、長期にわたる配向性の粒子成長を保証する。
【0085】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、前記上層の上に導電性材料を含む最上層を生成するステップ(ステップdに続く)をさらに含む。一実施形態では、導電性材料は、Cu、Ag、Au、Pt、Pd、Ni、Al、Ta、Tiまたはそれらの組み合わせから選択される。一実施形態では、最上層はTiを含む。一実施形態では、導電性材料は、導電性銅テープ、カーボンブラック、グラフェンベースのテープ、カーボンナノチューブテープ、または、任意の他の導電性テープ及び/またはペーストから選択され、上部電極を接続するために使用される。他の実施形態では、任意の層の生成及び/または成膜は、スパッタリング、電子ビーム成膜、熱成膜、原子層成膜、化学/物理蒸着、湿式プロセス、及び/またはそれらの任意の組み合わせによって行われる。
【0086】
別の実施形態では、最上層としての導電性材料の厚さは20~500nmの間である。別の実施形態では、Ti最上層は厚さ20~200nmの電極である。別の実施形態では、Ti最上層は厚さ50~300nmの電極である。別の実施形態では、Ti最上層は厚さ50~150nmの電極である。別の実施形態では、Ti最上層は厚さ150~250nmの電極である。別の実施形態では、Ti最上層は厚さ250~400nmの電極である。別の実施形態では、Ti最上層は厚さ200~500nmの電極である。別の実施形態では、Ti最上層は厚さ250~400nmの電極である。別の実施形態では、Ti最上層の厚さは50nmより大きい。一実施形態では、導電性電極材料は、電子ビーム蒸着、熱蒸着及び/またはスパッタリングによってサンプル上に成膜される。
【0087】
別の実施形態では、Ti、TiN及びAlSc1-xN層の成膜後、上部チタン電極が適用される。別の実施形態では、上部チタン電極の厚さは約100nmである。別の実施形態では、上部チタン電極の厚さは約50~150nmである。
【0088】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される第1の層及び最上層は、電極として使用される。一実施形態では、電極は独立して電源に接続される。
【0089】
いくつかの実施形態では、TiN層は本発明の方法によって生成される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、TiとTiNとを組み合わせた層(Ti/TiN)を提供する。いくつかの実施形態では、TiとTiNとを組み合わせた層(Ti/TiN)の厚さは50~300nmである。いくつかの実施形態では、TiとTiNとを組み合わせた層(Ti/TiN)の厚さは、20~300nmの間、20nm~100nmの間または10nm~200nmの間である。
【0090】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるTi/TiN層は、基板上の下部電極として、応力緩和層として、及び/またはシード層として機能する。一実施形態では、Ti/TiN層は基板上の下部電極として機能する。一実施形態では、Ti/TiN層は応力緩和層として機能する。一実施形態では、Ti/TiN層はシード層として機能する。
【0091】
いくつかの実施形態では、AlSc1-xN層は、本明細書で提供される方法によって生成される。いくつかの実施形態では、AlSc1-xN膜は、本明細書で提供される方法によって生成される。いくつかの実施形態では、AlSc1-xN薄膜は、本明細書で提供される方法によって生成される。
【0092】
いくつかの実施形態では、AlSc1-xN層の内部応力は60~300MPaの範囲である。
【0093】
いくつかの実施形態では、AlSc1-xN層の厚さは0.1μm~10μmの範囲である。いくつかの実施形態では、AlSc1-xN層の厚さは0.1μm~5μmの範囲である。いくつかの実施形態では、AlSc1-xN層は、基板に対して垂直なc軸(001)でテクスチャ化される。いくつかの実施形態では、AlSc1-xN層は、基板に対して垂直なc軸(002)でテクスチャ化される。
【0094】
いくつかの実施形態では、多結晶のAlSc1-xN膜であって、チャンバ圧力は1~10mT(約0.13~約1.33Pa)である、ガス流量は1~30sccm(約1.69×10-3Pa m/秒~約5.07×10-2Pa m/秒)である、膜の配向は001/002である、膜の厚さは100nm~5μmの範囲である、前記膜の圧電係数は1.0C/m~4.0C/mの範囲である、前記膜の圧縮応力は5MPa~500MPaの範囲である、またはそれらの組み合わせである、多結晶のAlSc1-xN膜が本明細書で提供される。
【0095】
いくつかの実施形態では、多結晶のAlSc1-xN膜であって、前記膜の配向は001/002である、前記膜の圧電係数は1.0C/m~4.0C/mの範囲である、前記膜の圧縮応力は5MPa~500MPaの範囲である、またはそれらの組み合わせである、多結晶のAlSc1-xN膜が本明細書で提供される。
【0096】
別の実施形態では、AlSc1-xNの配向は001/002である。別の実施形態では、多結晶AlSc1-xN膜の厚さは100nm~5μmの間の範囲である。別の実施形態では、多結晶AlSc1-xN膜の圧電係数は、1.0C/m~4.0C/mの間の範囲である。別の実施形態では、多結晶AlSc1-xN膜の圧縮応力は、5MPa~500MPaの間の範囲である。
【0097】
一実施形態では、本発明は、本明細書で上述した方法によって生成されたAlSc1-xN層を提供する。
【0098】
一実施形態では、AlSc1-xN層について、内部応力が60~300MPaの範囲である、層は基板に対して垂直なc軸(001)を有する、またはそれらの組み合わせである。
【0099】
一実施形態では、本発明は、多結晶のAlSc1-xN膜であって、前記膜の配向は001/002である、前記膜の圧電係数は1.0C/m~4.0C/mの間の範囲である、前記膜の圧縮応力は5MPa~500MPaの間の範囲である、またはそれらの任意の組み合わせである、多結晶のAlSc1-xN膜を提供する。
【0100】
一実施形態では、多結晶AlSc1-xN膜の厚さは0.8μmより大きい。
【0101】
一実施形態では、多結晶AlSc1-xN膜の厚さは、0.8μm~10μmの間または0.5μm~4μmの間の範囲である。
【0102】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される「層」という用語は、「膜」という用語と互換的に使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される「(AlSc)N」は、「AlSc1-xN」と互換的に使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される「(AlSc)N」は、「AlSc1-xN」と互換的に使用され、xが0.57≦x≦1またはx=1である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される「(AlSc)N」は、AlScNと互換的に使用される。
【0103】
一実施形態では、本発明は、層状材料であって、基板と、Ti層と、TiN層と、AlSc1-xN層と、を含む層状材料を提供する。
【0104】
一実施形態では、本発明の層状材料において、Ti層は基板と接触し、TiN層はTi層と接触し、及び、AlSc1-xN層はTiN層と接触する。
【0105】
一実施形態では、本発明は、層状材料であって、基板と、Ti層と、TiN層と、AlSc1-xN層と、からなる層状材料を提供する。
【0106】
一実施形態では、本発明の層状材料において、Ti層は基板と接触し、TiN層はTi層と接触し、AlSc1-xN層はTiN層と接触する。
【0107】
一実施形態では、本発明は、層状材料であって、Ti層と、TiN層と、AlSc1-xN層と、を含む層状材料を提供する。
【0108】
一実施形態では、本発明の層状材料では、TiN層はTi層と接触し、AlSc1-xN層はTiN層と接触している。
【0109】
一実施形態では、本発明は、層状材料であって、Ti層と、TiN層と、AlSc1-xN層と、からなる層状材料を提供する。
【0110】
一実施形態では、本発明の層状材料では、TiN層はTi層と接触し、かつ、AlSc1-xN層はTiN層と接触している。
【0111】
いくつかの実施形態では、多結晶AlSc1-xN膜は、極点図幅<2°で(001)配向している。別の実施形態では、多結晶Al0.75Sc0.25N膜は、極点図幅<2°で(001)配向している。
【0112】
いくつかの実施形態では、圧電デバイスであって、基板と、前記基板の上のTiを含む第1の層と、AlSc1-xNを含む上層と、前記上層の上の導電性材料を含む最上層と、含む圧電デバイスが提供される。
【0113】
一実施形態では、圧電デバイスは、前記第1の層上にTiNをさらに含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、圧電デバイスであって、基板と、前記基板上のTiを含む第1の層と、任意選択で、第1の層の上のTiNと、AlSc1-xNを含む上層と、前記上層の上の導電性材料を含む最上層と、を含む圧電デバイスが提供される。
【0115】
いくつかの実施形態では、圧電デバイスであって、基板と、前記基板上のTiを含む第1の層と、第1の層の上のTiNと、AlSc1-xNを含む上層と、前記上層の上の導電性材料を含む最上層と、を含む圧電デバイスが提供される。
【0116】
一実施形態では、圧電デバイスの導電性材料は、Cu、Ag、Au、Pt、Pd、Ni、Al、Ta、Ti、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0117】
一実施形態では、圧電デバイスは、最大100Vppの電界下で動作可能である。ピークツーピーク電圧(Vpp)は通常、単一期間にわたる信号振幅の最大値とその最小値(負の場合もある)との間で測定されるパラメータとして定義される。
【0118】
いくつかの実施形態では、多結晶AlSc1-xN膜であって、前記膜の配向は001/002である、前記膜の厚さは100nm~5μmの間の範囲である、前記膜の圧電係数は1.0C/m~4.0C/mの範囲である、前記膜の圧縮応力は5MPa~500MPaの範囲である、またはそれらの組み合わせである、多結晶AlSc1-xN膜を有するカンチレバーが提供される。
【0119】
いくつかの実施形態では、圧電デバイスであって、基板と、前記基板の上のTiを含む第1の層と、AlSc1-xNを含む上層と、前記上層の上の導電性材料を含む最上層と、を含む圧電デバイスを備えたカンチレバーが提供される。
【0120】
別の実施形態では、カンチレバーは圧電デバイスを備え、圧電デバイスはさらに、前記第1の層の上にTiNを含む。この態様によれば、及び一実施形態では、圧電デバイスであって、基板と、前記基板の上のTiを含む第1の層と、第1の層のTiと接触するTiN層と、AlSc1-xNを含む上層と、前記上層の上の導電性材料を含む最上層と、を含む圧電デバイスを備えたカンチレバーが提供される。
【0121】
いくつかの実施形態では、圧電デバイスであって、基板と、前記基板上のTiを含む第1の層と、任意選択で、第1の層の上のTiNと、AlSc1-xNを含む上層と、前記上層の上の導電性材料を含む最上層と、を含む圧電デバイスを備えたカンチレバーが提供される。
【0122】
いくつかの実施形態では、多結晶AlSc1-xN膜であって、前記膜の配向は001/002である、前記膜の圧電係数は1.0C/m~4.0C/mの範囲である、前記膜の圧縮応力は5MPa~500MPaの範囲である、またはそれらの組み合わせである、多結晶AlxSc1-xN膜を備えた微小電気機械システム(MEMS)が提供される。
【0123】
いくつかの実施形態では、圧電デバイスであって、基板と、前記基板の上のTiを含む第1の層と、AlSc1-xNを含む上層と、前記上層の上の導電性材料を含む最上層と、を含む圧電デバイスを備えた微小電気機械システム(MEMS)が提供される。
【0124】
別の実施形態では、MEMSは圧電デバイスを備え、圧電デバイスは前記第1の層上のTiNをさらに含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、圧電デバイスであって、基板と、前記基板の上のTiを含む第1の層と、任意選択で、第1の層の上のTiNと、AlSc1-xNを含む上層と、前記上層の上の導電性材料を含む最上層と、を含む圧電デバイスを備えた微小電気機械システム(MEMS)が提供される。
【0126】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、工業的、大規模及び/または半導体の製造に適している。
【0127】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で生成される窒化チタンは、(111)選択的成長配向を有する岩塩構造を有する。
【0128】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、単一の合金AlSc1-xターゲットを利用する。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、0%~50%の間で変化するSc%を有する単一の合金AlSc1-xターゲットを利用する。スカンジウム/アルミニウムターゲットのスパッタリング電力密度は、いくつかの実施形態では0.001~20W/mmの範囲である。一実施形態では、スパッタリング電力密度は0.05~10W/mmの範囲である。
【0129】
いくつかの実施形態では、成膜中に様々な比率で使用するためのアルゴンガスと窒素ガスとの混合物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、数mTorrのチャンバ圧力で、スパッタリングガス及び反応性ガスとして成膜中に様々な比率で使用するためのアルゴンガスと窒素ガスとの混合物が本明細書で提供される。
【0130】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、反応性シーディング層として機能する、基板上に成膜したチタン(Ti)の層を利用する。一実施形態では、基板上へのチタン(Ti)の層の成膜により、反応性シーディング層が提供される。一実施形態では、基板上のチタン(Ti)層は、反応性シード層として機能する。
【0131】
いくつかの実施形態では、高温かつ窒素が豊富な環境に曝露されると、窒化チタン(TiN)の相互作用層は、(111)の好ましい成長配向を形成する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるように、正三角形(111)TiN面と六角形構造の(001)(AlSc)Nとの間に2:1の面比が存在するエピタキシャル整合が提供され、これにより長期にわたる配向性粒子成長が保証される。
【0132】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、成膜を通じて室温(RT)から500℃まで間の範囲の様々な基板温度を利用する。一実施形態では、成膜中の基板温度は室温から100℃の間である。別の実施形態では、成膜中の基板温度は室温から200℃の間である。別の実施形態では、成膜中の基板温度は室温から300℃の間である。別の実施形態では、成膜中の基板温度は250℃から400℃の間である。別の実施形態では、成膜中の基板温度は200℃から400℃の間、または室温から600℃の間である。いくつかの実施形態では、TiN層は温度勾配下で形成される。別の実施形態では、温度勾配は200℃から400℃の間である。
【0133】
いくつかの実施形態では、Ti層は、酸化性ガス及び/または不活性ガス、またはそれらの任意の組み合わせによって処理される。いくつかの実施形態では、Ti/TiN層は、酸化性ガス及び/または不活性ガス、またはそれらの任意の組み合わせによって処理される。一実施形態では、TiまたはTi/TiN層は酸化性ガスによって処理される。別の実施形態では、酸化性ガスは、酸素、窒素、水またはそれらの任意の組み合わせから選択される。一実施形態では、TiまたはTi/TiN層は不活性ガスによって処理される。別の実施形態では、不活性ガスは、アルゴン、ヘリウム、ネオン、窒素またはそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0134】
いくつかの実施形態では、成膜した窒化アルミニウムスカンジウム圧電層は、基板に対して垂直なc軸(001)でテクスチャ化される。いくつかの実施形態では、成膜した窒化アルミニウムスカンジウム圧電層は、基板に対して垂直なc軸(001)で高度にテクスチャ化される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるTiまたはTi/TiN層の厚さは50~300nmの間である。いくつかの実施形態では、Ti層は窒素と反応する。いくつかの実施形態では、TiN層は表面を平滑化する。いくつかの実施形態では、表面平滑化をもたらすTi/TiN反応層は、(AlSc)N層のためのその場で生成されたシード層として機能する。いくつかの実施形態では、成膜した窒化アルミニウムスカンジウム圧電層の内部応力は、60~300MPaの範囲である。
【0135】
いくつかの実施形態では、成膜した窒化アルミニウムスカンジウム圧電層の厚さは0.1~10μmの間である。いくつかの実施形態では、成膜した窒化アルミニウムスカンジウム圧電層の厚さは0.1~5μmの間である。いくつかの実施形態では、成膜した窒化アルミニウムスカンジウム圧電層の厚さは、0.75~5μmの間、0.8~5μmの間、0.8~10μmの間、0.8~20μmの間、1.0~20μmの間または0.8~50μmの間である。いくつかの実施形態では、成膜した窒化アルミニウムスカンジウム圧電層の厚さは0.8μmより大きい。いくつかの実施形態では、成膜した窒化アルミニウムスカンジウム圧電層の厚さは、0.75μmよりも大きい、0.8μmよりも大きい、または1.0μmよりも大きい。一実施形態では、成膜した窒化アルミニウムスカンジウム圧電層の厚さは、0.75μm未満または0.70μm未満である。
【0136】
一実施形態では、Tiシード層上に成膜した(AlSc)N膜の結果に言及する図/結果の説明は、本開示の方法によって生成されたAlScN層に言及する。この態様によれば、一実施形態では、そのような説明は、TiN層がTi層とAlScN層との間に存在するサンプルに言及する。しかしながら、簡単にするために、本発明の実施形態ではTiN層について説明/記載していない。いくつかの実施形態では、TiN層はTi層とAlScN層との間に存在するが、説明を簡単にするために言及されていない。
【0137】
いくつかの実施形態では、成膜した窒化アルミニウムスカンジウム圧電層は、均一かつ均質な化学組成を有する。
【0138】
一実施形態では、AlScN層はTiN層と接触している。一実施形態では、TiN層とAlScN層との間に他の材料は存在しない。一実施形態では、本開示の方法によって形成される層はCu(銅)を含まない。一実施形態では、本開示の方法で形成される層はAlCuを含まない。
【0139】
一実施形態では、本開示の方法では、TiN層の上にAlCu層またはAlCuN層が成膜しない。一実施形態では、本開示の方法では、AlScN層の下にAlCu層またはAlCuN層が成膜しない。一実施形態では、本開示の方法及びデバイス/システムでは、TiN層とAlScN層との間にAlCu層またはAlCuN層は存在しない。
【0140】
一実施形態では、上記のTi/TiN/AlScN層を含む本発明の層状材料では、TiN層とAlScN層との間に他の材料が存在しない。一実施形態では、本発明の層状材料はCu(銅)を含まない。一実施形態では、本発明の層状材料はAlCuを含まない。一実施形態では、本発明の圧電材料/デバイス/システム/カンチレバー/膜において、TiN層とAlScN層との間にAlCu層またはAlCuN層は存在しない。
【0141】
一実施形態では、本開示のデバイス/システム/カンチレバーでは、TiN層とAlScN層との間にCuは存在しない。一実施形態では、本開示のデバイス/システム/カンチレバーでは、TiN層とAlScN層との間にCu層は存在しない。一実施形態では、本開示のデバイス/システム/カンチレバーでは、TiN層とAlScN層との間に銅を含む層は存在しない。
【0142】
一実施形態では、本明細書で上述したように、AlSc1-xN層の生成は、Nガスの存在下でのAlSc1-x(0.57≦x≦1)ターゲットからの成膜によって行われる。一実施形態では、成膜は単一の金属合金ターゲットから行われる。一実施形態では、成膜は、13%~30%のスカンジウムと70%~87%のアルミニウムとを含む単一の金属合金ターゲットから行われる。一実施形態では、成膜は、15%~30%のスカンジウムと70%~85%のアルミニウムとを含む単一の金属合金ターゲットから行われる。一実施形態では、成膜は、15%~35%のスカンジウムと65%~85%のアルミニウムとを含む単一の金属合金ターゲットから行われる。
【0143】
いくつかの実施形態では、本発明は、(001)/(002)配向を有し、かつストレスが少ない、AlSc1-xN膜を提供する。
【0144】
一実施形態では、低応力は100MPa未満の応力であり、σ<100MPaである。
【0145】
一実施形態では、本発明の材料、膜、デバイス及び層の圧電性能または圧電応答は、圧電係数によって評価される。
【0146】
一実施形態では、第1の層を製造するとき(ステップ(b))、スパッタリングチャンバは窒素ガスを含まない。
【0147】
一実施形態では、TiN層及びAlSc1-xN層を生成するとき(ステップ(c)及びステップ(d))、スパッタリングチャンバは窒素ガスを含む。
【0148】
一実施形態では、膜の厚さは1μmより大きい。
【0149】
一実施形態では、本発明は、AlSc1-xN膜の製造方法であって、基板を提供するステップと、前記基板の上にTiを含む第1の層を形成するステップと、前記第1の層の上にTiN層を生成するステップと、前記TiN層の上にAlSc1-xN層を生成するステップと、を有し、前記AlSc1-xN層は前記TiNと接触している、方法を提供する。
【0150】
一実施形態では、ステップ(b)~ステップ(d)はスパッタリングチャンバ内で行われる。一実施形態では、ステップ(b)は、Tiをスパッタリングすることによって行われる。一実施形態では、ステップ(c)は、第1の層を窒素ガスに曝露して、TiN層を形成するステップを含む。一実施形態では、前記AlSc1-xN層を生成するステップ(d)は、窒素ガスの存在下で前記TiN層の上にAlSc1-xをスパッタリングするステップを含む。一実施形態では、ステップ(d)がステップ(c)の後に行われる、ステップ(c)及びステップ(d)が同時に行われる、または、ステップ(c)及びステップ(d)が少なくとも部分的に同時に行われる。
【0151】
一実施形態では、ステップ(c)は、前記第1の層を25℃~600℃の間の範囲の温度及び窒素ガスに曝露するステップを含む。
【0152】
一実施形態では、第1の層を製造するとき(ステップ(b))、スパッタリングチャンバは窒素ガスを含まない。
【0153】
一実施形態では、TiN層及びAlSc1-xN層を生成するとき(ステップ(c)及びステップ(d))、スパッタリングチャンバは窒素ガスを含む。
【0154】
一実施形態では、AlSc1-xNにおけるxは0.57≦x≦1の範囲である。
【0155】
一実施形態では、AlSc1-xNは、Al0.80Sc0.20N、Al0.75Sc0.25NまたはAl0.7Sc0.3Nである。一実施形態では、前記AlxSc1-xN層の厚さは0.8μmより大きい。一実施形態では、ステップ(b)の前に前記基板が洗浄される。一実施形態では、洗浄は、有機または無機溶媒、有機酸または無機酸、及び/またはガスプラズマ、の使用を含む。
【0156】
一実施形態では、ステップ(b)は室温で行われる、ステップ(c)は25℃~400℃の間の範囲の温度で行われる、及び、ステップ(d)は250℃~600℃の間の範囲の温度で行われる。
【0157】
一実施形態では、ステップ(b)はアルゴン下で行われる、ステップ(c)は窒素及びアルゴンを含むガス下で行われる、及び、ステップ(d)は窒素及びアルゴンを含むガス下で行われる。
【0158】
一実施形態では、ステップ(b)、ステップ(c)、ステップ(d)、またはそれらの任意の組み合わせは、1atm(約1.01×10Pa)未満の圧力で行われる。
【0159】
一実施形態では、本開示の方法は、前記AlSc1-xN層上に導電性材料を含む最上層を生成するステップをさらに含む。一実施形態では、導電性材料は、Cu、Ag、Au、Pt、Pd、Ni、Al、Ta、Tiまたはそれらの組み合わせから選択される。一実施形態では、最上層はTiを含む。一実施形態では、第1の層及び最上層は電極として使用される。一実施形態では、電極は独立して電源に接続される。
【0160】
一実施形態では、Ti層とTiN層とを組み合わせた厚さは50~300nmの間である。
【0161】
一実施形態では、本発明は、本明細書で上述した方法によって生成されるTi/TiN層を提供し、Ti/TiN層の厚さは50~300nmの間の範囲である。一実施形態では、本発明は、本明細書で上述した方法によって生成されたAlSc1-xN層を提供する。
【0162】
一実施形態では、AlSc1-xN層について、内部応力が60~300MPaの範囲である、層は基板に対して垂直なc軸(001)を有する、またはそれらの組み合わせである。
【0163】
一実施形態では、本発明は多結晶AlSc1-xN膜であって、前記膜の配向は001/002である、前記膜の圧電係数は1.0C/m~4.0C/mの範囲である、前記膜の圧縮応力は5MPa~500MPaの範囲である、またはそれらの任意の組み合わせである、多結晶AlSc1-xN膜を提供する。
【0164】
一実施形態では、多結晶AlSc1-xN膜の厚さは0.8μmより大きい。
【0165】
一実施形態では、AlSc1-xN膜の厚さは、0.8μm~10μmの間または0.5μm~4μmの間の範囲である。
【0166】
一実施形態では、本発明は、基板と、前記基板の上のTiを含む第1の層と、前記Ti層と接触するTiNと、前記TiNと接触するAlSc1-xNを含む層と、前記AlSc1-xN層の上の導電性材料を含む最上層と、を含む圧電デバイスを提供する。
【0167】
一実施形態では、導電性材料は、Cu、Ag、Au、Pt、Pd、Ni、Al、Ta、Tiまたはそれらの組み合わせから選択される。
【0168】
一実施形態では、圧電デバイスは、100Vppまでの電界下で動作可能である。
【0169】
一実施形態では、本発明は、本明細書で上述したAlSc1-xN層を含むカンチレバーを提供する。一実施形態では、本発明は、本明細書で上述した圧電デバイスを備えたカンチレバーを提供する。
【0170】
一実施形態では、本発明は、本明細書で上述したAlSc1-xN層を含む微小電気機械システム(MEMS)を提供する。一実施形態では、本発明は、本明細書で上述した圧電デバイスを備えた微小電気機械システム(MEMS)を提供する。
【0171】
一実施形態では、本発明は、AlSc1-xN膜の調製方法であって、基板を提供するステップと、前記基板の上にTiを含む第1の層を形成するステップと、前記第1の層を高温及び窒素ガスに曝露するステップと、AlSc1-xNを含む上層を生成するステップと、を含む方法を提供する。
【0172】
一実施形態では、本発明は、基板と、前記基板の上のTiを含む第1の層と、AlSc1-xNを含む上層と、前記上層の上の導電性材料を含む最上層と、を含む圧電デバイスを提供する。
【0173】
一態様では、圧電デバイスは、前記第1の層上にTiNをさらに含む。
【0174】
一実施形態では、スパッタリング時間を変更することにより、異なる厚さを有する層を得ることができる。実施例を本明細書で説明する。必要に応じて、他のスパッタリング時間を使用することもできる。
【0175】
本発明は、いくつかの実施形態において、膜厚が1μmを超える場合でも、(001)/(002)配向及び低応力の、このような特性を得ることができる。
【0176】
実施例
【0177】
実施例1
【0178】
サンプル調製:チタンシード層
【0179】
厚さ約50nmのチタン膜を、基板温度25℃で<100>2''真性・P型シリコンウェハ及びD263ホウケイ酸ガラス[Ti-1-4、表1]上にスパッタ成膜した。成膜前のウェハの洗浄を、極性を増加させた溶媒(アセトン、IPA、DDI)によって行った。蒸着前に自然酸化層及び表面汚染物質を除去するために、希フッ化水素酸を使用した。スパッタリングの前に、基板をアルゴン及び酸素でプラズマ洗浄しすることにより、10mTorr(約1.33Pa)のチャンバ圧力、10sccm(約1.69×10-2Pa m/秒)のアルゴン及び酸素流量で、有機汚染物質を除去した。膜は、150ワットのDCマグネトロンスパッタリング(ATC Orion Series Sputtering Systems、AJA international Inc社)を使用して、2''5N Ti単一ターゲットから成膜した。成膜高さは24cm、チャンバ圧力は5mTorr(約0.67Pa)、アルゴン流量は30sccm(約5.07×10-2Pa m/秒)であった。1セットの成膜[Ti、3-4、表1]には後続のステップが含まれていた。ガス流量30sccm(約5.07×10-2Pa m/秒)、5mTorr(約0.67Pa)の窒素環境下、400℃で1時間浸漬した。
【0180】
この実施例の別の実施形態では、使用されたすべてのガスは純度6Nであり、イスラエルのGas Technologies社によって供給された。基板の洗浄には、半導体グレード(CMOS、Sigma Aldrich社)のHF(フッ化水素酸)、有機溶媒、アセトン、イソプロピルアルコール(IPA)を使用した。さらに、基板を室温に保ち、厚さ50nmのチタン膜をスパッタリング法により成膜した。直径2インチ(5.08cm)の2種類の基板を使用した:(100)・p型Siシリコンウェハ10-30 Ohm・cm、University Wafer社、厚さ250±25μm及びD263ホウケイ酸ガラス(SCHOTT社、厚さ500±50μm)。最初に、基板を、アセトン、イソプロピルアルコール、脱イオン水という極性の高い順に溶媒で洗浄した。次に、希フッ化水素酸(4%)を使用して、自然酸化層及び表面汚染物質を除去した。スパッタリングチャンバ内の有機汚染物質を除去するために、アルゴンと酸素との比率50%、10mTorr(約1.33Pa)の圧力で、基板を、アルゴン及び酸素でプラズマ洗浄した。Ti膜は、電力レベル150WのDCマグネトロンスパッタリング(ATC Orion Series Sputtering Systems、AJA international Inc社)によって、直径2インチ(5.08cm)、純度5NのTiターゲット(Abletarget社、中国)から成膜した。マグネトロンと基板との間の距離は24cmであり、成膜中のチャンバ内のAr圧力は5mTorr(約0.67Pa)であった。窒素プラズマ放電グローを利用するAJAグロー放電オプションを使用して、5mTorr(約0.67Pa)の圧力、673Kで、窒素プラズマに膜を30分間曝露した。
【0181】
表1.(100)シリコンウェハ及びD263ホウケイ酸ガラス上にスパッタリングされた50nmのチタンシード層の成膜条件及び処理を示す。層は、150ワット、5mTorr(約0.67Pa)のチャンバ圧力、30sccm(約5.07×10-2Pa m/秒)のアルゴン流量、及び室温での24cmの成膜高さを使用して、5N 2''Ti金属ターゲットから成膜した。
【0182】
【表1】
【0183】
実施例2
【0184】
サンプル調製:Al0.75Sc0.25N薄膜
【0185】
ダイスカットされた窒化アルミニウムスカンジウム膜が、基板温度200~400℃で、前述のTiシード層上にスパッタ成膜された[「ASN」サンプル、表2]。膜は、250ワットで、単一の3''5N金属合金ターゲット、スカンジウム25%、アルミニウム75%から成膜した。成膜高さを24cm、チャンバ圧力を5mT(約0.67Pa)に設定し、アルゴン流量は10sccm(約1.69×10-2Pa m/秒)、窒素流量は25sccm(約4.23×10-2Pa m/秒)であった。その後、厚さ100nmの上部チタン電極を成膜した。
【0186】
サンプルASN1-3は、テクスチャ、異常配向結晶粒(AOG)の形成、及びその後のピエゾ応答に対する温度の影響を示している。ASN4については、出現したテクスチャに対する300nmの厚いチタンシード層の影響を調べた。ASN10のサンプルでは、テクスチャへの影響を調べるために、50nmチタンの前に100nmアルミニウムの追加層を成膜した。サンプルASN8、9では、本方法の普遍性を実証するために、2つの異なる基板上で同一のプロセスを使用した。
【0187】
上部Ti接点を成膜し、パターン化し、サイズ1x4cmのカンチレバーにダイシングした。カンチレバーを、下部電極への真鍮の延長部に取り付けた。上部電極を銅線で接続し、導電性銀塗料で接着した。ひずみ測定を行うために、カンチレバーを以下に説明する曲率測定装置に接続した。
【0188】
別の実施形態では、Al0.75Sc0.25N膜が、調製したTiシード層上に金属合金ターゲットからDC反応性スパッタリングによって成膜された。5N金属合金ターゲット(Abletarget社、中国)を載せた直径3インチのマグネトロンに250Wの電力を加えた。チャンバ内の圧力は5mTorr(約0.67Pa)であり、アルゴンと窒素との比は1:4であった。
【0189】
表2は、(100)シリコンウェハ及びD263ホウケイ酸ガラス上にスパッタリングされたAl0.75Sc0.25N膜の成膜条件及び処理を示している。この層は、200~400℃で、25ワット、5mTorr(約0.67Pa)のチャンバ圧力、5sccm(約8.45×10-3Pa m/秒)のアルゴン、20sccm(約3.38×10-2Pa m/秒)の窒素流及び24cmの成膜高さを使用して、3''25%のSc、75%のAl合金ターゲットから成膜された。表2に示したサンプルASN8~ASN10の成膜温度プロファイルは以下の通りである:673K(400℃)で30分間スパッタリングした後、523K(250℃)で8~13時間スパッタリングした。
【0190】
【表2】
【0191】
実施例3-微細構造の特性評価
【0192】
本実施例のいくつかの実施形態では、シリコン及びウィローガラス(Willowglass)上の微細構造層の特性評価を走査型電子顕微鏡(SEM、Sigma社、Carl Zeiss社、及びZeiss Supra 55VP、4~8keV)によって行い、層の厚さ、粒径、表面及び断面形態を得た。ナノスケールトポグラフィー測定を、マルチモードAFM(Bruker社)、PNP-TRSプローブ(NanoWorld社)によるPeakForceタッピングモード、またはNSG30_SSプローブ(ScanSens社)によるタッピングモードを使用した原子間力顕微鏡(AFM)で行った。
【0193】
元素分析を、エネルギー分散型X線分光法(EDS)によって行った。Bruker社のFlatQUAD(4象限)EDSは、Zeiss社のUltra55走査型電子顕微鏡(SEM)に取り付けられている。サンプルのハイパーマップ(Hypermap)を8kV、30μmのアパーチャで取得し、Bruker社のQuantaxソフトウェアを用いて完全なマップまたは様々な関心領域(ROI)の定量化を行った。定量化は、化学量論比を評価するために使用されるZAFマトリックス補正、バックグラウンド減算及びスペクトルのデコンボリューションによる、スタンダードレスの方法に基づいている。回転Cuアノードを備え、50kV/200mAで動作するTTRAX III(リガク社、日本)回折計を使用して、反射幾何学的形状でX線回折(XRD)測定を実行した。グラファイトモノクロメータ及びシンチレーション検出器を回折ビーム内に配置した。膜の測定は、2つの反射モードで行った。最初に、膜面に対して平行な結晶面のみを調べる反射回折(θ/2θスキャン)を、ブラッグ・ブレンターノ(Bragg-Brentano)配置で行った。次に、多層膜ミラー(CBOアタッチメント、リガク社)により形成された準平行X線ビームを用いて、入射角を3度に固定した非対称2θスキャンを実行した。これらの走査条件下では、各回折面(hkl)が膜面に対して(θhkl-3)度の角度であることに注意されたい。
【0194】
鏡面条件下で得られた回折パターンに現れる、(AlSc)N膜の結晶子のおそらく選択的な配向を確認するために、対応するブラッグ角で{002}反射の極点図を記録した。この目的のために、入射/回折ビーム面に対して一定に増加するサンプル傾斜(Ψ角)で面内サンプル回転を行う多目的アタッチメントIII(オイラークレードル)を使用した。Shultzスリットは、サンプルの傾斜により拡張されたX線照明の設置面積を制限した。定性的相分析を、Jade Proソフトウェア(Materials Data,Inc.社)及びPDF-4+2020データベース(ICDD)を使用して行った。極点図を、極点図データ処理ソフトウェア(リガク社)を使用して解析した。
【0195】
プログラム可能な2点レベリングソフトウェアにより、ダイヤモンド12.5μmスタイラスを使用したDektak6M表面形状計を用いて、成膜の前後にウェハの裏面でウェハの曲率測定を行った。Origin 2018を使用して円形半径フィットを適用し、そこからストーニーの公式(Stoney Formula)を使用して面内応力を抽出した。
【0196】
実施例4
【0197】
電気機械的特性評価
【0198】
曲率測定装置(図7)を利用して、膜内の応力を測定し、それによって電気機械的応答を測定した。ファンクションジェネレータ(Rigol社、4062)を使用して電圧を印加すると、(AlSc)N圧電層にひずみが誘発され、その結果カンチレバーが曲がった。レーザビームの変位ΔXに変換係数(7.5μm/ピクセル)を乗ずると、方程式(1)を使用して曲率が抽出された実際のビーム変位が得られる。
【0199】
【数2】
【0200】
式中、Δkは曲率の変化であり、LはサンプルからCCDカメラまでの距離であり、lは反射点から固定点までの距離である。曲率変化Δkから、ストーニーの公式である方程式(2)に従って膜内応力変化Δσを計算できる。
【0201】
【数3】
【0202】
式中、Yは基板のヤング率であり、νは基板のポアソン比である。t及びtはそれぞれ基板及び膜の厚さである。計算された応力を印加電界Eで割ることにより、電荷密度を表す圧電係数e31[c/m]を抽出することができる(方程式(3))。
【0203】
【数4】
【0204】
実施例5
【0205】
成膜及び微細構造
【0206】
トポグラフィックAFM測定は、高温で窒素に曝露された結果として表面が滑らかになる明らかな傾向を示している[図2A~2D]。このような表面の平滑化は、サンプル表面での反応を示しており、対応するXRDスペクトルと相関している。窒化チタンは、(111)選択的成長配向を有する岩塩構造[図1A]を有する[図1B]。この露出した(111)面は、約5.9オングストローム(約0.59nm)の面を有する正三角形によって構成され、(AlSc)Nの3.1オングストローム(約0.31nm)の面を有する六角形の粒子のための局所核生成点を提供する[図1C]。これらの局所的な低密度核生成点は、その後の(AlSc)N成膜のための、応力のない柱状の粒子成長を確実にする反応性エピタキシャル層としても機能する。図1Dは、小さなエピタキシャル不整合を示す3つの表面層を示している。1つ目はTi(001)面であり、一辺が2.951オングストローム(約0.2951nm)の正三角形を含む。2つ目はTiN(111)面であり、一辺が2.995オングストローム(約0.2995nm)の正三角形を含む。それぞれのTiN核生成部位は、一辺が3.111オングストローム(約0.3111nm)の正三角形を含む、重ねられたAlN(001)面のためのその場でのエピタキシーを提供する。
【0207】
図3Aは、表2の膜ASN1~3のXRDスペクトルを示しており、膜は400℃、300℃及び250℃で成長し、対応する表面及び断面の画像が図3Bに示されている。SEM画像は、成膜温度の低下に伴ってサンプル表面上のAOGが減少するという明確な傾向を示している。(002)AlNピーク(36.04°)は膜内でシフトしており、より低い角度へのシフトは格子の拡大を示す。このような膨張は、ウルツ鉱格子へのスカンジウムの取り込み及び膜成膜応力に起因すると考えられる。
【0208】
(002)c軸テクスチャは、表2の膜サンプルASN2、3において明らかな六角形の粒子及び柱状成長によって特徴付けられる。ASN1(表2)に見られる(100)AlNに起因するピーク(32.05°)は、成膜中に配向が失われたことを示唆している。これは、表面に見られる多量のAOG、及びピラミッド型の粒子によっても裏付けられている。この配向性の損失はScの偏析に起因しており、ASN1の表面上のAOGと、断面画像に示されている脆い柱状成長によって明らかである。スカンジウムの偏析を軽減し、ウルツ鉱相に動力学的に固定するために、成膜温度を低下させた。300℃及び250℃で成膜したサンプルASN2~3(表2)は、サンプル表面及び断面でのAOG形成が明確に抑制された単一の(002)XRDピークを示した。
【0209】
表2のサンプルASN4、8、9、10[図3C]の成膜を、基板、シード層の厚さ、予備アルミニウム層、温度及び(AlSc)N膜厚を変更して実施した。このような変更は、成長メカニズムを理解するために不可欠であった。サンプルASN8~9(表2)を、2つの異なる基板(アモルファス材料であるD263ホウケイ酸塩及び(100)シリコンウェハ)上の50nmTiシード層上に200℃で成膜した。テクスチャを示す特異な(002)ピークが、対応するXRDスペクトルにおいて観察された[図3C、赤、紫]。テクスチャの度合いを調査するために、サンプルASN8、9の(002)ピークの極点図測定を実施した。図5A及び図5Bは、厚さ3μmのAlScN層をSi及びホウケイ酸ガラス上に高度なテクスチャで成膜できることを示している。他の配向の明らかな残留物のない単一のピークが観察される。このような絶対値は、高度なテクスチャを示す。同様の結果が2つの異なる基板から観察されたため、(AlSc)N成膜にチタンシードを利用する方法は基板に依存しないと推測できる。
【0210】
この仮説を調査するために、膜サンプルASN4、10のチタンシード層に変更を加えた(表2)。膜サンプルASN4は300nmの厚いチタンシード層を利用したが、サンプルASN10は予備の100nmアルミニウム層を備えた50nmチタン上に成長した。サンプルASN4 XRDスペクトルには、選択配向の喪失を示す複数のピークが表示された。これは、対応する極点図で観察された複数のピークによって裏付けられている[図5C]。これは、チタンシード層の厚さ及びトポグラフィーが、配向した(001)(AlSc)Nの成長プロセスにおいて重要な役割を果たしていることを示唆している。サンプルASN10のXRDスペクトルは、特異な(002)ピークを示したが、(002)ピークのわずかな広がりが極点図(図5B)で確認でき、平面に関するテクスチャのわずかな損失が発生したことを示している。
【0211】
EDS化学マッピングは、4kV及び8kVのサンプルASN9を使用して[図19]、サンプル全体にわたるアルミニウム及びスカンジウムの化学分布を調査するために行われた。得られた化学マッピングは、Al及びScが均一に分布していることを示した。これは、膜内に材料の単一相が存在することを示唆している。
【0212】
実施例6
【0213】
電気機械的特性評価
【0214】
0.1Hzで最大20Vppの正弦波交流バイアスを印加すると、圧電性を示す第1高調波応答、すなわち電圧が印加されたときのカンチレバーの垂直変位が生成された(図6A)。この挙動は、反応を示さなかったサンプルASN1を除いて、テストしたすべての膜で観察された。膜内の応力はカンチレバーの変位から計算された(方程式1)。応力を印加電界で割ると、圧電係数e31が得られる。方程式(3)を参照されたい。
【0215】
得られた膜は、約2.5C/mもの高い圧電応答を生成した。発明者らは、AOGの形成が、成膜温度、ひいては圧電応答に影響を与える膜の配向に大きく影響されることを実証した。
【0216】
(AlSc)Nは、(100)配向シリコン及びアモルファスホウケイ酸ガラスという異なる結晶学的性質を有する2つの基板上に大きな厚み及び高度な配向で成膜された。100nmのアルミニウムなどの予備層が50nmのチタンシードの下に存在する場合にも、同一品質の膜が得られた。300nmのチタンシード層では配向が完全に失われることに注意されたい。これは、成長プロセスにはエピタキシーに加えてある程度のトポグラフィーの平滑化が必要であることを示唆している。
【0217】
成膜中のTiシード層の変化を調査するために、シリコン基板及びD263基板の両方について、400℃で窒素に浸した50nmTiシード層に対しXRD測定を行った(表1)。ピークは高温で窒素に曝露された後に発生し、(36.65℃)で観察された。このピークは(111)TiN(36.8°)に起因すると考えられ、(001)六方晶系(AlSc)Nとの良好なエピタキシャル整合を提供する。これは、AOGの抑制に関する説明も提供する。(AlSc)NとTiとの間のエピタキシャル整合が成膜中にその場で生成されると、成膜応力の低減に大きく寄与し、それによってスカンジウムの偏析が低減し、異常配向粒子(AOG)の出現が防止される。
【0218】
実施例7
【0219】
圧電係数の測定
【0220】
表2のサンプルASN8、ASN9及びASN10に関して、得られた基板\Ti\Al0.75Sc0.25N膜のスタックを、上部電極として機能する厚さ50nmの上部チタン層で覆った。基板/Ti/Al0.75Sc0.25N/Ti膜のスタックを有するサンプルを、幅1cmかつ長さ2~4cmの長方形のプレートに切断した。後者を、上部Ti層と下部Ti層との間に印加される電圧及びひずみを監視する装置に、カンチレバーとして取り付けた。圧電係数を、電圧の印加によりカンチレバーに誘起される応力から計算した。純粋な円筒曲げ(ゼロ ガウス曲率)を仮定し、ストーニーの公式を用いて応力を推定した。ASN8-10サンプルの圧電係数は、平均してe31=1.65±0.13C/mであった(図23を参照)。
【0221】
この実施例のいくつかの実施形態によれば、膜の特性評価は以下の通りである。
【0222】
スタック内の各膜の厚さを、走査型電子顕微鏡(SEM、Sigma社、Carl Zeiss社、及びZeiss Supra 55VP、4~8keV)によって取得したスタック断面の画像から推定した。SEM画像を、表面及び断面の両方の粒子サイズ及び形態を推定するためにも使用した。ナノスケールのトポグラフィーマップは、ピークフォースタッピングモードの原子間力顕微鏡(Multimode AFM(Bruker社))を使用して取得した。
【0223】
元素分析を、Zeiss社のUltra 55走査型電子顕微鏡に取り付けられたBruker社のFlatQUAD(4象限)EDS アタッチメントを備えたエネルギー分散型X線分光法(EDS)によって行った。EDSスペクトルを、8kV電子ビーム加速電圧で収集した。
【0224】
粉末X線回折(XRD)パターンを、TTRAX III回折計(リガク社、日本)を用いてブラッグ・ブレンターノ配置で収集した。膜のテクスチャを検出するために、リカク社のTTRAX回折計のオイラークレードルを使用して、対応するブラッグ角で回折ピークの極点図を記録した。Shultzスリットを用いて、サンプルの傾斜により拡張されたX線照射スポットの設置面積を制限した。相分析を、Jade Proソフトウェア(Materials Data, Inc.社)を使用して行った。Al0.75Sc0.25Nの(002)回折ピークに加えて、c軸テクスチャを調べ、(100)及び(011)方向の極点図データを収集した。ただし、これらのピークの回折強度は検出できないほど弱かったため、(002)ピークより少なくとも500倍弱いと推定される。
【0225】
膜内の応力を、成膜前後のウェハ曲率の変化から推定した。Al0.75Sc0.25N膜はスタック内で最も厚いため、他の層を無視して応力を計算した。ウェハの曲率を、DektakXT stylus profilometer(Bruker社、米国)を使用して測定した。
【0226】
焦電係数を、17kHzで動作する変調IRレーザ(波長1560nm、12W/cm OSTECH社、ドイツ)を使用した周期温度変化法(Periodic Temperature Change method)(Chynoweth)で測定した。100%の放射線吸収を保証するため、これらの測定用に準備された直径2mmのTiコンタクトを、当技術分野で知られているように、カーボンブラックで覆った。
【0227】
X線光電子分光法(XPS)を、TiN層の形成を検出するための膜表面の化学分析及び焦電係数の非接触プローブに使用した。Kratos AXIS-Ultra DLD 分光計で、0.3~15Wの低出力で、単色Al kα源を使用して測定を行った。サンプル温度を、XPS装置内にサンプルに近接して配置された熱電対によって監視した。信頼できる結合エネルギーの値を得るために、各温度でスキャンを継続した。
【0228】
実施例8
【0229】
Tiシード層上へのTiNの形成
【0230】
スパッタされたTiは、選択的な(001)配向を有するα相(HCP)として成長することが知られている。したがって、上述のように両タイプの基板上に、シード層として、厚さ50nmのTi膜をDCマグネトロンスパッタリングによって成膜した。XRDによると、膜は実際に高い(001)テクスチャを有するα-Tiである。(002)回折ピークがスペクトルを支配し、両方の基板についてFWHM=0.55°を有する(図13A~13C)。
【0231】
(Al、Sc)Nの反応性スパッタリング中に発生するTiNのその場での形成をシミュレートするために、膜を673Kで30分間グロー放電窒素プラズマに曝露し、膜の表面をXPSで調べた。スパッタリングシステムからXPSチャンバへの膜の移動中に最上層が汚染または酸化する可能性があるため、XPS測定中、サンプルをアルゴン(速度:約1オングストローム/秒(約0.1nm/秒))によってスパッタリングした。スパッタリング前に、酸化したTiNに割り当てられ得る396eV、400eV(N 1s)及び557eV(Ti 2p)のピークが観察された。約1nmの除去後、これらのピークは、TiN、397eV(N 1s)及び455eV(Ti 2p)に関連するピークによって置き換えられた(図14A及び図14Bを参照)。スパッタリングが継続するにつれて、N 1sピークの強度が減少し、TiNピークと金属Tiピークとの間の緩やかな移行が観察された。シリコン信号が検出されるまでスパッタリングを継続した。スパッタリング時間に伴う計算された窒素の原子濃度の変化(図15)から、Tiを窒素プラズマに曝露することによって形成されるTiN層の厚さは約10nmであると推定された。このような薄い厚さは、工業用プラズマ窒化で見られるものと同様に、Ti金属中への窒素の拡散によって厚さが決定されることを示唆している。
【0232】
AFMマッピングにより、TiNの形成には検出可能な表面の平滑化が伴うことが明らかになった(図2D)。成膜したTi膜の平均表面粗さは1.1nmであったが、窒素プラズマとの反応により、粗さは(Al、Sc)Nの成長に適した0.68nmまで減少した。
【0233】
実施例9
【0234】
AlScNの反応性スパッタリング
【0235】
Al0.75Sc0.25Nの薄膜を、50×10nmの(001)でテクスチャ化されたTiによってコーティングされた両方のタイプの基板(Si及びD263ガラス)上に成膜した。Tiシード層の成膜後に真空を破壊することなく、基板をスパッタリングチャンバ内で673±10Kに加熱し、金属合金ターゲットAl0.75Sc0.25からの反応性DCスパッタリングを窒素/アルゴンプラズマ中で30分間行った。その後、所望の膜厚2~3μm、成膜速度3.5~4nm/分に応じて、成膜プロセスを523Kで8~13時間継続した(図3D、3B)。基板(100)-SiまたはD263ホウケイ酸ガラスに関係なく、最大3μmの厚さの膜が生成された(表2、図16A~D及び図17)。
【0236】
Al0.75Sc0.25N膜のXRDパターンには、(002)回折ピークのみが含まれていた。このピーク(2θ≒35.5°)について収集された極点図の半値全幅(FWHM)は、両方の基板に対し、すべての方位角方向についてΔ2θ≒0.31±0.02°である(図16A、16B及び図17A、17B)。
【0237】
膜表面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像には、平均横径約85~100nmの小石状粒子が示されている(図16C図17C)。5枚のSiウェハの反復測定から測定されたように、表面の汚染及び誤って配向された粒子は面積の6%未満を占めている。膜品質は、スパッタリングされた(Al、Sc)Nに対して典型的な圧縮応力の緩和を促進するために導入された100nm厚のAl層の存在による影響を受けないことがわかった(図18)。Al応力緩和の有無にかかわらず、すべての膜の圧縮応力はウェハ曲率の変化から計算すると100MPa未満であり、Ti\TiNシード層が低い成膜応力をもたらすことを示している。EDS元素マッピングは、Al及びScの均一な分布を示している(図19)。
【0238】
実施例10
【0239】
焦電測定
【0240】
極軸が基板に向かって向いているか、基板から離れているかを判断するために、すなわち[001]と[001´]との配向を区別するために、PTC及びXPSベースの方法で焦電効果を測定した。PTC測定により、焦電係数はα=-13.9±0.1[μC/mK](図20)であり、この組成(25%Sc)について既に報告されている値に近いことが明らかになった。直径2mmの黒色ペイントでコーティングされた上部Ti電極を使用して焦電測定用に調製されたサンプルの概略図については、図21も参照されたい。
【0241】
誤差関数フィッティングから焦電係数αfを計算する場合、以下の点に注意されたい。誤差関数にフィットする焦電流jは、以下の数式によって与えられる。
【0242】
【数5】
【0243】
パラメータj=(Fα)/(c(d+δ))であり、式中、F=0.3778ワットはサンプルに適用される実効レーザ出力であり、αは焦電係数であり、cはSiウェハの熱容量である1.64x106ジュール/K・mであり、ウェハの厚さはd=280μmであり、δ=2μmは(Al、Sc)N層の厚さである。
【0244】
ただし、この場合におけるαは負である。XPS測定では、加熱するとN 1sピークがより低いエネルギーにシフトし、逆もまた同様であり(図22)、焦電応答が負であることをさらに裏付けている。焦電応答の符号は、膜が[001]配向していること、すなわち上面がAl終端していることを示唆している。これは、すべてがN末端化した不活性金属シード層上で成長した膜に関する先の報告とは対照的である。本研究における、生成した膜がAl終端しているという事実は、(Al、Sc)Nウルツ鉱型構造の成長がTiNのN終端面から始まるという提案された核形成機構と一致する。
【0245】
実施例11
【0246】
圧電測定
【0247】
平均して、カンチレバーのひずみデータから推測される横方向の圧電係数はe31=1.65±0.13C/mであった。この値は、同一のSc濃度(25mol%のSc)の、厚さ1μm未満の膜について文献で報告されている値と類似している(図23参照)。平均して、カンチレバーのひずみデータから推測される横方向の圧電係数はe31=2.33±0.16C/m Sc濃度(30mol% Sc)であった。したがって、厚みが増加しても圧電係数が劣化することはない。図23は、上部と下部とのTi電気接点間のSiウェハ上に成膜されたサンプルASN1(表2参照)についての準静的な(0.1Hz)、室温での、応力対電界依存性を示している。面内応力は、ウェハ及び薄膜の機械的特性の知識に加え、カンチレバーの平面に対して垂直に印加された電界に応じたカンチレバー(基板)のひずみによって定量化された。0.5~1.5MV/mでは、非常に弱い1~20nAの電流が検出されることがわかる。
【0248】
実施例12
【0249】
テクスチャ化された(001)Ti及び立方晶系(111)TiNのXRDスペクトル及び極点図
【0250】
(001)配向したTi上でのTiN形成の性質を検証するために、TiN層をSi及びD263上に成膜した。最初に、基板を同一のTi層でコーティングした。次に、真空を破壊することなく、基板をスパッタリングチャンバ内で673±10Kに加熱し、金属Tiからの反応性DCスパッタリングを80/20%の窒素/アルゴン中で10分間行った。10分間の核形成段階の後、成膜を523Kでさらに10分間続けた。得られたTiN膜は、下層のTi(002)膜上で好ましい(111)テクスチャ(2θ=36.8°)を示した(図24A及び24B)。対応するTi(002)及びTiN(111)ブラッグ角ピークの極点図は、この概念を裏付けるものである(図24C及び24D)。同一のTiN膜をTiシードなしで基板上に成膜した場合、得られたTiN膜は配向されておらず、Tiの重要性が強調されていることに留意すべきである。
【0251】
実施例13
【0252】
窒化チタンの成膜
【0253】
窒化チタン膜を、Si及びD263ホウケイ酸ガラス上の50nm厚のTi上に成膜した。基板の洗浄プロセスは上記のプロセスと同じであった。膜は、2インチ(約5.08cm)の(純度99.999%)Ti金属ターゲット(Abletarget社、中国)に150Wの電力を加えた反応性DCスパッタリングによって成膜されました。チャンバ圧力は5mTorr(約0.67Pa)、ガス流量はアルゴン5cc/分及び窒素20cc/分であった。成膜温度を10分間623Kに設定し、その後さらに10分間523Kに下げた。
【0254】
実施例14
【0255】
膜厚3μmのAlScNの成膜
【0256】
以下では、完全に[00l]テクスチャ化されたAl75、Sc25Nの厚さ3μmの膜を成膜するためのプロトコルについて説明する。このプロセスでは、スパッタリングされたTi薄膜がほぼ100%(001)テクスチャ化されたα相(HCP)であるという事実を利用する。(Al、Sc)Nの反応性スパッタリング中のTiと窒素プラズマとの間の反応により、厚さ10nm未満のTiNシード層が形成される。TiNは薄すぎてXRDでは検出できないが、TiNの存在はXPSによって確実に検出することができる。(001)テクスチャ化されたα-TiはAl75、Sc25Nにとって良好な基板ではないがTiNと同じ膜層であるという事実は、TiNが(111)配向であることを強く示唆している。その結果、シード層とAl75、Sc25Nとの間の格子不整合が3.7%に減少する。この仮定は、他の報告とは対照的に、今回の研究で生成されたAl75、Sc25N膜は[001]ではなく[001´]に配向しているという事実によって裏付けられており、これは成長がN-窒素層から始まることを意味している。
【0257】
提案された技術の重要な利点は、本明細書でSiウェハとD263ホウケイ酸ガラスとの両方について実証されているように、成膜条件に適合するアクチュエータやMEMSに対し、一般的に使用される様々な基板に適用できることである。
【0258】
本明細書では本発明の特定の特徴を図示し説明してきたが、当業者であれば多くの修正、置換、変更、及び均等物を想起するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の本来の趣旨に含まれるすべての修正及び変更を網羅するものであることを理解されたい。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図15
図16A
図16B
図16C
図16D
図17A
図17B
図17C
図17D
図18
図19A
図19B
図19C
図19D
図20
図21
図22A
図22B
図23
図24A
図24B
図24C
図24D
【手続補正書】
【提出日】2024-01-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
AlSc1-xN膜の製造方法であって、
基板を提供するステップ(a)と、
前記基板の上に第1のTi層を生成するステップ(b)と、
前記第1のTi層の上にAlScを成膜するステップ(c)と、を有し、
成膜が窒素ガスの存在下で行われることにより(AlSc)N層が生成され、
前記第1のTi層と前記(AlSc)N層との間にTiN層が形成される、方法。
【請求項2】
前記ステップ(b)~前記ステップ()が、スパッタリングチャンバ内でのスパッタリングによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップ()が、前記第1のTi層を窒素ガスに曝露することにより前記TiN層を形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップ(c)が、25℃~600℃の範囲の温度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
0.57≦x≦1である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記Al Sc 1-x Nが、Al 0.80 Sc 0.20 N、Al 0.75 Sc 0.25 NまたはAl 0.7 Sc 0.3 Nである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記Al Sc 1-x N層の厚さが0.8μmより大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ステップ(b)の前に、前記基板が洗浄される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記洗浄が、
有機または無機溶媒、
有機酸または無機酸、及び/または
ガスプラズマ、の使用を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ステップ(b)は室温で行われる、
前記ステップ(c)は25℃~400℃の範囲の温度で行われる、または
それらの組み合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ステップ(b)はアルゴン下で行われる、
前記ステップ(c)はアルゴンをさらに含むガス下で行われる、または
それらの組み合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ステップ(b)、前記ステップ(c)またはそれらの任意の組み合わせが、1atm(約1.01×10 Pa)未満の圧力で行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記Al Sc 1-x N層の上に導電性材料を含む最上層を生成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記導電性材料が、Cu、Ag、Au、Pt、Pd、Ni、Al、Ta、Ti、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記最上層がTiを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のTi層及び前記最上層が電極として使用される、請求項13~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記電極が独立して電源に接続される、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のTi層と前記TiN層とを組み合わせた厚さが50~300nmである、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
請求項1に記載の方法によって生成されたTi/TiNの層であって、前記層の厚さが50~300nmである、Ti/TiNの層。
【請求項20】
請求項1に記載の方法によって生成されたAl Sc 1-x N層。
【請求項21】
内部応力が60~300MPaの範囲である、
前記層は、前記基板に対して垂直なc軸(001)を有する、または
それらの組み合わせである、請求項20に記載のAl Sc 1-x N層。
【請求項22】
多結晶のAl Sc 1-x N膜であって、
前記膜の配向は001/002である、
前記膜の圧電係数は1.0C/m ~4.0C/m の範囲である、
前記膜の圧縮応力は5MPa~500MPaの範囲である、または
それらの任意の組み合わせである、多結晶のAl Sc 1-x N膜。
【請求項23】
前記Al Sc 1-x N膜の厚さが0.8μmより大きい、請求項22に記載の多結晶のAl Sc 1-x N膜。
【請求項24】
前記Al Sc 1-x N膜の厚さが0.8μm~10μmの範囲である、請求項22に記載の多結晶のAl Sc 1-x N膜。
【請求項25】
圧電デバイスであって、
基板と、
前記基板の上の第1のTi層と、
前記Ti層と接触するTiN層と、
前記TiNと接触するAl Sc 1-x Nを含む層と、
前記Al Sc 1-x N層の上の導電性材料を含む最上層と、を含む圧電デバイス。
【請求項26】
前記導電性材料が、Cu、Ag、Au、Pt、Pd、Ni、Al、Ta、Ti、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項25に記載の圧電デバイス。
【請求項27】
100Vppまでの電界下で動作可能である、請求項25に記載の圧電デバイス。
【請求項28】
請求項1に記載のAl Sc 1-x N層または請求項25に記載の圧電デバイスを備えるカンチレバー。
【請求項29】
請求項1に記載のAl Sc 1-x Nまたは請求項25に記載の圧電デバイスを備える微小電気機械システム。
【国際調査報告】