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特表2024-518968樹脂用反応性希釈剤としての非有害性モノマー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】樹脂用反応性希釈剤としての非有害性モノマー
(51)【国際特許分類】
   C07C 69/83 20060101AFI20240426BHJP
   C08L 101/02 20060101ALI20240426BHJP
   C08K 5/10 20060101ALI20240426BHJP
   C08L 67/06 20060101ALI20240426BHJP
   C09D 201/02 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
C07C69/83 CSP
C08L101/02
C08K5/10
C08L67/06
C09D201/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569858
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(85)【翻訳文提出日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 EP2022062396
(87)【国際公開番号】W WO2022238282
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】21173128.6
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523425533
【氏名又は名称】エランタス ヨーロッパ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】カイツァ フェルナンデス
(72)【発明者】
【氏名】ザシャ テッター-ケーニヒ
(72)【発明者】
【氏名】ジーモン ロスト
【テーマコード(参考)】
4H006
4J002
4J038
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB46
4H006KA03
4J002AA031
4J002CF211
4J002EH076
4J002EH106
4J002EH146
4J002EK037
4J002EK057
4J002FD147
4J002FD206
4J002GH00
4J002GJ02
4J002GQ01
4J038DD181
4J038DD182
4J038FA022
4J038FA201
4J038PB09
(57)【要約】
本発明は、樹脂組成物のための反応性希釈剤としての化合物、並びに、物品をコーティングするためのこの化合物を含有する樹脂組成物、及び、この樹脂組成物を硬化することによって得られる樹脂に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式に従う、化合物:
C=CH-Z-Y-O-C(=O)-R-(C(=O)O-Y-Z-CH=CH (I)、
式中、
Rは、C~C10アリール基、C~C10シクロアルキル基、C~Cヘテロアリール基、C~Cヘテロシクリル基又はC~C10アルキル基であり、随意に少なくとも1つのアルコール官能基又はアミン官能基で置換されており、
Yは、グリコール繰り返し単位であり、
Zは、独立に、(CH)基又は共有単結合から選択され、
aは、2~10の整数であり、かつ
bは、0~3の整数であり、
ただし、Zが(CH)基であり、bが1であり、かつRがアルコール官能基又はアミン官能基で置換されていない場合、Rは、1位及び3位で置換されている。
【請求項2】
Rが、C~C10アリール基、C~Cヘテロアリール基又はC~C10アルキル基であり、好ましくは、C~C10アリール基又はC~C10アルキル基であり、より好ましくは、フェニル基又はC~Cアルキル基であり、随意にアルコール官能基で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記グリコール繰り返し単位Yが、独立して、エチレングリコール又はプロピレングリコール、好ましくはプロピレングリコール、から成る群から選択される、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
Zが、(CH)基である、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
aが、2~6、好ましくは3~4の、整数である、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
bが、1~2の整数であり、好ましくは1である、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
式(I)の前記化合物が、ジ(3,7,11,15-テトラオキサオクタデク-17-エン-1-イル)イソフタレートである、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項で規定される式(I)に従う化合物の、樹脂組成物のための反応性希釈剤としての、使用。
【請求項9】
前記樹脂が、不飽和樹脂組成物であり、好ましくは、不飽和ポリエステル樹脂組成物、アルキルエステル樹脂組成物、ビニルエステル樹脂組成物、又はアクリル樹脂組成物である、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
下記を含む、樹脂組成物:
a. 請求項1~7のいずれか一項で規定される化合物、
b. 不飽和ベース樹脂
c. 随意の、さらなるベース樹脂、及び、
d. 硬化剤。
【請求項11】
前記樹脂組成物が、不飽和ポリエステル樹脂組成物である、請求項10に記載の樹脂組成物。
【請求項12】
前記不飽和ベース樹脂が、ポリエステルベース樹脂であり、これは、多価アルコール、好ましくはグリコールなどの二価アルコール、及び、ジカルボン酸、例えば、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸、若しくは二量化脂肪酸、好ましくはマレイン酸、若しくはその任意の無水物、例えばマレイン酸無水物若しくはトリメリット酸無水物、好ましくはマレイン酸無水物、又はこれらの任意の組み合わせ、を含有する、請求項10又は11に記載の樹脂組成物。
【請求項13】
請求項10~12のいずれか一項に記載の樹脂組成物を硬化することによって得られる、樹脂。
【請求項14】
請求項10~12のいずれか一項に記載の樹脂組成物の使用であって、物品をコーティングするための、好ましくは電気部品をコーティングするための、使用。
【請求項15】
請求項13に記載の樹脂の使用であって、電気部品を絶縁するための、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂のための反応性希釈剤としての化合物、及びこの化合物を含有しており物品をコーティングするための樹脂組成物、並びにこの樹脂組成物を含むコンパウンドに関する。
【背景技術】
【0002】
電気部品、例えば、電気モータ若しくは変圧器、ケーブル、又は同様のものの巻線、の含浸、コーティング、及び封止(シール)のための樹脂組成物は、従来、浸漬コーティングのような電気工学の分野で知られている方法によって、随意に高温下で、その後のUV又は熱誘導硬化ステップ、ディップコーティング、浸漬圧延、フラッディング、及びポッティング技術を用いて、随意に真空又は圧力の追加の適用を伴って、処理される。
【0003】
電気部品の含浸、コーティング、及び封止の目的は、電気モータ又は変圧器の巻線の機械的安定化、及び、粉塵堆積、コレクタ摩耗、塩、湿度、又は溶媒などの有害な外部影響からのそれらの保護である。これは、これらの電気部品の使用中の機械的損傷を防ぎ、寿命の増加をもたらす。
【0004】
電気部品の含浸、コーティング、及び封止に適した樹脂組成物は、従来、不飽和のアクリル、ビニル若しくはアリルモノマーに希釈された、不飽和ポリエステル、アルキド、エポキシ、シリコーン、又はその混合物をベースとする。これらの不飽和モノマーは、樹脂の非極性溶媒として作用し、樹脂ポリマーの分子量を制限する。
【0005】
樹脂を不飽和のアクリル、ビニル又はアリルモノマーで希釈することは、樹脂組成物の粘度を低下させるために必要である。23℃で20,000mPa・s未満の、樹脂組成物の低い粘度は、均一な厚さの樹脂コーティングを達成するために、トリックリング、ディップコーティング、ロールディッピング又はホットディッピングのような費用効果の高い加工方法の使用に必須である。低い粘度はさらに、樹脂モノマーの増加した拡散をもたらし、これは、樹脂組成物のゲル化を遅らせ、複数の単一成分のより完全な反応を可能にする。その結果、硬度及び引張強度のような硬化樹脂の機械的特性を実質的に改善することができる。
【0006】
不飽和樹脂のために従来使用されている反応性希釈剤の例は、スチレン、アクリレート及びメタクリレートである。これらのモノマーは安価であり、容易に入手可能であり、樹脂組成物の良好粘度を与え、重合が簡単である。
【0007】
スチレン、アクリレート及びメタクリレートなどの従来の反応性希釈剤は、容易に可燃性であり、周囲温度以上で発熱反応において自発的に重合しうる。スチレンは、目及び/又は皮膚との接触において、かつ吸入又は経口摂取に起因して、発癌物質であることが知られている。それは特にヒトの耳及び眼に対して毒性であり、気道を刺激し、その変異原性は雄及び雌の生殖に影響を及ぼすことが疑われる。また、アクリル酸及びメタクリル酸は、目及び/又は皮膚との接触において、かつ吸入又は摂取に起因して、有害であることが知られている。さらに、スチレン、アクリレート及びメタクリレートは、有害な大気汚染物質として分類される。特に、スチレンは、蒸気圧が高く、いわゆる揮発性有機化合物(VOC)である。これらの理由から、これらの樹脂組成物で作業する人々を危害から保護するために、複雑で高価な抽出器及びフィルタシステムが必要とされる。さらに、これらの危険な反応性希釈剤を含有する樹脂組成物の輸送のための特別な準備がなされなければならない。
【0008】
さらに、従来の反応性希釈剤は、ポリマー樹脂と完全には反応せず、したがって、VOCに分類される成分は、特に使用中の電気部品の加温に起因して、硬化した樹脂コーティングから蒸発することがあり、消費者にとって有害である。加えて、未反応モノマーは、樹脂コーティングのさらなる硬化を引き起こすことがあり、その結果、コーティングの望ましくない硬度又はさらには脆性を生じうる。
【0009】
これらの理由から、揮発性が低くかつ有害ではない反応性希釈剤が必要とされ、これは、同時に、低粘度を提供し、及び/又は電気部品の含浸、コーティング、及び封止に適し、かつ硬化の際に、所望の用途に十分な機械的及び熱的安定性を提供する。
【0010】
国際公開第2018/134291号パンフレットには、複数のモノマーから構成されるバインダーに基づく溶剤系防汚組成物が記載されている。少なくとも1つのモノマーは、ポリシロキサンユニットであり、他のモノマーは、付加重合によってポリシロキサンユニットと反応して、海水中で時間の経過とともに加水分解することができるエステル結合を形成することができる必要がある。言及される多くの他のモノマーの1つは、ジ-アリルモノマーである。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、下記の式に従う化合物に関する:
C=CH-Z-Y-O-C(=O)-R-(C(=O)O-Y-Z-CH=CH (I)
式中、
Rは、C~C10アリール、C~C10シクロアルキル、C~Cヘテロアリール、C~Cヘテロシクリル又はC~C10アルキル基であり、随意に少なくとも1つのアルコール又はアミン官能基で置換されており、
Yは、グリコール繰り返し単位であり、
Zは、(CH)基又は共有単結合であり、
aは、2~10の整数であり、
bは、0~3の整数であり、
ただし、Zが(CH)基であり、bが1であり、かつRがアルコール又はアミン官能基で置換されていない場合、Rは、1位及び3位で置換されている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
Rは、好ましくはC~C10アリール、C~Cヘテロアリール又はC~C10アルキル基、好ましくはC~C10アリール又はC~C10アルキル基、より好ましくはフェニル基又はC~Cアルキル基であってよく、随意にアルコール官能基で置換されている。
【0013】
~C10アリール基は、本明細書において、芳香族基、例えば、フェニル、1-ナフチル又は2-ナフチル基、好ましくはフェニル基、であると理解され得る。RがCアリール(フェニル)である場合、1位及び3位における置換は、フェニルが、イソフタル酸におけるように、メタ置換されていることを意味する。
【0014】
~Cヘテロアリール基は、本明細書において、有機主鎖(有機骨格)の一部である1個のヘテロ原子を含有する芳香族基であると理解され得る。ヘテロ原子は硫黄、酸素及び窒素の群からから選択されてよく、好ましくは酸素から選択されてよい。C~Cヘテロアリール基は、好ましくは、チエニル、フリル、ピロリル又はピリジル基、好ましくはフリル基であってよい。
【0015】
~C10アルキル基は、本明細書において、直鎖又は分枝鎖のC~C10アルキル基であると理解され得る。C~C10アルキル基は、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル若しくはデシル基、又はその構造異性体であってよく、好ましくは、メチル、エチル若しくはプロピル基又はその構造異性体であってよく、より好ましくはメチル基であってよい。
【0016】
~C10シクロアルキル基は、本明細書において、5~10個の炭素原子の環サイズを有するシクロアルキル基であると理解され得る。C~C10シクロアルキル基は、好ましくは、C又はCシクロアルキル基であってよい。
【0017】
Rは、随意に、少なくとも1つのアルコール又はアミン官能基で置換されていてもよい。好ましくは、Rは、随意に、1~3個のアルコール又はアミン官能基、好ましくはアルコール官能基で置換されてよく、好ましくは、1個のアルコール又はアミン官能基、好ましくはアルコール官能基、で置換されていてよい。
【0018】
随意に置換されているRは、メタノリル、エタノリル、1-プロパノリル、2-プロパノリル、1-ブタノリル、2-ブタノリル、1-ペンタノリル、2-ペンタノリル、3-ペンタノリル、1-ヘキサノリル、2-ヘキサノリル、3-ヘキサノリル、1-ヘプタノリル、2-ヘプタノリル、3-ヘプタノリル、4-ヘプタノリル、1-オクタノリル、2-オクタノリル、3-オクタノリル、4-オクタノリル、1-ノナノリル、2-ノナノリル、3-ノナノリル、4-ノナノリル、5-ノナノリル、1-デカノリル、2-デカノリル、3-デカノリル、4-デカノリル、5-デカノリル、シクロペンタノリル又はシクロヘキサノリル基であってもよく、好ましくは、エタノリル、1-プロパノリル、2-プロパノリル、1-ブタノリル、2-ブタノリル基であってよく、より好ましくは2-プロパノリル基であってよい。
【0019】
グリコール繰り返し単位Yは、本明細書では、グリコールモノマーの縮合反応から誘導される直鎖オリゴマーであると理解され得る。グリコール繰り返し単位Yは、独立に、エチレングリコール若しくはプロピレングリコール又はそれらの組み合わせ、好ましくはプロピレングリコール、の群から選択することができる。
【0020】
基Zは、(CH)又は共有単結合であってよい。(CH)基は、本明細書において、2つの追加の置換基に連結されているメチレン基であると理解され得る。基Zは、好ましくは(CH)基であってよい。
【0021】
整数aは、2~10、好ましくは2~6、さらにより好ましくは3~4の整数であってよい。
【0022】
整数bは、0~3、好ましくは1~2、さらにより好ましくは1の整数であってよい。
【0023】
式(I)の化合物は、好ましくは、ジ(3,7,11,15-テトラオキサオクタデク-17-エン-1-イル)イソフタレートであってよい。
【0024】
式(I)の化合物、特にジ(3,7,11,15-テトラオキサオクタデク-17-エン-1-イル)イソフタレートは不燃性であり、関連する一般的健康有害性(GHS 07)を有さず、また、内部器官に対して有害(GHS 08)でもないことが見出された。
【0025】
本発明は、また、樹脂組成物のための反応性希釈剤としての、本明細書に記載の式(I)に従う化合物の使用に関する。
【0026】
反応性希釈剤は、そのような反応性希釈剤を含有する不飽和樹脂組成物の重合を促進し得る。反応性希釈剤は、樹脂、好ましくは不飽和樹脂の調製のために使用することができる。
【0027】
反応性希釈剤は、樹脂組成物の他の成分のための非極性溶媒として作用でき、及び/又はそのような反応性希釈剤を含有する不飽和樹脂組成物の粘度を低下させ得る。好ましくは反応性希釈剤を含む、不飽和樹脂組成物の粘度は、20,000mPa・s未満、好ましくは16,000mPa・s未満、より好ましくは14,000mPa・s未満、さらにより好ましくは10,000mPa・s未満であってよく、粘度は23℃で測定される。好ましくは反応性希釈剤を含む、不飽和樹脂組成物の粘度は、23℃で、少なくとも100mPa・s、好ましくは少なくとも500mPa・sであってよい。好ましくは反応性希釈剤を含む、不飽和樹脂組成物の粘度は、20,000mPa・s~100mPa・sの範囲、好ましくは16,000mPa・s~500mPa・sの範囲であってよく、粘度は23℃で測定される。
【0028】
反応性希釈剤は、そのような反応性希釈剤を含有する硬化樹脂の熱安定性をさらに高めることができる。
【0029】
本発明はまた、本明細書に記載の化合物と、不飽和ベース樹脂と、随意にさらなるベース樹脂と硬化剤と、を含む樹脂組成物に関する。
【0030】
樹脂組成物は、本明細書では、硬化の際に樹脂へ反応できる未硬化ポリマー組成物であると理解することができる。硬化は、本明細書では、化学プロセスであると理解されてよく、これは、単一のモノマー又はオリゴマーが互いに反応して三次元ポリマーネットワークを形成する重合反応であり得る。
【0031】
樹脂組成物は、好ましくは不飽和樹脂組成物であってよく、好ましくは不飽和ポリエステル樹脂組成物であってよい。
【0032】
不飽和樹脂組成物は、本明細書では、不飽和結合を含有するポリマー組成物であると理解することができ、これは、不飽和樹脂組成物の他の成分の不飽和結合と、好ましくは反応性希釈剤と、反応することができる。これは、硬化工程中に樹脂組成物内の架橋反応の増大をもたらし得、したがって、硬化した樹脂の特性を改善し得る。
【0033】
不飽和樹脂組成物は、本明細書において、不飽和ポリエステル樹脂組成物であってもよい。
【0034】
不飽和ポリエステル樹脂組成物は、本明細書では、ポリマー組成物であると理解することができ、これは、多価アルコール、好ましくはグリコールなどの二価アルコール、及び、ジカルボン酸、例えば、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸若しくは二量化脂肪酸、好ましくはマレイン酸、又はその任意の無水物、例えば、無水マレイン酸若しくは無水トリメリット酸、好ましくは無水マレイン酸、を含有し得る。
【0035】
樹脂組成物は、不飽和ベース樹脂を含む。不飽和ベース樹脂は、本明細書では、硬化の際に互いに反応して不飽和樹脂を形成するのに適した不飽和モノマー又はオリゴマーを含む組成物であると理解され得る。
【0036】
不飽和ベース樹脂は、ポリエステルベース樹脂であってよく、これは、多価アルコール、好ましくはグリコールのような二価アルコール、及びジカルボン酸、例えば、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸若しくは二量化脂肪酸、好ましくはマレイン酸、又はその任意の無水物、例えば、無水マレイン酸、若しくは無水トリメリット酸、好ましくは無水マレイン酸、を含有し得る。
【0037】
樹脂組成物は、随意に、さらなるベース樹脂を含んでもよい。
【0038】
さらなるベース樹脂は、ビニルエステルベース樹脂、アクリルベース樹脂、シリコーンベース樹脂又はそれらの混合物を含んでもよい。
【0039】
ビニルエステルベース樹脂は、エポキシ樹脂及びアクリル酸又はメタクリル酸を含有していてもよい。アクリル系樹脂は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル(メチルアクリレート)及び/又はメタクリル酸メチル(メチルメタクリレート)を含んでいてもよい。シリコーンベース樹脂は、ポリジメチルシロキサン又はオリゴシロキサンのような重合シロキサンを含有してよい。
【0040】
不飽和ベース樹脂は、必須ではないがさらに、一価アルコール、好ましくはN-(2-ヒドロキシエチル)フタルイミド、及び/又は三価アルコール、好ましくはトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートを含んでもよい。
【0041】
樹脂組成物は、硬化剤をさらに含む。
【0042】
本明細書において、硬化剤は、単一のモノマー又はオリゴマーが互いに反応して三次元ポリマーネットワークを形成する、重合反応を開始する化学化合物であると理解され得る。重合反応は、本明細書では、フリーラジカル重合、カチオン重合又はアニオン重合であってよく、好ましくはフリーラジカル重合であってよい。
【0043】
フリーラジカル重合は、過酸化物官能基を含む化合物によって開始することができ、これは、穏やかな条件下でフリーラジカル種を生成することができ、かつフリーラジカル反応を促進することができる。
【0044】
硬化剤は、tert-ブチルペルオキシベンゾエート(TBPB)、1,1-ジ(tert-ブチルペルオキシ)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン若しくはtert-ブチルクミルペルオキシド又はその混合物であってよく、好ましくはtert-ブチルペルオキシベンゾエート(TBPB)であってよい。
【0045】
硬化剤を含む樹脂組成物の低反応エンタルピーは、均一な硬化反応及び/又は長い貯蔵寿命を促進するので好ましい。硬化剤を含む樹脂組成物の反応エンタルピーは、800Jg-1未満、好ましくは600Jg-1未満、より好ましくは400Jg-1未満であり得る。2重量%の硬化剤、好ましくはTBPB、を含有する反応性希釈剤の反応エンタルピーは、600Jg-1未満、好ましくは300Jg-1未満、より好ましくは150Jg-1未満であり得る。反応エンタルピーは、DSC測定で測定することができる。
【0046】
また、本発明は、上記樹脂組成物を硬化させることにより得られる樹脂に関する。
【0047】
樹脂は、本明細書において、硬化樹脂組成物(硬化した樹脂組成物)であると理解され得る。硬化は、本明細書では、化学プロセスであると理解することができ、これは、単一のモノマー又はオリゴマーが互いに反応して三次元ポリマーネットワークを形成する重合反応であり得る。
【0048】
樹脂は、好ましくは不飽和ポリエステル樹脂組成物であってよく、好ましくはアルキルエステル樹脂組成物、ビニルエステル樹脂組成物又はアクリル樹脂組成物であってよい。
【0049】
不飽和樹脂は、本明細書において、不飽和樹脂組成物の他の成分の不飽和結合と反応した、好ましくは反応性希釈剤と反応した、不飽和結合を含有するポリマー組成物であると理解され得る。これは、樹脂内の架橋の増加をもたらし得、したがって、樹脂の特性を改善し得る。
【0050】
不飽和樹脂は、本明細書では、不飽和ポリエステル樹脂であってもよい。
【0051】
不飽和ポリエステル樹脂は、本明細書において、ポリマー組成物であると理解することができ、これは、多価アルコール、好ましくはグリコールのような二価アルコールと、ジカルボン酸、例えば、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸、若しくは二量化脂肪酸、好ましくはマレイン酸、又はその任意の無水物、例えば、無水マレイン酸、若しくは無水トリメリット酸、好ましくは無水マレイン酸、との縮合反応から誘導されうる。
【0052】
不飽和樹脂は、好ましくは、不飽和ポリエステルベース樹脂から誘導されてよく、これは、多価アルコール、好ましくはグリコールのような二価アルコール、及びジカルボン酸、例えば、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸若しくは二量化脂肪酸、好ましくはマレイン酸、又はその任意の無水物、例えば、無水マレイン酸若しくは無水トリメリット酸、好ましくは無水マレイン酸、を含有してよく、ビニルエステルベース樹脂から誘導されてよく、これは、エポキシ樹脂及びアクリル酸又はメタクリル酸を含有してよく、又はアクリルベース樹脂から誘導されてよく、これは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル(メチルアクリレート)及び/又はメタクリル酸メチル(メチルメタクリレート)を含有してよく、又はシリコーンベース樹脂から誘導されてよく、これは、重合シロキサン、例えば、ポリジメチルシロキサン若しくはオリゴシロキサン又はそれらの混合物を含有してよく、より好ましくは不飽和ポリエステルベース樹脂から誘導され得る。
【0053】
本発明は、また、物品、好ましくは電気部品、をコーティングするための、本明細書に記載の樹脂組成物の使用に関する。
【0054】
当業者は、物品のコーティング方法を知っている。コーティングの非限定的な例は、スプレーコーティング、ロールツーロールコーティング、ディップコーティング、スピンコーティング、トリックリング、ロールディッピング又はホットディッピングなどを含む。コーティングは、本明細書では、部分コーティングであると理解され、例えば、物品の表面の、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%のコーティング、より好ましくは少なくとも80%のコーティングであると理解され、又は、物品の完全なコーティング、すなわち、物品の表面の100%、として理解される。
【0055】
物品は、電気部品であってよく、例えば、電気モータ又は変圧器、ケーブルなどの巻線であってよい。
【0056】
本明細書に記載の樹脂は、電気部品を絶縁するために使用できる。不飽和樹脂、特に不飽和ポリエステル樹脂を有する絶縁電気部品のための組成物中における本発明に係る反応性希釈剤は、不飽和ポリエステル樹脂をベースとする既知の絶縁電気部品よりも高い熱指数を有する硬化組成物をもたらすことが見出された。また、本発明に係る反応性希釈剤を含む電気部品を絶縁するための組成物の、自動車オイルに対する耐性は、電気部品を絶縁するための公知の組成物よりも良好である。
【0057】
以下では本発明を説明するためにいくつかの実施例を示すが、それらは本発明の範囲を限定することを意味するものではない。本発明の他の実施形態は、本明細書の一般的な教示及び以下の実施例に基づいて容易に調製することができる。
【0058】
測定方法
【0059】
粘度
種々の材料の粘度を、DIN 53019に従って、Physica Rheometer Z3を用いて測定した。
(予想)粘度が1000mPa・s超の比較的高い粘性の材料又は流体材料については、23°C、剪断速度12.9s-1で計測を行い、予想粘度が1000mPa・s以下のより比較的低い材料については、剪断速度90s-1で、測定を行う。試験の前に、試料は、可能な限り気泡を含まない必要がある。測定値は、ミリパスカル秒(mPa・s)で指定する。
【0060】
温度指数
温度指数は、IEC 60455-2の項目6.5.10に従って測定した。
【0061】
自動車オイルに対する耐性
自動車オイルに対する耐性は、IEC 60455-2の項目6.5.2に従って、異なる等級のフックス油(Fuchsオイル)を用いて測定した。この試験では、金属板を樹脂でコーティングし、この樹脂を硬化させ、このコーティングされた金属板を秤量する。その後、このコーティングされた金属板を、指定された時間、オイル中に浸漬する。次いで、このコーティングされた金属板をオイルから取り出し、乾燥させ、再び秤量する。重量の増加は、コーティングが、おそらく膨潤によって、オイルの一部を吸収したことを意味しており、低下は、コーティングが劣化したことを意味する。重量変化が小さいほど、コーティングは、オイルに対してより耐性がある。
【実施例
【0062】
実施例1:ジアリルイソフタレートエステルの調製
1molのジメチルイソフタレートを、0.2% w/wのジブチルスズオキシドの存在下、窒素下において、140℃で、2.5molの、3.5の繰り返し単位を有するポリグリコールアリルアルコールと反応させる。反応の間、生成したメタノールは、60~65℃のカラム温度での蒸留によって絶えず除去される。エステル交換プロセスは、180℃まで絶えず上昇する温度下で継続される。エステル交換プロセスを完了した後、窒素をオフにし、-980mbarの圧力に達するまで真空をゆっくり適用する。90℃のカラム温度で、メタノール及び過剰のポリグリコールアリルアルコールを除去する。最終生成物をガスクロマトグラフィー-質量分析(GC-MS)及び核磁気共鳴(NMR)分光法により分析したところ、ジ(3,7,11,15-テトラオキサオクタデク-17-エン-1-イル)イソフタレートを主成分とする生成物が示され、収率96.9%であった。
【0063】
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)は、ジ(3,7,11,15-テトラオキサオクタデク-17-エン-1-イル)イソフタレートの理論値に一致する650Daの平均分子量を示した。
【0064】
実施例2:ジアリルイソフタレートエステルの特性及び安定性
実施例1で調製したジアリルイソフタレートエステルは、室温(25℃)で安定な液体であり、23℃で粘度50mPa・sを有し、かつ水蒸気圧0.1hPa未満を有し、したがって非VOC溶媒であると考えられる。
【0065】
実施例1で調製したジアリルイソフタレートエステルを室温(25℃)で1年間保存して、その安定性を確認した。ジアリルイソフタレートエステルを2重量%の硬化剤(tert-ブチルペルオキシベンゾエート(TBPB))と混合した後、系の反応エンタルピーは、新たに調製されたジアリルイソフタレートエステルと比較して変化しないままである。
【0066】
系の粘度は安定であり、沈降又はゲル化は観察されなかった。新たに調製されたジアリルイソフタレートエステルは、23℃で55mPa・sの粘度を示し、一方、貯蔵されたジアリルイソフタレートエステルは、貯蔵後23℃で50mPa・sの粘度を示す。
【0067】
以下の実験では、異なるベース樹脂を、阻害剤及び開始剤と共に、反応性希釈剤として使用される本発明による化合物と混合する。比較例は、代替的な、従来使用されているメタクリル系又はアクリル系の反応性希釈剤を使用することによって与えられる。
【0068】
実施例3
不飽和ベース樹脂1:
N-(2-ヒドロキシエチル)フタルイミド、無水マレイン酸、ジシクロペンタジエン(DCPD)、トリグリコール及びプロパンジオール。
【0069】
試験組成1(本発明による)
71.98%の不飽和ベース樹脂1を、25%のジアリルイソフタレートエステル、0.02%の阻害剤及び3%の開始剤と混合する。得られた樹脂組成物は、23℃で10000~14000mPa・sの粘度を有し、120℃で15分未満のゲル化時間を有する。
【0070】
比較組成1(メタクリル系反応性希釈剤)
69.2%の不飽和ベース樹脂1を、26.2%のメタクリル系反応性希釈剤、0.05%の阻害剤、4.5%の開始剤と混合する。得られた樹脂組成物は、23℃で18000~22000mPa・sの粘度を有し、120℃で10分未満のゲル化時間を有する。
【0071】
実施例4
不飽和ベース樹脂2
N-(2-ヒドロキシエチル)フタルイミド、無水マレイン酸、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(THEIC)、ジエチレングリコール及びプロパンジオール。
【0072】
試験組成2(本発明による)
58%の不飽和ベース樹脂2を、40%のジアリルイソフタレートエステル、0.15%の阻害剤(10%のp-ベンゾキノン溶液及びジ-tert-ブチル-p-クレゾール)、3%の硬化剤(TBPB)、1,1-ジ(tert-ブチルペルオキシ)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン及びtert-ブチルクミルペルオキシド及び0.52%の添加剤(可塑剤としてのエポキシ化大豆油及びレベリング剤としてのポリアクリレートベース)と混合する。得られた樹脂組成物は、23℃で7000~11000mPa・sの粘度を有し、120℃で10分未満のゲル化時間を有する。
【0073】
比較組成2(アクリル系反応性希釈剤)
60%不飽和ベース樹脂2を、39%アクリレートモノマー混合物(7.5%トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、10%ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート(PEGDMA)及び21.5%トリ(エチレングリコール)ジメタクリレート(TEGDMA))、0.2%阻害剤(10% p-ベンゾキノン溶液)、0.99%硬化剤(TBPB)及び0.53%添加剤(可塑剤としてのエポキシ化大豆油及びレベリング剤としてのポリアクリレートベース)と混合する。得られた樹脂組成物は、23℃で6000~9000mPa・sの粘度を有し、120℃で10分未満のゲル化時間を有する。
【0074】
実施例5
不飽和ベース樹脂3:
無水トリメリット酸、無水マレイン酸、N-(2-ヒドロキシエチル)フタルイミド及びネオペンチルグリコール。
【0075】
試験組成3(本発明による)
52.5%不飽和ベース樹脂3を、43%のジアリルイソフタレートエステル、0.26%の阻害剤(10%のp-ベンゾキノン溶液及びジ-tert-ブチル-p-クレゾール)、1.5%の硬化剤及び1.9%の添加剤(可塑剤としてのエポキシ化大豆油)と混合する。得られた樹脂組成物は、23℃で8000~12000mPa・sの粘度を有し、120℃で12分未満のゲル化時間を有する。
【0076】
比較組成3(アクリル系反応性希釈剤)
48%不飽和ベース樹脂3を、50%アクリレートモノマー混合物(6% PEGDMA及び44%TEGDMA)、0.12%阻害剤(10%p-ベンゾキノン溶液及びジ-tert-ブチル-p-クレゾール)、2.1%硬化剤、0.012%促進剤(オクタン酸マンガン)及び2.1%添加剤(可塑剤としてのエポキシ化大豆油)と混合する。得られた樹脂組成物は、23℃で1600~2000mPa・sの粘度を有し、120℃で3~7分のゲル化時間を有する。
【0077】
以下の比較実験では、スチレンを反応性希釈剤として使用し、かつ異なるベース樹脂と組み合わせて使用する。
【0078】
実施例6
比較組成4(反応性希釈剤としてのスチレン)
比較試験組成物3は、2成分系であり、成分Aが、54.6%の不飽和ベース樹脂3、43.14%のスチレン、0.27%の阻害剤(10%のp-ベンゾキノン溶液及びジ-tert-ブチル-p-クレゾール)及び2%の硬化剤(TBPB)を含み、成分Bが、54.6%の不飽和ベース樹脂3、38.2%のスチレン、0.25%の阻害剤(10%のp-ベンゾキノン溶液及びジ-tert-ブチル-p-クレゾール)及び2.15%のアセチルアセトナトを含む。得られた樹脂組成物は、23℃で115~135mPa・sの粘度を有し、100℃で5~7分のゲル化時間を有する。
【0079】
実施例7
不飽和ベース樹脂4:
N-(2-ヒドロキシエチル)フタルイミド、無水マレイン酸、THEIC、二量化脂肪酸、及びネオペンチルグリコール。
【0080】
比較組成5(反応性希釈剤としてのスチレン)
34.4%の不飽和ベース樹脂3を、32.3%の不飽和ベース樹脂4、33.4%のスチレン、0.17%の阻害剤(10%のp-ベンゾキノン溶液及びジ-tert-ブチル-p-クレゾール)及び1%の硬化剤(TBPB)と混合する。得られた樹脂組成物は、23℃で500~540mPa・sの粘度を有し、100℃で32~39分のゲル化時間を有する。
【0081】
実施例8:樹脂組成物の特性
実施例3~7に記載の樹脂組成物を、120℃で1時間、及び160℃で2時間、硬化させた。その後、すべての樹脂組成物を、それらの熱的、機械的、電気的及び化学的抵抗の特性について試験した。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
実施例9:熱指数
ヘリカルコイルを用いた熱指数(TI)は、いくつかの材料についてIEC 60455-2に従って測定した。結果を表3に示す。
【0085】
【表3】
【0086】
実施例10:自動車オイルに対する耐性
自動車オイルに対する耐性は、いくつかの材料についてIEC 60455-2に従って測定した。結果を表3に示す。
【0087】
【表4】
【手続補正書】
【提出日】2023-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0087】
【表4】
本開示に係る発明は、下記の態様を含む:
<態様1>
下記の式に従う、化合物:
C=CH-Z-Y -O-C(=O)-R-(C(=O)O-Y -Z-CH=CH (I)、
式中、
Rは、C ~C 10 アリール基、C ~C 10 シクロアルキル基、C ~C ヘテロアリール基、C ~C ヘテロシクリル基又はC ~C 10 アルキル基であり、随意に少なくとも1つのアルコール官能基又はアミン官能基で置換されており、
Yは、グリコール繰り返し単位であり、
Zは、独立に、(CH )基又は共有単結合から選択され、
aは、2~10の整数であり、かつ
bは、0~3の整数であり、
ただし、Zが(CH )基であり、bが1であり、かつRがアルコール官能基又はアミン官能基で置換されていない場合、Rは、1位及び3位で置換されている。
<態様2>
Rが、C ~C 10 アリール基、C ~C ヘテロアリール基又はC ~C 10 アルキル基であり、好ましくは、C ~C 10 アリール基又はC ~C 10 アルキル基であり、より好ましくは、フェニル基又はC ~C アルキル基であり、随意にアルコール官能基で置換されている、態様1に記載の化合物。
<態様3>
前記グリコール繰り返し単位Yが、独立して、エチレングリコール又はプロピレングリコール、好ましくはプロピレングリコール、から成る群から選択される、態様1又は2に記載の化合物。
<態様4>
Zが、(CH )基である、態様1~3のいずれか一項に記載の化合物。
<態様5>
aが、2~6、好ましくは3~4の、整数である、態様1~4のいずれか一項に記載の化合物。
<態様6>
bが、1~2の整数であり、好ましくは1である、態様1~5のいずれか一項に記載の化合物。
<態様7>
式(I)の前記化合物が、ジ(3,7,11,15-テトラオキサオクタデク-17-エン-1-イル)イソフタレートである、態様1~6のいずれか一項に記載の化合物。
<態様8>
態様1~7のいずれか一項で規定される式(I)に従う化合物の、樹脂組成物のための反応性希釈剤としての、使用。
<態様9>
前記樹脂が、不飽和樹脂組成物であり、好ましくは、不飽和ポリエステル樹脂組成物、アルキルエステル樹脂組成物、ビニルエステル樹脂組成物、又はアクリル樹脂組成物である、態様8に記載の使用。
<態様10>
下記を含む、樹脂組成物:
a. 態様1~7のいずれか一項で規定される化合物、
b. 不飽和ベース樹脂
c. 随意の、さらなるベース樹脂、及び、
d. 硬化剤。
<態様11>
前記樹脂組成物が、不飽和ポリエステル樹脂組成物である、態様10に記載の樹脂組成物。
<態様12>
前記不飽和ベース樹脂が、ポリエステルベース樹脂であり、これは、多価アルコール、好ましくはグリコールなどの二価アルコール、及び、ジカルボン酸、例えば、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸、若しくは二量化脂肪酸、好ましくはマレイン酸、若しくはその任意の無水物、例えばマレイン酸無水物若しくはトリメリット酸無水物、好ましくはマレイン酸無水物、又はこれらの任意の組み合わせ、を含有する、態様10又は11に記載の樹脂組成物。
<態様13>
態様10~12のいずれか一項に記載の樹脂組成物を硬化することによって得られる、樹脂。
<態様14>
態様10~12のいずれか一項に記載の樹脂組成物の使用であって、物品をコーティングするための、好ましくは電気部品をコーティングするための、使用。
<態様15>
態様13に記載の樹脂の使用であって、電気部品を絶縁するための、使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式に従う、化合物:
C=CH-Z-Y-O-C(=O)-R-(C(=O)O-Y-Z-CH=CH (I)、
式中、
Rは、C~C10アリール基、C~C10シクロアルキル基、C~Cヘテロアリール基、C~Cヘテロシクリル基又はC~C10アルキル基であり、随意に少なくとも1つのアルコール官能基又はアミン官能基で置換されており、
Yは、グリコール繰り返し単位であり、
Zは、独立に、(CH)基又は共有単結合から選択され、
aは、2~10の整数であり、かつ
bは、0~3の整数であり、
ただし、Zが(CH)基であり、bが1であり、かつRがアルコール官能基又はアミン官能基で置換されていない場合、Rは、1位及び3位で置換されている。
【請求項2】
Rが、C~C10アリール基、C~Cヘテロアリール基又はC~C10アルキル基であり、好ましくは、C~C10アリール基又はC~C10アルキル基であり、より好ましくは、フェニル基又はC~Cアルキル基であり、随意にアルコール官能基で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記グリコール繰り返し単位Yが、独立して、エチレングリコール又はプロピレングリコール、好ましくはプロピレングリコール、から成る群から選択される、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
Zが、(CH)基である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項5】
aが、2~6、好ましくは3~4の、整数である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項6】
bが、1~2の整数であり、好ましくは1である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項7】
式(I)の前記化合物が、ジ(3,7,11,15-テトラオキサオクタデク-17-エン-1-イル)イソフタレートである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1又は2で規定される式(I)に従う化合物の、樹脂組成物のための反応性希釈剤としての、使用。
【請求項9】
前記樹脂が、不飽和樹脂組成物であり、好ましくは、不飽和ポリエステル樹脂組成物、アルキルエステル樹脂組成物、ビニルエステル樹脂組成物、又はアクリル樹脂組成物である、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
下記を含む、樹脂組成物:
a. 請求項1又は2で規定される化合物、
b. 不飽和ベース樹脂
c. 随意の、さらなるベース樹脂、及び、
d. 硬化剤。
【請求項11】
前記樹脂組成物が、不飽和ポリエステル樹脂組成物である、請求項10に記載の樹脂組成物。
【請求項12】
前記不飽和ベース樹脂が、ポリエステルベース樹脂であり、これは、多価アルコール、好ましくはグリコールなどの二価アルコール、及び、ジカルボン酸、例えば、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸、若しくは二量化脂肪酸、好ましくはマレイン酸、若しくはその任意の無水物、例えばマレイン酸無水物若しくはトリメリット酸無水物、好ましくはマレイン酸無水物、又はこれらの任意の組み合わせ、を含有する、請求項10に記載の樹脂組成物。
【請求項13】
請求項10に記載の樹脂組成物を硬化することによって得られる、樹脂。
【請求項14】
請求項10に記載の樹脂組成物の使用であって、物品をコーティングするための、好ましくは電気部品をコーティングするための、使用。
【請求項15】
請求項13に記載の樹脂の使用であって、電気部品を絶縁するための、使用。
【国際調査報告】