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特表2024-518974キャビティ内に嵌め込まれた採血管または円筒状容器を保持しその回転を限定するためのデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】キャビティ内に嵌め込まれた採血管または円筒状容器を保持しその回転を限定するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20240426BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
G01N35/04 H
G01N35/02 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569996
(86)(22)【出願日】2022-05-06
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 EP2022062363
(87)【国際公開番号】W WO2022238269
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】2105057
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508328800
【氏名又は名称】ディアグノスチカ・スタゴ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ・ラガルド
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CB15
2G058CD21
2G058CF01
2G058CF09
2G058GC02
2G058GC05
(57)【要約】
本発明は、容器上に直接印刷されたもしくは容器に対して貼付されたラベル上の識別コードのまたは情報の自動読取りを行うために生物容器を定位置に保持するための弾性リングデバイスに関する。さらに具体的には、本発明は、自動化システムを通過する採血試料管のおよびさらには他のタイプの生物由来物質容器の自動識別に該当する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静止位置にあるキャリア(PS)または移動中のキャリア(PD)のセル内の円筒状レセプタクル(T)を位置決めするおよび前記円筒状レセプタクル(T)の回転を防止するためのデバイスであって、
前記デバイスは、管の壁部上の情報を読み取るまたは前記管内部の測定を行う場合に前記円筒状レセプタクルの正確な位置決めを確保するために、ウェッジング変形可能ブレード(L)の原理を利用して前記円筒状レセプタクル(T)の回転を防止するように、前記円筒状レセプタクル(T)をセンタリングするおよび定位置に保持するための1つまたは複数のインサート(I)を使用することを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
前記インサート(I)は、ある方向への回転を防止するウェッジング固定機能と、逆方向へのガイダンス機能とを実現するように、選択的方向に配向された変形可能ブレード(L)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記インサート(I)は、前記キャリア(PSまたはPD)内にこれを目的として用意されたキャビティ(C)内に嵌入することを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記変形可能ブレード(L)の形状および摩擦係数が、ある回転方向(時計回り方向または反時計回り方向)においてウェッジング固定機能を実現し、逆の回転方向(反時計回り方向または時計回り方向)において自由移動機能を実現することを特徴とする、請求項2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記変形可能ブレード(L)の形状および剛性により、前記変形可能ブレードがウェッジング固定の最中に前記ブレード上へと折り返されることが防止されることを特徴とする、請求項2に記載のデバイス。
【請求項6】
前記変形可能ブレード(L)の形状および仕上げにより、前記円筒状レセプタクル(T)の鉛直方向摺動が助長されて、関連する挿入力および除去力が限定されることを特徴とする、請求項2に記載のデバイス。
【請求項7】
典型的に4つの変形可能ブレード(L)が存在するが、要求される回転防止力に応じて寸法設定された任意の偶数または奇数の個数の変形可能ブレードが存在してもよいことを特徴とする、請求項2に記載のデバイス。
【請求項8】
前記変形可能ブレード(L)が、ある方向への回転を可能にし逆方向への回転を防止するために、いずれも同一方向に配向されることを特徴とする、請求項2に記載のデバイス。
【請求項9】
前記変形可能ブレード(L)が、時計回り方向および反時計回り方向の両方において回転を完全に防止するために、相互に逆方向に配向されることを特徴とする、請求項2に記載のデバイス。
【請求項10】
いくつかの変形可能ブレード(L)が、荷重を支持し正確な位置決めを確保するために軸支点によって置換されることを特徴とする、請求項2に記載のデバイス。
【請求項11】
前記インサート(I)は、単一のインサート形状を可逆ロッキング機能部に与えるために、水平方向面に対して完全に対称的であることを特徴とする、請求項2に記載のデバイス。
【請求項12】
前記インサート(I)は、前記キャビティ(C)内において完全に回転自在であり、したがって可変直径および自由回転の管に対してセンタリング機能のみを実現することを特徴とする、請求項2に記載のデバイス。
【請求項13】
前記インサート(I)は、これを目的として用意された前記キャビティ(C)から除去可能であることを特徴とする、請求項3に記載のデバイス。
【請求項14】
前記キャリア(PSまたはPD)内にこれを目的として用意された前記キャビティ(C)は、1つまたは2つのインサートを収容することを可能にすることを特徴とする、請求項3に記載のデバイス。
【請求項15】
前記インサート(I)の鉛直方向移動が、リブにより、または前記キャリア(PSまたはPD)内にこれを目的として用意された前記キャビティ(C)内の軸支面により限定されることを特徴とする、請求項3に記載のデバイス。
【請求項16】
前記インサート(I)の回転が、前記インサート(I)が対接する壁部により限定されることを特徴とする、請求項3に記載のデバイス。
【請求項17】
前記キャビティ(C)は、デカルト座標系の種々の軸に沿って前記インサートを保持するための凹部である、またはそのために形状設定されることを特徴とする、請求項3に記載のデバイス。
【請求項18】
前記キャリア(PSまたはPD)内にこれを目的として用意された前記キャビティ(C)は、1つまたは2つのインサートを収容することを可能にし、リブにより中間部にて区分され得ることを特徴とする、請求項3に記載のデバイス。
【請求項19】
前記インサート(I)は、前記インサートが対称形状を有する場合に、前記キャビティ(C)内において相互に対向側に設置されて両方向への回転を防止することを特徴とする、請求項3に記載のデバイス。
【請求項20】
前記インサート(I)は、プラスチック射出成形または押出成形と切断とにより作製される場合に、自然離型形状を有することを特徴とする、請求項2に記載のデバイス。
【請求項21】
インサートおよび管アセンブリであって、
支持フレームと、
複数の弾性変形可能ブレード(L)であって、前記フレームにより支持され、前記管が前記インサートを貫通して係合された場合に前記管に対接し前記管をクランプ固定するように構成された、複数の弾性変形可能ブレード(L)と
を備える、インサートおよび管アセンブリ。
【請求項22】
前記ブレード(L)のすべてが、前記管の軸を中心として同一の周方向に配向されて、ある方向において逆方向よりも大きい摩擦トルクにより前記管の回転に抵抗する、請求項21に記載のアセンブリ。
【請求項23】
前記ブレード(L)が、相互に逆の周方向へと配向されて、ウェッジング固定により各回転方向において前記管の回転に抵抗する、請求項21に記載のアセンブリ。
【請求項24】
前記ブレード(L)は、前記インサート(I)の全高にわたり延在する、請求項21から23のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項25】
前記ブレード(L)は、前記管と接触状態になる丸みエッジを有する、請求項21から24のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項26】
前記ブレード(L)の厚さが、前記支持フレームに向かって増大する、請求項21から25のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項27】
前記支持フレームは、前記フレームの一方の側に向かって収束する2つの外方面を有する、請求項21から26に記載のアセンブリ。
【請求項28】
前記フレームの第1の側部に向かって収束し前記フレームの両側部のそれぞれに連結する2つの第1の傾斜ブレードと、前記第1の側部の対向側の前記フレームの側部に対して連結する第3のブレードとを備え、前記管の外周部が、2つの前記第1のブレードおよび前記第3のブレードに対接する、請求項21に記載のアセンブリ。
【請求項29】
同一の周方向に配向された5つのブレードを備え、2対のブレードが、それぞれ対向側部に配置され、1つのブレードが、前記2つの側部を連結する1つの側部上に位置する、請求項21に記載のアセンブリ。
【請求項30】
前記インサート(I)と、前記インサートを受けるための少なくとも1つのキャビティ(C)とを有するキャリアであって、前記インサートが、
支持フレームと、
複数の変形可能ブレード(L)であって、前記フレームにより支持され、前記管が前記インサートを貫通して係合された場合に前記管に対接し前記管をクランプ固定するように構成された、複数の変形可能ブレード(L)と
を備える、キャリア。
【請求項31】
前記キャビティの上方に前記管のための少なくとも1つの通路を備える、請求項30に記載のキャリア。
【請求項32】
横並びに配置された複数のキャビティを備える、請求項30または31に記載のキャリア。
【請求項33】
上方に開口する管(T)のための受けゾーンを画定する管輸送ラック(100)内に少なくとも1つの管(T)を配置するための方法であって、前記ラック(100)は、請求項30から32のいずれか一項に記載の複数のキャリアを備え、前記管(T)は、対応するインサート(I)が前記管(T)に作用し、前記管(T)の長手方向軸を中心とした一方向または両方向への前記管の回転を防止するように、前記受けゾーン内に挿入される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の容器を輸送するための個別のキャリアまたはラックの中において、様々な方法で位置決めされた弾性リングシステムを利用して血液分析管または生物由来物質バイアルを保持するためのデバイスおよび方法に関する。これらのリングは、キャリア内においてこれらの容器を初期位置に配向された状態に経時的に保持する。これらのリングは、管キャリアまたはバイアルキャリアの中に配置されたインサートの形態で提供され、種々のアセンブリ構成により、所要に応じて保持機能を適合化することができる。
【0002】
本発明は、医学分析管を鉛直方向に保持することと、前記管が位置決めされるキャビティ内へのこれらの管の挿入および除去を可能にしつつキャリア内における医学分析管の回転を防止することとに、非排他的に該当する。管を定位置に保持するためのこの方法の利用の中の1つは、液体生成物または固体生成物の生物学的試料分析管または生物学的試料分析バイアルのラベル上に記載された情報の読取りに関する。
【0003】
利用可能な情報は、OCRにより読み取られる媒体上に印刷された文字の形態か、またはリーダにより読み取られるバーコードの形態である。また、他の情報は、容器の状態と、容器内の液体要素または固体要素の特徴の測定値とに関するものであってもよく、かかる計測値は、特定の位置決めを必要とする。
【背景技術】
【0004】
本発明は、直接容器の上にまたは容器に対して付着されたラベルの上に印刷された識別コードまたは情報の自動読取りを行うために生物学的容器を定位置に保持するための方法およびデバイスに関する。
【0005】
さらに詳細には、本発明は、血液試料採取管の自動識別と、さらには自動システム上を通過する他のタイプの生物由来物質容器とに関する。血液試料は、主に全血、または血漿が上方部分に位置する状態の遠心分離された血液の形態で試験管内にパッケージングされる。
【0006】
これらの血液試料は、分析を目的とするものであり、患者記録と確実に対応しなければならない。識別コードが、診断作業の適切な実施に必要なトレーサビリティおよび情報転送を確保するために、管またはバイアルと組み合わされる。この識別コードは、主にラベル上に位置決めされ(または管自体の上に印刷され)、リーダの読取りウィンドウの正面において完全に視認可能になるように配向される。このラベルは、容器の円筒状部分の様々な位置にて、管またはバイアルの上に手作業により位置決めされる。
【0007】
ラベルを備える管またはバイアルは、情報へのアクセス用の窓を有するシングルキャリアまたはマルチポジションラックの中に配置される。
【0008】
in vitro診断装置または採血管搬送チェーンにおいて、管の角度配向は、管上の患者識別ラベルの読取りを可能にするために極めて重要である。ラベルは、生物学的試料に関する重要な情報を含み、自動チェーンにより、または技術操作または分析の実施のために使用される診断機器により取得されなければならない。ラベルを読み取ることによる管のこの識別は、読み取るべきラベルの対向側に位置するバーコードリーダによりまたはOCR文字リーダにより主に実施される。
初期挿入位置と、識別子がバーコードリーダにより読み取られる位相との間における管のいかなる回転も、情報の読取りを損なわせるまたは妨げる傾向をもたらす。
【0009】
意図しない管の回転により、ラベルが部分的に隠れたまたは完全に隠れた状態になり、リーダによる読取りが不可能になるため、ラベル読取りシステムが機能しなくなる場合がある。管の角度位置のこれらのような変化は、非排他的な例として管またはバイアルの鉛直方向に上昇方向の軸を中心とした回転を発生させ得るキャリアのハンドリング、振動を受けること、意図しない摩擦、または力の結果として発生し得る。
【0010】
シングルパックを使用した管搬送チェーンまたは複数の管を保持する搬送ラックにおいては、管は、輸送の最中に衝撃を被り、それぞれのハウジング内部で回転する傾向があり、これにより管の初期配向が変化する。
【0011】
医療システムに関するこれらの技術的限界を補償するための複数の解決策が存在する。
・第1の特に効率的な方法は、バーコードリーダがリーダの正面において移動するラベルを読み取るまで、管を回転させるシステムにより管を再配向することを伴う(特許FR2764704 Diagnostica STAGO December 18、1998)。
・第2の方法は、Workcell Max止血セルにおいてこのコンセプトを完全に排除する。このWorkcell Max止血セルは、二重管再配向を、すなわち遠心分離機からの退出時と次いで機器内への進入時とにおける管再配向を実施する。
・第3の方法は、管のセンタリングおよびクランプ固定を確保するためにリングまたはクランプを使用した、径方向軸に沿った高い機械保持力による管の挿入を伴う。この方法は、管の角度位置をロックし、したがって再配向システムの必要性を軽減させて、サイクル時間を節減するまたは再配向システムの使用を限定するという利点を有する。この方法は、ラベルに対して大きな摩擦を発生させるという欠点を有し、これにより挿入力が増大し、キャビティ内への管の挿入およびキャビティからの管の除去を行う能力を低下させる。この解決策は、可変的な直径を有する管にはあまり適さず、この場合には、保持力および挿入力の制御が不良になる。
・第4の方法は、挿入作業および除去作業の最中に管保持システムをロックおよびロック解除するクランプの使用を伴う。この方法は、複雑であり高額となる。
・第5の方法は、リーダの対向側にタグを位置決めすることにより、手動リーダを使用して識別タグを読み取ることを伴う。この方法は、各管の読取りのためにオペレータの介入を必要とするため、これは自動処理の場合には許容されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】FR2764704
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
この最初の2つの方法により対応されないチェーンにおける現行の解決策の欠点を解消するために、提案する本発明は、外部アクチュエータの使用および管挿入力または管除去力の限定を伴わない、管の完全保持(ゼロ回転)または管の部分保持(識別される移動が許可される)の確保を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本方法の主要な適用は、以下のとおりである。
・様々なタイプのキャリア(ラック、キャリア、パック、定置ステーション)のキャビティ内に試料管を装填すること。試料管のIDは、バーコードを備えるラベル上の該当患者と対応する。
・管は、バーコード読取り条件を最適化するように配向される。
・管は、分析機器へ管を搬送するためにラック(またはシングルパック)の形態のキャリア内に配置される。
・管を受容すること、および管の初期位置決めを変更することなく読取りシステムの正面に配置すること。
・自動チェーンまたは自動分析機における処理の間にわたる管のトレーサビリティを確保するためのコードを読み取ること。
・管上の識別子を考慮しながら技術操作または診断作業を実施すること。
・試料管が、管の後の使用に応じて、手作業によりまたは様々なシステムを使用して自動的に装填解除され得る。管除去力は、可能な限り低くなければならない。
【0015】
キャビティ内に管を保持するために通常使用されるシステムは、複数の欠点を有する。
・システムは、径方向軸および鉛直方向軸に沿ったロッキングを通常伴い、そのため大きな挿入力および抜出力が生じる。
・回転摩擦および並進移動摩擦が、同要素によりしばしば生じる。
・管の直径が多様であることにより、制御されていない保持力が生じる。
・摩擦係数が多様であることにより、結果として保持力が可変的になる。
・ラベルの厚さによって、保持力に大きなムラが生じる。
・管の挿入力および抜出力が、管の直径次第でその再現性がやや低下する。
・回転が、ある方向へは不可能となり、逆の方向へは防止できない。
【0016】
本発明は、円筒状容器(採血管またはバイアル)がその主要回転軸を中心とした回転を限定することを目的として用意されたキャビティ内に位置決めされたときに、その円筒状容器の回転を限定するための方法に関する。
【0017】
本発明は、具体的にはインサート(I)である回転技術手段の一方向または両方向において管(T)をロックするための方法を含む。このインサート(I)は、ラック(PSもしくはPD)、パック、またはキャリアに対して追加される。
・また、本発明により、挿入された管が、較正された保持力によって鉛直方向に保持され、限定された力により挿入および抜出されることが可能となる。
・本発明は、一方向または両方向における管回転防止の所望の組合せを確保するために、様々な形態において特定的に実装され得る。
・本発明は、キャビティ(C)内に追加されるインサート(I)により実装される。
・インサートは、使用されるキャリアの様々な形状に適するように様々な形状およびサイズのものであることが可能である。
【0018】
一般的に利用される方法によれば、採取管は、オペレータまたは自動設置を開始する把持システムによりその上方部分を介してハンドリングされて、管を受けるように設計されたキャビティ内に挿入される。患者の血液試料採取管を処理するための方法は、様々なセル内において前記管を分配、位置決め、および角度配向するように意図され、これにより参照位置が与えられて、様々な作業の実施が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1a】自動分析管処理のための複数の管(T)用の輸送ラックを示す図である。
図1b】自動分析管処理のための複数の管(T)用の輸送ラックを示す図である。
図2】本発明の実施形態においてパック(PU)と呼ばれる、管または円筒状容器用の単体輸送システムを示す図である。
図3】オペレータ用の管(T)を位置決めするためのラボラトリキャリア(PO)を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る回転防止挿入システムを示す図である。
図5a】本発明の実施形態に係る挿入システムを示す図である。
図5b】本発明の実施形態に係る挿入システムを示す図である。
図6】本発明の実施形態に係るインサートが、壁部に対接して取り付けられることにより回転が防止されることを示す図である。
図7a】フリーホイール機能を実現するリップ形状を示す図である。
図7b】フリーホイール機能を実現するリップ形状を示す図である。
図8】本発明の実施形態に係るインサートを示す図であって、一方向にリップを備える構成を示す図である。
図9a】本発明の実施形態に係るインサートを示す図であって、両ロック方向(時計回り方向および反時計回り方向)にリップを備え、それにより円筒状容器のあらゆる回転を防止することを表す図である。
図9b】本発明の実施形態に係るインサートを示す図であって、両ロック方向(時計回り方向および反時計回り方向)にリップを備え、それにより円筒状容器のあらゆる回転を防止することを表す図である。
図9c】本発明の実施形態に係るインサートを示す図であって、両ロック方向(時計回り方向および反時計回り方向)にリップを備え、それにより円筒状容器のあらゆる回転を防止することを表す図である。
図9d】本発明の実施形態に係るインサートを示す図であって、両ロック方向(時計回り方向および反時計回り方向)にリップを備え、それにより円筒状容器のあらゆる回転を防止することを表す図である。
図9e】本発明の実施形態に係るインサートを示す図であって、両ロック方向(時計回り方向および反時計回り方向)にリップを備え、それにより円筒状容器のあらゆる回転を防止することを表す図である。
図10a】本発明の実施形態に係るインサートは、発電機上にリップと軸支点との組合せを備えてもよく、これにより容器の幾何学的参照部が固定されることを示す図である。
図10b】本発明の実施形態に係るインサートは、発電機上にリップと軸支点との組合せを備えてもよく、これにより容器の幾何学的参照部が固定されることを示す図である。
図11】一方向への回転を防止する2つのインサートが、両方向への回転を防止するために頭尾間で重畳され得ることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
採取管を受けるためのこれらのセルは、以下のものの中に作製される。
・自動分析管処理のための複数の管(T)用の輸送ラック(図1aおよび図1b)。
・本文献の以降においてパック(PU)と呼ばれる、管または円筒状容器用の単体輸送システム(図2)。
・オペレータ用の管(T)を位置決めするためのラボラトリキャリア(PO)(図3)。
・さらなる操作を待つ間に一定期間にわたり管を受け保管するように意図された機器または自動チェーンの中の定置キャリア。
【0021】
本発明は、セル内に円筒状容器(管またはバイアル)を位置決めし、セル内において事前に規定された角度位置に管を挿入することを可能にし、管の角度位置が経時的に変化しないことを確保するための、回転防止挿入システムに関する(図4)。
【0022】
挿入システム(図5aおよび図5b)は、以下のものを提供する。
・摩擦ベースロック機能を確保する可撓性単体アセンブリにより実現されるウェッジング固定機能。この機能は、不安定化力が方向を変更せず上昇鉛直方向軸に対して垂直方向に留まる限りにおいてはこの不安定化力の強度に関わらず安定状態に留まる。
・キャビティ内における管の挿入の容易化および適切な位置決め。リップの摩擦力またはウェッジング固定力は、システムを劣化させることなくおよび大きな撤去力を発生させることなく、管を受けるように意図されたキャビティへの管の挿入およびキャビティからの管の抜出を可能にするためには、低減されなければならない。
・管の回転防止機能は、前記リップと接触状態にある管の外方面に対してウェッジング固定を行うリップシステム(ブレードとも呼ばれる)により実現される。
リップ(L)は、ある方向のみに回転を可能にし逆方向への回転を防止する方向に位置決めされる。
リップ(L)は、可撓性材料から作製され、ウェッジング固定を可能にするための高い摩擦係数を有する。
リップ(L)の剛性/可撓性により、リップが反転するリスクを伴わずにウェッジング固定が可能になる。
材料および表面テクスチャは、ある方向においてはウェッジング固定し逆方向においては回転を可能にするために必要な摩擦力を発生させるように選択される。
リップは、個数、形状、および位置において変更が可能である。
・ラック(PS、PD)またはパック(PU)の中に回転防止インサート(I)を位置決めする機能は、ラックの下方部分内に位置するハウジングにより実現され、これによりインサートの位置決めが可能になる。
インサートは、鉛直方向zにおいて1つの壁部または2つのリブにより保持される。
インサートは、軸x、yに沿ってハウジングの壁部により位置決めされる。
インサートは、壁部に対接して取り付けられることにより回転を防止される(図6)。
ハウジングは、多数の形態を、すなわち、横方向挿入を伴うキャビティ、捕捉挿入を可能にするハウジング、中にインサートを封止するための位置をとり得る。
・フリーホイール機能を実現するリップ形状(図7aおよび図7b)。
上部からアプローチされた場合の回転防止機能。
下部からアプローチされた場合のガイダンス機能。
・管ロック機能の構成は、インサートの形状に関連づけられる。
インサートは、一方向にリップを備えてもよい。時計回り方向への回転または反時計回り方向におけるロック、およびインサートが水平方向面の面対称において反転された場合にはその逆(図8)。
インサートは、両ロック方向(時計回り方向および反時計回り方向)にリップを備え、それにより円筒状容器のあらゆる回転を防止する(図9a図9e)。
インサートは、発電機上にリップと軸支点との組合せを備えてもよく、これにより容器の幾何学的参照部が固定される(図10aおよび図10b)。
一方向への回転を防止する2つのインサートが、両方向への回転を防止するために頭尾間で重畳され得る(図11)。
・リップシステムを使用するこの方法は、以下の8つの主要な機能を有する。
- キャビティ内に配置されるように設計されたインサート形状。このキャビティは、これを目的として用意されたものであり、前記インサートの回転を防止する。
- 所要の回転または回転防止に応じて構成される変更可能な個数のリップを備えることが可能であるインサート。
- 様々なラックキャビティに適合するように構成することが可能なインサートを組み立てて回転防止機能をもたらすための方法。
- リップの撓曲を確保し、所要のウェッジング固定を可能にするリップ形状。
- 経時的に安定位置を維持することを可能にするリップ配向。
- 管に対するリップのウェッジング固定機能を可能にする摩擦係数。
- 技術環境に応じた変更可能なインサート高さ位置決め。
- 管外径の変化に対して1つの共通の応答を提供する可撓性リップ解決策。
【0023】
図1aおよび図1bは、上方に開口する管Tのための、この場合には図示する例における6個の鉛直方向管のための、挿入ゾーンを画定する管輸送ラック100を示す。各管受けゾーンは、管Tにより保持されるラベルEを示すために一方の側において開口している。また、ラック100は、インサートを受けるためのキャビティCを画定し、対応する管は、このキャビティCを挿通されることによりインサートが管に対して作用することが可能となる。
【0024】
図4は、キャビティCとこのキャビティC内に挿入されるように意図された対応するインサートIとを画定する、管Tのための支持部分(例えばラックPSまたはPD)を示す。図4に示すインサートIは、2つの対向側に位置する内方面101aおよび101b上に対として配置されたリップLを備える。各対のリップLは、インサートの内部に向かって相互から離れるように配向される。これらのリップLは、インサートを通過する管Tに対して適用され、各リップは、管Tと接触状態にあるインサートの全高にわたり延在する。
リプの形状および配向に応じて、管の軸を中心とした管の回転は、リップの接触部にて多少なりとも抵抗を被り得る。管の回転方向に配向されたブレードは、逆方向に配向されたブレードよりも低い摩擦力を印加する傾向を有する。なぜならば、後者の逆方向に配向されたブレードは、この逆方向への回転の最中に管に対してウェッジング固定を行う傾向があるからである。換言すれば、管とブレードとの間の摩擦力は、ブレードが管の回転方向に対して逆向きに配向される場合には、ブレードにより管に対して印加される圧力をおよびしたがって管に対するブレードの摩擦力をさらに高めるように、ブレードを変形させる傾向がある。ブレードが回転方向に配向される場合に、ブレードは、このような様式でウェッジング固定されることは不可能である。
【0025】
インサートは、熱可塑性材料から作製され得る。
【0026】
以下、本発明の様々な態様の特徴を各項目で示す。各項目は、本発明の個別の主題に関するものであり、これは、上記に開示した本発明の他の項目または特徴と組み合わされてもよい。
【0027】
項目1. 静止位置にあるキャリア(PS)または移動中のキャリア(PD)のセル内の円筒状レセプタクル(T)を位置決めするおよび円筒状レセプタクル(T)の回転を防止するためのデバイスであって、
このデバイスが、管の壁部上の情報を読み取るまたは管内部の測定を行う場合に円筒状レセプタクルの正確な位置決めを確保するために、ウェッジング変形可能ブレード(L)の原理を利用して円筒状レセプタクル(T)の回転を防止するように、円筒状レセプタクル(T)をセンタリングするおよび定位置に保持するための1つまたは複数のインサート(I)を使用することを特徴とする、デバイス。
【0028】
項目2. 項目1に記載のデバイスであって、
インサート(I)が、ある方向への回転を防止するウェッジング固定機能と、逆方向へのガイダンス機能とを実現するように、選択的方向に配向された変形可能ブレード(L)を備えることを特徴とする、デバイス。
【0029】
項目3. 項目1に記載のデバイスであって、
インサート(I)が、キャリア(PSまたはPD)内にこれを目的として用意されたキャビティ(C)内に嵌入することを特徴とする、デバイス。
【0030】
項目4. 項目2に記載のデバイスであって、
変形可能ブレード(L)の形状および摩擦係数が、ある回転方向(時計回り方向または反時計回り方向)においてウェッジング固定機能を実現し、逆の回転方向(反時計回り方向または時計回り方向)において自由移動機能を実現することを特徴とする、デバイス。
【0031】
項目5. 項目2に記載のデバイスであって、
変形可能ブレード(L)の形状および剛性により、前記変形可能ブレードがウェッジング固定の最中にそれらのブレード上へと折り返されることが防止されることを特徴とする、デバイス。
【0032】
項目6. 項目2に記載のデバイスであって、
変形可能ブレード(L)の形状および仕上げにより、円筒状レセプタクル(T)の鉛直方向摺動が助長されて、関連する挿入力および除去力が限定されることを特徴とする、デバイス。
【0033】
項目7. 項目2に記載のデバイスであって、
典型的に4つの変形可能ブレード(L)が存在するが、要求される回転防止力に応じて寸法設定された任意の偶数または奇数の個数の変形可能ブレードが存在してもよいことを特徴とする、デバイス。
【0034】
項目8. 項目2に記載のデバイスであって、
変形可能ブレード(L)が、ある方向への回転を可能にし逆方向への回転を防止するために、いずれも同一方向に配向されることを特徴とする、デバイス。
【0035】
項目9. 項目2に記載のデバイスであって、
変形可能ブレード(L)が、時計回り方向および反時計回り方向の両方において回転を完全に防止するために、相互に逆方向に配向されることを特徴とする、デバイス。
【0036】
項目10. 項目2に記載のデバイスであって、
いくつかの変形可能ブレード(L)が、荷重を支持し正確な位置決めを確保するために軸支点によって置換されることを特徴とする、デバイス。
【0037】
項目11. 項目2に記載のデバイスであって、
インサート(I)が、単一のインサート形状を可逆ロッキング機能部に与えるために、水平方向面に対して完全に対称的であることを特徴とする、デバイス。
【0038】
項目12. 項目2に記載のデバイスであって、
インサート(I)が、キャビティ(C)内において完全に回転自在であり、したがって可変直径および自由回転の管に対してセンタリング機能のみを実現することを特徴とする、デバイス。
【0039】
項目13. 項目3に記載のデバイスであって、
インサート(I)が、これを目的として用意されたキャビティ(C)から除去可能であることを特徴とする、デバイス。
【0040】
項目14. 項目3に記載のデバイスであって、
キャリア(PSまたはPD)内にこれを目的として用意されたキャビティ(C)が、1つまたは2つのインサートを収容することを可能にすることを特徴とする、デバイス。
【0041】
項目15. 項目3に記載のデバイスであって、
インサート(I)の鉛直方向移動が、リブにより、またはキャリア(PSまたはPD)内にこれを目的として用意されたキャビティ(C)内の軸支面により限定されることを特徴とする、デバイス。
【0042】
項目16. 項目3に記載のデバイスであって、
インサート(I)の回転が、インサート(I)が対接する壁部により限定されることを特徴とする、デバイス。
【0043】
項目17. 項目3に記載のデバイスであって、
キャビティ(C)が、デカルト座標系の種々の軸に沿ってインサートを保持するための凹部である、またはそのために形状設定されることを特徴とする、デバイス。
【0044】
項目18. 項目3に記載のデバイスであって、
キャリア(PSまたはPD)内にこれを目的として用意されたキャビティ(C)が、1つまたは2つのインサートを収容することを可能にし、リブにより中間部にて区分され得ることを特徴とする、デバイス。
【0045】
項目19. 項目3に記載のデバイスであって、
インサート(I)が、前記インサートが対称形状を有する場合に、キャビティ(C)内において相互に対向側に設置されて両方向への回転を防止することを特徴とする、デバイス。
【0046】
項目20. 項目2に記載のデバイスであって、
インサート(I)が、プラスチック射出成形または押出成形と切断とにより作製される場合に、自然離型形状を有することを特徴とする、デバイス。
【0047】
項目21. インサートおよび管アセンブリであって、
- 支持フレームと、
- 複数の弾性変形可能ブレード(L)であって、フレームにより支持され、前記管がインサートを貫通して係合された場合に管に対接し管をクランプ固定するように構成された、複数の弾性変形可能ブレード(L)と
を備える、インサートおよび管アセンブリ。
【0048】
項目22. 項目21に記載のアセンブリであって、ブレード(L)のすべてが、管の軸を中心として同一の周方向に配向されて、ある方向において逆方向よりも大きい摩擦トルクにより管の回転に抵抗する、アセンブリ。
【0049】
項目23. 項目21に記載のアセンブリであって、ブレード(L)が、相互に逆の周方向へと配向されて、ウェッジング固定により各回転方向において管の回転に抵抗する、アセンブリ。
【0050】
項目24. 項目21から23のいずれか1つに記載のアセンブリであって、ブレード(L)が、インサート(I)の全高にわたり延在する、アセンブリ。
【0051】
項目25. 項目21から24のいずれか1つに記載のアセンブリであって、ブレード(L)が、管と接触状態になる丸みエッジを有する、アセンブリ。
【0052】
項目26. 項目21から25のいずれか1つに記載のアセンブリであって、ブレード(L)の厚さが、支持フレームに向かって増大する、アセンブリ。
【0053】
項目27. 項目21から26のいずれか1つに記載のアセンブリであって、支持フレームが、フレームの一方の側に向かって収束する2つの外方面を有する、アセンブリ。
【0054】
項目28. 項目21に記載のアセンブリであって、フレームの第1の側部に向かって収束しフレームの両側部のそれぞれに連結する2つの第1の傾斜ブレードと、第1の側部の対向側のフレームの側部に対して連結する第3のブレードとを備え、管の外周部が、第1の2つのブレードおよび第3のブレードに対接する、アセンブリ。
【0055】
項目29. 同一の周方向に配向された5つのブレードを備え、2対のブレードが、それぞれ対向側部に配置され、1つのブレードが、これらの2つの側部を連結する1つの側部上に位置する、アセンブリ。
【0056】
項目30. インサート(I)と、インサートを受けるための少なくとも1つのキャビティ(C)とを有するキャリアであって、インサートが、
- 支持フレームと、
- 複数の変形可能ブレード(L)であって、フレームにより支持され、前記管がインサートを貫通して係合された場合に管に対接し管をクランプ固定するように構成された、複数の変形可能ブレード(L)と
を備える、キャリア。
【0057】
項目31. 項目30に記載のキャリアであって、キャビティ(C)の上方に管(T)のための少なくとも1つの通路を備える、キャリア。
【0058】
項目32. 項目30または31に記載のキャリアであって、横並びに配置された複数のキャビティ(C)を備え、特に少なくとも5つのキャビティを備える、キャリア。
【0059】
項目33. 上方に開口する管(T)のための受けゾーンを画定する管輸送ラック(100)内に少なくとも1つの管(T)を配置するための方法であって、ラック(100)は、項目30から32のいずれかに記載の複数のキャリアを備え、前記管(T)は、対応するインサートが管(T)に作用し、管(T)の長手方向軸を中心とした一方向または両方向への前記管の回転を防止するように、受けゾーン内に挿入される、方法。
【0060】
本発明によるデバイスは、生物由来物質のバイアルを定位置に保持するための製品ラックまたは製品パックに対して適用され得る。この適用は、ラック内において直接的に撹拌を行うために(例えば往復運動)、または移動状態におかれた独立パック内において間接的に撹拌を行うために、有利となり得る。
【符号の説明】
【0061】
100 管輸送ラック
101a 内方面
101b 内方面
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7a
図7b
図8
図9a
図9b
図9c
図9d
図9e
図10a
図10b
図11
【国際調査報告】