(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04C 5/00 20060101AFI20240426BHJP
F04C 15/00 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
F04C5/00 311E
F04C15/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570006
(86)(22)【出願日】2022-05-12
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 EP2022062908
(87)【国際公開番号】W WO2022238535
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517408070
【氏名又は名称】ペー・エス・ゲー ジャーマニー ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】PSG Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ヘイズ-パンクハースト, リチャード ポール
(72)【発明者】
【氏名】フォード, ジョナサン エドワード
【テーマコード(参考)】
3H044
【Fターム(参考)】
3H044CC04
3H044DD03
3H044DD05
3H044DD12
3H044DD13
(57)【要約】
回転ポンプ(10)は、第1の流体ポート(21)および第2の流体ポート(22)と、ロータ(30、230)が位置する空洞(24)を画定する、内面とを有する、筐体(20)を備え、ロータは、筐体の内面とともに少なくとも流体運搬チャンバ(232a-232d)を形成する、少なくとも表面陥凹(231a-231d)を備える。ポンプはさらに、筐体の内面の一部を提供し、弾力的に変形可能なダイヤフラムの後面に対して作用する加圧手段の作用によって、ロータの表面と接触するように押勢される、少なくとも弾力的に変形可能なダイヤフラム(50、226)を備える。ポンプはさらに、ロータの反対の端部から縦方向に延在する、弾力的に変形可能なダイヤフラムと関連付けられる1つの流動チャネルまたは流動チャネルの対(41a、41b、241a、241b)を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプであって、
第1の流体ポートおよび第2の流体ポートと、
ロータが位置する空洞を画定する内面を有する筐体と、
ロータであって、前記ロータは、前記筐体内に回転可能に搭載され、縦方向回転軸を有し、筐体係合表面エリアであって、前記筐体の内面とのシール締まり嵌めを形成する筐体係合表面エリアと、少なくとも1つの表面陥凹であって、前記ロータの回転に応じて、前記第1の流体ポートから前記第2の流体ポートに流体を運搬する流体運搬チャンバを前記筐体の前記内面とともに形成する少なくとも1つの表面陥凹とを備える、ロータと、
前記筐体の内面の一部を提供する弾力的に変形可能なダイヤフラムであって、前記ダイヤフラムは、ロータ係合表面と、前記ロータ係合表面と反対の後面とを備え、前記ダイヤフラムのロータ係合表面は、前記ダイヤフラムの後面に対して作用する加圧手段の作用によって、前記ロータと接触するように押勢される、弾力的に変形可能なダイヤフラムと、
前記弾力的に変形可能なダイヤフラムと関連付けられる流動チャネルの対であって、前記流動チャネルは、前記ロータの反対の端部から縦方向に延在し、前記ロータが使用時に回転する際、前記ロータの表面陥凹に上置し、前記流動チャネルの対は、第1の流動チャネルであって、前記第1の流体ポートと流体連通し、前記第2の流体ポートに対して閉鎖される第1の流動チャネルと、第2の流動チャネルであって、前記第1の流体ポートに対して閉鎖され、前記第2の流体ポートと流体連通する第2の流動チャネルとを備え、各流動チャネルは、前記ダイヤフラムの反対側に位置する、流動チャネルの対と
を備える、ポンプ。
【請求項2】
前記第1の流動チャネルおよび前記第2の流動チャネルは、本質的に相互に平行である、請求項1に記載のポンプ。
【請求項3】
複数の弾力的に変形可能なダイヤフラムを備える、請求項1または2に記載のポンプ。
【請求項4】
前記ロータの正反対の側上で前記筐体の内面内に位置する2つのダイヤフラムを備える、請求項1、2、または3に記載のポンプ。
【請求項5】
前記ロータの正反対の側上に位置する2つのダイヤフラムを備え、前記ロータは、前記ロータの回転に応じて、前記第1の流体ポートから前記第2の流体ポートに流体を運搬する4つの流体運搬チャンバを前記筐体の前記内面とともに形成する4つの表面陥凹を有する、前記請求項のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項6】
前記ロータの正反対の側上に位置する2つのダイヤフラムを備え、前記ロータは、前記ロータの回転に応じて、前記第1の流体ポートから前記第2の流体ポートに流体を運搬する5つの流体運搬チャンバを前記筐体の前記内面とともに形成する5つの表面陥凹を有する、請求項1-4のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項7】
前記ロータの正反対の側上に位置する2つのダイヤフラムを備え、前記ロータは、前記ロータの回転に応じて、前記第1の流体ポートから前記第2の流体ポートに流体を運搬する3つの流体運搬チャンバを前記筐体の前記内面とともに形成する3つの表面陥凹を有する、請求項1-4のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項8】
前記ロータの円周を中心として等距離に位置する3つのダイヤフラムを備える、請求項1、2、または3に記載のポンプ。
【請求項9】
前記ポンプは、前記弾力的に変形可能なダイヤフラムまたは各弾力的に変形可能なダイヤフラムの後面を囲繞するダイヤフラムチャンバを備える、前記請求項のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項10】
流体流動連通する複数のダイヤフラムチャンバを備える、請求項9に記載のポンプ。
【請求項11】
複数の弾力的に変形可能なダイヤフラムが、1つのダイヤフラムチャンバを共有する、請求項9に記載のポンプ。
【請求項12】
第1のチャンバであって、前記第1の流動チャネルまたは各第1の流動チャネルが、前記第1のチャンバと直接流体流動連通するように配列される前記筐体内に形成される第1のチャンバと、第2のチャンバであって、前記第2の流動チャネルまたは各第2の流動チャネルが、前記第2のチャンバと流体流動連通するように配列される前記筐体内に形成される第2のチャンバとを備える、前記請求項のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項13】
前記第1の流体ポートは、前記第1のチャンバの中に直接開放する、請求項12に記載のポンプ。
【請求項14】
前記第2の流体ポートは、前記第2のチャンバと流体流動連通する、請求項12または13に記載のポンプ。
【請求項15】
前記第2のチャンバは、ダイヤフラムチャンバによって提供され、そのダイヤフラムチャンバは、前記第2の流体ポートと流体流動連通する、請求項12、13、または14のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項16】
前記第2のチャンバは、ダイヤフラムチャンバおよび前記第2の流体ポートと別個の流体流動にある、請求項12、13、または14のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項17】
前記第2の流動チャネルと前記第2の流体ポートとの間に位置する一方向弁を備える、前記請求項のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項18】
第2の流体チャンバを備え、前記一方向弁は、前記第2の流体チャンバと前記第2の流体ポートとの間に位置する、請求項17に記載のポンプ。
【請求項19】
ダイヤフラムチャンバと流体流動連通する第2のチャンバと、前記第2のチャンバとダイヤフラムチャンバとの間に位置する一方向弁とを備える、請求項17に記載のポンプ。
【請求項20】
前記第2の流動チャネルと流体流動連通するダイヤフラムチャンバと、前記ダイヤフラムチャンバと前記第2の流体ポートとの間に位置する一方向弁とを備える、請求項17に記載のポンプ。
【請求項21】
ダイヤフラムチャンバと、前記ダイヤフラムチャンバと前記第1のチャンバとの間に位置する圧力バイパス弁とを備える、請求項12-20のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項22】
ポンプであって、
第1の流体ポートおよび第2の流体ポートと、
ロータが位置する空洞を画定する内面を有する筐体と、
ロータであって、前記ロータは、前記筐体内に回転可能に搭載され、縦方向回転軸を有し、筐体係合表面エリアであって、前記筐体の内面とのシール締まり嵌めを形成する筐体係合表面エリアと、少なくとも1つの表面陥凹であって、前記ロータの回転に応じて、前記第1の流体ポートから前記第2の流体ポートに流体を運搬する流体運搬チャンバを前記筐体の前記内面とともに形成する少なくとも1つの表面陥凹とを備える、ロータと、
前記筐体の内面の一部を提供する弾力的に変形可能なダイヤフラムであって、前記ダイヤフラムは、ロータ係合表面と、前記ロータ係合表面と反対の後面とを備え、前記ダイヤフラムのロータ係合表面は、前記ダイヤフラムの後面に対して作用する加圧手段の作用によって、前記ロータと接触するように押勢される、弾力的に変形可能なダイヤフラムと、
前記弾力的に変形可能なダイヤフラムの前縁と関連付けられる流動チャネルであって、前記流動チャネルは、前記ロータの一方の端部から縦方向に延在し、前記ロータが使用時に回転する際、前記ロータの表面陥凹に上置し、前記流動チャネルは、前記第1の流体ポートと流体連通する、流動チャネルと、
開口であって、前記開口は、前記筐体の内面から開放し、前記弾力的に変形可能なダイヤフラムの後縁と関連付けられ、前記ロータが使用時に回転する際、前記ロータの表面陥凹に上置するように位置し、したがって、前記ロータの回転に応じて、前記第2の流体ポートは、前記開口を介して前記流体運搬チャンバと直接流体流動連通する、開口と
を備える、ポンプ。
【請求項23】
前記開口は、前記弾力的に変形可能なダイヤフラムの後縁に隣接して前記筐体の内面内に形成され、前記ロータが使用時に回転する際、前記ロータの表面陥凹に上置するように位置する、請求項22に記載のポンプ。
【請求項24】
前記開口ポートは、前記後縁に隣接して前記ダイヤフラム内に形成され、前記ロータが使用時に回転する際、前記ロータの表面陥凹に上置するように位置する、請求項22に記載のポンプ。
【請求項25】
前記開口は、部分的に前記ダイヤフラム内に、および部分的に前記ダイヤフラムの後縁を横断する前記筐体の内面内に形成され、前記ロータが使用時に回転する際、前記ロータの表面陥凹に上置するように位置する、請求項22に記載のポンプ。
【請求項26】
前記流動チャネルまたは各流動チャネルは、前記ダイヤフラム内に形成される、前記請求項のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項27】
前記流動チャネルまたは各流動チャネルは、前記筐体の内面内に形成される、前記請求項のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項28】
前記流動チャネルまたは各流動チャネルは、前記ロータの縦方向回転軸と実質的に平行に、線形に延在する、前記請求項のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項29】
前記流動チャネルまたは各流動チャネルは、前記ロータの縦方向回転軸に実質的に平行に、前記ダイヤフラムの長さに沿って縦方向に延在するチャネルによって提供され、前記チャネルまたは各チャネルの一方の縦方向縁は、前記筐体の内面によって画定され、前記チャネルまたは各チャネルの他方の縦方向縁は、前記ダイヤフラムによって画定される、前記請求項のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項30】
前記筐体は、弾力性材料を含む、前記請求項のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項31】
前記弾力的に変形可能なダイヤフラムは、前記筐体と一体的である、前記請求項のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項32】
前記弾力的に変形可能なダイヤフラムは、前記筐体の内面として連続的ロータ係合表面を生成する密封シールを用いて前記筐体に取り付けられる、請求項1-30のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項33】
前記ポンプは、前記弾力的に変形可能なダイヤフラムの後面を囲繞するダイヤフラムチャンバを備える、請求項22-32のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項34】
前記加圧手段は、ばね手段および/または前記ダイヤフラムの後面に対して作用する流体を備える群から選択される、前記請求項のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項35】
前記表面陥凹は、前記ロータの軸方向長全体に沿って延在しないが、好ましくは、実質的に前記ロータの軸方向長の全体に沿って縦方向に延在する、前記請求項のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項36】
前記ロータは、一体筐体係合表面エリアを備え、前記一体筐体係合表面エリアは、各端部において前記ロータの円周の周囲に延在し、前記ロータの各端部の間および各表面陥凹の間に延在するランドによって継合される、前記請求項のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項37】
前記ロータは、複数の表面陥凹を有し、前記複数の表面陥凹は、前記ロータの回転に応じて、前記第1の流体ポートから前記第2の流体ポートに流体を運搬する対応する数の運搬チャンバを前記筐体の前記内面とともに形成する、前記請求項のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項38】
前記複数の表面陥凹は、前記ロータの円周を中心として等距離に配列される、請求項37に記載のポンプ。
【請求項39】
前記ロータは、前記ロータの回転に応じて、前記第1の流体ポートから前記第2の流体ポートに流体を運搬する対応する数の運搬チャンバを前記筐体の前記内面とともに形成する複数の表面陥凹を有し、前記ポンプは、前記ロータ上の表面陥凹の数よりも少なくとも1つ少ない弾力的に変形可能なダイヤフラムを備える、前記請求項のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項40】
前記ロータの回転の方向は、可逆的である、前記請求項のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項41】
前記開口および前記第2の流体ポートと流体流動連通するダイヤフラムチャンバと、前記ダイヤフラムチャンバと開口との間に位置する一方向弁とを備える、請求項22-40のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項42】
ダイヤフラムチャンバと、前記ダイヤフラムチャンバと前記第1の流体ポートとの間に位置する圧力バイパス弁とを備える、請求項22-41のいずれか1項に記載のポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
流体のための入口および出口を有し、ロータの回転に応じて、入口から出口に流体を運搬する、チャンバをロータの内面とともに形成する、少なくとも1つの表面陥凹を具備するロータを含有する、筐体によって形成されるポンプを提供することが、公知である。流体が出口から入口に通過しないように防止するために、可撓性ダイヤフラムが、筐体上に、またはその一部として提供され、入口と出口との間に位置する。ダイヤフラムは、加圧手段によってロータと係合するように押勢され、これは、弾力性材料のブロック、材料の弾力性管、ばね、または液圧または空気圧等の多くの形態をとることができる。本一般的な種類のポンプが、国際特許出願第WO2006/027548号に開示されている。
【0003】
そのようなポンプは、入口から出口に流体を運搬する、ロータ表面内の陥凹によって形成される離散的な数のチャンバを備えるため、結果として生じる液体流動は、流動のない周期および高い流動の周期を伴って、パルス化される傾向がある。これは、いくつかの用途において、例えば、パルス化流動が不快であり得る、患者に薬を投与する際に有害であり得る。本発明の目的は、改良された流動プロファイルを伴うポンプを提供することである。
【0004】
国際特許出願第WO2011/119464号に説明される回転注入ポンプ等のポンプにおける流体流動のパルス化を低減させるための試みが、行われている。本書は、ロータを含有する、筐体を有する、ポンプを開示し、ロータは、筐体とともにチャネルを形成する、表面の第1のリングと、筐体とともにチャネルを形成する、表面の第2のリングとを含む。第1および第2のリングは、ポンプを通した流体の流動のパルス化を減衰させるために、半径方向にオフセットされる。
【0005】
加えて、第WO2006/027548号に説明されるもの等の従来技術のポンプは、入口および出口ポートの場所およびこれらのポートの直径または断面積に関する設計選択肢を限定している。本発明の別の目的は、改良された設計柔軟性を伴うポンプを提供することである。
【0006】
さらに、それらが再使用され得るために、多くの用途においてポンプを滅菌することが可能であることが、重要である。本発明の目的は、より容易に滅菌され得るポンプを提供することである。
【0007】
本発明の好ましい実施形態の目的は、本質的に連続的な流動を提供する回転ポンプを提供することである。本明細書に使用されるような連続的流動は、流体流動のない周期が存在しない流動として定義される。連続的流動は、必ずしも一定の流量が存在することを意味するわけではなく、ポンプが動作し、流体を供給される間、常に流体の正の流動が存在するという条件で、流量におけるある変動が、存在し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2006/027548号
【特許文献2】国際公開第2011/119464号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に説明される本発明の側面は、単独で、または本明細書に説明される別の側面と組み合わせて有用であり得る。
【0010】
本発明の第1の側面によると、ポンプであって、第1の流体ポートおよび第2の流体ポートと、ロータが位置する空洞を画定する、内面を有する、筐体と、ロータであって、筐体内に回転可能に搭載され、縦方向回転軸を有し、筐体の内面とのシール締まり嵌めを形成する、筐体係合表面エリアと、ロータの回転に応じて、第1の流体ポートから第2の流体ポートに流体を運搬する、流体運搬チャンバを筐体の該内面とともに形成する、少なくとも1つの表面陥凹とを備える、ロータと、筐体の内面の一部を提供する、弾力的に変形可能なダイヤフラムであって、ダイヤフラムは、ロータ係合表面と、ロータ係合表面と反対の後面とを備え、ダイヤフラムのロータ係合表面は、ダイヤフラムの後面に対して作用する加圧手段の作用によって、ロータと接触するように押勢される、弾力的に変形可能なダイヤフラムと、弾力的に変形可能なダイヤフラムと関連付けられる、流動チャネルの対であって、流動チャネルは、ロータの反対の端部から縦方向に延在し、ロータが使用時に回転する際、ロータの表面陥凹に上置し、流動チャネルの対は、第1の流体ポートと流体連通し、第2の流体ポートに対して閉鎖される、第1の流動チャネルと、第1の流体ポートに対して閉鎖され、第2の流体ポートと流体連通する、第2の流動チャネルとを備え、各流動チャネルは、ダイヤフラムの反対側に位置する、流動チャネルの対とを備える、ポンプが、提供される。
【0011】
本発明の第2の側面によると、ポンプであって、第1の流体ポートおよび第2の流体ポートと、ロータが位置する空洞を画定する、内面を有する、筐体と、ロータであって、筐体内に回転可能に搭載され、縦方向回転軸を有し、筐体の内面とのシール締まり嵌めを形成する、筐体係合表面エリアと、ロータの回転に応じて、第1の流体ポートから第2の流体ポートに流体を運搬する、流体運搬チャンバを筐体の該内面とともに形成する、少なくとも1つの表面陥凹とを備える、ロータと、筐体の内面の一部を提供する、弾力的に変形可能なダイヤフラムであって、ダイヤフラムは、ロータ係合表面と、ロータ係合表面と反対の後面とを備え、ダイヤフラムのロータ係合表面は、ダイヤフラムの後面に対して作用する加圧手段の作用によって、ロータと接触するように押勢される、弾力的に変形可能なダイヤフラムと、弾力的に変形可能なダイヤフラムの前縁と関連付けられる、流動チャネルであって、流動チャネルは、ロータの一方の端部から縦方向に延在し、ロータが使用時に回転する際、ロータの表面陥凹に上置し、流動チャネルは、第1の流体ポートと流体連通する、流動チャネルと、筐体の内面から開放し、弾力的に変形可能なダイヤフラムの後縁と関連付けられ、ロータが使用時に回転する際、ロータの表面陥凹に上置するように位置する、開口であって、したがって、ロータの回転に応じて、第2の流体ポートは、開口を介して流体運搬チャンバと直接流体流動連通する、開口とを備える、ポンプが、提供される。
【0012】
好適には、本発明の全ての側面では、筐体は、弾力性材料、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、熱可塑性ポリウレタン、またはゴムを含む。第1の流体ポートおよび/または第2の流体ポートは、筐体から延在してもよい。第1の流体ポートおよび/または第2の流体ポートが、筐体から延在する場合、第1および/または第2の流体ポートは、筐体と一体として好適に成型される。
【0013】
ロータは、ステンレス鋼、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、HDPE、またはポリカーボネート等のリジッド材料から作製されてもよい。筐体およびロータの材料の選定は、相互依存し、それらが接触面において低い摩擦係数を呈するように選定されるべきである。
【0014】
本発明の全ての側面によると、筐体は、ロータが位置する空洞を画定する、内面、第1の流体ポートおよび第2の流体ポート、および随意に、弾力的に変形可能なダイヤフラムを提供する、単一のユニットを備えてもよい。代替として、筐体は、ロータが位置する空洞を画定する、内面、および随意に、弾力的に変形可能なダイヤフラムを提供してもよく、ロータが位置する空洞を閉鎖するために、第1および/または第2の別個の端部キャップと併用されてもよい。本実施形態では、第1および/または第2の流体ポートは、筐体内または別個の端部キャップ内に提供されてもよい。
【0015】
本発明の全ての側面によるポンプは、1つの弾力的に変形可能なダイヤフラムを備えてもよい。
【0016】
代替として、本発明の第1の側面によるポンプは、複数の弾力的に変形可能なダイヤフラムを備えてもよい。例えば、本発明の第1の側面によるポンプは、2つの弾力的に変形可能なダイヤフラムを備えてもよい。代替として、本発明の第1の側面によるポンプは、3つの弾力的に変形可能なダイヤフラムを備えてもよい。ポンプが、複数の弾力的に変形可能なダイヤフラムを備える場合、それらは、好ましくは、ロータの円周を中心として等距離に配列される。
【0017】
本発明の第1の側面の一実施形態では、ポンプは、ロータの正反対の側上に位置する、2つのダイヤフラムを備える。本発明の第1の側面の代替実施形態では、ポンプは、ロータの円周を中心として等距離に離間される、3つのダイヤフラムを備える。
【0018】
本発明の全ての側面では、弾力的に変形可能なダイヤフラムまたは各弾力的に変形可能なダイヤフラムは、側面を備え、その側面は、ロータが位置する空洞の一方の端部から空洞の他方の端部まで延在する、ダイヤフラムの縁である。言い換えると、側縁は、ロータの縦方向回転軸と本質的に同一の方向に延在する、ダイヤフラムの縦方向縁である。ダイヤフラムの側面は、一直線である、または湾曲してもよい。ダイヤフラムまたは各ダイヤフラムは、使用時のロータの回転の方向によって決定される、前縁と、後縁とを有する。
【0019】
本発明の全ての側面では、弾力的に変形可能なダイヤフラムは、要求される変形可能な弾力性を有するために十分に小さい厚さに製造された筐体の区分によって提供されてもよい。例えば、弾力的に変形可能なダイヤフラムは、1mm以下、好適には、0.5mm以下、いくつかの実施形態では、0.1mm未満の厚さである筐体の区分によって提供される。本実施形態では、筐体は、好ましくは、弾力性熱可塑性または熱硬化性材料から作製され、弾力的に変形可能なダイヤフラムは、筐体と一体的である。
【0020】
代替として、本発明の全ての側面では、弾力的に変形可能なダイヤフラムは、密封して筐体に取り付けられる、またはそれと共成型される、弾力的に変形可能なエラストマ材料の区分を備えてもよい。別個のダイヤフラムは、筐体の内面として連続的ロータ係合表面を生成するように、筐体に取り付けられるべきである。弾力的に変形可能なダイヤフラムが、別個のエラストマ材料である場合、これは、好適には、熱可塑性エラストマ(TPE)または熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含む。ダイヤフラムが、別個の弾力的に変形可能なエラストマ材料によって提供される場合、筐体は、弾力性材料、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、熱可塑性ポリウレタン、またはゴムを含んでもよい、または筐体は、リジッド材料から作製され得る。
【0021】
使用時、本発明の全ての側面によると、ダイヤフラムまたは複数のダイヤフラムは、ダイヤフラムのロータ係合表面とロータ表面との間の液密接触の結果として、第1の流体ポートと第2の流体ポートとの間の直接流体連通を防止するように動作可能である。さらに、1つまたは複数のダイヤフラムの弾力的に変形可能な性質は、使用時、1つまたはそれを上回るダイヤフラムが、ロータが回転する際、各流体運搬チャンバが空にされることを確実にするように動作可能であるように、各ダイヤフラムが、ロータの輪郭形成された表面とともに撓曲することを意味する。
【0022】
本発明の全ての側面では、弾力的に変形可能なダイヤフラムは、後面上に肋材を備えてもよい。代替として、肋材が、使用時、肋材が、ダイヤフラムの後面に対して作用するように配列される、加圧手段を提供するばね手段上に提供されてもよい。好適には、肋材は、ロータの縦方向回転軸に平行な方向において、ダイヤフラムの全長に沿って延在する。
【0023】
本発明の全ての側面では、任意の好適な加圧手段が、ロータと接触するように各ダイヤフラムのロータ係合表面を押勢するために使用されてもよい。加圧手段は、弾力的に変形可能なダイヤフラムの後面に対して作用する、ばね手段を備えてもよい。例えば、加圧手段は、それに圧力が印加され、弾力的に変形可能なダイヤフラムの後面に対してばね手段を押勢し得る、弾力性材料のブロックまたは管を備えてもよい。好適なばね部材の実施例が、国際特許出願第WO2013/117486号に開示されている。代替として、または加えて、加圧手段は、弾力的に変形可能なダイヤフラムの後面に適用される流体を備えてもよい。弾力的に変形可能なダイヤフラムの後面に適用される流体を備えるポンプの実施例が、国際特許出願第WO2010/122299号および第WO2014/135563号に開示されている。
【0024】
本発明の全ての側面のある実施形態では、本発明によるポンプは、弾力的に変形可能なダイヤフラムの後面を囲繞する、ダイヤフラムチャンバを備えてもよい。
【0025】
本発明の全ての側面では、ダイヤフラムチャンバは、筐体から延在する壁、および好適には、チャンバを閉鎖するための別個のキャップによって提供されてもよい。代替として、ダイヤフラムチャンバは、筐体に取り付けられる、別個のユニットを備えてもよい。ダイヤフラムチャンバは、好適には、ロータに対して弾力的に変形可能なダイヤフラムを押勢するように配列される、加圧手段を格納する。各ダイヤフラムチャンバは、加圧手段を配置するための開放チャンバまたは閉鎖チャンバのいずれかを備えてもよい。閉鎖チャンバは、密封してシールされてもよい。
【0026】
本発明の全ての側面では、ダイヤフラムチャンバは、ポンプを通して流動する流体が、加圧手段を提供するように、ポンプを通して流動する流体に通路によって接続される、閉鎖チャンバであってもよい。ダイヤフラムチャンバに流体を提供する通路は、一方向弁を備え、流体が、ダイヤフラムチャンバの中に流動することを可能にするが、その外に流動することを可能にし得ない。本一方向弁配列は、ポンプの流動の方向が逆転される場合であっても、ダイヤフラムに対する持続される圧力を可能にする。
【0027】
代替として、本発明の全ての側面では、ダイヤフラムチャンバは、別個の流体源に通路によって接続される、閉鎖チャンバであってもよく、その別個の流体源は、加圧手段を提供する。
【0028】
本発明の全ての側面では、第2の流体ポートは、ダイヤフラムチャンバから延在してもよい。さらに、ダイヤフラムが、チャンバを閉鎖するための別個のキャップを備える場合、第2の流体ポートは、キャップから延在してもよい。
【0029】
一実施形態では、ダイヤフラムチャンバは、1つのみの弾力的に変形可能なダイヤフラムを囲繞する。ポンプが、1つを上回るダイヤフラムを備える場合、個々のダイヤフラムチャンバは、1つまたはそれを上回る弾力的に変形可能なダイヤフラムのそれぞれの後面を囲繞してもよい。
【0030】
複数の弾力的に変形可能なダイヤフラムを備える、本発明の第1の側面の代替実施形態では、ダイヤフラムチャンバは、相互接続されてもよい。複数のダイヤフラムチャンバは、チャンバの間に流体チャネルを提供することによって相互接続されてもよい。これは、特に、ポンプの第2の流体ポートが、ダイヤフラムチャンバから延在する場合、および/または第1または第2のチャンバからの流体が、加圧手段を提供する場合に有用である。
【0031】
好適には、本発明の第2の側面によるポンプでは、開口は、弾力的に変形可能なダイヤフラムの後縁に隣接して筐体の内面内に形成され、ロータが使用時に回転する際、ロータの表面陥凹に上置するように位置する。代替として、本発明の第2の側面によるポンプでは、開口は、後縁に隣接してダイヤフラム内に形成され、ロータが使用時に回転する際、ロータの表面陥凹に上置するように位置する。さらなる代替では、本発明の第2の側面によるポンプでは、開口は、部分的にダイヤフラム内に、および部分的にダイヤフラムの後縁を横断する筐体の内面内に形成され、ロータが使用時に回転する際、ロータの表面陥凹に上置するように位置する。
【0032】
第2の流体ポートは、開口と流体流動連通する。第2の側面によるポンプの実施形態では、開口は、第2の流体ポートによって提供されてもよい。
【0033】
好適には、本発明の全ての側面では、各流動チャネルは、開放チャネル表面を伴う縦方向チャネルを備え、一方の端部において開放し、他方の端部において閉鎖される。開放チャネル表面は、使用時、ロータの表面と境界をともにし、ロータの表面と流体流動連通する。各流動チャネルは、その全長に沿って同一の幅を有してもよい。代替として、各流動チャネルまたは各対における一方または両方の流動チャネルは、その長さに沿ってテーパ状であってもよい。流動チャネルが、テーパ状である場合、これは、好適には、開放端においてその最も幅広い状態にあり、閉鎖端においてその最も幅狭の状態にある。
【0034】
好ましくは、本発明の第1の側面によるポンプでは、対における流動チャネルは、実質的に相互に平行である。ポンプが、流動チャネルの複数の対を備える場合、流動チャネルの全てが実質的に相互に平行に配列されることが、好ましい。
【0035】
好適には、本発明の全ての側面では、流動チャネルまたは各流動チャネルは、線形であり、ロータの回転軸に実質的に平行であるように配向される。代替として、本発明の全ての側面では、流動チャネルまたは各流動チャネルは、ロータの縦方向回転軸を中心として螺旋状に配向されてもよい。ポンプが、複数の流動チャネルを備え、それらが、ロータの縦方向回転軸を中心として螺旋状に配向される場合では、流動チャネルは、好ましくは、全て相互に平行である。
【0036】
複数の弾力的に変形可能なダイヤフラムを備える、本発明の第1の側面によるポンプの実施形態では、流動チャネルの対が、各弾力的に変形可能なダイヤフラムと関連付けられる。複数の弾力的に変形可能なダイヤフラム、したがって、流動チャネルの複数の対を備える、本発明の第1の側面によるポンプの実施形態では、第1および第2の流動チャネルは、ロータの円周を中心として交互に配列される。
【0037】
本発明の全ての側面では、流動チャネルは、ロータが位置するチャンバを画定する、筐体の内面内に形成されてもよい。本発明の全ての側面の一実施形態では、各流動チャネルまたは流動チャネルの対は、筐体の内面内の陥凹チャネルによって提供される。
【0038】
代替として、本発明の全ての側面では、各流動チャネルまたは流動チャネルの対は、ダイヤフラムのロータ係合表面内に形成される。本発明のある実施形態では、各流動チャネルまたは流動チャネルの対は、ダイヤフラムのロータ係合表面内の陥凹チャネルによって提供される。
【0039】
本発明の全ての側面の好ましい実施形態では、各流動チャネルは、ロータの回転軸に実質的に平行に、ダイヤフラムの長さに沿って縦方向に延在するチャネルによって提供され、各チャネルの一方の縦方向縁は、筐体の内面によって画定され、各チャネルの他方の縦方向縁は、ダイヤフラムによって画定される。
【0040】
本発明の第1の側面では、流動チャネルは、ロータの縦方向回転軸に実質的に平行に軸方向に配列され、好ましくは、ダイヤフラムの反対の側縁に位置する。
【0041】
流動チャネルは、ロータが位置する空洞を画定する、筐体の内面内に、および/または弾力的に変形可能なダイヤフラムのロータ係合表面内に形成される。1つを上回る流動チャネルが存在する、本発明の実施形態では、複数の流動チャネルは、ロータが位置する空洞を中心として円周方向に離間される。
【0042】
本発明の全ての側面では、流動チャネルは、ロータの端部から延在し、ロータが回転する際、ロータの表面陥凹、したがって、流体運搬チャンバに上置する。流動チャネルは、ロータ上の表面陥凹および筐体の内面によって形成される、流体運搬チャンバの実質的に全長に沿って延在してもよく、本発明の第1の側面では、第1の流動チャネルが、第2の流体ポートに対して閉鎖され、第2の流動チャネルが、第1の流体ポートに対して閉鎖されることを提供し、本発明の第2の側面では、流動チャネルが、開口に対して閉鎖され、これは、したがって、第2の流体ポートと直接流体流動接続しないことが提供される。
【0043】
本発明の全ての側面では、流動チャネルはそれぞれ、好適には、本質的にダイヤフラムの全長に沿って延在し、本発明の第1の側面では、第1の流動チャネルが、第2の流体ポートに対して閉鎖され、第2の流動チャネルが、第1の流体ポートに対して閉鎖されることを提供し、本発明の第2の側面では、流動チャネルが、開口に対して閉鎖され、これは、したがって、第2の流体ポートと直接流体流動接続しないことが提供される。
【0044】
本発明の第1の側面によるポンプでは、各第1の流動チャネルは、第1の流体ポートと流体連通し、第2の流体ポートに対して閉鎖され、各第2の流動チャネルは、第1の流体ポートに対して閉鎖され、第2の流体ポートと流体連通するため、各流動チャネルは、ロータの一方の端部から延在するが、ロータの反対の端部に到達する前に、他方の端部において閉鎖される。
【0045】
本発明の第2の側面によるポンプでは、流動チャネルは、第1の流体ポートと流体連通し、流動チャネルが開口に対して閉鎖されるように、第1の流体ポートの遠位の陥凹の端部において閉鎖される。
【0046】
本発明の第1の側面によるポンプでは、対における各流動チャネルは、反対の端部において閉鎖される。第1の流動チャネルはそれぞれ、これが第2の流体ポートと直接流体流動連通しないように、第2の流体ポートに対して閉鎖され、第2の流動チャネルはそれぞれ、これが第1の流体ポートと直接流体流動連通しないように、第1の流体ポートに対して閉鎖される。流動チャネルの各対では、第1の流動チャネルの開放端は、第1の流体ポートと直接流体流動連通し、第2の流動チャネルの開放端は、第2の流体ポートと直接流体流動連通する。
【0047】
本発明の第1の側面によるポンプが、流動チャネルの1つを上回る対を備える場合、流動チャネルの対の全てにおける第1のチャネルのそれぞれの開放端は、第1の流体ポートと直接流体流動連通し、流動チャネルの対の全てにおける第2のチャネルのそれぞれの開放端は、第2の流体ポートと直接流体流動連通するであろう。さらに、第2の流動チャネルのうちのいずれも、第1の流体ポートと直接流体流動連通せず、第1の流動チャネルのうちのいずれも、第2の流体ポートと直接流体流動連通しないであろう。
【0048】
本発明の第1の側面の好ましい実施形態では、ポンプは、第1のチャンバ、第2のチャンバ、または第1のチャンバおよび第2のチャンバを備えてもよい。好適には、第1のチャンバおよび第2のチャンバは、筐体の内面とロータとの間に形成され、ロータの反対の端部に位置する。第1の流体ポートは、好適には、第1のチャンバと流体流動連通し、第2のチャンバは、好適には、第2の流体ポートと流体流動連通する。好適には、流動チャネルの各対の第1のチャネルは、使用時、流体が、第1の流体ポートを通して、第1のチャンバの中に流入し、そこから、1つまたはそれを上回る第1のチャネルの中に流入するように、第1のチャンバと直接流体流動連通する。好適には、流動チャネルの各対の第2のチャネルは、使用時、流体が、1つまたはそれを上回る第2のチャネルから、第2のチャンバの中に流動し、次いで、第2の流体ポートに向かって流動するように、第2のチャンバと直接流体流動連通する。
【0049】
第1のチャンバの存在は、有利なこととして、単一の第1の流体ポートが、複数の第1の流動チャネルを供給し得ることを意味する。第2のチャンバの存在は、有利なこととして、複数の第2の流動チャネルが、第2の流体ポートに向かう単一の流動の流れに組み合わせられ得ることを意味する。さらに、第1および/または第2のチャンバの存在は、ポンプ上の第1の流体ポートおよび/または第2の流体ポートの場所のさらなる柔軟性を可能にする利点を有する。
【0050】
第2のチャンバは、ダイヤフラムチャンバと流体流動連通してもよい。さらに、ダイヤフラムチャンバは、第2の流体ポートと流体流動連通してもよい。本後者の場合では、流体は、第2のチャンバからダイヤフラムチャンバを介して第2の流体ポートに流動する。本発明のある実施形態では、第2のチャンバは、ダイヤフラムチャンバの全てに接続される。
【0051】
本発明の第1の側面のある実施形態では、第2のチャンバは、ダイヤフラムチャンバによって提供されてもよい。ダイヤフラムチャンバは、第2の流体ポートを備えてもよい。
【0052】
ポンプが、第1のチャンバと、第2のチャンバとを備えていない、本発明の第1の側面の一実施形態では、1つまたはそれを上回る弾力的に変形可能なダイヤフラムは、第1の流体ポートと第2の流体ポートとの間に延在し、第1の流体ポートおよび第2の流体ポートは、ロータの反対の端部にある。
【0053】
ポンプが、第1のチャンバと、第2のチャンバとを備える、本発明の第1の側面の代替実施形態では、1つまたはそれを上回る弾力的に変形可能なダイヤフラムは、第2のチャンバと第1のチャンバとの間に延在する。本実施形態では、第1の流体ポートおよび第2の流体ポートは、ロータの反対の端部にあってもよいが、それらが、それぞれ、第1のチャンバまたは第2のチャンバと流体流動連通するという条件で、そうである必要はない。
【0054】
2つの弾力的に変形可能なダイヤフラムを備える、本発明の第1の側面のある実施形態では、流動チャネルの第1の対が、第1のダイヤフラムと関連付けられ、流動チャネルの第2の対が、第2のダイヤフラムと関連付けられる。3つの弾力的に変形可能なダイヤフラムを備える、本発明の第1の側面のある実施形態では、流動チャネルの第1の対が、第1のダイヤフラムと関連付けられ、流動チャネルの第2の対が、第2のダイヤフラムと関連付けられ、流動チャネルの第3の対が、第3のダイヤフラムと関連付けられる。
【0055】
本発明の全ての側面では、ロータは、略円筒形であり、流体運搬チャンバを筐体の内面とともに形成する、少なくとも1つの陥凹を備える。本発明の全ての側面では、表面陥凹は、ロータ表面の凹状エリアによって提供される。本発明の全ての側面では、表面陥凹は、好ましくは、ロータの軸方向長の大部分に沿って縦方向に延在する。好ましい実施形態では、表面陥凹は、ロータの軸方向長全体に沿って延在しないが、好ましくは、実質的にロータの軸方向長の全体に沿って縦方向に延在する。
【0056】
本発明の全ての側面の実施形態では、ロータは、ロータの回転に応じて、第1の流体ポートから第2の流体ポートに流体を運搬する、対応する複数の流体運搬チャンバを筐体の該内面とともに形成する、複数の表面陥凹を有する。例えば、ロータは、2つの流体運搬チャンバを筐体の該内面とともに形成する、2つの表面陥凹を有する。本発明の全ての側面の代替実施形態では、ロータは、3つの流体運搬チャンバを筐体の該内面とともに形成する、3つの表面陥凹を有する。ロータは、4つの流体運搬チャンバを筐体の該内面とともに形成する、4つの表面陥凹を有してもよい。
【0057】
さらに、ロータは、5つの流体運搬チャンバを筐体の該内面とともに形成する、5つの表面陥凹を有してもよい。本発明の全ての側面のロータは、対応する数の流体運搬チャンバを提供する、任意の数の陥凹を備え得るが、チャンバが多いほど、所与のロータ直径および長さに関する各チャンバ内で運搬され得る流体の体積は、小さくなる。
【0058】
好ましくは、本発明の任意の側面によるポンプが、複数の表面陥凹を備える場合、複数の表面陥凹は、ロータを中心として円周方向に配列される。好ましくは、複数の表面陥凹は、ロータの円周を中心として等距離に離間される。本発明の全ての側面では、複数の陥凹は、ロータの軸方向長に沿って縦方向に延在するように配列されない。
【0059】
好適には、筐体の内面とのシール締まり嵌めを形成する、筐体係合表面エリアは、ロータ上の1つまたはそれを上回る表面陥凹を除いて、ロータの表面全体を構成する。好ましくは、ロータは、1つまたはそれを上回る表面陥凹が形成される、略円筒形本体を備える。ロータの筐体係合表面エリアは、好適には、いかなる陥凹も形成されない、ロータの各端部における円筒形エリアを備え、その円筒形エリアは、隣接する陥凹の縦方向範囲を分離する、ロータ表面の伸長区分によって接続される。ロータの端部における円筒形エリアおよび隣接する陥凹の間の伸長区分は、接続され、ロータの円筒形表面を画定する同一の円筒形平面内にある。隣接する陥凹を分離する、ロータ表面の伸長区分は、ロータ表面上の隣接する陥凹の間にランドを提供する。
【0060】
好ましくは、本発明の全ての側面によるポンプは、単一のロータのみを備える。
【0061】
流体流動チャネルおよび弾力的に変形可能なダイヤフラムの組み合わせは、提供される流体流量の一貫性を改良し、本発明の第1の側面のいくつかの実施形態では、ポンプが連続的流量を提供するように配列されることを可能にする。ダイヤフラムの数およびロータ上の陥凹の数の異なる組み合わせは、ポンプを通した流体の異なる流動プロファイルを生産するであろう。
【0062】
例えば、本発明の全ての実施形態では、1つのダイヤフラムを備えるポンプは、いかなる流体も流体運搬チャンバから流体出口ポートに流動していないときの周期が存在するであろうため、流体運搬チャンバの数にかかわらず、パルス化流体流動を提供するであろう。ロータが位置する空洞の円周を中心として両方とも等距離に離間される、等数のダイヤフラムおよび流体運搬チャンバを備える、本発明の第1の側面の実施形態におけるポンプもまた、同一の理由から、パルス化流体流動を提供するであろう。偶数のダイヤフラムおよび複数の奇数の流体運搬チャンバを備える、本発明の第1の側面によるポンプは、連続的流体流動を提供するであろう。複数の奇数のダイヤフラムおよび偶数の流体運搬チャンバを備える、本発明の第1の側面によるポンプは、連続的流体流動を提供するであろう。
【0063】
本発明の第1の側面のある実施形態では、ポンプは、ロータがロータの正反対の側上に位置する、空洞の円周を中心として等距離に位置する、2つのダイヤフラムを備え、ロータは、ロータの回転に応じて、第1の流体ポートから第2の流体ポートに流体を運搬する、4つの流体運搬チャンバを筐体の該内面とともに形成する、4つの表面陥凹を有する。そのような配列は、パルス化流体流動を提供するであろう。
【0064】
本発明の第1の側面の別の実施形態では、ポンプは、ロータがロータの正反対の側上に位置する、空洞の円周を中心として等距離に位置する、2つのダイヤフラムを備え、ロータは、ロータの回転に応じて、第1の流体ポートから第2の流体ポートに流体を運搬する、3つの流体運搬チャンバを筐体の該内面とともに形成する、3つの表面陥凹を有する。そのような配列は、連続的流体流動を提供するであろう。
【0065】
本発明の第1の側面の別の実施形態では、ポンプは、ロータがロータの正反対の側上に位置する、空洞の円周を中心として等距離に位置する、2つのダイヤフラムを備え、ロータは、ロータの回転に応じて、第1の流体ポートから第2の流体ポートに流体を運搬する、5つの流体運搬チャンバを筐体の該内面とともに形成する、5つの表面陥凹を有する。そのような配列は、所与のロータ直径および長さに関する3つの陥凹を担持するロータと比較して、平均流動を中心としてより少ない増減を伴う連続的流体流動を提供するであろう。
【0066】
ポンプを通した流体流動プロファイルを改良することに加えて、流動チャネルの存在はまた、ロータの筐体係合表面エリアと筐体の内面との間の摩擦によって発生される熱に対抗するための冷却および潤滑効果を提供する。
【0067】
さらに、流動チャネルによって提供される軸方向に配置される流体経路は、有利なこととして、その全軸方向長に沿って流体運搬チャンバを充填し、および/または空にし、これは、流体運搬チャンバをより迅速かつ効率的に空にすることを可能にする。加えて、第1のチャンバと連通する第1の流体ポートは、複数の第1の流動チャネルを供給することができ、第2のチャンバは、複数の第2の流動チャネルからの流動を組み合わせ、第2の流体ポートに流動させることができ、これは、複数の流体運搬チャンバが同時に充填され、および/または空にされ、流体処理能力を改良し、流動プロファイルを平滑にし得ることを意味する。加えて、第1および/または第2のチャンバの使用は、第1の流体ポートおよび/または第2の流体ポートがポンプ筐体上により柔軟に位置することを可能にする。
【0068】
加えて、流動チャネルは、ロータの任意の配向において、ポンプ内の全ての空洞が、酸化エチレンまたは蒸気過酸化水素等の滅菌ガスに開放することを意味する。
【0069】
本発明の第1の側面によると、第1の流体ポートおよび第2の流体ポートは、第1の流動チャネルの全てが第1の流体ポートのみと直接流体流動連通し、第2の流動チャネルの全てが第2の流体ポートのみと直接流体流動連通するという条件で、相互に対して種々の場所にあり得る。例えば、第1および第2の流体ポートは両方とも、ロータの縦方向回転軸に対して軸方向に整合されてもよい、または第1および第2の流体ポートは両方とも、ロータの縦方向回転軸に対して半径方向に整合されてもよい、または第1および第2の流体ポートのうちの一方は、ロータの縦方向回転軸に対して軸方向に整合されてもよく、第1および第2の流体ポートのうちの他方は、ロータの縦方向回転軸に対して半径方向に整合されてもよい。
【0070】
本発明の第1の側面の一実施形態では、第1の流体ポートおよび第2の流体ポートは、ロータの反対の端部にある。本発明の第1の側面の代替実施形態では、第1の流体ポートおよび第2の流体ポートは、ロータの同一の端部にある。本発明の第1の側面の代替実施形態では、第1の流体ポートおよび第2の流体ポートは、ロータの同一の端部の領域内に位置する。本発明の第1の側面の代替実施形態では、第1の流体ポートおよび第2の流体ポートは、ロータの反対の端部の領域内に位置する。
【0071】
第1の流体ポートおよび第2の流体ポートが両方とも、ロータの縦方向回転軸に対して半径方向に整合されるとき、第1の流体ポートおよび第2の流体ポートは、ロータの同一の側上に位置してもよい。代替として、第1の流体ポートおよび第2の流体ポートは、ロータの円周の周囲に円周方向に離間されてもよい。第1の流体ポートが第1の流動チャネルのみと直接流体流動連通し、第2の流体ポートが第2の流動チャネルのみと直接流体流動連通するように流動チャネルの各対を配列することは、有利なこととして、第1の流体ポートおよび第2の流体ポートが任意の数の異なる配向において配列されることを可能にする。
【0072】
本発明の第1の側面の好ましい実施形態では、ロータの回転の方向は、可逆的である。第1の方向において、第1の流体ポートは、流体入口ポートであり、第2の流体ポートは、流体出口ポートである。反対の方向において、第1の流体ポートは、流体出口ポートであり、第2の流体ポートは、流体入口ポートである。回転の方向が、逆転されると、第1の流体ポート、第1のチャンバ(存在する場合)、および第1の流動チャネルは、第2の流体ポート、第2のチャンバ、および第2の流動チャネルになり、第2の流体ポート、第2のチャンバ(存在する場合)、および第2の流動チャネルは、第1の流体ポート、第1のチャンバ、および第1の流動チャネルになる。
【0073】
本発明の第2の側面の好ましい実施形態では、ロータの回転の方向は、可逆的である。回転の方向が、逆転されると、第1の流体ポートは、第2の流体ポートになり、第2の流体ポートは、第1の流体ポートになり、第1の流体ポートは、開口を介して流体運搬チャンバの中に直接開放し、流体運搬チャンバは、第2の流体ポートと流体流動連通する、流動チャネルの中に流れ込む。
【0074】
本発明の全ての側面の加圧手段は、弾力的に変形可能なダイヤフラムの後面に供給され、ダイヤフラムチャンバ内に含有される、流体を備えてもよい。加圧手段を提供する流体は、ポンプを通して流動する流体によって提供されてもよい、または別個の源から供給されてもよい。
【0075】
加圧手段を提供する流体が、別個の源から提供される場合、流体は、好適には、ポンプを通して流動する流体よりも高い圧力にある。本実施形態では、第2の流体は、ダイヤフラムチャンバから制限されたオリフィスを通して流動し、第2の流体ポートを通して通過する流体の流動においてポンプを通して流動する流体と混合してもよい。
【0076】
加圧手段を提供する流体が、ポンプを通して流動する流体によって提供される場合、一方向弁が、ダイヤフラムチャンバと第2の流体ポートとの間に位置してもよい。本実施形態では、ポンプの流動の方向が、逆転される場合、一方向弁は、流体がダイヤフラムチャンバから退出しないように防止し、ダイヤフラムの後面に対する圧力は、維持されるであろう。
【0077】
任意の好適な一方向弁が、使用されてもよい。
【0078】
本発明の第1の側面のポンプを使用する際、流体は、第1の流体ポートを介してポンプの中に流動し、第1の流体ポートと直接流体流動連通する1つまたは複数の第1の流動チャネルの開放端および開放面の中に流動する。第1のチャンバが、存在する場合、流体は、これが第1の流動チャネルの中に流動する前に、第1のチャンバの中に流動する。
【0079】
流体は、次いで、1つまたは複数の第1の流動チャネルに沿って流動し、そこから、第1の流動チャネルの開放チャネル表面を介して、ロータの陥凹面と筐体の内面との間に形成される1つまたはそれを上回る流体運搬チャンバの中に通過する。ダイヤフラムの後面に対する加圧手段の作用は、ダイヤフラムのロータ係合表面が、これが回転する際、ロータの陥凹面を含む、ロータの表面と接触したままであるように、ダイヤフラムを撓曲させ、それによって、流体運搬チャンバから1つまたは複数の第2の流動チャネルの中に流体を流れ込ませる。流体は、1つまたは複数の第2の流動チャネルの開放チャネル表面を介して第2の流動チャネルの中に通過する。
【0080】
流体は、次いで、1つまたは複数の第2の流動チャネルに沿って第2の流体ポートに流動する。ポンプが、第2のチャンバを備える場合、流体は、第2の流動チャネルから第2のチャンバの中に流動し、そこから、第2の流体ポートに流動する。
【0081】
したがって、第1の流動チャネルは、ロータの作用によって、第2の流動チャネルおよび第2の流体ポートと間接的に流体流動連通するが、流体は、ダイヤフラムのため、第1の流動チャネルから第2の流体ポートに直接流動しない。加えて、ロータおよび筐体は、ロータが回転する際、陥凹の間でロータの軸方向長に沿って縦方向に延在し、第1および第2の流動チャネルを二分する、ランドのうちの少なくとも1つが常に存在するように配列される。
【0082】
流体流動は、ロータ表面に対する弾力的に変形可能なダイヤフラムの作用によって引き起こされる。ダイヤフラムは、ロータ表面内に形成される流体運搬チャンバから第2の流体ポートに向かって液体を変位させる。空の流体運搬チャンバは、これが回転するにつれて空隙を生成し、これは、ロータが回転し続けるにつれて、第1の流体ポートから流体を引き込む、部分的真空を生成する。
【0083】
第2のチャンバは、弾力的に変形可能なダイヤフラムのうちの1つまたは全ての後面を囲繞する、1つまたはそれを上回るダイヤフラムチャンバのそれぞれによって提供される、またはそれと流体流動連通してもよい。したがって、流体は、第2の流動チャネルからダイヤフラムチャンバの中に流動し、そこから、第2の流体ポートに流動してもよい。本配列の利点は、ポンプを通して流動する流体が、弾力的に変形可能なダイヤフラムの後部と接触する流体を提供し、ロータの表面と接触するように弾力的に変形可能なダイヤフラムを押勢するための付加的加圧手段またはある付加的加圧手段を提供することである。
【0084】
本発明の第2の側面のポンプを使用する際、流体は、第1の流体ポートを介してポンプの中に流動し、流動チャネルの開放端の中に流動する。流体は、次いで、流動チャネルに沿って流動し、開放チャネル表面を介して、ロータの陥凹面と筐体の内面との間に形成される流体運搬チャンバの中に通過する。ダイヤフラムの後面に対する加圧手段の作用は、ダイヤフラムのロータ係合表面が、これが回転する際、ロータの陥凹面を含む、ロータの表面と接触したままであるように、ダイヤフラムを撓曲させ、それによって、流体運搬チャンバから開口を通して第2の流体ポートの中に流体を流れ込ませる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
以下は、付随の図面が参照される、実施例としてのみ提供される、本発明の実施形態のより詳細な説明である。
【0086】
【
図1】
図1は、本発明の第1の側面の第1の実施形態による、ポンプの概略断面図である。
【
図3】
図3は、
図1および2の実施形態の部分的裁断代替斜視図である。
【
図4】
図4-9は、ダイヤフラムおよびロータ陥凹の組み合わせの異なる変形例を示す。
【
図5】
図4-9は、ダイヤフラムおよびロータ陥凹の組み合わせの異なる変形例を示す。
【
図6】
図4-9は、ダイヤフラムおよびロータ陥凹の組み合わせの異なる変形例を示す。
【
図7】
図4-9は、ダイヤフラムおよびロータ陥凹の組み合わせの異なる変形例を示す。
【
図8】
図4-9は、ダイヤフラムおよびロータ陥凹の組み合わせの異なる変形例を示す。
【
図9】
図4-9は、ダイヤフラムおよびロータ陥凹の組み合わせの異なる変形例を示す。
【
図10】
図10は、本発明の第1の側面の第2の実施形態による、ポンプの概略裁断側面図である。
【
図11】
図11は、本発明の第1の側面の第3の実施形態による、ポンプの概略断面図である。
【
図12】
図12は、本発明の第2の側面による、ポンプの概略断面図である。
【
図13】
図13は、
図8に示されるようなダイヤフラムおよびロータチャンバの配列を有するポンプを通した変位を図示する。
【
図14】
図14は、
図6に示されるようなダイヤフラムおよびロータチャンバの配列を有するポンプを通した変位を図示する。
【
図15】
図15は、
図7に示されるようなダイヤフラムおよびロータチャンバの配列を有するポンプを通した変位を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0087】
図1は、ポンプ10が、入口ポート21を提供する第1の流体ポートと、出口ポート22を提供する第2の流体ポートとを伴う、筐体20を備えることを示す。筐体20は、その中にロータ30(概して、破線で示される)が位置する、概して、参照番号24によって示される空洞を画定する、内面23を有する。本図では、ロータ30の配向は、ロータ30の表面上の陥凹が図示されないようなものである。しかしながら、空洞24内のロータ30の一般的な場所は、ロータ30の筐体係合表面エリア31が筐体20の内面23と接触し、シール締まり嵌めを提供することを示すように示される。ロータの縦方向回転軸もまた、破線15によって示される。
図1から分かり得るように、第1および第2の流体ポートは両方とも、ロータの縦方向回転軸(15)に対して半径方向に整合される。
【0088】
第1のチャンバ25が、筐体20の内面23と入口ポート21に隣接するロータ30の端部との間に形成される。
図1はまた、ロータ30が位置する空洞24を画定する、筐体の内面23内の陥凹チャネルとして形成される、流動チャネル41a、41bの対を示す。第1の流動チャネル41aは、第1のチャンバ25の中に開放する。第2のチャンバ26が、筐体20の内面23と出口ポート22に隣接するロータ30の反対の端部との間に形成される。第2の流動チャネル41bは、第2のチャンバ26の中に開放する。第1の流動チャネル41aが、第2のチャンバ26の中に開放せず、第2の流動チャネル41bが、第1のチャンバ25の中に開放しないことが
図1から分かり得る。
【0089】
第1および第2のチャンバ25および26はそれぞれ、それぞれ、端部キャップ35および36によって別個に完成される。これらの端部キャップ35、36のうちの一方は、辺縁シール(図示せず)または辺縁シールを担持するキャップ(図示せず)であり、その辺縁シールを通して、その上にロータ30が搭載されるシャフト(図示せず)が、通過し、ロータを駆動手段と係合させる。
【0090】
ロータ30が、筐体20の空洞24内に位置するとき、流動チャネル41a、41bの縦方向開放チャネル表面42a、42bは、ロータ30の表面に沿って延在し、ロータ30の表面と流体流動連通する。
【0091】
図1に図示されるように、各流動チャネル41a、41bは、開放端43と、閉鎖端44とを有する。チャネルの対における各チャネル41a、41bの開放端43および閉鎖端44は、チャネル41a、41bの対向する端部にある。第1の流動チャネル41aの開放端43が、流体入口ポート21と直接流体流動連通し、第2の流動チャネル41bの開放端43が、流体出口ポート22と直接流体流動連通することが分かり得る。また、第2のチャネル41bが、流体入口ポート21と直接流体流動連通せず、第1のチャネル41aが、流体出口ポート22と直接流体流動連通しないことが
図1から分かり得る。
【0092】
図1は、流動チャネル41a、41bの1つの対のみを示すが、ポンプが、流動チャネル41a、41bの2つの対を備えることが
図2および3から分かり得る。流動チャネルの両方の対における第1のチャネル41aのそれぞれの開放端43は、流体入口ポート21と直接流体流動連通し、流動チャネルの両方の対における第2のチャネル41bのそれぞれの開放端43は、流体出口ポート22と直接流体流動連通するであろう。
【0093】
筐体20は、プラスチック材料から形成されてもよく、任意の好適な成型プロセスによって作製されてもよい。例えば、筐体は、ポリプロピレン、ポリエチレン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性エラストマー(TPE)等の熱可塑性物質、またはシリコーンゴム等の熱硬化性樹脂から作製されてもよい。好ましくは、筐体は、弾力性である。好ましくは、筐体は、ワンショット成型プロセスにおいて作製される。
【0094】
ロータ(図示せず)は、ステンレス鋼、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、HDPE、またはポリカーボネート等のリジッド材料から作製されてもよい。
【0095】
本発明の本実施形態における流体入口ポート21および流体出口ポート22は両方とも、ポンプ10の側上に位置し、言い換えると、流体入口ポート21および流体出口ポート22は両方とも、ロータ(図示せず)の縦方向回転軸15の半径方向に位置する。それらは、筐体20の同一の側上にあるものとして示されるが、それらは、それぞれ、筐体20の円周を中心とする任意の場所に配列され得る。代替配列(図示せず)では、流体入口ポート21および流体出口ポート22は、筐体の同一または反対の端部に配列され得、そのような実施形態では、入口または出口ポート21、22は、端部キャップ35、36内に形成されてもよい。さらなる代替(図示せず)では、入口または出口ポート21、22のうちの一方は、筐体の円周を中心として配列され、半径方向ポートを提供し得、入口または出口ポート21、22のうちの他方は、筐体の端部に配列され、軸方向ポートを提供し得る。
【0096】
使用時、流体は、流体入口ポート21を介してポンプ10の中に流動し、第1のチャンバ25の中に流動する。第1のチャンバ25から、流体は、第1の流動チャネル41aの開放面の中に流動する。流体は、矢印によって示される方向において第1の流動チャネル41aに沿って流動する。ロータ30の回転は、ロータ30上の陥凹(図示せず)および筐体の内面23によって形成される流体運搬チャンバ(図示せず)を第1の流動チャネル41aの開放面と流体流動連通させる。流体は、第1の流動チャネル41aから流体運搬チャンバの中に流動する。ロータの継続される回転は、第1の流動チャネル41aから離れ、第2の流動チャネル41bの開放面と流体流動連通するように流体を移動させる。流体は、弾力的に変形可能なダイヤフラム(
図1に図示せず)によって支援され、流体運搬チャンバから第2の流動チャネル41bの開放面の中に流動し、これは、流体運搬チャンバから第2の流動チャネル41bの中に流体を変位させる。流体は、矢印によって示される方向において第2の流動チャネル41bに沿って第2のチャンバ26の中に流動する。流体は、第2のチャンバから流体出口ポート22を介してポンプから外に流動する。
【0097】
図2および3は、
図1に示されるポンプの代替図を図示する。
図2は、入口ポート21を提供する第1の流体ポートを示すが、第2の流体ポート22を省略する、ポンプの一方の端部の部分的裁断断面である。
図3は、今回は筐体の内側を示すように方向転換される、流体出口ポート22を提供する第2の流体ポートを示す、
図2に示されるポンプの他方の端部の部分的裁断図である。
【0098】
実施形態の本図では、流動チャネル41a、41bの2つの対が、見られ得る。第1の流動チャネル41aは、第1のチャンバ(図示せず)の中に開放する。第2のチャンバ26が、筐体20の内面23とロータ(図示せず)の端部との間に形成される。第2の流動チャネル41bは、第2のチャンバ26の中に開放する。第2の流動チャネル41bが、第1のチャンバ(図示せず)の中に開放しないことが
図2から分かり得る。
【0099】
図2および3は、流動チャネル41a、41bの対が、筐体20の内面23内の陥凹チャネルとして形成されることを示す。流動チャネル41a、41bの対は、ロータ(図示せず)が使用時に位置する空洞24を画定する、内面23内に形成される。
【0100】
図2および3はまた、2つの弾力的に変形可能なダイヤフラム50を示す。2つの弾力的に変形可能なダイヤフラム50が、筐体20と一体的であり、筐体20の残りの部分よりも薄く、したがって、より可撓性である筐体20の内面23の区分によって提供されることが分かり得る。さらに、2つの弾力的に変形可能なダイヤフラム50が、2つの弾力的に変形可能なダイヤフラム50のそれぞれの後面54上に肋材52を備えることが
図2および3から分かり得る。2つの弾力的に変形可能なダイヤフラム50はそれぞれ、ロータ係合表面56を備える。さらに、
図2および3は、筐体から延在し、各ダイヤフラム50の後面54を囲繞するダイヤフラムチャンバ65を形成する、壁60を示す。壁60は、キャップ(図示せず)を用いて閉鎖され、各ダイヤフラム50の後面54の周囲に封入されたダイヤフラムチャンバ65を形成してもよい。加圧手段(図示せず)が、ロータ(図示せず)に対してダイヤフラム50を押勢するために、ダイヤフラムチャンバ65の内側に位置することができる。
【0101】
図2および3に図示されるように、第2の流動チャネル41bは、開放端43と、閉鎖端44とを有する。第2のチャネル41bの開放端43は、流体出口ポート22と直接流体流動連通し、第2のチャネル41bは、流体入口ポート21と直接流体流動連通しない。
【0102】
また、流動チャネル41a、41bの各対が、各弾力的に変形可能なダイヤフラム50の縦方向側に沿って延在することが
図2および3から分かり得る。各流動チャネル41a、41bは、ダイヤフラム50の側縁に隣接して形成され、ダイヤフラム50内に部分的または全体的に形成されてもよい。流動チャネル41a、41bの各対は、ロータが使用のために空洞24の中に挿入されるとき、ロータ(
図2および3に図示せず)の回転軸と本質的に平行であろう。さらに、各流動チャネル41a、41bは、他方の流動チャネル41a、41bに本質的に平行である。
【0103】
使用時、ロータが、時計回り方向(
図2に示されるように)に回転されるにつれて、流体は、入口ポート21を通してポンプの中に流動し、第1のチャンバ(図示せず)の中に流動し、そこから、第1の流動チャネル41aの中に流動する。ロータ陥凹と筐体23の内面との間に形成される流体運搬チャンバは、流動チャネル41aからの流体によって充填される。ロータの継続される回転は、流体で満たされた流体運搬チャンバを、これが第2の流動チャネル41bに開放する位置まで移動させる。ロータ(図示せず)の表面に対する可撓性ダイヤフラム50の作用は、流体運搬チャンバから第2の流動チャネル41bの中に流体を変位させる。流体は、第2の流動チャネル41bから第2のチャンバ26の中に通過し、そこから、出口ポート22を通して通過する。
【0104】
図4-9は、ダイヤフラムおよびロータの異なる配列の断面図を示す。容易な参照のために、同様の参照番号が、
図4-9において同様の特徴のために使用される。
【0105】
図4は、筐体220のより薄い区分によって一体配列として形成される、1つの弾力的に変形可能なダイヤフラム226を備える、筐体220の一部を示す。弾力的に変形可能なダイヤフラム226は、第1の流動チャネル241aと第2の流動チャネル241bとの間に延在する。ロータ230は、筐体220の内面223とともに3つの流体運搬チャンバ232a、232b、232cを形成する、3つの陥凹231a、231b、231cを備える。ロータはまた、筐体の内面とのシール締まり嵌めを形成する、筐体係合表面エリアを提供する、陥凹の間の3つのランド251a、251b、および251cを有する。本図では、ダイヤフラム226は、加圧手段(図示せず)によってロータ230の陥凹面231bと接触するように押勢され、ロータが反時計回りに回転するにつれて、流体運搬チャンバ232bから第2のチャネル流動241bの中に流体を変位させている。同時に、部分的真空が、ダイヤフラム226を通過した陥凹231bの一部において生成され、ロータ230が回転し続けるにつれて、流体が、第1の流動チャネル241aから吸い込まれ、チャンバ232bを再充填する。使用時、ダイヤフラムおよびロータの本配列は、実質的にいかなる流体も出口ポートから外に流動しない周期を伴う、流体のパルス化流動を生産するであろう。
【0106】
図5は、筐体220のより薄い区分によって一体配列として形成される、1つの弾力的に変形可能なダイヤフラム226を備える、筐体220の一部を示す。弾力的に変形可能なダイヤフラム226は、第1の流動チャネル241aと第2の流動チャネル241bとの間に延在する。ロータ230は、筐体220の内面223とともに4つのロータチャンバ232a、232b、232c、232dを形成する、4つの陥凹231a、231b、231c、231dを備える。ロータはまた、筐体の内面とのシール締まり嵌めを形成する、筐体係合表面エリアを提供する、陥凹の間の4つのランド251a、251b、251c、および251dを有する。本図では、ダイヤフラム226は、加圧手段(図示せず)によってロータ230の陥凹面231cと接触するように押勢され、ロータが反時計回りに回転するにつれて、流体運搬チャンバ232cから第2の流動チャネル241bの中に流体を変位させている。同時に、部分的真空が、ダイヤフラム226を通過した陥凹231cの一部において生成され、ロータ230が回転し続けるにつれて、流体が、第1の流動チャネル241aから吸い込まれ、チャンバ232cを再充填する。使用時、ダイヤフラムおよびロータの本配列は、実質的にいかなる流体も出口ポートから外に流動しない周期を伴う、流体のパルス化流動を生産するであろう。
【0107】
図6は、筐体220のより薄い区分によって一体配列として形成される、1つの弾力的に変形可能なダイヤフラム226を備える、筐体220の一部を示す。弾力的に変形可能なダイヤフラム226は、第1の流動チャネル241aと第2の流動チャネル241bとの間に延在する。ロータ230は、筐体220の内面223とともに5つのロータチャンバ232a、232b、232c、232d、232eを形成する、5つの陥凹231a、231b、231c、231d、231eを備える。ロータはまた、筐体の内面とのシール締まり嵌めを形成する、筐体係合表面エリアを提供する、陥凹の間の5つのランド251a、251b、251c、251d、および251eを有する。本図では、ダイヤフラム226は、加圧手段(図示せず)によってロータ230の陥凹面231cと接触するように押勢され、ロータが反時計回りに回転するにつれて、流体運搬チャンバ232cから第2の流動チャネル241bの中に流体を変位させている。同時に、部分的真空が、ダイヤフラム226を通過した陥凹231cの一部において生成され、ロータ230が回転し続けるにつれて、流体が、第1の流動チャネル241aから吸い込まれ、チャンバ232cを再充填する。使用時、ダイヤフラムおよびロータの本配列は、実質的にいかなる流体も出口ポートから外に流動しない周期を伴う、流体のパルス化流動を生産するであろう。
【0108】
図6のロータおよびダイヤフラムの組み合わせを備えるポンプを通した流動は、
図14にさらに図示される。
図14は、ロータ230が回転する際のダイヤフラム226の変位を図示する。ポンプを通した流体の流量は、グラフの下の面積である。流体流動が、ゼロ流動の周期を伴ってパルス化されることが分かり得る。
図6の配列において1つのみのダイヤフラムが、存在するため、どの時点においても1つのみの流体運搬チャンバが、空になり、ポンプからのパルス化流体出力をもたらすことができる。
【0109】
図7は、筐体220のより薄い区分によって一体配列として形成される、2つの弾力的に変形可能なダイヤフラム226を備える、筐体220の一部を示す。弾力的に変形可能なダイヤフラム226は、相互に正反対に配列され、それぞれ、第1の流動チャネル241aと第2の流動チャネル241bとの間に延在する。したがって、筐体220は、流動チャネル241a、241bの2つの対を備え、各対は、1つのダイヤフラム226と関連付けられる。第1の流動チャネル241aおよび第2の流動チャネル241bは、ロータの円周を中心として交互に配列される。ロータ230は、筐体220の内面223とともに4つのロータチャンバ232a、232b、232c、232dを形成する、4つの陥凹231a、231b、231c、231dを備える。ロータはまた、筐体の内面とのシール締まり嵌めを形成する、筐体係合表面エリアを提供する、陥凹の間の4つのランド251a、251b、251c、および251dを有する。本図では、ダイヤフラム226は、加圧手段(図示せず)によってロータ230の陥凹面231aおよび231cと接触するように押勢され、ロータが反時計回りに回転するにつれて、流体運搬チャンバ232aおよび232cから第2のチャネル流動241bの中に流体を変位させている。使用時、ダイヤフラムおよびロータの本配列は、実質的にいかなる流体も出口ポートから外に流動しない周期を伴う、流体のパルス化流動を生産するであろう。2つのダイヤフラムの存在は、ロータチャンバがロータの旋回毎に2回空にされているため、流量が倍増されることを意味する。
【0110】
図7のロータおよびダイヤフラムの組み合わせを備えるポンプを通した流動は、
図15にさらに図示される。
図15は、ロータ230が回転する際のダイヤフラム226の変位を図示する。ポンプを通した流体の流量は、グラフの下の面積である。再び、その流体が、ゼロ流動の周期を伴ってパルス化されることが分かり得る。本実施形態では、2つのダイヤフラムが、存在し、したがって、2つの流体運搬チャンバが、空になる。しかしながら、ロータは、ロータを中心として等距離に離間される偶数の陥凹を備え、ダイヤフラムは、相互に正反対であるため、各ダイヤフラムによって空にされる流体チャンバは、並行して空にされる。これは、2つの正弦波が、重畳され、より大きい波振幅をもたらすが、依然として、ゼロ流動の周期を有するため、
図15のグラフに見られ得る。
【0111】
図8は、筐体220のより薄い区分によって一体配列として形成される、2つの弾力的に変形可能なダイヤフラム226を備える、筐体220の一部を示す。弾力的に変形可能なダイヤフラム226は、それぞれ、第1の流動チャネル241aと第2の流動チャネル241bとの間に延在する。したがって、ポンプ220は、流動チャネル241a、241bの2つの対を備える。ロータ230は、筐体220の内面223とともに5つのロータチャンバ232a、232b、232c、232d、232eを形成する、5つの陥凹231a、231b、231c、231d、231eを備える。ロータはまた、筐体の内面とのシール締まり嵌めを形成する、筐体係合表面エリアを提供する、陥凹の間の5つのランド251a、251b、251c、251d、および251eを有する。本図では、ダイヤフラム226のうちの一方は、加圧手段(図示せず)によってロータ230の陥凹面231cと接触するように押勢され、ロータが反時計回りに回転するにつれて、流体運搬チャンバ232cから第2のチャネル流動241bの中に流体を変位させている。同時に、ダイヤフラム226を通過したチャンバ232cの一部は、部分的真空を備え、これは、流体を第1の流動チャネル241aからチャンバ232cの本一部の中に引き込ませる。したがって、チャンバ232cは、ロータが回転するにつれて、チャンバがダイヤフラムを過ぎて移動するにつれて、ロータの陥凹面に対するダイヤフラム226の作用によって空にされ、再充填される。同時に、他方のダイヤフラム226は、これがランド251eに接触する際、流動チャネル241bおよび241aの他方の対を分離している。
【0112】
図8のロータおよびダイヤフラムの組み合わせを備えるポンプを通した流動は、
図13にさらに図示される。
図13は、ロータ230が回転する際のダイヤフラム226の変位を図示する。ポンプを通した流体の流量は、グラフの下の面積である。再び、各ダイヤフラムからのその流体流動が、ゼロ流動の周期を伴ってパルス化されることが分かり得る。しかしながら、本実施形態では、2つのダイヤフラムが、存在し、ロータは、ロータを中心として等距離に離間される奇数の陥凹を備えるため、各ダイヤフラムによって空にされる流体チャンバは、任意の一定のロータ速度において異なる時点で空にされる。これは、2つの異なるダイヤフラムの変位を表す2つの正弦波が一致せず、ポンプからの流体の連続的流動をもたらすため、
図15のグラフに見られ得る。流量がここでは変動するが、ポンプが動作する間、ポンプから流動する一部の流体が常に存在することが分かり得る。
【0113】
図9は、筐体220のより薄い区分によって一体配列として形成される、1つの弾力的に変形可能なダイヤフラム226を備える、筐体220の一部を示す。弾力的に変形可能なダイヤフラム226は、第1の流動チャネル241aと第2の流動チャネル241bとの間に延在する。ロータ230は、筐体220の内面223とともに2つのロータチャンバ232aおよび232bを形成する、2つの陥凹231aおよび231bを備える。ロータはまた、筐体の内面とのシール締まり嵌めを形成する、筐体係合表面エリアを提供する、陥凹の間の2つのランド251aおよび251bを有する。本図では、ダイヤフラム226は、加圧手段(図示せず)によってロータ230の陥凹面231aと接触するように押勢され、ロータが反時計回りに回転するにつれて、流体運搬チャンバ232aから第2の流動チャネル241bの中に流体を変位させている。同時に、部分的真空が、ダイヤフラム226を通過した陥凹231aの一部として生成され、ロータ230が回転し続けるにつれて、流体が、第1の流動チャネル241aから吸い込まれ、チャンバ232aを再充填する。使用時、ダイヤフラムおよびロータの本配列は、実質的にいかなる流体も出口ポートから外に流動しない周期を伴う、流体のパルス化流動を生産するであろう。
【0114】
図10は、ポンプ300が、入口ポート321を提供する第1の流体ポートと、出口ポート322を提供する第2の流体ポートとを伴う、筐体320を備えることを示す。入口ポート321および出口ポート322は両方とも、ロータ330の縦方向回転軸315に対して軸方向に整合される。本実施形態では、入口ポート321および出口ポート322は両方とも、筐体およびロータの同一の端部にある。筐体320は、その中にロータ330が位置する、内面323を有する。本図では、ロータ330の配向は、ロータ330の表面上の陥凹の深さが完全には図示されないようなものである。ロータ330は、複数の筐体係合表面335と、複数の陥凹337とを備える。各陥凹337は、筐体320の内面323とともに流体運搬チャンバを形成する。ロータ330の筐体係合表面エリア335は、筐体320の内面323と接触し、シール締まり嵌めを提供する。ロータ330の縦方向回転軸は、破線315によって示される。
【0115】
第1のチャンバ325が、筐体320の内面323とロータ330の端部との間に形成される。第1の流動チャネル341aが、第1のチャンバ325の中に開放する。第2のチャンバ326が、筐体320の内面323とロータ330の反対の端部の端部との間に形成される。第2の流動チャネル(図示せず)が、第2のチャンバ326の中に開放する。本発明の本実施形態では、ポンプ300はさらに、筐体320の外面上に形成される、ダイヤフラムチャンバ340を備える。ダイヤフラムチャンバ340は、ダイヤフラム328の後面327を囲繞する。ダイヤフラムチャンバ340は、筐体320から延在され、筐体320と一体的である側壁345と、別個の閉鎖チャンバ346とを備える。ダイヤフラムチャンバ340は、第2のチャンバ326および流体出口ポート322と流体流動連通する。
【0116】
図10はまた、筐体の内面323内の陥凹チャネルとして形成される、第1の流動チャネル341aの一部を示す。
図10から分かり得るように、第1の流動チャネル341aは、ロータ330が位置する空洞を画定する、内面323内に形成される。ロータ330が、筐体320の空洞内に位置するとき、第1の流動チャネル341aの縦方向開放チャネル表面342aは、ロータ330の表面に沿って延在し、ロータ330の表面と流体流動連通する。
【0117】
第1の流動チャネル341aは、流体入口ポート321と直接流体流動連通する、開放端343を有する。
【0118】
本発明の本実施形態における流体入口ポート321および流体出口ポート322は両方とも、ポンプ310の同一の端部上に位置する。
【0119】
使用時、流体は、流体入口ポート321を介してポンプ300の中に流動し、第1のチャンバ325の中に流動する。第1のチャンバ325から、流体は、第1の流動チャネル341aの開放面の中に流動する。流体は、矢印によって示される方向において第1の流動チャネル341aに沿って流動する。縦方向回転軸315を中心とするロータ330の回転は、ロータ330上の陥凹337および筐体の内面323によって形成される流体運搬チャンバを第1の流動チャネル341aの開放面と流体流動連通させる。流体は、第1の流動チャネル341aから流体運搬チャンバの中に流動する。ロータ330の継続される回転は、ロータチャンバ337および筐体の内面323によって説明される固定容積内に含有される流体を、第1の流動チャネル341aから離れ、ロータの継続される回転に応じて、第2の流動チャネル(図示せず)の開放面と流体流動連通するように移動させる。したがって、流体は、ダイヤフラム328の変位作用によって支援され、流体運搬チャンバから第2の流動チャネルの開放面の中に流動する。流体は、第2の流動チャネル(図示せず)に沿って第2のチャンバ326の中に流動する。流体は、矢印によって示される方向において第2のチャンバ326からダイヤフラムチャンバ340の中に流動する。ダイヤフラムチャンバ340内の流体の圧力は、ダイヤフラム328の後面327に対して作用し、ロータ330に対してダイヤフラム328を押勢する。流体は、矢印によって示される方向においてダイヤフラムチャンバ340を通して流動し続け、矢印によって示される方向において通路348を通してダイヤフラムチャンバ340から退出し、流体出口ポート322を介してポンプから退出する。
【0120】
図11は、ポンプ400によって提供される、本発明の代替実施形態の断面図を示す。ポンプ400は、入口ポート421を提供する第1の流体ポートおよび出口ポート422を提供する第2の流体ポートと、ロータ430が位置する空洞を画定する、内面423とを備える、筐体420を備える。ロータ430は、筐体空洞内に位置し、筐体420の内面423との締まり嵌めを形成する、筐体係合表面435を有する。ロータ430は、筐体の内面423とともに流体運搬チャンバ(図示せず)を形成する、複数の陥凹437を備える。筐体420はさらに、筐体420のより薄い区分によって形成される、2つの弾力的に変形可能なダイヤフラム450を備える。各ダイヤフラム450のロータ係合表面が、加圧手段490を用いてロータ430と接触するように押勢される。流動チャネルは、本図で見られることができない。
【0121】
ポンプ400はさらに、流体入口421および第1の流動チャネル(図示せず)と流体流動連通する、第1のチャンバ425を備える。ポンプ400はさらに、第2の流動チャネル(図示せず)および流体出口422と流体流動する、第2のチャンバ426を備える。
【0122】
図11は、ポンプが、第1のチャンバ425に隣接する端部においてポンプを閉鎖する端部キャップ470と、第2のチャンバ426に隣接する端部においてポンプを閉鎖する端部キャップ472とを備えることを示す。第2の端部キャップ472は、その中に開口部を備え、ロータ430のシャフト480がモータ駆動シャフト(図示せず)に接続されることを可能にする。液密嵌合が、辺縁シール485を用いて第2の端部キャップ472とロータ430のシャフト480との間に提供される。
【0123】
図11はさらに、ダイヤフラム450の後部を囲繞し、加圧手段490を含有する、ダイヤフラムチャンバ465を提供するために、筐体の外部上に嵌合される、ダイヤフラムキャップ460を図示する。本実施形態では、ダイヤフラムキャップ460はさらに、使用のためにポンプ400の接続を促進するために、それぞれ、筐体の流体入口421および流体出口422にわたって嵌合する、コネクタ466および467を備える。代替実施形態では、流体入口421および流体出口422は、より長く、ダイヤフラムキャップ460を通して延在し、コネクタ466、467に関する必要性を不要にする。
【0124】
図11に図示される実施形態はさらに、流体出口422とダイヤフラムチャンバ465との間に位置する、一方向弁492を図示する。また、図示されるものは、ダイヤフラムチャンバ465と第1のチャンバ425との間に位置する、随意の圧力解放弁495である。そのような随意の弁が、嵌合される場合、筐体(図示されるような)内のブラインド孔498は、貫通孔として形成される。
【0125】
図11のポンプの使用時、流体は、コネクタ466および流体入口ポート421を介してポンプ400の中に流動し、第1のチャンバ425の中に流動する。流体は、第1のチャンバから第1の流動チャネル(図示せず)の中に流動し、ロータ430の陥凹面437と筐体423の内面との間に形成される流体運搬チャンバ(図示せず)の中に流動する。流体は、ロータが回転するにつれてポンプの周囲に運搬され、加圧手段490によってロータ430の表面に対して押勢される、ダイヤフラム450の作用によって隣接する第2の流動チャネル(図示せず)の中に変位される。
【0126】
流体は、第2のチャネル(図示せず)から第2のチャンバ426の中に流動し、流体出口ポート422の中に流動する。流体の一部は、次いで、コネクタ467を通してポンプから外に流動するであろう。流体の一部は、一方向弁492を過ぎてダイヤフラムチャンバ465の中に流動するであろう。ダイヤフラムチャンバ内の流体は、ダイヤフラム450の後面にさらなる圧力を印加するであろう。ポンプを通した液体の流動が停止する、またはポンプ400を通した流体の流動の方向が逆転される場合、流体は、一方向弁492によってダイヤフラムチャンバ465内に留保されるものとする。
【0127】
ダイヤフラムチャンバ465内の圧力が高くなりすぎる場合、流体は、圧力解放弁495を過ぎてそれ自体を押進し、第1のチャンバ425の中に再循環するであろう。
【0128】
図12は、本発明の第2の側面による、ポンプ500の実施例を図示する。ポンプ500は、本実施形態では、それぞれ、流体入口および流体出口を提供する、第1の流体ポート510と、第2の流体ポート520とを備える。ポンプ500はさらに、ロータ535が位置する空洞530を画定する、内面525を有する、筐体515を備え、ロータ535は、縦方向回転軸540を有し、筐体515の内面525とのシール締まり嵌めを形成する、そのうちのいくつかが
図12に示される、複数の筐体係合表面エリア545を備える。本実施形態に示されるロータ535は、5つの流体運搬チャンバ555を筐体の内面525とともに形成する、5つの表面陥凹550を有する。筐体515は、筐体515のより薄い区分によって筐体515と一体として提供される、筐体の内面525の一部を提供する、弾力的に変形可能なダイヤフラム560を備える。ダイヤフラムは、ロータ係合表面565と、ロータ係合表面と反対の後面570とを有する。ポンプ500はさらに、弾力的に変形可能なダイヤフラム560と関連付けられる流動チャネル575を備え、流動チャネルは、ロータ535の一方の端部から縦方向に延在し、ロータが使用時に回転する際、ロータ535の表面陥凹550に上置し、ロータの縦方向回転軸に実質的に平行である。流動チャネル575は、筐体515の内面525内に形成され、チャネル575の一方の縦方向縁は、筐体515の内面525によって画定され、チャネルの他方の縦方向縁は、ダイヤフラム560によって画定される。流動チャネル575は、第1の流体ポート510と流体連通する。
図12から分かり得るように、第2の流体ポート520は、開口595を介して筐体515の内面525から開放し、ロータ535の回転に応じて、第2の流体ポート520が、開口595を介して流体運搬チャンバ555と直接流体流動連通するように位置する。
【0129】
ポンプ500はさらに、筐体から延在する側壁585によって提供され、キャップ590を用いて閉鎖される、ダイヤフラムチャンバ580を備える。ダイヤフラムチャンバ580は、ダイヤフラム560の後面570を囲繞および封入する。ダイヤフラムチャンバ580は、ロータ535の表面と接触するようにダイヤフラム560を押勢するように配列される、加圧手段(図示せず)を含有するであろう。
【0130】
使用時、流体は、第1の流体ポート510を通してポンプ500の中に流動し、流動チャネル575の中に流動する。流体は、流動チャネル575に沿って流動し、その表面から流体運搬チャンバ555の中に通過する。ロータ535が回転するにつれて、流体チャンバ555は、筐体515内に形成される空洞530の周囲で第2の流体ポート520に向かって流体を運搬する。加圧手段(図示せず)の作用は、ロータ535と接触するようにダイヤフラム560を押勢する。ダイヤフラム560の弾力的に変形可能な性質に起因して、ダイヤフラム560は、ロータが回転する際にロータ535と接触したままであり、したがって、ロータ535の変化する表面プロファイルに共形化する。ロータ535の陥凹面550に対するダイヤフラム560の作用は、空洞555から開口595を通して、および第2の流体ポート520を通してポンプから外に流体を変位させる。
【国際調査報告】