(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】電気供給宇宙船及び関連方法
(51)【国際特許分類】
B64G 1/10 20060101AFI20240426BHJP
B64G 1/40 20060101ALI20240426BHJP
B64G 1/26 20060101ALI20240426BHJP
B64G 1/44 20060101ALI20240426BHJP
B64G 1/64 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
B64G1/10 500
B64G1/40 500
B64G1/26 B
B64G1/40 100
B64G1/40 200
B64G1/44 300
B64G1/64 600
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570104
(86)(22)【出願日】2022-05-11
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 FR2022050901
(87)【国際公開番号】W WO2022238660
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523427261
【氏名又は名称】サフラン スペースクラフト プロパルション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】パスカル ビュルテル
(72)【発明者】
【氏名】ゴーチエ デュラン
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ ティリー
(72)【発明者】
【氏名】マリー アンサール
(72)【発明者】
【氏名】ジル ブウールス
(72)【発明者】
【氏名】オリビエ デュシュマン
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク マルシャンディス
(57)【要約】
本発明は、自由空間内、軌道上及び/又は天体上の位置するクライアント船2に対する電気エネルギの供給のための宇宙船1であって、宇宙船1は、電気スラスタ10Aと化学スラスタ10Bと太陽電気エネルギ発生器10Cとを有する、主構造10と、電気スラスタ10Aのための燃料用の第1燃料容器11と、化学スラスタ10Bのための燃料用の第2燃料容器12とを備え、宇宙船1は、主構造10が第1燃料容器11又は第2燃料容器12に代替的に連結又は分離することができ、第1燃料容器11及び第2燃料容器12は、互いに連結又は互いから分離されることができ、太陽電気エネルギ発生器10Cが展開又は格納されることが意図されている、宇宙船1に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギをクライアント船(2)に供給するための宇宙船(1)において、
前記宇宙船(1)は、
電気スラスタ(10A)と、化学スラスタ(10B)と、可変幾何学的形状を有する太陽電気エネルギ発生器(10C)とを備える、主構造(10)と、
前記電気スラスタ(10A)のための少なくとも1つの第1燃料容器(11)と、
前記化学スラスタ(10B)のための少なくとも1つの第2燃料容器(12)とを備え、
前記宇宙船(1)は、前記電気スラスタ(10A)に燃料を供給するために前記主構造(10)を前記第1燃料容器(11)に取り外し可能に連結させ、又は、前記化学スラスタ(10B)に燃料を供給するために前記主構造(10)を前記第2燃料容器(12)に代替的に取り外し可能に連結し、前記第1燃料容器(11)と前記第2燃料容器(12)とを互いに取り外し可能に連結させる、モジュール式であり、
前記太陽電気エネルギ発生器(10C)は、
自由空間内、軌道上又は第1天体上の第1地点に位置する第1クライアント船(2)に電気エネルギを供給し、前記宇宙船(1)を自由空間内、軌道上又は第2天体上の第2地点に位置する第2クライアント船(2)に変位させるように展開されるように、かつ、
前記自由空間内又は前記軌道上の前記第1クライアント船又は前記第2クライアント船との係留段階、並びに、第3天体に向かう着陸段階、及び、軌道への復帰のための前記第3天体からの離陸段階を実施するために格納されるように構成されている、宇宙船(1)。
【請求項2】
前記太陽電気エネルギ発生器(10C)が、同じ軸線を中心に巻き及び解かれるように構成された柔軟な光電池を備える、請求項1に記載の宇宙船(1)。
【請求項3】
前記太陽電気エネルギ発生器(10C)が、有線による、及び/又は、短距離波による、及び/又は、レーザによる、電気エネルギを伝達する手段を備える、請求項1又は2に記載の宇宙船(1)。
【請求項4】
前記宇宙船(1)は、搭載機器を担持するための支持構造(13)を備え、前記支持構造(13)は、前記第1燃料容器(11)及び前記第2燃料容器(12)と連結及び分離されるよう構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の宇宙船(1)。
【請求項5】
前記主構造(10)は、前記宇宙船(1)を天体から軌道に戻すことを可能にするように、前記化学スラスタ(10B)のための少なくとも1つの第3燃料容器(14)を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の宇宙船(1)。
【請求項6】
前記主構造(10)が、前記宇宙船(1)をクライアント船(2)に連結させるように構成された係留手段を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の宇宙船(1)。
【請求項7】
前記主構造(10)は、前記宇宙船(1)が天体上に着陸させることができるよう構成された着陸手段(16)を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の宇宙船(1)。
【請求項8】
前記宇宙船(1)の燃料補給を保証するための燃料移送手段を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の宇宙船(1)。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の宇宙船(1)を用いて、自由空間内、軌道上又は天体上に位置するある地点において少なくとも1つのクライアント船(2)に電気エネルギを供給するための方法において、
前記方法は、
前記宇宙船が軌道上に配置された後に展開された前記電気スラスタ(10A)及び前記太陽電気エネルギ発生器(10C)を用いて、自由空間内、軌道上又は天体上に位置するクライアント船(2)に向けて、前記軌道上に配置された前記宇宙船(1)を通過させるステップを備える、方法。
【請求項10】
前記方法は、
前記宇宙船(1)を、前記自由空間内又は軌道上に位置するクライアント船(2)に係留させるステップと、
前記太陽電気エネルギ発生器(10C)によって生成された電気エネルギを前記クライアント船(2)に供給するステップとを備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、
前記宇宙船(1)を天体の周囲の軌道に乗せるステップと、
前記太陽電気エネルギ発生器(10C)を格納するステップと、
前記第1燃料容器(11)を前記主構造(10)から分離させるステップと、
前記主構造(10)を前記第2燃料容器(12)に連結させるステップと、
前記第1燃料容器(11)を前記第2燃料容器(12)から分離させるステップと、
前記宇宙船(1)を前記天体の地上に着陸させるステップと、
前記太陽電気エネルギ発生器(10C)を展開するステップと、
前記太陽電気エネルギ発生器(10C)によって生成された電気エネルギを前記天体上のクライアント船(2)に供給するステップとを備える、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
電気エネルギを他のクライアント船に供給するミッションの継続の場合、前記方法は、
前記太陽電気エネルギ発生器(10C)を格納するステップと、
前記第2燃料容器(12)を充填するステップ、又は、代替的に、燃料を化学スラスタ(10B)に供給するために少なくとも1つの第3燃料容器(14)を前記主構造(10)に連結させるステップと、
前記宇宙船(1)を前記天体の周囲の軌道に乗るように離陸させるステップとを備える、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、
第3燃料容器(14)を前記主構造(10)から分離させるステップと、
前記電気スラスタ(10A)及び前記化学スラスタ(10B)のために軌道上又は自由空間内で燃料補給するステップと、
前記宇宙船(1)をクライアント船(2)へ通過させるステップとを備える、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、宇宙船による電気エネルギの供給に関する。また、上記宇宙船を用いて電気エネルギを供給する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、宇宙探査ミッションは、自由空間内、軌道上又は天体上のある地点でクライアント船に電気エネルギを供給することが計画されている。
【0003】
ミッションの必要性と、電力を供給するクライアント船の位置に応じて、太陽電気エネルギ発生器をクライアント船の位置に持ち込み、クライアント船に電気エネルギを供給するために、いくつかの明確なシステムを実施する必要がある。最も複雑なミッションの場合、太陽電気エネルギ発生器を宇宙空間に持ち込むことを目的とした発射システムと、太陽電気エネルギ発生器の宇宙空間での通過を保証するための宇宙における移送及び/又は軌道循環システムと、太陽電気エネルギ発生器の天体上への降下を保証する降下システムとを提供する必要がある。
【0004】
例えば、自由空間内又は軌道上に位置するクライアント船への電気エネルギの供給専用ミッションの場合、太陽電気エネルギ発生器は、移送及び/又は軌道循環システムを備える宇宙船に搭載される。以前に地球軌道に乗せられていた宇宙船は、太陽電気エネルギ発生器をクライアント船に運ぶ。次いで、太陽電気エネルギ発生器は、新たなミッションの目的のために活用することができなくても、そのミッション期間に達するまで電気エネルギを供給するために、クライアント船に接続されるように移送及び/又は軌道循環システムから分離することができる。
【0005】
別の例のミッションでは、同じく地球軌道に配置されていた太陽電気エネルギ発生器は、天体上に配置されたクライアント船に電気エネルギを供給するように意図されうる。このために、太陽電気エネルギ発生器は、太陽電気エネルギ発生器の天体上への着地を可能にする降下システム上の搭載機器として埋め込むことができる。地上に降りると、太陽電気エネルギ発生器は、クライアント船に接続されるように着陸システムから降ろされ、そのミッション期間に到達するまで電気エネルギを供給することができるが、新たなミッションの目的のために操作することもできない。
【0006】
1回限りのミッションの全ての場合において、今日、使用された太陽電気エネルギ発生器は、自由空間内、軌道上及び/又は天体上のある地点に位置するクライアント船に電気エネルギを供給するミッションを遂行することが意図されており、他の電気エネルギ供給ミッションには使用することができない。その結果、既存のミッションでは、電気エネルギの供給のために及ぶ操作可能な領域は限られている。
【0007】
さらに、いくつかの別個のシステム、とりわけ、発射システム、宇宙移送及び/又は軌道循環システム及び降下システムを使用することによって、高い質量の設備の使用が必要とない、このような電気エネルギ供給ミッションがコスト高となる。
【0008】
一方、これらのミッションのために計画された燃料容器、又は、電気エネルギを供給するべき同じクライアント船に持ち込まれるか又は現場にある搭載機器は、太陽電気エネルギ発生器を地球軌道に乗せるために計画された発射装置とは異なる発射装置によって、地球軌道に乗せる場合がある。それゆえ、発射装置の必要性が高まっている。
【0009】
さらに、太陽電気エネルギ発生器は、給電しなければならないクライアント船に供給する電気エネルギ(数kW)が少量であるという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】仏国特許第2998876号明細書
【特許文献2】仏国特許第3024227号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
その寿命の間にいくつかの電気エネルギ供給ミッションを実施することができる宇宙船を提供することによって、前述の複数の欠点の内の少なくとも1つを解決することが望ましい。
【0012】
また、高出力の電気エネルギ供給ミッションを実施することが望ましい場合もある。
【0013】
また、電気エネルギ供給ミッションのコストを低減することが望ましい場合もある。
【0014】
また、上記のミッションのための地球軌道上の発射装置の必要性を減らすことが望ましい場合もある。
【0015】
また、搭載機器を担持することを可能にする、電気エネルギを供給するための宇宙船を提供することが望ましい場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的のために、実施形態は、電気エネルギをクライアント船に供給するための宇宙船において、前記宇宙船は、電気スラスタと、化学スラスタと、可変幾何学的形状を有する太陽電気エネルギ発生器とを備える、主構造と、電気スラスタのための少なくとも1つの第1燃料容器と、化学スラスタのための少なくとも1つの第2燃料容器とを備え、宇宙船は、前記電気スラスタに燃料を供給するために前記主構造を前記第1燃料容器に取り外し可能に連結させ、又は、前記化学スラスタに燃料を供給するために前記主構造を前記第2燃料容器に代替的に取り外し可能に連結し、前記第1燃料容器と前記第2燃料容器とを互いに取り外し可能に連結させる、モジュール式であり、太陽電気エネルギ発生器は、自由空間内、軌道上又は第1天体上の第1地点に位置する第1クライアント船に電気エネルギを供給し、前記宇宙船を自由空間内、軌道上又は第2天体上の第2地点に位置する第2クライアント船に変位させるように展開されるように、かつ、前記自由空間内又は前記軌道上の前記第1クライアント船又は前記第2クライアント船との係留段階、並びに、第3天体に向かう着陸段階、及び、軌道への復帰のための前記第3天体からの離陸段階を実施するために格納されるように構成されている、宇宙船を提案する。
【0017】
「電気スラスタ(electric thruster)」という用語は、1つ以上のモータを備える電気推進ユニットを意味する。
【0018】
「化学スラスタ(chemical thruster)」という用語は、1つ以上のモータを備える化学推進ユニットを意味する。
【0019】
「他のクライアント船に向けた宇宙船の変位が可能となるように格納される(retracted to allow a displacement of the spacecraft towards another client craft)」という用語は、その変位が、とりわけ、他のクライアント船上の係留段階及び降下段階を含むことを意味する。
【0020】
このような宇宙船は、同一の宇宙船内でいくつかの機能を組み合わせるという利点を有する。この場合、機能とは、化学スラスタを用いた宇宙船の天体から宇宙空間への打ち上げと、宇宙空間での船体の移送及び/又は循環化、並びに、それを持ち込むクライアント船への電気エネルギの供給と、太陽電気エネルギ発生器を用いたクライアント船への電気エネルギの供給という機能である。
【0021】
「取り外し可能な連結(removably coupling)」という用語は、例えば、第3要素に機械的に取り付けられるべき第2要素から機械的に脱離される第1要素を意味する。第1要素の脱離と取付けの間の中間状態は、第1要素が第2要素及び第3要素から機械的に脱離される過渡状態に対応する。
【0022】
これらの機能の組み合わせによって、自由空間内、軌道上及び/又は天体上の異なる地点に位置するクライアント船への任意の地点における電気エネルギの供給が可能となる。
【0023】
従って、このような宇宙船は、自由空間内、軌道上又は天体上に位置するクライアント船に、自律的に、電気エネルギを供給するいくつかのミッションを連続的に実施するように計画することができる。
【0024】
例えば、このような宇宙船は、天体上の電気エネルギを第2クライアント船に供給する第2ミッションを実施する前に、自由空間内又は軌道上の電気エネルギを第1クライアント船に供給する第1ミッションを実施することができる。本発明は、当然のことながらこのミッションの例に限定されず、本発明によって利用可能なミッションの任意の組み合わせで使用可能であり、例えば、月などの天体上に位置するクライアント船に電気エネルギを供給する第1ミッション、その後、別の天体上に位置する別のクライアント船に電気エネルギを供給する第2ミッションなどに使用可能である。
【0025】
電気スラスタと、化学スラスタと、可変幾何学的形状を有する太陽電気エネルギ発生器とを備える、主構造は、統合された機能アセンブリを形成する。
【0026】
それにもかかわらず、交換するために、電気スラスタが主構造から分離されるための準備がなされうる。
【0027】
クライアント船は、例えば、住宅インフラストラクチャ、生産インフラストラクチャ、研究インフラストラクチャ(微小重力)、計算センター、重組立手段とし得る。
【0028】
化学スラスタによって、主構造を地球以外の天体上へ着陸させること又は主構造を天体から軌道へ配置することを可能にすることが理解されるであろう。
【0029】
電気スラスタによって、主構造が自由空間内又は軌道上で通過することを可能にすることが理解されよう。
【0030】
天体とは、惑星や月や小惑星などの、地上を備えている、地球とは別の天体を意味する。
【0031】
化学スラスタは、単発推進剤又は複発推進剤スラスタとしうる。
【0032】
第1燃料容器内に収容される燃料は、単発推進剤又は複発推進剤であることが好ましい。
【0033】
好ましくは、電気スラスタは、グリッド付きイオンモータスラスタ又はホール電流スラスタとしうる。
【0034】
電気スラスタの燃料は不活性ガスであることが好ましく、さらに好ましくは、キセノン、アルゴン又はクリプトンなどの単原子気体である。
【0035】
一実施形態によれば、太陽電気エネルギ発生器は、同じ軸線の周りに巻き及び解かれうるように構成された柔軟な光電池を備える。
【0036】
一実施形態によれば、可変幾何学的形状を有する太陽電気エネルギ発生器は、同じ軸線に対して折り畳み及び展開することができる少なくとも2つの光電池又は柔軟なキャンバスを備える。
【0037】
特許文献1(仏国特許第2998876号明細書)及び特許文献2(仏国特許第3024227号明細書)は、上記の柔軟な光電池又は柔軟なキャンバスの使用を開示している。これらの特許文献に記載されているように、上記の柔軟なキャンバスは、これらの特許文献に記載されているような展開可能な構造又は装置を使用して巻き上げうる又は解かれうる。
【0038】
これら特許文献1及び2は、本明細書に完全に組み込まれている。このため、展開可能な構造又は装置及びその方法は、該当する場合、現在の宇宙船に関連付けることができる。
【0039】
本明細書では、「巻く(wound)」という用語は格納状態を意味し、「解く(unwound)」という用語は展開状態を意味する。
【0040】
一実施形態によれば、宇宙船は、搭載機器を担持するための支持構造を備え、該支持構造は、前記第1燃料容器及び前記第2燃料容器と連結されかつ分離されるように構成されている。
【0041】
一実施形態によれば、太陽電気エネルギ発生器は、有線による、及び/又は、短距離波による、及び/又は、レーザによる、電気エネルギを伝達する手段を備える。
【0042】
任意選択的に、ロボットアームを使用して又は宇宙飛行士が手動で、有線の電気エネルギを移送する手段を、クライアント船に接続することもできる。
【0043】
一実施形態によれば、主構造は、宇宙船が天体から軌道に戻ることを可能にするために、化学スラスタのための少なくとも1つの第3燃料容器を備える。
【0044】
少なくとも1つの第3燃料容器は、宇宙船が天体から再び離陸することを可能にする燃料予備を形成する。
【0045】
上記第3燃料容器は、宇宙船が天体から軌道に入れられることを保証するために、主構造に取り付けられ、かつ、化学スラスタに燃料を供給するために宇宙船に連結され得る。
【0046】
当然のことながら、この第3燃料容器に収容される燃料は、単発推進剤又は複発推進剤であることが好ましい。
【0047】
一実施形態によれば、主構造は、宇宙船をクライアント船に連結させるように構成されている係留手段を備える。
【0048】
上記係留手段によって、軌道上又は自由空間内に位置するクライアント船への電気エネルギの供給を容易にするために、クライアント船において宇宙船を安定させることができる。
【0049】
一実施形態によれば、主構造は、宇宙船が天体上に着陸することを可能にするように構成された着陸手段を備える。
【0050】
一実施形態によれば、宇宙船は、宇宙船の燃料補給を保証するために、燃料移送手段を備える。
【0051】
例えば、燃料移送手段を用いて宇宙船の燃料補給を保証するために、燃料補給貨物船のために計画することができる。
【0052】
上記燃料補給手段は、コネクタ及び供給導管によって形成することができる。
【0053】
上記燃料移送手段は、化学推進又は電気推進のために宇宙船に燃料を補給するために設けることができる。
【0054】
いくつかの実施形態は、また、上述の宇宙船を用いて、自由空間内、軌道上又は天体上のある地点に位置する少なくとも1つのクライアント船に電気エネルギを供給するための方法において、前記方法は、前記宇宙船が軌道上に配置された後に展開された前記電気スラスタ及び前記太陽電気エネルギ発生器を用いて、自由空間内、軌道上又は別の天体上に位置するクライアント船に向けて、前記軌道上に配置された前記宇宙船を通過させるステップを備える、方法に関しうる。
【0055】
一実施形態によれば、本方法は、宇宙船を、自由空間内又は軌道上に位置するクライアント船に係留させるステップと、太陽電気エネルギ発生器によって生成された電気エネルギをクライアント船に供給するステップとを備える。
【0056】
一実施形態によれば、本方法は、
宇宙船を天体の周囲の軌道に乗せるステップと、
太陽電気エネルギ発生器を格納するステップと、
第1燃料容器を主構造から分離させるステップと、
主構造を第2燃料容器に連結させるステップと、
第1燃料容器を第2燃料容器から分離させるステップと、
宇宙船を天体の地上に着陸させるステップと、
太陽電気エネルギ発生器を展開するステップと、
太陽電気エネルギ発生器によって生成された電気エネルギを天体上のクライアント船に供給するステップとを備える。
【0057】
一実施形態によれば、宇宙船は、搭載機器を担持する前述で規定された支持構造を備え、この場合、本方法は、クライアント船の場所で主構造を荷降ろしするステップ、又は、クライアント船に燃料補給を提供するステップを備える。
【0058】
支持構造は、有利には、第1燃料容器と第2燃料容器との間に配置される。
【0059】
一実施形態によれば、別のクライアント船への電気エネルギ供給ミッションを継続する場合、本方法は、太陽電気エネルギ発生器を格納するステップと、第2燃料容器を充填するステップと、又は、代替的に、燃料を化学スラスタに供給するために少なくとも1つの第3燃料容器を主構造に連結させるステップと、宇宙船を天体の周囲の軌道に乗るように離陸させるステップとを備える。
【0060】
一実施形態によれば、本方法は、第3燃料容器を主構造から分離させるステップと、電気スラスタ及び化学スラスタのために軌道上又は自由空間内で燃料補給するステップと、宇宙船をクライアント船に通過させるステップとを備える。
【0061】
燃料補給ステップは、第1燃料容器及び/又は第2燃料容器に燃料を補給すること、又は、代替的に、燃料を予め充填した別の第1燃料容器及び別の第2燃料容器を宇宙船に装備させることからなりうる。
【0062】
第1燃料容器及び/又は第2燃料容器に燃料補給する場合、これら燃料容器は前もって収集されていることが理解されよう。
【0063】
この第2実施形態の他の特徴によれば、本方法は、少なくとも電気スラスタを使用して、及び、軌道上に配置された後に展開される太陽電気エネルギ発生器を使用して、宇宙船を、自由空間内、軌道上又は天体上に配置された別のクライアント船に通過させるステップを備える。
【0064】
いくつかの実施形態は、また、自由空間内、軌道上及び/又は天体上の地点に位置する地点にあるクライアント船に電気エネルギを供給するための宇宙船において、前記宇宙船は、電気スラスタと、化学スラスタと、可変幾何学的形状を有する太陽電気エネルギ発生器とを備える、主構造と、電気スラスタのための少なくとも1つの第1燃料容器と、化学スラスタのための少なくとも1つの第2燃料容器とを備え、宇宙船は、前記電気スラスタに燃料を供給するために前記主構造を前記第1燃料容器に連結させ、又は、前記化学スラスタに燃料を供給するために前記主構造を前記第2燃料容器に代替的に連結し、前記第1燃料容器と前記第2燃料容器が互いに連結する又は互いから分離することができる、モジュール式であり、変幾何学的形状を有する太陽電気エネルギ発生器は、自由空間内、軌道上又は第1天体上の地点に位置するクライアント船に電力を供給し、前記宇宙船を自由空間内、軌道上又は第2天体上の別の地点に位置する別のクライアント船に変位させるように展開されるように、かつ、天体に向かう着陸段階、及び、軌道への復帰のための天体からの離陸段階を実施するために格納されるように意図されている、宇宙船に関しうる。
【0065】
一実施形態によれば、可変幾何学的形状を有する太陽電気エネルギ発生器は、同じ軸線の周りに巻き及び解かれうる柔軟な光電池を備える。
【0066】
一実施形態によれば、太陽電気エネルギ発生器は、有線による、及び/又は、短距離波による、及び/又は、レーザによる、電気エネルギを伝達する手段を備える。
【0067】
一実施形態によれば、宇宙船は、搭載機器を担持するための支持構造を備え、該支持構造は、少なくとも1つの第1燃料容器と、少なくとも1つの第2燃料容器に連結又は分離されることが意図されている。
【0068】
一実施形態によれば、主構造は、宇宙船の天体から軌道への上昇を保証するために、化学スラスタのための少なくとも1つの第3燃料容器を備える。
【0069】
一実施形態によれば、主構造は、宇宙船をクライアント船に連結させるための係留手段を備える。
【0070】
一実施形態によれば、主構造は、宇宙船を天体上に着陸させるための着陸手段を備える。
【0071】
一実施形態によれば、宇宙船は、宇宙船に燃料を補給するための燃料移送手段を備える。
【0072】
いくつかの実施形態は、また、以前に軌道に配置されていた、以上で規定された宇宙船を用いて、自由空間内、軌道上及び/又は天体上に位置する地点でクライアント船に電気エネルギを供給するための方法において、この方法は、少なくとも電気スラスタを使用して、軌道に配置した後に展開される太陽電気エネルギ発生器を使用して、宇宙船を、自由空間内、軌道上又は天体上に位置するクライアント船に向かって通過させるステップを備える、方法に関しうる。
【0073】
一実施形態によると、クライアント船が自由空間内又は軌道上にある場合、本方法は、クライアント船に宇宙船を係留させるステップと、太陽電気エネルギ発生器によって生成された電気エネルギをクライアント船に供給するステップとを備える。
【0074】
一実施形態によると、クライアント船が天体上にある場合、本方法は、宇宙船を天体の周囲の軌道に乗せるステップと、太陽電気エネルギ発生器を格納するステップと、主構造から第1燃料容器を分離させるステップと、主構造を第2燃料容器に連結させるステップと、第1燃料容器を第2燃料容器から分離させるステップと、宇宙船を天体の地上に着陸させるステップと、太陽電気エネルギ発生器を展開するステップと、太陽電気エネルギ発生器によって生成された電気エネルギを供給するステップとを備える。
【0075】
一実施形態によると、電気エネルギを他のクライアント船に供給するミッションを継続する場合、本方法は、太陽電気エネルギ発生器を格納するステップと、第2燃料容器を充填するステップと、又は、代替的に、化学スラスタに燃料を供給するために少なくとも1つの第3燃料容器を主構造に連結するステップと、宇宙船を天体の周囲の軌道に乗せるための離陸ステップとを備える。
【0076】
一実施形態によれば、本方法は、宇宙船が少なくとも1つの第3燃料容器を備えている場合に、少なくとも1つの第3燃料容器を主構造から分離させるステップと、宇宙船の電気スラスタ及び化学スラスタのために軌道上又は自由空間内で燃料補給するステップと、宇宙船を別のクライアント船に向けて通過させるステップとを備える。
【0077】
他の特徴及び利点は、以下の非限定的な説明及びいくつかの実施形態を概略的に示す添付の図を読むことによって理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【
図1】
図1は、主構造と、第1燃料容器と、搭載機器の支持構造と、地球軌道上に乗せることを目的としている発射装置に搭載される、第2燃料容器とを備える、実施形態による宇宙船の模式図を表す。
【
図2】
図2は、地球軌道上に乗せられた宇宙船を示す。
【
図3】
図3は、太陽電気エネルギ発生器を格納するステップにおける、宇宙船が天体へ着陸することを目的として太陽電気エネルギ発生器を担持する宇宙船を表す。
【
図4】
図4は、主構造を第1燃料容器から分離して第2燃料容器に連結するステップにおける、天体へ着陸することを目的としている宇宙船を表す。
【
図5】
図5は、第1燃料容器を搭載機器から分離させるステップにおける、天体へ着陸することを目的としている宇宙船を表す。
【
図6】
図6は、宇宙船を天体への着陸を目的として宇宙船の向きを変えるステップを表している。
【
図7】
図7は、宇宙船が天体の地上に着陸するために宇宙船を降下させるステップを表す。
【
図8】
図8は、宇宙船の荷下ろしを行い、太陽電気エネルギ発生器によって供給された電気エネルギをクライアント船に供給するステップを表す。
【
図9】
図9は、宇宙船を天体の地上から軌道に打ち上げるステップを表している。
【
図10】
図10は、宇宙船を他のクライアント船に送る前に宇宙船に燃料を補給するステップを表している。
【
図11】
図11は、変形例による、他のクライアント船にそれを送る前に宇宙船に燃料を補給するステップを表す。
【
図12】
図12は、一実施形態による、太陽電気エネルギ発生器を格納位置に備える宇宙船の主構造の拡大等角図である。
【
図13】
図13は、一実施形態による、太陽電気エネルギ発生器を展開位置で表す宇宙船の主構造の拡大図である。
【
図14】
図14は、一実施形態による、宇宙船の主構造と、展開位置における太陽電気エネルギ発生器の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
図1において、自由空間内、軌道上及び/又は天体上に位置する地点で電気エネルギをクライアント船2に供給するための宇宙船1が示されている。
【0080】
宇宙船1は、主構造10と、少なくとも1つの第1燃料容器11と、搭載機器の支持構造13と、単一の発射装置3内に積み重ねられて配置された少なくとも1つの第2燃料容器12とを備えている。
【0081】
したがって、宇宙船1を地球軌道に乗せるには、単一の発射装置3が必要となる場合がある。
【0082】
主構造10は、スラスタ、すなわち、電気スラスタ10A及び化学スラスタ10Bを備えている。
【0083】
さらに、主構造10は、主構造10の一体部分を形成する太陽電気エネルギ発生器10Cを備える。
【0084】
第1燃料容器11は、電気推進のための燃料タンクを形成する。第1燃料容器11の燃料は、好ましくはキセノン、アルゴン又はクリプトンなどの不活性ガスとすることができる。
【0085】
第2燃料容器12は、化学推進のための燃料タンクを形成する。第2燃料容器12の燃料は、単発推進剤又は複発推進剤、液体及び/又は固体とすることができる。
【0086】
支持構造13は、クライアント船2又はこのクライアント船2の場所のために意図された搭載機器を担持することを意図している。
【0087】
特に、宇宙船1は、いくつかの連続したミッションの必要性に適応できるように、モジュール式構造を有する。
【0088】
この場合、支持構造13、第1燃料容器11及び第2燃料容器12はロジスティックスタックを形成し、互いに連結又は分離することができる。
【0089】
主構造10は、代替的に、第1燃料容器11との連結又は分離、又は、第2燃料容器12との連結又は分離が可能である。
【0090】
第1燃料容器11と第2燃料容器12との間に配置される支持構造13の配置は、主構造10に電気推進用又は化学推進のための燃料を供給できるという利点を有する。
【0091】
当然のことながら、主構造10には、宇宙船1の通過及びこれらの操縦を可能にする制御ユニットを備えている。
【0092】
主構造10が第1燃料容器11に連結されるとき、電気スラスタ10Aへの燃料の供給が可能になり、一方、主構造10が第2燃料容器12に連結されるとき、化学スラスタ10Bへの燃料の供給が可能になる。
【0093】
制御ユニットは、ミッションの必要性に応じて、主構造10の燃料容器11、12の内の1つへの連結及び分離を保証するように構成されている。
【0094】
宇宙船1を地球軌道に乗せるために計画された初期構成では、主構造10は、一旦地球軌道上にあるときに宇宙での通過を可能にするように、電気推進に給電するために第1燃料容器11に連結されている。
【0095】
太陽電気エネルギ発生器10Cは、可変幾何学的形状を有する。つまり、太陽電気エネルギ発生器10Cは、ミッションの必要性に応じて展開又は格納されるように意図されている。
【0096】
特に、太陽電気エネルギ発生器10Cは、自由空間内、軌道上又は天体上のある地点に位置するクライアント船2への電気エネルギの供給を保証するように展開され、自由空間内、軌道上又は別の天体上の別の地点に配置された別のクライアント船2へ向けて宇宙船1の変位を可能にするように格納されるように意図されている。
【0097】
太陽電気エネルギ発生器10Cは、柔軟な光電池、又は、同じ軸線の周りに巻く及び解くことができ、その結果、解かれた光電池が太陽放射の大きな表面を覆うようになる、光電池の柔軟なキャンバスを備えうる。したがって、上記光電池によって、上記宇宙船1の電気エネルギの生成及び供給能力を大幅に増加させることを可能にする。
【0098】
次に、一実施形態による宇宙船を使用した、自由空間内、軌道上、又は天体上の地点にあるクライアント船への電気エネルギの供給を可能にする、連続したミッションの例を説明する。
【0099】
図1の構成は、打ち上げ場から地球軌道上に乗せることを目的とした、発射装置3内に配置された宇宙船1を表す。
【0100】
上記のような宇宙船1は、単一の発射装置3に収まるスタックを形成する。宇宙船1の第2燃料容器12は、地球軌道におけるその配置段階の間、宇宙船1の安定な維持のために発射装置3の基部30に連結されている。
【0101】
図2では、地球軌道上の宇宙船1が示されており、ここでは、発射装置3の基部30から脱離され、発射装置3から分離されている。
【0102】
一旦、地球軌道に配置されると、太陽電気エネルギ発生器10Cを展開することができる。
【0103】
次いで、展開された太陽電気エネルギ発生器10Cによって供給された電気エネルギによって、及び、主構造10が連結された第1燃料容器11からの燃料によって給電される電気推進を使用して、宇宙船1をクライアント船2に移送するステップを開始することができる。
【0104】
自由空間内又は軌道上で電気エネルギを第1クライアント船2(
図8参照)に供給することを意図した第1ミッションの構成において、宇宙船1をクライアント船2に連結させるための係留手段を設けることができる。
【0105】
太陽電気エネルギ発生器10Cは、有線による、及び/又は短距離波による、及び/又は、レーザによる、電気エネルギを伝達する手段を備えており、一旦、太陽電気エネルギ発生器10Cは展開すると、電気エネルギをクライアント船2に供給することができる。
【0106】
係留段階の間、太陽電気エネルギ発生器10Cは格納されており、この係留段階が完了すると、展開されることが期待できる。
【0107】
その後、宇宙船1は、達成されたばかりの電気エネルギ供給ミッションに連続して電気エネルギ供給ミッションを実施することができる。
【0108】
この場合、宇宙船1を、第2クライアント船2がその地上に配置されている、月などの天体に向けることができる。
【0109】
この場合、まず、宇宙船1は、第2クライアント船2を備える天体の周囲の軌道に乗せられる。
【0110】
そして、
図3に示すように、太陽電気エネルギ発生器10Cは、格納され、宇宙船1の前記天体の地上への着陸段階を準備する。
【0111】
この目的のために、宇宙船は、着陸段階を保証するように構成された着陸手段を備える。例えば、宇宙船は、着陸装置16(
図6参照)を備える。
【0112】
図4に示されるように、次に、主構造10は、第1燃料容器11から分離され、第2燃料容器12への連結を可能にするように制御される。
【0113】
そして、第1燃料容器11と第2燃料容器12とを分離させることができる(
図5)。
【0114】
このように構成された宇宙船1は、第2燃料容器12に連結された搭載機器の支持構造13を備える。現在では化学推進の使用を可能にしているので、宇宙船1の天体の地上での着陸段階を行うのに適している。
【0115】
図6は、軌道からの脱出と天体への着陸を準備するために宇宙船1を軌道上で向きを変えることを図示し、
図7は、宇宙船1の天体への着陸段階を図示する。
【0116】
図6及び
図7に示す宇宙船1は、開位置の着陸装置16を備える。
【0117】
図8に示すように、地上に一旦、宇宙船1は、第2燃料容器12から、及び搭載機器を備える支持構造13から、クライアント船2が位置する場所へ荷下ろしできる。
【0118】
次いで、電気エネルギをクライアント船2へ供給するために、太陽電気エネルギ発生器10Cを展開することができる。
【0119】
宇宙船1は、達成されたばかりの電気エネルギ供給ミッションに続けて電気エネルギ供給ミッションを再度行うことができる。
【0120】
例えば、宇宙船1は、第3クライアント船2が地上に配置されている別の天体に向けることができる。
【0121】
このために、太陽電気エネルギ発生器10Cは予め格納されている。
【0122】
主構造10に取り付けることができる、又は、第2クライアント船2が配置されている場所から設けることができる、少なくとも1つの第3燃料容器14が設けられている。
【0123】
図9は、第2クライアント船2を備える天体の地上から、宇宙船1を軌道に乗せる点を示している。宇宙船が軌道上に乗せられるとき、着陸装置16は格納位置で閉じられている。支持構造13及び第2燃料容器12から先に分離された主構造10は、次いで、化学推進のための燃料を備える第3燃料容器14を受け入れることができる。
【0124】
次いで、宇宙船1の離陸と、宇宙船1が離陸して天体の周囲の軌道へ乗せることを可能にするように、主構造10に化学推進のための燃料を供給することができる。
【0125】
図10は、第3クライアント船2のある目的地に向けた、宇宙船1の電気エネルギ供給ミッションを継続するための準備を示す。
【0126】
一旦、前述のように軌道に入ると、第3燃料容器14は主構造10から分離される。次いで、太陽電気エネルギ発生器10Cが展開される。最後に、主構造10を、以後のミッションのために計画された新たなロジスティックスタックの別の第1燃料容器11に連結させることができ、又は、代替的に、燃料移送手段は、以前に回収された第1燃料容器11及び第2燃料容器12の燃料供給を保証することができる。
【0127】
新たなロジスティックスタックは、初期の構成、すなわち、第1燃料容器11と、第2燃料容器12と、第1燃料容器11と第2燃料容器12の間に配置された支持構造13と同様としうる。そして、新しく形成された宇宙船1は、前述のステップに従って、第2天体上の第3クライアント船2に向かって駆動されうる。
【0128】
図11によって図示される実施形態において、主構造10は、以後のミッションのために提供される、電気スラスタのみのための別の第1燃料容器11に連結させることができる。次いで、展開された太陽電気エネルギ発生器10Cによって供給された電気エネルギによって、及び、主構造10が連結された第1燃料容器11からの燃料によって給電される電気推進を用いて、宇宙船1をクライアント船2に移送するステップを開始することができる。
【0129】
【0130】
図12は、可変幾何学的形状を有する、電気エネルギの太陽電気エネルギ発生器10Cが格納されている、軌道上にある主構造10を表している。
図12に図示された実施形態では、太陽電気エネルギ発生器10Cは、各々が1つ以上の柔軟な光電池から形成され、それぞれが同じ軸線の周りに巻き付けられた、2つのキャンバスを備える。
【0131】
主構造10は、複数の電気モータ10Aを備える電気スラスタ又は電気推進ユニットを備える。
【0132】
主構造10は、複数の化学モータ10Bを有する電気スラスタ又は化学推進ユニットを備える。
【0133】
主構造10は、燃料の移送を保証するために、主構造10と燃料容器11、12、14との間の連結又は分離を保証するように構成された係留及び燃料移送システム18を備える。
【0134】
図12に図示された実施形態では、着陸装置は、格納位置(見えない)に格納される。
【0135】
図13は、地上に、例えば、可変幾何学的形状を有する太陽電気エネルギ発生器10Cが展開されている天体の地上に配置された主構造10を示す。
【0136】
図13~
図16に示される実施形態では、太陽電気エネルギ発生器10Cは、各々が解かれた、柔軟な光電池の2つのキャンバスを備える。
【0137】
着陸装置16は、主構造10の着陸及び天体(月など)の地上でのその維持を保証するために、すなわち開位置に展開される。
【0138】
図14及び
図15は、展開された可変幾何学的形状を有する太陽電気エネルギ発生器10Cを備える主構造10の平面図である。
【0139】
図12、
図13、及び
図16によって図示される実施形態では、主構造10は、電気推進ユニットを形成するいくつかの電気モータ10Aを有する電気スラスタを備える。主構造10は、化学推進ユニットを形成する化学モータ10Bを有する電気スラスタを備える。
【0140】
図15に例示されているように、主構造10は、太陽電気エネルギ発生器10Cを垂直軸線又は長手軸線Aを中心として回転駆動するための回転配向装置20を備えうる。例えば、回転配向装置20は、長手軸線又は垂直軸線Aを中心とした360°にわたる光電池の巻きの回転を生じさせるように構成されている。
【0141】
この回転配向装置により、太陽の位置を追跡し、光電池を太陽に向けることが可能になる。
【0142】
図12~
図16によって示される実施形態では、宇宙船は、任意選択のエネルギ消散装置を備える。例えば、エネルギ消散装置は、主構造10の周囲の利用可能な最大表面を提供するように、主構造10の表面の半分にわたって各々が延びている2つの放射体22’、22”を備える。
【0143】
明らかに、本明細書は、単に説明しただけの例に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、これらの例に数多くの修正を行うことができる。特に、異なる特徴、形状、変形例及び実施形態は、互いに、互換性がないか又は互いに排他的でない限り、種々の組合せで関連付けることができる。特に、上述の全ての変形例及び実施形態を互いに組み合わせることができる。
【国際調査報告】