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特表2024-518984注射後安全シールを有する抗菌性穿刺部位パッチ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】注射後安全シールを有する抗菌性穿刺部位パッチ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/02 20240101AFI20240426BHJP
   A61L 15/44 20060101ALI20240426BHJP
   A61B 17/132 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
A61F13/02 A
A61F13/02 310T
A61F13/02 310M
A61F13/02 380
A61L15/44 110
A61B17/132
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570193
(86)(22)【出願日】2022-05-12
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 US2022029061
(87)【国際公開番号】W WO2022241161
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】63/188,166
(32)【優先日】2021-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/742,855
(32)【優先日】2022-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522399873
【氏名又は名称】インジェクション セーフティ インダストリーズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Injection Safety Industries, LLC
【住所又は居所原語表記】1945 Scottsville Rd. B-2 #140, Bowling Green, Kentucky 42104,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ワトソン
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ハリス
【テーマコード(参考)】
4C081
4C160
【Fターム(参考)】
4C081AA03
4C081AA12
4C081BA14
4C081CA29
4C081CG07
4C081DA02
4C160DD05
4C160DD33
4C160MM22
(57)【要約】
穿刺部位パッチは、外表面及び内表面を有するエラストマー自己封止メンブレンと、外面及び内面を備えるスペーサであって、スペーサの外面がメンブレンの内表面に対して結合され、スペーサがアパーチャをさらに備え、アパーチャが、ユーザに対して貼られた場合にメンブレンの内表面、スペーサ、及び皮膚により形成された空洞部を形成する、スペーサと、スペーサの内面の上に位置する、皮膚に対して接着し得る接着フィルムと、第1の位置と第2の位置との間において移動し得る少なくとも1つの細長タブであって、第1の位置にある場合に、少なくとも1つの細長タブがスペーサの周縁部から外方に延在し、第2の位置にある場合に、穿刺部位パッチが、アパーチャが少なくとも1つの細長タブにより封止閉鎖されるように折り畳まれる、少なくとも1つの細長タブとを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穿刺部位パッチであって、
外表面及び内表面を備えるエラストマー自己封止メンブレンと、
外面及び内面を備えるスペーサであって、
前記スペーサの前記外面は、前記エラストマー自己封止メンブレンの前記内表面に対して結合され、
前記スペーサは、アパーチャをさらに備え、前記アパーチャは、ユーザに対して貼られた場合に、前記エラストマー自己封止メンブレンの前記内表面、前記スペーサ、及び皮膚により形成された空洞部を形成する、スペーサと、
前記スペーサの前記内面の上に位置する、皮膚に対して接着するように構成された接着フィルムと、
第1の位置と第2の位置との間において移動するように構成された少なくとも1つの細長タブであって、
前記第1の位置において、少なくとも1つの前記細長タブは、前記スペーサの周縁部から外方に延在し、
前記第2の位置において、前記穿刺部位パッチは、前記アパーチャが少なくとも1つの前記細長タブにより封止閉鎖されるように折り畳まれる、少なくとも1つの細長タブと、
を備える、穿刺部位パッチ。
【請求項2】
少なくとも1つの前記細長タブは、第1の細長タブであり、前記穿刺部位パッチは、第2の細長タブをさらに備え、前記第1の細長タブ及び前記第2の細長タブはそれぞれ、前記スペーサの前記周縁部から外方に延在し、相互に真向いに配設される、請求項1に記載の穿刺部位パッチ。
【請求項3】
前記第2の位置において、前記第1の細長タブ及び前記第2の細長タブは、相互に重畳する、請求項2に記載の穿刺部位パッチ。
【請求項4】
前記スペーサの第1の側部及び前記スペーサの第2の側部を形成する前記アパーチャの中心を貫通して延在する軸をさらに備え、前記第2の位置において、前記穿刺部位パッチは、前記スペーサの前記第1の側部及び前記スペーサの前記第2の側部が相互に重畳するように、前記軸に沿って折り畳まれ、少なくとも1つの前記細長タブは、前記スペーサの前記重畳する第1の側部及び第2の側部に折り重なることにより、前記スペーサの前記第1の側部及び前記第2の側部を閉鎖状態に封止する、請求項1に記載の穿刺部位パッチ。
【請求項5】
前記第2の位置において、少なくとも1つの前記細長タブは、前記空洞部を閉鎖状態に封止するように前記アパーチャに折り重ねられる、請求項1に記載の穿刺部位パッチ。
【請求項6】
前記接着フィルムと接触状態にあり前記接着フィルムを完全に覆う剥離紙をさらに備え、前記剥離紙は、皮膚に対して貼る前に除去されるように構成される、請求項1に記載の穿刺部位パッチ。
【請求項7】
少なくとも1つの前記細長タブは、強度を下げられた接着剤をさらに備える、請求項1に記載の穿刺部位パッチ。
【請求項8】
前記エラストマー自己封止メンブレンは、透明である、請求項1に記載の穿刺部位パッチ。
【請求項9】
前記エラストマー自己封止メンブレンは、抗菌剤をさらに含む、請求項1に記載の穿刺部位パッチ。
【請求項10】
前記抗菌剤は、押出成形の最中に前記エラストマー自己封止メンブレンに混入される、請求項9に記載の穿刺部位パッチ。
【請求項11】
前記抗菌剤は、前記エラストマー自己封止メンブレンに対して適用されたコーティングである、請求項9に記載の穿刺部位パッチ。
【請求項12】
前記抗菌剤は、複数の銀ナノ粒子である、請求項9に記載の穿刺部位パッチ。
【請求項13】
前記抗菌剤は、約0.01%~約0.001%の濃度で前記エラストマー自己封止メンブレンに混入されたカルバクロール剤である、請求項9に記載の穿刺部位パッチ。
【請求項14】
穿刺部位パッチであって、
外表面及び内表面を備える透明なエラストマー自己封止メンブレンと、
外面及び内面を備えるスペーサであって、
前記スペーサの前記外面は、前記透明なエラストマー自己封止メンブレンの前記内表面に対して結合され、
前記スペーサは、アパーチャをさらに備え、前記アパーチャは、ユーザに対して貼られた場合に、前記透明なエラストマー自己封止メンブレンの前記内表面、前記スペーサ、及び皮膚により形成された空洞部を形成する、スペーサと、
前記スペーサの前記内面の上に位置する、皮膚に対して接着するように構成された接着フィルムと、
前記スペーサの第1の側部及び前記スペーサの第2の側部を形成する前記アパーチャの中心を貫通して延在する軸と、
第1の位置と第2の位置との間において移動するように構成された細長タブであって、
前記第1の位置において、前記細長タブは、前記スペーサの周縁部から外方に延在し、
前記第2の位置において、前記穿刺部位パッチは、前記スペーサの前記第1の側部及び前記スペーサの前記第2の側部が相互に重畳するように、前記軸に沿って折り畳まれる、細長タブと、
を備える、穿刺部位パッチ。
【請求項15】
前記細長タブは、前記スペーサの前記重畳する第1の側部及び第2の側部に折り重なることにより、前記スペーサの前記第1の側部及び前記第2の側部を閉鎖状態に封止する、請求項14に記載の穿刺部位パッチ。
【請求項16】
前記細長タブは、第1の細長タブであり、前記穿刺部位パッチは、第2の細長タブをさらに備え、前記第1の細長タブ及び前記第2の細長タブはそれぞれ、前記スペーサの前記周縁部から外方に延在し、相互に真向いに配設され、前記第2の位置において、前記第1の細長タブ及び前記第2の細長タブは、相互に重畳する、請求項14に記載の穿刺部位パッチ。
【請求項17】
前記透明なエラストマー自己封止メンブレンは、抗菌剤をさらに含む、請求項14に記載の穿刺部位パッチ。
【請求項18】
前記抗菌剤は、押出成形の最中に前記エラストマー自己封止メンブレンに混入される、請求項17に記載の穿刺部位パッチ。
【請求項19】
前記抗菌剤は、前記エラストマー自己封止メンブレンに適用されるコーティングである、請求項17に記載の穿刺部位パッチ。
【請求項20】
穿刺部位パッチであって、
透明なエラストマー自己封止メンブレンであって、外表面、内表面、及び抗菌剤を備える透明なエラストマー自己封止メンブレンと、
外面及び内面を備えるスペーサであって、
前記スペーサの前記外面は、前記透明なエラストマー自己封止メンブレンの前記内表面に対して結合され、
前記スペーサは、アパーチャをさらに備え、前記アパーチャは、ユーザに対して貼られた場合に、前記透明なエラストマー自己封止メンブレンの前記内表面、前記スペーサ、及び皮膚により形成された空洞部を形成する、スペーサと、
前記スペーサの前記内面の上に位置する、皮膚に対して接着するように構成された接着フィルムと、
前記スペーサの第1の側部及び前記スペーサの第2の側部を形成する前記アパーチャの中心を貫通して延在する軸と、
第1の位置と第2の位置との間において移動するように構成された細長タブであって、
前記第1の位置において、前記細長タブは、前記スペーサの周縁部から外方に延在し、
前記第2の位置において、前記穿刺部位パッチは、前記スペーサの前記第1の側部及び前記スペーサの前記第2の側部が相互に重畳するように、前記軸に沿って折り畳まれる、細長タブと、
を備える、穿刺部位パッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
血液媒介病原菌は、感染症の有力な伝染方法であることが広く知られている。具体的には、医療専門家は、例えば患者の皮膚をニードルで穿刺して注射を行う又は採血を行うなど、血液に対して直接的にさらされる職務を実施する必要から、かような被曝に対する危険にさらされている。典型的には、皮膚が穿刺されるときには、皮膚の対象領域が、消毒薬で拭かれ(例えばアルコール拭取り)、ニードル(シリンジに対してさらに装着される場合がある)が、皮膚を貫通して皮下に又は筋肉内に刺し込まれる。皮膚が穿刺された後に、ニードルは抜かれ、ガーゼパッド又はコットンパッドが、刺創から放出され得る血液を吸収するために刺創上に配置される。施術者は、例えばニードルが最初に皮膚を穿刺するとき、ニードルが皮膚から除去されるときかつパッドが刺創の上に位置決めされる前、又はパッドからの血液の流出もしくは滲出があり得ることによるパッドが穿刺部位の上に適用された後、等、この手技の最中に複数の時点において血液と接触状態になる場合がある。さらに、手袋が役に立たない場合があり、かような場合に医療専門家は病原菌への被曝リスクがさらに高くなる。従って、皮膚穿刺の結果として被曝した可能性のある微生物(例えばウイルス、バクテリア、真菌、等)を殺す及び/又はこれらの感染力を低下させるための殺菌剤、静菌剤、及び/又は抗ウイルス剤を含む注射の最中に使用するために保護パッチを有することが望ましい場合がある。
【背景技術】
【0002】
しかし、血液媒介病原菌又は他の病原菌への被曝リスクは、ワクチン接種の実施や皮膚に対する他の刺創に留まるものではない。血液及び/又は他の成分は、刺創の上に配置されたガーゼ、包帯、等に含まれ得る。これらのアイテムは、後の安全な廃棄を必要とする。さらに、例えばインフルエンザワクチン又はSARSコロナウイルス2ワクチンなどのためのドライブスルーワクチン接種クリニックの人気の高まりにより、ガーゼ又は包帯等は、例えば患者の自宅、レストラン、バスルーム、又は駐車場等の他者が血液媒介病原菌に被曝するおそれのあるエリアに除去及び廃棄される場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書において説明される実施形態は、注射後安全封止を穿刺部位パッチに与えることにより、当技術に付随するこれらの及び他の問題に対処する。従って、本発明の一態様によれば、穿刺部位パッチが、外表面及び内表面を有するエラストマー自己封止メンブレンと、外面及び内面を備えるスペーサであって、スペーサの外面がエラストマー自己封止メンブレンの内表面に対して結合され、スペーサがアパーチャをさらに備え、アパーチャが、ユーザに対して貼られた場合に、エラストマー自己封止メンブレンの内表面、スペーサ、及び皮膚により形成された空洞部を形成する、スペーサと、スペーサの内面の上に位置する、皮膚に対して接着する接着フィルムと、第1の位置と第2の位置との間において移動し得る少なくとも1つの細長タブであって、第1の位置において、少なくとも1つの細長タブがスペーサの周縁部から外方に延在し、第2の位置において、穿刺部位パッチが、アパーチャが少なくとも1つの細長タブにより封止閉鎖されるように折り畳まれる、少なくとも1つの細長タブとを備える。
【0004】
幾つかの実装形態では、少なくとも1つの細長タブは、第1の細長タブであり、穿刺部位パッチは、第2の細長タブをさらに備え、第1の細長タブ及び第2の細長タブはそれぞれ、スペーサの周縁部から外方に延在し、相互に真向いに配設される。幾つかのかかる実装形態では、第2の位置において、第1の細長タブ及び第2の細長タブは、相互に実質的に重畳する。
【0005】
幾つかの実装形態では、穿刺部位パッチは、スペーサの第1の側部及びスペーサの第2の側部を形成するアパーチャの中心を貫通して延在する軸をさらに備え、第2の位置においては、穿刺部位パッチは、スペーサの第1の側部及びスペーサの第2の側部が相互に実質的に重畳するように、軸に沿って折り畳まれ、少なくとも1つの細長タブは、スペーサの実質的に重畳する第1の側部及び第2の側部に折り重なることにより、スペーサの第1の側部及び第2の側部を閉鎖状態に封止する。
【0006】
幾つかの実装形態では、第2の位置において、少なくとも1つの細長タブは、空洞部を閉鎖状態に封止するようにアパーチャに折り重ねられる。
【0007】
幾つかの実装形態では、穿刺部位パッチは、接着フィルムと接触状態にあり接着フィルムを完全に覆う剥離紙をさらに備え、剥離紙は、皮膚に対して貼る前に除去されるように構成される。
【0008】
幾つかの実装形態では、少なくとも1つの細長タブは、強度を下げられた接着剤をさらに備える。他の実装形態では、エラストマー自己封止メンブレンは、実質的に透明である。
【0009】
幾つかの実装形態では、エラストマー自己封止メンブレンは、抗菌剤をさらに含む。幾つかのかかる実装形態では、抗菌剤は、押出成形の最中にエラストマー自己封止メンブレンに混入される。他のかかる実装形態では、抗菌剤は、エラストマー自己封止メンブレンに対して適用されたコーティングである。幾つかの実装形態では、抗菌剤は、複数の銀ナノ粒子である。他の実装形態では、抗菌剤は、約0.01%~約0.001%の濃度でエラストマー自己封止メンブレンに混入されたカルバクロール剤である。
【0010】
他の態様では、穿刺部位パッチが、外表面及び内表面を備える実質的に透明なエラストマー自己封止メンブレンと、外面及び内面を備えるスペーサであって、スペーサの外面が、実質的に透明なエラストマー自己封止メンブレンの内表面に対して結合され、スペーサが、アパーチャをさらに備え、アパーチャが、ユーザに対して貼られた場合に、実質的に透明なエラストマー自己封止メンブレンの内表面、スペーサ、及び皮膚により形成された空洞部を形成する、スペーサと、スペーサの内面の上に位置する、皮膚に対して接着するように構成された接着フィルムと、スペーサの第1の側部及びスペーサの第2の側部を形成するアパーチャの中心を貫通して延在する軸と、第1の位置と第2の位置との間において移動する細長タブであって、第1の位置にある場合に、細長タブがスペーサの周縁部から外方に延在し、第2の位置にある場合に、穿刺部位パッチが、スペーサの第1の側部及びスペーサの第2の側部が相互に実質的に重畳するように、軸に沿って折り畳まれる、細長タブとを備える。
【0011】
幾つかの実装形態では、細長タブは、スペーサの実質的に重畳する第1の側部及び第2の側部に折り重なることにより、スペーサの第1の側部及び第2の側部を閉鎖状態に封止する。
【0012】
幾つかの実装形態では、細長タブは、第1の細長タブであり、穿刺部位パッチは、第2の細長タブをさらに備え、第1の細長タブ及び第2の細長タブはそれぞれ、スペーサの周縁部から外方に延在し、相互に真向いに配設され、第2の位置にある場合に、第1の細長タブ及び第2の細長タブは、相互に実質的に重畳する。
【0013】
幾つかの実装形態では、実質的に透明なエラストマー自己封止メンブレンは、抗菌剤をさらに含む。幾つかのかかる実装形態では、抗菌剤は、押出成形の最中にエラストマー自己封止メンブレンに混入される。他のかかる例では、抗菌剤は、エラストマー自己封止メンブレンに適用されるコーティングである。
【0014】
さらに他の態様では、穿刺部位パッチが、実質的に透明なエラストマー自己封止メンブレンであって、外表面、内表面、及び抗菌剤を備える実質的に透明なエラストマー自己封止メンブレンと、外面及び内面を備えるスペーサであって、スペーサの外面が、実質的に透明なエラストマー自己封止メンブレンの内表面に対して結合され、スペーサが、アパーチャをさらに備え、アパーチャが、ユーザに対して貼られた場合に、実質的に透明なエラストマー自己封止メンブレンの内表面、スペーサ、及び皮膚により形成された空洞部を形成する、スペーサと、スペーサの内面の上に位置する、皮膚に対して接着する接着フィルムと、スペーサの第1の側部及びスペーサの第2の側部を形成するアパーチャの中心を貫通して延在する軸と、第1の位置と第2の位置との間において移動するように構成された細長タブであって、第1の位置にある場合に、細長タブがスペーサの周縁部から外方に延在し、第2の位置にある場合に、穿刺部位パッチが、スペーサの第1の側部及びスペーサの第2の側部が相互に実質的に重畳するように、軸に沿って折り畳まれる、細長タブとを備える。
【0015】
本発明の特徴であるこれらの及び他の利点ならびに特徴は、本明細書に添付されそのさらなる一部を構成する特許請求の範囲に示される。しかし、本発明のならびに本発明の使用を介して達成される利点及び目的をさらによく理解するために、図面と、本発明の実施形態の例が説明される添付の説明とを参照されたい。本概要は、以降においてさらに詳細に説明されるコンセプトの1つを紹介するために単に設けられたものであり、特許請求される主題の重要又は必須の特徴を特定することを意図するものでもなく、また特許請求される主題の範囲の限定を補助するものとして使用されることを意図されるものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本明細書において説明される一実施形態に相当する抗菌性穿刺部位パッチの平面図である。
図2図1のパッチの分解斜視図である。
図3A図1のパッチの断面図である。不使用時構成における図1のパッチの断面図である。
図3B図1のパッチの断面図である。廃棄時構成における図1のパッチの断面図である。
図4A】患者の腕の上に位置決めされた図1のパッチの斜視図である。
図4B】患者の腕の上に位置決めされた図1のパッチの斜視図である。
図5】本明細書において説明される他の実施形態に相当する抗菌性穿刺部位パッチの平面図である。
図6図5のパッチの分解斜視図である。
図7A図5のパッチの断面図である。不使用時構成における図5のパッチの断面図である。
図7B図5のパッチの断面図である。第1の廃棄時構成における図5のパッチの断面図である。
図7C図5のパッチの断面図である。第2の廃棄時構成における図5のパッチの断面図である。
図8A】患者の腕の上に位置決めされた図5のパッチの斜視図である。
図8B】患者の腕の上に位置決めされた図5のパッチの斜視図である。
図9】廃棄時構成における図5のパッチの平面図である。
図10図5の抗菌性穿刺部位パッチを収容するための本明細書において説明される幾つかの実施形態に相当するパッケージの斜視図である。
図11】抗菌性穿刺部位パッチを作製することが可能なプロセスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1図3は、抗菌性穿刺部位パッチデバイス10(以降では「抗菌性パッチ」、「パッチ」等)を示す。このパッチ10は、メンブレン12及びスペーサ14を備え、スペーサ14は、アパーチャ16をさらに備える。図示する実施形態では、パッチデバイス10は、ほぼ円形であるが、これは限定的なものとして意図されたものではなく、正方形形状、矩形形状、楕円形状、及び三角形状等を含むがこれらに限定されない他の形状もまた使用され得る。幾つかの例では、例えば図2に示すように、パッチ10は、保護シート又は剥離紙18をさらに任意に備えてもよい。この保護シート又は剥離紙18は、パッチ10を患者の皮膚に貼るべきときまで、スペーサ14上の接着フィルム26を保護するために使用され得る。幾つかの例では、保護シート又は剥離紙18は、スペーサ14と同様のサイズ及び形状であってもよく、又は他の例では、保護シート又は剥離紙18は、スペーサ14よりも若干大きいものであってもよい。
【0018】
幾つかの例では、保護シート又は剥離紙18は、ユーザがメンブレン12及びスペーサ14から剥離紙18を容易に除去して接着フィルム26を露出させることが可能になるように、第1の剥離タブ28及び第2の剥離タブ28を、又は他の表面をさらに備えてもよい。幾つかの例では、パッチ10は、第1のプルタブ24及び第2のプルタブ24をさらに備えてもよく、これらのプルタブは、スペーサ14から突出し得る。第1のプルタブ24及び第2のプルタブ24は、相互にアパーチャ16を挟んで真向いの位置に位置決めされてもよく、それにより(本明細書において説明されるように)、抗菌性穿刺部位パッチデバイス10が軸Aに沿って折り畳まれた場合に、第1のプルタブ24及び第2のプルタブ24は、相互に接触して(例えば図3Bを参照)パッチ10を密封することができる。以降において論じるように、このような様式で第1のプルタブ24及び第2のプルタブ24を折り畳むことにより、パッチ10の内部がさらに密封されて、それにより病原菌への接触及び注射後環境における病原菌の拡散を防ぐことができる。
【0019】
さらに、これらのプルタブ24及び24は、接着剤を備えなくてもよいため、パッチ10の除去を容易にすることができる。幾つかの例では、プルタブ24及び24の一方のみが、接着フィルム26を有さなくてもよく、他の例では、両プルタブ24及び24が、接着剤を有さなくてもよい。幾つかの例では、これにより、ユーザは、特に接着フィルム26が存在しない場合に、皮膚からパッチ10を除去するためにプルタブ24及び24の一方又は両方の部分を把持することが可能となり得る。
【0020】
抗菌性パッチ10のメンブレン12は、押出成形エラストマー材料であってもよい。幾つかの例では、このエラストマー材料は、滅菌性、自己封止性を有し、ノンコアリング、非ラテックスの、ヒト又は動物の皮膚との直接接触に関してFDA承認されたものであってもよい。このエラストマー材料の自己封止性及びノンコアリングの特性により、メンブレン12を貫通して注射のために使用されるニードル(様々なサイズの)は、メンブレン12を貫通したニードルの引抜き時に血液が拭き取られ得る。また、幾つかの例では、メンブレン12は、パッチ10が意図した注射部位92の上に位置決めされたときに、施術者が患者の皮膚90を観察することができるように、十分に透明なものであってもよい。メンブレン12の物理的構造は、外表面11及び内表面13を備え、内表面13は、抗菌性パッチ10が貼られたときに患者の皮膚90に対面する。さらに、メンブレン材料は、化学的又は構造的に安定しており、実質的に影響を被らないようなものとして選択されてもよく、従って例えばエチルアルコール、ベタジン、又は同様の一般的な消毒剤などの薬剤で洗浄、消毒、及び/又は滅菌された場合に劣化しない。メンブレン12は、スペーサ14を十分に覆うのに好都合な任意の形状を有してもよい。幾つかの実施形態では、メンブレン12及びスペーサ14の外周は、実質的に同一であってもよく、他の実施形態では、これらの外周は、それぞれ異なってもよい。
【0021】
メンブレン12は、1つ又は複数の抗菌剤をさらに注入されてもよい。図11を参照としてさらに説明されるように、幾つかの例では、この注入は、エラストマー材料の固化プロセスの最中に(すなわちポリマーの加熱及び押出成形の最中に)完了され得る。この混入は、押出成形又は共有押出成形によるものであってもよい。天然及び合成の両方の様々な抗菌剤が存在する。例えば、これらの抗菌剤のいくつかは、様々な植物又は薬草から抽出され得る。かような抗菌性の薬草の幾つかの例としては、オレガノ、セージ、バジル、ウイキョウ、ガーリック、レモンバーム、ペパーミント、ローズマリー、エキナセア、ニワトコ属、カンゾウ、レンゲソウ、ショウガ、ヤクヨウニンジン、及び/又はセイヨウタンポポの成分が含まれるが、これらに限定されない。他の実施形態では、合成又はラボ製造の抗菌剤が、単独で、又は相互の組合せもしくは任意の自然発生的な薬草による抗菌剤との組合せにおいて、使用されてもよい。さらに他の例では、例えば銀又は銅などの1つ又は複数の金属が、抗菌剤として使用されてもよい。これらの抗菌剤は、それらのそれぞれの抗菌作用ごとに多様な作用機序をもたらし得る。これらの薬剤は、バクテリア、ウイルス、及び/又は真菌に対して有効となり得るものであり、また殺菌性、殺ウイルス性、及び/又は殺真菌性を有してもよく、及び/又は静菌性、静ウイルス性、及び/又は静真菌性を有してもよい。これらの上記に挙げた薬剤はいずれも、エラストマーメンブレン12に混入することができるが、1つ又は複数の抗菌剤の選択において重要な考慮要件は、その薬剤が、図11を参照として説明されるようなエラストマーメンブレン12の押出成形条件(例えば熱、圧力、等)にさらされた後でも作用を有した状態に留まるか否かである。この抗菌剤は、押出成形を介してエラストマーメンブレン12に混入されるものとして説明されるが、これは限定的なものではなく、幾つかの例では、抗菌剤は、コーティングとして、電位測定フィルムとして、及び/又はラミネーションにより施されてもよい。
【0022】
非限定的な例として、オレガノ(オリガヌムヴルガレ)のフェノールモノテルペノイドであるカルバクロールが、抗菌性パッチ10のエラストマーメンブレン12に混入され得る。試験管内研究により、カルバクロールは、曝露の約15分後にマウスノロウイルスの作用を低下させ得ることが示されている。さらに、カルバクロールは、単純疱疹ウイルス、ロータウイルス、呼吸器合胞体ウイルス等を含む広範なウイルスに対して抗ウイルス作用を示す。さらに、フェノール構造を有することにより、カルバクロールは、SARSコロナウイルス2を含むコロナウイルスに対する有効性が期待される。カルバクロールの抑制作用は、その疎水性及び親油性の傾向に関連し得るものである。なぜならば、これらの特徴は、細胞膜と、細胞膜の物理特性及び化学特性を変化させ膜の安定性を変化させる細胞膜中の挿入物に対する親和性を結果としてもたらすからである。幾つかの例では、カルバクロール剤は、押出成形プロセス及び/又は固化プロセスの最中に約0.01%~約0.001%の濃度でエラストマーメンブレン12に混入され得る。
【0023】
他の非限定的な例では、金属抗菌剤が、抗菌性パッチ10のエラストマーメンブレン12の中に混入され得る、又はエラストマーメンブレン12上に被覆され得る。これらの金属抗菌剤は、例えば活性酸素種(ROS)、他の酸化過程、構造金属の交換、及び/又は鉄硫黄クラスターの破壊の結果として微生物に対して細胞破壊を生じさせ得る。幾つかの例では、銀ナノ粒子又は銅ナノ粒子が、金属抗菌剤として使用され得る。これらの金属ナノ粒子は、メンブレン12を形成するポリマーの押出成形に含まれてもよく、及び/又はメンブレン12上に被覆されてもよい。幾つかの例では、銀ナノ粒子は、in situ形成されてもよく、すなわちエラストマーメンブレン形成のために使用されるポリマーは、金属塩及び還元剤と組み合わされてもよく、金属ナノ粒子は、この組合せの最中において形成される。他の例では、予め合成された金属ナノ粒子が、ポリマー媒体と共に分散され得る。幾つかの例では、銀は、約0.1%~約4%の濃度でメンブレン12中に混入され得る。他の例では、銀は、約2.5%の濃度でメンブレン中に混入されてもよく、この濃度では、銀は、複数の微生物種に対して有効性を有することが研究から判明している。一例では、銀ゼオライトベース抗菌剤が、メンブレン中に混入される。
【0024】
スペーサ14は、外面15及び内面17を有する材料である。スペーサ14は、例えばナイロン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、イソプレン、コットン、リンネル、又はこれらの組合せなどの、滅菌が可能でありヒトの皮膚との直接的な接触において使用可能な任意の材料からなるものが可能である。任意には、スペーサ14の材料は、血液及び体液を吸収する能力に基づいて選択されてもよいが、これらの吸収性能は必須ではない。吸収性材料が使用される幾つかの例では、吸収性材料は、必須ではないが、スペーサ14の空洞部20から外部エッジ19までにわたる血液毛管現象のリスクを最小限に抑制するために、毛管現象に対する抵抗性を幾分か有するものであることが望ましい場合がある。幾つかの例では、1つ又は複数の添加物が、吸収性を高めるために押出成形層中に混入されてもよい。スペーサ14は、その外面15にて又は外面15上においてメンブレン12の内表面13に対して固定される。例えば膠剤、ホットメルト接着剤、感圧接着剤、感熱接着剤、化学結合、アクリルセメント、高周波溶接、超音波溶接、もしくはこれらの組合せ、又は当技術において周知の任意の他の手段などの、当技術において知られる様々な手段が、メンブレン12に対してスペーサ14を固定するために使用され得る。しかし、スペーサのための固定手段の選択において重要な考慮要件は、選択された固定手段が、選択された抗菌剤の有効性に対する相互作用を有する場合に、どのような相互作用を有し得るかである。幾つかの例では、スペーサ14は、メンブレン12がスペーサ14の外面15全体を覆うように、メンブレン12上に位置決めされ得る。スペーサ14の内面17は、患者の皮膚90に対してパッチ10を保持するために接着フィルム26で覆われる。様々な接着剤が、所望の機能を果たし得るが、使用される接着剤は、接着剤がヒトの皮膚に直接接触するため、FDA承認された材料であることが好ましい。
【0025】
このスペーサ14は、アパーチャ16をさらに備え得る。幾つかの例では、このアパーチャは、実質的に中央に位置し得る。アパーチャ16は、施術者がスペーサ14のどの部分も穿刺又は損傷することなくメンブレン12及びアパーチャ16にニードルを挿通することができるように十分な寸法を有する。抗菌性パッチ10が患者の皮膚90に対して貼られると、皮膚90、メンブレン12、及びスペーサ14により形成されたアパーチャ16は、空洞部20を形成し、ニードルは、注射又は採血手技の最中にこの空洞部20を通過する。穿刺により皮膚から放出される血液は、この空洞部20内に貯留され得る。幾つかの例では、血液は、空洞部20内において乾燥し得るか、又は他の例では、スペーサ14により吸収され得る。スペーサ14は、吸収性材料を備えてもよく、又は吸収性材料から構成されてもよく、任意には凝固剤を含んでもよい。非限定的な例では、スペーサ14は、ポリエチレンから構成されてもよく、セルロース又は当技術において一般的に知られている血液を凝固させるための任意の他の適切な凝固剤で被覆されてもよい。幾つかの例では、アパーチャ16は、このように形成された空洞部20が最大で約0.3ccの体液を収容し得るように、約15mm(0.519インチ)の直径を有する。アパーチャ16及び抗菌性パッチの寸法は、本明細書において説明される寸法に限定されず、抗菌性パッチ10の所望の用途に基づいて変更し得る点を理解されたい。また、形成された空洞部が収容し得る容量は、アパーチャの寸法が変更することにより変わり得る点を理解されたい。
【0026】
次に図4A及び図4Bを参照すると、抗菌性パッチ10は、例えば注射部位などの意図される穿刺部位92の上において患者の皮膚90に対して貼り付けられたものとして示される。パッチ10が皮膚90に対して装着されると、空洞部20が、スペーサ14により形成されて皮膚90とメンブレン12との間に形成される。幾つかの例では、この空洞部20は、深さDを有し得る。抗菌性パッチ10は、接着フィルム26によりスペーサ14の内面17の任意部分に沿って患者の皮膚90に対して直接的に固定及び保持され得る。この固定装着は、血液漏れを防ぎ、従って血液媒介病原菌の潜在的拡散を防ぐために有益となり得るが、使用後に皮膚からの抗菌性パッチ10の除去に関しては問題にもなり得る。除去を容易にするために、抗菌性パッチ10は、スペーサ14から両側に突出する第1のプルタブ24及び第2のプルをさらに備え得る。幾つかの例では、これらのプルタブ24及び24は、スペーサ14と一体であり得る。前述で論じたように、第1のプルタブ24及び/又は第2のプルタブ24は、内面17上に接着剤を備えてもよく又は備えなくてもよく、幾つかの例では、接着剤を部分的にのみ備えてもよい。他の例では、接着剤は、施術者又は患者のいずれかが患者の皮膚から抗菌性パッチ10を除去するために例えば接着剤を有さない部分などのこれらのプルタブ24及び24の一方又は両方の一部分を容易に把持することができるように、第1のプルタブ24及び/又は第2のプルタブ24の一部又は全体にわたり強度を下げられる。
【0027】
次にとりわけ図3A図3Bを参照すると、抗菌性パッチ10の断面図が、第1の不使用時構成(図3A)と、第2の廃棄時構成(図3B)とにおいて提示される。図3Aに示すように、第1のプルタブ24及び第2のプルタブ24の開始位置は、スペーサ14から外方へと相互に真向いの位置において延在している。メンブレン12及び皮膚の注射又は他の穿通後のある時点において、患者、介護者、又は医療専門家が、抗菌性パッチ10の除去を望む場合がある。このような時点において、患者、介護者、又は医療専門家は、プルタブ24及び24の一方又は両方の一部分を容易に把持し、中心軸Aに沿って抗菌性パッチ10を折り畳むことができ、これによりアパーチャ16の完全な被覆が確保される。折り畳まれると、第1のプルタブ24及び第2のプルタブ24は、実質的に相互に重畳し得る。幾つかの例では、パッチ10を折り畳むべき位置を患者又は介護者が正確に知ることができるように、切れ込み、マーキング、又は他のガイドが存在してもよい。抗菌性パッチ10上の既存の接着フィルム26は、体液、病原菌等の閉じ込め及びこれら漏出防止を行いつつ、同時に体液及び任意の後の血液媒介病原菌を埋入された抗菌剤に対してさらすために、密封クロージャ40を形成するために使用される。幾つかの例では、接着フィルム26は、プルタブ24及び24の一方又は両方の一部(又は全体)の上まで延在し、それによりこれらのプルタブ24及び24は、パッチ10をさらに密封することができる。密封エンクロージャ40又は収集空洞部の中に捕獲されると、この中に含まれる血液、ウイルス粒子、又はバクテリア等は、抗菌性メンブレン12と接触状態になり得る。約15分間又はそれ以上にわたってこの抗菌性メンブレン12に接触することにより、結果としてウイルス粒子が不活性化され、それによりパッチ10の廃棄が安全になる。
【0028】
前述のように、ドライブスルーワクチン接種クリニックの、又は他の処理数の高いワクチン接種クリニックの人気が高まっている。かような処理数の高いワクチン接種クリニックの増加により、例えば抗菌性穿刺部位パッチ10などの使用される包帯が、患者の自宅又は他者が血液媒介病原菌に被曝し得る他の場所などのエリアで除去され廃棄される可能性が高くなる。抗菌性パッチ10が、図3Bに示す廃棄時構成になると、パッチ10は、中に含まれ得る体液又は病原菌に対して他者を被曝させるリスクを最小限に抑えつつ、安全に処分することができる。
【0029】
図5図6図7A図7C図8A図8B、及び図9図10は、抗菌性穿刺部位パッチ110の別の実施形態を示す。前記で論じた実施形態と同様に、パッチ110もまた、メンブレン112と、アパーチャ116を有するスペーサ114とを備え得る。本明細書において論じた先述の実施形態と同様に、パッチ110は、実質的に円形であるが、先述の実施形態で説明したように、これは限定的なものとして意図されない。また、任意には、パッチ110は、スペーサ114上の接着フィルム26を保護するための保護シート又は剥離紙118を備え得る。剥離紙118は、スペーサ114と同様のサイズ及び形状であってもよいが、限定的なものではなく、スペーサ114よりも若干大きくてもよい。剥離紙118は、剥離タブ128、又はメンブレン112及びスペーサ114から剥離紙118を容易に除去できるようにするための他の表面をさらに備え得る。また、パッチ110は、スペーサ114から突出し得る細長プルタブ124をさらに備え得る。細長プルタブ124は、患者からのパッチ110の除去を容易にし得る。
【0030】
図7Bに示すように、幾つかの例では、細長プルタブ124は、廃棄プロセスの最中に空洞部120が完全に包囲されるように(例えば図9をさらに参照)、接着フィルム126の残りの部分の上に(例えば細長プルタブ124の上に)折り重ねられるように十分な大きさを有し得る。接着フィルム126の残りの部分の上に細長プルタブ124を折り重ね、空洞部120を包囲することにより、メンブレン上の抗菌剤は、接着層上の汚染血液と接触状態に留まり、空洞部120を密封して、その中に収容された体液及び/又は病原菌との接触を防ぐことが確保される。
【0031】
他の例では、図7Cに示すように、抗菌性パッチ110は、スペーサの第1の側部130とスペーサの第2の側部132とを形成する中心軸Aに沿って約半分に折り畳まれ得る。抗菌性パッチ110が、中心軸Aに沿って折り畳まれると、スペーサの第1の側部130及びスペーサの第2の側部132は、実質的に重畳され、それにより空洞部120が完全に包囲されることが確保されて、閉鎖パッチ110が形成され得る。幾つかの例では、パッチ110を折りたたむべき位置を患者又は介護者が正確に知ることができるように、切れ込み、マーキング、又は他のガイドが存在してもよい。次いで、細長プルタブ124は、閉鎖パッチ110に折り重ねられ、細長タブ上の接着フィルム126が、この閉鎖位置にてパッチ110をさらに密封するように使用され得る。
【0032】
抗菌性パッチ110のメンブレン112は、前述の実施形態を参照として説明したエラストマー材料と同様のエラストマー材料であってもよい。前述のように、幾つかの例では、メンブレン112は、パッチ110が意図した注射部位192の上に位置決めされたときに、施術者が患者の皮膚190を観察することができるように、十分に透明なものであることが有利である場合がある。幾つかの例では、この透明性は、全透過率測定、ヘイズ測定、透明度測定、光学濃度、又は任意の他の既知の測定により決定され得る。先述のメンブレンと同様に、メンブレン112は、外表面111及び内表面113をさらに備え得る。前述のように、メンブレン112は、1つ又は複数の抗菌剤をさらに注入されてもよい。
【0033】
スペーサ114は、外面115及び内面117を備え、例えばナイロン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、イソプレン、コットン、リンネル、又はこれらの組合せなどの、ヒトの皮膚と直接接触状態に配置され得る材料からなる。また、幾つかの例では、スペーサ114の構成において使用される材料は、様々な体液を吸収する能力に基づいて選択されてもよい。かかる吸収性材料が使用される場合に、幾つかの例では、吸収性材料は、スペーサ114の空洞部120から外部エッジ119までにわたる血液毛管現象のリスクを最小限に抑制するために、毛管現象に対する抵抗性を幾分か有するものであってもよい。先述の実施形態と同様に、スペーサ114は、当技術において既知の様々な手段によりその外面115にて又は外面115上においてメンブレン112の内表面113に対して固定されてもよい。しかし、先述のように、スペーサ114の固定方法の選択において重要な要素は、選択された固定方法が、選択された抗菌剤の有効性に対する相互作用を有する場合に、どのような相互作用を有し得るかである。スペーサ114の内面117は、患者の皮膚190に対するパッチ110の保持を助長するために接着フィルム126で覆われ得る。幾つかの例では、スペーサ114は、実質的に中心に位置するアパーチャ116をさらに備えてもよく、このアパーチャ116は、施術者が、スペーサ114のどの部分も穿刺又は損傷することなくメンブレン112にニードルを挿通することができるように十分な寸法を有する。先述の実施形態と同様に、パッチは、一度貼られると、皮膚190、メンブレン112、及びスペーサ114により形成され、それにより空洞部120を形成する。穿刺により皮膚から放出される体液は、この空洞部120内に貯留され得る。
【0034】
次に図8A及び図8Bを参照すると、抗菌性パッチ110は、意図される穿刺部位192の上において患者の皮膚190に対して貼り付けられたものとして示され、既述のように、これによりスペーサ114によって形成されて皮膚190とメンブレン112との間に空洞部120が形成される。幾つかの例では、この空洞部120は、スペーサ114及び接着フィルム126の合計幅Wにほぼ等しい深さDを有し得る。スペーサ114から突出する細長プルタブ124は、抗菌性パッチ110の除去を助長し得る。幾つかの例では、細長プルタブ124は、接着フィルムを含まなくてもよく、他の例では、細長プルタブ124は、細長プルタブ124の一部分が接着剤を含まない状態になるように、接着剤を部分的にのみ備えてもよい。細長プルタブ124又はその無接着剤部分は、施術者又は患者による細長プルタブ124の把持を容易にし得る。幾つかの例では、細長プルタブ124は、廃棄プロセスの最中にアパーチャ116全体に折り重なることが可能になるように十分な長さ及び幅を有し得る。
【0035】
次に図7A図7Bを参照すると、抗菌性パッチ110の断面図が、不使用時位置(図7A)と、廃棄時位置(図7B)とにおいて示される。廃棄時位置では、細長プルタブ124は、アパーチャ116に折り重ねられ、この動きが矢印で示される。細長プルタブ124の元の開始位置(例えばスペーサ114から外方に延在する)は、図7Bで破線により示される。幾つかの例では、細長プルタブ124は、接着フィルム126の実質的にすべてを覆うのに十分な長さを有し、このためには、細長プルタブの長さがほぼL1の長さであることが必要となる。他の例では、細長プルタブ124は、アパーチャ116全体を覆うのに十分な長さを有するにすぎなくてもよい。図示する長さは、限定的なものとして見なされるべきではなく、細長プルタブ124の長さは、アパーチャ116を完全に覆うために十分となる任意の長さであってもよい。同様に、細長プルタブ124の幅は、アパーチャ116を完全に覆うために十分となる任意の長さであってもよい。図9では、細長プルタブ124の幅W1の非限定的な例を示す。細長プルタブ124を折り重ねたときにアパーチャ116が完全に覆われることを確保することにより、メンブレン112上の抗菌剤が、接着フィルム126上の汚染血液と接触状態に保持され、空洞部120が密封され、それによってその中に収容された体液及び/又は病原菌との接触を防ぐことがさらに確保される。
【0036】
ワクチン接種又は他の穿刺との組合せにおいて用いられる例えば抗菌性穿刺部位パッチ110などの包帯が、患者の自宅又は他の場所などのエリアで除去され廃棄され得る可能性の高まりにより、この汚染された包帯による血液媒介病原菌の拡散リスクを最小限に抑制するための廃棄ソリューションが必要となる。幾つかの実施形態では、抗菌性パッチ110は、患者からパッチ10を除去した後にこのパッチを廃棄するために使用することのできる再利用可能容器60内に、無菌パッケージングされ得る。図10では、このような再利用可能容器60の非限定的な例を示す。
【0037】
図10に示すように、再利用可能容器60は、単一の抗菌性パッチ110を保持するために十分な略矩形形状又は略正方形上へと形成され得る。しかし、これは限定的なものとしては意図されず、抗菌性パッチ110を収容するのに十分なものである限りは、任意の形状が利用され得る。再利用可能容器60は、共に封着されたポリマー又はプラスチック等の1つ又は複数のピースから構成されるように、バッグの形態を一般的にとり得る。幾つかの例では、再利用可能容器60は、第1のポリマーシート62及び第2のポリマーシート64を備えてもよく、これらの2つのシート62、64は、共に封着されて、再利用可能容器60の第1のエッジ部分66、第2のエッジ部分68、及び底部部分70を形成する。第1のエッジ部分66、第2のエッジ部分68、及び底部部分70は、第1のシート62と第2のシート64との間に空洞部72を共に形成する。再利用可能容器60は、開口74をさらに備えてもよく、この開口74を経由して、抗菌性パッチ110が空洞部72内に配置される。
【0038】
幾つかの例では、再利用可能容器60は、引裂ライン76をさらに備えてもよく、この引裂ライン76は、一方又は両方のエッジ66、68に、再利用可能容器60の上部部分付近に配設された切込み(又は打ち抜き穴)78を有する。この切込みは、例えばワクチン投与を行おうとしている医療提供者などのユーザがこの容器60を開封するのを容易にし得る。幾つかの例では、再利用可能容器60は、抗菌性パッチの使用後における再挿入と、再利用可能容器60の再封止とを可能にするための閉鎖手段80をさらに備えてもよい。かかる閉鎖手段80の非限定的な一例は、第1のシート62上の閉鎖手段であってもよく、この閉鎖手段は、従来の「ジップ」タイプの閉鎖手段に典型的であるように、第2のシート64上の相補的閉鎖要素と協働する。この閉鎖手段のもう1つの非限定的な例は、容器60の一方のシート62、64の外部上の接着ストリップ及び対応する保護カバーであってもよい。
【0039】
幾つかの例では、再利用可能容器60は、抗菌剤をさらに含んでもよい。幾つかの例では、例えば空洞部72内に収容されたものなどの抗菌性パッチ110と接触状態になり得る再利用可能容器60の部分のみが、抗菌剤を注入されても又は抗菌剤で被覆されてもよい。他の例では、再利用可能容器60の全体が、抗菌剤を注入されても又は抗菌剤で被覆されてもよい。この注入は、例えば容器60を構成するために使用されるポリマー又はプラスチックの製造プロセス及び/又は固化プロセスの最中に完了されてもよい。前述で論じたように、再利用可能容器60に混入することのできる天然及び合成の両方の様々な抗菌剤が存在し得る。抗菌性パッチ10、110を参照として論じたように、かかる抗菌剤の非限定的な一例は、カルバクロールであってもよく、これは、オレガノ(オリガヌムヴルガレ)のフェノールモノテルペノイドである。カルバクロールは、再利用可能容器60を構成するためのポリマー又はプラスチックの中に混入され得る。幾つかの例では、カルバクロール剤は、押出成形プロセス及び/又は固化プロセスの最中に約0.01%~約0.001%の濃度でエラストマーメンブレン12に混入され得る。
【0040】
抗菌性パッチ110を用いて説明及び図示したが、本明細書において説明及び図示される再利用可能容器60は、限定的なものではなく、ゆえに処分容器が、抗菌性パッチ10又は本明細書において予期される抗菌性パッチの任意の他の実施形態と共に使用されてもよい点を理解されたい。
【0041】
さらに、本明細書では主にワクチン接種を参照として論じたが、これは限定的なものとして意図されない。本明細書において説明される実施形態に相当する様々な実施形態の抗菌性パッチ10、110は、患者中へのカテーテル挿入、針生検、関節注入もしくは関節吸引、又は患者の皮膚が先鋭のニードル状物体により穿刺され得る任意の他の例に対して使用することもできる。さらに、空洞部は、例えば吸引物などの血液以外の体液を収容することもできる。
【0042】
次に図11を参照すると、本明細書において説明される抗菌性パッチを生み出すための連続製造プロセスのための一例の方法が示される。抗菌性パッチ10の作製は、スペーサ材料シート(例えばナイロン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、イソプレン、コットン、リンネル)14に沿った1つ又は複数の所定位置にアパーチャを形成することを含み得る。前述で論じたように、このアパーチャ16は、実質的に円形であってもよいが、そのように限定されるものではない。幾つかの例では、このスペーサ材料14は、両面15、17の上において接着フィルム26で前処理され得る。他の例では、スペーサ材料14に対して接着フィルム26を貼ることが必要となり得る。スペーサ材料14の外面15は、その上に配設された保護紙シート30をさらに備えてもよい。このシートは、外面15に対してメンブレン材料12を貼る前に、外面15を保護する役割を果たし得る。保護紙30は、打ち抜き加工されたスペーサ材料が前進移動を続けるにつれて、巻取ローラ32により除去され得る。同様に、剥離紙シート18が、内面17の上に配設されて、使用前の接着フィルム26を保護してもよい。次いで、エラストマーメンブレン材料シート12が、外面15に対して固定され得る。メンブレン12、スペーサ部材14、及び剥離紙18の組合せが、所望の構成へと型抜きされ得る34。
【0043】
本明細書において説明されるような抗菌剤を注入されたエラストマーメンブレンシートは、図11を参照として説明されるプロセスに組み込む前に、別個に形成され得る。エラストマーメンブレン12は、標準的な押出成形プロセスにより標準的なプラスチック加工設備上で押出成形されたフィルムである。この押出成形プロセスの最中に、例えばカルバクロールなどの抗菌剤が追加されてもよい。この抗菌剤は、フィルムを押出成形しつつ化学薬品を埋入させることが可能になるのに十分な高温にて、かつ抗菌剤の効果を不活性化又は最小限度に抑えるような高温ではない温度にて、添加され得る。特定の薬剤が抗菌剤としての効果を喪失し得る温度はそれぞれ異なり得るため、薬剤が添加され押出成形が実施される温度もまた様々であってもよい。非限定的な一例としては、カルバクロールは、約華氏214度にて不活性化するため、押出成形温度は、約華氏214度未満となり、より好ましくは約華氏200度未満となり得る。他の例では、本明細書において説明されるように、抗菌剤は、コーティングとして適用されてもよく、これにより、一層高温での押出成形が可能となり得る。
【0044】
当技術において知られるように、このプロセスは、本発明の範囲から逸脱することなく、例えばスペーサシートの代わりにメンブレンに対して第1の接着剤を塗布する、スペーサシートの代わりに剥離紙に対して第2の接着剤を塗布する、レーザを使用して層状材料を切断する、メンブレン及びスペーサを積層及び切断した後に剥離紙を追加する、ならびにこれらの組合せを実施するなどの、様々な方法で修正され得る。
【0045】
本明細書では複数の本発明の実施形態を説明及び図示してきたが、本明細書において説明した機能を実施する、及び/又は本明細書において説明した結果及び/又は利点の1つ又は複数を実現するための、様々な他の手段及び/又は構造が、当業者には容易に想起されよう。また、そのような変形及び/又は修正はいずれも、本明細書において説明される本発明の実施形態の範囲内に含まれると見なされる。より一般的には、本明細書において説明されるパラメータ、寸法、材料、及び構成はいずれも例として意図されるものであり、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は本発明の教示が利用される特定の用途によって決定される点が、当業者には容易に理解されよう。単なる慣例的な実験の利用により、本明細書において説明される特定の本発明の実施形態の多くの均等物が、当業者には理解されよう、又は確認されよう。従って、前述の実施形態は単なる例として提示されるものであり、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内において、具体的に説明及び特許請求されたものとは異なる様式で本発明の実施形態を実施することができる点を、理解されたい。本開示の発明の実施形態は、本明細書において説明されるそれぞれ個別の特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法に関するものである。さらに、2つ以上のかかる特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法の任意の組合せは、それらの特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法が相互に矛盾するものでない限りにおいて、本開示の本発明の範囲内に含まれる。
【0046】
本明細書において定義及び使用されるあらゆる定義は、辞書上の定義、参照により本明細書に組み込まれる文献内における定義、及び/又は定義される用語の通常の意味よりも優先される点を理解されたい。
【0047】
本明細書及び特許請求の範囲において使用されるような「1つの(a、an)」という不定冠詞は、別様のことが明示されない限り、「少なくとも1つの(at least one)」を意味するものとして理解されたい。
【0048】
本明細書及び特許請求の範囲において前置詞ではなく副詞として使用される場合の「約(about)」は、「ほぼ(approximately)」を意味し、明示された数値と、その数値から10%の範囲内のすべての数値とを含む。換言すれば、「約100%」は、90%及び110%と、それらの間のすべての数値とを含む。
【0049】
本明細書及び特許請求の範囲において使用されるような「及び/又は(and/or)」という表現は、かように組み合わされた要素の、すなわちある場合には連言的に提示され他の場合には選言的に提示される要素の「いずれか一方又は両方(either or both)」を意味するものとして理解されたい。「及び/又は」を用いて列挙される複数の要素は、同様に、すなわちかように等位接続された要素の中の「1つ又は複数」として解釈されたい。この「及び/又は」句により具体的に指摘される要素以外の他の要素が、それらの具体的に指摘された要素に関連する又はしないに関わらず任意に存在してもよい。従って、非限定的な一例として、「A及び/又はB」という言及は、例えば「備える(comprising)」などのオープンエンドな語との組合せにおいて使用される場合に、一実施形態ではAのみ(B以外の要素を任意に含む)を示し、他の実施形態ではBのみ(A以外の要素を任意に含む)を示し、さらに他の実施形態ではA及びB(他の要素を任意に含む)を示す、等となり得る。
【0050】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合に、「又は(or)」は、上記で定義したような「及び/又は」と同じ意味を有するものとして理解されたい。例えば、列挙の中に含まれる項目を分ける場合に、「又は」又は「及び/又は」は、非排他的なものとして、すなわち複数の要素又は要素リストの中の少なくとも1つを含むがさらに2つ以上も含む、任意には列挙されないさらなる項目を含むものとして解釈される。例えば「の中の1つのみ(only one of)」もしくは「の中の厳密に1つ(exactly one of)」、又は特許請求の範囲において用いられる場合の「からなる(consisting of)」などん、対照的に明確に特定される限定用語は、複数の要素又は要素リストの中の厳密の1つの要素を含むことを示す。一般的に、本明細書における「又は」という用語は、例えば「いずれか(either)」、「の一方(one of)」、「の中の1つのみ」、又は「の中の厳密の1つ」などの排他的用語が付される場合には、相互排他的選択肢(すなわち一方又は他方であり両方ではない)を示すものとしてのみ解釈されるべきである。「のみからなる(consisting essentially of)」は、特許請求の範囲において用いられる場合に、特許法の分野で使用される通常の意味を有するものとする。
【0051】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合に、1つ又は複数の要素の列挙を参照とする「少なくとも1つ(at least one)」という表現は、その要素リスト中の要素の中の任意の1つ又は複数から選択される少なくとも1つの要素を意味するのとして、しかしこの要素リスト内に具体的に揚げられるすべての要素の中の少なくとも1つを必ずしも含まず、要素リスト内の要素の任意の組合せを排除しないものとして理解されたい。また、この定義は、「少なくとも1つ」という表現により言及される要素リスト内に具体的に特定される要素以外の要素が、それらの具体的に指摘された要素に関連する又はしないに関わらず任意に存在し得ることを許容する。従って、非限定的な一例としては、「A及びBの少なくとも一方」(又は均等なものとして「A又はBの少なくとも一方」、もしくは均等なものとして「A及び/又はBの少なくとも一方」)は、一実施形態では、少なくとも1つのA(任意には2つ以上のAを含む)を示し、Bは存在せず(及び任意にはB以外の要素を含む)、他の実施形態では、少なくとも1つのB(任意には2つ以上のBを含む)を示し、Aは存在せず(及び任意にはA以外の要素を含む)、さらに他の実施形態では、少なくとも1つのA(任意には2つ以上のA)及び少なくとも1つのB(任意には2つ以上のB)(ならびに任意には他の要素を含む)を示す、等となり得る。
【0052】
また、別様のことが明示されない限り、2つ以上のステップ又は動作を含む本願で特許請求されるあらゆる方法において、方法のステップ又は動作の順序は、その方法のステップ又は動作が挙げられる順序に必ずしも限定されない点を理解されたい。
【0053】
特許請求の範囲において、及び上記の明細書において、「備える(comprising)」、「含む(including)」、「帯びる(carrying)」、「有する(having)」、「包含する(containing)」、「伴う(involving)」、「保持する(holding)」、及び「から構成される(composed of)」等の移行句はいずれも、オープンエンドであるものとして、すなわち含むがそれに限定されないことを意味するものとして理解されたい。米国特許庁特許審査便覧(MPEP)2111.03章に示されるように、「からなる(consisting of)」及び「主に~からなる(consisting essentially of)」という移行句のみが、それぞれクローズド又はセミクローズドの移行句であるものとする。
【符号の説明】
【0054】
10 抗菌性穿刺部位パッチデバイス、抗菌性穿刺部位パッチ、抗菌性パッチ、パッチデバイス、パッチ
11 外表面
12 メンブレン、抗菌性メンブレン、エラストマーメンブレン材料シート、メンブレン材料、エラストマーメンブレン
13 内表面
14 スペーサ、スペーサ材料、スペーサ材料シート、スペーサ部材
15 外面
16 アパーチャ
17 内面
18 剥離紙、剥離紙シート
19 外部エッジ
20 空洞部
26 接着フィルム
30 保護紙、保護紙シート
32 巻取ローラ
40 密封エンクロージャ
60 再利用可能容器
62 第1のポリマーシート
64 第2のポリマーシート
66 第1のエッジ部分
68 第2のエッジ部分
70 底部部分
72 空洞部
74 開口
76 引裂ライン
78 打ち抜き穴
80 閉鎖手段
90 皮膚
92 注射部位、穿刺部位
110 抗菌性穿刺部位パッチ
111 外表面
112 メンブレン
113 内表面
114 スペーサ
115 外面
116 アパーチャ
117 内面
118 剥離紙
119 外部エッジ
120 空洞部
124 細長プルタブ
126 接着フィルム
128 剥離タブ
130 第1の側部
132 第2の側部
190 皮膚
192 注射部位、穿刺部位
24 第1のプルタブ
24 第2のプルタブ
28 第1の剥離タブ
28 第2の剥離タブ
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9
図10
図11
【国際調査報告】