(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】段ボールにおける使用のための多層ライナー
(51)【国際特許分類】
D21H 27/00 20060101AFI20240426BHJP
D21H 11/06 20060101ALI20240426BHJP
D21H 27/30 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
D21H27/00 E
D21H11/06
D21H27/30 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570469
(86)(22)【出願日】2022-05-13
(85)【翻訳文提出日】2024-01-10
(86)【国際出願番号】 IB2022054482
(87)【国際公開番号】W WO2022243822
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501239516
【氏名又は名称】ストラ エンソ オーワイジェイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヘイスカネン, イスト
(72)【発明者】
【氏名】カンクネン, ユッカ
(72)【発明者】
【氏名】サーリネン, イスモ
(72)【発明者】
【氏名】ルーラ, ユッカ
(72)【発明者】
【氏名】コルヴェニエミ, ユハ
(72)【発明者】
【氏名】タイパレ, ハリ
(72)【発明者】
【氏名】ヘイッキネン, ハンヌ
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055AC06
4L055AC09
4L055AG40
4L055AG47
4L055AH11
4L055AH16
4L055AJ01
4L055BD17
4L055BD18
4L055EA04
4L055EA08
4L055EA10
4L055EA13
4L055EA16
4L055FA11
4L055FA13
4L055FA19
4L055FA21
4L055FA22
4L055GA06
(57)【要約】
本発明は段ボールにおける使用のための多層ライナーであって、前記多層ライナーは:第1のプライ、および第2のプライを含み、前記第1のプライは乾燥重量に基づいて少なくとも70wt%の未漂白クラフトパルプおよび5~30wt%の中性亜硫酸塩セミケミカル(NSSC)パルプを含み、前記第2のプライは乾燥重量に基づいて少なくとも50wt%のNSSCパルプおよび5~50wt%の未漂白クラフトパルプを含む、多層ライナーに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボールにおける使用のための多層ライナーであって、前記多層ライナーは:
第1のプライ、および
第2のプライ
を含み、
前記第1のプライは乾燥重量に基づいて少なくとも70wt%の未漂白クラフトパルプおよび5~30wt%の中性亜硫酸塩セミケミカル(NSSC)パルプを含み、
前記第2のプライは乾燥重量に基づいて少なくとも50wt%のNSSCパルプおよび5~50wt%の未漂白クラフトパルプを含む、多層ライナー。
【請求項2】
前記第1のプライが乾燥重量に基づいて少なくとも75wt%、好ましくは少なくとも80wt%の未漂白クラフトパルプを含む、請求項1に記載の多層ライナー。
【請求項3】
前記第1のプライが乾燥重量に基づいて5~20wt%、好ましくは5~10wt%のNSSCパルプを含む、請求項1または2に記載の多層ライナー。
【請求項4】
前記第2のプライが乾燥重量に基づいて少なくとも60wt%、好ましくは少なくとも70wt%、より好ましくは少なくとも80wt%のNSSCパルプを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の多層ライナー。
【請求項5】
第2のプライの少なくとも30%が再生セルロース繊維からなる、請求項1から4のいずれか一項に記載の多層ライナー。
【請求項6】
第1のプライおよび第2のプライの各々の坪量が20~150g/m
2の範囲、好ましくは30~100g/m
2の範囲である、請求項1から5のいずれか一項に記載の多層ライナー。
【請求項7】
多層ライナーのNSSCパルプの量が乾燥重量に基づいて少なくとも10wt%、好ましくは少なくとも20wt%、より好ましくは少なくとも30wt%である、請求項1から6のいずれか一項に記載の多層ライナー。
【請求項8】
第1のプライに使用されるNSSCパルプの平均粒度が第2のプライに使用されるNSSCパルプの平均粒度より低い、請求項1から7のいずれか一項に記載の多層ライナー。
【請求項9】
前記多層ライナーがさらに内添サイジング剤を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の多層ライナー。
【請求項10】
前記多層ライナーの少なくとも1つの面がISO規格535に従って決定して30未満、好ましくは25未満、より好ましくは22未満のCobb 30s値を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の多層ライナー。
【請求項11】
前記多層ライナーがISO規格287に従って決定して50%RHで10wt%未満、好ましくは8wt%未満の平衡含水率(EMC)を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の多層ライナー。
【請求項12】
多層ライナーが第3のプライを含み、前記第3のプライが乾燥重量に基づいて少なくとも70wt%の未漂白クラフトパルプおよび5~30wt%の中性亜硫酸塩セミケミカル(NSSC)パルプを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の多層ライナー。
【請求項13】
多層ライナーが2-プライライナーである、請求項1から11のいずれか一項に記載の多層ライナー。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の多層ライナーおよびフルーティングを含む段ボール。
【請求項15】
段ボールにおける使用のための多層ライナーを製造する方法であって、
a)第1のパルプ懸濁液から第1のウェブ層を形成し、前記第1のウェブ層を脱水して第1のプライを得る工程;
b)第2のパルプ懸濁液から第2のウェブ層を形成し、前記第2のウェブ層を脱水して第1のプライ上に第2のプライを得る工程
工程を含み、
前記第1のパルプ懸濁液は乾燥重量に基づいて少なくとも70wt%の未漂白クラフトパルプおよび5~30wt%の中性亜硫酸塩セミケミカル(NSSC)パルプを含み、
前記第2のパルプ懸濁液が乾燥重量に基づいて少なくとも50wt%のNSSCパルプおよび5~50wt%の未漂白クラフトパルプを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は段ボールにおける使用のためのされる多層ライナーに関し、前記多層ライナーはNSSCパルプを含む。
【背景技術】
【0002】
段ボール(ときには段ボール(corrugated cardboard)または段ボール(corrugated fiberboard)といわれることがある)は、様々な種類の梱包解決策に変換することができる包装材料である。段ボールはセルロース繊維製の繊維基材である。繊維はバージン繊維または使用後の段ボールもしくは他の材料に由来する繊維のような再生繊維であることができる。
【0003】
段ボールは少なくとも1つの中芯(フルーティング)および中芯の表面に接着された少なくとも1つの平面原紙(ライナーまたはライナーボード)を含む。たとえば、段ボールは2つの層のライナーの間に接着されたフルーティングの層からなってサンドイッチ構造を形成し得る。サンドイッチ構造は、たとえばKirwan M.,J.,Paper and Paperboard.Packaging Technology,Blackwell Publishing 2005に記載されているように単一、二重、および三重壁のような様々な形式で形成することができる。
【0004】
段ボールを生産するときの1つの難題はライナーとフルーティングの接着である。接着が低過ぎると層間剥離を起こし、接着が充分であることを確保するために多過ぎる接着剤を添加すると段ボールの洗濯板症状およびカールを引き起こす可能性がある。添加した膠のライナーおよび/または中芯への吸着が最適であることが重要である。接着剤がフルーティング/ライナーに吸着しないと層間剥離が起こり、フルーティング/ライナーに多く吸着し過ぎても同じことが起こる。
【0005】
様々な種類の段ボールの品質があり、これらは異なる種類のライナーおよび中芯を含み得る。容器用板紙(CCMまたは段ボールケース材ともいわれる)は段ボールの生産用に特に製造されたある種の板紙であり、段ボールを構成する2つの種類の紙であるライナーボードと中芯(またはフルーティング)の両方を含む。容器用板紙は主として天然の無漂白木材繊維から作成されているので一般に褐色であるが、その色合いは木材の種類、パルプ化プロセス、リサイクル率および不純物含有量に応じて変化し得る。
【0006】
異なる種類のライナーの例はクラフトライナーおよびテストライナーである。クラフトライナーは通例漂白されているかまたは漂白されてないことができるクラフトパルプから生産され、1つ以上の層/プライを含み得、ここで一番上の層/プライは良好な印刷面および良好な耐湿性を提供するように最適化されていることが多い。テストライナーは主としてリサイクルされた段ボールから生産され、普通2つの層/プライで製造される。再生繊維の存在に起因して、テストライナーは通例クラフトライナーより低い機械的強度、特により低い破裂強度を有し得る。クラフトライナーは強度特性に関する要望がより高い包装箱に使用されることが多い。
【0007】
フルーティングは、熱、水分および圧力を用いコルゲーターを使用して波形をつけてある紙または板紙から形成される。
【0008】
フルーティングは中性亜硫酸塩セミケミカル(NSSC)パルプから調製されることが多い。通常硬材種製であるNSSCパルプは例外的な剛性および高い堅さが注目され、そのためフルーティングに使用するのに適している。中性亜硫酸塩セミケミカル(Neutral Sulfite Semi-Chemical)(NSSC)パルプ化は、紙パルプ化の分野で周知の古いプロセスである。NSSCパルプ化を使用する理由の1つは通例60%を超える高い収率である。NSSCパルプ化において、蒸解液はNa2SO3または(NH4)2SO3のような亜硫酸塩およびNaOHまたはNa2CO3のような塩基を含む。「中性」とは、NSSC蒸解液のpHが一般に6~10であることを意味する。パルプはバッチまたは連続蒸解機で蒸解することができる。通常、蒸解時間は5分~3時間であり、蒸解温度は160~200℃である。NSSCパルプは15~20%のような比較的に高い量の残留リグニンを含み、そのためNSSCパルプは硬い。NSSCパルプのKappa価は通例70を超える。NSSCパルプ化は、パルプの機械的リファイニングも含むという意味で「セミケミカル」である。リファイニングはたとえば蒸解釜圧力または大気圧でディスクリファイナーを用いて行い得る。
【0009】
現在のところ、フルーティングおよび中芯の強度および機械的特性は小量の化学パルプを機械パルプに加えることにより改良されている。通例、5~15%の化学パルプが加えられる。このため当然コストは増大するが脱水速度を低下させる。1つの可能性のある方法はNSSCのようなセミケミカルパルプを未漂白クラフトパルプと混合することであるが、これは望まれない光の斑点および色合いの変化、ならびに官能特性の変化を起こし得る。
【0010】
フルーティングおよびライナーは中芯とライナーの間に接着剤を配置することにより互いに貼り付けられる。ライナーは接着剤により中芯の少なくとも1つの表面に貼り付けられる。接着剤は好ましくは溝付きの中芯の少なくとも1つの表面に塗布され、その後ライナーが前記表面に貼り付けられる。当分野で慣用のあらゆる接着剤が使用できる。接着剤はたとえば、多種多様な植物から抽出することができるデンプンを主体とする膠であり得る。最も一般的な植物のいくつかはトウモロコシ、小麦、大麦、稲、ジャガイモ、タピオカおよびエンドウである。デンプンは好ましくは天然であり、すなわちデンプンの変性はされていない。接着剤は水、水酸化ナトリウムおよびホウ酸も含み得る。湿潤強度または接着剤結合強度を改良する添加剤のような他の添加剤を加えてもよい。また、たとえば耐湿性またはゲル化挙動を改良するために他の機能性化学品、たとえばホウ砂、グリオキサールまたはこれらの混合物を加えることもできる。
【0011】
中芯および段ボールを作成するときの1つの重要な課題は湿気に対する耐性である。段ボールが湿気に晒されると、水および水蒸気がライナーを通って拡散し、中芯を軟化させることがある。この問題に対する一般的な解決策はフルーティングおよび/またはライナーの坪量を増大することであるが、これはより少ない原材料を消費するより低い坪量の材料を要求する環境上の要請と矛盾する。
【0012】
もう1つ別の解決策はライナーにバリア層を設けて水および水蒸気の透過を低減することである。しかしながら、これは単に不完全な解決策でしかなく、その理由はそれでも湿気の拡散は反対側で、または端を介して起こり得、その結果として段ボールの機械的な安定性に影響を及ぼすからである。またバリア層はコストを増大し、通例材料のリサイクル可能性を低下させる。
【0013】
フルーティングまたは中芯はまた疎水化用薬剤で処理しても、またはコーティングしてもよいが、これは一般にコストを上昇させ、またフルーティングの機械的特性に負の影響を及ぼすこともある。高レベルの疎水化用薬剤はまたフルーティングとライナーの接着を損なうこともある。特に、NSSCパルプは、完成したフルーティングで必要とされるレベルの耐水性を得るために高いレベルの疎水化用薬剤を要求する。
【0014】
新しい機械概念および増大した機械速度は省資源に対する増大した要望と相まって改良された特性のパルプに対する必要性をさらに増大させた。
【0015】
強度、低い坪量、耐水/耐湿性、低い化学品消費量、低コスト、および/または高いリサイクル可能性を併せ持つ新しい改良されたライナー材料に対するニーズが残されている。
【発明の概要】
【0016】
本開示の目的は、上述の問題の少なくともいくつかを解決または改善する、段ボールにおける使用のための改良されたライナーを提供することである。
【0017】
本開示のさらなる目的は、高い量のNSSCパルプを含むが、それでも良好な外観および光学的特性を示す、段ボールにおける使用のためのライナーを提供することである。
【0018】
本開示のさらなる目的は、段ボールに使用されたとき未漂白クラフトパルプ(UBKP)ライナーの機械的およびまたは光学的特性を失うことなくUBKPの消費量を低減することができる、段ボールにおける使用のためのライナーを製造する方法を提供することである。
【0019】
上述の目的、ならびに本開示に照らして当業者により理解される他の目的は本開示の様々な態様により達成される。
【0020】
NSSCパルプは段ボール用のフルーティングに一般的に使用されるが、その光学的および機械的特性に起因して同じ程度にはライナーボードに使用されない。
【0021】
本発明は、段ボールにおける使用のためのNSSCパルプの高い含有量を有するライナーが、上または印刷層として意図された第1のプライが主に未漂白クラフトパルプ(UBKP)からなり、かつ段ボール内でフルーティングに面するバックプライとして意図された第2のプライが高い含有量のNSSCパルプを含む多層ライナーの形態で具現化することができるという発明的認識に基づいている。第2のプライへのNSSCの添加はライナー、殊に高い量の再生繊維を含むライナー(たとえばテストライナー)の強度を改良することができる。第2のプライ内のNSSCはまたより高価なUBKPの消費量も低減することによりライナーのコストを低下させる。第2のプライにNSSCを使用することは高い量のNSSCを、低グレードまたは粗悪なNSSCでさえ、ライナーの望まれない光の斑点および色合いの変化を起こすことなく使用することが可能になる。これは、第2の層がUBKPをベースとする第1のプライにより隠されるからである。第2のプライにNSSCパルプを配置することにより、NSSCを単層ライナーで、または多層ライナーのすべてのプライでUBKPと混合するときよりもずっと高いライナーの全NSSC含有量が可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書に示されている第1の態様に従って、段ボールにおける使用のためであって、前記多層ライナーは:
第1のプライ、および
第2のプライ
を含み、
前記第1のプライは乾燥重量に基づいて少なくとも70wt%の未漂白クラフトパルプおよび5~30wt%の中性亜硫酸塩セミケミカル(NSSC)パルプを含み、
前記第2のプライは乾燥重量に基づいて少なくとも50wt%のNSSCパルプおよび5~50wt%の未漂白クラフトパルプを含む、多層ライナーが提供される。
【0023】
本開示のライナーは第1のプライ(トッププライともいわれる)、および第2のプライ(バックプライともいわれる)を含む多層ライナーである。多層ライナーの外側の表面、すなわちトップおよびバックプライの他のプライから離れた表面はそれぞれ上面および裏面といわれる。
【0024】
ライナーは多層ライナーを製造するのに適合した紙または板紙工作機械で製造することができる。多層ライナーを作成するための紙または板紙工作機械は当技術分野で周知である。通例、機械レイアウトはストック処理セクション、ウェットエンドセクション、プレスおよび乾燥セクションならびにカレンダーおよび/またはコーティングセクションを含む。ウェットエンドセクションにおいて、多層ライナーのプライは異なるヘッドボックスを用いて個別に形成され、湿潤状態で積層されてもよいし、または多層のヘッドボックスを用いて一緒に形成されてもよい。個別に形成された場合、プライは通例抄紙機のプレスおよび乾燥セクションの前に一緒に積層されるか、またはクーチングされる。
【0025】
いくつかの実施形態において、第1のプライおよび第2のプライの各々の坪量は20~150g/m2の範囲、好ましくは30~100g/m2の範囲である。多層ライナーの総坪量は好ましくは40~300g/m2の範囲である。
【0026】
多層ライナーの第1のプライは少なくとも70wt%の未漂白クラフトパルプ(UBKP)を含む。いくつかの実施形態において、前記第1のプライは乾燥重量に基づいて少なくとも75wt%、好ましくは少なくとも80wt%の未漂白クラフトパルプを含む。第1のプライは乾燥重量に基づいて95wt%以下、90wt%以下、または85wt%以下のUBKPを含む。
【0027】
未漂白クラフトパルプ、またはUBKPは、一般にマツおよび/またはトウヒを主体とする未漂白の硫酸塩パルプを指す。UBKPの主要な原材料は好ましくはマツであるが、45wt%以下のトウヒも含有することができる。いくつかの実施形態において、UBKPはSCAN ISO C-1に従って決定して55を超え、好ましくは60を超え、より好ましくは70を超えるKappa価を有する。
【0028】
第1のプライはさらにNSSCパルプを含み得るが、その含有量は第2のプライより低い。第1のプライは乾燥重量に基づいて5~30wt%のNSSCパルプを含む。好ましくは、第1のプライは乾燥重量に基づいて5~20wt%または5~10wt%のNSSCパルプを含む。
【0029】
第1のプライのUBKPまたはNSSCパルプでない部分は硬材および/または軟材繊維のようなあらゆる種類の繊維を含み得、たとえば、化学パルプ、機械パルプ、サーモメカニカルパルプまたはケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)を含み得る。いくつかの実施形態において、ライナーはクラフトライナーであり、第1のプライのUBKPでない部分は全体がバージン繊維から作成される。第1のプライのUBKPでない部分はまた、たとえば再生繊維も含み得る。たとえば、本開示の第1のプライはUBKPまたはUBKPと再生繊維の混合物から本質的になり得る。「再生繊維」とは、以前にある種の紙または板製品に組み込まれたことがある繊維材料を意味する。あるいは、または補足物として、パルプのUBKPでない部分はたとえばリジェクトパルプを含み得る。たとえば、本開示のパルプは本質的にUBKPおよびリジェクトパルプからなり得る。「リジェクトパルプ」は別のプロセスからのスクリーンリジェクトをリファイニングすることにより調製されるパルプを意味する。
【0030】
いくつかの実施形態において、多層ライナーの第1のプライは良好な印刷面および良好な耐湿性を提供するように最適化される。いくつかの実施形態において、良好な印刷面および良好な耐湿性を提供するための最適化は表面サイズ処理を含む。いくつかの実施形態において多層ライナーは表面サイズ処理される。いくつかの実施形態において多層ライナーはデンプンで表面サイズ処理される。いくつかの実施形態において多層ライナーはデンプンならびに、好ましくは架橋剤、補強剤、および疎水化サイズ剤からなる群から選択される少なくとも1種の他の機能性成分の組合せで表面サイズ処理される。架橋剤はたとえばクエン酸であり得る。補強剤はたとえばミクロフィブリル化セルロース(MFC)であり得る。疎水化サイズ剤はたとえばアルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニルコハク酸無水物(ASA)、SMA(スチレン無水マレイン酸)、ロジンサイズ、またはこれらの混合物であり得る。
【0031】
第2のプライは第1のプライよりかなり高い含有量のNSSCパルプを含む。第2のプライは乾燥重量に基づいて少なくとも50wt%のNSSCパルプを含む。いくつかの実施形態において、前記第2のプライは乾燥重量に基づいて少なくとも60wt%、好ましくは少なくとも70wt%、より好ましくは少なくとも80wt%のNSSCパルプを含む。第2のプライは乾燥重量に基づいて95wt%以下、90wt%以下、85wt%以下、80wt%以下、または75wt%以下のNSSCパルプを含み得る。
【0032】
「NSSCパルプ」は「NSSCパルプ化」により得られ、それ自体は背景技術の欄に定義されている。NSSCパルプは硬材パルプもしくは軟材パルプ、またはこれらの混合物であることができる。NSSCパルプは好ましくは硬材パルプまたは15wt%未満の軟材、好ましくは10wt%未満の軟材、より好ましくは5wt%未満の軟材を含む硬材/軟材パルプ混合物である。硬材はたとえばアスペン、ハンノキ、ポプラ、ユーカリ、カバノキ、アカシア、またはブナノキであり得る。NSSCパルプは好ましくは亜硫酸塩、好ましくはNa2SO3または(NH4)2SO3および塩基、好ましくはNaOHまたはNa2CO3を含む蒸解液を用いて蒸解調製される。いくつかの実施形態においてNSSCパルプ化からの収率は60%を超え、好ましくは65%を超え、好ましくは70%を超え、より好ましくは75%を超える。用語「中性」はNSSC蒸解液のpHが6~10の範囲であることを意味する。蒸解時間は好ましくは5分~3時間の範囲である。蒸解温度は好ましくは160~200℃の範囲である。NSSCパルプは15~20%のような比較的に高い量の残留リグニンを含み得る。NSSCパルプのKappa価は通例ISO 3260によると70を超え、好ましくは80を超え、好ましくは95を超え、より好ましくは100を超える。NSSCパルプ化は、パルプの機械的なリファイニングも含むという意味で「セミケミカル」である。リファイニングはたとえば、ディスクリファイナーを蒸解釜圧力または大気圧で用いて行い得る。リファイニングは1つ以上の工程で同じまたは異なるパルプ稠度で行うことができる。第1のリファイニング工程は好ましくは5~35%のようなより高い稠度で行い得、第2のリファイニング工程は好ましくはより低い稠度<5%で行い得る。
【0033】
第2のプライはまたUBKPも含み得るが、第2のプライは第1のプライよりかなり低い含有量のUBKPを含む。第2のプライは乾燥重量に基づいて5~50wt%のUBKPを含む。好ましくは、第2のプライは乾燥重量に基づいて5~40wt%、5~30wt%、または5~20wt%のUBKPを含む。
【0034】
第2のプライのNSSCパルプまたはUBKPでない部分は硬材および/または軟材繊維のようなあらゆる種類の繊維を含み得、たとえば、化学パルプ、機械パルプ、サーモメカニカルパルプまたはケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)を含み得る。いくつかの実施形態において、ライナーはクラフトライナーであり、第2のプライのNSSCパルプでない部分は全体がバージン繊維から作成される。第2のプライのNSSCパルプでない部分はまたたとえば再生繊維も含み得る。たとえば、本開示の第2のプライは本質的にNSSCパルプまたはNSSCパルプと再生繊維の混合物からなり得る。「再生繊維」は以前にある種の紙または板製品に組み込まれたことがある繊維材料を意味する。あるいは、または補足物として、パルプのNSSCパルプでない部分はたとえばリジェクトパルプを含み得る。たとえば、本開示のパルプは本質的にNSSCパルプおよびリジェクトパルプからなり得る。「リジェクトパルプ」は別のプロセスに由来するスクリーンリジェクトをリファイニングすることにより調製されたパルプを意味する。
【0035】
第2のプライにおけるNSSCの添加はライナー、殊に高い量の再生繊維を含む多層ライナー(たとえばテストライナー)の強度を改良することができる。いくつかの実施形態において、第2のプライの少なくとも30%は再生セルロース繊維からなる。
【0036】
いくつかの実施形態において、多層ライナーはさらに第1のプライと第2のプライの間の接触面に塗布された強化または接着剤を含む。好ましくは、この強化または接着剤は蒸解もしくは糊化(gelatinzed)または未蒸解デンプン、または蒸解もしくは糊化または未蒸解デンプンとミクロフィブリル化セルロース(MFC)との混合物を含む。好ましい強化または接着剤は蒸解天然デンプンまたはミクロフィブリル化セルロースと混合された蒸解天然デンプンである。いくつかの実施形態において、強化または接着剤はさらに架橋剤を含む。架橋剤はたとえばクエン酸であってもよい。いくつかの実施形態において、強化または接着剤はさらに不溶化剤を含む。不溶化剤はたとえばアミノ樹脂、グリオキサール、またはジルコニウム塩不溶化剤であり得る。第2のプライと第2のプライの間の接触面に塗布された強化または接着剤の量は乾燥重量に基づいて好ましくは0.1~5g/m2の範囲、より好ましくは0.5~3g/m2の範囲である。
【0037】
第2のプライにおけるNSSCパルプの高い含有量のため、多層ライナーは全体としてNSSCパルプの高い含有量を有する。いくつかの実施形態において、多層ライナーのNSSCパルプの量は乾燥重量に基づいて少なくとも10wt%、好ましくは少なくとも20wt%、より好ましくは少なくとも30wt%である。いくつかの実施形態において、多層ライナーのNSSCパルプの量は乾燥重量に基づいて少なくとも40wt%、好ましくは少なくとも50wt%、より好ましくは少なくとも60wt%である。
【0038】
いくつかの実施形態において、多層ライナーに使用されるNSSCパルプは分画されたNSSCパルプである。分画されたNSSCパルプはNSSCパルプ出発物質の細繊維画分および粗繊維画分へのサイズ分画により得られる。出発物質と比較して、細繊維画分はより高い量のより短いより細い繊維を有する。言い換えると、細繊維画分のNSSCパルプの平均粒度は粗繊維画分のNSSCパルプの平均粒度より低い。細繊維画分はたとえばNSSCパルプ出発物質を圧力スクリーンで分離してより短いより細い繊維の画分を獲得することにより得られ得る。
【0039】
NSSCパルプのサイズ分画により得られる細繊維画分は、NSSCパルプの未分画または粗繊維画分と比較してライナーの光学的特性に及ぼす影響がより少ないので上または印刷層として意図された多層ライナーの第1のプライに使用するのに殊に有利である。粗繊維画分は、ライナーの光学的特性に影響しない第2のプライに好都合に使用され得る。好ましい実施形態において、第1のプライに使用されるNSSCパルプは分画されたNSSCの細繊維画分である。好ましい実施形態において、第2のプライに使用されるNSSCパルプは分画されたNSSCパルプの粗画分である。いくつかの実施形態において、第1のプライに使用されるNSSCパルプの平均粒度は第2のプライに使用されるNSSCパルプの平均粒度より低い。
【0040】
いくつかの実施形態において、前記多層ライナーはさらに内添サイズ剤を含む。内添サイズ剤は好ましくは疎水化サイズ剤である。いくつかの実施形態において、内添サイズ剤はアルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニルコハク酸無水物(ASA)、ロジンサイズ、およびこれらの混合物からなる群から(form)選択される。いくつかの実施形態において、多層ライナー内の内添サイズ剤の量は乾燥重量に基づいて0.5~6kg/tnの範囲、好ましくは0.8~4kg/tnの範囲、より好ましくは1~3kg/tnの範囲である。
【0041】
いくつかの実施形態において、多層ライナーの少なくとも1つの面、好ましくは上面はISO規格535に従って決定して30未満、好ましくは25未満、より好ましくは22未満のCobb 30s値を有する。
【0042】
いくつかの実施形態において、前記多層ライナーはISO規格287に従って決定して50%RHで10wt%未満、好ましくは8wt%未満の平衡含水率(EMC)を有する。
【0043】
多層ライナーはさらに次の物理的特性の1つまたはそれ以上を示し得る:
・引張指数GEOM(ISO 1924-3)が好ましくは65Nm/gより高い、好ましくは66Nm/gより高い、より好ましくは67Nm/gより高い。
・引張剛性指数GEOM(ISO 1924-3)が好ましくは5.9kNm/gより高い、好ましくは6.0kNm/gより高い、より好ましくは6.2kNm/gより高い。
・破壊靱性指数GEOM(ISO/TS 17958)が好ましくは8Jm/kgより高い、好ましくは8.5Jm/kgより高い、より好ましくは9Jm/kgより高い。
・SCT指数GEOM(ISO 9895)が好ましくは25Nm/gより高い、より好ましくは26Nm/gより高い。
・破裂指数(ISO 2759)が好ましくは少なくとも3kPam2/g、より好ましくは少なくとも3.2kPam2/gである。
【0044】
多層ライナーはさらに、天然のデンプンもしくはデンプン誘導体、セルロース誘導体、たとえばカルボキシメチルセルロースナトリウム、充填剤、歩留り向上および/または濾水性向上薬剤、凝集添加剤、解膠添加剤、乾燥強度添加剤、軟化剤、架橋助剤、サイズ薬剤、染料および着色剤、湿潤強度樹脂、固化剤、消泡助剤、微生物およびスライム制御助剤、またはこれらの混合物のような添加剤を含み得る。
【0045】
多層ライナーはさらに第3のプライを含み得、ここで前記第3のプライは乾燥重量に基づいて少なくとも70wt%の未漂白クラフトパルプおよび5~30wt%、好ましくは5~20wt%、またはさらにより好ましくは5~10wt%の中性亜硫酸塩セミケミカル(NSSC)パルプを含む。第3のプライが第1のプライと同じ組成を有するのが好ましい。多層ライナーの第1および第3のプライが外側プライを形成し、第2のプライが多層ライナーの中央プライを形成するのが好ましいであろう。
【0046】
いくつかの実施形態において多層ライナーが2-プライライナーであるのが好ましい。2-プライライナーは2つのセルロースをベースとするプライのみ、すなわち前記第1および第2のプライのみを含む。
【0047】
多層ライナーは段ボールに使用されることが意図されている。段ボールはライナーの少なくとも1つの層を含み、これは波形でなく、フルーティングの少なくとも1つの層に接着される。たとえば、段ボールはライナーの2つの層の間に挟まれたフルーティングの層からなり得る。本明細書に示されている第2の態様に従って、第1の態様による多層ライナーおよびフルーティングを含む段ボールが提供される。好ましい実施形態において、フルーティングは多層ライナーの第2のプライに接着される。
【0048】
本明細書に示されている第3の態様に従って、段ボールにおける使用のための多層ライナーを製造する方法であって、
a)第1のパルプ懸濁液から第1のウェブ層を形成し、前記第1のウェブ層を脱水して第1のプライを得る工程;
b)第2のパルプ懸濁液から第2のウェブ層を形成し、前記第2のウェブ層を脱水して第1のプライ上に第2のプライを得る工程
を含み;
前記第1のパルプ懸濁液は乾燥重量に基づいて少なくとも70wt%の未漂白クラフトパルプおよび5~30wt%の中性亜硫酸塩セミケミカル(NSSC)パルプを含み、
前記第2のパルプ懸濁液は乾燥重量に基づいて少なくとも50wt%のNSSCパルプおよび5~50wt%の未漂白クラフトパルプを含む、方法が提供される。
【0049】
用語第1および第2のウェブ層は必ずしもウェブ層が形成される順序を意味しない。ウェブ層は同時にまたは個別にあらゆる順序で形成することができる。
【0050】
いくつかの実施形態において、第1および第2のウェブ層は異なるヘッドボックスおよび1つ以上のワイヤを用いて個別に形成され、部分的に脱水され、その後湿潤状態で積層される。
【0051】
いくつかの実施形態において、第1および第2のウェブ層は多層のヘッドボックスおよび単一のワイヤを用いて一緒に形成され部分的に脱水される。
【0052】
たとえば、第1のウェブ層は別個に形成され部分的に脱水され、その後湿潤状態で第2のウェブ層と共に積層されて第1のプライ上の第2のプライを得てもよい。あるいは、第2のウェブ層は第1のウェブ層と一緒に形成され脱水されてもよい。
【0053】
いくつかの実施形態において、前記第1のパルプ懸濁液は乾燥重量に基づいて少なくとも75wt%、好ましくは少なくとも80wt%の未漂白クラフトパルプを含む。
【0054】
いくつかの実施形態において、前記第1のパルプ懸濁液は乾燥重量に基づいて5~20wt%、好ましくは5~10wt%のNSSCパルプを含む。
【0055】
いくつかの実施形態において、前記第2のパルプ懸濁液は乾燥重量に基づいて少なくとも60wt%、好ましくは少なくとも70wt%、より好ましくは少なくとも80wt%のNSSCパルプを含む。
【0056】
いくつかの実施形態において、第2のパルプ懸濁液のパルプの少なくとも30%は再生セルロース繊維からなる。
【0057】
いくつかの実施形態において、第1のプライおよび第2のプライの各々の坪量は20~150g/m2の範囲、好ましくは30~100g/m2の範囲である。
【0058】
いくつかの実施形態において、多層ライナーのNSSCパルプの量は乾燥重量に基づいて少なくとも10wt%、好ましくは少なくとも20wt%、より好ましくは少なくとも30wt%である。
【0059】
いくつかの実施形態において、第1のパルプ懸濁液に使用されるNSSCパルプの平均粒度は第2のパルプ懸濁液に使用されるNSSCパルプの平均粒度より低い。
【0060】
方法はパルプ懸濁液からたくさんのウェブを形成し、脱水することを含む。多数の層を有するウェブを形成し脱水する方法は当技術分野で周知である。ライナーは多層ライナーの製造に適合した紙または板紙工作機械で製造することができる。多層ライナーを作成する紙または板紙工作機械は当技術分野で周知である。通例、機械レイアウトはストック処理セクション、ウェットエンドセクション、プレスおよび乾燥セクションならびにカレンダーおよび/またはコーティングセクションを含む。
【0061】
ウェブは一般に当分野で慣用の通り1つ以上のワイヤを含むウェットエンドセクションで形成され脱水される。プライは異なるヘッドボックスを用いて個別に形成され、湿潤状態で積層されてもよいし、または多層ヘッドボックスで一緒に形成されてもよい。ウェブは通例ギャップフォーマーで形成されるが、長網抄紙機型のフォーマーで形成されてもよい。個別に形成される場合、湿ったプライは通例抄紙機のプレスおよび乾燥セクションの前に一緒に積層されるか、またはクーチングされる。
【0062】
積層の前に、強化または接着剤を第1のプライと第2のプライとの間に塗布することができる。好ましくは、この強化または接着剤は蒸解もしくは糊化または未蒸解デンプン、または蒸解もしくは糊化または未蒸解デンプンとミクロフィブリル化セルロース(MFC)との混合物を含む。好ましい強化または接着剤は蒸解天然デンプンまたはミクロフィブリル化セルロースと混合された蒸解天然デンプンである。いくつかの実施形態において、強化または接着剤はさらに架橋剤を含む。架橋剤はたとえばクエン酸であり得る。いくつかの実施形態において、強化または接着剤はさらに不溶化剤を含む。不溶化剤はたとえばアミノ樹脂、グリオキサールまたはジルコニウム塩不溶化剤であり得る。強化または接着剤は好ましくはペーストとして、またはスプレーもしくは泡もしくはカーテン塗布のような非接触析出技術を用いて水性分散体として加えられる。好ましくは、水性分散体の固体含有量は0.5~50wt%の範囲、より好ましくは1~30wt%の範囲である。塗布される強化または接着剤の量は乾燥重量に基づいて好ましくは0.1~5g/m2の範囲、より好ましくは0.5~3g/m2の範囲である。
【0063】
ウェブは通例さらに脱水に付され、たとえば形成された多層ウェブを抄紙機のプレスセクションを通過させ得、そこでウェブはできるだけ多くの水を搾り出すように高い圧力がかけられた大きいロール間を通過する。プレスセクションは伝統的なニッププレスユニットおよびプレス織物フェルトから、および/またはさらに1つもしくはいくつかのシュープレスまたは拡張脱水ニップから構成され得る。これらは様々な位置、温度および遅延時間を含めた様々なニップまたはプレス負荷で動作することができる。プレスセクションは生産を最大化するために1つ以上のシュープレスを備え得る。1つまたはいくつかのシュープレスを使用するならば、これらは800kN/mを超え、たとえば1000kN/mを超え、たとえば1200kN/mを超え、またはたとえば1450kN/mを超えるプレスレベルで作動することができる。除去された水は通例織物またはフェルトにより受け取られる。
【0064】
プレスセクションの後、多層ウェブは乾燥セクションで乾燥に付され得る。乾燥はたとえば多層ウェブを一連の加熱された乾燥シリンダーの回りに通過させることにより多層ウェブを乾燥させることを含み得る。乾燥は通例約1~15wt%、好ましくは約2~10wt%のレベルまで水含量を除去し得る。
【0065】
様々な例示的実施形態を参照して本発明を記載して来たが、当業者には理解されるように、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更をなし得、等価物をその要素と置き換え得る。加えて、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために多くの修正をなし得る。したがって、本発明は、この発明を実施する上で考えられる最良の態様として開示された特定の実施形態に限定されることなく、また本発明は添付の特許請求の範囲の範囲内に入るすべての実施形態を包含することが意図されている。
【実施例】
【0066】
これらの実施例は、高い量のNSSCパルプを、ライナーの機械的または光学的特性に負の影響を及ぼすことなく2-プライライナーに使用することができるということを示す。
【0067】
2-プライライナー調製方法
フロントプライ(本発明の第1のプライに対応する)およびバックプライ(本発明の第2のプライに対応する)を含む2-プライライナーボードを、2つのヘッドボックスおよび2つのワイヤ、プレスセクション、ならびに乾燥セクションを備えたパイロット機械で調製した。2-プライ構造に対する目標の最終含水率は8.5wt%、目標の坪量は120g/m2であった。ウェブを、オンラインで機械カレンダーを用いて100℃およびニップ荷重45kN/mでカレンダー掛けした。
【0068】
NSSCパルプはFS5 ISO法により決定して1.14mmのLc(w)繊維長を有していた。FS5カールは2%、FS5フィブリル化は1.55%であった。FS5 Fines A量は20.3%であった。
【0069】
未漂白クラフトパルプをSR30にリファイニングした。対応する繊維特性は:Lc(w)繊維長2.32mm、FS5カール6.8%、FS5フィブリル化は1.78%であった。FS5 Fines A量は18.8%であった。
【0070】
すべてのパルプ懸濁液は同じ量の歩留り向上および濾水性向上薬剤ならびに強度および内添サイズ薬剤(AKD)を含有していた。
【0071】
パルプ懸濁液のpHは約7.0(±0.5)であった。
【0072】
デンプンをトップおよび中央プライの間に塗布したとき、塗布量は乾燥重量に基づいて約2g/m2であった。
【0073】
例1Aおよび1B(比較例)
2-プライの120g/m2ライナーボードを、表1に示すようにトップおよびバックプライの両方に100%UBKPを用いて上記2-プライライナー調製方法に従って調製した。プライ間にデンプンを有し(1A)、またプライ間にデンプンをもたない(1B)2-プライ構造を作成した。ライナーを分析した。その結果を表2に示す。
【0074】
例2Aおよび2B
この例において、バックプライは表1に示すように90%のNSSCパルプを含んでいた。プライ間にデンプンを有し(2A)、またプライ間にデンプンのない(2B)2-プライ構造を作成した。ライナーを分析した。その結果を表2に示す。試験は、多くの機械的特性、殊にScott BondおよびSCT指数GEOMを維持または改良することができるということを示す。
【0075】
例3Aおよび3B
この場合、表1に示すように、トッププライのNSSC含有量を25%に増大し、バックプライのNSSC含有量を95%に増大した。プライ間にデンプンを有し(3A)、またプライ間にデンプンのない(3B)2-プライ構造を作成した。ライナーを分析した。その結果を表2に示す。
【0076】
例4Aおよび4B(比較例)
この例では、第1のプライに高い含有量のNSSC(50%)を有するが、バックプライは表1に示すように95%のNSSCを含有する2-プライ構造を調製した。プライ間にデンプンを有し(4A)、またプライ間にデンプンのない(4B)2-プライ構造を作成した。ライナーを分析した。その結果を表2に示す。
【0077】
別途指定のない限り、本開示で論じた物理的特性は次の標準規格に従って決定される:
白色度C/2°+UV ISO 2470-1
L* C/2°+UV ISO 5631-1
a* C/2°+UV ISO 5631-1
b* C/2°+UV ISO 5631-1
坪量 ISO 536
厚さ、単一シート ISO 534
かさ、単一シート ISO 534
透気度G-H ISO 5636-5
Cobb 30s ISO 535
水分含量50%rh ISO 287
Scott-Bond TAPPI T569
引張強度 ISO 1924-3
引張指数 ISO 1924-3
引張強度md/cd ISO 1924-3
伸び ISO 1924-3
引張剛性 ISO 1924-3
引張剛性指数 ISO 1924-3
E-弾性率 ISO 1924-3
TEA ISO 1924-3
TEA指数 ISO 1924-3
TEA指数 ISO 1924-3
破壊靱性 ISO/TS 17958
破壊靱性指数 ISO/TS 17958
引裂抵抗 ISO 1974
引裂指数 ISO 1974
SCT ISO 9895
SCT指数 ISO 9895
RCT ISO 12192
RCT指数 ISO 12192
破裂指数 ISO 2759
破裂強度 ISO 2759
【0078】
別途指定のない限り、交差方向(cd)および縦方向(md)の両方で物理的および機械的特性を決定するのに標準の方法を適用することができる。
【国際調査報告】