(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】標的分析物を含有するエキソソームに特異的な抗体を使用したサンドイッチイムノアッセイデバイス
(51)【国際特許分類】
G01N 33/543 20060101AFI20240426BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20240426BHJP
G01N 33/574 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
G01N33/543 521
G01N33/53 D
G01N33/574 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571129
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 US2022029898
(87)【国際公開番号】W WO2022245990
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2022-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523430906
【氏名又は名称】2ピーアイ-シグマ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】2PI-SIGMA CORP.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハタミアン,メディ
(57)【要約】
ラテラルフローアッセイデバイスは、一定量のエキソソームを含む一定量の流体を受容し、かつエキソソームの表面上の標的分析物の存在を検出するための試験ストリップを備える。試験ストリップは、標識とコンジュゲートされた1つ以上のタイプのテトラスパニン結合試薬のセットを含むコンジュゲートパッドを含む。各タイプのテトラスパニン結合試薬は、対応するタイプのエキソソームテトラスパニンと結合し、かつエキソソームを含む免疫複合体を形成するように構成されている。コンジュゲートパッドは、膜に流体的に接続されている。膜は、標的分析物に対する固定化された結合試薬を含む試験ラインを含む。標的分析物に対する固定化された結合試薬は、エキソソームを含む免疫複合体中のエキソソームの表面上の標的分析物のタンパク質に結合するように構成されている。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラテラルフローアッセイデバイスであって、
一定量のエキソソームを含む一定量の流体を受容し、かつ前記エキソソームの表面上の標的分析物の存在を検出するように構成された、試験ストリップを備え、
前記試験ストリップが、
コンジュゲートパッドであって、
前記コンジュゲートパッドが、標識とコンジュゲートされた1つ以上のタイプのテトラスパニン結合試薬のセットを含有するように構成されており、各タイプのテトラスパニン結合試薬が、対応するタイプのエキソソームテトラスパニンと結合し、かつエキソソームを含む免疫複合体を形成するように構成されており、
前記コンジュゲートパッドが、試験の開始後に前記流体を受容し、かつ毛細管作用によって前記流体を移動させるように構成されている、コンジュゲートパッドと、
前記コンジュゲートパッドに流体的に接続された膜であって、
前記膜が、毛細管作用によって前記流体を移動させるように構成されており、
前記膜が、前記標的分析物に対する固定化された結合試薬を含む試験ラインを含み、前記標的分析物に対する前記固定化された結合試薬が、前記エキソソームを含む免疫複合体中のエキソソームの前記表面上の前記標的分析物のタンパク質に結合するように構成されている、膜と、を備える、ラテラルフローアッセイデバイス。
【請求項2】
前記試験ラインが、第1の試験ラインであり、前記膜が、第1のタイプのタンパク質に対する固定化された結合試薬を含む第2の試験ラインを更に含み、前記第1のタイプのタンパク質が、腫瘍特異的タンパク質及び臓器特異的タンパク質のうちの1つであり、前記第1のタイプのタンパク質に対する前記結合試薬が、エキソソームを含む前記免疫複合体中の前記エキソソームの前記表面上の前記第1のタイプのタンパク質に結合するように構成されている、請求項1に記載のラテラルフローアッセイデバイス。
【請求項3】
前記標的分析物に対する前記結合試薬が、前記標的分析物の抗体であり、各タイプのテトラスパニン結合試薬が、あるタイプのテトラスパニン抗体であり、前記第1のタイプのタンパク質に対する前記結合試薬が、前記第1のタイプのタンパク質に対する抗体である、請求項2に記載のラテラルフローアッセイデバイス。
【請求項4】
前記試験ラインが、第1の試験ラインであり、前記膜が、前記第1の試験ライン以外の複数の試験ラインを更に含み、前記複数の試験ラインの各試験ラインが、対応する複数のタイプのタンパク質のうちの1つに対する固定化された結合試薬を含み、前記複数のタイプのタンパク質の各タイプのタンパク質が、腫瘍特異的タンパク質及び臓器特異的タンパク質のうちの1つであり、前記複数の試験ラインの各試験ライン上の前記結合試薬が、エキソソームを含む前記免疫複合体の前記エキソソームの前記表面上の対応するタイプのタンパク質に結合するように構成されている、請求項1に記載のラテラルフローアッセイデバイス。
【請求項5】
前記試験ストリップが、第1の試験ストリップであり、前記ラテラルフローアッセイデバイスが、第2の試験ストリップを更に備え、前記第2の試験ストリップが、
コンジュゲートパッドであって、
前記第2の試験ストリップの前記コンジュゲートパッドが、前記標識とコンジュゲートされた1つ以上のタイプのテトラスパニン抗体のセットを含有するように構成されており、
前記第2の試験ストリップの前記コンジュゲートパッドが、前記試験の前記開始後に前記流体を受容し、かつ毛細管作用によって前記流体を移動させるように構成されている、コンジュゲートパッドと、
前記第2の試験ストリップの前記コンジュゲートパッドに流体的に接続された膜であって、
前記第2の試験ストリップの前記膜が、毛細管作用によって前記流体を移動させるように構成されており、
前記第2の試験ストリップの前記膜が、第1のタイプのタンパク質に対する固定化された結合試薬を含む試験ラインを含み、前記第1のタイプのタンパク質が、腫瘍特異的タンパク質及び臓器特異的タンパク質のうちの1つであり、前記第1のタイプのタンパク質に対する前記結合試薬が、エキソソームを含む前記免疫複合体中の前記エキソソームの前記表面上の前記第1のタイプのタンパク質に結合するように構成されている、膜と、を備える、請求項1に記載のラテラルフローアッセイデバイス。
【請求項6】
前記試験ストリップが、第1の試験ストリップであり、前記ラテラルフローアッセイデバイスが、前記第1の試験ストリップ以外の複数の試験ストリップを更に備え、前記複数の試験ストリップの各試験ストリップが、
コンジュゲートパッドであって、
前記複数の試験ストリップの各試験ストリップの前記コンジュゲートパッドが、前記標識とコンジュゲートされた1つ以上のタイプのテトラスパニン抗体のセットを含有するように構成されており、
前記複数の試験ストリップの各試験ストリップの前記コンジュゲートパッドが、前記試験の前記開始後に前記流体を受容し、かつ毛細管作用によって前記流体を移動させるように構成されている、コンジュゲートパッドと、
対応する試験ストリップの前記コンジュゲートパッドに流体的に接続された膜であって、
前記複数の試験ストリップの各試験ストリップの前記膜が、毛細管作用によって前記流体を移動させるように構成されており、
前記複数の試験ストリップの各試験ストリップの前記膜が、対応する複数のタイプのタンパク質のうちの1つに対する固定化された結合試薬を含む試験ラインを含み、前記複数のタイプのタンパク質の各タイプのタンパク質が、腫瘍特異的タンパク質及び臓器特異的タンパク質のうちの1つであり、前記複数の試験ストリップの各試験ストリップの前記試験ライン上の前記結合試薬が、エキソソームを含む前記免疫複合体中の前記エキソソームの前記表面上の対応するタイプのタンパク質に結合するように構成されている、膜と、を備える、請求項1に記載のラテラルフローアッセイデバイス。
【請求項7】
前記膜が、前記コンジュゲートパッドが含有する前記テトラスパニン結合試薬のクラスに対する固定化された結合試薬を含む対照ラインを含む、請求項1に記載のラテラルフローアッセイデバイス。
【請求項8】
前記標識が、コロイド金を含む金属ゾル、色素ゾル、着色ラテックス粒子、炭素、蛍光粒子、及びユウロピウム標識のうちの少なくとも1つを含む検出物質である、請求項1に記載のラテラルフローアッセイデバイス。
【請求項9】
ウィッキングパッドであって、前記膜から前記ウィッキングパッドへの毛細管流を維持するように構成された、ウィッキングパッドと、
試料パッドであって、前記流体を受容し、かつ毛細管作用によって試料流体を前記コンジュゲートパッドに移送するように構成された、試料パッドと、を更に備える、請求項1に記載のラテラルフローアッセイデバイス。
【請求項10】
前記流体を受容し、前記流体を前記コンジュゲートパッド及び前記ラテラルフローアッセイデバイスの試料パッドのうちの1つに移送するように構成されたプラズマフィルターを更に備える、請求項1に記載のラテラルフローアッセイデバイス。
【請求項11】
ラテラルフローアッセイデバイスであって、
一定量のエキソソームを含む一定量の流体を受容し、かつ前記エキソソームの表面上の標的分析物の存在を検出するように構成された、試験ストリップを備え、
前記試験ストリップが、
コンジュゲートパッドであって、
前記コンジュゲートパッドが、標識とコンジュゲートされた前記標的分析物に対する結合試薬を含有するように構成されており、前記標的分析物に対する前記結合試薬が、エキソソームの前記表面上の前記標的分析物のタンパク質に結合し、かつエキソソームを含む免疫複合体を形成するように構成されており、
前記コンジュゲートパッドが、試験の開始後に前記流体を受容し、かつ毛細管作用によって前記流体を移動させるように構成されている、コンジュゲートパッドと、
前記コンジュゲートパッドに流体的に接続された膜であって、
前記膜が、毛細管作用によって前記流体を移動させるように構成されており、
前記膜が、前記試験ライン上に固定化された1つ以上のタイプのテトラスパニン結合試薬のセットを含む試験ラインを含み、各タイプのテトラスパニン結合試薬が、前記エキソソームを含む免疫複合体中の対応するタイプのエキソソームテトラスパニンと結合するように構成されている、膜と、を備える、ラテラルフローアッセイデバイス。
【請求項12】
前記試験ラインが、第1の試験ラインであり、前記膜が、第1のタイプのタンパク質に対する固定化された結合試薬を含む第2の試験ラインを更に含み、前記第1のタイプのタンパク質が、腫瘍特異的タンパク質及び臓器特異的タンパク質のうちの1つであり、前記第1のタイプのタンパク質に対する前記結合試薬が、エキソソームを含む前記免疫複合体中の前記エキソソームの前記表面上の前記第1のタイプのタンパク質に結合するように構成されている、請求項11に記載のラテラルフローアッセイデバイス。
【請求項13】
前記標的分析物に対する前記結合試薬が、前記標的分析物の抗体であり、各タイプのテトラスパニン結合試薬が、あるタイプのテトラスパニン抗体であり、前記第1のタイプのタンパク質に対する前記結合試薬が、前記第1のタイプのタンパク質に対する抗体である、請求項12に記載のラテラルフローアッセイデバイス。
【請求項14】
前記試験ラインが、第1の試験ラインであり、前記膜が、前記第1の試験ライン以外の複数の試験ラインを更に含み、前記複数の試験ラインの各試験ラインが、対応する複数のタイプのタンパク質のうちの1つに対する固定化された結合試薬を含み、前記複数のタイプのタンパク質の各タイプのタンパク質が、腫瘍特異的タンパク質及び臓器特異的タンパク質のうちの1つであり、前記複数の試験ラインの各試験ライン上の前記結合試薬が、エキソソームを含む前記免疫複合体の前記エキソソームの前記表面上の対応するタイプのタンパク質に結合するように構成されている、請求項11に記載のラテラルフローアッセイデバイス。
【請求項15】
前記試験ストリップが、第1の試験ストリップであり、前記ラテラルフローアッセイデバイスが、第2の試験ストリップを更に備え、前記第2の試験ストリップが、
コンジュゲートパッドであって、
前記第2の試験ストリップの前記コンジュゲートパッドが、前記標識とコンジュゲートされた前記標的分析物に対する前記結合試薬を含有するように構成されており、
前記第2の試験ストリップの前記コンジュゲートパッドが、前記試験の前記開始後に前記流体を受容し、かつ毛細管作用によって前記流体を移動させるように構成されている、コンジュゲートパッドと、
前記第2の試験ストリップの前記コンジュゲートパッドに流体的に接続された膜であって、
前記第2の試験ストリップの前記膜が、毛細管作用によって前記流体を移動させるように構成されており、
前記第2の試験ストリップの前記膜が、第1のタイプのタンパク質に対する固定化された結合試薬を含む試験ラインを含み、前記第1のタイプのタンパク質が、腫瘍特異的タンパク質及び臓器特異的タンパク質のうちの1つであり、前記第1のタイプのタンパク質に対する前記結合試薬が、エキソソームを含む前記免疫複合体中の前記エキソソームの前記表面上の前記第1のタイプのタンパク質に結合するように構成されている、膜と、を備える、請求項11に記載のラテラルフローアッセイデバイス。
【請求項16】
前記試験ストリップが、第1の試験ストリップであり、前記ラテラルフローアッセイデバイスが、前記第1の試験ストリップ以外の複数の試験ストリップを更に備え、前記複数の試験ストリップの各試験ストリップが、
コンジュゲートパッドであって、
前記複数の試験ストリップの各試験ストリップの前記コンジュゲートパッドが、前記標識とコンジュゲートされた前記標的分析物に対する前記結合試薬を含有するように構成されており、
前記複数の試験ストリップの各試験ストリップの前記コンジュゲートパッドが、前記試験の前記開始後に前記流体を受容し、かつ毛細管作用によって前記流体を移動させるように構成されている、コンジュゲートパッドと、
対応する試験ストリップの前記コンジュゲートパッドに流体的に接続された膜であって、
前記複数の試験ストリップの各試験ストリップの前記膜が、毛細管作用によって前記流体を移動させるように構成されており、
前記複数の試験ストリップの各試験ストリップの前記膜が、対応する複数のタイプのタンパク質のうちの1つに対する固定化された結合試薬を含む試験ラインを含み、前記複数のタイプのタンパク質の各タイプのタンパク質が、腫瘍特異的タンパク質及び臓器特異的タンパク質のうちの1つであり、前記複数の試験ストリップの各試験ストリップの前記試験ライン上の前記結合試薬が、エキソソームを含む前記免疫複合体中の前記エキソソームの前記表面上の対応するタイプのタンパク質に結合するように構成されている、膜と、を備える、請求項11に記載のラテラルフローアッセイデバイス。
【請求項17】
前記膜が、前記コンジュゲートパッドが含有する前記標的分析物に対する前記結合試薬のクラスに対する固定化された結合試薬を含む対照ラインを含む、請求項11に記載のラテラルフローアッセイデバイス。
【請求項18】
前記標識が、コロイド金を含む金属ゾル、色素ゾル、着色ラテックス粒子、炭素、蛍光粒子、及びユウロピウム標識のうちの少なくとも1つを含む検出物質である、請求項11に記載のラテラルフローアッセイデバイス。
【請求項19】
ウィッキングパッドであって、前記膜から前記ウィッキングパッドへの毛細管流を維持するように構成された、ウィッキングパッドと、
試料パッドであって、前記流体を受容し、かつ毛細管作用によって試料流体を前記コンジュゲートパッドに移送するように構成された、試料パッドと、を更に備える、請求項11に記載のラテラルフローアッセイデバイス。
【請求項20】
前記流体を受容し、前記流体を前記コンジュゲートパッド及び前記ラテラルフローアッセイデバイスの試料パッドのうちの1つに移送するように構成されたプラズマフィルターを更に備える、請求項11に記載のラテラルフローアッセイデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
先行出願に対する利益の請求
本出願は、2021年5月18日に出願された米国仮特許出願第63/189,682号の利益を主張する。米国仮特許出願第63/189,682号の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
イムノアッセイデバイスは、試料流体中の標的分析物の存在(又は不在)を検出する試験を行うために使用されるデバイスである。イムノアッセイデバイスには、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)デバイス、ラテラルフローアッセイ(LFA)デバイスなどが含まれる。イムノアッセイデバイスは、異なる形式を有し得る。サンドイッチ形式のイムノアッセイデバイスは、2セットの抗体を使用して、標的分析物を捕捉及び検出する。競合形式のイムノアッセイデバイスは、2つの抗体に同時に結合することができない分析物を検出するために使用され得る。
【0003】
サンドイッチ形式のELISAデバイスは、ウェルのグループ、例えば、96ウェル、384ウェル、1536ウェルなどを有するマイクロプレートを含む。捕捉抗体は、マイクロプレートのウェルの底部に結合し、標的分析物の1つのエピトープ(存在する場合)に結合する。次いで、検出抗体は、異なるエピトープで標的分析物に結合し、検出を可能にする酵素にコンジュゲートされる。検出抗体上の酵素は、基質と相互作用して色の変化を生じ得る。
【0004】
LFA(ラテラルフローイムノクロマトアッセイ又はラテラルフローディップスティックイムノアッセイとも称される)デバイスは、典型的には、流体を輸送するための一連のキャピラリーパッドを含む。従来技術のサンドイッチ形式のLFAデバイスは、少なくとも2つの異なる抗体に結合することができる分析物を検出するために使用される。従来技術のサンドイッチ形式のLFAデバイスでは、試料パッドを使用して、標的分析物を含み得る一定量の流体(試料流体と称される)を受容することができる。次いで、試料流体は、毛細管作用によって隣接するコンジュゲートパッドに輸送される。コンジュゲートパッドは、コロイド状の金ナノ粒子などの検出物質(detector)で標識された可溶化抗体を含み得る。抗体は、試料流体における目的の標的分析物に特異的である。試料流体がコンジュゲートパッドを通って流れると、試料流体中の分析物(存在する場合)が、コンジュゲートパッド上の標識抗体と結合し、免疫複合体を形成する。
【0005】
次いで、免疫複合体は、コンジュゲートパッドから隣接する膜(又は膜パッド)に流れる。膜は、固定化された非標識抗体を含有する試験領域又は試験ラインを有する。免疫複合体が試験領域上を移動すると、免疫複合体は試験領域上で固定化された抗体と結合し、着色した試験ラインをもたらす。試料流体が標的分析物を含まない場合、免疫複合体は、コンジュゲートパッド上に形成されず、免疫複合体は、試験領域上の固定化された抗体と結合しない。その結果、試験ラインの色が変わることはない。
【0006】
LFAデバイスは、膜上に対照ラインを含んでいてもよい。サンドイッチアッセイ形式では、対照ラインは、標的分析物が試料中に存在していたかどうかにかかわらず、試験が正しく動作したことを確認する着色した対照ラインをもたらす検出物質で標識された遊離抗体に結合する固定化された抗体を含んでいてもよい。
【0007】
競合形式ELISAデバイスでは、参照標的分析物は、マイクロプレートウェルの底部に結合される。次いで、試料及び抗体をウェルに添加し、試料中に標的分析物が存在する場合、それは、抗体への結合に対して参照標的分析物と競合する。次いで、結合していない材料が洗い流される。試料中の標的分析物が多いほど、参照標的分析物によってウェルの底部に結合される抗体が少なくなり、シグナルが低くなる。
【0008】
競合形式LFAデバイスの試料パッド及びコンジュゲートパッドは、サンドイッチ形式LFAデバイスの試料パッド及びコンジュゲートパッドに類似している。競合アッセイ形式では、試験ラインは、固定化された分析物分子を含有する。試料液体に分析物が含まれていない場合、標識抗体は、コンジュゲートパッドから試験ラインに流れ込み、試験ラインで分析物に結合し、試料液体中に標的分析物が欠如していることを示す着色した試験ラインをもたらす。一方、標的分析物が試料液体中に存在する場合、分析物は、コンジュゲートパッド上の標識抗体に結合し、標識抗体が試験ラインで分析物に結合するのを防止し、試験ライン上の色の欠如をもたらす。競合アッセイ形式では、対照ラインは、標的分析物が試料中に存在していたかどうかにかかわらず、試験が正しく動作したことを確認する着色した対照ラインをもたらす検出物質で標識された遊離抗体に結合する固定化された分析物を含んでいてもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここで、有利な特徴を強調することに重点を置いて、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な抗体を使用する本サンドイッチイムノアッセイデバイスの様々な実施形態を詳細に説明する。これらの実施形態は、添付の図面に示される標的分析物を含有するエキソソームに特異的な抗体を使用する新規かつ非自明なサンドイッチイムノアッセイデバイスを示しており、これは例示のみを目的としている。これらの図面は、以下の図を含み、これらの図において、同じ数字は同じ部品を示している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な1つ以上の抗体を検出抗体として使用し、標的分析物に特異的な抗体を捕捉抗体として使用する、LFAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図1B】本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な1つ以上の抗体を検出抗体として使用し、標的分析物に特異的な抗体を捕捉抗体として使用する、LFAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図1C】本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な1つ以上の抗体を検出抗体として使用し、標的分析物に特異的な抗体を捕捉抗体として使用する、LFAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図1D】本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な1つ以上の抗体を検出抗体として使用し、標的分析物に特異的な抗体を捕捉抗体として使用する、LFAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図2】従来技術による特定の腫瘍に特異的であるエキソソームタンパク質の例を示す。
【
図3A】本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な1つ以上の抗体を検出抗体として使用し、1つ以上の臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質のセット及び標的分析物を捕捉するための複数の試験ラインを含む、LFAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図3B】本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な1つ以上の抗体を検出抗体として使用し、1つ以上の臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質のセット及び標的分析物を捕捉するための複数の試験ラインを含む、LFAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図3C】本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な1つ以上の抗体を検出抗体として使用し、1つ以上の臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質のセット及び標的分析物を捕捉するための複数の試験ラインを含む、LFAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図3D】本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な1つ以上の抗体を検出抗体として使用し、1つ以上の臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質のセット及び標的分析物を捕捉するための複数の試験ラインを含む、LFAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図3E】本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な1つ以上の抗体を検出抗体として使用し、1つ以上の臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質のセット及び標的分析物を捕捉するための複数の試験ラインを含む、LFAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図3F】本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な1つ以上の抗体を検出抗体として使用し、1つ以上の臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質のセット及び標的分析物を捕捉するための複数の試験ラインを含む、LFAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図4A】本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な1つ以上の抗体を検出抗体として使用し、1つ以上の臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質のセット及び標的分析物を捕捉するための試験ラインを有する複数のストリップを含む、LFAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図4B】本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な1つ以上の抗体を検出抗体として使用し、1つ以上の臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質のセット及び標的分析物を捕捉するための試験ラインを有する複数のストリップを含む、LFAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図4C】本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な1つ以上の抗体を検出抗体として使用し、1つ以上の臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質のセット及び標的分析物を捕捉するための試験ラインを有する複数のストリップを含む、LFAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図4D】本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な1つ以上の抗体を検出抗体として使用し、1つ以上の臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質のセット及び標的分析物を捕捉するための試験ラインを有する複数のストリップを含む、LFAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図5A】本開示の様々な態様による、標的分析物に特異的な抗体を検出抗体として使用し、標的分析物を捕捉抗体として含有するエキソソームに特異的な1つ以上の抗体を使用する、LFAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図5B】本開示の様々な態様による、標的分析物に特異的な抗体を検出抗体として使用し、標的分析物を捕捉抗体として含有するエキソソームに特異的な1つ以上の抗体を使用する、LFAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図5C】本開示の様々な態様による、標的分析物に特異的な抗体を検出抗体として使用し、標的分析物を捕捉抗体として含有するエキソソームに特異的な1つ以上の抗体を使用する、LFAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図5D】本開示の様々な態様による、標的分析物に特異的な抗体を検出抗体として使用し、標的分析物を捕捉抗体として含有するエキソソームに特異的な1つ以上の抗体を使用する、LFAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図6A】本開示の様々な態様による、標的分析物に特異的な抗体を検出抗体として使用し、1つ以上の臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質のセット及び標的分析物を捕捉するための複数の試験ラインを含む、LFAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図6B】本開示の様々な態様による、標的分析物に特異的な抗体を検出抗体として使用し、1つ以上の臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質のセット及び標的分析物を捕捉するための複数の試験ラインを含む、LFAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図6C】本開示の様々な態様による、標的分析物に特異的な抗体を検出抗体として使用し、1つ以上の臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質のセット及び標的分析物を捕捉するための複数の試験ラインを含む、LFAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図6D】本開示の様々な態様による、標的分析物に特異的な抗体を検出抗体として使用し、1つ以上の臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質のセット及び標的分析物を捕捉するための複数の試験ラインを含む、LFAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図6E】本開示の様々な態様による、標的分析物に特異的な抗体を検出抗体として使用し、1つ以上の臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質のセット及び標的分析物を捕捉するための複数の試験ラインを含む、LFAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図6F】本開示の様々な態様による、標的分析物に特異的な抗体を検出抗体として使用し、1つ以上の臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質のセット及び標的分析物を捕捉するための複数の試験ラインを含む、LFAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図7A】本開示の様々な態様による、標的分析物に特異的な抗体を検出抗体として使用し、1つ以上の臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質のセット及び標的分析物を捕捉するための試験ラインを有する複数の試験ストリップを含む、LFAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図7B】本開示の様々な態様による、標的分析物に特異的な抗体を検出抗体として使用し、1つ以上の臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質のセット及び標的分析物を捕捉するための試験ラインを有する複数の試験ストリップを含む、LFAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図7C】本開示の様々な態様による、標的分析物に特異的な抗体を検出抗体として使用し、1つ以上の臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質のセット及び標的分析物を捕捉するための試験ラインを有する複数の試験ストリップを含む、LFAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図7D】本開示の様々な態様による、標的分析物に特異的な抗体を検出抗体として使用し、1つ以上の臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質のセット及び標的分析物を捕捉するための試験ラインを有する複数の試験ストリップを含む、LFAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図8A】本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な抗体及び標的分析物に特異的な固定化された抗体を使用することによって標的分析物を検出及び捕捉する、ELISAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図8B】本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な抗体及び標的分析物に特異的な固定化された抗体を使用することによって標的分析物を検出及び捕捉する、ELISAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図8C】本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な抗体及び標的分析物に特異的な固定化された抗体を使用することによって標的分析物を検出及び捕捉する、ELISAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図8D】本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な抗体及び標的分析物に特異的な固定化された抗体を使用することによって標的分析物を検出及び捕捉する、ELISAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図8E】本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な抗体及び標的分析物に特異的な固定化された抗体を使用することによって標的分析物を検出及び捕捉する、ELISAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図8F】本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な抗体及び標的分析物に特異的な固定化された抗体を使用することによって標的分析物を検出及び捕捉する、ELISAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図8G】本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な抗体及び標的分析物に特異的な固定化された抗体を使用することによって標的分析物を検出及び捕捉する、ELISAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図8H】本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な抗体及び標的分析物に特異的な固定化された抗体を使用することによって標的分析物を検出及び捕捉する、ELISAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図8I】本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な抗体及び標的分析物に特異的な固定化された抗体を使用することによって標的分析物を検出及び捕捉する、ELISAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図9A】本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な固定化された抗体及び標的分析物に特異的な抗体を使用することによって標的分析物を検出及び捕捉する、ELISAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図9B】本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な固定化された抗体及び標的分析物に特異的な抗体を使用することによって標的分析物を検出及び捕捉する、ELISAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図9C】本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な固定化された抗体及び標的分析物に特異的な抗体を使用することによって標的分析物を検出及び捕捉する、ELISAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図9D】本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な固定化された抗体及び標的分析物に特異的な抗体を使用することによって標的分析物を検出及び捕捉する、ELISAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図9E】本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な固定化された抗体及び標的分析物に特異的な抗体を使用することによって標的分析物を検出及び捕捉する、ELISAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図9F】本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な固定化された抗体及び標的分析物に特異的な抗体を使用することによって標的分析物を検出及び捕捉する、ELISAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図9G】本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な固定化された抗体及び標的分析物に特異的な抗体を使用することによって標的分析物を検出及び捕捉する、ELISAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図9H】本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な固定化された抗体及び標的分析物に特異的な抗体を使用することによって標的分析物を検出及び捕捉する、ELISAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【
図9I】本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な固定化された抗体及び標的分析物に特異的な抗体を使用することによって標的分析物を検出及び捕捉する、ELISAデバイス及び方法を例示する機能図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態の一態様は、サンドイッチ形式イムノアッセイが、抗体が標的分析物にかなりの程度結合し、他の分子には結合しないように、標的分析物に特異的である2つの抗体を必要とするという認識を含む。さもなければ、他の分子も抗体に結合し、誤差の原因となり得る。ただし、いくつかの標的分析物については、1つの特異的抗体のみがあり得る。これらの標的分析物の存在(又は不在)を検出するための1つの技術は、競合形式アッセイデバイスを使用することである。しかしながら、競合形式アッセイデバイスは、サンドイッチ形式アッセイデバイスほど正確ではない。競合形式アッセイデバイスの別の欠点は、(ELISAデバイスのための)プレートの底部で参照標的分析物としてそれを使用し、(LFAデバイスのための)試験ラインでそれを使用するために、物理的標的分析物材料自体が必要であることである。
【0012】
本実施形態のいくつかは、抗体を使用して試料液体中のエキソソームを捕捉することによって、前述の問題を解決する。エキソソームは、細胞から放出される細胞外小胞である。エキソソームは、宿主細胞に応じて異なるタンパク質を含有し得る。最も一般的なエキソソームマーカータンパク質には、エキソソームの表面に存在するCD9、CD63、CD81、及びCD82などのテトラスパニンタンパク質が含まれる。エキソソームはまた、それらを放出する細胞からのマーカーを担持し得る。いくつかの標的分析物、例えば、限定されないが、がん細胞のタンパク質について、細胞によって放出されるエキソソームは、アッセイの標的であるタンパク質のマーカーを含み得る。
【0013】
本実施形態のいくつかは、一定量のエキソソームを含む一定量の流体を受容し、かつエキソソームの表面上の標的分析物の存在を検出する方法及びイムノアッセイデバイスを提供する。イムノアッセイデバイスは、検出部位及び捕捉部位を含む。本方法及びイムノアッセイデバイスは、検出部位と捕捉部位との間の流体移送を行う。検出動作が行われる部位と捕捉動作が行われる部位との間の流体の移送機構は、毛細管作用(例えば、LFAデバイス若しくはマイクロ流体デバイス)、マイクロ流体チップ若しくは媒体、自動液体処理システム(例えば、自動ELISAデバイスで使用される液体処理)、マイクロ流体デバイスと組み合わせた自動液体処理システム、又は標準ELISAで使用されるピペッティング手順などの手動移送によって行われ得る。これらのイムノアッセイデバイスのうちのいくつかでは、検出動作及び捕捉動作は、デバイス上の異なる部位で行われる。例えば、LFAデバイスでは、検出動作は、コンジュゲートパッド上で行われ、捕捉動作は、1つ以上の試験ライン上で行われる。これらのイムノアッセイデバイスのいくつかでは、検出動作及び捕捉動作は、デバイスの同じ部位で行われ得る。例えば、ELISAデバイスでは、検出動作及び捕捉動作は、ELISAデバイスの同じウェルで行われ得る。
【0014】
本実施形態のいくつかのイムノアッセイデバイスは、試料液体中のエキソソームを検出するために、CD9タンパク質、CD63タンパク質、CD81タンパク質、CD82タンパク質などのテトラスパニンに対する結合試薬(例えば、抗体)を使用することによって検出動作を行う。これらのイムノアッセイデバイスは、1つ以上のエキソソーム結合試薬を使用してもよい。異なるエキソソームは、CD9、CD63、CD81、CD82などのタンパク質の1つ以上の結合試薬に結合し得る。これらのイムノアッセイデバイスは、標的分析物に特異的である第2の結合試薬(例えば、抗体)を使用することによって捕捉動作を行う。これは、標的分析物を担持するエキソソームを固定化及び捕捉するために使用される。
【0015】
本実施形態のいくつかのイムノアッセイデバイスは、標的分析物に特異的な結合試薬(例えば、抗体)を使用して、試料液体中の標的分析物を検出することによって、検出動作を行う。これらのイムノアッセイデバイスは、標的分析物を担持するエキソソームを固定化及び捕捉するために、CD9タンパク質、CD63タンパク質、CD81タンパク質、CD82タンパク質などのテトラスパニンに対する1つ以上の結合試薬(例えば、抗体)を使用することによって捕捉動作を行う。異なるエキソソームは、CD9、CD63、CD81、CD82などのタンパク質に対する1つ以上の抗体に結合し得る。
【0016】
これらの方法及びイムノアッセイデバイスのいくつかの非限定的な例は、LFAデバイスを参照してセクションIに、及びELISAデバイスを参照してセクションIIに記載されている。残りの詳細な説明は、図面を参照して本実施形態を説明する。図面において、参照番号は、本実施形態の要素を示す。これらの参照番号は、対応する図面の特徴の説明に関連して以下に再掲される。
【0017】
I.標的分析物を含有するエキソソームに特異的な抗体を使用することによって標的分析物を捕捉するLFAデバイス
図1A~
図1Dは、本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な1つ以上の抗体を検出抗体として使用し、標的分析物に特異的な抗体を捕捉抗体として使用する、LFAデバイス100及び方法を示す、機能図である。LFAデバイス100は、ポータブルデバイス(例えば、ハンドヘルドデバイス又はベンチトップデバイス)であってもよく、これは、1つ以上の分析物(標的分析物と称される)の存在及び/又は量を決定するために試料流体190(マトリックスとも称される)を分析するために使用される。分析物という用語は、イムノアッセイデバイスによって検出された分子を指す。
【0018】
図1A~
図1Dを参照すると、LFAデバイス100は、単回使用が意図され得る交換可能なカートリッジを含んでいてもよい。例えば、
図1A~
図1Dに示される構成要素は、LFAデバイス100の使い捨てカートリッジの一部であってもよい。LFAデバイス100は、バッキングカード140を含み得、これは、試料パッド150、コンジュゲートパッド110、膜115、及び/又はウィッキングパッド120の異なる部分を組み立てるために使用され得る。
【0019】
バッキングカード140は、いくつかの実施形態では、パッド150、110、115、及び120の下に配置され得る連続したピースであり得る。他の実施形態では、各パッドは、別個のバッキングカードを有し得る。例えば、デバイスの製造中に、ロール又はシートのバッキング材料を使用することができ、ロール又はシートの幅が、ラテラルフローアッセイカートリッジの長さと同じ(すなわち、図示の方向で、試料パッド150の左端からウィッキングパッド120の右端まで)であるようにする(又はそれと同じになるように切断される)。次いで、パッド115、110、150、及び120は、(例えば、
図1A~
図1Dに示されるように)適切なオーバーラップを有するバッキングカード上に配置される。パッドは、例えば、両面テープ又は接着剤でバッキングカードに接続され得る。次いで、パッド及び取り付けられたバッキングカードは、別個のストリップに切断することができ、各ストリップを使用して、異なるLFAデバイスを作製することができる。
【0020】
あるいは、各パッドは、対応するバッキングカードに別個に接続され得る。次いで、対応するバッキングカードを有するパッドを、適切にオーバーラップさせて、互いに組み立てて、LFAデバイスを作製することができる。LFAデバイス100は、ハウジングを含み得る。
図1A~
図1Dでは、明確にするために、カートリッジベッド170を含むハウジングの一部分のみが示されている。
【0021】
LFAデバイス100に適用される試料流体190は、例えば、限定されないが、血液、尿、血清、血漿、唾液、汗、乳、粘液、精液、膣分泌物又は尿道分泌物、脳脊髄液などのうちの1つ以上などの、ヒト又は動物の体液を含み得る。試料は、自然なままの液体であってもよく、水などの別の液体で希釈された液体であってもよく、又は元々が固体形態(例えば、組織試料)であってもよく、LFAデバイス100に適用するために液体形態であるように処理され得る。本実施形態のいくつかでは、標的分析物は、例えば、限定されないが、タンパク質、ハプテン、酵素、ホルモン、感染症剤、免疫グロブリン、ポリヌクレオチド、ステロイド、薬物、核酸、遺伝子変異のマーカー、抗原、単純な有機分子などの物質であり得る。
【0022】
LFAデバイス100は、試料パッド(試料ストリップ又は試料受容部材とも称される)150を含み得る。試料パッド150は、試料流体を受容し、かつ毛細管作用によって試料流体をコンジュゲートパッド110に向かって横方向に導くことができる、天然及び/又は合成の多孔質、ミクロ多孔質、メソ多孔質、又はマクロ多孔質の材料で作製され得る。試料パッド150は、例えば、限定されないが、セルロース、ニトロセルロース、紙、シリカ、綿、ガラス(例えば、ガラス繊維)、又は合成材料(例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリマー、レーヨン、ナイロンなど)などの材料で作製され得る。試料の種類(例えば、尿、唾液、血液、血清、血漿、汗、乳、粘液、精液、膣分泌物又は尿道分泌物、脳脊髄液など)に応じて、試料パッド150を緩衝液(例えば、トリス又はトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンなどの有機化合物)で処理して、試料の変動(pH、タンパク質濃度、粘度、塩濃度など)を緩和することができる。試料パッド150の製造中に、緩衝液化合物は、コーティングされ、含浸され、又はそれ以外の場合、試料パッド150に適用又は堆積され、次いで乾燥され得る。試料流体が血液を含む実施形態は、血漿フィルター195を含んでいてもよい。
【0023】
LFAデバイス100は、試料パッド150に流体的に接続されている(すなわち、毛細管作用によって流体を受容することができる)コンジュゲートパッド110を含んでいてもよい。図示される実施形態では、試料パッド150は、コンジュゲートパッド110と接触し、それを部分的に覆っている。他の実施形態では、試料パッド150は、より遅い又はより速い結合試薬及び/又はコンジュゲートの放出を提供するように、それぞれ、コンジュゲートパッド110とより多く又はより少なく接触させてもよい。試料パッド150に適用される試料流体は、毛細管作用によって試料パッド150からコンジュゲートパッド110に横方向に移送され得る。
【0024】
コンジュゲートパッド110は、試料パッド150から試料流体を受容することができる天然及び/又は合成の多孔質、ミクロ多孔質、メソ多孔質、又はマクロ多孔質の材料で作製され得る。コンジュゲートパッド110は、例えば、限定されないが、ガラス(例えば、ガラス繊維)、セルロース、ニトロセルロース、紙、シリカ、綿、又は合成材料(例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリマー、レーヨン、ナイロンなど)などの材料で作製され得る。
【0025】
図1A~
図1Dの例では、試料流体190は、例えば、限定されないが、血液、尿、血清、血漿、唾液、汗、乳、粘液、精液、膣分泌物又は尿道分泌物、脳脊髄液などの流体であり得る。
図1Aの拡大
図141に示されるように、試料流体190は、他の構成要素の中でも、エキソソーム135を含み得る。試料流体190が血液を含む場合、他の構成要素198は、例えば、赤血球、白血球、血小板、血漿などを含み得る。
【0026】
エキソソーム135は、ほとんどの細胞によって産生される細胞外小胞である。エキソソームは、血液、尿、又は脳脊髄液中に見出され得る。エキソソームはまた、培養細胞によってその増殖培地にインビトロで放出され得る。エキソソームは、典型的には、30~150ナノメートル(nm)の直径である。がんなどの悪性腫瘍において、がん性細胞によって放出されるエキソソームは、がんを診断するための標的分析物として使用され得るタンパク質を含み得る。
【0027】
図1Aの拡大
図142に示されるように、エキソソーム135は、宿主細胞に応じて膨大な数の異なるタンパク質を含有し得る。エキソソームの成分は、細胞状態(例えば、ストレス、活性化、又は特定の経路の阻害)によって更に調節される。最も一般的な正準エキソソームマーカータンパク質であるCD9 156、CD63 157、CD81 158、及びCD82(図示せず)などのテトラスパニン、並びに/又は他のタイプのテトラスパニンは、エキソソームの表面に存在し得る。哺乳動物には34種類のテトラスパニンがあり、そのうち33種類がヒトで特定されている。拡大
図142に示されるテトラスパニン159は、哺乳動物における34種類のテトラスパニンのうちのいずれかを指し、これには、CD9 156、CD63 157、CD81 158、及びCD82が含まれるが、これらに限定されない。
【0028】
エキソソームの他の成分138は、異なる酵素、脂質、転写因子、細胞骨格などを含み得る。エキソソームが悪性腫瘍又は感染細胞によって放出される場合、エキソソームはまた、悪性腫瘍を特定するための一般的なマーカーとして使用され得るタンパク質137を含有し得る。悪性腫瘍又は感染細胞によって放出されたエキソソームはまた、特定の腫瘍を特定するために使用され得る腫瘍特異的タンパク質194を含有し得る。臓器によって放出されるエキソソームは、臓器を特定するために使用され得る臓器特異的タンパク質196を含有し得る。
【0029】
同じタイプの複数のテトラスパニン(例えば、複数のCD9マーカータンパク質156、複数のCD63マーカータンパク質157、複数のCD81マーカータンパク質158、複数のCD82マーカータンパク質など)、異なるタイプの複数のテトラスパニン及び/又は複数の標的分析物タンパク質137が、単一のエキソソーム135上に存在してもよい。本明細書に記載されるように、本実施形態のイムノアッセイは、エキソソームを使用して、異なる悪性腫瘍に関連するタンパク質(又は他のマーカー)などの標的分析物137を捕捉及び特定することができる。
【0030】
図1Aの拡大
図143に示されるように、コンジュゲートパッド110は、試料流体190中のエキソソーム135の表面上の異なるタイプのテトラスパニン156~159に結合することができる1つ以上の異なるタイプの結合試薬176~179を含有し得る。結合試薬は、例えば、限定されないが、異なるタイプのテトラスパニン抗体であり得る。テトラスパニン抗体、標的分析物抗体、腫瘍特異的タンパク質抗体、及び臓器特異的タンパク質抗体のいくつかの例が本明細書で使用されるが、本実施形態のLFAデバイスのうちのいくつかは、コンジュゲートパッド上、試験ライン上、抗体ではない対照ライン上/又は対照ライン上で結合試薬を使用することができることに留意されたい。
【0031】
3つのタイプのテトラスパニン156~158に対する抗体176~178に加えて又はその代わりに、コンジュゲートパッド110は、他のタイプのエキソソームテトラスパニンに対する抗体を含み得る。拡大
図143に示されるテトラスパニン抗体179は、CD9抗体、CD63抗体、CD81抗体、CD82抗体などを含むがこれらに限定されないテトラスパニンの抗体を指す。
【0032】
コンジュゲートパッド110は、1つ以上のタイプのテトラスパニンに対する抗体を含み得る。例えば、LFA100によって行われる試験のタイプに応じて、コンジュゲートパッド110は、CD9、CD63、CD81、CD82、又は他のタイプのテトラスパニンのうちの1つ以上に対する抗体を含み得る。したがって、本実施形態は、必ずしも全てのタイプのエキソソームのテトラスパニンに対する抗体を使用するわけではなく、行われる試験に応じて、単一の抗体又は任意の数のテトラスパニン抗体の組み合わせを使用してもよい。
【0033】
結合試薬176~179は、その自然の状態では、肉眼で又は光学フィルターを利用して、容易に見ることができる標識180(コンジュゲート、検出コンジュゲート、プローブ、検出ナノ粒子、又はタグとも称される)に結合され得る。標識180は、例えば、限定されないが、例えば、金属ゾル(例えば、コロイド金又は金ゾル)、染料ゾル、着色ラテックス粒子、炭素、蛍光粒子、ユウロピウム標識などの小粒子(例えば、ナノ粒子)で作製され得る。コンジュゲートパッド110の製造中に、標識結合試薬を、コーティング、含浸、又はそれ以外の場合、コンジュゲートパッド110に適用又は堆積させ、次いで乾燥させることができる。
【0034】
試料流体190が試料パッド150からコンジュゲートパッド110に流れ込んだ後、試料流体190は、標識結合試薬を可溶化することができる。試料流体がエキソソームを含有し、エキソソームが、コンジュゲートパッド100が抗体を含むテトラスパニン159(例えば、図示しないテトラスパニン156~158又は他のテトラスパニン)のうちの少なくとも1つを含有している場合、エキソソームは、標識結合試薬(例えば、結合試薬176~179)と結合することができ、免疫複合体を形成することができる。エキソソームと結合しない標識結合試薬(例えば、試料流体が、コンジュゲートパッドが抗体を含むテトラスパニンを有するエキソソームを含まない場合、又は標識結合試薬が過剰である場合)は、毛細管作用によって膜115に向かって下流に流れる。試料流体及び流路内の任意の他の材料(例えば、結合していない標識結合試薬、洗浄流体など)は、本明細書では流体材料と称される。
【0035】
LFAデバイスによって行われる試験のタイプに応じて、デバイスは、別個の試料パッド及びコンジュゲートパッドを含まなくてもよく、いくつかの実施形態では、コンジュゲートパッド110のみを含み得る。試料パッド150は、コンジュゲートパッド110の上に配置されていることが示されているが、いくつかの実施形態では、コンジュゲートパッド110は、試料パッド150の上に配置されてもよい。
【0036】
LFAデバイス100は、膜115及び膜に埋め込まれ得る1つ以上の試験ライン(簡略化のために1つの試験ライン125のみが示されている)を含み得る。LFAデバイス100は、任意選択的に、膜115に埋め込まれ得る対照ライン130を含み得る。膜115は、例えば、限定されないが、セルロース、ニトロセルロース、紙、シリカ、綿、ガラス(例えば、ガラス繊維)、又は合成材料(例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリマー、レーヨン、ナイロンなど)などの材料で作られてもよく、これらは、毛細管作用によって、流体材料がコンジュゲートパッド110から膜115に下流に流れ、膜115からウィッキングパッド120に向かって流れることを可能にする。コンジュゲートパッド110は、膜115の上に配置されていることが示されているが、いくつかの実施形態では、膜115は、コンジュゲートパッド110の上に配置されてもよい。
【0037】
試験ライン125は、例えば、限定されないが、セルロース、ニトロセルロース、紙、シリカ、綿、ガラス(例えば、ガラス繊維)、又は合成材料(例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリマー、レーヨン、ナイロンなど)などの多孔質材料で作製され得る。試験ライン125は、サンドイッチアッセイ形式では、試験ライン125上に固定化され、試験ラインの多孔質材料が(例えば、流体材料によって)湿ったときに下流に流れない、未標識結合試薬を含有し得る。拡大
図144に示されるように、試験ライン125上に固定化されている未標識結合試薬は、標的分析物の抗体185である。
【0038】
LFAデバイス100は、任意選択的に、膜115に埋め込まれ得る対照ライン130を含み得る。対照ライン130は、例えば、限定されないが、セルロース、ニトロセルロース、紙、シリカ、綿、ガラス(例えば、ガラス繊維)、又は合成材料(例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリマー、レーヨン、ナイロンなど)などの多孔質材料で作製され得る。サンドイッチアッセイ形式では、対照ライン130は、標的分析物が試料中に存在しているかどうかにかかわらず、試験が正しく動作していることを確認する着色した対照ライン130をもたらす、遊離標識結合試薬(例えば、遊離標識テトラスパニン抗体176~179)に結合する固定化された抗体を含み得る。
【0039】
拡大
図145に示されるように、対照ライン130上の固定化された抗体は、1つ以上のタイプのエキソソームのテトラスパニン(例えば、CD9 156、C63 157、CD81 158、CD82など)を含む免疫複合体であり得る。一般に、本実施形態のLFAデバイスの対照ラインは、コンジュゲートパッド110に含まれる結合試薬(例えば、抗体)のクラスに対する固定化された結合試薬(例えば、固定化された抗体)を含み得る。例えば、コンジュゲートパッド上の抗体が免疫グロビンG(IgG)クラスである場合、対照ラインは、固定化された抗IgG抗体を含み得る。1つ以上のタイプのエキソソームのテトラスパニンを含む免疫複合体に加えて、又はその代わりに、対照ライン130は、コンジュゲートパッド110に含まれるテトラスパニンのクラスに対する抗体を含み得る。
【0040】
試験ライン125又は対照ライン130に結合しない流体材料は、膜125からウィッキングパッド120への毛細管流を維持しながら、膜115からウィッキングパッド120に流れ続けて、試験ライン125及び対照ライン130によって取り込まれていない流体材料を吸収することができる。ウィッキングパッド120は、例えば、限定されないが、セルロース、ニトロセルロース、紙、シリカ、綿、ガラス(例えば、ガラス繊維)、又は合成材料(例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリマー、レーヨン、ナイロンなど)などの多孔質材料で作製され得る。LFAデバイスによって行われる試験のタイプに応じて、デバイスは、ウィッキングパッド120を含まないことがある。ウィッキングパッド120は、膜115の上に配置されていることが示されているが、いくつかの実施形態では、膜115は、ウィッキングパッド120の上に配置されてもよい。
【0041】
図1A~
図1Dは、示されるように、4つのステージ101~104を含む。ステージ101(
図1A)では、試料流体190が試料パッド150に適用される。試料流体190が血液を含む場合、LFA100は、血漿フィルター195を有し得、試料流体190は、血漿フィルター195に適用され得る。試料パッド150を含まない実施形態では、試料流体190は、コンジュゲートパッド110に適用されてもよい(又は、試料流体が血液を含む場合、コンジュゲートパッド上に位置する血漿フィルターに適用され得る)。
【0042】
ステージ102(
図1B)では、流体材料は、コンジュゲートパッド110に到達することができる。拡大
図146に示されるように、流体材料中のエキソソーム135の表面上のテトラスパニン(例えば、テトラスパニン156~159)は、対応するテトラスパニン抗体(例えば、テトラスパニン抗体176~179)と結合することができる。ステージ102では、一部のエキソソーム135(例えば、拡大
図147に示されるように)は、その表面上に標的分析物137を含有していてもよく、一方、一部のエキソソーム135(例えば、拡大
図148に示されるように)は、標的分析物137を含有していなくてもよい。試料流体190(
図1A)が採取される対象(例えば、ヒト又は動物)の状態に応じて、試料流体中に標的分析物137を有する任意のエキソソームが存在していてもよく、又は存在していなくてもよいことに留意されたい。
【0043】
対応するテトラスパニン抗体176~179と結合しているエキソソーム135は、免疫複合体を形成することができる。免疫複合体及び残りの流体材料198は、毛細管作用によって、コンジュゲートパッド110から膜115に移動し続けることができる。
【0044】
ステージ103(
図1C)では、流体材料は、試験ライン125に到達することができる。拡大
図149に示されるように、試験ライン上に固定化された標的分析物の抗体185は、テトラスパニン抗体(例えば、テトラスパニン抗体176~179)に結合したエキソソーム135上の標的分析物137と、それらのテトラスパニン(例えば、テトラスパニン156~159)のうちの1つを介して結合することができる。結合は、第2の免疫複合体(拡大
図149に示される免疫複合体)をもたらす。固定化された第2の免疫複合体上の標識180は、試験ライン125を着色する。
【0045】
着色した試験ラインの強度は、試料流体中のエキソソーム135の表面上の標的分析物137の密度と相関している。第2の免疫複合体は、エキソソーム135を含み、これは、(その表面上の標的分析物137を介して)固定化された標的分析物の抗体185と結合し、(その表面上のテトラスパニン156~159のうちの1つを介して)標識テトラスパニン抗体176~179のうちの1つと結合している。試料流体が標的分析物を含まない場合、免疫複合体は、試験ライン125上の固定化された抗体と結合しない。結果として、試験ライン125は色を変化させない。
【0046】
その表面上に標的分析物137を欠くエキソソームは、試験ライン125上の固定化されたテトラスパニン抗体176~179に結合せず、残りの流体材料とともに、対照ライン130及びウィッキングパッド120に向かって移動し続けることができる。
【0047】
ステージ104(
図1D)では、流体材料は、対照ライン130に到達することができる。拡大
図151に示されるように、流体材料中の遊離標識テトラスパニン抗体(例えば、176~179テトラスパニン抗体)は、固定化されたテトラスパニン(例えば、対応するテトラスパニン156~159)に結合することができる。この結合は、標的分析物が試料流体中に存在していたか否かにかかわらず、試験が正しく動作したことを確認する着色した対照ラインをもたらすことができる。
【0048】
LFAデバイスのいくつかの実施形態は、複数の試験ラインを含み得る。これらの実施形態のいくつかでは、試験ラインのいくつかは、特定の腫瘍に特異的である及び/又は特定の臓器に特異的であるエキソソームタンパク質を検出するために使用され得る。臓器特異的タンパク質は、1つ以上の特定のヒト臓器において発現が著しく上昇するタンパク質と定義される。臓器特異的タンパク質は、対応する臓器に関連するヒト疾患に関与し得る。腫瘍特異的タンパク質は、1つ以上の特異的腫瘍において発現が有意に上昇するタンパク質と定義される。
【0049】
図2は、従来技術による特定の腫瘍に特異的であるエキソソームタンパク質の例を示す。
図2を参照すると、表200のエキソソームタンパク質列211は、エキソソームタンパク質の名称を特定する。腫瘍列212は、列211のエキソソームタンパク質に対応する腫瘍のタイプを特定する。体液列は、エキソソームタンパク質が見出された体液を特定する。
【0050】
図2を参照すると、グリピカン1 220などのエキソソームタンパク質211のいくつかは、2つ以上の臓器(この例では、乳房、膵臓、結腸、及び直腸)における腫瘍を示し得る。PSA230などのエキソソームタンパク質211のいくつかは、健康な前立腺細胞から放出されるエキソソームに存在し得る臓器特異的タンパク質であってもよい。
【0051】
図3A~
図3Fは、本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な1つ以上の抗体を検出抗体として使用し、1つ以上の臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質のセット及び標的分析物を捕捉するための複数の試験ラインを含む、LFAデバイス300及び方法を例示する機能図である。LFAデバイス300は、1つ以上の分析対象物、1つ以上の腫瘍特異的タンパク質、及び/又は1つ以上の臓器特異的タンパク質の存在及び/又は量を決定するために、試料流体190を分析するために使用されるポータブルデバイス(例えば、ハンドヘルドデバイス又はベンチトップデバイス)であり得る。
【0052】
図3A~
図3Fを参照すると、LFAデバイス300は、標的分析物137を検出するための試験ライン125を含み得る。いくつかの実施形態では、標的分析物137は、悪性腫瘍を特定する一般的なマーカーであるタンパク質であり得る。LFAデバイス300の試験ライン125は、上述したLFAデバイス100の試験ライン125と同様であり得る。試験ライン125に加えて、LFAデバイス300は、臓器特異的タンパク質及び/又は腫瘍特異的タンパク質を検出するためのn個(nは1以上の整数である)の試験ライン321~322を含み得る。試験ライン321~322は、LFAデバイス100の試験ライン125を参照して、上述したように、多孔質材料で作製され得る。
【0053】
図3A~
図3Fは、示されるように、6つのステージ301~307を含む。ステージ301(
図3A)では、試料流体190は、試料パッド150に適用され得る。試料流体190が血液を含む場合、LFA300は、血漿フィルター195を有し得、試料流体190は、血漿フィルター195に適用され得る。試料パッド150を含まない実施形態では、試料流体190は、コンジュゲートパッド110に適用されてもよい(又は、試料流体が血液を含む場合、コンジュゲートパッド上に位置する血漿フィルターに適用され得る)。
図3Aの拡大
図141~拡大
図145は、
図1Aの対応する拡大図と同様の項目を示す。
【0054】
各試験ライン321~322上に固定化されている未標識結合試薬は、臓器特異的タンパク質(例えば、臓器特異的タンパク質196)又は腫瘍特異的タンパク質(例えば、腫瘍特異的タンパク質194)に対する抗体371~372であり得る。上述したように、いくつかのタンパク質は、腫瘍特異的タンパク質及び臓器特異的タンパク質の両方として動作してもよい。LFAデバイス300は、固定化された抗体371~372に結合する臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質が、異なるタンパク質であるように構成されてもよい。
【0055】
図3Aを参照すると、臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質に対する一定量の抗体371が、(拡大
図331に示されるように)試験ライン321上に固定化されてもよく、臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質に対する一定量の抗体372が、(拡大
図332に示されるように)試験ライン322上に固定化されてもよいなどである。腫瘍特異的タンパク質又は臓器特異的タンパク質を捕捉するための2つの試験ライン321~322が示されているが、LFAデバイス300の異なる実施形態は、腫瘍特異的タンパク質又は臓器特異的タンパク質を捕捉するための試験ライン321~322と同様の任意の数の1つ以上の試験ラインを含むことができる。LFAデバイス300の他の構成要素は、
図1A~
図1Dを参照して上述したLFAデバイス100の対応する構成要素と同様であり得る。
【0056】
ステージ302(
図3B)では、流体材料は、コンジュゲートパッド110に到達することができる。拡大
図335に示されるように、流体材料中のエキソソーム135の表面上のテトラスパニン(例えば、テトラスパニン156~159)は、対応するテトラスパニン抗体(例えば、テトラスパニン抗体176~179)と結合することができる。ステージ302では、一部のエキソソーム135(例えば、拡大
図336及び拡大
図337に示されるように)は、その表面上に標的分析物137を含有していてもよく、一方、一部のエキソソーム135(例えば、拡大
図338に示されるように)は、標的分析物137を含有していなくてもよい。更に、一部のエキソソーム135(例えば、拡大
図337及び拡大
図338に示されるように)は、その表面上に1つ以上の腫瘍特異的タンパク質194及び/又は1つ以上の臓器特異的タンパク質196を含有していてもよく、一方、一部のエキソソーム135(例えば、拡大
図336に示されるように)は、それらの表面上に任意の腫瘍特異的タンパク質又は臓器特異的タンパク質を含有していなくてもよい。試料流体190(
図1A)が採取される対象(例えば、ヒト又は動物)の状態に応じて、試料流体は、表面上に標的分析物137、腫瘍特異的タンパク質194、又は臓器特異的タンパク質196を有する任意のエキソソームを含んでいてもよく、又は含んでいなくてもよいことに留意されたい。
【0057】
ステージ302(
図3B)では、対応するテトラスパニン抗体176~179と結合しているエキソソーム135は、免疫複合体を形成することができる。免疫複合体及び残りの流体材料198は、毛細管作用によって、コンジュゲートパッド110から膜115に移動し続けることができる。
【0058】
ステージ303(
図3C)では、流体材料は、試験ライン321に到達することができる。拡大
図339に示されるように、試験ライン321上に固定化された腫瘍特異的又は臓器特異的抗体371は、テトラスパニン抗体(例えば、テトラスパニン抗体176~179)に結合したエキソソーム135上の対応する腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196と、それらのテトラスパニン(例えば、テトラスパニン156~159)のうちの1つを介して結合することができる。結合は、第2の免疫複合体(拡大
図339に示される免疫複合体)をもたらす。固定化された第2の免疫複合体上の標識180は、試験ライン321を着色する。
【0059】
着色した試験ライン321の強度は、固定化された抗体371に対応する試料流体中のエキソソーム135の表面上の腫瘍特異的又は臓器特異的タンパク質の密度と相関する。第2の免疫複合体は、エキソソーム135を含み、これは(その表面上の腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196を介して)固定化された抗体371と結合し、(その表面上のテトラスパニン156~159のうちの1つを介して)標識テトラスパニン抗体176~179のうちの1つと結合している。試料流体が固定化された抗体371に対応する腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196を含まない場合、免疫複合体は、試験ライン321上の固定化された抗体371と結合しない。結果として、試験ライン321は色を変化させない。
【0060】
その表面上の固定化された抗体371に対応する腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196を欠くエキソソームは、試験ライン321上の固定化された抗体371に結合せず、残りの流体材料とともに、試験ライン342に向かって移動し続けることができる。LFAデバイス300のいくつかの実施形態は、試験ライン341及び125のみを含み得ることに留意されたい。これらの実施形態は、ステージ304を含まない場合がある。これらの実施形態では、結合していない材料は、ステージ305を参照して以下に記載されるように、リストライン321から試験ライン125に向かって移動することができる。
【0061】
ステージ304(
図3D)では、流体材料は、試験ライン322に到達することができる。拡大
図340に示されるように、試験ライン322上に固定化された腫瘍特異的又は臓器特異的抗体372は、テトラスパニン抗体(例えば、テトラスパニン抗体176~179)に結合したエキソソーム135上の対応する腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196と、それらのテトラスパニン(例えば、テトラスパニン156~159)のうちの1つを介して結合することができる。試験ライン322上に固定化されている抗体372に対応する腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196は、試験ライン321上に固定化されている抗体371に対応する腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196とは異なることに留意されたい。試験ライン342上の結合は、第3の免疫複合体(拡大
図340に示される免疫複合体)をもたらす。固定化された第3の免疫複合体上の標識180は、試験ライン322を着色する。
【0062】
着色した試験ライン322の強度は、固定化された抗体372に対応する試料流体中のエキソソーム135の表面上の腫瘍特異的又は臓器特異的タンパク質の密度と相関する。第3の免疫複合体は、エキソソーム135を含み、これは(その表面上の腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196を介して)固定化された抗体372と結合し、(その表面上のテトラスパニン156~159のうちの1つを介して)標識テトラスパニン抗体176~179のうちの1つと結合している。試料流体が固定化された抗体372に対応する腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196を含まない場合、免疫複合体は、試験ライン322上の固定化された抗体372と結合しない。結果として、試験ライン322は色を変化させない。
【0063】
その表面上の固定化された抗体372に対応する腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196を欠くエキソソームは、試験ライン322上の固定化された抗体372に結合せず、残りの流体材料とともに、試験ライン125に向かって移動し続けることができる。LFAデバイス300のいくつかの実施形態は、腫瘍特異的タンパク質及び/又は臓器特異的タンパク質を捕捉するために、2つを超える(例えば、3つ以上)の試験ライン341~342を含んでいてもよいことに留意されたい。これらの実施形態は、304と同様の追加のステージを含んでいてもよい。
【0064】
ステージ305(
図3E)では、流体材料は、試験ライン125に到達することができる。拡大
図149に示されるように、試験ライン上に固定化された標的分析物の抗体185は、テトラスパニン抗体(例えば、テトラスパニン抗体176~179)に結合したエキソソーム135上の標的分析物137と、それらのテトラスパニン(例えば、テトラスパニン156~159)のうちの1つを介して結合することができる。結合は、免疫複合体(拡大
図149に示される免疫複合体)をもたらす。固定化された第2の免疫複合体上の標識180は、試験ライン125を着色する。
【0065】
着色した試験ラインの強度は、試料流体中のエキソソーム135の表面上の標的分析物137の密度と相関している。拡大
図149の免疫複合体は、エキソソーム135を含み、これは、(その表面上の標的分析物137を介して)固定化された標的分析物の抗体185と結合し、(その表面上のテトラスパニン156~159のうちの1つを介して)標識テトラスパニン抗体176~179のうちの1つと結合している。試料流体が標的分析物を含まない場合、免疫複合体は、試験ライン125上の固定化された抗体と結合しない。結果として、試験ライン125は色を変化させない。
【0066】
その表面上に標的分析物137を欠くエキソソームは、試験ライン125上の固定化されたテトラスパニン抗体176~179に結合せず、残りの流体材料とともに、対照ライン130及びウィッキングパッド120に向かって移動し続けることができる。
【0067】
ステージ306(
図3F)では、流体材料は、対照ライン130に到達することができる。拡大
図151に示されるように、流体材料中の遊離標識テトラスパニン抗体(例えば、176~179テトラスパニン抗体)は、固定化されたテトラスパニン(例えば、対応するテトラスパニン156~159)に結合することができる。この結合は、標的分析物が試料流体中に存在していたか否かにかかわらず、試験が正しく動作したことを確認する着色した対照ラインをもたらすことができる。対照ライン130に結合しない流体材料は、膜125からウィッキングパッド120への毛細管流を維持しながら、膜115からウィッキングパッド120に流れ続けて、試験ライン125及び対照ライン130によって取り込まれていない流体材料が吸収され得る。
【0068】
図3A~
図3Fを参照すると、LFAデバイス300上の試験の結果は、以下のように解釈され得る。試験の終了時に、試験ライン321~322及び125のいずれも着色していない場合、標的分析物137も、腫瘍特異的タンパク質も、臓器特異的タンパク質も(その抗体が試験ライン321~322上で固定化されていた)、検出可能な量で試料流体190中に存在していなかったことになる。試験の終了時に、試験ライン125が着色しているが、試験ライン321~322のいずれも着色していない場合、標的分析物137(例えば、限定されないが、がんなどの悪性腫瘍の一般的なマーカー)が試料流体中で検出されるが、悪性腫瘍は、任意の特定の腫瘍又は特定の臓器に起因するものではない場合がある。
【0069】
試験の終了時に、試験ライン125及び試験ライン321~322のうちの少なくとも1つが着色している場合、標的分析物137(例えば、限定されないが、がんなどの悪性腫瘍の一般的なマーカー)が試料流体中で検出される。更に、悪性腫瘍は、着色した試験ライン321~322でエキソソームタンパク質194/196が捕捉された特定の腫瘍又は特定の臓器に高い確率で起因し得る。
【0070】
試験の終了時に、試験ライン125が着色していないが、試験ライン321~322のうちの少なくとも1つが着色している場合、悪性腫瘍に起因する標的分析物137は検出されない。このシナリオでは、試験ライン321~322は、健康な臓器から放出されたエキソソームの表面上に臓器特異的タンパク質が存在すること、又は検出されたエキソソームタンパク質が一般的なマーカー(すなわち、標的分析物タンパク質)を有しない腫瘍によって放出されたことのいずれかに起因して着色していてもよい。
【0071】
図3A~
図3Fの実施形態では、複数の試験ライン321~322及び125を、試料パッド150、コンジュゲートパッド110、膜115、対照ライン130、及びウィッキングパッド120も含む同じ試験ストリップ上に配置した。いくつかの実施形態は、試験ライン321~322及び125の各々を別個の試験ストリップ上に配置することができ、各試験ストリップは、試料パッド150、コンジュゲートパッド110、膜115、対照ライン130、及びウィッキングパッド120を含み得る。複数のストリップを、同じ試験カートリッジの中に配置することができる。
【0072】
図4A~
図4Dは、本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な1つ以上の抗体を検出抗体として使用し、1つ以上の臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質のセット及び標的分析物を捕捉するための試験ラインを有する複数のストリップを含む、LFAデバイス400及び方法を例示する機能図である。LFAデバイス400は、1つ以上の分析対象物、1つ以上の腫瘍特異的タンパク質、及び/又は1つ以上の臓器特異的タンパク質の存在及び/又は量を決定するために、試料流体190を分析するために使用されるポータブルデバイス(例えば、ハンドヘルドデバイス又はベンチトップデバイス)であり得る。
【0073】
図4A~
図4Dを参照すると、LFAデバイス400は、いくつかの試験ストリップ481~483を含み得る。各々の2つの隣接する試験ストリップは、任意の流体が1つの試験ストリップから他の試験ストリップに流れることを防ぐことができるギャップ470によって分離され得る。明確にするために、ギャップ470は、LFAデバイス400の他の構成要素よりも比例して広く示されている。
【0074】
複数の試験ストリップLFAデバイス400は、試験ストリップ481~483を包含するカートリッジ(明確にするためにカートリッジのベッド170のみが示されている)を含むことができる。試験ストリップ481~483の各々は、別個の試料パッド150、別個の膜115、別個の試験ライン321~322及び125、別個の対照ライン130、並びに別個のウィッキングパッド120を含み得る。
【0075】
試験ライン125は、ストリップ483上に位置し得、標的分析物137を検出するために使用され得る。いくつかの実施形態では、標的分析物137は、悪性腫瘍を特定する一般的なマーカーであるタンパク質であり得る。LFAデバイス400の試験ライン125は、上述したLFAデバイス100及び300の試験ライン125と同様であり得る。
【0076】
試験ストリップ483上に位置する試験ライン125に加えて、LFAデバイス400は、臓器特異的タンパク質及び/又は腫瘍特異的タンパク質を検出するために、対応する試験ストリップ481~482上に位置するn個(nは1以上の整数である)の試験ライン321~322を含み得る。試験ライン321~322は、LFAデバイス100及び300の試験ライン125を参照して、上述したように、多孔質材料で作製され得る。
【0077】
図4A~
図4Dは、示されるように、4つのステージ401~404を含む。ステージ401(
図4A)では、試料流体190は、各試験ストリップ481~483の試料パッド150に適用され得る。試料流体190が血液を含む場合、LFA400は、各試験ストリップ481~483上に血漿フィルター195を有し得、試料流体190は、血漿フィルター195に適用され得る。試料パッド150を含まない実施形態では、試料流体190は、コンジュゲートパッド110に適用されてもよい(又は、試料流体が血液を含む場合、コンジュゲートパッド上に位置する血漿フィルターに適用され得る)。
図4Aの拡大
図141~拡大
図145は、
図1A及び
図3Aの対応する拡大図と同様の項目を示す。
【0078】
各試験ライン321~322上に固定化されている未標識結合試薬は、臓器特異的タンパク質(例えば、臓器特異的タンパク質196)又は腫瘍特異的タンパク質(例えば、腫瘍特異的タンパク質194)に対する抗体371~372であり得る。上述したように、いくつかのタンパク質は、腫瘍特異的タンパク質及び臓器特異的タンパク質の両方として動作してもよい。LFAデバイス400は、固定化された抗体371~372に結合する臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質が、異なるタンパク質であるように構成されてもよい。
【0079】
図4Aを参照すると、臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質に対する一定量の抗体371が、(拡大
図331に示されるように)試験ストリップ481上に位置する試験ライン321上に固定化されてもよく、臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質に対する一定量の抗体372が、(拡大
図332に示されるように)試験ストリップ482上に位置する試験ライン322上に固定化されてもよいなどである。腫瘍特異的タンパク質又は臓器特異的タンパク質を捕捉するための2つの試験ストリップ481~482及び対応する試験ライン321~322が示されているが、LFAデバイス400の異なる実施形態は、腫瘍特異的タンパク質又は臓器特異的タンパク質を捕捉するための試験ストリップ481~482及び試験ライン321~322と同様の任意の数の1つ以上の試験ストリップ及び対応する試験ラインを含むことができる。LFAデバイス400の他の構成要素は、
図1A~
図1D及び
図3A~
図3Fを参照して上述したLFAデバイス100及び300の対応する構成要素と同様であり得る。
【0080】
ステージ402(
図4B)では、流体材料は、試験ストリップ481~483のコンジュゲートパッド110に到達することができる。拡大
図335に示されるように、流体材料中のエキソソーム135の表面上のテトラスパニン(例えば、テトラスパニン156~159)は、対応するテトラスパニン抗体(例えば、テトラスパニン抗体176~179)と結合することができる。
【0081】
ステージ402では、一部のエキソソーム135(例えば、拡大
図336及び拡大
図337に示されるように)は、その表面上に標的分析物137を含有していてもよく、一方、一部のエキソソーム135(例えば、拡大
図338に示されるように)は、標的分析物137を含有していなくてもよい。更に、一部のエキソソーム135(例えば、拡大
図337及び拡大
図338に示されるように)は、その表面上に1つ以上の腫瘍特異的タンパク質194及び/又は1つ以上の臓器特異的タンパク質196を含有していてもよく、一方、一部のエキソソーム135(例えば、拡大
図336に示されるように)は、それらの表面上に任意の腫瘍特異的タンパク質又は臓器特異的タンパク質を含有していなくてもよい。試料流体190(
図1A)が採取される対象(例えば、ヒト又は動物)の状態に応じて、試料流体は、表面上に標的分析物137、腫瘍特異的タンパク質194、又は臓器特異的タンパク質196を有する任意のエキソソームを含んでいてもよく、又は含んでいなくてもよいことに留意されたい。
【0082】
ステージ402(
図4B)では、対応するテトラスパニン抗体176~179に結合しているエキソソーム135は、免疫複合体を形成することができる。免疫複合体及び残りの流体材料198は、毛細管作用によって、各試験ストリップのコンジュゲートパッド110から試験ストリップの膜115に移動し続けることができる。
【0083】
ステージ403(
図4C)では、流体材料は、試験ライン321~322及び125に到達することができる。拡大
図339に示されるように、試験ライン321上に固定化された腫瘍特異的又は臓器特異的抗体371は、テトラスパニン抗体(例えば、テトラスパニン抗体176~179)に結合したエキソソーム135上の対応する腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196と、それらのテトラスパニン(例えば、テトラスパニン156~159)のうちの1つを介して結合することができる。結合は、免疫複合体(拡大
図339に示される免疫複合体)をもたらす。固定化された免疫複合体上の標識180は、試験ライン321を着色する。
【0084】
着色した試験ライン321の強度は、固定化された抗体371に対応する試料流体中のエキソソーム135の表面上の腫瘍特異的又は臓器特異的タンパク質の密度と相関する。拡大
図339に示される免疫複合体は、エキソソーム135を含み、これは(その表面上の腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196を介して)固定化された抗体371と結合し、(その表面上のテトラスパニン156~159のうちの1つを介して)標識テトラスパニン抗体176~179のうちの1つと結合している。試料流体が固定化された抗体371に対応する腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196を含まない場合、免疫複合体は、試験ライン321上の固定化された抗体371と結合しない。結果として、試験ライン321は色を変化させない。
【0085】
拡大
図340に示されるように、試験ライン322上に固定化された腫瘍特異的又は臓器特異的抗体372は、テトラスパニン抗体(例えば、テトラスパニン抗体176~179)に結合したエキソソーム135上の対応する腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196と、それらのテトラスパニン(例えば、テトラスパニン156~159)のうちの1つを介して結合することができる。試験ライン322上に固定化されている抗体372に対応する腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196は、試験ライン321上に固定化されている抗体371に対応する腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196とは異なることに留意されたい。試験ライン342上の結合は、免疫複合体(拡大
図340に示される免疫複合体)をもたらす。固定化された免疫複合体上の標識180は、試験ライン322を着色する。
【0086】
着色した試験ライン322の強度は、固定化された抗体372に対応する試料流体中のエキソソーム135の表面上の腫瘍特異的又は臓器特異的タンパク質の密度と相関する。拡大
図340に示される免疫複合体は、エキソソーム135を含み、これは(その表面上の腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196を介して)固定化された抗体372と結合し、(その表面上のテトラスパニン156~159のうちの1つを介して)標識テトラスパニン抗体176~179のうちの1つと結合している。試料流体が固定化された抗体372に対応する腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196を含まない場合、免疫複合体は、試験ライン322上の固定化された抗体372と結合しない。結果として、試験ライン322は色を変化させない。
【0087】
拡大
図149に示されるように、試験ライン上に固定化された標的分析物の抗体185は、テトラスパニン抗体(例えば、テトラスパニン抗体176~179)に結合したエキソソーム135上の標的分析物137と、それらのテトラスパニン(例えば、テトラスパニン156~159)のうちの1つを介して結合することができる。結合は、免疫複合体(拡大
図149に示される免疫複合体)をもたらす。固定化された第2の免疫複合体上の標識180は、試験ライン125を着色する。
【0088】
着色した試験ライン125の強度は、試料流体中のエキソソーム135の表面上の標的分析物137の密度と相関している。拡大
図149に示される免疫複合体は、エキソソーム135を含み、これは、(その表面上の標的分析物137を介して)固定化された標的分析物の抗体185と結合し、(その表面上のテトラスパニン156~159のうちの1つを介して)標識テトラスパニン抗体176~179のうちの1つと結合している。試料流体が標的分析物137を含まない場合、免疫複合体は、試験ライン125上の固定化された抗体と結合しない。結果として、試験ライン125は色を変化させない。
【0089】
その表面上の固定化された抗体371に対応する腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196を欠くエキソソームは、試験ライン321上の固定化された抗体371に結合せず、残りの流体材料とともに、試験ストリップ481上の対照ライン130に向かって移動し続けることができる。
【0090】
その表面上の固定化された抗体372に対応する腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196を欠くエキソソームは、試験ライン322上の固定化された抗体372に結合せず、残りの流体材料とともに、試験ストリップ482上の対照ライン130に向かって移動し続けることができる。LFAデバイス400のいくつかの実施形態は、腫瘍特異的タンパク質及び/又は臓器特異的タンパク質を捕捉するために、2つを超える試験ライン341~342を含んでいてもよいことに留意されたい。これらの実施形態は、試験ストリップ481~482と同様の追加の試験ストリップを含んでいてもよい。LFAデバイス400のいくつかの実施形態は、腫瘍特異的タンパク質及び/又は臓器特異的タンパク質を捕捉するために、1つの試験ライン341を含んでいてもよい。これらの実施形態は、試験ストリップ482を含まない場合がある。
【0091】
ステージ404(
図4D)では、流体材料は、試験ストリップ481~483の対照ライン130に到達することができる。拡大
図151に示されるように、流体材料中の遊離標識テトラスパニン抗体(例えば、176~179テトラスパニン抗体)は、固定化されたテトラスパニン(例えば、対応するテトラスパニン156~159)に結合することができる。この結合は、標的分析物が試料流体中に存在していたか否かにかかわらず、試験が正しく動作したことを確認する着色した対照ライン130をもたらすことができる。対照ライン130に結合しない流体材料は、膜125からウィッキングパッド120への毛細管流を維持しながら、試験ストリップ481~483の膜115から試験ストリップ481~483のウィッキングパッド120に流れ続けて、試験ライン125及び対照ライン130によって取り込まれていない流体材料が吸収され得る。
【0092】
図4A~
図4Dを参照すると、LFAデバイス400上の試験の結果は、以下のように解釈され得る。試験の終了時に、試験ライン321~322及び125のいずれも着色していない場合、標的分析物137も、腫瘍特異的タンパク質も、臓器特異的タンパク質も(その抗体が試験ライン321~322上で固定化されていた)、検出可能な量で試料流体190中に存在していなかったことになる。試験の終了時に、試験ライン125が着色しているが、試験ライン321~322のいずれも着色していない場合、標的分析物137(例えば、限定されないが、がんなどの悪性腫瘍の一般的なマーカー)が試料流体中で検出されるが、悪性腫瘍は、任意の特定の腫瘍又は特定の臓器に起因するものではない場合がある。
【0093】
試験ライン125及び試験ライン321~322のうちの少なくとも1つが試験終了時に着色している場合、標的分析物137(例えば、限定されないが、がんなどの悪性腫瘍の一般的なマーカー)が試料流体中で検出される。更に、悪性腫瘍は、着色した試験ライン321~322でエキソソームタンパク質194/196が捕捉された特定の腫瘍又は特定の臓器に高い確率で起因し得る。
【0094】
試験の終了時に、試験ライン125が着色していないが、試験ライン321~322のうちの少なくとも1つが着色している場合、悪性腫瘍に起因する標的分析物137は検出されない。このシナリオでは、試験ライン321~322は、健康な臓器から放出されたエキソソームの表面上に臓器特異的タンパク質が存在すること、又は検出されたエキソソームタンパク質が一般的なマーカー(すなわち、標的分析物タンパク質)を有しない腫瘍によって放出されたことのいずれかに起因して着色していてもよい。
【0095】
図1A~
図1Dの実施形態では、コンジュゲートパッド110は、検出抗体として動作する標識抗体(例えば、標識抗体176~179)を含有し、試験ライン130は、捕捉抗体として動作する固定化された標的分析物の抗体185を含有する。
図5A~
図5Dを参照して以下に記載される実施形態などの他の実施形態では、捕捉抗体及び検出抗体の役割を切り替えてもよい。
【0096】
図5A~
図5Dは、本開示の様々な態様による、標的分析物に特異的な抗体を検出抗体として使用し、標的分析物を捕捉抗体として含有するエキソソームに特異的な1つ以上の抗体を使用する、LFAデバイス500及び方法を例示する機能図である。LFAデバイス500は、ポータブルデバイス(例えば、ハンドヘルドデバイス又はベンチトップデバイス)であってもよく、これは、1つ以上の標的分析物の存在及び/又は量を決定するために試料流体190を分析するために使用される。
【0097】
図5A~
図5DのLFAデバイス500は、LFAデバイス500のコンジュゲートパッド110、試験ライン125、及び対照ライン130がLFAデバイス100とは異なる抗体を含むことを除いて、
図1A~
図1DのLFAデバイス100と同様の構成要素及び構成を含み得る。
【0098】
図5Aを参照すると、試料流体190は、
図1A~
図1Dを参照して上述した試料流体190と同様であり得、エキソソーム135は、
図1A~
図1Dを参照して上述したエキソソーム135と同様であり得、標的分析物は、
図1A~
図1Dを参照して上述した標的分析物137と同様であり得る。
図5Aの拡大
図543に示されるように、コンジュゲートパッド110は、結合試薬として標的分析物の抗体185を含有し得る。標的分析物の抗体185は、標識180に結合されてもよく、標識180は、その自然の状態では、肉眼で又は光学フィルターを利用して、容易に見ることができる。標識180は、限定されないが、例えば、金属ゾル(例えば、コロイド金又は金ゾル)、染料ゾル、着色ラテックス粒子、炭素、蛍光粒子、ユウロピウム標識などの小粒子(例えば、ナノ粒子)で作製され得る。コンジュゲートパッド110の製造中に、標識結合試薬を、コーティング、含浸、又はそれ以外の場合、コンジュゲートパッド110に適用又は堆積させ、次いで乾燥させることができる。
【0099】
試料流体190が試料パッド150からコンジュゲートパッド110に流れ込んだ後、試料流体190は、標識標的分析物の抗体185を可溶化することができる。試料流体がエキソソーム135を含有し、エキソソーム135が
図5Aの拡大
図142に示されるように標的分析物137を含有している場合、標的分析物137は、標識標的分析物の抗体185に結合することができる。
【0100】
拡大
図544に示されるように、試験ライン125は、1つ以上の対応するテトラスパニン(例えば、CD9テトラスパニン0156、CD63テトラスパニン157、CD81テトラスパニン158など)に対する固定化された抗体(例えば、抗体176~179など)を含有していてもよい。試験ラインは、他のタイプのテトラスパニンに対する固定化された抗体(明確にするために示されていない)を含んでいてもよい。拡大
図142に示されるテトラスパニン159は、哺乳動物における34種類のテトラスパニンのうちのいずれかを指し、これには、CD9 156、CD63 157、CD81 158、及びCD82が含まれるが、これらに限定されない。拡大
図143に示されるテトラスパニン抗体179は、CD9抗体、CD63抗体、CD81抗体、CD82抗体などを含むがこれらに限定されないテトラスパニンの抗体を指す。
【0101】
拡大
図545に示されるように、対照ラインは、遊離した標識標的分析物の抗体に結合するために、固定化された標的分析物137を含んでいてもよい。一般に、本実施形態のLFAデバイスの対照ラインは、コンジュゲートパッド110に含まれる抗体のクラスに対する固定化された抗体を含み得る。例えば、標的分析物に対する抗体がIgGクラスである場合、の対照ライン130は、固定化された抗IgG抗体を含み得る。LFAデバイス500の例では、固定化された標的分析物に加えて、又はその代わりに、LFAデバイス500の対照ライン130は、IgGクラスの抗体に対する抗体を含み得る。
【0102】
図5A~
図5Dは、示されるように、4つのステージ501~504を含む。ステージ501(
図2A)では、試料流体190が試料パッド150に適用される。試料流体190が血液を含む場合、LFA500は、血漿フィルター195を有し得、試料流体190は、血漿フィルター195に適用され得る。試料パッド150を含まない実施形態では、試料流体190は、コンジュゲートパッド110に適用されてもよい(又は、試料流体が血液を含む場合、コンジュゲートパッド上に位置する血漿フィルターに適用され得る)。
【0103】
ステージ502(
図5B)では、流体材料は、コンジュゲートパッド110に到達することができる。拡大
図546及び547に示されるように、流体材料中のエキソソーム135の表面上の標的分析物137は、標的分析物の抗体185と結合することができる。試料流体190(
図5A)が採取される対象(例えば、ヒト又は動物)の状態に応じて、試料流体中に標的分析物137を有する任意のエキソソームが存在していてもよく、又は存在していなくてもよいことに留意されたい。
【0104】
標的分析物の抗体185と結合している標的分析物137の表面上にあるエキソソーム135は、免疫複合体を形成することができる。免疫複合体及び残りの流体材料198は、毛細管作用によって、コンジュゲートパッド110から膜115に移動し続けることができる。
【0105】
ステージ503(
図5C)では、流体材料は、試験ライン125に到達することができる。拡大
図549に示されるように、試験ライン125上に固定化されているテトラスパニン抗体(例えば、テトラスパニン抗体176~179)は、標的分析物の抗体185に結合しているエキソソーム135上のテトラスパニン156~159と結合することができる。
【0106】
結合は、第2の免疫複合体(拡大
図549に示される免疫複合体)をもたらす。固定化された第2の免疫複合体上の標識180は、試験ライン125を着色する。テトラスパニンの抗体176~179は試験ライン125に固定化されているため、標的分析物137を有せず、標識標的分析物の抗体に結合していないエキソソームもまた、テトラスパニンの抗体176~179に結合し、試験ライン125に固定化され得る。したがって、試験ラインは、標識を有しないいくつかの粒子を固定化することができる。これらの未標識粒子は、試験ライン125上の一部の固定化されたテトラスパニン抗体176~179に結合し、消費する。
【0107】
したがって、本実施形態のLFAデバイス500の試験ライン125は、十分なテトラスパニン抗体176~179が試験ライン125上に固定化されているため、一部の固定化されたテトラスパニン抗体176~179が標識を担持していないエキソソームによって消費されても、試料流体に標的分析物が含まれている場合、試験ラインが依然として色を変化させるように設計される。いくつかの実施形態では、試験ライン上の固定化されたテトラスパニン抗体176~179の量は、標的分析物が試料流体中に存在している場合に試験ラインが色を変化させることを確実にするために、一連の実験的試験によって決定され得る。標的分析物137に結合しない標識標的分析物の抗体185は、残りの流体材料とともに、対照ライン130及びウィッキングパッド120に向かって移動し続けることができる。
【0108】
ステージ504(
図5D)では、流体材料は、対照ライン130に到達することができる。拡大
図551に示されるように、流体材料中の遊離した標識標的分析物の抗体185は、対照ライン130上の固定化された標的分析物137に結合することができる。この結合は、標的分析物が試料流体中に存在していたか否かにかかわらず、試験が正しく動作したことを確認する着色した対照ライン130をもたらすことができる。
【0109】
上述したように、LFAデバイスのいくつかの実施形態は、複数の試験ラインを含み得る。これらの実施形態のいくつかでは、試験ラインのいくつかは、特定の腫瘍に特異的である及び/又は特定の臓器に特異的であるエキソソームタンパク質を検出するために使用され得る。
図6A~
図6Fは、本開示の様々な態様による、標的分析物に特異的な抗体を検出抗体として使用し、1つ以上の臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質のセット及び標的分析物を捕捉するための複数の試験ラインを含む、LFAデバイス600及び方法を例示する機能図である。LFAデバイス600は、1つ以上の分析対象物、1つ以上の腫瘍特異的タンパク質、及び/又は1つ以上の臓器特異的タンパク質の存在及び/又は量を決定するために、試料流体190を分析するために使用されるポータブルデバイス(例えば、ハンドヘルドデバイス又はベンチトップデバイス)であり得る。
【0110】
図6A~
図6Fを参照すると、LFAデバイス600は、標的分析物137を検出するための試験ライン125を含み得る。いくつかの実施形態では、標的分析物137は、悪性腫瘍を特定する一般的なマーカーであるタンパク質であり得る。LFAデバイス600の試験ライン125は、上述したLFAデバイス100、300、及び500の試験ライン125、と同様であり得る。試験ライン125に加えて、LFAデバイス600は、臓器特異的タンパク質及び/又は腫瘍特異的タンパク質を検出するためのn個(nは1以上の整数である)の試験ライン321~322を含み得る。LFAデバイス600の試験ライン321~322は、
図3A~
図3FのLFAデバイス300の試験ライン321~322と同様であり得る。
【0111】
図6A~
図6Fは、示されるように、6つのステージ601~607を含む。ステージ601(
図6A)では、試料流体190は、試料パッド150に適用され得る。試料流体190が血液を含む場合、LFAデバイス600は、血漿フィルター195を有し得、試料流体190は、血漿フィルター195に適用され得る。試料パッド150を含まない実施形態では、試料流体190は、コンジュゲートパッド110に適用されてもよい(又は、試料流体が血液を含む場合、コンジュゲートパッド上に位置する血漿フィルターに適用され得る)。
図6Aの拡大
図141~拡大
図145は、
図1A、
図3A、及び
図5Aの対応する拡大図と同様の項目を示す。
【0112】
各試験ライン321~322上に固定化されている未標識結合試薬は、臓器特異的タンパク質(例えば、臓器特異的タンパク質196)又は腫瘍特異的タンパク質(例えば、腫瘍特異的タンパク質194)に対する抗体371~372であり得る。上述したように、いくつかのタンパク質は、腫瘍特異的タンパク質及び臓器特異的タンパク質の両方として動作してもよい。LFAデバイス600は、固定化された抗体371~372に結合する臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質が、異なるタンパク質であるように構成されてもよい。
【0113】
図6Aを参照すると、臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質に対する一定量の抗体371が、(拡大
図331に示されるように)試験ライン321上に固定化されてもよく、臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質に対する一定量の抗体372が、(拡大
図332に示されるように)試験ライン322上に固定化されてもよいなどである。腫瘍特異的タンパク質又は臓器特異的タンパク質を捕捉するための2つの試験ライン321~322が示されているが、LFAデバイス600の異なる実施形態は、腫瘍特異的タンパク質又は臓器特異的タンパク質を捕捉するための試験ライン321~322と同様の任意の数の1つ以上の試験ラインを含むことができる。LFAデバイス600の他の構成要素は、上述したLFAデバイス100、300、及び500の対応する構成要素と同様であり得る。
【0114】
ステージ602(
図6B)では、流体材料は、コンジュゲートパッド110に到達することができる。拡大
図546及び拡大
図547に示されるように、流体材料中のエキソソーム135の表面上の標的分析物137は、標的分析物の抗体185と結合することができる。試料流体190(
図5A)が採取される対象(例えば、ヒト又は動物)の状態に応じて、試料流体中に標的分析物137を有する任意のエキソソームが存在していてもよく、又は存在していなくてもよいことに留意されたい。
【0115】
標的分析物の抗体185と結合している標的分析物137の表面上にあるエキソソーム135は、免疫複合体を形成することができる。免疫複合体及び残りの流体材料198は、毛細管作用によって、コンジュゲートパッド110から膜115に移動し続けることができる。
【0116】
ステージ603(
図6C)では、流体材料は、試験ライン321に到達することができる。拡大
図339に示されるように、試験ライン321上に固定化された腫瘍特異的又は臓器特異的抗体371は、テトラスパニン抗体(例えば、テトラスパニン抗体176~179)に結合したエキソソーム135上の対応する腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196と、それらのテトラスパニン(例えば、テトラスパニン156~159)のうちの1つを介して結合することができる。結合は、第2の免疫複合体(拡大
図339に示される免疫複合体)をもたらす。固定化された第2の免疫複合体上の標識180は、試験ライン321を着色する。
【0117】
着色した試験ライン321の強度は、固定化された抗体371に対応する試料流体中のエキソソーム135の表面上の腫瘍特異的又は臓器特異的タンパク質の密度と相関する。第2の免疫複合体は、エキソソーム135を含み、これは(その表面上の腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196を介して)固定化された抗体371と結合し、(その表面上のテトラスパニン156~159のうちの1つを介して)標識テトラスパニン抗体176~179のうちの1つと結合している。試料流体が固定化された抗体371に対応する腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196を含まない場合、免疫複合体は、試験ライン321上の固定化された抗体371と結合しない。結果として、試験ライン321は色を変化させない。
【0118】
その表面上の固定化された抗体371に対応する腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196を欠くエキソソームは、試験ライン321上の固定化された抗体371に結合せず、残りの流体材料とともに、試験ライン342に向かって移動し続けることができる。LFAデバイス600のいくつかの実施形態は、試験ライン341及び125のみを含み得ることに留意されたい。これらの実施形態は、ステージ604を含まない場合がある。これらの実施形態では、結合していない材料は、ステージ305を参照して以下に記載されるように、リストライン321から試験ライン125に向かって移動することができる。
【0119】
ステージ604(
図6D)では、流体材料は、試験ライン322に到達することができる。拡大
図340に示されるように、試験ライン322上に固定化された腫瘍特異的又は臓器特異的抗体372は、テトラスパニン抗体(例えば、テトラスパニン抗体176~179)に結合したエキソソーム135上の対応する腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196と、それらのテトラスパニン(例えば、テトラスパニン156~159)のうちの1つを介して結合することができる。試験ライン322上に固定化されている抗体372に対応する腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196は、試験ライン321上に固定化されている抗体371に対応する腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196とは異なることに留意されたい。試験ライン342上の結合は、第3の免疫複合体(拡大
図340に示される免疫複合体)をもたらす。固定化された第3の免疫複合体上の標識180は、試験ライン322を着色する。
【0120】
着色した試験ライン322の強度は、固定化された抗体372に対応する試料流体中のエキソソーム135の表面上の腫瘍特異的又は臓器特異的タンパク質の密度と相関する。第3の免疫複合体は、エキソソーム135を含み、これは(その表面上の腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196を介して)固定化された抗体372と結合し、(その表面上のテトラスパニン156~159のうちの1つを介して)標識テトラスパニン抗体176~179のうちの1つと結合している。試料流体が固定化された抗体372に対応する腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196を含まない場合、免疫複合体は、試験ライン322上の固定化された抗体372と結合しない。結果として、試験ライン322は色を変化させない。
【0121】
その表面上の固定化された抗体372に対応する腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196を欠くエキソソームは、試験ライン322上の固定化された抗体372に結合せず、残りの流体材料とともに、試験ライン343に向かって移動し続けることができる。LFAデバイス600のいくつかの実施形態は、腫瘍特異的タンパク質及び/又は臓器特異的タンパク質を捕捉するために、2つを超える試験ライン341~342を含んでいてもよいことに留意されたい。これらの実施形態は、304と同様の追加のステージを含んでいてもよい。
【0122】
ステージ605(
図6E)では、流体材料は、試験ライン125に到達することができる。拡大
図549に示されるように、試験ライン125上に固定化されているテトラスパニン抗体(例えば、テトラスパニン抗体176~179)は、標的分析物の抗体185に結合しているエキソソーム135上のテトラスパニン156~159と結合することができる。結合は、免疫複合体(拡大
図549に示される免疫複合体)をもたらす。固定化された免疫複合体上の標識180は、試験ライン125を着色する。
【0123】
テトラスパニンの抗体176~179は試験ライン125に固定化されているため、標的分析物137を有せず、標識標的分析物の抗体に結合していないエキソソームもまた、テトラスパニンの抗体176~179に結合し、試験ライン125に固定化され得る。したがって、試験ラインは、標識を有しないいくつかの粒子を固定化することができる。これらの未標識粒子は、試験ライン125上の一部の固定化されたテトラスパニン抗体176~179に結合し、消費する。
【0124】
したがって、本実施形態のLFAデバイス600の試験ライン125は、十分なテトラスパニン抗体176~179が試験ライン125上に固定化されているため、一部の固定化されたテトラスパニン抗体176~179が標識を担持していないエキソソームによって消費されても、試料流体に標的分析物が含まれている場合、試験ラインが依然として色を変化させるように設計される。いくつかの実施形態では、試験ライン上の固定化されたテトラスパニン抗体176~179の量は、標的分析物が試料流体中に存在している場合に試験ラインが色を変化させることを確実にするために、一連の実験的試験によって決定され得る。
【0125】
試料流体が標的分析物を含まない場合、免疫複合体は、試験ライン125上の固定化された抗体と結合しない。結果として、試験ライン125は色を変化させない。標的分析物137に結合しない標識標的分析物の抗体185は、残りの流体材料とともに、対照ライン130及びウィッキングパッド120に向かって移動し続けることができる。
【0126】
ステージ606(
図6F)では、流体材料は、対照ライン130に到達することができる。拡大
図551に示されるように、流体材料中の遊離した標識標的分析物の抗体185は、対照ライン130上の固定化された標的分析物137に結合することができる。この結合は、標的分析物が試料流体中に存在していたか否かにかかわらず、試験が正しく動作したことを確認する着色した対照ライン130をもたらすことができる。対照ライン130に結合しない流体材料は、膜125からウィッキングパッド120への毛細管流を維持しながら、膜115からウィッキングパッド120に流れ続けて、試験ライン125及び対照ライン130によって取り込まれていない流体材料が吸収され得る。
【0127】
図6A~
図6Dを参照すると、LFAデバイス600上の試験の結果は、以下のように解釈され得る。試験の終了時に、試験ライン321~322及び125のいずれも着色していない場合、標的分析物137も、腫瘍特異的タンパク質も、臓器特異的タンパク質も(その抗体が試験ライン321~322上で固定化されていた)、検出可能な量で試料流体190中に存在していなかったことになる。試験の終了時に、試験ライン125が着色しているが、試験ライン321~322のいずれも着色していない場合、標的分析物137(例えば、限定されないが、がんなどの悪性腫瘍の一般的なマーカー)が試料流体中で検出されるが、悪性腫瘍は、任意の特定の腫瘍又は特定の臓器に起因するものではない場合がある。
【0128】
試験ライン125及び試験ライン321~322のうちの少なくとも1つが試験終了時に着色している場合、標的分析物137(例えば、限定されないが、がんなどの悪性腫瘍の一般的なマーカー)が試料流体中で検出される。更に、悪性腫瘍は、着色した試験ライン321~322でエキソソームタンパク質194/196が捕捉された特定の腫瘍又は特定の臓器に高い確率で起因し得る。
【0129】
試験の終了時に、試験ライン125が着色していないが、少なくとも、試験ライン321~322のうちの1つが着色している場合、悪性腫瘍に起因する標的分析物137は検出されない。このシナリオでは、試験ライン321~322は、健康な臓器から放出されたエキソソームの表面上に臓器特異的タンパク質が存在すること、又は検出されたエキソソームタンパク質が一般的なマーカー(すなわち、標的分析物タンパク質)を有しない腫瘍によって放出されたことのいずれかに起因して着色していてもよい。
【0130】
図6A~
図6Fの実施形態では、複数の試験ライン321~322及び125を、試料パッド150、コンジュゲートパッド110、膜115、対照ライン130、及びウィッキングパッド120も含む同じ試験ストリップ上に配置した。いくつかの実施形態は、各試験ライン321~322及び125を別個のストリップ上に配置することができ、各ストリップは、試料パッド150、コンジュゲートパッド110、膜115、対照ライン130、及びウィッキングパッド120を含み得る。複数のストリップを、同じ試験カートリッジの中に配置することができる。
【0131】
図7A~
図7Dは、本開示の様々な態様による、標的分析物に特異的な抗体を検出抗体として使用し、1つ以上の臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質のセット及び標的分析物を捕捉するための試験ラインを有する複数の試験ストリップを含む、LFAデバイス700及び方法を例示する機能図である。LFAデバイス700は、1つ以上の分析対象物、1つ以上の腫瘍特異的タンパク質、及び/又は1つ以上の臓器特異的タンパク質の存在及び/又は量を決定するために、試料流体190を分析するために使用されるポータブルデバイス(例えば、ハンドヘルドデバイス又はベンチトップデバイス)であり得る。
【0132】
図7A~
図7Dを参照すると、LFAデバイス700は、いくつかの試験ストリップ781~783を含み得る。各々の2つの隣接する試験ストリップは、任意の流体が1つの試験ストリップから他の試験ストリップに流れることを防ぐことができるギャップ770によって分離され得る。複数のストリップLFAデバイス700は、試験ストリップ781~783の両方を包含するカートリッジ(明確にするためにカートリッジのベッド170のみが示されている)を含むことができる。試験ストリップ781~783の各々は、別個の試料パッド150、別個の膜115、別個の試験ライン321~322及び125、別個の対照ライン130、並びに別個のウィッキングパッド120を含み得る。
【0133】
試験ライン125は、ストリップ783上に位置し得、標的分析物137を検出するために使用され得る。いくつかの実施形態では、標的分析物137は、悪性腫瘍を特定する一般的なマーカーであるタンパク質であり得る。LFAデバイス700の試験ライン125は、上述したLFAデバイス100及び300の試験ライン125と同様であり得る。
【0134】
試験ストリップ783上に位置する試験ライン125に加えて、LFAデバイス700は、臓器特異的タンパク質及び/又は腫瘍特異的タンパク質を検出するために、対応する試験ストリップ781~782上に位置するn個(nは1以上の整数である)の試験ライン321~322を含み得る。LFAデバイス100、300、400、及び500の試験ライン125を参照して、試験ライン321~322は、上述したように、多孔質材料で作製され得る。
【0135】
図7A~
図7Dは、示されるように、4つのステージ701~704を含む。ステージ701(
図7A)では、試料流体190は、各試験ストリップ781~783の試料パッド150に適用され得る。試料流体190が血液を含む場合、LFA700は、各試験ストリップ781~783上に血漿フィルター195を有し得、試料流体190は、血漿フィルター195に適用され得る。試料パッド150を含まない実施形態では、試料流体190は、コンジュゲートパッド110に適用されてもよい(又は、試料流体が血液を含む場合、コンジュゲートパッド上に位置する血漿フィルターに適用され得る)。
図7Aの拡大
図141~拡大
図145は、
図1A、
図3A、
図5A、及び
図6Aの対応する拡大図と同様の項目を示す。
【0136】
各試験ライン321~323上に固定化されている未標識結合試薬は、臓器特異的タンパク質(例えば、臓器特異的タンパク質196)又は腫瘍特異的タンパク質(例えば、腫瘍特異的タンパク質194)に対する抗体371~372であり得る。上述したように、いくつかのタンパク質は、腫瘍特異的タンパク質及び臓器特異的タンパク質の両方として動作してもよい。LFAデバイス700は、固定化された抗体371~372に結合する臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質が、異なるタンパク質であるように構成されてもよい。
【0137】
図7Aを参照すると、臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質に対する一定量の抗体371が、(拡大
図331に示されるように)試験ストリップ781上に位置する試験ライン321上に固定化されてもよく、臓器特異的タンパク質又は腫瘍特異的タンパク質に対する一定量の抗体372が、(拡大
図332に示されるように)試験ストリップ782上に位置する試験ライン322上に固定化されてもよいなどである。腫瘍特異的タンパク質又は臓器特異的タンパク質を捕捉するための2つの試験ストリップ781~782及び対応する試験ライン321~322が示されているが、LFAデバイス700の異なる実施形態は、腫瘍特異的タンパク質又は臓器特異的タンパク質を捕捉するための試験ストリップ781~782及び試験ライン321~322と同様の任意の数の1つ以上の試験ストリップ及び対応する試験ラインを含むことができる。LFAデバイス700の他の構成要素は、
図1A~
図1D及び
図3A~
図3Fを参照して上述したLFAデバイス100、300、500、及び600の対応する構成要素と同様であり得る。
【0138】
ステージ702(
図7B)では、流体材料は、試験ストリップ781~783のコンジュゲートパッド110に到達することができる。拡大
図546及び拡大
図547に示されるように、流体材料中のエキソソーム135の表面上の標的分析物137は、標的分析物の抗体185と結合することができる。試料流体190(
図5A)が採取される対象(例えば、ヒト又は動物)の状態に応じて、試料流体中に標的分析物137を有する任意のエキソソームが存在していてもよく、又は存在していなくてもよいことに留意されたい。
【0139】
標的分析物の抗体185と結合している標的分析物137の表面上にあるエキソソーム135は、免疫複合体を形成することができる。免疫複合体及び残りの流体材料198は、毛細管作用によって、コンジュゲートパッド110から膜115に移動し続けることができる。
【0140】
ステージ703(
図7C)では、流体材料は、試験ライン321~322及び125に到達することができる。拡大
図339に示されるように、試験ライン321上に固定化された腫瘍特異的又は臓器特異的抗体371は、テトラスパニン抗体(例えば、テトラスパニン抗体176~179)に結合したエキソソーム135上の対応する腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196と、それらのテトラスパニン(例えば、テトラスパニン156~159)のうちの1つを介して結合することができる。結合は、免疫複合体(拡大
図339に示される免疫複合体)をもたらす。固定化された第2の免疫複合体上の標識180は、試験ライン321を着色する。
【0141】
着色した試験ライン321の強度は、固定化された抗体371に対応する試料流体中のエキソソーム135の表面上の腫瘍特異的又は臓器特異的タンパク質の密度と相関する。拡大
図339に示される免疫複合体は、エキソソーム135を含み、これは(その表面上の腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196を介して)固定化された抗体371と結合し、(その表面上のテトラスパニン156~159のうちの1つを介して)標識テトラスパニン抗体176~179のうちの1つと結合している。試料流体が固定化された抗体371に対応する腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196を含まない場合、免疫複合体は、試験ライン321上の固定化された抗体371と結合しない。結果として、試験ライン321は色を変化させない。
【0142】
拡大
図340に示されるように、試験ライン322上に固定化された腫瘍特異的又は臓器特異的抗体372は、テトラスパニン抗体(例えば、テトラスパニン抗体176~179)に結合したエキソソーム135上の対応する腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196と、それらのテトラスパニン(例えば、テトラスパニン156~159)のうちの1つを介して結合することができる。試験ライン322上に固定化されている抗体372に対応する腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196は、試験ライン321上に固定化されている抗体371に対応する腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196とは異なることに留意されたい。試験ライン342上の結合は、免疫複合体(拡大
図340に示される免疫複合体)をもたらす。固定化された免疫複合体上の標識180は、試験ライン322を着色する。
【0143】
着色した試験ライン322の強度は、固定化された抗体372に対応する試料流体中のエキソソーム135の表面上の腫瘍特異的又は臓器特異的タンパク質の密度と相関する。拡大
図340に示される免疫複合体は、エキソソーム135を含み、これは(その表面上の腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196を介して)固定化された抗体372と結合し、(その表面上のテトラスパニン156~159のうちの1つを介して)標識テトラスパニン抗体176~179のうちの1つと結合している。試料流体が固定化された抗体372に対応する腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196を含まない場合、免疫複合体は、試験ライン322上の固定化された抗体372と結合しない。結果として、試験ライン322は色を変化させない。
【0144】
拡大
図549に示されるように、試験ライン125上に固定化されているテトラスパニン抗体(例えば、テトラスパニン抗体176~179)は、標的分析物の抗体185に結合しているエキソソーム135上のテトラスパニン156~159と結合することができる。結合は、免疫複合体(拡大
図549に示される免疫複合体)をもたらす。固定化された免疫複合体上の標識180は、試験ライン125を着色する。
【0145】
テトラスパニンの抗体176~179は試験ライン125に固定化されているため、標的分析物137を有せず、標識標的分析物の抗体に結合していないエキソソームもまた、テトラスパニンの抗体176~179に結合し、試験ライン125に固定化され得る。したがって、試験ラインは、標識を有しないいくつかの粒子を固定化することができる。これらの未標識粒子は、試験ライン125上の一部の固定化されたテトラスパニン抗体176~179に結合し、消費する。
【0146】
したがって、本実施形態のLFAデバイス700の試験ライン125は、十分なテトラスパニン抗体176~179が試験ライン125上に固定化されているため、一部の固定化されたテトラスパニン抗体176~179が標識を担持していないエキソソームによって消費されても、試料流体に標的分析物が含まれている場合、試験ラインが依然として色を変化させるように設計される。いくつかの実施形態では、試験ライン上の固定化されたテトラスパニン抗体176~179の量は、標的分析物が試料流体中に存在している場合に試験ラインが色を変化させることを確実にするために、一連の実験的試験によって決定され得る。
【0147】
試料流体が標的分析物を含まない場合、免疫複合体は、試験ライン125上の固定化された抗体と結合しない。結果として、試験ライン125は色を変化させない。標的分析物137に結合しない標識標的分析物の抗体185は、残りの流体材料とともに、対照ライン130及びウィッキングパッド120に向かって移動し続けることができる。
【0148】
その表面上の固定化された抗体371に対応する腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196を欠くエキソソームは、試験ライン321上の固定化された抗体371に結合せず、残りの流体材料とともに、試験ストリップ781上の対照ライン130に向かって移動し続けることができる。
【0149】
その表面上の固定化された抗体372に対応する腫瘍特異的タンパク質194又は臓器特異的タンパク質196を欠くエキソソームは、試験ライン322上の固定化された抗体372に結合せず、残りの流体材料とともに、試験ストリップ782上の対照ライン130に向かって移動し続けることができる。LFAデバイス700のいくつかの実施形態は、腫瘍特異的タンパク質及び/又は臓器特異的タンパク質を捕捉するために、2つを超える試験ライン341~342を含んでいてもよいことに留意されたい。これらの実施形態は、試験ストリップ781~782と同様の追加の試験ストリップを含んでいてもよい。LFAデバイス700のいくつかの実施形態は、腫瘍特異的タンパク質及び/又は臓器特異的タンパク質を捕捉するために、1つの試験ライン341を含んでいてもよい。これらの実施形態は、試験ストリップ782を含まない場合がある。
【0150】
ステージ704(
図7D)では、流体材料は、試験ストリップ781~783の対照ライン130に到達することができる。拡大
図551に示されるように、流体材料中の遊離した標識標的分析物の抗体185は、対照ライン130上の固定化された標的分析物137に結合することができる。この結合は、標的分析物が試料流体中に存在していたか否かにかかわらず、試験が正しく動作したことを確認する着色した対照ライン130をもたらすことができる。
【0151】
対照ライン130に結合しない流体材料は、膜125からウィッキングパッド120への毛細管流を維持しながら、試験ストリップ781~783の膜115から試験ストリップ781~783のウィッキングパッド120に流れ続けて、試験ライン125及び対照ライン130によって取り込まれていない流体材料が吸収され得る。
【0152】
図7A~
図7Dを参照すると、LFAデバイス700上の試験の結果は、以下のように解釈され得る。試験の終了時に、試験ライン321~322及び125のいずれも着色していない場合、標的分析物137も、腫瘍特異的タンパク質も、臓器特異的タンパク質も(その抗体が試験ライン321~322上で固定化されていた)、検出可能な量で試料流体190中に存在していなかったことになる。試験の終了時に、試験ライン125が着色しているが、試験ライン321~322のいずれも着色していない場合、標的分析物137(例えば、限定されないが、がんなどの悪性腫瘍の一般的なマーカー)が試料流体中で検出されるが、悪性腫瘍は、任意の特定の腫瘍又は特定の臓器に起因するものではない場合がある。
【0153】
試験ライン125及び試験ライン321~322のうちの少なくとも1つが試験終了時に着色している場合、標的分析物137(例えば、限定されないが、がんなどの悪性腫瘍の一般的なマーカー)が試料流体中で検出される。更に、悪性腫瘍は、着色した試験ライン321~322でエキソソームタンパク質194/196が捕捉された特定の腫瘍又は特定の臓器に高い確率で起因し得る。
【0154】
試験の終了時に、試験ライン125が着色していないが、少なくとも、試験ライン321~322のうちの1つが着色している場合、悪性腫瘍に起因する標的分析物137は検出されない。このシナリオでは、試験ライン321~322は、健康な臓器から放出されたエキソソームの表面上に臓器特異的タンパク質が存在すること、又は検出されたエキソソームタンパク質が一般的なマーカー(すなわち、標的分析物タンパク質)を有しない腫瘍によって放出されたことのいずれかに起因して着色していてもよい。
【0155】
II.標的分析物を含有するエキソソームに特異的な抗体を使用することによって標的分析物を検出し、捕捉するELISAデバイス
図8A~
図8Iは、本開示の様々な態様による、標的分析物を含有するエキソソームに特異的な抗体及び標的分析物に特異的な固定化された抗体を使用することによって標的分析物を検出及び捕捉する、ELISAデバイス800及び方法を例示する機能図である。ELISAデバイス800は、ポータブルデバイス(例えば、ハンドヘルドデバイス又はベンチトップデバイス)であってもよく、これは、典型的には研究室環境で、1つ以上の標的分析物の存在及び/又は量を決定するための試料流体を分析するために使用される。
【0156】
ELISAデバイス800は、マイクロプレート810を含み得る。マイクロプレート810は、異なる数のウェル(又はキャビティ)820を含み得る。例えば、サンドイッチ形式のELISAデバイスのマイクロプレートは、96ウェル、384ウェル、1536ウェルなどを含み得る。
図8A~
図8Iの例では、ELISAデバイス800は、8行12列に配置された96ウェルを含む。
【0157】
マイクロプレート810は、例えば、限定されないが、ポリスチレン、ポリスチレンの誘導体、ポリ塩化ビニル(PVC)などのプラスチック材料で作製することができる。異なるウェル820は、同じ又は異なる対象からの試料を含み得る。例えば、2つ以上のウェルは、異なる時間に同じヒトから採取された試料流体を含むように使用され得、かつ/又は同じヒトから採取された異なる濃度の試料を含み得る。2つ以上のウェルは、異なるヒトからの試料流体を含み得る。同じ試験を、全てのウェル820の試料に対して並行して行うことができる。
【0158】
図8A~
図8Iは、示されるように、9つのステージ801~809を含む。ステージ801(
図8A)の拡大
図841に示されるように、標的分析物の抗体185は、ウェル820のうちの1つ以上の底部に固定化され得る。標的分析物の抗体185は、ステージ801で好適に希釈されたコーティング緩衝液として、試験に使用され得る1つ以上のウェル820に適用され得る。コーティング緩衝液は、ウェル820の表面に吸着されるまでインキュベートすることができる。吸着は、抗体185上のアミノ酸側鎖とウェル820のプラスチック表面との間の疎水性相互作用の結果として受動的に生じ得る。吸着は、時間、温度、及びコーティング緩衝液のpH、並びに抗体185の濃度に依存し得る。
【0159】
ステージ802(
図8B)では、試料流体190は、試験で使用されるウェル820に添加され得る。拡大
図842に示されるように、試料流体は、
図1Aの試料流体と同様の組成を有し得る。拡大
図843に示されるように、エキソソーム135は、
図1Aを参照して上述したエキソソームと同様の組成を有し得る。
【0160】
ステージ803(
図8C)では、その表面上に標的分析物137を含む流体試料中のエキソソームは、ウェル820内の固定化された標的分析物の抗体185と結合することができる。拡大
図844に示されるように、標的分析物を表面上に含まないエキソソーム835などのエキソソームは、固定化された標的分析物の抗体185と結合しない場合がある。流体試料は、標的分析物137が固定化された標的分析物の抗体185と結合するために、ウェル820内に好適な時間放置することができる。
【0161】
ステージ804(
図8D)では、結合していない材料198及び835(
図8C)を洗い流してもよい。いくつかの実施形態では、洗浄は、洗浄緩衝液を適用することによって1回以上行って、結合していない材料を完全に除去することができる。拡大
図845に示されるように、固定化された標的分析物の抗体185に結合した標的分析物137を有するエキソソーム135のみが、ステージ804の終了時にウェル820内に残され得る。
【0162】
ステージ805(
図8E)では、テトラスパニン抗体を含有する一定量の流体860が、ウェル820に添加され得る。拡大
図846に示されるように、テトラスパニン抗体(例えば、テトラスパニン抗体876~879)は、ステージ804(
図8D)のウェル820に固定化され得るエキソソームの表面上の対応するテトラスパニン(例えば、テトラスパニン156~159)に結合する抗体を含み得る。テトラスパニン抗体876~879は、酵素を含み得、これは、試験の後のステージでウェルに添加され得る基質材料と相互作用した後、色が変化し得る。
【0163】
ステージ806(
図8F)では、テトラスパニン抗体は、固定化されたエキソソームの表面上にある対応するテトラスパニンと結合することができる。拡大
図847に示されるように、テトラスパニン抗体876~879は、固定化されたエキソソーム135の表面上にある対応するテトラスパニン156~159と結合することができる。一部のテトラスパニン抗体870は、テトラスパニン抗体を含有する流体860(
図8E)中に過剰なテトラスパニン抗体が存在する可能性があるか、又はエキソソーム135の表面上に一致するテトラスパニンが存在しない可能性があるため、いずれのエキソソームとも結合しない場合がある。
【0164】
ステージ807(
図8G)では、結合していないテトラスパニン抗体870(
図8F)を洗い流してもよい。いくつかの実施形態では、洗浄は、洗浄緩衝液を適用することによって1回以上行って、結合していない材料を完全に除去することができる。拡大
図848に示されるように、固定化されたエキソソーム135の表面上にある対応するテトラスパニン156~159と結合するテトラスパニン抗体876~879のみが、ステージ807の終了時にウェル820内に残され得る。
【0165】
ステージ808(
図8H)では、一定量の基質885を含有する液体880が、ウェル820に添加され得る。拡大
図849に示される基質885は、テトラスパニン抗体876~879上の酵素によって変換され得る。
【0166】
ステージ809(
図8I)の拡大
図851に示されるように、基質885は、テトラスパニン抗体876~878上の酵素によって変換されて、存在する標的分析物137の量に比例する強度で、色の変化895を生成することができる。使用される酵素及び基質に応じて、読み出しは蛍光又は発光であり得る。着色した最終生成物は、分析物の濃度を表す吸光度値として分光光度計で読み取ることができる。試料流体が標的分析物を有するエキソソームを含有していなかった場合、最終生成物の色は変化せず、試料流体中に標的分析物が欠如していることを示し得る。
【0167】
図8A~
図8Iの実施形態では、標的分析物の抗体185は、ELISAデバイスウェル820に固定化される。
図9A~9Iを参照して以下に記載される実施形態などの他の実施形態では、テトラスパニン抗体は、ELISAデバイスのウェル820に固定化され得る。
【0168】
図9A~
図9Iは、本開示の様々な態様による、標的分析物及び標的分析物に特異的な抗体を含有するエキソソームに特異的な固定化された抗体を使用することによって、標的分析物を検出及び捕捉する、ELISAデバイス900及び方法を示す機能図である。ELISAデバイス900の構造は、
図8A~
図8IのELISAデバイス800の構造と同様であり得る。
【0169】
図9A~
図9Iは、示されるように、9つのステージ901~909を含む。ステージ901(
図9A)の拡大
図941に示されるように、1つ以上のタイプのテトラスパニンタンパク質の抗体179は、ウェル820のうちの1つ以上の底部に固定化され得る。抗体179は、エキソソームの表面上に存在するテトラスパニンタンパク質159(例えば、限定されないが、CD9テトラスパニンタンパク質、CD63テトラスパニンタンパク質、CD81テトラスパニンタンパク質、及びCD82テトラスパニンタンパク質などのうちの1つ以上)に対する抗体(
図1A)であり得る。
【0170】
テトラスパニン抗体179は、ステージ901で、試験に使用され得る1つ以上のウェル820に、好適に希釈されたコーティング緩衝液として適用され得る。コーティング緩衝液は、ウェル820の表面に吸着されるまでインキュベートすることができる。吸着は、抗体179上のアミノ酸側鎖とウェル820のプラスチック表面との間の疎水性相互作用の結果として受動的に生じ得る。吸着は、時間、温度、及びコーティング緩衝液のpH、並びに抗体179の濃度に依存し得る。
【0171】
ステージ902(
図9B)では、試料流体190は、試験で使用されるウェル820に添加され得る。拡大
図842に示されるように、試料流体は、
図1A及び
図8Bの試料流体と同様の組成を有し得る。拡大
図843に示されるように、エキソソーム135は、
図1Aを参照して上述したエキソソームと同様の組成を有し得る。
【0172】
ステージ903(
図9C)では、エキソソーム135の表面上のテトラスパニンは、ウェル820内の固定化されたテトラスパニン抗体179と結合することができる。
【0173】
拡大
図944に示されるように、試料流体材料中のエキソソーム135の表面上のテトラスパニン(例えば、テトラスパニン156~159)は、対応するテトラスパニン抗体(例えば、テトラスパニン抗体179)と結合することができる。ステージ903では、一部のエキソソーム135(例えば、拡大
図945に示されるように)は、その表面上に標的分析物137を含有していてもよく、一方、一部のエキソソーム135(例えば、拡大
図946に示されるように)は、標的分析物137を含有していなくてもよい。試料流体190(
図9C)が採取される対象(例えば、ヒト又は動物)の状態に応じて、試料流体中に標的分析物137を有する任意のエキソソームが存在していてもよく、又は存在していなくてもよいことに留意されたい。
【0174】
対応するテトラスパニン抗体179に結合しているエキソソーム135は、免疫複合体を形成することができる。流体試料は、エキソソーム135の表面上のテトラスパニンが固定化された対応するテトラスパニン抗体179と結合するために、ウェル820内に好適な時間放置することができる。
【0175】
ステージ904(
図9D)では、結合していない材料198及び835(
図9C)を洗い流してもよい。いくつかの実施形態では、洗浄は、洗浄緩衝液を適用することによって1回以上行って、結合していない材料を完全に除去することができる。拡大
図947に示されるように、固定化されたテトラスパニン抗体179に結合したテトラスパニンを有するエキソソーム135のみが、ステージ904の終了時にウェル820内に残され得る。
【0176】
ステージ905(
図9E)では、(拡大
図948に示されるように)標的分析物の抗体185を含有する一定量の流体960が、ウェル820に添加され得る。標的分析物の抗体185は、酵素を含み得、これは、試験の後のステージでウェルに添加され得る基質材料と相互作用した後、色が変化し得る。
【0177】
ステージ906(
図9F)では、標的分析物の抗体185は、(拡大
図949に示されるように)固定化されたテトラスパニン抗体179に結合しているエキソソームの表面上にある標的分析物137と結合することができる。一部の標的分析物の抗体185は、例えば、標的分析物の抗体185を含有する流体860(
図9E)中に過剰な標的分析物の抗体185が存在する可能性があるため、いずれの標的分析物137とも結合しない場合がある。
【0178】
ステージ907(
図9G)では、結合していない標的分析物の抗体185(
図9F)を洗い流してもよい。いくつかの実施形態では、洗浄は、洗浄緩衝液を適用することによって1回以上行って、結合していない材料を完全に除去することができる。拡大
図950に示されるように、固定化されたエキソソーム135の表面上にある標的分析物137と結合する標的分析物の抗体185のみが、ステージ907の終了時にウェル820内に残され得る。
【0179】
ステージ908(
図9H)では、一定量の基質885を含有する液体880が、ウェル820に添加され得る。拡大
図951に示される基質885は、テトラスパニン抗体876~878上の酵素によって変換され得る。
【0180】
ステージ909(
図9I)の拡大
図952に示されるように、基質885は、標的分析物の抗体185上の酵素によって変換されて、存在する標的分析物137の量に比例する強度で、色の変化895を生成することができる。使用される酵素及び基質に応じて、読み出しは蛍光又は発光であり得る。着色した最終生成物は、分析物の濃度を表す吸光度値として分光光度計で読み取ることができる。試料流体が標的分析物を有するエキソソームを含有していなかった場合、最終生成物の色は変化せず、試料流体中に標的分析物が欠如していることを示し得る。
【0181】
第1の態様では、ラテラルフローアッセイデバイスが提供される。ラテラルフローアッセイデバイスは、試験ストリップを備え、これは、一定量のエキソソームを含む一定量の流体を受容し、かつエキソソームの表面上の標的分析物の存在を検出するように構成されている。試験ストリップは、コンジュゲートパッドを含む。コンジュゲートパッドは、標識とコンジュゲートされた1つ以上のタイプのテトラスパニン結合試薬のセットを含有するように構成されている。各タイプのテトラスパニン結合試薬は、対応するタイプのエキソソームテトラスパニンと結合し、かつエキソソームを含む免疫複合体を形成するように構成されている。コンジュゲートパッドは、試験の開始後に流体を受容し、かつ毛細管作用によって流体を移動させるように構成されている。試験ストリップは、コンジュゲートパッドに流体的に接続された膜を含む。膜は、毛細管作用によって流体を移動させるように構成されている。膜は、標的分析物に対する固定化された結合試薬を含む試験ラインを含む。標的分析物に対する固定化された結合試薬は、エキソソームを含む免疫複合体中のエキソソームの表面上の標的分析物のタンパク質に結合するように構成されている。
【0182】
試験ラインが第1の試験ラインである第1の態様の実施形態では、膜は、第1のタイプのタンパク質に対する固定化された結合試薬を含む第2の試験ラインを更に含む。第1のタイプのタンパク質は、腫瘍特異的タンパク質及び臓器特異的タンパク質のうちの1つである。第1のタイプのタンパク質に対する結合試薬は、エキソソームを含む免疫複合体中のエキソソームの表面上の第1のタイプのタンパク質に結合するように構成されている。
【0183】
第1の態様の別の実施形態では、標的分析物に対する結合試薬は、標的分析物の抗体である。各タイプのテトラスパニン結合試薬は、あるタイプのテトラスパニン抗体である。第1のタイプのタンパク質に対する結合試薬は、第1のタイプのタンパク質に対する抗体である。
【0184】
試験ラインが第1の試験ラインである第1の態様の別の実施形態では、膜は、第1の試験ライン以外の複数の試験ラインを更に含み、複数の試験ラインの各試験ラインは、対応する複数のタイプのタンパク質のうちの1つに対する固定化された結合試薬を含み、複数のタイプのタンパク質の各タイプのタンパク質は、腫瘍特異的タンパク質及び臓器特異的タンパク質のうちの1つであり、複数の試験ラインの各試験ライン上の結合試薬は、エキソソームを含む免疫複合体中のエキソソームの表面上の対応するタイプのタンパク質に結合するように構成されている。
【0185】
試験ストリップが第1の試験ストリップである第1の態様の別の実施形態では、ラテラルフローアッセイデバイスは、第2の試験ストリップを更に含む。第2の試験ストリップは、コンジュゲートパッドを含む。第2の試験ストリップのコンジュゲートパッドは、標識とコンジュゲートされた1つ以上のタイプのテトラスパニン抗体のセットを含有するように構成されている。第2の試験ストリップのコンジュゲートパッドは、試験の開始後に流体を受容し、かつ毛細管作用によって流体を移動させるように構成されている。第2の試験ストリップは、第2の試験ストリップのコンジュゲートパッドに流体的に接続された膜を含む。第2の試験ストリップの膜は、毛細管作用によって流体を移動させるように構成されている。第2の試験ストリップの膜は、第1のタイプのタンパク質に対する固定化された結合試薬を含む試験ラインを含む。第1のタイプのタンパク質は、腫瘍特異的タンパク質及び臓器特異的タンパク質のうちの1つである。第1のタイプのタンパク質に対する結合試薬は、エキソソームを含む免疫複合体中のエキソソームの表面上の第1のタイプのタンパク質に結合するように構成されている。
【0186】
試験ストリップが第1の試験ストリップである第1の態様の別の実施形態では、ラテラルフローアッセイデバイスは、第1の試験ストリップ以外の複数の試験ストリップを更に含む。複数の試験ストリップの各試験ストリップは、コンジュゲートパッドを含む。複数の試験ストリップの各試験ストリップのコンジュゲートパッドは、標識とコンジュゲートされた1つ以上のタイプのテトラスパニン抗体のセットを含有するように構成されている。複数の試験ストリップの各試験ストリップのコンジュゲートパッドは、試験の開始後に流体を受容し、かつ毛細管作用によって流体を移動させるように構成されている。複数の試験ストリップの各試験ストリップは、対応する試験ストリップのコンジュゲートパッドに流体的に接続された膜を含む。複数の試験ストリップの各試験ストリップの膜は、毛細管作用によって流体を移動させるように構成されている。複数の試験ストリップの各試験ストリップの膜は、対応する複数のタイプのタンパク質のうちの1つに対する固定化された結合試薬を含む試験ラインを含む。複数のタイプのタンパク質の各タイプのタンパク質は、腫瘍特異的タンパク質及び臓器特異的タンパク質のうちの1つである。複数の試験ストリップの各試験ストリップの試験ストリップ上の結合試薬は、エキソソームを含む免疫複合体中のエキソソームの表面上の対応するタイプのタンパク質に結合するように構成されている。
【0187】
第1の態様の別の実施形態では、膜は、コンジュゲートパッドが含有するテトラスパニン結合試薬のクラスに対する固定化された結合試薬を含む対照ラインを含む。
【0188】
第1の態様の別の実施形態では、標識は、コロイド金を含む金属ゾル、色素ゾル、着色ラテックス粒子、炭素、蛍光粒子、ユウロピウム標識などのうちの少なくとも1つを含む検出物質である。
【0189】
第1の態様の実施形態は、膜からウィッキングパッドへの毛細管流を維持するように構成されたウィッキングパッドと、流体を受容し、かつ毛細管作用によって試料流体をコンジュゲートパッドに移送するように構成された試料パッドと、を更に含む。
【0190】
第1の態様の実施形態は、流体を受容し、流体をコンジュゲートパッド及びラテラルフローアッセイデバイスの試料パッドのうちの1つに移送するように構成されたプラズマフィルターを更に含む。
【0191】
第2の態様では、ラテラルフローアッセイデバイスが提供される。ラテラルフローアッセイデバイスは、一定量のエキソソームを含む一定量の流体を受容し、かつエキソソームの表面上の標的分析物の存在を検出するように構成された試験ストリップを備える。試験ストリップは、コンジュゲートパッドを含む。コンジュゲートパッドは、標識とコンジュゲートされた標的分析物に対する結合試薬を含むように構成されている。標的分析物に対する結合試薬は、エキソソームの表面上の標的分析物のタンパク質に結合し、かつエキソソームを含む免疫複合体を形成するように構成されている。コンジュゲートパッドは、試験の開始後に流体を受容し、かつ毛細管作用によって流体を移動させるように構成されている。試験ストリップは、コンジュゲートパッドに流体的に接続された膜を含む。膜は、毛細管作用によって流体を移動させるように構成されている。膜は、試験ライン上に固定化された1つ以上のタイプのテトラスパニン結合試薬のセットを含む試験ラインを含む。各タイプのテトラスパニン結合試薬は、エキソソームを含む免疫複合体中の対応するタイプのエキソソームテトラスパニンと結合するように構成されている。
【0192】
試験ラインが第1の試験ラインである第2の態様の実施形態では、膜は、第1のタイプのタンパク質に対する固定化された結合試薬を含む第2の試験ラインを更に含む。第1のタイプのタンパク質は、腫瘍特異的タンパク質及び臓器特異的タンパク質のうちの1つである。第1のタイプのタンパク質に対する結合試薬は、エキソソームを含む免疫複合体中のエキソソームの表面上の第1のタイプのタンパク質に結合するように構成されている。
【0193】
第2の態様の別の実施形態では、標的分析物に対する結合試薬は、標的分析物の抗体である。各タイプのテトラスパニン結合試薬は、あるタイプのテトラスパニン抗体である。第1のタイプのタンパク質に対する結合試薬は、第1のタイプのタンパク質に対する抗体である。
【0194】
試験ラインが第1の試験ラインである第2の態様の別の実施形態では、膜は、第1の試験ライン以外の複数の試験ラインを更に含む。複数の試験ラインの各試験ラインは、対応する複数のタイプのタンパク質のうちの1つに対する固定化された結合試薬を含む。複数のタイプのタンパク質の各タイプのタンパク質は、腫瘍特異的タンパク質及び臓器特異的タンパク質のうちの1つである。複数の試験ラインの各試験ライン上の結合試薬は、エキソソームを含む免疫複合体中のエキソソームの表面上の対応するタイプのタンパク質に結合するように構成されている。
【0195】
試験ストリップが第1の試験ストリップである第2の態様の別の実施形態では、ラテラルフローアッセイデバイスは、第2の試験ストリップを更に含む。第2の試験ストリップは、コンジュゲートパッドを含む。第2の試験ストリップのコンジュゲートパッドは、標識とコンジュゲートされた標的分析物に対する結合試薬を含有するように構成されている。第2の試験ストリップのコンジュゲートパッドは、試験の開始後に流体を受容し、かつ毛細管作用によって流体を移動させるように構成されている。第2の試験ストリップは、第2の試験ストリップのコンジュゲートパッドに流体的に接続された膜を含む。第2の試験ストリップの膜は、毛細管作用によって流体を移動させるように構成されている。第2の試験ストリップの膜は、第1のタイプのタンパク質に対する固定化された結合試薬を含む試験ラインを含む。第1のタイプのタンパク質は、腫瘍特異的タンパク質及び臓器特異的タンパク質のうちの1つである。第1のタイプのタンパク質に対する結合試薬は、エキソソームを含む免疫複合体中のエキソソームの表面上の第1のタイプのタンパク質に結合するように構成されている。
【0196】
試験ストリップが第1の試験ストリップである第2の態様の別の実施形態では、ラテラルフローアッセイデバイスは、第1の試験ストリップ以外の複数の試験ストリップを更に含む。複数の試験ストリップの各試験ストリップは、コンジュゲートパッドを含む。複数の試験ストリップの各試験ストリップのコンジュゲートパッドは、標識とコンジュゲートされた標的分析物に対する結合試薬を含有するように構成されている。複数の試験ストリップの各試験ストリップのコンジュゲートパッドは、試験の開始後に流体を受容し、かつ毛細管作用によって流体を移動させるように構成されている。複数の試験ストリップの各試験ストリップは、対応する試験ストリップのコンジュゲートパッドに流体的に接続された膜を含む。複数の試験ストリップの各試験ストリップの膜は、毛細管作用によって流体を移動させるように構成されている。複数の試験ストリップの各試験ストリップの膜は、対応する複数のタイプのタンパク質のうちの1つに対する固定化された結合試薬を含む試験ラインを含む。複数のタイプのタンパク質の各タイプのタンパク質は、腫瘍特異的タンパク質及び臓器特異的タンパク質のうちの1つである。複数の試験ストリップの各試験ストリップの試験ストリップ上の結合試薬は、エキソソームを含む免疫複合体中のエキソソームの表面上の対応するタイプのタンパク質に結合するように構成されている。
【0197】
第2の態様の別の実施形態では、膜は、コンジュゲートパッドが含有する標的分析物に対する結合試薬のクラスに対する固定化された結合試薬を含む対照ラインを含む。
【0198】
第2の態様の別の実施形態では、標識は、コロイド金を含む金属ゾル、色素ゾル、着色ラテックス粒子、炭素、蛍光粒子、ユウロピウム標識などのうちの少なくとも1つを含む検出物質である。
【0199】
第2の態様の実施形態は、膜からウィッキングパッドへの毛細管流を維持するように構成されたウィッキングパッドと、流体を受容し、かつ毛細管作用によって試料流体をコンジュゲートパッドに移送するように構成された試料パッドと、を更に含む。
【0200】
第2の態様の別の実施形態は、流体を受容し、流体をコンジュゲートパッド及びラテラルフローアッセイデバイスの試料パッドのうちの1つに移送するように構成されたプラズマフィルターを更に含む。
【0201】
第3の態様では、一定量のエキソソームを含む一定量の流体を受容し、かつエキソソームの表面上の標的分析物の存在を検出する、方法及びイムノアッセイデバイスが提供される。イムノアッセイデバイスは、検出部位及び捕捉部位を含む。方法及びイムノアッセイデバイスは、検出部位と捕捉部位との間の流体移送を行う。検出部位は、標識とコンジュゲートされた1つ以上のタイプのテトラスパニン結合試薬のセットを含むように構成されている。各タイプのテトラスパニン結合試薬は、対応するタイプのエキソソームテトラスパニンと結合し、かつエキソソームを含む免疫複合体を形成するように構成されている。捕捉部位は、標的分析物に対する固定化された結合試薬を含む。標的分析物に対する固定化された結合試薬は、エキソソームを含む免疫複合体中のエキソソームの表面上の標的分析物のタンパク質に結合するように構成されている。
【0202】
第3の態様の実施形態では、検出部位及び捕捉部位は、イムノアッセイデバイスの異なる領域である。
【0203】
検出部位及び捕捉部位がイムノアッセイデバイスの異なる領域である第3の態様の実施形態では、イムノアッセイデバイスは、ラテラルフローアッセイデバイスである。
【0204】
第3の態様の実施形態では、検出部位及び捕捉部位は、イムノアッセイデバイスの同じ領域である。
【0205】
検出部位及び捕捉部位がイムノアッセイデバイスの同じ領域である第3の態様の実施形態では、イムノアッセイデバイスは、ELISAデバイスである。
【0206】
第3の態様の実施形態では、検出部位と捕捉部位との間の流体移送は、毛細管作用によって行われる。
【0207】
検出部位と捕捉部位との間の流体移送が毛細管作用によって行われる第3の態様の実施形態では、イムノアッセイデバイスは、LFAデバイス及びマイクロ流体デバイスのうちの1つである。
【0208】
第3の態様の実施形態では、検出部位と捕捉部位との間の流体移送は、マイクロ流体チップ又は媒体によって行われる。
【0209】
第3の態様の実施形態では、検出部位と捕捉部位との間の流体移送は、自動液体処理システムによって行われる。
【0210】
検出部位と捕捉部位との間の流体移送が自動液体処理システムによって行われる第3の態様の実施形態では、イムノアッセイデバイスはELISAデバイスである。
【0211】
第3の態様の実施形態では、検出部位と捕捉部位との間の流体移送は、マイクロ流体デバイスと組み合わせて、自動液体処理システムによって行われる。
【0212】
第3の態様の実施形態では、検出部位と捕捉部位との間の流体移送は、手動移送によって行われる。
【0213】
第3の態様の実施形態では、検出部位と捕捉部位との間の流体移送は、手動移送によって行われ、イムノアッセイデバイスは、ELISAデバイスである。
【0214】
第4の態様では、一定量のエキソソームを含む一定量の流体を受容し、かつエキソソームの表面上の標的分析物の存在を検出する、方法及びイムノアッセイデバイスが提供される。イムノアッセイデバイスは、検出部位及び捕捉部位を含む。方法及びイムノアッセイデバイスは、検出部位と捕捉部位との間の流体移送を行う。検出部位は、標識とコンジュゲートされた標的分析物に対する結合試薬を含有するように構成されている。標的分析物に対する結合試薬は、エキソソームの表面上の標的分析物のタンパク質に結合し、かつエキソソームを含む免疫複合体を形成するように構成されている。捕捉部位は、捕捉部位上に固定化された1つ以上のタイプのテトラスパニン結合試薬のセットを含む。各タイプのテトラスパニン結合試薬は、エキソソームを含む免疫複合体中の対応するタイプのエキソソームテトラスパニンと結合するように構成されている。
【0215】
第4の態様の実施形態では、検出部位及び捕捉部位は、イムノアッセイデバイスの異なる領域である。
【0216】
検出部位及び捕捉部位がイムノアッセイデバイスの異なる領域である第4の態様の実施形態では、イムノアッセイデバイスは、ラテラルフローアッセイデバイスである。
【0217】
第4の態様の実施形態では、検出部位及び捕捉部位は、イムノアッセイデバイスの同じ領域である。
【0218】
検出部位及び捕捉部位がイムノアッセイデバイスの同じ領域である第4の態様の実施形態では、イムノアッセイデバイスは、ELISAデバイスである。
【0219】
第4の態様の実施形態では、検出部位と捕捉部位との間の流体移送は、毛細管作用によって行われる。
【0220】
検出部位と捕捉部位との間の流体移送が毛細管作用によって行われる第4の態様の実施形態では、イムノアッセイデバイスは、LFAデバイス及びマイクロ流体デバイスのうちの1つである。
【0221】
第4の態様の実施形態では、検出部位と捕捉部位との間の流体移送は、マイクロ流体チップ又は媒体によって行われる。
【0222】
第4の態様の実施形態では、検出部位と捕捉部位との間の流体移送は、自動液体処理システムによって行われる。
【0223】
検出部位と捕捉部位との間の流体移送が自動液体処理システムによって行われる第4の態様の実施形態では、イムノアッセイデバイスは、ELISAデバイスである。
【0224】
第4の態様の実施形態では、検出部位と捕捉部位との間の流体移送は、マイクロ流体デバイスと組み合わせて、自動液体処理システムによって行われる。
【0225】
第4の態様の実施形態では、検出部位と捕捉部位との間の流体移送は、手動移送によって行われる。
【0226】
第4の態様の実施形態では、検出部位と捕捉部位との間の流体移送は、手動移送によって行われ、イムノアッセイデバイスは、ELISAデバイスである。
【0227】
上記の説明は、それらが関連する当業者がこれらの実施形態を実施することを可能にするような完全、明確、簡潔、かつ正確な用語で、本実施形態を実施するための、かつそれらを実施する様式及びプロセスの考えられる最良のモードを示す。しかしながら、本実施形態は、上で論じたものからの修正及び代替構成が可能であり、それらは完全に同等である。したがって、本発明は、開示される特定の実施形態に限定されない。対照的に、本発明は、本開示の趣旨及び範囲内にある全ての修正物及び代替構成を包含する。
【国際調査報告】