(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】水溶性フィルム及びそれから作製された水溶性単位用量物品
(51)【国際特許分類】
C08L 29/04 20060101AFI20240426BHJP
C08L 89/00 20060101ALI20240426BHJP
C08K 5/053 20060101ALI20240426BHJP
C11D 17/04 20060101ALI20240426BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20240426BHJP
C11D 10/02 20060101ALI20240426BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20240426BHJP
C11D 17/06 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
C08L29/04 B
C08L89/00
C08K5/053
C11D17/04
C11D3/20
C11D10/02
C11D3/37
C11D17/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571178
(86)(22)【出願日】2022-06-14
(85)【翻訳文提出日】2023-11-15
(86)【国際出願番号】 US2022033324
(87)【国際公開番号】W WO2022266026
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】クルシェ、フロランス・カトリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】マ、ジェ
【テーマコード(参考)】
4H003
4J002
【Fターム(参考)】
4H003AB02
4H003AB19
4H003AB31
4H003AC07
4H003EA12
4H003EA19
4H003EB04
4H003EB05
4H003EB06
4H003EB08
4H003EB13
4H003EB14
4H003EB24
4H003EB28
4H003EB30
4H003EB32
4H003EB33
4H003EB40
4H003EB44
4H003EC01
4H003EC02
4H003EC03
4H003ED02
4H003ED28
4H003ED29
4H003EE01
4H003FA12
4H003FA19
4H003FA26
4H003FA28
4H003FA30
4J002AD02X
4J002BE02W
4J002EC046
4J002EC056
4J002ED026
4J002EL086
4J002FD026
4J002GC00
4J002GG02
(57)【要約】
水溶性フィルム及びそれから作製された単位用量物品であって、水溶性フィルムが、水溶性ポリマーを含み、水溶性ポリマーが、カゼイネートポリマーとアニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとのブレンドを含む、水溶性フィルム及び単位用量物品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性フィルムであって、前記水溶性フィルムが、水溶性ポリマーを含み、前記水溶性ポリマーが、カゼイネートポリマーとアニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとのブレンドを含む、水溶性フィルム。
【請求項2】
前記カゼイネートポリマーと前記アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとの重量比が、10:90~90:10、好ましくは20:80~70:30、より好ましくは25:75~60:40、最も好ましくは30:70~50:50である、請求項1に記載の水溶性フィルム。
【請求項3】
前記水溶性ポリマーが、前記フィルムの50重量%~95重量%、好ましくは55重量%~90重量%、より好ましくは60重量%~80重量%で存在する、請求項1又は2に記載の水溶性フィルム。
【請求項4】
前記フィルムが、非水性可塑剤を含み、好ましくは前記非水性可塑剤が、ポリオール、糖アルコール、及びこれらの混合物から選択され、より好ましくはグリセロール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、又はこれらの混合物から選択され、最も好ましくはグリセロール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、ジプロピレングリコール、及びこれらの混合物から選択され、好ましくは前記フィルムが、前記フィルムの5重量%~50重量%、好ましくは10重量%~40重量%、より好ましくは20重量%~30重量%の前記非水性可塑剤を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項5】
前記カゼイネートポリマーが、カゼイネートのアルカリ金属塩、好ましくはカゼインナトリウムから選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項6】
前記アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーが、カルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーであり、好ましくは前記カルボキシレートが、アクリレート、メタクリレート、マレエート、又はこれらの混合物である、請求項1~5のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項7】
前記アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーが、ポリビニルアルコールホモポリマーとカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとのブレンドであり、好ましくは前記カルボキシレートが、アクリレート、メタクリレート、マレエート、又はこれらの混合物である、請求項1~5のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項8】
前記アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーが、1モル%~10モル%、好ましくは2モル%~5モル%のアニオン性モノマー含量を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項9】
前記アニオン性ポリビニルアルコールコポリマー、及び/又はアニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとポリビニルアルコールホモポリマーとのブレンドの場合には個々のポリビニルアルコールポリマーが、75%~99%、好ましくは80%~95%、最も好ましくは85%~95%の平均加水分解度百分率を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項10】
前記アニオン性ポリビニルアルコールコポリマー、及び/又はアニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとポリビニルアルコールホモポリマーとのブレンドの場合には個々のポリビニルアルコールポリマーが、4~30mPas、好ましくは10~25mPasの平均粘度を有し、前記粘度が、20℃で脱塩水中の4%水溶液として測定される、請求項1~9のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項11】
前記水溶性フィルムが、カールフィッシャー滴定によって測定したとき、前記フィルムの少なくとも4重量%、より好ましくは4重量%~15重量%、更により好ましくは5重量%~10重量%の残留水分含量を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の水溶性フィルムと、処理組成物と、少なくとも1つの内部区画とを備える水溶性単位用量物品であって、前記処理組成物が、前記少なくとも1つの内部区画内に収容され、好ましくは前記処理組成物が、洗濯洗剤組成物、洗濯柔軟化組成物、自動食器洗浄組成物、硬質表面洗浄組成物、又はこれらの混合物から選択され、好ましくは洗濯洗剤組成物であり、好ましくは前記処理組成物が、液体、粉末、又はこれらの混合物であり、好ましくは液体組成物である、水溶性単位用量物品。
【請求項13】
前記処理組成物が、非石鹸界面活性剤を含み、好ましくは、前記非石鹸界面活性剤が、アニオン性非石鹸界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物から選択され、好ましくは前記処理組成物が、前記処理組成物の10重量%~60重量%、より好ましくは20重量%~55重量%の前記非石鹸界面活性剤を含む、請求項12に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項14】
前記処理組成物が、前記処理組成物の15重量%未満、より好ましくは12重量%未満、最も好ましくは5重量%~12重量%、更により好ましくは1重量%~12重量%の水を含む、請求項12又は13に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項15】
前記処理組成物が、前記処理組成物の10重量%~40重量%、好ましくは15重量%~30重量%の非水性溶媒を含む、請求項12~14のいずれか一項に記載の水溶性単位用量物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
水溶性フィルム及びそれから作製された単位用量物品。
【背景技術】
【0002】
水溶性ポリビニルアルコールのホモポリマー及び/又はコポリマーを含む水溶性フィルムは、長い間知られており、多くの用途で使用されてきた。
【0003】
そのような水溶性フィルムの可能な適用分野のうちの1つは、水溶性洗濯単位用量洗剤物品である。理論に束縛されるものではないが、水溶性単位用量物品は、水溶性フィルムと、単位用量物品内の1つ以上の区画内に収容されている用量単位に小分けされた処理組成物とを備える。水に添加すると、水溶性フィルムは、溶解及び/又は崩壊し、処理組成物を水中に放出する。
【0004】
重要なことは、そのような水溶性単位用量物品が使用条件下で効果的に溶解することを確実にすることであり、すなわち、水に添加されたとき、水溶性単位用量物品が完全に溶解して、布地上及び洗浄液体中に最小限の望ましくない残留物を残すことが所望される。これは、消費者がより少ないエネルギーを使用するため、洗浄条件がより環境に優しくなるような、消費者によってますます好ましい低温及び迅速、かつ低水量の洗浄条件下で更により重要である。カゼイネートポリマーから作製されたフィルムは、そのような効果的な溶解を提供する。しかしながら、そのようなカゼイネートフィルムに関する問題は、それらが不十分な機械的強度プロファイルを有する傾向があることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、カゼイネートポリマーフィルムと比較して改善された機械的強度特性を有するが、特に低温及び迅速、かつ低水量の洗浄条件において許容可能な溶解特性を示す水溶性フィルムが必要とされている。また、そのようなフィルムを備える水溶性単位用量物品も必要とされている。
【0006】
驚くべきことに、アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとカゼイネートポリマーとのポリマーブレンドを含む本発明によるフィルムが、この技術的課題を克服することが見出された。加えて、カゼイネートポリマー樹脂によるポリビニルアルコール樹脂の部分的置換もまた、水溶性フィルム組成物内部の生物由来含量を増加させる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、水溶性フィルムであり、水溶性フィルムは、水溶性ポリマーを含み、水溶性ポリマーが、カゼイネートポリマーとアニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとのブレンドを含む。
【0008】
本発明の第2の態様は、本発明による水溶性フィルムと、処理組成物と、少なくとも1つの内部区画とを備える水溶性単位用量物品であり、処理組成物は、少なくとも1つの区画内に収容される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
水溶性フィルム
本発明の第1の態様は、水溶性フィルムである。水溶性フィルムは、水溶性ポリマーを含み、水溶性ポリマーは、カゼイネートポリマーとアニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとのブレンドを含む。カゼイネートポリマーは、以下でより詳細に説明され、アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーは、以下でより詳細に説明される。
【0011】
本発明の水溶性フィルムは、水溶性又は水分散性である。水溶性フィルムは、好ましくは30μm~100μm、好ましくは50μm~90μm、最も好ましくは60μm~85μmの厚さを有する。
【0012】
好ましくは、最大孔径が20マイクロメートルのガラスフィルタを使用した後に本明細書に記載の方法によって測定したとき、水溶性フィルムは、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、又は更には少なくとも95%の水溶性を有する。
【0013】
予め秤量した3Lのビーカーに、5グラム±0.1グラムのフィルム材料を添加し、2L±5mlの蒸留水を添加する。これを、600rpmに設定した磁気撹拌器(Lablineモデル番号1250)又は等価物、及び5cmの磁気撹拌器で、30℃で30分間にわたり激しく撹拌する。次に、混合物を、上記で定義した孔径(最大20マイクロメートル)のひだ付き定性焼成ガラスフィルタにより濾過する。任意の従来の方法によって、回収した濾液から水を乾燥させ、残った材料の重量を決定する(これが溶解画分又は分散画分である)。次に、溶解度又は分散率の百分率を計算し得る。
【0014】
好ましくは、カゼイネートポリマーとアニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとの重量比は、10:90~90:10、好ましくは20:80~70:30、より好ましくは25:75~60:40、最も好ましくは30:70~50:50である。好ましくは、カゼイネートポリマー及びアニオン性ポリビニルアルコールコポリマーの重量パーセントは、合計で水溶性フィルム中のポリマー樹脂の100重量%になる。当業者は、ポリマー樹脂及び各個々のポリビニルアルコールポリマーを調製する方法について理解しているであろう。
【0015】
水溶性ポリマーは、フィルムの50重量%~95重量%、好ましくは55重量%~90重量%、より好ましくは60重量%~80重量%で存在し得る。
【0016】
好ましくは、水溶性フィルムは、非水性可塑剤を含む。好ましくは、非水性可塑剤は、ポリオール、糖アルコール、及びこれらの混合物から選択される。好適なポリオールとしては、グリセロール、ジグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、400MW以下のポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン及びポリエーテルポリオール、又はこれらの混合物からなる群から選択されるポリオールが挙げられる。好適な糖アルコールとしては、イソマルト、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、アドニトール、ズルシトール、ペンタエリスリトール、及びマンニトール、又はこれらの混合物からなる群から選択される糖アルコールが挙げられる。より好ましくは、非水性可塑剤は、グリセロール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、又はこれらの混合物から選択され、最も好ましくは、グリセロール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、ジプロピレングリコール、及びこれらの混合物から選択される。1つの特に好適な可塑剤系は、グリセロール、ソルビトール、及びトリメチロールプロパンのブレンドを含む。別の特に好適な可塑剤系は、グリセリン、ジプロピレングリコール、及びソルビトールのブレンドを含む。好ましくは、フィルムは、フィルムの5重量%~50重量%、好ましくは10重量%~40重量%、より好ましくは20重量%~30重量%の非水性可塑剤を含む。
【0017】
好ましくは、本発明による水溶性フィルムは、界面活性剤を含む。好ましくは、水溶性フィルムは、水溶性フィルムの0.1重量%~2.5重量%、好ましくは1重量%~2重量%の界面活性剤を含む。好適な界面活性剤としては、非イオン性、カチオン性、アニオン性及び双極性の部類を挙げることができる。好適な界面活性剤としては、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、三級アセチレングリコール及びアルカノールアミド(非イオン性物質)、ポリオキシエチレン化アミン、四級アンモニウム塩、及び四級化されたポリオキシエチレン化アミン(カチオン性物質)、及びアミンオキシド、N-アルキルベタイン及びスルホベタイン(双極性物質)が挙げられるが、これらに限定されない。他の好適な界面活性剤としては、ジオクチルナトリウムスルホサクシネート、グリセロールとプロピレングリコールのラクチル化脂肪酸エステル、脂肪酸のラクチルエステル(lactylic ester)、アルキル硫酸ナトリウム、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、レシチン、グリセロールとプロピレングリコールとのアセチル化脂肪酸エステル、及び脂肪酸のアセチル化エステル、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0018】
好ましくは、本発明による水溶性フィルムは、潤滑剤/離型剤を含む。好適な潤滑剤/離型剤としては、脂肪酸及びそれらの塩、脂肪族アルコール、脂肪酸エステル、脂肪族アミン、脂肪族アミンアセテート及び脂肪酸アミドが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい潤滑剤/剥離剤は、脂肪酸、脂肪酸塩、及び脂肪族アミンアセテートであり、水溶性フィルム中の潤滑剤/剥離剤の量は、水溶性フィルムの0.02重量%~1.5重量%、好ましくは0.1重量%~1重量%の範囲である。
【0019】
好ましくは、水溶性フィルムは、充填剤、展延剤、粘着防止剤、粘着性除去剤、又はこれらの混合物を含む。好適な充填剤、展延剤、粘着防止剤、粘着性除去剤、又はこれらの混合物としては、デンプン、変性デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、架橋セルロース、微結晶セルロース、シリカ、金属酸化物、炭酸カルシウム、タルク、及び雲母が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい材料は、デンプン、変性デンプン、及びシリカである。好ましくは、水溶性フィルム中の充填剤、展延剤、粘着防止剤、粘着性除去剤、又はこれらの混合物の量は、水溶性フィルムの0.1重量%~25重量%、好ましくは1重量%~10重量%、より好ましくは2重量%~8重量%、最も好ましくは3重量%~5重量%の範囲である。デンプンの非存在下では、好適な充填剤、展延剤、粘着防止剤、粘着性除去剤、又はこれらの混合物の1つの好ましい範囲は、水溶性フィルムの0.1重量%~1重量%、好ましくは4重量%、より好ましくは6重量%、更により好ましくは1重量%~4重量%、最も好ましくは1重量%~2.5重量%である。
【0020】
好ましくは、本発明による水溶性フィルムは、カールフィッシャー滴定によって測定したとき、水溶性フィルムの少なくとも4重量%、より好ましくは4重量%~15重量%、更により好ましくは5重量%~10重量%の範囲の残留水分含量を有する。
【0021】
好ましくは、本発明による水溶性フィルムは、嫌悪剤、好ましくは苦味剤を含む。好適な苦味剤としては、ナリンギン、スクロースオクタアセテート、塩酸キニーネ、デナトニウムベンゾエート、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。任意の好適な濃度の嫌悪剤をフィルムに使用してもよい。好適なレベルとしては、水溶性フィルムに関して1ppm~5000ppm、又は更には100ppm~2500ppm、又は更には250ppm~2000rpmが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
本発明による水溶性フィルムは、不透明、透明、又は半透明であってよい。本発明による水溶性フィルムは、印刷領域を含んでいてもよい。印刷領域は、フレキソ印刷又はインクジェット印刷などの標準的な技術を使用して得ることができる。
【0023】
本発明による水溶性フィルム若しくは水溶性単位用量物品又は両方は、潤滑剤でコーティングされていてもよい。好ましくは、潤滑剤は、タルク、酸化亜鉛、シリカ、シロキサン、ゼオライト、ケイ酸、アルミナ、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、クエン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、トリポリリン酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、変性デンプン、粘土、カオリン、石膏、シクロデキストリン、又はこれらの混合物から選択される。
【0024】
理論に束縛されるものではないが、ポリビニルアルコールのみから作製された水溶性フィルムは、優れた機械的強度を示すが、カゼイネートポリマーフィルムと比較して溶解特性が劣っている。
【0025】
驚くべきことに、本発明によるフィルムは、カゼイネートポリマーフィルムと比較して改善された機械的強度の利益を提供するが、ポリビニルアルコールフィルムと比較して改善された溶解性も提供することが見出された。
【0026】
加えて、驚くべきことに、本発明によるフィルムは、純粋なカゼイネートポリマーフィルムと比較して液体洗剤組成物とのより良好な適合性を示すことが見出された。これは、圧縮下での早まったパウチ破裂の事例の低減を確実にする。
【0027】
更に、純粋なポリビニルアルコールフィルムから作製されたパウチと比較して、本発明によるフィルムを使用して作製された単位用量物品は、布地上の粒子状汚れ/粘土汚れに対して改善された汚れ除去性能を示した。
【0028】
また、本発明によるフィルムを使用して作製された単位用量物品は、ポリビニルアルコールのみから作製されたフィルムを有する単位用量物品を使用して洗浄された布地と比較して、洗浄後の布地に対して改善された鮮度利益を示した。
【0029】
カゼイネートポリマー
カゼインは、水に比較的不溶性である乳由来のタンパク質である。それはしばしば、乳(カゼイン酸)又はレンネット(レンネットカゼイン)への酸の添加後の沈殿によって得られる。カゼイネートは、カゼインの塩;典型的には、カルシウム、カリウム、アンモニウム、マグネシウム、及びナトリウム、又はこれらの混合物、最も好ましくはナトリウムからなる群から選択されるその対イオンとして定義される。
【0030】
本発明による水溶性フィルムは、カゼイネートポリマーとアニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとのブレンドを含む水溶性ポリマーを含み、カゼイネートポリマーは、好ましくはカゼイネートのアルカリ金属塩から選択され、より好ましくはカゼインナトリウムである。
【0031】
本発明によるポリマーは、カゼイネートを含むと述べられているが、実際には、このカゼイネートは、カゼイネートとカゼイン不純物との混合物である。水溶性フィルムのpHの関数であるカゼイン不純物とカゼイネートとの相対重量比。したがって、カゼイネートが本明細書で述べられる場合、これは、純粋なカゼインナトリウム、並びにカゼイン不純物のレベルを包含する。
【0032】
理論に束縛されるものではないが、カゼインは、a(s1)-カゼイン、a(s2)-カゼイン、β-カゼイン、及びκ-カゼインからなる。任意のタンパク質と同様に、カゼインは、数百の個々のアミノ酸から構成され、その各々は、周囲の系のpHに応じて、正電荷又は負電荷を有し得る。あるpH値では、カゼイン上の全ての正電荷及び全ての負電荷は、均衡したままであり(すなわち、タンパク質上の正味電荷は、0である)、このpH値は、等電点(isoelectric point、IEP)として知られており、カゼインでは4.6である。IEPは、タンパク質が溶けにくいpHである。したがって、カゼインを可溶性にするためには、アルカリ条件がカゼインを可溶性にするので、カゼイネートの形態で使用される。
【0033】
アニオン性ポリビニルアルコールコポリマー
水溶性フィルムは、アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーを含む。
【0034】
理論に束縛されるものではないが、「ホモポリマー」という用語は、一般に、
単一タイプのモノマー繰り返し単位を有するポリマー(例えば、単一モノマー繰り返し単位からなる、又はそれから本質的になるポリマー鎖)を含む。特にポリビニルアルコールの場合、「ホモポリマー」という用語は、加水分解度(the degree of hydrolysis)に応じて、ビニルアルコールモノマー単位及び任意選択でビニルアセテートモノマー単位の分布を有するポリマー(例えば、ビニルアルコールモノマー単位及びビニルアセテートモノマー単位からなる、又はそれらから本質的になるポリマー鎖)を含む。加水分解が100%である限定的な場合では、ポリビニルアルコールホモポリマーは、ビニルアルコール単位のみを有する純粋なホモポリマーを含んでもよい。
【0035】
理論に束縛されるものではないが、用語「コポリマー」は、一般に、2タイプ以上のモノマー繰り返し単位を有するポリマー(例えば、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーなどであるかどうかにかかわらず、2つ以上の異なるモノマー繰り返し単位からなる、又は本質的になるポリマー鎖)を含む。特にポリビニルアルコールの場合、「コポリマー」(又は「ポリビニルアルコールコポリマー」)という用語は、加水分解度に応じて、ビニルアルコールモノマー単位及び任意選択でビニルアセテートモノマー単位、並びに少なくとも1つの他のタイプのモノマー繰り返し単位の分布を有するコポリマー(例えば、ビニルアルコールモノマー単位、ビニルアセテートモノマー単位、及び1つ以上の他のモノマー単位、例えば、アニオン性又は更に非イオン性モノマー単位からなる、又はそれらから本質的になるター(又はより高級な)ポリマー鎖)を含む。加水分解が100%である限定的な場合では、ポリビニルアルコールコポリマーは、ビニルアルコール単位及び1つ以上の他のモノマー単位を有するコポリマーを含んでもよいが、ビニルアセテート単位を含まない。
【0036】
アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーは、好ましくは、アニオン性ポリビニルアルコールコポリマー若しくはその混合物、又はアニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとポリビニルアルコールホモポリマーとのブレンドを含む。好ましくは、水溶性フィルムは、単一のアニオン性ポリビニルアルコールコポリマー、又は単一のポリビニルアルコールコポリマーと単一のポリビニルアルコールホモポリマーとのブレンドを含み、アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーは、好ましくは、スルホン化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマー及びカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマー、特にカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーから選択される。「単一」とは、本明細書では、単一源のポリマー材料を意味し、その単一源のポリマー材料は、その作製プロセスの結果として、分子量分布、加水分解度分布、及び適用可能な場合にはアニオン性変性度分布などの天然分布を含む。
【0037】
最も好ましくは、アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーは、ポリビニルアルコールホモポリマーとカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとのブレンドである。あるいは、ポリビニルアルコールは、アニオン性ポリビニルアルコールコポリマー、最も好ましくはカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーを含む。水溶性フィルム中のアニオン性ポリビニルアルコールコポリマーが、ポリビニルアルコールホモポリマーとカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとのブレンドであるとき、ポリビニルアルコールホモポリマー及びカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーは、90/10~10/90、好ましくは80/20~20/80、より好ましくは70/30~50/50の相対重量比で存在する。理論に束縛されるものではないが、「アニオン性コポリマー」という用語は、アニオン性部分を含むアニオン性モノマー単位を有するコポリマーを含む。アニオン性ポリビニルアルコールポリマーに使用できるアニオン性モノマー単位の一般的な分類は、モノカルボン酸ビニルモノマー、そのエステル及び無水物、重合可能な二重結合を有するジカルボン酸モノマー、そのエステル及び無水物、ビニルスルホン酸モノマー、並びに上記のいずれかのアルカリ金属塩、に対応するビニル重合単位を含む。好適なアニオン性モノマー単位の例としては、ビニルアニオン性モノマーに対応するビニル重合単位が挙げられ、当該ビニルアニオン性モノマーとしては、ビニル酢酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、無水フマル酸、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジメチル、無水イタコン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、エチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-1-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メチルアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-スルホエチルアクリレート(2-sufoethyl acrylate)、上記のアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又は他のアルカリ金属塩)、上記のエステル(例えば、メチル、エチル、又は他のC1~C4若しくはC6アルキルエステル)、及びこれらの組み合わせ(例えば、複数のタイプのアニオン性モノマー、又は同じアニオン性モノマーの同等の形態)が挙げられる。アニオン性モノマーは、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(例えば、2-アクリルアミド-1-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メチルアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)、そのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩)、及びこれらの組み合わせのうちの1つ以上であってよい。好ましくは、第1アニオン性モノマー単位のアニオン性部分は、スルホネート、カルボキシレート、又はこれらの混合物、より好ましくはカルボキシレート、最も好ましくはアクリレート、メタクリレート、マレエート、又はこれらの混合物から選択される。好ましくは、アニオン性モノマー単位は、アニオン性ポリビニルアルコールコポリマー中に、1H-NMRによって測定したとき、1モル%~10モル%、好ましくは2モル%~5モル%の範囲の平均量で存在する。好ましくは、アニオン性ポリビニルアルコールコポリマー、及び/又はアニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとポリビニルアルコールホモポリマーとのブレンドの場合には、個々のポリビニルアルコールポリマーは、4mPa.s~30mPa.s、好ましくは10mPa.s~25mPa.sの範囲の平均粘度(μ1)を有し、摂氏20度の脱塩水中の4%ポリビニルアルコールコポリマー溶液として測定される。ポリビニルアルコールポリマーの粘度は、British Standard EN ISO15023-2:2006 Annex E Brookfield Test methodに記載されるように、ULアダプタを備えたBrookfield LV型粘度計を使用して、新たに製造した溶液を測定することにより決定される。4%ポリビニルアルコール水溶液の20℃における粘度を指定することが国際的な慣行である。水溶性ポリマー水溶液(ポリビニルアルコール又はその他)の粘度は、同じポリマーの重量平均分子量と相関し、多くの場合、粘度は、重量平均分子量の代用として使用されることは、当該技術分野において周知である。したがって、ポリビニルアルコールの重量平均分子量は、30,000~175,000、又は30,000~100,000、又は55,000~80,000の範囲であり得る。好ましくは、アニオン性ポリビニルアルコールコポリマー、及び/又はアニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとポリビニルアルコールホモポリマーとのブレンドの場合には、個々のポリビニルアルコールポリマーは、75%~99%、好ましくは80%~95%、最も好ましくは85%~95%の範囲の平均加水分解度を有する。加水分解度を測定する好適な試験方法は、標準法であるJIS K6726に準拠するものである。
【0038】
好適なアニオン性ポリビニルアルコールコポリマーは、Kuraray社及びNippon Gohsei社から得ることができる。
【0039】
好ましくは、水溶性ポリマーは、本発明による水溶性フィルムの60重量%~80重量%で存在し、30:70~50:50の重量比のカゼインナトリウムポリマーとアニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとの混合物からなり、アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーは、2モル%~5モル%の範囲の平均量でアニオン性ポリビニルアルコールコポリマー中に存在するアニオン性モノマー単位を有し、85%~95%の平均加水分解度百分率及び20℃の脱塩水中の4%水溶液として測定したとき、10~25mPasの平均粘度を有する。好ましくは、アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーは、単一のアニオン性ポリビニルアルコールコポリマー、より好ましくはカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーからなる。あるいは、アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーは、ポリビニルアルコールホモポリマーとアニオン性ポリビニルアルコールコポリマー、好ましくはカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとのブレンドからなり、ポリビニルアルコールホモポリマー及びカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーは、70/30~50/50の相対重量比で存在する。
【0040】
フィルムの製造方法
本発明による水溶性フィルムは、本明細書で説明した好ましくかつ任意選択の二次添加剤とともに、本明細書で説明したタイプ及び量に従って、カゼイネートポリマー及びアニオン性ポリビニルアルコールコポリマーを混合、共流延(co-casting)、又は溶着することによって形成され得る。ポリマーが最初に混合される場合、好ましくは得られた混合物を(例えば、他の可塑剤及び他の添加剤とともに)キャスティングしてフィルムを形成することにより水溶性フィルムを形成する。ポリマーが溶着される場合、例えば、溶剤又は熱溶着により、水溶性フィルムを形成してもよい。別の態様は、押出成形、例えば、吹き付け押出成形(blown extrusion)によって形成される水溶性フィルムを特徴とする。最も好ましくは、本発明による水溶性フィルムは、溶液流延によって調製される。
【0041】
水溶性単位用量物品
本発明の更なる態様は、本発明による水溶性フィルムと、処理組成物と、少なくとも1つの内部区画とを備える水溶性単位用量物品であり、処理組成物は、少なくとも1つの区画内に収容される。処理組成物について、以下でより詳細に説明する。
【0042】
水溶性単位用量物品は、水溶性フィルムによって取り囲まれた少なくとも1つの内部区画を単位用量物品が備えるように成形された、水溶性フィルムを備える。単位用量物品は、内部区画を画定するように互いに封止された、第1の水溶性フィルムと、第2の水溶性フィルムとを備え得る。水溶性単位用量物品は、保管中に処理組成物が区画から漏れ出さないように構成される。ただし、水溶性単位用量物品を水に加えると、水溶性フィルムは溶解して、内部区画の内容物を洗浄液中に放出する。
【0043】
区画は、洗剤組成物を保持する、単位用量物品内の密閉された内部空間を意味すると理解されたい。製造中、第1の水溶性フィルムは、処理組成物が添加される開口区画を備えるような形状であり得る。次に、区画の開口部を閉じる向きで、第1のフィルムを第2の水溶性フィルムで覆う。次いで、第1及び第2のフィルムは、封止領域に沿ってともに封止される。
【0044】
単位用量物品は、2つ以上の区画、更には少なくとも2つの区画、又は更には少なくとも3つの区画を備え得る。区画は、重ね合わせる位置付けで、すなわち、一方が他方の上に位置するように配置されてよい。そのような配向では、単位用量物品は、上側、中央、及び下側の3枚のフィルムを含む。あるいは、区画は、隣り合った位置付けで、すなわち、一方が他方に隣接する配向で位置してよい。区画は、「タイヤ及びリム」配置で配向されていてもよく、すなわち、第1の区画は、第2の区画に隣接して位置付けられるが、第1の区画は、第2の区画を少なくとも部分的に取り囲むが、第2の区画を完全には封入していない。あるいは、1つの区画が、別の区画内に完全に封入されてもよい。
【0045】
単位用量物品が少なくとも2つの区画を備える場合、区画の一方が他方の区画より小さくてもよい。単位用量物品が少なくとも3つの区画を備える場合、区画のうちの2つが第3の区画より小さくてもよく、好ましくは、小さい方の区画が大きい方の区画上に重ね合わせられている。重ね合わせられた区画は、好ましくは、隣り合って配向される。
【0046】
好ましくは、水溶性単位用量物品は、少なくとも2つの区画、好ましくは少なくとも3つの区画、更により好ましくは少なくとも4つの区画を備え、最も好ましくは、水溶性単位用量物品は、第1の区画と、第1の区画の上に重ね合わされた少なくとも第2の区画と、より好ましくは第2の区画に対して隣り合って配向される少なくとも第3の区画(かつ第2の区画及び第3の区画が第1の区画の上に重ね合わされている)と、更により好ましくは第2の区画及び第3の区画に対して隣り合って配向される少なくとも第4の区画(かつ第2の区画、第3の区画、及び第4の区画が第1の区画の上に重ね合わされている)とを備える。
【0047】
多区画配向では、洗剤組成物は、区画のうちの少なくとも1つに含まれていてよい。例えば、洗剤組成物は、1つの区画だけに含まれていてもよく、又は2つの区画、若しくは更には3つの区画、若しくは更には利用可能な全ての区画に含まれていてもよい。
【0048】
各区画は、同一の組成物又は異なる組成物を含んでもよい。異なる組成物は全て同一形態であってもよく、又は異なる形態であってもよい。
【0049】
水溶性単位用量物品は、少なくとも2つの内部区画を含んでいてよく、洗剤組成物は、区画のうちの少なくとも1つに含まれ、好ましくは、当該単位用量物品は、少なくとも3つの区画を含み、当該洗剤組成物は、当該区画のうちの少なくとも1つに含まれる。
【0050】
本発明による水溶性単位用量物品は、本発明による少なくとも1枚の水溶性フィルムを備え得る。あるいは、本発明による水溶性単位用量物品は、本発明による少なくとも2枚又は更には少なくとも3枚の水溶性フィルムを含み得る。あるいは、本発明による水溶性単位用量物品は、本発明による水溶性フィルムのみを含み、すなわち、本発明の範囲外の水溶性フィルムを全く含まない。好ましくは、個々の区画を封入する下側及び上側の水溶性フィルムの両方が本発明による水溶性フィルムである、水溶性単区画単位用量物品又は複数の区画が隣り合った構成にある水溶性多区画単位用量物品が作製される。あるいは、上側又は下側の水溶性フィルムのいずれかが本発明による。重ね合わされた構成の区画を有する水溶性単位用量物品を作製してもよい。この構成では、上側、下側、及び中央の水溶性フィルムの各々が、本発明による水溶性フィルムであってよい。あるいは、1枚、例えば、中央の水溶性フィルムのみ、若しくは上側の水溶性フィルムのみ、若しくは下側の水溶性フィルムのみ、又はこれらの水溶性フィルムのいずれかの組み合わせが本発明による水溶性フィルムであってよいが、残りの水溶性フィルムは、本発明の範囲外である。好ましくは、水溶性単位用量物品内に含まれる全ての水溶性フィルムが、本発明による水溶性フィルムである。本発明によるこれらの水溶性フィルムは、化学的及び物理的に同じであってもよく、あるいは化学的及び/又は物理的に異なっていてもよい。「異なる」とは、第1の水溶性フィルムが、第2の水溶性フィルムとは異なる少なくとも1つの化学的及び/又は物理的特徴を有することを意図する。この特徴は、異なるポリマー樹脂、例えば、個々のポリマー溶液の平均粘度、個々のポリマーの平均加水分解度、第1の水溶性ポリマーと第2の水溶性ポリマーとの比、又はこれらの混合が異なるポリマー樹脂を選択することにより得ることができる。「目標とする平均」は、任意の製造プロセスに固有の標準的なポリマーのばらつきを考慮する。あるいは、この特徴は、可塑剤含量若しくは含水量に対する、ポリマー樹脂などの水溶性フィルム内部の個々の成分の相対含量を変化させることにより、又は更には添加剤の正確な化学的性質を変化させることにより得ることもできる。「異なる」特徴は、変形前の出発フィルムについて評価され、例えば、変形作用の結果としての水溶性フィルム含量の違い、カプセル化される洗剤組成物への曝露により生じる、フィルムと洗剤組成物との間の活性物質の交換、並びに周囲の保管環境との活性物質の交換は、この評価において除外される。
【0051】
図1は、本発明による水溶性単位用量物品(1)を開示する。水溶性単位用量物品(1)は、第1の水溶性フィルム(2)と第2の水溶性フィルム(3)とを含み、これらは、封止領域(4)でともに封止されている。洗剤組成物(5)は、水溶性可溶性単位用量物品(1)内に含まれる。
【0052】
処理組成物
処理組成物は、洗濯洗剤組成物、洗濯柔軟化組成物、自動食器洗浄組成物、硬質表面洗浄組成物、又はこれらの混合物から選択されてもよく、好ましくは洗濯洗剤組成物であり、好ましくは処理組成物は、液体、粉末、又はこれらの混合物であり、好ましくは液体組成物である。
【0053】
用語「液体」は、ゲル、溶液、懸濁物、ペースト、又はこれらの混合物を含む。
【0054】
粉末とは、本明細書では、処理組成物が固体粒子を含み得る、又は単一の均質な固体であり得ることを意味する。好ましくは、粉末処理組成物は、粒子を含む。これは、粉末処理組成物が個々の固体粒子を含むことを意味し、当該固体が単一の均質な固体であることは意味しない。粒子は、自由流動性であってもよく、又は圧縮されてもよく、好ましくは自由流動性である。
【0055】
好ましくは、処理組成物は、洗濯洗剤組成物、最も好ましくは液体洗濯洗剤組成物である。
【0056】
洗濯洗剤組成物は、布地手洗い操作に使用することもでき、又は自動の布地機械洗い操作に使用することもでき、好ましくは自動の布地機械洗い操作で使用される。
【0057】
好ましくは、処理組成物は、非石鹸界面活性剤を含み、非石鹸界面活性剤は、アニオン性非石鹸界面活性剤及び非イオン性界面活性剤を含む。好ましくは、処理組成物は、処理組成物の10重量%~60重量%、より好ましくは20重量%~55重量%の非石鹸界面活性剤を含む。
【0058】
非石鹸アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との重量比は、1:1~20:1、好ましくは1.5:1~17.5:1、2:1~15:1、又は2.5:1~13:1であり得る。
【0059】
好ましくは、非石鹸アニオン性界面活性剤は、直鎖状アルキルベンゼンスルホネート、アルキルサルフェート、又はこれらの混合物を含む。直鎖状アルキルベンゼンスルホネートとアルキルサルフェートとの重量比は、1:2~9:1、好ましくは1:1~7:1、より好ましくは1:1~5:1、最も好ましくは1:1~4:1である。
【0060】
例示的な直鎖状アルキルベンゼンスルホネートは、C10~C16アルキルベンゼンスルホン酸又はC11~C14アルキルベンゼンスルホン酸である。「直鎖状」とは、本明細書では、アルキル基が直鎖状であることを意味する。アルキルベンゼンスルホネートは、当該技術分野において周知である。
【0061】
アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、アルコキシル化アルキルサルフェート、若しくは非アルコキシル化アルキルサルフェート、又はこれらの混合物を含んでもよい。アルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、好ましくは、エトキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤である。
【0062】
アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、好ましくは1~5、より好ましくは1~3、最も好ましくは2~3のモル平均エトキシル化度を有する、エトキシ化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含み得る。
【0063】
アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、非エトキシル化アルキルサルフェート及びエトキシル化アルキルサルフェートを含んでいてよく、当該アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のモル平均エトキシル化度は、1~5、より好ましくは1~3、最も好ましくは2~3である。
【0064】
アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のアルキル画分は、好ましくは、脂肪族アルコール、オキソ合成アルコール、ゲルベアルコール、又はこれらの混合物から誘導することができる。
【0065】
好ましくは、処理組成物は、処理組成物の10重量%~50重量%、より好ましくは15重量%~45重量%、更により好ましくは20重量%~40重量%、最も好ましくは30重量%~40重量%の非石鹸アニオン性界面活性剤を含む。
【0066】
好ましくは、非イオン性界面活性剤は、アルコールアルコキシレート、オキソ合成アルコールアルコキシレート、ゲルベ(Guerbet)アルコールアルコキシレート、アルキルフェノールアルコールアルコキシレート、又はこれらの混合物から選択される。
【0067】
処理組成物は、好ましくは、処理組成物の0.01重量%~10重量%、好ましくは0.01重量%~8重量%、より好ましくは0.1重量%~6重量%、最も好ましくは0.15重量%~5重量%の非イオン性界面活性剤を含む。
【0068】
好ましくは、処理組成物は、処理組成物の1.5重量%~20重量%、より好ましくは2重量%~15重量%、更により好ましくは3重量%~10重量%、最も好ましくは4重量%~8重量%の石鹸、好ましくは脂肪酸塩、より好ましくはアミン中和された脂肪酸塩を含み、好ましくは、アミンは、アルカノールアミンであり、より好ましくは、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、又はこれらの混合物から選択され、より好ましくは、モノエタノールアミンである。
【0069】
好ましくは、処理組成物は、液体処理組成物であり、より好ましくは、液体処理組成物は、液体処理組成物の15重量%未満、より好ましくは12重量%未満、更により好ましくは1重量%~12重量%、最も好ましくは5重量%~12重量%の水を含む。
【0070】
好ましくは、処理組成物は、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセロール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、又はこれらの混合物から選択される非水性溶媒を含む液体処理組成物である。好ましくは、液体処理組成物は、液体処理組成物の10重量%~40重量%、好ましくは15重量%~30重量%の非水性溶媒を含む。
【0071】
好ましくは、処理組成物は、香料を含む。
【0072】
好ましくは、処理組成物は、酵素、シトレート、漂白剤、漂白触媒、染料、色相染料、増白剤、アルコキシル化ポリアミン及びポリエチレンイミンを含む洗浄ポリマー、汚れ放出ポリマー、界面活性剤、溶媒、移染阻害剤、キレート剤、カプセル化香料、ポリカルボキシレート、構造化剤、pH調整剤、並びにこれらの混合物を含むビルダーを含む群から選択される補助成分を含む。
【0073】
当業者は、既知の知識及び技術を使用して好適な処理組成物を配合及び作製する方法に見当が付くであろう。処理組成物は、界面活性剤、ポリマー、漂白剤、酵素、香料、染料、構造化剤、フィラー、水、又はこれらの混合物を含む一般的な洗剤成分を含み得る。
【0074】
当業者は、本発明による水溶性単位用量物品を製造するための既知の技術を承知しているであろう。
【実施例】
【0075】
以下は、例示的な水溶性単位用量配合物である。組成物は、単一チャンバ水溶性単位用量物品の一部であってもよく、又は複数の区画にわたって分割されて、以下の「区画全体が平均化された」全物品組成物をもたらし得る。以下の組成物は、ポリビニルアルコール系水溶性フィルム、より具体的には、本発明によるカゼイネートポリマーとアニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとのブレンドを含む水溶性フィルムを使用して封入される。
【0076】
【表1】
*ヌクレアーゼ酵素は、同時係属中の欧州特許出願19219568.3に特許請求されているとおりである。
【0077】
以下は、2020年1月に英国で市販されているように、Ariel3-in-1ポッドの設計に従う、底部区画の上に重ね合わされた隣り合った構成で2つのより小さな区画を有する、より大きな底部区画を含む多区画水溶性単位用量洗濯物品である。以下の組成物は、ポリビニルアルコール系水溶性フィルム、より具体的には、本発明によるカゼイネートポリマーとアニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとのブレンドを含む水溶性フィルムを使用して封入される。
【0078】
【表2】
*ヌクレアーゼ酵素は、同時係属中の欧州特許出願19219568.3に特許請求されているとおりである。
【0079】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示されない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0079
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0079】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示されない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
[1]
水溶性フィルムであって、前記水溶性フィルムが、水溶性ポリマーを含み、前記水溶性ポリマーが、カゼイネートポリマーとアニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとのブレンドを含む、水溶性フィルム。
[2]
前記カゼイネートポリマーと前記アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとの重量比が、10:90~90:10、好ましくは20:80~70:30、より好ましくは25:75~60:40、最も好ましくは30:70~50:50である、[1]に記載の水溶性フィルム。
[3]
前記水溶性ポリマーが、前記フィルムの50重量%~95重量%、好ましくは55重量%~90重量%、より好ましくは60重量%~80重量%で存在する、[1]又は[2]に記載の水溶性フィルム。
[4]
前記フィルムが、非水性可塑剤を含み、好ましくは前記非水性可塑剤が、ポリオール、糖アルコール、及びこれらの混合物から選択され、より好ましくはグリセロール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、又はこれらの混合物から選択され、最も好ましくはグリセロール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、ジプロピレングリコール、及びこれらの混合物から選択され、好ましくは前記フィルムが、前記フィルムの5重量%~50重量%、好ましくは10重量%~40重量%、より好ましくは20重量%~30重量%の前記非水性可塑剤を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の水溶性フィルム。
[5]
前記カゼイネートポリマーが、カゼイネートのアルカリ金属塩、好ましくはカゼインナトリウムから選択される、[1]~[4]のいずれかに記載の水溶性フィルム。
[6]
前記アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーが、カルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーであり、好ましくは前記カルボキシレートが、アクリレート、メタクリレート、マレエート、又はこれらの混合物である、[1]~[5]のいずれかに記載の水溶性フィルム。
[7]
前記アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーが、ポリビニルアルコールホモポリマーとカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとのブレンドであり、好ましくは前記カルボキシレートが、アクリレート、メタクリレート、マレエート、又はこれらの混合物である、[1]~[5]のいずれかに記載の水溶性フィルム。
[8]
前記アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーが、1モル%~10モル%、好ましくは2モル%~5モル%のアニオン性モノマー含量を有する、[1]~[7]のいずれかに記載の水溶性フィルム。
[9]
前記アニオン性ポリビニルアルコールコポリマー、及び/又はアニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとポリビニルアルコールホモポリマーとのブレンドの場合には個々のポリビニルアルコールポリマーが、75%~99%、好ましくは80%~95%、最も好ましくは85%~95%の平均加水分解度百分率を有する、[1]~[8]のいずれかに記載の水溶性フィルム。
[10]
前記アニオン性ポリビニルアルコールコポリマー、及び/又はアニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとポリビニルアルコールホモポリマーとのブレンドの場合には個々のポリビニルアルコールポリマーが、4~30mPas、好ましくは10~25mPasの平均粘度を有し、前記粘度が、20℃で脱塩水中の4%水溶液として測定される、[1]~[9]のいずれかに記載の水溶性フィルム。
[11]
前記水溶性フィルムが、カールフィッシャー滴定によって測定したとき、前記フィルムの少なくとも4重量%、より好ましくは4重量%~15重量%、更により好ましくは5重量%~10重量%の残留水分含量を含む、[1]~[10]のいずれかに記載の水溶性フィルム。
[12]
[1]~[11]のいずれかに記載の水溶性フィルムと、処理組成物と、少なくとも1つの内部区画とを備える水溶性単位用量物品であって、前記処理組成物が、前記少なくとも1つの内部区画内に収容され、好ましくは前記処理組成物が、洗濯洗剤組成物、洗濯柔軟化組成物、自動食器洗浄組成物、硬質表面洗浄組成物、又はこれらの混合物から選択され、好ましくは洗濯洗剤組成物であり、好ましくは前記処理組成物が、液体、粉末、又はこれらの混合物であり、好ましくは液体組成物である、水溶性単位用量物品。
[13]
前記処理組成物が、非石鹸界面活性剤を含み、好ましくは、前記非石鹸界面活性剤が、アニオン性非石鹸界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物から選択され、好ましくは前記処理組成物が、前記処理組成物の10重量%~60重量%、より好ましくは20重量%~55重量%の前記非石鹸界面活性剤を含む、[12]に記載の水溶性単位用量物品。
[14]
前記処理組成物が、前記処理組成物の15重量%未満、より好ましくは12重量%未満、最も好ましくは5重量%~12重量%、更により好ましくは1重量%~12重量%の水を含む、[12]又は[13]に記載の水溶性単位用量物品。
[15]
前記処理組成物が、前記処理組成物の10重量%~40重量%、好ましくは15重量%~30重量%の非水性溶媒を含む、[12]~[14]のいずれかに記載の水溶性単位用量物品。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性フィルムであって、前記水溶性フィルムが、水溶性ポリマーを含み、前記水溶性ポリマーが、カゼイネートポリマーとアニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとのブレンドを含む、水溶性フィルム。
【請求項2】
前記カゼイネートポリマーと前記アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとの重量比が、10:90~90:10、好ましくは20:80~70:30、より好ましくは25:75~60:40、最も好ましくは30:70~50:50である、請求項1に記載の水溶性フィルム。
【請求項3】
前記水溶性ポリマーが、前記フィルムの50重量%~95重量%、好ましくは55重量%~90重量%、より好ましくは60重量%~80重量%で存在する、請求項1又は2に記載の水溶性フィルム。
【請求項4】
前記フィルムが、非水性可塑剤を含み、好ましくは前記非水性可塑剤が、ポリオール、糖アルコール、及びこれらの混合物から選択され、より好ましくはグリセロール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、又はこれらの混合物から選択され、最も好ましくはグリセロール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、ジプロピレングリコール、及びこれらの混合物から選択され、好ましくは前記フィルムが、前記フィルムの5重量%~50重量%、好ましくは10重量%~40重量%、より好ましくは20重量%~30重量%の前記非水性可塑剤を含む、請求項1
又は2に記載の水溶性フィルム。
【請求項5】
前記カゼイネートポリマーが、カゼイネートのアルカリ金属塩、好ましくはカゼインナトリウムから選択される、請求項1
又は2に記載の水溶性フィルム。
【請求項6】
前記アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーが、カルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーであり、好ましくは前記カルボキシレートが、アクリレート、メタクリレート、マレエート、又はこれらの混合物である、請求項1
又は2に記載の水溶性フィルム。
【請求項7】
前記アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーが、ポリビニルアルコールホモポリマーとカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとのブレンドであり、好ましくは前記カルボキシレートが、アクリレート、メタクリレート、マレエート、又はこれらの混合物である、請求項1
又は2に記載の水溶性フィルム。
【請求項8】
前記アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーが、1モル%~10モル%、好ましくは2モル%~5モル%のアニオン性モノマー含量を有する、請求項1
又は2に記載の水溶性フィルム。
【請求項9】
前記アニオン性ポリビニルアルコールコポリマー、及び/又はアニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとポリビニルアルコールホモポリマーとのブレンドの場合には個々のポリビニルアルコールポリマーが、75%~99%、好ましくは80%~95%、最も好ましくは85%~95%の平均加水分解度百分率を有する、請求項1
又は2に記載の水溶性フィルム。
【請求項10】
前記アニオン性ポリビニルアルコールコポリマー、及び/又はアニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとポリビニルアルコールホモポリマーとのブレンドの場合には個々のポリビニルアルコールポリマーが、4~30mPas、好ましくは10~25mPasの平均粘度を有し、前記粘度が、20℃で脱塩水中の4%水溶液として測定される、請求項1
又は2に記載の水溶性フィルム。
【請求項11】
前記水溶性フィルムが、カールフィッシャー滴定によって測定したとき、前記フィルムの少なくとも4重量%、より好ましくは4重量%~15重量%、更により好ましくは5重量%~10重量%の残留水分含量を含む、請求項1
又は2に記載の水溶性フィルム。
【請求項12】
請求項
1に記載の水溶性フィルムと、処理組成物と、少なくとも1つの内部区画とを備える水溶性単位用量物品であって、前記処理組成物が、前記少なくとも1つの内部区画内に収容され、好ましくは前記処理組成物が、洗濯洗剤組成物、洗濯柔軟化組成物、自動食器洗浄組成物、硬質表面洗浄組成物、又はこれらの混合物から選択され、好ましくは洗濯洗剤組成物であり、好ましくは前記処理組成物が、液体、粉末、又はこれらの混合物であり、好ましくは液体組成物である、水溶性単位用量物品。
【請求項13】
前記処理組成物が、非石鹸界面活性剤を含み、好ましくは、前記非石鹸界面活性剤が、アニオン性非石鹸界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物から選択され、好ましくは前記処理組成物が、前記処理組成物の10重量%~60重量%、より好ましくは20重量%~55重量%の前記非石鹸界面活性剤を含む、請求項12に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項14】
前記処理組成物が、前記処理組成物の15重量%未満、より好ましくは12重量%未満、最も好ましくは5重量%~12重量%、更により好ましくは1重量%~12重量%の水を含む、請求項12又は13に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項15】
前記処理組成物が、前記処理組成物の10重量%~40重量%、好ましくは15重量%~30重量%の非水性溶媒を含む、請求項12
又は13に記載の水溶性単位用量物品。
【国際調査報告】