(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】医療システム、デバイス、および関連する方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/22 20060101AFI20240426BHJP
A61M 25/10 20130101ALI20240426BHJP
A61M 25/09 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
A61B17/22
A61M25/10
A61M25/09
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571202
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(85)【翻訳文提出日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 US2022072344
(87)【国際公開番号】W WO2022246386
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ガバリス、ロブ エム.
(72)【発明者】
【氏名】パワーズ、ジェシカ エル.
(72)【発明者】
【氏名】ケンウッド、シャノン エス.
(72)【発明者】
【氏名】ヒューズ、グレゴリー ティ.
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160EE02
4C160EE21
4C160EE30
4C160MM43
4C160NN09
4C160NN11
4C267AA06
4C267AA80
4C267CC07
4C267EE03
4C267EE11
(57)【要約】
一態様によれば、体管腔から物質を除去する方法が開示される。方法は、第1の医療デバイスを体管腔内に配置すること、第1の医療デバイスの遠位部分にある拡張可能部材を収縮状態から拡張状態に拡張させることを含んでいてよい。拡張可能部材は、拡張状態において体管腔に当接してよい。方法は、第1の医療デバイスの流体ルーメンに流体を提供することであって、流体は、体管腔内に展開される、流体を提供すること、第2の医療デバイスから第1の医療デバイスに超音波信号を印加すること、拡張可能部材が拡張状態にある間に、体管腔を通して第1の医療デバイスを遠位に動かして、体管腔から物質を除去することをさらに含んでいてよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体管腔から物質を除去するための方法であって、
前記体管腔内に第1の医療デバイスを配置すること、
前記第1の医療デバイスの遠位部分にある拡張可能部材を収縮状態から拡張状態に拡張させること
を含み、前記拡張可能部材は、前記拡張状態において前記体管腔に当接し、前記方法は、
前記第1の医療デバイスの流体ルーメンに流体を提供すること
を含み、前記流体は、前記体管腔内に展開され、前記方法は、
第2の医療デバイスから前記第1の医療デバイスに超音波信号を印加すること、
前記拡張可能部材が拡張状態にある間に、前記体管腔を通して前記第1の医療デバイスを遠位に動かして、前記体管腔から物質を除去すること
を含む、方法。
【請求項2】
前記流体ルーメンは、前記第1の医療デバイスの遠位端にある複数の開口部に流体的に結合され、少なくとも1つの開口部は、楕円形であり、少なくとも1つの開口部は、円形である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の医療デバイスは、少なくとも1つのエコー源性特徴部を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記体管腔内にガイドワイヤを配置すること、
前記第1の医療デバイスを前記ガイドワイヤに沿って動かすこと
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記拡張可能部材は、前記医療デバイスの中心長手方向軸から半径方向外向きに拡張するように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の医療デバイスは、該第1の医療デバイスの遠位端にキャップを含み、前記第1の医療デバイスの前記流体ルーメンは、前記キャップの内部チャネルに忠実に接続され、前記第1の医療デバイスの流体ルーメンに流体を適用することは、前記キャップを前記第1の医療デバイスの中心長手方向軸を中心に回転させる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記拡張可能部材は、第1の拡張可能部材であり、前記方法は、
前記第1の医療デバイスの流体ルーメンに流体を提供することの後に、前記第1の医療デバイスの遠位部分にある第2の拡張可能部材を収縮状態から拡張状態に拡張させること
をさらに含み、前記第2の拡張可能部材は、前記拡張状態において前記体管腔に当接し、前記第1の拡張可能部材の遠位に配置されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の拡張可能部材は、拡張状態にあるとき、前記医療デバイスの中心長手方向軸に対して角度をなしており、前記第1の拡張可能部材の半径方向最外部分は、拡張状態にあるとき、前記第1の拡張可能部材の半径方向最内部分に対して遠位にある、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の拡張可能部材および前記第2の拡張可能部材の各々が拡張状態にあるとき、前記第2の拡張可能部材は、前記第1の拡張可能部材に接触している、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第2の医療デバイスが、前記体管腔の外側に配置されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記拡張可能部材は、第1のシャフトに結合された第1の拡張可能部材であり、前記方法は、
前記第1のシャフト内に配置された第2のシャフトに結合された第2の拡張可能部材を収縮状態から拡張状態に拡張させること、
前記第2の拡張可能部材を前記第1の拡張可能部材に対して遠位に動かすこと
をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の拡張可能部材を前記第1の拡張可能部材に対して遠位に動かすことは、前記体管腔の前記第1の拡張可能部材と前記第2の拡張可能部材との間の空間内の流体からの圧力によって少なくとも部分的に引き起こされる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の拡張可能部材および前記第2の拡張可能部材は、各々、前記体管腔とシールを形成する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記流体ルーメンの遠位開口部は、前記第1の拡張可能部材と前記第2の拡張可能部材との間に配置されている、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記体管腔は、患者の総胆管であり、前記第1の医療デバイスを配置することは、前記総胆管に作られた開口部を介して前記総胆管に進入することを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の様々な態様は、概して、身体物質の視覚化、洗浄、清掃、およびその他の操作を含む、身体物質の操作に関する。より詳細には、本開示の少なくとも特定の実施形態は、他の態様の中でも特に、超音波内視鏡処置を実施するためのシステム、デバイス、および関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
技術の発展により、医療システム、デバイス、および方法のユーザは、対象に対してますます複雑な処置を行うことができるようになった。胆嚢、膵臓、および胆管(例えば、膵胆道系)の疾患および他の状態は、生活の質の低下、著しい罹患率、および死亡率に関連している。膵胆道系には腫瘍、損傷、漏出、閉塞、病変、その他の問題が発生する可能性があり、胆道疝痛、胆嚢炎、胆管結石症、膵炎、膵管結石、慢性腹痛、その他の問題のある健康状態などの疾患を引き起こす可能性がある。場合によっては、膵胆道系の疾患は、栄養不良、肥満、高コレステロールなどの栄養障害と関連していることがある。
【0003】
胆道結石は、毎年何百万人もの患者が罹患している疾患である。ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)は、現在のところ標準的な治療法であり、開腹手術よりも望ましいが、それなりの欠点およびリスクを伴う。ERCP処置では、通常、胆管にアクセスするために括約筋切開術を行う必要があるが、これはその部位の炎症または膵炎を引き起こす可能性がある。蛍光透視法は、視覚化を支援するために一般的に使用されるが、これは健康上のリスクをもたらし、大型の専用機器の使用を必要とする。より小さい結石断片または胆泥は、急性膵臓炎の症例の約20~40%に関連しているにもかかわらず、検出されないことがある。
【0004】
特に膵胆道系を処置する際に使用するために、身体物質を操作するために設計されたシステム、デバイス、および方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本開示の態様は、とりわけ、膵胆道系を処置するためのシステム、デバイス、および方法に関する。本明細書で開示される態様の各々は、他の開示される態様のうちの任意のものに関連して説明される特徴のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0006】
一態様によれば、体管腔から物質を除去する方法が開示される。方法は、第1の医療デバイスを体管腔内に配置すること、第1の医療デバイスの遠位部分にある拡張可能部材を収縮状態(retracted state)から拡張状態(expanded state)に拡張させることを含んでいてよい。拡張可能部材は、拡張状態において体管腔に当接してよい。方法は、第1の医療デバイスの流体ルーメンに流体を提供することであって、流体は、体管腔内に展開される、流体を提供すること、第2の医療デバイスから第1の医療デバイスに超音波信号を印加すること、拡張可能部材が拡張状態にある間に、体管腔を通して第1の医療デバイスを遠位に動かして、体管腔から物質を除去することをさらに含んでいてよい。
【0007】
他の態様では、方法は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含んでいてよい。流体ルーメンは、第1の医療デバイスの遠位端にある複数の開口部に流体的に結合(fluidically coupled)されていてよく、少なくとも1つの開口部は、楕円形であってよく、少なくとも1つの開口部は、円形であってよい。第1の医療デバイスは、少なくとも1つのエコー源性特徴部を含んでいてよい。方法は、体管腔内にガイドワイヤを配置すること、第1の医療デバイスをガイドワイヤに沿って動かすことをさらに含んでいてよい。拡張可能部材は、医療デバイスの中心長手方向軸から半径方向外向きに拡張するように構成されていてよい。第1の医療デバイスは、第1の医療デバイスの遠位端にキャップを含んでいてよく、第1の医療デバイスの流体ルーメンは、キャップの内部チャネルに忠実に接続され、第1の医療デバイスの流体ルーメンに流体を適用することは、キャップを第1の医療デバイスの中心長手方向軸を中心に回転させる。拡張可能部材は、第1の拡張可能部材であってよく、方法は、第1の医療デバイスの流体ルーメンに流体を提供することの後に、第1の医療デバイスの遠位部分にある第2の拡張可能部材を収縮状態から拡張状態に拡張させることを含んでいてよく、第2の拡張可能部材は、拡張状態において体管腔に当接し、第1の拡張可能部材の遠位に配置されている。
【0008】
他の態様では、方法は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含んでいてよい。第1の拡張可能部材は、拡張状態にあるとき、医療デバイスの中心長手方向軸に対して角度をなしていてよく、第1の拡張可能部材の半径方向最外部分は、拡張状態にあるとき、第1の拡張可能部材の半径方向最内部分対して遠位にあってよい。第1の拡張可能部材および第2の拡張可能部材の各々が拡張状態にあるとき、第2の拡張可能部材は、第1の拡張可能部材に接触していてよい。第2の医療デバイスが、体管腔の外側に配置されていてよい。拡張可能部材は、第1のシャフトに結合された第1の拡張可能部材であってよく、方法は、第1のシャフト内に配置された第2のシャフトに結合された第2の拡張可能部材を収縮状態から拡張状態に拡張させること、第2の拡張可能部材を第1の拡張可能部材に対して遠位に動かすことをさらに含んでいてよい。第2の拡張可能部材を第1の拡張可能部材に対して遠位に動かすことは、体管腔の第1の拡張可能部材と第2の拡張可能部材との間の空間内の流体からの圧力によって少なくとも部分的に引き起こされ得る。第1の拡張可能部材および第2の拡張可能部材は、各々、体管腔とシールを形成することができる。流体ルーメンの遠位開口部は、第1の拡張可能部材と第2の拡張可能部材との間に配置されている。体管腔は、患者の総胆管であってよく、第1の医療デバイスを配置することは、総胆管に作られた開口部を介して総胆管に進入することを含んでいてよい。
【0009】
他の態様では、膵胆道系の体管腔から物質を除去するための方法は、第1の医療デバイスを体管腔内に配置すること、第1の医療デバイスの遠位部分にある拡張可能部材を後退状態から拡張状態に拡張させることを含んでいてよい。第1の拡張可能部材は、拡張状態で体管腔に当接してよい。方法は、第1の医療デバイスの流体ルーメンに流体を提供して、第1の医療デバイスの遠位端におけるキャップの回転を引き起こすとともに、複数の方向に第1の医療デバイスから半径方向外向きに流体を分散させること、第2の医療デバイスから第1の医療デバイスに超音波信号を印加することを含んでいてよい。いくつかの態様では、キャップは、少なくとも1つのエコー源性特徴部および流体出口チャネルを含んでいてよく、流体出口チャネルは、第1の医療デバイスの中心長手方向軸に対して、キャップの半径方向最外部分まで延在していてよい。
【0010】
他の態様では、医療デバイスは、作業チャネルおよび少なくとも1つの流体ルーメンを含むシャフトと、シャフトの遠位部分にある拡張可能部材と、シャフトの遠位部分に配置された少なくとも1つのエコー源性特徴部とを含んでいてよい。いくつかの態様では、拡張可能部材は、第1の拡張可能部材であってよく、シャフトは、第1のシャフトであってよく、デバイスは、作業チャネルを通って、第1のシャフトの遠位端から延びる第2のシャフトであって、第1のシャフトに対して長手方向に可動である、第2のシャフトと、第2のシャフトの遠位端に配置された第2の拡張可能部材とをさらに含んでいてよい。少なくとも1つの流体ルーメンの遠位開口部は、第1の拡張可能部材と第2の拡張可能部材との間に配置されていてよい。いくつかの態様では、デバイスは、第1の拡張可能部材に流体的に結合された第1の流体チャネルと、第2の拡張可能部材に流体的に結合された第2の流体チャネルとをさらに含んでいてよい。第1の拡張可能部材を収縮状態から拡張状態に移行させることは、第1の流体チャネルから第1の拡張可能部材の内部に流体を供給することを含んでいてよく、第2の拡張可能部材を収縮状態から拡張状態に移行させることは、第2の流体チャネルから第2の拡張可能部材の内部に流体を供給することを含んでいてよい。
【0011】
前述の概説および以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものに過ぎず、特許請求の範囲に記載される発明を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の例示的な態様を示し、説明とともに本開示の原理を説明する役割を果たす。
【
図1】
図1は、本開示の態様による、体管腔内の例示的な医療デバイスシステムの遠位端の斜視図である。
【
図2】
図2は、本開示の態様による、患者の身体の部分および
図1の例示的な医療デバイスシステムの遠位端の斜視図である。
【
図3A】
図3Aおよび
図3Bは、本開示の態様による、体管腔内の例示的な医療デバイスの一部の側面図である。
【
図3B】
図3Aおよび
図3Bは、本開示の態様による、体管腔内の例示的な医療デバイスの一部の側面図である。
【
図4】
図4は、本開示の態様による、例示的な医療デバイスの遠位端の正面図である。
【
図5】
図5は、本開示の態様による、例示的な医療デバイスの遠位端部分の斜視図である。
【
図6】
図6は、本開示の態様による、遠位端キャップが取り外された例示的な医療デバイスの遠位端部分の斜視図である。
【
図7】
図7は、本開示の態様による、
図5の例示的な医療デバイスの正面断面図である。
【
図8】
図8は、本開示の態様による、
図5の例示的な医療デバイスの側断面図である。
【
図9A】
図9Aおよび
図9Bは、本開示の態様による、体管腔内の例示的な医療デバイスシステムの遠位部分の側面図である。
【
図9B】
図9Aおよび
図9Bは、本開示の態様による、体管腔内の例示的な医療デバイスシステムの遠位部分の側面図である。
【
図10】
図10は、本開示の態様による、医療デバイスシステムの一部の側面図である。
【
図11】
図11は、本開示の態様による、体管腔内の
図10の医療デバイスシステムの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、とりわけ、膵胆道系を処置するためのシステム、デバイス、および方法に関する。本開示の例は、膵胆道系およびその様々な導管/管腔に焦点を当てているが、本開示の態様は、胃腸系、泌尿器系などの任意の管腔を含む、任意の他の体管腔に適用することができる。ここで、本開示の態様を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。可能な限り、同一または類似の部分を参照するために、図面を通して同一または類似の参照番号が使用される。「遠位」という用語は、デバイスを患者に導入する場合にユーザから最も遠い部分を指す。対照的に、「近位」という用語は、デバイスを患者内に配置する場合にユーザに最も近い部分を指す。近位方向および遠位方向は、図面全体を通して、遠位方向に対して「D」とラベル付けされた矢印と、近位方向に対して「P」とラベル付けされた矢印とで表示されている。本明細書で使用される場合、用語「備える」、「備えている」、またはそれらの任意の他の変形は、要素のリストを備えるプロセス、方法、物品、または装置が、それらの要素のみを必ずしも含むのではなく、明示的に列挙されていない他の要素、またはかかるプロセス、方法、物品、または装置に固有の要素を含むことができるように、非排他的な包含をカバーすることが意図されている。「例示的」という用語は、「理想的」ではなく「例」の意味で使用される。
【0014】
本開示の実施形態は、管腔内空間(endo-luminal space)において、標的身体物質を視覚化および動かすため、またはそのプロセスを容易にするために使用され得る。特に、いくつかの実施形態は、超音波視覚化デバイスおよび組織洗浄カテーテルデバイスを含む。
【0015】
内視鏡超音波処置は、近傍の構造を視覚化するために高周波数音波を使用する特殊な内視鏡または他の医療デバイスを用いて行われる。内視鏡超音波を使用する利点の1つは、アクセスする必要なく壁を通して「見る」ことができることであり、これは、蛍光透視法に代わるより安全な方法である。
【0016】
カテーテルデバイスは、ガイドワイヤを介して標的組織部位への内視鏡作業チャネルを通して、標的組織に送達されてよい。カテーテルデバイスの1つまたは複数の流体ジェットは、身体物質に向けて流体を推進し、体管腔から物質を除去することができる。カテーテルデバイスの拡張可能部分は、体管腔を通して物質を動かして、その除去を容易にすることができる。カテーテルデバイスの全部または一部は、形状記憶ポリマー、ポリマー、金属、プラスチック、および/または形状記憶金属(ニチノールなど)、または材料の任意の組み合わせなど、任意の生体適合性材料から形成することができる。
【0017】
図1は、患者の体管腔104内の医療デバイスシステム103を示す。医療デバイスシステム103は、医療デバイス100およびガイドワイヤ106を含んでいてよい。いくつかの例では、医療デバイスシステム103は、内視鏡200(
図2に示す)または他の医療デバイス(例えば、デバイス100を処置部位に送達するための尿管鏡、気管支鏡、十二指腸鏡、結腸鏡、シースなど)をさらに含んでいてよい。医療デバイス100は、カテーテルであってよく、長手方向シャフト101と、遠位端部分102と、近位部分(
図1には図示せず)とを含んでいてよい。医療デバイス100の近位部分は、1つまたは複数のアクチュエータ、ハンドル、および/または医療デバイス100への流体、空気、電気、もしくは他の接続のための1つまたは複数の入力ポートを含んでいてよい。
【0018】
シャフト101は、シャフト101の内部を通って遠位端部分102からシャフト101の近位部分まで長手方向に延在する作業チャネル118を含んでいてよい。作業チャネル118は、ガイドワイヤ106を受け入れるように構成された円筒状ルーメンであってよく、シャフト101は、ガイドワイヤ106に沿って患者の体内の標的領域まで動くように構成されていてよい。作業チャネル118は、シャフト101の中心部分を通って延在し、遠位端部分102の中心部分にある遠位開口部116につながるように示されているが、作業チャネル118は、シャフト101の任意の部分を通って長手方向に延在していてもよい。シャフト101は、シャフト101の中心長手方向軸135の周りに円周方向に延在する湾曲した凹部などの1つまたは複数のエコー源性特徴部133を含んでいてよい。他の例では、1つまたは複数のエコー源性特徴部133は、シャフト101に焼き印を押す、またはワッフルアイアンを使用するなどの二次的な熱成形プロセスを介して、シャフト101に形成された凹部を含んでいてよい。いくつかの例では、エコー源性特徴部133は、シャフト101の、長手方向軸135に対して半径方向外側の表面の周りに延在する、金属ワイヤコイルまたは任意の他の好適な材料のコイルなどのコイルを含んでいてよい。いくつかの例では、シャフト101は、シャフト101の半径方向外側の表面の凹部と、シャフト101の、長手方向軸135に対して半径方向外側の表面の周りに延在するコイルとの組み合わせを含んでいてよい。エコー源性特徴部133は、シャフト101の、長手方向軸135に対して半径方向外側の表面に外部曲率半径を形成し、これにより、シャフト101の半径方向外側の表面の一部を内視鏡トランスデューサに対して垂直に配置することを容易にすることができる。エコー源性特徴部133は、超音波信号の反射角度を変化させることを容易にし、動作中に超音波信号が内視鏡超音波トランスデューサに向かって反射して戻ることを可能にすることができる。
【0019】
医療デバイス100の遠位端部分102は、拡張可能部材120も含んでいてよい。拡張可能部材120は、シャフト101の、軸135に対して半径方向外側の表面の周りに円周方向に延在していてよく、その最遠位端122およびその最近位端124においてシャフト101に固定的に結合されていてよい。拡張可能部材120は、概して円筒形であってよく、収縮状態にあるとき、シャフト101の、軸135に対して半径方向外側の表面に隣接していてよい。拡張可能部材120は、軸135に対して半径方向外向きに拡張されてよく、シャフト101から湾曲した突出部を形成することができる。拡張可能部材120は、流体ルーメン119に流体的に接続されていてよく、拡張可能部材120は、流体ルーメン119を介して拡張可能部材120の中に流体を移動させることによって拡張されてもよい。流体ルーメン119は、シャフト101を通って長手方向に延在していてよく、医療デバイス100の近位部分において流体源に流体的に接続されていてよい。いくつかの例では、拡張可能部材120は、コンプライアントまたはノンコンプライアントのいずれかのバルーンであってよい。拡張可能部材120は、体管腔の半径方向内向きの表面に適合するように構成されて、拡張可能部材120と体管腔104の壁との間にシールを形成することができ、例えば、拡張可能部材120を過ぎて体管腔104を通る物質108(組織、結石、スラグ、または他の残屑など)の動きを防止することができる。例えば、拡張可能部材120は、体管腔104の半径方向内向きの表面(または壁)とシールを形成することができるため、物質108は、拡張可能部材120によって、体管腔104を通って近位に動くことを防止され得る。拡張可能部材120の外部表面は、平滑であってもよく、非外傷性であるように構成されていてよく、拡張可能部材120が拡張状態にあるとき、体管腔104の壁にわたって摺動するように構成されていてよい。拡張可能部材120は、拡張構成(
図1に示される)にあるとき、円形形状で示されるが、拡張可能部材120は、そのように限定されず、体管腔104をシールし、体管腔104を通る近位方向への物質108の動きを防止するために任意の好適な形状へと拡張することができる。いくつかの例では、流体ルーメン119に吸引が加えられて、拡張可能部材120内から流体が除去されるときなど、拡張可能部材120から流体が除去されるとき、拡張可能部材は、収縮し、拡張可能部材120がシャフト101の半径方向外側の表面に隣接する位置に動くように構成されていてよい。例えば、拡張可能部材120は、弾性材料で作製されてよい。
【0020】
遠位端部分102は、非外傷性であるように構成された、湾曲した最遠位先端136を含んでいてよい。他の例では、最遠位先端136は、湾曲していなくてもよく、任意の好適な形状であってよい。遠位端部分102は、1つまたは複数の流体ジェットルーメン110,112,114を含んでいてよい。いくつかの例では、ルーメン110,112,114の全ては、シャフト101を通って長手方向に延在する単一の流体ルーメンに接続されていてよい。ルーメン110,112,114は、医療デバイス100の遠位端から流体を推進するように構成されていてよい。いくつかの例では、ルーメン110,112,114は、軸135に対してある角度で遠位部分102から流体を放出するように構成されていてよい。いくつかの例では、ルーメン110,112,114は、軸135に対して角度をなす複数の方向に医療デバイス100から外向きに流体を放出するように構成されていてよい。例えば、ルーメン110,112,114から放出された流体は、
図1に点線で示される円錐形状126を形成し得る。体管腔104の壁に向かってある角度で流体を放出することにより、体管腔104からの物質108の除去を促進することができる。いくつかの例では、ルーメン110,112,114は、生理食塩水、またはcholeresterase酵素のような、組織(例えば、結石)を分解するように構成される特定の酵素を放出することができる。他の例では、流体ルーメン110,112,114は、体管腔104の壁のコーティングを容易にするために泡を放出するように構成されていてよい。いくつかの例では、流体ルーメン110,112,114は、超音波イメージング技術を用いた管構造の視覚化を容易にするために、流体に気泡を誘発するように構成されていてよい。例えば、流体スプレー内に泡または気泡を誘発するために、流体ルーメン110,112,114のうちの1つは、気体を受け取るように構成されていてよく、次いで、気体は、小さい内部リザーバまたは別の流体ルーメン110,112,114(図示せず)との交差部で、別の流体ルーメン110,112,114の液体溶液と組み合わせられてよい。次いで、気体/液体のこの組み合わせは、流体ルーメン110,112,114の1つまたは複数の開口部から噴霧され、泡または気泡入り溶液を生成する。
【0021】
図2は、患者の体内に配置された医療デバイスシステム103を示す。
図2に示される身体の部分は、膵臓261、肝臓275、胃252、胆嚢258、十二指腸254(胃のすぐ下流の小腸上部)、および総胆管260を含む膵胆道系の部分を含む。膵胆道系の流体の流れの方向(下流方向)は、
図2全体を通して直線矢印によって示されている。総胆管260および膵管は、肝臓275、胆嚢258、および膵臓261から十二指腸254への排出を行う。場合によっては、総胆管260は、嚢胞、リンパ節腫大、胆石、炎症、狭窄、または瘢痕化による管の狭窄、手術による損傷、腫瘍、または他の原因の結果として閉塞されることがあり、総胆管260を通した胆汁および他の物質の排出が不十分になることがある。医療デバイスシステム103は、総胆管260からの物質の除去を容易にして、総胆管260からの排出を改善することができる。医療デバイス100のいくつかの特徴は、
図2では単に図示を容易にするために省略されており、
図2の医療デバイス100は、
図1に示された属性の全てを含む。
【0022】
操作において、医療デバイスシステム103は、医療デバイス100、ガイドワイヤ106、および
図2に示される内視鏡200のような挿入デバイスを含んでいてよい。医師、看護師、医師助手、または任意の他の医療専門家であり得るユーザは、まず、胃252、十二指腸254、および総胆管260を通して、患者の体内にガイドワイヤ106を配置することができる。具体的には、ガイドワイヤ106は、十二指腸254の壁に形成された開口部を通って、総胆管260の遠位端288から近位の(例えば、ファーター膨大部から近位の)総胆管260の壁に形成された開口部287に延び、総胆管260を通って十二指腸254に延びることができる。ガイドワイヤ106を開口部287、胆管260、および十二指腸254に配置することによって、医療デバイス100は、順行性アクセスポイントから総胆管260にアクセスし、医療デバイス100がガイドワイヤ106に沿って遠位に動くときに総胆管260を通る流体の流れと同じ方向に総胆管260を通って動くことができる。流体の流れと同じ方向に総胆管260を通して医療デバイス100を動かすことにより、流体の流れと同じ方向に医療デバイス100の1つまたは複数の流体ジェットを介して残屑(debris)が押され得るので、総胆管260からの残屑の除去を容易にすることができる。
【0023】
ガイドワイヤ106が開口部287、総胆管260、および十二指腸254内に配置されると、ユーザは、ガイドワイヤ106を内視鏡200の作業チャネル231内に配置し、内視鏡200を胃252および十二指腸254を通してガイドワイヤ106に沿って遠位に移動させることによって、内視鏡200を十二指腸254内に配置することができる。いくつかの例では、ガイドワイヤ106は、開口部287内へのガイドワイヤ106の配置の前および配置の間に、作業チャネル231内に既に配置されていてもよい。内視鏡200の動きの方向は、ガイドワイヤ106によって案内され得る。処置全体を通して、ユーザは、内視鏡200のトランスデューサを介して超音波信号250を印加して、1つまたは複数の臓器壁を通して医療デバイス100を視覚化することができる。ユーザは、超音波イメージングを介して医療デバイス100の位置をモニタすることができる。
【0024】
内視鏡200が総胆管260に近接した十二指腸254内に配置されると、ユーザは、次いで、ガイドワイヤ106が医療デバイス100の作業チャネル231内に配置された状態で、医療デバイス100を、作業チャネル118を通して動かすことができる。ユーザが医療デバイス100を作業チャネル231から遠位に動かすと、医療デバイス100は、ガイドワイヤ106に沿って動いて、十二指腸254から出て、開口部287を通って、総胆管260に入ることができる。次いで、ユーザは、例えば、流体ルーメン119に流体の流れを印加して拡張可能部材120を流体で充填することによって、拡張可能部材120を拡張/膨張させることができる。拡張可能部材120を拡張させることによって、医療デバイス100は、総胆管260の内壁とシールを形成して、総胆管260内の近位または上流への残屑の動きを防止することができる。例えば、医療デバイス100の形成されたシールは、開口部287の近位への残屑の動きを防止することができる。次いで、ユーザは、流体ルーメン110,112,114に流体を印加して、総胆管260の内壁および管腔に流体を放出することができる。
【0025】
拡張可能部材120が拡張状態にあるとき、拡張可能部材120は、医療デバイス100の遠位部分102を総胆管260に結合するアンカーとして機能することができ、これは、流体ルーメン110,112,114からの総胆管260に流体を印加しながら、医療デバイス100の安定位置を維持することを容易にすることができる。また、拡張可能部材120を拡張状態に拡張することによって、医療デバイス100が処置中により小さい導管分岐に移動するのを防止することができる。流体ルーメン110,112,114から放出される流体は、総胆管260の壁から残屑を除去し、残屑を十二指腸254に向かって下流に移動させることができる。次いで、ユーザは、拡張可能部材120が拡張状態にある間に、医療デバイスを遠位に(例えば、下流に)押すことができ、拡張可能部材120の半径方向外側部分は、医療デバイス100が遠位に動く際に総胆管260の内壁と接触したままであり、総胆管260の内壁にわたって効果的に摺動することができる。総胆管260から残屑(物質108など)を除去または洗い流した後、ユーザは、拡張可能部材120を収縮させることによって、総胆管260の内壁に接触している拡張可能部材120を解放することができる。次いで、ユーザは、医療デバイス100、内視鏡200、およびガイドワイヤ106を患者の身体から除去してよい。
【0026】
図3Aおよび
図3Bは、体管腔360内に配置された医療デバイス300の代替的な実施形態を示す。医療デバイス300は、本明細書に説明される医療デバイス100の特徴のうちの任意のものを含んでいてよい。医療デバイス300は、シャフト301、エコー源性特徴部341~344、拡張可能部材320、流体ルーメン310,312,314、および作業チャネル316を含んでいてよい。医療デバイス300において、エコー源性特徴部341~344は、互いに長手方向に離隔されている。エコー源性特徴部341~343は、拡張可能部材320から近位に配置され、エコー源性特徴部344は、拡張可能部材320から遠位に配置されている。流体ルーメン310,312,314は、医療デバイス300の長手方向軸から体管腔360の内壁370に向かって半径方向外向きに流体326を放出する。
図3Aは、収縮状態の拡張可能部材320を示す。いくつかの例では、拡張可能部材320は、拡張可能部材120の全長にわたってシャフト301に接触していてよい。
図3Bは、拡張状態にある拡張可能部材320を示しており、拡張可能部材320の一部がシャフト301から離隔されており、拡張可能部材320の一部が体管腔360の内面370と接触している。拡張可能部材320は、シャフト301から半径方向外向きに全方向に拡張するので、拡張可能部材320は、体管腔360とシールを形成し、残屑が体管腔360内で拡張可能部材320を越えて移動するのを防止することができる。拡張状態では、拡張可能部材320は、医療デバイス300を体管腔360に固定し、医療デバイス300が体管腔360の内面370に向かって動くのを防止することができる。
【0027】
図4は、医療デバイス401の代替的な遠位端402を示す。医療デバイス401は、本明細書に説明される医療デバイス100の特徴のうちの任意のものを有していてよい。医療デバイス401は、医療デバイス401を通って長手方向に延在する作業チャネル415と、流体ルーメン開口部410,412,414,416とを含んでいてよい。流体ルーメン開口部414,416は円形であってよく、流体ルーメン開口部410,412は楕円形であってよく、弓形であってよく、作業チャネル416に向かって凹んでいてもよい。流体ルーメン開口部410,412は、流体ルーメン開口部414,416よりも広い流体噴流を放出してもよく、これは、総胆管260の内壁からの残屑の除去を容易にすることができる。
【0028】
図5は、医療デバイス500の代替的な実施形態の遠位部分502を示す。医療デバイス500は、本明細書に説明される医療デバイス100,300のいずれかの特徴のうちの任意のものを有していてよい。医療デバイス500は、シャフト501、エコー源性特徴部540~545、作業チャネル517、およびキャップ570を含んでいてよい。
図6に示されるように、キャップ570は、取り外し可能であってよく、1つまたは複数のエコー源性特徴部545,546を含んでいてよく、シャフト501の突出部562およびフランジ563においてシャフト501に結合されていてよい。突出部562は、シャフト501から遠位に延在していてよく、フランジ563は、突出部562から、軸599に対して半径方向外向きに延在していてよい。いくつかの例では、フランジ563は、フランジ563の周りに円周方向に延在する面取りされたエッジ部分561を含んでいてよく、面取りされたエッジ部分561は、キャップ570をシャフト501に結合することを容易にすることができる。キャップ570の作業チャネル517は、キャップ570がシャフト501に結合されるとき、シャフト501の作業チャネル516と位置合わせされてよい。キャップ570は、キャップ570がシャフト501に結合されるとき、シャフト501の中心長手方向軸599を中心に回転するように構成されていてよい。キャップ570の近位端部分にあるスロット584は、例えば、キャップ570の近位部分が半径方向外向きに曲がって、キャップ570がフランジ563を受け入れられるようにすることによって、キャップ570をシャフト501に結合することを容易にすることができる。
【0029】
図7は、シャフト501に結合されたキャップ570の正面断面図を示す。
図7に示されるように、作業チャネル517は、キャップ570がシャフト501に結合されるとき、作業チャネル516と整列する。キャップ570は、シャフト501の流体ルーメン514から流体を受け取るように構成された円形チャネル582を含んでいてよい。円形チャネル582は、サイドジェットチャネル580と流体的に接続されていてよい。サイドジェットチャネル580は、円形チャネル582からキャップ570の外面まで延在していてよい。サイドジェットチャネル580は、円形チャネル582に対してある角度で延在していてよい。
【0030】
図8は、キャップ570がシャフト501に結合された医療デバイス500の遠位部分502の側断面図を示す。流体ルーメン514は、シャフト501および突出部563を通って長手方向に延在していてよく、流体ルーメン514の開口部594(
図7に示される)は、キャップがシャフト501に結合されるとき、チャネル582と位置合わせされてよい。キャップ570の円形フランジ595は、作業チャネル517/作業チャネル516に向かって半径方向内向きに延在していてよく、円形フランジ595は、フランジ563とシャフト501の遠位端面596との間に延在していてよい。いくつかの例では、円形フランジ595は、例えば、ユーザがキャップ570を突出部562に押し付けるときにキャップ570の近位部分を半径方向に拡大することを容易にすることによって、キャップ570をシャフト501に結合することを容易にする面取り部を含んでいてよい。突出部562/フランジ563の最遠位端とキャップ570との間にシールが形成されてもよく、それにより、流体が、サイドジェットチャネル580を通る場合を除いて、円形チャネル582から外に移動するのが防止される。円形フランジ595は、動作中にキャップ570がシャフト501に対して遠位に動くのを防止することができる。
【0031】
流体が流体ルーメン514に供給されると、流体は、流体ルーメン514から出て円形チャネル582に流入し、サイドジェットチャネル580を通ることができる。サイドジェットチャネル580の開口部515は、流体が円形チャネル582からサイドジェットチャネル580に流れることを可能にする。サイドジェットチャネル582は、円形チャネル582に対して角度が付けられているので、サイドジェットチャネル582を通って流れる流体の力は、軸599を中心にシャフト501に対してキャップ570を回転させ得る。
図7の矢印581で示されるように、キャップ570は、流体が円形チャネル582およびサイドジェットチャネル580を通って流れるとき、反時計回りに回転し得る。キャップ570は、円形チャネル582およびサイドジェットチャネル580を通って流れる流体の力によって回転させられるので、キャップ570は、軸599から半径方向外向きに全方向に、サイドジェットチャネル580から流体を噴出する。キャップ570は、サイドジェットチャネル580から外向きに流体を推進することによって、スプリンクラー効果を提供することができる。医療デバイス500に回転キャップ570を提供することによって、医療デバイス500は、複数の流体ルーメンを必要としない。
【0032】
図9Aおよび
図9Bは、体管腔960内に配置された医療デバイス900の代替的な実施形態を示し、ガイドワイヤ906は、医療デバイス900の作業チャネル内に配置されている。医療デバイス900は、シャフト901、拡張可能部材920,922、流体ルーメン912、および作業チャネル917を含んでいてよい。医療デバイス900は、医療デバイス100,300,500に関して本明細書に説明される特徴のうちの任意のものを含んでいてよい。拡張可能部材920は、拡張可能部材922から近位に配置されていてよく、拡張可能部材920は、拡張状態にあるとき、円錐形であってよい。
図9Aは、拡張状態の拡張可能部材920と、収縮状態の拡張可能部材922とを示す。
図9Aに示されるように、拡張可能部材920は、シャフト901の中心長手方向軸999から半径方向外向きに延在していてよく、拡張可能部材920の半径方向最外部分が拡張可能部材920の半径方向最内部分に対して遠位にあるように、軸999に対して角度を付けられていてよい。拡張可能部材920は円錐形状であり、軸999に対して角度が付けられているので、体管腔960を流体で充填することにより、拡張可能部材920を近位に、かつさらに軸999から半径方向外向きに押すことができ、したがって、拡張可能部材920によって体管腔960に印加される圧力を増加させることができる。拡張可能部材920によって体管腔960に印加される圧力を増加させることによって、拡張可能部材920から遠位の体管腔960を満たす流体から医療デバイス900に圧力が加えられている間であっても、医療デバイス900を定位置に保持することができる。拡張可能部材922は、拡張可能部材920に隣接して配置されていてよく、拡張可能部材922は、軸999から半径方向外向きに均一に拡張してよい。いくつかの例では、拡張可能部材922は、拡張可能部材920および拡張可能部材922の各々が拡張状態にあるときに拡張可能部材920に当接する(接触する)ように構成されていてよい。
【0033】
操作において、体管腔960内に医療デバイス900を配置した後、ユーザは、まず拡張可能部材920を拡張し得る。いくつかの例では、ユーザは、拡張可能部材920が体管腔960に当接する位置まで拡張可能部材920を拡張し、体管腔960の内壁970の周りにシールを形成することができる。拡張可能部材920が拡張状態(
図9Aおよび9Bに示される)にあるとき、流体は、拡張可能部材920を越えて体管腔960を通って近位に移動することを防止され得る。拡張可能部材920が拡張状態になると、ユーザは、次いで、医療デバイス900の近位部分にあるアクチュエータを作動させて流体を流体ルーメン912に印加することなどによって、流体ルーメン912から体管腔960に流体を移動させることができる。いくつかの例では、ユーザは、シャフト901を近位または遠位に動かして、流体を流体ルーメン912から体管腔960全体に分配することができる。拡張可能部材920から遠位の体管腔960の全てまたは一部を充填した後、ユーザは、拡張可能部材922を拡張することによって、体管腔960内の流体の十二指腸954への移動を容易にすることができる。拡張可能部材920が拡張状態にある間に拡張可能部材922を拡張することによって、流体は、体管腔960を通って遠位に押し出され、十二指腸954に入ることができる。また、拡張可能部材920が拡張状態にある間に拡張可能部材922を拡張することは、体管腔960から十二指腸954への物質908(例えば、残屑、組織、結石など)の移動を容易にし得る。いくつかの例では、ユーザは、流体および物質908を、体管腔960を通して遠位に移動させることを補助するために、医療デバイス900を遠位に押してもよい。次いで、ユーザは、拡張可能部材922を収縮させてもよく、これにより、拡張可能部材920および拡張可能部材922の両方から生成される体管腔960内の圧力を解放することができる。拡張可能部材922を収縮させた後、ユーザは、拡張可能部材920を収縮させ、医療デバイス900を、体管腔960を通して遠位に動かし、管腔960から追加の物質908を除去するために必要であれば、上述のステップを繰り返してもよい。ユーザは、次いで、患者の身体から医療デバイス900を除去することができる。
【0034】
図10は、体管腔1160から残屑を除去するための医療デバイス1000の代替的な実施形態の遠位部分を示す。医療デバイス1000は、他の医療デバイス100,300,500,900のいずれかに関連して本明細書に説明された特徴のうちの任意のものを有していてよい。医療デバイス1000は、拡張可能部材1054まで長手方向に延在するメインシャフト1053と、メインシャフト1053の遠位端1053’とを含んでいてよい。拡張可能部材1054は、メインシャフト1053の周りに円周方向に延在し、メインシャフト1053の遠位端1053’に近接して配置されていてよい。流体チャネル1055は、メインシャフト1053に隣接して長手方向に延在していてよく、メインシャフト1053と一体であってもよく、および/またはメインシャフト1053内に延在していてもよい。流体チャネル1055は、拡張可能部材1054に流体的に結合され、拡張可能部材1054に流体を供給するように構成されていてよい。メインシャフト1053は、メインシャフト1053を通って長手方向に延在する作業チャネル1019を含んでいてよい。作業チャネル1019は、プランジャシャフト1062および流体チャネル1052を受け入れるように構成されていてよく、プランジャシャフト1062および流体チャネル1052は、作業チャネル1019を通って近位および遠位に動くことができる。メインシャフト1053は、メインシャフト1053内に延在する流体チャネル1061をさらに含んでいてよく、流体チャネル1061は、拡張可能部材1054の遠位の領域に流体を供給するように構成されていてよい。
【0035】
プランジャシャフト1062は、メインシャフト1053を通って長手方向に延在し、メインシャフト1053の遠位端1053’から出ていてよい。第2の拡張可能部材1051は、プランジャシャフト1062の遠位端に結合されていてよい。作業チャネル1017は、プランジャシャフト1062を通って長手方向に延在していてよく、ガイドワイヤ1006を受け入れるように構成されていてよい。流体チャネル1052は、プランジャシャフト1062に隣接して長手方向に延在していてよく、第2の拡張可能部材1051に流体的に接続されていてよい。他の例では、流体チャネル1052は、プランジャシャフト1062と一体であってもよく、および/またはプランジャシャフト1062内にあってもよい。いくつかの例では、プランジャシャフト1062、流体チャネル1052、および第2の拡張可能部材1051は、第2の拡張可能部材1051が収縮状態にあるときに作業チャネル1019を通って動くように構成されていてよい。第2の拡張可能部材1051は、プランジャシャフト1062の中心長手方向軸1099から半径方向外向きに拡張するように構成されていてよい。拡張可能部材1054は、流体が流体チャネル1055から拡張可能部材1054に供給されるとき、収縮状態から拡張状態に移行することができ、第2の拡張可能部材1051は、流体が流体チャネル1052から第2の拡張可能部材1051に供給されるとき、収縮状態から拡張状態に移行することができる。
【0036】
図11~
図15は、医療デバイス1000を使用して体管腔1160から物質を除去するための例示的な方法を示す。ユーザは、最初に、総胆管260などの標的体管腔1160内にガイドワイヤ1006を配置することができる。ユーザは、次いで、ガイドワイヤ1006を作業チャネル1017内に配置し、医療デバイス1000をガイドワイヤ1006に沿って遠位に、標的体管腔1160の中へ動かすことができる。拡張可能部材1051,1054および遠位端1053’を含む、医療デバイス1000の遠位部分が体管腔1160(
図11に示される)内に配置されると、ユーザは、次いで、拡張可能部材1051,1054の各々を拡張することができる。
図12は、拡張状態にある拡張可能部材1051,1054の両方を示し、拡張可能部材1051,1054の各々は、体管腔1160と接触している。拡張可能部材1051,1054の各々は、中心長手方向軸1099に対して、各拡張可能部材1051,1054の半径方向外側の表面の周りで体管腔1160に接触していてよく、体管腔1160の一部または全周の周りにシールを形成していてよい。
【0037】
拡張可能部材1051,1054の両方が拡張状態になると、ユーザは、流体チャネル1061に流体を印加して、拡張可能部材1051と拡張可能部材1054との間の体管腔1160内の空間に流体を移動させることができる。流体ルーメン1061からの流体が体管腔1160内に集まるにつれて、拡張可能部材1051と拡張可能部材1054との間の空間の流体から体管腔1160内に圧力がかかり、この圧力は、拡張可能部材1051を拡張可能部材1054に対して遠位に動かし得る。
図13および
図14は、流体チャネル1061が体管腔1160に流体を供給し続けるときの、拡張可能部材1054に対する拡張可能部材1051の遠位方向の動きを示す。拡張可能部材1051が遠位に動くと、体管腔1160内の物質1008は、遠位に動かされ、体管腔1160から押し出されてもよく、例えば、体管腔1160に接続された、より大きい体管腔1154(例えば、十二指腸)の中に押し出されてもよい。拡張可能部材および/またはシャフト1053は、拡張可能部材1051およびシャフト1062が遠位に動くときに定位置に留まることができ、いくつかの例では、拡張可能部材1054は、拡張可能部材1051が遠位に動く間、拡張可能部材1054を定位置に保持するために、体管腔1160とシールを形成することができる。いくつかの例では、拡張可能部材1051は、拡張可能部材1051が体管腔1160のより狭い領域1088(
図14に示される)に到達するときに停止されてよい。所望の量の残屑1008が体管腔1160から除去されると、ユーザは、拡張可能部材1051を非拡張状態に戻し、拡張可能部材1051と拡張可能部材1054との間に収集された流体が体管腔1160から流出することを可能にすることができる。次いで、ユーザは、拡張可能部材1054を非拡張状態に戻し、医療デバイス1000を患者の身体から除去することができる。
【0038】
前述のデバイスおよびシステムの各々は、身体物質を視覚化する、操作する、洗浄する、洗い流す、および/または移動させるために使用することができる。前述のデバイスのいずれも、超音波イメージング機能を備えた内視鏡または十二指腸内視鏡などの挿入デバイスとともに使用することができる。前述の方法のいずれにおいても、ユーザは、超音波イメージング技術を使用して1つまたは複数の医療デバイスを視認することができ、患者の総胆管から胆汁、スラグ、または他の物質を除去するために使用することができる。
【0039】
本開示の範囲から逸脱することなく、開示されたデバイスおよび方法において様々な修正および変形が行われ得ることが当業者には明らかであろう。本開示の他の態様は、本明細書の検討および本明細書に開示された特徴の実施から当業者には明らかであろう。本明細書および例は例示的としてのみ考慮されることが意図されている。
【国際調査報告】