(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】縫合糸回収針、回収器本体、把持器線、把持器アーム、および把持器磁石を備える磁石支援型縫合糸把持器
(51)【国際特許分類】
A61B 17/04 20060101AFI20240426BHJP
【FI】
A61B17/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571267
(86)(22)【出願日】2022-05-17
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 US2022029627
(87)【国際公開番号】W WO2022245819
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2022-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505157979
【氏名又は名称】アプライド・メディカル・テクノロジー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス, グラント ウェズリー
(72)【発明者】
【氏名】ソーダー, スティーヴン アルフレッド
(72)【発明者】
【氏名】ピチャ, ジョージ ジェー.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160BB01
4C160BB30
(57)【要約】
磁気縫合糸を把持するための磁石支援型縫合糸把持器が提供される。磁石支援型縫合糸把持器は、縫合糸回収針、回収器本体、把持器線、把持器アーム、および把持器磁石を含む。第1の方向における縫合糸回収針の針内腔内での回収器本体の並進は、把持器アームを第1の位置から第2の位置へ動かし、以て、把持器磁石を針内腔から露出させ、把持器磁石とそこに誘引される磁気縫合糸との接触を可能にする。第1の方向とは反対の第2の方向における針内腔内での回収器本体の並進は、把持器アームを第2の位置から第1の位置へ動かし、以て、把持器磁石を隔離し、針内腔内で磁気縫合糸を把持する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気縫合糸を把持するための磁石支援型縫合糸把持器であって、
(a)近位端、遠位端、およびそれらの間に延びる針本体を備える縫合糸回収針であって、前記針本体は、前記縫合糸回収針の前記近位端と前記遠位端との間の針本体軸を画定し、前記針本体は、前記針本体軸に沿って、近位孔、遠位孔、およびそれらの間に延びる針内腔を有する、縫合糸回収針、
(b)前記針内腔内に配設され、その中を前記針本体軸に沿って並進可能である回収器本体、
(c)近位端および遠位端を有し、前記回収器本体内に固定して配設される把持器線、
(d)近位端、近位~中間部分、遠位部分、および遠位端を備える把持器アームであって、前記把持器線の前記遠位端から延び、第1の位置と第2の位置との間で可逆的に移動可能である、把持器アーム、ならびに
(e)前記把持器アームの前記近位~中間部分に隣接して配設される把持器磁石であって、前記磁石支援型縫合糸把持器は、前記把持器アームが前記第1の位置にあるとき前記把持器磁石を前記針内腔内に隔離し、前記把持器アームが前記第2の位置にあるとき前記把持器磁石を前記針内腔から露出させる、把持器磁石を備え、
前記把持器アームの前記遠位端は、前記把持器磁石よりもさらに遠位に延び、
前記針本体軸に沿った第1の方向における前記針内腔内での前記回収器本体の並進は、前記把持器アームを前記第1の位置から前記第2の位置へと動かし、以て、前記把持器磁石を露出させ、前記把持器磁石とそこに誘引される磁気縫合糸との接触を可能にし、
前記針本体軸に沿った前記第1の方向とは反対の第2の方向における前記針内腔内での前記回収器本体の並進は、前記把持器アームを前記第2の位置から前記第1の位置へ動かし、以て、前記把持器磁石を隔離し、前記針内腔内で前記磁気縫合糸を把持する、磁石支援型縫合糸把持器。
【請求項2】
前記縫合糸回収針は、皮下注射針である、請求項1に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【請求項3】
前記縫合糸回収針は、真っすぐであり、前記針本体軸は、以て、真っすぐである、請求項1に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【請求項4】
前記縫合糸回収針は、湾曲しており、前記針本体軸は、以て、湾曲している、請求項1に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【請求項5】
前記縫合糸回収針は、鋭い先端を有する、請求項1に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【請求項6】
前記縫合糸回収針は、ハブをさらに備える、請求項1に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【請求項7】
前記回収器本体および前記把持器線は、前記針本体よりも可撓性である、請求項1に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【請求項8】
前記回収器本体は、近位端、遠位端、およびそれらの間に延びる回収器管を備え、前記回収器管は、前記回収器本体の前記近位端と前記遠位端との間の回収器管軸を画定し、前記回収器管は、前記回収器管軸に沿って、近位孔、遠位孔、およびそれらの間に延びる回収器管内腔を有し、
前記回収器管の前記近位孔は、前記回収器管内腔および前記針内腔を通じて前記針本体の前記遠位孔と流体連通状態にある、請求項1に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【請求項9】
前記把持器アームは、前記把持器線と一体である、請求項1に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【請求項10】
近位端および遠位端を有する磁石線をさらに備え、前記磁石線の前記近位端は、前記回収器本体内に固定して配設され、前記把持器磁石は、直接的または間接的のいずれかで、前記磁石線の前記遠位端に固定して装着される、請求項1に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【請求項11】
前記磁石線は、前記磁石線の前記遠位端において磁石線遠位終点をさらに備え、前記磁石支援型縫合糸把持器は、前記磁石線遠位終点に装着されるフェルールをさらに備え、前記把持器磁石は、前記フェルールに装着される、請求項10に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【請求項12】
前記把持器磁石は、直接的または間接的のいずれかで、前記把持器アームに固定して装着される、請求項1に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【請求項13】
前記把持器磁石は、直接的または間接的のいずれかで、前記把持器線に固定して装着される、請求項1に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【請求項14】
前記把持器アームは、前記把持器アームの前記遠位端において、拡大した遠位終点をさらに備え、
前記把持器アームは、前記針本体の前記遠位孔を通じた前記針内腔の内側から前記針内腔の外側への前記把持器アームの並進に基づいて、前記第1の位置と前記第2の位置との間で可逆的に移動可能であり、
前記把持器アームの前記遠位端における前記拡大した遠位終点は、前記把持器アームが前記第2の位置にあるとき、前記把持器磁石とそこに誘引される磁気縫合糸の縫合糸磁石との接触を可能にし、前記把持器アームが前記第1の位置にあるとき、前記磁気縫合糸の縫合糸を通すことを可能にするために十分に小さく、かつ、前記把持器アームが前記第1の位置にあるとき、前記磁気縫合糸の前記縫合糸磁石が前記針本体の前記遠位孔を通って前記針内腔を出るのを妨害するために十分に大きいサイズを有する、請求項1に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【請求項15】
前記把持器線は、第1の把持器線であり、
前記把持器アームは、第1の把持器アームであり、
前記磁石支援型縫合糸把持器は、(a)近位端および遠位端を有し、前記回収器本体内に固定して配設される第2の把持器線、ならびに(b)近位端、近位~中間部分、遠位部分、および遠位端を備える第2の把持器アームであって、前記第2の把持器線の前記遠位端から延び、前記第1の位置と前記第2の位置との間で可逆的に移動可能である、第2の把持器アームをさらに備え、
前記第1の把持器アームは、前記第1の把持器アームの前記遠位端において、拡大した遠位終点をさらに備え、
前記第2の把持器アームは、前記第2の把持器アームの前記遠位端において、拡大した遠位終点をさらに備え、
前記第1の把持器アームおよび前記第2の把持器アームは、前記針本体の前記遠位孔を通じた前記針内腔の内側から前記針内腔の外側への前記第1の把持器アームおよび前記第2の把持器アームの並進に基づいて、前記第1の位置と前記第2の位置との間で可逆的に移動可能であり、
前記第1の把持器アームおよび前記第2の把持器アームの前記拡大した遠位終点は、前記第1の把持器アームおよび前記第2の把持器アームが前記第2の位置にあるとき、前記把持器磁石とそこに誘引される磁気縫合糸の縫合糸磁石との接触を可能にし、前記第1の把持器アームおよび前記第2の把持器アームが前記第1の位置にあるとき、前記磁気縫合糸の縫合糸を通すことを可能にするために十分に小さく、かつ、前記第1の把持器アームおよび前記第2の把持器アームが前記第1の位置にあるとき、前記磁気縫合糸の前記縫合糸磁石が前記針本体の前記遠位孔を通って前記針内腔を出るのを妨害するために十分に大きいサイズを有する、請求項1に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【請求項16】
少なくとも1つの追加の把持器線、および前記少なくとも1つの追加の把持器線から遠位に延びる少なくとも1つの追加の把持器アームをさらに備える、請求項15に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【請求項17】
前記把持器線は、第1の把持器線であり、
前記把持器アームは、第1の把持器アームであり、
前記磁石支援型縫合糸把持器は、(a)近位端および遠位端を有し、前記回収器本体内に固定して配設される第2の把持器線、ならびに(b)近位端、近位~中間部分、遠位部分、および遠位端を備える第2の把持器アームであって、前記第2の把持器線の前記遠位端から延び、前記第1の位置と前記第2の位置との間で可逆的に移動可能である、第2の把持器アームをさらに備え、
前記第1の把持器アームと前記第2の把持器アームとはそれらの遠位端において接続され、以て、把持器アームループを形成し、
前記把持器アームループは、前記針本体の前記遠位孔を通じた前記針内腔の内側から前記針内腔の外側への前記把持器アームループの並進に基づいて、前記第1の位置と前記第2の位置との間で可逆的に移動可能であり、
前記把持器アームループは、前記把持器アームループが前記第2の位置にあるとき、前記把持器磁石とそこに誘引される磁気縫合糸の縫合糸磁石との接触を可能にするために十分に大きい領域を取り囲み、
前記把持器アームループは、前記把持器アームループが前記第1の位置にあるとき、前記磁気縫合糸の前記縫合糸磁石が前記縫合糸回収針の前記遠位孔を通って前記針内腔を出るのを防害するために十分に大きい厚さを有する、請求項1に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【請求項18】
前記把持器線は、第1の把持器線であり、
前記把持器アームは、第1の把持器アームであり、
前記磁石支援型縫合糸把持器は、(a)近位端および遠位端を有し、前記回収器本体内に固定して配設される第2の把持器線、ならびに(b)近位端、近位~中間部分、遠位部分、および遠位端を備える第2の把持器アームであって、前記第2の把持器線の前記遠位端から延び、前記第1の位置と前記第2の位置との間で可逆的に移動可能である、第2の把持器アームをさらに備え、
前記第1の把持器アームと前記第2の把持器アームとはそれらの遠位端において接続され、以て、把持器アームループを形成し、
前記第1の把持器アームおよび前記第2の把持器アームは、前記第1の把持器アームおよび前記第2の把持器アームの前記遠位端において、拡大した遠位終点をさらに備え、
前記把持器アームループは、前記針本体の前記遠位孔を通じた前記針内腔の内側から前記針内腔の外側への前記把持器アームループの並進に基づいて、前記第1の位置と前記第2の位置との間で可逆的に移動可能であり、
前記把持器アームループが前記第2の位置にあるとき、前記把持器磁石とそこに誘引される磁気縫合糸の縫合糸磁石との接触を可能にするために、前記把持器アームループは、十分に大きい領域を取り囲み、また前記第1の把持器アームおよび前記第2の把持器アームの前記遠位端における前記拡大した遠位終点は、十分に小さいサイズを有し、
前記第1の把持器アームおよび前記第2の把持器アームの前記遠位端における前記拡大した遠位終点は、前記把持器アームループが前記第1の位置にあるとき、前記磁気縫合糸の縫合糸を通すことを可能にするために十分に小さいサイズを有し、
前記第1の把持器アームおよび前記第2の把持器アームの前記遠位端における前記拡大した遠位終点は、前記把持器アームループが前記第1の位置にあるとき、前記磁気縫合糸の前記縫合糸磁石が前記針本体の前記遠位孔を通って前記針内腔を出るのを防害するために十分に大きいサイズを有する、請求項1に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【請求項19】
前記把持器線は、第1の把持器線であり、
前記把持器アームは、第1の把持器アームであり、
前記磁石支援型縫合糸把持器は、(a)近位端および遠位端を有し、前記回収器本体内に固定して配設される第2の把持器線、ならびに(b)近位端、近位~中間部分、遠位部分、および遠位端を備える第2の把持器アームであって、前記第2の把持器線の前記遠位端から延び、前記第1の位置と前記第2の位置との間で可逆的に移動可能である、第2の把持器アームをさらに備え、
前記第1の把持器アームと前記第2の把持器アームとはそれらの遠位端において接続され、以て、把持器アームループを形成し、
前記把持器アームループは、前記針本体の前記遠位孔を通じた前記針内腔の内側から前記針内腔の外側への前記把持器アームループの並進に基づいて、前記第1の位置と前記第2の位置との間で可逆的に移動可能であり、
前記把持器アームループは、前記把持器アームループが前記第1の位置にあるとき、弾性的に変形した閉状態にあり、
前記把持器アームループは、前記把持器アームループが前記第2の位置にあるとき、開状態へと可逆的に拡張し、
前記把持器アームループは、前記把持器アームループが前記第2の位置にあるとき、前記把持器磁石とそこに誘引される磁気縫合糸の縫合糸磁石との接触を可能にするために十分に大きい領域を取り囲み、
前記把持器アームループは、前記把持器アームループが前記第1の位置にあるとき、前記縫合糸磁石が前記縫合糸回収針の前記遠位孔を通って前記針内腔を出るのを防害するために前記磁気縫合糸の前記縫合糸磁石をスネアする、請求項1に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【請求項20】
前記把持器アームループは、形状記憶合金で形成される、請求項19に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【請求項21】
前記把持器線は、第1の把持器線であり、
前記把持器アームは、第1の把持器アームであり、
前記磁石支援型縫合糸把持器は、(a)近位端および遠位端を有し、前記回収器本体内に固定して配設される第2の把持器線、ならびに(b)近位端、近位~中間部分、遠位部分、および遠位端を備える第2の把持器アームであって、前記第2の把持器線の前記遠位端から延び、前記第1の位置と前記第2の位置との間で可逆的に移動可能である、第2の把持器アームをさらに備え、
前記第1の把持器アームおよび前記第2の把持器アームは、それらの遠位端に隣接した湾曲部分を備え、
前記第1の把持器アームおよび前記第2の把持器アームは、前記針本体の前記遠位孔を通じた前記針内腔の内側から前記針内腔の外側への前記第1の把持器アームおよび前記第2の把持器アームの並進に基づいて、前記第1の位置と前記第2の位置との間で可逆的に移動可能であり、
前記第1の把持器アームおよび前記第2の把持器アームの前記近位~中間部分は、前記針本体軸に略平行であり、前記第1の把持器アームおよび前記第2の把持器アームの前記遠位端に隣接した前記湾曲部分は、前記第1の把持器アームおよび前記第2の把持器アームが前記第1の位置にあるとき、前記針本体軸の方へ内向きに湾曲し、
前記第1の把持器アームまたは前記第2の把持器アームのうちの少なくとも一方は、前記第1の把持器アームおよび前記第2の把持器アームが前記第2の位置にあるとき、前記把持器磁石とそこに誘引される磁気縫合糸との接触を可能にするために前記針本体軸から外向きに十分に遠くへ可逆的に枢動し、
前記2つの把持器アームの前記遠位端に隣接した前記湾曲部分は、前記第1の把持器アームおよび前記第2の把持器アームが前記第1の位置にあるとき、前記磁気縫合糸が前記縫合糸回収針の前記遠位孔を通って前記針内腔を出るのを妨害するために前記磁気縫合糸に接触する、請求項1に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【請求項22】
前記第1の方向および/または前記第2の方向における前記針内腔内での前記回収器本体の並進を防ぐために可逆的に係合され得るロック機構をさらに備える、請求項1に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【請求項23】
前記ロック機構は、前記把持器アームの前記遠位端が前記針内腔の内側にあるとき前記針内腔内での前記回収器本体の並進を防ぐ第1の設定において可逆的に係合され得、前記把持器磁石が前記針内腔の外側にあるとき前記針内腔内での前記回収器本体の並進を防ぐ第2の設定において可逆的に係合され得る、請求項22に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【請求項24】
前記ロック機構を前記第1の設定または前記第2の設定に維持することは、エネルギー入力を必要としない、請求項23に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【請求項25】
磁気縫合糸を通すためのシステムであって、
請求項1に記載の磁石支援型縫合糸把持器と、
縫合糸磁石および前記縫合糸磁石から延びる縫合糸を備える磁気縫合糸と
を備える、システム。
【請求項26】
磁気縫合糸を通すためのシステムであって、
請求項1に記載の磁石支援型縫合糸把持器と、
縫合糸磁石、および前記縫合糸磁石から延び、縫合糸ループを形成する二股縫合糸を備える、磁気縫合糸ループと
を備える、システム。
【請求項27】
カートリッジ管をさらに備え、
前記カートリッジ管は、カートリッジ管近位開口部、カートリッジ管遠位開口部、およびそれらの間のカートリッジ管内腔を備え、
前記縫合糸ループは、前記カートリッジ管遠位開口部を通じて挿入されていることに基づいて、前記カートリッジ管内腔を横断し、
前記縫合糸磁石は、前記カートリッジ管遠位開口部に隣接して前記カートリッジ管内腔の外側に配設される、請求項26に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気縫合糸を把持するための磁石支援型縫合糸把持器に関し、より詳細には、縫合糸回収針、回収器本体、把持器線、把持器アーム、および把持器磁石を備える、磁気縫合糸を把持するための磁石支援型縫合糸把持器に関する。
【背景技術】
【0002】
縫合糸通しは、多くの外科手術において必要とされる。縫合糸通し器具は、何らかの身体組織を通じた縫合糸の送達および/または回収の手段を提供する手術器具である。通す縫合糸を固定するために機械的ソリューションを利用する多くの既存の器具が市場には存在する。
【0003】
リスクの低減、より早い回復時間、および概してより良好な美容術が理由で、ますます低侵襲技術が、観血手術において用いられている。低侵襲技術は、典型的には、患者の既存の開口部(例えば、内視鏡、結腸鏡などにより)、または患者の人工的に作成された開口部(例えば、腹腔鏡、関節鏡などにより)を通じて挿入され得るスコープおよび専用ツールを利用して、標的とした体内作業空間へのアクセスを得る。
【0004】
スコープを通じた手術器具の間接的可視化を伴う作業は、回収のための縫合糸通し器具の使用に著しい技術的課題を提示する。典型的な縫合糸通し器具を使用して縫合糸を回収することは、縫合糸の周りに縫合糸通し器具の1つまたは複数の把持要素を位置付けるために縫合糸通し器具の精密な位置付けおよび注意深い操作を必要とする。縫合糸通し器具は、把持要素が縫合糸の周囲で閉じられ、縫合糸を捕捉し、縫合糸が回収され得るようにそれをしっかりと保持している間は、適所に比較的一定して保持されなければならない。この様式での熟練した操作は、大半のスコープが単一のカメラを採用し、縫合糸通し器具操作者に二次元画像を提示し、故に立体的な結像を提供しないということによって阻まれる。立体的な結像がないことは、操作者の深さを認識する能力を阻み、このことが、把持要素を縫合糸の周りに正確に位置付けることと関連した難易度を増大させる。三次元結像システムは存在するが、それらは高価であり、今日に至るまで実地では依然として比較的まれである。
【0005】
大半の既存の縫合糸通し器具設計は、マルチアーム設計を利用しており、2つ以上のアームが開かれ、縫合糸の周りに運ばれ、次いで縫合糸の周りで閉じられて縫合糸を捕捉する。アームは、別々であってもよく、縫合糸を把持するために顎部を有するハサミスタイルの把持器を作成するか、またはアームは、接続されてもよく、縫合糸が通され得る目を形成するスネア型の把持器を形成する。
【0006】
残念ながら、アーム設計にかかわらず、これらのデバイスは、縫合糸の周りに把持器の顎部を持ってくるため、または縫合糸が捕捉され得る前にスネアの目に縫合糸を通すために、精密な位置付けを必要とする。述べたように、これは、間接的視覚化のためのカメラシステムが典型的には非立体的であることから、間接的視覚化の下では困難である。三次元画像なしでは、外科医は、機器の位置および深さを判断するために視覚的手掛かりに依拠しなければならず、これが、機器を適切に位置付けることを困難にする。機器が適所に置かれると、外科医は、次いで、把持器を縫合糸の周りに近づけることを試みる間、機器および縫合糸を極めて安定して保持する必要がある。機器の長さによって作り出される長いモーメントアームは、かなり小さい運動さえも大きくし、その結果として、小さい運動が、2つの構成要素の配列をずらし得る。縫合糸を把持する試みの失敗は、手技時間を延長し、手術室内のフラストレーションへとつながり得る。
【0007】
これらの困難を解決することが意図される磁気Uステッチ縫合デバイスが、米国特許第10,245,021号に開示されている。磁気Uステッチ縫合デバイスは、同時に1つまたは複数の縫合糸、および回収プローブが、患者の、腹腔など、腔内へ前進されることを可能にする2つの皮下注射針で作製される。1つまたは複数の縫合糸は、磁気縫合糸であり得、各々が、米国公開第2021/0059667号に説明されるような縫合糸磁石を含む。縫合糸および回収プローブの両方が、それらの先端に反対極性の磁石を備える。故に、縫合糸および回収プローブが腹腔の内側に置かれた後、縫合糸および回収プローブは、嵌合し得、縫合糸は、磁力を使用して1つの皮下注射針から他の皮下注射針へと移動され得る。その際に、縫合糸は、胃を通るループを形成する。除去されると、患者の身体の外側に位置付けられる2つの端を有するこのループは、胃壁を患者の身体の表面の近くへ引っ張るためにきつく引っ張られ得る。胃壁が患者の身体の表面の近くにある状態では、胃瘻デバイスを挿入することがより容易である。
【0008】
残念ながら、開存している鞘状突起の高位結紮を通じた鼠径ヘルニア術など、特定の手技は、磁気Uステッチ縫合デバイスの2つの皮下注射針の前進を同時に可能にするには十分に大きくない空間、例えば、腹膜腔内の縫合糸の通過を必要とする。
【0009】
磁石を含む他の縫合糸機器および/または縫合糸が開示されている。例えば、米国特許第10,299,786号は、皮下組織に1つまたは複数の縫合糸を通すための小ゲージ針を利用する縫合糸挿入デバイスを開示する。縫合糸挿入デバイスは、横配列にある磁気誘引ストランドに接触するための磁気捕捉機構を含み得る。米国特許第6,719,765号および米国特許第9,770,238号は、磁力を用いて組織に医療器具を通すための機器を開示する。米国特許第8,702,753号および米国公開第2008/0243148号は、磁気アンカーが装着される縫合糸を開示する。米国公開第2020/0360017号は、縫合糸が針と移送管との間に自動的に通され得る縫合装置を開示する。この縫合装置は、縫合糸に係合し、これをシステムから解放するために、電磁コイルを含み得る。米国公開第2020/0214695号は、磁性であるがために互いと係合し得る鉗子アームおよび縫合糸を含む縫合システムを開示する。米国公開第2022/0104802号は、端から延びる磁気管を有するロッド、および管内へ引き付けられてそれと磁気的に係合する端を有する磁気針を含む縫合システムを開示する。米国公開第2021/0059667号は、結び目付きの縫合糸が提供され、接着剤で固定される先細領域、および磁石が提供される直線領域を伴うフェルールを有する磁気縫合糸を開示する。
【0010】
間接的な非立体可視化の下で縫合糸を捕捉および回収することと関連付けられた技術的困難を低減する改善された縫合糸通し器具が必要とされる。
【発明の概要】
【0011】
磁気縫合糸を把持するための磁石支援型縫合糸把持器が開示される。磁石支援型縫合糸把持器は、(a)近位端、遠位端、およびそれらの間に延びる針本体を備える縫合糸回収針であって、針本体は、縫合糸回収針の近位端と遠位端との間の針本体軸を画定し、針本体は、針本体軸に沿って、近位孔、遠位孔、およびそれらの間に延びる針内腔を有する、縫合糸回収針、(b)針内腔内に配設され、その中を針本体軸に沿って並進可能である回収器本体、(c)近位端および遠位端を有し、回収器本体内に固定して配設される把持器線、(d)近位端、近位~中間部分、遠位部分、および遠位端を備える把持器アームであって、把持器線の遠位端から延び、第1の位置と第2の位置との間で可逆的に移動可能である、把持器アーム、ならびに(e)把持器アームの近位~中間部分に隣接して配設される把持器磁石であって、磁石支援型縫合糸把持器は、把持器アームが第1の位置にあるとき把持器磁石を針内腔内に隔離し、把持器アームが第2の位置にあるとき把持器磁石を針内腔から露出させる、把持器磁石を備える。把持器アームの遠位端は、把持器磁石よりもさらに遠位に延びる。針本体軸に沿った第1の方向における針内腔内での回収器本体の並進は、把持器アームを第1の位置から第2の位置へと動かし、以て、把持器磁石を露出させ、把持器磁石とそこに誘引される磁気縫合糸との接触を可能にする。針本体軸に沿った第1の方向とは反対の第2の方向における針内腔内での回収器本体の並進は、把持器アームを第2の位置から第1の位置へ動かし、以て、把持器磁石を隔離し、針内腔内で磁気縫合糸を把持する。
【0012】
いくつかの実施形態において、縫合糸回収針は、皮下注射針である。
【0013】
いくつかの実施形態において、縫合糸回収針は、真っすぐであり、針本体軸は、以て、真っすぐである。
【0014】
いくつかの実施形態において、縫合糸回収針は、湾曲しており、針本体軸は、以て、湾曲している。
【0015】
いくつかの実施形態において、縫合糸回収針は、鋭い先端を有する。
【0016】
いくつかの実施形態において、縫合糸回収針は、ハブをさらに備える。
【0017】
いくつかの実施形態において、回収器本体および把持器線は、針本体よりも可撓性である。
【0018】
いくつかの実施形態において、回収器本体は、近位端、遠位端、およびそれらの間に延びる回収器管を備え、回収器管は、回収器本体の近位端と遠位端との間の回収器管軸を画定し、回収器管は、回収器管軸に沿って、近位孔、遠位孔、およびそれらの間に延びる回収器管内腔を有し、回収器管の近位孔は、回収器管内腔および針内腔を通じて針本体の遠位孔と流体連通状態にある。
【0019】
いくつかの実施形態において、把持器アームは、把持器線と一体である。
【0020】
いくつかの実施形態において、磁石支援型縫合糸把持器は、近位端および遠位端を有する磁石線をさらに備え、磁石線の近位端は、回収器本体内に固定して配設され、把持器磁石は、直接的または間接的のいずれかで、磁石線の遠位端に固定して装着される。
【0021】
これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、磁石線は、磁石線の遠位端において磁石線遠位終点をさらに備え、磁石支援型縫合糸把持器は、磁石線遠位終点に装着されるフェルールをさらに備え、把持器磁石は、フェルールに装着される。
【0022】
いくつかの実施形態において、把持器磁石は、直接的または間接的のいずれかで、把持器アームに固定して装着される。
【0023】
いくつかの実施形態において、把持器磁石は、直接的または間接的のいずれかで、把持器線に固定して装着される。
【0024】
いくつかの実施形態において、把持器アームは、把持器アームの遠位端において、拡大した遠位終点をさらに備え、把持器アームは、針本体の遠位孔を通じた針内腔の内側から針内腔の外側への把持器アームの並進に基づいて、第1の位置と第2の位置との間で可逆的に移動可能であり、把持器アームの遠位端における拡大した遠位終点は、把持器アームが第2の位置にあるとき、把持器磁石とそこに誘引される磁気縫合糸の縫合糸磁石との接触を可能にし、把持器アームが第1の位置にあるとき、磁気縫合糸の縫合糸を通すことを可能にするために十分に小さく、かつ、把持器アームが第1の位置にあるとき、磁気縫合糸の縫合糸磁石が針本体の遠位孔を通って針内腔を出るのを妨害するために十分に大きいサイズを有する。
【0025】
いくつかの実施形態において、把持器線は、第1の把持器線であり、把持器アームは、第1の把持器アームであり、磁石支援型縫合糸把持器は、(a)近位端および遠位端を有し、回収器本体内に固定して配設される第2の把持器線、ならびに(b)近位端、近位~中間部分、遠位部分、および遠位端を備える第2の把持器アームであって、第2の把持器線の遠位端から延び、第1の位置と第2の位置との間で可逆的に移動可能である、第2の把持器アームをさらに備え、第1の把持器アームは、第1の把持器アームの遠位端において、拡大した遠位終点をさらに備え、第2の把持器アームは、第2の把持器アームの遠位端において、拡大した遠位終点をさらに備え、第1の把持器アームおよび第2の把持器アームは、針本体の遠位孔を通じた針内腔の内側から針内腔の外側への第1の把持器アームおよび第2の把持器アームの並進に基づいて、第1の位置と第2の位置との間で可逆的に移動可能であり、第1の把持器アームおよび第2の把持器アームの拡大した遠位終点は、第1の把持器アームおよび第2の把持器アームが第2の位置にあるとき、把持器磁石とそこに誘引される磁気縫合糸の縫合糸磁石との接触を可能にし、第1の把持器アームおよび第2の把持器アームが第1の位置にあるとき、磁気縫合糸の縫合糸を通すことを可能にするために十分に小さく、かつ、第1の把持器アームおよび第2の把持器アームが第1の位置にあるとき、磁気縫合糸の縫合糸磁石が針本体の遠位孔を通って針内腔を出るのを妨害するために十分に大きいサイズを有する。
【0026】
これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、磁石支援型縫合糸把持器は、少なくとも1つの追加の把持器線、および少なくとも1つの追加の把持器線から遠位に延びる少なくとも1つの追加の把持器アームをさらに備える。
【0027】
いくつかの実施形態において、把持器線は、第1の把持器線であり、把持器アームは、第1の把持器アームであり、磁石支援型縫合糸把持器は、(a)近位端および遠位端を有し、回収器本体内に固定して配設される第2の把持器線、ならびに(b)近位端、近位~中間部分、遠位部分、および遠位端を備える第2の把持器アームであって、第2の把持器線の遠位端から延び、第1の位置と第2の位置との間で可逆的に移動可能である、第2の把持器アームをさらに備え、第1の把持器アームと第2の把持器アームとはそれらの遠位端において接続され、以て、把持器アームループを形成し、把持器アームループは、針本体の遠位孔を通じた針内腔の内側から針内腔の外側への把持器アームループの並進に基づいて、第1の位置と第2の位置との間で可逆的に移動可能であり、把持器アームループは、把持器アームループが第2の位置にあるとき、把持器磁石とそこに誘引される磁気縫合糸の縫合糸磁石との接触を可能にするために十分に大きい領域を取り囲み、把持器アームループは、把持器アームループが第1の位置にあるとき、磁気縫合糸の縫合糸磁石が縫合糸回収針の遠位孔を通って針内腔を出るのを妨害するために十分に大きい厚さを有する。
【0028】
いくつかの実施形態において、把持器線は、第1の把持器線であり、把持器アームは、第1の把持器アームであり、磁石支援型縫合糸把持器は、(a)近位端および遠位端を有し、回収器本体内に固定して配設される第2の把持器線、ならびに(b)近位端、近位~中間部分、遠位部分、および遠位端を備える第2の把持器アームであって、第2の把持器線の遠位端から延び、第1の位置と第2の位置との間で可逆的に移動可能である、第2の把持器アームをさらに備え、第1の把持器アームと第2の把持器アームとはそれらの遠位端において接続され、以て、把持器アームループを形成し、第1の把持器アームおよび第2の把持器アームは、第1の把持器アームおよび第2の把持器アームの遠位端において、拡大した遠位終点をさらに備え、把持器アームループは、針本体の遠位孔を通じた針内腔の内側から針内腔の外側への把持器アームループの並進に基づいて、第1の位置と第2の位置との間で可逆的に移動可能であり、把持器アームループが第2の位置にあるとき、把持器磁石とそこに誘引される磁気縫合糸の縫合糸磁石との接触を可能にするために、把持器アームループは、十分に大きい領域を取り囲み、また第1の把持器アームおよび第2の把持器アームの遠位端における拡大した遠位終点は、十分に小さいサイズを有し、第1の把持器アームおよび第2の把持器アームの遠位端における拡大した遠位終点は、把持器アームループが第1の位置にあるとき、磁気縫合糸の縫合糸を通すことを可能にするために十分に小さいサイズを有し、第1の把持器アームおよび第2の把持器アームの遠位端における拡大した遠位終点は、把持器アームループが第1の位置にあるとき、磁気縫合糸の縫合糸磁石が縫合糸回収針の遠位孔を通って針内腔を出るのを妨害するために十分に大きいサイズを有する。
【0029】
いくつかの実施形態において、把持器線は、第1の把持器線であり、把持器アームは、第1の把持器アームであり、磁石支援型縫合糸把持器は、(a)近位端および遠位端を有し、回収器本体内に固定して配設される第2の把持器線、ならびに(b)近位端、近位~中間部分、遠位部分、および遠位端を備える第2の把持器アームであって、第2の把持器線の遠位端から延び、第1の位置と第2の位置との間で可逆的に移動可能である、第2の把持器アームをさらに備え、第1の把持器アームと第2の把持器アームとはそれらの遠位端において接続され、以て、把持器アームループを形成し、把持器アームループは、針本体の遠位孔を通じた針内腔の内側から針内腔の外側への把持器アームループの並進に基づいて、第1の位置と第2の位置との間で可逆的に移動可能であり、把持器アームループは、把持器アームループが第1の位置にあるとき、弾性的に変形した閉状態にあり、把持器アームループは、把持器アームループが第2の位置にあるとき、開状態へと可逆的に拡張し、把持器アームループは、把持器アームループが第2の位置にあるとき、把持器磁石とそこに誘引される磁気縫合糸の縫合糸磁石との接触を可能にするために十分に大きい領域を取り囲み、把持器アームループは、把持器アームループが第1の位置にあるとき、縫合糸磁石が縫合糸回収針の遠位孔を通って針内腔を出るのを妨害するために磁気縫合糸の縫合糸磁石をスネアする。
【0030】
これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、把持器アームループは、形状記憶合金で形成される。
【0031】
いくつかの実施形態において、把持器線は、第1の把持器線であり、把持器アームは、第1の把持器アームであり、磁石支援型縫合糸把持器は、(a)近位端および遠位端を有し、回収器本体内に固定して配設される第2の把持器線、ならびに(b)近位端、近位~中間部分、遠位部分、および遠位端を備える第2の把持器アームであって、第2の把持器線の遠位端から延び、第1の位置と第2の位置との間で可逆的に移動可能である、第2の把持器アームをさらに備え、第1の把持器アームおよび第2の把持器アームは、それらの遠位端に隣接して湾曲部分を備え、第1の把持器アームおよび第2の把持器アームは、針本体の遠位孔を通じた針内腔の内側から針内腔の外側への第1の把持器アームおよび第2の把持器アームの並進に基づいて、第1の位置と第2の位置との間で可逆的に移動可能であり、第1の把持器アームおよび第2の把持器アームの近位~中間部分は、針本体軸に略平行であり、第1の把持器アームおよび第2の把持器アームの遠位端に隣接した湾曲部分は、第1の把持器アームおよび第2の把持器アームが第1の位置にあるとき、針本体軸の方へ内向きに湾曲し、第1の把持器アームまたは第2の把持器アームのうちの少なくとも一方は、第1の把持器アームおよび第2の把持器アームが第2の位置にあるとき、把持器磁石とそこに誘引される磁気縫合糸との接触を可能にするために針本体軸から外向きに十分に遠くへ可逆的に枢動し、2つの把持器アームの遠位端に隣接した湾曲部分は、第1の把持器アームおよび第2の把持器アームが第1の位置にあるとき、磁気縫合糸が縫合糸回収針の遠位孔を通って針内腔を出るのを妨害するために磁気縫合糸に接触する。
【0032】
いくつかの実施形態において、磁石支援型縫合糸把持器は、第1の方向および/または第2の方向における針内腔内での回収器本体の並進を防ぐために可逆的に係合され得るロック機構をさらに備える。
【0033】
これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、ロック機構は、把持器アームの遠位端が針内腔の内側にあるとき針内腔内での回収器本体の並進を防ぐ第1の設定において可逆的に係合され得、把持器磁石が針内腔の外側にあるとき針内腔内での回収器本体の並進を防ぐ第2の設定において可逆的に係合され得る。
【0034】
これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、ロック機構を第1の設定または第2の設定に維持することは、エネルギー入力を必要としない。
【0035】
磁気縫合糸を通すためのシステムも開示される。本システムは、磁石支援型縫合糸把持器を備える。本システムはまた、縫合糸磁石、および縫合糸磁石から延びる縫合糸を備える、磁気縫合糸を備える。
【0036】
磁気縫合糸を通すための別のシステムも開示される。本システムは、磁石支援型縫合糸把持器を備える。本システムはまた、縫合糸磁石、および縫合糸磁石から延び縫合糸ループを形成する二股縫合糸を備える、磁気縫合糸ループを備える。
【0037】
いくつかの実施形態において、本システムは、カートリッジ管をさらに備え、カートリッジ管は、カートリッジ管近位開口部、カートリッジ管遠位開口部、およびそれらの間のカートリッジ管内腔を備え、縫合糸ループは、カートリッジ管遠位開口部を通じて挿入されていることに基づいて、カートリッジ管内腔を横断し、縫合糸磁石は、カートリッジ管遠位開口部に隣接してカートリッジ管内腔の外側に配設される。
【0038】
本開示のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の発明を実施するための形態が、以下に続く添付の図面を参照して読まれるときにより良好に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本明細書に開示されるような、縫合糸回収針、回収器本体、把持器線、把持器アーム、および把持器磁石を備える磁石支援型縫合糸把持器の第1の実施形態の側面図であって、把持器アームが、本明細書に論じられるように、把持器磁石を露出し、把持器磁石とそこに誘引される磁気縫合糸との接触を可能にする、第2の位置と呼ばれる位置にある、図である。
【
図2】把持器アームが、本明細書に論じられるように、把持器磁石を針内腔内に隔離する、第1の位置と呼ばれる位置にある、
図1の磁石支援型縫合糸把持器の断面図である。
【
図3】把持器アームが第1の位置にある、
図1の磁石支援型縫合糸把持器の正面図である。
【
図4】
図1の磁石支援型縫合糸把持器の背面図である。
【
図5】把持器アームが第2の位置にある、回収器本体、把持器線、把持器アーム、および把持器磁石を備える、
図1の磁石支援型縫合糸把持器の一部分の側面図である。
【
図6】把持器アームが第2の位置にある、
図5の磁石支援型縫合糸把持器の該部分の上面図である。
【
図7】把持器アームが第2の位置にある、
図5の磁石支援型縫合糸把持器の該部分の遠位端の拡大側面図である。
【
図8】把持器アームが第2の位置にある、
図5の磁石支援型縫合糸把持器の該部分の遠位端の拡大上面図である。
【
図9】
図1の磁石支援型縫合糸把持器の縫合糸回収針の側面図である。
【
図11】本明細書に開示されるような、縫合糸回収針、回収器本体、把持器線、把持器アーム、および把持器磁石を備える磁石支援型縫合糸把持器の第2の実施形態の側面図であって、把持器アームが第1の位置にある、図である。
【
図12】把持器アームが第1の位置にある、
図11の磁石支援型縫合糸把持器の上面図である。
【
図13】把持器アームが第1の位置にある、
図11の磁石支援型縫合糸把持器の底面図である。
【
図14】把持器アームが第1の位置にある、
図11の磁石支援型縫合糸把持器の正面図である。
【
図15】把持器アームが第1の位置にある、
図11の磁石支援型縫合糸把持器の背面図である。
【
図16】把持器アームが第2の位置にある、
図11の磁石支援型縫合糸把持器の側面図である。
【
図17】把持器アームが第2の位置にある、
図11の磁石支援型縫合糸把持器の上面図である。
【
図18】把持器アームが第2の位置にある、
図11の磁石支援型縫合糸把持器の底面図である。
【
図19】把持器アームが第2の位置にある、
図11の磁石支援型縫合糸把持器の正面図である。
【
図20】把持器アームが第2の位置にある、
図11の磁石支援型縫合糸把持器の透視図である。
【
図22】把持器アームが第2の位置にある、
図11の磁石支援型縫合糸把持器の遠位端の拡大透視図である。
【
図23】
図11の磁石支援型縫合糸把持器の円筒部の近位端面図である。
【
図25】円筒部のガイドチャネルを通じた
図23の円筒部の部分断面図である。
【
図26】円筒部のガイドチャネルに対して垂直の
図23の円筒部の部分断面図である。
【
図27】
図11の磁石支援型縫合糸把持器のロックカムの透視図である。
【
図29】
図11の磁石支援型縫合糸把持器の駆動カムの側面図である。
【
図31】
図11の磁石支援型縫合糸把持器のアドバンサアセンブリの透視図である。
【
図32】アドバンサアセンブリがアンロック後退位置にあり、把持器アームが第1の位置にある、
図11の磁石支援型縫合糸把持器の側面図である。
【
図33】アドバンサアセンブリがアンロック後退位置にあり、把持器アームが第1の位置にある、
図11の磁石支援型縫合糸把持器の側面図である。
【
図34】アドバンサアセンブリがアンロック後退位置にある、
図11の磁石支援型縫合糸把持器のアドバンサアセンブリの構成要素のサブセットの部分断面図である。
【
図35】アドバンサアセンブリがアンロック後退位置にあり、把持器アームが第1の位置にある、
図11の磁石支援型縫合糸把持器の遠位端の側面図である。
【
図36】アドバンサアセンブリがロック中間位置にあり、把持器アームが第1の位置と第2の位置との間の中間の位置にある、
図11の磁石支援型縫合糸把持器の側面図である。
【
図37】アドバンサアセンブリがロック中間位置にあり、把持器アームが第1の位置と第2の位置との間の中間の位置にある、
図11の磁石支援型縫合糸把持器の側面図である。
【
図38】アドバンサアセンブリがロック中間位置にある、
図11の磁石支援型縫合糸把持器のアドバンサアセンブリの構成要素のサブセットの部分断面図である。
【
図39】アドバンサアセンブリがロック中間位置にあり、把持器アームが第1の位置と第2の位置との間の中間の位置にある、
図11の磁石支援型縫合糸把持器の遠位端の側面図である。
【
図40】アドバンサアセンブリがロック拡張位置にあり、把持器アームが第2の位置にある、
図11の磁石支援型縫合糸把持器の側面図である。
【
図41】アドバンサアセンブリがロック拡張位置にあり、把持器アームが第2の位置にある、
図11の磁石支援型縫合糸把持器の側面図である。
【
図42】アドバンサアセンブリがロック拡張位置にある、
図11の磁石支援型縫合糸把持器のアドバンサアセンブリの部品のサブセットの部分断面図である。
【
図43】把持器アームが第2の位置にある、
図1の磁石支援型縫合糸把持器の遠位端の側面図であり、これは、アドバンサアセンブリがロック拡張位置にあり、把持器アームが第2の位置にある、
図11の磁石支援型縫合糸把持器の遠位端の側面図でもある。
【
図44】把持器アームが第2の位置にあり、把持器磁石が磁気縫合糸を誘引している、
図1の磁石支援型縫合糸把持器の遠位端の側面図であり、これは、アドバンサアセンブリがロック拡張位置にあり、把持器アームが第2の位置にあり、把持器磁石が磁気縫合糸を誘引している、
図11の磁石支援型縫合糸把持器の遠位端の側面図でもある。
【
図45】把持器アームが第2の位置にあり、把持器磁石が磁気縫合糸を誘引しており、かつ磁気縫合糸と接触状態にある、
図1の磁石支援型縫合糸把持器の遠位端の側面図であり、これは、アドバンサアセンブリがロック拡張位置にあり、把持器アームが第2の位置にあり、把持器磁石が磁気縫合糸を誘引しており、かつ磁気縫合糸と接触状態にある、
図11の磁石支援型縫合糸把持器の遠位端の側面図でもある。
【
図46】把持器アームが第1の位置にあり、把持器磁石が磁気縫合糸を誘引しており、かつ磁気縫合糸と接触状態にあり、その結果として、磁気縫合糸が、磁石支援型縫合糸把持器の縫合糸回収針の針内腔内に捕捉されている、
図1の磁石支援型縫合糸把持器の遠位端の断面図であり、これは、アドバンサアセンブリがアンロック後退位置にあり、把持器アームが第1の位置にあり、把持器磁石が磁気縫合糸を誘引しており、かつ磁気縫合糸と接触状態にあり、その結果として、磁気縫合糸が、磁石支援型縫合糸把持器の縫合糸回収針の針内腔内に捕捉されている、
図11の磁石支援型縫合糸把持器の遠位端の断面図でもある。
【
図47】把持器アームが第1の位置と第2の位置との間の中間の位置にあり、把持器アームの遠位端における拡大した遠位終点が磁気縫合糸を把持しており、その結果として、磁気縫合糸が、磁石支援型縫合糸把持器の縫合糸回収針の針内腔内に捕捉されたままである、
図1の磁石支援型縫合糸把持器の遠位端の断面図であり、これは、アドバンサアセンブリがロック中間位置にあり、把持器アームが第1の位置と第2の位置との間の中間の位置にあり、把持器アームの遠位端における拡大した遠位終点が磁気縫合糸を把持しており、その結果として、磁気縫合糸が、磁石支援型縫合糸把持器の縫合糸回収針の針内腔内に捕捉されたままである、
図11の磁石支援型縫合糸把持器の遠位端の断面図でもある。
【
図48】アドバンサアセンブリがロック中間位置にあり、把持器アームが第1の位置と第2の位置との間の中間の位置にある、
図11の磁石支援型縫合糸把持器の部品のサブセットの部分断面図である。
【
図49A】アドバンサアセンブリがロック中間位置にあり、把持器アームが第1の位置と第2の位置との間の中間の位置にある、
図11の磁石支援型縫合糸把持器の断面図である。
【
図49B】アドバンサアセンブリがロック中間位置にあり、把持器アームが第1の位置と第2の位置との間の中間の位置にある、
図11の磁石支援型縫合糸把持器の断面図である。
【
図49C】アドバンサアセンブリがロック中間位置にあり、把持器アームが第1の位置と第2の位置との間の中間の位置にある、
図11の磁石支援型縫合糸把持器の断面図である。
【
図50】把持器アームが第2の位置にある、
図11の磁石支援型縫合糸把持器の把持器アームの上面図である。
【
図51】本明細書に開示されるような磁石支援型縫合糸把持器の把持器アームの第1の代替の実施形態の側面図である。
【
図52】本明細書に開示されるような磁石支援型縫合糸把持器の把持器アームの第2の代替の実施形態の側面図である。
【
図53】本明細書に開示されるような磁石支援型縫合糸把持器の把持器アームの第3の代替の実施形態の側面図である。
【
図54】本明細書に開示されるような磁気縫合糸ループの上面図である。
【
図55】
図54の磁気縫合糸ループのループ端および磁石端の拡大図である。
【
図58】
図54の磁気縫合糸ループの磁石端の拡大断面図である。
【
図59】本明細書に開示されるような予め充填された磁気縫合糸カートリッジの側面図である。
【
図60】
図59の予め充填された磁気縫合糸カートリッジの磁石端の断面図である。
【
図61】
図59の予め充填された磁気縫合糸カートリッジのループ端の断面図である。
【
図62】誘導針内の
図59の予め充填された磁気縫合糸カートリッジの側面図である。
【
図63】予め充填された磁気縫合糸カートリッジの磁石端が湾曲している、本明細書に開示されるような予め充填された磁気縫合糸カートリッジの代替の実施形態の側面図である。
【
図64】本明細書に開示されるような磁石支援型縫合糸把持器の把持器アームの第4の代替の実施形態の側面図である。
【
図65】
図64の把持器アームの第4の代替の実施形態の断面図である。
【
図66】磁石支援型縫合糸把持器の把持器磁石が磁気縫合糸を誘引しており、かつ磁気縫合糸と接触状態にある、
図64の把持器アームの第4の代替の実施形態の透視図である。
【
図67】把持器磁石が磁気縫合糸を誘引しており、かつ磁気縫合糸と接触状態にあり、その結果として、磁気縫合糸が、磁石支援型縫合糸把持器の縫合糸回収針の針内腔内に捕捉されている、
図64の把持器アームの第4の代替の実施形態の透視図である。
【
図68】把持器磁石が磁気縫合糸を誘引しており、かつ磁気縫合糸と接触状態にあり、その結果として、磁気縫合糸が、磁石支援型縫合糸把持器の縫合糸回収針の針内腔内に捕捉されている、
図64の把持器アームの第4の代替の実施形態の断面図である。
【
図69】把持器アームの遠位端が磁気縫合糸を把持しており、その結果として、磁気縫合糸が、磁石支援型縫合糸把持器の縫合糸回収針の針内腔内に捕捉されたままである、
図64の把持器アームの第4の代替の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
磁気縫合糸を把持するための磁石支援型縫合糸把持器が開示される。磁石支援型縫合糸把持器は、(a)近位端、遠位端、およびそれらの間に延びる針本体を備える縫合糸回収針であって、針本体は、縫合糸回収針の近位端と遠位端との間の針本体軸を画定し、針本体は、針本体軸に沿って、近位孔、遠位孔、およびそれらの間に延びる針内腔を有する、縫合糸回収針、(b)針内腔内に配設され、その中を針本体軸に沿って並進可能である回収器本体、(c)近位端および遠位端を有し、回収器本体内に固定して配設される把持器線、(d)近位端、近位~中間部分、遠位部分、および遠位端を備える把持器アームであって、把持器線の遠位端から延び、第1の位置と第2の位置との間で可逆的に移動可能である、把持器アーム、ならびに(e)把持器アームの近位~中間部分に隣接して配設される把持器磁石であって、磁石支援型縫合糸把持器は、把持器アームが第1の位置にあるとき把持器磁石を針内腔内に隔離し、把持器アームが第2の位置にあるとき把持器磁石を前記針内腔から露出させる、把持器磁石を備える。把持器アームの遠位端は、把持器磁石よりもさらに遠位に延びる。針本体軸に沿った第1の方向における針内腔内での回収器本体の並進は、把持器アームを第1の位置から第2の位置へと動かし、以て、把持器磁石を露出させ、把持器磁石とそこに誘引される磁気縫合糸との接触を可能にする。針本体軸に沿った第1の方向とは反対の第2の方向における針内腔内での回収器本体の並進は、把持器アームを第2の位置から第1の位置へ動かし、以て、把持器磁石を隔離し、針内腔内で磁気縫合糸を把持する。
【0041】
本発明者らの磁石支援型縫合糸把持器は、間接的な非立体可視化の下で縫合糸を捕捉および回収することと関連付けられた技術的困難を解決する。本発明者らの磁石支援型縫合糸把持器は、磁気縫合糸が磁石支援型縫合糸把持器の二次機械手段により捕捉されている間、磁気縫合糸の初期位置付けおよび保持を助けるために、磁石支援型縫合糸把持器の把持器磁石および磁気縫合糸の縫合糸磁石という2つの双極子磁石の使用を伴う。2つの双極子磁石の使用は、自己整列特徴を可能にし、把持器磁石および縫合糸磁石のNおよびS極の誘引力が、2つの磁石を予測可能な様式で整列させ、機能の反復性および確実性の側面を改善する。本発明者らの磁石支援型縫合糸把持器は、2つの磁気的側面が、磁場が相互作用することができるほど十分に互いの近くに持ってこられる必要があるだけであるため、縫合糸通し器具を正確に位置付ける必要性を大いに低減する。縫合糸の磁気的側面は、引っ張られて把持器磁石と接触状態になる。これは、接触させるために正確な位置付けの必要性なしに発生する。二次機械手段は、このとき、縫合糸を磁石支援型縫合糸把持器へと保持する役割を果たす磁気縫合糸と磁石支援型縫合糸把持器との定常状態接続を提供し、回収中に把持器磁石と縫合糸磁石との間の磁力に依拠する必要性なしに患者の軟組織を通じた縫合糸の回収を可能にする。
【0042】
本発明者らは、最初、縫合糸が把持器磁石と縫合糸磁石との間の磁力に依拠して患者の身体から回収されることを想起したが、生体外実験により問題が明らかになり、軟組織を通じて縫合糸を引っ張ることと関連付けられた摩擦抵抗は、把持器磁石と縫合糸磁石との間の誘引力よりも大きく、結果として磁石の分離が生じた。2つの磁石は小さすぎた。磁石のサイズは、それらを送達のためのカニューレに通す必要性、およびカニューレによる組織貫通と関連付けられた外傷を最小限にするためにカニューレのサイズを最小限にしたいという願望によって制限される。本発明者らは、より大きい誘引強度を提供するために磁石のサイズを増加させることはできなかった。しかしながら、この問題は、縫合糸を磁石接続が耐えることができるものよりも大きい荷重に対して固定するためにカニューレの壁と併せて作用する機械的トラップを使用することによって解決することができるということに気付いた。
【0043】
より詳細には、最初、本発明者らは、米国公開第2021/0059667号に説明される磁気縫合糸などの縫合糸磁石を含む磁気縫合糸、および米国特許第10,245,021号に説明される磁気Uステッチ縫合デバイスの回収プローブと類似した、磁気端を伴う磁気縫合糸回収器を含むデバイスを組み込むことを目指した。縫合糸は、17ゲージ皮下注射針を使用して導入される。上で言及した鼠径ヘルニア術技術などの特定の手技では、針は、回収器の導入前に除去されなければならない。鼠径ヘルニア術手技において、縫合糸は、磁気端が腹膜腔の内側にあり、かつ縫合糸が腹壁を通って延びている状態で配設される。次いで、磁気縫合糸回収器が、17ゲージ針を使用して、同じ経皮部位を通じて導入される。これは、第2の針であり得るか、または、それは、縫合糸を導入するために使用されたものと同じ針であり得る。次いで、磁気縫合糸回収器は、縫合糸の磁気端の近くに持ってこられ、その結果として、磁石が接続する。一旦磁石が接続されると、磁気回収器は撤退されて、それと共に縫合糸を引っ張る。
【0044】
このデバイスを試作する間、本発明者らは、磁気縫合糸回収器および磁気縫合糸の磁石の間の誘引力が、軟組織を通じて縫合糸を引っ張ることから生じる摩擦抵抗に対抗するには十分な強さではないことを決定した。比較すると、米国特許第10,245,021号に説明される磁気Uステッチデバイスでは、縫合糸は回収中に決して組織に接触しない。代わりに、縫合糸は、1つのカニューレを通って、開空間内へ進み、その後別のカニューレを通って戻る。縫合糸をこれらのカニューレに通すことによってもたらされる抵抗は最小限である。しかしながら、典型的には小児科患者に対して行われる鼠径ヘルニア手技の場合、2つの針が患者内の関連空間を同時に占有するのに十分な場所がない。縫合糸は、最初に誘導針から外される必要がある。その後、誘導針が除去される必要がある。その後、磁気縫合糸回収器は、縫合糸を回収することができる必要がある。
【0045】
しかしながら、本発明者らは、軟組織を通じて縫合糸を引っ張ることによってもたらされる摩擦抵抗が問題であることに気付いた。抵抗は、縫合糸に対して引張荷重をもたらし、これは磁石間の誘引力よりも大きく、磁石が切り離され、縫合糸が外れる。小児科患者の小さいサイズに起因して、誘導針のサイズを増加させることは不都合である。しかしながら、針のサイズを増加させることなしでは、使用され得る磁石の直径は限られ、このことが磁石間の誘引力の強度を制限する。磁気Uステッチデバイスのための現在の設計は、製作公差を考慮して、0.049~0.051インチ(1.24~1.30mm)の内腔内径を有する17ゲージXT壁皮下注射針を使用する。対応する磁石は、0.035インチ(0.889mm)の公称外径、および0.037±0.001インチ(0.940±0.025mm)のフェルール直径を有する。各磁石は、およそ0.102lbf(0.454N)の引力を有する。磁石直径を、製造公差および0.001インチ(0.025mm)程度の最小クリアランスを可能にする0.042インチ(1.07mm)の理論的最大値へと増加させるとしても、その引力をおよそ0.145lbf(0.645N)へと増加させるにすぎない。はるかにより大きい磁石が、軟組織の抵抗を克服するために必要とされるが、より大きい磁石は、針サイズに課される制限に起因して使用することはできない。
【0046】
本発明者らは、この問題を、数ある方法の中でも、把持器磁石と呼ばれる回収デバイス上の磁石を、縫合糸が回収デバイスの針内へ引っ張られた後は磁気縫合糸の出口通路を機械的にブロックすることができる拡大した遠位終点、ループ構成、および/または他の特徴を伴う、把持器アームと呼ばれる機械アームと対にすることによって解決した。適所に機械的ブロックがあることにより、磁気縫合糸を引張荷重に対して保持する能力は、機械アームの強度によってのみ制限され、この強度は、小さい把持器磁石と小さい縫合糸磁石との間の誘引力よりもはるかに大きくなり得る。本発明者らの試験は、把持器アームが、有利には、把持器磁石および縫合糸磁石が耐えることができるものよりもはるかに大きい力に対して磁気縫合糸を保持することを示す。実際、把持器アームは、有利には、USP規格で少なくとも3lbf(13N)の引張強度を有することが必要とされる縫合糸を破壊するのに十分な大きさの力に対して磁気縫合糸を保持する。したがって、機械的ソリューションは、把持器磁石および縫合糸磁石だけの場合よりも少なくともおよそ30倍強力である。
【0047】
重要なことには、本発明者らは、把持器磁石を伴う回収機器が、把持器磁石および縫合糸磁石の磁場が相互作用するほど磁気縫合糸の近くに持ってこられる必要があるだけであるということに気付いた。有利には、これは、非常に精密な位置付けを必要としない。磁場は、磁場が相互作用し始めるとき、縫合糸磁石が把持器磁石の方へ引っ張られ、磁石が自己整列し、毎回同じ配向で接続するように配向される。把持器磁石および縫合糸磁石の強度は、それ自体で軟組織を通じて磁気縫合糸を引っ張るには十分な大きさではないが、本発明者らは、回収機器が操作されている間磁石を互いと接触したままに保つには十分に強く、回収機器および磁気縫合糸があまり安定して保持されていないとしてもユーザが磁気縫合糸を機械的に捕捉することを可能にするということに気付いた。
【0048】
任意選択的に、磁石支援型縫合糸把持器は、針内腔内での回収器本体の並進を防ぐために可逆的に係合され得るロック機構をさらに備え得る。
【0049】
任意選択的にロック機構を含む本発明者らの磁石支援型縫合糸把持器は、係合されると、把持器アームの長手方向位置を少なくとも1つの方向に固定し、以て、把持器アームによって把持されている磁気縫合糸の位置も同じ方向に固定する非圧縮性および可逆性機械ロックを組み込み得る。係合されると、機械ロックは、有利には、同じ方向に磁気縫合糸に印加されるいかなる引張荷重も完全に支える。機械ロックは、単一の均衡位置を提供する。さらには、伸縮ばねが磁石支援型縫合糸把持器に追加されて、有利には、第2の均衡位置を提供し、磁石支援型縫合糸把持器が瞬間的なエネルギー入力により位置を切り替えられることを可能にするが、いずれかの位置を維持するために追加のエネルギー入力を必要としない。
【0050】
比較すると、従来の縫合糸通し器具は、移動可能なプランジャ要素と固定された本体要素との間に位置するばねを利用する。従来の縫合糸通し器具の設計によると、外力の印加によりプランジャ要素を押下することは、ばねを圧縮し、縫合糸通し器具を閉位置から開位置へと遷移させる。プランジャ要素の解放の際、故に外力がない場合、ばねは、プランジャに対して対向力を加え、これにより縫合糸通し器具を開位置から閉位置へと戻す。従来の縫合糸通し器具は、機械ロックがなく、故に、縫合糸を縫合糸通し器具の外へ引っ張るように作用する方向において縫合糸の引張荷重に対抗するためにばねのみに依拠する。故に、ばねは、縫合糸通し器具が縫合糸を解放するのに十分に遠くへ開く位置までばねを圧縮するために必要とされる力が、回収中に縫合糸に加えられる予想荷重よりも大きくなるほど十分に硬い必要がある。追加的に、従来の縫合糸通し器具が、閉位置である1つの均衡位置のみを提供するため、操作者は、縫合糸を回収する間縫合糸通し器具の開位置を維持するために、ばねを圧縮するのに十分な大きさの外力を絶えず印加しなければならない。
【0051】
ロック機構を含む本発明者らの磁石支援型縫合糸把持器では、これらの荷重は、ばねよりも機械ロックによって支えられる。その結果、より軽量のばねが使用され得、これにより、本発明者らの磁石支援型縫合糸把持器を開位置と閉位置との間で動かすために必要とされる動作力を低減する。これは、本発明者らの磁石支援型縫合糸把持器が単一の指で摺動自在に動作されることを可能にし、これにより、例えば、経皮鼠径輪縫合においてなど、腹膜から離れた方への精索構造体の切開および授動など、繊細な手技により適したより正確な把持スタイルを可能にする。さらには、機械ロックが均衡閉位置を提供することから、ばね作用は、均衡開位置も作成するために逆にされ得る。これは、有利には、操作者が、ばねに対して力強く保持する必要性なしに、本発明者らの磁石支援型縫合糸把持器を開位置において操作することを可能にする。
【0052】
このような変化の重大性を数値化するため、3-0ポリエステル縫合糸を回収するために必要とされる縫合糸通し器具の設計について検討する。3-0サイズの非吸収性クラスI縫合糸の最小引張強度は、USP<881>により要求されるように、0.96kgf(およそ9.4N)である一方、3-0ポリエステル編組縫合糸の典型的な引張強度は、約1.5~2.0kgf(およそ15~20N)であることが観察されている。本発明者らの磁石支援型縫合糸把持器を設計するにあたり、本発明者らは、本発明者らの磁石支援型縫合糸把持器を、それが縫合糸を縫合糸の全引張能力に至るまで保持するように作製することが望ましいということに気付いた。
【0053】
伸縮ばねが縫合糸を引張荷重に対して保持しなければならない従来の縫合糸通し器具を使用すると、ばねは、縫合糸通し器具が最大で2.0kgf(およそ20N)にある縫合糸を解放するのに十分に開く点まで圧縮に対抗するように十分に硬くなければならない。これは、つまり、>2.0kgf(およそ20Nより大きい)の入力される力が、ばねを開位置へと圧縮させるために必要とされることを意味する。追加的に、操作者は、開位置を維持するために、この>2.0kgf(およそ20Nよりも大きい)の力を絶えず印加しなければならない。
【0054】
本発明者らの設計において、ばねは、摺動構成要素間の摩擦抵抗を克服する必要があるだけである。本発明者らは、0.045kgf(およそ0.44N)の入力される力が、本発明者らの磁石支援型縫合糸把持器がばねにより完全開位置へと常に戻されることを確実にするために適切な安全因子を伴って十分な力を提供することを発見した。これは、移動の下限においてばねにより必要とされる最小限の力である。ばねが生成する最大限の力は、移動の上限において発生する。本発明者らの現在の設計の幾何制約内で行うとすると、本発明者らは、端の間に21個のコイルが配設された状態の、0.195インチ(4.95mm)の外径および0.008インチ(0.2mm)の線直径、ならびに3.500インチ(88.90mm)の自由長を有する典型的な開口ミュージック線ばねを選択し得る。本発明者らは、このばねが、0.195kgf(1.91N)の計算されたばね定数を有し、本発明者らの0.045kgf(0.44N)の要件を満たす、最小限の移動範囲で0.046kgf(0.45N)の予荷重、および最大限の移動範囲で0.063kgf(0.618N)の計算されたピーク荷重を結果としてもたらすということを見出している。
【0055】
従来の縫合糸通し器具と比較して、ロック機構を含む本発明者らの磁石支援型縫合糸通し器具は、有利には、開位置と閉位置との間でデバイスを動かすために必要とされる力において96.8%減少を結果としてもたらす。追加的に、ロック機構を含む本発明者らの磁石支援型縫合糸通し器具は、均衡閉および開位置を提供するため、この力は、位置を変化させるために瞬間的に必要とされるだけであり、ロック機構を含む本発明者らの磁石支援型縫合糸通し器具を操作している間絶え間なく印加される必要がない。
【0056】
図1は、
図43~
図47を参照して、ロック機構を備えない第1の実施形態1001に対応する、磁気縫合糸200を把持するための磁石支援型縫合糸把持器100を例証する。
図11は、
図43~
図47を参照して、ロック機構を備える第2の実施形態1002に対応する、磁気縫合糸200を把持するための磁石支援型縫合糸把持器100を例証する。第1の実施形態1001の追加の図は、
図2~
図10に示される。第2の実施形態1002の追加の図は、
図12~
図42、
図48、および
図49A~Cに示される。第1の実施形態1001および第2の実施形態1002は、両方に当てはまる特徴および変形例に関して一緒に論じられる。第1の実施形態1001はまた、ハブ、ハンドル、および戻り機構、ならびに第1の実施形態1001の動作に関して論じられる。第2の実施形態1002はまた、ロック機構に関連する特徴および変形例ならびに第2の実施形態1002の動作に関して論じられる。
【0057】
図44を参照すると、把持されるべき磁気縫合糸200は、縫合糸磁石202、および縫合糸磁石202から延びる縫合糸204を備え得る。磁気縫合糸200は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国公開第2021/0059667号に説明されるような磁気縫合糸であってもよい。故に、磁気縫合糸200は、縫合糸204が結び付けられ接着剤で固定される先細領域208、および縫合糸磁石202が提供される直線領域210を伴うフェルール206をさらに備え得る。
【0058】
第1の実施形態1001のための
図1、
図9、および
図10、ならびに第2の実施形態1002のための
図11~
図13に示されるように、磁石支援型縫合糸把持器100は、近位端104、遠位端106、およびそれらの間に延びる針本体108を備える縫合糸回収針102を備える。針本体108は、縫合糸回収針102の近位端104と遠位端106との間の針本体軸110を画定する。針本体108は、針本体軸110に沿って、近位孔112、遠位孔114、およびそれらの間に延びる針内腔116を有する。
【0059】
第1の実施形態1001のための
図1、
図9、および
図10、ならびに第2の実施形態1002のための
図11~
図13に示されるように、縫合糸回収針102は、皮下注射針であり得る。例えば、縫合糸回収針102は、ガイド線を血管内へ導入するために設計される誘導針であり得、ここでは縫合糸回収針102として適用される。また、例えば、縫合糸回収針102は、24ゲージ針、21ゲージ針、18ゲージ針、17ゲージ針、16ゲージ針、または14ゲージ針であり得る。
【0060】
したがって、いくつかの実施形態において、縫合糸回収針102は、皮下注射針である。いくつかの実施形態において、縫合糸回収針102は、誘導針である。いくつかの実施形態において、縫合糸回収針102は、24ゲージ針、21ゲージ針、18ゲージ針、17ゲージ針、16ゲージ針、または14ゲージ針である。
【0061】
第1の実施形態1001のための
図1、
図9、および
図10、ならびに第2の実施形態1002のための
図11~
図13に示されるように、いくつかの実施形態において、縫合糸回収針102は、真っすぐである。これらの実施形態によると、針本体軸110は、以て、真っすぐである。代替的に、いくつかの実施形態において、縫合糸回収針102は、湾曲している。これらの実施形態によると、針本体軸110は、以て、湾曲している。いくつかの実施形態において、縫合糸回収針102の1つまたは複数の部分は、真っすぐであってもよく、1つまたは複数の部分は、湾曲していてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、縫合糸回収針102は、その遠位端106に、またはその近くに、湾曲を含むが、その他は真っすぐである。これらの実施形態によると、針本体軸110はまた、縫合糸回収針102の遠位端106において、またはその近くに湾曲を含むが、その他は真っすぐである。
【0062】
第1の実施形態1001のための
図9、および第2の実施形態1002のための
図11に示されるように、いくつかの実施形態において、縫合糸回収針102は、鋭い先端118を有する。これは、患者内への縫合糸回収針102の挿入中に組織を穿孔するのに有利であり得る。
【0063】
第1の実施形態1001のための
図1、および第2の実施形態1002のための
図11に示されるように、いくつかの実施形態において、縫合糸回収針102は、ハブ119をさらに備える。ハブ119は、開いた内腔を有し得る。
【0064】
第1の実施形態1001のための
図1および
図5、ならびに第2の実施形態1002のための
図35に示されるように、磁石支援型縫合糸把持器100はまた、回収器本体146を備える。回収器本体146は、針内腔116内に配設され、その中を針本体軸110に沿って並進可能である。回収器本体146は、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、もしくはアクリロニトリルブタジエンスチレンなどのポリマー、またはステンレス鋼もしくはニチノールなどの金属から作製され得る。
【0065】
第1の実施形態1001のための
図5および第2の実施形態1002のための
図48に示されるように、いくつかの実施形態において、回収器本体146は、近位端170、遠位端172、およびそれらの間に延びる回収器管174を備える。これらの実施形態において、回収器管174は、回収器本体146の近位端170と遠位端172との間の回収器管軸176を画定し、回収器管174は、回収器管軸176に沿って、近位孔178、遠位孔180、およびそれらの間に延びる回収器管内腔182を有する。これらの実施形態において、回収器管174の近位孔178は、回収器管内腔182および針内腔116を通じて針本体108の遠位孔114と流体連通状態にある。これらの実施形態において、回収器本体146は、好ましくは、回収器管内腔182を含む回収器本体146を作製することを促進するためにナイロンなどのポリマーから作製される。
【0066】
これは、回収器本体146の回収器管内腔182を通じた、患者の手術部位からの液体および/もしくはガスの回収、ならびに/または手術部位への造影剤の送達を可能にすることによって、有利であり得る。回収器本体146を通じて、および故に磁石支援型縫合糸把持器100を通じて流体を交換する能力を提供することにより、磁石支援型縫合糸把持器100の縫合糸回収針102の遠位端106の体内位置を確認するために流体交換を用いるインターベンション技術との使用のための磁石支援型縫合糸把持器100の適用性を広げる。例えば、インターベンショナルラジオロジの分野においては、胃腹壁固定術中に患者の胃管腔の内側のカニューレの場所を確認する能力の必要性が存在する。回収器管内腔182を備える回収器本体146を備える磁石支援型縫合糸把持器100では、患者内への縫合糸回収針102の導入の後、少量の胃液または空気の吸引が、縫合糸回収針102の遠位端106の腔内位置を確認するために使用され得る。代替的に、少量の液体放射線造影剤が、回収器本体146の回収器管内腔182を通じて患者の胃管腔内へ注入され得、腔内位置が放射線撮像により確認されることを可能にする。
【0067】
また、いくつかの実施形態において、回収器本体146は、透明であり得る。これは、光開始型接着剤の使用を可能にし、このことは、構成要素の組み立てに有利であり得る。光開始型接着剤は、非常に速い硬化プロファイルに起因して最小限の固定時間を必要とする一方で、構成要素位置付けのためにより多くの開放時間を提供する。
【0068】
第1の実施形態1001のための
図2、ならびに第2の実施形態1002のための
図33および
図35に示されるように、第1の実施形態1001および第2の実施形態1002の両方のための
図50を参照すると、磁石支援型縫合糸把持器100はまた、近位端122および遠位端124を有する把持器線120を備える。
【0069】
把持器線120は、回収器本体146内に固定して配設される。これは、把持器線120の近位端122を回収器本体146内へ挿入し、把持器線120を、それが回収器本体146に並進可能および回転可能に固定されるように、回収器本体146に固定することによって、達成され得る。組み立ての好ましい方法は、把持器線120を回収器本体146の内腔内へ挿入し、把持器線120を回収器本体146に接合するために接着剤を適用することである。しかしながら、装着の他の手段もまた、好適であり、サイズ、形状、または用途に基づいて好ましい場合がある。そのような他の手段は、機械手段、例えば、加締め、締りばめ、もしくはピン留め、または、ろう付け、溶接、はんだ付けなどの他の手段を含む。
【0070】
把持器線120は、数あるタイプの線の中でも、例えば、ニチノール線もしくはステンレス鋼線などの金属線、またはプラスチック線であり得る。把持器線120は、例えば、単線、より線、または編組線として形成され得る。把持器線120は、例えば、成形線および/または型打ち線であることに基づいて、形状を有し得る。例えば、把持器線120は、例えば、溶接、はんだ付け、編組、圧着、接着剤、または他の手段により、1つまたは複数の共有点において一緒にまとめられる1つまたは複数の線を備え得る。
【0071】
第1の実施形態1001のための
図1、
図2、および
図5~
図8、ならびに第2の実施形態1002のための
図16および
図22に示されるように、第1の実施形態1001および第2の実施形態1002の両方のための
図50を参照すると、磁石支援型縫合糸把持器100はまた、近位端128、近位~中間部分130、遠位部分132、および遠位端134を備える把持器アーム126を備える。把持器線120のように、把持器アーム126もまた、例えば、線であり得るが、管または他の細長部材などの他の構造体も好適であり得る。把持器アーム126が線であることに関して、把持器アーム126は、例えば、ニチノール線もしくはステンレス鋼線などの金属線、またはプラスチック線であり得、また、例えば、単線、より線、または編組線として形成され得、かつ、例えば、成形線および/または型打ち線であることに基づいて、形状を有し得、かつ、例えば、溶接、はんだ付け、編組、圧着、接着剤、または他の手段により、1つまたは複数の共有点において一緒にまとめられる1つまたは複数の線を備え得る。
【0072】
第1の実施形態1001のための
図1および
図2、ならびに第2の実施形態1002のための
図16および
図35に示されるように、把持器アーム126は、把持器線120の遠位端124から延び、第1の位置136と第2の位置138との間で可逆的に移動可能である。
【0073】
第1の実施形態1001および第2の実施形態1002の両方のための
図50において示されるように、把持器アーム126は、数ある方法の中でも、把持器アーム126が把持器線120と一体であることに基づいて、把持器線120の遠位端124から延び得る。これは、把持器アーム126および把持器線120が、把持器線120および把持器アーム126が形成されている線の単一セグメント、例えば、単線、より線、または編組線セグメント、の隣接部分であり得ることを意味する。そのような例において、把持器アーム126は、把持器アーム126および把持器線120が把持器線120の遠位端124を通る連続線セグメントを形成していることに基づいて、把持器線120の遠位端124から延びる。
【0074】
また、例えば、把持器アーム126は、把持器線120への把持器アーム126の接着または他の直接装着に基づいて、直接的に把持器線120の遠位端124から延び得る。これらの例において、把持器アーム126は、把持器アーム126および把持器線120が接着または他の直接装着により把持器線120の遠位端124において接続される線セグメントを形成することに基づいて、把持器線120の遠位端124から延び得る。
【0075】
また、例えば、把持器アーム126は、数ある中間部品の中でも、フェルール、リング、またはスリーブなど、1つ、2つ、またはそれ以上の中間部品を通じた装着に基づいて、間接的に把持器線120の遠位端124から延び得る。これらの例において、把持器アーム126は、把持器アーム126および把持器線120が中間部品を介して把持器線120の遠位端124において接続される線セグメントを形成することに基づいて、把持器線120の遠位端124から延び得る。
【0076】
第1の実施形態1001のための
図1および
図5~
図8、ならびに第2の実施形態1002のための
図16、
図17、
図22、および
図35に示されるように、磁石支援型縫合糸把持器100はまた、把持器アーム126の近位~中間部分130に隣接して配設される把持器磁石140を備える。磁石支援型縫合糸把持器100は、把持器アーム126が第1の位置136にあるとき把持器磁石140を針内腔116内に隔離し、少なくとも把持器アーム126が第2の位置138にあるとき把持器磁石140を針内腔116から露出させる。把持器磁石140は、例えば、永久双極子磁石であり得る。
【0077】
第1の実施形態1001のための
図2および
図7、ならびに第2の実施形態1002のための
図16、
図22、および
図35に示されるように、いくつかの実施形態において、磁石支援型縫合糸把持器100は、近位端162および遠位端164を有する磁石線160をさらに備え、磁石線160の近位端162は、回収器本体146内に固定して配設され、把持器磁石140は、例えば、接着もしくは他の直接装着に基づいて、直接的に、または、例えば、数ある中間部品の中でも、フェルール、リング、もしくはスリーブなどの1つまたは複数の中間部品を通じた装着に基づいて、間接的に、磁石線160の遠位端164に固定して装着される。これらの実施形態によると、回収器本体146の並進はまた、磁石線160、および故に把持器磁石140の並進を結果としてもたらす。
【0078】
磁石線160は、磁石線160の近位端162を回収器本体146内へ挿入し、磁石線160が回収器本体146に並進可能および回転可能に固定されるように磁石線160を回収器本体146に固定することによって、回収器本体146内に固定して配設され得る。把持器線120の場合のように、組み立ての好ましい方法は、磁石線160を回収器本体146の内腔内へ挿入し、磁石線160を回収器本体146に接合するために接着剤を適用することであるが、他の装着手段も好適である。
【0079】
第1の実施形態1001のための
図7および第2の実施形態1002のための
図22に示されるように、これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、磁石線160は、磁石線160の遠位端164における磁石線遠位終点166をさらに備え、磁石支援型縫合糸把持器100は、磁石線160の遠位端164における磁石線遠位終点166に装着されるフェルール168をさらに備え、把持器磁石140は、フェルール168に装着される。
【0080】
磁石線160は、例えば、ニチノール線もしくはステンレス鋼線などの金属線、またはプラスチック線であり得、かつ、例えば、単線、より線、または編組線として形成され得、かつ、例えば、成形線および/または型打ち線であることに基づいて、形状を有し得、かつ、例えば、溶接、はんだ付け、編組、圧着、接着剤、または他の手段により、1つまたは複数の共有点において一緒にまとめられる1つまたは複数の線を備え得る。
【0081】
磁石線160への把持器磁石140の装着をより詳細に検討すると、把持器磁石140は、例えば、縫合糸への磁石の装着について米国公開第2021/0059667号に説明されるものと同様に、磁石線160に装着され得る。これは、以下のように達成され得る。把持器磁石140は、拡大した磁石線遠位終点166を有する磁石線160に装着されるフェルール168に装着され得る。米国公開第2021/0059667号を参照すると、拡大した磁石線遠位終点166は、縫合糸内で結ばれる結び目と置き換わる。ボールエンドが、磁石線遠位終点166のための好ましい形状であり、円形断面を有するモノフィラメントが、磁石線160の好ましい形状である。しかしながら、磁石線160および磁石線遠位終点166が適切にサイズ決定される限り、他の構造および最終形状も好適である。磁石線遠位終点166は、任意の形状、例えば、立方体、円筒形、ピラミッド形、有機体などへと形成され得、磁石線160は、任意の断面形状のもの、例えば、正方形、長方形、十字形などであり得、かつ、モノまたはマルチフィラメント構造のものであり得る。
【0082】
磁石線160は、フェルール168の小さい開口部を通り抜けるのに十分に小さくサイズ決定されなければならないが、磁石線遠位終点166は、フェルール168の小さい開口部よりも大きく、かつフェルール168の大きい開口部よりも小さくサイズ決定されなければならない。磁石線遠位終点166は、磁石線160に統合され得、例えば、磁石線遠位終点166は、溶融形成、鋳造、屈曲などされ得るか、またはそれは、別個の構成要素であり得る。別個の構成要素の場合、それは、機械手段、例えば、加締め、ねじ込み、締りばめ、ピン留めなどによって、接着剤手段によって、または他の手段、例えば、溶接、はんだ付け、ろう付けなどによって装着され得る。
【0083】
把持器磁石140、フェルール168、および磁石線160を組み立てるため、磁石線160は、まず、その遠位端164からその近位端162までフェルール168に通され、その結果として、磁石線遠位終点166は、フェルール168の内側に位置付けられるようになる。次いで、把持器磁石140が、遠位端から設置され、フェルール168に装着される。把持器磁石140は、機械手段、例えば、加締め、ねじ込み、締りばめ、ピン留めなど、または接着剤手段もしくは他の手段、例えば、溶接、ろう付けなどによって装着され得る。一旦把持器磁石140が装着されると、磁石線遠位終点166は、把持器磁石140とフェルール168との間に永久的に捕捉され、部分組み立てが完了する。
【0084】
第1の実施形態1001のための
図2および
図7、ならびに第2の実施形態1002のための
図16、
図22、および
図35に示されるように、説明されるように把持器磁石140が固定して装着される磁石線160をさらに備える磁石支援型縫合糸把持器100のいくつかの実施形態において、把持器磁石140は、把持器アーム126が第2の位置138にあるとき、針本体軸110から径方向に動かされる。これは、磁石支援型縫合糸把持器100の操作者に、磁石支援型縫合糸把持器100の回転により把持器磁石140を患者の部位内で動かすための追加の運動範囲を、および故に、部位内で磁気縫合糸200に対して把持器磁石140を位置付けることにおけるより大きい汎用性を提供することによって、有利であり得る。
【0085】
代替的または追加的に、いくつかの実施形態において、把持器磁石140は、ここでも、直接的に、例えば、接着もしくは他の直接接続に基づいて、または間接的に、例えば、数ある中間部品の中でも、フェルール、リング、もしくはスリーブなどの1つまたは複数の中間部品を通じた装着に基づいて、把持器線120および/または把持器アーム126に固定的に装着される。これは、把持器磁石140が把持器線120に固定して装着される実施形態に対してより短い把持器アーム126の使用を可能にすることによって、有利であり得る。
【0086】
第1の実施形態1001のための
図7および
図8ならびに第2の実施形態1002のための
図22および
図35に示されるように、把持器アーム126の遠位端134は、把持器磁石140よりもさらに遠位に延びる。これは、把持器アーム126が第1の位置136にあるとき、把持器アーム126の遠位端134が、把持器磁石140のいかなる部分が延びるよりも針内腔116内でさらに遠位に延びることを意味する。これは、把持器アーム126が第2の位置138にあるとき、把持器アーム126の遠位端134が、把持器磁石140のいかなる部分が延びるよりも縫合糸回収針102からさらに遠位に延びることも意味する。これは、把持器アーム126が第2の位置138にあるとき、把持器磁石140が、把持器アーム126の遠位端134よりも、縫合糸回収針102の遠位端106により近いことも意味する。
【0087】
第1の実施形態1001のための
図1との
図2の比較により、および第2の実施形態1002のための
図16との
図35の比較により示されるように、また第1の実施形態1001のための
図9、第2の実施形態1002のための
図11、および両方のための
図43~
図45を参照すると、針本体軸110に沿った第1の方向における針内腔116内での回収器本体146の並進は、把持器アーム126を第1の位置136から第2の位置138へと動かし、以て、把持器磁石140を露出させ、把持器磁石140とそこに誘引される磁気縫合糸200との接触を可能にする。回収器本体146の並進は、把持器線120の並進、および故に把持器アーム126の並進を結果としてもたらす。第1の方向における回収器本体146の並進は、縫合糸回収針102の近位端104から縫合糸回収針102の遠位端106へ向かう方向における針内腔116内での回収器本体146の並進であり得る。把持器アーム126が第1の位置136にあるとき、把持器磁石140は、針内腔116の内側に完全に配設され得、故に、針内腔116内で隔離され得る。これらの実施形態によると、第1の方向における針内腔116内での回収器本体146のそのような並進は、把持器磁石140を針内腔116の内側から針内腔116の外側へ動かし、こうして把持器磁石140を露出させる。
【0088】
把持器アーム126は、第1の方向における針内腔116内での回収器本体146の並進が、把持器アーム126を針内腔116の内側から針内腔116の外側へ動かし、こうして把持器磁石140を露出させるように、十分に硬くてもよい。これは、回収器本体146の並進により移動可能であるように把持器アーム126を十分に硬くすることによって達成され得る。
【0089】
第1の実施形態1001のための
図2との
図1の比較により、および第2の実施形態1002のための
図35との
図16の比較により示されるように、また第1の実施形態1001のための
図9、第2の実施形態1002のための
図11、ならびに両方のための
図45および
図46を参照すると、針本体軸110に沿った第1の方向とは反対の第2の方向における針内腔116内での回収器本体146の並進は、把持器アーム126を第2の位置138から第1の位置136へと動かし、以て、把持器磁石140を隔離し、針内腔116内で磁気縫合糸200を把持する。第2の方向における回収器本体146の並進は、縫合糸回収針102の遠位端106から縫合糸回収針102の近位端104へ向かう方向における針内腔116内での回収器本体146の並進であり得る。第2の方向における針内腔116内での回収器本体146のそのような並進は、把持器磁石140を針内腔116の外側から針内腔116の内側へと動かし、こうして把持器磁石140を再び隔離し、針内腔116内で磁気縫合糸200を把持する。
【0090】
これは、以下のように達成され得る。把持器アーム126が第2の位置138にある間、把持器磁石140が、把持器アーム126の遠位端134よりも縫合糸回収針102の遠位端106により近いことから、磁気縫合糸200の縫合糸磁石202が把持器磁石140に接触し、回収器本体146が第2の方向において第1の位置136へと並進されるとき、把持器磁石140および磁気縫合糸200の縫合糸磁石202は、把持器アーム126の遠位端134よりも先に針内腔116に入る。把持器アーム126の遠位端134が縫合糸磁石202に続いて針内腔116内へ入ると、縫合糸磁石202は、把持器アーム126の遠位端134が針内腔116に留まっている間は針内腔116を出ることができない。把持器アーム126は、縫合糸磁石202が出るのを妨害し、以て、磁気縫合糸200を機械的に捕捉する。磁気縫合糸200の縫合糸磁石202は、故に、磁石支援型縫合糸把持器100が患者の軟組織を通じて磁気縫合糸200を引っ張るために使用されるとき、把持器アーム126によって把持され得る。把持器線120および把持器アーム126は、軟組織を通じて磁気縫合糸200を引っ張ることから生じる摩擦抵抗に対抗するのに十分に強力である。
【0091】
上に記載されるように、把持器アーム126は、近位端128、近位~中間部分130、遠位部分132、および遠位端134を備える。上に記載されるように、把持器磁石140は、把持器アーム126の近位~中間部分130に隣接して配設される。把持器アーム126の遠位部分132は、磁気縫合糸200の縫合糸磁石202が、磁力により把持器磁石140に接触することができるように、把持器アーム126が第2の位置138にあるとき、また磁気縫合糸200の縫合糸磁石202が機械捕捉により把持器磁石140および把持器アーム126と一緒に針内腔116内に適合することができるように、把持器アーム126が第1の位置136に戻ったとき、磁気縫合糸200の縫合糸磁石202が把持器磁石140と把持器アーム126の遠位端134との間に適合するのに十分な長さおよび配向を有する。縫合糸磁石202が把持器磁石140と把持器アーム126の遠位端134との間に適合するために十分な空間が提供される限り、把持器磁石140が隣接して配設される把持器アーム126の近位~中間部分130は、近位端128に対して遠位および遠位部分132に対して近位の把持器アーム126の任意の部分であり得る。
【0092】
いくつかの実施形態において、回収器本体146および把持器線120は、針本体108よりも可撓性である。これは、縫合糸回収針102の1つまたは複数の部分が湾曲している縫合糸回収針102、例えば、その遠位端106において、またはその近くでは湾曲を含むが、その他は真っすぐである縫合糸回収針102には有利であり得る。このとき、回収器本体146および把持器線120は、優先的には、回収器本体146および把持器線120が縫合糸回収針102の湾曲周辺で弾性的に変形することが可能であるように、ポリマー材料、または、ニチノールなど、高い比例限界を有する金属で作製される。
【0093】
上に記載されるように、把持器アーム126は、把持器線120の遠位端124から延びる。把持器線120と一体である把持器アーム126の場合、把持器線120の遠位端124は、回収器本体146の遠位端172に隣接する把持器線120の部分であり、把持器アーム126は、把持器線120のこの遠位端124から始まり、そこから遠位に延びる。間接または直接である装着に基づいて把持器線120の遠位端124から別途延びる把持器アーム126の場合、把持器線120の遠位端124は、把持器アーム126が装着される把持器線120の部分である。
【0094】
第1の実施形態1001のための
図1および
図5~
図8、ならびに第2の実施形態1002のための
図16および
図22に示されるように、また両方のための
図50を参照すると、磁石支援型縫合糸把持器100は、第1の把持器線120に一体的に装着される第1の把持器アーム126および第2の把持器線120に一体的に装着される第2の把持器アーム126を含み得、第1の把持器アームおよび第2の把持器アーム126は、それらの遠位端134において接続され、以て、把持器アームループ150を形成する。かつ、示されるように、第1の把持器アームおよび第2の把持器アーム126は、それらの遠位端134において、拡大した遠位終点148を備え得る。
【0095】
トラップ線151と呼ばれるこの構成は、故に、線の2つの自由端から形成され、これらの2つの自由端は、遠位端における単一点で合流し、すなわち、第1の把持器アームおよび第2の把持器アーム126は、第1および第2の把持器線120からそれぞれ延び、それらの遠位端134において接続され、その地点に、大きい球体特徴、すなわち拡大した遠位終点148が位置する。
【0096】
拡大した遠位終点148は、把持器アームループ150が針内腔116の外側の第2の位置138にあるとき、把持器磁石140とそこに誘引される磁気縫合糸200の縫合糸磁石202との接触を可能にするようにサイズ決定される。拡大した遠位終点148はまた、かつ、把持器アームループ150が針内腔116の内側の第1の位置136にあるとき、磁気縫合糸200の縫合糸204は、拡大した遠位終点148を通過することができるが、磁気縫合糸200の縫合糸磁石202を通過することができないようにサイズ決定される。例えば、0.040インチ(1.0mm)の主要外径を有する磁気フェルールを伴う、0.050インチ(1.27mm)の公称内径および3-0縫合糸のループを有し、0.0079~0.0098インチ(0.20~0.25mm)の平均直径を有する、極薄壁17ゲージ縫合糸回収針102を含む磁石支援型縫合糸把持器100の場合、この球体部材の好ましいサイズは、名目上は、0.016~0.040インチ(0.41~1.0mm)である。より一般的には、拡大した遠位終点148は、針内腔116の内径の約10%~約90%、好ましくは針内腔116の内径の約20%~約80%、およびより好ましくは針内腔116の内径の約30%~約60%に対応するサイズを有し得る。例えば、球体特徴に対応する拡大した遠位終点148の場合、拡大した遠位終点148は、針内腔116の内径の約10%~約90%、約20%~約80%、または約30%~約60%の直径を有し得る。また、例えば、代替的な形状に対応する拡大した遠位終点148の場合、拡大した遠位終点148は、針内腔116の内径の約10%~約90%、約20%~約80%、または約30%~約60%の針本体軸110に対して直角の幅を有し得る。このサイズ範囲内の拡大した遠位終点148は、一般的には、把持器アームループ150が針内腔116の外側にあるとき、把持器磁石140とそこに誘引される磁気縫合糸200の縫合糸磁石202との接触を可能にするほど十分に小さい。このサイズ範囲内の拡大した遠位終点148はまた、一般的には、磁気縫合糸200の縫合糸204が、比較的大きい平均直径を有する縫合糸204でさえ、拡大した遠位終点148を通過することを可能にするほど十分に小さく、磁気縫合糸200の縫合糸磁石202が、比較的小さいサイズの縫合糸磁石202でさえ、拡大した遠位終点148を通過することを防ぐほど十分に大きい。
【0097】
追加的に、この構成において、把持器アームループ150の2本の線、すなわち、第1の把持器線120に一体的に装着される第1の把持器アーム126および第2の把持器線120に一体的に装着される第2の把持器アーム126は、遠位端134において一緒に戻る前に、フレア状に広がる。このフレアは、この地点において線の外径にわたって測定される幅が縫合糸回収針102の内径を超えるようにサイズ決定される。例えば、極薄壁17ゲージ縫合糸回収針102の場合、フレアは、線の外径にわたって測定される幅が0.050インチよりも大きい(1.27mmよりも大きい)ようにサイズ決定される。これは、把持器アームループ150と縫合糸回収針102との間に締りばめを作り出し、このことにより、線が針内腔116内へ引き込まれると線が一緒に絞られることを結果としてもたらす。線の弾性変形は、針内腔116の内表面に抵抗する反力を生成する。針内腔116の内表面が円形であるため、湾曲面によるこの力ベクトルの並進は、針内腔116の半球に向かって線を押圧するように作用し、すなわち、線は、針本体108の遠位孔114の中心線をまたいで配設される。このセルフセンタリング作用は、球体特徴が縫合糸回収針102の鋭い先端において傾斜によって作成される遠位孔114の分岐点に捕らわれることを防ぐのを助ける。
【0098】
把持器アームループ150は、把持器アームループ150が第2の位置138にあるとき、把持器アームループ150が、把持器磁石140とそこに誘引される磁気縫合糸200の縫合糸磁石202との接触を可能にするために十分に大きい領域を取り囲むように、長さおよび形状を有し得る。例えば、把持器アームループ150は、把持器磁石140および縫合糸磁石202がそれらのそれぞれの極において接触状態にあるとき、対応する取り囲まれた領域が、把持器磁石140および縫合糸磁石202の両方に適合するのに十分に大きいように、長さおよび形状を有する。
【0099】
把持器アームループ150はまた、把持器アームループ150が第1の位置136にあるとき、把持器アームループ150が、磁気縫合糸200の縫合糸磁石202が縫合糸回収針102の遠位孔114を通って針内腔116を出るのを妨害するために十分に大きい、厚さ、例えば、平均直径を有するように、サイズ決定され得る。把持器アームループ150は、拡大した遠位終点148よりも薄くてもよく、トラップ線151について上で論じられるように把持器アームループ150と縫合糸回収針102との間の締りばめに起因して、把持器アームループ150が針本体108の遠位孔114の中心線をまたいで配設されていることに基づいて、縫合糸磁石202が針内腔116を出ることを依然として妨害する。把持器アームループ150のための好適な厚さ、例えば、平均直径は、別途、拡大した遠位終点148のものと同様に決定され得る。例えば、0.040インチ(1.0mm)の主要外径を有する磁気フェルールを伴う、0.050インチ(1.27mm)の公称内径および3-0縫合糸のループを有し、0.0079~0.0098インチ(0.20~0.25mm)の平均直径を有する、極薄壁17ゲージ縫合糸回収針102を含む磁石支援型縫合糸把持器100の場合、線のための好ましい平均直径は、約0.0060インチ(0.15mm)である。より一般的には、把持器アームループ150は、例えば、針内腔116の内径の約0.5%~約10%、好ましくは針内腔116の内径の約2%~約4%、およびより好ましくは針内腔116の内径の約2.3%~約3.5%に対応する平均直径を有し得る。このサイズ範囲内の把持器アームループ150は、一般的に、把持器アームループ150が第1の位置136にあるとき、磁気縫合糸200の縫合糸磁石202が縫合糸回収針102の遠位孔114を通って針内腔116を出るのを妨害するために十分に大きい、厚さ、例えば、平均直径を有する。
【0100】
第1の把持器線120に一体的に装着される第1の把持器アーム126および第2の把持器線120に一体的に装着される第2の把持器アーム126のための好適な材料は、ニチノールである。これは、ニチノールから作製された線が比較的大きい変形の後にそれらの形状を回復することを可能にするニチノールの擬弾性に起因する。製造の好ましい方法は、2本の対応する線を同一平面上に整列されるそれらの対応する把持器アーム126の遠位端134と一緒に保持し、遠位端134を溶融するために十分なエネルギーを印加することである。遠位端134における結果として生じる溶融金属は、以て、一緒にたまり、表面張力が液体金属を球体形状内へ引っ張る。金属が冷めると、この形状は自然に維持され、球体部材により終端する2本の線の間に溶加材を用いない溶接が生じる。
【0101】
トラップ線151は、機械的な栓としての役割を果たし、針内腔116内に妨害物を作成し、磁気縫合糸200の縫合糸磁石202はそこを通過することができない。これは、様々な追加の方法によっても達成され得る。例えば、2つの把持器アーム126よりもむしろ、単一の把持器アーム126が、拡大した球体端と共に用いられ得る。これは、製造がより単純であるという利点を提供する。代替的に、3つ以上の把持器アーム126が用いられ得る。これは、より小さい断面の複数の把持器アーム126が、より大きい断面の単一の把持器アーム126と等価の強度を獲得するために用いられ得るが、複数の把持器アーム126は、針内腔116内までは貫入されず、把持器磁石140の直径の最大化を可能にするという利点を提供する。同様の効果が、把持器アーム126のための非円形プロファイルを伴う把持器アーム126を使用することにより達成され得る。また代替的に、栓要素は、溶融形成される必要はない。別個の構成要素が、例えば、加締めによって、または接着剤を用いることによって、装着され得る。栓要素はかつ、その形状がその機能に絶対不可欠ではないため、球体である必要はない。故に、栓要素は、代替的に、例えば、細長円筒、またはピラミッド形、または環状体として成形され得る。また代替的に、把持器アーム126は、単純にピグテールコイル内で終端し得、バスケット様の形状を形成する。
【0102】
したがって、第1の実施形態1001のための
図8および第2の実施形態1002のための
図22に示されるように、両方の実施形態のための
図43~
図47および
図50を参照すると、いくつかの実施形態において、把持器線120は、第1の把持器線120であり、把持器アーム126は、第1の把持器アーム126である。これらの実施形態において、磁石支援型縫合糸把持器100は、(a)近位端122および遠位端124を有し、回収器本体146内に固定して配設される第2の把持器線120、ならびに(b)近位端128、近位~中間部分130、遠位部分132、および遠位端134を備える第2の把持器アーム126であって、第2の把持器線120の遠位端124から延び、第1の位置136と第2の位置138との間で可逆的に移動可能である、第2の把持器アーム126をさらに備える。これらの実施形態において、第1の把持器アームおよび第2の把持器アーム126は、それらの遠位端134において接続され、以て、把持器アームループ150を形成する。これらの実施形態において、第1の把持器アームおよび第2の把持器アーム126は、第1の把持器アームおよび第2の把持器アーム126の遠位端134において、拡大した遠位終点148をさらに備える。これらの実施形態において、把持器アームループ150は、針本体108の遠位孔114を通じた針内腔116の内側から針内腔116の外側への把持器アームループ150の並進に基づいて、第1の位置136と第2の位置138との間で可逆的に移動可能である。これらの実施形態において、把持器アームループ150が第2の位置138にあるとき、把持器磁石140とそこに誘引される磁気縫合糸200の縫合糸磁石202との接触を可能にするために、把持器アームループ150は、十分に大きい領域を取り囲み、また第1の把持器アームおよび第2の把持器アーム126の遠位端134における拡大した遠位終点148は、十分に小さいサイズを有する。これらの実施形態において、第1の把持器アームおよび第2の把持器アーム126の遠位端134における拡大した遠位終点148は、把持器アームループ150が第1の位置136にあるとき、磁気縫合糸200の縫合糸204を通すことを可能にするために十分に小さいサイズを有する。これらの実施形態において、第1の把持器アームおよび第2の把持器アーム126の遠位端134における拡大した遠位終点148は、把持器アーム126が前記第1の位置136にあるとき、磁気縫合糸200の縫合糸磁石202が針本体108の遠位孔114を通って針内腔116を出るのを妨害するために十分に大きいサイズを有する。これらの実施形態は、比較的より小さい直径を有する把持器アーム126の使用を可能にすることに有利である。これらの実施形態のいくつかの例において、拡大した遠位終点148のサイズは、針内腔116の内径の約10%~約90%、好ましくは約20%~約80%、より好ましくは約30%~約60%である。例えば、拡大した遠位終点148は、針内腔116の内径の約10%~約90%、好ましくは約20%~約80%、より好ましくは約30%~約60%の直径を有し得る。また、これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、把持器アームループ150の平均直径は、針内腔116の内径の約0.5%~約10%、好ましくは約2%~約4%、より好ましくは約2.3%~約3.5%である。
【0103】
代替的または追加的に、
図64~
図69に示されるように、いくつかの実施形態において、把持器線120は、第1の把持器線120であり、把持器アーム126は、第1の把持器アーム126である。これらの実施形態において、磁石支援型縫合糸把持器100は、(a)近位端122および遠位端124を有し、回収器本体146内に固定して配設される第2の把持器線120、ならびに(b)近位端128、近位~中間部分130、遠位部分132、および遠位端134を備える第2の把持器アーム126であって、第2の把持器線120の遠位端124から延び、第1の位置136と第2の位置138との間で可逆的に移動可能である、第2の把持器アーム126をさらに備える。これらの実施形態において、第1の把持器アームおよび第2の把持器アーム126は、それらの遠位端134に隣接した湾曲部分152を備える。これらの実施形態において、第1の把持器アームおよび第2の把持器アーム126は、針本体108の遠位孔114を通じた針内腔116の内側から針内腔116の外側への第1の把持器アームおよび第2の把持器アーム126の並進に基づいて、第1の位置136と第2の位置138との間で可逆的に移動可能である。第1の把持器アームおよび第2の把持器アーム126の近位~中間部分130は、針本体軸110に略平行であり、第1の把持器アームおよび第2の把持器アーム126の遠位端134に隣接した湾曲部分152は、第1の把持器アームおよび第2の把持器アーム126が第1の位置136にあるとき、針本体軸110の方へ内向きに湾曲する。これらの実施形態において、第1の把持器アームまたは第2の把持器アーム126のうちの少なくとも一方は、第1の把持器アームおよび第2の把持器アーム126が第2の位置138にあるとき、把持器磁石140とそこに誘引される磁気縫合糸200との接触を可能にするために針本体軸110から外向きに十分に遠くへ可逆的に枢動する。これらの実施形態において、2つの把持器アーム126の遠位端134に隣接した湾曲部分152は、第1の把持器アームおよび第2の把持器アーム126が第1の位置136にあるとき、磁気縫合糸200が縫合糸回収針102の遠位孔114を通って針内腔116を出るのを妨害するために磁気縫合糸200に接触する。これらの実施形態において、2つの把持器アーム126は、分岐点を含むピンセットとして機能し得る。そのような実施形態において、把持器磁石140は、有利には、磁気縫合糸200を誘引して適所に保持するためにピンセットの分岐点に装着され得、以て、ピンセットによる捕捉を容易にする。これらの実施形態のいくつかの例において、第1の把持器アームおよび第2の把持器アーム126の両方が、第1の把持器アームおよび第2の把持器アーム126が第2の位置138にあるとき、針本体軸110から外向きに可逆的に枢動する。
【0104】
図50に示されるように、いくつかの実施形態において、把持器アーム126は、把持器アーム126の遠位端134において、拡大した遠位終点148をさらに備える。これらの実施形態によると、把持器アーム126は、針本体108の遠位孔114を通じた針内腔116の内側から針内腔116の外側への把持器アーム126の並進に基づいて、第1の位置136と第2の位置138との間で可逆的に移動可能である。これらの実施形態によると、把持器アーム126の遠位端134における拡大した遠位終点148は、把持器アーム126が第2の位置138にあるとき、把持器磁石140とそこに誘引される磁気縫合糸200の縫合糸磁石202との接触を可能にし、把持器アーム126が第1の位置136にあるとき、磁気縫合糸200の縫合糸204を通すことを可能にするために十分に小さいサイズを有する。これらの実施形態において、把持器アーム126の遠位端134における拡大した遠位終点148は、把持器アーム126が第1の位置136にあるとき、磁気縫合糸200の縫合糸磁石202が針本体108の遠位孔114を通って針内腔116を出るのを妨害するために十分に大きいサイズを有する。これらの実施形態において、磁気縫合糸200が針内腔116から引き出されるのを防ぐのは拡大した遠位終点148である。したがって、そのような把持器アーム126は、拡大した遠位終点148を縫合糸回収針102の制約から自由にするまで前進される必要があるだけである。次いで力が磁気縫合糸200に印加される場合、および磁気縫合糸200が先細のフェルール206を含む場合、拡大した遠位終点148は、先細のフェルール206をずり上がり、これにより、把持器アーム126を先細のフェルール206から離れる方へ偏向させ、磁気縫合糸200を針内腔116から通すことを可能にする。これは、磁気縫合糸200を解放するために把持器アーム126全体が縫合糸回収針102の遠位端106を超えて移動する必要がないため、空間が限られている患者内の部位を縫合することに有利であり得る。これらの実施形態のいくつかの例において、拡大した遠位終点148のサイズは、針内腔116の内径の約10%~約90%、好ましくは約20%~約80%、より好ましくは約30%~約60%である。例えば、拡大した遠位終点148は、針内腔116の内径の約10%~約90%、好ましくは約20%~約80%、またはより好ましくは約30%~約60%の直径を有し得る。
【0105】
図52および
図53に示されるように、いくつかの実施形態において、把持器線120は、第1の把持器線120であり、把持器アーム126は、第1の把持器アーム126である。これらの実施形態において、磁石支援型縫合糸把持器100は、(a)近位端122および遠位端124を有し、回収器本体146内に固定して配設される第2の把持器線120、ならびに(b)近位端128、近位~中間部分130、遠位部分132、および遠位端134を備える第2の把持器アーム126であって、第2の把持器線120の遠位端124から延び、第1の位置136と第2の位置138との間で可逆的に移動可能である、第2の把持器アーム126をさらに備える。これらの実施形態において、第1の把持器アーム126は、第1の把持器アーム126の遠位端134において、拡大した遠位終点148をさらに備え、第2の把持器アーム126は、第2の把持器アーム126の遠位端134において、拡大した遠位終点148をさらに備える。これらの実施形態において、第1の把持器アームおよび第2の把持器アーム126は、針本体108の遠位孔114を通じた針内腔116の内側から針内腔116の外側への第1の把持器アームおよび第2の把持器アーム126の並進に基づいて、第1の位置136と第2の位置138との間で可逆的に移動可能である。これらの実施形態において、第1の把持器アームおよび第2の把持器アーム126の拡大した遠位終点148は、第1の把持器アームおよび第2の把持器アーム126が第2の位置138にあるとき、把持器磁石140とそこに誘引される磁気縫合糸200の縫合糸磁石202との接触を可能にし、第1の把持器アームおよび第2の把持器アーム126が第1の位置136にあるとき、磁気縫合糸200の縫合糸204を通すことを可能にするために十分に小さく、かつ、第1の把持器アームおよび第2の把持器アーム126が第1の位置136にあるとき、磁気縫合糸200の縫合糸磁石202が針本体108の遠位孔114を通って針内腔116を出るのを妨害するために十分に大きいサイズを有する。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、磁石支援型縫合糸把持器100は、少なくとも1つの追加の把持器線120、および少なくとも1つの追加の把持器線120から遠位に延びる少なくとも1つの追加の把持器アーム126をさらに備える。これらの実施形態は、同じ合計断面積を有する等価の単一の把持器アーム126よりも大きい把持器磁石140を可能にすることによって、有利であり得る。これは、2つ以上の把持器アーム126が、針内腔116の内表面の周りに径方向に位置付けられ得、把持器アーム126の断面積が不均等に配分されることを可能にすることが理由である。これは、把持器磁石140が占有するためにより多くの使用可能空間を残しておく。例えば、二重把持器アーム設計は、単一把持器アーム設計に対して使用可能空間に12%の増加をもたらす一方、四重把持器アーム設計は、単一把持器アーム設計に対して使用可能空間に20%の増加をもたらす。さらには、同様の効果が、把持器アーム126のための非円形プロファイルを伴う線を使用することにより達成され得る。
【0106】
また、いくつかの実施形態において、把持器線120は、第1の把持器線120であり、把持器アーム126は、第1の把持器アーム126である。これらの実施形態において、磁石支援型縫合糸把持器100は、(a)近位端122および遠位端124を有し、回収器本体146内に固定して配設される第2の把持器線120、ならびに(b)近位端128、近位~中間部分130、遠位部分132、および遠位端134を備える第2の把持器アーム126であって、第2の把持器線120の遠位端124から延び、第1の位置136と第2の位置138との間で可逆的に移動可能である、第2の把持器アーム126をさらに備える。これらの実施形態において、第1の把持器アームおよび第2の把持器アーム126は、それらの遠位端134において接続され、以て、把持器アームループ150を形成する。これらの実施形態において、把持器アームループ150は、針本体108の遠位孔114を通じた針内腔116の内側から針内腔116の外側への把持器アームループ150の並進に基づいて、第1の位置136と第2の位置138との間で可逆的に移動可能である。これらの実施形態において、把持器アームループ150は、把持器アームループ150が第2の位置138にあるとき、把持器磁石140とそこに誘引される磁気縫合糸200の縫合糸磁石202との接触を可能にするために十分に大きい領域を取り囲む。これらの実施形態において、把持器アームループ150は、把持器アームループ150が第1の位置136にあるとき、磁気縫合糸200の縫合糸磁石202が縫合糸回収針102の遠位孔114を通って針内腔116を出るのを妨害するために十分に大きい厚さを有する。把持器アーム126がそれらの遠位端134において、拡大した遠位終点148を備えないこれらの実施形態の場合、製造の容易さ、およびより大きい把持器磁石140を使用する可能性が利点として挙げられる。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、把持器アームループ150の平均直径は、針内腔116の内径の約0.5%~約10%、好ましくは約2%~約4%、より好ましくは約2.3%~約3.5%である。
【0107】
また、いくつかの実施形態において、把持器線120は、第1の把持器線120であり、把持器アーム126は、第1の把持器アーム126である。これらの実施形態において、磁石支援型縫合糸把持器100は、(a)近位端122および遠位端124を有し、回収器本体146内に固定して配設される第2の把持器線120、ならびに(b)近位端128、近位~中間部分130、遠位部分132、および遠位端134を備える第2の把持器アーム126であって、第2の把持器線120の遠位端124から延び、第1の位置136と第2の位置138との間で可逆的に移動可能である、第2の把持器アーム126をさらに備える。これらの実施形態において、第1の把持器アームおよび第2の把持器アーム126は、それらの遠位端134において接続され、以て、把持器アームループ150を形成する。これらの実施形態において、把持器アームループ150は、針本体108の遠位孔114を通じた針内腔116の内側から針内腔116の外側への把持器アームループ150の並進に基づいて、第1の位置136と第2の位置138との間で可逆的に移動可能である。これらの実施形態において、把持器アームループ150は、把持器アームループ150が第1の位置136にあるとき、弾性的に変形した閉状態にあり、把持器アームループ150は、把持器アームループ150が第2の位置138にあるとき、開状態へと可逆的に拡張する。これらの実施形態において、把持器アームループ150は、把持器アームループ150が第2の位置138にあるとき、把持器磁石140とそこに誘引される磁気縫合糸200の縫合糸磁石202との接触を可能にするために十分に大きい領域を取り囲む。これらの実施形態において、把持器アームループ150は、把持器アームループ150が第1の位置136にあるとき、縫合糸磁石202が縫合糸回収針102の遠位孔114を通って針内腔116を出るのを妨害するために磁気縫合糸202の縫合糸磁石202をスネアする。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、把持器アームループ150は、形状記憶合金で形成される。これらの実施形態において、把持器アームループ150は、スネアであり得、スネアは、分岐点を含み得る。そのような実施形態において、把持器磁石140は、有利には、磁気縫合糸200を誘引して適所に保持するためにスネアの分岐点に装着され得、以て、二次元可視化の下でスネアの目に縫合糸を通す困難なステップを除去する。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、把持器アームループ150の平均直径は、針内腔116の内径の約0.5%~約10%、好ましくは約2%~約4%、より好ましくは約2.3%~約3.5%である。
【0108】
磁石支援型縫合糸把持器100の第1の実施形態1001をさらに検討すると、いくつかの実施形態において、磁石支援型縫合糸把持器100は、縫合糸回収針102のハブ119、および回収器本体146に装着されるハンドルをさらに備える。これは、片手操作を可能にすることにより磁石支援型縫合糸把持器100の人間工学を改善することに有利である。ハンドルは、優先的に、ハンドルおよび回収器本体146を回転可能に固定するように非軸対称設計を含む。
【0109】
また、いくつかの実施形態において、磁石支援型縫合糸把持器100は、ばねなどの戻し機構をさらに備える。これらの実施形態において、回収器本体146は、ハンドルが押下されると、回収器本体146が前進され、それが今度は把持器アーム126および把持器磁石140を針内腔116から前進させるように、ハンドルに直接的に装着され得る。ハンドルが解放されると、ばねは、ハンドルを元の位置へ戻す。これにより把持器アーム126および把持器磁石140を針内腔116へ戻す。
【0110】
回収器本体146を含む磁石支援型縫合糸把持器100の実施形態1001は、以下のように動作され得る。
【0111】
磁気縫合糸200が患者の内側に配設された後、縫合糸回収針102は、縫合糸の部位へのアクセスを得るために患者内へ導入される。回収器本体146は、把持器アーム126および把持器磁石140が針内腔116を出て、縫合糸回収針102の遠位孔114を過ぎて延びるまで、縫合糸回収針102の針内腔116を通じて把持器アーム126および把持器磁石140を前進させるために使用される。把持器アーム126および把持器磁石140は、把持器磁石140および縫合糸磁石202の磁場が相互作用することができるように、磁気縫合糸200の縫合糸磁石202の近くに持ってこられる。把持器磁石140と縫合糸磁石202との間の引力は、縫合糸磁石202を把持器磁石140の方へ引っ張り、それらを接触および軸整列状態にする。
【0112】
次いで、回収器本体146は、把持器アーム126および把持器磁石140を縫合糸回収針102の針内腔116の内側に引き戻すために使用される。把持器磁石140と縫合糸磁石202との間の引力は、把持器磁石140が、縫合糸磁石202、および装着された縫合糸204をそれと共に、けん引することを可能にする。回収器本体146は、把持器磁石140および縫合糸磁石202が完全に針内腔116の内側に持ってこられるまで引き戻される。この時点で、把持器アーム126の遠位端134が出口路を妨害するため、磁気縫合糸200は、縫合糸回収針102から逃げることができない。把持器アーム126の近位端128は回収器本体146に装着されるため、把持器アーム126は、縫合糸204によって動かされない。
【0113】
一旦磁気縫合糸200が捕捉されると、磁石支援型縫合糸把持器100は、磁気縫合糸200を新しい場所へと引っ張る、または押圧するために使用され得る。把持器アーム126は、荷重が把持器磁石140と縫合糸磁石202との間の引力を超える点まで磁気縫合糸200が重く負荷がかけられるときにさえ、磁石支援型縫合糸把持器100が磁気縫合糸200をしっかりと保持することを可能にする。把持器アーム126は、印加される力が把持器磁石140と縫合糸磁石202との間の引力の強度を超えるときにさえ、磁気縫合糸200の縫合糸磁石202が針内腔116から外へ引き出されることを防ぐ。
【0114】
一旦磁気縫合糸200が所望の場所へと通されると、磁気縫合糸200は、磁石支援型縫合糸把持器100から解放され得る。磁気縫合糸200を解放するため、回収器本体146は、把持器アーム126、把持器磁石140、および縫合糸磁石202を針内腔116の外へ前進させるために使用され、縫合糸204は、次いで、把持器磁石140および縫合糸磁石202を切り離すために引っ張られ得る。
【0115】
磁石支援型縫合糸把持器100の第2の実施形態1002をさらに検討すると、
図21~
図43に示されるように、第2の実施形態1002は、第1の方向および/または第2の方向における針内腔116内での回収器本体146の並進を防ぐために可逆的に係合され得るロック機構300をさらに備える。ロック機構300は、同じ方向に磁気縫合糸200に印加される引張荷重を完全に支えることに有利であり得る。
【0116】
いくつかの実施形態において、ロック機構300は、把持器アーム126の遠位端134が針内腔116の内側にあるとき針内腔116内での回収器本体146の並進を防ぐ第1の設定において可逆的に係合され得、把持器磁石140が針内腔116の外側にあるとき針内腔116内での回収器本体146の並進を防ぐ第2の設定において可逆的に係合され得る。これらの実施形態のいくつかの例において、ロック機構300を第1の設定または第2の設定に維持することは、エネルギー入力を必要としない。
【0117】
磁石支援型縫合糸把持器100の実施形態1002は、そのような例である。
図21および
図22を参照すると、実施形態1002は、回収器本体146、スタビライザ管302、アドバンサフレーム304、アドバンサパッド306、ガイドブッシュ308、伸縮ばね310、ばねキーパ312、カムばね314、駆動カム316、ロックカム318、ハブ119、ならびにトラップ線151および磁石140が装着された状態の磁石線160を備えるエンドエフェクタ320を備えるアドバンサアセンブリを含む。これらの例によると、回収器本体146は、スタビライザ管302の内腔を通過し、スタビライザ管302に強固に固定される。エンドエフェクタ320は、回収器本体146に強固に固定される。スタビライザ管302は、アドバンサフレーム304、両方のガイドブッシュ308、ばねキーパ312、駆動カム316、およびロックカム318の腹側リングを通過し、ハブ119の本体内で終端する。ハブ119およびアドバンサフレーム304は、スタビライザ管302に強固に固定され、アドバンサパッド306は、アドバンサフレーム304に強固に固定される。ガイドブッシュ308は、非強固に固定されるが、アドバンサフレーム304により回転的および横方向に制約され、その結果として、これらの構成要素は、単一のユニットとして一体となって動く。ばねキーパ312は、アドバンサアセンブリ内に固定されないが、円筒部322およびノーズコーン324により横方向に制約され、その結果として、ばねキーパ312は、これらの構成要素に対して固定される長手方向位置を有する。アドバンサアセンブリ全体が、円筒部322およびノーズコーン324の内側チャネル内を摺動し、その結果として、伸縮ばね310は、この運動中、第1のガイドブッシュ308とばねキーパ312との間で圧縮する。
【0118】
これらの例によると、磁石支援型縫合糸把持器100の第2の実施形態1002は、以下のように動作され得る。
【0119】
図23~
図30および
図32~
図35を参照すると、最初、磁石支援型縫合糸把持器100の第2の実施形態1002のアドバンサアセンブリは、アンロック中間位置にあり、把持器アーム126は、第1の位置136と第2の位置138との間の中間の位置にある。動作を開始するため、操作者は、アドバンサフレーム304が走行スロット326の最大境界に係合するまで、伸縮ばね310を圧縮するのに十分な力で、アドバンサアセンブリを後退させる。これは、エンドエフェクタ320を針内腔116内へと引っ張り、ロックカム318を円筒部322のロック特徴に近位の開放空間340内へ押圧する。このときロックカム318のガイド突起部328が円筒部322の線形ガイドチャネル330によって課される回転制約から自由になった状態で、(予め充填された)カムばね314によって加えられる力は、ロックカム318と駆動カム316との間のロックカム歯332および駆動カム歯334を嵌合する目的で、ロックカム318の回転運動へと変換される。ロックカム318の回転は、ロックカム歯332の頂点が駆動カム歯334の間の谷にネスト化されるときに停止される。この時点で、アドバンサアセンブリは、アンロック後退位置にあり、把持器アーム126は、第1の位置136にある。これは、「位置A」と指定される。伸縮ばね310内へ荷重されている弾性ひずみを克服するのに十分な、例えば、操作者によって印加される、外力の連続印加が、アドバンサアセンブリをこの位置に維持するために必要とされる。
【0120】
図23~
図30および
図36~
図39を参照すると、動作を継続するため、操作者は、以前の位置において圧縮されている伸縮ばね310によって、いかなる外力もなしに、前方へ押圧されるアドバンサアセンブリを解放する。アドバンサアセンブリが前方へ動くと、ロックカム歯332は、円筒部322のロック斜面336に沿って摺動し、ロックカム318の同時線形および回転並進を結果としてもたらす。これは、ロックカム歯332が円筒部322内でロック停止部338と出会うまで継続し、この地点で、アドバンサアセンブリは、この方向におけるいかなるさらなる運動に対しても機械的にロックされるようになる。この時点で、アドバンサアセンブリは、ロック中間位置にあり、把持器アーム126は、第1の位置136と第2の位置138との間の中間の位置にある。これは、「位置B」と指定される。本システムは、この位置においては均衡の状態にあり、その結果として、この位置を維持するために外力は必要とされない。
【0121】
図23~
図30および
図40~
図43を参照すると、動作を継続するために、操作者は、アドバンサアセンブリを以前のアンロック後退位置へ戻すために、アドバンサアセンブリを一時的に引き戻す。この運動中、ロックカム318はもう一度駆動カム316に係合し、ロックカム歯332は、駆動カム316の歯冠内の次の谷内へ回転される。アドバンサアセンブリがこの位置から解放されると、伸縮ばね310がアドバンサアセンブリを前方へ押圧し、ロックカム歯332が円筒部322内のチャネル斜面342に係合する。チャネル斜面342は、ロックカム318の歯332およびガイド突起部328を線形ガイドチャネル330内へ誘導する。伸縮ばね310は、アドバンサフレーム304が走行スロット326の最小境界に係合し、エンドエフェクタ320をカニューレの外へ押圧するまで、アドバンサアセンブリを前方へ押圧し続ける。この時点で、アドバンサアセンブリは、ロック拡張位置にあり、把持器アーム126は、第2の位置138にある。これは、「位置C」と指定される。本システムは、この位置においては均衡の状態にあり、この場合、この位置を維持するために外力は必要とされない。
【0122】
動作を継続するため、操作者は、アドバンサアセンブリを一時的に引き戻す。これは、アドバンサアセンブリをアンロック中間位置へ、把持器アーム126を第1の位置136と第2の位置138との間の中間の位置へと戻す。
【0123】
磁石支援型縫合糸把持器100の第2の実施形態1002は、以下のように位置Cにあるとき磁石支援型縫合糸通し器具100と磁気縫合糸200との定常状態接続を確立するために磁力に依拠する。
図43~
図45を参照すると、操作者は、アドバンサアセンブリがロック拡張位置にあり、把持器アーム126が第2の位置138にあるように、すなわち位置Cであるように、アドバンサアセンブリを前方へ動かす。トラップ線151および把持器磁石140は、磁気縫合糸200の縫合糸磁石202の近くに持ってこられる。トラップ線151および把持器磁石140は、縫合糸磁石202と正確に整列される必要はないが、把持器磁石140および縫合糸磁石202の磁場が相互作用し得るように近くに持ってこられるだけで、磁気モーメントが縫合糸磁石202のS極を把持器磁石140のN極と接触状態にさせることを可能にし、以て、磁石支援型縫合糸通し器具100と磁気縫合糸200との定常状態接続を確立する。
【0124】
図46を参照すると、磁石支援型縫合糸把持器100の第2の実施形態1002は、次いで、以下のように位置Cから位置Aへ動かすことにより磁気縫合糸200の機械捕捉を達成し得る。最初の誘引後、操作者は、アドバンサアセンブリを一時的に引き戻し、以て、アドバンサアセンブリを最初のアンロック中間位置を通過させ、アドバンサアセンブリを、把持器アーム126が第1の位置136にあるアンロック後退位置、すなわち、位置Aへと戻す。把持器磁石140と縫合糸磁石202との定常状態接続は、把持器磁石140が磁気縫合糸200を針内腔116内へけん引することを可能にする。トラップ線151の長さは、トラップ線151の端における拡大した遠位終点148が縫合糸磁石202に対する遠位位置をカニューレの内側に維持するように設計される。これは、拡大した遠位終点148が栓としての役割を果たすことを可能にし、針内腔116の内側に物理的な妨害物を作成し、磁気縫合糸200の縫合糸磁石202はそこを通過することができない。
【0125】
図47を参照すると、磁石支援型縫合糸把持器100の第2の実施形態1002は、次いで、以下のように位置Bにおける磁気縫合糸200の機械的保持を達成し得る。操作者は、伸縮ばね310により前方に押圧されるアドバンサアセンブリを解放し、アドバンサアセンブリをエネルギー的に不利なアンロック後退位置から均衡であるロック中間位置、すなわち、位置Bへ動かす。把持器アーム126は、このとき、第1の位置136と第2の位置138との間の中間の位置にある。アドバンサアセンブリがロック中間位置に留まっている間、磁気縫合糸200が、把持器磁石140と縫合糸磁石202との間の誘引力を超える力で緊張して荷重されるとき、縫合糸磁石202は、把持器磁石140から離れる方へ引っ張られるが、トラップ線151により針内腔116を出ることは止められる。磁気縫合糸200に印加される引張荷重は、以て、トラップ線151によって支えられ、これは、トラップ線151を通じて回収器本体146内へ、これら2つの要素の強固な接合により移転され、またスタビライザ管302内へ、これら2つの要素の接合により移転され、また同様にスタビライザ管302に強固に接合されるハブ119によりロックカム318内へ移転される。ロックカム318が円筒部322の機械ロック特徴と固定して係合されると、この荷重は、最終的にロックカム318と円筒部322との間の界面により支えられる。磁気縫合糸200の引張荷重に抵抗するデバイスの能力は、したがって、これらの個々の要素およびそれらの間の接合部の引張強度、ならびに、ロックカム歯332および円筒部322のロック停止部338のせん断強度によって制限される。これらの要素の材料選択および断面積は、最終的に、本システムが協働するように設計される3-0縫合糸の耐荷重性よりもはるかにより高い耐荷重性能力を画定し、その結果として、縫合糸自体がシステムにおける限定因子になる。これは、外科医が磁気縫合糸200により印加され得る張力の量に関して人工的に制限されないことから、磁気縫合糸200の前にシステムの別の部分を故障させるよりも好ましい。これが好ましい別の理由は、システムが過荷重され、磁気縫合糸200が壊れるとき、磁気縫合糸200の縫合糸磁石202は、針内腔116内に捕捉されたままであり、安全な回収および廃棄を可能にすることである。
【0126】
図48および
図49A~Cを参照すると、磁石支援型縫合糸把持器100の第2の実施形態1002はまた、回収器本体146およびスタビライザ管302がすべての構成要素の中心を通るように設計される。回収器本体146は、回収器本体146の長さを通る開いた回収器管内腔182を伴って設計される。デバイスの近位端におけるハブ119構成要素は、ハブ119の長さ全体を通る開いたハブ内腔346を伴って構築される。遠位端において、針本体108もまた、内腔的に開存している。組み立てられると、回収器管内腔182は、近位端においてハブ119のハブ内腔346へ、またこの遠位端において針本体108の針内腔116へと開き、デバイス全体を通って端から端まで延びる内腔経路を作成する。
【0127】
第2の実施形態1002のロック機構300をより詳細に検討すると、このロック機構300は、ロックカム318、駆動カム316、および円筒部322という3つの構成要素の間に形成される。ロックカム318のガイド突起部328および駆動カム316のガイド突起部344は、それらのそれぞれのロックカム318および駆動カム316の外表面から延び、180°離して配設される。円筒部322は、2つのガイドチャネル330を特徴とし、これらは、内表面内へ開放され、同様に180°離して配設される。組み立てられると、ロックカム318のガイド突起部328および駆動カム316のガイド突起部344は、ガイドチャネル330内へ適合し、その中で摺動する。ロックカム318および駆動カム316は、スタビライザ管302の上に、ハブ119に対して遠位、およびアドバンサフレーム304に対して近位に組み立てられる。カムばね314は、アドバンサフレーム304と駆動カム316との間に置かれる。カムばね314は、それが駆動カム316に対して連続した力を加えて、駆動カム316をロックカム318の方へ押圧するように作用するように、組み立て中に予め圧縮される。駆動カム316は、径方向に配設されたV字状の歯334の歯冠を特徴とする。ロックカム318は、駆動カム歯334のものに対して嵌合傾斜角度を有する直角三角形状の歯332を特徴とする。円筒部322は、円筒部322の内表面内へ開放され、ガイドチャネル330に対して近位であり、同様にロックおよび駆動カム316を嵌合する傾斜角度を有する直角歯を特徴とする。ロックカム歯332の幅は、駆動カム316の歯334よりも広く、その結果として、ロックカム歯332は、駆動カム歯334の外径を超えて延びる。ロックカム318上の歯332の配置は、ロックカム318の突起部328および駆動カム316の突起部344が整列されるとき、ロックカム歯332の頂点が最も近い駆動カム歯334の頂点のわずかに後ろにあるようなものである。円筒部歯の配置は、ロックカム歯332が駆動カム歯334の間の谷にネスト化された状態で、ロックカム歯332の頂点が円筒部歯334の頂点からわずかに後ろにあるようなものである。
【0128】
動作的に、駆動カム316のガイド突起部344は、摺動アセンブリによる線形移動のすべての地点に沿ってガイドチャネル330内に留まる。そのようなものとして、駆動カム316は、常に中立軸の周りの回転に対して制約される。ロックカム318は、ガイド突起部328がガイドチャネル330内に位置付けられている間同じ様式で制約されるが、ロックカム318は、最大移動範囲において円筒部歯334によって作成される開放空間340、すなわち、位置Aに完全に入り、これにより、ロックカム318のガイド突起部328をガイドチャネル330から自由にし、ロックカム318が中立軸の周りを回転することを可能にする。ロックカム318のガイド突起部328がガイドチャネル330の制約から自由にされるとき、カムばね314によって加えられる力は、駆動カム316をロックカム318の方へ駆動する。嵌合するロックカム歯332および駆動カム歯334の傾斜角は、ロックカム318を駆動カム歯334に沿って駆動カム歯334の間の谷へ向けて摺動させる。駆動カム316は回転的に制約されるが、ロックカム318は制約されないため、この運動は、ロックカム318の反時計回りの回転(およそ45°)を結果としてもたらす。この位置から、アセンブリの摺動構成要素は、位置Cへ向かって、反対方向に後退され、これにより、ロックカム歯332を円筒部322のロック斜面336と接触させる。ロックカム歯332とロック斜面336との摺動接触は、歯332がロック停止部338と接触するまで、ロックカム318のさらなる時計回りの回転(およそ45°)を引き起こす。これがロック位置である。この位置では、位置Aから位置Cへのさらなる運動は不可能である。ロックは、アセンブリを摺動させて位置Aへ後退させることにより開放され、これにより、ロックカム歯332をロック停止部338の範囲を超えて駆動し、この地点では、ロックカム318は、駆動カム歯334によってさらに時計回りに回転可能に駆動される。この位置から、摺動アセンブリは、位置Cへ駆動され得る。ロックカム318が位置Cへ向かって線形に前進すると、ロックカム歯332は、円筒部322内のチャネル斜面342に接触し、この摺動接触が、ロックカム318のさらなる反時計回りの回転を結果としてもたらす。チャネル斜面342の下方頂点は、ガイドチャネル330であり、その結果として、ロックカム歯332がチャネル斜面342に沿って摺動すると、ガイド突起部328がガイドチャネ330内へ誘導され、摺動アセンブリ全体が位置Cへ向かって動くことを可能にする。このサイクルの回転性質は、1つのロック/アンロックサイクルがロックカム318の180°並進を結果としてもたらし、また2つの完全なロック/アンロックサイクルが、構成要素をそれらの元の位置に戻す(360°回転)ようなものである。これは、ロック/アンロックサイクルが無制限に繰り返されることを可能にする。
【0129】
理解されるように、他のロック機構も磁石支援型縫合糸把持器100と共に使用され得る。例えば、ロック機構300は、縫合糸回収針102のハブ119内へ成形される単一レバーアーム、および回収器本体146の外表面上の鋸歯状の縁を含み得、その結果として、レバーアームは、鋸歯状の縁と係合して、回収器本体146、および故に把持器線120を、縫合糸回収針102に対する並進に対してロックすることができる。他の好適なロック機構300も使用され得る。
【0130】
図54~
図58を参照すると、磁気縫合糸ループ400も開示される。磁気縫合糸ループ400は、縫合糸磁石402、および縫合糸磁石402から延び、縫合糸ループ406を形成する二股縫合糸404を備える。
【0131】
磁気縫合糸ループ400は、上で論じられるように、米国公開第2021/0059667号に説明されるものと同様に作製され得る。故に、いくつかの実施形態において、磁気縫合糸ループ400は、二股縫合糸404が結び付けられ接着剤で固定される先細領域410、および縫合糸磁石402が提供される直線領域412を伴うフェルール408をさらに備える。
【0132】
磁気縫合糸ループ400は、第1の縫合糸によって作成される縫合糸ループ406を通じて第2の縫合糸を引っ張る目的のため、第2の縫合糸をスネアする手段を提供することに有利である。外科医は、以下のようにこれを達成し得る。磁気縫合糸ループ400は、まず、患者の組織を通過し、その結果として、磁気縫合糸ループ400は、入口点および患者からの出口点を有する。入口点および出口点は、別個の点または同じ点であり得る。次いで、1本の第2の縫合糸が、磁気縫合糸ループ400の縫合糸ループ406に通される。次いで、磁気縫合糸ループ400は、反対端から組織を通じて引っ張られる。磁気縫合糸ループ400が組織の入口点を通じて引っ張られると、縫合糸ループ406は、組織によって第2の縫合糸の周りで閉じられ、第2の縫合糸を効果的にスネアする。このスネア行為は、磁気縫合糸ループが第2の縫合糸を、組織を通じて出口点の外へ引っ張ることを可能にし、その結果として、今度は第2の縫合糸が、磁気縫合糸ループ400によって以前に占有されていた経路を占有する。これは、使用される縫合糸のタイプに関して選択を制限することなく、縫合糸サイズ、材料、および構造の制限的な置換を可能にすることから、有利である。例えば、外科医が磁気縫合糸ループ400とは異なるスタイルの縫合糸を使用することを望む場合、外科医は、経路を確立するために磁気縫合糸ループ400を使用し、次いで、上に説明される技術を使用して異なる第2の縫合糸のために磁気縫合糸ループ400を迅速かつ容易に交換することができる。
【0133】
図59~
図63を参照すると、予め充填された磁気縫合糸カートリッジ500も開示される。予め充填された磁気縫合糸カートリッジ500は、磁気縫合糸ループ400およびカートリッジ管502を備える。磁気縫合糸ループ400は、上に説明されるようなものであり得る。カートリッジ管502は、カートリッジ管近位開口部504、カートリッジ管遠位開口部506、およびそれらの間のカートリッジ管内腔508を備える。
【0134】
磁気縫合糸ループ400の縫合糸ループ406が、縫合糸ループ406はカートリッジ管内腔508に自由に入ることができるが、縫合糸ループ406の縫合糸磁石402がカートリッジ管内腔508に入らないようにサイズ決定されるカートリッジ管内腔508を横断し、その結果として、縫合糸ループ406が、一方向においてはカートリッジ管内腔508を自由に通過することができるが、反対方向においては捕捉されるように、磁気縫合糸ループ400は、製造中、カートリッジ管502内へ予め充填され得る。カートリッジ管502の壁厚およびその構築に使用される材料の係数は、カートリッジ管502が縫合糸ループ406よりも大きい柱強度を有するようなものであり、磁気縫合糸ループ400を含む予め充填された磁気縫合糸カートリッジ500が、一端から押圧されることによりカニューレ内へ容易に挿入されそこを通って前進されることを可能にする。
【0135】
これは、縫合糸ループ406自体が、縫合糸ループ406が一端からカニューレを通じて押圧されることを可能にするほど十分な柱強度を有さないことから、有利である。したがって、カートリッジ管502は、縫合糸ループ406を、カニューレを通じて、および体内作業空間内へ前進させることを促進する。次いで、カニューレおよびカートリッジ管502は、縫合糸ループ406だけを残して、除去され得る。代替的に、カニューレは除去され得、捕捉された縫合糸ループ406を伴うカートリッジ管502は残され得る。この様式でカートリッジ管502を残すことは、カートリッジ管502の剛性が、縫合糸ループ406の遠位端において身体の外側から磁気縫合糸ループ400の縫合糸磁石402を直接的に操作するための手段を操作者に提供することから、手技中に何らかの利益を提供し得る。この趣旨で、湾曲部が、カートリッジ管502の遠位端に追加され得、これが、体内空間内で磁気縫合糸ループ400の縫合糸磁石402を直接的に操作する操作者の能力をさらに高める。
【0136】
磁気縫合糸を通すためのシステムも開示される。本システムは、上に説明されるような磁石支援型縫合糸把持器を備える。本システムはまた、上に説明されるような、縫合糸磁石および縫合糸磁石から延びる縫合糸を備える磁気縫合糸を備える。
【0137】
磁気縫合糸を通すための別のシステムも開示される。本システムは、上に説明されるような磁石支援型縫合糸把持器を備える。本システムはまた、上に説明されるような、縫合糸磁石、および縫合糸磁石から延び縫合糸ループを形成する二股縫合糸を備える、磁気縫合糸ループを備える。
【0138】
いくつかの実施形態において、本システムは、上に説明されるようなカートリッジ管もさらに備える。カートリッジ管は、カートリッジ管近位開口部、カートリッジ管遠位開口部、およびそれらの間のカートリッジ管内腔を備える。縫合糸ループは、カートリッジ管遠位開口部を通じて挿入されていることに基づいて、カートリッジ管内腔を横断する。縫合糸磁石は、カートリッジ管遠位開口部に隣接してカートリッジ管内腔の外側に配設される。
【0139】
本明細書に開示される磁石支援型縫合糸把持器は、縫合糸の端において縫合糸磁石を含む磁気縫合糸を通すために使用され得る。そのような磁気縫合糸は、例えば、米国公開第2021/0059667号に説明されるように作製され得る。本明細書に開示される磁石支援型縫合糸把持器はまた、縫合糸内に磁性金属を含むことに基づいて磁性である磁気縫合糸を通すために使用され得る。
【0140】
本明細書に開示される磁石支援型縫合糸把持器は、数ある中でも、(1)上に説明されるような開存している鞘状突起の高位結紮を通じた鼠径ヘルニア術、(2)腹腔鏡下ポート閉鎖(典型的な縫合糸サイズ2-0以上)、(3)顕微鏡下手術(典型的な縫合糸サイズ7-0以下)、(4)一般的な手術(典型的な縫合糸サイズ2-0~0)、および(5)整形外科手術(典型的な縫合糸サイズ0以上)を含む手技において有用であり得る。
【0141】
磁石支援型縫合糸把持器はまた、超音波誘導手術技術における使用のために修正され得る。磁石支援型縫合糸把持器は、縫合糸回収針の遠位端をエコー源性にすることによって修正される。これは、例えば、縫合糸回収針の遠位先端においてエコー源性処理を施すことによって行われ得る。修正された磁石支援型縫合糸把持器は、このとき、縫合糸を導入するための皮下注射針と共に使用され、皮下注射針もまた、その遠位端においてエコー源性である。任意選択的に、磁石支援型縫合糸把持器および磁気縫合糸の磁石、ならびに/または磁石を磁石支援型縫合糸把持器の線および縫合糸に装着するフェルールも、例えば、磁石および/またはフェルールにエコー源性処理を施すことによって、エコー源性にされ得る。
【0142】
超音波誘導手術技術における修正された磁石支援型縫合糸把持器の使用は、吸引設備の必要性を除去することによって手術時間および複雑性の低減を結果としてもたらし得る。吸引設備は、現在のところ、縫合糸を針に通すために必要とされる。
【0143】
修正された磁石支援型縫合糸把持器はまた、縫合糸が引き渡され、腹腔の内側から回収される代替技術を可能にし得る。これは、修復が単一の針アクセスポイントを通じて全体的に完了されることを可能にし、これにより、改善された美容術をもたらし、またより少ない術後の痛みを結果としてもたらし得る。現在の腹腔鏡的アプローチ(PEAR/PIRS技術と呼ばれる)では、針は、皮膚を通じて導入され、欠陥の周りの中心に向けられ、欠陥より下へ腹膜を通って腹腔内へ出る。縫合糸の引き渡しおよび回収は、腹腔の内側のこの空間内で発生する。これは、縫合糸がエコー源性ではないことから、現在のところ超音波誘導下では不可能であるため、外科医は、全く見えない状態で腹腔の内側から縫合糸を回収しなければならない。これは、縫合糸通し器具技術の現在の状態(すなわち、スネア、把持器、など)ではほぼ不可能である。対照的に、修正された磁石支援型縫合糸把持器は、針点およびフェルールがエコー源性である場合は特に、これが機能することを可能にし得る。
【0144】
本明細書に説明される機械的な把持器アーム技術は、回収中に磁気縫合糸を保持するより確実な手段を提供するために、米国特許第10,245,021号に開示される磁気Uステッチ縫合デバイスに統合され得る。加えて、これは、縫合糸が第2のカニューレを通って身体の外へ完全に引っ張られる必要はなく、単に捕捉され得、次いでデバイス全体が除去されて、縫合糸を、直接的に皮膚を通じて引っ張るように、デバイスの動作が変更されることを可能にする。これにより、磁気Uステッチ縫合デバイスが単一デバイスを用いて複数の縫合糸を置くために使用されることを可能にすることになる。
【0145】
加えて、本明細書に説明される磁石支援型縫合糸把持器は、ロボット支援型手術のための腕先ツーリングとして、または内視鏡による縫合糸の直接操作のために内視鏡の端へ、統合され得る。
【0146】
磁気縫合糸を把持するための磁石支援型縫合糸把持器が説明されるが、磁石支援型縫合糸把持器はまた、縫合糸磁石を必ずしも含まずに、磁石によって誘引される強磁性元素を含む縫合糸を把持するために使用され得る。
【0147】
本発明は、上に概説される特定の実施形態と併せて説明されているが、多くの代替形態、修正形態、および変形形態が、当業者には明白であることは明らかである。したがって、上に明記されるような本発明の好ましい実施形態は、限定ではなく例証的であることが意図される。様々な変更は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなくなされ得る。
【0148】
条項
【0149】
条項1.磁気縫合糸を把持するための磁石支援型縫合糸把持器であって、
(a)近位端、遠位端、およびそれらの間に延びる針本体を備える縫合糸回収針であって、前記針本体は、前記縫合糸回収針の前記近位端と前記遠位端との間の針本体軸を画定し、前記針本体は、前記針本体軸に沿って、近位孔、遠位孔、およびそれらの間に延びる針内腔を有する、縫合糸回収針、
(b)前記針内腔内に配設され、その中を前記針本体軸に沿って並進可能である回収器本体、
(c)近位端および遠位端を有し、前記回収器本体内に固定して配設される把持器線、
(d)近位端、近位~中間部分、遠位部分、および遠位端を備える把持器アームであって、前記把持器線の前記遠位端から延び、第1の位置と第2の位置との間で可逆的に移動可能である、把持器アーム、ならびに
(e)前記把持器アームの前記近位~中間部分に隣接して配設される把持器磁石であって、前記磁石支援型縫合糸把持器は、前記把持器アームが前記第1の位置にあるとき前記把持器磁石を前記針内腔内に隔離し、前記把持器アームが前記第2の位置にあるとき前記把持器磁石を前記針内腔から露出させる、把持器磁石を備え、
前記把持器アームの前記遠位端は、前記把持器磁石よりもさらに遠位に延び、
前記針本体軸に沿った第1の方向における前記針内腔内での前記回収器本体の並進は、前記把持器アームを前記第1の位置から前記第2の位置へと動かし、以て、前記把持器磁石を露出させ、前記把持器磁石とそこに誘引される磁気縫合糸との接触を可能にし、
前記針本体軸に沿った前記第1の方向とは反対の第2の方向における前記針内腔内での前記回収器本体の並進は、前記把持器アームを前記第2の位置から前記第1の位置へ動かし、以て、前記把持器磁石を隔離し、前記針内腔内で前記磁気縫合糸を把持する、磁石支援型縫合糸把持器。
【0150】
条項2.前記縫合糸回収針は、皮下注射針である、条項1に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【0151】
条項3.前記縫合糸回収針は、真っすぐであり、前記針本体軸は、以て、真っすぐである、条項1または2に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【0152】
条項4.前記縫合糸回収針は、湾曲しており、前記針本体軸は、以て、湾曲している、条項1または2に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【0153】
条項5.前記縫合糸回収針は、鋭い先端を有する、条項1から4のいずれか一項に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【0154】
条項6.前記縫合糸回収針は、ハブをさらに備える、条項1から5のいずれか一項に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【0155】
条項7.前記回収器本体および前記把持器線は、前記針本体よりも可撓性である、条項1から6のいずれか一項に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【0156】
条項8.前記回収器本体は、近位端、遠位端、およびそれらの間に延びる回収器管を備え、前記回収器管は、前記回収器本体の前記近位端と前記遠位端との間の回収器管軸を画定し、前記回収器管は、前記回収器管軸に沿って、近位孔、遠位孔、およびそれらの間に延びる回収器管内腔を有し、
前記回収器管の前記近位孔は、前記回収器管内腔および前記針内腔を通じて前記針本体の前記遠位孔と流体連通状態にある、条項1から7のいずれか一項に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【0157】
条項9.前記把持器アームは、前記把持器線と一体である、条項1から8のいずれか一項に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【0158】
条項10.近位端および遠位端を有する磁石線をさらに備え、前記磁石線の前記近位端は、前記回収器本体内に固定して配設され、前記把持器磁石は、直接的または間接的のいずれかで、前記磁石線の前記遠位端に固定して装着される、条項1から9のいずれか一項に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【0159】
条項11.前記磁石線は、前記磁石線の前記遠位端において磁石線遠位終点をさらに備え、前記磁石支援型縫合糸把持器は、前記磁石線遠位終点に装着されるフェルールをさらに備え、前記把持器磁石は、前記フェルールに装着される、条項10に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【0160】
条項12.前記把持器磁石は、直接的または間接的のいずれかで、前記把持器アームに固定して装着される、条項1から9のいずれか一項に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【0161】
条項13.前記把持器磁石は、直接的または間接的のいずれかで、前記把持器線に固定して装着される、条項1から9のいずれか一項に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【0162】
条項14.前記把持器アームは、前記把持器アームの前記遠位端において、拡大した遠位終点をさらに備え、
前記把持器アームは、前記針本体の前記遠位孔を通じた前記針内腔の内側から前記針内腔の外側への前記把持器アームの並進に基づいて、前記第1の位置と前記第2の位置との間で可逆的に移動可能であり、
前記把持器アームの前記遠位端における前記拡大した遠位終点は、前記把持器アームが前記第2の位置にあるとき、前記把持器磁石とそこに誘引される磁気縫合糸の縫合糸磁石との接触を可能にし、前記把持器アームが前記第1の位置にあるとき、前記磁気縫合糸の縫合糸を通すことを可能にするために十分に小さく、かつ、前記把持器アームが前記第1の位置にあるとき、前記磁気縫合糸の前記縫合糸磁石が前記針本体の前記遠位孔を通って前記針内腔を出るのを妨害するために十分に大きいサイズを有する、条項1から13のいずれか一項に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【0163】
条項15.前記把持器線は、第1の把持器線であり、
前記把持器アームは、第1の把持器アームであり、
前記磁石支援型縫合糸把持器は、(a)近位端および遠位端を有し、前記回収器本体内に固定して配設される第2の把持器線、ならびに(b)近位端、近位~中間部分、遠位部分、および遠位端を備える第2の把持器アームであって、前記第2の把持器線の前記遠位端から延び、前記第1の位置と前記第2の位置との間で可逆的に移動可能である、第2の把持器アームをさらに備え、
前記第1の把持器アームは、前記第1の把持器アームの前記遠位端において、拡大した遠位終点をさらに備え、
前記第2の把持器アームは、前記第2の把持器アームの前記遠位端において、拡大した遠位終点をさらに備え、
前記第1の把持器アームおよび第2の把持器アームは、前記針本体の前記遠位孔を通じた前記針内腔の内側から前記針内腔の外側への前記第1の把持器アームおよび第2の把持器アームの並進に基づいて、前記第1の位置と前記第2の位置との間で可逆的に移動可能であり、
前記第1の把持器アームおよび第2の把持器アームの前記拡大した遠位終点は、前記第1の把持器アームおよび第2の把持器アームが前記第2の位置にあるとき、前記把持器磁石とそこに誘引される磁気縫合糸の縫合糸磁石との接触を可能にし、前記第1の把持器アームおよび第2の把持器アームが前記第1の位置にあるとき、前記磁気縫合糸の縫合糸を通すことを可能にするために十分に小さく、かつ、前記第1の把持器アームおよび第2の把持器アームが前記第1の位置にあるとき、前記磁気縫合糸の前記縫合糸磁石が前記針内腔を通じて前記針本体の前記遠位孔から出るのを妨害するために十分に大きいサイズを有する、条項1から13のいずれか一項に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【0164】
条項16.少なくとも1つの追加の把持器線、および前記少なくとも1つの追加の把持器線から遠位に延びる少なくとも1つの追加の把持器アームをさらに備える、条項15に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【0165】
条項17.前記把持器線は、第1の把持器線であり、
前記把持器アームは、第1の把持器アームであり、
前記磁石支援型縫合糸把持器は、(a)近位端および遠位端を有し、前記回収器本体内に固定して配設される第2の把持器線、ならびに(b)近位端、近位~中間部分、遠位部分、および遠位端を備える第2の把持器アームであって、前記第2の把持器線の前記遠位端から延び、前記第1の位置と前記第2の位置との間で可逆的に移動可能である、第2の把持器アームをさらに備え、
前記第1の把持器アームと第2の把持器アームとはそれらの遠位端において接続され、以て、把持器アームループを形成し、
前記把持器アームループは、前記針本体の前記遠位孔を通じた前記針内腔の内側から前記針内腔の外側への前記把持器アームループの並進に基づいて、前記第1の位置と前記第2の位置との間で可逆的に移動可能であり、
前記把持器アームループは、前記把持器アームループが前記第2の位置にあるとき、前記把持器磁石とそこに誘引される磁気縫合糸の縫合糸磁石との接触を可能にするために十分に大きい領域を取り囲み、
前記把持器アームループは、前記把持器アームループが前記第1の位置にあるとき、前記磁気縫合糸の前記縫合糸磁石が前記縫合糸回収針の前記遠位孔を通って前記針内腔を出るのを妨害するために十分に大きい厚さを有する、条項1から13のいずれか一項に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【0166】
条項18.前記把持器線は、第1の把持器線であり、
前記把持器アームは、第1の把持器アームであり、
前記磁石支援型縫合糸把持器は、(a)近位端および遠位端を有し、前記回収器本体内に固定して配設される第2の把持器線、ならびに(b)近位端、近位~中間部分、遠位部分、および遠位端を備える第2の把持器アームであって、前記第2の把持器線の前記遠位端から延び、前記第1の位置と前記第2の位置との間で可逆的に移動可能である、第2の把持器アームをさらに備え、
前記第1の把持器アームと第2の把持器アームとはそれらの遠位端において接続され、以て、把持器アームループを形成し、
前記第1の把持器アームおよび第2の把持器アームは、前記第1の把持器アームおよび第2の把持器アームの前記遠位端において、拡大した遠位終点をさらに備え、
前記把持器アームループは、前記針本体の前記遠位孔を通じた前記針内腔の内側から前記針内腔の外側への前記把持器アームループの並進に基づいて、前記第1の位置と前記第2の位置との間で可逆的に移動可能であり、
前記把持器アームループが前記第2の位置にあるとき、前記把持器磁石とそこに誘引される磁気縫合糸の縫合糸磁石との接触を可能にするために、前記把持器アームループは、十分に大きい領域を取り囲み、また前記第1の把持器アームおよび第2の把持器アームの前記遠位端における前記拡大した遠位終点は、十分に小さいサイズを有し、
前記第1の把持器アームおよび第2の把持器アームの前記遠位端における前記拡大した遠位終点は、前記把持器アームループが前記第1の位置にあるとき、前記磁気縫合糸の縫合糸を通すことを可能にするために十分に小さいサイズを有し、
前記第1の把持器アームおよび第2の把持器アームの前記遠位端における前記拡大した遠位終点は、前記把持器アームループが前記第1の位置にあるとき、前記磁気縫合糸の前記縫合糸磁石が前記針本体の前記遠位孔を通って前記針内腔を出るのを妨害するために十分に大きいサイズを有する、条項1から13のいずれか一項に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【0167】
条項19.前記把持器線は、第1の把持器線であり、
前記把持器アームは、第1の把持器アームであり、
前記磁石支援型縫合糸把持器は、(a)近位端および遠位端を有し、前記回収器本体内に固定して配設される第2の把持器線、ならびに(b)近位端、近位~中間部分、遠位部分、および遠位端を備える第2の把持器アームであって、前記第2の把持器線の前記遠位端から延び、前記第1の位置と前記第2の位置との間で可逆的に移動可能である、第2の把持器アームをさらに備え、
前記第1の把持器アームと第2の把持器アームとはそれらの遠位端において接続され、以て、把持器アームループを形成し、
前記把持器アームループは、前記針本体の前記遠位孔を通じた前記針内腔の内側から前記針内腔の外側への前記把持器アームループの並進に基づいて、前記第1の位置と前記第2の位置との間で可逆的に移動可能であり、
前記把持器アームループは、前記把持器アームループが前記第1の位置にあるとき、弾性的に変形した閉状態にあり、
前記把持器アームループは、前記把持器アームループが前記第2の位置にあるとき、開状態へと可逆的に拡張し、
前記把持器アームループは、前記把持器アームループが前記第2の位置にあるとき、前記把持器磁石とそこに誘引される磁気縫合糸の縫合糸磁石との接触を可能にするために十分に大きい領域を取り囲み、
前記把持器アームループは、前記把持器アームループが前記第1の位置にあるとき、前記縫合糸磁石が前記縫合糸回収針の前記遠位孔を通って前記針内腔を出るのを妨害するために前記磁気縫合糸の前記縫合糸磁石をスネアする、条項1から13のいずれか一項に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【0168】
条項20.前記把持器アームループは、形状記憶合金で形成される、条項19に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【0169】
条項21.前記把持器線は、第1の把持器線であり、
前記把持器アームは、第1の把持器アームであり、
前記磁石支援型縫合糸把持器は、(a)近位端および遠位端を有し、前記回収器本体内に固定して配設される第2の把持器線、ならびに(b)近位端、近位~中間部分、遠位部分、および遠位端を備える第2の把持器アームであって、前記第2の把持器線の前記遠位端から延び、前記第1の位置と前記第2の位置との間で可逆的に移動可能である、第2の把持器アームをさらに備え、
前記第1の把持器アームおよび第2の把持器アームは、それらの遠位端に隣接した湾曲部分を備え、
前記第1の把持器アームおよび第2の把持器アームは、前記針本体の前記遠位孔を通じた前記針内腔の内側から前記針内腔の外側への前記第1の把持器アームおよび第2の把持器アームの並進に基づいて、前記第1の位置と前記第2の位置との間で可逆的に移動可能であり、
前記第1の把持器アームおよび第2の把持器アームの前記近位~中間部分は、前記針本体軸に略平行であり、前記第1の把持器アームおよび第2の把持器アームの前記遠位端に隣接した前記湾曲部分は、前記第1の把持器アームおよび第2の把持器アームが前記第1の位置にあるとき、前記針本体軸の方へ内向きに湾曲し、
前記第1の把持器アームまたは第2の把持器アームのうちの少なくとも一方は、前記第1の把持器アームおよび第2の把持器アームが前記第2の位置にあるとき、前記把持器磁石とそこに誘引される磁気縫合糸との接触を可能にするために前記針本体軸から外向きに十分に遠くへ可逆的に枢動し、
前記2つの把持器アームの前記遠位端に隣接した前記湾曲部分は、前記第1の把持器アームおよび第2の把持器アームが前記第1の位置にあるとき、前記磁気縫合糸が前記縫合糸回収針の前記遠位孔を通って前記針内腔を出るのを妨害するために前記磁気縫合糸に接触する、条項1から13のいずれか一項に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【0170】
条項22.前記第1の方向および/または前記第2の方向における前記針内腔内での前記回収器本体の並進を防ぐために可逆的に係合され得るロック機構をさらに備える、条項1から21のいずれか一項に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【0171】
条項23.前記ロック機構は、前記把持器アームの前記遠位端が前記針内腔の内側にあるとき前記針内腔内での前記回収器本体の並進を防ぐ第1の設定において可逆的に係合され得、前記把持器磁石が前記針内腔の外側にあるとき前記針内腔内での前記回収器本体の並進を防ぐ第2の設定において可逆的に係合され得る、条項22に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【0172】
条項24.前記ロック機構を前記第1の設定または前記第2の設定に維持することは、エネルギー入力を必要としない、条項23に記載の磁石支援型縫合糸把持器。
【0173】
条項25.磁気縫合糸を通すためのシステムであって、
条項1から24のいずれか一項に記載の磁石支援型縫合糸把持器と、
縫合糸磁石および前記縫合糸磁石から延びる縫合糸を備える磁気縫合糸と
を備える、システム。
【0174】
条項26.磁気縫合糸を通すためのシステムであって、
条項1から24のいずれか一項に記載の磁石支援型縫合糸把持器と、
縫合糸磁石、および前記縫合糸磁石から延び縫合糸ループを形成する二股縫合糸を備える、磁気縫合糸ループと
を備える、システム。
【0175】
条項27.カートリッジ管をさらに備え、
前記カートリッジ管は、カートリッジ管近位開口部、カートリッジ管遠位開口部、およびそれらの間のカートリッジ管内腔を備え、
前記縫合糸ループは、前記カートリッジ管遠位開口部を通じて挿入されていることに基づいて、前記カートリッジ管内腔を横断し、
前記縫合糸磁石は、前記カートリッジ管遠位開口部に隣接して前記カートリッジ管内腔の外側に配設される、条項26に記載のシステム。
【国際調査報告】