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特表2024-519037屈折率分布型(GRIN)レンズを使用する掃引共焦点配置平面励起(SCAPE)顕微鏡法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】屈折率分布型(GRIN)レンズを使用する掃引共焦点配置平面励起(SCAPE)顕微鏡法
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/00 20060101AFI20240426BHJP
   G02B 21/36 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
G02B21/00
G02B21/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571361
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 US2022029444
(87)【国際公開番号】W WO2022245730
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】63/189,195
(32)【優先日】2021-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/189,797
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/190,110
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】306018457
【氏名又は名称】ザ・トラスティーズ・オブ・コロンビア・ユニバーシティ・イン・ザ・シティ・オブ・ニューヨーク
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ウェンシュアン・リアン
(72)【発明者】
【氏名】エリザベス・エム・シー・ヒルマン
【テーマコード(参考)】
2H052
【Fターム(参考)】
2H052AA07
2H052AA09
2H052AB02
2H052AC04
2H052AC09
2H052AC15
2H052AC18
2H052AC34
2H052AF14
(57)【要約】
本出願は、深部組織の3D画像が光の過度の損失を伴わずに捕捉され得るように画像をそれらの遠位先端からそれらの近位先端へ中継するための屈折率分布型(GRIN)レンズを組み込む、掃引共焦点配置平面励起(SCAPE)顕微鏡法システムを説明する。SCAPEシステムにおいて第2の対物レンズから出て行く光が失われないことを確実にするために、ゼロ作動距離特徴が第3の対物レンズに設計され得る。あるいは、第2の対物レンズから出て行く光が失われないことを確実にするために、テーパ付けされた繊維束が、SCAPEシステムにおいて第2の対物レンズと第3の対物レンズとの間に位置決めされ得る。さらに別の代替形態として、第3の対物レンズの使用を伴わない中間像平面における直接検出が、SCAPEシステムにおいて第2の対物レンズから出て行く光が失われないことを確実にし得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端部および遠位端部を有する第1の光学素子の組であって、前記第1の光学素子の組の遠位端部に配置された第1の対物レンズを含む第1の光学素子の組と、
前記第1の対物レンズを越えて遠位に位置決めされたGRINレンズと、
近位端部および遠位端部を有する第2の光学素子の組であって、前記第2の光学素子の組の遠位端部に配置された第2の対物レンズを含む第2の光学素子の組と、
前記第1の光学素子の組の近位端部に対して近位に、かつ前記第2の光学素子の組の近位端部に対して近位に配置された走査素子であって、
前記走査素子が、励起光のシートが近位から遠位の方向において前記第1の光学素子の組および前記GRINレンズを通過して、前記GRINレンズを越えて遠位に位置決めされた試料に入射するように、前記励起光のシートを送るように位置決めされ、前記励起光のシートが、前記第1の対物レンズの光軸に対して斜角で前記試料内に投射され、前記励起光のシートが、前記走査素子の向きに依存して変化する位置において前記試料内に投射され、
前記GRINレンズおよび前記第1の光学素子の組が、前記試料からの検出光を遠位から近位の方向において前記走査素子へ送り返し、
前記走査素子が、前記検出光が近位から遠位の方向において前記第2の光学素子の組を通過して、前記第2の光学素子の組の前記遠位端部を越えた遠位の位置に斜め中間像平面を形成するように、前記検出光を送るようにも位置決めされる、走査素子と、
前記斜め中間像平面に到達する光をカメラに向かって送るように集合的に位置決めされる、関連光学インターフェースを含む第3の対物レンズであって、前記第3の対物レンズおよび前記関連光学インターフェースが、検出NAを最大限に高めるためにゼロ作動距離を提供するように集合的に構成される、第3の対物レンズと、を備える撮像装置。
【請求項2】
励起光のビームを生成する光源と、
前記励起光のビームを前記励起光のシートに拡大し、前記励起光のシートを前記走査素子に向ける、少なくとも1つの光学素子と、
前記カメラと、をさらに備える請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第3の対物レンズと前記カメラとの間に位置決めされたイメージスプリッタをさらに備え、前記イメージスプリッタが、第1の波長の光を前記カメラ内のイメージセンサの第1の部分に向けるように、および第2の波長の光を前記イメージセンサの第2の部分に向けるように構成される、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第2の対物レンズが、空気対物レンズであり、前記第3の対物レンズが、非空浸対物レンズであり、
前記関連光学インターフェースが、前記第3の対物レンズの浸漬媒体の界面に前記斜め中間像平面が形成されるように位置決めされた流体チャンバを含む、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第2の対物レンズが、空気対物レンズであり、前記第3の対物レンズが、非空浸対物レンズであり、
前記関連光学インターフェースが、前記第3の対物レンズの浸漬媒体に整合する屈折率を有する硬化ポリマースペーサを含み、前記硬化ポリマースペーサが、前記第3の対物レンズの前面に直接固着され、前記硬化ポリマースペーサが、前記硬化ポリマースペーサの面上に前記斜め中間像平面が形成されるように位置決めされる、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第2の対物レンズが、空気対物レンズであり、前記第3の対物レンズが、1.0NAの水浸対物レンズであり、
前記関連光学インターフェースが、1.33の屈折率を有する硬化ポリマースペーサを含み、前記硬化ポリマースペーサが、前記第3の対物レンズの前面に直接固着され、前記硬化ポリマースペーサが、前記硬化ポリマースペーサの面上に前記斜め中間像平面が形成されるように位置決めされる、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第3の対物レンズが、カバーガラスで補正されていない、請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第3の対物レンズおよび前記関連光学インターフェースが、単一のパッケージに統合される、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項9】
近位端部および遠位端部を有する第1の光学素子の組であって、前記第1の光学素子の組の遠位端部に配置された第1の対物レンズを含む第1の光学素子の組と、
前記第1の対物レンズを越えて遠位に位置決めされたGRINレンズと、
近位端部および遠位端部を有する第2の光学素子の組であって、前記第2の光学素子の組の遠位端部に配置された第2の対物レンズを含む第2の光学素子の組と、
前記第1の光学素子の組の近位端部に対して近位に、かつ前記第2の光学素子の組の近位端部に対して近位に配置された走査素子であって、
前記走査素子が、励起光のシートが近位から遠位の方向において前記第1の光学素子の組および前記GRINレンズを通過して、前記GRINレンズを越えて遠位に位置決めされた試料に入射するように、前記励起光のシートを送るように位置決めされ、前記励起光のシートが、前記第1の対物レンズの光軸に対して斜角で前記試料内に投射され、前記励起光のシートが、前記走査素子の向きに依存して変化する位置において前記試料内に投射され、
前記GRINレンズおよび前記第1の光学素子の組が、前記試料からの検出光を遠位から近位の方向において前記走査素子へ送り返し、
前記走査素子が、前記検出光が近位から遠位の方向において前記第2の光学素子の組を通過して、前記第2の光学素子の組の遠位端部を越えた遠位の位置に斜め中間像平面を形成するように、前記検出光を送るようにも位置決めされる、走査素子と、
光軸、第1の端部、および第2の端部を有する光学繊維の束であって、前記第1の端部が、前記斜め中間像平面からの光が前記束の第1の端部に入り、前記束を通って前記束の第2の端部に向けられるように、前記斜め中間像平面に位置決めされ、前記第1の端部が、光を収集するとともに像回転を実現するように位置決めされる、光学繊維の束と、
前記束の第2の端部から出て行く光を受け入れて、前記受け入れた光をカメラに向かって送るように位置決めされた第3の対物レンズであって、前記束の光軸と位置合わせされる光軸を有する第3の対物レンズと、を備える撮像装置。
【請求項10】
励起光のビームを生成する光源と、
前記励起光のビームを前記励起光のシートに拡大し、前記励起光のシートを前記走査素子に向ける、少なくとも1つの光学素子と、
カメラと、をさらに備える請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記第1の端部が、前記束の光軸に対して面取りされている、請求項9に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記光学繊維の束が、テーパ付けされた繊維の束を含み、前記テーパ付けされた繊維の束は、該束の直径が前記束の前記第2の端部において最大になるように配向される、請求項9に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記第1の端部が、前記束の光軸に対して面取りされ、
前記光学繊維の束が、テーパ付けされた繊維の束を含み、前記テーパ付けされた繊維の束は、該束の直径が前記束の前記第2の端部において最大になるように配向され、
前記光学繊維の束の第1の端部が、1.0のNAを有する、請求項9に記載の撮像装置。
【請求項14】
広視野カメラと、
第2の光源と、
前記第1の光学素子の組内に位置決めされた第1のビームスプリッタであって、前記GRINレンズが対象組織に埋め込まれた後で前記GRINレンズを取り囲む組織の領域の外側表面を照明光が照らすように、前記第2の光源からの前記照明光を前記第1の対物レンズに向かって送るように構成され、前記外側表面から到達する光を前記広視野カメラに向かって送るようにさらに構成されている第1のビームスプリッタと、をさらに備える請求項9に記載の撮像装置。
【請求項15】
広視野カメラと、
第2の光源と、
前記第1の光学素子の組内に位置決めされた第1のビームスプリッタであって、前記GRINレンズが対象組織に埋め込まれた後で前記GRINレンズを取り囲む組織の領域の外側表面を照明光が照らすように、前記第2の光源からの前記照明光を前記第1の対物レンズに向かって送るように構成され、前記外側表面から到達する蛍光を前記広視野カメラに向かって送るようにさらに構成されている第1のビームスプリッタと、をさらに備える請求項9に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記第2の光源からの照明光を前記第1のビームスプリッタに向かって送り、前記第1のビームスプリッタから到達する蛍光を前記広視野カメラに向かって送るように位置決めされ構成された第2のビームスプリッタをさらに備える請求項15に記載の撮像装置。
【請求項17】
近位端部および遠位端部を有する第1の光学素子の組であって、前記第1の光学素子の組の遠位端部に配置された第1のGRIN対物レンズを含む第1の光学素子の組と、
近位端部および遠位端部を有する第2の光学素子の組であって、前記第2の光学素子の組の遠位端部に配置された第2の対物レンズを含む第2の光学素子の組と、
前記第1の光学素子の組の近位端部に対して近位に、かつ前記第2の光学素子の組の近位端部に対して近位に配置された走査素子であって、
前記走査素子が、励起光のシートが近位から遠位の方向において前記第1の光学素子の組を通過して、前記第1のGRIN対物レンズを越えて遠位に位置決めされた試料に入射するように、前記励起光を送るように位置決めされ、前記励起光のシートが、前記第1のGRIN対物レンズの光軸に対して斜角で前記試料内に投射され、前記励起光のシートが、前記走査素子の向きに依存して変化する位置において前記試料内に投射され、
前記第1の光学素子の組が、前記試料からの光を遠位から近位の方向において前記走査素子へ送り返し、
前記走査素子が、検出光が近位から遠位の方向において前記第2の光学素子の組を通過して、前記第2の対物レンズの前記遠位端部を越えた遠位の位置に斜め中間像平面を形成するように、前記検出光を送るようにも位置決めされる、走査素子と、
前記斜め中間像平面を越えて遠位に位置決めされた少なくとも1つの追加の光学素子であって、(a)前記斜め中間像平面に到達する光をカメラに向かって送り、(b)前記斜め中間像平面の角度を補正するように、位置決めされ構成されている少なくとも1つの追加の光学素子と、を備える撮像装置。
【請求項18】
励起光のビームを生成する光源と、
前記励起光のビームを前記励起光のシートに拡大し、前記励起光のシートを前記走査素子に向ける、少なくとも1つの光学素子と、
カメラと、をさらに備える請求項17に記載の撮像装置。
【請求項19】
前記第2の対物レンズがGRIN対物レンズである、請求項17に記載の撮像装置。
【請求項20】
前記第1のGRIN対物レンズおよび前記第2の対物レンズが、同一の仕様を有する、請求項19に記載の撮像装置。
【請求項21】
前記少なくとも1つの追加の光学素子が、
小端部および大端部を有するテーパ付けされた光学繊維の束と、
前面および後面を有する、1.33の屈折率のポリマースペーサと、を備え、
前記前面が、前記第2の対物レンズと向かい合って位置決めされ、前記後面が、前記テーパ付けされた光学繊維の束の前記小端部と向かい合って位置決めされる、請求項17に記載の撮像装置。
【請求項22】
前記少なくとも1つの追加の光学素子が、前記斜め中間像平面に位置決めされる第1の端部を有する光学繊維の束を備える、請求項17に記載の撮像装置。
【請求項23】
前記第1の端部が、前記光学繊維の束の前記光軸に対して面取りされている、請求項22に記載の撮像装置。
【請求項24】
前記少なくとも1つの追加の光学素子が、前記斜め中間像平面に対して垂直な光軸を有する第3の対物レンズを備える、請求項17に記載の撮像装置。
【請求項25】
前記第3の対物レンズの浸漬媒体に整合する屈折率を有する硬化ポリマースペーサをさらに備え、前記硬化ポリマースペーサが、前記第3の対物レンズの前面に直接固着され、前記硬化ポリマースペーサが、前記硬化ポリマースペーサの面上に前記斜め中間像平面が形成されるように位置決めされ、
前記第2の対物レンズが、空気対物レンズであり、前記第3の対物レンズが、非空浸対物レンズである、請求項24に記載の撮像装置。
【請求項26】
1.33の屈折率を有する硬化ポリマースペーサをさらに備え、前記硬化ポリマースペーサが、前記第3の対物レンズの前面に直接固着され、前記硬化ポリマースペーサが、前記硬化ポリマースペーサの面上に前記斜め中間像平面が形成されるように位置決めされ、
前記第2の対物レンズが、空気対物レンズであり、前記第3の対物レンズが、1.0NAの水浸対物レンズである、請求項24に記載の撮像装置。
【請求項27】
前記第3の対物レンズおよび関連光学インターフェースが、単一のパッケージに統合される、請求項24に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国仮出願第63/189195号(2021年5月16日出願)、米国仮出願第63/189797号(2021年5月18日出願)および第63/190110号(2021年5月18日出願)の利益を主張するものであり、これら米国仮出願の各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究の記載
本発明は、米国国立衛生研究所によって与えられた助成番号NS108213、NS094296、NS104649およびCA236554の下で政府支援によりなされた。米国政府は本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
生きている動物の脳内の構造を撮像するための既存の手法は、自由に行動している動物における「小型カメラ」ヘッドマウントレコーディングを使用する撮像、および、ポイント走査2光子(ヘッド固定)システムを使用する撮像を含む。小型カメラ画像は、2D落射蛍光であり、曖昧で解釈するのが難しい可能性がある。また、2光子画像は、典型的には単一の2D平面しか捕捉せず、3D体積は捕捉しない。2Dデータは、解釈するのが難しく、組織の限られた体積を捕捉し、細胞の同定を困難にする。単一の2D平面において活動を捕捉する従来技術の手法は、単にネットワークの一部のサンプルであるだけでなく、複数の平面間に広がる細胞間の相互作用のいかなる分析をも妨げる。
【0004】
特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、および特許文献5は、各々が参照により本明細書に組み込まれており、3D撮像技法である掃引共焦点配置平面励起(SCAPE,Swept Confocally-Aligned Planar Excitation)顕微鏡法を実施するための様々な手法を説明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第10061111号明細書
【特許文献2】米国特許第10831014号明細書
【特許文献3】米国特許第10835111号明細書
【特許文献4】米国特許第10852520号明細書
【特許文献5】米国特許第10908088号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Yang et al., “Epi-illumination SPIM for volumetric imaging with high spatial-temporal resolution”, Nature methods, 2019; 16 (6): 501-4
【非特許文献2】https://www.mypolymers.com/products
【非特許文献3】https://www.cargille.com/optical-gels/
【非特許文献4】https://www.thorlabs.com/thorproduct.cfm?partnumber=G608N3
【非特許文献5】https://www.mirrorcletech.com/wp/products/mems-mirrors/
【非特許文献6】https://doi.org/10.1117/3.934997.ch51
【非特許文献7】R. P. Barretto, B. Messerschmidt, and M. J. Schnitzer, (2009), “In vivo fluorescence imaging with high-resolution microlenses”, Nat Methods, 6: 511-2
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願の1つの態様は、第1の撮像装置を対象とする。第1の撮像装置は、第1の光学素子の組、GRINレンズ、第2の光学素子の組、走査素子、および、関連光学インターフェースを含む第3の対物レンズを備える。第1の光学素子の組は、近位端部および遠位端部を有し、第1の光学素子の組は、第1の光学素子の組の遠位端部に配置された第1の対物レンズを含む。GRINレンズは、第1の対物レンズを越えて遠位に位置決めされる。第2の光学素子の組は、近位端部および遠位端部を有し、第2の光学素子の組は、第2の光学素子の組の遠位端部に配置された第2の対物レンズを含む。
【0008】
走査素子は、第1の光学素子の組の近位端部に対して近位に、かつ第2の光学素子の近位端部に対して近位に配置される。走査素子は、励起光のシートが近位から遠位の方向において第1の光学素子の組およびGRINレンズを通過して、GRINレンズを越えて遠位に位置決めされた試料に入射するように、励起光のシートを送るように位置決めされる。励起光のシートは、第1の対物レンズの光軸に対して斜角で試料内に投射され、励起光のシートは、走査素子の向きに依存して変化する位置において試料内に投射される。GRINレンズおよび第1の光学素子の組は、試料からの検出光(detection light)を遠位から近位の方向において走査素子へ送り返す。走査素子はまた、検出光が近位から遠位の方向において第2の光学素子の組を通過して、第2の光学素子の組の遠位端部を越えた遠位の位置に斜め中間像平面を形成するように、検出光を送るように位置決めされる。関連光学インターフェースを含む第3の対物レンズは、斜め中間像平面に到達する光をカメラに向かって送るように集合的に位置決めされ、第3の対物レンズおよび関連光学インターフェースは、検出NAを最大限に高めるためにゼロ作動距離を提供するように集合的に構成される。
【0009】
第1の撮像装置のいくつかの実施形態は、励起光のビームを生成する光源と、励起光のビームを励起光のシートに拡大し、励起光のシートを走査素子に向ける、少なくとも1つの光学素子と、カメラと、をさらに備える。
【0010】
第1の撮像装置のいくつかの実施形態は、第3の対物レンズとカメラとの間に位置決めされたイメージスプリッタをさらに備える。イメージスプリッタは、第1の波長の光をカメラ内のイメージセンサの第1の部分に向けるように、および第2の波長の光をイメージセンサの第2の部分に向けるように構成される。
【0011】
第1の撮像装置のいくつかの実施形態では、第2の対物レンズは、空気対物レンズであり、第3の対物レンズは、非空浸対物レンズであり、関連光学インターフェースは、第3の対物レンズの浸漬媒体の界面に斜め中間像平面が形成されるように位置決めされた流体チャンバを含む。
【0012】
第1の撮像装置のいくつかの実施形態では、第2の対物レンズは、空気対物レンズであり、第3の対物レンズは、非空浸対物レンズであり、関連光学インターフェースは、第3の対物レンズの浸漬媒体に整合する屈折率を有する硬化ポリマースペーサを含む。硬化ポリマースペーサは、第3の対物レンズの前面に直接固着され、硬化ポリマースペーサは、硬化ポリマースペーサの面上に斜め中間像平面が形成されるように位置決めされる。
【0013】
第1の撮像装置のいくつかの実施形態では、第2の対物レンズは、空気対物レンズであり、第3の対物レンズは、1.0NAの水浸対物レンズであり、関連光学インターフェースは、1.33の屈折率を有する硬化ポリマースペーサを含む。硬化ポリマースペーサは、第3の対物レンズの前面に直接固着され、硬化ポリマースペーサは、硬化ポリマースペーサの面上に斜め中間像平面が形成されるように位置決めされる。場合により、これらの実施形態では、第3の対物レンズは、カバーガラス補正されない。
【0014】
第1の撮像装置のいくつかの実施形態では、第3の対物レンズおよび関連光学インターフェースは、単一のパッケージに統合される。
【0015】
本出願の別の態様は、第2の撮像装置を対象とする。第2の撮像装置は、第1の光学素子の組、GRINレンズ、第2の光学素子の組、走査素子、光学繊維(光ファイバ)の束、および第3の対物レンズを備える。第1の光学素子の組は、近位端部および遠位端部を有し、第1の光学素子の組は、第1の光学素子の組の遠位端部に配置された第1の対物レンズを含む。GRINレンズは、第1の対物レンズを越えて遠位に位置決めされる。第2の光学素子の組は、近位端部および遠位端部を有し、第2の光学素子の組は、第2の光学素子の組の遠位端部に配置された第2の対物レンズを含む。
【0016】
走査素子は、第1の光学素子の組の近位端部に対して近位に、かつ第2の光学素子の組の近位端部に対して近位に配置される。走査素子は、励起光のシートが近位から遠位の方向において第1の光学素子の組およびGRINレンズを通過して、GRINレンズを越えて遠位に位置決めされた試料に入射するように、励起光のシートを送るように位置決めされる。励起光のシートは、第1の対物レンズの光軸に対して斜角で試料内に投射され、励起光のシートは、走査素子の向きに依存して変化する位置において試料内に投射される。GRINレンズおよび第1の光学素子の組は、試料からの検出光を遠位から近位の方向において走査素子へ送り返す。走査素子はまた、検出光が近位から遠位の方向において第2の光学素子の組を通過して、第2の光学素子の組の遠位端部を越えた遠位の位置に斜め中間像平面を形成するように、検出光を送るように位置決めされる。
【0017】
光学繊維の束は、光軸、第1の端部、および第2の端部を有し、第1の端部は、斜め中間像平面からの光が束の第1の端部に入り、束を通って束の第2の端部へ向けられるように、斜め中間像平面に位置決めされる。第1の端部は、光を収集するとともに像回転を実現するように位置決めされる。第3の対物レンズは、束の第2の端部から出て行く光を受け入れて、受け入れた光をカメラに向かって送るように位置決めされ、第3の対物レンズは、束の光軸と位置合わせされる光軸を有する。
【0018】
第2の装置のいくつかの実施形態は、励起光のビームを生成する光源と、励起光のビームを励起光のシートに拡大し、励起光のシートを走査素子に向ける、少なくとも1つの光学素子と、カメラと、をさらに備える。
【0019】
第2の装置のいくつかの実施形態では、第1の端部は、束の光軸に対して面取りされる。第2の装置のいくつかの実施形態では、光学繊維の束は、テーパ付けされた繊維の束を含み、テーパ付けされた繊維の束は、その直径が束の第2の端部において最大になるように配向される。
【0020】
第2の装置のいくつかの実施形態では、第1の端部は、束の光軸に対して面取りされ、光学繊維の束は、テーパ付けされた繊維の束を含み、テーパ付けされた繊維の束は、その直径が束の第2の端部において最大になるように配向され、光学繊維の束の第1の端部は、1.0のNAを有する。
【0021】
第2の装置のいくつかの実施形態は、広視野カメラ、第2の光源、および第1のビームスプリッタをさらに備える。第1のビースプリッタは、第1の光学素子の組内に位置決めされ、かつ、GRINレンズが対象組織に埋め込まれた後でGRINレンズを取り囲む組織の領域の外側表面を照明光が照らすように、第2の光源からの照明光を第1の対物レンズに向かって送るように構成される。第1のビームスプリッタは、外側表面から到達する光を広視野カメラに向かって送るように、さらに構成される。
【0022】
第2の装置のいくつかの実施形態は、広視野カメラ、第2の光源、および第1のビームスプリッタをさらに備える。第1のビームスプリッタは、第1の光学素子の組内に位置決めされ、かつ、GRINレンズが対象組織に埋め込まれた後でGRINレンズを取り囲む組織の領域の外側表面を照明光が照らすように、第2の光源からの照明光を第1の対物レンズに向かって送るように構成される。第1のビームスプリッタは、外側表面から到達する蛍光(fluorescence light)を広視野カメラに向かって送るように、さらに構成される。
【0023】
場合により、先の段落の実施形態は、第2の光源からの照明光を第1のビームスプリッタに向かって送るように、および第1のビームスプリッタから到達する蛍光を広視野カメラに向かって送るように位置決めされかつ構成された第2のビームスプリッタを、さらに備え得る。
【0024】
本出願の別の態様は、第1の光学素子の組、第2の光学素子の組、走査素子、および少なくとも1つの追加の光学素子を備える、第3の撮像装置を対象とする。第1の光学素子の組は、近位端部および遠位端部を有し、第1の光学素子の組は、第1の光学素子の組の遠位端部に配置された第1のGRIN対物レンズを含む。第2の光学素子の組は、近位端部および遠位端部を有し、第2の光学素子の組は、第2の光学素子の組の遠位端部に配置された第2の対物レンズを含む。
【0025】
走査素子は、第1の光学素子の組の近位端部に対して近位に、かつ第2の光学素子の組の近位端部に対して近位に配置される。走査素子は、励起光のシートが近位から遠位の方向において第1の光学素子の組を通過して、第1のGRIN対物レンズを越えて遠位に位置決めされた試料に入射するように、励起光のシートを送るように位置決めされる。励起光のシートは、第1のGRIN対物レンズの光軸に対して斜角で試料内に投射され、励起光のシートは、走査素子の向きに依存して変化する位置において試料内に投射される。第1の光学素子の組は、試料からの検出光を遠位から近位の方向において走査素子へ送り返す。走査素子はまた、検出光が近位から遠位の方向において第2の光学素子の組を通過して、第2の対物レンズの遠位端部を越えた遠位の位置に斜め中間像平面を形成するように、検出光を送るように位置決めされる。
【0026】
少なくとも1つの追加の光学素子は、斜め中間像平面を越えて遠位に位置決めされる。少なくとも1つの追加の光学素子は、(a)斜め中間像平面に到達する光をカメラに向かって送るように、および(b)斜め中間像平面の角度を補正するように、位置決めされかつ構成される。
【0027】
第3の装置のいくつかの実施形態は、励起光のビームを生成する光源と、励起光のビームを励起光のシートに拡大し、励起光のシートを走査素子に向ける、少なくとも1つの光学素子と、カメラと、をさらに備える。
【0028】
第3の装置のいくつかの実施形態では、第2の対物レンズは、GRIN対物レンズである。場合により、これらの実施形態では、第1のGRIN対物レンズおよび第2の対物レンズは、同一の仕様を有する。
【0029】
第3の装置のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の光学素子は、小端部および大端部を有するテーパ付けされた光学繊維の束と、前面および後面を有する1.33の屈折率のポリマースペーサと、を備える。前面は、第2の対物レンズと向かい合って位置決めされ、後面は、テーパ付けされた光学繊維の束の小端部と向かい合って位置決めされる。
【0030】
第3の装置のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の光学素子は、斜め中間像平面に位置決めされる第1の端部を有する光学繊維の束を備える。場合により、これらの実施形態では、第1の端部は、光学繊維の束の光軸に対して面取りされる。
【0031】
第3の装置のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の光学素子は、斜め中間像平面に対して垂直な光軸を有する第3の対物レンズを備える。
【0032】
第3の装置のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の光学素子は、斜め中間像平面に対して垂直な光軸を有する第3の対物レンズを備える。これらの実施形態は、第3の対物レンズの浸漬媒体に整合する屈折率を有する硬化ポリマースペーサをさらに備える。硬化ポリマースペーサは、第3の対物レンズの前面に直接固着され、硬化ポリマースペーサは、斜め中間像平面が硬化ポリマースペーサの面上に形成されるように位置決めされる。第2の対物レンズは、空気対物レンズであり、第3の対物レンズは、非空浸対物レンズである。
【0033】
第3の装置のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の光学素子は、斜め中間像平面に対して垂直な光軸を有する第3の対物レンズを備える。これらの実施形態は、1.33の屈折率を有する硬化ポリマースペーサをさらに備える。硬化ポリマースペーサは、第3の対物レンズの前面に直接固着され、硬化ポリマースペーサは、斜め中間像平面が硬化ポリマースペーサの面上に形成されるように位置決めされる。第2の対物レンズは、空気対物レンズであり、第3の対物レンズは、1.0NAの水浸対物レンズである。
【0034】
第3の装置のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の光学素子は、斜め中間像平面に対して垂直な光軸を有する第3の対物レンズを備え、第3の対物レンズおよび関連光学インターフェースは、単一のパッケージに統合される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】GRINレンズがどのようにして深部細胞の画像をレンズの近位側に中継するかを示す図である。
図2】従来のSCAPEシステムを示す図である。
図3】対物レンズのNAを0.5に減少させた従来のSCAPEシステムを示す図である。
図4】第2の対物レンズO2から出て行く光が捕捉されることを確実にするためのGRIN-SCAPE-1手法の一実施形態を示す図である。
図5a】ゼロ作動距離手法(zero working distance approach)を分析するために使用される2つの対物レンズ間の幾何学的関係性を示す図である。
図5b】ゼロ作動距離手法を分析するために使用される2つの対物レンズ間の幾何学的関係性を示す図である。
図5c】ゼロ作動距離手法を分析するために使用される2つの対物レンズ間の幾何学的関係性を示す図である。
図5d】ゼロ作動距離手法を分析するために使用される2つの対物レンズ間の幾何学的関係性を示す図である。
図5e】ゼロ作動距離手法を分析するために使用される2つの対物レンズ間の幾何学的関係性を示す図である。
図5f】ZWDレンズについてのガラス対水界面に対する予期される角度依存反射損失を示す図である。
図5g】ZWDレンズについてガラス対水界面に対する予期される角度依存反射損失を示す図である。
図6】ZWD理論の幾何学的配置の別の例を示す図である。
図7a】SCAPEシステムにおける第3の対物レンズとして使用される浸漬レンズの前方に取り付けられた付加型スペーサを示す図である。
図7b図8aに示された付加型スペーサを鋳造し位置決めする方法を示す図である。
図7c図8aに示された付加型スペーサを鋳造し位置決めする方法を示す図である。
図7d】付加型スペーサを製作するための一連のステップを示す図である。
図7e】付加型スペーサを製作するための別の一連のステップを示す図である。
図7f】付加型スペーサを第3の対物レンズに添着するための一連のステップを示す図である。
図7g】第3の対物レンズに添着された付加型スペーサを示す図である。
図7h】付加型スペーサを製作し、そのスペーサを第3の対物レンズに添着するための異なる一連のステップを示す図である。
図7i】付加型スペーサを製作し、スペーサを第3の対物レンズに添着するための異なる一連のステップを示す図である。
図8】GRINレンズがどのようにして2n-fシステムと見なされ得るかを示す図である。
図9a】最小限侵襲的な様式で内部組織または脳深部にアクセスするためにGRINレンズを主対物レンズに結合する方法を示す図である。
図9b】最小限侵襲的な様式で内部組織または脳深部にアクセスするためにGRINレンズを主対物レンズに結合する方法を示す図である。
図10】GRINリレーが同一のGRIN要素で作られる必要がないことを示す図である。
図11】GRIN部品によって中継される光シートがどのようにして斜めであることを必要としないかを示す図である。
図12】GRIN-SCAPE-1手法を実施するために使用され得る代替的なレイアウトを示す図である。
図13】第2の対物レンズO2から出て行く光が捕捉されることを確実にするためのGRIN-SCAPE-meso手法の一実施形態を示す図である。
図14】第2の対物レンズO2から出て行く光が捕捉されることを確実にするためのGRIN-SCAPE-meso手法の別の実施形態を示す図である。
図15】第2の対物レンズO2から出て行く光が捕捉されることを確実にするためのGRIN-SCAPE-mini手法の一実施形態を示す図である。
図16】GRIN対物レンズの概略図である。
図17】走査レンズが2Xの拡大を提供するように選択されることを示す図である。
図18】実質上のT2および実質上のO2として同じGRIN対物レンズを使用することを示す図である。
図19】0.7NAの水GRIN対物レンズの円錐角を示す図である。
図20】2つの軸を走査することができるMEMS走査装置の動作を示す図である。
図21】異なる光学レイアウトのための検出の例を示す図である。
図22】第2の対物レンズO2から出て行く光が捕捉されることを確実にするためのGRIN-SCAPE-mini手法の別の実施形態を示す図である。
図23】第2の対物レンズO2から出て行く光が捕捉されることを確実にするためのGRIN-SCAPE-mini手法の他の実施形態を示す図である。
図24】第2の対物レンズO2から出て行く光が捕捉されることを確実にするためのGRIN-SCAPE-mini手法の追加の実施形態を示す図である。
図25】第3の対物レンズを伴わない直接検出に依存する追加の実施形態を示す図である。
図26】主対物レンズおよびチューブが単一の素子において実装される別の実施形態を示す図である。
図27a】GRIN-SCAPE-mini手法の追加の実施形態を示す図である。
図27b】GRIN-SCAPE-mini手法の追加の実施形態を示す図である。
図28】GRIN-SCAPE-mini光学構成がどのようにして使用され得るかを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
同様の参照符号が同様の要素を表す添付の図面を参照しながら、様々な実施形態を以下に詳細に説明する。
【0037】
本出願は、屈折率分布型(GRIN)レンズを組み込む従来のSCAPEシステムの改良を説明する。本明細書において、O1、O2、およびO3は、試料から検出器までのSCAPEシステムにおける第1の対物レンズ、第2の対物レンズ、および第3の対物レンズをそれぞれ意味し、NAは、開口数を意味する。
【0038】
光学顕微鏡法の最大の限界のうちの1つは、散乱組織に深く入り込んで撮像する能力が限られていることである。細胞分解能においてマウスの皮質の深層を撮像することは、依然として大きな課題であり、海馬、視床、および線条体などの脳深部領域の細胞撮像は、皮質表面からの従来の非侵襲性顕微鏡法の及ぶ範囲を越えている。
【0039】
GRINレンズは、像をそれらの遠位先端から近位先端へ中継することができる固体ガラス円筒である。200マイクロメートルから2000マイクロメートルの間の直径、および8mmを超える長さにより、GRINレンズは、生きている脳に慎重に挿入され、覆っている組織の機能の阻害を最小限に抑えながらほぼ全ての脳領域への光学アクセスを提供する。したがって、GRINレンズは、脳の散乱特性によってもたらされる従来技術の皮質撮像法の侵入深さ限界を克服して、海馬、視床、線条体、眼窩前頭皮質、および脳幹を含む広範な脳深部領域の観察を可能にすることができる。本明細書において説明されるGRINレンズベースの実施形態は、自由に行動している覚醒動物における細胞活動パターンを含めて、行動中の広範な細胞型の活動および相互作用を捕捉することができる。
【0040】
本明細書において説明される実施形態は、埋込み型GRINレンズを通じた細胞活動の高速、高分解能、場合により多スペクトルの3D撮像のための技術であるGRIN-SCAPEを開発するために、本発明者の高速3D掃引共焦点配置平面励起(SCAPE)顕微鏡法の発展を踏まえる。GRIN-SCAPEは、覚醒し行動している動物における複数の細胞型の大集団の3D動態を捕捉するために、皮質を越えて広範な脳領域を撮像する能力を提供し得る。GRIN-SCAPEは、皮質と比較して非常に異なる細胞構成、アーキテクチャ、動態、および機能を有する構造内の回路動態の調査を可能にし得る。
【0041】
本発明者の予備データは、GRIN-SCAPEの実現可能性を裏付けるものであり、十分な分解能の生体内3D撮像には1光子励起で十分であり、複雑さを大いに低減し、かつ、値ごろ感を向上させることを示す。
【0042】
図1に示されるように、GRINレンズが脳または他の組織に挿入されると、GRINレンズは、深部細胞の画像をレンズの近位側へ中継する。したがって、従来のSCAPEシステムを埋込み型GRINレンズの近位端部に向ければGRINレンズの深端部を越えて直ぐのところに位置決めされた組織の3D画像が提供されるはずであると、最初に予想するであろう。しかし、図2に示されたSCAPEシステムのような従来のSCAPEシステムは、比較的高いNA(例えば、O1の場合は1.0、O2の場合は0.75~1.0)を有する対物レンズO1およびO2を使用するので、この最初の予想は間違っているであろう。
【0043】
GRINレンズは典型的には約0.5のNAを有するので、GRINレンズを通して画像を捕捉するために使用されているSCAPEシステムにおける対物レンズO1およびO2のNAは、図3に示されるように、同様の水準まで減少されなければならない。しかし、これらの対物レンズO1およびO2のNAが0.5近くまで減少されると、第2の対物レンズO2から出て行く光は、第3の対物レンズO3によって捕捉されることが「全くなく」、これは、図3の手法が機能しないことを意味する。
【0044】
本出願は、この問題を克服し、第2の対物レンズO2から出て行く光が捕捉されることを確実にするための、3つの手法を説明する。それらの3つの手法は、本明細書ではGRIN-SCAPE-1、GRIN-SCAPE-meso、およびGRIN-SCAPE-miniと呼ばれる。
【0045】
図4は、第2の対物レンズO2から出て行く光が捕捉されることを確実にするためのGRIN-SCAPE-1手法の一実施形態を示す。
【0046】
図4の実施形態は、近位端部および遠位端部を有する第1の光学素子10~14の組を含む。第1の光学素子の組は、第1の光学素子の組の遠位端部に配置された第1の対物レンズ10を含む。示された実施形態では、第1の光学素子の組はまた、第1の対物レンズ10に加えて、第1のテレスコープ12~14を含む。GRINレンズ8が、第1の対物レンズ10を越えて遠位に位置決めされる。このGRINレンズ8のより詳細な説明は、以下で提供される。
【0047】
図4の実施形態はまた、近位端部および遠位端部を有する第2の光学素子20~24の組を含む。第2の光学素子の組は、第2の光学素子の組の遠位端部に配置された第2の対物レンズ20を含む。示された実施形態では、第2の光学素子の組はまた、第2の対物レンズ20に加えて、第2のテレスコープ22~24を含む。
【0048】
図4の実施形態はまた、第1の光学素子10~14の組の近位端部に対して近位に、かつ第2の光学素子20~24の組の近位端部に対して近位に配置された走査素子50を含む。走査素子50は、例えば、単一自由度(両矢印によって示される)を有する検流計ミラーであり得る。走査素子50は、励起光のシートが近位から遠位の方向において第1の光学素子10~14の組およびGRINレンズ8を通過して、GRINレンズを越えて遠位に位置決めされた試料に入射するように、励起光のシートを送るように位置決めされる。励起光のシートは、第1の対物レンズ10の光軸に対して斜角で試料内に投射され、励起光のシートは、走査素子50の向きに依存して変化する位置において試料内に投射される。
【0049】
GRINレンズ8および第1の光学素子10~14の組は、試料からの検出光を遠位から近位の方向において走査素子50へ送り返す。走査素子50はまた、検出光が近位から遠位の方向において第2の光学素子20~24の組を通過して、第2の光学素子の組の遠位端部を越えた遠位の(すなわち、図4における第2の対物レンズ20の左側の)位置に斜め中間像平面を形成するように、検出光を送るように位置決めされる。
【0050】
図4に示された実施形態では、第3の対物レンズ30および関連光学インターフェース32が、斜め中間像平面に到達する光をカメラ40に向かって送るように集合的に位置決めされる。注目すべきことに、第3の対物レンズ30および関連光学インターフェース32は、検出NAを最大限に高めるために、ゼロ差動距離(その詳細は以下で説明される)を提供するように集合的に構成される。
【0051】
図4の実施形態はまた、カメラ40、および励起光のビームを生成する光源60を含む。少なくとも1つの光学素子72~80が、励起光のビームを励起光のシートに拡大し、励起光のシートを走査素子50に向ける。光源60は、単一モードファイバを介してシステムに結合されたレーザのうちの1つまたは複数を使用して実装されて、より広い互換性を提供し、レーザボックスがリグから離れて安全に設置されることを可能にし、かつ、多スペクトル取得のための様々なレーザラインのコアライメントを確実にし得る。
【0052】
示された実施形態では、励起光のシートへの励起光のビームの拡大は、プルーセルレンズ72、および2つの円柱レンズ74、76を使用して達成され、励起光のシートは、小ミラー80により走査素子50に向けられる。しかし、代替的な実施形態では、これらの2つの機能は、異なる素子を使用して実施され得る。例えば、レンズを使用して励起光のビームを励起光のシートに拡大する代わりに、シートへのビームの拡大は、追加の検流計(図示せず)を使用して実施され得る。その追加の検流計が図4における小ミラー80の場所に位置決めされる場合、追加の検流計はまた、励起光のシートを走査素子50に向ける機能を行うことができる。
【0053】
図4に示された実施形態は、第3の対物レンズ30とカメラ40との間に位置決めされたイメージスプリッタ42を含み、このイメージスプリッタ42は、第1の波長の光をカメラ40内のイメージセンサの第1の部分に向けるように、および、第2の波長の光をイメージセンサの第2の部分に向けるように、構成される。この特徴は、異なる周波数において動作する複数の光源をシステムが使用する場合に有用である。しかし、単一周波数において動作する単一の光源のみを使用する実施形態では、イメージスプリッタ42は省略される。
【0054】
第2の対物レンズ20が空気対物レンズであり第3の対物レンズ30が非空浸対物レンズである場合、関連光学インターフェース32は、対物レンズ30の浸漬媒体の界面に斜め中間像平面が形成されるように位置決めされた流体チャンバであり得る。
【0055】
あるいは、第2の対物レンズ20が空気対物レンズであり第3の対物レンズ30が非空浸対物レンズである場合、関連光学インターフェース32は、第3の対物レンズ30の浸漬媒体に整合する屈折率を有する硬化ポリマースペーサであってもよい。これらの実施形態では、硬化ポリマースペーサは、第3の対物レンズ30の前面に直接固着され、硬化ポリマースペーサは、硬化ポリマースペーサの面上に斜め中間像平面が形成されるように位置決めされる。例えば、関連光学インターフェース32は、第3の対物レンズ30の前面に直接固着されて、硬化ポリマースペーサの面上に斜め中間像平面が形成されるように位置決めされる、1.33の屈折率を有する硬化ポリマースペーサであってもよい。これらの実施形態では、第3の対物レンズ30は、典型的にはカバーガラス補正されない。
【0056】
さらに別の代替形態として、第3の対物レンズおよび関連光学インターフェースは、例えば、AMS-AYG v1.0対物レンズにおけるように、1.0のNA、0の作動距離、および5mmの有効焦点距離を有する単一のパッケージに統合されてもよい。
【0057】
図4に示されたGRIN-SCAPE-1手法は、脳深部領域における高速度での3D撮像を達成するために、GRINレンズ8を通じて中継される斜め掃引光シートの幾何形状を利用する。この手法のいくつかの実施形態は、卓上型であり、かつGRINレンズを通じて2光子点走査と同様に頭部を固定され覚醒し行動している動物に作用するように設計される。これらの実施形態は、1秒当たり10ボリュームでの600×600×250μmの2~4色の撮像を提供し得る。注目すべきことに、GRINレンズ8の上面において生じる光の斜めシートの走査は、GRINレンズ8を通して脳内へ中継される。
【0058】
多スペクトル検出は、例えば二色ウイルスの後眼窩送達を使用するGRIN-SCAPE-1手法を使用して可能である。これは、特定の細胞型の活動および複数の細胞型間の相互作用をリアルタイムで捕捉するための新たな標識化戦略を活用するために使用され得る(興奮性/抑制性ニューロン、星状膠細胞、小膠細胞、など)。任意の脳領域(皮質だけではない)においてこれを行うことを可能にすることは、哺乳類の脳における特殊化した細胞型間の構造機能相関の理解を大いに深めることができる。散乱脳内への侵入深さが限定的である場合、赤および近赤外蛍光指示薬が、様々なGRINレンズとの併用ではるかに大きな視野へのアクセスを可能にするために使用され得る。
【0059】
ここで、本題からそれて、第3の対物レンズ30および関連光学インターフェース32(例えば、図4の実施形態における硬化ポリマースペーサ)がどのようにして検出NAを最大限に高めるためにゼロ作動距離を提供するように集合的に構成されるかの光学理論を説明する。この理論は、O2 20とO3 30との間に2種類の異なる浸漬媒体を有してO3内へのはるかに大きな光錐の受入れを可能にすること、および、ゼロ作動距離(ZWD)長さのレンズをO3として設計に組み込むことに依存する。
【0060】
図5a~図5eは、このZWD手法の基準を導き出すものであり、O2が空浸レンズでありO3が1.0NAの(非空気)浸漬レンズである場合、原則的に、O1またはO2のNAに関わりなく(O2がO1のNAの全てを中継するのに十分なNAを有しており、偶発的な損失を無視する限り)O1から来る光の100%が検出可能であることを示す。
【0061】
n1-n2に対する予期された角度依存損失、偏光依存損失、空気-ガラス対空気-水の屈折率が、より高い屈折率の材料に対して予期された相当な反射とともに、図5f~図5gに示されている。この反射は、ZWD界面を形成する材料の屈折率(n2)に依存するO3に入る光の量を減少させ、より高い屈折率(例えば、ガラス)、および、入射角が大きい光線(例えば、Bと標識された光線)に対しては、損失が最大である。
【0062】
O1、O2、ならびにO3のNAおよびRIを考慮すると、図5a~図5eを参照すると、従来のSCAPE設計は、典型的に、1.0NAの水浸レンズをO1として使用してきた。0.75NAの空気O2を使用することにより、O2の後ろで48.59°の全検出角度が保たれる。したがって、O3としての1.0NAの水浸レンズ(斜光シートの像と位置合わせされる焦点面まで水を含む)は、O1により試料から収集された光の100%を捕捉する。これは、空気における1.0NA=90°であり、したがって、O2としての空気対物レンズと対にされたO3としての任意の1.0NAの対物レンズがO2からの光の約100%を捕捉するためである。このことは、標準的な1.0NAの水浸対物レンズが、この要求を満たすために「水スペーサ」の追加によって修正可能であることを意味する。
【0063】
O2としての非空浸レンズに移ることの便益は、O1からのより高いNAを活用することであり得る。しかし、O1における1.1NAの水レンズは、O2において55.7°を生成し、これは、(WDの制約がなければ)O2における40x 0.95NAの空浸レンズによって受け入れられ得る。O1およびO2のNAを増大させることにより、分解能および処理量が高まるが、斜角、反射損失が増大し、また一般に、FOVが狭くなる。
【0064】
図4の実施形態における事例のように、O1およびO2が低NA(例えば、空気において0.5)である場合であっても、ZWDの効果は、光検出効率を著しく向上させるであろう。これは、αが小さくO2およびO3がどちらも空気対物レンズである場合にO3によって検出される光の量がゼロであり得るという、図3に関連して上述された問題を回避する(例えば、45+β-α>α/2である場合)。O3においてZWDレンズを使用することにより、この事例では光収集効率を大きく向上させることができ、例えば広視野、長作動距離、空浸の屈折率分布型(GRIN)レンズの適用のために、O1としての低倍率の(また一般に、低NAの)レンズの使用が可能になる。
【0065】
本発明者らは、非特許文献1による独創性に富んだ研究を基に、代替的なZWD手法を考案した。Yangらは、中間像平面がレンズの前面と正確に位置合わせされるように位置決めされたO3として1.0NAのZWDレンズが使用されるとほぼ全ての入射光が対物レンズに受け入れられ得ることを示した。この手法は、90°における入射ビームがより高い屈折率nの媒体内へ逆正弦(1/n)の角度で曲がる場合の屈折の臨界角特性を活用する。水(n=1.33)では、この角度は48.8°であり、これは、1.0NAの水浸対物レンズの受光角に必然的に対応する。固体ガラス「スノート」を含む商業的なZWD対物レンズが現在製造されているが、それらは、視野が限られており(150/450um)、かつ、それぞれ15,000ドル/30,000ドルのコストがかかる。本発明者らは、光学グレードの1.33の屈折率のUV硬化性ポリマーの精密な「ブロブ」を標準的な2mm WD、1.0NAの水浸対物レンズの先端上に単純に鋳造する、多用途かつ低コストの代替的なZWD手法を最近開発した。得られるレンズは、>1mmの視野を提供する一方で、システム処理量およびNAを、高NAのシステムの場合には2~3倍高め、別の方法であれば無形になるであろう低NAの構成の場合にはさらに高める。この単純な手法は、従来のSCAPEシステムの分解能および処理量を大きく向上させるが、低NAのGRINレンズを通した撮像を可能にするための本発明者らのGRIN-SCAPE-1設計の重要な要素である。
【0066】
図6は、ZWD理論の幾何学的配置の別の例を示す。この例のためのO2 20として使用するための適切なレンズは、0.6のNAを有するExcelitas 28-20-46-000などの、市販の20×無限遠補正空気対物レンズである。これらのレンズのうちの2つが、1xの拡大率を提供するためにO1およびO2として整合されて、使用され得る。これは、マウス側での結合を、水を使用する場合よりも容易にする。これはまた、O2との衝突を伴わずにO3をZWDレンズに変換するためにO3に固着されるポリマースペーサのための十分な余地を残す。あるいは、O2における20×、0.6NAの無限遠補正空気対物レンズが、約0.7NAの多浸漬主対物レンズのためのスペーサ修正水対物レンズに適合され得る。
【0067】
ここで、さらに本題からそれて、硬化ポリマースペーサを製作するためのおよび硬化ポリマースペーサを第3の対物レンズ30に添着するための適切な技法を説明する。
【0068】
スペーサは、第3の対物レンズ(O3)として使用される1.0NAの浸漬レンズをZWDレンズに変換して検出NAを最大限に高めるために1.0NAの浸漬レンズの前に取り付けられ得る適切な屈折率を有する。これは、1.0NA、2mmWD、20xの水浸対物レンズ、および1.33の屈折率を有するUV硬化性ポリマーを使用して達成された。このレンズは、カバーガラス補正されず、したがって、スペーサは、焦点面におけるガラス製カバースリップまたは他の材料を伴わずに単一のユニットとして形成された。使用された材料はまた、自己蛍光が低いものである。図7a~図7iにおける詳細は、O3としてガラス錐台ベースのZWDレンズを使用することに優るこの手法の顕著な利点を含めて、この手法(本明細書では「ブロブ」手法と呼ばれる)のための製作手順、取付け手順、および位置合わせ手順を示す。
【0069】
図7dは、BIO-133(水と同じ屈折率を有するUV硬化性ポリマー)を使用して本発明者らがこの節において「ブロブ」と呼ぶものを製作するための第1の手法のステップを示す。第1のステップは、ネガティブモールドを3D印刷するステップである。次のステップは、3D印刷したモールド上にスライドガラスを取り付けるステップである。次のステップは、BIO-133を注入し、次いで真空を用いてガスを除去するステップである。次のステップは、頂部に第2のスライドガラスを追加して平坦面を作り出し、続いてポリマーをUV硬化させるステップである。しかし、この第1の手法は、BIO-133に横からアクセスすることができず、そのことが(上面および底面に接触することは回避されるべきなので)解放を難しくするため欠点を有するということに、留意されたい。
【0070】
図7eは、この節において論じられる「ブロブ」を製作するための第2の手法のステップを説明する。第1のステップは、2重ネガティブモールドを3D印刷するステップである。次のステップは、PDMSを注入し、次いでPDMSを硬化させ、PDMSを第1のモールドから取り出すステップである。この時点で、PDMSから作られたネガティブモールドは、薄い底部を有する。次のステップは、薄いPDMSの底部を取り除いて、通り穴を取り囲む側壁の組を作り出すステップである。側壁の組は、複数の表面(例えば、正方形の事例では4つの側壁)、または(円筒の事例では)単一の連続的な表面のみを含み得る。次のステップは、PDMSの側壁を高平坦性スライドガラスに押し付けるステップである。PDMSの側壁は、可逆結合によって付着する。次のステップは、BIO-133を注入し、真空を用いてガスを除去するステップである。次のステップは、頂部に第2のスライドガラスを追加して平坦面を作り出し、続いてUV硬化させるステップである。最後のステップは、PDMSの側壁およびスライドガラスを取り外し、硬化したBIO-133ポリマーを残すステップである。酸素はポリマーのUV硬化を弱め、PDMSは酸素透過可能であるので、ここでのPDMSの使用は、PDMS-BIO133界面間に未硬化ポリマーの層をもたらし、それが取外しを促進する。
【0071】
ここで図7fに目を向けると、「ブロブ」を製作するためにどの手法(図7d~図7eに関連して上述された2つの手法を含むがそれらに限定されない)が使用されても、ブロブおよび第3の対物レンズO3は、例えば図7fに示されたステップを使用して、組立体を形成するために組み立てられる。より具体的には、この例の第1のステップは、ポリマーブロブをきれいなパターン化されたスライドガラス(例えば、分解能標的)と接触させるステップである。次のステップは、3D印刷した支持体をポリマーと優しく接触させるステップである。これは、後でポリマーを支持してポリマーの座屈を回避することを意図されている。支持体およびポリマーは、UV接着剤を用いて互いに結合され得る。次のステップは、組立体をO3の下に設置し、間隙を水で満たすステップ、および、無限遠においてチューブレンズを用いてカメラ上に焦点画像が存在するまでO3の焦点を合わせるステップである。次のステップは、3D印刷した第2のデバイスをポリマー組立体に取り付けるステップである。ここでの意図は、分解能標的をカメラから継続的に観察することによりポリマーブロブを最適な位置に固定することである。しかし、図7fの手順が使用される場合、追加されるブロブがその(非常に滑らかな)前面が対物レンズの焦点面と正確に位置合わせされた状態で精密に位置合わせされることを確実にするのが困難であり得ることに、留意されたい。
【0072】
図7hは、この節において論じられるブロブを製作するための第3の手法のステップを示し、この第3の手法は、非常に良好な性能をもたらしており、ブロブの前面と第3の対物レンズ(O3)の焦点面との精密な位置合わせを促進する。この手法は、下方のスライドガラスの代わりに高平坦性ミラー95が使用されること、および、UV硬化に先立ってブロブの上に第2のスライドガラスが追加されないこと以外は、多くの点で図7eに関連して上述された手法に似ている。したがって、この第3の手法のステップは、以下の通りである。第1のステップは、2重ネガティブモールドを3D印刷するステップである。次のステップは、PDMSを注入し、2重ネガティブモールドを押し込み、次いでPDMSを硬化させて取り出すステップである。この時点で、薄い底部を有するPDMSから作られたネガティブモールドを有する。次のステップは、薄いPDMSの底部を取り除いて、通り穴を取り囲む側壁の組を作り出すステップである。側壁の組は、複数の表面(例えば、正方形の事例では4つの側壁)、または(円筒の事例では)単一の連続的な表面のみを含み得る。次のステップは、PDMSの側壁をミラー95に押し付けるステップである。PDMSの側壁は、可逆結合によりミラー95に付着する。次のステップは、BIO-133を注入し、真空を用いてガスを除去するステップである。次のステップは、UV硬化させるステップである。そして最後のステップは、PDMSの側壁を取り外し、硬化したBIO-133ポリマーの「ブロブ」を残すステップであり、ブロブは、この時点では依然としてミラー95に固着されている。いくつかの実施形態では、硬化したブロブは、最終的にブロブが取り付けられる対物レンズの作動距離の75~95%の間の厚さを有する。例えば、対物レンズの作動距離が2mmである場合、硬化したブロブは、1.8mmの厚さを有し得る。
【0073】
この第3の手法では、ブロブの前面は、カバーガラスまたは顕微鏡スライドにではなく、非常に平坦なミラー95上に成型される。誘電性前面ミラーは、超平坦面を有して-およそ4分の1波長の範囲内の精密さで-製造される。したがって、ミラーは、250nm未満の許容誤差で平坦になる。これは、ミラーをブロブの超平坦な共平面を成型するのに理想的なものにするだけではなく、ブロブの前面がミラーに接触するという事実は、以下で詳述されるような位置合わせプロセスのために使用される。
【0074】
次に図7iを参照すると、リグ全体が、デジタル傾斜計を用いて最初に位置合わせされる。示されるように、依然としてそれが成型されたミラー95に取り付けられている最初に成型された約1.8mm厚さのブロブ91は、次いで、対物レンズのきれいなガラス前面とBIO-133の硬化したブロブ91との間にある量の未硬化BIO-133ポリマー92を有して、対物レンズ30の前に位置決めされる。図7iにおいて縦縞で標識された光路は、拡大されかつ50:50ビームスプリッタを介して対物レンズに送り出された平行レーザ光を表す。この光は、(ブロブを通って)ミラー95に反射して、対物レンズ30を通って戻ってくる。次いで、ミラー95(依然としてブロブ91が取り付けられている)の位置は、1距離および2D傾斜の両方において調整され、一方で、戻ってくる光の平行特性は、例えば正確な平行をチェックするシアプレート(sheer plate)を使用して監視される。ミラー(したがって、「ブロブ」の前面)が対物レンズ30の焦点面と正確に位置合わせされているときにだけ、戻ってくる光が平行になる。いったんこの状態に達すると、ポリマーのブロブ91の周りの環境から酸素がパージされ(これは、ポリマーの適切な硬化を確実にする)、UV光(横縞によって表される)が対物レンズを通って(ダイクロイックビームスプリッタを介して)下方に投射され、すでに硬化した「ブロブ」91と対物レンズ30のガラス面との間の液体ポリマー92を硬化させて、恒久的な結合を提供する。次いで、ミラー95は、「ブロブ」91の前面から剥離される。次いで、ポリマーの完全硬化を確実にするために、追加のUV光が使用され得る。
【0075】
浸漬対物レンズ30のためのスペーサを製作するための図7h~図7iに示された手法の最も重要なステップは、以下の通りである。最初に、図7hに見られるように、側壁の組の間に位置決めされたミラーの部分がネガティブモールドの底部として機能するように、側壁の組がネガティブモールドの底部と協働して液密空洞を形成するように、ネガティブモールドの側壁がミラー95に押し付けられる。次に、液密空洞は、第1の量のUV硬化性ポリマーで満たされる。次いで、第1の量のUV硬化性ポリマーは、第1の固体塊91に硬化される。第1の固体塊91の下面は、ミラー95に付着する。次に、側壁の組は、第1の固体塊91の下面とミラーとの間の付着を乱すことなしに、ミラー95から取り外される。次に、第1の固体塊91の上面は、第2の量のUV硬化性ポリマー92が第1の固体塊91の上面と対物レンズ30との間の空間を占めている状態で、対物レンズの近くに位置決めされる。位置決めに続いて、第1の固体塊91の位置は、第1の固体塊の下面(ミラー95の上面と直接接触している)が対物レンズ30に対する最終位置に到達するまで、調整される。第1の固体塊91が最終位置に到達した後、第2の量のUV硬化性ポリマー92が硬化される。
【0076】
第1の固体塊91の位置の精密な調整を得るための優れた方法は、ミラー95によって反射された光の平行特性を検出しながら、対物レンズ30を通してミラー95に向かって平行光を投射することである。第1の固体塊91が最終位置に到達したという判定は、ミラー95によって反射された光が正確に平行になったときになされる。これは、例えば、シアプレートを使用して達成され得る。
【0077】
第2の量の硬化性ポリマー92の硬化のための適切な手法は、対物レンズ30を通して第2の量のUV硬化性ポリマー内にUV光を投射することである。場合により、対物レンズを通して第2の量のUV硬化性ポリマー92内にUV光を投射することに続いて、第2の量のUV硬化性ポリマーをさらに硬化させるために、追加のUV光が適用される。
【0078】
第2の量のUV硬化性ポリマーの硬化後、ミラー95は、対物レンズ30が使用され得るように、第1の固体塊91の下面から取り外される。
【0079】
ゼロ作動距離手法は、上記の例を超えて拡大され得る。適切な屈折率を有する任意のタイプの固体材料(または、拘束された液体)が、既存の浸漬レンズを修正するために使用され得る。浸漬レンズ(水浸レンズばかりでなく、必ずしも1.0NAのレンズではない)への恒久的な延長部を成型するために使用され得る正確な屈折率を有する多くのUV硬化性の(または、例えば時間、熱、照射、もしくは化学薬品を介して硬化可能/活性化可能な)化合物または接着剤が存在する。例えば、非特許文献2を参照されたい。様々な粘性および最小限の蒸発量を有するRI整合ゲルも利用可能である。例えば、非特許文献3および非特許文献4を参照されたい。
【0080】
別の選択肢は、PDMS(屈折率約1.43)を組織透明化撮像のために設計されたレンズ(透明度RI約1.4)と組み合わせて使用することであり、レンズのうちのいくつかは、「ブロブ」材料の屈折率のための精密整合を可能にするために、補正環を有する。O3においてより多くの光を捕捉するために、精密成型されたスペーサが、それらの高NA、長WDのレンズに対する恒久的な修正を提供し得る。
【0081】
カバーガラス補正される浸漬レンズもまた、前面がガラスのチャンバとともに使用可能であり、本明細書において説明されるように、空間は液体または例えば硬化性ポリマーで満たされる。FEPベースの前面の水チャンバは、カバーガラス補正を伴わない水浸漬レンズ(water immersion dipping lens)のために使用され得る。特定の他のプラスチックまたはシリコーン材料もまた、一般的なシリコーンまたはオイル浸漬屈折率に整合するように、固体ブロックまたはチャンバに作られ得る。多浸漬および屈折率調整可能レンズもまた、材料選択の容易さのために用いられ得る。
【0082】
「ブロブ」素子を光学特性、材料の形状、または光学的完全性を変化させ得る粉塵または他の環境要因から保護するために、完成した修正済みレンズの周りに場合により着脱式キャップとともに保護チューブまたはハウジングを追加することが、有利である。この事例は、位置合わせのための両方のレンズの調整を可能にする、示された(浸漬液の追加を伴わない)キャップ付きチャンバの形態をとることができる。
【0083】
ZWD O3としてのNA1.0の水対物レンズなどの対物レンズ上のこの「ブロブ」手法の利点は、以下を含む。(1)「ブロブ」手法は、一般的な約$6,000の対物レンズ(例えば、1.0NAの水浸レンズ)の単純かつ安価な修正である。(2)変形可能なポリマー材料を使用することにより、位置合わせ中の損傷が防止され、かつ、様々なO2の幾何形状に対応するように成形可能である。(3)ブロブは、必要に応じて除去/交換/再生可能である。(4)使用されるO3レンズのうまく特徴付けされた性能により、広い(例えば、>1mmの)視野を得ることができる。(5)高NAのガラスと比較して、空気に対する減少した表面反射:1.33の界面。(6)O2からの光の同様の100%の受光角が達成可能である。また、空気およびガラスと比較して、空気と水との間のより小さな屈折率不整合のおかげで、像平面における焦点外れに対する許容差がより良好である。斜め平面の遠隔焦点マッピングは斜め平面の小さな湾曲を一般に導入するので、上記のことは重要である。しかし、これはZWD手法に利用可能な深度範囲における制限因子であり得ることに、留意されたい。
【0084】
ここで、再度本題からそれて、第1の対物レンズO1 10の下に位置決めされるGRINレンズ8がどのように動作するかの光学理論を説明する。
【0085】
ここで図8に目を向けると、GRINレンズが、そのピッチに応じて、n=1、2、3…である2n-fのシステムと見なされ得る。したがって、GRINレンズは、励起のために光シートを中継するために、また、検出のために画像を送り返すために、使用され得る。
【0086】
次に図9A図9Bに目を向けると、第1の分類のGRINベースのSCAPEは、最小限侵襲的な様式で内部組織または脳深部にアクセスするためにGRINレンズを主対物レンズに結合するためのものである。例示的な図が図9Aに示されており、この場合、4f相当のGRINレンズが、光シートを中継し、このGRINレンズはまた、任意の2nfシステムとして働く、任意のピッチのものであり得る。GRIN部品は、主対物レンズO1に対して同軸である必要はない。GRIN部品は、図9Bに示されるように、主対物レンズの撮像視野内で任意の軸上または軸外の位置に配置され得る。
【0087】
次に図10に目を向けると、GRINリレーは、同一のGRIN要素で作られる必要はない。GRINリレー全体の倍率は、±1である必要はない。GRINリレーは、光シートを中継しながら光シートを拡大または縮小することができる。しかし、中間像平面への試料の適切なマッピングは、全体的な倍率がn1/n2であることをなおも必要とし、ここで、n1は試料のRIであり、n2はO2浸漬のRIであることに、留意されたい。
【0088】
異なる集束力(focusing power)(同等に、異なるNA)の2つのGRIN部品からGRINリレーが作られている1つの例示的な実施形態が示されている。このGRINリレーは、斜めシート角度が減少する(すなわち、光軸に対してより真っ直ぐになる)がシート幅は増大するように、より高いNAの上部半体、および、より低いNAの下部半体を有する。第2の例は、シート角度が増大する一方でシート幅は試料に面する出力側において収縮するように、より低いNAの半体が上にある、逆転した事例を示す。
【0089】
球面収差または色焦点シフトなどのような光学収差を補正するのを助長するために、GRIN要素間に挟まれた、特別に設計された回折光学要素または位相マスクなどの他の光学素子も存在し得る。色補正(chromatic correction)のための回折光学要素を組み込む例示的なGRINリレーが示されている。
【0090】
次に図11に目を向けると、GRIN部品によって中継される光シートは、斜めである必要はない。真っ直ぐな光シートも実行可能である。もはや斜めではない真っ直ぐな光シートの正面図および側面図が、図11に示されている。側視幾何形状を形成するように、任意の(とはいえ、典型的には90度の)角度によりビーム経路を反射しかつ折り畳むために、GRINリレーの先端にマイクロプリズムも存在し得る。マイクロプリズムを含む例が、図11に示されている。プリズムは、任意の方向に面することができ、すなわち、光軸に対して任意の方位角を取ることができる。より高い撮像NAを得るために、および/または収差を補正するために、GRIN素子とともに組み込まれるシングレットマイクロレンズまたはダブレットマイクロレンズなどの1つまたは複数の他の光線曲げ素子(light bending component)も存在し得る。アクロマートダブレットおよびシングレットを組み込む例が、図11に示されている。そのような組み合わせは、収差補正のためのより多くの自由度を提供するのと同時に、典型的なGRINロッドレンズが提供し得る約0.5NAよりも高いNAを達成する。
【0091】
余談を終え、ここで本発明者らの元の一連の考えに戻ることにして、第2の対物レンズO2から出て行く光のいずれも第3の対物レンズO3によって捕捉されない状況を回避するための追加の方法について説明する。
【0092】
図12は、GRIN-SCAPE-1手法を実施するために図4の実施形態の代わりに使用され得る別の素子の組および代替的なレイアウトを示す。
【0093】
図13は、第2の対物レンズO2から出て行く光が捕捉されることを確実にするためのGRIN-SCAPE-meso手法の一実施形態を示す。図13の実施形態は、近位端部および遠位端部を有する第1の光学素子10~14の組を含む。第1の光学素子の組は、第1の光学素子の組の遠位端部に配置された第1の対物レンズ10を含む。示された実施形態では、第1の対物レンズ10に加えて、第1の光学素子の組はまた、第1のテレスコープ12~14を含む。GRINレンズ8が、第1の対物レンズ10を越えて遠位に位置決めされる。この図13の実施形態におけるこのGRINレンズ8の詳細は、図4に関連して上述されたものに似ている。
【0094】
図13の実施形態はまた、近位端部および遠位端部を有する第2の光学素子20~24の組を含む。第2の光学素子の組は、第2の光学素子の組の遠位端部に配置された第2の対物レンズ20を含む。示された実施形態では、第2の対物レンズ20に加えて、第2の光学素子の組はまた、第2のテレスコープ22~24を含む。
【0095】
図13の実施形態はまた、第1の光学素子10~14の組の近位端部に対して近位に、かつ第2の光学素子20~24の組の近位端部に対して近位に配置された走査素子50を含む。走査素子50は、例えば、単一自由度(両矢印によって示される)を有する検流計ミラーであり得る。走査素子50は、励起光のシートが近位から遠位の方向において第1の光学素子10~14の組およびGRINレンズ8を通過して、GRINレンズを越えて遠位に位置決めされた試料に入射するように、励起光のシートを送るように位置決めされる。励起光のシートは、第1の対物レンズ10の光軸に対して斜角で試料内に入射され、励起光のシートは、走査素子50の向きに依存して変化する位置において試料内に投射される。
【0096】
GRINレンズ8および第1の光学素子10~14の組は、検出光を遠位から近位の方向において試料から走査素子50へ送り返す。走査素子50はまた、検出光が近位から遠位の方向において第2の光学素子20~24の組を通過して、第2の光学素子の組の遠位端部を越えた遠位の(すなわち、図13における第2の対物レンズ20の左側の)位置に斜め中間像平面を形成するように、検出光を送るように位置決めされている。
【0097】
図13に示された実施形態はまた、光軸、第1の端部、および第2の端部を有する光学繊維(光ファイバ)の束130を含む。束130の第1の端部は、斜め中間像平面からの光が束の第1の端部に入り、束を通して束の第2の端部へ向けられるように、斜め中間像平面に位置決めされる。したがって、束130の第1の端部は、光を収集するとともに像回転を実現するように位置決めされる。
【0098】
第3の対物レンズ30が、束130の第2の端部から出て行く光を受け入れて、受け入れた光をカメラ40に向かって送るように、位置決めされる。第3の対物レンズは、使用されている束130の部分の光軸と位置合わせされる光軸を有し得る。GRINレンズ8がこの図13の実施形態においてどのように動作するかの光学理論は、図4の実施形態に関連して上述された理論に似ている。
【0099】
図13の実施形態はまた、カメラ40、および励起光のビームを生成する光源60を含む。少なくとも1つの光学素子72~80が、励起光のビームを励起光のシートに拡大し、励起光のシートを走査素子50に向ける。これらの素子40、60、および72~80の動作は、図4の実施形態に関連して上述されたものに似ている。図4の実施形態に関連して上述された代替形態もまた、図13の実施形態において使用され得る。
【0100】
束130の第1の端部は、図13に示されるように、束の光軸に対して面取りされ得る。しかし、面取りされていない第1の端部を有する束も使用され得る。光学繊維の束130は、テーパ付けされた繊維の束を含むことができ、テーパ付けされた繊維の束は、図13に示されるように、テーパ付けされた繊維の直径が束の第2の端部において最大になるように配向される。しかし、テーパ付けされていない繊維を有する束も使用され得る。
【0101】
図13の実施形態のいくつかの好ましい実施態様では、束130の第1の端部は、束の光軸に対して面取りされ、束は、テーパ付けされた繊維の直径が束の第2の端部において最大になるように配向された、テーパ付けされた繊維の束を含み、光学繊維の束130の第1の端部は、1.0のNAを有する。
【0102】
図13に示された実施形態は、テーパ付けされた光学要素(例えば、テーパ付けされた光学繊維の束)を有し、テーパは、アングルグラウンド縁部に位置合わせされている。この実施形態は、低倍率のO1を使用する。本発明者らが見つけることができた最高NA、低倍率の対物レンズは、Nikonによる5×、0.5NAのレンズであり、現在入手可能な/使用されている大半の撮像GRINレンズのための受光角は、0.5NAである。このレンズのための長作動距離(約15mm)の空気界面もまた、浸漬媒体または精密な位置決めを必要とせずに覚醒し行動しているマウスに対応することができるので、非常に有用であることを証明した。この実施形態は、より広い視野にわたって比較的低い分解能の撮像を提供するが、GRINレンズは分解能を制限するかなり多くの収差を導入するので、このことは許容される。したがって、この図13の実施形態のサンプリング密度は、たとえ完全ではなくとも、GRINレンズ下方の多数の細胞の詳細を見るのに十分である。
【0103】
図14は、第2の対物レンズO2から出て行く光が捕捉されることを確実にするためのGRIN-SCAPE-meso手法の別の実施形態を示す。この実施形態は、図13の実施形態のアーキテクチャに基づくが、追加の特徴が加わる。より具体的には、図14の実施形態の広い視野および空気界面は、皮質の全表面を撮像するために、また、GRINレンズ8を通して光のシートを走査することにより脳のより深い部分を選択的に撮像するために、同じ対物レンズ10を通して広視野カメラ100を使用する多モード撮像を実施する機会を広げる。
【0104】
この図14の実施形態では、参照番号8~80は、図13の実施形態に関連して上述されたように機能する。しかし、この図14の実施形態はまた、広視野カメラ100、第2の光源85、ならびに第1および第2のビームスプリッタ81、82を含む。第1のビームスプリッタ81は、第1の光学素子の組内に位置決めされ、第1のビームスプリッタ81は、GRINレンズが対象組織に埋め込まれた後でGRINレンズ8を取り囲む組織の領域の外側表面を照明光が照らすように、第2の光源85からの照明光を第1の対物レンズ10に向かって送るように構成される。第1のビームスプリッタ81はまた、脳の外側表面に到達する光を広視野カメラ100に向かって送るように位置決めされかつ構成される。
【0105】
脳の外側表面から到達する光は、反射光(すなわち、第2の光源85の同じ波長における光)、または蛍光(すなわち、第2の光源85とは異なる波長における光)であり得る。後者の場合では、皮質全体の広視野撮像は、落射蛍光によって(例えば、緑色で励起し赤色で発光するjRGECO1aを使用して)達成可能であり、一方で、GRINレンズの下方で(例えば、青色で励起し緑色で発光するGCaMPを使用して)より狭い視野を得ることができる。
【0106】
図14に示された実施形態では、第2のビームスプリッタ82が、第2の光源85からの照明光を第1のビームスプリッタ81に向かって送るように、および、第1のビームスプリッタ81から到達する蛍光を広視野カメラ100に向かって送るように、位置決めされかつ構成されることに、留意されたい。しかし、代替的な実施形態では、様々な波長をそれらの望ましい行き先へ送るための異なる手法が使用され得る。
【0107】
この図14の実施形態の広い視野(例えば、5mm×5mm)は、GRINレンズが皮質に対して様々な位置に配置された場合に、システムはたとえ中心に置かれていなくともGRINを通して撮像するようになおも導かれ得ることを意味する。場合により、必要に応じて(焦点面が維持され得るのであれば)様々な脳領域に配置された複数のGRINレンズの下方を撮像することができる。SCAPE掃引アーキテクチャは3D画像を得るのにO1レンズの移動を必要としないので、これらは全てうまく機能し、そのため、脳のより深い部分からのデータと同時に広視野データが取得される。
【0108】
図13および図14の実施形態は、以下を有利に促進し得る。(a)撮像中に試料の光遺伝的操作または他の操作を行うことにより、より多くの複雑性を追加することができる。(b)行動または皮質活動への光のパターンの影響を調べるために、GRINレンズの下方に光のパターンが投射されて細胞を活性化させるかまたは静め得る。パターンは、GRINの視野の対象のサブ領域を塗りつぶすことができるか、または、ホログラフィックのもしくは他の整形を使用して単一の細胞を正確な時間において3D空間内で正確に対象とすることができる。このビームステアリング/整形は、光路に容易に導入され得る。(c)システムを操作するために、または薬物もしくは他の動揺を与えるために、フラッド照明またはパターン照明を皮質の活発な部分および静寂な部分に適用することもできる。これらの利点は、撮像波長から励起を分離するために波長および出力密度の慎重な整合を必要とし得ることに、留意されたい。
【0109】
図13および図14の実施形態では、(a)視野は、0.5~1mm NAの対物レンズの撮像のためだけに使用される場合に、必要であるよりもはるかに大きい。(b)繊維テーパの実施は、分解能を2.5マイクロメートルピッチサイズに制限する。および、(c)0.5NAによってアンダーフィルされるよりもある程度高いNAのGRINレンズを得ることが可能であることに、留意されたい。
【0110】
図15は、第2の対物レンズO2から出て行く光が捕捉されることを確実にするためのGRIN-SCAPE-mini手法の一実施形態を示す。
【0111】
図15の実施形態は、近位端部および遠位端部を有する第1の光学素子110~114の組を含む。第1の光学素子の組は、第1の光学素子の組の遠位端部に配置された第1のGRIN対物レンズ110を含む。示された実施形態では、GRIN対物レンズ110は、水における0.7NA(31.6°の半円錐角)および反対側の0.16NAを特徴とする、GRINTECH GT-MO-070-016-ACR-VISNIR-30-20である。これは、準4fシステム(quasi-4f system)である。25°のシート角度を仮定すると、空気側角度は、asin(sin(25°)×1.333×0.16/0.7)=7.4°になる。このGRIN対物レンズ110は、主対物レンズおよびチューブレンズの両方を単一のGRINベースの素子に統合する。しかし、代替的な実施形態では、異なるGRIN対物レンズ110が使用され得る。
【0112】
図15に目を向けると、第1のGRIN対物レンズ110に加えて、示された実施形態の第1の光学素子の組はまた、Edmunds #84-128、VIS-NIR、EFL=4.0mm、Diam=2.0mm、BFL=2.92mmである別のレンズ114を含む。走査レンズ#1の後方のビームオフセットは、4.0×sin(7.4°)=515μmである。しかし、代替的な実施形態では、異なるレンズ114が使用され得る。
【0113】
図15の実施形態はまた、近位端部および遠位端部を有する第2の光学素子120~124の組を含む。第2の光学素子の組は、第2の光学素子の組の遠位端部に配置された第2の対物レンズ120を含む。示された実施形態では、第2の対物レンズ120もまたGRIN対物レンズであり、GRIN対物レンズ110と同じ部品番号が第2の対物レンズ120に使用される。しかし、代替的な実施形態では、異なるGRIN対物レンズが第2の対物レンズ120として使用され得るか、さらには非GRIN対物レンズが使用され得る。第2の対物レンズ120に加えて、示された実施形態の第2の光学素子の組はまた、レンズ114に一致する別のレンズ124を含む。しかし、代替的な実施形態では、レンズ124は、レンズ114に一致しない可能性がある。
【0114】
図15の実施形態はまた、第1の光学素子110~114の組の近位端部に対して近位に、かつ第2の光学素子120~124の組の近位端部に対して近位に配置された走査素子150を含む。示された実施形態では、走査素子150は、Mirrorcle S46105 MEMS要素であり、ミラー径=2.0mm、ミラーはガラス面の下方約1.2mmに位置する。基礎寸法(based dimension)は、約15mm×15mmである。しかし、代替的な実施形態では、異なるMEMS要素が使用され得る。他の代替的な実施形態では、走査素子150は、例えば、検流計ミラーであり得る。
【0115】
走査素子150は、励起光のシートが近位から遠位の方向において第1の光学素子110~114の組を通過して、第1のGRIN対物レンズ110を越えて遠位に位置決めされた試料に入射するように、励起光のシートを送るように位置決めされる。励起光のシートは、第1のGRIN対物レンズ110の光軸に対して斜角で試料内に投射され、励起光のシートは、走査素子150の向きに依存して変化する位置において試料内に投射される。
【0116】
第1の光学素子110~114の組は、試料からの検出光を遠位から近位の方向において走査素子150へ送り返す。走査素子150はまた、検出光が近位から遠位の方向において第2の光学素子120~124の組を通過して、第2の光学素子の組の遠位端部を越えた遠位の(すなわち、図15における第2のGRIN対物レンズ120の左側の)位置に斜め中間像平面を形成するように、検出光を送るように位置決めされる。
【0117】
少なくとも1つの追加の光学素子200~210が、斜め中間像平面を越えて遠位に位置決めされ、少なくとも1つの追加の光学素子は、(a)斜め中間像平面に到達する光をカメラ(図示せず)に向かって送るように、および(b)斜め中間像平面の角度を補正するように、位置決めされかつ構成される。
【0118】
この図15の実施形態における励起ビームは、約0.12×1.45×2=350μmのビーム径をもたらすThorlabs 354140-A非球面レンズ、EFL=1.45mm、diam.=2.4mmによって平行にされ得る。励起ビームは、2つのマイクロプリズム反射鏡を介してさらに折り畳まれてシステム内へ案内される。シート幅に関して、中央の約200μmが大体一様であると仮定すると、個別製作の約4.5×の円柱ビーム拡大器が、励起ビームを約900μmの幅になるように拡大し、次いで、励起ビームをO1の裏側へ中継するための走査レンズ#1を含む別の個別製作の4.0-mm-EFL Cyl対が、表側での約200μmの有用なシート幅をもたらす。シートのNAは、0.12×1.45/4.0×0.7/0.16=0.19であると推定可能であり、これは、必要に応じてスリットによって減少され得る。補正のために、この実施形態は、第2の対物レンズO2 120の出力を光ファイバテーパ205に「接着」するために、水等価ポリマースペーサ210(本明細書では「ブロブ」とも呼ばれる)を用いることができる。テーパ205は、繊維の軸がO2の軸に平行になるように曲がるように、約42°だけ面取りされるべきである(コアNA=1.8と仮定する)。2本の端光線は、繊維の軸に対して約18°および約5.6°に曲がり、テーパ205の小端部内への0.56NAに対応することに、留意されたい。テーパ205の大端部からの出力NAは、さらに小さくなり、したがって、繊維束200によって十分に補正される(NA<0.4)。
【0119】
この実施形態の長所は、テーパを研削することおよび3つの円柱/パウエルレンズ171~176を個別製作することを除けば最小限の個別製作;優秀なO1 NAおよび収集効率;cmレベルのパッケージサイズ;主GRINがどれだけ脳に入り込むかを、主GRINを取り付けるときに決定できること、を含む。この実施形態の短所は、テーパ205によりサンプリング密度が約2.8μmに限定されることを含む。
【0120】
少なくとも1つの光学素子を実装するために、様々な手法が使用され得る。例えば、図15に示された実施形態では、少なくとも1つの追加の光学素子は、小端部および大端部を有するテーパ付けされた光学繊維の束205と、前面および後面を有する、1.33の屈折率のポリマースペーサ210と、を備える。前面は、第2の対物レンズ120と向かい合って位置決めされ、後面は、テーパ付けされた光学繊維の束205の小端部と向かい合って位置決めされる。
【0121】
他の実施形態では、少なくとも1つの追加の光学素子は、斜め中間像平面に位置決めされる第1の端部を有する光学繊維の束を備える。場合により、これらの実施形態では、第1の端部は、光学繊維の束の光軸に対して面取りされる。
【0122】
他の実施形態では、少なくとも1つの追加の光学素子は、斜め中間像平面に対して垂直な光軸を有する第3の対物レンズを備える。場合により、これらの実施形態は、第3の対物レンズの浸漬媒体に整合する屈折率(例えば、1.33)を有する硬化ポリマースペーサをさらに備えることができ、硬化ポリマースペーサは、第3の対物レンズ(例えば、1.0NAの水浸対物レンズ)の前面に直接固着され、硬化ポリマースペーサは、斜め中間像平面が硬化ポリマースペーサの面上に形成されるように位置決めされる。これらの実施形態では、第2の対物レンズ20は、空気対物レンズであってよく、第3の対物レンズは、非空浸対物レンズであってよい。
【0123】
図16は、図15の実施形態における第1のGRIN対物レンズ110および第2の対物レンズ120として機能するGRINTECH GT-MO-070-016-ACR-VISNIR-30-20の概略図である。この素子は、GRINTECHによる高NAのGRIN対物レンズのうちの1つであり、試料側(水浸)に0.7NAを有し、良好な収色性および視野補正(field-correction)を有する。直径は1.3mmであり、そのため、工学部直径は、約1.0mmである。このマイクロ対物レンズは、テレスコープとしてモデル化可能であり、
実質上の主対物レンズのEFLは、fobj=(D/2)/NA=0.5/0.7≒0.71mmであり、
実質上のチューブレンズのEFLは、f=fobj(NAobj/NA)=3.125mmであると推定することができる。
【0124】
GRIN対物レンズの全長は、8.36mmであり、そのため、テレスコープは、(おそらくテレセントリック繊維走査のために設計された)おおよそ4fのシステムである。これがマウスの脳に挿入されると仮定すると、図17に示されるように、走査レンズ、MEMS走査装置などでそのシステムをブリッジすることができる。
【0125】
図17では、単純さのために、実質上のO1の背面口径は、直径で1mm(以下)であり、MEMS走査装置は、直径で3mmよりも大きくてよい(45度から見たときに、3×sin(45°)>2)ので、走査レンズは、実質上のO1のBFLからガルボまで2.0Xの拡大を提供するように選択される。
【0126】
1つの例示的な選択肢は、マイクロ平凸レンズEdmunds #49-176(直径3.0mm)、または小アクロマートEdmunds #63-714(直径4.0mm)であり、どちらもVIS-NIR被覆され、6mmのEFLである。
【0127】
検出アームには、O1のBFLを単純さのために1:1の比でO2のBFLにマップし、fO2をn・fO1≒0.93mm EFLに設定するために、空気中で動作する別のテレスコープを追加することができる。有望な選択肢には、(平凸レンズにすぎないが)1.0mmのEFLの単一のEdmunds #43-394、または、2つのEdmunds #65-300(2.0mmのEFL)を含むプルーセル、または個別製作の高NAのマイクロ対物レンズが含まれる。
【0128】
O1のBFLは、実質上のT1の前焦点面と一致しない可能性があり(元のGRIN対物レンズが厳密に4fではない可能性があるので)、そのため、T1-S1-S2-T2テレスコープによって形成されるその画像は、T2の焦点面と重ならない可能性があるが、O2を単純にシフトさせてそれと整合させることができる。
【0129】
次に図18に目を向けると、1つの有望な解決策は、実質上のT2および実質上のO2として同じGRIN対物レンズを単に使用することである。この解決策は、単純であるが、O1のBFLからO2のBFLまでの球面収差の蓄積の可能性を有する。
【0130】
この実施形態および図17の実施形態の場合、200μmの直径の視野(x方向)をカバーするために必要とされるMEMSの機械的走査角度は、±100μm/fO1×fT1/fS1/2≒±2°であり、Mirroracle Inc.(非特許文献5)によるMEMS走査装置によって容易にカバーされる。
【0131】
次に図19に目を向けると、この0.7NAの水GRIN対物レンズの円錐角は、31.6°である。約24°の斜めシート角度を対象にする場合、O1の背面口径におけるオフセットは、約380μmになり、したがって、ガルボとS1との間は約760μmになる(上の図面)。しかし、y方向に沿って、実質上のO1のBFLは、T1の焦点面と重なる可能性がなく、そのため、差し込まれるシートのウエストは、走査レンズ1の焦点面に一致しない可能性がある(下の図面)。定量的に、1mmの光学的直径を有するGRIN対物レンズの場合、達成可能なシート幅は、おおよそ200μmである。そのため、後端部からの入来シートは、幅が約870μmである。励起シートは、ビーム経路内のどこでも適当な場所に差し込まれ得る。励起レーザが繊維から来る場合、3つのマイクロ円柱レンズが、繊維出力を所望のガウスシートに変換するために使用され得る。
【0132】
次に図20に目を向けると、MEMS走査装置は典型的には両方の軸を走査することができるので、DARTシステムにおけるようにデジタル的に合成された光シートを用いることもできる。この場合もやはり、走査装置に先立つビーム経路(中央における上側のトレース)内の任意の場所から励起ビームを導入することが、より容易である。このモードでは、MEMSの1つの軸は、達成可能なボリュメトリックフレームレートを最大限に高めるために、潜在的に共振モードで機能し得る。このモードでは、帰還ビームは、高NAの繊維テーパを使用して容易に収集可能であり、限定されたサンプリング密度に関してそれほど心配する必要はない。このモードでは、繊維束を通して戻される帰還蛍光を測定するために、線分検出器が使用され得る。
【0133】
図21は、異なる光学レイアウトのための検出の例を示す。全体的に見て、共通のGRIN要素の限定されたNAは集束角を限定し得ることに、留意されたい。
【0134】
図22は、第2の対物レンズO2から出て行く光が捕捉されることを確実にするためのGRIN-SCAPE-mini手法の別の実施形態を示す。GRINレンズは、主対物レンズ、または走査レンズもしくはチューブレンズ、またはテレスコープとして機能し得る。そのため、SCAPEシステム全体は、GRINレンズおよびGRINベースの対物レンズを使用して小型化され得る。図22の実施形態では、全ての対物レンズ(主、2次、および3次)が、十分な高さの集束NAを有するGRINベースの小型対物レンズに置き換えられる。走査レンズおよびチューブレンズもまた、単一のGRINレンズに置き換えられる。それらはまた、複数のGRINレンズ、またはマイクロシングレットレンズもしくはマイクロダブレットレンズ、またはそれらの混合で構成され得る。
【0135】
走査装置(GM)は、MEMSミラー(非共振モードもしくは共振モードのどちらかで機能する)、または、いくつかのマイクロモータによって駆動されるマイクロポリゴン、または、他の小型ミラーシステムもしくはデフレクタであり得る。ダイクロイックミラー(DM)は、励起シートを結合するために使用される。ダイクロイックミラー(DM)は、マイクロ反射ミラー、または反射面を有するマイクロプリズムに置き換えられてよく、これは、集束開口を少し閉塞することになるが、潜在的に設置面積を減少させることができる。
【0136】
ここで、第3の対物レンズO3は、中間像をより効率的に結合するために(例えば、図4の実施形態に関連して上述したように)、個別製作を介してまたはポリマーベースの「ブロブ」と組み合わせることによって実現される、ゼロ作動距離を有することができる。第3の対物レンズは、アレイ検出器またはカプラ様のテーパ付けされた繊維フェースプレート上への中間像を拡大するために、(示されるような)マイクロチューブレンズ、またはGRINベースのチューブレンズと対にされ得る。励起ビームは、光学繊維を介して射出され得る。繊維先端は、一方または両方の軸に沿って平行出力を提供するために、レンズ化され得る。1つまたは複数のマイクロ円柱レンズまたはパウエルレンズが、励起シートをさらに調整するために用いられ得る。
【0137】
図23は、ゼロ作動距離のO3(媒体横断中間像結合(trans-medium intermediate image coupling))を含む、第2の対物レンズO2から出て行く光が捕捉されることを確実にするためのGRIN-SCAPE-mini手法の他の実施形態を示す。この実施形態では、落射蛍光の収集効率を最大限に高めるために、媒体横断中間像結合を利用することができ、すなわち、第2の対物レンズO2は、乾燥対物レンズであるように設計可能であり、第3の対物レンズO3は、水浸、油浸、またはガラス浸対物レンズであってよく、それにより、O3の浸漬媒体の界面上に中間像を形成する。
【0138】
これを示すために、図23の左側の2つの例は、水における1.0NA(左)、または空気における0.75NA(右)に対応する、O2外の同じ円錐角を特徴付ける。O3もまた1.0NAの水浸である場合(左)、集束角(紙面上に投射される)は、43.2°にすぎない。O3が同じ1.0NAを維持するが、O2が空気において機能する場合、集束角は、84.6°へとほぼ倍になる。いくつかの選択肢が存在する。1)1つの選択肢は、ゼロWDおよび高NAを有するように直接O3を設計すること(紫色は、例示的な集束角を示す)である。2)O3を非ゼロWDになるように設計するが、なおも例えば水浸させて、水と同じ屈折率を特徴とするポリマーまたは他の材料で作られたブロブでO3を増強し、それにより、同等にゼロWDの組み合わせを形成する。
【0139】
GRINレンズの収集NAを向上させるために、1つの選択肢は、GRINレンズを例えばEdmundsによる直径2.0mmのS-LAH 79半球レンズ(#90-858)といった高屈折率半球レンズ(high-index half-ball lens)と組み合わせることである。S-LAH79の屈折率はn≒2.0であり、そのため、この半球レンズのEFLは、R/(n-1)≒1.0mmであると推定することができ、すると、収集NAは、理想的には1.0に近づく。実際には、この概念設計は、重度の収差を有する。性能を最適化するために、慎重な設計が使用されることが好ましい。例えば、半球レンズは、ビームを漸進的に曲げるために複数の部品に分割されてもよく、GRIN部品の勾配プロファイルはまた、収差を最小限に抑えるために、特別な四次プロファイルを有するように微調整され得る。
【0140】
ゼロWDのGRINベースの高NA複合対物レンズは、そのそれぞれが参照により本明細書に組み込まれている非特許文献6および非特許文献7で説明されているように、ゼロWDのGRINベースの高NA複合対物レンズが特に好ましい。
【0141】
図24は、O3(すなわち、第3の対物レンズ)を伴わない直接検出に依存する、第2の対物レンズO2から出て行く光が捕捉されることを確実にするためのGRIN-SCAPE-mini手法の追加の実施形態を示す。O3を伴わない直接検出は、アレイ検出器またはカプラをO2の後に設置し、中間像を直接整合させかつ捕捉することにより屈折性のO3を取り除くための、別の主要な変形形態である。アレイ検出器はCCD/CMOSチップであってもよく、その場合、中間像は、直接記録されることになる。検出器は、最大限の収集効率および最小限の等価WDのための裏面照射型(BSI)センサであってもよい。それぞれの個々の画素の収集円錐角を拡大するために、マイクロレンズアレイが(特に、検出器がBSIでない場合には)検出器と一体化されてもよい。アレイ検出器は、サンプリング密度を最大限に高めるために、小端部が中間像に面するように構成された、テーパ付けされた光ファイバフェースプレートであってもよい。次いで、そのような離散化した中間像は、大端部上へ中継されかつ拡大され、そこで、中間像は、1)CCDもしくはCMOSセンサによって直接記録されるか、または、2)数千のコアを有する可撓性撮像繊維束を通して近位端部のCCD、CMOS、もしくは任意の他のタイプのセンサへさらに中継される。繊維束およびテーパ付けされた光ファイバフェースプレートのどちらも、可能な限り高い受光NAおよび可能な限り小さいコア間クロストークを有することが好ましい。
【0142】
図25は、O3(すなわち、第3の対物レンズ)を伴わない直接検出に依存するさらなる実施形態を示す。これらの実施形態では、テーパ付けされたフェースプレートの軸、または繊維束の軸は、中間像平面に対して垂直である必要はないことに、留意されたい。言い換えれば、中間像を受け入れる端部表面は、角度を付けて切り取られ得る。このようにして、それぞれの個々の繊維の受け入れ円錐は、テーパにおけるものであろうと繊維束におけるものであろうと、O2から出る光錐に向かって傾けられ、したがって、小端部における収集効率を高めることができる。さらに、テーパ付けされたフェースプレートの場合、このことはまた、大端部からの放射NAの減少をもたらし、後続のCCDによる収集または繊維束(典型的には約0.4のNA)による結合をより容易にし、したがって、全体的な収集効率を高める。最適な切取り角度は、繊維コアの屈折率、中間像平面の角度、および、O2から出るビーム円錐の角度に依存する。
【0143】
MEMSミラーがGRIN-SCAPE-mini実施形態において走査素子として使用される場合、MEMSミラーの直径は、主GRINベース対物レンズの口径に対応するのに十分な大きさである必要がある。例えばMirrorcle Technologiesによる典型的な市販製品は、直径2.4mmの一体形ミラー、および、さらに大きな結合ミラー(すなわち、別々に製作されてから走査装置に結合されるミラー)を製作することができる。2mm径ミラーを含むパッケージ全体は、2.5cmよりも小さくすることができる。MirrorcleによるMEMS走査装置は、典型的には2軸である。Fraunhofer IPMSによる単軸走査装置は、さらに小さくすることができる。
【0144】
図26は、主O1+チューブレンズが、水における0.7NA(31.6°の半円錐角)および反対側の0.16NAを特徴とする、GRINTECH GT-MO-070-016-ACR-VISNIR-30-20によって実施される、別の実施形態を示す。これは、準4fシステムである。25°のシート角度を仮定すると、空気側角度は、asin(sin(25°)×1.333×0.16/0.7)=7.4°になる。走査レンズは、Edmunds #84-128、VIS-NIR、EFL=4.0mm、Diam=2.0mm、BFL=2.92mmである。走査レンズ#1後方のビームオフセットは、4.0×sin(7.4°)=515μmである。MEMSは、Mirrorcle S46105であり、ミラー径=2.0mm、ミラーはガラス面の下方約1.2mmに位置する。基礎寸法は、約15mm×15mmである。
【0145】
O2アームは、同じ走査レンズ(EFL=4mm)を使用し、次いで、Edmunds #84-127アクロマート(EFL=3.0mm)を使用する。O2自体は、O1からO2までの総合倍率が0.7/0.16×4/4×0.9/3.0=1.31になり、疑似等方性拡大を確実にするように、0.9mmEFLおよび0.5NAを有する個別製作の空気/乾燥対物レンズであるべきである。この個別製作のO2は、複数のシングレットおよび/もしくはダブレットを組み合わせること、または、示されるようにGRINレンズと屈折レンズを組み合わせることから作られてよい。
【0146】
次いで、O3は、1)前述のように繊維束に結合された、面取りされテーパ付けされたフェースプレート、または、2)収集を強化するために水等価ポリマーブロブと結合された約4.4×0.7NA O1-チューブレンズ(すなわち、GT-MO-070-016-VISNIR-30-20)のどちらかであってよい。後者の設計は、中間像を拡大することにより、繊維束または小型CCD/CMOSをO3およびチューブレンズの後方に直接使用するにもかかわらず高密度のサンプリングを可能にする。また、O3は、収集デバイスにより良く整合するために、および、全体的な収集効率を高めるために、他の拡大およびより高いNAにも個別製作され得る。
【0147】
図27A図27Bは、GRIN-SCAPE-miniの2つのさらなる実施形態を示す。図27Aの実施形態は、miniシステムを顕微鏡として使用することができ、かつ、埋め込まれた別のGRINに結合することができる。図27Bの実施形態では、最終的なGRINは、埋め込まれたGRIN自体であってよく、そのため、顕微鏡は、その遠位端部の実施形態を直接走査する。
【0148】
以下の製作法は、本明細書において説明される実施形態に適し得る。素子の位置決めは、精密機械加工されたアルミニウムケーシング、または高品質3D印刷されたケーシングによって促進され得る。素子は、所定の位置に接着されて、精密アライメント並進ステージまたはロボットアームなどの第2のシステムによって位置決めされ得る。位置合わせを確実にするために、微調整のための2つ~3つのポイントが必要とされ得る。素子が屈折率整合UV硬化ポリマーに完全に閉じ込められ得る場合、安定性、防塵性、および耐湿性が著しく向上され得る。高価な素子が、走査ヘッドにコネクタライズ(connectorize)され得る。
【0149】
最後に、図28は、上記のGRIN-SCAPE-mini光学構成が使用され得る全体的なシステムの概略図である。十分に平行にされた光を使用するためのSCAPE顕微鏡法の要件、および、高速の高感度カメラの必要性は、フルサイズのカメラおよびレーザローンチ(laser launch)を収容するベースステーションにこの小型化されたシステムが係留され得ることを意味する。小型化により、マウスは、ナビゲーションまたは他の動物との社会的交流などの自由行動中に撮像システムを携行することができる。小型ヘッドマウント撮像ヘッドへの係留接続は、ガルボ駆動信号(galvo drive signal)、レーザ光を送達するための単一モード繊維、および、画像をカメラにマッピングするための可撓性の高密度繊維束を含む。このモジュール式の手法の1つの利点は、各システムの最も高価な素子およびエネルギーを消費する素子が、1つの可動部品のみを含みかつ最小限の局所電気制御を必要とし得る小型走査ヘッドから分離することである。したがって、同じベースカメラおよびレーザ素子を使用して多くの異なる「走査ヘッド」の原型を試験することが可能であるはずであるのと同時に、データ転送速度およびデータ可視化は、ボトルネックにならない。
【0150】
GRIN-SCAPE-miniの画像をより高品質のカメラへ中継するために繊維束を使用することは、このシステムの空間分解能を制限することを必要としない。第1に、上記で詳述されたZWDおよび/または繊維テーパ法は、像回転を行い、かつ、結果として得られる像が、コネクタライズされた可撓性撮像繊維束上へ拡大されることを可能にし、繊維束の繊維サイズ(例えば、3.3マイクロメートル、0.4NA)は、システムの必要とされる光学的分解能の>1/2に相当してよく、したがって、オーバサンプリングするであろう。次いで、この束は、高速カメラ上に撮像されてよく、像の完全性の損失を最小限にするために、再度画素サイズを整合させる。さらに、SCAPEの像形成は、望ましい完全なX-Y視野よりもサイズがはるかに小さい可能性がある、試料のY-Z投影を捕捉し、X分解能および視野は、ガルボ走査範囲および撮像速度によって決定される。例えば、600×600×200μmが、1マイクロメートルのサンプル密度に対して200×600本の繊維を有する矩形の繊維束によってサンプリングされ得る。そのような撮像繊維束は、広視野にわたる高密度サンプリングを必要とする高忠実度内視鏡用途のために使用される類いのものと比較して、非常に手頃である。
【0151】
場合により、上記の実施形態のいずれかにおいて、多色撮像(multi-color imaging)をGRIN SCAPEシステムに追加することにより、複数の細胞型の撮像を可能にする大きな利点が提供される。これは、イメージスプリッティング、スペクトル分解、および多重レーザ照射のための戦略を組み込むことができる。赤方偏移もしくは近赤外の単光子蛍光色素分子または2光子励起を利用することにより、GRINレンズの遠位先端における組織のより深い撮像、したがってより大きなニューロン集団のより深い撮像を可能にすることができる。しかし、従来のSCAPEシステムと比較して、GRINレンズシステムでは色収差をより慎重に考慮することが重要であり得ることに、留意されたい。
【0152】
GRINの具体的な改善点には、以下が含まれる。(a)GRINレンズは、全て、像面湾曲を含む収差を導入する。(b)方法は、事後解析(画像体積と物体体積との間の3D歪みの幾何学的特性を判定した後)として、ソフトウェアにおいてこの湾曲を補正するために使用され得る。これは、一様な3D幻像を利用し得る。または、所定の位置にGRINレンズを伴う、および伴わない、同じ構造の形状の撮像。(c)歪みはまた、適用されて戻ってくる波面を変化させるために、空間光変調器またはDMDを使用することなどにより、ハードウェアにおいて補正され得る。これは、分解能および撮像の一様性を大いに高めることができるが、走査シートとの調整のために補正が必要とされ得る。
【0153】
本明細書において説明されるGRINシステムは、小型カメラおよび照明器をGRINレンズに対して繰り返し位置合わせするための方法を組み込むことができる。これらは、3D印刷されてよく、確実な再位置決めのための磁石を含むことができる。GRINレンズは、脳に埋め込まれて、頭蓋骨に固定され得る。回復後、位置合わせを確実にするために画像をチェックしながら、基礎となるマウントが頭蓋骨上に接着され得る。次いで、撮像部が取り外され、GRINレンズを保護するためにカバーが使用される。類似の手法が、本発明者らの卓上GRINレンズシステムの下でのマウスの位置合わせをより繰り返し可能かつ確実なものにするために使用され得る。SCAPEシステムに位置合わせされるトッププレートが、所定の位置に固定され、かつ、既存の頭蓋骨ベースのハードウェアに適合され得る。固定のために、動物は、SCAPE固定マウント内にクリップ留めされ得る。場合により、頭蓋骨に取り付けられるバーを介したマウスの2次固定が、撮像中のモーションアーチファクトを最小限に抑えるために使用され得る。
【0154】
頭部固定GRIN-SCAPEの実施形態は、a)既存のGRINインプラント(例えば、Inscopixおよび小型カメラに適合するインプラント)により、覚醒し行動しているマウスを撮像すること、b)幻像において性能を確立し、また、同じマウスにおけるモダリティ間のデータを比較することにより、細胞特異的な活動パターン抽出を検証すること、ならびに、c)同時GRIN-SCAPE+全皮質広視野マルチGRIN撮像および平行光遺伝的操作への拡張を探ることが可能である。
【0155】
多色細胞型記録は、a)GRIN-SCAPEを様々な細胞型(星状膠細胞、介在ニューロン、ニューロン、小膠細胞、ニューロン亜集団)における機能的指標の多スペクトル記録に拡張すること、ならびに、b)行動中の活動パターンの細胞型特異性抽出のための標識化戦略およびアルゴリズムを確証することが可能である。
【0156】
脳全体にわたる細胞型の多様性の認識が高まるにつれて、本明細書において説明される実施形態は、興奮性ニューロンだけを撮像することを超えて、多くのセル型(例えば、抑制性ニューロンおよび星状膠細胞)間の動的相互作用を同時に捕捉ために使用され得る。それらの相互作用を捕捉するために、細胞の(単にそれらの細胞体だけではなく)全体の活動を観察するのに十分な高速度および3D分解能による多スペクトル標識化および撮像が、有用である。行動している動物における哺乳類の脳の任意の領域において複数の細胞型における完全に3Dの活動を高速度で分解する組み合わせられた能力は、脳の回路および行動中の細胞型の機能的役割についての我々の理解を変える可能性がある。
【0157】
GRIN-SCAPEは、覚醒し行動している哺乳類の脳の任意の場所における高忠実度で完全に3Dのリアルタイム動的記録(例えば、10VPS超において600×600×250μm)を提供し得る。
【0158】
本明細書において説明されるGRIN-SCAPE実施形態は、埋込み型GRINレンズの先端において、高速度で完全3Dの光学的に区分された画像を提供する。この特徴は、細胞のより大きな集団の同時記録を可能にし、GRINレンズの精密な配置をそれほど必要とせず、かつ、GRINの挿入による潜在的損傷の領域からさらに離れた撮像を可能にする。各細胞の3D座標が知られ、その同一性を明確に定めて、同じ細胞の活動の(必要に応じて、点走査2光子を使用する構造的な検証を伴う)セッションからセッションへのトラッキングを可能にする。分解能および同時多スペクトル取得を最適化することにより、単一の細胞にわたる全3D活動ならびに/または3D体積内の細胞間および細胞型間の複雑な動的相互作用の分析を可能にすることにより、既存の技法を使用して尋ねられ得る質問の種類を増加させるであろう。GRIN-SCAPEと、細胞活動の様々な変色指示薬により特定の細胞型を標識することができる方法とを対にすることにより、リアルタイムでの行動における複数の細胞型間の局所的相互作用を捕捉することが可能になる。
【0159】
ヘッドマウントカメラベースの撮像とのGRIN-SCAPE-1の適合性は、自由に動いているときの行動および表象と頭部が固定されているときの行動および表象との比較を可能にし得る。GRIN-SCAPE-mesoシステムの多目的な形態はまた、脳全体にわたる回路を評価するために一度に複数の脳領域からの撮像を組み合わせる、創意に富んだ実験を可能にし得る(例えば、自発運動との関連における線条体の同時細胞撮像を伴う、感覚皮質および運動皮質の全皮質広視野撮像)。このシステムはまた、パターン化された皮質の活性化および不活性化、撮像中の深部脳領域のGRINベースの露出、および、GRIN-SCAPEボリュメトリック撮像中のホログラフィックの単一細胞光遺伝的活性化またはサイレンシングを含む、様々な光遺伝的操作に適合するはずである。GRIN-SCAPEは、マウスの他に、弱電気魚、ベタ、および成体サンショウウオの脳におけるGCaMPコントラストに有用である。
【0160】
本発明は特定の実施形態に関連して開示されたが、添付の特許請求の範囲において定められる本発明の領分および範囲から逸脱することなしに、説明された実施形態に対する多数の修正、改変、および変更が可能である。したがって、本発明は説明された実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲の文言によって定められる全範囲およびその均等物を有することが、意図されている。
【符号の説明】
【0161】
8 GRINレンズ
10 第1の光学素子、第1の対物レンズ
12 第1の光学素子、第1のテレスコープ
14 第1の光学素子、第1のテレスコープ
20 第2の光学素子、第2の対物レンズ
22 第2の光学素子、第2のテレスコープ
24 第2の光学素子、第2のテレスコープ
30 第3の対物レンズ、浸漬対物レンズ
32 光学インターフェース
40 カメラ
42 イメージスプリッタ
50 走査素子
60 光源
72 光学素子、プルーセルレンズ
74 光学素子、円柱レンズ
76 光学素子、円柱レンズ
80 光学素子、小ミラー
81 第1のビームスプリッタ
82 第2のビームスプリッタ
85 第2の光源
90 流体チャンバ
91 ブロブ、第1の固体塊
92 液体ポリマー、第2の量のUV硬化性ポリマー
95 高平坦性ミラー
100 広視野カメラ
110 第1の光学素子、第1の対物レンズ、GRIN対物レンズ
112 第1の光学素子
114 第1の光学素子、レンズ
120 第2の光学素子、第2の対物レンズ
122 第2の光学素子
124 第2の光学素子、レンズ
130 光学繊維の束
150 走査素子
171 円柱/パウエルレンズ
172 円柱/パウエルレンズ
174 円柱/パウエルレンズ
176 円柱/パウエルレンズ
200 光学素子
202 光学素子
204 光学素子
205 光ファイバテーパ、テーパ、テーパ付けされた光学繊維の束
206 光学素子
208 光学素子
210 光学素子、水等価ポリマースペーサ、ポリマースペーサ
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図5f
図5g-1】
図5g-2】
図6
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図7b
図7c
図7d
図7e
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図7g
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図7i
図8
図9a
図9b
図10
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図20
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図25
図26
図27A
図27B
図28
【国際調査報告】