IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスケーシーコーロンピーアイ・インコーポレイテッドの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】黒ワニス及びそれを含むフィルム
(51)【国際特許分類】
   C08L 79/08 20060101AFI20240426BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20240426BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20240426BHJP
   C09D 7/40 20180101ALI20240426BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20240426BHJP
   C09D 179/04 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
C08L79/08
C08K3/013
C08G73/10
C09D7/40
C09D7/65
C09D179/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571363
(86)(22)【出願日】2022-05-17
(85)【翻訳文提出日】2023-11-16
(86)【国際出願番号】 KR2022007052
(87)【国際公開番号】W WO2022245105
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】10-2021-0063508
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0060178
(32)【優先日】2022-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520160738
【氏名又は名称】ピーアイ・アドバンスド・マテリアルズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ギョン・ヒョン・ロ
(72)【発明者】
【氏名】イク・サン・イ
【テーマコード(参考)】
4J002
4J038
4J043
【Fターム(参考)】
4J002CM041
4J002CM042
4J002DA036
4J002FA082
4J002FD030
4J002FD096
4J002FD160
4J002GH01
4J002GN00
4J038DJ021
4J038DJ022
4J038HA026
4J038MA07
4J038MA13
4J038NA01
4J038NA21
4J038PA19
4J038PB08
4J038PB09
4J038PC08
4J043PA02
4J043QC02
4J043SA06
4J043SB01
4J043TA22
4J043TB01
4J043UA122
4J043UA131
4J043UB121
4J043VA041
4J043XA16
4J043ZA12
4J043ZA32
4J043ZA46
4J043ZB03
(57)【要約】
本出願は、熱硬化によりイミド化が行われるポリイミド前駆体であり、ポリイミドの絶縁性、密着性、耐熱性、機械的強度、耐光性を具現する黒ワニス、これを含むフィルム、前記フィルムでコーティング処理された車両用装置を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミック酸溶液、ポリイミド粉末及びブラック溶液を含み、硬化後の絶縁破壊電圧(BDV)が1~5kVの範囲内であり、60°光沢度(Gu60°)は1~60の範囲内である、黒ワニス。
【請求項2】
前記ブラック溶液は、黒色顔料及び溶媒を含む、請求項1に記載の黒ワニス。
【請求項3】
固形分総量を基準に前記黒色顔料の含量は、1~20重量%の範囲内である、請求項2に記載の黒ワニス。
【請求項4】
黒色顔料は、ポリアミック酸100重量部に対して0.01~0.1重量部の範囲内で含まれる、請求項2に記載の黒ワニス。
【請求項5】
前記ブラック溶液は、黒色顔料100重量部に対して0.1~1重量部の分散剤をさらに含む、請求項2に記載の黒ワニス。
【請求項6】
前記ブラック溶液は、黒色顔料100重量部に対して0.1~1.5重量部の安定剤をさらに含む、請求項2に記載の黒ワニス。
【請求項7】
黒色顔料とポリイミド粉末の粒径比率は、1:0.5~1:3の範囲内である、請求項2に記載の黒ワニス。
【請求項8】
固形分総量を基準にポリアミック酸が5~30重量%の範囲内である、請求項1に記載の黒ワニス。
【請求項9】
ポリアミック酸100重量部に対してポリイミド粉末の含量は、1~30重量部である、請求項1に記載の黒ワニス。
【請求項10】
30℃の温度及び1s-1のせん断速度条件で測定した粘度が1,000~50,000cpの範囲内である、請求項1に記載の黒ワニス。
【請求項11】
請求項1に記載の黒ワニスの硬化物を含むフィルム。
【請求項12】
厚さは1~100μmの範囲内である、請求項11に記載のフィルム。
【請求項13】
UTM(Universal Testing Machine)装置を用いて測定した伸びは10%~60%の範囲内であり、引張強度は150MPa以下であり、弾性率は10GPa以下である、請求項11に記載のフィルム。
【請求項14】
TMA(Thermo Mechanical Analysis)装置を用いて測定した熱膨張係数(CTE)は5ppm/℃~50ppm/℃の範囲内である、請求項11に記載のフィルム。
【請求項15】
DMA(Dynamic mechanical analysis)装置を用いて測定したガラス転移温度は200~500℃の範囲内である、請求項11に記載のフィルム。
【請求項16】
TGA(Thermo Gravimetric analysis)装置を用いて測定した1%熱分解温度(td)は、300~500℃の範囲内であり、5%の熱分解温度は450~600℃の範囲内である、請求項11に記載のフィルム。
【請求項17】
ASTM D150によって測定された誘電率(Dk)は1~5の範囲内であり、誘電損失率(Df)は0.0001~0.1の範囲内である、請求項11に記載のフィルム。
【請求項18】
請求項11に記載のフィルムでコーティング処理された車両用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、黒ワニス、それを含むフィルム及び前記フィルムでコーティング処理された車両用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両用カメラの発達とともに、カメラの曇り止め及び耐久性向上のためのコーティング材料が研究及び開発されている。このようなコーティング材料には、優れた絶縁性、密着性、耐熱性、耐光性、及び機械的強度などが求められている。
【0003】
コーティング材料に使用可能な樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、またはポリエステルイミド樹脂などが挙げられる。
【0004】
これらのうち、特にポリイミド樹脂は、耐熱性及び絶縁性に優れており、コーティング材料として使用するのに優れた性質を持っている。
【0005】
ここで、ポリイミド樹脂とは、芳香族二無水物と芳香族ジアミンまたは芳香族ジイソシアネートを溶液重合してポリアミック酸誘導体を製造した後、高温で閉環脱水させてイミド化して製造される高耐熱樹脂をいう。
【0006】
このようなポリイミド樹脂を使用してコーティングする方法としては、例えば、コーティング対象にポリイミド樹脂の前駆体であるポリイミドワニスを塗布し、その後、所定の温度で熱処理が可能な硬化炉内で前記ポリイミドワニスをイミド化させる方法を使用してもよい。
【0007】
一方、車両用カメラのように光のにじみや屈折が装置に影響を与える装置の場合、コーティング材料として必ず光に対する耐久性、すなわち、優れた耐光性を持たなければならない。
【0008】
しかし、ポリイミド樹脂は耐光性に乏しく、車両用カメラのような耐光性が要求される特定の装置での使用が制限されているのが実状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本出願は、熱硬化によりイミド化が行われるポリイミド前駆体であり、ポリイミドの絶縁性、密着性、耐熱性、機械的強度、及び耐光性を具現する黒ワニスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書で言及する物性のうち、測定温度が当該物性に影響を及ぼす場合に特に規定しない限り、前記物性は常温で測定した物性である。
【0011】
本明細書で用語の常温とは、特に加温及び減温されていない状態での温度で、約10℃~30℃の範囲内のいずれかの温度、例えば、約15℃以上、18℃以上、20℃以上または約23℃以上でありながら、約27℃以下の温度を意味する。また、特に規定しない限り、本明細書で言及する温度の単位は、摂氏温度である。
【0012】
本明細書で言及する物性のうち、測定圧力が当該物性に影響を及ぼす場合に特に規定しない限り、前記物性は、常圧で測定した物性である。
【0013】
本明細書で用語の常圧とは、特に加圧及び減圧されていない状態での圧力で、通常、大気圧レベルである約1気圧程度の圧力を意味する。
【0014】
本明細書で言及する物性のうち、測定湿度が当該物性に影響を及ぼす場合に特に規定しない限り、前記物性は、前記常温及び常圧状態での自然そのままの湿度で測定した物性である。
【0015】
本出願は黒ワニスに関する。例えば、前記黒ワニスは熱硬化によりイミド化が行われるポリイミド前駆体であり、ポリイミドの絶縁性、密着性、耐熱性、機械的強度、及び耐光性を具現でき、車両用カメラコーティング材料として使用可能である。
【0016】
例示的な本出願による黒ワニスは、ポリアミック酸溶液、ポリイミド粉末及びブラック溶液を含み、硬化後の絶縁破壊電圧(以下、BDVという)が1~5kVの範囲内であり、60°光沢度(Gu(60°))は、1~60の範囲内である。例えば、前記BDVの下限は、1.5kV以上、2kV以上、2.5kV以上、3kV以上、3.5kV以上または4.0kV以上であってもよく、下限は、4.9kV以下、4.7kV以下、または4.5kV以下であってもよい。そして、前記60°光沢度の上限は、59以下、58以下、55以下、52以下、50以下、48以下、45以下、40以下、35以下、30以下または28以下であってもよい。例えば、前記60°光沢度の下限は、5以上、10以上、15以上、20以上、または25以上であってもよい。
【0017】
前記黒ワニスは、ポリアミック酸溶液、ポリイミド粉末及びブラック溶液を含むことにより、硬化後の耐光性、耐熱性、絶縁性、密着性及び高温での機械的特性を同時に満たすことができるポリイミドを提供しうる。また、本出願の黒ワニスは、硬化条件やコーティング時、線速や方法を通じてマイクロバブルを形成することができ、これにより誘電特性を低くして低誘電エナメル分野に適用可能である。特に、本出願の黒ワニスはブラック系の色を示し、製品適用時に光のにじみや屈折に影響を与えない優れた耐光性を具現する。
【0018】
前記絶縁破壊電圧(BDV)は、当業界の公知の方法で測定されてもよい。一例において、前記絶縁破壊電圧は、次のように測定してもよい。前記黒ワニスをフィルム状の試片として作製し、100℃以下のオーブンでフィルムの水分をすべて除去する。その後、試片を適正サイズ(Size)に切り出した後、絶縁破壊測定器(Automated Test Set for Insulating Materials,ASTM D149規格に適した装置、PHENIX TECHNOLOGIES 6CCE50-5)を活用する。試片を試料台に載置した後、電圧を0から一定の速度で増加させ、絶縁体の限界絶縁耐力を測定した。
【0019】
また、前記60°光沢度(Gu(60°))は、ASTM D523に準じて光沢度測定器(Gloss Meter PG-II/IIM(NIPPON DENSHOKU社)を用いて測定したものであってもよい。
【0020】
一例において、前記ポリアミック酸溶液は、少なくとも1種の二無水物モノマー及び少なくとも1種のジアミンモノマーを重合単位として含んでもよい。
【0021】
例えば、ポリアミック酸溶液の製造に使用可能な二無水物モノマーは、芳香族テトラカルボン酸二無水物であってもよく、前記芳香族テトラカルボン酸二無水物は、ピロメリト酸二無水物(またはPMDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(またはBPDA)、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(またはa-BPDA)、オキシジフタル酸二無水物(またはODPA)、ジフェニルスルホン-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物(またはDSDA)、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,3,3’,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(またはBTDA)、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、p-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p-ビフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、m-テルフェニル-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物、p-テルフェニル-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ビフェニル二無水物、2,2-ビス〔(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物(BPADA)、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、または4,4’-(2,2-ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物などが挙げられる。
【0022】
前記二無水物モノマーは、必要に応じて、単独または2種以上を組み合わせて用いることができるが、例えば、ピロメリト酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s-BPDA)または2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a-BPDA)を含んでもよい。
【0023】
また、ポリアミック酸溶液の製造に使用可能なジアミンモノマーは芳香族ジアミンで、以下のように分類して例を挙げることができる。
【0024】
1)1,4-ジアミノベンゼン(またはパラフェニレンジアミン、PDA)、1,3-ジアミノベンゼン、2,4-ジアミノトルエン、2,6-ジアミノトルエン、または3,5-ジアミノ安息香酸(またはDABA)などのように、構造上、ベンゼン核を1つ有するジアミンであって、相対的に剛直な構造のジアミン、
【0025】
2)4,4’-ジアミノジフェニルメタン(メチレンジアミン)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジカルボキシ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、ビス(4-アミノフェニル)スルフィド、4,4’-ジアミノベンズアニリド、3,3’-ジクロロベンジジン、3,3’-ジメチルベンジジン(またはo-トリジン)、2,2’-ジメチルベンジジン(またはm-トリジン)、3,3’-ジメトキシベンジジン、2,2’-ジメトキシベンジジン、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(またはオキシジアニリン,ODA)、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’-ジアミノジフェニルスルホキシド、または4,4’-ジアミノジフェニルスルホキシドなどのように、構造上、ベンゼン核を2つ有するジアミン、
【0026】
3)1,3-ビス(3-アミノフェニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェニル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノ)フェニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(またはTPE-Q)、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(またはTPE-Q)、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)-4-トリフルオロメチルベンゼン、3,3’-ジアミノ-4-(4-フェニル)フェノキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジ(4-フェニルフェノキシ)ベンゾフェノン,1,3-ビス(3-アミノフェニルスルフィド)ベンゼン,1,3-ビス(4-アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,3-ビス〔2-(4-アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼン、1,4-ビス〔2-(3-アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼン、または1,4-ビス〔2-(4-アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼンなどのように、構造上ベンゼン核を3つ有するジアミン、
【0027】
4)3,3’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、3,3’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、2,2-ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(BAPP)、2,2-ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3、3,3-ヘキサフルオロプロパン、または2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパンなどのように、構造上、ベンゼン核を4つ有するジアミン。
【0028】
前記ジアミンモノマーは、必要に応じて、単独または2種以上を組み合わせて使用してもよく、本出願は、前述した結合解離エネルギーを考慮し、例えば、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(またはオキシジアニリン,ODA)、1,4-ジアミノベンゼン(PPD)、1,3-ジアミノベンゼン(MPD)、2,4-ジアミノトルエン、2,6-ジアミノトルエンまたは4,4’-メチレンジアミン(MDA)を含んでもよい。
【0029】
一具体例において、前記黒ワニスは全重量を基準に固形分を5~40重量%、10~30重量%、15~20重量%含んでもよい。本出願は、黒ワニスの固形分含量を調節することにより、粘度上昇を制御しながら硬化過程で大量の溶媒を除去しなければならない製造コストと工程時間の増加を防止しうる。
【0030】
一具体例において、本出願のポリアミック酸は、重量平均分子量が10,000~100,000g/mol、15,000~80,000g/mol、18,000~70,000g/mol、20,000~60,000g/mol、25,000~55,000g/molまたは30,000~50,000g/molの範囲内であってもよい。本出願において用語の重量平均分子量とは、GPC(Gel permeation Chromatograph)で測定した標準ポリスチレンに対する換算数値を意味する。
【0031】
本出願は、前記ポリアミック酸溶液は、有機溶媒を含んでもよい。前記有機溶媒は、ポリアミック酸が溶解できる有機溶媒であれば特に限定されないが、一例として、非プロトン性極性溶媒(aprotic polar solvent)であってもよい。
【0032】
前記非プロトン性極性溶媒は、例えば、N,N’-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N’-ジエチルホルムアミド(DEF)、N,N’-ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルプロパンアミド(DMPA)などのアミド系溶媒、p-クロロフェノール、o-クロロフェノールなどのフェノール系溶媒、N-メチル-ピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン(GBL)及びジグリム(Diglyme)などが挙げられ、これらは単独で、または2種以上組み合わせて使用されてもよい。
【0033】
本出願は、必要に応じてトルエン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、水などの補助溶媒を使用してポリアミック酸の溶解度を調節してもよい。
【0034】
一例において、前記有機溶媒は、例えば、N,N’-ジメチルアセトアミド(DMAc)、またはN-メチル-ピロリドン(NMP)であってもよい。
【0035】
前記ポリイミド粉末は固相のポリイミドであり、硬化後、溶液に溶解するのではなく分散されるため、ワニスがマットな特性を示すことができる。一般にカーボンブラックなどの伝導性物質が添加されたワニスは、BDV値の具現が難しいが、前記ポリイミド粉末が添加される場合、マットな特性を示し、BDV値の具現が可能である。一方、前記ポリイミド粉末は、固相として含量が増加または減少してもワニス物性に大きな影響を与えないことがある。
【0036】
前記ブラック溶液の組成及び含量を通じて、前述した数値範囲内でGu(60°)値の調節が可能である。前記Gu(60°)は光沢度を示す指標であり、光沢度測定器を用いた当業界の公知の方法で測定されてもよい。
【0037】
一具体例において、前記ブラック溶液は黒色顔料及び溶媒を含んでもよい。前記黒色顔料は、ブラック系であれば特に制限はなく、無機顔料や有機顔料が制限なく使用されてもよい。
【0038】
例えば、前記無機顔料は、カーボンブラック、四酸化三鉄、黒酸化チタン、銅マンガンブラック、銅クロムブラックまたはコバルトブラックなどが挙げられ、これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上の混合物として使用してもよい。
【0039】
前記有機顔料は、シアニンブラック、アニリンブラック、フタロシアニン誘導体、ポピリン誘導体及びトリフェニルアミン誘導体などが挙げられ、これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上の混合物として使用してもよい。
【0040】
また、赤色、青色、緑色、黄色などの顔料を混合して黒色とした顔料混合物も黒色顔料に含まれる。また、黒色顔料は、本発明の効果を阻害しない範囲内で、他の顔料や染料などの着色剤を併用してもよい。
【0041】
前記溶媒は有機溶媒であってもよい。前記有機溶媒は、黒色顔料が溶解できる有機溶媒であれば特に限定されないが、一例として非プロトン性極性溶媒(aprotic polarsolvent)であってもよい。
【0042】
前記非プロトン性極性溶媒は、例えば、N,N’-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N’-ジエチルホルムアミド(DEF)、N,N’-ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルプロパンアミド(DMPA)などのアミド系溶媒、p-クロロフェノール、o-クロロフェノールなどのフェノール系溶媒、N-メチル-ピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン(GBL)及びジグリム(Diglyme)などが挙げられ、これらは単独で、または2種以上組み合わせて使用されてもよい。
【0043】
前記ブラック溶液は、分散剤、安定剤及び離型剤のうち少なくとも1つをさらに含んでもよい。前記分散剤、安定剤及び離型剤は、黒色顔料と相溶性の問題がなければ、その種類は特に制限されるものではない。例えば、前記分散剤として公知の各種の界面活性剤などを使用してもよく、前記安定剤として公知の多様な塗料、インキ、接着剤用樹脂などを使用してもよく、前記離型剤として公知の多様なレベリング剤、ポリエーテル系シロキサン複合体などを使用してもよい。
【0044】
例えば、本出願は、固形分の総量を基準に前記黒色顔料の含量が1~20重量%の範囲内であってもよく、例えば、1~15重量%、1~10重量%の範囲内であってもよい。他の例として、ポリアミック酸100重量部に対して黒色顔料の含量は、0.01~0.1または0.05~0.1重量部であってもよい。本出願は、前記黒色顔料の含量を前記範囲内に調節することにより、ワニスの優れた耐光性及び電気的特性を具現しうる。
【0045】
他の一例において、前記ブラック溶液は、黒色顔料100重量部に対して0.1~1重量部、0.1~0.8、0.1~0.6、0.1~0.5、0.2~1、0.3~0.8または0.4~0.6重量部の分散剤をさらに含んでもよい。また、前記ブラック溶液は、固形分の総量を基準に0.1~1.5、0.2~1.4、0.3~1.3、0.4~1.2または0.5~1.0重量部の安定剤をさらに含んでもよい。本出願は、所望の粘度及び分散性を考慮し、分散剤及び安定剤の含量を前記範囲内で適宜選んでもよい。
【0046】
本出願は、さらに所望の分散性及びフィルムの均一な表面(粗さ)のために、黒色顔料及びポリイミド粉末の粒径比率及びそれぞれの粒径を後述する範囲内に調節してもよい。
【0047】
一例において、本出願は、黒色顔料とポリイミド粉末の粒径比率が1:0.5~1:3、1:0.5~1:2.5、1:0.5~1:2、1:0.5~1:1.5、1:0.7~1:3、1:0.7~1:2.5、1:0.7~1:2、1:0.7~1:1.5、1:1~1:3、1:1~1:2.5、または1:1~1:2の範囲内であってもよい。他の例において、前記黒色顔料の平均粒度D50は、1~30μm、1~25μm、1~20μm、1~15μm、または1~10μmの範囲内であってもよい。また、ポリイミド粉末の平均粒度(D50)は、1~30μm、1~25μmまたは1~20μmの範囲内であってもよい。ここで、平均粒度D50は、累積体積分布において累積体積百分率が50%に相当する粒径を意味する。
【0048】
本出願は、固形分の総量を基準にポリアミック酸が5~30重量%、5~25重量%、5~20重量%、10~20重量%、または15~20重量%の範囲内であってもよい。
【0049】
他の一例において、ポリアミック酸100重量部に対してポリイミド粉末の含量は、1~30重量部、1~25重量部、1~20重量部、5~25重量部、または5~20重量部の範囲内であってもよい。前記ポリイミドを構成するモノマーは、例えば、前述したポリアミック酸に含まれるモノマーの例示と同じであってもよい。例えば、前記ポリイミド粉末は、ジアミンモノマー及び二無水物モノマーを含んでもよく、その例示は前述の通りである。
【0050】
本出願の黒ワニスは、低粘度特性を有してもよい。本出願の黒ワニスは、30℃の温度及び1s-1のせん断速度条件で測定した粘度が50,000cP、40,000cP、30,000cP、20,000cP、10,000cP以下、9,000cP以下であってもよい。その下限は特に限定されないが、500cP以上または1000cP以上でもよい。前記粘度は、例えば、Haake社のRheostress 600を使用して測定したものであってもよく、1/sのせん断速度、33℃温度及び1mmプレートギャップ条件で測定したものであってもよい。本出願は、前記粘度範囲を調節することにより、優れた工程性及び製品適用が容易なワニスを提供しうる。
【0051】
本出願は、さらに前述した黒ワニスの硬化物を含むフィルムに関する。前記フィルムは、車両用装置のコーティングに適用されてもよい。
【0052】
したがって、前記フィルムの厚さは、製品をコーティングするのに適した薄い厚さで形成されてもよく、例えば、前記厚さは、1~100μm、5~90μm、5~80μm、5~70μm、10~100μm、10~90μm、10~80μm、10~70μm、10~60μm、10~50μm、20~100μm、20~90μm、20~80μm、または20~70μm、20~60μm、または20~50μmの範囲内であってもよい。
【0053】
また、前記フィルムは、前述した黒ワニス組成の材料及び含量比率の調節を通じて、以下のような数値範囲で多様な物性制御が可能である。
【0054】
例えば、前記コーティングフィルムは、UTM(Universal Testing Machine)装置を用いて測定した伸びは10%~60%の範囲内であってもよい。例えば、前記伸びは55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下または20%以下であってもよく、上限は11%以上、12%以上、13%以上、14%以上、15%以上であってもよい。前記コーティングフィルムは、UTM(Universal Testing Machine)装置を用いて測定した引張強度は、150MPa以下、145MPa以下、140MPa以下、135MPa以下または130MPa以下であってもよい。前記コーティングフィルムは、UTM(Universal Testing Machine)装置を用いて測定したモジュラスは、10GPa以下、9GPa以下、8GPa以下、7GPa以下、6GPa以下、5GPa以下、4GPa以下または3GPa以下であってもよい。前記伸び、引張強度及び弾性率のそれぞれの測定は、幅20mm、グリップ距離50mm及びクロスヘッドスピード20min/minの条件でUTM装置で測定されてもよい。
【0055】
また、前記フィルムは、TMA(Thermo Mechanical Analysis)装置を用いて測定した熱膨張係数(CTE)が5ppm/℃~50ppm/℃、10ppm/℃~45ppm/℃、15ppm/℃~40ppm/℃、20ppm/℃~40ppm/℃、25ppm/℃~40ppm/℃または25ppm/℃~35ppm/℃の範囲内であってもよい。前記測定は、10℃/minの昇温速度で50~200℃の温度範囲でTMA装置を用いて0.02Nの荷重を加えながら測定されてもよい。
【0056】
前記フィルムは、DMA(Dynamic mechanical analysis)装置を用いて測定したガラス転移温度が200~500℃、250~450℃、300~400℃または350~400℃の範囲内であってもよい。前記測定は、5℃/minの昇温速度でDMA装置を使用して測定されてもよい。
【0057】
そして、前記フィルムは、TGA(Thermo Gravimetric analysis)装置を用いて測定した1%熱分解温度(td)は、300~500℃、350~500℃、400~500℃または450~500℃の範囲内であり、5%熱分解温度は、450~600℃、450~550℃または450~500℃の範囲内であってもよい。前記測定は150℃の温度で予熱し、30分間10℃/minの昇温速度でTGA装置を用いて測定されてもよい。
【0058】
また、前記フィルムは、ASTM D150によって測定された誘電率(Dk)が1~5、1~4.5、1.5~4.5、2~4、2.5~4、3~4または3.5~4の範囲内であり、誘電損失率(Df)は、0.0001~0.1、0.001~0.1、0.005~0.1、0.01~0.1または0.015~0.1の範囲内であってもよい。
【0059】
本出願は、さらに前述したフィルムでコーティング処理された車両用装置に関する。例えば、前記装置は、表面に前述したフィルムでコーティング処理された車両用カメラであってもよいが、これに制限されず、車両用センサ及びレンズモジュールなど様々な装置であってもよい。前記車両用装置は、前述したフィルムでコーティング処理されることにより、耐熱性、耐光性及び電気的特性に優れている。
【発明の効果】
【0060】
本出願は、低誘電率と耐光性、耐熱性、絶縁性及び高温などの過酷な条件での機械的特性を同時に具現できる黒ワニス、これを含むフィルム、前記フィルムでコーティング処理された車両用装置を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、実施例を通じて本出願を具体的に説明するが、本出願の範囲が下記実施例によって制限されるものではない。
【0062】
実施例1
ポリアミック酸溶液の製造
オキシジアニリン(ODA)100重量部及びピロメリト酸二無水物(PMDA)100重量部を重合反応させてポリアミック酸を製造した。前記製造されたポリアミック酸20重量部とN,N’-ジメチルアセトアミド(DMAc)80重量部とを混合してポリアミック酸溶液を製造し、製造されたポリアミック酸溶液の固形分は、全溶液の総量を基準に15重量%であった。
【0063】
ブラック溶液の製造
カーボンブラック(Austin Black D50 3μm)18重量部とN,N’-ジメチルアセトアミド(DMAc)83重量部を混合してブラック溶液を製造した。
【0064】
そして、前記混合時、分散剤としてBYK L9540を0.075重量部添加し、安定剤及び離型剤としてBYK-333を0.075重量部添加した。
【0065】
黒ワニスの製造
前記で製造したポリアミック酸溶液及びブラック溶液とポリイミド粉末(D50 3μm)を混合して黒ワニスを製造した。前記ポリイミド粉末は、オキシジアニリン(ODA)と二無水物(PMDA)を公知の方法を用いてポリイミドに製造した後、溶媒置換、乾燥過程、及びミーリング過程を経て製造した。
【0066】
前記ブラック溶液は、固形分(固形分の総量と同じ)を基準にカーボンブラックの含量が5重量%となるように添加し、前記ポリイミド粉末はポリアミック酸100重量部に対して10重量部で添加した。
【0067】
前記黒ワニス内のポリアミック酸は、固形分の総量を基準に15重量%であった。
【0068】
フィルムの製造
前記黒ワニスを100℃で20分、150℃で20分、200℃で20分、300℃で20分、350℃で20分、110℃で60分間順次硬化させ、厚さ30μmのフィルムを製造した。
【0069】
実施例2
オキシジアニリン(ODA)75重量部、1,4-ジアミノベンゼン(PPD)25重量部及びピロメリト酸二無水物(PMDA)100重量部を重合反応させてポリイミドを製造したことを除いて、実施例1と同様の方法でフィルムを製造した。
【0070】
実施例3
オキシジアニリン(ODA)50重量部、1,4-ジアミノベンゼン(PPD)50重量部及びピロメリト酸二無水物(PMDA)100重量部を重合反応させてポリイミドを製造したことを除いて、実施例1と同様の方法でフィルムを製造した。
【0071】
実施例4
1,4-ジアミノベンゼン(PPD)100重量部及びピロメリト酸二無水物(PMDA)100重量部を重合反応させてポリイミドを製造したことを除いて、実施例1と同様の方法でフィルムを製造した。
【0072】
比較例1
ブラック溶液を固形分を基準にカーボンブラックの含量が25重量%となるように添加し、ポリイミド粉末はポリアミック酸100重量部に対して35重量部で添加したことを除いて、実施例1と同様の方法で黒ワニスを製造した。
【0073】
比較例2
ブラック溶液を固形分を基準にカーボンブラックの含量が0.5重量%となるように添加し、ポリイミド粉末はポリアミック酸100重量部に対して0.5重量部で添加したことを除いて、実施例1と同様の方法で黒ワニスを製造した。
【0074】
1.光沢度の測定
実施例で製造されたフィルムの60°光沢度は、ASTM D523によって測定し、光沢度測定器(Gloss Meter PG-II/IIM(NIPPON DENSHOKU社)を用いた。
【0075】
2.BDV値の測定
実施例で製造した黒ワニスをフィルム状の試片に作製し、100℃以下のオーブンでフィルムの水分をすべて除去する。その後、試片を適正サイズ(Size)に切り出した後、絶縁破壊測定器(Automated Testset for Insulating Materials,ASTM D149規格に適した装備、PHENIX TECHNOLOGIES 6CCE50-5)を活用する。試片を試料台に載置した後、電圧を0から一定の速度で増加させ、絶縁体の限界絶縁耐力を測定した。
【0076】
3.伸び、引張強度及びモジュラスの測定
実施例で製造されたフィルムについて、幅20mm、グリップ距離50mm及びクロスヘッドスピード20min/min条件でUTM装置で伸び、引張強度及びモジュラスをそれぞれ測定した。
【0077】
4.ガラス転移温度(Tg)の測定
実施例で製造されたフィルムについて5℃/min昇温速度でDMA装置を用いてガラス転移温度を測定した。
【0078】
前記測定結果を下記表1に示した。
【0079】
【表1】
【国際調査報告】