(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】燃料電池の膜加湿器
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04119 20160101AFI20240426BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20240426BHJP
B01D 53/22 20060101ALI20240426BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20240426BHJP
【FI】
H01M8/04119
H01M8/04 N
B01D53/22
H01M8/10 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571419
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2023-11-16
(86)【国際出願番号】 KR2022009963
(87)【国際公開番号】W WO2023033342
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】10-2021-0115976
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0084025
(32)【優先日】2022-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】キム ドウ
(72)【発明者】
【氏名】アン ナヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム インホ
【テーマコード(参考)】
4D006
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
4D006GA41
4D006HA02
4D006HA91
4D006JA13C
4D006JA25A
4D006JA25C
4D006JA27C
4D006JA30A
4D006JB06
4D006KA64
4D006MA01
4D006MC39
4D006MC54
4D006MC58
4D006MC62
4D006MC63
4D006PA10
4D006PB17
4D006PB65
4D006PC80
5H126BB06
5H127AA06
5H127AB04
5H127BA02
5H127BB02
5H127BB34
5H127EE17
(57)【要約】
追加装備なしにも、車両、船舶、航空機のような移動手段の構造物、または建物の発電機システムに直接設けられ、組み立て便宜性を向上させることができ、多様な顧客のマウンティング要求事項を充足させることができ、製造便宜性を向上させることができる燃料電池の膜加湿器が開示される。開示された燃料電池の膜加湿器は、第1流体と第2流体との水分交換を行い、ミッドケースと、第2流体をミッドケースに流入させる第2流体流入口と、第2流体を外部に排出させる第2流体排出口と、ミッドケース内に配される少なくとも1つのカートリッジと、を含む加湿モジュール;加湿モジュールの両端に形成されるキャップ;及び加湿モジュールに位置可変自在に形成され、加湿モジュールを装着対象構造物に装着させるための位置可変マウント;を含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体と第2流体との水分交換を行い、ミッドケースと、前記第2流体を前記ミッドケースに流入させる第2流体流入口と、前記第2流体を外部に排出させる第2流体排出口と、前記ミッドケース内に配される前記少なくとも1つのカートリッジと、を含む加湿モジュールと、
前記加湿モジュールの両端に形成されるキャップと、
前記加湿モジュールに位置可変自在に形成され、前記加湿モジュールを装着対象構造物に装着させるための位置可変マウントと、を含む、燃料電池の膜加湿器。
【請求項2】
前記位置可変マウントは、
締結手段により、前記ミッドケースの表面に形成された第1締結口と締結される少なくとも1以上の第2締結口が形成されたボディ部と、
前記ボディ部と連結形成され、締結手段により、前記装着対象構造物に装着されるための第3締結口が形成されたヘッド部と、
前記ボディ部の下面に形成され、前記ミッドケースの表面に形成されたリブにスライディング自在に嵌め込まれるスライディング部と、を含む、請求項1に記載の燃料電池の膜加湿器。
【請求項3】
前記締結手段は、螺糸山が形成されたボルトであり、前記第1締結口、第2締結口及び第3締結口には、前記ボルトの螺糸山と対応する螺糸山が形成される、請求項2に記載の燃料電池の膜加湿器。
【請求項4】
前記スライディング部は、前記リブと対応する位置にガイド溝が形成される、請求項2に記載の燃料電池の膜加湿器。
【請求項5】
前記ミッドケースは、
前記ミッドケースの内部空間を第1空間と第2空間とに区画する隔壁と、前記隔壁を貫通し、前記第1空間と前記第2空間とを連結する常時バイパスホールと、を含む、請求項1に記載の燃料電池の膜加湿器。
【請求項6】
前記カートリッジは、
前記第2流体が流入される第1メッシュホール部と、前記第1メッシュホール部を介して流入された第2流体が水分交換された後、外部に排出される第2メッシュホール部と、が形成されたインナーケースを含み、前記第1メッシュホール部と前記第2メッシュホール部は、非対称形状に形成される、請求項1に記載の燃料電池の膜加湿器。
【請求項7】
前記第1メッシュホール部側のメッシュホールウィンドウの総面積が、前記第2メッシュホール部側のメッシュホールウィンドウの総面積より大きいように形成される、請求項6に記載の燃料電池の膜加湿器。
【請求項8】
前記第1メッシュホール部と前記第2メッシュホール部とのメッシュホールウィンドウの大きさが同一である場合、前記第1メッシュホール部をなすメッシュホール個数が、前記第2メッシュホール部をなすメッシュホール個数より多いように形成される、請求項7に記載の燃料電池の膜加湿器。
【請求項9】
前記第1メッシュホール部と前記第2メッシュホール部とのメッシュホールウィンドウの個数が同一である場合、前記第1メッシュホール部をなす個々のメッシュホール面積が、前記第2メッシュホール部をなす個々のメッシュホール面積より大きいように形成される、請求項7に記載の燃料電池の膜加湿器。
【請求項10】
前記装着対象構造物は、
移動手段の構造物、または建物の発電機システムである、請求項1に記載の燃料電池の膜加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池の膜加湿器に係り、さらに具体的には、追加装備なしにも、車両、船舶、航空機のような移動手段の構造物、または建物の発電機システムに直接設けられ、組み立て便宜性を向上させることができ、多様な顧客のマウンティング要求事項を充足させることができ、製造便宜性を向上させることができる燃料電池の膜加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池とは、水素と酸素とを結合させて電気を生産する発電型電池である。該燃料電池は、乾電池や蓄電池のような一般化学電池と異なり、水素と酸素とが供給される限り、続けて電気を生産することができ、熱損失がなく、内燃機関より効率が2倍ほど高いという長所がある。
また、水素と酸素との結合によって生じる化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換するために、公害物質排出が少ない。従って、燃料電池は、環境にやさしいだけではなく、エネルギー消費増大による資源枯渇に対する心配を減らすことができるという長所がある。
そのような燃料電池は、使用される電解質の種類により、大きく見て、高分子電解質型燃料電池(PEMFC:polymer electrolyte membrane fuel cell)、リン酸型燃料電池(PAFC:phosphoric acid fuel cell)、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC:molten carbonate fuel cell、固体酸化物型燃料電池(SOFC:solid oxide fuel cell)及びアルカリ型燃料電池(AFC:alkaline fuel cell)などに分類されうる。
それらそれぞれの燃料電池は、根本的に同一原理によって作動されるが、使用される燃料の種類、運転温度、触媒、電解質などが互いに異なる。そのうち、高分子電解質型燃料電池(PEMFC)は、他の燃料電池に比べ、低温で動作するという点、及び出力密度が高く、小型化が可能であるために、小規模据え置き型発電装備だけではなく、輸送システムにおいても、最も有望であると知られている。
【0003】
高分子電解質型燃料電池(PEMFC)の性能を向上させるにおき、最も重要な要因のうち一つは、膜・電極組立体(MEA:membrane electrode assembly)の高分子電解質膜(PEM:polymer electrolyte membraneまたはproton exchange membrane)に一定量以上の水分を供給することにより、関数率を維持させることである。該高分子電解質膜が乾燥すれば、発電効率が急激に低下されるためである。
高分子電解質膜を加湿する方法として、1)耐圧容器に水をいっぱいにした後、対象気体をして、拡散器(diffuser)を通過させ、水分を供給するバブラ(bubbler)加湿方式、2)燃料電池反応に必要な供給水分量を計算し、ソレノイドバルブを介し、ガス流動管に直接水分を供給する直接噴射(direct injection)方式、及び3)高分子分離膜を利用し、ガス流動層に水分を供給する加湿膜方式などがある。
それらのうちにおいても、排ガス中に含まれる水蒸気だけを選択的に透過させる膜を利用し、水蒸気を、高分子電解質膜に供給される空気に提供することにより、高分子電解質膜を加湿する膜加湿方式が、膜加湿器を軽量化及び小型化させることができるという点において有利である。
膜加湿方式に使用される選択的透過膜は、モジュールを形成する場合、単位体積当たり透過面積が大きい中空糸膜が望ましい。すなわち、該中空糸膜を利用して膜加湿器を製造する場合、接触表面積が広い中空糸膜の高集積化が可能であり、小容量でも、燃料電池の加湿が十分になされ、低価素材の使用が可能であり、燃料電池から高温で排出される排ガス(off-gas)に含まれた水分と熱とを回収し、膜加湿器を介し、再使用することができるという利点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、追加装備なしにも、車両、船舶、航空機のような移動手段の構造物、または建物の発電機システムに直接設けられ、組み立て便宜性を向上させることができ、多様な顧客のマウンティング要求事項を充足させることができ、製造便宜性を向上させることができる燃料電池の膜加湿器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態による、燃料電池の膜加湿器は、
第1流体と第2流体との水分交換を行い、ミッドケースと、前記第2流体を前記ミッドケースに流入させる第2流体流入口と、前記第2流体を外部に排出させる第2流体排出口と、前記ミッドケース内に配される前記少なくとも1つのカートリッジと、を含む加湿モジュール;前記加湿モジュールの両端に形成されるキャップ;及び前記加湿モジュールに位置可変自在に形成され、前記加湿モジュールを装着対象構造物に装着させるための位置可変マウント;を含む。
本発明の実施形態による、燃料電池の膜加湿器において、前記位置可変マウントは、締結手段により、前記ミッドケースの表面に形成された第1締結口と締結される少なくとも1以上の第2締結口が形成されたボディ部と、前記ボディ部と連結形成され、締結手段により、前記装着対象構造物に装着されるための第3締結口が形成されたヘッド部と、前記ボディ部の下面に形成され、前記ミッドケースの表面に形成されたリブにスライディング自在に嵌め込まれるスライディング部と、を含むものでもある。
本発明の実施形態による、燃料電池の膜加湿器において、前記締結手段は、螺糸山が形成されたボルトであり、前記第1締結口、第2締結口及び第3締結口には、前記ボルトの螺糸山と対応する螺糸山が形成されうる。
本発明の実施形態による、燃料電池の膜加湿器において、前記スライディング部は、前記リブと対応する位置にガイド溝が形成されうる。
本発明の実施形態による、燃料電池の膜加湿器において、前記ミッドケースは、前記ミッドケースの内部空間を第1空間と第2空間に区画する隔壁と、前記隔壁を貫通し、前記第1空間と前記第2空間とを連結する常時バイパスホールを含むものでもある。
本発明の実施形態による、燃料電池の膜加湿器において、前記カートリッジは、前記第2流体が流入される第1メッシュホール部と、前記第1メッシュホール部を介して流入された第2流体が水分交換された後、外部に排出される第2メッシュホール部と、が形成されたインナーケースを含み、前記第1メッシュホール部と前記第2メッシュホール部は、非対称形状に形成されうる。
【0006】
本発明の実施形態による、燃料電池の膜加湿器において、前記第1メッシュホール部側のメッシュホールウィンドウの総面積が、前記第2メッシュホール部側のメッシュホールウィンドウの総面積より大きいように形成されうる。
本発明の実施形態による、燃料電池の膜加湿器において、前記第1メッシュホール部と前記第2メッシュホール部とのメッシュホールウィンドウの大きさが同一である場合、前記第1メッシュホール部をなすメッシュホール個数が、前記第2メッシュホール部をなすメッシュホール個数より多いように形成されうる。
本発明の実施形態による、燃料電池の膜加湿器において、前記第1メッシュホール部と前記第2メッシュホール部とのメッシュホールウィンドウの個数が同一である場合、前記第1メッシュホール部をなす個々のメッシュホール面積が、前記第2メッシュホール部をなす個々のメッシュホール面積より大きいように形成されうる。
その他、本発明の多様な側面による具現例の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によれば、追加装備なしにも、車両、船舶、航空機のような移動手段の構造物、または建物の発電機システムに直接設けられ、組み立て便宜性を向上させることができ、多様な顧客のマウンティング要求事項を充足させることができ、製造便宜性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態による、燃料電池の膜加湿器が図示された正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、燃料電池の膜加湿器が図示された平面図である。
【
図4】位置可変マウントが加湿モジュール上で位置を可変させる例示的な形態が図示された平面図である。
【
図5】位置可変マウントが加湿モジュール上で位置を可変させる例示的な形態が図示された平面図である。
【
図6】本発明の一実施形態による、燃料電池の膜加湿器のキャップを除去した加湿モジュールを側面から見た図である。
【
図7】
図2のA-A’ラインから見た断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態による、燃料電池の膜加湿器に装着されるカートリッジが図示された斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態による、燃料電池の膜加湿器に装着されるカートリッジが図示された断面図である。
【
図10】従来のカートリッジ(上部図面)と、本発明の一実施形態によるカートリッジ(下部図面)とにおいて、第2流体の流動距離を比較するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、多様な変換を加えることができ、さまざまな実施形態を有することができるが、特定実施形態を例示し、詳細な説明によって詳細に説明する。しかし、それらは、本発明を、特定の実施形態について限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変換、均等物ないし代替物を含むと理解されなければならない。
本発明で使用された用語は、単に特定実施形態についての説明に使用されたものであり、本発明を限定する意図ではない。単数の表現は、文脈上、明白に取り立てての意味ではない限り、複数の表現を含む。本発明において、「含む」または「有する」というような用語は、明細書上に記載された特徴、数、段階、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせが存在するということを指定するものであり、1またはそれ以上の他の特徴、数、段階、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせの存在または付加の可能性を事前に排除するものではないと理解されなければならない。以下、図面を参照し、本発明の実施形態による、燃料電池の膜加湿器について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による、燃料電池の膜加湿器が図示された正面図であり、
図2は、本発明の一実施形態による、燃料電池の膜加湿器が図示された平面図であり、
図3は、位置可変マウントが図示された図面であり、
図4及び
図5は、位置可変マウントが加湿モジュール上で位置を可変させる例示的な形態が図示された平面図であり、
図6は、本発明の一実施形態による、燃料電池の膜加湿器のキャップを除去した加湿モジュールを側面から見た図面であり、
図7は、
図2のA-A’ラインから見た断面図である。
図1ないし
図7に図示されているように、本発明の実施形態による、燃料電池の膜加湿器は、加湿モジュール110、キャップ120、及び位置可変マウント200を含む。
加湿モジュール110は、外部から供給される第1流体と、燃料電池スタック(図示せず)から排出される第2流体との水分交換を行う。キャップ120は、加湿モジュール110の両端に締結される。キャップ120のうちいずれか一つには、外部から供給される第1流体を、加湿モジュール110に供給する第1流体流入口121が形成され、他の一つには、加湿モジュール110によって加湿された第1流体を、燃料電池スタックに供給する第1流体排出口122が形成される。
【0010】
加湿モジュール110は、第2流体流入口112と第2流体排出口113とを有するミッドケース111、及びミッドケース111内に配された少なくとも1つのカートリッジ20を含む。燃料電池スタック(図示せず)から排出される第2流体は、第2流体流入口112に流入され、加湿モジュール110内で水分交換された後、第2流体排出口113に排出される。ミッドケース111の表面には、第1締結口H1が形成される。第1締結口H1は、締結手段により、後述する第2締結口H2と締結されうる。
本明細書において、第2流体流入口112または第2流体排出口113に/から流入/排出される流体は、第2流体に限定されるものではない。また、第1流体流入口121または第1流体排出口122に/から流入/排出される流体は、第1流体に限定されるものではない。
設計により、キャップ120のうち一つは、第2流体を、加湿モジュール110に供給し、中空糸膜内部を流れるようにし、他の一つは、水分交換が行われた第2流体を外部に排出することができる。また、その場合、第2流体流入口112または第2流体排出口113のうちいずれか一つを介して第1流体が流入され、残り一つを介し、加湿モジュール110によって加湿された第1流体が、燃料電池スタックに供給されるようにするのである。該第1流体の流動方向と、第2流体の流動方向は、同じ方向でもあり、あるいは互いに反対方向でもある。
ミッドケース111とキャップ120は、それぞれ独立して、硬質プラスチックや金属によっても形成され、円形または多角形の幅方向断面を有しうる。該円形は、楕円形を含み、該多角形は、丸いコーナー(rounded corner)を有する多角形を含む。例えば、該硬質プラスチックは、ポリカーボネート、ポリアミド(PA)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリプロピレン(PP)などでもある。ミッドケース111の内部空間は、隔壁114により、第1空間S1と第2空間S2とに区画されうる。隔壁114は、少なくとも1以上のカートリッジ20が挿入されうる挿入口Hを具備することができる。
ミッドケース111とカートリッジ20との間には、ガスケット116が設けられうる。ガスケット116は、機械的組み立てを介し、カートリッジ20を加湿モジュール110に装着させる。従って、加湿モジュール110の特定部分(例えば、カートリッジ20)に異常が生じる場合、ミッドケース111とガスケット116とを加湿モジュール110から機械的に簡単に分離させた後、当該部分のみを修理したり交換したりすることが可能である。
【0011】
本発明の実施形態において、加湿モジュール110を含む燃料電池の膜加湿器を、装着対象構造物に装着させるための位置可変マウント200を含む。該装着対象構造物とは、燃料電池スタック、及び燃料電池の膜加湿器を含む燃料電池システムが装着される車両、船舶、航空機のような移動手段の一部分、または建物の発電機システムの一部分を意味しうる。以下、本発明の燃料電池の膜加湿器が、車両構造物に装着されるところを例示として説明する。
図1及び
図2を参照すれば、位置可変マウント200は、加湿モジュール110の上面にも装着される。ここで、それに限定されるものではなく、位置可変マウント200は、加湿モジュール110の側面または下面に装着されるか、あるいは設計により、キャップ120の表面にも装着されるということは、言うまでもない。
位置可変マウント200は、付着対象車両の構造物形状に合わせ、作業者により、加湿モジュール110の表面の所望位置に配された後、締結手段を介し、加湿モジュール110に固定されうる。そのような位置可変マウント200につき、
図3を参照して説明する。
図3(a)は、位置可変マウント200の正面図であり、
図3(b)は、平面図であり、
図3(c)は、底面図であり、
図3(d),(e)は、左右側面図である。
図3を参照すれば、位置可変マウント200は、ボディ部210とヘッド部220とスライディング部230とを含む。
【0012】
ボディ部210は、所定の形状、例えば、四角形状にも形成され、少なくとも1以上の第2締結口H2が形成される。締結手段により、第2締結口H2は、第1締結口H1と締結されながら、位置可変マウント200は、加湿モジュール110の表面に固定されうる。例えば、該締結手段は、螺糸山が形成されたボルトでもあり、第1締結口H1と第2締結口H2との内面には、ボルトの螺糸山と対応する螺糸山が形成されうる。
ヘッド部220は、ボディ部210と連結形成される。例えば、
図3に図示されているように、ヘッド部220は、ボディ部210の上面一端から延長されて形成されうる。ヘッド部220には、少なくとも1以上の第3締結口H3が形成される。第3締結口H3は、締結手段により、位置可変マウント200が車両の構造物に装着されるようにする。
スライディング部230は、ボディ部210の下面に形成される。スライディング部230は、ミッドケース111の表面に突設されたリブ111aにスライディング自在に嵌め込まれる。スライディング部230は、リブ111aと対応する位置に、ガイド溝231が形成されうる。ガイド溝231により、スライディング部230は、リブ111aから離脱されないが、リブ111aの方向に移動されうる。
本発明の一実施形態において、位置可変マウント200は、燃料電池の膜加湿器と一体に形成されうるので、別途の追加装備(別途のマウント、及びそのためブラケットなど)の必要性が低くなりうる。
また、位置可変マウント200は、
図4及び
図5のように、加湿モジュール110の表面、または設計により、キャップ120の表面に形成されるリブに沿ってスライディングしながら移動されうる、顧客のマウンティング要求事項(マウンティング位置、組み立て構造など)を反映させるための新たな加湿モジュールの設計を減らすことができる。従って、多様な顧客のマウンティング要求事項を充足させることができ、製造便宜性を向上させることができる。
【0013】
なお、
図6及び
図7を参照すれば、本発明の実施形態による、燃料電池の膜加湿器は、隔壁114に形成された常時バイパスホール115を含むものでもある。
常時バイパスホール115は、所定形状でもって、隔壁114を貫通して形成される。常時バイパスホール115は、隔壁114によって区画された第1空間S1と第2空間S2とを連結する。
第2流体流入口112に流入された第2流体の一部は、常時バイパスホール115を介し、第1空間S1から第2空間S2に流れ、第2流体排出口113に排出される。常時バイパスホール115を流れる第2流体は、第1流体と接触しないので、水分交換を行わない。
燃料電池の膜加湿器の体積が小型化されれば、燃料電池スタックから流入される第2流体により、燃料電池の膜加湿器内の差圧が増大することになる。そのように増大した差圧は、燃料電池の膜加湿器の効率に悪影響を与えるので、差圧解消が必要である。常時バイパスホール115は、流入された第2流体の一部を、中空糸膜をバイパスさせ、外部に排出させるので、差圧増大を解消することができる。従って、常時バイパスホール115は、燃料電池の膜加湿器の小型化に有利である。
次に、
図8ないし
図10を参照し、本発明の一実施形態による、燃料電池の膜加湿器に装着されるカートリッジについて説明する。
図8は、本発明の一実施形態による、燃料電池の膜加湿器に装着されるカートリッジが図示された斜視図であり、
図9は、本発明の一実施形態による、燃料電池の膜加湿器に装着されるカートリッジが図示された断面図であり、
図10は、従来のカートリッジ(上部図面)と、本発明の一実施形態によるカートリッジ(下部図面)とにおいて、第2流体の流動距離を比較するための図面である。
本発明の実施形態において、カートリッジ20は、メッシュホール部をなすメッシュホールウィンドウWの個数や面積を調節し、加湿効率を向上させることもできる。
図9を参照すれば、カートリッジ20は、多数の中空糸膜21、ポッティング部22、インナーケース23を含む。
【0014】
中空糸膜21は、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、スルホン化ポリスルホン樹脂、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、またはそれらのうち少なくとも2以上の混合物によって形成された高分子膜を含むものでもある。
ポッティング部22は、中空糸膜21の末端を固定する。ポッティング部22は、ディップポッティング、遠心ポッティングのようなキャスティング方式を介し、液状ポリウレタン樹脂のような液状樹脂を硬化させることによっても形成される。
インナーケース23は、各末端に開口(opening)を有し、内部に多数の中空糸膜21を収容する。中空糸膜21の端部がポッティングされているポッティング部22は、インナーケース23の開口を閉鎖させる。インナーケース23は、第1空間S1との流体連通のために、メッシュ形態に配列された第1メッシュホール部MH1、及び第2空間S2との流体連通のために、メッシュ形態に配列された第2メッシュホール部MH2を具備する。
第2流体流入口112を介し、ミッドケース111の第1空間S1に流入された第2流体は、第1メッシュホール部MH1を介し、インナーケース23内に流れ込み、中空糸膜21の外表面と接触する。続けて、第1流体と水分交換された第2流体は、第2メッシュホール部MH2を介し、第2空間S2に抜け出た後、第2流体排出口113を介し、ミッドケース111から排出される。
カートリッジ20は、第1メッシュホール部MH1側のメッシュホールウィンドウWの総面積が、第2メッシュホール部MH2側のメッシュホールウィンドウWの総面積より大きいように形成されうる。メッシュホールウィンドウWは、第2流体が流入されて排出される開口である。
第2流体流入口112側に形成される第1メッシュホール部MH1側のメッシュホールウィンドウWの総面積を大きくし、インナーケース23内部への第2流体流入を円滑にし、第2流体排出口113側に形成される第2メッシュホール部MH2側のメッシュホールウィンドウWの総面積を小さくし、インナーケース23内における第2流体流動を促進させることができる。
【0015】
また、第1メッシュホール部MH1と第2メッシュホール部MH2とを非対称的に形成することにより、対称形状の場合より、第1メッシュホール部MH1と第2メッシュホール部MH2との距離が増大することになり、それにより、インナーケース23内における第2流体の流動距離を増大させることができる(
図10の符号L1,L2参照)。第2流体流動距離が長くなることにより、第2流体が、中空糸膜220の表面と接触される時間を延長させることができ、全体的に加湿効率を向上させることができる。
両側メッシュホール部のメッシュホールウィンドウWの大きさが同一である場合、第1メッシュホール部MH1をなすメッシュホール個数が、第2メッシュホール部MH2をなすメッシュホール個数より多いようにするのである。
また、両側メッシュホール部のメッシュホールウィンドウWの個数が同一である場合、第1メッシュホール部MH1をなす個々のメッシュホール面積が、第2メッシュホール部MH2をなす個々のメッシュホール面積より大きいようにするのである。
そのように、本発明の実施形態においては、第1メッシュホール部MH1と第2メッシュホール部MH2との形状を非対称形状に形成し、インナーケース23内における第2流体流動促進と第2流体流動距離増加とによる加湿効率向上を図ることができる。
【0016】
以上、本発明の実施形態について説明したが、当該技術分野において通常の知識を有する者であるならば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想から外れない範囲内において、構成要素の付加、変更、削除または追加などにより、本発明を多様に修正させ、かつ変更させることができるであろうが、それも、本発明の権利範囲内に含まれるものである。
【国際調査報告】