(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】剛性のあるベースプレート及びステムを備えたシリコーン製低プロファイルポート
(51)【国際特許分類】
A61M 39/02 20060101AFI20240426BHJP
【FI】
A61M39/02 100
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571652
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 US2021033375
(87)【国際公開番号】W WO2022245356
(87)【国際公開日】2022-11-24
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521442637
【氏名又は名称】バード・ペリフェラル・バスキュラー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】アンダーセン、クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】デンスリー、ブライオン レイ
(72)【発明者】
【氏名】ホイ、ジェシカ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、イアン エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】フィウメフレッド、ダイアナ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066EE01
4C066JJ06
(57)【要約】
本明細書で開示する実施形態は、潰すことが可能なリザーバを備えたポートシステム及びそれに関連する方法に関する。ポートは、リザーバを画定しかつコンプライアント材料で形成された本体を有する。ポート本体は、拡張した形態と潰れた形態との間を移行することができる。ポートは、更に、剛性のある又は針で貫通できない材料で形成されたポートステム又はベースプレートを備えることができる。ベースプレートは、アクセス針がリザーバの底面を通過するのを防止するためにリザーバの床と整合され得る。ポート、即ちリザーバは、潰れた形態に移行して、挿入するために及び/又はアクセスイベントとアクセスイベントの間に縮小した全体サイズ又は外側プロファイルを提供することができる。ポートは、必要とする切開部位がより小さいため、必要な縫合を少なくするか又は全く不要とし、患者の回復時間や患者の快適性を改善し、瘢痕化を低減し、審美性を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮下アクセスポートであって、
第1の材料で形成されたポートステムであって、第1の材料は剛性のある材料でありかつ第1のデュロメータ硬さを有する、ポートステムと、
ポートステムと流体連通したリザーバを画定し、第2の材料で形成された本体であって、第2の材料は可撓性材料でありかつ第2のデュロメータ硬さを有し、本体は拡張した形態と潰れた形態との間を移行可能であり、潰れた形態はポートのより小さな外側プロファイルを画定する、本体と
を備える、皮下アクセスポート。
【請求項2】
請求項1に記載の皮下アクセスポートにおいて、
第1の材料は、プラスチック、ポリマー、金属、合金、又は複合材のうちの1つを含む、皮下アクセスポート。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の皮下アクセスポートにおいて、
第2の材料は、プラスチック、ポリマー、エラストマー、合成ゴム、有機ゴム、シリコーンゴム、又は複合材のうちの1つを含む、皮下アクセスポート。
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれか一項に記載の皮下アクセスポートにおいて、
拡張した形態にあるポート本体は、第1のポート高さ、第1のポート幅、又は第1のポート長さのうちの1つを画定し、潰れた形態にあるポート本体は、第2のポート高さ、第2のポート幅、又は第2のポート長さのうちの1つを画定する、皮下アクセスポート。
【請求項5】
請求項4に記載の皮下アクセスポートにおいて、
第2のポート高さは第1のポート高さより低いか、第2のポート幅は第1のポート幅より小さいか、又は第2のポート長さは第1のポート長さより短いかのいずれかである、皮下アクセスポート。
【請求項6】
請求項1~5のうちいずれか一項に記載の皮下アクセスポートにおいて、
拡張した形態にあるポート本体は第1のポート体積を画定し、潰れた形態にあるポート本体は第2のポート体積を画定し、第2のポート体積は第1のポート体積より小さい、皮下アクセスポート。
【請求項7】
請求項1~6のうちいずれか一項に記載の皮下アクセスポートにおいて、
拡張した形態にあるリザーバは、第1のリザーバ高さ、第1のリザーバ幅、又は第1のリザーバ長さのうちの1つを画定し、潰れた形態にあるリザーバは、第2のリザーバ高さ、第2のリザーバ幅、又は第2のリザーバ長さのうちの1つを画定する、皮下アクセスポート。
【請求項8】
請求項7に記載の皮下アクセスポートにおいて、
第2のリザーバ高さは第1のリザーバ高さより低いか、第2のリザーバ幅は第1のリザーバ幅より小さいか、又は第2のリザーバ長さは第1のリザーバ長さより短いかいずれかである、皮下アクセスポート。
【請求項9】
請求項1~8のうちいずれか一項に記載の皮下アクセスポートにおいて、
拡張した形態にあるリザーバは第1のリザーバ容積を画定し、潰れた形態にあるリザーバは第2のリザーバ容積を画定し、第2の容積は第1の容積より小さい、皮下アクセスポート。
【請求項10】
請求項1~9のうちいずれか一項に記載の皮下アクセスポートにおいて、
皮下アクセスポートは、針で貫通可能なセプタムをさらに備え、針で貫通可能なセプタムは、リザーバを覆って配置され、針による該セプタムへの経皮的アクセスを提供するように構成されている、皮下アクセスポート。
【請求項11】
請求項10に記載の皮下アクセスポートにおいて、
針で貫通可能なセプタムは、第2の材料又はシリコーンゴムのいずれかで形成されている、皮下アクセスポート。
【請求項12】
請求項1~11のうちいずれか一項に記載の皮下アクセスポートにおいて、
第1の材料の第1のデュロメータ硬さは、第2の材料の第2のデュロメータ硬さより大きい、皮下アクセスポート。
【請求項13】
請求項1~12のうちいずれか一項に記載の皮下アクセスポートにおいて、
第1の材料は、剛性のある材料であり、実質的に撓み変形し難く、第2の材料は、弾性変形可能な材料である、皮下アクセスポート。
【請求項14】
請求項1~13のうちいずれか一項に記載の皮下アクセスポートにおいて、
本体は、拡張した形態から潰れた形態に弾性変形可能である、皮下アクセスポート。
【請求項15】
請求項1~13のうちいずれか一項に記載の皮下アクセスポートにおいて、
本体は、潰れた形態から拡張した形態に弾性変形可能である、皮下アクセスポート。
【請求項16】
請求項1~15のうちいずれか一項に記載の皮下アクセスポートにおいて、
皮下アクセスポートは、第3の材料をさらに含み、第3の材料は、弾性変形可能であり、第2のデュロメータ硬さより高く且つ第1のデュロメータ硬さより低い第3のデュロメータ硬さを備える、皮下アクセスポート。
【請求項17】
請求項16に記載の皮下アクセスポートにおいて、
第3の材料は、本体の外面に配置される、皮下アクセスポート。
【請求項18】
請求項16又は17に記載の皮下アクセスポートにおいて、
第3の材料は、リザーバの壁に配置される、皮下アクセスポート。
【請求項19】
請求項1~18のうちいずれか一項に記載の皮下アクセスポートにおいて、
皮下アクセスポートは、第1の材料又は針で貫通できない可撓性材料のうちの1つで形成されたベースプレートをさらに備える、皮下アクセスポート。
【請求項20】
請求項19に記載の皮下アクセスポートにおいて、
ベースプレート及びステムは、単一の一体部品として一体的に形成される、皮下アクセスポート。
【請求項21】
ポートを皮下に配置する方法であって、
カテーテルと係合し、カテーテルとの流体連通を提供するように構成されたポートステムと、リザーバを画定し、拡張した形態と潰れた形態との間を移行可能な本体であって、潰れた形態にある本体は、拡張した形態にある本体よりも小さな全体の体積を画定する、本体と、リザーバを覆って配置され、針で貫通可能なセプタムとを備えるポートを準備することと、
ポートを拡張した形態から潰れた形態に移行させることと、
挿入部位を通してポート本体を挿入してポートを皮下に配置することと、
ポートを潰れた形態から拡張した形態に移行させること
とを含む、方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法において、
ポートを潰れた形態から拡張した形態に移行させる前に、針でポートに経皮的にアクセスすることをさらに含む、方法。
【請求項23】
請求項21に記載の方法において、
ポートを潰れた形態から拡張した形態に移行させた後に、針でポートに経皮的にアクセスすることをさらに含む、方法。
【請求項24】
請求項21~23のうちいずれか一項に記載の方法において、
ポートステムは、プラスチック、ポリマー、金属、合金、又は複合材のうちの1つを含む、剛性のある材料である第1の材料で形成され、本体は、プラスチック、ポリマー、エラストマー、合成ゴム、有機ゴム、シリコーンゴム、又は複合材のうちの1つを含む、可撓性材料である第2の材料で形成される、方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法において、
第1の材料は第1のデュロメータ硬さを備え、第2の材料は第2のデュロメータ硬さを備え、第2のデュロメータ硬さは第1のデュロメータ硬さより低い、方法。
【請求項26】
請求項21~25のうちいずれか一項に記載の方法において、
潰れた形態にあるポートは、拡張した形態にあるポートの幅より狭い幅、拡張した形態にあるポートの高さより低い高さ、又は拡張した形態にあるポートの長さより短い長さを画定する、方法。
【請求項27】
請求項21~26のうちいずれか一項に記載の方法において、
潰れた形態にあるポートのリザーバは、拡張した形態にあるリザーバの幅より狭い幅、拡張した形態にあるリザーバの高さより低い高さ、又は拡張した形態にあるリザーバの長さより短い長さを画定する、方法。
【請求項28】
請求項21~27のうちいずれか一項に記載の方法において、
潰れた形態にあるリザーバは、拡張した形態にあるリザーバの容積より小さい容積を画定する、方法。
【請求項29】
請求項21~28のうちいずれか一項に記載の方法において、
針で貫通可能なセプタムは、本体と同じ材料で形成されている、方法。
【請求項30】
請求項24~29のうちいずれか一項に記載の方法において、
本体は、第3の材料をさらに含み、第3の材料は、弾性変形可能な機械的特性を示し、第1のデュロメータ硬さより低く且つ第2のデュロメータ硬さより高い第3のデュロメータ硬さを備える、方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法において、
第3の材料は、本体の外側表面に配置される、方法。
【請求項32】
請求項30又は31に記載の方法において、
第3の材料は、リザーバの壁に配置される、方法。
【請求項33】
請求項24~32のうちいずれか一項に記載の方法において、
1の材料又は針で貫通できない可撓性材料で形成されたベースプレートをさらに含む、方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法において、
ベースプレート及びポートは、単一の一体部品として一体的に形成される、方法。
【請求項35】
アクセスポートを製造する方法であって、
第1の材料を含むポートステムを形成することであって、第1の材料は剛性のある材料でありかつ第1のデュロメータ硬さを有する、ポートステムを形成することと、
ポートステムと流体連通したリザーバを画定する本体を形成することであって、本体は第2の材料を含み、第2の材料は可撓性材料でありかつ第2のデュロメータ硬さを有し、本体は拡張した形態と潰れた形態との間を移行可能であり、潰れた形態はポートのより小さな外側プロファイルを画定する、本体を形成することと
を含む、方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法において、
第1の材料は、プラスチック、ポリマー、金属、合金、又は複合材のうちの1つを含む、方法。
【請求項37】
請求項35又は36に記載の方法において、
第2の材料は、プラスチック、ポリマー、エラストマー、合成ゴム、有機ゴム、シリコーンゴム、又は複合材のうちの1つを含む、方法。
【請求項38】
請求項35~37のうちいずれか一項に記載の方法において、
拡張した形態にあるポート本体は、第1のポート高さ、第1のポート幅、又は第1のポート長さのうちの1つを画定し、潰れた形態にあるポート本体は、第2のポート高さ、第2のポート幅、又は第2のポート長さのうちの1つを画定する、方法。
【請求項39】
請求項38に記載の方法において、
第2のポート高さは第1のポート高さより低いか、第2のポート幅は第1のポート幅より小さいか、又は第2のポート長さは第1のポート長さより短いかのいずれかである、方法。
【請求項40】
請求項35~39のうちいずれか一項に記載の方法において、
拡張した形態にあるポート本体は第1のポート体積を画定し、潰れた形態にあるポート本体は第2のポート体積を画定し、第2のポート体積は第1のポート体積よりも小さい、方法。
【請求項41】
請求項35~40のうちいずれか一項に記載の方法において、
拡張した形態にあるリザーバは、第1のリザーバ高さ、第1のリザーバ幅、又は第1のリザーバ長さのうちの1つを画定し、潰れた形態にあるリザーバは、第2のリザーバ高さ、第2のリザーバ幅、又は第2のリザーバ長さのうちの1つを画定する、方法。
【請求項42】
請求項41に記載の方法において、
第2のリザーバ高さは第1のリザーバ高さより低いか、第2のリザーバ幅は第1のリザーバ幅より小さいか、又は第2のリザーバ長さは第1のリザーバ長さより短いかいずれかである、方法。
【請求項43】
請求項35~42のうちいずれか一項に記載の方法において、
拡張した形態にあるリザーバは第1のリザーバ容積を画定し、潰れた形態にあるリザーバは第2のリザーバ容積を画定し、第2の容積は第1の容積より小さい、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剛性のあるベースプレート及びステムを備えたシリコーン製低プロファイルポートに関する。
【背景技術】
【0002】
簡単に要約すると、本明細書で開示する実施形態は、潰すことが可能なリザーバを備えたポートシステム及びそれに関連する方法に関する。ポート又は同様の剛性のある医療デバイスが皮下に配置される場合、例えば全体の体積、横断方向の高さなどのデバイスのサイズにより、周囲組織の伸張や糜爛が生じる可能性がある。例えば、ポートが胸壁に配置される場合、ポートは肌表面に対して突出し得る。ポート上で伸張された皮膚組織は、爛れて、傷を生じたり、又はポートを露出させたりさえする可能性がある。これは、衣服又はシートベルトによる擦過によってさらに悪化する。
【発明の概要】
【0003】
本明細書で開示される実施形態は、リザーバを画定しコンプライアント材料で形成された本体を有するポートを備えたポートシステムに関する。ポート本体は、拡張した形態と潰れた形態との間を移行することができる。ポートは、剛性のある又は針で貫通できない材料で形成されたポートステム又はベースプレートをさらに備えることができる。ベースプレートは、アクセス針がリザーバの底面を通過するのを防止するためにリザーバの床と整合され得る。有利には、ポートは、潰れた形態に移行して、挿入するために及び/又はアクセスイベントとアクセスイベントの間に縮小した全体サイズ又は外側プロファイルを提供することができる。このポートは、必要とする切開部位がより小さいため、切開部位を閉鎖するために必要な縫合を少なくするか又は全く不要とし、患者の回復時間や患者の快適性を改善し、瘢痕化及び糜爛を低減し、審美性を向上させることができる。
【0004】
本明細書では、皮下アクセスポートが開示される。皮下アクセスポートは、第1の材料で形成されたポートステムであって、第1の材料は剛性のある材料でありかつ第1のデュロメータ硬さ(durometer)を有する、ポートステムと、ポートステムと流体連通したリザーバを画定し、第2の材料で形成された本体であって、第2の材料は可撓性材料でありかつ第2のデュロメータ硬さを有し、本体は拡張した形態と潰れた形態との間を移行可能であり、潰れた形態はポートのより小さな外側プロファイルを画定する、本体とを備える。
【0005】
いくつかの実施形態において、第1の材料は、プラスチック、ポリマー、金属、合金、又は複合材のうちの1つを含む。いくつかの実施形態において、第2の材料は、プラスチック、ポリマー、エラストマー、合成ゴム、有機ゴム、シリコーンゴム、又は複合材のうちの1つを含む。いくつかの実施形態において、拡張した形態にあるポート本体は、第1のポート高さ、第1のポート幅、又は第1のポート長さのうちの1つを画定し、潰れた形態にあるポート本体は、第2のポート高さ、第2のポート幅、又は第2のポート長さのうちの1つを画定する。いくつかの実施形態において、第2のポート高さは第1のポート高さより低いか、第2のポート幅は第1のポート幅より小さいか、又は第2のポート長さは第1のポート長さより短いかのいずれかである。
【0006】
いくつかの実施形態において、拡張した形態にあるポート本体は第1のポート体積を画定し、潰れた形態にあるポート本体は第2のポート体積を画定し、第2のポート体積は第1のポート体積より小さい。いくつかの実施形態において、拡張した形態にあるリザーバは、第1のリザーバ高さ、第1のリザーバ幅、又は第1のリザーバ長さのうちの1つを画定し、潰れた形態にあるリザーバは、第2のリザーバ高さ、第2のリザーバ幅、又は第2のリザーバ長さのうちの1つを画定する。いくつかの実施形態において、第2のリザーバ高さは第1のリザーバ高さより低いか、第2のリザーバ幅は第1のリザーバ幅より小さいか、又は第2のリザーバ長さは第1のリザーバ長さより短いかいずれかである。いくつかの実施形態において、拡張した形態にあるリザーバは第1のリザーバ容積を画定し、潰れた形態にあるリザーバは第2のリザーバ容積を画定し、第2の容積は第1の容積より小さい。
【0007】
いくつかの実施形態において、皮下アクセスポートは、針で貫通可能なセプタム(隔壁)をさらに備え、針で貫通可能なセプタムは、リザーバを覆って配置され、針による該セプタムへの経皮的アクセスを提供するように構成されている。いくつかの実施形態において、針で貫通可能なセプタムは、第2の材料又はシリコーンゴムのいずれかで形成されている。いくつかの実施形態において、第1の材料の第1のデュロメータ硬さは、第2の材料の第2のデュロメータ硬さより大きい。いくつかの実施形態において、第1の材料は、剛性のある材料であり、実質的に撓み変形し難く、第2の材料は、弾性変形可能な材料である。いくつかの実施形態において、本体は、拡張した形態から潰れた形態に弾性変形可能である。
【0008】
いくつかの実施形態において、本体は、潰れた形態から拡張した形態に弾性変形可能である。いくつかの実施形態において、皮下アクセスポートは、第3の材料をさらに含み、第3の材料は、弾性変形可能であり、第2のデュロメータ硬さより高く且つ第1のデュロメータ硬さより低い第3のデュロメータ硬さを備える。いくつかの実施形態において、第3の材料は、本体の外面に配置される。いくつかの実施形態において、第3の材料は、リザーバの壁に配置される。いくつかの実施形態において、皮下アクセスポートは、第1の材料又は針で貫通できない可撓性材料のうちの1つで形成されたベースプレートをさらに備える。いくつかの実施形態において、ベースプレート及びステムは、単一の一体部品として一体的に形成される。
【0009】
また、ポートを皮下に配置する方法も開示される。この方法は、カテーテルと係合し、カテーテルとの流体連通を提供するように構成されたポートステムと、リザーバを画定し、拡張した形態と潰れた形態との間を移行可能な本体であって、潰れた形態にある本体は、拡張した形態にある本体よりも小さな全体の体積を画定する、本体と、リザーバを覆って配置され、針で貫通可能なセプタムとを備えるポートを準備することと、ポートを拡張した形態から潰れた形態に移行させることと、挿入部位を通してポート本体を挿入してポートを皮下に配置することと、ポートを潰れた形態から拡張した形態に移行させることとを含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、方法は、ポートを潰れた形態から拡張した形態に移行させる前に、針でポートに経皮的にアクセスすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、ポートを潰れた形態から拡張した形態に移行させた後に、針でポートに経皮的にアクセスすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、ポートステムは、プラスチック、ポリマー、金属、合金、又は複合材のうちの1つを含む、剛性のある材料である第1の材料で形成され、本体は、プラスチック、ポリマー、エラストマー、合成ゴム、有機ゴム、シリコーンゴム、又は複合材のうちの1つを含む、可撓性材料である第2の材料で形成される。いくつかの実施形態において、第1の材料は第1のデュロメータ硬さを備え、第2の材料は第2のデュロメータ硬さを備え、第2のデュロメータ硬さは第1のデュロメータ硬さより低い。
【0011】
いくつかの実施形態において、潰れた形態にあるポートは、拡張した形態にあるポートの幅より狭い幅、拡張した形態にあるポートの高さより低い高さ、又は拡張した形態にあるポートの長さより短い長さを画定する。いくつかの実施形態において、潰れた形態にあるポートのリザーバは、拡張した形態にあるリザーバの幅より狭い幅、拡張した形態にあるリザーバの高さより低い高さ、又は拡張した形態にあるリザーバの長さより短い長さを画定する。いくつかの実施形態において、潰れた形態にあるリザーバは、拡張した形態にあるリザーバの容積より小さい容積を画定する。
【0012】
いくつかの実施形態において、針で貫通可能なセプタムは、本体と同じ材料で形成されている。いくつかの実施形態において、本体は、第3の材料をさらに含み、第3の材料は、弾性変形可能な機械的特性を示し、第1のデュロメータ硬さより低く且つ第2のデュロメータ硬さより高い第3のデュロメータ硬さを備える。いくつかの実施形態において、第3の材料は、本体の外側表面に配置される。いくつかの実施形態において、第3の材料は、リザーバの壁に配置される。いくつかの実施形態において、方法は、第1の材料又は針で貫通できない可撓性材料で形成されたベースプレートをさらに含む。いくつかの実施形態において、ベースプレート及びポートは、単一の一体部品として一体的に形成される。
【0013】
また、アクセスポートを製造する方法も開示される。この方法は、第1の材料を含むポートステムを形成することであって、第1の材料は、剛性のある材料でありかつ第1のデュロメータ硬さを有する、ポートステムを形成することと、ポートステムと流体連通したリザーバを画定する本体を形成することであって、本体は第2の材料を含み、第2の材料は可撓性材料でありかつ第2のデュロメータ硬さを有し、本体は拡張した形態と潰れた形態との間を移行可能であり、潰れた形態はポートのより小さな外側プロファイルを画定する、本体を形成することとを含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、第1の材料は、プラスチック、ポリマー、金属、合金、又は複合材のうちの1つを含む。いくつかの実施形態において、第2の材料は、プラスチック、ポリマー、エラストマー、合成ゴム、有機ゴム、シリコーンゴム、又は複合材のうちの1つを含む。いくつかの実施形態において、拡張した形態にあるポート本体は、第1のポート高さ、第1のポート幅、又は第1のポート長さのうちの1つを画定し、潰れた形態にあるポート本体は、第2のポート高さ、第2のポート幅、又は第2のポート長さのうちの1つを画定する。
【0015】
いくつかの実施形態において、第2のポート高さは第1のポート高さより低いか、第2のポート幅は第1のポート幅より小さいか、又は第2のポート長さは第1のポート長さより短いかのいずれかである。いくつかの実施形態において、拡張した形態にあるポート本体は第1のポート体積を画定し、潰れた形態にあるポート本体は第2のポート体積を画定し、第2のポート体積は第1のポート体積よりも小さい。いくつかの実施形態において、拡張した形態にあるリザーバは、第1のリザーバ高さ、第1のリザーバ幅、又は第1のリザーバ長さのうちの1つを画定し、潰れた形態にあるリザーバは、第2のリザーバ高さ、第2のリザーバ幅、又は第2のリザーバ長さのうちの1つを画定する。
【0016】
いくつかの実施形態において、第2のリザーバ高さは第1のリザーバ高さより低いか、第2のリザーバ幅は第1のリザーバ幅より小さいか、又は第2のリザーバ長さは第1のリザーバ長さより短いかいずれかである。いくつかの実施形態において、拡張した形態にあるリザーバは第1のリザーバ容積を画定し、潰れた形態にあるリザーバは第2のリザーバ容積を画定し、第2の容積は第1の容積より小さい。
【0017】
本開示のより具体的な説明を、添付の図面に図示されるその特定の実施形態を参照して行う。これらの図面は本発明の代表的な実施形態のみを描いており、そのためその範囲を制限すると見なしてはならないことは認識される。本発明の例示的な実施形態を、添付の図面を使用することにより追加の特性および細部まで記述し説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本明細書で開示される実施形態による、カテーテルに結合されたポートの斜視図。
【
図2A】本明細書で開示される実施形態による、ポートの長手方向断面図。
【
図2B】本明細書で開示される実施形態による、ポートの長手方向断面図。
【
図2C】本明細書で開示される実施形態による、ポートの長手方向断面図。
【
図2D】本明細書で開示される実施形態による、ポートの平面断面図。
【
図3A】本明細書で開示される実施形態による、拡張した形態にあるポートの横方向断面図。
【
図3B】本明細書で開示される実施形態による、潰れた形態にあるポートの横方向断面図。
【
図3C】本明細書で開示される実施形態による、拡張した形態にあるポートの長手方向断面図。
【
図3D】本明細書で開示される実施形態による、潰れた形態にあるポートの長手方向断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
いくつかの特定の実施形態をより詳細に開示する前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書において提示される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、その特定の実施形態から容易に切り離すことができ、本明細書に開示される複数の他の実施形態のうちの任意の実施形態の特徴と任意選択で組み合わせまたは置換することができる特徴を有する場合があることも理解されたい。
【0020】
本明細書で使用する用語に関しては、各用語はいくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、本明細書において提示される概念の範囲を限定しないということも理解されたい。序数(たとえば、第1、第2、第3等)は、一般的に、複数の特徴または工程の群の中で互いに異なる特徴または工程を区別または識別するために使用され、順番の限定または数的な限定を加えるものではない。たとえば、「第1」、「第2」、および「第3」の特徴または工程は、必ずしもこの順序で現れる必要はなく、またそのような特徴または工程を含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴または工程に限定される必要はない。「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」等の表記は、便宜的に使用されており、たとえば、いかなる特定の固定的な位置、向き、または方向も意味するものではない。むしろ、こうした表記は、たとえば相対的な位置、向き、または方向を示すために使用される。文脈からそうでないことが明らかに示されていなければ、「a」、「an」、および「the」で表す単数形は、複数形を含む。
【0021】
「近位」に関しては、例えば、本明細書に開示されるカテーテルの「近位部分」または「近位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「近位長さ(proximal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、ニードルの「近位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含むことができるが、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0022】
「遠位」に関しては、例えば、本明細書に開示されているカテーテルの「遠位部分」または「遠位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くにあるか、または患者内にあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「遠位長さ(distal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くまたは患者内にあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、ニードルの「遠位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くまたは患者内にあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含むことができるが、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0023】
本明細書に説明される実施形態の説明を助けるために、
図1に図示されるように、長手軸はカテーテルの軸方向の長さに実質的に平行に延びている。横軸は長手軸に垂直に延び、横断軸は長手軸および横軸の両方に対し垂直に延びている。本明細書では、水平面が横軸と長手軸とに沿って延びている。垂直面が水平面と垂直に延びている。
【0024】
別途定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。
図1は、皮下配置を容易にするように構成された潰すことが可能なリザーバ110を備えた血管アクセスデバイス、すなわち(「ポート」)100を示す。ポート100は、概して、リザーバ110を画定するポート本体150と、リザーバ110を覆って配置された、針で貫通可能なセプタム120とを備えることができる。一実施形態において、セプタム120は、シリコーンゴム又は同様の適当な材料で形成され得る。一実施形態において、セプタム材料は、実質的にショアDで50のデュロメータ硬さを規定し得るが、より高い又は低いショアDのデュロメータ硬さも考えられる。使用時、リザーバは、針がセプタム120を貫通してリザーバに流体的にアクセスすることによって、経皮的にアクセスされ得る。
【0025】
ポート100は、ステム軸線80に沿って延びるポートステム130をさらに備えることができ、ポートステム130は、リザーバ110と流体連通するステム管腔132を画定する。一実施形態において、ステム軸線80は、長手方向軸線にほぼ平行に延びることができる。ステム130は、患者の脈管構造にアクセスするように構成されたカテーテル90又は同様のデバイスに結合されるように構成され得る。カテーテル90は、内部を通って延びる管腔を画定する長尺状本体を備えることができる。一実施形態において、ポートステム130は、第1の材料で形成され得る。一実施形態において、第1の材料は、プラスチック、ポリマー、ポリオキシメチレン(POM又は「デルリン(Delrin)(登録商標)」)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、金属、合金、ステンレス鋼、チタン、複合材などのような、第1のデュロメータ硬さを規定する実質的に剛性のある材料とすることができる。一実施形態において、第1の材料は、弾力性のある材料から形成される。一実施形態において、第1の材料は、任意の弾性変形又は塑性変形に耐えることができる。一実施形態において、第1のデュロメータ硬さは、ショアDで70以上であり得る。しかしながら、他のデュロメータ硬さも考えられる。
【0026】
一実施形態において、
図2Aに示すように、ポート本体150は、第2の材料で形成され得る。第2の材料は、第1の材料とは異なり得る。一実施形態において、第2の材料は、弾性変形することができるコンプライアント材料を含むことができる。一実施形態において、第2の材料は、プラスチック、ポリマー、エラストマー、有機又は合成ゴム、シリコーンなどを含むことができる。一実施形態において、第2の材料は第2のデュロメータ硬さを備えることができ、第2のデュロメータ硬さは第1の材料の第1のデュロメータ硬さより低い。一実施形態において、第2のデュロメータ硬さは、ショアDで70未満のデュロメータ硬さであり得る。一実施形態において、セプタム120は、第2の材料と同じ材料で形成され得る。一実施形態において、セプタム120は、第1の材料とは異なる材料で形成され得る。
【0027】
一実施形態において、
図2A~
図2Dに示すように、ポート100は、針で貫通できないベースプレート140をさらに備えることができ、ベースプレート140は、リザーバ110の下に配置され、リザーバ110の下面の少なくとも一部を覆って延びている。
図2Dは、リザーバ110の少なくとも一部の下に延びるベースプレート140を備えたポート100の平面図を示す。一実施形態において、ベースプレート140は、リザーバ110の下面を画定することができる。一実施形態において、ベースプレート140は、水平径又は水平表面積を画定することができる。これらの水平径又は水平表面積は、リザーバ110の水平径又水平表面積と同じか、又はそれより大きくすることができる。
【0028】
一実施形態において、ベースプレート140は、それに衝突する針による貫通に耐えることができる材料で形成され得る。一実施形態において、ベースプレート140は、プラスチック、ポリマー、金属、合金、又は複合材などの実質的に剛性のある材料、例えば第1の材料、すなわちポートステム130が形成されるのと同じ材料で形成され得る。一実施形態において、ベースプレート130は、それに衝突する針による貫通に耐えられるように構成された、弾性変形可能な又は可塑変形可能な(すなわち展延性を有する)材料、すなわち針で貫通できない可撓性材料で形成され得る。例示的な材料としては、プラスチック、ポリマー、金属、合金、複合材、ケブラー(KEVLAR)(登録商標)などを挙げることができる。有利には、針で貫通できない可撓性材料で形成されたベースプレート130は、ポート100が水平軸線、例えば長手方向軸線又は横方向軸線、に沿って潰れることができるようにするだけでなく、針がリザーバ110の床部を貫通するのを防止することもできる。
【0029】
一実施形態において、
図2Bに示すように、ステム130及びベースプレート140は、同じ材料から形成され得、単一の一体部品として一体的に形成され得る。一実施形態において、
図2Aに示すように、ステム130及びベースプレート140は、別構造として形成され得る。一実施形態において、
図1及び
図2Dに示すように、ポート100は、中央横断方向軸線のまわりに延びる実質的に半径方向に対称な形状を画定することができる。一実施形態において、ポート100は、実質的に円形、楕円形、三角形、正方形、又は矩形の占有領域又は平面図を画定することができる。しかしながら、他の形状も考えられることが理解されるであろう。
【0030】
一実施形態において、
図2Bに示すように、ポート100は第3の材料を備えることができる。第3の材料は、プラスチック、ポリマー、エラストマー、複合材、有機又は合成ゴム、シリコーン材料などを含む弾性変形可能な又は可塑変形可能な材料を含むことができる。一実施形態において、第3の材料は、第2の材料の第2のデュロメータ硬さより高い第3のデュロメータ硬さを規定することができる。一実施形態において、第3のデュロメータ硬さは、第1の材料の第1のデュロメータ硬さと同じか、又はそれより低くすることができる。
【0031】
一実施形態において、ポート本体150は、第3の材料で形成され、リザーバ110を画定することができる。一実施形態において、
図2Bに示すように、ポート本体150は、第2の材料152を含み、リザーバ110を形成し、第2の材料152の外面に配置されてポート本体150の外面の一部を形成する第3の材料154を含むことができる。一実施形態において、第3の材料154は、ポート本体150の外面全体にわたって延びて、第2の材料152で形成されたポート本体150の部分を取り囲む「外殻」を形成することができる。一実施形態において、
図2Cに示すように、リザーバ110の壁は、その上に配置された第3の材料154を含むことができる。
【0032】
一実施形態において、
図3A~
図3Dに示すように、ポート100は、拡張した形態(
図3A、
図3C)と潰れた形態(
図3B、
図3D)との間を移行するように構成され得る。一実施形態において、拡張した形態では、ポート本体150は、横断方向軸線、横方向軸線、及び長手方向軸線に沿ってそれぞれ延びる、第1のポート高さ(H1)、第1のポート幅(W1)、又は第1のポート長さ(L1)を画定することができる。しかしながら、これらの高さ、幅、又は長さは、それぞれ異なる軸線に沿って延びてもよいことが理解されるであろう。一実施形態において、ポート本体150は、第1のポート体積(V1)を画定することができる。
【0033】
一実施形態において、潰れた形態では、ポート本体150は、第2のポート高さ(H2)、第2のポート幅(W2)、第2のポート長さ(L2)、又は第2のポート体積(V2)を画定することができる。一実施形態において、第2のポート高さ(H2)は、第1のポート高さ(H1)より低くなり得る。一実施形態において、第2のポート幅(W2)は、第1のポート幅(W1)より小さくなり得る。一実施形態において、第2のポート長さ(L2)は、第1のポート長さ(L1)より短くなり得る。一実施形態において、第2のポート体積(V2)は、第1のポート体積(V1)より小さくなり得る。
【0034】
一実施形態において、拡張した形態では、リザーバは、横断方向軸線、横方向軸線、及び長手方向軸線に沿ってそれぞれ延びる、第1のリザーバ高さ(RH1)、第1のリザーバ幅(RW1)、又は第1のリザーバ長さ(RL1)を画定することができる。しかしながら、これらの高さ、幅、又は長さは、それぞれ異なる軸線に沿って延びてもよいことが理解されるであろう。一実施形態において、リザーバ110は、第1のリザーバ容積(RV1)を画定することができる。
【0035】
一実施形態において、潰れた形態では、リザーバ110は、第2のリザーバ高さ(RH2)、第2のリザーバ幅(RW2)、第2のリザーバ長さ(RL2)、又は第2のリザーバ容積(RV2)を画定することができる。一実施形態において、第2のリザーバ高さ(RH2)は、第1のリザーバ高さ(RH1)より低くなり得る。一実施形態において、第2のリザーバ幅(RW2)は、第1のリザーバ幅(RW1)より小さくなり得る。一実施形態において、第2のリザーバ長さ(RL2)は、第1のリザーバ長さ(RL1)より短くなり得る。一実施形態において、第2のリザーバ容積(RV2)は、第1のリザーバ容積(RV1)より小さくなり得る。一実施形態において、リザーバ110の第2のリザーバ容積(RV2)は、ゼロ容積、又は僅少の容積を画定することができる。
【0036】
一実施形態において、ポート100は、拡張した形態(
図3A、
図3C)に向かって付勢され得る。拡張した形態において、ポート100は、セプタム120を通過しリザーバ110にアクセスしてリザーバ110内に流体を配置するために経皮的に延びる針を受け入れるように構成され得る。流体は、次いでステム管腔132を通ってカテーテル管腔92内に入り、患者の脈管構造に至ることができる。
【0037】
一実施形態において、ポート100は、拡張した形態から潰れた形態に弾性変形され得る。潰れた形態では、ポート100は、ポートを皮下に配置するのを容易にするために、より小さな寸法(例えば、高さ、幅、長さ)又はより小さな全体体積を画定することができる。有利には、この潰れた形態は、ポートを皮下に配置するために必要とする切開部位がより小さいため、切開部位を閉鎖するための縫合を少なくするか又は全く不要とし、瘢痕化を低減し、患者の回復時間を改善し、及び/又は審美性を向上させることができる。皮下に配置されると、ポート100は、使用の準備が整った拡張した形態に戻ることができる。
【0038】
一実施形態において、リザーバ110は、拡張した形態と潰れた形態との間で弾性変形して、ポート100が拡張した形態と潰れた形態との間で弾性変形できるようにすることができる。一実施形態において、ポート100は、第1の軸線に沿って弾性変形し、第1の軸線に対してある角度をなして延びる第2の軸線に沿って弾性的に拡張することができる。したがって、ポート本体150は、第1の平面における断面積を縮小するように弾性変形し、他の場合に拡張した形態で必要とされるよりも小さな切開部位を通り抜けることができる。例えば、ポート本体150は、横断方向軸線又は横方向軸線のうちの1つに沿って弾性変形するように構成されることができ、長手方向軸線に沿って弾性的に拡張して、横方向の垂直平面に沿って延びるポート本体150の断面積を縮小させることができる。したがって、ポート100は、拡張した形態で必要とされるよりも小さな挿入部位を通り抜けることができる。
【0039】
一実施形態において、ポート100は、拡張した形態に付勢されていてもよく、リザーバ110内に配置される真空を含んで、ポート100を潰れた形態に維持するように構成され得る。次に、ポート100は、挿入部位を通って挿入され、皮下に配置され得る。皮下に配置されると、真空をリザーバ110から解放させることができ、ポート100は、潰れた形態から拡張した形態に移行することができる。一実施形態において、真空は、ステム管腔132を密封することによってリザーバ110内で維持され得る。ポート100が皮下に配置されると、ステム管腔132の密封が破られて真空を解放することができる。一実施形態において、リザーバ110の真空は、針で貫通可能なセプタム120を介して、針でポートに経皮的にアクセスすることによって解放され得る。有利には、ポートが潰れた形態から拡張した形態に移行するとき、リザーバ110内の真空により、流体がアクセス針を通ってリザーバ110内に引き込まれ得る。
【0040】
一実施形態において、ポート100は、潰れた形態に向かって付勢されていてもよい。一実施形態において、ポート100は、皮下配置中に潰れた形態を維持することができ、配置中に潰れた形態を維持するために制限又は拘束を必要としない。次に、ポート100は、皮下に配置されると、潰れた形態から拡張した形態に移行され得る。
【0041】
一実施形態において、潰れた形態に向かって付勢されたポート100は、皮下に配置され、経皮的に延びる針によってアクセスされ得る。針は、加圧流体をポート100のリザーバ110に提供することができる。リザーバ110は、流体がポート100に導入されるにつれて、拡張した形態に移行するように構成され得る。流体の流れが停止し、流体がステム130を通ってカテーテル90に至ると、ポート100は拡張した形態から潰れた形態に移行することができる。有利には、潰れた形態に向かって付勢されたポート100では、拡張した形態にあるポート100と比較して、必要とされる挿入部位が小さくなり得る。さらに、ポート100は、針によってアクセスされるまで、潰れた形態であり続けることができる。これにより、より低いプロファイル(外形)を提供することができ、アクセスイベントとアクセスイベントの間に、瘢痕化が低減され、皮膚の伸張が低減され、審美性が向上される。一実施形態において、ポート100は、拡張した形態及び潰れた形態の双方において双安定であり得る。
【0042】
有利には、コンプライアント材料(複数可)、すなわち第2の材料及び/又は第3の材料で形成され、拡張した形態と潰れた形態との間で弾性変形可能なポート本体150は、皮下に配置されたときの患者の快適性を改善することができる。有利には、ポート100の実施形態は、糜爛のリスクをより低くすることができる。
【0043】
いくつかの特定の実施形態が本明細書に開示されるとともに、特定の実施形態がある程度詳細に開示されているが、特定の実施形態は、本明細書で提供された概念の範囲を制限することを意図するものではない。追加的な適応および/または変更が当業者に理解され得る。より広い態様では、これらの適応および/または変更もまた包含される。したがって、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態から逸脱してよい。
【国際調査報告】