(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】微小重力環境用の植物生育システム
(51)【国際特許分類】
A01G 31/02 20060101AFI20240426BHJP
A01G 31/00 20180101ALI20240426BHJP
【FI】
A01G31/02
A01G31/00 612
A01G31/00 617
A01G31/00 601
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571663
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(85)【翻訳文提出日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 US2022029886
(87)【国際公開番号】W WO2022245983
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521434056
【氏名又は名称】シエラ・スペース・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】SIERRA SPACE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】ワイマン,ダン
(72)【発明者】
【氏名】モファット,サミュエル エイ
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ウェッツェル,ジョン ピー
【テーマコード(参考)】
2B314
【Fターム(参考)】
2B314MA11
2B314MA35
2B314MA37
2B314MA38
2B314MA39
2B314MA52
2B314NA18
2B314NA21
2B314NA23
2B314ND01
2B314ND07
2B314ND10
2B314ND13
2B314ND15
2B314ND18
2B314ND23
2B314ND36
2B314PA01
2B314PA15
2B314PB02
2B314PB54
(57)【要約】
微小重力環境用の植物生育システムが、微小重力環境において液体が漏出するのを阻止し、内部からの液体を回収可能に構成された根チャンバを含む。実施形態では、根チャンバは、排出/充填及び/又は噴霧の供給形態を介し、水及び/又は栄養液を植物に提供するように構成され得る。実施形態では、根チャンバは、本体と、本体に連結される根/苗条インターフェースとを含む。根/苗条インターフェースは、当該インターフェースの一方側から根チャンバ内へと延在する根系と、当該インターフェースの他方側から根チャンバの外部へと延在する苗条系とを有する植物を保持するように構成され得る。根/苗条インターフェースは、植物に水及び/又は栄養液を提供するように構成され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体に連結され、前記本体と共に根チャンバの少なくとも一部を形成する根/苗条インターフェースであって、当該根/苗条インターフェースの一方側から前記根チャンバ内へと延在する根系と、当該根/苗条インターフェースの他方側から前記根チャンバの外部へと延在する苗条系とを有する植物を保持するように構成された根/苗条インターフェースと、
前記根チャンバに対して栄養液を充填及び排出するように構成された水耕システムと、
前記栄養液を前記根チャンバ内へと噴霧するように構成された気耕システムと、
を備え、
前記根チャンバが、液体が微小重力環境において前記根チャンバから漏出するのを阻止するように構成されている、
植物生育システム。
【請求項2】
前記根チャンバは、前記微小重力環境において液体を回収するように構成された液体収集システムを含む、
請求項1に記載の植物生育システム。
【請求項3】
前記本体は、少なくとも1つの透明壁領域を含み、前記透明壁領域を介して前記根チャンバの内部が視認可能である、
請求項1に記載の植物生育システム。
【請求項4】
前記本体の前記透明壁領域の内面にわたって液体の流れを供給するように配置された液体出口を備える、
請求項3に記載の植物生育システム。
【請求項5】
前記本体の前記透明壁領域を介して前記根チャンバの前記内部を撮像するように構成された撮像装置を備える、
請求項3に記載の植物生育システム。
【請求項6】
請求項3に記載の植物生育システムの前記本体の前記透明壁領域の内面にわたって液体の流れを向ける
ことを含む、方法。
【請求項7】
前記液体が前記透明壁領域の前記内面にわたって流れている間に、前記根チャンバの内部を撮像することを備える、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ドレンを通る液体の流量が閾値を下回っている、又は前記ドレンを通るガスの流量が閾値を上回っていることに基づいて、前記ドレンを通る前記液体及び/又は前記ガスの前記流量を決定し、前記ドレンを遮断するように構成された制御器を備える、
請求項1に記載の植物生育システム。
【請求項9】
制御器と、ドレンを通る液体及び/又はガスの流量に関する情報を前記制御器に提供するように構成された超音波バルブ検出器とを備える、
請求項1に記載の植物生育システム。
【請求項10】
本体と、
当該根チャンバの内面に沿って当該根チャンバにおける毛細収集領域に延在する少なくとも1つの毛細管通路と、
を備え、
当該根チャンバは、前記液体が微小重力環境において前記根チャンバから漏出するのを阻止するように構成され、
当該根チャンバは、微小重力環境において当該根チャンバ内の前記液体を収集及び回収するように構成されている、
根チャンバ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの毛細管通路が、当該根チャンバの角部に配置されている、
請求項10に記載の根チャンバ。
【請求項12】
当該根チャンバが、複数の角部と、前記角部の各々に配置された少なくとも1つの毛細管通路とを含む、
請求項10に記載の根チャンバ。
【請求項13】
前記少なくとも1つの毛細管通路が、本体と根/苗条インターフェースとの間の接合部に配置されている、
請求項10に記載の根チャンバ。
【請求項14】
前記少なくとも1つの毛細管通路が、約5度から約25度開いた楔形状である、
請求項10に記載の根チャンバ。
【請求項15】
前記毛細管集合領域に配置された多孔性バリアを備える、
請求項10に記載の根チャンバ。
【請求項16】
前記毛細管集合領域に流体的に連通するドレンを備える、
請求項10に記載の根チャンバ。
【請求項17】
第1剛性構造と、
前記第1剛性構造に連結された第2剛性構造と、
前記第1剛性構造と前記第2剛性構造との間に配置されたガスケットと、
を備え、
当該根/苗条インターフェースは、微小重力環境において液体を漏出不能とする根チャンバを形成すべく、本体に連結されるように構成され、
当該根/苗条インターフェースは、当該根/苗条インターフェースの一方側から前記根チャンバ内へと延在する根系と、当該根/苗条インターフェースの他方側から前記根チャンバの外部へと延在する苗条系とを有する植物を保持するように構成されている、
根/苗条インターフェース。
【請求項18】
前記根チャンバと周囲環境との間のガス交換を許容するように構成されたベントを備える、
請求項17に記載の根/苗条インターフェース。
【請求項19】
前記植物に流体を供給するように構成された流体ポートを備える、
請求項17に記載の根/苗条インターフェース。
【請求項20】
前記ポートと流体的に連通される芯材を備え、前記芯材は、前記ポートと前記植物との間で液体を輸送するように構成されている、
請求項19に記載の根/苗条インターフェース。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本国際出願は、2021年5月19日付け出願に係る米国特許出願第17/303,094の利益を主張し、その全体がこの参照によって本国際出願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、微小重力環境用の植物生育システムに関する。本開示は、特に、微小重力環境において、植物の根に対する液体の分配及び回収を可能に構成された根チャンバを含む植物生育システムに関する。
【背景技術】
【0003】
宇宙のような微小重力環境で植物を生育するには、多くの問題がある。1つの問題として、このような環境では流体の挙動が異なることを挙げられる。流体は、地球上のように、容器の底へと流れていかない。このことは、植物生育システムにおいて流体を移動及び/又は回収しようとするに際して課題となる。
【0004】
別の問題として、国際宇宙ステーション(ISS)での従来の植物生育実験では、生育媒体に土壌又は微粒子培地を使用していることを挙げられる。これにより、宇宙空間内へと移動し、宇宙空間を介して操縦されるべき全体質量を増加させる。更に別の問題として、植物自体が、地球の重力が存在しているときとは異なる方法で生育することを挙げられる。
【0005】
微小重力環境において植物を生育するための信頼できる方法を提供することが望ましい。このような植物生育システムは、地球周回宇宙船だけでなく、火星のような場所に移動するために開発されている長距離/長期間宇宙船をサポートするために使用され得る。
【発明の概要】
【0006】
宇宙船、軌道飛行体、準軌道飛行体等のように、微小重力環境で植物を生育するために使用できる植物生育システムについて説明する。植物生育システムは、根/苗条インターフェースを備えた、密閉された根チャンバを含む。根系は、根/苗条インターフェースの一方側を通過して根チャンバ内へと延在する。苗条系は、根/苗条インターフェースの他方側を通過して根チャンバの外部へと延在する。
【0007】
植物生育システム、及びその個々の構成要素は、種々の方法で実施され得る。以下に、システムの多くの異なる実施形態について説明する。一実施形態の任意の特徴又は利点は、個別に、任意の別の実施形態と組み合わせられたり、関連して使用したりできることが理解されるべきである。したがって、本書に記載された特定の実施形態以外にも、植物生育システムの多くの可能な実施形態が存在する。
【0008】
いくつかの実施形態において、植物は、根/苗条インターフェースに配置された植物種子から生育され得る。種子は、根/苗条インターフェースに設置され得る。種子には、種子の発芽及び成長に必要な栄養素、水分、及びその他の条件が提供され得る。
【0009】
いくつかの実施形態において、根/苗条インターフェースは、根チャンバの上部に配置される。根/苗条インターフェースは、多数の構成のいずれかを有し得る。例えば、根/苗条インターフェースは、根チャンバを形成すべく本体に連結され得る。根/苗条インターフェースは、根チャンバの一体的な一部として形成され得る。根/苗条インターフェースは、ポートを有することができ、水及び/又は栄養液が、ポートを通って植物種子に供給され得る。
【0010】
いくつかの実施形態において、植物生育システムは、微粒子生育培地を全く必要とすることなく植物を生育するために使用され得る。これは、微小重力用途で採用される水耕及び/又は気耕の供給及び回収技術を使用して、栄養素を植物根に供給することによって達成される。微粒子生育培地を全く使わずに植物を生育することは、宇宙における全体質量及び植物生育コストを削減できるため、有利である。
【0011】
気耕システムを含むいくつかの実施形態において、1以上のノズルが、植物の根系に栄養液を噴霧するように構成される。水耕システムを含むいくつかの実施形態においては、1以上の流体接続が、根チャンバに対して栄養液を充填及び排出(満ち引き(flow/ebb))するように構成されている。植物生育システムは、栄養素及び水を植物に供給するため、水耕システム又は気耕システムの一方又は両方を含み得る。
【0012】
いくつかの実施形態において、植物生育システムは、流体の動きを制御するため、毛細管力及び/又は表面張力を使用するように構成されている。例えば、根チャンバは、側面に沿って鉛直上向きに延在し、及び/又は、天井、底、及び/又は側面に沿って水平に延在する1以上の毛細管通路を含み得る。毛細管通路は、根チャンバにおける毛細管集合領域で集合し得る。
【0013】
いくつかの実施形態において、植物生育システムは、観察窓を含み、植物の根系が観察窓を介して視認可能である。例えば、観察窓は、根チャンバの透明壁であってもよく、根チャンバの内部が透明壁を介して視認可能であってもよい。観察窓は、植物の根系の成長及び発展を監視及び追跡するために使用され得る。
【0014】
いくつかの実施形態において、植物生育システムは、定期的に観察窓を清掃するために使用され得る清掃システムを含む。観察窓は、飛沫、破片、水滴等で覆われる可能性があり、その場合、根チャンバの内部及び/又は植物の根系を視認することが困難になる。
【0015】
いくつかの実施形態において、清掃システムは、観察窓の内面にわたって液体の流れを向けるように構成された流体出口を含む。液体は、内面を横切って流れ、好ましくは層流として流れ、根チャンバ内を視認困難にする破片やその他の材料を除去する。いくつかの実施形態において、液体の流れが観察窓の内面にわたって通過している間にチャンバの内部を視認できることが望ましい。
【0016】
いくつかの実施形態において、植物生育システムは、植物の根系の画像を撮影するために使用され得る撮像システムを含む。例えば、撮像システムは、観察窓を介して根チャンバの内部の画像を撮影するように構成された撮像装置を含み得る。
【0017】
いくつかの実施形態において、清掃システムは、観察窓を清掃するため、及び根チャンバ内の植物の画像が撮影されるのを許容するために使用され得る。いくつかの実施形態において、撮像装置は、液体が観察窓の内面を横切って流れている間に画像を撮影するように構成されていてもよい。このような状況においては、液体が内面を横切る層流を形成し、明瞭な画像を撮影可能にすることが好ましい。
【0018】
いくつかの実施形態において、根チャンバは、外部環境とのガス交換を許容するように構成され、根チャンバ内の圧力と外部環境における圧力とを均等化し、呼吸に必要な酸素を植物根に提供するように構成され得る。例えば、根チャンバは、液体が根チャンバから漏出するのを阻止する一方、根チャンバと周辺環境との間のガス交換を許容するように構成されるベントを含み得る。
【0019】
いくつかの実施形態において、植物生育システムは、根チャンバ内での流体の流れを制御するように構成された制御器を含み得る。例えば、制御器は、電子コントローラであってもよく、根チャンバにおけるドレンを通る液体の流量が閾値を下回っている、又はドレンを通るガスの流量が閾値を上回っていることに基づいて、ドレンを通る液体及び/又はガスの流量を決定し、ドレンを遮断するように構成され得る。
【0020】
この概要は、記載された主題の簡潔な紹介とともに、いくつかの技術的改善及び/又はそれによってもたらされる利点の概要を与えるために提供されている。要約及び背景は、記載された主題の不可欠な側面を特定することを意図したものではなく、また、クレームの範囲を減縮又は制限するために使用されるべきでない。例えば、クレームの範囲は、記載された主題が要約に記述された側面の一部又は全部を含むか否か、及び/又は背景に記述された問題のいずれかに対処しているか否かに基づいて、制限されるべきではない。
【0021】
好ましい他の実施形態を以下の添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】植物生育システムで使用され得る根モジュールの一実施形態の斜視図。
【
図3】植物生育システムで使用され得る根モジュールの別の実施形態の前方斜視図。
【
図5】
図3~
図4に示す根モジュールの斜視図であって、ハウジングの外壁と根/苗条インターフェースを取り外した状態で示す根モジュールの斜視図。
【
図6】
図3~
図4に示す根モジュールの斜視図であって、ハウジングの外壁と根/苗条インターフェースを取り外した状態で示す斜視図。
【
図7】
図3~
図4に示す根モジュールの斜視図であって、ハウジングの外壁と根/苗条インターフェースを取り外した状態で示す斜視図。
【
図8】
図3~
図4に示す根モジュールの斜視図であって、ハウジングの外壁と根/苗条インターフェースを取り外した状態で示す斜視図。
【
図9】根チャンバを含む根モジュールの内部を照明するように構成された光源の一実施形態の斜視図。
【
図10】
図3に示す根モジュール用の根チャンバの本体の一実施形態の上面図。
【
図11】
図10に示す本体の斜視図であって、流体ラインの本体への接続のされ方を示す斜視図。
【
図12】
図10に示す本体の斜視図であって、流体ラインの本体への接続のされ方を示す斜視図。
【
図13】
図11~
図12に示す本体の正断面図であって、根チャンバへの及び根チャンバからの流体流路を示す正断面図。
【
図14】
図11~
図12に示す本体の分解図であって、根チャンバに対して出入りする流体を通流させる配管固定具を示す分解図。
【
図15】根チャンバの底に配置されるように構成されたインサートであって、水耕システムの一部としての流体移動のための第1流路と、気耕システムの一部としての流体移動のための第2流路とを含むインサートの斜視図。
【
図16】植物生育システムで使用され得る根モジュールの別の実施形態の前方斜視図。
【
図17】
図16に示す根モジュールの斜視図であって、ハウジングの外壁と根/苗条インターフェースとが取り外された状態で示す根モジュールの斜視図。
【
図18】
図16に示す根モジュールの斜視図であって、ハウジングの外壁と根/苗条インターフェースとが取り外された状態で示す根モジュールの斜視図。
【
図19】
図16に示す根モジュールの斜視図であって、ハウジングの外壁と根/苗条インターフェースとが取り外された状態で示す根モジュールの斜視図。
【
図20】
図16に示す根モジュールの斜視図であって、ハウジングの外壁と根/苗条インターフェースとが取り外された状態で示す根モジュールの斜視図。
【
図21】
図16に示す根モジュール用の根チャンバの本体の一実施形態の上面図。
【
図23】
図21~
図22に示す本体の斜視図であって、流体ラインの本体への接続のされ方を示す斜視図。
【
図24】
図21~
図22に示す本体の斜視図であって、流体ラインの本体への接続のされ方を示す斜視図。
【
図25】
図21に示す本体の側面図であって、側壁の1つを取り外した状態で示す本体の側面図。
【
図26】
図21に示す本体の正断面図であって、根チャンバへの及び根チャンバからの流体流路を示す正断面図。
【
図27】
図21に示す本体の一部を透視して示す斜視図であって、根チャンバと関連付けられた流体流路を示す斜視図。
【
図28】
図21に示す本体の下方斜視図であって、流体ラインの本体への接続のされ方を示す下方斜視図。
【
図29】
図21に示す本体の分解図であって、根チャンバに対して出入りする流体を通流させる配管固定具を示す分解図。
【
図30】根/苗条インターフェースの一実施形態の上方斜視図。
【
図31】
図30に示す根/苗条インターフェースの下方斜視図。
【
図34】根/苗条インターフェースの別の実施形態の上方斜視図。
【
図35】
図34に示す根/苗条インターフェースの下方斜視図。
【
図38】根/苗条インターフェースの別の実施形態の上方斜視図。
【
図39】
図38に示す根/苗条インターフェースの下方斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、微小重力環境での使用に適した植物生育システムの一実施形態の概念図である。植物生育システム50は、根モジュール52(代替的に、植物生育アセンブリとも称する)と、制御器54(代替的に、制御システムとも称する)と、液体源56と、ポンプ58と、電源60と、撮像システム62(代替的に、観察システムとも称する)とを含む。
【0024】
根モジュール52は、植物64が成長するところである。根モジュール52は、根チャンバ66(代替的に、根筐体(root enclosure)とも称する)、センサ68、配管系統70、及び光源72を含む。根チャンバ66は、本体74と、根/苗条インターフェース76とを含む。根チャンバ66は、防水性を有するように又は液体を漏らさないように構成され、それにより、液体が微小重力環境において漏出するのを阻止するように構成されている。植物生育システム50が、単一の根モジュール52を利用してもよく、複数の根モジュールを利用してもよい。
【0025】
根モジュール52は、植物生育システム50において、植物64(及び植物64が成長する元である種子)を受容及び保持するように構成されている。概して、
図2を参照すると、植物64の根系78は、根/苗条インターフェース76から根チャンバ66内へと下方に延在し、植物64の苗条系80は、根/苗条インターフェース76から上方且つ外方に延在する。
【0026】
センサ68は、根モジュール52と関連付けられた条件、例えば、根チャンバ66内の温度、根チャンバ66内の流体レベル(液位)、及び根チャンバ66に出入りする流体の流れ等のような条件を監視するために使用される。センサは、制御器54に連結され、制御器にこのようなパラメータに関する情報を提供する。
【0027】
センサ68は多数の適切なセンサのいずれかを含み得るものと理解されるべきである。適切なセンサの例には、温度センサ、流量センサ、バルブ検出器、光センサ、圧力センサ、流体レベルセンサ等が含まれる。一般に、適切なセンサのいずれも、植物の生育の任意の側面、又は根モジュールの動作の任意の側面に関する任意の所望の情報を提供すべく、根モジュール52で使用され得る。
【0028】
根モジュール52に関連付けされたセンサ以外の追加のセンサが、植物生育システム50の一部として含まれ得るものと理解されるべきである。例えば、上述したセンサのいずれか等のセンサや、植物生育システムにおいて一般に使用される他のセンサが、液体源56、ポンプ58、電源60、撮像システム62等を監視及び制御するために使用され得る。
【0029】
配管系統70は、根モジュール52に流体の流れを提供するために使用される。配管系統70は、配管、弁、コネクタ等のような種々の構成要素を含み得る。配管系統70は、液体源56及びポンプ58と連結されて流体的に連通しており、液体源56から根チャンバ66への流体の流れを促進する。根チャンバ66では、液体は植物64の根系78によって吸収される。
【0030】
光源72は、様々な構成を有することができ、また、様々な目的で使用され得る。いくつかの実施形態において、光源72は、根モジュール52の内部及び/又は根チャンバ66の内部を照明するために使用され得る根撮像光源(root-imaging light source)である。これらの実施形態において、根撮像光源は、光合成及び植物生育を促進するために使用される光源とは分離され、別個である。根撮像装置が、光合成を促進するために使用される波長又は波長幅よりも、画像の撮影により適した波長又は波長幅を有する光を生成する点で、これら2つは相違する。
【0031】
いくつかの実施形態において、光源72は、光合成及び植物生育を促進するために使用される植物生育光源(plant-growth light source)である。これらの実施形態において、光源72は、植物苗条80に最大の光を提供するように配置され得る。いくつかの実施形態において、光源72は、根撮像光源及び植物生育光源の両方を含み得るものと理解されるべきである。
【0032】
液体源56は、植物64の生育に関連する任意の適切な目的で使用され得る。例えば、液体源56は、植物64の生育を促進するために使用される水、栄養素等の源を含み得る。一般に、液体源56は、植物64の生育を促進するために使用される液体のリザーバとして機能する。
【0033】
液体源56は、植物64を生育するために有用な任意の適切な液体を含み得る。いくつかの実施形態において、液体源56は、必要な水及び/又は栄養素を植物64に提供するように構成された水溶液又は栄養液を含む。例えば、液体源56は、窒素、リン、ガリウム等の栄養素を含み得る。他の実施形態において、液体源56は、水のみから構成されてもよく、又は本質的に水から構成されていてもよい。
【0034】
液体源56は、植物生育システム50に関連して使用される液体を受容及び格納可能な任意の適切な物理的構成を含み得る。いくつかの実施形態において、液体源56は、プラスチック、金属、ガラス、複合材料等の任意の適切な材料で製造された容器又はリザーバを含む。例えば、液体源56は、折り畳み可能なプラスチック容器を含んでもよく、液体は当該容器から引き出されたり、当該容器に流れたりする。液体源56は、配管、又は任意の他の適切な部品若しくは構造を使用して、根モジュール52に連結され得る。一般に、液体源56は、微小重力環境において液体を供給可能且つ受容可能である。
【0035】
ポンプ58は、植物生育システム50において必要とされる流体を移送するために使用され得る。例えば、ポンプ58は、根モジュール52と液体源56との間で流体を移送するために使用され得る。いくつかの実施形態において、ポンプ58は、液体源56から根モジュール52に、特に根チャンバ66に、流体を移送するために使用され得る。ポンプ58は、根モジュール52から液体源56に流体を移送するためにも使用され得る。
【0036】
図1に示すポンプ58は、単一のポンプ、又は2以上のポンプを表しているものと理解されるべきである。例えば、1つのポンプが、水耕システムの一部として液体を移送するために使用されてもよく、別のポンプが、気耕システムの一部として液体を移送するために使用されてもよい。
【0037】
ポンプ58は、任意の適切な種類のポンプを含み得るものと理解されるべきである。例えば、ポンプ58は、容積式ポンプ、遠心式ポンプ、又は軸流ポンプのうち任意の好適な種類のポンプであってもよい。一般に、ポンプ58は、エネルギー、典型的には電気エネルギーを、植物生育システム50において液体を移動させる機械的動作に変換できるものとされる。
【0038】
いくつかの実施形態において、ポンプ58は、液体を輸送可能な任意の適切な配管を使用して、液体源56と、根モジュール52の配管系統70とに連結される。ポンプ58は、液体を液体源56に圧送し、また、液体を液体源56から配管系統70を介して根チャンバ66に圧送するように構成され得る。
【0039】
電源60は、微小重力環境において植物生育システム50を動作させるための電力を供給するために使用され得る。例えば、電源60は、制御器54、ポンプ58、撮像システム62、センサ68、光源72、及び動作に電力を必要とする任意の他の部品又はシステムに、電力を供給するために使用され得る。
【0040】
電源60は、多数の適切な構成のうちいずれかを有し得る。いくつかの実施形態において、電源60は、植物生育システム50用の電力提供のみを対象としていてもよい。例えば、電源60は、ソーラーパネル又は電池であってもよく、化学反応、太陽エネルギー又は機械的運動を電気エネルギーに変換するように構成された他の装置であってもよい。
【0041】
他の実施形態において、電源60は、植物生育システム50によって1以上の他の構成要素と共有され得る。例えば、電源60は、国際宇宙ステーションや、有人又は無人の他の宇宙船のように、より大型の宇宙船の電源であってもよい。いくつかの実施形態において、電源60は、ソーラーパネル又は電池であってもよく、植物生育システム50を含む多数の構成要素に電力を供給するように構成された他の装置であってもよい。
【0042】
制御器54は、植物生育システム50の全体の動作を制御するために使用され得る。いくつかの実施形態において、これには、センサ68から情報を受信すること、ポンプ58で流体の流れを制御すること、及び/又は、光源72で根モジュール52及び/又は植物64の照明を制御することが含まれる。
【0043】
制御器54は、上記の機能又は植物生育システム50のその他の制御動作を実行可能な任意の適切なハードウェアを含み得る。例えば、制御器54は、プロセッサ、メモリ、データ記憶装置、入出力インターフェース、電源ユニット、ディスプレイ等を含み得る。
【0044】
いくつかの実施形態において、制御器54、又はモジュール式でスケーラブルなシステムを構築するための他の装置によって、システム内の各構成要素に対し、固有のIPアドレスが割り当てられ得る。制御機能に影響を与えることなく、構成要素を追加、削除、又は置換できる。
【0045】
いくつかの実施形態において、制御器54のハードウェアは、植物生育システム50の一部として使用される前に、事前の宇宙飛行適格試験を受けていてもよい。いくつかの実施形態において、集中式のコントローラ54が、最適な植物生育条件を確保すべく、植物生育システム50を制御するために使用され得る。いくつかの実施形態において、制御器54は、遠隔監視及び制御機能を提供できる。
【0046】
いくつかの実施形態において、制御器54は、根モジュール52の外部にあり、適切なデータ接続を使用して根モジュール52に接続されるように構成されている。他の実施形態において、制御器54は、根モジュール52の一部であってもよい。制御器54は、単一のコントローラであってもよく、複数のコントローラであってもよいものと理解されるべきである。例えば、1つのコントローラが、根モジュール52の外部に配置されてもよく、別のコントローラが、根モジュール52に含まれていてもよい。2つのコントローラは、相互に通信可能に構成されていてもよく、又は別個に構成されて相互に通信できないように構成されていてもよい。
【0047】
制御器54は、他の構成要素及びシステムを制御するために使用されるより大型の制御システムの一部であってもよいものと理解されるべきである。例えば、制御器54は、宇宙ステーション又は他の宇宙船の制御システムの一部であってもよい。このような状況において、植物生育システム50は、宇宙ステーション又は宇宙船の一部である制御器と通信可能な又は独立した1以上の他のコントローラを含み得るものと理解されるべきである。
【0048】
撮像システム62は、植物64の生育、特に植物64の根系78の生育を監視するために使用され得る。撮像システム62は、根チャンバ66内の根系78を含む植物生育システム50の様々な側面についての画像又は動画を撮影するように構成された撮像装置82を含み得る。
【0049】
撮像装置82は、画像及び/又は動画を撮影可能な任意の適切な装置であってもよい。このような装置の例には、カメラ等が含まれる。いくつかの実施形態において、撮像装置82は、イメージセンサを含み、植物64の根系78のデジタル画像を生成するように構成される。デジタル画像は、(任意で)処理され、メモリに保存される。
【0050】
植物生育システム50は多くの変更が可能であるものと理解されるべきである。例えば、植物生育システム50は、種々の追加の構成部品又は要素を含むように変更可能である。同様に、既存の構成要素及び/又は新規の構成要素が、
図1に示されるものとは異なる方法で配置されてもよい。例えば、システム50は、種々の方法で構成された多数の光源を含んでもよい。例えば、光源は、根モジュールの外部に配置されてもよい。光源72は、根モジュール52の内部に配置されてもよい。多数の変形例が可能である。
【0051】
図3~
図4は、ハウジング84(代替的に、キャビネットとも称する)を含む根モジュール52の一実施形態を示す。ハウジング84は、根チャンバ86に連結され、根チャンバ86を支持する。ハウジング84は、高い位置で根チャンバ86を支持するように構成され、根チャンバ86の下方に、例えば配管系統70、センサ68、光源72等のような根モジュール52の他の種々の構成要素のためのスペースが確保される。
【0052】
ハウジング84は、概して長方形状であり、前壁90、後壁92、第1側壁94、第2側壁96、及びベース100を含む。前壁90及び後壁92は、ハウジング84の反対側に配置される。第1側壁94及び第2側壁96もまた、ハウジング84の反対側に配置される。壁90,92,94,96及びベース100は、
図3~
図4に示す固定具98によるものを含む任意の適切な固定方法又は技術を使用して、相互に連結され得る。
【0053】
ハウジング84は、多数の観察領域88(代替的に、観察窓とも称する)を含み、根チャンバ86は観察領域88を介して視認可能である。いくつかの実施形態において、観察領域88は、覆われていない開口であり、根チャンバ86への完全なアクセスを許容する。他の実施形態において、観察領域88は、透明材料で覆われていてもよく、根チャンバ86は当該透明材料を介して視認可能になる。
【0054】
ハウジング84は、植物生育システム50の外部構成要素を根モジュール52の内部構成要素に連結するために使用され得る多数のインターフェースポートを含む。いくつかの実施形態において、インターフェースポートは、データ/電力接続ポート102、第1流体ポート104、及び第2流体ポート106を含む。ポート102,104,106は、任意の適切な構成を有し得るものと理解されるべきである。例えば、流体ポート104,106は、クイック接続ポートであってもよく、流体ラインはこのようなポートに迅速且つ容易に取り付けられる。
【0055】
第1流体ポート104は、気耕システムの動作と関連して、且つ気耕システムの動作の一部として、根チャンバ86における根系78に噴霧すべき比較的に高圧の流体を提供するために使用され得る。第2流体ポート106は、水耕システムの動作と関連して、且つ水耕システムの動作の一部として、根チャンバ86の内部に対して充填及び排出すべき比較的に低圧の流体を提供するために使用され得る。
【0056】
ハウジング84は、
図3~
図4に示されているものに対し、多数の方法で変更され得るものと理解されるべきである。また、ハウジング84は、任意の適切な形状、サイズ、又は構成を有してもよく、任意の適切な材料で製造されてもよいものと理解されるべきである。例えば、ハウジング84は、長方形状以外の他の形状を有してもよい。同様に、ハウジング84は、金属、プラスチック、木材、複合材料、これらのいずれかの組み合わせ等を含む種々の材料で製造され得る。
【0057】
根チャンバ86は、本体110、本体110に連結された根/苗条インターフェース108、及びリフトストラップ112を含む。いくつかの実施形態において、根チャンバ86は、ハウジング84に永久的に固定される。他の実施形態では、根チャンバ86は、ハウジング84の上部を介して受け入れられ、取り外されるように構成されている、根チャンバ86は、任意の適切な固定技術又は方法を使用して、ハウジング84に対して連結され及び/又はある位置で保持され得る。例えば、根チャンバ86は、面ファスナのように容易に解放可能な固定具で、ハウジング84に連結され得る。
【0058】
リフトストラップ112は、モジュール52を一体型システムから取り除くのを容易化するために設けられている。いくつかの実施形態において、リフトストラップ112は、根モジュール52を一体型システムの上部の外方へと持ち上げることにより根モジュール52を取り除くために使用され、また、根モジュール52を一体型システムの上部内へと下方に降ろすことにより根モジュール52を設置するために使用され得る。
【0059】
本体110は、上部で開放され、微小重力環境で成長する植物64の根系78のための主要なハウジングを形成するように構成された容器であってもよい。本体110は、開口(詳細は後述)を含み、根チャンバ86内への及び根チャンバ68外への流体移送を許容する。
【0060】
いくつかの実施形態において、本体110は、透明壁領域122を含み、根チャンバ86の内部が透明壁領域122を介して視認可能である。撮像システム62は、透明壁領域122を介して根チャンバ86の内部の画像を撮影するように構成され得る。いくつかの実施形態において、本体100の全体が、どこからでも根チャンバ86の内部を視認可能にするような透材材料で製造されていてもよい。本体110の製造に使用され得る透明材料の例には、イリノイ州エルギンのDMS Somos社から入手可能なSomos WaterShedプラスチック材料が含まれ得る。この材料は、硬化すると真に透明な工学プラスチックを形成する低粘度の液体フォトポリマーである。別の例として、サウスカロライナ州ロックヒルの3D System社から入手可能なAccura 60プラスチックを挙げられる。この材料は、硬化すると透明なポリカーボネートのようなプラスチックになる。
【0061】
本体110は、任意の適切な技術を使用して製造され得る。いくつかの実施形態において、本体110は、上述の材料のいずれかを使用して3Dプリントされる。3Dプリントには、複雑形状を迅速且つ比較的安価で作成できる等、多数の利点がある。いくつかの実施形態において、本体110が全体的に、3Dプリントによって製造され得る。他の実施形態においては、本体110の一部が3Dプリントによって製造され、他の部分が他の製造方法又は技術を使用して製造される。
【0062】
根/苗条インターフェース108は、種子、及び/又は生育の様々な段階における植物を受容及び保持するように構成されている。植物64の根系78は、根/苗条インターフェース108から根チャンバ86内へと下方へ延在し、植物64の苗条系80は、根/苗条インターフェース108から上外方に延在する。根/苗条インターフェース108の詳細は後述する。
【0063】
本体110及び根/苗条インターフェース108は、任意の適切な固定技術又は部品を使用して、任意の適切な方法で、互いに連結され得る。いくつかの実施形態において、根/苗条インターフェース108は、クイックリリースファスナ114を使用して本体110に連結される。クイックリリースファスナ114は、上部を回転させることによって操作され、ファスナ114を選択的にロック又は解放し、それにより、根/苗条インターフェース108が本体110に連結又は連結解除可能になる。
【0064】
いくつかの実施形態において、根/苗条インターフェース108と本体110とは、流体を密封するようにして相互に連結される。微小重力環境においては、流体が根チャンバ86から周辺環境に漏出して敏感な機器に触れるのを防ぐため、流体密封接続がしばしば必要となる。
【0065】
図5~
図8は、内部構成を図示すべく、根/苗条インターフェース108及び壁90,92,94,96を取り外した状態の根モジュール52の斜視図である。根モジュール52は、ベース100の上面に連結された2つの光源72を含む。光源72は、根モジュール52の内部を照明するように構成され得る。
【0066】
図9は、光源72をより詳細に示す。各光源は、ハウジング134に連結されたカバー132を含む。カバー132は、LED素子によって出射された光が根チャンバ86を通過して根チャンバ86を照明できるように、透明又は半透明であってもよい。
【0067】
任意の適切な種類の光が光源72として使用され得るものと理解されるべきである。いくつかの実施形態において、光源72は、3500K~6000Kの色温度を有する白色光を提供するように構成されたLED光を含む。光源72は、赤色光、緑色光、紫外光等を含む、他の様々な色及び/又は波長の光を提供するように構成されていてもよい。
【0068】
光源72のための電力は、データ/電力接続102によって、又は1以上の電池のような独立した内部電源によって提供され得る。なお、根モジュール52内の電力及びデータ接続線は、他の構成要素をよりよく図示するため、
図5~
図8では図示されていない。
【0069】
図5~
図8は、根モジュール52内の配管系統70をより詳細に示す。第1流体ポート104は、気耕システムのための流体を提供し、配管120(代替的に、流体ラインとも称する)により根チャンバ86の内部のスプレーノズルと流体的に連通される。一般に、第1流体ポート104は、根モジュール52に比較的に高圧の流体を提供するように構成されている。
【0070】
第2流体ポート106は、水耕システムのための流体、及び根チャンバ86の透明壁領域122の内面を清掃するために使用される清掃システムのための流体を提供するように構成されている。第2流体ポート106は、配管126(代替的に、流体ラインとも称する)により弁124に連結されている。弁124は、流体を透明壁領域122の内面に導く配管128(代替的に、流体ラインとも称する)、又は本体110の底に導く配管130(代替的に、流体ラインとも称する)に向けるように構成されており、根チャンバ86の内部に対して充填及び排出するために使用され得る。
【0071】
根モジュール52は、温度センサ116及びバルブ検出器118のように、多数のセンサ68を含む。温度センサ116は、根チャンバ86内の温度を測定するために使用され、制御器54と情報通信する。温度センサ116は、本体110の底を取って根チャンバ86の内部へと延在する。
【0072】
温度センサ116は、任意の適切な構成を有してもよく、任意の適切な種類の温度センサであってもよいものと理解されるべきである。いくつかの実施形態において、温度センサ116は、熱電対を含む。
【0073】
バルブ検出器118は、配管126内の気泡又はエアを検出するために使用される。配管126内における気泡又はエアの有無は、根チャンバ86の内部に対する充填又は排出のような動作をいつ停止すべきか判断するために、制御器54によって使用され得る。バルブ検出器118は、任意の適切なバルブ検出器であってもよいものと理解されるべきである。いくつかの実施形態において、バルブ検出器118は、超音波バルブ検出器である。
【0074】
図10は、根チャンバ86の本体110の上面図である。根チャンバ86は、本体110と根/苗条インターフェース108との間の界面で水平に配置され、本体110の角部に沿って鉛直に配置され、本体110の底に沿って概略水平に配置された毛細管通路136を含み得る。毛細管通路136は、本体110の中央に位置する毛細管集合領域138で集合する。
【0075】
毛細管通路136は、毛細管力及び/又は表面張力を使用するような大きさ及び形状に形成され、毛細管力及び/又は表面張力により、水又は水溶液のような液体は、重力のような外力の助けなしに毛細管集合領域138に向かって流れていく。微小重力環境で静水圧が存在しないため、毛細管通路136は、液体を位置決め及び移送するため毛細管力及び/又は表面張力を使用する。地球上では、毛細管力の効果は、数ミリメートルに制限される。微小重力環境においては、毛細管力が、数メートル及ぶ自由表面に影響を及ぼす。
【0076】
毛細管通路136は、根チャンバ86内の毛細管の流れを促進する任意の適切な幾何学的形状を有してもよいものと理解されるべきである。適切な幾何学的形状の例には、溝、平行板チャネル、導管等が含まれる。毛細管通路136は、角部で使用され、側壁に沿って使用され、2つの部品の界面で使用され、及び/又は平面に沿って使用され得る。
【0077】
いくつかの実施形態において、
図10に示すように、毛細管通路136は、内部の角部に配置され、本体110の底に沿って配置される。また、毛細管通路136は、根/苗条インターフェース108と本体110とが相互に連結されるときに形成されてもよい。いくつかの実施形態において、毛細管通路136は、概ね開放された楔形状を有し得る。楔を形成する側壁は、平坦又は平面であってもよく、丸まった形状でもよく、不規則な形状を有していてもよい。いくつかの実施形態において、楔形状は、約5度~約25度、又は約10度~約20度開いている。
【0078】
図11~
図14は、温度センサ116や、種々の流体流路が本体110を通って根チャンバ86に入る様子を示している。温度センサ116は、インサート140に螺合している。インサート140は、本体110の底における対応する開口142に配置されるように構成されている。弾性材料で製造されるOリングのように、シール144が、インサート140の外周に設けられ、本体110の開口142と流体密閉接続を形成するように構成される。
図12及び
図14に示すように、インサート140は、本体110の底部から外側に延びるタブまたは突起148の開口部と、インサート140から外側に延びるタブまたは突起150の対応する開口部を通って延びる締結具146によって、所定の位置に保持され得る。
【0079】
根チャンバ86の温度は、温度センサ116の他の構成を使用して測定され得るものと理解されるべきである。例えば、いくつかの実施形態において、本体110は、本体110を貫通しない凹部を含み得る。温度センサ116は、凹部内で延在してもよく、凹部の壁を介して根チャンバ86の温度を測定してもよい。他にも多くの構成が可能である。
【0080】
図10~
図11は、観察窓を清掃するために使用される液体の流れを示す。流体は、配管128、配管フィッティング152、本体110の壁の内部通路154を通流し、透明壁領域122の内面の上部に設けられた出口ポート156から流出する。出口ポート156は、透明壁領域122の内面から外方へ延在する突起158から下方に向けられている。
【0081】
いくつかの実施形態において、出口ポート156は、透明壁領域122の内面にわたって液体の層流を生成するように構成されている。層流により、観察窓を通過する光の歪みが軽減され、根チャンバ86の内部の細部を見やすくなり、より鮮明な画像を撮影できるようになる。内部通路154は、3Dプリント処理の一部として形成され得る。
【0082】
観察窓を清掃するために使用される流体流路には多くの変更が成され得るものと理解されるべきである。例えば、内部通路154は、本体110の外面に沿って上方に延在する配管に置き換えられてもよく、当該配管は、透明壁領域122の上部に設けられた開口を通って延在するフィッティングで終端する。フィッティングは、透明壁領域122にわたって液体を向けるように構成され得る。同様に、液体は、出口ポート156を流出し、流れを分割して透明壁領域122の上部を横切って分配する分配器を通流してもよい。
【0083】
図12~
図14は、水耕及び気耕システムを通流する流体を示す。インサート160は、本体110の底の中心に設けられた対応する開口162に配置されるように構成される。弾性材料で製造されたOリングのように、シール164が、本体110の開口162と流体密封接続を形成すべく、インサート160の周囲に配置されている。インサート160は、本体110の底部から外側に延びるタブまたは突起168の開口部と、インサート160から外側に延びるタブまたは突起170の対応する開口部を通って延びる締結具166によって、所定の位置に保持され得る。
【0084】
水耕システムのための流体は、配管130、配管フィッティング172、インサート160の外周で延在する通路174、及びインサート160の外周側に配置されたカラー186を通って上方に延びる一連の通路(
図15を参照)によって形成される第1流路又は流体通路を通流する。流路は、毛細管集合領域138を通って根チャンバ86の内部に入る。フィルタ又は多孔性バリア176が、毛細管集合領域138に配置され、根及び/又は他の破片が、第1流路を介して根チャンバ86から出るのを防いでいる。
【0085】
いくつかの実施形態において、多孔性バリア176が、インサートの外面の周囲に嵌合するような大きさの円筒状を有した多孔性カラーであってもよい。多孔性バリア176は、インサート160の上部に螺合するロックリング178によってある位置に保持され得る。
【0086】
多孔性バリア176は、任意の適切な構成を有してもよく、任意の適切な材料で製造されてもよいものと理解されるべきである。例えば、多孔性バリア176は、円筒形状以外の他の形状を有してもよい。また、多孔性バリア176は、発泡体、プラスチック、金属、複合材等の適切な材料で製造され得る。
【0087】
水耕システムは、根チャンバ86の内部に対して充填及び排出するために使用され得る。内部は、第1流路を介して根チャンバ86の内部に対して出入りするように液体を圧送又は輸送することによって、内部は充填及び排出される。いくつかの実施形態において、水耕システムは、気耕システムによって根チャンバ86の内部に付加された液体を排出するために使用される。例えば、気耕システムの動作の一部として根チャンバ86の内部に噴霧された液体は、第1流路を介して排出することによって取り除かれる。
【0088】
気耕システムのための流体は、配管120、配管フィッティング180、インサート160の中心を貫通して延在する通路182、及び根チャンバ86の内部に配置されたスプレーノズル184によって形成される第2流路又は流体通路を通流する。気耕システムは、液体源56からの液体を植物64の根系78に噴霧するために使用され得る。液体は、毛細管集合領域138で収集されることによって回収され、上述の方法で第1流路を介して排出される。
【0089】
図16は、根モジュール200の別の実施形態を示す。この構成は、
図3~
図4に関連して図示及び説明された構成と類似しており、当該構成と同じ構成要素を多く備えている。したがって、両方の構成に共通する構成要素については、上記のとおりである。
【0090】
根モジュール52と根モジュール200とは、根チャンバの本体の設計の点で主に異なる。根モジュール200は、根/苗条インターフェース108に連結され、根チャンバ202を形成するように構成された本体204を含む。根チャンバ202は、根チャンバ86と同じ特性および機能を有し得るものと理解されるべきである。
【0091】
本体204は、中央又は中間部206を3Dプリントし、例えば固定具212でこの中央部206の辺に側壁208を連結する。シール又はガスケット214(
図22)は、液体が微小重力環境において根チャンバ202から漏出するのを防ぐため、中央部206と側壁208との間に配置され得る。
【0092】
側壁208は、好ましくは透明材料で製造され、本体204上に1以上の透明壁領域210を形成する。中央部206もまた、上述した材料のいずれかを含む透明材料で製造されてもよい。本体204は、透明な部品及び/又は領域と、非透明な部品及び/又は領域との組み合わせを含み得るものと理解されるべきである。いくつかの実施形態において、側壁208の1つのみが、透明材料で製造され、その他側壁208及び/又は中央部206が、非透明材料で製造されてもよい。
【0093】
側壁208は、任意の適切な形状であってもよく、任意の適切な材料で製造されてもよい。いくつかの実施形態において、側壁208は、平坦又は平面状である。いくつかの実施形態において、側壁208は、ポリカーボネート材料のような透明プラスチック材料で製造され得る。いくつかの実施形態において、側壁208は、透明壁領域122と関連して上述した材料のいずれかを含む任意の透明材料で製造され得る。
【0094】
いくつかの実施形態において、本体204の透明壁領域210は、根モジュール200のハウジング84の前壁90と対向する。この構成において、透明壁領域210によってもたらされる観察窓は、根モジュール200の正面に設けられる。他の実施形態においては、観察窓が、根モジュール200の側部又は後部に設けられ得るものと理解されるべきである。いくつかの実施形態において、根モジュール200は、2以上の側面上に観察窓を含み得る。
【0095】
根チャンバ202の内部が
図21~
図22に図示されている。根チャンバ202は、根チャンバ86の毛細管通路136と類似の毛細管通路220を含み得る。毛細管通路220は、中央部206と各側壁208との間の接合部に配置されていてもよく、根/苗条インターフェース108と、中央部206及び側壁208との間の接合部又は界面に配置されていてもよい。毛細管通路220は、本体204の底に配置された毛細管集合領域222に集まる。
【0096】
毛細管集合領域222は、側壁208同士の間で中央部206の底を横切って延在する毛細管通路又はドレン通路である。中央部206の底は、毛細管集合領域222に向かって下方に傾斜している。毛細管通路220の物理的形状により、液体は、微小重力環境において毛細管集合領域222で収集される。
【0097】
毛細管通路220は、上述の毛細管通路136と同じに又は同様に構成され得るものと理解されるべきである。したがって、毛細管通路136の説明は、毛細管通路220に同様に適用可能である。
【0098】
根モジュール200のための配管系統70は、根モジュール52のための配管系統70と殆ど同じ又は類似している。一般に、配管系統70は、上述と殆ど同じ構成要素を使用して観察窓を清浄するために用いられる液体のための流路を画定する。液体は、配管128、配管固定具152を通流し、側面に沿って上方に延在すると共に本体204の中央部206の上部を横切って延在する内部通路216に流入し(
図22、
図25、及び
図27)、透明壁領域210の内面の上部に設けられた出口ポート218を介して流出する。
【0099】
いくつかの実施形態において、内部通路216は、中央部206の3Dプリントの一部として形成されてもよい。観察窓を清掃するために使用される配管系統70の構成は、根モジュール52に関連して上述したいずれかを含む多数の方法で変更され得るものと理解されるべきである。
【0100】
根モジュール200の水耕システム及び気耕システムのための液体流路は、根モジュール52のものと類似している。相違点の1つとして、流路が、根モジュール52と同じ開口を介して根チャンバ202内に延在していないことを挙げられる。代わりに、水耕システムのための第1流路の配管固定具172が、本体204の中央部206の底の開口224を介して根チャンバ202内へと延在している(
図26及び
図29)。また、配管固定具180が、本体204の中央部206の底に別個に設けられた開口228に受容されるように構成されたインサート226に連結されている。
【0101】
図26を参照して、第1流路内の液体は、流路234に沿って配管固定具172から毛細管集合領域222へと上向きに流れる。第2流路内の液体は、流路230に沿って配管固定具180からインサート226を介して上向きに流れ、スプレーノズル232を介して根チャンバ202の内部へと流出する。
【0102】
多孔性バリア又はフィルタ236は、毛細管集合領域222の底に配置される。いくつかの実施形態において、多孔性バリア236は、毛細管集合領域222の底の全長に沿って延在する。例えば、多孔性バリア236は、側壁208の一方側から側壁208の他方側へと延在し得る。毛細管集合領域222は、多孔性バリア236の下方にスペースを含んでいてもよく、液体は、多孔性バリア236あるいはスペースに沿って流れ、第1流路及び毛細管集合領域222の接合部で開口238に到達する。
【0103】
多孔性バリア236は、任意の適切な材料で製造されてもよく、根チャンバ202内の液体から根の破片及びその他の固形物を濾過可能な任意の適切な形状を有していてもよいものと理解されるべきである。例えば、多孔性バリア236は、多孔性バリア176に関連して上述した材料のいずれかによって製造され得る。いくつかの実施形態において、多孔性バリア236は、プラスチック材料又は発泡材料で製造される。
【0104】
図30~
図41は、根/苗条インターフェース76の様々な実施形態を示す。根/苗条インターフェース76は、苗条域(shoot zone)と根域(root zone)との間に物理的バリアをもたらす。これにより、根域に噴霧された栄養液が、植物64の葉領域(leafy region)内に進入するのを防ぐことができる。根/苗条インターフェース76は、植物種子カートリッジを受容し保持するように構成されている。根/苗条インターフェース76は、再植栽及びその後の再設置のため、取外し可能であってもよい。根/苗条インターフェース76は、植物種に応じて、最大で15、20、25、又はそれ以上の単一植物を含む任意の適切な数の植物64を植えるために使用され得る。
【0105】
図30~
図31は、根/苗条インターフェース108の上方斜視図及び下方斜視図である。根/苗条インターフェース108は、剛性支持フレーム又はシェル252と、弾性又はコンフォーマル材料254と、ベント258と、根/苗条インターフェース108を本体110,204に連結するために使用される固定具114とを含む。支持フレーム252は、弾性材料254のための剛性支持構造を提供する。支持フレーム252は、プラスチック、金属、複合材等を含む任意の適切な材料で製造され得る。いくつかの実施形態において、支持フレーム252は、剛性プラスチック材料で製造される。
【0106】
弾性材料254は、本体110と流体密封シールを形成し、本体110を覆うように構成されている。また、弾性材料254は、植物64を生育するための種子を受容及び保持するように構成されている。いくつかの実施形態において、弾性材料254は、互いに平行に配列された複数のスリット250(代替的に、スロット又はスロット状のキャビティとも称する)を含み、スリット250は、植物64が芽生えるはずの種子を含んだ1以上の種子カートリッジ256を受容するように構成されている。
【0107】
弾性材料254は、任意の適切な形状、サイズ、及び/又は物理的特性を有し得るものと理解されるべきである。弾性材料は、任意の適切な材料から製造され得る。いくつかの実施形態において、弾性材料254は、発泡材料を含む。例えば、弾性材料254は、独立気泡のシリコーン発泡材料を含み得る。
図30~
図31に示される弾性材料254に対しては、多くの変形をなし得るものと理解されるべきである。
【0108】
ベント258は、ガスが根チャンバ86,202に対して流入及び/又は流出するのを許容するように構成され、根チャンバ86,202と周辺環境との間で圧力を均等化し、酸素が苗条系80から根系78にもたらされる。ベント258は、液体が、微小重力環境において根チャンバ86,202から流出するのを防ぐように構成されている。いくつかの実施形態において、ベント258は、多孔性プラスチック又は多孔性発泡材料のような多孔性材料で製造されてもよい。このような多孔性材料は、ガスが根チャンバ86,202に対して出入りするのを許容すると共に、液体が根チャンバ86,202から流出するのを防ぐ。
【0109】
図32~
図33は、根/苗条インターフェース108の上方部分分解図及び下方部分解図である。いくつかの実施形態において、支持フレーム252は、第1剛性支持部品260及び第2剛性支持部品262を含む。部品260,262は、弾性材料254の反対側に配置されるように構成され、固定具264で相互に連結される。
【0110】
図34~
図35は、根/苗条インターフェース270の別の実施形態の上方斜視図及び下方斜視図であり、根/苗条インターフェース270は、根/苗条インターフェース270の角部から角度を持って内方に延在する4つのスリット250と、根/苗条インターフェース270の中間で対辺から内方に直線的に延在する2つのスリット250とを含む。スリット250は、根チャンバ86における毛細管通路136に対応する角部で内方に延在する。
【0111】
根/苗条インターフェース270も、剛性支持フレーム又はシェル272と、弾性材料274と、ベント258と、固定具114とを含む。支持フレーム272及び弾性材料274は、支持フレーム252及び弾性材料254とそれぞれ同一又は同様に構成され得る。したがって、支持フレーム252及び弾性材料254についての説明が、支持フレーム272及び弾性材料274にも同様に当てはまる。
【0112】
図36~
図37は、根/苗条インターフェース270の上方一部分解図及び下方一部分解図である。いくつかの実施形態において、支持フレーム272は、第1剛性支持部品276及び第2剛性支持部品278を含む。部品276,278は、弾性材料274の反対側に配置されるように構成され、固定具264で相互に連結される。
【0113】
図38~
図39は、根/苗条インターフェース280の別の実施形態の上方斜視図及び下方斜視図である。根/苗条インターフェース280は、流体ライン288と連結された流体ポート286、流体ポート286と流体的に連通される芯材290と、対角線に沿って内方に且つ相互に平行に延在する2つのスリット250とを含む。流体ポート286と流体ライン2888とは、液体源56に連結され、根/苗条インターフェース280に流体を供給するため及び根/苗条インターフェース280から流体を回収するために使用され得る。
【0114】
芯材290は、流体を流体ポート286に又は流体ポート286から移送するために使用され得るものと理解されるべきである。いくつかの実施形態において、芯材290は、スリット250に栄養液を移送するために使用され得る。いくつかの実施形態において、芯材290は、根チャンバ86,202内の芯材290によって吸収された流体を流体ポート285に移送するために使用され得る。
【0115】
根/苗条インターフェース280は、剛性支持フレーム又はシェル282、弾性材料284、ベント258、及び固定具114を含む。支持フレーム282と弾性材料284とは、支持フレーム252及び弾性材料254それぞれと同一又は同様に構成され得る。したがって、支持フレーム252及び弾性材料254についての説明が、支持フレーム282及び弾性材料284にも同様に当てはまる。
【0116】
図40~
図41は、根/苗条インターフェース280の上方一部分解図及び下方一部分解図である。弾性材料284は、芯材290を受容する大きさに形成された開口294を含み、開口294は、一方側では弾性材料284により、他方側では芯材290により、少なくとも部分的に形成されたスリット250を備える。流体ポート286にて芯材290によって受容された流体は、芯材を介してスリット250に移送される。
【0117】
いくつかの実施形態において、根/苗条インターフェース280の支持フレーム282は、第1剛性支持部品296及び第2剛性支持部品298を含む。部品296,298は、弾性材料284の反対側に配置されるように構成され、固定具264で相互に連結される。
【0118】
いくつかの実施形態において、植物生育システム50で植物64を生育するための方法は、根/苗条インターフェース76に種子を蒔くこと、及び種子が発芽するまで根/苗条インターフェース76の底に栄養液を噴霧することを含む。発芽後、栄養液が、根/苗条インターフェース76の下方に成長する根に噴霧される。この方法は、栄養素を植物根に気耕的に供給することを含む。
【0119】
いくつかの実施形態において、植物生育システム50で植物64を生育するための方法は、根/苗条インターフェース76に種子を蒔くこと、及び種子が発芽するまで種子に栄養液を提供することを含む。栄養液は、根/苗条インターフェース76の底に栄養液を噴霧することによって、又は栄養液を根/苗条インターフェース76に直接的に配管することによって、供給され得る。発芽後、根チャンバの内部は、栄養素を植物根に供給するため、周期的に栄養液で充填及び排出される。この方法は、栄養素を植物根に気耕的に及び/又は水耕的に供給することを含む。
【0120】
上記の方法は、根チャンバから過剰な流体を排出するため、根チャンバの上部、側部、及び/又は底に、又はその近くに配置された毛細管通路と共に使用され得る。毛細管通路は、除去のため、微小重力下で液体を狭隘な溝に流し、根チャンバの底に設けられたドレンポートに向けて流すように構成されている。
【0121】
いくつかの実施形態において、植物根の生育を観察し、及び/又は流体分配システム及び回収技術を評価するための方法が、観察窓を清掃すること、及び根チャンバの内部の画像を撮影することを含む。観察窓を清掃することは、観察窓の内面にわたって液体の流れを向けることを含み、流体の滴や噴霧の飛沫を観察窓から清掃できる。根チャンバの内部の画像を撮影することは、微速度撮影動画を生成すべく内部の画像を周期的に撮影すること、又は内部の通常の動画を単純に撮影することを含み得る。液体が観察窓にわたって流れている間、又は液体が観察窓を流れなくなった直後に、画像は撮影され得る。画像は、カメラで撮影され得る。
【0122】
<例示的な実施形態>
以下、開示された主題の種々の実施形態について説明する。各実施形態は、開示された主題の種々の特徴、特性、又は利点のうち1つ以上を含み得る。実施形態は、開示された主題の限られた側面を示すことを目的としており、可能な全ての実施形態を理解可能に又は排他的に記述したものであると考慮されるべきでない。
【0123】
P1.1以上の側面及び底を含む本体と、前記本体に連結された根/苗条インターフェースと、前記本体の前記1以上の側面に沿って延在し、前記本体の前記底における毛細管集合領域で集まる毛細管通路と、を備える、根チャンバであって、前記根/苗条インターフェースは、当該根/苗条インターフェースの一方側から前記根チャンバ内へと外に延在する根系と、当該根/苗条インターフェースの他方側から前記根チャンバの外部へと外に延在する苗条系とを有する植物を保持するように構成され、当該根チャンバは、液体が微小重力環境において当該根チャンバから漏出するのを阻止するように構成されている、根チャンバ。
【0124】
P2.少なくとも1つの前記毛細管通路が、当該根チャンバの角部に配置されている、段落P1の根チャンバ。
【0125】
P3.当該根チャンバが、少なくとも4つの角部を含み、少なくとも1つの前記毛細管通路が、前記4つの角部の各々に配置されている、段落P1~P2の根チャンバ。
【0126】
P4.前記本体と、前記根/苗条インターフェースとの間の接合部に配置された毛細管通路を備える、段落P1~P3の根チャンバ。
【0127】
P5.前記毛細管通路が、約5度から約25度まで開いた楔形状を有する、段落P1~P4の根チャンバ。
【0128】
P6.前記毛細管集合領域に配置された多孔性バリアを備える、段落P1~P5の根チャンバ。
【0129】
P7.前記毛細管集合領域と流体的に連通されているドレンを備える、段落P1~P6の根チャンバ。
【0130】
P8.前記本体の少なくとも一部が、3Dプリントされる、段落P1~P7の根チャンバ。
【0131】
P9.段落P1~P8の根チャンバで微小重力環境において植物を生育することを備える、方法。
【0132】
P10.本体と、前記本体と連結された根/苗条インターフェースと、を備え、前記根/苗条インターフェースは、第1剛性構造と、前記第1剛性構造と連結された第2剛性構造と、前記第1剛性構造と前記第2剛性構造との間に配置されたガスケットと、を備え、前記根/苗条インターフェースは、当該根/苗条インターフェースの一方側から当該根チャンバ内へと外に延在する根系と、当該根/苗条インターフェースの他方側から当該根チャンバの外部へと外に延在する苗条系とを有する植物を保持するように構成され、当該根チャンバは、液体が微小重力環境において当該根チャンバから漏出するのを阻止するように構成されている、根チャンバ。
【0133】
P11.前記ガスケットが、植物種子を受容及び保持するように構成されている、段落P10の根チャンバ。
【0134】
P12.前記根/苗条インターフェースを介して延在するベントを備え、前記ベントは、当該根チャンバと周辺環境との間のガス交換を許容し、且つ液体が当該根チャンバから漏出するのを阻止するように構成されている、段落P10~P11の根チャンバ。
【0135】
P13.段落P10~P12の前記根チャンバで前記微小重力環境において植物を生育することを備える、方法。
【0136】
P14.本体と、前記本体に連結された根/苗条インターフェースと、を備え、前記根/苗条インターフェースは、植物種子を受容及び保持するように構成され、前記根/苗条インターフェースは、流体ラインに接続するように構成されたポートを含み、当該根チャンバは、液体が微小重力環境において当該根チャンバから漏出するのを阻止するように構成されている、根チャンバ。
【0137】
P15.前記ポートに流体的に連通している芯材を備え、前記芯材は、前記ポートと前記植物種子との間で液体を輸送するように構成されている、段落P14の根チャンバ。
【0138】
P16.段落P14~P15の根チャンバと、前記ポートに連結された流体ラインと、前記流体ラインを通流する液体を制御するように構成された制御器と、を備え、前記制御器が、前記根/苗条インターフェースに液体を供給し、前記根/苗条インターフェースから液体を排出するように構成されている、植物生育システム。
【0139】
P17.段落P14~P16の根チャンバで前記微小重力環境において植物を生育することを備える、方法。
【0140】
P18.本体と、前記本体に連結された根/苗条インターフェースと、当該根チャンバと周辺環境との間のガス交換を許容し、液体が当該根チャンバから漏出するのを阻止するように構成されたベントと、を備え、前記根/苗条インターフェースは、当該根/苗条インターフェースの一方側から当該根チャンバ内へと外に延在する根系と、当該根/苗条インターフェースの他方側から当該根チャンバの外部へと外に延在する苗条系とを有する植物を保持するように構成され、当該根チャンバは、液体が微小重力環境において当該根チャンバから漏出するのを阻止するように構成されている、根チャンバ。
【0141】
P19.前記ベントは、前記根/苗条インターフェースの一部である、段落P18の根チャンバ。
【0142】
P20.段落P18~P19の根チャンバで前記微小重力環境において植物を生育することを備える、方法。
【0143】
P21.少なくとも1つの透明壁領域を含む本体と、前記本体に連結された根/苗条インターフェースと、を備え、当該根チャンバの内部が前記透明壁領域を介して視認可能であり、前記根/苗条インターフェースは、当該根/苗条インターフェースの一方側から当該根チャンバ内へと外に延在する根系と、当該根/苗条インターフェースの他方側から当該根チャンバの外部へと外に延在する苗条系とを有する植物を保持するように構成され、当該根チャンバは、液体が微小重力環境において当該根チャンバから漏出するのを阻止するように構成されている、根チャンバ。
【0144】
P22.前記本体の前記透明壁領域の内面にわたって液体の流れを向けるように構成された流体出口を備える、段落P21の根チャンバ。
【0145】
P23.当該根チャンバの前記内部を照明するように構成された光源を備える、段落P21~P22の根チャンバ。
【0146】
P24.段落P21~P23の根チャンバと、撮像装置と、を備え、前記撮像装置は、前記本体の前記透明壁領域を介して前記根チャンバの前記内部の画像を撮影するように構成されている、植物生育システム。
【0147】
P25.段落P21~P24の根チャンバで前記微小重力環境において植物を生育することを備える、方法。
【0148】
P26.根チャンバの内部を視認するための方法であって、前記根チャンバが、透明壁領域を備え、当該根チャンバの内部が前記透明壁領域を介して視認可能であり、前記根チャンバは、液体が微小重力環境において当該根チャンバから漏出するのを阻止するように構成され、当該方法が、前記透明壁領域の内面にわたって液体の流れを向けることを備える、方法。
【0149】
P27.流体の流れは、前記透明壁領域の前記内面にわたって層流である、段落P26の方法。
【0150】
P28.前記根チャンバの前記内部の画像を撮影することを備える、段落P26~P27の方法。
【0151】
P29.前記液体が前記透明壁領域の前記内面にわたって流れている間に前記画像が撮影される、段落P28の方法。
【0152】
P30.液体が微小重力環境において自身から漏出するのを阻止するように構成された根チャンバと、栄養液を前記根チャンバに対して充填及び排出するように構成された水耕システムと、前記栄養液を前記根チャンバ内へと噴霧するように構成された気耕システムと、を備える、植物生育システム。
【0153】
P31.前記根チャンバの底に設けられた開口と、前記開口に配置されたインサートと、を備え、前記インサートが、第1流路と、第2流路とを含み、前記水耕システムは、前記第1流路を介して前記栄養液を前記根チャンバに対して充填及び排出し、前記気耕システムは、前記第2流路を介して前記栄養液を前記根チャンバ内へと噴霧する、植物生育システム。
【0154】
P32.底に設けられた開口を含む根チャンバと、前記根チャンバの前記底に設けられた前記開口に配置されたインサートと、を備え、前記根チャンバは、液体が微小重力環境において当該根チャンバから漏出するのを阻止するように構成され、前記インサートは、第1流路と、第2流路とを含み、水耕システムは、前記第1流路を介して栄養液を前記根チャンバに対して充填及び排出し、気耕システムは、前記第2流路を介して栄養液を前記根チャンバ内へと噴霧する、植物生育システム。
【0155】
P33.栄養液を収容する液体源を備え、前記液体源は、前記第1流路及び前記第2流路と流体的に連通している、段落P32の植物生育システム。
【0156】
P34.制御器と、液体用のドレンを含む根チャンバと、を備え、前記根チャンバは、液体が微小重力環境において当該根チャンバから漏出するのを阻止するように構成され、
前記制御器は、前記ドレンを通る液体の流量が閾値を下回っている、又は前記ドレンを通るガスの流量が閾値を上回っていることに基づいて、前記ドレンを通る液体及び/又はガスの流量を決定し、前記ドレンを遮断するように構成されている、植物生育システム。
【0157】
P35.前記ドレンを通る液体及び/又はガスの流量に関する情報を前記制御器に提供するように構成された超音波バルブ検出器を備える、段落P34の植物生育システム。
【0158】
P36.本体と、前記本体に連結された根/苗条インターフェースとを備え、前記根/苗条インターフェースは、当該根/苗条インターフェースの一方側から当該根チャンバ内へと外に延在する根系と、当該根/苗条インターフェースの他方側から当該根チャンバの外部へと外に延在する苗条系とを有する植物を保持するように構成され、前記根チャンバは、液体が微小重力環境において当該根チャンバから漏出するのを阻止するように構成されている、根チャンバ。
【0159】
P37.段落P36の根チャンバで前記微小重力環境において植物を生育することを備える、方法。
【0160】
P38.前記根チャンバは、前記微小重力環境において液体を回収するように構成されている、段落P36の植物生育システム。
【0161】
P39.本体と、前記本体に連結されて前記本体と共に根チャンバの少なくとも一部を形成する根/苗条インターフェースと、栄養液を前記根チャンバに対して充填及び排出するように構成された水耕システムと、前記栄養液を前記根チャンバ内へと噴霧するように構成された気耕システムと、を備え、前記根/苗条インターフェースは、当該根/苗条インターフェースの一方側から前記根チャンバ内へと外に延在する根系と、当該根/苗条インターフェースの他方側から前記根チャンバの外部へと外に延在する苗条系とを有する植物を保持するように構成され、前記根チャンバは、液体が微小重力環境において当該根チャンバから漏出するのを阻止するように構成されている、植物生育システム。
【0162】
P40.前記根チャンバは、前記微小重力環境において液体を回収するように構成された液体収集システムを含む、段落P39の植物生育システム。
【0163】
P41.前記本体が、少なくとも1つの透明壁領域を含み、前記根チャンバの内部が前記透明壁領域を介して視認可能である、段落P39~P40の植物生育システム。
【0164】
P42.前記本体の前記透明壁領域の内面にわたって液体の流れを供給するように配置された液体出口を備える、段落P41の植物生育システム。
【0165】
P43.前記本体の前記透明壁領域を介して前記根チャンバの前記内部の画像を撮影するように構成された撮像装置を備える、段落P41~P42の植物生育システム。
【0166】
P44.段落P41~P43の植物生育システムの前記本体の前記透明壁領域の内面にわたって液体の流れを向けることを備える、方法。
【0167】
P45.前記液体が前記透明壁領域の前記内面にわたって流れている間に前記根チャンバの前記内部の画像を撮影することを備える、段落P44の方法。
【0168】
P46.ドレンを通る液体の流量が閾値を下回っている、又はドレンを通るガスの流量が閾値を上回っていることに基づいて、前記ドレンを通る液体及び/又はガスの流量を決定し、前記ドレンを遮断するように構成された制御器を備える、段落P39~P43のいずれか1つの植物生育システム。
【0169】
P47.制御器と、ドレンを通る液体及び/又はガスの流量に関する情報を前記制御器に供給するように構成された超音波バルブ検出器と、を備える、段落P39~P43、P46のいずれか1つの植物生育システム。
【0170】
P48.本体と、当該根チャンバの内面に沿って当該根チャンバにおける毛細管集合領域に延在する少なくとも1つの毛細管通路と、を備え、当該根チャンバは、液体が微小重力環境において当該根チャンバから漏出するのを阻止するように構成され、当該根チャンバは、微小重力環境において前記液体を当該根チャンバ内で収集及び回収するように構成されている、根チャンバ。
【0171】
P49.前記少なくとも1つの毛細管通路が、当該根チャンバの角部に配置されている、段落P48の根チャンバ。
【0172】
P50.当該根チャンバが、少なくとも4つの角部を含み、前記毛細管通路の少なくとも1つが、前記4つの角部の各々に配置されている、段落P48の根チャンバ。
【0173】
P51.前記少なくとも1つの毛細管通路が、前記本体と根/苗条インターフェースとの間の接合部に配置されている、段落P48の根チャンバ。
【0174】
P52.前記少なくとも1つの毛細管通路が、約5度から約25度開いた楔形状である、段落P48の根チャンバ。
【0175】
P53.前記毛細管集合領域に配置された多孔性バリアを備える、段落P48の根チャンバ。
【0176】
P54.前記毛細管集合領域と流体的に連通しているドレンを備える、段落P48の根チャンバ。
【0177】
P55.第1剛性構造と、前記第1剛性部材と連結された第2剛性構造と、前記第1剛性構造と前記第2剛性構造との間に配置されたガスケットと、を備え、当該根/苗条インターフェースは、微小重力環境において液体を漏出不能とする根チャンバを形成すべく、本体に連結されるように構成され、当該根/苗条インターフェースは、当該根/苗条インターフェースの一方側から前記根チャンバ内へと外に延在する根系と、当該根/苗条インターフェースの他方側から前記根チャンバの外部へと外に延在する苗条系とを有する植物を保持するように構成されている、根/苗条インターフェース。
【0178】
P56.前記根チャンバと周辺環境との間のガス交換を許容するように構成されたベントを備える、段落P55の根/苗条インターフェース。
【0179】
P57.流体を前記植物に供給するように構成された流体ポートを備える、段落P55~P56のいずれか1つの根/苗条インターフェース。
【0180】
P58.前記ポートに流体的に連通している芯材を備え、前記芯材が、前記ポートと前記植物との間で液体を輸送するように構成されている、段落P55~P57のいずれか1つの根/苗条インターフェース。
【0181】
<一般的な用語及び解釈の規則>
特許請求の範囲又は明細書に記載のいかなる方法も、明示的に別段の記載がない限り、ステップを特定の順序で実行することを要求しているものと解釈されるべきではない。また、これらの方法は、明示的に別段の記載がない限り、記載されたステップを任意の順序で実行するためのサポートを提供するものと解釈されるべきである。
【0182】
別々の実施形態の文脈で説明された特定の特徴は、単独の実施形態において組み合わせて実施可能である。逆に、単独の実施形態の文脈で説明された様々な特徴が、複数の実施形態で個別に、又は任意の適切なサブコンビネーションにおいて実施可能である。更に、特徴が特定の組み合わせにおいて上記されていても、また、そのようにクレームに当初記載されている場合でさえも、クレームされた組み合わせのなかから1以上の特徴が、当該組み合わせから削除されてもよく、また、クレームされた組み合わせが、サブコンビネーション、又はサブコンビネーションの変形を対象としていてもよい。
【0183】
本書に記載の構成例は、実施され得る例の全て、又は特許請求の範囲に含まれる例の全てを表すものではない。用語「例(example)」は、「一例、一実例、又は一例示(an example, instance, or illustration)としての役割を果たす」ことを意味するものと解釈され、「好適である」又は「他の例に対して有利である」ことを意味しない。
【0184】
「the」、「a」、及び「an」等の冠詞は、単数又は複数を暗示できる。単語「又は(or)」は、「どちらか(either)」(又は、「又は(or)」が疑いなく排他的であることを示す他の同様の言い回し、例えばx又はYの一方のみ(only one of x or y)等)が先行することなく使用されている場合には、包括的であるものと解釈されるべきである(例えば、「x又はy(x or y)」は、x又はyの一方及び両方を意味する)。
【0185】
また、用語「及び/又は(and/or)」は、包括的であるものと解釈されるべきである(例えば、「x及び/又はy(x and/or y)」は、x又はyの一方又は両方を意味する)。「及び/又は」又は「又は」が、3以上の項目の群に関して接続詞として使用されている状況においては、当該群は、1つの項目のみ、全ての項目が共に、又は項目の任意の組み合わせ若しくは任意の個数を含むものと解釈されるべきである。
【0186】
用語「に基づいて(based on)」は、明確に別段の記載(例えば、所与の条件にのみ基づいて)がない限り、開放された条件の組を指すものと解釈されるべきである。例えば、所与の条件に基づくものとして説明されたステップは、記載されている条件と、1以上の記載されていない条件とに基づいていてもよい。
【0187】
用語「を有する(have, having)」、「を含む(contain, containing)」、「を含む(include, including)」、及び「によって特徴付けられる(characterized by)」は、用語「を備える(comprise, comprising)」と同義であるものと解釈されるべきである。すなわち、当該用語は、包括的又は開放的(open-ended)であり、追加の記載されていない主題を排除しない。これらの用語の使用は、これらの用語が「からなる(consisting)」又は「本質的に~からなる(consisting essentially of)」に置き換えられるような、より狭い代替の実施形態を開示及び提供するものとして理解されるべきである。
【0188】
特段断らない限り、例えば寸法や物理的特性等を表す数値又は表現であって、明細書(特許請求の範囲を除く)で使用されている数値又は表現の全てが、全ての場合において、用語「約(approximately)」で修飾されるものと理解される。少なくとも、均等論の特許請求の範囲への適用を制限する試みとしてではなく、明細書又は特許請求の範囲に記載され、用語「約」で修飾された数値パラメータは、記載された有効桁数に照らし、且つ通常の数値丸め技術を適用して解釈されるべきである。
【0189】
開示された全ての範囲が、任意の部分範囲(subrange)又は各範囲に包含される任意の個々の数値を記載しているクレームを含み、当該クレームのサポートを提供するものと考慮されるべきである。例えば、1~10の範囲と記載されている場合、最小値1と最大値10との間及び/又はこれらを含む任意の部分範囲又は個々の数値を記載するクレームのサポートを含み、当該サポートを提供するものと考慮されるべきである。すなわち、1以上の最小値で始まって10以下の最大値で終わる全ての部分範囲(例えば、5.5~10や、2.34~3.56等)、又は1~10の任意の数値(例えば、3や、5.8や、9.9994等)を記載しているクレームを含み、当該クレームのサポートを提供するものと考慮されるべきであり、当該任意の数値は、それ単独で表すことができ、また、最小値(例えば、少なくとも5.8)又は最大値(例えば、9.9994以下)として表すことができる。
【0190】
開示された全ての数値が、0~100%の範囲でいずれの方向にも可変であるものと理解されるべきであり、したがって、そのような数値(単独で、又は最小値若しくは最大値として、―例えば、少なくとも<数値>、若しくは<数値>以下)、又はそのような数値が成す任意の範囲若しくは部分範囲を記載しているクレームのサポートを提供する。例えば、数値8が記載されている場合、0~16の範囲で(いずれかの方向に100%)変化するものと理解されるべきであり、また、当該範囲そのもの(例えば、0~16)、当該範囲内の任意の部分範囲(例えば、2~12.5)、又は最小値(例えば、少なくとも4.3)として若しくは最大値(例えば、12.4以下)として当該範囲内で個別に表現された任意の個々の数値(例えば、15.2)を記載しているクレームのサポートを提供するものとして理解されるべきである。
【0191】
特許請求の範囲に記載された用語には、広く使用されている一般辞書及び/又は関連する技術辞書における関連項目を参照することによって決定されるような通常の慣用的な意味や、当業者等によって一般的に理解される意味等が与えられるべきである。以下の例外(a),(b)を除き、クレーム用語には、これら情報源のいずれか1つ又は組み合わせによって与えられる最も広い意味が付与されるべきであるとの理解を要する(例えば、2以上の関連する辞書の項目は、項目を組み合わせた場合の最も広い意味を提供するように組み合わされるべきである)。(a)用語が、通常の慣用的な意味よりも拡張的な方法で使用されている場合、その用語には、当該通常の慣用的な意味に加えて、当該追加の拡張的な意味が付与されるべきである。(b)用語が、当該用語の後に次のような用語を続けて記載する、すなわち、用語「本書で使用されているとおりに、~を意味するものとする」又は同様の言い回し(例えば、「この用語は~を意味する」や、「本開示の目的でこの用語は~を意味するものとする」等)を続けて記載することによって、異なる意味を有するものとして明示的に定義されている場合。具体例への言及、「すなわち(i.e.)」の使用、単語「発明」の使用等は、例外(b)を生じさせることや、又は記載されているクレームの用語の範囲を制限することを意図していない。例外(b)が適用される状況を除き、本書には、クレームの範囲の放棄又は否認とみなされるべきものは、何も含まれていない。
【0192】
特許請求の範囲に記載の主題は、本書に記載又は図示された任意の実施形態、特徴、又は特徴の組み合わせと同じ広さを有しておらず、また、有するものと解釈されるべきでない。
このことは、当該特徴又は特徴の組み合わせについて単一の実施形態のみが図示又は説明されている場合でさえも該当する。
【0193】
<接合(joining)又は固定(fastening)に関する用語及び解釈の規則>
用語「連結された(coupled)」は、2つの部材が互いに直接的に又は間接的に接合していること(joining)を意味する。このような接合は、本質的に静止であってもよく、本質的に可動であってもよい。このような接合は、2つの部材で達成されてもよく、2つの部材と、相互に単体として一体に形成される任意の追加の中間部材とで達成されてもよく、2つの部材と、相互に取り付けられる任意の追加の中間部材とで達成されてもよい。このような接合は、本質的に永久的であってもよい。代わりに、本質的に取外し可能又は解放可能であってもよい。
【0194】
用語「連結された(coupled)」は、本質的に永久的な接合、又は本質的に取外し可能及び/又は解放可能な接合を含む。永久的な接合(permanent joining)とは、元の状態に戻せない方法で部品を接合することを指す。解放可能な接合(releasable joining)とは、元の状態に戻すことができる方法で部品を接合することを指す。
【0195】
解放可能な接合は、部品を解放することの難しさ、及び/又は、部品がその通常の動作及び/又は使用の一部として解放されるのかに基づいて、更に分類可能である。簡単に又は容易に解放可能な接合とは、殆ど又は全く困難や努力を要さず、簡単に、容易に、及び/又は迅速に解放され得る接合を指す。接合を解放することが困難である又は過酷であるとは、解放することが困難である、過酷である、又は渋難である接合、及び/又は解放するために多大な動力を必要とする接合を指す。接合は、部品の通常の動作及び/又は使用の一部として解放され、又は解放されるように意図されていてもよく、異常な状態及び/又は状況においてのみ解放され、又は解放されるように意図されていてもよい。後者の場合、当該異常な状況が生じるまで、長期間無期限で接合された状態を維持するように意図されていてもよい。
【0196】
部品は、任意の固定方法(fastening method)及び/又は固定具(fastener)を使用して接合され得るものと理解されるべきである。固定方法とは、部品が接合される方法を指す。固定具は、一般に、部品同士を機械的に接合するため、機械的な固定方法において使用される別個の部品である。固定方法及び/又は固定具の例を以下に列挙する。このリストは、固定方法及び/又は固定具が、一般に永久的であるか、簡単に解放可能であるか、解放が困難であるかに従って分類されている。
【0197】
永久的な固定方法の例には、溶接、はんだ付け、ろう付け、圧着、リベット留め、ステープル留め、ステッチング、一部の種類の釘打ち、一部の種類の接着、及び一部の種類のセメント打ちが含まれる。永久的な固定具の例には、一部の種類の釘、一部の種類の位置決めピン、ほとんどの種類のリベット、ほとんどの種類のステープル、ステッチ、ほとんどの種類の構造用タイ、及びトグルボルトが含まれる。
【0198】
簡単に解放可能な固定方法の例には、クランプ、ピン留め、クリッピング、ラッチング、クラスピング、ボタン留め、ジッパー留め、バックル留め、及びタイイングが含まれる。簡単に解放可能な固定具の例には、スナップファスナ、リテーナリング、サークリップ、割りピン、リンチピン、Rピン、クレビスファスナ、コッターピン、ラッチ、面ファスナ(VELCRO(登録商標))、フック&アイファスナ、押しピン、クリップ、クラスプ、クランプ、結束バンド、ジッパー、ボタン、バックル、割りピンファスナ、及び/又はコンフォーマットファスナ(conformat fastener)が含まれる。
【0199】
解放が困難な固定方法の例には、ボルト締め、ネジ締め、ほとんどの種類のねじ締め、及び一部の種類の釘打ちが含まれる。解放が困難な固定具の例には、ボルト、ネジ、ほとんどの種類のねじ付き留め具、一部の種類の釘、一部の種類の位置決めピン、数種類のリベット、数種類の構造用タイが含まれる。
【0200】
固定方法及び固定具は、最も一般的な構成及び/又は用途に基づいて、上記のとおり分類されるものと理解されるべきである。固定方法及び固定具は、その特定の構成及び/又は用途に応じて、他のカテゴリー又は複数のカテゴリーに分類され得る。例えば、ロープ、紐、ワイヤ、ケーブル、チェーン等は、用途に応じて、永久的なものにもなり得るし、簡単に解放できるものにもなり得るし、解放が困難なものにもなり得る。
【0201】
<図面に関連する用語及び解釈の規則>
図面及び対応する説明における参照番号は、同一又は類似の要素を指し、そのような参照番号が異なる実施形態の文脈で参照される場合がある。
【0202】
図面は、一定の縮尺で描画された実施形態、及び/又は一定の縮尺で描画されていない実施形態の両方を図示することを目的としている。このことは、図面が、例えば、(a)全てが一定の縮尺で描画された状態を示す、(b)一定の縮尺で描画されたものが一つもない状態を示す、又は(c)1以上の特徴が一定の縮尺で描画され、1以上の特徴が一定の縮尺で描画されていない状態を示す、ものとして解釈され得ること意味する。したがって、図面は、単独で、又は相互に関連して、図示された特徴のいずれかのサイズ、比率、及び/又は他の寸法を記載するためのサポートを提供する役割を果たす。更に、全てのこのようなサイズ、比率、及び/又は他の寸法が、0~100%の範囲でいずれの方向にも変化するものとして理解されるべきであり、したがって、そのような数値又はそのような数値が成す任意の範囲又は部分範囲を記載しているクレームのサポートを提供する。
【0203】
例えば「左」、「右」、「前」、「後」のように、空間又は方向の用語は、図面に示されている主題に関連し、及び/又は当該主題が製造中や使用中等に一般的にどのように配向されているかに関連する。しかし、説明される主題は、様々な代替の向きを想定でき、したがって、このような用語は限定的なものとして考慮されるべきではないと理解されるべきである。
【国際調査報告】