(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法および半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01S 5/343 20060101AFI20240426BHJP
H01S 5/183 20060101ALI20240426BHJP
H01L 21/3063 20060101ALI20240426BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
H01S5/343 610
H01S5/183
H01L21/306 L
H01L21/205
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571725
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-11-17
(86)【国際出願番号】 EP2022061595
(87)【国際公開番号】W WO2022243014
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】102021113331.9
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】エイエムエス-オスラム インターナショナル ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】ams-OSRAM International GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D-93055 Regensburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クライナー ローラ
(72)【発明者】
【氏名】ハルブリッター フーベルト
(72)【発明者】
【氏名】バーギーズ タンセン
【テーマコード(参考)】
5F043
5F045
5F173
【Fターム(参考)】
5F043AA13
5F043BB06
5F043DD14
5F045AB06
5F045AB10
5F045AB14
5F045AB17
5F045AB22
5F045CA12
5F045DA55
5F173AC04
5F173AC14
5F173AF72
5F173AG05
5F173AH22
5F173AP33
5F173AP36
5F173AR92
(57)【要約】
半導体装置(10)を製造する方法は、GaN基板(100)の上に犠牲層(105)をエピタキシャル成長させる工程(S100)と、犠牲層(105)の上に第1半導体層(120)をエピタキシャル成長させる工程(S110)と、第1半導体層(120)の第1主面(121)であって、GaN基板(100)から遠い側にある第1主面(121)の上に第1層(124)を形成する工程(S120)と、を有する。製造方法はさらに、第1層(124)および第1半導体層(120)を通って犠牲層(105)まで延在する流体流路または溝(130、108)を形成する(S130)工程と、流体流路または溝(130、108)にエッチング液を導入する工程を有する、GaN基板(100)を除去するために犠牲層(105)をエッチングする工程(S140)と、第1半導体層(120)の第2主面(122)の上に第2誘電体層(137)を形成する工程(S150)と、を有する。
【選択図】
図1E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置(10)を製造する方法であって、
GaN基板(100)の上に犠牲層(105)をエピタキシャル成長させる工程(S100)と、
前記犠牲層(105)の上に第1半導体層(120)をエピタキシャル成長させる工程(S110)と、
前記第1半導体層(120)の第1主面(121)であって、前記GaN基板(100)から遠い側にある第1主面(121)の上に第1層(124)を形成する工程(S120)と、
前記第1層(124)および前記第1半導体層(120)を通って前記犠牲層(105)まで延在する流体流路(130)を形成する(S130)工程と、
前記流体流路(130)にエッチング液を導入する工程を有する、前記GaN基板(100)を除去するために前記犠牲層(105)をエッチングする工程(S140)と、
前記第1半導体層(120)の第2主面(122)の上に第2誘電体層(137)を形成する工程(S150)と、を有する、方法。
【請求項2】
前記流体流路(130)を形成する(S130)工程が、第1層(124)において開口部を形成する工程を有し、前記開口部の広がりは、水平方向よりも垂直方向に大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記流体流路(130)の側壁の上に、エッチング液に対して耐性を有するパッシベーション層(129)を形成する工程をさらに有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記流体流路(130)を形成する前に、前記第1層(124)の上にキャリア基板(131)を形成する工程をさらに有し、前記流体流路は前記キャリア基板(131)を通って延在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
流体流路(130)を形成する工程は、前記第1層(124)および前記第1半導体層(120)の中に、第1の水平方向に延在する溝(108)を形成する工程を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1層(124)および前記第1半導体層(120)の中に、第2の水平方向に延在するさらなる溝(108)を形成する工程をさらに有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記溝(108)の側壁の上に、エッチング液に対して耐性を有するパッシベーション層(129)を形成する工程をさらに有する、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記流体流路(130)を形成した後に、前記第1層(124)の上にキャリア基板(131)を付ける工程をさらに有する、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1層(124)を形成する前に、さらなる半導体層をエピタキシャルに形成して、半導体積層体(117)を形成する工程をさらに有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記さらなる半導体層を形成する工程は、前記犠牲層(105)をエピタキシャル成長させた後にエッチング停止層(116)を形成する工程を有し、前記方法は、前記GaN基板(100)を除去した後にエッチングする工程をさらに有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記犠牲層(105)をエピタキシャル成長させる前に、さらなるエッチング停止層(103)を形成する工程をさらに有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1層は、第1誘電体層(124)を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
さらなる誘電体層をそれぞれ形成することで、前記第1誘電体層(124)を有する第1の誘電体積層体(125)と、前記第2誘電体層(137)を有する第2の誘電体積層体(138)と、を形成する工程をさらに有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1層は、さらなる半導体層を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
さらなる複数の半導体層を形成して、前記さらなる複数の半導体層を有する第1共振器ミラー(141)を形成する工程をさらに有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記犠牲層(105)をエッチングする工程は、前記犠牲層(105)を有する加工対象物(15)に電圧を印加する工程をさらに有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
半導体装置(10)であって、
GaNを含む第1半導体層(120)と、
前記第1半導体層(120)の第1主面(121)の上の第1誘電体層(124)と、
前記第1半導体層(120)の第2主面(122)の上の第2誘電体層(137)と、を有する、半導体装置(10)。
【請求項18】
前記第1誘電体層(124)の、前記第1半導体層(120)から遠い側に配置される第1接触要素(145)であって、前記第1誘電体層(124)を通って延在する第1ビアコンタクト(128)を介して前記第1半導体層(120)に電気的に接続される第1接触要素(145)をさらに有する、請求項17に記載の半導体装置(10)。
【請求項19】
前記第1誘電体層(124)と前記第2誘電体層(137)との間の距離は1μm未満である、請求項17または18に記載の半導体装置(10)。
【請求項20】
前記第1半導体層(120)は半導体積層体(117)の一部であり、前記半導体積層体(117)は、第1の導電型の前記第1半導体層(120)と、第2の導電型の第2半導体層(110)と、前記第1半導体層(120)および前記第2半導体層(110)の間の活性領域(115)とを有する、請求項17~19のいずれか一項に記載の半導体装置(10)。
【請求項21】
前記第1誘電体層(124)は第1の誘電体積層体(125)の一部であり、
前記第2誘電体層(137)は第2の誘電体積層体(138)の一部であって、
前記半導体装置(10)は垂直共振器面発光レーザであり、前記第1の誘電体積層体(125)は第1共振器ミラー(141)を形成し、前記第2の誘電体積層体(138)は第2共振器ミラー(142)を形成する、請求項17~20のいずれか一項に記載の半導体装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
面発光レーザ装置またはVCSEL(「垂直共振器面発光レーザ」)は、通常、第1共振器ミラーおよび第2共振器ミラーと、電磁放射を生成するための半導体積層体とを有する。半導体積層体は、第1共振器ミラーと第2共振器ミラーとの間に配置される。GaN材料系でVCSELを製造する試みがなされている。特に、GaN材料系で、例えば誘電体ミラーを有するVCSELを開発する試みがなされている。
【発明の概要】
【0002】
本発明の目的は、半導体装置を製造する改良された方法を提供することである。さらに、本発明の目的は、改良された半導体装置を提供することである。
【0003】
実施形態によれば、上記の目的は、独立請求項に記載の事項によって達成される。さらなる展開は従属請求項で定義される。
【0004】
半導体装置を製造する方法は以下の工程を有する。すなわち、GaN基板の上に犠牲層をエピタキシャル成長させる工程と、犠牲層の上に第1半導体層をエピタキシャル成長させる工程と、第1半導体層の第1主面であって、GaN基板から遠い側にある第1主面の上に第1層を形成する工程と、を有する。製造方法はさらに以下の工程を有する。すなわち、第1層および第1半導体層を通って犠牲層まで延在する流体流路を形成する工程と、流体流路にエッチング液を導入する工程を有する、GaN基板を除去するために犠牲層をエッチングする工程と、第1半導体層の第2主面の上に第2誘電体層を形成する工程と、を有する。
【0005】
例えば、流体流路を形成する工程が、第1層において開口部を形成する工程を有してもよく、開口部の広がりは、水平方向よりも垂直方向に大きい。
【0006】
本方法は、流体流路の側壁の上に、エッチング液に対して耐性を有するパッシベーション層を形成する工程をさらに有してもよい。
【0007】
実施形態によれば、本方法は、流体流路を形成する前に、第1層の上にキャリア基板を形成する工程をさらに有してもよく、流体流路はキャリア基板を通って延在する。
【0008】
さらなる実施形態によれば、流体流路を形成する工程は、第1層および第1半導体層の中に、第1の水平方向に延在する溝を形成する工程を有してもよい。
【0009】
本方法は、第1層および第1半導体層の中に、第2の水平方向に延在するさらなる溝を形成する工程をさらに有してもよい。
【0010】
例えば、溝の側壁の上に、エッチング液に対して耐性を有するパッシベーション層を形成してもよい。
【0011】
本方法は、流体流路を形成した後に、第1層の上にキャリア基板を形成する工程をさらに有してもよい。
【0012】
本方法は、第1層を形成する前に、さらなる半導体層をエピタキシャルに形成して、半導体積層体を形成する工程をさらに有してもよい。
【0013】
例えば、さらなる半導体層を形成する工程は、エッチング停止層を形成する工程を有してもよい。本方法は、GaN基板を除去した後にエッチングする工程をさらに有してもよい。例えば、このエッチングする工程の最終点は、エッチング停止層を使用して検出または決定されてもよい。
【0014】
例えば、エッチング停止層は、犠牲層を形成した後に形成してもよい。さらなる実施形態によれば、エッチング停止層は、犠牲層を形成する前に形成してもよい。さらなる実施形態によれば、犠牲層を形成する前に、第1エッチング停止層(または中間層)を形成してもよい。犠牲層を形成した後に、さらなるエッチング停止層を形成してもよい。
【0015】
実施形態によれば、第1層は、第1誘電体層を含んでもよい。例えば、本方法は、さらなる誘電体層をそれぞれ形成することで、第1誘電体層を有する第1の誘電体積層体と、第2誘電体層を有する第2の誘電体積層体と、を形成する工程を有してもよい。
【0016】
さらなる実施形態によれば、第1層はさらなる半導体層を有してもよい。例えば、本方法は、さらなる半導体層を形成して、さらなる半導体層を有する第1共振器ミラーを形成する工程をさらに有してもよい。
【0017】
実施形態によれば、犠牲層をエッチングする工程は、犠牲層を有する加工対象物に電圧を印加する工程をさらに有してもよい。
【0018】
実施形態によれば、半導体装置は、GaNを含む第1半導体層と、第1半導体層の第1主面の上の第1誘電体層と、第1半導体層の第2主面の上の第2誘電体層と、を有する。
【0019】
例えば、第1半導体層は半導体積層体の一部であってもよく、半導体積層体は、第1の導電型の第1半導体層と、第2の導電型の第2半導体層と、第1半導体層および第2半導体層の間の活性領域と、を有する。
【0020】
第1誘電体層は第1の誘電体積層体の一部であってもよく、第2誘電体層は第2の誘電体積層体の一部であってもよい。半導体装置は垂直共振器面発光レーザであってもよく、第1の誘電体積層体は第1共振器ミラーを形成してもよく、第2の誘電体積層体は第2共振器ミラーを形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
添付の図面は、本発明の実施形態のさらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は本発明の実施形態を示し、本明細書の記載とともに原理を説明するために使用される。本発明の他の実施形態および意図された利点の多くは、以下の詳細な説明を参照することによってより良く理解されるにつれて、容易に理解されるであろう。図面の要素は、互いの縮尺が必ずしも一致しているわけではない。同様の参照番号は、対応する同様の部分を示す。
【
図1A-C】実施形態に係る半導体装置の製造方法を実行する際の加工対象物の断面図を示す図である。
【
図1D-E】実施形態に係る半導体装置の製造方法を実行する際の加工対象物の断面図を示す図である。
【
図1F-H】実施形態に係る半導体装置の製造方法を実行する際の加工対象物の断面図を示す図である。
【
図1I-J】実施形態に係る半導体装置の製造方法を実行する際の加工対象物の断面図を示す図である。
【
図2A】流体流路を形成した後のウェハの上面図である。
【
図2B】実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図3A-C】さらなる実施形態に係る半導体装置の製造方法を実行する際の加工対象物の断面図である。
【
図3D-E】さらなる実施形態に係る半導体装置の製造方法を実行する際の加工対象物の断面図である。
【
図3F-G】さらなる実施形態に係る半導体装置の製造方法を実行する際の加工対象物の断面図である。
【
図3H-I】さらなる実施形態に係る半導体装置の製造方法を実行する際の加工対象物の断面図である。
【
図4B】さらなる実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成し、本発明を実施することができる特定の実施形態を例示として示す添付図面を参照する。この点に関して、「頂部」、「底部」、「前」、「後」、「の上」、「上」、「上方」、「先頭」、「末尾」などの向きを表す用語は、記載される以下の図面の方位を参照して使用される。本発明の実施形態の構成要素は多くの異なる向きで配置することができるため、方向に関する用語は説明の目的で使用されており、決して限定するものではない。特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用されてもよく、構造的または論理的変更が行われてもよいことを理解されたい。
【0023】
実施形態の記載は限定的なものではない。特に、以下に説明する実施形態の要素は、異なる実施形態の要素と組み合わせることができる。
【0024】
以下の説明で使用される「ウェハ」または「半導体基板」という用語は、半導体表面を有する任意の半導体ベースの構造を含み得る。ウェハおよび構造は、ドープされた半導体およびドープされていない半導体、例えば基礎となる半導体基盤によって支持されるエピタキシャル半導体層、および他の半導体構造を含むものと理解されたい。例えば、第1半導体材料の層は、第2半導体材料の成長基板上に成長させてもよい。さらなる実施形態によれば、成長基板は、サファイア基板などの絶縁基板であってもよい。使用目的に応じて、半導体は直接半導体材料または間接半導体材料に基づいてもよい。電磁放射の発生に特に適した半導体材料の例として、例えば紫外、青色、またはより長い波長の光を生成し得るGaN、InGaN、AlN、AlGaN、AlGaInNなどの窒化物化合物半導体と、例えば緑色またはそれより長い波長の光を生成し得るGaAsP、AlGaInP、GaP、AlGaPなどのリン化合物半導体と、AlGaAs、SiC、ZnSe、GaAs、ZnO、Ga2O3、ダイヤモンド、六方晶BNなどのさらなる半導体材料と、それら材料の組み合わせとが挙げられる。半導体材料のさらなる例は、シリコン、シリコンゲルマニウム、およびゲルマニウムであってもよい。化合物半導体材料の化学量論比は変化してもよい。
【0025】
本明細書において、半導体装置の構成要素を形成する材料とは、具体的には窒化物化合物半導体を含む。
【0026】
本明細書で使用される「垂直」という用語は、基板または半導体本体の第1の表面に対して垂直に配置される向きを指すことを意図する。
【0027】
本明細書で使用される「横に、または横方向」および「水平に、または水平方向」という用語は、基板または半導体本体の第1の表面に対して平行な向きを指すことを意図する。これは、たとえばウェハまたはダイの表面であり得る。
【0028】
本明細書で使用される用語「持つ」、「含有する」、「有する」、「含む」などの用語は、記載された要素または特徴の存在を示すオープンエンドの用語であり、追加の要素または特徴を排除するものではない。冠詞「a」、「an」、および「the」は(本翻訳においては「それらの」等複数を指す用語がなくても)、明確に別段の指示がない限り、単数形だけでなく複数形も含むことを意図する。
【0029】
実施形態に係る方法を実行するための出発点は、例えば
図1Aに示されるような第1主面101を有するGaN基板100である。半導体積層体117は、半導体基板100の第1主面101の上に形成される。半導体積層体は、例えばnドープGaNであってもよい(例えば約7E18cm
-3より高いドーピングレベルでシリコンまたはゲルマニウムがドープされたGaNである)犠牲層105を有する。例えば、犠牲層105は、GaN基板100の第1主面101に直接接触して形成されてもよい。さらなる実施形態によれば、中間層103が、犠牲層105とGaN基板100との間に配置されてもよい。中間層103の組成は、犠牲層105の組成とは異なってもよい。中間層の組成の例には、より高いAl含有量を有するか、より低いドーピングレベルを有するか、またはドープされていないAlGaNが挙げられ、そのため、
図1Eと1Fとに関して後述する電気化学的エッチングはこの層で停止する。中間層103は、選択的にエッチングすることによって、またはCMPなどの別の選択的除去方法によって後程除去することもできる。中間層103は、GaN基板をエッチングから保護することができる。その結果、例えば、GaN基板を加工対象物から除去した後、GaN基板をさらに容易に再利用することができる。その後、第2半導体層110がGaN基板100の上にエピタキシャル成長される。例えば、第2半導体層110はGaNを含んでもよい。第2半導体層110は、第2の導電型、例えば、n型のドーパントでドープされてもよい。その後、活性領域115を形成してもよい。
【0030】
活性領域115は、電磁放射を生成するように構成されてもよい。活性領域115は、例えば、放射を生成するためのpn接合、ダブルヘテロ構造、単一量子井戸(SQW)または多重量子井戸(MQW)を含んでもよい。「量子井戸」という表現は、量子化の特徴をさらに指定するものではない。したがって、「量子井戸」という用語は、量子井戸、量子細線および量子ドット、ならびにこれらの層の任意の組み合わせを含む。
【0031】
その後、第2の導電型、例えばp型の第1半導体層120が活性領域115の上に形成されてもよい。
図1Bは、生成される加工対象物15の一例を示す。
図1Bはまた、第1半導体層120の第1主面121を示す。第1半導体層120は、半導体積層体117の最上層を形成してもよい。
【0032】
次に、誘電体層118(
図1Bには図示せず、
図2Bに図示)を第1半導体層120の上に堆積させてもよく、電流注入開口119を規定するための穴を形成するようにパターン化してもよい。
【0033】
その後、例えば、ITO(インジウム錫酸化物)などの透明導電性酸化物等の透明な導電性材料を含むコンタクト層127が半導体積層体の上に形成されてもよい。コンタクト層127は、第1半導体層120の第1主面121に隣接していてもよい。その後、第1層、例えば第1誘電体層124がコンタクト層127の上に形成されてもよい。第1誘電体層124は、第1の誘電体積層体125の一部であってもよい。例えば、第1の誘電体積層体125は、ブラッグミラーを形成する誘電体層を有してもよい。
【0034】
さらなる実施形態によれば、第1層は、エピタキシャル成長されたさらなる半導体層であってもよい。この場合、ブラッグミラーは半導体積層体を有してもよい。これらの実施形態によれば、コンタクト層127および開口119を有する誘電体層118を省略することができる。
【0035】
一般に、ブラッグミラーは、交互に積層された第1の組成の第1層と第2の組成の第2層とを有してもよい。第1層および第2層は、誘電体層であってもよいし、あるいは半導体層であってもよい。例えば、第1層は高い屈折率、第2層は低い屈折率を有してもよい。上記に関連して、「高屈折率」および「低屈折率」という用語は、高屈折率が材料系に依存し得るある値よりも大きいことを意味してもよい。低屈折率とは、ある値よりも小さいことをいう。
【0036】
例えば、層の厚さは、λ/4またはλ/4の倍数であってもよく、λは、特定の媒体内で反射される光の波長を示す。ブラッグミラーは、3つ以上の異なる層を有してもよい。例えば、層の最大数は50であってもよい。単層の典型的な層の厚さは、30~90nm、例えば約50nmであってもよい。積層体は、約180nmより大きい、例えば約200nmを超える厚さを有する1つ以上の層をさらに有してもよい。
【0037】
コンタクト層127に接触するためのコンタクト構造128は、第1の誘電体積層体125内に形成されてもよい。例えば、コンタクト構造128の形成は、コンタクト層127まで垂直に延在するビア開口部の形成を含んでもよい。ビア開口部は導電性材料で充填されてもよい。さらなる実施形態によれば、コンタクト層127または第1半導体層への接触は、別の方法で行われてもよい。例えば、誘電体積層体125は、加工対象物の端部でエッチングされてもよい。さらに、導電層、例えば金属が、端部におけるコンタクト層127または第1半導体層120の上に形成されてもよい。第1共振器ミラーが半導体層を有する実施形態によれば、第1半導体層への接触は、第1共振器ミラーの頂部に配置された接触要素を介して達成されてもよい。これらの接触要素は、後の処理段階で提供されてもよい。
【0038】
図1Cは、生成される加工対象物15の例を示す。複数のコンタクト構造128は、第1の誘電体積層体125を通ってコンタクト層127まで垂直に延在する。その後、キャリア基板131を第1の誘電体積層体125の表面に付けてもよい。例えば、これは、シリコンウェハを第1の誘電体積層体125に接合し、その後任意であるがシリコンウェハを薄くすることによって達成してもよい。
【0039】
【0040】
次の工程において、生成される加工対象物15に流体流路130が形成される。特に、流体流路130は、キャリア基板131の表面から犠牲層105まで延在するように形成される。流体流路を形成する工程は、第1誘電体層における開口部を形成する工程を有してもよい。開口部の広がりは、水平方向(例えばx方向またはy方向)よりも垂直方向(例えばz方向)に大きくてもよい。例えば、開口部を形成する方法は、キャリア基板をエッチングするためのDRIE(「深層反応性イオンエッチング」)を有してもよい。開口部を形成する方法は、第1の誘電体積層体125および半導体積層体をエッチングするためのICP(「誘導結合プラズマ」)エッチングプロセスと組み合わされた反応性イオンエッチングプロセスをさらに有してもよい。例えば、流体流路130の横方向の広がりは、数μmであってもよい。
【0041】
さらなる変形例によれば、キャリア基板131を加工対象物15に付ける前に、キャリア基板131に開口部がすでに規定されていてもよい。
【0042】
開口部の側壁に、パッシベーション層129を形成する耐エッチング性の材料が塗布されていてもよい。パッシベーション層129の材料は、例えば、酸化シリコンまたは窒化シリコンを含んでもよい。例えば、塗布は、アスペクト比が高い開口部であっても、側壁を覆うためにALD(「原子層堆積」)プロセスを使用して達成することができる。その後、水平部分から塗布材料を除去するために、異方性エッチングプロセスが実行されてもよい。
【0043】
図1Eは、生成される加工対象物15の例を示す。
図1Eに示すように、流体流路130は犠牲層105まで延在する。その結果、エッチング液が犠牲層105に到達するように導入され得る。
【0044】
次の工程において、エッチングプロセスが実行される。エッチングは、犠牲層105に電圧を印加しながら、HNO3などのエッチング液を用いて行ってもよい。印加電圧および犠牲層105のドーピングレベルに応じて、犠牲層105は完全にエッチングされ得る。その結果、基板100が加工対象物15から除去される。
【0045】
図1Fは、生成される加工対象物15の例を示す。図に示されるように、基板100および任意で中間層103が加工対象物15から除去される。その結果、第2半導体層110の第1主面111はこのとき覆われていない。
【0046】
露出した第2半導体層110の第1主面111を保護するために、保護層133を形成してもよい。例えば、保護層133は、第2半導体層の第1主面111の上に積層される保護箔であってもよい。保護箔は、加工対象物15から容易に除去できる剥離箔または一時的なキャリアであってもよい。
【0047】
図1Gは、生成される加工対象物15の例を示す。さらなる処理のために、例えば、シリコンウェハなどの第2のキャリア132がキャリア基板131の上に形成されてもよい。第2のキャリアは流体流路130を閉じてもよい。
【0048】
図1Hは、生成される加工対象物の例を示す。その後、さらなる処理工程を実行してもよい。例えば、保護層133は、第2半導体層の第1主面111から除去されてもよい。
【0049】
図1Iは、生成される加工対象物15の例を示す。
図1Iに示されるように、半導体積層体117は、エッチング停止層116をさらに有してもよい。エッチング停止層があることで、半導体層117の高さ、したがって光共振器の長さは、さらなるエッチングプロセスを使用して正確に規定され得る。例えば、エッチング停止層116の存在により、エッチングプロセスの最終点を正確に決定することができる。さらなる実施形態によれば、エッチング停止層の代わりにCMP(「化学機械研磨」)停止層が使用されてもよく、半導体積層体117の高さはCMP法を使用して設定されてもよい。
【0050】
半導体装置のさらなる構成要素を形成してもよい。例えば、透明導電性酸化物などの透明な導電性材料を含む第2コンタクト層135が、第2半導体層110の第1主面111の上に形成されてもよい。第2共振器ミラーが、第2コンタクト層135の上に形成されてもよい。例えば、第2共振器ミラーは、第2の誘電体積層体138を有してもよい。さらに、第2ビアコンタクト139が、第2の誘電体積層体138内に形成されてもよい。
【0051】
【0052】
上述したように、このプロセスは、例えば半導体積層体の両側に誘電体層を有する、GaN系半導体積層体を製造する方法を提供する。GaN系半導体層は、GaN成長基板の上にエピタキシャル成長させてもよい。第1誘電体層124の形成後にGaN成長基板の除去を有する特別な製造プロセスにより、GaN系半導体積層体の両側に誘電体層を形成することができる。例えば、誘電体層はスパッタリングによって形成してもよい。例えば、誘電体層は、互いの屈折率が大きく違っていてもよい。そうすることで、高い反射率を有する共振器ミラーを形成することができる。その結果、GaN系VCSELを製造することができる。さらなる実施形態によれば、第1層はさらなる半導体層であってもよい。さらに、共振器ミラーのうちの少なくとも1つは、1つ以上の半導体層を有してもよい。
【0053】
GaN基板100を除去した後、GaN基板100を再利用することができるため、資源を節約することができる。上記の方法は、任意の半導体装置を製造するために使用してもよい。
【0054】
図2Aは、流体流路130を有するウェハ20の上面図であり、
図1A-
図1Jを参照して記載したように、流体流路130は開口部107を有し、犠牲層まで延在する。図に示されるように、流体流路130の横方向の広がりは、流体流路の垂直方向の広がりと比較して小さい。例えば、流体流路の直径は、1~50μmであってもよい。より具体的には、直径は5~20μm、例えば8~12μmであってもよい。直径は円形である必要はなく、任意の形状であってもよい。流体流路130は、作業時間がウェハの大きさに依存しないように、ウェハに分散させてもよい。流体流路同士の距離は、約数cm、例えば2.2cmであってもよい。
【0055】
図2Bは実施形態による半導体装置10の一例を示す。
図2Bに示される半導体装置10は、GaNを含む第1半導体層120と、第1半導体層120の第1主面121の上の第1誘電体層124とを有する。半導体装置10は、第1半導体層120の第2主面122の上に第2誘電体層137をさらに有する。
図2Bにおいて、第1半導体層120は半導体積層体の一部であり、半導体積層体は、第1の導電型の第1半導体層120と、第2の導電型の第2半導体層110と、第1半導体層120および第2半導体層110の間の活性領域115とを有する。例えば、半導体積層体117の半導体層はGaNを含んでもよい。第1誘電体層124は、第1の誘電体積層体125の一部であってもよく、第2誘電体層137は、第2の誘電体積層体138の一部であってもよい。第1の誘電体積層体125は、第1共振器ミラー141を形成してもよく、第2の誘電体積層体138は、第2共振器ミラー142を形成してもよい。第1半導体層120は、コンタクト層127およびビアコンタクト128を介して第1接触要素144に電気的に接触してもよい。誘電体層118は、第1半導体層120とコンタクト層127との間に配置されてもよい。誘電体層118は、電流注入開口119を規定するための穴を形成するようにパターン化される。
【0056】
第2接触要素145は、第2ビアコンタクト139および第2コンタクト層135を介して第2半導体層110に電気的に接続されてもよい。第1誘電体層124は、第1半導体層120の第1主面121の表面全体を覆ってもよい。第2誘電体層137は、第1半導体層120の第2主面122の表面全体を覆ってもよい。半導体装置10には成長基板がなくてもよい。
【0057】
例えば、第1半導体層の厚さが、1μm未満、さらには500nm未満であってもよい。
【0058】
実施形態による半導装置を、VCSELを参照として記載したが、実施形態による半導体装置は、異なる光電子装置または他の装置としても実行され得ることが明らかに理解される。一般に、実施形態による半導体装置は、GaN層の両側に、誘電体層を有するGaN層内に形成された任意の半導体装置の構成要素を有してもよい。
【0059】
さらなる実施形態によれば、流体流路は、水平方向の広がりが小さな開口部の代わりに、第1または第2の水平方向に延在する溝によって実現されてもよい。対応する方法については、
図3A-
図3Iを参照して以下に説明する。
【0060】
上記で説明したのと同様に、実施形態による方法を実行するための出発点は、
図3Aに示されるような第1主面101を有するGaN基板100であってもよい。
【0061】
その後、
図3Bに示されるように、半導体積層体117が、GaN基板100の第1主面101の上にエピタキシャル成長されてもよい。
図1Bを参照して上述したのと同様の方法で、半導体積層体117は犠牲層105を有してもよく、犠牲層105は例えば、約7E18cm
-3より高いドーピングレベルでシリコンまたはゲルマニウムがドープされたnドープGaN層であってもよい。その後、第2の導電型、例えばn型の第2半導体層110と、活性領域115と、第1の導電型、例えばp型の第1半導体層120とは、犠牲層105の上にエピタキシャル成長されてもよい。第1半導体層120の第1主面121は覆われていない。
【0062】
任意であるが、中間層103がGaN基板100と犠牲層105との間においてエピタキシャル形成されてもよい。中間層103の組成は、犠牲層105の組成とは異なってもよい。中間層の組成の例には、より高いAl含有量を有するか、より低いドーピングレベルを有するか、またはドープされていないAlGaNが挙げられ、そのため、
図3Eと3Fとに関して後述する電気化学的エッチングはこの層で停止する。中間層103は、選択的にエッチングすることによって、またはCMPなどの別の選択的除去方法によって後程除去することもできる。中間層103は、GaN基板をエッチングから保護することができる。その結果、例えば、GaN基板を加工対象物から除去した後、GaN基板をさらに容易に再利用することができる。
【0063】
次に、誘電体層118(
図3Bには図示せず)を第1半導体層120の上に堆積させてもよく、電流注入開口119(
図3Bには図示せず、
図4Bに図示)を規定するための穴を形成するようにパターン化してもよい。
【0064】
その後、
図3Cに示すように、第1半導体層120の上に透明導電層127を形成してもよい。その後、第1層、例えば第1誘電体層124が透明導電層127の上に形成される。さらなる誘電体層を第1誘電体層124の上に形成し、ブラッグミラーを実現する第1の誘電体積層体125を形成してもよい。
図3Cは、生成される加工対象物の例を示す。
【0065】
さらなる実施形態によれば、第1層は、エピタキシャル成長されたさらなる半導体層であってもよい。この場合、ブラッグミラーは半導体積層体を有してもよい。これらの実施形態によれば、コンタクト層127および開口119を有する誘電体層118を省略することができる。
【0066】
さらに、コンタクト層127まで延在するビアコンタクト128が形成され、導電性材料が充填される。さらなる実施形態によれば、コンタクト層127または第1半導体層への接触は、別の方法で行われてもよい。例えば、誘電体積層体125は、加工対象物の端部でエッチングされてもよい。さらに、導電層、例えば金属が、コンタクト層127または第1半導体層120の上に形成されてもよい。共振器ミラーが半導体層を有する実施形態によれば、接触要素は、第1共振器ミラーを形成する半導体層の頂部に形成されてもよい。
【0067】
図3Dに示されるように、溝108は、第1の誘電体積層体125と半導体積層体117の一部とを有する積層体内にエッチングされる。溝108は、犠牲層105まで延在するようにエッチングされる。例えば、溝108は、ドライエッチングプロセスを使用してエッチングされてもよい溝のエッチングにより、半導体積層体はメサにパターン化される。例えば、ウェハは、後の処理段階で溝108に沿って個々のチップにダイシングされてもよい。
【0068】
図3Dは、生成される加工対象物の例を示す。例えば、溝108の幅は、2μm未満、例えば1~2μmであってもよい。幅はx方向において測定することができる。
【0069】
例えば、側壁パッシベーション層129を形成してもよい。例えば、耐エッチング性の材料を溝108の側壁に形成してもよい。側壁パッシベーション層129の材料は、酸化シリコンまたは窒化シリコンなどの誘電体層を含む。例えば、側壁パッシベーション層129はパッシベーション積層体を有してもよい。さらに、溝108の水平部分からパッシベーション層129を除去するために、異方性エッチングプロセスが実行されてもよい。
【0070】
その後、キャリア基板131が、第1の誘電体積層体125の露出表面に付けられる。例えば、キャリア基板は、ゲルマニウムまたはシリコンなどの半導体材料を含んでもよい。任意であるが、キャリア基板131を加工対象物15に付けた後、キャリア基板131を薄くしてもよい。
図3Eは、生成される加工対象物の例を示す。
【0071】
例えば、キャリアを、ITO-ITO結合、誘電体-誘電体結合、または金属-金属結合を介して接合してもよい。その後、エッチング液、例えば、HNO3を溝108に導入してもよい。さらに、犠牲層105を有する加工対象物に電圧を印加してもよい。印加電圧および犠牲層105のドーピングレベルに応じて、犠牲層105は完全にエッチングされ得る。その結果、GaN基板が加工対象物15から除去される。
【0072】
図3Fは、犠牲層105を除去した後の加工対象物の一例を示す。実施形態によれば、半導体積層体117は、さらなるエッチングプロセスを実行するときに積層体の厚さを正確に設計するために使用され得る特定のエッチング停止層116を有してもよい。
【0073】
エッチング停止層116の組成は、犠牲層の組成とは異なってもよい。エッチング停止層116の組成の例には、より高いAl含有量を有するか、より低いドーピングレベルを有するか、またはドープされていないAlGaNが挙げられ、そのため、電気化学的エッチングはこの層で停止する。エッチング停止層116は、選択的にエッチングすることによって、またはCMPなどの別の選択的除去方法によって後程除去することもできる。このエッチング停止層があることで、VCSELの光共振器の長さを正確に規定することができる。共振器の長さを正確に設定する場合、活性領域115の位置に腹が存在し、半導体積層体117と隣接層との界面に節が存在するように積層体の厚さを調整することが可能である。その結果、発生した電磁放射の吸収は減少し、電磁放射の発生は増加し得る。すなわち、半導体装置の効率はさらに改善される可能性がある。例えば、エッチング停止層116の存在により、エッチングプロセスの最終点を正確に決定することができる。さらなる実施形態によれば、エッチング停止層の代わりにCMP(「化学機械研磨」)停止層が使用されてもよく、半導体積層体117の高さはCMP法を使用して設定されてもよい。
【0074】
図3Gは、GaN基板100を除去し、加工対象物15を裏返した後の加工対象物15の一例を示す。
【0075】
その後、第2誘電体層137が半導体積層体117の上に形成されてもよい。さらに、第2の誘電体積層体138のさらなる層が半導体積層体117の上に形成されてもよい。例えば、誘電体層はスパッタリングによって形成してもよい。その後、加工対象物の上にさらなる層を形成するために、さらなる処理工程を実行してもよい。例えば、金属層を堆積し、パターニングプロセスを実行してもよい。
図3Hは、生成される加工対象物15の例を示す。
【0076】
その後、
図3Iに示すように、溝108をそこでチップを個別に分離する位置として用いて、ウェハを個々の半導体チップに個片化することができる。
【0077】
図4Aは、溝108を有するウェハ20の上面図である。図示されるように、溝108は、それぞれx方向およびy方向に延在して十字のパターンを形成してもよい。
【0078】
図4Bは、VCSELを実現する半導体装置の断面図を示す。
図4Bに示される半導体装置10は、第1半導体層120と、第1半導体層120の第1主面121の上の第1誘電体層124と、第1半導体層120の第2主面122の上の第2誘電体層137とを有する。第1半導体層120は半導体積層体117の一部であってもよく、半導体積層体117は、第1の導電型の第1半導体層120と、第2の導電型の第2半導体層110と、第1半導体層120および第2半導体層110の間の活性領域115とを有する。第1誘電体層124は、第1の誘電体積層体125の一部であってもよく、第2誘電体層137は、第2の誘電体積層体138の一部であってもよい。例えば、半導体装置は垂直共振器面発光レーザであってもよく、第1の誘電体積層体125は第1共振器ミラー141を実現する。第2の誘電体積層体138は第2共振器ミラー142を実現する。第1半導体層120は、第1コンタクト層127、第1ビアコンタクト128および導電性キャリア基板131を介して第1接触要素145に電気的に接続されてもよい。誘電体層118は、第1半導体層120とコンタクト層127との間に配置されてもよい。誘電体層118を、電流注入開口119を規定するための穴を形成するようにパターン化する。
【0079】
第2半導体層110は、第2コンタクト層135および第2ビアコンタクト139を介して第2接触要素144に電気的に接続されてもよい。
【0080】
第1誘電体層124は、第1半導体層120の第1主面121全体を覆ってもよい。第2誘電体層137は、第1半導体層120の第2主面122全体を覆ってもよい。半導体装置10には成長基板がなくてもよい。例えば、第1半導体層の厚さが、1μm未満、さらには500nm未満であってもよい。
【0081】
本明細書に記載される実施形態は具体的には垂直共振器面発光レーザについてであるが、記載される方法が、GaNを含む他の半導体装置を製造するために同様に使用され得ることは当業者には明らかである。例えば、これらの方法は、LED、端面発光レーザまたはPCSEL(「フォトニック結晶面発光レーザ」)などの他の光電子半導体装置を製造するために使用されてもよい。さらに、この方法は、さらなる半導体装置、例えばHEMT「高電子移動度トランジスタ」)といったトランジスタを製造するために使用されてもよい。したがって、本明細書に記載の半導体装置は、LED、端面発光レーザまたはPCSELなどの光電子半導体装置、さらにはHEMTなどのトランジスタのような装置を例として、任意の方法で実現されてもよい。
【0082】
上述のように、GaN成長基板100が加工対象物から除去される。その結果、GaN基板のリサイクルができるため、コストの削減が可能となる。
【0083】
図4Cは実施形態に係る方法を要約して示す。半導体装置を製造する方法は以下の工程を有する。すなわち、GaN基板の上に犠牲層をエピタキシャル成長させる工程(S100)と、犠牲層の上に第1半導体層をエピタキシャル成長させる工程(S110)と、第1半導体層の第1主面であって、GaN基板から遠い側にある第1主面の上に第1層を形成する工程(S120)と、を有する。製造方法はさらに以下の工程を有する。すなわち、第1層および第1半導体層を通って犠牲層まで延在する流体流路を形成する(S130)工程と、流体流路にエッチング液を導入することを有する、GaN基板を除去するために犠牲層をエッチングする工程(S140)と、第1半導体層の第2主面の上に第2誘電体層を形成する工程(S150)と、を有する。
【0084】
上述のように、GaN成長基板100が加工対象物から除去される。その結果、GaN基板のリサイクルができるため、コストの削減と資源効率の高い方法とが可能になる。エッチング液が流体流路に導入されるため、加工対象物内部の位置から犠牲層をエッチングすることが可能である。エッチング液が加工対象物の端部からエッチングする場合と比較して、エッチングプロセスを早めることができる。本方法は、任意の半導体装置の製造に適用することができる。
【0085】
以上、本発明の実施形態を説明したが、さらなる実施形態を実施できることは明らかである。例えば、さらなる実施形態は、特許請求の範囲に記載された特徴の任意の部分組合せ、または上記の例に記載された要素の任意の部分組合せを含んでもよい。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲は、本明細書に含まれる実施形態の記載に限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0086】
10 半導体装置
15 加工対象物
20 半導体ウェハ
100 GaN基板
101 第1主面
103 中間層
105 犠牲層
107 開口部
108 溝
110 第2半導体層
111 第2半導体層の第1主面
115 活性領域
116 エッチング停止層
117 半導体積層体
118 誘電体層
119 開口
120 第1半導体層
121 第1半導体層の第1主面
122 第1半導体層の第2主面
124 第1誘電体層
125 第1の誘電体積層体
127 コンタクト層
128 ビアコンタクト
129 パッシベーション層
130 流体流路
131 キャリア基板
132 第2のキャリア
133 保護層
135 第2コンタクト層
137 第2誘電体層
138 第2の誘電体積層体
139 第2ビアコンタクト
141 第1共振器ミラー
142 第2共振器ミラー
143 光共振器
144 第1接触要素
145 第2接触要素
【手続補正書】
【提出日】2023-11-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置(10)であって、
GaNを含む第1半導体層(120)と、
前記第1半導体層(120)の第1主面(121)の上の第1誘電体層(124)と、
前記第1半導体層(120)の第2主面(122)の上の第2誘電体層(137)と、を有する、半導体装置(10)。
【請求項2】
前記第1誘電体層(124)の、前記第1半導体層(120)から遠い側に配置される第1接触要素(145)であって、前記第1誘電体層(124)を通って延在する第1ビアコンタクト(128)を介して前記第1半導体層(120)に電気的に接続される第1接触要素(145)をさらに有する、請求項
1に記載の半導体装置(10)。
【請求項3】
前記第1誘電体層(124)と前記第2誘電体層(137)との間の距離は1μm未満である、請求項
1または
2に記載の半導体装置(10)。
【請求項4】
前記第1半導体層(120)は半導体積層体(117)の一部であり、前記半導体積層体(117)は、第1の導電型の前記第1半導体層(120)と、第2の導電型の第2半導体層(110)と、前記第1半導体層(120)および前記第2半導体層(110)の間の活性領域(115)とを有する、請求項
1に記載の半導体装置(10)。
【請求項5】
前記第1誘電体層(124)は第1の誘電体積層体(125)の一部であり、
前記第2誘電体層(137)は第2の誘電体積層体(138)の一部であって、
前記半導体装置(10)は垂直共振器面発光レーザであり、前記第1の誘電体積層体(125)は第1共振器ミラー(141)を形成し、前記第2の誘電体積層体(138)は第2共振器ミラー(142)を形成する、請求項
1に記載の半導体装置(10)。
【請求項6】
半導体装置(10)を製造する方法であって、
GaN基板(100)の上に犠牲層(105)をエピタキシャル成長させる工程(S100)と、
前記犠牲層(105)の上に第1半導体層(120)をエピタキシャル成長させる工程(S110)と、
前記第1半導体層(120)の第1主面(121)であって、前記GaN基板(100)から遠い側にある第1主面(121)の上に第1層(124)を形成する工程(S120)と、
前記第1層(124)および前記第1半導体層(120)を通って前記犠牲層(105)まで延在する流体流路(130)を形成する(S130)工程
であって、前記第1層(124)および前記第1半導体層(120)の中に、溝(108)を形成する工程を有する、形成する(S130)工程と、
前記流体流路(130)にエッチング液を導入する工程を有する、前記GaN基板(100)を除去するために前記犠牲層(105)をエッチングする工程(S140)と、
前記第1半導体層(120)の第2主面(122)の上に第2誘電体層(137)を形成する工程(S150)と、を有する、方法。
【請求項7】
前記流体流路(130)を形成する(S130)工程が、第1層(124)において開口部を形成する工程を有し、前記開口部の広がりは、水平方向よりも垂直方向に大きい、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記流体流路(130)の側壁の上に、エッチング液に対して耐性を有するパッシベーション層(129)を形成する工程をさらに有する、請求項
6または
7に記載の方法。
【請求項9】
前記流体流路(130)を形成する前に、前記第1層(124)の上にキャリア基板(131)を形成する工程をさらに有し、前記流体流路は前記キャリア基板(131)を通って延在する、請求項
6に記載の方法。
【請求項10】
前記第1層(124)および前記第1半導体層(120)の中に、第2の水平方向に延在するさらなる溝(108)を形成する工程をさらに有する、請求項
6に記載の方法。
【請求項11】
前記溝(108)の側壁の上に、エッチング液に対して耐性を有するパッシベーション層(129)を形成する工程をさらに有する、請求項
6または
10に記載の方法。
【請求項12】
前記流体流路(130)を形成した後に、前記第1層(124)の上にキャリア基板(131)を付ける工程をさらに有する、請求項
6に記載の方法。
【請求項13】
前記第1層(124)を形成する前に、さらなる半導体層をエピタキシャルに形成して、半導体積層体(117)を形成する工程をさらに有する、請求項
6に記載の方法。
【請求項14】
前記さらなる半導体層を形成する工程は、前記犠牲層(105)をエピタキシャル成長させた後にエッチング停止層(116)を形成する工程を有し、前記方法は、前記GaN基板(100)を除去した後にエッチングする工程をさらに有する、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記犠牲層(105)をエピタキシャル成長させる前に、さらなるエッチング停止層(103)を形成する工程をさらに有する、請求項
6に記載の方法。
【請求項16】
前記第1層は、第1誘電体層(124)を有する、請求項
6に記載の方法。
【請求項17】
さらなる誘電体層をそれぞれ形成することで、前記第1誘電体層(124)を有する第1の誘電体積層体(125)と、前記第2誘電体層(137)を有する第2の誘電体積層体(138)と、を形成する工程をさらに有する、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1層は、さらなる半導体層を有する、請求項
6に記載の方法。
【請求項19】
さらなる複数の半導体層を形成して、前記さらなる複数の半導体層を有する第1共振器ミラー(141)を形成する工程をさらに有する、請求項
18に記載の方法。
【請求項20】
前記犠牲層(105)をエッチングする工程は、前記犠牲層(105)を有する加工対象物(15)に電圧を印加する工程をさらに有する、請求項
6に記載の方法。
【国際調査報告】