(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】自己拡張型ステントおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/915 20130101AFI20240426BHJP
A61F 2/962 20130101ALI20240426BHJP
【FI】
A61F2/915
A61F2/962
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572013
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 US2022030351
(87)【国際公開番号】W WO2022246262
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2022-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2022/023012
(32)【優先日】2022-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511193846
【氏名又は名称】クック・メディカル・テクノロジーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】COOK MEDICAL TECHNOLOGIES LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スイフト,リチャード・エイ
(72)【発明者】
【氏名】マリンズ,サム・シィ
(72)【発明者】
【氏名】クランシー,スティーブン・ティ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA45
4C267AA47
4C267AA56
4C267BB02
4C267BB06
4C267BB12
4C267BB40
4C267CC07
4C267CC09
4C267GG02
4C267GG16
4C267GG24
(57)【要約】
ステントは、各々がステント長さの別個のセグメントを占める一連のセルを含むフレームワークを含み、セルの各々は、端部がそれぞれの頂点で接続された複数のストラットを含む。いくつかの形態では、フレームワークの中空円筒形状は、拡張径よりも小さい管径よりも小さい装填径の間で移動可能であり、フレームワークの全てのストラットは、中空円筒形状が管径にあるときにステント軸に平行に向けられる。他の形態では、フレームワークは、隣接するセルを接続するTバーを含み、Tバーは、ストラットの各々の最大幅よりも広い長軸に垂直な最小幅を有するカラムを有し、カラムは少なくとも1つのスロットを画定する。さらに他の形態では、ステントが圧縮管または装填構成にあるとき、フレームワークは、フレームワークの高い充填密度を容易にする幾何学的形状を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステントであって、
ステント軸に沿った長さを有する中空円筒形状を有するフレームワークであって、前記フレームワークは、各々が前記ステント長さの別個のセグメントを占める一連のセルを含み、前記セルの各々は、端部がそれぞれの頂点で接続された複数のストラットを含む、フレームワークと、
隣接するセルの対であって、各々が、前記ステント軸に平行に延びる長軸を画定するカラムと、前記カラムの一端に取り付けられた頂部バーとを各々含む複数のTバーによって互いに取り付けられており、前記カラムの反対側の端部は、前記隣接するセルの対の第1のセルに取り付けられており、前記頂部バーは、反対側の端部において、前記隣接するセルの対の第2のセルに取り付けられている、隣接するセルの対と、を備える、ステント。
【請求項2】
前記中空円筒形状は、拡張径よりも小さい管径よりも小さい装填径の間で移動可能であり、
前記フレームワークの全てのストラットは、前記中空円筒形状が前記管径にあるときに前記ステント軸に平行に向けられている、
請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記カラムは、前記ストラットの最大幅よりも広い前記長軸に垂直な最小幅を有し、
前記カラムは、少なくとも1つのスロットを画定し、前記頂部バーは、前記カラムの反対側に湾曲した縁部を有し、前記湾曲した縁部は、前記長軸をまたいでいる、
請求項1または2に記載のステント。
【請求項4】
前記ストラットの各々は、約1に等しい幅対厚さ比を有する、先行する請求項のいずれかに記載のステント。
【請求項5】
前記中空円筒形状は、拡張径よりも小さい管径よりも小さい装填径の間で移動可能であり、
前記フレームワークは、前記拡張径に向かって付勢されており、
管径は5フレンチ以下である、
先行する請求項のいずれかに記載のステント。
【請求項6】
前記少なくとも1つのスロットは正確に2つのスロットである、先行する請求項のいずれかに記載のステント。
【請求項7】
前記中空円筒形状が管径にあるとき、前記フレームワークの全てのストラットは、前記ステント軸に平行に向けられている、先行する請求項のいずれかに記載のステント。
【請求項8】
前記一連のセルは、少なくとも1つの端部セル、少なくとも1つのフレックスセルおよび少なくとも1つのフープセルを含み、
前記隣接するセルの対は、正確に1つのフレックスセルおよび正確に1つのフープセルを含む、
先行する請求項のいずれかに記載のステント。
【請求項9】
前記フレームワークの各端部は、正確に3つのアイレットで終端している、先行する請求項のいずれかに記載のステント。
【請求項10】
前記フレームワークが装填構成にあるとき、前記一連のセルの隣接するセルは互いに接触している、先行する請求項のいずれかに記載のステント。
【請求項11】
前記カラムは背の高いH形状を有し、前記H形状の各脚部は前記ストラットの幅よりも小さい、先行する請求項のいずれかに記載のステント。
【請求項12】
前記ストラットの各々は、均一な幅、均一な厚さおよび長方形の断面を有する、先行する請求項のいずれかに記載のステント。
【請求項13】
隣接するストラットの対の各々は、前記中空円筒形状が管径にあるときに前記隣接するストラットの対の各々の幅よりも小さい幅を有する長方形の空間によって隔てられている、先行する請求項のいずれかに記載のステント。
【請求項14】
前記頂点の各々は、前記頂点のそれぞれの頂点によって接合される前記ストラットの幅の半分未満の径を有する連続した内側曲線を画定する、先行する請求項のいずれかに記載のステント。
【請求項15】
前記湾曲した縁部は、前記カラムから外方に面する凹状の縁部である、先行する請求項のいずれかに記載のステント。
【請求項16】
前記中空円筒形状は、拡張径よりも小さい管径よりも小さい装填径の間で移動可能であり、
前記フレームワークは、前記拡張径に向かって付勢されており、
前記中空円筒形状が管径にあるとき、前記フレームワークの全てのストラットは、前記ステント軸に平行に向けられている、
先行する請求項のいずれかに記載のステント。
【請求項17】
前記カラムは、前記複数のストラットの各々の最大幅よりも広い前記長軸に垂直な最小幅を有する、先行する請求項のいずれかに記載のステント。
【請求項18】
前記頂部バーは、前記カラムの反対側に湾曲した縁部を有し、前記湾曲した縁部は前記長軸をまたぐ、先行する請求項のいずれかに記載のステント。
【請求項19】
前記一連のセルにおける各隣接するセルの対は、前記複数のストラットの全てのストラットの最小幅未満の距離だけ離れている、先行する請求項のいずれかに記載のステント。
【請求項20】
前記フレームワークは、前記拡張径に向かって付勢されており、前記管径は、5フレンチのカテーテル内に収まる大きさである、先行する請求項のいずれかに記載のステント。
【請求項21】
前記フレームワークは拡張径に向かって付勢されている、請求項2~20のいずれか1項に記載のステント。
【請求項22】
前記拡張径は4ミリメートルである、請求項21に記載のステント。
【請求項23】
前記拡張径は5ミリメートルである、請求項21に記載のステント。
【請求項24】
前記拡張径は6ミリメートルである、請求項21に記載のステント。
【請求項25】
前記一連のセルの隣接するセルの対の各セルは、前記中空円筒形状が前記管径にあるとき、前記ステント軸に対して垂直に向けられた平面の両側にある、先行する請求項のいずれかに記載のステント。
【請求項26】
前記頂部バーは、前記カラムの反対側に湾曲した縁部を有し、前記湾曲した縁部は、前記カラムから外方に面する凹状の縁部である、先行する請求項のいずれかに記載のステント。
【請求項27】
前記頂点の各々はピークを画定し、隣接するセル上のピークは、0.08ミリメートル未満、または0.04~0.08ミリメートルの範囲の長手方向のセル分離距離だけ離れている、先行する請求項のいずれかに記載のステント。
【請求項28】
前記長手方向のセル分離距離は0.06ミリメートル未満である、先行する請求項のいずれかに記載のステント。
【請求項29】
前記頂点の各々はピークを画定し、隣接する第1および第2のセルの頂点によって画定される対向するピークは、互いに長手方向に整列しているか、または前記第1および第2のセルの最も狭いストラットの幅の10%未満である距離だけ横方向にオフセットされている、先行する請求項のいずれかに記載のステント。
【請求項30】
前記頂点の各々はピークを画定し、前記フレームワークの全ての隣接するセルの頂点によって画定される対向するピークは、互いに長手方向に整列しているか、または前記フレームワークの最も狭いストラットの幅の10%未満である距離だけ長手方向の整列からオフセットされている、先行する請求項のいずれかに記載のステント。
【請求項31】
前記フレームワークの表面上にコーティングをさらに備える、先行する請求項のいずれかに記載のステント。
【請求項32】
前記コーティングは治療剤を含む、請求項31に記載のステント。
【請求項33】
前記コーティングはポリマーマトリックスも含む、請求項32に記載のステント。
【請求項34】
前記治療剤は前記ポリマーマトリックスに組み込まれる、請求項33に記載のステント。
【請求項35】
前記ポリマーマトリックスは生体吸収性ポリマーマトリックスである、請求項33または34に記載のステント。
【請求項36】
前記治療剤は再狭窄阻害剤である、請求項32~35のいずれか1項に記載のステント。
【請求項37】
前記再狭窄阻害剤は、パクリタキセル、シロリムス、ピメクロリムス、タクロリムス、エベロリムス、ゾタロリムス、ノボリムス、ミオリムス、テムシロリムス、デフォロリムス、またはバイオリムスである、請求項36に記載のステント。
【請求項38】
前記コーティングは、1~30ミクロン、または1~10ミクロンの範囲の厚さを有する、請求項34~37のいずれか1項に記載のステント。
【請求項39】
前記コーティングは、前記ストラットの表面を少なくとも部分的に覆う、請求項31~38のいずれか1項に記載のステント。
【請求項40】
前記コーティングは、前記ストラットの少なくとも反管腔側表面を覆う、請求項39に記載のステント。
【請求項41】
前記ストラットは各々、前記ストラットの円周の周り全体に延びる円周面を有し、前記コーティングは、各ストラットの前記円周面を覆う、請求項40に記載のステント。
【請求項42】
前記ストラットは各々、85~135ミクロンの範囲の厚さを有する、請求項31~41のいずれか1項に記載のステント。
【請求項43】
各ストラットについて、前記コーティングと前記ストラットとを合わせた厚さは、前記ストラットの厚さよりも大きいが、150ミクロンを超えないか、または95~135ミクロンの範囲にある、請求項42に記載のステント。
【請求項44】
各ストラットは90~125ミクロンの範囲の厚さを有し、各ストラットについて、前記コーティングと前記ストラットとを合わせた厚さの、前記ストラット単独の厚さに対する比は、1.2:1~1.05:1の範囲、または1.15:1~1.05:1の範囲にある、請求項43に記載のステント。
【請求項45】
前記フレームワークは自己拡張型である、先行する請求項のいずれかに記載のステント。
【請求項46】
前記フレームワークは超弾性ニチノールを含む、先行する請求項のいずれかに記載のステント。
【請求項47】
前記カラムは、前記ストラットの各々の最大幅よりも広い前記長軸に垂直な最小幅を有し、前記カラムは、少なくとも1つのスロットを画定し、前記頂部バーは、前記カラムの反対側に湾曲した縁部を有し、前記湾曲した縁部は、前記長軸をまたいでいる、請求項1に記載のステント。
【請求項48】
前記頂点の各々はピークを画定し、隣接するセル上のピークは、0.08ミリメートル未満、または0.04~0.08ミリメートルの範囲の長手方向のセル分離距離だけ離れている、請求項1に記載のステント。
【請求項49】
前記頂点の各々はピークを画定し、隣接する第1および第2のセルの頂点によって画定される対向するピークは、互いに長手方向に整列しているか、または前記第1および第2のセルの最も狭いストラットの幅の10%未満である長手方向の整列から横方向にオフセットされている、請求項1に記載のステント。
【請求項50】
前記中空円筒形状が前記管径にあるとき、前記フレームワークの第1および第2のセル内の全てのストラットは、前記ステント軸に平行に向けられている、請求項1に記載のステント。
【請求項51】
さらに、
前記カラムは、前記ストラットの各々の最大幅よりも広い前記長軸に垂直な最小幅を有し、前記カラムは少なくとも1つのスロットを画定し、任意選択的に、前記頂部バーは、前記カラムの反対側に湾曲した縁部を有し、前記湾曲した縁部は前記長軸をまたぐ、および/または
前記頂点の各々はピークを画定し、隣接するセル上のピークは、0.08ミリメートル未満、または0.04~0.08ミリメートルの範囲の長手方向のセル分離距離によって離されている、および/または
前記頂点の各々はピークを画定し、隣接する第1および第2のセルの頂点によって画定される対向するピークは、互いに長手方向に整列しているか、または前記第1および第2のセルの最も狭いストラットの幅の10%未満である長手方向の整列から横方向にオフセットされている、および/または
前記中空円筒形状が前記管径にあるとき、前記フレームワークの第1および第2のセル内の全てのストラットは、前記ステント軸に平行に向けられている、請求項1に記載のステント
【請求項52】
ステント送達システムのカテーテル内に自己拡張型ステントを装填する方法であって、
前記ステントを装填構成にすることであって、前記自己拡張型ステントをカテーテル内に滑り込ませながら前記ステントを周方向および長手方向に同時に圧縮することを含む、装填構成にすることと、
前記自己拡張型ステントの隣接するセルを、前記長手方向の圧縮に応答して非接触状態から接触状態に移行させることと、を含む、方法。
【請求項53】
前記周方向の圧縮は、前記自己拡張型ステントの中空円筒形状を管径から装填径に移行させることを含み、
前記自己拡張型ステントの全てのストラットは、前記管径において前記自己拡張型ストラットの他の全てのストラットと平行である、
請求項52に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ステントに関し、より具体的には、特定の態様において、ステント送達システムへの装填性を改善するステント構造に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年4月5日に出願された米国特許出願第17/713,399号および2022年4月1日に出願された米国PCT/US2022/23012号の一部継続出願であり、両方とも、2021年5月20日に出願された米国仮出願第63/190,906号の利益を主張し、本出願は、2022年2月25日に出願された米国仮出願第63/313,902号の利益を主張し、これらは全て参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
血管系、結腸、胆道、尿路、食道、気管などの様々な臓器を治療するためのステントの使用が近年一般的になってきている。ステントは、最も一般的には、閉塞、狭窄疾患、および通路を通る流れを制限する他の同様の問題を治療するために使用される。ステントが治療に一般的に使用される1つの領域は、狭窄動脈を通る血流を改善または維持するために血管内ステントを血管系に埋め込むことを含む。しかしながら、ステントはまた、動脈瘤の処置などの他の処置においても使用される。ステントは、冠動脈血管および末梢血管の両方を含む血管系全体の様々な血管(例えば、頸動脈、上腕、腎臓、腸骨および大腿骨)の治療に有用であることが示されている。さらに、ステントは、消化管などの他の体の血管にも使用されてきた。
【0004】
冠動脈および末梢血管におけるステントの使用は、狭窄に関連する血管系の問題(すなわち、血管の狭窄)に苦しむ人々が毎年増加しているため、医療界から特に注目されている。これにより、そのような問題を治療するための医療処置に対する要求が高まっている。心臓の問題および他の脈管構造の問題が頻繁に発生しているのは、人々が現在、前世代よりも長い寿命を一般に有しているという事実に加えて、人々が運動不足になる傾向および不健康な食事の普及を含むいくつかの社会的変化に起因する可能性がある。ステントは、ステント留置処置が従来の処置よりもかなり侵襲性が低いので、血管狭窄を治療するための一般的な代替法になっている。例えば、冠動脈の狭窄は、従来、バイパス手術で治療されていた。一般に、バイパス手術は、胸骨を分割して胸腔を開き、置換血管を心臓に移植して閉塞または狭窄した動脈をバイパスすることを含む。しかしながら、冠動脈バイパス手術は、危険であり、患者にとって長い回復時間を必要とする非常に侵襲的な処置である。血管ステントはまた、ステント留置処置の低侵襲性の性質のために、多くの異なる末梢動脈を治療するためにより広く使用されている。冠動脈、末梢動脈および他の通路の問題を治療するための低侵襲性医療処置に対する需要の高まりに対処するために、医療界は、バイパス手術のような従来の侵襲性処置から遠ざかり始めており、現在では様々なステント留置処置がますます選択されるようになってきている。
【0005】
多くの異なるタイプのステントおよびステント留置処置が可能である。しかしながら、一般に、ステントは、典型的には、身体通路を通って経皮的および並進的に挿入され得る管状支持構造として設計される。従来、ステントは、ステントの圧縮および拡張を容易にするためにステントの支持構造を通って延びる一連の半径方向開口部を有する金属または他の合成材料から作製される。ステントは、非金属材料を含む多くの種類の材料から作製され得るが、ステントを作製するために使用され得る金属材料の一般的な例としては、ステンレス鋼、ニチノール、コバルト-クロム合金、アモルファス金属、タンタル、白金、金およびチタンが挙げられる。典型的には、ステントは、ステントを治療されるべき領域内に配置し、その後、ステントを圧縮径から拡張径まで拡張することによって、通路内に埋め込まれる。ステントが圧縮径から拡張する能力により、ステントが圧縮径にある間に、ステントを様々な細い身体通路を通して治療されるべき領域に通すことができる。ステントが治療されるべき領域に配置されて拡張されると、ステントの管状支持構造は、通路の内壁に接触してこれを半径方向に支持する。結果として、埋め込まれたステントは、通路が狭くなるのを機械的に防止し、通路を通る流体の流れを促進するために通路を開いたままにする。
【0006】
ステントは、一般に、バルーン拡張型または自己拡張型のいずれかとして特徴付けることができる。しかしながら、ステント設計および埋め込み手順は大きく異なる。例えば、医師は、特定のタイプの処置のために特定のタイプのステントを好むことが多いが、バルーン拡張型ステントおよび自己拡張型ステントの使用は、時に重複し、1つのタイプのステントに関連する処置は、他のタイプのステントに適合され得る。
【0007】
自己拡張型ステントは、様々な疾患を治療するために医師によってますます使用され、受け入れられている。自己拡張型ステントは、通常、形状記憶材料またはバネのように作用する他の弾性材料で作製される。このタイプのステントに使用される典型的な金属には、ニチノールおよび304ステンレス鋼が含まれる。自己拡張型ステントを埋め込むための一般的な手順は、2段階プロセスを含む。最初に、治療される狭窄血管部分をバルーンで拡張するが、バルーンにステントは取り付けない。第2に、拡張された血管部にステントを埋め込む。ステントの埋め込みを容易にするために、ステントは、圧縮された小径状態でカテーテルの端部に設置され、通常、カテーテルの端部のシースにステントを挿入することによって小径に保持される。その後、ステントはバルーンで拡張された部分に誘導され、拘束シースをステントから引き離すことによってカテーテルから解放される。拘束シースから解放されると、ステントは、ステントが血管壁に接触して圧迫するまで、拡張径まで半径方向外側に跳ねる。従来、自己拡張型ステントは、これらのステントに使用される金属の形状記憶特性のために、冠状血管よりも末梢血管でより一般的に使用されてきた。末梢血管のための自己拡張型ステントの1つの利点は、外部供給源からの外傷がステントを永久的に変形させないことである。代わりに、ステントは、異常に過酷な外傷の際には一時的に変形し得るが、外傷が軽減されるとその拡張状態に跳ね返る。しかしながら、自己拡張型ステントは、バルーン拡張型ステントと比較して、冠状血管にとってあまり好ましくないと考えられることが多い。この理由の1つは、バルーン拡張型ステントは、使用される延性金属を所望のサイズおよび形状に塑性変形させることができるため、特定の血管径および形状に正確にサイズ設定できることである。対照的に、自己拡張型ステントは、特定の拡張可能範囲で設計される。したがって、埋め込まれた後、自己拡張型ステントは血管壁に対して圧力を及ぼし続ける。
【0008】
1つのクラスの自己拡張型ステントは、典型的には、薄肉ニチノール管から切断される。このようなステントは、例えば、共同所有の米国特許出願公開第2013/0073052号に示されている。切断後、ステントを拡張させ、元の管径よりも数倍大きい径に熱硬化させる。ここで、ステントがより大きい径に向かって付勢されると、ステントは圧縮され、ステント送達システムのカテーテル内に装填される。装填手順の間、ステントは、ステントをステント送達システムのカテーテル内に押し込むために、同時に周方向に圧縮され、長手方向に圧縮される。これらのステントは比較的薄肉のニチノール管から切断されるため、装填手順中に実質的な変形および場合によっては崩壊の危険性がある。業界がより薄肉の管からより小径のステントを製造しようとするにつれて、ステントの送達システムへの効果的な装填に関連する問題が深刻になり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特定の態様における本開示は、上記の問題のうちの1つ以上を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ステントは、ステント軸に沿った長さを有するフレームワークを含み、各々がステント長さの目立たないセグメントを占める一連のセルを含む。セルの各々は、端部がそれぞれの頂点で接続された複数のストラットを含む。隣接するセルの対は、
各々が、ステント軸に平行に延びる長軸を画定するカラムと、カラムの一端に取り付けられた頂部バーとを含む複数のTバー(またはタイバー)によって互いに取り付けられる。カラムの反対側の端部は、隣接するセルの対の第1のセルに取り付けられ、頂部バーは、反対側の端部において、隣接するセルの対の第2のセルに取り付けられる。本明細書のいくつかの態様では、中空円筒形状は、拡張径よりも小さい管径よりも小さい装填径の間で移動可能であり、フレームワークの全てのストラットは、中空円筒形状が管径にあるときにステント軸に平行に向けられる。本明細書の他の態様では、カラムは、ストラットの各々の最大幅よりも広い長軸に垂直な最小幅を有し、カラムは、少なくとも1つのスロットを画定し、頂部バーは、任意選択的に、カラムの反対側に湾曲した縁部を有し、湾曲した縁部は長軸をまたぐ。さらに他の態様では、隣接するセルの対の第1および第2のセルは、互いに規定された間隔を有する。フレームワークを特徴付けるまたさらなる態様も以下に開示され、本明細書に開示される追加の実施形態を提供する。
【0011】
別の態様において、ステントは、ステント軸に沿った長さを有する中空円筒形状を有するフレームワークを含み、各々がステント長さの目立たないセグメントを占める一連のセルを含む。セルの各々は、端部がそれぞれの頂点で接続された複数のストラットを含む。中空円筒形状は、拡張径よりも小さい管径よりも小さい装填径の間で移動可能である。中空円筒形状が管径にあるとき、フレームワークの全てのストラットは、ステント軸に平行に向けられる。一連のセルの隣接するセルの対の各セルは、中空円筒形状が管径にあるとき、ステント軸に対して垂直に向けられた平面の両側にある。一連のセルは、少なくとも1つの端部セル、少なくとも1つのフレックスセル、および少なくとも1つのフープセルを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示による管径におけるステントの平面図である。
【
図2】本開示によるステントのための代替的な端部構造の部分平面図である。
【
図3A】
図3の線3A-3Aに沿って取ったように示される、反管腔側表面コーティング層が加えられたステントの第1の代替実施形態の断面図である。
【
図3B】
図3の線3A-3Aに沿って取ったように示される、反管腔側表面コーティング層および側面コーティング層が加えられたステントの第2の代替実施形態の断面図である。
【
図3C】
図3の線3A-3Aに沿って取ったように示される、周面コーティング層が加えられたステントの第3の代替実施形態の断面図である。
【
図4】拡張径で示される
図1のステントの部分図である。
【
図5】本開示の別の実施形態による管径におけるステントの平面図である。
【
図6】
図5の実施形態によるステントの代替的な端部構造の部分平面図である。
【
図7】本開示のさらに別の実施形態による管径におけるステントの平面図である。
【
図8】その拡張径におけるその中空円筒形状を示す
図1のステントの端面図である。
【
図9】カテーテル内に装填される前に周方向に圧縮されている
図1のステントの端面図である。
【
図10】カテーテル内に装填される準備をしている周方向に圧縮されたステントの側面図である。
【
図11】部分的にカテーテルに装填された装填構成のステントの側面図である。および
【
図12】カテーテル内に装填された後のステントを示す。
【
図13】4mmの拡張径に拡張された
図1のステントの平面図である。
【
図14】4mmの拡張径に拡張された
図1のステントの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の教示は、多種多様な異なるサイズの自己拡張型ステントに適用することができるが、図示のステントは、5Frのステント送達システムで使用するためのものであってもよく、したがって、5Frのカテーテルに装填されるような大きさである。3つの異なる図示のステントは、
図1および
図2に示す4mmの拡張径を有する第1のステントと、
図5および
図6に示す5mmの拡張径を有する第2のステントと、
図7に示す6mmの意図する拡張径を有する第3のステントとを含む。これらのステントは多くの特徴を共通して含むので、図面および以下の説明では、異なって開示された5Frのステントの各々における対応する特徴を識別するために同様の番号が通して使用される。本開示で使用される場合、「ほぼ等しい」という用語は、2つの量の比が整数に丸められている場合、その整数が1であることを意味する。また、指定された量と「ほぼ等しい」として本明細書に開示されている量は、指定された量と正確に等しくてもよいことがよく理解されよう。
【0014】
最初に
図1、
図3、
図5および
図7を参照すると、ステント20は、平面図で示される中空円筒形状を有するフレームワーク21を含み、ステント軸24に沿った長さ23を有する。ステント20は、有益には、自己拡張型ステントである。フレームワーク21は、各々がステント長さ23の別個のセグメント26を占める一連のセル25を含む。セル25の各々は、端部31がそれぞれの頂点32で接続された複数のストラット30を含む。セル25の各々は、セル長さ19を有する。幅82は、同じセル25内の隣接するストラット30間の間隙の長さである。セル内の隣接するストラット30の対の間の幅82は、ニチノールまたは他の金属管からステント20を切断するために使用されるレーザの切断幅にほぼ等しくすることができる。
図1、
図3、
図5および
図7に示す実施形態では、幅82は、約0.05ミリメートルに等しくすることができる。頂点32は、同じセル25内の隣接するストラットの間に延びるアーチ状部材とすることができる。頂点32の外縁33は、幅34の2倍に幅82を加えたものに等しい幅35に等しい直径を有することができる。
【0015】
好ましくは、ステント20は、
図1、
図5および
図7にそれぞれ示すパターンをレンダリングするように材料がレーザ切断された薄肉金属管から製造される。例えば、
図1および
図5に示す例示的なステント20は、1.35ミリメートルの外管径および0.12ミリメートルの壁厚を有するニチノール管として開始することができる。
図7のステント20は、1.35ミリメートルの外管径および0.15ミリメートルの壁厚を有するニチノール管として開始することができる。
【0016】
個々のセル25は、管径において比較的高いセル表面密度を示し得る。本開示で使用される場合、「セル表面密度」という用語は、管径での特定のセル25のフレームワーク21要素の反管腔側または外側表面積の合計を、特定のセル25と同じ外径および長さを有する中実円筒の外側表面積で除算し、100を掛けることによって計算される割合を意味する。フレックスセル55の場合、セル表面密度は、60%~80%の範囲内、または65%~80%の範囲内、または69%~71%の範囲内であり得る。フープセル56の場合、セル表面密度は、50%~80%の範囲内、または57%~78%の範囲内、または62%~75%の範囲内であり得る。本明細書の実施形態は、上記のセル表面密度を有する少なくとも1つのフレックスセル55、または上記のセル表面密度を有する複数のフレックスセル55、例えば2~75個のそのようなフレックスセル55、および場合によりフレームワーク21のフレックスセル55の全てを含むフレームワーク21を有するステント20を企図する。これに加えて、またはこれに代えて、本明細書の実施形態は、指定されたセル表面密度を有する少なくとも1つのフープセル56、または指定されたセル表面密度を有する複数のフープセル56、例えば2~75個のそのようなフープセル56、および場合によってはフレームワーク21のフープセル56の全てを含むフレームワーク21を有するステント20を企図する。
【0017】
ストラット30は、幅よりも長い。ストラット30は、14~20の範囲の長さ19対幅82の比を有することができ、いくつかの実施形態では、15~16の範囲、16~17の範囲、17~18の範囲、または18~19の範囲の長さ19対幅82の比を有する。これに加えて、またはこれに代えて、フレームワーク21のフレックスセル55、フープセル56、および端部セル54のセル長さ19は、1.2~2ミリメートルの範囲、または1.4~1.9ミリメートルの範囲とすることができる。これらの点に関して、ストラット30および/またはセル長さ19の長さ19対幅82の比は、フレームワーク21の端部セル54、フレックスセル55またはフープセル56で同じであってもよく、フレームワーク21のセル54、55または56の間で異なっていてもよいことが理解されよう。いくつかの形態では、ストラット30および/またはセル長さ19の長さ対幅の比は、フレームワーク21の端部セル54で同じであり、および/またはフレームワーク21の全てのフレックスセル55で同じであり、および/またはフレームワーク21の全てのフープセル56で同じである。
【0018】
図示の実施形態は、一連の7つのセル25を有するステント20を示し、各隣接するセル27の対は、ニチノール管からステント20を切断するために使用されるレーザの切断幅にほぼ等しくてもよいセル分離距離59(図示のように管径において)だけ分離されている。これに加えて、またはこれに代えて、管径におけるセル分離距離59は、0.08ミリメートル未満、例えば0.04~0.08ミリメートルの範囲、または0.04~0.06ミリメートルの範囲、いくつかの形態では約0.05ミリメートルであり得る。
図1、
図5および
図7の具体例では、レーザ切断幅およびセル分離距離59は、0.05ミリメートルであってもよい。ステント20は、任意選択的に追加のセルを含むことができることに留意されたい。例えば、一実施形態において、ステント20は、23~28個のセル25を含んでもよい。別の実施形態において、ステント20は、48~54個のセル25を含んでもよい。さらに別の実施形態において、ステント20は、74~80個のセル25を含んでもよい。任意の数のセル25を利用して、所望の性能パラメータおよび長さ23を達成することができる。一般に、ステント20は、10~150個のセル、30~130個のセルおよび40~120個のセルを含むことができる。一例として、ステント20は、1~75個のフープセル56および/または1~75個のフレックスセル55を含むことができる。一例として、長さ23は、10~200ミリメートルの間または30~150ミリメートルの間であってもよい。
【0019】
隣接するセル27の対は、各々が1つの端部44において頂部バー43に取り付けられたカラム41を含む複数のTバー40(またはタイバー)によって互いに取り付けられてもよい。頂部バー43は、カラム41を、カラム41の両側に配置された隣接するストラット30に結合する。カラム41は、ステント軸24に平行に延びる長軸42を画定する。カラム41の反対側の端部45は、隣接するセル27の対の第1のセル51に取り付けられ、頂部バー43は、反対側の端部46において、隣接するセル27の対の第2のセル52に取り付けられる。カラム41は、ストラット30の各々の最大幅34よりも広い、長軸42に垂直な最小幅47を有する。
図1の実施形態の場合、カラム41は、少なくとも1つのスロット48を画定する。最小幅47は、隣接するストラット80の対の幅35よりも小さくすることができる。最小幅47はまた、ストラット30の幅34以上であってもよい。
図1の実施形態では、各カラム41は、各々が等しいサイズであり、ブリッジ74によって分離され、共通の中心線を共有し、長軸42に沿って延びる長寸法を有する正確に2つのスロット70および71を画定する。他の実施形態は、フレームワーク21のいくつかまたは全てのカラム41に画定された単一のスロット、またはフレームワーク21のいくつかまたは全てのカラム41に画定された複数のスロット(例えば、2~5個のスロット)を企図し、フレームワークの異なるカラム41のスロットの数が同じまたは異なる実施形態を含む。
【0020】
図1および
図3に示すように、少なくとも管径61において、カラム41のスロット70は、セル分離距離59によって画定される隣接するセル25間の間隙内に延在(および完全に貫通)する。本明細書の実施形態は、端部セル54を含まないフレームワーク21の少なくとも1つの隣接するセル25の対を接続するTバー40が、内部に画定された1つまたは複数のスロット(例えば、単一のスロット、互いに長手方向に離間して配置された1~5個のスロット、または互いに長手方向に離間して配置された正確に2つのスロット)を各々有するカラム41を有し、そのようなカラム41の各々によって画定された1つまたは複数のスロットのうちの少なくとも1つは、セル分離距離59によって画定される隣接するセル間の間隙内に延在し、任意選択的に完全に貫通する、ステントフレームワーク21を企図する。さらなる実施形態では、これらの特定のスロット付きTバー形状は、端部セル54ではないフレームワークのセル25の大部分または全てを接続するTバー40内に存在することができる。
【0021】
図1、
図5、および
図7の3つの図示の実施形態全てにおいて、頂部バー43は、カラム41の反対側に位置する湾曲した縁部49を有する。湾曲した縁部49は、カラム41から外方に面し、長軸42をまたぐ凹状の縁部であってもよい。湾曲した縁部49の曲率は、内側および外側チューブ表面によって結合される縁部表面が、ステント軸24に垂直な平面の両側に部分を有することを意味する。一般に、Tバー40の端部45は、Tバー40が配置されているセル25に隣接するセル25内に配置された隣接するストラット80の対からの長手方向延長部に取り付けられている。逆に、端部44は、一般に、Tバー40がそれを通って延びる同じセル25内に配置された一対のストラット30に結合され、ストラット30は、Tバー40の両側に配置され、頂部バー43またはアイレット58などの横方向接続部53が、両方のストラット30とTバー40とを横方向接続部53で一緒に接続する。Tバー40は、同じセル内のストラット30にほぼ平行である。本明細書に開示される実施形態は、頂部バー43を両方のストラット30の間の一体構造として示しているが、一体である必要はない。任意選択的に、頂部バー43は、一方の部分が一方のストラット30にTバー40を取り付け、他方の部分が他方のストラット30にTバー40を取り付けることによって、二股に分岐することができる。
【0022】
さらに
図4および
図8を参照すると、
図1に示すように金属管がステント20に切断された後、中空円筒形状22は、この場合には4ミリメートルであってもよい拡張径62まで拡張され、その後、その拡張径62で熱硬化される。拡張径62における
図1のステント20の図が、平面図で示す拡張されたステント20’として
図13に示される。
図14は、拡張径62におけるステント20’の中空の円筒形の図を示す。
図5および
図7の実施形態は、それぞれ5および6ミリメートルの拡張径62で熱硬化させることができる。その結果、フレームワーク21は拡張径62に向かって付勢される。したがって、ある典型的な製造では、ステント20は、ステントが熱硬化される拡張径62よりも小さい管径61(円周C/π)で始まる。その後、ステント20は、ステント送達システムに装填するために、特定の実施形態では管径61よりも小さい装填径60に圧縮される。本開示の高度なTバー構造および幾何学的形状は、実質的に任意のサイズのステントに拡張することができるが、本開示および図示の実施形態は、5Fr以下の管径61を有するステント20との関連で教示される。
【0023】
ステント20がステント送達システムに装填されるときにより長い長手方向の支持を提供するために、フレームワーク21の全てのストラット30は、中空円筒形状22が
図1、
図5および
図7に示すように管径61にあるときはステント軸24に平行に向けられる。図示の実施形態によれば、ストラット30の各々は、均一な幅34、均一な厚さ36(すなわち、研磨などのステント製造工程によって修正される可能性があるプレカット管の壁厚)、および長方形の断面38を有することができる。あるいは、ストラットは、所与のセル(
図5および
図7を参照)においてそのような均一な幾何学的形状を有し得るが、異なるセルにおけるストラットは、
図5および
図7におけるような同じステントの異なるセルにおけるストラットよりも広くてもよい。ストラット幅34とストラット厚さ36との比37は、1にほぼ等しくてもよい。これに加えて、またはこれに代えて、フレームワークのストラット30の厚さ36は、85~135ミクロンの範囲内、または90~125ミクロンの範囲内、または95~105ミクロンの範囲内とすることができる。同様の厚さ範囲は、Tバー40、頂点32、およびアイレット58を含むフレームワーク21の他の構成要素にも適用することができる。各隣接するストラット80の対は、中空円筒形状22が管径61にあるときに各隣接するストラット30の対の幅34よりも小さい幅82を有する長方形の空間81によって離されてもよい。必須ではないが、長方形の空間81の幅82は、先に論じたように、ステント20を金属管から切断するために使用されるレーザの幅に等しくてもよい。
【0024】
隣接するストラット30を接続する頂点32の各々は、それぞれの頂点32によって接合されたストラット30の幅34の半分未満であり得る半径86を有する連続した内側曲線85を画定することができる。各頂点32は、ピーク29を画定する。セル分離距離59は、隣接するセル25上の対向するピーク29間に生じ、隣接するセル25間の間隙を画定する。
図1の実施形態の場合、Tバー40のカラム41は、背の高いH形状72を有することができ、H形状72の各脚部73は、ストラット30の各々の幅34よりも小さい。図示されている全ての実施形態において、頂部バー43は、カラム41から外方に面し、長軸42をまたぐ凹状縁部49を有するものとして示されている。頂部バー43は、スロット71と凹状縁部49との間の最も狭い点で幅39を画定する。一実施形態では、幅39は幅34に等しくすることができる。別の実施形態では、幅39は幅34未満であり得る。凹状縁部49を有する頂部バー43はまた、凹状縁部49の両側に1つずつ、2つのピーク28を画定する。本開示は、カラム41とは反対側のTバーの側に、凸部を含む任意の湾曲した縁部を企図している。一実施形態では、凹状縁部49は、スロット71内にさらに延在し、頂部バー43を2つのピーク(例えば、外縁33によって形成された輪郭に似た外側輪郭を有する)にさらに完全に分岐させることができる。
【0025】
第1のセル25の個々のピーク29または28は、(セル分離距離59によって画定される間隙を横切って)第1のセルに隣接する第2のセル25の対向する個々のピーク29または28と長手方向に整列させることができる。一例では、第1のセル25および第2のセル25は、互いに同じピークの総数(任意のおよび全てのピーク28および29の合計)を有し、第1のセル25のピークの各々は、
図1に示す構成のように、第2のセルの対応する対向するピークと長手方向に整列している。しかしながら、他の実施形態は、
図5および
図7に示す構成のように、第1および第2の隣接するセル25の間の対向するピーク28および29の長手方向の整列からいくらかオフセットされていることを含む。長手方向の整列からのそのようなオフセットは、いくつかの形態では、幅35(隣接するストラット80の対の幅)の20%未満、またはいくつかの形態では幅35の10%未満の距離に制限することができる。いくつかの実施形態では、ステント20の長さを画定するステントフレームワーク21全体の隣接するセルの対の少なくとも第1および第2のセル25は、上述の長手方向の整列および/または長手方向整列オフセット特徴部、例えばフープセル56に隣接する少なくとも1つのフレックスセル55を有することができる。他の実施形態では、ステント20の長さを画定するステントフレームワーク21全体の少なくとも4つの連続するセル25は、上述の長手方向の整列および/または長手方向整列オフセット特徴部を有することができる。さらに他の実施形態では、ステント20の長さ23を画定するステントフレームワーク21全体のセル25の大部分または全ては、上述の長手方向の整列および/または長手方向整列オフセット特徴部を有することができる。
【0026】
本開示によるステント20は、任意の数のセル25を含むことができるが、図示の実施形態は、各端部に端部セル54、端部セル54の各々に直接隣接するフレックスセル55、および2つのフープセル56を含む一連の7つのセル25を有するステント20を示し、単一のフレックスセル55が2つのフープセル56の間に配置されている。端部セル54は、隣接するセル25への接続のために本開示で教示されたTバー構造を利用することが考えられるが、図示の実施形態によるTバー40によって接続された隣接するセル27の対は、正確に1つのフレックスセル55および正確に1つのフープセル56を含む。隣接するセル27の対の各セル25は、ステント軸24に対して垂直に(ページの内外に)向けられた平面の両側にある。
【0027】
端部セル54、フレックスセル55およびフープセルの構造は互いに異なる。フープセル56は、フレックスセル55または端部セル54のいずれよりも高い半径方向力を提供することができるが、柔軟性は低い。フレックスセル55は、フープセル56または端部セル54のいずれよりも小さい半径方向力を提供することができるが、柔軟性は高い。
【0028】
フレックスセル55は、フープセル56よりも小さいストラット幅34を有することができ、および/またはフープセル56よりも多くのストラット30を有することができる。逆に、フープセル56は、フレックスセル55よりも大きいストラット幅34を有することができ、および/または少ないストラット30を有することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも3つのTバー(例えば、3~6個のTバー)、または正確に3つのTバーは、各隣接するセル25を互いに接続し、好ましくはフレームワーク21の円周の周りに等間隔に配置される。
【0029】
必須ではないが、フレームワーク21は、複数のアイレット58で終端することができる。これらのアイレットは、本開示の範囲から逸脱することなく省略することができる。好ましくは、特に5フレンチ以下などのより小径のステントの文脈では、フレームワーク21は正確に3つのアイレット58で終端することができる。
図2は、やはり本開示の意図された範囲内に入る長方形のアイレット158を有する代替的なステント構造120を示す。
図6はまた、同様に本開示の範囲内に入る異なる形状のアイレット258を有する代替的なステント構造220を示す。
【0030】
本開示のTバー40構造および/または他の幾何学的形状は、ステント20の他の特徴部と共に、ステントが送達システムに装填される能力を損なうことなく良好なステント性能要件を維持すると考えられる。装填は、ステント20をその管径より下で装填径まで圧縮し、その後、ステントを圧縮ヘッドから送達システム内に押し出すことを含む。装填が困難であり得る理由は、ステントが、展開後に血管開存性を維持するのを助けるために高い半径方向剛性を有するように設計される一方で、身体における良好な疲労性能を達成するために、他の変形モード(軸方向、曲げおよびねじり)において実質的な柔軟性を維持するためである。本開示は、他のステント性能態様に悪影響を及ぼすことなく充填密度、したがって装填性に強く影響し得るステント幾何学的形状の一領域が、Tバー40の幾何学的形状および構造であることを認識している。本開示は、他の領域におけるステント性能を損なうことなく、カラム41の幅47および頂部バー43の幅をより広くすることができることを認識している。本開示のTバー40はまた、ステント製造の特定の段階に利益をもたらす周方向の曲げ性能を改善するために、それらの長軸42の中心線に沿った少なくとも1つのスロット(
図1)を介した材料除去を利用することができる。具体的には、ステント20の製造中に、ストラット30がTバー40の頂部バー43と合流する領域で破断および亀裂が発生する可能性がある。この応力は、幅広のTバーの高い周方向剛性によって引き起こされ得る。図示の実施形態では凹状縁部49によって示されている頂部バー43の中央領域から材料を除去することによって、適切な周方向剛性が緩和され、小径の薄肉ステントが製造され、亀裂を生じることなく拡張および熱硬化操作を受けることが可能になる。したがって、図示の凹状縁部49の代替形態は、代わりに頂部バー43の表面を凸状にすることであり得る。例えば、
図1の実施形態に関して、周方向剛性に対処するための本開示の教示による材料除去は、場合によってはスロット71の長さを長軸42に沿って延長して、頂部バー43を構成する材料の量を減らすことによって達成することができる。あるいは、レーザによるアブレーションなどの材料除去技術を使用してカラム41および/または頂部バー43の厚さから材料を除去して、カラム41および/または頂部バー43の剛性を調整しながらカラム41および/または頂部バー43を通る開口部を形成せずに、任意選択的に壁厚を減少させることができる。
【0031】
本明細書に開示されるステント20の特徴の多くは、特にステント20を繰り返し拡張させるとき、および、拡張径に設定された後に、後にカテーテルに装填するために圧縮するときに、ステント20の個々の部分における比較的均一な歪みを生じやすくしようとする。例としては、全ての移行部で曲面を使用すること、曲げが発生する同様の断面積(厚さx幅)を使用すること、および必要に応じて材料を除去することが挙げられる。
【0032】
本明細書の他の実施形態では、フレームワーク21の表面の少なくとも一部は、その上にコーティング層100を有することができる(例えば、
図3A、
図3Bおよび
図3Cを参照)。例えば、フレームワークのストラット30および/または頂点32および/またはTバー40の表面の一部または全部をコーティング層100で覆うことができる。いくつかの形態では、コーティング層100は、再狭窄阻害剤などの治療剤を含むことができる。再狭窄阻害剤は、例えば、パクリタキセル、パクリタキセル類似体、またはパクリタキセル誘導体もしくは他のタキサン化合物などの微小管安定化剤、シロリムス(ラパマイシン)、ピメクロリムス、タクロリムス、エベロリムス、ゾタロリムス、ノボリムス、ミオリムス、テムシロリムス、デフォロリムス、またはバイオリムスなどのマクロライド免疫抑制剤であってもよい。これに加えて、またはこれに代えて、コーティング層100は、ポリマーマトリックス、例えば生分解性ポリマー材料を含むかまたはそれから構成されるポリマーマトリックスを含むことができる。そのような生分解性ポリマー材料は、単一の生分解性ポリマーまたは生分解性ポリマーの混合物を含み得る。生分解性ポリマーの例としては、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸ホモポリマー、ポリグリコール酸/ポリ乳酸コポリマーなどのポリ乳酸コポリマー、ポリヒドロキシブチラートバレレート、ポリオルトエステルおよびポリエチレンオキシド/ポリブチレンテレフタレートが挙げられる。当業者は、他の生分解性ポリマーまたは非生分解性ポリマーも利用可能であり、使用することができることを理解するであろう。
【0033】
治療剤は、任意の適切なレベルでコーティングに組み込むことができる。典型的には、治療剤が上記に開示されるものいずれかなどの再狭窄阻害剤である場合、それは約0.01~約50マイクログラム/mm2、特定の形態では約0.5~約10マイクログラム/mm2のレベルでコーティングに組み込まれる。コーティング層100の厚さは、典型的には、約1ミクロン~約30ミクロン、または約1~約10ミクロンである。
【0034】
ここで特に
図3A、
図3Bおよび
図3Cを参照すると、コーティング層100は、いくつかの実施形態では、フレームワーク21のストラット30およびTバー40の少なくとも反管腔側表面、または反管腔側表面のみ(
図3A参照)、または反管腔側表面および側面の全部または一部(
図3B参照)、または完全な円周面(
図3Cを参照)を覆うことができる。対応する様式において、コーティング層100は、さらに、フレームワーク21の頂点32、アイレット58、158もしくは258、および/または他の構造の、少なくとも反管腔側表面、または反管腔側表面のみ、または反管腔側表面と側面の全部もしくは一部とのみ、または完全な円周面を覆うことができる。いくつかの形態では、フレームワーク21の反管腔側表面、側面および管腔側表面の全てまたは本質的に全て(90%以上)がコーティング層100によって覆われる。
【0035】
本明細書における有益なコーティングされたステントの実施形態において、ストラット30は、85~135ミクロンの範囲の厚さ36を有し、コーティング層100とストラット30とを合わせた厚さは、ストラット厚さ36よりも大きいが、150ミクロンを超えないことが可能であり、そのような合計厚さは、いくつかの形態において、95~140ミクロンの範囲であることが可能である。コーティング層100とTバー40とを合わせた厚さ、および/またはコーティング層100と頂点32とを合わせた厚さにも、同様の値が存在し得る。合計厚さのこれらの値は、
図3A、
図3B、および
図3Cに関連して開示された実施形態の各々に存在することができ、
図3Cに示す周方向コーティングの場合の合計厚さは、反管腔側表面上のコーティング100の厚さ、管腔側表面(反管腔側表面の反対側)上のコーティング100の厚さ、およびストラット厚さ36の合計を含み、同様の値が、コーティングされたTバー40および/またはコーティングされた頂点32および/または存在する場合フレームワーク21のコーティングされた他の構造に関して適用可能であることが理解されよう。
【0036】
追加の実施形態では、ストラット30は、90~125ミクロンの範囲の厚さ36を有し、コーティング100とストラット30とを合わせた厚さの、ストラット30単独の厚さ36に対する比は、1.2:1~1.05:1の範囲、または1.15:1~1.05:1の範囲にある。ここでも、Tバー40および/または頂点32および/または他のフレームワーク21の構造もコーティングされている実施形態では、同様の比の値をそれぞれの厚さおよびコーティング層100に適用することができる。前述のように、これらの比の値は、
図3A、
図3B、および
図3Cに関連して開示した実施形態の各々に存在することができ、
図3Cに示す周方向コーティングの場合の合計厚さは、ストラット30の反管腔側表面上のコーティング100の厚さ、ストラット30の管腔側表面上のコーティング100の厚さ、およびストラット30自体の厚さの合計を含むことが理解されよう(同様の比の値は、コーティングされたTバー40および/またはコーティングされた頂点32および/または存在する場合コーティングされた他のフレームワーク21構造に関して適用可能である)。
【0037】
ここでさらに
図9~
図12を参照すると、本開示によるステント20の装填手順が概略的に示されている。装填手順は、管径61よりも小さい装填径60までステントを周方向に圧縮することによって始まる。例えば、1つの具体的な例において、管径は、5フレンチのステントについては1.35ミリメートルであってもよく、対応する装填径は、1.34ミリメートル(
図9を参照)であってもよい。次いで、周方向に圧縮されたステントは、圧縮ヘッドとして識別される装置を用いて、
図10に示すようにステント送達システム10のカテーテル11内への装填に向かって移動される。次に、周方向の圧縮を維持しながら、ステント20をカテーテル11内に押し込む力Fを加える。この結果、ステント20がカテーテル11内に滑り込ませられる間に、ステントはステント20が周方向および長手方向に同時に圧縮される装填構成15になる。この長手方向の応力は、隣接するセル25を長手方向の圧縮に応答して非接触から接触に移行させることができる。隣接するセル25間のこの接触は、装填手順中の座屈または他の望ましくない変形などの望ましくない結果を回避するために、装填されている間にステント20に追加のカラム強度および長手方向剛性を提供すると考えられる。装填手順中のステント20の長手方向の圧縮は、装填を容易にするために押圧力Fが加えられている間のカテーテル11の内壁とのステント摩擦相互作用の結果であり得る。装填手順が完了した後、ステントの長手方向の幾何学的形状が、長手方向の圧縮が緩和された後に隣接するセル25間の分離距離59を弾性的に再開することが期待され得る。
【0038】
広い頂部バー43を利用することによって、中空円筒形状22が管径61にあるとき、個々のストラット30をステント軸に平行に向けることができる。これにより、ストラット30の各々は、長手方向装填押圧力Fと平行に長手方向装填圧縮の一部を担持することができる。Tバー40のカラム41は、スロット70および71(
図1)を含むことによる材料の除去によって、および/またはTバー40の湾曲形状によって、周方向の剛性を低くすることができる。したがって、スロット70および71は、剛性を局所的に低減し、より均一な曲げを可能にし、拡張径62での熱硬化中の亀裂の出現を防止または抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本開示は、自己拡張型ステントにおいて一般的な適用性を見出す。より具体的には、本開示の教示は、より小径の自己拡張型ステント、例えば、5フレンチ以下の直径を有する自己拡張型ステントに特に適用可能である。これらの小径のステントは、例えば、患者の下腿の動脈に適用され得る。本開示におけるステント20は、超弾性ニチノールなどのニチノールの薄肉管から製造されるという文脈で示されているが、本開示はまた、ニチノールと同様の超弾性特性を示す他の超弾性金属または生分解性ポリマーなどの他の適切な材料から製造されたステントを企図する。
【0040】
5mm(
図5)および6mm(
図7)のステント設計は、互いにおよび4mm(
図1)と同様であるが、各々が固有のセル長さを有し、異なる壁厚を有してもよい。セル長さは、ストラット長さと類似している。各ステント径に対する良好な疲労性能のための適切な半径方向力および軸方向/曲げ/ねじりの柔軟性を達成するために、固有のセル長さおよび壁厚値が必要であり得る。セル間の薄い切断空間と共に平行レーザ切断および関連する平行ストラットを利用することは、特にステントが高い半径方向力を達成するように設計されている場合、他のステントサイズの装填にも利益をもたらすことが期待され得る。これは、高い半径方向力を有するが、他のモードでは柔軟性が高い(これらのモードで良好な疲労を促進するための軸方向、曲げおよびねじり)ステントは一般にカラム強度が低い可能性があり、これは、これらの高い半径方向力の薄肉ステントが圧縮されて送達システムに押し込まれ、軸方向の押圧力の下で座屈する可能性があることを意味する。ストラットおよびセルの狭い間隔はカラム強度を高め、装填中の座屈の可能性を低減する。セル間の低い間隔を伴う平行な切断および関連する平行なストラットは、4Fr、3Frを含むより低いフレンチサイズのステントにとって特に有益であってもよく、1mm程度の小さいステント径に関連することさえある。
【0041】
本発明は例示のみを目的としており、決して本開示の幅を狭めると解釈されるべきではない。したがって、当業者は、本開示の完全かつ公正な範囲および精神から逸脱することなく、本開示の実施形態に様々な変更を加えることができることを理解するであろう。他の態様、特徴および利点は、添付の図面ならびに添付の条項および特許請求の範囲を検討すれば明らかになるであろう。
【0042】
条項1。ステントであって、ステント軸に沿った長さを有する中空円筒形状を有するフレームワークであって、フレームワークは、各々がステント長さの別個のセグメントを占める一連のセルを含み、セルの各々は、端部がそれぞれの頂点で接続された複数のストラットを含む、フレームワークと、隣接するセルの対であって、各々が、ステント軸に平行に延びる長軸を画定するカラムと、カラムの一端に取り付けられた頂部バーとを各々含む複数のTバーによって互いに取り付けられており、カラムの反対側の端部は、隣接するセルの対の第1のセルに取り付けられており、頂部バーは、反対側の端部において、隣接するセルの対の第2のセルに取り付けられている、隣接するセルの対と、を備え、中空円筒形状は、拡張径よりも小さい管径よりも小さい装填径の間で移動可能であり、フレームワークの全てのストラットは、中空円筒形状が管径にあるときにステント軸に平行に向けられる、ステント。
【0043】
条項2。複数のストラットのうちの隣接するストラットの対の各々は、中空円筒形状が管径にあるときにストラットの対の各々の幅よりも小さい距離だけ離れている、条項1に記載のステント。
【0044】
条項3。カラムは、複数のストラットの各々の最大幅よりも広い長軸に垂直な最小幅を有する、条項1~2のいずれか1項に記載のステント。
【0045】
条項4。頂部バーは、カラムの反対側に湾曲した縁部を有し、湾曲した縁部は長軸をまたぐ、条項1~3のいずれか1項に記載のステント。
【0046】
条項5。複数のストラットの各々は、約1に等しい幅対厚さ比を有する、条項1~4のいずれか1項に記載のステント。
【0047】
条項6。フレームワークは拡張径に向かって付勢されており、管径は、5フレンチのカテーテル内に収まる大きさである、条項1~5のいずれか1項に記載のステント。
【0048】
条項7。一連のセルは、少なくとも1つの端部セル、少なくとも1つのフレックスセルおよび少なくとも1つのフープセルを含み、隣接するセルの対は、正確に1つのフレックスセル、および正確に1つのフープセルを含む、条項1~6のいずれか1項に記載のステント。
【0049】
条項8。一連のセルにおける各隣接するセルの対は、複数のストラットの全てのストラットの最小幅未満の距離だけ離れている、条項1~7のいずれか1項に記載のステント。
【0050】
条項9。フレームワークの各端部は、正確に3つのアイレットで終端する、条項1~8のいずれか1項に記載のステント。
【0051】
条項10。フレームワークは、4ミリメートルである拡張径に向かって付勢されている、条項1~9のいずれか1項に記載のステント。
【0052】
条項11。フレームワークは、5ミリメートルである拡張径に向かって付勢されている、条項1~10のいずれか1項に記載のステント。
【0053】
条項12。フレームワークは、6ミリメートルである拡張径に向かって付勢されている、条項1~11のいずれか1項に記載のステント。
【0054】
条項13。一連のセルの隣接するセルの対の各セルは、中空円筒形状が管径にあるとき、ステント軸に対して垂直に向けられた平面の両側にある、条項1~12のいずれか1項に記載のステント。
【0055】
条項14。フレームワークが装填構成にあるとき、一連のセルの隣接するセルは互いに接触する、条項1~13のいずれか1項に記載のステント。
【0056】
条項15。複数のストラットの各々は、均一な幅、均一な厚さおよび長方形の断面を有する、条項1~14のいずれか1項に記載のステント。
【0057】
条項16。頂点の各々は、頂点のそれぞれの頂点によって接合されるストラットの幅よりも小さい径を有する連続した内側曲線を画定する、条項1~15のいずれか1項に記載のステント。
【0058】
条項17。頂部バーは、カラムの反対側に湾曲した縁部を有し、湾曲した縁部は、カラムから外方に面する凹状の縁部である、条項1~16のいずれか1項に記載のステント。
【0059】
条項18。ステントであって、ステント軸に沿った長さを有する中空円筒形状を有するフレームワークであって、フレームワークは、各々がステント長さの別個のセグメントを占める一連のセルを含み、セルの各々は、端部がそれぞれの頂点で接続された複数のストラットを含む、フレームワークを備え、中空円筒形状は、拡張径よりも小さい管径よりも小さい装填径の間で移動可能であり、中空円筒形状が管径にあるとき、フレームワークの全てのストラットはステント軸に平行に向けられ、一連のセルの隣接するセルの対の各セルは、中空円筒形状が管径にあるとき、ステント軸に対して垂直に向けられた平面の両側にあり、一連のセルは、少なくとも1つの端部セル、少なくとも1つのフレックスセル、および少なくとも1つのフープセルを含む、ステント。
【0060】
条項19。複数のストラットのうちの隣接するストラットの対の各々は、中空円筒形状が管径にあるときにストラットの対の各々の幅よりも小さい距離だけ離れている、条項18に記載のステント。
【0061】
条項20。フレームワークが装填構成にあるとき、一連のセルの隣接するセルは互いに接触する、条項18~19のいずれか1項に記載のステント。
【0062】
条項21。複数のストラットの各々は、均一な幅、均一な厚さおよび長方形の断面を有する、条項18~20のいずれか1項に記載のステント。
【0063】
条項22。ステントであって、ステント軸に沿った長さを有する中空円筒形状を有するフレームワークであって、フレームワークは、各々がステント長さの別個のセグメントを占める一連のセルを含み、セルの各々は、端部がそれぞれの頂点で接続された複数のストラットを含む、フレームワークと、隣接するセルの対であって、各々が、ステント軸に平行に延びる長軸を画定するカラムと、カラムの一端に取り付けられた頂部バーとを各々含む複数のTバーによって互いに取り付けられており、カラムの反対側の端部は、隣接するセルの対の第1のセルに取り付けられており、頂部バーは、反対側の端部において、隣接するセルの対の第2のセルに取り付けられている、隣接するセルの対と、を備え、カラムは、ストラットの各々の最大幅よりも広い長軸に垂直な最小幅を有し、カラムは、少なくとも1つのスロットを画定し、頂部バーは、カラムの反対側に湾曲した縁部を有し、湾曲した縁部は、長軸をまたいでいる、ステント。
【0064】
条項23。ストラットの各々は、約1に等しい幅対厚さ比を有する、条項22に記載のステント。
【0065】
条項24。中空円筒形状は、拡張径よりも小さい管径よりも小さい装填径の間で移動可能であり、フレームワークは、拡張径に向かって付勢されており、管径は5フレンチ以下である、条項22~23のいずれか1項に記載のステント。
【0066】
条項25。少なくとも1つのスロットは正確に2つのスロットである、条項22~24のいずれか1項に記載のステント。
【0067】
条項26。中空円筒形状が管径にあるとき、フレームワークの全てのストラットは、ステント軸に平行に向けられる、条項22~25のいずれか1項に記載のステント。
【0068】
条項27。一連のセルは、少なくとも1つの端部セル、少なくとも1つのフレックスセルおよび少なくとも1つのフープセルを含み、隣接するセルの対は、正確に1つのフレックスセル、および正確に1つのフープセルを含む、条項22~26のいずれか1項に記載のステント。
【0069】
条項28。フレームワークの各端部は、正確に3つのアイレットで終端する、条項22~27のいずれか1項に記載のステント。
【0070】
条項29。フレームワークが装填構成にあるとき、一連のセルの隣接するセルは互いに接触する、条項22~28のいずれか1項に記載のステント。
【0071】
条項30。カラムは背の高いH形状を有し、H形状の各脚部はストラットの幅よりも小さい、条項22~29のいずれか1項に記載のステント。
【0072】
条項31。ストラットの各々は、均一な幅、均一な厚さおよび長方形の断面を有する、条項22~30のいずれか1項に記載のステント。
【0073】
条項32。隣接するストラットの対の各々は、中空円筒形状が管径にあるときに隣接するストラットの対の各々の幅よりも小さい幅を有する長方形の空間によって隔てられている、条項22~31のいずれか1項に記載のステント。
【0074】
条項33。頂点の各々は、頂点のそれぞれの頂点によって接合されるストラットの幅の半分未満の径を有する連続した内側曲線を画定する、条項22~32のいずれか1項に記載のステント。
【0075】
条項34。湾曲した縁部は、カラムから外方に面する凹状の縁部である、条項22~33のいずれか1項に記載のステント。
【0076】
条項35。中空円筒形状は、拡張径よりも小さい管径よりも小さい装填径の間で移動可能であり、フレームワークは、拡張径に向かって付勢されており、中空円筒形状が管径にあるとき、フレームワークの全てのストラットは、ステント軸に平行に向けられている、条項22~34のいずれか1項に記載のステント。
【0077】
条項36。ストラットの各々は、約1に等しい幅対厚さ比を有する、条項22~35のいずれか1項に記載のステント。
【0078】
条項37。一連のセルは、少なくとも1つの端部セル、少なくとも1つのフレックスセルおよび少なくとも1つのフープセルを含み、隣接するセルの対は、正確に1つのフレックスセル、および正確に1つのフープセルを含む、条項22~36のいずれか1項に記載のステント。
【0079】
条項38。ストラットの各々は、均一な幅、均一な厚さおよび長方形の断面を有する、条項22~37のいずれか1項に記載のステント。
【0080】
条項39。フレームワークが装填構成にあるとき、一連のセルの隣接するセルは互いに接触する、条項22~38のいずれか1項に記載のステント。
【0081】
条項40。ステント送達システムのカテーテル内に自己拡張型ステントを装填する方法であって、ステントを装填構成にすることであって、自己拡張型ステントをカテーテル内に滑り込ませながら前記ステントを周方向および長手方向に同時に圧縮することを含む、構成にすることと、自己拡張型ステントの隣接するセルを、長手方向の圧縮に応答して非接触状態から接触状態に移行させることと、を含む、方法。
【0082】
条項41。周方向の圧縮は、自己拡張型ステントの中空円筒形状を管径から装填径に移行させることを含み、自己拡張型ステントの全てのストラットは、管径において自己拡張型ストラットの他の全てのストラットと平行である、条項40に記載の方法。
【0083】
条項42。ステントであって、ステント軸に沿った長さを有する中空円筒形状を有するフレームワークであって、フレームワークは、各々がステント長さの別個のセグメントを占める一連のセルを含み、セルの各々は、端部がそれぞれの頂点で接続された複数のストラットを含む、フレームワークと、隣接するセルの対であって、各々が、ステント軸に平行に延びる長軸を画定するカラムと、カラムの一端に取り付けられた頂部バーとを各々含む複数のTバーによって互いに取り付けられており、カラムの反対側の端部は、隣接するセルの対の第1のセルに取り付けられており、頂部バーは、反対側の端部において、隣接するセルの対の第2のセルに取り付けられている、隣接するセルの対と、を備える、ステント。
【0084】
条項43。頂点の各々は、ピークを画定し、隣接するセル上のピークは、長手方向のセル分離距離によって分離され、第1および第2のセルとの間の長手方向のセル分離距離は、0.08ミリメートル未満、または0.04~0.08ミリメートルの間である、条項42に記載のステント。
【0085】
条項44。長手方向のセル分離距離は、0.04ミリメートル~0.07ミリメートルの間である、条項43に記載のステント。
【0086】
条項45。長手方向のセル分離距離は、0.04ミリメートル~0.06ミリメートルの間である、条項43に記載のステント。
【0087】
条項46。第1のセル内の全てのストラットはステント軸に平行に向けられている、条項43~45のいずれか1項に記載のステント。
【0088】
条項47。第2のセル内の全てのストラットはステント軸に平行に向けられている、条項46に記載のステント。
【0089】
条項48。頂部バーは、第2の端部の反対側に湾曲した縁部をさらに備える、条項43~47のいずれか1項に記載のステント。
【0090】
条項49。頂部バーは、湾曲した縁部によって分離された第1および第2の頂部バーピークをさらに備える、条項48に記載のステント。
【0091】
条項50。第1および第2の頂部バーピークは各々、隣接するセル上のピークから長手方向分離距離だけ離れている、条項49に記載のステント
条項51。複数のストラットの各々は、約1に等しい幅対厚さ比を有する、条項43~50のいずれか1項に記載のステント。
【0092】
条項52。複数のストラットの各々は、15~19の長さ対幅の比を有する、条項43~51のいずれか1項に記載のステント。
【0093】
条項53。隣接する第1および第2のセル上の全ての隣接するピークは、互いに長手方向に整列しており、または、最も狭いストラットの幅の15%未満で隣接するピーク間の長手方向の整列から横方向にオフセットされている、条項43~52のいずれか1項に記載のステント。
【0094】
条項54。隣接する第1および第2のセル上の全ての隣接するピークは、互いに長手方向に整列しており、または、最も狭いストラットの幅の10%未満で隣接するピーク間の長手方向の整列から横方向にオフセットされている、条項43~52のいずれか1項に記載のステント。
【0095】
条項55。ステントは拡張形態を有し、拡張形態は拡張径を有し、フレームワークは拡張形態において拡張径に向かって付勢されている、条項42~54のいずれか1項に記載のステント。
【0096】
条項56。拡張径は少なくとも4ミリメートルである、条項55に記載のステント。
条項57。ステントは、拡張形態では1.35ミリメートルの径まで圧縮可能である、条項55に記載のステント。
【0097】
条項58。第1のセルにおけるストラットは、第2のセルにおけるストラットよりも少なくとも10%広い、条項43~57のいずれか1項に記載のステント。
【0098】
条項59。第1のセル内の全てのストラットはステント軸に平行に向けられている、条項43~58のいずれか1項に記載のステント。
【0099】
条項60。第2のセル内の全てのストラットはステント軸に平行に向けられている、条項43~59のいずれか1項に記載のステント。
【0100】
条項61。ステントは自己拡張型である、条項42~60のいずれか1項に記載のステント。
【0101】
条項62。フレームワークは超弾性ニチノールから構築される、条項42~61のいずれか1項に記載のステント。
【国際調査報告】