(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】かみ合わせ可能な壁補強パネル、壁補強アセンブリ、及び壁補強のための方法
(51)【国際特許分類】
E04C 2/30 20060101AFI20240426BHJP
E04B 2/74 20060101ALI20240426BHJP
E04C 2/12 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
E04C2/30 J
E04B2/74 541P
E04C2/12 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023572116
(86)(22)【出願日】2022-05-19
(85)【翻訳文提出日】2024-01-19
(86)【国際出願番号】 NL2022050274
(87)【国際公開番号】W WO2022245213
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523438463
【氏名又は名称】ベー.デ ランゲ ホールディング べスローテン フェンノートシャップ
(71)【出願人】
【識別番号】523438474
【氏名又は名称】イェー.ファン クリンケン ホールディング べスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】アルベルテュス ヨハンネス デ ランゲ
【テーマコード(参考)】
2E162
【Fターム(参考)】
2E162CC02
(57)【要約】
本発明は、かみ合わせ可能な壁パネルに関し、これは、第1及び第2の方向によって規定される平面内に延在する壁パネル表面を有し、かつ側方端部を有し、そのうちの少なくとも1つが: - 面内でかつ側方端部から内向きに延在しており面内での動きを防止するように構成されたオスメス型かつかみ合わせ型接続でさらなるかみ合わせ可能な壁パネルの関連する突起部を受容するように構成されているへこみ部;及び/又は - 面内でかつ側方端部から外向きに延在しており面内での動きを防止するように構成されたオスメス型かつかみ合わせ型接続で第2の又はさらなるかみ合わせ可能な壁パネルの関連するへこみ部に挿入されるように構成されている突起部;を有し、突起部及び/又はへこみ部が、第3の方向でさらなるかみ合わせ可能な壁パネルに接続可能なように構成されている。本発明は、さらに、壁パネルアセンブリ、補強された壁、損傷された壁を補強する方法、及び木材枠構造体にも関する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁を補強するためのかみ合わせ可能な壁パネルであって、このパネルは、第1及び第2の方向によって規定される平面内で延在する壁パネル表面を有し、前記壁パネル表面は、複数の側方端部を有し、
これら複数の側方端部のうちの少なくとも1つが:
- 前記平面内で前記側方端部から内向きに延在する1若しくは複数のへこみ部であって、第2の若しくはさらなるかみ合わせ可能な壁パネルの関連する突起部を、面内での動きを実質的に防止するように構成されたオスメス型かつかみ合わせ型の接続で受容するように構成されている、1若しくは複数のへこみ部
及び/又は
- 前記平面内で前記側方端部から外向きに延在する1若しくは複数の突起部であって、前記第2の又はさらなるかみ合わせ可能な壁パネルの関連するへこみ部に、面内での動きを実質的に防止するように構成されたオスメス型かつかみ合わせ型の接続で挿入されるように構成されている、1若しくは複数の突起部;
を有し、
前記1又は複数の突起部及び/又はへこみ部は、第3の方向において、第2の又はさらなるかみ合わせ可能な壁パネルに接続可能なように構成されている、
かみ合わせ可能な壁パネル。
【請求項2】
前記かみ合わせ可能な壁パネルが、好ましくは、前記第2の又はさらなるかみ合わせ可能な壁パネルに前記第3の方向においてのみ接続可能である、請求項1に記載のかみ合わせ可能な壁パネル。
【請求項3】
前記かみ合わせ可能な壁パネルが、単一の層を有し、又は、前記かみ合わせ可能な壁パネルが、複数の層を有する、請求項1又は2に記載のかみ合わせ可能な壁パネル。
【請求項4】
前記かみ合わせ可能な壁パネルが、木から製造されており、前記木は、配向性ストランドボード(OSB)、直交集成木材(CLT)、又は接着集成木材(GLT)を含み、好ましくは複合材を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のかみ合わせ可能な壁パネル。
【請求項5】
前記第3の方向で計測されたときに、前記かみ合わせ可能な壁パネルの厚みが、6~30mmの範囲、好ましくは8~24mmの範囲、より好ましくは12~18mmの範囲である、請求項1~4のいずれか一項に記載のかみ合わせ可能な壁パネル。
【請求項6】
前記接続が、スライド可能接続である、請求項1~5のいずれか一項に記載のかみ合わせ可能な壁パネル。
【請求項7】
少なくとも1つの側方端部が、前記側方端部に沿って交互に配置された複数のへこみ部及び突起部を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のかみ合わせ可能な壁パネル。
【請求項8】
前記かみ合わせ可能な壁パネルの少なくとも2つの側方端部、好ましくは反対側に位置する端部が、1又は複数のへこみ部及び/又は1又は複数の突起部を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のかみ合わせ可能な壁パネル。
【請求項9】
前記かみ合わせ可能な壁パネルが、実質的に矩形の形状、又は実質的に正方形の形状を有し、好ましくは、前記かみ合わせ可能な壁パネルのそれぞれの側方端部が、前記側方端部に沿って交互に配置された複数の突起部及び複数のへこみ部を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のかみ合わせ可能な壁パネル。
【請求項10】
前記1又は複数の突起部が、T形状の外形を有し、好ましくは、前記T形状の突起部の底部が、前記かみ合わせ可能な壁パネルの前記側方端部に接続されており、そこから延在しており;
かつ/又は、
前記1又は複数のへこみ部が、T形状の外形を有し、好ましくは、前記T形状の突起部の底部が、前記かみ合わせ可能な壁パネルの前記側方端部に位置しており、かつ前記T形状が、前記パネル内に内向きに延在している。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の複数のかみ合わせ可能な壁パネルを有する、壁パネルアセンブリ。
【請求項12】
前記複数のかみ合わせ可能な壁パネルが、補強される壁の単一の側に対して配置されるように構成されている、請求項11に記載の壁パネルアセンブリ。
【請求項13】
請求項11に記載の壁パネルアセンブリであって、前記壁パネルアセンブリが:
- 補強される壁の第1の側壁と接続されるように構成されている、かみ合わせ可能な壁パネルの第1のサブセット、及び
- 補強される壁の、前記第1の側壁とは反対側の第2の側壁と接続されるように構成されている、かみ合わせ可能な壁パネルの第2のサブセット;
を有しており、それにより、前記第1及び第2のサブセットが、前記補強される壁を取り囲み、それによってサンドイッチ構造が形成されるようになっている、壁パネルアセンブリ。
【請求項14】
前記アセンブリの使用の際に、互いに接続されたかみ合わせ可能な壁パネルが、前記第1及び/又は第2の方向において、互いに対して実質的に不動である、請求項11~13のいずれか一項に記載のかみ合わせ可能な壁パネル。
【請求項15】
建物安定化アセンブリであって、このアセンブリは、請求項1~10のいずれか一項に記載の、かみ合わせ可能な壁パネルの複数のサブセットを有し、これら複数のサブセットは:
- 少なくとも1つの、かみ合わせ可能な壁パネルの壁サブセットであって、前記少なくとも1つのサブセットが、それぞれ、補強される建物の側壁に関連付けられかつ接続されるように構成されている、壁サブセット;
- 補強される建物の床に接続されるように構成されている床サブセットであって、前記床サブセットの前記かみ合わせ可能な壁パネルは、前記少なくとも1つの壁サブセットの1若しくは複数のかみ合わせ可能な壁パネルとのオスメス型かつかみ合わせ型の接続を提供するような形状を有する1若しくは複数のへこみ部及び/若しくは突起部を有する側方端部を有する、床サブセット;並びに/又は
- 補強される建物の天井に接続されるように構成されている天井サブセットであって、前記天井サブセットの前記かみ合わせ可能な壁パネルは、前記少なくとも1つの壁サブセットの1若しくは複数のかみ合わせ可能な壁パネルとのオスメス型かつかみ合わせ型の接続を提供するような形状を有する1若しくは複数のへこみ部及び/若しくは突起部を有する側方端部を有する、天井サブセット
を含む、アセンブリ。
【請求項16】
建物の補強された壁であって:
- 2つの実質的に平面状の側方表面、及びこれら平面状の側方表面の間で計測される厚みを有する、建物の壁、好ましくは損傷した壁;並びに、
- 前記壁の平面状の側方表面に接続されており、かつ互いにかみ合わされている、複数の、請求項1~9のいずれか一項に記載のかみ合わせ可能な壁パネル
を有しており、
前記複数のかみ合わせ可能な壁パネルが、それぞれ、前記複数のかみ合わせ可能な壁パネルのうちの少なくとも1つの隣接するかみ合わせ可能な壁パネルとかみ合わされている、
補強された壁。
【請求項17】
請求項16に記載の補強された壁であって、前記複数のかみ合わせ可能な壁パネルが、
- 前記壁の第1の平面状の側方表面に接続されている、第1のセットのかみ合わせ可能な壁パネル、及び、
- 前記壁の、前記第1の平面状の側方表面とは反対側の第2の平面状の側方表面に接続されている、第2のセットのかみ合わせ可能なパネル
を有する、補強された壁。
【請求項18】
損傷した壁を補強する方法であって、この方法が、
- 複数の請求項1~10のいずれか一項に記載のかみ合わせ可能な壁パネル、又は、請求項11~15のいずれか一項に記載の壁パネルアセンブリを、提供すること;
- 前記複数のかみ合わせ可能な壁パネルを、補強される前記壁に接続し、かつ互いに接続すること;
を含む、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の損傷した壁を補強する方法であって、前記複数のかみ合わせ可能な壁パネルを補強される前記壁に接続しかつ互いに接続する前記工程が、
- 前記複数のかみ合わせ可能な壁パネルを、補強される前記壁に対して配置すること;
- 配置の間に、隣接するかみ合わせ可能な壁パネルを互いにかみ合わせること、及び、
- 前記複数のかみ合わせ可能なパネルを、前記壁に、接続手段を用いて固定すること、
を含む、方法。
【請求項20】
損傷した壁を補強するための補強建設キットであって、前記建設キットが:
- 複数の請求項1~10のいずれか一項に記載の壁パネル、又は、請求項11~15のいずれか一項に記載のアセンブリ;
- 前記かみ合わせ可能な壁パネルを壁に固定することに適している接続手段;
を含む、建設キット。
【請求項21】
建物のための木材枠構造体であって、
- 木材枠;
- 前記木材枠に接続されている、複数の、請求項1~10のいずれか一項に記載のかみ合わせ可能な壁パネル、又は、請求項11~15のいずれか一項に記載のアセンブリ;
- 随意に、前記かみ合わせ可能な壁パネルに、前記木材枠に接続されている側とは反対側の側で接続されている、石こうボード
を有する、木材枠構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、かみ合わせ可能な壁補強パネル、壁補強アセンブリ、及び壁補強のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
実際上知られていることとして、損傷した壁を有する建物、例えば地震事象に起因する損傷を有する建物は、補強される必要があり、又は代替的には、取り壊される必要があり、それによって、その居住者又は利用者の安全性を確保する。
【0003】
損傷した壁は、特に地震事象によって引き起こされた場合に、1つの又は2以上の異なるタイプの損傷を示しうる。第1のタイプの損傷は、壁の面内損傷であり、これは、壁の部分が他の部分に対して変位するときに起こる。これは、多くの場合、亀裂又は割れ目として可視でき、レンガ壁、コンクリート壁、及びいくつかの場合には、木構造、例えば木材枠構造物においてさえも起こりうる。
【0004】
第2のタイプの損傷は、面外損傷であり、この損傷においては、壁構造の一部が、壁の側方表面に対して横断方向に変位する。これは、最も多くの場合、レンガ壁又はコンクリート壁で起こる。いくつかの場合には、両方のタイプの損傷が、1つの壁で同時に起こりうることに留意すべきである。
【0005】
実際上、損傷した壁の補強は、結局のところ、壁構造を、面内で、面外で、又は両方で、(剛性の)木材枠構造物を、壁の側方、多くの場合には建物内側、に対して適用することによって安定化することになる。この木材枠は、支持のための木製ボード及びプラスター壁ボードで後で覆われ、それによって、直線的な内壁が提供される。
【0006】
そのような壁補強のための木材枠構造体は、いくつかの不利な点を有する。まず第一に、木材枠構造体は、木材枠を構成するポストに起因する比較的高い厚みを有する。その結果として、建物の内部空間が、木材枠を配置した後に、減少する。さらに、窓及び/又はドアポスト、(プラグ)ソケット並びにガスパイプを新たな状況に適合させるために、多くの変更が必要であり、これは、コストを大幅に増加させる。
【0007】
第二に、壁の安定化構造内での力の移動は、壁ボードから木材枠ポストへの、そして隣の近接する壁ボードへの移動によって生じる。これは、異なる構成要素の間の接続手段における大きな力を生じ、これらの力に耐えるための高価な接続手段が必要になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の不利な点を無くし又は少なくとも減少させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のために、本発明は、壁を補強するためのかみ合わせ可能な壁パネル(インターロック可能な壁パネル)を提供し、パネルが、第1及び第2の方向によって規定される平面内で延在する壁パネル表面を有し、壁表面は、複数の側方端部を有し、ここで、複数の側方端部のうちの少なくとも1つが:
- 平面内で側方端部から内向き延在する1又は複数のへこみ部、ここで、1又は複数のへこみ部は、第2の又はさらなるかみ合わせ可能な壁パネルの関連する突起部を、面内での動きを実質的に防止するように構成されるオスメス型かつかみ合わせ型の接続様式で、受容するように構成されている、及び/又は、
- 平面内でかつ側方端部から外向きに延在する1又は複数の突起部、ここで、1又は複数の突起部は、第2の又はさらなるかみ合わせ可能な壁パネルの関連するへこみ部に、面内での動きを実質的に防止するように構成されるオスメス型かつかみ合わせ型接続の様式で、挿入されるように構成されている、
を有し、
1又は複数の突起部及び/又はへこみ部は、第2の又はさらなるかみ合わせ可能な壁パネルに、第3の方向で接続可能なように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1a】
図1aは、本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルの例を示す。
【
図1b】
図1bは、本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルの例を示す。
【
図2a】
図2aは、本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルの突起部及び/又はへこみ部の例の詳細な外見を示す。
【
図2b】
図2bは、本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルの突起部及び/又はへこみ部の例の詳細な外見を示す。
【
図3a】
図3aは、本発明に係る壁パネルアセンブリの例を示す。
【
図3b】
図3bは、本発明に係る壁パネルアセンブリの例を示す。
【
図3c】
図3cは、本発明に係る壁パネルアセンブリの例を示す。
【
図4】
図4は、本発明に係る壁アセンブリを用いて補強された壁の概略的な断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
なお、第3の方向は、平面並びに/又は第1及び第2の方向に対して実質的に垂直である。
【0012】
なお、本願において、壁補強のためのかみ合わせ可能な壁パネルという用語は、他の同様の用語、例えば、かみ合わせ可能な壁補強パネル、かみ合わせ可能な壁パネル、壁パネル、及びかみ合わせ可能なパネル、と互いに交換可能に用いられ、別段の指示がない限り、一般に、同一の客体を示している。
【0013】
また、留意すべき点として、用語「補強」及び「補強性」は、用語「安定」「安定性」と互いに交換可能に用いられる。本願において、これらの用語は、壁の構造的一体性における変化に関係するものとして考えることができる。
【0014】
また、留意すべき点として、用語「へこみ部」は、本願において「くぼみ部」という用語と互いに交換可能に用いられ、これらの用語は、本願の目的のために同様の意味を有するものとして考慮される。
【0015】
同様に、壁パネルアセンブリという用語は、かみ合わせ可能な壁パネルアセンブリ、かみ合わせ可能な壁補強パネルアセンブリ、壁アセンブリ、及びパネルアセンブリという用語と互いに交換可能に用いることができ、別段の指示がない限り、一般に、同一の客体を示す。
【0016】
本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルの利点は、第3の方向(すなわち壁に対して垂直)で見たときに、比較的低い厚みを有する点であり、したがって、壁パネルに適用された後で、壁厚みにおける比較的小さい増加をもたらす。結果として、(わずかだけ)増加した壁厚みに対して窓及び/又はドアポスト及び/又は(プラグ)ソケット接続を適合させるためのコストが、従来の解決策に対して、大幅に減少する。
【0017】
本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルの別の利点は、壁パネルを第3の方向で接続可能であるという事実に起因して、壁パネルが(特に、第2のかつ/又は更なる壁パネルと接続される場合に)、面内(壁に対して平行)及び面外(壁に対して垂直)の両方で優れた安定性を提供することである。結果として、従来の解決策と比較して、向上した安定性(又は補強)が、達成される。
【0018】
本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルの別の利点は、本発明に係るかみ合わせ可能な壁補強パネルは第3の方向において第2又はさらなる壁パネルと接続可能であるという事実に起因して、接続の間に、接続部が、引張、応力又は変形を受けないということである。理論上は、面内で確立された接続を提供することが可能であるものの、これは、材料中で少なくともいくらかの応力及び/又は変形を引き起こし、そのようにして壁パネルの効果が低減されるであろう。壁パネルを第2又はさらなる壁パネルと第3の方向で接続する場合には、変形が起こらないので、向上した安全性を有する接続が達成される。
【0019】
本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルのさらに別の利点は、かみ合わせ可能な壁補強パネルは第3の方向で接続可能であるという事実に起因して、壁パネルと第2又はさらなる壁パネルとの間での突起部及び/又はへこみ部のシームレスな適合を提供するということである。
【0020】
本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルの別の利点は、壁パネルは、補強される壁に容易に接続されるということである。
【0021】
本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルのさらに別の利点は、本発明に係る壁パネルは、比較的低コストで製造可能であり、例えば、中央的な製造工場で製造可能であるという点である。
【0022】
本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルのよりさらなる利点は、壁パネルは標準化された形態で提供できるが、特別な状況のためにカスタマイズされた寸法で提供することもできるという点である。結果として、かみ合わせ可能な壁パネルは、損傷された壁の補強のための柔軟な装置を提供し、ほとんどの建物に適用できる。
【0023】
本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルのさらに別の利点は、壁パネルを、代替的に、天井及び/又は床を補強するために適用することもできるという点である。この目的のために、かみ合わせ可能な壁補強パネルを、他のかみ合わせ可能な壁補強パネルと組み合わせてよく、それによって、1若しくは複数の壁並びに天井及び/若しくは床の両方を補強できるパネルの「ボックス」が構築される。
【0024】
本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルの実施態様では、かみ合わせ可能な壁パネルが、補強される1つの壁又は複数の壁の3Dスキャンに基づいて製造されてよい。
【0025】
かみ合わせ可能な壁パネルは、補強される1つの壁又は複数の壁の3Dスキャンに基づいて製造される場合、複数の利点をもたらす。
【0026】
第一に、かみ合わせ可能な壁パネルが、特に、壁を覆うために必要なパネルの寸法に関して、高い正確性を伴って製造される。
【0027】
別の利点は、互いに角度を有して存在している複数の壁にわたって接続されるかみ合わせ可能な壁パネルの、高度に正確な配置を可能にする点である。
【0028】
3Dスキャンに基づいて製造される壁パネルのさらに別の利点は、1つの壁パネル又は複数の壁パネルを、プレハブ技術(事前製造技術)を用いて製造できるという点である。これは、より効率的な製造を可能にするとともに、同時に、補強される壁への高品質で正確な適合を提供する。
【0029】
本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルの1つの実施態様では、壁パネルが、多数の標準化された構成要素と組み合わされてよく、これは、製造及び配送の速度を増加させ、コストを低減させる。
【0030】
本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルの1つの実施態様では、かみ合わせ可能な壁パネルが、面内では接続可能ではなく、第3の方向でのみ接続可能であり、したがって第1及び/又は第2の方向では接続可能ではない。
【0031】
本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルの1つの実施態様では、かみ合わせ可能な壁パネルが、補強される壁に、接続手段を用いて接続可能であり、この接続手段は、例えば、ねじ、ボルト-及び-ナットコネクタ、又は他の適切な接続手段を含んでよい。
【0032】
かみ合わせ可能な壁パネルの(第3の方向で見た)低い厚みに起因して、壁パネルを、補強される壁に容易に接続できる。これは、例えば、ねじ又はボルト-及び-ナット接続で提供されてよく、これは、信頼性高くかつ強度の高い接続を提供する。かみ合わせ可能な壁パネルは、使用の際に、壁に直接に隣接して位置するという事実に起因して、接続手段は、原則として、壁パネルの任意の位置に適用されてよい。これは、従来技術の解決策に対して大きな向上を提供し、従来技術の解決策は、木材枠への接続を必要とする。
【0033】
本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルの1つの実施態様では、1又は複数の突起部及び/又は1又は複数のへこみ部が、平面に対して垂直な第3の方向で計測したときに、かみ合わせ可能な壁パネルの全部の厚みにわたって延在する。
【0034】
かみ合わせ可能な壁パネルの全部の厚みの突起部及び/又はへこみ部を提供することの利点は、隣接する壁パネルに容易に接続されるという点である。別の利点は、製造が比較的容易であり、したがってよりコスト効率的であるという点である。
【0035】
本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルの1つの実施態様では、かみ合わせ可能な壁パネルが、第3の方向で第2の又はさらなるかみ合わせ可能な壁パネルにのみ接続されてよい。
【0036】
接続性を第3の方向のみで提供することの利点、すなわち第1及び第2の方向によって形成される平面に対して実質的に横切る方向でのみ提供することの利点は、接続されたかみ合わせ可能な壁パネルの面内での動きが実質的に防止されるという点である。これは、補強される壁の面内での動きに対する強い抵抗を提供する。驚くべきことに、これは、補強される壁の面外での動きに対する強い抵抗も提供する。
【0037】
本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルの1つの実施態様では、かみ合わせ可能な壁パネルが、1つの層を有してよく、又は複数の層を有してよい。
【0038】
本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルの利点は、単一の層として又は複数の層で提供されうるという点である。ほとんどの場合には、単一の層それ自体が、この壁の厚みを実質的に増やすことなく、損傷した壁に対して、十分な支持を既に提供する。
【0039】
いくつかの例示的な場合では、さらに比較的強力な補強が、損傷した壁を補強するために適用される必要がある。この場合には、増加した厚みを有するかみ合わせ可能な壁パネル、又は、複数の層、多くの場合には2つの層、のかみ合わせ可能な壁パネルが、適用される。これは、異なる層の壁パネルがかみ合わせ可能な壁パネルの異なるサイズを伴って提供され、結果としてかみ合わされた突起部及び/又はへこみ部が配置の後で壁において異なる位置に位置する場合に、特に利益を有する。
【0040】
本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルの1つの実施態様では、かみ合わせ可能な壁パネルが、木、金属、プラスチック、又はこれらの1つ又は複数の組み合わせから製造されてよく、好ましくは、木から製造されてよく、木としては、好ましくは、複合材、配向性ストランドボード(OSB)、直交集成木材(CLT)、又は接着集成木材(GLT)が挙げられる。
【0041】
上記の材料、特に木、を提供することの利点は、これらは、中央的な場所、例えば製造工場において、要求される仕様へと容易に製造できるという点である。
【0042】
さらに、パネルは、特には木で製造される場合、仕様に関して高い精度で製造できる。これは、補強される壁の3Dスキャンに基づいてパネルを製造する場合に、特にそうである。
【0043】
本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルの1つの実施態様では、かみ合わせ可能な壁パネルの厚みが、第3の方向で計測されたときに、6~30mmの範囲、好ましくは8~24mmの範囲、より好ましくは12~18mmの範囲であってよい。
【0044】
任意の箇所で6~30mmの範囲である厚みを有する、パネル、特に木パネルは、壁を補強するために有用であることが見いだされた。さらに、12~18mmの範囲の厚みを有する壁パネルは、特には木又はプラスチックでできている場合に、壁に関して要求される補強強度と、全体的な壁厚みにおける増加に起因する建物の内部空間の減少との間の優れたトレードオフ(妥協点)を提供することが見いだされた。
【0045】
さらに、木の場合には、建物目的のための木パネルは、多くの場合、標準的な厚みで製造されることに留意すべきであり、これは、例えば、12mm及び18mmを含む。
【0046】
本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルの1つの実施態様では、接続が、スライド可能な接続(滑動可能な接続)であってよい。
【0047】
この実施態様では、壁パネルの突起部又はへこみ部が、第2の又は更なる壁パネルの関連するへこみ部又は突起部へと、スライド可能に(滑動可能に)挿入されるように構成されてよい。壁パネル(の突起部/へこみ部)を一緒にスライドさせる(滑動させる)ことの利点は、これが、突起部の、第2の又はさらなる壁パネルのへこみ部における(又はその逆の)ぴったりとした適合を提供し、同時に、突起部及び/又はへこみ部が比較的容易に製造されるという点である。
【0048】
本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルの1つの実施態様では、少なくとも1つの側方端部が、側方端部に沿って交互に配置された複数のへこみ部及び突起部を備えてよい。
【0049】
交互に配置された複数の突起部及び複数のへこみ部を有する側方端部(又は複数の側方端部)を提供することの利点は、補強される壁に対して高い面内強度及び面外強度を提供する、(半)連続的な一連の突起部及びへこみ部が形成されるという点である。
【0050】
別の利点は、突起部及びへこみ部の交互のパターンに起因して、壁パネルを、互いに対して正確な位置に、それらを互いに接続する前に、容易に配置できるという点である。
【0051】
本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルの1つの実施態様では、かみ合わせ可能な壁パネルの、少なくとも2つの側方端部、好ましくは反対側に位置する一対の側方端部に、1又は複数のへこみ部及び/又は1又は複数の突起部を提供してよい。
【0052】
1又は複数の突起部及び/又はへこみ部を有するかみ合わせ可能な壁パネルの複数の端部を提供することの利点は、壁パネルを、複数の隣接する壁パネルに接続できるという点であり、これは、実質的に壁全体を覆うことができる、完全にかみ合わされた一連の壁パネルを提供する。これは、壁の安定性を増加させ、かつ補強を向上させる。
【0053】
本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルの1つの実施態様では、かみ合わせ可能な壁パネルが、実質的に矩形形状であってよく、又は、実質的に正方形形状であってよい。好ましくは、かみ合わせ可能な壁パネルのそれぞれの側方端部に、側方端部に沿って交互に配置された複数の突起部及び複数のへこみ部を提供してよい。
【0054】
本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルは、実質的に任意の形状で提供されてよいが、好ましくは、矩形形状又は正方形形状として提供される。
【0055】
これらの形状の利点は、それらが、多くの場合、補強される壁の形状に適合するという点である。さらに、このような上記の形状を有するかみ合わせ可能な壁パネルは、同様の形状に起因して、第2の又はさらなる壁パネルのオスメス型接続を伴って、容易に接続できる。
【0056】
他の利点は、矩形又は正方形のかみ合わせ可能な壁パネルは、製造場所から使用の場所へと容易に輸送されるという点である。
【0057】
本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルの1つの実施態様では、1又は複数の突起部が、T形状の外形を有してよく、好ましくは、T形状の突起部の底部が、かみ合わせ可能な壁パネルの側方端部に接続され、かつそこから延在する。
【0058】
上記の形状の利点は、(本発明に係る)第2の又はさらなる壁パネルの対応する(しかしながら反対の形状を有する)へこみ部とのシームレスな適合を可能にするという点である。このシームレスな適合の結果として、面内での動き、すなわち第1及び/又は第2の方向での動きが、実質的に防止され、かつ向上した壁安定性が達成される。驚くべきことに、この形状は、また、補強される壁に対して面外の安定性の増加も提供し、壁の(さらなる)面外損傷に対する抵抗性を増加させることが見いだされた。
【0059】
T形状は、他の形状、限定する意図はないが例えば、矩形、(二等辺)台形及び正方形形状、に対して複数の利点を提供する。
【0060】
まず第一に、地震によって誘起される応力を含む応力下での(補強された)壁への破壊荷重が、T形状を用いた場合には、より容易に算出できることが見いだされた。
【0061】
第二に、T形状は、特に正方形及び矩形の形状と比較して、接続の脱連結に対する向上した抵抗性を有することが見いだされた。この主な理由としては、そのような接続、特に正方形及び矩形の接続は、例えば地震によって誘起される力に供されたときに、接続が、十分な保持力を提供しないことが挙げられる。これは、特に、滑る力に関して当てはまる。
【0062】
さらには、T形状は、他のタイプの形状と比較して、地震によって誘起される損傷に対して特に抵抗性が高いことが見いだされた。これは、主に、T形状が複数の不具合に抵抗する機構を提供するという事実に起因する。
【0063】
本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルの1つの実施態様では、へこみ部が、T形状の外形を有し、好ましくは、T形状が、かみ合わせ可能な壁パネルの側方端部から内向きに延在しており、かつ/又は、T形状の底部が、かみ合わせ可能な壁パネルの側方端部に位置する。
【0064】
上記の形状の利点は、(本発明に係る)第2の又はさらなる壁パネルの対応する(しかしながら反対の形状を有する)突起部とのシームレスな適合を可能にするという点である。このシームレスな適合の結果として、面内での動き、すなわち、第1及び/又は第2の方向での動きが、実質的に防止され、向上した壁安定性が達成される。驚くべきことに、この形状は、また、補強される壁に対して面外の安定性の増加も提供し、壁への(さらなる)面外損傷に対する抵抗性を増加させることが見いだされた。
【0065】
さらに、T形状突起部に関する上記の利点は、この特定の実施態様に係るT形状のへこみ部に関しても同様に適用可能である。
【0066】
本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルの1つの実施態様では、へこみ部が、台形形状の外形を有してよく、好ましくは、台形形状の小さい底部が、かみ合わせ可能な壁パネルの側方端部に位置し、大きい底部が、側方端部から内部に位置し、より好ましくは、台形形状が、二等辺台形の形状である。
【0067】
上記の形状の利点は、(本発明に係る)第2の又はさらなる壁パネルの対応する(しかしながら反対の形状を有する)突起部とのシームレスな適合を可能にするという点である。このシームレスな適合の結果として、面内での動き、すなわち第1及び/又は第2の方向での動きが、実質的に防止され、向上した壁安定性が達成される。驚くべきことに、この形状は、また、補強される壁に対して面外の安定性の増加も提供し、壁の(さらなる)面外損傷に対する抵抗性を増加させることが見いだされた。
【0068】
本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルの1つの実施態様では、突起部が、台形形状の外形を有してよく、好ましくは、台形形状の小さい底部が、かみ合わせ可能な壁パネルの側方端部に位置し、かつ突起部が側方端部から外向きに突出し、そのようにして、幅広い底部が、側方端部から距離をもって位置するようになっており、より好ましくは、台形形状が、二等辺台形の形状である。
【0069】
上記の形状の利点は、(本発明に係る)第2の又はさらなる壁パネルの対応する(しかしながら反対の形状を有する)へこみ部とのシームレスな適合を可能にするという点である。このシームレスな適合の結果として、面内での動き、すなわち第1及び/又は第2の方向での動きが、実質的に防止され、向上した壁安定性が達成される。驚くべきことに、この形状は、また、補強される壁に対して面外の安定性の増加も提供し、壁の(さらなる)面外損傷に対する抵抗性を増加させることが見いだされた。
【0070】
本発明は、また、複数の本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルを有する壁パネルアセンブリに関する。
【0071】
本発明に係る壁パネルアセンブリは、本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルと同様の効果および利点を提供する。本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルに関して上記で開示された実施態様は、本発明に係る壁パネルアセンブリと自由にかつ別個にそれぞれ組み合わされてよい。
【0072】
本発明に係る壁パネルアセンブリの1つの実施態様では、壁パネルアセンブリが、補強される壁全体を覆うように構成される。
【0073】
好ましくは、かみ合わせ可能な壁パネルアセンブリが、実質的に壁全体を覆って、最適な安定性を提供する。
【0074】
本発明に係る壁パネルアセンブリの1つの実施態様では、かみ合わせ可能な壁パネルが、補強される壁の単一の側に対して配置されるように構成されてよい。
【0075】
壁パネルアセンブリの壁パネルを補強される壁の単一の側に接続することの利点は、これが、良好な壁安定性をもたらし、一方で同時に、壁を安定化するためのコストが低減されるという点である。
【0076】
本発明に係る壁パネルアセンブリの1つの実施態様では、壁パネルアセンブリが、補強される壁の第1の側壁と接続されるように構成された、かみ合わせ可能な壁パネルの第1のサブセット(第1の部分群)、及び、補強される壁の、第1の側壁とは反対側の第2の側壁と接続されるように構成された、かみ合わせ可能な壁パネルの第2のサブセット(第2の部分群)を有し、そのようにして、第1及び第2のサブセットが、補強される壁を取り囲み、それによって、サンドイッチ構造を形成するようになっている。
【0077】
いくつかの場合では、壁の反対の両側に接続されたかみ合わせ可能な壁パネルの2つのサブセットを提供することによってサンドイッチ構造を提供することによって、壁を補強できる。これは、補強かつ/又は安定化される壁の、よりさらに向上した安定性を提供する。
【0078】
これは、この実施態様を、かみ合わせ可能な壁パネルが壁(又は複数の壁)の3Dスキャンに基づいて製造される上記の実施態様と組み合わせたときに特に有用である点に留意すべきである。両側3Dスキャンによって、両方のスキャン結果を互いにリンクさせることができ、それによって、補強される壁の良好な図が提供される。
【0079】
さらに、第1及び第2のサブセットの複数のかみ合わせ可能な壁パネルは、いくつかの場合又は少なくともいくつかの場所で、同一の群の接続具(同一のコネクタ)を用いて接続されてよい。
【0080】
さらには、これは、例えば床の梁又は複数の梁の位置の決定によって、壁及び/又は床及び/又は天井の様相のさらにより正確な詳細化を可能にする。
【0081】
本発明に係る壁パネルアセンブリの1つの実施態様では、アセンブリの使用の際に互いに接続される複数のかみ合わせ可能な壁パネルが、第1及び/又は第2の方向で互いに対して実質的に不動である。
【0082】
本発明に係る壁パネルアセンブリの利点は、第1及び第2の方向での動きを防止する剛性構造を提供する点であり、これによって、壁の(さらなる)面内損傷がなくなる。さらに、壁パネルアセンブリの剛性は、また、壁の面外の動きも防止し、それにより、壁のさらなる面外損傷を(も)なくす。
【0083】
本発明に係る壁パネルアセンブリの1つの実施態様では、アセンブリが、補強される天井又は床に接続されるように構成された、かみ合わせ可能な壁パネルの支持サブセット(支持部分群)を有し、支持サブセットの複数のかみ合わせ可能な壁パネルは、支持サブセットのかみ合わせ可能な壁パネルの平面に対して実質的に垂直に延在するかみ合わせ可能な壁パネルとオスメス型かつかみ合わせ型の接続を提供するような形状を有する1又は複数のへこみ部及び/又は突起部を有する側方端部を有し、オスメス型かつかみ合わせ型の接続は、実質的に垂直に延在する壁パネルに対して面内の動きを実質的に防止するように構成される。
【0084】
追加的に提供される支持サブセットの利点は、建物の壁及び天井及び/又は床を安定化する「ボックス状」構造を生成できるという点である。ボックス状構造の使用は、アセンブリ全体の増加した剛性に起因して、建物(壁、天井及び/又は床を含む)に、さらに比較的高い安定性を提供する。
【0085】
別の利点は、一方では壁と他方では天井及び/又は床との間で、力のシームレスな移動が達成されるという点である。
【0086】
本発明は、また、建物の補強された壁に関し、これは:
- 建物の壁、好ましくは損傷した壁であって、2つの実質的に平面状の側方表面、及びこれら平面状の側方表面の間で計測される厚みを有する壁、並びに、
- 本発明に係る複数のかみ合わせ可能な壁パネルであって、壁の平面状の側方表面に接続されており、かつ互いにかみ合わされている、壁パネル、
を有し、
複数のかみ合わせ可能な壁パネルのそれぞれが、複数のかみ合わせ可能な壁パネルのうちの少なくとも1つの隣接するかみ合わせ可能な壁パネルとかみ合わされている。
【0087】
壁の厚みは、側方表面の間で計測され、一般に、平面状の側方表面の長さ及び/又は幅よりも小さい。
【0088】
さらに留意すべき点として、補強された壁(補強壁)は、(本発明に係る複数の壁パネルの代わりに)本発明に係る壁パネルアセンブリを含んでもよい。
【0089】
本発明に係る補強された又は安定化された壁は、本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネル及び/又は壁パネルアセンブリに関して言及したすべての効果及び利点を提供する。したがって、本発明に係る補強された又は安定化された壁は、本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルに関して記載された実施態様と、一緒に又は個々に、自由に組み合わせることができる。
【0090】
本発明に係る補強された壁の利点は、複数の壁パネルがかみ合わされた様式で互いに接続されておりかつ建物の壁に接続されているという事実に起因して、壁に、向上した安定性が提供され、それにより、壁が、将来的な(地震)損傷に対する増加した抵抗性を有するという点である。
【0091】
本発明に係る補強された壁の別の利点は、壁のユニティーチェックが1.0未満であり、多くの場合0.8未満であり、さらには0.6未満でありうるという点である。ユニティーチェックは、外的な力、例えば地震、によって誘起される応力と比較した、(破壊/崩壊前の)壁における最大応力の間の比である。最大応力は、例えば10で示され、一方で、実際の応力は、計測され、許容可能な場合では、10未満であり、それによって、1.0未満の比が提供される。
【0092】
本発明に係る補強された壁の1つの実施態様では、複数のかみ合わせ可能な壁パネルが、補強される壁の平面状の側方表面の全体を実質的に覆ってよい。
【0093】
好ましくは、かみ合わせ可能な壁パネルが、実質的に壁の全体を覆って、最適な安定性を提供する。
【0094】
本発明に係る補強された壁の1つの実施態様では、複数のかみ合わせ可能な壁パネルが、壁の第1の平面状の側方表面に接続された第1のセットの複数のかみ合わせ可能な壁パネル、及び、壁の、第1の平面状の側方表面とは反対側の第2の平面状の側方表面に接続された第2のセットの複数のかみ合わせ可能なパネルを有してよい。
【0095】
好ましくは、この実施態様において、第1及び第2のセットが、両方とも、補強される壁の平面状の側方表面の実質的に全体を覆う。
【0096】
隣接する側方表面の上におけるかみ合わせ可能な壁パネルの2つのセットを、壁に提供することによって、壁のさらに比較的高い安定性が達成される。
【0097】
本発明は、また、建物安定化アセンブリにも関し、このアセンブリは、本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルの複数のサブセットを有し、この複数性は、下記を含む:
- 複数のかみ合わせ可能な壁パネルの、少なくとも1つの壁サブセット、少なくとも1つのサブセットのそれぞれは、補強される建物の側壁に関連しかつ接続されるように構成される;
- 補強される建物の床に接続されるように構成される床サブセット、床サブセットの複数のかみ合わせ可能な壁パネルは、少なくとも1つの壁サブセットの1又は複数のかみ合わせ可能な壁パネルとのオスメス型かつかみ合わせ型の接続を提供するような形状を有する1又は複数のへこみ部及び/又は突起部を有する側方端部を有する、並びに/又は、
- 補強される建物の天井に接続されるように構成されている天井サブセット、天井サブセットの複数のかみ合わせ可能な壁パネルは、少なくとも1つの壁サブセットの1又は複数のかみ合わせ可能な壁パネルとのオスメス型かつかみ合わせ型の接続を提供するような形状を有する1又は複数のへこみ部及び/又は突起部を有する側方端部を有する。
【0098】
建物安定化アセンブリの利点は、「ボックス状」構造が生成される点であり、これは、建物を、地震損傷に対して保護する。この主な理由は、水平な力、特には地震によって誘起される水平な力が、床又は天井サブセットを介して壁サブセット又は複数の壁サブセットへと移動し、かつその後に建物の土台に移動するということである。これにより、安定化アセンブリは、建物における土台への力(すなわち応力)を効果的かつ効率的に和らげることができる。
【0099】
安定化アセンブリの別の利点は、少なくとも1つの壁サブセットを床サブセット又は天井サブセットと接続させることによって、増加した剛性を提供する点である。好ましくは、複数の壁が壁サブセットで覆われ、壁サブセットが、床又は壁サブセットに接続される;これはなぜならば、壁パネルで覆われておりかつ床又は天井サブセットに接続された追加的な壁のそれぞれが、安定化効果をさらに増加させるからである。
【0100】
別の利点は、力のシームレスな移動が、一方では壁と他方では天井及び/又は床との間で達成される点である。
【0101】
他の利点は、オスメス型かつかみ合わせ型の接続が、壁パネルに関して(床又は天井の)面内の動きを実質的に防止するように構成される点であり、壁パネルは、好ましくは、床又は天井パネルに対して実質的に垂直に延在する。
【0102】
本発明は、また、損傷した壁を補強する方法にも関し、この方法は:
- 複数の本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネル、又は本発明に係る壁パネルアセンブリを提供すること、
- 複数のかみ合わせ可能な壁パネルを、補強される壁に接続し、かつ互いに接続すること、
を含む。
【0103】
本発明に係る方法は、本発明に係る、かみ合わせ可能な壁パネル、壁パネルアセンブリ、及び補強された壁(補強壁)と同様の効果及び利点を提供する。本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルに関して上記で開示された実施態様は、本発明に係る方法と、自由にかつ別個にそれぞれ組み合わせてよい。
【0104】
本発明に係る方法の1つの実施態様では、複数のかみ合わせ可能な壁パネルを、補強される壁に接続し、かつ互いに接続する工程が、下記を含む:
- 複数のかみ合わせ可能な壁パネルを、補強される壁に対して配置すること、
- 配置の間に、隣接する複数のかみ合わせ可能な壁パネルを、互いにかみ合わせること、及び、
- 複数のかみ合わせ可能な壁パネルを、壁に、接続手段を用いて固定すること。
【0105】
複数のかみ合わせ可能な壁パネルを、それらを壁に固定する前に、互いに対して位置づけし、配置し、かつかみ合わせることの利点は、かみ合わせの工程を、第3の方向で(すなわち壁に対して垂直に)行うことができる点である。
【0106】
本発明は、また、損傷した壁を補強するための補強建設キットにも関し、この建設キットは:
- 本発明に係る複数の壁パネル、又は本発明に係るアセンブリ、及び、
- かみ合わせ可能な壁パネルを壁に固定するために適している接続手段、
を含む。
【0107】
本発明に係る補強建設キットは、本発明に係る、かみ合わせ可能な壁パネル、壁パネルアセンブリ、補強壁、及び方法と同様の効果および利点を提供する。本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルに関して上記で開示された実施態様は、本発明に係る方法と、自由にかつ個々にそれぞれ組み合わせてよい。
【0108】
留意されるべき点として、本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルは、補強又は安定化することに加えて、木材枠構造体を有する新しい(損傷されていない)建物の建設においても使用できる。
【0109】
したがって、本発明は、木材枠構造体にも関し、これは:
- 木材枠、
- 木材枠に接続された本発明に係る複数のかみ合わせ可能な壁パネル、及び
- 随意に、木材枠が接続される側とは反対の側でかみ合わせ可能な壁パネルに接続された石こうボード(プラスターボード)
を有する。
【0110】
本発明に係る木材枠構造体の利点は、本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルに起因して、従来の木材枠構造体と比較して、増加した剛性を提供する点である。
【0111】
結果として、本発明に係る木材枠構造体は、構造体に作用する面内の力及び面外の力の両方に対して増加した抵抗性を有する。これは、1つには、力が、パネルを接続する接続手段を介して木材枠へと移動するだけでなく、本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルのかみ合わされかつオスメス接続された部分の間の接続を介しても移動するという事実に起因する。
【0112】
本発明に係る木材枠構造体は、本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネル及び壁パネルアセンブリと同様の効果および利点を提供する。本発明に係るかみ合わせ可能な壁パネルに関して上記で開示された実施態様は、本発明に係る木材枠構造体と、自由にかつ個々にそれぞれ組み合わせてよい。
【0113】
本発明に係る木材枠構造体の1つの実施態様では、木材枠構造体が、追加的に、下記の1又は複数を有してよい:木材枠のポストの間に配置された隔離材、かみ合わせ可能な壁パネルの側のうち木材枠に接続された側とは反対の側に配置された隔離層、又は、湿分低減層。
【0114】
本発明のさらなる利点、特徴及び詳細を、その好ましい実施態様に基づいて詳述し、その際に、添付の図面への参照を行う。
【0115】
例(
図1a、1b参照)において、かみ合わせ可能な壁パネル2、102は、木ボード(ウッドボード)であり、例えば、OSB-ボード又は複合材ボードであり、第1の方向xと第2の方向yによって規定される平面で延在している。かみ合わせ可能な壁パネル2のそれぞれの側方端部4、6、8、10、104、106、108、110に、突起部12、112及びへこみ部14、114の交互のパターンPが提供されている。なお、側方端部4、6、8、10、104、106、108、110における突起部12、112又はへこみ部14、114の存在は、自動的に、他の突起部12及びへこみ部14、114の存在を伴う。また、
図1aは、台形の突起部12、112及びへこみ部14、114を示している一方で、
図1bでは、かみ合わせ可能な壁パネル2、102に、T形状の突起部12、112及びへこみ部14、114が提供されている。
【0116】
より詳細には(
図2a、2b参照)、突起部112、212及びへこみ部114、214が、かみ合わせ可能な壁パネル102と第2の又はさらなるかみ合わせ可能な壁パネル(図示せず)との間のかみ合わせ効果を達成するために、異なる形状を有しうることが示されている。
【0117】
第1の例では、突起部112がT形状を有しており、Tの底部末端部112bが、かみ合わせ可能な壁パネル102の側方端部104に接続しており、かつ上部末端部112aが、側方端部104から突出している。突起部112の形状に起因して、へこみ部114に、自動的に逆のT形状が提供されており、このへこみ部において、底部末端部114bが、第2の方向yにおいて上向きに向いており、底部末端部114aが、側方端部104に位置している。この交互のパターンは、かみ合わせ可能な壁パネル102を、第3の方向z(図示せず))で、第2の又はさらなるかみ合わせ可能な壁パネルに接続することを可能にし、第1の方向x及び第2の方向yによって形成される平面内におけるいかなる動きも実質的に防止される。
【0118】
第2の例(
図2b参照)では、突起部212が、台形形状を有しており、この形状において、小さい底部212bが、側方端部204に位置しており、かつそれと接続している。大きい又は幅広い底部212aは、いくらかの距離で、側方端部204から外向きに位置している。へこみ部214は、突起部212と比較して鏡位置を有する。これが意味するのは、この例における小さい底部214bが、側方端部204から上方向に位置しており、一方で、幅広い又は大きい底部214aが、側方端部204によって形成されているということである。
【0119】
壁パネルアセンブリ250の例(
図3a及び3b参照)では、壁パネルアセンブリ250が、複数のかみ合わせ可能な壁パネル2、102を有し、これらが、互いにかみ合わされている。さらに示されているのは、壁パネル254であり、これは、2つの「平坦な」側方端部、及び、突起部とへこみ部の交互のパターンを有する2つの側方端部を有しており、また、壁パネル252も示されており、これは、1つの「平坦な」側方端部、及び、突起部とへこみ部の交互のパターンを有する3つの側方端部を備えている。壁パネルアセンブリ252は、(示されていない)壁に容易に接続でき、それによって壁を安定化する。
図3a及び
図3bは、それぞれ、台形形状(
図3a)及びT形状(
図3b)である突起部及びへこみ部を有する壁パネルアセンブリ250を示す。
【0120】
補強された壁Wの例(
図4及び5参照)では、壁Wが、(複数の)かみ合わせ可能な壁パネル302を用いて補強され又は安定化されており、かみ合わせ可能な壁パネル302は、この例では、壁Wの反対の両側W1、W2に位置している。かみ合わせ可能な壁パネル302は、この例では、接続手段356を用いて壁Wに接続されており、接続手段356は、例えば、ボルト及びナット接続であってよい。同様に、この例における天井Cが、かみ合わせ可能な壁パネル302´によって安定化されている。かみ合わせ可能な壁パネル302とかみ合わせ可能な壁パネル302´との間の接続は、この場合には、接続梁(接続ビーム)358を用いて増強されている。しかしながら、この接続梁358は、安定化を達成するために必要ではない。
【0121】
本発明は、いかなる意味でも、その上記の好ましい実施態様に限定されない。請求される権利は特許請求の範囲によって規定され、その範囲内において、多くの変更が想定可能である。
【国際調査報告】