(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】ペレット型ポリプロピレン樹脂の製造方法、ペレット型ポリプロピレン樹脂及びそれを含む成形品
(51)【国際特許分類】
B29B 9/06 20060101AFI20240426BHJP
C08J 3/20 20060101ALI20240426BHJP
B29B 7/30 20060101ALI20240426BHJP
B29B 7/42 20060101ALI20240426BHJP
B29B 7/48 20060101ALI20240426BHJP
B29B 11/06 20060101ALI20240426BHJP
C08L 23/10 20060101ALI20240426BHJP
B29K 23/00 20060101ALN20240426BHJP
【FI】
B29B9/06
C08J3/20 CES
B29B7/30
B29B7/42
B29B7/48
B29B11/06
C08L23/10
B29K23:00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572134
(86)(22)【出願日】2022-06-13
(85)【翻訳文提出日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 KR2022008303
(87)【国際公開番号】W WO2023096047
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0162454
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523438898
【氏名又は名称】ビージーエフエコマテリアルズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BGFecomaterials Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】142 Sangduwon-gil, Jangan-myeon, Hwaseong-si, Gyeonggi-do 18586, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ド ヨン
(72)【発明者】
【氏名】チャ,スン ファン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジョン ス
【テーマコード(参考)】
4F070
4F201
4J002
【Fターム(参考)】
4F070AA15
4F070AB09
4F070AB22
4F070AE03
4F070FA10
4F070FB07
4F070FC06
4F201AA11
4F201AB06
4F201AG14
4F201AJ08
4F201AR01
4F201AR06
4F201AR15
4F201AR20
4F201BC01
4F201BC02
4F201BC13
4F201BK02
4F201BK13
4F201BK15
4F201BK74
4F201BL08
4F201BL25
4F201BM04
4J002BB111
4J002BB121
4J002FD076
(57)【要約】
本明細書は、平均直径0.1~200μmのポリプロピレン樹脂と酸化防止剤とを混合する混合段階と、前記混合物を押出機に投入する投入段階と、前記混合物を押出する押出段階と、を含み、前記段階は一連の連続工程で行われ、前記連続工程は50℃以上に維持される、ペレット型ポリプロピレン樹脂の製造方法、ペレット型ポリプロピレン樹脂及びこれを含む成形品に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均直径0.1~200μmのポリプロピレン樹脂と酸化防止剤とを混合する混合段階と、
前記混合物を押出機に投入する投入段階と、
前記混合物を押出する押出段階と、を含み、
前記段階は一連の連続工程で行われ、
前記連続工程は50℃以上に維持される、ペレット型ポリプロピレン樹脂の製造方法。
【請求項2】
前記混合段階が150℃~200℃の温度条件で行われる、請求項1に記載のペレット型ポリプロピレン樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記投入段階が50℃~80℃の温度条件で行われる、請求項1に記載のペレット型ポリプロピレン樹脂の製造方法。
【請求項4】
前記押出段階が180℃~200℃の温度条件で行われる、請求項1に記載のペレット型ポリプロピレン樹脂の製造方法。
【請求項5】
前記ポリプロピレン樹脂の重量平均分子量が100万g/mol以上である、請求項1に記載のペレット型ポリプロピレン樹脂の製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項による方法で製造され、
ASTM D638規格に準拠して測定された引張強度が45MPa以上である、ペレット型ポリプロピレン樹脂。
【請求項7】
ASTM D790規格に準拠して測定された曲げ強度が45MPa以上である、請求項6に記載のペレット型ポリプロピレン樹脂。
【請求項8】
ASTM D256規格に準拠して測定された衝撃強度が300kg*cm/cm以上である、請求項6に記載のペレット型ポリプロピレン樹脂。
【請求項9】
0.05~15g/10minのMFR及び900kg/m
3以下の密度を有する、請求項6に記載のペレット型ポリプロピレン樹脂。
【請求項10】
キシレン可溶分XSが0.2~1.0%であり、立体規則度が95%以上であり、結晶化度が60%以上である、請求項6に記載のペレット型ポリプロピレン樹脂。
【請求項11】
Tmが170℃以上である、請求項6に記載のペレット型ポリプロピレン樹脂。
【請求項12】
請求項6によるペレット型ポリプロピレン樹脂を含む成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、超高分子量ペレット型ポリプロピレン樹脂の製造方法、ペレット型ポリプロピレン樹脂及びそれを含む成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に押出及び射出用ポリプロピレン樹脂とは、大きさ2~3mm程度の均質性素材をいい、原素材が持っている物性の限界を克服し、多機能及び高性能の相乗効果を得るために、互いに異なる素材を物理的/化学的方法で混成化した素材である。
【0003】
このような均質性ペレットは、溶融樹脂の品質に大きい影響を及ぼしながら押出機内の一定の温度と圧力の下でペレットが完全に溶け、スクリュー力によってノズルから吐出される。
【0004】
しかし、平均直径0.1~200μmのポリプロピレン樹脂の粒子は小さく、ペレットの形状を有しないため、シリンダー内で、溶融温度以上で溶融物は粘性流れ状態に入らずにゴムのような状態に維持され、シリンダー内に樹脂のブロック形態を示してノズルを介した流れ速度が低下してシリンダー内の圧力が上がり、樹脂が受ける熱的ストレスが加わって高分子連結環が割れてしまい、樹脂の物性を失うことになる。
【0005】
このような分子量の高いポリプロピレン樹脂の加工過程に現れる物性低下、生産性及び作業性は、非常に重要な項目であり、特に、押出及び射出など、量産のための作業工程の解決に困難さが多い。
【0006】
このような分子量の高いポリプロピレン樹脂は、物理的機械強度が高いため樹脂本来の特性をよく生かして加工すると、優れた物性によりポリプロピレンが持つ低比重、低価格という利点と共に、安全性及び機能性が全て要求される電気電子、建築及び輸送機分野への使用が可能である。特に、従来の技術では、常温及び低温での優れた衝撃強度と高い耐熱性、高剛性を要求し、優れた衝撃強度を満たすために高い含有量のゴム相が添加されなければならず、高剛性を確保するために一定含有量以上の充填剤を添加して使用してきた。また、単独重合されたホモポリプロピレンは、衝撃強度が低いため重合時にアルファオレフィン、例えば、エチレンと共に共重合することにより衝撃強度を補完する技術が用いられている。
【0007】
しかし、ポリプロピレン樹脂の物性を補完するために添加剤を混合することは、混練性を低下させることができ、価格上昇及び物性均衡面においても大きい欠点があるため、現在まで満足すべき衝撃強度の向上を示すポリプロピレン樹脂の製造及び開発が難しいのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国特許第10-1131634号公報
【特許文献2】韓国特許第10-1131361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一実施形態は、ペレット型ポリプロピレン樹脂の製造方法、ペレット型ポリプロピレン樹脂及びそれを含む成形品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態は、平均直径0.1~200μmのポリプロピレン樹脂と酸化防止剤とを混合する混合段階と、
前記混合物を押出機に投入する投入段階と、
前記混合物を押出する押出段階と、を含み、
前記段階は一連の連続工程で行われ、
前記連続工程は50℃以上に維持される、ペレット型ポリプロピレン樹脂の製造方法を提供する。
【0011】
また、上述した製造方法で製造され、ASTM D638規格に準拠して測定された引張強度が45MPa以上である、ペレット型ポリプロピレン樹脂を提供する。
【0012】
また、本発明の一実施形態は、上述したペレット型ポリプロピレン樹脂を含む成形品を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一実施形態によるペレット型ポリプロピレン樹脂の製造方法は、従来の工程性の低いポリプロピレンの工程性を改善した効果を有する。
【0014】
本発明の一実施形態によるペレット型ポリプロピレン樹脂の製造方法によれば、物性に優れたペレット型ポリプロピレン樹脂を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のペレット型ポリプロピレン樹脂の製造方法に用いられる装備及び工程模式図である。
【
図2】従来のペレット型プロピレン樹脂の製造方法を示す模式図である。
【
図3】実施例1で使用された押出機内の温度勾配を示す。
【
図4】実施例1の超高分子量ポリプロピレン樹脂(UHMWPP)の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。
【
図5】実施例2によるポリプロピレン樹脂の色を観察したものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0017】
本発明の一実施形態は、平均直径0.1~200μmのポリプロピレン樹脂と酸化防止剤とを混合する混合段階と、
前記混合物を押出機に投入する投入段階と、
前記混合物を押出する押出段階と、を含み、
前記段階は一連の連続工程で行われ、
前記連続工程は50℃以上に維持される、ペレット型ポリプロピレン樹脂の製造方法を提供する。
【0018】
従来のポリプロピレン樹脂は、物性に優れるため、フィルム等に直接成形して使用されている。様々な複合素材として活用するために、予めペレットに成形することが必要である。
【0019】
しかし、前記ポリプロピレン樹脂は、工程性が低いため、ペレット型に製造することが難しいという問題があった。特に、ポリプロピレン樹脂の分子量が100万である、いわゆる超高分子量ポリプロピレン(WHMWPP)の場合、樹脂が互いに凝集する現象が発生するため、押出機に投入する前に粉砕する工程を別途経なければならないという工程上の問題があった。具体的には、樹脂混合後(A)、樹脂を取り出す場合、樹脂が冷却されて樹脂が固まる現象(B)が発生したとともに、ミーリング工程を行い、固まった樹脂を粉砕する工程が必要であった(
図2参照)。この場合、冷却と粉砕過程で樹脂の物性が損傷又は低下するという問題が発生した。
【0020】
本発明者らは、工程性が改善され、超高分子量ポリプロピレン樹脂をペレット化する方法にも適用が可能なペレット型ポリプロピレン樹脂の製造方法を研究して完成した。
【0021】
本発明の一実施形態において、前記段階は一連の連続工程で行われ、前記連続工程は50℃以上に維持されることを特徴とする。
【0022】
本明細書において、「一連の連続工程」とは、各段階の間に特定の工程条件を満たさない区間がないことを意味する。具体的には、各段階の間に工程温度が50℃未満に低下する区間がないことを意味する。特に、各段階の間に樹脂の冷却工程又は常温に放置される時間がないことを意味することができる。
【0023】
本発明の一実施形態において、前記連続工程は、各段階の装備に取り付けられた加温装置を作動させることで温度が調節できる。具体的には、樹脂が冷却されたり常温で凝集したりするのを防止するために、前記投入段階で使用されるコニカルスクリュー(conical screw)のrpmを調節するか、或いは加温装置が備えられたコニカルスクリューを使用することができる。又は、混合物を押出機に投入するとき、50℃~70℃の温度に維持された閉端系(closed system)状態で投入できる。すなわち、前記連続工程は、最終ペレットを得るまで各工程の温度と樹脂の流れを調節することが容易であるという利点がある。
【0024】
従来のポリプロピレン樹脂、特に分子量が100万以上の超高分子量ポリプロピレン(WHMWPP)は、ゴムのような粘性流れを示し、ブロック(Block)形態のマトリックスを形成して、樹脂の不均一をもたらしたり押出機内で互いに凝集したりして押出自体が難しい場合があった。上述した問題を解決するために、従来は、追加のコンパウンディング(compounding)工程又は再押出工程を行ったが、高分子分解が起こるなど、高分子自体の物性が低下するという問題があった。
【0025】
本発明の一実施形態において、前記段階が一連の連続工程で行われることにより、ポリプロピレンが互いに凝集することを防止することにより、追加のコンパウンディング工程などがなくてもペレットの製造が可能であるという効果がある。
【0026】
本発明の一実施形態によるペレット型ポリプロピレン樹脂の製造方法は、平均直径0.1~50μmのポリプロピレン樹脂と酸化防止剤とを混合する混合段階を含む。
【0027】
本発明の一実施形態において、前記混合段階は、150℃~200℃の温度条件で行われることができる。上記の温度を超える場合、ポリプロピレン樹脂の変色が誘発される可能性があり、上記の温度に達しない場合、樹脂の粘度が上昇して流動性が低下し、樹脂同士が互いに凝集する現象が発生する可能性がある。
【0028】
本発明の一実施形態において、前記混合段階は、撹拌する段階をさらに含むことができる。前記撹拌は、この技術の属する分野で使用される一般的な撹拌機又は混合器を用いて行われることができる。
【0029】
本発明の一実施形態において、前記混合段階は、0.1~10時間、0.1~5時間、又は0.1~0.4時間行われることができる。上記の範囲で、ポリプロピレン樹脂と酸化防止剤とが互いに十分に混合されるためのものである。上記の範囲で、分子鎖が破壊されることを防止し、溶融流動性が優秀に維持されることによりその後の押出が容易に行われ得る。
【0030】
本発明の一実施形態によるペレット型ポリプロピレン樹脂の製造方法は、前記混合物を押出機に投入する投入段階を含む。前記投入段階は、前記混合物を押出機投入口を介して押出機に供給する方法で行われることができる。この場合、サイドフィーダーを使用することができ、サイドフィーダーの回転速度は1~10RPMであり得る。
【0031】
本発明の一実施形態において、前記投入段階は、50℃~80℃の温度条件で行われることができる。上記の温度範囲に調節することにより、押出機への投入前に前記混合物が互いに凝集することを防止するという効果がある。
【0032】
本発明の一実施形態によるペレット型ポリプロピレン樹脂の製造方法は、前記混合物を押出する押出段階を含む。
【0033】
本発明の一実施形態において、前記押出段階は、180℃~200℃の温度条件で行われる。上記の範囲を超える場合、粘度が低くなりすぎてペレット型にカット又は成形が難しく、上記の範囲に達しない場合、溶融が十分に行われないという問題があるため、上記の範囲に調節することが好ましい。
【0034】
本発明の一実施形態において、前記押出段階は、20bar以上又は30bar以上であり、50bar以下又は35bar以下の圧力条件で行われることができる。このような範囲内で圧力ペレット型ポリプロピレン樹脂の形状及び物性をより容易に実現することができる。
【0035】
本発明の一実施形態において、前記ポリプロピレン樹脂の平均直径は0.1~50μmであることを特徴とする。上記の数値範囲で、ポリプロピレン樹脂が互いに凝集することを防止することができる。前記ポリプロピレン樹脂の平均直径は、光学顕微鏡で観察されたポリプロピレン樹脂粒子の平均直径を意味する。例えば、光学顕微鏡で観察されたポリプロピレン樹脂粒子の中から任意に選択された10個の樹脂粒子の平均直径を意味することができる。
【0036】
前記ポリプロピレン樹脂の直径は、前記ポリプロピレン樹脂が完全な状態の球状に近似したときの直径を意味する。前記ポリプロピレン樹脂が球状でない場合、ポリプロピレン樹脂の最長径と最短径との平均値を意味する。
【0037】
本発明の一実施形態において、前記ポリプロピレン樹脂の重量平均分子量が100万g/mol以上であり得る。具体的には、100万g/mol以上300万g/mol又は100万g/mol以上150万g/mol以下であり得る。
【0038】
本発明の一実施形態は、上述した方法で製造され、ASTM D638規格に準拠して測定された引張強度が45MPa以上である、ペレット型ポリプロピレン樹脂を提供する。
【0039】
本発明の一実施形態において、前記ペレット型ポリプロピレン樹脂のASTM D790規格に準拠して測定された曲げ強度も45MPa以上であり得る。
【0040】
本発明の一実施形態において、前記ペレット型ポリプロピレン樹脂のASTM D256規格に準拠して測定された衝撃強度が300kg*cm/cm以上であり得る。
【0041】
本発明の一実施形態において、前記ペレット型ポリプロピレン樹脂の0.05~15g/10minのMFR及び900kg/m3以下の密度を有するものであり得る。
【0042】
本発明の一実施形態において、前記ペレット型ポリプロピレン樹脂のキシレン可溶分XSが0.2~1.0%、立体規則度が95%以上、結晶化度が60%以上であり得る。前記キシレン可溶分はポリプロピレン樹脂にキシレンを入れて135℃で1時間加熱し、30分間冷却して前処理した後、OminiSec(Viscotek社製のFIPA)装備で1ml/minの流速で4時間キシレンを流してRI、DP、IPのBase lineが安定化すると、前処理したサンプル濃度、インジェクション量を記入して測定後のピーク面積比を計算して導出することができる。
【0043】
本発明の一実施形態において、前記ペレット型ポリプロピレン樹脂のTmが170℃以上であり得る。前記融点は、DSCを用いて40℃の平衡維持状態で200℃まで20℃/min昇温し、200℃状態で5分間維持した後、再び40℃に20℃/min冷却し、しかる後に、40℃で5分間維持する段階を1サイクルとするが、2サイクル繰り返して測定された結果を平均した値を用いることができる。
【0044】
本発明の一実施形態において、前記酸化防止剤は、プロピレン樹脂加工の際に変色を防止するために導入されるものであって、プロピレン樹脂の光学物性を改善するのに役立つ。
【0045】
本発明の一実施形態において、前記酸化防止剤は、前記ポリプロピレン樹脂100重量部を基準に0.1~10重量部、0.1~8重量部、又は0.1~5重量部で含まれることができる。上記の数値範囲でプロピレン樹脂の変色が十分に抑制できる。
【0046】
本発明の一実施形態は、上述したペレット型ポリプロピレン樹脂を含む成形品を提供する。
【実施例】
【0047】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
【0048】
実施例1
分子量が1,000,000以上、平均直径が50μmの超高分子量ポリプロピレン樹脂(UHMWPP)と、酸化防止剤とを混合してポリプロピレン樹脂組成物を製造した。前記ポリプロピレン樹脂組成物に組成物100重量部を基準に酸化防止剤を0.1重量部投入し、ニーダー(Kneader)を用いて混合攪拌を行った。この時、200℃の工程温度及び30rpmの攪拌速度(Blade RPM)の環境で行った。
【0049】
前記混合物を、50℃~80℃に維持される押出機投入口を介して押出機に供給し、サイドフィーダー(feeder:13.82RPM)を用いて原料を押出機に押し込み、180~200℃の温度で押出機から製造された押出物を切断することによりペレットを製造した。押出機内の押出スクリューの回転速度は20.0RPMであった。このとき、押出機内のチャンバーの温度勾配は
図3の通りである。
【0050】
前記超高分子量ポリプロピレン樹脂(UHMWPP)の走査型電子顕微鏡(SEM)写真は、
図4の通りである。
【0051】
実施例2~5
各物質の重量及び工程条件を下記表1のように変更した以外は、実施例1と同様の方法でペレットを製造した。
【0052】
比較例1
分子量が1,000,000以上、平均直径が50μmの超高分子量ポリプロピレン樹脂(UHMWPP)と、酸化防止剤とを混合してポリプロピレン樹脂組成物を製造した。前記ポリプロピレン樹脂組成物に組成物100重量部を基準に酸化防止剤を0.1重量部投入し、ニーダー(Kneader)を用いて4時間混合攪拌を行った。この時、200℃の工程温度及び30rpmの攪拌速度(Blade RPM)の環境で行った。
【0053】
前記混合物を、50℃~80℃に維持される押出機投入口を介して押出機に供給するのではなく、前記混合物を常温(25℃)に露出させ、固まった樹脂をミーリングして薄く伸ばした後、これを再び粉砕して押出機を経てペレットを製造した。
【0054】
比較例2
混合攪拌時間を2時間に変更した以外は、比較例1と同様の方法でペレットを製造した。
【0055】
<実験例1:製造ペレットの物性評価>
ペレットの分子量を測定して下記表1に示した。
【0056】
ゲルクロマトグラフィー(GEL PERMEATION CHROMATOGRAPHY)法を用い、GPC分析機器の条件は次の通りである。
展開溶媒:TCB+0.04% BHT(after drying with 0.1% CaCl2)
カラム:PLgel guard(7.5×50mm)+2*PLgel mixed-B
カラム温度:160℃
検出器:RI-detector
Standard:ポリスチレン
【0057】
【0058】
【0059】
上記の結果から、製造された混合物を、50℃~80℃に維持される押出機投入口を介して押出機に供給する場合、製造されたペレットの物性が低下しないことを確認することができた(実施例1~5)。これに対し、常温に露出して固まった混合物を粉砕した後、押出する場合、ペレットの重量平均分子量などの物性が低下することを確認することができた(比較例1及び2)。
【0060】
上記の結果から、本発明の一実施形態による製造方法によれば、従来の技術とは異なり、追加のミーリング工程がなくても分子量100万以上のポリプロピレン樹脂ペレットを製造することができる(
図7)。
【0061】
<実験例2:温度によるポリプロピレン樹脂組成物の変色実験>
混合攪拌温度を下記表2のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で実験した。攪拌温度を変更した後、3時間硬化後にも、ポリプロピレン樹脂の変色が現れるかを実験した。その実験結果を下記表3と
図5及び
図6に示した。
【0062】
【0063】
その結果、実施例1及び実施例6~9は3時間経過しても樹脂の変色が現れなかったが、実施例9は3時間経過後に変色が現れたことを確認することができた。
【国際調査報告】