IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイケムズ カンパニー リミテッドの特許一覧

特表2024-519132新規なハフニウム含有化合物、これを含有するハフニウム前駆体組成物、前記ハフニウム前駆体組成物を用いたハフニウム含有薄膜及びその製造方法
<>
  • 特表-新規なハフニウム含有化合物、これを含有するハフニウム前駆体組成物、前記ハフニウム前駆体組成物を用いたハフニウム含有薄膜及びその製造方法 図1
  • 特表-新規なハフニウム含有化合物、これを含有するハフニウム前駆体組成物、前記ハフニウム前駆体組成物を用いたハフニウム含有薄膜及びその製造方法 図2
  • 特表-新規なハフニウム含有化合物、これを含有するハフニウム前駆体組成物、前記ハフニウム前駆体組成物を用いたハフニウム含有薄膜及びその製造方法 図3
  • 特表-新規なハフニウム含有化合物、これを含有するハフニウム前駆体組成物、前記ハフニウム前駆体組成物を用いたハフニウム含有薄膜及びその製造方法 図4
  • 特表-新規なハフニウム含有化合物、これを含有するハフニウム前駆体組成物、前記ハフニウム前駆体組成物を用いたハフニウム含有薄膜及びその製造方法 図5
  • 特表-新規なハフニウム含有化合物、これを含有するハフニウム前駆体組成物、前記ハフニウム前駆体組成物を用いたハフニウム含有薄膜及びその製造方法 図6
  • 特表-新規なハフニウム含有化合物、これを含有するハフニウム前駆体組成物、前記ハフニウム前駆体組成物を用いたハフニウム含有薄膜及びその製造方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】新規なハフニウム含有化合物、これを含有するハフニウム前駆体組成物、前記ハフニウム前駆体組成物を用いたハフニウム含有薄膜及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 17/00 20060101AFI20240426BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240426BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20240426BHJP
   C07F 7/00 20060101ALN20240426BHJP
【FI】
C07F17/00
H01L21/31 C
H01L21/316 X
C07F7/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572511
(86)(22)【出願日】2022-05-11
(85)【翻訳文提出日】2023-11-21
(86)【国際出願番号】 KR2022006709
(87)【国際公開番号】W WO2022245039
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】10-2021-0065659
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523439828
【氏名又は名称】アイケムズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ICHEMS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100179648
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 咲江
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【弁理士】
【氏名又は名称】有川 智章
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100219313
【弁理士】
【氏名又は名称】米口 麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100161610
【弁理士】
【氏名又は名称】藤野 香子
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒョンチャン
(72)【発明者】
【氏名】シン ヒョンス
(72)【発明者】
【氏名】イ ドゥホン
(72)【発明者】
【氏名】グォン チョルヒ
【テーマコード(参考)】
4H049
4H050
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
4H049VN07
4H049VP01
4H049VQ05
4H049VR21
4H049VR53
4H049VU36
4H049VW01
4H049VW02
4H050AA01
4H050AA03
5F045AA04
5F045AA06
5F045AA08
5F045AA15
5F045AB31
5F045AC07
5F045AC11
5F045AD05
5F045AD06
5F045AD07
5F045AD08
5F045AD09
5F045AD10
5F058BC03
5F058BF04
5F058BF06
5F058BF07
5F058BF27
5F058BF29
5F058BF37
(57)【要約】
本発明は、様々なハフニウム含有薄膜の形成に使用できるハフニウム含有前駆体に関するもので、前記ハフニウム含有前駆体は、常温で液体であり、高い揮発性と高い熱的安定性を示すので、高品質のハフニウム含有薄膜及びその製造方法に使用できる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される、ハフニウム化合物。
【化1】
(式中、Rは、互いに独立してアミノ基、シリル基、アルコキシ基又はC2-C5のアルキル基である。また、R及びRは、互いに独立してアミノ基、シリル基、アルコキシ基又はC1-C5のアルキル基である。)
【請求項2】
前記化学式1は下記化合物のいずれか一つで表されることを特徴する、請求項1に記載のハフニウム化合物。
【化2】
【請求項3】
請求項1に記載のハフニウム化合物を含むことを特徴する、ハフニウム含有前駆体組成物。
【請求項4】
前記ハフニウム含有前駆体組成物は、0.1~99.9重量%の溶媒を含み、
前記溶媒は、不飽和炭化水素類、環系エーテル類、非環系エーテル類、エステル類、アルコール類、環系アミン類、非環系アミン類、環系スルフィド類、非環系スルフィド類、ホスフィン類、β-ジケトン類、β-ケトエステル類から選択された一つ又はそれ以上の有機化合物であることを特徴とする、請求項3に記載のハフニウム含有前駆体組成物。
【請求項5】
請求項1に記載のハフニウム化合物又は請求項3に記載のハフニウム含有前駆体組成物を用いて製造されることを特徴とする、ハフニウム含有薄膜。
【請求項6】
請求項1に記載のハフニウム化合物又は請求項3に記載のハフニウム含有前駆体組成物を用いて製造されることを特徴とする、ハフニウム含有薄膜の製造方法。
【請求項7】
前記薄膜は、前記ハフニウム化合物又は前記ハフニウム含有前駆体組成物を基板上に蒸着して製造され、
前記蒸着は、プラズマ強化化学気相成長(plasma-enhanced chemical vapor deposition)工程、熱化学気相成長(thermal chemical vapor deposition)、プラズマ強化原子層堆積(plasma-enhanced atomic layer deposition)、及び熱原子層堆積(thermal atomic layer deposition)のいずれか一つの方法で行われることを特徴とする、請求項6に記載のハフニウム含有薄膜の製造方法。
【請求項8】
前記ハフニウム含有化合物又はハフニウム含有前駆体組成物と異なる金属前駆体を基板上に蒸着するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載のハフニウム含有薄膜の製造方法。
【請求項9】
前記金属含有前駆体は、Zr、Ti、Sc、Y、La、Ac、V、Nb、Ta、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pbのいずれか一つ又はそれ以上の金属原子を含有することを特徴とする、請求項8に記載のハフニウム含有薄膜の製造方法。
【請求項10】
前記ハフニウム含有薄膜は、HfO、HfZrO、HfTiO及びHfAOのいずれか一つ又はそれ以上を含み、
前記Aは、Sc、Y、La、Ac、V、Nb、Ta、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pbのいずれか一つ又はそれ以上であることを特徴とする、請求項8に記載のハフニウム含有薄膜の製造方法。
【請求項11】
前記基板は、窒化チタン、チタン、窒化ホウ素、硫化モリブデン、モリブデン、酸化亜鉛、タングステン、銅、酸化アルミニウム、窒化タンタル、窒化ニオブ、シリコン、酸化シリコン、酸化チタン、酸化ストロンチウム、又はこれらの組み合わせであることを特徴とする、請求項7に記載のハフニウム含有薄膜の製造方法。
【請求項12】
前記基板の蒸着温度が100~800℃であることを特徴とする、請求項7に記載のハフニウム含有薄膜の製造方法。
【請求項13】
前記蒸着は、O、O、HO、NO、NO、NO、H、H、NH、アルキルアミン、ヒドラジン誘導体、SiH、Si、BH、B、アミンボラン錯体(amine-borane complex)、GeH、PHのいずれか一つ又はこれらの混合ガスを用いることを特徴とする、請求項7に記載のハフニウム含有薄膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なハフニウム化合物、前記ハフニウム化合物を含有する前駆体組成物、並びに前記前駆体組成物を用いて製造されるハフニウム含有薄膜及び前記ハフニウム含有薄膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
静電容量は、誘電体の誘電定数とキャパシタの面積に比例し、誘電体の厚さに反比例する。静電容量を増加させるために、構造的にキャパシタの面積を増加させるか或いは誘電体の厚さを減少させる方法と、材料的に高誘電率を有する素材を開発しなければならない。しかし、面積を増加させるためにシリンダー型キャパシタを使用するが、高度のエッチング技術が必要であるだけでなく、一定レベル以上の高さに設計する場合に傾き現象が起こる。また、デバイススケールが徐々に微細化されるにつれて、トンネリング効果により高い漏れ電流が生成されるという問題点が発生する。従って、構造的に静電容量を増加させるには限界があるため、材料的に高誘電率を有する誘電体に対する前駆体素材及び薄膜蒸着の開発が求められる。
【0003】
最近、ハフニウム又はジルコニウムなどの第4族金属をベースとした酸化物薄膜の開発が盛んに行われている。これは、相対的に広いバンドギャップエネルギー、Si集積度(integration)及び高い互換性により高誘電率薄膜素材として広く適用されている。ハフニウム酸化膜又はジルコニウム酸化膜は、薄膜の結晶構造に応じて高い誘電率を有しており、最近では、ハフニウム/ジルコニウム複合酸化膜(HfZrO)、ハフニウム酸化膜又はジルコニウム酸化膜にアルミニウム(Al)、イットリウム(Y)、ランタン(La)などを少量ドーピングして薄膜の構造的、電気的特性を高める方法も適用されている。
【0004】
例えば、韓国公開特許第10-2018-0132568号公報では、シクロペンタジエニル基を含むハフニウム錯体を前駆体として用いて、有機第4族化合物を含む薄膜を形成する技術が公知になっている。前記先行技術で使用するハフニウム化合物は、シクロペンタジエニル基を含むことにより蒸着効率を向上させているが、これは、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウムなどの金属原子と複合金属薄膜を形成するためのものであり、薄膜の蒸着率、均一度、平坦度、純度などを向上させるには限界があり、改善された前駆体の開発が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した従来技術に鑑みて案出された高誘電体用前駆体に関する技術であって、ハフニウムを含有した高誘電率薄膜の前駆体として使用できる新規なハフニウム化合物、及び前記ハフニウム化合物を含有するハフニウム前駆体組成物を提供することをその目的とする。
【0006】
また、本発明は、前記ハフニウム含有前駆体組成物を用いた高誘電率薄膜とその製造方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明のハフニウム化合物は、ハフニウム含有薄膜を形成するための前駆体として使用でき、下記化学式1で表されることを特徴とする。
【化1】
【0008】
式中、Rは、互いに独立してアミノ基、シリル基、アルコキシ基又はC2-C5のアルキル基である。また、R及びRは、互いに独立してアミノ基、シリル基、アルコキシ基又はC1-C5のアルキル基である。
【0009】
特に、前記化学式1は、下記化合物のいずれか一つで表される。
【化2】
【0010】
前記ハフニウム化合物は、シクロペンタジエニル基にメチル基とRを含んでいるので、シクロペンタジエニル基の立体障害効果があり、前記ハフニウム化合物の分子間又は分子内の相互作用を抑制してより高い熱的安定性に対する効果を有することができ、これにより薄膜形成工程で初期化学吸着(chemisorption)速度が増加することができ、これにより薄膜形成速度や薄膜の均一性が向上して、従来のシクロペンタジエニル基を含むハフニウム化合物に比べて高品質のハフニウム含有薄膜を形成することができる。
【0011】
また、本発明のハフニウム含有前駆体組成物は、前記ハフニウム化合物を含むことができる。
【0012】
また、本発明による薄膜は、前記ハフニウム含有化合物又はハフニウム含有前駆体組成物を用いて製造できる。
【0013】
また、本発明による薄膜の製造方法は、前記ハフニウム含有化合物又はハフニウム含有前駆体組成物を用いる方法であり得る。
【0014】
また、本発明による薄膜の製造方法は、前記ハフニウム化合物の混合物を用いて製造できる。
【0015】
また、前記ハフニウム含有薄膜及び前記薄膜の製造方法は、前記ハフニウム含有前駆体組成物又は前記ハフニウム化合物を基板上に蒸着するステップを含んでなり、このとき、前記蒸着は、プラズマ強化化学気相成長(plasma-enhanced chemical vapor deposition)工程、熱化学気相成長(thermal chemical vapor deposition)、プラズマ強化原子層堆積(plasma-enhanced atomic layer deposition)、及び熱原子層堆積(thermal atomic layer deposition)のいずれか一つの方法で行われ得る。
【0016】
また、前記薄膜の製造方法は、基板を洗浄し表面処理する第1ステップと、前記基板をチャンバー内に装着し、前記基板を加熱する第2ステップと、基板上に前記ハフニウム含有化合物又は前記ハフニウム含有前駆体組成物を用いてモノレイヤを形成する第3ステップと、反応物を供給してハフニウム含有薄膜を形成する第4ステップと、未反応物をパージする第5ステップと、を含むことができる。
【0017】
また、前記ハフニウム含有化合物又は前記ハフニウム含有前駆体組成物と異なる金属前駆体を基板上に蒸着するステップをさらに含むことができる。
【0018】
また、前記基板の加熱温度は、100~800℃であり得る。
【0019】
また、前記反応物は、O、O、HO、NO、NO、NO、H、H、NH、アルキルアミン、ヒドラジン誘導体、SiH、Si、BH、B、アミンボラン錯体(amine-borane complex)、GeH、PHのいずれか、又はこれらの混合ガスであり得る。
【発明の効果】
【0020】
本発明によるハフニウム含有前駆体組成物は、常温で液体であり、揮発性及び熱的安定性に非常に優れるため高純度ハフニウム含有薄膜の製造に非常に効果的である。
【0021】
また、高い熱的安定性により広い原子層堆積プロセス温度の範囲を実現して純度の高い結晶質のハフニウム含有薄膜を製造する効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施例1で製造された(エチルメチルシクロペンタジエニル)(トリスジメチルアミノ)ハフニウムのH-NMR分析結果である。
図2】実施例1で製造された(エチルメチルシクロペンタジエニル)(トリスジメチルアミノ)ハフニウムの蒸気圧を測定した結果である。
図3】実施例1で製造された(エチルメチルシクロペンタジエニル)(トリスジメチルアミノ)ハフニウムの熱重量分析(TGA)結果である。
図4】実施例2で製造された(エチルメチルシクロペンタジエニル)(トリスジメチルアミノ)ハフニウム薄膜、及び比較例1で製造された(シクロペンタジエニル)(トリスジメチルアミノ)ハフニウム薄膜の原子層堆積プロセス温度の範囲(ALD Window)を示すグラフである。
図5】実施例2で製造された(エチルメチルシクロペンタジエニル)(トリスジメチルアミノ)ハフニウム薄膜、及び比較例1で製造された(シクロペンタジエニル)(トリスジメチルアミノ)ハフニウム含有薄膜のX線光電子分光(XPS)イメージである。
図6】実施例2で製造された(エチルメチルシクロペンタジエニル)(トリスジメチルアミノ)ハフニウム薄膜の厚さ均一度を示す走査型電子顕微鏡(SEM)イメージである。
図7】実施例2で製造された(エチルメチルシクロペンタジエニル)(トリスジメチルアミノ)ハフニウム薄膜、及び比較例1で製造された(シクロペンタジエニル)(トリスジメチルアミノ)ハフニウム含有薄膜の走査型プローブ顕微鏡(AFM)イメージである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明をより詳細に説明する。本明細書及び請求の範囲に使用された用語や単語は、通常的又は辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に即して、本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されなければならない。
【0024】
本発明によるハフニウム含有前駆体は、下記化学式1で表されるハフニウム化合物、又はハフニウム化合物を含む前駆体組成物であって、常温で液体であり、揮発性及び熱的安定性に非常に優れるため、高純度ハフニウム含有薄膜の製造に非常に効果的である。
【0025】
また、高い熱的安定性により広い原子層堆積プロセス温度の範囲を実現して高純度の結晶質のハフニウム含有薄膜を製造する効果を達成することができる。
【化3】
【0026】
式中、Rは、互いに独立してアミノ基、シリル基、アルコキシ基又はC2-C5のアルキル基である。また、R及びRは、互いに独立してアミノ基、シリル基、アルコキシ基又はC1-C5のアルキル基である。
【0027】
前記ハフニウム含有化合物を含有する前駆体は、常温で液体であり、高い揮発性及び熱的安定性を有するため、ハフニウム含有薄膜の形成に非常に有用な前駆体として使用できる。
【0028】
本明細書において、用語「アルキル」は、直鎖もしくは分枝状の飽和炭化水素基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソブチル、ペンチル又はブチルなどを含む。また、C1-C5のアルキルは、炭素数1~5のアルキル基を意味し、C1-C5のアルキルが置換された場合、置換体の炭素数は含まれていないものである。
【0029】
ハフニウム含有薄膜を形成するための前記化学式1の具体的な例としては、下記化学構造が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【化4】
【0030】
前記ハフニウム化合物は、それ自体でハフニウム含有前駆体として使用できるが、溶媒と混合したハフニウム含有前駆体組成物の形態としても使用できる。前駆体組成物の場合、組成物全体に対して0.1~99.9重量%の溶媒を含有して組成物を形成することができる。前記溶媒は、前記ハフニウムを溶解することができるものであればいずれでも使用できるが、好ましくは、飽和又は不飽和炭化水素類、環系エーテル類、非環系エーテル類、エステル類、アルコール類、環系アミン類、非環系アミン類、環系スルフィド類、非環系スルフィド類、ホスフィン類、β-ジケトン類、β-ケトエステル類で使用できる。
【0031】
本発明によるハフニウム含有薄膜は、通常の方法で製造でき、一例として、有機金属化学気相成長法(MOCVD)、原子層堆積法(ALD)、低圧気相成長法(LPCVD)、プラズマ強化気相成長法(PECVD)又はプラズマ強化原子層堆積法(PEALD)などが挙げられる。
【0032】
また、前記ハフニウム化合物又はハフニウム含有前駆体組成物と異なる金属含有前駆体を基板上に蒸着するステップをさらに含むことにより、ハフニウムを含む複合金属含有薄膜を形成することもできる。この時、前記金属含有前駆体の少なくとも一部を一つ以上の基板上に蒸着させることにより、部分的に複合金属含有薄膜を含むハフニウム含有薄膜を形成することもできる。
【0033】
前記複合金属含有薄膜を形成するための前記金属含有前駆体としては、Zr、Ti、Sc、Y、La、Ac、V、Nb、Ta、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pbのいずれか一つ又はそれ以上の金属原子を含有する前駆体を用いることができる。
【0034】
このように形成されたハフニウム含有薄膜は、HfO、HfZrO、HfTiO、及びHfAOのいずれか一つ又はそれ以上を含み、前記Aは、Sc、Y、La、Ac、V、Nb、Ta、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pbのいずれか一つ又はそれ以上のものであり得る。
【0035】
また、前記ハフニウム含有薄膜を形成するための前記基板としては、窒化チタン、チタン、窒化ホウ素、硫化モリブデン、モリブデン、酸化亜鉛、タングステン、銅、酸化アルミニウム、窒化タンタル、窒化ニオブ、シリコン、酸化シリコン、酸化チタン、酸化ストロンチウム、又はこれらの組み合わせを用いることができる。
【0036】
このとき、基板の蒸着温度は、100~800℃であることが好ましく、反応ガスとして、O、O、HO、NO、NO、NO、H、H、NH、アルキルアミン、ヒドラジン誘導体、SiH、Si、BH、B、アミンボラン錯体、GeH、PHのいずれか一つ又はこれらの混合ガスを用いることができる。
【0037】
以下、実施例及び比較例によって本発明をさらに具体的に説明する。
【0038】
[実施例1]
炎乾燥させた2,000mlのシュレンクフラスコに窒素雰囲気下でn-ヘキサン1,000mlとテトラキス(ジメチルアミノ)ハフニウム177.4g(0.5mol)を入れて混合した。その後、混合溶液を0℃に冷却させた後、モノエチルメチルシクロペンタジエン59.5g(0.55mol)をゆっくり添加し、添加完了後、反応混合物を徐々に常温に昇温してさらに16時間撹拌した。反応終結後、減圧して溶媒を完全除去した。純度を上げるために、減圧下で蒸留(56℃/0.11Torr)して黄色液体の標題化合物137.8g(収率、65%)を得た。得られた化合物をH-NMRで分析した結果は、図1の通りであり(エチルメチルシクロペンタジエニル)(トリスジメチルアミノ)ハフニウムであることが確認された。また、前記ハフニウム化合物の蒸気圧を測定した結果は図2の通りであり、熱重量分析(TGA)の結果は図3の通りである。
【0039】
[実施例2]
原子層堆積法(Atomic layer deposition)によってシリコン基板温度300℃~370℃(実施例2-1:基板温度300℃、実施例2-2:基板温度340℃、実施例2-3:基板温度370℃)で蒸気状態(前駆体キャニスタ温度80℃)のハフニウム前駆体として実施例1の化合物を基板上に蒸着してハフニウム含有薄膜を形成した。反応ガスとしてオゾン(O)を使用し、不活性気体であるアルゴン(Ar)はパージの目的で使用した。以下、表1に具体的なハフニウム含有薄膜蒸着方法を示した。
【0040】
[比較例1]
比較化合物として[(シクロペンタジエニル)(トリスジメチルアミノ)ハフニウム]をシリコン基板上に蒸着してハフニウム含有薄膜を形成した。以下、表1に具体的な比較例1のハフニウム含有薄膜蒸着方法を示した。
【0041】
【表1】
【0042】
実施例2-1乃至2-3で蒸着されたハフニウム含有薄膜は、比較例1で蒸着されたハフニウム含有薄膜に比べて高い蒸着率を示している。
【0043】
また、図4において、比較例1の化合物を用いたハフニウム含有蒸着工程の際に、340℃付近から熱分解が起こるが、実施例2-1乃至2-3で蒸着されたハフニウム含有薄膜は、370℃以上の安定した原子層堆積プロセス温度の範囲(ALD Window)を示すことにより、実施例1の化合物は、比較例1の化合物に比べて非常に高い熱的安定性を示している。
【0044】
また、図5は、比較例1に比べて実施例2-1乃至2-3で蒸着されたハフニウム含有薄膜が炭素含有量を殆ど有しない高純度薄膜の結果を示している。
【0045】
また、図6は、実施例2-3で蒸着されたハフニウム含有薄膜は、非常に優れた厚さ均一度の結果を示している。
【0046】
また、図7は、実施例2-1乃至2-3で蒸着されたハフニウム薄膜が高密度化され、比較例1で蒸着されたハフニウム含有薄膜に比べて平坦な薄膜の形態を示している。
【0047】
本発明は、上述したように好適な実施形態を挙げて説明したが、これらの実施形態に限定されず、本発明の精神を逸脱することなく、当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって様々な変形及び変更が可能である。それらの変形例及び変更例も、本発明と添付された特許請求の範囲の範囲内に属するものと見なすべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】