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特表2024-519136エチレンのオリゴマー化反応系においてエチレンを再循環させるための方法
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  • 特表-エチレンのオリゴマー化反応系においてエチレンを再循環させるための方法 図1
  • 特表-エチレンのオリゴマー化反応系においてエチレンを再循環させるための方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】エチレンのオリゴマー化反応系においてエチレンを再循環させるための方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 2/34 20060101AFI20240426BHJP
   C07C 11/02 20060101ALI20240426BHJP
   B01J 31/22 20060101ALI20240426BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240426BHJP
【FI】
C07C2/34
C07C11/02
B01J31/22 Z
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572550
(86)(22)【出願日】2022-05-03
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 US2022027464
(87)【国際公開番号】W WO2022250886
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】17/329,287
(32)【優先日】2021-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502303175
【氏名又は名称】シェブロン フィリップス ケミカル カンパニー エルピー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クライシャー、ブルース イー.
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA06
4G169BA27A
4G169BC16A
4G169BC29A
4G169BC58A
4G169BC58B
4G169BE01A
4G169BE13A
4G169BE21A
4G169BE26A
4G169BE27A
4G169CB47
4H006AA02
4H006AB46
4H006AB84
4H006AC21
4H006BA09
4H006BA44
4H006KA06
4H006KC12
4H039CA29
4H039CL19
(57)【要約】
オリゴマー化反応ゾーンからの反応ゾーン流出物ストリームからエチレンを再循環させるための方法であって、反応ゾーン流出物ストリームは、少なくとも20質量%のオクテン(複数可)を有するオリゴマー生成物流出物を含有し、該方法は、反応ゾーン流出物ストリームを、エチレン及び5質量%未満のC4+オレフィンを含有する第1のストリームと、ブテン(複数可)及び10質量%未満のC6+オレフィンを含有する第2のストリームと、少なくとも96質量%のヘキセン(複数可)を含有する第3のストリームと、少なくとも96質量%のオクテン(複数可)を含有する第4のストリームと、に分離するステップを含む、方法。エチレンリッチな第1のストリームは、オリゴマー化反応ゾーンに再循環され、一方、1-ブテン及び他のブテンの再循環は、大幅に低減される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリゴマー化反応ゾーンからの反応ゾーン流出物ストリームからエチレンを再循環させるための方法であって、前記反応ゾーン流出物ストリームは、少なくとも20質量%のオクテン(複数可)を含むオリゴマー生成物流出物を含有し、前記方法は、
a)前記反応ゾーン流出物ストリームを、
i)エチレン及び5質量%以下のC4+オレフィンを含む第1のストリームと、
ii)ブテン(複数可)及び10質量%以下のC6+オレフィンを含む第2のストリームと、
iii)少なくとも96質量%のヘキセン(複数可)を含む第3のストリームと、
iv)少なくとも96質量%のオクテン(複数可)を含む第4のストリームと、に分離することと、
b)前記第1のストリームを前記オリゴマー化反応ゾーンに再循環させることと、を含む、前記方法。
【請求項2】
少なくとも88質量%のエチレンは、前記オリゴマー化反応ゾーンに再循環される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のストリームは、
3質量%以下のC4+オレフィンと、
1質量%以下のブテン(複数可)と、
少なくとも88質量%のエチレンと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のストリームは、少なくとも200:1のエチレン:ブテン(複数可)の質量比を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記反応ゾーン流出物ストリームを前記第1のストリームに分離することは、少なくとも2つの分離段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記反応ゾーン流出物ストリームを前記第1のストリームに分離することは、少なくとも2つの圧縮段階を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記オリゴマー化反応ゾーンは、30~90質量%の範囲のエチレン転化率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記オリゴマー化反応ゾーンは、0.5質量%以下のブテン(複数可)を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第3のストリームは、少なくとも98質量%のヘキセン(複数可)を含み、
前記第4のストリームは、少なくとも97質量%のオクテン(複数可)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第4のストリームは、前記オクテン(複数可)の総質量に基づいて、少なくとも97質量%の1-オクテンを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記オリゴマー生成物流出物は、前記オリゴマー生成物流出物中のオリゴマーの総量に基づいて、少なくとも30質量%のオクテン(複数可)及び少なくとも30質量%のヘキセン(複数可)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第2のストリームは、3~25質量%のブテン(複数可)及び7質量%以下のC6+オレフィンを含み、
前記第2のストリームは、質量基準で、前記第1のストリーム中のブテン(複数可)の少なくとも2倍のブテン(複数可)を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記反応ゾーン流出物ストリームを前記第1のストリームに分離することは、
(a)前記反応ゾーン流出物ストリームを第1の蒸気ストリームと第1の液体ストリームとに分離することと、
(b)前記第1の液体ストリームを第2の蒸気ストリームと第2の液体ストリームとに分離することと、
(c)前記第2の蒸気ストリームを軽質分画と第1のオリゴマー分画とに分離することと、
(d)前記第1の蒸気ストリームを前記軽質分画と合わせて、前記第1のストリーム及び軽質ガスパージストリームを形成することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の液体ストリームを、オーバーヘッドストリーム、前記第2のストリーム、前記第3のストリーム、及び前記第4のストリームに分離することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記軽質ガスパージストリームと前記第2のストリームとの質量比は、1:5~1:20の範囲である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
プロセスであって、
A)エチレン、触媒系または触媒系成分、任意選択的に有機反応媒体、及び任意選択的に水素を、オリゴマー化反応ゾーンに導入することと、
B)前記オリゴマー化反応ゾーンにおいて、オリゴマー生成物流出物を形成することであって、前記オリゴマー生成物流出物は、少なくとも20質量%のオクテン(複数可)を含む、前記形成することと、
C)前記オリゴマー化反応ゾーンから反応ゾーン流出物ストリームを排出することであって、前記反応ゾーン流出物ストリームは、オリゴマー生成物流出物ストリームを含有する、前記排出することと、
D)前記反応ゾーン流出物ストリームを、
i)エチレン及び5質量%以下のC4+オレフィンを含む第1のストリームと、
ii)ブテン(複数可)及び10質量%以下のC6+オレフィンを含む第2のストリームと、
iii)少なくとも96質量%のヘキセン(複数可)を含む第3のストリームと、
iv)少なくとも96質量%のオクテン(複数可)を含む第4のストリームと、に分離することと、
E)前記第1のストリームを前記オリゴマー化反応ゾーンに再循環させることと、を含む、前記プロセス。
【請求項17】
前記触媒系または前記触媒系成分は、(i)ヘテロ原子配位子遷移金属化合物錯体及び有機アルミニウム化合物、または(ii)ヘテロ原子配位子、遷移金属化合物、及び有機アルミニウム化合物を含む、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記第1のストリームは、
4質量%以下のC4+オレフィンと、
0.75質量%以下のブテン(複数可)と、
少なくとも87質量%のエチレンと、を含む、請求項16に記載のプロセス。
【請求項19】
前記第1のストリームは、少なくとも150:1のエチレン:ブテン(複数可)の質量比をさらに特徴とする、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
前記オリゴマー化反応ゾーンは、0.35質量%以下のブテン(複数可)を含有する、請求項19に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、エチレンのオリゴマー化プロセス、ならびに所望のヘキセン及びオクテン生成物を回収するための下流プロセスに関し、より具体的には、エチレンの再循環ストリーム中のエチレンの量を増加させると同時に、エチレン再循環ストリーム中の1-ブテンなどのブテンの量を減少させるプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
クロムベースの触媒系は、ヘキセン及び/またはオクテンを生成するための反応ゾーンにおけるエチレンの連続オリゴマー化に使用されることが多い。概して、未反応エチレンを反応ゾーンに再循環させることが望まれている。しかしながら、特定のオリゴマー化反応副生成物は、エチレンとともに再循環される場合、所望の単離された1-ヘキセン及び/または1-オクテン生成物の収率及び/または純度を低下させる可能性がある。したがって、特定の望ましくない反応副生成物の再循環を低減しながら、エチレンが再循環されるエチレンオリゴマー化プロセスにおいて、1-ヘキセン及び/または1-オクテン生成物の純度、及び/または1-ヘキセン及び/または1-オクテンの生成を増加させることが有益である。したがって、本発明は概してこの目的を対象としている。
【発明の概要】
【0003】
この概要は、発明を実施するための形態において以下でさらに説明される概念の選択を簡略化された形態で紹介するために提供される。この概要は、特許請求される主題の必要なまたは本質的な特徴を特定することを意図するものではない。また、この概要は、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることも意図されていない。
【0004】
オリゴマー化反応ゾーンからの反応ゾーン流出物ストリームからエチレンを再循環させるための方法が本明細書に開示され、反応ゾーン流出物ストリームは、少なくとも20質量%のオクテン(複数可)を含むオリゴマー生成物流出物を含有する。第1の方法は、a)反応ゾーン流出物ストリームを、エチレン及び5質量%以下のC4+オレフィンを含む第1のストリームと、ブテン(複数可)及びヘキセン(複数可)を含む第2のストリームと、少なくとも96質量%のオクテン(複数可)を含む第3のストリームと、に分離することと、b)第1のストリームをオリゴマー化反応ゾーンに再循環させることと、を含み得る。第2の方法は、a)反応ゾーン流出物ストリームを、エチレン及び5質量%以下のC4+オレフィンを含む第1のストリームと、ブテン(複数可)及び10質量%以下のC6+オレフィンを含む第2のストリームと、少なくとも96質量%のヘキセン(複数可)を含む第3のストリームと、少なくとも96質量%のオクテン(複数可)を含む第4のストリームと、に分離することと、b)第1のストリームをオリゴマー化反応ゾーンに再循環させることと、を含み得る。
【0005】
概して、第1の方法では、第2のストリームは、主にブテン(複数可)及びヘキセン(複数可)を含有する。概して、第2の方法では、第3のストリームは主に1-ヘキセンを含有し、第4のストリームは主に1-オクテンを含有する。第1及び第2の方法において、オリゴマー化反応ゾーンに再循環される第1のストリームは、2質量%以下のブテン(複数可)を有する主にエチレンであり得る。全体として、オリゴマー化反応ゾーン内の1-ブテンの量は、多くの場合、0.5質量%以下または0.2質量%以下など、1質量%よりも著しく少なくすることができる。
【0006】
前述の概要及び以下の詳細な説明の両方は、例を提供するものであり、単なる説明である。したがって、前述の概要及び以下の詳細な説明は、限定的であるとみなされるべきではない。さらに、特徴または変形例が、本明細書に記載されるものに加えて提供されてもよい。例えば、特定の態様は、発明を実施するための形態に記載された種々の特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせを対象としてもよい。
【0007】
本開示に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本発明の種々の態様を示す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一態様と一致するエチレンのオリゴマー化反応系を示す。
図2】本発明の別の態様と一致するエチレンオリゴマー化反応系を示す。
【0009】
定義
本明細書において使用される用語をより明確に定義するために、以下の定義が提供される。別段の指示がない限り、以下の定義が本開示に適用される。ある用語が本開示において用いられるが、本明細書において具体的に定義されていない場合、適用される定義が、本明細書に適用される他の開示または定義のいずれかに矛盾しない限り、あるいは定義が適用されるいずれの特許請求項も不明瞭または不可能にしない限り、IUPAC Compendium of Chemical Terminology、2nd Ed(1997)の定義が適用され得る。参照により本明細書に組み込まれる任意の文書によって提供される任意の定義または使用が、本明細書において提供される定義または使用と矛盾する限りにおいて、本明細書において提供される定義または使用が優先する。
【0010】
本明細書において、主題の特徴は、特定の態様及び/またはステートメント内で、異なる特徴の組み合わせが想定され得るように記載され得る。本明細書に開示されるありとあらゆる態様、及び/またはステートメント、及び/または特徴について、本明細書に記載されるシステム、組成物、プロセス、及び/または方法に悪影響を及ぼさない全ての組み合わせが、特定の組み合わせの明示的な記載の有無にかかわらず企図される。加えて、明示的に別様に記載されない限り、本明細書に開示される任意の態様、及び/またはステートメント、及び/または特徴は、本開示と一致する発明的プロセス及びシステムを説明するために組み合わせられ得る。
【0011】
「a」、「an」、及び「the」という用語は、別段の指定がない限り、複数の選択肢、例えば、少なくとも1つを含むことが意図される。例えば、「圧縮段階」の開示は、他に特定されない限り、1つまたは2つ以上の圧縮段階を包含することを意味する。
【0012】
概して、元素の群は、Chemical and Engineering News,63(5),27,1985において公表された元素の周期表のバージョンにおいて示された付番方式を使用して示される。一部の場合では、元素の族は、族に割り当てられた一般名、例えば、1族元素についてはアルカリ金属、2族元素についてはアルカリ土類金属、3~12族元素については遷移金属、及び17族元素についてはハロゲンまたはハロゲン化物を使用して示され得る。
【0013】
本明細書中に開示される任意の特定の化合物または基について、提示される任意の名称または構造は、他に特定されない限り、置換基の特定のセットから生じ得る全ての配座異性体、位置異性体、立体異性体、及びそれらの混合物を包含することが意図される。名称または構造はまた、別段の指定がない限り、当業者によって認識されるように、鏡像異性形態であろうとラセミ形態であろうと、全ての鏡像異性体、ジアステレオマー、及び他の光学異性体(存在する場合)、ならびに立体異性体の混合物を包含する。例えば、ペンタンへの一般的な言及は、n-ペンタン、2-メチル-ブタン、及び2,2-ジメチルプロパンを含み、ブチル基への一般的な言及は、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソ-ブチル基、及びt-ブチル基を含む。
【0014】
同様に、ヘキセン(複数可)への一般的な言及は、6個の炭素原子及び1つの炭素-炭素二重結合を有する全ての直鎖または分枝鎖、非環式または環式の炭化水素化合物を含む。したがって、ヘキセン(複数可)は、例えば、1-ヘキセン、2-ヘキセン、3-ヘキセン、ネオヘキセン、及びシクロヘキセンを包含する。ストリームが特定量のヘキセン(複数可)を含有すると示される場合、この量は、単一の化合物(例えば、1-ヘキセン)のみであるか、または任意の相対比率の異なる化合物の混合物であるかにかかわらず、存在するヘキセン(複数可)の総量を表す。同様の解釈がブテン(複数可)及びオクテン(複数可)にも当てはまる。
【0015】
化学的「基」は、その基がこの様式で文字通り合成されていない場合であっても、その基が参照または「親」化合物からどのように形式的に誘導されるかに従って、例えば、その基を生成するために親化合物から形式的に除去された水素原子の数によって記載される。例として、「アルキル基」は、アルカンから1個の水素原子を除去することによって形式的に誘導することができ、「アルキレン基」は、アルカンから2個の水素原子を除去することによって形式的に誘導することができる。さらに、親化合物から任意の数(「1個以上」)の水素原子を除去することによって形式的に誘導することができる多様な基を包含するためにより一般的な用語を使用することができ、この例では「アルカン基として記載することができ、これは「アルキル基」、「アルキレン基」、及び状況に応じて3個以上の水素原子がアルカンから除去された材料を包含する。全体を通して、置換基、配位子、または他の化学的部分の開示は、特定の「基」を構成することができ、その基が記載されるように使用される場合、化学構造及び結合の周知の規則に従うことを意味する。ある基が「によって誘導される」、「から誘導される」、「によって形成される」、または「から形成される」と記載する場合、そのような用語は形式的な意味で使用され、別段指定されない限り、あるいは文脈が別段必要としない限り、任意の特定の合成方法または手順を反映することを意図しない。
【0016】
「オルガニル基」という用語は、本明細書において、IUPACによって指定された定義に従って使用され、官能タイプにかかわらず、炭素原子において1つの遊離原子価を有する有機置換基である。同様に、「オルガニレン基」とは、官能タイプにかかわらず、1個の炭素原子から2個の水素原子、または2個の異なる炭素原子の各々から1個の水素原子のいずれかで2個の水素原子を有機化合物から除去することによって誘導された有機基を指す。「有機基」とは、有機化合物の炭素原子から1個以上の水素原子を除去することによって形成された一般化された基を指す。したがって、「オルガニル基」、「オルガニレン基」、及び「有機基」は、炭素及び水素以外の有機官能基(複数可)及び/または原子(複数可)を含むことができ、すなわち、有機基は、炭素及び水素に加えて官能基及び/または原子を含み得る。「オルガニル基」、「オルガニレン基」、または「有機基」は、脂肪族(環式もしくは非環式、または直鎖もしくは分枝鎖であることを含む)であり得るか、または芳香族であり得る。
【0017】
本出願の目的のために、「不活性官能基からなるオルガニル基」という用語または用語の変形は、有機官能基(複数可)及び/または官能基中に存在する炭素及び水素以外の原子(複数可)が、金属化合物と錯体を形成せず、及び/または本明細書で定義されるプロセス条件下で不活性である、官能基(複数可)及び/または炭素及び水素以外の原子(複数可)に限定されるオルガニル基を指す。したがって、「不活性官能基からなるオルガニル基」という用語または用語の変形は、不活性官能基からなるオルガニル基内に存在し得る特定のオルガニル基をさらに定義する。さらに、「不活性官能基からなるオルガニル基」という用語は、オルガニル基内の1つ以上の不活性官能基の存在を指すことができる。同様に、「不活性官能基からなるオルガニレン基」とは、不活性官能基からなる有機化合物の1個または2個の炭素原子から2個の水素原子を除去することによって形成される有機基を指し、「不活性官能基からなる有機基」とは、不活性官能基からなる有機化合物の1個以上の炭素原子から1個以上の水素原子を除去することによって形成される不活性官能基からなる一般化された有機基を指す。
【0018】
本出願の目的のために、「不活性官能基」は、不活性官能基を有する材料が金属錯体の金属化合物に関与する、及び/またはそれと錯体を形成しない、本明細書に記載されるプロセスを実質的に妨害しない基である。「金属化合物と錯体を形成しない」という用語は、金属化合物と錯体を形成することができる基を含み得るが、本明細書に記載される特定の分子において配位子内のその位置関係により金属化合物と錯体を形成しない。例えば、エーテル基は金属化合物と錯体を形成することができるが、置換フェニルホスフィニル基のパラ位に位置するエーテル基は、単一の金属化合物が同じ金属錯体分子のパラエーテル基及びN-ホスフィニルホルムアミジン基の両方と錯体を形成することができないため、不活性官能基であり得る。したがって、特定の官能基の不活性は、官能基が本質的に金属化合物と錯体化することができないことに関連するだけでなく、金属錯体内の官能基の位置にも関連し得る。本明細書中に記載されるプロセスを実質的に妨害しない不活性官能基の非限定的な例としては、とりわけ、ハロ(フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨード)、ニトロ、ヒドロカルボキシ基(例えば、とりわけ、アルコキシ、及び/またはアロキシ)、及び/またはスルフィジル基が挙げられ得る。
【0019】
本明細書及び特許請求の範囲において用いられる場合、常に、「炭化水素」という用語は、炭素及び水素のみを含む化合物を意味する。炭化水素中の特定の基の存在を示すために他の識別子を利用することができる(例えば、ハロゲン化炭化水素は、炭化水素中の同等の数の水素原子を置換する1個以上のハロゲン原子の存在を示す)。「ヒドロカルビル基」という用語は、本明細書において、IUPACによって指定された定義に従って使用され、炭化水素から水素原子を除去することによって形成された1価の基である。同様に、「ヒドロカルビレン基」とは、1個の炭素原子から2個の水素原子、または2個の異なる炭素原子の各々から1個の水素原子のいずれかで2個の水素原子を炭化水素から除去することによって形成された基を指す。したがって、本明細書で使用される用語法に従い、「炭化水素基」とは、炭化水素から1個以上の水素原子(特定の基のために必要に応じて)を除去することによって形成された一般化された基を指す。「ヒドロカルビル基」、「ヒドロカルビレン基」、及び「炭化水素基」は、非環式もしくは環式基であり得、及び/または直鎖または分岐鎖であり得る。「ヒドロカルビル基」、「ヒドロカルビレン基」、及び「炭化水素基」は、炭素及び水素のみを含む環、環系、芳香環、及び芳香族環系を含むことができる。「ヒドロカルビル基」、「ヒドロカルビレン基」、及び「炭化水素基」には、例として、他の基の中でも、アリール、アリーレン、アレーン、アルキル、アルキレン、アルカン、シクロアルキル、シクロアルキレン、シクロアルカン、アラルキル、アラルキレン、及びアラルカン基が員として含まれる。
【0020】
「アルカン」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合は常に、飽和炭化水素化合物を指す。アルカン中の特定の基の存在を示すために他の識別子を利用することができる(例えば、ハロゲン化アルカンは、アルカン中の同等の数の水素原子を置換する1個以上のハロゲン原子の存在を示す)。「アルキル基」という用語は、IUPACによって定められた定義に従って本明細書において使用され、アルカンから水素原子を除去することによって形成される一価の基である。同様に、「アルキレン基」とは、(1個の炭素原子から2個の水素原子、または2個の異なる炭素原子から1個の水素原子のいずれかで)2個の水素原子をアルカンから除去することによって形成された基を指す。「アルカン基」とは、アルカンから1個以上の水素原子(特定の基のために必要に応じて)を除去することによって形成された基を指す一般用語である。「アルキル基」、「アルキレン基」、及び「アルカン基」は、別段指定されない限り、非環式もしくは環式基であり得、及び/または直鎖または分岐鎖であり得る。一級、二級及び三級アルキル基は、それぞれアルカンの一級、二級または三級炭素の原子から水素を除去することによって誘導される。n-アルキルは、直鎖アルカンの末端炭素の原子から水素を除去することによって誘導することができる。
【0021】
用語「置換された」は、化合物または基を記載するために使用される場合、例えば、特定の化合物または基の置換類似体をいう場合、その基中の水素を形式的に置換する任意の非水素部分を記載することが意図され、非限定的であることが意図される。1つまたは複数の基はまた、本明細書において、「非置換(unsubstituted)」として、または非水素部分がその基内の水素を置換しない元の基を指す「非置換(non-substituted)」等の同等の用語によって表すこともできる。「置換された」とは、非限定的であることが意図され、無機置換基または有機置換基が含まれる。
【0022】
「オレフィン」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合はいつでも、芳香環または芳香環系の一部ではない少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する炭化水素を指す。「オレフィン」という用語は、特に明記しない限り、芳香族環または環系の一部ではない少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する、脂肪族及び芳香族、環式及び非環式、及び/または直鎖及び分岐炭化水素を含む。1つのみ、2つのみ、3つのみなどの炭素-炭素二重結合を有するオレフィンは、オレフィンの名称の中で「モノ」、「ジ」、「トリ」などの用語を使用することによって特定することができる。オレフィンは、炭素-炭素二重結合(複数可)の位置によってさらに識別され得る。
【0023】
用語「反応ゾーン流出物」及びその派生語(例えば、オリゴマー化反応ゾーン流出物、三量体化反応ゾーン流出物、四量体化反応ゾーン流出物、または三量体化及び四量体化反応ゾーン流出物)は、概して、反応混合物を排出する反応ゾーン出口/排出部を通って反応ゾーンを出る全ての材料を指し、反応ゾーン供給物(複数可)(例えば、オレフィン、触媒系もしくは触媒系成分、及び/または溶媒)、及び/または反応生成物(例えば、オリゴマー及び非オリゴマーを含むオリゴマー生成物、三量体及び非三量体を含む三量体化生成物、四量体及び非四量体を含む四量体化生成物、または三量体及び四量体ならびに非三量体及び四量体を含む三量体化及び四量体化生成物)を含み得る。用語「反応ゾーン流出物」及びその派生語は、追加の修飾用語の使用によって特定の部分を指すように修飾することができる。例えば、反応ゾーン流出物は、反応ゾーン出口/排出口を通って反応ゾーンを出る全ての材料を指すが、反応ゾーンオリゴマー生成物流出物は、反応ゾーン流出物内のオリゴマー生成物のみを指す。
【0024】
最小値として提供される本開示内の特徴は、代替的に、本明細書に開示される特徴について列挙された任意の最小値「少なくとも」または「以上」と記載することもできる。最大値として提供される本開示内の特徴は、代替的に、本明細書に開示される特徴の任意の列挙された任意の最大値「以下」または「を下回る」と記載することもできる。
【0025】
本開示内では、有機命名法の通常の規則が優先される。例えば、置換化合物または基に言及する場合、置換パターンへの言及は、示される基(複数可)が示された位置に位置し、全ての他の示されていない位置が水素であることを示す。例えば、4-置換フェニル基への言及は、4位に位置する非水素置換基ならびに2、3、5及び6位に位置する水素が存在することを示す。示された位置に加えた位置での置換を有する化合物または基への言及は、含むまたは一部の他の代替の言語を使用して言及され得る。例えば、4位に置換基を含むフェニル基への言及は、4位に非水素置換基を有し、2、3、5、及び6位に水素または任意の非水素置換基を有する基を指す。
【0026】
「触媒組成物」、「触媒混合物」、「触媒系」などの用語は、開示または特許請求される触媒組成物/混合物/系の初期成分の接触または反応から得られる実際の生成物または組成物、活性触媒部位の性質、またはこれらの成分を組み合わせた後の有機アルミニウム化合物及びヘテロ原子配位子遷移金属化合物錯体の運命に依存しない。したがって、用語「触媒組成物」、「触媒混合物」、「触媒系」などは、組成物の初期出発成分、ならびにこれらの初期出発成分を接触させることから生じ得る任意の生成物(複数可)を包含する。「触媒組成物」、「触媒混合物」、「触媒系」などの用語は、本開示を通して互換的に使用され得る。
【0027】
オリゴマーという用語は、2~20個のモノマー単位を含有する生成物を指す。「オリゴマー生成物」及び「オリゴマー生成物流出物」という用語は、「オリゴマー化」プロセスによって作製される全てのオリゴマー生成物を含むが、他の成分の中でも、未反応モノマー(エチレン)、有機反応媒体、及び水素などの、反応ゾーン流出物ストリームの他の非オリゴマー成分を除外する。
【0028】
用語「オリゴマー化」及びその派生語は、2~20個のモノマー単位を含む生成物を少なくとも20重量%、35重量%、50重量%、または60重量%含むオリゴマー生成物を生成するプロセスを指す。一例において、モノマーとしてエチレンを使用する「オリゴマー化」プロセスは、4~40個の炭素原子を有する少なくとも20重量%、35重量%、50重量%、または60重量%のオリゴマーを含む生成物の混合物を生成する。
【0029】
用語「三量体化」及びその派生語は、3つ及び3つのみのモノマー単位を含む生成物を少なくとも20重量%、35重量%、50重量%、または60重量%含む生成物の混合物を生成するプロセスを指す。「三量体」は、3つ及び3つのみのモノマー単位を含む生成物である。「三量体化生成物」は、三量体及び三量体ではない生成物(例えば、二量体または四量体、固体ポリマー)を含む三量体化プロセスによって作製される全ての生成物を含む。一例では、モノマーとしてエチレンを使用する「三量体化」プロセスは、少なくとも20重量%、35重量%、50重量%、または60重量%のヘキセンを含む生成物の混合物を生成する。
【0030】
用語「四量体化」及びその派生語は、4つ及び4つのみのモノマー単位を含む生成物を少なくとも20重量%、35重量%、50重量%、または60重量%含む生成物の混合物を生成するプロセスを指す。「四量体」は、4つ及び4つのみのモノマー単位を含む生成物である。「四量体化生成物」は、四量体及び四量体ではない生成物(例えば、二量体または三量体、固体ポリマー)を含む四量体化プロセスによって作製される全ての生成物を含む。一例において、モノマーとしてエチレンを使用する「四量体化」プロセスは、少なくとも20重量%、35重量%、50重量%、または60重量%のオクテンを含む生成物の混合物を生成する。
【0031】
用語「三量体化及び四量体化」及びその派生語は、3つ及び/または4つ、ならびに3つ及び/または4つのみのモノマー単位を含む少なくとも20重量%、35重量%、50重量%、または60重量%の生成物を含む生成物の混合物を生成するプロセスを指す。「三量体化及び四量体化生成物」は、三量体、四量体、ならびに三量体及び四量体ではない生成物(例えば、二量体、固体ポリマー)を含む、「三量体化及び四量体化」プロセスによって作製される全ての生成物を含む。一例において、モノマーとしてエチレンを使用する「三量体化及び四量体化」プロセスは、少なくとも20重量%、35重量%、50重量%、または60重量%のヘキセン及びオクテンを含む生成物の混合物を生成する。
【0032】
本明細書において、「反応器」という用語は、例えば、反応が起こる容器などの単一の機器を指すが、容器の外部にある配管、ポンプなどの任意の関連する機器を除外する。反応器の例としては、撹拌槽反応器(例えば、連続撹拌槽反応器)、栓流反応器、または任意の他の種類の反応器が挙げられる。用語「反応器」は、追加の修飾用語を使用することによって、より具体的な「反応器」を指すように修飾することができる。例えば、「オリゴマー化反応器」という用語の使用は、反応器内の所望の反応がオリゴマー化であることを示す。
【0033】
本明細書において、「反応ゾーン」という用語は、反応が所望の速度で起こり得るように、全ての必要な反応成分及び反応条件が存在する反応系の部分を指す。すなわち、反応ゾーンは、反応を平均反応速度の25%以内に維持するために必要な反応成分及び反応条件が存在する時点で開始し、反応系は、条件が反応速度を平均反応速度の25%以内に維持しない時点で終了する(反応ゾーンの反応速度の体積平均に基づく)。例えば、エチレンのオリゴマー化プロセスに関して、反応ゾーンは、十分なエチレン及び活性触媒系が、所望の速度でオリゴマー生成物の生成を維持するのに十分な反応条件(例えば、とりわけ、温度及び/または圧力)下で存在する時点で開始し、反応ゾーンは、触媒系が不活性化されるか、オリゴマー生成物の生成を持続するのに十分なエチレンが存在しないか、または他の反応条件(例えば、とりわけ、温度及び/または圧力)が、オリゴマー生成物の生成または所望のオリゴマー生成物の生成速度を維持するのに十分でない時点で終了する。本明細書内で、「反応ゾーン」は、1つ以上の反応器を含み得る。「反応ゾーン」という用語は、追加の修飾用語の使用によって、より具体的な「反応ゾーン」を指すように修飾することができる。例えば、用語「オリゴマー化反応ゾーン」の使用は、「反応ゾーン」内の所望の反応がオリゴマー化であることを示す。
【0034】
用語「反応系」は、生成物を生成するための機器の全てを指す。「反応系」という用語は、反応器、反応ゾーン、及び全ての関連機器、関連プロセスライン、及び必要な成分(複数可)を反応系に入れたり出したりすることができ、反応を制御することができる制御機器を含む。本明細書内で、「反応系」は、1つ以上の反応器ゾーン、1つ以上の反応器、及び生成物を生成するための関連機器を含み得る。「反応系」という用語は、追加の修飾用語の使用によって、より具体的な「反応系」を指すように修飾することができる。例えば、「オリゴマー化反応系」という用語の使用は、「反応系」がオリゴマー化に関することを示す。
【0035】
触媒系の生産性は、本明細書では、触媒系において利用されるヘテロ原子配位子遷移金属化合物錯体(またはクロム化合物)の遷移金属(またはクロム)1グラム当たり、1時間当たりに生成されるノルマルアルファオレフィン生成物のキログラムの単位-kg NAO/g遷移金属/hr(またはkg NAO/g Cr/hr)で定義される。
【0036】
本明細書中に記載されるものと類似または等価な任意の方法及び材料が、本発明の実施または試験において使用され得るが、代表的な方法及び材料が本明細書中に記載される。
【0037】
本明細書中で言及される全ての刊行物及び特許は、例えば、現在記載されている発明に関連して使用され得る、刊行物中に記載される構築物及び方法論を記載及び開示する目的のために、本明細書中に参考として援用される。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本明細書に開示されるのは、オリゴマー化反応ゾーンからの反応ゾーン流出物ストリームからエチレンを再循環させるための方法であり、流出物ストリームは、少なくとも20質量%、多くの場合、少なくとも40質量%のオクテン(複数可)を含有するオリゴマー生成物流出物を含む。これらの方法では、オクテン生成物ストリームに加えてヘキセン生成物ストリームを単離することができ、エチレンリッチストリームが形成され、続いてオリゴマー化反応ゾーンに再循環される。
【0039】
有益には、開示された方法は、エチレン再循環ストリーム中のエチレンの量を増加させると同時に、オリゴマー化反応ゾーンに再循環される1-ブテンなどのブテンの量を減少させる。オリゴマー化反応ゾーン中の1-ブテン及び他のブテンの存在は、所望の1-オクテン生成物以外の有意な量の副生成物オクテン(分岐オクテンなど)をもたらす可能性があり、したがって、オクテン生成物ストリーム中の1-オクテンの純度を大きく低下させる。
【0040】
オリゴマー化反応器システムにおけるエチレンの再循環
本発明の態様は、オリゴマー化反応器システムにおいてエチレンを回収及び再循環するための方法に関する。一部の態様では、オリゴマー化反応系においてエチレンを回収及び再循環するためのこれらの方法を実施して、再循環ストリーム中のC4+オレフィン及びエタンの量が低減される。反応ゾーン流出物ストリームが少なくとも20質量%のオクテン(複数可)を含むオリゴマー生成物流出物を含有する、オリゴマー化反応ゾーンからの反応ゾーン流出物ストリームからエチレンを再循環させるための第1の代表的な方法は、a)反応ゾーン流出物ストリームを、エチレン及び5質量%以下のC4+オレフィンを含む第1のストリームと、ブテン(複数可)及びヘキセン(複数可)を含む第2のストリームと、本明細書に開示される任意の量(例えば、少なくとも96質量%)のオクテン(複数可)を含む第3のストリームと、に分離することと、b)第1のストリームをオリゴマー化反応ゾーンに再循環させることと、を含み得る。概して、エチレンを回収するための第1の方法の特徴(例えば、とりわけ、オリゴマー生成物流出物中のオクテン(複数可)の量、第1のストリーム中のエチレン及びC4+オレフィンの量、第2のストリーム中のブテン(複数可)及びヘキセン(複数可)の量、第3のストリーム中に存在するオクテン(複数可)の量、ならびに流出物ストリームをそれぞれのストリームに分離するための技術)は、本明細書に独立して記載され、これらの特徴は、非限定的に、任意の組み合わせで合わせて、エチレンを再循環させるための開示された方法をさらに記載することができる。反応ゾーン流出物ストリームが少なくとも20質量%のオクテン(複数可)を含むオリゴマー生成物流出物を含有する、オリゴマー化反応ゾーンからの反応ゾーン流出物ストリームからエチレンを再循環させるための第2の代表的な方法は、a)反応ゾーン流出物ストリームを、エチレン及び5質量%以下のC4+オレフィンを含む第1のストリームと、ブテン(複数可)及び10質量%以下のC6+オレフィンを含む第2のストリームと、本明細書に開示される任意の量(例えば、少なくとも96質量%)のヘキセン(複数可)を含む第3のストリームと、本明細書に開示される任意の量(例えば、少なくとも96質量%)のオクテン(複数可)を含む第4のストリームと、に分離することと、b)第1のストリームをオリゴマー化反応ゾーンに再循環させることと、を含み得る。概して、エチレンを回収するための第2の方法の特徴(例えば、とりわけ、オリゴマー生成物流出物中のオクテン(複数可)の量、第1のストリーム中のエチレン及びC4+オレフィンの量、第2のストリーム中のブテン(複数可)及びC6+オレフィンの量、第3のストリーム中のヘキセン(複数可)の量、第4のストリーム中のオクテン(複数可)の量、ならびに流出物ストリームをそれぞれのストリームに分離するための技術)は、本明細書に独立して記載され、これらの特徴は、非限定的に、任意の組み合わせで合わせて、エチレンを再循環させるための開示された方法をさらに記載することができる。さらに、追加のプロセスステップは、これらの方法のステップの前、間、及び/または後に行うことができ、別段の記載がない限り、エチレンを回収するための方法をさらに記載するために、非限定的に、任意の組み合わせで利用され得る。さらに、有益なことに、エチレンを回収する方法は、連続的に実施することができる。
【0041】
開示される方法において、オリゴマー生成物流出物中のオクテン(複数可)の量は、典型的には、オリゴマー生成物流出物中のオリゴマーの総量に基づいて、20~99質量%の範囲内にあり得る。一態様では、オリゴマー生成物流出物中のオクテン(複数可)の最小量は、20、30、または40質量%であり得る。別の態様では、オリゴマー生成物流出物中のオクテン(複数可)の最大量は、99、95、92.5、90、87.5、または85質量%であり得る。概して、オリゴマー生成物流出物中のオクテン(複数可)の量は、オリゴマー生成物流出物中のオクテン(複数可)の任意の最小量から、本明細書に記載されるオリゴマー生成物流出物中のオクテン(複数可)の任意の最大量までの範囲であり得る。例えば、オクテン(複数可)の量は、オリゴマー生成物流出物中のオリゴマーの総質量に基づいて、20~99質量%、30~95質量%、40~95質量%、40~90質量%、20~90質量%、30~87.5質量%、30~85質量%、40~87.5質量%、40~85質量%、20~60質量%、30~55質量%、または40~55質量%のオクテン(複数可)であり得る。オリゴマー生成物流出物中のオクテン(複数可)の他の適切な量は、本開示から容易に明らかである。
【0042】
オクテン(複数可)に加えて、オリゴマー生成物流出物は、任意の好適な量のヘキセン(複数可)をさらに含み得る。一態様では、オリゴマー生成物流出物中のヘキセン(複数可)の最小量は、5、10、15、20、25、30、または35質量%であり得る。別の態様では、オリゴマー生成物流出物中のヘキセン(複数可)の最大量は、75、65、60、55、または50質量%であり得る。概して、オリゴマー生成物流出物中のヘキセン(複数可)の量は、本明細書に記載されるオリゴマー生成物流出物中のヘキセン(複数可)の任意の最小量からオリゴマー生成物流出物中のヘキセン(複数可)の任意の最大量までの範囲であり得る。例えば、ヘキセン(複数可)の量は、オリゴマー生成物流出物中のオリゴマーの総質量に基づいて、5~75質量%、10~75質量%、15~75質量%、20~60質量%、25~55質量%、30~50質量%、35~65質量%、または35~50質量%のヘキセン(複数可)であり得る。オリゴマー生成物流出物中のヘキセン(複数可)の他の適切な量は、本開示から容易に明らかである。
【0043】
オリゴマー生成物流出物(オクテン(複数可)及び/またはヘキセン(複数可)を含有する)に加えて、反応ゾーン流出物ストリームはまた、触媒系、未反応エチレン、他のオリゴマー生成物オレフィン(例えば、ブテン(複数可)及び/またはC10+オレフィン)、水素、及び有機反応媒体を含有することができる。一部の態様では、触媒系は、反応ゾーン流出物ストリームを好適な触媒系不活性化剤と接触させることによるなど、任意の典型的な方法で不活性化され得る。触媒系が不活性化される場合、触媒系は、触媒系を不活性化するのに有利な反応ゾーン流出物ストリーム処理及び/または生成物回収処理の任意の時点で不活性化することができる。本明細書で使用される場合、反応ゾーン流出物ストリーム(または反応ゾーン流出物)は、反応ゾーン流出物またはその後続のストリームが触媒系を不活性化するために処理されたか否かにかかわらず、一般的な反応流出物ストリームを指す。
【0044】
エチレンを回収するための第1の方法のステップa)において、少なくとも20質量%のオクテン(複数可)を含むオリゴマー生成物流出物を含有する反応ゾーン流出物ストリームは、第1のストリーム、第2のストリーム、及び第3のストリームに分離され得る。エチレンを回収するための第2の方法のステップa)において、少なくとも20質量%のオクテン(複数可)を含むオリゴマー生成物流出物を含有する反応ゾーン流出物ストリームは、第1のストリーム、第2のストリーム、第3のストリーム、及び第4のストリームに分離され得る。ここで第1及び第2の方法の第1のストリームを参照すると、第1のストリームは、エチレン及び5質量%以下のC4+オレフィンを含み得る。第1のストリームはステップb)においてオリゴマー化反応ゾーンに再循環されるため、第1のストリームの大部分はエチレンであり、エチレンの量は概して第1のストリームの85質量%を超える。一部の態様では、第1のストリームは、少なくとも85、少なくとも86、少なくとも87、少なくとも88、少なくとも89、または少なくとも90質量%のエチレン、多くの場合、最大99、97、95、または92.5質量%までのエチレンを含み得る。第1のストリーム中のエチレンの量は、本明細書に記載される任意の最小エチレン含有量から任意の最大エチレン含有量の範囲であり得る。第1のストリーム中のエチレンの量の例示的かつ非限定的な範囲としては、85~99質量%、85~95質量%、87~97質量%、88~92.5質量%、90~99質量%、90~97質量%、または90~95質量%のエチレンが挙げられ得る。第1のストリーム中のエチレンの他の適切な量は、本開示から容易に明らかである。
【0045】
第1及び第2の方法の第1のストリームはまた、最大5質量%のC4+オレフィンを含有することができ、これは、Cオレフィン、Cオレフィン、Cオレフィンなどを含む。任意のC4+オレフィンの量は、エチレンを再循環させるための開示される方法において低減され、したがって、第1のストリーム中のC4+オレフィンの総量は、多くの場合、4質量%以下、代替的には3質量%以下、代替的には2質量%以下、または代替的には1質量%以下のC4+オレフィンであり得る。
【0046】
オリゴマー化反応ゾーンに再循環される、第1及び第2の方法の第1のストリーム中のC4+オレフィンの量を低減することに加えて、特にブテン(複数可)の量も低減される。反応ゾーンにおけるブテン(複数可)(例えば、1-ブテン)の存在は、1-オクテン以外のCを生成する望ましくない反応をもたらす可能性がある。したがって、本発明と一致して、第1のストリーム中のブテン(複数可)の量は、一態様では、2質量%以下または1.5質量%以下であり得、第1のストリーム中のブテン(複数可)の量は、別の態様では、1質量%以下または0.75質量%以下であり得、さらに別の態様では、第1のストリーム中のブテン(複数可)の量は、0.5質量%以下、0.35質量%以下、または0.2質量%以下であり得る。
【0047】
別の言い方をすれば、第1のストリーム中のエチレンを増加させ、1-ブテン及び他のブテンを減少させることは、少なくとも100:1、150:1、200:1、300:1、または350:1のエチレン:ブテン(複数可)の質量比、多くの場合、5000:1、1500:1、1000:1、または500:1の最大質量比までによって特徴づけることができる。第1のストリーム中の(及びオリゴマー化反応ゾーンに再循環される)エチレン:ブテン(複数可)の質量比の例示的かつ非限定的な範囲としては、100:1~5000:1、100:1~500:1、150:1~1500:1、200:1~500:1、300:1~1500:1、350:1~5000:1、350:1~1000:1、または350:1~500:1が挙げられ得る。第1のストリーム中のエチレン:ブテン(複数可)の他の適切な質量比は、本開示から容易に明らかである。
【0048】
追加的に、または代替的に、オリゴマー化反応ゾーンに再循環されるエチレンを増加させながらブテン(複数可)を減少させることにより、反応ゾーン中のブテン(複数可)の非常に低いレベルをもたらすことができる。一態様では、反応ゾーン内のブテン(複数可)の最小量は、0.01、0.02、0.035、0.05、または0.1質量%であり得る。別の態様では、反応ゾーン内のブテン(複数可)の最大量は、1、0.75、0.5、0.35、0.25、または0.2質量%であり得る。概して、反応ゾーン内のブテン(複数可)の量は、本明細書に記載されるブテン(複数可)の任意の最小量からブテン(複数可)の任意の最大量の範囲であり得る。例えば、反応ゾーン内のブテン(複数可)の量は、0.01~0.75質量%、0.02~0.5質量%、0.05~0.35質量%、または0.1~0.2質量%のブテン(複数可)であり得る。オリゴマー化反応ゾーンにおけるブテン(複数可)の他の適切な量は、本開示から容易に明らかである。
【0049】
特定の軽質化合物は、反応ゾーン流出物ストリームから分離することができ、最終的に第1のストリームの一部となる。これらの軽質化合物の非限定的な例としては、水素(H)及びメタンが挙げられ得る。それに限定されないが、第1のストリームは、5、4、3、2、または1質量%以下の水素、追加的に、または代替的に、5、4、3、2、または1質量%以下のメタンを含有することができる。一部の態様では、第1のストリームは、(合計で)5、4、3、2、または1質量%以下の水素及びメタンを含有することができる。
【0050】
ここで、反応ゾーン流出物ストリームから分離される第1の方法の第2のストリームを参照すると、第1の方法の第2のストリームは、ブテン(複数可)及びヘキセン(複数可)、ならびに10質量%以下のC8+オレフィン(Cオレフィン、C10オレフィンなどを含む)を含み得る。本発明の態様では、第1の方法の第2のストリームは、非生成物ストリームであり得、例えば、第1の方法の第2のストリームは、流出物ブテン(複数可)及びヘキセン(複数可)が蓄積され(特に、ブテン(複数可))、その結果、それらがエチレンとともにオリゴマー化反応ゾーンに再循環されない重質パージストリームであり得る。これは、質量基準で、第1の方法の第1のストリーム中に存在するよりも多くのブテン(複数可)を含有する第1の方法の第2のストリームによって例示される。一部の態様では、質量基準で、第1の方法の第2のストリームは、第1の方法の第1のストリーム中のブテン(複数可)の少なくとも2倍(2×)のブテン(複数可)、または第1の方法の第1のストリーム中のブテン(複数可)の少なくとも3倍(3×)のブテン(複数可)を含有することができ、多くの場合、第1の方法の第2のストリームは、第1の方法の第1のストリーム中に存在するブテン(複数可)の量の5倍または10倍までのブテン(複数可)を含有することができる。
【0051】
1-オクテンなどの特定のC8+オレフィン生成物が望ましいため、任意のC8+オレフィンの量は、第1の方法の第2のストリーム中で低減される。第1の方法の第2のストリーム中の最大10質量%のC8+オレフィンが標準的である。一態様では、第1の方法の第2のストリーム中の任意のC8+オレフィンの量は、8、6、5、4、3、または2質量%以下であり得る。
【0052】
第1の方法の第2のストリームにおいて、ブテン(複数可)及びヘキセン(複数可)の量は、典型的には1~50質量%の範囲内であり得るが、これに限定されない。一態様では、第1の方法の第2のストリーム中のブテン(複数可)及びヘキセン(複数可)の最小量は、1、2、3、4、または5質量%であり得る。別の態様では、第1の方法の第2のストリーム中のブテン(複数可)及びヘキセン(複数可)の最大量は、50、40、35、30、25、20、18、15、または12質量%であり得る。概して、第1の方法の第2のストリーム中のブテン(複数可)及びヘキセン(複数可)の量(第2のストリームの総質量に基づく)は、本明細書に記載されるブテン(複数可)及びヘキセン(複数可)の任意の最小量からブテン(複数可)及びヘキセン(複数可)の任意の最大量までの範囲であり得る。例えば、第1の方法の第2のストリーム中のブテン(複数可)及びヘキセン(複数可)の量は、1~50質量%、1~40質量%、2~35質量%、2~30質量%、または3~25質量%のブテン(複数可)及びヘキセン(複数可)であり得る。第1の方法の第2のストリーム中のブテン(複数可)(例えば、1-ブテン)の他の適切な量は、本開示から容易に明らかである。第1の方法の第2のストリームは、ブテン(複数可)及びヘキセン(複数可)に加えて、エチレン及びエタン、及び/またはC8+オレフィンをさらに含み得る。第1の方法の第2のストリームにおいて、エチレン及びエタンの量は、40~90質量%、50~87.5質量%、または60~85質量%の範囲であり得る。第1の方法の第2のストリームにおいて、C8+オレフィンの量は、10、8、7、6、5、4、または3質量%以下であり得る。
【0053】
ここで、反応ゾーン流出物ストリームから分離される第2の方法の第2のストリームを参照すると、第2の方法の第2のストリームは、ブテン(複数可)及び10質量%以下のC6+オレフィン(Cオレフィン、Cオレフィン、C10オレフィンなどを含む)を含み得る。本発明の態様では、第2の方法の第2のストリームは、非生成物ストリームであり得、例えば、第2の方法の第2のストリームは、流出物1-ブテン及び他のブテンが蓄積される重質ガスパージストリームであり得、その結果、それらはエチレンとともにオリゴマー化反応ゾーンに再循環されない。これは、質量基準で、第2の方法の第1のストリーム中に存在するよりも多くのブテン(複数可)を含有する第2の方法の第2のストリームによって例示される。一部の態様では、質量基準で、第2の方法の第2のストリームは、第2の方法の第1のストリーム中のブテン(複数可)の少なくとも2倍(2×)のブテン(複数可)、または第2の方法の第1のストリーム中のブテン(複数可)の少なくとも3倍(3×)のブテン(複数可)を含有することができ、多くの場合、第2の方法の第2のストリームは、第2の方法の第1のストリーム中に存在するブテン(複数可)の量の5倍または10倍までのブテン(複数可)を含有することができる。
【0054】
1-ヘキセン及び1-オクテンなどの特定のC6+オレフィン生成物は第2の方法において望ましいため、任意のC6+オレフィンの量は、第2の方法の第2のストリームにおいて低減される。第2の方法の第2のストリーム中の最大10質量%のC6+オレフィンが標準的であるが、より多くの場合、第2の方法の第2のストリーム中の任意のC6+オレフィンの量は、一態様では8質量%以下、別の態様では7質量%以下、さらに別の態様では6質量%以下、またはさらに別の態様では5質量%以下のC6+オレフィンであり得る。
【0055】
第2の方法の第2のストリームにおいて、ブテン(複数可)の量は、典型的には1~25質量%の範囲内であり得るが、これに限定されない。一態様では、第2の方法の第2のストリーム中のブテン(複数可)の最小量は、1、2、3、4、または5質量%であり得る。別の態様では、第2の方法の第2のストリーム中のブテン(複数可)の最大量は、25、20、18、15、または12質量%であり得る。概して、第2のストリーム中のブテン(複数可)の量(第2の方法の第2のストリームの総質量に基づく)は、本明細書に記載されるブテン(複数可)の任意の最小量からブテン(複数可)の任意の最大量の範囲であり得る。例えば、第2の方法の第2のストリーム中のブテン(複数可)の量は、1~25質量%、1~12質量%、2~20質量%、2~18質量%、3~25質量%、4~15質量%、または5~12質量%のブテン(複数可)であり得る。第2の方法の第2のストリーム中のブテン(複数可)の他の適切な量は、本開示から容易に明らかである。第2の方法の第2のストリームは、ブテン(複数可)及びC6+オレフィンに加えて、エチレン及び/またはエタンをさらに含み得る。第2の方法の第2のストリームにおいて、エチレン及びエタンの総量は、60~90質量%、70~87.5質量%、または70~85質量%の範囲であり得る。第2の方法の第2のストリームにおいて、C6+オレフィンの量は、8、7、6、5、4、または3質量%以下であり得る。
【0056】
第1及び第2の方法の第2のストリーム中の1-ブテンの量は、典型的には、それぞれの第1及び第2の方法の第2のストリーム中のブテン(複数可)の量と非常に類似している。一態様では、例えば、第1及び第2の方法の第2のストリームは、第1及び第2の方法の第2のストリーム中のブテン(複数可)の総質量に基づいて、少なくとも80質量%または少なくとも85質量%の1-ブテンを含有することができ、一方、別の態様では、第1及び第2の方法の第2のストリームは、少なくとも90質量%または少なくとも95質量%の1-ブテンを含有することができ、さらに別の態様では、第1及び第2の方法の第2のストリームは、少なくとも98質量%または少なくとも99質量%の1-ブテンを含有することができる。第1及び第2の方法の第2のストリーム中のブテン(複数可)中の1-ブテンのこれらの代表的なレベルはまた、ブテン(複数可)を含有する本明細書に記載される任意の他のストリームに適用可能であり、ブテン(複数可)を含有するこれらの他のストリームのブテン(複数可)中の1-ブテンの量を記載するために、非限定的に使用され得る。
【0057】
ここで、反応ゾーン流出物ストリームから分離される第2の方法の第3のストリームを参照すると、第2の方法の第3のストリームは、少なくとも96質量%のヘキセン(複数可)を含み得る。1-ヘキセンなどの特定のヘキセンは、望ましいオリゴマー生成物であり、したがって、第3のストリーム中のヘキセン(複数可)の量は、概して最大化される。したがって、さらなる態様では、第2の方法の第3のストリームは、少なくとも97質量%のヘキセン(複数可)、代替的には少なくとも98質量%のヘキセン(複数可)、または代替的には少なくとも99質量%のヘキセン(複数可)を含み得る。さらなる態様では、反応ゾーン流出物ストリームから分離される第2の方法の第3のストリームは、4、3、2、1、0.75、または0.5質量%未満のC-オレフィン(Cオレフィン、Cオレフィンなどを含む)を含み得る。なおさらなる態様では、反応ゾーン流出物ストリームから分離される第2の方法の第3のストリームは、2、1、0.75、または0.5質量%未満のC8+オレフィン(Cオレフィン、C10オレフィンなどを含む)を含み得る。
【0058】
第2の方法の第3のストリーム中の1-ヘキセンの純度は、第3のストリーム中のヘキセン(複数可)の総質量に基づいて、少なくとも90質量%の1-ヘキセンであり得る。一態様では、例えば、第2の方法の第3のストリームは、第2の方法の第3のストリーム中のヘキセン(複数可)の総質量に基づいて、少なくとも92.5質量%または少なくとも95質量%の1-ヘキセンを含有することができ、別の態様では、第2の方法の第3のストリームは、少なくとも97.5質量%または少なくとも98質量%の1-ヘキセンを含有することができ、さらに別の態様では、第2の方法の第3のストリームは、少なくとも98.5質量%または少なくとも99質量%の1-ヘキセンを含有することができる。さらなる態様では、反応ゾーン流出物ストリームから分離される第1の方法の第3のストリームまたは第2の方法の第4のストリームは、4、3、2、1、0.75、または0.5質量%未満のC-オレフィン(Cオレフィン、Cオレフィン、Cオレフィンなどを含む)を含み得る。さらなる態様では、反応ゾーン流出物ストリームから分離される第1の方法の第3のストリームまたは第2の方法の第4のストリームは、2、1、0.75、または0.5質量%未満のC10+オレフィン(C10オレフィン、C12オレフィンなどを含む)を含み得る。
【0059】
ここで、第1の方法の第3のストリーム、及び反応ゾーン流出物ストリームから分離される第2の方法の第4のストリームを参照すると、第1の方法の第3のストリーム及び第2の方法の第4のストリームは、少なくとも96質量%のオクテン(複数可)を含み得る。1-オクテンなどの特定のオクテンは、望ましいオリゴマー生成物である。したがって、さらなる態様では、第1の方法の第3のストリーム及び第2の方法の第4のストリームは、少なくとも97質量%のオクテン(複数可)、代替的には少なくとも98質量%のオクテン(複数可)、または代替的には少なくとも99質量%のオクテン(複数可)を含み得る。
【0060】
第1の方法の第3のストリーム及び第2の方法の第4のストリーム中の1-オクテンの純度も最大化することができ、その結果、第1の方法の第3のストリーム及び第2の方法の第4のストリームは、オクテン(複数可)の総質量に基づいて、少なくとも95質量%の1-オクテンを含有することができる。一態様では、例えば、第1の方法の第3のストリーム及び第2の方法の第4のストリームは、オクテン(複数可)の総質量に基づいて、少なくとも96.5質量%または少なくとも97質量%の1-オクテンを含有することができ、一方、別の態様では、第1の方法の第3のストリーム及び第2の方法の第4のストリームは、少なくとも97.5質量%または少なくとも98質量%の1-オクテンを含有することができ、さらに別の態様では、少なくとも98.5質量%または少なくとも99質量%の1-オクテンを含有することができる。
【0061】
開示された方法における全体的なエチレン再循環率は、概して非常に高い。再循環されるエチレンの量(質量%)は、第1のストリーム(オリゴマー化反応ゾーンに再循環される)中のエチレンの量を、反応ゾーン流出物ストリーム中のエチレンの量で除算することによって決定される。一態様では、再循環されるエチレンの最小量は、少なくとも86、88、89、90、または91質量%であり得る。別の態様では、再循環されるエチレンの最大量は、99、97、96、95、または94質量%であり得る。概して、再循環されるエチレンの量は、本明細書に記載される再循環されるエチレンの任意の最小量から再循環されるエチレンの任意の最大量までの範囲であり得る。例えば、再循環されるエチレンの量は、86~99質量%、88~97質量%、89~96質量%、90~95質量%、または91~94質量%であり得る。他の適切なエチレン再循環率は、本開示から容易に明らかである。
【0062】
高レベルのエチレン再循環は、エチレン転化率がオリゴマー化反応ゾーンにおいてしばしば90%を超えないため、非常に重要である。反応ゾーンに入るエチレンの総量(フレッシュ及び再循環)及び反応ゾーン流出物ストリーム中の未反応エチレンの量に基づいて決定されると、最小エチレン転化率は、少なくとも20、30、35、40、45、または50質量%であり得、一方、最大エチレン転化率は、99、95、90、80、75、70、または65質量%であり得る。概して、反応ゾーンにおけるエチレン転化率は、本明細書に記載される任意の最小転化率から任意の最大転化率までの範囲であり得る。例えば、エチレン転化率は、20~100質量%、35~99質量%、30~90質量%、40~80質量%、50~70質量%、または55~65質量%であり得る。他の適切なエチレン転化率は、本開示から容易に明らかである。
【0063】
エチレンを再循環させるための開示された方法は、反応ゾーン流出物ストリームを、第1の方法のための第1のストリーム、第2のストリーム、及び第3のストリーム、または第2の方法のための第1のストリーム、第2のストリーム、第3のストリーム、及び第4のストリームに分離するステップを含む。それに限定されないが、反応ゾーン流出物ストリームを第1及び第2の方法の第1のストリームに分離するステップは、少なくとも2つの分離段階、または少なくとも2つの圧縮段階、または少なくとも2つの分離段階及び少なくとも2つの圧縮段階の両方を含み得る。フラッシング、加熱、蒸発、冷却/クエンチ、蒸留などの任意の好適な分離技術、ならびに2つ以上の分離技術の組み合わせを使用することができる。圧縮段階は、圧縮機を用いて行うことができるが、これに限定されない。開示された方法は、反応ゾーン流出物ストリームを第1のストリームに分離するために、少なくとも2つの分離段階、または少なくとも2つの圧縮段階、または少なくとも2つの分離段階及び少なくとも2つの圧縮段階を含むことができるが、実際の設計に応じて、第1及び第2の方法の第1のストリームのエチレン、ブテン(複数可)、または他の成分の全てが、少なくとも2つの分離段階、または少なくとも2つの圧縮段階、または少なくとも2つの分離段階及び少なくとも2つの圧縮段階を通過しなくてもよいことに留意すべきである。
【0064】
一態様では、反応ゾーン流出物ストリームを第1及び第2の方法の第1のストリームに分離することは、(a)反応ゾーン流出物ストリームを第1の蒸気ストリーム及び第1の液体ストリームに分離することと、(b)第1の液体ストリームを第2の蒸気ストリーム及び第2の液体ストリームに分離することと、(c)第2の蒸気ストリームを軽質分画及び第1のオリゴマー分画に分離することと、(d)第1の蒸気ストリームを軽質分画と合わせて、第1のストリーム及び軽質ガスパージストリームを形成することと、を含み得る。軽質ガスパージストリームは、水素(H)及び/またはメタンなどの軽質物を含有することができ、この態様では、軽質ガスパージストリームは、(質量%基準で)第1のストリーム中の水素よりも多い水素及び/または第1のストリーム中のメタンよりも多いメタンを含有することができる。
【0065】
これらに限定されないが、軽質ガスパージストリームは、5、4、3、2、または1質量%以下の水素、追加的に、または代替的に、5、4、3、2、または1質量%以下のメタンを含有することができる。一部の態様では、軽質ガスパージストリームは、(合計で)5、4、3、2、または1質量%以下の水素及びメタンを含有することができる。概して、軽質ガスパージストリームの総量は、第2のストリーム(大量のブテン(複数可)を含有する重質ガスパージストリーム)の総量よりも著しく少ない。また、これらに限定されないが、軽質ガスパージストリーム対第2のストリーム(重質ガスパージストリーム)の質量比は、1:5~1:20、代替的には1:6~1:15、代替的には1:7~1:12であり得る。さらなる態様では、軽質ガスパージストリームは、少なくとも80、85、90、92、94、または96質量%のエチレンを含有することができる。
【0066】
第1の方法のさらなる態様では、第2の液体ストリームは、オーバーヘッドストリーム、第2のストリーム、及び第3のストリームに分離することができる。第1の方法のオーバーヘッドストリーム、第2のストリーム、及び第3のストリームを形成するために、任意の好適な数の分離段階を使用することができ、フラッシング、蒸発、冷却/クエンチ、蒸留などの任意の好適な分離技術、ならびに2つ以上の分離技術の組み合わせを使用することができる。第2の方法のさらなる態様では、第2の液体ストリームは、オーバーヘッドストリーム、第2のストリーム、第3のストリーム、及び第4のストリームに分離することができる。任意の好適な数の分離段階を使用して、オーバーヘッドストリーム、第2のストリーム、第3のストリーム、及び第4のストリームを形成することができ、フラッシング、蒸発、冷却/クエンチ、蒸留などの任意の好適な分離技術、ならびに2つ以上の分離技術の組み合わせを使用することができる。
【0067】
本発明の態様と一致して、本明細書に記載されるエチレンを再循環させるための方法は、(1)エチレン、(2)触媒系または触媒系成分、(3)任意選択的に有機反応媒体、及び(4)任意選択的に水素を、オリゴマー化反応ゾーンに導入するステップと、オリゴマー生成物流出物を形成するステップと、オリゴマー化反応ゾーンからオリゴマー化反応ゾーン流出物ストリームを排出するステップと、をさらに含み得る。エチレン、触媒系または触媒系成分、有機反応媒体、及び水素は、本明細書に独立して記載され、これらの独立した記載は、非限定的に、任意の組み合わせで利用されて、本明細書に記載されるエチレンを再循環させるための方法をさらに記載することができる。
【0068】
エチレン、触媒系または触媒系成分、有機反応媒体、及び水素は、任意の順序または順番で混合させることができ、別々にまたは任意の組み合わせでオリゴマー化反応ゾーンに導入することができる。例えば、水素及びエチレンを合わせて、触媒系または触媒系成分とは別に反応ゾーンに供給することができる。本発明は、それぞれの供給ストリームが反応ゾーンに導入される方法によって限定されない。
【0069】
使用される場合、任意の好適な有機反応媒体(例えば、炭化水素)が、開示される方法において使用され得る。例示的な炭化水素としては、例えば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、石油蒸留物、もしくはこれらの組み合わせ、代替的には脂肪族炭化水素、または代替的には芳香族炭化水素が挙げられ得る。第1の有機反応媒体として使用することができる脂肪族炭化水素としては、C~C20脂肪族炭化水素、代替的にはC~C15脂肪族炭化水素、代替的にはC~C10脂肪族炭化水素が挙げられる。脂肪族炭化水素は、別段の指定がない限り、環式であっても非環式であってもよく、及び/または直鎖であっても分枝鎖であってもよい。一部の態様では、第1の有機反応媒体として利用され得る脂肪族炭化水素は、炭化水素オレフィン(直鎖もしくは分岐、または末端もしくは内部)であり得る。単独でまたは任意の組み合わせで利用され得る好適な非環式脂肪族炭化水素反応媒体の非限定的な例としては、プロパン、イソ-ブタン、n-ブタン、ブタン(n-ブタンまたは直鎖及び分岐C非環式脂肪族炭化水素の混合物)、ペンタン(n-ペンタンまたは直鎖及び分岐C非環式脂肪族炭化水素の混合物)、ヘキサン(n-ヘキサンまたは直鎖及び分岐C非環式脂肪族炭化水素の混合物)、ヘプタン(n-ヘプタンまたは直鎖及び分岐C非環式脂肪族炭化水素の混合物)、オクタン(n-オクタンまたは直鎖及び分岐C非環式脂肪族炭化水素の混合物)、またはそれらの組み合わせ、代替的にはイソ-ブタン、n-ブタン、ブタン(n-ブタンまたは直鎖及び分岐C非環式脂肪族炭化水素の混合物)、ペンタン(n-ペンタンまたは直鎖及び分岐C非環式脂肪族炭化水素の混合物)、ヘキサン(n-ヘキサンまたは直鎖及び分岐C非環式脂肪族炭化水素の混合物)、ヘプタン(n-ヘプタンまたは直鎖及び分岐C非環式脂肪族炭化水素の混合物)、オクタン(n-オクタンまたは直鎖及び分岐C非環式脂肪族炭化水素の混合物)、またはそれらの組み合わせ、代替的にはイソ-ブタン、n-ブタン、ブタン(n-ブタンまたは直鎖及び分岐C非環式脂肪族炭化水素の混合物)、ペンタン(n-ペンタンまたは直鎖及び分岐C非環式脂肪族炭化水素の混合物)、ヘプタン(n-ヘプタンまたは直鎖及び分岐C非環式脂肪族炭化水素の混合物)、オクタン(n-オクタンまたは直鎖及び分岐C非環式脂肪族炭化水素の混合物)、またはそれらの組み合わせ、代替的にはプロパン、代替的にはイソブタン、代替的にはn-ブタン、代替的にはブタン(n-ブタンまたは直鎖及び分岐C非環式脂肪族炭化水素の混合物)、代替的にはペンタン(n-ペンタンまたは直鎖及び分岐C非環式脂肪族炭化水素の混合物)、代替的にはヘキサン(n-ヘキサンまたは直鎖及び分岐C非環式脂肪族炭化水素の混合物)、代替的にはヘプタン(n-ヘプタンまたは直鎖及び分岐C非環式脂肪族炭化水素の混合物)、または代替的にはオクタン(n-オクタンまたは直鎖及び分岐C非環式脂肪族炭化水素の混合物)が挙げられる。他の態様では、非環式脂肪族反応媒体は、オリゴマー化の生成物(例えば、1-ヘキセン及び/または1-オクテン)であり得る。好適な環状脂肪族炭化水素反応媒体の非限定的な例としては、シクロヘキサン及びメチルシクロヘキサン、代替的にはシクロヘキサン、または代替的にはメチルシクロヘキサンが挙げられる。有機反応媒体として有用であり得る芳香族炭化水素としては、C~C20芳香族炭化水素、代替的にはC~C10芳香族炭化水素が挙げられる。単独でまたは任意の組み合わせで利用され得る好適な芳香族炭化水素の非限定的な例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン(オルト-キシレン、メタ-キシレン、パラ-キシレン、またはこれらの混合物を含む)、及びエチルベンゼン、またはこれらの組み合わせ、代替的にはベンゼン、代替的にはトルエン、代替的にはキシレン(オルト-キシレン、メタ-キシレン、パラ-キシレン、またはこれらの混合物を含む)、または代替的にはエチルベンゼンが挙げられる。本発明の特定の態様では、有機反応媒体は、シクロヘキサンを含むか、または本質的にそれからなるか、またはそれからなることができる。
【0070】
触媒系または触媒系成分は、(i)ヘテロ原子配位子遷移金属化合物錯体(またはヘテロ原子配位子クロム化合物錯体)及び有機アルミニウム化合物、または(ii)ヘテロ原子配位子、遷移金属化合物(またはクロム化合物)、及び有機アルミニウム化合物を含み得る。触媒系及び触媒系成分は、本明細書でより詳細に開示される。
【0071】
オリゴマー化反応ゾーンにおいてオリゴマー生成物流出物を形成することは、任意の好適なオリゴマー化温度及び圧力で実施することができる。多くの場合、オリゴマー生成物は、0℃、20℃、30℃、40℃、45℃、または50℃の最低温度、追加的に、または代替的に、165℃、160℃、150℃、140℃、130℃、115℃、100℃、または90℃の最高温度で形成され得る。概して、オリゴマー生成物が形成されるオリゴマー化温度は、本明細書に開示される任意の最低温度から本明細書に開示される任意の最高温度までの範囲であり得る。したがって、好適な非限定的な範囲としては、0℃~165℃、20℃~160℃、20℃~115℃、40℃~160℃、40℃~140℃、50℃~150℃、50℃~140℃、50℃~130℃、50℃~100℃、60℃~115℃、70℃~100℃、または75℃~95℃が挙げられ得る。他の適切なオリゴマー化温度及び温度範囲は、本開示から容易に明らかである。
【0072】
オリゴマー生成物は、50psig(344kPa)、100psig(689kPa)、200psig(1.4MPa)、または250psig(1.5MPa)の最小圧力(またはエチレン分圧)で、追加的にまたは代替的に、4,000psig(27.6MPa)、3,000psig(20.9MPa)、2,000psig(13.8MPa)、または1,500psig(10.3MPa)の最大圧力(またはエチレン分圧)で形成され得る。概して、オリゴマー生成物が形成されるオリゴマー化圧力(またはエチレン分圧)は、本明細書に開示される任意の最小圧力から本明細書に開示される任意の最大圧力までの範囲であり得る。したがって、好適な非限定的な範囲としては、50psig(344kPa)~4,000psig(27.6MPa)、100psig(689kPa)~3,000psig(20.9MPa)、100psig(689kPa)~2,000psig(13.8MPa)、200psig(1.4MPa)~2,000psig(13.8MPa)、200psig(1.4MPa)~1,500psig(10.3MPa)、または250psig(1.5MPa)~1,500psig(10.3MPa)が挙げられ得る。他の適切なオリゴマー化圧力(またはエチレン分圧)は、本開示から容易に明らかである。
【0073】
使用される場合、水素は、反応ゾーンに直接供給され得るか、または水素は、反応ゾーンの前にエチレン供給物と混合され得る。反応ゾーンでは、水素分圧は、少なくとも1psig(6.9kPa)、5psig(34kPa)、10psig(69kPa)、25psig(172kPa)、または50psig(345kPa)、追加的に、または代替的に、2000psig(13.8MPa)、1750psig(12.1MPa)、1500psig(10.3MPa)、1250psig(8.6MPa)、1000psig(6.9MPa)、750psig(5.2MPa)、500psig(3.4MPa)、または400psig(2.8MPa)の最大水素分圧であり得る。概して、水素分圧は、本明細書に開示される任意の最小水素分圧から本明細書に開示される任意の最大水素分圧までの範囲であり得る。したがって、水素分圧の好適な非限定的な範囲としては、以下の範囲、すなわち1psig(6.9kPa)~2000psig(13.8MPa)、1psig(6.9kPa)~1750psig(12.1MPa)、5psig(34kPa)~1500psig(10.3MPa)、5psig(34kPa)~1250psig(8.6MPa)、10psig(69kPa)~1000psig(6.9MPa)、10psig(69kPa)~750psig(5.2MPa)、10psig(69kPa)~500psig(3.5MPa)、25psig(172kPa)~750psig(5.2MPa)、25psig(172kPa)~500psig(3.4MPa)、25psig(172kPa)~400psig(2.8MPa)、または50psig(345kPa)~500psig(3.4MPa)が挙げられ得る。オリゴマー生成物の形成のための反応ゾーンにおける他の適切な水素分圧は、本開示から容易に明らかである。
【0074】
オリゴマー生成物が形成されるオリゴマー化反応ゾーンは、任意の好適な反応器を含み得る。反応器タイプの非限定的な例としては、撹拌槽反応器、栓流反応器、またはそれらの任意の組み合わせ、代替的には固定床反応器、連続撹拌槽反応器、ループスラリー反応器、溶液反応器、管型反応器、再循環反応器、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。一態様では、反応ゾーンは、直列または並列の2つ以上の反応器を有することができ、反応器のタイプ及び配置の任意の組み合わせを含む。さらに、オリゴマー生成物を形成するために使用されるオリゴマー化プロセスは、連続プロセスまたはバッチプロセスであり得、またはオリゴマー化反応系内の任意の反応器または容器は、連続的またはバッチ式で操作され得る。
【0075】
図1は、本発明の一態様によるエチレンのオリゴマー化反応系10を示している。システム10は、オリゴマー化反応ゾーン20及び分離システム60を含み得る。オリゴマー化反応ゾーンへの供給ストリーム15(1つ以上の供給ストリームを表す)は、例えば、触媒系供給ストリーム、有機反応媒体供給ストリーム、エチレン供給ストリーム、及び水素供給ストリーム(水素が使用される場合)を含むことができ、これらの供給ストリームは、オリゴマー化反応ゾーン20に直接供給することができるか、またはこれらの供給ストリームのいずれかをオリゴマー化反応ゾーン20の前に合わせて、得られた混合物をオリゴマー化反応ゾーン20に供給することができる。供給成分をオリゴマー化反応ゾーン20に導入することができる多くの異なる選択肢があり、本発明は、オリゴマー化反応ゾーンに入る供給ストリーム15の特定の構成によって限定されないことが理解される。さらに、図1は、供給ストリーム15がオリゴマー化反応ゾーン20に直接導入されることを示しているが、オリゴマー化反応ゾーン20の供給物の一部は、オリゴマー化反応ゾーン20に入る前に、エチレン再循環ストリーム、すなわち第1のストリーム95に導入され得ることがさらに企図されることに留意すべきである。例えば、エチレンの全てもしくは一部、有機反応媒体の全てもしくは一部、またはそれらの組み合わせを、オリゴマー化反応ゾーンに入れる前にエチレン再循環ストリームに導入することができる。米国特許出願公開第2017/0342000号は、他の方法の中でも、供給ストリーム15をオリゴマー化反応ゾーン20に導入するために利用することができる、供給ストリームをオリゴマー化反応ゾーンに導入するための潜在的な方法を記載している。
【0076】
エチレンのオリゴマー化は、オリゴマー化反応ゾーン20で起こり、反応ゾーンを出るのは反応ゾーン流出物ストリーム25であり、これは、1-ヘキセン及び1-オクテンなどの所望のオリゴマー生成物の単離、ならびにエチレンの回収のための分離システム60に入る。分離システム60はまた、触媒不活性化のために構成され得る。分離システム60を出る主要ストリームは、第1のストリーム95、第2のストリーム63、第3のストリーム65、及び第4のストリーム67である。第1のストリーム95は、5質量%未満のC4+オリゴマーとともに主にエチレンを含有し、本明細書に開示される第1のまたは第2の方法の組成特性の任意の他の第1のストリームを有することができる。第1のストリームは反応ゾーン20に再循環される。第2のストリーム63は、10質量%未満のC6+オリゴマー(重質ガスパージストリームとも称される)とともに1-ブテンなどのブテン(複数可)を含有し、本明細書に開示される第2の方法の組成特性の任意の他の第2のストリームを有することができる。第3のストリーム65は、少なくとも96質量%のヘキセン(複数可)を含有し、その大部分は1-ヘキセンであり、本明細書に開示される第2の方法の組成特性の任意の他の第3のストリームを有することができる。第4のストリーム67は、少なくとも96質量%のオクテン(複数可)を含有し、その大部分は1-オクテンであり、本明細書に開示される第2の方法の組成特性の任意の他の第4のストリームを有することができる。
【0077】
ここで図2を参照すると、本発明の一態様と一致する別のエチレンオリゴマー化反応系100が示されている。システム100は、オリゴマー化反応ゾーン120、第1の段階分離器130、第2の段階分離器140、ノックアウトポット150、液体オリゴマー分離システム160、第1の段階圧縮機170、ノックアウトポット180、及び第2の段階圧縮機190を含み得る。図2の供給ストリーム115(1つ以上の供給ストリームを表す)、オリゴマー化反応ゾーン120、反応ゾーン流出物ストリーム125、第2のストリーム163(ブテン(複数可)及び10質量%未満のC6+オリゴマー)、第3のストリーム165(少なくとも96質量%のヘキセン(複数可))、第4のストリーム167(少なくとも96質量%のオクテン(複数可))、及び第1のストリーム195(エチレン及び5質量%未満のC4+オリゴマー)は、概して、図1の同様の番号の構成要素について記載されたものと同じである。図1の分離システム60は、全てではないが追加の潜在的な分離スキームの詳細を有する図2の分離スキームを提供するために著しく拡張されている。
【0078】
図2の反応ゾーン流出物ストリーム125は、第1の段階分離器130に入り、第1の液体ストリーム132及び第1の蒸気ストリーム138は、第1の段階分離器130を出る。第1の液体ストリームは第2の段階分離器140に入り、第2の液体ストリーム142及び第2の蒸気ストリーム148は第2の段階分離器140を出る。第2の液体ストリーム142は、液体オリゴマー分離システム160に供給される。
【0079】
第2の蒸気ストリーム148はノックアウトポット150に供給され、そこから第1のオリゴマー分画155が出て、液体オリゴマー分離システム160に供給され、一方、蒸気ストリーム158は出て、第1の段階圧縮機170に供給される。圧縮機170からの軽質分画173は、第1の蒸気ストリーム138と合わせて混合軽質ストリーム178を形成し、これはノックアウトポット180に入る。ノックアウトポット180を出るのは、液体オリゴマー分離システム160に供給される液体ストリーム183、軽質ガスパージストリーム185、及び第2の段階圧縮機190に入って第1のストリーム195を形成し、反応ゾーン120に再循環される低圧エチレンストリーム188である。
【0080】
図2の液体オリゴマー分離システム160において、主要オリゴマー生成物ストリーム、すなわち第3のストリーム165(少なくとも96質量%のヘキセン(複数可))及び第4のストリーム167(少なくとも96質量%のオクテン(複数可))が形成され、単離される。ブテン(複数可)及び10質量%未満のC6+オリゴマーを含有する重質ガスパージストリーム(第2のストリーム163)及びオーバーヘッド軽質ストリーム161も、液体オリゴマー分離システム160を出る。
【0081】
一態様では、本明細書に記載される方法によって生成されるオクテン(複数可)ストリーム(第1の方法の第3のストリーム及び第2の方法の第4のストリーム)は、第1の方法の第3のストリーム及び第2の方法の第4のストリーム中の総オクテン(複数可)に基づいて、少なくとも95質量%、96質量%、96.5質量%、97質量%、97.5質量%、98.5質量%、または99質量%の1-オクテンを含み得る。他の態様では、本明細書に記載される方法によって生成されるオクテン(複数可)ストリーム(第1の方法の第3のストリーム及び第2の方法の第4のストリーム)は、第1の方法の第3のストリーム及び第2の方法の第4のストリーム中の総オクテン(複数可)に基づいて、95質量%~99.9質量%、96質量%~99.9質量%、96.5質量%~99.9質量%、97質量%~99.9質量%、97.5質量%~99.9質量%、98質量%~99.9質量%、または98.5質量%~99.9質量%の1-オクテンを含有し得る。
【0082】
一態様では、本明細書に記載される方法によって生成されるヘキセン(複数可)ストリーム(第2の方法の第3のストリーム)は、第2の方法の第3のストリーム中の総ヘキセン(複数可)に基づいて、少なくとも90質量%、92.5質量、95質量%、97質量%、98質量%、98.5質量%、または99質量%の1-ヘキセンを含み得る。他の態様では、ヘキセン(複数可)ストリーム(第2の方法の第3のストリーム)は、第2の方法の第3のストリーム中の総ヘキセン(複数可)に基づいて、90質量%~99.9質量%、92.5質量%~99.9質量%、95質量%~99.9質量%、97質量%~99.9質量%、98質量%~99.9質量%、98.5質量%~99.9質量%、または99質量%~99.9質量%の1-ヘキセンを含有し得る。
【0083】
触媒系
本明細書に開示される方法は、i)ヘテロ原子配位子遷移金属化合物錯体及び有機アルミニウム化合物、またはii)ヘテロ原子配位子、遷移金属化合物、及び有機アルミニウム化合物、代替的にはヘテロ原子配位子遷移金属化合物錯体及び有機アルミニウム化合物、代替的にはヘテロ原子配位子、遷移金属化合物、及び有機アルミニウム化合物を含む触媒系(または触媒系混合物)を利用することができる。一態様では、触媒系(または触媒系混合物)は、(任意選択で)触媒系有機媒体をさらに含み得る。一部の態様では、i)ヘテロ原子配位子遷移金属化合物錯体及び有機アルミニウム化合物、またはii)ヘテロ原子配位子、遷移金属化合物、及び有機アルミニウム化合物を含む触媒系(または触媒系混合物)は、反応ゾーン内の反応混合物中に導入することができる。他の態様では、i)ヘテロ原子配位子遷移金属化合物錯体及び有機アルミニウム化合物、またはii)ヘテロ原子配位子、遷移金属化合物、及び有機アルミニウム化合物のうちの少なくとも1つは、触媒系(または触媒系混合物)の他の成分とは別に、反応ゾーン内の反応混合物に導入することができる。ヘテロ原子配位子、遷移金属化合物、ヘテロ原子配位子遷移金属化合物錯体、ヘテロ原子配位子遷移金属化合物錯体のヘテロ原子配位子、ヘテロ原子配位子遷移金属化合物の遷移金属化合物、有機アルミニウム化合物、及び任意の触媒系有機媒体は、本明細書に記載されるプロセス及び反応系の独立した要素であり、本明細書に独立して記載される。これらの独立して記載される触媒系(または触媒系混合物)要素は、本明細書に提供されるプロセス及び反応系をさらに記載するために、非限定的に、任意の組み合わせで利用され得る。
【0084】
一態様では、ヘテロ原子配位子遷移金属化合物錯体または遷移金属化合物MXの遷移金属原子は、任意の遷移金属原子であり得る。一実施形態では、遷移金属化合物の遷移金属原子は、3~12族、4~10族、6~9族、または7~8族遷移金属を含むか、または本質的にそれらからなることができる。一部の実施形態では、遷移金属化合物の遷移金属原子は、4族遷移金属、代替的には5族遷移金属、代替的には6族遷移金属、代替的には7族遷移金属、代替的には8族遷移金属、代替的には9族遷移金属、または代替的には10族遷移金属を含むか、または本質的にそれらからなることができる。一実施形態では、遷移金属化合物の遷移金属原子は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、白金、銅、もしくは亜鉛、代替的にはチタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、もしくは白金、代替的にはクロム、鉄、コバルト、もしくはニッケル、代替的にはチタン、ジルコニウム、もしくはハフニウム、代替的にはバナジウムもしくはニオブ、代替的にはクロム、モリブデン、もしくはタングステン、代替的には鉄もしくはコバルト、または代替的にはニッケル、パラジウム、白金、銅、もしくは亜鉛を含むか、または本質的にそれらからなることができる。他の実施形態では、金属塩は、チタン、代替的にはジルコニウム、代替的にはハフニウム、代替的にはバナジウム、代替的にはニオブ、代替的にはタンタル、代替的にはクロム、代替的にはモリブデン、代替的にはタングステン、代替的にはマンガン、代替的には鉄、代替的にはコバルト、代替的にはニッケル、代替的にはパラジウム、代替的には白金、代替的には銅、または代替的には亜鉛を含み得る。概して、ヘテロ原子配位子遷移金属化合物錯体または遷移金属化合物、MXの遷移金属原子は、遷移金属原子に利用可能な任意の正の酸化状態を有することができる。一実施形態では、遷移金属原子は、+2~+6、代替的には+2~+4、または代替的には+2~+3の酸化状態を有することができる。一部の実施形態では、遷移金属化合物MXの遷移金属原子は、+1、代替的には+2、代替的には+3、または代替的には+4の酸化状態を有することができる。
【0085】
本明細書に開示される方法は、i)ヘテロ原子配位子クロム化合物錯体及び有機アルミニウム化合物、またはii)ヘテロ原子配位子、クロム化合物、及び有機アルミニウム化合物、代替的にはヘテロ原子配位子クロム化合物錯体及び有機アルミニウム化合物、または代替的にはヘテロ原子配位子、クロム化合物、及び有機アルミニウム化合物を含む触媒系(または触媒系混合物)を利用することができる。一態様では、触媒系(または触媒系混合物)は、(任意選択で)触媒系有機媒体をさらに含み得る。一部の態様では、i)ヘテロ原子配位子クロム化合物錯体及び有機アルミニウム化合物、またはii)ヘテロ原子配位子、クロム化合物、及び有機アルミニウム化合物を含む触媒系(または触媒系混合物)は、反応ゾーン内の反応混合物中に導入することができる。他の態様では、i)ヘテロ原子配位子クロム化合物錯体及び有機アルミニウム化合物、またはii)ヘテロ原子配位子、クロム化合物、及び有機アルミニウム化合物のうちの少なくとも1つは、触媒系(または触媒系混合物)の他の成分とは別に、反応ゾーン内の反応混合物に導入することができる。ヘテロ原子配位子、クロム化合物、ヘテロ原子配位子クロム化合物錯体、ヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のヘテロ原子配位子、ヘテロ原子配位子クロム化合物のクロム化合物、有機アルミニウム化合物、及び任意の触媒系有機媒体は、本明細書に記載されるプロセス及び反応系の独立した要素であり、本明細書に独立して記載される。これらの独立して記載される触媒系(または触媒系混合物)要素は、本明細書に提供されるプロセス及び反応系をさらに記載するために、非限定的に、任意の組み合わせで利用され得る。
【0086】
好適な触媒系有機媒体の非限定的な例としては、芳香族炭化水素などの炭化水素が挙げられる。単独でまたは任意の組み合わせで利用され得る芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン(オルト-キシレン、メタ-キシレン、パラ-キシレン、またはこれらの混合物を含む)、及びエチルベンゼン、またはこれらの組み合わせ、代替的にはベンゼン、代替的にはトルエン、代替的にはキシレン(オルト-キシレン、メタ-キシレン、パラ-キシレン、またはこれらの混合物を含む)、または代替的にはエチルベンゼンが挙げられる。本発明の特定の態様では、触媒系有機媒体は、エチルベンゼンを含むか、または本質的にそれからなるか、またはそれからなることができる。
【0087】
概して、ヘテロ原子配位子またはヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のヘテロ原子配位子は、本明細書に記載されるプロセス及び/または反応系のために本明細書に記載される触媒系(または触媒系混合物)において利用される場合、反応ゾーンにおいてオリゴマー生成物を形成することができる任意のヘテロ原子配位子であり得る。一態様では、ヘテロ原子配位子またはヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のヘテロ原子配位子は、中性ヘテロ原子配位子もしくはアニオン性ヘテロ原子配位子、代替的には中性ヘテロ原子配位子、または代替的にはアニオン性ヘテロ原子配位子であり得る。一態様では、中性ヘテロ原子配位子は、1つ以上のヘテロ原子錯体形成部分、代替的には2つのヘテロ原子錯体形成、または代替的には3つのヘテロ原子錯体形成部分を含み得る。一態様では、アニオン性ヘテロ原子配位子はまた、1つ以上の中性ヘテロ原子錯体形成部分、代替的には2つのヘテロ原子錯化、または代替的には3つのヘテロ原子錯体形成部分を含み得る。一態様では、中性ヘテロ原子錯体形成部分を含む中性配位子またはアニオン性配位子の各中性ヘテロ原子錯体形成部分は、独立して、エーテル基、スルフィド基、アミン基、イミン基、ホスフィン基、ホスフィナイト基、ホスホナイト基、またはホスファイト基、代替的にはエーテル基、スルフィド基、アミン基、イミン基、もしくはホスフィン基、代替的にはエーテル基、代替的にはスルフィド基、代替的にはアミン基、代替的にはイミン基、または代替的にはホスフィン基である。一態様では、アニオン性ヘテロ原子配位子のアニオン原子(クロム化合物のクロムと共有結合またはイオン結合を形成する)は、アニオン性炭素の原子、アニオン性酸素、またはアニオン性窒素原子、代替的にはアニオン性炭素の原子、代替的にはアニオン性酸素、または代替的にはアニオン性窒素原子であり得る。
【0088】
任意の態様では、ヘテロ原子配位子またはヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のヘテロ原子配位子は、N-ホスフィニルホルムアミジン、N-ホスフィニルアミジン、N-ホスフィニルグアニジン、複素環式2-[(ホスフィニル)アミニル]イミン、またはそれらの任意の組み合わせ、代替的にはN-ホスフィニルホルムアミジン、代替的にはN-ホスフィニルアミジン、代替的にはN-ホスフィニルグアニジン、または代替的には複素環式2-[(ホスフィニル)アミニル]イミンを含み得るか、本質的にそれらからなることができるか、またはそれらであり得る。概して、N-ホスフィニルホルムアミジンは構造NPF1を有することができ、N-ホスフィニルアミジンは構造NPA1を有することができ、N-ホスフィニルグアニジンは構造Gu1、構造Gu2、構造Gu3、構造Gu4、または構造Gu5を有することができ、複素環式2-[(ホスフィニル)アミニル]イミンは構造HCPA1を有することができる。一部の態様では、N-ホスフィニルグアニジンは、構造Gu2、構造Gu3、もしくは構造Gu4、代替的には構造Gu1、代替的には構造Gu2、代替的には構造Gu3、代替的には構造Gu4、または代替的には構造Gu5を有する。

【化1】
【0089】
任意の態様では、ヘテロ原子配位子クロム化合物錯体は、N-ホスフィニルホルムアミジンクロム化合物錯体、N-ホスフィニルアミジンクロム化合物錯体、N-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体、複素環式2-[(ホスフィニル)アミニル]イミンクロム化合物錯体、またはそれらの任意の組み合わせ、代替的にはN-ホスフィニルホルムアミジンクロム化合物錯体、代替的にはN-ホスフィニルアミジンクロム化合物錯体、代替的にはN-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体、代替的にはN-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体、または代替的には複素環式2-[(ホスフィニル)アミニル]イミンクロム化合物錯体を含み得るか、本質的にそれらからなることができるか、またはそれらであり得る。概して、N-ホスフィニルホルムアミジンクロム化合物錯体は構造NPFCr1を有することができ、N-ホスフィニルアミジンクロム化合物錯体は構造NPACr1を有することができ、N-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体は構造GuCr1、構造GuCr2、構造GuCr3、構造GuCr4、または構造GuCr5を有することができ、ヘテロ環式2-[(ホスフィニル)アミニル]イミンクロム化合物錯体は構造HCPACr1を有することができる。一部の態様では、N-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体は、構造GuCr2、構造GuCr3、もしくは構造GuCr4、代替的には構造GuCr1、代替的には構造GuCr2、代替的には構造GuCr3、代替的には構造GuCr4、または代替的には構造GuCr5を有する。

【化2】
【0090】
-ホスフィニルホルムアミジン、N-ホスフィニルホルムアミジンクロム化合物錯体、N-ホスフィニルアミジン、N-ホスフィニルアミジンクロム化合物錯体、及び複素環2-[(ホスフィニル)アミニル]イミンクロム化合物錯体の中で、中心炭素の原子との二重結合に関与する窒素は、N窒素と称され、中心炭素の原子との一重結合に関与する窒素原子は、N窒素と称される。同様に、N-ホスフィニルグアニジン及びN-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体内で、グアニジンコアの中心炭素の原子との二重結合に関与する窒素は、N窒素と称され、グアニジンコアの中心炭素の原子との一重結合及びホスフィニル基のリン原子との結合に関与する窒素原子は、N窒素と称され、グアニジンコアの中心炭素の原子との一重結合に関与する残りの窒素原子は、N窒素と称される。N-ホスフィニルグアニジン及びN-ホスフィニルグアニジンクロム錯体中のグアニジンのグアニジン基は、その名称中にグアニジンを含まないより大きな基の一部であり得ることに留意すべきである。例えば、化合物7-ジメチルホスフィニルイミダゾ[1,2-a]イミダゾールは、イミダゾ[1,2-a]イミダゾールコアを有する化合物(またはホスフィニルイミダゾ[1,2-a]イミダゾール基を有する化合物)として分類され得るが、7-ジメチルホスフィニルイミダゾ[1,2-a]イミダゾールは、グアニジン化合物の規定された一般構造を含有するため、グアニジンコアを有する化合物(またはグアニジン基を有する化合物)としてなお分類される。
【0091】
-ホスフィニルホルムアミジン構造及びN-ホスフィニルホルムアミジンクロム化合物錯体構造内のR、R、R、及びR、N-ホスフィニルアミジン構造及びN-ホスフィニルアミジンクロム化合物錯体構造内のR、R、R、R、及びR、N-ホスフィニルグアニジン構造及びN-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体構造内のR、R2a、R2b、R、R、R、L12、L22、及びL23、ならびに複素環式2-[(ホスフィニル)アミニル]イミン構造及び複素環式2-[(ホスフィニル)アミニル]イミンクロム化合物錯体構造内のL12、T、R、R、及びRは、独立して、本明細書に記載されており、本明細書に開示されるN-ホスフィニルホルムアミジン構造、N-ホスフィニルホルムアミジンクロム化合物錯体構造、N-ホスフィニルアミジン構造、N-ホスフィニルアミジンクロム化合物錯体構造、N-ホスフィニルグアニジン構造、N-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体構造、複素環2-[(ホスフィニル)アミニル]イミン構造、及び複素環2-[(ホスフィニル)アミニル]イミンクロム化合物錯体構造をさらに記載するために、非限定的に、任意の組み合わせで利用され得る。N-ホスフィニルホルムアミジンクロム化合物錯体構造、N-ホスフィニルアミジンクロム化合物錯体構造、N-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体構造、及び複素環式2-[(ホスフィニル)アミニル]イミンクロム化合物錯体構造のX、Q、及びqは、独立して本明細書に記載されており、本明細書に開示されるN-ホスフィニルホルムアミジンクロム化合物錯体構造、N-ホスフィニルアミジンクロム化合物錯体構造、N-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体構造、及び複素環式2-[(ホスフィニル)アミニル]イミンクロム化合物錯体構造をさらに記載するために、非限定的に、任意の組み合わせで利用され得る。さらに、X、Q、及びqの独立した記載は、非限定的に、独立して記載されたR、R、R2a、R2b、R、R、R、L12、L22、及びL23と混合されて、本明細書中で意図される適切なN-ホスフィニルホルムアミジンクロム化合物錯体構造、N-ホスフィニルアミジンクロム化合物錯体構造、N-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体構造、及び複素環式2-[(ホスフィニル)アミニル]イミンクロム化合物錯体構造をさらに記載することができる。
【0092】
概して、R基を有するN-ホスフィニルホルムアミジン、N-ホスフィニルホルムアミジンクロム化合物錯体、N-ホスフィニルアミジン、N-ホスフィニルアミジンクロム化合物錯体、N-ホスフィニルグアニジン、及び/またはN-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体のRは、オルガニル基、代替的には不活性官能基からなるオルガニル基、または代替的にはヒドロカルビル基であり得る。一態様では、Rオルガニル基は、C~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cオルガニル基であり得る。一態様では、不活性官能基からなるRオルガニル基は、不活性官能基からなるC~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cオルガニル基であり得る。一態様では、Rヒドロカルビル基は、C~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cヒドロカルビル基であり得る。
【0093】
一態様では、R基を有する、N-ホスフィニルホルムアミジン、N-ホスフィニルホルムアミジンクロム化合物錯体、N-ホスフィニルアミジン、N-ホスフィニルアミジンクロム化合物錯体、N-ホスフィニルグアニジン、及び/またはN-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体のRは、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、または置換アラルキル基、代替的にはアルキル基または置換アルキル基、代替的にはシクロアルキル基または置換シクロアルキル基、代替的にはアリール基または置換アリール基、代替的にはアラルキル基もしくは置換アラルキル基、代替的にはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、もしくはアラルキル基、代替的にはアルキル基、代替的には置換アルキル基、代替的にはシクロアルキル基、代替的には置換シクロアルキル基、代替的にはアリール基、代替的には置換アリール基、代替的にはアラルキル基、または代替的には置換アラルキル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、Rアルキル基は、C~C20、C~C10、またはC~Cアルキル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、R置換アルキル基は、C~C20、C~C10、またはC~C置換アルキル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、Rシクロアルキル基は、C~C20、C~C15、またはC~C10シクロアルキル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、R置換シクロアルキル基は、C~C20、C~C15、またはC~C10置換シクロアルキル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、Rアリール基は、C~C20、C~C15、またはC~C10アリール基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、R置換アリール基は、C~C20、C~C15、またはC~C10置換アリール基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、Rアラルキル基は、C~C20、C~C15、またはC~C10アラルキル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、R置換アラルキル基は、C~C20、C~C15、またはC~C10置換アラルキル基であり得る。置換アルキル基(一般的もしくは特定の)、置換シクロアルキル基(一般的もしくは特定の)、置換アリール基(一般的もしくは特定の)、及び/または置換アラルキル基(一般的もしくは特定の)の各置換基は、ハロゲン、ヒドロカルビル基、もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルビル基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、代替的にはヒドロカルビル基、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基(一般的及び特定の)、及び置換基ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定の)は、本明細書において独立して開示される。これらの置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基、及び置換基ヒドロカルボキシ基は、置換R基をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0094】
一態様では、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、もしくはオクチル基、または代替的にはメチル基、エチル基、n-プロピル(1-プロピル)基、イソ-プロピル(2-プロピル)基、tert-ブチル(2-メチル-2-プロピル)基、もしくはネオペンチル(2,2-ジメチル-1-プロピル)基であり得る。一部の態様では、Rとして利用され得るアルキル基は置換されていてもよい。置換アルキル基(一般的または特定の)の各置換基は、独立して、ハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換ハロゲン及び置換ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定の)は、本明細書において独立して開示される。これらの置換基ハロゲン及び置換基ヒドロカルボキシ基は、Rとして利用され得る置換アルキル基をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0095】
一態様では、Rは、シクロペンチル基、置換シクロペンチル基、シクロヘキシル基、もしくは置換シクロヘキシル基、代替的にはシクロペンチル基もしくは置換シクロペンチル基、または代替的にはシクロヘキシル基もしくは置換シクロヘキシル基であり得る。一態様では、Rとして利用され得る置換シクロアルキル基は、2-置換シクロヘキシル基、2,6-二置換シクロヘキシル基、2-置換シクロペンチル基、もしくは2,5-二置換シクロペンチル基、代替的には2-置換シクロヘキシル基もしくは2,6-二置換シクロヘキシル基、代替的には2-置換シクロペンチル基もしくは2,5-二置換シクロペンチル基、代替的には2-置換シクロヘキシル基もしくは2-置換シクロペンチル基、または代替的には2,6-二置換シクロヘキシル基もしくは2,5-二置換シクロペンチル基であり得る。一態様では、Rとして利用される多置換シクロアルキル基の1つ以上の置換基は、同じであっても異なっていてもよく、代替的には多置換シクロアルキル基の全ての置換基は、同じであってもよく、または代替的には多置換シクロアルキル基の全ての置換基は、異なっていてもよい。指定された数の環炭素原子を有する置換シクロアルキル基の各置換基は、独立して、ハロゲン、ヒドロカルビル基、もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルビル基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、代替的にはヒドロカルビル基、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基(一般的及び特定の)、及び置換基ヒドロカルボキシ(一般的及び特定の)基は、本明細書において独立して開示される。これらの置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基、及び置換基ヒドロカルボキシ基は、Rとして利用され得る置換シクロアルキル基(一般的または特定の)をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0096】
非限定的な態様では、Rは、シクロヘキシル基、2-アルキルシクロヘキシル基、もしくは2,6-ジアルキルシクロヘキシル基、または代替的にはシクロペンチル基、2-アルキルシクロペンチル基、もしくは2,5-ジアルキルシクロペンチル基であり得る。アルキル置換基(一般的及び特定の)は、本明細書中で独立して記載され、これらのアルキル置換基は、Rとして利用され得るアルキルシクロヘキシル基(一般的及び特定の)、ジアルキルシクロヘキシル基(一般的及び特定の)、アルキルシクロペンチル基(一般的または特定の)、及び/またはジアルキルシクロペンチル基(一般的及び特定の)をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。概して、ジアルキルシクロヘキシル基またはジアルキルシクロペンチル基のアルキル置換基は、同じであってもよく、代替的にはジアルキルシクロヘキシル基またはジアルキルシクロペンチル基のアルキル置換基は、異なっていてもよい。一部の非限定的な態様では、Rは、2-メチルシクロヘキシル基、2-エチルシクロヘキシル基、2-イソプロピルシクロヘキシル基、2-tert-ブチルシクロヘキシル基、2,6-ジメチルシクロヘキシル基、2,6-ジエチルシクロヘキシル基、2,6-ジイソプロピルシクロヘキシル基、または2,6-ジ-tert-ブチルシクロヘキシル基であり得る。他の非限定的な態様では、Rは、2-メチルシクロヘキシル基、2-エチルシクロヘキシル基、2-イソプロピルシクロヘキシル基、または2-tert-ブチルシクロヘキシル基、代替的には2,6-ジメチルシクロヘキシル基、2,6-ジエチルシクロヘキシル基、2,6-ジイソプロピルシクロヘキシル基、または2,6-ジ-tert-ブチルシクロヘキシル基であり得る。
【0097】
一態様では、Rは、フェニル基、置換フェニル基、代替的にはフェニル基、または代替的には置換フェニル基であり得る。一態様では、Rとして利用され得る置換フェニル基は、2-置換フェニル基、3-置換フェニル基、4-置換フェニル基、2,4-二置換フェニル基、2,6-二置換フェニル基、3,5-二置換フェニル基、もしくは2,4,6-三置換フェニル基、代替的には2-置換フェニル基、4-置換フェニル基、2,4-二置換フェニル基、もしくは2,6-二置換フェニル基、代替的には3-置換フェニル基もしくは3,5-二置換フェニル基、代替的には2-置換フェニル基もしくは4-置換フェニル基、代替的には2,4-二置換フェニル基もしくは2,6-二置換フェニル基、または代替的には2,4,6-三置換フェニル基であり得る。一態様では、Rとして利用される多置換フェニル基の1つ以上の置換基は、同じであっても異なっていてもよく、代替的には多置換シクロアルキル基の全ての置換基は、同じであってもよく、または代替的には多置換シクロアルキル基の全ての置換基は、異なっていてもよい。置換フェニル基(一般的または特定の)の各置換基は、独立して、ハロゲン、ヒドロカルビル基、もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルビル基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、代替的にはヒドロカルビル基、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基(一般的及び特定の)、及び置換基ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定の)は、本明細書において独立して開示される。これらの置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基、及び置換基ヒドロカルボキシ基は、Rとして利用され得る置換フェニル基(一般的または特定の)をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0098】
非限定的な態様では、Rは、フェニル基、2-アルキルフェニル基、3-アルキルフェニル基、4-アルキルフェニル基、2,4-ジアルキルフェニル基、2,6-ジアルキルフェニル基、3,5-ジアルキルフェニル基、もしくは2,4,6-トリアルキルフェニル基、代替的には2-アルキルフェニル基、4-アルキルフェニル基、2,4-ジアルキルフェニル基、2,6-ジアルキルフェニル基、もしくは2,4,6-トリアルキルフェニル基、代替的には2-アルキルフェニル基もしくは4-アルキルフェニル基、代替的には2,4-ジアルキルフェニル基もしくは2,6-ジアルキルフェニル基、代替的には3-アルキルフェニル基もしくは3,5-ジアルキルフェニル基、代替的には2-アルキルフェニル基もしくは2,6-ジアルキルフェニル基、または代替的には2,4,6-トリアルキルフェニル基であり得る。アルキル置換基(一般的及び特定の)は、本明細書において独立して記載され、これらのアルキル置換基は、Rとして利用され得る任意のアルキル置換フェニル基をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。一般に、ジアルキルフェニル基(一般的または特定の)もしくはトリアルキルフェニル基(一般的または特定の)のアルキル置換基は同一であってもよく、または代替的には、ジアルキルフェニル基もしくはトリアルキルフェニル基のアルキル置換基は異なっていてもよい。一部の非限定的な態様では、Rは、独立して、フェニル基、2-メチルフェニル基、2-エチルフェニル基、2-n-プロピルフェニル基、2-イソプロピルフェニル基、2-tert-ブチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2,6-ジエチルフェニル基、2,6-ジ-n-プロピルフェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、2,6-ジ-tert-ブチルフェニル基、2-イソプロピル-6-メチルフェニル基、または2,4,6-トリメチルフェニル基、代替的にはフェニル基、2-メチルフェニル基、2-エチルフェニル基、2-n-プロピルフェニル基、2-イソプロピルフェニル基、または2-tert-ブチルフェニル基、代替的にはフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2,6-ジエチルフェニル基、2,6-ジ-n-プロピルフェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、2,6-ジ-tert-ブチルフェニル基、2-イソプロピル-6-メチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基であり得る。
【0099】
一態様では、Rは、ベンジル基もしくは置換ベンジル基、代替的にはベンジル基、または代替的には置換ベンジル基であり得る。置換ベンジル基の各置換基は、独立して、ハロゲン、ヒドロカルビル基、もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルビル基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、代替的にはヒドロカルビル基、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基(一般的及び特定の)、及び置換基ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定の)は、本明細書において独立して開示される。これらの置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基、及び置換基ヒドロカルボキシ基は、Rとして利用され得る置換ベンジル基(一般的または特定の)をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0100】
概して、N-ホスフィニルアミジン及び/またはN-ホスフィニルアミジンクロム化合物錯体のRは、オルガニル基、代替的には不活性官能基からなるオルガニル基、または代替的にはヒドロカルビル基であり得る。一態様では、Rオルガニル基は、C1~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cオルガニル基であり得る。一態様では、不活性官能基からなるRオルガニル基は、不活性官能基からなるC~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cオルガニル基であり得る。一態様では、Rヒドロカルビル基は、C~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cヒドロカルビル基であり得る。
【0101】
一態様では、N-ホスフィニルアミジン及び/またはN-ホスフィニルアミジンクロム化合物錯体のRは、アシル基もしくは置換アシル基、アシル基、または代替的には置換アシル基であり得る。一態様では、アシル基は、C~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cアシル基であり得る。一態様では、置換アシル基は、C~C20、C~C15、C~C10、またはC~C置換アシル基であり得る。一部の態様では、N-ホスフィニルアミジン及び/またはN-ホスフィニルアミジンクロム化合物錯体のRは、アルカノイル基、置換アルカノイル基、ベンゾイル基、または置換ベンゾイル基、代替的にはアルカノイル基または置換アルカノイル基、代替的にはベンゾイル基、または置換ベンゾイル基、代替的にはアルカノイル基、代替的には置換アルカノイル基、代替的にはベンゾイル基、または代替的には置換ベンゾイル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、Rアルカノイル基は、C~C20、C~C10、またはC~Cアルカノイル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、R置換アルカノイル基は、C~C20、C~C10、またはC~C置換Rアルカノイル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、Rベンゾイル基は、C~C20、C~C15、またはC~C10ベンゾイル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、R置換ベンゾイル基は、C~C20、C~C15、またはC~C10置換Rベンゾイル基であり得る。置換アルカノイル基(一般的もしくは特定の)、及び/または置換ベンゾイル基(一般的もしくは特定の)の各置換基は、ハロゲン、ヒドロカルビル基、もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルビル基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、代替的にはヒドロカルビル基、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基(一般的及び特定の)、及び置換基ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定の)は、本明細書において独立して開示される。これらの置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基、及び置換基ヒドロカルボキシ基は、Rとして利用され得る置換アルカノイル基及び/または置換ベンゾイル基をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0102】
一態様では、N-ホスフィニルアミジン及び/またはN-ホスフィニルアミジンクロム化合物錯体のRは、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、もしくは置換アラルキル基、代替的にはアルキル基もしくは置換アルキル基、代替的にはシクロアルキル基もしくは置換シクロアルキル基、代替的にはアリール基もしくは置換アリール基、代替的にはアラルキル基もしくは置換アラルキル基、または代替的にはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、もしくはアラルキル基であり得る。他の態様では、N-ホスフィニルアミジン及び/またはN-ホスフィニルアミジンクロム化合物錯体のRは、アルキル基、代替的には置換アルキル基、代替的にはシクロアルキル基、代替的には置換シクロアルキル基、代替的にはアリール基、代替的には置換アリール基、代替的にはアラルキル基、または代替的には置換アラルキル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、Rアルキル基は、C1~C20、C~C10、またはC~Cアルキル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、R置換アルキル基は、C~C20、C~C10、またはC~C置換アルキル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、Rシクロアルキル基は、C~C20、C~C15、またはC~C10シクロアルキル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、R置換シクロアルキル基は、C~C20、C~C15、またはC~C10置換シクロアルキル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、Rアリール基は、C~C20、C~C15、またはC~C10アリール基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、R置換アリール基は、C~C20、C~C15、またはC~C10置換アリール基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、Rアラルキル基は、C~C20、C~C15、またはC~C10アラルキル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、R置換アリール基は、C~C20、C~C15、またはC~C10置換アラルキル基であり得る。置換アルキル基(一般的もしくは特定の)、置換シクロアルキル基(一般的もしくは特定の)、置換アリール基(一般的もしくは特定の)、及び/または置換アラルキル基(一般的もしくは特定の)の各置換基は、ハロゲン、ヒドロカルビル基、もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルビル基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、代替的にはヒドロカルビル基、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基(一般的及び特定の)、及び置換基ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定の)は、本明細書において独立して開示される。これらの置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基、及び置換基ヒドロカルボキシ基は、Rをさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0103】
一態様では、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、もしくはオクチル基、または代替的にはメチル基、エチル基、n-プロピル(1-プロピル)基、イソ-プロピル(2-プロピル)基、tert-ブチル(2-メチル-2-プロピル)基、もしくはネオペンチル(2,2-ジメチル-1-プロピル)基であり得る。一部の態様では、Rとして利用され得るアルキル基は置換されていてもよい。置換アルキル基の各置換基は、独立して、ハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換ハロゲン及び置換ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定の)は、本明細書において独立して開示される。これらの置換基ハロゲン及び置換基ヒドロカルボキシ基は、Rとして利用され得る置換アルキル基(一般的または特定の)をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0104】
一態様では、Rは、シクロペンチル基、置換シクロペンチル基、シクロヘキシル基、もしくは置換シクロヘキシル基、代替的にはシクロペンチル基もしくは置換シクロペンチル基、または代替的にはシクロヘキシル基もしくは置換シクロヘキシル基であり得る。一態様では、Rとして利用され得る置換シクロアルキル基は、2-置換シクロヘキシル基、2,6-二置換シクロヘキシル基、2-置換シクロペンチル基、もしくは2,5-二置換シクロペンチル基、代替的には2-置換シクロヘキシル基もしくは2,6-二置換シクロヘキシル基、代替的には2-置換シクロペンチル基もしくは2,5-二置換シクロペンチル基、代替的には2-置換シクロヘキシル基もしくは2-置換シクロペンチル基、または代替的には2,6-二置換シクロヘキシル基もしくは2,5-二置換シクロペンチル基であり得る。一態様では、Rとして利用される多置換シクロアルキル基の1つ以上の置換基は、同じであっても異なっていてもよく、代替的には多置換シクロアルキル基の全ての置換基は、同じであってもよく、または代替的には多置換シクロアルキル基の全ての置換基は、異なっていてもよい。指定された数の環炭素原子を有するシクロアルキル基の各置換基は、独立して、ハロゲン、ヒドロカルビル基、もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルビル基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、代替的にはヒドロカルビル基、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基(一般的及び特定の)、及び置換基ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定の)は、本明細書において独立して開示される。これらの置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基、及び置換基ヒドロカルボキシ基は、Rとして利用され得る置換シクロアルキル基(一般的または特定の)をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0105】
非限定的な態様では、Rは、シクロヘキシル基、2-アルキルシクロヘキシル基、もしくは2,6-ジアルキルシクロヘキシル基、または代替的にはシクロペンチル基、2-アルキルシクロペンチル基、もしくは2,5-ジアルキルシクロペンチル基であり得る。アルキル置換基(一般的及び特定の)は、本明細書中で独立して記載され、これらのアルキル置換基は、Rとして利用され得るアルキルシクロヘキシル基(一般的または特定の)、ジアルキルシクロヘキシル基(一般的または特定の)、アルキルシクロペンチル基(一般的または特定の)、及び/またはジアルキルシクロペンチル基(一般的または特定の)をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。概して、二置換シクロヘキシル基または二置換シクロペンチル基のアルキル置換基は、同じであり得るか、代替的にはジアルキルシクロヘキシル基またはジアルキルシクロペンチル基のアルキル置換基は、異なり得る。一部の非限定的な態様では、Rは、2-メチルシクロヘキシル基、2-エチルシクロヘキシル基、2-イソプロピルシクロヘキシル基、2-tert-ブチルシクロヘキシル基、2,6-ジメチルシクロヘキシル基、2,6-ジエチルシクロヘキシル基、2,6-ジイソプロピルシクロヘキシル基、または2,6-ジ-tert-ブチルシクロヘキシル基であり得る。他の非限定的な態様では、Rは、2-メチルシクロヘキシル基、2-エチルシクロヘキシル基、2-イソプロピルシクロヘキシル基、または2-tert-ブチルシクロヘキシル基、代替的には2,6-ジメチルシクロヘキシル基、2,6-ジエチルシクロヘキシル基、2,6-ジイソプロピルシクロヘキシル基、または2,6-ジ-tert-ブチルシクロヘキシル基であり得る。
【0106】
一態様では、Rは、フェニル基、置換フェニル基、代替的にはフェニル基、または代替的には置換フェニル基であり得る。一態様では、Rとして利用され得る置換フェニル基は、2-置換フェニル基、3-置換フェニル基、4-置換フェニル基、2,4-二置換フェニル基、2,6-二置換フェニル基、3,5-二置換フェニル基、もしくは2,4,6-三置換フェニル基、代替的には2-置換フェニル基、4-置換フェニル基、2,4-二置換フェニル基、もしくは2,6-二置換フェニル基、代替的には3-置換フェニル基もしくは3,5-二置換フェニル基、代替的には2-置換フェニル基もしくは4-置換フェニル基、代替的には2,4-二置換フェニル基もしくは2,6-二置換フェニル基、または代替的には2,4,6-三置換フェニル基であり得る。一態様では、Rとして利用される多置換フェニル基の1つ以上の置換基は、同じであっても異なっていてもよく、代替的には多置換シクロアルキル基の全ての置換基は、同じであってもよく、または代替的には多置換シクロアルキル基の全ての置換基は、異なっていてもよい。置換フェニル基(一般的または特定の)の各置換基は、独立して、ハロゲン、ヒドロカルビル基、もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルビル基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、代替的にはヒドロカルビル基、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基(一般的及び特定の)、ならびに置換基ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定の)は、本明細書において独立して開示される。これらの置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基、及び置換基ヒドロカルボキシ基は、Rとして利用され得る置換フェニル基(一般的または特定の)をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0107】
非限定的な態様では、Rは、フェニル基、2-アルキルフェニル基、3-アルキルフェニル基、4-アルキルフェニル基、2,4-ジアルキルフェニル基、2,6-ジアルキルフェニル基、3,5-ジアルキルフェニル基、もしくは2,4,6-トリアルキルフェニル基、代替的には2-アルキルフェニル基、4-アルキルフェニル基、2,4-ジアルキルフェニル基、2,6-ジアルキルフェニル基、もしくは2,4,6-トリアルキルフェニル基、代替的には2-アルキルフェニル基もしくは4-アルキルフェニル基、代替的には2,4-ジアルキルフェニル基もしくは2,6-ジアルキルフェニル基、代替的には3-アルキルフェニル基もしくは3,5-ジアルキルフェニル基、代替的には2-アルキルフェニル基もしくは2,6-ジアルキルフェニル基、または代替的には2,4,6-トリアルキルフェニル基であり得る。アルキル置換基(一般的及び特定の)は、本明細書において独立して記載され、これらのアルキル置換基は、Rとして利用され得る任意のアルキル置換フェニル基をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。一般に、ジアルキルフェニル基(一般的または特定の)もしくはトリアルキルフェニル基(一般的または特定の)のアルキル置換基は同一であってもよく、または代替的には、ジアルキルフェニル基もしくはトリアルキルフェニル基のアルキル置換基は異なっていてもよい。一部の非限定的な態様では、Rは、独立して、フェニル基、2-メチルフェニル基、2-エチルフェニル基、2-n-プロピルフェニル基、2-イソプロピルフェニル基、2-tert-ブチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2,6-ジエチルフェニル基、2,6-ジ-n-プロピルフェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、2,6-ジ-tert-ブチルフェニル基、2-イソプロピル-6-メチルフェニル基、または2,4,6-トリメチルフェニル基、代替的にはフェニル基、2-メチルフェニル基、2-エチルフェニル基、2-n-プロピルフェニル基、2-イソプロピルフェニル基、または2-tert-ブチルフェニル基、代替的にはフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2,6-ジエチルフェニル基、2,6-ジ-n-プロピルフェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、2,6-ジ-tert-ブチルフェニル基、2-イソプロピル-6-メチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基であり得る。
【0108】
非限定的な態様では、Rは、フェニル基、2-アルコキシフェニル基、または4-アルコキシフェニル基であり得る。一部の非限定的な態様では、Rは、フェニル基、2-メトキシフェニル基、2-エトキシフェニル基、2-イソプロポキシフェニル基、2-tert-ブトキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、4-エトキシフェニル基、4-イソプロポキシフェニル基、もしくは4-tert-ブトキシフェニル基、代替的には2-メトキシフェニル基、2-エトキシフェニル基、2-イソプロポキシフェニル基、もしくは2-tert-ブトキシフェニル基、または代替的には4-メトキシフェニル基、4-エトキシフェニル基、4-イソプロポキシフェニル基、もしくは4-tert-ブトキシフェニル基であり得る。別の非限定的な態様では、Rは、フェニル基、2-ハロフェニル基、4-ハロフェニル基、または2,6-ジハロフェニル基であり得る。概して、ジハロフェニル基のハロゲン化物は、同じであり得るか、または代替的にはジハロフェニル基のハロゲン化物は、異なり得る。一部の態様では、Rは、フェニル基、2-フルオロフェニル基、4-フルオロフェニル基、または2,6-ジフルオロフェニル基であり得る。
【0109】
一態様では、Rは、ベンジル基もしくは置換ベンジル基、代替的にはベンジル基、または代替的には置換ベンジル基であり得る。置換ベンジル基の各置換基は、独立して、ハロゲン、ヒドロカルビル基、もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルビル基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、代替的にはヒドロカルビル基、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基(一般的及び特定の)、及び置換基ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定の)は、本明細書において独立して開示される。これらの置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基、及び置換基ヒドロカルボキシ基は、Rとして利用され得る置換ベンジル基をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0110】
さらなる態様では、R及びRは、結合して、N-ホスフィニルアミジン及び/またはN-ホスフィニルアミジンクロム化合物錯体の炭素-窒素二重結合を含有する環または環系を形成することができる。R及びRの結合は、L12rとして表すことができ、オルガニレン基、代替的には不活性官能基からなるオルガニレン基、代替的にはヒドロカルビレン基、または代替的にはアルキレン基であり得る。一態様では、L12rオルガニレン基は、存在する場合、C~C30、C~C20、C~C15、またはC~C10オルガニレン基であり得る。一部の態様では、不活性官能基からなるL12rオルガニレン基は、存在する場合、不活性官能基からなるC~C30、C~C20、C~C15、またはC~C10オルガニレン基であり得る。他の態様では、L12rヒドロカルビル基は、存在する場合、独立して、C~C30、C~C20、C~C15、またはC~C10ヒドロカルビレン基であり得る。さらなる態様では、L12rアルキレン基は、存在する場合、独立して、C~C30、C~C20、C~C15、またはC~C10アルキレン基であり得る。一態様では、L12rは、プロパ-1,3-イレン基、ブタ-1,3-イレン基、3-メチルブタ-1,3-イレン基(-CHCHC(CH-)、ブタ-1,4-イレン基、1,4-ペンタ-1,4-イレン基であり得る。
【0111】
概して、複素環式2-[(ホスフィニル)アミニル]イミン及び/または複素環式2-[(ホスフィニル)アミニル]イミンクロム化合物錯体のTは、酸素または硫黄であり得る。一態様では、複素環式2-[(ホスフィニル)アミニル]イミン及び/または複素環式2-[(ホスフィニル)アミニル]イミンクロム化合物錯体のTは、酸素、または代替的には硫黄であり得る。
【0112】
概して、R2a及び/またはR2b基を有するN-ホスフィニルグアニジン及び/またはN-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体のR2a及び/またはR2bは、独立して、水素もしくはオルガニル基、代替的には水素もしくは不活性官能基からなるオルガニル基、代替的には水素もしくはヒドロカルビル基、代替的には水素、代替的にはオルガニル基、代替的には不活性官能基からなるオルガニル基、または代替的にはヒドロカルビル基であり得る。一態様では、R2a及び/またはR2bオルガニル基は、独立して、C~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cオルガニル基であり得る。一部の態様では、不活性官能基からなるR2a及び/またはR2bオルガニル基は、独立して、不活性官能基からなるC~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cヒドロカルビル基であり得る。他の態様では、R2a及び/またはR2bヒドロカルビル基は、独立して、C~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cヒドロカルビル基であり得る。
【0113】
一態様では、R2a及び/またはR2bオルガニル基を有するN-ホスフィニルグアニジン及び/またはN-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体のR2a及びR2bは、独立して、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、または置換アラルキル基、代替的にはアルキル基または置換アルキル基、代替的にはシクロアルキル基または置換シクロアルキル基、代替的にはアリール基もしくは置換アリール基、代替的にはアラルキル基もしくは置換アラルキル基、代替的にはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、もしくはアラルキル基、代替的にはアルキル基、代替的には置換アルキル基、代替的にはシクロアルキル基、代替的には置換シクロアルキル基、代替的にはアリール基、代替的には置換アリール基、代替的にはアラルキル基、または代替的には置換アラルキル基であり得る。本明細書に開示される任意の態様では、R2a及び/またはR2bアルキル基は、独立して、C~C20、C~C10、またはC~Cアルキル基であり得る。本明細書に開示される任意の態様では、R2a及び/またはR2bシクロアルキル基は、独立して、C~C20、C~C15、またはC~C10シクロアルキル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、R2a及び/またはR2b置換シクロアルキル基は、独立して、C~C20、C~C15、またはC~C10置換シクロアルキル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、R2a及び/またはR2bアリール基は、独立して、C~C20、C~C15、またはC~C10アリール基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、R2a及び/またはR2b置換アリール基は、独立して、C~C20、C~C15、またはC~C10置換アリール基であり得る。置換シクロアルキル基(一般的もしくは特定の)及び/または置換アリール基(一般的もしくは特定の)の各置換基は、ハロゲン、ヒドロカルビル基、もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルビル基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、代替的にはヒドロカルビル基、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基(一般的及び特定の)、及び置換基ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定の)は、本明細書において独立して開示される。これらの置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基、及び置換基ヒドロカルボキシ基は、R2a及び/またはR2bをさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0114】
一態様では、N-ホスフィニルグアニジン及び/またはN-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体のR及びR2aは、結合して基L12を形成することができ、L12、N窒素原子、及びN窒素原子は、環または環系を形成する。別の態様では、N-ホスフィニルグアニジン及び/またはN-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体のR及びR2bは、結合して基L23を形成することができ、L23、N窒素原子、及びN窒素原子は、環または環系を形成する。一態様では、L12基及び/またはL23基を有するN-ホスフィニルグアニジン及び/またはN-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体のL12及び/またはL23は、独立して、オルガニレン基、代替的には不活性官能基からなるオルガニレン基、または代替的にはヒドロカルビレン基であり得る。L12及び/またはL23オルガニレン基は、独立して、C~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cオルガニレン基であり得る。不活性官能基からなるL12及び/またはL23オルガニレン基は、独立して、不活性官能基からなるC~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cオルガニレン基であり得る。L12及び/またはL23ヒドロカルビレン基は、独立して、C2~20、C~C15、C~C10、またはC~Cヒドロカルビレン基であり得る。
【0115】
一態様では、N-ホスフィニルグアニジンのL12、N-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体、N-ホスフィニルグアニジンのL12及びL23を有する複素環式2-[(ホスフィニル)アミニル]イミン及び/または複素環式2-[(ホスフィニル)アミニル]イミンクロム化合物錯体、及び/またはL23を有するN-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体は、表1に提供される任意の構造を有することができる。一部の態様では、L12及び/またはL23は、構造1L、構造2L、構造3L、構造4Lまたは構造5Lを有することができる。一部の態様では、L12及び/またはL23は、構造2Lまたは構造3L、代替的には構造4Lまたは構造5Lを有することができる。他の態様では、L12及び/またはL23は、構造1L、代替的には構造2L、代替的には構造3L、代替的には構造4L、または代替的には構造5Lを有することができる。一部のN-ホスフィニルグアニジン及びN-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体の態様では、L12及び/またはL23は、構造6Lを有することができる。L12またはL23が構造6Lを有する場合、対応するR2bまたはR2aは、N-ホスフィニルグアニジン及び/またはN-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体のN窒素原子との二重結合のために存在しないことに留意すべきである。

【表1】
【0116】
表1の構造内で、L12及び/またはL23の指定されていない原子価は、存在する場合、L12及び/またはL23が、N-ホスフィニルグアニジン、及びN-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体のそれぞれの窒素原子に結合する点を表す。さらに、表1の構造に関して、L12の指定されていない原子価は、L12がT及び複素環式2-[(ホスフィニル)アミニル]イミン及び/または複素環式2-[(ホスフィニル)アミニル]イミンクロム化合物錯体のそれぞれの窒素原子に結合する点を表す。概して、mは、2~5の範囲の整数であり得る。さらなる態様では、mは、2または3であってもよく、代替的にはmは、2であってもよく、または代替的にはmは、3であり得る。構造1Lを有する連結基のRL1及びRL2、構造2Lを有する連結基のRL3、RL4、RL5、及びRL6、構造3Lを有する連結基のRL3、RL4、RL5、RL6、RL7、及びRL8、構造4Lを有する連結基のRL11及びRL12、構造5Lを有する連結基のRL23、RL24、RL25、及びRL26、構造6Lを有する連結基のRL27、RL28、及びRL29は、独立して、水素もしくは非水素置換基、または代替的には水素であり得る。非水素置換基(一般的及び特定の)は、独立して本明細書に開示され、構造1L、構造2L、構造3L、構造4L、構造5L、及び/または構造6Lを有する連結基をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。一態様では、L12及び/またはL23は、独立して、エタ-1,2-イレン基(-CHCH-)、エテン-1,2-イレン基(-CH=CH-)、プロパ-1,3-イレン基(-CHCHCH-)、1-メチルエテン-1,2-イレン基(-C(CH)=CH-)、ブタ-1,3-イレン基(-CHCHCH(CH)-)、3-メチルブタ-1,3-イレン基(-CHCHC(CH-)、またはフェン-1,2-イレン基であり得る。一部の非限定的な態様では、L12及び/またはL23は、エタ-1,2-イレン基(-CHCH-)、プロパ-1,3-イレン基(-CHCHCH-)、1-メチルエテン-1,2-イレン基(-C(CH)=CH-)、ブタ-1,3-イレン基(-CHCHCH(CH)-)、または3-メチルブタ-1,3-イレン基(-CHCHC(CH-)、代替的にはエタ-1,2-イレン基(-CHCH-)、エテン-1,2-イレン基(-CH=CH-)、プロパ-1,3-イレン基(-CHCHCH-)、またはフェン-1,2-イレン基、代替的にはエタ-1,2-イレン基(-CHCH-)またはプロパ-1,3-イレン基(-CHCHCH-)、代替的にはエテン-1,2-イレン基(-CH=CH-)またはフェン-1,2-イレン基である。
【0117】
一態様では、L12は、N-ホスフィニルグアニジン及び/またはN-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体のN窒素原子に結合した炭素の原子上に位置する少なくとも1つの置換分を含むことができるか、代替的にはN-ホスフィニルグアニジン及び/またはN-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体のN窒素原子に結合した炭素の原子上に位置する1つの置換分のみを含むことができるか、代替的にはN-ホスフィニルグアニジン及び/またはN-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体のN窒素原子に結合した炭素の原子上に位置する2つの置換分を含み得る構造を有することができる。別の態様では、L12は、N窒素原子、N-ホスフィニルグアニジン及び/またはN-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体に結合した炭素の原子上に位置する1つの置換分からなることができるか、または代替的にはN-ホスフィニルグアニジン及び/またはN-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体のN窒素原子に結合した炭素の原子上に位置する2つの置換分からなることができる構造を有することができる。
【0118】
一態様では、N-ホスフィニルグアニジン及び/またはN-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体のR2a及びR2bは、結合して基L22を形成することができ、R2a、R2b、及びN窒素(またはL22及びN窒素)は、環または環系を形成する。一態様では、L22基を有するN-ホスフィニルグアニジン及び/またはN-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体のL22は、オルガニレン基、代替的には不活性官能基からなるオルガニレン基、または代替的にはヒドロカルビレン基であり得る。L22オルガニレン基は、C~C20、C~C15、またはC~C10オルガニレン基であり得る。不活性官能基からなるL22オルガニレン基は、不活性官能基からなるC~C20、C~C15、またはC~C10オルガニレン基であり得る。L22ヒドロカルビレン基は、C~C20、C~C15、またはC~C10ヒドロカルビレン基であり得る。
【0119】
一態様では、L22は、表2に提供される任意の構造を有することができる。一部の態様では、L22は、構造11L、構造12L、構造13L、構造14L、構造15L、または構造16Lを有することができる。他の態様では、L22は、構造11L、代替的には構造12L、代替的には構造13L、代替的には構造14L、または代替的には構造15Lを有することができる。

【表2】
【0120】
表2の構造内で、指定されていない原子価は、N-ホスフィニルグアニジン及び/またはN-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体のL22が、存在する場合、N-ホスフィニルグアニジン及び/またはN-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体のN窒素原子に結合する点を表す。概して、nは、4~7の範囲の整数であり得る。さらなる態様では、nは、4または5であってもよく、代替的にはnは、4であってもよく、代替的にはnは、5であり得る。構造11Lを有する連結基のRL31及びRL32、構造12Lを有する連結基のRL41、RL42、RL43、RL44、RL45、RL46、RL47、及びRL48、構造13Lを有する連結基のRL41、RL42、RL43、RL44、RL45、RL46、RL47、RL48、RL49、及びRL50、構造14Lを有する連結基のRL41、RL42、RL43、RL44、RL45、RL46、RL47、及びRL48、ならびに構造15Lを有する連結基のRL41、RL42、RL43、RL44、RL45、RL46、RL47、及びRL48は、独立して、水素または非水素置換基、代替的には水素であり得る。非水素置換基は、独立して、本明細書に開示され、構造11L、構造12L、構造13L、構造14L、及び/または構造15Lを有する連結基をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。一態様では、L22は、ブタ-1,4-イレン基、ペンタ-1,4-イレン基、ペンタ-1,5-イレン基、ヘキサ-2,5-イレン基、ヘキサ-1,5-イレン基、ヘプタ-2,5-イレン基、ブタ-1,3-ジエン-1,4-イレン基、もしくはビス(エタ-2-イル)エーテル基、または代替的にはブタ-1,4-イレン基、ペンタ-1,5-イレン基、もしくはビス(エタ-2-イル)エーテル基であり得る。
【0121】
概して、R基を有するN-ホスフィニルホルムアミジン、N-ホスフィニルホルムアミジンクロム化合物錯体、N-ホスフィニルアミジン、N-ホスフィニルアミジンクロム化合物錯体、N-ホスフィニルグアニジン、N-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体、複素環式2-[(ホスフィニル)アミニル]イミン、及び/または複素環式2-[(ホスフィニル)アミニル]イミンクロム化合物錯体のRは、水素もしくはオルガニル基、水素もしくは不活性官能基からなるオルガニル基、代替的には水素もしくはヒドロカルビル基、代替的には水素、代替的にはオルガニル基、代替的には不活性官能基からなるオルガニル基、または代替的にはヒドロカルビル基であり得る。一態様では、Rオルガニル基は、C~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cオルガニル基であり得る。一態様では、不活性官能基からなるRオルガニル基は、不活性官能基からなるC~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cオルガニル基であり得る。一態様では、Rヒドロカルビル基は、C~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cヒドロカルビル基であり得る。他の態様では、R基を有するN-ホスフィニルホルムアミジン、N-ホスフィニルホルムアミジンクロム化合物錯体、N-ホスフィニルアミジン、N-ホスフィニルアミジンクロム化合物錯体、N-ホスフィニルグアニジン、N-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体、複素環式2-[(ホスフィニル)アミニル]イミン、及び/または複素環式2-[(ホスフィニル)アミニル]イミンクロム化合物錯体のRは、C~C30、C~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cアルキル基であり得る。さらに他の態様では、RのN-ホスフィニルホルムアミジン、N-ホスフィニルホルムアミジンクロム化合物錯体、N-ホスフィニルアミジン、N-ホスフィニルアミジンクロム化合物錯体、N-ホスフィニルグアニジン、N-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体、複素環式2-[(ホスフィニル)アミニル]イミン、及び/または複素環式2-[(ホスフィニル)アミニル]イミンクロム化合物錯体は、フェニル基またはC~C20置換フェニル基、代替的にはフェニル基またはC~C15置換フェニル基、または代替的にはフェニル基またはC~C10置換フェニル基であり得る。置換基(一般的及び特定の)が本明細書に提供され、これらの置換基を利用して、Rとして利用され得る置換フェニル基、非水素R基を有するN-ホスフィニルホルムアミジン、N-ホスフィニルホルムアミジンクロム化合物錯体、N-ホスフィニルアミジン、N-ホスフィニルアミジンクロム化合物錯体、N-ホスフィニルグアニジン、及び/またはN-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体をさらに記載することができる。
【0122】
概して、N-ホスフィニルホルムアミジン、N-ホスフィニルホルムアミジンクロム化合物錯体、N-ホスフィニルアミジン、N-ホスフィニルアミジンクロム化合物錯体、N-ホスフィニルグアニジン、N-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体、複素環式2-[(ホスフィニル)アミニル]イミン、及び/または複素環式2-[(ホスフィニル)アミニル]イミンクロム化合物錯体のR及び/またはRは、独立して、オルガニル基、代替的には不活性官能基からなるオルガニル基、または代替的にはヒドロカルビル基であり得る。一態様では、R及び/またはRオルガニル基は、C~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cオルガニル基であり得る。一態様では、不活性官能基からなるR及び/またはRオルガニル基は、不活性官能基からなるC~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cオルガニル基であり得る。一態様では、R及び/またはRヒドロカルビル基は、C~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cヒドロカルビル基であり得る。一態様では、N-ホスフィニルホルムアミジン、N-ホスフィニルホルムアミジンクロム化合物錯体、N-ホスフィニルアミジン、N-ホスフィニルアミジンクロム化合物錯体、N-ホスフィニルグアニジン、N-ホスフィニルグアニジンクロム化合物錯体、複素環2-[(ホスフィニル)アミニル]イミン、及び/または複素環2-[(ホスフィニル)アミニル]イミンクロム化合物錯体のR及び/またはRは、独立して、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、または置換アラルキル基、代替的にはアルキル基または置換アルキル基、代替的にはシクロアルキル基または置換シクロアルキル基、代替的にはアリール基もしくは置換アリール基、代替的にはアラルキル基もしくは置換アラルキル基、代替的にはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、もしくはアラルキル基、代替的にはアルキル基、代替的には置換アルキル基、代替的にはシクロアルキル基、代替的には置換シクロアルキル基、代替的にはアリール基、代替的には置換アリール基、代替的にはアラルキル基、または代替的には置換アラルキル基であり得る。
【0123】
本明細書に開示される任意の態様では、R及び/またはRアルキル基は、独立して、C~C20、C~C10、またはC~Cアルキル基であり得る。本明細書に開示される任意の態様では、R及び/またはR置換アルキル基は、独立して、C~C20、C~C10、またはC~C置換アルキル基であり得る。本明細書に開示される任意の態様では、R及び/またはRシクロアルキル基は、独立して、C~C20、C~C15、またはC~C10シクロアルキル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、R及び/またはR置換シクロアルキル基は、独立して、C~C20、C~C15、またはC~C10置換シクロアルキル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、R及び/またはRアリール基は、独立して、C~C20、C~C15、またはC~C10アリール基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、R及び/またはR置換アリール基は、独立して、C~C20、C~C15、またはC~C10置換アリール基であり得る。本明細書に開示される任意の態様では、R及び/またはRアラルキル基は、独立して、C~C20、C~C15、またはC~C10アラルキル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、R及び/またはR置換アリール基は、独立して、C~C20、C~C15、またはC~C10置換アラルキル基であり得る。置換アルキル基(一般的もしくは特定の)、置換シクロアルキル基(一般的もしくは特定の)、置換アリール基(一般的もしくは特定の)、及び/または置換アラルキル基(一般的もしくは特定の)の各置換基は、ハロゲン、ヒドロカルビル基、もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルビル基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、代替的にはヒドロカルビル基、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基(一般的及び特定の)、及び置換基ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定の)は、本明細書において独立して開示される。これらの置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基、及び置換基ヒドロカルボキシ基は、R及び/またはRをさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0124】
一態様では、R及びRは、独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、もしくはオクチル基、または代替的にはメチル基、エチル基、n-プロピル(1-プロピル)基、イソ-プロピル(2-プロピル)基、2-メチル-1-プロピル基、tert-ブチル(2-メチル-2-プロピル)基、もしくはネオペンチル(2,2-ジメチル-1-プロピル)基であり得る。一部の態様では、R及び/またはRとして利用され得るアルキル基は、置換され得る。置換アルキル基の各置換基は、独立して、ハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換基ハロゲン及び置換基ヒドロカルボキシ(一般的及び特定の)基は、独立して本明細書に開示されている。これらの置換基ハロゲン及び置換基ヒドロカルボキシ基は、R及び/またはRとして利用され得る置換アルキル基をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0125】
一態様では、R及びRは、独立して、シクロペンチル基、置換シクロペンチル基、シクロヘキシル基、もしくは置換シクロヘキシル基、代替的にはシクロペンチル基もしくは置換シクロペンチル基、または代替的にはシクロヘキシル基もしくは置換シクロヘキシル基であり得る。一態様では、R及び/またはRとして利用され得る置換シクロアルキル基は、2-置換シクロヘキシル基、2,6-二置換シクロヘキシル基、2-置換シクロペンチル基、もしくは2,5-二置換シクロペンチル基、代替的には2-置換シクロヘキシル基もしくは2,6-二置換シクロヘキシル基、代替的には2-置換シクロペンチル基もしくは2,5-二置換シクロペンチル基、代替的には2-置換シクロヘキシル基もしくは2-置換シクロペンチル基、または代替的には2,6-二置換シクロヘキシル基もしくは2,5-二置換シクロペンチル基であり得る。置換シクロアルキル基(一般的または特定の)が1つより多くの置換基を有する一態様では、置換基は、同じであっても異なっていてもよく、代替的には同じであってもよく、または代替的には異なっていてもよい。指定された数の環炭素原子を有するシクロアルキル基(一般的または特定の)の各置換基は、独立して、ハロゲン、ヒドロカルビル基、もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルビル基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、代替的にはヒドロカルビル基、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基(一般的及び特定の)、及び置換基ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定の)は、本明細書において独立して開示される。これらの置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基、及び置換基ヒドロカルボキシ基は、R及び/またはRとして利用され得る置換シクロアルキル基(一般的または特定の)をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0126】
非限定的な態様では、R及びRは、独立して、シクロヘキシル基、2-アルキルシクロヘキシル基、もしくは2,6-ジアルキルシクロヘキシル基、または代替的にはシクロペンチル基、2-アルキルシクロペンチル基、もしくは2,5-ジアルキルシクロペンチル基であり得る。アルキル置換基(一般的及び特定の)は、本明細書中で独立して記載され、これらのアルキル置換基は、R及び/またはRとして利用され得るアルキルシクロヘキシル基(一般的または特定の)、ジアルキルシクロヘキシル基(一般的または特定の)、アルキルシクロペンチル基(一般的または特定の)、及び/またはジアルキルシクロペンチル基(一般的または特定の)をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。概して、二置換シクロヘキシル基または二置換シクロペンチル基のアルキル置換基は、同じであり得るか、代替的にはジアルキルシクロヘキシル基またはジアルキルシクロペンチル基のアルキル置換基は、異なり得る。一部の非限定的な態様では、R及びRは、独立して2-メチルシクロヘキシル基、2-エチルシクロヘキシル基、2-イソプロピルシクロヘキシル基、2-tert-ブチルシクロヘキシル基、2,6-ジメチルシクロヘキシル基、2,6-ジエチルシクロヘキシル基、2,6-ジイソプロピルシクロヘキシル基、または2,6-ジ-tert-ブチルシクロヘキシル基であり得る。他の非限定的な態様では、R及びRは、独立して、2-メチルシクロヘキシル基、2-エチルシクロヘキシル基、2-イソプロピルシクロヘキシル基、または2-tert-ブチルシクロヘキシル基、代替的には2,6-ジメチルシクロヘキシル基、2,6-ジエチルシクロヘキシル基、2,6-ジイソプロピルシクロヘキシル基、または2,6-ジ-tert-ブチルシクロヘキシル基であり得る。
【0127】
一態様では、R及びRは、独立して、フェニル基、置換フェニル基、代替的にはフェニル基、または代替的には置換フェニル基であり得る。一態様では、R及び/またはRに利用され得る置換フェニル基は、2-置換フェニル基、3-置換フェニル基、4-置換フェニル基、2,4-二置換フェニル基、2,6-二置換フェニル基、3,5-二置換フェニル基、もしくは2,4,6-三置換フェニル基、代替的には2-置換フェニル基、4-置換フェニル基、2,4-二置換フェニル基、もしくは2,6-二置換フェニル基、代替的には3-置換フェニル基もしくは3,5-二置換フェニル基、代替的には2-置換フェニル基もしくは4-置換フェニル基、代替的には2,4-二置換フェニル基もしくは2,6-二置換フェニル基、または代替的には2,4,6-三置換フェニル基であり得る。一態様では、R及び/またはRとして利用される多置換フェニル基の1つ以上の置換基は、同じであっても異なっていてもよく、代替的には多置換シクロアルキル基の全ての置換基は、同じであってもよく、または代替的には多置換シクロアルキル基の全ての置換基は、異なっていてもよい。置換フェニル基(一般的または特定の)の各置換基は、独立して、ハロゲン、ヒドロカルビル基、もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルビル基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、代替的にはヒドロカルビル基、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基(一般的及び特定の)、及び置換基ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定の)は、本明細書において独立して開示される。これらの置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基、及び置換基ヒドロカルボキシ基は、R及び/またはRとして利用され得る置換フェニル基(一般的または特定の)をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0128】
非限定的な態様では、R及びRは、独立して、フェニル基、2-アルキルフェニル基、3-アルキルフェニル基、4-アルキルフェニル基、2,4-ジアルキルフェニル基、2,6-ジアルキルフェニル基、3,5-ジアルキルフェニル基、もしくは2,4,6-トリアルキルフェニル基、代替的には2-アルキルフェニル基、4-アルキルフェニル基、2,4-ジアルキルフェニル基、2,6-ジアルキルフェニル基、もしくは2,4,6-トリアルキルフェニル基、代替的には2-アルキルフェニル基もしくは4-アルキルフェニル基、代替的には2,4-ジアルキルフェニル基もしくは2,6-ジアルキルフェニル基、代替的には3-アルキルフェニル基もしくは3,5-ジアルキルフェニル基、代替的には2-アルキルフェニル基もしくは2,6-ジアルキルフェニル基、または代替的には2,4,6-トリアルキルフェニル基であり得る。アルキル置換基(一般的及び特定の)は、本明細書において独立して記載され、これらのアルキル置換基は、R及び/またはRとして利用され得る任意のアルキル置換フェニル基をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。一般に、ジアルキルフェニル基(一般的または特定の)もしくはトリアルキルフェニル基(一般的または特定の)のアルキル置換基は同一であってもよく、または代替的には、ジアルキルフェニル基(一般的もしくは特定の)もしくはトリアルキルフェニル基(一般的もしくは特定の)のアルキル置換基は異なっていてもよい。一部の非限定的な態様では、R及びRは、独立して、フェニル基、2-メチルフェニル基、2-エチルフェニル基、2-n-プロピルフェニル基、2-イソプロピルフェニル基、2-tert-ブチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2,6-ジエチルフェニル基、2,6-ジ-n-プロピルフェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、2,6-ジ-tert-ブチルフェニル基、2-イソプロピル-6-メチルフェニル基、または2,4,6-トリメチルフェニル基、代替的にはフェニル基、2-メチルフェニル基、2-エチルフェニル基、2-n-プロピルフェニル基、2-イソプロピルフェニル基、または2-tert-ブチルフェニル基、代替的にはフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2,6-ジエチルフェニル基、2,6-ジ-n-プロピルフェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、2,6-ジ-tert-ブチルフェニル基、2-イソプロピル-6-メチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基であり得る。
【0129】
非限定的な態様では、R及びRは、フェニル基、2-アルコキシフェニル基、または4-アルコキシフェニル基であり得る。一部の非限定的な態様では、R及び/またはRは、フェニル基、2-メトキシフェニル基、2-エトキシフェニル基、2-イソプロポキシフェニル基、2-tert-ブトキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、4-エトキシフェニル基、4-イソプロポキシフェニル基、もしくは4-tert-ブトキシフェニル基、代替的には2-メトキシフェニル基、2-エトキシフェニル基、2-イソプロポキシフェニル基、もしくは2-tert-ブトキシフェニル基、または代替的には4-メトキシフェニル基、4-エトキシフェニル基、4-イソプロポキシフェニル基、もしくは4-tert-ブトキシフェニル基であり得る。非限定的な態様では、R及びRは、独立して、フェニル基、2-ハロフェニル基、4-ハロフェニル基、または2,6-ジハロフェニル基であり得る。概して、ジハロフェニル基のハロゲン化物は、同じであり得るか、または代替的にはジハロフェニル基のハロゲン化物は、異なり得る。一部の態様では、R及びRは、独立して、フェニル基、2-フルオロフェニル基、4-フルオロフェニル基、または2,6-ジフルオロフェニル基であり得る。
【0130】
一態様では、R及びRは、独立して、ベンジル基もしくは置換ベンジル基、代替的にはベンジル基、または代替的には置換ベンジル基であり得る。置換ベンジル基の各置換基は、独立して、ハロゲン、ヒドロカルビル基、もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルビル基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、代替的にはヒドロカルビル基、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基(一般的及び特定の)、及び置換基ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定の)は、本明細書において独立して開示される。これらの置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基、及び置換基ヒドロカルボキシ基は、R及び/またはRとして利用され得る置換ベンジルをさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0131】
さらなる態様では、R及びRは、結合して、リン原子を含有する環または環系を形成することができる。R及びRの結合は、L45として表すことができ、オルガニレン基、代替的には不活性官能基からなるオルガニレン基、代替的にはヒドロカルビレン基、または代替的にはアルキレン基であり得る。一態様では、L45オルガニレン基は、存在する場合、C~C30、C~C20、C~C15、またはC~C10オルガニレン基であり得る。一態様では、不活性官能基からなるL45オルガニレン基は、存在する場合、不活性官能基からなるC~C30、C~C20、C~C15、またはC~C10オルガニレン基であり得る。一態様では、L45ヒドロカルビル基は、存在する場合、独立して、C~C30、C~C20、C~C15、またはC~C10ヒドロカルビレン基であり得る。さらなる態様では、L45アルキレン基は、存在する場合、独立して、C~C30、C~C20、C~C15、またはC~C10アルキレン基であり得る。一態様では、L45は、ブタ-1,4-イレン基、1,4-ジフェニルブタ-1,4-イレン基、1,4-ジ(2-メチルフェニル)ブタ-1,4-イレン基、1,4-ジ(4-メチルフェニル)ブタ-1,4-イレン基、1,4-ジ(4-t-ブチルフェニル)ブタ-1,4-イレン基、1,4-ジ(3,5-ジメチルフェニル)ブタ-1,4-イレン基、ペンタ-1,4-イレン基、1-フェニルペンタ-1,4-イレン基、4-フェニルペンタ-1,4-イレン基、ヘキサ-2,5-イレン基、2,2’-ビフェニレン基、2,2’-(メタンジイル)ジフェニレン基、または2,2’-(1,2-エタンジイル)ジフェニレン基であり得る。
【0132】
一態様では、ヘテロ原子配位子またはヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のヘテロ原子配位子は、式(R1s1s(L1s)X2s(R2sを有することができ、ヘテロ原子配位子クロム化合物錯体は、次式を有することができる。
【化3】
【0133】
一部の態様では、ヘテロ原子配位子またはヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のヘテロ原子配位子は、式(R1s1s(L1s)X2s(R2sによって記述することができる2つの基を有することができる。一部の態様では、ヘテロ原子配位子が、式(R1s1s(L1s)X2s(R2sによって記述することができる2つの基を有することができる場合、2つのL1s基は連結され、ヘテロ原子配位子及びヘテロ原子配位子クロム化合物錯体は、
それぞれ、
【化4】

を有することができる。
【0134】
式(R1s1s(L1s)X2s(R2sを有するか、または2つの連結された(R1s1s(L1s)X2s(R2s基を有するヘテロ原子配位子またはヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のヘテロ原子配位子において、各X1s及び各X2sは、独立して、N、P、O、及びSからなる群から選択され得、各L1sは、それぞれのX1sとX2sとの間の独立した連結基であり得、各m及び各nは、独立して、1または2であり得、各R1s及び各R2sは、独立して、水素、オルガニル基(または代替的には不活性官能基からなるオルガニル基、または代替的にはヒドロカルビル基)、またはヘテロヒドロカルビル基であり得、2つ以上のR1s及び/または2つのR2sが存在する場合、各R1sは、同じであっても異なっていてもよく(代替的には同じであるか、または代替的には異なっていてもよく)、及び/または各R2sは、同じであっても異なっていてもよい(代替的には同じであるか、または代替的には異なっていてもよい)。L1s、X1s、X2s、R1s、R2s、m、及びnは、L1s、X1s、X2s、R1s、R2s、m、及び/またはnを有するヘテロ原子配位子クロム化合物錯体の任意のヘテロ原子配位子または任意のヘテロ原子配位子の独立した要素であり、独立して本明細書に記載されている。L1s、X1s、X2s、R1s、R2s、m、及びnのこれらの独立した記載は、L1s、X1s、X2s、R1s、R2s、m、及び/またはnを有するヘテロ原子配位子クロム化合物錯体の任意のヘテロ原子配位子または任意のヘテロ原子配位子をさらに記載するために、非限定的に、任意の組み合わせで利用され得る。加えて、CrXは、ヘテロ原子配位子クロム化合物錯体の独立した要素であり、独立して本明細書に記載され、非限定的に、ヘテロ原子配位子のL1s、X1s、X2s、R1s、R2s、m、及びnとの任意の組み合わせで利用されて、本明細書で企図されるヘテロ原子配位子クロム化合物錯体をさらに記載することができる。
【0135】
一態様では、X1s及び/またはX2sを有する本明細書に記載される任意のヘテロ原子配位子クロム化合物錯体の任意のヘテロ原子配位子または任意のヘテロ原子配位子の各X1s及び各X2sは、N、P、O、及びSから独立して選択することができ、代替的にはN及びPから独立して選択することができ、または代替的にはO及びSから独立して選択することができる。一部の態様では、各X1s及び各X2sは、N、代替的にはP、代替的にはO、または代替的にはSであり得る。任意のヘテロ原子配位子、またはm及び/またはnを有する本明細書に記載される任意のヘテロ原子配位子クロム化合物錯体の任意のヘテロ原子配位子の各m及び各nは、独立して、1または2、代替的には1、または代替的には2から選択され得る。一部の特定の態様では、X1s及び/またはX2sが、それぞれ、OまたはS、代替的にはO、または代替的にはSであるとき、各m及び/または各nは、1であり得る。一部の他の特定の態様では、X1s及び/またはX2sが、それぞれ、NまたはP、代替的にはN、または代替的にはPであるとき、各m及び/または各nは、2であり得る。
【0136】
非限定的な態様では、ヘテロ原子配位子は、式R1sS(L1s)SR2s、(R1sP(L1s)P(R2s、または(R1sN(L1s)N(R2sを有することができ、代替的にはR1sS(L1s)SR2sを有することができ、代替的には(R1sP(L1s)P(R2sを有することができ、または代替的には(R1sN(L1s)N(R2sを有することができ、一方で、ヘテロ原子配位子クロム化合物錯体は、次式のいずれか1つを有することができる。
【化5】
【0137】
ヘテロ原子配位子またはヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のヘテロ原子配位子が2つの連結したヘテロ原子基を有する非限定的な態様では、ヘテロ原子配位子は、次のうちの1つ以上から選択される式を有することができる。

【化6】

ヘテロ原子配位子クロム化合物錯体は、次式のいずれか1つを有することができる。
【化7】
【0138】
一態様では、本明細書に記載されるヘテロ原子配位子クロム化合物錯体の任意のヘテロ原子配位子または任意のヘテロ原子配位子の各L1sは、独立して、基X1s及びX2s(及びヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のヘテロ原子配位子またはヘテロ原子配位子が、2つ以上のL1s基が存在する場合、他のL1s基)を連結することができる任意の基であり得る。一部の態様では、各L1sは、独立して、オルガニレン基、アミン-ジ-イル基、またはホスフィン-ジ-イル基、代替的には不活性官能基からなるオルガニレン基、アミン-ジ-イル基、またはホスフィン-ジ-イル基、代替的にはヒドロカルビレン基、アミン-ジ-イル基、またはホスフィン-ジ-イル基、代替的にはアミン-ジ-イル基もしくはホスフィン-ジ-イル基、代替的にはオルガニレン基、代替的には不活性官能基からなるオルガニレン基、代替的にはヒドロカルビレン基、代替的にはアミン-ジ-イル基、または代替的にはホスフィン-ジ-イル基である。ヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のヘテロ原子配位子またはヘテロ原子配位子中に2つ以上のL1s基が存在する場合、各L1sは、独立して、有機基、アミン基、またはホスフィン基、は代替的には不活性官能基、アミン基、またはホスフィン基からなる有機基、代替的には炭化水素基、アミン基、またはホスフィン基、代替的にはアミン基またはホスフィン基、代替的には有機基、代替的には不活性官能基からなる有機基、代替的には炭化水素基、代替的にはアミン基、または代替的にはホスフィン基であり得る。一態様では、L1sオルガニレン基または有機基は、C~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cオルガニレン基または有機基であり得る。一態様では、不活性官能基からなるL1sオルガニレン基は、C~C20、C~C15、C~C10、もしくはC~Cオルガニレン、または不活性官能基からなる有機基であり得る。一態様では、L1sヒドロカルビレン基は、C~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cヒドロカルビレン基または炭化水素基であり得る。一態様では、アミン-ジ-イルまたはアミン基は、C~C30、C~C20、C~C15、またはC~C10アミン-ジ-イルまたはアミン基であり得る。一態様では、ホスフィン-ジ-イル基またはホスフィン基は、C~C30、C~C20、C~C15、またはC~C10ホスフィン-ジ-イル基またはホスフィン基であり得る。
【0139】
一態様では、各L1sオルガニレンまたは有機基は、式-(L3s)NR5s(L4s)-または-(L3s)PR5s(L4s)-、代替的には-(L3s)NR5s(L4s)-、または代替的には-(L3s)PR5s(L4s)-を有することができる。一態様では、各アミン-ジ-イル基は、式-N(R5s)-を有することができる。一態様では、各ホスフィン-ジ-イル基は、式-P(R5s)-を有することができる。これらのL1s基の式において、ダッシュは、ヘテロ原子配位子のX1s及びX2sまたは本明細書に記載されるヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のヘテロ原子配位子のヘテロ原子配位子が結合する指定されていない原子価を表す。ヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のヘテロ原子配位子またはヘテロ原子配位子中に2つ以上のL1s基が存在する場合、各L1s基のR5sは、L2sとして表される連結基に混合させることができる。一部の非限定的な態様では、ヘテロ原子配位子は、構造PNP1、構造PNP2、構造NRN、構造PRP、構造SRN、構造PRN、及び構造NRP、代替的には構造PNP1もしくは構造PNP2、代替的には構造PRP、構造SRN、もしくは構造PRN、代替的には構造PNP1、代替的には構造PNP2、代替的には構造NRN、代替的には構造PRP、代替的には構造SRN、代替的には構造PRN、または代替的には構造NRPを有することができる。一部の非限定的な態様では、本明細書に記載される触媒系において利用され得るヘテロ原子配位子(R1s1s(L1s)X2s(R2sを有するヘテロ原子配位子クロム化合物錯体は、構造PNCr1、構造PNPCr2、構造NRNCr、構造PRPCr、構造SRNCr、構造PRNCr、及び構造NRPCr、代替的には構造PNPCr1または構造PNPCr2、代替的には構造PRPCr、構造SRNCr、または構造PRNCr、代替的には構造PNPCr1、代替的には構造PNPCr2、代替的には構造NRNCr、代替的には構造PRPCr、代替的には構造SRNCr、代替的には構造PRNCr、または代替的には構造NRPCrを有することができる。

【化8】
【0140】
5s、L2s、L3s、L4s、R11s、R12s、R13s、及びR14sは、それぞれ、構造PNP1、構造PNP2、構造NRN、構造PRP、構造SRN、構造PRN、もしくは構造NRPを有するヘテロ原子配位子、及び/または構造PNPCr1、構造PNPCr2、構造NRNCr、構造PRPCr、構造SRNCr、構造PRNCr、及び構造NRPCrを有するヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のヘテロ原子配位子の独立した要素であり、それらが存在し、独立して本明細書に記載される。R5s、L2s、L3s、L4s、R11s、R12s、R13s、及びR14sの独立した記載は、ヘテロ原子配位子構造及び/またはそれらが存在するヘテロ原子配位子クロム化合物錯体構造をさらに記載するために、非限定的に、任意の組み合わせで利用され得る。同様に、X及びpは、構造PNCr1、構造PNPCr2、構造NRNCr、構造PRPCr、構造SRNCr、構造PRNCr、及び構造NRPCrを有するヘテロ原子配位子クロム化合物錯体の独立した要素であり、独立して本明細書に記載される。X及びpの独立した記載は、構造PNPCr1、構造PNPCr2、構造NRNCr、構造PRPCr、構造SRNCr、構造PRNCr、及び/または構造NRPCrを有する任意のヘテロ原子配位子クロム化合物錯体をさらに記載するために本明細書で提供される独立して記載されたR5s、L2s、L3s、L4s、R11s、R12s、R13s、及びR14sとともに、非限定的に、任意の組み合わせで利用され得る。
【0141】
概して、R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14s基を有する、本明細書に示される任意のヘテロ原子配位子構造及び/または本明細書に示される任意のヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のR1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14s基は、独立して、オルガニル基、代替的には不活性官能基からなるオルガニル基、または代替的にはヒドロカルビル基であり得る。一態様では、R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14sとして利用され得るオルガニル基は、独立して、C~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cオルガニル基であり得る。一態様では、R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14sとして独立して利用できる不活性官能基からなるオルガニル基は、不活性官能基からなるC~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cオルガニル基であり得る。一態様では、R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14sとして利用され得るヒドロカルビル基は、独立して、C~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cヒドロカルビル基であり得る。
【0142】
一態様では、R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14sを有する、本明細書に示される任意のヘテロ原子配位子構造及び/または本明細書に示される任意のヘテロ原子配位子クロム化合物錯体の各R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14s基は、独立して、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、もしくは置換アラルキル基、代替的にはアルキル基もしくは置換アルキル基、代替的にはシクロアルキル基もしくは置換シクロアルキル基、代替的にはアリール基もしくは置換アリール基、代替的にはアラルキル基もしくは置換アラルキル基、または代替的にはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、もしくはアラルキル基であり得る。他の態様では、R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14s基を有する、本明細書に示される任意のヘテロ原子配位子構造及び/または本明細書に示される任意のヘテロ原子配位子クロム化合物錯体の各R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14s基は、独立して、アルキル基、代替的には置換アルキル基、代替的にはシクロアルキル基、代替的には置換シクロアルキル基、代替的にはアリール基、代替的には置換アリール基、代替的にはアラルキル基、または代替的には置換アラルキル基であり得る。
【0143】
本明細書中に開示される任意の態様では、各R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14sアルキル基は、独立して、C~C20、C~C10、またはC~Cアルキル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、各R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14s置換アルキル基は、独立して、C~C20、C~C10、またはC~C置換アルキル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、各R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14sシクロアルキル基は、独立して、C~C20、C~C15、またはC~C10シクロアルキル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、各R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14s置換シクロアルキル基は、独立して、C~C20、C~C15、またはC~C10置換シクロアルキル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、各R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14sアリール基は、独立して、C~C20、C~C15、またはC~C10アリール基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、各R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14s置換アリール基は、独立して、C~C20、C~C15、またはC~C10置換アリール基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、各R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14sアラルキル基は、独立して、C~C20、C~C15、またはC~C10アラルキル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、各R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14s置換アラルキル基は、独立して、C~C20、C~C15、またはC~C10置換アラルキル基であり得る。置換アルキル基(一般的もしくは特定の)、置換シクロアルキル基(一般的もしくは特定の)、置換アリール基(一般的もしくは特定の)、及び/または置換アラルキル基(一般的もしくは特定の)の各置換基は、ハロゲン、ヒドロカルビル基、もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルビル基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、代替的にはヒドロカルビル基、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基(一般的及び特定の)、及び置換基ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定の)は、本明細書において独立して開示される。これらの置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルボキシ基、及び置換基ヒドロカルボキシ基は、利用され得る置換基(一般的または特定の)R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14sをさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0144】
一態様では、各R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14sは、独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、もしくはオクチル基、または代替的にはメチル基、エチル基、イソ-プロピル(2-プロピル)基、tert-ブチル(2-メチル-2-プロピル)基、もしくはネオペンチル(2,2-ジメチル-1-プロピル)基であり得る。一部の態様では、各R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14sとして利用され得るアルキル基は、独立して、置換され得る。置換アルキル基の各置換基は、独立して、ハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換ハロゲン及び置換ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定の)は、本明細書において独立して開示される。これらの置換基ハロゲン及び置換基ヒドロカルボキシ基は、R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14sとして利用され得る置換アルキル基(一般的または特定の)をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0145】
一態様では、各R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14sは、独立して、シクロペンチル基、置換シクロペンチル基、シクロヘキシル基、もしくは置換シクロヘキシル基、代替的にはシクロペンチル基もしくは置換シクロペンチル基、代替的にはシクロヘキシル基もしくは置換シクロヘキシル基、代替的にはシクロペンチル基、代替的には置換シクロペンチル基、代替的にはシクロヘキシル基、または代替的には置換シクロヘキシル基であり得る。一態様では、R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14sのいずれかに利用され得る置換シクロアルキル基は、本明細書に記載される任意のヘテロ原子配位子、本明細書に記載されるヘテロ原子配位子クロム化合物錯体の任意のヘテロ原子配位子、本明細書に提供される任意のヘテロ原子配位子式もしくは構造、及び/または本明細書に提供される任意のヘテロ原子配位子クロム化合物錯体構造中に存在する場合、独立して、2-置換シクロヘキシル基、2,6-二置換シクロヘキシル基、2-置換シクロペンチル基、もしくは2,5-二置換シクロペンチル基、代替的には2-置換シクロヘキシル基もしくは2,6-二置換シクロヘキシル基、代替的には2-置換シクロペンチル基もしくは2,5-二置換シクロペンチル基、代替的には2-置換シクロヘキシル基もしくは2-置換シクロペンチル基、または代替的には2,6-二置換シクロヘキシル基もしくは2,5-二置換シクロペンチル基であり得る。一態様では、R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14sとして利用される多置換シクロアルキル基の1つ以上の置換基は、同じであっても異なっていてもよく、代替的には多置換シクロアルキル基の全ての置換基は、同じであってもよく、または代替的には多置換シクロアルキル基の全ての置換基は、異なっていてもよい。指定された数の環炭素原子を有する置換シクロアルキル基(一般的または特定の)の各置換基は、独立して、ハロゲン、ヒドロカルビル基、もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルビル基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、代替的にはヒドロカルビル基、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基(一般的及び特定の)、及び置換基ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定の)は、本明細書において独立して開示される。これらの置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基、及び置換基ヒドロカルボキシ基は、R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14sとして利用され得る置換シクロアルキル基(一般的または特定の)をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0146】
非限定的な態様では、各R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14sは、独立して、シクロヘキシル基、2-アルキルシクロヘキシル基、もしくは2,6-ジアルキルシクロヘキシル基、または代替的にはシクロペンチル基、2-アルキルシクロペンチル基、もしくは2,5-ジアルキルシクロペンチル基であり得る。アルキル置換基(一般的及び特定の)は、独立して本明細書に記載され、これらのアルキル置換基は、R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14として利用され得るアルキルシクロヘキシル基(一般的または特定の)、ジアルキルシクロヘキシル基(一般的または特定の)、アルキルシクロペンチル基(一般的または特定の)、及び/またはジアルキルシクロペンチル基(一般的または特定の)をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。概して、二置換シクロヘキシルまたはシクロペンチル基のアルキル置換基は同じであってもよく、または代替的にはアルキル置換基は異なっていてもよい。一部の非限定的な態様では、各R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及びR14sは、本明細書に記載される任意のヘテロ原子配位子、本明細書に記載されるヘテロ原子配位子クロム化合物錯体の任意のヘテロ原子配位子、本明細書に提供される任意のヘテロ原子配位子式もしくは構造、及び/または本明細書に提供される任意のヘテロ原子配位子クロム化合物錯体構造中に存在する場合、独立して、2-メチルシクロヘキシル基、2-エチルシクロヘキシル基、2-イソプロピルシクロヘキシル基、2-tert-ブチルシクロヘキシル基、2,6-ジメチルシクロヘキシル基、2,6-ジエチルシクロヘキシル基、2,6-ジイソプロピルシクロヘキシル基、もしくは2,6-ジ-tert-ブチルシクロヘキシル基、代替的には2-メチルシクロヘキシル基、2-エチルシクロヘキシル基、2-イソプロピルシクロヘキシル基、もしくは2-tert-ブチルシクロヘキシル基、または代替的には2,6-ジメチルシクロヘキシル基、2,6-ジエチルシクロヘキシル基、2,6-ジイソプロピルシクロヘキシル基、もしくは2,6-ジ-tert-ブチルシクロヘキシル基であり得る。
【0147】
一態様では、各R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14sは、独立して、フェニル基もしくは置換フェニル基、代替的にはフェニル基、または代替的には置換フェニル基であり得る。一態様では、各R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14sに利用され得る置換フェニル基は、本明細書に記載される任意のヘテロ原子配位子、本明細書に記載されるヘテロ原子配位子クロム化合物錯体の任意のヘテロ原子配位子、本明細書に提供される任意のヘテロ原子配位子式もしくは構造、及び/または本明細書に提供される任意のヘテロ原子配位子クロム化合物錯体構造中に存在する場合、独立して、2-置換フェニル基、3-置換フェニル基、4-置換フェニル基、2,4-二置換フェニル基、2,6-二置換フェニル基、3,5-二置換フェニル基、または2,4,6-三置換フェニル基、代替的には2-置換フェニル基、4-置換フェニル基、2,4-二置換フェニル基、または2,6-二置換フェニル基、代替的には3-置換フェニル基もしくは3,5-二置換フェニル基、代替的には2-置換フェニル基もしくは4-置換フェニル基、代替的には2,4-二置換フェニル基もしくは2,6-二置換フェニル基、代替的には2-置換フェニル基、代替的には3-置換フェニル基、代替的には4-置換フェニル基、代替的には2,4-二置換フェニル基、代替的には2,6-二置換フェニル基、代替的には3,5-二置換フェニル基、代替的には2,4,6-三置換フェニル基であり得る。一態様では、R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14sとして利用される多置換フェニル基の1つ以上の置換基は、同じであっても異なっていてもよく、代替的には全ての置換基が同じであってもよく、または代替的には全ての置換基が異なっていてもよい。置換フェニル基(一般的または特定の)の各置換基は、独立して、ハロゲン、ヒドロカルビル基、もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルビル基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、代替的にはヒドロカルビル基、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基(一般的及び特定の)、及び置換基ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定の)は、本明細書において独立して開示される。これらの置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基、及び置換基ヒドロカルボキシ基は、R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14sとして利用され得る置換フェニル基(一般的または特定の)をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0148】
非限定的な態様では、各R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14sは、独立して、フェニル基、2-アルキルフェニル基、3-アルキルフェニル基、4-アルキルフェニル基、2,4-ジアルキルフェニル基、2,6-ジアルキルフェニル基、3,5-ジアルキルフェニル基、もしくは2,4,6-トリアルキルフェニル基、代替的には2-アルキルフェニル基、4-アルキルフェニル基、2,4-ジアルキルフェニル基、2,6-ジアルキルフェニル基、もしくは2,4,6-トリアルキルフェニル基、代替的には2-アルキルフェニル基もしくは4-アルキルフェニル基、代替的には2,4-ジアルキルフェニル基もしくは2,6-ジアルキルフェニル基、代替的には3-アルキルフェニル基もしくは3,5-ジアルキルフェニル基、代替的には2-アルキルフェニル基もしくは2,6-ジアルキルフェニル基、または代替的には2,4,6-トリアルキルフェニル基であり得る。アルキル置換基(一般的及び特定の)は、本明細書において独立して記載され、これらのアルキル置換基は、R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14sとして利用され得る任意のアルキル置換フェニル基をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。概して、ジアルキルフェニル基(一般的または特定の)またはトリアルキルフェニル基(一般的または特定の)のアルキル置換基は同じであってもよく、または代替的にはアルキル置換基は異なっていてもよい。一部の非限定的な態様では、各R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14sは、本明細書に記載される任意のヘテロ原子配位子、本明細書に記載されるヘテロ原子配位子クロム化合物錯体の任意のヘテロ原子配位子、本明細書に提供される任意のヘテロ原子配位子式もしくは構造、及び/または本明細書に提供される任意のヘテロ原子配位子クロム化合物錯体構造中に存在する場合、独立して、フェニル基、2-メチルフェニル基、2-エチルフェニル基、2-n-プロピルフェニル基、2-イソプロピルフェニル基、2-tert-ブチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2,6-ジエチルフェニル基、2,6-ジ-n-プロピルフェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、2,6-ジ-tert-ブチルフェニル基、2-イソプロピル-6-メチルフェニル基、または2,4,6-トリメチルフェニル基、代替的にはフェニル基、2-メチルフェニル基、2-エチルフェニル基、2-n-プロピルフェニル基、2-イソプロピルフェニル基、または2-tert-ブチルフェニル基、または代替的にはフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2,6-ジエチルフェニル基、2,6-ジ-n-プロピルフェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、2,6-ジ-tert-ブチルフェニル基、2-イソプロピル-6-メチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基であり得る。
【0149】
非限定的な態様では、各R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14sは、独立して、フェニル基、2-アルコキシフェニル基、または4-アルコキシフェニル基であり得る。一部の非限定的な態様では、各R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14sは、本明細書に記載される任意のヘテロ原子配位子、本明細書に記載されるヘテロ原子配位子クロム化合物錯体の任意のヘテロ原子配位子、本明細書に提供される任意のヘテロ原子配位子式もしくは構造、及び/または本明細書に提供される任意のヘテロ原子配位子クロム化合物錯体構造中に存在する場合、独立して、フェニル基、2-メトキシフェニル基、2-エトキシフェニル基、2-イソプロポキシフェニル基、2-tert-ブトキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、4-エトキシフェニル基、4-イソプロポキシフェニル基、もしくは4-tert-ブトキシフェニル基、代替的には2-メトキシフェニル基、2-エトキシフェニル基、2-イソプロポキシフェニル基、もしくは2-tert-ブトキシフェニル基、または代替的には4-メトキシフェニル基、4-エトキシフェニル基、4-イソプロポキシフェニル基、もしくは4-tert-ブトキシフェニル基であり得る。非限定的な態様では、各R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14sは、独立して、フェニル基、2-ハロフェニル基、4-ハロフェニル基、または2,6-ジハロフェニル基であり得る。概して、ジハロフェニル基のハロゲン化物は、同じであり得るか、または代替的にはこれらのハロゲン化物は、異なり得る。一部の態様では、各R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14sは、独立して、フェニル基、2-フルオロフェニル基、4-フルオロフェニル基、または2,6-ジフルオロフェニル基であり得る。
【0150】
一態様では、各R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14sは、独立して、ベンジル基もしくは置換ベンジル基、代替的にはベンジル基、または代替的には置換ベンジル基であり得る。置換ベンジル基(一般的または特定の)の各置換基は、独立して、ハロゲン、ヒドロカルビル基、もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルビル基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、代替的にはヒドロカルビル基、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基(一般的及び特定の)、及び置換基ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定の)は、本明細書において独立して開示される。これらの置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基、及び置換基ヒドロカルボキシ基は、R1s、R2s、R11s、R12s、R13s、及び/またはR14sとして利用され得る置換ベンジル基(一般的または特定の)をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0151】
さらなる態様では、単一のX1sに結合した2つのR1s、単一のX2sに結合した2つのR2s、R11s及びR12s、及び/またはR13s及びR14sは、独立して結合して、それらが結合しているヘテロ原子を含有する環または環系を形成することができる。単一のX1sに結合した2つのR1sの結合は、L11sと表すことができる。単一のX2sに結合した2つのR2sの結合は、L22sと表すことができる。R11sとR12sとの結合は、L12sと表すことができる。R13sとR14sとの結合は、L34sと表すことができる。一態様では、L11s、L22s、L12s、及び/またはL34sは、独立して、オルガニレン基、代替的には不活性官能基からなるオルガニレン基、代替的にはヒドロカルビレン基、または代替的にはアルキレン基であり得る。一態様では、L11s、L22s、L12s、及び/またはL34sオルガニレン基は、存在する場合、独立して、C~C30、C~C20、C~C15、またはC~C10オルガニレン基であり得る。一部の態様では、不活性官能基からなるL11s、L22s、L12s、及び/またはL34sオルガニレン基は、存在する場合、独立して、不活性官能基からなるC~C30、C~C20、C~C15、またはC~C10オルガニレン基であり得る。他の態様では、L11s、L22s、L12s、及び/またはL34sヒドロカルビル基は、存在する場合、独立して、C~C30、C~C20、C~C15、またはC~C10ヒドロカルビレン基であり得る。さらなる態様では、L11s、L22s、L12s、及び/またはL34sアルキレン基は、存在する場合、独立して、C~C30、C~C20、C~C15、またはC~C10アルキレン基であり得る。一態様では、L12s及び/またはL34sは、存在する場合、独立して、ブタ-1,4-イレン基、1,4-ジフェニルブタ-1,4-イレン基、1,4-ジ(2-メチルフェニル)ブタ-1,4-イレン基、1,4-ジ(4-メチルフェニル)ブタ-1,4-イレン基、1,4-ジ(4-t-ブチルフェニル)ブタ-1,4-イレン基、1,4-ジ(3,5-ジメチルフェニル)ブタ-1,4-イレン基、ペンタ-1,4-イレン基、1-フェニルペンタ-1,4-イレン基、4-フェニルペンタ-1,4-イレン基、ヘキサ-2,5-イレン基、2,2’-ビフェニレン基、2,2’-(メタンジイル)ジフェニレン基、または2,2’-(1,2-エタンジイル)ジフェニレン基であり得る。
【0152】
概して、本明細書に示される任意のヘテロ原子配位子構造及びR5s基を有する本明細書に示される任意のヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のR5sは、オルガニル基、代替的には不活性官能基からなるオルガニル基、または代替的にはヒドロカルビル基であり得る。一態様では、R5sオルガニル基は、C~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cオルガニル基であり得る。一態様では、不活性官能基からなるR5sオルガニル基は、不活性官能基からなるC~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cオルガニル基であり得る。一態様では、R5sヒドロカルビル基は、C~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cヒドロカルビル基であり得る。
【0153】
一態様では、本明細書に示される任意のヘテロ原子配位子構造及びR5s基を有する本明細書に示される任意のヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のR5sは、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、または置換アラルキル基であり得、アルキル基もしくは置換アルキル基、代替的にはシクロアルキル基もしくは置換シクロアルキル基、代替的にはアリール基もしくは置換アリール基、代替的にはアラルキル基もしくは置換アラルキル基、または代替的にはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、もしくはアラルキル基であり得る。他の態様では、本明細書に示される任意のヘテロ原子配位子構造及びR5s基を有する本明細書に示される任意のヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のR5sは、アルキル基、代替的には置換アルキル基、代替的にはシクロアルキル基、代替的には置換シクロアルキル基、代替的にはアリール基、代替的には置換アリール基、代替的にはアラルキル基、または代替的には置換アラルキル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、R5sアルキル基は、C~C20、C~C15、またはC~C10アルキル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、R5s置換アルキル基は、C~C20、C~C15、またはC~C10置換アルキル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、R5sシクロアルキル基は、C~C20、C~C15、またはC~C10シクロアルキル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、R5s置換シクロアルキル基は、C~C20、C~、またはC~C10置換シクロアルキル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、R5sアリール基は、C~C20、C~C15、またはC~C10アリール基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、R5s置換アリール基は、C~C20、C~C15、またはC~C10置換アリール基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、R5sアラルキル基は、C~C20、C~C15、またはC~C10アラルキル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、R5s置換アラルキル基は、C~C20、C~C15、またはC~C10置換アラルキル基であり得る。置換アルキル基(一般的もしくは特定の)、置換シクロアルキル基(一般的もしくは特定の)、置換アリール基(一般的もしくは特定の)、及び/または置換アラルキル基(一般的もしくは特定の)の各置換基は、ハロゲン、ヒドロカルビル基、もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルビル基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルボキシル基、代替的にはヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、代替的にはヒドロカルビル基、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換基ハロゲン、ヒドロカルビル基(一般的及び特定の)、及び置換基ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定の)は、独立して本明細書に開示されている。これらの置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基、及び置換基ヒドロカルボキシ基は、R5sとして利用され得る置換基(一般的または特定の)をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0154】
一態様では、R5sは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、もしくはオクチル基、代替的にはメチル基、エチル基、n-プロピル(1-プロピル)基、イソプロピル(2-プロピル)基、n-ブチル(1-ブチル)基、sec-ブチル(2-ブチル)基、イソブチル(2-メチル-1-プロピル)基、tert-ブチル(2-メチル-2-プロピル)基、n-ペンチル(1-ペンチル)基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、2-メチル-1-ブチル基、tert-ペンチル(2-メチル-2-ブチル)基、3-メチル-1-ブチル基、3-メチル-2-ブチル基、もしくはネオペンチル(2,2-ジメチル-1-プロピル)基、または代替的にはメチル基、エチル基、イソ-プロピル(2-プロピル)基、tert-ブチル(2-メチル-2-プロピル)基、ネオペンチル(2,2-ジメチル-1-プロピル)基であり得る。一部の態様では、R5sアルキル基は置換され得る。R5s置換アルキル基の各置換基は、独立して、ハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換基ハロゲン及び置換基ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定の)は、独立して、本明細書中に記載され、これらの置換基は、R5sとして利用され得る置換アルキル基(一般的または特定の)をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0155】
一態様では、R5sは、シクロペンチル基、置換シクロペンチル基、シクロヘキシル基、置換シクロヘキシル基、代替的にはシクロペンチル基もしくは置換シクロペンチル基、または代替的にはシクロヘキシル基もしくは置換シクロヘキシル基であり得る。さらなる態様では、R5sは、2-置換シクロヘキシル基、2,6-二置換シクロヘキシル基、2-置換シクロペンチル基、もしくは2,5-二置換シクロペンチル基、代替的には2-置換シクロヘキシル基もしくは2,6-二置換シクロヘキシル基、代替的には2-置換シクロヘキシル基もしくは2,6-二置換シクロヘキシル基、代替的には2-置換シクロペンチル基もしくは2,5-二置換シクロペンチル基、代替的には2-置換シクロヘキシル基もしくは2-置換シクロペンチル基、または代替的には2,6-二置換シクロヘキシル基もしくは2,5-二置換シクロペンチル基であり得る。一態様では、R5sとして利用される多置換シクロアルキル基の1つ以上の置換基は、同じであっても異なっていてもよく、代替的には多置換シクロアルキル基の全ての置換基は、同じであってもよく、または代替的には多置換シクロアルキル基の全ての置換基は、異なっていてもよい。指定された数の環炭素原子を有するシクロアルキル基(一般的または特定の)の各置換基は、独立して、ハロゲン、ヒドロカルビル基、もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルビル基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、代替的にはヒドロカルビル基、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基(一般的及び特定の)、及び置換基ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定の)は、独立して本明細書に記載され、これらの置換基は、R5sとして利用され得る置換シクロアルキル基(一般的または特定の)をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0156】
非限定的な態様では、R5sは、シクロヘキシル基、2-アルキルシクロヘキシル基、もしくは2,6-ジアルキルシクロヘキシル基、または代替的にはシクロペンチル基、2-アルキルシクロペンチル基、もしくは2,5-ジアルキルシクロペンチル基であり得る。アルキル置換基(一般的及び特定の)は、本明細書中で独立して記載され、これらのアルキル置換基は、R5sとして利用され得るアルキルシクロヘキシル基(一般的または特定の)、ジアルキルシクロヘキシル基(一般的または特定の)、アルキルシクロペンチル基(一般的または特定の)、及び/またはジアルキルシクロペンチル基(一般的または特定の)をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。概して、二置換シクロヘキシルまたはシクロペンチル基のアルキル置換基は同じであってもよく、または代替的にはアルキル置換基は異なっていてもよい。一部の非限定的な態様では、本明細書で提供されるR5sヘテロ原子配位子構造、及び/または本明細書で提供される任意のヘテロ原子配位子クロム化合物錯体構造は、2-メチルシクロヘキシル基、2-エチルシクロヘキシル基、2-イソプロピルシクロヘキシル基、2-tert-ブチルシクロヘキシル基、2,6-ジメチルシクロヘキシル基、2,6-ジエチルシクロヘキシル基、2,6-ジイソプロピルシクロヘキシル基、または2,6-ジ-tert-ブチルシクロヘキシル基であり得る。他の非限定的な態様では、R5sは、2-メチルシクロヘキシル基、2-エチルシクロヘキシル基、2-イソプロピルシクロヘキシル基、または2-tert-ブチルシクロヘキシル基、または代替的には2,6-ジメチルシクロヘキシル基、2,6-ジエチルシクロヘキシル基、2,6-ジイソプロピルシクロヘキシル基、または2,6-ジ-tert-ブチルシクロヘキシル基であり得る。一態様では、本明細書において提供されるR5sヘテロ原子配位子構造、及び/または本明細書において提供される任意のヘテロ原子配位子クロム化合物錯体構造は、シクロペンチル基、2-メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、もしくは2-メチルシクロヘキシル基、代替的にはシクロペンチル基もしくはシクロヘキシル基、または代替的には2-メチルシクロペンチル基もしくは2-メチルシクロヘキシル基であり得る。
【0157】
一態様では、R5sは、フェニル基もしくは置換フェニル基、代替的にはフェニル基、または代替的には置換フェニル基であり得る。一部の態様では、R5sは、2-置換フェニル基、4-置換フェニル基、2,4-二置換フェニル基、2,6-二置換フェニル基、もしくは2,4,6-三置換フェニル基、代替的には2-置換フェニル基もしくは4-置換フェニル基、代替的には2,4-二置換フェニル基、2,6-二置換フェニル基、もしくは2,4,6-三置換フェニル基、代替的には2,4-二置換フェニル基もしくは2,6-二置換フェニル基、代替的には2-置換フェニル基、代替的には4-置換フェニル基、代替的には2,4-二置換フェニル基、代替的には2,6-二置換フェニル基、または代替的には2,4,6-三置換フェニル基であり得る。一態様では、R5sとして利用される多置換フェニル基の1つ以上の置換基は、同じであっても異なっていてもよく、代替的には全ての置換基が同じであってもよく、または代替的には全ての置換基が異なっていてもよい。置換フェニル基(一般的または特定の)の各置換基は、独立して、ハロゲン、ヒドロカルビル基、もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルビル基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、代替的にはヒドロカルビル基、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基(一般的及び特定の)、及び置換基ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定の)は、独立して本明細書に記載され、これらの置換基は、R5sとして利用され得る置換フェニル基(一般的または特定の)をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0158】
非限定的な態様では、R5sは、フェニル基、2-アルキルフェニル基、4-アルキルフェニル基、2,4-ジアルキルフェニル基、2,6-ジアルキルフェニル基、または2,4,6-トリアルキルフェニル基、代替的には2-アルキルフェニル基、2,4-ジアルキルフェニル基、2,6-ジアルキルフェニル基、または2,4,6-トリアルキルフェニル基であり得る。アルキル置換基(一般的及び特定の)は、本明細書において独立して記載され、これらのアルキル置換基は、R5sとして利用され得る任意のアルキル置換フェニル基をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。概して、ジアルキルフェニル基(一般的または特定の)またはトリアルキルフェニル基(一般的または特定の)のアルキル置換基は、同じであってもよく、または代替的にはアルキル置換基は、異なっていてもよい。一部の非限定的な態様では、R5sは、フェニル基、2-メチルフェニル基、2-エチルフェニル基、2-n-プロピルフェニル基、2-イソプロピルフェニル基、2-tert-ブチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2,6-ジエチルフェニル基、2,6-ジ-n-プロピルフェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、2,6-ジ-tert-ブチルフェニル基、2-イソプロピル-6-メチルフェニル基、または2,4,6-トリメチルフェニル基、代替的にはフェニル基、2-メチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、または2,4,6-トリメチルフェニル基であり得る。
【0159】
概して、L2s基を有する任意のヘテロ原子配位子及び/または任意のヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のL2sは、オルガニレン基、代替的には不活性官能基からなるオルガニレン基、代替的にはヒドロカルビレン基、または代替的にはアルキレン基であり得る。一態様では、L2sオルガニレン基は、C~C20、C~C15、またはC~C10オルガニレン基であり得る。一態様では、不活性官能基からなるL2sオルガニレン基は、不活性官能基からなるC~C20、C~C15、またはC~C10オルガニレン基であり得る。一態様では、L2sアルキレン基は、C~C20、C~C15、またはC~C10アルキレン基であり得る。
【0160】
一態様では、L2s基を有する任意のヘテロ原子配位子及び/または任意のヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のL2sは、-(CRP’-であり得、式中、各R及びRP’は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、またはブチル基であり得、mは、1~12の整数であり得る。一部の態様では、L2s基を有する任意のヘテロ原子配位子及び/または任意のヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のL2sは、メチレン基(-CH-)、エチル-1,2-エン基(-CHCH-)、プロピル-1,3-エン基(-CHCHCH-)、プロパ-1,2-イレン基(-CH(CH)CH-)、プロパ-2,2-イレン基(-C(CH-)、ブチル-1,4-エン基(-CHCHCH-CH-)、または2-メチルプロパ-1,3-イレン基(-CHCH(CH)-CH-)、または代替的にはメチレン基(-CH-)、エチル-1,2-エン基(-CHCH-)、またはプロパ-1,2-イレン基(-CH(CH)CH-)であり得る。
【0161】
一態様では、L2s基を有する任意のヘテロ原子配位子及び/または任意のヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のL2sは、1,2-シクロヘキシレン、置換1,2-シクロヘキシレン、1,3-シクロヘキシレン、置換1,3-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキシレン、置換1,4-シクロヘキシレン、3,3’-ビシクロヘキシレン、置換3,3’-ビシクロヘキシレン、4,4’-ビシクロヘキシレン、置換4,4’-ビシクロヘキシレン、ビス(3-シクロヘキシレン)メタン、置換ビス(3-シクロヘキシレン)メタン、ビス(4-シクロヘキシレン)メタン、置換ビス(4-シクロヘキシレン)メタン、1,2-ビス(3-シクロヘキシレン)エタン、置換1,2-ビス(3-シクロヘキシレン)エタン、1,2-ビス(4-シクロヘキシレン)エタン、置換1,2-ビス(4-シクロヘキシレン)エタン、1,2-ビス(3-シクロヘキシレン)プロパン、置換1,2-ビス(3-シクロヘキシレン)プロパン、1,2-ビス(4-シクロヘキシレン)プロパン、置換1,2-ビス(4-シクロヘキシレン)プロパン、2,2-ビス(3-シクロヘキシレン)プロパン、置換2,2-ビス(3-シクロヘキシレン)プロパン、2,2-ビス(4-シクロヘキシレン)プロパン、または置換2,2-ビス(4-シクロヘキシレン)プロパンであり得る。一部の態様では、L2s基を有する任意のヘテロ原子配位子及び/または任意のヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のL2sは、置換1,2-シクロヘキシレン、置換1,3-シクロヘキシレン、置換1,4-シクロヘキシレン、置換3,3’-ビシクロヘキシレン、置換4,4’-ビシクロヘキシレン、置換ビス(3-シクロヘキシレン)メタン、置換ビス(4-シクロヘキシレン)メタン、置換1,2-ビス(3-シクロヘキシレン)エタン、置換1,2-ビス(4-シクロヘキシレン)エタン、置換1,2-ビス(3-シクロヘキシレン)プロパン、置換1,2-ビス(4-シクロヘキシレン)プロパン、置換2,2-ビス(3-シクロヘキシレン)プロパン、または置換2,2-ビス(4-シクロヘキシレン)プロパンであり得る。一態様では、L2sとして利用され得る置換シクロヘキシレン、置換ビス(シクロヘキシレン)メタン、置換ビス(シクロヘキシレン)エタン、または置換1,2-ビス(3-シクロヘキシレン)プロパンの各置換は、ヒドロカルビル基であり得る。置換基(一般的及び特定の)は、独立して、本明細書中に開示され、置換シクロヘキシレン(一般的または特定の)、置換ビス(シクロヘキシレン)メタン(一般的または特定の)、置換ビス(シクロヘキシレン)エタン(一般的または特定の)、または置換1,2-ビス(3-シクロヘキシレン)プロパン(一般的または特定の)(これらは、L2sとして利用され得る)をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0162】
一態様では、L2s基を有する任意のヘテロ原子配位子及び/または任意のヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のL2sは、1,2-フェニレン、置換1,2-フェニレン、1,3-フェニレン、置換1,3-フェニレン、1,4-フェニレン、置換1,4-フェニレン、3,3’-ビフェニレン、置換3,3’-ビフェニレン、4,4’-ビフェニレン、置換4,4’-ビフェニレン、ビス(3-フェニレン)メタン、置換ビス(3-フェニレン)メタン、ビス(4-フェニレン)メタン、置換ビス(4-フェニレン)メタン、1,2-ビス(3-フェニレン)エタン、置換1,2-ビス(3-フェニレン)エタン、1,2-ビス(4-フェニレン)エタン、置換1,2-ビス(4-フェニレン)エタン、1,2-ビス(3-フェニレン)プロパン、置換1,2-ビス(3-フェニレン)プロパン、1,2-ビス(4-フェニレン)プロパン、置換1,2-ビス(4-フェニレン)プロパン、2,2-ビス(3-フェニレン)プロパン、置換2,2-ビス(3-フェニレン)プロパン、2,2-ビス(4-フェニレン)プロパン、または置換2,2-ビス(4-フェニレン)プロパンであり得る。いくつかの態様では、L2s基を有する任意のヘテロ原子配位子及び/または任意のヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のL2sは、置換1,2-フェニレン、置換1,3-フェニレン、置換1,4-フェニレン、置換3,3’-ビフェニレン、置換4,4’-ビフェニレン、置換ビス(3-フェニレン)メタン、置換ビス(4-フェニレン)メタン、置換1,2-ビス(3-フェニレン)エタン、置換1,2-ビス(4-フェニレン)エタン、置換1,2-ビス(3-フェニレン)プロパン、置換1,2-ビス(4-フェニレン)プロパン、置換2,2-ビス(3-フェニレン)プロパン、または置換2,2-ビス(4-フェニレン)プロパンであり得る。一態様では、L2sとして利用され得る置換フェニレン(一般的または特定のもの)、置換ビフェニレン(一般的または特定のもの)、置換ビス(フェニレン)メタン(一般的または特定のもの)、置換ビス(フェニレン)エタン(一般的または特定のもの)、及び/または置換ビス(フェニレン)プロパン(一般的または特定のもの)の各置換は、ヒドロカルビル基であり得る。置換基ヒドロカルビル基(一般的及び特定の)は、独立して本明細書に開示され、L2sとして利用され得る置換フェニレン(一般的または特定の)、置換ビフェニレン(一般的または特定の)、置換ビス(フェニレン)メタン(一般的または特定の)、置換ビス(フェニレン)エタン(一般的または特定の)、及び/または置換ビス(フェニレン)プロパン(一般的または特定の)をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0163】
概して、L3s及び/またはL4s基を有する任意のヘテロ原子配位子及び/または任意のヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のL3s及び/またはL4sは、独立して、オルガニレン基、代替的には不活性官能基からなるオルガニレン基、代替的にはヒドロカルビレン基、代替的にはアルキレン基であり得る。一態様では、L3s及び/またはL4sオルガニレン基は、独立して、C~C20、C~C15、またはC~C10オルガニレン基であり得る。一態様では、不活性官能基からなるL3s及び/またはL4sオルガニレン基は、独立して、不活性官能基からなるC~C20、C~C15、またはC~C10オルガニレン基であり得る。一態様において、L3s及び/またはL4sヒドロカルビレン基は、独立して、C~C20、C~C15、またはC~C10ヒドロカルビレン基であり得る。一態様では、L3s及び/またはL4sアルキレン基は、独立して、C~C20、C~C15、またはC~C10アルキレン基であり得る。
【0164】
一態様では、L3s及び/またはL4s基を有する任意のヘテロ原子配位子構造及び/または任意のヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のL3s及び/またはL4sは、独立して、-(CRP’-であり得、式中、各R及びRP’は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、またはブチル基であり得、mは、1~12の整数であり得る。一部の態様では、L3s及び/またはL4s基を有する任意のヘテロ原子配位子構造及び/または任意のヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のL3s及び/またはL4sは、独立して、メチレン基(-CH-)、エタ-1,2-イレン基(-CHCH-)、エテン-1,2-イレン基(-CH=CH-)、プロパ-1,3-イレン基(-CHCHCH-)、プロパ-1,2-イレン基(-CH(CH)CH-)、プロパ-2,2-イレン基(-C(CH-)、1-メチルエテン-1,2-イレン基(-C(CH)=CH-)、ブタ-1,4-イレン基(-CHCHCH-CH-)、ブタ-1,3-イレン基(-CHCHCH(CH)-)、ブタ-2,3-イレン基(-CH(CH)CH(CH)-)、ブタ-2-エン-2,3-イレン基(-C(CH)C(CH)-)、3-メチルブタ-1,3-イレン基(-CHCHC(CH-)、1,2-シクロペンチレン基、1,2-シクロヘキシレン基、またはフェン-1,2-イレン基、代替的にはメチレン基(-CH-)、エタ-1,2-イレン基(-CHCH-)、プロパ-1,3-イレン基(-CHCHCH-)、プロパ-1,2-イレン基(-CH(CH)CH-)、プロパ-2,2-イレン基(-C(CH-)、ブタ-1,4-イレン基(-CHCHCH-CH-)、ブタ-1,3-イレン基(-CHCHCH(CH)-)、ブタ-2,3-イレン基(-CH(CH)CH(CH)-)、1,2-シクロペンチレン基、1,2-シクロヘキシレン基、もしくはフェン-1,2-イレン基、または代替的にはエタ-1,2-イレン基(-CHCH-)、プロパ-1,3-イレン基(-CHCHCH-)、プロパ-1,2-イレン基(-CH(CH)CH-)、ブタ-1,3-イレン基(-CHCHCH(CH)-)、ブタ-2,3-イレン基(-CH(CH)CH(CH)-)、1,2-シクロペンチレン基、1,2-シクロヘキシレン基、またはフェン-1,2-イレン基であり得る。
【0165】
本明細書に記載される種々の態様は、ハロゲン(またはハロ、ハロゲン化物)、ヒドロカルビル、ヒドロカルボキシ、アルキル、及び/またはアルコキシ置換基などの非水素置換基を指す。一実施形態では、置換基を必要とする任意の態様の各非水素置換基は、ハロゲン、ヒドロカルビル基、もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルビル基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、代替的にはヒドロカルビル基、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。各ヒドロカルビル置換基は、独立して、C~C10ヒドロカルビル基、または代替的にはC~Cヒドロカルビル基であり得る。各ヒドロカルボキシ置換基は、独立して、C~C10ヒドロカルボキシ基、または代替的にはC~Cヒドロカルボキシ基であり得る。各ハロゲン化物置換基は、独立して、フッ化物、塩化物、臭化物、もしくはヨウ化物、代替的にはフッ化物もしくは塩化物、代替的にはフッ化物、代替的には塩化物、代替的には臭化物、または代替的にはヨウ化物であり得る。
【0166】
一態様では、任意のヒドロカルビル置換基は、独立して、アルキル基、アリール基、もしくはアラルキル基、代替的にはアルキル基、代替的にはアリール基、または代替的にはアラルキル基であり得る。一態様では、任意のアルキル置換基は、独立して、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、2-メチル-1-ブチル基、tert-ペンチル基、3-メチル-1-ブチル基、3-メチル-2-ブチル基、またはネオペンチル基、代替的にはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、もしくはネオペンチル基、代替的にはメチル基、代替的にはエチル基、代替的にはイソプロピル基、代替的にはtert-ブチル基、または代替的にはネオペンチル基であり得る。一態様では、任意のアリール置換基は、独立して、フェニル基、トリル基、キシリル基、もしくは2,4,6-トリメチルフェニル基、代替的にはフェニル基、代替的にはトリル基、代替的にはキシリル基、または代替的には2,4,6-トリメチルフェニル基であり得る。一態様では、任意のアラルキル置換基は、独立して、ベンジル基もしくはエチルフェニル基(2-フェニルエタ-1-イルもしくは1-フェニルエタ-1-イル)、代替的にはベンジル基、代替的にはエチルフェニル基、代替的には2-フェニルエタ-1-イル基、または代替的には1-フェニルエタ-1-イル基であり得る。
【0167】
一態様では、任意のヒドロカルボキシ置換基は、独立して、アルコキシ基、アリールオキシ基、またはアラルコキシ基、代替的にはアルコキシ基、代替的にはアリールオキシ基、またはアラルコキシ基であり得る。一態様では、任意のアルコキシ置換基は、独立して、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペントキシ基、2-ペントキシ基、3-ペントキシ基、2-メチル-1-ブトキシ基、tert-ペントキシ基、3-メチル-1-ブトキシ基、3-メチル-2-ブトキシ基、またはneo-ペントキシ基、代替的にはメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert-ブトキシ基、またはネオペントキシ基、代替的にはメトキシ基、代替的にはエトキシ基、代替的にはイソプロポキシ基、代替的にはtert-ブトキシ基、または代替的にはネオペントキシ基であり得る。一態様では、任意のアリールオキシ置換基は、独立して、フェノキシ基、トリルオキシ基、キシルオキシ基、もしくは2,4,6-トリメチルフェノキシ基、代替的にはフェノキシ基、代替的にはトリルオキシ基、代替的にはキシルオキシ基、または代替的には2,4,6-トリメチルフェノキシ基であり得る。一態様では、任意のアラルコキシ置換基は、独立して、ベンゾキシ基であり得る。
【0168】
概して、本明細書に記載されるクロム化合物またはヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のクロム化合物は、式CrXを有することができ、式中、Xは、モノアニオン性配位子を表し、pは、モノアニオン性配位子の数(及びクロム化合物中のクロムの酸化状態)を表す。モノアニオン性配位子(X)及びpは、本明細書に記載されるクロム化合物またはヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のクロム化合物の独立した要素であり、独立して本明細書に記載される。モノアニオン性配位子(X)及びpの独立した記載は、本明細書に記載されるクロム化合物またはヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のクロム化合物をさらに記載するために、非限定的に、任意の組み合わせで利用され得る。
【0169】
概して、クロム化合物(CrX)のクロム原子は、クロム原子に利用可能な任意の正の酸化状態を有することができる。一態様では、クロム原子は、+2~+6、代替的には+2~+4、または代替的には+2~+3の酸化状態を有することができる。一部の態様では、クロム化合物(CrX)のクロム原子は、+1、代替的には+2、代替的には+3、または代替的には+4の酸化状態を有することができる。
【0170】
クロム化合物のモノアニオン(X)は、任意のモノアニオンであり得る。一態様では、モノアニオン(X)は、ハロゲン化物、カルボキシレート、β-ジケトネート、ヒドロカルボキシド、ニトレート、またはクロレートであり得る。一部の態様では、モノアニオン(X)は、ハロゲン化物、カルボキシレート、β-ジケトネート、またはヒドロカルボキシドであり得る。任意の態様では、ヒドロカルボキシドは、アルコキシド、アリールオキシド、またはアラルコキシドであり得る。一般に、ヒドロカルボキシド(及びヒドロカルボキシドの副区分)は、ヒドロカルボキシ基のアニオン類似体である。他の態様では、モノアニオン(X)は、ハロゲン化物、カルボキシレート、β-ジケトネート、またはアルコキシド、または代替的にはハロゲン化物またはβ-ジケトネートであり得る。他の態様では、モノアニオン(X)は、ハロゲン化物、代替的にはカルボキシレート、代替的にはβ-ジケトネート、代替的にはヒドロカルボキシド、代替的にはアルコキシド、または代替的にはアリールオキシドであり得る。概して、ヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のヘテロ原子配位子が中性ヘテロ原子配位子である場合、モノアニオンの数(p)は、クロム原子の酸化状態に等しくてもよい。ヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のヘテロ原子配位子がアニオン性ヘテロ原子配位子である場合、モノアニオンの数(p)は、クロム原子の酸化状態より1少ない数に等しくてもよい。一態様では、モノアニオンの数は、2~6、代替的には2~4、代替的には2~3、代替的には1、代替的には2、代替的には3、または代替的には4であり得る。
【0171】
概して、クロム化合物の各ハロゲン化物は、独立して、フッ素、塩素、臭素、もしくはヨウ素、または代替的には塩素、臭素、もしくはヨウ素であり得る。一態様では、クロム化合物の各ハライドモノアニオンは、塩素、代替的には臭素、または代替的にはヨウ素であり得る。
【0172】
概して、クロム化合物の各カルボキシレートは、独立して、C~C20カルボキシレート、または代替的にはC~C10カルボキシレートであり得る。一態様では、クロム化合物の各カルボキシレートは、独立して、アセテート、プロピオネート、ブチレート、ペンタノエート、ヘキサノエート、ヘプタノエート、オクタノエート、ノナノエート、デカノエート、ウンデカノエート、もしくはドデカノエート、または代替的にはペンタノエート、ヘキサノエート、ヘプタノエート、オクタノエート、ノナノエート、デカノエート、ウンデカノエート、もしくはドデカノエートであり得る。一部の態様では、クロム化合物の各カルボキシレートは、独立して、アセテート、プロピオネート、n-ブチレート、バレレート(n-ペンタノエート)、ネオ-ペンタノエート、カプロネート(n-ヘキサノエート)、n-ヘプタノエート、カプリレート(n-オクタノエート)、2-エチルヘキサノエート、n-ノナノエート、カプレート(n-デカノエート)、n-ウンデカノエート、またはラウレート(n-ドデカノエート)、代替的にはバレレート(n-ペンタノエート)、ネオ-ペンタノエート、カプロネート(n-ヘキサノエート)、n-ヘプタノエート、カプリレート(n-オクタノエート)、2-エチルヘキサノエート、n-ノナノエート、カプレート(n-デカノエート)、n-ウンデカノエート、またはラウレート(n-ドデカノエート)、代替的にはカプロネート(n-ヘキサノエート)、代替的にはn-ヘプタノエート、代替的にはカプリレート(n-オクタノエート)、または代替的には2-エチルヘキサノエートであり得る。一部の態様では、クロム化合物のカルボキシレートは、トリフレート(トリフルオロアセテート)であり得る。
【0173】
概して、クロム化合物の各β-ジケトネートは、独立して、任意のC~C20β-ジケトネート、または代替的には任意のC~C10β-ジケトネートであり得る。一態様では、クロム化合物の各β-ジケトネートは、独立して、アセチルアセトネート(すなわち、2,4-ペンタンジオネート)、ヘキサフルオロアセチルアセトネート(すなわち、1,1,1,5,5,5-ヘキサフルオロ-2,4-ペンタンジオネート)、もしくはベンゾイルアセトネート)、代替的にはアセチルアセトネート、代替的にはヘキサフルオロアセチルアセトネート、または代替的にはベンゾイルアセトネートであり得る。
【0174】
概して、クロム化合物の各ヒドロカルボキシドは、独立して、任意のC~C20ヒドロカルボキシド、または代替的には任意のC~C10ヒドロカルボキシドであり得る。一態様では、クロム化合物の各ヒドロカルボキシドは、独立して、C~C20アルコキシド、代替的にはC~C10アルコキシド、代替的にはC~C20アリールオキシド、または代替的にはC~C10アリールオキシドであり得る。一態様では、クロム化合物の各アルコキシドは、独立して、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、もしくはブトキシド、代替的にはメトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、もしくはtert-ブトキシド、代替的にはメトキシド、代替的にはエトキシド、代替的にはイソ-プロポキシド、または代替的にはtert-ブトキシドであり得る。一態様では、アリールオキシドはフェノキシドであり得る。
【0175】
一部の非限定的な態様では、クロム化合物及び/またはヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のクロム化合物は、ハロゲン化クロム(II)、カルボン酸クロム(II)、もしくはクロム(II)β-ジケトネート、または代替的にはハロゲン化クロム(III)、カルボン酸クロム(III)、もしくはクロム(III)β-ジケトネートを含み得るか、本質的にそれらからなることができるか、またはそれらからなることができる。他の非限定的な態様では、クロム化合物及び/またはヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のクロム化合物は、ハロゲン化クロム(II)、代替的にはハロゲン化クロム(III)、代替的にはカルボン酸クロム(II)、代替的にはカルボン酸クロム(III)、代替的にはクロム(II)β-ジケトネート、または代替的にはクロム(III)β-ジケトネートを含み得るか、本質的にそれらからなることができるか、またはそれらからなることができる。ハロゲン化物、カルボキシレート、β-ジケトネートは、本明細書に独立して記載され、これらのハロゲン化物、カルボキシレート、β-ジケトネート及びこれらの独立して記載されたハロゲン化物、カルボキシレート、β-ジケトネートは、非限定的に、任意の組み合わせで利用されて、クロム化合物及び/またはヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のクロム化合物をさらに記載することができる。さらなる非限定的な態様では、クロム化合物及び/またはヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のクロム化合物は、塩化クロム(II)、塩化クロム(III)、フッ化クロム(II)、フッ化クロム(III)、臭化クロム(II)、臭化クロム(III)、ヨウ化クロム(II)、ヨウ化クロム(III)、酢酸クロム(II)、酢酸クロム(III)、2-エチルヘキサン酸クロム(II)、2-エチルヘキサン酸クロム(III)、クロム(II)トリフレート、クロム(III)トリフレート、硝酸クロム(II)、硝酸クロム(III)、クロム(II)アセチルアセトネート、クロム(III)アセチルアセトネート、クロム(II)ヘキサフルオルアセチルアセトネート、クロム(III)ヘキサフルオルアセチルアセトネート、クロム(III)ベンゾイルアセトネート、またはクロム(III)ベンゾイルアセトネート、代替的には、塩化クロム(III)、フッ化クロム(III)、臭化クロム(III)、ヨウ化クロム(III)、塩化クロム(III)(THF)錯体、酢酸クロム(III)、2-エチルヘキサン酸クロム(III)、クロム(III)トリフレート、硝酸クロム(III)、クロム(III)アセチルアセトネート、クロム(III)ヘキサフルオロアセチルアセトネート、またはクロム(III)ベンゾイルアセトネート、代替的には塩化クロム(III)、もしくはクロム(III)アセチルアセトネート、代替的には塩化クロム(III)、または代替的にはクロム(III)アセチルアセトネートを含み得るか、本質的にそれらからなり得るか、またはそれらからなり得る。
【0176】
非限定的な態様では、ヘテロ原子配位子クロム化合物錯体は、i)構造NPFCr1(Rは2,6-ジメチルフェニルであり、RはHであり、R及びRはイソプロピルであり、Xは塩素であり;Rは2,6-ジメチルフェニルであり、RはHであり、R及びRはフェニルであり、Xは塩素であり;Rは2,6-ジメチルフェニルであり、RはHであり、R及びRは4-メトキシフェニルであり、Xは塩素であり;Rは2,4,6-トリメチルフェニルであり、RはHであり、R及びRはイソプロピルであり、Xは塩素であり;Rは2,4,6-トリメチルフェニルであり、RはHであり、R及びRはフェニルであり、Xは塩素であり;Rは2,4,6-トリメチルフェニルであり、RはHであり、R及びRは4-メトキシフェニルであり、Xは塩素である)と、ii)構造NPACr1(Rは2,6-ジメチルフェニルであり、Rはフェニルであり、RはHであり、R及びRはイソプロピルであり、Xは塩素であり;Rは2,4,6-トリメチルフェニルであり、Rはフェニルであり、RはHであり、R及びRはイソプロピルであり、Xは塩素であり;Rは2,6-ジメチルフェニルであり、Rはフェニルであり、RはHであり、R及びRはフェニルであり、Xは塩素であり;Rは2,4,6-トリメチルフェニルであり、Rはフェニルであり、RはHであり、R及びRはフェニルであり、Xは塩素であり;Rは2,6-ジメチルフェニルであり、Rは4-メチルベンジルであり、RはHであり、R及びRはフェニルであり、Xは塩素であり;Rは2,6-ジメチルフェニルであり、Rはフェニルであり、RはHであり、R及びRは4-メトキシフェニルであり、Xは塩素であり;Rは2,6-ジメチルフェニルであり、Rは4-t-ブチルフェニルであり、RはHであり、R及びRはメチルであり、Xは塩素であり;Rは2,4,6-トリメチルフェニルであり、Rは4-t-ブチルフェニルであり、RはHであり、R及びRはメチルであり、Xは塩素であり;Rは2,4,6-トリメチルフェニルであり、Rは4-メチルベンジルであり、RはHであり、R及びRはイソプロピルであり、Xは塩素であり;Rは2,4,6-トリメチルフェニルであり、Rは4-メチルベンジルであり、RはHであり、R及びRはフェニルであり、Xは塩素であり;Rは3,5-ジメチルフェニルであり、Rはフェニルであり、RはHであり、R及びRはイソプロピルであり、Xは塩素であり;Rは2,4,6-トリメチルフェニルであり、Rは4-メチルベンジルであり、RはHであり、R及びRは4-メトキシフェニルであり、Xは塩素であり;Rは2,4,6-トリメチルフェニルであり、Rは4-メチルベンジルであり、RはHであり、Rはt-ブチルであり、Rはフェニルであり、Xは塩素であり;Rは2,4,6-トリメチルフェニルであり、Rは4-メチルベンジルであり、RはHであり、Rはメチルであり、Rはフェニルであり、Xは塩素であり;R及びRは結合してプロパ-1,3-イレン基を形成し、RはHであり、R及びRはイソプロピルであり、Xは塩素であり;R及びRは結合してブタ-1,4-イレン基を形成し、RはHであり、R及びRはイソプロピルであり、Xは塩素であり;Rは2,4,6-トリメチルフェニルであり、Rは4-メチルベンジルであり、RはHであり、R及びRは結合してブタ-1,4-イレン基を形成し、Xは塩素であり;Rは2,4,6-トリメチルフェニルであり、Rは4-メチルベンジルであり、RはHであり、R及びRは結合して2,2’-ジメチルビフェニレン基を形成し、Xは塩素である)と、iii)構造GUCr1(Rは2-メチルフェニルであり、R2aは2-メチルフェニルであり、R2bはHであり、RはHであり、R及びRはイソプロピルであり、Xは塩素であり;Rは2,6-ジメチルフェニルであり、R2aはフェニルであり、R2bはHであり、RはHであり、R及びRはイソプロピルであり、Xは塩素であり;Rは2,6-ジメチルフェニルであり、R2aはフェニルであり、R2bはHであり、RはHであり、R及びRはフェニルであり、Xは塩素であり;Rは2,6-ジメチルフェニルであり、R2a及びR2bはフェニルであり、RはHであり、R及びRはイソプロピルであり、Xは塩素である)と、iv)構造GUCr4(L12はプロパ-1,3-イレンであり、L23はプロパ-1,3-イレンであり、R及びRはイソプロピルであり、Xは塩素であり;L12はプロパ-1,3-イレンであり、L23はプロパ-1,3-イレンであり、R及びRはシクロペンチルであり、Xは塩素であり;L12はプロパ-1,3-イレンであり、L23はプロパ-1,3-イレンであり、R及びRはシクロヘキシルであり、Xは塩素であり;L12はプロパ-1,3-イレンであり、L23はプロパ-1,3-イレンであり、R及びRはフェニルであり、Xは塩素であり;L12はブタ-1,3-イレンであり、L23はプロパ-1,3-イレンであり、R及びRはイソプロピルであり、Xは塩素であり;L12はブタ-1,3-イレンであり、L23はプロパ-1,3-イレンであり、R及びRはシクロペンチルであり、Xは塩素であり;L12はブタ-1,3-イレンであり、L23はブタ-1,3-イレンであり、R及びRはイソプロピルであり、Xは塩素であり;L12はブタ-1,3-イレンであり、L23はブタ-1,3-イレンであり、R及びRはフェニルであり、Xは塩素であり;L12はエテン-1,2-イレンであり、L23はプロパ-1,3-イレンであり、R及びRはイソプロピルであり、Xは塩素であり;L12はエテン-1,2-イレンであり、L23はプロパ-1,3-イレンであり、R及びRはシクロペンチルであり、Xは塩素であり;L12はエテン-1,2-イレンであり、L23はプロパ-1,3-イレンであり、R及びRはシクロヘキシルであり、Xは塩素であり;L12はフェン-1,2-イレンであり、L23はエト-1,2-イレンであり、R及びRはイソプロピルであり、Xは塩素である)と、v)構造HCPACr2(Tは硫黄であり、L12はエテン-1,2-イレンであり、RはHであり、R及びRはイソプロピルであり、Xは塩素であり;Tは硫黄であり、L12はフェン-1,2-イレンであり、RはHであり、R及びRはイソプロピルであり、Xは塩素である)と、を有するヘテロ原子配位子クロム化合物錯体の任意の1つ以上から選択され得る。
【0177】
非限定的な態様では、ヘテロ原子配位子は、HL1、HL2、HL3、HL4、HL5、HL6、HL7、HL7、及びHL9のうちの任意の1つ以上であり得る。一部の非限定的な態様では、ジホスフィノアミンクロム化合物錯体は、HLCr1、HLCr2、HLCr3、HLCr4、HLCr5、HLCr6、HLCr7、HLCr8、及びHLCr9のうちのいずれか1つ以上のクロム化合物錯体であり得る。他の非限定的な態様では、ジホスフィノアミンクロム化合物錯体は、HLCr1、HLCr2、HLCr3、HLCr4、HLCr5、HLCr6、HLCr7、HLCr8、及びHLCr9のうちのいずれか1つ以上の塩化クロム(III)またはクロム(III)アセチルアセトネート錯体であり得る。

【化9】
【0178】
本明細書に提供されるクロム化合物の名称及び式及び/またはヘテロ原子配位子クロム化合物錯体の式及び構造の全てに示されていないが、当業者は、中性配位子Qが、中性配位子を明示的に開示/描写していない、本明細書に記載/描写されるクロム化合物及び/またはヘテロ原子配位子クロム化合物錯体と関連し得ることを認識するであろう。加えて、本明細書に記載/描写/提供されるクロム化合物及び/またはヘテロ原子配位子クロム化合物錯体のうちの一部は、中性配位子の存在を形式的に示さないが、中性配位子(例えば、とりわけ、ニトリル及びエーテル)を有するクロム化合物及び/またはヘテロ原子配位子クロム化合物錯体は、本明細書に記載される発明の態様において使用される触媒系において利用され得る潜在的なクロム化合物及び/またはヘテロ原子配位子クロム化合物錯体として暗示的かつ完全に企図されることを理解されたい。
【0179】
概して、任意のクロム化合物及び/またはヘテロ原子配位子クロム化合物錯体の中性配位子は、存在する場合、独立して、クロム化合物及び/またはヘテロ原子配位子クロム化合物錯体と単離可能な化合物を形成する任意の中性配位子であり得る。一態様では、各中性配位子は、独立して、ニトリルまたはエーテル、代替的にはニトリル、または代替的にはエーテルであり得る。中性配位子の数qは、クロム化合物及び/またはヘテロ原子配位子クロム化合物錯体と単離可能な化合物を形成する任意の数であり得る。一態様では、中性配位子の数は、0~6、代替的には0~3、代替的には0、代替的には1、代替的には2、代替的には3、または代替的には4であり得る。
【0180】
概して、各ニトリル配位子は、独立して、C~C20ニトリル、または代替的にはC~C10ニトリルであり得る。一態様では、各ニトリルリガンドは、独立して、C~C20脂肪族ニトリル、C~C20芳香族ニトリル、C~C20アラルカンニトリル、もしくはこれらの任意の組み合わせ、代替的にはC~C20脂肪族ニトリル、代替的にはC~C20芳香族ニトリル、または代替的にはC~C20アラルカンニトリルであり得る。一部の態様では、各ニトリルリガンドは、独立して、C~C10脂肪族ニトリル、C~C10芳香族ニトリル、C~C10アラルカンニトリル、もしくはこれらの任意の組み合わせ、代替的にはC~C10脂肪族ニトリル、代替的にはC~C10芳香族ニトリル、または代替的にはC~C10アラルカンニトリルであり得る。一態様では、各脂肪族ニトリルは、独立して、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリル、もしくはこれらの任意の組み合わせ、代替的にはアセトニトリル、代替的にはプロピオニトリル、代替的にはブチロニトリル、または代替的にはベンゾニトリルであり得る。
【0181】
一般に、各エーテル配位子は、独立して、C~C40エーテル、代替的にはC~C30エーテル、または代替的にはC~C20エーテルであり得る。一態様では、各エーテル配位子は、独立して、C~C40脂肪族エーテル、C~C40脂肪族環式エーテル、C~C40芳香族環式エーテル、代替的にはC~C40脂肪族非環式エーテルもしくはC~C40脂肪族環式エーテル、代替的にはC~C40脂肪族非環式エーテル、代替的にはC~C40脂肪族環式エーテル、または代替的にはC~C40芳香族環式エーテルであり得る。一部の態様では、各エーテルリガンドは独立して、C~C30脂肪族エーテル、C~C30脂肪族環式エーテル、C~C30芳香族環式エーテル、代替的にはC~C30脂肪族非環式エーテルもしくはC~C30脂肪族環式エーテル、代替的にはC~C30脂肪族非環式エーテル、代替的にはC~C30脂肪族環式エーテル、または代替的にはC~C30芳香族環式エーテルであり得る。他の態様では、各エーテル配位子は独立して、C~C20脂肪族エーテル、C~C20脂肪族環式エーテル、C~C20芳香族環式エーテル、代替的にはC~C20脂肪族非環式エーテルもしくはC~C20脂肪族環式エーテル、代替的にはC~C20脂肪族非環式エーテル、代替的にはC~C20脂肪族環式エーテル、または代替的にはC~C20芳香族環式エーテルであり得る。一部の態様では、各エーテル配位子は、独立して、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、テトラヒドロピラン、ジヒドロピラン、ピラン、ジオキサン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、ジフェニルエーテル、ジトリルエーテル、またはそれらの任意の組み合わせ、代替的にはジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、またはそれらの任意の組み合わせ、テトラヒドロフラン、ジヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、テトラヒドロピラン、ジヒドロピラン、ピラン、ジオキサン、またはそれらの任意の組み合わせ、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、またはそれらの任意の組み合わせ、ジフェニルエーテル、ジトリルエーテル、またはそれらの任意の組み合わせ、代替的にはジメチルエーテル、代替的にはジエチルエーテル、代替的にはジプロピルエーテル、代替的にはジブチルエーテル、代替的にはメチルエチルエーテル、代替的にはメチルプロピルエーテル、代替的にはメチルブチルエーテル、代替的にはテトラヒドロフラン、代替的にはジヒドロフラン、代替的には1,3-ジオキソラン、代替的にはテトラヒドロピラン、代替的にはジヒドロピラン、代替的にはピラン、代替的にはジオキサン、代替的にはフラン、代替的にはベンゾフラン、代替的にはイソベンゾフラン、代替的にはジベンゾフラン、代替的にはジフェニルエーテル、代替的にはジトリルエーテルであり得る。
【0182】
概して、本明細書に開示される触媒系において利用される有機アルミニウム化合物は、ヘテロ原子配位子クロム化合物錯体(またはクロム化合物及びヘテロ原子配位子)と併せて、オリゴマー生成物の形成を触媒することができる任意の有機アルミニウム化合物であり得る。一態様では、有機アルミニウム化合物は、アルミノキサン、アルキルアルミニウム化合物、またはそれらの任意の組み合わせ、代替的にはアルミノキサン、または代替的にはアルキルアルミニウム化合物であり得る。一態様では、アルキルアルミニウム化合物は、トリアルキルアルミニウム、ハロゲン化アルキルアルミニウム、アルキルアルミニウムアルコキシド、またはこれらの任意の組み合わせであり得る。一部の態様では、アルキルアルミニウム化合物は、トリアルキルアルミニウム、ハロゲン化アルキルアルミニウム、もしくはそれらの任意の組み合わせ、代替的にはトリアルキルアルミニウム、アルキルアルミニウムアルコキシド、もしくはそれらの任意の組み合わせ、または代替的にはトリアルキルアルミニウムであり得る。他の態様では、アルキルアルミニウム化合物は、トリアルキルアルミニウム、代替的にはハロゲン化アルキルアルミニウム、代替的にはアルキルアルミニウムアルコキシドであり得る。一態様では、本プロセス及びシステムにおいて利用される触媒系において利用されるアルミノキサンは、ヘテロ原子配位子クロム化合物錯体(またはクロム化合物及びヘテロ原子配位子)と併せて、オリゴマー生成物の形成を触媒することができる任意のアルミノキサンであり得る。非限定的な態様では、アルミノキサンは、式Iによって特徴づけられる繰返し単位を有し、
【化10】

式中、R’は、直鎖または分岐鎖アルキル基である。アルミノキサン及びアルキルアルミニウム化合物のアルキル基は、独立して本明細書に記載されており、式Iを有するアルミノキサン及び/またはアルキルアルミニウム化合物をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。概して、式Iのnは、1より大きくてもよく、または代替的には2より大きくてもよい。一態様では、nは、2~15の範囲、または代替的には3~10の範囲であり得る。
【0183】
一態様では、本明細書に開示される任意のアルキルアルミニウムハロゲン化物の各ハロゲン化物は、独立して、フッ化物、塩化物、臭化物、もしくはヨウ化物、または代替的には塩化物、臭化物、もしくはヨウ化物であり得る。一態様では、本明細書に開示される任意のアルキルアルミニウムハライドの各ハライドは、フッ化物、代替的には塩化物、代替的には臭化物、または代替的にはヨウ化物であり得る。
【0184】
一態様では、アルミノキサン及び/またはアルキルアルミニウム化合物の各アルキル基は、独立して、C~C20アルキル基、代替的にはC~C10アルキル基、または代替的にはC~Cアルキル基であり得る。一態様では、アルミノキサン及び/またはアルキルアルミニウム化合物の各アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、またはオクチル基、代替的にはメチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、またはオクチル基である。一部の態様では、アルミノキサン及び/またはアルキルアルミニウム化合物の各アルキル基は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、イソ-ブチル基、n-ヘキシル基、またはn-オクチル基、代替的にはメチル基、エチル基、n-ブチル基、またはイソ-ブチル基、代替的にはメチル基、代替的にはエチル基、代替的にはn-プロピル基、代替的にはn-ブチル基、代替的にはイソブチル基、代替的にはn-ヘキシル基、代替的にはn-オクチル基であり得る。
【0185】
一態様では、本明細書に開示される任意のアルキルアルミニウムアルコキシドの各アルコキシド基は、独立して、C~C20アルコキシ基、C~C10アルコキシ基、またはC~Cアルコキシ基であり得る。一実施形態では、本明細書に開示される任意のアルキルアルミニウムアルコキシドの各アルコキシド基は、独立して、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基、ヘプトキシ基、もしくはオクトキシ基、代替的にはメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキソキシ基、もしくはオクトキシ基であり得る。一部の実施形態では、本明細書に開示されるアルキルアルミニウムアルコキシドの各アルコキシド基は、独立して、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基、イソ-ブトキシ基、n-ヘキソキシ基、もしくはn-オクトキシ基、代替的にはメトキシ基、エトキシ基、n-ブトキシ基、もしくはイソ-ブトキシ基、代替的にはメトキシ基、代替的にはエトキシ基、代替的にはn-プロポキシ基、代替的にはn-ブトキシ基、代替的にはイソ-ブトキシ基、代替的にはn-ヘキソキシ基、または代替的にはn-オクトキシ基であり得る。
【0186】
非限定的な態様では、有用なトリアルキルアルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、またはこれらの混合物が挙げられ得る。一部の非限定的な実施形態では、有用なトリアルキルアルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム、またはこれらの混合物、代替的にはトリエチルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム、またはこれらの混合物、代替的にはトリエチルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム、またはこれらの混合物が挙げられ得る。他の非限定的な実施形態では、有用なトリアルキルアルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、代替的にはトリエチルアルミニウム、代替的にはトリプロピルアルミニウム、代替的にはトリ-n-ブチルアルミニウム、代替的にはトリイソブチルアルミニウム、代替的にはトリヘキシルアルミニウム、または代替的にはトリ-n-オクチルアルミニウムが挙げられ得る。
【0187】
非限定的な実施形態では、有用なアルキルアルミニウムハライドとしては、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、エチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、及びこれらの混合物が挙げられ得る。一部の非限定的な実施形態では、有用なアルキルアルミニウムハライドとしては、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、及びこれらの混合物が挙げられ得る。他の非限定的な実施形態では、有用なアルキルアルミニウムハライドとしては、ジエチルアルミニウムクロリド、代替的にはジエチルアルミニウムブロミド、代替的にはエチルアルミニウムジクロリド、または代替的にはエチルアルミニウムセスキクロリドが挙げられ得る。
【0188】
非限定的な態様では、アルミノキサンは、メチルアルミノキサン(MAO)、エチルアルミノキサン、修飾メチルアルミノキサン(MMAO)、n-プロピルアルミノキサン、イソ-プロピル-アルミノキサン、n-ブチルアルミノキサン、sec-ブチルアルミノキサン、イソ-ブチルアルミノキサン、t-ブチルアルミノキサン、1-ペンチル-アルミノキサン、2-エンチルアルミノキサン、3-ペンチル-アルミノキサン、イソ-ペンチル-アルミノキサン、ネオペンチルアルミノキサン、またはそれらの混合物であり得るか、それらを含み得るか、または本質的にそれらからなり得る。一部の非限定的な態様では、アルミノキサンは、メチルアルミノキサン(MAO)、修飾メチルアルミノキサン(MMAO)、イソブチルアルミノキサン、t-ブチルアルミノキサン、またはこれらの混合物であり得るか、それらを含み得るか、または本質的にそれらからなり得る。他の非限定的な態様では、アルミノキサンは、メチルアルミノキサン(MAO)、代替的にはエチルアルミノキサン、代替的には修飾メチルアルミノキサン(MMAO)、代替的にはn-プロピルアルミノキサン、代替的にはイソ-プロピル-アルミノキサン、代替的にはn-ブチルアルミノキサン、代替的にはsec-ブチルアルミノキサン、代替的にはイソ-ブチルアルミノキサン、代替的にはt-ブチルアルミノキサン、代替的には1-ペンチル-アルミノキサン、代替的には2-ペンチルアルミノキサン、代替的には3-ペンチル-アルミノキサン、代替的にはイソ-ペンチル-アルミノキサン、または代替的にはネオペンチルアルミノキサンであり得るか、それらを含み得るか、または本質的にそれらからなり得る。
【0189】
触媒系の成分は、触媒系を調製するために、任意の順序で、任意の方法で、任意の長さの時間(例えば、熟成)にわたって混合させることができる。触媒系混合物は、触媒系混合物を反応ゾーンに導入する前に、エチレンの実質的な非存在下で、任意の好適な期間(例えば、5秒~48時間、10秒~36時間、30秒~24時間、1分~18時間、5分~6時間、10分~4時間、または20分~2時間)熟成させることができる。本明細書において、エチレンが実質的に存在しないとは、触媒系混合物が、触媒系混合物の総重量に基づいて、1重量%未満のエチレンを含有することを意味する。一部の場合では、触媒系混合物の総重量に基づいて、0.5重量%未満、0.1重量%未満、または0.05重量%未満のエチレンが、反応ゾーンの前の触媒系混合物中に存在する。
【0190】
これらに限定されないが、触媒系は、0℃~100℃、10℃~75℃、15℃~60℃、または20℃~40℃の範囲の温度で形成され得る。これら及び他の態様では、これらの温度範囲はまた、触媒系が、単一の固定温度ではなく、それぞれの範囲内に入る一連の異なる温度で形成される状況を包含することを意味する。
【0191】
触媒系(またはオリゴマー生成物が形成される)のAl対Crモル比は、10:1~5,000:1、50:1~3,000:1、50:1~3,000:1、75:1~2,000:1、100:1~2,000:1、または100:1~1,000:1の範囲であり得る。2種以上の錯体及び/または2種以上の有機アルミニウムが使用される場合、Al対Cr比は、クロム及び/またはアルミニウムの総モル数に基づく。
【実施例
【0192】
本発明を以下の実施例によってさらに説明するが、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものと決して解釈されるべきではない。本明細書の説明を読んだ後に、本発明の趣旨または添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の他の態様、改変、及びそれらの等価物が当業者に示唆され得る。
【0193】
図2のエチレンオリゴマー化反応系100について、コンピュータシミュレーションを実施して、特定のセットの圧及び温度条件での各ストリームの質量流速及びそれぞれの組成を決定した。結果の概要を表Aに示す。図2には全ての機器及びストリームが示されているわけではなく、各ストリームの特定の主要成分のみが表Aに要約されていることに留意されたい。
【0194】
図2の反応ゾーン流出物ストリーム125(図1のストリーム25)の大部分は、有機反応媒体(シクロヘキサン)であるが、全オリゴマー生成物のみに基づいて、オクテン(複数可)は約50質量%を表し、ヘキセン(複数可)は約40質量%を表す。第1の段階の分離器130(例えば、フラッシュチャンバ)の前に加熱され得る反応ゾーン流出物ストリーム125は、81質量%の第1の液体ストリーム132(主にシクロヘキサン及びオリゴマー生成物である)及び19質量%の第1の蒸気ストリーム138(主にエチレンである)に分離される。約4:25:1の液体:蒸気の分割は、必要に応じて変えることができる。
【0195】
第2の段階分離器140の前に加熱することができる第1の液体ストリーム132は、90質量%の第2の液体ストリーム142(主にシクロヘキサン及びオリゴマー生成物である)及び10質量%の第2の蒸気ストリーム148(主にエチレン及びシクロヘキサンである)に分離される。約9:1の液体:蒸気の分割は、必要に応じて変えることができる。
【0196】
ノックアウトポット150の前に冷却することができる第2の蒸気ストリーム148は、第1のオリゴマー分画155(主にシクロヘキサン及びオリゴマー生成物である)及び蒸気ストリーム158(主にエチレンである)に分離される。蒸気ストリーム158は、第1の段階圧縮機170に入り、圧縮機170を出る軽質分画173は、第1の蒸気ストリーム138と合わせて、混合軽質ストリーム178を形成し、次いで、これを冷却することができる。混合軽質ストリーム178は、エチレンリッチ軽質分画173の添加に起因して、第1の蒸気ストリーム138よりも高いエチレン割合を有する。
【0197】
混合軽質ストリーム178は、ノックアウトポット180に入る。ノックアウトポット180を出るのは、液体ストリーム183(相当量のシクロヘキサン及びオリゴマー生成物含有量を有し、液体オリゴマー分離システム160に供給される)、低圧エチレンストリーム188(約91質量%のエチレン及び0.25質量%未満のブテン(複数可)を含有する)、及び軽質ガスパージストリーム185(エチレンストリーム188とほぼ同じ組成を有することができる)である。
【0198】
図2の液体オリゴマー分離システム160は、全ての流入物ストリーム及び流出物ストリームを示しているわけではない。容易に認識されるように、分離システム160を出るC10+オリゴマーストリームは示されていない。さらに、分離システム160は、所望のヘキセン及びオクテン生成物を単離及び精製するために2つ以上の分離デバイスを含み得る。例えば、分離システム160は、2つの蒸留カラムを含み得る。したがって、表Aでは、特定の前駆体ストリーム組成が、図2の最終ストリームの前に示されている。分離システム160において、前駆体ストリーム(pre-167)は、主にオクテン(複数可)を含有するが、有意な量のC10+オリゴマー及びシクロヘキサンも有するが、さらなる分離後、97質量%超のオクテン(複数可)を含有する図2の第4のストリーム167(図1のストリーム67)が分離システム160を出る。本明細書に開示される触媒系に関して、オクテン(複数可)ストリーム中の1-オクテンの量は、本明細書に独立して記載され、オクテン(複数可)ストリーム中の1-オクテンの量(第4のストリーム中の総オクテン(複数可)に基づく)を記載するために、非限定的に利用され得る。
【0199】
同様に、前駆体ストリーム(pre-165)は、主にシクロヘキサンであるが、別様でヘキセン(複数可)が豊富であり、さらなる分離後、99質量%超のヘキセン(複数可)を含有する図2の第3のストリーム165(図1のストリーム65)は、分離システム160を出る。本明細書に開示される触媒系に関して、ヘキセン(複数可)ストリーム中の1-ヘキセンの量は、本明細書に独立して記載され、ヘキセン(複数可)ストリーム中の1-ヘキセンの量(第3のストリーム中の総ヘキセン(複数可)に基づく)を記載するために、非限定的に利用され得る。
【0200】
別の前駆体ストリーム(pre-163)は、有意な量のエチレン、望ましいヘキセン(複数可)、及び望ましくないブテン(複数可)を含有する。所望のヘキセン(複数可)を回収するためのさらなる分離の後、8~9質量%のブテン(複数可)及び5質量%未満のC6+オリゴマーを含有する図2の第2のストリーム163(重質ガスパージストリーム)(図1のストリーム63)は、分離システム160を出る。
【0201】
主にエチレンであるオーバーヘッド軽質ストリーム161も、液体オリゴマー分離システム160を出る。任意選択的に、図2には示されていないが、エチレンの一部を軽質ストリーム161からさらに濃縮することができ(90質量%超のエチレンまで)、このエチレンリッチストリームを第2の段階圧縮機190でより低圧のエチレンストリーム188と合わせて、図2の第1のストリーム195(図1のストリーム95)を形成することができ、これは反応ゾーン120に再循環される。第1のストリーム195(エチレン再循環ストリーム)は、約91質量%のエチレン、1質量%未満のC4+オレフィン、及び0.25質量%未満のブテン(複数可)を含有する(エチレン:ブテン(複数可)の質量比は380:1)。第1のストリーム195はまた、ごく少量の水素(0.01質量%)及びメタン(1.5質量%)を含有する。非常に少量のブテン(複数可)が再循環されるため、反応ゾーン120内のブテン(複数可)の量は著しく低減され、反応ゾーン流出物ストリーム125は、驚くべきことに、0.16質量%のブテン(複数可)しか含有しない。また有利には、第2のストリーム163は、質量基準で、第1のストリーム195中のブテン(複数可)の3倍超のブテンを含有する。
【0202】
第1のストリーム195から再循環されたエチレンは、オリゴマー化反応ゾーン115において供給ストリーム115と混合される。供給ストリームは、例えば、触媒系供給ストリーム、有機反応媒体供給ストリーム、エチレン供給ストリーム、及び水素供給ストリーム(水素が使用される場合)を含み得る。(新しい)エチレン供給ストリームは、一部の場合では、第1のストリーム195(エチレン再循環ストリーム)と混合され、他の供給ストリーム(例えば、触媒系供給ストリーム)とは別に反応ゾーンに供給され得る。
【0203】
表A及び図2から、以下のさらなる結果が明らかである。全体的なエチレン再循環率は、予想外に高い91~92質量%であり、これは、第1のストリーム195中のエチレンの量を流出物ストリーム125中のエチレンの量で除算することによって決定される。反応ゾーン120におけるエチレン転化率は、反応ゾーンに入るエチレンの総量(約116,400lb/時、表Aには示されていない)及び反応ゾーン流出物ストリーム125中の未反応エチレンの量に基づいて決定される約60質量%であるため、この高レベルの再循環は非常に重要である。
【0204】
質量%基準で、軽質ガスパージストリーム185は、第1のストリーム195よりも多くの水素及びメタンを含有する。軽質ガスパージストリーム185は、0.015質量%の水素及び1.67質量%のメタンを含有する。さらに、軽質ガスパージストリーム185の第2のストリーム163(重質ガスパージストリーム)に対する質量比(軽質:重質パージの比)は、約1:9である。
【0205】
本明細書に開示される方法は、表A及び図1~2に例示されるように、オリゴマー化反応ゾーンに再循環されるブテン(複数可)の量を同時に著しく減少させながら、オリゴマー化反応ゾーンに再循環されるエチレンの量を著しく増加させることができることを実証する。

【表3-1】

【表3-2】
【0206】
本発明は、多数の態様及び特定の例を参照して上述されている。上記の詳細な説明に照らして、多くの変形が当業者に示唆されるであろう。全てのかかる明らかな変形は、添付の特許請求の範囲の完全に意図された範囲内にある。本発明の他の記述は、以下を含み得るが、これらに限定されない(記述は、「含む(comprising)」と記載されるが、代替的に、「本質的に~からなる(consisting essentially of)」または「~からなる(consisting of)」ことができる)。
ステートメント1。オリゴマー化反応ゾーンからの反応ゾーン流出物ストリームからエチレンを再循環させるための方法であって、前記反応ゾーン流出物ストリームは、少なくとも20質量%のオクテン(複数可)を含むオリゴマー生成物流出物を含有し、前記方法は、
a)前記反応ゾーン流出物ストリームを、
i)エチレン及び5質量%以下のC4+オレフィンを含む第1のストリームと、
ii)ブテン(複数可)及び10質量%以下のC6+オレフィンを含む第2のストリームと、
iii)本明細書に開示される任意の量のヘキセン(複数可)、例えば、少なくとも96、97、98、または99質量%のヘキセン(複数可)を含む第3のストリームと、
iv)本明細書に開示される任意の量のオクテン(複数可)、例えば、少なくとも96、97、98、または99質量%のオクテン(複数可)を含む第4のストリームと、に分離することと、
b)前記第1のストリームを前記オリゴマー化反応ゾーンに再循環させることと、を含む、前記方法。
【0207】
ステートメント2。前記オリゴマー生成物流出物は、本明細書に開示される任意の量のオクテン(複数可)、例えば、前記オリゴマー生成物流出物中のオリゴマーの総量に基づいて、少なくとも20、30、もしくは40質量%、最大99、95、92.5、90、87.5、もしくは85質量%、または20~99質量%、30~95質量%、40~95質量%、40~90質量%、20~90質量%、30~87.5質量%、30~85質量%、40~87.5質量%、40~85質量%、20~60質量%、30~55質量%、もしくは40~55質量%のオクテン(複数可)を含む、ステートメント1に定義される方法。
【0208】
ステートメント3。前記第4のストリームは、本明細書に開示される任意の量の1-オクテン、例えば、前記オクテン(複数可)の総質量に基づいて、少なくとも95、96、96.5、97、97.5、98、または98.5質量%の1-オクテン(本明細書に開示される他の量の中でも)を含む、ステートメント1または2に定義される方法。
【0209】
ステートメント4。前記第3のストリームは、本明細書に開示される任意の量の1-ヘキセン、例えば、前記ヘキセン(複数可)の総質量に基づいて、少なくとも90、92.5、95、97.5、98、98.5、または99質量%の1-ヘキセン(本明細書に開示される他の量の中でも)を含む、先行するステートメントのいずれか1つに定義される方法。
【0210】
ステートメント5。前記第2のストリームは、本明細書に開示される任意の量のC6+オレフィン、例えば、8、7、6、5、4、または3質量%以下のC6+オレフィンを含む、先行するステートメントのいずれか1つに定義される方法。
【0211】
ステートメント6。前記第2のストリームは、質量基準で、前記第1のストリーム中のブテン(複数可)よりも多いブテン(複数可)、または第1のストリーム中のブテン(複数可)の少なくとも2倍のブテン(複数可)、または第1のストリーム中のブテン(複数可)の少なくとも3倍のブテン(複数可)を含有する、先行するステートメントのいずれか1つに定義される方法。
【0212】
ステートメント7。前記第1のストリームは、本明細書に開示される任意の量のC4+オレフィン、例えば、4、3、2、または1質量%以下のC4+オレフィンを含む、先行するステートメントのいずれか1つに定義される方法。
【0213】
ステートメント8。前記第1のストリームは、本明細書に開示される任意の量のブテン(複数可)、例えば、(本明細書に開示される他の量の中でも)2、1.5、1、0.75、0.5、0.35、または0.2質量%以下のブテン(複数可)を含む、先行するステートメントのいずれか1つに定義される方法。
【0214】
ステートメント9。前記第1のストリームは、本明細書に開示される任意の量のエチレン、例えば、少なくとも85、86、87、88、または90質量%のエチレン(本明細書に開示される他の量の中でも)を含む、先行するステートメントのいずれか1つに定義される方法。
【0215】
ステートメント10。前記第1のストリームは、本明細書に開示される任意の量の水素及び/またはメタン、例えば、5、4、3、2、もしくは1質量%以下の水素及び/またはメタンをさらに含む、先行するステートメントのいずれか1つに定義される方法。
【0216】
ステートメント11。前記第1のストリームは、本明細書に開示されるエチレン:ブテン(複数可)の任意の質量比、例えば、少なくとも100:1、150:1、200:1、300:1、または350:1(本明細書に開示される他の量の中でも)を特徴とする、先行するステートメントのいずれか1つに定義される方法。
【0217】
ステートメント12。本明細書に開示される前記反応ゾーン流出物ストリーム中のエチレンの任意の量、例えば、(本明細書に開示される他の量の中でも)少なくとも86、88、89、90、もしくは91質量%、最大99、97、96、95、もしくは94質量%、または86~99質量%、88~97質量%、89~96質量%、90~95質量%、もしくは91~94質量%は、前記オリゴマー化反応ゾーンに再循環される、先行するステートメントのいずれか1つに定義される方法。
【0218】
ステートメント13。前記オリゴマー生成物流出物は、本明細書に開示される任意の量のヘキセン(複数可)、例えば、少なくとも15、20、25、30、もしくは35質量%、最大75、65、60、55、もしくは50質量%、または20~60質量%、25~55質量%、もしくは30~50質量%のヘキセン(複数可)(本明細書に開示される他の量の中でも)をさらに含む、先行するステートメントのいずれか1つに定義される方法。
【0219】
ステートメント14。前記反応ゾーン流出物ストリームを前記第1のストリームに分離することは、少なくとも2つの分離段階を含む、先行するステートメントのいずれか1つに定義される方法。
【0220】
ステートメント15。前記反応ゾーン流出物ストリームを前記第1のストリームに分離することは、少なくとも2つの圧縮段階を含む、先行するステートメントのいずれか1つに定義される方法。
【0221】
ステートメント16。前記反応ゾーン流出物ストリームを前記第1のストリームに分離することは、
(a)前記反応ゾーン流出物ストリームを第1の蒸気ストリームと第1の液体ストリームとに分離することと、
(b)前記第1の液体ストリームを第2の蒸気ストリームと第2の液体ストリームとに分離することと、
(c)前記第2の蒸気ストリームを軽質分画と第1のオリゴマー分画とに分離することと、
(d)前記第1の蒸気ストリームを前記軽質分画と合わせて、前記第1のストリーム及び軽質ガスパージストリームを形成することと、を含む、先行するステートメントのいずれか1つに定義される方法。
【0222】
ステートメント17。前記軽質ガスパージストリームは、質量%基準で、前記第1のストリーム中の水素よりも多くの水素を含有する、ステートメント16に定義される方法。
【0223】
ステートメント18。前記軽質ガスパージストリームは、質量%基準で、前記第1のストリームにおけるよりも多くのメタンを含有する、ステートメント16または17に定義される方法。
【0224】
ステートメント19。前記軽質ガスパージストリームは、本明細書に開示される任意の範囲の量の水素及び/またはメタン、例えば、(本明細書に開示される他の量の中でも)前記軽質ガスパージストリームの総質量を基準として5、4、3、2、または1質量%以下の水素及び/またはメタンを含む、ステートメント16~18のいずれか1つに定義される方法。
【0225】
ステートメント20。前記第2の液体ストリームを、オーバーヘッドストリーム、前記第2のストリーム、前記第3のストリーム、及び前記第4のストリームに分離することをさらに含む、ステートメント16~19のいずれか1つに定義される方法。
【0226】
ステートメント21。前記オリゴマー化反応ゾーンは、前記反応ゾーンに入る前記エチレンの量及び前記反応ゾーン流出物ストリーム中の前記エチレンの量に基づいて、本明細書に開示される任意のエチレン転化率、例えば、少なくとも20、30、35、40、45、もしくは50質量%、最大99、95、90、80、75、70、もしくは65質量%、または20~100質量%、30~90質量%、40~80質量%、50~70質量%、もしくは55~65質量%の転化率(本明細書に開示される他の転化率の中でも)を有する、先行するステートメントのいずれか1つに定義される方法。
【0227】
ステートメント22。前記オリゴマー化反応ゾーンは、本明細書に開示される任意の量のブテン(複数可)、例えば、少なくとも0.01、0.02、0.035、0.05、もしくは0.1質量%、最大1、0.75、0.5、0.35、0.25、もしくは0.2質量%、または0.02~0.5質量%、0.05~0.35質量%、もしくは0.1~0.2質量%のブテン(複数可)(本明細書に開示される他の量の中でも)を有する、先行するステートメントのいずれか1つに定義される方法。
【0228】
ステートメント23。前記第2のストリームは、前記第2のストリームの総質量に基づいて、本明細書に開示される任意の範囲の量のブテン(複数可)、例えば、少なくとも1、2、3、4、もしくは5質量%、最大25、20、18、15、もしくは12質量%、または3~25質量%、4~15質量%、もしくは5~12質量%のブテン(複数可)(本明細書に開示される他の量の中でも)を含む、先行するステートメントのいずれか1つに定義される方法。
【0229】
ステートメント24。前記軽質ガスパージストリームと前記第2のストリームとの質量比は、本明細書に開示される任意の範囲、例えば、1:5~1:20、1:6~1:15、または1:7~1:12である、ステートメント16~23のいずれか1つに定義される方法。
【0230】
ステートメント25。ブテン(複数可)を含有する任意のストリーム中の1-ブテンの量は、本明細書に開示される任意の量、例えば、前記ブテン(複数可)の総質量に基づいて、少なくとも80、85、90、95、または98質量%の1-ブテンである、先行するステートメントのいずれか1つに定義される方法。
【0231】
ステートメント26。
(1)エチレン、(2)触媒系または触媒系成分、(3)任意選択で、有機反応媒体、及び(4)任意選択で、水素を、前記オリゴマー化反応ゾーンに導入するステップと、
前記オリゴマー生成物流出物を形成するステップと、
前記オリゴマー化反応ゾーン流出物ストリームを前記オリゴマー化反応ゾーンから排出するステップと、をさらに含む、先行するステートメントのいずれか1つに定義される方法。
【0232】
ステートメント27。前記触媒系または触媒系成分は、(i)ヘテロ原子配位子遷移金属化合物錯体及び有機アルミニウム化合物、または(ii)ヘテロ原子配位子、遷移金属化合物、及び有機アルミニウム化合物を含む、ステートメント26に定義される方法。
【0233】
ステートメント28。前記方法は、連続的に実施される、先行するステートメントのいずれか1つに定義される方法。
図1
図2
【国際調査報告】