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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】装置
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/06 20060101AFI20240426BHJP
   B06B 1/04 20060101ALI20240426BHJP
   H10N 30/20 20230101ALI20240426BHJP
【FI】
B06B1/06
B06B1/04 S
H10N30/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573149
(86)(22)【出願日】2022-05-13
(85)【翻訳文提出日】2024-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2022063009
(87)【国際公開番号】W WO2022248244
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】102021113843.4
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518379278
【氏名又は名称】テーデーカー エレクトロニクス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルノーファー,ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】ローンベルク,ヨーケム
(72)【発明者】
【氏名】ブルゲル,ヨハネス
【テーマコード(参考)】
5D107
【Fターム(参考)】
5D107BB08
5D107CC02
(57)【要約】
本発明は、装置に関し、装置は
上面(2)を有し、印加された電圧にしたがって第1方向(R1)に広がりを変化するように設計された圧電多層要(1)素と、
圧電多層要素(1)の上面(2)に取り付けられた端部領域、及び、圧電多層要素(1)に対して可動な作用領域を有する機械的補強要素(4)と、を備え、
機械的補強要素(4)は、圧電多層要素(1)の広がりが変化するときに、作用領域(6)が第1方向(R1)に対して垂直な第2方向(R2)において可動であるように設計されており、
第2方向(R2)は上面(2)の面法線に対して平行であり、
装置は、作用領域(6)が上面(2)へ可動である移動経路(w)を制限する機械的アンカー(8)を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
上面を有し、印加された電圧にしたがって第1方向に広がりが変化するように設計された圧電多層要素と、
前記圧電多層要素の前記上面に取り付けられた端部領域、及び、前記圧電多層要素に対して可動な作用領域を有する機械的補強要素と、
を備え、
前記機械的補強要素は、前記圧電多層要素の前記広がりが変化するときに、前記作用領域が前記第1方向に対して垂直な第2方向に可動であるように設計されており、
前記第2方向は前記上面の面法線に対して平行であり、
前記装置は、前記作用領域が前記上面へ可動である移動経路を制限する機械的アンカーを備える、
装置。
【請求項2】
前記装置の静止状態において、前記作用領域は前記上面から自由高さを介して離間しており、
前記機械的アンカーは、前記作用領域が前記静止状態から前記上面へ可動である前記移動経路が、前記自由高さの50%を超えない長さを有するように配置され、設計されている、
請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記移動経路の前記制限は、前記機械的アンカーが前記上面に当接し、それによって前記作用領域の前記上面へのさらなる移動が妨げられることによって行われるか、又は、
前記移動経路の前記制限は、前記機械的アンカーが前記圧電多層要素に当接し、それによって前記作用領域の前記上面へのさらなる移動が妨げられることによって行われる、
請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記機械的アンカーは前記作用領域に形成されている、
請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記機械的アンカーは前記作用領域に取り付けられた要素によって形成されている、
請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記要素は前記作用領域に接着、ねじ止め又は溶接されている、
請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記機械的アンカーは前記作用領域の部分領域の変形によって形成されている、
請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記機械的アンカーは前記作用領域の部分領域の深絞り加工又はプレス加工によって形成されている、
請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記機械的アンカーは前記圧電多層要素の前記上面に取り付けられた要素によって形成されている、
請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記要素は前記圧電多層要素の前記上面に接着又はねじ止めされている、
請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記機械的アンカーは、前記作用領域が前記上面へ可動である前記移動経路が、前記装置の損傷が防止される長さに制限されるように設計されている、
請求項1記載の装置。
【請求項12】
前記機械的アンカーは、前記作用領域が前記上面へ可動である前記移動経路が、前記機械的補強要素の損傷が防止される長さに制限されるように設計されている、
請求項1記載の装置。
【請求項13】
前記機械的アンカーは、前記作用領域が前記上面へ可動である前記移動経路が、前記機械的補強要素に過剰な力が加えられた結果としての不可逆な変形が防止される長さに制限されるように設計されている、
請求項1記載の装置。
【請求項14】
前記圧電多層要素が矩形の基面を有する直方体状の基体を備え、
前記機械的補強要素は弓形である、
請求項1記載の装置。
【請求項15】
前記圧電多層要素が正方形の基面を有する直方体状の基体を備え、
前記機械的補強要素は錐台状である、
請求項1記載の装置。
【請求項16】
前記装置はアクチュエータである、
請求項1記載の装置。
【請求項17】
前記装置は、前記機械的補強要素の前記作用領域にかかる圧力を測定するように設計されたセンサである、
請求項1記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電多層要素と機械的補強要素とを備える装置に関する。このような装置は、例えば、触覚的に知覚可能な信号を生成するためのアクチュエータとして使用することができる。
【背景技術】
【0002】
2つの補強要素の間に圧電要素を有するアクチュエータは、DE10 2019 120 720A1、AT15 914U1、DE10 2015 117 262A1及びDE10 2016 116 763A1から公知であり、電気電圧が印加されると、要素は第1方向にその広がりを変化させ、補強要素は、要素の膨張の結果として、部分領域が第1方向に対して実質的に垂直な第2方向において、要素に対して相対的に移動するように変形する。かかるアクチュエータでは、例えば落下や衝突の結果としての強い力や変形によって、補強要素やアクチュエータ、あるいは補強要素とアクチュエータ間の接続部が損傷し、アクチュエータ機能の故障につながる可能性がある。
【0003】
DE196 25 921A1は、パケット状に相互に配列されたピエゾ要素を有するアクチュエータを備えた電歪駆動装置を示している。
【0004】
WO2014/096 565A1は、触覚信号を生成する圧電要素と金属構造とを有する装置を示している。
【0005】
DE10 2004 002 249B4は、運動増幅を有する圧電アクチュエータを示す。
【0006】
US6,402,499B1には、圧電要素がピストンを駆動する装置が示されており、スプリングシステムが圧電要素の振動運動をピストンに伝達している。
【0007】
WO2020/011 526A1には、圧電アクチュエータを有するスタイラスが示されている。
【0008】
DE100 17 334A1は、アンカー装置を有する圧電作動装置を示している。
【0009】
WO2010/094 520A1は、圧電ジェネレータに関するもので、特に車両のタイヤ監視システムで使用される。
【0010】
US8,154,177B1は、「エネルギーハーベスティング(Energy Harvesting)」のための装置を示している。
【発明の概要】
【0011】
本発明の課題は、例えば破損の危険性が低減された改良された装置を提供することである。
【0012】
上面を有し、印加された電圧にしたがって第1方向に広がり(seine Ausdehnung)が変化するように設計された圧電多層要素を備える装置が提案される。この装置は、圧電多層要素の上面に取り付けられた端部領域、及び、圧電多層要素に対して可動な作用領域を有する機械的補強要素を備え、機械的補強要素は、圧電多層要素の広がりが変化するときに、作用領域が前記第1方向に対して垂直な第2方向に可動であるように設計されており、第2方向は上面の面法線に対して平行であり、装置は、作用領域が前記上面上へ可動であるように移動経路(Wegstrecke)を制限する機械的アンカーを備える。
【0013】
作用領域が上面へ移動できる移動経路を制限することで、機械的補強要素の過度の変形を防ぐことができる。このようにして、装置の損傷を防止し、装置の故障リスクを低減することができる。機械的アンカーは装置自体によって形成されるため、装置が設置される機械的環境において建設的な予防措置を講じる必要がない。このようにして、装置の設置(Einbau)が簡素化され、装置の故障リスクが低減される。
【0014】
作用領域が上面へ移動できる移動経路は、装置に電圧が印加されていない装置の静止状態に基づいてそれぞれ決定することができる。作用領域が上面へ移動できる移動経路は、例えば、最大5.0mmに制限することができる。他の実施例では、移動経路は500μm未満、好ましくは100μm未満に制限することができる。好ましくは、最大移動経路は、装置の静止位置における作用領域と上面との間の距離の50%未満に制限される。このようにすることで、いかなる場合でも装置の損傷を排除できる。
【0015】
装置の静止状態において、作用領域は自由高さ(eine freie Hoehe)を介して上面から離間することができる。自由高さは、作用領域の点と上面の点との間の最大距離として定義することができ、2つの点は互いに対向する。機械的アンカーは、作用領域が静止状態から上面へ可動である移動経路が、自由高さの50%を超えない長さを有するように配置され、設計されることができる。このように移動経路を制限すれば、落下やその他の過大な力による装置の損傷を回避することができる。
【0016】
機械的アンカーは、作用領域が静止状態から上面へ可動である移動経路が、自由高さの1%を超える長さを有するように配置され、設計されることができる。作用領域が静止状態から上面へ可動である移動経路が、自由高さの1%を超えないように制限されると、信号の振幅が制限されすぎるため、触覚的に知覚可能な信号を確実に生成できない可能性がある。
【0017】
好ましくは、機械的アンカーは、作用領域が静止状態から上面へ可動である移動経路が、自由高さの2%から40%の間の範囲にある長さを有するように配置され、設計されることができる。この範囲では、知覚しやすい触覚信号の生成が保証され、損傷が確実に回避される。
【0018】
移動経路の制限は、機械的アンカーが上面に当接することによって行われることができ、それによって、作用領域の、上面へのさらなる移動を防止することができる。あるいは、圧電多層要素に取り付けられた機械的アンカーが作用領域に当接することによって、移動経路を制限することができ、それによって、作用領域の、上面へのさらなる移動を防止することができる。
【0019】
機械的アンカーは、作用領域上に形成することも、圧電素子上に形成することもできる。機械的アンカーが作用領域に形成される場合、作用領域に取り付けられた要素によって形成することができる。この要素は、例えば、作用領域と、接着、ねじ止め、または溶接されることができる。よそは、例えば支持リングや支持プレートであることができる。
【0020】
あるいは、機械的アンカーは、作用領域の部分領域の変形によって形成することもできる。部分領域は、深絞り(Tiefziehen)又は打ち抜き(Stanzen)によって形成することができる。部分領域は、圧電多層要素からの距離が作用領域の他の領域からの距離より小さくなるように形成され、したがって、作用領域が圧電多層要素に向かって移動するとき、部分領域が最初に圧電多層要素と接触するようになる。
【0021】
機械的アンカーは、例えば圧電多層要素の上面に接着又はねじ止めされた要素によって形成することができる。
【0022】
機械的アンカーは、作用領域が上面へ可動である移動経路が、装置の損傷が防止される長さに制限されるように配置及び設計されることができる。移動経路を制限することにより、機械的補強要素の不可逆的変形を防止することができる。
【0023】
圧電多層要素は、矩形の(rechteckigen)基面を有する直方体状の(quaderfoermigen)ベース本体を有することができ、機械的補強要素は弓形である。あるいは、基体は正方形の(quadratische)基面を有することができ、機械的補強要素は錐台状(kegelstumpffoermig)である。
【0024】
この装置はアクチュエータであることができる。特に、この装置は、触覚的に知覚可能な信号を生成するために使用することができる。代替的又は追加的に、この装置は、機械的補強要素の作用領域に作用する圧力を測定するように設計されたセンサであることができる。特に、この装置はアクチュエータ及びセンサとして同時に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の好ましい実施例を、図を参照して以下に説明する。
図1図1は、本装置の第1実施例の側面図である。
図2図2は、本装置の第2実施例の側面図である。
図3図3は、本装置の第3実施例の断面を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、特に触覚的に知覚可能な信号を生成するために使用できる装置の第1実施例を示す。代替的に又は追加的に、この装置は圧力センサとして使用することができる。
【0027】
この装置は、圧電多層要素1を備えている。圧電多層要素1は、交互に積層された内部電極と圧電層とを備える。圧電多層要素1は直方体状である。圧電多層要素1は、上面2と、上面2に対向する下面3とを有する。
【0028】
高さは、圧電多層要素1の上面2と下面3との間の広がり(Ausdehnung)として定義される。圧電多層要素1の高さは、0.3mmと20mmとの間、好ましくは0.5mmと10mmとの間であることができる。
【0029】
圧電多層要素1は、高さに対して長方形であり、幅と長さにまたがる基面を有する。長さは5mmと80mmとの間、幅は2mmと20mmとの間であることができ、長さは矩形の基面の長辺とすることができる。図1に示す実施例では、圧電多層要素1は、12mmの長さ、4mmの幅、1.75mmの高さを有する。
【0030】
以下では、圧電多層要素1の長手方向、すなわち圧電多層要素の長さに沿った方向を第1方向R1と称する。
【0031】
圧電多層要素の内部電極に電圧を印加すると、圧電多層要素1は圧電効果により変形し、第1方向R1における広がりが変化する。
【0032】
この装置はまた、2つの機械的補強要素4を備えている。第1機械的補強要素4は、圧電多層素子1の上面2に取り付けられている。第2機械的補強要素4は、圧電多層素子1の下面2に取り付けられている。両方の機械的補強要素4は構造が同じであるため、第1機械的補強要素4について以下に説明する。
【0033】
第1機械的補強要素4は弓形である。機械的補強要素4は2つの対向する端部領域5を有し、各端部領域5は圧電多層要素1の上面2に取り付けられている。例えば、端部領域5は圧電多層要素1の上面2に接着されることができる。
【0034】
さらに、機械的補強要素4は作用領域6を有する。作用領域6は、圧電多層要素1の上面2に対して相対的に移動することができる。圧電多層要素1に電気電圧が印加されず、したがって静止状態にある場合、機械的補強素子4の作用領域6は、自由高さfhだけ上面2から離間している。自由高さfhは、上面2の点と、上面に対向する機械的補強要素4側の点との間の最大距離として定義することができ、両点間の接続線は上面に垂直である。作用領域6は、圧電多層素子1の上面2に平行に延在している。
【0035】
さらに、ブラケット状の(buegelfoermig)機械的補強要素4は、2つの端部領域5をそれぞれ作用領域6に接続する2つの角度付き領域7を有する。各角度付き領域7は、圧電多層素子1の上面2に対して浅い角度において(in einem flachen Winkel)延在する。端部領域5と角度付き領域7との間の接続点、及び、角度付き領域7と作用領域6との間の接続点はそれぞれ、圧電多層要素1の広がりが第1方向R1に変化する場合に機械的補強要素が変形可能なヒンジ点(Gelenkpunkte)を形成する。
【0036】
圧電多層要素1が第1方向R1に膨張すると、第1機械的補強要素4の両端部領域5が引き離される(auseinandergezogen)。この端部領域5の動きは、角度付き領域7を介して作用領域6に伝達され、その結果、作用領域6は圧電多層要素1の上面2に向かって移動する。逆に、圧電多層要素1の広がりが第1方向R1において減少する場合、両端部領域5は互いに向かって移動し、これにより作用領域6は圧電多層要素1の上面2から遠ざかる。
【0037】
機械的補強要素4は、第1方向R1への圧電多層要素1の広がりの変化を、第2方向R2への作用領域6の動きに変換することを可能にする。第2方向R2への動きの振幅は、第1方向R1への圧電多層要素の広がりの変化よりも著しく大きくすることができる。
【0038】
圧電多層要素1の内部電極に交流電圧を印加すると、作用領域6が振動し、第2方向R2にスイングする。この振動により、触覚的に知覚可能な信号が生成される。
【0039】
同様に、この装置はセンサとしても使用することができ、機械的補強要素の作用領域6に圧力がかかると、圧電多層要素1に電圧が発生する。
【0040】
機械的補強要素4の作用領域6には機械的アンカー8が形成されている。作用領域6が圧電多層要素1の上面2に向かって動かされた場合、この動きが可能な移動経路wは機械的アンカーによって制限される。機械的アンカー8は圧電多層要素1の上面2に当たり、作用領域6の圧電多層要素1に向かうさらなる移動を阻止する。
【0041】
図1に示す実施例では、機械的アンカー8は、弓形補強要素の作用領域6の一部の変形によって形成される。変形は、作用領域の一部を深絞りすること(Tiefziehen)によって形成される。作用領域6の変形された部分は、作用領域の残りの部分から上面2の方向に突出している。ここで作用領域6を上面2に向かって移動させると、まず機械的アンカー8が上面2にコンタクトし、作用領域6の上面2へのさらなる動きを阻止する。このことにより、機械的補強要素4のさらなる変形も防止される。
【0042】
特に、機械的アンカーは、機械的補強要素4が過大な力の結果として不可逆的に変形するのを防止する。これにより、機械的補強要素4の損傷を防ぐことができる。かかる過大な力は、特に装置の落下や衝突によって引き起こされる可能性がある。
【0043】
機械的アンカーは、作用領域が50μmから5mmの間の最大移動経路だけ上面に向かって移動できるように設計することができる。したがって、機械的アンカーと上面との間の距離は、静止状態で50μm以上5mm以下であることができる。
【0044】
作用領域6が上面2に向かって移動できる移動経路wは、自由高さfhの50%未満であることができる。最大移動経路wが自由高さfhの50%未満に制限される機械的補強要素4の場合、機械的補強要素4の過度の変形による損傷を排除することができる。
【0045】
機械的アンカー8が、作用領域6の一部が変形することによって形成される場合、変形は15%以下の精度の許容誤差、好ましくは10%以下の精度の許容誤差を伴って設計することができる。
【0046】
図2は、本装置の第2実施例を示している。第2実施例では、機械的アンカー8は、作用領域6にネジ止めされた支持プレート9によって形成されている。支持プレート9は作用領域6の片側に形成され、圧電多層要素の上面2に面している。支持プレート9は機械的アンカー8を形成し、まず圧電多層要素の上側にコンタクトし、作用領域6が上面2に向かって移動できる最大移動経路wを制限する。第2実施例に示す圧電多層要素1は、長さ60mm、幅5mm、高さ7mmを有する。作用領域6は、その静止位置から圧電多層素子1の上側2に向かって最大2mm移動可能である。
【0047】
図3は、本装置の第3実施例を示す図である。図3に示す実施例では、圧電多層要素1は正方形の基面を有する。図3は装置の断面を示す。圧電多層要素1は、13mmの長さ及び幅、1.8mmの高さを有する。
【0048】
機械的補強要素4は錐台状(kegelstumpffoermig)である。錐台状の補強要素4は、圧電多層要素1の上面2又は下面3に取り付けられる端部領域5を有する。錐台状の補強要素4はそれぞれ作用領域6を有し、この作用領域6は圧電多層素子の上面又は下面に平行に延在し、静止状態ではそこから自由高さfhだけ離間している。端部領域5と作用領域6は、角度付き領域7を介して接続されている。
【0049】
機械的補強要素4の作用領域6上の機械的アンカー8は、機械的補強要素4の上面2又は下面3に面する側面に(an den Seiten)接着された支持リング10によって形成される。装置の静止状態において、機械的アンカー8は、自由高さfhよりも小さい長さだけ、上面2又は下面3から離間している。上面2に取り付けられている機械的補強要素4の作用領域6は、静止状態から上面に向かって最大距離wだけ移動することができ、この最大距離wは、静止状態において機械的アンカー8が上面2から離間している長さに等しい。第3実施例では、機械的アンカー8は、作用領域6が静止位置から上面又は下面に向かって移動できる最大経路長wを0.2mmに制限している。
【0050】
図示しないさらなる実施例では、機械的アンカー8を圧電多層要素1上に形成することができる。この場合、アンカー8は、作用領域に面する圧電多層要素1の上面2に配置することができ、例えば、表面2に接着された要素子によって形成することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 多層要素(Vielschichtelement)
2 上面(Oberseite)
3 下面(Unterseite)
4 機械的補強要素(mechanisches Verstaerkungselement)
5 端部領域(Endbereich)
6 作用領域(Wirkbereich)
7 角度付き領域(Winkelbereich)
8 アンカー(Anschlag)
9 支持プレート(Stuetzplatte)
10 支持リング(Stuetzring)
fh 自由高さ(freie Hoehe)
R1 第1方向(erste Richtung)
R2 第2方向(zweite Richtung)
w 移動経路(Wegstrecke)

図1
図2
図3
【国際調査報告】