(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】バックレストクリアランスゼロを実現するためのリンケージ装置、ブラケット、シートユニット、及びシート
(51)【国際特許分類】
A47C 1/0355 20130101AFI20240426BHJP
【FI】
A47C1/0355
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573219
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(85)【翻訳文提出日】2024-01-19
(86)【国際出願番号】 CN2022081000
(87)【国際公開番号】W WO2022252747
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】202121198815.7
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202121200209.4
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202121198813.8
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110601360.7
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110603973.4
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110601343.3
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110603981.9
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521082868
【氏名又は名称】鋭邁科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Remacro Technology CO., Ltd.
【住所又は居所原語表記】West Side, Tongjin Road, Wujiang Economic Development Zone Suzhou City, Jiangsu 215200, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】李 暁鴻
(72)【発明者】
【氏名】李 元坤
(72)【発明者】
【氏名】陳 晨
(72)【発明者】
【氏名】雷 暁春
(72)【発明者】
【氏名】呂 戦征
【テーマコード(参考)】
3B099
【Fターム(参考)】
3B099AA03
3B099BA11
3B099CA36
(57)【要約】
バックレストクリアランスゼロを実現するためのリンケージ装置、ブラケット、シートユニット及びシートであって、ベース(1)と、リンケージ機構(2)と、ブラケット側板(3)と、バックレスト機構(4)とを含む。リンケージ機構(2)は、ベース(1)とブラケット側板(3)との間に回動可能に連結され、バックレスト機構(4)は、ブラケット側板(3)とリンケージ機構(2)にそれぞれ回動可能に連結される。ブラケット側板(3)には、側板連動点(31)とバックレスト点(32)が設けられる。ブラケット側板(3)は、側板連動点(31)でリンケージ機構(2)に回動可能に連結される。ブラケット側板(3)は、バックレスト点(32)でバックレスト機構(4)に回動可能に連結される。バックレスト機構(4)は、バックレスト取付部材(41)とバックレスト連動部材(42)を含む。バックレスト機構(4)が限界位置まで収縮したとき、バックレスト取付部材(41)の両端点を結ぶ線、バックレスト点(32)と側板連動点(31)を結ぶ線との間の夾角αは鋭角である。シートブラケットは、様々なスタイルのシートバックレスト(5)の設計を満たすことができ、シートユニットのシートバックレスト(5)はクリアランスゼロで壁に寄りかかって設置することができ、空間を節約し、美観性を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックレストクリアランスゼロを実現するためのリンケージ装置であって、ベース(1)と、リンケージ機構(2)と、ブラケット側板(3)と、バックレスト機構(4)とを含み、前記リンケージ機構(2)は、前記ベース(1)と前記ブラケット側板(3)との間に回動可能に連結され、前記バックレスト機構(4)は、前記ブラケット側板(3)及びリンケージ機構(2)にそれぞれ回動可能に連結され、前記ブラケット側板(3)には、側板連動点(31)とバックレスト点(32)が設けられ、前記ブラケット側板(3)は、前記側板連動点(31)で前記リンケージ機構(2)に回動可能に連結され、前記ブラケット側板(3)は、前記バックレスト点(32)で前記バックレスト機構(4)に回動可能に連結され、前記バックレスト機構(4)は、バックレスト取付部材(41)とバックレスト連動部材(42)を含み、前記バックレスト取付部材(41)の両端はそれぞれ、前記バックレスト点(32)と前記バックレスト連動部材(42)との間に回動可能に連結され、前記バックレスト機構(4)が限界位置まで収縮したとき、前記バックレスト取付部材(41)の両端点を結ぶ線と、前記バックレスト点(32)と側板連動点(31)を結ぶ線との間の夾角αは鋭角であることを特徴とするバックレストクリアランスゼロを実現するためのリンケージ装置。
【請求項2】
前記ブラケット側板(3)は、バックレスト連結部(34)とL字形の側板本体(33)を含み、前記側板本体(33)は、前記バックレスト連結部(34)と一体成形又は固定連結される、ことを特徴とする請求項1に記載のバックレストクリアランスゼロを実現するためのリンケージ装置。
【請求項3】
前記バックレスト連結部(34)は、前記バックレスト機構(4)に連結された前記ブラケット側板(3)の一端に配置され、前記バックレスト点(32)は、前記バックレスト連結部(34)に配置される、ことを特徴とする請求項2に記載のバックレストクリアランスゼロを実現するためのリンケージ装置。
【請求項4】
前記バックレスト機構(4)が限界位置まで収縮したとき、前記バックレスト取付部材(41)の両端点を結ぶ線と、前記バックレスト点(32)と側板連動点(31)を結ぶ線との間の夾角αは70°未満である、ことを特徴とする請求項3に記載のバックレストクリアランスゼロを実現するためのリンケージ装置。
【請求項5】
前記バックレスト機構(4)が限界位置まで伸展したとき、前記バックレスト取付部材(41)の両端点を結ぶ線と、前記バックレスト点(32)と側板連動点(31)を結ぶ線との間の夾角βは45°未満である、ことを特徴とする請求項3に記載のバックレストクリアランスゼロを実現するためのリンケージ装置。
【請求項6】
前記バックレスト取付部材(41)には、突出するフレーム取付部(411)が設けられ、前記フレーム取付部(411)は、シートのシートバックレスト(5)を取り付けるために使用され、前記リンケージ装置が限界位置まで伸展したとき、前記フレーム取付部(411)と水平面との間の夾角γは35°以下である、ことを特徴とする請求項3に記載のバックレストクリアランスゼロを実現するためのリンケージ装置。
【請求項7】
シートブラケットであって、ベース(1)と、リンケージ機構(2)と、ブラケット側板(3)と、バックレスト機構(4)とを含み、前記リンケージ機構(2)は、前記ベース(1)と前記ブラケット側板(3)との間に回動可能に連結され、前記バックレスト機構(4)は、前記ブラケット側板(3)及びリンケージ機構(2)にそれぞれ回動可能に連結され、前記リンケージ機構(2)は、第1支持部材(21)と、揺動部材(22)と、中間連結部材(23)と、連動部材(24)と、第2支持部材(25)とを含み、前記第1支持部材(21)及び第2支持部材(25)は、前記ベース(1)の両端にそれぞれ回動可能に連結され、前記揺動部材(22)は、前記第1支持部材(21)に連結され、前記中間連結部材(23)の両端は、前記揺動部材(22)及び連動部材(24)にそれぞれ連結され、前記連動部材(24)には、連動点(241)と支持連結点(242)とが設けられ、前記連動部材(24)は、前記連動点(241)で前記中間連結部材(23)に連結され、前記連動部材(24)は、前記支持連結点(242)で前記第2支持部材(25)に連結され、前記連動点(241)と前記支持連結点(242)を結ぶ線をL1とし、前記第2支持部材(25)とベース(1)との間の連結点と前記支持連結点(242)を結ぶ線をL2とし、前記リンケージ機構(2)が限界位置まで伸展したとき、L1とL2との間の夾角δは8°~15°である、ことを特徴とするシートブラケット。
【請求項8】
前記リンケージ機構(2)が限界位置まで前方に伸展したとき、前記第2支持部材(25)と水平面との間の夾角εは42°未満である、ことを特徴とする請求項7に記載のシートブラケット。
【請求項9】
前記連動点(241)から前記支持連結点(242)までの間の距離をA1とし、前記支持連結点(242)から前記第2支持部材(25)と前記ベース(1)の連結点までの間の距離をA2とし、A1とA2との比率範囲は0.6~0.75である、ことを特徴とする請求項7に記載のシートブラケット。
【請求項10】
前記連動部材(24)には、側板連結点(243)と背部連結点(244)がさらに設けられ、前記側板連結点(243)は、前記ブラケット側板(3)と連結するために使用され、前記背部連結点(244)は、前記バックレスト機構(4)と連結するために使用され、前記リンケージ機構(2)の伸縮過程において、前記背部連結点(244)から前記ベース(1)の底面までの距離H3は3cm以上である、ことを特徴とする請求項7に記載のシートブラケット。
【請求項11】
前記揺動部材(22)には第1連結点(221)、第2連結点(222)及び第3連結点(223)が設けられ、前記揺動部材(22)は、前記第1連結点(221)で前記第1支持部材(21)に回動可能に連結され、前記第3連結点(223)で前記ブラケット側板(3)に回動可能に連結され、前記第2連結点(222)から第3連結点(223)までの間の距離をB1とし、前記第2連結点(222)から前記第1連結点(221)までの間の距離をB2とし、B1とB2との比率範囲は0.6~0.7である、ことを特徴とする請求項7に記載のシートブラケット。
【請求項12】
前記第2連結点(222)と第3連結点(223)を結ぶ線と、前記第2連結点(222)と前記第1連結点(221)を結ぶ線との間の夾角θは鋭角である、ことを特徴とする請求項11に記載のシートブラケット。
【請求項13】
駆動機構(6)と脚部機構(7)をさらに含み、前記脚部機構(7)は、前記ブラケット側板(3)と前記リンケージ機構(2)の前方に回動可能に連結され、前記駆動機構(6)は、前記脚部機構(7)を伸縮させるように駆動し、それによって、前記リンケージ機構(2)、ブラケット側板(3)及びバックレスト機構(4)を移動及び調整させて、シートブラケットを着座姿勢、伸展姿勢及び寝姿勢の位置間で移動可能にする、ことを特徴とする請求項7に記載のシートブラケット。
【請求項14】
シートユニットであって、ベース(1)と、リンケージ機構(2)と、ブラケット側板(3)と、バックレスト機構(4)と、シートバックレスト(5)とを含み、前記リンケージ機構(2)は、前記ベース(1)と前記ブラケット側板(3)との間に回動可能に連結され、前記バックレスト機構(4)は、前記ブラケット側板(3)とリンケージ機構(2)にそれぞれ回動可能に連結され、前記ブラケット側板(3)の外側面にはシートフレーム取付面(36)が設けられ、前記シートフレーム取付面(36)が位置する平面の高さは、前記ブラケット側板(3)の上縁よりも低く、前記シートフレーム取付面(36)の最高点から前記ベース(1)の底面までの距離Hは16cm~19cmであり、前記バックレスト機構(4)は、バックレスト取付部材(41)とバックレスト連動部材(42)を含み、前記バックレスト取付部材(41)は、前記ブラケット側板(3)に回動可能に連結され、前記バックレスト連動部材(42)の両端は、前記バックレスト取付部材(41)とリンケージ機構(2)にそれぞれ回動可能に連結され、前記バックレスト取付部材(41)は、前記シートバックレスト(5)に連結され、前記シートバックレスト(5)はバックレスト尾縁(51)を含み、シートブラケットが限界位置まで収縮したとき、前記バックレスト尾縁(51)が位置する水平面に垂直な平面を初期平面とし、前記バックレスト機構(4)が前記リンケージ機構(2)及び前記ブラケット側板(3)と共に収縮の限界位置と伸展の限界位置との間で移動するとき、前記バックレスト尾縁(51)の後方への移動は前記初期平面を超えない、ことを特徴とするシートユニット。
【請求項15】
前記シートバックレスト(5)は、バックレスト尾翼(52)と本体部(53)をさらに含み、前記バックレスト尾縁(51)は、前記バックレスト尾翼(52)の後縁に位置し、前記バックレスト尾翼(52)は、前記本体部(53)よりも大きい横幅を有し、前記バックレスト機構(4)が前記シートバックレスト(5)を回動させる過程中に、前記バックレスト尾翼(52)は、シートアームレストを中心に回動可能である、ことを特徴とする請求項14に記載のシートユニット。
【請求項16】
前記シートバックレスト(5)が限界位置まで収縮したとき、前記バックレスト尾縁(51)から前記ベース(1)の底面までの距離H1は70cm~85cmである、ことを特徴とする請求項14に記載のシートユニット。
【請求項17】
前記シートバックレスト(5)が限界位置まで伸展したとき、前記バックレスト尾縁(51)から前記ベース(1)の底面までの距離H2は50cm~65cmである、ことを特徴とする請求項16に記載のシートユニット。
【請求項18】
シートであって、シートアームレスト(9)と、請求項14~17のいずれか一項に記載のシートユニットとを含み、前記シートユニットは、ブラケット側板(3)を介して前記シートアームレスト(9)の内側に固定される、ことを特徴とするシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートブラケットの技術分野に属し、具体的には、バックレストクリアランスゼロを実現するためのリンケージ装置、ブラケット、シートユニット及びシートに関する。
【背景技術】
【0002】
多機能なソファーやシートは、スマートホームライフに幅広く活用される家具となっている。多機能ソファーは通常、正常な着座姿勢のときの収縮位置、脚部だけが伸展したときの伸展位置、脚部と背部の両方が完全に伸展した寝姿勢の位置に調整することができる。
【0003】
従来技術における位置を調整する機械式伸縮装置は、シートバックレストが壁に寄りかかって配置される場合、バックレスト機構が後方に寝姿勢の位置まで回動すると、シートバックレストがそれに隣接する壁に接触し、バックレスト機構の回動が干渉されるため、バックレストの伸展スペースを確保する必要があり、大きなスペースを占有する。クリアランスゼロで壁に寄りかかって配置できる既存の機能型シートでは、脚部とバックレストの伸展が制限されたり、バックレスト機構とシートバックレストの角度調整が制限されたりするため、シートの快適性が悪くなる。バックレスト調整機能を有する既存のシートバックレストのスタイルは単一である。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、シートバックレストが大きなスペースを占有し、クリアランスゼロで壁に寄りかかって設置することができず、あるいは、バックレストの角度調整が制限され、快適性が劣るという従来技術の問題を解決することを目的するものである。
【0005】
上記の目的を実現するために、本出願は、バックレストクリアランスゼロを実現するためのリンケージ装置を提供する。この装置は、ベースと、リンケージ機構と、ブラケット側板と、バックレスト機構とを含み、前記リンケージ機構は、前記ベースと前記ブラケット側板との間に回動可能に連結され、前記バックレスト機構は、前記ブラケット側板及びリンケージ機構にそれぞれ回動可能に連結される。
前記ブラケット側板には、側板連動点とバックレスト点が設けられ、前記ブラケット側板は、前記側板連動点で前記リンケージ機構に回動可能に連結され、前記ブラケット側板は、前記バックレスト点で前記バックレスト機構に回動可能に連結される。
前記バックレスト機構は、バックレスト取付部材とバックレスト連動部材を含み、前記バックレスト取付部材の両端はそれぞれ、前記バックレスト点と前記バックレスト連動部材との間に回動可能に連結され、前記バックレスト機構が限界位置まで収縮したとき、前記バックレスト取付部材の両端点を結ぶ線と、前記バックレスト点と側板連動点を結ぶ線との間の夾角αは鋭角とである。
【0006】
さらに、前記ブラケット側板は、バックレスト連結部とL字形の側板本体を含み、前記側板本体は、前記バックレスト連結部と一体成形又は固定連結される。
【0007】
さらに、前記バックレスト連結部は、前記バックレスト機構に連結された前記ブラケット側板の一端に配置され、前記バックレスト点は、前記バックレスト連結部に配置される。
【0008】
さらに、前記バックレスト機構が限界位置まで収縮したとき、前記バックレスト取付部材の両端点を結ぶ線と、前記バックレスト点と側板連動点を結ぶ線との間の夾角αは70°未満である。
【0009】
さらに、前記バックレスト機構が限界位置まで伸展したとき、前記バックレスト取付部材の両端点を結ぶ線と、前記バックレスト点と側板連動点を結ぶ線との間の夾角βは45°未満である。
【0010】
さらに、前記バックレスト取付部材には、突出するフレーム取付部が設けられ、前記フレーム取付部は、シートのシートバックレストを取り付けるために使用され、前記リンケージ装置が限界位置まで伸展したとき、前記フレーム取付部と水平面との間の夾角γは35°以下である。
【0011】
本出願はシートブラケットをさらに提供する。このシートブラケットは、ベースと、リンケージ機構と、ブラケット側板と、バックレスト機構とを含み、前記リンケージ機構は、前記ベースと前記ブラケット側板との間に回動可能に連結され、前記バックレスト機構は、前記ブラケット側板及びリンケージ機構にそれぞれ回動可能に連結される。
前記リンケージ機構は、第1支持部材と、揺動部材と、中間連結部材と、連動部材と、第2支持部材とを含む。前記第1支持部材及び第2支持部材は、前記ベースの両端にそれぞれ回動可能に連結され、前記揺動部材は、前記第1支持部材に連結され、前記中間連結部材の両端は、前記揺動部材及び連動部材にそれぞれ連結される。
前記連動部材には、連動点と支持連結点とが設けられる。前記連動部材は、前記連動点で前記中間連結部材に連結される。前記連動部材は、前記支持連結点で前記第2支持部材に連結される。前記連動点と前記支持連結点とを結ぶ線をL1とし、前記第2支持部材とベースとの間の連結点と、前記支持連結点とを結ぶ線をL2とし、前記リンケージ機構(2)が限界位置まで伸展したとき、L1とL2との間の夾角δは8°~15°である。
【0012】
さらに、前記リンケージ機構が限界位置まで前方に伸展したとき、前記第2支持部材と水平面との間の夾角εは42°未満である。
【0013】
さらに、前記連動点から前記支持連結点までの間の距離をA1とし、前記支持連結点から前記第2支持部材と前記ベースとの連結点までの間の距離をA2とし、A1とA2との比率範囲は0.6~0.75である。
【0014】
さらに、前記連動部材には、側板連結点と背部連結点がさらに設けられる。前記側板連結点は、前記ブラケット側板と連結するために使用される。前記背部連結点は、前記バックレスト機構と連結するために使用される。前記リンケージ機構の伸縮過程において、前記背部連結点から前記ベースの底面までの距離H3は3cm以上である。
【0015】
さらに、前記揺動部材には第1連結点、第2連結点及び第3連結点が設けられる。前記揺動部材は、前記第1連結点で前記第1支持部材に回動可能に連結され、前記第3連結点で前記ブラケット側板に回動可能に連結される。前記第2連結点から第3連結点までの間の距離をB1とし、前記第2連結点から前記第1連結点までの間の距離をB2とし、B1とB2との比率範囲は0.6~0.7である。
【0016】
さらに、前記第2連結点と第3連結点を結ぶ線と、前記第2連結点と前記第1連結点を結ぶ線との間の夾角θは鋭角である。
【0017】
さらに、前記シートユニットは、駆動機構と脚部機構をさらに含む。前記脚部機構は、前記ブラケット側板と前記リンケージ機構の前方に回動可能に連結される。前記駆動機構は、前記脚部機構を伸縮させるように駆動し、それによって、前記リンケージ機構、ブラケット側板及びバックレスト機構を移動及び調整させて、シートブラケットを着座姿勢、伸展姿勢及び寝姿勢の位置間で移動可能にする。
【0018】
本出願はシートユニットをさらに提供する。このシートユニットは、ベースと、リンケージ機構と、ブラケット側板と、バックレスト機構と、シートバックレストとを含む。前記リンケージ機構は、前記ベースと前記ブラケット側板との間に回動可能に連結される。前記バックレスト機構は、前記ブラケット側板とリンケージ機構にそれぞれ回動可能に連結される。
前記ブラケット側板の外側面にはシートフレーム取付面が設けられる。前記シートフレーム取付面が位置する平面の高さは、前記ブラケット側板の上縁よりも低く、前記シートフレーム取付面の最高点から前記ベースの底面までの距離Hは16cm~19cmである。
前記バックレスト機構は、バックレスト取付部材とバックレスト連動部材を含む。前記バックレスト取付部材は、前記ブラケット側板に回動可能に連結される。前記バックレスト連動部材の両端は、前記バックレスト取付部材とリンケージ機構にそれぞれ回動可能に連結される。前記バックレスト取付部材は、前記シートバックレストに連結される。前記シートバックレストはバックレスト尾縁を含む。シートブラケットが限界位置まで収縮したとき、前記バックレスト尾縁が位置する水平面に垂直な平面を初期平面とし、前記バックレスト機構が前記リンケージ機構及び前記ブラケット側板と共に収縮の限界位置と伸展の限界位置との間で移動するとき、前記バックレスト尾縁の後方への移動は前記初期平面を超えない。
【0019】
さらに、前記シートバックレストは、バックレスト尾翼と本体部をさらに含む。前記バックレスト尾縁は、前記バックレスト尾翼の後縁に位置し、前記バックレスト尾翼は、前記本体部よりも大きい横幅を有する。前記バックレスト機構が前記シートバックレストを回動させる過程中に、前記バックレスト尾翼は、シートアームレストを中心に回動可能である。
【0020】
さらに、前記シートバックレストが限界位置まで収縮したとき、前記バックレスト尾縁から前記ベースの底面までの距離H1は70cm~85cmである。
【0021】
さらに、前記シートバックレストが限界位置まで伸展したとき、前記バックレスト尾縁から前記ベースの底面までの距離H2は50cm~65cmである。
【0022】
本出願はシートをさらに提供する。このシートは、シートアームレストと前述したシートユニットを含み、前記シートユニットは、ブラケット側板を介して前記シートアームレストの内側に固定される。
【0023】
従来技術と比較して、本発明は、以下の有益な効果を有する。
【0024】
本発明は、バックレスト連結部とバックレスト取付部材の角度関係を制限することにより、シートの伸展長さを確保する条件下で、シートブラケットは、伸展過程中に、リンケージ機構とブラケット側板がバックレスト機構を前方及び上方に平行移動させる距離が、バックレスト機構の後方への回動により生じる距離を相殺でき、それにより、シートバックレストは、クリアランスゼロで壁に寄りかかって配置することができ、スペースをさらに節約することができる。
【0025】
本発明のリンケージ機構は、部品の連結角度及び寸法比の最適化により、シートブラケットの前方への伸展距離をさらに長くし、リンケージ機構とシートフレーム取付面の高さの低減との組み合わせにより、座高がさらに低くなり、構造の安定性が向上する。
【0026】
本発明のシートバックレストは、幅広のバックレスト尾翼を有するT字形のフレーム構造であってもよい。従来の床置き式アームレストの製品と比較して、T字形のシートバックレストは、シートユニットの伸展中に、バックレスト尾翼が両側のシートアームレストを中心に回動することができ、シートアームレストが側板リンケージ部材と共に移動し、シートバックレストの面積が増加する。シートバックレストは、床置き式アームレストを有するシートスタイルにも使用できる。シートバックレストとシートアームレストのデザインはより柔軟で、様々なスタイルのシートデザインを満たすことができ、外観がより美観になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の実施例又は従来技術の技術的手段を更に詳細に説明するため、下記では実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明する。当然のことながら、下記の説明における図面は本発明の幾つかの実施例のみであり、当業者にとって、創造的労働を果たさない前提で、これらの図面に基づいてその他の図面を得ることができる。
【
図1】本実施例に係るシートブラケットの構造模式図である。
【
図2】本実施例に係るリンケージ機構とバックレスト機構の構造模式図である。
【
図3】本実施例に係るリンケージ機構の構造模式図である。
【
図5】本実施例に係る、限界位置まで伸展したシートブラケットの構造模式図である。
【
図6】本実施例に係るシートブラケットの伝動機構と駆動機構の連結構造模式図である。
【
図7】本実施例に係るシートブラケットの伝動機構の連結構造模式図である。
【
図8】本実施例に係る、着座姿勢の状態と寝姿勢の状態にあるシートユニットの構造位置模式図である。
【
図9】本実施例に係る、T字形のシートバックレストを有するシートユニットの構造模式図である。
【
図10】本実施例に係る、床置き式アームレスト付きシートユニットの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の目的、技術的手段及び利点をより明確にするために、以下では、具体的な実施形態と添付の図面を参照しながら、本発明をさらに詳細に説明する。これらの説明は単なる例示的なものであり、本発明の範囲を制限するものではないことが理解されたい。
【0029】
本発明の説明では、「第1」、「第2」などの用語は、説明の目的でのみ使用され、相対的な重要性を示すもしくは暗示する、又は示される技術的特徴の数を暗示的に示すと解釈されるべきではないことが理解されたい。それにより、「第1」、「第2」により限定される特徴は、明示的に又は暗黙的に、1つ又は複数の該特徴を含むことができる。
【0030】
また、本発明において、特に明確に規定及び限定されない限り、「取り付け」、「連結」などの用語は広い意味で理解する必要があり、例えば、固定連結、取り外し可能な連結、又は一体化の連結の場合がある。機械的連結又は電気的連結の場合がある。直接連結、中間媒体を介した間接的連結、又は2つの素子の内部連通の場合がある。当業者にとって、本発明における上記の用語の具体的な意味は、具体的な状況に応じて理解することができる。
【0031】
実施例
本実施例は、具体的には一般的な姿勢調整可能なソファー、レジャーチェア、マッサージチェアなどのシートを提供する。シートは、シートアームレストの内側に取り付けられてシートの姿勢を調製するためのシートユニットを含む。シートユニットは、シートが着座姿勢、伸展姿勢及び寝姿勢の位置間で移動することを可能にする。ここで、着座姿勢の状態には、シートユニットの脚部機構とバックレスト機構の両方は、限界位置まで完全に収縮する。伸展姿勢のときに、脚部機構は前方に伸展し、バックレスト機構とシートフレームの角度は変化しない。寝姿勢の状態には、脚部機構は、限界位置まで前方に伸展し、バックレスト機構は、限界位置まで後方に伸展する。本実施例におけるシートの脚部機構が伸展する方向を「前」とし、その方向の反対方向を「後」とする。
【0032】
具体的には、本実施例では、伸展中にバックレスト機構の後方回動により生じる距離を、リンケージ機構とブラケット側板がバックレスト機構を前方及び上方に平行移動させることによって相殺することができ、バックレスト機構の後方のスペースを最大限に節約することができるため、シートバックレストは、後方の隣接物とクリアランスゼロで近接して配置することができ、また、壁にゼロから配置するなど、障害なく寝姿勢位置まで伸展することもできる。ここで、「クリアランスゼロ」とは、スペースを節約する効果を指す。
【0033】
図1~5に示すように、本発明の実施例によって提供されるバックレストクリアランスゼロを実現するためのリンケージ装置は、ベース1、リンケージ機構2、ブラケット側板3、及びバックレスト機構4を含み、リンケージ機構2は、ベース1とブラケット側板3との間に回動可能に連結され、バックレスト機構4は、ブラケット側板3とリンケージ機構2にそれぞれ回動可能に連結される。
【0034】
具体的には、ブラケット側板3には、バックレスト点32と側板連動点31が設けられる。ブラケット側板3は、側板連動点31でリンケージ機構2に回動可能に連結される。ブラケット側板3は、バックレスト点32でバックレスト機構4に回動可能に連結される。バックレスト機構4は、バックレスト取付部材41とバックレスト連動部材42を含む。バックレスト取付部材41の両端はそれぞれ、バックレスト点32とバックレスト連動部材42との間に回動可能に連結される。バックレスト機構4が限界位置まで収縮したとき、バックレスト取付部材41の両端点を結ぶ線、バックレスト点32と側板連動点31を結ぶ線との間の夾角αは鋭角である。
【0035】
具体的には、
図1、2及び4に示すように、バックレスト機構4が限界位置まで収縮したとき、バックレスト取付部材41の両端点を結ぶ線と、バックレスト点32と側板連動点31を結ぶ線との間の夾角αは70°未満であり、好ましくは、48°、50°、55°、60°、65°又は68°であってもよい。本実施例では、バックレスト機構4が限界位置まで収縮したとき、バックレスト取付部材41の両端点を結ぶ線と、バックレスト点32と側板連動点31を結ぶ線との間の夾角αは65°である。バックレスト機構4が限界位置まで伸展したとき、バックレスト取付部材41の両端点を結ぶ線と、バックレスト点32と側板連動点31を結ぶ線との間の夾角βは45°未満である。好ましくは、30°、35°、40°又は43°であってもよい。具体的には、本実施例では、バックレスト機構4が限界位置まで伸展したとき、バックレスト取付部材41の両端点を結ぶ線と、バックレスト点32と側板連動点31を結ぶ線との間の夾角βは40°である。バックレスト取付部材41がバックレスト点32を中心に後方及び下方に回動すると、夾角αは小さくなり、バックレスト取付部材41はブラケット側板3と同時に前方に移動する。従来の構造と比較して、本実施例のバックレスト機構4は、着座姿勢の位置にあるときに、バックレスト取付部材41の両端点を結ぶ線と、バックレスト点32と側板連動点31を結ぶ線との間の夾角αが小さく設定されているため、組立後のシートバックレスト5の傾斜角度が小さくなり、シートバックレスト5が占有するスペースが小さくなる。本実施例では、シートバックレストの角度を最適化し制限することにより、シートバックレストが着座姿勢の状態でより縮めて、後部の占有スペースがより少なくなり、伸展中にバックレスト機構がシートバックレストを前方に移動させる距離が、シートバックレストが後方に回動することによって生じる距離以上であり、即ち、シートバックレスト5の回動中にバックレスト尾縁51が初期平面を超えない。
【0036】
具体的には、本実施例ブラケット側板3は、バックレスト連結部34とL字形の側板本体33を含み、側板本体33とバックレスト連結部34は一体成形又は固定連結される。バックレスト連結部34は、ブラケット側板3のバックレスト機構4に連結された一端に配置され、バックレスト点32は、バックレスト連結部34に配置される。
【0037】
具体的には、バックレスト取付部材41は、逆T字形の連結部材であり、バックレスト取付部材41には、突出するフレーム取付部411が設けられ、フレーム取付部411は、シートのシートバックレスト5を取り付けるために使用される。シートブラケットが限界位置まで伸展したとき、フレーム取付部411と水平面との間の夾角γは35°以下である。好ましくは、本実施例では、限界位置まで伸展したときのフレーム取付部411と水平面との間の夾角γは、30°、32°又は35°であってもよい。バックレスト取付部材41が後方に回動して伸展すると、水平面との夾角が小さくなり、即ち、後方への回動角度が大きくなり、バックレスト機構4の全伸展長が長くなるようにする。本実施例では、バックレスト取付部411の最大回動角度の範囲は28°~35°である。好ましくは、バックレスト取付部の最大回動角度は28°、30°、32°又は35°であってもよい。本実施例では、バックレスト取付部の最大回動角度を大きくすることによって、バックレスト伸展距離を長くして、寝姿勢の状態における頭部の高さを低くすることができるので、伸展後に脚部が頭部よりも高くなる無重力の寝姿勢の状態を実現し、バックレストの快適性を高めることができる。
【0038】
本実施例では、ブラケット側板3の外側にシートフレーム取付面36がさらに設けられる。シートフレーム取付面36は、シートフレームを取り付けるために使用される。シートフレーム取付面36の高さは、ブラケット側板3の上縁よりも低く、シートフレーム取付面36の最高点からベース11の底面までの距離Hは16cm~19cmである。好ましくは、16cm、17cm、18又は19cmであってもよい。本実施例では、
図4に示すように、ブラケット側板3の外側に複数のシートフレーム取付面36が設けられ、シートフレーム取付面36とブラケット側板3が一体的に折り曲げて成形され、ブラケット側板3とリンケージ機構2の全体高さが低くなり、リンケージ機構2における部品の長さが短くなり、強度が向上し、シートフレームの取付高さが低くなり、リンケージ機構2の安定性が向上するので、本実施例のシートフレーム取付面の高さは、座高の低い高機能のソファー又はシートの設計要求を満たすことができる。
【0039】
具体的には、本実施例のリンケージ機構2は、第1支持部材21、揺動部材22、中間連結部材23、連動部材24、及び第2支持部材25を含む。第1支持部材21と第2支持部材25はベース1の両端にそれぞれ回動可能に連結される。揺動部材22は第1支持部材21に連結される。中間連結部材23の両端には揺動部材22と連動部材24がそれぞれ連結される。
【0040】
具体的には、連動部材24には4つの連結点が設けられ、中間連結部材23、ブラケット側板3、第2支持部材25及びバックレスト連動部材42にそれぞれ回動可能に連結される。連動部材24には、連動点241と支持連結点242が設けられる。連動部材24は、連動点241で中間連結部材23に連結、支持連結点242で第2支持部材25に回動可能に連結される。連動点241と支持連結点242とを結ぶ線をL1とし、支持連結点242と、第2支持部材25とベース1との連結点とを結ぶ線をL2とし、リンケージ機構2が限界位置まで伸展したとき、L1とL2との間の夾角δは8°~15°である。
【0041】
なお、連動点241と支持連結点242とを結ぶ線L1と、支持連結点242と、第2支持部材25とベース1との連結点とを結ぶ線L2とが共線となる位置は、第2支持部材25の回動の死点位置であるので、第2支持部材25が円滑に旋回できることを確保するために、L1とL2との間の夾角を0°より大きくする必要がある。好ましくは、本実施例では、連動点241と支持連結点242とを結ぶ線と、第2支持部材25との間の夾角δは、8°、9°、10°、12°又は15°であってもよい。このとき、第2支持部材は、円滑に旋回することができるとともに、連動部材が第2支持部材を伸展させる距離を長くすることができる。好ましくは、第2支持部材25とベース1との間に、位置制御部材がさらに設けられてもよい。位置制御部材は、第2支持部材が円滑に旋回できるように、第2支持部材の前方への最大回動角度を制限するために使用される。
【0042】
具体的には、リンケージ支持構造2が限界位置まで前方に伸展したとき、第2支持部材25と水平面との間の夾角εは42°未満であり、好ましくは、夾角εは38°、40°又は42°である。本実施例では、第2支持部材25の前方への回動角度が大きくなり、回動後にベースとの間の夾角が小さくなり、シートブラケットの全体的な伸展距離がさらに長くなるので、同じ伸展長さの条件下で、本出願のリンケージ機構の部品の寸法を小さくすることができ、全体の高さをさらに低下させることができる。
【0043】
具体的には、連動点241から支持連結点242までの距離A1と、支持連結点241から第2支持部材25とベース1との連結点までの距離A2との比率範囲は0.6~0.75である。好ましくは、0.6、0.65、0.67、0.7又は0.75であってもよい。以上の第2支持部材25の回動角度、第2支持部材25の部品長さと伸展長さの比率の最適化により、本実施例の比率範囲では、リンケージ機構の全体的な高さが低くなり、支持強度が向上し、構造の安定性が向上する。
【0044】
具体的には、連動部材24には側板連結点243と背部連結点244がさらに設けられる。側板連結点243はブラケット側板3と連結するために使用され、即ち、側板連結点243と側板連動点31は同一点である。背部連結点244は、バックレスト機構4と連結するために使用される。リンケージ機構2の伸縮過程において、背部連結点244からベース1の底面までの距離H3は3cm以上であるので、運動中に連動部材24は地面と接触したり干渉したりしない。
【0045】
具体的には、
図3に示すように、本実施例の揺動部材22には、第1連結点221、第2連結点222及び第3連結点223が設けられ、揺動部材22は、第1連結点221で第1支持部材21に回動可能に連結され、第2連結点222で中間連結部23に回動可能に連結され、第3連結点223でブラケット側板3に回動可能に連結される。第2連結点222から第3連結点223までの間の距離をB1とし、第2連結点222から第1連結点221までの間の距離をB2とし、B1とB2の比率範囲は0.6~0.7である。第2連結点222と第3連結点223とを結ぶ線と、第2連結点222と第1連結点221とを結ぶ線との間の夾角θは鋭角である。好ましくは、第2連結点222と第3連結点223とを結ぶ線と、第2連結点222と第1連結点221とを結ぶ線との間の夾角θは、70°、72°、76°又は80°であってもよい。
【0046】
本実施例の上記のすべての最適化により、シートのシートフレームの取り付け高さを低くし、伸展中にシートブラケットの前方への移動距離を長くし、後方のシートバックレストにより大きなスペースを残すことがさらに可能になる。
【0047】
図8~10に示すように、本実施例のシートユニットはシートバックレスト5をさらに含み、シートバックレスト5は、バックレスト取付部材41に連結される。シートバックレスト5はバックレスト尾縁51を含む。シートブラケットが限界位置まで収縮したときに、バックレスト尾縁51が位置する水平面に垂直な平面を初期平面とし、バックレスト機構4がリンケージ機構2及びブラケット側板3と共に収縮の限界位置と伸展の限界位置との間で移動するとき、バックレスト尾縁51の後方への移動は初期平面を超えない。
【0048】
具体的には、シートバックレスト5はバックレスト尾翼52と本体部53をさらに含む。本体部53はバックレスト機構4に連結され、バックレスト尾縁51はバックレスト尾翼52の後縁に位置し、バックレスト尾翼52の横幅は本体部53よりも大きい。バックレスト機構4がシートバックレスト5を回動させる過程において、バックレスト尾翼52は、シートアームレストを中心に回動可能である。
【0049】
具体的には、
図8に示すように、本実施例では、リンケージ機構2及びブラケット側板3の構造の最適化により、全体的な高さが低くなり、バックレスト機構4の回動角度が変化するため、シートバックレスト5が限界位置まで収縮したとき、バックレスト尾縁51からベース1の底面までの距離H1は70cm~85cmとなる。好ましくは、バックレスト尾縁51からベース1の底面までの距離H1は70cm、75cm、78cm、80cm又は85cmであってもよい。シートバックレスト5が限界位置まで伸展したとき、バックレスト尾縁51からベース1の底面までの距離H2は50cm~65cmである。好ましくは、バックレスト尾縁51からベース1の底面までの距離H2は50cm、58cm、60cm又は65cmであってもよい。機械的な伸展装置を有する従来のシートユニットと比較して、本実施例におけるシートユニットは、シートバックレストの全体的な高さが低くなり、バックレストの美観性と柔軟性が向上する。
【0050】
具体的には、本実施例のシートユニットは、ブラケット側板を介してシートアームレスト9の内側に固定される。一実施例では、
図9に示すように、シートアームレスト9がブラケット側板3に対して固定される場合、シートアームレスト9は、ブラケット側板3とともに移動するフォローアップアームレストである。バックレスト機構4がシートバックレスト5を運動させる過程において、バックレスト尾翼52はシートアームレスト9を中心に回動する。バックレスト機構4が限界位置まで収縮したとき、バックレスト尾縁51が位置する水平面に垂直な平面は初期平面である。バックレスト機構4がシートバックレスト5を運動させる過程において、バックレスト尾縁51の移動は、初期平面を超えない。本実施例のシートは、幅広の尾翼を持つT字形のシートバックレスト、及びフォローアップシートアームレストを有するシートスタイルとして設計することができる。
【0051】
別の実施例では、
図10に示すように、シートアームレスト9がベース1に対して固定されるとき、シートバックレスト5はバックレスト本体54を含み、バックレスト本体54の横幅は、2つのシートアームレスト9の間の距離よりも小さい。なお、シートアームレスト9が水平面に対して固定される、即ちシートアームレストが床置き式であるものは、アームレスト床置き式のシートとも呼ばれる。バックレスト機構4が限界位置まで収縮したとき、バックレスト尾縁51が位置する水平面に垂直な平面を初期平面とし、バックレスト機構4がシートバックレスト5を前方に運動させる過程において、バックレスト尾縁51の後方への移動は初期平面を超えない、即ち、シートバックレスト5の後方への回動伸展中に、シートの尾端縁は前方に移動して垂直平面から離れるか、又は垂直平面に沿って下方に移動する。アームレスト床置き式のシートとして設定した場合、位置調整中にシートアームレストは固定されて動かず、シートバックレスト5は両側のアームレスト間で平行移動し、回動して調整する。
【0052】
本実施例のシートブラケットは脚部機構6をさらに含む。脚部機構6は、ブラケット側板3の前方に回動可能に連結され、脚部機構6は、ブラケット側板の前方で展開したり収縮したりする。脚部機構は、伸縮可能なマルチ連接棒構造である。
【0053】
本実施例のシートブラケットは、同じで対向して配置された2セットのブラケット構造である。シートブラケットは、ベース1の両端にそれぞれ配置され、2つの対向するベース1を連結する第1台座11と第2台座12をさらに含む。対向して配置された2つのベース1と、それらを連結する第1台座11及び第2台座12とは底部のフレーム構造を構成する。
【0054】
具体的には、
図6~7に示すように、伝動機構7と駆動機構8をさらに含む。伝動機構7は連動ブラケット71と伝動軸72を含む。伝動軸72の両端部は、両側の脚部機構6にそれぞれ伝動連結され、連動ブラケット71の一端は伝動軸72の中央部に連結され、連動ブラケット71の他端は駆動機構8のスライドブロック83にヒンジ連結される。具体的には、幾つかの実施例では、ブラケット側板3には貫通孔が設けられ、伝動軸72の端部は貫通孔を通して、ブラケット側板3の外側に配置された脚部機構6の伝動連接棒61に連結されて、第1伝動部材61を介して脚部機構6の他の連接棒構造を伸縮させる。他の幾つかの実施例では、ブラケット側板3の下方に、伝動軸72が通過するための凹溝又は隙間が設けられる。伝動軸72の端部は、凹溝又は隙間を通過して、ブラケット側板3の外側に配置された脚部機構6の伝動連接棒61に連結される。なお、本実施例の伝動軸72の長さは、2つのブラケット側板3の間の距離よりも長く、ブラケット側板3の内側の小さな空間によって引き起こされる運動中の部品間の干渉を避ける。具体的には、伝動軸62は伝動角管であってもよい。
【0055】
具体的には、駆動機構8は、駆動モータ81、スライドレール82及びスライドブロック83を含む。スライドレール82は水平面と平行に配置され、スライドブロック83は連動ブラケット71を介して伝動軸72に連結される。具体的には、スライドレール82の一端は第1台座11に固定され、スライドレール82の他端は駆動モータ81に連結され、駆動モータ81は第2台座12に固定される。脚部機構6とバックレスト機構4が収縮位置から完全に伸展した限界位置まで駆動されると、スライドブロック83のスライド行程は26cm~33cmである。好ましくは、スライドブロック83のスライド行程は26cm、27cm、28cm、30cm又は33cmであってもよい。本実施例では、スライドブロック83により伝動軸72が完全に収縮した限界位置から完全に伸展した限界位置まで達すると、伝動軸72の前方への移動距離は20cm以上である。好ましくは、20cm、22cm又は25cmであってもよい。例えば、幾つかの実施例では、スライドブロック83の最大スライド行程が28cmである場合、伝動軸72を前方に移動させる距離は20cmより長い。
【0056】
本実施例では、駆動機構8と伝動機構7とが協働することにより、伝動軸72の高さがより低い場合に、スライドブロック83が伝動軸72を駆動するスライド行程がより長くなり、シートバックレスト機構と脚部機構の伸展距離が長くなり、且つ押し精度及び押し効率がより高い。なお、従来のプッシュロッドモータは、ベースに斜めに取り付ける必要があり、プッシュロッドの行程が比較的長い。既存のシート駆動機構は、スライドレールの一端が自由端であり、スライダがスライドレール上でスライドする際に、スライドレールがベースに対して揺動するので、駆動の重心が変化し、駆動過程で揺れと詰まりが発生しやすく、駆動が不安定である。従来の駆動機構と比較して、本実施例の駆動機構8は、スライドレール82が水平面と平行に配置され、スライドレール82の両端がいずれも固定され、駆動モータ81の駆動によりスライドブロック83がスライドレール82上で直線スライドし、伝動軸72の高さが比較的低く、伝動重心と駆動機構8の重心がベースに近く、駆動過程がさらに安定して順調であり、押し精度が向上する。
【0057】
本実施例では、駆動機構8は伝動機構7を駆動して運動させ、それによって脚部機構6を前方に伸展させてリンケージ機構2、ブラケット側板3及びバックレスト機構4を移動させて調整し、その結果、シートユニットは着座姿勢、伸展姿勢及び寝姿勢の位置間で移動できる。
【0058】
本発明では、バックレスト連結部とバックレスト取付部材の角度関係を制限することにより、シートの伸展長さを確保する条件下で、シートユニットが伸展する過程において、リンケージ機構及びブラケット側板がバックレスト機構を前方及び上方に平行移動させる距離が長くなり、バックレスト機構の後方への回動により生じる距離を相殺でき、それによって、シートユニットのシートバックレストがクリアランスゼロで壁に寄りかかって配置でき、スペースがさらに節約される。本発明は、リンケージ機構、バックレスト機構などを組み合わせ、改良することにより、シートユニットの伸展距離を長くするとともに、座高を大幅に低くし、構造の安定性とシートの快適性を向上させる。
【0059】
本発明のシートバックレストは、幅広のバックレスト尾翼を有するT字形のフレーム構造であってもよい。従来の床置き式アームレストの製品と比較して、T字形のシートバックレストは、シートユニットの伸展中に、バックレスト尾翼が両側のシートアームレストを中心に回動することができ、シートアームレストが側板リンケージ部材と共に移動し、シートバックレストの面積が増加する。シートバックレストは、床置き式アームレストを有するシートスタイルにも使用できる。シートバックレストとシートアームレストのデザインはより柔軟で、様々なスタイルのシートデザインを満たすことができ、外観がより美観になる。
【0060】
本発明の上記の具体的な実施形態は、本発明の原理を例示又は解釈するためにのみ使用され、本発明を限定するものではないことを理解されたい。したがって、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行われるあらゆる修正、同等の置換、改良などは、本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【0061】
図中の符号は、次のとおりである:1-ベース、2-リンケージ機構、3-ブラケット側板、4-バックレスト機構、31-側板連動点、32-バックレスト点、41-バックレスト安装件、42-バックレスト連動部材、33-側板本体、34-バックレスト連結部、411-フレーム取付部、5-シートバックレスト、36-シートフレーム取付面、51-バックレスト尾縁、52-バックレスト尾翼、53-本体部、54-バックレスト本体、21-第1支持部材、22-揺動部材、23-中間連結部材、24-連動部材、25-第2支持部材、241-連動点、242-支持連結点、243-側板連結点、244-背部連結点、221-第1連結点、222-第2連結点、223-第3連結点、6-脚部機構、7-伝動機構、8-駆動機構、11-第1台座、12-第2台座、61-伝動連接棒、71-連動ブラケット、72-伝動軸、8-駆動機構、81-駆動モータ、82-スライドレール、83-スライドブロック、9-シートアームレスト。
【国際調査報告】