(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】安全スイッチを有する手持ち式電動工具
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20240426BHJP
B25F 5/02 20060101ALI20240426BHJP
A01G 3/04 20060101ALI20240426BHJP
A01G 3/047 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
B25F5/00 B
B25F5/02
A01G3/04 501A
A01G3/047
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573544
(86)(22)【出願日】2022-05-19
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 SE2022050493
(87)【国際公開番号】W WO2022255920
(87)【国際公開日】2022-12-08
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511268591
【氏名又は名称】ハスクバーナ・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ビューロー、ペール-アンデシュ
【テーマコード(参考)】
3C064
【Fターム(参考)】
3C064AA06
3C064AB01
3C064AC02
3C064AC03
3C064AC09
3C064AC11
3C064BA01
3C064BA20
3C064BA35
3C064BB52
3C064CA03
3C064CA08
3C064CA55
3C064CB17
3C064CB63
3C064CB69
3C064CB71
(57)【要約】
電動工具本体(3)と、工具(2)と、前記工具(2)に電力供給するように構成されている電源(4)と、前記電動工具(1)を作動状態または非作動状態に設定するように構成されているスイッチ(10)と、長尺状ハンドル(20)と、を備える、手持ち式電動工具(1)が開示される。前記長尺状ハンドル(20)は、前記長尺状ハンドル(20)に対し移動可能に配置されているトリガ要素(30)を備え、前記トリガ要素(30)は人が前記ハンドル(20)を把持すると前記ハンドル(20)に対し移動する。前記スイッチ(10)は、前記電動工具本体(3)に配置されている。前記電動工具(1)は、前記トリガ要素(30)に対し動作可能に接続されている機構(7)を備える。前記機構(7)は、前記ハンドル(20)が把持されると、前記機構(7)の第1の機構部材(11)が前記スイッチ(10)に向かう方向(d1)に移動するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手持ち式電動工具(1)であって、
電動工具本体(3)と、
工具(2)と、
前記工具(2)に電力供給するように構成されている電源(4)と、
前記電動工具(1)を作動状態または非作動状態に設定するように構成されているスイッチ(10)と、
前記電動工具(1)を使用する人によって保持される長尺状ハンドル(20)と、を備え、
前記長尺状ハンドル(20)は、前記長尺状ハンドル(20)の少なくとも一部に沿って延在するとともに前記長尺状ハンドル(20)に対し移動可能に配置されているトリガ要素(30)を備え、前記トリガ要素(30)は人が前記ハンドル(20)を把持すると前記ハンドル(20)に対し移動し、
前記スイッチ(10)は、前記電動工具本体(3)に配置されており、
前記電動工具(1)は、前記トリガ要素(30)に対し動作可能に接続されている機構(7)を備え、前記機構(7)は、前記ハンドル(20)が把持されると、前記機構(7)の第1の機構部材(11)が前記スイッチ(10)に向かう方向(d1)に移動するように構成されている、電動工具(1)。
【請求項2】
前記機構(7)は、前記トリガ要素(30)および前記第1の機構部材(11)に対し接続されている第2の機構部材(12)を備え、前記第1の機構部材(11)は、前記第2の機構部材(12)の移動時に前記スイッチ(10)に対して移動するように構成されている、請求項1に記載の電動工具(1)。
【請求項3】
前記機構(7)は、前記第2の機構部材(12)の枢動移動時に前記第1の機構部材(11)が前記スイッチ(10)に対して移動するように構成されている、請求項2に記載の電動工具(1)。
【請求項4】
前記第2の機構部材(12)は、第1の枢動軸(ax1)の周りにおいて枢動可能に配置されている、請求項2または3に記載の電動工具(1)。
【請求項5】
前記第2の機構部材(12)は、前記第1の枢動軸(ax1)を横切る第2の枢動軸(ax2)の周りにおいて枢動可能に配置されている、請求項4に記載の電動工具(1)。
【請求項6】
前記トリガ要素(30)は開口(37)を備え、前記第2の機構部材(12)は、前記開口(37)へと突出するノブ(16)を備える、請求項2~5のいずれか一項に記載の電動工具(1)。
【請求項7】
前記第2の機構部材(12)は凹部(14)を備え、前記第2の機構部材(12)は、前記第1の機構部材(11)のセクション(11’)が前記凹部(14)へと突出する位置まで移動可能である、請求項2~6のいずれか一項に記載の電動工具(1)。
【請求項8】
前記第1の機構部材(11)は、前記第1の機構部材(11)の前記セクション(11’)が前記凹部(14)の外に移動したときに、前記スイッチ(10)に向かう方向(d1)に移動する、請求項7に記載の電動工具(1)。
【請求項9】
前記第2の機構部材(12)は、前記凹部(14)に隣接する当接面(15)を備え、前記第2の機構部材(12)は、前記当接面(15)と前記第1の機構部材(11)との間の当接接触によって、前記第1の機構部材(11)を前記スイッチ(10)に向かう方向(d1)に移動させるように構成されている、請求項7または8に記載の電動工具(1)。
【請求項10】
前記当接面(15)は、湾曲しているか、ボウル形状であるか、またはその両方である、請求項9に記載の電動工具(1)。
【請求項11】
前記電動工具(1)は、前記第1の機構部材(11)を前記第2の機構部材(12)に向かう方向(d2)に付勢する弾性部材(17)を備える、請求項2~10のいずれか一項に記載の電動工具(1)。
【請求項12】
前記第1の機構部材(11)は、球状または楕円形である、請求項1~11のいずれか一項に記載の電動工具(1)。
【請求項13】
前記機構(7)は、前記電動工具本体(3)上に配置されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の電動工具(1)。
【請求項14】
前記長尺状ハンドル(20)は、人によって把持される把持部(21)を備え、前記トリガ要素(30)は、前記長尺状ハンドル(20)の前記把持部(21)から突出する作動部(31)を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の電動工具(1)。
【請求項15】
前記長尺状ハンドル(20)の前記把持部(21)は、領域(A)を少なくとも部分的に囲むように曲げられており、前記作動部(31)は、前記長尺状ハンドル(20)の前記把持部(21)上に延在するスロット(22)から突出するとともに前記領域(A)に面する、請求項14に記載の電動工具(1)。
【請求項16】
前記電動工具(1)は、前記ハンドル(20)に対する前記トリガ要素(30)の動きの方向をガイドするための相互に嵌合するガイド面(35、35’、35’’、41、41’、41’’)を備える、請求項1~15のいずれか一項に記載の電動工具(1)。
【請求項17】
前記相互に嵌合するガイド面(35、35’、35’’、41、41’、41’’)は、開口(41、41’、41’’)および前記開口(41、41’、41’’)へと突出するガイドピン(35、35’、35’’)を備える、請求項16に記載の電動工具(1)。
【請求項18】
前記電動工具(1)は、ヘッジトリマー、ストリングトリマー、またはブラシカッターである、請求項1~17のいずれか一項に記載の電動工具(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動工具を作動状態または非作動状態に設定するように構成されているスイッチを備える手持ち式電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
手持ち式電動工具は、動作中にユーザの片手または両手によって支持されることが意図された工具である。さらに、手持ち式電動工具は、単に単純労働以外の電源によって駆動され得る工具を備える。電源は、例えば、燃焼機関、電気モータ、空気圧モータなどを含んでよい。今日、市場において入手可能な多くの種類の電動工具が存在する。例としては、チェーンソー、丸鋸、トリマー、ヘッジトリマー、ストリングトリマー、ブラシカッター、マルチツールなどである。電動工具は、例えば、産業において、建築において、庭園において、家事作業のために、および切断、成形、サンディング、研削、ルーティング、研磨などの目的のために家の周りにおいて使用される。
【0003】
様々な種類の電動工具は、いくつかの相互の問題を伴う。1つの問題は安全性である。すなわち、電動工具は、鋭利な工具と、工具に動力を供給するための強力な電源とを備え得る。したがって、いくつかの電動工具は、ユーザが電動工具のハンドルを把持しているか否かに基づいて電動工具を作動状態または非作動状態に設定する安全スイッチを備える。そうしたハンドルには、多くの場合、電動工具が動作中に適切に保持されること、例えば、使用時に電動工具が両手で保持されることを確実にする安全機構が提供される。ヘッジトリマーなどの特定の電動工具は、動作中に様々な方向に回転される場合があり、したがって、これらの電動工具には、ユーザが電動工具を水平位置および垂直位置の両方を含むいくつかの位置に保持することを可能にするハンドルおよび安全スイッチが提供されてよい。
【0004】
上述した種類の安全スイッチは、電動工具の取り扱い中の安全性を著しく高めることができる。しかしながら、これらの特徴および機能の多くは、電動工具にコストおよび複雑さを追加し、一般に、今日の消費者市場では、電動工具などの製品が、費用効率の高い手法により製造され組み立てられるのに適した条件および/または特性を有する場合に有利である。
【0005】
さらに、安全スイッチを備える電動工具を設計する際の問題は、安全スイッチの信頼性および堅牢性である。これは、電動工具が、多くの埃、破片、水、振動などを伴う需要環境において通常動作し、安全スイッチの誤動作が危険な状況を引き起こし得るためである。
【0006】
電動工具を設計する際のさらなる一般的な問題は、小型であることおよび使い勝手の良さである。すなわち、ユーザが直感的に電動工具を操作することが可能であるように電動工具が設計され、小型の電動工具が、より嵩張った電動工具よりも使用するのが簡単で負担が少ない場合があると有利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上述の問題および欠点のうちの少なくともいくつかを克服するか、または少なくとも軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、上記目的は、手持ち式電動工具であって、電動工具本体と、工具と、前記工具に電力供給するように構成されている電源と、前記電動工具を作動状態または非作動状態に設定するように構成されているスイッチと、前記電動工具を使用する人によって保持される長尺状ハンドルと、を備える、手持ち式電動工具によって達成される。前記長尺状ハンドルは、前記長尺状ハンドルの少なくとも一部に沿って延在するとともに前記長尺状ハンドルに対し移動可能に配置されているトリガ要素を備え、前記トリガ要素は人が前記ハンドルを把持すると前記ハンドルに対し移動する。前記スイッチは、前記電動工具本体に配置されている。前記電動工具は、前記トリガ要素に対し動作可能に接続されている機構を備える。前記機構は、前記ハンドルが把持されると、前記機構の第1の機構部材が前記スイッチに向かう方向に移動するように構成されている。
【0009】
前記機構は、前記ハンドルが把持されると、前記機構の第1の機構部材が前記スイッチに向かう方向に移動するように構成されているため、スイッチの一貫した確実な作動および作動解除のための条件を有する電動工具が提供される。
【0010】
さらに、スイッチが電動工具本体に配置されているため、スイッチを埃、破片、水、衝撃、振動などから遮蔽するための条件が提供される。このようにして、より堅牢で信頼性の高い電動工具を提供することが可能である。これらの特徴のさらなる結果として、より安全な電動工具を提供することが可能である。
【0011】
これに加えて、スイッチが電動工具本体に配置されるため、より小型の電動工具のための条件が提供され、したがって使用するのがより簡単である。
したがって、上述の問題および欠点の少なくともいくつかを克服するか、または少なくとも軽減する電動工具が提供される。その結果、上記目的が達成される。
【0012】
随意では、前記機構は、前記トリガ要素および前記第1の機構部材に対し接続されている第2の機構部材を備え、前記第1の機構部材は、前記第2の機構部材の移動時に前記スイッチに対して移動するように構成されている。これによって、単純かつ効率的にスイッチの一貫した確実な作動および作動解除のための条件を有する電動工具が提供される。
【0013】
随意では、前記機構は、前記第2の機構部材の枢動移動時に前記第1の機構部材が前記スイッチに対して移動するように構成されている。これによって、スイッチの一貫した確実な作動および作動解除のための条件を有する電動工具が提供される。さらに、トリガ要素の長尺状ハンドルに対するいくつかの方向における移動時のスイッチの作動のための条件を有する電動工具が提供される。このようにして、電動工具の動作中に単純かつ効率的にユーザが長尺状ハンドルを様々な把持方向にて把持することを可能にする条件を有する電動工具が提供される。
【0014】
随意では、前記第2の機構部材は、第1の枢動軸の周りにおいて枢動可能に配置されている。これによって、単純かつ効率的にスイッチの一貫した確実な作動および作動解除のための条件を有する電動工具が提供される。
【0015】
随意では、前記第2の機構部材は、前記第1の枢動軸を横切る第2の枢動軸の周りにおいて枢動可能に配置されている。これによって、スイッチの一貫した確実な作動および作動解除のための条件を有する電動工具が提供される。さらに、トリガ要素の長尺状ハンドルに対するいくつかの方向における移動時のスイッチの作動のための条件を有する電動工具が提供される。このようにして、電動工具の動作中に単純かつ効率的にユーザが長尺状ハンドルを様々な把持方向にて把持することを可能にする条件を有する電動工具が提供される。
【0016】
随意では、前記トリガ要素は開口(37)を備え、前記第2の機構部材は、前記開口へと突出するノブを備える。それによって、トリガ要素と第2の機構部材との間に、単純で、効率的で、信頼できる移動の伝達を提供することが可能である。さらに、トリガ要素の長尺状ハンドルに対するいくつかの方向における移動時のスイッチの作動のための条件を有する電動工具が提供される。このようにして、電動工具の動作中に単純かつ効率的にユーザが長尺状ハンドルを様々な位置にて把持することを可能にする条件を有する電動工具が提供される。
【0017】
随意では、前記第2の機構部材は凹部を備え、前記第2の機構部材は、前記第1の機構部材のセクションが前記凹部へと突出する位置まで移動可能である。それによって、単純で、信頼性があり、費用効率の高い手法により、スイッチの一貫した信頼性のある作動および作動解除のための条件を有する電動工具が提供される。
【0018】
随意では、前記第1の機構部材は、前記第1の機構部材の前記セクションが前記凹部の外に移動したときに、前記スイッチに向かう方向に移動する。それによって、単純で、信頼性があり、費用効率の高い手法により、スイッチの一貫した信頼性のある作動および作動解除のための条件を有する電動工具が提供される。
【0019】
随意では、前記第2の機構部材は、前記凹部に隣接する当接面を備え、前記第2の機構部材は、前記当接面と前記第1の機構部材との間の当接接触によって、前記第1の機構部材を前記スイッチに向かう方向に移動させるように構成されている。それによって、単純で、信頼性があり、費用効率の高い手法により、スイッチの一貫した信頼性のある作動および作動解除のための条件を有する電動工具が提供される。さらに、トリガ要素の長尺状ハンドルに対する位置がスイッチを作動させる、トリガ要素の明確なトリガ点のための条件を有する電動工具が提供される。これに加えて、これらの特徴により、上述のトリガ点を通過するトリガ要素の移動が可能になる。このようにして、単に長尺状ハンドルを把持することによって迅速かつ効率的にスイッチを作動させることが可能であり、例えば長尺状ハンドルを緩く把持ことによって生じるスイッチの意図しない作動解除を回避することが可能であるため、より使い勝手の良い電動工具を提供することが可能である。
【0020】
随意では、前記当接面は、湾曲しているか、ボウル形状であるか、またはその両方である。これによって、トリガ要素の長尺状ハンドルに対する位置がスイッチを作動させる、トリガ要素の明確なトリガ点のための条件を有する電動工具が提供される。これに加えて、これらの特徴により、トリガ点を通過するトリガ要素の移動が可能になる。このようにして、単に長尺状ハンドルを把持することによって迅速かつ効率的にスイッチを作動させることが可能であり、例えば長尺状ハンドルを緩く把持ことによって生じるスイッチの意図しない作動解除を回避することが可能であるため、より使い勝手の良い電動工具を提供することが可能である。
【0021】
随意では、前記当接面は前記凹部を囲む。これによって、トリガ要素の長尺状ハンドルに対する位置がスイッチを作動させる、トリガ要素の明確なトリガ点のための条件を有する電動工具が提供される。これに加えて、これらの特徴により、トリガ点を通過するトリガ要素の移動が可能になる。このようにして、単に長尺状ハンドルを把持することによって迅速かつ効率的にスイッチを作動させることが可能であり、例えば長尺状ハンドルを緩く把持ことによって生じるスイッチの意図しない作動解除を回避することが可能であるため、より使い勝手の良い電動工具を提供することが可能である。さらに、トリガ要素の長尺状ハンドルに対するいくつかの方向における移動時のスイッチの作動のための条件を有する電動工具が提供される。このようにして、電動工具の動作中に単純かつ効率的にユーザが長尺状ハンドルを様々な把持方向にて把持することを可能にする条件を有する電動工具が提供される。
【0022】
随意では、前記電動工具は、前記第1の機構部材を前記第2の機構部材に向かう方向に付勢する弾性部材を備える。それによって、単純で、信頼性があり、費用効率の高い手法により、スイッチの一貫した信頼性のある作動および作動解除のための条件を有する電動工具が提供される。これに加えて、第1の機構部材を第2の機構部材に向かう方向に付勢することにより、ユーザが長尺状ハンドルから把持を解放したときに、スイッチのより明確かつ信頼性のある作動解除が得られる。
【0023】
随意では、前記第1の機構部材は、球状または楕円形である。それによって、単純で、信頼性があり、費用効率の高い手法により、スイッチの一貫した信頼性のある作動および作動解除のための条件を有する電動工具が提供される。
【0024】
随意では、前記機構は、前記電動工具本体上に配置されているそれによって、埃、破片、水、衝撃、振動などから機構を遮蔽するための条件が提供される。このようにして、より堅牢で信頼性の高い電動工具を提供することが可能である。これに加えて、機構が電動工具本体に配置されるため、より小型の電動工具のための条件が提供され、したがって使用するのがより簡単である。
【0025】
随意では、前記長尺状ハンドルは、人によって把持される把持部を備え、前記トリガ要素は、前記長尺状ハンドルの前記把持部から突出する作動部を有する。それによって、ユーザが長尺状ハンドルを把持しているとき、およびユーザが長尺状ハンドルから把持を解放したときに、スイッチのさらに信頼性がより高い正確な作動および作動解除を提供することが可能である。
【0026】
随意では、前記長尺状ハンドルの前記把持部は、領域を少なくとも部分的に囲むように曲げられており、前記作動部は、前記長尺状ハンドルの前記把持部上に延在するスロットから突出するとともに前記領域に面する。これによって、トリガ要素の長尺状ハンドルに対する様々な方向における移動時のスイッチの作動のための条件を有する電動工具が提供される。このようにして、電動工具の動作中に単純かつ効率的にユーザが長尺状ハンドルを様々な把持方向にて把持することを可能にする条件を有する電動工具が提供される。
【0027】
随意では、前記トリガ要素は連続的な一体型本体である。これによって、壊れにくく、費用効率の高い手法により製造され組み立てられるのに適した条件および特性を有するトリガ要素が提供される。
【0028】
随意では、スイッチは、電動工具が非作動状態に設定される第1の状態、または電動工具が作動状態に設定される第2の状態に設定され得る。そうしたスイッチ、例えば、機械作動式マイクロスイッチは、フェイルセーフであり、小型であり、低コストで入手可能である。
【0029】
随意では、電動工具は、電源の速度を制御するための主トリガを有する主ハンドルを備える。したがって、スイッチは、安全スイッチが第1の状態にあるときに主トリガが無効にされるように、またスイッチが第2の状態にあるときに主トリガが有効にされるように、主トリガに対し接続された安全スイッチであってよい。
【0030】
随意では、前記電動工具は、前記ハンドルに対する前記トリガ要素の動きの方向をガイドするための相互に嵌合するガイド面を備える。それによって、単純で、信頼性があり、費用効率の高い手法により、スイッチの一貫した信頼性のある作動および作動解除のための条件を有する電動工具が提供される。
【0031】
随意では、前記相互に嵌合するガイド面は、開口および前記開口へと突出するガイドピンを備える。それによって、単純で、信頼性があり、費用効率の高い手法により、スイッチの一貫した信頼性のある作動および作動解除のための条件を有する電動工具が提供される。
【0032】
任意選択的に、電動工具は、ヘッジトリマー、ストリングトリマー、またはブラシカッターである。
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の特許請求の範囲および以下の詳細な説明を検討するときに明らかになる。
【0033】
本発明の様々な態様は、その特定の特徴および利点を含めて、以下の詳細な説明および添付の図面において論じられる例示的な実施形態から容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】いくつかの実施形態に係る手持ち式電動工具の斜視図。
【
図3】
図1および
図2に示される電動工具のいくつかのコンポーネントの断面図。
【
図4】トリガ要素が電動工具の長尺状ハンドルに対して作動位置に移動している、
図3に示されるコンポーネントの断面図。
【
図5】
図1~
図4に示される実施形態に係る電動工具のスイッチアセンブリの斜視図。
【
図6】
図5に示されるスイッチアセンブリの断面図。
【
図7】第2の機構部材が作動位置に枢動されている
図6に示されるスイッチアセンブリの断面図。
【
図8】
図1~
図4に示される実施形態に係る電動工具の長尺状ハンドルの断面図。
【
図9】トリガ要素が作動位置に移動している
図8に示される長尺状ハンドルの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
これより、本発明の態様をより完全に記載する。全体を通して、同様の番号は同様の要素を参照する。周知の機能または構成は、簡潔性および/または明瞭性のために必ずしも詳細に記載されない。
【0036】
図1は、いくつかの実施形態に係る手持ち式電動工具1の斜視図を示す。示される実施形態によれば、手持ち式電動工具1はヘッジトリマーである。さらなる実施形態によれば、本明細書において参照される手持ち式電動工具1は、ストリングトリマー、ブラシカッター、パワーカッター、チェーンソー、丸鋸、マルチツールなどの、別の種類の手持ち式電動工具である。
【0037】
手持ち式電動工具1が「手持ち式」であるという特徴は、手持ち式電動工具1が、動作中にユーザの片手または両手によって支持されるように構成されていることを意味する。示される実施形態に係る手持ち式電動工具1は、本明細書においてさらに説明されるように、動作中にユーザの両手によって支持されるように構成されている。手持ち式電動工具1は、本明細書のいくつかの箇所では、簡潔性および明確性のために「電動工具1」と呼ばれる。
【0038】
電動工具1は、電動工具本体3と、工具2と、工具2に電力供給するように構成されている電源とを備える。電動工具本体3は、本明細書においてさらに説明されるように、電源などの電動工具1の複数のコンポーネントおよびシステムを収容する。電動工具本体3は、
図1では見えないが、典型的には電動工具に設けられておりしたがってここでは詳細に記載する必要がないいくつかのさらなるコンポーネントをさらに備えてよい。これらのコンポーネントは、ギアボックス、工具2を電動工具1に取り付けるためのアタッチメント、電気配線回路、電動工具1の動作を制御するための電子コントローラ、外部ボタン、レバー、および様々な制御部を含むが、これらに限定されない。示される代替形態では、工具2は、生垣の枝を切断するための鋸歯ブレード、すなわち、レシプロ切断工具である。
【0039】
電動工具1は、電動工具1を使用する人によって保持される長尺状ハンドル20を備える。さらに、電動工具1は、電動工具1の速度および電源の動作を制御するための主トリガ6を有する主ハンドル5を備える。したがって、示される実施形態によれば、手持ち式電動工具1は、動作中にユーザの両手によって支持されるように、すなわち、片手が長尺状ハンドル20を把持し、もう片手が主ハンドル5を把持するように構成されている。
【0040】
示される実施形態によれば、長尺状ハンドル20は前方二次ハンドルと呼ばれてよく、主ハンドル5は後方一次ハンドルと呼ばれてよい。
図1に示されるように、長尺状ハンドル20は、長尺状であり、湾曲した形状に曲げられ、連続的な丸みを帯びた矩形形状を形成するとともに領域を囲むように、電動工具本体3に取り付けられている。動作時、長尺状ハンドル20は、電動工具1を使用する人によって、その長さに沿った本質的に任意の位置にて把持されてよい。例えば、電動工具を使用する人は、第1の側方領域、中間領域、または第2の側方領域にて長尺状ハンドル20を把持してよい。このようにして、ユーザは、本明細書においてさらに説明されるように、様々な配向にて電動工具1を動作させることが可能になる。
【0041】
図2は、
図1に示される電動工具1の一部の断面図を示す。
図2では、電動工具1のいくつかのコンポーネントは、視認性および明瞭性のために除去されている。
図2では、電動工具1の電動工具本体3の一部および工具2の一部が見られる。さらに、電動工具1の電源4が
図2において見られる。示される実施形態によれば、電源4は、バッテリから電気が供給される電気モータである。
図1には、電動工具1のバッテリ40が示されている。さらなる実施形態によれば、電源4には、電源コードなどの別の種類の構成から電気が供給されてよい。さらに、さらなる実施形態によれば、本明細書において参照される電源4は、燃焼機関、空気圧モータなどの、電気モータとは別の種類の電源であってよい。
【0042】
さらに、
図2では、長尺状ハンドル20の断面が見られる。
図2に見られるように、長尺状ハンドル20は、長尺状ハンドル20の少なくとも一部に沿って延在するトリガ要素30を備える。トリガ要素30は、本明細書においてさらに説明されるように、人が長尺状ハンドル20を把持するときにトリガ要素30が長尺状ハンドル20に対して移動するように、長尺状ハンドル20に対して移動可能に配置される。
【0043】
さらに、
図2では、電動工具1のスイッチ10および機構7が見られる。本明細書においてさらに説明されるように、スイッチ10は、機構7を介してトリガ要素30に動作可能に接続される。換言すると、機構7は、トリガ要素30とスイッチ10とを動作可能に接続する。スイッチ10は、トリガ要素30の位置に基づいて電動工具1を作動状態または非作動状態に設定するように構成されている。
図2に見られる、スイッチ10は、電動工具本体3に配置されている。
【0044】
図3は、
図1および
図2に示される電動工具1のいくつかのコンポーネントの断面図を示す。
図3には、電動工具のハンドルアセンブリ20’およびスイッチアセンブリ10’が見られる。ハンドルアセンブリ20’は、長尺状ハンドル20を備え、スイッチアセンブリ10’は、スイッチ10を備える。スイッチアセンブリ10’およびハンドルアセンブリ20’は、
図1および
図2に示される電動工具1の電動工具本体3に取り付けられるように構成されている。スイッチアセンブリ10’およびハンドルアセンブリ20’は、電動工具1の電動工具本体3に堅固に取り付けられてよい。以下では、特に断りがない限り、
図1~
図3を同時に参照する。
【0045】
スイッチアセンブリ10’は凸部46を備え、ハンドルアセンブリ20’は凹部48を備える。凸部46は、ガイドピンとして形成され、
図3に示されるように、スイッチアセンブリ10’およびハンドルアセンブリ20’が組み立てられた状態にあるとき、ハンドルアセンブリ20’の凹部48へと突出するように構成される。凸部46および凹部48は、スイッチアセンブリ10’およびハンドルアセンブリ20’の組立および位置合わせを容易にする。示される実施形態によれば、スイッチアセンブリ10’は2つの突起46を備え、ハンドルアセンブリ20’は2つの凹部48を備える。しかしながら、
図3では、凸部46のうちの一方および凹部48のうちの一方しか見えない。さらなる実施形態によれば、スイッチアセンブリ10’は、1つまたは複数の凹部を備えてよく、ハンドルアセンブリ20’は、スイッチアセンブリ10’およびハンドルアセンブリ20’が組み立てられた状態にあるとき、スイッチアセンブリ10’の凹部へと突出するように構成されている1つまたは複数の凸部を備えてよい。
【0046】
長尺状ハンドル20は、人によって把持される把持部21を備える。トリガ要素30は、長尺状ハンドル20の把持部21から突出する作動部分31を有する。長尺状ハンドル20の把持部21は、領域Aを少なくとも部分的に囲むように曲げられる。作動部分31は、長尺状ハンドル20の把持部21上に延在するスロット22から突出し、領域Aに面する。トリガ要素30は、スロット22において移動可能に配置される。
図3では、トリガ要素30は非作動位置において示されている。本明細書においてさらに説明されるように、チガー要素30は、ユーザの手の把持力などの外力を受けていないときに非作動位置をとるように構成されている。
【0047】
さらに、
図3では、機構7の第2の機構部材12が見られる。機構7の第2の機構部材12は、トリガ要素30に動作可能に接続され、トリガ要素30の移動時に移動するように構成されている。示される実施形態によれば、トリガ要素30は開口37を備え、第2の機構部材12は、トリガ要素30の開口37へと突出するノブ16を備える。このようにして、第2の機構部材12は、トリガ要素30に動作可能に接続される。さらなる実施形態によれば、機構7の第2の機構部材12は、別の手法によりトリガ要素30に動作可能に接続されてよい。一例として、第2の機構部材12は、開口を含んでよく、トリガ要素30は、機構7の第2の機構部材12の開口へと突出するノブを備えてよい。
【0048】
図4は、トリガ要素30が長尺状ハンドル20に対して作動位置に移動した、
図3に示されるコンポーネントの断面図を示す。
図4では、トリガ要素30は、ユーザが長尺状ハンドル20の把持部21の中央部p0を把持する状況に対応する位置において示されている。長尺状ハンドル20の把持部21の異なる部分p0、および長尺状ハンドル20に対するトリガ要素30の可動性は、以下の
図8および
図9を参照してさらに説明される。
【0049】
図4に見られるように、機構7の第2の機構部材12は、トリガ要素30の作動位置への移動の結果として移動している。示される実施形態によれば、第2の機構部材12は、第1の枢動軸ax1の周りおよび第2の枢動軸ax2の周りにおいてスイッチアセンブリ10’に対して枢動可能に配置され、第2の枢動軸ax2は、第1の枢動軸ax1を横断する。本明細書においてさらに説明されるように、示される実施形態によれば、第2の枢動軸ax2は、第1の枢動軸ax1に垂直である。また、第2の枢動軸ax2は、第1の枢動軸ax1を通って延びている。
【0050】
さらなる実施形態によれば、第2の機構部材12は、1つの枢動軸ax1、ax2の周りなど、別の手法によりスイッチアセンブリ10’に対して移動可能に配置されてよい。
図4に示される機構7の第2の機構部材12の位置は、以下において作動位置と呼ばれるが、機構7の第2の機構部材12および長尺状ハンドル20のトリガ要素30は、以下においてさらに説明されるように、異なる作動位置に移動可能である。
【0051】
図5は、
図1~
図4に示される実施形態に係る電動工具1のスイッチアセンブリ10’の斜視図を示す。
図5では、機構7の第2の機構部材12は、非作動位置において示されている。
図5に明らかに見られるように、第2の機構部材12のノブ16は、湾曲した凸形状を有している。さらに、示される実施形態によれば、
図4および
図5に示されるトリガ要素30の開口37は、一致する湾曲した凹形状を有する。このようにして、ノブ16と開口37との間の境界面は、単純で、信頼性があり、かつ効率的な手法により、トリガ要素30の開口37に対する第2の機構部材12の角変位を可能にすることができる。
【0052】
図6は、
図5に示されるスイッチアセンブリ10’の断面を示す。
図6では、断面は、第2の機構部材12の第2の枢動軸ax2を含む平面により作られている。また、
図6では、断面は第2の機構部材12の第1の枢動軸ax1に垂直な平面により作られている。
図6では、機構7の第2の機構部材12は、非作動位置において示されている。
【0053】
図6において見られるように、機構7は、第1の機構部材11を備える。本明細書においてさらに説明されるように、機構7は、長尺状ハンドル20が把持されるときに機構7の第1の機構部材11がスイッチ10に向かって方向d1に移動するように構成されている。示される実施形態によれば、第2の機構部材12は、第1の機構部材11と当接接触している。したがって、示される実施形態によれば、第2の機構部材12は、トリガ要素30および第1の機構部材11と当接接触することによって、
図4に示されるトリガ要素30および第1の機構部材11に対し接続される。
【0054】
より詳細には、示される実施形態によれば、第2の機構部材12は凹部14を備える。
図6に見られるように、第1の機構部材11のセクション11’は、第2の機構部材12が非作動位置にあるとき、凹部14へと突出する。したがって、第2の機構部材12は、第1の機構部材11のセクション11’が凹部14へと突出する位置に移動可能である。示される実施形態によれば、第1の機構部材11は球状である。さらなる実施形態によれば、第1の機構部材11は、湾曲、楕円形などの異なる形態または形状を有してよい。
【0055】
さらに、示される実施形態によれば、機構7は、第1の機構部材11を第2の機構部材12に向かう方向d2に付勢する弾性部材17を備える。このようにして、第1の機構部材11と第2の機構部材12との間の当接接触は、スイッチアセンブリ10’に対する第2の機構部材12の枢動位置にかかわらず確実にすることが可能である。弾性部材17は、コイルばねなどのばねを含んでよい。代替として、弾性部材17は、別の種類の弾性要素を備えてよい。
【0056】
さらに、
図6に示されるように、第2の機構部材12は、凹部14に隣接する当接面15を備える。示される実施形態によれば、当接面15は凹部14を囲む。第2機構部材12は、当接面15と第1の機構部材11との当接接触によって、第1の機構部材11をスイッチ10に向かう方向d1に移動させるように構成されている。換言すると、第1の機構部材11は、第2の機構部材12の移動時にスイッチ10に対して移動するように構成されている。
【0057】
図7は、
図6に示されるスイッチアセンブリ10’の断面を示し、第2の機構部材12が作動位置に枢動している。
図7において見られるように、第1の機構部材11は、第2の機構部材12が作動位置に枢動するとき、第1の機構部材11と第2の機構部材12の当接面15との間の当接接触によって、スイッチ10に向かう方向d1に移動する。さらに、
図7に見られるように、示される実施形態によれば、第1の機構部材11のセクション11’は、第2の機構部材12が作動位置に枢動するとき、凹部14の外に移動する。
【0058】
第1の機構部材11は、スイッチ10に向かう方向d1に変位されたときにスイッチ10に対し押圧することによってスイッチ10を作動させるように構成されている。スイッチ10は、第1の機構部材11の押圧力によって作動すると電気回路を閉じ、押圧力が除去されると電気回路を遮断する、機械作動式マイクロスイッチであってよい。このようにして、スイッチ10は、単純で、信頼性があり、かつ効率的な手法により作動することが可能である。さらに、機構7のこれらの特徴により、フェイルセーフであり、小型であり、低コストで入手可能な、機械作動式マイクロスイッチを使用することが可能である。
【0059】
本明細書において説明されることから理解されるように、機構7は、第2の機構部材12の枢動移動時に第1の機構部材11がスイッチ10に対して移動するように構成されている。示される実施形態によれば、当接面15は、ボウル形状であり、当接面15と、第1および第2の枢動軸ax1、ax2が互いに交差する点との間の距離にほぼ等しい曲率半径を有する。換言すると、示される実施形態によれば、機構7は、第1および第2の枢動軸ax1、ax2が互いに交差する点から当接面15の異なる部分までの距離が当接面15にわたってほぼ等しくなるように構成されている。これにより、これらの特徴によって、トリガ点、すなわち、第2の機構部材12がスイッチ10の作動をトリガする点を通過する第2の機構部材12の移動を可能にしながら、スイッチの早期作動を提供することが可能である。これにより、より使い勝手の良い電動工具を提供することが可能である。さらに、機構7の特徴により、本明細書においてさらに説明されるように、様々な種類の電動工具において効率的に動作するための条件を有するスイッチアセンブリ10’が提供される。
【0060】
図6に示されるように、第2の機構部材12が非作動位置に枢動されると、第1の機構部材11は、第1の機構部材11のセクション11’が第2の機構部材12の開口14へと突出するように、弾性部材17の付勢力によってスイッチ10から離れる方向d2に移動する。これにより、スイッチ10は、第1の機構部材11がスイッチ10から離れる方向d2に移動したときに作動停止される。このようにして、スイッチ10は、単純で、信頼性があり、効率的な手法により作動停止される。本明細書に記載されることから理解されるように、示される実施形態によれば、スイッチ10から離れる方向d2は、この文脈において、第2の機構部材12に向かう方向d2と同じ方向である。
【0061】
図8は、
図1~
図4に示される実施形態に係る電動工具1の長尺状ハンドル20の断面図を示す。
図8では、長尺状ハンドル20の1つのハウジング部は、視認性のために除去されている。
図8において見られるように、トリガ要素30は、連続的な一体型本体であり、すなわち、連続的な材料の一片から作られる。トリガ要素30は、例えば、ポリマー材料から作られてよい。これらの特徴により、耐久性がありながら費用効率の高い手法により製造され組み立てられるのに適した条件および特性を有するトリガ要素30が提供される。
【0062】
上述したように、トリガ要素30は、長尺状ハンドル20の把持部21から突出する作動部31を有する。長尺状ハンドル20の把持部21は、領域Aを囲むように曲げられる。作動部31は、長尺状ハンドル20の把持部21上に延在するスロット22から突出している。作動部31は領域Aに面し、トリガ要素30はスロット22において移動可能に配置される。スロット22は、長尺状ハンドル20によって囲まれた領域Aに向かって内側に向けられている。トリガ要素30は、長尺状ハンドル20内に配置される。トリガ要素30は、その形状が長尺状ハンドル20の形状に対応するように設計されてよい。トリガ要素30の作動部31は、長尺状ハンドル20におけるスロット22を通って領域A内に延在する。人が長尺状ハンドル20の把持部21を把持すると、作動部31が同時に把持される。トリガ要素30は、長尺状ハンドル20内において移動可能であり、したがって、トリガ要素30は、作動部31が把持されるときに長尺状ハンドル20内において移動してよい。
【0063】
図3では、トリガ要素30は非作動位置において示される。示される実施形態によれば、非作動位置は、トリガ要素30が非作動位置にあるときに長尺状ハンドル20の対称軸と位置合わせされるので、中心位置とも呼ばれ得る。本明細書においてさらに説明されるように、チガー要素30は、ユーザの手の把持力などの外力を受けていないときに非作動位置をとるように構成されている。示される実施形態によれば、電動工具1は、チガー要素30を非作動位置に向かって付勢するように構成されている弾性部材38を備える。弾性部材38の特徴および機能は、以下の
図9を参照してさらに説明される。
【0064】
図8において見られるように、長尺状ハンドル20の把持部21は、領域Aを囲むように曲げられているため、ユーザは、長尺状ハンドル20の把持部21の様々な部分p0、p1、p2を把持することができる。これにより、ユーザは、電動工具1を様々な配向にて動作させることが可能である。以下、長尺状ハンドル20の把持部21の部分p0を中央部p0と呼び、長尺状ハンドル20の把持部21の部分p1を第1側部p1と呼び、長尺状ハンドル20の把持部21の部分p2を第2側部p2と呼ぶ。長尺状ハンドル20の把持部21の中央部p0は、把持部21の中間領域とも呼ばれ得る。長尺状ハンドル20の把持部21の第1の側部p1は、把持部21の第1の側方領域とも呼ばれ得る。長尺状ハンドル20の把持部21の第2の側部p2は、把持部21の第2の側方領域とも呼ばれ得る。
【0065】
図9は、
図8に示される長尺状ハンドル20の断面図を示し、トリガ要素30が作動位置に移動している。
図9では、トリガ要素30は、ユーザが長尺状ハンドル20の把持部21の第1の側部p1を把持している状況に対応する作動位置において示されている。以下、特に断りがない限り、
図1~
図9を同時に参照する。
図8と
図9とを比較すると分かるように、トリガ要素30は、
図9における第1の側部p1に向かう方向に移動している。トリガ要素30の開口37と長尺状ハンドル20との相対移動により、トリガ要素30は、第1の機構部材11がスイッチ10に対し押圧される位置に第2の機構部材12を移動させる。したがって、トリガ要素30と長尺状ハンドル20との相対移動により、スイッチ10は、ユーザが長尺状ハンドル20の把持部21の部分p0、p1、p2を把持しているときに作動される。
【0066】
図8および
図9において見られるように、電動工具1は、長尺状ハンドル20に対するトリガ要素30の動きの方向をガイドするための相互に嵌合するガイド面35、35’、35’’、41、41’、41’’を備える。より詳細には、示される実施形態によれば、相互に嵌合するガイド面35、35’、35’’、41、41’、41’’は、複数の開口41、41’、41’’および複数のガイドピン35、35’、35’’を備える。各ガイドピン35、35’、35’’は、開口41、41’、41’’のうちの1つへと突出している。示される実施形態によれば、長尺状ハンドル20は開口41、41’、41’’を備え、トリガ要素30はガイドピン35、35’、35’’を備える。さらなる実施形態によれば、トリガ要素30は、複数の開口を備えてよく、長尺状ハンドル20は、トリガ要素30の開口のうちの1つへと各々突出する複数のガイドピンを備えてよい。
【0067】
図8および
図9に見られるように、示される実施形態によれば、開口41、41’、41’’の形状はほぼ三角形である。示される実施形態に係る開口41、41’、41’’の形状により、トリガ要素30は、第1および第2の側部p1、p2のうちの一方が把持されるときにも、
図8および
図9において上向きの方向に、すなわち把持部21の中央部p0に向かう方向に力を受ける。したがって、上記から理解されるように、また
図8と
図9とを比較すると分かるように、トリガ要素30は、第1の側部p1が把持されるとき、相互に嵌合するガイド面35、35’、35’’、41、41’、41’’により、第1の側部p1および中心部p0に向かって同時に移動する。
【0068】
中心部p0が把持されると、ガイドピン35、35’、35’’と開口41、41’、41’’との間の当接接触が解放され、ガイドピン35、35’、35’’がそれぞれの開口41、41’、41’’内の位置に移動する。相互に嵌合するガイド面35、35’、35’’、41、41’、41’’により、トリガ要素30は、長尺状ハンドル20の把持部21の異なる部分p0、p1、p2を把持すると、所定の手法により長尺状ハンドル20内において移動する。さらに、嵌合ガイド面35、35’、35’’、41、41’、41’’は、トリガ要素30と長尺状ハンドル20との間の相対移動を制限する。
【0069】
上述したように、電動工具1は、チガー要素30を非作動位置に向かって付勢するように構成されている弾性部材38を備える。示される実施形態によれば、弾性部材38は、長尺状ハンドル20に対して
図8および
図9において下向きの方向に、すなわち長尺状ハンドル20の把持部21の中心部p0から離れる方向に、チガー要素30を付勢するように構成されている。さらに、示される実施形態に係る開口41、41’、41’’の形状により、トリガ要素30は、チガー要素30の非作動位置から長尺状ハンドル20に対するチガー要素30の移動方向にかかわらず、
図8および
図9の上向きの方向、すなわち把持部21の中心部p0に向かう方向に力を受ける。このようにして、弾性部材38は、チガー要素30が長尺状ハンドル20に対して非作動位置から移動するとき、そこからの移動方向にかかわらず圧縮され、これは、
図8と
図9とを比較するときにも見られる。これらの特徴により、チガー要素30の移動の単純かつ正確な制御が提供される。示される実施形態によれば、弾性部材38は、長尺状ハンドル20に取り付けられたトーションばねである。弾性部材38は、チガー要素30の一部に当接するアーム38’を備える。
【0070】
さらなる実施形態によれば、電動工具1は、チガー要素30を非作動位置に向かって付勢するように構成されているブレードばねを備えてよい。そうしたブレードばねは、例えば、
図8に示される取付点39、39’にて長尺状ハンドル20に取り付けられてよく、ブレードばねは、チガー要素30を非作動位置に向かって付勢するように、チガー要素30に当接する中心部を備えてよい。代替としてまたはこれに加えて、電動工具1は、チガー要素30を非作動位置に向かって付勢するための1つまたは複数の他の種類の弾性要素、例えば1つまたは複数のコイルばね、弾性要素などを備えてよい。
【0071】
機構7の特徴と、第2の機構部材12がスイッチアセンブリ10’に対して第1の枢動軸ax1の周りおよび第1の枢動軸ax1を横切る第2の枢動軸ax2の周りにおいて枢動可能に配置されるという事実とにより、第2の機構部材12は360度回転可能である。さらに、
図5に最もよく見られるように、スイッチアセンブリ10’に対する第2の機構部材12の機能および取付は、カルダンジョイントが通常、例えば動力伝達装置においてトルクを伝達するように構成されるという事実を除いて、カルダンジョイントに類似している。
【0072】
さらに、上で
図6および
図7を参照して説明されたように、機構7の特徴により、トリガ要素30が長尺状ハンドル20に対して移動するときに、スイッチ10の早期作動が得られる。これに加えて、機構7の特徴により、トリガ要素30は、スイッチ10が作動される位置を過ぎて移動することが可能である。このようにして、長尺状ハンドル20を把持するときにより良い感触および快適さを有する、より使い勝手の良い電動工具1を提供することが可能である。
【0073】
さらに、機構7の特徴により、スイッチアセンブリ10’は、さらなる修正なしで、または少なくとも少数の修正で、様々な種類の電動工具に使用することが可能であり、これは、電動工具の製造コスト、開発コスト、および組立コストを低減する。
【0074】
本明細書の実施形態によれば、スイッチ10は、電動工具1が非作動状態に設定される第1の状態、または電動工具1が作動状態に設定される第2の状態に設定され得る。スイッチ10は、スイッチ10が第1の状態にあるときに主トリガ6が無効にされるように、またスイッチ10が第2の状態にあるときに主トリガ6が有効にされるように、主トリガ6に対し接続された安全スイッチであってよい。
【0075】
したがって、電動工具1のスイッチ10は、電動工具1を作動状態または非作動状態のいずれかに設定するように構成されてよい。「作動状態」とは、電動工具1に取り付けられた工具2が動いている状態に設定されていてよいことを意味する。「非作動状態」とは、工具2が動いている状態に設定されていなくてよいことを意味する。したがって、電動工具1が「作動状態」にあるとき、電源4、主トリガ6、および工具の動きに関連する他の部分が使用可能にされる。電動工具1が「非作動状態」にあるとき、電源4および主トリガ6のうちのいずれか、ならびに工具2の動きに関連する他の部分が無効にされる。
【0076】
スイッチ10は、典型的には、第1の状態および第2の状態のいずれかに設定されてよい。スイッチ10および電動工具1は、それによって、スイッチ10が第1の状態にあるときに電動工具1が非作動状態にあり、スイッチ10が第2の状態にあるときに電動工具1が作動状態にあるように構成されている。これを達成するために、スイッチ10は、電源4、主トリガ6、または電動工具1の任意の他の関連部品のうちのすべてまたはいずれかに電気的または機械的に接続されてよい。そうした構成は、当業者の知識の範囲内にあり、本明細書においてさらに記載される必要はない場合がある。
【0077】
1つの代替形態によれば、スイッチ10は、スイッチ10が第2の状態にあるときに電源4がオンになり、スイッチ10が第1の状態にあるときに電源4がオフになるように電源4に接続されてよい。第2の代替形態によれば、スイッチ10は、スイッチ10が第2の状態にあるときに主トリガ6が有効にされ、スイッチ10が第1の状態にあるときに主トリガ6が無効にされる(例えばロックされる)ように、主トリガ6に接続される。これらの2つの代替形態は組み合わされてよい。
【0078】
一般に、電動工具1は、長尺状ハンドル20の把持部分21が把持され、後方ハンドル5の主トリガ6が押されたときに始動するように構成されてよい。
スイッチ10は、第1の機構部材11の押圧力によって作動すると電気回路を閉じ(すなわち、第2の状態)、第1の機構部材11の押圧力が取り除かれると電気回路を遮断する(すなわち、第1の状態)、機械作動式のマイクロスイッチであってよい。
【0079】
本明細書において使用される「上」もしくは「下」または「上側」もしくは「下側」または「上向き」もしくは「下向き」などの方向または位置に対する参照は、手持ち式電動工具が地面に対して平行に、例えば水平に保持される状況に関するものである。そうした状況では、ハンドルの中間中心部は、地面から離れるように垂直など直交して向けられてよい。
【0080】
上記は様々な例示的な実施形態を説明するものであり、本発明は添付の独立請求項によってのみ定義されることが理解される。当業者であれば、添付の独立請求項によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態を修正してよく、例示的な実施形態の異なる特徴を組み合わせて、本明細書に記載されたもの以外の実施形態を作り出してよいことを理解する。
【0081】
本明細書において使用される際、「含む(comprising)」または「含む(comprises)」という用語は、オープンエンドであり、1つまたは複数の述べられた特徴、要素、工程、コンポーネント、または機能を含むが、1つまたは複数の他の特徴、要素、工程、コンポーネント、機能、またはそれらのグループの存在または追加を排除しない。
【国際調査報告】