(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-09
(54)【発明の名称】ハニカムコアを有する音減衰複合部材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G10K 11/16 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
G10K11/16 130
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560976
(86)(22)【出願日】2022-03-23
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 EP2022057622
(87)【国際公開番号】W WO2022214316
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509066385
【氏名又は名称】ユーロ‐コンポジテス エス.ア.
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ-マティアス アルター
(72)【発明者】
【氏名】ウィリー ウィントゲンズ
(72)【発明者】
【氏名】アレックス ハンマーリング
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン クラヴジック
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ バス
(72)【発明者】
【氏名】ベルント ワグナー
(72)【発明者】
【氏名】ギルズ ルスロ
【テーマコード(参考)】
5D061
【Fターム(参考)】
5D061AA07
5D061AA12
5D061AA22
5D061BB13
(57)【要約】
本発明は、ハニカム(10)及び少なくとも一部のハニカムセル(16)内にいずれも少なくとも1つのインサート本体(18;・・・68)を備える音減衰複合部材(1)並びにその製造方法に関する。それぞれのインサート本体は、主軸(H)、第1の端部(21;・・・61)、第2の端部(22;・・・62)及び結束面(25;・・・65)を有し、ハニカムの深さ(T)の方向に主軸(H)で挿入される。本発明によると、結束面(25;・・・65)は軸方向に相互から離隔した面領域(25a、25b;・・・65a、65b)を有し、それらは軸方向に音波のための通路(20;・・・60)を境界付けるために相互に向き合い、主軸に垂直な平面への投影において重なる。第1の端部(21;・・・61)から第2の端部(22;・・・62)にそれら面領域(25a、25b;・・・65a、65b)を通じる結束面(25;・・・65)の配置経路は、主軸(H)を囲みかつ/又はそれに繰り返し交差する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音波を減衰させるための、特に航空機の動作ノイズを減衰させるための複合部材(1)であって、ハニカムセル(16)と多数の音響的インサート本体(18;・・・68)とを有する少なくとも1つのハニカム(10)を備え、いずれも少なくとも1つのインサート本体(18;・・・68)は少なくとも一部のハニカムセル(16)内に配置され、
前記インサート本体(18;・・・68)は、主軸(H)を有し、該主軸(H)が前記ハニカムセル(16)の深さ方向(T)に延びる態様で、それぞれのハニカムセル(16)内に配置され、
前記インサート本体(18;・・・68)は、結束面(25;・・・65)並びに前記主軸(H)の方向に対して第1の端部(21;・・・61)及び第2の端部(22;・・・62)を備え、
前記インサート本体(18;・・・68)の前記結束面(25;・・・65)は、前記主軸の方向に相互から離隔した面領域(25a、25b;・・・65a、65b)を有し、該面領域は、前記主軸(H)の方向において当該面領域(25a、25b;・・・65a、65b)の間に音波のための通路(20;・・・60)を境界付けるために、相互に向き合い、前記主軸(H)に垂直な平面への投影において重なり、特に相互に対して整列され、前記第1の端部(21;・・・61)から前記面領域(25a、25b;・・・65a、65b)を通じて前記第2の端部(22;・・・62)への前記結束面(25;・・・65)の配置経路は、前記主軸(H)を囲みかつ/又は該主軸(H)に繰り返し交差する、複合部材(1)。
【請求項2】
音波を減衰させるための、特に航空機の動作ノイズを減衰させるためのハニカム(10)のための音響的インサート本体(18;・・・68)であって、
前記インサート本体(18;・・・68)は、主軸(H)を有し、該主軸(H)がハニカムセル(16)の深さ方向(T)に延びる態様で、前記ハニカムセル(16)内、特に6角形ハニカムセル内に挿入可能であり、
前記インサート本体(18;・・・68)は、結束面(25;・・・65)並びに前記主軸(H)の方向に対する第1の端部(21;・・・61)及び第2の端部(22;・・・62)を備え、
前記インサート本体(18;・・・68)の前記結束面(25;・・・65)は、前記主軸の方向に相互から離隔した面領域(25a、25b;・・・65a、65b)を有し、該面領域は、前記主軸(H)の方向において当該面領域(25a、25b;・・・65a、65b)の間に音波のための通路(20;・・・60)を境界付けるために、相互に向き合い、前記主軸(H)に垂直な平面への投影において重なり、特に整列され、
前記第1の端部(21;・・・61)から前記面領域(25a、25b;・・・65a、65b)を通じて前記第2の端部(22;・・・62)への前記結束面(25;・・・65)の配置経路は、前記主軸(H)を囲みかつ/又は該主軸(H)に繰り返し交差する、音響的インサート本体(18;・・・68)。
【請求項3】
音波を減衰させるための、特に航空機の動作ノイズを減衰させるための複合部材(1)であって、ハニカムセル(16)と多数の音響的インサート本体(18;78;88)とを有する少なくとも1つのハニカム(10)を備え、いずれも少なくとも1つのインサート本体(18;78;88)は少なくとも一部のハニカムセル(16)内に配置され、
前記インサート本体(18;78;88)は、主軸(H)を有し、該主軸(H)が前記ハニカムセル(16)の深さ方向(T)に延びる態様で、それぞれのハニカムセル(16)内に配置され、
前記インサート本体(18;78;88)は、結束面(25;75;85)並びに前記主軸(H)の方向に対して第1の端部(21;81)及び第2の端部(22;82)を備え、
前記インサート本体(18;78;88)の前記結束面(25;75;85)は、前記主軸(H)の方向に相互から離隔した面領域(25a、25b;75a、75b;85a、85b)を有し、該面領域は、前記主軸(H)の方向において当該面領域(25a、25b;75a、75b;85a、85b)の間に音波のための通路(20;・・・80)を境界付けるために、相互に向き合い、前記主軸(H)に垂直な平面への投影において重なり、特に相互に対して整列され、前記インサート本体は、前記ハニカムセル(16)を、相互に向き合う前記面領域(25a、25b;75a、75b;85a、85b)によって前記主軸(H)の方向に境界付けられた複数のキャビティ(29)に細分する、複合部材(1)。
【請求項4】
音波を減衰させるための、特に航空機の動作ノイズを減衰させるためのハニカム(10)のための音響的インサート本体(18;78;88)であって、
前記インサート本体(18;78;88)は、主軸(H)を有し、該主軸(H)がハニカムセル(16)の深さ方向(T)に延びる態様で、前記ハニカムセル(16)内、特に6角形ハニカムセル内に挿入可能であり、
前記インサート本体(18;78;88)は、結束面(25;75;85)並びに前記主軸(H)の方向に対する第1の端部(21;81)及び第2の端部(22;82)を備え、
前記インサート本体(18;78;88)の前記結束面(25;75;85)は、前記主軸(H)の方向に相互から離隔した面領域(25a、25b;75a、75b;85a、85b)を有し、該面領域は、前記主軸(H)の方向において当該面領域(25a、25b;75a、75b;85a、85b)の間に音波のための通路(20;・・・80)を境界付けるために、かつ前記ハニカムセル(16)を、相互に向き合う前記面領域(25a、25b;75a、75b;85a、85b)によって前記主軸(H)の方向に境界付けられた複数のキャビティ(29)に細分するために、相互に向き合い、前記主軸(H)に垂直な平面への投影において重なり、特に相互に対して整列される、音響的インサート本体(18;78;88)。
【請求項5】
前記主軸(H)に垂直な平面への投影において、前記結束面(25;・・・85)は、前記インサート本体(18;・・・88)が挿入可能であり又は挿入された前記ハニカムセル(16)の断面を覆う、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記インサート本体(38;48;88)は、前記主軸(H)の方向に、特に前記インサート本体(38;48;88)の前記第1の端部(31;41;81)から前記インサート本体(38;48;88)の前記第2の端部(32;42;82)に、連続して延在するトランク(36;46)を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記結束面(25;・・・65)は、汎用化螺旋面及び/又は可展面を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記汎用化螺旋面(35;・・・65)は、前記インサート本体(38;・・・68)の前記主軸(H)の方向に延び、好ましくは該主軸(H)と一致する、螺旋軸を有し、前記汎用化螺旋面(35;・・・65)は径方向内側縁部(37;・・・67)及び径方向外側縁部(39:・・・69)を有する、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記径方向内側縁部(37;47)は、前記トランク(36;46)によって支持される、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記径方向内側縁部(57;67)は、自己支持型である、請求項8に記載のデバイス。
【請求項11】
前記結束面(35;・・・65)の配置経路は、少なくとも360°にわたって、好ましくは明確に360°超にわたって、特に少なくとも720°にわたって前記主軸(H)を囲む、請求項1から10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記インサート本体(18)は、前記結束面(25)がキャビティ(29)を画定するように、好ましくはいずれも2つのキャビティ(29)が、特にいずれも少なくとも1つの通路開口(26)によって、音響透過的に相互に接続される態様で、前記ハニカムセル(16)を前記キャビティ(29)に細分するように構成された、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項13】
少なくとも一部の面領域(25b、25a;75a、75b;85a、85b)は、特に相互に向き合う前記面領域(25b、25a;75a、75b)の少なくとも一部が相互に対して傾斜して延びた状態で、前記主軸(H)の方向に傾斜して延びる、請求項1から12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記インサート本体(88)は前記ハニカムセル(16)をキャビティ(29)に細分するための少なくとも2つの角錐状又は漏斗形状の本体部分(83)を有し、該角錐状又は漏斗形状の本体部分(83)は前記主軸(H)の方向に相互に対してずれた状態で、特に前記主軸(H)と同軸に配置され、相互に向き合う前記面領域(85a、85b)を与える、請求項1から13のいずれか一項に、特に請求項3又は4に記載のデバイス。
【請求項15】
前記角錐状又は漏斗形状の本体部分(83)は、少なくとも1つの接続部分によって相互に接合され、特に該少なくとも1つの接続部分が、前記主軸(H)の方向に延在する中心配置されたトランク(86)である、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記インサート本体(18;38;58;68;88)の前記結束面(25;35;55;65;85)は線識面を備え、かつ/又は前記インサート本体(48)の前記結束面(45)は凸状及び/若しくは凹状面領域(45a、45b)を有する、請求項1から15のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記インサート本体の前記結束面は、段差のある及び/又は波形の面を備える、請求項1から16のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記インサート本体(18;・・・88)が、一体に及び/又は均一材料で作製された、請求項1から17のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項19】
前記インサート本体(18;・・・88)が、特に3D印刷による、積層造形加工を用いて製造され、又は前記インサート本体(18;78)が、折畳み技術及び/若しくは打抜き法を用いて製造された、請求項1から18のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
前記結束面(25;・・・85)が、少なくともある程度、プラスチック材料の、特に熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂の、ストリップ(33)によって、並びに/又は繊維状材料から、特にガラス繊維若しくは炭素繊維から、及び/又は金属から形成された、請求項1から19のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記インサート本体(18;・・・88)は、通気性材料を備える、請求項1から20のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項22】
請求項1、3又は5から21のいずれか一項に記載の複合部材(1)であって、少なくとも1枚のフェースシート及び/又は前記ハニカム(10)に接合された中間シート(12、14)を備え、
前記フェースシート及び/又は中間シート(12、14)は、プラスチック、複合材、金属及び/又はセラミックから作製され、
前記ハニカム(10)はプラスチック、複合材、金属又はセラミックから作製され、かつ/又は
前記インサート本体(18;・・・88)は、それぞれの前記ハニカムセル(16)の隣接壁部(17)及び/又は前記フェースシート若しくは中間シート(12、14)に接着結合され及び/又は熱的方法による結合的態様で接合された、複合部材(1)。
【請求項23】
音波を減衰させるための複合部材(1)を製造する方法であって、
ハニカム(10)を提供する工程と、
音響的インサート本体(18;・・・88)を前記ハニカム(10)のハニカムセル(16)に挿入する工程と、
を備え、
インサート本体(18;・・・88)がいずれも結束面(25;・・・85)を有するように、積層造形加工を用いて前記インサート本体(18;・・・88)を製造する、方法。
【請求項24】
前記ハニカム(10)を提供する工程及び音響的インサート本体(18;・・・88)を前記ハニカム(10)のハニカムセル(16)に挿入する工程は、前記積層造形加工を用いて1工程で実行される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記積層造形加工は、3D印刷加工である、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記インサート本体(18;・・・68)の前記結束面(25;・・・65)は、前記インサート本体(18;・・・68)の主軸(H)の方向に相互から離隔した面領域(25a、25b;・・・65a、65b)を有し、該面領域は、前記主軸(H)の方向において当該面領域(25a、25b;・・・65a、65b)の間に音波のための通路(20;・・・60)を境界付けるために、相互に向き合い、前記主軸(H)に垂直な平面への投影において重なり、特に相互に対して整列され、前記インサート本体(18;・・・68)の第1の端部(21;・・・61)から前記面領域(25a、25b;・・・65a、65b)を通じて前記インサート本体(18;・・・68)の第2の端部(22;・・・62)への前記結束面(25;・・・65)の配置経路は前記主軸(H)を囲みかつ/又は該主軸(H)に繰り返し交差する、請求項23から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記インサート本体(18;・・・88)は、それぞれの前記ハニカムセル(16)の隣接壁部(17)及び/又は前記フェースシート若しくは中間シート(12、14)に接着結合され及び/又は熱的方法による結合的態様で接合される、請求項23から26のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音波を減衰させるための、特に、例えば、ジェットエンジンを有する旅客機などの航空機の動作ノイズを減衰させるための複合部材に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンナセルの内部又は他の適宜の場所に音減衰ライニングを設けることによって航空機エンジンからのノイズ放射を低減することが知られている。本発明は、この分野の用途に限定されず、航空機エンジンからの動作ノイズの減衰に特に適する。
【0003】
そのような音減衰ライニングは、例えば、パネルの形態をとり得る。これらは、従来的には、2枚のフェースシートの間にハニカムコアを有するサンドウィッチ構成を備え、一般に、フェースシートのうちの音源に向く一方のフェースシートは音響透過性であり、例えば、穿孔されている。ハニカムコアのハニカムセルは、ここでは、ヘルムホルツ共鳴器の態様で音響共鳴器として動作し、音を減衰又は低減する。
【0004】
音減衰性を向上するために、音響透過性の音響隔壁をハニカムセル内に配置することが知られている。
【0005】
航空機のジェットエンジンは、通常は300~6300Hz程度の周波数範囲のノイズを発生させる。所望の音減衰を達成するには、周波数が低いほど、ハニカムセルの深さを大きくする必要がある。しかし、これは、一方では関連する重量の増加に、他方では所望の小さな部材寸法に起因して、例えば、制限された設置空間に起因して、常に可能であるわけでもなければ望ましいわけでもない。
【0006】
ハニカムセルの深さ又はハニカムの厚さを増加させることなく低周波側範囲における音減衰を達成するために、音響的インサートをハニカムセル内に導入することが既に知られている。
【0007】
特許文献1は、2枚のフェースシートの間にハニカムプレートを備える吸音複合部材を記載する。フェースシートの一方は音を反射し、他方は音響透過性であり、すなわち、穿孔されている。各ハニカムセルはいずれも、円錐状インサートを収容し、その広い側の縁部はハニカムの縁部及び音響透過性のフェースシートに接合され、その狭い側の縁部、すなわち、開放先端部はハニカムの内部に開口する。インサートは、音を反射し、ハニカムセルを2つの音響チャンバに分割し、ハニカムセルの共鳴器長又は有効音響長の増加をもたらす。
【0008】
特許文献1によると、ハニカムの深さにわたってインサートの位置を変化させることによって、吸収音の周波数範囲を変化させることが可能となる。しかし、さらに低い周波数に対する適合性の可能性は、ここでは非常に制限されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0041247号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の課題は、様々な周波数範囲に対して可能な限り簡単に適合可能な、音減衰のための、特に、航空機動作ノイズに対する小型軽量な音響システムを提案することである。
【0011】
この課題は、請求項1に記載の複合部材及びそれとは独立して請求項2に記載のインサート本体によって達成される。
【0012】
有利な実施形態が、従属請求項の主題を構成する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
対象となるタイプの複合部材は、少なくとも1つのハニカム、又は複数のハニカムセル及び多数の音響的インサート本体を有する1つのハニカムコアを備え、いずれも、少なくとも1つのインサート本体は少なくとも一部のハニカムセル内に配置される。インサート本体は、軸方向を規定する主軸を有する。インサート本体は、インサート本体の主軸が上記ハニカムセルの深さ方向に延びる態様で、それぞれのハニカムセル内に配置され、又はそれぞれのハニカムセル内に挿入されている、又はされる。インサート本体は、結束面並びに主軸の方向に対して第1の端部及び第2の端部を備える。インサート本体は、第1の端部と第2の端部の間に、特に結束性の又は一体の部材として連続して延在する。
【0014】
上記課題は、対象となるタイプの複合部材の場合に、単に以下によって達成される。インサート本体の結束面は軸方向、すなわち、主軸の方向に相互から離隔した面領域を有し、それらは軸方向、すなわち、主軸の方向においてそれらの面領域間に音波のための通路を境界付けるために、相互に向き合い、主軸に垂直な平面への投影において重なり、特に相互に対して整列される。
【0015】
この場合、本発明によると、結束面は、特に、結束面の配置経路が主軸を囲みかつ/又は主軸に繰り返し交差するような態様で配置又は構成される。対象となる配置経路は、ここでは、インサート本体の第1の端部から、本発明に係る面領域を通じて、インサート本体の第2の端部まで延びる。
【0016】
あるいは又はさらに、上記課題は、対象となるタイプの複合部材の場合に、以下によっても達成される。インサート本体の結束面は軸方向、すなわち、主軸の方向に相互から離隔した面領域を有し、それらは主軸の方向においてこれら面領域間に音波のための通路を境界付けるために、相互に向き合い、主軸に垂直な平面への投影において重なり、特に相互に対して整列される。インサート本体は、ハニカムセルを、相互に向き合う面領域によって主軸の方向に境界付けられた複数のキャビティに細分する。インサート本体は、ハニカムセルを3個以上のキャビティに細分し得る。
【0017】
本発明は、音波を減衰させるための、特に航空機の動作ノイズの減衰のためのハニカム状の設置のための音響的インサート本体そのもの又はそれ自体にも関する。
【0018】
対象となるタイプのインサート本体は、軸方向を規定する主軸を有し、ハニカムセルの深さ方向に、特に、6角形ハニカムセルにその主軸によって挿入され得る。インサート本体は、ここでは、結束面並びに軸方向に対して第1の端部及び第2の端部を備える。
【0019】
本発明によると、以下のことが規定される。インサート本体の結束面は軸方向に相互から離隔した面領域を有し、それらは軸方向、すなわち、主軸の方向においてこれら面領域間に音波のための通路を境界付けるために、相互に向き合い、主軸に垂直な平面への投影において重なり、特に相互に対して整列され、結束面は、結束面の配置経路が主軸を囲みかつ/又は主軸に繰り返し交差するように構成される。
【0020】
対象となる配置経路はまた、ここでは、インサート本体の第1の端部から、本発明に係る面領域を通じて、インサート本体の第2の端部まで延びる。結束面は、ここでは、軸方向に音波の通路を画定する面領域を通じるだけでなく、インサート本体の更なる面領域も通じて延びていてもよい。
【0021】
あるいは又はさらに、対象となるタイプのインサート本体の場合に、以下のことが規定される。インサート本体の結束面は主軸の方向に相互から離隔した面領域を有し、それらは、主軸の方向においてこれら面領域間に音波のための通路を境界付けるために、かつハニカムセルを、相互に向き合う面領域によって主軸の方向に境界付けられた複数のキャビティ、好ましくは3個以上のキャビティに細分するために、相互に向き合い、主軸に垂直な平面への投影において重なり、特に相互に対して整列される。
【0022】
それぞれのハニカムセルは、ハニカムの深さの方向に対して横断する方向(L/W方向)にそのセル壁によって画定される。ハニカム又はハニカムプレートは、通常は最も近いハニカムセルにそれらの壁部によって隣接する複数のハニカムセルを備える。複合部材は、少なくとも1枚の平坦なシート、例えば、フェースシート及び少なくとも1つのハニカムを備え得る。ハニカムセルの壁部は、平坦なシートに対して横断して、特に平坦なシートに垂直に配置され得る。複合部材において、ハニカム壁部の縁部は、平坦なシートと接触し、特に堅く接続され得る。
【0023】
インサート本体は、その主軸がハニカムの深さの方向に配向されるような態様で、ハニカムセルに挿入され、又は挿入可能であり得る。水平な、屈曲していない又は湾曲していない複合部材の場合、主軸は、ハニカムセルの壁部に平行に及び/又は平坦なシート、例えば、フェースシートに垂直に延びていてもよい。
【0024】
インサート本体は、特に、音波をハニカムセル内に方向付けるために、それが収容されるハニカムセルの壁部と相互作用し得る。インサート本体の面又はフェースは、音波の方向付け又はガイド面として、それぞれのハニカムセルの壁部と相互作用し得る。
【0025】
インサート本体は、特に、ハニカムセルに挿入されると、このハニカム内を貫通する音波がハニカムセルの深さ方向に直線状に通過するのを防止するように構成される。
【0026】
したがって、本発明に係るインサート本体は、音波をより長い経路、例えば、巻線状、曲線状、ジグザグ経路に偏向するのに使用され得る。したがって、インサート本体は、構造的に比較的単純な態様で、ハニカムセルの共鳴器長さ又は有効音響長の大幅な増加をもたらし得る。インサート本体は、音響効果、特に減衰効果に関してハニカムセルの所与のキャビティの最適化された利用を可能とする。特に、2000Hz程度の周波数範囲における音減衰のために航空機エンジンで通常使用される30~50mmのハニカム厚は、例えば、インサート本体を用いることで、3分の1だけ又は半分までも、例えば、15mmのハニカム厚まで減少し得る。
【0027】
インサート本体は、音波を偏向することによって、特にインサート本体の面領域での反射によって、音減衰に寄与し得る。さらに、インサート本体はまた、音響エネルギーをある程度吸収し得る。
【0028】
径方向及び軸方向という用語は、ここでは、特にそれ以外が記載されない場合には、一般にインサート本体の主軸に関する。主軸は、ここでは、インサート本体が水平ハニカムのハニカムセル内で適切に配向された場合にハニカムセルの壁部に実質的に又は事実上平行となる中心軸を意味するものと理解されるべきである。主軸は、この場合には必ずしもインサート本体の最大範囲の方向を意味するものではない。インサート本体は、例えば、軸方向よりも径方向に大きな範囲を有し得る。ただし、主軸は、長手軸にも対応し得る。主軸は、必ずしもインサート本体の対称軸である必要はないが、主軸は、好ましくは、縦断面において概ね中心に位置する。
【0029】
インサート本体の主軸がハニカムの深さの方向に延びるようにインサート本体がハニカムセル内に適切に配置された場合、インサート本体の径方向外側縁部は、ハニカムセルの壁部を最小隙間寸法で隣接してもよく、すべきであり、又はそれと接触しかつ特にそこに接合され、例えば接着結合されてもよく、されるべきである。任意選択的に、わずかな隙間又は空間が、インサート本体及びハニカム壁部の径方向外側縁部の少なくともある部分の間に存在してもよい。
【0030】
主軸は、特に、インサート本体の内部の主軸に対応し得る。インサート本体の輪郭は、特に、主軸に関して回転対称であり得る。
【0031】
ハニカムセルの圧倒的大部分は、好ましくはいずれも、少なくとも1つのインサート本体を備える。ハニカムセルは、いずれも2以上のインサート本体を収容し得る。ハニカムセルは異なるインサート本体を同時に収容してもよく、それにより、減衰させたい周波数範囲に複合部材を適合させることに関して柔軟性が増加する。ハニカムセルの深さに対するそれぞれのインサート本体の位置は、同様に、減衰対象の周波数範囲に適合され得る。インサート本体は、特にハニカムの深さの一部しか占有しなくてもよい。
【0032】
完成したハニカムに対して、その後にインサート本体が装着され得る。一方、インサート本体は、ハニカム製造中にハニカム構造に挿入又は設置されてもよいし、ハニカムとともに1工程で製造されてもよい。そのための製造方法にかかわらず、インサート本体は、その結束性の幾何形状に起因して、ハニカムセルの外部にある本体としても存在し得る本体として理解されるべきである。
【0033】
インサート本体は、特に、自立した結束面又は面を有する。この結束面は、途切れない配置経路を有し、又はインサート本体の第1の端部から第2の端部まで途切れない態様で延びる。配置経路は、インサート本体の結束面内にあり又はその配置経路を画定する、途切れない3次元曲線として理解され得る。この場合、ハニカム壁部は、結束面に特に寄与しない。
【0034】
結束面は、異なる態様で形成され得るインサート本体の異なる部分によって形成されてもよい。ストリップ状の本体部分の場合、ストリップの2面が結束面に寄与し得る。通路開口は、音波がこれらの通路開口をストリップの一方の面から他方の面に通過し得るように設けられ得る。
【0035】
インサート本体の結束面は、インサート本体の主軸を囲みかつ/又は主軸に繰り返し交差する当該面上又は面内の途切れない3次元曲線又は配置経路曲線をプロットすることができるように、構成される。この配置経路曲線は、ここでも、とりわけ、相互に向き合い、軸方向において音波のための通路又は進路を境界付ける結束面のそれらの領域を通じて延びる。ただし、これらの面領域間に、更なる面領域が軸方向に対して配置されてもよい。通路は、好ましくは、主軸を囲みかつ/又は主軸に繰り返し交差してもよい。
【0036】
音の通路を相互から画定するいずれも2つの面領域の間の間隔は、軸方向又は主軸の方向に対して異なるサイズのものであってもよい。この間隔は、インサート本体を意図的に減衰対象の周波数範囲に適合させるために個々に適合され得る。
【0037】
6角形ハニカムセルが好適である。ただし、ハニカムは、種々のセル幾何形状のハニカムセルを備えていてもよい。ハニカムの深さの方向に垂直な断面において、ハニカムセルは、不規則な又は規則的な形状を有し、特に円形であってもよいし、多角形状を有してもよく、それらは、例えば、直線的であってもよく、特に四角形であってもよい。
【0038】
ハニカムセルのセル壁部は、音波をハニカムのL及びW方向に伝搬可能とするために、音響非透過性であってもよいし、音響透過性であってもよく、例えば、穿孔されていてもよい。
【0039】
好適な一実施形態では、結束面は、インサート本体が挿入され得る又は挿入されたハニカムセルの断面を実質的に覆う。この場合、結束面は、主軸に垂直な平面への又はハニカムの輪郭へのその投影において確認される。対応する被覆範囲は、特に、結束面の少なくとも1回のターン、好ましくは複数回のターンによって達成され得る。したがって、平面視において、インサート本体は、好ましくは(セル壁に対して小さな隙間寸法とは別に)ハニカムセルの輪郭と一致し又はそれを非常に大きく埋める輪郭を有する。
【0040】
一実施形態では、インサート本体は、主軸の方向に、特にインサート本体の第1の端部からインサート本体の第2の端部に連続して延在する中心の長細いトランク又はステムを有する。トランクはインサート本体の補強に寄与し、それは寸法安定性を高める際に何かと有利となる。インサート本体の主軸は、トランク内に延在し得る。
【0041】
好適な一実施形態では、結束面は、汎用化螺旋面を備える。汎用化螺旋面は、螺合動作が3次元曲線に適用される場合に発生する面を意味するものと理解される。汎用化螺旋面は、右巻き及び左巻きの両方であり得る。インサート本体は、2つの開始点又は複数の開始点の汎用化螺旋面を有してもよい。螺旋状の線は、相互に拠られてもよい。
【0042】
さらに又はあるいは、結束面は、可展面を備え又は形成し得る。可展面は、幾何学的な定義によると、圧縮又は伸張なしに平坦面上に平らに配置され得る。可展幾何形状は、とりわけ、例えば、折畳み技術を用いる製造などの特定の製造方法を可能とする。
【0043】
インサート本体の結束面は、幾何学的な意味で、特に線識面、好ましくは可展線識面であり得る。
【0044】
結束面は、接線可展面及び/又は螺旋若しくは渦巻面を備え得る。
【0045】
汎用化螺旋面は、必ずしも線識面を構成しない。一実施形態では、汎用化螺旋面は、多軸で湾曲されている。汎用化螺旋面は、特に、凹凸形状であり得る。汎用化螺旋面は、少なくとも各所において段差を有するように構成され、又は螺旋階段の形態をとり得る。汎用化螺旋面は、特に、少なくとも各所において波形とされていてもよい。
【0046】
汎用化螺旋面は、規則的なピッチを有していてもよいし、不規則なピッチを有していてもよい。汎用化螺旋面の異なるターンが、軸方向において異なる態様で相互から離隔され得る。これによって、インサート本体の幾何形状を減衰対象の音波周波数範囲に適合させる際に特定の度合いの柔軟性及び設計自由度を可能とする。理論に拘泥することなく、汎用化螺旋面のターン間の異なる軸方向間隔が、音波の強度だけでなく周波数にも影響し得るものと仮定される。
【0047】
汎用化螺旋面は、インサート本体の主軸の方向に又は主軸に平行に延び、好ましくは主軸と一致する螺旋軸を有し得る。
【0048】
汎用化螺旋面は、主軸に対して径方向内側縁部及び径方向外側縁部を有し得る。
【0049】
インサート本体は、主軸周りに巻回し、汎用化螺旋面を与え、汎用化螺旋面の径方向外側縁部に沿って径方向外側縁部を有する本体の螺旋状又は渦巻状部分を備え得る。ハニカムセルに収容されたインサート本体のこの径方向外側縁部は、ハニカムセルの壁部に接合され、特に結合され、例えば、接着結合され得る。一方、一実施形態では、インサート本体の径方向外側縁部は、ハニカム壁部の少なくとも1つから離隔され、音波のための通路を可能とする。
【0050】
汎用化螺旋面の軸は、特に、汎用化螺旋面がトランクの周りに巻回するようにトランク内で延在し得る。
【0051】
一実施形態では、径方向内側縁部は、完全に又は部分的にトランクに接合されてもよいし、トランク上に延在してもよいし、トランクに支持されてもよい。この実施形態では、汎用化螺旋面は、任意選択的にトランクの表面に一体化してもよい。
【0052】
更なる一実施形態では、径方向内側縁部は、完全に又は部分的に自己支持型であってもよい。この実施形態は、インサート本体が装着されたハニカムが後に形成されて、例えば、ハニカムを航空機エンジンの湾曲内面に適合させる場合に有利となる。いずれも自由径方向内側縁部を有するインサート本体付きのハニカムは、中心トランクを有するインサート本体付きのハニカムよりも大きな柔軟性を有する。特に、この実施形態では、径方向内側縁部は、その後の形成性を高めるために、インサート本体の場合に完全に自己支持型であってもよく、すなわち、中心又は中央トランクは補強のためには設けられない。
【0053】
汎用化螺旋面の完全に自己支持型の内側縁部を有する一実施形態では、インサート本体は、主軸周りに連続して延びる自由空間を有し、その自由空間の周りにその汎用化螺旋面が巻き付く。自由空間は、平面視において主軸に垂直に種々の幾何形状を有し、主軸に沿って異なる点において異なるサイズのものであってもよい。この実施形態は、ハニカムの形成性及び柔軟性の増加に有利であり、ハニカムの通気、屈曲、脱水又は排水にも有利となる。
【0054】
結束面の配置経路は、特に汎用化螺旋面が使用される場合、特に少なくとも360°にわたって、好ましくは明確に360°超にわたって主軸を囲んでいてもよく、すなわち、汎用化螺旋面全体の主軸周りの回転角は明確に1回転超、好ましくは少なくとも720°、すなわち、2回転となり得る。このように、有効音響長又はハニカムセルを通じる音波の経路は、大幅に増長され得る。このように、明らかにより低い音周波数が、複合部材によって減衰可能となる。
【0055】
一実施形態では、インサート本体は、ハニカムセルをキャビティに細分することによって構成され得る。キャビティは、結束面によって少なくとも軸方向、すなわち、主軸の方向に境界付けられることになる。それぞれのキャビティは、インサート本体及びハニカムセルの少なくとも1つの壁部によって画定され得る。
【0056】
一実施形態では、インサート本体は、ハニカムセルを多数の同様又は同一のキャビティに細分する。他の実施形態では、異なるキャビティが形成される。
【0057】
少なくとも一部のキャビティは、好ましくは、例えば、いずれも2つのキャビティの間の少なくとも1つの通路開口によっていずれも音響透過的に相互接続される。
【0058】
通路開口は、ハニカムセルを通じる音波の経路が曲折、蛇行又はジグザグの配置経路をとるように位置決めされ得る。このように、ハニカムセル内の音の経路が増長される。
【0059】
検討される面領域は、原則として、湾曲した又は実質的に平面的な幾何形状を有し得る。
【0060】
インサート本体の結束面の少なくとも一部の面領域は、主軸に対して傾斜して延びていてもよい。
【0061】
その間を音波が伝搬する相互に向き合う面領域の少なくとも一部は、相互に対して傾斜して延びていてもよい。
【0062】
一実施形態では、インサート本体は少なくとも2つの漏斗形状又は角錐状の本体部分有し、それらは、主軸の方向に相互に対してずれた状態で、特に主軸と同軸に配置され、相互に向き合う面領域を与え得る。これらの本体部分は、閉じた先端部を有し、インサート本体が挿入されるハニカムセルの断面の形状に対応する多角形の、例えば、6角形又は4角形の底面領域を有する中空の無底角錐の形状を有し得る。角錐の側面は、縁部によって相互に隣接してもよいし、丸められてもよい。漏斗形状又は角錐状の本体部分は、音波のための通路が本体部分の間で自由な状態に維持されるように、相互に内側に入子状に配置され得る。漏斗形状又は角錐状の本体部分の少なくとも一部がそれらの周辺でハニカムセルの壁部と接触していてもよく、それにより、ハニカムセルを、軸方向に相互から境界付けられたキャビティに細分することになる。
【0063】
連続的な角錐状の本体部分は、特に中央領域又はその周辺のいずれかにおいて交互に通路開口を有し得る。通路開口は、最も近い漏斗形状又は角錐状の本体部分によって形成された相互に向き合う面領域に沿ってキャビティに、好ましくは次のキャビティにジグザグ経路上のみで音波が拡散することを可能とし得る。
【0064】
角錐状又は漏斗形状の本体部分は、少なくとも1つの接続部分によって相互に接合され得る。少なくとも1つの接続部分は、中央又は中心に配置されて主軸の方向に延在するトランクであってもよい。主軸は、トランクを通じて延びていてもよい。トランクは、軽量化のために中空構成のものであってもよい。トランクは、様々な断面形状を有し得る。
【0065】
あるいは又はさらに、インサート本体は、中心からずれて、すなわち、偏心して配置された複数の接合部分、特に周辺接合部分を有し得る。中心トランクは、それがハニカムセルへのインサート本体の挿入に対する把持目的に使用され得るので、有利である。
【0066】
面領域の少なくとも一部は、特に湾曲され、例えば、凹状又は凸状に構成され得る。
【0067】
面領域の少なくとも一部は、屈曲され、又は屈曲縁部及び/若しくは段差を有し得る。
【0068】
面領域は、好ましくは、反響面として作用し、音を直線経路からハニカム底部に偏向するように音波を方向付けてもよい。
【0069】
一実施形態では、インサート本体の結束面は、線識面を備える。線識面は、ここでは、幾何学的な定義によると、面であって、その各点を通じて直線が延び、各点は全体的にその面に含まれるような面を意味するものと理解される。
【0070】
あるいは又はさらに、インサート本体の結束面は、凸状及び/又は凹状面領域を有し得る。
【0071】
またさらに、インサート本体の結束面は、少なくとも各所に、段差のある及び/又は波形の面を備え得る。
【0072】
インサート本体は、好ましくは、一部品若しくは一体で又は一体化本体として製造され得る。
【0073】
インサート本体は、均一の材料のものであってもよいし、いずれも様々な材料組成を有する領域から作製されてもよい。
【0074】
インサート本体は、特にプラスチック、例えば、熱可塑性樹脂、好ましくは高温熱可塑性樹脂、及び熱硬化性樹脂から作製され得る。またさらに、インサート本体は、繊維状材料、例えば、織物、敷布、紙、不織布、特にガラス繊維及び/又は炭素繊維から作製され得る。
【0075】
インサート本体は、好ましくは、複合材、例えば、ガラス繊維又は炭素繊維と熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂との複合材である。
【0076】
インサート本体は、特に、例えば、3D印刷によって、積層造形加工を用いて製造され得る。実現可能な積層造形、すなわち、AM加工は、特に、VDI標準3405又はDIN EN ISO17296-2(PartII)に従う積層造形加工に指定された加工を含む。AM加工は、通常は層毎に適用される構造に基づいて、事実上任意の所望の複雑な幾何形状の本来的に自動化されたコンピュータ支援製造を可能とする。特に、適切なAM加工の更なる例は、重合、接着結合、焼結/溶融などの技術による、印刷組成物の自動硬化による直接印刷又は実際には3D印刷である。
【0077】
積層造形の利点は、インサート本体の形状は、音響要件に応じて自由に選択又は適合可能であることである。
【0078】
一実施形態では、インサート本体は、例えば、ハニカムセル内に直接印刷され得る。ハニカムは、任意選択的に、3D印刷によって、例えば、インサート本体とともに1工程で製造されてもよい。
【0079】
インサート本体は、完全に又は一体的に1つの積層造形加工で製造され得る。化学硬化による押出し(EB)法又は加熱された熱可塑性樹脂の物理的固化による押出し(EB)法のいずれかが、さらに特に適する。例えば、熱溶解積層(FDM)法も適する。例えば、露光を通じて固化するフォトポリマーによる材料噴射(MJ)法も考えられる。3DP法ともいわれる結合剤噴射(BJ)法として知られるものも、同様に実現可能である。原則として全ての「3D印刷」技術が適する。
【0080】
以下の材料:例えば、アルミニウム及びチタンなどの金属;エポキシ、フェノール、ベンゾオキサジン、シアネートエステル、ポリイミドを含む熱硬化性樹脂;例えば、PEEK又はPEIなどの高温耐熱熱可塑性樹脂;例えば、熱可塑性ポリウレタン、ポリシロキサンなどのエラストマー;及び例えば、酸化物セラミック又は炭化物セラミック材料などのセラミック材料が、積層造形加工に特に適する。これらの材料は、必要な場合には、機械的な又は振動関連の発振特性を向上するために、繊維、特にガラス、炭素、アラミド及び/又はセラミック繊維を含有していてもよい。
【0081】
一方、インサート本体は、任意の所望の技術を用いて、例えば、適宜の折畳み技術及び/又は打抜き法を用いて製造されてもよい。インサート本体は、例えば、アルミニウム箔などの金属箔又はプラスチックフィルムから打抜きを行うことによって折り畳まれ及び/又は製造され得る。折畳みによってインサート本体を製造するための更なる材料は、好ましくは1.1~3.9milの厚さの、例えば、Nomex(登録商標)及びKevlar(登録商標)紙などの芳香族ポリアミド紙(アラミド)であり得る。なお、1milは0.0254mmに相当する。
【0082】
インサート本体は、さらに、折畳み及び/又は打抜きによって熱可塑性フィルムから作製されてもよい。折畳み及び/又は打抜きは、さらに、熱の作用を通じて熱可塑性材料を熱成形することによっても実行され得る。フィルムは、数マイクロメートル~約1mmの厚さを有し、例えば、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート、ポリアミド及び/又はポリエステルから作製され得る。
【0083】
結束面は、例えば、プラスチック材料、特に熱可塑性樹脂のストリップによって、繊維、特にガラス、炭素、プラスチック、アラミド若しくはセラミック繊維から、及び/又は金属からある程度又は完全に形成され得る。
【0084】
一実施形態では、インサート本体は、少なくとも各所において通気性材料からなる。実現可能な通気性材料の例は、開気孔材料及び/又はマイクロ穿孔材料(直径0.01~0.5mmの孔を有するもの)若しくはマクロ穿孔材料(直径0.5mm超の孔を有するもの)である。通気性材料は、特に、一種の音響透過性の隔壁をもたらすのに使用され得る。
【0085】
一実施形態では、複合部材は、ハニカムに接合される少なくとも1枚のフェースシート及び/又は中間シートを備える。複合部材はサンドウィッチ構造の層構成を備えていてもよく、ハニカム又はハニカムコアは2枚のフェースシートの間に配置され、特に、フェースシートによって両側で覆われ又は閉じられている。フェースシートの一方は、穿孔されかつ/又は通気性材料からなり得る。
【0086】
複合部材は、複数のハニカム、例えば、2枚のハニカムシートを平坦な中間シートの片側に備えていてもよく、いずれも、一方のハニカムシートがいずれも中間シートの一方の側に接合され、例えば、接着結合される。
【0087】
複合部材は、特に、複数のハニカム層及び複数の平坦な中間層を備える層構成を備え、それらは音響透過性であり、特に穿孔されていてもよいし、閉じられていてもよい。複合部材は、特に「マルチサンドウィッチ」の形態をとる。ハニカム層の1層以上又は全部に、音響的インサート本体が装着され得る。
【0088】
フェースシート及び/又は中間シートは、例えば、プラスチック、複合材、金属及び/又はセラミックから作製され得る。
【0089】
フェースシート若しくは中間シート及び/又はハニカムは、プラスチックから作製され、特に繊維の織物、敷布、紙若しくは不織布を備え、又は単にプラスチックから若しくは実際には単に、例えば、織物、敷布、紙若しくは不織布の形態の繊維から作製されてもよい。フェースシート、中間シート及び/又はハニカムシートは、複合材から、特に、例えば、織物、敷布、紙又は不織布の形態の繊維を備える複合材から作製され得る。フェースシート又は中間シートは、例えば、アルミニウム、チタン、又はSpecial Metals Corp.のInconel(登録商標)の金属箔を備え得る。
【0090】
使用される実現可能なプラスチックは、特に、例えば、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PA(ポリアミド)、PET(ポリエステル)、PC(ポリカーボネート)などの熱可塑性樹脂、好ましくは、例えば、PI、PPS、PEI、PEEK、PEKKなどの高温熱可塑性樹脂である。フェノール、エポキシ、ベンゾオキサジン、ビスマレイミド、シアネートエステル若しくはポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂、又はフェノキシ樹脂などの熱可塑性-熱硬化性樹脂が、フェースシート又はハニカムを製造するのに使用されてもよい。
【0091】
ハニカム及び/又はフェースシート若しくは中間シートは、セラミック材料を備え、特にセラミック複合材から作製されてもよい。セラミック構造体は、高温用途に対して有利である。
【0092】
インサート本体自体は、それぞれのハニカムセルの隣接壁部に及び/又はフェースシート若しくは中間シートに接着結合され得る。一方、インサート本体は、任意選択的に接着剤なしでも、ハニカム壁部との摩擦係合又は強制ロック係合によっても、それぞれのハニカムセルに保持可能となる。
【0093】
本発明は、さらに、音波を減衰させるための複合部材を製造する方法に関する。方法は、少なくとも、大部分において既成のハニカムを提供する工程、及びそのハニカムのハニカムセルに音響的インサート本体を挿入する工程を備える。
【0094】
方法は、AM、すなわち、積層造形加工を用いてインサート本体を製造し、いずれも1つの結束面、特に上記幾何形状の1つに係る面を有するインサート本体となることによって特徴付けられる。インサート本体は、特に、AM加工を用いてハニカムセル内に現場で構成され得る。
【0095】
方法の一実施形態では、ハニカムは、AM加工によっても製造される。ハニカムを提供する工程及びハニカムのハニカムセル内に音響的インサート本体を挿入又は形成する工程は、好ましくは、積層造形加工を用いて1工程で実施され得る。
【0096】
積層造形加工は、特に、3D印刷法又は実際にはさらに上述したような他のAM加工であり得る。
【0097】
積層造形加工は、最も広い幾何形状の範囲であってインサート本体の結束面が軸方向に相互から離隔した面領域を有する範囲を可能とし、その面領域は、軸の方向にこれら面領域間に音波のための通路を境界付けるために、相互に向き合い、主軸に垂直な平面への投影において重なり、特に、相互に対して整列され、結束面は、結束面の配置経路が主軸を囲みかつ/又は主軸に繰り返し交差するように構成される。
【0098】
方法は、フェースシート及び/又はインサート本体における穿孔の形成を備え得る。穿孔又は通路開口は、例えば、対応する点を除去することによって積層造形の過程にわたって設けられ得る。ただし、穿孔又は通路開口は、後に、例えば、機械的穿設によって又はレーザー加工などによって形成されてもよい。
【0099】
特定の音透過性は、一実施形態では、開孔材料を用いて達成され得る。
【0100】
製造方法は、特に、それぞれのハニカムセルの隣接壁部及び/又はフェースシート若しくは任意選択的に中間シートの一方若しくは両方へのインサート本体の接着結合を、任意選択的に熱作用とともに備え得る。インサート本体は、さらに、それぞれのハニカムセルの隣接壁部への及び/又はフェースシート若しくは任意選択的に中間シートの一方若しくは両方への熱的方法による結合的態様で、例えば、金属製ハニカム若しくはフェースシート及びインサート本体の場合には溶接によって、又は熱可塑性ハニカム若しくはフェースシート及びインサート本体の場合には溶着によって、接合されてもよい。
【0101】
インサート本体は、好ましくは、ハニカムセルの壁部に沿う音波の直線的な伝搬を阻止するように、ハニカムセルの壁部と、その縁部の全てにおいて結合的態様で又は少なくとも接触して、接合され得る。
【0102】
インサート本体は、拡げられた縁部、例えば、フランジ状の縁部を用いて製造されてもよく、これは意図的な接着結合に有利となり得る。
【0103】
インサート本体は、特に、ハニカムセルに形状が対応する「セル」とともにかつ「セル」内で、3D印刷によって製造されてもよく、ハニカムシートのハニカムセル内に挿入可能である。この「セル」の壁部は、軽量化のための切欠きを有してもよい。
【0104】
インサート本体を既成のハニカムに挿入することによって複合部材を製造することは、既存の大量生産ハニカムが使用可能となるという有利な効果を有する。そして、ハニカムに対する試行錯誤されて任意選択的に認定された製造方法が修正される必要はない。インサート本体の製造は、ハニカム製造方法に応じている必要はない。
【0105】
インサート本体の幾何形状の最も広い範囲が、特に積層造形によって達成可能となる。インサート本体は、減衰対象の周波数範囲に一致するように構成され得る。必要な場合には、異なる態様で構成されたインサート本体が、任意選択的に同じハニカムに導入されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【
図1A】
図1Aは、複合部材の例示的実施形態を斜視図で示す。
【
図1C】
図1Cは、複合部材のハニカムの例示的実施形態を斜視図で示す。
【
図2A】
図2Aは、
図1Aに係る複合部材のための音響的インサート本体の第1の例示的実施形態を側面図で示す。
【
図2B】
図2Bは、
図1Aに係る複合部材のための音響的インサート本体の第1の例示的実施形態を斜視図で示す。
【
図2C】
図2Cは、
図1Aに係る複合部材のための音響的インサート本体の第1の例示的実施形態を平面図で示す。
【
図2D】
図2Dは、
図1Aに係る複合部材のための音響的インサート本体の第1の例示的実施形態をハニカムセル内の斜視図で示す。
【
図2E】
図2Eは、
図1Aに係る複合部材のための音響的インサート本体の第1の例示的実施形態を、折り畳まれていない状態のインサート本体の中間形態に対する平面図で示す。
【
図2F】
図2Fは、
図2A~2Eに係るインサート本体の変形例を、折り畳まれていない状態の中間形態に対する平面図で示す。
【
図3A】
図3Aは、
図1Aに係る複合部材のための音響的インサート本体の更なる例示的実施形態を、汎用化螺旋面及び中心トランクにより、正面図で示す。
【
図3B】
図3Bは、
図1Aに係る複合部材のための音響的インサート本体の更なる例示的実施形態を、汎用化螺旋面及び中心トランクにより、縦断面図で示す。
【
図3C】
図3Cは、
図1Aに係る複合部材のための音響的インサート本体の更なる例示的実施形態を、汎用化螺旋面及び中心トランクにより、平面図で示す。
【
図3D】
図3Dは、
図1Aに係る複合部材のための音響的インサート本体の更なる例示的実施形態を、ハニカムセル内の斜視図で示す。
【
図4A】
図4Aは、
図1Aに係る複合部材のための音響的インサート本体の更なる例示的実施形態を、凹凸状汎用化螺旋面及び中心トランクにより、正面図で示す。
【
図4B】
図4Bは、
図1Aに係る複合部材のための音響的インサート本体の更なる例示的実施形態を、凹凸状汎用化螺旋面及び中心トランクにより、縦断面図で示す。
【
図5A】
図5Aは、
図1Aに係る複合部材のための音響的インサート本体の更なる例示的実施形態を、汎用化螺旋面及び自己支持型径方向内側縁部により、正面図で示す。
【
図5B】
図5Bは、
図1Aに係る複合部材のための音響的インサート本体の更なる例示的実施形態を、汎用化螺旋面及び自己支持型径方向内側縁部により、縦断面図で示す。
【
図5C】
図5Cは、
図1Aに係る複合部材のための音響的インサート本体の更なる例示的実施形態を、汎用化螺旋面及び自己支持型径方向内側縁部により、平面図で示す。
【
図5D】
図5Dは、
図1Aに係る複合部材のための音響的インサート本体の更なる例示的実施形態を、汎用化螺旋面及び自己支持型径方向内側縁部により、ハニカムセル内の斜視図で示す。
【
図6A】
図6Aは、
図1Aに係る複合部材のための音響的インサート本体の更なる例示的実施形態を、汎用化螺旋面及び主軸周囲の連続自由空間により、正面図で示す。
【
図6B】
図6Bは、
図1Aに係る複合部材のための音響的インサート本体の更なる例示的実施形態を、汎用化螺旋面及び主軸周囲の連続自由空間により、縦断面図で示す。
【
図6C】
図6Cは、
図1Aに係る複合部材のための音響的インサート本体の更なる例示的実施形態を、汎用化螺旋面及び主軸周囲の連続自由空間により、平面図で示す。
【
図6D】
図6Dは、
図1Aに係る複合部材のための音響的インサート本体の更なる例示的実施形態を、汎用化螺旋面及び主軸周囲の連続自由空間により、ハニカムセル内の斜視図で示す。
【
図7】
図7は、
図1Aに係る複合部材のための音響的インサート本体の更なる例示的実施形態を、相互に対して傾斜して延在する面領域により、部分図で示す。
【
図8A】
図8Aは、
図1Aに係る複合部材のための音響的インサート本体の更なる例示的実施形態を、複数の角錐状の本体部分により、縦断面図で示す。
【
図8B】
図8Bは、
図1Aに係る複合部材のための音響的インサート本体の更なる例示的実施形態を、複数の角錐状の本体部分により、主軸Hに沿って下方からの図で示す。
【
図8C】
図8Cは、
図1Aに係る複合部材のための音響的インサート本体の更なる例示的実施形態を、複数の角錐状の本体部分により、平面図で示す。
【
図8D】
図8Dは、
図1Aに係る複合部材のための音響的インサート本体の更なる例示的実施形態を、複数の角錐状の本体部分により、下方からの斜視図で示す。
【
図8E】
図8Eは、
図1Aに係る複合部材のための音響的インサート本体の更なる変形例の模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0107】
本発明の更なる特徴及び有利な効果が、添付図面に基づいてなされる多数の好適な例示的実施形態の以下の記載から保護範囲の限定なく推定され得る。
【0108】
図1A~1Bは、2枚のフェースシート12、14の間に配置されたハニカム10によるサンドウィッチ構造の複合部材1の例示的実施形態を示す。複合部材1は、例えば、音減衰エンジンライニングとして適する。複合部材1は、理論上の屈曲軸U周りの曲率半径Rで湾曲又は屈曲され、したがって、例えば、航空機エンジンナセルの凹状内面に一致した態様で取り付けられることになる。屈曲軸Uに向く、
図1Bの下部に示す内側フェースシート14は、穿孔され、したがって音響透過性である。複合部材1は、内側フェースシート14が、例えば、エンジンナセルの内部の音源に向くように、適切な動作位置に配置される。音波は、穿孔(不図示)を通じて、フェースシート14の上部に配置されたハニカム10のハニカムセル16に貫通し得る。屈曲軸Uから離れた、
図1A及び1Bの上部に示す外側フェースシート12は、閉じられ、音反射作用を有する。この適切な動作位置では、このフェースシートは、穿孔内側フェースシート14よりも音源からさらに離れている。音波は、音源から穿孔フェースシート14及びハニカム10を通じて外側フェースシート12に伝搬し、逆方向に戻ることになる。
【0109】
図1B及び1Cに係る例では、ハニカム10は、いずれも6角形断面のハニカムセル16を備える。したがって、各ハニカムセル16は、フェースシート12、14に略垂直に延びるとともにそれぞれのハニカムセル16の内部を隣接ハニカムセルから境界付ける6個の壁部17を有する。ハニカムセル16の壁部17の高さ、すなわち、ハニカムセル16の深さTは、フェースシート12、14の間の距離に対応する。
【0110】
一例示的実施形態では、2枚のフェースシート12、14は、1mmの厚さを有する。外側フェースシート12は、エポキシ樹脂マトリクスの3層の炭素繊維織物からなる積層体である。一例示的実施形態では、内側フェースシート14も同様に、エポキシ樹脂マトリクスの3層の炭素繊維織物を備える。更なる例示的実施形態では、内側フェースシート14は、アルミニウムから、この場合では、2024 T3、T6、T351又はT81「クラッド材」又は「ベア材」アルミニウムから作製される。5052又は5056アルミニウムも、フェースシート14に適する。またさらに、2枚のフェースシート12、14は、高温耐熱ポリイミド樹脂による3層の炭素繊維織物プリプレグから作製されてもよい。フェースシート14は、好ましくは穿孔されている。穿孔は、例えば、直径0.5~1mmであり、規則的グリッドを形成し、例えば、方向に応じて2.25又は2.5mmだけ相互から離隔されている。
【0111】
ハニカム10は、アラミド繊維及びフェノール樹脂を備える複合材から作製され、本出願人によって作製された形成可能な航空グレードのECA9.6-48ハニカム(9.6mmセルサイズ、48kg/m3バルク密度)が使用され、ハニカムの厚さ、ハニカムセル壁部の高さ、すなわち、ハニカムセルの深さTは11mmである。ハニカム10は、エポキシ接着フィルムによって両フェースシート12、14に接合される。樹脂画分の硬化は、オートクレーブ内で、少なくとも6バール及び176℃で120分以内に達成される。
【0112】
更なる例示的実施形態では、フェースシート12、14は、ビスマレイミド樹脂(BMI)を含むプリプレグから作製され、BMI接着フィルムを用いて接着結合される。
【0113】
原則として、本発明の目的のために様々なタイプのハニカム10、好ましくは、3.2~50mm、特に25.4mmまでのハニカムセル16に対するサイズ及び16~256kg/m3のハニカム10に対するバルク密度を有するものが使用され得る。
【0114】
ハニカムの厚さ、すなわち、ハニカムの深さ方向の寸法(深さ:ハニカムのL/W平面に垂直なT方向)は、5~50mmであり得る。エンジンライニングについては、ハニカム10の深さは、好ましくは8~35mmとなる。一例示的実施形態では、ハニカム10は、金属箔から作製される。動作温度が、例えば、600~1200℃又は1200℃~2000℃のように極度に高い例示的実施形態では、ハニカム10は酸化物セラミック又は炭化物セラミック材料から作製される。
【0115】
ハニカム10は、特に、展開法を用いて作製され得る。製造方法の一例示的実施形態では、まず、ハニカム10及び外側フェースシート12を備えるマルチシート構成が準備される。
【0116】
その後、インサート本体18は、その主軸Hがハニカムの深さTの方向に平行に延びるように、各ハニカムセル16に挿入される。その後、インサート本体18は、任意選択的に、ハニカムのセル壁部に接合され、特に接着結合されてもよい。マルチシート構成は、フェースシート14への接着結合によって完了する。
【0117】
ハニカム10は、任意選択的に所望の形状に形成され、例えば、屈曲されてもよいし、曲率を有して直接製造されてもよい。インサート本体は、平坦なハニカムに導入されてもよく、それはその後に任意選択的に屈曲される。一方、インサート本体は、既に所望の曲率を有しているハニカムに挿入されてもよい。
【0118】
製造方法の更なる例示的実施形態によると、インサート本体は、外側フェースシート12及びハニカム10からなる既成のマルチシート構成のハニカムセル内に3D印刷によって直接印刷される。
【0119】
製造方法の更なる例示的実施形態によると、ハニカムは、3D印刷によって1工程でインサート本体とともに製造される。製造方法の更なる例示的実施形態によると、ハニカムは、個々のフィルムを予め切断しておき(半セルの製造)、インサート本体を1つの予め切断したフィルムに接着結合し、その上に次の予め切断されたフィルムを(ハニカムセルを完成するために)配置するなどして提供される。
【0120】
ここに示す全ての例示的実施形態において、インサート本体は、その一端が音源に向くような態様でハニカムセル内に導入されることになる。
【0121】
インサート本体は、ハニカムセルの深さ全体又はその一部だけを占有し、例えば、ハニカムの深さに関して中心に配置され、又はハニカムセルの一方若しくは他方の縁部に近づけて配置され得る。
【0122】
図2A~2Cは、第1の例示的実施形態に係るインサート本体18を示し、6個の平坦なプレート状の6角形本体部分23を備え、それは相互に対して角度(鋭角)αで配置され、いずれも狭い4角形本体部分24によって相互に接合される。一方、本体部分24は図示するもの以外の形状を有してもよいし、異なる本体部分24が異なる形状を有してもよい。角度αは、必ずしも異なる本体部分23の間で同一である必要はない。インサート本体18は、第1及び第2の端部21、22を有し、その間にインサート本体18が連続して延在する。本体部分24とともに、本体部分23は、相互に対して傾斜して配置された面領域25a、25bを備える結束面25を形成する。
図2Aから明らかなように、結束面25の配置経路は、主軸Hに対して、繰り返し、ここでは例えば6回交差する。主軸Hは、全ての面領域25a、25bの概ね中心を通じて延びる。
【0123】
図2Dが示すように、インサート本体18は、各6角形本体部分23がその縁部又は狭面によってハニカムセル16の壁部17に当接し、又はそれと面一で終端するようにハニカムセル16内に配置される。したがって、
図2Cに示す平面図では、インサート本体18は、ハニカムセル16の断面に対応するその主軸Hに沿う輪郭を有する。それぞれの4角形本体部分24は、この場合、対応する壁部17に沿って延び、それに対して平坦となる。インサート本体18は、4角形本体部分24及び6角形本体部分23の狭面27によってハニカムセル16の壁部17に接着結合される。本体部分24に類似する更なる本体部分が、ハニカムセル16の壁部17に対してより良好に全方位で接着結合を達成するように、インサート本体18の複数の又は全ての狭面27に配置されてもよい。したがって、ハニカムセル16は、インサート本体18によって複数のキャビティ29又は小体積部分に細分される。キャビティ29は、6角形本体部分23に設けられた通路開口26によって相互に接合される。
図2B~2Eに示す通路開口26は丸いが、それらは任意の所望の形状を有し得るものであり、例えば、それらはスロット形状であってもよい。相互に向き合う面領域25a、25bは、通路開口26の縁部及びハニカム壁部17の内面とともに、ハニカムセル16内の音波のための通路20を境界付ける。音波は、ハニカムセル16内のインサート本体18によって、あるキャビティ29から他のキャビティ29にガイドされ、結束面25のいずれも2つの相互に向き合う面領域25a、25bの間で、ある通路開口26から他の通路開口26に通過する。したがって、音波は、穿孔フェースシート12からフェースシート14までハニカムセル16のセル体積部分を直線的態様で交差するのではなく、巻線状又はジグザグの経路上に結束面25に沿ってガイドされ、その経路も同様に主軸Hに繰り返し交差する。
【0124】
3次元のインサート本体18の結束面25は、幾何学的に「可展の」線識面であり、例えば、歪みのない
図2Eの平面のような平面上に展開され得る。
【0125】
インサート本体18は、好ましくは、一体に製造されかつ均一材料のものである。インサート本体18を製造する1つの可能な方法は、平坦な形状(
図2E)からの折畳みである。
【0126】
図2Fは、結束面を有する平坦な形状18´の更なる例示的実施形態の模式図を示し、6角形本体部分23は、いずれも
図2Fの平面において相互に対して60°だけ回転されている。形状18´は、3次元のインサート本体(不図示)に折畳み可能であり、結束面の配置経路は主軸に繰り返し交差するとともに主軸を囲む。
【0127】
折畳み線28は、
図2E~2Fでは破線で図示される。折畳みのための適宜の材料の例は、防食剤EC800で処理された(9.9mmセル径のハニカムに対して)厚さ25マイクロメートルのPAA陽極酸化されたアルミニウム箔、合金5052である。箔は、例えば、切断刃を有する超音波切断装置によって
図2Eにおける基本形状に切断される。箔が穿孔されて通路開口26を得ることになる。所定の折畳み線28が、好ましくは、打抜き工具によって箔に導入される。その後、インサート本体18は、手動又は自動で折り畳まれる。
【0128】
折り畳まれたインサート本体は、ハニカムセル16内に挿入され、ハニカムセル16の壁部17に接着結合される。
【0129】
インサート本体18を接着結合するための接着剤は、複合部材の想定動作温度に応じて選択される。90℃~200℃の要求動作温度に対して、例えば、本出願人の液体エポキシ接着剤EC690又はEC662が使用され得る。ビスマレイミド(BMI)系の接着剤は、200℃~400℃の温度範囲に対して有利であり、任意選択的にエポキシ接着剤と組み合わせたポリイミド及びシアネートエステル系の接着剤も同様である。
【0130】
折畳みによってインサート本体18を製造するのに適した更なる可能な材料は、例えば、例えば、厚さ1.1、1.4、1.8、2.8、3.9milのN636紙(DuPont)又は厚さ1.5、2、2.5、3、4milのNomex(登録商標)T412紙などのNomex(登録商標)及びKevlar(登録商標)紙である(1milは0.0254mmに相当する)。
【0131】
インサート本体18は、さらに、例えば、以下のフィルムなどの熱可塑性フィルムから折り畳まれてもよい。
-ポリエーテルイミド(PEI)、例えば、Ultem(登録商標)フィルム1000B、25~50μm、又はUltem(登録商標)フィルムUTF120、厚さ4~10μm(SABIC Tekra);
-ポリイミド(PI)、25~127μm、例えば、高い接着強度についてKapton(登録商標)B又はKapton(登録商標)FPC、-269℃~400℃の広い温度範囲についてKapton(登録商標)HN(DuPont)など;及び
-ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、厚さ6~750μm、好ましくは8~100μmのAPTIV(登録商標)フィルム1000、1100、1300、2000、2100シリーズ(Victrex)など。
【0132】
ただし、インサート本体18は、3D印刷などの積層造形加工を用いて必要な3D幾何形状に製造されてもよい。
【0133】
図7は、インサート本体78の更なる例示的実施形態を、結束面75及び相互に対して傾斜してかつ主軸Hに対して傾斜して延在する相互に向き合う面領域75a、75bにより部分図で示す。インサート本体78は、相互に交差して配置されて相互に交互に折り返された2本の狭いストリップを相互に折り畳むことによって製造され得るものであり、特に正方形断面のハニカムセルに適する。一方、インサート本体78は、3D印刷によって製造されてもよい。インサート本体78がハニカムセル(不図示)に挿入されると、ストリップの外側縁部79及び折り畳まれた縁部77は、ハニカムセルがキャビティに細分されるように、ハニカム壁部の内面に接着結合される。相互に向き合う面領域75a、75b及びハニカム壁部の内面が、キャビティを境界付ける。インサート本体78は、音波のジグザグ経路を規定する通路開口(不図示)を有し得る。あるいは又はさらに、インサート本体78は、開孔材料から作製されてもよい。
【0134】
図3A~6Dは、本発明に従って構成された音伝導面が1部品インサート本体38、48、58、68に設けられた更なる例示的実施形態を示す。
図3A~6Dでは、連続面は、実質的に汎用化螺旋面35、45、55、65である。
【0135】
図3A~3Cにおける更なる例示的実施形態によると、インサート本体38は、主軸Hに沿って延在する中心トランク36を有する。主軸Hは、トランク36を通じて延びる。インサート本体38は、トランク36に巻回して結束性の汎用化螺旋面35を有し又は形成するストリップ33の形態の周辺螺旋又は渦巻部をさらに備える。螺旋ストリップ33は、好ましくは、トランク36又は主軸H周りに複数のターンを、本例では約2.5ターンを形成する。主軸Hに沿う平面視において、インサート本体38は、ハニカムセル16の断面に対応する6角形輪郭を有する(
図3C)。
【0136】
図3Dは、明瞭性のために、ここでは個々に図示されたハニカムセル16内のその適切な位置におけるインサート本体38を示す。ストリップ33の径方向外側縁部34は、ハニカムセル16の壁部17と面一で終端し、すなわち、その長さに沿ってハニカム壁部17と接触している。インサート本体38のターン間において、音波のための通路30が、汎用化螺旋面35の相互に向き合う面領域35a、35bによって軸方向、すなわち、主軸Hの方向に境界付けられる。径方向において、通路30は、トランク36の面及びハニカム壁部17の内面によって境界付けられる。
【0137】
本例では、汎用化螺旋面35は、可展線識面である。長細いトランク36の長手端部は、インサート本体38の第1の端部31及び第2の端部32を構成し、完成した複合部材1内でフェースシート12、14と接している。
【0138】
汎用化螺旋面35は、径方向内側縁部37及び径方向外側縁部39によって径方向に境界付けられる。径方向外側縁部39は、ハニカム壁部17に当接する縁部34、又はストリップ33の狭面に隣接する。径方向内側縁部37は、トランク36に隣接する。トランク36は、汎用化螺旋面35の内側縁部37を支持する。汎用化螺旋面35は、トランク36の面と一体となる。
【0139】
図4A~4Bにおける更なる例示的実施形態によると、インサート本体48は、単に、線識面ではなく凹凸状曲率を示す汎用化螺旋面45を有する点で、
図3A~3Dにおけるインサート本体38とは異なる。音波のための通路40は、汎用化螺旋面45の凸状面領域45a及び凹状面領域45bによって軸方向に境界付けられる。
【0140】
図5A~5Bにおける更なる例示的実施形態によると、インサート本体58は、単に、インサート本体58が中心トランクを有さない点で、
図3A~3Dにおけるインサート本体38とは異なる。汎用化螺旋面55の径方向内側縁部57は、完全に自己支持型であり、すなわち、その長さ全体にわたって自己支持型である。
【0141】
図6A~6Bにおける更なる例示的実施形態によると、インサート本体68は、単に、中心トランク36の代わりに自由空間66が設けられ、当該自由空間66が主軸又は螺旋軸に沿う柱の態様で延在する点で、
図3A~3Dにおけるインサート本体38とは異なる。汎用化螺旋面65の径方向内側縁部67は、ここでは完全に自己支持型である。
図6C及び6Dから分かるように、平面視において、インサート本体68は、ハニカムセル16の完全な断面を覆わない。平面視において、汎用化螺旋面65の径方向内側縁部67によって画定される中心開口が残る。インサート本体68が装着されたハニカム10のその後の形成時に、この開口は、屈曲軸U(
図1C参照)に向くハニカム10の側で閉じ、屈曲軸Uから離れた側では広く開口し得る。このように、自由空間66によって、ハニカム10は特に容易に形成可能となる。
【0142】
図8A~8Dは、更なる例示的実施形態に係り、4個の中空入子状の角錐状又は漏斗形状の本体部分83を備えるインサート本体88を示し、本体部分83は、主軸H及び相互に対して同軸に配置され、中心トランク86の形態の接続部分によって相互に接合される。主軸Hは、トランク86を通じて延びる。トランク86とともに、本体部分83は、インサート本体88の第1の端部81から第2の端部82に連続して延在する結束面85を形成する。インサート本体88は、その第1の端部81及びその第2の端部82を音源に向けて配置され得る。
【0143】
接続部分は、図示されたものとは異なる形状を有していてもよく、偏心して配置されてもよい。インサート本体88は、複数の偏心した、特に周辺に接続部分を有してもよく、それらは主軸Hに平行に又はそれに横断して延び、角錐状の本体部分83を相互に接合し得る。角錐状の本体部分83は、例えば、インサート本体88の部分である「プレセル」に包囲され得る。プレセルの形状は、ここでは、インサート本体88が挿入されるハニカムセル16の形状に対応する。プレセルの壁部は、軽量化のために完全でなくてもよい(不図示)。
【0144】
主軸Hに沿う平面視において、インサート本体88は、ハニカムセル16の断面に対応する6角形の輪郭を有する(
図8C)。インサート本体88は、追加的に、いずれも角錐状の本体部分83に接合されて主軸Hに平行に延びる固定部分84を有する。インサート本体88がハニカムセル16に適切に収容されると、固定部分84はいずれもハニカム壁部17に平坦に当接し、したがって、全方位で接着結合され得る。インサート本体88の角錐状の本体部分83の間において、音波のための通路80は、相互に向き合う面領域85a、85bによって主軸Hの方向に境界付けられる。
【0145】
連続的な角錐状の本体部分83は、
図8B及び8Cに示すように、通路開口87を中央領域又はその周辺のいずれかに交互に有する。したがって、ハニカムセル16は、角錐状の本体部分83によって相互から分離された複数のキャビティに、インサート本体88によって細分され得る。通路開口87によって、音波がジグザグ経路で伝搬可能となる。
図8Eは、ハニカムセル内のインサート本体98の変形例を示す。音波の流れは、破線によって示される。インサート本体98は、中心トランクを有さない。角錐状の本体部分93は、それらが結束面95を形成するように、それらの先端部によって相互に結合される。それ以外については、この変形例は、
図8A~8Dにおける例示的実施形態に実質的に対応する。インサート本体88、98がその第1の広い側の端部81、91を音波の音源に向けて配向されると、メガホンの逆のものとして考えられ、それは音波を減衰するだけでなく、任意選択的にそれらの周波数を増加させる。
【0146】
図3~6におけるインサート本体38、48、58及び68は、3D印刷によってプラスチック又は金属から製造され得る。一例示的実施形態は、アルミニウム粉末合金AlSi 10Mg、粒子サイズ90μm、及びEOS M 290 3Dプリンタを用いてインサート本体38、48、58、68を製造する。一例示的実施形態は、チタン粉末合金Ti64、粒子サイズ63μm、及びEOS M 100 3Dプリンタを用いる。他の例示的実施形態は、Ultem 9085ポリエーテルイミド(PEI)フィラメント、1.75mm及びStratasys F900システムを用いる。更なる例示的実施形態は、1.75mm 3DXTECHポリエーテルエーテルケトン(PEEK)フィラメント及びStratasys Fortus450mcシステムを用いる。
【0147】
他の製造方法、特にAM加工ではないもの、例えば、比較的安価なダイカスト部品若しくは射出成形部品などの製造又は例えば折畳み技術の使用も、本発明の範囲内となる。
【符号の説明】
【0148】
図1A~1C
1 複合部材
10 ハニカム
12 外側フェースシート
14 内側フェースシート
16 ハニカムセル
17 ハニカムセルの壁部
18 インサート本体
R 理論上の曲率半径
U 理論上の屈曲軸
T ハニカムセルの深さ
図2A~2F
16 ハニカムセル
17 ハニカムセルの壁部
18、18´ インサート本体
20 音波のための通路
21 インサート本体の第1の端部
22 インサート本体の第2の端部
23 6角形本体部分
24 4角形本体部分
25 結束面
25a、25b 面領域
26 通路開口
27 6角形本体部分の狭面
28 折畳み線
29 キャビティ
α 本体部分間の角度
H インサート本体の主軸
図3A~6D
16 ハニカムセル
17 ハニカムセルの壁部
30、40、50、60 音波のための通路
31、41、51、61 インサート本体の第1の端部
32、42、52、62 インサート本体の第2の端部
33 ストリップ
34、44、54、64 ストリップの縁部
35、45、55、65 汎用化螺旋面
35a、35b、45a、45b、55a、55b、65a、65b 面領域
36、46 トランク
37、47、57、67 径方向内側縁部
38、48、58、68 インサート本体
39、49、59、69 径方向外側縁部
66 自由空間
H インサート本体の主軸
図7~8
17 ハニカムセルの壁部
29 キャビティ
80、90 音波のための通路
81、91 インサート本体の第1の端部
82、92 インサート本体の第2の端部
83、93 角錐状の本体部分
84 固定部分
75、85、95 結束面
75a、75b、85a、85b、95a、95b 面領域
76 通路開口
86 トランク
87、97 通路開口
77 折り畳まれた縁部
78、88、98 インサート本体
79 縁部
H インサート本体の主軸
【手続補正書】
【提出日】2023-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音波を減衰させるための、特に航空機の動作ノイズを減衰させるためのハニカム(10)のための音響的インサート本体(18;・・・68)であって、
前記インサート本体(18;・・・68)は、主軸(H)を有し、該主軸(H)がハニカムセル(16)の深さ方向(T)に延びる態様で、前記ハニカムセル(16)内、特に6角形ハニカムセル内に挿入可能であり、
前記インサート本体(18;・・・68)は、結束面(25;・・・65)並びに前記主軸(H)の方向に対する第1の端部(21;・・・61)及び第2の端部(22;・・・62)を備え、
前記インサート本体(18;・・・68)の前記結束面(25;・・・65)は、前記主軸の方向に相互から離隔した面領域(25a、25b;・・・65a、65b)を有し、該面領域は、前記主軸(H)の方向において当該面領域(25a、25b;・・・65a、65b)の間に音波のための通路(20;・・・60)を境界付けるために、相互に向き合い、前記主軸(H)に垂直な平面への投影において重なり、特に整列され、
前記第1の端部(21;・・・61)から前記面領域(25a、25b;・・・65a、65b)を通じて前記第2の端部(22;・・・62)への前記結束面(25;・・・65)の配置経路は、前記主軸(H)を囲みかつ/又は該主軸(H)に繰り返し交差する、音響的インサート本体(18;・・・68)。
【請求項2】
音波を減衰させるための、特に航空機の動作ノイズを減衰させるためのハニカム(10)のための音響的インサート本体(18;78;88)であって、
前記インサート本体(18;78;88)は、主軸(H)を有し、該主軸(H)がハニカムセル(16)の深さ方向(T)に延びる態様で、前記ハニカムセル(16)内、特に6角形ハニカムセル内に挿入可能であり、
前記インサート本体(18;78;88)は、結束面(25;75;85)並びに前記主軸(H)の方向に対する第1の端部(21;81)及び第2の端部(22;82)を備え、
前記インサート本体(18;78;88)の前記結束面(25;75;85)は、前記主軸(H)の方向に相互から離隔した面領域(25a、25b;75a、75b;85a、85b)を有し、該面領域は、前記主軸(H)の方向において当該面領域(25a、25b;75a、75b;85a、85b)の間に音波のための通路(20;・・・80)を境界付けるために、かつ前記ハニカムセル(16)を、相互に向き合う前記面領域(25a、25b;75a、75b;85a、85b)によって前記主軸(H)の方向に境界付けられた複数のキャビティ(29)に細分するために、相互に向き合い、前記主軸(H)に垂直な平面への投影において重なり、特に相互に対して整列される、音響的インサート本体(18;78;88)。
【請求項3】
前記主軸(H)に垂直な平面への投影において、前記結束面(25;・・・85)は、前記インサート本体(18;・・・88)が挿入可能であり又は挿入された前記ハニカムセル(16)の断面を覆う、請求項1
又は2に記載の
音響的インサート本体(18;78;88)。
【請求項4】
前記インサート本体(38;48;88)は、前記主軸(H)の方向に、特に前記インサート本体(38;48;88)の前記第1の端部(31;41;81)から前記インサート本体(38;48;88)の前記第2の端部(32;42;82)に、連続して延在するトランク(36;46)を有する、請求項1から
3のいずれか一項に記載の
音響的インサート本体(18;78;88)。
【請求項5】
前記結束面(25;・・・65)は、汎用化螺旋面及び/又は可展面を備える、請求項1から
4のいずれか一項に記載の
音響的インサート本体(18;78;88)。
【請求項6】
前記汎用化螺旋面(35;・・・65)は、前記インサート本体(38;・・・68)の前記主軸(H)の方向に延び、好ましくは該主軸(H)と一致する、螺旋軸を有し、前記汎用化螺旋面(35;・・・65)は径方向内側縁部(37;・・・67)及び径方向外側縁部(39:・・・69)を有する、請求項
5に記載の
音響的インサート本体(18;78;88)。
【請求項7】
前記インサート本体(38;48;88)は、前記主軸(H)の方向に連続して延在するトランク(36;46)を有し、前記径方向内側縁部(37;47)は、前記トランク(36;46)によって支持される、請求項
6に記載の
音響的インサート本体(18;78;88)。
【請求項8】
前記径方向内側縁部(57;67)は、自己支持型である、請求項
6に記載の
音響的インサート本体(18;78;88)。
【請求項9】
前記結束面(35;・・・65)の配置経路は、少なくとも360°にわたって、好ましくは明確に360°超にわたって、特に少なくとも720°にわたって前記主軸(H)を囲む、請求項1から
8のいずれか一項に記載の
音響的インサート本体(18;78;88)。
【請求項10】
前記インサート本体(18)は、前記結束面(25)がキャビティ(29)を画定するように、好ましくはいずれも2つのキャビティ(29)が、特にいずれも少なくとも1つの通路開口(26)によって、音響透過的に相互に接続される態様で、前記ハニカムセル(16)を前記キャビティ(29)に細分するように構成された、請求項
1に記載の
音響的インサート本体(18;78;88)。
【請求項11】
少なくとも一部の面領域(25b、25a;75a、75b;85a、85b)は、特に相互に向き合う前記面領域(25b、25a;75a、75b)の少なくとも一部が相互に対して傾斜して延びた状態で、前記主軸(H)の方向に傾斜して延びる、請求項1から
10のいずれか一項に記載の
音響的インサート本体(18;78;88)。
【請求項12】
前記インサート本体(88)は前記ハニカムセル(16)をキャビティ(29)に細分するための少なくとも2つの角錐状又は漏斗形状の本体部分(83)を有し、該角錐状又は漏斗形状の本体部分(83)は前記主軸(H)の方向に相互に対してずれた状態で、特に前記主軸(H)と同軸に配置され、相互に向き合う前記面領域(85a、85b)を与える、請求項1から
11のいずれか一項
に記載の
音響的インサート本体(18;78;88)。
【請求項13】
前記角錐状又は漏斗形状の本体部分(83)は、少なくとも1つの接続部分によって相互に接合され、特に該少なくとも1つの接続部分が、前記主軸(H)の方向に延在する中心配置されたトランク(86)である、請求項
12に記載の
音響的インサート本体(18;78;88)。
【請求項14】
前記インサート本体(18;38;58;68;88)の前記結束面(25;35;55;65;85)は線識面を備え、かつ/又は前記インサート本体(48)の前記結束面(45)は凸状及び/若しくは凹状面領域(45a、45b)を有する、請求項1から
13のいずれか一項に記載の
音響的インサート本体(18;78;88)。
【請求項15】
前記インサート本体の前記結束面は、段差のある及び/又は波形の面を備える、請求項1から
14のいずれか一項に記載の
音響的インサート本体(18;78;88)。
【請求項16】
前記インサート本体(18;・・・88)が、一体に及び/又は均一材料で作製された、請求項1から
15のいずれか一項に記載の
音響的インサート本体(18;78;88)。
【請求項17】
前記インサート本体(18;・・・88)が、特に3D印刷による、積層造形加工を用いて製造され、又は前記インサート本体(18;78)が、折畳み技術及び/若しくは打抜き法を用いて製造された、請求項1から
16のいずれか一項に記載の
音響的インサート本体(18;78;88)。
【請求項18】
前記結束面(25;・・・85)が、少なくともある程度、プラスチック材料の、特に熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂の、ストリップ(33)によって、並びに/又は繊維状材料から、特にガラス繊維若しくは炭素繊維から、及び/又は金属から形成された、請求項1から
17のいずれか一項に記載の
音響的インサート本体(18;78;88)。
【請求項19】
前記インサート本体(18;・・・88)は、通気性材料を備える、請求項1から
18のいずれか一項に記載の
音響的インサート本体(18;78;88)。
【請求項20】
音波を減衰させるための、特に航空機の動作ノイズを減衰させるための複合部材(1)であって、ハニカムセル(16)と多数の請求項1から19のいずれか一項に記載の音響的インサート本体とを有する少なくとも1つのハニカム(10)を備え、いずれも少なくとも1つのインサート本体は少なくとも一部のハニカムセル(16)内に配置される、複合部材(1)。
【請求項21】
請求項
20に記載の複合部材(1)であって、少なくとも1枚のフェースシート及び/又は前記ハニカム(10)に接合された中間シート(12、14)を備え、
前記フェースシート及び/又は中間シート(12、14)は、プラスチック、複合材、金属及び/又はセラミックから作製され、
前記ハニカム(10)はプラスチック、複合材、金属又はセラミックから作製され、かつ/又は
前記インサート本体(18;・・・88)は、それぞれの前記ハニカムセル(16)の隣接壁部(17)及び/又は前記フェースシート若しくは中間シート(12、14)に接着結合され及び/又は熱的方法による結合的態様で接合された、複合部材(1)。
【請求項22】
音波を減衰させるための複合部材(1)を製造する方法であって、
ハニカム(10)を提供する工程と、
音響的インサート本体(18;・・・88)を前記ハニカム(10)のハニカムセル(16)に挿入する工程と、
を備え、
インサート本体(18;・・・88)がいずれも結束面(25;・・・85)を有するように、積層造形加工を用いて前記インサート本体(18;・・・88)を製造する、方法。
【請求項23】
前記ハニカム(10)を提供する工程及び音響的インサート本体(18;・・・88)を前記ハニカム(10)のハニカムセル(16)に挿入する工程は、前記積層造形加工を用いて1工程で実行される、請求項
22に記載の方法。
【請求項24】
前記積層造形加工は、3D印刷加工である、請求項
22又は
23に記載の方法。
【請求項25】
前記インサート本体(18;・・・68)の前記結束面(25;・・・65)は、前記インサート本体(18;・・・68)の主軸(H)の方向に相互から離隔した面領域(25a、25b;・・・65a、65b)を有し、該面領域は、前記主軸(H)の方向において当該面領域(25a、25b;・・・65a、65b)の間に音波のための通路(20;・・・60)を境界付けるために、相互に向き合い、前記主軸(H)に垂直な平面への投影において重なり、特に相互に対して整列され、前記インサート本体(18;・・・68)の第1の端部(21;・・・61)から前記面領域(25a、25b;・・・65a、65b)を通じて前記インサート本体(18;・・・68)の第2の端部(22;・・・62)への前記結束面(25;・・・65)の配置経路は前記主軸(H)を囲みかつ/又は該主軸(H)に繰り返し交差する、請求項
22から
24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記インサート本体(18;・・・88)は、それぞれの前記ハニカムセル(16)の隣接壁部(17)及び/又は前記フェースシート若しくは中間シート(12、14)に接着結合され及び/又は熱的方法による結合的態様で接合される、請求項
22から
25のいずれか一項に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0148
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0148】
図1A~1C
1 複合部材
10 ハニカム
12 外側フェースシート
14 内側フェースシート
16 ハニカムセル
17 ハニカムセルの壁部
18 インサート本体
R 理論上の曲率半径
U 理論上の屈曲軸
T ハニカムセルの深さ
図2A~2F
16 ハニカムセル
17 ハニカムセルの壁部
18、18´ インサート本体
20 音波のための通路
21 インサート本体の第1の端部
22 インサート本体の第2の端部
23 6角形本体部分
24 4角形本体部分
25 結束面
25a、25b 面領域
26 通路開口
27 6角形本体部分の狭面
28 折畳み線
29 キャビティ
α 本体部分間の角度
H インサート本体の主軸
図3A~6D
16 ハニカムセル
17 ハニカムセルの壁部
30、40、50、60 音波のための通路
31、41、51、61 インサート本体の第1の端部
32、42、52、62 インサート本体の第2の端部
33 ストリップ
34、44、54、64 ストリップの縁部
35、45、55、65 汎用化螺旋面
35a、35b、45a、45b、55a、55b、65a、65b 面領域
36、46 トランク
37、47、57、67 径方向内側縁部
38、48、58、68 インサート本体
39、49、59、69 径方向外側縁部
66 自由空間
H インサート本体の主軸
図7~8
17 ハニカムセルの壁部
29 キャビティ
80、90 音波のための通路
81、91 インサート本体の第1の端部
82、92 インサート本体の第2の端部
83、93 角錐状の本体部分
84 固定部分
75、85、95 結束面
75a、75b、85a、85
b 面領域
76 通路開口
86 トランク
87、97 通路開口
77 折り畳まれた縁部
78、88、98 インサート本体
79 縁部
H インサート本体の主軸
【国際調査報告】